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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】構造要素を有する加工部材
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/08 20060101AFI20240109BHJP
   B23K 20/10 20060101ALI20240109BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B29C65/08
B23K20/10
A61F13/15 355B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023534131
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 EP2021084609
(87)【国際公開番号】W WO2022122736
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】102020132522.3
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520062177
【氏名又は名称】ヘルマン ウルトラシャルテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ラケール ルセル-ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ロビン アレクサンダー ボーデ
(72)【発明者】
【氏名】ティモ ツィンク
【テーマコード(参考)】
3B200
4E167
4F211
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200CA02
3B200EA24
4E167AA22
4E167AA27
4E167BE04
4E167BE05
4E167BE06
4E167BE07
4E167DB08
4F211AG03
4F211TA01
4F211TC03
4F211TD11
4F211TJ15
4F211TN23
4F211TQ03
4F211TQ05
4F211TQ15
(57)【要約】
本発明は、ソノトロード(3)又はアンビルのような、材料を加工するための加工部材(1)に関するものであって、実質的に円筒形状又は円筒セグメント形状の支持体面(2)を有し、その支持体面は加工の間に材料と接触するために設けられ、加工部材(1)は加工の間にその長手軸線(10)を中心に回転するように設けられているため、支持体面(2)が周方向に移動し、かつ加工すべき材料上で転動し、支持体面(2)上に少なくとも1つの構造要素(4)が配置され、その構造要素が径方向において支持体面(2)を越えて張り出し、構造要素(4)は上面を有し、その上面が、加工すべき材料と接触するために設けられている。より高い送り速度で確実な溶接を可能にする、加工部材(1)を提供するために、本発明によれば、上面が基部と少なくとも1つの凹部とを有し、その凹部が基部よりも長手軸線(10)から小さい距離を有し、長手軸線(10)に対して垂直な断面図において、基部と凹部が並んで配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソノトロード又はアンビルのような、材料を加工するための加工部材であって、
実質的に円筒形状又は円筒セグメント形状の支持体面を有し、前記支持体面は加工の間に前記材料と接触するために設けられ、前記加工部材は加工の間に長手軸線を中心に回転するように設けられ、前記支持体面が周方向に移動し、かつ加工すべき前記材料の上で転動し、前記支持体面には少なくとも1つの構造要素が配置され、該構造要素は半径方向に前記支持体面を越えて張り出し、前記構造要素は加工すべき前記材料と接触するために設けられた上面を有する、加工部材において、
前記上面が基部と少なくとも1つの凹部とを有し、該凹部は前記基部よりも前記長手軸線からより短い距離を有し、前記基部と前記凹部は、断面図において前記長手軸線に対して垂直に互いに並置されている、ことを特徴とする加工部材。
【請求項2】
前記凹部によって形成される切り欠きは前記支持体面まで延びていなく、好ましくは前記切り欠きは、1mm未満の、かつ特に好ましくは0.05mmと0.2mmの間の深さを有している、ことを特徴とする請求項1に記載の加工部材。
【請求項3】
前記凹部は溝として形成され、該溝は好ましくは周方向に方向づけされていない、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の加工部材。
【請求項4】
前記溝の幅は、1mmより小さく、かつ好ましくは0.6mmよりも小さく、かつ特に好ましくは0.2mmと0.4mmの間である、ことを特徴とする請求項3に記載の加工部材。
【請求項5】
前記溝は、0.15mmよりも小さい、好ましくは0.05mmよりも小さい横断面積を有し、かつ特に好ましくは前記横断面積は0.015mmと0.04mmの間である、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の加工部材。
【請求項6】
前記構造要素は、前記上面において、周方向に方向づけされていない多数の溝、好ましくは少なくとも3つの溝を有し、好ましくは前記溝は互いに対して平行に配置されている、ことを特徴とする請求項3~5の何れか一項に記載の加工部材。
【請求項7】
前記上面は、略平坦に又は円筒軸線からの主要部の距離に相当する曲率半径を備えた凸状の湾曲をもつ主要部と、前記主要部に周方向で連続する少なくとも1つの面取り部とを有し、該面取り部は、前記主要部に対して角度付けされており、それによって前記主要部と前記面取り部は180°より小さい角度を形成するか、及び/又は凸状に湾曲されており、前記主要部が凸状に湾曲して形成されている場合に、前記面取り部の曲率半径が前記主要部の曲率半径よりも小さく、好ましくは前記少なくとも1つの凹部は前記主要部内に配置されている、ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の加工部材。
【請求項8】
周方向に互いに離隔した、少なくとも2つの構造要素が設けられている、ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の加工部材。
【請求項9】
前記加工部材がアンビルとして形成されている、ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の加工部材。
【請求項10】
前記上面は長さlと幅bを備えた細長い形状を有し、ここでl>bである、ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の加工部材。
