(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】腫瘍治療電界のための振幅変調
(51)【国際特許分類】
A61N 1/40 20060101AFI20240109BHJP
A61N 1/06 20060101ALI20240109BHJP
A61N 1/18 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A61N1/40
A61N1/06
A61N1/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540628
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 US2021065550
(87)【国際公開番号】W WO2022147153
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリステン・ダブリュー・カールソン
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB04
4C053BB22
4C053BB34
4C053DD08
4C053FF01
4C053LL05
4C053LL12
(57)【要約】
腫瘍治療電界を被験者の身体に印加するための装置であって、装置は、第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサを備え、第1および第2のトランスデューサは被験者の身体の腫瘍を治療するために第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間に変調電界を誘導するように構成され、第1のトランスデューサは被験者の身体の第1の場所に配置され、第2のトランスデューサは被験者の身体の第2の場所に配置される、装置が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍治療電界を被験者の身体に印加するための装置であって、第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサを備え、前記第1および第2のトランスデューサは、前記被験者の身体の腫瘍を治療するために前記第1のトランスデューサと前記第2のトランスデューサとの間に変調電界を誘導するように構成され、前記第1のトランスデューサは前記被験者の身体の第1の場所に配置され、前記第2のトランスデューサは前記被験者の身体の第2の場所に配置される、装置。
【請求項2】
前記変調電界は、振幅変調AC電圧を前記第1および第2のトランスデューサに印加することによって誘導され、
前記振幅変調AC電圧は、第1の周波数および第2の周波数を含み、前記第1の周波数は前記第2の周波数より小さい、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記振幅変調AC電圧の前記第1の周波数は約100kHzから約500kHzの間にあり、前記振幅変調AC電圧の前記第2の周波数は約500kHzから約10GHzの間にある、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記被験者の身体の前記腫瘍における前記変調電界は約1V/cmから約20V/cmの間である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記変調電界は、第1の周波数および第2の周波数を含み、前記第1の周波数は、前記被験者の身体の前記腫瘍における有糸分裂を阻止するための周波数であり、前記第2の周波数は、周波数依存電気的組織特性の妨害効果を減衰させるための周波数である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
周波数依存電気的組織特性の前記妨害効果は、前記第1のトランスデューサ、前記第2のトランスデューサ、および前記被験者の身体の前記腫瘍の間の組織の誘電率および/または電気伝導率効果を含み、
周波数依存電気的組織特性の前記妨害効果は、前記腫瘍の領域内の標的部位のところの電界強度を低減する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記変調電界は、
前記被験者の身体の前記腫瘍を治療するための第1の周波数と、
前記被験者の身体の前記腫瘍の細胞壁の外側に比べて大きい、前記被験者の身体の前記腫瘍の前記細胞壁の内側の変調電界強度を生成するために選択された第2の周波数とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記変調電界は前記被験者の身体の前記腫瘍における有糸分裂を阻止するための第1の周波数を有する第1の信号と、前記第1の信号によって変調されるキャリア信号である第2の信号であって、前記被験者の身体の前記腫瘍の細胞壁に浸透する周波数を有する、第2の信号とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記変調電界は、前記被験者の身体の頭部または前記被験者の身体の胴体内に誘導される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、第3のトランスデューサと第4のトランスデューサとを備え、前記第3のトランスデューサおよび前記第4のトランスデューサは、前記第3のトランスデューサと前記第4のトランスデューサとの間に第2の変調電界を誘導するように構成され、前記第3のトランスデューサは前記被験者の身体の第3の場所に配置され、前記第4のトランスデューサは前記被験者の身体の第4の場所に配置され、前記装置は、前記第1のトランスデューサと前記第2のトランスデューサとの間で前記変調電界を誘導することと、第3のトランスデューサと第4のトランスデューサとの間で第2の変調電界を誘導することとを交互に行うように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記変調電界および前記第2の変調電界は各々前記被験者の身体内の腫瘍を治療するための第1の周波数と、第2の周波数とを含み、前記第1の周波数は前記第2の周波数より小さい、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
腫瘍治療電界を被験者の身体に印加するための装置であって、前記装置は第1の電界発生器と第2の電界発生器とを備え、前記第1の電界発生器および前記第2の電界発生器は、前記第1の電界発生器と前記第2の電界発生器との間に変調電界を誘導するように構成され、前記変調電界は、第1の周波数を有する第1の信号と第2の周波数を有する第2の信号とを含み、前記第1の周波数は約100kHzから約500kHzの間にあり、前記第2の周波数は約500kHzから約10GHzの間にあり、前記第1の信号は前記第2の信号を変調する、装置。
【請求項13】
前記第2の周波数は約1MHzから約10GHzの間にある、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
腫瘍治療電界を被験者の身体の胴体に印加するための装置であって、
前記被験者の身体の第1の場所に配置されるように適合された第1のトランスデューサと、
前記被験者の身体の第2の場所に配置されるように適合された第2のトランスデューサと、
前記第1のトランスデューサおよび前記第2のトランスデューサに結合され、前記第1のトランスデューサおよび前記第2のトランスデューサに電圧を供給できるように適合された電圧発生器と、
前記電圧発生器に結合されたコントローラであって、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプロセッサによってアクセス可能なメモリとを備え、前記メモリは、前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに前記コントローラに、
