(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】口腔処置用デバイス
(51)【国際特許分類】
A46B 15/00 20060101AFI20240109BHJP
A61C 17/20 20060101ALI20240109BHJP
A46B 11/00 20060101ALI20240109BHJP
A46B 13/02 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A46B15/00 K
A61C17/20
A46B11/00 101
A46B13/02
A46B15/00 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537000
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(85)【翻訳文提出日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 GB2021052762
(87)【国際公開番号】W WO2022129841
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100224694
【氏名又は名称】伊藤 孝志
(72)【発明者】
【氏名】リーリー タオ
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA07
3B202AA08
3B202AB06
3B202BA01
3B202GA04
3B202GA28
(57)【要約】
口腔処置用デバイスが提供される。口腔処置用デバイスは、ユーザーの口腔の少なくとも一部を描写する画像データを生成するように動作可能なイメージセンサ機器を備える。口腔処置用デバイスは、生成された画像データを処理して、ユーザーの口腔内の隣接する歯と歯の間の隣接歯間空隙を特定するように構成された制御部を備える。制御部は、特定された隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性と、ユーザーの口腔において過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性とを比較するように構成される。制御部は、比較の結果に基づいて口腔処置用デバイスを制御してアクションを実行するように構成される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの口腔の処置に使用される口腔処置用デバイスであって、
前記ユーザーの前記口腔の少なくとも一部を描写する画像データを生成するように動作可能なイメージセンサ機器と、
制御部であって、
生成された前記画像データを処理して、前記ユーザーの前記口腔内の隣接する歯と歯の間の隣接歯間空隙を特定し、
特定された前記隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性と、過去に特定された前記ユーザーの前記口腔の1つ又は複数の隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性とを比較し、
前記比較の結果に基づいて当該口腔処置用デバイスを制御してアクションを実行する
ように構成された制御部と
を備える口腔処置用デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の口腔処置用デバイスであって、
前記制御部が、
前記比較の結果に応じて、特定された前記隣接歯間空隙と、前記過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙との類似性のレベルを示す類似性指標を計算し、
導出された前記類似性指標に基づいて当該口腔処置用デバイスを制御する
ように構成される、
口腔処置用デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の口腔処置用デバイスであって、
前記制御部が、特定された前記隣接歯間空隙が前記過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙と異なることが前記類似性指標により示されたことに応答して、当該口腔処置用デバイスを制御して、特定された前記隣接歯間空隙に処置を施すように構成される、
口腔処置用デバイス。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の口腔処置用デバイスであって、
前記制御部が、特定された前記隣接歯間空隙が前記過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙と異なることが前記類似性指標により示されたことに応答して、特定された前記隣接歯間空隙を描写する画像データを、隣接歯間空隙の後続の特定及び/又は比較における使用のためにメモリに記憶するように構成される、
口腔処置用デバイス。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載の口腔処置用デバイスであって、
前記制御部が、特定された前記隣接歯間空隙が前記過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙のうちの少なくとも1つの隣接歯間空隙と同一であることが前記類似性指標により示されたことに応答して、当該口腔処置用デバイスを制御して、特定された前記隣接歯間空隙への処置の実施を停止させるように構成される、
口腔処置用デバイス。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載の口腔処置用デバイスであって、
前記制御部が、特定された前記隣接歯間空隙が前記過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙のうちの少なくとも1つの隣接歯間空隙と同一であることが前記類似性指標により示されたことに応答して、
前記過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙のうちの前記少なくとも1つの隣接歯間空隙が過去に特定された時点からの経過時間を導出し、
導出された前記経過時間と所定の閾値とを比較し、
導出された前記経過時間と前記所定の閾値との前記比較の結果に基づいて当該口腔処置用デバイスを制御する
ように構成される、
口腔処置用デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載の口腔処置用デバイスであって、
前記制御部が、
導出された前記経過時間が前記所定の閾値より長いことに応答して、当該口腔処置用デバイスを制御して、特定された前記隣接歯間空隙に処置を施し、
導出された前記経過時間が前記所定の閾値より短いことに応答して、当該口腔処置用デバイスを制御して、特定された前記隣接歯間空隙への処置の実施を停止させる
ように構成される、
口腔処置用デバイス。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の口腔処置用デバイスであって、
前記制御部が、生成された前記画像データを、隣接歯間空隙を検出するように構成されたデータ分析アルゴリズムを使用して処理するように構成される、
口腔処置用デバイス。
【請求項9】
請求項8に記載の口腔処置用デバイスであって、
前記データ分析アルゴリズムが、分類アルゴリズムを含む、
口腔処置用デバイス。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の口腔処置用デバイスであって、
前記データ分析アルゴリズムが、訓練済みの分類アルゴリズムを含む、
口腔処置用デバイス。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の口腔処置用デバイスであって、
前記制御部が、生成された前記画像データを処理して、特定された前記隣接歯間空隙の前記少なくとも1つの特性を導出するように構成される、
口腔処置用デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載の口腔処置用デバイスであって、
前記制御部が、生成された前記画像データを、隣接歯間空隙同士を区別する際に使用される情報を特定するように訓練された機械学習アルゴリズムを使用して処理することによって前記少なくとも1つの特性を導出するように構成される、
口腔処置用デバイス。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の口腔処置用デバイスであって、
前記イメージセンサ機器が、口腔内カメラを備える、
口腔処置用デバイス。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の口腔処置用デバイスであって、
当該口腔処置用デバイスが、ヘッドを備え、前記イメージセンサ機器が少なくとも部分的に、前記ヘッドに含まれる、
口腔処置用デバイス。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の口腔処置用デバイスであって、
当該口腔処置用デバイスが、ハンドルを備え、前記イメージセンサ機器が少なくとも部分的に、前記ハンドルに含まれる、
口腔処置用デバイス。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の口腔処置用デバイスであって、
当該口腔処置用デバイスが、前記ユーザーの前記口腔に作用流体を送達する流体送達システムを備え、
前記制御部が、前記比較の結果に基づいて制御信号を前記流体送達システムに出力して前記作用流体の送達を制御するように構成される、
口腔処置用デバイス。
【請求項17】
請求項16に記載の口腔処置用デバイスであって、
前記流体送達システムが、当該口腔処置用デバイス内に前記作用流体を貯蔵するための流体貯蔵器を備える、
口腔処置用デバイス。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の口腔処置用デバイスであって、
歯ブラシ
を備える口腔処置用デバイス。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の口腔処置用デバイスであって、
特定された前記隣接歯間空隙の前記少なくとも1つの特性が、特定された前記隣接歯間空隙の形状、特定された前記隣接歯間空隙の外観及び特定された前記隣接歯間空隙の位置のうちの少なくとも1つを示す、
口腔処置用デバイス。
【請求項20】
ユーザーの口腔の処置に使用される口腔処置用デバイスを動作させる方法であって、
前記口腔処置用デバイスが、
前記ユーザーの前記口腔の少なくとも一部を描写する画像データを生成するように動作可能なイメージセンサ機器と、
制御部と
を備え、
当該方法が、前記制御部において、
生成された前記画像データを処理して、前記ユーザーの前記口腔内の隣接する歯と歯の間の隣接歯間空隙を特定することと、
特定された前記隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性と、過去に特定された前記ユーザーの前記口腔の1つ又は複数の隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性とを比較することと、
前記比較の結果に基づいて前記口腔処置用デバイスを制御してアクションを実行することと
を含む方法。
【請求項21】
コンピュータデバイスによって実行されたときに、ユーザーの口腔の処置に使用される口腔処置用デバイスを動作させる方法を当該コンピュータデバイスに実行させる1組の命令を含むコンピュータプログラムであって、
前記口腔処置用デバイスが、前記ユーザーの前記口腔を描写する画像データを生成するように動作可能なイメージセンサ機器を備え、
前記方法が、
生成された前記画像データを処理して、前記ユーザーの前記口腔内の隣接する歯と歯の間の隣接歯間空隙を特定することと、
特定された前記隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性と、過去に特定された前記ユーザーの前記口腔の1つ又は複数の隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性とを比較することと、
前記比較の結果に基づいて前記口腔処置用デバイスを制御してアクションを実行することと
を含む、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、口腔処置用デバイスに関する。特に、本開示は、口腔処置用デバイスを動作させるための手段に関し、かかる手段は、これらに限られないが、方法、装置及びコンピュータプログラムを含む。
【背景技術】
【0002】
口腔処置用デバイスは、ユーザーの口腔(すなわち、口)に処置を提供するために使用される。このようなデバイスの例には、歯ブラシ(手動式であってもよいし、又は電動式であってもよい)、口腔洗浄器、歯間清掃用デバイス、フロッシング用デバイス等が挙げられる。
【0003】
一部の既知のケースにおいて、口腔処置用デバイス(「オーラルケア用デバイス」又は「口腔処置用器具」とも呼ばれる)は、歯磨き等の他の機能に加えて、フロッシング機能を提供することができる。例えば、流体送達システムは、電動歯ブラシに組み込むことが可能であり、隣接歯間(又は歯間)清掃のために作用流体の噴射を送達するために使用することができる。このような流体送達システムは、デバイスのヘッド上に配置されたノズルであって、例えば空隙内にある食品を押しのける目的で歯と歯の間の隣接歯間空隙に作用流体を噴出するために使用されるノズルと、デバイス上に作用流体を貯蔵するための流体貯蔵器とを含むことができる。
【0004】
しかしながら、既知の口腔処置用デバイスの自由度及び/又は汎用性には制限がある。結果として、既知のデバイスでは、処置を最適に施す能力が制限され得る。例えば、既知の口腔処置用デバイスは、一般に、ユーザーがデバイスを正しく使用することを頼りとするが、これは常に行われるとは限らないこともある。
【0005】
例えば、作用流体の効率的な使用は、口腔処置用デバイスが固定容量であるオンボード型流体貯蔵器の場合には特に考慮すべき事項となり得る。作用流体の使用量及び/又は浪費量が多くなると、より高い頻度で流体貯蔵器の補充を行う必要が生じる。場合によっては、試行を繰り返しても効果的な処置が達成されないこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、改良された口腔処置用デバイス及び/又は口腔処置用デバイスを動作させる改良された方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、ユーザーの口腔の処置に使用される口腔処置用デバイスであって、ユーザーの口腔の少なくとも一部を描写する画像データを生成するように動作可能なイメージセンサ機器と、制御部であって、生成された画像データを処理して、ユーザーの口腔内の隣接する歯と歯の間の隣接歯間空隙を特定し、特定された隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性と、ユーザーの口腔において過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性とを比較し、比較の結果に基づいて口腔処置用デバイスを制御してアクションを実行するように構成された制御部とを備える口腔処置用デバイスが提供される。
【0008】
特定された隣接歯間空隙の特性と、過去に特定されたユーザーの1つ又は複数の隣接歯間空隙の特性とを比較することによって、口腔処置用デバイスは、よりインテリジェントな及び/又はより自由度の高い方法によって制御される。特に、特定された空隙が現在の口腔処置セッション中に(すなわち、ユーザーによるデバイスの使用中に)過去に特定されたか否かについて判定がなされ得る。諸実施形態では、新たに特定される空隙は、過去に特定された空隙とは異なる形式で処理される。すなわち、デバイスは、特定された空隙が新たに特定された空隙であると判定された場合には、第1の方法によって制御することができ、特定された空隙が過去に特定された空隙である(又は過去に特定された空隙に類似する)と判定された場合には、異なる第2の方法によって制御することができる。ユーザーによる口腔処置用デバイスの操作態様に応じて、所与の空隙への遭遇頻度は、口腔処置セッション中に1回であることも複数回であることもある。したがって、新たに特定された空隙を過去に特定された空隙とは異なる態様で処理することによって、デバイスは、ユーザーの挙動に適合することが可能である。
【0009】
諸実施形態では、制御部は、比較の結果に応じて、特定された隣接歯間空隙と、過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙との類似性のレベルを示す類似性指標を計算するように構成される。このような実施形態では、制御部は、導出された類似性指標に基づいて口腔処置用デバイスを制御するように構成される。類似性指標は、特定された空隙が過去に特定された1つ又は複数の空隙と同じであるか異なるかを示すことができる。すなわち、類似性指標は、特定された空隙が新たに特定された空隙又は過去に特定された空隙であるか否かを示すことができる。空隙は、現在の口腔処置セッション中に遭遇していないことが判定された場合に「新たに特定」され得る。すなわち、空隙は、過去の口腔処置セッション中に特定された可能性があるとしても、現在のセッション中に遭遇したことがなければ依然として新たに特定された空隙として指定され得る。諸実施形態では、類似性指標は、閾値と比較される。類似度指標が閾値との間に第1の所定の関係を有する場合、例えば、類似度指標が閾値より低い場合、空隙は、新たに特定された空隙として指定される。類似度指標が閾値との間に第2の所定の関係を有する場合、例えば、類似度指標が閾値より高い場合、空隙は、過去に特定された空隙として指定される。代替的な実施形態では、類似性指標が閾値に等しい場合、空隙は、過去に特定された空隙としても、新たに特定された空隙としても指定され得る。
【0010】
諸実施形態では、制御部は、特定された隣接歯間空隙が過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙と異なることが類似性指標により示されたことに応答して、口腔処置用デバイスを制御して、特定された隣接歯間空隙に処置を施すように構成される。このように、特定された空隙が新たに特定された空隙であると判定された場合、処置の実施がトリガされ得る。
【0011】
諸実施形態では、制御部は、特定された隣接歯間空隙が過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙と異なることが類似性スコアにより示されたことに応答して、特定された隣接歯間空隙を描写する画像データを、隣接歯間空隙の後続の特定及び/又は比較における使用のためにメモリに記憶するように構成される。このように、空隙と後に特定された空隙とを比較することで、後に特定された空隙に過去に遭遇したか否かを判定することができる。諸実施形態では、画像データは、過去に特定された複数の空隙に対応する画像データを含むライブラリに記憶される。
