(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】熱安定性を改善した水素異性化触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 37/04 20060101AFI20240109BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20240109BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20240109BHJP
B01J 37/00 20060101ALI20240109BHJP
B01J 29/74 20060101ALI20240109BHJP
B01J 29/80 20060101ALI20240109BHJP
C10G 47/16 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B01J37/04 102
B01J37/08
B01J37/02 101Z
B01J37/00 D
B01J29/74 M
B01J29/80 M
C10G47/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540109
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 US2021064272
(87)【国際公開番号】W WO2022146735
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、イーファ
(72)【発明者】
【氏名】オジョ、アデオラ フローレンス
(72)【発明者】
【氏名】レイ、グワン - ダオ
【テーマコード(参考)】
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169AA11
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA02A
4G169BA03A
4G169BA04A
4G169BA06A
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BB04A
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BC39A
4G169BC40A
4G169BC41A
4G169BC42A
4G169BC42B
4G169BC43A
4G169BC44A
4G169BC65A
4G169BC67A
4G169BC68A
4G169BC69A
4G169BC72A
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169CC06
4G169DA05
4G169EA01X
4G169EA01Y
4G169EA02X
4G169EA02Y
4G169EA06
4G169EC03X
4G169EC03Y
4G169EC07X
4G169EC07Y
4G169EC08X
4G169EC08Y
4G169EC18X
4G169EC18Y
4G169ED06
4G169FA02
4G169FB05
4G169FB14
4G169FB30
4G169FB57
4G169FB67
4G169FC02
4G169FC05
4G169FC07
4G169FC08
4G169ZA16A
4G169ZA32A
4G169ZA32B
4G169ZD06
4G169ZE01
4G169ZF02A
4G169ZF02B
4G169ZF03A
4G169ZF05A
4G169ZF05B
4G169ZF07A
4G169ZF07B
4G169ZF09A
4G169ZF09B
4H129AA03
4H129CA05
4H129CA06
4H129CA07
4H129CA09
4H129CA18
4H129KB05
4H129KC03X
4H129KC04X
4H129KC05X
4H129KC16X
4H129KC32X
4H129KC33X
4H129KD06X
4H129KD09X
4H129KD18X
4H129KD21X
4H129KD22X
4H129KD23X
4H129KD24X
4H129KD25X
4H129KD26X
4H129KD27X
4H129KD44X
4H129NA32
4H129NA35
4H129NA37
4H129NA45
(57)【要約】
改善された熱安定性及び金属分散特性を有する水素異性化触媒を作製するための方法、それから調製された触媒、及びその触媒を使用して基油生成物を作製するためのプロセスが開示される。この触媒は、SSZ-91モレキュラーシーブ及び希土類修飾アルミナを含む組成物から調製され、この組成物は、典型的には第8~10族金属組成物の含浸によって第8~10族金属を含有するように修飾される。この触媒は、水素異性化条件下で触媒を炭化水素供給原料と接触させることによって、脱ろう基油生成物を生成するために使用され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基油を含む脱ろう生成物の作製に有用な水素異性化触媒を作製するための方法であって、
SSZ-91モレキュラーシーブを希土類金属修飾アルミナ及び任意選択で耐火性無機酸化物担体前駆体と混合して混合物を形成することであって、前記混合物が、約5~約80重量%の範囲のSSZ-91モレキュラーシーブ含有量を有する、前記形成することと、
成形された微粒子材料を前記混合物から形成し、前記微粒子材料を乾燥させることと、
前記乾燥した微粒子材料を焼成することと、
前記焼成された微粒子材料を、第8~10族金属化合物を含む溶液と接触させて、触媒前駆材料を形成し、前記触媒前駆材料を乾燥させることと、
前記乾燥した触媒前駆材料を焼成して、水素異性化触媒を形成することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記SSZ-91モレキュラーシーブが、ZSM-48型ゼオライト材料を含み、前記モレキュラーシーブが、
ZSM-48型材料の全体の少なくとも70%のポリタイプ6と、
0~3.5重量パーセントの量のEUO型相と、
1~8の平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶集合体形態と、を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記耐火性無機酸化物担体前駆体が、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、マグネシア、またはそれらの組み合わせから選択されるマトリックス材料及び/またはマトリックス材料の混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記耐火性無機酸化物担体前駆体が、アルミナ、シリカ-アルミナ、またはそれらの組み合わせから選択されるマトリックス材料及び/またはマトリックス材料の混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記希土類金属が、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウム、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アルミナが、ベーマイト、擬ベーマイト、γ-アルミナ、η-アルミナ、θ-アルミナ、δ-アルミナ、χ-アルミナ、またはそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アルミナが、ベーマイト、擬ベーマイト、γ-アルミナ、θ-アルミナ、またはそれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アルミナが、ベーマイト、擬ベーマイト、またはγ-アルミナを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記希土類金属修飾アルミナが、100~300m
