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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】新規的な荷物搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
B65G1/04 551A
B65G1/04 565
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563359
(86)(22)【出願日】2021-10-07
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 IN2021050966
(87)【国際公開番号】W WO2022144913
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202011056619
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523246581
【氏名又は名称】バイシュ、アッシャー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バイシュ、アッシャー
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022JJ02
3F022LL14
(57)【要約】
本発明は、複数の搬送車両が案内経路上でX-Y-Z方向に個々の荷物を同時に搬送することを可能にする効率的な天井搬送システムを提供する。実施形態において、本発明は、自動化可能な材料の取扱いおよび保管に用いるための効率的な天井クレーンシステムを提供し、これは、搬送車両によって支持される天井クレーンと、各レベルにおけるガイドレールマトリックスと、ガイドレールマトリックスの端部におけるリフト機構と、制御システムとを備え、天井クレーンが材料の取扱いおよび保管のためにX-Y-Z方向に移動することを可能にする。ガイドレールマトリックスは、屋根天井によって支持され得る。ガイドレールマトリックスには複数のセルが形成され、セルを取り囲むガイドレール上を搬送車両が走行する。制御システムはコントローラを含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の搬送のためのシステムであって、
1または複数のレールマトリックス201と、
前記レールマトリックスのエッジ上を移動可能な1または複数の搬送車両202と
を備え、
前記搬送車両は積荷を運搬することが可能である、システム。
【請求項2】
前記レールマトリックス201は、任意の固定機構を介して、それらのフロアの対応する屋根天井によって支持される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記レールマトリックス201は、隣接するレール間に隙間301を有し、前記搬送車両は、前記車両の各半分における1または複数の車輪ペアとともに中央車輪ペア303を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記レールマトリックス201は、隣接するレール間に隙間301を有し、前記搬送車両の各々は、前記車両の車輪ペアが載置された2つの前記レール間の横方向の間隙を通る連結ロッドを介して前記搬送車両に連結された、前記レールの下の連結底部プラットフォーム304を有し、前記底部プラットフォームは、下から前記レールに載置された1または複数の車輪ペアも有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記底部プラットフォームの背面に最も近い前記底部プラットフォームの車輪ペア305は、前記上部車両の背面に最も近い前記上部車両の車輪ペア306と前記上部車両の前記背面との間の距離と比べて前記底部プラットフォームの前記背面の近くにある、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記搬送車両202は、前記レールマトリックスに対して垂直に方向転換可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記搬送車両202は、二重ねじ403または1または複数の空圧または油圧シリンダ404を介して連結された、前記車両の上部の上方にある上側ジャッキ部401と、前記車両の下部の下方にある下側ジャッキ部402とを備えるジャッキシステムを有し、それによって2つのジャッキ部401、402は、どこかの点で前記上側ジャッキ部401が前記レール201の上部に接触しながら前記下側ジャッキ部402が前記レール201の下部に接触することが可能であり、これら両方のジャッキ部