【0012】
諸実施形態では、制御部は、特定された隣接歯間空隙が過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙のうちの少なくとも1つの隣接歯間空隙と同一であることが類似性指標により示されたことに応答して、口腔処置用デバイスを制御して、特定された隣接歯間空隙への処置の実施を停止させるように構成される。このように、単一の口腔処置セッション中における同じ空隙の繰返し処置を低減及び/又は回避することができる。これにより、より効率的な口腔処置用デバイスの使用が可能となる。処置が流体送達システムを介した作用流体の送達を含む例において、同じ空隙の繰返し処置を低減することにより、使用される作用流体の量が低減される。
【0013】
諸実施形態では、制御部は、特定された隣接歯間空隙が過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙のうちの少なくとも1つの隣接歯間空隙と同一であることが類似性指標により示されたことに応答して、過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙のうちの少なくとも1つの隣接歯間空隙が過去に特定された時点からの経過時間を導出するように構成される。制御部は、導出された経過時間と所定の閾値とを比較するように構成される。このような実施形態では、制御部は、導出された経過時間と所定の閾値との比較の結果に基づいて口腔処置用デバイスを制御するように構成される。このように、デバイスの制御は、空隙が過去に特定された時点からの経過時間の長さに応じて異なり得る。これにより、デバイスを、よりインテリジェントな及び/又はより自由度の高い方法によって制御することができる。
【0014】
複数の実施形態において、制御部は、導出された経過時間が所定の閾値より長いことに応答して、口腔処置用デバイスを制御して、特定された隣接歯間空隙に処置を施すように構成される。したがって、過去の空隙の処置から所定長さの時間が経過した場合、空隙の繰返し処置を実行することができる。諸実施形態では、制御部は、導出された経過時間が所定の閾値より短いことに応答して、口腔処置用デバイスを制御して、特定された隣接歯間空隙への処置の実施を停止するように構成される。したがって、過去の空隙の処置から所定長さの時間が経過していない場合、空隙の繰返し処置は実行されない。例えば、ユーザーがデバイスを「スクラビング」モーションで前後に移動させる場合、空隙に比較的短時間で連続して2回遭遇し得る。この場合、当該空隙を複数回処置することは望まれない。しかしながら、セッション中のかなり後になってユーザーがデバイスを過去に処置された空隙に戻した場合、例えば、初期の空隙の処置が成功しなかった又は十分ではなかった場合、前述の空隙の更なる処置が望まれている可能性が高い。
【0015】
諸実施形態では、制御部は、生成された画像データを、隣接歯間空隙を検出するように構成されたデータ分析アルゴリズムを使用して処理するように構成される。諸実施形態では、データ分析アルゴリズムは、分類アルゴリズムを含む。例えば、データ分析アルゴリズムは、訓練済みの分類アルゴリズムを含み得る。このような訓練済みのアルゴリズムを使用することは、訓練済みのアルゴリズムが使用されない場合と比較してより正確度及び/又は信頼性が高い空隙の検出をもたらす。諸実施形態では、分類アルゴリズムは、機械学習アルゴリズムを備える。このような機械学習アルゴリズムは、経験及び/又は訓練によって改良し得る(例えば、分類の正確度及び/又は信頼性を高めることができる)。
【0016】
諸実施形態では、制御部は、生成された画像データを処理して、特定された隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性を導出するように構成される。諸実施形態では、制御部は、生成された画像データを、隣接歯間空隙同士を区別する際に使用される情報を特定するように訓練された機械学習アルゴリズムを使用して処理することによって少なくとも1つの特性を導出するように構成される。このような機械学習アルゴリズムは、画像中の隣接歯間空隙を検出するために任意選択可能に使用される機械学習アルゴリズムと同じであっても、異なってもよい。すなわち、第1の機械学習アルゴリズムを使用して空隙を検出することができ、次いで、第2の機械学習アルゴリズムを使用して、前述の空隙を他の空隙から区別する際に使用される情報を特定することができる。特定された情報は、空隙の少なくとも1つの特性を含み得る。
【0017】
諸実施形態では、少なくとも1つの特性は、空隙間で相違することが予測される特徴量、又は特定された空隙に特有である特徴量を含む。このように、少なくとも1つの特性を使用して空隙同士を区別することができる。諸実施形態では、特定された隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性は、特定された隣接歯間空隙の形状、特定された隣接歯間空隙の外観及び特定された隣接歯間空隙の位置のうちの少なくとも1つを示す。諸実施形態では、少なくとも1つの特性は、例えば空隙の画像に適用されるウェーブレット変換に基づいた周波数情報を示す。諸実施形態では、少なくとも1つの特性は、上記特徴量の組合せ、例えば、形状、外観、位置、テクスチャー等の組合せを含む。
【0018】
諸実施形態では、イメージセンサ機器は、口腔内カメラを備える。このように、ユーザーの口腔の内部は、デバイスの使用中に撮像される。
【0019】
諸実施形態では、口腔処置用デバイスは、ヘッドを備え、イメージセンサ機器は少なくとも部分的にヘッドに含まれる。デバイスのヘッドは、ユーザーの口腔の内部に処置を施すためのものであるので、イメージセンサ機器をヘッド内に少なくとも部分的に配置することは、別体のカメラ(すなわち、ヘッドと別個に取り付けられるカメラ)を必要とすることなく、口腔の内部の撮像を可能とする。
【0020】
諸実施形態では、口腔処置用デバイスは、ハンドルを備え、イメージセンサ機器は少なくとも部分的に、ハンドルに含まれる。イメージセンサ機器をデバイスのハンドル内に少なくとも部分的に配置することによって、デバイス上のスペースをより効率的に管理することができる。すなわち、デバイスのヘッドはハンドルと比較して相対的に小さいものであり得、イメージセンサ機器をヘッドに組み込む場合、ヘッドのアーキテクチャ及び/又は構造上の変更が必要となる可能性があり、かかる変更は、比較的複雑且つ/又は高コストであり得る。更に、諸実施形態では、デバイスのヘッドは、ハンドルから分離可能な使い捨て型のものであり、ユーザーがヘッドを使用後に定期的に交換することが望ましい場合もある。したがって、イメージセンサ機器の全体をヘッド120内に配置するのではなく、イメージセンサ機器をハンドル内に少なくとも部分的に配置することにより、交換部品のコストが低下する。
【0021】
諸実施形態では、口腔処置用デバイスは、作用流体をユーザーの口腔に送達する流体送達システムを備える。このような一部の実施形態では、制御部は、比較の結果に基づいて制御信号を流体送達システムに出力して作用流体の送達を制御するように構成される。このように、実行されるアクションは、制御された作用流体の送達(又は作用流体の送達の停止)を含み得る。諸実施形態では、流体送達システムは、口腔処置用デバイス内に作用流体を貯蔵するための流体貯蔵器を備える。流体貯蔵器は例えば、容量が制限されることもある。(特定された空隙と過去に特定された空隙とを比較することによって)同じ空隙への流体の噴出の繰返しを低減することにより、流体貯蔵器が補充を必要とする頻度が低減される。
【0022】
諸実施形態では、口腔処置用デバイスは、歯ブラシを備える。
【0023】
本開示の一態様によれば、ユーザーの口腔の処置に使用される口腔処置用デバイスを動作させる方法であって、口腔処置用デバイスが、ユーザーの口腔の少なくとも一部を描写する画像データを生成するように動作可能なイメージセンサ機器と、制御部とを備える方法が提供される。上記方法は、制御部において、生成された画像データを処理して、ユーザーの口腔内の隣接する歯と歯の間の隣接歯間空隙を特定することと、特定された隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性と、ユーザーの口腔において過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性とを比較することと、比較の結果に基づいて口腔処置用デバイスを制御してアクションを実行することとを含む。
【0024】
本開示の一態様によれば、コンピュータデバイスによって実行されたときに、ユーザーの口腔を描写する画像データを生成するように動作可能なイメージセンサ機器を備え、ユーザーの口腔の処置に使用される口腔処置用デバイスを動作させる方法をコンピュータデバイスに実行させる1組の命令を含むコンピュータプログラムであって、上記方法が、生成された画像データを処理して、ユーザーの口腔内の隣接する歯と歯の間の隣接歯間空隙を特定することと、特定された隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性と、過去に特定されたユーザーの口腔の1つ又は複数の隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性とを比較することと、比較の結果に基づいて口腔処置用デバイスを制御してアクションを実行することとを含む、コンピュータプログラムが提供される。
【0025】
当然ながら、本発明の一態様との関連で記述された特徴を本発明の他の態様に組み込むことができることを理解されたい。例えば、本発明の方法は、本発明の装置との関連で記述された特徴のいずれかを組み込むことが可能であり、その逆もまた可能である。
【0026】
次に、添付の図面を参照しながら、単なる例示として本開示の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1A及び
図1Bは、諸実施形態による口腔処置用デバイスの斜視図である。
図1Cは、諸実施形態による口腔処置用デバイスの平面図である。
【
図2】諸実施形態による口腔処置用デバイスの概略図である。
【
図3】諸実施形態による口腔処置用デバイスを動作させる方法を示すフローチャートである。
【
図4】諸実施形態による口腔処置用デバイスを動作させる方法を示すフローチャートである。
【
図5】諸実施形態による口腔処置用デバイスを動作させる方法を示すフローチャートである。
【
図6】諸実施形態による口腔処置用デバイスを動作させる方法を示すフローチャートである。
【
図7】諸実施形態による口腔処置用デバイスを動作させる方法を示すフローチャートである。
【
図8】諸実施形態による口腔処置用デバイスを動作させる方法を示すフローチャートである。
【
図9】諸実施形態による口腔処置用デバイスを動作させる方法を示すフローチャートである。
【
図10】諸実施形態による口腔処置用デバイスを動作させる方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1A及び
図1Bは、諸実施形態による口腔処置用デバイス100の斜視図を示す。
図1Cは、口腔処置用デバイス100の平面図を示す。口腔処置用デバイス100及び/又はその構成要素は、本明細書に記載した方法を実行するために使用することができる。
図1A~
図1Cに示された実施形態では、口腔処置用デバイス100は、歯ブラシを備える。諸実施形態では、口腔処置用デバイス100は、電動歯ブラシを備える。諸実施形態では、デバイス100は、超音波歯ブラシを備える。代替的な実施形態では、口腔処置用デバイス100は、他の種類のデバイスを備えることができる。例えば、デバイス100は、フロッシング用デバイス、口腔洗浄器、隣接歯間清掃用デバイス、オーラルケアモニタリング用デバイス又はそれらの任意の組合せを備えることができる。オーラルケアモニタリング用デバイスは、ユーザーの口腔の健康状態をモニタリングして相応にフィードバックをユーザーに提供するように構成される。
【0029】
口腔処置用デバイス100は、ハンドル110及びヘッド120を備える。ハンドル110は、デバイス100のメインボディを形成し、デバイス100の使用中にユーザーによって把持され得る。
図1A~
図1Cに示された実施形態では、ハンドル110は、ユーザーインターフェース112を含む。ユーザーインターフェース112は、ユーザーがハンドル110を保持しているときにユーザーによって押下可能なものであるように構成されたユーザー操作可能なボタンを備える。一部の実施形態では、ハンドル110は、口腔処置用デバイス100の使用中にユーザーが視認できるように位置決めされ得るディスプレイ(図示せず)を備える。
【0030】
図1A~
図1Cに示された実施形態では、ヘッド120は、歯磨き機能を実行するための複数の毛材122を備える。代替的な実施形態では、ヘッド120は、毛材を備えない。例えば、一部の他の実施形態では、口腔処置用デバイス100は、例えば隣接する歯と歯の間の空隙を清掃するため、及び/又は、清掃用若しくはホワイトニング用媒体をユーザーの歯に送達するための専用の流体送達用デバイスを含む。
図1A~
図1Cに示された実施形態では、口腔処置用デバイス100は、ハンドル110をヘッド120に接続するステム130を備える。ステム130の形状は細長く、これは、口腔処置用デバイス100のユーザー操作性を高めるために、ハンドル110からヘッド120を離隔するのに役立つ。ヘッド120及び/又はステム130は、ハンドル110から取り外し可能なものであり得る。
【0031】
口腔処置用デバイス100は、ユーザーの口腔に処置を施す歯科処置用システムを備える。
図1A~
図1Cに示された実施形態では、歯科処置用システムが流体送達システムを備えるが、他の実施形態では、他の種類の歯科用及び/又は口腔処置用システムが使用され得ることを理解されたい。流体送達システムは、作用流体の噴射を口腔に送達するように配置される。諸実施形態では、作用流体は、液体、例えば水を含む。代替的な実施形態では、作用流体は、気体及び/又は粉末を含む。作用流体を隣接する歯と歯の間の隣接歯間空隙に送達して、空隙内に配置された障害物、例えばプロシュート又は他の保存加工された肉等の食品を押しのけることができる。隣接歯間空隙は、隣接する2つの歯と歯の間のスペース又は空隙であり、及び/又は隣接する歯と歯の接触点を取り囲む領域であり得る。隣接歯間空隙は、隣接する2つの歯の舌側側面に対して接線方向にある平面と、歯と歯の間の領域とによって境界が確定される領域として定義され得る。
【0032】
追加的に又は代替として、作用流体は、例えば歯肉の炎症又は感染症の処置のためにユーザーの歯肉線に送達され得る。代替的な実施形態では、歯科処置用システムは、ホワイトニング用流体を送達するように、及び/又はユーザーの歯からプラークを除去するように構成される。
【0033】
図1A~
図1Cに示された実施形態では、口腔処置用デバイス100は、作用流体を貯蔵するための流体貯蔵器114を備える。流体貯蔵器114は、口腔処置用デバイス100のハンドル110内に配置される。流体貯蔵器114は、デバイス100の流体送達システムの一部を形成する。諸実施形態では、流体貯蔵器114は、例えば作用流体の補充を容易とするためにハンドル110から取り外し可能なものである。
【0034】
諸実施形態では、口腔処置用デバイス100は、ノズル124を更に含む。これは、
図1Cに示される。ノズル124は、デバイス100の流体送達システムの一部を形成する。ノズル124は、デバイス100のヘッド120上に配置される。ノズル124は、口腔処置用デバイス100の使用中に作用流体をユーザーの口腔に送達するように構成される。
図1A~
図1Cに示された実施形態では、毛材122は、ノズル124の周りに少なくとも部分的に配置される。ノズル124は、
図1Cに示されたノズル軸Aに沿って延在する。ノズル軸Aは、ハンドル110の長手方向軸Zに対して実質的に垂直である。
【0035】
ノズル124は、流体貯蔵器114から作用流体を受け入れ、デバイス100の使用中に作用流体の噴射をユーザーの口腔に送達するように構成される。諸実施形態では、ノズル124の先端は、流体出口を含み、当該流体出口を介して作用流体の噴射が口腔に送達される。作用流体の噴射のそれぞれは、1ミリリットル未満、場合によっては0.5ミリリットル未満の体積を有し得る。ノズル124は、流体貯蔵器114から作用流体を受け入れるための流体入口を更に備えることができる。
【0036】
諸実施形態では、流体送達システムは、流体貯蔵器114からノズル124に作用流体を取り込むためのポンプ組立体(図示せず)を備える。ポンプ組立体は、ハンドル110内に配置され得る。ポンプ組立体は、ポンプ(例えば、容積式ポンプ)及びポンプを駆動させるための駆動機構を備えることができる。諸実施形態では、駆動機構は、ポンプモータを備える。電力は、バッテリー(例えば、充電式バッテリー)によってポンプモータに供給され得る。
【0037】
諸実施形態では、流体送達システムは、ポンプモータの駆動を制御するための制御回路(図示せず)を備え、したがって、制御回路及びポンプモータは、ポンプを駆動させるための駆動機構を提供する。制御回路は、電力をポンプモータに供給するモータ制御部を備えることができる。下記においてより詳細に記述するように、流体送達システムの制御回路は、口腔処置用デバイス100の制御部から信号を受信することができる。
【0038】
図2は、諸実施形態による口腔処置用デバイス100の概略的なブロック図を示す。
【0039】
口腔処置用デバイス100は、制御部210を備える。下記においてより詳細に記述するように、制御部210は、諸実施形態による様々なデータ処理及び/又は制御機能を実行するように動作可能である。制御部210は、1つ又は複数の構成要素を含むことができる。1つ又は複数の構成要素は、ハードウェア及び/又はソフトウェアに実装され得る。1つ又は複数の構成要素は、口腔処置用デバイス100の同じロケーションに配置することも、互いに遠隔に配置することもできる。制御部210は、1つ又は複数のソフトウェア機能及び/又はハードウェアモジュールとして具体化され得る。諸実施形態では、制御部210は、命令及び/又はデータを処理するように構成された1つ又は複数のプロセッサ210aを備える。1つ又は複数のプロセッサ210aによって実行される動作は、ハードウェア及び/又はソフトウェアによって実現することができる。制御部210は、本明細書に記載した方法を実行するために使用することができる。諸実施形態では、制御部210は、口腔処置用デバイス100の1つ又は複数の構成要素を制御するための制御信号を出力するように動作可能である。
【0040】
諸実施形態では、口腔処置用デバイス100は、流体送達システム220を備える。
図1A~