2/g、もしくは110~250m
2/g、もしくは120~200m
2/gの範囲の表面積、2.5~105nmの細孔直径範囲で0.6~2.0cc/g、もしくは0.65~1.8cc/g、もしくは0.7~1.5cc/gの範囲の細孔容積、またはそれらの組み合わせ、の特性のうちの1つ以上を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記希土類金属修飾アルミナが、約1~20重量%、または1.5~15重量%、または2~10重量%の範囲のランタン含有量を有するランタン修飾ベーマイトまたはγ-アルミナである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記ランタン修飾アルミナが、100~300m
2/g、もしくは110~250m
2/g、もしくは120~200m
2/gの範囲の表面積、2.5~105nmの細孔直径範囲で0.6~2.0cc/g、もしくは0.65~1.8cc/g、もしくは0.7~1.5cc/gの範囲の細孔容積、またはそれらの組み合わせ、の特性のうちの1つ以上を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記成形された微粒子材料が、粉末、顆粒、成型生成物、または押出物の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記成形された微粒子材料が、約90~150℃の範囲の温度で乾燥され、約260~650℃の範囲の温度で焼成された押出物である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第8~10族金属化合物を含む前記溶液が、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金、またはそれらの組み合わせから選択される第8~10族金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記焼成された微粒子材料を、約20~80℃の範囲の温度で約0.1~2時間、前記溶液と接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記触媒前駆材料が、約90~150℃の範囲の温度で乾燥され、約260~650℃の範囲の温度で焼成される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記水素異性化触媒が、約0~85重量%の前記耐火性無機酸化物担体、約5~85重量%の前記希土類金属修飾アルミナ、約25~85重量%の総モレキュラーシーブ含有量、約0.1~1.0重量%の総活性金属含有量、及び約0~10重量%の総促進剤含有量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
SSZ-91モレキュラーシーブを含む水素異性化触媒における貴金属分散及び熱安定性を改善するための方法であって、請求項1に記載の方法に従って前記水素異性化触媒を形成することを含む、前記方法。
【請求項19】
前記貴金属分散が、同じSSZ-91モレキュラーシーブ、同じ耐火性無機酸化物担体前駆体、及びアルミナが希土類金属で修飾されていない点のみが異なる同じアルミナを含む触媒と比較して、少なくとも約2%、または4%、または8%、または10%増加する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法に従って作製される水素異性化触媒。
【請求項21】
基油生成物を作製するためのプロセスであって、基油供給原料を水素異性化条件下で請求項20に記載の水素異性化触媒と接触させることを含む、前記プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月30日に出願された米国特許出願第17/138,068号に対する優先権の利益を主張し、この開示はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
炭化水素供給原料から基油を生成するために有用な、改善された熱安定性を有する水素異性化触媒及びプロセス。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
炭化水素供給原料から基油を生成するための水素異性化接触脱ろうプロセスには、水素の存在下で脱ろう触媒系を含む反応器に供給物を導入することを伴う。反応器内で、供給物は、水素異性化脱ろう条件下で水素異性化触媒と接触し、異性化流をもたらす。水素異性化により、芳香族化合物、ならびに残留窒素及び硫黄が除去され、ノルマルパラフィンが異性化されて基油の低温特性を改善する。基油生成物から微量のいずれの芳香族化合物、オレフィンを除去し、色を改善するなどのために、第2の反応器内で、異性化流を水素化仕上げ触媒とさらに接触させてもよい。水素化仕上げユニットは、アルミナ担体及び貴金属、典型的にはパラジウム、またはパラジウムと組み合わせた白金を含む水素化仕上げ触媒を含み得る。
【0004】
典型的な水素異性化接触脱ろうプロセスで概して直面する課題には、特に、良好な生成物収率を維持しながら、1つ以上の生成物の曇り点、流動点、粘度及び/または粘度指数限界などの関連する生成物仕様を満たす生成物(複数可)を提供することが含まれる。加えて、例えば水素化仕上げ中に、芳香族を飽和させて芳香族含有量を低減することにより、色及び酸化安定性など、生成物の品質をさらに改善するためのさらなるアップグレードが使用され得る。しかしながら、上流の水素化処理及び水素化分解プロセスからの残留有機硫黄及び窒素の存在は、下流のプロセス及び最終基油生成物の品質に重大な影響を与える可能性がある。
【0005】
直鎖パラフィンの水素化脱ろうには、水素異性化、分岐の再分配、及び二次水素異性化を含む多くの水素化変換反応を伴う。連続的な水素異性化反応により、分岐の再分布が付随する分岐度が増加する。分岐が増加すると、概して鎖のクラッキングの可能性が増加し、燃料の収量が増加し、基油/潤滑油の収量が低下する。したがって、水素異性化遷移種の形成を含むそのような反応を最小限に抑えると、基油/潤滑油の収率が増加し得る。
【0006】
さらに、改善された貴金属の分散及び触媒の熱安定性を通じて、過剰な鎖のクラッキングが減少し、異性化活性が増加し得ると考えられている。これにより、触媒の老化性能(耐久性)も改善される可能性があり、その結果、そのような触媒はライフサイクル時間の増加を明示し、ライフサイクルの延長による生成物収率の改善につながり得る。
【0007】
したがって、望ましくないクラッキング反応及び水素異性化反応を低減する触媒を使用してワックス分子を異性化し、改善された金属分散性及び触媒の熱安定性を実現する、基油/潤滑油生成用のより堅牢な触媒が必要とされている。したがって、触媒、触媒系、そのような触媒を生成するための方法及びプロセス、ならびにそのような触媒の使用によって生成される基油/潤滑油生成物に対する継続的な必要性が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の簡単な記述
【
図1】
図1は、例(実施例)に記載された触媒の正規化された白金分散体を示す。
【発明の概要】
【0009】
発明の概要
