(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】不揮発性メモリシステムにおいてシステムデータを記憶及び検索するための改良されたアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
G11C 29/00 20060101AFI20240109BHJP
G11C 16/26 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G11C29/00 410
G11C16/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539289
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 US2021025009
(87)【国際公開番号】W WO2022146465
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500147506
【氏名又は名称】シリコン ストーリッジ テクノロージー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICON STORAGE TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ、シアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チュンミン
(72)【発明者】
【氏名】ドー、ナン
(72)【発明者】
【氏名】トラン、ヒュー バン
【テーマコード(参考)】
5B225
5L206
【Fターム(参考)】
5B225BA03
5B225BA06
5B225CA21
5B225CA28
5B225DA09
5B225DE08
5L206BB14
(57)【要約】
不揮発性メモリシステムにおいてシステムデータを記憶及び検索するための改良されたアーキテクチャの多数の実施形態が開示される。これらの実施形態を使用すると、システムデータは、先行技術の不揮発性メモリシステムにおいて破損を引き起こしていた電荷損失、電荷再分配、攪乱効果、及び他の現象に起因して破損する可能性がはるかに低くなる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリシステムであって、
複数の行及び複数の列に配置された不揮発性メモリセルのアレイと、
読み出し動作中に、前記アレイの第1の列内の第1の不揮発性メモリセルから電流を受け取って、前記第1の不揮発性メモリセルに記憶された第1の値を示し、前記アレイの第2の列内の第2の不揮発性メモリセルから電流を受け取って、前記第2の不揮発性メモリセルに記憶された第2の値を示すように構成されたセンス増幅器と、
前記センス増幅器から、前記示された第1の値及び前記示された第2の値を受信し、前記示された第1の値及び前記示された第2の値に基づいてデータビット出力を生成するための論理回路と、を備える、不揮発性メモリシステム。
【請求項2】
前記第1の不揮発性メモリセル及び前記第2の不揮発性メモリセルは、前記アレイ内の同じ行にある、請求項1に記載の不揮発性メモリシステム。
【請求項3】
前記論理回路は、前記データビット出力を生成するために、前記第1の示された値及び前記第2の示された値に対してAND演算を実行する、請求項2に記載の不揮発性メモリシステム。
【請求項4】
前記論理回路は、前記データビット出力を生成するために、前記第1の示された値及び前記第2の示された値に対してOR演算を実行する、請求項2に記載の不揮発性メモリシステム。
【請求項5】
前記第1の不揮発性メモリセル及び前記第2の不揮発性メモリセルは、前記アレイ内の異なる行にある、請求項1に記載の不揮発性メモリシステム。
【請求項6】
前記論理回路は、前記データビット出力を生成するために、前記第1の示された値及び前記第2の示された値に対してAND演算を実行する、請求項5に記載の不揮発性メモリシステム。
【請求項7】
前記論理回路は、前記データビット出力を生成するために、前記第1の示された値及び前記第2の示された値に対してOR演算を実行する、請求項5に記載の不揮発性メモリシステム。
【請求項8】
不揮発性メモリシステムであって、
複数の行及び複数の列に配置された不揮発性メモリセルのアレイと、
