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特表2024-501858アノード、冷却システム、及びそれらを含むX線源
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】アノード、冷却システム、及びそれらを含むX線源
(51)【国際特許分類】
   H01J 35/12 20060101AFI20240109BHJP
   H01J 35/00 20060101ALI20240109BHJP
   H01J 35/08 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H01J35/12
H01J35/00 A
H01J35/08 D
H01J35/08 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540074
(86)(22)【出願日】2021-12-31
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 US2021065844
(87)【国際公開番号】W WO2022147366
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】63/133,065
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/173,036
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517023736
【氏名又は名称】ヴァレックス イメージング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カーカム、デイヴ
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン、ヴァンス、スコット
(57)【要約】
システムであって、真空エンクロージャと、真空エンクロージャを貫通し、複数の第1の冷却通路を含むアノード支持構造体と、アノードであって、真空エンクロージャ内に配置され、アノード支持構造体に結合されてアノード支持構造体によって支持され、ターゲットと、複数の第2の冷却通路と、を含むアノードと、を含み、第2の冷却通路のそれぞれは、対応する第1の冷却通路に結合され、アノードは、アノード支持構造体に、ターゲットを含むアノードの側面とは異なり、アノードの長軸上のアノードの軸端とは異なるアノードの側面上で結合されるシステム。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
真空エンクロージャと、
前記真空エンクロージャを貫通し、複数の第1の冷却通路を含むアノード支持構造体と、
アノードであって、前記真空エンクロージャ内に配置され、前記アノード支持構造体に結合されて前記アノード支持構造体によって支持され、
ターゲットと、
複数の第2の冷却通路と、を含むアノードと、を含み、
前記第2の冷却通路のそれぞれは、対応する第1の冷却通路に結合され、
前記アノードは、前記アノード支持構造体に、前記ターゲットを含む前記アノードの側面とは異なり、前記アノードの長軸上の前記アノードの軸端とは異なる前記アノードの側面上で結合される、システム。
【請求項2】
前記アノードは前記アノード支持構造体に、前記アノードの前記ターゲットとは反対側で結合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記アノード支持構造体は、前記真空エンクロージャ内の前記アノードに対する唯一の構造的支持体である請求項1から2のいずれかに記載のシステム。
【請求項4】
前記アノード支持構造体は、前記真空エンクロージャ内の前記アノードに対する唯一の電気接続である請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記アノードは線状アノードである請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記線状アノードは、長さ対幅のアスペクト比が、4:1、10:1、25:1、50:1、及び100:1のうちの少なくとも1つ以上である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ターゲットは、前記アノード支持構造体に対して垂直な線または平面内に延びる複数のターゲットのうちの1つである請求項1から6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記アノードはさらに、
ベースと、
前記ベースの両端に配置された第1のエンドキャップ及び第2のエンドキャップと、を含み、
前記ターゲットは前記ベース上に配置され、
前記第2の冷却通路は、前記第1のエンドキャップから前記第2のエンドキャップまで前記ベースを通って延び、
前記エンドキャップのそれぞれに対して、前記エンドキャップは、前記第2の冷却通路の少なくとも一部を少なくとも部分的に互いに結合する、請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記アノード支持構造体は前記ベースに、前記ベースの最長寸法の25%から75%の間の前記ベース上の位置において結合され、
前記第2の冷却通路は、前記アノード支持構造体から前記ベースの前記両端まで延びる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の冷却通路のうちの第1のものは、前記アノードの中心軸に沿って配置され、
前記第2の冷却通路のうちの第2のものと前記第2の冷却通路のうちの第3のものとは、前記第2の冷却通路のうちの前記第1のものの両側に配置される、請求項1から9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記エンドキャップは前記真空エンクロージャから分離されている、請求項8から10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記アノード支持構造体の前記第1の冷却通路のうちの1つは、前記アノードの複数の第2の冷却通路に結合される、請求項1から11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記アノード支持構造体は、前記真空エンクロージャの外側から前記アノードへの電気接続を形成する、請求項1から12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記ターゲット上に配置され、前記ベースに電気的に結合されたシュラウドであって、少なくとも1つの電子ビームが前記ターゲットに到達できるように構成された複数の開口部を含むシュラウドをさらに含む、請求項1から13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
方法であって、
真空エンクロージャを貫通するアノード支持構造体を通して、冷媒を前記真空エンクロージャ内のアノードに向けて送ることと、
前記アノードにおいてまたは前記アノード内で前記冷媒を分割して、前記アノード内の第1の冷却通路内で反対方向に流すことと、
前記冷媒を、前記第1の冷却通路の端部において、前記アノード支持構造体に向かって延びる第2の冷却通路内に向け直すことと、
前記冷媒を前記第2の冷却通路から前記アノード支持構造体内に送ることと、を含む方法。
【請求項16】
前記アノード支持構造体を通して前記アノードに電気的に接続することをさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アノードにおいて前記冷媒を分割することは、前記アノード支持構造体に対して垂直に延びるように前記冷媒を分割することを含む請求項1から16のいずれかに記載のシステムまたは方法。
【請求項18】
前記アノード支持構造体のみによって前記アノードを支持することをさらに含む請求項1から17のいずれかに記載のシステムまたは方法。
【請求項19】
システムであって、
電子ビームをX線に変換するための手段であって、前記電子ビームを前記X線に変換するための前記手段を通して冷媒を送るための手段を含む手段と、
前記電子ビームを前記X線に変換するための前記手段を支持するための手段であって、前記電子ビームを前記X線に変換するための前記手段に冷媒を供給するための手段を含む手段と、を含み、
前記電子ビームを前記X線に変換するための前記手段は、前記電子ビームを前記X線に変換するための前記手段に供給された前記冷媒を分割するための手段をさらに含む、システム。
【請求項20】
前記電子ビームを前記X線に変換するための前記手段を支持するための前記手段は、前記電子ビームを前記X線に変換するための前記手段に電気的に接続するための手段を含む、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
