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特表2024-501848光遺伝学のためのイメージャの較正および正規化
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】光遺伝学のためのイメージャの較正および正規化
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/06 20060101AFI20240109BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
C12Q1/06
C12M1/34 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540021
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 US2021065307
(87)【国際公開番号】W WO2022146983
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】63/132,906
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516056971
【氏名又は名称】キュー-ステート バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Q-State Biosciences, Inc.
【住所又は居所原語表記】179 Sidney Street, Cambridge, Massachusetts 02139 United States
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ボルジャ, ガブリエル ベニート
(72)【発明者】
【氏名】ネイグル, スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ワーリー, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ルー, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】バーネット, アダム
(72)【発明者】
【氏名】マクマナス, オーウェン
(72)【発明者】
【氏名】デンプシー, グラハム ティー.
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA08
4B029BB11
4B029BB20
4B029FA02
4B029FA15
4B029GA03
4B029GB02
4B029GB03
4B063QA01
4B063QA18
4B063QA20
4B063QQ13
4B063QR90
4B063QS02
4B063QS28
4B063QS40
4B063QX02
(57)【要約】
本発明は、光学基準信号が光学試験信号を正規化するために使用される、生物学的活性の光遺伝学的アッセイ等の光学アッセイのための方法およびシステムを含む。本発明は、光学マルチウェルプレートリーダを使用する、生物学的活性の光遺伝学的アッセイのための方法およびシステムを含む。プレートリーダは、同時に、マルチウェルプレートのウェルから異なる波長の光学信号を読み取り、また、異なる波長の励起光および/または刺激をウェルに提供するように配列される、対物レンズを伴ういくつかの独立した光学チャネルを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的活性をアッセイするための方法であって、前記方法は、
細胞活性の光学レポータを含む細胞を備えるサンプルを提供することと、
基準刺激を用いて前記サンプルを刺激することと、
前記基準刺激に応答して発生される光学信号を検出することと、
前記サンプルを、前記細胞活性の生物学的および/または化学的刺激をモデル化する試験条件に暴露することと、
前記試験条件に応答して発生される光学信号を検出することと、
前記モデル化された生物学的および/または化学的刺激に応答する前記細胞の活性のレベルを予測するために、試験信号を基準信号に較正することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記光学レポータは、膜電位、活動電位、シナプス信号、原形質膜または細胞内コンパートメントまたは細胞小器官の膜電位の変化、細胞内イオン濃度の変化、および/または細胞内媒介物の濃度の変化の蛍光レポータである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細胞活性は、神経細胞、筋肉、HEK細胞、心筋細胞、内分泌細胞、および工学設計された細胞から選択される細胞によって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞は、電気活性の光学アクチュエータを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記電気活性の光学アクチュエータは、1つまたはそれを上回る光開口型イオンチャネルを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記光開口型イオンチャネルは、1つまたはそれを上回る藻類チャネルロドプシンを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記基準刺激は、前記細胞に伝達される青色光である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記試験条件は、シナプスを介して前記細胞に接続されるシナプス前神経細胞によるシナプス伝達を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記較正するステップは、複数のアッセイを横断する固有の変動性を補正する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプルは、マルチウェルプレートであり、前記プレートの複数のウェルは、細胞活性の光学レポータを備える前記細胞を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記刺激するステップは、複数の前記ウェル内の前記細胞に前記基準刺激を伝達することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記刺激するステップは、前記マルチウェルプレートの全てのウェルに前記基準刺激を伝達することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記試験条件に応答して発生される前記光学信号を検出することは、前記複数のウェルのそれぞれからの光学試験信号を同時に検出することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のウェルのそれぞれからの前記光学試験信号は、プレート読取デバイスの異なる検出モジュールによって検出される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記光学レポータは、膜電位、活動電位、シナプス信号、原形質膜または細胞内コンパートメントまたは細胞小器官の膜電位の変化、細胞内イオン濃度の変化、および/または細胞内媒介物の濃度の変化の蛍光レポータである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞は、神経細胞、筋肉細胞、HEK細胞、心筋細胞、内分泌細胞、および/または工学設計された細胞である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞は、電気活性の光学アクチュエータを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記電気活性の光学アクチュエータは、1つまたはそれを上回る光開口型イオンチャネルを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記光開口型イオンチャネルは、1つまたはそれを上回る藻類チャネルロドプシンを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
バイオアッセイのためのシステムであって、前記システムは、
マルチウェルプレートの複数のウェルからの光学信号を同時に読み取るように配列される複数の対物レンズを備えるマルチウェルプレートリーダデバイスと、
複数のウェルのそれぞれの中に光学基準標準を備えるマルチウェルプレートと、
処理システムであって、前記処理システムは、命令を備え、前記命令は、前記システムに、前記対物レンズを介して前記ウェルから前記光学基準標準を読み取らせ、前記対物レンズを用いてマルチウェルプレートの複数の試験ウェルから光学信号を読み取ることを含むバイオアッセイのために、プレート間ウェル読取値およびプレート内ウェル読取値の両方を較正させるために実行可能である、処理システムと
を備える、システム。
【請求項21】
前記バイオアッセイの読取値は、前記複数の試験ウェルを横断する複数の細胞サンプルからの検出された蛍光のレベルを備える、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記蛍光は、少なくとも、第1および第2の明確に異なる波長において検出される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記明確に異なる波長は、細胞活性の光学レポータの放出波長である、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記光学レポータは、神経細胞における膜電位および/またはイオン濃度を報告する1つまたはそれを上回る微生物ロドプシンを含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記較正は、生体外神経アッセイを横断する固有の変動性を補正する、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記基準プレートは、地理的場所、時間、および/またはバイオアッセイ条件を横断して読取値を標準化するために、異なるユーザに提供される、請求項20に記載のシステム。
【請求項27】
光学標準は、所定の量の少なくとも1つの蛍光分子である、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、生物学的アッセイにおける使用のための光遺伝学的システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレート全体撮像が、多様な形における細胞の電気生理学を査定するために使用されている。しかしながら、既存のプレートイメージャおよびそれらの関連付けられる技法は、固有の問題に悩まされている。
【0003】
