(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】術前画像データを手術シーンなどのシーンの術中画像データにレジストレーションする方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/10 20160101AFI20240109BHJP
【FI】
A61B34/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540720
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 US2021065460
(87)【国際公開番号】W WO2022147083
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2021-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521002305
【氏名又は名称】プロプリオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100170209
【氏名又は名称】林 陽和
(72)【発明者】
【氏名】アグダシ ナヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンクイスト ジェイムズ アンドリュー
(57)【要約】
媒介現実イメージングシステム、方法、およびデバイスが本明細書に開示される。幾つかの実施形態において、イメージングシステムは、(i)実質的にリアルタイムで手術シーンの術中画像データをキャプチャするように構成されたカメラアレイ、および(ii)カメラアレイに通信可能に結合された処理デバイスを含む。処理デバイスは、カメラからの術中画像データに基づいて、シーンの仮想視野に対応する3次元(3D)画像を合成するように構成することができる。イメージングシステムは、シーン内の患者の一部に対応する医療スキャンデータ等の術前画像データを受信および/または格納するように更に構成される。画像処理デバイスは、術前画像データを術中画像データにレジストレーションし、レジストレーションされた術前画像データをシーンの3D画像の対応する部分の上にオーバーレイして媒介現実ビューを提示することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の医療スキャンデータを前記患者を含むシーンの術中画像データにレジストレーションする方法であって、
前記術中画像データに基づいて前記シーンの3次元(3D)画像を生成することであって、前記医療スキャンデータが、前記3D画像において少なくとも部分的に見える前記患者の一部に対応する、ことと、
前記医療スキャンデータを前記3D画像の上にオーバーレイすることと、
前記医療スキャンデータを移動して前記3D画像内の前記患者の一部と整列するようにするためのユーザ入力を受信することと、
前記整列に基づいて、前記3D画像内の前記患者の一部に前記医療スキャンデータをレジストレーションすることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記方法が、前記術中画像データを継続的に受信することを更に含み、前記3D画像を生成することが、前記術中画像データに基づいて仮想画像を継続的に更新することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、前記3D画像および前記医療スキャンデータを、ディスプレイデバイスのユーザによって知覚されるように実質的にリアルタイムで前記ディスプレイデバイス上に表示することを更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記医療スキャンデータが、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンのセグメント化された部分である、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記医療スキャンデータが前記患者の椎骨のものであり、前記3D画像における前記患者の一部が、前記患者の脊椎である、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記医療スキャンデータをレジストレーションすることが、前記医療スキャンデータを前記3D画像内の前記患者の一部にグローバルにレジストレーションすることを含み、
前記方法が、前記医療スキャンデータを前記グローバルレジストレーションに少なくとも部分的に基づいて前記3D画像内の前記患者の一部にローカルにレジストレーションすることを更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、前記3D画像内の前記患者の一部に前記医療スキャンデータをローカルにレジストレーションした後、前記3D画像内の前記患者の一部と更に整列するように前記医療スキャンデータを自動的に移動させることを更に含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザ入力は、前記シーンにわたって移動可能なツールからのものである、