X線源は、複数のX線ビームを生成するように構成される場合がある。エミッタのアレイが、アノード上のターゲット(複数可)に向けて複数の電子ビームを放出する場合がある。いくつかの線状アノードは、長さが幅よりもかなり長いターゲットを含む。電子ビームは、長さに沿って一列にターゲットに当たるようにターゲットに向けて送られる場合がある。入射電子ビームはアノードにおいて熱を発生させる。アノードは、アノードの端部の一方に供給される水または絶縁油などの冷媒によって冷却される場合がある。アノードに対する支持体は、アノードの端部上に配置される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1A】いくつかの実施形態によるX線システムのアノードの上面図である。
図1B】いくつかの実施形態による図1Aのアノード及びアノード支持構造体の側面図である。
図1C】いくつかの実施形態による図1Bのアノード及びアノード支持構造体の断面図である。
図1D】いくつかの実施形態による図1Aのアノードの切り欠き図である。
図2】いくつかの実施形態によるX線システムのブロック図である。
図3A】いくつかの実施形態による複数のアノード支持構造体を伴うX線システムのブロック図である。
図3B】いくつかの実施形態による図3Aのアノードの切り欠き図である。
図4A】いくつかの実施形態によるアノード及びアノード支持構造体の分解斜視図である。
図4B】いくつかの実施形態による図4Aのアノード及びアノード支持構造体の切り欠き図である。
図4C】いくつかの実施形態によるアノード支持構造体を伴わないアノードの斜視図である。
図4D】いくつかの実施形態によるシュラウドを伴う図4Aのアノードの斜視図である。
図5A】いくつかの実施形態によるアノードの切り欠き図である。
図5B】いくつかの実施形態によるアノードの上面図である。
図6A】いくつかの実施形態によるX線システムを形成する技術のブロック図である。
図6B】いくつかの実施形態によるX線システムを形成する技術のブロック図である。
図6C】いくつかの実施形態によるX線システムを形成する技術のブロック図である。
図6D】いくつかの実施形態によるX線システムを形成する技術のブロック図である。
図6E】いくつかの実施形態によるX線システムを形成する技術のブロック図である。
図6F】いくつかの実施形態によるX線システムを形成する技術のブロック図である。
図6G】いくつかの実施形態によるX線システムを形成する技術のブロック図である。
図7】いくつかの実施形態によるX線システムのアノードを動作させる技術のフローチャートである。
図8A】いくつかの実施形態によるアノード及びアノード支持構造体の斜視図である。
図8B図8Aのアノード及びアノード支持構造体の分解組立図である。
図8C】いくつかの実施形態による冷却チャネルを示す図8Aのアノード及びアノード支持構造体の種々の切り欠き図である。
図8D】いくつかの実施形態による冷却チャネルを示す図8Aのアノード及びアノード支持構造体の種々の切り欠き図である。
図8E】いくつかの実施形態による冷却チャネルを示す図8Aのアノード及びアノード支持構造体の種々の切り欠き図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
いくつかの実施形態は、アノード、アノード用の冷却システム、及びこのようなアノード及び冷却システムを含むX線源に関する。
【0004】
いくつかのX線源は、アノードの長さの端部においてアノードに冷媒を供給する。単一の穴を、アノードの本体内に形成してもよい。管を内部に配置して、冷媒が出入りする2つの流体通路を作成してもよい。冷媒は真空チャンバの外側からアノードに供給される。その結果、絶縁体、スタンドオフ、または他の構造物であって、アノードの支持及び/または冷媒の供給を目的としたものが、アノードの端部に配置される。
【0005】
必然的に、真空エンクロージャの壁はアノードからずれている。支持構造及び冷却構造により、X線源の長さが長くなる。長さは、以下に説明する種々の図におけるX方向などの、エミッタが配置されるより大きい寸法を指す。いくつかのシステムでは、複数のX線源が端から端まで配置される。これらのX線源から結果として得られるX線ビームは、アノードの支持及び/または冷媒の供給を目的とした構造物の長さに依存したギャップを有する。
【0006】
加えて、熱膨張により変形が生じる場合がある。たとえば、アノードのターゲット側と非ターゲット側との間の温度差により変形が生じる場合がある。ターゲットが配置されるアノードの高温側とターゲットの反対側の低温側とが温度が異なる場合、高温側は低温側よりも成長しようとするので、アノードが湾曲する場合がある。別の例では、アノードが周囲のエンクロージャよりもかなり高温である場合、アノードはエンクロージャに対して膨張する場合がある。アノードがエンクロージャの各端部において固定及び/または支持されている場合、この熱成長によって、エンクロージャが歪み及び/またはアノードが座屈または変形する。別の例では、アノードの一端から冷媒を供給すると、アノードの変形が生じる場合がある。最初はより低温の冷媒がアノードの一端に入ってもよい。その結果、冷媒が入るアノードの端部は、遠端よりも低い温度で動作し得る。アノードは温度差により歪み及び/または変形する場合がある。ターゲットまたはアノードの位置の変化により、焦点(複数可)のシフト、サイズの変化、歪みなどが生じる場合がある。
【0007】
後により詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、支持体及び冷却通路(または冷却チャネル)を、アノードの中央及び/または背面に配置してもよい。支持体及び/または冷却通路は、アノードへの電気接続を与えてもよい。
【0008】
図1Aは、いくつかの実施形態によるX線システムのアノードの上面図である。図1Bは、いくつかの実施形態による図1Aのアノード及びアノード支持構造体の側面図である。図1Cは、いくつかの実施形態による図1Bのアノード及びアノード支持構造体の断面図である。図1Cは、Y-Z平面と平行な平面Iに沿った断面である。図1Dは、いくつかの実施形態による図1Aのアノードの切り欠き図である。図1Dは、X-Y平面と平行な平面IIに沿った上面切り欠き図である。
【0009】
図1Aから1Dを参照して、いくつかの実施形態では、X線システム100は、真空202を非真空204から分離するように構成された真空エンクロージャ201を含む。X線システム100は、真空エンクロージャ201内に配置されたアノード104を含む。アノード支持構造体106が、真空エンクロージャ201を貫通して、真空エンクロージャ201内の真空202内でアノード104を支持する。
【0010】
アノード104はターゲット103を含む。ターゲット103は、1つ以上の入射電子ビームに応答してX線を生成するように構成された構造物である。ターゲット103としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)などの材料、このような材料を含む合金などを挙げてもよい。いくつかの実施形態では、ターゲット103は、X方向におけるターゲット長さが、Y方向におけるターゲット幅の5倍、10倍、20倍またはそれ以上である線状ターゲットである。いくつかの実施形態では、線状ターゲットは、平坦であってもよいし、連続曲線、区分線形曲線、このような曲線の組み合わせなどの曲線であってもよい。いくつかの実施形態では、異なる電子ビームが、ターゲット103の異なる領域102(領域102-1から102-nによって表される)に衝突し得る。いくつかの実施形態では、電子ビームは、ターゲット103の少なくとも3、5、10、100、またはそれ以上の異なる領域102に衝突し得る。後により詳細に説明するように、ターゲット103は、線状ターゲットではなくて、X方向及びY方向の両方に延びる異なる領域102を伴う平面ターゲットであってもよい。いくつかの実施形態では、ターゲット103は、複数の電子ビームがターゲット103上の複数の領域102に向けられる場合でも、単一のターゲットであってもよい。他の実施形態では、ターゲット103は、アノード104に取り付けられた複数の別個のターゲットを含んでいてもよい。任意の数のターゲット103をアノード104上に配置してもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、ターゲット103は、アノード支持構造体106に実質的に垂直な線及び/または平面内を延びる。たとえば、ターゲット103は、X方向に沿った線またはX-Y平面に沿った平面内を延びる。しかし、アノード支持構造体106の長軸はZ方向に延びる。
【0012】
いくつかの実施形態では、アノード104は、複数の冷却通路112及び114を含む。たとえば、アノード104は、冷却通路112-1から112-2及び114-1から114-4を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、アノード104の本体104aは、ターゲット103よりも高い熱伝導率を有する材料で形成してもよい。たとえば、アノード104の本体104aは、銅、ステンレス鋼、真空適合性の伝導性材料などで形成してもよい。冷却通路112及び114は、後により詳細に説明するように、種々の方法で形成してもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、冷却通路112及び114は、アノード104の本体104a内に円筒形通路を含む。孔116a及び116bなどの孔116を、冷却通路112及び114に結合してもよい。ここでは、孔116aは冷却通路114に結合され、孔116bは冷却通路112に結合される。孔116は、アノード104のターゲット103とは反対側の外面107から、対応する冷却通路112または114まで延びてもよい。孔116a及び116bの数及び配置は一例として例示しているが、他の実施形態では、数及び配置は異なっていてもよい。たとえば、2つの孔116aではなくて、4つの孔116aが表面107から冷却通路114まで延びてもよい。