前記第1のトランスデューサおよび前記第2のトランスデューサに対する電圧信号を生成して前記被験者の身体内に変調電界を誘導するように前記電圧発生器に指示させる命令を記憶し、前記電圧信号は、第1の周波数のメッセージ信号と、第2の周波数のキャリア信号とを含み、前記第1の周波数は、前記被験者の体内の腫瘍を治療するための周波数であり、前記メッセージ信号は前記キャリア信号を変調する、コントローラとを備える装置。
【請求項15】
前記第1の周波数は約100kHzから約500kHzの間にあり、前記第2の周波数は約500kHzから約10GHzの間にある、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月30日に出願した米国仮出願第63/132,307号および2021年12月29日に出願した米国特許出願第17/564,858号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
腫瘍治療電界(TTFields)は、米国特許第7,565,205号において説明されているように腫瘍を治療するために使用され得る中間周波数範囲内の低強度の交番電界である。TTFieldsは、患者の身体に直に付けられたトランスデューサによって、トランスデューサ間にAC電圧を印加することによって、関心領域内に非侵襲的に誘導される。AC電圧がトランスデューサの第1の対の間に、第1の時間間隔にわたって印加され、それにより電気力線が一般に前後方向に延びる電界を生成する。次いで、AC電圧が同じ周波数でトランスデューサの第2の対の間に、第2の時間間隔にわたって印加され、それにより電気力線が一般に左右方向に延びる電界を生成する。次いで、システムはこの2段階シーケンスを治療全体を通して繰り返す。
【0003】
介在する組織(たとえば、毛髪、頭皮、頭蓋骨、脳周囲および脳室内の脳脊髄液、血液脳関門、ならびに灰白質)の誘電率および導電率の影響に起因して、TTFieldsの有効性は低下し得る。さらに、異なる導電率および誘電率を有する組織の層は、標的領域への有効な電界強度の伝達を妨げる不測の容量効果を生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、腫瘍治療電界を被験者の身体に印加するための装置に向けられており、装置は、被験者の身体の腫瘍を治療するために第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間に変調電界(modulated electric field)を誘導するように構成されている第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサを備え、第1のトランスデューサは被験者の身体の第1の場所に配置され、第2のトランスデューサは被験者の身体の第2の場所に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】変調電界を有するTTFieldsを被験者の身体に印加する一例を示すフローチャートである。
【
図2A】振幅変調されたAC電圧の一例を示す図である。
【
図2B】振幅変調されたAC電圧の一例を示す図である。
【
図2C】振幅変調されたAC電圧の一例を示す図である。
【
図3A】異なる周波数を有する電界が細胞に印加されたときの細胞内電界強度のシミュレーション結果を示す図である。
【
図3B】異なる周波数を有する電界が細胞に印加されたときの細胞内電界強度のシミュレーション結果を示す図である。
【
図3C】異なる周波数を有する電界が細胞に印加されたときの細胞内電界強度のシミュレーション結果を示す図である。
【
図3D】周波数の関数として骨皮質組織の誘電特性を示す図である。
【
図4】変調電界を有するTTFieldsを被験者の身体の頭部に印加するためのトランスデューサレイアウトの一例を示す図である。
【
図5】変調電界を有するTTFieldsを被験者の身体の胴体に印加するためのトランスデューサの2つの対を含むトランスデューサレイアウトの一例を示す図である。
【
図6A】トランスデューサの構造の例を示す図である。
【
図6B】トランスデューサの構造の例を示す図である。
【
図6C】トランスデューサの構造の例を示す図である。
【
図6D】トランスデューサの構造の例を示す図である。
【
図7】変調電界を有するTTFieldsを被験者の身体に印加するための装置の一例を示す図である。
【
図8】変調電界を有するTTFieldsを被験者の身体に印加するためのコントローラ装置の一例を示す図である。
【
図9A】キャリア信号の異なる周波数を有する電界、およびTTFieldsが、細胞に印加されたときの細胞内電界強度のシミュレーション結果を示す図である。
【
図9B】キャリア信号の異なる周波数を有する電界、およびTTFieldsが、細胞に印加されたときの細胞内電界強度のシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
開示された主題は、変調電界を有するTTFieldsを被験者の身体に印加することでTTFieldsの有効性を改善するための技術を提供する。変調電界を印加することによって、周波数依存の電気的組織特性の妨害効果が弱められ、その結果、高い電界強度が標的腫瘍部位に送達され、それによってTTFieldsの治療効果にプラスの影響を与え得る。
【0008】
図1は、変調電界を有するTTFieldsを被験者の身体に印加する例示的な方法100を説明している。一例では、2つの変調電界がトランスデューサの2つの対の間に交互に印加される。
【0009】
図1を参照すると、ステップS102において、方法100は、被験者の身体の場所の第1の対のところにトランスデューサの第1の対を配置することを含む。一例では、トランスデューサの第1の対は、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとを含む。一例では、第1のトランスデューサは、実質的に平坦な電極要素の第1のアレイを有するトランスデューサアレイであり、第2のトランスデューサは、実質的に平坦な電極要素の第1のアレイを有するトランスデューサアレイである。別の例では、第1および第2のトランスデューサは、容量結合される。別の例では、第1および第2のトランスデューサは、容量結合されない。トランスデューサの第1の対は、被験者の身体の腫瘍と交差するTTFieldsのための第1のチャネルを画成する。
【0010】
ステップS104で、トランスデューサの第2の対は、被験者の身体の場所の第2の対のところに配置される。一例では、トランスデューサの第2の対は、第3のトランスデューサと第4のトランスデューサとを含む。第3のトランスデューサおよび第4のトランスデューサは、上で説明されている第1および第2のトランスデューサに類似している。トランスデューサの第2の対は、被験者の身体の腫瘍と交差するTTFieldsのための第2のチャネルを画成する。
【0011】
ステップS106で、第1の変調電界が、第1の時間期間にわたってトランスデューサの第1の対の間に生成される。第1の変調電界は、電圧発生器によって生成される。第1の変調電界は、電圧発生器によって生成され、トランスデューサの第1の対に印加される第1の振幅変調AC電圧によって生成される。振幅変調AC電圧は、第1の変調AC電圧と第2のキャリアAC電圧とを有すると考えられ得る。第1の変調AC電圧は、第1のメッセージAC電圧(message AC voltage)とも称され得る。振幅変調AC電圧は、第1の変調AC電圧で第2のキャリアAC電圧の振幅を変調させることによって生成され得るか、または第2のキャリアAC電圧の振幅を変調する第1の変調AC電圧によって表されるAC電圧として生成され得る。第1の変調電界は、第1のトランスデューサ、第2のトランスデューサ、および第1の振幅変調AC電圧を使用して生成される。
【0012】
