(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】アスパラギン及びアスパラギン酸塩を検出するための被検物質センサ及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1473 20060101AFI20240109BHJP
G01N 27/30 20060101ALI20240109BHJP
G01N 27/327 20060101ALI20240109BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A61B5/1473
G01N27/30 A
G01N27/327 353B
G01N27/327 353R
G01N27/416 336G
G01N27/327 353J
G01N27/327 353U
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540087
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 US2021065141
(87)【国際公開番号】W WO2022146888
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500211047
【氏名又は名称】アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ゼンホァ
(72)【発明者】
【氏名】クロイツ、バリー エス.
(72)【発明者】
【氏名】オジャ、ヤグヤ ラージ
(72)【発明者】
【氏名】フェルドマン、ベンジャミン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】リアリー、トーマス ピー.
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK07
4C038KK10
4C038KL01
4C038KL09
4C038KY01
4C038KY13
(57)【要約】
本開示は、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギンの検出における使用のための被検物質センサを提供する。特定の実施形態では、本開示の被検物質センサのアスパラギン酸塩応答性活性部位は、作用電極の表面上に配置されたアスパラギン酸オキシダーゼを含む。特定の実施形態では、本開示の被検物質センサのアスパラギン応答性活性部位は、作用電極の表面上に配置され、アスパラギン酸オキシダーゼ及びアスパラギナーゼを備える酵素系を含む。本開示は、開示される被検物質センサを使用してアスパラギン酸塩及び/又はアスパラギンを検出するための方法をさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも第1の作用電極を備えるセンサ尾部と
(ii)前記第1の作用電極の表面上に配置され、被検物質を検出するためのアスパラギン酸オキシダーゼを備える少なくとも1つの被検物質応答性活性領域と、
(iii)前記被検物質に対して透過性があり、少なくとも前記被検物質応答性活性領域を被覆する物質移動制限膜とを備える、被検物質センサ。
【請求項2】
前記被検物質応答性活性領域が、電子移動剤をさらに備える、請求項1に記載の被検物質センサ。
【請求項3】
前記物質移動制限膜が、ポリビニルピリジン系ポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン又はそれらの組み合わせを備える、請求項1又は2に記載の被検物質センサ。
【請求項4】
前記物質移動制限膜が、ポリビニルピリジン系ポリマーを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の被検物質センサ。
【請求項5】
前記被検物質が、アスパラギン酸塩である、請求項1から4のいずれか一項に記載の被検物質センサ。
【請求項6】
前記被検物質応答性活性領域が、アスパラギナーゼをさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の被検物質センサ。
【請求項7】
前記被検物質が、アスパラギンである、請求項6に記載の被検物質センサ。
【請求項8】
前記アスパラギン酸オキシダーゼ及び前記アスパラギナーゼの1つ以上が、前記被検物質応答性活性領域中のポリマーに共有結合している、請求項6又は7に記載の被検物質センサ。
【請求項9】
前記被検物質応答性活性領域が、前記アスパラギン酸オキシダーゼを備える層の上に配置された前記アスパラギナーゼを備える層を備えるか、又は前記アスパラギン酸オキシダーゼ及び前記アスパラギナーゼを備える単一層を備える、請求項6から8のいずれか一項に記載の被検物質センサ。
【請求項10】
(i)被検物質センサを提供することであって、
(a)少なくとも第1の作用電極を備えるセンサ尾部と、
(b)前記第1の作用電極の表面上に配置され、アスパラギン酸オキシダーゼを備える少なくとも1つのアスパラギン酸塩応答性活性領域と、
(c)アスパラギン酸塩に対して透過性があり、少なくとも前記アスパラギン酸塩応答性活性領域を被覆する物質移動制限膜とを備える前記被検物質センサを提供することと、
(ii)前記第1の作用電極に電位を印加することと、
(iii)前記アスパラギン酸塩応答性活性領域の酸化還元電位以上で、前記アスパラギン酸塩応答性活性領域と接触する流体中のアスパラギン酸塩の濃度に比例している第1の信号を得ることと、
(iv)前記第1の信号を前記流体中の前記アスパラギン酸塩の濃度と相関させることとを備える前記アスパラギン酸塩を検出するための方法。
【請求項11】
前記アスパラギン酸塩応答性活性領域が、電子移動剤をさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アスパラギン酸オキシダーゼが、前記アスパラギン酸塩応答性活性領域中のポリマーに共有結合している、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記物質移動制限膜が、ポリビニルピリジン系ポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン又はそれらの組み合わせを備える、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
(i)被検物質センサを提供することであって、
(a)少なくとも第1の作用電極を備えるセンサ尾部と、
(b)前記第1の作用電極の表面上に配置され、アスパラギン酸オキシダーゼ及びアスパラギナーゼを備える酵素系を備えるアスパラギン応答性活性領域と、
(c)アスパラギンに対して透過性があり、少なくとも前記アスパラギン応答性活性領域を被覆する物質移動制限膜とを備える前記被検物質センサを提供することと、
(ii)前記第1の作用電極に電位を印加することと、
(iii)前記アスパラギン応答性活性領域の酸化還元電位以上で、前記アスパラギン応答性活性領域と接触している流体中のアスパラギンの濃度に比例している第1の信号を得ることと、
(iv)前記第1の信号を前記流体中の前記アスパラギンの濃度と相関させることとを備える前記アスパラギンを検出するための方法。
【請求項15】
前記アスパラギン応答性活性領域が、電子移動剤をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記アスパラギン酸オキシダーゼ及び/又はアスパラギナーゼが、前記アスパラギン応答性活性領域中のポリマーに共有結合している、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記物質移動制限膜が、ポリビニルピリジン系ポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン又はそれらの組み合わせを備える、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記アスパラギン応答性活性領域が、前記アスパラギン酸オキシダーゼを備える層の上に配置された前記アスパラギナーゼを備える層を備える、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記アスパラギン応答性活性領域が、前記アスパラギン酸オキシダーゼ及びアスパラギナーゼを備える単一層を備える、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される主題は、アスパラギン及び/又はアスパラギン酸塩を検知するための被検物質センサ、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個体内の様々な被検物質の検出は、正常な被検物質レベルからの逸脱が生理学的状態を示し得るので、個体の健康状態をモニタリングするために極めて重要な場合がある。例えば、グルコースレベルをモニタリングすることは、糖尿病に罹患している人々が、重大な生理的不都合を回避するために、薬剤の投与又は特定の食品又は飲料製品の摂取を含む適切な矯正措置をとることを可能にし得る。アスパラギン酸塩及びアスパラギンなどの他の被検物質もまた、モニタリングすることが望ましい場合がある。特定の例では、特に、人が、2つ以上の被検物質が互いに組み合わされて同時に調節不全をもたらす併発状態に罹患している場合、1つ以上の生理学的状態をモニタリングするために2つ以上の被検物質をモニタリングすることが望ましい場合がある。
【0003】
個体における被検物質モニタリングは、ある期間にわたって定期的又は連続的に行うことができる。定期的な被検物質モニタリングは、血液又は尿などの体液のサンプルを設定された時間間隔で採取し、エクスビボで分析することによって行うことができる。定期的なエクスビボ被検物質モニタリングは、多くの個体の生理学的状態を測定するのに十分であり得る。しかし、エクスビボ被検物質モニタリングは、場合によっては不便であるか、又は痛みを伴う可能性がある。さらに、被検物質測定値が適切な時間に得られない場合、失われたデータを回復する方法がない。連続的な被検物質モニタリングは、分析がインビボで行われ得るように、皮膚、皮下又は静脈内等の個体の組織内に少なくとも部分的に埋め込まれたままである1つ以上のセンサを使用して行われ得る。埋め込まれたセンサは、個体の特定のヘルスニード及び/又は以前に測定された被検物質レベルに応じて、オンデマンドで、設定されたスケジュールで、又は連続的に被検物質データを収集することができる。インビボに埋め込まれたセンサによる被検物質モニタリングは、重度の被検物質調節不全及び/又は急速に変動する被検物質レベルを有する個体にとってより望ましいアプローチであり得るが、他の個体にとっても同様に有益であり得る。埋め込まれた被検物質センサは、長期間にわたって個体の組織内に留まることが多いので、そのような被検物質センサが、高度の生体適合性を示す安定した材料から作製されることが非常に望ましい場合がある。
【0004】
多くの被検物質は、適切な検出化学物質が同定され得るならば、生理学的分析用の興味深い標的になる。この目的のために、インビボで連続的にグルコースをアッセイするように構成された酵素ベースの電流測定センサが、糖尿病個体の健康のモニタリングを助けるために近年開発され、改良されている。糖尿病個体においてグルコースと同時に起こる調節異常を一般的に受ける他の被検物質は、例えば、アスパラギン酸塩及びアスパラギンを含む。同様に、グルコース調節不全とは独立して、アスパラギン酸塩及びアスパラギンをモニタリングすることも望ましい場合がある。しかし、インビボでアスパラギン酸塩又はアスパラギンを検出するように構成される埋め込まれた被検物質センサは、現在入手可能ではない。従って、当技術分野では、インビボでアスパラギン又はアスパラギン酸塩を検出するためのセンサが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
開示された主題の目的及び利点は、以下の記述によって説明され、明らかになり、開示された主題の実施によって学習される。開示された主題のさらなる利点は、明細書及び特許請求の範囲で特に指摘した装置によって、同様に添付した図面から、実現され、獲得され得る。
【0006】
これら及び他の利点を達成するために、開示される主題の目的に従って、具現化され広く記載されるように、開示される主題は、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギンを検出するための被検物質センサを含む。特定の実施形態では、被検物質センサは、少なくとも第1の作用電極を有するセンサ尾部と、被検物質を検出するために第1の作用電極の表面上に配置され、アスパラギン酸オキシダーゼを備える被検物質応答性活性領域と、少なくとも被検物質応答性活性領域を被覆し、被検物質に対して透過性のある物質移動制限膜とを含む。
【0007】
特定の実施形態では、被検物質はアスパラギン酸塩である。特定の実施形態では、被検物質応答性活性はアスパラギナーゼをさらに含み、被検物質はアスパラギンである。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、アスパラギン酸オキシダーゼを備える層上に配置されたアスパラギナーゼを備える層を含む。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、アスパラギン酸オキシダーゼ及びアスパラギナーゼを含む単一層を備える。特定の実施形態では、アスパラギン酸オキシダーゼ及びアスパラギナーゼのうちの1つ以上は、被検物質応答性活性領域内のポリマーに共有結合される。
【0008】
特定の実施形態では、被検物質応答性活性は、電子移動剤をさらに含む。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリビニルピリジン系ポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン、又はそれらの組み合わせを備える。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリビニルピリジン又はポリビニルイミダゾールを備える。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリビニルピリジン系ポリマーを備える。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ビニルピリジンとスチレンとのコポリマーを備える。
【0009】
本開示は、アスパラギン酸塩を検出するための方法をさらに提供する。特定の実施形態では、本方法は、少なくとも第1の作用電極を備えるセンサ尾部と、第1の作用電極の表面上に配置され、アスパラギン酸オキシダーゼを備える少なくとも1つのアスパラギン酸塩応答性活性領域と、少なくともアスパラギン酸塩応答性活性領域を被覆し、アスパラギン酸塩に対して透過性のある物質移動制限膜とを含む被検物質センサを提供することを含み得る。特定の実施形態では、本方法は、第1の作用電極に電位を印加することと、アスパラギン酸塩応答性活性領域の酸化還元電位以上で、アスパラギン酸塩応答性活性領域に接触する流体中のアスパラギン酸塩濃度に比例している第1の信号を得ることと、第1の信号を流体中のアスパラギン酸塩濃度に相関させることとをさらに含む。
【0010】
本開示は、アスパラギンを検出するための方法をさらに提供する。特定の実施形態では、本方法は、少なくとも第1の作用電極を備えるセンサ尾部と、第1の作用電極の表面上に配置され、アスパラギン酸オキシダーゼ及びアスパラギナーゼを備える酵素系を含むアスパラギン応答性活性領域と、少なくともアスパラギン酸塩応答性活性領域を被覆し、アスパラギン酸塩に対して透過性のある物質移動制限膜とを含む被検物質センサを提供することを含むことができる。特定の実施形態では、本方法は、第1の作用電極に電位を印加することと、アスパラギン応答性活性領域の酸化還元電位以上で、アスパラギン応答性活性領域に接触する流体中のアスパラギン濃度に比例している第1の信号を得ることと、第1の信号を流体中のアスパラギン濃度に相関させることとをさらに含む。
【0011】
特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域及び/又はアスパラギン応答性活性領域は、電子移動剤をさらに含む。特定の実施形態では、アスパラギン酸オキシダーゼは、アスパラギン応答性活性領域内のポリマーに共有結合している。特定の実施形態では、アスパラギナーゼは、アスパラギン応答性活性領域内のポリマーに共有結合している。特定の実施形態では、アスパラギン応答性活性領域は、アスパラギン酸オキシダーゼを備える層上に配置されたアスパラギナーゼを備える層を含む。特定の実施形態では、アスパラギン応答性活性領域は、アスパラギン酸オキシダーゼ及びアスパラギナーゼを含む単一層を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下の図は、本開示の特定の態様を示すために含まれており、排他的な実施形態と見なされるべきではない。開示される主題は、本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び機能において多くの修正、変更、組合せ、及び均等物が可能である。
【
図1A】センサアプリケータ、リーダ装置、モニタリングシステム、ネットワーク、及びリモートシステムのシステム概観である。
【
図1B】本明細書に記載した技術による使用のための例としての被検物質モニタリングシステムの作動環境を示す略図である。
【
図2A】リーダ装置の実施形態の例を示すブロック略図である。
【
図2B】開示された主題の例示的な実施形態によるセンサと通信するためのデータ受信装置の例を示すブロック略図である。
【
図2C】センサ制御装置の実施形態の例を示すブロック略図である。
【
図2D】センサ制御装置の実施形態の例を示すブロック略図である。
【
図2E】開示された主題の例示的な実施形態による被検物質センサの例を示すブロック略図である。
【
図3A】組立てのためのトレイを準備するユーザの実施形態の例を示す近位斜視図である。
【
図3B】組立てのためのアプリケータ装置を準備するユーザの実施形態の例を示す側面図である。
【
図3C】組立ての間にアプリケータ装置をトレイに挿入するユーザの実施形態の例を示す近位斜視図である。
【
図3D】組立ての間にアプリケータ装置をトレイから取り外すユーザの実施形態の例を示す近位斜視図である。
【
図3E】アプリケータ装置を用いてセンサを適用する患者の実施形態の例を示す近位斜視図である。
【
図3F】適用されたセンサ及び使用済みアプリケータ装置を有する患者の実施形態の例を示す近位斜視図である。
【
図4A】キャップと連結したアプリケータ装置の実施形態の例を示す側面図である。
【
図4B】分離されたアプリケータ装置とキャップの実施形態の例を示す側面斜視図である。
【
図4C】アプリケータ装置及び電子機器ハウジングの遠位端の実施形態の例を示す斜視図である。
【
図4D】開示された主題による例示的なアプリケータ装置の上面斜視図である。
【
図5】滅菌蓋が連結されたトレイの実施形態の例を示す近位斜視図である。
【
図6A】センサ送達部品を有するトレイの実施形態の例を示す近位斜視断面図である。
【
図7A】例示的なセンサ制御装置の等角分解上面図である。
【
図7B】例示的なセンサ制御装置の等角分解底面図である。
【
図8A】センサ組立用の一体化コネクタを含むオンボディ装置の組立て図及び断面図である。
【
図8B】センサ組立用の一体化コネクタを含むオンボディ装置の組立て図及び断面図である。
【
図8C】センサ組立用の一体化コネクタを含むオンボディ装置の組立て図及び断面図である。
【
図9A】
図2Cのキャップが連結された
図1Aのセンサアプリケータの実施形態の例の側面図である。
【
図9B】
図2Cのキャップが連結された
図1Aのセンサアプリケータの実施形態の例の側面断面図である。
【
図10A】別のセンサ制御装置の例の等角図である。
【
図10B】別のセンサ制御装置の例の側面図である。
【
図11A】
図10A~10Bのセンサ制御装置を有するセンサアプリケータの組立てを示す段階的側面断面図である。
【
図11B】
図10A~10Bのセンサ制御装置を有するセンサアプリケータの組立てを示す段階的側面断面図である。
【
図11C】
図10A~10Bのセンサ制御装置を有するセンサアプリケータの組立てを示す段階的側面断面図である。
【
図12A】
図10A~10Bのセンサ制御装置を有するセンサアプリケータの実施形態の例の組立て及び解体を示す段階的側面断面図である。
【
図12B】
図10A~10Bのセンサ制御装置を有するセンサアプリケータの実施形態の例の組立て及び解体を示す段階的側面断面図である。
【
図12C】
図10A~10Bのセンサ制御装置を有するセンサアプリケータの実施形態の例の組立て及び解体を示す段階的側面断面図である。
【
図13A】配置の段階の間のアプリケータの実施形態の例を示す断面図を示す。
【
図13B】配置の段階の間のアプリケータの実施形態の例を示す断面図を示す。
【
図13C】配置の段階の間のアプリケータの実施形態の例を示す断面図を示す。
【
図13D】配置の段階の間のアプリケータの実施形態の例を示す断面図を示す。
【
図13E】配置の段階の間のアプリケータの実施形態の例を示す断面図を示す。
【
図13F】配置の段階の間のアプリケータの実施形態の例を示す断面図を示す。
【
図14】被検物質センサのインビトロ感度の例を示すグラフである。
【
図15】開示された主題の例示的な実施形態によるセンサの動作状態の例を示す略図である。
【
図16】開示された主題によるセンサのオーバージエアプログラミングの操作及びデータフローの例を示す略図である。
【
図17】開示された主題による2つの装置の間のデータの確実な交換のためのデータフローの例を示す略図である。
【
図18A】単一の活性領域を含む被検物質センサの断面略図を示す。
【
図18B】単一の活性領域を含む被検物質センサの断面略図を示す。
【
図18C】単一の活性領域を含む被検物質センサの断面略図を示す。
【
図19A】2つの活性領域を含む被検物質センサの断面略図を示す。
【
図19B】2つの活性領域を含む被検物質センサの断面略図を示す。
【
図19C】2つの活性領域を含む被検物質センサの断面略図を示す。
【
図20】2つの活性領域を含む被検物質センサの断面略図を示す。
【
図21A】別個の作用電極の上の2つの活性領域を含む被検物質センサの斜視図を示す。
【
図21B】別個の作用電極の上の2つの活性領域を含む被検物質センサの斜視図を示す。
【
図21C】別個の作用電極の上の2つの活性領域を含む被検物質センサの斜視図を示す。
【
図22】本開示によってアスパラギン酸塩を検出するために使用され得る特定の酵素系の略図を示す。
【
図23】本開示によってアスパラギンを検出するために使用され得る特定の酵素系の略図を示す。
【
図24】空気下及びアルゴン下での本開示のアスパラギン酸塩センサの電流を示す。
【
図25A】アスパラギン酸塩検出のための様々なセンサ膜を含む本開示のアスパラギン酸塩被検物質センサの電流応答を示す。
【
図25B】アスパラギン酸塩検出のための様々なセンサ膜を含む本開示のアスパラギン酸塩被検物質センサの電流応答を示す。
【
図25C】アスパラギン酸塩検出のための様々なセンサ膜を含む本開示のアスパラギン酸塩被検物質センサの電流応答を示す。
【
図26】アスパラギン酸塩検出のための各種量の検知化学物質を含む本開示のアスパラギン酸塩被検物質センサの電流応答を示す。
【
図27】より高い担持量の酵素及び酸化還元メディエータ及び膜有り及び膜無しの状態でのアスパラギン酸塩検出のための酵素系を含有する電極の電流応答を示す。
【
図28A】アスパラギン検出のための酵素系を含有する電極の電流応答を示す。
【
図28B】アスパラギン検出のための酵素系を含有する電極の電流応答を示す。
【
図28C】アスパラギン検出のための酵素系を含有する電極の電流応答を示す。
【
図29】膜有り及び膜無しにおけるアスパラギン検出のための酵素系を含有する電極の電流応答を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、一般に、被検物質の検出のために1つ以上の酵素を用いる被検物質センサを記載する。例えば、限定されるものではないが、本開示は、被検物質、例えば、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギンの検出のための被検物質センサを提供する。本開示は、開示される被検物質センサを使用して1つ以上の被検物質を検出する方法をさらに提供する。
【0014】
本開示は、生理学的に関連するアスパラギン酸塩及び/又はアスパラギン濃度の範囲にわたってアスパラギン酸及び/又はアスパラギンを検出するのに適したセンサ化学を提供する。特定の実施形態では、本開示は、被検物質、例えばアスパラギンの検出を容易にするために協調して動作することができる少なくとも2つの酵素を備える酵素系を利用する被検物質センサを提供する。本明細書で使用される場合、用語「協調して」は、第1の酵素反応の生成物が第2の酵素反応の基質になり、第2の酵素反応が、第1の酵素反応中に反応した基質(例えば、被検物質)の濃度を測定するための基礎として役立つ、共役酵素反応を指す。特定の実施形態では、反応の生成物及び/又は基質は、酵素系の酵素の補因子又は補酵素(例えば、FAD又はNAD)の還元型及び/又は酸化型であり得る。2つの共役酵素反応に関して定義されるが、3つ以上の酵素反応が、いくつかの例において同様に共役され得ることが理解されるべきである。例えば、第1の酵素反応の生成物は、第2の酵素反応の基質になることができ、第2の酵素反応の生成物は、第3の酵素反応の基質になることができ、第3の酵素反応は、第1の酵素反応中に反応した基質(例えば、被検物質)の濃度を測定するための基礎として役立つ。本明細書の開示に従ったアスパラギン酸塩及び/又はアスパラギンを検出するための適切な酵素及び酵素系の議論は、以下に続く。
【0015】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、約0.1から約10nA/mM、例えば、約0.1から約10nA/mM、約0.1から約9nA/mM、約0.1から約8nA/mM、約0.1から約7nA/mM、約0.1から約6nA/mM、約0.1から約5nA/mM、約0.1から約4nA/mM、約0.1から約3nA/mM、約0.1から約2nA/mM、又は約0.1から約1nA/mMの感度を有する。
【0016】
明確にするために、限定されないが、本開示の主題の詳細な説明を以下の小区分に分割する。
I.定義
II.被検物質センサ
1.被検物質センサシステムの一般的構造
2.酵素
3.酸化還元メディエータ
4.ポリマー骨格
5.物質移動制限膜
6.干渉ドメイン
7.製造
III.使用方法
IV.例示的実施形態
I.定義
本明細書で使用される用語は、一般に、本開示の文脈内で、及び各用語が使用される特定の文脈において、当技術分野におけるそれらの通常の意味を有する。特定の用語は、本開示の組成物及び方法及びそれらの作製方法及び使用方法を記載する際に、実施者に追加の助言を提供するために、以下で、又は本明細書の他の部分で議論される。
【0017】
本明細書で使用される場合、単語「1つの(a)」又は「1つの(an)」の使用は、特許請求の範囲及び/又は明細書において用語「備える」と併せて使用されるときに、「1つ」を意味し得るが、「1つ以上(one or more)」、「少なくとも1つ」、及び「1つ以上(one or more than one)」の意味とも一致する。
【0018】
本明細書で使用される用語「備える(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「し得る(can)」、「含有する(contain(s))」、及びそれらの変形は、追加の行為又は構造を排除しないオープンエンドの移行句、用語、又は単語であることが意図される。本開示はまた、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書に示される実施形態又は要素を「備える」、「からなる」、及び「から本質的になる」他の実施形態を想定する。
【0019】
用語「約」又は「およそ」は、当業者によって決定される特定の値について許容可能な誤差範囲内であることを意味し、これは、値がどのように測定又は決定されるか、すなわち測定システムの限界に部分的に依存する。例えば、「約」は、当技術分野における慣例に従って、3以内又は3を超える標準偏差を意味し得る。代わりに、「約」は、所与の値の20%まで、好適には10%まで、より好適には5%まで、さらにより好適には1%までの範囲を意味し得る。代わりに、特に生物学的システム又はプロセスに関して、この用語は、ある値の1桁以内、好適には5倍以内、より好適には2倍以内を意味し得る。
【0020】
本明細書で使用される場合、「被検物質センサ」又は「センサ」は、ユーザからセンサ情報を受信することができる任意の装置を示すことができ、限定ではなく、例示を目的として、体温センサ、血圧センサ、脈拍又は心拍数センサ、グルコースレベルセンサ、被検物質センサ、身体活動センサ、身体運動センサ、又は物理的又は生物学的情報を収集するための任意の他のセンサを含む。被検物質センサによって測定される被検物質は、限定ではなく例として、グルタミン酸塩、グルコース、ケトン類、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、乳酸塩、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、アスパラギン、アスパラギン酸塩、ナトリウム、総タンパク質、尿酸などを含み得る。
【0021】
本明細書中で使用される場合、用語「生体液」は、被検物質が測定され得る任意の体液又は体液誘導体を示す。生体液の非限定的な例は、皮膚液、間質液、血漿、血液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄、羊水、汗、及び涙等を含む。特定の実施形態では、生体液は、皮膚液又は間質液である。
【0022】
用語「電気分解」は、本明細書で使用される場合、電極で直接的に、又は1つ以上の電子移動剤(例えば、酸化還元メディエータ又は酵素)を介する化合物の電気酸化又は電気還元を示す。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「均一な膜」は、1種類の膜ポリマーを備える膜を示す。
本明細書で使用される場合、用語「多成分膜」は、2種類以上の膜ポリマーを備える膜を示す。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「カリウム非依存性アスパラギナーゼ」は、カリウム、例えばカリウムイオン(K+)の存在下で触媒活性のいかなる変化も示さないアスパラギナーゼを示す。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「カリウム依存性アスパラギナーゼ」は、カリウム、例えばカリウムイオン(K+)の存在下で増加又は減少した触媒活性を示すアスパラギナーゼを示す。特定の実施形態では、カリウム依存性アスパラギナーゼは、最大触媒活性のために、異なる濃度のカリウム、例えば、カリウムイオン(K+)を必要とするアスパラギナーゼを含む。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「ポリビニルピリジン系ポリマー」は、ポリビニルピリジン(例えば、ポリ(2-ビニルピリジン)又はポリ(4-ビニルピリジン))又はその誘導体を備えるポリマー又はコポリマーを示す。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「酸化還元メディエータ」とは、被検物質又は被検物質還元酵素又は被検物質酸化酵素と電極との間で、直接的に、又は1つ以上のさらなる電子移動剤を介してのいずれかで、電子を送達するための電子移動剤を示す。特定の実施形態では、ポリマー骨格を含む酸化還元メディエータは、「酸化還元ポリマー」と示され得る。
【0028】
本明細書で使用される用語「参照電極」は、参照電極、又は参照電極及び対電極の両方として機能する電極のいずれかを示し得る。同様に、本明細書で使用される用語「対電極」は、対電極と、参照電極としても機能する対電極との両方を示し得る。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「単一成分膜」は、1種類の膜ポリマーを含む膜を示す。
II.被検物質センサ
1.被検物質センサシステムの一般的構造
本主題を詳細に記載する前に、本開示は、記載される特定の実施形態に限定されず、従って、当然ながら、変動し得ることを理解されたい。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0030】
本明細書において議論される刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示のためにのみ提供される。本明細書のいかなる内容も、本開示が先行開示によってこのような刊行物に先行する権利を有しないことを承認するものとして解釈すべきではない。さらに、示される公開日は実際の公開日と異なる可能性があり、実際の公開日は独立して確認する必要があり得る。
【0031】
一般に、本開示の実施形態は、インビボ被検物質モニタリングシステムとともに使用するための被検物質センサ挿入アプリケータの使用のためのシステム、装置、及び方法を含む。アプリケータは、センサ制御装置の電子機器ハウジングが中に収容された無菌パッケージでユーザに提供され得る。いくつかの実施形態によれば、アプリケータとは別の構造、例えば容器も、その中に含まれるセンサモジュール及び尖端モジュールとともに無菌パッケージとしてユーザに提供することができる。ユーザはセンサモジュールを電子機器ハウジングに連結することができ、指定された方法でアプリケータを容器の中に挿入することを含む組立てプロセスで、尖端をアプリケータに連結することができる。他の実施形態では、アプリケータ、センサ制御装置、センサモジュール、及び尖端モジュールを、単一のパッケージで提供することができる。アプリケータは、センサが装着者の体液と接触した状態でセンサ制御装置を人体上に位置決めするために使用され得る。本明細書で提供される実施形態は、センサが不適切に挿入される又は損傷される、又は有害な生理学的応答を引き起こす可能性を低減するための改善である。他の改善及び利点も同様に提供される。これらの装置の様々な構成は、単なる例である実施形態によって詳細に説明される。
【0032】
さらに、多くの実施形態は、身体の少なくとも1つの被検物質に関する情報を取得するために、センサの少なくとも一部がユーザの身体内に位置付けられるか、又は位置付けられ得るように構造的に構成される、インビボ被検物質センサを含む。しかし、本明細書で開示する実施形態は、インビトロの能力を組み込んだインビボ被検物質モニタリングシステム、及び完全に非侵襲的なシステムを含む純粋なインビトロ又はエクスビボの被検物質モニタリングシステムとともに使用できることに留意されたい。
【0033】
さらに、本明細書に開示される方法のありとあらゆる実施形態について、それらの実施形態の各々を実行することができるシステム及び装置は、本開示の範囲内に包含される。例えば、センサ制御装置の実施形態が開示され、これらの装置は、あらゆる方法工程を実施し又はあらゆる方法工程の実行を容易にすることができる1つ以上のセンサ、被検物質モニタリング回路(例えばアナログ回路)、メモリ(例えば命令を保存するための)、電源、通信回路、トランスミッタ、レシーバ、プロセッサ、及び/又はコントローラ(例えば命令を実行するための)を有し得る。これらのセンサ制御装置の実施形態は、本明細書で記載されるいずれか及び全ての方法からセンサ制御装置によって実行される工程を実施するために使用することができ、使用することが可能であり得る。
【0034】
