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特表2024-501873回路モデリングを用いたバッテリ充電のシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】回路モデリングを用いたバッテリ充電のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
H02J7/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540490
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 US2021065776
(87)【国際公開番号】W WO2022147317
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】63/132,250
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523090283
【氏名又は名称】イオントラ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ケスナー デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ハウレット ザ サード ジョン アール
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503CC02
5G503DB03
5G503FA06
5G503GA01
(57)【要約】
バッテリ(104)を充電するためのシステム(100)は、電源(302)と結合された第1のスイッチ(312、412)を備える。スイッチには、誘導素子(318)(フィルタの一部であってもよい)が接続されている。このシステムは、スイッチ(312、412)と連通するとともに誘導素子のモデル(114)と連通したプロセッサ(106、306、406)を具備する。プロセッサによるスイッチの制御によって、第1の誘導素子でパルス列が生成されることにより、誘導素子(318)のモデルに関する成形充電波形が生成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを充電するためのシステムであって、
第1のスイッチと、
前記スイッチと動作可能に連通した第1の誘導素子と、
前記スイッチと連通するとともに前記誘導素子のモデルと連通し、命令の実行による前記スイッチの制御によって、前記第1の誘導素子でパルス列を生成することにより、成形充電波形を生成するために前記モデルを実行することに応じて前記成形充電波形を生成するように構成されたプロセッサと、
を備えた、システム。
【請求項2】
前記第1のスイッチが、電源と動作可能に結合され、前記プロセッサが、前記モデルによって前記パルス列を実行するとともに、前記パルス列を調整して前記成形波形を生成するようにさらに構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記モデルが、設定可能なインダクタンス値および設定可能な抵抗値を含み、前記プロセッサが、命令の実行によって、既知の信号を前記誘導素子に適用するとともに前記既知の信号の第1の点における第1の測定結果および前記既知の信号の第2の点における第2の測定結果を取得し、前記第1の点における前記第1の測定結果または前記第2の点における前記第2の測定結果の少なくとも一方が前記第1の点における第1の目標測定結果または前記第2の点における第2の目標測定結果それぞれと一致しない場合、前記設定可能なインダクタンス値または前記設定可能な抵抗値の少なくとも一方を変更することにより、前記モデルを校正するようにさらに構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の測定結果が、第1の電流または第1の電圧であり、前記第2の測定結果が、第2の電流または第2の電圧であり、前記第1の目標測定結果が、第1の目標電流または第1の目標電圧であり、前記第2の目標測定結果が、第2の目標電流または第2の目標電圧である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサが、マイクロコントローラを備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記誘導素子と動作可能に結合された共通ノードで前記第1のスイッチと連通した第2のスイッチをさらに備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のスイッチが、第1のトランジスタであり、前記第2のスイッチが、第2のトランジスタである、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のスイッチが、トランジスタであり、前記第2のスイッチが、ダイオードである、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の誘導素子が、第1のインダクタである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のインダクタと結合された第2のインダクタと、前記第2のインダクタと動作可能に結合され、前記成形充電波形を受信するバッテリと、前記第1のインダクタと前記第2のインダクタとニュートラルとの間に結合されたキャパシタと、をさらに備えた、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記誘導素子が、変圧器の一部である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
電源および前記第1のスイッチと動作可能に結合され、エネルギーを送達して前記成形充電波形を生成するように構成されたキャパシタをさらに備えた、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記モデルが、第2の誘導素子のモデルおよびバッテリのモデルをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記モデルが、前記第1の誘導素子と前記第1の誘導素子と直列の第2のインダクタとバッテリとを表すインダクタンス値を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記モデルが、抵抗値をさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記インダクタンス値が、前記抵抗値と直列である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
バッテリを充電する方法であって、スイッチと連通するとともに前記スイッチと結合された第1の誘導素子を含むフィルタのモデルと連通したプロセッサにより、前記スイッチの制御による前記フィルタでのパルス列の生成によって、成形充電波形を生成するために前記モデルを実行することに応じて前記成形充電波形を生成することを含む、方法。
【請求項18】
前記フィルタ素子でパルス列を生成することにより、前記フィルタから既知の信号を生成することと、
前記既知の信号の測定属性が目標測定結果に一致しない場合、前記モデルの少なくとも1つの属性を調整することにより前記モデルを校正することと、
をさらに含む、請求項17に記載のバッテリを充電する方法。
【請求項19】
前記モデルの前記少なくとも1つの属性が、設定可能なインダクタンス値および設定可能な抵抗値を含み、
前記モデルを校正することが、
前記既知の信号を前記フィルタに適用することと、
前記既知の信号の第1の点における第1の測定結果および前記既知の信号の第2の点における第2の測定結果を取得し、前記第1の点における前記第1の測定結果または前記第2の点における前記第2の測定結果の少なくとも一方が前記第1の点における第1の目標測定結果または前記第2の点における第2の目標測定結果それぞれと一致しない場合、前記設定可能なインダクタンス値または前記設定可能な抵抗値の少なくとも一方を変更することと、
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記フィルタが、第1のインダクタである前記第1の誘導素子と結合された第2のインダクタと、前記第1のインダクタと前記第2のインダクタとニュートラルとの間に結合されたキャパシタと、をさらに備えた、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記モデルが、前記スイッチをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記モデルが、電源と動作可能に結合されるとともに前記スイッチと動作可能に結合されたキャパシタをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
電気化学デバイスを充電する方法であって、
目標充電波形を充電回路のモデルに入力して、前記充電回路により生成される推定充電波形を決定することと、
前記推定充電波形に基づいて、前記充電回路のスイッチング素子を制御することと、
を含む、方法。
【請求項24】
前記推定充電波形を前記目標充電波形と比較して、前記目標充電波形と前記推定充電波形との間の誤差値を決定することをさらに含み、前記スイッチング素子の制御によって、前記決定した誤差値を補償する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記充電回路の前記モデルが、モデル化されたインダクタデバイスを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記充電回路の前記スイッチング素子が、電源に結合されたトランジスタを含み、前記トランジスタの制御によって、調整された充電波形が与えられる、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本PCT(特許協力条約)出願は、2020年12月30日に出願された米国特許出願第63/132,250号「Systems and Methods for Battery Cell Charging Using Circuit Modeling」と関連し、その優先権を主張するものであって、そのすべての内容をあらゆる目的で本明細書に援用する。
【0002】
本発明の実施形態は、一般的にはバッテリを充電するためのシステムおよび方法に関し、より詳細には、バッテリへの適用に先立って、信号の成形および/または信号からの不要な周波数成分のフィルタリングに関与する回路部品のモデルを含む成形充電信号の生成のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電動工具、モバイルコンピューティングおよびモバイル通信機器、携帯用電子機器、ならびにスクーターおよび自転車を含むあらゆる種類の電動車両等、数え切れないほどのさまざまな種類の電動機器が作動電源として充電式バッテリを使用する。充電式バッテリは、有限なバッテリ容量の制約を受け、消耗時には再充電する必要がある。バッテリの再充電は、再充電に要する時間の間、電動機器を移動させてはならないことが多いため、不便な場合がある。バッテリのサイズによっては、再充電に数時間を要する可能性がある。さらに、バッテリの充電には、バッテリ性能の低下を伴うことが多い。このため、とりわけ、バッテリの再充電に要する時間の短縮、バッテリ性能の向上、充電によるバッテリの劣化の低減のためのバッテリ充電技術の開発には、多大な努力が払われてきた。
【0004】
とりわけ、これらの観察結果を念頭に置いて、本開示の種々態様の考案および開発を行った。
【発明の概要】
【0005】