【0014】
アノード支持構造体106は、種々の材料で形成してもよい。たとえば、アノード支持構造体106は、モリブデン(Mo)、モリブデン合金、銅(Cu)、ステンレス鋼、真空適合性の伝導性材料などで形成してもよい。アノード支持構造体106は、アノード104に種々の方法で取り付けてもよい。たとえば、アノード支持構造体106の外壁106aは、真空エンクロージャ201内の真空202を維持するために、アノード104に溶接、ろう付け、または他の方法でシールしてもよい。
【0015】
アノード支持構造体106は、真空エンクロージャ201に種々の方法で結合してもよい。たとえば、アノード104は、約160キロボルト(kV)の高電位差となるように構成されたホットアノードであってもよい。160kVを一例として使用しているが、他の実施形態では、アノード電圧は異なっていてもよい。アノード支持構造体106は、アノード104への電気接続を形成してもよい。こうして、アノード支持構造体106またはアノード支持構造体106の一部は高電圧であってもよい。セラミック絶縁体などの絶縁体が、アノード支持構造体を真空エンクロージャのハウジングから絶縁してもよい。
【0016】
アノード支持構造体106は、複数の冷却通路110を含む。この例では、アノード支持構造体106は、2つの冷却通路110a及び110bを含む。冷却通路110は、冷却通路112及び114に結合される。ここで、冷却通路112は冷却通路116bに孔116bを通して接続され、冷却通路114は冷却通路114に孔116aを通して接続される。
【0017】
いくつかの実施形態では、冷却チャネル110内の矢印によって示すように、冷媒がアノード支持構造体106内に送られる。すなわち、冷媒はアノード支持構造体106の冷却通路110bに入る。冷媒は、孔116bを通って冷却通路112内に入る。冷媒は冷却通路112-1と112-2との間で分割される。冷媒は、アノード104の本体104の両端104c及び104dに向かって移動する。アノード104の端部104c及び104dにおいて、冷媒の流れが逆転して、冷却通路114を通って戻る。冷却通路112-1を通過した冷媒は、冷却通路114-1と114-3との間で分割される。同様に、冷却通路112-2を通過した冷媒は、冷却通路114-2と114-4との間で分割される。冷却通路114を通過する冷媒は、冷却通路110aにつながる孔116aを通って、アノード支持構造体106に戻る。
【0018】
いくつかの実施形態では、冷媒のこの経路の結果、より均一な冷却が得られる。たとえば、ターゲット103への入射電子ビームによって生成される熱量は、ターゲット103の中心に沿ったX方向における中心線に集中する場合がある。いくつかの実施形態では、冷却通路112は、XZ平面と平行でターゲット103の中心線と平行な平面上に配置される。他の実施形態では、冷却通路112は、ターゲット103の中心線に最も近い冷却通路であってもよい。すなわち、熱は、冷却通路112に最も近いところでより高くなり得る。冷媒は冷却通路114より前に冷却通路112に入るため、より大きな熱量が、より大きな熱を生成するターゲット103の領域から冷媒に伝達される場合がある。より温かい冷媒が、冷却通路112の両側に配置された冷却通路114を通り得る。冷却通路114の上方では冷却通路112よりも小さい熱量が生成され得るため、冷却通路114はより少ない熱を受け取り得る。その結果、ターゲット103に提供される冷却量は、ターゲット103上で生成される熱により良く一致し得る。
【0019】
特定の数の冷却通路112及び114を一例として使用しているが、他の実施形態では、冷却通路112及び/または114の数は異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、4つの戻り冷却通路114-1から114-4ではなくて、1からの任意の数を用いてもよい。たとえば、冷媒が各端部において4つの冷却通路114に分割される場合、8つの戻り冷却通路114を用いてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、冷却通路110は同軸である。たとえば、冷却通路110bは冷却通路110aの中心にあってもよい。冷却通路110a及び110bを、外壁106a及び内壁106bを形成する2つの同軸パイプによって形成してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、アノード支持構造体106は、アノード104のベース104aの中心において、たとえば、ベース104aの中心からX方向に沿った長さの10%以内で、アノード104に結合される。いくつかの実施形態では、アノード支持構造体106をアノード104に、X方向に沿ったアノード104の長さまたはベース104aの最長寸法の25%から75%の間の位置において結合してもよい。アノード支持構造体106は、アノード104のターゲット103とは反対側に結合してもよい。いくつかの実施形態では、アノード支持構造体106を中心に対して配置することによって、歪みが減り得る。たとえば、アノード支持構造体106からアノード104の支持されていない端部までの距離は、アノード104がアノードの端部において支持された場合よりも短くなり得る。その結果、任意の結果として生じる歪みはより小さくなり得る。アノード支持構造体106をアノード104に、中心においてまたは中心に対して結合することを一例として使用しているが、他の実施形態では、アノード支持構造体106は中心からずれていてもよい。いくつかの実施形態では、アノード104は、X方向(長さ)及びY方向(幅)におけるアスペクト比X:Yが4:1、10:1、25:1、50:1、及び/または100:1以上である線状アノードであってもよい。いくつかの実施形態では、アノード104は、X方向(長さ)及びZ方向(高さ)におけるアスペクト比X:Zが4:1、10:1、25:1、50:1、及び/または100:1以上である線状アノードであってもよい。いくつかの実施形態では、ターゲット103は、X方向(長さ)及びY方向(幅)におけるアスペクト比X:Yが4:1、10:1、25:1、50:1、及び/または100:1以上である長方形であってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、アノード支持構造体106を、アノード104のターゲット104から反対側に配置することによって、システム100の幅を減少させることができる。特に、アノード104の端部でスペースを使用していたであろうスタンドオフ、フィードスルーなどが、アノード支持構造体106によって置き換えられる。その結果、真空エンクロージャ201の壁がアノード104のより近くに配置される場合があり、X方向におけるシステムの寸法が短くなる。いくつかの実施形態では、複数のX線システム100がX方向に互いに隣接して配置されると、X線システム100のアノード104間の空間量が減少して、X線システム100によって生成されるX線間のギャップが減少する場合がある。
【0023】
いくつかの実施形態では、複数の高電圧スタンドオフがなくなり得る。たとえば、端部104c及び104d上でアノードを支持するために、両端104c及び104d上の高電圧スタンドオフを使用する場合がある。しかし、アノード支持構造体106は両方の高電圧スタンドオフに置き換わり、部品数、複雑さなどが減少する。
【0024】
加えて、アノード支持構造体106を、アノード104のターゲット103から反対側に配置することによって、X線システム100の故障率が減る場合がある。高電圧の不安定性は、高電圧スタンドオフが増加すると増える可能性がある故障メカニズムである。高電圧の不安定性は、X線システム100の寿命を制限し得る。アノード104からの散乱電子による絶縁体を横切るアーク放電が、このような故障の可能性を増加させ得る。高電圧スタンドオフがアノード104の端部104c及び104d上で使用されると、アノード104に沿って横方向に移動する電子が高電圧スタンドオフ上に蓄積する可能性がより高くなる。これに対し、アノード104が、ターゲット103の反対側のアノード支持構造体106によって支持されると、アノード支持構造体106に結合された絶縁体に到達し得る散乱電子が減少するかまたはなくなって、アーク放電の確率が減少するかまたはなくなり得る。
【0025】