さらに、本明細書に示されるシステム及び方法は、被検物質モニタリングシステムにおいて使用されるセンサの動作のために使用されてもよく、例えば、限定されないが、ウェルネス、フィットネス、食事、研究、情報、又は経時的な被検物質検知を伴う任意の目的等である。本明細書で使用される場合、「被検物質センサ」又は「センサ」は、ユーザからセンサ情報を受信することができる任意の装置を示すことができ、限定ではなく、例示を目的として、体温センサ、血圧センサ、脈拍又は心拍数センサ、グルコースレベルセンサ、被検物質センサ、身体活動センサ、身体運動センサ、又は物理的又は生物学的情報を収集するための任意の他のセンサを含む。特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギンを測定し得る。特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、限定されないが、グルタミン酸塩、グルコース、ケトン類、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、乳酸塩、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、ナトリウム、アスパラギン酸塩、アスパラギン、総タンパク質、尿酸等を含む被検物質をさらに測定し得る。
【0035】
上述したように、インビボ被検物質モニタリングシステムと共に使用するための皮膚センサ挿入装置の改善された組立及び使用を提供するシステム、装置、及び方法のいくつかの実施形態が本明細書に記載される。特に、本開示のいくつかの実施形態は、インビボ被検物質モニタリングシステムに関してセンサ挿入の方法を改善するように、特に、センサ挿入プロセス中の挿入尖端の早期後退を防止するように設計される。例えばいくつかの実施形態は、発射速度が増大し、尖端の後退が遅くなった皮膚センサ挿入メカニズムを含む。他の実施形態では、尖端後退メカニズムは、ユーザがアプリケータを皮膚から引き離すまで、尖端が後退されないように、動作によって作動し得る。その結果、これらの実施形態は、いくつかの利点を挙げると、センサ挿入プロセス中に挿入尖端を早期に引き抜く可能性を低減し、不適切なセンサ挿入の可能性を低減し、センサ挿入プロセス中にセンサを損傷する可能性を低減し得る。本開示のいくつかの実施形態はまた、小規模の皮膚センサ及び対象の真皮層に存在する比較的浅い挿入経路を考慮した、改良された挿入尖端モジュールを提供する。加えて、本開示のいくつかの実施形態は、センサ挿入中のアプリケータ部品の望ましくない軸方向移動及び/又は回転移動を防止するように設計される。従って、これらの実施形態は、いくつかの利点を挙げると、位置付けられた皮膚センサの不安定性、挿入部位における刺激、周囲組織への損傷、及び血液による皮膚液の汚損をもたらす毛細血管の破損の可能性を低減し得る。加えて、挿入部位における外傷によって引き起こされ得る不正確なセンサ読み取りを軽減するために、本開示のいくつかの実施形態は、挿入中のセンサ先端に対する針の端部深度貫通を低減し得る。
【0036】
しかし実施形態のこれらの態様を詳細に述べる前に、最初に、例えば、インビボの被検物質モニタリングシステムの中に存在し得る装置の例、及びそれらの操作の例を述べることが望ましく、それらの全ては、本明細書に記載した実施形態とともに使用することができる。
【0037】
様々な種類のインビボ被検物質モニタリングシステムがある。例えば、「連続被検物質モニタリング」システム(又は「連続グルコースモニタリング」システム)は、指示することなく、例えば自動的にスケジュールに従って、センサ制御装置からのデータを連続的にリーダ装置に送信することができる。別の例として、「フラッシュ被検物質モニタリング」システム(又は「フラッシュグルコースモニタリング」システム又は単に「フラッシュ」システム)は、近距離無線通信(NFC)又は無線自動識別(RFID)プロトコル等を用いて、リーダ装置によるデータのスキャン又は要求に応答して、センサ制御装置からデータを送信し得る。インビボの被検物質モニタリングシステムは、フィンガースティック較正の必要なしに動作することもできる。
【0038】
インビボ被検物質モニタリングシステムは、体外(又は「エクスビボ」)で生体サンプルと接触し、一般に、ユーザの血液被検物質レベルを決定するために分析され得る、ユーザの体液を運ぶ被検物質検査ストリップを受け入れるためのポートを有する測定器を含む「インビトロ」システムと区別され得る。
【0039】
インビボモニタリングシステムは、インビボに配置されている間、ユーザの体液と接触し、その中に含まれる被検物質レベルを検知するセンサを含み得る。センサは、ユーザの身体上に存在し、被検物質の検知を可能にして制御する電子機器及び電源を含むセンサ制御装置の一部であってよい。センサ制御装置及びその変形はまた、いくつか例を挙げると、「センサ制御ユニット」、「オンボディエレクトロニクス」装置又はユニット、「オンボディ」装置又はユニット、又は「センサデータ通信」装置又はユニットと示され得る。
【0040】
インビボモニタリングシステムは、検知された被検物質データをセンサ制御装置から受信し、その検知された被検物質データを任意の数の形態でユーザに処理及び/又は表示する装置も含んでよい。この装置及びその変形は、いくつかを挙げれば、「ハンドヘルドリーダ装置」、「リーダ装置」(又は単に「リーダ」)、「ハンドヘルド電子機器」(又は単に「ハンドヘルド」)、「携帯型データ処理」装置又はユニット、「データレシーバ」、「レシーバ」装置又はユニット(又は単に「レシーバ」)、又は「リモート」装置又はユニットと称することができる。パーソナルコンピュータ等のその他の装置も、インビボ及びインビトロのモニタリングシステムとともに利用され、又はその中に組み込まれている。
【0041】
センサ104は、皮膚の真皮層又は皮下層内などの対象組織に少なくとも部分的に挿入されるように適合される。センサ104は、所与の組織内の望ましい深さまで挿入するのに十分な長さのセンサ尾部を含み得る。センサ尾部は、少なくとも1つの作用電極を含み得る。特定の構成では、センサ尾部は、作用電極上に配置された被検物質、例えばグルタミン酸塩を検出するための少なくとも1つの活性領域を含み得る。対電極は、少なくとも1つの作用電極と組み合わせて存在し得る。センサ尾部上の特定の電極構成は、以下でより詳細に記載される。
【0042】
活性領域は、特定の被検物質を検出するように構成され得る。特定の実施形態では、活性領域は、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギンを検出するように構成され得る。特定の実施形態では、活性領域は、アスパラギン酸塩を検出するように構成され得る。特定の実施形態では、活性領域は、アスパラギンを検出するように構成され得る。特定の実施形態では、活性領域は、2つ以上の被検物質を検出するように構成され得る。特定の実施形態では、活性領域は、アスパラギン及び/又はアスパラギン酸塩、及び/又はアスパラギン及びアスパラギン酸塩とは異なる被検物質を検出するように構成され得る。特定の実施形態では、アスパラギン及びアスパラギン酸塩とは異なる被検物質は、グルコース、ケトン類、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、乳酸塩、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、ナトリウム、アスパラギン酸塩、アスパラギン、総タンパク質、尿酸等であり得る。
【0043】
本開示の特定の実施形態では、1つ以上の被検物質は、皮膚液、間質液、血漿、血液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄、又は羊水等のような対象の任意の体液においてモニタリングされ得る。特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、皮膚液又は間質液をアッセイして、インビボで1つ以上の被検物質の濃度を決定するように適合され得る。特定の実施形態では、生体液は間質液である。
【0044】
センサ104の組織内への導入を促すために、イントロデューサが一時的に存在し得る。特定の例示的な実施形態では、イントロデューサは針又は同様の尖端を含んでよい。当業者によって容易に認識されるように、シース又はブレード等の他のタイプのイントロデューサが、代替の実施形態では存在し得る。より具体的には、針又は他のイントロデューサは、組織挿入の前にセンサ104の近くに一時的に存在し、その後、引き抜かれ得る。針又は他のイントロデューサは、存在する間、センサ104が従うためのアクセス経路を開くことによって、組織の中へのセンサ104の挿入を促し得る。例えば、限定するものではないが、1つ以上の実施形態によれば、針は、センサ104の埋め込みが行われることを可能にするために、真皮へのアクセス経路として表皮の貫通を促し得る。アクセス経路を開いた後、針又は他のイントロデューサは、それが鋭利な危険を示さないように、引き抜かれ得る。例示的な実施形態では、適切な針は、中実又は中空、斜角又は非斜角、及び/又は断面が円形又は非円形であり得る。より具体的な実施形態では、好適な針は断面直径及び/又は先端のデザインにおいて鍼治療用の針と同様であってよく、これらは約250ミクロン(250μm)の断面直径を有してよい。しかし、適切な針は、ある特定の用途のために必要とされる場合、より大きい又はより小さい断面直径を有し得る。
【0045】
特定の実施形態では、針の先端(存在している間)は、センサ104の末端を越えて角度がついており、それにより、針が組織を最初に穿通し、センサ104のためのアクセス経路を開くようにしてよい。特定の実施形態では、センサ104は、針のルーメン(lumen)又は溝内に存在してもよく、針は、同様にセンサ104のためのアクセス経路を開く。いずれの場合においても、針は、センサ挿入を容易にした後に続いて引き抜かれ得る。
【0046】
B.例示的なリーダ装置
図2Aは、スマートフォンとして構成されたリーダ装置の実施形態の例を示すブロック略図である。ここで、リーダ装置120は、表示部122と、入力部品121と、メモリ223に接続された通信プロセッサ222及びメモリ225に接続されたアプリケーションプロセッサ224を含む処理コア206とを含み得る。また、別個のメモリ230、アンテナ229を有するRFトランシーバ228、及び電力管理モジュール238を有する電源226が含まれ得る。Wi-Fi、NFC、Bluetooth(登録商標)、BTLE、及びGPSを介してアンテナ234と通信し得る多機能トランシーバ232がさらに含まれ得る。当業者によって理解されるように、これらの部品は、機能的装置を作製するための方法において電気的かつ通信可能に接続される。
【0047】
C.例示的なデータ受信装置アーキテクチャ
限定ではなく例示の目的で、
図2Bに示す開示された主題とともに使用するためのデータ受信装置120の例示的な実施形態を参照する。データ受信装置120及び関連する多目的データ受信装置130は、被検物質センサ110及びその動作の議論に密接に関係する部品を含み、追加の部品が含まれ得る。特定の実施形態では、データ受信装置120及び多目的データ受信装置130は、第三者によって提供される部品であるか、又はそれを含むことができ、センサ110と同じ製造者によって作られた装置を含むように必ずしも制限されない。
【0048】
図2Bに示すように、データ受信装置120は、マイクロコントローラ4010、メモリ4020、及びストレージ4030を含み、通信モジュール4040と通信可能に接続されたASIC4000を含む。データ受信装置120の部品のための電力は電力モジュール4050によって送達することができ、これは本明細書で具現化されるように再充電可能なバッテリを含んでよい。データ受信装置120は、被検物質センサ110又は他の装置(例えば、ユーザ装置140又はリモートアプリケーションサーバ150)から受信された被検物質データの確認を容易にするための表示部4070をさらに含み得る。データ受信装置120は、別個のユーザインターフェース部品(たとえば、物理鍵、光センサ、マイクロフォンなど)を含み得る。
【0049】
通信モジュール4040は、BLEモジュール4041及びNFCモジュール4042を含み得る。データ受信装置120は、被検物質センサ110と無線で接続し、被検物質センサ110にコマンドを送信し、被検物質センサ110からデータを受信するように構成され得る。本明細書に具現化されるように、データ受信装置120は、本明細書で記載される被検物質センサ110に関して、通信モジュール4040の特定のモジュール(例えば、BLEモジュール4042又はNFCモジュール4043)を介してNFCスキャナ及びBLEエンドポイントとして動作するように構成され得る。例えば、データ受信装置120は、通信モジュール4040の第1のモジュールを使用して、コマンド(例えば、センサのデータブロードキャストモードのための作動コマンド、データ受信装置120を識別するためのペアリングコマンド)を被検物質センサ110に発行し、通信モジュール4040の第2のモジュールを使用して、被検物質センサ110からデータを受信し、被検物質センサ110にデータを送信し得る。データ受信装置120は、通信モジュール4040のユニバーサルシリアルバス(USB)モジュール4045を介してユーザ装置140と通信するように構成され得る。
【0050】
別の例として、通信モジュール4040は、例えば、セルラーラジオモジュール4044を含み得る。セルラーラジオモジュール4044は、第3世代(3G)、第4世代(4G)、及び第5世代(5G)ネットワークを含むがそれらに限らないブロードバンドセルラーネットワークを用いて通信するための1つ以上のラジオトランシーバを含んでよい。さらに、データ受信装置120の通信モジュール4040は、IEEE802.11規格(例えば、802.11a、802.11b、802.11g、802.11n(別名Wi-Fi4)、802.11ac(別名Wi-Fi5)、802.11ax(別名Wi-Fi6))のうちの1つ以上に従ってワイヤレスローカルエリアネットワークを使用して通信するためのWi-Fiラジオモジュール4043を含み得る。セルラーラジオモジュール4044又はWi-Fiラジオモジュール4043を使用して、データ受信装置120は、リモートアプリケーションサーバ150と通信し、被検物質データを受信するか、又はユーザから(例えば、1つ以上のユーザインターフェースを介して)受信した更新又は入力を提供し得る。示されていないが、被検物質センサ120の通信モジュール5040は、同様に、セルラーラジオモジュール又はWi-Fiラジオモジュールを含み得る。
【0051】
本明細書に具現化されるように、データ受信装置120のオンボードストレージ4030は、被検物質センサ110から受信した被検物質データを保存し得る。さらに、データ受信装置120、多目的データ受信装置130、又はユーザ装置140は、広域ネットワークを介してリモートアプリケーションサーバ150と通信するように構成され得る。本明細書に具現化されるように、被検物質センサ110は、データ受信装置120又は多目的データ受信装置130にデータを提供し得る。データ受信装置120は、データをユーザコンピューティング装置140に送信し得る。次に、ユーザコンピューティング装置140(又は多目的データ受信装置130)は、処理及び分析のために、そのデータをリモートアプリケーションサーバ150に送信し得る。
【0052】
本明細書に具現化されるように、データ受信装置120は、被検物質センサ110の検知ハードウェア5060と同様の、又はそれから拡張された検知ハードウェア4060をさらに含み得る。特定の実施形態では、データ受信装置120は、被検物質センサ110と連携して、被検物質センサ110から受信した被検物質データに基づいて動作するように構成され得る。一例として、被検物質センサ110がグルコースセンサである場合、データ受信装置120は、インスリンポンプ又はインスリン注入ペンであるか、又はインスリンポンプ又はインスリン注入ペンを含み得る。連携して、互換性のある装置130は、被検物質センサから受信したグルコース値に基づいて、ユーザのためのインスリン投薬量を調整し得る。
【0053】
D.例示的なセンサ制御装置
図2C及び
図2Dは、ユーザへの表示に適した最終結果データをレンダリングするための処理能力の大部分を有し得る被検物質センサ104及びセンサ電子機器160(被検物質モニタリング回路を含む)を有するセンサ制御装置102の実施形態の例を示すブロック略図である。
図2Cでは、カスタム特定用途向け集積回路(ASIC)であり得る単一の半導体チップ161が示される。ASIC161の中には、アナログフロントエンド(AFE)162、電力管理(又は制御)回路164、プロセッサ166、及び通信回路168(これはトランスミッタ、レシーバ、トランシーバ、受動回路として、又は通信プロトコルに従った他の方法で、実行することができる)を含むある特定の高レベル機能性ユニットが示されている。この実施形態では、AFE162及びプロセッサ166の両方が被検物質モニタリング回路として使用されるが、他の実施形態では、いずれかの回路が被検物質モニタリング機能を実行し得る。プロセッサ166は、1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、及び/又はマイクロコントローラを含むことができ、それらの各々は、別個のチップであるか、又は多数の異なるチップ(及びその一部)の間で分散され得る。
【0054】
メモリ163もASIC161内に含まれ、ASIC161内に存在する様々な機能ユニットによって共有されてもよく、又はそれらのうちの2つ以上の間で分散され得る。メモリ163はまた、別個のチップであり得る。メモリ163は、揮発性及び/又は不揮発性メモリであり得る。この実施形態では、ASIC161は、電源170に接続され、これは、ボタン電池などであり得る。AFE162はインビボ被検物質センサ104とインターフェース接続し、それから測定データを受信し、データをデジタルの形態でプロセッサ166に出力し、次に、プロセッサ166はデータを処理して、最終結果のグルコースの離散値及びトレンド値(trend values)等に到達させる。次に、このデータは、例えば、データを表示するために常駐ソフトウェアアプリケーションによって最小限のさらなる処理が必要とされるリーダ装置120(図示無し)にアンテナ171を経由して送信するために、通信回路168に提供され得る。
【0055】
図2Dは、
図2Cと同様であるが、代わりに、一緒に又は別々にパッケージ化され得る2つの別個の半導体チップ162及び174を含む。ここで、AFE162は、ASIC161に常駐している。プロセッサ166は、チップ174上の電力管理回路164及び通信回路168と統合される。AFE162はメモリ163を含み、チップ174はメモリ165を含み、これらは内部で分離又は分散され得る。1つの例示的な実施形態では、AFE162は、1つのチップ上で電力管理回路164及びプロセッサ166と組み合わされ、通信回路168は別個のチップ上にある。別の例示的な実施形態では、AFE162及び通信回路168の両方が1つのチップ上にあり、プロセッサ166及び電力管理回路164が別のチップ上にある。3つ以上のチップを含む他のチップの組合せが可能であり、各チップは、記載した別々の機能を担うか、又はフェイルセーフ冗長性のために1つ以上の機能を共有することに留意されたい。
【0056】
限定ではなく例示の目的で、
図2Eに示す開示された主題とともに使用するための被検物質センサ110の例示的な実施形態を参照する。
図2Eは、本明細書で記載されるセキュリティアーキテクチャ及び通信方式に適合する例示的な実施形態による被検物質センサ110の例のブロック略図を示す。
【0057】
本明細書に具現化されるように、被検物質センサ110は、通信モジュール5040と通信可能に接続された特定用途向け集積回路(「ASIC」)5000を含み得る。ASIC5000は、マイクロコントローラコア5010、オンボードメモリ5020、及びストレージメモリ5030を含み得る。ストレージメモリ5030は、認証及び暗号化セキュリティアーキテクチャにおいて使用されるデータを保存し得る。ストレージメモリ5030は、センサ110のためのプログラミング命令を保存し得る。本明細書に具現化されるように、特定の通信チップセットは、ASIC5000(例えば、NFCトランシーバ5025)に組み込まれ得る。ASIC5000は、オンボードバッテリなどの電力モジュール5050から、又はNFCパルスから電力を受け取り得る。ASIC5000のストレージメモリ5030は、識別及び追跡目的のためにセンサ110の識別子などの情報を含むようにプログラムされ得る。ストレージメモリ5030はまた、センサ110及びその様々な部品による使用のための構成又は較正パラメータを用いてプログラムされ得る。ストレージメモリ5030は、書き換え可能又はワンタイムプログラミング(OTP)メモリを含み得る。ストレージメモリ5030は、センサ110の有用性を拡張するために、本明細書に記載する技法を使用して更新され得る。
【0058】
本明細書に具現化されるように、センサ100の通信モジュール5040は、被検物質モニタリングシステム100の他の装置と通信する被検物質センサ110をサポートするための1つ以上のモジュールであるか、又は1つ以上のモジュールを含み得る。限定ではなく単なる例として、例示的な通信モジュール5040は、Bluetooth(登録商標)低エネルギー(「BLE」)モジュール5041を含み得る。本開示全体を通して使用されるように、Bluetooth(登録商標)低エネルギー(「BLE」)は、エンドユーザがBluetooth(登録商標)装置のペアリングを簡単に行えるように最適化された短距離通信プロトコルを示す。通信モジュール5040は、データ受信装置120又はユーザ装置140の同様の機能を有する通信モジュールとの相互作用を介して、データ及びコマンドを送信及び受信し得る。通信モジュール5040は、IEEE802.15プロトコルに従うパーソナルエリアネットワーク、IEEE802.11プロトコル、赤外線データ協会規格(IrDA)に従う赤外線通信など、同様の短距離通信方式とともに使用するための追加又は代替のチップセットを含み得る。
【0059】
その機能を実行するために、センサ100は、その機能に適した適切な検知ハードウェア5060をさらに含み得る。本明細書に具現化されるように、検知ハードウェア5060は、対象の体液と接触して経皮的又は皮下的に配置された被検物質センサを含み得る。被検物質センサは、体液中の1つ以上の被検物質のレベルに対応する値を含むセンサデータを生成し得る。
【0060】
E.センサ制御装置のための例示的な組み立てプロセス
センサ制御装置102の部品は、適切なユーザの位置への送達前にユーザによる最終的な組み立てを必要とする複数のパッケージでユーザによって取得され得る。
図3Aから
図3Dは、送達する目的でセンサを準備するために部品を連結する前の別個の部品の準備を含む、ユーザによるセンサ制御装置102用の組立プロセスの実施形態の例を示す。
図3Eから
図3Fは、適切な送達位置を選択し、装置102をその位置に適用することによる、適切なユーザの位置へのセンサ制御装置102の送達の実施形態の例を示す。
【0061】
図3Aは、組み立てプロセスのために、ここではトレイとして構成された容器810(しかし他のパッケージが使用され得る)を準備するユーザの実施形態の例を示す近位斜視図である。ユーザは、プラットフォーム808を露出させるために蓋812をトレイ810から取り外すことによって、例えば、蓋812の接着部分が取り外されるように蓋812の非接着部分をトレイ810から剥がすことによって、この準備を達成し得る。蓋812の取り外しは、プラットフォーム808がトレイ810内で十分に露出されている間、様々な実施形態において適切であり得る。次に、蓋812が横に置かれ得る。
【0062】
図3Bは、組み立てのためにアプリケータ装置150を準備するユーザの実施形態の例を示す側面図である。アプリケータ装置150は、キャップ708によって密閉された滅菌パッケージ内において提供され得る。アプリケータ装置150の準備は、シース704を露出させるために、キャップ708からハウジング702を分離することを含み得る(
図3C)。これは、キャップ708をハウジング702から回して外す(又は他の方法で分離する)ことによって達成され得る。次に、キャップ708が横に置かれ得る。
【0063】
図3Cは、組み立て中にアプリケータ装置150をトレイ810に挿入するユーザの実施形態の例を示す近位斜視図である。最初に、ユーザは、ハウジング配向形体1302(又はスロット又は凹部)及びトレイ配向形体924(当接部又は戻り止め)を合わせた後、シース704をトレイ810の内側のプラットフォーム808の中に挿入し得る。シース704をプラットフォーム808に挿入すると、シース704がハウジング702に対して一時的にロック解除され、また、プラットフォーム808がトレイ810に対して一時的にロック解除される。この段階で、トレイ810からのアプリケータ装置150の取り外しは、トレイ810へのアプリケータ装置150の最初の挿入前と同じ状態をもたらすであろう(すなわち、このプロセスは、この時点で反転又は中断され、次に、結果なく繰り返され得る)。
【0064】
ハウジング702が遠位方向に前進している間に、シース704はハウジング702に対してプラットフォーム808の中の位置に維持され、プラットフォーム808と連結してプラットフォーム808をトレイ810に対して遠位方向に前進させる。この工程は、プラットフォーム808をロック解除し、トレイ810内に折り畳む。シース704がハウジング702に対してロック解除され、ハウジング702がプラットフォーム808を遠位方向に前進させ続けている間にシース704が(相対的に)移動することを防止するトレイ810の中の固定形体(図示無し)とシース704は接触して、これを係合解除する。ハウジング702及びプラットフォーム808の前進が終了したときに、シース704はハウジング702に対して永久的にロック解除される。トレイ810内の尖端及びセンサ(図示無し)は、ハウジング702の遠位への前進の終了時に、ハウジング702内の電子機器ハウジング(図示無し)と連結され得る。アプリケータ装置150及びトレイ810の動作及び相互作用は、以下でさらに記載される。
【0065】
図3Dは、組み立て中にユーザがアプリケータ装置150をトレイ810から取り外す実施形態の例を示す近位斜視図である。ユーザは、ハウジング702をトレイ810に対して近位方向に前進させるか、アプリケータ150とトレイ810との連結解消と同じ最終効果を有する他の動作によって、アプリケータ150をトレイ810から取り外すことができる。アプリケータ装置150は、センサ制御装置102(図示無し)がその中に完全に組み立てられ(尖端、センサ、電子機器)送達のために配置された状態で取り外される。
【0066】
図3Eは、患者がアプリケータ装置150を使用してセンサ制御装置102を皮膚の標的領域、例えば、腹部又は他の適切な位置に適用する実施形態の例を示す近位斜視図である。ハウジング702を遠位方向に前進させることにより、シース704をハウジング702内に折り畳み、センサ制御装置102の底側の接着層が皮膚に接着するように、センサを目標位置に適用させる。ハウジング702が完全に前進されたときに尖端が自動的に後退される一方で、センサ(図示無し)がその位置に取り残されて被検物質レベルを測定する。
【0067】
図3Fは、センサ制御装置102が適用位置にある患者の実施形態の例を示す近位斜視図である。次に、ユーザは、アプリケータ150を適用部位から取り外し得る。
図3Aから
図3F及び本明細書の他の部分に関して記載されるシステム100は、従来技術のシステムと比較して、アプリケータ部品の偶発的な破損、永久的な変形、又は不正確な組み立ての可能性を低減又は排除し得る。シース704を介した間接的な係合ではなく、シース704がロック解除する間にアプリケータハウジング702がプラットフォーム808に直接係合するので、シース704とハウジング702との間の相対的な角度は、アーム又は他の部品の破損又は永久的な変形をもたらさない。組み立て中の(従来の装置におけるような)比較的大きな力がかかる可能性が低減され、次に、ユーザによる組み立てが失敗する可能性を低減する。
【0068】
F.例示的なセンサアプリケータ装置
図4Aは、スクリューキャップ708と連結されたアプリケータ装置150の実施形態の例を示す側面図である。これは、ユーザによるセンサの組み立て前に、アプリケータ150がどのようにユーザに出荷され、ユーザによって受け取られるかの例である。
図4Bは、分離された後のアプリケータ150及びキャップ708を示す側面斜視図である。
図4Cは、キャップ708が定位置にあるときに、電子機器ハウジング706及び接着性パッチ105がシース704のセンサキャリア710に保持される位置から取り外されている、アプリケータ装置150の遠位端の実施形態の例を示す斜視図である。
【0069】
限定ではなく例示の目的で
図4Dから
図4Gを参照すると、アプリケータ装置20150は、単一の一体化アセンブリとしてユーザに提供され得る。
図4D及び
図4Eは、それぞれ、アプリケータ装置20150の上面斜視図及び底面斜視図を提供し、
図4Fは、アプリケータ装置20150の分解図を提供し、
図4Gは、側面断面図を提供する。斜視図は、アプリケータ20150がどのようにユーザに出荷され、ユーザによって受け取られるかを示す。分解図及び断面図は、アプリケータ装置20150の部品を示す。アプリケータ装置20150は、ハウジング20702、ガスケット20701、シース20704、尖端キャリア201102、ばね205612、センサキャリア20710(「パックキャリア」とも呼ばれる)、尖端ハブ205014、センサ制御装置(「パック」とも呼ばれる)20102、接着性パッチ20105、乾燥剤20502、キャップ20708、シリアルラベル20709、及びタンパーエビデンス形体20712を含み得る。ユーザによって受け取られると、ハウジング20702、キャップ20708、タンパーエビデンス形体20712、及びラベル20709のみが見える。タンパーエビデンス形体20712は、例えばハウジング20702とキャップ20708の各々に連結されたステッカーであってよく、タンパーエビデンス形体20712は例えばハウジング20702とキャップ20708との連結を外すことによって修復不能に損傷され、それにより、ハウジング20702とキャップ20708の連結が以前に外されたことをユーザに示すことができる。これらの特徴は、以下でより詳細に記載される。
【0070】
G.例示的なトレイ及びセンサモジュールアセンブリ
図5は、滅菌蓋812が取り外し可能に連結されたトレイ810の実施形態の例を示す近位斜視図であり、これは、パッケージが組み立て前にどのようにユーザに出荷され、ユーザによって受け取られるかを示し得る。
【0071】
図6Aは、トレイ810内のセンサ送達部品を示す近位斜視断面図である。プラットフォーム808は、トレイ810内に摺動可能に連結される。乾燥剤502は、トレイ810に対して固定される。センサモジュール504は、トレイ810内に取り付けられる。
【0072】
図6Bは、センサモジュール504をより詳細に示す近位斜視図である。ここで、プラットフォーム808の保持アーム延長部1834は、センサモジュール504を定位置に解放可能に固定する。モジュール2200はコネクタ2300、尖端モジュール2500、及びセンサ(図示無し)に連結されており、それにより、組立ての間、これらはセンサモジュール504として一緒に取り外すことができる。
【0073】
H.ワンピースアーキテクチャのための例示的なアプリケータ及びセンサ制御装置
図1A及び
図3Aから
図3Gを再び簡単に参照すると、ツーピースアーキテクチャシステムの場合、センサトレイ202及びセンサアプリケータ102は、別個のパッケージとしてユーザに提供され、従って、ユーザは、各パッケージを開封し、最終的にシステムを組み立てる必要がある。いくつかの用途では、別個の密閉パッケージは、センサトレイ202及びセンサアプリケータ102が、各パッケージの内容物に特有であり、他の内容物と適合しない別個の滅菌プロセスにおいて滅菌されることを可能にする。より具体的には、センサ110及び尖端220を含むプラグアセンブリ207を含むセンサトレイ202は、電子線(すなわち「e-ビーム」)照射等の放射線滅菌を用いて滅菌され得る。好適な放射線滅菌プロセスとしては、限定されないが、電子ビーム(e-ビーム)照射、ガンマ線照射、X線照射、又はこれらの任意の組み合わせを含む。しかし、放射線滅菌は、センサ制御装置102の電子機器ハウジング内に配置された電気部品を損傷し得る。その結果、センサ制御装置102の電子機器ハウジングを含むセンサアプリケータ102を滅菌する必要がある場合、例えばエチレンオキシドを使用する気体化学滅菌などの別の方法によって滅菌され得る。しかし、気体化学滅菌は、センサ110上に含まれる酵素又は他の化学物質及び生物製剤を損傷し得る。この滅菌不適合のために、センサトレイ202及びセンサアプリケータ102は、一般に、別個の滅菌プロセスにおいて滅菌され、その後、別個にパッケージ化され、これは、ユーザが使用のために部品を最終的に組み立てることを必要とする。
【0074】
図7A及び
図7Bは、それぞれ、1つ以上の実施形態によるセンサ制御装置3702の上面分解図及び底面分解図である。シェル3706及びマウント3708は、センサ制御装置3702の様々な電子部品を含んでいるか、又は別様に実質的にカプセル化する、対向するクラムシェル半体として動作する。示すように、センサ制御装置3702は、複数の電子モジュール3806が接続されたプリント回路基板(PCB)3804を含むプリント回路基板アセンブリ(PCBA)3802を含み得る。例示的な電子モジュール3806は、限定されないが、抵抗器、トランジスタ、コンデンサ、インダクタ、ダイオード、及びスイッチを含む。従来のセンサ制御装置は、一般に、PCBの一方の側のみにPCB部品を積み重ねる。対照的に、センサ制御装置3702におけるPCB部品3806は、PCB3804の両側の表面領域(即ち上と底の表面)に分散してよい。
【0075】
電子モジュール3806に加えて、PCBA3802は、PCB3804に取り付けられたデータ処理ユニット3808も含み得る。データ処理ユニット3808は、例えば、センサ制御装置3702の動作に関連付けられた1つ以上の機能又はルーチンを実施するように構成された特定用途向け集積回路(ASIC)を備え得る。より具体的には、データ処理ユニット3808はデータ処理機能を実施するように構成されてよく、そのような機能には、それだけに限らないが、その各々がユーザのサンプリングされた被検物質レベルに対応するデータ信号のフィルタリング及びエンコーディングを含み得る。データ処理ユニット3808はまた、リーダ装置106(
図1A)と通信するためのアンテナを含み得るか、又はそうでなければそれと通信し得る。
【0076】
バッテリ開口3810は、PCB3804内に規定され、センサ制御装置3702に電力を供給するように構成されたバッテリ3812を受け入れて固定するようなサイズであり得る。軸方向バッテリ接点3814a及び半径方向バッテリ接点3814bは、PCB3804に連結され、バッテリ開口3810内に延在し、バッテリ3812からPCB3804への電力の伝送を容易にし得る。それらの名称が示唆するように、軸方向のバッテリ接点3814aはバッテリ3812に軸方向の接点を提供するように構成され、半径方向のバッテリ接点3814bはバッテリ3812に半径方向の接点を提供してよい。バッテリ接点3814a、bを有するバッテリ開口部3810内にバッテリ3812を配置することは、センサ制御装置3702の高さHを低減するのに役立ち、これは、PCB3804が中央に配置されること、及びその部品が両側(すなわち、上面及び底面)に分散されることを可能にする。これはまた、チャンファ3718を電子機器ハウジング3704の上に備え付けることを容易にすることを助ける。
【0077】
センサ3716は、PCB3804に対して中心に配置されてもよく、尾部3816と、フラグ3818と、尾部3816及びフラグ3818を相互接続するネック3820とを含み得る。尾部3816は、マウント3708の中心開口部3720を通って延在し、ユーザの皮膚の下に経皮的に受容されるように構成され得る。さらに、尾部3816は、被検物質モニタリングを容易にするのに役立つように、その上に含まれる酵素又は他の化学物質を有し得る。
【0078】
フラグ3818は、その上に配置された1つ以上のセンサ接点3822(
図7Bに3つ示す)を有する略平坦な表面を含み得る。センサ接点(複数)3822は、PCB3804上に設けられた対応する1つ以上の回路接点3824(
図7Aに3つ示す)と整列して係合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、センサ接点(複数)3822は、フラグ3818にプリントされた、又は他の方法でデジタル的に適用された炭素含浸ポリマーを含み得る。従来のセンサ制御装置は、一般に、センサとPCBとの間の導電接点として機能する1つ以上のコンプライアント炭素含浸ポリマーモジュールをカプセル化するシリコーンゴム製のコネクタを含む。対照的に、本開示のセンサ接点(複数)3822は、センサ3716とPCB3804接続との間の直接接続を提供し、これは、従来技術のコネクタの必要性を排除し、有利に高さHを低減する。さらに、コンプライアント炭素含浸ポリマーモジュールを排除することにより、著しい回路抵抗が排除され、従って、回路導電率が改善される。
