(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】遠隔感知に基づく土壌パラメータを使用して種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するための決定システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20240109BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537966
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2021086524
(87)【国際公開番号】W WO2022136168
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521508254
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ アグロ トレードマークス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホス-クーネ,モリー ヨー
(72)【発明者】
【氏名】ケルクホフ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーネン,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー,ファビアン ヨハネス
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】
種子製品及び/又は作物栄養製品のより効果的な適用を達成するために、農地において少なくとも1つの作物の種子製品を適用し、且つ/又は少なくとも1つの作物に作物栄養製品を適用するためのコンピュータ実施方法が提供される。方法は、農地における種子製品及び/又は作物栄養製品の適用前の農地の遠隔感知データを収集するステップと、収集された遠隔感知データに基づいて、農地内の複数の位置における少なくとも1つの土壌パラメータを判定するステップと、複数の位置の各々について、少なくとも1つの判定された土壌パラメータ及び予測モデルに基づいて、少なくとも1つの作物についての種子製品及び/又は作物栄養製品の適用に対する予測収穫応答を生成するステップであって、予測モデルは、少なくとも1つの土壌パラメータの複数の異なる値並びに種子製品及び/又は作物栄養製品の適用下における少なくとも1つの作物についての関連する収穫応答を含むサンプルセットに基づいてパラメータ化又は訓練される、ステップと、農地内の複数の位置の各々について、予測収穫応答に基づいて、処理するか否かを決定するステップと、決定に従うように少なくとも1つの処理デバイスを作動させるために使用可能である、決定を示す情報を出力するステップとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農地において少なくとも1つの作物の種子製品を適用し、且つ/又は少なくとも1つの作物に作物栄養製品を適用するためのコンピュータ実施方法であって、
- データインターフェース(110)により、前記農地における前記種子製品及び/又は作物栄養製品の適用前の前記農地の遠隔感知データを収集すること(S10)と、
- パラメータ判定ユニット(120)により、前記収集された遠隔感知データに基づいて、前記農地内の複数の位置における少なくとも1つの土壌パラメータを判定すること(S20)と、
- 収穫予測ユニット(130)により、前記複数の位置の各々について、少なくとも1つの判定された前記土壌パラメータ及び予測モデルに基づいて、前記少なくとも1つの作物についての前記種子製品及び/又は作物栄養製品の前記適用に対する予測収穫応答を生成すること(S30)であって、前記予測モデルは、少なくとも1つの前記土壌パラメータの複数の異なる値並びに前記種子製品及び/又は作物栄養製品の前記適用下における前記少なくとも1つの作物についての関連する収穫応答を含むサンプルセットに基づいてパラメータ化又は訓練される、生成すること(S30)と、
- 決定ユニット(140)により、前記農地内の前記複数の位置の各々について、前記予測収穫応答に基づいて、処理するか否かを決定し(S40)、且つ前記決定に従うように少なくとも1つの処理デバイスを作動させるために使用可能である、前記決定を示す情報を出力することと
を含む方法。
【請求項2】
- 制御ユニット(150)により、前記出力された情報に基づいて、前記決定に従うように少なくとも1つの処理デバイスを制御すること(S50)
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの土壌パラメータは、
- 好ましくは、前記種子製品及び/若しくは作物栄養製品の前記適用前に、日数での時間枠内において部分農地分解能で測定された土壌水分、並びに/又は
- 好ましくは、特定の期間中、好ましくは冬季中に測定された土壌表面温度
の少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記土壌表面温度は、気象予報データによって予測される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記農地内の複数の位置における少なくとも1つの土壌パラメータを判定すること(S20)は、
- 収集された前記遠隔感知データに基づいて、好ましくは部分農地レベルの分解能で測定された少なくとも1つの植生パラメータを判定すること(S21)
をさらに含み、
前記種子製品及び/又は作物栄養製品の前記適用に対する予測収穫応答を生成すること(S30)は、
- 前記複数の位置の各々について、前記少なくとも1つの判定された土壌パラメータ、前記少なくとも1つの植生パラメータ及び予測モデルに基づいて、前記少なくとも1つの作物についての前記種子製品及び/又は作物栄養製品の前記適用に対する予測収穫応答を生成すること(S31)であって、前記予測モデルは、前記少なくとも1つの土壌パラメータの複数の異なる値、前記少なくとも1つの植生パラメータの異なる値並びに前記種子製品及び/又は作物栄養製品の前記適用下における前記少なくとも1つの作物についての関連する収穫応答を含むサンプルセットに基づいてパラメータ化又は訓練される、生成すること(S31)
をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の位置の各々について、処理するか否かを決定すること(S40)は、
- 前記予測収穫応答に基づいて、処理が、i)前記少なくとも1つの作物の成長を低下させるか、ii)前記少なくとも1つの作物の前記成長に影響を及ぼさないか、又はiii)前記少なくとも1つの作物の前記成長を向上させるかを評価すること(S41)と、
- 前記複数の位置の各々について、前記予測収穫応答が正の基準値を超えるかを判定すること(S42)と、
- 前記複数の位置の各々について、判定結果に基づいて、処理するか否かを決定すること(S43)と
をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の位置の各々について、処理するか否かを決定すること(S40)は、
- 前記複数の位置の各々について適用される前記種子製品及び/又は作物栄養製品の量を決定すること(S44)
をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記種子製品及び/又は作物栄養製品の前記量は、前記複数の位置の各々における以下の因子:
- 葉面積指数、
- バイオマス、及び
- ストレスレベル
の少なくとも1つに基づいて決定される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記決定に従うように少なくとも1つの処理デバイスを制御すること(S50)は、
i)前記複数の位置の各々について、処理するか否かの前記決定を示す適用マップの生成及び前記少なくとも1つの処理デバイスへの前記適用マップの配信、並びに/又は
ii)前記少なくとも1つの処理デバイスが通過する前記位置についてリアルタイムで実行されるように適合されている、前記少なくとも1つの処理デバイス上に組み込まれたアルゴリズム
に基づいて行われる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
農地において少なくとも1つの作物の種子製品を適用し、且つ/又は少なくとも1つの作物に作物栄養製品を適用するように処理デバイスを制御するための決定支援(100)システムであって、
- データインターフェース(110)と、
- パラメータ判定ユニット(120)と、
- 収穫予測ユニット(130)と、
- 決定ユニット(140)と、