本発明は、水素異性化触媒の作製方法、それから作製される触媒、及びワックス含有炭化水素供給原料を基油または潤滑油を含む高級生成物に変換するためのプロセスに関する。本方法及びそれから作製される触媒は、SSZ-91モレキュラーシーブ及び希土類修飾アルミナを含む触媒組成物を採用する。この方法に従って作製された触媒は、概して、適切な炭化水素供給原料を提供し、触媒を供給原料と接触させて水素化脱ろう生成物を提供することによって、水素異性化プロセスで使用される。水素異性化プロセスでは、脂肪族非分岐パラフィン系炭化水素(n-パラフィン)がイソパラフィン及び環状種に変換され、それによって供給原料と比較して基油生成物の流動点及び曇り点が低下する。SSZ-91モレキュラーシーブ及び希土類修飾アルミナの組み合わせから形成された触媒は、希土類修飾アルミナを添加せずにSSZ-91触媒を単独で使用して生成された触媒と比較して、改善された金属分散特性及び熱安定性特性を有利に有することが判明した。場合によっては、完成した水素異性化触媒は、基油生成物を生成するための供給原料の水素化処理に特に良く適している。
【0010】
一態様では、本発明は、好適な炭化水素供給物流の水素化処理を通じて基油を含む脱ろう生成物を作製するために有用な水素異性化触媒の作製方法に関する。必ずしもそれに限定されるわけではないが、本発明の目的のうちの1つは、例えば触媒内の改善された金属分散を含む、改善された熱安定性特性を有する水素異性化触媒を提供することである。このような有益な特性は概して、触媒性能の改善につながり、水素異性化プロセスでの使用中の触媒の寿命を延長する。
【0011】
水素異性化触媒組成物の作製方法は、概して、SSZ-91モレキュラーシーブ及び希土類修飾アルミナを混合することと、成形された微粒子材料を混合物から形成することと、微粒子を乾燥及び焼成することと、焼成した微粒子に第8~10族金属を含浸させて触媒前駆体を形成することと、触媒前駆体を乾燥及び焼成して触媒を形成することと、を含む。マトリックス材料と、周期律表の第6族~10族及び第14族から選択される少なくとも1つの修飾剤も、触媒組成物を調製するために使用することができる。修飾剤はさらに第2族金属を含んでもよい。
【0012】
水素異性化プロセスにおいて触媒を使用するプロセスは、概して、水素異性化条件下で炭化水素供給原料を水素異性化触媒と接触させて、基油生成物または生成物流を生成することを含む。水素異性化触媒からの生成物は、それ自体が基油生成物であってもよく、または基油生成物を作製するために使用されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な記述
1つ以上の態様の例示的な実施形態が本明細書に提供されるが、開示されたプロセスは、任意の数の技術を使用して実装され得る。本開示は、本明細書に例示及び記載されているいずれの例示的な設計及び実施形態も含め、本明細書に例示されている例示的または具体的な実施形態、図面及び技術に限定されず、均等物の全範囲とともに、添付の請求項の範囲内で改変してよい。
【0014】
特に明記しない限り、以下の用語、専門用語、及び定義が本開示に適用可能である。用語が本開示で使用されているが、本明細書で特に定義されていない場合、定義が本明細書で適用される他の任意の開示もしくは定義と矛盾しないこと、またはその定義が適用される任意の請求項を不定もしくは無効にすることはないことを条件として、IUPAC Compendium of Chemical Terminology, 2nd ed (1997)の定義が適用され得る。参照により本明細書に援用されるいずれかの文献によって定められているいずれかの定義または用法が、本明細書に定められている定義または用途と矛盾する限りにおいては、本明細書に定められている定義または用法が適用されると理解されたい。
【0015】
「API比重」は、ASTM D4052-11によって決定されるように、石油供給原料または生成物の水に対する重力を指す。
【0016】
「粘度指数」(VI)は、ASTM D2270-10 (E2011)によって決定されるように、潤滑剤の温度依存性を表す。
【0017】
「減圧軽油」(VGO, Vacuum gas oil)は原油減圧蒸留の副産物であり、基油にアップグレードするために水素化処理ユニットまたは芳香族抽出ユニットに送られ得る。VGOは概して、0.101MPaで343℃(649°F)~593℃(1100°F)の沸点範囲分布を持つ炭化水素を含む。
【0018】
「処理」、「処理された」、「アップグレード」、「アップグレードしている」、及び「アップグレードされた」は、石油供給原料と組み合わせて使用される場合、供給原料の分子量の減少、供給原料の沸点範囲の減少、アスファルテン濃度の減少、炭化水素フリーラジカルの濃度の減少、及び/または硫黄、窒素、酸素、ハロゲン化物、及び金属などの不純物の量の減少を有する、水素化処理中のもしくは処理を受けた供給原料、または結果として得られる材料もしくは原油生成物を表す。
【0019】
「水素化処理(Hydroprocessing)」とは、望ましくない不純物を除去する、及び/または供給原料を所望の生成物に変換する目的で、炭素質供給原料を高温かつ高圧で水素及び触媒と接触させるプロセスを指す。水素化処理プロセスの例としては、水素化分解、水素化処理、接触脱ろう、及び水素化仕上げが挙げられる。
【0020】
「水素化分解」とは、水素化及び脱水素化に、炭化水素のクラッキング/破砕が伴うプロセス、例えば、より重質な炭化水素をより軽質な炭化水素に変換すること、あるいは芳香族化合物及び/またはシクロパラフィン(ナフテン)を非環状分岐パラフィンに変換することを指す。
【0021】
「水素化処理(Hydrotreating)」とは、硫黄及び/または窒素含有炭化水素供給物を、典型的には水素化分解と組み合わせて、硫黄及び/または窒素含有量が低減された炭化水素生成物に変換し、副生成物として硫化水素及び/またはアンモニアを(それぞれ)生成するプロセスを指す。水素の存在下で実施されるそのようなプロセスまたは工程には、炭化水素供給原料の成分(例えば、不純物)の水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化脱メタル化及び/または水素化脱芳香族化、及び/または供給原料中の不飽和化合物の水素化が含まれる。水素化処理の種類及び反応条件に応じて、水素化処理プロセスの生成物は、例えば、粘度、粘度指数、飽和物含有量、低温特性、揮発性、及び脱分極が改善され得る。「ガード層(guard layer)」及び「ガード床(guard bed)」という用語は、本明細書では、水素化処理触媒または水素化処理触媒層を指すために同義及び交換可能に使用され得る。保護層は、炭化水素脱ろう用触媒システムの成分であってもよく、少なくとも1つの水素異性化触媒の上流に配置されてもよい。
【0022】
「接触脱ろう(Catalytic dewaxing)」または水素異性化は、水素の存在下で触媒と接触させることによってノルマルパラフィンをより分岐した対応物に異性化するプロセスを指す。
【0023】
「水素化仕上げ(Hydrofinishing)」とは、微量の芳香族化合物、オレフィン、発色体、及び溶剤を除去することによって、水素化仕上げ生成物の酸化安定性、UV安定性、及び外観を改善することを目的としたプロセスを指す。UV安定性とは、UV光及び酸素にさらされたときの試験される炭化水素の安定性を指す。不安定性は、通常、Hocもしくは曇りとして見られる目に見える沈殿物が形成される場合、または紫外線及び空気にさらされると暗色が発現する場合に指し示される。水素化仕上げの一般的な説明は、米国特許第3,852,207号及び第4,673,487号に見出され得る。
【0024】
「水素(Hydrogen)」または「水素(hydrogen)」という用語は、水素自体及び/または水素源となる化合物もしくは複数の化合物を指す。
【0025】
「カットポイント」とは、所定の分離度に達する真沸点(TBP)曲線上の温度を指す。
【0026】
「流動点(Pour point)」とは、制御された条件下で油が流れ始める温度を指す。流動点は、例えばASTM D5950によって決定することができる。
【0027】
「曇り点(Cloud point)」とは、潤滑油基油サンプルが特定の条件下で冷却されるときに曇りを生じ始める温度を指す。潤滑油基油の曇り点は、その流動点と相補的である。曇り点は、例えばASTM D5773によって決定され得る。
