(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ラグナット及びホイール用の駆動ソケット保護具
(51)【国際特許分類】
B60B 29/00 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
B60B29/00 Z
B60B29/00 H
B60B29/00 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540669
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-07-13
(86)【国際出願番号】 US2021065066
(87)【国際公開番号】W WO2022146871
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523245090
【氏名又は名称】エイエイチオー・ホールディングズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】AHO HOLDINGS LLC
【住所又は居所原語表記】11129 Autumn Drive, Zeeland, MI 49464 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】オング、アンドルー
(57)【要約】
ホイール及びラグナットのための駆動ソケット保護具は、閉鎖端から開放端まで延びる管状壁を有する細長い受容部を画定するように成形された柔軟なシースを含む。細長い受容部は、ソケット工具を受け入れるように構成された内部容積を含む。ソケット工具は、細長い受容部の閉鎖端に配置されたラグ開口部を有する。細長い受容部は、ラグナットとインターフェースするように構成された、閉鎖端における外面をさらに含む。管状壁は柔軟性があり、ソケット工具が細長い受容部の内部容積内に収容されているときに、ラグナットとソケット工具との間に配置されるようにソケット工具のラグ開口部に適合するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイール及びラグナット用の駆動ソケット保護具であって
閉鎖端から開放端まで延びる管状壁を有する細長い受容部を画定するように成形された柔軟なシースを備え、
前記細長い受容部が、ラグ開口部を有するソケット工具を受け入れるように構成された内部容積を含み、前記ラグ開口部は前記細長い受容部の前記閉鎖端に配置され、
前記細長い受容部が、ラグナットとインターフェースするように構成された、前記閉鎖端の外面を含み、
前記管状壁は柔軟性があり、前記ラグナットと前記内部容積に含まれる前記ソケット工具との間に配置されるように前記ラグ開口部に適合するように構成される、
駆動ソケット保護具。
【請求項2】
ラグナットが前記柔軟なシースを前記ラグ開口部に適合させた状態で、前記管状壁は、前記ソケット工具の遠位縁部を包みこみ、前記ソケット工具の外面に沿って近位方向に延びるように構成されている、請求項1に記載の駆動ソケット保護具。
【請求項3】
前記内部容積が長さ寸法と直径寸法とを有し、
前記長さ寸法は前記閉鎖端と前記開放端との間に規定され、前記ラグナットと前記ホイールのラグ穴とを保護するように構成される、請求項1に記載の駆動ソケット保護具。
【請求項4】
前記直径寸法が前記ソケット工具の直径に対応する、請求項3に記載の駆動ソケット保護具。
【請求項5】
前記柔軟なシースがポリマーフィルムを含む、請求項1に記載の駆動ソケット保護具。
【請求項6】
前記ポリマーフィルムが0.1mm未満の厚さを含む、請求項5に記載の駆動ソケット保護具。
【請求項7】
前記開放端を前記ソケット工具に適合させるように構成された引き紐をさらに含む、請求項1に記載の駆動ソケット保護具。
【請求項8】
前記引き紐が、前記管状壁に実質的に配置され、前記細長い受容部の外輪を一周するように構成されたコード状要素である、請求項7に記載の駆動ソケット保護具。
【請求項9】
前記閉鎖端における外面が、第2の駆動ソケット保護具の開放端に取り外し可能に取り付けられるように構成され、かつ前記第2の駆動ソケット保護具を取り外すための引き裂き点を提供するように構成される、請求項1に記載の駆動ソケット保護具。
【請求項10】
前記引き裂き点が鋸歯状縁部を含む、請求項9に記載の駆動ソケット保護具。
【請求項11】
前記ソケット工具がラチェット及びソケットを含み、前記ソケットが前記ラグ開口部を提供し、前記ラチェットが前記ソケットを回転させるように構成される、請求項1に記載の駆動ソケット保護具。
【請求項12】
前記ソケット工具がインパクトレンチを含み、
前記インパクトレンチが前記ラグ開口部を提供する、請求項1に記載の駆動ソケット保護具。
【請求項13】
前記ソケット工具がラグナットキーを含み、
前記ラグナットキーが前記ラグ開口部を提供する、請求項1に記載の駆動ソケット保護具。
【請求項14】
前記ソケット工具が、
前記細長い受容部の内部容積において前記ラグナットキーに係合し回転させるように構成されたインパクトレンチ、又は、
ラチェット及びソケットであって、前記ソケットは前記細長い受容部の内部容積において前記ラグナットキーに係合するように構成され、前記ラチェットは前記ソケットと前記ラグナットキーを回転させるように構成される、ラチェット及びソケットのどちらかをさらに含む、請求項13に記載の駆動ソケット保護具。
【請求項15】
駆動ソケット保護具をホイールのラグナットに使用する方法であって、
ラグ開口部を有するソケット工具を駆動ソケット保護具の開放端を介して挿入することであって、前記開放端は、前記開放端と、管状壁の交わりによって形成された閉鎖端との間に広がる前記管状壁のリムによって画定され、前記管状壁は内部容積をさらに画定し、前記ラグ開口部は前記閉鎖端で前記内部容積内に配置され、前記閉鎖端で前記管状壁の内面に係合するよう構成される、挿入することと、
前記管状壁の内面が前記ラグ開口部の内面に実質的に適合するようにラグナットを前記閉鎖端の外面に係合させることであって、前記ラグナットはホイールに配置されている、係合させることと、
前記ソケット工具と前記ホイールのラグ穴との間にバリアを提供するように、前記管状壁を前記ソケット工具の外面に沿って近位方向に延ばすことと、
前記ホイールにおいて前記ラグナットを締める又は緩めるように前記ソケット工具に回転力を加えることと
を含む方法。
【請求項16】
前記管状壁の内面を前記ソケット工具に実質的に適合させるように、前記管状壁に配置された引き紐を締めるステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記引き紐が、前記管状壁に実質的に配置され、前記細長い受容部の外輪を一周するように構成されたコード状要素である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