- 制御ユニット(150)と、
- 処理制御インターフェース(160)と
を含み、
前記パラメータ判定ユニットは、前記データインターフェースから受信された遠隔感知データから、前記農地内の複数の位置における少なくとも1つの土壌パラメータを判定するように構成され、
前記収穫予測ユニットは、前記複数の位置の各々について、前記少なくとも1つの判定された土壌パラメータ及び予測モデルに基づいて、前記少なくとも1つの作物についての前記種子製品及び/又は作物栄養製品の前記適用に対する予測収穫応答を生成するように構成され、前記予測モデルは、前記少なくとも1つの土壌パラメータの複数の異なる値並びに前記種子製品及び/又は作物栄養製品の前記適用下における前記少なくとも1つの作物についての関連する収穫応答を含むサンプルセットに基づいてパラメータ化又は訓練され、
前記決定ユニットは、前記農地内の前記複数の位置の各々について、前記予測収穫応答に基づいて、処理するか否かを決定するように構成され、
前記制御ユニットは、前記決定を示す情報を含む処理制御信号を生成し、且つ前記処理制御インターフェースに前記処理制御信号を出力するように構成され、前記処理制御信号は、送信されると、前記決定に従うように少なくとも1つの処理デバイスを作動させる、決定支援(100)システム。
【請求項11】
前記パラメータ判定ユニットは、前記受信された遠隔感知データから、好ましくは部分農地レベルの分解能で測定された少なくとも1つの植生パラメータを判定するようにさらに構成され、
前記収穫予測ユニットは、前記複数の位置の各々について、前記少なくとも1つの判定された土壌パラメータ、前記少なくとも1つの判定された植生パラメータ及び予測モデルに基づいて、前記少なくとも1つの作物についての前記種子製品及び/又は作物栄養製品の前記適用に対する予測収穫応答を生成するように構成され、前記予測モデルは、前記少なくとも1つの土壌パラメータの複数の異なる値、前記少なくとも1つの植生パラメータの異なる値並びに前記種子製品及び/又は作物栄養製品の前記適用下における前記少なくとも1つの作物についての関連する収穫応答を含むサンプルセットに基づいてパラメータ化又は訓練される、請求項10に記載の決定支援システム。
【請求項12】
前記決定ユニットは、前記複数の位置の各々について適用される前記種子製品及び/又は作物栄養製品の量を決定するようにさらに構成される、請求項10又は11に記載の決定支援システム。
【請求項13】
農地において少なくとも1つの作物の種子製品を適用し、且つ/又は少なくとも1つの作物に作物栄養製品を適用するための処理デバイス(200)であって、
- 処理制御インターフェース(260)と、
- 処理制御ユニット(210)と、
- 1つ又は複数の処理ユニット(221、222、223、224)を有する処理配列(220)と
を含み、
前記処理デバイスの前記処理制御インターフェースは、処理制御信号を受信するために、請求項10~12のいずれか一項に記載の決定支援システムの前記処理制御インターフェースに接続可能であり、
前記処理制御ユニットは、前記受信された処理制御信号に基づいて、それぞれの位置において前記種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するために、前記処理配列の処理ユニットのそれぞれのものを調整するように構成される、処理デバイス(200)。
【請求項14】
前記処理制御ユニットは、前記処理制御信号に基づいて、前記処理デバイスが通過する位置について、前記処理制御デバイス上に組み込まれたアルゴリズムをリアルタイムで実行するように構成される、請求項13に記載の処理デバイス。
【請求項15】
農地において少なくとも1つの作物の種子製品を適用し、且つ/又は少なくとも1つの作物に作物栄養製品を適用するためのシステム(300)であって、
- 遠隔感知デバイス(50)と、
- 請求項10~12のいずれか一項に記載の決定支援システムと、
- 請求項13又は14に記載の少なくとも1つの処理デバイスと
を含み、
前記遠隔感知デバイスは、前記農地の遠隔感知データを収集するように構成され、
前記決定支援システムは、前記農地の前記収集された遠隔感知データに基づいて、処理するか否かを決定し、且つ好ましくは、前記農地内の複数の位置の各々について適用される前記種子製品及び/又は作物栄養製品の量を決定するように構成され、
前記少なくとも1つの処理デバイスは、前記決定に従うように前記決定支援システムによって制御されるように構成される、システム(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、作物管理に関し、より詳細には、農地において種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するためのコンピュータ実施方法、農地において種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するように処理デバイスを制御するための決定支援システム、農地において種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するための処理デバイス並びに農地において種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
作物の成長前に、農地において少なくとも1つの作物の種子製品を適用する必要がある。成長のいずれの段階でも、作物は、施肥などの作物栄養を必要とする。種子製品及び/又は作物栄養製品は、作物の健康及び結果として得られる収穫に対して影響を有する。例えば、窒素含有肥料は、作物の収穫を向上させることができる。しかしながら、種子製品及び/又は作物栄養製品に対する収穫応答は、安定しないことがある。このように、種子製品及び/又は作物栄養製品の適用が適切に行われる場合、投資に対する正の収益(種子又は肥料などの農業的入力及び収穫などの農業的出力に関する)が見られ得る。一方、種子製品及び/又は作物栄養製品の適用が適切に行われない場合、種子製品及び/又は作物栄養製品は、結果として負の収穫応答をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
種子製品及び/又は作物栄養製品のより効果的な適用のための方法及びデバイスを提供する必要があり得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決される。本発明のさらなる実施形態及び利点は、従属請求項に組み込まれる。説明される実施形態は、同様に、農地において種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するためのコンピュータ実施方法、農地において種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するように処理デバイスを制御するための決定支援システム、農地において種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するための処理デバイス並びに農地において種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するためのシステムに関する。
【0005】
本発明の第1の態様は、農地において少なくとも1つの作物の種子製品を適用し、且つ/又は少なくとも1つの作物に作物栄養製品を適用するためのコンピュータ実施方法に関する。「少なくとも1つの作物に作物栄養製品を適用すること」は、播種予定又は植付予定の少なくとも1つの作物に作物栄養製品を適用することも含み、即ち少なくとも1つの作物の播種又は植付前に作物栄養製品を適用することも含む。方法は、データインターフェースにより、農地における種子製品及び/又は作物栄養製品の適用前の農地の遠隔感知データを収集するステップと、パラメータ判定ユニットにより、収集された遠隔感知データに基づいて、農地内の複数の位置における少なくとも1つの土壌パラメータを判定するステップと、収穫予測ユニットにより、複数の位置の各々について、少なくとも1つの判定された土壌パラメータ及び予測モデルに基づいて、少なくとも1つの作物についての種子製品及び/又は作物栄養製品の適用に対する予測収穫応答を生成するステップであって、予測モデルは、少なくとも1つの土壌パラメータの複数の異なる値並びに種子製品及び/又は作物栄養製品の適用下における少なくとも1つの作物についての関連する収穫応答を含むサンプルセットに基づいてパラメータ化又は訓練される、ステップと、決定ユニットにより、農地内の複数の位置の各々について、予測収穫応答に基づいて、処理するか否かを決定するステップと、決定に従うように少なくとも1つの処理デバイスを作動させるために使用可能である、決定を示す情報を出力するステップとを含む。
【0006】