本開示の態様は、電源と動作可能に結合された第1のスイッチを備えた、バッテリを充電するためのシステムを含む。このシステムは第1の誘導素子をさらに含み、この第1の誘導素子は数ある考え得る誘導素子の中でもとりわけ、第1のスイッチと動作可能に連通した、1つのインダクタ、直列、並列、またはこれらの組み合わせにて結合された複数のインダクタ、変圧器の一次もしくは二次巻線等の変圧器または変圧器の誘導部であってもよい。このシステムは、スイッチと連通するとともに誘導素子のモデルと連通したプロセッサをさらに備える。また、付加的な構成要素がモデル化されていてもよい。プロセッサは、命令の実行によるスイッチの制御によって、第1の誘導素子でパルス列を生成することにより、成形充電波形を生成するためにモデルを実行すること応じて成形充電波形を生成するように構成されている。
【0006】
種々態様において、プロセッサは、モデルによってパルス列を実行するとともに、パルス列を調整して成形波形を生成するようにさらに構成されていてもよい。また、他の特性がモデル化されていてもよい。一例において、モデルは、設定可能なインダクタンス値および設定可能な抵抗値を含んでいてもよい。プロセッサは、命令の実行によって、既知の信号を誘導素子に適用するとともに、既知の信号の第1の点における第1の測定結果(たとえば、電流もしくは電圧)ならびに既知の信号の第2の点における第2の測定結果(たとえば、電流もしくは電圧)を取得し、第1の点における第1の測定結果または第2の点における第2の測定結果の少なくとも一方が第1の点における第1の目標測定結果または第2の点における第2の目標測定結果それぞれと一致しない場合、設定可能なインダクタンス値または設定可能な抵抗値の少なくとも一方を変更することにより、モデルを校正するようにさらに構成されていてもよい。
【0007】
付加的な種々態様において、このシステムは、誘導素子、より一般的には誘導素子を含むフィルタと動作可能に結合された共通ノードにおいて第1のスイッチ(たとえば、トランジスタ)と連通した第2のスイッチ(たとえば、トランジスタまたはダイオード)をさらに備えていてもよい。フィルタのほか、スイッチの種々態様がモデル化されていてもよい。
【0008】
このシステムは、第1の誘導素子と結合された第2のインダクタをさらに備えていてもよく、第1および第2の両素子がフィルタの一部である。考え得る種々実施形態においては、バッテリが第1のインダクタ、第2のインダクタ、より一般的にはフィルタと動作可能に結合されていてもよく、成形充電波形を受信する。種々実施形態では、充電波形を成形し、従来の定電流または定電圧型の充電信号の適用はしないものの、信号が一定の信号へと成形される場合もあると考えられる。第1の誘導素子と第2のインダクタとニュートラル(グランド)との間には、フィルタの一部とも考えられるキャパシタが結合されていてもよい。
【0009】
別の態様においては、キャパシタが電源および第1のスイッチと動作可能に結合されていてもよい。キャパシタは、スイッチを通じてエネルギー(たとえば、成形可能な電流)を送達することにより、第1の誘導素子および/または(より一般的に)フィルタによって成形充電波形を生成するように構成および配置されている。
【0010】
モデルは、第2のインダクタのモデルおよび充電対象のバッテリのモデルをさらに含んでいてもよい。第1および第2の誘導素子のほか、バッテリのモデル要素が組み合わされ、インダクタンス値により表されていてもよい。また、モデルは、組み合わせも可能であるさまざまなフィルタ素子の抵抗値を含んでいてもよい。
【0011】
本開示の別の態様において、バッテリを充電する方法は、スイッチと連通するとともにスイッチと結合された第1の誘導素子を含むフィルタのモデルと連通したプロセッサにより、スイッチの制御によるフィルタでのパルス列の生成によって、成形充電波形を生成するためにモデルを実行することに応じて成形充電波形を生成することを含む。この方法は、フィルタ素子でパルス列を生成することにより、フィルタから既知の信号を生成することと、既知の信号の測定属性が目標測定結果に一致しない場合、モデルの少なくとも1つの属性を調整することによりモデルを校正することと、をさらに含んでいてもよい。
【0012】
モデルの校正は、モデルの少なくとも1つの属性が設定可能なインダクタンス値および設定可能な抵抗値を含む場合、既知の信号をフィルタに適用することと、既知の信号の第1の点における第1の測定結果および既知の信号の第2の点における第2の測定結果を取得し、第1の点における第1の測定結果または第2の点における第2の測定結果の少なくとも一方が第1の点における第1の目標測定結果または第2の点における第2の目標測定結果それぞれと一致しない場合、設定可能なインダクタンス値または設定可能な抵抗値の少なくとも一方を変更することと、を含んでいてもよい。
【0013】
フィルタは、第1のインダクタである第1の誘導素子と結合された第2のインダクタと、第1のインダクタと第2のインダクタとニュートラルとの間に結合されたキャパシタと、をさらに備えていてもよい。モデルは、これらのさまざまな付加的なフィルタコンポーネントを単独または組み合わせでモデル化していてもよい。モデルは、1つまたは複数のスイッチをさらに含んでいてもよい。モデルは、電源と動作可能に結合されるとともにスイッチと動作可能に結合されたキャパシタをさらに含んでいてもよい。
【0014】
本明細書に記載の本開示のさまざまな目的、特徴、および利点については、添付の図面に示すように、それぞれの発明的概念の実施形態に関する以下の説明から明らかとなるであろう。図面は必ずしも原寸に比例しておらず、一実施形態のさまざまな特徴を表していてもよく、発明的概念の原理および他の態様の説明に重点を置いていることに留意されたい。また、図中の異なる図面にわたって、同じ参照記号は、同一または同様の部分を表し得る。本明細書に開示の実施形態および図面は、限定的なものではなく、例示的なものと考えることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係る、充電システムのシステム図である。
図2】一実施形態に係る、バッテリを充電するための、制御された任意の形状の充電波形の一例の信号グラフである。
図3】別の実施形態に係る、バッテリを充電するための回路を示した模式図である。
図4】別の実施形態に係る、バッテリを充電するための回路を示した模式図である。
図5】一実施形態に係る、回路モデルを利用して充電信号を生成するための方法を示したフローチャートである。
図6】別の実施形態に係る、回路モデルを利用して充電信号を生成するための方法を示したフローチャートである。
図7】フィルタ回路の第1のインダクタおよびフィルタ回路の第2のインダクタにおける、フィルタ回路のモデルに基づく生成された充電信号の一例を示した図である。
図8】モデルの校正に用いられるテスト信号の一例を示した図である。
図9】本開示の実施形態の実施に使用可能なコンピュータシステムの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書においては、バッテリを充電(再充電)するためのシステム、回路、および方法を開示する。本明細書において、充電(charging)および再充電(recharging)という用語は、同義で使用している。本開示の態様は、従来の充電に対して、単独または組み合わせにて複数の利点を提供することができる。たとえば、本明細書に記載の充電技術は、アノードが損傷を受ける速度を低下させるとともに、充電中の発熱を低減することにより、電極および他のバッテリの損傷の低減、火災または短絡のリスクの低減等、複数の後続効果を有し得る。他の例において、本明細書に記載の充電技術は、バッテリに対するより高い充電率の適用を可能にし、よって、より高速な充電を可能にし得る。これとは逆に、記載のシステム、回路、および方法によれば、さまざまな形態の従来の充電回路および方法と比較して、バッテリの充電に要するエネルギーを少なくすることができる。これらの技術はすべて、使用する充電率を最適化可能であり、サイクル寿命および温度等の他の問題を考慮したものである。一例においては、充電率およびパラメータの最適化によって、バッテリ寿命をより長くするとともに、充電エネルギー効率をより高くすることができる。
【0017】
一例において、本明細書に論じる種々実施形態では、充電信号成形回路の1つまたは複数の構成要素のモデルを用いて制御可能に成形された充電信号を生成することにより、バッテリを充電する。定電流または定電圧等の従来の充電技術は、充電信号の成形を伴わないため、制御が比較的簡単であり、本明細書に論じるモデリング技術を必要としない。一実施態様において、充電信号成形アルゴリズムは、バッテリを充電するための予想されたまたは目標とする充電信号を回路モデルに与えるようにしてもよい。このモデルは、信号を生成するための制御の確認および/または調整に用いられるようになっていてもよい。また、このモデルは、目標充電信号に基づくとともに、充電信号成形回路の構成要素のモデリングに基づいて、1つまたは複数の制御信号を充電信号成形回路のスイッチ等の構成要素へと出力するようにしてもよい。場合によっては、成形充電信号の形状の態様がバッテリへのエネルギーの最適な移動と関連付けられた高調波(または、複数の高調波)に対応し得る一方、システムの目的は、数ある目的の中でもとりわけ、任意の形状の充電信号を効率的に生成してバッテリに適用可能とすることである。この形状は、制御により規定される任意の形状であってもよいが、それとは関係なく制御される。充電信号成形回路の構成要素に対する制御信号は、バッテリ充電回路の代表である電圧および電流等、充電中のバッテリでの充電信号またはバッテリ自体の測定結果のフィードバックではなく、回路の構成要素のモデルに基づいていてもよい。場合によっては、この手法を「フィードフォワード」技術と称することがある。
【0018】
回路のモデルを利用して、充電信号を規定するための制御信号を決定するこのフィードフォワード技術は、信号調整の精度および速度を含む複数の利点を与え得る。さらに、この構成は、他の手法よりも少ない構成要素で動作可能なため、数ある利点の中でもとりわけ、コストの低減、PCB領域の縮小等が実現され得る。
【0019】
事実上は、とりわけ、モデルの誤差の調整、構成要素のドリフトの調整、温度等の回路部品への影響の調整、バッテリの変化の調整、およびモデルへの付加的なデータの定期的な提供による出力の変更のためには、何らかの種類のフィードバックなしで回路のモデルのみに依拠するのは困難である。たとえば、充電回路の動作中は、充電状態(SoC)、健全度(SoH)等に応答して、充電中のバッテリの態様が変化し得る。このため、場合によっては、回路のモデルの調整のためにバッテリの態様が取得され、利用されることがある。モデルは、充電信号の成形およびフィルタリングに用いられる回路のさまざまな構成要素を対象とし得る。これらの構成要素の値および機能が時間とともに変化することから、このような変化がモデルにおいて対象となり得る。一般的に、回路のモデリングは、バッテリおよび他のセンサからの相対的に遅いフィードバック経路に対抗するため、充電信号の推定および予備決定を提供する。この追加または代替として、モデリングは、とりわけ、コストが掛かり、貴重な電力およびPCB領域を消費する複雑な信号の測定も、構成要素の測定も、他のフィードバックメカニズムも伴わずに効果的な信号制御が実現され得る手段を提供する。それでもなお、フィードバック情報に基づくモデルの更新により、バッテリおよび/または回路素子の変化に基づいて当該モデルの応答を調整する場合がある。
【0020】