【0028】
「TBP」とは、ASTM D2887-13による模擬蒸留(SimDist)によって決定された含炭化水素供給物または生成物の沸点を指す。
【0029】
「含炭化水素」、「炭化水素」及び類似の用語は、炭素原子及び水素原子のみを含む化合物を指す。その炭化水素に特定の基が存在する場合には、他の識別語を用いて、その特定の基の存在を示すことができる(例えば、ハロゲン化炭化水素とは、その炭化水素中の等しい数の水素原子と置き換わっているハロゲン原子が1つ以上存在することを示している)。
【0030】
「周期表」という用語は、2007年6月22日付けのIUPAC元素周期表のバージョンを指し、周期表族の番号付けスキームはChem. Eng. News, 63(5), 26-27 (1985)に記載されているとおりである。「第2族」とは、IUPAC第2族元素、例えば、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかのそれらの組み合わせを指す。「第6族」とは、IUPAC第6族元素、例えばクロム(Cr)、モリブデン(Mo)、及びタングステン(W)を指す。「第7族」とは、IUPAC第7族元素、例えば、マンガン(Mn)、レニウム(Re)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかのそれらの組み合わせを指す。「第8族」とは、IUPAC第8族元素、例えば、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかのそれらの組み合わせを指す。「第9族」とは、IUPAC第9族元素、例えば、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかのそれらの組み合わせを指す。「第10族」とは、IUPAC第10族元素、例えば、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかのそれらの組み合わせを指す。「第14族」とは、IUPAC第14族元素、例えば、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかのそれらの組み合わせを指す。
【0031】
「担体」という用語は、特に、「触媒担体」という用語で使用する場合には、典型的には、表面積の大きい固体である従来の材料のうち、触媒材料を担持する材料を指す。担体材料は不活性であっても、触媒反応に関与していてもよく、多孔質であっても非多孔質であってもよい。典型的な触媒担体には、様々な種類の炭素、アルミナ、シリカ、及びシリカ-アルミナ、例えば、非晶質シリカアルミネート、ゼオライト、アルミナ-ボリア、シリカ-アルミナ-マグネシア、シリカ-アルミナ-チタニア、ならびにこれらに他のゼオライト及び他の複合酸化物を添加することによって得られる材料が含まれる。
【0032】
「モレキュラーシーブ」とは、フレームワーク構造内に、細孔の均一な分子寸法を有しており、モレキュラーシーブの種類に応じて、ある特定の分子のみが、そのモレキュラーシーブの細孔構造に到達できる一方で、その他の分子が、例えば分子のサイズ及び/または反応性により排除されるようになっている材料を指す。「モレキュラーシーブ」及び「ゼオライト」という用語は同義であり、(a)中間体及び(b)最終または標的モレキュラーシーブ、ならびに(1)直接合成または(2)結晶化後処理(二次修飾)によって生成されるモレキュラーシーブを含む。二次合成技術では、ヘテロ原子格子置換または他の技術により、中間材料からの標的材料の合成を可能にする。例えば、アルミノケイ酸塩は、中間体ホウケイ酸塩からBのAlへの結晶化後ヘテロ原子格子置換により合成することができる。このような技術は公知であり、例えば米国特許第6,790,433号に記載されている。ゼオライト、結晶性アルミノリン酸塩、及び結晶性シリコアルミノリン酸塩は、モレキュラーシーブの代表的な例である。
【0033】
本開示では、組成物、及び方法またはプロセスが、各種の成分または工程を「含む」という観点で説明されている場合が多いが、その組成物及び方法は、別段の記載のない限り、その各種の成分もしくは工程「から本質的になっても」よいし、またはその各種の成分もしくは工程「からなっても」よい。
【0034】
「a」、「an」、及び「the」という用語は、複数の選択肢、例えば少なくとも1つを含むことを意図している。例えば、「遷移金属」または「アルカリ金属」の開示は、別段の指定がない限り、遷移金属またはアルカリ金属の1つ、または2つ以上の混合物もしくは組み合わせを包含することを意味する。
【0035】
本明細書における詳細な説明及び特許請求の範囲内のいずれの数値も、示されている値が「約」または「およそ」によって修飾されており、当業者であれば予測するであろう、実験での誤差及び変動が考慮されている。
【0036】
一態様では、本発明は、水素異性化触媒、及びそれから形成される触媒を作製するための方法であり、触媒は、基油及び潤滑油を含む脱ろう生成物を作製するために有用である。水素異性化触媒組成物は、概して、SSZ-91モレキュラーシーブ及び修飾された希土類元素を、任意選択で例えばマトリックス(担体)材料を含む他の成分とともに含む。触媒組成物は、第8~10族の金属で修飾され、周期律表の第6~10族及び第14族から選択される少なくとも1つの修飾剤も含み得る。修飾剤はさらに周期律表の第2族金属を含んでもよい。
【0037】
水素異性化触媒の作製方法は、SSZ-91モレキュラーシーブを希土類金属修飾アルミナ、及び任意選択で耐火性無機酸化物担体前駆体と混合して混合物を形成することを含む。混合物は概して、約5~約80重量%の範囲のSSZ-91モレキュラーシーブ含有量を有し、成形された微粒子材料に形成され、乾燥及び焼成される。焼成された微粒子材料をさらに第8~10族金属化合物を含む溶液と接触させて触媒前駆材料を形成し、続いて触媒前駆材料を乾燥し、乾燥した触媒前駆材料を焼成して水素異性化触媒を形成する。
【0038】
さらなる態様では、本発明は、基油を含む脱ろう生成物を作製するために有用な水素異性化プロセスに関し、このプロセスは、水素異性化条件下で炭化水素供給原料を水素異性化触媒と接触させて、基油生成物または生成物流を生成することを含む。供給原料をまず水素異性化触媒組成物と接触させて第1の生成物を提供し、続いて必要に応じて第1の生成物を1つ以上の他の触媒組成物と接触させて第2の生成物を生成することができる。代替的に、炭化水素供給原料を必要に応じて他の触媒組成物と最初に接触させ、続いてそこからの1つ以上の生成物流を水素異性化触媒と接触させてもよい。そのような構成からの生成物は、それ自体が基油生成物であってもよく、または基油生成物を作製するために使用されてもよい。
【0039】
水素異性化触媒システム及びプロセスで使用されるSSZ-91モレキュラーシーブは、例えば、米国特許第9,802,830号、同第9,920,260号、同第10,618,816号、及びWO2017/034823に記載されている。SSZ-91モレキュラーシーブは概して、ZSM-48型ゼオライト材料を含み、モレキュラーシーブは、ZSM-48型材料の全体の少なくとも70%のポリタイプ6と、0~3.5重量パーセントの量のEUO型相と、1~8の平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶集合体形態と、を有する。SSZ-91モレキュラーシーブの酸化ケイ素対酸化アルミニウムのモル比は、40~220、または50~220、または40~200の範囲であってもよい。場合によっては、SSZ-91モレキュラーシーブは、ZSM-48型材料の全体の少なくとも70%のポリタイプ6と、0~3.5重量パーセントの量のEUO型相と、1~8の平均アスペクト比を有する微結晶を含む、多結晶集合体形態と、を含み得る。いくつかの場合において、SSZ-91材料は、生成物に存在するZSM-48型材料全体の少なくとも90%がポリタイプ6で構成されている。ポリタイプ6構造には、the International Zeolite Associationの構造委員会によってフレームワークコード*MREが与えられている。「*MRE型モレキュラーシーブ(*MRE-type molecular sieve)」及び「EUO型モレキュラーシーブ(EUO-type molecular sieve)」という用語には、Atlas of Zeolite Framework Types, eds. Ch. Baerlocher, L. B. Mccusker and D. H. Olson, Elsevier, 6th revised edition,2007、及びthe International Zeolite AssociationのWebサイト(http://www.iza-online.org)のthe Database of Zeolite Structuresに記載されているように、the International Zeolite Associationの枠組みに割り当てられている全てのモレキュラーシーブとそのアイソタイプが含まれる。
