(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】新規の核酸誘導型ヌクレアーゼ
(51)【国際特許分類】
C12N 15/09 20060101AFI20240109BHJP
C12N 15/55 20060101ALI20240109BHJP
C12N 9/22 20060101ALI20240109BHJP
C12N 15/31 20060101ALI20240109BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240109BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240109BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240109BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240109BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240109BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240109BHJP
C12N 5/0781 20100101ALI20240109BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20240109BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
C12N15/09 110
C12N15/55 ZNA
C12N9/22
C12N15/31
C12N15/63 Z
C12N15/62 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N5/0781
C12N5/0783
C12N15/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540672
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 US2021065554
(87)【国際公開番号】W WO2022147157
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523244934
【氏名又は名称】ギガミューン, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, デイビッド スコット
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ, ジャン フレドリック
(72)【発明者】
【氏名】リム, ユーン ウィアン
(72)【発明者】
【氏名】スピンドラー, マシュー ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】カーター, カイル ピアス
(72)【発明者】
【氏名】サンドゥー, サブリート カウル
(72)【発明者】
【氏名】ワーグナー, エレン キャスリーン
(72)【発明者】
【氏名】コールズ, ギャリー
(72)【発明者】
【氏名】エドガー, ロバート
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA31
4B065CA46
(57)【要約】
本開示は、新規の核酸誘導型ヌクレアーゼおよびゲノム編集のためにそのヌクレアーゼを使用する方法を提供する。本開示は、核酸誘導型ヌクレアーゼ、核酸誘導型ヌクレアーゼと複合体を形成するための異種ガイド核酸、および標的領域に結合するよう構成された編集ポリヌクレオチドを含む、ゲノム内の標的領域を編集するためのシステムをさらに提供する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号2~273より選択される配列に対して少なくとも96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作された、天然に存在しない標的化可能なヌクレアーゼシステムであって、(a)配列番号2~273より選択される配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレアーゼポリペプチドを含む核酸誘導型ヌクレアーゼ、および(b)前記ヌクレアーゼと複合体を形成するよう設計され、ガイド配列を含む少なくとも1つの操作されたガイドポリヌクレオチドであって、前記ガイド配列が真核細胞の標的配列とハイブリダイズするよう設計されている、ガイドポリヌクレオチドを含み、(c)前記ヌクレアーゼと前記ガイドポリヌクレオチドとの複合体が天然に存在しない、標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項2】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号2~273より選択される配列に対して少なくとも96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する、請求項1に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項3】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号2~273に対して100%未満の配列同一性を有する、請求項2のいずれか一項に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項4】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号123、116、146、43、254、および175より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する、請求項1に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項5】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号123、146、254、および175より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する、請求項1に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項6】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号815~822より選択される配列を含む、請求項5に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項7】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号815~822の配列を含む、請求項6に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項8】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号116および43より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する、請求項1に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項9】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号123の配列を含む、請求項1に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項10】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号116の配列を含む、請求項1に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項11】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号146の配列を含む、請求項1に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項12】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号32の配列を含む、請求項1に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項13】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号254の配列を含む、請求項1に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項14】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号175の配列を含む、請求項1に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項15】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、融合ペプチドに融合している、請求項2から14のいずれか一項に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項16】
前記融合ペプチドが、前記ヌクレアーゼポリペプチドにインフレームで融合したシグナルペプチドである、請求項15に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項17】
前記融合ペプチドが、前記ヌクレアーゼポリペプチドに融合した核局在化配列である、請求項15に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項18】
前記核局在化配列が、配列番号628~631より選択される配列を有する、請求項17に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項19】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、Acidaminococcus massiliensis、Acidaminococcus sp.、Acinetobacter indicus、Agathobacter rectalis、Anaerovibrio lipolyticus、Bacteroidales bacterium、Bacteroides galacturonicus、Bacteroides plebeius、Bacteroidetes bacterium、Butyrivibrio fibrisolvens、Butyrivibrio hungatei、Butyrivibrio sp.、Candidatus Falkowbacteria bacterium、Candidatus Falkowbacteria bacterium、Candidatus Gottesmanbacteria bacterium、Candidatus Jacksonbacteria bacterium、Candidatus Magasanikbacteria bacterium、Candidatus Moranbacteria bacterium、Candidatus Pacebacteria bacterium、Candidatus Roizmanbacteria bacterium、Candidatus Ryanbacteria bacterium、Candidatus Saccharibacteria bacterium、Candidatus Sungbacteria bacterium、Candidatus Uhrbacteria bacterium、Candidatus Wildermuthbacteria bacterium、Candidatus Yonathbacteria bacterium、Catenovulum sp.、Clostridiales bacterium、Clostridium sp.、Coprococcus eutactus、Coprococcus sp.、Deltaproteobacteria bacterium、Elizabethkingia sp.、Eubacteriaceae bacterium、Eubacterium eligens、Eubacterium rectale、Eubacterium sp.、Eubacterium ventriosum、Fibrobacter sp.、Fibrobacter succinogenes、Firmicutes bacterium、Flavobacterium branchiophilum、Francisella hispaniensis、Francisella novicida、Francisella philomiragia、Francisella tularensis、Lachnospiraceae bacterium、Lachnospira pectinoschiza、Lentisphaeria bacterium、Leptospiraceae bacterium、Leptospira sp.、Moraxella bovis、Moraxella bovoculi、Moraxella lacunata、Moraxella ovis、Moraxella sp.、Muribaculaceae bacterium、Patescibacteria group bacterium、Phycisphaerae bacterium、Phycisphaerales bacterium、Porphyromonadaceae bacterium、Porphyromonas crevioricanis、Prevotella brevis、Prevotellaceae bacterium、Prevotella copri、Prevotellamassilia sp.、Prevotella ruminicola、Prevotella sp.、Prolixibacteraceae bacterium、Pseudobutyrivibrio sp.、Pseudobutyrivibrio xylanivorans、Psychrobacter sp.、Ruminococcaceae bacterium、Ruminococcus sp.、Sedimentisphaera cyanobacteriorum、Sneathia amnii、Spirochaetia bacterium、Succinivibrionaceae bacterium、またはTreponema sp.を起源とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の標的化可能なヌクレアーゼシステム。
【請求項20】
配列番号2~273より選択される配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する核酸誘導型ヌクレアーゼをコードする第1のポリヌクレオチドセグメントを含むポリヌクレオチド。
【請求項21】
融合ペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドセグメントをさらに含む、請求項20に記載のポリヌクレオチド。
【請求項22】
前記第1のポリヌクレオチドセグメントが、哺乳動物細胞における発現のためにコドン最適化されている、請求項20から21のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項23】
前記第1のポリヌクレオチドセグメントが、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化されている、請求項22に記載のポリヌクレオチド。
【請求項24】
前記第1のポリヌクレオチドセグメントが、配列番号722~766より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列を有する、請求項23に記載のポリヌクレオチド。
【請求項25】
前記第1のポリヌクレオチドセグメントが、配列番号722~766より選択される配列を有する、請求項23に記載のポリヌクレオチド。
【請求項26】
配列番号767~811より選択される配列を含む、請求項25に記載のポリヌクレオチド。
【請求項27】
前記第1のポリヌクレオチドセグメントが、細菌細胞における発現のためにコドン最適化されている、上記請求項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項28】
配列番号632~676より選択される配列を含む、請求項27に記載のポリヌクレオチド。
【請求項29】
前記第1のポリヌクレオチドセグメントが、配列番号677~721より選択される配列を有する、請求項28に記載のポリヌクレオチド。
【請求項30】
請求項20から29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、核酸誘導型ヌクレアーゼをコードするベクター。
【請求項31】
前記核酸誘導型ヌクレアーゼをコードする前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結したプロモーターをさらに含む、請求項30に記載のベクター。
【請求項32】
請求項20から29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドまたは請求項30から31のいずれか一項に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項33】
核酸誘導型ヌクレアーゼを生成する方法であって、
a.請求項32に記載の宿主細胞を培養するステップと、
b.前記宿主細胞の培養物から前記核酸誘導型ヌクレアーゼを単離するステップと
を含む方法。
【請求項34】
真核生物または原核生物のゲノムの標的領域を改変する方法であって、
a.前記標的領域を含む試料を、
i.配列番号2~273からなる群より選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する核酸誘導型ヌクレアーゼ、および
ii.前記核酸誘導型ヌクレアーゼと複合体を形成したガイド核酸
と接触させるステップと、
b.前記核酸誘導型ヌクレアーゼに前記標的領域を改変させるステップと
を含む方法。
【請求項35】