図1Cを参照して上述したように、流体送達システム220は、作用流体をユーザーの口腔に送達するように動作可能である。諸実施形態では、流体送達システム200は、上記ノズル124及び流体貯蔵器114等、作用流体を排出するためのノズルと、口腔処置用デバイス内に作用流体を貯蔵するための流体貯蔵器とを備える。流体送達システム220は、制御部210から制御信号を受信し、これにより、制御部210が、流体送達システム220による作用流体の送達を制御することを可能とするように動作可能である。例えば、制御部210は、流体送達システム220の制御回路によって受信される制御信号を出力することができ、当該制御信号により、流体送達システム220の制御回路は、ポンプモータを駆動させ、ポンプモータにより、作用流体が流体貯蔵器からノズルに圧送され、ユーザーの口腔内に排出されるようにする。追加的に又は代替として、制御部210は、流体送達システム220の制御回路によって受信される制御信号を出力することができ、当該制御信号により、流体送達システム220の制御回路は、ノズルを介して作用流体が送達されないようにする。代替的な実施形態では、口腔処置用デバイス100は、流体貯蔵器を備えない。すなわち、作用流体は、口腔処置用デバイス100内に貯蔵されることなくノズルを介して排出されるように、(例えば、専用の流体送達チャネルを介して)口腔処置用デバイス100の外部から送達されてもよい。
【0041】
諸実施形態では、口腔処置用デバイス100は、イメージセンサ機器230を備える。イメージセンサ機器230は、1つ又は複数のイメージセンサを備える。このようなイメージセンサの例としては、CCD(charge-coupled device:電荷結合素子)及びCMOS(complementary metal-oxide-semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)センサ等のアクティブピクセルセンサが挙げられるが、これらに限られない。諸実施形態では、イメージセンサ機器は、口腔内イメージセンサ機器を含む。例えば、イメージセンサ機器は、口腔内カメラを備えることができる。口腔内イメージセンサ機器(例えば、口腔内カメラ)は、ユーザーの口腔を描写する画像データを生成するために、少なくとも部分的にユーザーの口腔の内部で使用されるように動作可能である。例えば、イメージセンサ機器230は少なくとも部分的に、口腔処置用デバイス100のヘッド120上に配置され得、ヘッド120は、ユーザーの口腔に挿入されるように配置される。諸実施形態では、イメージセンサ機器230は、1つ又は複数のプロセッサを備える。制御部210は、イメージセンサ機器230から画像データを受信するように動作可能である。センサ機器230から出力された画像データを使用して、口腔処置用デバイス100を制御することができる。諸実施形態では、制御部210は、イメージセンサ機器230を制御するように動作可能である。
【0042】
図2に示された実施形態では、口腔処置用デバイス100は、IMU(inertial measurement unit:慣性計測装置)240を備える。このような実施形態では、制御部210は、口腔処置用デバイス100の位置及び/又は移動を示す信号をIMU240から受信するように動作可能である。諸実施形態では、IMU240は、加速度計、ジャイロスコープ及び磁力計を備える。加速度計、ジャイロスコープ及び磁力計のそれぞれが3つの軸又は自由度(x,y,z)を有する。このように、IMU240は、9軸IMUを構成し得る。代替的な実施形態では、IMU240は、加速度計及びジャイロスコープを備えるが、磁力計を備えない。このような実施形態では、IMU240は、6軸IMUを構成する。9軸IMUは、自由度が高まるので、6軸IMUより正確な測定値を生成することができる。しかしながら、状況によっては、9軸IMUより6軸IMUが好ましいこともある。例えば、一部の口腔処置用デバイスは、使用中に磁気擾乱を発生させ、及び/又は磁気擾乱を受け得る。加熱、デバイスの磁気及び/若しくは磁気インダクタンス、並びに/又は、他の磁気擾乱が磁力計の挙動に影響し得る。このように、場合によっては、9軸IMUよりも6軸IMUの方が信頼性及び/又は正確度が高くなる。IMU240は、加速度計信号及びジャイロスコープ信号(並びに一部の実施形態では磁力計信号)を示すデータを出力するように構成される。諸実施形態では、IMU240は、口腔処置用デバイス100のヘッド120内に配置される。代替的な実施形態では、IMU240は、口腔処置用デバイス100のハンドル110内に配置される。諸実施形態では、口腔処置用デバイス100は、複数のIMU140を備える。例えば、第1のIMU240は、ヘッド120内に配置することができ、第2のIMU240は、ハンドル110内に配置することができる。
【0043】
諸実施形態では、口腔処置用デバイス100は、接触部材245を備える。下記においてより詳細に記述するように、接触部材245は、口腔処置用デバイス100の使用中にユーザーの歯と接触するように動作可能である。接触部材245は、口腔処置用デバイス100のヘッド120上に配置される。例えば、接触部材245は、流体送達システム220のノズル、例えば、
図1A~
図1Cを参照して上述したノズル124を含むことができる。
【0044】
諸実施形態では、口腔処置用デバイス100は、ユーザーインターフェース250を含む。ユーザーインターフェース250は、
図1A~
図1Cを参照して上述したユーザーインターフェース112と同様であり得る。ユーザーインターフェース250は例えば、オーディオ及び/又は視覚的インターフェースを含むことができる。諸実施形態では、ユーザーインターフェース250は、ディスプレイ(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)を備える。諸実施形態では、ユーザーインターフェース250は、スピーカー等のオーディオ出力デバイスを備える。諸実施形態では、ユーザーインターフェース250は、触覚フィードバックをユーザーに提供するように構成された触覚フィードバック生成装置を備える。制御部210は、ユーザーインターフェース250を制御するように動作可能であり、例えば、ユーザーインターフェース250により、ユーザー向けの出力を提供するように動作可能である。一部の実施形態では、制御部210は、例えばユーザーインターフェース250を介したユーザー入力に基づいてデータを受信するように動作可能である。例えば、ユーザーインターフェース250は、1つ又は複数のボタン及び/又はタッチセンサを備えることができる。
【0045】
口腔処置用デバイス100は、メモリ260を更に備える。メモリ260は、諸実施形態による様々なデータを記憶するように動作可能である。メモリは、少なくとも1つの揮発性メモリ、少なくとも1つの不揮発性メモリ及び/又は少なくとも1つのデータ記憶装置を備えることができる。揮発性メモリ、不揮発性メモリ及び/又はデータ記憶装置は、制御部210による使用又は実行のためのコンピュータ読取り可能な情報及び/又は命令を記憶するように構成され得る。
【0046】
代替的な実施形態では、口腔処置用デバイス100は、より多い構成要素、より少ない構成要素及び/又は異なる構成要素を備えることができる。特に、
図1A~
図1C及び/又は
図2に示された口腔処置用デバイス100の構成要素の少なくとも一部は、実施形態に応じて省略されることもある(例えば、必要とされないこともある)。例えば、一部の実施形態では、流体送達システム220、イメージセンサ機器230、IMU240、ユーザーインターフェース250及びメモリ260のうちの少なくとも1つを省略することができる。諸実施形態では、口腔処置用デバイス100は、図示しない更なる構成要素、例えばバッテリー等の電源を備える。
【0047】
図3は、諸実施形態による口腔処置用デバイスを動作させる方法300を示す。方法300を使用して、
図1A、
図1B及び
図2を参照して上述した口腔処置用デバイス100を動作させることができる。
図3の実施形態では、口腔処置用デバイス100は、IMU240と、口腔処置用デバイス100の使用中にユーザーの歯と接触するように動作可能な接触部材245とを備える。諸実施形態では、方法300は少なくとも部分的に、制御部210によって実行される。
【0048】
ステップ310において、口腔処置用デバイス100の使用中における口腔処置用デバイス100の振動特性を示す信号をIMU240から受信する。振動特性は、接触部材245と歯との接触に依存する。このように、振動特性は、接触部材245が歯と接触しているか否かに応じて異なり得る(又は異なる値を有し得る)。
【0049】
ステップ320において、信号を処理して、ユーザーの口腔内の隣接する歯と歯の間の隣接歯間空隙を検出する。
【0050】
ステップ330において、口腔処置用デバイスの使用中に、口腔処置用デバイスを制御して、検出された隣接歯間空隙に処置を施す。
【0051】
したがって、ユーザーによるデバイス100の使用中、接触部材245及びIMU240の使用によって隣接歯間空隙を自動的に検出することができ、処置の実施を相応に制御することができる。このように、ユーザーは、デバイス100が処置の実施に適した位置にあるとき、例えば、隣接歯間空隙に近い又は隣接歯間空隙内にあるときを判定する必要がない。代わりに、このような判定は、接触部材245と歯との接触に応じて変化するデバイス100の振動特性をモニタリングすることによって自動的になされる。使用中に隣接歯間空隙及び/又は隣接歯間空隙に対するデバイス100の位置を自動的に検出し、このような情報を使用してその時点における(すなわち、デバイス100の同じ使用期間中における)処置の実施を制御することによって、処置の実施がより正確なものになる。
【0052】
振動特性は、デバイス100の使用中におけるデバイス100の振動の特性である。例えば、振動特性は、振動の周波数及び/又は振幅との関連を有し得る。接触部材245が歯と接触しているとき、デバイス100の振動は前述の接触により、接触部材245が歯と接触していないとき、例えば、隣接する歯と歯の間の隣接歯間空隙内又は隣接歯間空隙のところに接触部材245があるときと比較して、より減衰される。IMU信号を分析してデバイス100の振動がどのように減衰されているかを判定することによって、接触部材245が現在隣接歯間空隙内又は隣接歯間空隙のところにあるか否かを推論することができる。
【0053】
諸実施形態では、例えば口腔処置用デバイス100のヘッド120が複数の毛材122を含む場合、接触部材245は、複数の毛材122から独立したものである。このように、毛材122及び接触部材245は、どちらもデバイス100の使用中にユーザーの歯と接触するが、それぞれ個別に接触し得る。接触部材245は、例えば毛材122より高い剛性を有する部材を含むことができる。独立した接触部材245を使用することによって、接触部材245の特性は、隣接歯間空隙の検出が最適化されるように選択及び/又は調整することができる。例えば、接触部材245が隣接歯間空隙の内外に移動するときに測定される振動特性に検出容易な変化を生じさせるために、比較的高い剛性、例えば、所定の閾値より高い剛性を有する接触部材245を使用することが望ましいこともある。一部の実施形態では、毛材自体は、このような検出容易な変化を発生させるには剛性が不十分なことがあり、毛材の剛性を高めてこのような効果を得ようとすると、毛材のブラッシング機能が損なわれる可能性がある。
【0054】
諸実施形態では、例えば口腔処置用デバイスが、ユーザーの口腔への作用流体の送達を可能とするノズルを含む流体送達システム220を備える場合、接触部材は、ノズル、例えば、
図1A~
図1Cを参照して上述したノズル124を含む。したがって、ノズルは、隣接歯間空隙に向けた作用流体の噴出を可能とする手段としても、隣接歯間空隙の自動検出(及びこれによる噴出のトリガ)に使用される接触部材としても機能することができる。
【0055】
諸実施形態では、IMU240は、デバイス100のハンドル110に含まれる。デバイス100のヘッド120内ではなくデバイス100のハンドル110内にIMU240を配置することによって、デバイス上のスペースをより効率的に管理することができる。すなわち、デバイス100のヘッド120は、ハンドル110と比較して相対的に小さいものであり得、IMUをヘッド120に組み込む場合、IMU240を収容するためにヘッド120の望ましくないアーキテクチャ及び/又は構造上の変更が必要となる可能性がある。更に、諸実施形態では、デバイス100のヘッド120は、ハンドル110から分離可能な使い捨て型のものであり、ユーザーがヘッドを使用後に定期的に交換することが望ましい場合もある。したがって、ヘッド120内ではなくハンドル110内にIMU240を配置することにより、交換部品のコストが低減される。
【0056】
諸実施形態では、IMU240は、デバイス100のヘッド120に含まれる。デバイス100のヘッド120内にIMU240を配置することは、IMU240がハンドル110内に配置された場合と比較して、IMU240が接触部材245に対してより近くに配置されるので、より検出容易な信号を生成すること(したがって、より正確度及び/又は信頼性が高い空隙の検出)が可能となる。
【0057】
諸実施形態では、例えば口腔処置用デバイス100が流体送達システム220を備える場合、隣接歯間空隙を検出したことに応答して、制御信号を流体送達システム220に出力して作用流体の送達を制御する。このように、デバイス100の使用中における作用流体の送達は、接触部材245及びIMU240を使用して達成される(デバイス100の同じ使用期間中における)隣接歯間空隙の自動検出に応答して制御される。これにより、より正確度及び/又は信頼性が高い流体送達システム220の使用が可能となる。流体送達システム220の正確度及び/又は信頼性を改善することによって、作用流体の使用量が低減され、より効果的な処置がより迅速に達成される。諸実施形態では、制御信号を流体送達システム220に出力して、流体送達システムにより、作用流体を隣接歯間空隙に送達する。このように、作用流体の噴出は、IMU240及び接触部材245の使用によって実行された隣接歯間空隙の検出に応答して直接トリガすることができる。これにより、流体噴出の正確度が改善され、例えば、作用流体が他の場所ではなく隣接歯間空隙内に実際に噴出される可能性が高まる。
【0058】
諸実施形態では、振動特性は、口腔処置用デバイス100によって発生した超音波振動を示す。超音波振動は、デバイス100の歯磨き及び/又はプラーク除去機能の一部として発生させることができる。他の複数の例において、振動特性は、デバイス100、例えば、デバイス100のハンドル110に対するデバイス100のヘッド120の移動を駆動させるように構成されたモータによって発生した音波振動を示す。このように、デバイス100の既存機能を活用して隣接歯間空隙の自動検出が実現されるので、別個の振動発生手段は必要とされない。
【0059】
諸実施形態では、受信した信号を処理して口腔処置用デバイス100の振動特性の変化を検出する。検出された変化に基づいて、接触部材245が隣接歯間空隙の中に移動したのか、隣接歯間空隙の外に移動したのかの判定がなされる。上記判定に基づいてデバイス100を制御してアクションを実行する。
【0060】
諸実施形態では、受信した信号は、加速度計データを含む。諸実施形態では、振動特性は、口腔処置用デバイスの振動の振幅及び周波数のうちの1つ又は複数を含む。諸実施形態では、受信した信号を、1つ又は複数の周波数フィルターを使用して処理して、フィルタリングされた信号を得る。諸実施形態では、1つ又は複数の周波数フィルターは、ローパス周波数フィルターを含む。このようなローパス周波数フィルターは、受信したIMU信号からノイズを低減するために使用可能である。このようなノイズは例えば、デバイスの振動、IMU製造時の欠陥(例えば、IMU間のばらつき)等に起因し得る。1つ又は複数の周波数フィルターを使用してノイズを低減することは、例えば信号対ノイズ比を改善することによって空隙検出の信頼性及び/又は正確度を高める。諸実施形態では、受信したIMU信号に移動平均を適用することで、反復的な及び/又は規則的な素早い動き(例えば、デバイスの「スクラビングモーション」)に対応する信号を除去することができ、これにより、デバイスを前後に素早く動かしているときでも隣接歯間空隙の検出を実行することができる。諸実施形態では、1つ又は複数の振幅閾値をフィルタリングされた信号に適用して隣接歯間空隙を検出する。このようなフィルター及び/又は閾値は、IMU240から受信した「生の」信号と比較して、例えば信号対ノイズ比を改善することによって空隙検出の信頼性及び/又は正確度を高めるように選択される。フィルター及び/又は閾値は、事前に決定することもできるし、及び/又は、空隙検出の正確度を改善するためにデバイス100の使用中に修正若しくは計算することもできる。
【0061】
図4は、諸実施形態による口腔処置用デバイスを動作させる方法400を示す。方法400を使用して、
図1A、
図1B及び
図2を参照して上述した口腔処置用デバイス100を動作させることができる。
図4の実施形態では、口腔処置用デバイス100は、イメージセンサ機器230を備える。これらの実施形態では、イメージセンサ機器230は、口腔内イメージセンサ機器を備える。諸実施形態では、方法400は少なくとも部分的に、制御部210によって実行される。
【0062】
ステップ410において、口腔内イメージセンサ機器230は、口腔処置用デバイス100のユーザーによる使用中にユーザーの口腔の少なくとも一部を描写する画像データを生成する。
【0063】
諸実施形態では、口腔内イメージセンサ機器230は少なくとも部分的に、口腔処置用デバイス100のヘッド120に含まれる。デバイス100のヘッド120は、ユーザーの口腔の内部に処置を施すためのものであるので、口腔内イメージセンサ機器230をヘッド120内に少なくとも部分的に配置することにより、別体の口腔内カメラ(すなわち、ヘッド120と別個に取り付けられるカメラ)を必要とすることなく、口腔の内部の撮像を可能とする。
【0064】
諸実施形態では、口腔内イメージセンサ機器230は少なくとも部分的に、口腔処置用デバイス100のハンドル110に含まれる。このように、イメージセンサ機器230の一部、例えば、イメージセンサがユーザーの口腔の外部に留まるように配置される場合も、イメージセンサ機器230は依然として、「口腔内イメージセンサ機器」と呼ばれ得る。イメージセンサ機器230をデバイス100のハンドル110内に少なくとも部分的に配置することによって、デバイス上のスペースをより効率的に管理することができる。すなわち、デバイス100のヘッド120はハンドル110と比較して相対的に小さいものであり得、イメージセンサ機器230をヘッド120に組み込む場合、ヘッド120のアーキテクチャ及び/又は構造上の変更が必要となる可能性があり、かかる変更は、比較的複雑且つ/又は高コストであり得る。更に、諸実施形態では、デバイス100のヘッド120は、ハンドルから分離可能な使い捨て型のものであり、ユーザーがヘッド120を使用後に定期的に交換することが望ましい場合もある。したがって、イメージセンサ機器230の全体をヘッド120内に配置するのではなく、イメージセンサ機器230をハンドル110内に少なくとも部分的に配置することにより、交換部品のコストが低下する。