請求項1に記載の方法法。
【請求項9】
前記医療スキャンデータを前記3D画像の上にオーバーレイすることは、前記医療スキャンデータを前記シーン内の前記ツールの先端に表示することを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ユーザ入力は、前記3D画像内の前記患者の一部に向かって前記医療スキャンデータをドラッグすることである、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ユーザ入力は、前記医療スキャンデータを前記3D画像内の患者の一部に向かって回転させることである、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
媒介現実システムであって、
患者を含むシーンの術中画像データをキャプチャするように構成された複数のカメラを含むカメラアレイと、
前記シーンの仮想視野の位置および向きを制御するように構成された入力コントローラと、
前記カメラアレイおよび前記入力コントローラに通信可能に結合された処理デバイスと、
を備え、
前記処理デバイスは、
前記術中画像データに基づいて、前記仮想視野に対応する仮想画像を合成し、
前記仮想画像において少なくとも部分的に見える前記患者の一部に対応する前記患者の医療スキャンデータを受信し、
前記医療スキャンデータを前記仮想画像の上にオーバーレイし、
前記医療スキャンデータを移動させて前記仮想画像内の前記患者の一部と整列するようにするためのユーザ入力を受け取り、
前記整列に基づいて、前記医療スキャンデータを前記仮想画像内の前記患者の一部にレジストレーションする、
ように構成されている、媒介現実システム。
【請求項13】
前記処理デバイスに通信可能に結合されたディスプレイデバイスを更に備え、前記ディスプレイデバイスは、前記仮想画像の上に前記医療スキャンデータの3次元(3D)グラフィカル表現を表示するように構成されている、
請求項12に記載の媒介現実システム。
【請求項14】
前記処理デバイスに通信可能に結合されたツールを更に備え、前記ユーザ入力は、前記シーンに対する前記ツールの位置に基づいている、
請求項12に記載の媒介現実システム。
【請求項15】
前記ユーザ入力は、前記シーンに対する前記ツールの物理的並進、物理的回転、または物理的並進と物理的回転の両方である、
請求項14に記載の媒介現実システム。
【請求項16】
前記シーンが手術シーンであり、前記仮想画像における前記患者の一部が患者の脊椎を含み、前記医療スキャンデータがコンピュータ断層撮影(CT)スキャンデータである、
請求項12に記載の媒介現実システム。
【請求項17】
シーンのリアルタイム画像データに以前にキャプチャされた画像データをレジストレーションする方法であって、
前記リアルタイム画像データに基づいて前記シーンの3次元(3D)仮想ビューを生成することであって、前記シーンが関心のある物体を含み、前記以前にキャプチャされた画像データが前記関心のある物体に対応する、ことと、
ユーザに可視であるディスプレイデバイス上に前記3D仮想ビューを表示することと、
前記3D仮想ビューの上に前記ディスプレイデバイス上に前記以前にキャプチャされた画像データを表示することと、
前記以前にキャプチャされた画像データが前記3D仮想ビュー内の前記関心のある物体と少なくとも部分的に整列されるように、前記3D仮想ビューに対して前記以前にキャプチャされた画像データを移動させるためのユーザ入力を受信することと、
前記以前にキャプチャされた画像データと前記3D仮想ビュー内の前記関心のある物体との整列に基づいて、前記以前にキャプチャされた画像データと前記3D仮想ビュー内の前記関心のある物体との間のレジストレーション変換を生成することと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記ディスプレイデバイス上に前記3D仮想ビューを表示することは、前記3D仮想ビューを前記ユーザによって知覚されるように実質的にリアルタイムで表示することを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、
前記レジストレーション変換に少なくとも部分的に基づいて、前記以前にキャプチャされた画像データを前記3D仮想ビュー内の前記関心のある物体にローカルにレジストレーションすることと、
前記ローカルレジストレーションに基づいて、前記以前にキャプチャされた画像データを前記3D仮想ビュー内の前記関心のある物体と更に整列されるように自動的に移動させることと、
を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記ユーザ入力が、前記シーンに対する前記ツールの位置に基づくものであり、前記3D仮想ビューの上に前記以前にキャプチャされた画像データを表示することが、前記シーン内の前記ツールの先端に対応する位置で、前記3D仮想ビュー内に前記以前にキャプチャされた画像データの3D表現を表示することを含み、前記ユーザ入力が、前記シーンにわたる前記ツールの物理的移動である、