が前記車両202およびその積荷の重量を支持可能であることにより、前記車両が前記レールマトリックス201に対して回転可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記レールマトリックスは、各マトリックスを異なる垂直レベルに有し、これらのレベルは、レベル間での搬送を可能にするリフト装置601で連結される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記リフト装置は、リフトシャフトと、前記リフトシャフトに沿って垂直に移動することが可能なリフトトロリーと、前記リフトトロリーに連結され、各レベルで前記リフトトロリーを前記レールマトリックスに連結可能なリフトプラットフォームとで構成され、前記リフトトロリーがあるレベルに位置する場合、前記搬送車両は、前記レベルの前記レールマトリックスと、前記リフトトロリーの前記リフトプラットフォームとの間で移動することができ、その後、前記搬送車両は、前記リフトプラットフォーム上にある間、前記リフトシャフトに沿って垂直方向に前記リフトトロリーとともに移動することができ、その後、前記リフトトロリーが任意のレベルに位置する場合、前記搬送車両は、前記リフトプラットフォームからこのレベルの前記レールマトリックスに移動することができる、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記リフトシャフトは、複数のリフトトロリーが積み重なり、同じリフトシャフトでともに動作可能となるように、緩衝空間を有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記リフトトロリーは、リフトホルダを介して前記リフトシャフトに沿って垂直に移動し、前記リフトホルダは、複数のリフトが同じリフトシャフトで動作することが必要な場合、前記緩衝空間内で前記リフトホルダが積み重なって待機可能となるように、前記リフトトロリーよりも小さなサイズである、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記リフトトロリーは、前記リフトトロリーを各レベルで適切な位置に固定するためのロック機構を備え、前記搬送車両およびその積荷をそれ自体に固定するためのロック機構も備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記リフトトロリーへの確実な取付けを可能にするために、作動把持を有する、または有さない位置ピンが前記搬送車両に配置され、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記リフトトロリーへの確実な取付けを可能にするために、ばねボールまたは磁気機構を有するピンが荷箱室に配置され、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
前記車両を両側で前記リフトトロリーにロックするために、前記リフトトロリーの両側にウェッジロックが存在する、請求項8に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムは、3次元領域にわたる任意の地点Aから任意の地点Bへの移動を可能にすることにより、前記領域全体にわたる物品の完全な搬送性を可能にする、請求項6に記載のシステム。
【請求項17】
前記搬送車両は移動の自動化が可能であり、無線信号を介して電子的に制御可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記車両の移動を操作する制御システムは、前記レールマトリックス上での移動中に搬送車両が互いに衝突しないことを確実にするために、衝突回避機構を備える、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料の取扱い、搬送、および保管プロセスにおいて使用するための天井クレーンシステムの分野に関する。広範には、本発明は、3次元格子または空間にわたる1つの地点から別の地点への任意の物品の搬送の分野に関する。より具体的には、本発明は、複数の天井クレーンが案内経路上を3次元にわたり移動して荷物を搬送し、搬送作業を行うことを可能にする、材料の取扱い、搬送、および保管プロセスにおいて使用される効率的な天井システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最終製品を開発するための製造ユニットにおいて、材料は、たとえば機械加工、押出し、研磨、他などのいくつかのプロセスを経る。全ての製造プロセスに適応するために、製造ユニットには様々な場所が存在する。製品に基づいて、材料は、特定の製造プロセスを遂行するために1つの場所から別の場所に運ばれる。したがって、1つの場所から別の場所に材料を運ぶことは、他の任意の製造プロセスと同様、生産ペースのために重要なタスクである。