当技術分野および本明細書においては、用語「バッテリ(battery)」をさまざまに使用可能であり、電解質(固体または液体)により分離されたアノードおよびカソードを有する個々のセルのほか、さまざまな配置で接続されたこのようなセルの集合体を表し得る。バッテリまたはバッテリセルは、電気化学デバイスの一形態である。バッテリは一般的に、イオン伝導性バリア(電解質で飽和した液体またはポリマー膜であることが多い)により分離された対向電荷源および電極層の繰り返し単位を含む。これらの層は薄く構成されているため、複数のユニットによってバッテリの容積を占有可能であり、ユニットを積み重ねるごとにバッテリの利用可能な電力が増大する。本明細書においては、バッテリに適用可能なものとして多くの例を論じるが、記載のシステムおよび方法は、個々のセルから、並列、直列、および直並列に結合されたセル等、セルの考え得るさまざまな相互接続を含むバッテリに至るまで、多くのさまざまな種類のバッテリに適用され得ることを理解されたい。たとえば、本明細書に論じるシステムおよび方法は、規定のパック電圧、出力電流、および/または容量を与えるように配置された多くのセルを含むバッテリパックに適用され得る。さらに、本明細書に論じる実施態様は、わずかな例を挙げるなら、さまざまな異なる種類のリチウム電池(リチウム金属およびリチウムイオン電池が挙げられるが、これらに限定されない)、鉛蓄電池、さまざまな種類のニッケル電池、固体電池等、異なる種類の電気化学デバイスに適用され得る。また、本明細書に論じる種々実施態様は、ボタンもしくは「コイン」型バッテリ、円筒状セル、パウチセル、ならびに角型セル等、さまざまな構造のバッテリ構成にも適用され得る。
【0021】
図1は、バッテリ104を再充電するための例示的な充電信号生成器構成100を示した模式図である。生成器は、充電信号成形ユニット110からの充電信号を生成するための制御を提供するマイクロコントローラ、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、ASIC(特定用途向け集積回路)、マイクロプロセッサ、これらの組み合わせ、または他の処理構成等のコントローラ108を具備し得る処理あるいは制御ユニット106を含み、フィルタ112を含むことができる。コントローラは、充電信号成形ユニットおよび/またはフィルタの構成要素のモデル114と連通して、充電信号成形ユニットへの制御命令を生成する。コントローラおよびモデルを含む制御ユニットは、統合ユニットであってもよい。また、このシステムは、充電信号または校正信号等の存在下でバッテリ104のバッテリ端子における電流および/または電圧測定結果等のバッテリ測定結果をバッテリ測定回路116から受信して、モデルの校正または調整に使用するようにしてもよいし、あるいは、充電制御に影響を及ぼすようにしてもよい。一般的に、生成器は、電源118(電圧源であってもよいし、電流源であってもよい)を具備していてもよいし、電源118と動作可能に結合されていてもよい。一実施形態において、電源118は、直流(DC)電源であるが、交流(AC)電源も考えられる。さまざまな選択肢において、電源118には、一方向電流を供給するDC源、双方向電流を供給するAC源、またはリップル電流を供給する電源(電流が一方向となるようにDCバイアスをかけたAC信号等)を含んでいてもよい。一般的に、電源118は、制御ユニット106およびフィルタコンポーネントにより成形されて、バッテリ104を充電するための制御可能に成形された充電信号を生成し得る充電エネルギー(たとえば、電流)を供給する。一例においては、回路コントローラ108が1つまたは複数の入力を電力信号成形回路に与えることにより、フィルタへのパルスを生成するようにしてもよく、これによって、バッテリへの成形充電信号がフィルタの出力で生成される。
【0022】
場合により、充電信号成形回路110は、電源118からのエネルギーを変更することにより、高調波または高調波の属性を含む信号がバッテリ104に適用された場合のインピーダンスに基づいて1つまたは複数の高調波に少なくとも一部が対応する充電信号等、バッテリ104での充電状態に基づいて成形される充電信号を生成するようにしてもよい。図1等の例において、回路100は、バッテリ104に接続されてセル電圧および/または充電電流のほか、温度等の他のバッテリ属性を測定するとともに、バッテリ104のインピーダンスを測定または計算するバッテリ測定回路116を具備していてもよい。一例において、バッテリ特性は、適用充電信号に基づいて測定されるようになっていてもよい。別の例においては、周波数属性が変化する信号を適用して、異なる周波数属性と関連付けられた広範なバッテリセル特性値を生成することによりセルを特性化するルーチンの一部としてバッテリセル特性が測定されるようになっていてもよく、これは、充電前、充電中、充電中に定期的に実行されるようになっていてもよく、また、探索技術および他の技術と組み合わせて用いられるようになっていてもよい。バッテリ特性は、バッテリの多くの物理的または化学的特徴(バッテリの充電状態および/または温度を含む)に基づいて変化し得る。このため、バッテリ測定回路116は、回路コントローラ106による制御によって、数あるタイミングの中でもとりわけ、再充電中のバッテリ104のさまざまなバッテリ特性値を決定するとともに、バッテリ特性値の測定結果を回路コントローラ108または生成器100の他の部分に与えるようにしてもよい。
【0023】
回路コントローラ108は、バッテリ104の効率的な充電のための目標充電信号を生成するようにしてもよい。たとえば、回路コントローラ108は、バッテリ104の測定インピーダンスまたは信号がバッテリに及ぼすインピーダンスの影響を理解することにより特性化される信号定義を使用して、バッテリ104の最小インピーダンス値と関連付けられた高調波に対応する属性の充電信号を生成するようにしてもよい。このため、回路コントローラ108は、バッテリ104の測定、特性化、および/または推定充電状態に基づいて充電信号の形状を出力する充電信号アルゴリズムを実行するようにしてもよい。そして、回路コントローラ108は、充電信号アルゴリズムに基づいて1つまたは複数の制御信号を生成し、これらの制御信号を充電信号成形ユニット110に与えるようにしてもよい。制御信号は、数ある機能の中でも、充電信号の成形によって、アルゴリズムにより決定された成形充電信号を近似可能である。充電信号成形回路(または、より詳細には、フィルタ)は、信号から任意の不要な周波数属性をさらにフィルタリングするようにしてもよい。場合により、成形充電信号は、任意の形状の充電信号であって、繰り返し方形波または三角波の充電信号等、従来の繰り返し充電信号に適合しないものであってもよい。
【0024】
たとえば、図2は、バッテリセル204を充電するための任意の形状のバッテリ充電信号200の信号図202である。形状は任意に記載しているものの、制御され、制御に応じて任意の形状となり得ることを理解されたい。信号図202は、入力電流204対時間206としてグラフ化された充電信号208を示している。充電信号208の形状は、回路コントローラ210が実行する充電信号アルゴリズムまたはプログラムによって決定され得る。一例において、充電信号208の形状は、バッテリセル204の最小インピーダンス値等、バッテリセルの特性に基づいていてもよい。別の例において、充電信号208の形状は、セルのインピーダンス値と関連付けられた高調波に対応していてもよい。これらの例においては、形状のさまざまな部分がとりわけ、異なる高調波のインピーダンス応答に基づく。多くの例において、形状は、最低インピーダンスまたはその周りの高調波に基づくが、最低インピーダンスの高調波に限定されるわけではない。場合により、図2に示す信号等の信号は、充電電流210がバッテリにほとんどまたはまったく印加されないタイミングと充電電流(たとえば、信号208(a)または208(n))がバッテリに印加される時間期間との間におけるこのような信号(たとえば、208(a)~208(n))の繰り返しシーケンスであってもよい。さらに別の例において、充電信号208の形状の種々態様は、バッテリ104のアドミッタンスのコンダクタンスまたはサセプタンスの一方または両方と関連付けられた高調波に対応し得る。インピーダンス値を考慮する場合、この技術では、値が単独または組み合わせにて比較的低インピーダンスである高調波値を評価する。これらの技術では、アドミッタンスによって、コンダクタンスおよびサセプタンスの単独または組み合わせから成るアドミッタンスが比較的高い高調波を評価する。大略逆の関係を所与として、本明細書で使用するインピーダンス(impedance)という用語は、その逆数であるアドミッタンスを含み得る。一般的に、生成器100の充電信号成形アルゴリズムは、バッテリ104の任意の特性(測定、モデル化、または推定)に基づいて、充電信号208の形状を変形あるいは別様に決定することができる。
【0025】
従来のいくつかの充電シナリオにおいては、パルス充電が研究されている。ただし、方形波パルス充電信号を適用してバッテリを充電すると、バッテリの寿命が短くなったり、バッテリの充電が非効率になったりする可能性があることが分かっている。たとえば、バッテリの電極(通常はアノード)に対する充電電流の急激な印加(たとえば、方形波パルスの鋭い前縁)は、バッテリの端子間に大きな初期インピーダンスを引き起こす可能性があり、その結果、バッテリに電力が伝送されず、数ある問題の中でもとりわけ、充電プロセスの効率の低下および/または充電中のバッテリの一部損傷を引き起こす。
【0026】
方形波パルスによるバッテリへの充電信号の急激な変化は、方形波パルスの前縁、方形波パルスの後縁、および従来の逆パルス方式の使用中等において、高周波の高調波から成るノイズをもたらし得る。このように大きな高調波の結果、バッテリの電極ではインピーダンスが高くなる。このような高インピーダンスは、多くの非効率およびバッテリの劣化(容量損失、発熱、バッテリ全体での動電作用の不均衡、充電境界における望ましくない電気化学応答、ならびにバッテリの損傷およびバッテリの寿命の短縮の原因となるバッテリ内の材料の劣化を含む)をもたらし得る。さらに、ボンディングエッジが鋭いパルスでバッテリをコールドスタートさせると、容量性充電および拡散プロセスが開始となるため、ファラデー作用が制限される。この間、近位のリチウムが反応して急速に消費され、望ましくない副反応および拡散制限状態が残って、セルおよびその構成要素の健全性に悪影響を及ぼす。これらの非効率および他の非効率は、いわゆる急速充電と通常関連付けられた比較的大きな電流でのバッテリの再充電時に特に不利となる。
【0027】
充電状態、温度、および他の因子によってバッテリ104の特性が変化し得ることから、充電信号208の形状も時間とともに変化し得る。この信号は、信号の生成および/または信号のフィルタリングに関わる回路部品のモデル114を参照しつつ、部分的に規定され得る。また、このシステムでは、フィードバックを使用するようにしてもよい。したがって、場合により、生成器は、回路および/またはバッテリの特性をモニタリングまたは決定する反復プロセスを実行するとともに、これに応じてモデルおよび/またはバッテリに適用される充電信号208の形状を調整するようにしてもよい。反復プロセスは、バッテリの再充電に用いられる信号形状の精度および/または充電信号の効率を向上させることによって、数ある利点の中でもとりわけ、バッテリの再充電時間の短縮、バッテリの寿命(たとえば、バッテリの可能な充放電サイクルの回数)の延長、バッテリを充電する電流の量の最適化、およびさまざまな非効率によるエネルギー損失の回避を図ることができる。
【0028】