種子製品及び/又は作物栄養製品が適当に適用される場合にのみ、正の収穫応答、(種子又は肥料などの農業的入力及び収穫などの農業的出力に関する)投資に対するより一層の正の収益が見られるように、種子製品及び/又は作物栄養製品の不適当な適用は、ある環境条件において(予期される収穫応答が達成されないという事実を含む)負の収穫応答をもたらし得る。土壌水分及び土壌温度などの土壌パラメータは、地点ごとに変化し得るため、種子製品及び/又は作物栄養製品の性能も地点ごとに変化し得る。したがって、いくつかの地点では種子製品及び/又は作物栄養製品の正の効果が達成されることがある一方、他の地点では、種子製品及び/又は作物栄養製品の適用が(予期される収穫応答が達成されないという事実を含む)負の収穫応答をもたらす場合がある。土壌パラメータの空間的変動性は、したがって、農地中の種子製品及び/又は作物栄養製品の性能についての不確実性の原因である。種子製品及び/又は作物栄養製品の適用前に、種子製品及び/又は作物栄養製品の効果に対する土壌パラメータの影響を考慮することにより、それぞれの地点で適用するか否か、又はそれぞれの地点で処理するか否かを判定することが可能である。このようにして、正の効果が全く達成されないいくつかの領域に種子製品及び/又は作物栄養製品を適用することが回避され得る。加えて、種子製品及び/又は例えば肥料などの作物栄養製品の正の効果を達成することができ、したがって投資に対する正の収益が見られ得る領域に対して、種子製品及び/又は作物栄養製品が適用されることが保証され得る。さらに、これは、種子製品及び/又は作物栄養製品に対する必要性並びに用水路及び地下水を汚染する可能性も低下させ得る。
【0007】
本明細書で使用される「種子製品」という用語は、別のそのような植物に成長することが可能である、任意の種類の植物の再生単位を指し得る。本明細書で使用される「種子製品」という用語は、作物保護剤で処理された種子及び作物保護剤で処理された苗を含む種子及び苗を含み得る。好ましくは、本明細書で使用される「種子製品」という用語は、異なる又は特定の種、変異種(ハイブリッド変異種を含む)、種子又は苗の遺伝子変異種又はエピジェネティック変異種も含む。
【0008】
本明細書で使用される「作物栄養製品」という用語は、任意の害虫、菌類、細菌、ウイルス又は雑草を死滅させるように設計されていないか又は適していない任意の作物保護製品を指し得る。本明細書で使用される「作物栄養製品」という用語は、植物の栄養及び/若しくは植物の健康に有益な任意の製品、並びに/又は植物の健康及び/若しくは成長を増進若しくは強化する任意の製品、並びに/又は植物の健康及び/若しくは成長に必須若しくは重要な化学元素若しくは生体物質を提供する任意の製品、並びに/又は植物の窒素若しくは栄養バランスを改善する任意の製品を指し得る。本明細書で使用される「作物栄養製品」という用語は、肥料、栄養剤、多量要素、微量要素、ウレアーゼ阻害剤、硝化抑制剤、脱窒素抑制剤、植物成長調節剤(PGR)を含み得る。
【0009】
「作物」という用語は、播種予定又は植付予定の任意の植物を含む、特に農業、園芸、造林、水産養殖の領域において成長し、少なくとも部分的に収穫され得る任意の植物を意味する。
【0010】
本明細書で使用される「遠隔感知データ」という用語は、感知される物体まである距離で収集されるデータを指し得、好ましくは、そのようなデータは、感知される物体まで少なくとも5cmの距離、より好ましくは少なくとも10cmの距離、最も好ましくは少なくとも20cmの距離、特に少なくとも50cmの距離、特に好ましくは少なくとも1mの距離、特により好ましくは少なくとも2mの距離、特に最も好ましくは少なくとも5mの距離、例えば少なくとも10mの距離、例えば好ましくは少なくとも20mの距離、例えばより好ましくは少なくとも50mの距離、例えば最も好ましくは少なくとも100mの距離、例えば少なくとも200mの距離で収集される。感知される物体が地上の土壌である場合、本明細書で使用される「遠隔感知データ」という用語は、土壌までのある距離で収集されるデータを指し得、好ましくは、そのようなデータは、土壌まで少なくとも5cmの距離、より好ましくは少なくとも10cmの距離、最も好ましくは少なくとも20cmの距離、特に少なくとも50cmの距離、特に好ましくは少なくとも1mの距離、特により好ましくは少なくとも2mの距離、特に最も好ましくは少なくとも5mの距離、例えば少なくとも10mの距離、例えば好ましくは少なくとも20mの距離、例えばより好ましくは少なくとも50mの距離、例えば最も好ましくは少なくとも100mの距離、例えば少なくとも200mの距離で収集される。本明細書で使用される「遠隔感知データ」という用語は、衛星、ドローン、レーダ又はLidar(「光検出及び測距」若しくは「放射線検出の誘導放出による光増幅及び測距」)プラットフォームを用いて収集されるデータを指し得る。様々な遠隔感知方法は、測定されるパラメータに依存して使用され得る。例えば、光学遠隔感知は、例えば、可視光、赤外線(IR)、近赤外線(NIR)、短波赤外線又はマルチスペクトルのセンサを利用して、地上の目標物から反射される太陽放射線を検出することによって農地の表面の画像を形成するように行われ得る。好ましい実施形態では、「遠隔感知データ」は、赤外線(IR)、近赤外線(NIR)又は短波赤外線センサを用いて収集されるデータである。別の好ましい実施形態では、「遠隔感知データ」は、赤外線(IR)、近赤外線(NIR)又は短波赤外線土壌センサを用いて収集されるデータである。アクティブ及びパッシブの両方の衛星センサ又はマイクロ波で動作するレーダが農地の表面の遠隔モニタリングに使用され得る。
【0011】
本明細書で使用される「土壌パラメータ」という用語は、農地の土壌の物理特性及び/又は化学特性を指し得る。土壌パラメータは、例えば、pH、電気伝導率、土性、水分、温度、土壌有機物、可給態窒素、リン及び/又はカリウムを含み得る。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、土壌パラメータは、
- 土壌の微生物活性に関する情報などの生物学情報、並びに/又は
- 土性、土壌導電率、土壌水分、土壌密度及び/若しくは土壌温度に関する情報などの物理情報、並びに/又は
- 土壌の栄養分含有量、土壌の腐植土含有量、土壌の炭酸塩含有量、土壌の化学組成、土壌塩分及び/若しくは土壌のpH値に関する情報などの化学情報
も含み得る。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、土壌パラメータは、土壌の微生物活性に関する情報などの生物学情報を含み得る。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、土壌パラメータは、土性、土壌導電率、土壌水分、土壌密度及び/又は土壌温度に関する情報などの物理情報を含み得る。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、土壌パラメータは、土壌の栄養分含有量、土壌の腐植土含有量、土壌の炭酸塩含有量、土壌の化学組成、土壌塩分及び/又は土壌のpH値に関する情報などの化学情報を含み得る。
【0016】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、土壌パラメータは、以下のパラメータ:土壌の乾物、総炭素含有量、有機炭素含有量、ホウ素含有量、リン含有量、カリウム含有量、窒素含有量、硫黄含有量、カルシウム含有量、鉄含有量、アルミニウム含有量、塩素含有量、モリブデン含有量、マグネシウム含有量、ニッケル含有量、銅含有量、亜鉛含有量及び/若しくはマンガン含有量並びに/又はpH値の少なくとも1つを含む。
【0017】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、土壌パラメータは、土壌水分又は土壌水分に関する情報を含む。
【0018】
土壌パラメータの空間的変動性は、種子製品及び/又は作物栄養製品の性能についての不確実性の原因であるため、1つ又は複数の土壌パラメータの測定は、予測モデルと共に、種子製品及び/又は作物栄養製品の適用に対する予測収穫応答を生成し得る。これにより、農業従事者がそれぞれの位置において種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するかを判定することが可能となる。
【0019】
