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特表2024-501820塩化ビニリデンの連続調製システムおよび方法
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  • 特表-塩化ビニリデンの連続調製システムおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】塩化ビニリデンの連続調製システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/25 20060101AFI20240109BHJP
   C07C 21/08 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
C07C17/25
C07C21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538078
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 CN2021141197
(87)【国際公開番号】W WO2022135562
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】202011563992.0
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523231314
【氏名又は名称】チェーチャン チュイチョウ ジュス ケミカル インダストリー カンパニー リミッテッド
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG QUZHOU JUSU CHEMICAL INDUSTRY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 2, Eastern Part of No.25 Block, Sino-Russian Sci-Tech Cooperation Park, Zhejiang Quzhou High-Tech Industrial Park, Zhejiang, China
(71)【出願人】
【識別番号】512077859
【氏名又は名称】北京化工大学
【氏名又は名称原語表記】BEIJING UNIVERSITY OF CHEMICAL TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】15 Beisanhuan East Road,Chaoyang District,Beijing,100029,P.R.China
(71)【出願人】
【識別番号】523231325
【氏名又は名称】ジューホワ グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JUHUA GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 2001, Building 2, Fanhai International Center, Jianggan District, Hangzhou, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン リャンリャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ リヤン
(72)【発明者】
【氏名】チュウ グアンウェン
(72)【発明者】
【氏名】リン ジンユアン
(72)【発明者】
【氏名】トン ジホン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ジアンフェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン イートン
(72)【発明者】
【氏名】ウー ジーガン
(72)【発明者】
【氏名】ユイ ユンフェイ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AA04
4H006AC13
4H006BD81
4H006BD84
4H006BE10
4H006BE11
4H006BE14
4H006EA03
(57)【要約】
本発明は、塩化ビニリデンの連続調製システムおよび方法を提供し、本発明は、2段の超重力反応器を通じてカップリングを行い、水蒸気スチームストリッピング方により生成物の塩化ビニリデンと水蒸気を共沸物状態で反応系から留去する。この方法で得られた生成物は純度が高く、同時にスチームストリッピングと超重力との連携により、トリクロロエタンとアルカリ水溶液が急速に混合されて物質移動が起こり、生成物の塩化ビニリデンを共沸物の形で反応系から急速に留去し(水蒸気の急速拡散に基づく)、反応が塩化ビニリデンを生成する方向に連続して進み、変換率が著しく向上する。試験装置の結果から分かるように、本発明は塩化ビニリデン製品の純度を98%(質量分率)に安定させ、塩素化塩廃液のTOC値を100mg/L以下に低減させ、原料消費およびその後の塩含有廃液の処理コストを低減することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体入口がトリクロロエタンおよびアルカリ水溶液のインレット配管に接続され、ガス入口が水蒸気配管に接続された第1の超重力反応器と、