図3は、一実施形態に係る、スイッチング要素312、314を利用して、制御された初期パルス列をノード336で生成した後、フィルタコンポーネント324により成形充電信号へと変換して、バッテリに適用される充電信号を生成することによりバッテリ304を充電するための回路300を示した模式図である。回路300は、図1の生成器を参照しつつ上記で紹介した要素を具備し、それには電源302、回路コントローラ306、バッテリ測定回路308、およびバッテリ304が含まれる。図3の回路300に示す他の要素については、図1の充電信号成形回路および/またはフィルタに含まれ得る。以下により詳しく説明する通り、回路コントローラ306は、回路モデルとの協調により、電流または電圧信号を成形してバッテリ304を充電するプロセスの一部として、回路300の要素(たとえば、スイッチ312および314)に1つまたは複数の制御信号330、332を与えるようにしてもよい。回路コントローラ306は、FPGAデバイス、マイクロコントローラ、プロセッサ、ASIC、またはその他任意のプログラム可能な処理デバイスにより実施されてもよい。一実施態様において、回路コントローラ306は、バッテリ304に適用される充電信号の形状を生成するパルス列をノード336に生成するようにスイッチを制御する充電信号成形生成器310を具備していてもよい。
【0029】
上記紹介の通り、生成器は、さまざまな信号およびバッテリ特性の詳細なフィードバックを使用する拡張的なフィードバック環境ではなく、モデルを使用するようにしてもよい。単純なレベルにおいて、このモデルは、インダクタを表す抵抗ならびにフィルタ回路324とバッテリ304との抵抗と直列のインダクタのものである。したがって、このモデルは、抵抗値と直列のインダクタンス値であってもよい。モデルへの入力における制御されたパルス列の存在下において、このモデルは、バッテリへの充電信号出力を予測可能である。他の例において、このモデルは、スイッチ要素312および314のほか、電源302およびキャパシタ322をさらに含んでいてもよい。したがって、このモデルは、フィルタ324への入力パルスを生成するスイッチへの制御シーケンスをモデル化し、モデルによって生成したモデル化された充電波形を解析することができると考えられる。本開示の種々態様には、従来の単純な定電流、定電圧、または方形波エッジパルス型充電信号ではない入念に制御された充電波形の生成を含むため、目標とするまたは計画された充電信号を実際の充電信号として正確に再現することが重要である。さらに、多くの充電環境においては、過度に複雑な測定・フィードバックシステムがあまりにも高価で、エネルギー消費が多く、速度が遅く、プロセッサアーキテクチャ領域の消費が多く、実用的および/または効果的ではないことから、モデルの使用が有益である。
【0030】
それにも関わらず、特に後述の校正シーケンスにおいて、生成器300は、バッテリ測定回路308からバッテリの特性の測定結果を受信して、モデルの確認、モデルの変更、および/または充電信号の形状の決定に使用するようにしてもよい。さらに、いくつかの状況においては、充電中の開回路電圧等、バッテリの特定の属性のモニタリングをバッテリの製造業者が推奨または要求するようにしてもよい。ただし、以下により詳しく説明する通り、このようなフィードバックメカニズムは、充電信号の効果的な成形を可能にしない速度で生じ得るか、または、フィードバックメカニズムの有無に関わらず回路300の要素を制御するための制御信号330、332の決定にモデルが利用され得るように、低コストかつ単純なフィードバック要素を必要とする方法で実行される。
【0031】
紹介された通り、回路300は、バッテリ304を充電するための充電信号を成形する1つまたは複数の構成要素を具備していてもよい。図示の実施態様において、回路300は、電源302の出力334に接続された第1のスイッチング要素(たとえば、トランジスタ312)および第2のスイッチング要素(たとえば、トランジスタ314)を具備していてもよい。第1のトランジスタ312は、当該第1のトランジスタ312をスイッチング素子またはコンポーネントとして動作させるパルス幅変調(PWM)制御信号330等の入力信号を受信するようにしてもよい。一般的に、第1のトランジスタ312は、如何なる種類のトランジスタ(たとえば、FET(もしくは、より詳細にはMOSFET)、GaN FET、炭化ケイ素ベースのFET、または第1のインダクタ316を電源302の出力334に対して制御可能に接続する任意の種類の制御可能なスイッチング要素)であってもよい。たとえば、第1のトランジスタ312は、ドレインノードが第1のインダクタ316に接続され、ソースが電源302に接続され、ゲートが回路コントローラからの制御信号330を受信するFETであってもよい。また、種々実施形態において、フィルタ回路324は、他の考え得るさまざまな誘導素子を有していてもよい。たとえば、インダクタ316および/またはインダクタ318を変圧器で代用することができ、変圧器の各側または両側(たとえば、一次側および二次側)を誘導素子と考えることができる。回路コントローラ306が制御信号330を与えることにより、閉じた場合に第1のインダクタ316を電源302に接続して、電源からの電流が第1のインダクタ316に流れるようにするスイッチとしての第1のトランジスタ312の動作を制御するようにしてもよい。第2のトランジスタ314は、第2の入力信号332を受信するようにしてもよく、また、ノード336で第1のトランジスタ312のドレインに接続されていてもよい。場合により、第2の入力信号332は、第1のトランジスタ312への第1の制御信号330とは逆のPWM信号であってもよい。代替構成においては、図5を参照して後述する通り、トランジスタ314をダイオードで代用することできる。それにも関わらず、第1のトランジスタ312を閉じて第1のインダクタ316を電源302に接続した場合でも、第2のトランジスタ314は開放状態である。逆に、第1のトランジスタ312が開放状態の場合は、第2のトランジスタ314を閉じてノード326および第1のインダクタ316をグランドに接続する。本明細書においては、トランジスタを反対の状態に制御する反対信号として第1の制御信号330および第2の制御信号332を記載しているが、スイッチング要素312、314を制御するための他の技術も回路300により実施可能である。インダクタンス値、キャパシタンス値、トランジスタを作動する時間および周波数、ならびに他の因子については、波形、特に、バッテリを充電するためにバッテリに対して制御された高調波を伴う波形を生成するように調整可能である。図2に示す例示的な充電信号を参照して、ノード336における信号は、0ボルト~レール電圧(たとえば、電源302が供給するノード334での電圧)前後のパルス列であってもよい。ノード336におけるパルスは、デューティサイクルが変化するものであってもよく、また、変化する周波数で生成されたものであってもよい。ただし、全体として、これらのパルスは、目標充電信号と同一またはほぼ同一の信号をもたらすように生成される。したがって、たとえば図2のような信号は、ノード336に存在するパルスの組み合わせに基づいてノード338に存在することになる。所望の充電信号を形成するため、信号に応じて、10秒~1000秒(またはそれ以上)のパルスが生成されるようになっていてもよい。
【0032】
回路30には、第1のインダクタ316のほか、他の構成要素が含まれていてもよい。特に、回路300は、電源の出力334とグランドとの間に接続された第1のキャパシタ322を具備していてもよい。以下により詳しく論じる通り、充電波形に必要なエネルギーの一部は、電源およびキャパシタ322の組み合わせにより供給されるようになっていてもよい。フィルタ324と称する回路の部分において、第1のインダクタ316(ノード338)とグランドとの間には、第2のキャパシタ320が接続されていてもよい。また、ノード338とバッテリ304のアノードとの間には、第2のインダクタ318が接続されていてもよい。回路300のフィルタ324は一般的に、バッテリ304に適用される充電信号の急激な変化を防止するように動作し得る。また、フィルタは、当該フィルタの入力におけるパルスを充電信号に変換するほか、バッテリから、任意の意図しない高周波ノイズをフィルタリングするようにしてもよい。たとえば、制御信号330に基づいて第1のトランジスタ312を閉じた際には、バッテリ304に送られる電流の急激な増加を第1のインダクタ316および第2のインダクタ318が阻止し得る。このような電流の急激な増加は、バッテリ304を損傷させる場合もあるし、あるいは、バッテリの寿命に不利となる場合もある。さらに、インダクタ316またはインダクタ316および318は、単独またはキャパシタ320との組み合わせにて、バッテリに適用される波形を成形するようにしてもよく、インダクタに適用される信号の制御によって、波形の成形を制御可能となり得る。別の例において、キャパシタ320は、第1のトランジスタ312が閉じている間、電源302からのエネルギーを蓄積するようにしてもよい。トランジスタ314を閉じることと併せて第1のトランジスタ312を開いた場合、キャパシタ320は、第2のインダクタ318を通じて少量の電流をバッテリ304に供給することで、バッテリへの電流の急降下に抵抗するようにしてもよく、同様に、バッテリに適用される波形の制御可能な成形への使用によって、特に急激な負の遷移を回避するようにしてもよい。また、フィルタ回路は、ノイズ(比較的高い周波数のノイズを含み得る)等の他の不要な信号を除去する。バッテリ304の充電に関する他の利点もフィルタ回路324によって実現されるが、簡略化のための本明細書では論じない。
【0033】
充電回路300に含まれる構成要素は、より多くてもよいし、より少なくてもよいことを理解されたい。たとえば、バッテリ304への充電信号をフィルタリングするため、フィルタ回路324の1つまたは複数の構成要素が必要に応じて除去または変更されるようになっていてもよい。また、他の多くの種類の構成要素および/または構成要素の構成が充電回路300に含まれていてもよいし、充電回路300と関連付けられていてもよい。むしろ、図3の回路300はバッテリ充電回路300の一例に過ぎず、回路モデルを利用して制御信号330、332を生成あるいは別様に決定することにより充電信号を成形するための本明細書に記載の技術は、任意数のバッテリ充電回路に適用され得る。また、インダクタまたはキャパシタの種々付加的な組み合わせが図示のものと直列または並列に設けられていてもよい。
【0034】
上述の通り、回路コントローラ306の信号成形生成器310は、モデルおよび/またはバッテリ測定回路308から受信したバッテリ304のフィードバック測定結果に基づいて、充電信号の形状を制御するようにしてもよい。たとえば、バッテリ測定回路308によって、初期充電信号がバッテリ304に適用され、バッテリ304の1つまたは複数の測定結果(バッテリに流れ込む電流またはバッテリ両端の電圧等)が取得されるようになっていてもよい。これらの測定結果が信号成形生成器310に与えられ、バッテリ特性の予想測定結果とバッテリ304における測定値との間の誤差が決定されるようになっていてもよい。この決定誤差に基づいて、信号成形生成器310は、制御信号330、332によって、第1のトランジスタ312および第2のトランジスタ314を制御することにより、バッテリ304への充電信号の形状を調整するようにしてもよい。言い換えると、信号成形生成器310は、バッテリ304に送られる充電信号を変形することにより、バッテリ304の予想測定特性を生成するようにしてもよい。フィードバック測定結果が予想される限りは、制御信号330、332によって、信号成形生成器310により充電信号の形状が維持され得る。ただし、予想測定結果と測定値との間の差異が検出された場合、回路コントローラ306は、充電信号の形状を変更して、バッテリ304の応答を予想される値の範囲に収めるようにしてもよい。このようなプロセスは、行われなくてもよいし、充電の開始または充電中のさまざまで時点で行われるようになっていてもよいし、定期的または断続的に行われるようになっていてもよいし、何らかの変更または何らかの測定基準(たとえば、端子電圧、充電状態、温度の変化)に応じて行われるようになっていてもよい。
【0035】