一例では、第1の変調AC電圧は、特定の強度(たとえば、1~20V/cm)および第1のより低い周波数範囲(たとえば、50~500kHz)を有するTTFieldsを発生することができ、第2のキャリアAC電圧は、特定の強度(たとえば、1~20V/cm)および周波数依存電気的組織特性を変調する範囲(たとえば、500kHz~10GHz)内の第2のより高い周波数を有するTTFieldsを発生することができる。一例において、第1の変調AC電圧の周波数は約200kHzであり、第2のキャリアAC電圧の周波数は約1MHzである。一例において、被験者の身体の腫瘍における変調電界の電界強度は、約1V/cmから約20V/cmの間である。別の例では、被験者の身体の腫瘍における変調電界の電界強度は、約1V/cmから約4V/cmの間である。より低い電界強度範囲は、トランスデューサ部位における組織の温度を制御する所与の方法とともに使用され得るが、より高い電界強度範囲は、トランスデューサ部位における組織の温度を制御するより効果的な方法とともに使用され得る。一例において、トランスデューサは、トランスデューサと接触している組織の温度を検出するための1つまたは複数のセンサー(たとえば、サーミスタ)を備え得る。第1の変調電界は、第1の時間期間(たとえば、1秒)にわたってトランスデューサの第1の対を使用して生成される。トランスデューサは、導電性であっても非導電性であってもよい。
【0013】
一例において、第1の周波数は、被験者の身体の腫瘍における有糸分裂を阻止するための周波数であり、第2の周波数は、周波数依存電気的組織特性の妨害効果を減衰させるための周波数である。一例において、第1の周波数は、被験者の身体の腫瘍を治療するために選択され、第2の周波数は、被験者の身体の腫瘍の細胞壁の外側に比べて大きい、被験者の身体の腫瘍の細胞壁の内側の変調電界強度を生成するために選択される。
【0014】
一例において、変調電界は、被験者の身体の腫瘍における有糸分裂を阻止するための第1の周波数を有する第1の信号と、第1の信号によって変調されたキャリア信号である第2の信号とを含み、第2の信号は被験者の身体の腫瘍の細胞壁に浸透する周波数を有する。一例において、第1の周波数は、被験者の身体の腫瘍を治療することについて選択され、第1の周波数は第2の周波数より小さい。一例において、変調電界は2つの同時周波数を有する。
【0015】
一例において、第1の変調AC電圧は、第1の周波数のメッセージ信号と第2の周波数のキャリア信号とを含み、第1の周波数は被験者の体内の腫瘍を治療するための周波数であり、メッセージ信号はキャリア信号を変調する。
【0016】
図2Aは、第1の変調AC電圧の一例を示している。一例では、第1の変調AC電圧21は、腫瘍を治療するための電圧である。第1の変調AC電圧は、変調信号またはメッセージ信号と称され得る。第1の変調AC電圧21は、第1の振幅A
mおよび第1の周波数f
mを有する。一例において、第1の周波数は、被験者の身体の腫瘍内の有糸分裂を阻止するための周波数であり、中間周波数範囲(たとえば、50~500kHzまたは50kHz~1MHz)内にある。一例において、第1の周波数は、約100kHzから約500kHzの間にある。別の例では、第1の周波数は、約100kHzから約300kHzの間にある。別の例では、第1の周波数は、約125kHzから約250kHzの間にある。一例において、第1の周波数は約200kHzである。
【0017】
図2Bは、第2のキャリアAC電圧の一例を示している。一例において、第2のキャリアAC電圧22は、腫瘍の細胞の膜に浸透するための電圧である。第2のキャリアAC電圧は、キャリア信号とも称され得る。第2のキャリアAC電圧22は、第2振幅A
cおよび第2周波数f
cを有する。一例において、第2の周波数は、被験者の身体の腫瘍内の細胞の誘電率に打ち勝つための周波数である。一例として、第2の周波数の範囲の下端点は、約500kHzから約1MHzの間にあり、第2の周波数の範囲の上端点は、約5MHzから約50MHzの間にある。一例において、第2の周波数は、約500kHzから約100MHzの間にある。別の例では、第2の周波数は、約1MHzから約50MHzの間にある。別の例では、第2の周波数は、約1MHzから約10MHzの間にある。別の例では、第2の周波数は、約1MHzから約5MHzの間にある。一例において、第2の周波数は、約750kHzから約1250kHzの間にある。一例において、第2の周波数は約1MHzである。一例において、第2の周波数は、約7.5MHzから約12.5MHzの間にある。一例において、第2の周波数は、約7.5MHzから約10MHzの間にある。一例において、第2の周波数は約10MHzである。周波数範囲は、キャリア周波数が信号の伝送に対して透過的にするか、または伝送に対して最小の妨害となるようにする、トランスデューサと標的との間の組織の電気的特性、およびTTFields周波数が最大限阻止しようとする、標的の電気的特性に応じて変化する。標的は、たとえば、細胞膜またはチューブリン、微小管、アクチンフィラメント、オルガネラ、もしくはミトコンドリア膜などの細胞内構造であり得る。一例では、振幅変調TTFieldsが腫瘍細胞を殺すために印加され得る最適な周波数は、標的および最も電磁的な組織パラメータに応じて精緻化または修正され得る。
【0018】
別の実施形態では、第2の周波数の範囲の下端点は、約500MHzから約1GHzの間にあり、第2の周波数の範囲の上端点は、約5GHzから約10GHzの間にある。一例において、第2の周波数は、約500MHzから約5GHzの間にある。別の例では、第2の周波数は、約1GHzから約10GHzの間にある。第1の周波数と第2の周波数とを比較すると、第2の周波数は、第1の周波数よりも約1×101倍から約1×107倍高いものとしてよい。
【0019】
図2Cは、振幅変調AC電圧の一例を示している。振幅変調AC電圧23は、第1変調AC電圧21の振幅を使用することによって第2のキャリアAC電圧22の振幅を変調することによって取得される。振幅変調AC電圧23の振幅は、第1の変調AC電圧21の振幅および第2のキャリアAC電圧22の振幅に基づく。振幅変調AC電圧23の振幅は、第1の変調AC電圧21の振幅によって定められる、仮想包絡線24に従う。包絡線24の形状は、第1の変調AC電圧21の形状に揃う。
【0020】
振幅変調AC電圧23の振幅は、最大振幅Amaxおよび最小振幅Aminを有する。最大振幅Amaxおよび最小振幅Aminは、第1の変調AC電圧21の振幅および第2のキャリアAC電圧22の振幅に対する異なる組合せに基づくものとしてよい。
【0021】
一例において、最大振幅Amaxおよび最小振幅Aminは、第1の変調AC電圧21の振幅および第2のキャリアAC電圧22の振幅に基づく変調指数を使用することなどの、変調技術を使用して取得される。
【0022】
別の例では、最大振幅Amaxおよび最小振幅Aminは、第1の変調AC電圧21および第2のキャリアAC電圧22の振幅を加算し減算することによって取得される。たとえば、最大振幅Amaxおよび最小振幅Aminは、次の式を満たし得る。
Amax=Am+Ac 式1
Amin=|Am-Ac| 式2
【0023】
そのようなものとして、振幅変調AC電圧23は、腫瘍を治療する周波数を発生するための第1の変調AC電圧21によって与えられる第1の周波数を有する。さらに、振幅変調AC電圧23は、腫瘍細胞の誘電率を克服し、したがって、細胞内電界強度を改善するための周波数を発生するために、第2のキャリアAC電圧22によって提供される第2の周波数を有する。変調電界をTTFieldsとして被験者の身体に印加することによって、被験者の身体の関心領域内で腫瘍を治療し、細胞内電界強度を改善するために周波数を中間周波数範囲内に維持することを同時に行うことが可能であり、またTTFieldsの治療効果および有効性を改善することが可能である。
【0024】
再び
図1を参照すると、ステップS108において、第1の時間期間の後に、第1の変調電界の発生が中止される。第1の変調電界の発生を中止するために、電圧発生器は、第1の振幅変調AC電圧の発生を停止する。
【0025】
