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特表2024-501804モジュール式ウェハチャックシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】モジュール式ウェハチャックシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240109BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240109BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H01L21/66 B
H01L21/68 N
G01R31/28 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537013
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2021086495
(87)【国際公開番号】W WO2022129527
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】102020007791.9
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】522032659
【氏名又は名称】アーテーテー アドヴァンスド テンパラチャー テスト システムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】マルクス アイブル
【テーマコード(参考)】
2G132
4M106
5F131
【Fターム(参考)】
2G132AB14
2G132AD18
2G132AE03
2G132AF02
2G132AL21
4M106AA01
4M106DD03
4M106DD10
4M106DD13
4M106DH14
4M106DH44
4M106DH45
4M106DH46
4M106DJ02
4M106DJ07
5F131AA02
5F131BA39
5F131CA02
5F131EA04
5F131EB02
5F131EB81
5F131EB82
(57)【要約】
本発明は、ウェハの装着もしくはクランプおよび温度制御のためのモジュール式ウェハチャックシステムであって、ウェハの温度制御のためのチャックと、センサモジュールであって、センサモジュールおよび/またはチャックおよび/またはウェハチャックシステムによって装着もしくはクランプされたウェハの温度を測定するための少なくとも1つの温度測定手段を備える、センサモジュールとを備え、チャックは、センサモジュールを着脱可能に結合するように構成された結合面を有し、かつセンサモジュールは、ウェハを装着またはクランプするように構成された結合面と、チャックの結合面と結合するための第2の結合面とを有する、モジュール式ウェハチャックシステムに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ(2)の装着もしくはクランプおよび温度制御のためのモジュール式ウェハチャックシステム(40)であって、
ウェハ(2)の温度制御のためのチャック(1)と、
センサモジュール(42)であって、前記センサモジュール(42)および/または前記チャック(1)および/または前記ウェハチャックシステムによって装着もしくはクランプされたウェハ(2)の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定手段(6)を備える、センサモジュール(42)とを備え、
前記チャック(1)は、前記センサモジュール(40)を着脱可能に結合するように構成された結合面(1a)を有し、かつ
前記センサモジュール(42)は、ウェハ(2)を装着またはクランプするように構成された第1の結合面(42a)と、前記チャック(1)の前記結合面(1a)と結合するための第2の結合面(42b)とを有する、
モジュール式ウェハチャックシステム(40)。
【請求項2】
前記チャック(1)および/または前記センサモジュール(42)は自己完結型ユニットであり、個別におよび/または互いに独立して使用することができる、
請求項1に記載のモジュール式ウェハチャックシステム(40)。
【請求項3】
前記チャックおよび/または前記センサモジュール(42)は、ウェハを装着またはクランプするための少なくとも1つの真空チャンバ(44)を備える、
請求項1または2に記載のモジュール式ウェハチャックシステム(40)。
【請求項4】
前記チャックおよび/または前記センサモジュール(42)は、真空ライン(52)を接続するための少なくとも1つの接続装置(50)を有する、
請求項3に記載のモジュール式ウェハチャックシステム(40)。
【請求項5】
前記チャック(1)および/または前記センサモジュール(42)と着脱可能に結合するための絶縁層(46)をさらに備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載のモジュール式ウェハチャックシステム(40)。
【請求項6】
前記センサモジュール(42)は、温度測定ユニット(43)と通信するための第1の通信インターフェース(12a)を備え、前記第1の通信インターフェース(12a)は、前記少なくとも1つの温度測定手段(6)から電気信号を送信するのに適しており、前記温度測定ユニット(43)は、前記センサモジュール(42)の前記少なくとも1つの温度測定手段(6)から電気信号を受信するのに適している、
請求項1~5のいずれか1項に記載のモジュール式ウェハチャックシステム(40)。
【請求項7】
前記チャック(1)は、前記チャック(1)および/または前記センサモジュール(42)および/または装着もしくはクランプされたウェハ(2)の温度制御のために、
温度制御媒体(18)を前記チャック(1)内に供給および/もしくは前記チャック(1)外に排出するための第2の通信インターフェース(12b)、ならびに/または
前記チャック(1)の少なくとも1つの電気熱変換器(9)と通信するための第3の通信インターフェース(12c)を備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載のモジュール式ウェハチャックシステム(40)。
【請求項8】
前記温度測定ユニット(43)ならびに前記第2および/または第3の通信インターフェース(12b、12c)と接続して、
前記センサモジュール(42)および/または前記チャック(1)および/または前記ウェハ(2)の前記測定された温度に基づいて、前記チャック(1)および/または前記センサモジュール(42)および/または前記ウェハ(2)の前記温度を制御または調節するための温度制御装置(10)の制御ユニット(14)をさらに備える、
請求項1~7のいずれか1項に記載のモジュール式ウェハチャックシステム(40)。
【請求項9】
前記チャック(1)と通信するための、電気信号を送信するのに適している第1の通信インターフェース(12a)と、
前記第1の通信インターフェース(12a)に接続して、
前記センサモジュール(42)内の複数の温度測定手段(6)から電気信号を受信し、
前記温度測定手段(6)のうちの少なくとも1つを基準温度測定手段として選択し、
前記選択された基準温度測定手段によって測定された前記センサモジュール(42)または前記チャック(1)または前記ウェハ(2)の前記温度に基づいて、前記チャック(1)の前記温度を制御または調節するための制御ユニット(14)とをさらに備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載のモジュール式ウェハチャックシステム(40)。
【請求項10】
モジュール式ウェハチャックシステム(40)のチャック(1)に結合するためのセンサモジュール(42)であって、
前記センサモジュール(42)ならびに/または結合されたチャック(1)ならびに/または前記センサモジュール(40)および/もしくは前記チャック(1)によって装着もしくはクランプされたウェハ(2)の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定手段(6)と、
ウェハ(2)を装着またはクランプするための第1の結合面(42a)と、
チャック(1)と結合するための第2の結合面(42b)とを備える、
センサモジュール(42)。
【請求項11】
複数の温度測定手段(6)、および/または
ウェハ(2)を装着もしくはクランプするための少なくとも1つの真空チャンバ(44)、および/または
真空ライン(52)を接続するための接続装置(50)、および/または
チャック(1)の温度を制御するための温度測定ユニット(43)と通信するための、前記少なくとも1つの温度測定手段(6)から電気信号を送信するのに適している第1の通信インターフェース(12a)をさらに備え、
前記温度測定ユニット(43)は、前記センサモジュール(42)の前記少なくとも1つの温度測定手段(6)から電気信号を受信するのに適している、
請求項10に記載のセンサモジュール(40)。
【請求項12】
モジュール式ウェハチャックシステム(40)のモジュールを配列するための方法であって、
ウェハ(2)の温度制御のためのチャック(1)を提供するステップと、
前記チャック(1)の結合面(1a)にセンサモジュール(42)を結合するステップとを含み、
前記センサモジュール(42)は、
ウェハ(2)を装着またはクランプするように構成された第1の結合面(42a)と、
前記センサモジュール(42)および/または前記チャック(1)および/または前記ウェハチャックシステムによって装着もしくはクランプされたウェハ(2)の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定手段(6)とを備える、
方法。
【請求項13】
前記センサモジュールの第2の結合面(42a)を用いてウェハ(2)を装着またはクランプするステップと、好ましくは、
前記チャック(1)、前記センサモジュール(42)、および/または前記装着もしくはクランプされたウェハ(2)の温度制御のステップとをさらに含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ウェハ(2)を試験するための試験手段(22)の位置を検出するステップと、
前記試験手段(22)と、前記チャック(1)または前記センサモジュール(42)または前記チャック(1)によって装着もしくはクランプされたウェハ(2)の温度を測定するための複数の温度測定手段(6)との間のそれぞれの空間距離を決定するステップと、
前記複数の温度測定手段(6)のうちの少なくとも1つの温度測定手段(6)を基準温度測定手段として選択するステップと、
前記選択された基準温度測定手段によって測定された前記チャック(1)または前記センサモジュール(42)または前記ウェハ(2)の前記温度に基づいて前記チャック(1)の前記温度を制御または調節するステップとをさらに含む、