場合により、バッテリ304への充電信号を変更または成形するために信号成形生成器310が使用するフィードバック技術は、遅延が大き過ぎるため、高速で発生する充電信号を効果的に成形できない可能性がある。たとえば、充電信号は特定の周波数で発生するパルスを含み得るが、これは、バッテリ測定回路308がバッテリ特性測定結果を取得し得る以上および/または回路コントローラ306が測定されたバッテリ特性に応答して充電信号の形状を調整し得る以上の高速であることが多い。その結果、フィードバック測定結果を利用して充電信号の形状を調整する回路コントローラ306は、特に高周波の充電信号の場合、充電信号を微調節してバッテリ充電を最適化することができない場合が多い。
【0036】
図4は、一実施形態に係る、回路モデル440を利用してバッテリ404を充電するための回路400を示した模式図である。図4の回路400は、図3を参照しつつ上述した充電回路300の代替版であり、電源402、第1のトランジスタ412もしくは他の種類の電子スイッチ、第2のトランジスタ414もしくは他の種類の電子スイッチの代わりとなるダイオード、バッテリ404、ならびに回路コントローラ406等の類似の構成要素を具備していてもよい。また、図示はしていないものの、バッテリ測定構成が含まれていてもよい。上記と同様に、第1のトランジスタ412は、当該トランジスタをスイッチとして動作させるとともに、インダクタ416を電源402の出力に対して交互に接続する制御または入力信号430により制御されるようになっていてもよい。フィルタは、インダクタ416と考えられ、図3のキャパシタ320も第2のインダクタ318も含んでいなくてもよい。一般的に、第1のトランジスタ412は、如何なる種類のFETトランジスタであってもよいし、如何なる種類の制御可能なスイッチデバイスであってもよい。回路コントローラ406が制御信号430を与えることにより、閉じた場合にインダクタ416を電源402に接続して、電源からの充電信号がインダクタ416に流れるようにするスイッチとしての第1のトランジスタ412の動作を制御するようにしてもよい。
【0037】
上述の通り、図4の回路400は、図3の回路300の代替版である。充電回路のフィルタ部の構成要素の多くは存在しない。このような構成要素は、充電回路400に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0038】
多様な用途においては、コストおよび複雑性が問題となり得るが、これらは可能であれば最小化または回避すべきである。同様に、簡素化によって信頼性も得られる。このため、図4の回路400では、当該回路400のいくつかの属性のモデル440を利用することにより、何らかの目標充電信号に基づいてインダクタ416の出力に充電信号を生成する方法を決定するようにしてもよい。モデルの使用によって、離散的な構成要素における値のモニタリングの必要が回避されるとともに、より複雑なフィードバック測定および制御が回避され得る。場合により、回路モデル440は、電源402、第1のトランジスタ412、第2のトランジスタ414、インダクタ416、およびバッテリ自体等、回路コントローラ406の外部の構成要素をモデル化することにより、バッテリ404において特定の目標成形充電波形を生成する方法を決定するようにしてもよい。図3を参照して、モデルには、第2のインダクタ418およびキャパシタ42を含んでいてもよい。一実施態様において、回路モデル440には、抵抗と直列のインダクタンス値を含むインダクタ416のモデルを含んでいてもよい。高いレベルにおいて、コントローラは、バッテリ特性またはその組み合わせに基づいて、ルックアップテーブルから生成され得る目標波形を決定するとともに、インダクタモデルを参照して、インダクタの入力側(ノード436)に適用された場合に当該ノード436で目標成形充電波形を生成するパルスの組み合わせを決定する。その後、スイッチ412の制御によって所望のパルス列が生成され、目標充電波形がバッテリの入力に形成される。また、モデルは、配線抵抗等の抵抗のほか、バッテリ自体の抵抗を考慮した抵抗値を含んでいてもよい。また、モデル化されたインダクタンスには、バッテリのインダクタンスを表す値を含んでいてもよい。モデルは、各インダクタンス値を別々にモデル化するようにしてもよいし、1つのモデル化されたインダクタンス値として組み合わせるようにしてもよい。
【0039】
モデルに含まれる構成要素は、当該構成要素が適用充電信号に及ぼす影響を決定するための可変属性を有していてもよく、モデル化された構成要素のうちの1つまたは複数の可変属性の調整によってモデルが調整されてもよい。たとえば、インダクタのモデルには、インダクタンス値および直列抵抗値を含んでいてもよい。バッテリ自体は、インダクタおよび抵抗でモデル化され、直列に配置されていてもよい。また、他のモデル化された構成要素(スイッチ412、414および/またはバッテリ404)には、モデル化された構成要素に実行されるシミュレーションの精度を向上させるためのさまざまな属性を含んでいてもよい。さらに、モデル化された構成要素の属性は、性能データ、特性化シーケンス、あるいは回路部品からの他のフィードバックデータまたは計算もしくは特性化方法に基づく他のフィードバックデータに基づいて、経時的に調整されるようになっていてもよい。たとえば、図4の回路の充電信号は、さまざまなタイミングでサンプリングされ、回路コントローラ406にフィードバックされるようになっていてもよく、また、コントローラによって、受信された充電信号が予想充電信号と比較されるようになっていてもよい。差異に基づいて、回路コントローラ406は、モデルの構成要素の1つまたは複数の属性を変更または調整することにより、モデルの精度を向上させるようにしてもよい。モデル構成要素の調整は、構成要素に対する寄生効果を考慮し得るように、ある時間期間にわたって繰り返されるようになっていてもよい。
【0040】
バッテリ測定回路を利用し得る別の例においては、充電信号または特性化信号がバッテリに適用される際のバッテリ端子の電圧が1つまたは複数のタイミング(たとえば、2つのタイミング)でサンプリングされ、当該タイミングでの予想電圧と比較されるようになっていてもよい。この特性化シーケンスについては、以下でもより詳しく論じる。一例においては、(各タイミングにおける)測定電圧が(各タイミングにおける)予想電圧よりも高いか低いかの判定に簡単な比較器が用いられるようになっていてもよい。各電圧が予想電圧よりも高いか低いかに応じて(一方の値が高く、他方の値が低い可能性もある)、システムは、モデルの1つまたは複数の属性を調整することにより、充電信号を変更するようにしてもよい。そこで、値の差異を決定するのではなく、より単純に、評価と比較して大きいか小さいかが判定される。そして、調整したモデルにより充電信号または特性化信号が再生され、サンプリングタイミングにおいて予想値が目標値に一致するまで、評価に対する大小判定が繰り返される。このように、モデルの調整によって、充電信号のサンプリング値を目標信号の予想値の方向に一致するまで移動させる。完全一致が要求されないように、一致にはある程度の誤差または閾値を含み得ることが認識されるものとする。それでもなお、バッテリにおける信号のサンプリング測定結果(たとえば、電圧)が予想値を満たす場合は、充電信号の生成に1つまたは複数のインダクタモデル値が使用される。充電信号中のさまざまなタイミングにおけるこのような特性化の繰り返しによって、熱等の因子により回路部品に生じ得る変化に対応するほか、充電状態、温度等の因子によってバッテリに起こり得る変化を考慮するようにしてもよい。
【0041】
回路モデル440に含まれる構成要素に関係なく、コントローラは、ノード436(または、336)で目標充電波形を生成する信号を決定するため、モデルを参照してスイッチに与える制御信号を決定する。たとえば、信号成形生成器410は、充電信号の形状を図2の信号グラフ202の任意の充電信号208に決定するものと仮定する。回路モデル440は、成形充電信号の生成またはモデル化された回路への適用によって、インダクタ416の出力における予想充電信号を取得するようにしてもよい。より詳細に、モデルは、当該モデルから予想充電信号を生成するように意図されたパルス列を適用するようにしてもよい。したがって、回路モデル440は、当該回路モデル440の出力に基づいて、成形充電信号308の時間期間にわたり第1のトランジスタ412および第2のトランジスタ414を制御して、インダクタ416を通る予想充電信号(または、バッテリ404で受信される予想充電信号)を決定するようにしてもよい。
【0042】
回路モデル440により出力された予想充電信号に対する目標充電信号の比較によって、目標充電信号と予想充電信号との間の予想誤差が決定され得る。場合により、信号成形生成器410は、目標充電信号のパルス列を調整することによって、回路モデル440により決定された予想誤差を補償するようにしてもよい。入力充電シーケンスおよび充電回路のモデル化された構成要素(インダクタ416等)に基づいて、回路性能、特に、バッテリ404で予想される充電信号の形状をモデル化することにより、回路コントローラ406は、充電信号の目標形状と充電信号の予想形状との間の差異を決定する。回路をモデル化し、目標充電信号と予想充電信号との間の差異を決定することによって、充電回路からバッテリ特性のフィードバックメカニズムが除去され得る代わりに、充電回路400の構成要素の調整は、モデル化された回路性能に基づいていてもよい。また、低速のフィードバックループ等において、モデリングおよびフィードバック測定結果が組み合わせて用いられるようになっていてもよい。
【0043】
一実施態様において、信号成形生成器410は、回路モデル440から受信した推定充電信号において決定された誤差に基づいて、第1のトランジスタ412および第2のトランジスタ414をそれぞれ制御するための制御信号430、432を出力するようにしてもよい。他の実施態様においては、回路コントローラ406の充電回路制御メカニズムが信号成形生成器410から1つまたは複数の入力を受信し、決定誤差に従って充電信号を成形するための第1のトランジスタ412および第2のトランジスタ414の制御信号430、432を生成するようにしてもよい。たとえば、回路モデル440から受信した推定誤差は、将来の特定のタイミングにおける充電信号の何らかの態様が目標充電信号と異なることを示し得る。特定のタイミングにおける発生時に、回路コントローラ406は、制御信号430、42をトランジスタ412、414に与え、決定差異に基づいて充電信号を成形することにより、当該特定のタイミングにインダクタ416を通る充電信号の推定誤差を補償するようにしてもよい。このように、回路コントローラ406は、バッテリ404からの測定フィードバックではなく、充電回路のモデルからの推定充電信号に基づいて、バッテリ404への充電信号の形状を調整するようにしてもよい。したがって、回路モデル440によれば、回路コントローラ406は、バッテリ404の測定結果が取得・処理され得る頻度を超える割合で充電信号の形状を調整可能となり得る。また、このシステムでは、以下により詳しく論じる通り、モデルを校正するようにしてもよい。
【0044】
回路モデル440の使用により、予想充電信号に対する目標充電信号の誤差の推定も含み得るモデルを用いて充電信号を生成する方法500を図5のフローチャートに示す。図5の方法500の動作は、回路コントローラ406、モデル、これらの組み合わせの、またはより一般的に、バッテリ404を充電するための任意の形状の充電信号を生成する上述の種々実施形態の生成器100の、モジュール、プログラム、アルゴリズム、コンポーネント等であってもよい。一例において、回路コントローラ406は、動作のうちの1つまたは複数を実行して、電源402が供給する電流による充電信号を成形するとともに当該充電信号をバッテリ404の充電に適用するように、第1のトランジスタ412および/または第2のトランジスタ414を制御するようにしてもよい。ただし、他の例において、回路コントローラ406は、方法500または方法の動作を実行して、バッテリ404への充電信号を成形あるいは別様に変更するように、任意の充電回路部品を制御するようにしてもよい。これらの動作は、回路コントローラ406の1つもしくは複数のハードウェアコンポーネント、コントローラの1つもしくは複数のプログラム、または回路コントローラのハードウェアおよびソフトウェアの両コンポーネントの組み合わせにより実行されるようになっていてもよい。