ステップS110で、第2の変調電界が、第2の時間期間にわたって第3のトランスデューサと第4のトランスデューサとの間に生成される。第2の変調電界は、電圧発生器によって生成される。第2の変調電界は、電圧発生器によって生成され、トランスデューサの第2の対に印加される第2の振幅変調AC電圧によって生成される。振幅変調AC電圧は、第3の変調AC電圧と第4のキャリアAC電圧とを有すると考えられ得る。第3の変調AC電圧は、第3のメッセージAC電圧とも称され得る。振幅変調AC電圧は、第3の変調AC電圧で第4のキャリアAC電圧の振幅を変調させることによって生成される。第2の変調電界は、第3のトランスデューサ、第4のトランスデューサ、および第2の振幅変調AC電圧を使用して生成される。
【0026】
第2の変調電界は、第1の変調電界について上で説明されているものに類似する方式で生成され得る。一例では、第3の変調AC電圧は、特定の強度(たとえば、1~20V/cm)および第1のより低い周波数範囲(たとえば、50~500kHzまたは50kHz~1MHz)を有するTTFieldsを発生することができ、第4のキャリアAC電圧は、特定の強度(たとえば、1~20V/cm)および第2のより高い周波数範囲(たとえば、500kHz~10GHzまたは1kHz~10MHz)を有するTTFieldsを発生することができる。一例において、第3の変調AC電圧の周波数は約200kHzであり、第4のキャリアAC電圧の周波数は約1MHzである。一例において、被験者の身体の腫瘍における第2の変調電界の電界強度は、約1V/cmから約20V/cmの間である。別の例では、被験者の身体の腫瘍における第2の変調電界の電界強度は、約1V/cmから約4V/cmの間である。一例において、トランスデューサは、トランスデューサと接触している組織の温度を検出するための1つまたは複数のセンサー(たとえば、サーミスタ)を備え得る。第2の変調電界は、第2の時間期間(たとえば、1秒)にわたってトランスデューサの第2の対を使用して生成される。
【0027】
ステップS112で、第2の時間期間の後に、第2の変調電界の発生は中止される。第2の変調電界の発生を中止するために、電圧発生器は、第2の振幅変調AC電圧の発生を停止する。第2の電界が止められた後、このプロセスは、ステップS106、S108、S110、S112、およびS114において繰り返される。
【0028】
他の実施形態では、トランスデューサの2つよりも多い対が、変調電界を有するTTFieldsを被験者の身体に印加するために使用され得る。たとえば、トランスデューサの複数の対が被験者の身体上に配置され、変調電界がトランスデューサの複数の対の間で誘導される。一例において、8個のトランスデューサを有するトランスデューサの4つの対が使用され得る。4つの変調電界が、被験者の身体上に配置されたトランスデューサの4つの対の間で交互に誘導される。変調電界を有するTTFieldsをトランスデューサの4つの対の間で被験者の身体に印加する特定の例として、第1の変調電界が、第1の時間期間にわたってトランスデューサの第1の対の間に誘導される。第1の時間期間の後に、第1の変調電界の発生は中止される。第2の変調電界は、第2の時間期間にわたってトランスデューサの第2の対の間に誘導される。第2の時間期間の後に、第2の変調電界の発生は中止される。第3の変調電界は、第3の時間期間にわたってトランスデューサの第3の対の間に誘導される。第3の時間期間の後に、第3の変調電界の発生は中止される。第4の変調電界は、第4の時間期間にわたってトランスデューサの第4の対の間に誘導される。第4の時間期間の後に、第4の変調電界の発生は中止される。第4の電界が止められた後、このプロセスは、トランスデューサの第1の対の間に第1の変調電界を誘導するステップから、トランスデューサの第4の対の間に第4の変調電界を誘導するステップまでを繰り返す。
【0029】
図3A、
図3B、および
図3Cは、異なる周波数を有する電界が細胞に印加されたときの細胞内電界強度のシミュレーション結果を示している。有糸分裂中期の球状細胞に対するTTFieldsの影響は、有限要素法シミュレーションにより、決定され得る。
図3Aは、TTFieldの異なる周波数に対する電界の表面プロットである。各正方形の中心にある円は半径10μmのシミュレートされた細胞を表し、円の内側および外側の色は右のカラースケールに従って電界強度(V/cm)を表している。各正方形は、電界強度1V/cmのTTFieldsを異なる周波数(たとえば、60Hz、200kHz、500kHz、1MHz、および1GHz)においてシミュレートした結果である。TTFieldsの周波数が変化すると、電界分布および細胞内電界強度が変化する。
【0030】
図3Aを参照すると、電界の周波数が60Hzのときに、細胞壁の内側の電界強度はほとんどゼロに等しく、細胞は実質的に電界の影響を受けていない。電界の周波数が200kHzまで高められたときに、細胞内電界強度の増大が観察され、電界強度は約0.5V/cmである。電界強度は、電界の周波数がこの値より高くなるにつれ大きくなる。電界の周波数が500kHzまで高められたときに、細胞内電界強度の増大が観察され、電界強度は約0.95V/cmである。電界の周波数が1MHzであるときに、細胞壁の内側の電界強度は細胞壁の外側の電界強度より高く、細胞内電界強度は約1.2V/cmである。そのようなものとして、1MHzにおいて、シミュレートされた細胞は細胞の外側に比べて細胞の内側において電界のより多くを吸収し保持している。電界の周波数が1GHzまで高められたときに、細胞壁の内側および外側の電界強度は同じであり、細胞構造は「電気的不可視」になる。
【0031】
図3Bは、細胞内電界強度を周波数対導電率の関数としてプロットしたものである。細胞膜の導電率σ
mが変化させられたが、これらの異なる導電率の影響は細胞内電界強度に対する異なるプロット内に反映されている。ジーメンス/メートル(S/m)単位の細胞膜のシミュレートされた導電率σ
mは、5e-5S/m、1e-5S/m、1e-6S/m、および3e-7S/mである。約500kHzでは、細胞内電界強度は約0.95V/cm~1.25V/cmである。約1MHzでは、細胞内電界強度のピークは、約1.1V/cmから1.2V/cmのところにある。1MHz超から約100MHzの周波数において、細胞内電界強度は約1.05V/cmより高い。
【0032】
図3Cは、細胞内電界強度を周波数対比誘電率の関数としてプロットしたものである。細胞外空間の導電率σ
e、細胞外空間の誘電率ε
e、および細胞質の誘電率ε
iは変化させられたが、これらの変化の効果は、細胞内電界強度に対する異なるプロット内に反映されている。細胞外空間のシミュレートされた導電率σ
eは0.9S/mに固定され、細胞外空間のシミュレートされた誘電率ε
eは60および80であり、細胞質のシミュレートされた誘電率ε
iは60および80であった。約500kHzでは、細胞内電界強度は約1.0V/cmである。約1MHzでは、細胞内電界強度のピークは、約1.15V/cmから1.2V/cmのところにある。1MHz超から約100MHzの周波数において、細胞内電界強度は約1.05V/cmより高く、1.2V/cmで予測される臨界値より低く、シミュレーションにおける細胞内電界強度は、周波数依存方式で導電率と誘電率の組合せに対して減少する。
【0033】
図3Dは、周波数の関数として骨皮質組織の誘電特性を示すプロットである。物質の誘電特性は、測定された複素比誘電率から、式
ε
r=ε'-jε" 式3
に基づき取得され、
ε
rは物質の誘電率であり、ε'は物質の比誘電率であり、ε"は位相が異なる損失係数であり、jは定数である。
【0034】
さらに、位相が異なる損失係数ε"は式:
ε"=σ/ε0ω 式4
を満たし、
σは物質の全導電率であり、ε0は自由空間の誘電率であり、ωは電界の角周波数である。一例において、物質の導電率σはジーメンス/メートル(S/m)を単位とするものとしてよい。
【0035】
電界の周波数の関数としての骨皮質組織の誘電率および導電率は、