トルク付与工具を、前記ソケット工具と前記内部容積内で係合するステップであって、その結果、前記トルク付与工具及びソケット工具は前記内部容積で実質的に保持され、前記ソケット工具はラグナットキーを含む、係合するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記トルク付与工具が、インパクトレンチ、又はソケットとラチェットとを含むラチェットアセンブリのどちらかである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ラグナットが前記柔軟なシースを前記ラグ開口部に適合させた状態で、前記管状壁は、前記ソケット工具の遠位縁部を包み込み、前記ソケット工具の外面に沿って近位方向に延びるように構成される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記内部容積が長さ寸法と直径寸法とを有し、
前記長さ寸法は前記閉鎖端と前記開放端との間に規定され、前記ラグナットと前記ホイールのラグ穴とを保護するように構成されている、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記直径寸法が前記ソケット工具の直径に対応する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記柔軟なシースが、0.1mm未満の厚さを有するポリマーフィルムを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記閉鎖端における外面が、第2の駆動ソケット保護具の開放端に取り外し可能に取り付けられるように構成され、かつ前記第2の駆動ソケット保護具を取り外すための引き裂き点を提供するようにさらに構成される、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記引き裂き点が鋸歯状縁部を含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月31日に提出された米国仮特許出願第63/132,807号に付与された優先権を米国特許法第119条(e)に基づいて主張し、この先行出願の開示内容は本出願の一部とみなされ、参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0002】
本開示は、車両においてホイールを保持するために使用されるラグナット及びソケット工具に関し、より具体的には、ラグナットの取り付け及び/又は取り外しの間にラグナット及びホイールの損傷を防止するための駆動ソケット保護具に関する。
【背景技術】
【0003】
乗用車、トラック、オートバイ、バス等に使用されるものなどの車両ホイールは、しばしばホイールハブを介してアクスルに固定され、ホイールハブは、円形パターンに配列された多数のボルトを呈する。ホイール、一般にスチール製又はアルミニウム製のリムアセンブリの周囲に巻かれたゴムタイヤは、ホイールハブのボルトに対応するように円形パターンに配列された多数のボルト穴を有する。取り付けられる際、ボルトは対応するボルト穴を通して配置され、ホイールをホイールハブに締め付けるためにラグナットが使用され、その結果、ホイールは対応するアクスル、又はドライブシャフト等の周りで回転し得る。
【0004】
一般に、車両ホイールは、車両に美的価値も提供する。ホイールは、粉体塗装、ペイント塗装、クロムメッキ、又は他の魅力的な仕上げが施されている場合がある。ラグナットは、しばしば、同様のタイプの仕上げを有し、対応するホイールの美的品質と一致するか、又はそれを強化する。しかしながら、これらの仕上げは、環境要因(道路の縁石、砂利、棒など)や、しばしばホイールへのラグナットの取り付け又は取り外しに起因する引っ掻き傷、欠け、その他の表面及び構造の損傷を受けやすいことが多い。ホイールを車両から取り外す際(タイヤ交換、タイヤローテーション、ブレーキメンテナンス等のために)、ラグレンチ、ソケットレンチ、又はインパクトレンチなどの一般的なソケット工具を使用してラグナットを取り外すことが多い。これらの工具は、ラグナットやホイールの美的仕上げの損傷の原因になることが多い。ラグナットとホイールの両方の美観と構造的完全性を保証するために、このような損傷を防止することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ホイール及びラグナットのための駆動ソケット保護具、並びにホイールのラグナットに駆動ソケット保護具を使用するための対応する方法を提供する。駆動ソケット保護具は、内部容積にソケット工具を受け入れる柔軟なシースを含む。柔軟なシースは、薄いポリマーフィルム材料などの十分な柔軟性及びしなやかさを有し、それにより、包まれたソケット工具は、柔軟なシースがソケット工具とラグナットの向かい合う面の間に配置された状態で、ラグナットとインターフェースすることができる。ラグナットと係合されると、駆動ソケット保護具は、ホイールのラグ開口部とインターフェースするために、戻るように延びてソケット工具を覆う。駆動ソケット保護具は、車両にホイールを取り付けるとき又は車両からホイールを取り外すときに、ホイールのラグナットとラグ開口部の両方に対して同時且つ強化された保護を提供する。
【0006】
本開示の一態様によれば、ホイール及びラグナットのための駆動ソケット保護具は、閉鎖端から開放端まで延びる管状壁を有する細長い受容部を画定するように成形された柔軟なシースを含む。細長い受容部は、ソケット工具を受け入れるように構成された内部容積を含む。ソケット工具は、細長い受容部の閉鎖端に配置されたラグ開口部を有する。細長い受容部は、さらに、ラグナットとインターフェースするように構成された、閉鎖端における外面を含む。管状壁は柔軟であり、ソケット工具が細長い受容部の内部容積内に収容されているときに、ラグナットとソケット工具との間に配置されるようにソケット工具のラグ開口部に適合するように構成される。
【0007】
本開示の実施態様は、以下の任意選択の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る。いくつかの実施態様において、ソケット工具は、ラチェット又はインパクトレンチによって係合されるソケットであり得る。また、ソケット工具は、ソケットに係合するラグナットキーを含む場合もあり、ここでラチェット又はインパクトレンチがソケットに係合してソケットを駆動する。
【0008】
さらに、ラグナットが柔軟なシースをラグ開口部に適合させた状態で、管状壁は、ソケット工具の縁部を包み込み、ソケット工具の外面に沿って近位方向に延びるように構成され得る。柔軟なシースの寸法は、ラグナットとホイールのラグ穴の両方を保護するとともに、ソケット工具の直径に対応するように構成され得る。柔軟なシースは、0.1mm未満の厚さを有するポリマーフィルムで形成されてもよい。
【0009】
さらに、駆動ソケット保護具は、細長い受容部の外輪を一周するように構成された管状壁に配置されたコードであり得る引き紐であって、開放端をソケット工具に適合させる引き紐を備え得る。閉鎖端における駆動ソケット保護具の外面は、追加の駆動ソケット保護具の開放端に取り外し可能に取り付けられてもよく、そこで2つの保護具を切り離すための鋸歯状縁部を提供する。
【0010】
別の態様によれば、ホイールのラグナットに関して駆動ソケット保護具を使用するための方法が提供される。この方法は、ラグ開口部を有するソケット工具を駆動ソケット保護具の開放端を通して挿入することを含む。開放端は、開放端と、管状壁の交わりによって形成された閉鎖端との間に広がる管状壁のリムによって画定される。管状壁はさらに内部容積を画定し、その結果、ラグ開口部は、閉鎖端において内部容積内に配置され、閉鎖端において管状壁の内面に係合するように構成される。ラグナットは、管状壁の内面がラグ開口部の内面に実質的に適合するように、閉鎖端の外面に係合される。管状壁は、ソケット工具の外面に沿って近位方向に延び、それにより、ソケット工具とホイールのラグ穴との間にバリアを提供する。ラグナットはホイールに配置され、ホイールにおいてラグナットを締める又は緩めるように、ソケット工具で回転力が加えられる。