本明細書で使用される「予測モデル」という用語は、数学的方法及び計算方法を使用して、事象又は結果を予測するモデルを示し得る。一例では、予測モデルは、機械学習モデルなどの訓練済み計算予測モデルであり、それは、パターンを認識し、データを分類し、将来の事象を予想するために「訓練データ」を用いて訓練され得る。農地試験は、機械学習モデルのための訓練データを取得するために行われ得る。例えば、種子製品及び/又は作物栄養製品は、異なる土壌水分、異なる土壌表面温度並びに/又は種子製品及び/若しくは作物栄養製品の性能に影響を及ぼし得る他の土壌パラメータなど、異なる土壌パラメータの入力にさらされる農地の作物に適用され得る。農地試験から得られる対応する収穫は、異なる土壌パラメータ入力と共に、機械学習モデルのための訓練データとして使用され得る。別の例では、予測モデルは、方程式ベースモデルを使用して、種子製品及び/又は作物栄養製品の性能に対する土壌パラメータの影響の現象を記述する、パラメータ化された数学的アプローチである。数学的モデルは、モデル入力に対する変化に基づいて何らかの将来の状態又は時間における結果を予想するために使用される。農地試験からのサンプルデータは、数式のパラメータを適合させるために使用され得、数式は、測定された土壌パラメータから予測収穫応答を生成するために使用される。
【0020】
本発明に関連して、「収穫」という用語は、(例えば、ヘクタール又は平方メートルで示される)面積単位ごと且つ生育期(例えば、季節)ごとの(例えば、トン又はキログラムで示される)収穫された植物又は作物バイオマスであるように理解され、収穫は、例えば、ヘクタール毎トン又はヘクタール毎キログラムとして示される。特に、本開示における「収穫」という用語は、いわゆる「生物学的収穫」及びいわゆる「経済的収穫」の両方を意味し得る。好ましくは、「収穫」は、生物学的収穫を意味する。「生物学的収穫」は、「単位面積当たり及び生育期当たりに生産される根(バイオマス)を含む全植物質量」として定義される。「経済的収穫」について、「それらの植物器官又は成分のみ」が、「植物が成長する周囲で」考慮され、「高い生物学的収穫は、高い経済的収穫の根拠である」(Hans Mohr,Peter Schopfer,Lehrbuch der Pflanzenphysiologie,3rd edition,Berlin/Heidelberg 1978,p.560-561を参照されたい)。
【0021】
種子製品に関連する「量」という用語は、好ましくは、種子製品の播種率を意味する。
【0022】
「処理」という用語は、好ましくは、「種子製品を適用する」及び/又は「作物栄養製品を適用する」ことを意味する。
【0023】
各ユニットは、1つ又は複数のソフトウェア若しくはファームウェアプログラム、組み合わせ論理回路及び/又は説明される機能性を提供する他の適当な構成要素を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、プロセッサ(共有、専用若しくはグループ)及び/又はメモリ(共有、専用若しくはグループ)の一部であり得るか又はそれらを含み得る。
【0024】
本発明の実施形態によれば、方法は、出力された情報に基づいて決定に従うように少なくとも1つの処理デバイスを制御することをさらに含む。
【0025】
例えば、情報は、構成データの一部であり得、構成データは、処理デバイス上にロードされ、処理デバイスの揮発性メモリに記憶され得る。動作中、処理デバイスは、記憶された構成データをロードし得、構成データを処理して処理を実行する。
【0026】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの土壌パラメータは、好ましくは、種子製品及び/若しくは作物栄養製品の適用前に、日数での時間枠内において部分農地分解能で測定された土壌水分並びに/又は好ましくは特定の期間中、好ましくは冬季中に測定された土壌表面温度の少なくとも1つを含む。
【0027】
例えば、土壌水分は、種子製品及び/又は作物栄養製品の想定される適用前に0~28日間の時間枠で測定され得る。例えば、農地の管理ブロックごとの部分農地レベルで処理する価値があるか否かを決定することを可能にするために、100メートルの部分農地分解能が使用され得る。
【0028】
冬季の条件は、前の季節からの胞子の生存率を定義し、より多くの胞子が冬季を生き延びた場合により良い収穫応答につながる。胞子生存率は、冬季中の土壌水分及び地面温度と相関するとされている。
【0029】
本発明の実施形態によれば、土壌表面温度は、気象予報データによって予測される。
【0030】
土壌表面温度の季節中のデータを収集する代わりに、前の季節からのデータに基づく気象予報データを使用することにより、土壌表面温度が予測され得る。
【0031】
本発明の実施形態によれば、農地内の複数の位置における少なくとも1つの土壌パラメータを判定することは、収集された遠隔感知データに基づいて、好ましくは部分農地レベルの分解能で測定された少なくとも1つの植生パラメータを判定することをさらに含む。種子製品及び/又は作物栄養製品の適用に対する予測収穫応答を生成することは、複数の位置の各々について、少なくとも1つの判定された土壌パラメータ、少なくとも1つの植生パラメータ及び予測モデルに基づいて、少なくとも1つの作物についての種子製品及び/又は作物栄養製品の適用に対する予測収穫応答を生成することをさらに含む。予測モデルは、少なくとも1つの土壌パラメータの複数の異なる値、少なくとも1つの植生パラメータの異なる値並びに種子製品及び/又は作物栄養製品の適用下における少なくとも1つの作物についての関連する収穫応答を含むサンプルセットに基づいてパラメータ化又は訓練される。
【0032】
植生パラメータの例は、標準化降水指数(SPI)、植生光学的深さ(VOD)、正規化差植生指数(NDVI)及び/又は拡張植生指数(EVI)である。植生パラメータを含むことにより、収穫応答予測の精度が向上し得る。
【0033】
本発明の実施形態によれば、複数の位置の各々について、処理するか否かを決定することは、予測収穫応答に基づいて、処理が、i)少なくとも1つの作物(播種予定若しくは植付予定の作物を含む)の成長を低下させるか、ii)少なくとも1つの作物(播種予定若しくは植付予定の作物を含む)の成長に影響を及ぼさないか、又はiii)少なくとも1つの作物(播種予定若しくは植付予定の作物を含む)の成長を向上させるかを評価することと、複数の位置の各々について、予測収穫応答が正の基準値を超えるかを判定することと、複数の位置の各々について、判定結果に基づいて、処理するか否かを決定することとをさらに含む。
【0034】
例えば、負の予測収穫応答は、処理が少なくとも1つの作物(播種予定又は植付予定の作物を含む)の成長を低下させ得ることを示し得る。ゼロの値を有する予測収穫応答は、処理が少なくとも1つの作物(播種予定又は植付予定の作物を含む)の成長に影響を及ぼさないことを示し得る。正の予測収穫応答は、処理が少なくとも1つの作物(播種予定又は植付予定の作物を含む)の成長を向上させ得ることを示し得る。処理は、適当な収穫応答が達成され得るときに妥当であり得る。即ち、予測収穫応答が正の基準値を超える場合、処理は、妥当であり得る。一方、低い収穫応答が予期される場合、種子製品及び/又は作物栄養製品を適用する必要はない。そのような取り組みにより、種子製品及び/又は作物栄養製品の必要性が低下し、投資に対する正の収益(種子又は肥料などの農業的入力及び収穫などの農業的出力に関する)が改善し得る。これにより、種子製品及び/又は作物栄養製品の適用に起因する用水路及び地下水の汚染も減少し得る。
【0035】
本発明の実施形態によれば、複数の位置の各々について、処理するか否かを決定することは、複数の位置の各々に対して適用される種子製品及び/又は作物栄養製品の量を決定することをさらに含む。
【0036】
これにより、種子製品及び/又は作物栄養製品の必要性が低下し、コストも低下し得る。加えて、複数の位置の各々についての量を決定することにより、作物の健康及び結果として得られる収穫の精密な制御が可能となり得る。
【0037】
本発明の実施形態によれば、種子製品及び/又は作物栄養製品の量は、複数の位置の各々における以下の因子:葉面積指数、バイオマス及びストレスレベルの少なくとも1つに基づいて決定される。
【0038】
本発明の実施形態によれば、決定に従うように少なくとも1つの処理デバイスを制御することは、複数の位置の各々について、処理するか否かの決定を示す適用マップの生成及び少なくとも1つの処理デバイスへの適用マップの配信に基づく。代わりに又は加えて、決定に従うように少なくとも1つの処理デバイスを制御することは、少なくとも1つの処理デバイスが通過する位置についてリアルタイムで実行されるように適合されている、少なくとも1つの処理デバイス上に組み込まれたアルゴリズムに基づく。
【0039】