【0003】
従来、製造ユニットは、たとえばリフトトラック、狭通路用リフトトラック、コンベヤ、クレーン、工業用ロボット、他など、多くの材料取扱い機器を使用する。これらの材料取扱い機器の多くは、地上のみを走行し、1つの場所から別の場所に材料を運搬する。よって、材料取扱い機器と人間の作業員との両方が同じ地上で作業することにより、両者を収容するために製造ユニットを大きくすることが必要になる。大きな製造ユニットは、たとえばコスト、工業的コンプライアンス、および作業員と取扱い機器とで同じ空間を共有することによる一定の事故の恐れなど、いくつかの欠点を有する。
【0004】
クレーンは、工場、倉庫、および造船所で使用され、クレーンの動作領域の範囲内で重い物体を持ち上げ、移動させる。クレーンは、重い荷物を持ち上げて移動させるための機械である。動力が大きいことおよび事故の可能性により、クレーンは、作業場におけるもっとも危険な設備になり得る。
【0005】
工業現場で使用されるクレーンには主に3つの種類がある。
【0006】
1.ブリッジクレーン
ブリッジクレーンは、高架壁構造に設置された平行なレールに取り付けられる。ブリッジは、2つのレール間に走る梁である。ホイスト機構を有するトロリーがブリッジ上を往復する。このシステムの主な制約は、梁の必要性により、複数のクレーンが同じエリア内で動作することが制限される点、および天井付近に障害物があり得る場所では梁が動作できない点である。
【0007】
2.ガントリークレーン
ガントリークレーンは、床に設置されたレールに沿って、または車輪上で動く2つの脚部に支持されたブリッジを有する。ブリッジクレーンと同様、トロリーがブリッジ上を往復する。これに関する主な欠点は、地上を転がる必要があることにより、多くの空間を要し、多くの床空間も占める点である。
【0008】
3.ジブクレーン
ジブクレーンは、壁やマストに取り付けられたジブまたはブームを有する。ジブクレーンはピボットを中心として弧状に旋回し、トロリーがジブの端から端まで走行する。これは、使用面積が制限されており、ジブの動き方が壁の周囲の弧に厳密に制限され、角部にも到達できない。
【0009】
また、上記の全てにおける主な制約は、そのようなクレーンを複数同時に動かして現場空間全域をカバーすることが不可能な点である。一般に、同じ空間内のユニットではそのようなクレーンは1つしか使用することができず、同じクレーンが何度も走行して荷物を1つの場所から別の場所に運搬しなければならない。従来のクレーンシステムが複数使用されるユニットは、それらが移動可能な空間に制限を設けるので、1つのそのようなクレーンが全領域を移動することはできない。よって、そのような機器は効率的ではない。
【0010】
工業用天井クレーンは、ブリッジ走行、トロリー走行、およびホイスト昇降といった全てのクレーン動作のオペレータ制御をもたらすコントローラを有する。コントローラは、オペレータがブリッジに沿って荷物の移動とともに歩行する必要がある、クレーン構造に配線されたペンダント制御装置、または無線制御装置、またはその両方である。
【0011】
特許出願DE102016120115A1号は、クレーンの通路に沿って通過可能な軌道である、水平に延びるクレーンガーダと、クレーンガーダに沿って移動可能であり、荷物を昇降させるためのホイストを担持するクレーントロリーとを有する天井クレーンに関し、この天井クレーンは、クレーンを走行させる動きを電気駆動するが、この発明は、1つの作業エリアに1つのクレーンしか可能ではないこと、あるいは複数のクレーンが可能であっても多くの面積を必要とし、2つのクレーンは互いに交差できないので、固定レールの場合と同様に多くのクレーンについても送達エリアが制限され、メンテナンスが必要な場合には、材料が入手できないことによって工場全体が停止するという欠点を有する。
【0012】
特許出願US8628289B1号は、自動材料取扱いおよび保管システムの保管容量を最適化するためのシステムおよび方法に関し、保管ビンの縦列の並びは、互いに対向関係に間隔を空けられ、少なくとも1つのエレベータが、対向する保管ビン列と係合して垂直に移動可能であり、それによってパレット、支持プラットフォーム、またはコンテナがエレベータに、またはエレベータから対向する並びのビンに移動されてよく、エレベータは、保管ビンの上に配置された交差グリッドトラックシステムに沿って移動可能な天井キャリアによって選択的に昇降され得る。実施形態の1つにおいて、少なくとも1つのエレベータは、対向する保管ビン列間で独立して垂直に移動可能であってよい。しかし、この発明は、1つの場所から別の場所に移送する材料箱のサイズに制限を有する。よって、大きな荷物には適用可能でない。
【0013】