【0011】
本開示の1つ又は複数の実施態様の詳細は、添付の図面及び以下の記載に記載されている。他の態様、利点、目的、及び特徴は、図面と併せて以下の明細書を検討することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】ラグナットと共にソケット工具で使用される駆動ソケット保護具の周囲の状況図である。
【
図1B】ラグナットと共にソケット工具で使用される駆動ソケット保護具の周囲の状況図である。
【
図1C】ラグナットと共にソケット工具で使用される駆動ソケット保護具の周囲の状況図である。
【
図3A】
図3のセクションAに対応する断面図である。
【
図3B】
図3のセクションBに対応する断面図である。
【
図4】ソケット工具を備えた駆動ソケット保護具の断面図である。
【
図5】ホイールからラグナットを取り外す様々な段階のうちの1つの、ソケット工具上で使用中の駆動ソケット保護具の断面図である。
【
図6】ホイールからラグナットを取り外す様々な段階のうちの1つの、ソケット工具上で使用中の駆動ソケット保護具の断面図である。
【
図7】ホイールからラグナットを取り外す様々な段階のうちの1つの、ソケット工具上で使用中の駆動ソケット保護具の断面図である。
【
図6A】
図6のセクションAに対応する断面図である。
【
図8】ラグナットキーに対応するラグナットを備えたラグナットキー上の駆動ソケット保護具の斜視図である。
【
図9】ホイールにおいてラグナットキーに対応するラグナットを取り付ける様々な段階の間のうちの1つの、ラグナットキー上で使用中の駆動ソケット保護具の断面図である。
【
図10】ホイールにおいてラグナットキーに対応するラグナットを取り付ける様々な段階の間のうちの1つの、ラグナットキー上で使用中の駆動ソケット保護具の断面図である。
【
図11】ホイールにおいてラグナットキーに対応するラグナットを取り付ける様々な段階の間のうちの1つの、ラグナットキー上で使用中の駆動ソケット保護具の断面図である。
【
図12A】ラグナットキーに対応するラグナット及びラグナットキーを受け入れるソケット工具を備えたラグナットキー上の駆動ソケット保護具の分解斜視図である。
【
図13】ホイールにおいてラグナットキーに対応するラグナットを取り付ける様々な段階のうちの1つの、ソケット工具及びラグナットキー上で使用中の駆動ソケット保護具の断面図である。
【
図14】ホイールにおいてラグナットキーに対応するラグナットを取り付ける様々な段階のうちの1つの、ソケット工具及びラグナットキー上で使用中の駆動ソケット保護具の断面図である。
【
図15】ホイールにおいてラグナットキーに対応するラグナットを取り付ける様々な段階のうちの1つの、ソケット工具及びラグナットキー上で使用中の駆動ソケット保護具の断面図である。
【
図16A】合成ポリマー材料から作られた駆動ソケット保護具の斜視図である。
【
図16B】合成ポリマー材料から作られ、引き紐を示す駆動ソケット保護具の斜視図である。
【
図16C】布から作られた駆動ソケット保護具の斜視図である。
【
図17A】分配のために引き裂き点で分離するように構成された駆動ソケット保護具のロールの斜視図である。
【
図17B】分配のために引き裂き点で分離するように構成された駆動ソケット保護具のスタックの斜視図である。
【
図18A】駆動ソケット保護具と適合性のあるラグナットの実施形態の斜視図である。
【
図18B】駆動ソケット保護具と適合性のあるラグナットの実施形態の斜視図である。
【
図18C】駆動ソケット保護具と適合性のあるラグナットの実施形態の斜視図である。
【
図18D】駆動ソケット保護具と適合性のあるラグナットの実施形態の斜視図である。
【
図18E】駆動ソケット保護具と適合性のあるラグナットの実施形態の斜視図である。
【
図18F】駆動ソケット保護具と適合性のあるラグナットの実施形態の斜視図である。
【
図18G】駆動ソケット保護具と適合性のあるラグナットの実施形態の斜視図である。
【
図18H】駆動ソケット保護具と適合性のあるラグナットの実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
様々な図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【0014】
本明細書に記載される方法及び装置は、乗用車、トラック、オートバイ、バス、又はトラクター等などの車両上のホイールハブ又は同様の構成要素においてホイールを保持するために使用されるラグナット及びソケット工具に関する。ラグナット及びホイール用の駆動ソケット保護具が、ラグナットに作用する工具にバリア又はカバーを提供することによってラグナットの取り付け及び/又は取り外しの際にホイール及びラグナットにおける損傷を防止するために使用される。本出願は、ラグナットが車両のホイールにおいて取り付けられる例を頻繁に参照し得るが、本開示は、ボルト及び他の取り付けハードウェア、並びに工具とそれが作用する留め具及び留め具を囲む構造との間の直接接触を防ぐことが望ましい他の用途に関することが理解されるべきである。
【0015】
上に列記した車両によって一般的に使用されるホイールは、典型的には、ホイールハブに係合するように構成された中央部分又はディスクと、ゴムタイヤを保持するように構成された外側リム又はバレルと、中央部分からバレルに向かって放射状に広がるホイール本体又はスポークアセンブリとを備える。ホイールハブは、アクスル、又は駆動シャフト等nの周りのホイールの回転を可能にし、ホイールの中央部分に収容されるホイールハブから突出する多数のボルトを円形配列で提供する。ホイールは、ホイールハブからのボルトを受けるための(ボルト穴部分)、及びボルトの端部に係合するラグナットを受けるための(ラグ穴部分)、対応する円形配列の穴を中心部分に提供する。穴は、中央部分において、ホイールの厚さを貫通して形成されてもよく、例えば、中央部分のディスク状部分の周りに等間隔で形成されてもよい。
【0016】
車両に取り付けられた際、中央部分又はディスクの内向き部分はホイールハブに対して平らに据えられ、それによりホイールハブから延びるボルトはホイールの穴を通過し、ホイールの外側に面する側、一般に中央部分又はディスクにおいて露出される。ボルトを受けるように構成されたねじ山を有するラグナットが、ボルトのそれぞれに取り付けられ、ホイールをホイールハブに保持するために締められる。ラグナットは、ラグナットのための座面を形成するカラーなど、対応する穴の内側部分(例えば、ボルト穴部分)よりも大きな直径を有する本体を有する。ラグナットがボルトに係合すると、ホイールに係合してホイールにクランプ力を与え、ホイールをホイールハブに保持する。具体的には、ラグナットは、ボルト穴部分を囲む中央ディスクの外側に面する表面など、穴の内側部分又は座面の周囲で係合する。
【0017】