【請求項11】
前記構造要素(4)及び前記上面に配置されている前記凹部(5)は、前記加工部材の全長lにわたって連続的に延び、長さlが前記長手軸線(10)に対して実質的に平行に方向付けされている、ことを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の加工部材。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載の加工部材とカウンター部材とを有する超音波溶接装置であって、
前記カウンター部材はシール面を有し、該シール面を前記加工部材に対向して配置することができ、前記上面と前記シール面との間に間隙が形成され、該間隙内に加工すべき材料を配置することができ、前記加工部材の長手軸線に対して垂直な断面図で見て、前記シール面が溶接部を有し、該溶接部が少なくとも部分的に凹状に湾曲している、超音波溶接装置。
【請求項13】
前記カウンター部材の凹状に湾曲した部分の曲率半径は前記加工部材の主要部の曲率半径にほぼ相当する、ことを特徴とする請求項12に記載の超音波溶接装置。
【請求項14】
前記カウンター部材は、少なくとも1本の糸を少なくとも部分的に収容するための溝を有し、該溝は送り方向に方向付けされ、該溝内で加工すべき材料が前記加工部材とカウンター部材の間の間隙を通して移動され、前記加工すべき材料が少なくとも2つの材料織物部分と少なくとも1本の糸とからなり、前記少なくとも1本の糸が2つの材料織物部分の間に位置決めされている、請求項12又は13に記載の超音波溶接装置。
【請求項15】
前記シール面が進入部を有し、前記進入部が前記溶接部の隣に配置されており、かつ湾曲されていないか、又は前記溶接部の曲率半径よりも大きい曲率半径をもって凹状に湾曲されている、ことを特徴とする請求項12又は13に記載の超音波溶接装置。
【請求項16】
前記加工部材が送り方向に回転するように設けられ、該送り方向において加工すべき材料が前記加工部材と前記カウンター部材の間を通して移動し、進入部と溶接部が次のように、すなわち前記送り方向に間隙を通して移動する材料がまず前記進入部と、そしてその後に前記溶接部と接触するように配置されている、ことを特徴とする請求項14に記載の超音波溶接装置。
【請求項17】
前記進入部と前記溶接部はほぼ同じ大きさである、ことを特徴とする請求項14又は15に記載の超音波溶接装置。
【請求項18】
前記カウンター部材はソノトロードとして形成されている、ことを特徴とする請求項12~16の何れか一項に記載の超音波溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソノトロード又はアンビルのような、材料を超音波加工するための加工部材に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布材料を結合する場合に、超音波が適用されることが多くなっている。その場合に互いに結合すべき2つの不織布部分は、ソノトロードとアンビルの間の間隙内へ重ねて挿入されて、ソノトロードに超音波振動が供給される。互いに重なり合う接触面に、超音波によって誘導される摩擦に基づいて点状の加熱がもたらされるため、不織布の特に熱可塑性要素が溶融される。結合すべき材料部分の溶融された構成要素が互いに流れ込んで、その冷却後に堅固な結合がもたらされる。
【0003】
すなわち、おむつを形成する場合に、適切な不織布部分を互いに結合することが可能である。
【0004】
不織布を加工する場合にはひだ寄せも望ましいことが多い。そのために、結合すべき不織布部分の間に付加的な弾性糸が挿入される。その後、結合すべき不織布部分が少なくとも2つ結合面において互いに結合され、その場合に糸は、加工の間に超音波によって2つの結合面の間で次のように、すなわち糸と不織布部分との間に、互いに垂直に方向づけされる2つの空間方向において形状結合が存在するように固定される。このようにして材料にひだを寄せることができる。
【0005】
加工部材は、実質的に円筒形状又は円筒セグメント形状の支持体面を有することができ、その支持体面は、加工の間に材料と接触するために設けられている。加工部材は加工の間その長手軸線を中心に回転するため、支持体面が加工すべき材料上で転動する。
【0006】
支持体面は、しばしば少なくとも1つの構造要素を有し、その構造要素が径方向において支持体面を越えて張り出しているため、構造要素は、加工すべき材料と接触するために設けられた上面を有する。本来の溶接は、構造要素の上面とそれに対して離隔して配置されたカウンター部材のシール面との間の領域内で行われる。
【0007】
糸で固定する場合に、細長い構造要素は典型的に各部材の長手軸線に沿って延びるため、構造要素は通常、糸の方位に対して角度をもって、少なくとも直角で、方向付けされている。したがって構造要素によって、糸は部分的に不織布と結合される。糸が自由に移動できる領域が、糸が不織布部分と結合される領域と交互になる。この結合は、不織布と糸の間で、形状結合が存在しない空間方向において摩擦結合により、又は材料結合によって行うことができる。超音波加工の間に糸が伸張した場合には、糸が加工後に弛緩した時に、糸を部分的に固定することにより不織布にひだ寄せが生じる。
【0008】
たとえば、カウンター部材をソノトロードとし、加工部材をアンビルとすることができる。以下において、本発明はこの例を用いて説明される。というのは、これが好ましい実施形態だからである。しかし原理的に、加工部材をソノトロードとして、そしてカウンター部材をアンビルとして形成することも、可能である。
【0009】
加工する間、構造要素を有する支持体面が加工すべき材料上で転動するため、特に構造要素が溶接をもたらす。
【0010】
加工速度は、従来技術の装置によって制限されている。
【0011】
原則的に、送り速度、すなわち材料が加工部材とカウンター部材の間の間隙を通って移動する速度は高められる。
【0012】
もちろんその場合には、固定の周波数で材料に作用するソノトロードによっては、もはや確実な溶接を可能にするために充分なエネルギは材料に投入されない。これは、送り速度を高くした場合に、材料がソノトロードのシール面と接触することが短くなり、したがって材料へもたらされるソノトロードの「衝撃」が少なくなることによるものである。
【0013】
これは、ソノトロードを加工すべき材料へ圧接させる力を増大させることによって、部分的に補償することができる。それによって、ソノトロードの「衝撃あたり」より多くのエネルギが材料内へ伝達される。もちろんこれは、より高い摩擦をもたらし、かつ、溶接すべき材料部分の間の境界面に、すなわちいわゆる接合ゾーン内に、超音波加工によって形成される、溶融された構成要素が、構造要素によって接合ゾーンから押し出され、それが同様に継目の悪化をもたらす。というのは、接合ゾーン内にもはや充分な熱可塑性構成要素が提供されないからである。その代わりに、又はそれに加えて、超音波振動の振動周波数を高めることもできる。それによっても、ソノトロードの「衝撃あたり」より多くのエネルギが材料内へ伝達される。しかしこれは、限定的にしかできない。ソノトロードがより高い振動振幅で駆動される場合には、ソノトロード材料の損傷をもたらすことがあり得る。