したがって、上記欠点の是正に役立つ、材料の取扱いおよび保管に使用される既存の技術の改善が必要である。よって、複数の車両が作業エリアで同時に作業することを可能にする効率的なシステムの必要性がある。
【0014】
また、多くの要件において、物体が3次元空間内で1つの場所から別の場所に搬送されることが必要である。特に物体が大きい、または重い場合、システムを介してそれを行うことは厄介になり得る。したがって、この目的を実現するためのシステムの必要性がある。これを実現し、自動化され得るシステムは、非常に有益である。移動時間を最適化しながらこれを実現し、格子状のインフラを効率的に使用しながら複数のそのような搬送を並行して行うことを可能にし得るシステムは、非常に効率的であり、現在必要とされている。
【0015】
したがって、1つのフロア、1つの連結された部屋、または異なる垂直レベル間、または格子構造の異なる地点間にかかわらず、1つの地点から別の地点に荷物を搬送することができるスマートな搬送システムが必要とされている。本発明は、これを実現することを所望する。
【発明の目的】
【0016】
本発明の主な目的は、フロア上、1つの連結された部屋、または異なる垂直レベル間、または格子構造の異なる地点間にかかわらず、異なる地点間にわたる荷物搬送システムを提供することである。
【0017】
本発明の実施形態の1つの目的は、作業空間内で複数の車両が同時に動作し、完了までの作業工程(WIP)時間を低減して生産性を高めることを可能にする、材料の取扱いおよび保管プロセスに使用するための効率的な天井クレーンシステムを提供することである。
【0018】
本発明の実施形態の1つの別の目的は、地上レベルの材料取扱い車両ではなく材料取扱い車両のために天井空間を効率的に用いることにより、地上空間を他の目的に使用することを可能にする、材料の取扱いおよび保管プロセスのためのシステムを提供することである。
【0019】
本発明の実施形態の1つのまた別の目的は、座標系によりプログラム可能なPLCコントローラによって得られる所定のコマンド内で複数のクレーン付き車両が同時に動作することを可能にすることにより、任意のX-Y方向に材料を運搬または搬送することである。
【発明の概要】
【0020】
以下の概要は、開示される実施形態に固有の発明的な特徴の一部の理解を容易にするために提供されるものであり、完全な説明であることは意図されていない。本明細書に開示される実施形態の様々な態様の完全な理解は、明細書全体、特許請求の範囲、図面、および概要を全体的に捉えることによって得られ得る。
【0021】
本発明は、作業エリア内の複数の点上車両が案内経路上でX-Y方向に材料を同時に移送することを可能にする、材料の取扱いおよび保管のための効率的な天井クレーンシステムを提供する。
【0022】
実施形態において、本発明は、自動化可能な材料の取扱いおよび保管に使用するための効率的な天井クレーンシステムを提供し、これは、各々が搬送車両によって支持される複数の天井クレーンと、ガイドレールマトリックスと、制御システムとを備え、このシステムは、ガイドレールマトリックス上に取り付けられた搬送車両によって支持される上記複数の天井クレーンが、材料の取扱いおよび保管のためにX-Y方向に移動することを可能にし、上記ガイドレールマトリックスは、適切なねじ止め技術を用いて屋根天井によって支持され、1または複数の搬送車両は、衝突することなくガイドレール上で材料を同時に移送する。上記制御システムは、各々が搬送車両を有する天井クレーンを走行させ、材料を1つの場所から別の場所に搬送するように構成される。上記ガイドレールマトリックスは、複数のセルが形成され、セルを取り囲むガイドレール上を搬送車両が走行するようなものである。制御システムは、たとえばプログラマブルロジックコントローラ、マイクロコントローラなどであるがこれらに限定されないコントローラを含む。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、各々が搬送車両を有する複数の天井クレーンを提供し、各天井クレーンおよび搬送車両は、車両ならびに運搬される材料間の衝突を回避するために、マイクロコントローラおよび内蔵感知ユニットと統合される。搬送車両は、任意選択的に、材料を適切に配置し、または商品を生産するための作業(包装、加工、他の動作など)を行うために、ロボットアームまたは携帯機器を備える。
【0024】
本発明の他の態様は、添付図面とともに以下に示す本発明の特定の実施形態の説明を精査することにより、当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明は、詳細な説明および以下の図面の観点から考慮すると、容易に理解することができ、更なる利点および用途が容易に明らかになり得る。