前記接触させるステップが、前記標的領域に結合するよう構成された相同鋳型の存在下でさらに実施される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ガイド核酸が異種ガイド核酸である、請求項34から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記核酸誘導型ヌクレアーゼが、Acidaminococcus massiliensis、Acidaminococcus sp.、Acinetobacter indicus、Agathobacter rectalis、Anaerovibrio lipolyticus、Bacteroidales bacterium、Bacteroides galacturonicus、Bacteroides plebeius、Bacteroidetes bacterium、Butyrivibrio fibrisolvens、Butyrivibrio hungatei、Butyrivibrio sp.、Candidatus Falkowbacteria bacterium、Candidatus Falkowbacteria bacterium、Candidatus Gottesmanbacteria bacterium、Candidatus Jacksonbacteria bacterium、Candidatus Magasanikbacteria bacterium、Candidatus Moranbacteria bacterium、Candidatus Pacebacteria bacterium、Candidatus Roizmanbacteria bacterium、Candidatus Ryanbacteria bacterium、Candidatus Saccharibacteria bacterium、Candidatus Sungbacteria bacterium、Candidatus Uhrbacteria bacterium、Candidatus Wildermuthbacteria bacterium、Candidatus Yonathbacteria bacterium、Catenovulum sp.、Clostridiales bacterium、Clostridium sp.、Coprococcus eutactus、Coprococcus sp.、Deltaproteobacteria bacterium、Elizabethkingia sp.、Eubacteriaceae bacterium、Eubacterium eligens、Eubacterium rectale、Eubacterium sp.、Eubacterium ventriosum、Fibrobacter sp.、Fibrobacter succinogenes、Firmicutes bacterium、Flavobacterium branchiophilum、Francisella hispaniensis、Francisella novicida、Francisella philomiragia、Francisella tularensis、Lachnospiraceae bacterium、Lachnospira pectinoschiza、Lentisphaeria bacterium、Leptospiraceae bacterium、Leptospira sp.、Moraxella bovis、Moraxella bovoculi、Moraxella lacunata、Moraxella ovis、Moraxella sp.、Muribaculaceae bacterium、Patescibacteria group bacterium、Phycisphaerae bacterium、Phycisphaerales bacterium、Porphyromonadaceae bacterium、Porphyromonas crevioricanis、Prevotella brevis、Prevotellaceae bacterium、Prevotella copri、Prevotellamassilia sp.、Prevotella ruminicola、Prevotella sp.、Prolixibacteraceae bacterium、Pseudobutyrivibrio sp.、Pseudobutyrivibrio xylanivorans、Psychrobacter sp.、Ruminococcaceae bacterium、Ruminococcus sp.、Sedimentisphaera cyanobacteriorum、Sneathia amnii、Spirochaetia bacterium、Succinivibrionaceae bacterium、またはTreponema sp.を起源とする、請求項34から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記核酸誘導型ヌクレアーゼが、配列番号2~273より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、または100%の同一性を有する、請求項34から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号123、116、146、43、254、および175より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号123、146、254、および175より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号815~822より選択される配列を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号815~822の配列を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、配列番号116および43より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記ヌクレアーゼポリペプチドが、123、116、146、32、254、275、および175より選択される配列を含む、請求項34から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記試料が真核細胞を含む、請求項34から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記試料が細菌細胞を含む、請求項34から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記試料が植物細胞を含む、請求項34から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記試料が哺乳動物細胞を含む、請求項34から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記試料が免疫細胞を含む、請求項34から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記免疫細胞が、B細胞またはT細胞である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
T細胞受容体が、前記ゲノムにおいて操作されている、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
内因性T細胞受容体が破壊されている、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
T細胞受容体が、前記ゲノムにおいて操作されており、そして内因性T細胞受容体が、破壊されている、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記相同鋳型が、前記標的領域に相補的な配列を含む、請求項35から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記相同鋳型が、前記標的領域と比較して、挿入、欠失、または改変を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ガイド核酸が、操作された、天然に存在しないポリヌクレオチドである、請求項34から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記ガイド核酸および前記相同鋳型が、単一のポリヌクレオチドを形成する、請求項35から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
請求項34から57のいずれか一項に記載の方法によって改変されたゲノムを含む細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願の相互参照
本出願は、その開示がこれによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年12月31日に出願された米国仮出願第63/133,089号の利益を主張する。
【0002】
2.配列表
本出願は、EFS-Webにより提出され、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。前記ASCIIコピーは、2021年12月21日に作成され、sequence_listing_20211221.TXTの名称であり、サイズが3,733,225バイトである。
【背景技術】
【0003】
3.背景
CRISPR(クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート)-Cas9システムは生細胞におけるゲノム配列の標的化された変更を可能にし、標的化された非相同末端接合および相同組換え修復によりex vivoおよびin vivoでの遺伝子編集療法を可能にする。カノニカルCas9ヌクレアーゼファミリーに加えて、CasX、Cpf1/Cas12a(MAD7を含む)、Cas12b、Cas12c、およびCas13を含むさらなる核酸誘導型ヌクレアーゼファミリーが発見されている。
【0004】
しかしながら、当技術分野で利用可能なヌクレアーゼは、ゲノム工学または他の適用における使用のための大規模な精製が困難であること、およびそれらのサイズに起因する送達における課題などの制限を有する。これらは、PAM認識配列によって課される特異性、処理能力、ゲノム編集効率、およびゲノム標的化の制限に関連する制限をさらに有する。
【0005】
したがって、Cas9ファミリーの酵素と比較して、さらなるもしくは改善された標的化機能のおよび/または改善された機能をもたらすさらなる核酸誘導型ヌクレアーゼに対する需要が存在する。さらに、特定の適用および目的に最適なツールを選択するための選択肢をもたらすために、様々なゲノム編集ツールの開発が望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
4.概要
本開示は、新規の核酸誘導型ヌクレアーゼおよびゲノム編集のためにそのヌクレアーゼを使用する方法を提供する。本明細書において提供される新たなゲノム編集ツールは、各ヌクレアーゼが、標的認識特異性および遺伝子編集効率に影響を及ぼし得る固有の特徴を有するため、ゲノム編集技術を適用する際の柔軟性を増加させることが期待される。さらに、ヌクレアーゼは、それらのゲノム編集効率および特異性に関して所望の特性を有する。これらの利益は、生物医学研究、農業、ヒト遺伝子療法、ヒト細胞療法、および診断における適用、ならびに多くの他の商業的および工業的適用にとって重要である。
【0007】
したがって、本開示の一態様は、操作された、天然に存在しない標的化可能なヌクレアーゼシステムであって、(a)配列番号2~273より選択される配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレアーゼポリペプチドを含む核酸誘導型ヌクレアーゼ、および(b)ヌクレアーゼと複合体を形成するよう設計され、ガイド配列を含む少なくとも1つの操作されたガイドポリヌクレオチドであって、ガイド配列が真核細胞の標的配列とハイブリダイズするよう設計されている、ガイドポリヌクレオチドを含み、(c)ヌクレアーゼとガイドポリヌクレオチドとの複合体が天然に存在しない、標的化可能なヌクレアーゼシステムを提供する。
【0008】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号2~273より選択される配列に対して少なくとも96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号2~273に対して100%未満の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号123、116、146、43、254、および175より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号123、146、254、および175より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。
【0009】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号815~822より選択される配列を含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号815~822の配列を含む。
【0010】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号116および43より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。
【0011】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号123の配列を含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号116の配列を含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号146の配列を含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号32の配列を含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号254の配列を含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号175の配列を含む。
【0012】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、融合ペプチドに融合している。一部の実施形態では、融合ペプチドは、ヌクレアーゼポリペプチドにインフレームで融合したシグナルペプチドである。一部の実施形態では、融合ペプチドは、ヌクレアーゼポリペプチドに融合した核局在化配列である。一部の実施形態では、核局在化配列は、配列番号628~631より選択される配列を有する。
【0013】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、Acidaminococcus massiliensis、Acidaminococcus sp.、Acinetobacter indicus、Agathobacter rectalis、Anaerovibrio lipolyticus、Bacteroidales bacterium、Bacteroides galacturonicus、Bacteroides plebeius、Bacteroidetes bacterium、Butyrivibrio fibrisolvens、Butyrivibrio hungatei、Butyrivibrio sp.、Candidatus Falkowbacteria bacterium、Candidatus Falkowbacteria bacterium、Candidatus Gottesmanbacteria bacterium、Candidatus Jacksonbacteria bacterium、Candidatus Magasanikbacteria bacterium、Candidatus Moranbacteria bacterium、Candidatus Pacebacteria bacterium、Candidatus Roizmanbacteria bacterium、Candidatus Ryanbacteria bacterium、Candidatus Saccharibacteria bacterium、Candidatus Sungbacteria bacterium、Candidatus Uhrbacteria bacterium、Candidatus Wildermuthbacteria bacterium、Candidatus Yonathbacteria bacterium、Catenovulum sp.、Clostridiales bacterium、Clostridium sp.、Coprococcus eutactus、Coprococcus sp.、Deltaproteobacteria bacterium、Elizabethkingia sp.、Eubacteriaceae bacterium、Eubacterium eligens、Eubacterium rectale、Eubacterium sp.、Eubacterium ventriosum、Fibrobacter sp.、Fibrobacter succinogenes、Firmicutes bacterium、Flavobacterium branchiophilum、Francisella hispaniensis、Francisella novicida、Francisella philomiragia、Francisella tularensis、Lachnospiraceae bacterium、Lachnospira pectinoschiza、Lentisphaeria bacterium、Leptospiraceae bacterium、Leptospira sp.、Moraxella bovis、Moraxella bovoculi、Moraxella lacunata、Moraxella ovis、Moraxella sp.、Muribaculaceae bacterium、Patescibacteria group bacterium、Phycisphaerae bacterium、Phycisphaerales bacterium、Porphyromonadaceae bacterium、Porphyromonas crevioricanis、Prevotella brevis、Prevotellaceae bacterium、Prevotella copri、Prevotellamassilia sp.、Prevotella ruminicola、Prevotella sp.、Prolixibacteraceae bacterium、Pseudobutyrivibrio sp.、Pseudobutyrivibrio xylanivorans、Psychrobacter sp.、Ruminococcaceae bacterium、Ruminococcus sp.、Sedimentisphaera cyanobacteriorum、Sneathia amnii、Spirochaetia bacterium、Succinivibrionaceae bacterium、またはTreponema sp.を起源とする。
【0014】
別の態様では、本開示は、配列番号2~273より選択される配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する核酸誘導型ヌクレアーゼをコードする第1のポリヌクレオチドセグメントを含むポリヌクレオチドを提供する。
【0015】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、融合ペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドセグメントをさらに含む。
【0016】
一部の実施形態では、第1のポリヌクレオチドセグメントは、哺乳動物細胞における発現のためにコドン最適化されている。一部の実施形態では、第1のポリヌクレオチドセグメントは、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化されている。
【0017】
一部の実施形態では、第1のポリヌクレオチドセグメントは、配列番号722~766より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列を有する。一部の実施形態では、第1のポリヌクレオチドセグメントは、配列番号722~766より選択される配列を有する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号767~811より選択される配列をさらに含む。
【0018】
一部の実施形態では、第1のポリヌクレオチドセグメントは、細菌細胞における発現のためにコドン最適化されている。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号632~676より選択される配列を含む。
【0019】
一部の実施形態では、第1のポリヌクレオチドセグメントは、配列番号677~721より選択される配列を有する。
【0020】
さらに別の態様では、本開示は、請求項20から29のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、核酸誘導型ヌクレアーゼをコードするベクターを提供する。
【0021】
一部の実施形態では、ベクターは、核酸誘導型ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結したプロモーターをさらに含む。
【0022】
一態様では、本開示は、本明細書において提供されるポリヌクレオチドまたは本明細書において提供されるベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0023】
本開示の一態様は、核酸誘導型ヌクレアーゼを生成する方法であって、本明細書に記載の宿主細胞を培養するステップと、宿主細胞の培養物から核酸誘導型ヌクレアーゼを単離するステップとを含む、方法を提供する。
【0024】
一態様では、本開示は、真核生物または原核生物のゲノムの標的領域を改変する方法であって、標的領域を含む試料を、配列番号2~273からなる群より選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する核酸誘導型ヌクレアーゼ、および核酸誘導型ヌクレアーゼと複合体を形成したガイド核酸と接触させるステップと、核酸誘導型ヌクレアーゼに標的領域を改変させるステップとを含む、方法を提供する。