例えば、自動化電気生理学が、サンプル内の細胞の電気活性を査定するために使用されている。自動化電気生理学は、細胞を刺激および記録するための物理的電極を使用して、細胞のイオンチャネルおよび電気活性の直接測定を使用する。しかしながら、刺激および記録のために物理的電極を使用することは、細胞膜において孔を開け得、これは、細胞内透析につながり、細胞を損傷させ得る。これは、自動化電気生理学が、無傷の細胞内分子機構または細胞の再使用を要求する、ある複雑な実験において使用されないように妨げる。加えて、自動化電気生理学器具は、典型的には、解離された細胞の使用を要求し、これは、神経細胞および他の細胞タイプを損傷させ、細胞コンパートメントの喪失につながり、細胞間連絡に関与するプロセスの測定を限定し得る。また、自動化電気生理学アッセイは、主に特殊化アッセイプレートが要求されることに起因して、高価である。
【0004】
蛍光撮像運動学的プレートリーダ(FLIPR)器具は、マルチウェルプレートフォーマットを使用して、細胞における細胞電圧開口型、リガンド開口型、および構造性チャネル活性の測定を提供することができる。FLIPR方法を使用する電圧開口型ナトリウムチャネルスクリーニングに関して、細胞活性は、概して、電圧開口型チャネルの化学的刺激を使用して活性化される。しかしながら、使用される化学的刺激は、生理学的プロセスを反映しない、または生体内細胞活性を示さない場合があり、これは、アッセイにおいて測定される薬理学的応答を改変し得る。これは、特に、薬物候補をスクリーニングするために使用されるアッセイにおいて問題となる。加えて、FLIPRタイプ器具は、重要なイオンチャネル機能を記録するための時間分解能が欠如し得、遺伝子的にエンコードされたセンサの使用を可能にするための感度が欠如し得る。
【0005】
蛍光読出を伴う電場刺激(EFS)は、FLIPRの変形例である。これらの方法および器具では、電極が、電気的に興奮性の細胞を刺激するために、アッセイウェルの中に組み込まれる。しかしながら、本電気刺激のための電圧制御は、限定され、電場における不均一性は、過剰刺激または電気穿孔につながり得、これは、アッセイ性能に悪影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光学マルチウェルプレートリーダを使用する、生物学的活性の光遺伝学的アッセイのための方法およびシステムを含む。プレートリーダは、同時に、マルチウェルプレートの個々のウェルから異なる波長の光学信号を読み取り、そこに異なる波長の励起および/または刺激光を伝達するように配列される、対物レンズを伴ういくつかの独立した光学チャネルを含む。生物学的アッセイおよびハードウェアコンポーネントにおける固有の変動に起因して、マルチウェルプレートを横断して個々のウェルをアッセイするとき、個々のウェルから検出された光学信号が較正されることが、重要である。例えば、光学レポータを使用して試験条件に応答して細胞活性のレベルを測定するとき、測定は、相対的、すなわち、試験条件の前およびその間の活性レベルの比較であり得る。しかしながら、マルチウェルプレートのウェルを横断してデータを分析するとき、検出された信号は、例えば、各ウェルが、レポータを発現する異なる数の細胞を含有するため、ウェル間で変動し得る。したがって、正確なウェル間またはプレート間比較を提供するために、ウェルを横断して検出される信号を較正することが、必要である。
【0007】
したがって、本発明は、プレートの異なるウェル、異なるプレートを横断する、およびさらには地理的場所、時間、および/またはバイオアッセイ条件を横断する信号から取得される読取値を正規化および較正する方法およびシステムを含む。本発明のシステムおよび方法は、生体外アッセイを横断するいかなる固有の変動性も補正するために、読取値を較正することができ、これは、生体内活性に関するより正確な予測を提供する。例えば、プレートのウェル内の細胞が、飽和刺激を提供されることができ、これは、細胞における最大レベルの細胞活性を保証する。プレートリーダは、各個々のウェル内に含有されるレポータからの結果として生じる信号を検出し、「基準信号」を提供し、これは、この場合では、最大レベルの細胞活性に対応する。基準信号は、例えば、それぞれが含有する異なる数の細胞に起因して、異なるウェル間で変動し得る。細胞が、細胞活性を引き起こす試験条件に暴露されると、個々のウェルからの結果として生じる試験信号は、ウェルの基準信号に較正されることができる。これは、ウェル間変動を改善し、正確なウェル間比較を可能にすることができる。
【0008】
有利なこととして、本システムおよび方法は、光遺伝学的技法を使用する全ての光学方法およびシステムを含む。本明細書に開示されるマルチウェルプレートリーダと組み合わせられると、本方法およびシステムは、現在利用可能である方法よりも桁違いに高い、極めて高い処理能力のスクリーニングを提供することができる。例えば、本方法およびシステムは、細胞活性の光学レポータおよびアクチュエータを発現する細胞を使用する光遺伝学的アッセイを含む。レポータおよびアクチュエータを発現する細胞が、マルチウェルプレートのウェル内に設置される。プレートリーダの独立した光学チャネルが、刺激および励起光を個々のウェル内の細胞に提供する。開示されるプレートリーダは、制御された強度および波長において個々のウェルに刺激光を伝達するための比類のない能力を保有し、したがって、それらは、離散的パルスにおいて、段階的、パルス状、またはランプ状強度において、および/または一定の刺激として、細胞に刺激光を伝達することができる。
【0009】
本刺激光は、光学アクチュエータに細胞活性を発生させる。例えば、光学的に活性化された光開口型イオンチャネルが、刺激され、それらを発現する細胞の膜電位の変化を引き起こす。細胞に伝達された励起光は、細胞活性の対応する光学レポータ、例えば、蛍光電圧レポータに、細胞活性を示す光学信号(放出光)を発生させる。放出光は、経時的に検出され、刺激光に応答する細胞活性の測度を提供することができる。
【0010】
本発明の方法およびシステムはまた、マルチウェルプレートのウェルを横断して検出されるようなこれらの光学信号を較正することを含む。光学アクチュエータを発現するプレートのウェル内の細胞は、「基準」刺激によって刺激され、これは、光学アクチュエータに細胞活性を発生させる。例えば、青色光が、特定の強度または持続時間において伝達され、光開口型イオンチャネルを刺激し、細胞膜電位を変化させる。本明細書に開示されるプレートリーダは、先例のない刺激光に対する制御を提供することができるため、光が、基準刺激として使用されるとき、刺激は、異なるウェルおよびマルチウェルプレートを横断して一貫して伝達される。
【0011】
基準刺激の結果として、対応する光学レポータは、光学アクチュエータによって引き起こされる細胞活性を示す放出光を発生する。基準刺激の結果として発生される信号は、「基準信号」として使用される。ウェル内の細胞はまた、生物学的および/または化学的刺激をモデル化する試験条件に暴露される。これらの試験条件は、細胞における細胞応答を引き起こし、これは、光学レポータを使用して測定され、「試験」信号を発生することができる。基準信号は、次いで、試験条件への暴露によって引き起こされる細胞活性を予測するために、試験信号に較正されることができる。
【0012】
例えば、刺激光は、飽和レベルにおいて伝達される、または伝達されるように漸増されてもよい。飽和レベルの刺激光は、細胞内の光学アクチュエータが、細胞活性を発生するであろうことを保証することができる。飽和刺激は、最大レベルまたは定義されたレベルの細胞活性を発生することができる。結果として、飽和レベルにおけるレポータからの光学信号は、アッセイの特定のウェルが達成し得る最大信号または定義された信号を提供することができる。これは、例えば、ウェルがアクチュエータおよび/またはレポータを発現する様々な数の細胞を含有すること、ハードウェアにおける変動性、および生体外アッセイの固有の変動性のため、プレートのウェルを横断して変動し得る。飽和刺激は、基準刺激であり得、飽和された刺激の間のウェルからの結果として生じる光学信号は、基準信号を提供する。定義された基準信号は、細胞活性が、ゼロmVにおいて、または具体的イオン伝導度機構に関する平衡電位において測定されるとき等、定義されたレベルの細胞活性における活性の測度を提供する、定義された刺激の間のウェルからの結果として生じる光学信号であり得る。試験条件に暴露された細胞は、試験信号を発生し、これは、飽和刺激または定義された刺激から取得された基準信号を使用して、較正されることができる。ある側面では、基準刺激の不在下で、飽和または定義された刺激の間に検出された光学信号は、それに対して試験信号が較正される、細胞活性の連続体を提供する。
【0013】
生物学的および/または化学的刺激をモデル化する試験条件は、例えば、細胞に、化学化合物、細胞活性の媒介物、または電気刺激を提供することを含む。試験条件はまた、具体的波長、持続時間、および/または強度において刺激光を光学アクチュエータに伝達することを含む。ある側面では、試験条件は、具体的タイプの疼痛信号、腫瘍、または他の疾患または条件と関連付けられる組織の局所環境等のある生物学的状態をモデル化するものを含む。基準刺激は、同様に、生物学的および/または化学的刺激であってもよい。化学的基準刺激を使用するとき、飽和または定義された刺激は、細胞活性の活性化または抑制を引き起こす特定の化合物の濃度を含み、結果として生じる光学信号は、基準信号として使用される。
【0014】
ある側面では、基準信号は、ある閾値または活性が満たされるまで、基準刺激を提供することによって取得される。例えば、細胞内の光学レポータが、活動電位を示す信号を発生するまで、サンプルの細胞に特定の強度および/または持続時間において刺激光を伝達する。ある側面では、基準信号は、具体的タイプの疼痛信号、腫瘍、または他の疾患または条件と関連付けられる組織等のある生物学的状態を示す信号である。
【0015】
本発明の方法およびシステムはまた、プレートのウェル内に光学基準を伴うマルチウェルプレートの使用を含む。光学基準は、読取値が、異なるウェル、プレート、地理的場所、時間、および/またはバイオアッセイ条件を横断して較正されることを可能にする。光学基準は、所定の量の蛍光化合物を含んでもよい。蛍光化合物は、励起光によって励起され、基準信号を提供することができる。光学アクチュエータおよび/またはレポータを発現する細胞が、励起光によって励起され、試験信号を提供することができる。ある側面では、信号は、アクチュエータおよびレポータを発現する各ウェル内の細胞の数を示すことができる、または細胞におけるある細胞活性または活性のレベルを示す標準である。
【0016】
ある側面では、本発明は、細胞活性の光学レポータを含む、細胞を備える、サンプルを提供することを含む、生物学的活性をアッセイするための方法を提供する。サンプルは、基準刺激を用いて刺激され、基準刺激に応答して発生される結果として生じる光学信号が、検出される。本方法はさらに、サンプルを、細胞活性の生物学的および/または化学的刺激をモデル化する試験条件に暴露することを含む。試験条件に応答して発生される結果として生じる光学信号が、サンプルから検出される。試験信号は、モデル化された生物学的および/または化学的刺激に応答する細胞の活性のレベルを予測するために、基準信号に較正される。
【0017】
ある方法では、較正するステップは、複数のアッセイを横断する固有の変動性を補正する。
【0018】
本発明はまた、光学レポータが、膜電位、活動電位、シナプス信号、膜電位の変化、細胞内イオン濃度の変化、および/または細胞内媒介物の濃度の変化の蛍光レポータである、方法を含む。
【0019】