加えて、アノード104用の支持体の複雑さが低減され得る。アノード104が端部で支持されたら、高電圧スタンドオフは、温度変化によるX方向における軸方向の膨張に適応できるタイプの構造物が必要となり得る。このような構造によって形成される三重点は、シールドする必要があり得る。しかし、アノード支持構造体106をターゲット103の反対側に配置することによって、軸方向の膨張に適応する構造物及び/または三重点に対するさらなるシールドが必要でなくなり得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、アノード支持構造体106及びアノード104の構造によって、X線システム100の製造及び/または組み立てが簡略化され得る。前述したようにアノード104をアノード支持構造体106上に取り付けると、冷却チャネル112及び114への接続が簡略化され得る。たとえば、アノード104が本体104a内に同心の冷却通路を有していた場合、同心の冷却通路(特に、中央の冷却通路)への接続は難しい場合がある。すなわち、自由に動き得る中心管は、回転する能力があり、壁がある程度薄い場合がある。このような構造物に管をシールするのは、難しい場合がある。しかし、冷却通路112及び114は同心ではないため、孔116a及び116bは、目的とする冷却通路に到達するために他の冷却通路を通過することはない。
【0027】
アノード支持構造体106は、アノード支持構造体106がターゲット103に対して垂直になるように、アノード104に結合されると例示しているが、他の実施形態では、アノード支持構造体106とターゲット103及び/またはアノード104との方向は異なっていてもよい。たとえば、アノード支持構造体106のアノード104への接続、アノード104の本体の構造などは、ターゲット103がX方向の周りに5、10、15、または20度などの非ゼロ角度だけ回転するように、異なっていてもよい。
【0028】
図2は、いくつかの実施形態によるX線システムのブロック図である。X線システム200は、前述したX線システム100と同様であってもよく、同様のコンポーネントを含んでいてもよい。X線システム200はカソード224を含み、カソード224は、真空エンクロージャ201内に配置された1つ以上のエミッタ220を含む。ここで、複数のエミッタ220-1から220-nを、一例として例示している。エミッタは、対応する電子ビーム222-1から222-nを生成するように構成されている。
【0029】
エミッタ220は、任意の種々のエミッタであってもよい。たとえば、エミッタ220のそれぞれは、フィラメント(たとえば、コイルフィラメントエミッタ)、低仕事関数(LWF)エミッタ、電界エミッタ(たとえば、ナノチューブを含む)、ディスペンサカソード、光エミッタなどを含んでいてもよい。エミッタ220は、同じまたは異なるタイプのエミッタであってもよい。たとえば、エミッタ220のうちの1つ以上は電界エミッタであってもよく、一方で、1つ以上の他のエミッタ220はフィラメントであってもよい。
【0030】
X線システム200は冷却システム250を含む。冷却システム250は、アノード支持構造体106を通してアノード104に冷媒を供給するように構成された任意のシステムを含んでいてもよい。たとえば、冷却システム250は、ポンプ、ラジエーター、冷蔵庫、リザーバなどを含んでいてもよい。冷却システム250は、供給冷媒ライン252及び戻り冷媒ライン254を通してアノード支持構造体106に結合してもよい。冷媒ライン252及び254を通して、水、グリコール、絶縁油、非伝導性液体などの冷媒をアノード104を通して循環してもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、X線システム200は、真空エンクロージャ201の外側に配置された高電圧(HV)源260を含む。高電圧源260は、X線システム200を動作させるための1つ以上の高電圧を発生させるように構成してもよい。たとえば、高電圧源260は、数10kVから100kV以上までの電圧を発生させるように構成してもよい。
【0032】
真空エンクロージャ201内のコンポーネントへの電気接続を、アノード支持構造体106を通してアノード104まで形成してもよい。たとえば、高電圧接続262が、アノード電圧を供給するために高電圧源260から支持構造106に接続されるとして例示している。カソードが接地されていない場合、フィードスルー270がカソード224への電気接続を与えてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、アノード104への唯一の電気接続を、単一のアノード支持構造体106を通して形成してもよい。いくつかの実施形態では、真空エンクロージャ201内のアノード104に対する唯一の構造的支持体が、単一のアノード支持構造体106からであってもよい。いくつかの実施形態では、アノード104への唯一の電気接続及びアノード104に対する唯一の構造的支持体が、単一のアノード支持構造体106からであってもよい。
【0034】
図3Aは、いくつかの実施形態による複数のアノード支持構造体を伴うX線システムのブロック図である。X線システム300は、前述したX線システム100及び/または200と同様であってもよい。しかし、X線システム300は複数のアノード支持構造体106-1から106-mを含み、それぞれ真空エンクロージャを貫通している。アノード支持構造体106-1から106-mのそれぞれは、前述した単一のアノード支持構造体106と同様に、アノード104に結合してもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、アノード支持構造体106のうちの1つは冷媒を供給して戻すように構成され、一方で、他のアノード支持構造体106は電気接続を与えるように構成されている。他の実施形態では、アノード支持構造体106のうちの1つは冷媒を供給するように構成され、一方で、アノード支持構造体106のうちの他の1つは冷媒を戻すように構成されている。いくつかの実施形態では、冷媒は、支持構造106のうちの2つ以上またはすべてを通して供給して戻してもよい。特定の例では、1つの冷媒経路が、アノード支持構造体106-1を通ってアノード104に入り、異なるアノード支持構造体106-mを通って出てもよい。第2の冷媒経路が、アノード支持構造体106-mを通ってアノード104に入り、アノード支持構造体106-1を通って出てもよい。
【0036】
図3Bは、いくつかの実施形態による図3Aのアノードの切り欠き図である。いくつかの実施形態では、アノード支持構造体106-1から106-mのそれぞれは、開口部116a及び116bに結合された冷却通路110a及び110bを含む。複数の冷却通路112及び114が、アノード104eの周りに冷媒をガイドするために存在してもよい。この例では、矢印は冷媒の流れの方向を例示する。いくつかの実施形態では、冷媒は、冷却通路112を通ってアノード104eの中心に向かって流れることを、アノード104eの端部と同様の方法で冷却通路114にガイドされる前に行ってもよい。各アノード支持構造体106-1から106-mが一例として使用されているが、他の実施形態では、アノード支持構造体106-1から106-mのうちの全部未満から1つまでが、アノード104e内の構造物に関連する冷却通路110を含んでいてもよい。
【0037】
図4Aは、いくつかの実施形態によるアノード及びアノード支持構造体の分解斜視図である。X線システム400は、前述したX線システム100、200、及び/または300と同様であってもよい。アノード404は、前述したアノード104と同様であってもよく、アノード支持構造体106と同様にアノード支持構造体406に結合してもよい。これらの構造物は同様の構成で配置してもよい。アノード404は、本体404a及びエンドキャップ404bを含む。ターゲット403をベース404a上に配置してもよい。本体404aは、複数の冷却通路412及び414を含んでいてもよい。冷却通路412及び414は、本体404aを通して形成された穴であってもよい。穴は、本体を通って端部404cから反対端404dまで延びてもよい。
【0038】
エンドキャップ404bは、本体404aの両端404c及び404d上に配置してもよい。エンドキャップ404bはそれぞれ、冷却通路412及び414を互いに結合してもよい。たとえば、エンドキャップ404bはそれぞれ、端部404c及び404dにおいて冷却通路412及び414の開口部にわたって延びる凹部405を含んでいてもよい。こうして、冷媒は、たとえば、冷却通路412から凹部405内に、そして冷却通路414内に流れ得る。エンドキャップ404b上の特定の構造を一例として使用しているが、エンドキャップ404bが冷却通路412及び414を少なくとも部分的に互いに結合するように、他の構造を用いてもよい。たとえば、本体404aは、冷却通路412及び414を接続する凹部(図示せず)を含んでいてもよい。エンドキャップ404bは、冷却通路412及び414をシールする平坦面を含んでいてもよい。他の実施形態では、冷却通路の形成は、本体404a及びエンドキャップ404bの構造の組み合わせを含んでいてもよい。
【0039】
エンドキャップ404bは、本体404aに種々の方法で取り付けてもよい。たとえば、エンドキャップ404bは、本体404aに真空適合性の方式でろう付け、溶接、及び/またはシールしてもよい。
【0040】