請求項17に記載の方法。
【請求項21】
患者の医療スキャンデータを、前記患者を含むシーンの術中画像データにレジストレーションする方法であって、
前記術中画像データの1以上の特性を決定することと、
決定された前記1以上の特性に基づいて、(a)前記術中画像データの第1の部分が前記患者の解剖学的構造の第1のタイプに対応すること、および(b)前記術中画像データの第2の部分が前記患者の解剖学的構造の第2のタイプに対応し、前記解剖学的構造の第1のタイプが前記医療スキャンデータに対応すること、を決定することと、
前記術前画像データを前記術中画像データの前記第1の部分にレジストレーションすることと、
を含む、方法。
【請求項22】
前記術前画像データがコンピュータ断層撮影(CT)スキャンデータである、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記解剖学的構造の第1のタイプが骨である、
請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記術前画像データを前記術中画像データの前記第1の部分にレジストレーションすることが、
前記術前画像データと前記術中画像データの前記第1の部分との間のレジストレーション変換を計算するためにレジストレーションアルゴリズムを利用することと、
前記決定された1以上の特性に基づいて前記レジストレーションアルゴリズムを調整することと、
を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記レジストレーションアルゴリズムを利用することが、前記術中画像データ中の第1の点と前記術前画像データ中の第2の点との間の複数の点間対応を計算することを含み、前記レジストレーションアルゴリズムを調整することが、前記点間対応において前記第1の点が前記解剖学的構造の第1のタイプまたは前記解剖学的構造の第2のタイプに対応するという決定に基づいて、前記点間対応の重みを調整することを含む、
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記点間対応の重みを調整することが、(a)前記解剖学的構造の第1のタイプに対応する前記第1の点を含む前記点間対応の重みを増加させること、および(b)解剖学的構造の第2のタイプに対応する前記第1の点を含む前記点間対応の重みを減少させることを含む、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記1以上の特性が、色情報、角度情報および鏡面情報のうちの少なくとも1つを含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記1以上の特性が、色相、彩度および値情報のうちの少なくとも1つを含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記術中画像データが、前記シーンのライトフィールド画像データを含む、
請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記術中画像データが、前記シーンの深度データを含む深度カメラからの画像データを更に含み、前記画像データの1以上の特性を決定することが、前記ライトフィールド画像データに基づいて前記1以上の特性を決定することを含み、前記術前画像データを前記術中画像データの第1の部分にレジストレーションすることが、前記深度データを前記術前画像データにレジストレーションすることを含む、
請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記方法が、
前記術中画像データに基づいて前記シーンの3次元(3D)画像を生成することと、
前記シーンの前記3D画像において前記解剖学的構造の第1のタイプの上に前記医療スキャンデータを表示することと、
を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
媒介現実システムであって、
患者を含むシーンの術中画像データをキャプチャするように構成された複数のカメラを含むカメラアレイと、
前記シーンの仮想視野の位置および向きを制御するように構成された入力コントローラと、
前記カメラアレイおよび前記入力コントローラに通信可能に結合された処理デバイスと、
を備え、
前記処理デバイスは、
前記術中画像データに基づいて、前記仮想視野に対応する仮想画像を合成し、
前記患者の医療スキャンデータを受信し、
前記術中画像データの1以上の特性を決定し、
決定された前記1以上の特性に基づいて、(a)前記術中画像データの第1の部分が前記患者の解剖学的構造の第1のタイプに対応し、(b)前記術中画像データの第2の部分が前記患者の解剖学的構造の第2のタイプに対応し、前記解剖学的構造の第1のタイプが前記医療スキャンデータに対応する、ことを決定し、
前記術前画像データを前記術中画像データの第1の部分にレジストレーションし、
前記医療スキャンデータを前記仮想画像内の前記解剖学的構造の第1のタイプの上にオーバーレイする、
ように構成されている、媒介現実システム。
【請求項33】