【0014】
より高い加工速度を得るために、すでに、いわゆる「ウェルディング-ホィール」が使用されており、それにおいては、ホィールの回転運動の間の接触時間を高めるために、1つのホィール上に複数のソノトロードが配置されている。しかしこの解決は、きわめて煩雑である。
【0015】
さらに、糸を不織布と結合しようとする場合に、付加的に、構造要素が細すぎると糸の締めつけが充分でなくなる問題がある。というのは構造要素の上面に相当する、不織布との相互作用面が小さいことに基づいて締め付け力が減少するからである。それに対して広すぎる幅の構造要素が選択される場合には、相互作用面とそれに伴って締め付け力は大きくなるが、もちろんより大きい相互作用面は、加工すべき材料との摩擦の増大ももたらす。さらに、構造要素が広すぎる場合に、糸がじゃまされずに移動できる自由空間が減少され、それが材料のひだ寄せ特性にマイナスに作用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって上述した従来技術に基づいて、本発明の課題は、確実な溶接を可能とする加工部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、この課題は、上面が基部と少なくとも1つの凹部とを有し、その凹部が基部よりも長手軸線から短い距離を有し、長手軸線に対して垂直な断面図において、基部と凹部とが並んで配置されていることによって、解決される。
【0018】
構造要素が材料上で転動する場合に、可塑化された構成要素が凹部内で溶融されるため、上述した接合ゾーンからの可塑化された構成要素の押し出しが減少される。
【0019】
糸固定する場合に、凹部内での溶融物の濃縮により糸の締めつけが付加的に改良される。
【0020】
凹部によって、さらに、効率的な相互作用面積及びそれに伴って材料との摩擦が減少される。同時に構造要素は、より幅広に形成することができるため、糸が充分に固定される。さらに凹部によって、同じ加工結果を得るために、加工部材とカウンター部材との間により少ない力をもたらせば済むことになる。さらに、結果として生じる製品の感触の改良が確認された。
【0021】
好ましい実施形態において、凹部によって形成される切り欠きは、支持体面まで延びておらず、好ましくは1mmより少ない深さ、かつもっとも良いのは0.05mmと0.2mmの間の深さを有する。
【0022】
他の好ましい実施形態において、凹部は溝として形成されており、その溝は周方向のみに整列されていない。溝が周方向に整列している場合には、溝は好ましくは支持体面を全周で包囲しておらず、360°未満の周角度にわたってのび、特に最良には、45°未満の、特に25°未満の周角度のみにわたって延びている。また、複数の溝が周方向に互いに離隔して配置されることも、可能である。
【0023】
溝は、溶接を中断せず、単に溶融された材料を収容するため、材料は実質的にその場所と位置に留まり、かつ材料層の結合に用いることができる。
【0024】
この溝が、ソノトロードの圧力が高まることに基づく、加工すべき材料上での溶融物の好ましくない位置ずれを、溝の箇所において停止できることが、示されている。溶融物は、溝までしか移動しない。したがって溝は、溶融材料のための収容部として用いられる。
【0025】
好ましい実施形態において、溝は、1mmより小さく、好ましくは0.6mmより小さい幅を有する。最良なのは、溝の幅が0.2と0.4mmの間にあることである。
【0026】
溶接すべき材料にしたがって、溝が0.15mm未満の横断面積を有していれば、充分な場合もある。好ましくは横断面積は、特に0.05mmより小さく、もっとも良いのは0.015mmと0.04mmの間にある。
【0027】
好ましい実施形態において、構造要素は上面に複数の溝、好ましくは少なくとも3つの溝を有し、それらの溝は周方向に方向づけされておらず、好ましくは溝は互いに対して平行に配置されている。溝によって、溶融された材料をそれぞれの位置に保持することが可能であり、したがって複数の溝が効果的である。
【0028】
他の好ましい実施形態において、構造要素の上面が主要部及び主要部に周方向に連続する少なくとも1つの面取り部を有しており、その主要部は実質的に平坦か、又は円筒軸線からの主要部の距離に相当する曲率半径を有する凸状の湾曲をもって形成されている。面取り部は、主要部に対して折曲されているため、主要部と面取り部が180°より小さい角度を形成するか、又は面取り部が凸状に湾曲されており、主要部が凸状に湾曲して形成されている場合に、面取り部の曲率半径は主要部の曲率半径よりも小さい。好ましくは、少なくとも1つの凹部が主要部内に配置されている。面取り部は、材料を徐々に、主要部とカウンター部材の間の溶接接点へ提供するために、用いられる。主要部と面取り部の間の移行部において、上面の勾配又は曲率が変化する。それによって、この加工部材を使用する場合に構造要素とカウンター部材の間の距離が連続的に小さくなり、ついには構造要素とカウンター部材の間で最小の距離が実現されることが、保証されている。
【0029】
他の好ましい実施形態において、上面は、対向する側において周方向に主要部に連続する2つの面取り部を有し、それら面取り部が主要部に対して折曲されているため、主要部と面取り部がそれぞれ180°より小さい角度を形成する。したがって加工する場合に構造要素の上面は進入する面取り部だけでなく、さらに退出する面取り部も有しており、それによって構造要素の加工の最後においても、カウンター部材から加工部材へもたらされる力は徐々にしか減少されない。
【0030】
他の好ましい実施形態において、構造要素の上面は、長さlと幅bを備えた細長い形状を有し、ここでl>bである。この長さは、好ましくは長手軸線に対して平行ではなく、もっとも良いのはそれに対して実質的に垂直に延びている。
【0031】
他の実施形態において、構造要素及び上面に配置されている凹部は、加工部材の全長lにわたって連続的に延びており、長さlは、長手軸線に対して実質的に平行に方位づけされている。好ましくは、構造要素の長さlが、長さlに対して実質的に垂直に配置された、構造要素の幅bよりもずっと大きいと言える。
【0032】
他の実施形態において、構造要素は同様に、実質的に加工部材の長手軸線に沿って延びており、構造要素及び上面に配置されている凹部は、蛇行線形状に延びている。なお、この場合においては基部も同様の蛇行線形状に延びている。
【0033】