請求項11、12または13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハの、装着もしくはクランプ、および、温度制御のためのモジュール式チャックウェハシステム、モジュール式チャックウェハシステム用のセンサモジュール、ならびに、モジュール式ウェハチャックシステムのモジュールを配列するための方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
チャックは、例えば半導体産業において、特にマイクロエレクトロニクスおよびマイクロシステム技術において、例えばウェハの幾何学的パラメータを検査するためにウェハを提供するのに使用される。また、ウェハ上に配置された構造(ダイオード、トランジスタ、集積回路などの電気部品)は、試験手段(プローバ)を用いて接触させることができ、様々な機能試験を実行することができる。機能試験は、例えば、構造に電圧および/または電流を印加すること、ならびに特定のパラメータを測定することを含む。このような機能試験では、試験されるウェハまたはウェハの構造が試験の開始時に特定の温度を有することが特に有利である。このことは、試験に干渉する影響を低減または実質的に回避することができるという特定の利点を有する。また、通常、試験手段(プローバ)との相互作用に起因して特に構造とプローバとの接触時に、および機能試験の実行中の電流の流れに起因して、構造またはウェハの温度が変化する。したがって、機能試験において好ましくは実質的に同一の試験条件が行き渡るように、構造もしくはウェハを連続的に温度制御するか、またはその温度を制御もしくは調節することが有利である。機能試験が実行される温度範囲は、通常、約-75℃~約400℃の範囲である。
【0003】
原則として、チャックまたはウェハを加熱および/または冷却するために多数の温度制御要素が設けられ、温度は温度センサによって制御または調節される。特に、チャックの温度またはウェハの温度が監視され、目標温度から逸脱した場合、ウェハまたはチャックの温度が常に実質的に同一であり、目標温度に実質的に対応するように、対応する温度制御素子が制御される。
【0004】
チャックは、好ましくは、ウェハ上の試験される構造に適合した接触面を有する。特に、試験される構造に適合した温度測定値の配列は、例えば機能試験中に改善された温度監視および/または制御を得るために有利である。
【0005】
しかしながら、試験される様々な構造に適合した様々なチャックの製造は、非常にコストがかかり、時間およびリソースの支出の増加に関連する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、コストおよび資源を節約する方法で、試験される様々な構造を有するウェハに対して改善された機能試験を実行することができるように、モジュール式チャックウェハシステム、センサモジュール、および、モジュール式ウェハチャックシステムのモジュールを配列するための方法を提供することである。
【0007】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、ウェハの装着もしくはクランプおよび温度制御のためのモジュール式ウェハチャックシステムであって、ウェハの温度制御のためのチャックと、センサモジュールであって、センサモジュールおよび/またはチャックおよび/またはウェハチャックシステムによって装着もしくはクランプされたウェハの温度を測定するための少なくとも1つの温度測定手段を備える、センサモジュールとを備え、チャックは、センサモジュールを解放可能に結合するように構成された結合面を有し、かつセンサモジュールは、ウェハを装着またはクランプするように構成された第1の結合面と、チャックの結合面と結合するための第2の結合面とを有する、モジュール式ウェハチャックシステムに関する。
【0009】
特に、チャックおよび/またはセンサモジュールは自己完結型ユニットであり、個別におよび/または互いに独立して使用することができる。特に、モジュール式ウェハチャックシステムのチャックは、結合されたセンサモジュールなしでウェハを結合および/または温度制御するように構成される。代替的および/または追加的に、ウェハチャックシステムのセンサモジュールは、任意のチャックおよび/またはウェハに結合し、結合されたウェハの温度を測定するように構成される。
【0010】
そのようなモジュール式ウェハチャックシステムは、試験されるウェハの構造に適合および/またはカスタマイズされたセンサモジュールを標準チャックに結合することができるという特定の利点を有する。ウェハまたはウェハの構造を試験するために、センサモジュールのみを別のものと有利に交換するまたは取り替えることができる。これにより、センサモジュールを任意のチャックと組み合わせるおよび/または結合することができるので、試験される様々なウェハまたは構造のウェハの温度を制御するためにチャックを追加で製造する必要がなくなる。これにより、永久的に設置されたチャックを使用して、複数の異なるウェハおよび/または構造を試験することができるので、試験環境の最適化された配列がさらに可能になる。
【0011】
特に、モジュール式ウェハチャックシステムは、チャックとセンサモジュールとの間で電気信号を送信するための直接的なリンクを有さない。言い換えれば、ウェハチャックシステムのチャックおよびセンサモジュールは自己完結型ユニットであり、個別におよび/または互いに独立して使用することができる。
【0012】
ウェハチャックシステムのモジュール性は、特に、チャックおよびセンサモジュールが、好ましくはそれぞれの結合面を介して実質的に排他的に互いに結合されるという事実によって特徴付けられる。意図された動作では、チャックの結合面は上方に向けられる。チャックに結合するためのセンサモジュールの第2の結合面は、好ましくは意図された動作において下方に位置合わせされ、ウェハに結合するためのセンサモジュールの第1の結合面は、好ましくは動作において上方に位置合わせされる。センサモジュールがチャック上に配列されると、チャックの結合面およびセンサモジュールの第2の結合面は、互いに対しておよび/または互いの上に載置される。
【0013】
チャックの結合面および/またはセンサモジュールの第2の結合面は、好ましくは実質的に平坦および/または平面であり、好ましくは実質的に円形または長方形の形状を有する。好ましくは、チャックの結合面およびセンサモジュールの第2の結合面は、実質的に同じ形状および/またはサイズを有する。これらの結合面を介して、実質的に熱エネルギーのみがチャックからセンサモジュールに伝達され得る。
【0014】
モジュール式ウェハチャックシステムのチャックは、好ましくは、複数の異なるセンサモジュールに結合され、および/またはそれと共に使用することができる。代替的および/または追加的に、チャックは、センサモジュールなしでのウェハの温度制御および/または試験に適している。
【0015】
また、モジュール式ウェハチャックシステムは、1つまたは複数の温度測定センサをセンサモジュール内に位置決めすることができ、したがって、試験されるウェハまたは構造に近づけることができるという利点を有する。また、センサモジュールの設計は、所望の要件に個別に適合させることができる。これはまた、例えばセンサモジュール内にシステムの温度制御のための部品がないため、特に1つまたは複数の温度測定センサの配列に関して利点を提供する。したがって、モジュール式ウェハチャックシステムは、温度測定センサの数の増加および/または最適化された分布を可能にし、それによって、特に機能試験中の温度監視および/または制御の改善を達成することができる。
【0016】
好ましくは、モジュール式ウェハチャックシステムのチャックおよび/またはセンサモジュールは、ウェハを装着またはクランプするための少なくとも1つの真空チャンバを備える。さらに好ましくは、チャックおよび/またはセンサモジュールは、真空ラインを接続するための少なくとも1つの接続装置を備える。
【0017】
交換式センサモジュールをチャックに結合するために、チャックは、好ましくは、真空ラインに接続するための接続装置に接続される、チャックの結合面上の1つまたは複数の真空チャンバを有する。このようにして、1つまたは複数の真空チャンバ内に負圧を生成することができ、これにより、センサモジュールをチャックの結合面に着脱可能に結合することが可能になる。有利には、センサモジュールはまた、センサモジュールの第2の結合面上に1つまたは複数の真空チャンバを有し、その結果、ウェハをセンサモジュール上にまたはセンサモジュールによって装着またはクランプすることができる。ここで、センサモジュールは、真空ラインに接続するための接続装置を有することができる。代替的および/または追加的に、センサモジュールは、1つまたは複数の連続ビア、すなわちチャックの1つまたは複数の真空チャンバからウェハへの負圧の伝達を可能にするチャネルおよび/または孔を備える。このようにして、センサモジュールが真空ラインへの接続のための接続装置を必要とせずに、ウェハをセンサモジュールに装着またはクランプすることができる。この構成は、センサモジュールの単純化された設計および/または単純化された製造がこのようにして達成されるので、特に有利である。
【0018】
好ましくは、モジュール式ウェハチャックシステムは、チャックおよび/またはセンサモジュールに着脱可能に結合するための絶縁層を備える。絶縁層を設けることは、チャックおよび/またはセンサモジュールならびにそれらに接続された電子機器および/または制御/測定装置の損傷を防止するために、高電圧試験の分野において特に有利である。絶縁層は、チャックとセンサモジュールとの間および/またはセンサモジュールとウェハとの間に配列することができる。絶縁層は、好ましくは、少なくとも部分的に、酸化アルミニウムセラミック、窒化ホウ素、ステアタイト、磁器、ガラス、(ガラス繊維強化)プラスチック、シリコーンゴム、テフロンおよび/またはエポキシ樹脂などの高い比抵抗を有する材料から作製される。好ましくは、絶縁層は高い熱伝導係数を有し、その結果、絶縁層は、ウェハチャックシステムの温度測定および/または温度制御にほとんどまたは全く影響を及ぼさない。
【0019】
さらに好ましくは、交換式センサモジュールは、温度測定ユニットと通信するための第1の通信インターフェースを有し、第1の通信インターフェースは、少なくとも1つの温度測定手段から電気信号を送信するのに適しており、温度測定ユニットは、センサモジュールの少なくとも1つの温度測定手段から電気信号を受信するのに適している。温度測定ユニットは、好ましくは、1つまたは複数の温度測定手段からの測定値を処理、特に結合および/またはマージするように構成される。特に好ましくは、温度測定ユニットは、本出願の一態様による温度制御または調節のための方法を少なくとも部分的に実行するように構成される。
【0020】