各穴において、ボルト穴部分(ボルト穴とも呼ばれる)は、ホイールの内側部分に配置され、中央部分又はディスクの外側に面する側上のラグ穴部分(ラグ穴とも呼ばれる)に対応する。穴は、ホイールの外側に面する側から穿孔されてもよいが、最大直径(すなわち、ラグ穴部分)は、ホイールの全厚さを通過しない。むしろ、ラグ穴部分は、ラグナットがホイールとインターフェースする規則的又は均一な又は一致する表面を提示するために、ホイールの不規則な又は外側の表面を通るボアを表すことが多い。ラグ穴部分は、多数の異なる構成を含み得るが、一般に、ラグナットが据えられる均一な座面を呈する。例えば、ラグ穴部分は、球状座面ラグナットと係合するように構成された丸みを帯びた座面、しいの実形座面ラグナットと係合するように構成されたテーパ状の座面、又は平坦座面ラグナットと係合するように構成された平坦な座面を呈し得る。各ラグナットに均一な接触面を設けることは、多数のラグナットを横切って均一なトルク又はクランプ力を達成し、それによってホイールのぐらつき又は不均一な回転を防止するために望ましい。高回転時に、時間の経過とともに、ホイールのぐらつき又は不均一な回転は、タイヤ、タイロッド、ブレーキの不均一な摩耗、ホイールハブの反り、ラグナットの破損、又は他の望ましくない結果をもたらす可能性がある。
【0018】
取り付け中に、ラグナット又はホイールが、ラグナットの取り外しや取り付けに使用される従来の工具(ラグレンチ、ソケットレンチ、インパクトレンチなど)によって引っ掻き傷を付けられたり、又は擦り傷を付けられたり、又は欠けたり、又はその他の方法で外観を損なわれたりすることがある。ホイールやラグナットの表面には、車両の美観を向上させるために装飾的な仕上げ又はコーティングが施されることが多い。例えば、表面は、粉体塗装、ペイント塗装、クロムメッキ、又は研磨などが施されている場合がある。しかしながら、これらの表面は、ラグ取り付け工具の硬い表面が接触したときに、引っ掻き傷又は欠けが生じやすい場合がある。この損傷は、最も一般的には、ラグ穴の座面、ラグ穴の壁、ラグナットの上面、及びラグナットの側面の4つの領域で発生する。引っ掻き傷等は主にホイールとラグナットの美観に影響するが、欠けなどのいくつかのより深刻な損傷は、ラグナットがホイールで一貫したクランプ力を発揮する能力に影響を及ぼす場合がある。さらに、ホイール及びラグナットの美的及び構造的損傷はいずれも望ましくなく、それ自体で安全上の懸念を引き起こす可能性があるため、車両の所有者が車両に元々意図されていない交換用ホイール又はラグナットを取り付けることにもつながりかねず、車両にとってオリジナルの工場で取り付けられた部品を有することに起因する安全性、関連部品の耐久性、又はさらには車両の貨幣価値の低下のさらなる可能性ももたらし得る。したがって、ラグナット及びホイールは交換され得るが、少なくとも上述した理由のために、ラグナット及びホイールを欠陥のない状態に維持することが非常に望ましいことに変わりはない。
【0019】
ここで図面及びそこに描かれた説明に役立つ例を参照すると、ラグナット及びホイールのための駆動ソケット保護具が提供される。
図1A~1Cに示すように、ホイール20が車両10に設けられ、ホイールは、5ラグボルトパターンを受けるように構成された中央ディスク22を有する。ボルト24は、車両10においてホイール20を取り付けるためのホイールハブ又はアクスル又は他の適切な手段から円形配列で水平方向に延びる。それにより、ホイール20が中心軸を中心に自由に回転し、地面又は路面を横切って車両10を駆動するために車両10に配置された追加のホイールと協働する、ボルト24の円形配列は、ボルトパターンを含む。追加の例では、ボルトパターンは、中心軸を中心とする円形パターンに配置された3つ以上のボルトからなり得、ホイールハブにおける円形パターンの周りのホイール20における実質的に均一な支持又はクランプ力を可能にする。
【0020】
ボルトパターンに対応して、ホイール20は、それぞれがボルト穴部分とラグ穴部分28とを有するラグ穴の円形配列を呈する。ボルト穴部分は、一般に、車両10に取り付けられたときにボルト24のねじ山部分がホイールの外面20aに提示され得るように、ホイールハブからボルト24を受け入れるように構成された貫通穴である。ラグ穴部分28は、ラグナット30を受けるように増加したボア径を有するホイールの外面20aの近くの穴の部分を表す。ラグ穴部分28は、ボルト24に係合するラグナット30とインターフェースするように構成されたラグ穴座面を備える。ラグ穴部分28はまた、ラグ穴部分28内のホイール20の表面によって画定され、ホイールの外面20aとラグ座面との間にまたがるラグ穴壁28bを含む。ホイールの表面は、クロムメッキ、粉体塗装、ペイント塗装、研磨されたアルミニウム、スチール、又は同様の仕上げが施されていてもよい。ラグナット30は、ホイール20の仕上げに対応する、又は一致する、又は対照的な同様の表面仕上げを有し得る。
【0021】
ラグ穴座面及びラグ穴壁28b及び外面20aにおけるホイール表面並びにラグナット30の外面は、ラグナット30の取り付けによって引き起こされる引っ掻き傷を受けやすい。
図1A~1Cに描かれているように、インパクトレンチ、ソケットレンチ、又はラグレンチなどの様々なソケット工具40が、ホイール20におけるラグナット30の取り外し又は取り付けに使用され得る。示された実施形態の工具40は、そのような損傷を防止するために、駆動ソケット保護具100と共に描かれている。しかしながら、駆動ソケット保護具100なしのラグナット30の取り付けは、ソケット工具40とラグナット30との間の直接接触、又はソケット工具40とラグ穴座面又は壁28bとの間の直接接触によって生じる引っ掻き傷につながる可能性がある。
【0022】
取り付けの際、ホイール20は、ボルト24をホイールの穴に挿入し、ホイール20の外面20aでボルト24のねじ山部分を露出させるように、持ち上げられて車両10に配置される。ユーザは、各ボルト24にラグナット30を配置し、ソケット工具40(インパクトレンチ、ラグレンチ、又はソケットレンチなど)を使用してトルクを適用し、ボルト24においてラグナット30をホイール20に対して締めることができる。ソケット工具40を用いてラグナット30をボルト24上で駆動すると、ラグナット30はラグ穴座面に係合するため、ホイール20を車両10に保持するためのクランプ力が働く。ソケット工具40が駆動ソケット保護具100なしで使用される場合、ソケット工具40はラグナット30に接触し、ラグナット30の取り付け又は取り外しの間のソケット工具40の回転又は振動又は横方向の移動により、ラグ穴座面又は壁28bでラグ穴28に接触する可能性がある。ラグ穴28の深さに依存して、ソケット工具40は、ラグ穴座面又は壁28bに長時間にわたって接触し、押し付けなければならない場合がある。この接触により、ラグナット30又はラグ穴28又はホイール20に引っ掻き傷、欠け、又は他の望ましくない表面若しくは構造上の欠陥が生じる可能性がある。駆動ソケット保護具100は、ラグナット30の取り付け又は取り外しの際に、ソケット工具40とラグナット30及びラグ穴28との間にバリアを形成して、表面及び構造上の損傷の可能性を大幅に減少させることを目的としている。
【0023】
ここで
図2~3Bを参照すると、駆動ソケット保護具100は、それ自体分割され、又はそれ自体の上に巻かれた単数のシート又は材料片として描かれており、又はそうでなければ、開放端102と閉鎖端104との間に壁106を有する柔軟で中空のシース又はチューブとして形成されている。材料の周囲又はリム又は縁部によって画定された開放端102(