ある側面では、細胞はまた、電気活性の光学アクチュエータを含む。電気活性の光学アクチュエータは、例えば、1つまたはそれを上回る光開口型イオンチャネルを含む。例示的光開口型イオンチャネルは、1つまたはそれを上回る藻類チャネルロドプシンを含む。ある方法では、基準刺激は、細胞に伝達される、青色光である。
【0020】
本発明はまた、細胞活性が、神経細胞、筋肉細胞、HEK 293細胞等のヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞、心筋細胞、内分泌細胞、および/または工学設計された細胞によって引き起こされる、方法を含む。
【0021】
ある側面では、試験条件は、シナプスを介して細胞に接続されるシナプス前神経細胞によるシナプス伝達を含む。
【0022】
ある方法では、サンプルは、マルチウェルプレートであり、プレートの複数のウェルは、細胞活性の光学レポータを伴う細胞を含む。そのような方法では、刺激するステップは、複数のウェル内の細胞に基準刺激を伝達することを含むことができる。ある側面では、基準刺激は、マルチウェルプレートの全てのウェルに伝達される。本発明はまた、試験条件に応答して発生される試験信号が、複数のウェルのそれぞれから同時に検出される、方法を提供する。本発明は、複数のウェルのそれぞれからの試験信号を検出することが、プレート読取デバイスの異なる検出モジュールによるものであることを含む。
【0023】
本方法は、光学レポータが、膜電位、活動電位、シナプス信号、膜電位の変化、細胞内イオン濃度の変化、および/または細胞内媒介物の濃度の変化の蛍光レポータであるものを含む。ある方法では、細胞は、神経細胞、心筋細胞、筋肉細胞、HEK細胞、内分泌細胞、および/または工学設計された細胞である。本方法は、細胞が、電気活性の光学アクチュエータを備えるものを含む。電気活性の光学アクチュエータは、例えば、1つまたはそれを上回る光開口型イオンチャネルを含む。例示的光開口型イオンチャネルは、1つまたはそれを上回る藻類チャネルロドプシンを含む。
【0024】
本発明はまた、バイオアッセイのためのシステムを提供する。ある側面では、本システムは、マルチウェルプレートリーダデバイスを含む。マルチウェルプレートリーダデバイスは、マルチウェルプレートの複数のウェルからの光学信号を同時に読み取るように配列される、複数の対物レンズを含む。本システムはさらに、複数のウェルのそれぞれの中に光学基準標準を伴うマルチウェルプレートを含む。ある側面では、本システムは、本システムに、対物レンズを介してウェルから光学基準標準を読み取らせるために実行可能な命令を備える、処理システムを含む。処理システムはまた、対物レンズを使用してマルチウェルプレートの複数の試験ウェルから光学信号を読み取ることを含む、バイオアッセイのために、プレート間ウェル読取値およびプレート内ウェル読取値の両方を較正する。
【0025】
本発明のシステムでは、バイオアッセイの読取値は、複数の試験ウェルを横断する複数の細胞サンプルからの検出された蛍光のレベルを含む。
【0026】
ある側面では、蛍光は、少なくとも、第1および第2の明確に異なる波長において検出される。あるシステムでは、明確に異なる波長は、細胞活性の光学レポータの放出波長である。光学レポータは、例えば、神経細胞における膜電位および/またはイオン濃度を報告する、1つまたはそれを上回る微生物ロドプシンを含む。
【0027】
ある側面では、較正は、生体外神経アッセイを横断する固有の変動性を補正する。
【0028】
あるシステムでは、基準プレートは、地理的場所、時間、および/またはバイオアッセイ条件を横断して読取値を標準化するために、異なるユーザに提供される。
【0029】
本発明のシステムの光学標準は、所定の量の少なくとも1つの蛍光分子を含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の例示的方法を示す。
図2図2は、本発明における使用のためのプレートリーダの概略図を示す。
図3図3は、本発明のプレートリーダにおけるウェルにわたる例示的撮像経路を示す。
図4図4は、適応的マッピングワークフローの側面を示す。
図5図5は、本発明の例示的システムを示す。
図6図6は、基準および試験信号として使用される光の概略図を示す。
図7図7は、センチネルプレートを示す。
図8図8は、本発明による、センチネルプレートを使用する例示的方法を示す。
図9図9は、本発明の代替側面を示す。
図10図10は、例示的光学チャネルモジュールを示す。
図11図11は、本発明のプレートリーダにおける使用のための例示的光学チャネルを示す。
図12図12は、例示的光学チャネルモジュールの断面である。
図13図13は、本発明の光学チャネルを通した例示的光学経路を示す。
図14図14は、それぞれ、12個の対物レンズを伴う、2つの読取ヘッドを伴う本発明の例示的プレートリーダの部分を示す。
図15図15は、本発明における使用のための例示的読取ヘッドの分解図を示す。
図16図16は、例示的読取ヘッドの概略図を示す。
図17図17は、例示的プレートリーダの概略図を示す。
図18図18は、随意のケースを伴う、本発明による、プレートリーダを示す。
図19図19は、例示的プレートリーダの接近図を示す。
図20図20は、プレートリーダの制御および使用のためのシステムを示す。
図21図21は、本発明に従って行われる、アッセイからの結果を示す。
図22図22は、HEK細胞アッセイの成分を示す。
図23図23は、代表的蛍光トレースを示す。
図24図24は、24個の対物レンズから収集された蛍光トレースを示す。
図25図25は、センチネルプレートからのヒートマップを示す。
図26図26は、プレートのウェルの第1のセットからの走査を示す。
図27図27は、ウェルの第2のセットからの走査を示す。
図28図28は、検証結果を提供する。
図29図29は、2つのパルスからの結果のオーバーレイを示す。
図30図30は、チャネル毎の要約統計値を提供する。
図31図31は、あるチャネルに関する刺激アッセイの結果を提供する。
図32図32は、刺激アッセイまたは他のチャネルの結果を提供する。
図33図33は、代表的蛍光トレースを示す。
図34図34は、濃度応答曲線(CRC)を示す。
図35図35は、ツール化合物を列挙する。
図36図36は、選択性を示すための散布プロットである。
図37図37は、Nav1.5に対するサブタイプ選択性の散布プロットである。
図38図38は、Nav1.7に対する効能に関する散布プロットである。
図39図39は、本発明のプレートリーダを使用した同時電圧7およびカルシム撮像の結果を示す。
図40図40は、電圧およびカルシウム波形を示す。
図41図41は、図40に示される波形を使用した、異なる濃度における3つのウェルからの電圧ピーク振幅および積分されたカルシウム面積の定量化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
本発明は、光学マルチウェルプレートリーダを使用する、生物学的活性の光遺伝学的アッセイのための方法およびシステムを含む。プレートリーダは、同時に、マルチウェルプレートのウェルから異なる波長の光学信号を読み取り、また、異なる波長の励起光および/または刺激をウェルに提供するように配列される、対物レンズを伴ういくつかの独立した光学チャネルを含む。さらに、本発明は、プレートの異なるウェル、異なるプレートを横断する、およびさらには地理的場所、時間、および/またはバイオアッセイ条件を横断する信号から取得される読取値を正規化および較正する方法およびシステムを含む。本発明のシステムおよび方法は、生体外アッセイを横断するいかなる固有の変動性も補正するために、読取値を較正することができ、これは、生体内活性に関するより正確な予測を提供する。
【0032】
説明されるプレートリーダを使用して、本発明のあるシステムおよび方法は、複雑な光遺伝学的アッセイを含む。光遺伝学では、光が、生細胞内のある事象を制御および観察するために使用される。例えば、蛍光電圧レポータ等の光応答性遺伝子が、サンプルの細胞において発現されることができる。例示的レポータは、細胞膜電位の変化に応答して光学信号を生成し、それによって、光学レポータとして機能する、膜貫通タンパク質である。ある波長における励起光を用いて励起されると、レポータは、活発化され、膜電位の変化を示す、異なる波長の放出光を発生する。サンプル内の細胞はまた、光開口型イオンチャネル等の光遺伝学的アクチュエータを含み得る。そのようなチャネルは、特定の波長の刺激光に応答し、これは、チャネルに細胞における活動電位を開始させる。本発明のシステムおよび方法はまた、細胞活性の付加的レポータおよびそれらを作動させるための関連付けられるシステムと併用されることができる。例えば、具体的細胞内コンパートメント内の細胞の細胞質内で生じる細胞内カルシウム、細胞内代謝物、または第2のメッセンジャレベルの変化、またはミトコンドリア、リソソーム、小胞体、および他のコンパートメントを含む、膜画定細胞内コンパートメント内で生じる膜電位の変化を報告するタンパク質が、使用されてもよい。
【0033】
複数の光学モダリティ(例えば、光学励起、活性化、電圧撮像、カルシウム撮像)を組み合わせる際の課題は、モダリティの間の光学クロストークを回避することである。例えば、光学活性化をもたらすために使用される光のパルスは、レポータの蛍光を誘発するべきではなく、レポータを活発化するために使用される光は、光開口型イオンチャネルを活性化するべきではなく、1つのレポータの蛍光は、他のレポータの蛍光から容易に区別されるべきである。さらに、複数のウェルおよび/またはマルチウェルプレートを横断して光学信号を同時に検出するとき、プレートおよび/またはウェルの間の読取値が、較正および正規化されることが、重要である。異なる波長の光を正確に検出し、伝達するための本開示されるプレートリーダの能力は、単一のアッセイ内でのこれらのモダリティの使用を可能し、ウェルおよび/またはマルチウェルプレートを横断する信号の迅速かつ効率的な較正および正規化を可能にする。
【0034】
これらのプレートリーダを使用して、本発明の方法およびシステムは、生物学的信号等のそれらの環境の具体的物理的性質に敏感である蛍光レポータを観察するために使用されることができる。生物学的信号は、例えば、活動電位、シナプス信号、イオン濃度(例えば、カルシウムおよびナトリウム)、または膜電位を含んでもよい。これらのインジケータによって発生される時変信号は、生細胞の化学的または電気的状態の経過を図表化するために、繰り返し測定される。
【0035】
図1は、生物学的活性をアッセイするための本発明の例示的方法101を提供する。本方法は、細胞活性の光学レポータを有する細胞を備える、サンプル103を提供することを含む。光学レポータを伴う細胞は、例えば、神経細胞、筋肉細胞、HEK細胞、心筋細胞、内分泌細胞、および/または工学設計された細胞を含んでもよい。好ましくは、サンプルは、マルチウェルプレートのウェル内に細胞を含む。
【0036】