有利には、チャックおよび/またはセンサモジュールおよび/または装着もしくはクランプされたウェハの温度制御のためのチャックは、温度制御媒体をチャックに供給および/もしくはチャックから排出するための第2の通信インターフェース、ならびに/またはチャックの少なくとも1つの電気熱変換器と通信するための第3の通信インターフェースを備える。さらに好ましくは、モジュール式ウェハチャックシステムは、センサモジュールおよび/またはチャックおよび/またはウェハの測定温度に基づいてチャックおよび/またはセンサモジュールおよび/またはウェハの温度を制御または調節するための、温度測定ユニットならびに第2および/または第3の通信インターフェースに接続する温度制御装置の制御ユニットを備える。
【0021】
チャックの温度は、本出願で後述するように、例えば、温度制御装置または制御ユニットによる制御および/または調節によって制御される。
【0022】
さらに、チャックは、任意選択的に、温度制御装置および/または制御ユニットおよび/または温度測定ユニットによるチャックの温度監視ならびに/または温度制御および/もしくは調節のために供給することもできる1つまたは複数の温度測定手段を有することができる。
【0023】
本発明のさらなる態様は、モジュール式ウェハチャックシステムのチャックに結合するためのセンサモジュールであって、センサモジュールならびに/または結合されたチャックならびに/またはセンサモジュールおよび/もしくはチャックによって装着もしくはクランプされたウェハの温度を測定するための少なくとも1つの温度測定手段と、ウェハを装着またはクランプするための第1の結合面と、チャックに結合するための第2の結合面とを備える、センサモジュールに関する。
【0024】
有利にはセンサモジュールは、複数の温度測定手段、および/またはウェハを装着もしくはクランプするための少なくとも1つの真空チャンバ、および/または真空ラインを接続するための接続装置、および/またはチャックの温度を制御するための温度測定ユニットと通信するための第1の通信インターフェースをさらに備え、第1の通信インターフェースは、少なくとも1つの温度測定手段から電気信号を送信するのに適しており、温度測定ユニットは、センサモジュールの少なくとも1つの温度測定手段から電気信号を受信するのに適している。
【0025】
センサモジュールは、モジュール式ウェハチャックシステムのセンサモジュールの上述の特徴のうちの1つまたは複数を有することができる自己完結型ユニットである。特に、センサモジュールは、異なるチャックに結合され、それと共にモジュール式ウェハチャックシステムを形成するのに適している。
【0026】
有利には、センサモジュールは、ウェハに結合し、結合されたウェハの温度を測定するための自己完結型かつ独立して使用可能なユニットである。センサモジュールは、好ましくは、センサモジュールおよび/もしくは結合されたウェハの温度を制御するように構成されず、ならびに/または温度制御のための装置を有さず、特に電気熱変換器を有さない。
【0027】
本発明のさらなる態様は、モジュール式ウェハチャックシステムのモジュールを配列するための方法であって、ウェハの温度制御のためのチャックを提供するステップと、チャックの結合面にセンサモジュールを結合するステップとを含み、センサモジュールは、ウェハを装着またはクランプするように構成された第1の結合面と、センサモジュールおよび/またはチャックおよび/またはウェハチャックシステムによって装着もしくはクランプされたウェハの温度を測定するための少なくとも1つの温度測定手段とを備える、方法に関する。
【0028】
好ましくは、本方法は、センサモジュールの第1の結合面を用いてウェハを装着またはクランプするステップと、好ましくは、チャック、センサモジュール、および/または装着もしくはクランプされたウェハの温度制御のステップとをさらに含む。
【0029】
有利には、交換式センサモジュールは、チャックの結合面上に配列され、好ましくは負圧および/または真空および/または印加磁場の助けを借りて、その上に装着またはクランプされる。ウェハは、特に本出願に記載されているように、センサモジュールの第1の結合面上に装着またはクランプすることができる。ここで、センサモジュールの第1の結合面は、好ましくは、センサモジュール上にチャックとは反対側に配列される。
【0030】
本方法は、チャックとセンサモジュールとの間および/またはセンサモジュールとウェハとの間に絶縁層を配列するステップをさらに含むことができる。
【0031】
本方法は、特に、ウェハまたはその上に配置された試験される構造を試験する準備をするために使用される。さらに、本方法は、本出願の一態様によるウェハ用のチャックの温度を制御または調節するための試験プロセスおよび方法ステップを含むことができる。
【0032】
本プロセスで説明される本発明の態様はまた、以下に記載されるような方法を実行するために、ならびに/または以下に記載される温度制御装置および/もしくはウェハ試験システムの特徴を有するために好適である。
【0033】
さらなる態様は、ウェハ用のモジュール式ウェハチャックシステムのチャックの温度制御または調節のための方法であって、ウェハを試験するための試験手段の位置を検出するステップと、試験手段と、センサモジュールおよび/またはチャックおよび/またはウェハチャックシステムによって装着もしくはクランプされたウェハの温度を測定するためのセンサモジュールの複数の温度測定手段との間のそれぞれの空間距離を決定するステップと、複数の温度測定手段のうちの少なくとも1つの温度測定手段を基準温度測定手段として選択するステップと、選択された基準温度測定手段によって測定されたセンサモジュールおよび/またはチャックおよび/またはウェハの温度に基づいてチャックの温度を制御または調節するステップとを含む、方法に関する。
【0034】
特に、そのような方法は、チャック全体の温度制御が、例えばチャックの温度制御のためのすべての手段を制御することによって実質的に均一に行われるので、ウェハチャックシステムまたはウェハの簡略化された有利な温度制御を可能にする。したがって、本方法は、プロセス処理および/または制御もしくは調節電子機器に関して低い要件を有する。また、実行される機能試験にとって重要ではないチャックまたはウェハの領域の不必要な加熱および/または冷却が存在しない。
【0035】
好ましくは、センサモジュールは、ウェハをクランプするためのプラットフォームを有し、ウェハは、例えば磁場または真空を生成することによって、センサモジュールによって装着またはクランプされる。
【0036】
好ましくは、センサモジュールおよび/またはチャックは、好ましくはいくつかの異なる位置でセンサモジュールおよび/またはチャッおよび/またはウェハの温度を測定するために、センサモジュールおよび/またはチャックの中または上に配列された複数の温度測定手段を備える。
【0037】
ウェハは、試験手段、例えばプローブ針またはプローブカードがウェハ表面上の異なる位置およびウェハ内またはウェハの表面上に配置された試験構造に接触することができるように、センサモジュールによって装着またはクランプされる。ここで、複数のプローブ針またはプローブフィンガは、好ましくは、試験される構造の接触面に接触するように位置合わせされ、例えば電流を導入するかまたは電圧を印加することによって、構造の特性を検査することができる。
【0038】
チャックの温度は、好ましくは、実質的に均一に、すなわち実質的に同じようにまたは一貫して、特に好ましくは、チャック内またはチャック上に配列された幾つかの電気熱変換器などの、チャックの温度制御のための1つまたは複数の手段の均一な制御によって、制御または調節される。
【0039】
好ましくは、基準温度測定手段として温度測定手段を選択するステップは、試験手段からの空間距離が最も小さい温度測定手段を選択するステップを含む。
【0040】
好ましくは、チャックの温度、さらにはセンサモジュールおよび/またはウェハの温度は、好ましくは、複数の温度測定手段のうちの個々の温度測定手段の測定温度に基づいて制御または調節される。好ましくは、試験手段からの空間距離が最も小さいか、または試験手段の現在位置に最も近い温度測定手段または温度測定手段の測定温度が使用される。したがって、有利には、試験される構造が最も正確に、および/または時間的に最初に位置するウェハの領域の温度変化を潜在的に検出または記録する温度測定手段が、チャックおよび/または結合されたセンサモジュールおよび/またはウェハの温度を制御または調節するために、基準温度測定手段として選択される。
【0041】
好ましくは、2つ以上の温度測定手段の決定された空間距離が特定の許容差T±内にあり、かつ/または実質的に同じサイズである場合、基準温度測定手段を選択するステップは、2つ以上の温度測定手段の中から、最大量の温度差Tdiffおよび/もしくは時間当たりの温度変化Tgradを有する温度測定手段を選択するステップ、または、2つ以上の温度測定手段を基準温度測定手段として選択するステップであって、チャックの温度の制御または調節は、基準温度測定手段によって測定された温度の算術平均または平均に基づく、ステップを含む。ここで、許容差T±は、例えば、好ましくは約10cm未満、より好ましくは約1cm未満、より好ましくは約0.1cm未満の当量に対応することができる。実質的に同じサイズは、好ましくは、例えば、約10%未満、より好ましくは約1%未満、より好ましくは約0.1%未満の距離の差に対応する。値は、構造的条件、特に複数の温度測定手段の数および/もしくは配列、ならびに/または温度制御もしくは調節の所望の挙動に従って選択することができる。代替的に、2つ以上の温度測定手段を基準温度測定手段として選択してもよく、2つ以上の基準温度測定手段によって測定された温度、例えば、好ましくは測定された温度の平均を使用して、チャックの温度を調節または制御してもよい。
【0042】
ここで、温度差Tdiffは、測定温度T(t)と、
チャックまたはウェハの目標温度Tsollとの差の量:
Tdiff=|T(t)-Tsoll|
または
同じ温度測定手段の予め測定された温度T(t-x)との差の量:
Tdiff=|T(t)-T(t-x)|
または
複数の温度測定手段の平均温度Tavgとの差の量:
Tdiff=|T(t)-Tavg|=|T(t)-(T1+T2+T3+・・・+TX)/X|
に対応する。
【0043】
好ましくは、時間あたりの温度変化Tgradは、特定の期間t1内で比較される:
Tgrad=|(T(x)-T(x+t1))/t1|。
【0044】
このようにして、期間t1内で最大の温度低下または最大の温度上昇を検出する温度測定手段を、好ましくは基準温度測定手段として選択することができる。期間t1は、好ましくは約5秒未満、より好ましくは約1秒未満である。
【0045】
特に好ましくは、試験手段と温度測定手段との間の空間距離は、ベクトル座標に基づいて決定される。ここで、試験手段と温度測定手段との間のそれぞれの距離を決定するために、試験手段および温度測定手段の位置を座標系に射影し、接続ベクトル、さらにはその量(長さ)を算出することが好ましい。距離を決定するために、試験手段および温度測定手段の2Dおよび/または3D座標を使用することができ、試験手段および/または温度測定手段の2D座標は、好ましくはウェハ表面に平行な平面に関する。ベクトル座標に基づく距離の例示的で好ましい決定は、図面の詳細な説明でより詳細に説明される。