【0065】
諸実施形態では、口腔内イメージセンサ機器230は、センサと、光を受け入れて光をセンサに送達するための開口部とを備える。開口部は、口腔処置用デバイス100のヘッド120に含まれる。例えば、デバイス100のヘッド120が、例えば歯磨き機能を実行するために1組の毛材122を備える場合、開口部は、毛材122が開口部を覆い隠さない(すなわち、開口部からの光を遮断しない)ように毛材122の後に配置することができる。諸実施形態では、イメージセンサ機器230は、開口部からの光をイメージセンサに案内するためのガイドチャネルを備える。例えば、口腔処置用デバイス100がヘッド120、ハンドル110及びヘッド120とハンドル110とを接続するステム130を備える場合、ガイドチャネルは、ステム130に沿って(例えば、ステム130内を)開口部からセンサまで延在し得る。ガイドチャネルは例えば、光ファイバーケーブルを備えることができる。代替的な実施形態では、ステム130は中空であり、デバイス100のヘッド120の後ろに配置されたイメージセンサを覆うように配置される。これにより、センサが(使い捨て型)ヘッド120に含まれないことを確実にしながら開口部とセンサとの距離を短縮する。
【0066】
諸実施形態では、画像データは、RGB(赤、緑、青)画像データを含む。代替的な実施形態では、他の種類の画像データ(例えば、白黒の画像データ)を使用することができる。
【0067】
ステップ420において、生成された画像データを処理して、ユーザーの口腔内の隣接する歯と歯の間の隣接歯間空隙のロケーションを示すロケーションデータを導出する。生成された画像データは、隣接歯間空隙を特定するように構成された訓練済みの分類アルゴリズムを使用して処理される。訓練済みの分類アルゴリズムは、口腔処置用デバイスの使用前に訓練される。
【0068】
ステップ430において、口腔処置用デバイス100の使用中、口腔処置用デバイス100を制御して検出された隣接歯間空隙に処置を施す。
【0069】
したがって、ユーザーによるデバイス100の使用中、隣接歯間空隙は、口腔内イメージセンサ機器230及び訓練済みの分類アルゴリズムの使用によって自動的に検出することができ、ユーザー入力を必要とすることなく、処置の実施を相応に制御することができる。例えば、ユーザーは、デバイス100が処置の実施に適した位置にあるとき、例えば、隣接歯間空隙に近い又は隣接歯間空隙内にあるときを判定する必要がない。代わりに、このような判定は、口腔内画像データに基づいて自動的になされ、実質的にリアルタイムで実行され得る。訓練済みの分類アルゴリズムを使用して口腔内画像データを処理することは、このような訓練済みのアルゴリズムを使用して口腔内画像データが処理されない場合と比較して隣接歯間空隙の検出及び/又は位置特定(localization)の正確度及び/又は信頼性を高める。隣接歯間空隙及び/又は使用中における隣接歯間空隙に対するデバイス100の位置をより正確に検出し、このような情報を使用してその時点における(すなわち、デバイスの同じ使用期間中における)処置の実施を制御することによって、処置の実施がより正確なものになる。更に、画像データの使用は、空隙の検出だけでなく、空隙の位置特定も可能とする。空隙を位置特定することは、空隙が位置特定されない場合と比較してより正確度及び/又は信頼性が高い処置の実施を可能とする。
【0070】
口腔処置用デバイス100が、作用流体をユーザーの口腔に送達する流体送達システム220を備える実施形態では、ロケーションデータに基づいて制御信号を流体送達システム220に出力して作用流体の送達を制御する。このように、デバイス100の使用中における作用流体の送達は、口腔内カメラ250及び訓練済みの分類アルゴリズムを使用して達成される(デバイス100の同じ使用期間中における)隣接歯間空隙の自動位置特定に応答して制御される。これにより、より正確度及び/又は信頼性が高い流体送達システム220の使用が可能となる。特に、流体噴出の正確度、すなわち、作用流体が他の場所ではなく隣接歯間空隙内に実際に噴出される可能性が高まる。流体送達システム220の正確度及び/又は信頼性を改善することによって、作用流体の使用量が低減され、処置がより迅速に達成される。
【0071】
諸実施形態では、生成された画像データは、スライディングウィンドウを使用して処理される。このような実施形態では、ロケーションデータは、スライディングウィンドウ内の隣接歯間空隙の存在を検出することによって導出される。言い換えると、スライディングウィンドウが画像を横切り、画像の部分領域を規定し、空隙が画像の各部分領域中に存在するか否かについての判定がなされる。これについては、下記においてより詳細に記述する。
【0072】
諸実施形態では、生成された画像データは、画像データから1つ又は複数の画像特徴量を抽出し、抽出された1つ又は複数の画像特徴量を使用してロケーションデータを導出することによって処理される。画像特徴量は例えば、テクスチャーベースの画像特徴量を含み得る。1つの画像は相互の関連性が高い複数のピクセルからなるので、次元数を削減するため及び/又は分類アルゴリズムの学習を容易とするために画像特徴量の抽出を使用して、画像の最も代表的で参考になる(すなわち、冗長でない)情報を得る。
【0073】
諸実施形態では、1つ又は複数の画像特徴量は、離散ウェーブレット変換を使用して抽出される。離散ウェーブレット変換は、画像内の周波数とロケーション情報との両方を捕捉することができる。空隙領域の画像周波数は、典型的には歯又は歯肉領域の画像周波数より高い。これにより、離散ウェーブレット変換は、隣接歯間空隙を検出するために使用することが可能な画像の周波数マップを生成することができる。諸実施形態では、ハールウェーブレットが使用され、ハールウェーブレットは、他のウェーブレットと比較して計算の複雑さが相対的に低く、メモリ使用量も小さい。ウェーブレット変換の係数(又はその近似)は、抽出された画像特徴量として使用することができる。例えば、大きさa×aの画像に適用されたハールウェーブレットに基づいた特徴抽出の出力は、水平波h(a/4×a/4)、垂直波v(a/4×a/4)及び斜め波d(a/4×a/4)を含み得る。代替的な実施形態では、他のウェーブレットを使用することができる。
【0074】
抽出された特徴量は、画像に適用されるスライディングウィンドウのために使用することができる。例えば、スライディングウィンドウによって規定された画像の部分領域において、h、v及びdのそれぞれを対象とする2×2のプーリングを実行した後に、h、v及びdをベクトル化して、大きさ1×108の1つのベクトルに合成することができる。得られた結果は、訓練済みの分類アルゴリズムから訓練されたデータ、例えば、訓練済みの平均値及び分散値と併せて正規化され得る。サポートベクターマシン(support-vector machine:SVM)は、前段から正規化されたデータを受け取るガウシアン放射基底関数カーネルを有する非確率的非線形二項分類器として使用することができる。訓練済みのSVMは、訓練済みの係数及びバイアスを有する、すなわち、前の訓練段階中に導出されたサポートベクターを含む。例えば、1組の画像にグラウンドトゥルースラベリング(ground truth labeling)を適応する場合、分類アルゴリズムは、新たな例を、あるカテゴリー(例えば、空隙)又は別のカテゴリー(例えば、非空隙)に割り当てるように訓練することができる。
【0075】
諸実施形態では、1つ又は複数の画像特徴量は、エッジ検出器、コーナー検出器及びブロブ抽出器のうちの少なくとも1つを使用して抽出される。このような方法を使用して画像特徴量を抽出することにより、他の方法と比較してより正確な隣接歯間空隙の検出及び/又は位置特定を提供することができる。
【0076】
諸実施形態では、例えば口腔処置用デバイス100がユーザーインターフェースを含む場合、ユーザーインターフェースにより、ロケーションデータに応じた出力を提供する。例えば、出力は、隣接歯間空隙が発見されたことをユーザーに通知し、隣接歯間空隙のロケーションを示し、処置が隣接歯間空隙に施されたことをユーザーに知らせ、並びに/又は、より正確な処置の実施(例えば、作用流体の噴出)を可能とすることができるようにデバイスの位置及び/若しくは向きを調整することをユーザーに指導する通知を含み得る。提供された出力は例えば、視覚的出力、オーディオ出力及び/又は触覚的出力を含み得る。
【0077】
諸実施形態では、例えば口腔処置用デバイス100がメモリ260を備える場合、隣接歯間空隙の1つ又は複数の特性は、口腔処置用デバイス100の後続の処理及び/又は制御における使用のためにメモリ260に記憶される。例えば、記憶された1つ又は複数の特性を使用して、隣接歯間空隙と後に特定された隣接歯間空隙とを比較することができる。他の場合において、記憶された1つ又は複数の特性は、隣接歯間空隙を経時的にトラッキングするのに使用される。
【0078】
図5は、諸実施形態による口腔処置用デバイスを動作させる方法500を示す。方法500を使用して、
図1A、
図1B及び
図2を参照して上述した口腔処置用デバイス100を動作させることができる。
図5の実施形態では、口腔処置用デバイス100は、イメージセンサ機器240を備える。諸実施形態では、方法500は少なくとも部分的に、制御部210によって実行される。
【0079】
ステップ510において、イメージセンサ機器240によって画像データを生成する。画像データは、ユーザーの口腔の少なくとも一部を描写する画像シーケンスを示す。このように、口腔の一部の画像は、複数の異なる時点においてキャプチャされ得る。
【0080】
ステップ520において、画像データを処理して移動パラメータを導出する。移動パラメータは、ユーザーの口腔内における隣接する歯と歯の間の隣接歯間空隙に対する口腔処置用デバイス100の移動を示す。
【0081】
ステップ530において、導出された移動パラメータに基づいて口腔処置用デバイス100を制御してアクションを実行する。
【0082】
隣接歯間空隙に対する口腔処置用デバイスの移動を示す移動パラメータを導出することによって、デバイス100のより細かい及び/又はよりインテリジェントな制御が可能となる。特に、空隙に対するデバイス100の移動(又はその逆)を考慮することによって、処置をより正確に及び/又は効果的に空隙に施すことができる。
【0083】
諸実施形態では、導出された移動パラメータに基づいて口腔処置用デバイスを制御して隣接歯間空隙に処置を施す。このように、ステップ530において実行されるアクションは、隣接歯間空隙への処置の実施を含み得る。
【0084】
諸実施形態では、口腔処置用デバイス100による処置の実施は、導出された移動パラメータに基づいて停止される。このように、ステップ530において実行されるアクションは、隣接歯間空隙への処置の実施の停止を含み得る。
【0085】
諸実施形態では、導出された移動パラメータは、所定の将来時点における口腔処置用デバイス100に対する隣接歯間空隙の予測位置を示す。所定の将来時点は、処置の実施を始動させることができる最も早い時点であり得る。このような所定の将来時点における空隙の位置を予測することによって、所望の(例えば、正確な)処置が空隙に施される可能性を判定することができる。このような可能性が高いと判定された場合、例えば、所定の閾値より高いと判定された場合、処置の実施を許可することができる。一方、このような可能性が低いと判定された場合、例えば、所定の閾値より低いと判定された場合、処置の実施を停止させることができる。これにより、空隙が正確に及び/又は効果的に処置される可能性が十分に高いことが移動パラメータに基づいて判定されたときにのみ処置の実施がトリガされるので、より効率的なデバイス100の使用が可能となる。
【0086】
諸実施形態では、導出された移動パラメータは、隣接歯間空隙が口腔処置用デバイス100に対する所定の位置にあると予測される将来時点を示す。所定の位置は例えば、流体送達システムからの作用流体の噴流の経路内にある位置であり得る。このように、導出された移動パラメータに基づいて処置の実施を制御して(例えば、遅延させて)、所望の正確な隣接歯間空隙の処置が行われる可能性を高めることができる。これにより、より効率的な口腔処置用デバイス100の使用が可能となる。
【0087】
諸実施形態では、導出された移動パラメータは、隣接歯間空隙に対する口腔処置用デバイス100の速度及び/又は加速度を示す。導出された速度及び/又は加速度を使用してデバイス100に対する空隙の軌道をトラッキングし、これにより、処置の実施の正確度を高めることができる。
【0088】
口腔処置用デバイス100が、作用流体をユーザーの口腔に送達する流体送達システム220を備える実施形態では、導出された移動パラメータに基づいて制御信号を流体送達システム220に出力して作用流体の送達を制御する。したがって、項目530において実行されるアクションは、流体送達システム220の制御を含み得る。このように、デバイスの使用中における作用流体の送達は、(デバイスの同じ使用期間中における)導出された空隙に対するデバイスの移動に基づいて制御される。これにより、より正確度及び/又は信頼性が高い流体送達システムの使用が可能となる。特に、流体噴出の正確度、すなわち、作用流体が他の場所ではなく隣接歯間空隙内に実際に噴出される可能性が高まる。例えば、隣接歯間空隙が検出された時点から、作用流体が空隙に送達され得る時点までには、所与のレイテンシーが存在し得る。このようなレイテンシーは、データ処理、異なる構成要素及び/又はデバイス間の信号伝達、流体送達システム220の動作等に起因し得る。このような遅延は、流体送達システムが作用流体を噴出させた時点で、検出された空隙が噴出流体の経路内に既に存在しないこともあることを意味する。しかしながら、空隙に対するデバイス100の移動を考慮することによって、このような移動を補正し、結果として流体噴出の正確度を高めることができる。例えば、噴出は、空隙が作用流体の経路に入る時点まで遅延させることができる。流体送達システム220の正確度及び/又は信頼性を改善することによって、作用流体の使用量が低減され、より効果的な処置がより迅速に達成される。
【0089】
諸実施形態では、イメージセンサ機器230は少なくとも部分的に、口腔処置用デバイス100のヘッド120に含まれる。デバイス100のヘッド120は、ユーザーの口腔の内部に処置を施すためのものであるので、イメージセンサ機器230をヘッド120内に少なくとも部分的に配置することにより、別体のカメラ(すなわち、ヘッド120と別個に取り付けられるカメラ)を必要とすることなく、口腔の内部の撮像を可能とする。
【0090】
諸実施形態では、イメージセンサ機器230は少なくとも部分的に、口腔処置用デバイス100のハンドル110に含まれる。イメージセンサ機器230をデバイス100のハンドル110内に少なくとも部分的に配置することによって、上述のように、デバイス上のスペースをより効率的に管理し、交換部品(すなわち、ヘッド120)のコストを低減することができる。
【0091】
諸実施形態では、イメージセンサ機器230は、口腔内カメラを備える。口腔内カメラは、ユーザーの口の内部からデジタル画像をキャプチャするように動作可能である。次いで、このような画像を処理して隣接歯間空隙に対するデバイスの移動又はその逆をトラッキングする。このように、ユーザーの口腔の内部は、デバイス100の使用中に撮像される。場合によっては、口腔内カメラは、ビデオデータを生成するように動作可能である。
【0092】
諸実施形態では、画像データを処理して隣接歯間空隙を検出する。このように、第一には、画像データを処理して空隙を検出し、第二には、デバイス100に対する空隙の軌道を動的にトラッキングする。例えば、空隙は、画像シーケンスのうちの第1の画像中で検出され得、画像シーケンス中の後続の画像を使用して、例えば移動パラメータによって示される空隙の移動をトラッキングすることができる。
【0093】
諸実施形態では、フレーム間での画像ピクセルの移動及び/又は変位を比較することによって、フレーム間で隣接歯間空隙がトラッキングされる。例えば、シーケンス中の第1のフレームのピクセルI(x,y,t)と、シーケンス中の第2のフレームのピクセルI(x+dx,y+dy,t+dt)とを比較して、フレーム間の移動を導出し、すなわち、ピクセルが時間dtをかけて(dx,dy)だけ移動することを判定する。空隙のロケーションは、第1のフレーム及び第2のフレーム(すなわち、現フレーム及び1つ又は2つ以上前のフレーム)から計算された変位に基づいて予測することができる。歯は剛直な物体であるので、空隙領域中のピクセルは、2つのフレーム間で歯領域中のピクセルと同様の変位を有する。したがって、その空隙自体が画像のうちの1つ又は複数の中に存在しない場合でも、当該空隙をトラッキングすることができる。オプティカルフロー法を使用してデバイス100に対する空隙の速度(ピクセル/秒)を推定し、速度及びフレーム間の既知の時間に基づいて、所定の将来時点における空隙のロケーションを予測することができる。
【0094】
諸実施形態では、隣接歯間空隙は、画像シーケンスのうちの少なくとも1つの画像中に存在しない。このような実施形態では、画像シーケンスのうちの少なくとも1つの画像について、画像シーケンスのうちの少なくとも1つの他の画像中における隣接歯間空隙のロケーションに基づいて、隣接歯間空隙のロケーションが推定される。したがって、空隙の軌道は、空隙が画像中に存在しない(すなわち、視認できない)場合でもトラッキングすることができる。例えば、画像によっては空隙が他の物体に隠れて見えないこともある。諸実施形態では、オプティカルフロー法を使用して、シーケンス中の画像間でのピクセル及び/又は物体の速度を導出する。次いで、空隙自体が存在しない第1の画像中の空隙のロケーションを、計算された速度、第2の画像中の空隙のロケーション、及び第1の画像と第2の画像との間の時間に基づいて推定することができる。
【0095】
諸実施形態では、移動パラメータは、IMUによって出力された信号に応じて導出される。例えば、口腔処置用デバイス100がIMU240を備える場合、IMU240は、ユーザーの口腔に対する口腔処置用デバイス100位置及び/又は移動を示す信号を出力するように構成され得る。例えば、IMU240を使用して空隙に対するデバイス100の角運動を導出することができる。このような信号は、移動パラメータの導出において、画像データと組み合わせて使用することができる。
【0096】
図6は、諸実施形態による口腔処置用デバイスを動作させる方法600を示す。方法600を使用して、
図1A、
図1B及び
図2を参照して上述した口腔処置用デバイス100を動作させることができる。