【0045】
動作502を起点として、回路コントローラ406は、バッテリ404を充電するための充電信号の目標形状を決定するようにしてもよい。目標形状の決定には、メモリの目標形状へのアクセスを含んでいてもよい。上述の通り、充電信号の目標形状は、測定インピーダンス、充電状態、バッテリ温度、モデル化された理想バッテリ等、充電中のバッテリ404の特性に基づいていてもよい。充電信号の形状は、制御されているとはいえ、任意の形状とすることができ、1つまたは複数の特定の高調波属性を含んでいてもよい。充電信号は、しばらく続いた後、一時的にゼロまたはわずかに負のレベルまで下がってから正の値に戻る場合がある。種々例において、充電信号の目標形状は、バッテリ404の最適充電のための充電信号の目標形状を決定する充電信号アルゴリズムまたはその他任意の実行可能な命令に基づいて、回路コントローラ406の信号成形生成器410により生成されるようになっていてもよい。
【0046】
動作504において、目標充電信号が充電回路400のモデル440に適用あるいは別様に提供されるようになっていてもよい。回路モデル440には、充電回路400またはその他任意の充電回路の任意数の構成要素のモデルを含んでいてもよい。一実施形態において、回路モデル440は、充電回路400のインダクタ416を含んでいてもよい。別の実施態様において、回路モデル440は、図3の充電回路300のフィルタ回路324の構成要素を含んでいてもよい。モデル化された構成要素に関係なく、回路モデル440は、目標充電信号を受信し、トランジスタ制御のシミュレーションおよびモデル化されたインダクタに結果として適用される信号によって、モデルを生成あるいは別様に使用することにより、バッテリに適用される予想充電信号を生成するようにしてもよい。このため、動作506において、回路コントローラ406は、モデル化された回路のバッテリ404における予想充電信号を受信するようにしてもよい。たとえば、回路モデル440は、充電回路のインダクタ416構成要素を含んでいてもよい。また、目標充電信号が(目標充電信号を生成するためのスイッチ412、414のモデル化された制御等によって)モデル化されたインダクタに入力され、モデル化されたインダクタを通じて送られる際の目標充電信号のシミュレーションに基づいて、モデル化されたインダクタの出力における予想充電信号が回路モデル440により出力されるようになっていてもよい。上述の通り、モデルは、モデル化されたインダクタを含むものとして記載するが、インダクタンス値のほかに抵抗値(モデル化されたインダクタと直列であってもよい)を含んでいてもよく、フィルタ等のさまざまな抵抗特性を表すことができる。インダクタ416がバッテリ404に直接接続されていることから、予想充電信号は、バッテリ404に適用されてバッテリを充電する充電信号になると考えられる。他の構成要素または異なる構成要素を含む回路モデルの場合は、各構成要素が充電信号に及ぼす影響がモデル化され、バッテリ404に到達する充電信号の出力が決定され得る。回路モデル440においてモデル化された構成要素の数および構成に関係なく、モデルの出力は、バッテリ404での推定充電信号が決定され得るように構成要素が入力充電信号に及ぼし得る影響を示す。
【0047】
また、回路コントローラ406は、回路モデル440に入力として与えられる目標充電信号とモデルにより出力される予想充電信号との間の差異を決定するようにしてもよい。回路モデル440上でのバッテリ404のシミュレーションによる予想充電信号が信号成形生成器410により生成された目標充電信号と異なる場合、回路コントローラ406は、動作510において、決定差異に基づいて目標充電信号の形状を調整するようにしてもよいし、目標を与えるモデル構成要素を調整するようにしてもよい。言い換えると、回路コントローラ406は、第1のスイッチング素子412および/または第2のスイッチング素子414への1つまたは複数の制御信号を生成して、バッテリ404に適用される充電信号が信号成形生成器410により決定された形状となるように回路部品が充電信号に及ぼし得る影響を考慮するようにしてもよい。たとえば、目標充電信号の形状が決定された場合、回路コントローラ406は、第1のトランジスタ412の制御信号430および/または第2のトランジスタ414の制御信号432を生成するようにしてもよい。一例において、制御信号430は、トランジスタのスイッチングが反対の状態で生じる(たとえば、第1のトランジスタを開くのと同時に第2のトランジスタを閉じ、その逆もまた同様である)ように、制御信号432の反対であってもよい。ただし、一般的には、充電回路の任意数の構成要素の制御信号が生成され、充電回路の構成要素に送られることにより、バッテリを充電するための成形充電信号が生成される。充電回路の制御様態に関係なく、制御信号は、回路モデル440と、バッテリにおける目標充電信号と予想充電信号との間の誤差を推定するための回路モデル上での目標充電信号のシミュレーションと、に基づいていてもよい。回路モデル440は、バッテリ404の1つまたは複数の特性のフィードバックの代替またはフィードバックへの追加としての利用により、充電信号の成形の効率および速度を向上させることができる。
【0048】
バッテリ404の測定値のフィードバックを置き換えるものとして上述したシステム、回路、および方法は、信号成形生成器410による目標充電信号の形状の決定を補助する何らかの種類のフィードバックメカニズムを利用するようにしてもよい。たとえば、図4の充電回路400は、図3に示すようなバッテリ測定回路を含むことにより、バッテリの測定電流および/または電圧を制御要素に与えるようにしてもよい。ただし、フィードバックは、充電信号のパルスの生成に利用するのではなく、信号成形生成器310によって、バッテリ404のインピーダンスまたはその他任意の特性の計算に用いられるようになっていてもよい。また、モデルの校正には、測定結果が用いられるようになっていてもよい。このような計算結果を生成器が使用して、充電信号の目標形状を決定するようにしてもよいが、測定結果は、たとえば充電信号の周波数よりも遅いペースで取得され得る。このため、充電信号の形状を高速で変更可能としつつ、バッテリの測定結果および計算結果が依然として取得され、さまざまな制御ユニットおよびモデルにより用いられるようになっていてもよい。
【0049】
本明細書に記載の回路および方法により、バッテリにおける充電信号の予測が生成され、それに応じてトランジスタが制御されるようになっていてもよい。上述の通り、トランジスタは通常、高速変化するPWM信号によって制御される。図4は、図5の方法に関して広範に参照されるが、この技術は、図3に示すものを含む他の選択肢とともに用いられるようになっていてもよい。回路モデルにより、1つまたは複数のトランジスタの制御は外部クロックに同期され得ないが、代わりに、トランジスタのゲートでのランダムなデジタル信号として現れる可能性がある。なお、ランダムに現れるが、所望の充電信号を生成するように制御される。回路モデルの使用により複数の利点が得られ、設計の簡素化、制御信号がランダムなデジタル信号として現れることによるリバースエンジニアリングの困難さ、および充電信号の成形精度の向上が挙げられるが、これらに限定されない。特に、トランジスタのスイッチングは、10ナノ秒以下の単位で制御され得るが、これは、充電信号の形状を調整するためにフィードバック測定結果を使用する回路よりもはるかに高速である。これにより、出力電流を非常に細かく調整可能となる。さらに、回路モデル440は、トランジスタの最小オン・オフ時間を追跡し、その追跡をトランジスタの制御に組み込むことで、スイッチング損失を抑え、トランジスタの全体的な安定性を高めることができる。
【0050】
図6は、本開示の態様に係る、何らかの任意の形状ではあるが制御された充電波形を生成する回路モデルを用いてバッテリを充電する別の例示的な方法である。幅および/または周波数が可変の定電流または定電圧の従来の方形波エッジ形状のパルスを使用するパルス充電を含む任意数の代替充電技術とは異なり、本技術では、従来の方形波や定電流・定電圧信号ではない何らかの目標形状の充電信号を生成する。したがって、形状を生成するため、図3および図4のような付加的な回路特性が提供される。高いレベルでは、図3の例を参照するに、スイッチ312および314がパルス列を生成するように協調制御され、312がオンかつ314がオフの場合は、ノード334に存在する電圧からトランジスタ312の電圧降下を差し引いた程度の電圧を持つパルスが336に存在する。336におけるパルス列は、目標充電波形を生成するように制御され、インダクタ316におけるパルス列は、ノード338で開始となるように変換される。
【0051】
図7は、充電波形の一部の別の例を示している。図示の例の部分において、ノード338における充電波形700は、第2のインダクタ318による別途処理の後、バッテリへの入力における充電波形710と重ね合わされる。ここで、ノード338での充電波形700は、左から右へと上昇する公称非ゼロ電圧720を中心として交互に入れ替わる正弦波状の交流信号であることが分かる。このため、ノード336における制御パルスは、交流パターンかつ上昇する公称非ゼロ電圧となる。第1のインダクタによる処理後のノード338でのパターンを生成するため、パルス幅および周波数を制御可能である。その後、ノード338における交流充電信号が第2のインダクタ318において別途処理されることにより、バッテリに適用される充電波形710が生成される。交流パターンは、存在し続けるものの、振幅がノード338よりも大幅に小さくなるように、第2のインダクタによって実質的に減衰され、充電電流が意図したものとなる。第1のインダクタ後のノード338における交流パターンの公称値は、実質的には第2のインダクタ後に残る充電信号となる。
【0052】
コントローラ306は、回路モデルを使用して、スイッチの制御信号を生成することにより、所望の充電波形を生成する。充電シーケンスにおいて、このシステムはまず、モデルを校正するようにしてもよい。一例において、モデルは、抵抗と直列のインダクタを含む。簡単なレベルにおいて、モデルは、インダクタ416を表すインダクタを含んでいてもよい。別の選択肢において、モデルは、インダクタ316および318の一方(または、両方)を含んでいてもよい。さらに、モデルは、充電対象のバッテリのインダクタンス値を含んでいてもよい。同様に、モデルは、回路324(または、フィルタ回路(採用している場合))のさまざまな属性(たとえば、バッテリ抵抗および配線抵抗を含む)を考慮した抵抗値を含んでいてもよい。フィルタ回路のインダクタンスおよび抵抗を表すインダクタンス値を伴うモデルにおいては、インダクタンス値および抵抗値が調節可能または設定可能であってもよい。
【0053】
校正には、テスト信号(充電信号であってもよいし、専用のテスト信号であってもよい)を生成することと、バッテリへの入力における充電信号が目標信号に一致するかを判定することと、を含む。信号が一致する場合は、モデルが正確と考えられるため、モデルパラメータは調整されない。一致を判定するため、一例においては、校正テスト信号がバッテリに適用される。このようなテスト信号の一例を図8に示す。校正信号は、第1の目標電流(IT1)および第2の目標電流(IT2)を有する。一例においては、図示のように、第1および第2の目標電流が同一であることが意図され、テスト信号は、図示のように、平坦な頂部および大略台形の形状を有し、前縁が徐々に上昇するとともに後縁が徐々に降下する。他の部分に記載の通り、目標および測定結果は、目標電圧および電圧の測定結果であってもよい。立ち上がりエッジの後、テスト信号の電流レベルが安定するように、時間T1における測定結果は、平坦な頂部への遷移後しばらく時間が経ってから取得している。同様に、信号がゼロに戻り始める前に第2の電流が測定されるように、第2の測定結果は、テスト信号の降下エッジの前に取得している。このシステムでは、バッテリ測定回路408等によって、時間T1および時間T2における実際の電流を評価し、各時間の実際の電流測定結果を各時間の第1および第2の予想目標電流と比較する。