適用マップは、それぞれのグリッドにおいて種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するかの指標を用いて、等サイズの正方形又は長方形の長方形アレイの形態の複数のグリッドを含み得る。好ましくは、適用マップは、それぞれの位置で適用される量も含み得る。適用マップは、正しい位置で種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するように地上ロボット又は空中噴霧機をガイドするために、全地球測位システム(GPS)の座標を用いてマークされ得る。処理デバイスが、種子製品及び/又は作物栄養製品を適用する対象領域のGPS座標を用いてガイドされ得るように、処理デバイス、例えば可変速度アプリケータを有する地上ロボット又は空中噴霧機は、種子製品及び/又は作物栄養製品の適用前に適用マップを受信し得る。これにより、処理デバイスは、投資に対する正の収益(種子又は肥料などの農業的入力及び収穫などの農業的出力に関する)を有し得る目標位置に種子製品及び/又は作物栄養製品を適用することが可能となり得る。
【0040】
本発明の第2の態様は、農地において少なくとも1つの作物の種子製品を適用し、且つ/又は少なくとも1つの作物に作物栄養製品を適用するように処理デバイスを制御するための決定支援システムに関する。決定支援システムは、データインターフェース、パラメータ判定ユニット、収穫予測ユニット、決定ユニット、制御ユニット及び処理制御インターフェースを含む。パラメータ判定ユニットは、データインターフェースから受信された遠隔感知データに基づいて、農地内の複数の位置における少なくとも1つの土壌パラメータを判定するように構成される。収穫予測ユニットは、複数の位置の各々について、少なくとも1つの判定された土壌パラメータ及び予測モデルに基づいて、少なくとも1つの作物についての種子製品及び/又は作物栄養製品の適用に対する予測収穫応答を生成するように構成される。予測モデルは、少なくとも1つの土壌パラメータの複数の異なる値並びに種子製品及び/又は作物栄養製品の適用下における少なくとも1つの作物についての関連する収穫応答を含むサンプルセットに基づいてパラメータ化又は訓練される。決定ユニットは、農地内の複数の位置の各々について、予測収穫応答に基づいて、処理するか否かを決定するように構成される。制御ユニットは、決定を示す処理制御信号を生成し、且つ処理制御インターフェースに処理制御信号を出力するように構成され、処理制御信号は、送信されると、決定に従うように少なくとも1つの処理デバイスを作動させる。
【0041】
決定支援システムに対して、上記で概説されたような方法に関して同じ説明が当てはまる。決定支援システムは、土壌パラメータ及び任意選択の植生パラメータを導出し、且つ種子製品及び/又は作物栄養製品の適用に対する予測収穫応答を生成するために使用され得る。農地内の複数の位置についての予測収穫マップは、種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するためのスケジュールを準備するために、農業従事者に対してロバストな基準を提供し得る。例えば、基準値を上回る正の予測収穫応答を有する位置のみが種子製品及び/又は作物栄養製品の適用のためにマークされ得る。このようにして、これらの位置における種子製品及び/又は作物栄養製品の正の効果が達成又は実現されると、投資に対する正の収益が達成され得る。これにより、潜在的な収穫が向上し得るだけでなく、種子製品及び/又は作物栄養製品の必要性が低下し、コストも低下し得る。
【0042】
本明細書で使用される「決定支援システム」という用語は、プラットフォームを問わず、提案される方法に関するプログラムコードを実行するのに適当なコンピューティングデバイス又はコンピューティングシステムを示し得る。例えば、決定支援システムは、例えば、農場の農業従事者による農場の管理を容易にするためにウェブサービスを提供する遠隔サーバであり得る。遠隔サーバは、多くの異なる農場を管理するために複数のユーザにサービスを提供するためのより高性能の計算能力を有し得る。遠隔サーバは、(例えば、ユーザ名及びパスワードを提供することにより)ユーザが認証し得るインターフェース並びに農場において1つ又は複数の処理デバイスの構成データを生成、修正及び削除するためのインターフェースを含み得る。構成データは、遠隔感知データを分析することにより、決定システムによって生成され得る。例えば、構成データは、処理される領域の地理的情報及びこれらの領域に適用される最適量を含む決定を含み得る。構成データは、処理デバイスが処理を実行することを可能にするために、例えばネットワークを介して処理デバイス上にロードされ得る。パラメータ判定ユニット、収穫予測ユニット、決定ユニット及び制御ユニットは、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、物理ケーブル、Bluetooth又は別の形態のデータ接続を介してデータを受信することが可能である、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)などの異なるデータ処理要素であり得る。代わりに、それらは、決定を提供し、且つ処理デバイスを制御するために、例えばパーソナルコンピュータに統合され得る。
【0043】
本発明の実施形態によれば、パラメータ判定ユニットは、収集された遠隔感知データに基づいて、好ましくは部分農地レベルの分解能で測定された少なくとも1つの植生パラメータを判定するようにさらに構成される。収穫予測ユニットは、複数の位置の各々について、少なくとも1つの判定された土壌パラメータ、少なくとも1つの判定された植生パラメータ及び予測モデルに基づいて、少なくとも1つの作物についての種子製品及び/又は作物栄養製品の適用に対する予測収穫応答を生成するように構成され、予測モデルは、少なくとも1つの土壌パラメータの複数の異なる値、少なくとも1つの植生パラメータの異なる値並びに種子製品及び/又は作物栄養製品の適用下における少なくとも1つの作物についての関連する収穫応答を含むサンプルセットに基づいてパラメータ化又は訓練される。
【0044】
換言すると、決定支援システムは、収穫応答予測の精度を向上させるために植生パラメータを考慮し得る。
【0045】
本発明の実施形態によれば、決定ユニットは、複数の位置の各々について適用される種子製品及び/又は作物栄養製品の量を決定するようにさらに構成される。
【0046】
量は、複数の位置の各々についての所望の収穫及びそれによる農地全体についての所望の収穫の達成を可能にし得る。
【0047】
本発明の第3の態様は、農地において少なくとも1つの作物の種子製品を適用し、且つ/又は少なくとも1つの作物に作物栄養製品を適用するための処理デバイスに関する。処理デバイスは、処理制御インターフェース、処理制御ユニット及び1つ又は複数の処理ユニットを有する処理配列を含む。処理デバイスの処理制御インターフェースは、処理制御信号を受信するために、決定支援システムの処理制御インターフェースに接続可能である。処理制御ユニットは、受信された処理制御信号に基づいて、それぞれの位置において種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するために、処理配列の処理ユニットのそれぞれのものを調整するように構成される。
【0048】
処理デバイスは、種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するためのデバイスを指し得、これは、
- 一般的な噴霧機、
- 可変速度アプリケータを有する地上ロボット、
- 空中噴霧機、
- 自走式及び/若しくは搭載型肥料散布機、
- 種子散播、点播、鋤の後の播種、条播、ヒルドロッピング、チェック条植及び移植のための機器を含む、種子の適用のための手段、
- 例えば、種子が特定の円形プレートによってホッパーから取り出され、シャンクに放出されて重力で畝の底に運ばれる標準的なドリルプランタ、
- 他の可変速度播種機、並びに/又は
- 他の可変速度施肥機
を含み得る。処理デバイスが、可変速度アプリケータを有する地上ロボット又は空中噴霧機である場合、処理デバイスは、GPSでガイドされる地上ロボット又はGPSでガイドされる空中噴霧機など、GPSでガイドされる処理デバイスであり得る。決定支援システムは、正の収益が予期される所望の位置で種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するように処理デバイスをガイドするためのGPS座標を提供し得る。
【0049】
本発明の実施形態によれば、処理制御ユニットは、処理制御信号に基づいて、処理デバイスが通過する位置について、処理制御デバイス上に組み込まれたアルゴリズムをリアルタイムで実行するように構成される。
【0050】