【0046】
さらなる態様は、チャックおよび/またはチャックに結合されたセンサモジュールおよび/またはモジュール式ウェハチャックシステムによって位置決めまたはクランプされたウェハの温度制御のための温度制御装置であって、センサモジュールおよび/またはチャックと通信するための、電気信号を送信するのに適している第1の通信インターフェースと、チャックおよび/またはセンサモジュールおよび/またはウェハの温度を測定するための複数の温度測定手段から電気信号を受信し、温度測定手段のうちの1つを基準温度測定手段として選択し、選択された基準温度測定手段によって測定されたチャックおよび/またはセンサモジュールおよび/またはウェハの温度に基づいてチャックの温度を制御または調節するための、第1の通信インターフェースに接続する制御ユニットとを備える、温度制御装置に関する。
【0047】
好ましくは、温度制御装置は、ウェハを試験するための試験手段からの空間距離が最も小さい温度測定手段を基準温度測定手段として選択することにさらに適している。
【0048】
さらに好ましくは、温度制御装置の制御ユニットは、2つ以上の温度測定手段の決定された空間距離が特定の許容差T±内にあり、かつ/または実質的に同じサイズである場合、最大量の温度差Tdiffおよび/または時間当たりの温度変化Tgradを有する温度測定手段を基準温度測定手段として選択するのに適している。
【0049】
特に好ましくは、温度制御装置は、
チャックの温度を制御するための温度制御媒体をチャック内に供給および/もしくはチャック外に排出するための第2の通信インターフェース、ならびに/または
チャックの温度を制御するための少なくとも1つの電気熱変換器と通信するための第3の通信インターフェース
をさらに備える。
【0050】
さらなる態様は、ウェハを試験するためのモジュール式ウェハチャックシステムであって、チャックと、ウェハの提供またはクランプおよび温度制御のためにチャックに結合されたセンサモジュールであって、チャックおよび/またはセンサモジュールおよび/または装着されたもしくはクランプされたウェハの温度を測定するための複数の温度測定手段を備える、センサモジュールと、ウェハを試験するための少なくとも1つの試験手段と、ウェハチャックシステムおよび/またはウェハに対する試験手段の位置を検出するための位置検出手段と、プロセスで説明される温度制御装置とを備える、モジュール式ウェハチャックシステムに関する。
【0051】
以下、図面を参照して、目的を解決するための個々の実施形態を例として説明する。記載される個々の実施形態のいくつかは、特許請求される主題を実行するために絶対的に必要ではないが、特定の用途において所望の特性を提供する特徴を有する。したがって、以下に記載される実施形態のすべての特徴を含まない実施形態もまた、記載される技術的教示に該当するものとして開示されると見なされるべきである。さらに、不必要な繰り返しを回避するために、特定の特徴は、以下に説明する個々の実施形態に関連してのみ言及される。したがって、個々の実施形態は、個別に見るだけでなく、全体として見るべきであることに留意されたい。本概要に基づいて、当業者は、個々の実施形態が他の実施形態の個々のまたは複数の特徴を含むことによって変更され得ることを認識するであろう。他の実施形態に関連して記載された1つまたは複数の特徴を有する個々の実施形態の体系的な組み合わせは、望ましくかつ実用的な場合があり、したがって考慮されるべきであり、また本説明に包含されると見なされるべきであることが指摘される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】センサモジュール上に装着されたウェハと、ウェハを試験するための試験手段と、複数の電気熱変換器によってチャックの温度制御を可能にする温度制御装置とを有するモジュール式ウェハチャックシステムの例示的な実施形態を示す図である。
図2】チャックと、ウェハを試験するための試験手段と、温度制御媒体をチャックに導入することによってチャックの温度を制御する温度制御装置とを備えるモジュール式ウェハチャックシステムの代替の例示的な実施形態を示す図である。
図3】モジュール式ウェハチャックシステムと、複数の検査される構造を有する、装着されたウェハと、複数の検査される構造を試験するための試験手段と、センサモジュールの複数の温度測定手段との平面図を示す。
図4】センサモジュールの複数の温度測定手段によって測定されたセンサモジュール、チャックおよび/またはウェハの温度の例示的なプロファイルを示す図である。
図5】異なる温度制御媒体のために2つの別個の温度制御回路を備えるモジュール式ウェハチャックシステムの代替の例示的な実施形態を示す図である。
図6】モジュール式ウェハチャックシステムのさらなる例示的な実施形態を示す図である。
図7】モジュール式ウェハチャックシステム用のセンサモジュールの例示的な実施形態を示す図である。
図8】モジュール式ウェハチャックシステム用のセンサモジュール内の温度測定手段の例示的な配列を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、例示的な、特に好ましい実施形態によるモジュール式ウェハチャックシステム40の断面図を示す。図示のモジュール式ウェハチャックシステム40は、チャック1または保持もしくはクランプ装置と、それに着脱可能に結合され、ウェハ2を装着またはクランプするセンサモジュール42とを備える。ウェハ2は、好ましくは、印加磁場によってチャック1および/またはセンサモジュール42の実質的に平坦な表面に平行に装着される。代替的に、チャック1および/またはセンサモジュール42は、複数の吸引溝(図示せず)を有してもよく、吸引溝を介してウェハを負圧によって吸引し、したがってモジュール式ウェハチャックシステム40によってウェハをクランプまたは位置決めしてもよい。
【0054】
吸引の結果、ウェハ2がセンサモジュール42に押し付けられ、またはセンサモジュール42上に配列され、それによってセンサモジュール42とウェハ2との間の良好な熱伝達率が確保される。センサモジュール42のチャック1への結合についても同様である。
【0055】
チャック1および/またはセンサモジュール42は、好ましくは、例えば酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムを含むセラミック体を含み、より好ましくはウェハ2に向いたチャック1の表面および/またはセンサモジュール42の表面上に導電性遮蔽層を含む。ウェハ2は、好ましくは、センサモジュール42の遮蔽層と実質的に表面接触している。
【0056】
ウェハ2は、好ましくは、1つまたは複数の試験される構造4を含むウェハ表面3をさらに有する。試験される構造4は、例えば、集積回路または電気部品(ダイオード、トランジスタなど)である。ここで、ウェハ2は、ウェハ表面3および試験される構造4のサイズに応じて、異なる数および/または配列の試験される構造4を有してもよい。
【0057】
これに関連して、その内容が参照により本開示に組み込まれる、特許明細書ドイツ特許10 2005 014 513号二次公報およびドイツ実用新案20 2005 014 918号に記載されているようなチャックの特に好ましい実施形態が参照される。
【0058】
モジュール式ウェハチャックシステム40の図示の好ましい実施形態は、試験されるウェハ2の構造4を試験することができる少なくとも1つの試験手段22をさらに備える。特に好ましくは、適切な試験手段22は、各々が試験される構造4の接触点に接触する1つまたは複数のプローブ針23を有する。構造4の特性は、このようにして、例えば、電流を導入すること、もしくは電圧を印加すること、および/またはプローブ針23によって電圧/電流を測定することによって検査または試験することができる。試験手段22の制御、特にウェハ2または構造4に対する試験手段22の位置合わせは、例えば(好ましくは別個の)制御装置によって行われる。
【0059】
図示のモジュール式ウェハチャックシステム40の好ましい実施形態では、試験手段22は、試験される構造4の位置に従ってウェハ2上を移動し、ウェハ表面3上で位置合わせされる。また、試験手段22の位置を検出および/または確認するための位置検出手段28が設けられることが好ましい。好ましくは、そのような位置検出手段28は、例えば試験手段22を移動させるための作動装置または位置決め装置から試験手段22の位置を受信する。
【0060】
代替的および/または追加的に、位置検出手段28は、センサ(例えば、赤外線センサ、抵抗センサ、および/または磁気センサ)によって試験手段22の位置を検出してもよい。試験手段22の位置は、位置検出手段28を用いて、好ましくはウェハ2および/またはチャック1および/またはセンサモジュール42の基準要素/点(例えば、ウェハ表面3、ウェハの構造4、チャック1および/またはセンサモジュール42の温度検出手段6)に関して検出または決定される。
【0061】
プロセスで説明される試験手段22の代替として、ウェハ2を試験するのに適した試験手段22は、いわゆるプローブカード24を有してもよく、そのようなプローブカード24は、好ましくは、複数の試験される構造4の接触点と接触することができる複数の接触要素26を有する回路基板25を備える。そのようなプローブカード24の使用は、試験手段22を再度位置合わせすることなく、複数の構造4を実質的に同時にまたは次々と即座に試験することができるという特定の利点を有する。図2は、ウェハ2上の構造4を試験するための試験手段22としてそのようなプローブカード24を有するモジュール式ウェハチャックシステム40のさらなる例示的かつ好ましい実施形態を示す。
【0062】
図示の好ましい実施形態では、モジュール式ウェハチャックシステム40のセンサモジュール42は、ウェハ2に近いまたは実質的に隣接する範囲においてウェハ2の温度ならびに/またはセンサモジュール42および/もしくはチャック1の温度を測定するのに適した複数の温度測定手段6(例えば、温度センサ:PT100、PT500、PT1000、NTC、PTCなど)を備える。
【0063】
図示の実施形態では、複数(好ましくは5つ)の温度測定手段6が、ウェハ表面3に実質的に平行な平面内において、実質的に一定の間隔で互いに隣接して設けられている。好ましくは、温度測定手段6は、ウェハ2がクランプ/装着されるセンサモジュール42の表面の近くでセンサモジュール42内に配列され、その結果、ウェハ2の温度を有利にセンサモジュール42に伝達することができる。図示の例示的な実施形態によるモジュール式ウェハチャックシステム40のチャック1は、好ましくは、チャック1の温度、続いて結合されたセンサモジュール42および/またはウェハ2の温度を制御することを可能にするために、1つまたは複数の電気熱変換器9(例えば、電気加熱素子および/またはペルチェ素子)を有する。好ましくは、チャック1は、チャック1の温度を有利に制御、特に冷却および/または加熱することができるように、好ましくはチャック1内に実質的に均一に分布して配列された5つより多く、より好ましくは10より多くの電気熱変換器9を有する。モジュール式ウェハチャックシステム40のチャック1は、好ましくは、チャック1に加えられた温度を測定することができるように、1つまたは複数の温度測定手段6を有する。