図1】3種類の従来のクレーンシステム、すなわちブリッジクレーン101、ガントリークレーン102、およびジブクレーン103を示す。
図2a】本発明の実施形態の一部として、ガイドレールマトリックス201を示す。
図2b】本発明の実施形態として、荷物搬送のための天井車両またはクレーン車202を示す。
図3a】レール上の車両の斜視図を示す。
図3b】各半分に1つの車輪ペア302を有する車両を有する本発明の実施形態を示し、レール間の隙間も示される。
図3c】各半分に1つの車輪ペアとともに中央車輪ペア303を有する車両を有する本発明の実施形態を示す。
図3d】各半分に1つの車輪ペアを有し、対応する車輪ペアを有する底部プラットフォームが連結された車両を有する本発明の実施形態を示す。
図3e】車輪ペアを有する底部プラットフォームが連結された本発明の実施形態の一部として、天井車両またはクレーン車がガイドレールマトリックスの隙間を渡るための機構を示す。
図4a】本発明の実施形態の一部として、天井車両またはクレーン車がガイドレールマトリックスに対して方向転換するための機構を示す。
図4b】本発明の実施形態の一部として、クレーン車がガイドレールマトリックスに対して垂直に方向転換することを可能にするジャッキシステムを示す。
図4c図4bに記載のジャッキシステムを示す、車両の透視図を示す。
図4d図4bに記載のジャッキシステムを示す、底部プラットフォームが連結された車両の透視図を示す。
図5】複数のフロアを垂直に横切って荷物を搬送するためのリフト装置を伴う、本発明の別の実施形態を示す。
図6】複数のリフト装置を積み重ねることを可能にする、図5に示すものに基づく実施形態に存在する緩衝空間を示す。
図7a図5に示すものに基づく実施形態における2つの異なる荷積み位置に存在する車両およびリフトトロリーを示す。
図7b図5に示すものに基づく実施形態における2つの異なる荷積み位置に存在する車両およびリフトトロリーを示す。
図8a】複数のフロアを垂直に横切って荷物を搬送するためのリフト装置を伴う、図5に示す実施形態に存在するリフトロック機構を示す。
図8b】複数のフロアを垂直に横切って荷物を搬送するためのリフト装置を伴う、図5に示す実施形態に存在するリフトロック機構を示す。
図9】本発明の実施形態において、3D格子上の地点Aから地点Bに荷物がどのように搬送され得るかと、そのような搬送のために車両がとり得る経路の1つとを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の詳細な説明において、本明細書の一部を成す添付図面が参照され、図面には、本製品が実用され得る特定の典型的な実施形態が例示として示される。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することが可能であるように十分に詳細に説明されており、他の実施形態が利用され得ること、および本発明の主旨および範囲から逸脱することなく論理的、機械的、および電気的な変更がなされ得ることを理解すべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で捉えられるものではない。
【0027】
本発明の多くの態様は、以下で図面を参照してより良く理解され得る。図面内の構成要素は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。むしろ、本発明の構成要素を明確に示すことが重視される。また、図面内のいくつかの図を通して、同様の参照番号は、対応する部分を示す。本発明の少なくとも1つの実施形態を説明する前に、本発明の実施形態は、その適用において、以下の説明に記載され、または図面に示される構造の詳細および構成要素の配置に限定されないことを理解すべきである。本発明の実施形態は、様々な方法で実施および実行することが可能である。また、本明細書で用いられる表現および用語は、説明を目的としており、限定的なものと見なすべきではない。
【0028】
本発明は、荷物搬送システムに関し、より具体的には、天井クレーンシステムに関する。
【0029】
本発明の実施形態の1つは、材料の取扱いのための自動化可能な天井車両または車に関し、上記車両の底部に取り付けられたクレーンは、荷物をピックアップすることが可能であり、その後、自動化可能な車両が、屋根天井に支持された天井レールに設けられた経路に沿って1つの場所から他の場所に荷物を移送するための案内経路を走行し得る。天井レールは、ねじ止め方式で屋根天井に連結され得る。この実施形態において、単一の作業空間内で、1または複数の車両が、衝突を回避し、また車両速度を制御するために、座標系に基づいてPLCコントローラによって制御されながら、案内経路上で任意のX-Y方向に同時に荷物を移送することができる。
【0030】