本発明は、まさに今説明してきたような加工部材を有する超音波溶接装置にも関する。この超音波溶接装置は、加工部材に加えてさらにカウンター部材を有し、そのカウンター部材がシール面を有し、そのシール面は加工部材に対向して配置することができるため、加工部材の構造要素の上面とカウンター部材のシール面との間に間隙が形成され、その間隙内に加工すべき材料を配置することができ、断面図において加工部材の長手軸線に対して垂直にシール面が溶接部を有し、その溶接部が少なくとも部分的に凹状に湾曲されている。
【0034】
すでに上で記録したように、カウンター部材をソノトロードとし、加工部材をアンビルとすることができる。溶接部を部分的に湾曲することによって、ソノトロードとアンビルの間の接触時間が延長されるため、より多くのエネルギを材料内へ投入することができ、それによって同様に、ソノトロードを加工すべき材料へ押圧する力を増大させる必要なしに、送り速度を高めることができる。
【0035】
他の好ましい実施形態において、カウンター部材の凹状に湾曲された部分の曲率半径は、加工部材の主要部の曲率半径にほぼ相当する。実際には、カウンター部材の凹状に湾曲された部分の曲率半径が、加工部材の主要部の曲率半径よりもわずかに大きいと、特に効果的である。2つの曲率半径の差は、溶接加工の間シール面と構造要素の上面との間に残留する間隙の幅に相当する。
【0036】
他の実施形態において、カウンター部材が少なくとも1本の糸を少なくとも部分的に収容するための溝を有し、その溝が送り方向に方位づけされており、その溝内で加工すべき材料が加工部材とカウンター部材の間の間隙を通して移動され、加工すべき材料は少なくとも2つの材料織物部分と少なくとも1本の糸とからなり、少なくとも1本の糸は2つの材料織物部分の間に位置決めされている。このようにして、超音波溶接装置内で本発明に係る加工部材によって、ひだを寄せることのできる材料も形成することができる。
【0037】
他の好ましい実施形態において、シール面が進入部を有し、その進入部が溶接部の隣に配置されており、かつ湾曲されていないか、又は溶接部の曲率半径よりも大きい曲率半径をもって凹状に湾曲されている。ここでも進入部と溶接部の間の移行部において、シール面の勾配又は湾曲が変化するため、進入部の領域内で加工部材とカウンター部材の間の距離がだんだんと小さくなって、ついには最小の距離が達成され、その最小の距離は溶接部と構造要素の上面との間の距離に相当する。この進入部は、送り方向に間隙を通して移動される材料が、最初に進入部と、そしてその後溶接部と接触するように、配置されている。
【0038】
進入部と溶接部がほぼ等しい大きさであると効果的である。
【0039】
本発明の他の利点、特徴及び適用可能性が、好ましい実施形態と付属の図についての以下の説明を用いて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は超音波溶接装置を斜視図で示している。
図2図2図1のXで示される領域の詳細を拡大して示している。
図3図3図2の詳細を拡大して示している。
図4図4図1の超音波溶接装置を側面図で示している。
図5図5図4の一部を拡大して示している。
図6図6は本発明に係る加工部材の他の実施形態を図式的に示している。
図7図7図6内の図式的な表示を拡大して示している。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1には、超音波溶接装置の斜視図が示されている。超音波溶接装置は、アンビルとして形成された加工部材1を有し、その加工部材がここではローラとして形成されており、そのローラは長手軸線10を中心に回転可能である。ローラ上に、支持体面2を有する少なくとも1つの横継目ストリップ11が配置されている。対向して、ソノトロードとして形成されたカウンター部材3が配置されている。
【0042】
カウンター部材3は、ここでは超音波振動によって励振することができる。加工すべき材料は、支持体面2とソノトロード3の、支持体面2へ向いたシール面との間を通して移動され、材料の加工速度は加工部材1の周速度と一致する。支持体面2とソノトロード3の間の間隙は次のように、すなわち加工する場合に超音波振動が材料へ伝達され、かつ境界面において熱可塑性の構成要素の溶融がもたらされるように、選択される。
【0043】
図2には、図1の詳細が拡大して示されている。
【0044】
支持体面2上に、多数の構造要素4が配置されていることが認識される。これらの構造要素4は細長い形状を有し、それらは周方向に方位づけされている。構造要素4は、加工する際に材料と接触して、溶接パターンを定め、その溶接パターンが加工する際に材料内に形成される。超音波溶接設備は、たとえば不織布からなるおむつに側方継目を形成するために使用することができる。
【0045】
図3には、図2内の詳細が拡大して示されており、それにおいて構造要素4が良好に認識される。周方向(長手軸線10に関して)に、2つの構造要素4が並べて配置されている。軸方向においては、この種の構造要素対の多数が並べて配置されている。
【0046】
各構造要素は、主要部6と2つの面取り部7、8とを有しており、それらの面取り部は主要部6に比較して著しく湾曲されている。主要部6内には溝5が形成されており、それらの溝は図示される実施形態において周方向に対して垂直に延びている。溝が、周方向に対して垂直に延びることは、必要ではない。しかし、発明に係る効果を得るためには、溝は周方向に対して平行には配置されない。しかし溝が周方向に対して平行に配置されている場合には、溝は構造要素4全体にわたって延びることはない。
【0047】
溶接する場合に、構造要素4が加工すべき材料上で転動するため、まず面取り部8が加工すべき材料と接触する。面取り部8が角をおとして配置されていることに基づいて、この領域内で構造要素4と対向して配置されている、カウンター部材3のシール面との間の距離がだんだんと小さくなって、ついには主要部6の領域内で最小の距離が達成される。主要部6は凸状に湾曲して形成することができ、湾曲半径は構造要素4の上面と加工部材1の長手軸線10との間の距離にほぼ相当する。
【0048】
主要部6内で、溝5は、0.1mmの深さと0.3mmの幅をもって形成されている。それによって生じる切り欠き内に、溶融された材料が進入することができるため、その材料は実質的にその場所と位置に留まり、構造要素によって接合ゾーンから押し出されない。
【0049】
図4には、図1の超音波溶接設備が側面図で示されている。面9は、シール面、すなわち支持体面もしくは構造要素4へ向いた面である。
【0050】
図5には、図4の拡大した部分が示されている。面9は、ここでは、進入部9aと溶接部9bとからなる。溶接部9bは、凹状に、かつ特に加工部材の主要部の湾曲半径と実質的に等しい湾曲半径で湾曲している。この措置によって、加工の間材料がより長くソノトロードと接触することが保証されるため、より多くのエネルギを加工すべき材料内へ投入することができる。この実施形態において、進入部9aは、湾曲されずに形成されており、それによって、加工すべき材料が進入部9aの領域内でまず狭くなる間隙内へ案内されることが保証される。その後、溶接部9bの領域内で、間隙が最小となり、溶接部の領域内で実質的に一定に維持される。溶接は、主として溶接部9bによって行われるが、進入部9aはその、溶接部9bを向いた端部においてすでに溶接に寄与することができる。