【0064】
プロセスで説明されるチャック1の例示的な実施形態の代替として、チャック1の温度制御または調節のための他の手段または機構が装着されてもよい。モジュール式ウェハチャックシステム40用のチャック1のさらに好ましい実施形態は、温度制御媒体18、特に温度制御された空気および/または温度制御された液体が流れるのに適したライン8を有する。好ましくは、チャック1の媒体ライン8は、媒体ライン8を通って流れる温度制御媒体18によって、チャック1の好ましくは大部分が実質的に均一に温度制御され得るように設計される。特に好ましくは、媒体ライン8は、チャック1の内部に少なくとも部分的に、実質的に蛇行形状のコースを有する。図2は、チャック1を有するモジュール式ウェハチャックシステム40のさらなる例示的かつ好ましい実施形態であり、その温度は、温度制御媒体18によって制御または調節することができる。
【0065】
図1に示すモジュール式ウェハチャックシステム40の例示的かつ好ましい実施形態は、好ましくは、チャック1および/またはセンサモジュール42および/またはウェハ2の温度制御を制御または調節するための温度制御装置10をさらに備える。好ましくは、温度制御装置10は、例えば温度制御装置10をチャック1に接続することができる1つまたは複数の通信インターフェース12の形態で、モジュール式ウェハチャックシステム40のセンサモジュール42および/またはチャック1と通信するための手段を備える。特に好ましくは、温度制御装置10は、電気信号、特にセンサモジュール42の1つまたは複数の温度測定手段6からの電気信号を、温度制御装置10に送信するのに特に適した少なくとも1つの第1の通信インターフェース12aを有する。さらに好ましくは、例示的で好ましい実施形態による温度制御装置10は、チャック1の1つまたは複数の電気熱変換器9との通信、特に電気熱変換器9の制御を特に可能にする少なくとも1つのさらなる通信インターフェース12cを有する。
【0066】
図示の例示的な温度制御装置10は、好ましくは、1つまたは複数の通信インターフェース12に接続され、これらのインターフェースを介してセンサモジュール42および/またはチャック1と通信することができる制御ユニット14(例えば、(マイクロ)コントローラ、FPGAなど)をさらに有する。特に、制御ユニット14は、センサモジュール42および/またはチャック1の温度測定手段/温度センサ6からの信号を受信、処理、および/または評価するのに適している。さらに、図1の制御ユニット14の例示的かつ好ましい実施形態は、チャック1および/またはセンサモジュール42および/またはウェハ2の温度に影響を及ぼすか、または制御/調節するのに適している。特に、制御ユニット14は、チャック1の温度を上昇、低下、および/または実質的に一定に保つために、チャック1の電気熱変換器9を制御するのに適している。さらに好ましくは、制御ユニット14は、位置検出手段28から試験手段22の位置を取得するように設計される。代替的および/または追加的に、制御ユニット14は、好ましくは、チャック1および/または温度制御媒体18の温度の温度制御のために、温度制御媒体18の供給および/または排出を制御または調節するのに適している。これについて、図2を参照して詳細に説明する。
【0067】
さらに、図1に示す制御ユニット14の特に好ましい実施形態は、温度制御装置10が、チャック1および/または着脱可能に結合されたセンサモジュール42および/またはチャック1によって装着もしくはクランプされたウェハ2の温度制御または調節のための方法であって、
試験手段22と、センサモジュール42および/もしくはチャック1またはモジュール式ウェハチャックシステム40によってクランプされたウェハ2の温度を測定するための複数の温度測定手段6との間のそれぞれの空間距離を決定するステップ
を含む、方法を実行することを可能にする。
【0068】
図示の好ましい実施形態における制御ユニット14は、モジュール式ウェハチャックシステム40の試験手段22と複数の温度測定手段6との間のそれぞれの空間距離を決定することができる。
【0069】
このステップに適した例示的かつ好ましい方法は、(好ましくはデカルト)座標系における試験手段22および複数の温度測定手段6の位置を規定するステップを含む。試験手段22の位置は、好ましくは、点または実質的に点状の無限小領域に近似され、より好ましくはウェハ表面3に実質的に平行な平面内で近似される。特に好ましくは、この点は、試験手段22の幾何学的重心、またはモジュール式ウェハチャックシステム40の温度測定手段6によって規定される平面上へのその射影の幾何学的重心に実質的に対応する。
【0070】
より好ましくは、基準点は、好ましくは複数の温度測定手段6の平面上に位置する2次元座標系の座標原点または極/ゼロ点として決定される。さらに好ましくは、個々の温度測定手段6および試験手段22の位置は、実質的に点状の、無限小領域(好ましくは幾何学的重心に対応する)に近似され、座標系内の座標に割り当てられる。さらに、制御ユニット14は、好ましくは試験手段22および温度測定手段6のそれぞれの座標間の接続ベクトルの長さ(量)を計算することによって、試験手段22から個々の温度測定手段6の距離を決定する。
【0071】
試験手段22と個々の温度測定手段6との間の空間距離を決定するためのプロセスで説明される方法は、例示的で好ましい実施形態のみを表す。例えば、試験手段22または温度測定手段6の位置を、三次元座標系における座標に割り当てることもできる(特定の平面への射影なし、図2参照)。また、温度測定手段6からの試験手段22の距離を決定するための任意の代替方法を使用してもよい。
【0072】
さらに、チャック1、チャック1に着脱可能に結合されたセンサモジュール42および/またはモジュール式ウェハチャックシステム40によってクランプされたウェハ2の温度制御または調節のための例示的で好ましい方法は、
複数の温度測定手段6の中から温度測定手段6を基準温度測定手段として選択するステップ
を含み、好ましくは、試験手段22からの空間距離が最も小さい温度測定手段6が選択される。
【0073】
この目的のために、制御ユニット14は、好ましくは、試験手段22から個々の温度測定手段6の決定された空間距離Aiを比較し、最小距離Aiを有する温度測定手段6を基準温度測定手段として選択する。特に好ましくは、2つ以上の温度測定手段6が特定の許容値T±(好ましくは約1cm未満、より好ましくは約0.1cm未満)未満の差を有する実質的に同じ距離を有する場合、関係する温度測定手段6の(さらなる)選択が、2つ以上の温度測定手段6(決定された試験手段22からの空間距離が特定の許容差T±内にあり、かつ/または実質的に同じである)の中から最大量の温度差Tdiffおよび/または時間当たりの温度変化Tgradを有する温度測定手段6を選択することによって行われる。
【0074】
代替的に、2つ以上の温度測定手段6を基準温度測定手段として選択してもよく、例えば、基準温度測定手段によって測定された温度の平均値を、モジュール式ウェハチャックシステム40の温度を制御するための基準温度として使用してもよい。
【0075】
プロセスで説明されている、2つ以上の温度測定手段6が試験手段22から実質的に同一の距離にある場合、関係する、すなわち試験手段から実質的に同一の距離を有する温度測定手段6によって測定された温度または温度プロファイルは、さらに好ましくは比較される。
【0076】
ここで、温度測定手段6の個別温度差Tdiffは、時刻tにおいて温度測定手段6が測定した温度T(t)と、
チャックまたはウェハの目標温度Tsollとの差の量、
Tdiff=|T(t)-Tsoll|
または
同じ温度測定手段6の予め測定された温度T(t-x)との差の量:
Tdiff=|T(t)-T(t-x)|
(この温度差に基づく選択プロセスは、図3および図4に一例として示されている)
または
複数のX個の温度測定手段6(好ましくはチャック1の全ての温度測定手段6)の平均温度Tavgとの差の量:
Tdiff=|T(t)-Tavg|=|T(t)-(T1+T2+T3+・・・+TX)/X|
である。
【0077】
特定の期間t1内の時間当たりの温度変化Tgradは、好ましくは、ある持続時間または期間t1にわたって温度測定手段6によって測定された温度の変化量に対応する:
Tgrad=|T(x)-T(x+t1)|
【0078】
結果として、期間t1内で最大の温度損失または最大の温度上昇を検出する温度測定手段6を、その後、基準温度測定手段として選択してもよい。温度プロファイルが決定される期間t1は、好ましくは約5秒未満、より好ましくは約1秒未満、より好ましくは約0.1秒未満である。
【0079】
関連する温度測定手段6から1つの温度測定手段6を(さらに)選択するプロセスで説明されるパラメータは、基準温度測定手段を選択するステップに対して、単独および任意の組み合わせの両方で、可能ならば重み付けを変えて使用することができる。関連する温度測定手段の決定された距離についても同様である。また、基準温度測定手段を選択するために、さらなる代替パラメータを使用してもよい。
【0080】
さらに、チャック1またはチャック1によってクランプされたウェハ2の温度制御または調節のための例示的で好ましい方法は、選択された基準温度測定手段によって測定されたチャック1またはウェハ2の温度に基づいてチャック1の温度を制御または調節するステップを含む。
【0081】
好ましくは、チャック1全体の温度、すなわち好ましくはチャック1の温度制御のためのすべての手段(例えば、電気熱変換器、温度制御媒体/媒体ライン)は、チャック1の温度が実質的に均一に制御されるように、実質的に均一/同一に制御される。
【0082】
チャック1の温度を制御または調節するために、好ましくは、選択された基準温度測定手段の測定温度のみが使用される。好ましくは、基準温度測定手段によって測定された温度は、チャック1および/またはセンサモジュール42および/またはウェハ2の指定された目標温度と比較され、例えば、温度制御手段(例えば、電気熱変換器9)を対応して制御することによって、チャック1および/またはセンサモジュール42および/またはウェハ2の目標温度に実質的に適合される(図4も参照)。結果として、ウェハ2の温度に影響を及ぼすチャック1および/またはセンサモジュール42の異なる領域を異なる温度にすることができる。
【0083】