読み出し動作中に、前記アレイの選択された列内の第1の不揮発性メモリセル及び第2の不揮発性メモリセルから合成電流を受け取り、前記合成電流に基づく値を示すデータビット出力を生成するように構成されたセンス増幅器と、を備える、不揮発性メモリシステム。
【請求項9】
不揮発性メモリシステムであって、
複数の行及び複数の列に配置された不揮発性メモリセルのアレイであって、各行は、前記不揮発性メモリセルのワードと、前記ワードから計算された誤り訂正符号データと、を備える、不揮発性メモリセルのアレイと、
読み出し動作中に、前記アレイから電流を受け取り、ワード及び前記ワードの誤り訂正符号データを出力するように構成されたセンス増幅器と、
前記ワードの前記誤り訂正符号データを使用して前記ワード内の1つ以上の誤りを訂正するための誤り訂正符号エンジンと、を備える、不揮発性メモリシステム。
【請求項10】
ワードの前記誤り訂正符号データは、ハミング符号を使用して生成される、請求項9に記載の不揮発性メモリシステム。
【請求項11】
ワードの前記誤り訂正符号データは、多数決アルゴリズムを使用して生成される、請求項9に記載の不揮発性メモリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2020年12月29日に出願された「Architectures for Storing and Retrieving System Data in a Non-Volatile Memory System」と題する米国特許仮出願第63/131,624号、及び2021年3月11日に出願された「Architectures for Storing and Retrieving System Data in a Non-Volatile Memory System」と題する米国特許出願第17/199,383号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
不揮発性メモリシステムにおいてシステムデータを記憶及び検索するための改良されたアーキテクチャの多数の実施形態が開示される。
【背景技術】
【0003】
不揮発性メモリシステムは、先行技術において周知である。
図1は、先行技術の不揮発性メモリシステム100を示す。不揮発性メモリシステム100は、アレイ101、行デコーダ102、列デコーダ103、及びセンス増幅器104を備える。アレイ101は、行及び列に配置された不揮発性メモリセルのアレイを備える。行デコーダ102は、アレイ101内の不揮発性メモリセルの各行に結合され、典型的には、受信された行アドレスに応答して、読み出し、消去、又はプログラム動作のために1つ以上の行を有効にする。列デコーダ103は、アレイ101内の不揮発性メモリセルの各列に結合され、典型的には、受信された列アドレスに応答して、読み出し、消去、又はプログラム動作のために1つ以上の列を有効にする。不揮発性メモリセルがフラッシュメモリセルである場合、行デコーダ102は、典型的には、セルの各行のワード線に結合され、列デコーダ103は、典型的には、セルの各列のビット線に結合される。センス増幅器104は、選択された1つ又は複数のセルに記憶された値を検知するために、読み出し動作中に使用される。
【0004】
不揮発性メモリセルの様々な設計が先行技術において知られている。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,029,130号(「’130号特許」)は、フラッシュメモリセルの一種である、スプリットゲート不揮発性メモリセルのアレイを開示する。このようなメモリセル210を
図2に示す。各メモリセル210は、半導体基板12内に形成されたソース領域14及びドレイン領域16を含み、ソース領域14とドレイン領域16との間にはチャネル領域18がある。浮遊ゲート20は、チャネル領域18の第1の部分の上方に絶縁されて形成され(並びに、チャネル領域18の第1の部分の導電性を制御して)、ソース領域14の一部分の上方にかけて形成される。ワード線端子22(典型的には、ワード線に結合される)は、チャネル領域18の第2の部分の上方に絶縁されて配設される、(並びに、チャネル領域18の第2の部分の導電性を制御する)第1の部分と、浮遊ゲート20の上方で上に延在する第2の部分と、を有する。浮遊ゲート20及びワード線端子22は、ゲート酸化物によって基板12から絶縁される。ビット線24はドレイン領域16に結合される。
【0005】