図4Bは、いくつかの実施形態による図4Aのアノード404及びアノード支持構造体406の切り欠き図である。図4Cは、いくつかの実施形態によるアノード支持構造体406を伴わないアノード404の斜視図である。図4Aから4Cを参照して、アノード支持構造体406は、ベース404aの中心においてベース404aに結合されている。いくつかの実施形態では、外壁406aが、アノード404の本体404a内の開口部418に取り付けられている。前述したように、外壁406aは、本体404aに真空適合性の方式でろう付け、溶接、及び/またはシールしてもよい。いくつかの実施形態では、外壁406は伝導性であってもよく、アノード404及びターゲット403への電気接続を形成してもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、冷却通路412及び414は、アノード支持構造体406からベース404aの両端404c及び404dまで延びる。
【0042】
内壁406bは、外壁406aと同軸の管を含んでいてもよい。その結果、冷却通路410a及び410bは同軸である。しかし、他の実施形態では、冷却通路410a及び410bは同軸でなくてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、内壁406bを孔416b内に挿入してもよい。内壁406bは伝導性の構造であってもよい。Oリング420または他のシーリング技術を用いて、内壁406bを本体404aにシールしてもよい。Oリング420は、冷却通路410a及び410bと冷媒用の対応する経路との間のシールを形成してもよい。Oリング420または同様の構造は、非伝導性であってもよい。いくつかの実施形態では、伝導性バネなどのさらなる構造物を用いて、内壁406bを本体404aに電気的に接続してもよい。こうして、アノード404及びターゲット403への電気接続を、外壁406aに加えてまたは外壁406aの代替として内壁406bを用いて、形成してもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、冷却通路414の組み合わせの断面積は、冷却通路412の組み合わせの断面積よりも大きい。その結果、冷却通路412及び414を通る損失水頭が減少し得る。
【0045】
前述したように、冷却通路の製造は、本体404a内で同軸管を用いる場合よりも複雑でなく、費用がかからない場合がある。たとえば、本体404a内の同軸管への接続を試みると、入口管を本体404a内の同軸管と位置合わせすることが難しい場合がある。しかし、冷却通路412及び414は本体404a内では同軸ではないため、アノード支持構造体406から冷却通路412及び414への接続は、より簡単であり得る。たとえば、いくつかの実施形態では、孔416a及び416bを本体404aに穿孔して、冷却通路412及び414を接続してもよい。いくつかの実施形態では、非同軸の冷却通路によって、冷媒が接触する本体404aのより大きな表面積を与えてもよい。
【0046】
図4Dは、いくつかの実施形態によるシュラウドを伴う図4Aのアノードの斜視図である。図4A及び4Dを参照して、いくつかの実施形態では、アノード404はシュラウド450を含んでいてもよい。シュラウド450は、開口部452を伴う電気伝導性の構造を含んでいてもよい。開口部452は、1つ以上の電子ビームから電子が入ってくることを可能にしてもよい。しかし、シュラウド450は、ターゲット403から散乱する後方散乱電子を集めて、これらの後方散乱電子が、エミッタ、絶縁体、窓などのX線管の他の特徴部に衝突するかまたは損傷を与えることを防いでもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、シュラウド450は、エンドキャップ404bによって少なくとも部分的に支持されてもよい。たとえば、エンドキャップ404bは、シュラウド450の端部をベース404aに接続する溝、スロット、または他の構造を含んでいてもよい。したがって、エンドキャップ404bは、端部404c及び404dにおいて冷媒を向け直すこと、及びシュラウド450を支持することの両方を行ってもよい。
【0048】
図5Aは、いくつかの実施形態によるアノードの切り欠き図である。アノード504は、前述したアノード104及び404と同様であってもよい。図5Bは、いくつかの実施形態によるアノードの上面図である。図5A及び5Bを参照して、いくつかの実施形態では、アノード504は、複数の電子ビームに対する領域502の2次元アレイを含んでいてもよい。たとえば、ターゲット503は、電子ビームに対するターゲット503上での領域502のnxmアレイを含んでいてもよい。n及びmは両方とも1よりも大きい整数であってもよい。
【0049】
領域502はX方向及びY方向に延びてもよいため、本体504a内の冷却通路512及び514はX方向に沿った以外の方向に延びてもよい。この例では、冷却通路112はX方向及びY方向の両方に延びており、冷却通路114はX-Y平面内で対角線状に延びてもよい。冷媒は、たとえば、孔516bを通して供給して、冷却通路512-1から512-4に分割してもよい。冷媒は、冷却通路514-1から514-4及び孔516aを通して戻してもよい。
【0050】
図6Aから6Gは、いくつかの実施形態によるX線システムを形成する技術のブロック図である。図6Aを参照して、ベース604aが提供される。図6Bにおいて、複数の冷却通路がベース604a内に形成されている。たとえば、冷却通路612及び614は、冷却通路612及び614のそれぞれが少なくとも部分的にベース604を通って延びるように、ベース604aを穿孔することによって形成してもよい。
【0051】
図6Cを参照して、孔616a及び616bを本体604aに穿孔してもよく、開口部618を形成してもよい。たとえば、開口部618を本体604aの表面に機械加工してもよい。開口部618を、特定のアノード支持構造体(図示せず)を受け取り及び/またはそれと嵌合するように構成してもよい。孔616a及び616bを、冷却通路612及び614内に延びるように穿孔してもよい。こうして、冷却通路612及び614を露出させてもよい。
【0052】
図6D及び6Eを参照して、アノード支持構造体606をベース604aに取り付けてもよい。たとえば、アノード支持構造体606に、外側冷却通路610b及び内側冷却通路610aなどの複数の冷却通路610を設けてもよい。アノード支持構造体606は、最初に外壁606aを開口部618においてベース604aに取り付けることによって取り付けてもよい。前述したように、外壁606aは、溶接、ろう付け、及び/または任意の真空適合性のシーリング技術によって取り付けてもよい。次に、内壁606bを孔616b内に挿入してもよい。いくつかの実施形態では、内壁606bを孔616b内に挿入することは、前述したようにバネ、Oリングなどを内壁606b上及び/または孔616b内に配置することを含んでいてもよい。その結果、アノード支持構造体606の冷却通路610を形成してもよく、これらの冷却通路610を冷却通路612及び614に結合してもよい。
【0053】
図6Fを参照して、いくつかの実施形態では、エンドキャップ604c及び604dをベース604aに取り付けてもよい。前述したように、エンドキャップ604c及び604dは、溶接、ろう付けによって、または任意の真空適合性のシーリング技術によって取り付けてもよい。その結果、冷却通路612及び614を互いに結合してもよい。いくつかの実施形態では、取り付けによって、ベース604a内での冷却通路の形成が完了してもよい。
【0054】
図6Gを参照して、いくつかの実施形態では、ターゲット603を、図6Aに例示するようなベース604a上に形成することを、冷却通路112及び114をベース604a内に形成する前に行ってもよい。しかし、他の実施形態では、ターゲット603は、アノード604を形成する際の異なる時点でベース604a上に形成してもよい。
【0055】
X線システムを形成するための特定の動作シーケンスについて前述したが、他の実施形態では、シーケンスは異なっていてもよい。
【0056】
図7は、いくつかの実施形態によるX線システムのアノードを動作させる技術のフローチャートである。図1Aから1D及び図7を参照して、X線システム100を一例として使用する。しかし、他の実施形態では、動作を、本明細書に記載の他のX線システムとともに使用してもよい。いくつかの実施形態では、700において、冷媒を、真空エンクロージャ201を貫通するアノード支持構造体106を通して、真空エンクロージャ201内のアノード104に向けて送る。たとえば、冷媒は、冷却通路110aまたは110bを通して送ってもよい。いくつかの実施形態では、冷媒は、図2に例示するように冷却システム250から供給してもよい。
【0057】
710では、冷媒をアノードにおいて分割して、アノード内の第1の冷却通路内で反対方向に流す。たとえば、冷媒を分割して両端104c及び104dに向けて流す。
【0058】
720では、冷媒を、第1の冷却通路の端部において、アノード支持構造体に向かって延びる第2の冷却通路に向け直す。たとえば、冷媒は、図4Aに例示したエンドキャップ404bなどの端部104c及び104dにおける構造物によって向け直してもよい。しかし、他の実施形態では、冷媒は、端部104c及び104d自体における冷却通路112及び114間の接続の構造などの他の方法で、向け直してもよい。
【0059】