入口が前記第1の超重力反応器の液体出口に接続され、ガス入口が前記第1の超重力反応器のガス出口に接続され、第1の分岐配管を介して外部の製品貯蔵タンクに接続された反応釜と、
液体出口が前記反応釜の液体入口に接続され、ガス入口が前記反応釜のガス出口に接続された第2の超重力反応器と、
前記第2の超重力反応器のガス出口およびガス入口とともに凝縮ループを形成する凝縮循環配管と、
を備えることを特徴とする、塩化ビニリデンの連続調製システム。
【請求項2】
前記反応釜は第2の分岐配管を介して前記第1の超重力反応器の液体入口に接続され、前記連続調製システムは、
前記第1の分岐配管に設けられた第1のバルブと、
前記第2の分岐配管に設けられた第2のバルブと
をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の連続調製システム。
【請求項3】
前記第1のバルブおよび/または前記第2のバルブに結合され、対応のバルブの開閉度を制御するためのバルブコントローラをさらに備えることを特徴とする、請求項2に記載の連続調製システム。
【請求項4】
トリクロロエタンおよびアルカリ水溶液のインレット配管での流量を検出するための検出器と、
前記流量に基づいて前記対応のバルブの開閉度を決定するためのプロセッサと
をさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載の連続調製システム。
【請求項5】
前記第1の超重力反応器と前記第2の超重力反応器は回転充填床であることを特徴とする、請求項1に記載の連続調製システム。
【請求項6】
前記回転充填床内にオレオフォビックフィラーが設けられることを特徴とする、請求項5に記載の連続調製システム。
【請求項7】
前記オレオフォビックフィラーに、それを貫通する微細穴が形成されることを特徴とする、請求項6に記載の連続調製システム。
【請求項8】
前記微細穴はマイクロナノスケールであることを特徴とする、請求項1に記載の連続調製システム。
【請求項9】
前記第1の超重力反応器のガス入口は、前記第1の超重力反応器の側壁に位置し、前記フィラーの内部に向かって設けられることを特徴とする、請求項1に記載の連続調製システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の連続調製システムを用いて塩化ビニリデンを調製することを含む、塩化ビニリデンの連続調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化ビニリデンの調製分野に関し、より具体的に、塩化ビニリデンの連続調製システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニリデンは重要な重合性モノマーとして、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂やPVDCエマルジョンを生産するための主要モノマーであり、クロロフルオロカーボン代替品生産の重要な中間体であり、医薬や燃料産業でも重要な役割を果たし、幅広い用途がある。そのポリマーは、繊維、変性樹脂、塗料、接着剤、耐火塗料、食品および化学品包装材料に使用することができる。現在、中国では主に1,1,2-トリクロロエタン液相鹸化法を使用しているが、既存の1,1,2-トリクロロエタン鹸化反応工程は後進的で、機器の生産能力が低く、エネルギー消費量が高く、VDC純度が低く、副産物のクロロアセチレンを生成しやすい。クロロアセチレンは非常に不安定で、分解、自然発火、濃度蓄積、さらに爆発しやすく、生産の安全性に一定の脅威が引き起こされる。したがって、塩化ビニリデンの調製のための連続反応システムを改善し、装置の生産能力を高め、生産プロセスの安全性を確保する必要がある。
【0003】
1,1,2-トリクロロエタンを連続的に反応させて塩化ビニリデンを調製する場合、鹸化は使用する塩基によって水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウムに分かれる。このうち、水酸化カルシウム法は、安価でクロロアセチレンの発生が少なく、比較的安全な反応であることから広く用いられており、その反応式は次の通りである。
【0004】
【化1】
【0005】
1,1,2-トリクロロエタンは水酸化カルシウムと反応して塩化ビニリデンを生成する同時に、副反応が起こってクロロアセチレン、シス1,2-ジクロロエチレンおよびトランス1,2-ジクロロエチレンを生成する。反応プロセスが以下のとおりである。
【0006】
【化2】
【0007】