メモリセル210は、基板領域12に対してワード線端子22に高い正電圧を加えることによって消去され(この場合、電子は浮遊ゲートから除去される)、これにより、浮遊ゲート20上の電子は、ファウラーノルドハイム(Fowler-Nordheim)トンネリングを介して、中間絶縁体を通って浮遊ゲート20からワード線端子22までトンネリングする。
【0006】
メモリセル210は、ワード線端子22に正電圧、及びソース領域14に正電圧を加えることによってプログラムされる(電子が浮遊ゲートに供給される)。電子は、ドレイン領域16からソース領域14に向かって流れる。電子は、ワード線端子22と浮遊ゲート20との間のギャップの下のチャネル領域18、及び浮遊ゲート20の下のチャネル領域18とを通って移動するときに加速され、加熱される。熱せられた電子の一部は、浮遊ゲート20からの静電引力と、上記引力によって生じる酸化物エネルギー障壁の減少に起因して、ゲート酸化物を通って浮遊ゲート20に注入されることになる。
【0007】
メモリセル210は、ソース領域14に対して、正の読み出し電圧をドレイン領域16及びワード線端子22に加える(ワード線端子の下方のチャネル領域18の部分をオンにする)ことによって読み出される。浮遊ゲート20が正に帯電する(すなわち、電子が消去される)場合、浮遊ゲート20の下のチャネル領域18の部分も同様にオンになり、電流はチャネル領域18を横切ってソース領域14に流れ、これが、消去された状態、すなわち、「1」の状態として検知される。浮遊ゲート20が負に帯電する(すなわち、電子でプログラムされる)場合、浮遊ゲート20の下のチャネル領域の部分はほとんど又は完全にオフになり、電流はチャネル領域18を通ってソース領域14に流れない(又はほとんど流れない)ことになり、これが、プログラムされた状態、すなわち、「0」の状態として検知される。
【0008】
表1は、読み出し、消去、及びプログラム動作を実行するためにメモリセル210の端子に印加することができる典型的な電圧/電流範囲を示す。
表1:
図3のフラッシュメモリセル210の動作
【表1】
【0009】
他の種類のフラッシュメモリセルとして、他のスプリットゲート型メモリセル構成も知られている。例えば、
図3は、ソース領域14と、ドレイン領域16と、チャネル領域18の第1の部分の上方にある浮遊ゲート20と、チャネル領域18の第2の部分の上方にある選択ゲート22(典型的には、ワード線、WL、に結合される)と、浮遊ゲート20の上方にある制御ゲート28と、ソース領域14の上方にある消去ゲート30と、を含む4ゲートメモリセル310を示す。この構成は、米国特許第7,868,375号に記載されており、当該特許は、参照により全ての目的のために本明細書に組み込まれる。ここで、全てのゲートは、浮遊ゲート20を除いて、非浮遊ゲートであり、つまり、それらは電圧源に電気的に接続される又は接続可能である。プログラミングは、熱せられた電子がチャネル領域18から浮遊ゲート20にその電子自体を注入することによって実行される。消去は、電子が浮遊ゲート20から消去ゲート30へトンネリングすることによって実行される。
【0010】
表2は、読み出し、消去、及びプログラム動作を実行するためにメモリセル310の端子に印加することができる典型的な電圧/電流範囲を示す。
表2:
図3のフラッシュメモリセル310の動作
【表2】
【0011】
図4は、別のタイプのフラッシュメモリセルである、3ゲートメモリセル410を示す。メモリセル410は、メモリセル410が別個の制御ゲートを有しないことを除いて、
図3のメモリセル310と同一である。消去動作(それによって、消去は消去ゲートの使用を通じて生じる)及び読み出し動作は、制御ゲートバイアスが印加されないことを除いて、
図3の動作と同様である。プログラミング動作もまた、制御ゲートバイアスなしで行われるため、結果として、プログラム動作中は、制御ゲートバイアスの不足を補償するため、より高い電圧がソース線に印加されなければならない。
【0012】
表3は、読み出し、消去、及びプログラム動作を実行するためにメモリセル410の端子に印加することができる典型的な電圧/電流範囲を示す。
表3:
図4のフラッシュメモリセル410の動作
【表3】
【0013】