【0079】
センサ制御装置3702は、フラグ3818とシェル3706の内面との間に配置され得るコンプライアント部材3826をさらに含み得る。より具体的には、シェル3706及びマウント3708が互いに組み立てられるとき、コンプライアント部材3826は、センサ接点(複数)3822を対応する回路接点3824と連続的に係合させる受動的な付勢負荷をフラグ3818に対して提供するように構成され得る。示す実施形態では、コンプライアント部材3826は、エラストマーOリングであるが、代替として、本開示の範囲から逸脱することなく、圧縮ばね等の任意の他のタイプの付勢装置又はメカニズムを備え得る。
【0080】
センサ制御装置3702は、第1のシールド3828a及び第2のシールドとして示されている1つ以上の電磁シールドをさらに含み得る。シェル3706は、第1のクロッキングレセプタクル3830a(
図7B)及び第2のクロッキングレセプタクル3830b(
図7B)を備えるか又は他の方法で規定してもよく、マウント3708は、第1のクロッキングポスト3832a(
図7A)及び第2のクロッキングポスト3832b(
図7A)を備えるか又は他の方法で規定してもよい。第1及び第2のクロッキングレセプタクル3830a、bをそれぞれ第1及び第2のクロッキングポスト3832a、bと対にすることにより、シェル3706がマウント3708に適切に合わせられる。
【0081】
特に
図7Aを参照すると、マウント3708の内面は、シェル3706がマウント3708に対にされたときに、センサ制御装置3702の様々な部品を収容するように構成された複数のポケット又は凹部を備えるか又は他の方法で規定し得る。例えば、マウント3708の内面は、センサ制御装置3702が組み立てられたときにバッテリ3812の一部を収容するように構成されたバッテリロケータ3834を規定し得る。隣接する接触ポケット3836は、軸方向接点3814aの一部を収容するように構成され得る。
【0082】
さらに、PCB3804の底に配置された様々な電子モジュール3806を収容するために、マウント3708の内面に複数のモジュールポケット3838が規定され得る。さらに、センサ制御装置3702が組み立てられるときに第2のシールド3828bの少なくとも一部を収容するために、シールドロケータ3840がマウント3708の内面に規定され得る。バッテリロケータ3834、接触ポケット3836、モジュールポケット3838、及びシールドロケータ3840は全て、マウント3708の内面内に短い距離だけ延在し、その結果、センサ制御装置3702の全体の高さHは、従来のセンサ制御装置と比較して低減され得る。モジュールポケット3838はまた、PCB部品が両側(すなわち、上面及び底面)に配置されることを可能にすることによって、PCB3804の直径を最小限にするのに役立ち得る。
【0083】
さらに
図7Aを参照すると、マウント3708は、マウント3708の外周の周りに規定された複数のキャリアグリップ形体3842(2つ示す)をさらに含み得る。キャリアグリップ形体3842は、マウント3708の底3844から軸方向にオフセットされており、ここで、組み立て中にトランスファ接着剤(transfer adhesive)(図示無し)が塗布され得る。マウントの底と交差する円錐形キャリアグリップ形体を一般に含む従来のセンサ制御装置とは対照的に、本開示のキャリアグリップ形体3842は、トランスファ接着剤が塗布される平面(すなわち、底3844)からオフセットされる。これは、送達システムが組み立て中にトランスファ接着剤に不注意に接着しないことを確実にするのを助けるのに有利であることを示し得る。さらに、本開示のキャリアグリップ形体3842は、波形トランスファ接着剤の必要性を排除し、これは、トランスファ接着剤の製造を単純化し、マウント3708に対してトランスファ接着剤を正確に記録する必要性を排除する。これはまた、接着面積、従って接着強度を増加させる。
【0084】
図7Bを参照すると、マウント3708の底3844は、複数の溝3846を備えるか又は他の方法で規定してもよく、それらは、マウント3708の外周に又はその近くに規定され、互いから等距離に離間され得る。トランスファ接着剤(図示無し)が底3844に連結されてもよく、溝3846は、使用中にセンサ制御装置3702から離れてマウント3708の周囲に向かって湿気を運ぶ(移動する)のに役立つように構成され得る。いくつかの実施形態では、溝3846の間隔は、マウント3708の反対側(内面)に規定されたモジュールポケット3838(
図7A)を間に挟み得る。認識されるように、溝3846とモジュールポケット3838の位置を交互にすることによって、マウント3708のいずれかの側の対向する形体が相互に延在しないことが保証される。これは、マウント3708のための材料の使用を最大化するのに役立ち、それによって、センサ制御装置3702の最小高さHを維持するのに役立ち得る。モジュールポケット3838はまた、モールドシンクを著しく低減し、トランスファ接着剤が接着する底3844の平坦度を改善し得る。
【0085】
さらに
図7Bを参照すると、シェル3706の内面はまた、シェル3706がマウント3708に対にされたときに、センサ制御装置3702の様々な部品を収容するように構成された複数のポケット又は凹部を備えるか又は他の方法で規定し得る。例えば、シェル3706の内面は、センサ制御装置3702が組み立てられたときに、マウント3708のバッテリロケータ3834(
図7A)に対向して配置可能であり、バッテリ3812の一部を収容するように構成された対向バッテリロケータ3848を規定し得る。対向するバッテリロケータ3848は、シェル3706の内面内に短い距離だけ延在し、センサ制御装置3702の全体の高さHを低減するのに役立つ。
【0086】
尖端及びセンサロケータ3852はまた、シェル3706の内面に備えられてもよく、又は他の方法で規定されてもよい。尖端及びセンサロケータ3852は、尖端(図示無し)及びセンサ3716の一部の両方を受容するように構成され得る。さらに、尖端及びセンサロケータ3852は、マウント3708の内面に設けられた対応する尖端及びセンサロケータ2054(
図7A)と整列及び/又は対になるように構成され得る。
【0087】
本開示の実施形態によって、代替のセンサアセンブリ/電子機器アセンブリ接続アプローチを
図8A~8Cに示す。示すように、センサアセンブリ14702はセンサ14704、コネクタ支持体14706、及び尖端14708を含む。特に、凹部又はレセプタクル14710は、電子機器アセンブリ14712のマウントの底に規定されてもよく、センサアセンブリ14702が受容されて電子機器アセンブリ14712に連結され得る位置を提供し、それによってセンサ制御装置を十分に組み立て得る。センサアセンブリ14702のプロファイルは、エラストマーシーリング部材14714(回路ボードに連結され、センサ14704の電気接点と整列した導電性材料を含む)を含むレセプタクル14710と一致するか、これと相補的な様式で成形され得る。従って、センサアセンブリ14702を電子機器アセンブリ14712の一体的に形成された凹部14710に駆動することによって、センサアセンブリ14702が電子機器アセンブリ14712にスナップフィットするか又は他の方法で接着されたときに、
図8Cに示すオンボディ装置14714が形成される。この実施形態は、電子機器アセンブリ14712内のセンサアセンブリ14702のための一体化コネクタを提供する。
【0088】
センサアセンブリに関するさらなる情報は、米国公開番号第2013/0150691号及び米国公開番号第2021/0204841号で提供され、その各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0089】
本開示の実施形態によれば、センサ制御装置102は、ワンピースアーキテクチャセンサ制御装置のために特別に設計された滅菌技術を受けることができるワンピースアーキテクチャを提供するように変更され得る。ワンピースアーキテクチャは、最終のユーザ組立て工程を何ら必要としない単一のシールされたパッケージでセンサアプリケータ150及びセンサ制御装置102をユーザに出荷することを可能にする。むしろ、ユーザは、1つのパッケージを開封し、その後、センサ制御装置102を標的モニタリング位置に送達することのみを必要とする。本明細書で記載されるワンピースシステムアーキテクチャは、構成部品、様々な製造プロセス工程、及びユーザ組立工程を排除する点で有利であることを示し得る。結果として、包装及び廃棄物が低減され、ユーザエラー又はシステムの汚染の可能性が軽減される。
【0090】
図9A及び
図9Bは、それぞれ、アプリケータキャップ210が連結されたセンサアプリケータ102の実施形態の例の側面図及び側面断面図である。より具体的には、
図9Aは、どのようにセンサアプリケータ102がユーザに出荷され、ユーザによって受け取られるかを示し、
図9Bは、センサアプリケータ102内に配置されたセンサ制御装置4402を示す。従って、完全に組み立てられたセンサ制御装置4402は、ユーザに送達される前に、すでに組み立てられ、センサアプリケータ102内に設置されてもよく、その結果、そうでなければユーザが実行しなければならないであろう任意の追加の組立工程を取り除く。
【0091】
完全に組み立てられたセンサ制御装置4402は、センサアプリケータ102内に取り付けられてもよく、アプリケータキャップ210は、その後、センサアプリケータ102に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、アプリケータキャップ210は、ハウジング208に螺合されてもよく、タンパーリング4702を含んでもよい。アプリケータキャップ210をハウジング208に対して回転させる(例えば、ねじを緩める)と、タンパーリング4702はせん断し、それによってアプリケータキャップ210をセンサアプリケータ102から解放し得る。
【0092】
本開示によれば、センサアプリケータ102に取り付けられている間に、センサ制御装置4402は、電子機器ハウジング4404及びセンサ制御装置4402の他の任意の露出した部分を滅菌するように構成された気体化学滅菌4704を受け得る。これを達成するため、センサアプリケータ102及び相互連結されたキャップ210によって協調的に規定される滅菌チャンバ4706の中に化学物質を注入してよい。いくつかの用途では、化学物質は、アプリケータキャップ210の近位端610に規定された1つ以上の通気孔4708を介して滅菌チャンバ4706内に注入され得る。気体化学滅菌4704のために使用され得る例示的な化学物質は、限定されないが、エチレンオキシド、気化過酸化水素、窒素酸化物(例えば、亜酸化窒素、二酸化窒素等)、及び蒸気を含む。
【0093】
センサ4410及び尖端4412の遠位部分は、センサキャップ4416内に密閉されるため、気体化学滅菌プロセス中に使用される化学物質は、尾部4524及び被検物質流入を調節する膜コーティング等の他のセンサ部品上に提供される酵素、化学物質、及び生物製剤と相互作用しない。
【0094】
滅菌チャンバ4706内で所望の無菌性保証水準が達成されると、気体溶液が除去されてもよく、滅菌チャンバ4706が通気されてもよい。通気は、一連の真空と、その後の滅菌チャンバ4706を介する気体(例えば、窒素)又は濾過空気の循環によって達成され得る。滅菌チャンバ4706が適切に通気されると、ベント4708は、シール4712(点線で示す)で閉塞され得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、シール4712は、異なる材料の2つ以上の層を備え得る。第1の層は、DuPont(登録商標)から入手可能なTyvek(登録商標)等の合成材料(例えば、フラッシュ紡糸高密度ポリエチレン繊維)から作製され得る。Tyvek(登録商標)は高耐久性かつ穿刺耐性であり、蒸気の浸透が可能である。Tyvek(登録商標)層は、気体化学滅菌プロセスの前に適用されることができ、気体化学滅菌プロセスに続いて、ホイル又は他の蒸気及び防湿性材料層が、滅菌チャンバ4706の中への汚染物質及び湿気の進入を防止するために、Tyvek(登録商標)層を覆って密閉(例えば、熱シール)され得る。他の実施形態では、シール4712は、アプリケータキャップ210に適用される単一の保護層のみを備え得る。そのような実施形態では、単一層は、滅菌プロセスのために気体透過性であってもよいが、滅菌プロセスが完了すると、湿気及び他の有害要素から保護することも可能であり得る。
【0096】
シール4712が定位置にある状態で、アプリケータキャップ210は、外部汚染に対するバリアを提供し、それによって、ユーザがアプリケータキャップ210を除去(螺合解除)するまで、組み立てられたセンサ制御装置4402のための滅菌環境を維持する。アプリケータキャップ210はまた、接着性パッチ4714が汚れることを防止する、輸送及び保存中の無塵環境を生成し得る。
【0097】
図10A及び10Bはそれぞれ、本開示の1つ以上の実施形態によるセンサ制御装置5002の別の例の等角図及び側面図である。センサ制御装置5002は、
図1Aのセンサ制御装置102といくつかの点で類似していてもよく、従って、
図1Aを参照することによって最もよく理解され得る。さらに、センサ制御装置5002は、
図1Aのセンサ制御装置102を置き換えることができ、その結果、
図1Aのセンサアプリケータ102と共に使用されてもよく、それはセンサ制御装置5002をユーザの皮膚上の標的モニタリング位置に送達し得る。
【0098】
しかし、
図1Aのセンサ制御装置102とは異なり、センサ制御装置5002は、適用前にユーザが複数のパッケージを開いて最終的にセンサ制御装置5002を組み立てることを必要としないワンピースシステムアーキテクチャを備え得る。むしろ、ユーザによって受け取られると、センサ制御装置5002は、すでに完全に組み立てられており、センサアプリケータ150(
図1A)内に適切に位置付けられ得る。センサ制御装置5002を使用するために、ユーザは、センサ制御装置5002を使用のために標的モニタリング位置に速やかに送達する前に、1つのバリア(例えば、
図3Bのアプリケータキャップ708)を開放することのみを必要とする。
【0099】
示すように、センサ制御装置5002は、略ディスク形状であり、円形断面を有し得る電子機器ハウジング5004を含む。しかし、他の実施形態では、電子機器ハウジング5004は、本開示の範囲から逸脱することなく、卵形又は多角形等の他の断面形状を示し得る。電子機器ハウジング5004は、センサ制御装置5002を動作させるために使用される様々な電気部品を収容するか、又は他の方法で含有するように構成され得る。少なくとも1つの実施形態では、接着性パッチ(図示無し)が、電子機器ハウジング5004の底に配置され得る。接着性パッチは、
図1Aの接着性パッチ105と同様であってもよく、従って、使用のためにセンサ制御装置5002をユーザの皮膚に接着するのを助けてもよい。
【0100】
示すように、センサ制御装置5002は、シェル5006及びシェル5006と対をなすことができるマウント5008を含む電子機器ハウジング5004を含む。シェル5006は、スナップフィット係合、締まり嵌め、音波溶接、1つ以上の機械的締結具(例えば、ねじ)、ガスケット、接着剤、又はそれらの任意の組み合わせ等の様々な方法を介して、マウント5008に固定され得る。場合によっては、間に密閉された界面が生成されるようにシェル5006はマウント5008に固定され得る。
【0101】
センサ制御装置5002は、センサ制御装置5002を適用する間にユーザの皮膚の下にセンサ5010を経皮送達することを助けるために用いられるセンサ5010(部分的に可視)及び尖端5012(部分的に可視)をさらに含んでよい。示すように、センサ5010と尖端5012の対応する部分は、電子機器ハウジング5004(例えばマウント5008)の底から遠位に延在している。尖端5012は、尖端5012を固定し送達するように構成された尖端ハブ5014を含んでよい。
図10Bに最もよく見られるように、尖端ハブ5014は、嵌合部材5016を含むか、又は他の方法で規定し得る。尖端5012をセンサ制御装置5002に連結するため、尖端ハブ5014がシェル5006の上面と係合し、嵌合部材5016がマウント5008の底から遠位に延在するまで、電子機器ハウジング5004を介して尖端5012を軸方向に前進し得る。尖端5012が電子機器ハウジング5004を貫通すると、センサ5010の露出部分は、尖端5012の中空又は凹(弓形)部分内に受け取られ得る。センサ5010の残りの部分は、電子機器ハウジング5004の内部に配置される。
【0102】
センサ制御装置5002は、
図10Aから
図10Bにおいて電子機器ハウジング5004から分解されて又は分離されて示されているセンサキャップ5018をさらに含み得る。センサキャップ5016は、マウント5008の底又はその近くでセンサ制御装置5002(例えば、電子機器ハウジング5004)に取り外し可能に連結され得る。センサキャップ5018は、センサ5010及び尖端5012の露出した部分を取り囲み、これらを気体化学滅菌から保護するシールされたバリアを提供することに役立ち得る。示すように、センサキャップ5018は、第1の端部5020aと、第1の端部5020aの反対側の第2の端部5020bとを有する略円筒形の本体を備え得る。第1の端部5020aは、本体内に規定された内側チャンバ5022内へのアクセスを提供するように開いていてもよい。対照的に、第2の端部5020bは、閉鎖されてもよく、係合形体5024を備えるか又は他の方法で規定し得る。本明細書で記載するように、係合形体5024は、センサキャップ5018をセンサアプリケータ(例えば、
図1A及び
図3Aから
図3Gのセンサアプリケータ150)のキャップ(例えば、
図3Bのアプリケータキャップ708)に嵌合させるのに役立ってもよく、キャップをセンサアプリケータから取り外す際にセンサキャップ5018をセンサ制御装置5002から取り外すのに役立ってもよい。
【0103】
センサキャップ5018は、マウント5008の底又はその近くで電子機器ハウジング5004に取り外し可能に連結され得る。より具体的には、センサキャップ5018は、マウント5008の底から遠位に延在する嵌合部材5016に取り外し可能に連結され得る。少なくとも1つの実施形態では、例えば、嵌合部材5016は、センサキャップ5018によって規定される一組の雌ねじ5026b(
図10A)と嵌合可能な一組の雄ねじ5026a(
図10B)を規定し得る。いくつかの実施形態では、雄ねじ及び雌ねじ5026a、bは平坦ねじ山設計(例えばらせん形の湾曲が無い)を備えてよく、これは部品を成形する際に有利であることが証明され得る。代わりに、雄ねじ及び雌ねじ5026a、bは、らせん形のねじ係合を備え得る。従って、センサキャップ5018は、尖端ハブ5014の嵌合部材5016においてセンサ制御装置5002に螺合によって連結されてよい。他の実施形態では、センサキャップ5018は、限定されないが、締まり嵌め又は摩擦嵌め、又は最小の分離力(例えば、軸方向の力又は回転力)で破壊され得る脆弱部材又は物質を含む他の種類の係合を介して嵌合部材5016に取り外し可能に連結され得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、センサキャップ5018は、第1及び第2の端部5020a、bの間に延在するモノリシック(単一)構造を備え得る。しかし、他の実施形態では、センサキャップ5018は、2つ以上の構成部品を備え得る。示す実施形態では、例えばセンサキャップ5018は、第1の端部5020aに配置されたシールリング5028及び第2の端部5020bに配置された乾燥剤キャップ5030を含んでよい。シールリング5028は、以下でより詳細に記載するように、内部チャンバ5022を密閉するのに役立つように構成され得る。少なくとも1つの実施形態では、シールリング5028は、エラストマーOリングを備え得る。乾燥剤キャップ5030は、内部チャンバ5022の中の好ましい湿度レベルを維持することに役立つ乾燥剤を収容するか又はこれを備え得る。乾燥剤キャップ5030はまた、センサキャップ5018の係合形体5024を規定又は他の方法で備え得る。
【0105】
図11Aから
図11Cは、1つ以上の実施形態による、センサアプリケータ102のセンサ制御装置5002との組立を示す段階的側面断面図である。センサ制御装置5002が完全に組み立てられると、センサ制御装置はセンサアプリケータ102内に取り付けられ得る。
図11Aを参照すると、尖端ハブ5014は、センサ制御装置5002をセンサアプリケータ102に連結するのに役立つように構成されたハブスナップポール5302を含むか、又は他の方法で規定し得る。より具体的には、センサ制御装置5002をセンサアプリケータ102の内部に前進させてよく、ハブスナップポール5302が、センサアプリケータ102の中に配置された尖端キャリア5306の対応するアーム5304によって受容され得る。
【0106】
図11Bでは、センサ制御装置5002は、尖端キャリア5306によって受け取られ、その結果、センサアプリケータ102内に固定されて示される。センサ制御装置5002がセンサアプリケータ102内に取り付けられると、アプリケータキャップ210は、センサアプリケータ102に連結され得る。いくつかの実施形態では、アプリケータキャップ210及びハウジング208は、時計回り(又は反時計回り)方向にアプリケータキャップ210がハウジング208にねじ込まれ、その結果、アプリケータキャップ210をセンサアプリケータ102に固定することを可能にする、対向する嵌合可能な複数のねじ山5308を有し得る。
【0107】
示すように、シース212はまた、センサアプリケータ102内に位置付けられ、センサアプリケータ102は、シース212が衝撃発生中に早期に折り畳まれないことを確実にするように構成される、シース固定メカニズム5310を含み得る。示す実施形態では、シース固定メカニズム5310は、アプリケータキャップ210とシース212との間に螺合係合を備え得る。より具体的には、1つ以上の雌ねじ5312aは、アプリケータキャップ210の内側上に規定されるか、又は他の方法で備えられてもよく、1つ以上の雄ねじ5312bは、シース212上に規定されるか、又は他の方法で備えられてもよい。アプリケータキャップ210がねじ山5308においてセンサアプリケータ102にねじ込まれると、雌ねじ及び雄ねじ5312a、bが、螺合可能に係合するように構成され得る。雌ねじ及び雄ねじ5312a、bは、アプリケータキャップ210がハウジング208にねじ込まれることを可能にするねじ山5308と同じねじピッチを有し得る。
【0108】
図11Cでは、アプリケータキャップ210は、ハウジング208に完全にねじ込まれて(連結されて)いるところが示されている。示すように、アプリケータキャップ210は、アプリケータキャップ210の内部の中心に位置し、その底から近位に延在しているキャップポスト5314をさらに備え、他の方法で規定し得る。キャップポスト5314は、アプリケータキャップ210がハウジング208にねじ込まれると、センサキャップ5018の少なくとも一部分を受け取るように構成され得る。
【0109】
センサ制御装置5002がセンサアプリケータ102の中に取り付けられ、アプリケータキャップ210が適正に固定されると、電子機器ハウジング5004及びセンサ制御装置5002の他の任意の露出した部分を滅菌するように構成された気体化学滅菌をセンサ制御装置5002が受け得る。センサ5010及び尖端5012の遠位部分はセンサキャップ5018の中にシールされているので、気体化学滅菌工程の間に使用される化学物質は、尾部5104に備えられた酵素、化学物質、及び生物製剤、及び被検物質の流入量を調節する膜コーティング等の他のセンサ成分と相互作用することができない。
【0110】
図12Aから12Cは、1つ以上のさらなる実施形態による、センサ制御装置5002を伴うセンサアプリケータ102の代替の実施形態の組立て及び解体を示す段階的側面断面図である。一般に上述したように、完全に組み立てられたセンサ制御装置5002を、センサアプリケータ102の中に配置された尖端キャリア5306のアーム5304の中にハブスナップポール5302を連結することによって、センサアプリケータ102に取り付けてよい。
【0111】
示す実施形態では、シース212のシースアーム5604は、ハウジング208の内部に規定される第1の戻り止め5702a及び第2の戻り止め5702bと相互作用するように構成され得る。第1の戻り止め5702aはその代わりに「固定(locking)」戻り止めと称してよく、第2の戻り止め5702bは代わりに「発射(firing)」戻り止めと称してよい。センサ制御装置5002が最初にセンサアプリケータ102内に設置されるとき、シースアーム5604は、第1の戻り止め5702a内に受け取られ得る。以下に議論するように、シース212は、シースアーム5604を第2の戻り止め5702bに移動させるように作動されてもよく、これによりセンサアプリケータ102が発射位置に配置される。
【0112】
図12Bでは、アプリケータキャップ210はハウジング208と整列されてハウジング208に向かって前進し、それにより、シース212はアプリケータキャップ210の中に受容される。アプリケータキャップ210をハウジング208に対して回転させる代わりに、アプリケータキャップ210のねじ山をハウジング208の対応するねじ山にスナップ留めして、アプリケータキャップ210をハウジング208に連結し得る。アプリケータキャップ210内に規定された軸方向カット又はスロット5703(1つ示す)は、アプリケータキャップ210のねじ山の近くの部分が外方向に撓んでハウジング208のねじ山との係合においてスナップ留めされることを可能にし得る。アプリケータキャップ210がハウジング208にスナップ留めされると、センサキャップ5018は、それに応じてキャップポスト5314内にスナップ留めされ得る。
【0113】
図11Aから
図11Cの実施形態と同様に、センサアプリケータ102は、シース212が衝撃発生中に早期に折り畳まれないことを確実にするように構成されたシース固定メカニズムを含み得る。示す実施形態では、シース固定メカニズムは、シース212の基部の近くに規定され、1つ以上のリブ5706(2つ示す)及びアプリケータキャップ210の基部の近くに規定されるショルダ5708と相互作用するように構成される、1つ以上のリブ5704(1つ示す)を含む。リブ5704は、アプリケータキャップ210をハウジング208に取り付けている間、リブ5706とショルダ5708との間で相互ロックするように構成され得る。より具体的には、アプリケータキャップ210がハウジング208にスナップ留めされると、アプリケータキャップ210は、回転させられてもよく(例えば、時計方向)、それは、シース212のリブ5704をアプリケータキャップ210のリブ5706とショルダ5708との間に位置付け、それによって、ユーザがアプリケータキャップ210を逆回転させ、使用のためにアプリケータキャップ210を取り外すまで、アプリケータキャップ210を定位置に「ロック」する。リブ5704とアプリケータキャップ210のリブ5706及びショルダ5708との係合はまた、シース212が早期に折り畳まれることを防止し得る。
【0114】
図12Cでは、アプリケータキャップ210がハウジング208から取り外されている。
図12Aから
図12Cの実施形態と同様に、アプリケータキャップ210は、アプリケータキャップ210を逆回転させることによって取り外されてもよく、これに応じて、キャップポスト5314を同じ方向に回転させ、一般に上述したように、センサキャップ5018を嵌合部材5016から螺合解除する。さらに、センサキャップ5018をセンサ制御装置5002から取り外すことにより、センサ5010及び尖端5012の遠位部分が露出される。
【0115】
アプリケータキャップ210をハウジング208から回して外すと、シース212上に規定されたリブ5704は、アプリケータキャップ210上に規定されたリブ5706の上部に摺動係合し得る。リブ5706の上部は、アプリケータキャップ210が回転されると、シース212の上方移動をもたらす、対応する傾斜面を提供してもよく、シース212を上方に移動させることは、シースアーム5604が第2の戻り止め5702b内に受け取られるように第1の戻り止め5702aとの係合から外れて撓ませる。シース212が第2の戻り止め5702bに移動すると、半径方向ショルダ5614が移動してキャリアアーム(複数)5608との半径方向係合から外れ、これにより、ばね5612の受動的ばね力が尖端キャリア5306を上方に押し上げ、キャリアアーム(複数)5608を溝(複数)5610との係合から外すことが可能になる。尖端キャリア5306がハウジング208の中で上方移動すると、嵌合部材5016は対応して、センサ制御装置5002の底と同一平面、実質的に同一平面、又は準同一平面になるまで後退し得る。この時点で、センサアプリケータ102は発射位置にある。従って、この実施形態では、アプリケータキャップ210を取り外すことにより、対応して嵌合部材5016が後退する。
【0116】
I.ワンピース及びツーピースアプリケータの例示的な発射メカニズム
図13A~13Fは、センサ制御装置222をユーザに適用するためにアプリケータ216を「発射」し、尖端1030を使用済みアプリケータ216の中に安全に後退させる内部装置機構の実施形態の詳細な例を示す。全て併せて、これらの図面は、尖端1030(センサ制御装置222に連結されたセンサを支持する)をユーザの皮膚の中に駆動し、ユーザの間質液と動作可能に接触するようにセンサを残して尖端を後退させ、及びセンサ制御装置を接着剤でユーザの皮膚に接着させるシーケンスの例を表す。代替のアプリケータアセンブリ実施形態及び部品とともに使用するためのそのような動作の修正は、当業者によって同じことを参照して理解され得る。さらに、アプリケータ216は、本明細書に開示されるようなワンピースアーキテクチャ又はツーピースアーキテクチャを有するセンサアプリケータであり得る。
【0117】
ここで
図13Aを参照すると、センサ1102は、尖端1030内で、ユーザの皮膚1104のすぐ上に支持される。シース318に対するアプリケータ216の動きを制御するために、上側ガイドセクション1108のレール1106(任意選択で、それらのうちの3つ)が設けられ得る。シース318は、アプリケータ216内の戻り止め形体1110によって保持され、アプリケータ216の長手方向の軸線に沿った適切な下向きの力が、戻り止め形体1110によってもたらされる抵抗力に打ち勝って、尖端1030及びセンサ制御装置222が長手方向の軸線に沿ってユーザの皮膚1104の中へ(及び上へ)並進し得る。さらに、センサキャリア1022のキャッチアーム1112が尖端後退アセンブリ1024と係合して、尖端1030をセンサ制御装置222に対する位置に維持する。
【0118】
図13Bでは、ユーザの力が加えられて戻り止め形体1110に打ち勝ち又はそれを上回って、シース318がハウジング314内に折り畳まれて、(関連する部品とともに)センサ制御装置222を駆動して、長手方向の軸線に沿って矢印Lによって示されるように下方に並進させる。シース318の上側ガイドセクション1108の内径は、センサ/尖端挿入プロセスの全ストロークを介してキャリアアーム1112の位置を制限する。尖端後退アセンブリ1024の相補面1116に対するキャリアアーム1112の停止面1114の保持が、完全に付勢された伸縮ばね1118とともに部材の位置を維持する。実施形態によれば、ユーザの力を採用してセンサ制御装置222を長手方向の軸線に沿って矢印Lで示すように下向きに並進させるよりむしろ、駆動ばね(例えば、しかし限定ではないがコイルばね)を作動させてセンサ制御装置222を駆動するボタン(例えば、しかし限定ではないが押しボタン)をハウジング314に含ませてもよい。
【0119】
図13Cでは、センサ1102及び尖端1030が完全に挿入された深さに到達している。それにより、キャリアアーム1112は上側ガイドセクション1108の内径から離れる。次に、コイル伸縮ばね1118の圧縮力が角度のある停止面1114を半径方向外向きに駆動し、力を放出することで、尖端後退アセンブリ1024の尖端キャリア1102を駆動し、
図13Dの矢印Rで示すように、(スロットを有するか他の方法で構成された)尖端1030をユーザから外側へ、センサ1102から離れる方に引き出す。
【0120】
図13Eに示すように尖端1030が完全に後退した状態で、シース318の上側ガイドセクション1108は最終固定形体1120によって固定される。
図13Fに示すように、使用済みアプリケータアセンブリ216は、尖端1030がアプリケータアセンブリ216の内側に安全に固定された状態で、センサ制御装置222を残して挿入部位から除去される。使用済みアプリケータアセンブリ216は、ここで、処分の準備ができている。
【0121】
センサ制御装置222を適用するときのアプリケータ216の操作は、尖端1030の挿入と後退の両方がアプリケータ216の内部メカニズムによって自動的に実施されるという感覚をユーザに提供するように設計される。換言すれば、本発明によって、ユーザは尖端1030をユーザの皮膚に手動で駆動しているという感覚を経験することが避けられる。従って、ユーザがアプリケータ216の戻り止め形体からの抵抗に打ち勝つのに十分な力を加えると、アプリケータ216の結果として生じる動作は、アプリケータが「誘発」されることに対する自動応答であると認識される。ユーザは、全ての駆動力がユーザによって提供され、尖端1030を挿入するために追加の付勢/駆動手段が使用されないにもかかわらず、尖端1030を駆動して皮膚を穿刺するためにユーザが追加の力を供給していることを認識しない。
図13Cにおいて上述するように、尖端1030の後退は、アプリケータ216のコイル伸縮ばね1118によって自動化されている。
【0122】
本明細書に記載されるアプリケータの実施形態のいずれか、及び、限定しないが、尖端、尖端モジュール、及びセンサモジュールの実施形態を含むその部品のいずれかに関して、当業者は、当該実施形態が、対象の表皮、真皮、又は皮下組織内の体液中の被検物質レベルを検知するように構成されるセンサとともに使用するために寸法決め及び構成され得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に開示される被検物質センサの尖端及び遠位部分は、両方とも、特定の末端深度(すなわち、対象の身体の組織又は層内、例えば、表皮、真皮、又は皮下組織内の貫通の最も遠い点)に位置付けられるように寸法決め及び構成され得る。いくつかのアプリケータの実施形態に関して、当業者であれば、被検物質センサの最終の末端深度に対する対象の身体における異なる末端深度に位置するように、尖端の特定の実施形態を寸法決めし、構成することができることを認識することになる。いくつかの実施形態では、例えば、尖端は、後退の前に、対象の表皮内の第1の末端深度に位置付けられ得るが、一方、被検物質センサの遠位部分は、対象の真皮内の第2の末端深度に位置付けられ得る。他の実施形態では、尖端は、後退の前に、対象の真皮内の第1の末端深度に位置付けられ得るが、一方、被検物質センサの遠位部分は、対象の皮下組織内の第2の末端深度に位置付けられ得る。さらに他の実施形態では、尖端は後退の前に第1の末端深度に位置し、被検物質センサは第2の末端深度に位置してよく、ここで第1の末端深度と第2の末端深度はいずれも対象の身体の同じ層又は組織の中にある。
【0123】
加えて、本明細書に記載されるアプリケータの実施形態のいずれかに関して、当業者は、被検物質センサ、及び限定されないが、1つ以上のばねメカニズムを含む、被検物質センサに連結される1つ以上の構造部品が、アプリケータの1つ以上の軸線に対して偏心位置でアプリケータ内に配置され得ることを理解するであろう。いくつかのアプリケータの実施形態では、例えば、被検物質センサ及びばねメカニズムは、アプリケータの第1の側のアプリケータの軸線に対して第1の偏心位置に配置されることができ、センサ電子機器は、アプリケータの第2の側のアプリケータの軸線に対して第2の偏心位置に配置されることができる。他のアプリケータの実施形態では、被検物質センサ、ばねメカニズム、及びセンサ電子機器は、同じ側のアプリケータの軸線に対して偏心位置に配置され得る。当業者は、被検物質センサ、ばねメカニズム、センサ電子機器、及びアプリケータの他の部品のうちのいずれか又は全てが、アプリケータの1つ以上の軸線に対して中心又は偏心位置に配置される、他の並べ替え及び構成が可能であり、完全に本開示の範囲内であることを理解するであろう。