現在の主な工業生産プロセスは、1,1,2-トリクロロエタンと水酸化カルシウム溶液を大型の攪拌釜で反応させ、その後多段蒸留塔で軽重成分を分離して塩化ビニル精製品および副産物である塩化カルシウム溶液を得るというものである。例えば、中国特許CN200310122646.9では、多段式攪拌釜を用いて直列に塩化ビニリデンを調製し、高い転化率を達成する方法が報告されている。中国特許CN201780050736.1では、多段式インペラを備えた攪拌釜を用いて、反応の反応性を向上させる反応装置が報告されている。しかし、これらの方法はいずれも、例えば副産物の含有量が高く、変換率が低く、CaCl廃液中の全有機炭素(TOC)値が高いなどの問題があり、業界では良好な解決方法がないのが実情である。
【発明の概要】
【0008】
上記問題の少なくとも1つを解決するために、本発明の一側面は、下記を備える、塩化ビニリデンの連続調製システムを提供し、
液体入口がトリクロロエタンおよびアルカリ水溶液のインレット配管に接続され、ガス入口が水蒸気配管に接続された第1の超重力反応器と、
入口が前記第1の超重力反応器の液体出口に接続され、ガス入口が前記第1の超重力反応器のガス出口に接続され、前記反応釜は第1の分岐配管を介して外部の製品貯蔵タンクに接続された反応釜と、
液体出口が前記反応釜の液体入口に接続され、ガス入口が前記反応釜のガス出口に接続された第2の超重力反応器と、
前記第2の超重力反応器のガス出口およびガス入口とともに凝縮ループを形成する凝縮循環配管と、を備える。
【0009】
好ましい実施例では、前記反応釜は第2の分岐配管を介して前記第1の超重力反応器の液体入口に接続され、前記連続調製システムは、
前記第1の分岐配管に設けられた第1のバルブと、
前記第2の分岐配管に設けられた第2のバルブと、をさらに備える。
【0010】
好ましい実施例では、
前記第1のバルブおよび/または前記第2のバルブに結合され、対応のバルブの開閉度を制御するためのバルブコントローラをさらに備える。
【0011】
好ましい実施例では、
トリクロロエタンおよびアルカリ水溶液のインレット配管での流量を検出するための検出器と、
前記流量に基づいて前記対応のバルブの開閉度を決定するためのプロセッサと、をさらに備える。
【0012】
好ましい実施例では、前記第1の超重力反応器と前記第2の超重力反応器は回転充填床である。
【0013】
好ましい実施例では、前記回転充填床内にオレオフォビックフィラーが設けられる。
【0014】
好ましい実施例では、前記オレオフォビックフィラーに、それを貫通する微細穴が形成される。
【0015】
好ましい実施例では、前記微細穴はマイクロナノスケールである。
【0016】
好ましい実施例では、前記第1の超重力反応器のガス入口は、前記第1の超重力反応器の側壁に位置し、前記フィラーの内部に向かって設けられる。
【0017】
本発明は、塩化ビニリデンの連続調製方法をさらに提供し、前記連続調製方法は、上記に記載の連続調製システムを用いて塩化ビニリデンを調製することを含む。
【0018】
本発明は以下の有益な効果を有する。
本発明は、塩化ビニリデンの連続調製システムおよび方法を提供し、本発明は2段の超重力反応器を通じてカップリングを行い、水蒸気スチームストリッピング法により生成物の塩化ビニリデンと水蒸気を共沸物状態で反応系から留去する。この方法で得られた生成物の純度は高く、水蒸気は外部の水蒸気源によって補充される一方、反応サイクルによって再利用されて水蒸気サイクルを形成し、ひいては、大量の水蒸気を必要とせず、水蒸気の量を確保することができる、さらに、本発明の反応系における共沸物特性に対して、共沸物と多段超重力反応器を組み合わせて使用することにより、共沸物の気相移動と液相移動の効率を大幅に向上させ、ひいては反応全体の変換率を高めると同時にスチームストリッピングと超重力の協力により、トリクロロエタンとアルカリ水溶液が急速に混合されて物質移動が起こり、生成物の塩化ビニリデンが共沸物の形で反応系から急速に留去され(水蒸気の急速拡散に基づく)、反応が塩化ビニリデンを生成する方向に連続的に進み、変換率が大幅に向上した。試験装置の結果から分かるように、本発明は、塩化ビニリデン製品の純度を98%(質量分率)以上に安定させ、塩素化塩廃液TOC値を100mg/L以下に低下させ、材料消費量とその後の塩含有廃液の処理コストを低減することができる。
【0019】
本発明の実施形態または先行技術における技術的解決策をより明確に説明するために、以下、実施形態または先行技術の説明において使用される必要のある図面を簡単に説明するが、明らかに、以下で説明される図面は本発明のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をすることなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る塩化ビニリデンの連続調製システムの構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態の図面を参照しながら、本発明の実施形態における技術的解決策を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明される実施形態は本発明の一部の実施形態に過ぎず、すべての実施形態ではない。本発明の実施形態に基づいて、当業者は創造的な労働をすることなく得られた他の実施形態は、すべて本発明の保護範囲に含まれる。