図2は、(図1の実施形態と類似した)さらなる例示的かつ特に好ましい実施形態によるモジュール式ウェハチャックシステム40の断面図を示す。図示のモジュール式ウェハチャックシステム40は、好ましくは磁場または負圧の印加によってウェハ2をクランプするチャック1およびセンサモジュール42を備える。センサモジュール42は、図1のセンサモジュール42と同様に、好ましくは、チャック1および/またはセンサモジュール42および/またはウェハ2の温度を測定するための複数の温度測定手段6(例えば、PT100、PT500、PT1000、NTC、PTC)を有し、これらは第1の通信インターフェース12aを介して制御ユニット14に接続される。図1のシステムのようなモジュール式ウェハチャックシステム40は、チャック1および/またはセンサモジュール42および/またはウェハ2の温度を制御するためのプロセスで説明された方法を実行するのに適している。モジュール式ウェハチャックシステム40のチャック1は、好ましくは、1つまたは複数の温度測定手段6を有する。
【0084】
しかしながら、図1に示すモジュール式ウェハチャックシステム40の代替として、図2に示すシステムでは、ウェハ2またはウェハ2上の構造4を試験するための試験手段22として、いわゆるプローブカード24が設けられている。そのようなプローブカード24は、好ましくは、複数の接触要素26を有する回路基板25を備え、プローブカード24の複数の接触要素26は、ウェハ2上のいくつかの試験される構造4の接触点と接触することができるように配列される。したがって、試験手段22またはプローブカード24を一度位置合わせまたは位置決めすることによって、有利には、いくつかの構造を実質的に同時におよび/または連続して試験することができ、これにより、試験方法を加速することができる。
【0085】
温度測定手段6と試験手段22またはプローブカード24との間のそれぞれの空間距離の異なる決定も示されている。図1とは異なり、プローブカード24の位置は、温度測定手段6の位置によって形成される平面に射影されず、代替の方法に従って決定される。この例示的で好ましい方法は、三次元(好ましくはデカルト)座標系における座標を試験手段22(プローブカード24)および温度測定手段6に割り当て、三次元空間中の接続ベクトルの長さまたは量を決定する。図1に関して説明したように、個々の温度測定手段6および試験手段22の位置は、好ましくは、実質的に点状の無限小領域(好ましくはそれぞれの幾何学的対応に対応する)に近似される。距離Aiは、温度測定手段6および試験手段22の座標間の接続ベクトルの長さ(量)に対応する。
【0086】
また、図1に示す実施形態とは異なり、温度制御またはチャック1の温度を制御もしくは調節するための手段は、温度制御媒体18と、チャック1内に配列された、温度制御媒体18を導くための媒体ライン8とを備える。例えば、温度制御媒体は、温度制御された空気および/または温度制御された液体を含み、温度制御(チャック1の温度の上昇/低下/維持)を達成するためにチャックの媒体ライン8を通って流れる。好ましくは、チャック1の媒体ライン8は、温度制御媒体18によってチャック1の有利な温度制御を達成することができるように、少なくとも部分的に実質的に蛇行形状になるように設計される。図示の好ましい実施形態によれば、温度制御装置10は、例えば温度制御媒体をチャック1内に供給および/またはチャック1外に排出するのに適した対応する通信インターフェース12bを有する。
【0087】
好ましくは、対応して構成された制御ユニット14は、流れパラメータ、温度および/または必要に応じて温度制御媒体18の組成に影響を与えるかまたは適合させるのに適している。アミルアルコール(ペンタノール)およびメタノールなどの様々なアルコールだけでなくヘプタンも、温度制御媒体として特に適している。シリコーンオイルをベースとするサーマルオイルがより適している。過フッ素化ポリエーテル(例えば、商品名Galden HTでSolvay Solexis SpAから入手可能)、ポリ(オキシパーフルオロ-n-アルキレン)(例えば、商品名Galden ZTでSolvay Solexis SpAから入手可能)および/またはトリエトキシアルキルシランの混合物(例えば、商品名DW-ThermでDWS Synthesetechnikから入手可能)を含有する温度制御流体が好ましくは使用される。しかしながら、当業者に公知の他の物質も使用することもできる。さらに好ましくは、チャック1は、好ましくはチャック1の大部分の温度制御に適したいくつかの(独立した)媒体ライン8を有してもよく、これにより、さらに好ましくはチャック1を実質的に均一に制御することができ、チャック1全体またはチャックのすべての温度制御素子の実質的に均一な温度制御を使用することができる。
【0088】
図3は、実質的に円形のウェハ表面3を有する装着またはクランプされたウェハ2を有する、好ましい実施形態によるチャック1および/またはセンサモジュール42の上面図を示す。ウェハは、ウェハ2(ウェハ表面3)の中または上に実質的に均一なパターンで配列された複数(好ましくは1~約1000、より好ましくは約5~約200、より好ましくは約10~約100、例えば、図3に示すように14)の試験される構造4を有する。図示の例示的な実施形態では、センサモジュール42は、好ましくはウェハ2の下方に配置された複数(好ましくは約3~約20、例えば、図3に示すように5つ)の温度測定手段6a、6b、6c、6d、6e、好ましくはPT-100温度センサを有する。代替的および/または追加的に、チャック1および/またはセンサモジュール42および/またはウェハ2の温度を測定するために、PTシリーズ、PT500、PT1000、HTCおよび/またはNTCなどの他の温度センサを設けてもよい。
【0089】
温度測定手段6a~6eは、好ましくは、図示のようにパターンに従って配列され、より好ましくは、ウェハ表面3にわたって実質的に均一に分布する。図3はまた、複数(好ましくは4つ)のプローブ針23(識別されていない)を有する試験手段22を示しており、これらは試験される構造4を試験するために試験される構造4の接触面に接触するのに適している。
【0090】
図3に示す試験手段22の状態では、複数の試験される構造4のうちの1つの上方に実質的に配置され、そのプローブ針23は、構造4の接触面にそれぞれ接触する。この状態で、試験手段22は、温度測定手段6a、6b、および6cの位置(好ましくは近似され、実質的に点状で、幾何学的重心に実質的に対応する)からの距離が略同一となる(または、試験手段22と温度測定手段A6a、A6bまたはA6cのうちの1つとの間の距離がそれぞれ、指定された許容値T±内の差を有する)位置(好ましくは近似され、実質的に点状で、幾何学的重心に実質的に対応する)を有する。このような場合、チャック1および/またはモジュール式ウェハチャックシステム40の温度制御または調節のプロセスで説明される方法を使用する場合、温度測定手段6a、6b、および6cの温度差Tdiffおよび/または温度勾配Tgradを考慮して、温度測定手段6a、6b、および6cの中から基準温度測定手段を選択することが好ましい。
【0091】
図4は、図3に示し、プロセスで説明される配列の例示的な温度プロファイルを示す。温度測定手段6a~6eによって測定された温度T6a、T6b、T6c、T6dおよびT6eのプロファイルがここに示されている。プロセスで説明されるように、温度測定手段6a、6b、および6cの中から、チャック1および/またはセンサモジュール42および/またはウェハ2の温度の調節または制御の基となる基準温度測定手段を選択する。この目的のために、好ましい本例では、時刻tにおいて測定された温度測定手段6a~6cの温度T(t)の温度差Tdiffを、時間tx(すなわち、時間tより持続時間xだけ前)において測定されたそれぞれの温度測定手段6a~6cの温度と比較する。
Tdiff6a=|T6a(t)-T6a(t-x)|
Tdiff6b=|T6b(t)-T6b(t-x)|
Tdiff6c=|T6c(t)-T6c(t-x)|
【0092】
図3では、温度測定手段6aの温度差Tdiff6aが例または代表として示されており、この例示的なシナリオは、温度測定手段6a~6cの最大温度差にも対応する。
【0093】
温度差Tdiff6a、Tdiff6b、およびTdiff6cを互いに比較し、最も高い値の温度差を決定する。例示的な方法では、最も高い値の温度差に関連する温度測定手段6を基準温度測定手段として選択する。結果として、例示的かつ好ましい本方法では、温度測定手段6aが基準温度測定手段として選択され、チャック1および/またはセンサモジュール42および/またはウェハ2の温度を制御するために使用される。
【0094】
さらに好ましくは、温度制御(温度の制御または調節)は、温度測定手段6aによって測定される温度を実質的に調整することによって実行される。図4に見られるように、温度制御は、複数の温度測定手段6の各々、したがって好ましくはセンサモジュール42および/またはチャック1の領域の実質的に全部または少なくとも大部分に影響を及ぼす。本例では、温度測定手段6b~6eは、ウェハ1および/またはセンサモジュール42および/またはチャック1の目標温度を(明らかに)下回る値を測定する。
【0095】
図3および図4に関して説明した方法は、チャックおよび/またはセンサモジュールおよび/またはウェハの温度制御のための方法の例示的で好ましい実施形態にすぎない。特に、基準温度測定手段を選択するために使用されるパラメータは、要件および/または要望に応じて変更されてもよい。ここで、例えば、温度測定手段の温度勾配が、決定パラメータとして選択または使用されてもよい。例えば、測定温度を平均することによって、2つ以上の温度測定手段6の測定温度を温度制御の基準値として使用することもできる。温度制御の方法は、例えば、基準温度測定手段の温度とチャック1および/またはセンサモジュール42および/またはウェハ2の目標温度との間の差を実質的に半分にすることによって、代替的な方法で行うこともできる。
【0096】
図5は、モジュール式ウェハチャックシステム40用のチャック1のさらに好ましい実施形態を示し、チャック1の温度制御は、好ましくは第1の温度制御回路30および第2の温度制御回路32内の好ましくは異なる温度制御媒体18a、18bによって可能になる。より好ましくは、2つの温度制御回路30、32はそれぞれ、少なくとも特定の領域で実質的に蛇行して延在する媒体ライン8a、8bを有する。この例示的かつ好ましい実施形態では、好ましくは異なる温度範囲における温度制御のために異なる温度制御媒体18を使用することができるので、チャック1の有利な温度制御が可能になる。例えば、第1の温度制御媒体18aは、第1の温度範囲、例えば約-75℃~約100℃の範囲に対して使用され、第2の温度制御媒体18bは、第2の温度範囲、例えば約50℃~約400℃に対して使用される。アミルアルコール(ペンタノール)およびメタノールなどの様々なアルコールだけでなくヘプタンも、温度制御媒体18として特に適している。シリコーンオイルをベースとするサーマルオイルがより適して使用される。過フッ素化ポリエーテル(例えば、商品名Galden HTでSolvay Solexis SpAから入手可能)、ポリ(オキシパーフルオロ-n-アルキレン)(例えば、商品名Galden ZTでSolvay Solexis SpAから入手可能)および/またはトリエトキシアルキルシランの混合物(例えば、商品名DW-ThermでDWS Synthesetechnikから入手可能)を含有する温度制御流体が好ましくは使用される。しかしながら、当業者に公知の他の物質も使用することもできる。