図6に示す実施形態では、口腔処置用デバイス100は、イメージセンサ機器230を備える。イメージセンサ機器230は、ユーザーの口腔の少なくとも一部を描写する画像データを生成するように動作可能である。諸実施形態では、方法600は少なくとも部分的に、制御部210によって実行される。
【0097】
ステップ610において、生成された画像データを処理して、ユーザーの口腔内の隣接する歯と歯の間の隣接歯間空隙を特定する。
【0098】
ステップ620において、特定された隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性と、ユーザーの口腔において過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性とを比較する。諸実施形態では、特定された空隙の少なくとも1つの特性は、異なる空隙間で相違することが予測される特徴量、及び/又は特定された空隙に特有である特徴量を含む。このように、少なくとも1つの特性を使用して空隙同士を区別することができる。少なくとも1つの特性は、視覚的特性を含むことができる。諸実施形態では、特定された隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性は、特定された隣接歯間空隙の形状、特定された隣接歯間空隙の外観、特定された隣接歯間空隙の位置、又は、特定された隣接歯間空隙に関する何らかの特有の特徴量のうちの少なくとも1つを示す。諸実施形態では、特定された空隙の少なくとも1つの特性は、例えば特定された空隙の画像に適用されたウェーブレット変換に基づいた周波数特性を示す。
【0099】
ステップ630において、比較の結果に基づいて口腔処置用デバイス100を制御してアクションを実行する。
【0100】
特定された隣接歯間空隙の特性と、過去に特定されたユーザーの1つ又は複数の隣接歯間空隙の特性とを比較することによって、デバイス100は、よりインテリジェントな及び/又はより自由度の高い方法によって制御される。特に、特定された空隙が現在の口腔処置セッション中に(すなわち、ユーザーによるデバイス100の使用中に)過去に特定されたか否かについて判定がなされ得る。このような判定は、実質的にリアルタイムで実行することができ、迅速で応答性が高いデバイス100の制御を可能とする。したがって、過去に特定された空隙は、撮像条件が過去の特定時点から変更された場合でも再び特定することができる。
【0101】
諸実施形態では、新たに特定される空隙は、過去に特定された空隙とは異なる形式で処理される。すなわち、デバイス100は、特定された空隙が新たに特定された空隙であると判定された場合には、第1の方法によって制御することができ、特定された空隙が過去に特定された空隙である(又は過去に特定された空隙に類似する)と判定された場合には、異なる第2の方法によって制御することができる。ユーザーによるデバイス100の操作態様に応じて、所与の空隙への遭遇頻度は、口腔処置セッション中に1回であることも複数回であることもある。したがって、新たに特定された空隙を過去に特定された空隙とは異なる態様で処理することによって、デバイス100は、ユーザーの挙動に適合することが可能である。
【0102】
諸実施形態では、類似性指標は、比較の結果に応じて計算される。類似性指標は、特定された隣接歯間空隙と、過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙との類似性のレベルを示す。このような実施形態では、口腔処置用デバイス100は、導出された類似性指標に基づいて制御される。類似性指標は、特定された空隙が過去に特定された1つ又は複数の空隙と同じであるか異なるかを示すことができる。すなわち、類似性指標は、特定された空隙が新たに特定された空隙又は過去に特定された空隙であるか否かを示すことができる。空隙は、現在の口腔処置セッション中に遭遇していないことが判定された場合に「新たに特定」され得る。すなわち、空隙は、過去の口腔処置セッション中に特定された可能性があるとしても、現在のセッション中に遭遇したことがなければ依然として新たに特定された空隙として指定され得る。諸実施形態では、類似性指標は、閾値と比較される。類似性指標が閾値より低い場合、空隙は、新たに特定された空隙として指定される。類似性指標が閾値より高い場合、空隙は、過去に特定された空隙として指定される。
【0103】
諸実施形態では、特定された隣接歯間空隙が過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙と異なることが類似性指標により示されたことに応答して、特定された隣接歯間空隙に処置を施すようにデバイス100を制御する。したがって、項目630において実行されるアクションは、特定された空隙への処置の実施を含み得る。このように、特定された空隙が新たに特定された空隙であると判定された場合、処置の実施がトリガされる。
【0104】
諸実施形態では、特定された隣接歯間空隙が過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙と異なることが類似性指標により示されたことに応答して、特定された隣接歯間空隙を描写する画像データは、例えば後に行われる隣接歯間空隙の特定及び/又は比較における使用のためにメモリに記憶される。このように、空隙と後に特定された空隙とを比較することで、後に特定された空隙に過去に遭遇したか否かを判定することができる。諸実施形態では、画像データは、過去に特定されたユーザーの空隙に対応する画像データ及び/又は他の代表データを含むライブラリ又はデータバンクに記憶される。画像データは、デバイス100に記憶されてもよいし、又は、例えばネットワークを介した記憶を目的として遠隔デバイスへの伝送のために出力されてもよい。
【0105】
諸実施形態では、特定された隣接歯間空隙が過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙のうちの少なくとも1つの隣接歯間空隙と同一であることが類似性指標により示されたことに応答して、特定された隣接歯間空隙への処置の実施を停止させるように口腔処置用デバイス100を制御する。したがって、項目630において実行されるアクションは、処置の実施の停止を含み得る。このように、単一の口腔処置セッション中における同じ空隙の繰返し処置を低減することができ、場合によっては完全に回避することもできる。言い換えると、各空隙は、口腔処置セッション中に1回だけ処置される。これにより、より効率的な口腔処置用デバイス100の使用が可能となる。処置が、例えば流体送達システム220を介した作用流体の送達を含む例において、同じ空隙の繰返し処置を低減することにより、使用される作用流体の量が低減される。代替的な実施形態では、特定された空隙が過去に特定された空隙のうちの少なくとも1つの隣接歯間空隙と同一であることが類似性指標により示されたことに応答して、処置の実施が停止されない。
【0106】
諸実施形態では、特定された隣接歯間空隙が過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙のうちの少なくとも1つの隣接歯間空隙と同一であることが類似性指標により示されたことに応答して、過去に特定された1つ又は複数の隣接歯間空隙のうちの少なくとも1つの隣接歯間空隙が過去に特定された時点からの経過時間が導出される。導出された経過時間は、所定の閾値と比較される。このような実施形態では、口腔処置用デバイス100は、導出された経過時間と所定の閾値との比較の結果に基づいて制御される。このように、デバイス100の制御は、空隙が過去に特定された時点からの経過時間の長さに応じて異なり得る。
【0107】
諸実施形態では、導出された経過時間が所定の閾値より長いことに応答して、特定された隣接歯間空隙に処置を施すように口腔処置用デバイス100を制御する。したがって、過去の空隙の処置から所定長さの時間が経過した場合、空隙の繰返し処置を実行することができる。諸実施形態では、導出された経過時間が所定の閾値より短いことに応答して、特定された隣接歯間空隙への処置の実施を停止させるように口腔処置用デバイス100を制御する。したがって、過去の空隙の処置から所定長さの時間が経過していない場合、空隙の繰返し処置は実行されない。例えば、ユーザーがデバイス100を「スクラビング」モーションで前後に移動させる場合、空隙に比較的短時間で連続して2回遭遇し得る。この場合、当該空隙を複数回処置することは、効果的及び/又は効率的でないこともある。しかしながら、セッション中のかなり後になってユーザーがデバイス100を過去に処置された空隙に戻した場合、前述の空隙の更なる処置が望まれていること、例えば、過去の空隙の処置が成功しなかったことを推測することができる。
【0108】
諸実施形態では、生成された画像データは、隣接歯間空隙を検出するように構成された訓練済みの分類アルゴリズムを使用して処理される。このような訓練済みのアルゴリズムを使用することは、訓練済みのアルゴリズムが使用されない場合と比較してより正確度及び/又は信頼性が高い空隙の検出をもたらす。諸実施形態では、分類アルゴリズムは、機械学習アルゴリズムを備える。このような機械学習アルゴリズムは、経験及び/又は訓練によって改良し得る(例えば、分類の正確度及び/又は信頼性を高めることができる)。
【0109】
諸実施形態では、生成された画像データを処理して、特定された隣接歯間空隙の少なくとも1つの特性を導出する。諸実施形態では、少なくとも1つの特性は、生成された画像データを、機械学習アルゴリズムを使用して処理することによって導出される。機械学習アルゴリズムは、隣接歯間空隙同士を区別する際に使用される情報を特定するように訓練される。このような情報は、空隙を代表する特徴量、すなわち、冗長でない特徴量及び/又は空隙ごとに異なることが予測される特徴量を含む。特定された情報は、空隙の少なくとも1つの特性を含み得る。諸実施形態では、このような機械学習アルゴリズム(又は1つ若しくは複数の異なる機械学習アルゴリズム)は、過去に特定された1つ又は複数の空隙の少なくとも1つの特性、例えば、過去に特定された空隙を代表する及び/又は空隙同士の区別に使用可能な特徴量であって、過去に特定された空隙と現在特定された空隙との比較に使用される特徴量を導出するためにも使用される。代替的な実施形態では、空隙に特有の特徴量は、機械学習アルゴリズムを使用せずに生の画像データから抽出される。
【0110】
諸実施形態では、イメージセンサ機器230は、口腔内カメラを備える。諸実施形態では、イメージセンサ機器230は少なくとも部分的に、口腔処置用デバイス100のヘッド120に含まれる。デバイス110のヘッド120は、ユーザーの口腔の内部に処置を施すためのものであるので、イメージセンサ機器230をヘッド120内に少なくとも部分的に配置することにより、別体のカメラを必要とすることなく、口腔の内部の撮像を可能とする。
【0111】
諸実施形態では、イメージセンサ機器230は少なくとも部分的に、口腔処置用デバイス100のハンドル110に含まれる。イメージセンサ機器230をデバイス100のハンドル110内に少なくとも部分的に配置することによって、上述のように、デバイス上のスペースをより効率的に管理し、交換部品(すなわち、ヘッド120)のコストを低減することができる。
【0112】
口腔処置用デバイスが作用流体をユーザーの口腔に送達する流体送達システム220を備える実施形態では、判定された比較の結果に基づいて制御信号を流体送達システム220に出力して作用流体の送達を制御する。このように、項目630において実行されるアクションは、作用流体の送達を制御すること(例えば、作用流体の送達の実行及び/又は停止)を含み得る。諸実施形態では、流体送達システム220は、口腔処置用デバイス100内に作用流体を貯蔵するための流体貯蔵器を備える。したがって、流体貯蔵器が補充を必要とする頻度は、特定された空隙と過去に特定された空隙とを比較することによって低減することが可能であり、これにより、同じ空隙への流体の噴出の繰返しを低減する。
【0113】
図7は、諸実施形態による口腔処置用デバイスを動作させる方法700を示す。方法700を使用して、
図1A、
図1B及び
図2を参照して上述した口腔処置用デバイス100を動作させることができる。
図7の実施形態では、口腔処置用デバイス100は、IMU240を備える。IMU240は、口腔処置用デバイス100の位置及び/又は移動に応じた信号を出力するように動作可能である。これらの実施形態では、口腔処置用デバイス100は、ユーザーの口腔に作用流体を送達する流体送達システム220を更に備える。諸実施形態では、方法700は少なくとも部分的に、制御部210によって実行される。
【0114】
ステップ710において、ユーザーの口腔に対する口腔処置用デバイス100の位置及び/又は移動を示す、IMU240から受信した信号を処理する。
【0115】
ステップ720において、ステップ710の処理に基づいて、制御信号を流体送達システム220に出力して作用流体の送達を制御する。
【0116】
したがって、流体送達システム220による作用流体の送達は、IMU信号に基づいて制御される。これにより、流体送達システム220を制御するためにIMU信号が使用されない場合と比較して流体送達、例えば作用流体の噴出の正確度を高めることができる。
【0117】
諸実施形態では、制御信号は、流体送達システム220による作用流体の送達を停止させるように動作可能である。IMU信号に基づいて作用流体の送達を選択的に停止させることによって、送達が選択的に停止されない場合と比較して作用流体の使用量が少なくなる。このように、デバイス100の効率が改善される。
【0118】
諸実施形態では、IMUから受信した信号を処理して、所定の移動方式に従って口腔処置用デバイスを移動させているかを判定する。上記判定に応答して、制御信号を流体送達システム220に出力して作用流体の送達を停止させる。したがって、ユーザーの口腔の作用流体の送達は、ユーザーによるデバイス100の移動態様に基づいて選択的に停止させる。これにより、例えば特定の方法によってデバイス100を移動させているときに作用流体の噴出ができないようにすることで、より効率的なデバイス100の使用及び/又はより効果的な処置が可能となる。例えば、所定の移動方式に従ってデバイス100を移動させている場合、流体送達システム220の吐出不良の可能性、及び/又は、流体の噴出によって損傷が起きる可能性が高まり得る。諸実施形態では、IMU240から受信した信号は、所定の移動方式に従ってデバイス100を移動させているか否かを判定するように構成された訓練済みの分類アルゴリズム、例えば機械学習アルゴリズムを使用して処理される。
【0119】
諸実施形態では、所定の移動方式に従った口腔処置用デバイス100の移動は、ユーザーの口腔を処置する際の口腔処置用デバイス100の使用を阻害する。したがって、デバイス100が口腔を処置する際のデバイス100の使用を阻害する方法によって使用されているときには、流体送達を選択的に停止させることができる。このような方法によってデバイスを移動させている場合は、例えば作用流体をターゲットに送達する際の流体送達システム220の正確度が低下することにより、所望の処置が行われる可能性が低下する。このことは、例えば流体送達システム220によって作用流体が噴出されるが所望の処置がなされないことにより、作用流体が浪費される可能性が高いことを意味する。所定の移動方式に従ってデバイス100を移動させているときに流体送達を選択的に停止させることによって、作用流体がより効率的に使用される。
【0120】
諸実施形態では、所定の移動方式は、スクラビング移動を含む。スクラビング移動方式に従ってデバイス100を移動させている場合、ターゲット、例えば隣接歯間空隙に作用流体を送達する際の流体送達システム220の正確度が低下し、吐出不良の可能性が高まる。このことは、作用流体が浪費される可能性がより高いことを意味する。したがって、デバイス100をスクラビングモーションで移動させるときに流体送達を選択的に停止させることによって、作用流体がより効率的に使用される。代替的な実施形態では、所定の移動方式は、他の移動方式を含む。
【0121】
諸実施形態では、IMU240から受信した信号を処理して口腔処置用デバイス100の向きを判定する。制御信号は、判定された向きに基づいて流体送達システム220に出力される。したがって、流体送達システム220は、IMU信号を使用して判定されたデバイス100の現在の向きに基づいて制御することができる。流体送達システム220が所望の処置を提供する可能性は、デバイス100の向きに依存し得る。例えば、障害物を押しのけるために隣接する歯と歯の間の隣接歯間空隙に作用流体を噴出すべき場合、当該処置は、流体送達システム220のノズルが歯の頬側面又は舌側面に対して実質的に垂直に延在して歯の頬側面又は舌側面に面するようにデバイス100が向けられた場合に、(より少ない試行で)成功する可能性が高くなり得る。一方、ノズルが歯の咬合面に対して実質的に垂直に延在して歯の咬合面に面するようにデバイス100が向けられると、障害物を押しのける成功率が低下する。このことは、例えば流体送達システム220から作用流体が噴出されても所望の処置がなされないことにより、作用流体が浪費される可能性がより高いことを意味する。判定されたデバイス100の向きに基づいて流体送達を制御することによって、作用流体がより効率的に使用される。
【0122】
諸実施形態では、デバイス100の向きは、噴出角閾値に比較される。噴出角閾値は、デバイス100のヘッド120の向きに基づいて作用流体送達を停止又は許可すべきであるか否かを判定するための閾値である。例えば、ヘッド120の向きが噴出角閾値より高いときには流体送達を許可することができ、ヘッド120の向きが噴出角閾値より低いときには流体送達を停止させることができる。諸実施形態では、噴出角閾値は、IMU信号に基づいてユーザーのために決定することができる。噴出角閾値は、ユーザーが歯列に沿ってデバイス100を移動させるときのヘッド120の向きを分析することにより、特定のユーザーに最適化することができる。というのも、パスに沿ったデバイス100の向き及び/又は移動方向は、ユーザーごとに異なる可能性があるからである。本明細書において「パス」とは、歯列に沿ったデバイス100のヘッド120の移動を指す。
【0123】
諸実施形態では、IMU240から受信した信号を処理して、口腔処置用デバイス100の使用中における口腔処置用デバイス100の向きの変化を導出する。制御信号は、導出された口腔処置用デバイス100の向きの変化に基づいて流体送達システム220に出力される。このように、使用中におけるデバイス100の向きの変化に応答して、流体送達を制御することができる。例えば、デバイス100は、所望の処置が行われる可能性が比較的低い第1の向き、例えば、ノズルが歯の咬合面に対して実質的に垂直に向けられ且つ歯の咬合面に面する場所から、所望の処置が行われる可能性が比較的高い第2の向き、例えば、ノズルが歯の舌側面又は頬側面に対して実質的に垂直に向けられ且つ歯の舌側面又は頬側面に面する場所に移動させることができる。デバイス100が第1の向きにあるときには、所望の処置が行われる可能性が比較的低い場所で作用流体を噴出させることによって作用流体の使用量を低減するために流体送達を停止させることができる。デバイス100が第2の向きに移動するときに、流体送達の停止を中止することができる。同様に、デバイス100が第2の向きから第1の向きに移動した場合、流体送達を選択的に停止させることができる。