【0022】
本発明の発明者らの研究によると、現在主流の塩化ビニリデン調製工程は、トリクロロエタンと水酸化カルシウム溶液を大型攪拌釜で反応させ、その後、多段蒸留塔で蒸留して軽質成分と重質成分を分離し、塩化ビニリデン精製品及び副生塩化カルシウム溶液を得る。しかし、現在、製品変換率が低い、多重副反応に弱いなどの欠点も多く、業界にはこれらの問題に対する良い解決策はまだなく、業界の研究者もこれらの欠陥の原因を知らないため、研究の進展が滞っているのが現状であることが分かった。
【0023】
本発明者が実験的に調査した結果、上記欠陥の原因は、攪拌釜の気液混合が悪く、油相と水相の接触が不十分で、水酸化カルシウムが非常に付着しやすく、釜内の圧力損失が大きく、製品の移送が間に合わず、変換率が低く、装置の閉塞を起こしやすく、油相と水相の混合効果が悪く、局所的にアルカリ過多になり、反応時間が長く、複数の副作用が発生しやすくなるからだと考えられる。
【0024】
具体的に以下の通りであり:
(1)反応効率が悪く、反応時間が長い。1,1,2-トリクロロエタンと水酸化カルシウムの懸濁液は完全に不溶性であり、1,1,2-トリクロロエタンは典型的な有機物の油相液体であり、水酸化カルシウムは水にわずかに溶け、水中で水相懸濁液を呈する。従来の攪拌釜反応釜では、有機物は大きな油滴の形で凝集し、あるいは直接成層しているが、水に溶解していない水酸化カルシウムの一部は反応釜内で吸着核としても機能し、油滴は水酸化カルシウム微核の表面に凝集して包接される。由有機物と水溶液の混合効果が低いため、2つの反応物の実際の接触面積が小さく、反応速度が低く、反応時間が長くなる。調査によると、現在主流のプロセスでは、反応時間が10時間と長い。
【0025】
(2)分離効果が低く、蒸気消費量が多い。現在の産業は蒸留で製品を精製しているが、従来の攪拌釜反応器出口ガスには生成物の含有量が低く、副産物が多く、その後の蒸留と分離に多くのエネルギーを消費している。また、前記特許で使用されているケトル反応器では、塩化ビニルの分離のための気液接触面積が小さいため、塩化ビニルの気相への気化速度が遅く、分離が悪く、蒸気の使用量が多い。
【0026】
(3)撹拌釜は大型で、エネルギー消費量が多く、投資額が大きい。単一の攪拌釜の使用は理想的ではなく、前記特許に記載されているような多段のタンデム攪拌釜の使用は、反応効率を向上させることができるが、反応装置のサイズを大幅に増加させ、エネルギー消費量を増加させ、投資額を増加させることがある。
【0027】
(4)副産物の含有量が多い。従来の攪拌釜を使用して反応させた場合、油相の1,1,2-トリクロロエタンと釜内の水相の水酸化カルシウム懸濁液との接触が不十分でアルカリ濃度の分布が不均一になり、分離効果が低いため生成した塩化ビニルを反応系から時間内に分離できず、塩化ビニルがアルカリとさらに反応してクロロアセチレンとなる。同時に1,1,2-トリクロロエタンも同時に反応させ、シス-1,2-ジクロロエチレンとトランス-1,2-ジクロロエチレンを生成させる。反応時間が長いほど、上記クロロアセチレン、シス-1,2-ジクロロエチレンおよびトランス-1,2-ジクロロエチレンの累積量は多くなる。また、従来の攪拌釜では分離効果が悪く、反応時間が長いため、生成物の塩化ビニリデンが自己重合してポリ塩化ビニリデンとなりやすい。
【0028】
(5)CaCl廃液中の全有機炭素(TOC)値が高い。従来の攪拌釜では、混合・分離が不十分なため、反応物であるトリクロロエタンの反応が不完全で、生成した塩化ビニルの抽出が間に合わず、アルカリ水溶液とともにクロロアセチレンを生成するため、CaCl廃液中のTOC値が高く、その後の廃液処理のコストが高くなる。調査によると、現在主流のプロセスから出るCaCl廃液中のTOC値が約150mg/Lである。
【0029】
これらに鑑み、本発明は新しい連続調製システムを提供し、図1に示すように、
液体入口がトリクロロエタン1およびアルカリ水溶液2のインレット配管に接続され、ガス入口が水蒸気配管に接続された第1の超重力反応器8と、
入口が前記第1の超重力反応器8の液体出口に接続され、ガス入口が前記第1の超重力反応器8のガス出口に接続され、第1の分岐配管を介して外部の製品貯蔵タンク15に接続された反応釜9と、
液体出口が前記反応釜9の液体入口に接続され、ガス入口が前記反応釜9のガス出口に接続された第2の超重力反応器10と、
前記第2の超重力反応器10のガス出口およびガス入口とともに凝縮ループ(例えば凝縮ループに凝縮器12が含まれる)を形成する凝縮循環配管と、を備える。
【0030】