本発明の別の実施形態は、各々が搬送車両202によって支持される複数の天井クレーン、ガイドレールマトリックス201、および制御システムから成る、自動化可能な材料の取扱いおよび保管において使用するための効率的な天井クレーンシステムを提供し、このシステムは、ガイドレールマトリックス上に取り付けられた搬送車両によって支持される上記複数の天井クレーンが、材料の取扱いおよび保管のためにX-Y方向に移動することを可能にし、上記ガイドレールマトリックスは、適切なねじ止め技術を用いて屋根天井によって支持され、1または複数の搬送車両は、衝突することなくガイドレールマトリックス上で同時に荷物を移送する。上記制御システムは、各々が搬送車両を有する天井クレーンを走らせ、1つの場所から別の場所に材料を搬送するように構成される。上記ガイドレールマトリックスは、複数のセルが形成され、セルを取り囲むガイドレール上を搬送車両が走行するようなものである。制御システムは、たとえばプログラマブルロジックコントローラ(PLC)、マイクロコントローラなどであるがこれらに限定されないコントローラを含む。
【0031】
別の実施形態において、本発明は、各々が搬送車両に連結された複数の天井クレーン車を提供し、各天井クレーンおよび搬送車両は、車両ならびに搬送される材料間の衝突を回避するためにマイクロコントローラおよび内蔵感知ユニットと統合される。搬送車両は、任意選択的に、材料を適切に配置し、商品を生産するための作業(包装、加工、他の作業など)を行うためのロボットアームまたは携帯機器を備える。搬送車両は、好適には、ガイドレール上を走行する車輪を有する長方形の車両であり、車両の数は、好適には8または10である。車両の外側車輪は格納式であり、車両は、X方向からY方向に移動するために回転する。感知ユニットは、近接センサ、位置センサ、距離測定用の光学センサを含むがこれらに限定されない複数のセンサを含む。上記センサは、クレーンによって搬送される荷物のサイズに関する制限をなくすために役立つ。
【0032】
上記ガイドレールマトリックスは、適切なねじ止め技術を用いて屋根天井によって支持され得る。上記ガイドレールマトリックスは、複数のセルが形成され、セルを取り囲むガイドレール上を搬送車両が走行するようなものである。
【0033】
本発明の実施形態の1つは、以下を含む。
【0034】
1.現在のレベルの天井に取り付けられた、切断されたグリッドマトリックス201。
【0035】
2.グリッド201の様々な内側エッジに沿ってこのマトリックス上を走行する走行車202に連結されたクレーン。
【0036】
3.クレーン車は、直線方向に移動しながら、隣接するエッジ間の隙間を渡ることが可能であり、これは下記でも説明される。
【0037】
4.クレーンは、方向転換のための機構を介して垂直に方向を変えることが可能であり、これは下記で説明される。
【0038】
[隙間を渡るための機構]
車両202が直進し、1つのエッジから、現在のエッジの前方直進方向にあって隙間301を跨ぐ平行なエッジに渡る場合、車両202は、単に前進することによって隙間を渡ることができる。
【0039】
各半分に1つの車輪ペアを有する通常の車両において、前輪がレールとの接触を失った瞬間、車両はアンバランス重量力によって傾くため、車両は、転倒したり傾いたりして動けなくならずに隙間を渡ることはできない。
【0040】
本発明の実施形態において、中央車輪303を車両の重心と垂直方向に一致させることにより、車両が隙間を渡ることが可能になり得る。これにより、この車両は、前輪および中央車輪の中心間の距離までの隙間を渡ることができる。これは、前輪が空中にある時、前輪が次のレールと接触するまで中央車輪が車両の重量のバランスをとるためである。車両に均一に荷重がかかり、または荷重が均一に分散しており、車両の重心が車両の中央にある場合、中央車輪も車両の中心にある。この実施形態において、車両の中心の両側に追加の車輪ペアを設けることにより、車両の安定性および平滑性を更に改善することができる。
【0041】
本発明の実施形態の1つにおいて、車両をレールの下にある追加の底部プラットフォーム304に連結させ、上記底部プラットフォームもまた1または複数の車輪ペアを有し、車両が隙間を渡ることを助ける。車両は、車両の車輪ペアが載置される2つのレール間の横方向の隙間を通る連結ロッドを介して底部プラットフォームに連結される。底部プラットフォームの背面に最も近い底部プラットフォームの車輪ペア305を、上部車両の背面に最も近い上部車両の車輪ペア306と上部車両の背面との間の距離と比べて、底部プラットフォームの背面に近くなるよう維持することによって、この車両が大幅に大きな隙間を渡ることが可能になり得る。これにより、車両が隙間を渡る間、力およびトルクを釣り合わせることができる。
【0042】
これは、図3eに更に示される。
【0043】
車両にかかる垂直力を釣り合わせると、次の式が得られる。