細胞活性の光学レポータは、光遺伝学的アッセイにおいて使用されるレポータを含んでもよい。レポータは、例えば、具体的細胞内コンパートメント内の細胞の細胞質内で生じる膜電位、活動電位、シナプス信号、細胞内イオン濃度の変化、および/または細胞内媒介物の濃度の変化、またはミトコンドリア、リソソーム、小胞体、および他のコンパートメントを含む、膜画定細胞内コンパートメント内で生じる膜電位の変化の蛍光レポータを含んでもよい。細胞活性の例示的レポータは、膜電位の変化に応答して光学信号を生成する、膜貫通タンパク質を含んでもよい。ある波長における刺激光を用いて励起されると、そのようなレポータは、活発化され、異なる波長の放出光を発生し、これは、膜電位の変化を示す。アーチロドプシン系タンパク質QuasAr2およびQuasAr3が、そのようなレポータであり、これは、赤色光によって励起され、細胞膜電位の関数として強度において変動する信号を発生する。同様に、レポータは、遺伝子的にエンコードされたカルシウムインジケータ(GECI)等の細胞内イオン濃度のレポータを含んでもよい。例示的GECIは、例えば、jRCaMP1a、jRGECO1a、またはRCaMP2等のGCaMPまたはRCaMP変形を含む。方法101はさらに、細胞活性を引き起こす基準刺激を用いてサンプルを刺激すること105を含む。光遺伝学的アッセイでは、刺激は、特定の波長の光であってもよく、これは、細胞活性の光学的に変調されたアクチュエータを刺激する。例示的な光学的に変調されたアクチュエータは、CheRiffを含む、藻類チャネルロドプシン等の光開口型イオンチャネルを含む。刺激光ビームが、CheRiff等のアクチュエータに衝突すると、これは、タンパク質の立体配座変化を引き起こし、それによって、タンパク質を発現する細胞における膜電位の変化を開始する。ある側面では、本基準刺激は、細胞活性の光学的に変調されたアクチュエータの決定的な活性化を示す、飽和刺激である。
【0037】
方法101はまた、基準刺激によって引き起こされた、光学レポータからの光学基準信号を検出すること107を含む。本発明の光遺伝学的アッセイでは、これは、基準刺激によるCheRiffの活性化によって引き起こされた膜電位のレベルまたは変化を示す、QuasAr2等のレポータからの放出光を検出することを含んでもよい。ある側面では、サンプルが、マルチウェルプレートのウェル内にあるとき、検出すること107は、ウェル内の1つまたはそれを上回る光学レポータからの、経時的なものを含む、放出光の平均レベルを検出することを含んでもよい。
【0038】
方法101はまた、サンプルを、細胞活性の生物学的および/または化学的刺激をモデル化する試験条件に暴露すること109を含んでもよい。ある側面では、暴露することは、1つまたはそれを上回る波長の光を用いてサンプルを刺激し、サンプルの細胞における細胞活性の1つまたはそれを上回る光学アクチュエータを刺激することを含んでもよい。これは、規定された間隔または強度における刺激光を用いてアクチュエータを刺激することを含んでもよい。いったん刺激されると、アクチュエータは、具体的生体内条件をモデル化する細胞活性を引き起こし得る。例えば、ある様式(例えば、周波数、強度、および持続時間)における刺激光を用いてCheRiffを刺激することは、疼痛のようなある神経条件を示す、特定の膜電位につながり得る。代替として、または加えて、化合物または媒介物が、サンプルに添加されてもよく、これは、電位を有する、またはサンプル内の細胞の活性を変化させることが公知である。例えば、光学レポータによって報告される活性を変調する化合物が、使用されることができる。
【0039】
暴露すること109の後、光学レポータからの信号が、検出される(111)。これらの検出された信号111は、モデル化された生物学的および/または化学的刺激に応答する細胞の活性のレベルを予測するために、検出された(107)基準信号を用いて較正される(113)。
【0040】
ある側面では、信号が較正された後、試験化合物が、細胞に対するその効果を確認するために、サンプルに導入されることができる。
【0041】
図2は、本発明の方法およびシステムと併用され得る、プレートリーダ203の概略図を示す。サンプルを伴うマルチウェル205プレートが、プレートリーダ203上に位置付けられる。マルチウェルプレート205は、例えば、48-、96-、384-、または1,536-ウェルプレートであってもよい。マルチウェルプレートの1つまたはそれを上回るウェルが、サンプルの細胞を含んでもよい。
【0042】
マルチウェルプレートリーダ203は、マルチウェルプレート205の複数の個々のウェルからの光学信号を読み取るように配列される、複数の対物レンズ207を含む。プレートリーダ203は、マルチウェルプレートの複数のウェルからの光学信号を同時に読み取ってもよい。マルチウェルプレートは、マルチウェルプレート205の複数のウェル内に光学基準標準を含んでもよい。
【0043】
ある側面では、プレートリーダ203は、マルチウェルプレート205のウェルを対物レンズ207と整合させるために、プレートプッシャまたは平行移動ステージ209を含む。1つまたはそれを上回るモータ制御ユニット206が、プレートリーダ203の動作を駆動する。プレートリーダはまた、光学信号を処理システムに送信するために、信号/ドライバ基板を含んでもよい。
【0044】
方法101およびプレートリーダ203に再び目を向けると、方法101を実施するためにプレートリーダ203を使用するとき、方法101は、適応的マッピング104のステップを含んでもよい。適応的マッピングは、プレートリーダが、2つの読取ヘッド上の複数の対物レンズを使用して、同時にマルチウェルプレートの具体的ウェルを測定することを可能にする。
【0045】
図3は、マルチウェルプレートを横断して撮像するために複数の対物レンズを使用する、本発明のプレートリーダを使用したウェルにわたる撮像経路を示す。具体的には、図は、マルチウェルプレート2500を示す。プレート2500は、特定の対物レンズが、プレートの具合的ウェルに、この場合では、プレート2500の座標系2501によって定義されるウェルA,1に位置するように位置付けられる。プレートリーダは、対物レンズの間の距離を提供する、構成ファイルを具備してもよい。したがって、特定の対物レンズが、ウェルA,1と整合されるとき、本システムは、プレートのウェルに関連する他の対物レンズの位置を内挿してもよい。
【0046】
図3では、正方形2503は、第1の画像または視野(FOV)における対物レンズの場所を示す。本例示的実施形態では、プレートリーダは、本明細書に説明されるような2つの読取ヘッドを横断して24個の対物レンズを有する。プレートプッシャまたは平行移動ステージは、対物レンズが、経路2505に従ってウェルを反復的に走査するように、プレートを移動させる。それぞれの間の移動と相まった8つの画像/FOVの後、プレートリーダは、プレート2503のウェルの半分を測定している。経路2505を完了することによって、プレートの全てのウェルが、プレートリーダの対物レンズを使用して、個々に測定されるであろう。
【0047】
図4は、適応的マッピングステップを使用するワークフローの側面を提供する。適応的マッピングステップは、例えば、本明細書に説明され、図17に例示されるようなプレートリーダと通信するコンピュータシステム上で実行されるソフトウェアを使用してもよい。
【0048】
そのようなシステムを使用して、ユーザは、撮像されるべきマルチウェルプレートのタイプ2603および規定された対物レンズと指定されたウェル2603、この場合では、マルチウェルプレートの命名規則によって説明されるようなウェルA,1との整合を示す、入力2601を提供する。
【0049】
本システム/ユーザは、使用されている具体的読取ヘッド上の対物レンズの間の距離を定義する、構成ファイルを提供してもよい。例示される構成ファイルでは、対物レンズの間の距離は、ウェルA,1と整合される対物レンズに対する座標系を使用して、ミリメートル単位の距離として示される。新しい構成ファイルが、新しい読取ヘッドに適応するために、プレートリーダまたはプレートリーダシステムに提供されてもよい。同様に、構成ファイルは、例えば、修理を要求し、したがって、スクリーンの間に使用されるべきではない読取ヘッドまたは対物レンズを考慮するように修正されてもよい。
【0050】
本システム/ユーザは、プレートのウェルの間の距離、したがって、その場所を含む、具体的タイプのマルチウェルプレートに関するプレートマップを提供してもよい。プレートリーダに結合されるソフトウェアは、適切な構成ファイル、第1のFOVにおけるウェル整合、および適切なプレートマップを使用し、第1のFOV内の各対物レンズによって撮像されているウェルの識別を決定する。本システムは、本情報を使用し、プレートが対物レンズに対して命令された経路2609に沿って移動される(2607)際に対物レンズに一連の画像を取得させる命令をプレートリーダに提供する。結果として、画像が、所望のウェル毎に取得される。本システムは、特定の画像内のウェルの識別を含む、取得された画像を伴うメタデータを提供してもよい。
【0051】
具体的ウェルに関連する個々の対物レンズの位置を追跡することによって、ユーザは、プレート上のウェルのサブセットのみを撮像するようにプレートリーダに命令してもよい。したがって、対物レンズが、走査されないウェル2601と整合する場合、プレートリーダは、対物レンズを非アクティブ化してもよい。同様に、プレートリーダが、例えば、これがマルチウェルプレートの境界を越えて位置付けられるため、対物レンズがウェルと整合されないことを決定する場合、本システムは、そのFOVに関する対物レンズを非アクティブ化してもよい。
【0052】
ある側面では、本発明のシステムは、プレートリーダからの画像データおよび位置メタデータをユーザによって打ち込まれるプレート/ウェル毎の実験メタデータと自動的に相関させる、ソフトウェアを組み込んでもよい。
【0053】
図5は、マルチウェルプレートリーダ203を使用する、本発明の別の例示的システム301を提供する。システム301は、プレートリーダ203と、処理システム303とを含む。処理システム303は、コンピュータ305である、またはそれを含んでもよい。随意に、処理システム301は、サーバコンピュータ307を含む、またはそれにアクセスしてもよい。処理システムのコンポーネントのうちの1つまたはそれを上回るものは、ネットワーク309接続を介して、相互に、またはプレートリーダ203と通信してもよい。
【0054】
処理システムは、本システムに、対物レンズ207を介してウェルから光学基準標準を読み取らせ、バイオアッセイのために、プレート間ウェル読取値およびプレート内ウェル読取値の両方を較正させるために実行可能な命令を含んでもよい。較正することは、例えば、マルチウェルプレート205の複数の試験ウェルからの光学信号試験および基準信号を読み取ることを含んでもよい。較正することは、生体外神経アッセイを含む、生体外アッセイを横断する固有の変動性を補正し得る。
【0055】
ある側面では、マルチウェルプレート205は、基準プレートである。基準プレートは、地理的場所、時間、および/またはバイオアッセイ条件を横断して読取値を標準化するために、異なるユーザに提供されてもよい。
【0056】
本発明のある方法およびシステムは、マルチウェルプレートの個々のウェルから検出された光学信号を較正することを含む。例えば、プレートのウェル内の細胞内の光学アクチュエータは、光学アクチュエータを刺激するための青色光によって刺激される。経時的に、刺激光は、パルスにおいて細胞に伝達される、強度において漸増される、および/または一定の刺激として提供されることができる。開示されるプレートリーダは、制御された強度および波長において個々のウェルに刺激光を伝達するための比類のない能力を提供する。結果として、対応する光学レポータは、光学アクチュエータによって引き起こされる細胞活性を示す放出光を発生する。放出光は、経時的に検出され、刺激光に応答する細胞活性の測度を提供する。