【0025】
一部の実施形態では、接触させるステップは、標的領域に結合するよう構成された相同鋳型の存在下でさらに実施される。
【0026】
一部の実施形態では、ガイド核酸は、異種ガイド核酸である。
【0027】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、Acidaminococcus massiliensis、Acidaminococcus sp.、Acinetobacter indicus、Agathobacter rectalis、Anaerovibrio lipolyticus、Bacteroidales bacterium、Bacteroides galacturonicus、Bacteroides plebeius、Bacteroidetes bacterium、Butyrivibrio fibrisolvens、Butyrivibrio hungatei、Butyrivibrio sp.、Candidatus Falkowbacteria bacterium、Candidatus Falkowbacteria bacterium、Candidatus Gottesmanbacteria bacterium、Candidatus Jacksonbacteria bacterium、Candidatus Magasanikbacteria bacterium、Candidatus Moranbacteria bacterium、Candidatus Pacebacteria bacterium、Candidatus Roizmanbacteria bacterium、Candidatus Ryanbacteria bacterium、Candidatus Saccharibacteria bacterium、Candidatus Sungbacteria bacterium、Candidatus Uhrbacteria bacterium、Candidatus Wildermuthbacteria bacterium、Candidatus Yonathbacteria bacterium、Catenovulum sp.、Clostridiales bacterium、Clostridium sp.、Coprococcus eutactus、Coprococcus sp.、Deltaproteobacteria bacterium、Elizabethkingia sp.、Eubacteriaceae bacterium、Eubacterium eligens、Eubacterium rectale、Eubacterium sp.、Eubacterium ventriosum、Fibrobacter sp.、Fibrobacter succinogenes、Firmicutes bacterium、Flavobacterium branchiophilum、Francisella hispaniensis、Francisella novicida、Francisella philomiragia、Francisella tularensis、Lachnospiraceae bacterium、Lachnospira pectinoschiza、Lentisphaeria bacterium、Leptospiraceae bacterium、Leptospira sp.、Moraxella bovis、Moraxella bovoculi、Moraxella lacunata、Moraxella ovis、Moraxella sp.、Muribaculaceae bacterium、Patescibacteria group bacterium、Phycisphaerae bacterium、Phycisphaerales bacterium、Porphyromonadaceae bacterium、Porphyromonas crevioricanis、Prevotella brevis、Prevotellaceae bacterium、Prevotella copri、Prevotellamassilia sp.、Prevotella ruminicola、Prevotella sp.、Prolixibacteraceae bacterium、Pseudobutyrivibrio sp.、Pseudobutyrivibrio xylanivorans、Psychrobacter sp.、Ruminococcaceae bacterium、Ruminococcus sp.、Sedimentisphaera cyanobacteriorum、Sneathia amnii、Spirochaetia bacterium、Succinivibrionaceae bacterium、またはTreponema sp.を起源とする。
【0028】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、配列番号2~273より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号123、116、146、43、254、および175より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号123、146、254、および175より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。
【0029】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号815~822より選択される配列を含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号815~822の配列を含む。
【0030】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号116および43より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、123、116、146、32、254、275、および175より選択される配列を含む。
【0031】
一部の実施形態では、試料は真核細胞を含む。一部の実施形態では、試料は細菌細胞を含む。一部の実施形態では、試料は植物細胞を含む。一部の実施形態では、試料は哺乳動物細胞を含む。一部の実施形態では、試料は免疫細胞を含む。一部の実施形態では、免疫細胞はB細胞またはT細胞である。
【0032】
一部の実施形態では、T細胞受容体は、ゲノムにおいて操作されている。一部の実施形態では、内因性T細胞受容体は破壊されている。一部の実施形態では、T細胞受容体は、ゲノムにおいて操作されており、そして内因性T細胞受容体は、破壊されている。
【0033】
一部の実施形態では、相同鋳型は、標的領域に相補的な配列を含む。一部の実施形態では、相同鋳型は、標的領域と比較して、挿入、欠失、または改変を含む。
【0034】
一部の実施形態では、ガイド核酸は、操作された、天然に存在しないポリヌクレオチドである。一部の実施形態では、ガイド核酸および相同鋳型は、単一のポリヌクレオチドを形成する。
【0035】
別の態様では、本開示は、本開示の方法によって改変されたゲノムを含む細胞、組織または生物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
5.図面の簡単な説明
【
図1】
図1。NCBI Genbankのデータベースの134,655個の原核生物ゲノムの配列検索において同定した、本発明者らが「GIG-」ヌクレアーゼまたは「GIG-」酵素と呼ぶ、新規Cas酵素(配列番号2~273)に関して、MAD7に対するアミノ酸パーセント同一性を示すヒストグラム。
【0037】
【
図2】
図2。NCBI Genbankデータベースの134,655個の原核生物ゲノムの配列検索において同定した新規GIG-Cas酵素(配列番号2~273)間の関係を示す配列ツリー。
【0038】
【
図3】
図3。NCBI Genbankデータベースの134,655個の原核生物ゲノムの配列検索において同定した新規GIG-Cas酵素(配列番号2~273)のゲノム近傍におけるcrRNA CRISPRリピート(配列番号274~627)をまとめた配列ロゴ。
【0039】
【
図4】
図4。in vitroでの転写および翻訳に関するT7p14 DNA構築物のベクターマップ(配列番号814)。
【0040】
【
図5-1】
図5A~5C。in vitroでのGFPレポーターアッセイによる新規GIG-Cas酵素の機能評価。
図5A:GIG-1(配列番号123)およびGIG-2(配列番号43);
図5B:GIG-4(配列番号254)およびGIG-5(配列番号28);
図5C:GIG-3(配列番号79)。横軸:インキュベーション時間、各サイクルは合計18時間の10分に相当する。縦軸:GFP相対蛍光シグナル(それぞれ励起/発光:485/520nm)。
【0041】
【
図6】
図6。Maxwell et al.(Methods, 2018)のin vitroスクリーニングシステムを使用して同定したGIG-Cas酵素のPAM活性のヒートマップ。
【0042】
【
図7-1】
図7A~7D。Maxwell et al.(Methods, 2018)のin vitroスクリーニングシステムを使用して同定した新規GIGまたは他のCas酵素と共に機能するPAM配列モチーフ。
【0043】
【
図8】
図8。細菌発現のためのpET21構築物のベクターマップ(配列番号812)。
【0044】
【
図9】
図9。精製した組換えGIGヌクレアーゼ(GIG-1、GIG-2、GIG-5、GIG-10、GIG-12、GIG-15、GIG-16、およびGIG-17)のSDS-PAGE解析。各タンパク質1μgを4~20%のゲルにロードした。(H)His精製によって試料を精製した;(C)His精製の後に試料をCEX精製した。
【0045】
【
図10-1】
図10A~10C。HisおよびCEX精製の後に精製したGIG-Casヌクレアーゼ(GIG-1、GIG-2、GIG-5、GIG-10、GIG-12、GIG-15、GIG-16、およびGIG-17)のSE-HPLC解析。
図10A:AsCas12a、MAD7、GIG-1およびGIG-2;
図10B:GIG-5、GIG-10、GIG-12およびGIG-15;
図10C:GIG-16およびGIG-17。
【0046】
【
図11】
図11。Jurkat細胞のヒトTRAC遺伝子座における選択されたGIGヌクレアーゼのノックダウン効率およびHDR効率。表示したヌクレアーゼおよびTRAC標的化sgRNAからなるRNP(GR-31、GR-40、およびGR-42)を細胞に電気穿孔した。陰性対照として、AsCas12aおよびスクランブルsgRNAからなるRNPも電気穿孔した。さらに、GFP発現のための相同組換え修復(HDR)鋳型も各試料に電気穿孔した。細胞をCD3およびTCRαβに対する蛍光コンジュゲート抗体で染色し、電気穿孔の5日後にフローサイトメトリーによって解析した。ノックダウン効率が高いほど、CD3およびTCRαβの発現レベルが低いことを示す。HDR鋳型の組込みに成功した細胞はGFPを発現する。
【0047】
【
図12】
図12。Jurkat細胞のヒトTRAC遺伝子座における選択されたGIGヌクレアーゼのノックダウン効率およびHDR効率。GFP発現のためのHDR鋳型だけでなく、表示したヌクレアーゼおよびTRAC標的化sgRNAからなるRNPを細胞に電気穿孔した。陰性対照として、HDR鋳型を用いずにRNPを電気穿孔した。細胞をCD3およびTCRαβに対する蛍光コンジュゲート抗体で染色し、電気穿孔の5日後にフローサイトメトリーによって解析した。ノックダウン効率が高いほど、CD3およびTCRαβの発現レベルが低いことを示す。HDR鋳型の組込みに成功した細胞はGFPを発現する。
【0048】
【
図13】
図13。Jurkat細胞のヒトB2M遺伝子座におけるAsCas12aおよびGIG-17ヌクレアーゼのノックダウン効率。表示したヌクレアーゼおよび3つの固有のB2M標的化sgRNAからなるRNP(GR-44、GR-45、GR-46)を細胞に電気穿孔した。細胞をHLA-A、B、Cに対する蛍光コンジュゲート抗体で染色し、電気穿孔の5日後にフローサイトメトリーによって解析した。ノックダウン効率が高いほど、B2M欠損細胞のレベルが高いことを示す。
【0049】
【
図14】
図14。T2細胞のヒトHLA-A*02:01遺伝子座におけるAsCas12aおよびGIG-17ヌクレアーゼのノックダウン効率。表示したヌクレアーゼおよび3つの固有のHLA-A*02:01標的化sgRNAからなるRNP(GR-71、GR-72またはGR-73)を細胞に電気穿孔した。細胞をHLA-A2に対する蛍光コンジュゲート抗体で染色し、電気穿孔の5日後にフローサイトメトリーによって解析した。ノックダウン効率が高いほど、HLA-A2欠損細胞のレベルが高いことを示す。
【0050】
【
図15】
図15。哺乳動物での発現のためのpReceiverレンチウイルス構築物(配列番号813)のベクターマップ。
【0051】
図面は、例示のためだけに本発明の様々な実施形態を示す。当業者は、本明細書で例示された構造および方法の代替の実施形態を本明細書に記載の発明の原理から逸脱することなく用いることができることを、以下の議論から容易に認識するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0052】
6.詳細な説明
6.1.定義
別段に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明に関する技術分野における当業者によって一般的に理解される意味を有する。本明細書で使用される場合、以下の用語は、それぞれ以下の意味を有する。
【0053】
「異種ガイド核酸」という用語は、本明細書で使用される場合、核酸誘導型ヌクレアーゼと複合体を形成して、天然には存在しないリボ核酸粒子(RNP)を形成することが可能であるガイド核酸を指す。
【0054】
「適合性の」という用語は、本明細書で使用される場合、複合体を形成して、標的化されたヌクレアーゼ複合体として機能するRNPを形成することが可能であるガイド核酸および核酸誘導型ヌクレアーゼを指す。
【0055】
「バリアント」または「変異体」という用語は、本明細書で使用される場合、天然に存在するものから逸脱する質を示す生体物質(例えば、タンパク質、ポリヌクレオチドなど)を指す。例えば、バリアントまたは変異体は、野生型ポリペプチドから、1つもしくは複数のアミノ酸の変異を有するか、または1つもしくは複数のアミノ酸の付加、欠失もしくは置換を含有するポリペプチドであり得る。
【0056】
「crRNA」、「gRNA」および「ガイドRNA」という用語は、他に、例えばPCT/US2013/074667に記載されているように、互換的に使用される。一般に、gRNAは、標的ポリヌクレオチド配列と十分な相補性を有して、標的配列とハイブリダイズし、CRISPR複合体の標的配列への配列特異的結合を指示するポリヌクレオチド配列である。一部の実施形態では、ガイド配列とその対応する標的配列の間の相補性の度合いは、約50%もしくはそれより高い、約60%もしくはそれより高い、約70%もしくはそれより高い、約80%もしくはそれより高い、約90%もしくはそれより高い、約95%もしくはそれより高い、約99%もしくはそれより高い、またはそれらのパーセンテージを超えるパーセンテージである。
【0057】
本発明の実施では、別段に示されていない限り、当業者にとって周知である、免疫学、生化学、化学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、ゲノミクス、組換えDNAの従来技術を用いる。Green and Sambrook (Molecular Cloning: A Laboratory Manual), CurrentProtocols in Molecular Biology (Ausubel, et al., eds.), Antibodies: aLaboratory Manual (Harlow & Taylor, eds.)を参照されたい。
【0058】
6.2.他の解釈についての慣習
本明細書に列挙された範囲は、列挙された終点を含み、その範囲内の値のすべてに対する省略表現であることが理解される。例えば、1~50という範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、および50からなる群に由来する任意の数、数の組合せ、または下位範囲を含むことが理解される。
【0059】
6.3.核酸誘導型ヌクレアーゼ
第1の態様では、核酸誘導型ヌクレアーゼが提供される。ヌクレアーゼは、原核細胞および真核細胞において機能的であり、in vitro、ex vivo、およびin vivoでのゲノム編集適用に対して有用である。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは天然に存在する。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、天然に存在しない。ある特定の実施形態では、天然に存在しないヌクレアーゼは、操作されたヌクレアーゼである。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは精製タンパク質である。
【0060】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、核酸誘導型ヌクレアーゼおよびガイド核酸を含む「標的化可能なヌクレアーゼシステム」の一部である。標的化可能なヌクレアーゼシステムを使用して、「標的配列」と呼ばれることが多い標的ポリヌクレオチド配列を結合、切断、改変および/または編集することができる。本明細書に記載の方法、システム、ベクター、ポリヌクレオチド、および組成物は、タンパク質などの遺伝子産物の合成、ポリヌクレオチドの切断、ポリヌクレオチドの編集、ポリヌクレオチドのスプライシング、標的ポリヌクレオチドの輸送、標的ポリヌクレオチドの単離、標的ポリヌクレオチドの可視化などを変更または改変することを含む様々な適用で使用されてよい。本発明の態様は、in vitro、in vivo、またはex vivoで原核細胞、古細菌細胞、または真核細胞において1つまたは複数の遺伝子産物の発現を変更または操作することとして定義される「ゲノム工学」における、本明細書に記載の組成物およびシステムの方法および使用も含む。例えば、核酸誘導型ヌクレアーゼの使用については、参照により全体として本明細書に組み込まれるUS10,011,849に記載されている。
【0061】
6.3.1.ヌクレアーゼ
本開示は、新規の天然に存在するおよび天然に存在しない核酸誘導型ヌクレアーゼを提供する。一部の実施形態では、好適な核酸誘導型ヌクレアーゼは、以下を含むがこれらに限定されない属に由来する生物から得られる:Moraxella、Acidaminococcus、Francisella、Lachnospira、Butyrivibrio、Clostridium、Coprococcus、Prevotella、Flavobacterium、Eubacterium、Sedimentisphaera、Limihaloglobus、Pseudobutyrivibrio、Anaerovibrio、Psychrobacter、Acinetobacter、Catenovulum、Bacteroides、Ruminococcus、Porphyromonas、Elizabethkingia、およびPrevotellamassilia。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、天然に存在するヌクレアーゼのバリアントまたは改変である。
【0062】
一部の実施形態では、新規ヌクレアーゼは、任意の以前に開示されたCpf1、Cas12a、およびMAD7酵素に対する95%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、または20%未満の配列同一性を含む。さらに、本明細書において提供されるヌクレアーゼは、当技術分野で公知のCpf1、Cas12a、およびMAD7酵素とは異なる。例えば、本開示のエンドヌクレアーゼは、US9790490B2に開示された配列と異なる配列を有する。一部の実施形態では、本開示の新規ヌクレアーゼは、US9790490B2に開示された配列のいずれかに対する95%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、または40%未満の配列同一性を含む。US9790490B2およびそこに開示された配列は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0063】