【0124】
諸実施形態では、デバイス100のヘッド120は、歯列の第1の端部と歯列の第2の端部との間の歯列に沿って移動するように動作可能であり、流体送達システム220は少なくとも部分的に、ヘッド120に含まれる。諸実施形態では、IMU240から受信した信号を処理して、歯列の第1の端部と歯列の第2の端部との間での口腔処置用デバイス100のヘッド120の軌道を導出する。制御信号は、導出された軌道に基づいて流体送達システム220に出力される。ヘッド120が歯列に沿って移動するときのヘッド120の軌道に基づいて流体送達システム220を制御することによって、デバイス100を、よりインテリジェントな及び/又はより自由度の高い方法によって制御することができる。特に、流体送達システム220を使用して所望の処置がなされる可能性が比較的低いことが軌道によって示される場合、流体送達を停止させることができる(これにより、作用流体の浪費を防止することができる)。
【0125】
諸実施形態では、IMU240から受信した信号を処理して、歯列の第1の端部と歯列の第2の端部との間での口腔処置用デバイス100のヘッド120の移動中における口腔処置用デバイス100のヘッド120の向きの変化を導出する。制御信号は、導出されたヘッド120の向きの変化に基づいて流体送達システム220に出力される。したがって、歯列に沿ってヘッド120を移動させるときのヘッド120の向きの変化に応答して、流体送達を制御することができる。例えば、ユーザーが歯列に沿ってデバイス100を移動させるときにはヘッド120の向きが変化し得、例えば、ユーザーは、歯列に沿ってデバイス100を移動させるときにデバイス100を回転させることができる。このような向きの変化を考慮することによって、流体送達システム220は、例えば向きに基づいて所望の処置が行われる可能性が比較的高いと判定されたときに作用流体の噴流を送達し、所望の処置が行われる可能性が比較的低いと判定されたときに噴出を停止させることによって、より正確な及び/又は効率的なものになる。
【0126】
諸実施形態では、IMU240から受信した信号を処理して、口腔に対する口腔処置用デバイス100の移動が中止されたことを判定する。上記判定に応答して、制御信号を流体送達システム220に出力して、流体送達システム220により、作用流体を送達する。したがって、ユーザーは、歯列に沿ってデバイス100を移動させることが可能であり、ユーザーが処置したい隣接歯間空隙にデバイス100が隣接するときにはデバイス100を一時停止させることができる。IMU信号を使用してこのような一時停止を検出し、相応に流体送達システム220を自動的にトリガすることによって、流体送達システム220をトリガするためのユーザー入力の必要性が低減され、これにより、デバイス100の機能性を高めてユーザー体験を改善する。
【0127】
諸実施形態では、IMU240から受信した信号を処理して、ユーザーの口腔内の隣接する歯と歯の間の隣接歯間空隙を検出する。隣接歯間空隙を検出したことに応答して、制御信号を流体送達システム220に出力する。諸実施形態では、制御信号を流体送達システム220に出力して、流体送達システムにより、検出された隣接歯間空隙に作用流体を送達する。このように、隣接歯間空隙は、デバイス100の使用中に実質的にリアルタイムでIMU信号に基づいて自動的に検出することができ、検出された空隙には、デバイス100の使用中に作用流体を送達することができる。場合によっては、ユーザーは、特定の空隙の存在に気づかないこともあるが、当該空隙も依然として、IMU信号に基づいてデバイスによって検出することができる。更に、流体送達システム220の効率及び/又は正確度は、空隙が検出されたときに厳密に作用流体の噴出をトリガすることによって高められる。
【0128】
諸実施形態では、速度及び/又は位置推定アルゴリズムを使用してIMU信号を処理する。例えば、速度及び/又は位置推定アルゴリズムは、任意の方向に急激に変化する速度を検出する際の使用のために(例えば、スクラビングモーションを検出するために)デバイス100の速度を推定するように構成され得る。諸実施形態では、速度及び/又は位置推定アルゴリズムは、IMUからの加速度計信号及びジャイロスコープ信号を供給されるように構成される。これらの信号は、別個に処理することもできるし、アルゴリズムによる使用のために1つのデータストリームに合成することもできる。例えば、デバイスが歯列に沿って移動していると判定すること、口腔に対するデバイスの位置を判定すること、及び/又は、デバイスの速度を導出することは、速度及び/又は位置推定アルゴリズムの使用によって実行することができる。速度及び/又は位置推定アルゴリズムは、ソフトウェア若しくはハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)を使用して実装することもできるし、ハードウェアとソフトウェアとの組合せを用いて実装することもできる。速度及び/又は位置推定アルゴリズムは、本明細書に記載した様々な方法において使用することができる。
【0129】
IMUは、適切に補正されない場合、得られる計算結果に誤りを生じる可能性があるノイズ、バイアス及び/又はドリフトを伴い得る。例えば、ジャイロスコープ信号は、時間経過に伴ってドリフトが生じ、加速度計は、重力によるバイアスがかかり、ジャイロスコープ信号と加速度計信号はいずれも、ノイズを伴い得る。諸実施形態では、フィルタリング、例えばハイ及び/若しくはローパスフィルタ並びに/又はメジアンフィルタを使用してIMU信号中のノイズの少なくとも一部を除去する。諸実施形態では、フィルターを使用してジャイロスコープのドリフトを補正し、及び/又は重力を補償し、これにより、線形速度を求めることができ、次いで速度を積分して位置及び/又は変位を求めることができる。速度及び/又は位置の測定値は、3軸全てについて個別に測定値を構成することもできるし、方向成分を合成して速度の大きさ及び/又は位置の大きさを求めることもできる。
【0130】
諸実施形態では、IMU信号を処理してユーザーのためのユーザー挙動プロファイルを生成する。このようなプロファイルは、移動、向き、速度等に基づいて、ユーザーによるデバイス100の使用態様、例えばルーチンを示す。ユーザー挙動プロファイルは例えば、個別に調整されたアドバイスをユーザーに提供するために使用することができる。ユーザー挙動プロファイルは、新たなIMUデータが得られたときに修正及び/又は更新することができる。
【0131】
諸実施形態では、IMU信号は、イメージセンサ機器、例えば、上記イメージセンサ機器230によって生成された口腔内画像データと組み合わせられる。IMU信号と口腔内画像データとの両方を使用して流体送達システム220を制御することによって、口腔内画像データが使用されない場合と比較して流体送達システム220の正確度を更に高めることができる。
【0132】
図8は、諸実施形態による口腔処置用デバイスを動作させる方法800を示す。方法800を使用して、
図1A、
図1B及び
図2を参照して上述した口腔処置用デバイス100を動作させることができる。
図8の実施形態では、口腔処置用デバイス100は、ユーザーの口腔の処置に使用されるヘッド120を備える。口腔は、複数の口腔ゾーンを含む。これらの実施形態では、口腔処置用デバイス100は、IMU240を備える。IMU240は、口腔処置用デバイス100のヘッド120の位置及び/又は移動に応じた信号を出力するように動作可能である。諸実施形態では、方法800は少なくとも部分的に、制御部210によって実行される。
【0133】
ステップ810において、ユーザーの口腔に対する口腔処置用デバイス100のヘッド120の位置及び/又は移動を示す信号をIMU240から受信する。
【0134】
ステップ820において、受信した信号を、訓練済みの非線形分類アルゴリズムを使用して処理して分類データを取得する。分類アルゴリズムは、口腔処置用デバイス100のヘッド120が配置された口腔ゾーンを複数の口腔ゾーンから特定するように訓練される。得られた分類データは、口腔処置用デバイス100のヘッド120が配置された口腔ゾーンを示す。
【0135】
ステップ830において、分類データを使用して口腔処置用デバイス100を制御してアクションを実行する。
【0136】
諸実施形態では、複数の口腔ゾーンは、3以上の口腔ゾーンを含む。諸実施形態では、複数の口腔ゾーンは、5以上の口腔ゾーンを含む。諸実施形態では、複数の口腔ゾーンは、12の口腔ゾーンを含む。諸実施形態では、複数の口腔ゾーンは、18の口腔ゾーンを含む。
【0137】
諸実施形態では、複数の口腔ゾーンのうちの所与の口腔ゾーンは、ユーザーの口腔の四分円又は六分円と、頬側歯面、舌側歯面及び咬合歯面を含むリストから選択される歯面とを示す。このように、それぞれが3つの歯面を有する6つの口腔に対応する、18の別個の口腔ゾーンが存在し得る。代替的な実施形態では、複数の口腔ゾーンは、19以上の口腔ゾーンを含む。
【0138】
訓練済みの非線形分類アルゴリズムへの入力としてIMU信号を使用することによって、ユーザー入力を必要とすることなくヘッド120が配置された口腔ゾーンを特定することができる。したがって、デバイス100は、ユーザーによるデバイス100の使用態様を自律的に特定して相応に適合することができる。例えば、デバイス100の1つ又は複数の動作設定は、特定された口腔ゾーンに基づいて制御することができる。これによって更に、デバイス100のヘッド120が口腔内のどこにあるか、どの程度の時間が各口腔ゾーン内で消費されているか等についてもユーザーに通知することが可能となる。この情報は、ヘッド120が配置された口腔ゾーンに現在の口腔処置セッション中に到達したことがあるか否かを判定するために使用することもできる。直接的なユーザーフィードバックを提供することに加えて、このような情報は、例えば各口腔ゾーン内で消費された時間、見過ごされた口腔ゾーンの有無等の情報に基づいて、ユーザーによるデバイス100の使用傾向を示す挙動プロファイルの生成を容易とすることができる。更に、訓練済みのアルゴリズムを使用することは、訓練済みのアルゴリズムが使用されない場合と比較してより正確度及び/又は信頼性が高いヘッド120の位置特定をもたらす。すなわち、ヘッド120の位置特定の空間分解能は、訓練済みのアルゴリズムの使用によって高められる。更に、非線形分類アルゴリズムを使用して、線形分離可能でない因子同士を区別することができる。したがって、非線形分類アルゴリズムを使用して分類データを取得することは、より正確度及び/又は信頼性が高い分類データの導出をもたらす。
【0139】
諸実施形態では、分類アルゴリズムは、機械学習アルゴリズムを備える。このような機械学習アルゴリズムは、経験及び/又は訓練によって改良し得る(例えば、分類の正確度及び/又は信頼性を高めることができる)。
【0140】
諸実施形態では、口腔処置用デバイスは、機械学習エージェントを備える。機械学習エージェントは、分類アルゴリズムを備える。このように、分類アルゴリズムは、口腔処置用デバイス100に配置することができる。デバイス100上で口腔ゾーンの特定を実行することにより、別のデバイスへのデータの伝送及び/又は別のデバイスからのデータの受信が必要とされないので、分類アルゴリズムがデバイス100に配置されない場合と比較して、レイテンシーが小さくなる。これにより、口腔ゾーンのより素早い特定が可能となることで、何らかの補正アクションをとるのに要する時間、及び/又は、ユーザーインターフェースを介して出力を提供するのに要する時間を短縮することができる。代替的な実施形態では、分類アルゴリズムは、遠隔デバイス上に配置される。このような遠隔デバイスは例えば、口腔処置用デバイス100より多くの処理リソースを有し得る。
【0141】
諸実施形態では、分類データに基づいて口腔処置用デバイス100を制御してユーザーの口腔に処置を施す。このように、項目830において実行されるアクションは、ユーザーの口腔への処置の実施を含み得る。
【0142】
口腔処置用デバイスが作用流体をユーザーの口腔に送達する流体送達システム220を備える実施形態では、分類データに基づいて制御信号を流体送達システム220に出力して作用流体の送達を制御することができる。このように、項目830において実行されるアクションは、流体送達システム220による作用流体の送達の制御を含み得る。諸実施形態では、制御信号は、分類データに基づいて作用流体の送達の停止を起こすように動作可能である。これにより、流体送達システム220の効率及び/又は正確度が改善され、すなわち、処置を施しているとき(又は施していないとき)に、判定されたデバイス100のヘッド120の口腔内ロケーションを考慮することによって流体送達システム220の効率及び/又は正確度が改善される。
【0143】
諸実施形態では、ユーザーインターフェース250により、分類データに応じた出力を出力する。このように、項目830において実行されるアクションは、ユーザーインターフェース250を介して出力を提供することを含み得る。例えば、このような出力は、処置を施す際のデバイス100の使用を改善するために、特定の口腔ゾーン内でより多くの時間を消費することをユーザーに通知する通知を含み得る。
【0144】
諸実施形態では、ユーザーインターフェース250により、ユーザーの口腔を処置する際の口腔処置用デバイス100の使用中に出力を提供する。ユーザーインターフェース250により、口腔処置セッションの完了後ではなくデバイス100の使用中に出力を提供することによって、フィードバックをより迅速に提供することができる。例えば、ユーザーインターフェース250によって実質的にリアルタイムで出力を提供することができる。これにより、ユーザーがデバイス100の使用中にユーザーの挙動を調整すること、例えば、補正アクションをとることが可能となることで、処置の実施の有効性を改善することができる。
【0145】
諸実施形態では、ユーザーインターフェース250により、ユーザーの口腔を処置する際の口腔処置用デバイス100の使用後に出力を提供する。デバイス100の使用後に出力を提供することにより、使用中に出力が提供される場合と比較してより詳細なレベルのフィードバックを提供することができる。例えば、デバイス100の使用及び/又は移動は、口腔処置セッションの全体を通して分析することができ、次いで、セッション全体に関するフィードバックをユーザーに提供することができ、例えば、所与の口腔ゾーンを処置するのにより多くの時間を消費することをユーザーにアドバイスすることができる。このようなフィードバックは、後続のセッションにおいてユーザーの挙動を調整することをユーザーに促す。
【0146】
諸実施形態では、ユーザーインターフェースによって提供された出力は、オーディオ出力、視覚的出力及び/又は触覚的出力を含む。例えば、出力は、ディスプレイ、スピーカー及び/又は触覚アクチュエータを介して提供することができる。
【0147】
諸実施形態では、ユーザーインターフェースは遠隔デバイスに含まれ、信号を遠隔デバイスに出力して、ユーザーインターフェースにより、出力を提供する。このような遠隔デバイスのユーザーインターフェースは、手持ち式のものであり得る及び/又はユーザーインターフェースのためのスペースが限定され得る口腔処置用デバイス100自体のユーザーインターフェースより汎用性が高いものであり得る。
【0148】
諸実施形態では、口腔処置用デバイス100は、ユーザーインターフェース250を含む。口腔処置用デバイス100上にユーザーインターフェース250を設けることによって、異なるデバイス間で通信する必要がなくなるので、ユーザーインターフェース250が口腔処置用デバイス100上に備えられない場合と比較して、より迅速に出力を生成してユーザーに受信させることができる。更に、口腔処置用デバイス100上にユーザーインターフェース250を設けることにより、ユーザーがフィードバックを迅速に受信する可能性を高めることができる。例えば、ユーザーは、口腔処置用デバイス100の使用中に遠隔デバイスと同じロケーションにいない可能性もあり、したがって、遠隔デバイス上の通知を迅速に見る又は聞くことができないこともある。
【0149】
諸実施形態では、(例えば、デバイス100又は遠隔デバイスの)ユーザーインターフェースにより、口腔処置用デバイス100のヘッド120を所定の口腔ゾーンに位置決めすることをユーザーに通知する通知を含む出力を提供する。このような通知は、口腔処置セッションの開始時に提供される。このような通知をユーザーに提供することによって、ヘッド120の開始時ロケーション、すなわち、セッションの開始時にヘッド120が配置された口腔ゾーンを非線形分類アルゴリズムに認識させる。次いでこれを、分類アルゴリズムの制約として使用することができ、これにより、後続のヘッド120の口腔内ロケーションを導出する際のアルゴリズムの正確度及び/又は信頼性を高めることができる。
【0150】
諸実施形態では、IMU240から受信した信号を使用して分類アルゴリズムを修正する。すなわち、IMU240によって生成された信号を使用して分類アルゴリズムを訓練し、及び/又は更に訓練することができる。分類アルゴリズムを修正することは、経験及び/又はより多くの訓練データの使用によって分類アルゴリズムの正確度及び/又は信頼性を改善することができる。更に、分類アルゴリズムを修正することにより、分類アルゴリズムをユーザーに対して個別に調整することが可能となる。生成したIMU信号を訓練データとして使用して分類アルゴリズムを動的に再訓練することによって、分類アルゴリズムは、デバイス100のヘッド120が配置された口腔ゾーンをより高い信頼性をもって特定することができる。
【0151】
諸実施形態では、分類データは、メモリ260に記憶される。これにより、データを後で、例えば処置後分析のために使用すること、及び/又は、ユーザーのためのデバイス100の使用の挙動プロファイルを生成することが可能となる。諸実施形態では、分類データは、遠隔デバイス、例えば、携帯電話、タブレット、ラップトップ、パーソナルコンピュータ等のユーザーデバイスへの伝送のために出力される。
【0152】
諸実施形態では、遠隔デバイスから訓練データを受信する。訓練データは、ネットワーク、例えば、「クラウド」から受信することができる。このような訓練データは、他のユーザーに関連付けられたIMUデータ及び/又は分類データを含むことができる。このような訓練データは例えば、クラウドソーシングされたデータを含むことができる。諸実施形態では、このような訓練データは、口腔処置用デバイス100を使用することから直接得られたIMUデータ及び/又は分類データより量が多い。遠隔デバイスからの訓練データを使用して分類アルゴリズムを修正することにより、このような訓練データが使用されない場合と比較して、分類アルゴリズムの正確度及び/又は信頼性を高めることができる。
【0153】