【0054】
校正の目的は、電圧または電流のいずれを問わず、T1およびT2における実際の測定結果が目標と一致することであり、これは、モデルが実際の回路性能に一致することを示す。校正技術によって、モデルのインダクタンス値および/またはモデルの抵抗値を調整することができる。時間T1およびT2における電流の実際の測定結果を目標電流と比較可能ではあるものの、一例においては、より演算が簡単な異なる技術が採用される。すなわち、このシステムは、時間T1における電流(または、電圧)が時間T1における目標電流(または、電圧)よりも大きいか小さいかを判定し、時間T2についても、時間T2における目標電流(または、電圧)に対して同じことを行う比較器を具備する。一方の値が一致し、他方が一致しない場合、このシステムでは、インダクタンス値を調整する。同様に、一方の値が目標電流より大きく、他方の信号が目標電流より小さい場合にも、このシステムでは、インダクタンス値を調整する。いずれの場合も、その差異は、目標とする平坦な頂部とは対照的に頂部が傾斜したテスト信号を示し、傾斜した頂部は、モデルのインダクタンスの不一致を示す。これに対して、両測定値がそれぞれの目標値よりも大小いずれかの場合、これは、モデルの抵抗の不一致を示す。電圧を用いたテストおよび測定の例において、測定電圧が目標未満の場合は抵抗を小さくし、測定電圧が目標を超える場合は抵抗を大きくする。当然のことながら、インダクタンスおよび抵抗の両者に校正が必要であり得る。一例において、このシステムでは、テスト信号を繰り返し流し、インダクタンスおよび/または抵抗を調整し、時間T1およびT2における測定値が目標に一致するまで両時間における電流(または、電圧)を測定することによって、モデルを反復的に調整する。モデルは、測定電圧が目標に関していくらかの割合または閾値以内(たとえば、任意特定の実施態様、用途に対して特定または要求された精度等に応じて、0.01%、0.1%、1%、またはその他何らかの許容範囲内)となった場合に校正されたものと考えられる。
【0055】
モデルの校正後、このシステムは、充電を開始するようにしてもよい。あるいは、このシステムは、モデルをさらに校正して、フィルタ入力におけるパルス列が目標波形を生成するようにしてもよい。また、いくつかの例において、このモデルは、フィルタの入力においてパルス列を生成することにより目標充電波形を生成する1つまたは複数のスイッチを含む。モデルは、任意特定の時点における目標波形に適した目標電圧および/または目標電流を生成するようにプログラムされている。336におけるパルスは、フィルタによる処理後の目標波形を生成する。図2の目標波形の生成等の一例において、この目標波形は、開始時間および終了時間が明確で、信号は、ゼロ電圧(ならびに/または、測定方法および/もしくは制御方法に応じて、ゼロ電流)から目標充電波形の非ゼロ値まで遷移する。終了時間にも同じことが起こり、電圧および/または電流は、充電波形の非ゼロ値からゼロまで遷移する。また、充電信号間で充電電流を瞬間的にゼロ未満にすることも可能である。考え得る種々例においては離散的な充電波形が何回か繰り返されるが、これは、充電割合の大幅な変化に対して十分かつそれを考慮したものであり、充電制御の何らかの変更が必要であるとシステムが判定するまでのことで、何らかの変更とは充電信号の変更および/またはモデルの再校正であり得る。それにも関わらず、モデルは、当該モデルの校正済みフィルタ素子への目標パルス列を生成することによって、それ自体をさらに校正することにより、所望の目標信号がモデルにより生成されるようにしてもよい。この校正の部分は、実際の回路性能または実際の充電信号を測定することなく、モデルに目標信号を流すことで厳密に実行され得る。スイッチ制御は、目標波形を生成するためのフィルタ回路のパルス化を調整する任意数の方法において調整されるようになっていてもよい。たとえば、スイッチ314に対するスイッチ312のオン時間は、異なる幅のパルスを生成するように調整され、336におけるパルス化の周波数も調整され得る。所望の多様な形状の充電信号の生成に必要なパルスの幅および周波数、ならびに特定の時点における形状の値は、パルスのほぼ無限の組み合わせにわたって変化し得る。それでもなお、このシステムでは、モデル化されたフィルタ回路がバッテリにおいて所望の目標充電波形を生成するまでスイッチ制御を反復した後、校正済み制御およびモデルによって充電を開始することにより、充電波形を生成するようにしてもよい。
【0056】
校正は、すべての充電サイクルで起こるものではなく、逆に、校正の態様が充電サイクル内で起こり得ることが認識されるものとする。たとえば、モデル化されたフィルタ回路のインダクタンスおよび/または抵抗は、時間およびサイクルの経過によるバッテリのさまざまな電気化学的および電気力学的効果、熱、充電電流値、ならびにその他の理由により、サイクル中または多くの充電サイクルにわたって変化する可能性がある。同様に、数ある理由の中でもとりわけ、熱およびサイクルによって、回路素子が変化する可能性もある。また、フィルタ回路の異なる要素は、モデル化された回路の性能の精度に対して異なる影響を及ぼし得ることが認識されるものとする。たとえば、フィルタにはキャパシタ320が存在していてもよいが、その値は、モデル化された性能に大きな影響を及ぼさない可能性があるため、モデルに含まれない。同様に、電源等、フィルタ回路の外側の他の構成要素がモデル化されていてもよい。同様に、キャパシタ322がモデル化されていてもよい。
【0057】
一例においては、上述の通り、目標波形が繰り返しの成形充電信号であってもよく、充電信号は、繰り返しの成形充電信号間においてゼロ状態であってもよい。ゼロ状態では、目標形状のフィルタ回路の製造における如何なる微小誤差も後続形状へと伝搬しないようにすることができる。また、目標形状を生成するための十分な充電エネルギーをシステムが有するように、キャパシタ322が含まれる。場合により、目標充電波形の特定の時点において充電電流および電圧を生成するのに電源だけでは不十分な場合、キャパシタは、その需要を満たすエネルギーを蓄積する。目標充電信号間において、キャパシタは、次のシーケンスに利用可能なエネルギーを有するように再充電可能である。また、充電信号の全体的な送達でこの役割を所与として、キャパシタ322は、制御信号校正等の校正中にモデル化および考慮されるようになっていてもよい。
【0058】
それにも関わらず、モデルの校正ならびに/またはフィルタ回路のスイッチ制御およびマイクロパルス化の校正が行われた場合、システムは充電を開始する。
【0059】
さらに、本明細書に記載の充電回路および方法は、1つまたは複数のセルを含むバッテリに適用され得る。複数セル構成において、セルは、直列構成、並列構成、または直列および並列構成の組み合わせにて配置されていてもよい。直列構成に配置された複数のバッテリセルは、当該バッテリセルの充電に用いられる電流全体を減らすことができる。直列接続されたバッテリセル間で電流が分割されるためである。バッテリセルを直列で接続することによって、充電回路に必要な電流を減らすことができ、充電回路の効率がさらに向上する。
【0060】
図9を参照して、本明細書に論じるさまざまなシステムおよび方法を実施可能な1つまたは複数の演算ユニットを有する例示的なコンピュータシステム900を詳しく説明する。コンピュータシステム900は、コントローラの一部であってもよいし、本明細書に論じる種々実施態様と動作可能に連通していてもよいし、本明細書に論じる方法と関連するさまざまな動作を実行するようにしてもよいし、バッテリを特性化するためのさまざまなデータをオフラインで処理するようにしてもよいし、また、本明細書に論じる全体システムの一部であってもよい。コンピュータシステム900は、本明細書に論じるさまざまな信号の処理および/または本明細書に論じるさまざまな信号の提供を行うようにしてもよい。たとえば、このようなコンピュータシステム900には、バッテリ測定情報が提供されるようになっていてもよい。また、コンピュータシステム900は、たとえば、さまざまな図に関して論じたコントローラ、モデル、調節/成形回路に適用可能であってもよく、また、本明細書に記載のさまざまな方法の実施に用いられるようになっていてもよい。これらのデバイスの特定の実施態様は、考え得るさまざまな具体的コンピュータアーキテクチャのものであってもよく、そのすべてを本明細書において具体的に論じているわけではないが、このことは当業者には理解されるであろう。さらに、コンピュータシステムは、ASIC、FPGA、マイクロコントローラ、もしくは他のコンピュータ構成と考えること、ならびに/または、これらを含むことが可能であることを理解されたい。このような考え得る種々実施態様においては、当業者により理解される通り、以下に論じるより少数またはより多数の構成要素が含まれていてもよいし、相互接続および他の変更がなされていてもよい。
【0061】
コンピュータシステム900は、コンピュータプログラム製品を実行してコンピュータプロセスを実行することができるコンピュータシステムであってもよい。コンピュータシステム900は、データおよびプログラムファイルが入力されると、ファイルを読み出して、その中のプログラムを実行する。コンピュータシステム900の要素の一部を図9に示すが、これには、1つもしくは複数のハードウェアプロセッサ902、1つもしくは複数のデータ記憶装置904、1つもしくは複数のメモリデバイス906、ならびに/または1つもしくは複数のポート908~912を含む。また、コンピュータシステム900には、当業者が認識することになる他の要素が含まれていてもよいが、図9に明示することもなければ、本明細書において別途論じることもない。コンピュータシステム900のさまざまな要素は、図9に明示していない1つもしくは複数の通信バス、ポイントツーポイント通信経路、または他の通信手段によって、相互に通信可能である。同様に、種々実施態様において、このシステムに開示のさまざまな要素は、任意所与の実施態様に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0062】
プロセッサ902には、たとえば中央演算処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ならびに/または1つもしくは複数の内部キャッシュレベルを含み得る。1つまたは複数のプロセッサ902が存在することにより、中央演算処理装置、または命令の実行および動作の実行を互いに並列に行い得る一般的に、並列処理環境と称する複数の演算処理装置を、プロセッサ902が備えるようにしてもよい。
【0063】
考え得るさまざまな組み合わせにて本明細書に記載の技術は、データ記憶装置904に格納されたソフトウェア、メモリデバイス906に格納されたソフトウェア、および/またはポート908~912のうちの1つまたは複数を介して伝達されたソフトウェアにおいて少なくとも一部が実施されていてもよく、したがって、図9のコンピュータシステム900は、本明細書に記載の動作を実施するための専用マシンとなる。
【0064】