【0040】
前述の特許では、SSZ-91モレキュラーシーブ、その作製方法、及びそれから形成される触媒に関する追加の詳細が提供される。
【0041】
希土類修飾アルミナは概して、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウム、またはそれらの組み合わせから選択された1つ以上のレアメタルで修飾され得る。特定の場合には、希土類修飾アルミナは、ベーマイト、擬ベーマイト、γ-アルミナ、θ-アルミナ、またはそれらの混合物から選択されるアルミナであり、希土類修飾剤はランタンを含む。一般に、希土類金属の含有量は、約1~20重量%、または1.5~15重量%、または2~10重量%の範囲である。
【0042】
希土類修飾アルミナは、当技術分野で知られている方法に従って作製することができ、あるいは商業供給源(例えば、Sasol, Kaiyong, PIDC)から入手することができる。希土類修飾アルミニウム材料の好適な作製方法及び関連する一般情報は、US7163963及び同様の特許に開示されている。例えば、希土類金属化合物をアルミニウム含有材料と混練することによって、または代替的に希土類金属化合物の溶液をアルミニウム含有材料に適用することによって、希土類金属化合物をアルミニウム含有材料上に適用することができ、それによって希土類修飾アルミナ前駆体が形成される。触媒を調製するために、同じ適用工程または異なる適用工程で、2つ以上の希土類金属化合物をアルミニウム含有化合物に適用することができる。
【0043】
希土類金属化合物は、希土類金属カチオンと、アニオン及びアニオンの任意の水和形態などの対イオンとを含む塩であってもよい。例には、硝酸塩、オクタン酸塩、シュウ酸塩、炭酸塩などの任意のアルカン酸塩、酢酸塩、アセチルアセトナート、任意のハロゲン化物、及び硫酸塩が含まれる。好適な希土類金属化合物には、水などの好適な溶媒、またはトルエン、メタノール、アセトン、エタノール、またはそれらの混合物のような有機溶媒に可溶な希土類元素の化合物が含まれる。場合によっては、希土類元素は水溶性であってもよい。好適な化合物は、希土類金属の水和硝酸塩を含んでもよい。希土類元素のいずれか1つまたは組み合わせが希土類化合物を含んでもよいが、化合物の少なくとも1つの金属は三価であってもよく、場合によっては、イットリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、及びガドリニウムからなる群から選択され得る。
【0044】
希土類金属化合物を適用するために任意の好適な方法を使用することができるが、場合によっては、含浸が特に有用な方法である。含浸は、周囲圧力下または周囲圧力未満(すなわち、周囲圧力以下)で実施することができ、初期湿潤含浸は特に有用な技術である。既知の好適な技術による他の含浸技術も同様に使用することができる。
【0045】
希土類修飾アルミナ担体を好適な条件下で乾燥させて、乾燥した希土類修飾アルミナ前駆体を得る。乾燥条件は、以前の塗布工程で使用された溶媒または複数の溶媒の本質的に全てを除去するのに十分であり、典型的に、少なくとも80℃の乾燥温度を含む。乾燥希土類修飾アルミナ前駆体を含む触媒担体のさらなる焼成も、希土類金属の酸化物を含む表面被覆を作成するために効果的な方法で使用することができる。典型的な焼成条件は、希土類金属化合物を希土類金属の酸化物に変換し、希土類金属化合物を分解し及び/または塩の場合は対イオンを除去するために効果的である。場合によっては、乾燥希土類修飾アルミナ前駆体は、酸化性、還元性、または不活性(例えば、窒素、ヘリウム、またはアルゴン)雰囲気中で、約800℃~約1400℃、より具体的には約900℃~約1300℃、または約1000℃~約1300℃の温度で焼成される。場合によっては、酸化条件が好ましい場合もある。希土類酸化物の表面被覆でアルミナを少なくとも部分的にまたは完全に被覆するための焼成条件も好ましい場合がある。これに限定されないが、希土類金属表面被覆率は、厚さが約0.2nm~約0.5nmであることが有利であり得る。
【0046】
希土類修飾アルミナに使用されるアルミナは、概して、例えば表面積、及び細孔構造及び/または容積などの有益な特性を有し得る。例えば、希土類金属修飾アルミナは、100~300m2/g、もしくは110~250m2/g、もしくは120~200m2/gの範囲の表面積、及び/または2.5~105nm細孔直径範囲で0.6~2.0cc/g、もしくは0.65~1.8cc/g、もしくは0.7~1.5cc/gの範囲の細孔容積、またはそれらの組み合わせを有し得る。場合によっては、修飾アルミナは、前述の範囲内の表面積及び細孔径特性を有するランタン修飾アルミナであり得る。
【0047】
SSZ-91モレキュラーシーブ及び希土類修飾アルミナ触媒組成物をマトリックス材料と組み合わせて、ベース材料組成物を形成することもできる。ベース材料は、例えば、モレキュラーシーブ及び希土類修飾アルミナをマトリックス材料と組み合わせ、混合物を押出して成形押出物を形成し、続いて押出物の乾燥及び焼成によってベース押出物として形成することができる。触媒組成物はまた、典型的には、周期律表の第6~10族及び第14族から選択される少なくとも1つの修飾剤をさらに含み、任意選択で第2族金属をさらに含む。修飾剤は、修飾剤化合物を含む含浸溶液の使用を通じて添加することができる。
【0048】
触媒組成物に好適なマトリックス材料としては、アルミナ、シリカ、セリア、チタニア、酸化タングステン、ジルコニア、またはそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、触媒組成物及びプロセスのためのアルミナは、2020年11月11日に出願された米国特許出願第17/095,010号に記載され、参照により本明細書に組み込まれているように、「HNPV」アルミナと略称される「高ナノ細孔容積」アルミナであり得る。好適なアルミナは市販されており、例えば、SasolのCatapal(登録商標)アルミナ及びPural(登録商標)アルミナ、またはUOPのVersal(登録商標)アルミナが挙げられる。一般に、アルミナは、触媒ベースのマトリックス材料として使用されることが知られている任意のアルミナであり得る。例えば、アルミナは、ベーマイト、バイヤライト、γ-アルミナ、η-アルミナ、θ-アルミナ、δ-アルミナ、χ-アルミナ、またはそれらの混合物であり得る。
【0049】