【0051】
そして図6及び7には、本発明に係る加工部材1の代替的な実施形態が示されており、それは、特にひだを寄せることができる材料を形成するのに適している。そのために加工すべき材料の2つの材料織物部分の間に、少なくとも1本の糸が挿通されており、その糸が構造要素4によって部分的に力結合又は材料結合で材料織物部分と結合される。構造要素4は、アンビル1の広がり全体にわたって連続して長手軸線10の方向に延びている。さらに、構造要素4及びそれに伴って溝5も、蛇行線状に延びている(図7を参照)。図6と7に示す実施形態によって、糸は材料部分と安定して結合され、同時に加工部材1と材料の間の摩擦が減少されている。
【符号の説明】
【0052】
1 加工部材(アンビル)
2 支持体面
3 カウンター部材(ソノトロード)
4 構造要素
5 溝
6 主要部
7、8 面取り部
9 シール面
9a 進入部
9b 溶接部
10 長手軸線
11 横継目ストリップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソノトロード又はアンビルのような、材料を超音波加工するための加工部材に関する。このような加工部材は例えば特許文献1に記載されている。
【背景技術】
【0002】
不織布材料を結合する場合に、超音波が適用されることが多くなっている。その場合に互いに結合すべき2つの不織布部分は、ソノトロードとアンビルの間の間隙内へ重ねて挿入されて、ソノトロードに超音波振動が供給される。互いに重なり合う接触面に、超音波によって誘導される摩擦に基づいて点状の加熱がもたらされるため、不織布の特に熱可塑性要素が溶融される。結合すべき材料部分の溶融された構成要素が互いに流れ込んで、その冷却後に堅固な結合がもたらされる。
【0003】
すなわち、おむつを形成する場合に、適切な不織布部分を互いに結合することが可能である。
【0004】
不織布を加工する場合にはひだ寄せも望ましいことが多い。そのために、結合すべき不織布部分の間に付加的な弾性糸が挿入される。その後、結合すべき不織布部分が少なくとも2つ結合面において互いに結合され、その場合に糸は、加工の間に超音波によって2つの結合面の間で次のように、すなわち糸と不織布部分との間に、互いに垂直に方向づけされる2つの空間方向において形状結合が存在するように固定される。このようにして材料にひだを寄せることができる。
【0005】
加工部材は、実質的に円筒形状又は円筒セグメント形状の支持体面を有することができ、その支持体面は、加工の間に材料と接触するために設けられている。加工部材は加工の間その長手軸線を中心に回転するため、支持体面が加工すべき材料上で転動する。
【0006】
支持体面は、しばしば少なくとも1つの構造要素を有し、その構造要素が径方向において支持体面を越えて張り出しているため、構造要素は、加工すべき材料と接触するために設けられた上面を有する。本来の溶接は、構造要素の上面とそれに対して離隔して配置されたカウンター部材のシール面との間の領域内で行われる。
【0007】
糸で固定する場合に、細長い構造要素は典型的に各部材の長手軸線に沿って延びるため、構造要素は通常、糸の方位に対して角度をもって、少なくとも直角で、方向付けされている。したがって構造要素によって、糸は部分的に不織布と結合される。糸が自由に移動できる領域が、糸が不織布部分と結合される領域と交互になる。この結合は、不織布と糸の間で、形状結合が存在しない空間方向において摩擦結合により、又は材料結合によって行うことができる。超音波加工の間に糸が伸張した場合には、糸が加工後に弛緩した時に、糸を部分的に固定することにより不織布にひだ寄せが生じる。
【0008】
たとえば、カウンター部材をソノトロードとし、加工部材をアンビルとすることができる。以下において、本発明はこの例を用いて説明される。というのは、これが好ましい実施形態だからである。しかし原理的に、加工部材をソノトロードとして、そしてカウンター部材をアンビルとして形成することも、可能である。
【0009】
加工する間、構造要素を有する支持体面が加工すべき材料上で転動するため、特に構造要素が溶接をもたらす。
【0010】
加工速度は、従来技術の装置によって制限されている。
【0011】
原則的に、送り速度、すなわち材料が加工部材とカウンター部材の間の間隙を通って移動する速度は高められる。
【0012】
もちろんその場合には、固定の周波数で材料に作用するソノトロードによっては、もはや確実な溶接を可能にするために充分なエネルギは材料に投入されない。これは、送り速度を高くした場合に、材料がソノトロードのシール面と接触することが短くなり、したがって材料へもたらされるソノトロードの「衝撃」が少なくなることによるものである。
【0013】
これは、ソノトロードを加工すべき材料へ圧接させる力を増大させることによって、部分的に補償することができる。それによって、ソノトロードの「衝撃あたり」より多くのエネルギが材料内へ伝達される。もちろんこれは、より高い摩擦をもたらし、かつ、溶接すべき材料部分の間の境界面に、すなわちいわゆる接合ゾーン内に、超音波加工によって形成される、溶融された構成要素が、構造要素によって接合ゾーンから押し出され、それが同様に継目の悪化をもたらす。というのは、接合ゾーン内にもはや充分な熱可塑性構成要素が提供されないからである。その代わりに、又はそれに加えて、超音波振動の振動周波数を高めることもできる。それによっても、ソノトロードの「衝撃あたり」より多くのエネルギが材料内へ伝達される。しかしこれは、限定的にしかできない。ソノトロードがより高い振動振幅で駆動される場合には、ソノトロード材料の損傷をもたらすことがあり得る。
【0014】
より高い加工速度を得るために、すでに、いわゆる「ウェルディング-ホィール」が使用されており、それにおいては、ホィールの回転運動の間の接触時間を高めるために、1つのホィール上に複数のソノトロードが配置されている。しかしこの解決は、きわめて煩雑である。
【0015】
さらに、糸を不織布と結合しようとする場合に、付加的に、構造要素が細すぎると糸の締めつけが充分でなくなる問題がある。というのは構造要素の上面に相当する、不織布との相互作用面が小さいことに基づいて締め付け力が減少するからである。それに対して広すぎる幅の構造要素が選択される場合には、相互作用面とそれに伴って締め付け力は大きくなるが、もちろんより大きい相互作用面は、加工すべき材料との摩擦の増大ももたらす。さらに、構造要素が広すぎる場合に、糸がじゃまされずに移動できる自由空間が減少され、それが材料のひだ寄せ特性にマイナスに作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】欧州特許第3209433(B1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって上述した従来技術に基づいて、本発明の課題は、確実な溶接を可能とする加工部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、この課題は、上面が基部と少なくとも1つの凹部とを有し、その凹部が基部よりも長手軸線から短い距離を有し、長手軸線に対して垂直な断面図において、基部と凹部とが並んで配置され、凹部によって形成される切り欠きが支持体面まで延びていないことによって、解決される。