図9は、諸実施形態による口腔処置用デバイスを動作させる方法900を示す。方法900を使用して、
図1A、
図1B及び
図2を参照して上述した口腔処置用デバイス100を動作させることができる。
図9の実施形態では、口腔処置用デバイス100は、ユーザーの口腔の処置に使用されるヘッドを備える。これらの実施形態では、口腔処置用デバイス100は、IMU240及びイメージセンサ機器230を更に備える。
図9の実施形態では、イメージセンサ機器230は、口腔内イメージセンサ機器を備える。諸実施形態では、方法900は少なくとも部分的に、制御部210によって実行される。
【0154】
ステップ910において、ユーザーの口腔に対する口腔処置用デバイス100のヘッド位置及び/又は移動に応じた信号を、IMU240を使用して生成する。
【0155】
ステップ920において、イメージセンサ機器230を使用してユーザーの口腔の少なくとも一部を描写する画像データを生成する。ステップ910及び920は、実質的に同時に実行することもできるし、任意の順序で逐次実行することもできることを理解されたい。
【0156】
ステップ930において、生成された信号及び生成された画像データを、訓練済みの分類アルゴリズムを使用して処理して口腔処置用デバイス100のヘッド120の口腔内ロケーションを導出する。
【0157】
ステップ940において、導出された口腔内ロケーションに基づいて口腔処置用デバイス100を制御してアクションを実行する。
【0158】
IMU信号及び画像データを訓練済みの分類アルゴリズムへの入力として使用することによって、ユーザー入力を必要とすることなく、デバイス100のヘッド120の口腔内ロケーションを導出することができる。したがって、デバイス100は、ユーザーによるデバイス100の使用態様を自律的に特定して相応に適合することができる。これにより、デバイス100をよりインテリジェントに制御することができる。例えば、デバイス100の1つ又は複数の動作設定は、導出された口腔内ロケーションに応じて制御することができる。更に、IMUデータと組み合わせた画像データの使用は、画像データ及び/又はIMUデータが使用されない場合と比較してより正確なヘッド120の口腔内ロケーションの導出を提供する。例えば、口腔内ロケーションの導出の空間分解能は、IMUデータと組み合わせた画像データの使用によって改善される。
【0159】
諸実施形態では、口腔は、複数の口腔ゾーンを含む。このような実施形態では、生成された信号及び生成された画像データは、ヘッド120が配置された口腔ゾーンを複数の口腔ゾーンから特定するように処理される。特定された口腔ゾーンに基づいて口腔処置用デバイス100を制御してアクションを実行する。諸実施形態では、複数の口腔ゾーンのうちの所与の口腔ゾーンは上述のように、口腔の四分円又は六分円と、頬側歯面、舌側歯面及び咬合歯面を含むリストから選択される歯面とを示す。これにより例えば、デバイス100のヘッド120が口腔内のどこにあるか、どの程度の時間が各口腔ゾーン内で消費されているか等についてユーザーに通知することが可能となる。この情報は、ヘッド120が配置された口腔ゾーンに現在の口腔処置セッション中に到達したことがあるか否かを判定するために使用することもできる。直接的なユーザーフィードバックを提供することに加えて、このような情報は、例えば各口腔ゾーン内で消費された時間、見過ごされた口腔ゾーンの有無等の情報に基づいて、ユーザーによるデバイス100の使用傾向を示す挙動プロファイルの生成を容易とすることができる。
【0160】
諸実施形態では、口腔は複数の歯を含み、生成された信号及び生成された画像データを処理して、口腔処置用デバイス100のヘッド120に隣接する(例えば、最も近い)歯を複数の歯から特定する。特定された歯に基づいて口腔処置用デバイス100を制御してアクションを実行する。このように、デバイス100のヘッド120の口腔内ロケーションは、歯単位で(1本1本の歯について)判定される。これにより例えば、提供される特定のどの歯が更なる処置を必要とするか等をユーザーに知らせるユーザーフィードバックの提供が可能となる。このように、デバイス100のヘッド120に隣接する歯が特定されない場合と比較してよりきめ細かい及び/又は個別に調整されたレベルの(例えば、より高い空間分解能を有する)フィードバックを提供することができる。
【0161】
諸実施形態では、生成された信号及び生成された画像データを処理して、ユーザーの口腔内の隣接する歯と歯の間の隣接歯間空隙を特定する。特定された隣接歯間空隙に基づいて口腔処置用デバイス100を制御してアクションを実行する。このように、隣接歯間空隙は、デバイス100の使用中にIMU信号及び画像データに基づいて自動的に検出することができる。場合によっては、ユーザーは、特定の空隙の存在に気づかないこともあるが、当該空隙も依然として、IMU信号及び画像データに基づいてデバイス100によって検出することができる。空隙検出の結果、ユーザーに空隙のロケーションを通知することもできるし、デバイス100を制御して空隙に処置を施すこと等もできる。このように、デバイス100のヘッド120の口腔内ロケーションは、空隙単位で(1つ1つの空隙について)判定される。したがって、本明細書に記載した方法は、他の方法より高い空間分解能を有する。諸実施形態では、空隙を特定することは、ヘッド120が配置された口腔ゾーンを特定することとは別個のプロセスである。例えば、まず、ヘッド120が隣接する歯と歯の間の空隙に近いところにあることを判定した後、更に、ヘッド120が口の特定の口腔ゾーン(すなわち、領域)にあることを判定してもよい。これにより、検出された空隙の位置特定が容易となる。
【0162】
諸実施形態では、分類アルゴリズムは、機械学習アルゴリズムを備える。このような機械学習アルゴリズムは、経験及び/又は訓練によって改良し得る(例えば、分類の正確度及び/又は信頼性を高めることができる)。
【0163】
諸実施形態では、口腔処置用デバイス100は、機械学習エージェントを備え、機械学習エージェントが、分類アルゴリズムを備える。このように、分類アルゴリズムは、口腔処置用デバイス100に配置することができる。デバイス100上で口腔内ロケーションの導出を実行することにより、別のデバイスへのデータの伝送及び/又は別のデバイスからのデータの受信が必要とされないので、分類アルゴリズムがデバイス100に配置されない場合と比較して、レイテンシーが小さくなる。これにより、口腔内ロケーションをより迅速に導出することが可能となることで、何らかの補正アクションをとるのに要する時間、及び/又は、ユーザーインターフェースを介して出力を提供するのに要する時間を短縮することができる。代替的な実施形態では、分類アルゴリズムは、遠隔デバイス、例えば、口腔処置用デバイス100より多くの処理リソースを有するデバイス上に配置される。
【0164】
諸実施形態では、生成された信号及び/又は生成された画像データを使用して分類アルゴリズムを修正する。すなわち、生成された信号及び/又は生成された画像データを使用して分類アルゴリズムを訓練し、及び/又は更に訓練することができる。分類アルゴリズムを修正することは、経験及び/又はより多くの訓練データの使用によって分類アルゴリズムの正確度及び/又は信頼性を改善することができる。すなわち、導出された口腔内ロケーションの信頼度を高めることができる。更に、分類アルゴリズムを修正することにより、分類アルゴリズムをユーザーに対して個別に調整することが可能となる。生成された信号及び/又は生成された画像データを訓練データとして使用して分類アルゴリズムを動的に再訓練することによって、分類アルゴリズムは、デバイス100のヘッド120の口腔内ロケーションをより高い信頼性をもって導出することができる。
【0165】
諸実施形態では、導出された口腔内ロケーションに基づいて口腔処置用デバイス100を制御してユーザーの口腔に処置を施す。このように、項目940において実行されるアクションは、デバイス100による処置の実施を含み得る。
【0166】
口腔処置用デバイス100が作用流体をユーザーの口腔に送達する流体送達システム220を備える実施形態では、導出された口腔内ロケーションに基づいて制御信号を流体送達システム220に出力して作用流体の送達を制御する。このように、項目940において実行されるアクションは、流体送達システム220の制御を含み得る。例えば、口腔内ロケーションは、作用流体の噴射を作用させるか否かを判定するために使用することができる。これにより、流体送達システム220の効率及び/又は正確度が改善され、すなわち、処置を施しているとき(又は施していないとき)に、判定されたデバイス100のヘッド120の口腔内ロケーションを考慮することによって流体送達システム220の効率及び/又は正確度が改善される。
【0167】
諸実施形態では、ユーザーインターフェース250により、導出された口腔内ロケーションに応じた出力を提供する。このように、項目940において実行されるアクションは、ユーザーインターフェース250を介して出力を提供することを含み得る。諸実施形態では、ユーザーインターフェース250により、ユーザーの口腔を処置する際の口腔処置用デバイス100の使用中に出力を提供する。ユーザーインターフェース250により、口腔処置セッションの完了後ではなくデバイス100の使用中に出力を提供することによって、フィードバックをより迅速に提供することができる。例えば、ユーザーインターフェース250によって実質的にリアルタイムで出力を提供することができる。これにより、ユーザーがデバイス100の使用中にユーザーの挙動を調整すること、例えば、補正アクションをとることが可能となることで、処置の実施の有効性を改善することができる。
【0168】
諸実施形態では、ユーザーインターフェース250により、ユーザーの口腔を処置する際の口腔処置用デバイス100の使用後に出力を提供する。デバイス100の使用後に出力を提供することにより、使用中に出力が提供される場合と比較してより詳細なレベルのフィードバックを提供することができる。例えば、デバイスの使用及び/又は移動は、口腔処置セッションの全体を通して分析することができ、次いで、セッション全体に関するフィードバックをユーザーに提供することができる。諸実施形態では、ユーザーインターフェース250により、デバイス100の使用中と使用後の両方に出力を提供する。
【0169】
諸実施形態では、ユーザーインターフェースによって提供された出力は、オーディオ出力、視覚的出力及び/又は触覚的出力を含む。例えば、出力は、ディスプレイ、スピーカー及び/又は触覚アクチュエータを介して提供することができる。
【0170】
諸実施形態では、ユーザーインターフェースは、遠隔デバイス、例えば、携帯電話等のユーザーデバイスに含まれる。このような実施形態では、信号を遠隔デバイスに出力して、ユーザーインターフェースにより、出力を提供する。このような遠隔デバイスのユーザーインターフェースは、口腔処置用デバイス100自体のユーザーインターフェースより汎用性が高いものであり得る。
【0171】
諸実施形態では、口腔処置用デバイス100は、ユーザーインターフェース250を含む。口腔処置用デバイス100上にユーザーインターフェース250を設けることによって、異なるデバイス間で通信する必要がなくなるので、ユーザーインターフェース250が口腔処置用デバイス100上に備えられない場合と比較して、より迅速に出力を生成してユーザーに受信させることができる。更に、口腔処置用デバイス100上にユーザーインターフェース250を設けることにより、ユーザーがフィードバックをより迅速に受信する可能性を高めることができる。
【0172】
諸実施形態では、判定された口腔内ロケーションを示すデータは、メモリ260への記憶のために出力される。これにより、データを後で、例えば処置後分析のために使用すること、及び/又は、ユーザーのためのデバイス100の使用の挙動プロファイルを生成することが可能となる。諸実施形態では、判定された口腔内ロケーションを示すデータは、遠隔デバイス、例えばユーザーデバイスへの伝送のために出力される。
【0173】
諸実施形態では、判定されたデバイス100のヘッド120の口腔内ロケーションは、
図3~
図6を参照して上述した方法のうちの1つ又は複数等の隣接歯間空隙検出及び処置プロセスの一部として使用される。諸実施形態では、判定されたヘッド120の口腔内ロケーションは、例えば定性的なプラーク蛍光を使用するプラーク検出プロセスにおいて使用される。
【0174】
図10は、諸実施形態による口腔処置用デバイスを動作させる方法1000を示す。方法1000を使用して、
図1A、
図1B及び
図2を参照して上述した口腔処置用デバイス100を動作させることができる。
図10の実施形態では、口腔処置用デバイス100は、IMU240を備える。IMU240は、口腔処置用デバイス100に移動に応じた信号を出力するように動作可能である。諸実施形態では、方法1000は少なくとも部分的に、制御部210によって実行される。
【0175】
ステップ1010において、ユーザーの口腔に対する口腔処置用デバイス100の移動を示す信号を受信する。
【0176】
ステップ1020において、受信した信号を、訓練済みの分類アルゴリズムを使用して処理して分類データを取得する。分類アルゴリズムは、所定の移動方式に従って口腔処置用デバイス100を移動させているか否かを判定するように構成(例えば、訓練)される。
【0177】
ステップ1030において、分類データを使用して口腔処置用デバイス100を制御してアクションを実行する。
【0178】
IMU240からの信号を分類アルゴリズムへの入力として使用することによって、デバイス100の現在の移動方式を認識することができる。したがって、デバイス100は、ユーザーによるデバイス100の使用態様を自動的に特定して相応に適合することができる。これにより、デバイス100をよりインテリジェントに制御することができる。例えば、特定された挙動に応じてデバイス100の1つ又は複数の動作設定を制御することができる。これにより、デバイス100の設定を、ユーザーによるデバイス100の使用態様に密接に適応させることができる。訓練済みのアルゴリズムを使用することは、訓練済みのアルゴリズムが使用されない場合と比較してより正確度及び/又は信頼性が高い移動方式の分類をもたらす。
【0179】
諸実施形態では、所定の移動方式に従った口腔処置用デバイス100の移動は、ユーザーの口腔を処置する際の口腔処置用デバイス100の使用を阻害する。したがって、所望の処置がデバイス100によって施される可能性が低下するようにデバイス100を移動させているときを判定することができる。このような判定に基づいて、ユーザーに相応に警告することができ、及び/又はデバイス100を制御することができる。例えば、諸実施形態では、所定の移動方式は、スクラビング移動を含む。スクラビング移動は、迅速な前後移動を含む。このような移動方式は、一部の処置の効果的な実施、例えば、歯と歯の間の隣接歯間空隙への作用流体の送達を阻害する。したがって、このような方法によってデバイス100を移動させているか否かを判定することによって、移動方式が効果的な処置を阻害していることをデバイス100から通知されたときにユーザーが直ちに補正アクションをとることも、デバイス100自体が例えば処置の実施を制御することによって補正アクションをとることも可能となる。
【0180】
諸実施形態では、所定の移動方式に従って口腔処置用デバイス100を移動させていることが分類データにより示されたことに応答して、ユーザーの口腔内における口腔処置用デバイス100による処置の実施を停止させる。このように、項目1030において実行されるアクションは、処置の実施の停止を含み得る。上述のように、所定の移動方式に従ってデバイス100を移動させているとき、ユーザーの口腔を効果的に処置する際のデバイス100の使用が阻害され得る、すなわち、デバイス100の使用に悪影響が及び得る。したがって、所定の方式に従ってデバイス100を移動させていると判定された場合に処置の実施を停止することによって、デバイス100をより効率的に動作させる。すなわち、デバイス100を移動させている方法により、成功の可能性が比較的低いと判定された場合、処置の実施は試行されない。
【0181】
諸実施形態では、所定の移動方式に従って口腔処置用デバイス100を移動させていないことが分類データにより示されたことに応答して、ユーザーの口腔内に処置を施すように口腔処置用デバイス100を制御する。このように、所定の移動方式に従ってデバイス100を移動させていないとの判定、例えば、スクラビングモーションさせながらデバイス100を移動させていないとの判定によって処置の実施を可能とすることができる。したがって、所定の方式に従ってデバイス100を移動させていると判定された場合には、処置の実施を停止させることができ、所定の移動方式に従ってデバイス100を移動させていないと判定された場合には、処置の実施を可能とすることができる(又はトリガを許可することができる)。したがって、デバイス100の移動方式は、処置の実施を実行するか否かを決定する条件として使用される。
【0182】
諸実施形態では、更なる所定の移動方式に従ってデバイス100を移動させていることが分類データにより示されたことに応答して、ユーザーの口腔に処置を施すようにデバイス100を制御する。所定の移動方式が、例えばスクラビングモーションを含む例において、更なる所定の移動方式は、運動を含まなくてもよいし、スクラビングモーションと異なる「滑らかな」滑り運動を含んでもよい。このように、ユーザーは、処置の実施の効率及び/又は有効性を改善するために所定の移動方式の使用しないよう促されることもあれば、所定の移動方式の使用を継続するよう促されることもある。
【0183】
口腔処置用デバイス100が作用流体をユーザーの口腔に送達する流体送達システム220を備える実施形態では、分類データに基づいて制御信号を流体送達システム220に出力して作用流体の送達を制御する。このように、項目1030において実行されるアクションは、流体送達システム220を制御することを含み得る。例えば、所定の移動方式に従ってデバイス100を移動させていると判定された場合、作用流体の送達を停止させることができる。ユーザーは、ターゲット、例えば、隣接する歯と歯の間の隣接歯間空隙への正確度及び/又は信頼性が高い作用流体の送達を阻害する方法によってデバイス100を移動させていることもある。例えば、デバイス100を早く移動させすぎている場合、例えば、スクラビングモーションで移動させている場合、流体送達システム220は、実際に意図された場所、例えば隣接歯間空隙に作用流体の噴流を送達する可能性が低下する。このことは、流体噴流の到達範囲が比較的小さい(すなわち、集中する)場合には特に考慮すべき事項となり得る。このことは、ターゲットに当たり損なうことによって作用流体が浪費される可能性が高くなること、及び、効果的な処置が達成される(少なくとも、流体噴出を繰り返し試行することなく達成される)可能性が低下することを意味する。所定の移動方式に従ってデバイス100を移動させているか否かに基づいて流体送達システム220を制御することによって、流体送達システム220の正確度及び/又は効率が高められ、使用及び/又は浪費される作用流体の量が低減される。