【0044】
[式1]
W+W2 Cos(Θ2)=W1 Cos(Θ1)
【0045】
車両にかかる水平力を釣り合わせると、次の式が得られる。
[式2]
W2 Sin(Θ2)=W1 Sin(Θ1)
【0046】
車両の上部車輪にかかるトルクを釣り合わせると、次の式が得られる。
[式3]
(W2 Cos(Θ2) X DX)+(W2 Sin(Θ2) X DY)=W X M
【0047】
車両の下部車輪にかかるトルクを釣り合わせると、次の式が得られる。
[式4]
(W1 Cos(Θ1) X DX)+(W1 Sin(Θ1) X DY)=W X M
【0048】
したがって、底部車輪は、車両が隙間を渡る際に前半の車輪ペアが空中にある間、車両にバランスをとらせることができる。
【0049】
したがって、上部車両の背面に最も近い上部車両の車輪ペア306と上部車両の背面との間の距離と比べて底部の背面にわずかに近い底部プラットフォームの車輪ペア305とともに、車両に底部区画を追加することにより、車両は、大幅に大きな隙間を渡ることができる。
【0050】
この機構は、より大きなサイズの隙間を渡る際、ある程度の横滑りに直面し得るが、これは、両方の車輪の上にダイナミックサスペンションシステムを設けることによって緩和され得る。また、この機構は、車両の各半分に追加の車輪ペアを設けることによって、更なる平滑性をもたらし得る。
【0051】
[垂直に方向転換するための機構]
搬送車がレールマトリックスに対して垂直に方向を転換するための機構が図4aに示される。
【0052】
本発明の実施形態の1つにおいて、クレーン車は、二重ねじ403または1または複数の空圧または油圧シリンダ404を介して連結された、車両上部の上方にある上側ジャッキ部401と、車両下部の下方にある下側ジャッキ部402とを有するジャッキを内部に備え、それによって、2つのジャッキ部401、402が互いに近付いて、どこかの点で上側ジャッキ部401がレール201の上部に接触し、下側ジャッキ部402がレール201の下部に接触し、これら両方のジャッキ部が車両202およびその積荷の重量を支持することができ、それによって車両がレールマトリックス201に対して回転することを可能にする。その後、車両は、現在載っているレールマトリックス201のエッジに対していずれかの垂直方向に回転し、回転後の位置でねじ403が緩められ、2つのジャッキ部401、402が離れると、車両202は再び、その重量および積荷の重量を直接持ち上げ、その時点で、載置されたレールマトリックス201の新たなエッジに沿って移動することができる。このように、車両は、レールマトリックス内の任意の交差点で方向転換を行うことができる。これは図4bにも示される。
【0053】
図4cは、図4bに記載のジャッキシステムを示す、車両の透視図を示す。
【0054】
図4cは、図4bに記載のジャッキシステムを示す、底部プラットフォームが連結された車両の透視図を示す。
【0055】
基本的に、ガイドレールマトリックス202上で動作しながらのクレーン車201の方向転換は、車両に内蔵されたジャッキシステムを介して実現され、方向転換が必要なブロックの角部において、ジャッキシステムは、レールに接触するまで下降し、車両の重量を担うことができ、その後、車両は、レールの角部で、そのようなジャッキシステムによって形成された軸を中心として自由に回転する。車両が必要な新たな方向に垂直に回転し、同じことがプログラムされ得るか、またはセンサを介して検出され得ると、ジャッキシステムは、レールとの接触を失い、車両の重量を支持する必要がなくなるようにねじを緩められ、その後、車両は、レールに沿って方向転換後の新たな方向に自由に移動する。
【0056】
シャフトが旋回すると、プレートが支持プレートに向かって移動し、支持プレートを把持し、車両および吊り下げられた積荷を持ち上げる。車両が持ち上げられ、プレートが保持されると、モータは更に旋回し、車両と固定されたジャッキとの間の回転をもたらし、ねじが回転すると車両全体が旋回するようにプレートを旋回させる。したがって、車両の旋回運動は、1つのモータおよびアクチュエータのみによって実現される。コントローラによって指令され、センサによってチェックされたように適切な位置で旋回が実行されると、車両と支持プレートとの間でブレーキが作用する。これにより、支持プレートが緩められ、車両内に格納される。これにより、旋回運動全体が単一のモータによって実行されることが可能である。
【0057】
[3次元搬送を可能にする実施形態]
本発明の別の実施形態において、3次元搬送は、積荷を有する搬送車を、異なるレベルまたはフロアにわたり垂直に持ち上げるための適切なリフト機構とともに、各レベルに1つのガイドレールマトリックスを有する複数のレベルを連結することによって可能である。したがって、マルチレベル搬送の場合、以下で更に詳しく説明される特別なリフト装置601を介してレベル間で垂直搬送が実現されると同時に、上記実施形態で説明したものと同様の方法で、同じレベルでの水平移動が行われる。そのような実施形態において、積荷は、乗客の形態であってもよい。