「オルソログ」または「ホモログ」という用語は、本明細書で使用される場合、好適な配列アライメントアルゴリズムを用いてアライメントされた場合に、少なくとも80%、または好ましくは少なくとも85%の配列同一性を有する配列を有するタンパク質を指す。平均して、本明細書において報告された新規ヌクレアーゼは、以前に報告されたサブタイプV-AのCpf1配列(US9790490B2を参照されたい)に対して約38%の配列同一性のみを有する(
図1)。よって、本開示において報告されたほとんどのヌクレアーゼは、以前より知られているホモログを有さない。
【0064】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼは、ファミリーcas1、cas2、およびcpf1より選択される遺伝子に関する細菌ゲノムの遺伝子座ならびにCRISPRアレイから得られる。一部の実施形態では、Cpf1またはCpf1様ペプチド配列は、Corynebacter、Sutterella、Legionella、Trepomena、Filifactor、Eubacterium、Streptococcus、Lactobacillus、Mycoplasma、Bacteroides、Flaviivola、Flavobacterium、Sphaerochaeta、Azospirillum、Glucomacetobacter、Neiserria、Roseburia、Parvibaculum、Staphylococcus、Nitratifractor、Mycoplasma、またはCampylobacter属の生物を起源とする。一部の実施形態では、Cpf1またはCpf1様ペプチド配列は、Corynebacter、Sutterella、Legionella、Trepomena、Filifactor、Eubacterium、Streptococcus、Lactobacillus、Mycoplasma、Bacteroides、Flaviivola、Flavobacterium、Sphaerochaeta、Azospirillum、Glucomacetobacter、Neiserria、Roseburia、Parvibaculum、Staphylococcus、Nitratifractor、Mycoplasma、またはCampylobacter属以外の生物を起源とする。
【0065】
一部の実施形態では、本開示の核酸誘導型ヌクレアーゼは、ヌクレアーゼポリペプチドを含む。ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号2~273より選択される配列を有するポリペプチドである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号2~273より選択される配列に対して100%未満の配列同一性を有するポリペプチドである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号2~273より選択される配列に対して少なくとも96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号123、116、146、43、254、および175より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。
【0066】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、実施例1および
図2に記載のクラスター1内にある。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号188、204、221、256、240、233、189、202、185、247、191、201、246、81、83、243、88、258、223、131、214、226、85、231、79、80、217、238、87、254、248、241、242、65、94、95、143、176、17、169、165、160、172、157、166、163、10、16、122、126、139、144、145、23、155、123、137、138、18、48、125、127、128、135、136、150、153、1、59、15、134、171、32、175、184、159、156、199、147、146、149、154、148、198、60、120、19、197、161、173、174、50、49、196、5、130、3、200、74、97、177、33、41、および86より選択される配列を含む。
【0067】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、実施例1および
図2に記載のクラスター2内にある。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号228、236、および8より選択される配列を含む。
【0068】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、実施例1および
図2に記載のクラスター3内にある。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号245および272より選択される配列を含む。
【0069】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、実施例1および
図2に記載のクラスター4内にある。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号101、102、69、212、255、237、207、216、235、227、229、70、105、および170より選択される配列を含む。
【0070】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、実施例1および
図2に記載のクラスター5内にある。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号110、113、111、73、66、54、55、112、75、106、109、108、53、118、100、103、114、56、67、および162より選択される配列を含む。
【0071】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、実施例1および
図2に記載のクラスター6内にある。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号104、107、260、253、91、99、92、262、および271より選択される配列を含む。
【0072】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、実施例1および
図2に記載のクラスター7内にある。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号269、220、225、266、および186より選択される配列を含む。
【0073】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、実施例1および
図2に記載のクラスター8内にある。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号194、203、115、211、273、および249より選択される配列を含む。
【0074】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、実施例1および
図2に記載のクラスター9内にある。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号132、133、124、152、151、72、206、24、25、68、195、232、30、12、182、252、259、222、251、190、209、239、250、192、205、71、76、215、93、264、208、267、183、265、193、210、89、263、268、270、213、224、218、257、36、178、187、および244より選択される配列を含む。
【0075】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、実施例1および
図2に記載のクラスター10内にある。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号158、230、234、140、164、142、141、180、77、78、167、13、35、および179より選択される配列を含む。
【0076】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、実施例1および
図2に記載のクラスター11内にある。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号62、121、61、82、4、29、39、117、58、57、40、27、7、6、31、9、28、38、37、26、34、129、96、181、168、47、261、2、46、22、63、42、44、43、45、20、51、52、64、11、84、116、21、14、および119より選択される配列を含む。
【0077】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、実施例1および
図2に記載のクラスター12内にある。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号219および90より選択される配列を含む。
【0078】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、実施例1および
図2に記載のクラスター3、4、5、6、7、8、9、または10内にある。
【0079】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、実施例1および
図2に記載のクラスター1内にない。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、実施例1および
図2に記載のクラスター2内にない。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、実施例1および
図2に記載のクラスター3、4、5、6、7、8、9、または10内にない。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、実施例1および
図2に記載のクラスター11内にない。
【0080】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、進化的に関連していると推定されるヌクレアーゼの複数の配列アライメントによって同定された保存ペプチド配列を含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、クラスター1の保存ペプチド配列(配列番号815~822)のうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、クラスター4の保存ペプチド配列(配列番号823~832)のうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、クラスター6の保存ペプチド配列(配列番号833)を含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、クラスター7の保存ペプチド配列(配列番号834)を含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、クラスター9の保存ペプチド配列(配列番号835~840)のうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチド保存ペプチド配列は、クラスター10のコンセンサス配列(配列番号841~844)のうちの1つまたは複数を含む。
【0081】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、クラスター1のコンセンサス配列(配列番号815~822)のすべてを含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、クラスター4のコンセンサス配列(配列番号823~832)のすべてを含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、クラスター9のコンセンサス配列(配列番号835~840)のすべてを含む。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、クラスター10のコンセンサス配列(配列番号841~844)のすべてを含む。
【0082】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号123に対して少なくとも96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号123の配列を含む。
【0083】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号116に対して少なくとも96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号116の配列を含む。
【0084】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号146に対して少なくとも96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号146の配列を含む。
【0085】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号32に対して少なくとも96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号32の配列を含む。
【0086】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号254に対して少なくとも96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号254の配列を含む。
【0087】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号175に対して少なくとも96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号175の配列を含む。
【0088】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、特定の機能的特性について天然配列から操作される。一部の実施形態では、これらの操作されたポリペプチドは、天然配列に対して99%、95%、90%、75%、または50%の配列同一性を有する。
【0089】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号1~273より選択される配列に対して少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号1~273より選択される配列に対して少なくとも98%の配列同一性を有するポリペプチドである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号1~273より選択される配列に対して少なくとも97%の配列同一性を有するポリペプチドである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号1~273より選択される配列に対して少なくとも96%の配列同一性を有するポリペプチドである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号1~273より選択される配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチドである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号1~273より選択される配列に対して少なくとも94%の配列同一性を有するポリペプチドである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号1~273より選択される配列に対して少なくとも93%の配列同一性を有するポリペプチドである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号1~273より選択される配列に対して少なくとも92%の配列同一性を有するポリペプチドである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号1~273より選択される配列に対して少なくとも91%の配列同一性を有するポリペプチドである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、配列番号1~273より選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するポリペプチドである。
【0090】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは組換えタンパク質である。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、コドン最適化ポリヌクレオチドから発現される。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、細胞培養物から発現される。
【0091】
6.3.2.操作されたヌクレアーゼ
一部の実施形態では、操作された核酸誘導型ヌクレアーゼが使用される。一部の実施形態では、操作された核酸誘導型ヌクレアーゼは、化学的または生物学的に改変される。一部の実施形態では、操作された核酸誘導型ヌクレアーゼは、宿主細胞からの発現を増加させる、ヒトまたは哺乳動物のコドンのために最適化する(参照により組み込まれるPCT/US2013/074667を参照されたい)、タンパク質の安定性を増加させる、その遺伝子編集効率を増加させる、オフターゲット特異性を低下させる、またはPAM配列特異性を変化させるように改変される。一部の実施形態では、操作された核酸誘導型ヌクレアーゼは、in vivoまたはin vitroで所望の標的化のために改変される。
【0092】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼの機能の変化に関連する以前に記載された1つまたは複数の改変は、本明細書に記載のヌクレアーゼに導入される。一部の実施形態では、1つまたは複数の変異または改変は、触媒ドメインでなされる。一部の実施形態では、ヌクレアーゼの触媒活性は、DNA結合活性が保持されるが、ヌクレアーゼの酵素機能は低減または破壊されるように、低減または破壊される。一部の実施形態では、不活性化ヌクレアーゼは、1つまたは複数の機能的ドメイン、例えば、メチラーゼ活性、デメチラーゼ活性、転写活性化活性、転写抑制活性、転写放出因子活性(transcription release factor activity)、ヒストン改変活性、RNA切断活性、DNA切断活性、核酸結合活性、エキソヌクレアーゼ活性、一塩基編集活性、リコンビナーゼ活性、インテグラーゼ活性、逆転写活性、または分子スイッチを有する機能的ドメインに融合している。本明細書におけるタンパク質の「機能的バリアント」は、タンパク質の少なくとも部分的な活性を保持するこのようなタンパク質のバリアントを指す。一部の実施形態では、本出願の操作されたヌクレアーゼは、本出願において開示された天然に存在するヌクレアーゼの機能的バリアントを含む。機能的バリアントは、常にホモログであるわけではない。
【0093】
一部の実施形態では、特異性を改善または低下させるために、変異誘発のための主要な残基は、ヌクレアーゼのRuvCドメイン内にある。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Slaymaker et al., 2015, "Rationally engineered Cas9 nucleaseswith improved specificity"を参照されたい。一部の実施形態では、変異体は、例えば、PAM特異性を変更する変異を選択し、これらの変異をオンターゲット対オフターゲット配列に対する特異性を増加させる(または低下させる)nt溝変異と組み合わせることによって、PAM認識における改変を収容するように設計される。一部の実施形態では、本明細書に記載のヌクレアーゼのPAM認識部位を異なるヌクレアーゼのPAM認識部位で置換して、そのPAM特異性を変化させることができる。