好適な修飾剤は、周期律表(IUPAC)の第6~10族及び第14族から選択される。好適な第6族の修飾剤には、第6族元素、例えばクロム(Cr)、モリブデン(Mo)、及びタングステン(W)、ならびにそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかのそれらの組み合わせが含まれる。好適な第7族修飾剤には、第7族元素、例えば、マンガン(Mn)、レニウム(Re)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかのそれらの組み合わせが含まれる。好適な第8族修飾剤には、第8族元素、例えば、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかのそれらの組み合わせが含まれる。好適な第9族修飾剤には、第9族元素、例えば、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかのそれらの組み合わせが含まれる。好適な第10族修飾剤には、第10族元素、例えば、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかのそれらの組み合わせが含まれる。好適な第14族修飾剤には、第14族元素、例えば、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかのそれらの組み合わせが含まれる。加えて、任意選択の第2族修飾剤が存在し得、第2族元素、例えば、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)及びそれらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかのそれらの組み合わせが含まれる。
【0050】
修飾剤は、有利には、1つ以上の第10族金属を含む。第10族金属は、例えば白金、パラジウム、またはそれらの組み合わせであってもよい。白金は、いくつかの態様において、別の第6族から第10族及び第14族金属とともに好適な第10族金属である。これらに限定されないが、第6~10族及び第14族金属は、Pt、Pd、Ni、Re、Ru、Ir、Sn、またはそれらの組み合わせからより狭く選択され得る。第1及び/または第2の触媒組成物中の第1の金属としてのPtと組み合わせて、触媒組成物中の任意選択の第2の金属は、例えばPd、Ni、Re、Ru、Ir、Sn、またはそれらの組み合わせなどの、第6~10族及び第14族の金属からより狭く選択することもできる。より具体的な例として、触媒は、第10族金属として、0.01~5.0重量%もしくは0.01~2.0重量%、または0.1~2.0重量%、より具体的には0.01~1.0重量%または0.3~0.8重量%のPtを含み得る。第6族~第10族及び第14族金属として、Pd、Ni、Re、Ru、Ir、Sn、またはそれらの組み合わせから選択される任意選択の第2の金属が、0.01~5.0重量%もしくは0.01~2.0重量%、または0.1~2.0重量%、より具体的には0.01~1.0重量%及び0.01~1.5重量%の量で存在してもよい。
【0051】
触媒組成物中の修飾剤金属の含有量は、有用な範囲にわたって変えることができ、例えば、触媒の総修飾金属含有量は、0.01~5.0重量%もしくは0.01~2.0重量%、または0.1~2.0重量%(総触媒重量ベース)であり得る。場合によっては、触媒組成物は、修飾金属のうちの1つとして0.1~2.0重量%のPt、及び0.01~1.5重量%の第6~10族及び第14族から選択される第2の金属、または0.3~1.0重量%のPt及び0.03~1.0重量%の第2の金属、または0.3~1.0重量%のPt及び0.03~0.8重量%の第2の金属を含む。場合によっては、第1の第10族金属と、第6~10族及び第14族から選択される任意選択の第2の金属との比は、5:1~1:5、もしくは3:1~1:3、もしくは1:1~1:2、もしくは5:1~2:1、もしくは5:1~3:1、もしくは1:1~1:3、もしくは1:1~1:4の範囲であってもよい。より具体的な場合には、触媒組成物は、0.01~5.0重量%の修飾金属、1~99重量%のマトリックス材料、及び0.1~99重量%のSSZ-91モレキュラーシーブと希土類修飾アルミナ含有量との組み合わせを含む。場合によっては、希土類修飾アルミナは触媒組成物の5~85重量%の量で存在し、モレキュラーシーブの総含有量は触媒組成物の約25~85重量%の範囲にある。
【0052】
ベース押出物は、任意の好適な方法に従って作製し得る。例えば、第1及び/または第2の触媒組成物用のベース押出物は、成分を一緒に混合し、十分に混合したSSZ-91モレキュラーシーブ及び希土類修飾アルミナ混合物を押出してベース押出物を形成することによって都合よく作製することができる。次に、押出物を乾燥及び焼成し、その後、ベース押出物上に任意の修飾剤を充填する。好適な含浸技術を使用して、修飾剤をベース押出物上に分散させることができる。しかしながら、ベース押出物の作製方法は、特定のプロセス条件または技術に従って特に限定されるものではない。
【0053】
これらに限定されないが、例示的なプロセス条件には、SSZ-91モレキュラーシーブ、希土類修飾アルミナ、任意の添加マトリックス材料、及び任意の添加液体を約20~80℃で約0.5~30分間混合する事例、押出物が、約20~80℃で形成され、約90~150℃で0.5~8時間乾燥される事例、押出物が、十分な空気流の存在下、260~650℃(500~1200°F)で0.1~10時間焼成される事例、押出物を少なくとも1種の修飾剤を含む金属含浸溶液と約20~80℃の範囲の温度で0.1~10時間接触させることによって、押出物に修飾剤を含浸させる事例、ならびに金属を充填した押出物が、約90~150℃で0.1~10時間乾燥され、十分な空気流の存在下、260~650℃(500~1200°F)で0.1~10時間焼成される事例を含み得る。
【0054】
炭化水素供給物は、一般に、様々な基油供給原料から選択されてもよく、有利には、軽油、真空軽油、ロングレジデュー(long residue)、真空残渣、大気圧留出物、重質燃料、油、ワックス及びパラフィン、使用済み油、脱アスファルト残渣または原油、熱または触媒転化工程から得られるチャージ(charge)、シェールオイル、サイクルオイル、動物及び植物由来の脂肪、油及びワックス、石油及びスラックワックス、またはそれらの組み合わせを含む。炭化水素供給物はまた、400~1300°F、または500~1100°F、または600~1050°Fの蒸留範囲の供給物炭化水素留分を含んでもよく、及び/または炭化水素供給物は、約3~30cStまたは約3.5~15cStの範囲でKV100(100℃での動粘度)を有する。
【0055】
場合によっては、このプロセスは、SSZ-91及希土類修飾アルミナ触媒組成物がPt修飾金属またはPtと別の修飾剤の組み合わせを含む炭化水素供給物として、真空軽油(VGO)などの軽質または重質中性基油供給原料に有利に使用され得る。
【0056】
生成物(複数可)または生成物流は、1つ以上の基油生成物を生成するために、例えば、約2~30cStの範囲のKV100を有する複数のグレードを生成するために使用され得る。このような基油生成物は、場合によっては、約-12℃、または-15℃、または-20℃以下の流動点を有し得る。
【0057】
水素異性化触媒及びプロセスは、追加のプロセス工程またはシステム構成要素と組み合わせることもでき、例えば炭化水素供給原料を水素異性化触媒組成物と接触させる前に、供給原料を水素化処理触媒による水素化処理条件にさらに供し得、任意選択で、水素化処理触媒は、約0.1~1重量%のPt及び約0.2~1.5重量%のPdを含有する耐火性無機酸化物材料を含むガード層触媒を含む。
【0058】
本発明のプロセス及び水素異性化触媒によってもたらされる利点の中には、SSZ-91触媒組成物のみを使用する同じプロセスと比較して、SSZ-91モレキュラーシーブ及び希土類修飾アルミナの組み合わせを使用して生成される貴金属分散の改善がある。例えば、貴金属の分散は、SSZ-91モレキュラーシーブ及び希土類修飾アルミナの組み合わせが触媒組成物に使用される場合、同じプロセスにおいて、触媒組成物中にSSZ-91モレキュラーシーブのみを使用した場合と比較したとき、少なくとも約2%、または4%、または8%、または10%増加させることができる。