【0058】
図5は、リフトシャフト、リフトトロリーを示す、リフト装置の実施形態を示す。
【0059】
リフト装置は、積荷を運んでいる場合も運んでいない場合もある車両が、リフトトロリーに荷積みし、または取り付けられ、その後、リフトトロリーがリフトシャフトに沿って所望のレベルまで垂直に移動することによって動作し、そこで車両は、リフトトロリーから荷降ろしし、または車両自体を取り外し、その後、新たなレベルでガイドレールマトリックスに沿って自由に移動する。
【0060】
また、本発明の別の実施形態において、最上階の上および最下階の下にリフトシャフトに緩衝空間が提供されることにより、複数のそのようなリフトトロリーがリフトシャフトに沿って問題なく同時に動作し得る。
【0061】
図6は、複数のリフトトロリーが積み重ねられて共に動作し得るように、リフトシャフトの端部にどのように緩衝空間が設けられ得るかを示す。
【0062】
リフトトロリーは、リフトホルダを介してリフトシャフトに沿って垂直に移動してよい。
【0063】
上方および下方に移動するリフトホルダは、リフト全体よりも大幅に小さいように設計される。複数のリフトが同じシャフトで動作し得る。下降するリフトホルダは、上にあるリフトホルダの全てが到来するまで下側シャフトで待機することができ、その後、人または商品を送達するために1つずつ全て上に上がり、上にある緩衝空間で同様に待機することができる。
【0064】
また、上記リフトトロリーは、荷積みまたは荷降ろしレベルに関する適切な位置に固定するためのロック機構と、リフトシャフトに沿った垂直移動の期間中、車両およびその積荷を固定するための別の機構とを備える。
【0065】
図8aおよび図8bは、本発明の実施形態に存在するリフトロック機構を示す。
【0066】
ロック機構は、リフトを適切な位置にロックし、車両がリフトの内外へ安全に移動することを可能にするように設計される。上記と同じリフトおよびロック機構は、車両をリフトトロリーにロックするために使用され、作動把持を有する、または有さない2つの位置決めピンが、安全性および位置精度のために車両をリフトトロリーに追加でロックするために使用される。
【0067】
本発明の別の実施形態は、リフトへの確実な取付けを可能にするために車室内に配置されているピンを含む。これらのピンは、車両をリフトに取り付けるためのばね/ボールまたは磁気機構を有してよい。これは、バランスおよび安定性のために上述したロック機構を介して車両がロックされることに追加される。
【0068】
本発明の別の実施形態は、リフトの両側でリフトトロリーに車両をロックするために、リフトの両側にあるウェッジロックを含む。
【0069】
本発明の別の実施形態において、任意の積荷は、箱構造において任意の地点Aから任意の地点Bに搬送されることにより、構造物の格子全体にわたる便利で機械化された物品の完全輸送性を可能にし得る。
【0070】
図9は、3D格子上で地点Aから地点Bに積荷が搬送され得る本発明のこの実施形態と、そのような搬送のために車両がとり得る経路の1つとを示す。
【0071】
別の実施形態において、本発明は、各々が搬送車両を有する複数の天井クレーンを提供し、各天井クレーンおよび搬送車両は、車両ならびに運搬される材料間での衝突を回避するために、マイクロコントローラおよび内蔵感知ユニットと統合される。搬送車両は、任意選択的に、材料を適切に配置し、商品を生産するための作業(包装、加工、他の動作など)を行うためのロボットアームまたは携帯機器を備える。
【0072】
本発明の別の実施形態において、載荷容量を高め、大型の積荷を安全に運搬するための観点から、複数の車両が同期して移動しながら同じ積荷を同時に持ち上げるために協働することができる。
【0073】
したがって、本発明は、衝突の可能性なく単一の作業空間内で複数の自動化可能な車両が走行することを可能にする、材料の取扱いおよび保管のための新規技術を提供する。よって、本発明は、従来技術に伴う欠点を克服し、生産ペースを高める。本発明は、製造ユニットおよび商品の保管を伴う工業のあらゆるところで適用可能である。
【0074】
上記開示およびその他の特徴および機能の変形例、またはその代替物は、他の多くの異なる製品または用途に好適に結合され得ることが認識される。また、現時点で予測または予想されていない様々な代替例、変更例、変形例、または改善点が今後当業者によってなされる可能性があり、それらもまた、以下に添付する特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
【国際調査報告】