本発明は2段の超重力反応器を通じてカップリングを行い、水蒸気スチームストリッピング方により生成物の塩化ビニリデンと水蒸気を共沸物状態で反応系から留去し、この方法で得られた生成物の純度が高く、水蒸気は外部の水蒸気源によって補充される一方、反応サイクルによって再利用して水蒸気サイクルを形成し、ひいては、大量の水蒸気を必要とせず、水蒸気の量を確保することができる。さらに、本発明の反応系における共沸物特性に対して、共沸物と多段超重力反応器を組み合わせて使用することにより、共沸物の気相移動と液相移動の効率を大幅に向上させ、ひいては反応全体の変換率を高めると同時にスチームストリッピングと超重力の協力により、トリクロロエタンとアルカリ水溶液が急速に混合されて物質移動が起こり、生成物の塩化ビニリデンが共沸物の形で反応系から急速に留去され(水蒸気の急速拡散に基づく)、反応が塩化ビニリデンを生成する方向に連続的に進み、変換率が大幅に向上した。試験装置の結果から分かるように、本発明は、塩化ビニリデン製品の純度を98%(質量分率)以上に安定させ、塩素化塩廃液TOC値を100mg/L以下に低下させ、材料消費量とその後の塩含有廃液の処理コストを低減することができる。
【0031】
理解できるように、システム自体が必要とする水蒸気をガスストリッピング用のガスとして再利用することにより、一方では装置のコストを増加させず、配管の改造のみで済み、他方ではガスストリッピングを利用して共沸物の形で生成物を迅速に排出し、これにより生成物を迅速に移送できるので、反応が塩化ビニリデンを生成する方向に常時進み、変換率が著しく向上することが革新的に用いられている。
【0032】
図1に示されていない実施例では、前記反応釜は第2の分岐配管を介して前記第1の超重力反応器の液体入口に接続され、本発明は、
前記第1の分岐配管に設けられた第1のバルブと、
前記第2の分岐配管に設けられた第2のバルブと、をさらに備える。
【0033】
本実施例では、第1のバルブと第2のバルブの制御により、第1の超重力反応器に戻る流量と製品貯蔵タンクの流量を調整することができ、さらに反応系制御の反応バランスを制御して、全体の反応変換率を向上させることができる。
【0034】
さらに、いくつかの実施例では、
前記第1のバルブおよび/または前記第2のバルブに結合され、対応のバルブの開閉度を制御するためのバルブコントローラをさらに備える。
【0035】
本実施例では、バルブコントローラによってバルブ開閉度を自動的に制御でき、手動による制御を不要とする。
【0036】
さらに、本発明は、
トリクロロエタンおよびアルカリ水溶液のインレット配管での流量を検出するための検出器と、
前記流量に基づいて前記対応のバルブの開閉度を決定するためのプロセッサと、をさらに備える。
【0037】
この実施例では、検出器により原料入口の流量を検出し、さらにこの流量のフィードバックに応じてバルブ開閉度を調整し、すなわちこの実施例の調整は全体流量に基づく制御であり、絞られて自動的かつ動的に調整することができる。
【0038】
さらに、本発明の実施例では、凝縮循環配管は複数の凝縮器を含んでもよいが、本発明では詳細に説明しない。
【0039】
さらに、本発明では、超重力反応器を選択的に使用し、前記第1の超重力反応器と前記第2の超重力反応器は回転充填床である。
【0040】
この実施例では、水蒸気のスチームストリッピングについて、回転充填床の充填材を物質移動・混合に用いることで、全体の分散効果やガス抽出効果を大きく高め、液体反応にはローター・ステータを用いることで、液体の衝突面積が大きくなり液相反応の効率も高めることができる。
【0041】
さらに、本発明では、目詰まりを起こりにくくするために、前記第1の超重力反応器は回転充填床であり、前記回転充填床内にオレオフォビックフィラーが設けられる。
【0042】
理解できるように、典型的なプロセス強化技術である超重力技術は、小さな装置フットプリント、短い滞留時間、高い物質移動効率および高速で効率的な反応を特徴とするため、強化された物質移動、熱移動およびマイクロミキシングのための様々な工業プロセスで成功に適用されて優れた結果が達成される。
【0043】
本発明では、超重力技術とスチームストリッピング技術を組み合わせて、塩化ビニリデンの調製プロセスに適用し、第1の超重力反応器内で、アルカリ水溶液とトリクロロエタンが完全に混合され、急速に反応し、同時に水蒸気の作用下で、反応系は完全に乱流となり、質量移動と熱交換が効率的に行われる。そして生成物の塩化ビニリデンと水蒸気が共沸物状態で反応系から留去され、水蒸気が第1の超重力反応器内に通され反応によって生成した塩化ビニリデンを急速に運び、反応は塩化ビニリデン生成に有利な方向に進み、副反応の発生を大きく抑制することができる。生成物の系内滞留時間が大幅に短縮されるため、生成物の自己重合という問題が効果的に解決される。
【0044】