【0059】
実際には、水素化脱ろうは主に、基油からワックスを除去することによって基油の流動点を低下させるため、及び/または基油の曇り点を低下させるために使用される。典型的に、脱ろうではワックスを処理するために触媒プロセスが使用され、粘度指数を高め、芳香族及びヘテロ原子の含有量を減らし、脱ろう供給物中の低沸点成分の量を減らすために、脱ろうの前に脱ろう供給物が、概してアップグレードされる。一部の脱ろう触媒は、ワックス状分子をクラッキングすることによってより低分子量の分子にすることによってワックス変換反応を果たす。他の脱ろうプロセスでは、炭化水素供給物に含まれるワックスをワックス異性化によってプロセスに変換し、非異性化分子対応物よりも低い流動点を有する異性化分子を生成する場合がある。本明細書で使用する場合、異性化は、接触水素異性化条件下でワックス分子の異性化に水素を使用するための水素異性化プロセスを包含する。
【0060】
好適な水素化脱ろう条件は、概して、使用される供給物、使用される触媒、所望の収率、及び基油の所望の特性に依存する。典型的な条件には500°F~775°F(260℃~413℃)の温度、15psig~3000psig(0.10MPa~20.68MPaゲージ)の圧力、0.25hr-1~20hr-1のLHSV、及び2000SCF/bbl~30,000SCF/bbl(356~5340m3H2/m3供給物)の水素と供給物の比率が含まれる。一般に、水素は、生成物から分離され、異性化ゾーンへ再循環される。概して、本発明の脱ろうプロセスは水素の存在下で行われる。典型的には、炭化水素に対する水素の比率は、炭化水素1バレル当たり約2000~約10,000標準立方フィートH2の範囲内であってよく、通常、炭化水素1バレル当たり約2500~約5000標準立方フィートH2であってよい。上記の条件は、水素化処理ゾーンの水素化処理条件ならびに第1及び第2の触媒の水素異性化条件に適用され得る。好適な脱ろう条件及びプロセスは、例えば、米国特許第5,135,638号、同第5,282,958号、及び同第7,282,134号に記載されている。
【0061】
この方法、及び触媒系及び使用プロセスは、概して、SSZ-91モレキュラーシーブ及び希土類修飾アルミナを含む水素異性化触媒組成物の観点から説明されているが、層状触媒及び処理工程を含む追加の触媒、例えば、水素化処理触媒(複数可)/工程、ガード層、及び/または水素化仕上げ触媒(複数可)/工程が存在し得ることを理解されたい。
【0062】
本発明は、以下の番号が付けられたP1~P21の段落の範囲内にあり、それらに記載されているように、全ての実施形態、態様、変形及び等価物を含むものとみなされるべきである。
【0063】
段落P1.基油を含む脱ろう生成物の作製に有用な水素異性化触媒を作製するための方法であって、
SSZ-91モレキュラーシーブを希土類金属修飾アルミナ及び任意選択で耐火性無機酸化物担体前駆体と混合して混合物を形成することであって、前記混合物が、約5~約80重量%の範囲のSSZ-91モレキュラーシーブ含有量を有する、前記形成することと、
成形された微粒子材料を前記混合物から形成し、前記微粒子材料を乾燥させることと、
前記乾燥した微粒子材料を焼成することと、
前記焼成された微粒子材料を、第8~10族金属化合物を含む溶液と接触させて、触媒前駆材料を形成し、前記触媒前駆材料を乾燥させることと、
前記乾燥した触媒前駆材料を焼成して、水素異性化触媒を形成することと、を含む、前記方法。
【0064】
段落P2.前記SSZ-91モレキュラーシーブが、ZSM-48型ゼオライト材料を含み、前記モレキュラーシーブが、
ZSM-48型材料の全体の少なくとも70%のポリタイプ6と、
0~3.5重量パーセントの量のEUO型相と、
1~8の平均アスペクト比を有する微結晶を含む多結晶集合体形態と、を有する、段落P1に記載の方法。
【0065】
段落P3.前記耐火性無機酸化物担体前駆体が、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、マグネシア、またはそれらの組み合わせから選択されるマトリックス材料及び/またはマトリックス材料の混合物から選択される、段落P1及び段落P2のいずれか1項に記載の方法。
【0066】
段落P4.前記耐火性無機酸化物担体前駆体が、アルミナ、シリカ-アルミナ、またはそれらの組み合わせから選択されるマトリックス材料及び/またはマトリックス材料の混合物から選択される、段落P1~P3のいずれか1項に記載の方法。
【0067】
段落P5.前記希土類金属が、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウム、またはそれらの組み合わせから選択される、段落P1~P4のいずれか1項に記載の方法。
【0068】
段落P6.前記アルミナが、ベーマイト、擬ベーマイト、γ-アルミナ、η-アルミナ、θ-アルミナ、δ-アルミナ、χ-アルミナ、またはそれらの混合物から選択される、段落P1~P5のいずれか1項に記載の方法。
【0069】
段落P7.前記アルミナが、ベーマイト、擬ベーマイト、γ-アルミナ、θ-アルミナ、またはそれらの混合物である、段落P1~P6のいずれか1項に記載の方法。
【0070】
段落P8.前記アルミナが、ベーマイト、擬ベーマイト、またはγ-アルミナを含む、段落P1~P7のいずれか1項に記載の方法。
【0071】
段落P9.前記希土類金属修飾アルミナが、100~300m2/g、もしくは110~250m2/g、もしくは120~200m2/gの範囲の表面積、2.5~105nmの細孔直径範囲で0.6~2.0cc/g、もしくは0.65~1.8cc/g、もしくは0.7~1.5cc/gの範囲の細孔容積、またはそれらの組み合わせ、の特性のうちの1つ以上を有する、段落P1~P8のいずれか1項に記載の方法。
【0072】
段落P10.前記希土類金属修飾アルミナが、約1~20重量%、または1.5~15重量%、または2~10重量%の範囲のランタン含有量を有するランタン修飾ベーマイトまたはγ-アルミナである、段落P1~P9のいずれか1項に記載の方法。
【0073】
段落P11.前記ランタン修飾アルミナが、100~300m2/g、もしくは110~250m2/g、もしくは120~200m2/gの範囲の表面積、2.5~105nmの細孔直径範囲で0.6~2.0cc/g、もしくは0.65~1.8cc/g、もしくは0.7~1.5cc/gの範囲の細孔容積、またはそれらの組み合わせ、の特性のうちの1つ以上を有する、段落P1~P10のいずれか1項に記載の方法。
【0074】
段落P12.前記成形された微粒子材料が、粉末、顆粒、成型生成物、または押出物の形態である、段落P1~P11のいずれか1項に記載の方法。
【0075】
段落P13.前記成形された微粒子材料が、約90~150℃の範囲の温度で乾燥され、約260~650℃の範囲の温度で焼成された押出物である、段落P1~P12のいずれか1項に記載の方法。
【0076】
段落P14.前記第8~10族金属化合物を含む前記溶液が、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金、またはそれらの組み合わせから選択される第8~10族金属を含む、段落P1~P13のいずれか1項に記載の方法。
【0077】
段落P15.前記焼成された微粒子材料を、約20~80℃の範囲の温度で約0.1~2時間、溶液と接触させる、段落P1~P14のいずれか1項に記載の方法。
【0078】
段落P16.前記触媒前駆材料が、約90~150℃の範囲の温度で乾燥され、約260~650℃の範囲の温度で焼成される、段落P1~P5のいずれか1項に記載の方法。
【0079】
段落P17.前記水素異性化触媒が、約0~85重量%の前記耐火性無機酸化物担体、約5~85重量%の前記希土類金属修飾アルミナ、約25~85重量%の総モレキュラーシーブ含有量、約0.1~1.0重量%の総活性金属含有量、及び約0~10重量%の総促進剤含有量を含む、段落P1~P6のいずれか1項に記載の方法。