730では、冷媒を第2の冷却通路からアノード支持構造体内に送る。たとえば、冷媒は冷却通路110a内に進んでもよい。いくつかの実施形態では、冷媒を、図2に例示するように冷却システム250に戻してもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、X線システム100を動作させることは、アノード支持構造体を通してアノードに電気的に接続することを含んでいてもよい。たとえば、図2に例示するように、HV源260からアノード104への電気接続は、アノード支持構造体106の伝導性の構造を通して形成してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、710でアノードにおいて冷媒を分割することは、アノード支持構造体106に対して垂直に延びるように冷媒を分割することを含む。たとえば、アノード支持構造体106の長軸はZ方向に延びてもよい。冷媒は、アノード支持構造体106を概ねZ方向に流れてもよい。しかし、冷媒がアノード104に到達したら、冷媒をX方向の垂直経路に向けて送ってもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、700において冷媒をアノード支持構造体を通して送ることは、アノードからアノード支持構造体を通過する冷媒と同軸に、冷媒をアノード支持構造体を通してアノードに送ることを含む。たとえば、アノード支持構造体106内の冷却通路110a及び110bを通過する冷媒は、同軸であってもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、アノード支持構造体のみによってアノード104を支持することを含む。たとえば、アノード104は真空エンクロージャ201内に配置してもよい。アノード支持構造体106は、真空エンクロージャ201内のアノード104を支持する唯一の物理的支持構造体であってもよい。
【0064】
図8Aは、いくつかの実施形態によるアノード及びアノード支持構造体の斜視図である。図8Bは、図8Aのアノード及びアノード支持構造体の分解組立図である。図8Cから8Eは、いくつかの実施形態による冷却チャネルを示す図8Aのアノード及びアノード支持構造体の種々の切り欠き図である。図8Aから8Eを参照して、いくつかの実施形態では、アノード804及びアノード支持構造体806は、前述したものと同様であってもよい。しかし、アノード支持構造体806は、アノード804の側面上でアノード804に結合される。いくつかの実施形態では、アノード804は、アノード支持構造体806に、ターゲット803を含むアノード804の側面とは異なり、アノード804の長軸上のアノード804の軸端とは異なるアノードの側面上で結合される。この例では、アノード804の長軸はX方向に沿っている。アノード支持構造体806は、X方向に沿ったアノード804に沿ったほぼ中間点におけるアノード804の側面において、アノード804に結合される。しかし、前述したように、アノード支持構造体806はアノード804に、X方向に沿った異なる位置において結合してもよい。
【0065】
開口部816aは、冷却通路814-1をアノード支持構造体806の冷却通路810aに結合する。開口部816bは、冷却通路812を冷却通路810bに結合する。冷却通路814-1は、開口部816bによって遮られてもよい。種々の構造、壁などによって、開口部816bを冷却通路814-1から分離してもよい。
【0066】
開口部816dが、冷却通路810aを冷却通路814-2に結合してもよい。開口部814dは、冷却通路812及び814-1の下を開口部816cまで延びてもよい。開口部816は、開口部816dを冷却通路814-2に結合してもよい。
【0067】
冷却通路、開口部、内壁及び外壁などの特定の構成を一例として使用しているが、他の実施形態では数、配置、サイズ、形状などは異なっていてもよい。たとえば、アノード支持構造体806の数は、図3A及び3Bに関して説明した実施形態と同様に、2つ以上であってもよい。エンドキャップ、シュラウドなどの前述した他の特徴部が含まれていてもよい。とにかく、アノード支持構造体806は、アノード804のX方向の長軸に沿った軸端には結合されていないため、アノード804は、前述したように動作時に受ける歪みがより少なくなり得る。
【0068】
システムであって、真空エンクロージャ(201)と、真空エンクロージャ(201)を貫通し、複数の第1の冷却通路(110、410、610、810)を含むアノード支持構造体(106、406、606、806)と、アノード(104、404、504、604、804)であって、真空エンクロージャ(201)内に配置され、アノード支持構造体(106、406、606、806)に結合されてアノード支持構造体(106、406、606、806)によって支持され、ターゲット(103、403、503、603、803)と、複数の第2の冷却通路(112、114、412、414、512、514、612、614、812、814)と、を含むアノードと、を含み、第2の冷却通路(112、114、412、414、512、514、612、614、812、814)のそれぞれは、対応する第1の冷却通路(110、410、610、810)に結合され、アノード(104、404、504、604、804)は、アノード支持構造体(106、406、606、806)に、ターゲット(103、403、503、603、803)を含むアノード(104、404、504、604、804)の側面とは異なり、アノードの長軸上のアノード(104、404、504、604、804)の軸端とは異なるアノード(104、404、504、604、804)の側面上で結合される、システム。
【0069】
いくつかの実施形態では、アノード(104、404、504、604、804)は、アノード支持構造体(106、406、606、806)に、アノード(104、404、504、604、804)のターゲット(103、403、503、603、803)とは反対側で結合される。
【0070】
いくつかの実施形態では、アノード支持構造体(106、406、606、806)は、真空エンクロージャ(201)内のアノード(104、404、504、604、804)に対する唯一の構造的支持体である。
【0071】
いくつかの実施形態では、アノード支持構造体(106、406、606、806)は、真空エンクロージャ(201)内のアノード(104、404、504、604、804)に対する唯一の電気接続である。
【0072】
いくつかの実施形態では、アノード(104、404、504、604、804)は線状アノードである。
【0073】
いくつかの実施形態では、線状アノード(104、404、504、604、804)は、長さ対幅のアスペクト比が、4:1、10:1、25:1、50:1、及び100:1のうちの少なくとも1以上である。
【0074】
いくつかの実施形態では、ターゲット(103、403、503、603、803)は、アノード支持構造体(106、406、606、806)に対して垂直な線または平面内で延びる複数のターゲット(103、403、503、603、803)のうちの1つである。
【0075】
いくつかの実施形態では、複数の第2の冷却通路(112、114、412、414、512、514、612、614、812、814)は、複数の第1の冷却通路(110、410、610、810)に対して実質的に垂直である。
【0076】
いくつかの実施形態では、アノード(104、404、504、604、804)はさらに、ベース(104a、404a、504a、604a、804a)と、ベース(104a、404a、504a、604a、804a)の両端に配置された第1のエンドキャップ(404c、404d、604c、604d)及び第2のエンドキャップ(404c、404d、604c、604d)とを含み、ターゲット(103、403、503、603、803)はベース(104a、404a、504a、604a、804a)上に配置され、第2の冷却通路(112、114、412、414、512、514、612、614、812、814)は、第1のエンドキャップ(404c、404d、604c、604d)から第2のエンドキャップ(404c、404d、604c、604d)までベース(104a、404a、504a、604a、804a)を通って延び、エンドキャップ(404c、404d、604c、604d)のそれぞれに対して、エンドキャップ(404c、404d、604c、604d)は、第2の冷却通路の少なくとも一部を少なくとも部分的に互いに結合する。
【0077】
いくつかの実施形態では、アノード支持構造体(106、406、606、806)はベース(104a、404a、504a、604a、804a)に、ベース(104a、404a、504a、604a、804a)の最長寸法の25%から75%の間のベース(104a、404a、504a、604a、804a)上の位置において結合され、第2の冷却通路(112、114、412、414、512、514、612、614、812、814)は、アノード支持構造体(106、406、606、806)からベース(104a、404a、504a、604a、804a)の両端まで延びる。
【0078】
いくつかの実施形態では、第1の冷却通路(110、410、610、810)は、アノード支持構造体(106、406、606、806)内で同軸である。
【0079】