以下、図1を例にとって、本発明の連続調製システムを詳細に説明する。図1に示すように、連続反応により塩化ビニリデンを調製するプロセスシステムを提供し、第1の超重力反応器(8)、攪拌釜(9)、第2の超重力反応器(10)、凝縮器(12)、第1貯蔵タンク(3)、第2貯蔵タンク(4)、調整タンク(15)、循環ポンプ(11)、第1ポンプ(5)、第2ポンプ(6)を備え、第1貯蔵タンク(3)と第2貯蔵タンク(4)はそれぞれ第1ポンプ(5)および第2ポンプ(6)を介して第1の超重力反応器(8)の液体入口に接続され、第1の超重力反応器(8)の液体出口は攪拌釜(9)の液体入口に接続され、攪拌釜(9)の液体出口は循環ポンプ入口(11)に接続され、循環ポンプ出口(11)は第1の超重力反応器(8)の液体入口に接続され、循環ポンプ出口(11)と第1の超重力反応器(8)の液体入口間にバイパスが設けられ、バイパスは循環ポンプ出口を調整タンク(15)の液体入口に接続させ、調整タンク(15)の液体出口は副産物出口(16)に接続され、中和剤入口(14)は調整タンク(15)の液体入口に接続され、水蒸気入口(7)は第1の超重力反応器(8)のガス入口に接続され、第1の超重力反応器ガス(8)の出口は攪拌釜(9)のガス入口に接続され、攪拌釜ガス(9)の出口は第2の超重力反応器(10)のガス入口に接続され、第2の超重力反応器(10)のガス出口は凝縮器(12)の入口に接続され、凝縮器(12)の出口は製品出口(13)に接続され、凝縮器(12)の出口と製品出口(13)間にバイパスが設けられ、バイパスは凝縮器(12)の出口を第2の超重力反応器(10)の液体入口に接続させる。
【0045】
上記プロセスシステムに対応するプロセス方法は、具体的に、反応材料液が第1の超重力反応器で微小な液滴、エマルジョンに粉砕され、反応器内で急速に混合され、第2の超重力反応器内で、ガス化の粗生成物と還流凝縮物は完全に接触して、急速な熱交換と物質移動により、軽重成分の分離が効率的に行われ、より具体的に、主に以下のステップを含む。
【0046】
a.原料1,1,2-トリクロロエタンとアルカリ水溶液を一定比率で第1の超重力反応器内に連続的に加え、十分に混合して急速に反応させ、同時に水蒸気を第1の超重力反応器に連続的に通して反応材料液と熱交換する。
【0047】
b.第1の超重力反応器内の材料液内の生成物の塩化ビニリデンと反応されていない一部のトリクロロエタンは熱によって気化し、水蒸気によって第1の超重力反応器の頂部から運び出され、その後攪拌釜の底部から攪拌釜に流入し、第1の超重力反応器内の残りの材料液は反応器の底部から流出した後、攪拌釜の頂部から攪拌釜に流入する。
【0048】
c.上記の第1の超重力反応器から排出されたガスと液体は攪拌釜内で向流接触し、質量移動と熱交換が十分に行われ、に含まれるトリクロロエタンの大部分は液相に洗浄され、液中に溶解した塩化ビニルの大部分は気相に気化され、接触後のガスが攪拌釜の頂部から排出され、液体が攪拌釜の底部から排出される。
【0049】
d.上記の攪拌釜底部から排出された液体(主に副産物の塩素化塩と反応されていないトリクロロエタンおよびアルカリの混合溶液)を一定比率で2つの流れに分かれ、一方は循環液として、循環ポンプで第1の超重力反応器に戻り、他方は副産物の塩素化塩の溶液として塩酸で中和されて抽出される。
【0050】
e.上記の攪拌釜頂部から排出されたガス(主に水蒸気と気化した塩化ビニリデンおよび少量のトリクロロエタン)は第2の超重力反応器に通され、第2の超重力反応器内で還流凝縮液と十分に接触して混合し、再結合した成分は第2の超重力反応器の還流液体の冷却によって液化し、第2の超重力反応器の底部から排出され、循環液として上記の攪拌釜に通され、軽成分は気化状態で第2の超重力反応器の頂部から排出される。
【0051】
f.上記の第2の超重力反応器頂部から排出された軽成分ガスは凝縮器を経って製品塩化ビニリデンの液体となり、その後、この液体は一定比率で2つの流れに分かれ、一方は循環液として第2の超重力反応器に通され、上記の還流凝縮液として使用し、他方は塩化ビニリデン製品として抽出される。
【0052】
具体的に、第1の超重力反応器内の超重力場レベルは30~1500gであり、好ましくは50~300gである。第1の超重力反応器内の反応温度は50~100℃である。前記アルカリ水溶液は、水酸化カルシウム溶液、水酸化ナトリウム溶液、アンモニア水またはそれらの混合液を含むが、これらに限定されなく、1,1,2-トリクロロエタンとアルカリ水溶液のフィードモル比は1.1~2:1であり、好ましくは1.1~1.7:1である。第1の超重力反応器内に連続的に通される水蒸気の量は110~160Kg/(t VDC)である。反応中、体系の真空度を60~100Kpa、好ましくは70~90Kpaに制御する。攪拌釜底部から排出された液体分成の循環液と抽出液の流量比は2~10:1であり、好ましくは4~8:1である。第2の超重力反応器の頂部から排出された軽成分ガスは凝縮器を経って得られた製品塩化ビニリデンの液体分成の循環液と製品抽出液の流量比は3~4:1である。
【0053】
理解できるように、本発明は、超重力装置と水蒸気スチームストリッピングを組み合わせる方法により、以下の詳細な効果を有する。
【0054】