換言すると、種子製品及び/又は作物栄養製品の適用マップは必要ない。代わりに、処理デバイスは、処理が通過する位置の各々について、処理するか否かをリアルタイムで判定する。これにより、適用マップ全体を記憶するための処理デバイスのメモリ要件が低減され得る。これに関連して、「リアルタイム」は、処理デバイスによって処理するか否かの判定が、好ましくは1ミリ秒~2分の範囲の時間枠、より好ましくは1ミリ秒~60秒の範囲の時間枠、最も好ましくは1ミリ秒~30秒の範囲の時間枠、特に1ミリ秒~15秒の範囲の時間枠、特に好ましくは1ミリ秒~5秒の範囲の時間枠、特により好ましくは1ミリ秒~3秒の範囲の時間枠、例えば1ミリ秒~1秒の範囲の時間枠において、処理が通過する位置ごとに実行されることを意味する。これに関連して、「リアルタイム」は、処理デバイスによって処理するか否かの判定が、処理が通過する実際の位置から、好ましくは20メートル以下、より好ましくは、10メートル以下、最も好ましくは5メートル以下、特に好ましくは2.5メートル以下、特により好ましくは1メートル以下、特に最も好ましくは0.5メートル以下、特に0.25メートル以下の距離にある2次元地理的位置において、処理が通過する位置ごとに好ましくは実行されることを意味する。
【0051】
本発明の第4の態様は、農地において少なくとも1つの作物の種子製品を適用し、且つ/又は少なくとも1つの作物に作物栄養製品を適用するためのシステムに関する。システムは、遠隔感知デバイス、上記及び下記で説明される決定支援システム並びに上記及び下記で説明される少なくとも1つの処理デバイスを含む。遠隔感知デバイスは、農地の遠隔感知データを収集するように構成される。決定支援システムは、農地の収集された遠隔感知データに基づいて、処理するか否かを決定し、且つ好ましくは、農地内の複数の位置の各々について適用される種子製品及び/又は作物栄養製品の量を決定するように構成される。少なくとも1つの処理デバイスは、決定に従うように決定支援システムによって制御されるように構成される。
【0052】
システムは、有利には、ミッションプランニングから、農地の遠隔農地データの取得、土壌及び植生パラメータの取り出し、複数の位置についての収穫応答の予測、正の収益が予期される領域の位置特定、種子製品及び/又は作物栄養製品の精密な適用を実施することにわたる、種子製品及び/又は作物栄養製品の適用を可能にし得る。このように、種子製品及び/又は作物栄養製品の消費がより少ない、投資に対するより良好な収益が達成され得る。したがって、種子製品及び/又は作物栄養製品の消費がより少ない、より高い作物の収穫が達成され得る。
【0053】
本発明の例示的実施形態は、下記の図面を参照して以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本開示の例示的実施形態による方法の概略図を示す。
【
図2】本開示の例示的実施形態による農地の概略図を示す。
【
図3】本開示の例示的実施形態による決定支援システムの概略図を示す。
【
図4】本開示の例示的実施形態による処理デバイスの概略図を示す。
【
図5】本開示の例示的実施形態によるシステムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、農地10において種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するためのコンピュータ実施方法の実施形態のブロック図を示す。農地10の例が
図2に示されている。ステップS10において、農地における種子製品及び/又は作物栄養製品の適用前に農地の遠隔感知データが収集され得る。遠隔感知データは、衛星、ドローン又はレーダプラットフォームを使用して収集され得る。遠隔感知データを収集するために、ドローンは、可視光、IR、NIR及び/又は熱センサを備え得る。別の例では、レーダ光線の受動的又は能動的な遠隔感知は、遠隔感知データを収集するために使用され得る。
【0056】
ステップS20において、農地内の複数の位置における少なくとも1つの土壌パラメータは、収集された遠隔感知データに基づいて判定される。例えば、
図2に示されるように、農地10は、等サイズの正方形12a、12b、12cの長方形アレイの形態で複数のグリッドに分割される。少なくとも1つの土壌パラメータは、複数の場所、例えば複数の正方形12a、12b、12cにおいて判定され得る。
【0057】
土壌パラメータは、例えば、pH、電気伝導率、土性、水分、温度、土壌有機物、可給態窒素、リン及び/又はカリウムを含み得る。土壌パラメータは、複数の方法によって判定され得る。例えば、土壌に反射されるレーダ光線のパッシブ又は能動的な遠隔感知は、例えば、3~10cmの表面水分の近く及び土壌及び作物の表面温度を推定するために使用され得る。別の例では、ドローンは、土壌の熱シグネチャを検出するためのIRカメラを備え得、それにより土壌の熱及び水分の変化を示すマップを取得することが可能となる。
【0058】
好ましくは、少なくとも1つの土壌パラメータは、土壌水分を含み得る。好ましくは、土壌水分は、種子製品及び/又は作物栄養製品の適用前に、日数での時間枠内において部分農地分解能で測定され得る。種子製品及び/又は作物栄養製品は、季節後半の干ばつストレスに対する作物の反応及びメモリに影響を及ぼし得る(緑化効果)。土壌水分含有量は、植物が、どの程度の水分及び熱ストレスを受けているかを示す。土壌水分は、好ましくは、約100mの部分農地分解能で測定される。
【0059】
好ましくは、少なくとも1つの土壌パラメータは、土壌表面温度を含み得る。好ましくは、土壌表面温度は、特定の期間中、特に冬季中、例えば2月及び3月に測定され得る。冬季の条件は、前の季節からの胞子の生存率を定義し、より多くの胞子が冬季を生き延びた場合により良い収穫応答につながる。胞子生存率は、冬季中の土壌水分及び地面温度と相関するとされている。加えて又は代わりに、土壌表面温度は、気象予報データによって予測され得る。このように、季節中の測定を実行することは、必須ではない。
【0060】
ステップS30において、複数の位置の各々について、少なくとも1つの判定された土壌パラメータ及び予測モデルに基づいて、少なくとも1つの作物についての種子製品及び/又は作物栄養製品の適用に対する予測収穫応答が生成される。予測モデルは、少なくとも1つの土壌パラメータの複数の異なる値並びに種子製品及び/又は作物栄養製品の適用下における少なくとも1つの作物についての関連する収穫応答を含むサンプルセットに基づいてパラメータ化又は訓練される。例えば、
図2に示されるように、各正方形12a、12b、12cに対して予測収穫応答が計算され得る。模様のない正方形12aは、負の予測収穫応答を有する位置を示し得る。模様付き正方形12bは、低い正の値の予測収穫応答を有する位置を示し得る。模様付き正方形12cは、基準値を超える正の値の予測収穫応答を有する位置を示し得る。
【0061】
換言すると、土壌パラメータの以前のデータ及び現在の測定値が収穫予想に供給され得る。一例では、収穫予測モデルは、機械学習モデルである。機械学習アルゴリズムは、タスクを実行するために明示的にプログラムされることなく、少なくとも1つの判定された土壌パラメータに基づいて予測又は決定を行うために、農地試験から訓練データの数学的モデルを構築する。別の例では、収穫予測モデルは、予測収穫応答を少なくとも1つの判定された土壌パラメータと相関させるための数式を含む。
【0062】
ステップS40において、農地内の複数の位置の各々について、予測収穫応答に基づいて、処理するか否かが決定される。決定に従うように少なくとも1つの処理デバイスを作動させるために使用可能である、決定を示す情報が出力される。例えば、ある位置における正の予測収穫応答は、その位置が処理される価値があることを示し得る。一方、ある位置における負の予測収穫応答は、その位置が処理される価値がないことを示し得る。例えば、
図2に示されるように、模様付き正方形12b及び12cは、正の収穫応答を有し、したがって処理される価値があり得る。一方、模様のない正方形12aは、負の収穫応答を有し、したがって処理される価値がない場合がある。
【0063】
任意選択のステップS41において、予測収穫応答に基づいて、処理が、i)少なくとも1つの作物の成長を低下させるか、ii)少なくとも1つの作物の成長に影響を及ぼさないか、又はiii)少なくとも1つの作物の成長を向上させるかが評価される。例えば、
図2に示されるように、模様付き正方形12b及び12cは、正の収穫応答を有し、したがって少なくとも1つの作物の成長を向上させる。一方、模様のない正方形12aは、負の収穫応答を有し、したがって少なくとも1つの作物の成長を低下させ得る。
【0064】
任意選択のステップS42において、複数の位置の各々について、予測収穫応答が正の基準値を超えるかが判定される。上述の通り、模様付き正方形12b及び12cは、正の収穫応答を有し、したがって少なくとも1つの作物の成長を向上させる。しかしながら、模様付き正方形12bは、低い正の値の予測収穫応答を有する位置を示している。換言すると、これらの位置に対して正の収穫応答が見られ得るが、投資に対する正の収益は、比較的低い。したがって、種子製品及び/又は作物栄養製品をこれらの位置に適用することが妥当ではない場合がある。一方、模様付き正方形12cは、基準値を超える正の値の予測収穫応答を有する位置を示している。したがって、これらの位置に対しては、投資に対するより多くの正の収益が見られ得る。模様付き正方形12cで示される位置に種子製品及び/又は作物栄養製品を適用することは、妥当であり得る。