1つまたは複数のデータ記憶装置904には、コンピュータプロセスを実行するためのコンピュータ実行可能命令(アプリケーションプログラムおよびコンピュータシステム900のさまざまな構成要素を管理するオペレーティングシステム(OS)の両者の命令を含み得る)等、コンピュータシステム900内で生成または採用されたデータを格納可能な不揮発性データ記憶装置を含み得る。データ記憶装置904としては、磁気ディスクドライブ、光ディスクドライブ、半導体ドライブ(SSD)、フラッシュドライブ等が挙げられるが、これらに限定されない。データ記憶装置904は、リムーバブルデータ記憶媒体、非リムーバブルデータ記憶媒体、ならびに/または1つもしくは複数のデータベース管理製品、ウェブサーバ製品、アプリケーションサーバ製品、ならびに/または他の付加的なソフトウェアコンポーネント等のコンピュータプログラム製品との有線または無線ネットワークアーキテクチャを介して利用可能となる外部記憶装置を含み得る。リムーバブルデータ記憶媒体の例としては、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスクリードオンリーメモリ(DVD-ROM)、光磁気ディスク、フラッシュドライブ等が挙げられる。非リムーバブルデータ記憶媒体の例としては、内部磁気ハードディスク、SSD等が挙げられる。1つまたは複数のメモリデバイス906には、揮発性メモリ(たとえば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)等)および/または不揮発性メモリ(たとえば、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ等)を含み得る。
【0065】
本明細書に記載の技術に係るシステムおよび方法を実現するメカニズムを含むコンピュータプログラム製品は、マシン可読媒体と称し得るデータ記憶装置904および/またはメモリデバイス906に存在していてもよい。マシン可読媒体には、マシンにより実行する本開示の動作のうちの任意の1つもしくは複数を実行する命令の格納もしくは符号化、または、このような命令による利用もしくはこのような命令との関連付けがなされるデータ構造および/もしくはモジュールの格納もしくは符号化が可能な任意の非一過性有形媒体を含み得ることを理解されたい。マシン可読媒体には、1つまたは複数の実行可能命令またはデータ構造を格納する1つまたは複数の媒体(たとえば、集中型もしくは分散型データベース、ならびに/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含み得る。
【0066】
いくつかの実施態様において、コンピュータシステム900は、他のコンピュータ機器、ネットワーク機器、または車両機器と通信するための入出力(I/O)ポート908、通信ポート910、およびサブシステムポート912等、1つまたは複数のポートを具備する。ポート908~912は、結合されていてもよいし分離されていてもよく、また、コンピュータシステム900に含まれるポートは、これより多くてもよいし、少なくてもよい。I/Oポート908は、コンピュータシステム900に対する情報の入力またはコンピュータシステム900から出力を行うI/O装置等の装置に接続されていてもよいことを理解されたい。このようなI/O装置としては、1つもしくは複数の入力装置、出力装置、ならびに/または環境トランスデューサ装置が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
一実施態様において、入力装置は、I/Oポート908を介して、人間の声、身体の動き、身体による接触もしくは圧力、ならびに/またはこれらに類似するような人間が生成した信号をコンピュータシステム900への入力データとして電気信号に変換する。いくつかの例において、このような入力は、先行図に関して論じたさまざまなシステムおよび方法とは異なる場合がある。同様に、出力装置は、I/Oポート908を介してコンピュータシステム900から受信した電気信号を、本明細書に論じるさまざまな方法およびシステムにより検知または使用可能な信号へと変換するようにしてもよい。入力装置は、I/Oポート908を介してプロセッサ902に情報および/またはコマンド選択を伝達するための英数字等のキーを含む英数字入力装置であってもよい。
【0068】
環境トランスデューサ装置は、I/Oポート908を介したコンピュータシステム900への入力またはコンピュータシステム900からの出力のため、ある形態のエネルギーまたは信号を別のものに変換する。たとえば、コンピュータシステム900内で生成された電気信号が別の種類の信号に変換されること、および/または、その逆が考えられる。一実施態様において、環境トランスデューサ装置は、バッテリ電圧、開回路バッテリ電圧、充電電流、バッテリ温度、光、音、温度、圧力、磁界、電界、化学的特性等、コンピュータ機器900のローカルまたはコンピュータ機器900のリモートの環境の特性または態様を検知する。
【0069】
一実施態様においては、本明細書に記載の方法およびシステムの実行のほか、情報およびそれが決定するネットワーク構成の変化の送信において有用なネットワークデータをコンピュータシステム900が受信し得るネットワークに対して、通信ポート910が接続されていてもよい。たとえば、充電プロトコルの更新、バッテリ測定または計算データの外部システムとの共有等がなされるようになっていてもよい。通信ポート910は、1つまたは複数の有線または無線通信ネットワークまたは接続によりコンピュータシステム900と他の機器との間で情報の送信および/または受信を行うように構成された1つまたは複数の通信インターフェース機器に対してコンピュータシステム900を接続する。このようなネットワークまたは接続の例としては、ユニバーサルシリアルバス(USB)、イーサネット、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、近距離無線通信(NFC)、ロングタームエボリューション(LTE)等が挙げられるが、これらに限定されない。1つまたは複数のこのような通信インターフェース機器は、直接、またはポイントツーポイント通信経路を介して、ワイドエリアネットワーク(WAN)(たとえば、インターネット)を介して、ローカルエリアネットワーク(LAN)を介して、セルラー(たとえば、第3世代(3G)、第4世代(4G)、第5世代(5G))ネットワークを介して、または別の通信手段を介して、通信ポート910を介した1つまたは複数の他のマシンとの通信に利用され得る。
【0070】
コンピュータシステム900は、本明細書に記載の方法およびシステムに従って充電されるデバイスと関連する1つまたは複数のシステムとの通信により、当該デバイスの動作の制御ならびに/またはコンピュータシステム900と当該デバイスの1つもしくは複数のサブシステムとの間の情報の交換を行うためのサブシステムポート912を具備していてもよい。車両に関するこのようなサブシステムの例としては、モータコントローラおよびシステム、バッテリ制御システム等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
図9に記載のシステムは、本開示の態様を採用可能または本開示の態様に従って構成可能なコンピュータシステムの考え得る一例に過ぎない。本明細書に開示の技術をコンピュータシステム上で実施するためのコンピュータ実行可能命令を格納した他の非一過性有形コンピュータ可読記憶媒体が利用されるようになっていてもよいことを理解されたい。
【0072】
本開示の実施形態には、本明細書に記載のさまざまなステップを含む。これらのステップは、ハードウェアコンポーネントによる実行またはマシン実行可能命令での具現化がなされていてもよく、これらの命令でプログラムされた汎用または専用プロセッサによる当該ステップの実行に用いられるようになっていてもよい。あるいは、これらのステップは、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの組み合わせにより実行されるようになっていてもよい。
【0073】
本発明の範囲から逸脱することなく、記載の例示的な実施形態に対して、種々改良および追加が可能である。たとえば、上述の実施形態(実施態様または例とも称する)は、特定の特徴を表すものの、本発明の範囲には、特徴の異なる組み合わせを含む実施形態および上記特徴のすべてを含むわけではない実施形態も含む。したがって、本発明の範囲は、このようなすべての代替、改良、および変形をそれぞれの同等物とともに含むことが意図される。
【0074】
特定の実施態様について論じたが、例示することのみを目的としていることが了解されるものとする。当業者であれば、本開示の思想および範囲から逸脱することなく、他の構成要素および構成を使用可能であることが認識されよう。このため、以下の説明および図面は、例示であり、何ら限定的なものとは解釈されないものとする。本開示の完全な理解が得られるように、多くの具体的詳細を記載する。ただし、特定の例においては、説明が不明瞭とならないように、周知または従来の詳細については記載していない。本開示における「一実施形態」についての言及は、「同じ実施形態」または「任意の実施形態」についての言及となり得る。そして、このような言及は、実施形態のうちの少なくとも1つを意味する。
【0075】
「一実施形態(one embodimentまたはan embodiment)」についての言及は、当該実施形態に関連して記載の特定の特徴、構造、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書のさまざまな箇所に現れる表現「一実施形態において(in one embodiment)」または同様に「一例において(in one exampleまたはin one instance)」は、必ずしもすべてが同じ実施形態を表すわけでもなければ、他の実施形態と相互に排他的な別個または代替の実施形態を表すわけでもない。さらに、さまざまな特徴を記載するが、これらは、いくつかの実施形態では示される一方、他の実施形態では示されない場合もある。
【0076】
本明細書において使用する用語は一般的に、本開示の背景および各用語が使用される特定の背景において、当該技術分野における通常の意味を有する。また、本明細書に論じる用語のいずれか1つまたは複数に対して代替表現および同義語を使用可能であり、本明細書における用語の詳述または説明の有無を特別に重視すべきではない。場合によっては、特定の用語の同義語が与えられる。1つまたは複数の同義語の記載は、他の同義語の使用を排除するものではない。本明細書に論じる用語の例を含め、本明細書のあらゆる箇所における例の使用は、例示に過ぎず、本開示または任意の例示的な用語の範囲および意味をさらに限定する意図はない。同様に、本開示は、本明細書に記載の種々実施形態に限定されない。
【0077】
本開示の範囲を制限する意図なく、本開示の実施形態に係る器具、装置、方法、およびそれぞれに関連する結果の例を以下に示す。なお、読者の便宜のため、例にはタイトルまたはサブタイトルを使用する場合があるものの、これは、本開示の範囲を制限するものではない。別段の定義のない限り、本明細書に使用の技術的および科学的用語は、本開示が関連する技術分野の当業者が通常理解するような意味を有する。矛盾が生じた場合は、定義を含めて本明細書が優先される。
【0078】
本開示の付加的な特徴および利点を以下の説明に記載するが、その一部は、説明から明らかとなるか、または、本明細書に開示の原理の実践により把握することができる。本開示の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される器具および組み合わせによって実現・取得され得る。本開示の上記および他の特徴については、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより十分に明らかとなるか、または、本明細書に記載の原理の実践により把握することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】