【0080】
段落P18.SSZ-91モレキュラーシーブを含む水素異性化触媒における貴金属分散及び熱安定性を改善するための方法であって、段落P1~P17のいずれか1項に記載の方法に従って前記水素異性化触媒を形成することを含む、前記方法。
【0081】
段落P19.前記貴金属分散が、同じSSZ-91モレキュラーシーブ、同じ耐火性無機酸化物担体前駆体、及びアルミナが希土類金属で修飾されていない点のみが異なる同じアルミナを含む触媒と比較して、少なくとも約2%、または4%、または8%、または10%増加する、段落P18に記載の方法。
【0082】
段落P20.段落P1~P19のいずれか1項に記載の方法に従って作製される水素異性化触媒。
【0083】
段落P21.基油生成物を作製するためのプロセスであって、基油供給原料を水素異性化条件下で段落P20に記載の水素異性化触媒と接触させることを含む、前記プロセス。
【0084】
例
SSZ-91は、US10,618,816に従って合成された。アルミナは、SasolのCatapal(登録商標)アルミナ及びPural(登録商標)アルミナ、またはUOPのVersal(登録商標)アルミナとして提供された。SSZ-91モレキュラーシーブのシリカ-アルミナ比(SAR, silica-alumina ratio)は120以下であった。
【0085】
希土類修飾アルミナは、市販の供給元(例えば、Sasol, Kaiyong, PIDC)から入手した。代表的なランタン修飾アルミナを水素異性化触媒の希土類修飾アルミナとして使用した。これらのLaドープアルミナは、表1の特性を有することを特徴付けされている。
【表1】
【0086】
金属の分散は、水素化学吸着測定を使用して評価された。金属分散は、触媒材料中の金属原子の総数に対する反応に利用可能な活性金属原子の数の比率を表す。金属パーセント分散は、活性分子の総量に対する利用可能な量の比率に100%を掛けたものである。弱い吸着は可逆吸着、強い化学吸着は不可逆吸着と呼ばれる。総化学吸着は、弱い吸着と強い吸着の組み合わせである。
【0087】
金属分散は、次の手順を使用して決定された:触媒は、最初にHe下で焼成され、水素下で還元された。触媒を60分間排気した後、35℃、圧力20、40、60、80、及び100トールで総H2化学吸着を測定するまで、触媒を真空下に保持した。総化学吸着を測定した後、触媒を10分間排気し、等温H2化学吸着を繰り返して弱いH2化学吸着成分及び強いH2化学吸着成分を決定した。全てのサンプルの金属分散は、例A1の触媒で決定された強い化学吸着に対して正規化された。
【0088】
例A1-水素異性化触媒A1の調製
水素異性化触媒A1(比較)を次のように調製した:微結晶SSZ-91をSasol Catapal(登録商標)アルミナと複合させて、65重量%のSSZ-91ゼオライトを含有する混合物を提供した。混合物は、押出され、乾燥され、焼成された。乾燥及び焼成した押出物に白金含有溶液を含浸させ、343℃で焼成した。全体の白金充填量は0.6重量%であった。
【0089】
例A2-水素異性化触媒A2の調製
水素異性化触媒A2(比較)を、触媒A1に使用したものと同じ条件下で調製し、371℃で焼成した。
【0090】
例A3-水素異性化触媒A3の調製
水素異性化触媒A3(比較)を、触媒A1に使用したものと同じ条件下で調製し、399℃で焼成した。
【0091】
例A4-水素異性化触媒A4の調製
水素異性化触媒A4(比較)を、触媒A1に使用したのと同じ条件下で調製し、427℃で焼成した。
【0092】
例A5-水素異性化触媒A5の調製
水素異性化触媒A5(比較)を、触媒A1に使用したものと同じ条件下で調製し、482℃で焼成した。
【0093】
例A6-水素異性化触媒A6の調製
水素異性化触媒A6(比較)を、触媒A1に使用したものと同じ条件下で調製し、538℃で焼成した。
【0094】
例B7-水素異性化触媒B7の調製
水素異性化触媒B7を次のように調製した:微結晶SSZ-91をSasol Catapal(登録商標)アルミナ及び17.5重量%のLa修飾アルミナLAL1と複合させて、65重量%のSSZ-91ゼオライトを含有する混合物を提供した。混合物を、触媒A1に使用したものと同じ条件下で押出し、乾燥し、焼成した。乾燥及び焼成した押出物に白金含有溶液を含浸させ、343℃で焼成した。全体の白金充填量は0.6重量%であった。
【0095】
例B8-水素異性化触媒B8の調製
水素異性化触媒B8を、触媒B7に使用したものと同じ条件下で調製し、399℃で焼成した。
【0096】
例B9-水素異性化触媒B9の調製
水素異性化触媒B9を、触媒B9に使用したものと同じ条件下で調製し、482℃で焼成した。
【0097】
例C10-水素異性化触媒C10の調製
水素異性化触媒C10を次のように調製した:微結晶SSZ-91をSasol Catapal(登録商標)アルミナ及び17.5重量%のLa修飾アルミナLAL2と複合させて、65重量%のSSZ-91ゼオライトを含有する混合物を提供した。混合物を、触媒A1に使用したものと同じ条件下で押出し、乾燥し、焼成した。乾燥及び焼成した押出物に白金含有溶液を含浸させ、343℃で焼成した。全体の白金充填量は0.6重量%であった。
【0098】
例C11-水素異性化触媒C11の調製
水素異性化触媒C11を、触媒C10に使用したものと同じ条件下で調製し、399℃で焼成した。
【0099】
例C12-水素異性化触媒C12の調製
水素異性化触媒C12を、触媒C10に使用したものと同じ条件下で調製し、427℃で焼成した。
【0100】
例C13-水素異性化触媒C13の調製
水素異性化触媒C13を、触媒C10に使用したのと同じ条件下で調製し、482℃で焼成した。
【0101】
例C14-水素異性化触媒C14の調製
水素異性化触媒C14を、触媒C10に使用したのと同じ条件下で調製し、538℃で焼成した。
【0102】
例D15-水素異性化触媒D15の調製
水素異性化触媒D15を次のように調製した:微結晶SSZ-91をSasol Catapal(登録商標)アルミナ及び35重量%のLa修飾アルミナLAL2と複合させて、45重量%のSSZ-91ゼオライトを含有する混合物を提供した。混合物を、触媒A1に使用したものと同じ条件下で押出し、乾燥し、焼成した。乾燥及び焼成した押出物に白金含有溶液を含浸させ、399℃で焼成した。全体の白金充填量は0.6重量%であった。
【0103】
例E-触媒貴金属分散
比較例A1~A6、本発明の例B7~B9、C10~C14及びD15の触媒の各々について正規化Pt分散を決定した。表2に結果を纏める。
【表2】
【0104】
表2に示す結果は、希土類修飾(例えば、Laドープ)アルミナの添加により、貴金属の分散性及び熱安定性が改善されることを明示している。焼成温度が上昇すると、Laドープ触媒の金属分散保持率が大幅に向上する。表3は、比較(基本ケース)触媒A1~A6と比較した触媒C10~C14の相対的な改善の概要を示す。例えば、触媒焼成温度343℃では、Laドープ触媒は、およそ+9%の改善された金属分散を示す。また、焼成温度が上昇するにつれて、金属分散の改善が大幅に増加したことにも留意されたい。例えば、482℃以上の焼成温度(すなわち、触媒C13及びC14)では、金属分散は、希土類修飾アルミナを含まない比較例A5及びA6触媒より約50%高い。
【表3】
【0105】
本発明の1つ以上の実施形態の上記の説明は、主に例示のためのものであり、変形形態を用いてよく、その上、その変形形態が、本発明の本質に組み込まれることは認識されている。本発明の範囲を判断する際には、下記の特許請求の範囲を参照すべきである。
【0106】
米国特許実務の目的のため、及び許可されている他の特許庁において、本発明の前述の説明で引用した全ての特許及び刊行物は、そこに含まれる情報が前述の開示と一致する及び/または補足する範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】