図3B)及び材料の2つの層又は壁106のシームレスな収束によって形成された閉鎖端104(
図3A)。したがって、駆動ソケット保護具100は、材料の2つの層が互いに分離して距離を置いたときに、1つの開放端と1つの閉鎖端を有するチューブに類似している可能性があり、2つの別々の層は、駆動ソケット保護具100であるチューブの平行壁106を表す。しかしながら、
図3に示すように、駆動ソケット保護具100の層又は壁106は、駆動ソケット保護具100が平坦で長方形のシートに類似し得るように、非使用時にそれ自体の上に平らに横たわる又は潰れるように構成されてもよい。駆動ソケット保護具100は、0.1mm以下の厚さ100tを有する柔軟な合成ポリマー、又はゴム若しくは布などの他の好適に柔軟で薄い材料から形成することができる。
【0024】
駆動ソケット保護具100の2つの壁106が、開放端102と閉鎖端104とを有するチューブ状シースに似ているように、互いに分離されると、駆動ソケット保護具100は内部容積110を画定する。内部容積110は、ソケット工具、ラグナットキー、又は駆動工具を組み合わせて又は個別に受け入れ、それにより列記された装置が駆動ソケット保護具100の内部容積110内に保持され、ラグナット及びホイールのラグ穴からのバリアが提供されるように構成され得る。駆動ソケット保護具100は、長さ寸法100d及び幅寸法100wを有し、その両方は、異なるサイズのソケット工具又はラグナットのために設計された保護具の種々の実施形態に対して変更することができる。保護具の一般的な実施形態は、2.5インチ~9インチの間の開放端102と閉鎖端104との間の距離である長さ100dと、約2インチの幅100wを有し得る。
【0025】
所望の長さ100dは、駆動ソケット保護具100と共に使用されるソケット工具の長さに依存し得る。例えば、ユーザは、少なくとも、ソケット工具が駆動ソケット保護具100の閉鎖端104に配置され、駆動ソケット保護具100の壁106がソケット工具の外面において近位方向に延びるとき、保護具100の過剰材料が駆動工具でひとつにまとまって駆動又はソケット工具の回転又は他の使用法を阻害するので、内部に配置されるソケット工具の長さを大幅に超える長さ100dを有する駆動ソケット保護具を望まないかもしれない。逆に、ユーザは、ソケット工具が保護具100の閉鎖端104に配置され、保護具100の壁106がソケット工具の外面に沿って近位方向に延びるとき、ソケット工具のかなりの部分が露出したままであり、ソケット工具がラグナット又はホイールに接触又は損傷する可能性を提供するような、ソケット工具(又は組み合わせ型ソケット工具、ラグナットキー、及び/又は駆動工具)の長さよりも実質的に短い長さ100dを有する駆動ソケット保護具を望まないかもしれない。
【0026】
同様に、ユーザは、特定のサイズのラグナット及び/又はソケット工具に適合する幅100wを有する駆動ソケット保護具100を望むであろう。例えば、幅が十分でない駆動ソケット保護具100は、保護具100の材料を伸ばしたり又は破ったりすることなくその意図されたソケット工具を受け入れることができないかもしれないし、又は保護具100は内部容積内のソケット工具を過度にきつく包むかもしれない。保護具100がソケット工具を過度にきつく包み込む又は包む場合、保護具100は、閉鎖端104で適切にラグナットと係合できない可能性がある。その理由は、保護具100の材料がソケット工具のラグ開口部を覆ってピンと張っているため、及び/又は、保護具100の壁106が、ラグナットが保護具100の閉鎖端104に適合する際に、余分な材料がラグ開口部に入り込むことができるようにソケット工具の外面に沿って自由に動くことができないためである。
【0027】
駆動ソケット保護具100は、ラグレンチ、インパクトレンチ、ソケットレンチ、ラグナットキーと組み合わせて使用されるソケット工具、及びラグナットとホイールボルトに適合する他の工具などの様々なソケット工具を受け入れるように構成され得る。示された実施形態の特徴は異なる可能性がある一方で、本明細書に記載されたシステム及び装置及び方法の詳細及び特徴は徹底的であること、すなわち駆動ソケット保護具の潜在的な用途又は利点の全てを網羅していることを意図していないことを理解されたい。したがって、特定の示された実施形態に関連する所与の詳細又は特徴の包含又は除外は、全ての同様の実施形態におけるその詳細又は特徴の包含又は除外を必要とするように読まれるべきではない。
【0028】
次に
図4~7を参照すると、駆動ソケット保護具100が、ソケット工具140と共に描かれている。ソケット工具140は、ラグナット130を受け入れるように構成されたソケット工具内の凹部144aの周囲によって画定されたラグ開口部144を有するソケット142を有する。この例では、ソケット142は、そのラグ開口部144のサイズに基づいて、多くの構成のラグナット及びボルトを嵌め込むことができる標準的なソケットである。いくつかの例では、ソケット工具は、特定のラグナットに適合する受容部を提供するように、ソケットに係合するラグナットキーを含み得る。
【0029】
図4~7を引き続き参照すると、ソケット142は、ソケット142、したがってラグナット130を駆動又は回転させるための駆動工具148を受け入れるように構成された雌型正方形接続継手146を有する。駆動工具148は、図示の実施形態のように、雌型正方形接続継手146にスナップ式に取り付けられる雄型正方形コネクタ148aを有するラチェットであり得、或いは、同様に構成されたインパクトレンチであり得る。示された実施形態のソケット142は、駆動ソケット保護具100の壁106の内面100aに係合する外面142aを有する。ソケット142はまた、ラグナット130を受け入れるように構成された凹部144aにおいて、内面142bを有する。内面142bは、そこにラグナット130が存在することによって、ラグ開口部144を通って凹部144aに延びた保護具100の内面100aの一部と係合する(
図6及び7に示すように)。
【0030】
図5~7は、ソケット142及び駆動工具148を有するソケット工具140による、ホイール120におけるボルト124からのラグナット130の取り外しの様々な段階を描いている。車両のホイールハブに配置されたボルト124は、ホイールハブからボルト穴部分126とラグ穴部分128内に延び、その結果、ボルトのねじ山部分がラグ穴部分128において露出される。ラグナット130は、ボルト124に取り付けられるときに、ラグ穴部分128のラグ座面128aに係合される。ラグ穴壁128bは、ラグナット130におけるソケット工具140の係合を可能にするように、ラグナット130から間隔をあけて配置される。この例では、ラグ穴座面128aは、ラグナット130の角度付き係合面130aに一致するように角度が付けられ、取り付けられたラグナット130がホイール120の厚さの中に沈んで見えるように、ホイール120の外面120aから間隔をあけられている。したがって、ソケット工具140は、
図6に示されるように、ラグ穴部分128内のラグナット130と実質的に係合しなくてはならない。
【0031】