図3Dに提示されている。ヒト、ラット、ウシ、およびヒツジにおける周波数の関数としての誘電率および導電率のデータは、いくつかの研究から抽出された。ヒト、ラット、ウシ、およびヒツジにおける骨皮質の誘電率は、電界の周波数が高くなるにつれて減少する。骨皮質の導電率は、電界の周波数が高くなるにつれて高くなる。電界の周波数が1.0E+1から1.0E+6Hz(すなわち、1Hzから1MHz)の範囲内にあるときに、骨皮質組織の導電率は電界の周波数が高くなるにつれて増大するが、その増大は遅い。電界の周波数が1.0E+6Hz(すなわち1MHz)より高いときに、プロットの傾きは1MHzより低い電界の周波数の傾きに比べて大きく、これは骨皮質組織の導電率が電界の周波数が1MHzより高くなるほどより急速に増大することを指示している。この結果は、TTFieldsの治療効果が電界強度依存および周波数依存であることを示唆している。中間周波数範囲(たとえば、50~500kHz)内の周波数を有する交番電界は、細胞増殖を著しく減少させることができる。TTFieldsが治療効果を発揮するために、電界強度は約1V/cmの閾値を超えるべきであり、癌細胞を殺す効力は、電界強度が1V/cmより高くなり、1秒間に印加電界の方向が2~4回変化する場合に著しく--少なくとも直線的に、おそらく二次関数的に--増大する。
【0036】
図3A、
図3B、および
図3Cに示されているように、1V/cmの強度を有し、望ましい中間周波数(たとえば、50~500kHzまたは50kHz~1MHz)を有するTTFieldsから生成される細胞内電界強度は、1V/cm以上の電界強度に達することができない場合がある。1V/cm以上の細胞内電界強度を有することは、TTFieldsにより腫瘍を治療する上で望ましいであろう。
図3Dに示されているように、生体組織の導電率は、電界の周波数が1MHzより低いときに低くなる。本発明者は、被験者の体内の腫瘍に対して、望ましい周波数帯域でより高い線量のTTFieldsをどのように提供するかという問題を解決した。特に、本発明者は、振幅変調電界によるTTFieldsを印加することが、被験者の体内の腫瘍に対して望ましい周波数帯域でTTFieldsのより高い線量をもたらすことを発見した。本発明により、TTFieldsの周波数は望ましい周波数帯域内に維持され、細胞内電界強度は被験者の身体の関心領域において望ましいレベルに達する。
【0037】
図4が、変調電界を有するTTFieldsを被験者の身体の頭部に印加するためのトランスデューサレイアウトの一例を示している。いくつかの実施形態において、トランスデューサの2つの対、すなわち、全部で4つのトランスデューサが、被験者の身体にTTFieldsを印加するために使用される。
【0038】
図4において、このトランスデューサレイアウトは、変調電界を有するTTFieldsを被験者の身体の頭部に印加するために4つのトランスデューサを有している。第1のトランスデューサ401、第2のトランスデューサ402、第3のトランスデューサ403、および第4のトランスデューサ404は、変調電界を関心領域405(たとえば、被験者の体内の腫瘍)に印加するために被験者の頭部400上に配置される。一例において、関心領域は、非侵襲的画像技術、たとえば、核磁気共鳴画像法(MRI)によって識別される。一例において、第1のトランスデューサ401および第3のトランスデューサ403は、関心領域405の左側に配置され、第2のトランスデューサ402および第4のトランスデューサ404は、関心領域405の右側に配置される。対については、第1のトランスデューサ401と第2のトランスデューサ402とがトランスデューサの第1の対を形成し、第3のトランスデューサ403と第4のトランスデューサ404とがトランスデューサの第2の対を形成し得る。トランスデューサの構造は、説明されている実施形態に限定されず、例示的なトランスデューサのさらなる説明は、以下に提示され、
図6A~
図6Dに描かれている。
【0039】
図5は、変調電界を有するTTFieldsを被験者の身体の胴体に印加するためのトランスデューサの2つの対を含むトランスデューサレイアウトの一例を示している。いくつかの実施形態において、トランスデューサの2つの対、すなわち、全部で4つのトランスデューサが、被験者の身体にTTFieldsを印加するために使用される。
【0040】
図5に描かれている例では、第1のトランスデューサ501は右胸腔の前に配置され、第2のトランスデューサ502は左大腿の裏に配置される。さらに、第3のトランスデューサ503は胸腔の裏に配置され、第4のトランスデューサ504は右大腿の前に配置される。対については、第1のトランスデューサ501と第2のトランスデューサ502とがトランスデューサの第1の対を形成し、第3のトランスデューサ503と第4のトランスデューサ504とがトランスデューサの第2の対を形成し得る。別の例では、第1のトランスデューサ501と第4のトランスデューサ504とがトランスデューサの第1の対を形成し、第3のトランスデューサ503と第2のトランスデューサ502とがトランスデューサの第2の対を形成し得る。一例では、第1の変調電界がトランスデューサの第1の対の間に生成され、第2の変調電界がトランスデューサの第2の対の間に生成される。
【0041】
別の実施例では、第1および第2の変調電界は、トランスデューサの一部を使用して生成され得る。たとえば、第1の変調電界が、第1のトランスデューサの第1の部分と第2のトランスデューサの第1の部分との間に生成され、第2の変調電界が、第1のトランスデューサの第2の部分と第2のトランスデューサの第2の部分との間に生成され得る。一例において、第1のトランスデューサの第1の部分は、第1のトランスデューサの第2の部分と重ならない。一例において、第1のトランスデューサの第1の部分は、第1のトランスデューサの第2の部分と部分的に重なってもよい。一例において、第2のトランスデューサの第1の部分は、第2のトランスデューサの第2の部分と重ならない。一例において、第2のトランスデューサの第1の部分は、第2のトランスデューサの第2の部分と部分的に重なり得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、変調電界は、単一のトランスデューサを使用して生成され得る。より具体的な一例において、2つの周波数を伴う変調電界は、組織を通して被験者の身体の標的領域に伝達され、組織が電流を吸収する能力が、回路に対する電気接地として使用され得る。
【0043】
他の実施形態において、2つの変調電界は、2つまたはそれ以上のトランスデューサを使用して生成され、トランスデューサの2つよりも多い対が、変調電界を有するTTFieldsを被験者の身体に印加するために使用され得る。たとえば、トランスデューサの複数の対が被験者の身体上に配置され、変調電界が複数の対の様々な組合せの間に誘導される。たとえば、8個のトランスデューサを有するトランスデューサの4つの対が使用され得る。この例では、第1の変調電界は、トランスデューサの第1の対の間に誘導され、第2の変調電界は、トランスデューサの第2の対の間に誘導され、第3の変調電界は、トランスデューサの第3の対の間に誘導され、第4の変調電界は、トランスデューサの第4の対の間に誘導される。
【0044】
図6A~
図6Dは、トランスデューサの構造の例である。たとえば、トランスデューサ60Aは、基板61Aと、複数の電極要素62Aとを有する。基板61Aは、トランスデューサを被験者の身体に取り付けるように構成される。基板61Aに対する好適な材料は、たとえば、布、発泡体、および可撓性プラスチックを含む。一例において、基板61Aは、約0.5mm以上の厚さを有する導電性医療用ゲルを含む。より具体的な一例において、基板61Aは、0.5mmの最小厚さを有するヒドロゲルの層である。トランスデューサ60Aは、基板61を通して被験者の身体に取り付けられる。
【0045】
複数の容量結合した電極要素62Aが基板61A上に位置決めされ、容量結合された電極要素の各々は、基板の方に面する上に配設された誘電体層を備える導電板を有する。任意選択で、1つまたは複数のセンサー(たとえば、温度センサー)が、Novocure Optune(登録商標)システムで使用される従来の配置構成に類似する方式で電極要素の各々の下に位置決めされ得る。