【0065】
任意選択のステップS43において、複数の位置の各々について、判定結果に基づいて、処理するか否かが決定される。したがって、模様付き正方形12cで示される位置に種子製品及び/又は作物栄養製品が適用される。
【0066】
任意選択のステップS50において、少なくとも1つの処理デバイスは、出力された情報に基づいて、決定に従うように制御される。少なくとも1つの処理デバイスは、肥料などの化学薬品を噴霧する航空機など、一般的な噴霧機又は農薬散布機を含み得る。例えば、少なくとも1つの処理デバイスは、模様付き正方形12cで示される位置のみにおいて種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するように制御され得る。
【0067】
決定に従うように少なくとも1つの処理デバイスを制御することは、複数の位置の各々について、処理する価値があるか否かの決定を示す適用マップの生成及び少なくとも1つの処理デバイスへの適用マップの配信に基づいて行われ得る。例えば、
図2に示されるように、農地10内の各正方形12a、12b、12cは、GPS座標で与えられ得る。正方形12a、12b、12c及び対応するGPS座標は、適用マップを形成し得、適用マップは、所望の位置、例えば模様付き正方形12cで示される位置において種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するために、GPSでガイドされる地上ロボット又はGPSでガイドされる空中噴霧機をガイドし得る。代わりに又は加えて、少なくとも1つの処理デバイス上に組み込まれたアルゴリズムは、少なくとも1つの処理デバイスが通過する位置に対してリアルタイムで実行され得、それにより少なくとも1つの処理デバイスが決定に従うように制御される。
【0068】
任意選択で、農地内の複数の位置における少なくとも1つの土壌パラメータを判定することS20は、収集された遠隔感知データに基づいて、好ましくは部分農地レベルの分解能で測定された少なくとも1つの植生パラメータを判定するステップS21をさらに含む。植生パラメータは、SPI、VOD、NDVI及び/又はEVIを含み得る。植生パラメータは、光学遠隔感知技術を用いて収集された画像データ内の作物及び土壌のスペクトルシグネチャを分析することによって取得され得る。種子製品及び/又は作物栄養製品の適用に対する予測収穫応答を生成することS30は、複数の位置の各々について、少なくとも1つの判定された土壌パラメータ、少なくとも1つの植生パラメータ及び予測モデルに基づいて、少なくとも1つの作物についての種子製品及び/又は作物栄養製品の適用に対する予測収穫応答を生成するステップS31をさらに含む。予測モデルは、少なくとも1つの土壌パラメータの複数の異なる値、少なくとも1つの植生パラメータの異なる値並びに種子製品及び/又は作物栄養製品の適用下における少なくとも1つの作物についての関連する収穫応答を含むサンプルセットに基づいてパラメータ化又は訓練される。換言すると、追加パラメータ、即ち少なくとも1つの植生パラメータは、機械学習モデル又は数式などの予測モデルに対するさらなるパラメータ入力として提供され得る。この追加パラメータは、種子製品及び/又は作物栄養製品の適用に対する収穫応答予測の精度を上昇させ得る。
【0069】
任意選択で、複数の位置の各々について、処理するか否かを決定することS40は、複数の位置の各々に対して適用される種子製品及び/又は作物栄養製品の量を決定するステップS44をさらに含む。種子製品及び/又は作物栄養製品の量は、複数の位置の各々における以下の因子:葉面積指数、バイオマス及びストレスレベルの少なくとも1つに基づいて決定される。例えば、バイオマスゾーンが低いほど、より低い量の種子製品及び/又は作物栄養製品が適用され得る。例えば、これらの因子に対して非線形の収穫応答が仮定される場合、より低い量の種子製品及び/又は作物栄養製品は、より低いストレスゾーンに適用され得、より高い量は、より高いストレスゾーンに適用され得る。
【0070】
図3は、農地において種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するように処理デバイスを制御するための決定支援システム100の実施形態を概略的に示す。コンピュータシステムの形態の決定支援システム100の例が
図2に示されている。決定支援システム100は、農業従事者によって収集される多くの異なる農場からの遠隔感知データのアップロード及び管理を容易にするために、例えばインターネットを介して遠隔サービスを提供する遠隔サーバであり得る。遠隔サーバは、ユーザ(例えば、農業従事者)が遠隔感知データ及び関連情報を管理し得るインターフェースを含み得る。例えば、決定支援システム100は、遠隔感知データ及び関連する決定の管理を容易にするために、決定支援システムによって供給されるウェブページでユーザとインターフェースし得る。関連する決定は、例えば、処理される1つ又は複数の対象領域、これらの領域に適用される種子製品及び/又は作物栄養製品の最適量などを含み得る。関連する決定は、構成データの一部であり得、構成データは、1つ又は複数の処理デバイスが対象領域に対する処理を行うことを可能にするために、例えばネットワークを介して農場の1つ又は複数の処理デバイス上にロードされ得る。代わりに、決定支援システム100は、パーソナルコンピュータ(PC)などのローカルコンピューティングデバイスであり得る。
【0071】
決定支援システム100は、データインターフェース110、パラメータ判定ユニット120、収穫予測ユニット130、決定ユニット140、制御ユニット150及び処理制御インターフェース160を含む。
【0072】
データインターフェース110は、衛星、レーダ又はドローンプラットフォームを用いて収集された遠隔データを受信するのに適したセキュアデジタル(SD)メモリカードインターフェース、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェース、Bluetoothインターフェース、無線ネットワークインターフェースなどであり得る。遠隔感知データは、レーダ画像データ又は光学画像データを含み得る。遠隔感知データは、対象領域への処理デバイスのガイドを提供するように適合されたGPSデータも含み得る。
【0073】
パラメータ判定ユニット120は、データインターフェースから受信された遠隔感知データに基づいて、農地内の複数の位置における少なくとも1つの土壌パラメータを判定するように構成される。少なくとも1つの土壌パラメータは、土壌温度及び/又は土壌水分を含み得る。土壌水分取得のための多様な遠隔感知技術は、それらの異なる電磁スペクトルに基づいて使用され得る。一例では、レーダ光線のアクティブな遠隔感知が使用される場合、土壌水分又は土壌表面温度は、後方散乱係数及び誘電性に基づいて遠隔感知データから判定され得る。別の例では、可視センサが使用される場合、土壌水分及び土壌表面温度は、土壌アルベド屈折率に基づいて遠隔感知データから判定され得る。さらなる例では、熱赤外線センサが使用される場合、土壌水分は、土壌表面温度を測定することによって遠隔感知データから判定され得る。
【0074】
任意選択で、パラメータ判定ユニット120は、受信された遠隔感知データから、好ましくは部分農地レベルの分解能で測定されたSPI、VOD、NDVI及び/又はEVIなどの少なくとも1つの植生パラメータを判定するようにさらに構成される。
【0075】
収穫応答ユニット130は、複数の位置の各々において、少なくとも1つの判定された土壌パラメータ及び予測モデルに基づいて、少なくとも1つの作物についての種子製品及び/又は作物栄養製品の適用に対する予測収穫応答を生成するように構成される。予測モデルは、少なくとも1つの土壌パラメータの複数の異なる値並びに種子製品及び/又は作物栄養製品の適用下における少なくとも1つの作物についての関連する収穫応答を含むサンプルセットに基づいてパラメータ化又は訓練される。一例では、収穫予測モデルは、農地試験からの訓練データを用いた機械学習モデルである。別の例では、収穫予測モデルは、予測収穫応答を少なくとも1つの土壌パラメータと相関させるための数式である。任意選択で、収穫予測ユニット130は、複数の位置の各々において、少なくとも1つの判定された土壌パラメータ、少なくとも1つの判定された植生パラメータ及び予測モデルに基づいて、少なくとも1つの作物についての種子製品及び/又は作物栄養製品の適用に対する予測収穫応答を生成するように構成される。予測モデルは、少なくとも1つの土壌パラメータの複数の異なる値、少なくとも1つの植生パラメータの異なる値並びに種子製品及び/又は作物栄養製品の適用下における少なくとも1つの作物についての関連する収穫応答を含むサンプルセットに基づいてパラメータ化又は訓練される。