本明細書に記載される方法及び手段は、限定されないが、FINFETスプリットゲートフラッシュ又はスタックゲートフラッシュメモリ、NANDフラッシュ、SONOS(ケイ素-酸化物-窒化物-酸化物-ケイ素、窒化物中の電荷トラップ)、MONOS(金属-酸化物-窒化物-酸化物-ケイ素、窒化物中の金属電荷トラップ)、ReRAM(抵抗変化型メモリ)、PCM(相変化メモリ)、MRAM(磁気抵抗メモリ)、FeRAM(強誘電体メモリ)、CT(電荷トラップ)メモリ、CN(カーボンナノチューブ)メモリ、OTP(バイレベル又はマルチレベルの1回のみのプログラムが可能)及びCeRAM(強相関電子メモリ)などの他の不揮発性メモリ技術に適用され得る。
【0014】
図5を参照すると、先行技術の不揮発性メモリシステム100は、アレイ101内に保護領域501を作り出し、維持することがある。次いで、保護領域501を使用して、構成データ、トリムデータ、ヒューズ、及び本明細書では「システムデータ」又は「システムビット」と称される、不揮発性メモリシステム100の動作に不可欠な他のタイプのデータを記憶することができる。ユーザデータは保護領域501に記憶されることはなく、任意選択的に、保護領域501は、不揮発性メモリシステム100の外部のソースから開始される読み出し、消去、及びプログラム動作のためにアクセス可能ではない。
【0015】
保護領域501に記憶されるデータは不揮発性メモリシステム100の正確な機能にとって重要であるため、保護領域501に記憶されるデータは、電荷損失、電荷移動、読み出し攪乱、放射線誘起ソフトエラー、及びセルのごく一部の読み出し電流/電圧の変化を引き起こす他のメカニズムなどの低確率データ損失イベントからの追加の保護を必要とする。
【0016】
1つの先行技術の手法は、保護領域501内の各システムビットを2つの不揮発性メモリセル内に冗長方式で記憶することである。1つの手法では、2つのセルからの読み出し電流を合計し、基準値と比較して、記憶された値を判定することができる。
【0017】
しかしながら、冗長性があっても、いくつかの不揮発性メモリセル設計では、不揮発性メモリセルにおける電荷損失、電荷再分配、攪乱、又は他の物理的変化が、不揮発性メモリセルのアーキテクチャに応じて、セルを主に「1」状態から「0」状態に、又は「0」状態から「1」状態に反転させることになる。
【0018】
これは、システムビットを破損する可能性がある。例えば、2つの不揮発性メモリセルのうちの1つが「0」状態から「1」状態に反転する場合、総読み出し電流は基準電流を超え、検知されたデータは「0」から「1」に反転することになる。
【0019】
必要とされているのは、重要なシステムデータを不揮発性メモリアレイに記憶するための実施形態であり、それにより、システムデータは、限定されないが、読出し電流又は電圧の変化を引き起こす不揮発性メモリセルにおける電荷損失、電荷再分配、攪乱効果、又は他の物理的変化から破損される可能性が低くなる。
【発明の概要】
【0020】
不揮発性メモリシステムにおいてシステムデータを記憶及び検索するための改良されたアーキテクチャの多数の実施形態が開示される。これらの実施形態を使用すると、システムデータは、電荷損失、電荷再分配、攪乱効果、及び先行技術の不揮発性メモリシステムにおいてデータ破損を引き起こした他の現象に起因して破損する可能性がはるかに低くなる。
【0021】
一実施形態では、不揮発性メモリシステムは、複数の行及び複数の列に配置された不揮発性メモリセルのアレイと、読み出し動作中に、アレイの第1の列内の第1の不揮発性メモリセルから電流を受け取って、第1の不揮発性メモリセルに記憶された第1の値を示し、アレイの第2の列内の第2の不揮発性メモリセルから電流を受け取って、第2の不揮発性メモリセルに記憶された第2の値を示すように構成されたセンス増幅器と、センス増幅器から、第1の値及び第2の値を受信し、第1の値及び第2の値に基づいてデータビット出力を生成するための論理回路と、を備える。
【0022】
別の実施形態では、不揮発性メモリシステムは、複数の行及び複数の列に配置された不揮発性メモリセルのアレイと、読み出し動作中に、アレイの選択された列内の第1の不揮発性メモリセル及び第2の不揮発性メモリセルから合成電流を受け取り、合成電流に基づく値を示すデータビット出力を生成するように構成されたセンス増幅器と、を備える。
【0023】
別の実施形態では、不揮発性メモリシステムは、複数の行及び複数の列に配置された不揮発性メモリセルのアレイを備え、各行は、不揮発性メモリセルのワードと、ワードから計算された誤り訂正符号データと、を備える。不揮発性メモリシステムはさらに、読み出し動作中に、アレイから電流を受け取り、ワード及びワードの誤り訂正符号データを出力するように構成されたセンス増幅器と、ワードの誤り訂正符号データを使用してワード内の1つ以上の誤りを訂正するための誤り訂正符号エンジンと、を備える。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図2】先行技術のスプリットゲートフラッシュメモリセルを示す。