【0124】
適切な装置、システム、方法、部品、及びそれらの動作のさらなる詳細は、関連する特徴とともに、Rao等の国際公開第WO2018/136898号、Thomas等の国際公開第WO2019/236850号、Thomas等の国際公開第WO2019/236859号、Thomas等の国際公開第WO2019/236876号、及び2019年6月6日に出願された米国特許公開第2020/0196919号に記載されており、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に援用される。アプリケータ、それらの部品、及びそれらの変形の実施形態に関する更なる詳細は、米国特許公開第2013/0150691号、同第2016/0331283号、及び同第2018/0235520号に記載されており、これらの全ては、それらの全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。尖端モジュール、尖端、それらの部品、及びそれらの変形の実施形態に関するさらなる詳細は、米国特許公開第2014/0171771号に記載されており、それは、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0125】
J.被検物質センサを較正する例示的な方法
生化学センサは、1つ以上の検知特性によって記載され得る。一般的な検知特性は、生化学センサの感度として示され、これは、センサが検出するように設計された化学物質又は組成物の濃度に対するセンサの応答性の尺度である。電気化学センサでは、この応答は、電流(電流測定)又は電荷(電量測定)の形態であり得る。他のタイプのセンサでは、応答は、光子強度(例えば、光学光)等の異なる形態であり得る。生化学被検物質センサの感度は、センサがインビトロ状態にあるかインビボ状態にあるかを含む、いくつかの要因に応じて変動し得る。
【0126】
図14は、電流測定被検物質センサのインビトロ感度を示すグラフである。インビトロ感度は、様々な被検物質濃度でセンサをインビトロ試験し、次に、得られたデータに対して回帰(例えば、線形又は非線形)又は他のカーブフィッティングを行うことによって得られ得る。この例では、被検物質センサの感度は線形又は実質的に線形であり、式y=mx+bに従ってモデル化されてもよく、式中、yはセンサの電気出力電流であり、xは被検物質レベル(又は濃度)であり、mは感度の勾配であり、bは感度の切片であり、切片は一般にバックグラウンド信号(例えば、ノイズ)に対応する。線形又は実質的に線形の応答を有するセンサでは、所与の電流に対応する被検物質レベルは、感度の勾配及び切片から決定され得る。非線形感度を有するセンサは、センサの出力電流からもたらされる被検物質レベルを決定するために追加の情報を必要とし、当業者は、非線形感度をモデル化する方法に精通している。インビボセンサの特定の実施形態では、インビトロ感度はインビボ感度と同じであり得るが、他の実施形態では、伝達(又は変換)関数を使用して、インビトロ感度を、センサの意図されたインビボ使用に適用可能なインビボ感度に変換する。
【0127】
較正は、センサの測定出力を調整してセンサの予想出力との差を低減することによって精度を改善又は維持するための技術である。その感度のようなセンサの検知特性を記載する1つ以上のパラメータが、較正調整における使用のために確立される。
【0128】
特定のインビボ被検物質モニタリングシステムは、センサをユーザ又は患者に埋め込んだ後に、ユーザ相互作用によって、又は自動化された方法におけるシステム自体によって、較正を行うことを必要とする。例えば、ユーザによる介在が必要な場合には、ユーザはインビトロ測定(例えばフィンガースティック及びインビトロテストストリップを用いる血糖(BG)測定)を実施し、被検物質センサが埋め込まれている間にこれをシステムに入力する。次に、システムは、インビトロ測定値をインビボ信号と比較し、その差を使用して、センサのインビボ感度の推定値を決定する。次に、インビボ感度をアルゴリズムプロセスで使用して、センサで収集されたデータを、ユーザの被検物質レベルを示す値に変換し得る。較正を実行するためにユーザアクションを必要とするこのプロセス及び他のプロセスは、「ユーザ較正」と示される。システムは、感度が経時的にドリフト又は変化するようなセンサの感度の不安定性に起因して、ユーザ較正を必要とし得る。従って、複数のユーザ較正(例えば、定期的(例えば、毎日)スケジュール、可変スケジュール、又は必要に応じて)が、精度を維持するために、必要とされ得る。本明細書で記載される実施形態は、特定の実施のためにある程度のユーザ較正を組み込み得るが、一般に、これは、ユーザが痛みを伴うか又は他の手間のかかるBG測定を実行することを必要とし、ユーザエラーを導入し得るため、好ましくない。
【0129】
いくつかのインビボ被検物質モニタリングシステムは、システム自体によって作成されたセンサの特性の自動測定(例えば処理回路実行ソフトウェア)を用いることによって、較正パラメータを定期的に調節することができる。システム(ユーザではない)によって測定された変数に基づくセンサの感度の繰り返し調整は、一般に「システム」(又は自動)較正と示され、早期BG測定などのユーザ較正とともに、又はユーザ較正なしで実行され得る。繰り返されるユーザ較正の場合と同様に、繰り返されるシステム較正は、一般的には、経時的なセンサの感度のドリフトによって必要とされる。従って、本明細書に記載される実施形態は、ある程度の自動システム較正とともに使用され得るが、好適には、センサの感度は、埋め込み後較正が必要とされないように、経時的に比較的安定である。
【0130】
いくつかのインビボ被検物質モニタリングシステムは、工場で較正されたセンサを用いて動作する。工場較正は、ユーザ又は医療従事者(HCP)に配布する前の1つ以上の較正パラメータの決定又は推定を示す。較正パラメータは、センサ製造者(又は2つのエンティティが異なる場合、センサ制御装置の他の部品の製造者)によって決定され得る。多くのインビボセンサ製造プロセスは、生産ロット、製造段階ロット、又は単にロットと呼ばれるグループ又はバッチでセンサを製造する。単一ロットは、何千ものセンサを含み得る。
【0131】
センサは、較正コード又はパラメータを含むことができ、較正コード又はパラメータは、1つ以上のセンサ製造プロセス中に導出又は決定され、製造プロセスの一部として、被検物質モニタリングシステムのデータ処理装置内でコード化又はプログラム化され、又はセンサ自体に、例えば、バーコード、レーザタグ、RFIDタグ、又はセンサが備える他の機械可読情報として提供され得る。コードがレシーバ(又は他のデータ処理装置)に提供される場合、センサのインビボ使用中のユーザ較正を不要にすることができ、又はセンサ装着中のインビボ較正の頻度が低減され得る。較正コード又はパラメータがセンサ自体に提供される実施形態では、センサ使用の開始前又は開始時に、較正コード又はパラメータが被検物質モニタリングシステム内のデータ処理装置に自動的に送信又は提供され得る。
【0132】
いくつかのインビボ被検物質モニタリングシステムは、工場較正、システム較正、及び/又はユーザ較正のうちの1つ以上であり得るセンサを用いて動作する。例えば、センサは、工場較正を可能にし得る較正コード又はパラメータを備え得る。情報がレシーバに提供される(例えば、ユーザによって入力される)場合、センサは、工場較正センサとして動作し得る。情報がレシーバに提供されない場合、センサは、ユーザ較正センサ及び/又はシステム較正センサとして動作し得る。
【0133】
さらなる態様では、プログラミング又は実行可能命令は、被検物質モニタリングシステムのデータ処理装置及び/又はレシーバ/コントローラユニットに提供又は保存されてもよく、使用中にインビボセンサに時変調整アルゴリズムを提供する。例えば、インビボで使用される被検物質センサの遡及的統計分析及び対応するグルコースレベルフィードバックに基づいて、時間ベースである所定の又は分析的な曲線又はデータベースが生成されてもよく、安定性プロファイルにおける潜在的なセンサドリフトを補償する1つ以上のインビボセンサパラメータ又はその他の因子に対するさらなる調節を提供するように構成され得る。
【0134】
開示される主題に従うと、被検物質モニタリングシステムは、センサドリフトプロファイルに基づいてセンサ感度を補償又は調整するように構成され得る。時間変動パラメータβ(t)は、インビボ使用中のセンサ挙動の分析に基づいて定義又は決定されてもよく、時間変動ドリフトプロファイルが決定され得る。特定の態様では、センサデータを被検物質センサから受信したときに補償又は調整又はその両方が自動的に及び/又は反復的に実行され得るように、センサ感度に対する補償又は調整は、被検物質モニタリングシステムのレシーバユニット、コントローラ又はデータプロセッサにおいてプログラム化され得る。開示される主題に従うと、被検物質センサ感度プロファイルに対する調整又は補償が、対応する機能又はルーチンのユーザによる開始又は作動時に、又はユーザがセンサ較正コードを入力する時に実施又は実行されるように、調整又は補償アルゴリズムが、(自己開始又は実行ではなく)ユーザによって開始又は実行され得る。
【0135】
開示される主題に従うと、センサロット内の各センサ(いくつかの例では、インビトロ試験に使用されるサンプルセンサを含まない)は、センサの1つ以上の点における膜の厚さ等のその特性を決定又は測定するために、非破壊的に検査されることができ、活性領域の表面積/体積等の物理的特性を含む他の特性が測定又は決定され得る。そのような測定又は決定は、例えば、光学スキャナ又は他の好適な測定装置又はシステムを使用して、自動化された方式で実行されてもよく、センサロット内の各センサの決定されたセンサ特性は、各センサに割り当てられた較正パラメータ又はコードの可能な補正のために、サンプルセンサに基づく対応する平均値と比較される。例えば、センサ感度として定義される較正パラメータでは、感度は膜の厚さにほぼ反比例し、それにより、例えば、センサと同じセンサロットからサンプリングされたセンサの平均の膜の厚さよりも約4%大きい測定された膜の厚さを有するセンサの場合、一実施形態ではそのセンサに割り当てられる感度は、サンプリングされたセンサから決定される平均感度を1.04で除算したものである。同様に、感度はセンサの活性領域にほぼ比例するので、同じセンサロットからサンプリングされたセンサの平均の活性領域よりも約3%小さい測定された活性領域を有するセンサでは、そのセンサに割り当てられた感度は、平均感度に0.97を乗算したものである。割り当てられた感度は、センサの各検査又は測定に対する複数の連続的な調整によって、サンプリングされたセンサからの平均感度から決定され得る。特定の実施形態では、各センサの検査又は測定は、膜の厚さ及び/又は活性検知領域の表面積又は体積に加えて、膜の均一性又は構造の測定をさらに含み得る。
【0136】
センサ較正に関するさらなる情報は、米国公開番号第2010/00230285号及び米国公開番号第2019/0274598号に提供されており、これらのそれぞれはその全体が参照により本明細書に援用される。
【0137】
K.例示的なBluetooth(登録商標)通信プロトコル
センサ110のストレージメモリ5030は、通信モジュールの通信プロトコルに関連するソフトウェアブロックを含み得る。例えば、ストレージメモリ5030は、BLEモジュール5041をセンサ110のコンピューティングハードウェアに利用可能にするためのインターフェースを提供する機能を有するBLEサービスソフトウェアブロックを含み得る。これらのソフトウェア機能は、BLEロジカルインターフェース及びインターフェースパーサを含み得る。通信モジュール5040によって提供されるBLEサービスは、汎用アクセスプロファイルサービス、汎用属性サービス、汎用アクセスサービス、装置情報サービス、データ伝送サービス、及びセキュリティサービスを含み得る。データ伝送サービスは、センサ制御データ、センサステータスデータ、被検物質測定データ(過去及び現在)、及びイベントログデータ等のデータを送信するために使用される一次サービスであり得る。センサステータスデータは、エラーデータ、現在アクティブ時間、及びソフトウェア状態を含み得る。被検物質測定データは、現在及び過去の生の測定値、適切なアルゴリズム又はモデルを使用して処理した後の現在及び過去の値、測定レベルの予測及び傾向、他の値と患者固有の平均値との比較、アルゴリズム又はモデルによって決定された行動要請、及び他の同様のタイプのデータ等の情報を含み得る。
【0138】
開示される主題の態様に従うと、本明細書に具現化されるように、センサ110は、センサ110のハードウェア及び無線機によってサポートされる通信プロトコル又は媒体の特徴を適合させることによって、複数の装置と同時に通信するように構成され得る。一例として、通信モジュール5040のBLEモジュール5041は、中央装置としてのセンサ110と周辺装置としての他の装置との間の、又は別の装置が中央装置である場合の周辺装置としてのセンサ110の複数の同時接続を可能にするために、ソフトウェア又はファームウェアを備え得る。
【0139】
BLEなどの通信プロトコルを使用する2つの装置間の接続及び後続の通信セッションは、2つの装置(例えば、センサ110及びデータ受信装置120)間で動作する同様の物理チャネルによって特徴付けられ得る。物理チャネルは、単一のチャネル又は一連のチャネルを含むことができ、たとえば、限定はしないが、コモンクロック及びチャネル又は周波数ホッピングシーケンスによって決定される同意された一連のチャネルを使用することを含む。通信セッションは、同様の量の利用可能な通信スペクトルを使用することができ、複数のそのような通信セッションが近接して存在することができる。特定の実施形態では、通信セッションにおける装置の各集合は、異なる物理チャネル又は一連のチャネルを使用して、同じく近接する装置の干渉を管理する。
【0140】
限定ではなく例示を目的として、開示される主題とともに使用するためのセンサ-レシーバ接続のための処理の例示的な実施形態が参照される。第1に、センサ110は、データ受信装置120の探索において、その接続情報をその周囲に繰り返し知らせる。センサ110は、接続が確立されるまで定期的に繰り返し知らせることができる。データ受信装置120は、アドバタイジングパケットを検出し、センサ120がアドバタイジングパケット内に提供されたデータを介して接続するためにスキャン及びフィルタリングを行う。次に、データ受信装置120はスキャン要求コマンドを送信し、センサ110は、追加の詳細を提供するスキャン応答パケットで応答する。次に、データ受信装置120は、データ受信装置120に関連付けられたBluetooth(登録商標)装置アドレスを使用して接続要求を送信する。データ受信装置120はまた、特定のBluetooth(登録商標)装置アドレスを有するセンサ110への接続を確立するように連続的に要求し得る。次に、装置は初期接続を確立して、データ交換を開始可能にする。装置は、データ交換サービスを初期化するプロセスを開始し、相互認証処理を実行する。
【0141】
センサ110とデータ受信装置120との間の第1の接続中に、データ受信装置120は、サービス、特性、及び属性発見処理を初期化し得る。データ受信装置120は、センサ110のこれらの特徴を評価し、次の接続中に使用するためにそれらを保存し得る。次に、装置は、センサ110及びデータ受信装置120の相互認証に使用されるカスタマイズされたセキュリティサービスについての通知を可能にする。相互認証処理は自動化することができ、ユーザによる介在を必要としない。相互認証処理が正常に完了した後、センサ110は、接続パラメータ更新を送信して、データ受信装置120に、センサ110にとって好適であり、寿命を最大化するように構成された接続パラメータ設定を使用するように要求する。
【0142】
次に、データ受信装置120は、センサ制御処理を実行して、履歴データ、現在のデータ、イベントログ、及び工場データをバックフィルする。一例として、データのタイプごとに、データ受信装置120は、バックフィルプロセスを開始する要求を送信する。要求は、必要に応じて、例えば、測定値、タイムスタンプなどに基づいて定義された記録の範囲を指定し得る。センサ110は、センサ110のメモリ内の以前に送信されていない全てのデータがデータ受信装置120に提供されるまで、要求されたデータで応答する。センサ110は、データ受信装置120からのバックフィル要求に対して、全てのデータがすでに送信されていることを応答し得る。バックフィルが完了すると、データ受信装置120は、通常の測定値を受信する準備ができていることをセンサ110に通知し得る。センサ110は、繰り返しベース(repeating basis)で複数の通知結果にわたって測定値を送信し得る。本明細書に具現化されるように、複数の通知は、データが正しく送信されることを保証するための冗長な通知であり得る。代わりに、複数の通知が単一のペイロードを構成し得る。
【0143】
限定ではなく例示の目的で、シャットダウンコマンドをセンサ110に送信する処理の例示的な実施形態を参照する。シャットダウン動作は、例えば、センサ110がエラー状態、挿入失敗状態、又はセンサ期限切れ状態である場合に実行される。センサ110がそれらの状態にない場合、センサ110は、コマンドを記録し、センサ110がエラー状態又はセンサ期限切れ状態に移行したときにシャットダウンを実行し得る。データ受信装置120は、適切にフォーマットされたシャットダウンコマンドをセンサ110に送信する。センサ110が別のコマンドをアクティブに処理している場合、センサ110は、センサ110がビジーであることを示す標準エラー応答で応答する。そうでない場合、センサ110は、コマンドを受信すると応答を送信する。さらに、センサ110がコマンドを受信したことを知らせるために、センサ110はセンサ制御特性を介して成功通知を送信する。センサ110はシャットダウンコマンドを登録する。次の適切な機会に(例えば、本明細書で記載されるように、現在のセンサ状態に応じて)、センサ110はシャットダウンする。
【0144】
L.例示的なセンサ状態及び作動
限定ではなく例示の目的で、
図15に示すセンサ110によって行われ得るアクションの状態機械表示6000の高レベル描写の例示的な実施形態を参照する。初期化後、センサは、センサ110の製造に関連する状態6005に入る。製造状態6005では、センサ110は、動作のために構成されることができ、例えば、ストレージメモリ5030は書き込まれ得る。状態6005にある間の様々な時間に、センサ110は、保存状態6015に進むための受信したコマンドをチェックする。保存状態6015に入ると、センサはソフトウェア整合性チェックを実行する。保存状態6015にある間、センサはまた、挿入検出状態6025に進む前に作動要求コマンドを受信し得る。
【0145】
状態6025に入ると、センサ110は、作動中に設定されたセンサと通信するために認証された装置に関する情報を保存することができ、又は検知ハードウェア5060からの測定を実行し、解釈することに関するアルゴリズムを初期化し得る。センサ110はまた、センサ110の動作時間のアクティブカウントを維持することに関与するライフサイクルタイマを初期化し、記録されたデータを送信するために認証された装置との通信を開始し得る。挿入検出状態6025にある間、センサは状態6030に入ることができ、ここでセンサ110は、動作時間が所定の閾値に等しいかどうかをチェックする。この動作時間閾値は、挿入が成功したかどうかを判定するためのタイムアウト機能に対応し得る。動作時間が閾値に達した場合、センサ110は状態6035に進み、平均データ読み取り量が挿入成功の検出を誘発するための予想データ読み取り量に対応する閾値よりも大きいか否かを、センサ110がチェックする。状態6035にある間にデータ読み取り量が閾値よりも低い場合、センサは、挿入失敗に対応する状態6040に進む。データ読み取り量が閾値を満たす場合、センサは、アクティブペア状態6055に進む。
【0146】
センサ110のアクティブペア状態6055は、センサ110が測定値を記録し、測定値を処理し、それらを必要に応じて報告することによって正常に動作している間の状態を示す。アクティブペア状態6055にある間、センサ110は、測定結果を送信するか、又は受信装置120との接続を確立しようと試みる。センサ110はまた、動作時間を増加する。センサ110が所定の動作時間閾値に達すると(例えば、動作時間が所定の閾値に達すると)、センサ110は、アクティブ期限切れ状態6065に移行する。センサ110のアクティブ期限切れ状態6065は、センサ110がその最大の所定時間にわたって動作している間の状態を示す。
【0147】
アクティブ期限切れ状態6065にある間、センサ110は、一般に、動作の終了に関連し、収集された測定値が必要に応じて受信装置に安全に送信されたことを保証する動作を実行し得る。例えば、アクティブ期限切れ状態6065にある間、センサ110は、収集されたデータを送信することができ、接続が実行可能でない場合、近くの認証された装置を発見し、それとの接続を確立するための試みを増加し得る。アクティブ期限切れ状態6065にある間、センサ110は、状態6070においてシャットダウンコマンドを受信し得る。シャットダウンコマンドが受信されない場合、センサ110はまた、状態6075において、動作時間が最終動作閾値を超えたかどうかをチェックし得る。最終動作閾値は、センサ110のバッテリ寿命に基づき得る。正常終了状態6080は、センサ110の最終動作に対応し、最終的にセンサ110をシャットダウンする。
【0148】
センサが作動される前に、ASIC5000は、低電力保存モード状態にある。例えば、入射RFフィールド(例えば、NFCフィールド)が、リセット閾値を上回るようにASIC5000への電源の電圧を駆動し、それによりセンサ110がウェイクアップ状態に進むときに、作動プロセスは開始し得る。ウェイクアップ状態にある間、ASIC5000は作動シーケンス状態に入る。次に、ASIC5000は、通信モジュール5040を起動する。通信モジュール5040が初期化され、パワーオンセルフテストを誘発する。パワーオンセルフテストは、ASIC5000が、メモリ及びワンタイムプログラム可能メモリが破損していないことを検証するために、データを読み書きする所定のシーケンスを使用して通信モジュール5040と通信することを含み得る。
【0149】
ASIC5000が初めて測定モードに入るとき、挿入検出シーケンスが実行されて、適切な測定が行われ得る前に、センサ110が患者の身体上に適切に設置されていることを検証する。まず、センサ110は、コマンドを解釈して測定設定プロセスを作動し、ASIC5000を測定コマンドモードに入らせる。次に、センサ110は、一時的に測定ライフサイクル状態に入り、いくつかの連続測定を実行して、挿入が成功したかどうかを検査する。通信モジュール5040又はASIC5000は、測定結果を評価して挿入の成功を判定する。挿入が成功したと見なされると、センサ110は測定状態に入り、センサ110は、検知ハードウェア5060を使用して通常の測定を行い始める。センサ110が、挿入が成功しなかったと判定する場合、センサ110は、挿入失敗モードに誘発され、ASIC5000は、保存モードに戻るように命令される一方、通信モジュール5040は、それ自体を無効にする。
【0150】
M.例示的なオーバージエア更新
図1Bは、本明細書で記載する技法とともに使用するためのオーバージエア(「OTA」)更新を提供するための動作環境の例をさらに示す。被検物質モニタリングシステム100のオペレータは、データ受信装置120又はセンサ110のための更新を、多目的データ受信装置130上で実行するアプリケーションのための更新に束ね得る。データ受信装置120と、多目的データ受信装置130と、センサ110との間の利用可能な通信チャネルを使用して、多目的データ受信装置130は、データ受信装置120又はセンサ110のための通常の更新を受信し、データ受信装置120又はセンサ110への更新のインストールを開始し得る。多目的データ受信装置130が被検物質センサ110、データ受信装置120及び/又はリモートアプリケーションサーバ150と通信することを可能にするアプリケーションは、広域ネットワーク機能無しでデータ受信装置120又はセンサ110上のソフトウェア又はファームウェアを更新することができるので、多目的データ受信装置130は、データ受信装置120又はセンサ110のためのインストール又は更新プラットフォームとして機能する。
【0151】
本明細書に具現化されるように、被検物質センサ110の製造者及び/又は被検物質モニタリングシステム100のオペレータによって作動されるリモートアプリケーションサーバ150は、被検物質モニタリングシステム100の装置にソフトウェア及びファームウェア更新を提供し得る。特定の実施形態では、リモートアプリケーションサーバ150は、更新されたソフトウェア及びファームウェアをユーザ装置140に、又は直接多目的データ受信装置に提供し得る。本明細書に具現化されるように、リモートアプリケーションサーバ150はまた、アプリケーションストアフロントによって提供されるインターフェースを使用して、アプリケーションソフトウェア更新をアプリケーションストアフロントサーバ160に提供し得る。多目的データ受信装置130は、更新をダウンロードしてインストールするために、アプリケーションストアフロントサーバ160に定期的に連絡し得る。
【0152】
多目的データ受信装置130が、データ受信装置120又はセンサ110のためのファームウェア又はソフトウェア更新を含むアプリケーション更新をダウンロードした後、データ受信装置120又はセンサ110及び多目的データ受信装置130は、接続を確立する。多目的データ受信装置130は、ファームウェア又はソフトウェアの更新がデータ受信装置120又はセンサ110に利用可能であると判定する。多目的データ受信装置130は、データ受信装置120又はセンサ110への配信のためにソフトウェア又はファームウェア更新を準備し得る。一例として、多目的データ受信装置130は、ソフトウェア又はファームウェア更新に関連付けられたデータを圧縮又は分割することができ、ファームウェア又はソフトウェア更新を暗号化又は復号化することができ、又はファームウェア又はソフトウェア更新の整合性チェックを実行することができる。多目的データ受信装置130は、ファームウェア又はソフトウェア更新のためのデータをデータ受信装置120又はセンサ110に送信する。多目的データ受信装置130はまた、データ受信装置120又はセンサ110にコマンドを送信して、更新を開始し得る。加えて又は代わりに、多目的データ受信装置130は、多目的データ受信装置130のユーザに通知を提供することができ、更新が完了するまで、データ受信装置120及び多目的データ受信装置130を電源に接続して近接させておく命令等、更新を容易にするための命令を含むことができる。
【0153】
データ受信装置120又はセンサ110は、更新のためのデータ及び更新を開始するためのコマンドを多目的データ受信装置130から受信する。次に、データ受信装置120は、ファームウェア又はソフトウェア更新をインストールし得る。更新をインストールするために、データ受信装置120又はセンサ110は、それ自体を、動作機能が制限された、いわゆる「セーフ」モードにするか、又は再起動することができる。更新が完了すると、データ受信装置120又はセンサ110は、標準動作モードに再び入るか、又はリセットされる。データ受信装置120又はセンサ110は、ファームウェア又はソフトウェア更新が正常にインストールされたことを判定するために、1つ以上の自己テストを実行し得る。多目的データ受信装置130は、更新成功の通知を受信し得る。次に、多目的データ受信装置130は、更新成功の確認をリモートアプリケーションサーバ150に報告し得る。
【0154】
特定の実施形態では、センサ110のストレージメモリ5030は、ワンタイムプログラム可能(OTP)メモリを含む。用語OTPメモリは、メモリ内の特定のアドレス又はセグメントへの所定の回数の書込みを容易にするためのアクセス制限及びセキュリティを含むメモリを示し得る。メモリ5030は、複数の事前に割り当てられたメモリブロック又はコンテナに事前配置され得る。コンテナは、固定されたサイズに事前に割り当てられている。ストレージメモリ5030がワンタイムプログラム可能メモリである場合、コンテナは、プログラム不可能状態にあるとみなされ得る。まだ書き込まれていない追加のコンテナは、プログラム可能又は書込み可能な状態にすることができる。このようにストレージメモリ5030をコンテナ化することで、ストレージメモリ5030に書き込むべきコード及びデータの輸送性を向上させることができる。OTPメモリに保存された装置(例えば、本明細書に記載されるセンサ装置)のソフトウェアを更新することは、メモリ内のコード全体を置き換えるのではなく、特定の以前に書き込まれた1つ以上のコンテナ内のコードのみを、新しい1つ以上のコンテナに書き込まれた更新されたコードで置き換えることによって実行され得る。第2の実施形態では、メモリは事前配置されていない。代わりに、データのために割り振られる空間は、必要に応じて動的に割り振られるか又は決定される。更新が予想される様々なサイズのコンテナを定義することができるので、インクリメンタルアップデートを発行することができる。
【0155】
図16は、開示される主題による、センサ装置100内のストレージメモリ5030のオーバージエア(OTA)プログラミング、及びセンサ装置110によるプロセスの実行におけるOTAプログラミング後のメモリの使用のための動作及びデータフローの例を示す略図である。
図5に示されるOTAプログラミング500の例では、OTAプログラミング(又は再プログラミング)を開始するために要求が外部装置(例えばデータ受信装置130)から送信される。511において、センサ装置110の通信モジュール5040は、OTAプログラミングコマンドを受信する。通信モジュール5040は、OTAプログラミングコマンドをセンサ装置110のマイクロコントローラ5010に送信する。
【0156】
531において、OTAプログラミングコマンドを受信した後、マイクロコントローラ5010は、OTAプログラミングコマンドを検証する。マイクロコントローラ5010は、例えば、OTAプログラミングコマンドが適切なデジタル署名トークンで署名されているかどうかを判定し得る。OTAプログラミングコマンドが有効であると判定すると、マイクロコントローラ5010は、センサ装置をOTAプログラミングモードに設定し得る。532において、マイクロコントローラ5010は、OTAプログラミングデータを検証し得る。533において、マイクロコントローラ5010は、センサ装置110をリセットして、センサ装置110をプログラミング状態に再初期化し得る。センサ装置110がOTAプログラミング状態に移行すると、マイクロコントローラ5010は、534においてセンサ装置の書換え可能メモリ540(例えば、メモリ5020)にデータを書き込み始め、535においてセンサ装置のOTPメモリ550(例えば、ストレージメモリ5030)にデータを書き込み始め得る。マイクロコントローラ5010によって書き込まれるデータは、検証されたOTAプログラミングデータに基づき得る。マイクロコントローラ5010は、データを書き込んで、OTPメモリ550の1つ以上のプログラミングブロック又は領域を無効又はアクセス不能とマーキングし得る。OTPメモリの空き又は未使用部分に書き込まれたデータは、OTPメモリ550の無効化された又はアクセス不可能なプログラミングブロックを置換するために使用され得る。マイクロコントローラ5010が534及び535でそれぞれのメモリにデータを書き込んだ後、マイクロコントローラ5010は、書き込みプロセス中にプログラミングブロックにエラーが導入されなかったことを保証するために、1つ以上のソフトウェア整合性チェックを実行し得る。マイクロコントローラ5010は、データがエラー無く書き込まれたと判断できると、マイクロコントローラ5010は、センサ装置の標準動作を再開し得る。
【0157】
536において、実行モードでは、マイクロコントローラ5010は、書換え可能メモリ540からプログラミングマニフェスト又はプロファイルを取り出すことができる。プログラミングマニフェスト又はプロファイルは、有効なソフトウェアプログラミングブロックのリストを含むことができ、センサ110のためのプログラム実行へのガイドを含むことができる。プログラミングマニフェスト又はプロファイルに従うことによって、マイクロコントローラ5010は、OTPメモリ550のどのメモリブロックが実行するのに適切であるかを判断し、期限切れ又は無効化されたプログラミングブロックの実行又は期限切れデータへの参照を回避し得る。537において、マイクロコントローラ5010は、OTPメモリ550からメモリブロックを選択的に取り出し得る。538において、マイクロコントローラ5010は、メモリに格納されたプログラミングコードを実行することによって、又はメモリに格納された変数を使用することによって、取り出されたメモリブロックを使用し得る。
【0158】
N.例示的なセキュリティ及び他のアーキテクチャの特徴
本明細書に具現化されるように、被検物質センサ110と他の装置との間の通信のためのセキュリティの第1の層は、通信のために使用される通信プロトコルによって指定され、その通信プロトコルに一体化されたセキュリティプロトコルに基づいて確立され得る。セキュリティの別の層は、通信装置の近接性を必要とする通信プロトコルに基づき得る。さらに、特定のパケット及び/又はパケット内に含まれる特定のデータは暗号化され得るが、一方、他のパケット及び/又はパケット内のデータは、別の方法で暗号化されるか、又は暗号化されない。加えて又は代わりに、アプリケーション層暗号化は、1つ以上のブロック暗号又はストリーム暗号とともに使用され、被検物質モニタリングシステム100内の他の装置との相互認証及び通信暗号化を確立し得る。
【0159】
被検物質センサ110のASIC5000は、ストレージメモリ5030内に保持されたデータを使用して認証及び暗号化鍵を動的に生成するように構成され得る。ストレージメモリ5030はまた、特定のクラスの装置とともに使用するために、有効な認証及び暗号化鍵のセットで事前にプログラムされ得る。ASIC5000は、受信したデータを使用して他の装置との認証処理を実行し、機密データを送信する前に、生成された鍵を機密データに適用するようにさらに構成され得る。生成された鍵は、被検物質センサ110に固有のもの、装置のペアに固有のもの、被検物質センサ110と他の装置との間の通信セッションに固有のもの、通信セッション中に送信されるメッセージに固有のもの、又はメッセージ内に含まれるデータのブロックに固有のものであり得る。
【0160】
センサ110及びデータ受信装置120の両方は、例えば、コマンドを発行するか、又はデータを受信するように、通信セッションにおける相手方の認証を確実にし得る。特定の実施形態では、アイデンティティ認証は、2つの機構を介して実行され得る。第1に、そのアイデンティティを主張する当事者は、装置の製造者又は被検物質モニタリングシステム100のオペレータによって署名された有効な証明書を提供する。第2に、認証は、被検物質モニタリングシステム100の装置によって確立され、又は被検物質モニタリングシステム100のオペレータによって確立される公開鍵及び秘密鍵、及びそれらから導出される共有秘密鍵を使用することによって実施され得る。他の当事者のアイデンティティを確認するために、当事者は、当事者がその秘密鍵の制御権を有することの証明を提供し得る。
【0161】
被検物質センサ110、データ受信装置120の製造者、又は多目的データ受信装置130のためのアプリケーションの提供者は、装置が安全なプログラミング及び更新を介して安全に通信するために必要な情報及びプログラミングを提供し得る。例えば、製造者は、必要に応じて、装置、セッション、又はデータ伝送に固有の暗号化値を生成するために、装置特有の情報及び動作データ(例えば、エントロピーベースのランダム値)と組み合わせて使用され得る、被検物質センサ110及び任意でデータ受信装置120のための安全なルート鍵を含む、各装置のための暗号化鍵を生成するために使用され得る情報を提供し得る。
【0162】