(1)本発明の第1の超重力反応器は、油相と水相の二つの反応液を素早く混合して微小な液滴とエマルジョンに分解し、これを十分に接触させることができ、水酸化カルシウム懸濁液としてアルカリ液が用いられる場合にパイプラインが閉塞することを有効に防止できる一方、超重力充填材の連続剪断を通じて、水酸化カルシウム粒子を包むオイルビーズの破砕・破壊により反応体原材料としての水酸化カルシウムを十分に分離でき、水と接触して急速に溶解し続け、反応を促進し、本発明の第2の超重力反応器は、気体と液体の接触・分離を効果的に促進することができ、高純度の塩化ビニリデン生成物を得ることができる。第1および第2の超重力反応器は効率的に結合され、塩化ビニルの調製のための連続反応の過程で良好な結果を達成することができる。
【0055】
(2)反応効率が向上し、反応時間が短縮される。本発明のシステムは反応・分離・精製を統合し、第1の超重力反応器で1,1,2-トリクロロエタン溶液と水酸化カルシウム溶液を急速かつ均一に混合および反応させ、その攪拌釜に入ってさらに分離および精製した後、2段超重力反応器で気液二相接触・分離が起こり高純度の塩化ビニルが得られる。その結果、本発明に属するシステム及び方法を採用することにより、反応速度を大幅に向上させることができ、反応時間は、保守的に考えて、従来の攪拌釜の場合と比較して3倍以上短縮され、後段での生産能力の向上に資することができる。
【0056】
(3)副反応の発生を抑制し、副産物の含有量を低減する。本発明の第1および第2の超重力反応器は、反応速度および分離速度の大幅な向上と、反応時間の大幅な短縮を達成することができる。上記のいくつかの副反応の反応速度が遅いので、反応時間が短縮され、副産物の発生を効果的に抑制することができる同時に、アルカリ濃度が比較的均一に分布するので、従来の攪拌釜ではアルカリ濃度が局所的に高いために生成物の塩化ビニリデンが過剰反応してクロロアセチレンとなることを有効に回避することができる。同時に、水蒸気を第1の超重力反応器に導入して、生成した塩化ビニリデンを速やかに運び出し、塩化ビニリデンの生成に有利な方向で反応が進行するので、副反応の発生を大きく抑制できる。また、生成物の系内での滞留時間が大幅に短縮されるため、生成物の自己重合の問題も有効に解決される。
【0057】
(4)塩化ビニルの純度を向上させる。本発明のシステムは反応・分離・精製を統合し、本発明の第2の超重力反応器は、気相と液相の完全な逆接触分離精製を達成することができ、凝縮後の液相を第2の超重力反応釜に一部戻し、さらに塩化ビニリデンを精製する目的を達成し、2段超重力反応器の出口液相を1段超重力反応器に戻して反応させるので、塩化ビニリデンの精製効果をより良く達成する。本発明は、塩化ビニリデン製品の純度を98%(質量分率)以上に安定させることができる。
【0058】
(5)蒸気消費量を低減できる。本発明のシステムは反応・分離・精製を統合し、従来の攪拌釜反応器に比べ、第1の超重力反応器で水蒸気スチームストリッピング工程を行うことにより、連続向流により多段プレートの効果を得ることができ、充填材の作用により、液体の破壊が激しく、気液接触面積が大幅に増加するので、水蒸気分離効果が大幅に向上し、蒸気使用量を削減することができる。第1の超重力反応器を経った水蒸気は、気化した塩化ビニルと少量のトリクロロエタンを第2の超重力反応器に巻き込み、流れに逆らって還流凝縮液と接触し、充填材の作用により、液体の破砕が激しく、気液接触面積が大きく増加し、液体中の軽成分が気化し、ガス中の重成分が凝縮され、その後ガスと液体が急速に分離して高純度の塩化ビニリデン製品を得る。2段の超重力反応器では、水蒸気の熱エネルギーと運動エネルギーが十分に利用される。
【0059】
(6)装置の小型化、消費エネルギーの低減、投資額の削減を達成する。本発明のシステムは反応・分離・精製を統合し、従来のシングル攪拌釜反応釜や多段タンデム攪拌釜反応器に比べ、装置の総体積を3倍以上削減することができる。同時に、本発明の効率的な分離効果により、従来の攪拌釜反応器に比べ、製品単位あたりの総合エネルギー消費量が約2倍削減される。
【0060】
(7)塩素化塩廃液TOC(mg/L)値を低減することができる。本発明のシステムは反応・分離・精製を統合し、本発明の第1の超重力反応器は、2液相の完全混合反応を実現できるため、トリクロロエタンが完全に反応し、本発明の2段超重力反応器は、塩化ビニリデンの精製と1,1,2-トリクロロエタンのさらなる還流反応を実現することができる。これにより、1,1,2-トリクロロエタン変換率を大幅に向上させるとともに、副産物の含有量を著しく低減でき、塩素化塩廃液TOC値を100mg/L以下に減少し、原料消費量およびその後の塩の廃液処理コストを削減することができる。
【0061】
以下、具体的なシナリオケースを用いて本発明を例示的に説明する。
【0062】
シナリオケース1