【0046】
図6Bは、トランスデューサ60Bの構造の別の例を描いている。一例において、トランスデューサ60Bは、電極をグループ分けしたものである。この例では、トランスデューサ60Bは、複数の電極要素62Bを備える。複数の電極要素62Bは、基板なしで互いに電気的および機械的に接続されている。一例において、電極要素62Bは、導線を通して互いに接続されている。
【0047】
図6Cおよび
図6Dは、トランスデューサの構造のさらなる例である。トランスデューサは、基板61C上の任意の所望の数の電極要素62C、または基板61D上のアレイ62Dを含み得る。
【0048】
一例において、電極要素62A、62B、62C、62Dはセラミックディスクであり、セラミックディスクの各々は直径約2cm、厚さ約1mmである。別の例では、電極要素62A、62B、62C、62Dは、円盤形状でないセラミック要素である。別の例では、電極要素62A、62B、62C、62Dは、複数の平坦な導体上に位置決めされた非セラミック誘電体材料(たとえば、ポリマーフィルム)である。様々な形状、サイズ、および材料が、電極要素に使用され得る。
【0049】
代替的実施形態において、トランスデューサは、ただ1つの単一電極要素を備え得る。一例では、単一電極要素は、基板上に位置決めされた可撓性有機材料または可撓性有機複合材料である。別の例では、トランスデューサは、基板なしの可撓性有機材料または可撓性有機複合材料を含み得る。
【0050】
他の代替的実施形態では、各複合トランスデューサが2つまたは複数のトランスデューサを含む複合トランスデューサが、変調電界を印加するために使用され得る。一例において、各複合トランスデューサは、第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサを含み、複合トランスデューサの第1および第2のトランスデューサは、異なる材料および/または構造を有する。より具体的な例では、複合トランスデューサの第1のトランスデューサは、第1の周波数を標的領域に伝達する材料および構造から最適な形で構成され、複合トランスデューサの第2のトランスデューサは、第2の周波数を標的領域に最適な形で伝達する材料および構造から構成される。
【0051】
本発明の実施形態とともに使用するためのトランスデューサを実装する他の代替的構造も、(a)変調電界を有するTTFieldsを被験者の身体に送達し、(b)ここで指定された場所に位置決めされ得る限り、使用されてよい。
【0052】
図7は、変調電界を有するTTFieldsを被験者の身体に印加するための装置の一例を示している。第1のトランスデューサ701は、基板704上に位置決めされた13個の電極要素703を備え、電極要素703は導線709を通して互いに電気的および機械的に接続されている。第2のトランスデューサ702は、基板706上に位置決めされた20個の電極要素705を備え、電極要素705は導線710を通して互いに電気的および機械的に接続されている。第1のトランスデューサ701および第2のトランスデューサ702は、AC電圧発生器707およびコントローラ708に接続される。コントローラ708は、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプロセッサによってアクセス可能なメモリとを備え得る。メモリは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに、本発明の1つまたは複数の実施形態を実装するためにAC電圧発生器707を制御する命令を記憶し得る。いくつかの実施形態において、AC電圧発生器707およびコントローラ708は、第1のトランスデューサ701および第2のトランスデューサ702に一体化されて、第1の電界発生器および第2の電界発生器を形成し得る。
【0053】
図8は、本明細書の実施形態に対する変調電界を有するTTFieldsを印加するためのコントローラ装置の一例を示している。コントローラ装置800は、コントローラ708として使用されるものとしてよく、1つまたは複数のプロセッサ802、1つまたは複数の出力デバイス805、およびメモリ803を備える。
【0054】
一例において、入力801に基づき、1つまたは複数のプロセッサは、本発明の一実施形態を実装するために、電圧発生器を制御するための制御信号を生成する。一例において、入力801はユーザ入力である。別の例では、入力801は、コントローラ装置800と通信する別のコンピュータからの入力であってもよい。出力デバイス805は、トランスデューサの選択、生成される電圧、および他の動作情報など、本発明の動作の状態を提供し得る。
【0055】
メモリ803は、1つまたは複数のプロセッサ802がメモリ803から情報を読み出し、メモリ803に情報を書き込むことができるようにリンク804を介して1つまたは複数のプロセッサ802によってアクセス可能である。メモリ803は、1つまたは複数のプロセッサ802によって実行されたときに本発明の1つまたは複数の実施形態を実装する命令を記憶し得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、キャリア信号の周波数は可変である。たとえば、キャリア信号の周波数は、約1MHzから約10MHzとすることができる。キャリア信号およびTTFieldsの周波数は、式
【0057】
【0058】
から取得することができ、
Vaは振幅
【0059】
【0060】
の電界を誘導する電圧振幅である。周波数領域における2つの解は、時間領域でシミュレートする代わりに所望の解を得るために総和され得る。
【0061】
図9A~
図9Bは、キャリア信号の異なる周波数に対する電界の表面プロットである。
図9Aを参照すると、式
【0062】
【0063】
を満たすキャリア信号(たとえば、ここでは1MHz)とメッセージ(すなわち、TTFields)信号(たとえば、ここでは200kHz)の周波数が使用された。キャリア信号の周波数が1MHzのときに、TTFieldsの周波数は200kHzであり、電界強度は約1.2V/cmである。キャリア信号なしの電界強度(すなわち約0.18V/cm)と比較して、細胞内電界強度の増大が観察される。1V/cmの外部電界が印加されたときに、浸透率も改善される(すなわち、約120%の電界浸透率)。
図9Bを参照すると、式
【0064】
【0065】
を満たすキャリア信号(たとえば、ここでは10MHz)とメッセージ(すなわち、TTFields)信号(たとえば、ここでは200kHz)の周波数が使用された。キャリア信号の周波数が10MHzのときに、TTFieldsの周波数は200kHzであり、電界強度は約1.5V/cmである。電界強度をキャリア信号なし(すなわち、約0.18V/cm)とキャリア信号1MHzの場合とで比較すると、細胞内電界強度(すなわち、約1.5V/cm)および浸透率(すなわち、約150%の電界浸透)の増大が観察される。
【0066】
本発明は、次のような他の例示的な実施形態を含む。
【0067】
例示的な実施形態1。腫瘍治療電界を被験者の身体に印加する方法であって、第1のトランスデューサを被験者の身体の第1の場所に配置することと、第2のトランスデューサを被験者の身体の第2の場所に配置することと、第1のトランスデューサの少なくとも一部と第2のトランスデューサの少なくとも一部との間に変調電界を誘導することとを含む、方法。
【0068】
例示的な実施形態2。第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサは容量結合される、例示的な実施形態1に記載の方法。
【0069】
例示的な実施形態3。第1のトランスデューサは実質的に電極要素の第1のアレイを備え、第2のトランスデューサは実質的に電極要素の第2のアレイを備える、例示的な実施形態1に記載の方法。
【0070】