【0097】
さらに、図5のチャック1は、好ましくは、チャック1および/またはセンサモジュール42のさらに有利な温度制御を可能にするために、1つまたは複数の電気熱変換器9を有する。1つまたは複数の電気熱変換器9は、好ましくは、約+-50℃の比較的低い温度範囲で正確かつ迅速に調整することができる温度制御に特に適している。チャック1は、温度制御装置10に接続することができる1つまたは複数の温度測定手段6を有することができる。
【0098】
これに関連して、その内容が参照により本開示に組み込まれる、特許明細書ドイツ特許10 2005 049 598号二次公報に記載されている、この目的に特に適したチャックの好ましい実施形態が参照される。
【0099】
図6は、チャック1と、チャック1に結合されたセンサモジュール42とを有するモジュール式ウェハチャックシステム40のさらに好ましい実施形態を示す。モジュール式ウェハチャックシステム40の図示の例は、チャック1とセンサモジュール42との間に配列された少なくとも1つの任意選択の交換式絶縁層46をさらに備える。絶縁層46は、チャック1をセンサモジュール42および/またはウェハ2から電気的に絶縁するために、高電圧用途および/または低ノイズ用途において特に有利である。代替の実施形態によれば、モジュール式ウェハチャックシステム40は、絶縁層46を含まないか、またはセンサモジュール42とウェハ2との間に絶縁層46を含まない。
【0100】
センサモジュール42は、チャック1に着脱可能および/または交換可能に結合される。これは、例えば、接続装置50を介して真空ライン52に接続された1つまたは複数の真空チャンバ44によって行われ、真空ライン52を介して、真空ポンプ54は真空および/または負圧を真空チャンバ44に印加することができる。結果として、センサモジュール42は、チャック1に吸引および/または結合される。代替的および/または追加的に、センサモジュール42は、磁場を印加することによってチャック1に結合されてもよい。1つまたは複数のクランプなどによる機械的結合も可能である。
【0101】
センサモジュール42のチャック1への結合は、好ましくは、センサモジュール42の第2の結合面42aのみが実質的にチャック1の結合面1a上に載置され、および/または結合面1aに当接するようなものである。結果として、チャック1とセンサモジュール42との間の温度制御ならびに/または熱および/もしくは冷熱の伝達のための結合のみが有利かつ好ましく存在する。特に、チャック1およびセンサモジュール42は自己完結型ユニットを表し、その結果、チャック1は、結合されたセンサモジュールなしで、ウェハも個別に結合および温度制御するように構成され、センサモジュールは、(異なる)チャックおよび/またはウェハに結合し、ウェハの温度を測定するように構成される。
【0102】
少なくとも1つの任意選択の絶縁層46が存在する場合、真空チャンバ44内の真空および/または負圧がセンサモジュール42をチャック1に吸引することができるように、チャック1の1つまたは複数の真空チャンバ44の領域に開口部および/または凹部を有するように設計されることが好ましい。絶縁層46は、好ましくは、高い比抵抗を有する材料、例えば、酸化アルミニウムセラミック、ステアタイト、磁器、ガラス、(ガラス繊維強化)プラスチック、シリコーンゴム、テフロン、窒化ホウ素および/またはエポキシ樹脂を含む。絶縁層46は、好ましくは、高い熱伝導係数を有し、その結果、絶縁層46は、ウェハチャックシステム40の温度測定および/または温度制御にほとんどまたは全く影響を及ぼさない。
【0103】
図2のチャック1と同様に、図6のモジュール式ウェハチャックシステム40の例示的な実施形態は、温度制御媒体18によるチャック1の温度制御を達成することができる第2の通信インターフェース12bを有する。チャック1は、温度制御媒体18を導くためにチャック1内に配列された媒体ライン8をさらに有する。温度制御媒体は、例えば、温度制御された空気および/または温度制御された液体もしくは流体を含み、温度制御(チャック1および/またはセンサモジュール42および/またはウェハ2の温度を上昇/低下/維持する)を達成するためにチャックの媒体ライン8を通って流れる。
【0104】
代替的におよび/または追加的に、チャック1は、チャック1内に配列された1つまたは複数の電気熱変換器9(例えば、電気加熱素子および/またはペルチェ素子)と通信するために、特にチャック1および続いてウェハ2の温度制御を可能にするために、第3の通信インターフェース12cを有してもよい。チャック1は、チャック1を有利に温度制御、特に冷却および/または加熱することができるように、好ましくはチャック1内に実質的に均一に分布して配列された、好ましくは5つより多くの、より好ましくは10より多くの電気熱変換器9を有する。
【0105】
チャックウェハシステム40の温度制御は、温度制御装置10および/または制御ユニット14によって制御および/または調節される。例えば、温度制御は、プロセスで説明された方法に従って行うことができる。
【0106】
センサモジュール42は、好ましくは、センサモジュール42の第1の結合面42aから第2の結合面42bまで延在する1つまたは複数のビア48、すなわち孔および/またはチャネルを有することができる。ビア48は、チャック1の1つまたは複数の真空チャンバ44に印加される負圧および/または真空を、センサモジュール42を介して、センサモジュール42の第1の結合面42aに装着されたウェハ2に伝達するように構成される。代替的および/または追加的に、センサモジュール42は、第1の結合面42a上にある1つまたは複数の真空チャンバ44と、1つまたは複数の真空チャンバ44に接続された少なくとも1つの接続装置50とを有してもよい。接続装置50に負圧および/または真空を印加することによって、ウェハ2をセンサモジュール42の第1の結合面42aに装着またはクランプすることができる。代替的および/または追加的に、センサモジュール42は、ウェハ2を結合面42aに結合する磁場を生成するように構成されてもよい。
【0107】
図示のセンサモジュール42の例はまた、センサモジュール42および/またはウェハ2および/またはチャック1の温度を測定するための1つまたは複数、例えば4つの温度測定手段6を有する。図1および図2に関して説明したように、そのような温度測定手段6は、例えば1つまたは複数のPT100温度センサを備えることができる。代替的および/または追加的に、1つまたは複数のNTCもしくはPTC抵抗器または他の適切なセンサを使用して温度を測定してもよい。
【0108】
特に好ましい実施形態によれば、センサモジュール42は、1つまたは複数の凹部、特に1つまたは複数のチャネルおよび/または溝および/または孔を有し、その中に1つまたは複数の温度センサ(温度測定手段6)を有する回路基板56を少なくとも部分的に配列および/またはセットすることができる。有利には、センサモジュール42は、第2の結合面42b、すなわちチャック1に面するセンサモジュール42の結合面に1つまたは複数の凹部を有する。これにより、センサモジュール42内および/またはセンサモジュール42上への1つまたは複数の温度測定手段6の簡単な取り付けまたは統合が可能になる。代替的および/または追加的に、センサモジュール42は、その間に1つまたは複数の温度測定手段6が配列された2つ以上の個々の部品からなってもよい。したがって、両方の結合面42a、42bが、外部の影響から1つまたは複数の温度測定手段6を保護する実質的に閉じた表面を有するので、これは特に有利である。
【0109】
センサモジュール42は、好ましくは、1つまたは複数のプリント回路基板56または回路基板もしくはPCBを備え、その上に1つまたは複数の温度測定手段6が取り付けられる。これにより、一方では、センサモジュール42へのまたはセンサモジュール42内の温度測定手段6の簡単な取り付けが可能になり、他方では、SMD(表面装着型装置)フォーマットの温度センサ(温度測定手段6)を使用する可能性が可能になる。その結果、センサモジュール42および/またはウェハチャックシステム40の製造を簡略化することができる。
【0110】
1つもしくは複数の回路基板56のレイアウトおよび/または1つもしくは複数の温度測定手段の配列は、要件に応じて変化し得る。特に好ましい配列を図8に示す。
【0111】
チャック1は、好ましくは温度調節または制御にも使用することができる1つまたは複数の温度測定手段6を有することができる。特に、電気信号は、チャック1の1つまたは複数の温度測定手段6から、温度測定ユニット43および/または温度制御装置10および/または制御ユニット14に供給することができる。
【0112】
センサモジュール42および/またはチャック1が作製される材料は、好ましくは、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、SiC、SiSiC、AlN、Si3N4、Al2O3もしくはコージエライトなどのセラミック、ならびに/またはホウケイ酸ガラスもしくは石英ガラスなどのガラスおよびガラスセラミックのうちの1つまたは複数を含む。センサモジュール42および/またはチャック1は、有利には、金および/またはニッケルを含むコーティングを有する。このようにして、特に、接触抵抗の低減、熱伝導率もしくは温度結合の増加、および/または寸法安定性の増加を達成することができる。
【0113】
また、チャック1とセンサモジュール42との間もしくはセンサモジュール42とウェハ2との間の接触面積を低減および/もしくは規定し、ならびに/または所望に応じてそれを増加させるために、ノブなどの1つまたは複数の構造をチャック1の結合面ならびに/またはセンサモジュール42の第1および/もしくは第2の結合面に取り付けることができる。
【0114】
好ましくは、チャック1および/またはセンサモジュール42および/またはそれらの結合面は、約100mm~約305mm、好ましくは約150mm~約205mmの直径を有する。センサモジュール42は、好ましくは、約5mm~約30mm、好ましくは約7mm~約13mmの高さを有する。しかしながら、チャック1および/またはセンサモジュール42および/またはそれらの結合面は、取り付けられるウェハの形状および/または寸法に応じて任意の形状(円形から逸脱している)を取ることもできる。特殊な用途では、例えば、実質的に長方形/正方形のチャックを使用することができる。
【0115】