ユーザに関連付けられた被検物質データは、少なくとも部分的に機密データであり、その理由は、この情報が、健康モニタリング及び薬剤投与決定を含む様々な目的のために使用され得るからである。ユーザデータに加えて、被検物質モニタリングシステム100は、リバースエンジニアリングに対する外部当事者による実施に対してセキュリティ強化を実行し得る。通信接続は、装置固有又はセッション固有の暗号化鍵を使用して暗号化され得る。任意の2つの装置間の暗号化された通信又は暗号化されていない通信は、通信に組み込まれた送信整合性チェックを用いて検証され得る。被検物質センサ110の動作は、通信インターフェースを介したメモリ5020への読み出し及び書き込み機能へのアクセスを制限することによって、改ざんから保護され得る。センサは、「ホワイトリスト」内に提供される既知の又は「信頼できる」装置のみに、又は製造者又は他の方法で認証されたユーザに関連付けられた所定のコードを提供することができる装置のみに、アクセスを許可するように構成され得る。ホワイトリストは、ホワイトリストに含まれる接続識別子以外の接続識別子が使用されないことを意味する排他的範囲、又はホワイトリストが最初に探索されるが、他の装置が依然として使用され得る好適な範囲を示し得る。センサ110はさらに、要求者が所定の時間内(例えば、4秒以内)に通信インターフェースを介してログイン処理を完了できない場合、接続要求を拒否し、シャットダウンし得る。これらの特性は、特定のサービス妨害攻撃、特にBLEインターフェースに対するサービス妨害攻撃から保護する。
【0163】
本明細書に具現化されるように、被検物質モニタリングシステム100は、鍵の漏洩及び悪用の可能性をさらに低減するために、定期的な鍵ローテーションを使用し得る。被検物質モニタリングシステム100によって採用される鍵ローテーション戦略は、現場配置装置又は流通した装置の後方互換性をサポートするように設計され得る。一例として、被検物質モニタリングシステム100は、上流側装置によって使用される複数世代の鍵と互換性があるように設計された下流側装置(例えば、現場にあるか、又は更新を実行可能に提供することができない装置)用の鍵を採用し得る。
【0164】
限定ではなく例示の目的で、
図17に示され、一対の装置、特にセンサ110とデータ受信装置120との間のデータ交換の例を示す、開示された主題とともに使用するためのメッセージシーケンス
図600の例示的な実施形態を参照する。データ受信装置120は、本明細書に具現化されるように、データ受信装置120又は多目的データ受信装置130であり得る。工程605において、データ受信装置120は、例えば短距離通信プロトコルを介して、センサ作動コマンド605をセンサ110に送信し得る。センサ110は、工程605の前に、主に休止状態であってもよく、完全な作動が必要とされるまで、そのバッテリを温存する。作動後、工程610中に、センサ110は、センサ110の検知ハードウェア5060に適切なように、データを収集するか、又は他の動作を実行し得る。工程615において、データ受信装置120は、認証要求コマンド615を開始し得る。認証要求コマンド615に応答して、センサ110とデータ受信装置120の両方が、相互認証プロセス620に関与し得る。相互認証プロセス620は、他方の装置が本明細書で記載される合意されたセキュリティフレームワークに十分に準拠可能であることを、センサ110及びデータ受信装置120が保証することを可能にするチャレンジパラメータを含む、データの転送に関与し得る。相互認証は、チャレンジレスポンスを介して秘密鍵の確立を検証するために、オンラインの信頼された第三者の有無にかかわらず、2つ以上のエンティティを互いに認証するためのメカニズムに基づき得る。相互認証は、2パス認証、3パス認証、4パス認証又は5パス認証、又はそれらの類似のバージョンを使用して実行され得る。
【0165】
相互認証プロセス620の成功に続いて、工程625において、センサ110は、データ受信装置120にセンサシークレット625を提供し得る。センサシークレットは、センサ固有値を含むことができ、製造中に生成されたランダム値から導出され得る。センサシークレットは、第三者がシークレットにアクセスすることを防止するために、送信前又は送信中に暗号化され得る。センサシークレット625は、相互認証プロセス620によって、又はそれに応答して生成された鍵のうちの1つ以上を介して暗号化され得る。工程630において、データ受信装置120は、センサシークレットからセンサ固有暗号化鍵を導出し得る。センサ固有暗号化鍵はさらに、セッション固有であり得る。従って、センサ固有暗号化鍵は、センサ110又はデータ受信装置120の間で送信されることなく、各装置によって決定され得る。工程635において、センサ110は、ペイロードに含まれるデータを暗号化し得る。工程640において、センサ110の適切な通信モデルとデータ受信装置120との間に確立された通信リンクを使用して、センサ110は暗号化されたペイロード640をデータ受信装置120に送信し得る。工程645において、データ受信装置120は、工程630の間に導出されたセンサ固有暗号化鍵を使用してペイロードを復号化し得る。工程645に続いて、センサ110は、追加の(新たに収集されたものを含む)データを配信することができ、データ受信装置120は、受信したデータを適切に処理し得る。
【0166】
本明細書に記載されるように、センサ110は、制限された処理能力、バッテリ供給、及びストレージを有する装置であり得る。センサ110によって使用される暗号化技術(例えば、暗号アルゴリズム又はアルゴリズムの実装の選択)は、これらの制限に少なくとも部分的に基づいて選択され得る。データ受信装置120は、この性質の制限がより少ない、より強力な装置であり得る。従って、データ受信装置120は、暗号アルゴリズム及び実装などの、より高度で計算集約的な暗号化技術を採用し得る。
【0167】
O.例示的なペイロード/通信周波数
被検物質センサ110は、その発見可能性挙動を変更して、受信装置が適切なデータパケットを受信する確率及び/又は応答信号を提供する確立を増加させるか、又は応答信号を受信できなくする可能性がある制限を他の方法で低減するように試みるように構成され得る。被検物質センサ110の発見可能性挙動を変更することは、例えば、限定するものではないが、接続データがデータパケットに含まれる頻度を変更すること、データパケットが一般的に送信される頻度を変更すること、データパケットのブロードキャストウィンドウを延長又は短縮すること、ブロードキャスト後に被検物質センサ110が応答又はスキャン信号を受け入れる時間を変更すること、被検物質センサ110と以前に通信した1つ以上の装置(例えば、1つ以上の試みられた送信を介する)及び/又はホワイトリスト上の1つ以上の装置への直接送信を含ませること、(例えば、ブロードキャストの範囲を増加させるか、消費されるエネルギーを減少させ、被検物質センサのバッテリの寿命を延ばすために)データパケットをブロードキャストするときに通信モジュールに関連付けられた送信電力を変更すること、データパケットを準備及びブロードキャストする速度を変更すること、又は1つ以上の他の変更の組み合わせを含み得る。加えて又は代わりに、受信装置は、接続データを含むデータパケットを受信する可能性を増加させるために、装置のリスニング挙動に関するパラメータを同様に調整し得る。
【0168】
本明細書に具現化されるように、被検物質センサ110は、2つのタイプのウィンドウを使用してデータパケットをブロードキャストするように構成され得る。第1のウィンドウは、被検物質センサ110が通信ハードウェアを動作させるように構成される速度を示す。第2のウィンドウは、被検物質センサ110が能動的にデータパケットを送信する(例えば、ブロードキャストする)ように構成される速度を示す。一例として、第1のウィンドウは、被検物質センサ110が通信ハードウェアを動作させて、各60秒間の最初の2秒間にデータパケット(接続データを含む)を送信及び/又は受信することを示し得る。第2のウィンドウは、各2秒のウィンドウの間に、被検物質センサ110が60ミリ秒ごとにデータパケットを送信することを示し得る。2秒のウィンドウ中の残りの時間、被検物質センサ110は走査している。被検物質センサ110は、いずれかのウィンドウを長くしたり短くしたりして、被検物質センサ110の発見可能性挙動を変更し得る。
【0169】
特定の実施形態では、被検物質センサの発見可能性挙動が発見可能性プロファイルに保存されることができ、被検物質センサ110の状態などの1つ以上の要因に基づいて、及び/又は被検物質センサ110の状態に基づいてルールを適用することによって、変更され得る。例えば、被検物質センサ110のバッテリレベルがある量を下回るとき、ルールは、被検物質センサ110に、ブロードキャストプロセスによって消費される電力を減少させ得る。別の例として、パケットをブロードキャストする又は他の方法で送信することに関連付けられた構成設定は、周囲温度、被検物質センサ110の温度、又は被検物質センサ110の通信ハードウェアの特定の部品の温度に基づいて調整され得る。送信電力を変更することに加えて、被検物質センサ110の通信ハードウェアの送信能力又はプロセスに関連する他のパラメータを変更することができ、これは、限定されないが、送信速度、周波数、及びタイミングを含む。別の例として、対象が負の健康事象を経験している又は経験しつつあることを、被検物質データが示すとき、ルールは、被検物質センサ110に対して、負の健康事象を受信装置へ警告するためにその発見可能性を増加させ得る。
【0170】
P.例示的なセンサ感度初期化/調整機構
本明細書に具現化されるように、被検物質センサ110の検知ハードウェア5060のためのある較正機構は、外部又は区間環境特徴に基づいて、及び使用されていない期間(例えば、使用前の「保管時間」)の間の検知ハードウェア5060の減衰を補償するように、調整され得る。検知ハードウェア5060の較正機構は、センサ110によって(例えば、メモリ5020又はストレージ5030内の特徴を変更するためのASIC5000の動作によって)自律的に調整されることができ、又は被検物質モニタリングシステム100の他の装置によって調整されることができる。
【0171】
一例として、検知ハードウェア5060のセンサ感度は、外部温度データ又は製造からの時間に基づいて調整され得る。センサの保存中に外部温度がモニタリングされるとき、開示される主題は、装置が保存条件の変化を経験すると、経時的にセンサ感度に対する補償を適応的に変更し得る。限定ではなく例示を目的として、被検物質センサ110が定期的に起動して温度を測定する「アクティブ」保存モードにおいて、適応感度調整が実行され得る。これらの機構は、被検物質装置のバッテリを節約し、被検物質センサの寿命を延ばし得る。各温度測定において、被検物質センサ110は、測定された温度に基づいて、その期間の感度調整を計算し得る。次に、温度重み付けされた調整値は、アクティブ保存モード期間にわたって累積されて、アクティブ保存モードの終了時(例えば、挿入時)総センサ感度調整値を計算し得る。同様に、挿入時に、センサ110は、センサ110(ASIC5000のストレージ5030に書き込むことができる)又は検知ハードウェア5060の製造間の時間差を決定し、1つ以上の既知の減衰率又は式に従ってセンサ感度又は他の較正機構を変更し得る。
【0172】
加えて、限定ではなく例示の目的で、本明細書に具現化されるように、センサ感度調整は、センサドリフトなどの他のセンサ条件を考慮し得る。センサ感度調整は、例えば、センサドリフトの場合、平均センサがどれだけドリフトするかの推定に基づいて、製造中にセンサ110内にハードコードされ得る。センサ110は、センサオフセット及びゲインのための時変関数を有する較正関数を使用することができ、これは、センサの装着期間にわたるドリフトを考慮し得る。従って、センサ110は、経時的なセンサ110のドリフトを記載する装置依存関数を利用して、間質電流を間質グルコースに変換するために使用される関数を利用することができ、これは、センサ感度を示すことができ、グルコースプロファイルのベースラインと組み合わされた装置固有のものであり得る。センサ感度及びドリフトを考慮するためのそのような関数は、ユーザ較正を伴うことなく、装着期間にわたってセンサ110の精度を改善し得る。
【0173】
Q.例示的なモデルベースの被検物質測定
センサ110は、検知ハードウェア5060から生の測定値を検出する。例えば、生の測定値を解釈するように訓練された1つ以上のモデル等によって、オンセンサ処理が実行され得る。モデルは、1つ以上の被検物質のレベルを検出、予測、又は解釈するために、生の測定値を検出、予測、又は解釈するようにオフ装置で訓練された機械学習モデルであり得る。追加の訓練されたモデルは、生の測定値と相互作用するように訓練された機械学習モデルの出力で動作し得る。一例として、モデルは、生の測定値及び検知ハードウェア5060によって検出された被検物質(複数)の種類に基づいて事象を検出、予測、又は推奨するために使用され得る。事象は、身体活動の開始又は完了、食事、医療処置又は投薬の適用、緊急の健康事象、及び同様の性質の他の事象を含み得る。
【0174】
モデルは、製造中又はファームウェア又はソフトウェア更新中に、センサ110、データ受信装置120、又は多目的データ受信装置130に提供され得る。モデルは、例えば、センサ110の製造者又は被検物質モニタリングシステム100のオペレータなどによって、センサ110から受信したデータ及び個々のユーザ又は総じて複数のユーザのデータ受信装置に基づいて、定期的に改良され得る。特定の実施形態では、センサ110は、センサ110が取り付けられるユーザの固有の特徴に基づくなど、機械学習モデルのさらなる訓練又は改良を支援するのに十分な計算構成要素を含む。機械学習モデルは、限定ではなく例として、決定木分析、勾配ブースティング、adaブースティング、人工ニューラルネットワーク又はその変形、線形判別分析、最近傍分析、サポートベクターマシン、教師あり又は教師なし分類などを使用又は包含して訓練されたモデルを含み得る。モデルはまた、機械学習モデルに加えて、アルゴリズム又はルールベースのモデルを含み得る。モデルベースの処理は、センサ110(又は他の下流装置)からデータを受信すると、データ受信装置120又は多目的データ受信装置130を含む他の装置によって実行され得る。
【0175】
R.例示的なアラーム機能
センサ110とデータ受信装置120との間で送信されるデータは、生の測定値又は処理された測定値を含み得る。センサ110とデータ受信装置120との間で送信されるデータは、ユーザに表示するためのアラーム又は通知をさらに含み得る。データ受信装置120は、生の測定値又は処理された測定値に基づいてユーザに通知を表示するか、又は他の方法で伝えることができ、又はセンサ110から受信したときにアラームを表示することができる。ユーザへの表示のために誘発され得るアラームは、直接被検物質値(例えば、閾値を超える、又は閾値を満たさない1回読み取り)、被検物質値傾向(例えば、閾値を超える、又は閾値を満たさない設定期間にわたる平均読み取り、勾配)、被検物質値予測(例えば、閾値を超える、又は閾値を満たさない被検物質値に基づくアルゴリズム計算)、センサアラート(例えば、検出された疑わしい誤動作)、通信アラート(例えば、閾値期間にわたってセンサ110とデータ受信装置120との間に通信がないこと、未知の装置がセンサ110との通信セッションを開始しようとしている、又は開始し損なっていること)、リマインダ(例えば、データ受信装置120を充電するリマインダ、薬剤を服用する、又は他の活動を行うリマインダ)、及び同様の性質の他のアラートに基づくアラームを含む。限定ではなく例示の目的で、本明細書に具現化されるように、本明細書で記載されるアラームパラメータは、ユーザによって構成可能であり得るか、又は製造中に固定され得るか、又はユーザ設定可能及びユーザ設定不可能パラメータの組み合わせであり得る。
【0176】
S.例示的な電極構成
対応する単一の被検物質の検出のために構成された単一の活性領域を特徴とするセンサ構成は、
図18Aから
図18Cを参照して本明細書にさらに記載されるように、2電極又は3電極検出モチーフを使用し得る。別の作用電極上又は同じ作用電極上のいずれかで、同じ又は別の被検物質の検出のための2つの異なる活性領域を特徴とするセンサ構成は、
図19Aから
図21Cを参照して後に個別に記載される。各活性領域からの信号寄与が、容易に決定され得るので、複数の作用電極を有するセンサ構成は、同じセンサ尾部内に2つの異なる活性領域を組み込むのに特に有利であり得る。
【0177】
単一の作用電極が被検物質センサ内に存在するとき、3電極センサ構成は、作用電極、対電極、及び参照電極を含み得る。関連する2電極センサ構成は、作用電極及び第2の電極を含んでもよく、第2の電極は、対電極及び参照電極の両方(すなわち、対/参照電極)として機能してもよい。様々な電極は、少なくとも互いに部分的に積み重ねられ(層状にされ)てもよく、及び/又はセンサ尾部上で互いに横方向に離間されてもよい。適切なセンサ構成は、実質的に平坦な形状、実質的に円筒形の形状、又は任意の適切な形状であり得る。本明細書に開示されるセンサ構成のいずれかにおいて、様々な電極は、誘電体材料又は同様の絶縁体によって互いに電気的に絶縁され得る。
【0178】
複数の作用電極を特徴とする被検物質センサは、同様に、少なくとも1つの追加の電極を含み得る。1つの追加の電極が存在するとき、1つの追加の電極は、複数の作用電極の各々に対する対/参照電極として機能し得る。2つの追加の電極が存在するとき、追加の電極の一方は、複数の作用電極の各々の対電極として機能してもよく、追加の電極の他方は、複数の作用電極の各々の参照電極として機能してもよい。
【0179】
図18Aは、本明細書の開示における使用に適合する、例示的な2電極被検物質センサ構成の略図を示す。示すように、被検物質センサ200は、作用電極214と対/参照電極30216との間に配置された基板30212を含む。代わりに、作用電極214及び対/参照電極30216は、誘電体材料を間に挟んで基板30212の同じ側に配置され得る(構成は図示無し)。活性領域218は、作用電極214の少なくとも一部分の上に少なくとも1つの層として配置される。活性領域218は、本明細書においてさらに議論されるように、被検物質の検出のために構成された複数のスポット又は単一のスポットを含み得る。特定の実施形態では、活性領域218は、本明細書に記載されるように、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギンを検出するように構成される。
【0180】
さらに
図18Aを参照すると、膜220が少なくとも活性領域218を被覆している。特定の実施形態では、膜220は、作用電極214及び/又は対/参照電極30216の一部又は全部、又は被検物質センサ200の全体を被覆し得る。被検物質センサ200の片面又は両面は、膜220に覆われ得る。膜220は、活性領域218への被検物質フラックスを制限する能力を有する1つ以上のポリマー膜材料を含み得る(すなわち、膜220は、対象の被検物質に対していくつかの透過性を有する物質移動制限膜である)。本明細書の開示によれば、以下にさらに記載するように、膜220は、特定のセンサ構成では、分岐架橋剤によって架橋され得る。例えば、限定するものではないが、膜220は、本明細書に記載の架橋剤で架橋される。膜220の組成及び厚さは、活性領域218への所望の被検物質フラックスを促進し、それによって所望の信号強度及び安定性を提供するように変動し得る。被検物質センサ200は、クーロメトリー、アンペロメトリー、ボルタンメトリー、又はポテンショメトリーの電気化学的検出技術のいずれかによって被検物質をアッセイするように動作可能であり得る。
【0181】
図18B及び
図18Cは、例示的な3電極被検物質センサ構成の略図を示し、これらはまた、本明細書の開示における使用に適合する。3電極被検物質センサ構成は、被検物質センサ201及び202内に追加の電極217を含むこと(
図18B及び
図18C)を除き、
図18Aの被検物質センサ200として示すものと同様であり得る。追加の電極217を用いると、対/参照電極30216は、次に、対電極又は参照電極のいずれかとして機能してもよく、追加の電極217は、他に説明されない他の電極機能を果たす。作用電極214は、その本来の機能を果たし続ける。追加の電極217は、誘電体材料の分離層を間に挟んで、作用電極214又は電極30216のいずれかの上に配置され得る。例えば、限定するものではないが、
図18Bに示すように、誘電体層219a、219b及び219cは、電極214、30216及び217を互いに分離し、電気的絶縁を提供する。代わりに、
図18Cに示すように、電極214、30216、及び217の少なくとも1つを基板30212の反対面上に位置させてもよい。従って、特定の実施形態では、電極214(作用電極)及び電極30216(対電極)は、基板30212の反対面上に配置されてもよく、電極217(参照電極)は、電極214又は電極30216のうちの1つの上に配置され、誘電体材料によってそれから離間される。参照材料層230(例えば、Ag/AgCl)は、電極217上に存在してもよく、参照材料層230の位置は、
図18B及び
図18Cに示す位置に限定されない。
図18Aに示されるセンサ200と同様に、被検物質センサ201及び202内の活性領域218は、複数のスポット又は単一のスポットを含むことができる。加えて、被検物質センサ201及び202は、クーロメトリー、アンペロメトリー、ボルタンメトリー、又はポテンショメトリーの電気化学的検出技術のうちのいずれかによって被検物質をアッセイするように動作可能であり得る。
【0182】
被検物質センサ200と同様に、膜220はまた、被検物質センサ201及び202において、活性領域218並びに他のセンサ構成要素を覆ってもよく、それによって物質移動制限膜として機能する。特定の実施形態では、追加の電極217は膜220に覆われ得る。
図18B及び
図18Cは、電極214、30216、及び217が膜220に覆われているように示すが、特定の実施形態では、作用電極214のみが覆われることを認識されたい。さらに、電極214、30216及び217の各々における膜220の厚さは、同じであってもよく、又は異なっていてもよい。2電極被検物質センサ構成(
図18A)におけるように、被検物質センサ201及び202の一方又は両方の面は、
図18B及び
図18Cのセンサ構成において膜220に覆われてもよく、又は被検物質センサ201及び202の全体が覆われてもよい。従って、
図18B及び
図18Cに示す3電極センサ構成は、本明細書に開示される実施形態の限定をしないものとして理解されるべきであり、代替の電極及び/又は層の構成は、本開示の範囲内に留まる。
【0183】
図19Aは、2つの異なる活性領域が上に配置された単一の作用電極を有するセンサ203の例示的な構成を示す。
図19Aは、作用電極214上に2つの活性領域、すなわち第1の活性領域218a及び第2の活性領域218bが存在することを除いて、
図18Aと同様であり、これらは同じ又は異なる被検物質に応答し、作用電極214の表面上で互いに横方向に離間されている。活性領域218a及び218bは、各被検物質の検出のために構成された複数のスポット又は単一のスポットを含み得る。膜220の組成は、活性領域218a及び218bにおいて変化してもよく、又は組成的に同じであってもよい。第1の活性領域218a及び第2の活性領域218bは、以下でさらに議論されるように、互いに異なる作用電極電位においてそれらの対応する被検物質を検出するように構成され得る。
【0184】
特定の実施形態では、活性領域218a及び218bのいずれか一方、又は両方は、アスパラギン酸塩を検出するように構成され得る。特定の実施形態では、218a及び218bの1つの活性領域のみが、アスパラギン酸塩を検出するように構成される。特定の実施形態では、他の活性領域は、アスパラギン酸塩とは異なる第2の被検物質を検出するように構成される。特定の実施形態では、活性領域218a及び218bのいずれか一方、又は両方は、アスパラギンを検出するように構成され得る。特定の実施形態では、218a及び218bの1つの活性領域のみが、アスパラギンを検出するように構成される。特定の実施形態では、他の活性領域は、アスパラギンとは異なる第2の被検物質を検出するように構成される。第2の被検物質の非限定的な例は、本明細書に記載されている。特定の実施形態では、活性領域218a及び218の一方は、アスパラギン酸塩を検出するように構成され、他方の活性領域は、アスパラギンを検出するように構成される。
【0185】
図19B及び
図19Cは、それぞれセンサ204及び205のための例示的な3電極センサ構成の断面図を示し、各々は、上に配置された第1の活性領域218a及び第2の活性領域218bを有する単一の作用電極を特徴とする。
図19B及び
図19Cは、その他の点では
図18B及び
図18Cと同様であり、それらを参照することによってより理解され得る。
図19Aと同様に、膜220の組成は、活性領域218a及び218bにおいて変化してもよく、又は組成的に同じであってもよい。
【0186】
複数の作用電極、具体的には2つの作用電極を有する例示的なセンサ構成が、
図20から
図21Cを参照してさらに詳細に記載される。以下の説明は、主に、2つの作用電極を有するセンサ構成を対象とするが、本明細書の開示の拡張によって、2つより多くの作用電極が組み込まれ得ることを理解されたい。第1の被検物質及び第2の被検物質だけでなく、例えば第3及び/又は第4の被検物質の検出のためのさらなる検知能力を被検物質センサに付与するために、追加の作用電極が用いられ得る。
【0187】
図20は、本明細書の開示における使用に適合する、2つの作用電極、参照電極及び対電極を有する例示的な被検物質センサ構成の断面図を示す。示すように、被検物質センサ300は、基板302の反対面上に配置された作用電極304及び306を含む。第1の活性領域310aは、作用電極304の表面上に配置され、第2の活性領域310bは、作用電極306の表面上に配置される。対電極320は、誘電体層322によって作用電極304から電気的に絶縁されており、参照電極321は、誘電体層323によって作用電極306から電気的に絶縁されている。外側誘電体層30230及び332は、それぞれ参照電極321及び対電極320上に配置される。膜340は、様々な実施形態によれば、少なくとも活性領域310a及び310bを被覆することができ、被検物質センサ300の他の構成要素又は被検物質センサ300の全体は、任意選択で膜340に被覆される。さらに、膜340は連続であってよいが、各々の位置における被検物質フラックスを別個に調節するための異なる透過性値を可能にするために、第1の膜部分340aと第2の膜部分340bとの中で(すなわち、活性領域310aと310bの上で)組成的に変動し得る。特定の実施形態では、異なる膜配合物を、被検物質センサ300の反対面に噴霧及び/又は印刷し得る。例えば、限定するものではないが、様々な実施形態によれば、第1の膜部分340aは、少なくとも活性領域310aを被覆することができ、第2の膜部分340bは、少なくとも活性領域310bを、被検物質センサ300の他の構成要素又は被検物質センサ300全体で被覆することができる。特に活性領域310a及び310bの一方の上に二層膜の少なくとも一部を堆積させるために、ディップコーティング技術も適切であり得る。特定の実施形態では、膜340は、活性領域310a及び310bにおいて同じであってもよく、又は組成が異なっていてもよい。例えば、限定するものではないが、膜340は、活性領域310aを被覆する二層を含んでもよく、活性領域310bを被覆する均一な膜であってもよく、又は、膜340は、活性領域310bを被覆する二層を含んでもよく、活性領域310aを被覆する均一な膜であってもよい。特定の実施形態では、本開示の特定の実施形態によれば、第1の膜部分340aと第2の膜部分340bの一方は二層膜を備えてもよく、第1の膜部分340aと第2の膜部分340bの他方は単一の膜ポリマーを備えてもよい。特定の実施形態では、被検物質センサは1つの膜340より多く、例えば2つ以上の膜を含み得る。例えば、限定するものではないが、被検物質センサは、1つ以上の活性領域、例えば310a及び310bを被覆する膜、及び
図20に示すようにセンサ全体を被覆するさらなる膜を含み得る。このような構成では、二層膜は、1つ以上の活性領域(例えば、310a及び310b)の上に形成され得る。
【0188】
特定の実施形態では、活性領域310a及び310bのいずれか一方、又は両方は、アスパラギン酸塩を検出するように構成され得る。特定の実施形態では、310a及び310bの1つの活性領域のみが、アスパラギン酸塩を検出するように構成される。特定の実施形態では、他の活性領域は、アスパラギン酸塩とは異なる第2の被検物質を検出するように構成される。特定の実施形態では、活性領域310a及び310bのいずれか一方、又は両方は、アスパラギンを検出するように構成され得る。特定の実施形態では、310a及び310bの1つの活性領域のみが、アスパラギンを検出するように構成される。特定の実施形態では、他の活性領域は、アスパラギンとは異なる第2の被検物質を検出するように構成される。第2の被検物質の非限定的な例は、本明細書に記載されている。特定の実施形態では、活性領域310a及び310bの一方は、アスパラギン酸塩を検出するように構成され、他方の活性領域は、アスパラギンを検出するように構成される。
【0189】
被検物質センサ200、201、及び202と同様に、被検物質センサ300は、クーロメトリー、アンペロメトリー、ボルタンメトリー、又はポテンショメトリーによる電気化学的検出技術のいずれかによってアスパラギン酸塩及び/又はアスパラギンをアッセイするために動作可能であり得る。
【0190】
複数の作用電極を有し、
図20に示す構成とは異なる代替的なセンサ構成は、別の対電極及び参照電極320、321の代わりに対/参照電極を特徴としてもよく、及び/又は明示的に示されるものとは異なる層及び/又は膜の配置を特徴としてもよい。例えば、限定ではないが、対電極320及び参照電極321の位置は、
図20に示すものと反対であり得る。さらに、作用電極304及び306は、必ずしも
図20に示す位置のように基板302の反対面上に存在する必要はない。
【0191】
好適なセンサ構成は、特性として実質的に平面である電極を特徴とすることができるが、非平面の電極を特徴とするセンサ構成が有利であってもよく、特に本明細書の開示における使用のために好適であり得ることを認識されたい。特に、相互に同心円状に配置された実質的に円筒状の電極は、以下に記載するように、物質移動制限膜の堆積を容易にし得る。
図21A~21Cは、相互に同心円状に配置された2つの作用電極を特徴とする被検物質センサの斜視図を示す。同心円状の電極配置を有するが第2の作用電極を有しないセンサ構成も本開示で可能であることを認識されたい。特に、センサ尾部の長さに沿って間隔を空けて配置された同心円状の作用電極は、実質的に平面状のセンサ構成について上述と同様の様式で、連続的なディップコーティング操作による膜堆積を容易にし得る。
【0192】
図21Aは、複数の電極が実質的に円筒状であり、中心基板に対して相互に同心円状に配置された例示的なセンサ構成の斜視図を示す。示すように、被検物質センサ400は、その周囲に全ての電極及び誘電体層が相互に同心円状に配置された中心基板402を含む。特に、作用電極410が中心基板402の表面上に配置され、誘電体層412がセンサ先端404に対して遠位の作用電極410の一部の上に配置されている。作用電極420が誘電体層412の上に配置され、誘電体層422がセンサ先端404に対して遠位の作用電極420の一部の上に配置されている。対電極430が誘電体層422の上に配置され、誘電体層432がセンサ先端404に対して遠位の対電極430の一部の上に配置されている。参照電極440が誘電体層432の上に配置され、誘電体層442がセンサ先端404に対して遠位の参照電極440の一部の上に配置されている。従って、作用電極410、作用電極420、対電極430、及び参照電極440の露出した表面は被検物質センサ400の長手方向の軸線Bに沿って互いに離間している。
【0193】
さらに
図21Aを参照して、異なる被検物質又は同じ被検物質に関与する第1の活性領域414a及び第2の活性領域414bが、それぞれ作用電極410及び420の露出した表面の上に配置され、それにより、検知のために流体との接触が起こることを可能にする。
図21Aでは活性領域414a及び414bは3つの別個のスポットとして示されているが、代替のセンサ構成では活性領域の連続層を含む3つより少ない又は多いスポットが存在し得ることを理解されたい。特定の実施形態では、活性領域414a及び414bのいずれか一方、又は両方は、アスパラギン酸塩を検出するように構成され得る。特定の実施形態では、414a及び414bの1つの活性領域のみが、アスパラギン酸塩を検出するように構成される。特定の実施形態では、他の活性領域は、アスパラギン酸塩とは異なる第2の被検物質を検出するように構成される。特定の実施形態では、活性領域414a及び414bのいずれか一方、又は両方は、アスパラギンを検出するように構成され得る。特定の実施形態では、414a及び414bの1つの活性領域のみが、アスパラギンを検出するように構成される。特定の実施形態では、他の活性領域は、アスパラギンとは異なる第2の被検物質を検出するように構成される。第2の被検物質の非限定的な例は、本明細書に記載されている。特定の実施形態では、活性領域414a及び414bの一方は、アスパラギン酸塩を検出するように構成され、他方の活性領域は、アスパラギンを検出するように構成される。
【0194】
図21Aでは、センサ400は作用電極410及び420及びその上に配置された活性領域414a及び414bの上で膜450によって部分的に被覆されている。
図21Bは、センサ401の実質的に全部が膜450によって被覆されている代替のセンサ構成を示す。膜450は、活性領域414a及び414bにおいて同じであってもよく又は組成的に異なっていてもよい。例えば、膜450は活性領域414aを被覆する二層膜を含んでよく、活性領域414bを被覆する均一な膜であってもよい。
【0195】
図21A及び21Bにおける様々な電極の位置決めは明示的に示されたものと異なってもよいことをさらに理解されたい。例えば、対電極430及び参照電極440の位置は
図21A及び21Bに示した構成から逆にしてもよい。同様に、作用電極410及び420の位置は、
図21A及び21Bに明示的に示した位置に限定されない。
図21Cは、
図21Bに示したセンサ構成の代替を示し、ここではセンサ405は、センサ先端404に対してより近位に位置する対電極430及び参照電極440、及びセンサ先端404に対してより遠位に位置する作用電極410及び420を含む。作用電極410及び420がセンサ先端404に対してより遠位に位置するセンサ構成は、活性領域414a及び414bの堆積のためのより広い表面積を提供し(
図21Cでは5つの別個の検知スポットを例示的に示している)、それによりいくつかの場合に信号強度の増大を容易にすることによって、有利であり得る。同様に、本明細書に開示した任意の同心円状センサ構成において中心基板402を省略することができ、その場合には最も内側の電極が代わりに、続いて堆積する層を支持し得る。
【0196】
特定の実施形態では、本明細書に記載された被検物質センサの1つ以上の電極は、ワイヤ電極、例えば透過性ワイヤ電極である。特定の実施形態では、センサ尾部は作用電極及び作用電極の周囲にらせん状に巻かれた参照電極を備える。特定の実施形態では、絶縁体が作用電極と参照電極との間に配置される。特定の実施形態では、電極の一部は、電極上での1つ以上の酵素と被検物質との反応を可能にするように露出される。特定の実施形態では、各電極は約25.4マイクロメートル(0.001インチ)以下から約254マイクロメートル(0.010インチ)以上までの直径を有する細いワイヤから形成される。特定の実施形態では、作用電極は約25.4マイクロメートル(0.001インチ)以下から約254マイクロメートル(0.010インチ)以上、例えば約50.8マイクロメートル(0.002インチ)~約203マイクロメートル(0.008インチ)、より好適には、約102マイクロメートル(0.004インチ)~約127マイクロメートル(0.005インチ)の直径を有する。特定の実施形態では、電極は、めっきされた絶縁体、めっきされたワイヤ又はバルクの導電性材料から形成される。特定の実施形態では、作用電極は、例えば白金、白金-イリジウム、パラジウム、グラファイト、金、炭素、導電性ポリマー、合金、その他の導電性材料から形成されたワイヤを備える。特定の実施形態では、導電性材料は透過性導電性材料である。特定の実施形態では、電極は様々な製造技術(例えばバルク金属処理、基材上への金属の堆積、その他)によって形成することができ、電極はめっきされたワイヤ(例えばスチールワイヤ上の白金)又はバルク金属(例えば白金ワイヤ)から形成することができる。特定の実施形態では、電極は、例えば、導電性材料でコーティングされたタンタルワイヤから形成される。
【0197】