本発明は、連続反応により塩化ビニリデンを調製するシステムであって、1,1,2-トリクロロエタンと水酸化カルシウム溶液フィードモル比(α)は1.4:1であり、反応温度(T)は80℃であり、第1の超重力反応器の超重力レベル(G)は200gであり、第2の超重力反応器の超重力レベル(G)は200gであり、反応真空度(P)は90Kpaである。攪拌釜底の流出液が分かれて得た循環液と抽出液の流量比(β)は5:1であり、凝縮器出口液体が買われて得た還流凝縮液と抽出製品液の流量比(γ)は4:1であり、試験合計時間(t)は150minであり、得られた変換率は99.95%であり、VDC選択性は99.1%であり、VDC純度は98.5%であり、水蒸気用量(Q)は130Kg/(t VDC)であり、CaCl廃液中のTOC値は98mg/Lである。
【0063】
実施例2~16:プロセスの流れおよびステップは実施例1と同じであり、各実施例のプロセス条件、操作条件および対応の実験結果は表1に詳細に示され、表のヘッダーに記載された文字は実施例1と同じ意味である。
【0064】
【表1】
【0065】
すべての実施例では、実施例1~7は、本発明が主張するプロセスパラメータの範囲内である。実施例の結果から分かるように、本発明は、反応効率の向上、反応時間の短縮、装置の小型化を実現する同時に、副反応発生を抑制し、副産物の含有量を低減し、塩化ビニリデンの純度を向上させ、水蒸気消費量を低減し、CaCl廃液TOC値を低減することができる。
【0066】
すべての実施例では、実施例8~16の一部のプロセス操作パラメータは、本発明が主張するプロセスパラメータ範囲から外れ、実施例の結果から分かるように、本発明が主張するプロセス操作パラメータ範囲から外れると、反応の変換率、選択性および製品純度が低下し、廃液中の有機物の含有量が増加し、または等価技術レベルの場合水蒸気の消費量が増加することにつながる。
【0067】
さらに、本発明は、塩化ビニリデンの連続調製方法をさらに提供し、前記連続調製方法は、上記に記載の連続調製システムを用いて塩化ビニリデンを調製することを含む。
【0068】
本発明は塩化ビニリデンの連続調製方法を提供し、本発明は2段の超重力反応器を通じてカップリングし、水蒸気スチームストリッピング方により生成物の塩化ビニリデンと水蒸気を共沸物状態で反応系から留去し、この方法で得られた生成物の純度が高く、水蒸気は外部の水蒸気源によって補充される一方、反応サイクルによって再利用して水蒸気サイクルを形成し、ひいては、大量の水蒸気を必要とせず、水蒸気の量を確保することができ、さらに、本発明の反応系における共沸物特性に対して、共沸物と多段超重力反応器を組み合わせて使用することにより、共沸物の気相移動と液相移動の効率を大幅に向上させ、ひいては反応全体の変換率を高め、同時にスチームストリッピングと超重力の協力により、トリクロロエタンとアルカリ水溶液が急速に混合されて物質移動が起こり、生成物の塩化ビニリデンが共沸物の形で反応系から急速に留去され(水蒸気の急速拡散に基づく)、反応が塩化ビニリデンを生成する方向に連続的に進み、変換率が大幅に向上し升、試験装置の結果から分かるように、本発明は、塩化ビニリデン製品の純度を98%(質量分率)以上に安定させ、塩素化塩廃液TOC値を100mg/L以下に低下させ、材料消費量とその後の塩含有廃液の処理コストを低減することができる。
【0069】
本明細書の各実施形態は、各実施形態間の同一・類似部分を相互に参照し、各実施形態は他の実施形態との相違点に着目して順次説明される。特に、システムの実施形態について、基本的に方法の実施形態と類似しているため、説明を簡略化し、関連する部分は方法の実施形態の部分の説明を参照すればよい。
【0070】
本明細書の説明において、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「例示」、「具体的な例示」、または「いくつかの例示」などの用語は、この実施形態または例示の具体的な特徴、構造、材料または特性が本明細書の実施形態の少なくとも1つの実施形態または例示に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語の模式的表現は必ずしも同一の実施形態または例示を指す必要がない。
【0071】
さらに、互いに矛盾しない限り、当業者は本明細書で説明された異なる実施形態または例示および異なる実施形態または例示の特徴を組み合わせることができる。以上は本明細書の実施形態の例を詳細に説明したが、本明細書の実施形態はここに限定されない。当業者は、本明細書の実施形態に対して様々な変更および変形を加えることが可能である。本明細書の実施形態の精神および原理で行われた変更、等価置換、改良などは、すべて本明細書の実施形態の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0072】
1 トリクロロエタン溶液入口
2 水酸化カルシウム溶液入口
3 第1貯蔵タンク
4 第2貯蔵タンク
5 第1ポンプ
6 第2ポンプ
7 水蒸気入口
8 第1の超重力反応器
9 攪拌釜反応器
10 第2の超重力反応器
11 循環ポンプ
12 凝縮器
13 製品塩化ビニリデン出口
14 中和剤の塩酸入口
15 調整タンク
16 塩素化塩廃液出口
図1
【国際調査報告】