【0019】
構造要素が材料上で転動する場合に、可塑化された構成要素が凹部内で溶融されるため、上述した接合ゾーンからの可塑化された構成要素の押し出しが減少される。
【0020】
糸固定する場合に、凹部内での溶融物の濃縮により糸の締めつけが付加的に改良される。
【0021】
凹部によって、さらに、効率的な相互作用面積及びそれに伴って材料との摩擦が減少される。同時に構造要素は、より幅広に形成することができるため、糸が充分に固定される。さらに凹部によって、同じ加工結果を得るために、加工部材とカウンター部材との間により少ない力をもたらせば済むことになる。さらに、結果として生じる製品の感触の改良が確認された。
【0022】
好ましい実施形態において、切り欠きは、好ましくは1mmより浅い深さ、かつもっとも良いのは0.05mmと0.2mmの間の深さを有する。
【0023】
好ましい実施形態において、凹部によって形成される切り欠きは、支持体面まで延びておらず、好ましくは1mmより少ない深さ、かつもっとも良いのは0.05mmと0.2mmの間の深さを有する。
【0024】
他の好ましい実施形態において、凹部は溝として形成されており、その溝は周方向のみに整列されていない。溝が周方向に整列している場合には、溝は好ましくは支持体面を全周で包囲しておらず、360°未満の周角度にわたってのび、特に最良には、45°未満の、特に25°未満の周角度のみにわたって延びている。また、複数の溝が周方向に互いに離隔して配置されることも、可能である。
【0025】
溝は、溶接を中断せず、単に溶融された材料を収容するため、材料は実質的にその場所と位置に留まり、かつ材料層の結合に用いることができる。
【0026】
この溝が、ソノトロードの圧力が高まることに基づく、加工すべき材料上での溶融物の好ましくない位置ずれを、溝の箇所において停止できることが、示されている。溶融物は、溝までしか移動しない。したがって溝は、溶融材料のための収容部として用いられる。
【0027】
好ましい実施形態において、溝は、1mmより小さく、好ましくは0.6mmより小さい幅を有する。最良なのは、溝の幅が0.2と0.4mmの間にあることである。
【0028】
溶接すべき材料にしたがって、溝が0.15mm未満の横断面積を有していれば、充分な場合もある。好ましくは横断面積は、特に0.05mmより小さく、もっとも良いのは0.015mmと0.04mmの間にある。
【0029】
好ましい実施形態において、構造要素は上面に複数の溝、好ましくは少なくとも3つの溝を有し、それらの溝は周方向に方向づけされておらず、好ましくは溝は互いに対して平行に配置されている。溝によって、溶融された材料をそれぞれの位置に保持することが可能であり、したがって複数の溝が効果的である。
【0030】
他の好ましい実施形態において、構造要素の上面が主要部及び主要部に周方向に連続する少なくとも1つの面取り部を有しており、その主要部は実質的に平坦か、又は円筒軸線からの主要部の距離に相当する曲率半径を有する凸状の湾曲をもって形成されている。面取り部は、主要部に対して折曲されているため、主要部と面取り部が180°より小さい角度を形成するか、又は面取り部が凸状に湾曲されており、主要部が凸状に湾曲して形成されている場合に、面取り部の曲率半径は主要部の曲率半径よりも小さい。好ましくは、少なくとも1つの凹部が主要部内に配置されている。面取り部は、材料を徐々に、主要部とカウンター部材の間の溶接接点へ提供するために、用いられる。主要部と面取り部の間の移行部において、上面の勾配又は曲率が変化する。それによって、この加工部材を使用する場合に構造要素とカウンター部材の間の距離が連続的に小さくなり、ついには構造要素とカウンター部材の間で最小の距離が実現されることが、保証されている。
【0031】
他の好ましい実施形態において、上面は、対向する側において周方向に主要部に連続する2つの面取り部を有し、それら面取り部が主要部に対して折曲されているため、主要部と面取り部がそれぞれ180°より小さい角度を形成する。したがって加工する場合に構造要素の上面は進入する面取り部だけでなく、さらに退出する面取り部も有しており、それによって構造要素の加工の最後においても、カウンター部材から加工部材へもたらされる力は徐々にしか減少されない。
【0032】
他の好ましい実施形態において、構造要素の上面は、長さlと幅bを備えた細長い形状を有し、ここでl>bである。この長さは、好ましくは長手軸線に対して平行ではなく、もっとも良いのはそれに対して実質的に垂直に延びている。
【0033】
他の実施形態において、構造要素及び上面に配置されている凹部は、加工部材の全長lにわたって連続的に延びており、長さlは、長手軸線に対して実質的に平行に方位づけされている。好ましくは、構造要素の長さlが、長さlに対して実質的に垂直に配置された、構造要素の幅bよりもずっと大きいと言える。
【0034】
他の実施形態において、構造要素は同様に、実質的に加工部材の長手軸線に沿って延びており、構造要素及び上面に配置されている凹部は、蛇行線形状に延びている。なお、この場合においては基部も同様の蛇行線形状に延びている。
【0035】
本発明は、まさに今説明してきたような加工部材を有する超音波溶接装置にも関する。この超音波溶接装置は、加工部材に加えてさらにカウンター部材を有し、そのカウンター部材がシール面を有し、そのシール面は加工部材に対向して配置することができるため、加工部材の構造要素の上面とカウンター部材のシール面との間に間隙が形成され、その間隙内に加工すべき材料を配置することができ、断面図において加工部材の長手軸線に対して垂直にシール面が溶接部を有し、その溶接部が少なくとも部分的に凹状に湾曲されている。
【0036】
すでに上で記録したように、カウンター部材をソノトロードとし、加工部材をアンビルとすることができる。溶接部を部分的に湾曲することによって、ソノトロードとアンビルの間の接触時間が延長されるため、より多くのエネルギを材料内へ投入することができ、それによって同様に、ソノトロードを加工すべき材料へ押圧する力を増大させる必要なしに、送り速度を高めることができる。
【0037】
他の好ましい実施形態において、カウンター部材の凹状に湾曲された部分の曲率半径は、加工部材の主要部の曲率半径にほぼ相当する。実際には、カウンター部材の凹状に湾曲された部分の曲率半径が、加工部材の主要部の曲率半径よりもわずかに大きいと、特に効果的である。2つの曲率半径の差は、溶接加工の間シール面と構造要素の上面との間に残留する間隙の幅に相当する。