描かれているように、駆動ソケット保護具100は、駆動ソケット保護具100の閉鎖端104における内面100aがラグ開口部144とインターフェースし、保護具100の壁106がソケット142の外面142aに沿って近位方向に延びるようにソケット工具140に配置される。したがって、ソケット142は、駆動工具148、又はソケット工具140の他の追加/延長が、開放端102で駆動ソケット保護具100から出る状態で、駆動ソケット保護具100によって実質的に囲まれる。駆動ソケット保護具100の壁106は、ソケット142が内部容積110内で比較的自由に動けるように、ソケット142の外面142aと緩く接続された状態で据えられる。さらに、ソケット工具140がラグナット130に係合すると、保護具100の壁106は、ラグナット130とソケット142の内面142bの双方に適合する。
【0032】
図5の矢印の方向において、ユーザは、ラグナット130が閉鎖端104で保護具100の外面100bに係合するように、ソケット工具140をラグ開口部144でラグナット130に係合させる。ソケット工具140がラグナット130に係合すると、閉鎖端104における駆動ソケット保護具100の外面100bは、ラグナット130の表面に適合する。同時に、保護具100の内面100aは、凹部144においてソケット142の内面142bに適合する。ソケット142がラグナット130にさらに押し付けられると、ラグナット130は凹部144内にさらに配置されるようになり(
図6に描かれているように)、駆動ソケット保護具100の一部は凹部144内に(ソケット142の外面142aから)引き込まれてソケット工具とラグナットとの間に配置されるようになる。駆動ソケット保護具100は、ラグナット130の表面及び凹部144内の内面142bに適合するために必要な量の材料を提供するように、ソケット142の外面142aに沿って自由に移動することになる。したがって、駆動ソケット保護具100は、ソケット142がホイールでラグナット130に係合する際に、ソケット142とラグナット130との間に薄いバリアを提供する。
【0033】
さらに、駆動ソケット保護具100は、凹部144内のラグナット130の表面に適合するのに十分な材料と、ソケット工具140とラグ穴128及びホイール120の表面との間に実質的なバリアを提供するのに十分な材料も提供するように構成される。ラグナット130が凹部144内に配置された状態でも(したがって、保護具100の一部をソケット142の外面142aから凹部144内に引き込んでいる)、駆動ソケット保護具100の図示の実施形態は、ラグ穴128内に配置されたソケット142の外面142aの全体(
図6参照)、並びにホイール120から距離を置いたソケット工具140の大部分を覆うことができる。
【0034】
図6Aに示すように、ホイールにおけるラグナット130の取り付け又は取り外しは、ホイール又はラグ穴128の表面と接触することなく可能であり得る。
図6Aは、ソケット工具も保護具100もラグ穴128又はホイール120の表面と係合しない状態で、ラグ穴128でラグナット130と係合する(保護具100が間に配置されている)ソケット142を示す。しかしながら、ラグナット130を回転させたり、又はラグナット130をボルト124に係合させたり又はそれから離脱させたりするときのソケット140の不用意な動きによって、駆動ソケット保護具100とホイール120、ラグ穴座面128a又は壁128bとの間に接触が生じる可能性がある。したがって、ソケット工具がホイール又はラグ穴にまれにしか又は意図せずに接触しない可能性がある場合であっても、ソケット工具と共に駆動ソケット保護具100を利用することが望ましいことに変わりはない。
【0035】
図6に示すように、ソケット工具140がラグナット130に係合されると、(駆動ソケット保護具100がソケット142とラグナット130との間に配置された状態で)ソケット工具140は、ラグナット130をボルト124から緩めて離脱させるように動作し得る。駆動ソケット保護具100は、ラグナットを取り外す際のソケット工具の通常の動作に、(工具とホイール及びラグナットとの間にバリアを提供すること以外には)顕著な干渉を与えない。
図7に示すように、駆動ソケット保護具100は、ソケット工具140がボルト124から(
図7に示す矢印の方向に)引き離されるときに、ラグナット130をソケット142に保持するのに役立つ場合がある。しかしながら、駆動ソケット保護具100は、ラグ穴128又はラグナット130での引っ掻き傷を防止するように、ラグナット130とソケット142との間のバリアを維持する。
【0036】
次に
図8~11に目を向けると、駆動ソケット保護具100は、対応するラグナット230に係合するように構成されたラグナットキー242を有するソケット工具240に配置される場合がある。
図8~11の示された例に関するいくつかの詳細は、本開示によって提供される他の例と異なる場合があるが、駆動ソケット保護具100の機能は、各実施形態における駆動ソケット保護具の完全な機能性を表現するために完全な記載が必要ではない場合があるように、複数の例の間で類似のままである。本開示の一例に関連して考察されるような駆動ソケット保護具100の特徴及び/又は機能性は、それらの特徴がその例の文脈内で明示的に記載されていなくても、本開示内の(又はその範囲外の)他の例に適用可能であり得ることを理解されたい。
【0037】
図8~11において、従来のソケットと同様に、ラグナットキー242は、駆動工具248にスナップ式に取り付けられてもよく、ラグナット230が受け入れられる凹部244aの縁部又は周囲によって画定されたラグ開口部244を有する。
図4~7のソケットと同様に、ラグナットキー242は、駆動工具の雄型コネクタ248aを受け入れるための雌型正方形コネクタ246を有する。しかしながら、ラグナットキー242は、内面242bが、ラグナット230の外面上の隆起及び谷の代替パターンに対応する隆起及び谷の独特のパターンを含む点で、従来のソケットと異なる。したがって、従来のソケットは、ラグナット230に係合できない可能性があり、ラグナット230の表面パターンに対応するラグナットキー242が、ソケット工具でラグナット230に係合するために必要とされる場合がある。駆動ソケット保護具100は、上記実施形態と同様にラグナットキー242に配置され、ラグ開口部244は駆動ソケット保護具100の閉鎖端104に配置される。保護具の壁106は、ラグナットキー242において実質的にバリアを提供するように、ラグナットキー242の外面242aに沿って近位方向に延びる。ラグナットキー242の隆起した内面242b及びラグナット230の隆起した表面230bは、従来のソケット及びラグナットのもの(
図4~7のものなど)と比較して、駆動ソケット保護具100が間に配置されることになるより複雑な表面関係を呈する。しかしながら、駆動ソケット保護具100の柔軟な性質は、このタイプのラグナット230とラグナットキー242との係合が、他のタイプのラグナット(
図18A~18Hのものなど)及びそれらのラグナットをそれらのボルトにおいて留めるのに必要な対応ソケット工具との係合と同様の様式で生じることを保証する。したがって、駆動ソケット保護具100は、ソケット工具の通常の動作を妨げることなく、多種多様な異なる表面構成に適合することが可能である。
【0038】