例示的な実施形態4。実質的に電極要素の第1のアレイは第1の複数のセラミックディスクを含み、第1の複数のセラミックディスクの各々は直径約2cm、厚さ約1mmであり、第1の複数のセラミックディスクの数は13から20の範囲内にあり、実質的に電極要素の第2のアレイは第2の複数のセラミックディスクを含み、第2の複数のセラミックディスクの各々は直径約2cm、厚さ約1mmであり、第2の複数のセラミックディスクの数は13から20の範囲内にある、例示的な実施形態3に記載の方法。
【0071】
例示的な実施形態5。第1のトランスデューサは約140から250cm2の表面積を覆い、第2のトランスデューサは約140から250cm2の表面積を覆う、例示的な実施形態1に記載の方法。
【0072】
一例として、第1のトランスデューサが13個の電極要素からなるアレイを有し、長さが2cm間隔で配置されたトランスデューサ5個分であり、幅が2cm間隔で配置されたトランスデューサ3個分である楕円形状である場合、また各トランスデューサが直径2cmである場合に、第1のトランスデューサの長さは18cmであり、第1のトランスデューサの幅は10cmである。そのようなものとして、第1のトランスデューサの面積は、9cm×5cm×π=141.4cm2である。
【0073】
一例として、第1のトランスデューサが20個の電極要素からなるアレイを有し、長さが2cm間隔で配置されたトランスデューサ6個分であり、幅が2cm間隔で配置されたトランスデューサ4個分である楕円形状である場合、また各トランスデューサが直径2cmである場合に、第1のトランスデューサの長さは22cmであり、第1のトランスデューサの幅は14cmである。そのようなものとして、第1のトランスデューサの面積は、11cm×7cm×π=214.9cm2である。
【0074】
例示的な実施形態6。第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサは非導電性である、例示的な実施形態1に記載の方法。
【0075】
例示的な実施形態7。腫瘍治療電界を被験者の身体に印加する方法であって、第1の時間期間にわたってトランスデューサの第1の対で第1の変調電界を、第2の時間期間にわたってトランスデューサの第2の対で第2の変調電界を交互に発生することであって、トランスデューサの第1の対は被験者の身体の第1の場所および第2の場所に配置され、トランスデューサの第2の対は被験者の身体の第3の場所および第4の場所に配置される、発生することを含む方法。
【0076】
例示的な実施形態8。腫瘍治療電界を被験者の身体に印加する方法であって、第1の電界発生器と第2の電界発生器との間に変調電界を誘導することであって、第1の電界発生器は被験者の身体の第1の場所に位置し、第2の電界発生器は被験者の身体の第2の場所に位置し、変調電界は第1の周波数を有する第1の信号と第2の周波数を有する第2の信号とを含み、第1の周波数は約100kHzから約500kHzの間にあり、第2の周波数は約1MHzから約10GHzの間にあり、第1の信号は第2の信号を変調する、誘導することを含む方法。
【0077】
例示的な実施形態9。腫瘍治療電界を被験者の身体の胴体に印加する方法であって、電極の第1のグループ分けと電極の第2のグループ分けとの間に電界を発生することであって、電界は2つの同時周波数を有し、電極の第1のグループ分けは被験者の身体上の第1の場所に貼り付けられ、電極の第2のグループ分けは被験者の身体上の第2の場所に貼り付けられる、電界を発生することを含む方法。
【0078】
例示的な実施形態10。腫瘍治療電界を被験者の身体に印加する方法であって、被験者の身体の腫瘍を治療するために、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間に変調電界を誘導することであって、第1のトランスデューサは被験者の身体の第1の場所に配置され、第2のトランスデューサは被験者の身体の第2の場所に配置される、誘導することを含む方法。
【0079】
例示的な実施形態11。変調電界は、振幅変調AC電圧を第1および第2のトランスデューサに印加することによって誘導され、振幅変調AC電圧は第1の周波数および第2の周波数を含み、第1の周波数は第2の周波数より小さい、例示的な実施形態10に記載の方法。
【0080】
例示的な実施形態12。振幅変調AC電圧の第1の周波数は約100kHzから約500kHzの間にあり、振幅変調AC電圧の第2の周波数は約500kHzから約10GHzの間にある、例示的な実施形態11に記載の方法。
【0081】
例示的な実施形態13。第1の電界の第1の周波数は約100kHzから約500kHzの間にあり、第2の電界の第2の周波数は約1MHzから約5MHzの間にある、例示的な実施形態11に記載の方法。
【0082】
例示的な実施形態14。被験者の身体の腫瘍における変調電界は約1V/cmから約20V/cmの間である、例示的な実施形態10に記載の方法。
【0083】
例示的な実施形態15。被験者の身体の腫瘍における変調電界は約1V/cmから約4V/cmの間である、例示的な実施形態10に記載の方法。
【0084】
例示的な実施形態16。変調電界は、第1の周波数と第2の周波数とを含み、第1の周波数は被験者の身体の腫瘍における有糸分裂を阻止するための周波数であり、第2の周波数は周波数依存電気的組織特性の妨害効果を減衰させるための周波数である、例示的な実施形態10に記載の方法。
【0085】
例示的な実施形態17。周波数依存電気的組織特性の妨害効果は、第1のトランスデューサ、第2のトランスデューサ、および被験者の身体の腫瘍の間の組織の誘電率および/または電気伝導率効果を含み、周波数依存電気的組織特性の妨害効果は腫瘍の領域内の標的部位のところの電界強度を低減する、例示的な実施形態16に記載の方法。
【0086】
例示的な実施形態18。変調電界は、被験者の身体の腫瘍を治療するための第1の周波数と、被験者の身体の腫瘍の細胞壁の外側に比べて大きい、被験者の身体の腫瘍の細胞壁の内側の変調電界強度を生成するために選択された第2の周波数とを含む例示的な実施形態10に記載の方法。
【0087】
例示的な実施形態19。変調電界は被験者の身体の腫瘍における有糸分裂を阻止するための第1の周波数を有する第1の信号と、第1の信号によって変調されるキャリア信号である第2の信号であって、被験者の身体の腫瘍の細胞壁に浸透する周波数を有する、第2の信号とを含む、例示的な実施形態10に記載の方法。
【0088】
例示的な実施形態20。変調電界は、被験者の身体の頭部または被験者の身体の胴体内に誘導される、例示的な実施形態10に記載の方法。
【0089】
例示的な実施形態21。方法は、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間で変調電界を誘導することと第3のトランスデューサと第4のトランスデューサとの間で第2の変調電界を誘導することとを交互に行うことをさらに含み、第3のトランスデューサは被験者の身体の第3の場所に配置され、第4のトランスデューサは被験者の身体の第4の場所に配置される、例示的な実施形態10に記載の方法。
【0090】
例示的な実施形態22。変調電界および第2の変調電界は各々被験者の身体内の腫瘍を治療するための第1の周波数と、第2の周波数とを含み、第1の周波数は第2の周波数より小さい、例示的な実施形態10に記載の方法。
【0091】
例示的な実施形態23。腫瘍治療電界を被験者の身体に印加する方法であって、第1の電界発生器と第2の電界発生器との間に変調電界を誘導することであって、第1の電界発生器は被験者の身体の第1の場所に位置し、第2の電界発生器は被験者の身体の第2の場所に位置し、変調電界は第1の周波数を有する第1の信号と第2の周波数を有する第2の信号とを含み、第1の周波数は約100kHzから約500kHzの間にあり、第2の周波数は約500kHzから約10GHzの間にあり、第1の信号は第2の信号を変調する、誘導することを含む方法。
【0092】
例示的な実施形態24。第2の周波数は約1MHzから約10GHzの間にある、例示的な実施形態23に記載の方法。
【0093】