【
図3】別の先行技術のスプリットゲートフラッシュメモリセルを示す。
【
図4】別の先行技術のスプリットゲートフラッシュメモリセルを示す。
【
図5】保護領域を有する先行技術の不揮発性メモリシステムを示す。
【
図6】システムデータアーキテクチャの別の実施形態を示す。
【
図7】システムデータアーキテクチャの別の実施形態を示す。
【
図8】システムデータアーキテクチャの別の実施形態を示す。
【
図9】システムデータアーキテクチャの別の実施形態を示す。
【
図10】システムデータアーキテクチャの別の実施形態を示す。
【
図11】システムデータアーキテクチャの別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図6~
図8は、不揮発性メモリ(non-volatile memory、NVM)セル設計に特に適した実施形態を示しており、NVMセルにおける電荷損失、電荷再分配、攪乱、又は他の物理的若しくは電気的変化によって、セルが「1」状態に引き寄せられ、記憶された「0」を「1」に反転させ得るが、記憶された「1」には影響を及ぼさない。
【0036】
図6は、システムデータアーキテクチャ600を示す。システムデータの各ビットは、ワード線601などの同じワード線によってアクセス可能な同じ行に、かつビット線604及び605などの異なるビット線によってアクセス可能な異なる列に位置する、セル601及び602などの2つの冗長NVMセルに書き込まれる。
【0037】
読み出し動作中、NVMセル601及び602からの電流は、それらのそれぞれの論理状態を判定するために、基準電流に対してセンス増幅器104によって同時であるが独立して検知される。センス増幅器104によって出力として2つのセルから読み出されたデータ(2つのNVMセル601、602のうちの一方に記憶された第1の値と、2つのNVMセル601、602のうちの他方に記憶された第2の値とを示す)は、ANDデバイス603(ハードウェア論理を使用して、又はコントローラ若しくはプロセッサ上で実行されるファームウェアによって実装され得る、AND機能を実行する論理デバイス)を通してルーティングされ、最終的なシステムデータ(「出力」によって示される)を生成する。
【0038】
NVMセル601及び602が最初に「0」を記憶し、いずれのセルも反転していない場合、出力は「0」になる。NVMセル601及び602が最初に「0」を記憶し、2つのNVMセル601、602のうちの一方が「0」から「1」に反転した場合、ANDデバイス603の出力が「0」になるので、出力は依然として「0」になる。両方のNVMセルが「0」から「1」に反転する確率は極めて低い。
【0039】
NVMセル601及び602が最初に1を記憶した場合、基礎となるNVMセルアーキテクチャが、漏れ又は攪乱が、「0」を「1」に反転させるが、「1」を「0」に反転させないタイプであると仮定されるので、NVMセル601及び602の両方が依然として「1」を記憶することが予想される。ビット線606及びワード線603は、完全を期すために示されている。
【0040】
図7は、システムデータアーキテクチャ700を示す。システムデータの各ビットは、2つの冗長NVMセルに書き込まれる。冗長NVMセルの各々は、任意の行及び任意の列に位置することができる。すなわち、冗長NVMセルを置くことができる場所に制限はなく、冗長NVMセルは、同じ行若しくは列又は隣接する行若しくは列に位置する必要はない。この実施例では、一対の冗長ビットが、ワード線601及びビット線604によってアクセス可能なNVMセル701と、ワード線603及びビット線606によってアクセス可能なNVMセル702とに記憶される。ビット線602及びワード線605は、完全を期すために示されている。
【0041】
読み出し動作中、NVMセル701及び702からの電流は、それらのそれぞれの論理状態を判定するために、基準電流に対してセンス増幅器104によって独立に検知される。センス増幅器104によって出力された2つのNVMセルからの読み出しデータ(2つのNVMセル701、702のうちの一方に記憶された第1の値と、2つのNVMセル701、702のうちの他方に記憶された第2の値とを示す)は、ANDデバイス603(ハードウェア論理を使用して、又はコントローラ若しくはプロセッサ上で実行されるファームウェアによって実装され得る、AND機能を実行する論理デバイス)によって処理され、最終的なシステムデータ(「出力」によって示される)を生成する。