図9~11は、ラグナットキー242と駆動工具248とを含むソケット工具240による、ホイール220におけるボルト224へのラグナット230の取り付けの様々な段階を描いており、ラグナットキー242は、ラグナット230を受け入れるように構成されている。車両のホイールハブに配置されたボルト224は、ホイールハブから、ホイール220の厚さを通り、ボルト穴226及びラグ穴228において出て、その結果、ねじ山部分がホイール220の外面220aで露出する。この実施形態では、ラグナット230は、角度付き底部230a(ラグ穴228の角度付きラグナット座面228aに対応する)と、ラグナットキー242の隆起内面242bに一致する隆起外面230bとを有する。ラグナット230のねじ山は、もちろん、ボルト224のねじ山と一致する。この実施形態では、ラグ穴228は、ラグ穴228が実質的なラグ穴壁のないラグ穴座面228aのみを呈するように、ボルト穴226からホイール220の外面220aまで連続して角度が付いている。
【0039】
図9に示すように、ラグナット230をホイール220においてボルト224に取り付ける準備として、ラグナットキー242にラグナット230が配置される。駆動ソケット保護具100は、ラグナットキー242を覆った状態で取り付けられ、また、凹部244aを画定する内面242bにおいて、を含めて、ラグナットキー242とラグナット230との間にバリアを形成した状態で取り付けられる。駆動ソケット保護具は薄く、柔軟で、ソケット工具240の表面に沿って移動可能であるが、ラグナット230と内面242bとの間の駆動ソケット保護具100の存在は、ラグナット230を保持する一助となる。取り付けの際、ユーザは、ソケット工具240を使用して、
図9に示す矢印の方向に、ラグナット230をボルト224に係合させる。ラグナット230がボルト224に係合すると、駆動工具248は、ラグナット230がボルト224上で駆動されるように、ラグナットキー242を回転させる。
【0040】
図10に見られるように、ラグナット230がボルト224上で完全に駆動されると、ラグナットはラグ穴228の座面228aに係合する。
図5~7又は
図13~15の実施形態とは対照的に、ここでは、ソケット工具240は、ラグナット230がボルト224上で駆動されるときに、ホイールの外面220aに係合する。したがって、ソケット工具とラグ穴壁又はラグ穴座面との間にバリアを提供するのではなく、駆動ソケット保護具100は、ラグナットキー242とホイール220の外面220aとの間にバリアを提供する。
【0041】
取り付けられたラグナット230からのソケット工具240の離脱の間、ソケット工具240は、
図11の矢印の方向にラグナット230から引っ張られる。ソケット工具240がラグナット230から離脱すると、ラグナット230はホイール220に残り、駆動ソケット保護具100から離れる。したがって、駆動ソケット保護具100は、ソケット工具240に保持される。本実施形態のホイール220は、離脱の間、ソケット工具240の邪魔になる、又はソケット工具240に近接する障害物(ラグ穴壁など)を提供しないが、他の実施形態(
図5~7又は13~15のものなど)は、そのような障害物を提供し、ソケット工具240で駆動ソケット保護具100を保持することは、ホイールにおいてラグナットを取り付け又は取り外す完全プロセスの間にソケット工具240とホイール表面との間にバリアが提供されることを保証する。
【0042】
図12A~15に示すように、ソケット工具340はソケット342及びラグナットキー342kの両方を含み、それらは駆動ソケット保護具100が保護具100の内部容積110内に両方の構成要素の一部を含んだ状態で描かれている。ソケット342がラグナットキー342kを受け入れた状態で示されているが、他の例では、インパクトレンチ、ラグレンチ、又は他の工具が保護具100の内部110内でラグナットキー342kを受け入れることができる。
図8~11のラグナットキーとは異なり、この例のラグナットキー342kは、その対応するソケット342に(雄雌型正方形コネクタを介してなど)スナップ式に取り付けられていない。ラグナットキー(又は任意のソケット工具)が保持機構(上述のスナップ取り付け式正方形コネクタなど)を介してその対応する工具に取り付けられていない、又は取り付けられない場合、その接続を維持するためにユーザがラグナットキーをその対応するソケット又は駆動工具に保持する必要がある場合がある。したがって、ユーザはしばしば、ラグナットキーとソケット又は駆動工具との接続又はインターフェース又は関係を維持するために一方の手を使用する一方、他方の手でラチェットを回すか、インパクトレンチを駆動するか、又は他の方法で回転力を加えなければならない。これは、ユーザ、特にインパクトレンチを利用するユーザが、自分自身を安定させ、インパクトレンチを安定させ、ラグナットを取り付けるホイールを安定させ、又は作業を支援するために自由な手を有することを好む場合があるため、望ましくない。
図12A~15の例によって示される利点は、駆動ソケット保護具100が、その内部容積110内にソケット工具340の複数の構成要素を受け入れ、そこでの接続を維持するように構成され得ることである。すなわち、駆動ソケット保護具100の内部容積110は、ラグナットキーとソケット工具の両方を密接な関係で保持し、そこでの接続又はインターフェース又は関係を維持するように構成され得る。
【0043】
図12Bは、ソケット工具342の少なくとも一部も内部110内に保持された、その内部容積110内に全体的に収容されたラグナットキー342kを有する駆動ソケット保護具100を示す。駆動ソケット保護具100の壁106は、ソケット342からのキー342kの移動を妨げるように、ラグナットキー342k及びソケット工具342の両方の外面342aに沿って近位方向に延びる。保護具100の閉鎖端104に配置され、ラグ開口部344に押し込まれるのは、キー342kの内面342bに一致するように構成された隆起面330bを有するラグナット330である。ラグナット330はまた、ホイール320の丸みを帯びたラグナット穴座面328aと嵌合するように構成された丸みを帯びた底面330aを有し、ラグ穴壁328bは、ソケット工具340の係合のための空間を提供するようにラグナット330から間隔をあけている。
【0044】
図13~15は、ラグナットキー342k、及びソケット342を含むソケット工具340による、ホイール320におけるボルト324へのラグナット330の取り付けの様々な段階を描いており、ラグナットキー342kは、ラグナット330を受け入れるように構成されている。車両のホイールハブに配置されたボルト324は、ホイールハブから、ホイール320の厚さを通って、ボルト穴326及びラグ穴328で出て、その結果、ねじ山部分がホイール320の外面320aで露出する。
図13~15で発生する取り付けの多くは、ここで完全な考察を繰り返す必要がないように、上述したプロセスを反映している。しかしながら、1つの例外は、駆動ソケット保護具100が、全取り付けプロセスを通して、その内部110内にラグナットキー342k及びソケット342の両方を保持し、ソケット工具の外面342aにおける2つの構成要素の間の接続に支持を与えることである。
【0045】
図14のラグナットキー342k、ラグナット330、及び駆動ソケット保護具の断面図である