【0094】
一部の実施形態では、変異は、REC lob、REC1ドメイン、REC2ドメイン、Nucローブ、PAM相互作用ドメイン、WEDドメイン、および/またはブリッジヘリックス(BH)に対して特異的になされる。例えば、Paul & Montoya, Biomedical Journal, 43(1): 8-17を参照されたい。
【0095】
一部の実施形態では、変異は、正もしくは負に荷電しているか、疎水性もしくは親水性であるか、ヌクレアーゼの構造溝もしくは他の構造的構成成分に位置しているか、任意の残基をアラニン残基で置換するか、または極性もしくは非極性であるアミノ酸の改変を含む。
【0096】
一部の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、本明細書に列挙された任意の数の酵素の融合体または本明細書に列挙された酵素と任意の他のCas酵素との融合体である。操作されたヌクレアーゼは、本明細書に列挙された酵素のいずれかとの99%、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、または30%の配列同一性を含み得る。一部の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、本明細書に記載の天然に存在するヌクレアーゼの断片を含む。一部の実施形態では、融合体は、本明細書に記載のヌクレアーゼの1つまたは複数の機能的ドメインを置換することによって作製される。
【0097】
一部の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、表2の非保存配列を改変することによって生成される。ある特定の実施形態では、クラスター1(表2)からの任意のヌクレアーゼを、アミノ酸630~652、891~901、915~931、1034~1054、1058~1063、1217~1229、1299~1307、1308~1335、および1588~1589の外側の1つまたは複数のアミノ酸位置で変異させる。一部の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、クラスター1の保存配列(配列番号815~822)を含む。
【0098】
ある特定の実施形態では、クラスター4からの任意のヌクレアーゼを、アミノ酸92~99、106~111、113~152、223~239、291~303、396~404、409~421、731~791、または816~874の外側の1つまたは複数のアミノ酸位置で改変する。一部の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、クラスター4の保存配列(配列番号823~832)を含む。
【0099】
ある特定の実施形態では、クラスター6の任意のヌクレアーゼを、アミノ酸位置1120~1126を含むアミノ酸位置の外側で変異させる。一部の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、クラスター6の保存配列(配列番号833)を含む。
【0100】
ある特定の実施形態では、クラスター7の任意のヌクレアーゼを、アミノ酸600~654の外側の1つまたは複数のアミノ酸位置において変異させる。一部の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、クラスター7の保存配列(配列番号834)を含む。
【0101】
ある特定の実施形態では、クラスター9からの任意のヌクレアーゼを、アミノ酸492~501、596~625、685~695、697~707、841~891、または1191~1227を含むアミノ酸位置の外側で変異させる。一部の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、クラスター9の保存配列(配列番号835~840)を含む。
【0102】
ある特定の実施形態では、クラスター10の任意のヌクレアーゼを、アミノ酸159~215、630~655、868~879、または1052~1076の外側の1つまたは複数のアミノ酸位置において変異させる。一部の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、クラスター10の保存配列(配列番号841~844)を含む。
【0103】
本発明のある特定の実施形態では、操作されたヌクレアーゼは、多様なヌクレアーゼに存在する保存配列を含む融合タンパク質、例えば、クラスター4からの保存アミノ酸配列と融合したクラスター1からの保存アミノ酸配列である。ある特定の実施形態では、保存配列を同定し、変異させる以外の方法を使用して、例えば、機能的ドメインを同定するために3D構造を作製する、機械学習を使用して機能的ドメインを同定する、および/または大規模もしくは小規模変異誘発スクリーニングと、その後にin vivoもしくはin vitroでバリアントの機能的解析を行う方法を使用して、ヌクレアーゼ機能を変更する。
【0104】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、細菌または哺乳動物の発現構築物から発現され、組換えタンパク質または精製タンパク質として評価される。一部の実施形態では、機能性は、DNA二本鎖切断を生じる能力ならびに細胞におけるインデル(挿入および欠失)変異および機能喪失(LOF)変異の誘導を検査することによって決定される。一部の実施形態では、RNP複合体は、ガイド核酸を各核酸誘導型ヌクレアーゼと共にインキュベートすることによって生成される。特定の一実施形態では、RNP複合体は、375pmolのガイド核酸を50pmolの各核酸誘導型ヌクレアーゼと共に10分間インキュベートすることによって生成される。一部の実施形態では、RNP複合体は、電気穿孔またはヌクレオフェクションを使用して細胞内に導入され、切断効率は、目的の遺伝子に切断部位を含有するPCRアンプリコンに関してサンガーシーケンシングおよびICE(Inference of CRISPR Edits、Synthegoからのオンラインツール)解析を実施することによって、編集された集団における挿入/欠失変異の頻度を定量することによって測定される。一部の実施形態では、LOF変異の成功裏の生成は、ウエスタンブロット、フローサイトメトリー、またはELISAを使用して、標的化された遺伝子のタンパク質発現レベルを測定することによって確認される。
【0105】
6.3.3.シグナルペプチド融合体
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、融合ペプチドに融合している。実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、(1)ヌクレアーゼポリペプチドおよび(2)融合ペプチドを含む。融合ペプチドは、シグナルペプチドであり得る。シグナルペプチドは、ヌクレアーゼポリペプチドにインフレームで融合した原核生物または真核生物のシグナルペプチドであり得る。融合ペプチドは、ヌクレアーゼポリペプチドのN末端またはC末端に融合され得る。融合ペプチドは、ヌクレアーゼポリペプチドの中央に融合され得る。一部の実施形態では、融合ペプチドは、レポータータンパク質またはエンドヌクレアーゼポリペプチドの精製用タグである。一部の実施形態では、融合ペプチドは、転写活性化、転写抑制、DNAまたはRNA塩基編集、リコンビナーゼ/インテグラーゼ活性、およびニッカーゼ活性を含むさらなる機能的属性を提供する。
【0106】
一部の実施形態では、融合ペプチドはシグナルペプチドである。
【0107】
一部の実施形態では、シグナルペプチドは、ヌクレアーゼポリペプチドのC末端にインフレームで融合している。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、ヌクレアーゼポリペプチドのN末端にインフレームで融合している。
【0108】
NLS融合体
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、1つまたは複数の核局在化配列(NLS)、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれよりも多くのNLSに融合している。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、アミノ末端もしくはその付近に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、もしくはそれよりも多くのNLS、カルボキシ末端もしくはその付近に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、もしくはそれよりも多くのNLS、またはこれらの組合せを含む(例えば、アミノ末端に1つまたは複数のNLS、およびカルボキシ末端に1つまたは複数のNLS)。2つ以上のNLSが存在する場合、それぞれを他のNLSとは独立に選択することができ、その結果、単一のNLSが2つ以上のコピーで、および/または1つもしくは複数のコピーで存在する1つもしくは複数の他のNLSと組み合わせて存在してもよい。一部の実施形態では、NLSは、NLSの最も近くのアミノ酸がポリペプチド鎖に沿ってNまたはC末端から約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、40、50アミノ酸、またはそれよりも多くのアミノ酸以内にある場合、NまたはC末端の付近に存在すると考えられる。
【0109】
一部の実施形態では、単節型(monopartite)NLSと呼ばれるNLS(SV40ラージT抗原からのPKKKRKV、c-MycからのPAAKRVKLD、またはTUSタンパク質からのKLKIKRPVK)は、ヌクレアーゼポリペプチドのNまたはC末端に融合している。一部の実施形態では、双節型(bipartite)またはヌクレオプラスミンNLSと呼ばれるNLS(KR[PAATKKAGQA]KKKK)は、NまたはC末端に融合している。
【0110】
一部の実施形態では、NLSと融合したヌクレアーゼ酵素は、融合酵素を細胞、例えば、哺乳動物の細胞の核への輸送を必要とする適用に使用される。融合酵素は、そこで、細胞のゲノムを操作するために使用される。
【0111】
機能的融合体
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、転写活性化ドメインに融合している。転写活性化ドメインは、ヌクレアーゼポリペプチドのNまたはC末端に融合され得る。融合は、直接的であってもリンカーを介してもよい。融合した転写活性化ドメインは、転写開始前複合体を遺伝子のプロモーターに動員し、RNAポリメラーゼ媒介型の発現をもたらす。一部の実施形態では、転写活性化ドメインは、単純ヘルペスウイルスのVP16タンパク質、核因子カッパB、65kDaのサブユニット(p65)、Rta(エプスタイン-バーウイルスRのトランスアクチベーター)であるかまたはそのバリアントであり、一部の実施形態では、同じタイプの複数のドメインまたは組合せが含まれる。
【0112】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、UDG阻害剤(UGI)ドメインに融合している。UGIドメインは、ヌクレアーゼポリペプチドのNまたはC末端に融合され得る。一部の実施形態では、デアミナーゼドメインは、ヌクレアーゼポリペプチドのC末端に融合している。融合は、直接的であってもリンカーを介してもよい。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、ヌクレアーゼポリペプチドのN末端のデアミナーゼドメイン、およびC末端のUGIドメインに融合している。ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)は、DNA内に意図せず存在するウラシルを認識し、ウラシルとデオキシリボース糖の間のN-グリコシド結合を切断し、ウラシルを放出し、塩基性部位(AP部位)を残すことによって、ウラシル切除修復経路を開始する。一部の実施形態では、UGIドメインは、B.subtilisのバクテリオファージPBS1またはPBS2(UniProtKB-P14739)由来のUGIであるかまたはそのバリアントである。一部の実施形態では、ヌクレアーゼポリペプチドは、二本鎖切断修復選択に関与する因子に融合している(例えば、CtlP、Mre11、およびDN1sという名称のp53の短縮された小片)。
【0113】
6.4.ガイド核酸
好ましい実施形態では、ガイド核酸は、適合性核酸誘導型ヌクレアーゼと複合体を形成する。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、異種ガイド核酸と一緒に使用される。
【0114】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼおよび異種ガイド核酸は、2つの異なる種を起源とする。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼおよび異種ガイド核酸は、同じ種を起源とする。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼおよび異種ガイド核酸は、同じ種を起源とするが、自然界では同じ細胞内に存在しない。
【0115】
核酸誘導型ヌクレアーゼとガイド核酸の適合性は、実証的試験によって決定することができる。異種ガイド核酸は、異なる細菌種に由来しても、または天然に存在しなくても、合成であっても操作されていてもよい。
【0116】
一部の実施形態では、ガイド核酸はDNAである。一部の実施形態では、ガイド核酸はRNAである。一部の実施形態では、ガイド核酸は、DNAとRNAの両方を含む。一部の実施形態では、ガイド核酸は、天然に存在しないヌクレオチドを含む。ガイド核酸がRNAを含む場合、RNAガイド核酸は、DNA配列によってコードされ得る。
【0117】
一部の実施形態では、ガイド核酸は、1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ガイド核酸は、標的配列にハイブリダイズすることが可能なガイド配列、および核酸誘導型ヌクレアーゼと相互作用するかまたはそれと複合体を形成することが可能な足場配列を含む。一部の実施形態では、ガイド配列および足場配列は、単一のポリヌクレオチド内に存在する。一部の実施形態では、ガイド配列および足場配列は、2つまたはそれよりも多くの別々のポリヌクレオチド内に存在する。
【0118】
ガイド核酸は、足場配列を含み得る。一般に、「足場配列」は、リボヌクレオタンパク質粒子(RNP)の形成を促進する配列を有する任意の配列を含み、ここで、RNPは、核酸誘導型ヌクレアーゼおよびガイド核酸を含む。一部の実施形態では、足場配列は、足場配列内の2つの配列領域、例えば、二次構造の形成に関与する1つまたは2つの配列領域の長さに沿って相補性を有することによって、RNPの形成を促進する。一部の場合には、1つまたは2つの配列領域は、同じポリヌクレオチドに存在する。一部の場合には、1つまたは2つの配列領域は、別々のポリヌクレオチドに存在する。最適なアライメントは、任意の好適なアライメントアルゴリズムによって決定されてもよく、1つまたは2つの配列領域内のいずれかにおける自己相補性などの二次構造をさらに占めてもよい。一部の実施形態では、最適にアライメントした場合の2つのうちの短い方の長さに沿った1つまたは2つの配列領域間の相補性の度合いは、約25%もしくはそれより高い、約30%もしくはそれより高い、約40%もしくはそれより高い、約50%もしくはそれより高い、約60%もしくはそれより高い、約70%もしくはそれより高い、約80%もしくはそれより高い、約90%もしくはそれより高い、約95%もしくはそれより高い、約97.5%もしくはそれより高い、約99%もしくはそれより高い、またはそれより高いパーセンテージである。一部の実施形態では、2つの配列領域の少なくとも1つは、約5もしくはそれより長い、約6もしくはそれより長い、約7もしくはそれより長い、約8もしくはそれより長い、約9もしくはそれより長い、約10もしくはそれより長い、約11もしくはそれより長い、約12もしくはそれより長い、約13もしくはそれより長い、約14もしくはそれより長い、約15もしくはそれより長い、約16もしくはそれより長い、約17もしくはそれより長い、約18もしくはそれより長い、約19もしくはそれより長い、約20もしくはそれより長い、約25もしくはそれより長い、約30もしくはそれより長い、約40もしくはそれより長い、約50もしくはそれより長い、またはそれを超えるヌクレオチド長である。
【0119】
一部の実施形態では、ガイド核酸の足場配列は、二次構造を含む。二次構造は、シュードノット領域を含み得る。一部の場合には、ガイド核酸の核酸誘導型ヌクレアーゼに対する結合動態は、足場配列内の二次構造によって部分的に決定される。一部の場合には、ガイド核酸の核酸誘導型ヌクレアーゼに対する結合動態は、足場配列を含む核酸配列によって部分的に決定される。
【0120】
一部の実施形態では、ガイド核酸は、ガイド配列(すなわち、スペーサー配列)を含む。ガイド配列は、標的ポリヌクレオチド配列と十分な相補性を有して、標的配列とハイブリダイズし、複合体を形成した核酸誘導型ヌクレアーゼの標的配列への配列特異的結合を指示するポリヌクレオチド配列である。ガイド配列とその対応する標的配列の間の相補性の度合いは、好適なアライメントアルゴリズムを使用して最適にアライメントされた場合に、約50%もしくはそれより高い、約60%もしくはそれより高い、約75%もしくはそれより高い、約80%もしくはそれより高い、約85%もしくはそれより高い、約90%もしくはそれより高い、約95%もしくはそれより高い、約97.5%もしくはそれより高い、約99%またはそれより高いパーセンテージであってもよい。最適なアライメントは、配列をアライメントするのに好適な任意のアルゴリズムの使用によって決定することができる。一部の実施形態では、ガイド配列は、約5もしくはそれより長い、約10もしくはそれより長い、約11もしくはそれより長い、約12もしくはそれより長い、約13もしくはそれより長い、約14もしくはそれより長い、約15もしくはそれより長い、約16もしくはそれより長い、約17もしくはそれより長い、約18もしくはそれより長い、約19もしくはそれより長い、約20もしくはそれより長い、約21もしくはそれより長い、約22もしくはそれより長い、約23もしくはそれより長い、約24もしくはそれより長い、約25もしくはそれより長い、約26もしくはそれより長い、約27もしくはそれより長い、約28もしくはそれより長い、約29もしくはそれより長い、約30もしくはそれより長い、約35もしくはそれより長い、約40もしくはそれより長い、約45もしくはそれより長い、約50もしくはそれより長い、約75もしくはそれより長い、またはそれを超えるヌクレオチド長である。一部の実施形態では、ガイド配列は、約75、50、45、40、35、30、25、20ヌクレオチド長未満である。好ましい実施形態では、ガイド配列は、10~30ヌクレオチドの長さである。ガイド配列は、15~20ヌクレオチド長であり得る。ガイド配列は、15ヌクレオチド長であり得る。ガイド配列は、16ヌクレオチド長であり得る。ガイド配列は、17ヌクレオチド長であり得る。ガイド配列は、18ヌクレオチド長であり得る。ガイド配列は、19ヌクレオチド長であり得る。ガイド配列は、20ヌクレオチド長であり得る。
【0121】
ガイド核酸は、操作されて、ガイド配列が標的配列に対して相補的であるようにガイド配列を変更することによって所望の標的配列を標的化し、それによって、ガイド配列と標的配列の間のハイブリダイゼーションを可能にし得る。操作されたガイド配列を含むガイド核酸は、操作されたガイド核酸と称することができる。操作されたガイド核酸は、天然に存在しないことが多い。
【0122】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼによるゲノム編集は、トランス活性化CRISPR RNA(tracr)配列を必要としないかもしくはそれに依存しないおよび/またはダイレクトリピートは、ガイド(標的またはスペーサー)配列の5’(上流)に存在する。
【0123】
1つまたは複数の天然に存在しないガイド核酸を含む標的化可能なヌクレアーゼシステムは、天然に存在しないシステムである。
【0124】
一部の実施形態では、RNAの安定性、細胞内での標的化、トラッキング(例えば、蛍光標識による)を変更する化学改変を使用してガイドRNAを改変する。これらの改変は、特定の適用に対する新規エンドヌクレアーゼの機能を改善するのに有用である。
【0125】