【0038】
他の実施形態において、カウンター部材が少なくとも1本の糸を少なくとも部分的に収容するための溝を有し、その溝が送り方向に方位づけされており、その溝内で加工すべき材料が加工部材とカウンター部材の間の間隙を通して移動され、加工すべき材料は少なくとも2つの材料織物部分と少なくとも1本の糸とからなり、少なくとも1本の糸は2つの材料織物部分の間に位置決めされている。このようにして、超音波溶接装置内で本発明に係る加工部材によって、ひだを寄せることのできる材料も形成することができる。
【0039】
他の好ましい実施形態において、シール面が進入部を有し、その進入部が溶接部の隣に配置されており、かつ湾曲されていないか、又は溶接部の曲率半径よりも大きい曲率半径をもって凹状に湾曲されている。ここでも進入部と溶接部の間の移行部において、シール面の勾配又は湾曲が変化するため、進入部の領域内で加工部材とカウンター部材の間の距離がだんだんと小さくなって、ついには最小の距離が達成され、その最小の距離は溶接部と構造要素の上面との間の距離に相当する。この進入部は、送り方向に間隙を通して移動される材料が、最初に進入部と、そしてその後溶接部と接触するように、配置されている。
【0040】
進入部と溶接部がほぼ等しい大きさであると効果的である。
【0041】
本発明の他の利点、特徴及び適用可能性が、好ましい実施形態と付属の図についての以下の説明を用いて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は超音波溶接装置を斜視図で示している。
図2図2図1のXで示される領域の詳細を拡大して示している。
図3図3図2の詳細を拡大して示している。
図4図4図1の超音波溶接装置を側面図で示している。
図5図5図4の一部を拡大して示している。
図6図6は本発明に係る加工部材の他の実施形態を図式的に示している。
図7図7図6内の図式的な表示を拡大して示している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1には、超音波溶接装置の斜視図が示されている。超音波溶接装置は、アンビルとして形成された加工部材1を有し、その加工部材がここではローラとして形成されており、そのローラは長手軸線10を中心に回転可能である。ローラ上に、支持体面2を有する少なくとも1つの横継目ストリップ11が配置されている。対向して、ソノトロードとして形成されたカウンター部材3が配置されている。
【0044】
カウンター部材3は、ここでは超音波振動によって励振することができる。加工すべき材料は、支持体面2とソノトロード3の、支持体面2へ向いたシール面との間を通して移動され、材料の加工速度は加工部材1の周速度と一致する。支持体面2とソノトロード3の間の間隙は次のように、すなわち加工する場合に超音波振動が材料へ伝達され、かつ境界面において熱可塑性の構成要素の溶融がもたらされるように、選択される。
【0045】
図2には、図1の詳細が拡大して示されている。
【0046】
支持体面2上に、多数の構造要素4が配置されていることが認識される。これらの構造要素4は細長い形状を有し、それらは周方向に方位づけされている。構造要素4は、加工する際に材料と接触して、溶接パターンを定め、その溶接パターンが加工する際に材料内に形成される。超音波溶接設備は、たとえば不織布からなるおむつに側方継目を形成するために使用することができる。
【0047】
図3には、図2内の詳細が拡大して示されており、それにおいて構造要素4が良好に認識される。周方向(長手軸線10に関して)に、2つの構造要素4が並べて配置されている。軸方向においては、この種の構造要素対の多数が並べて配置されている。
【0048】
各構造要素は、主要部6と2つの面取り部7、8とを有しており、それらの面取り部は主要部6に比較して著しく湾曲されている。主要部6内には溝5が形成されており、それらの溝は図示される実施形態において周方向に対して垂直に延びている。溝が、周方向に対して垂直に延びることは、必要ではない。しかし、発明に係る効果を得るためには、溝は周方向に対して平行には配置されない。しかし溝が周方向に対して平行に配置されている場合には、溝は構造要素4全体にわたって延びることはない。
【0049】
溶接する場合に、構造要素4が加工すべき材料上で転動するため、まず面取り部8が加工すべき材料と接触する。面取り部8が角をおとして配置されていることに基づいて、この領域内で構造要素4と対向して配置されている、カウンター部材3のシール面との間の距離がだんだんと小さくなって、ついには主要部6の領域内で最小の距離が達成される。主要部6は凸状に湾曲して形成することができ、湾曲半径は構造要素4の上面と加工部材1の長手軸線10との間の距離にほぼ相当する。
【0050】
主要部6内で、溝5は、0.1mmの深さと0.3mmの幅をもって形成されている。それによって生じる切り欠き内に、溶融された材料が進入することができるため、その材料は実質的にその場所と位置に留まり、構造要素によって接合ゾーンから押し出されない。
【0051】
図4には、図1の超音波溶接設備が側面図で示されている。面9は、シール面、すなわち支持体面もしくは構造要素4へ向いた面である。
【0052】
図5には、図4の拡大した部分が示されている。面9は、ここでは、進入部9aと溶接部9bとからなる。溶接部9bは、凹状に、かつ特に加工部材の主要部の湾曲半径と実質的に等しい湾曲半径で湾曲している。この措置によって、加工の間材料がより長くソノトロードと接触することが保証されるため、より多くのエネルギを加工すべき材料内へ投入することができる。この実施形態において、進入部9aは、湾曲されずに形成されており、それによって、加工すべき材料が進入部9aの領域内でまず狭くなる間隙内へ案内されることが保証される。その後、溶接部9bの領域内で、間隙が最小となり、溶接部の領域内で実質的に一定に維持される。溶接は、主として溶接部9bによって行われるが、進入部9aはその、溶接部9bを向いた端部においてすでに溶接に寄与することができる。
【0053】
そして図6及び7には、本発明に係る加工部材1の代替的な実施形態が示されており、それは、特にひだを寄せることができる材料を形成するのに適している。そのために加工すべき材料の2つの材料織物部分の間に、少なくとも1本の糸が挿通されており、その糸が構造要素4によって部分的に力結合又は材料結合で材料織物部分と結合される。構造要素4は、アンビル1の広がり全体にわたって連続して長手軸線10の方向に延びている。さらに、構造要素4及びそれに伴って溝5も、蛇行線状に延びている(図7を参照)。図6と7に示す実施形態によって、糸は材料部分と安定して結合され、同時に加工部材1と材料の間の摩擦が減少されている。
【符号の説明】
【0054】
1 加工部材(アンビル)
2 支持体面
3 カウンター部材(ソノトロード)