図14A及び14Bは、駆動ソケット保護具が、ソケット工具の内面及びそこに配置されたラグナットの外面に実質的に適合しながらもソケット工具の外面との緩い又は非接触ですらある関係を維持できることを示している。したがって、駆動ソケット保護具は、ソケット工具の外面で可動性を維持し、ラグナットとソケット工具に接触する全ての表面にわたってバリアを維持する。示された実施形態は、凹部344a内に配置されたラグナット330を有するラグナットキー342kを囲む駆動ソケット保護具100を示し、駆動ソケット保護具は、ラグナット330とラグナットキー342kの内面342bとの間に配置されてそれらの両方と直接接触している。
【0046】
図16A~16Cに見られるような駆動ソケット保護具の様々な実施形態は、異なる利点を提供できる異なる材料から形成することができる。例えば、駆動ソケット保護具は、薄いプラスチック又は他の合成ポリマーから(
図16A及び16B)、又は布、ゴム、又は他の好適に耐久性のある材料の薄いシートから(
図16C)製造することができる。
図16A及び16Bの実施形態は、延長された耐久性を提供しないかもしれないが、単位当たりの相対的に低いコストで製造することができるので、単一使用又は使い捨てのために構成された駆動ソケット保護具を提供する。合成ポリマー材料から製造された駆動ソケット保護具は、それらが使用されるラグナット及びソケット工具の表面に適合することができるが、使用中に著しく伸びる場合、材料は、
図16Cのような駆動ソケット保護具ほど容易に元の状態に回復しないかもしれない。布、ゴム、又は他の適切に耐久性のある材料の薄いシートから製造された
図16Cのものなどの他の実施形態は、保護具が伸びてラグナット及びソケット工具の表面に適合し、元の状態に回復する可能性があるので、再使用可能な用途向けに構成され得る。これらの実施形態は、より高い製造コストを有し得るが、反復的な使用のために設計された延長された耐久性を提供し得る。プロのメカニックなどの一部のユーザは、再利用可能な用途向けに設計された実施形態と比較して単位当たりのコストが低いため、使い捨て用に設計された実施形態を好むかもしれない。個人的な使用のために駆動ソケット保護具を購入する人などの他のユーザは、再使用可能な用途向けに設計された実施形態の向上した耐久性を好むかもしれない。駆動ソケット保護具の材料は、保護具が透明(
図16A及び16Bなど)であるか又は不透明(
図16C)であるかを決定する可能性もある。透明な駆動ソケット保護具は、ラグナットキーとそのソケットとの間の継続的な接続を確認するなどの目的で、ユーザが保護具を通してソケット工具を見ることを可能にする。ロゴ又はデザイン又は測定工具を、駆動ソケット保護具100の外面にスクリーン印刷することができる。
【0047】
図16Bに示す駆動ソケット保護具の示される実施形態は、管状壁に配置され、細長い受容部の外輪を一周するように構成された引き紐160、例えば、開放端102又はその近傍の外面100bなどに配置された引き紐をさらに備える。ここで、引き紐160は、その端部のそれぞれでコードストッパ162によって受け入れられる長さのコード又はコード状要素であり、ある長さのコードは、コードストッパ162から延び、ループ状に戻り、コードストッパ162によって受け入れられ、それを通過する。ユーザは、コードストッパ162のボタンを押して、ある長さのコードの一端に対するそのグリップを緩め、ユーザがコードをコードストッパ162を通してさらに引き、コードのループを駆動ソケット保護具100及びソケット工具の周りで取り囲むことを可能にし得る。同様に、ボタンが押された状態で、ユーザは、コードのループ部分を引っ張って、コードをコードストッパ162から解放し、コードのループ部分を拡大し、かくして駆動ソケット保護具100をソケット工具から緩ませることができる。引き紐160はまた、緩んだ紐又はコード(保護具及びソケット工具の周りに引き紐を締めるためにユーザが結び目を作ることを必要とする)、ジッパータイ、又はソケット工具において駆動ソケット保護具100を保持するための他の適切な手段であってもよい。引き紐機構を有する駆動ソケット保護具を使用する場合、ユーザは、引き紐160を締める前に、保護具100の閉鎖端104をラグ開口部に手動で押し込んで、それにより、閉鎖端104がラグナットと係合するときに、駆動ソケット保護具100がラグ開口部を横切ってピンと張って、ソケット工具でのラグナットの係合を妨げることがないようにしたい場合がある。引き紐機構がない実施形態とは異なり、引き紐160がソケット工具においてソケット保護具100を保持することに起因して、ラグナットがラグ開口部でソケット工具によって受け入れられるときに、駆動ソケット保護具100はソケット工具の表面にわたって自由に動くことができない場合がある。
【0048】
次に
図17A及び17Bに目を向けると、駆動ソケット保護具100の様々な実施形態は、複数の駆動ソケット保護具が一緒に結合され、引き裂き点又は鋸歯状縁部174で解放可能なロール170(
図16A)又はブックレット172(
図16B)から分配されてもよい。上述のように、保護具100の壁106の柔軟な性質は、保護具100のシース又はチューブ状の形状がそれ自体の上に潰れ又は平らになって実質的に平らなシートに類似することを可能にする。この品質により、複数の保護具100を図示の実施形態のように一緒にパッケージ化することができる。
図17Aにおいて、複数の駆動ソケット保護具100は、互いに結合された引き裂き点又は鋸歯状縁部174を介して互いに取り付けられる。1つの駆動ソケット保護具100の閉鎖端104を形成する材料は、ロール170上の次の保護具100の開放端102で材料に取り付けられ、そのように繰り返される。ユーザは、ロール170の端部で駆動ソケット保護具100を引っ張り、鋸歯状縁部174でロールから保護具を解放し、ロール170を回転させて、次の保護具100が同様の方法で分配される位置に置かれるようにする。
図17Bにおいて、複数の駆動ソケット保護具100は互いに積み重ねられ、各保護具100が鋸歯状縁部174を介してタブ176に解放可能に接続され、保護具100の複数のタブ176が一緒に束ねられるブックレット状の形態に解放可能に接続されている。したがって、ユーザが駆動ソケット保護具100をブックレット172から引っ張ると、保護具はその対応するタブ176から解放され、タブ176はブックレット172の残りの部分に結合したままである。鋸歯状縁部174は、保護具100の閉鎖端又は開放端にあることができる。
【0049】
また、本開示の目的のために、「上」、「下」、「右」、「左」、「後」、「前」、「垂直」、「水平」という用語、及びそれらの派生語は、
図1に示される向きに関するものとする。しかしながら、それとは逆に明示的に指定されている場合を除き、様々な代替の向きが提供され得ることを理解されたい。また、添付の図面に図示され、本明細書に記載された特定の装置及びプロセスは、添付の請求項に定義された発明概念の単なる例示的な実施形態であることを理解されたい。したがって、本明細書に開示された実施形態に関連する特定の寸法及び他の物理的特性は、請求項に明示的に記載されていない限り、限定的であるとみなされることはない。
【0050】
具体的に記載した実施形態における変更及び修正は、特許法の原則に従って解釈される添付の請求項の範囲によってのみ限定されることを意図する本発明の原理から逸脱することなく実施され得る。本開示は説明に役立つ方法で記載されており、使用されてきた用語は限定ではなく、記載の言葉の性質のものであることが意図されていることを理解されたい。本開示の多くの修正及び変形は上記の教示に照らして可能であり、本開示は具体的に記載されたものとは別の方法で実施され得る。
【国際調査報告】