特定の実施形態では、参照電極単独として又は参照電極及び対電極の二重電極として機能し得る参照電極は、銀、銀/塩化銀等から形成される。特定の実施形態では、参照電極は作用電極とともに又はその周囲に並置され及び/又はねじられる。特定の実施形態では、参照電極は作用電極の周囲にらせん状に巻きつけられる。特定の実施形態では、絶縁性アタッチメントを提供するために、ワイヤのアセンブリを絶縁材料とともに被覆又は接着してもよい。
【0198】
特定の実施形態では、追加の電極をセンサ尾部に含ませてよい。例えば、限定するものではないが、3電極システム(作用電極、参照電極、及び対電極)及び/又は追加の作用電極(例えば第2の被検物質を検出するための電極)。センサが2つの作用電極を備える特定の実施形態では、2つの作用電極が並置され、その周囲に参照電極が配置されてよい(例えば2つ以上の作用電極の周囲にらせん状に巻きつけられる)。特定の実施形態では、2つ以上の作用電極は互いに平行に延在してよい。特定の実施形態では、参照電極は作用電極の周囲に巻回され、センサ尾部の遠位端(すなわちインビボ端)に向かって延在する。特定の実施形態では、参照電極は作用電極の露出された領域に(例えばらせん状に)延在する。
【0199】
特定の実施形態では、1つ以上の作用電極は参照電極の周囲にらせん状に巻きつけられている。2つ以上の作用電極が提供される特定の実施形態では、作用電極は、センサ尾部の長さに沿って二重、三重、四重等のらせん構成(例えば参照電極、絶縁されたロッド又はその他の支持構造を包囲する)に形成され得る。特定の実施形態では、電極、例えば2つ以上の作用電極は同軸上に形成される。例えば、限定するものではないが、電極は全て同じ中心軸線を共有する。
【0200】
特定の実施形態では、作用電極は、その間に絶縁体を含んでその中に参照電極が配置又は巻回された管を備える。代わりに、参照電極が、その間に絶縁体を含んでその中に作用電極が配置又は巻回された管を備える。特定の実施形態では、ポリマー(例えば絶縁性の)ロッドが提供され、1つ以上の電極(例えば1つ以上の電極層)が(例えば電気めっきによって)その上に配置される。特定の実施形態では、(本明細書に記載した)絶縁材料で被覆され、その上に1つ以上の作用電極及び参照電極が配置された金属(例えばスチール又はタンタル)ロッド又はワイヤが提供される。例えば、限定するものではないが、本開示は1つ以上のタンタルワイヤを備えるセンサ、例えばセンサ尾部を提供し、導電性材料が1つ以上のタンタルワイヤの一部の上に配置されて作用電極として機能する。特定の実施形態では、白金被覆したタンタルワイヤが絶縁材料で覆われ、絶縁材料は参照及び/又は対電極として機能する銀/塩化銀組成物で部分的に覆われている。
【0201】
絶縁体が作用電極の上(例えば電極の白金表面の上)に配置される特定の実施形態では、絶縁体の一部を剥離し又は他の方法で除去して、作用電極の電気活性表面を露出することができる。例えば、限定するものではないが、絶縁体の一部は、手、エキシマレーザ、化学的エッチング、レーザアブレーション、グリットブラスト、その他によって除去され得る。代わりに、電極の一部は、露出された電気活性表面領域を維持するために絶縁体の堆積前にマスクされ得る。特定の実施形態では、剥離及び/又は除去された絶縁体の一部は、長さ約0.1mm(約0.004インチ)以下から約2mm(約0.078インチ)以上、例えば長さ約0.5mm(約0.02インチ)から約0.75mm(0.03インチ)であってよい。特定の実施形態では、絶縁体は非導電性ポリマーである。特定の実施形態では、絶縁体はパリレン、フッ素化ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリイミド、及びその他の非導電性ポリマーを備える。特定の実施形態では、ガラス又はセラミック材料を絶縁体層に用いることもできる。特定の実施形態では、絶縁体はパリレンを備える。特定の実施形態では、絶縁体はポリウレタンを備える。特定の実施形態では、絶縁体はポリウレタン及びポリビニルピロリドンを備える。
【0202】
活性領域を含むセンサのいくつかの部分を以下にさらに記載する。
2.酵素
本開示の被検物質センサの活性領域は、被検物質を検出するように構成され得る。開示される被検物質センサを使用して検出され得る被検物質の非限定的な例としては、アスパラギン及びアスパラギン酸塩が挙げられる。特定の実施形態では、本開示の被検物質センサの活性領域は、アスパラギンを検出するように構成される。特定の実施形態では、本開示の被検物質センサの活性領域は、アスパラギン酸塩を検出するように構成される。
【0203】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサの活性領域は、2つ以上の被検物質を検出するように構成することができる。例えば、限定するものではないが、活性領域は、アスパラギン及びアスパラギン酸塩を検出するように構成することができる。代わりに、活性領域は、アスパラギン及び/又はアスパラギン酸塩及び第2の被検物質を検出するように構成することができる。第2の被検物質の非限定的な例は、グルタミン酸塩、グルコース、ケトン類、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、乳酸塩、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、ナトリウム、アスパラギン酸塩、アスパラギン、総タンパク質、尿酸等を含む。
【0204】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、2つ以上の活性領域を含むことができ、各活性領域は、異なる被検物質を検出するように構成される。特定の実施形態では、第1の活性領域はアスパラギンを検出するように構成することができ、第2の活性領域はアスパラギン酸塩を検出するように構成することができる。特定の実施形態では、第1の活性領域は、アスパラギン及び/又はアスパラギン酸塩を検出するように構成することができ、第2の活性領域は、第2の被検物質、例えば、グルタミン酸塩、グルコース、ケトン類、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、乳酸塩、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、ナトリウム、アスパラギン酸塩、アスパラギン、総タンパク質及び/又は尿酸を検出するように構成することができる。
【0205】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、アスパラギン応答性活性領域又はアスパラギン酸塩応答性活性領域を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン応答性活性領域は、アスパラギンを検出するための1つ以上の酵素を含み得る。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域は、アスパラギン酸塩を検出するための1つ以上の酵素を含み得る。
【0206】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、アスパラギン酸塩を検出するように構成された少なくとも1つの活性領域を含む。アスパラギン酸塩を検出するために使用することができる特定の酵素系を
図22に示す。示された酵素反応では、アスパラギン酸オキシダーゼ(
図22においてAspOxとして示される)は、本明細書の開示に従ってアスパラギン酸塩を検出するために使用され得る。アスパラギン酸塩応答性活性領域がこの酵素系を含有するとき、アスパラギン酸オキシダーゼは、アスパラギン酸塩のオキサロ酢酸への酸化及びその補酵素フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)のFADH
2への還元を触媒することができる。次に、電子移動剤は、FADH
2から作用電極への電子移動を媒介することができる。この反応中に移動した電子は、作用電極におけるアスパラギン酸塩検出の基礎を提供する。次に、作用電極で得られた電気化学信号を、サンプル中に最初に存在したアスパラギン酸塩の量と相関させることができる。
【0207】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、アスパラギンを検出するように構成された少なくとも1つの活性領域を含む。アスパラギンを検出するために使用することができる特定の酵素系を
図23に示す。
図23に示すように、
図22に示したアスパラギン酸塩を検出するための酵素系は、アスパラギナーゼの添加によってアスパラギンを検出するように変更することができる。特定の実施形態では、酵素系は、アスパラギン酸オキシダーゼ及びアスパラギナーゼを含むことができる。
図23に示すように、アスパラギナーゼは、アスパラギンの加水分解を触媒してアスパラギン酸塩を生成する。次に、産生されたアスパラギン酸塩は、
図22及び23に示され、そして上述されるように、アスパラギン酸オキシダーゼによって酸化され得る。例えば、限定するものではないが、アスパラギン酸オキシダーゼは、アスパラギン酸塩のオキサロ酢酸への酸化及びその補酵素FADのFADH
2への還元を触媒し、次に、電子移動剤は、FADH
2から作用電極への電子移動を媒介する。次に、作用電極で得られた電気化学信号を、サンプル中に最初に存在したアスパラギンの量と相関させることができる。
【0208】
任意の適切なアスパラギン酸オキシダーゼを、本開示の被検物質センサにおいて使用することができる。本明細書に開示される被検物質センサにおける使用に好適なアスパラギン酸オキシダーゼの特定の例としては、カリウム依存性及びカリウム非依存性アスパラギン酸オキシダーゼが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、酵素系において使用されるアスパラギン酸オキシダーゼは、カリウム依存性である。特定の他の実施形態では、酵素系において使用されるアスパラギン酸オキシダーゼは、カリウム非依存性である。アスパラギン酸オキシダーゼの非限定的な例としては、Sulfolobus tokodaii,Escherichia coli,Arabidopis thaliana又はThermococcus litoralis由来のL-アスパラギン酸オキシダーゼが挙げられる。例えば、限定するものではないが、本開示のアスパラギン酸塩及びアスパラギンセンサに使用するためのL-アスパラギン酸オキシダーゼは、Nasuら,J.of Biological Chemistry 257(2):626-32(1982);Bifulcoら,Appl.Microbiol.Biotechnol.97(16):7285-95(2013);Washioら,Extremophiles 22(1):59-71(2018);及びHaoら,Plant Science 271:133-142(2018)に開示され、その内容がそれらの全体を参照して本明細書に援用される。
【0209】
任意の好適なアスパラギナーゼを、本開示の被検物質センサにおいて使用することができる。本明細書に開示される被検物質センサでの使用に好適なアスパラギナーゼの特定の例としては、カリウム依存性及びカリウム非依存性アスパラギナーゼが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、酵素系において使用されるアスパラギナーゼは、カリウム依存性である。特定の他の実施形態では、酵素系において使用されるアスパラギナーゼは、カリウム非依存性である。カリウム非依存性及び依存性アスパラギナーゼの非限定的な例は、Ajewoleら,FEBS Journal 285(8):1528-1539(2018)及びBejgerら,Acta Crystallogr.D.Biol.Crystallogr.70(Pt 7):1854-72(2014)に開示され、その内容がそれらの全体を参照して本明細書に援用される。特定の実施形態では、本開示で使用するためのアスパラギナーゼは、インゲンマメ由来のカリウム依存性(PvAspG1)及び/又はカリウム非依存性(PvAspG‐T2)アスパラギナーゼである。
【0210】
特定の実施形態では、本開示は、アスパラギン酸塩を検出するための被検物質センサを提供する。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩を検出するための被検物質センサは、少なくとも1つの作用電極を備えるセンサ尾部と、作用電極の表面上に配置され、アスパラギン酸オキシダーゼを含む少なくとも1つのアスパラギン酸塩応答性活性領域とを含み得る。
【0211】
本開示は、アスパラギンを検出するための被検物質センサをさらに提供する。特定の実施形態では、アスパラギンを検出するための被検物質センサは、少なくとも1つの作用電極を備えるセンサ尾部と、作用電極の表面上に配置され、オキシダーゼ及びヒドロラーゼを備える酵素系を含む少なくとも1つのアスパラギン応答性活性領域とを含み得る。特定の実施形態では、オキシダーゼはアスパラギン酸オキシダーゼである。特定の実施形態では、ヒドロラーゼはアスパラギナーゼである。特定の実施形態では、アスパラギン応答性活性領域は、オキシダーゼ、例えばアスパラギン酸オキシダーゼを含む第1の酵素層と、ヒドロラーゼ、例えばアスパラギナーゼを含む、第1の酵素層上に配置された第2の層とを含む。代わりに又は加えて、オキシダーゼ、例えばアスパラギン酸オキシダーゼ、及びヒドロラーゼ、例えばアスパラギナーゼは、同じ酵素層内に保持される。特定の実施形態では、アスパラギン応答性活性領域に存在するアスパラギン酸オキシダーゼ及びアスパラギナーゼの両方は、カリウム非依存性である。
【0212】
特定の実施形態では、本開示のアスパラギン応答性活性領域は、約100:1から約1:100、例えば、約95:1から約1:95、約90:1から約1:90、約85:1から約1:85、約80:1から約1:80、約75:1から約1:75、約60:1から約1:60、約55:1から約1:55、約50:1から約1:50、約45:1から約1:45、約40:1から約1:40、約35:1から約1:35、約30:1から約1:30、約25:1から約1:25、約20:1から約1:20、約15:1から約1:15、約10:1から約1:10、約9:1から約1:9、約8:1から約1:8、約7:1から約1:7、約6:1から約1:6、約5:1から約1:5、約4:1から約1:4、約3:1から約1:3又は約2:1から約1:2のアスパラギン酸オキシダーゼ対アスパラギナーゼの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン応答性活性領域は、約5:1から約1:5のアスパラギン酸オキシダーゼ対アスパラギナーゼの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン応答性活性領域は、約2:1から約1:2のアスパラギン酸オキシダーゼ対アスパラギナーゼの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン応答性活性領域は、約1:1のアスパラギン酸オキシダーゼ対アスパラギナーゼの比を含むことができる。
【0213】
特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域、例えば、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約10重量%から約80重量%、例えば、約10重量%から約75重量%、約10重量%から約70重量%、約10重量%から約65重量%、約10重量%から約60重量%、約10重量%から約55重量%、約10重量%から約50重量%、約10重量%から約45重量%、約15重量%から約50重量%、約15重量%から約45重量%、約20重量%から約40重量%、約20重量%から約35重量%、約20重量%から約30重量%のアスパラギン酸オキシダーゼを含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域、例えば、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約10重量%から約50重量%のアスパラギン酸オキシダーゼを含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域、例えば、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約15重量%から約45重量%のアスパラギン酸オキシダーゼを含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域、例えば、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約15重量%から約35重量%のアスパラギン酸オキシダーゼを含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域、例えば、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約10重量%から約35重量%のアスパラギン酸オキシダーゼを含むことができる。
【0214】
特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域、例えばアスパラギン応答性活性領域は、約0.1重量%から約50重量%、例えば約0.1重量%から約45重量%、約0.1重量%から約40重量%、約0.1重量%から約35重量%、約0.1重量%から約30重量%、約0.1重量%から約25重量%、約0.1重量%から約20重量%、約0.1重量%から約15重量%、約0.1重量%から約10重量%、約0.5重量%から約45重量%、約0.5重量%から約40重量%、約0.5重量%から約30重量%、約0.5重量%から約25重量%、約0.5重量%から約20重量%、約0.5重量%から約15重量%、約0.5重量%から約10重量%、約0.5重量%から約5重量%、約20重量%から約40重量%、約20重量%から約35重量%、約20重量%から約30重量%のアスパラギナーゼを含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域、例えばアスパラギン応答性活性領域は、約0.1重量%から約20重量%のアスパラギナーゼを含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域、例えばアスパラギン応答性活性領域は、約5重量%から約20重量%のアスパラギナーゼを含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域、例えばアスパラギン応答性活性領域は、約0.1重量%から約5重量%のアスパラギナーゼを含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域、例えばアスパラギン応答性活性領域は、約0.1重量%から約2重量%のアスパラギナーゼを含むことができる。
【0215】
特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、例えば、1つ以上の酵素を安定化させるための安定剤をさらに含むことができる。例えば、限定するものではないが、安定剤は、アルブミン、例えば血清アルブミンであり得る。血清アルブミンの非限定的な例としては、ウシ血清アルブミン及びヒト血清アルブミンが挙げられる。特定の実施形態では、安定剤はヒト血清アルブミンである。特定の実施形態では、安定剤はウシ血清アルブミンである。特定の実施形態では、本開示のアスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約100:1から約1:100、例えば、約95:1から約1:95、約90:1から約1:90、約85:1から約1:85、約80:1から約1:80、約75:1から約1:75、約60:1から約1:60、約55:1から約1:55、約50:1から約1:50、約45:1から約1:45、約40:1から約1:40、約35:1から約1:35、約30:1から約1:30、約25:1から約1:25、約20:1から約1:20、約15:1から約1:15、約10:1から約1:10、約9:1から約1:9、約8:1から約1:8、約7:1から約1:7、約6:1から約1:6、約5:1から約1:5、約4:1から約1:4、約3:1から約1:3又は約2:1から約1:2の安定剤、例えば、血清アルブミン対アスパラギナーゼ及び/又はアスパラギン酸オキシダーゼの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約80:1から約1:80の安定剤対アスパラギナーゼ及び/又はアスパラギン酸オキシダーゼの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約50:1から約1:50の安定剤対アスパラギナーゼ及び/又はアスパラギン酸オキシダーゼの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約10:1から約1:10の安定剤対アスパラギナーゼ及び/又はアスパラギン酸オキシダーゼの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約7:1から約1:7の安定剤対アスパラギナーゼ及び/又はアスパラギン酸オキシダーゼの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約6:1から約1:6の安定剤対アスパラギナーゼ及び/又はアスパラギン酸オキシダーゼの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約5:1から約1:5の安定剤対アスパラギナーゼ及び/又はアスパラギン酸オキシダーゼの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約4:1から約1:4の安定剤対アスパラギナーゼ及び/又はアスパラギン酸オキシダーゼの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約2:1から約1:2の安定剤対アスパラギナーゼ及び/又はアスパラギン酸オキシダーゼの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約1:1の安定剤対アスパラギナーゼ及び/又はアスパラギン酸オキシダーゼの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約5重量%から約50重量%、例えば、約10重量%から約50重量%、約15重量%から約45重量%、約20重量%から約40重量%、約20重量%から約35重量%、約20重量%から約30重量%の安定剤を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約5重量%から約40重量%の安定剤を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約5重量%から約35重量%の安定剤を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約5重量%から約30重量%の安定剤を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約10重量%から約30重量%の安定剤を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約15重量%から約35重量%の安定剤を含むことができる。
【0216】
特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域、例えば、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、被検物質応答性活性領域に存在する1つ以上の酵素の補因子をさらに含むことができる。特定の実施形態では、補因子は、NAD(P)又はFADである。特定の実施形態では、補因子は、被検物質応答性活性領域内に物理的に保持され得る。例えば、限定するものではないが、被検物質応答性活性領域を被覆する膜は、被検物質の検出を可能にするために十分な被検物質の内方拡散を可能にする一方で、被検物質応答性活性領域の中に補因子を保持することに役立ち得る。
【0217】
特定の実施形態では、被検物質センサは、2つの作用電極、例えば、第1の作用電極上に配置された第1の活性領域と、第2の作用電極上に配置された第2の活性領域とを含むことができる。特定の実施形態では、本明細書に開示される被検物質センサは、アスパラギン酸塩応答性活性領域と、アスパラギン酸塩とは異なる被検物質を検出するための第2の活性領域とを特徴とすることができる。特定の実施形態では、本明細書に開示される被検物質センサは、アスパラギン応答性活性領域と、アスパラギン酸塩とは異なる被検物質を検出するための第2の活性領域とを特徴とすることができる。例えば、限定するものではないが、そのような被検物質センサは、少なくとも第1の作用電極及び第2の作用電極を有するセンサ尾部と、第1の作用電極の表面上に配置されたアスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域と、第2の作用電極の表面上に配置され、異なる被検物質を検出するように構成された第2の活性領域、例えば第2の酵素応答性活性領域とを含むことができる。代わりに、特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、少なくとも第1の作用電極及び第2の作用電極を有するセンサ尾部と、第1の作用電極の表面上に配置されたアスパラギン酸塩応答性活性領域と、第2の作用電極の表面上に配置されたアスパラギン応答性活性領域とを含むことができる。特定の実施形態では、センサが2つ以上の被検物質を検出するように構成されるとき、各被検物質の検出は、別個の信号が各被検物質から得られるように、電位を各作用電極にそれぞれ印加することを含むことができる。次に、各々の被検物質から得られた信号を、較正曲線又は関数の使用によって、又はルックアップテーブルを採用することによって、被検物質濃度に相関され得る。特定の実施形態では、被検物質信号と被検物質濃度との相関は、プロセッサの使用によって実施され得る。
【0218】
特定の他の被検物質センサの構成では、第1の活性領域及び第2の活性領域は単一の作用電極の上に配置され得る。第1の信号は、第1の活性領域から例えば低い電位で得ることができ、両方の活性領域からの信号の寄与を含む第2の信号は、高い電位で得ることができる。次に、第2の信号から第1の信号を差し引くことによって、第2の被検物質から生じる信号寄与を決定することが可能になる。次に、各々の被検物質からの信号寄与を、複数の作用電極を有するセンサ構成について記載した様式と同様の様式で被検物質濃度と相関させることができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域と、異なる被検物質を検出するように構成された第2の活性領域(例えば、第2の酵素応答性活性領域)とが、このようにして単一の作用電極上に配置される場合、活性領域のうちの1つは、各被検物質の検出を容易にするために別々に応答することができるように構成され得る。例えば、アスパラギン酸塩/アスパラギン応答性活性領域又は第2の被検物質に応答する第2の活性領域のいずれかは、他方の活性領域とは独立して信号を生成することができる。
【0219】
各々の被検物質に向けられた被検物質センサの感度(出力電流)は、活性領域の被覆(面積又は大きさ)、相互に対する活性領域の面積比、同一性、活性領域を被覆する物質移動制限膜の厚さ及び/又は組成を変更することによって変動し得ることも理解されたい。本明細書の開示の恩恵が認められれば、これらのパラメータの変化は当業者によって容易に実施することができる。
【0220】
3.酸化還元メディエータ
特定の実施形態では、本明細書で開示する被検物質センサは電子移動剤を含み得る。例えば、限定するものではないが、本開示の被検物質センサの少なくとも1つの活性領域は、電子移動剤を含むことができる。特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、電子移動剤を含む少なくとも1つのアスパラギン酸塩応答性活性領域を含むことができる。特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、電子移動剤を含む少なくとも1つのアスパラギン応答性活性領域を含むことができる。
【0221】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、2つ以上の活性領域を含むことができ、1つの活性領域のみ(例えば、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域)が電子移動剤を含む。特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、2つ以上の活性領域を含むことができ、各活性領域は電子移動剤を含む。例えば、限定するものではないが、本開示の被検物質センサは、少なくとも第1の作用電極及び第2の作用電極を有するセンサ尾部と、第1の作用電極の表面上に配置され、第1の電子移動剤を備えるアスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域と、第2の作用電極の表面上に配置され、第2の被検物質に応答する少なくとも1つの酵素及び第2の電子移動剤を備える第2の被検物質応答性活性領域とを含むことができる。特定の実施形態では、第1の電子移動剤と第2の電子移動剤とは同じである。代わりに、第1の電子移動剤と第2の電子移動剤とは異なる。
【0222】
適切な電子移動剤は、被検物質が対応する活性領域内で酵素的酸化還元反応を受けた後に、隣接する作用電極への電子の伝達を容易にすることができ、それによって特定の被検物質の存在を示す電流を生成することができる。生成される電流の量は、存在する被検物質の量に比例する。
【0223】
特定の実施形態では、適切な電子移動剤は、標準カロメル電極(SCE)の酸化還元電位より数百ミリボルト高い又は低い酸化還元電位を有する電気還元可能及び電気酸化可能なイオン、錯体又は分子(例えば、キノン)を含み得る。特定の実施形態では、酸化還元メディエータは、オスミウム錯体及びその他の遷移金属錯体、(例えば、参照によりその全体が本願明細書に援用される米国特許第6,134,461号及び同第6,605,200号に記載される)を含み得る。適切な酸化還元メディエータの更なる例は、米国特許第6,736,957号、同第7,501,053号、及び同第7,754,093号に記載されているものを含み、これらの各々の開示はまた、参照によりその全体が本明細書に援用される。他の適切な酸化還元メディエータの例は、ルテニウム、オスミウム、鉄(例えば、ポリビニルフェロセン又はヘキサシアノ鉄酸塩)、又はコバルトの金属化合物又は錯体(例えば、それらのメタロセン化合物を含む)を含む。金属錯体のための適切な配位子は、例えば、ビピリジン、ビイミダゾール、フェナントロリン、又はピリジル(イミダゾール)のような二座以上の配位子も含み得る。他の適切な二座配位子は、例えば、アミノ酸、シュウ酸、アセチルアセトン、ジアミノアルカン、又はo-ジアミノアレーンを含み得る。単座配位子、二座配位子、三座配位子、四座配位子、又はより高い座数の配位子の任意の組合せが、完全な配位圏を達成するように金属錯体(例えば、オスミウム錯体)中に存在し得る。特定の実施形態では、電子移動剤はオスミウム錯体である。特定の実施形態では、電子移動剤は、二座配位子と錯体を形成したオスミウムである。
【0224】
特定の実施形態では、本明細書で開示する電子移動剤は、以下にさらに論じるように、活性領域の中のポリマー(本明細書でポリマー骨格と称する)への共有結合を促進するために好適な官能基を備え得る。例えば、限定するものではないが、本開示における使用のための電子移動剤は、ポリマーに結合した電子移動剤を含み得る。適切なポリマー結合電子移動剤の非限定的な例は、米国特許第8,444,834号、同第8,268,143号、及び同第6,605,201号に記載されるものを含み、これらの開示は参照によりその全体が本明細書に援用される。特定の実施形態では、電子移動剤は、本明細書に記載したポリマーに結合した二座のオスミウム錯体である。特定の実施形態では、電子移動剤は、本明細書に記載したポリマー、例えば以下のセクション4に記載したポリマー骨格に結合した二座のオスミウム錯体である。特定の実施形態では、米国特許第8,444,834号の
図3に示されたポリマー結合電子移動剤が、本開示のセンサにおいて使用され得る。
【0225】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、作用電極を備えるセンサ尾部と、作用電極の表面上に配置され、アスパラギン酸オキシダーゼ及び電子移動剤を備えるアスパラギン酸塩応答性活性領域とを含むことができる。
【0226】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、作用電極を備えるセンサ尾部と、作用電極の表面上に配置され、アスパラギナーゼ、アスパラギン酸オキシダーゼ及び電子移動剤を備えるアスパラギン応答性活性領域とを含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン応答性活性領域は、アスパラギン酸オキシダーゼ及び電子移動剤を含む第1の酵素層と、アスパラギナーゼを含み、第1の酵素層上に配置された第2の層とを含む。代わりに又は加えて、アスパラギン酸オキシダーゼ、アスパラギナーゼ及び電子移動剤は、同じ酵素層内に保持される。
【0227】
特定の実施形態では、本開示のアスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約100:1から約1:100、例えば、約95:1から約1:95、約90:1から約1:90、約85:1から約1:85、約80:1から約1:80、約75:1から約1:75、約60:1から約1:60、約55:1から約1:55、約50:1から約1:50、約45:1から約1:45、約40:1から約1:40、約35:1から約1:35、約30:1から約1:30、約25:1から約1:25、約20:1から約1:20、約15:1から約1:15、約10:1から約1:10、約9:1から約1:9、約8:1から約1:8、約7:1から約1:7、約6:1から約1:6、約5:1から約1:5、約4:1から約1:4、約3:1から約1:3又は約2:1から約1:2のアスパラギン酸オキシダーゼ及び/又はアスパラギナーゼ対酸化還元メディエータの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約7:1から約1:7のアスパラギン酸オキシダーゼ及び/又はアスパラギナーゼ対酸化還元メディエータの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約6:1から約1:6のアスパラギン酸オキシダーゼ及び/又はアスパラギナーゼ対酸化還元メディエータの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約5:1から約1:5のアスパラギン酸オキシダーゼ及び/又はアスパラギナーゼ対酸化還元メディエータの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約4:1から約1:4のアスパラギン酸オキシダーゼ及び/又はアスパラギナーゼ対酸化還元メディエータの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約3:1から約1:3のアスパラギン酸オキシダーゼ及び/又はアスパラギナーゼ対酸化還元メディエータの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約2:1から約1:2のアスパラギン酸オキシダーゼ及び/又はアスパラギナーゼ対酸化還元メディエータの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約1:1のアスパラギン酸オキシダーゼ及び/又はアスパラギナーゼ対酸化還元メディエータの比を含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域、例えば、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約10重量%から約50重量%の酸化還元メディエータ、例えば、約15重量%から約45重量%、約20重量%から約40重量%、約20重量%から約35重量%又は約20重量%から約30重量%の酸化還元メディエータを含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域、例えば、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約5重量%から約35重量%の酸化還元メディエータを含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域、例えば、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約10重量%から約35重量%の酸化還元メディエータを含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域、例えば、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約10重量%から約30重量%の酸化還元メディエータを含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域、例えば、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域は、約15重量%から約35重量%の酸化還元メディエータを含むことができる。