【0057】
刺激光は、飽和または定義されたレベルにおいて伝達される、または伝達されるように漸増されることができる。飽和レベルの刺激光は、細胞内の光学アクチュエータが、細胞信号を発生するであろうことを保証することができる。これは、最大レベルの細胞活性を含み得る。飽和レベルにおけるレポータからの光学信号は、アッセイにおける特定のウェルが達成し得る最大信号を提供することができる。定義された刺激は、ゼロmV膜電位において、または具体的膜伝導度機構の平衡電位において等、定義されたレベルの細胞活性における細胞活性の測度を提供し得る。これは、例えば、ウェルがアクチュエータおよび/またはレポータを発現する様々な数の細胞を含有すること、ハードウェアにおける変動性、および生体外アッセイの固有の変動性のため、プレートのウェルを横断して変動し得る。飽和刺激は、「基準」刺激であり得、飽和または定義された刺激の間のウェルからの結果として生じる光学信号は、「基準」信号を提供することができる。細胞が、細胞活性の生物学的および/または化学的刺激をモデル化する試験条件に暴露されると、光学レポータは、活性を示す光学信号を提供する。ウェルからの結果として生じる「試験」信号は、試験条件への暴露によって引き起こされる細胞活性を確認するために、「基準」信号を使用して較正されることができる。
【0058】
基準刺激は、生物学的および/または化学的刺激であってもよい。化学的基準刺激を使用するとき、飽和刺激は、基準信号として使用され得る、細胞活性の活性化または抑制を引き起こす特定の化合物の濃度を含む。
【0059】
ある側面では、基準信号は、ある閾値または活性が満たされるまで、基準信号を提供することによって取得される。例えば、細胞内の細胞が、活動電位または再生信号を示す信号を発生するまで、細胞内の光学アクチュエータにある持続時間および/または強度にわたる刺激光を提供する。基準信号はまた、具体的タイプの疼痛信号、腫瘍、または他の疾患または条件と関連付けられる組織等のある生物学的状態を示す信号であり得る。ある側面では、基準刺激は
【0060】
ある側面では、マルチウェルプレートの複数または全てのウェルからの基準信号は、それに対して個々のウェルからの試験信号が較正される基準信号を提供するために、平均化される。
【0061】
図6は、青色光が基準刺激およびモデル化された生物学的条件を提供するための刺激として使用される、アッセイの例示的概略図401を提供する。アッセイにおける細胞は、マルチウェルプレート内にあり、例えば、蛍光電圧レポータ、膜電位を変調するための光学アクチュエータを発現させられる。刺激光の短パルス(403、407)が、アクチュエータを刺激し、活動電位等の生物学的条件をモデル化するために、サンプルに伝達され得る。これらの試験パルスの結果として検出される光学信号は、試験信号である。青色光の定常状態パルス405は、基準刺激として使用される。試験パルス(403、407)の間に検出される光学信号は、基準パルス405に較正されることができる。ある側面では、定常状態基準パルス405は、その強度および/または持続時間に起因して、サンプルを飽和させ、したがって、試験化合物を含む、アッセイにおける成分からの干渉に敏感ではない基準信号を提供する。
【0062】
図7は、本発明の方法およびシステムにおいて使用され得る、「センチネルプレート」501を提供する。本例示的「センチネルプレート」は、96-ウェルプレートである。しかしながら、48-、384-、および1,536-ウェルプレートを含む、任意のサイズのプレートが、本発明の方法およびシステムと併用されることができる。
【0063】
実施例では、プレートは、「健常」および「疾患」と標識化されるウェルを含む。「健常」ウェルは、基準信号を用いて刺激される(105)と、光学基準信号として検出される(107)光学信号を提供する、光学レポータを伴う細胞を含むことができる。「疾患」ウェルは、細胞活性の生物学的および/または化学的刺激をモデル化する試験条件に暴露される(109)、光学レポータを伴う細胞を含むことができる。「疾患」ウェルは、例えば、特定の疾患または条件に対応する公知の遺伝子突然変異を伴う細胞、疾患または条件に特徴的である表現型応答を活性化されるときに引き起こす光学アクチュエータを発現する細胞、および/または疾患または条件に特徴的な様式で細胞に応答させる1つまたはそれを上回る化合物または媒介物を含んでもよい。
【0064】
本発明のシステムおよび方法では、「健常」または基準ウェルから読み取られた光学基準信号は、細胞活性の特定の生物学的および/または化学的刺激をモデル化する「疾患」または試験ウェルからの光学試験信号を正規化するために使用されることができる。
【0065】
図8は、本発明の方法およびシステムによる、センチネルプレートを使用する例示的方法601を提供する。ある側面では、センチネルプレート501は、光学基準および試験信号を使用して、サンプル内の参照された「健常」および試験/「疾患」細胞の表現型特性を露見させるために使用される。処理システム303と通信する、またはその一部である、機械学習モデルが、これらの特性を確認するために使用されることができる。センチネルプレート501である場合とそうではない場合がある、プレートが、調製され、基準/「健常」および試験/「疾患」細胞ウェルが、刺激、例えば、調査中の化学化合物を導入される。本プレートの基準/「健常」および試験/「疾患」細胞ウェルのうちのいくつかは、プレート間正規化を可能にするために、本刺激がない状態にされることができる。
【0066】
図9は、方法701のものに対する代替または派生方法701を提供する。いったん表現型特性が、把握されると、センチネルプレート501を使用することは、必要ではない場合がある。むしろ、単純な内部正規化が、正確なスクリーニング結果を発生するために要求されるものの全てである。
【0067】
図10は、本発明の方法およびシステムにおいて使用されるマルチウェルプレートリーダにおいて使用される光学チャネルモジュールの例示的な独立した光学チャネル800の一般的概略図を提供する。光学チャネル800は、マルチウェルプレートのウェル803と整合する、対物レンズ801を含む。蛍光レポータからのもの等の異なる波長の放出光805が、異なる光学経路に沿って対応する光検出器に通過する。例示的光学チャネルモジュール800では、第1の波長807の放出光が、第1の光学経路809に沿って第1の光検出器811に通過される。第2の波長813の放出光が、第2の光学経路815に沿って第2の光検出器817に通過される。第3の波長819の放出光が、第3の光学経路821に沿って第3の光検出器823に通過される。
【0068】
光学チャネルモジュール800はまた、異なる波長827において刺激/励起光を伝達し、各波長は、異なる光学経路829に沿って、対物レンズ801を通して、サンプルを含有するウェル803まで伝達する、光源825を含む。光源825は、独立して、LED、ダイオードレーザバー、レーザ、ダイオードレーザ、または任意の他の好適な光源を含むことができる。各光源(825)は、各他の光源(825)の刺激/励起光およびサンプルからの放出光の両方とスペクトル的に明確に異なる刺激/励起光を伝達するように構成されてもよい。それに沿って刺激/励起光(827)が進行する光学経路(829)のうちの1つまたはそれを上回るものは、光学経路を通して、かつサンプル上に上向きに刺激光を反射させるために、1つまたはそれを上回るダイクロイックミラーを含んでもよい。ダイクロイックミラーは、サンプルからの放出光(807、813、819)が、ミラーを通して、かつ放出光光学経路(809、815、821)に沿って検出器(811、817、823)に下向きに通過することを可能にするように構成されてもよい。
【0069】
ある側面では、光源(825)のうちの1つまたはそれを上回るものは、光感受性アクチュエータタンパク質を刺激することが可能な波長における光を伝達する。光感受性アクチュエータタンパク質は、例えば、CheRiff等の光開口型イオンチャネルであってもよく、刺激光の波長は、例えば、450~495nmであり得る。刺激光は、約22mW/cmの強度を有してもよい。ある側面では、光源(825)のうちの1つまたはそれを上回るものは、QuasAr2またはQuasAr3等の微生物ロドプシンを励起することが可能な波長における光を伝達する。励起光の波長は、例えば、580~650nmであってもよい。励起光は、10~400W/cm、好ましくは、約100W/cmの強度を有してもよい。並行して、または代替として、光源のうちの1つまたはそれを上回るものは、例えば、光感受性カルシウム指示タンパク質等の光感受性レポータタンパク質を励起することが可能な波長を伴う刺激光を提供してもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、刺激/活性化光源は、独立して、ダイオードレーザバー、ダイオードレーザ、別のタイプのレーザ、またはLEDのうちの1つまたはそれを上回るものを含む。照明光送達は、光ファイバを含んでもよい。刺激/励起光源は、不要な反射または屈折刺激/励起光が対物レンズに入射しないように防止するように位置付けられる、バッフルを含み得る、刺激/励起光サブシステムの一部であってもよい。刺激/励起光サブシステムはまた、それに沿って刺激光が進行する光学経路のうちの1つの中に配置される、他のビーム成形光学系を有してもよい。
【0071】
プレートリーダは、異なる波長の刺激/励起光の同時伝達および放出光の検出を可能にするため、プレートリーダは、本発明の方法およびシステムにおいて使用されるとき、多数の光学的に作動される、および/または検出可能なタンパク質を伴う複雑なアッセイを実施することができる。
【0072】
したがって、本発明の方法およびシステムにおいて使用されるサンプルは、電気活性の光学アクチュエータおよび電気活性の光学レポータを発現する細胞を含むことができる。サンプルは、第1の細胞がアクチュエータを発現し、第2の細胞がレポータを発現するように構成されてもよい。プレートリーダは、刺激光ビームを用いて光感受性アクチュエータタンパク質を刺激し、タンパク質の立体配座変化を引き起こし、それによって、細胞内の膜電位の変化を開始することができる。結果は、細胞が「発火」すること、すなわち、活動電位または再生信号が、電気活性細胞内で伝搬することとなる。プレートリーダは、光学レポータを刺激するために使用されるものとスペクトル的に明確に異なるビームを用いて、蛍光光学レポータタンパク質に励起光ビームを同時に伝達することができる。プレートリーダは、レポータによって放出された蛍光を測定し、膜電位の対応する変化を測定することができる。
【0073】
本発明との併用のための環境感受性蛍光レポータの一実施例は、膜電位の変化に応答して光学信号を生成し、それによって、膜電位の光学レポータとして機能する、ロドプシンタイプ膜貫通タンパク質である。アーチロドプシン系タンパク質QuasAr2およびQuasAr3が、赤色光によって励起され、細胞膜電位の関数として強度において変動する信号を発生する。これらのタンパク質は、遺伝子導入または電気穿孔等の遺伝子工学技法を使用して細胞の中に導入され、膜電位の光学測定を促進することができる。本発明のプレートリーダは、580~650nmの波長を有する光を使用して、サンプル内のQuasAr2またはQuasAr3を励起することができる。光は、10~400W/cm、好ましくは、約100W/cmの強度を有してもよい。
【0074】