【0042】
NVMセル701及び702が最初に「0」を記憶し、いずれのセルも反転していない場合、出力は「0」になる。NVMセル701及び702が最初に「0」を記憶し、2つのNVMセル701、702のうちの一方が「0」から「1」に反転した場合、AND演算の出力が「0」であるので、最終的なデータは依然として「0」になる。NVMセル701及び702の両方が「0」から「1」に反転する確率は極めて低い。
【0043】
NVMセル701及び702が最初に「1」を記憶した場合、基礎となるNVMセルアーキテクチャは、漏れ、攪乱、又は他の変化が「0」を「1」に反転させるが、「1」を「0」に反転させないタイプであると仮定されるので、両方が依然として「1」を記憶することが予想される。
【0044】
図8は、システムデータアーキテクチャ800を示す。システムデータの各ビットは、ビット線604などの同じビット線によってアクセス可能な同じ列に位置するが、ワード線601及び603などの異なるワード線によってアクセス可能な異なる行に位置する、NVMセル801及び802などの2つの冗長NVMセルに書き込まれる。ビット線605、606及びワード線602は、完全を期すために示されている。
【0045】
読み出し動作中、ワード線601及び603の両方が選択される。NVMセル801及び802からの読み出し電流は、共通ビット線604において結合される。合計された電流は、その論理状態を判定するために、基準電流に対してセンス増幅器104によって検知される。基準電流は、NVMセルの典型的な0状態読み出し電流と中性浮遊ゲート(floating gate、FG)読み出し電流の上限(ポリシリコンFG内の電荷蓄積を使用するNVMセルの場合、上限はアレイ内のNVMセルの中性FG読み出し電流の範囲の上限を指す)との合計よりも高いか、又は典型的な0状態読み出し電流と0状態読み出し電流移動の飽和点との合計よりも高い(他の記憶機構を使用するNVMセルの場合)、範囲内のレベルに設定される。リファレンスレベルはまた、1状態に設定された直後に読み出される1状態セルの読み出し電流の下限の2倍よりも低い。
【0046】
システムデータアーキテクチャ800に従うデバイスの生産試験スクリーニング中に、上述の範囲内の基準電流を用いた読み出しが保護領域501上で実行されて、2つのNVMセル801及び802が、最悪の場合の消去及び読み出し条件下で、組み合わされた読み出し電流が基準レベルを超えることを確実にするために十分に消去され得ることを保証し、ここで、「最悪の場合」は、技術ごとに異なり得る、特定のプロセス/温度/電圧範囲にわたる最も弱い消去及び読み出し条件である。これらの条件は、典型的には、試験中に捕捉される。
【0047】
選択されたNVMセル801及び802に記憶されたデータが「0」であり、いずれのNVMセルも反転しない場合、センス増幅器104によって出力される最終的なデータ(「出力」によって示される)は、依然として「0」である。選択されたNVMセル801及び802に記憶されたデータが「0」であり、2つのNVMセル801、802のうちの一方が「0」から「1」に反転した場合、2つのNVMセルの組み合わされた読み出し電流は、基準電流を超える前に飽和し、最終的なデータは依然としてセンス増幅器104によって「0」になる。NVMセル801、802の両方が「0」から「1」に反転する確率は極めて低い。
【0048】
NVMセル801及び802が最初に「1」を記憶した場合、基礎となるNVMセルアーキテクチャは、漏れ、攪乱、又は他の変化が「0」を「1」に反転させるが「1」を「0」に反転させないタイプであると推定されるので、NVMセル801、802の両方が依然として「1」を記憶することが予想される。
【0049】
図9~
図10は、電荷損失、電荷再分配、又は攪乱によって、セルが「0」状態に向かって引き寄せられ、記憶された「1」を「0」に反転させ得るが、記憶された「0」に影響を及ぼさないNVMセル設計に特に適した実施形態を示す。
【0050】
図9は、システムデータアーキテクチャ900を示す。システムデータの各ビットは、ワード線601などの同じワード線によってアクセス可能な同じ行に位置するが、ビット線604及び605などの異なるビット線によってアクセス可能な異なる列に位置する、セル901及び902などの2つの冗長NVMセルに書き込まれる。ビット線606及びワード線602、603は、完全を期すために示されている。