【0228】
4.ポリマー骨格
特定の実施形態では、被検物質の検出を促進するための1つ以上の活性部位は、酵素及び/又は酸化還元メディエータが共有結合しているポリマーを含み得る。任意の好適なポリマー骨格が、酵素及び/又は酸化還元メディエータのそれへの共有結合を介した被検物質の検出を容易にするために、活性領域の中に存在し得る。活性領域の中の好適なポリマーの非限定的な例は、例えば四級化ピリジン基が酸化還元メディエータ又は酵素のそれへの結合点として働く、ポリビニルピリジン類、例えばポリ(4-ビニルピリジン)及び/又はポリ(2-ビニルピリジン)、及びポリビニルイミダゾール類、例えばポリ(N-ビニルイミダゾール)及びポリ(1-ビニルイミダゾール)、又はそれらのコポリマーを含む。活性領域に含めるために好適であり得る例示的なコポリマーは、例えばスチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、又はアクリロニトリル等のモノマー単位を含むものを含む。特定の実施形態では、ポリマーはビニルピリジンとスチレンのコポリマーである。特定の実施形態では、活性領域の中に存在し得るポリマーは、ポリウレタン又はそのコポリマー及び/又はポリビニルピロリドンを含む。活性領域に存在し得るポリマーのさらなる非限定的な例は、ポリ(アクリル酸)、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー(GANTREZポリマー)、ポリ(ビニルベンジルクロリド)、ポリ(アリルアミン)、ポリリジン、カルボキシペンチル基で四級化されたポリ(4-ビニルピリジン)、及びポリ(4-スチレンスルホン酸ナトリウム)のような、米国特許第6,605,200号(参照によりその全体が本明細書に援用される)に記載されているものを含む。被検物質センサが2つの活性部位を含む特定の実施形態では、各々の活性領域の中のポリマーは同じでも異なっていてもよい。
【0229】
特定の実施形態では、ポリマーはポリビニルピリジン系ポリマーである。特定の実施形態では、ポリマーはポリビニルピリジン又はそのコポリマーである。特定の実施形態では、ポリマーはビニルピリジンとスチレンのコポリマーである。
【0230】
特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域の1つ以上の酵素は、ポリマーに共有結合され得る。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域の1つ以上の酵素は、ポリマーに共有結合され得る。例えば、限定するものではないが、アスパラギン酸オキシダーゼは、アスパラギン酸塩応答性活性領域内のポリマーに共有結合することができる。
【0231】
特定の実施形態では、複数の酵素を含む酵素系が所与の活性領域に存在するときに、複数の酵素の全てがポリマーに共有結合していてよい。特定の他の実施形態では、複数の酵素の一部のみがポリマーに共有結合される。例えば、限定するものではないが、酵素系の中の1つ以上の酵素がポリマーに共有結合してもよく、少なくとも1つの酵素がポリマーと非共有結合してもよく、それにより非共有結合した酵素がポリマーの中に物理的に保持されていてよい。例えば、限定するものではないが、アスパラギン酸オキシダーゼは、開示される被検物質センサのアスパラギン応答性活性領域内のポリマーに共有結合することができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸オキシダーゼは、開示された被検物質センサのアスパラギン酸塩応答性活性領域内のポリマーに共有結合され得る。特定の実施形態では、アスパラギナーゼは、アスパラギン応答性活性領域内のポリマーに共有結合することができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸オキシダーゼは、ポリマーに共有結合されてもよく、アスパラギナーゼは、ポリマーに非共有結合されてもよい。代わりに、アスパラギナーゼはポリマーに共有結合されてもよく、アスパラギン酸オキシダーゼはポリマーに非共有結合されてもよい。1つ以上の酵素が共有結合されない特定の実施形態では、酵素は、アスパラギン酸塩又はアスパラギン応答性活性領域内に物理的に保持され得る。
【0232】
特定の実施形態では、アスパラギン酸塩又はアスパラギン応答性活性領域を被覆する膜は、アスパラギン酸塩又はアスパラギンの検出を可能にするのに十分なアスパラギン酸塩又はアスパラギンの内方拡散を依然として可能にしながら、1つ以上の酵素をアスパラギン酸塩又はアスパラギン応答性活性領域内に保持するのを助けることができる。被検物質応答性活性領域を被覆するために好適な膜ポリマーについては、本明細書でさらに論じる。
【0233】
特定の実施形態では、安定剤が活性領域に存在するとき、領域内の1つ以上の酵素は、安定剤に共有結合され得る。例えば、限定するものではないが、1つ以上の酵素は、活性領域に存在する安定剤、例えばアルブミンに共有結合されてもよい。特定の実施形態では、本開示の活性領域に存在するアスパラギン酸オキシダーゼは、安定剤に共有結合されてもよい。特定の実施形態では、本開示の活性領域に存在するアスパラギナーゼは、安定剤に共有結合されてもよい。
【0234】
特定の実施形態では、所与の活性領域におけるポリマー及び/又は安定剤への1つ以上の酵素及び/又は酸化還元メディエータの共有結合は、好適な架橋剤によって導入される架橋を介して起こり得る。特定の実施形態では、1つ以上の酵素及び/又は酸化還元メディエータへのポリマー及び/又は安定剤の架橋は、電極からの酵素組成物の層間剥離の発生を低減することができる。好適な架橋剤は、限定されないが、ビニル、アルコキシ、アセトキシ、エノキシ、オキシム、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、ハロ、アクリレート、エポキシド、及びイソシアナート基等の1つ以上の架橋可能な官能基を含み得る。特定の実施形態では、架橋剤は1つ以上、2つ以上、3つ以上、又は4つ以上のエポキシド基を備える。例えば、限定するものではないが、本開示における使用のための架橋剤は、モノ-、ジ-、トリ-、及びテトラ-エチレンオキシドを含むことができる。特定の実施形態では、酵素中の遊離アミノ基との(例えばリジン中の遊離側鎖アミンとの)反応のための架橋剤は、例えばポリエチレングリコールジブチルエーテル類、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル類、ポリアルキレングリコールアリルメチルエーテル類、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)、又はその他のポリエポキシド類、塩化シアヌル、N-ヒドロキシスクシンイミド、イミドエステル類、エピクロロヒドリン、又はそれらの誘導体化バリアント等の架橋剤を含み得る。特定の実施形態では、架橋剤は、例えば約200~1000、例えば約400の平均分子量(Mn)を有するPEGDGEである。特定の実施形態では、架橋剤はPEGDGE400である。特定の実施形態では、架橋剤はグルタルアルデヒドであり得る。特定の実施形態では、ポリマーへの酵素の架橋は、一般的に分子間である。特定の実施形態では、ポリマーへの酵素の架橋は、一般的に分子内である。
【0235】
特定の実施形態では、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギン応答性活性領域は、約100:1から約1:100の架橋剤対活性領域の1つ以上の酵素、例えば、アスパラギン及び/又はアスパラギン酸オキシダーゼの比を含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギン応答性活性領域は、約40:1~約1:40、例えば約35:1~約1:35、約30:1~約1:30、約25:1~約1:25、約20:1~約1:20、約15:1~約1:15、約10:1~約1:10、約9:1~約1:9、約8:1~約1:8、約7:1~約1:7、約6:1~約1:6、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2又は約1:1の架橋剤対活性領域の1つ以上の酵素、例えば、アスパラギン及び/又はアスパラギン酸オキシダーゼの比を含み得る。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギン応答性活性領域は、約5重量%から約50重量%、例えば、約5重量%から約45重量%、約5重量%から約40重量%、約5重量%から約35重量%、約10重量%から約30重量%又は約10重量%から約25重量%の架橋剤を含むことができる。
【0236】
5.物質移動制限膜
特定の実施形態では、本明細書に開示される被検物質センサは、少なくとも1つの活性領域、例えば、第1の活性領域及び/又は第2の活性領域を被覆し、1つ以上の被検物質に対して透過性である膜をさらに含む。例えば、限定するものではないが、膜は、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギンに対して透過性である。特定の実施形態では、膜は、被検物質センサの活性領域の各々を被覆する。代わりに、第1の膜が活性領域の1つを覆い、第2の膜が第2の活性領域を被覆する。代わりに、第1の膜が活性領域の1つを覆い、第2の膜が第1及び第2の活性領域の両方を被覆する。
【0237】
特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域を被覆する膜は、物質移動制限膜として、及び/又は生体適合性を改善するために、機能し得る。物質移動制限膜は、被検物質の物質移動の速度を低減するための拡散制限バリアとして作用し得る。例えば、限定するものではないが、物質移動制限膜によって被検物質応答性活性領域への被検物質、例えばアスパラギン酸塩又はアスパラギンのアクセスを制限することによって、センサの過負荷(飽和)を避けることに役立ち、それにより、検出性能及び精度を改善し得る。
【0238】
特定の実施形態では、物質移動制限膜は均一であってよく、単一成分であってよい(単一膜ポリマーを含む)。代わりに、物質移動制限膜は多成分であってよい(2つ以上の異なる膜ポリマーを含む)。特定の実施形態では、多成分膜は、二層膜として又は2つ以上の膜ポリマーの均一な混合物として存在し得る。均一な混合物は、2つ以上の膜ポリマーを溶液中で混合し、次に、この溶液を作用電極上に堆積すること(例えば、ディップコーティング)によって堆積され得る。
【0239】
特定の実施形態では、物質移動制限膜は、2つ以上の層、例えば二層又は三層の膜を含み得る。特定の実施形態では、各層は異なる濃度又は厚さで、異なるポリマー又は同じポリマーを備え得る。特定の実施形態では、第1の被検物質応答性活性領域は、多層膜、例えば、二層膜によって覆われてもよく、第2の被検物質応答性活性領域は、単一膜によって覆われてもよい。特定の実施形態では、第1の被検物質応答性活性領域は、多層膜、例えば、二層膜によって覆われてもよく、第2の被検物質応答性活性領域は、多層膜、例えば、二層膜によって覆われてもよい。特定の実施形態では、第1の被検物質応答性活性領域は、単一膜によって覆われてもよく、第2の被検物質応答性活性領域は、多層膜によって覆われてもよく、例えば、二層膜は、単一膜によって覆われてもよい。特定の実施形態では、第1の被検物質応答性活性領域は、単一膜によって覆われてもよく、第2の被検物質応答性活性領域は、単一膜によって覆われてもよい。
【0240】
特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ヘテロ環窒素基を含むポリマーを含み得る。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ビニルピリジンとスチレンとのコポリマー、ポリウレタン又はポリエーテルウレタン、又は化学的に関連する材料、又はシリコーンから作製される膜などを含むことができる。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリビニルピリジン系ポリマーを含み得る。ポリビニルピリジン系ポリマーの非限定的な例は、その内容が参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許公開第2003/0042137号(例えば式2b)に開示されている。
【0241】
特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリビニルピリジン(例えばポリ(4-ビニルピリジン)又はポリ(4-ビニルピリジン)、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジンコポリマー(例えばビニルピリジンとスチレンのコポリマー)、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン-コ-テトラフルオロエチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、生体安定性ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタンのホモポリマー、コポリマー、又はターポリマー、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニリデンジフルオリド、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルエーテルケトン、セルロースポリマー、ポリスルホン及び例えばジブロック、トリブロック、交互、ランダム、及びグラフトコポリマーを含むそれらのブロックコポリマー、又は化学的に関連する材料その他を含み得る。
【0242】
特定の実施形態では、本開示における使用のための膜、例えば単一成分膜は、ポリビニルピリジン(例えばポリ(4-ビニルピリジン)及び/又はポリ(2-ビニルピリジン)を含み得る。特定の実施形態では、本開示における使用のための膜、例えば単一成分膜は、ポリ(4-ビニルピリジン)を含み得る。特定の実施形態では、本開示において使用するための膜、例えば、単一成分膜は、ビニルピリジンとスチレンとのコポリマーを含み得る。特定の実施形態では、膜はポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーを備え得る。例えば、限定するものではないが、本開示における使用のためのポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーは、ピリジン窒素原子の一部が、架橋されていないポリエチレングリコール尾部によって官能化され、かつピリジン窒素原子の一部がアルキルスルホン酸、例えば、プロピルスルホン酸基によって官能化されたポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーを含み得る。特定の実施形態では、膜ポリマーとしての使用のための誘導体化されたポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーは、その内容が参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第8,761,857号に記載された10Q5ポリマーであり得る。特定の実施形態では、ポリビニルピリジン系ポリマーは、約50Da~約500kDaの分子量を有する。
【0243】
ビニルピリジンとスチレンの好適なコポリマーは、約0.01%~約50%モルパーセント、又は約0.05%~約45%モルパーセント、又は約0.1%~約40%モルパーセント、又は約0.5%~約35%モルパーセント、又は約1%~約30%モルパーセント、又は約2%~約25%モルパーセント、又は約5%~約20%モルパーセントの範囲のスチレン含量を有し得る。置換スチレン類が同様に同様の量で使用され得る。ビニルピリジンとスチレンの好適なコポリマーは、5kDa以上、又は約10kDa以上、又は約15kDa以上、又は約20kDa以上、又は約25kDa以上、又は約30kDa以上、又は約40kDa以上、又は約50kDa以上、又は約75kDa以上、又は約90kDa以上、又は約100kDa以上の分子量を有し得る。非限定的な例では、ビニルピリジンとスチレンの好適なコポリマーは、約5kDa~約150kDa、又は約10kDa~約125kDa、又は約15kDa~約100kDa、又は約20kDa~約80kDa、又は約25kDa~約75kDa、又は約30kDa~約60kDaの範囲の分子量を有し得る。
【0244】
特定の実施形態では、膜は、それだけに限らないが、ポリ(スチレン-コ-無水マレイン酸)、ドデシルアミン及びポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)ビス(2-アミノプロピルエーテル)で架橋されたポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)(2-アミノプロピルエーテル);ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド);ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)のコポリマー;又はそれらの組合せ等のポリマーを備え得る。
【0245】
特定の実施形態では、膜は、親水性と疎水性の両方の領域を含むポリウレタン膜を含む。特定の実施形態では、疎水性ポリマー成分は、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、又はポリ(エーテル-ウレタン-ウレア)である。特定の実施形態では、ポリウレタンは、ジイソシアナートと二官能性ヒドロキシル含有材料との縮合反応によって生成されるポリマーである。特定の実施形態では、ポリウレタンウレアは、ジイソシアナートと二官能性アミン含有材料との縮合反応によって生成されるポリマーである。特定の実施形態では、本明細書における使用のためのジイソシアナートは、例えば約4~約8個のメチレン単位を含む脂肪族ジイソシアナート、又は脂環式部分を含むジイソシアナートを含む。本開示のセンサの膜の生成のために使用され得るポリマーのさらなる非限定的な例は、ビニルポリマー、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、無機ポリマー(例えばポリシロキサン及びポリカルボシロキサン)、天然ポリマー(例えばセルロース系及びタンパク質ベース材料)、及び混合物(例えば混合された又は層化された構造)、又はそれらの組合せを含む。特定の実施形態では、親水性ポリマー成分は、ポリエチレンオキシド及び/又はポリエチレングリコールである。特定の実施形態では、親水性ポリマー成分はポリウレタンコポリマーである。例えば、限定するものではないが、本開示における使用のための疎水性-親水性コポリマー成分は、約10%~約50%、例えば約20%の親水性ポリエチレンオキシドを備えるポリウレタンポリマーである。
【0246】
特定の実施形態では、膜はシリコーンポリマー/疎水性-親水性ポリマーブレンドを含む。特定の実施形態では、ブレンド中での使用のための疎水性-親水性ポリマーは、それだけに限らないが、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール又はポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類、及び例えばジブロック、トリブロック、交互、ランダム、くし型、星型、樹状、及びグラフトコポリマーを含むそれらのコポリマー等の任意の好適な疎水性-親水性ポリマーであり得る。特定の実施形態では、疎水性-親水性ポリマーは、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)とポリ(プロピレンオキシド)(PPO)のコポリマーである。PEOとPPOのコポリマーの非限定的な例は、PEO-PPOジブロックコポリマー、PPO-PEO-PPOトリブロックコポリマー、PEO-PPO-PEOトリブロックコポリマー、PEO-PPOの交互ブロックコポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダムコポリマー、及びそれらのブレンドを含む。特定の実施形態では、コポリマーはヒドロキシ置換基によって置換され得る。
【0247】
特定の実施形態では、親水性又は疎水性の改質剤を用いて、目的の被検物質に対する得られた膜の透過性を「微調整」することができる。特定の実施形態では、ポリ(エチレン)グリコール、ヒドロキシル又はポリヒドロキシル改質剤等の親水性改質剤、及びそれらの任意の組合せを用いて、ポリマー又は得られる膜の生体適合性を向上させることができる。
【0248】
複数の活性領域が存在する特定の実施形態では、物質移動制限膜が、異なる活性領域における組成の変更の選択を含めて各活性領域を被覆することができ、これはセンサ先端により密接に配置された作用電極において二層膜部分を生成する連続的なディップコーティング操作を介して達成され得る。
【0249】
複数の活性領域が存在する特定の実施形態では、別個の物質移動制限膜が、各活性領域を被覆し得る。例えば、限定するものではないが、物質移動制限膜は、第1の活性領域、例えば、アスパラギン酸塩応答性活性領域又はアスパラギン応答性活性領域上に配置することができ、別個の第2の物質移動制限膜は、第2の活性領域を被覆することができる。特定の実施形態では、2つの物質移動制限膜は空間的に分離されており、相互に重ならない。特定の実施形態では、第1の物質移動制限膜は第2の物質移動制限膜と重ならず、第2の物質移動制限膜は第1の物質移動制限膜と重ならない。代わりに、第2の物質移動制限膜は、第1の物質移動制限膜に重なる。特定の実施形態では、第1の物質移動制限膜は第2の物質移動制限膜とは異なるポリマーを備える。代わりに、第1の物質移動制限膜は、第2の物質移動制限膜と同じポリマーを備える。特定の実施形態では、第1の物質移動制限膜は、第2の物質移動制限膜と同じポリマーを備えるが、異なる架橋剤を備える。
【0250】
特定の実施形態では、2つの活性領域を有する被検物質センサ上に配置された物質移動制限膜の組成は、物質移動制限膜が各活性領域を被覆している場合に、同じでも異なってもよい。例えば、限定するものではないが、アスパラギン酸塩又はアスパラギン応答性活性領域を被覆する物質移動制限膜の部分は多成分であってもよく、及び/又は第2の被検物質応答性活性領域を被覆する物質移動制限膜の部分は単一成分であってもよい。代わりに、アスパラギン酸塩又はアスパラギン応答性活性領域を被覆する物質移動制限膜の部分は単一成分であってもよく、及び/又は第2の被検物質応答性活性領域を被覆する物質移動制限膜の部分は多成分であってもよい。
【0251】
特定の実施形態では、膜、例えば、単一成分膜は、ポリビニルピリジンを含むことができる。特定の実施形態では、膜、例えば、単一成分膜は、ビニルピリジンとスチレンとのコポリマーを含むことができる。本開示の特定の実施形態では、アスパラギン酸塩又はアスパラギン応答性活性領域は、少なくとも2つのポリマー、例えば、ポリビニルピリジン及びポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーを備える多成分膜で、二層膜又は均一な混合物のいずれかとして被覆されてもよく、第2の被検物質応答性活性領域は、単一ポリマー、例えば、ポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーを備える膜で被覆されてもよい。
【0252】
特定の実施形態では、物質移動制限膜は、本明細書及び上記のセクション4に開示される架橋剤で架橋された膜ポリマーを備えることができる。2つの物質移動制限膜、例えば第1の物質移動制限膜と第2の物質移動制限膜が存在する特定の実施形態では、各膜が異なる架橋剤に架橋され得る。例えば、限定するものではないが、架橋剤は、例えば膜の中の細孔のサイズに影響を及ぼすことによって、特定の化合物、例えば膜の中の被検物質の拡散をより制限するか、又は特定の化合物の拡散をあまり制限しない膜をもたらし得る。例えば、限定するものではないが、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギンを検出するように構成されたセンサにおいて、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギン活性領域を被覆する物質移動制限膜は、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギンよりも大きい化合物が膜を通って拡散するのを制限する孔径を有することができる。
【0253】
特定の実施形態では、本開示における使用のための架橋剤は、ポリエポキシド、カルボジイミド、塩化シアヌル、トリグリシジルグリセロール(Gly3)、N-ヒドロキシスクシンイミド、イミドエステル類、エピクロロヒドリン、又はそれらの誘導体化バリアントを含み得る。特定の実施形態では、1つ以上の活性領域を被覆する膜ポリマーは、例えば物質移動制限膜から得られる抽出物の量を減少させることができる分岐架橋剤に架橋され得る。分岐架橋剤の非限定的な例は、例えば2つ、3つ、又はそれ以上の架橋性基を含む分岐グリシジルエーテル架橋剤を含む分岐グリシジルエーテル架橋剤を含む。特定の実施形態では、分岐架橋剤は、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等の2つ以上の架橋性基を含み得る。特定の実施形態では、分岐架橋剤は、ポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテル等の3つ以上の架橋性基を含み得る。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテル又はポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等の2つ又は3つの架橋性基を含む分岐グリシジルエーテル架橋剤に架橋されたポリビニルピリジン又はビニルピリジンとスチレンのコポリマーを含み得る。特定の実施形態では、ポリエポキシド、例えばポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテル又はポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシド基は、エポキシド環の開環によってピリジン又はイミダゾールと共有結合を形成し、架橋剤の本体と膜ポリマーのヘテロ環とを架橋するヒドロキシアルキル基をもたらすことができる。
【0254】
特定の他の実施形態では、1つ以上の活性領域を被覆する膜ポリマーは、3つ以上の架橋性基を含む分岐架橋剤(例えば、ポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテル)で架橋されてもよく、これは、上記のように、物質移動制限膜から得られ得る抽出物の量を減少させ得る。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテル等の3つの架橋性基を含む分岐グリシジルエーテル架橋剤に架橋されたポリビニルピリジン又はビニルピリジンとスチレンのコポリマーを含み得る。特定の実施形態では、ポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテルのエポキシド基は、エポキシド環の開環によってピリジン又はイミダゾールと共有結合を形成し、架橋剤の本体と膜ポリマーのヘテロ環とを架橋するヒドロキシアルキル基をもたらすことができる。
【0255】
特定の実施形態では、架橋剤はポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)である。特定の実施形態では、2つ以上の膜ポリマー骨格の間の架橋(例えば分子間架橋)を促進するために用いられるPEGDGEは、広範囲の好適な分子量を示し得る。特定の実施形態では、PEGDGEの分子量は、約100g/モル~約5000g/モルの範囲であり得る。PEGDGEの各アームにおけるエチレングリコール繰り返し単位の数は同じでも異なってもよく、一般に、平均分子量が得られる所与のサンプルの中の範囲にわたって変動し得る。特定の実施形態では、本開示における使用のためのPEGDGEは、約200~1000、例えば約400の平均分子量(Mn)を有する。特定の実施形態では、架橋剤はPEGDGE400である。
【0256】
特定の実施形態では、2つ以上の膜ポリマー骨格の間の架橋(例えば分子間架橋)を促進するために用いられるポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテルは、広範囲の好適な分子量を示し得る。4つまでのポリマー骨格が、ポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテル架橋剤の単一分子によって架橋され得る。特定の実施形態では、ポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテルの分子量は、約1000g/モル~約5000g/モルの範囲であり得る。ポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテルの各アームにおけるエチレングリコール繰り返し単位の数は同じでも異なってもよく、一般に、平均分子量が得られる所与のサンプルの中の範囲にわたって変動し得る。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、活性領域上に直接堆積され得る。
【0257】
特定の実施形態では、ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、本明細書で開示される物質移動制限膜のいずれかに組み込まれ得る。
特定の実施形態では、本明細書に記載される被検物質センサは、少なくとも第1の作用電極を備えるセンサ尾部と、第1の作用電極の表面上に配置され、第1の被検物質を検出するための第1の被検物質応答性活性領域と、少なくとも第1の被検物質応答性活性領域を覆い、第1の被検物質に対して透過性のある物質移動制限膜とを備えることができる。特定の実施形態では、第1の被検物質応答性活性領域は、第1の被検物質に応答する少なくとも1つの酵素を含む、第1の被検物質、例えば、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギンに応答する酵素系を備える。特定の実施形態では、第1の被検物質応答性活性領域は、電子移動剤及び/又は第1のポリマーを含む(任意選択で、第1の被検物質応答性活性部位内に存在する酵素は、第1のポリマーに共有結合される)。
【0258】
特定の実施形態では、本明細書に記載された被検物質センサは、少なくとも第1の作用電極を備えるセンサ尾部と、第1の作用電極の表面上に配置され、アスパラギン酸オキシダーゼ(酵素は、任意選択で、ポリマーに共有結合することができる)を備える少なくとも1つのアスパラギン酸塩応答性活性領域と、アスパラギン酸塩応答性活性領域を被覆し、アスパラギン酸塩に対して透過性のある物質移動制限膜とを備えることができる。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、3つ以上の架橋性基を備える分岐グリシジルエーテル架橋剤で架橋された膜ポリマーを備える。特定の実施形態では、アスパラギン酸塩応答性活性領域は、電子移動剤をさらに含む。
【0259】
特定の実施形態では、本明細書に記載された被検物質センサは、少なくとも第1の作用電極を備えるセンサ尾部と、第1の作用電極の表面上に配置され、アスパラギン酸オキシダーゼ及びアスパラギナーゼ(一方又は両方の酵素が、任意選択で、ポリマーに共有結合することができる)を含む酵素系を備える少なくとも1つのアスパラギン応答性活性領域と、アスパラギン応答性活性領域を被覆し、アスパラギンに対して透過性のある物質移動制限膜とを備えることができる。特定の実施形態では、アスパラギン酸オキシダーゼは第1の層中に存在し、アスパラギナーゼは第2の層中に存在する。特定の実施形態では、アスパラギン酸オキシダーゼ及びアスパラギナーゼは、単一層中に存在する。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、3つ以上の架橋性基を備える分岐グリシジルエーテル架橋剤で架橋された膜ポリマーを備える。特定の実施形態では、アスパラギン応答性活性領域は、電子移動剤をさらに含む。
【0260】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、第1の活性領域と同じ被検物質又は異なる被検物質を検出するように構成された第2の活性領域を含むことができる。特定の実施形態では、第1の活性領域を被覆する物質移動制限膜の少なくとも一部は、第2の活性領域を被覆することができる。代わりに又は加えて、第2の物質移動制限膜を使用して、第2の活性領域を被覆することができる。特定の実施形態では、第2の活性領域を被覆する第2の物質移動制限膜の少なくとも一部は、第1の活性領域を被覆することができる。特定の実施形態では、第1の活性領域を被覆する物質移動制限膜は、第2の物質移動制限膜とは異なる組成のものである。
【0261】
特定の実施形態では、異なる被検物質をアッセイするように構成された第1の活性領域と第2の活性領域が別の作用電極の上に配置されると、物質移動制限膜は第1の被検物質と第2の被検物質に対して異なる透過性値を有し得る。例えば、限定するものではないが、活性領域の少なくとも1つを被覆する物質移動制限膜は、第1の膜ポリマーと第2の膜ポリマーの混合物、又は第1の膜ポリマーと第2の膜ポリマーの二層を含み得る。均一な膜が混合物又は二層によって被覆されていない活性領域を被覆してもよく、均一な膜は第1の膜ポリマー又は第2の膜ポリマーの一方のみを含む。有利なことに、本明細書に開示された被検物質センサのアーキテクチャは、均一な膜部分を有する連続膜が被検物質センサの第1の活性領域の上に配置されること、及び、多成分膜部分が被検物質センサの第2の活性領域の上に配置されることを可能にし、それにより、各被検物質に対する透過性値が同時に平準化され、感度及び検出精度を改善する。特定の実施形態では、連続的なディップコーティング操作によって連続的な膜堆積を行なうことができる。
【0262】
特定の実施形態では、物質移動制限膜は、約0.1μm~約1000μm、例えば約1μm~約500μm、約10μm~約100μm、又は約10μm~約100μmの範囲の厚さ、例えば乾燥厚さを有する。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、約0.1μmから約100μm、例えば、約1μmから約90μm、約1μmから約80μm、約1μmから約70μm、約1μmから約60μm、約1μmから約50μm、約1μmから約40μm、約1μmから約30μm、約1μmから約20μm、約0.5μmから約10μm、約1μmから約10μm、約1μmから約5μm又は約0.1μmから約5μmの厚さを有することができる。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、約1μmから約100μmの厚さを有することができる。
【0263】
6.干渉ドメイン