【0076】
決定ユニット140は、農地内の複数の位置の各々について、予測収穫応答に基づいて、処理するか否かを決定するように構成される。任意選択で、決定ユニット450は、複数の位置の各々について適用される種子製品及び/又は作物栄養製品の量を決定するようにさらに構成される。
【0077】
制御ユニット150は、決定を示す処理制御信号を生成し、且つ処理制御インターフェース160に処理制御信号を出力するように構成され、処理制御信号は、送信されると、決定に従うように少なくとも1つの処理デバイスを作動させる。
【0078】
したがって、パラメータ判定ユニット120、収穫応答ユニット130、決定ユニット140及び制御ユニット150は、単体又は組み合わせの汎用処理ユニット、グラフィック処理ユニット(GPU)、マイクロコントローラ及び/又はマイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)並びに均等な回路の一部であり得るか又はそれらを含み得る。さらに、上述のユニットは、当業者に既知の揮発性又は不揮発性記憶装置、ディスプレイインターフェース、通信インターフェースなどに接続され得る。
【0079】
図4は、農地において種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するための処理デバイス200の実施形態を概略的に示す。処理デバイス200は、処理制御インターフェース260、処理制御ユニット210及び処理ユニット221、222、223、224の1つ又は複数を有する処理配列220を含む。
【0080】
処理デバイス200は、例えば、可変速度アプリケータを有する地上ロボット、空中噴霧機又は他の可変速度播種機及び/若しくは可変速度施肥機であり得る。処理デバイス200は、一般的な噴霧機でもあり得る。
図2には、農薬散布機の形態の処理デバイス200の例が示されている。処理配列220は、処理ユニット221、222、223、224として複数のノズルを含むノズル配列であり得る。
【0081】
処理デバイスの処理制御インターフェース260は、
図3で説明される決定支援システム100の処理制御インターフェース160に接続可能である。これは、無線で行われ得、したがって決定支援システム100を介して処理デバイス200の遠隔制御を可能にする。処理制御インターフェース260は、複数の位置の各々について、処理するか否かの決定を示す処理制御信号を受信するように構成される。任意選択で、決定は、複数の位置の各々に対して適用される量を含み得る。
【0082】
処理制御ユニット210は、受信された処理制御信号に基づいて、それぞれの位置に種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するために、処理配列220の処理ユニット221、222、223、224のそれぞれを調整するように構成される。任意選択で、処理制御ユニット210は、処理制御信号に基づいて、前記処理デバイスが通過する位置について、処理制御デバイス上に組み込まれたアルゴリズムをリアルタイムで実行するように構成される。
【0083】
図5は、農地において種子製品及び/又は作物栄養製品を適用するためのシステム300の実施形態を概略的に示す。システムは、遠隔感知デバイス50、上記で説明された決定支援システム100及び上記で説明された少なくとも1つの処理デバイス200を含む。遠隔感知デバイス50、決定支援システム100及び少なくとも1つの処理デバイス200は、ネットワークに関連付けられ得る。例えば、ネットワークは、インターネットであり得る。代わりに、ネットワークは、任意の他の種類及び任意の他の数のネットワークであり得る。例えば、ネットワークは、ワイドエリアネットワークに接続されたいくつかのローカルエリアネットワークによって実施され得る。ネットワークは、有線ネットワーク、無線ネットワーク、ワイドエリアネットワーク、ローカルエリアネットワークなどの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実装形態では、決定支援システム100は、農場の管理を容易にするためにウェブサービスを提供するサーバであり得る。ユーザ(例えば、農業従事者)は、自らの農場においてドローンで遠隔感知データを収集し得る。ユーザは、遠隔感知データを、例えばネットワークを介してさらなる分析のために決定支援システム100にアップロードし得る。決定支援システム100は、決定に従うようにこれらの処理デバイスを作動させるための、処理デバイスの構成情報を含む処理制御信号を出力し得る。
【0084】
遠隔感知デバイス50は、農地の遠隔感知データを収集するように構成される。遠隔感知デバイス50は、例えば、衛星、レーダ又はドローンであり得る。
図2には、衛星の形態の遠隔感知デバイス50の例が示されている。光学遠隔感知は、例えば、可視光、IR、NIR又はマルチスペクトルのセンサを利用して、地上の目標物から反射される太陽放射線を検出することによって農地の表面の画像を形成するように行われ得る。アクティブ及びパッシブの両方の衛星センサ又はマイクロ波で動作するレーダは、農地の表面の遠隔感知モニタリングのためのものである。
【0085】
決定支援システム100は、農地の収集された遠隔感知データに基づいて、処理するか否かを決定し、且つ好ましくは、農地内の複数の位置の各々について適用される種子製品及び/又は作物栄養製品の量を決定するように構成される。
【0086】
処理デバイス200は、決定に従うように決定支援システムによって制御されるように構成される。
【0087】
本発明の実施形態は、異なる主題に関連して説明されることに留意されたい。特に、いくつかの実施形態は、方法タイプの請求項に関連して説明され、他の実施形態は、デバイスタイプの請求項に関連して説明される。しかしながら、特段の通知がない限り、ある種類の主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関連する特徴間の任意の組み合わせも本出願で開示されると考えられることを上記及び下記の説明から当業者は推察するであろう。しかしながら、全ての特徴は、特徴の単純な総和よりも多くの相乗効果をもたらして組み合わされ得る。
【0088】
本発明は、図面及び前述の説明に詳細に図示され、説明されているが、そのような図示及び説明は、限定ではなく、図示又は例示と考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形形態は、図面、本開示及び従属項の検討から、特許請求される発明を実施する際に当業者によって理解及び実行され得る。
【0089】
請求項において、「含む」という単語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数形を除外するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項に記載されたいくつかの品目の機能を満たし得る。特定の措置が、相互に異なる従属項に記載されているという単なる事実は、これらの措置の組み合わせが役立つように使用できないことを示すものではない。特許請求の範囲におけるいかなる参照記号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0090】
10 農地
12a 農地内の位置
12b 農地内の位置
12c 農地内の位置
50 遠隔感知デバイス
100 決定支援システム
110 データインターフェース
120 パラメータ判定ユニット
130 収穫予測ユニット
140 決定ユニット
150 制御ユニット
160 処理制御インターフェース
200 処理デバイス
210 処理制御
220 処理配列
221 処理ユニット
222 処理ユニット
223 処理ユニット
224 処理ユニット
260 処理制御インターフェース
300 システム
S10 遠隔感知データを収集する
S20 少なくとも1つの土壌パラメータを判定する
S21 少なくとも1つの植生パラメータを判定する
S30 予測収穫応答を生成する
S31 予測収穫応答を生成する
S40 処理するかを決定する
S41 処理が成長を低下させるか、成長に影響を及ぼさないか、又は成長を向上させるかを評価する
S42 予測収穫応答が正の基準値を超えるかを判定する
S43 処理するかを決定する
S44 量を決定する
S50 少なくとも1つの処理デバイスを制御する
【国際調査報告】