一部の実施形態では、ガイド核酸は、ホスホロチオエート、逆極性連結(inverted polarity linkage)、および脱塩基ヌクレオシド連結、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ核酸、シクロヘキセニル核酸(CeNA);ならびに2’-O-メトキシエチル、2’-O-メチル、および2’-フルオロ、2’-ジメチルアミノオキシエトキシ、2’-ジメチルアミノエトキシエトキシより選択される改変糖部分を含む。さらなる改変は、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、コレステロール部分、コール酸、チオエーテル、チオコレステロール、5’キャップ(例えば、7-メチルグアニル酸キャップ(m7G))または3’ポリアデニル化テイル(すなわち、3’ポリ(A)テイル)のコンジュゲーションを含む。さらなる改変は、5-メチルシトシン;5-ヒドロキシメチルシトシン;キサンチン;ヒポキサンチン;2-アミノアデニン;アデニンの6-メチル誘導体;グアニンの6-メチル誘導体;アデニンの2-プロピル誘導体;グアニンの2-プロピル誘導体;2-チオウラシル;2-チオチミン;2-チオシトシン;5-プロピニルウラシル;5-プロピニルシトシン;6-アゾウラシル;6-アゾシトシン;6-アゾチミン;シュードウラシル;4-チオウラシル;8-ハロアデニン;8-アミノアデニン;8-チオールアデニン;8-チオアルキルアデニン;8-ヒドロキシルアデニン;8-ハログアニン;8-アミノグアニン;8-チオールグアニン;8-チオアルキルグアニン;8-ヒドロキシルグアニン;5-ハロウラシル;5-ブロモウラシル;5-トリフルオロメチルウラシル;5-ハロシトシン;5-ブロモシトシン;5-トリフルオロメチルシトシン;5-置換ウラシル;5-置換シトシン;7-メチルグアニン;7-メチルアデニン;2-F-アデニン;2-アミノ-アデニン;8-アザグアニン;8-アザアデニン;7-デアザグアニン;7-デアザアデニン;3-デアザグアニン;3-デアザアデニン;三環式ピリミジン;フェノキサジンシチジン;フェノチアジンシチジン;置換フェノキサジンシチジン;カルバゾールシチジン;ピリドインドールシチジン;7-デアザグアノシン;2-アミノピリジン;2-ピリドン;5-置換ピリミジン;6-アザピリミジン;N-2、N-6もしくはO-6置換プリン;2-アミノプロピルアデニン;5-プロピニルウラシル;または5-プロピニルシトシンを含む。
【0126】
6.7.RNP
リボヌクレオタンパク質粒子またはRNPは、上記セクションで記載されたヌクレアーゼ誘導型ヌクレアーゼとガイド核酸の間に形成される複合体である。適合性であるヌクレアーゼ誘導型ヌクレアーゼとガイド核酸は、標的化可能なヌクレアーゼ活性を有するRNPを形成することができる。好ましい実施形態では、RNPは、遺伝子編集に使用され得る。
【0127】
一部の実施形態では、ヌクレアーゼ誘導型ヌクレアーゼおよびガイド核酸は、天然の対である。一部の実施形態では、これは、核酸誘導型ヌクレアーゼと異種ガイド核酸の複合体である。一部の実施形態では、異種ガイド核酸は、天然に存在せず、合成であるかまたは操作されている。
【0128】
6.8.ポリヌクレオチド
別の態様では、本発明は、核酸誘導型ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドを提供する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、天然に存在する核酸誘導型ヌクレアーゼをコードする。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載の天然に存在しない核酸誘導型ヌクレアーゼをコードする。ある特定の実施形態では、天然に存在しないヌクレアーゼは、本明細書に記載の操作された核酸誘導型ヌクレアーゼである。
【0129】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ヌクレアーゼポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドセグメントおよび融合ペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドセグメントを含む。融合ペプチドは、シグナルペプチドまたは1つもしくは複数のNLSであり得る。
【0130】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号2~273より選択される配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する核酸誘導型ヌクレアーゼをコードする第1のポリヌクレオチドセグメントを含む。
【0131】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、哺乳動物細胞における発現のためにコドン最適化されている。一部の実施形態では、第1のポリヌクレオチドはコドン最適化されている。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、細菌または真核生物または酵母における発現のためにコドン最適化されている。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化されている。
【0132】
一部の実施形態では、第1のポリヌクレオチドセグメントは、配列番号722~766より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列を有する。一部の実施形態では、第1のポリヌクレオチドセグメントは、配列番号722~766より選択される配列を有する。
【0133】
一部の実施形態では、第1のポリヌクレオチドセグメントは、配列番号677~721より選択される配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列を有する。一部の実施形態では、第1のポリヌクレオチドセグメントは、配列番号677~721より選択される配列を有する。
【0134】
別の態様では、本開示は、本明細書において提供される核酸誘導型ヌクレアーゼをコードするベクターを提供する。一部の実施形態では、ベクターは、本明細書に記載のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ベクターは、少なくとも1つのmRNAを含む。一部の実施形態では、ベクターは、核酸誘導型ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結したプロモーターまたは他の調節エレメントをさらに含む。一部の実施形態では、調節エレメントは、組織特異的に(例えば、肝臓、脳、リンパ球、筋肉、腫瘍、ウイルス感染細胞など)または時間的に特異的に(例えば、胚、胎児、細胞周期特異的など)発現を駆動する。一部の実施形態では、ベクターはプラスミドである。一部の実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。ある特定の実施形態では、ベクターは、AAV、レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルパー依存性アデノウイルス、またはレンチウイルス(IDLVを含む)である。ある特定の実施形態では、送達の手段は、粒子、ナノ粒子、または脂質ナノ粒子である。ある特定の実施形態では、送達の手段は、エキソソームまたはフソソームによるものである。ある特定の実施形態では、送達の手段は、微小気泡である。ある特定の実施形態では、送達の手段は、電気穿孔によるものである。一部の実施形態では、発現構築物は、電気穿孔を使用して標的細胞内に導入されるか、または脂質もしくは化学ベースの方法、粒子銃を使用する「遺伝子銃」、マイクロインジェクション、リガンド媒介型遺伝子送達、インペールフェクション(impalefection)、レーザー照射、フォトポレーション(photoporation)、ソノポレーション(sonoporation)、ハイドロポレーション(hydroporation)、およびマグネトフェクションを使用してトランスフェクトされる。
【0135】
一部の実施形態では、原核生物および真核生物の発現構築物は、標的細胞において核酸誘導型ヌクレアーゼとガイド核酸の両方を発現するように設計される。一部の実施形態では、発現構築物は、標的細胞における一過的発現または安定した発現のためのものである。一部の実施形態では、構築物は、単一または多数のガイド核酸をタンデムに発現するように設計される。
【0136】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼおよびガイド核酸は、RNAとして送達される。
【0137】
一部の実施形態では、生物学的ツール、またはウイルスベクターなどのシステムを使用して、核酸誘導型ヌクレアーゼおよびガイド核酸を標的細胞へと送達する。一部の実施形態では、これは、ヘルパー細胞株においてウイルス粒子を産生するベクターの生成を伴う。ウイルス粒子を採取し、標的細胞株に形質導入するために使用する。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、組込みベクターまたは非組込みベクターのいずれか、例えば、レンチウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルスのベクターである。一部の実施形態では、これらの生物学的ツールを使用して、核酸誘導型ヌクレアーゼとガイド核酸のいずれかまたは両方を標的細胞中に導入する。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼとガイド核酸の両方またはいずれかの発現は、誘導性発現ベクターを使用して制御される。一部の実施形態では、ベクターからの発現は、特定の細胞型において核酸誘導型ヌクレアーゼとガイド核酸のいずれかまたは両方の発現を駆動するために細胞型特異的プロモーターを使用して制御される。これにより、ウイルス粒子の全身送達が可能になるが、生物中での特定の細胞型に発現は制限される。
【0138】
6.9.宿主細胞
さらに別の態様では、本開示は、本明細書において提供される核酸誘導型ヌクレアーゼを含む宿主細胞を提供する。一部の実施形態では、宿主細胞は、核酸誘導型ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、核酸誘導型ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む。
【0139】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、天然に存在するタンパク質である。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、合成または操作されたタンパク質である。
【0140】
一部の実施形態では、宿主細胞は、ガイド核酸をさらに含む。一部の実施形態では、ガイド核酸は、異種ガイド核酸である。一部の実施形態では、宿主細胞は、ガイド核酸をコードする発現構築物を含む。一部の実施形態では、ガイド核酸は、核酸誘導型ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドを含む単一のポリヌクレオチドのカセット中に提供される。
【0141】
宿主細胞は、1つもしくは複数のベクター、線状ポリヌクレオチド、ポリペプチド、核酸-タンパク質複合体、またはこれらの任意の組合せで一過的または非一過的にトランスフェクトされ得る。
【0142】
一部の実施形態では、宿主細胞は原核細胞である。一部の実施形態では、宿主細胞は真核細胞である。参照により本明細書に組み込まれる、PCT/US13/74667が参照される。一部の実施形態では、生殖系細胞に対して改変がなされ、遺伝子操作された多細胞生物、例えば、ノックインもしくはノックアウトマウス、ラット、またはヒトが得られる。参照により本明細書に組み込まれる、Platt et al., Cell, 159(2):440-455を参照されたい。一部の実施形態では、宿主細胞は、非哺乳動物の真核細胞、例えば、家禽(例えば、ニワトリ)、脊椎骨のある魚(例えば、サケ)、甲殻類(例えば、カキ、二枚貝、エビ)、昆虫(例えば、ミバエ)、酵母、または植物(例えば、キャッサバ、トウモロコシ、ソルガム、ダイズ、オート麦、コメ、柑橘類、堅果の木、綿、タバコ、食用果物、食用野菜、コーヒー、カカオ)であってよく、その結果、細胞、組織または完全な生物が、ヌクレアーゼを使用して編集される。
【0143】
6.10.標的化可能なヌクレアーゼシステム
一態様では、本開示は、真核生物または原核生物のゲノムの標的領域を編集するための標的化可能なヌクレアーゼシステムであって、(1)核酸誘導型ヌクレアーゼ、および(2)核酸誘導型ヌクレアーゼと複合体を形成するためのガイド核酸を含む、標的化可能なヌクレアーゼシステムを提供する。一部の実施形態では、システムは、(3)標的領域に結合するよう構成された相同鋳型をさらに含む。
【0144】
6.10.1.核酸誘導型ヌクレアーゼ
遺伝子編集システムは、本明細書に記載の核酸誘導型ヌクレアーゼを含む。核酸誘導型ヌクレアーゼは、天然に存在するヌクレアーゼまたは操作されたヌクレアーゼであり得る。
【0145】
標的化可能なヌクレアーゼシステムは、本明細書に記載の核酸誘導型ヌクレアーゼのいずれかを含み得る。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、配列番号2~273より選択される配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレアーゼを含む。
【0146】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、Acidaminococcus massiliensis、Acidaminococcus sp.、Acinetobacter indicus、Agathobacter rectalis、Anaerovibrio lipolyticus、Bacteroidales bacterium、Bacteroides galacturonicus、Bacteroides plebeius、Bacteroidetes bacterium、Butyrivibrio fibrisolvens、Butyrivibrio hungatei、Butyrivibrio sp.、Candidatus Falkowbacteria bacterium、Candidatus Falkowbacteria bacterium、Candidatus Gottesmanbacteria bacterium、Candidatus Jacksonbacteria bacterium、Candidatus Magasanikbacteria bacterium、Candidatus Moranbacteria bacterium、Candidatus Pacebacteria bacterium、Candidatus Roizmanbacteria bacterium、Candidatus Ryanbacteria bacterium、Candidatus Saccharibacteria bacterium、Candidatus Sungbacteria bacterium、Candidatus Uhrbacteria bacterium、Candidatus Wildermuthbacteria bacterium、Candidatus Yonathbacteria bacterium、Catenovulum sp.、Clostridiales bacterium、Clostridium sp.、Coprococcus eutactus、Coprococcus sp.、Deltaproteobacteria bacterium、Elizabethkingia sp.、Eubacteriaceae bacterium、Eubacterium eligens、Eubacterium rectale、Eubacterium sp.、Eubacterium ventriosum、Fibrobacter sp.、Fibrobacter succinogenes、Firmicutes bacterium、Flavobacterium branchiophilum、Francisella hispaniensis、Francisella novicida、Francisella philomiragia、Francisella tularensis、Lachnospiraceae bacterium、Lachnospira pectinoschiza、Lentisphaeria bacterium、Leptospiraceae bacterium、Leptospira sp.、Moraxella bovis、Moraxella bovoculi、Moraxella lacunata、Moraxella ovis、Moraxella sp.、Muribaculaceae bacterium、Patescibacteria group bacterium、Phycisphaerae bacterium、Phycisphaerales bacterium、Porphyromonadaceae bacterium、Porphyromonas crevioricanis、Prevotella brevis、Prevotellaceae bacterium、Prevotella copri、Prevotellamassilia sp.、Prevotella ruminicola、Prevotella sp.、Prolixibacteraceae bacterium、Pseudobutyrivibrio sp.、Pseudobutyrivibrio xylanivorans、Psychrobacter sp.、Ruminococcaceae bacterium、Ruminococcus sp.、Sedimentisphaera cyanobacteriorum、Sneathia amnii、Spirochaetia bacterium、Succinivibrionaceae bacterium、またはTreponema sp.を起源とする。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、天然に存在する核酸誘導型ヌクレアーゼのバリアントまたは改変である。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、ヌクレアーゼポリペプチドおよび融合ペプチドを含む。融合ペプチドは、シグナルペプチドまたは1つもしくは複数のNLSであり得る。
【0147】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、コドン最適化ポリヌクレオチドから産生される。
【0148】
6.10.2.ガイド核酸
遺伝子編集システムは、本明細書に記載のガイド核酸をさらに含む。ガイド核酸は、天然に存在するか、合成であるか、または操作されている可能性がある。
【0149】
一部の実施形態では、操作されたガイドポリヌクレオチドは、ヌクレアーゼと複合体を形成するように設計されており、ガイド配列を含み、ここで、ガイド配列は、原核細胞または真核細胞において標的配列とハイブリダイズするように設計されている。
【0150】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼを、核酸誘導型ヌクレアーゼと適合性である異種ガイド核酸と一緒に使用し、それによって機能的RNPを形成する。
【0151】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼおよび異種ガイド核酸は、2つの異なる種を起源とする。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼおよび異種ガイド核酸は、同じ種を起源とする。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼおよび異種ガイド核酸は、同じ種を起源とするが、自然界では同じ細胞内に存在しない。
【0152】
6.10.3.相同鋳型
相同鋳型は、標的配列と相同な配列を含む。標的配列は、原核細胞または真核細胞に対して内因性または外因性の任意のポリヌクレオチドであり得る。例えば、標的配列は、真核細胞の核に存在するポリヌクレオチドであり得る。一部の実施形態では、標的領域は、真核細胞ゲノム内に存在する。一部の実施形態では、標的領域は、細菌細胞ゲノム内に存在する。一部の実施形態では、標的領域は、植物細胞ゲノム内に存在する。一部の実施形態では、標的領域は、哺乳動物細胞ゲノム内に存在する。一部の実施形態では、標的領域は、ヒトゲノム内に存在する。
【0153】