例示的な実施形態25。腫瘍治療電界を被験者の身体の胴体に印加するための装置であって、被験者の身体の第1の場所に配置されるように適合された第1のトランスデューサと、被験者の身体の第2の場所に配置されるように適合された第2のトランスデューサと、第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサに結合され、第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサに電圧を供給できるように適合された電圧発生器と、電圧発生器に結合されたコントローラであって、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプロセッサによってアクセス可能なメモリとを備え、メモリは1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときにコントローラに、第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサに対する電圧信号を生成して被験者の身体内に変調電界を誘導するように電圧発生器に指示させる命令を記憶し、電圧信号は第1の周波数のメッセージ信号と、第2の周波数のキャリア信号とを含み、第1の周波数は被験者の体内の腫瘍を治療するための周波数であり、メッセージ信号はキャリア信号を変調する、コントローラとを備える装置。
【0094】
例示的な実施形態26。第1の周波数は約100kHzから約500kHzの間にあり、第2の周波数は約500kHzから約10GHzの間にある、例示的な実施形態25に記載の装置。
【0095】
例示的な実施形態27。第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサは容量結合される、例示的な実施形態25に記載の装置。
【0096】
例示的な実施形態28。第1のトランスデューサは実質的に平坦な電極要素の第1のアレイを備え、第2のトランスデューサは実質的に平坦な電極要素の第2のアレイを備える、例示的な実施形態27に記載の装置。
【0097】
例示的な実施形態29。第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサは非導電性である、例示的な実施形態25に記載の装置。
【0098】
例示的な実施形態30。腫瘍治療電界を被験者の身体に印加するための装置であって、装置は、被験者の身体の腫瘍を治療するために第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間に変調電界を誘導するように構成されている第1のトランスデューサおよび第2のトランスデューサを備え、第1のトランスデューサは被験者の身体の第1の場所に配置され、第2のトランスデューサは被験者の身体の第2の場所に配置される、装置。
【0099】
例示的な実施形態31。変調電界は、振幅変調AC電圧を第1および第2のトランスデューサに印加することによって誘導され、振幅変調AC電圧は第1の周波数および第2の周波数を含み、第1の周波数は第2の周波数より小さい、例示的な実施形態30に記載の装置。
【0100】
例示的な実施形態32。振幅変調AC電圧の第1の周波数は約100kHzから約500kHzの間にあり、振幅変調AC電圧の第2の周波数は約500kHzから約10GHzの間にある、例示的な実施形態31に記載の装置。
【0101】
例示的な実施形態33。被験者の身体の腫瘍における変調電界は約1V/cmから約20V/cmの間である、例示的な実施形態30に記載の装置。
【0102】
例示的な実施形態34。変調電界は、第1の周波数と第2の周波数とを含み、第1の周波数は被験者の身体の腫瘍における有糸分裂を阻止するための周波数であり、第2の周波数は周波数依存電気的組織特性の妨害効果を減衰させるための周波数である、例示的な実施形態30に記載の装置。
【0103】
例示的な実施形態35。周波数依存電気的組織特性の妨害効果は、第1のトランスデューサ、第2のトランスデューサ、および被験者の身体の腫瘍の間の組織の誘電率および/または電気伝導率効果を含み、周波数依存電気的組織特性の妨害効果は腫瘍の領域内の標的部位のところの電界強度を低減する、例示的な実施形態34に記載の装置。
【0104】
例示的な実施形態36。変調電界は、被験者の身体の腫瘍を治療するための第1の周波数と、被験者の身体の腫瘍の細胞壁の外側に比べて大きい、被験者の身体の腫瘍の細胞壁の内側の変調電界強度を生成するために選択された第2の周波数とを含む例示的な実施形態30に記載の装置。
【0105】
例示的な実施形態37。変調電界は被験者の身体の腫瘍における有糸分裂を阻止するための第1の周波数を有する第1の信号と、第1の信号によって変調されるキャリア信号である第2の信号であって、被験者の身体の腫瘍の細胞壁に浸透する周波数を有する、第2の信号とを含む、例示的な実施形態30に記載の装置。
【0106】
例示的な実施形態38。変調電界は、被験者の身体の頭部または被験者の身体の胴体内に誘導される、例示的な実施形態30に記載の装置。
【0107】
例示的な実施形態39。装置は、第3のトランスデューサと第4のトランスデューサとを備え、第3のトランスデューサおよび第4のトランスデューサは、第3のトランスデューサと第4のトランスデューサとの間に第2の変調電界を誘導するように構成され、第3のトランスデューサは被験者の身体の第3の場所に配置され、第4のトランスデューサは被験者の身体の第4の場所に配置され、装置は、第1のトランスデューサと第2のトランスデューサとの間で変調電界を誘導することと第3のトランスデューサと第4のトランスデューサとの間で第2の変調電界を誘導することとを交互に行うように構成される、例示的な実施形態30に記載の装置。
【0108】
例示的な実施形態40。変調電界および第2の変調電界は各々被験者の身体内の腫瘍を治療するための第1の周波数と、第2の周波数とを含み、第1の周波数は第2の周波数より小さい、例示的な実施形態39に記載の装置。
【0109】
例示的な実施形態41。腫瘍治療電界を被験者の身体に印加するための装置であって、装置は第1の電界発生器と第2の電界発生器とを備え、第1の電界発生器および第2の電界発生器は、第1の電界発生器と第2の電界発生器との間に変調電界を誘導するように構成され、変調電界は第1の周波数を有する第1の信号と第2の周波数を有する第2の信号とを含み、第1の周波数は約100kHzから約500kHzの間にあり、第2の周波数は約500kHzから約10GHzの間にあり、第1の信号は第2の信号を変調する、装置。
【0110】
例示的な実施形態42。第2の周波数は約1MHzから約10GHzの間にある、例示的な実施形態41に記載の装置。
【0111】
説明されている実施形態に対する多数の修正、改変、および変更は、請求項において定義されている本発明の範囲から逸脱することなく可能である。本発明は、説明されている実施形態に限定されるべきでなく、次の請求項の文言およびその等価物によって定義される全範囲を有することが意図されている。
【符号の説明】
【0112】
21 第1の変調AC電圧
22 第2のキャリアAC電圧
23 振幅変調AC電圧
24 仮想包絡線
60A トランスデューサ
60B トランスデューサ
61 基板
61A 基板
61C 基板
61D 基板
62A 電極要素
62B 電極要素
62C 電極要素
62D アレイ
100 方法
400 被験者の頭部
401 第1のトランスデューサ
402 第2のトランスデューサ
403 第3のトランスデューサ
404 第4のトランスデューサ
405 関心領域
501 第1のトランスデューサ
502 第2のトランスデューサ
503 第3のトランスデューサ
504 第4のトランスデューサ
701 第1のトランスデューサ
702 第2のトランスデューサ
703 電極要素
704 基板
705 電極要素
706 基板
707 AC電圧発生器
708 コントローラ
709 導線
710 導線
800 コントローラ装置
801 入力
802 プロセッサ
803 メモリ
804 リンク
805 出力デバイス
【図】
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【国際調査報告】