特定の実施形態では、本開示のセンサ、例えばセンサ尾部は干渉ドメインをさらに備え得る。特定の実施形態では、干渉ドメインは、例えば作用電極の表面への1つ以上の干渉物質の流れを制限するポリマードメインを含み得る。特定の実施形態では、干渉ドメインは、作用電極によって測定される被検物質及び他の物質を通過させる一方、干渉物質等の他の物質の通過を防止する分子ふるいとして機能し得る。特定の実施形態では、干渉物質は、作用電極で得られる信号に影響を及ぼし得る。干渉物質の非限定的な例は、アセトアミノフェン、アルコルビン酸塩、アスコルビン酸、ビリルビン、コレステロール、クレアチニン、ドーパミン、エフェドリン、イブプロフェン、L-ドーパ、メチルドーパ、サリチル酸塩、テトラサイクリン、トラザミド、トルブタミド、トリグリセリド、尿素、及び尿酸を含む。
【0264】
特定の実施形態では、干渉ドメインは、作用電極と1つ以上の活性領域、例えば、アスパラギン酸塩応答性活性領域及び/又はアスパラギン応答性活性領域との間に位置する。特定の実施形態では、干渉ドメインにおいて使用され得るポリマーの非限定的な例は、ポリウレタン、ペンダントイオン性基を有するポリマー、及び制御された孔径を有するポリマーを含む。特定の実施形態では、干渉ドメインは1つ以上のセルロース系誘導体から形成される。セルロース系誘導体の非限定的な例は、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、2-ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートトリメリテート等のポリマーを含む。
【0265】
特定の実施形態では、干渉ドメインは、物質移動制限膜の一部であり、別個の膜ではない。特定の実施形態では、干渉ドメインは、1つ以上の活性領域と物質移動制限膜との間に位置する。
【0266】
特定の実施形態では、干渉ドメインは、非膨潤性で高分子量種の拡散を制限する薄い疎水性膜を含む。例えば、限定するものではないが、干渉ドメインは、比較的低分子量の物質に対して透過性である一方で、より高分子量の物質の通過を制限することができる。
【0267】
特定の実施形態では、干渉ドメインは作用電極の上に、例えば透過性作用電極の表面の上に、直接堆積され得る。特定の実施形態では、干渉ドメインは、約0.1μm~約1000μm、例えば約1μm~約500μm、約10μm~約100μm、又は約10μm~約100μmの範囲の厚さ、例えば乾燥厚さを有する。特定の実施形態では、干渉ドメインは、約0.1μmから約100μm、例えば、約1μmから約90μm、約1μmから約80μm、約1μmから約70μm、約1μmから約60μm、約1μmから約50μm、約1μmから約40μm、約1μmから約30μm、約1μmから約20μm、約0.5μmから約10μm、約1μmから約10μm、約1μmから約5μm又は約0.1μmから約5μmの厚さを有することができる。特定の実施形態では、センサは干渉ドメインの溶液に2回以上浸され得る。例えば、限定するものではないが、本開示のセンサ(又は作用電極)は、所望の干渉ドメインの厚さを得るために、干渉ドメインの溶液に少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、又は少なくとも5回、浸され得る。
【0268】
7.製造
本開示は、アスパラギン酸塩又はアスパラギンを検出するための1つ以上の活性部位を含む開示された被検物質センサを製造するための方法をさらに提供する。
【0269】
特定の実施形態では、本方法は、作用電極をスクリーン印刷することを含む。特定の実施形態では、本方法は、酵素を備える組成物を作用電極の表面上に添加して、作用電極の上に活性部位を生成することをさらに含み得る。例えば、限定するものではないが、組成物はアスパラギン酸オキシダーゼを含むことができる。特定の実施形態では、組成物は、アスパラギナーゼをさらに含むことができる。特定の実施形態では、組成物は、電子移動剤をさらに含むことができる。特定の実施形態では、組成物は、架橋剤、例えば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、及び安定剤、例えば、BSAなどのアルブミンをさらに含むことができる。特定の実施形態では、本方法は酵素組成物を硬化させることをさらに含み得る。
【0270】
代わりに、アスパラギン酸オキシダーゼを含む第1の酵素組成物を最初に作用電極の表面上に堆積させて、作用電極上に被検物質応答性活性領域を生成することができる。特定の実施形態では、第1の酵素組成物は、酸化還元メディエータ、架橋剤、例えば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、及び/又は安定剤、例えば、BSAなどのアルブミンをさらに含むことができる。特定の実施形態では、本方法は、第1の酵素組成物を硬化させて第1の酵素層を生成することを含むことができる。特定の実施形態では、本方法は、アスパラギナーゼを含む第2の酵素組成物を第1の酵素層の表面上に堆積させることと、第2の酵素組成物を硬化させて第2の酵素層を生成することとを含むことができる。特定の実施形態では、第2の酵素組成物は、架橋剤、例えば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、及び/又は安定剤、例えば、BSAなどのアルブミンを含むことができる。
【0271】
特定の実施形態では、本方法は、硬化酵素組成物(複数)の上に膜組成物を添加することをさらに含むことができる。特定の実施形態では、膜組成物は、ポリマー、例えばポリビニルピリジン及び/又は架橋剤、例えばポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを含み得る。特定の実施形態では、本方法はポリマー組成物を硬化させることを含み得る。
【0272】
一般に、膜の厚さは、膜溶液の濃度、塗布する膜溶液の液滴の数、センサを膜溶液に浸す又はセンサに膜溶液を噴霧する回数、センサに噴霧する膜溶液の体積等、及びこれらの要素の任意の組合せによって制御される。特定の実施形態では、本明細書に記載した膜は、約0.1マイクロメートル(μm)~約1000μm、例えば約1μm~約500μm、約10μm~約100μm、又は約10μm~約100μmの範囲の厚さを有し得る。特定の実施形態では、センサは膜溶液に2回以上浸され得る。例えば、限定するものではないが、本開示のセンサ(又は作用電極)は、所望の膜の厚さを得るために、膜溶液に少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回又は少なくとも6回浸され得る。
【0273】
特定の実施形態では、膜は、1つ以上の活性領域を覆ってもよく、特定の実施形態において、活性領域は、約0.1μmから約100μm、例えば、約1μmから約90μm、約1μmから約80μm、約1μmから約70μm、約1μmから約60μm、約1μmから約50μm、約1μmから約40μm、約1μmから約30μm、約1μmから約20μm、約0.5μmから約10μm、約1μmから約10μm、約1μmから約5μm又は約0.1μmから約5μmの厚さを有することができる。特定の実施形態では、活性領域及び/又は膜の所望の厚さを達成するために、塗布する液滴の直径を実質的に増加させることなく(すなわち所望の直径又はその範囲を維持しながら)、一連の液滴を互いの上に塗布してよい。特定の実施形態では、各単一の液滴を塗布し、次に、放冷又は乾燥させ、続いて1つ以上のさらなる液滴を塗布し得る。例えば、限定するものではないが、活性領域の所望の厚さを達成するために、少なくとも1つの液滴、少なくとも2つの液滴、少なくとも3つの液滴、少なくとも4つの液滴、又は少なくとも5つの液滴を互いの上に添加する。
【0274】
III.使用方法
本開示は、本明細書に開示された被検物質センサを使用する方法をさらに提供する。特定の実施形態では、本開示は、被検物質を検出するための方法を提供する。例えば、限定するものではないが、本開示は、例えば、それを必要とする対象において、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギンを含む1つ以上の被検物質を検出するための方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、アスパラギン酸塩を検出するための方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、アスパラギンを検出するための方法を提供する。
【0275】
特定の実施形態では、アスパラギン酸塩を検出するための方法は、(i)被検物質センサを提供することであって(a)少なくとも第1の作用電極を含むセンサ尾部と、(b)作用電極の表面上に配置され、アスパラギン酸オキシダーゼと、任意選択で、第1のポリマー及び/又は酸化還元メディエータとを含む少なくとも1つのアスパラギン酸塩応答性活性領域と、(c)アスパラギン酸塩応答性活性領域を被覆し、アスパラギン酸塩に対して透過性のある物質移動制限膜とを含む被検物質センサを提供することを含む。特定の実施形態では、本方法は、(ii)第1の作用電極に電位を印加することと、(iii)アスパラギン酸塩応答性活性領域の酸化還元電位以上で、アスパラギン酸塩応答性活性領域に接触する流体中のアスパラギン酸塩濃度に比例している第1の信号を得ることと、(iv)第1の信号を流体、例えば体液中のアスパラギン酸塩濃度に相関させることとをさらに含む。
【0276】
特定の実施形態では、アスパラギン酸塩を検出するための方法は、(i)被検物質センサをアスパラギン酸塩を備える流体に曝露することであって、(a)少なくとも第1の作用電極を備えるセンサ尾部と、(b)第1の作用電極の表面上に配置され、アスパラギン酸塩に応答し、アスパラギン酸オキシダーゼ及び任意選択で第1のポリマー及び/又は酸化還元メディエータを含む少なくとも1つのアスパラギン酸塩応答性活性領域と、(c)アスパラギン酸塩応答性活性領域を被覆し、アスパラギン酸塩に対して透過性のある物質移動制限膜とを備える被検物質センサをアスパラギン酸塩を備える流体に曝露することと、(ii)第1の作用電極に電位を印加することと、(iii)アスパラギン酸塩応答活性領域の酸化還元電位以上で、流体中のアスパラギン酸塩の濃度に比例している第1の信号を得ることと、(iv)第1の信号を流体、例えば、体液中のアスパラギン酸塩の濃度に相関させることとを含むことができる。
【0277】
特定の実施形態では、アスパラギンを検出するための方法は、(i)被検物質センサを提供することであって(a)少なくとも第1の作用電極を含むセンサ尾部と、(b)作用電極の表面上に配置され、アスパラギン酸オキシダーゼと、アスパラギナーゼと、任意選択で、第1のポリマー及び/又は酸化還元メディエータとを備える酵素系を含む少なくとも1つのアスパラギン応答性活性領域と、(c)アスパラギン応答性活性領域を被覆し、アスパラギンに対して透過性のある物質移動制限膜とを含む被検物質センサを提供することを含む。特定の実施形態では、本方法は、(ii)第1の作用電極に電位を印加することと、(iii)アスパラギン応答性活性領域の酸化還元電位以上で、アスパラギン応答性活性領域に接触する流体中のアスパラギン濃度に比例している第1の信号を得ることと、(iv)第1の信号を流体、例えば体液中のアスパラギン濃度に相関させることとをさらに含む。特定の実施形態では、アスパラギン応答性活性領域は、第1の作用電極上に配置されたアスパラギン酸オキシダーゼ層と、アスパラギン酸オキシダーゼ層上に配置されたアスパラギナーゼ層とを含む。特定の実施形態では、アスパラギン酸オキシダーゼ層はアスパラギン酸オキシダーゼ及び酸化還元メディエータを含み、アスパラギナーゼ層はアスパラギナーゼを含む。代わりに、アスパラギン応答性活性領域は、第1の作用電極上に配置された単一酵素層中にアスパラギン酸オキシダーゼ及びアスパラギナーゼを含む。
【0278】
特定の実施形態では、アスパラギンを検出する方法は、(i)被検物質センサをアスパラギンを備える流体に曝露することであって、(a)少なくとも第1の作用電極を備えるセンサ尾部と、(b)第1の作用電極の表面上に配置され、アスパラギンに応答し、アスパラギン酸オキシダーゼと、アスパラギナーゼと、任意選択で第1のポリマー及び/又は酸化還元メディエータとを備える酵素系を含むアスパラギン応答性活性領域と、(c)アスパラギン応答性活性領域を被覆し、アスパラギンに対して透過性のある物質移動制限膜とを備える被検物質センサをアスパラギンを備える流体に曝露することと、(ii)第1の作用電極に電位、例えば、低電位を印加することと、(iii)アスパラギン応答性活性領域の酸化還元電位以上で、流体中のアスパラギン濃度に比例している第1の信号を得ることと、(iv)第1の信号を流体、例えば、体液中のアスパラギン濃度に相関させることとを含むことができる。特定の実施形態では、アスパラギン応答性活性領域は、第1の作用電極上に配置されたアスパラギン酸オキシダーゼ層と、アスパラギン酸オキシダーゼ層上に配置されたアスパラギナーゼ層とを含む。特定の実施形態では、アスパラギン酸オキシダーゼ層はアスパラギン酸オキシダーゼ及び酸化還元メディエータを含み、アスパラギナーゼ層はアスパラギナーゼを含む。代わりに、アスパラギン応答性活性領域は、第1の作用電極上に配置された単一酵素層中にアスパラギン酸オキシダーゼ及びアスパラギナーゼを含む。
【0279】
特定の実施形態では、膜ポリマーはポリビニルピリジン又はポリビニルイミダゾールを備える。特定の実施形態では、膜ポリマーはビニルピリジンとスチレンのコポリマーを備える。特定の実施形態では、被検物質センサの物質移動制限膜は3つ以上の架橋性基を備える分岐架橋剤で架橋された膜ポリマーを備える。特定の実施形態では、分岐架橋剤はポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテルを備える。
【0280】
IV.例示的な実施形態
A.特定の非限定的な実施形態では、本開示の主題は、(i)第1の作用電極と、(ii)第1の作用電極の表面上に配置され、被検物質を検出するためのアスパラギン酸オキシダーゼを備える被検物質応答性活性領域と、(iii)少なくとも被検物質応答性活性領域を被覆し、被検物質に対して透過性のある物質移動制限膜とを備える被検物質センサを提供する。
【0281】
A1.被検物質応答性活性領域が、電子移動剤をさらに備える、Aに記載の被検物質センサ。
A2.被検物質応答性活性領域が、安定剤をさらに備える、A又はA1に記載の被検物質センサ。
【0282】
A3.安定剤がアルブミンを備える、A2のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
A4.アルブミンが血清アルブミンである、A3に記載の被検物質センサ。
A5.血清アルブミンがヒト血清アルブミンである、A4に記載の被検物質センサ。
【0283】
A6.アスパラギン酸オキシダーゼが、被検物質応答性活性領域内のポリマーに共有結合している、AからA5のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
A7.被検物質応答性活性領域が、架橋剤をさらに備える、AからA6のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
【0284】
A8.被検物質がアスパラギン酸塩である、AからA7のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
A9.被検物質応答性活性領域が、アスパラギナーゼをさらに備える、AからA8のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
【0285】
A10.被検物質がアスパラギンである、A9に記載の被検物質センサ。
A11.アスパラギナーゼが、被検物質応答性活性領域内のポリマーに共有結合している、A9又はA10に記載の被検物質センサ。
【0286】
A12.物質移動制限膜が、ポリビニルピリジン系ポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン、又はこれらの組み合わせを備える、AからA11のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
【0287】
A13.物質移動制限膜がポリビニルピリジン系ポリマーを備える、A12に記載の被検物質センサ。
A14.ポリビニルピリジン系ポリマーがポリ(2-ビニルピリジン)又はポリ(4-ビニルピリジン)である、A13に記載の被検物質センサ。
【0288】
A15.ポリビニルピリジン系ポリマーがポリビニルピリジンコポリマーである、A13に記載の被検物質センサ。
A16.ポリビニルピリジンコポリマーが、ビニルピリジンとスチレンとのコポリマーである、A15に記載の被検物質センサ。
【0289】
A17.(iv)第2の作用電極と、(v)第2の作用電極の表面上に配置され、第1の被検物質とは異なる第2の被検物質に応答し、第2の被検物質に応答する少なくとも1つの酵素を備える第2の活性領域とをさらに備える、AからA16のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
【0290】
A18.物質移動制限膜の第2の部分が、第2の活性領域を被覆する、A17に記載の被検物質センサ。
A19.第2の活性領域を被覆する第2の物質移動制限膜をさらに備える、A17に記載の被検物質センサ。
【0291】
A20.第2の活性領域及び第1の活性領域を被覆する第2の物質移動制限膜をさらに備える、A17に記載の被検物質センサ。
A21.第2の被検物質が、グルコース、ケトン類、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、乳酸塩、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、ナトリウム、アスパラギン酸塩、アスパラギン、総タンパク質、尿酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、A17からA20のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
【0292】
A22.センサ尾部は、組織内に挿入されるように構成される、AからA21のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
A23.センサ尾部が、インビボで被検物質のレベルを検出するために組織内に挿入されるように構成される、AからA22のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
【0293】
A24.被検物質応答性活性領域が、アスパラギン酸オキシダーゼを備える層上に配置されたアスパラギナーゼを備える層を備えるか、又は被検物質応答性活性領域が、アスパラギン酸オキシダーゼ及びアスパラギナーゼを備える単一層を備える、A9からA23のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
【0294】
B.特定の非限定的な実施形態では、本開示の主題は、(i)被検物質センサを提供することであって、(a)少なくとも第1の作用電極を備えるセンサ尾部と、(b)第1の作用電極の表面上に配置され、アスパラギン酸オキシダーゼを備える少なくとも1つのアスパラギン酸塩応答性活性領域と、(c)少なくともアスパラギン酸塩応答性活性領域を被覆し、アスパラギン酸塩に対して透過性のある物質移動制限膜とを備える被検物質センサを提供することと、(ii)第1の作用電極に電位を印加することと、(iii)アスパラギン酸塩応答性活性領域の酸化還元電位以上で、アスパラギン酸塩応答性活性領域に接触する流体中のアスパラギン酸塩濃度に比例している第1の信号を得ることと、(iv)第1の信号を流体中のアスパラギン酸塩濃度に相関させることとを備える、アスパラギン酸塩を検出するための方法を提供する。
【0295】
B1.アスパラギン酸塩応答性活性領域が、電子移動剤をさらに備える、Bに記載の方法。
B2.アスパラギン酸塩応答性活性領域が、安定剤をさらに備える、B又はB1に記載の方法。
【0296】
B3.安定剤がアルブミンを備える、B2に記載の方法。
B4.アルブミンが血清アルブミンである、B3に記載の方法。
B5.血清アルブミンがヒト血清アルブミンである、B4に記載の方法。
【0297】
B6.アスパラギン酸オキシダーゼが、被検物質応答性活性領域内のポリマーに共有結合している、BからB5のいずれか1つに記載の方法。
B7.アスパラギン酸塩応答性活性領域が、架橋剤をさらに備える、BからB6のいずれか1つに記載の方法。
【0298】
B8.物質移動制限膜が、ポリビニルピリジン系ポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン又はそれらの組み合わせを備える、BからB7のいずれか1つに記載の方法。
【0299】
B9.物質移動制限膜が、ポリビニルピリジン系ポリマーを備える、B8に記載の方法。
B10.ポリビニルピリジン系ポリマーが、ポリ(2-ビニルピリジン)又はポリ(4-ビニルピリジン)である、B9に記載の方法。
【0300】
B11.ポリビニルピリジン系ポリマーが、ポリビニルピリジンコポリマーである、B9に記載の方法。
B12.ポリビニルピリジンコポリマーが、ビニルピリジンとスチレンとのコポリマーである、B11に記載の方法。
【0301】
B13.(d)第2の作用電極と、(e)第2の作用電極の表面上に配置され、第1の被検物質とは異なる第2の被検物質に応答し、第2の被検物質に応答する少なくとも1つの酵素を備える第2の活性領域とをさらに備える、BからB12のいずれか1つに記載の方法。
【0302】
B14.物質移動制限膜の第2の部分が、第2の活性領域を被覆する、B13に記載の方法。
B15.第2の活性領域を被覆する第2の物質移動制限膜をさらに備える、B13に記載の方法。
【0303】
B16.第2の活性領域及び第1の活性領域を被覆する第2の物質移動制限膜をさらに備える、B13に記載の方法。
B17.第2の被検物質が、グルコース、ケトン類、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、乳酸塩、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、ナトリウム、アスパラギン酸塩、アスパラギン、総タンパク質、尿酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、B13からB16のいずれか1つに記載の方法。
【0304】
B18.センサ尾部は、組織内への挿入のために構成される、BからB17のいずれか1つに記載の方法。
B19.センサ尾部が、インビボでアスパラギン酸塩のレベルを検出するために組織内に挿入されるように構成される、BからB18のいずれか1つに記載の方法。
【0305】
C.特定の非限定的な実施形態では、本開示の主題は、(i)被検物質センサを提供することであって、(a)少なくとも第1の作用電極を備えるセンサ尾部と、(b)第1の作用電極の表面上に配置され、アスパラギン酸オキシダーゼ及びアスパラギナーゼを備える酵素系を備えるアスパラギン応答性活性領域と、(c)少なくともアスパラギン応答性活性領域を被覆し、アスパラギンに対して透過性のある物質移動制限膜とを備える被検物質センサを提供することと、(ii)第1の作用電極に電位を印加することと、(iii)アスパラギン応答性活性領域の酸化還元電位以上で、アスパラギン応答性活性領域に接触する流体中のアスパラギン酸塩濃度に比例している第1の信号を得ることと、(iv)第1の信号を流体中のアスパラギン濃度に相関させることとを備える、アスパラギンを検出するための方法を提供する。
【0306】
C1.アスパラギン応答性活性領域が、電子移動剤をさらに備える、Cに記載の方法。
C2.アスパラギン応答性活性領域が、安定剤をさらに備える、C又はC1に記載の方法。
【0307】
C3.安定剤がアルブミンを備える、C2のいずれか1つに記載の方法。
C4.アルブミンがヒト血清アルブミンである、C3に記載の方法。
C5.アスパラギナーゼが、被検物質応答性活性領域内のポリマーに共有結合している、CからC4のいずれか1つに記載の方法。
【0308】
C6.アスパラギン応答性活性領域が架橋剤をさらに備える、CからC4のいずれか1つに記載の方法。
C7.架橋剤がポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)である、C6に記載の方法。
【0309】
C8.物質移動制限膜が、ポリビニルピリジン系ポリマー、ポリビニルイミダゾール、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン又はそれらの組み合わせを備える、CからC7のいずれか1つに記載の方法。
【0310】
C9.物質移動制限膜が、ポリビニルピリジン系ポリマーを備える、C8に記載の方法。
C10.ポリビニルピリジン系ポリマーがポリ(2-ビニルピリジン)又はポリ(4-ビニルピリジン)である、C9に記載の方法。
【0311】
C11.ポリビニルピリジン系ポリマーがポリビニルピリジンコポリマーである、C9に記載の方法。
C12.ポリビニルピリジンコポリマーがビニルピリジンとスチレンとのコポリマーである、C11に記載の方法。
【0312】
C13.(d)第2の作用電極と、(e)第2の作用電極の表面上に配置され、第1の被検物質とは異なる第2の被検物質に応答し、第2の被検物質に応答する少なくとも1つの酵素を備える第2の活性領域とをさらに備える、CからC12のいずれか1つに記載の方法。
【0313】
C14.物質移動制限膜の第2の部分が、第2の活性領域を被覆する、C13に記載の方法。
C15.第2の活性領域を被覆する第2の物質移動制限膜をさらに備える、C13に記載の方法。
【0314】
C16.第2の活性領域及び第1の活性領域を被覆する第2の物質移動制限膜をさらに備える、C13に記載の方法。
C17.第2の被検物質が、グルコース、ケトン類、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、乳酸塩、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、ナトリウム、アスパラギン酸塩、アスパラギン、総タンパク質、尿酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、C13からC16のいずれか1つに記載の方法。
【0315】
C18.センサ尾部は、組織内への挿入のために構成される、CからC17のいずれか1つに記載の方法。
C19.センサ尾部が、インビボでアスパラギンのレベルを検出するために組織内に挿入されるように構成される、CからC18のいずれか1つに記載の方法。
【0316】
C20.アスパラギン応答性活性領域が、アスパラギン酸オキシダーゼを備える層の上に配置されたアスパラギナーゼを備える層を備える、CからC19のいずれか1つに記載の方法。
【0317】
C21.アスパラギン応答性活性領域が、アスパラギン酸オキシダーゼ及びアスパラギナーゼを備える単一層を備える、CからC19のいずれか1つに記載の方法。
C22.アスパラギン酸オキシダーゼが、アスパラギン応答性活性領域内のポリマーに共有結合している、CからC21のいずれか1つに記載の方法。
【0318】
C23.アスパラギナーゼが、アスパラギン応答性活性領域内のポリマーに共有結合している、CからC22のいずれか1つに記載の方法。
実施例
本開示の主題は、ここで開示された主題の例示として提供され、限定するものではないが、以下の実施例を参照することによって、よりよく理解される。
【0319】
実施例1:アスパラギン酸塩センサ
本実施例は、
図22に開示されるアスパラギン酸オキシダーゼ及び酸化還元メディエータを備える酵素系を含む、アスパラギン酸塩を検出するためのセンサを提供する。この被検物質センサでは、酸化還元メディエータはアスパラギン酸オキシダーゼ酵素に化学的に架橋されている。表1の成分を混合し、次に作用電極上に2回堆積させた。硬化後、いくつかのセンサを自社製のポリビニルピリジンポリマー膜組成物(10Q5-Gly3と表示)に浸して、異なる厚さのセンサ膜を形成した(1×6、2×6及び3×6と表示、ここで、第1の数はディッピング溶液へ浸す回数であり、第2の数はセンサをディッピング溶液から引き上げる速度(mm/s)である)。
【0320】
【0321】
センサを、100mM PBS溶液中の0.95mMアスパラギン酸塩の存在下、33℃で空気下及びアルゴン下で試験して、酸素の効果を評価した。オキシダーゼは、酸素によるその基質の酸化を触媒する酵素であり、この酸素の反応は、酸化還元メディエータによる酸化反応と競合するので、望ましくない副反応である。
図24に示すように、センサは、まず、空気下で良好な応答を示した。センサ膜は電流を減少させたが、有意ではなかった。その後のアルゴンパージはセンサの電流応答を変化させず、このことは、酵素系がアスパラギン酸塩の酸化からの電子を酸素ではなく酸化還元メディエータに移動させるのに非常に効率的であることを示している。
【0322】
センサはまた、信号応答を評価するために様々な濃度のアスパラギン酸塩で試験した。
図25Aに示すように、電流は、アスパラギン酸塩の新たな濃度に曝露した後、数分の経過にわたって増加し、その後安定化した。
図25Bは、濃度対電流曲線を示し、
図25Cは、センサのそれぞれについての較正曲線を示し、アスパラギン酸塩レベルが1000μM未満であるとき、応答が線形に近いことを示す。特に、R
2値は0.9896~0.9939の範囲である。表2は、0から1000μMのアスパラギン酸塩で試験したセンサの感度を提供する。
【0323】
【0324】
実施例2:様々な量の酵素を有するアスパラギン酸塩センサ
本実施例は、
図22に示されるアスパラギン酸オキシダーゼ及び酸化還元メディエータを備える酵素系を含む、アスパラギン酸塩を検出するためのセンサを提供する。この被検物質センサでは、酸化還元メディエータ及びアスパラギン酸オキシダーゼ酵素がアスパラギン酸塩検知層に担持され、酵素の量が変化した。センサ上に堆積させた酵素の濃度は、1X、2X、3X及び7Xで変化させた。表3は、
図26において1Xと称されるセンサの化学組成を提供し、表4は、
図26において2Xと称されるセンサの化学組成を提供し、表5は、3Xと称されるセンサの化学組成を提供し、表6は、7Xと称されるセンサの化学組成を提供する。2Xと称されるセンサは、1Xと称されるセンサの2倍の量の酵素を含む。全ての配合物について、センサは、表1の成分を含む混合物をセンサ作用電極上に2回、4回又は6回堆積させることによって作製され、これらは、
図26及び表7においてそれぞれ2パス、4パス及び6パスと表示されている。他の硬化及び膜ディッピング手順は、実施例1に記載されたものと同じであった。使用した膜ポリマーはポリビニルピリジンであり、架橋剤はPEGDGE400(PVP+P400と表示)であった。
【0325】
【0326】
【0327】
【0328】
【0329】
3X及び7Xの酵素担持では、配合混合物中で沈殿が生じたことが見出され、従って、そのようなセンサは調製されなかった。信号応答を評価するために、様々な濃度のアスパラギン酸塩(49.8μM、99.5μM、198μM、392μM、676μM及び952μM)で1X及び2Xのセンサを試験した。
図26に示すように、電流は、アスパラギン酸塩の新たな濃度に曝露した後、数分の経過にわたって増加し、その後安定化した。さらに、2Xと称されるセンサは、1Xセンサと比較して、新しいアスパラギン酸濃度の存在下で強い応答を示した。より多くの堆積パスはまた、1X及び2X酵素濃度の両方についてセンサ電流を増加させた。表7は、膜(PVP+P400)有り及び無しで試験されたセンサの感度をまとめる。
【0330】
【0331】
実施例3-様々な酸化還元メディエータ量を有するアスパラギン酸塩センサ
実施例2のアスパラギン酸塩センサを、各種量の酸化還元メディエータを用いて試験した。特に、表4と比較して、表8に示されるように、酸化還元メディエータ及び酵素の量を2倍にすることによって、センサを変更した。加えて、酸化還元メディエータの量は、表9に示すように3Xで減少した。表10は、酸化還元メディエータ及びBSAの量の減少を含むアスパラギン酸塩検知層の組成を提供する。
【0332】
【0333】
【0334】
【0335】
2X量の酵素及び2X量の酸化還元メディエータを有するセンサを、信号応答を評価するために様々な濃度のアスパラギン酸塩で試験した。
図27に示すように、電流は、アスパラギン酸塩の新たな濃度に曝露した後、数分の経過にわたって増加し、その後安定化した。表11は、膜有り又は無しで試験したセンサの感度(nA/mM)を提供する。表11に示されるように、酸化還元メディエータの量は、酵素の量よりも感度に対して高い影響を有する。この効果は、膜無しのセンサ(PVP+P400)でより顕著である。
【0336】
【0337】
実施例4-アスパラギンセンサ:アスパラギン酸塩検知層の上のアスパラギナーゼ層
本実施例は、
図23に示されるように、アスパラギナーゼ、アスパラギン酸オキシダーゼ及び酸化還元メディエータを備える酵素系を使用するアスパラギンセンサの例を提供する。この実施例では、アスパラギンセンサは、アスパラギン酸塩検知層の上にアスパラギナーゼ層を含む。表12の成分を含むアスパラギナーゼ層を、実施例1及び2に記載されたアスパラギン酸塩検知層組成物の上に堆積させることによってセンサを調製した。このセンサで使用したアスパラギナーゼは、Sigma(カタログ番号A3809)及びProSpec(カタログ番号ENZ-287)から購入した。次に、センサのサブセットを、先の実施例で記載したように、ポリビニルピリジンポリマー膜溶液に浸した。
【0338】
【0339】
膜有りのセンサ及び膜無しのセンサを50μM、100μM、200μM、400μM、700μM及び1000μMを含む様々なアスパラギン濃度の存在下で試験した。
図28A、28B及び28Cに示されるように、電流は、新しいアスパラギン濃度への曝露後、その後安定化する前に数分間にわたって増加し、センサがアスパラギンに良好に応答することを示す。
図28Bは、
図28Aに示される各タイプのセンサの平均を示す。
図28Cは、アスパラギン酸塩及びアスパラギンに対する応答を、この実施例において作製されたアスパラギンセンサと比較する。アスパラギンセンサの酵素系はアスパラギン酸塩にも応答するはずであると予想され、これは
図28Cに示されている。
【0340】
実施例5-アスパラギンセンサ:アスパラギン酸塩検知層中のアスパラギナーゼ
本実施例は、アスパラギナーゼ、アスパラギン酸オキシダーゼ、及び酸化還元メディエータを備える酵素系を使用するアスパラギンセンサの実施例を提供し(
図23に示される)、ここでアスパラギナーゼはアスパラギン酸塩検知層に含まれる。使用したアスパラギナーゼは、ProSpec(カタログ番号ENZ-287)から購入した。センサは、表13の成分を含有する混合物を作用電極上に堆積させることによって調製した。次に、センサのサブセットを膜溶液に浸した。
【0341】
【0342】
膜有りのセンサ及び膜無しのセンサを様々なアスパラギン濃度の存在下で試験した。
図29に示すように、電流は、アスパラギン酸塩の新たな濃度に曝露した後、数分の経過にわたって増加し、その後安定化した。これらのデータは、アスパラギン酸塩検知層にアスパラギナーゼを含むアスパラギンセンサもアスパラギンに良好に応答することを示す。
【0343】
開示された本主題及びその利点を詳細に述べたが、開示された主題の技術的思想及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、及び変形が本明細書で実施できることを理解されたい。さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載したプロセス、機械、製造、及び物質の組成物、方法及びプロセスの特定の実施形態に限定されることを意図していない。当業者であれば、ここで開示された主題の開示された主題から容易に理解するように、本明細書に記載した対応する実施形態と実質的に同じ機能を発揮するか、実質的に同じ結果を達成する、現在存在するか後に開発されるプロセス、機械、製造、物質の組成物、方法、又は工程がここで開示された主題に従って利用され得る。従って、添付した特許請求の範囲は、その範囲の中に、そのようなプロセス、機械、製造、物質の組成物、方法、又は工程を含むことを意図している。
【0344】
様々な特許、特許出願、出版物、製品説明書、プロトコル、及び配列受託番号が本出願を介して引用されており、それらの発明はあらゆる目的のためにその全体が参照により本願明細書に援用される。
【国際調査報告】