いくつかの実施形態では、第2の冷却通路(112、114、412、414、512、514、612、614、812、814)のうちの第1のものは、アノード(104、404、504、604、804)の中心軸に沿って配置され、第2の冷却通路(112、114、412、414、512、514、612、614、812、814)のうちの第2のものと、第2の冷却通路(112、114、412、414、512、514、612、614、812、814)のうちの第3のものとは、第2の冷却通路(112、114、412、414、512、514、612、614、812、814)のうちの第1のものの両側に配置される。
【0080】
いくつかの実施形態では、エンドキャップ(404c、404d、604c、604d)は、真空エンクロージャ(201)から分離されている。
【0081】
いくつかの実施形態では、アノード支持構造体(106、406、606、806)の第1の冷却通路(110、410、610、810)のうちの1つは、アノードの複数の第2の冷却通路(112、114、412、414、512、514、612、614、812、814)に結合される。
【0082】
いくつかの実施形態では、アノード支持構造体(106、406、606、806)は、真空エンクロージャ(201)の外側からアノード(104、404、504、604、804)への電気接続を形成する。
【0083】
いくつかの実施形態では、システムはさらに、真空エンクロージャ(201)内に配置され、ターゲット(103、403、503、603、803)に向けて少なくとも1つの電子ビームを放出するように構成されたカソード(224)を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、システムは、ターゲット(103、403、503、603、803)上に配置され、ベース(104a、404a、504a、604a、804a)に電気的に結合されたシュラウド(450)であって、少なくとも1つの電子ビームがターゲット(103、403、503、603、803)に到達できるように構成された複数の開口部(452)を含むシュラウドをさらに含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、システムは、第1の冷却通路(110、410、610、810)のうちの1つに冷媒を供給するように構成された冷却システム(250)をさらに含み、第1の冷却通路は、第2の冷却通路(112、114、412、414、512、514、612、614、812、814)のうちの少なくとも1つに結合され、第2の冷却通路(112、114、412、414、512、514、612、614、812、814)のうちの少なくとも1つは、ターゲット(103、403、503、603、803)の長軸に沿ってターゲット(103、403、503、603、803)に近接して配置される。
【0086】
方法であって、真空エンクロージャ(201)を貫通するアノード支持構造体(106、406、606、806)を通して、冷媒を真空エンクロージャ(201)内のアノード(104、404、504、604、804)に向けて送ることと、アノード(104、404、504、604、804)においてまたはアノード内で冷媒を分割して、アノード内の第1の冷却通路(110、410、610、810)内で反対方向に流すことと、冷媒を、第1の冷却通路(110、410、610、810)の端部において、アノード支持構造体(106、406、606、806)に向かって延びる第2の冷却通路(112、114、412、414、512、514、612、614、812、814)に向け直すことと、冷媒を第2の冷却通路(112、114、412、414、512、514、612、614、812、814)からアノード支持構造体(106、406、606、806)内に送ることと、を含む方法。
【0087】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、アノード支持構造体(106、406、606、806)を通してアノード(104、404、504、604、804)に電気的に接続することを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、アノード(104、404、504、604、804)において冷媒を分割することは、アノード支持構造体(106、406、606、806)に対して垂直に延びるように冷媒を分割することを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、冷媒をアノード支持構造体(106、406、606、806)を通して送ることは、アノード(104、404、504、604、804)からアノード支持構造体(106、406、606、806)を通過する冷媒と同軸に、冷媒をアノード支持構造体(106、406、606、806)を通してアノード(104、404、504、604、804)に送ることを含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、アノード支持構造体(106、406、606、806)のみによってアノード(104、404、504、604、804)を支持することを含む。
【0091】
システムであって、電子ビームをX線に変換するための手段であって、電子ビームをX線に変換するための手段を通して冷媒を送るための手段を含む手段と、電子ビームをX線に変換するための手段を支持するための手段であって、電子ビームをX線に変換するための手段に冷媒を供給するための手段を含む手段と、を含み、電子ビームをX線に変換するための手段は、電子ビームをX線に変換するための手段に供給された冷媒を分割するための手段をさらに含む、システム。
【0092】
電子ビームをX線に変換するための手段の例には、アノード104、404、504、604、及び804と、ターゲット102、403、503、603、及び803とが含まれる。
【0093】
電子ビームをX線に変換するための手段を通して冷媒を送るための手段の例には、冷却通路112、114、412、414、512、514、612、614、812、及び814と、開口部116、416、516、616、及び816とが含まれる。
【0094】
電子ビームをX線に変換するための手段を支持するための手段の例には、アノード支持構造体106、406、606、及び806が含まれる。
【0095】
電子ビームをX線に変換するための手段に冷媒を供給するための手段の例には、冷却通路110、410、610、及び810が含まれる。
【0096】
電子ビームをX線に変換するための手段に供給される冷媒を分割するための手段の例には、冷却通路110、410、610、及び810と冷却通路112、114、412、414、512、514、612、614、812、及び814との間のインターフェースにおける種々の構造が含まれる。
【0097】
電子ビームをX線に変換するための手段に電気的に接続するための手段の例には、アノード支持構造体106、406、606、及び806の電気伝導性部分が含まれる。
【0098】
いくつかの実施形態では、複数の第1の冷却通路を含むアノード支持構造体を用意することと、ベース(104a、404a、504a、604a、804a)を用意することと、ベース(104a、404a、504a、604a、804a)上にターゲットを形成することと、ターゲットの下でベース(104a、404a、504a、604a、804a)に沿って延びる複数の第2の冷却通路をベース(104a、404a、504a、604a、804a)内に形成することと、第1の冷却通路と第2の冷却通路とが互いに結合されるように、アノード支持構造体をベース(104a、404a、504a、604a、804a)のターゲットとは反対側に取り付けることと、を含む方法を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、ベース(104a、404a、504a、604a、804a)内に第2の冷却通路を形成することは、ベース(104a、404a、504a、604a、804a)を通って延びる第2の冷却通路を形成することを含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、ベース(104a、404a、504a、604a、804a)内に第2の冷却通路を形成することは、ベース(104a、404a、504a、604a、804a)の端部にエンドキャップ(404c、404d、604c、604d)を取り付けて、各エンドキャップ(404c、404d、604c、604d)に対して、エンドキャップ(404c、404d、604c、604d)が、第2の冷却通路の少なくとも一部を少なくとも部分的に互いに結合するようにすることをさらに含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2の冷却通路を露出させる複数の開口部をベース(104a、404a、504a、604a、804a)内に形成することをさらに含み、アノード支持構造体を取り付けることは、アノード支持構造体をベース(104a、404a、504a、604a、804a)に、ベース(104a、404a、504a、604a、804a)内の開口部において取り付けることを含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、シュラウド(450)をアノード(104、404、504、604、804)に取り付けることを含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、真空エンクロージャ(201)を用意することと、アノード支持構造体(106、406、606、806)が真空エンクロージャ(201)を貫通するように、アノード支持構造体(106、406、606、806)を真空エンクロージャ(201)に取り付けることとを含む。