標的配列は、コード配列または非コード配列であり得る。標的配列は、PAM;すなわち、RNPによって認識される短い配列の近くに局在するかまたはPAMを含み得る。一部の実施形態では、PAMは、標的配列に隣接する2~5塩基対の配列である。PAMは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより長いヌクレオチド長であり得る。
【0154】
一部の実施形態では、PAM配列はTTTV(ここで、Vは、A、C、またはGより選択されるいずれか1つの塩基である)である。一部の実施形態では、PAM配列は、TTTVではない。一部の実施形態では、PAM配列は、NTTN、NCTV、CTTV、GTTV、NCTV、TCTV、およびNTTV(ここで、Nは、A、T、C、またはGより選択されるいずれか1つの塩基である)より選択される。
【0155】
相同鋳型は、標的配列に対して少なくとも1つの変異または改変を含み得る。一部の実施形態では、相同鋳型は、標的領域と比較して、挿入、欠失、または改変を含む。相同鋳型は、標的領域に相補的な配列を含み得る。
【0156】
相同鋳型は、標的配列に対する少なくとも1つの変異または改変に隣接する相同領域(または相同アーム)を含み得、その結果、隣接する相同領域は、編集配列の標的配列への相同組換えを促進する。一部の実施形態では、少なくとも1つの変異は、PAM部位を変異または欠失させる1つまたは複数のPAM変異である。PAM変異は、サイレント変異であり得る。PAM変異は、非サイレント変異であり得る。非サイレント変異は、ミスセンス変異を含み得る。編集配列は、標的部位に対してコード配列または非コード配列に1つまたは複数の変異を含み得る。
【0157】
一部の実施形態では、相同鋳型は、標的配列に対して少なくとも1つの変異を含む。変異は、サイレント変異またはミスセンス変異などの非サイレント変異であり得る。変異は、1つまたは複数のヌクレオチドまたは塩基対の挿入を含み得る。変異は、1つまたは複数のヌクレオチドまたは塩基対の欠失を含み得る。変異は、1つまたは複数のヌクレオチドまたは塩基対での異なる1つまたは複数のヌクレオチドまたは塩基対の置換を含み得る。挿入されたかまたは置換された配列は、外因性の配列または異種配列を含み得る。一部の実施形態では、相同鋳型は、相同領域に隣接した外因性配列をさらに含む。
【0158】
一部の実施形態では、相同鋳型内の相同領域は編集カセットの1つまたは複数の変異に隣接し、組換えによって標的配列中に挿入され得る。組換えは、例えば、核酸誘導型ヌクレアーゼによるDNA切断、および相同組換えによる修復を含み得る。
【0159】
一部の実施形態では、相同鋳型は、ベクター内に存在するかまたは別のポリヌクレオチド、例えば、オリゴヌクレオチド、線状ポリヌクレオチド、もしくは合成ポリヌクレオチドとして提供される。一部の実施形態では、相同鋳型は、ガイド核酸として同じポリヌクレオチドに存在する。一部の実施形態では、相同鋳型は、ガイド核酸として別のポリヌクレオチドに存在する。一部の実施形態では、相同鋳型は、核酸誘導型ヌクレアーゼによってニックを入れられるかまたは切断される標的配列内またはその付近で、相同組換えの鋳型として機能するように設計される。相同鋳型は、任意の好適な長さ、例えば、約10もしくはそれより長い、約15もしくはそれより長い、約20もしくはそれより長い、約25もしくはそれより長い、約50もしくはそれより長い、約75もしくはそれより長い、約100もしくはそれより長い、約150もしくはそれより長い、約200もしくはそれより長い、約500もしくはそれより長い、約1000もしくはそれより長い、またはそれより長いヌクレオチド長であり得る。一部の実施形態では、相同鋳型は、標的配列を含むポリヌクレオチドの一部に対して相補性である。相同鋳型は、標的配列の1つまたは複数のヌクレオチド(例えば、約1もしくはそれより長い、約5もしくはそれより長い、約10もしくはそれより長い、約15もしくはそれより長い、約20もしくはそれより長い、約25もしくはそれより長い、約30もしくはそれより長い、約35もしくはそれより長い、約40もしくはそれより長い、約50もしくはそれより長い、約100もしくはそれより長い、約150もしくはそれより長い、約200もしくはそれより長い、約250もしくはそれより長い、約300もしくはそれより長い、約400もしくはそれより長い、約500もしくはそれより長い、約600もしくはそれより長い、約700もしくはそれより長い、約800もしくはそれより長い、約900もしくはそれより長い、約1000もしくはそれより長い、またはそれより多いヌクレオチド)と重複し得る。
【0160】
6.11.ゲノムを編集する方法
一態様では、本開示は、本明細書において提供される遺伝子編集システムを使用して真核生物または原核生物のゲノムの標的領域を改変する方法を提供する。方法は、(1)標的領域を含む試料を、(i)核酸誘導型ヌクレアーゼおよび(ii)核酸誘導型ヌクレアーゼと複合体を形成したガイド核酸と接触させるステップと、(2)核酸誘導型ヌクレアーゼに標的領域を改変させるステップとを含み得る。一部の実施形態では、試料を、(iii)標的領域に結合するように構成された相同鋳型とさらに接触させる。
【0161】
一部の実施形態では、試料は、真核細胞、細菌細胞、植物細胞、哺乳動物細胞またはヒト細胞を含む。一部の実施形態では、試料は免疫細胞を含む。一部の実施形態では、免疫細胞はB細胞またはT細胞である。一部の実施形態では、ゲノム編集のための細胞は、ヒト、マウス、またはラットなどのトランスジェニック多細胞生物をもたらす生殖系細胞である。一部の実施形態では、ゲノム編集のための細胞は、幹細胞、造血幹細胞、人工多能性幹細胞、またはヌクレアーゼに媒介されるゲノム編集とその後の特定の細胞または組織型の派生を可能にする他のこのような標的細胞である。
【0162】
一部の実施形態では、遺伝子編集システムの1つまたは複数の構成成分をコードする1つまたは複数のベクターは、宿主細胞に導入される。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼおよびガイド核酸は、別のベクターの別の調節エレメントに作動可能に連結されている。一部の実施形態では、単一のベクター内で組み合わされた同一または異なる調節エレメントから発現されるエレメントの2つまたはそれより多くが導入される。いくつかのエレメントが単一のベクター内で組み合わされる場合、1つのエレメントのコード配列は、第2のエレメントのコード配列と同一の鎖または反対の鎖に位置付けられ、同一または反対の方向に方向付けられてもよい。一部の実施形態では、単一のプロモーターは、核酸誘導型ヌクレアーゼおよび1つまたは複数のガイド核酸をコードする転写物の発現を駆動する。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼおよび1つまたは複数のガイド核酸は、同じプロモーターに作動可能に連結され、それから発現される。他の実施形態では、1つもしくは複数のガイド核酸または1つもしくは複数のガイド核酸をコードするポリヌクレオチドは、核酸誘導型ヌクレアーゼまたは核酸誘導型ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列を既に含むin vitro環境下で、細胞内に導入される。核酸標的化システムの1つまたは複数のエレメントの発現のための送達ビヒクル、ベクター、粒子、ナノ粒子、製剤、およびそれらの構成成分は、他の箇所、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、PCT/US2013/074667で使用されるものと同様である。
【0163】
一部の実施形態では、方法は、2つ以上のガイド核酸を接触させるステップを含む。一部の実施形態では、2つ以上のガイド核酸のそれぞれは、異なるガイド配列を有し、それによって、異なる標的配列を標的化する。
【0164】
一部の実施形態では、方法は、in vivo、ex vivo、またはin vitroで、原核細胞または真核細胞において標的領域を改変するために使用される。一部の実施形態では、方法は、原核細胞などの細胞もしくは細胞の集団、または遺伝子編集のためのヒトもしくは非ヒト動物もしくは植物由来のものをサンプリングするステップを含む。培養するステップは、in vitroまたはex vivoのいずれの段階で行われてもよい。細胞(1つまたは複数)は、宿主にさらに再導入されてもよい。
【0165】
一部の実施形態では、方法は、RNPを標的配列に結合させて、前記標的領域を切断させ、それによって、標的領域を改変するステップを含む。
【0166】
本発明は、DNAまたはRNA配列標的化を伴う遺伝子発現の制御に使用されるシステム、方法、および組成物の操作および最適化に関し、核酸標的化システムおよびその構成成分に関する。一部の実施形態では、ウイルスベクターを使用して、ヌクレアーゼ誘導型ヌクレアーゼのライブラリーおよびまたはガイド核酸のライブラリーを標的細胞へと送達する。一部の実施形態では、Agrobacterium tumefaciensなどの細菌を使用して、ヌクレアーゼ誘導型ヌクレアーゼおよびガイド核酸の配列を植物ゲノム内に移入する。
【0167】
一部の実施形態では、これらの方法を使用して、ヌクレアーゼ誘導型ヌクレアーゼおよびガイド核酸の配列を、細菌、酵母、真菌、線虫、ショウジョウバエ、ゼブラフィッシュ、マウス、ラット、霊長類、および他の動物モデル系を含むがこれらに限定されない原核生物および真核生物に導入する。
【0168】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼおよびガイド核酸の配列は、上記システムを使用して標的細胞へと送達されて、DNA二本鎖切断(DSB)を誘導することによってノックアウト(KO)またはLOF変異を作製する。
【0169】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼおよびガイド核酸の配列は、ノックイン(KI)変異を作製するための相同組換え修復(HDR)鋳型により送達される。一部の実施形態では、HDR鋳型は、一本鎖または二本鎖のいずれかのDNAとして提供され、核酸誘導型ヌクレアーゼおよびガイド核酸と同時に導入されるか、または上記遺伝子移入のための方法を使用して逐次導入される。一部の実施形態では、HDR鋳型を操作して、天然に存在するかまたは合成の配列を標的ゲノム内に組み込む。
【0170】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼの改変バージョンは、DNA一本鎖切断をもたらす「CRISPR-ニッカーゼ」を作製するために生成される。一部の実施形態では、この変更は、忠実度を増強し、オフターゲット編集を減少させる場合があり、KOまたはKI変異を生成するために使用される。
【0171】
6.12.ゲノム編集された細胞
一態様では、本開示は、本明細書に記載の方法によって改変されたゲノムを含む細胞を提供する。一部の実施形態では、細胞は免疫細胞である。一部の実施形態では、細胞はB細胞またはT細胞である。
【0172】
本発明の利点は、細胞のゲノムを編集しながら、オフターゲット結合およびその生じる副作用を最小限にするかまたは回避することである。
【0173】
一部の実施形態では、疾患に関連する遺伝子またはポリヌクレオチドが改変されている。一部の実施形態では、B細胞またはT細胞受容体をコードするポリヌクレオチドが改変されている。
【0174】
一部の実施形態では、遺伝子編集は、遺伝子をノックアウトすること、遺伝子調節配列を改変してRNA発現を増加または低下させること、遺伝子を編集すること、遺伝子を変更すること、遺伝子を増幅させること、遺伝子を置き換えること、遺伝子を挿入すること、および特定の変異を修復することを含む。
【0175】
一部の実施形態では、操作された核酸誘導型ヌクレアーゼは、宿主細胞のゲノムDNA配列を変更させることなく、標的遺伝子の転写をブロックするために使用される酵素的に失活したヌクレアーゼである。
【0176】
一部の実施形態では、酵素的に失活した核酸誘導型ヌクレアーゼを転写アクチベーターに融合させて、宿主細胞のゲノムDNA配列を変更させることなく、標的遺伝子の転写を増強する。
【0177】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼまたはガイド核酸の配列ライブラリーを細胞内に導入し、遺伝子発現を変更させて、遺伝子機能をゲノムレベルで特定する。一部の実施形態では、これらのスクリーニングは、新規生物学的洞察または新規薬物標的の同定をもたらし得る。
【0178】
一部の実施形態では、酵素的に失活した核酸誘導型ヌクレアーゼおよびガイド核酸は、ゲノムの領域のクロマチン免疫沈降(ChIP)に利用される。一部の実施形態では、ヌクレアーゼをタンパク質タグに融合させて、クロマチンの特定領域への結合およびその精製を可能にする。一部の実施形態では、これらのタグは、ヘマグルチニン(HA)ドメイン、IF2ドメイン、GSTドメイン、緑色蛍光タンパク質ドメイン、および6×Hisタグを含む。一部の実施形態では、これらのタンパク質を特定のクロマチン領域のエピジェネティックプロファイリング、ゲノムプロファイリング、およびプロテオミックプロファイリングに使用する。
【0179】
一部の実施形態では、酵素的に失活した核酸誘導型ヌクレアーゼを、DNAを改変または標識する酵素に融合させる。一部の実施形態では、酵素、例えば、メチルトランスフェラーゼ、デメチラーゼ、アセチルトランスフェラーゼ、およびデアセチラーゼを使用して、標的細胞ゲノムへの改変を付加または除去する。
【0180】
一部の実施形態では、酵素的に失活した核酸誘導型ヌクレアーゼを蛍光タンパク質に融合させて、DNA複製などの細胞プロセス中のクロマチン動態を可視化させる。一部の実施形態では、酵素的に不活性な核酸誘導型ヌクレアーゼ蛍光レポーターを使用して、生細胞または死細胞内の特定の核酸を検出する。
【0181】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼを診断薬として使用して、生体試料中のウイルス病原体または微生物の夾雑物を検出する。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼは、酵素的に活性であるかまたは酵素的に失活しており、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなどの酵素レポーター、または緑色蛍光タンパク質などの蛍光レポーターを使用して核酸を検出するために使用される。
【0182】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼおよびガイド核酸を胚細胞、配偶子、接合子、卵割球、および胚性幹に導入して、基礎研究または疾患モデリングのための遺伝子操作された多細胞生物を生成する。一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼおよびガイド核酸を、in vitro、ex vivo、またはin vivo方法を使用して細胞内に導入する。一部の実施形態では、改変された生物は、真菌、植物、および真核生物である。
【0183】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼおよびガイド核酸をin vivoで体細胞内に導入して、遺伝子操作された多細胞生物を生成する。一部の実施形態では、改変された生物は、真菌、植物、および真核生物である。一部の実施形態では、これらのアプローチは、発生した生物または発生中の生物内の特定の細胞型またはすべての細胞を改変することを目的とする。
【0184】
一部の実施形態では、核酸誘導型ヌクレアーゼおよびガイド核酸は、静脈内注射、後眼窩注射、気管内注射、腫瘍内注射、関節および軟組織注射、筋肉内注射、病巣内注射、眼内注射、または核酸、ウイルスベクター、もしくはRNAおよびタンパク質複合体を生存生物内の組織へと送達するための他の方法論によって導入される。
【0185】
一部の実施形態では、これらの方法は、がんまたは疾患のモデリング、細胞生物学的または遺伝子研究、疾患関連変異の補正、細胞療法、創傷治癒および再生、診断、イメージングツール、農業目的、創薬、ならびに薬物開発および製造に使用される。
【0186】
一部の実施形態では、患者からの初代細胞を得、核酸誘導型ヌクレアーゼおよびガイド核酸をex vivoで細胞へと送達する。一部の実施形態では、細胞は、上記のゲノムの変更、エピゲノムの変更、またはトランスクリプトームの変更のいずれかを含有するよう改変される。一部の実施形態では、改変された細胞を治療目的で患者に導入して戻す。一部の実施形態では、これらの改変は、疾患関連変異を補正するか、または配列を導入して、免疫細胞の再生もしくは健康促進能を増強させる。一部の実施形態では、操作された細胞は、がん、自己免疫疾患、または感染性疾患に対する治療薬として使用される。一部の実施形態では、標的細胞は、T細胞、ナチュラルキラー細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、および造血幹細胞である。一部の実施形態では、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)を患者由来の免疫細胞(例えば、T細胞)内に導入し、患者に注入して戻す。一部の実施形態では、Casヌクレアーゼは、遺伝子、例えば、内因性TCR、ヒト白血球抗原、または免疫抑制遺伝子のKOに使用される。一部の実施形態では、標的細胞は同種である(すなわち、患者ではなくドナーに由来する)。一部の実施形態では、腫瘍浸潤を促進する分子スイッチ、死滅スイッチ、または分泌もしくは膜結合タンパク質を操作された細胞内に導入する。
【実施例】
【0187】
6.13.実施例
6.13.1.
(実施例1)
原核生物ゲノムの核酸誘導型ヌクレアーゼの同定およびコンピューター解析
MAD7は、Acidominococcus種由来のカノニカルAsCpf1とアミノ酸レベルで31%の相同性しか有さないCas12aバリアントであり、AsCpf1と比較して、Cas9からさらに離れて進化している。MAD7アミノ酸配列をクエリーとして使用して、他の原核生物内のホモログを検索した。blastxを使用して、NCBI Genbankのデータベースの134,655個の原核生物ゲノムに対してクエリーを実行した。本発明者らが「GIG-」ヌクレアーゼまたは「GIG-」酵素または「GIG-」Casヌクレアーゼまたは「GIG-」Cas酵素と称する381個のMAD7ホモログをこのコンピューター検索において同定した。全長コード配列を得るために努力して、ホモログ配列を最も近いメチオニン(存在する場合)の上流、および最も近い停止コドン(存在する場合)の下流に延長させた。これらのホモログは、MAD7アミノ酸配列に対して平均44.2%(22.96%~98.89%の範囲)の同一性を有した(
図1)。ホモログタンパク質の配列を、Clustal Omega(配列表を参照されたい)を使用してMAD7に対してアライメントし、系統樹を作製した(
図2)。
【0188】
ヌクレアーゼ配列が発見された同一のゲノムでは、CRISPRリピートアレイをPILER-CR(Edgar BMC Bioinformatics 8:18, 2007)を使用して検索した。転写された際に、CRISPRリピートは、配列特異的標的化のためのステムループ構造およびスペーサー領域を含有するCRISPR RNA(crRNA)を形成する。ステムループアーム長5ヌクレオチド、およびループ長3~5ヌクレオチド以内を使用するRパッケージ、BiostringsのfindPalindromes機能を使用して、CRISPRリピート配列内のパリンドローム配列を検索した。予測されたcrRNAの大部分は、TCTACというカノニカルステムループ左アーム配列を含有し、TCTGC、ATTTC、またはCCTACという新規のステムループ左アーム配列を含有するものは少数派であった(
図3)。CRISPRリピート配列を配列番号274~627として列挙する。
【0189】
MAD7ホモログにおける保存ドメインを同定するために、クラスターをMAD7ホモログのリスト内で同定した。Rパッケージ、apeおよびgeigerを使用して、様々な数のホモログ配列を含有する12個のクラスターを同定した(
図2)。複数の配列アライメントを実施し、表1に示すように各クラスター内の配列に関してコンセンサスアミノ酸配列を生成した。
【0190】
さらに、コンセンサス配列の中で、保存ドメインは、多義的なアミノ酸が10%以下で、ギャップがない、4アミノ酸以上を含有するストリング(すなわち、ペプチド)として同定された。これらの保存ペプチド配列は、GIG-Cas酵素にとって機能的に重要なドメインを表す場合があり、表2に列挙されている。保存ドメイン中の非保存アミノ酸は、Xとマークしている。
表1. 272種のMAD7 GIG-ヌクレアーゼホモログのClustalWによるアライメント。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