【0051】
読み出し動作中、NVMセル901及び902からの電流は、NVMセル901に記憶された第1の値及びNVM902に記憶された第2の値を判定するために、センス増幅器104によって基準電流に対して同時であるが独立して検知される。センス増幅器104によって出力された2つのNVMセルからの読み出しデータは、ORデバイス903(ハードウェア論理を用いて、又はコントローラ若しくはプロセッサ上で実行されるファームウェアによって実装され得る、OR機能を実行する論理デバイス)によって処理されて、最終的なシステムデータ(「出力」によって示される)を生成する。
【0052】
NVMセル901及び902が最初に「1」を記憶し、いずれのセルも反転していない場合、出力は「1」になる。NVMセル901及び902が最初に「1」を記憶し、2つのNVMセルのうちの一方が「1」から「0」に反転した場合、ORデバイス903の出力が「0」になるので、最終的なデータは依然として「1」になる。NVMセル901、902の両方が「1」から「0」に反転する確率は極めて低い。
【0053】
NVMセル901及び902が最初に「0」を記憶した場合、この方式は、漏れ、攪乱、又は他の変化が「1」を「0」に反転させるが「0」を反転させないNVMセルアーキテクチャにおいてのみ使用されるので、NVMセル901、902の両方が依然として「0」を記憶することが予想される。
【0054】
図10は、システムデータアーキテクチャ1000を示す。システムデータの各ビットは、2つの冗長NVMセルに書き込まれる。冗長NVMセルの各々は、任意の行及び列に位置することができる。すなわち、NVMセルを置くことができる場所に制限はなく、NVMセルは、同じ行若しくは列又は隣接する行若しくは列に位置する必要はない。
【0055】
この実施例では、一対の冗長ビットが、ワード線601及びビット線604によってアクセス可能なNVMセル1001と、ワード線603及びビット線606によってアクセス可能なNVMセル1002とに記憶される。ビット線605及びワード線602は、完全を期すために示されている。
【0056】
読み出し動作中、NVMセル1001及び1002からの電流は、NVMセル1001に記憶された第1の値及びNVMセル1002に記憶された第2の値を判定するために、センス増幅器104によって基準電流に対して独立して検知される。センス増幅器104によって出力された2つのNVMセルからの読み出しデータは、ORデバイス903(ハードウェア論理を用いて、又はコントローラ若しくはプロセッサ上で実行されるファームウェアによって実装され得る、OR機能を実行する論理デバイス)によって処理されて、最終的なシステムデータ(「出力」によって示される)を生成する。
【0057】
NVMセル1001及び1002が最初に「1」を記憶し、いずれのNVMセルも反転していない場合、出力は「1」になる。NVMセル1001及び1002が最初に「1」を記憶し、2つのNVMセルのうちの一方が「1」から「0」に反転した場合、ORデバイス903の出力が「0」になるので、最終的なデータは依然として「1」になる。NVMセル1001、1002の両方が「1」から「0」に反転する確率は極めて低い。
【0058】
NVMセル1001及び1002が最初に「0」を記憶した場合、この方式は、漏れ、攪乱、又は他の変化が「1」を「0」に反転させるが、「0」を反転させないNVMセルアーキテクチャにおいてのみ使用されるので、NVMセル1001、1002の両方が依然として「0」を記憶することが予想される。
【0059】
図11は、(1)電荷損失、電荷再分配、攪乱、又はセルに対する他の物理的変化によって、セルが「0」状態に向かって引き寄せられ、記憶された「1」を「0」に反転させ得るが、記憶された「0」には影響を及ぼさないNVMセル設計、(2)前述の変化によって、セルが「1」状態に向かって引き寄せされ、記憶された「0」を「1」に反転し得るが、記憶された「1」に影響を及ぼさないNVMセル設計、及び(3)前述の変化によって、NVMセルがいずれかの状態に向かって引き寄せられるNVMセル設計は、いくつかの記憶された「0」を「1」に反転させ得るが、いくつかの記憶された「1」を「0」に反転させ得るNVMセル設計、のいずれにも好適な実施形態を示す。
【0060】