図7は、異なる真空構造または真空パターン、すなわち、1つまたは複数の真空チャンバ44の構成および/または配列、特にセンサモジュール42の第1の結合面42aの凹部および/または孔および/または溝および/またはノッチを有する、モジュール式ウェハチャックシステム40用のセンサモジュール42の例示的な実施形態を示す。ウェハの確実な装着またはクランプのために、センサモジュール42の第1の結合面42aを横切る真空チャンバ44の実質的に均一な分布は、ウェハ2の集中的または帯状の過負荷なしにウェハの確実な保持を保証するために特に有利である。代替的および/または追加的に、ウェハ2は、印加磁場によって装着またはクランプされてもよい。
【0116】
実施形態A)およびB)のセンサモジュール42は、例えば、第1の結合面42a上に複数の実質的に点状の真空チャンバ44を備える。また、図示の例示的な実施形態A)およびB)は、チャック1からセンサモジュール42を通ってウェハ2に負圧を伝導することができる少なくとも1つ、例えば3つのビア48を有する。1つまたは複数のビア48を設けることにより、センサモジュール42を例えば真空ポンプ54に接続する必要なしに、または磁場を発生させる必要なしに、ウェハをセンサモジュール42上に装着またはクランプすることができる。
【0117】
実施形態D)はまた、各々が実質的に円形の溝および/またはノッチの形態の2つの真空チャンバを有する。
【0118】
実施形態A)、B)、C)、D)、F)およびG)のセンサモジュール42は、それぞれのセンサモジュール42の少なくとも1つの温度測定手段6から、温度測定ユニット43に電気信号を送信するように構成された1つまたは複数の第1の通信インターフェース12aを提示する。例えば異なるセクタに対応する温度測定手段6の数および/または配列に応じて、センサモジュール42は、複数の第1の通信インターフェース12aを有することができる。代替的および/または追加的に、1つまたは複数の第1の通信インターフェース12aは、複数の電気接続、例えばケーブル線を有する。
【0119】
センサモジュール42は、各々が実質的に同一または異なるように設計することができる複数、例えば4つのセクタを有することができる。有利には、センサモジュール42の1つのセクタ上に、各場合の1つのウェハ2を配列または装着またはクランプすることができる。実施形態C)は、センサモジュール42の第1の結合面42a上の4つの対称的に分布したセクタに実質的に同一の真空パターンを備える。したがって、センサモジュール42C)は、4つの第1の通信インターフェース12aを備え、1つの通信インターフェース12aがセクタに割り当てられ、それぞれのセクタの1つまたは複数の温度測定手段6に接続される。
【0120】
好ましい実施形態によれば、センサモジュール42C)は、いくつかの、例えば2つの接続装置50を備え、その結果、1つまたは複数のセクタへのウェハの装着またはクランプは、1つまたは複数の他のセクタとは独立して行うことができる。代替的に、真空構造の特定の部品または部分を異なる接続装置50に接続することができ、その結果、負圧および/または真空を真空構造の一部にのみ印加することができる。
【0121】
例示的な実施形態E)は、真空ライン52に接続するための単一の接続装置50と、実質的に直線状で、直交して配列されて交差する複数の溝またはノッチを有する真空パターンとを備える。実施形態F)は、実質的に同心円状に配列された複数の円形溝またはノッチと、それらを接続し、半径方向に直線状に延在するいくつかの溝またはノッチとを含む。
【0122】
実施形態G)によるセンサモジュール42は、実質的に点状の複数の真空チャンバ44を有し、ビア48を有さない。
【0123】
図7に示す例示的なセンサモジュール42は、異なる配列の1つまたは複数の温度測定手段6(図示せず)を有することができる。要件、特に装着またはクランプされるウェハ2のサイズおよび/もしくは数、ならびに/またはウェハ2上の試験される構造のレイアウトに応じて、温度測定手段の数および/または位置決めおよび/または位置合わせが異なる、複雑さの異なる配列を提供することができる。例示的な配列を図3および図8に示す。
【0124】
図6および図7に示す実施形態は、図1図2図3および図5の実施形態の1つまたは複数の特徴をさらに有することができる。
【0125】
図8は、モジュール式ウェハチャックシステム40用のセンサモジュール42内、またはセンサモジュール42上の温度測定手段6の例示的な配列を示す。図示の例では、複数の温度測定手段6は、回路基板56に取り付けられ、好ましくは、センサモジュール42の第1の結合面42aにわたって実質的に対称および/または均等に分布している。センサモジュール42は、有利には、回路基板56および温度測定手段6が少なくとも部分的に設置および/または埋め込まれおよび/またはセットされる1つまたは複数の凹部を有する。
【0126】
温度センサを有する回路基板56はまた、1つまたは複数のセンサに欠陥がある場合に交換が簡単になるため、有利である。同様に、チャック1および/またはセンサモジュール42を交換する必要なしに、回路基板のみを試験される変更された構造に適合させることができる。さらに、回路基板56の部分的および/または完全に自動的な製造は、コストを節約し、時間効率が高い。
【0127】
本開示はまた、以下の実施例に関する。
【0128】
実施例1.
ウェハ(2)のためのチャック(1)の温度制御または調節のための方法であって、
ウェハ(2)を試験するための試験手段(22)の位置を検出するステップと、
試験手段(22)と、チャック(1)またはセンサモジュール(42)またはチャック(1)によって装着もしくはクランプされたウェハ(2)の温度を測定するための複数の温度測定手段(6)との間のそれぞれの空間距離を決定するステップと、
複数の温度測定手段(6)から少なくとも1つの温度測定手段(6)を基準温度測定手段として選択するステップと、
選択された基準温度測定手段によって測定されたチャック(1)またはセンサモジュール(42)またはウェハ(2)の温度に基づいてチャック(1)の温度を制御または調節するステップと
を含む、方法。
【0129】
実施例2.
基準温度測定手段として温度測定手段(6)を選択するステップは、
試験手段(22)からの空間距離が最も小さい温度測定手段(6)を選択するステップ
を含む、実施例1に記載の方法。
【0130】
実施例3.
少なくとも1つの基準温度測定手段を選択するステップは、2つ以上の温度測定手段(6)の決定された空間距離が特定の許容差T±内にあり、かつ/または実質的に同じである場合、
2つ以上の温度測定手段(6)のうち、最大量の温度差Tdiffおよび/もしくは時間当たりの温度変化Tgradを有する温度測定手段(6)を選択するステップ、または
2つ以上の温度測定手段(6)を基準温度測定手段として選択するステップであって、チャック(1)の温度の制御もしくは調節は、基準温度測定手段によって測定された温度の算術平均または平均に基づく、ステップ
を含む、上述の方法。
【0131】
実施例4.
温度差Tdiffは、
測定温度T(t)と、チャック(1)またはウェハ(2)の目標温度Tsollとの差の量、または
測定温度T(t)と、同じ温度測定手段の予め測定された温度T(t-x)との差の量、または
測定温度T(t)と、複数の温度測定手段(6)の平均温度Tavgとの差の量である、実施例3に記載の方法。
【0132】
実施例5.
時間当たりの温度変化Tgradが、特定の期間t1内で比較される、実施例3に記載の方法。
【0133】
実施例6.
試験手段(22)と温度測定手段(6)との間の空間距離が、ベクトル座標に基づいて決定される、上述の方法。
【0134】
実施例7.
チャック(1)および/またはチャック(1)によって装着もしくはクランプされたウェハ(2)の温度制御のための温度制御装置(10)であって、
電気信号を送信するのに適している、チャック(1)と通信するための第1の通信インターフェース(12a)と、
第1の通信インターフェース(12a)と接続して、
チャック(1)またはセンサモジュール(42)またはウェハ(2)の温度を測定するための複数の温度測定手段(6)から電気信号を受信し、
温度測定手段(6)のうちの少なくとも1つを基準温度測定手段として選択し、
選択された基準温度測定手段によって測定されたチャック(1)またはセンサモジュール(42)またはウェハ(2)の温度に基づいて、チャック(1)の温度を制御または調節する
ための制御ユニット(14)と
を備える、温度制御装置(10)。
【0135】
実施例8.
制御ユニット(14)は、ウェハ(2)を試験するための試験手段(22)からの空間距離が最も小さい温度測定手段(6)を基準温度測定手段として選択するのに適している、実施例7に記載の温度制御装置。
【0136】
実施例9.
制御ユニット(14)は、2つ以上の温度測定手段(6)の決定された空間距離が特定の許容差T±以内にあり、かつ/または実質的に同じ大きさである場合、最大量の温度差Tdiffおよび/または時間当たりの温度変化Tgradを有する温度測定手段(6)を基準温度測定手段として選択するのに適している、実施例7または8に記載の温度制御装置(10)。
【0137】
実施例10.
チャック(1)の温度を制御するための温度制御媒体(18)を、チャック(1)内に供給および/もしくはチャック(1)外に排出するための第2の通信インターフェース(12b)、ならびに/または
チャック(1)の温度を制御するために少なくとも1つの電気熱変換器(9)と通信するための第3の通信インターフェース(12c)
をさらに備える、実施例7~9の1つの実施例に記載の温度制御装置(10)。
【0138】
実施例11.
ウェハを試験するためのウェハ試験システム(20)であって、
ウェハ(2)の装着またはクランプおよび温度制御のためのチャック(1)であって、チャック(1)またはチャック(1)もしくはセンサモジュール(42)によって装着もしくはクランプされたウェハ(2)の温度を測定するための複数の温度測定手段(6)を備える、チャック(1)と、
ウェハ(2)を試験するための少なくとも1つの試験手段(22)と、
チャック(1)またはセンサモジュール(42)またはウェハ(2)に対する試験手段(22)の位置を検出するための位置検出手段(24)と、
実施例7から10の1つに記載の温度制御装置(10)と
を備える、ウェハ試験システム(20)。
【符号の説明】
【0139】
1 チャック
2 ウェハ
3 ウェハ表面
4 試験される構造
6 温度測定装置
8 媒体ライン
9 電気熱変換器
10 温度制御装置
12 通信インターフェース
14 制御ユニット
18 温度制御媒体
20 ウェハ試験システム
22 試験手段
23 プローブ針
24 プローブカード
25 回路基板
26 接触要素
28 位置検出手段
30 第1の温度制御回路
32 第2の温度制御回路
40 ウェハチャックシステム
42 センサモジュール
43 温度測定ユニット
44 真空チャンバ
46 絶縁層
48 ビア
50 接続装置
52 真空ライン
54 真空ポンプ
56 回路基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】