蛍光インジケータに加えて、プレートリーダは、細胞を化学的または電気的に摂動させるための光感受性化合物を光学的に活性化するために使用されることができる。本発明は、2014年6月12日に出願された、米国特許公開第2014/0295413号(その全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に開示されるもの等の電圧指示タンパク質と併用されることができる。例えば、細胞活性の光学アクチュエータは、微生物チャネルロドプシン等の遺伝子的にエンコードされたロドプシンまたは修飾されたロドプシンであってもよい。例えば、Scherffelia dubiaからのチャネルロドプシンであるsdChRが、使用されてもよい、またはCheRiffと呼ばれる、sdChRの改良されたバージョンが、光学アクチュエータとして使用されてもよい。「CheRiff」は、本明細書に説明されるようなマウスコドン最適化、トラフィッキング配列、および突然変異E154Aを使用するsdChRのバージョンを指す。
【0075】
プレートリーダは、付加的レポータおよびそれらを作動させるための関連付けられるシステムと併用されてもよい。例えば、遺伝子的にエンコードされたカルシウムインジケータ(GECI)等の細胞内カルシウムレベルの変化を報告するタンパク質が、使用されてもよい。プレートリーダは、RCaMPのための黄色光等のGECIのための刺激光を提供してもよい。例示的GECIは、例えば、jRCaMP1a、jRGECO1a、またはRCaMP2等のGCaMPまたはRCaMP変形を含む。一実施形態では、アクチュエータは、青色光によって活性化され、Ca2+レポータが、黄色光によって励起され、橙色光を放出し、電圧レポータが、赤色光によって励起され、近赤外光を放出する。
【0076】
ある側面では、本発明のシステムおよび方法は、興奮性等の具体的細胞形質の全光学的特性評価を可能にするために、蛍光レポータと組み合わせられる光学的に変調されたアクチュエータを使用することを含むことができる。例えば、OptoPatchシステムは、CheRiff等の電気アクチュエータタンパク質をQuasAr2等の蛍光レポータと組み合わせる。アクチュエータおよびレポータタンパク質は、異なる波長の光に応答し、細胞がある範囲の光電流の大きさにわたって励起されると同時に膜電位が測定されることを可能にする。
【0077】
細胞の電気的性質または活性を測定することは、心臓および脳細胞(例えば、神経細胞および心筋細胞)等の電気活性細胞を伴う疾患の研究、診断、および処置のために有用である。これらの細胞に影響を及ぼす条件は、心疾患、心房細動、筋萎縮性側索硬化症、原発性側索硬化症、疼痛、神経障害、および多くのその他を含む。全光学的測定は、それらが、精密な微小機械的操作またはサンプル内の細胞との直接接触を要求しないため、パッチクランプのような従来の方法に対する魅力的な代替を提供する。光学方法は、特に、本発明の方法およびシステムと併用されるとき、高処理能力用途により適している。全光学的測定によってもたらされる処理能力の劇的な増加は、これらの条件の研究、診断、および治療に革命をもたらす潜在性を有する。
【0078】
したがって、本発明は、観察されるべきマルチウェルプレートの具体的ウェル内の細胞を励起すること、または活動電位または再生信号を開始するために細胞を刺激することを含む、開示されるプレートリーダを使用する方法を提供する。刺激は、直接的または間接的であってもよい(例えば、光学アクチュエータの光学刺激または観察されるべき細胞とギャップ結合する、またはシナプス連絡する上流細胞の刺激)。刺激は、光学的、電気的、化学的である、または任意の他の好適な方法によるものであってもよい。刺激は、例えば、規則的、周期的パルス、単一のパルス、不規則なパターン、または任意の好適なパターンを含む、任意のパターンの活性化を伴ってもよい。方法は、細胞機能の特定の側面を強調するために、空間または時間において光学刺激パターンを変動させることを含んでもよい。例えば、パルスパターンは、増加する周波数を有してもよい。ある実施形態では、本方法は、光のパルスを使用して、光学活性化因子を発現する電気活性細胞を刺激することを含んでもよい。
【0079】
例えば、プレートリーダは、細胞活性の蛍光レポータおよび光感受性アクチュエータを使用して、細胞の物理的性質を特性評価するために使用されることができる。そのようなアッセイは、例えば、細胞に対する潜在的な薬物化合物の効果を研究するために設計されることができる。例えば、プレートリーダは、幹細胞由来の心筋細胞から活動電位(AP)およびカルシウム過渡(CT)波形を光学的に取得し、心筋細胞における不整脈を特性評価するために使用されることができる。マルチウェルプレートのウェル内に位置するサンプル内の心筋細胞は、ロドプシンタイプ膜貫通光学レポータを発現させられることができる。プレートリーダは、刺激光を用いて微生物チャネルロドプシンを活性化し、心筋細胞を通してAPを伝搬させることができる。レポータタンパク質を含有する細胞は、プレートリーダからの刺激光を介して照明され、APは、レポータの蛍光の変化を引き起こす。レポータからの光は、プレートリーダによって検出され、AP波形を構築するために分析される。構築されたAP波形における不整脈は、例えば、既知の標準との比較または他の分析技法によって、検出または特性評価されることができる。
【0080】
これらのプレートリーダを使用する本発明のシステムおよび方法は、したがって、細胞に対する化合物の効果を研究するために使用されることができる。プレートリーダは、マルチウェルプレートのウェル内に見出されるサンプルを分析することができるため、サンプルの細胞は、支持細胞培地中にある間に観察されることができる。これは、細胞の活性が、サンプルへの潜在的薬物等の着目化合物の導入の前および後の両方で分析されることを可能にする。プレートリーダは、したがって、検出されたAP波形に対する結果として生じる摂動および化合物への暴露と関連付けられる他の特性を検出することができる。光学レポータは、電圧レポータ、イオンレポータ(例えば、[Ca2+]に関して)、その他、またはそれらの組み合わせを含むことができるため、プレートリーダは、AP波形の全ての特徴を通して露見されるような細胞の複数のイオンチャネルを横断する化合物の効果を検出することができる。
【0081】
また、プレートリーダは、マルチウェルプレートのウェル内の生細胞を分析することができるため、細胞は、特定の生体内条件をモデル化するために使用される、媒介物等の化合物を含む培地に暴露されることができる。例えば、媒介物は、具体的タイプの疼痛信号、腫瘍、または他の疾患または条件と関連付けられる組織の局所環境をモデル化するように選択されてもよい。これらのモデル条件における細胞は、モデル化された疾患または条件と関連付けられる治療剤を発見または開発するために使用されてもよい。
【0082】
例えば、本発明の方法およびシステムにおいて使用されるサンプルは、生体外疼痛モデルを提供する細胞を含んでもよい。これらのモデルでは、選択された疼痛媒介物の組成物が、培養された神経細胞に導入され、これは、次いで、大幅に増加された速さの発火および過敏化を呈する。後根神経節細胞等の感覚神経細胞は、疼痛信号を脳に送信することが公知である。後根神経節細胞等の感覚神経細胞は、疼痛として脳によって経験されるであろうモデル神経細胞信号を作成するために、マルチウェルプレートのウェル内の疼痛媒介物組成物に暴露され得る。試験化合物が、疼痛媒介物組成物の存在下で神経細胞信号をベースライン状態に戻す化合物をスクリーニングするために、モデルの中に導入されることができる。
【0083】
ある側面では、プレートリーダは、正規化ステップを含む、細胞活性の光学レポータを有する細胞を備えるサンプルを使用して、生物学的活性をアッセイするための方法において使用されることができる。
【0084】
例示的方法では、マルチウェルプレートの1つまたはそれを上回るウェル内の細胞は、特定の細胞活性を引き起こす基準刺激を用いて刺激される。基準刺激は、プレートリーダからサンプルに伝達される刺激光、例えば、青色光であってもよい。本基準刺激は、飽和または基準刺激であってもよく、マルチウェルプレートの全てのウェルに伝達されてもよい。サンプルを含有する1つまたはそれを上回るウェルが、次いで、細胞活性の生物学的または化学的刺激をモデル化する試験条件に暴露される。これは、例えば、刺激波長の光を細胞活性の光学アクチュエータに提供することを含んでもよい。プレートリーダは、次いで、試験条件によって引き起こされたサンプルの細胞内の光学レポータからの光学試験信号を検出する。試験信号は、次いで、モデル化された生物学的/化学的刺激に応答する細胞の活性のレベルを予測するために、基準信号に対して正規化される。
【0085】
図11は、プレートリーダの例示的光学チャネル900の写真である。光学チャネルは、それを通して放出および刺激光が進行する、対物レンズ901を含む。異なる波長の刺激光が、異なる光学経路(903、905、907、909)に沿って、対物レンズ901を通して伝達される。異なる放出光波長に関する放出光光学経路(911、913、915)もまた、示される。
【0086】
図12は、例示的光学チャネルモジュール900の断面1000の写真を提供する。示されるように、モジュール900およびその光学経路(903、905、907、909、911、913、915)は、一連のダイクロイックミラーと、薄フィルムフィルタと、成型非球面レンズとを含む。
【0087】
図13は、光学チャネルの例示的光学経路の概略図1100を提供する。刺激/励起光1109の光が、一連のダイクロイックミラー1103、薄フィルムフィルタ、パターン化マスク1107、および非球面レンズ1105を通して、かつ対物レンズ1101を通して通過される。本発明者らは、放出光を検出するために使用されるとき、本配列が驚くほど効率的であることを発見した。
【0088】
ある側面では、マルチウェルプレートリーダは、複数の独立した光学チャネルおよび/または光学チャネルモジュールを含む。
【0089】
図14は、例示的マルチウェルプレートリーダの部分1200を示す。プレートリーダは、それぞれ、6つの独立した光学チャネルモジュールを含み、マルチウェルプレート1205の下に配置される、2つの読取ヘッド(1201、1203)を含む。各独立した光学チャネルモジュールは、2つの独立した光学チャネルを含む。各独立した光学チャネルの対物レンズ1207は、マルチウェルプレート1205の異なるウェルと整合される。光学チャネル1209のうちの1つは、刺激光光学経路(1211、1213、1215、1217)および放出光光学経路(1219、1221、1223)を示すために、断面として図示される。
【0090】
図15は、本発明のマルチウェルプレートリーダの例示的読取ヘッド1300の分解図を示す。読取ヘッドは、6つの独立した光学チャネルモジュール1301を含む。各光学チャネルモジュールは、2つの独立した光学チャネルと、それらの個別の対物レンズとを含む。各光学チャネルモジュールは、フォトダイオードと、独立したピコ電流計回路とを含む、2つの印刷回路基板(PCB)(1303、1305)に取り付けられる。例示的読取ヘッド1300では、PCB1303および1305は、合計で12個のフォトダイオードおよび12個のピコ電流計回路を含み、それぞれのうちの3つが、光学チャネルモジュールの具体的光学チャネルに充てられる。1つのフォトダイオードおよび1つのピコ電流計回路が、個々の波長の放出光からの光学信号を検出することに充てられる。例示的読取ヘッド1300はまた、4つが個々の光学チャネル毎に異なる波長の刺激光を提供すること専用である、8つの高出力LEDを含む、光学チャネルモジュール毎のPCB1307を含む。読取ヘッドはまた、LED PCBを冷却するために、熱交換器1309を含む。