図11は、システムデータアーキテクチャ1100を示す。ここで、ワード1101などのシステムデータの各ワードは、誤り訂正符号(error correction code、ECC)データ1102などの関連付けられた誤り訂正符号データとともに行に記憶される。各システムビットは、ワードに記憶され、冗長なしで記憶される。範囲を超えることなく、複数のワードを1行に記憶することができ、各ワードは、関連付けられた誤り訂正符号データを有する。
【0061】
ここで、ECCデータ1102は、2ビット誤り検出及び1ビット誤り訂正方式などの誤り検出及び誤り訂正を実行するために、ハミング符号、又は多数決アルゴリズム(データがN個の冗長物理セルに記憶され、記憶されたデータの値がN個のセルの過半数によって示される値であると見なされる)によって生成される符号などのECCを使用して、ワード1101について生成される。ECCデータ1102の代わりに、パリティビット方式を利用して、訂正なしの誤り検出を示すこともできる。ビット1101が読み出されると、ワード1101全体及びECCデータ1102がセンス増幅器104によって読み取られ、ECCエンジン1103に送られる。すなわち、センス増幅器104は、アレイから電流を受け取り、ワード及びそのワードの誤り訂正符号データをECCエンジン1103に出力する。ワード1101内の任意の単一ビットがいずれかの方向に反転した場合、誤りは、ECCエンジン1103によって首尾よく検出及び/又は訂正される。2ビット以上の反転の確率は極めて低い。
【0062】
一実施形態では、システムデータアーキテクチャ1100は、自動車用途のための機能安全などの信頼性を更に高めるために、各システムビットに複数のセルを使用するなど、冗長性を伴って追加的に実装される。例えば、各システムビットは、先の実施形態で記載したように、2行又は2列の2つのセルに記憶することができる。
【0063】
一実施形態では、ECCエンジン1103は、外部コントローラ又はファームウェアを使用して実装される。
【0064】
本明細書で使用される場合、「の上方に(over)」及び「に(on)」という用語は両方とも、「に直接」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)、及び「に間接的に」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されている)を包括的に含むことに留意されるべきである。同様に、「隣接した」という用語は、「直接隣接した」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)、及び「間接的に隣接した」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されている)を含み、「に取り付けられた」は、「に直接取り付けられた」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)、及び「に間接的に取り付けられた」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されている)を含み、「電気的に結合された」は、「に直接電気的に結合された」(要素を一緒に電気的に接続する中間材料又は要素がそれらの間にない)、及び「に間接的に電気的に結合された」(要素を一緒に電気的に接続する中間材料又は要素がそれらの間にある)を含む。例えば、要素を「基板の上方に」形成することは、その要素を基板に直接、中間材料/要素をそれらの間に伴わずに形成すること、及びその要素を基板に間接的に1つ以上の中間材料/要素をそれらの間に伴って形成することを含み得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
図7は、システムデータアーキテクチャ700を示す。システムデータの各ビットは、2つの冗長NVMセルに書き込まれる。冗長NVMセルの各々は、任意の行及び任意の列に位置することができる。すなわち、冗長NVMセルを置くことができる場所に制限はなく、冗長NVMセルは、同じ行若しくは列又は隣接する行若しくは列に位置する必要はない。この実施例では、一対の冗長ビットが、ワード線601及びビット線604によってアクセス可能なNVMセル701と、ワード線603及びビット線
706によってアクセス可能なNVMセル702とに記憶される。
ワード線602及び
ビット線605は、完全を期すために示されている。
【国際調査報告】