【0184】
諸実施形態では、
図10の方法は、画像ベースの隣接歯間空隙検出及び処置プロセス、例えば、上記
図4の方法と一緒に実行される。このような実施形態では、隣接歯間空隙の検出は、スクラビング移動の状態でデバイス100が移動されている場合、イメージセンサ機器230の移動が急激すぎると阻害され得る。空隙が無事検出された場合も、スクラビング移動は、検出された空隙に作用流体の噴流を送達する際の流体送達システム220の正確度を低下させる可能性がある。したがって、所定の移動方式に従ってデバイス100を移動させていると判定された場合に処置の実施を選択的に停止させることによって、隣接歯間空隙の検出及び処置プロセスの性能が改善される。
【0185】
諸実施形態では、特徴量は、受信したIMU信号から実質的にリアルタイムで、すなわち、デバイス100の使用中に抽出される。スライディングウィンドウをIMU信号に適用して、信号から特徴量(例えば、1つ又は複数の平均値)を抽出することができる。このような抽出された特徴量は、訓練済みの分類アルゴリズムに入力され、訓練済みの分類アルゴリズムは、所定の移動方式に従ってデバイス100を移動させているか否かを判定する。諸実施形態では、IMU240は、加速度計及びジャイロスコープデータを提供する6軸IMUを構成する。代替的な実施形態では、加速度計データ及びジャイロスコープデータのうちの一方だけがIMU240によって提供される。
【0186】
諸実施形態では、IMU信号は、訓練済みの分類アルゴリズムによる分析のために所定のサンプリングレートでサンプリングされる。サンプリングレートは、デバイス100の利用可能な計算リソース、分析がデバイス100自体ではなく遠隔デバイスに実行されるか否か等の情報に基づいて事前に決定することができる。例えば、IMU信号のサンプリング頻度が相対的に低いと、IMU信号のサンプリング頻度が相対的に高い場合に比べて計算量が少なくなり得る。しかしながら、IMU信号のサンプリング頻度を低くするほど、信号を取得してからデバイス100を制御するまでのレイテンシーが長くなる可能性があり、且つ/又は、分類アルゴリズムによってなされる移動方式の判定の正確度が低下する可能性がある。したがって、IMU信号のサンプリングレートを決定する際は、性能と処理リソースとの間にトレードオフが存在し得る。
【0187】
諸実施形態では、所定の移動方式に従って口腔処置用デバイス100を移動させていることが分類データにより示されたことに応答して、ユーザーインターフェースにより、出力を提供する。例えば、デバイス100は、
図2を参照して上述したユーザーインターフェース250を含むことができ、ユーザーインターフェース250により、出力を提供することができる。このように、項目1030において実行されるアクションは、ユーザーインターフェース250を介して出力を提供することを含み得る。出力をユーザーに提供することによって、デバイス100を使用した効果的な処置が阻害されるようにデバイス100を移動させていることをユーザーに通知し、これにより、補正アクションをとるようにユーザーに促すことができる。諸実施形態では、ユーザーインターフェース250によって提供された出力は、オーディオ出力、視覚的出力及び/又は触覚的出力を含む。例えば、ユーザーインターフェース250によって提供された出力は、点滅光、オーディオトーン及び/又は振動を含み得る。
【0188】
諸実施形態では、ユーザーインターフェース250により、ユーザーの口腔を処置する際に口腔処置用デバイスの使用中に出力を提供する。ユーザーインターフェース250により、口腔処置セッションの完了後ではなくデバイス100の使用中に出力を提供することによって、フィードバックをより迅速に提供することができる。例えば、ユーザーインターフェース250によって実質的にリアルタイムで出力を提供することができる。これにより、ユーザーがデバイス100の使用中にユーザーの挙動を調整すること、例えば、補正アクションをとることが可能となることで、処置の実施の有効性を改善することができる。
【0189】
諸実施形態では、ユーザーインターフェース250により、ユーザーの口腔を処置する際の口腔処置用デバイス100の使用後に出力を提供する。デバイス100の使用後に出力を提供することにより、使用中に出力が提供される場合と比較してより詳細なレベルのフィードバックを提供することができる。例えば、デバイス100の使用及び/又は移動は、口腔処置セッションの全体を通して分析することができ、次いで、セッション全体に関するフィードバックをユーザーに提供することができる。このようなフィードバックは、後続のセッションにおいてユーザーの挙動を調整することをユーザーに促す。
【0190】
諸実施形態では、ユーザーフィードバックは、デバイス100の使用中にも提供されるし(例えば、実質的にリアルタイムで提供されるし)、処置セッションの終了後にも提供される。例えば、デバイス100のユーザーインターフェース250はデバイス100の使用中に、デバイス100を、例えばスクラビングモーションで準最適に移動させていることの指標をユーザーに提供することができる。更に、遠隔デバイス上に配置された更なるユーザーインターフェースは、処置セッションの終了後にユーザーの挙動のより詳細な分析を提供することができる。これにより、ユーザーは、後続のセッションにおいてユーザーによるデバイス100の使用態様を調整することができる。
【0191】
諸実施形態では、口腔処置用デバイス100は、ユーザーインターフェース250を含む。口腔処置用デバイス100上にユーザーインターフェース250を設けることによって、異なるデバイス間で通信する必要がなくなるので、ユーザーインターフェースが口腔処置用デバイス上に備えられない場合と比較して、より迅速に出力を生成してユーザーに受信させることができる。更に、口腔処置用デバイス100上にユーザーインターフェースを設けることにより、ユーザーがフィードバックを迅速に受信する可能性を高めることができる。
【0192】
諸実施形態では、ユーザーインターフェースは、遠隔デバイス、例えば、ユーザーデバイスに含まれる。このような実施形態では、信号を遠隔デバイスに出力して、ユーザーインターフェースにより、出力を提供する。このような信号は、例えばBluetooth(商標)技術を介して、遠隔デバイスに無線方式で伝送することができる。このような遠隔デバイスのユーザーインターフェースは、口腔処置用デバイス自体のユーザーインターフェースより汎用性が高いものであり得る。例えば、口腔処置用デバイス100は、一般に手持ち式のものであり、様々な他の構成要素を有することができるので、ユーザーインターフェースのために利用可能な口腔処置用デバイス100上のスペースの量が限定され得る。
【0193】
諸実施形態では、IMU240から受信した信号を使用して分類アルゴリズムを修正する。すなわち、IMU信号を使用して分類アルゴリズムを訓練し、及び/又は更に訓練することができる。分類アルゴリズムを修正することは、経験及び/又はより多くの訓練データの使用によって分類アルゴリズムの正確度及び/又は信頼性を改善することができる。すなわち、判定された移動方式の信頼水準を高めることができる。更に、分類アルゴリズムを修正することにより、分類アルゴリズムをユーザーに対して個別に調整することが可能となる。例えば、初期の分類アルゴリズムはデバイス100上に設けられ得るが、初期の分類アルゴリズムは、所与のユーザーの特定の挙動を考慮しない。ユーザーは例えば、他のユーザーと異なる特定の用法によってデバイス100を移動させることができる。生成された信号を訓練データとして使用して分類アルゴリズムを動的に再訓練することによって、分類アルゴリズムは、所定の移動方式に従ってデバイス100を移動させているか否かをより高い信頼性をもって判定することができる。
【0194】
諸実施形態では、分類アルゴリズムは、IMU240から受信した信号を使用して再訓練(例えば、修正)され、結果として、再訓練された分類アルゴリズムが、所定の移動方式と異なる更なる移動方式に従って口腔処置用デバイスを移動させているか否かを判定するように構成される。したがって、分類アルゴリズムは、最初に、第1の移動方式を検出するために訓練され得、異なる第2の移動方式を検出するために各ユーザー固有のデータに基づいて再訓練され得る。このように、分類アルゴリズムは、例えばユーザーによって使用された特定の移動方式を検出するために、特定のユーザーの挙動に対して個別に調整することができる。
【0195】
諸実施形態では、分類データは、メモリ260に記憶される。これにより、データを後で、例えば処置後分析のために使用すること、及び/又は、ユーザーのためのデバイス100の使用の挙動プロファイルを生成することが可能となる。諸実施形態では、分類データは、遠隔デバイス、例えばユーザーデバイスへの伝送のために出力される。
【0196】
諸実施形態では、遠隔デバイスから訓練データを受信する。このような実施形態では、受信した訓練データを使用して分類アルゴリズムを修正する。訓練データは、ネットワーク、例えば、「クラウド」から受信することができる。このような訓練データは、他のユーザーに関連付けられたIMUデータ及び/又は分類データを含むことができる。このような訓練データは例えば、クラウドソーシングされたデータを含むことができる。諸実施形態では、このような訓練データは、口腔処置用デバイス100を使用することから直接得られたIMUデータ及び/又は分類データより量が多い。遠隔デバイスからの訓練データを使用して分類アルゴリズムを修正することにより、このような訓練データが使用されない場合と比較して、分類アルゴリズムの正確度及び/又は信頼性を高めることができる。
【0197】
諸実施形態では、分類アルゴリズムは、非線形分類アルゴリズムを含む。非線形分類アルゴリズムを使用して、線形分離可能でない挙動を区別することができる。このことは、ユーザーが使用中のデバイスを移動させる場合に当てはまり得る。したがって、非線形分類アルゴリズムを使用して分類データを取得することは、線形分類アルゴリズム又は機能の使用と比較してより正確度及び/又は信頼性が高い分類データの導出をもたらす。
【0198】
諸実施形態では、分類アルゴリズムは、機械学習アルゴリズムを備える。このような機械学習アルゴリズムは、経験及び/又は訓練によって改良し得る(例えば、分類の正確度及び/又は信頼性を高めることができる)。諸実施形態では、分類アルゴリズムは、所定の移動方式に従ってデバイス100を移動させているか否かを検出するための教師あり及び/又は教師なしの機械学習法を使用して訓練される。
【0199】
諸実施形態では、口腔処置用デバイス100は、機械学習エージェントを備え、機械学習エージェントが、分類アルゴリズムを備える。このように、分類アルゴリズムは、口腔処置用デバイス100に配置することができる。デバイス100に関する移動方式の判定を実行することにより、別のデバイスへのデータの伝送及び/又は別のデバイスからのデータの受信が必要とされないので、分類アルゴリズムがデバイス100に配置されない場合と比較して、レイテンシーが小さくなる。これにより、移動方式をより迅速に区別することが可能となり、何らかの補正アクションをとるのに要する時間、及び/又は、ユーザーインターフェースを介して出力を提供するのに要する時間を短縮することができる。
【0200】
いずれか1つの実施形態及び/又は態様との関連で記述された何らかの特徴は、単独で用いられてもよいし、又は記載された他の特徴と組み合わせて用いられてもよく、更には、任意の他の実施形態及び/若しくは態様の1つ若しくは複数の特徴、又は、任意の他の実施形態及び/若しくは態様の任意の組合せと組み合わせて用いることも可能であることを理解すべきである。例えば、方法300、400、500、600、700、800、900、1000のうちの所与の1つとの関連で記述された特徴及び/又はステップが、方法300、400、500、600、700、800、900、1000のうちの他のものとの関連で記述された特徴及び/若しくはステップの代わりに、又はこれらの特徴及び/若しくはステップに加えて含まれ得ることを理解されたい。
【0201】
本開示の諸実施形態では、(例えば、方法300、400、500、600、700、800、1000のいずれかに関連する)デバイス100の自動操作は、デバイス100のユーザーによってオーバーライドされ得る。例えば、ユーザーは、制御部210によって実行される自動操作がこのような繰返し処置を停止させている場合、繰返し処置(例えば、作用流体の更なる噴流)が、すでに処置された隣接歯間空隙に送達されることを望むことがある。このような状況は例えば、ユーザーにとって初期の空隙の処置が成功しなかった、及び/又は満足のいくものではなかった場合に生じ得る。諸実施形態では、デバイス100は、ユーザーが繰返し処置を強制させ、これにより、デバイス100の自動動作をオーバーライドすることを可能とするためのユーザーインターフェース、例えばボタンを含む。
【0202】
本開示の諸実施形態では、1つ又は複数のデータ分析アルゴリズムは、口腔処置用デバイス100を制御するために使用され、例えば、隣接歯間空隙を検出するため、デバイス100のヘッドの口腔内ロケーションを判定するため、所定の移動方式に従ってデバイス100を移動させているか否かを判定するため等に使用される。データ分析アルゴリズムは、受信したデータ、例えば画像データ及び/又はIMUデータを分析し、デバイス100を制御する条件として使用可能な出力、例えば、空隙の有無を生成するように構成される。諸実施形態では、データ分析アルゴリズムは、分類アルゴリズム、例えば、非線形分類アルゴリズムを含む。諸実施形態では、データ分析アルゴリズムは、例えば
図3~
図10を参照して上述したように、訓練済みの分類アルゴリズムを含む。しかしながら、代替的な実施形態では、データ分析アルゴリズムは、例えば、必ずしも分類を実行するように訓練及び/又は構成されるとは限らない他の種類のアルゴリズムを含む。
【0203】
本開示の諸実施形態では、口腔処置用デバイス100は、制御部210を備える。制御部210は、本明細書に記載した様々な方法を実行するように構成される。諸実施形態では、制御部210は、処理システムを備える。このような処理システムは、1つ又は複数のプロセッサ及び/又はメモリを備えることができる。本明細書に記載した例のいずれかとの関連で記述された各デバイス、構成要素又は機能、例えばイメージセンサ機器230、ユーザーインターフェース250及び/又は機械学習エージェントも同様にプロセッサを備えることができ、又はプロセッサを備える装置に備えられ得る。本明細書に記載した実施形態の1つ又は複数の態様は、装置によって実行されるプロセスを含む。一部の例において、装置は、これらのプロセスを実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサを備える。この点に関して、諸実施形態は少なくとも部分的に、(非一時的な)メモリに記憶されてプロセッサ、又はハードウェア、又は有形物に記憶されたソフトウェアとハードウェア(及び有形物に記憶されたファームウェア)との組合せによって実行可能なコンピュータソフトウェアによって、実装することができる。諸実施形態は、上記実施形態を実施するように適合させたコンピュータプログラム、特に、キャリア上又はキャリア内のコンピュータプログラムにも及ぶ。プログラムは、非一時的なソースコード、オブジェクトコード、又は、諸実施形態によるプロセスの実装における使用に適した任意の他の非一時的な形態の形態であり得る。キャリアは、RAM、ROM又は光メモリデバイス等、プログラムを担持可能な任意のエンティティ又はデバイスであり得る。
【0204】
処理システムの1つ又は複数のプロセッサは、中央処理装置(CPU)を備えることができる。1つ又は複数のプロセッサは、グラフィックスプロセシングユニット(GPU)を備えることができる。1つ又は複数のプロセッサは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)又はコンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)の1つ又は複数を備えることができる。1つ又は複数のプロセッサは、特定用途向け集積回路(ASIC)を備えることができる。当業者ならば、これらの例に加えて、数多くの他の種類のデバイスが1つ又は複数のプロセッサを提供するために使用され得ることを理解されたい。1つ又は複数のプロセッサは、同じロケーションに配置された複数のプロセッサ又は異なるロケーションに配置された複数のプロセッサを備えることができる。1つ又は複数のプロセッサによって実行される演算は、ハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアのうちの1つ又は複数によって実行することができる。処理システムが、記述された構成要素より多い、より少ない、及び/又はそれらと異なる構成要素を備えることができることを理解されたい。
【0205】
本明細書に記載した技法は、ソフトウェア若しくはハードウェアの形で実装することもできるし、ソフトウェアとハードウェアとの組合せを用いて実装することもできる。本明細書に記載した技法は、本明細書に記載した技法のいずれか又はすべてを実行及び又は支援するための装置を構成することを含み得る。図面を参照しながら本明細書で説明した例の少なくとも一部の態様は、処理システム又はプロセッサにおいて実行されるコンピュータプロセスを含むが、本明細書において記述された例は、これらの例を実施するように適応させたコンピュータプログラム、例えば、キャリア上又はキャリア内のコンピュータプログラムにも及ぶ。キャリアは、プログラムを実行することが可能な任意のエンティティ又はデバイスであり得る。キャリアは、コンピュータ読取り可能なストレージメディアを備えることができる。コンピュータ読取り可能な有形のストレージメディアの例としては、これらに限らないが、光学媒体(例えば、CD-ROM、DVD-ROM又はブルーレイ)、フラッシュメモリカード、フロッピーディスク若しくはハードディスク、又は、ファームウェア又はマイクロコード等のコンピュータ読取り可能な命令を少なくとも1つのROM若しくはRAM又はプログラマブルROM(PROM)チップに記憶可能な任意の他の媒体が挙げられる。
【0206】
上記の説明で言及した数値又は要素に既知の、自明な、又は予見可能な等価物が存在する場合、そのような等価物も個別に本開示に組み込まれるものとする。本開示にはそのような等価物がすべて包含され、本開示の真の範囲は、特許請求の範囲により確定されるものとする。上記の説明で言及した、本開示の好適な数値若しくは特徴、有利な数値若しくは特徴、又は便宜的な数値若しくは特徴等はすべて任意に選択可能であり、独立請求項の範囲を限定するものではないことを理解されたい。更に、そのような任意選択可能な数値又は特徴は、本開示の一部の実施形態では有益であっても他の実施形態では望ましくないこともあり、したがって、実施形態によっては省略され得ることも理解されたい。
【国際調査報告】