4 構造要素
5 溝
6 主要部
7、8 面取り部
9 シール面
9a 進入部
9b 溶接部
10 長手軸線
11 横継目ストリップ
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソノトロード又はアンビルのような、材料を加工するための加工部材(1)であって、
実質的に円筒形状又は円筒セグメント形状の支持体面(2)を有し、前記支持体面(2)は加工の間に前記材料と接触するために設けられ、前記加工部材(1)は加工の間に長手軸線(10)を中心に回転するように設けられ、前記支持体面(2)が周方向に移動し、かつ加工すべき前記材料の上で転動し、前記支持体面(2)には少なくとも1つの構造要素(4)が配置され、該構造要素(4)は半径方向に前記支持体面(2)を越えて張り出し、前記構造要素(4)は加工すべき前記材料と接触するために設けられた上面を有する、加工部材(1)において、
前記上面が基部と少なくとも1つの凹部(5)とを有し、該凹部(5)は前記基部よりも前記長手軸線(10)からより短い距離を有し、前記基部と前記凹部(5)は、断面図において前記長手軸線(10)に対して垂直に互いに並置され、前記凹部(5)によって形成される切り欠きは前記支持体面(2)まで延びていない、ことを特徴とする加工部材(1)
【請求項2】
前記切り欠きは、1mm未満の、かつ特に好ましくは0.05mmと0.2mmの間の深さを有している、ことを特徴とする請求項1に記載の加工部材(1)
【請求項3】
前記凹部は溝(5)として形成され、該溝(5)は好ましくは周方向に方向づけされていない、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の加工部材(1)
【請求項4】
前記溝(5)の幅は、1mmより小さく、かつ好ましくは0.6mmよりも小さく、かつ特に好ましくは0.2mmと0.4mmの間である、ことを特徴とする請求項3に記載の加工部材(1)
【請求項5】
前記溝(5)は、0.15mmよりも小さい、好ましくは0.05mmよりも小さい横断面積を有し、かつ特に好ましくは前記横断面積は0.015mmと0.04mmの間である、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の加工部材(1)
【請求項6】
前記構造要素(4)は、前記上面において、周方向に方向づけされていない多数の溝(5)、好ましくは少なくとも3つの溝(5)を有し、好ましくは前記溝(5)は互いに対して平行に配置されている、ことを特徴とする請求項3~5の何れか一項に記載の加工部材(1)
【請求項7】
前記上面は、略平坦に又は円筒軸線からの主要部(6)の距離に相当する曲率半径を備えた凸状の湾曲をもつ主要部(6)と、前記主要部(6)に周方向で連続する少なくとも1つの面取り部(7,8)とを有し、該面取り部(7,8)は、前記主要部(6)に対して角度付けされており、それによって前記主要部(6)と前記面取り部(7,8)は180°より小さい角度を形成するか、及び/又は凸状に湾曲されており、前記主要部(6)が凸状に湾曲して形成されている場合に、前記面取り部(7,8)の曲率半径が前記主要部(6)の曲率半径よりも小さく、好ましくは前記少なくとも1つの凹部(5)は前記主要部(6)内に配置されている、ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の加工部材(1)
【請求項8】
周方向に互いに離隔した、少なくとも2つの構造要素(4)が設けられている、ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の加工部材(1)
【請求項9】
前記加工部材(1)がアンビルとして形成されている、ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の加工部材(1)
【請求項10】
前記上面は長さlと幅bを備えた細長い形状を有し、ここでl>bである、ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の加工部材(1)
【請求項11】
前記構造要素(4)及び前記上面に配置されている前記凹部(5)は、前記加工部材(1)の全長lにわたって連続的に延び、長さlが前記長手軸線(10)に対して実質的に平行に方向付けされている、ことを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の加工部材(1)
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載の加工部材(1)とカウンター部材(3)とを有する超音波溶接装置であって、
前記カウンター部材(3)はシール面(9)を有し、該シール面(9)を前記加工部材(1)に対向して配置することができ、前記上面と前記シール面(9)との間に間隙が形成され、該間隙内に加工すべき材料を配置することができ、前記加工部材(1)の長手軸線(10)に対して垂直な断面図で見て、前記シール面(9)が溶接部(9b)を有し、該溶接部(9b)が少なくとも部分的に凹状に湾曲している、超音波溶接装置。
【請求項13】
前記カウンター部材(3)の凹状に湾曲した部分の曲率半径は前記加工部材(1)の主要部(6)の曲率半径にほぼ相当する、ことを特徴とする請求項12に記載の超音波溶接装置。
【請求項14】
前記カウンター部材(3)は、少なくとも1本の糸を少なくとも部分的に収容するための溝を有し、該溝は送り方向に方向付けされ、該溝内で加工すべき材料が前記加工部材(1)とカウンター部材(3)の間の間隙を通して移動され、前記加工すべき材料が少なくとも2つの材料織物部分と少なくとも1本の糸とからなり、前記少なくとも1本の糸が2つの材料織物部分の間に位置決めされている、請求項12又は13に記載の超音波溶接装置。
【請求項15】
前記シール面(9)が進入部(9a)を有し、前記進入部(9a)が前記溶接部(9b)の隣に配置されており、かつ湾曲されていないか、又は前記溶接部(9b)の曲率半径よりも大きい曲率半径をもって凹状に湾曲されている、ことを特徴とする請求項12又は13に記載の超音波溶接装置。
【請求項16】
前記加工部材(1)が送り方向に回転するように設けられ、該送り方向において加工すべき材料が前記加工部材(1)と前記カウンター部材(3)の間を通して移動し、進入部(9a)と溶接部(9b)が次のように、すなわち前記送り方向に間隙を通して移動する材料がまず前記進入部(9a)と、そしてその後に前記溶接部(9b)と接触するように配置されている、ことを特徴とする請求項14に記載の超音波溶接装置。
【請求項17】
前記進入部(9a)と前記溶接部(9b)はほぼ同じ大きさである、ことを特徴とする請求項14又は15に記載の超音波溶接装置。
【請求項18】
前記カウンター部材(3)はソノトロードとして形成されている、ことを特徴とする請求項12~16の何れか一項に記載の超音波溶接装置。
【国際調査報告】