表2. 272種のMAD7 GIG-ヌクレアーゼホモログをclustalwによりアライメントすることによって同定した保存配列。
【表2-1】
【表2-2】
【0191】
6.13.2.
(実施例2)
核酸誘導型ヌクレアーゼの機能的解析
GIG-ヌクレアーゼのin vitroでの機能を試験するための方法
新規GIG-ヌクレアーゼの機能的特性を、Maxwell et al.(Methods. 2018 July 01; 143: 48-57)によって以前に記載されたE.coliに由来するin vitro転写-翻訳システムを使用して試験する。簡単に説明すると、新規GIG-ヌクレアーゼをコードするDNA配列および選択したDNA配列を標的化する同族ガイドRNAを、強力な細菌プロモーターの制御下に置き、無細胞系(Arbor Biosciences、Ann Arbor、MIから市販されている)で発現させる。ヌクレアーゼのDNA配列は、PCRによって増幅するか、またはギブソンアセンブリー、遺伝子ブロック、オリゴヌクレオチド、もしくは類似の方法を使用して、de novoで合成する。ヌクレアーゼDNA配列は、野生型であるかまたはコドン最適化されている。具体的には、ヌクレアーゼの転写はT7プロモーター(5’-TAATACGACTCACTATAG-3’)によって駆動され、構成的に活性なp70aプロモーター(例えば、Arbor BiosciencesからのプラスミドpTXTL-P70a-T7rnap)の制御下で同一反応中に発現されるT7 RNAポリメラーゼによって転写される。ガイドRNAの発現はP70aプロモーターの制御下に置かれ、強力な転写ターミネーターの存在により、適切な転写終結が保証される。あるいは、in vitro転写-翻訳反応からgRNA転写用の鋳型を省略し、GIG-Casヌクレアーゼの発現が完了した後に、合成的に合成したgRNAを代わりに添加する。さらに、標的DNAは、環状プラスミドまたは線状DNA断片のいずれかの形態で反応に添加する。機能的ヌクレアーゼおよびその同族ガイドRNAを発現させると、標的DNAの切断が起こり、これはアガロースゲル上での移動度シフト解析、キャピラリー電気泳動またはマイクロ流体システムを含む様々な解析方法によって検出することができる。代替の読み出し方法としては、定量的PCRが挙げられる。
【0192】
CRISPR/Casヌクレアーゼによる生産的切断では、プロトスペーサー標的配列のすぐ近くに真のPAM(プロトスペーサー隣接モチーフ)配列が必要とされる。典型的には3~5ヌクレオチド長で、プロトスペーサー配列のすぐ隣に位置するかまたは数ヌクレオチドが除去された許容されるPAM配列の非存在下では、切断は起こらない。PAM配列が元々知られていない新規GIG-Casヌクレアーゼの場合、標的配列への改変後に、上記のin vitro転写-翻訳システムを使用して、認識されるPAM配列を決定する。この目的のために、プロトスペーサー配列のすぐ隣の領域に、ヌクレオチドのランダム化ストレッチを導入する。典型的には、このような領域は、6、7、8、9または10個のランダム化ヌクレオチドからなる。前述のランダム化PAM配列のライブラリーをGIGヌクレアーゼ消化に供することによって、許容されるPAMヌクレオチドのバリアントと位置に対応する配列が切断され、適合しないPAMバリアントを有する配列は未消化のままである。ハイスループットDNAシーケンシング(Illuminaによって製造された「次世代シーケンシング」、またはNGS)によって、差が、消化された試料と、ガイドRNAを欠くかまたは無関係なガイドRNAを追加補充した対照との間の各PAM配列バリアントの存在量であるので、PAMプロファイルを決定する。
【0193】
特定のPAM配列が、例えば、ヌクレアーゼの特定のサブタイプに広く存在するある特定の事例では、ヌクレアーゼに媒介される切断およびレポーター遺伝子の不活性化に基づくスクリーニングが用いられる。例えば、タンパク質のCas12aファミリー(MAD7を含むクラスII、タイプVヌクレアーゼ)の多くのメンバーは、プロトスペーサー配列のすぐ5’側にTTTV(ここで、V=A、CまたはG)のコンセンサスモチーフを有するPAM配列をカノニカルに認識する。このような場合には、Maxwell et al. (Methods. 2018 July 01; 143: 48-57)および上に記載されているような前駆的ヌクレアーゼ活性スクリーニングを設計して、多数の新規ヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性を迅速に検出することができる。一実施態様では、レポーター遺伝子は、GFPまたはRFPなどの蛍光タンパク質をコードする。遺伝子のコード領域内、好ましくはATG開始コドンの近傍、またはオープンリーディングフレームのすぐ上流に、テトラヌクレオチドTTTA、TTTCまたはTTTGに対応するPAM配列モチーフを同定し、ガイドRNAを設計して、標的遺伝子の切断を促進する。Maxwellらのin vitro転写-翻訳方法を使用して、新規GIG-ヌクレアーゼ、その同族レポーター標的化ガイドRNAおよびレポータータンパク質を試験管内で発現させ、レポータータンパク質の蓄積および関連する蛍光シグナルを経時的に(10分ごとに18時間)モニターする。レポーター遺伝子の切断は、標的特異的ガイドRNAを欠くかまたはスクランブルスペーサーを有するガイドRNAを含む非標的化ガイドRNAを追加補充した陰性対照と比較して蛍光の低下をもたらす。あるいは、蛍光レポータータンパク質、またはベータ-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼもしくは抗生物質選択マーカーなどの一般的に使用される他のレポーターを使用して、細菌細胞または任意の他の細胞系、すなわち、哺乳動物細胞における機能性を暗黙的に試験するための細胞系で、スクリーニングを確立することができる。このシステムは、数百の新規ヌクレアーゼを活性についてスクリーニングするのに好適であり、推定PAM配列が利用できる場合、候補ヌクレアーゼの初期スクリーニングとして使用することができる。また、このシステムは、適切な修正により、ヌクレアーゼの相対的活性および動力学的特性を評価するために使用することができる。
【0194】
機能する標的化可能なヌクレアーゼ複合体を有するために、核酸誘導型ヌクレアーゼおよび適合性のガイド核酸が必要とされる。適合性のガイド核酸の配列、特にガイド核酸の足場配列部分を決定するために、複数のアプローチが取られる。最初に、各核酸誘導型ヌクレアーゼの内因性遺伝子座の近くに足場配列が求められる。内因性足場配列が見られない場合、他の新規GIG-Casヌクレアーゼの内因性遺伝子座の近くに見られた足場配列を試験する。
【0195】
核酸誘導型ヌクレアーゼおよび対応するガイド核酸の機能性を評価するために、相同鋳型を作製する。相同鋳型は、標的配列に対して変異を含む。変異は、切断された標的配列への組換えを可能にする相同性の領域(相同アームまたはHA)に挟まれている。様々な足場配列を含むガイド核酸を試験する。
【0196】
核酸誘導型ヌクレアーゼをコードする発現構築物を、上記のような編集ポリヌクレオチドと一緒に宿主細胞に添加する。編集効率は、回収された細胞中の編集プラスミドをハイスループットで測定するqPCRによって決定される。編集ポリヌクレオチドは、編集された細胞をより容易に選択できるように、選択可能なマーカーを含むことができる。
【0197】
適合性のPAM配列の同定
新規Casタンパク質について許容されるPAMバリアントを解明するために、Maxwellet al. (Methods, 2018)のin vitroシステムを用いた。簡潔には、T7プロモーターの調節下にあるCasタンパク質ORFを含有するプラスミド(例えば、
図4および配列番号814)、プロトスペーサーのすぐ5’側に位置するランダム化10merカセット(5’-配列)を有する、標的遺伝子であるMR1遺伝子(NM_001531. 2)を含有するプラスミド、およびP70aプロモーターの制御下にある同族ガイドRNA(5’-gggcgtttcggatcccatccatgggg-3’)をコードする合成DNA分子を、in vitro転写-翻訳システム(Arbor Biosciences)に添加し、29℃で18時間インキュベートして、ヌクレアーゼおよびガイドRNAを発現させ、標的DNAを切断させる。ガイドRNAの例を表3に、および標的MR1配列の例を表4に示す。
表3. MR1遺伝子を標的化する新規GIG-ヌクレアーゼのためのガイドRNAの例。大文字=リピート配列;小文字=MR1遺伝子を標的化するスペーサー配列。
【表3】
表4. PAM部位を強調した標的MR1配列の例。大文字、太字/下線=PAM配列、またはランダム化PAMスクリーニングカセット;小文字=MAD7のための21塩基対のプロトスペーサー配列。
【表4】
【0198】
ガイドRNAを欠く陰性対照を並行して実施した。インキュベーション後に、PAMカセットを包含するDNA領域をPCR増幅させ、ハイスループットシーケンシングに供した。推定PAMカセットの各位置に対するGIG-Casヌクレアーゼのヌクレオチド優先度を、ガイドRNA含有試料とガイドRNA欠損試料の間の存在量の相対差として計算した。このアッセイを使用して、GIG-1(配列番号123)、GIG-4(配列番号254)およびGIG-5(配列番号28)のPAMは、TTTVであると決定された。
【0199】
より高いスループットのために、同様のin vitro転写-翻訳システムを緑色蛍光タンパク質(GFP)レポーター遺伝子と組み合わせて実装し、43個のGIG-ヌクレアーゼの活性を評価した。選択した43個のGIG-ヌクレアーゼは、GIG-Casヌクレアーゼのフルセット(配列番号2~273)のタンパク質配列の多様性を代表しており、すなわち、解析した配列は、GIG-Casヌクレアーゼのクレード(すなわち、
図2)の多様なサンプリングを表した。この事例では、標的遺伝子がGFPをコードし、ガイドRNAスペーサー配列がGFPタンパク質のオープンリーディングフレーム内の天然に存在するTTTC PAM配列のすぐ近傍に存在するように選択された以外は、基本的に上記のように反応を設定した。標的遺伝子をATG開始コドンの近くで切断することにより、標的特異的ガイドRNAを含有する試料では、ガイドRNAを欠く対照と比較して、GFP活性が低下することが予測された。成功した実験では、反応物にGFP標的化ガイドRNAを追加補充した場合、蛍光の明確な低下が観察され、いくつかのGIG-ヌクレアーゼは他のものよりも顕著な効果を実証した。MR1標的化アッセイについて上述したように、インキュベーション後に、PAMカセットを包含するDNA領域をPCR増幅させ、ハイスループットシーケンシングに供した。推定PAMカセットの各位置に対するGIG-Casヌクレアーゼのヌクレオチド優先度を、ガイドRNA含有試料とガイドRNA欠損試料の間の存在量の相対差として計算した。
【0200】
図5A~5Cは、本発明からのGIG-1(配列番号123)、GIG-4(配列番号254)、GIG-3(配列番号79)、GIG-2(配列番号43)、およびGIG-5(配列番号28)に関するPAMスクリーニングの例示的GFPレポーター結果を示す。
図6は、31例のGIG-酵素についての定量的シーケンシングヒートマップ結果を示す。
図7A~7Dは、31例のGIG-酵素についてのヒートマップを要約する配列ロゴを示す。表5は、本明細書に記載のGIG-ヌクレアーゼについて同定されたコンセンサス優勢PAM配列を提供する。本発明のほとんどのGIG-ヌクレアーゼは、以前に開示されたCpf1ヌクレアーゼとの類似性を示すが、GIG-ヌクレアーゼの多くは、公知のPAM配列との定量的または定性的な差異を示す。例えば、PAMの-2位にシトシンを有する、強い活性を有さないMAD7とは対照的に、GIG-2、GIG-20、およびGIG-27は、PAMの-3位および-2位にシトシンヌクレオチドを持つことができる。このような差異は、ゲノムの操作の適用に利点を与える可能性がある。
表5は、酵素ID、アミノ酸配列、E.coli最適化ヌクレオチド配列、ヒト最適化ヌクレオチド配列、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)、およびクラスターを関連付けるためのルックアップキーを提供する。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【0201】
ヌクレアーゼタンパク質の発現および精製
本発明のヌクレアーゼは、当業者に周知の方法を使用して精製される。ヌクレアーゼのコード配列は、E.coliに対してコドン最適化し(例えば、配列番号632~676および677~721)、6×hisタグとインフレームでpET21b発現ベクター(例えば、
図8およびpET21b-GIG-17の配列番号812)にクローニングした。他の種類の精製タグ、例えば、FLAGタグなども使用することができる。プラスミドをRosetta2(DE3)E.coliに形質転換し、ODが0.5になるまで培養し、氷上に15分間置き、次いで、発現のために、1mMのIPTGで誘導し、20℃で一晩振盪した。細胞を採取し、化学的および/または物理的な方法によって溶解させた。Hisタグ付きタンパク質は、遊離IMAC樹脂(Ni-NTA)、またはカラムに充填した樹脂を使用し、溶出用イミダゾールを用いて、溶解物から捕捉した。さらなる精製は、CEXカラムクロマトグラフィーを使用して、pH5.5~7.5および高塩溶出で実施した。最終的な洗練は、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して実施した。精製したヌクレアーゼは、20mMのHEPES、500mMのNaCl pH7.5中で製剤化し、4℃または-80℃で保存する。
【0202】
精製したタンパク質は、SDS-PAGE(
図9)およびSE-HPLC(
図10A~10C)を使用して純度について、A280による濃度とともに評価した。結果を表6にまとめる。
表6. Ni-NTA(Hisタグ捕捉)およびCEX精製方法を使用する本発明のGIG-ヌクレアーゼに関する精製結果。
【表6-1】
【表6-2】
【0203】
GIG-ヌクレアーゼに関するゲノム編集活性アッセイ
SpCas9(Synthego Corporation、Redwood City、CA、USA)、Alt-R AsCas12a(Cpf1)V3(IDT、Coralville、IA、USA)、精製MAD7および精製GIG-ヌクレアーゼを、Amaxa Nucleofectorシステム(Lonza、Basel、Switzerland)を使用してJurkat E6-1細胞(TIB-152、ATCC、Manassas、VA、USA)へと電気穿孔した。リボヌクレオタンパク質(RNP)複合体は、SpCas9、AsCas12a、またはGIG-ヌクレアーゼを合成ガイドRNA(sgRNA)と1:1.2のモル比で室温にて10分間インキュベートすることによって調製した。asCas12aおよびGIG-ヌクレアーゼと共に使用したsgRNA配列は、IDT(Coralville、IA、USA)により合成され、表7に提供する。spCas9と共に使用したsgRNA配列は、Synthego Corporation(Redwood City、CA、USA)によって合成され、TRAC標的化プロトスペーサー(表7)およびSynthegoからの所有権のある足場からなる。細胞をペレットにし、Nucleofection Buffer SE(Lonza、Basel、Switzerland)中に細胞1×107個/mLで再懸濁させた。Alt-R(登録商標)Cpf1 Electroporation Enhancer(IDT、Coralville、IA、USA)を細胞に添加し、次いで、20μLの細胞懸濁物を電気穿孔直前に40pmolのRNP複合体と混合した。次いで、細胞を96ウェルプレートに移し、10%のFBSを追加補充した200μLのRPMI培地に再懸濁させた。24時間回復させた後、細胞を10%のFBSを追加補充した2mLのRPMI培地を含有する6ウェルプレートに移した。細胞を、電気穿孔の5日後に、フローサイトメトリーによってノックダウン効率について解析した。
【0204】
電気穿孔したJurkat E6-1細胞をMACS緩衝液で洗浄し、次いでAPC抗ヒトCD3抗体(Clone UCHT1、BioLegend、San Diego、CA、USA)およびPerCP/Cyanine5.5抗ヒトTCRα/β抗体(Clone IP26、BioLegend、San Diego、CA、USA)で4℃にて30分間染色した。MACS緩衝液で2回洗浄した後、細胞をDAPIで染色し、CytoFLEXフローサイトメーター(Beckman Coulter、Brea、CA、USA)およびFlowJoソフトウェア(BD Biosciences、San Jose、CA、USA)を使用して解析した。各試料について、50,000個の生細胞(DAPI-)のサイトメトリーデータを収集した。TCRノックダウン効率は、野生型細胞に対して正規化した電気穿孔試料におけるTCRαβ+/CD3+細胞のパーセンテージを評価することによって決定した。これらの実験の結果を、表8~9および
図11~12に示す。
【0205】
表7. TRAC標的ゲノムおよびsgRNA配列。
【表7】
表8. Jurkat細胞のヒトTRAC遺伝子座における選択されたGIGヌクレアーゼのノックダウンおよびHDR効率。
【表8】
表9. Jurkat細胞のヒトTRAC遺伝子座における選択されたGIGヌクレアーゼのノックダウンおよびHDR効率。
【表9-1】
【表9-2】
【0206】
結果は、表10にまとめたように、クラスター1または11のいくつかのヌクレアーゼ(例えば、GIG-1、GIG-17、GIG-10、GIG-2)が、他のクラスターの他のヌクレアーゼと比較して、特に強いヌクレアーゼ活性を有することを示す。
表10. HDR効率の高い順のGIGヌクレアーゼ
【表10】
【0207】
精製したGIG-17のゲノム編集活性をさらに解析し、Alt-R AsCas12a(Cpf1)V3(IDT、Coralville、IA、USA)の活性と比較した。Jurkat E6-1およびT2細胞系において、それぞれ、B2MおよびHLA-A*02:01遺伝子内に機能喪失変異を生じさせるように設計したsgRNA(表11)を用いて、上記のようにRNPを生成した。Jurkat E6-1細胞をNucleofection Buffer SEに再懸濁させ、T2細胞をNucleofection Buffer SF(Lonza、Basel、Switzerland)に細胞1×10
7個/mLで再懸濁させた。細胞懸濁物20μLを電気穿孔の直前に40pmolのRNP複合体と混合した。次いで、細胞を96ウェルプレートに移し、200μLの適切な培地(Jurkat E6-1細胞については10%のFBSを追加補充したRPMI培地、およびT2細胞については20%のFBSを追加補充したIMDM培地)中に再懸濁させた。回復後に、細胞を適切な培地2mLを含有する6ウェルプレートに移した。細胞は、上記のように電気穿孔の5日後にフローサイトメトリーによってノックダウン効率について解析した。Jurkat E6-1細胞をPE抗ヒトHLA-A、B、C抗体(クローンW6/32、BioLegend)で染色し、T2細胞をPE抗ヒトHLA-A2抗体(クローンBB7.2、BioLegend)で染色した。ノックダウン効率は、電気穿孔試料中のHLA欠損細胞のパーセンテージを評価することによって決定した。これらの実験の結果を、表12~13および
図13~14に示す。
【0208】
GIG-ヌクレアーゼ哺乳動物発現ベクターの例は、
図15および配列番号813に示す。哺乳動物発現のためにコドン最適化されたGIG-ヌクレアーゼの例は、配列番号722~811に列挙する。
表11. B2MおよびHLA-A*02:01標的ゲノムならびにsgRNA配列。
【表11-1】
【表11-2】
表12. Jurkat細胞のヒトB2M遺伝子座におけるAsCas12aおよびGIG17ヌクレアーゼのノックダウン効率。
【表12】
表13. T2細胞のヒトHLA-A*02:01遺伝子座におけるAsCas12aおよびGIG17ヌクレアーゼのノックダウン効率。
【表13】
【0209】
7.参照による組込み
本出願で引用されたすべての刊行物、特許、特許出願および他の文書は、それぞれ個々の刊行物、特許、特許出願または他の文書がすべての目的のために参照により組み込まれることが個別に示されているのと同程度に、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0210】
8.均等物
様々な具体的実施形態が例示され、説明されてきたが、上記明細書は限定的ではない。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができることが認識されるであろう。本明細書を再検討すれば、多くの変形が当業者にとって明らかとなる。
9.配列
【表14】
【配列表】
【国際調査報告】