【0091】
図16は、代替ビューからの例示的読取ヘッド1300の概略図を提供する。本図では、各光学チャネルの対物レンズは、容易に明白である。
【0092】
図17は、本発明のシステムおよび方法において使用される、例示的プレートリーダ1500の概略図を提供する。マルチウェルプレート1503が、プレートリーダ1500の読取プラットフォーム1501上に配置される。プレートリーダはまた、プレートプッシャ1505を含み、これは、マルチウェルプレート1501を複数の方向に沿って平行移動させ、それらが光学チャネルの対物レンズと整合するように、マルチウェルプレート1501のウェルを整合させる。プレートリーダ1500はまた、モータコントローラを含み、これは、ウェルを整合させるために、プレートプッシャ1505のモータを制御する。
【0093】
プレートリーダ1500はまた、LEDと、ドライバ回路網とを含む。フォトダイオード基板からの信号は、コネクタ基板1507にルーティングされ、National Instruments Corp.(Austin, TX)からのCOMPACTDAQ等のデータ入手システム(DAQ)に接続される。DAQは、光学チャネル、したがって、マルチウェルプレート1501のウェルを横断して、同期されたアナログ出力制御およびアナログ入力サンプリングを提供し得る。DAQは、例えば、USB接続によって、制御および/またはデータ入手ソフトウェアを実行するワークステーションに接続されてもよい。
【0094】
図18は、プレート読取プラットフォームからの外光および空気中の汚染物質を遮断する、随意のケース1571を伴うプレートリーダを示す。ある側面では、ケース1571は、可撤性であってもよい。ある側面では、ケースは、プレート読取プラットフォームへのアクセスを提供するために、扉またはハッチ1572を含む。
【0095】
図19は、例示的プレートリーダ1500の接近図を提供する。本図では、ピコ電流計回路/フォトダイオード1305を伴うPCBを含む、2つの読取ヘッド1300が、見られることができる。
【0096】
ある側面では、プレートリーダは、リーダ上に位置付けられるマルチウェルプレート内のサンプルと関連付けられる環境条件を制御するように動作可能な環境制御サブシステムを含んでもよい。環境制御サブシステムは、例えば、サンプル領域の湿度、温度、CO、および他の因子を制御することができる。環境制御サブシステムは、細胞サンプルがマルチウェルプレートのウェル内に含有される水性培地における条件が、細胞を生存させ、機能的にさせ続けるために維持されることを保証することができる。これは、特に、刺激に応答する細胞の活性を査定する光遺伝学的アッセイにおいて重要である。
【0097】
ある側面では、プレートリーダは、該マルチウェルプレート内のウェルに流体を送達するために、マイクロ流体アセンブリを含んでもよい。アセンブリは、例えば、細胞を生存させ続けるために、細胞培地等の栄養素を送達してもよい。アセンブリはまた、例えば、着目化合物等の試薬または基準刺激をマルチウェルプレートのウェル内のサンプルに送達することができる。プレートリーダはまた、器具内にプレートのバッチを順次装填するための設備を含有してもよい。
【0098】
ある側面では、光チャネルは、光サブシステムの一部である。プレートリーダの対物レンズおよび/または光サブシステムは、処理システム303に結合されてもよい。処理システム303は、ウェルからの放出光を使用して、ウェル内の細胞の活性をモデル化するように動作可能であってもよい。さらに、ある側面では、光学チャネルの光検出器は、光学信号をデジタル信号にデジタル化してもよい。処理システムは、デジタル化された信号を分析および/または記憶してもよい。処理システムはまた、例えば、デジタル化された信号から活性関連波形をモデル化してもよい。
【0099】
図20は、プレートリーダ1800の制御および使用のためのシステム1801の概略図を示す。プレートリーダ1800は、光学チャネルと、それらの対物レンズとを含む、光学システム1803を含む。プレートリーダ1800は、直接、またはネットワーク1843を介して、コンピュータデバイス1835に接続される。随意に、システム1801は、サーバコンピュータ1811を含む、またはそれにアクセスしてもよい。コンピュータデバイス1835は、アッセイからの結果を表示し、ユーザ入力を介して、例えば、放出光、プレートプッシャ1805、環境制御サブシステム1807、およびマイクロ流体アセンブリ1809を制御するように構成される、タッチスクリーン等の入力/出力を含んでもよい。システム1801を使用して、ユーザは、タッチスクリーン上に表示される電気活性細胞を活性化し得る。
【0100】
システム1801は、プレートリーダ1800に接続される、コンピュータデバイス1835を含み、これは、典型的には、メモリに結合されるプロセッサと、1つまたはそれを上回る入力/出力デバイスとを含むであろう。好適なI/Oデバイスは、モニタ、キーボード、マウス、ポインタ、トラックパッド、タッチスクリーン、カメラ、Wi-Fiカード、ネットワークインターフェースカード、USBポート、その他、およびそれらの組み合わせを含む。ある実施形態では、コンピュータ1835は、タッチスクリーンを含む。タッチスクリーンは、対物レンズによって捕捉されたリアルタイム画像を表示するように構成されてもよい。タッチスクリーンは、タッチスクリーンに触れることを含む、ユーザ入力を受け取るように動作可能であり得る。いくつかの実施形態では、タッチスクリーンは、刺激光をマルチウェルプレートのあるウェルに伝達するように、ユーザによって手動で制御されることができる。タッチスクリーンは、プレートプッシャの位置、刺激光強度および/または波長、またはプレートリーダの使用および制御に関連する任意の他の因子を含む、顕微鏡の全ての側面を制御するように動作可能であってもよい。
【実施例
【0101】
(実施例1)
実施例1:単一ウェル検証アッセイ
単一の光学チャネルモジュールを伴うプレートリーダが、QuasAr2電圧レポータを発現するIPSC由来心筋細胞を含有する96-ウェルプレートをアッセイするために使用された。細胞は、プレート内で細胞培養において維持された。
【0102】
図21は、アッセイの結果を示す。「青色刺激」と標識化される線は、プレートリーダによってプレートの単一のウェルに伝達された刺激光のパルスを示し、これは、CheRiffの作動を引き起こした。これは、細胞における電圧およびカルシウムイオン濃度の結果として生じる変化につながった。電圧の結果として生じる変化は、QuasAr2によって報告され、これは、プレートリーダから伝達された赤色光によって活発化され、カルシウムイオン濃度は、jRGECO1によって報告され、これは、黄色光によって活発化された。したがって、プレートリーダは、3つの別個の波長の光を用いて、マルチウェルプレートの単一のウェル内のアクチュエータおよび2つのレポータを正確に刺激することが可能であった。また、プレートリーダは、2つの別個の放出波長の光のレベルを同時に検出することが可能であった。
【0103】
(実施例2)
実施例2:光学チャネルモジュール検証アッセイ
単一の光学チャネルモジュールを伴う同一のプレートリーダが、384-ウェルプレートのウェル内のスパイキングHEK細胞をアッセイするために使用された。プレートリーダは、一度にプレートの1つのウェルを同時にアッセイし、光学チャネルモジュールの各光学チャネル/対物レンズを伴うものは、一度に1つのウェルに対処した。
【0104】
スパイキングHEKアッセイは、本明細書に説明されるSWARM器具上で実施された。結果は、Swarm器具におけるNav1.7スパイキングHEKアッセイ性能に関して提示される。
【0105】
図22は、電圧感受性染料BeRST1、CheRiff-eGFP、Kir2.1、および着目標的であるNav1.xチャネルを含む、Nav1.xスパイキングHEK細胞における重要となる成分の概略図である。
【0106】
図23は、10回試験パルス青色光刺激プロトコルを用いて刺激され、Swarm器具の対物レンズ1によって撮像される、DMSOまたは1mM TTXで処理されたNav1.7スパイキングHEK細胞の8つのウェルからの代表的な蛍光トレースを示す。浸液[K+]は、8mMである。
【0107】
図24は、全ての24個の対物レンズから収集された蛍光トレースを示す。Nav1.7スパイキングHEK細胞は、DMSOまたは1mM TTXのいずれかを用いて処理され、10回試験パルス青色光刺激プロトコルによって刺激された。各トレースは、同一の対物レンズによって撮像される8つの隣接するウェルに基づいて平均化される。
【0108】
図25は、代表的なNav1.7スパイキングHEK 384-ウェルセンチネルプレートからのヒートマップを示す。全ての奇数列は、DMSO媒質対照群を用いて処理され、全ての偶数列は、1mM TTXを用いて処理された。アッセイは、スパイキングHEK細胞に関する。細胞は、電圧レポータとしてQuasAr2、膜電位を変調するための電圧アクチュエータとしてCheRiff、膜電位を変調するためのカリウムチャネルとしてKir2.1、および電圧開口型ナトリウムチャネルであるNav1.xチャネル(Nav1.5、Nav1.7、Nav1.8、Nav1.9等)を発現させられた。加えて、膜電位、細胞内カルシウム、または他の媒介物の化学センサが、本システムにおいて利用されてもよい。そのようなアッセイは、例えば、疼痛および他の条件を低減させるための着目標的である、Nav1.xチャネルの活性を遮断するための異なる機構および化合物を検出するために使用されることができる。本アッセイでは、Nav1.7が、細胞によって発現された。
【0109】
細胞に加えて、プレートの各ウェルは、185nMのNav1.7ブロッカ化合物TTX、5.6μMのアミトリプチリン、または媒質(0.5% DMSO)のいずれかを添加された。光学チャネルモジュールの各光学チャネルは、96-ウェルプレートの異なるウェルにパターン化された青色光を同時に伝達し、細胞が活動電位を発火するまでCheRiffを刺激した。刺激プロトコルは、添加された化合物に対する細胞の応答を測定するための青色光の8つのパルスから成り、基準刺激によって誘起されるプラトーが続き、次いで、以前の活性化信号に続くチャネル活性および薬理学的応答を測定するための青色光の最終伝達が続いた。
【0110】
図26は、例示的L/Rアッセイにおけるプレートのウェルの前半からの走査1、2、3、7、8、9、13、14、15、19、20、および21を与える。データは、光学チャネルモジュールによってアッセイされた例示的プレートの前半からのウェルから取得される。
【0111】
図27は、例示的L/Rアッセイにおけるプレートのウェルの後半からの走査4、5、6、10、11、12、16、17、18、22、23、および24を与える。
【0112】
「L」および「R」と標識化される、異なる暗さ(または色)の線は、光学チャネルモジュールの2つの異なるチャネルからのものである。
【0113】