【0104】
構造物、デバイス、方法、及びシステムを特定の実施形態に従って説明してきたが、当業者であれば容易に分かるように、特定の実施形態に対する多くの変形が可能であり、したがって、任意の変形について、本明細書で開示した趣旨及び範囲内であると考えるべきである。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの変更が当業者によって行われ得る。
【0105】
この書面での開示に続く特許請求の範囲は、本明細書により本書面での開示に明示的に組み込まれ、各請求項は別個の実施形態としてそれ自体で成り立っている。本開示は、独立請求項とその従属請求項のすべての置換を含む。また、以下に続く独立及び従属請求項から派生可能なさらなる実施形態も、本書面での説明に明示的に組み込まれる。これらのさらなる実施形態は、所与の従属請求項の従属関係を、語句「請求項[x]で始まり、この請求項の直前に来る請求項で終わる請求項のいずれか」で置き換えることによって決定される。括弧でくくった用語「[x]」は、直近で記載した独立請求項の番号で置き換えられる。たとえば、独立請求項1で始まる第1の請求項の組に対して、請求項4は請求項1及び3のいずれかに従属することができ、これらの別個の従属関係によって2つの別個な実施形態が得られ、請求項5は請求項1、3、または4のうちのいずれか1項に従属することができ、これらの別個の従属関係によって3つの異なる実施形態が得られ、請求項6は請求項1、3、4、または5のうちのいずれか1項に従属することができ、これらの別個の従属関係によって4つの異なる実施形態が得られる等である。
【0106】
特徴または要素に関する用語「第1」の請求項における記載は、第2のまたはさらなるこのような特徴または要素の存在を必ずしも意味しない。独占的所有権または特権が請求される本発明の実施形態は、以下のように定められる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
【手続補正書】
【提出日】2023-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
真空エンクロージャと、
前記真空エンクロージャを貫通し、複数の第1の冷却通路を含むアノード支持構造体と、
アノードであって、前記真空エンクロージャ内に配置され、前記アノード支持構造体に結合されて前記アノード支持構造体によって支持され、
ターゲットと、
複数の第2の冷却通路と、を含むアノードと、を含み、
前記第2の冷却通路のそれぞれは、対応する第1の冷却通路に結合され、
前記アノードは、前記アノード支持構造体に、前記ターゲットを含む前記アノードの側面とは異なり、前記アノードの長軸上の前記アノードの軸端とは異なる前記アノードの側面上で結合され、
前記アノードは固定アノードである、システム。
【請求項2】
前記アノードはさらに、
ベースと、
前記ベースの両端に配置された第1のエンドキャップ及び第2のエンドキャップと、を含み、
前記ターゲットは前記ベース上に配置され、
前記第2の冷却通路は、前記第1のエンドキャップから前記第2のエンドキャップまで前記ベースを通って延び、
前記エンドキャップのそれぞれに対して、前記エンドキャップは、前記第2の冷却通路の少なくとも一部を少なくとも部分的に互いに結合する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記アノード支持構造体は前記ベースに、前記ベースの最長寸法に沿って前記両端のいずれかから前記ベースの前記最長寸法の少なくとも25%である前記ベース上の位置において結合され、
前記第2の冷却通路は、前記アノード支持構造体から前記ベースの前記両端まで延びる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記エンドキャップは前記真空エンクロージャの壁から分離されている請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記ターゲット上に配置され、前記ベースに電気的に結合されたシュラウドであって、少なくとも1つの電子ビームが前記ターゲットに到達できるように構成された複数の開口部を含むシュラウドをさらに含む、請求項2のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記アノードは線状アノードである請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記線状アノードは、長さ対幅のアスペクト比が4:1以上である請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記アノードは前記アノード支持構造体に、前記アノードの前記ターゲットとは反対側で結合される請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記アノード支持構造体は、前記真空エンクロージャ内の前記アノードに対する唯一の構造的支持体である請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記アノード支持構造体は、前記真空エンクロージャ内の前記アノードに対する唯一の電気接続である請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記ターゲットは、前記アノード支持構造体に対して垂直な線または平面内に延びる複数のターゲットのうちの1つである請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の冷却通路のうちの第1のものは、前記アノードの中心軸に沿って配置され、前記第2の冷却通路のうちの第2のものと前記第2の冷却通路のうちの第3のものとは、前記第2の冷却通路のうちの前記第1のものの両側に配置される、請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記アノード支持構造体の前記第1の冷却通路のうちの1つは、前記アノードの複数の第2の冷却通路に結合される、請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記アノード支持構造体は、前記真空エンクロージャの外側から前記アノードへの電気接続を形成する、請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
方法であって、
真空エンクロージャを貫通するアノード支持構造体を通して、冷媒を前記真空エンクロージャ内のアノードに向けて送ることと、
前記アノードにおいてまたは前記アノード内で前記冷媒を分割して、前記アノード内の第1の冷却通路内で反対方向に流すことと、
前記冷媒を、前記第1の冷却通路の端部において、前記アノード支持構造体に向かって延びる第2の冷却通路内に向け直すことと、
前記冷媒を前記第2の冷却通路から前記アノード支持構造体内に送ることと、を含み、
前記アノードは固定アノードである方法。
【請求項16】
前記アノード支持構造体を通して前記アノードに電気的に接続することをさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アノードにおいて前記冷媒を分割することは、前記アノード支持構造体に対して垂直に延びるように前記冷媒を分割することを含む請求項15から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記アノード支持構造体のみによって前記アノードを支持することをさらに含む請求項15から16のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
システムであって、
真空エンクロージャ内で電子ビームをX線に変換するための固定手段と、
前記電子ビームを前記X線に変換するための前記固定手段を支持し、前記電子ビームを前記X線に変換するための前記固定手段に冷媒を供給するための手段と、
前記電子ビームを前記X線に変換するための前記固定手段内で、前記電子ビームを前記X線に変換するための前記固定手段を通して前記冷媒を送るための手段と、
前記電子ビームを前記X線に変換するための前記固定手段内で、前記電子ビームを前記X線に変換するための前記固定手段に供給された前記冷媒を分割するための手段と、
前記電子ビームを前記X線に変換するための前記固定手段を支持し、前記電子ビームを前記X線に変換するための前記固定手段に冷媒を供給するための手段と、を含むシステム。
【請求項20】
前記電子ビームを前記X線に変換するための前記固定手段を支持し、前記電子ビームを前記X線に変換するための前記固定手段に冷媒を供給するための前記手段内に、前記電子ビームを前記X線に変換するための前記固定手段に電気的に接続するための手段をさらに含む、請求項19に記載のシステム。
【国際調査報告】