図28は、落射蛍光顕微鏡を使用する類似するアッセイを使用して以前に取得された結果および検証結果を提供する。プレートリーダからのL/Rアッセイの結果が、顕微鏡によって提供された検証結果に一致したことが明白である。
【0114】
図29は、光学チャネルモジュールの各光学チャネルによって検出されるような各ウェル内の最初の2つのパルスからの結果のオーバーレイを示す。本図は、各チャネルからの結果が、各チャネルの間のわずかな差異のみを伴って、一貫し、再現可能であることを示す。
【0115】
図30は、モジュールのチャネル毎に計算される、要約統計値Z-primeを提供する。これらの結果に基づいて、チャネルの間のわずかな差異を伴っても、望ましいZ-primeがこれらのアッセイに関して取得されたことが、明白である。
【0116】
(実施例3)
実施例3:同時24-ウェル検証アッセイ
12個の光学チャネルモジュール(すなわち、2つの12個の読取ヘッドおよび24個の光学チャネル/対物レンズ)を伴うプレートリーダが、マルチウェルプレートの24個の個々のウェルを同時にアッセイするために使用された。プレートのウェルは、OptoPatchシステムサンプルを含有していた。OptoPatchシステムは、優れた信号対雑音性質を伴う膜貫通電位の変化を直接報告するために採用される、哺乳類神経細胞を使用する全光学的電気生理学システムである。各プレートのウェル内の神経細胞は、電圧レポータとしてArchベースのQuasArsおよび膜電位を変調するための電圧アクチュエータとしてCheRiffを発現させられた。
【0117】
本プレートリーダは、16ビット分解能および最大25kS/秒で、各ウェルへの各光学チャネルの全ての4つのLED波長に独立して刺激波形を印加することができる。72個のピコ電流計出力のそれぞれの出力は、最大10kS/秒において24ビット分解能で独立して、かつ同時にデジタル化される。これは、光学チャネルが、独立して、刺激光を発現されたCheRiffに伝達し、励起光をウェルのそれぞれの中に含有される神経細胞によって発現されたArchベースのQuasArsに伝達することを可能にした。刺激光は、CheRiffを刺激し、神経細胞の膜電位の変化を引き起こした。励起光は、QuasArsを励起し、これは、CheRiffの刺激によって引き起こされる活動電位の変化を示す光学信号を発生した。
【0118】
図31は、チャネル1、2、3、7、8、9、13、14、15、19、20、および21に関する4波長刺激アッセイの結果を提供する。
【0119】
図32は、チャネル4、5、6、10、11、12、16、17、18、22、23、および24に関する4波長刺激アッセイの結果を提供する。
【0120】
4波長刺激アッセイでは、光学トレースが、マルチウェルプレートのウェルにおいて整合される光学チャネルを使用して記録される。光学チャネル毎に、2つの別個のウェルからのデータが、オーバーレイされ、それぞれ、青色および赤紫色線として示される。撮像フレームレートは、2キロヘルツであり、ブリーチ補正が、適用された。全ての24ウェル光学チャネルは、完全に機能的であり、一貫した再現可能な結果を提供した。
【0121】
これらの結果は、本発明のプレートリーダが、マルチウェルプレートのいくつかのウェルを横断して同時、正確、かつ再現可能な結果を提供し得ることを実証している。各パルス化プロトコルは、完了するために5秒未満かかり、制御信号を設定し、プレートのウェルを対物レンズと整合させるために、約5秒かかる。これは、プレートを交換し、プレートリーダ上のプレートを走査するための約5分に等しい。したがって、96-ウェルプレートを使用するとき、約7,000個の個々のウェルが、1日あたりアッセイされることができる。384-ウェルプレートを使用するとき、本処理能力は、1日あたり約20,000個のウェルまで増加する一方、1,536-ウェルプレートは、1日あたり約40,000個の個々のウェルの処理能力を提供する。本発明のプレートリーダは、したがって、高処理能力スクリーニング(HTS)アッセイにおいて機能することができる。
【0122】
(実施例4)
実施例4:Navチャネルに対するツール化合物の濃度応答曲線分析
本発明の方法は、異なるNavサブタイプに対する種々のツール化合物の応答を評価するために使用された。本発明の方法は、スパイキングHEK細胞アッセイを使用して、Navサブタイプの治療を査定するために使用された。図に示されるように、Nav1.2およびNav1.5サブタイプが、500m秒の長いパルスに先立って、8つの試験パルスを使用して、2Hzにおいて刺激された。第3~第8のパルスによって誘起された活動電位が、プロットされる。Nav1.7に関して、細胞は、4Hzにおいて刺激され、全ての誘起された活動電位が、プロットされた。
【0123】
濃度応答曲線(CRC)が、異なるNavサブタイプに対する種々のツール化合物に関して取得された。
【0124】
図33は、DMSO、1mM TTX、または10mMテトラカインで処理されたNav1.2スパイキングHEK細胞(8mM浸液[K+])、Nav1.5スパイキングHEK細胞(6mM浸液[K+])、およびNav1.7スパイキングHEK細胞(4mM浸液[K+])からの代表的な蛍光トレースを与える。Nav1.2およびNav1.5スパイキングHEKアッセイに関して、細胞は、2Hzにおいて刺激された。8つの試験パルスが、500m秒の長いパルスの前に印加され、第3~第8のパルスによって誘起された活動電位のみが、ここではプロットされ、Nav1.7スパイキングHEK細胞に関して、細胞は、4Hzにおいて刺激され、全ての誘起された活動電位が、プロットされる。
【0125】
図34は、Nav1.2(8mM浸液[K+])、Nav1.5(6mM浸液[K+])、およびNav1.7(8mM浸液[K+])に対する3つの非選択的Navチャネルブロッカ(アミトリプチリン、テトラカイン、ビクソトリジン)および3つのサブタイプ選択的Navチャネルブロッカ(JNJ63955918、PF-05089771、テトロドトキシン)の濃度応答曲線(CRC)を示す。表1は、異なる効能および作用機構を伴う15個のツール化合物からのNav1.x IC50値および状態依存性である。状態依存性は、8mM K+におけるTP10 IC50値に対する4mM K+におけるTP1におけるNav1.7スパイキングHEKアッセイのIC50値の比率として定義される。
【0126】
図35は、使用された化合物を列挙する。
【0127】
結果は、Nav1.2、Nav1.5、およびNav1.7チャネルに対する3つの非選択的Navチャネルブロッカ(アミトリプチリン、トリカイン、およびビクソトリジン)および3つのサブタイプ選択的Navチャネルブロッカ(JNJ63955918、PF-05089771、およびテトロドトキシン)に関するCRCを与える。異なる効能および作用機構の15個のツール化合物を使用するIC50値および状態依存性が、示される。状態依存性は、8mM K+における時点10値に対する4mM K+における時点1におけるNav1.7スパイキングHEKアッセイのIC50値の比率として定義される。まとめると、これらの結果は、本発明の方法およびプレートリーダが、Navチャネルにおいて刺激を遮断する際の有効性に関して、既存および未知の化合物を査定するために有用であることを実証している。
(実施例5)
実施例5:選択性/効能アッセイ
散布プロットが、ツール化合物および試験化合物の効能および選択性を示すために、ツール化合物および識別されたヒット化合物に関して作製された。散布プロットは、ツール化合物および識別されたヒット化合物の効能、選択性、および状態依存性を示す。
【0128】
図36は、選択性を示すための散布プロットである。Nav1.7抑制剤毎に、Nav1.7 IC50値に対するNav1.2 IC50値の比率として定義される、Nav1.2に対するそのサブタイプ選択性が、そのNav1.7 IC50値に対してプロットされた。
【0129】
図37では、Nav1.7抑制剤毎に、Nav1.7 IC50値に対するNav1.5 IC50値の比率として定義される、Nav1.5に対するそのサブタイプ選択性が、そのNav1.7 IC50値に対してプロットされた。
【0130】
図38は、散布プロットである。Nav1.7抑制剤毎に、状態依存性のその逆数が、Nav1.7に対するその効能に対してプロットされた。全ての3つのパネルでは、所望の性質(効能、サブタイプ選択性、およびより低い状態依存性)を伴う化合物が、左上象限内に分布している。結果は、本発明のプレートリーダが、効能および/または種々の標的との選択的相互作用に関して化合物をスクリーニングするために有用な多重化された高処理能力結果を提供することを示す。結果は、ヒット化合物、すなわち、効果的な新しい薬物として有望な化合物を発見するために有用である。
【0131】
(実施例6)
実施例6:IPSC由来心筋細胞検証アッセイ
本発明の24対物レンズプレートリーダが、jRGECO1aカルシウムセンサ、CheRiffアクチュエータを発現し、BeRST1蛍光電圧感受性染料を装填されたIPSC由来心筋細胞を含有する96-ウェルプレートをアッセイするために使用された。
【0132】
図39は、Swarm器具上での同時電圧およびカルシウム撮像の結果を示す。「刺激」と標識化された線は、プレートリーダによって96-ウェルプレートの複数のウェルに伝達された刺激光のパルスを示し、これは、CheRiffの作動を引き起こした。これは、細胞における電圧およびカルシウムイオン濃度の結果として生じる変化につながった。電圧の結果として生じる変化は、BeRST1によって報告され、これは、プレートリーダから伝達された赤色光によって活発化された。カルシウムイオン濃度は、jRGECO1によって報告され、これは、黄色光によって活発化された。したがって、プレートリーダは、3つの別個の波長の光を用いて、マルチウェルプレートの複数のウェル内のアクチュエータおよび2つのレポータを正確に刺激することが可能であった。また、プレートリーダは、2つの別個の放出波長の光のレベルを同時に検出することが可能であった。
【0133】
図40は、カルシウムチャネルブロッカであるニフェジピン等のツール薬理学を用いたアッセイの検証を示す。図40の電圧およびカルシウム蛍光波形は、10回試験パルス青色刺激プロトコルの平均エポックを示す。図41は、各濃度の3つのウェルからの電圧ピーク振幅および積分されたカルシウム面積の定量化を示す。ニフェジピンの濃度を増加させることは、これが0.3μMにおいて完全に消滅されるまで、電圧活動電位波形およびカルシウム過渡の両方を改変した。
【0134】
参照による組み込み
特許、特許出願、特許公開、雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツ等の他の文書の参照および引用が、本開示全体を通して行われている。全てのそのような文書は、あらゆる目的のために、本明細書に参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0135】
均等物
本明細書に示され、説明されるものに加えて、本発明の種々の修正およびその多くのさらなる実施形態が、本明細書に引用される科学および特許文献の参照を含む、本書の全内容から、当業者に明白となるであろう。本明細書の主題は、その種々の実施形態およびその均等物における本発明の実践に適合され得る、重要な情報、例示、および指針を含有する。
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【国際調査報告】