前記シーンが手術シーンであり、前記解剖学的構造の第1のタイプが患者の脊椎であり、前記医療スキャンデータがコンピュータ断層撮影(CT)スキャンデータである、
請求項32に記載の媒介現実システム。
【請求項34】
前記1以上の特性が、色相、彩度および値情報のうちの少なくとも1つを含み、前記術中画像データが、前記シーンのライトフィールド画像データを含む、
請求項32に記載の媒介現実システム。
【請求項35】
前記プロセッサは、レジストレーションアルゴリズムを利用して、前記術中画像データの第1の点と前記術前画像データの第2の点との間の複数の点間対応を計算することと、前記点間対応における前記第1の点が前記解剖学的構造の第1のタイプまたは前記解剖学的構造の第2のタイプに対応するという決定に基づいて、前記点間対応の重みを調整することとによって、前記術前画像データを前記術中画像データの第1の部分にレジストレーションするように構成されている、
請求項32に記載の媒介現実システム。
【請求項36】
前記プロセッサが、(a)前記解剖学的構造の第1のタイプに対応する前記第1の点を含む前記点間対応の重みを増加させること、および(b)前記解剖学的構造の第2のタイプに対応する前記第1の点を含む前記点間対応の重みを減少させることにより、前記点間対応の重みを調整するように更に構成されている、
請求項32に記載の媒介現実システム。
【請求項37】
以前にキャプチャされた画像データをシーンのリアルタイム画像データにレジストレーションする方法であって、
前記シーンのライトフィールド画像データを含むリアルタイム画像データを受信することと、
前記リアルタイム画像データに基づいて前記シーンの3次元(3D)仮想ビューを生成することであって、前記シーンが関心のある物体を含み、前記以前にキャプチャされた画像データが、前記関心のある物体に対応する、ことと、
前記ライトフィールド画像データの1以上の特性を決定することと、
決定された前記1以上の特性に基づいて、(a)前記リアルタイム画像データの第1の部分が前記関心のある物体に対応する可能性が高いこと、および(b)前記リアルタイム画像データの第2の部分が前記関心のある物体に対応しない可能性が高いこと、を決定することと、
前記以前にキャプチャされた画像データを前記リアルタイム画像データの第1の部分にレジストレーションすることと、
前記シーンの3D仮想ビューにおいて、前記以前にキャプチャされた画像データを前記関心のある物体の上に表示することと、
を含む、方法。
【請求項38】
前記1以上の特性は、色情報、角度情報および鏡面情報のうちの少なくとも1つを含む、
請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記以前にキャプチャされた画像データを前記リアルタイム画像データの第1の部分にレジストレーションすることは、
前記リアルタイム画像データ内の第1の点と前記以前にキャプチャされた画像データ内の第2の点との間の複数の点間対応を計算するために、レジストレーションアルゴリズムを利用することと、
前記点間対応における前記第1の点が前記関心のある物体に対応する可能性が高いという決定に基づいて、前記点間対応の重みを調整することと、
を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記リアルタイム画像データの第1の部分が前記関心のある物体に対応する可能性が高いと決定することは、前記リアルタイム画像データの前記第1の部分に対応するライトフィールド画像データが、前記ライトフィールド画像データの他の部分よりも低い彩度を有すると決定することを含む、
請求項37に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、一般に、媒介現実ビューアのためにシーンのリアルタイムまたはほぼリアルタイムの3次元(3D)仮想視野を生成し、術前医療画像(例えば、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンデータ)のような以前にキャプチャされた画像データを3D仮想視野にレジストレーションするための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
媒介現実システムにおいて、画像処理システムは、環境を表す視覚情報を加算、減算、および/または修正する。外科的用途では、媒介現実システムは、外科医が外科的作業をより効率的で正確に行うことを支援するコンテキスト情報と共に、外科医が所望の視点から手術部位を見ることを可能にすることができる。外科医は、手術を行う場合、CTスキャン画像などの患者の解剖学的構造の術前3次元画像に頼ることが多い。しかしながら、このような術前画像の有用性は、画像を手術処置に容易に組み込むことができないため、限定的である。例えば、画像は術前セッションでキャプチャされるため、術前画像にてキャプチャされた相対的な解剖学的位置は、手術処置中の実際の位置から変化する可能性がある。更に、手術中に術前画像を利用するためには、外科医は、手術野と術前画像のディスプレイとの間で注意を分割しなければならない。また、術前画像の異なるレイヤー間をナビゲートすることはまた、外科医の手術への集中を損なう大きな注意を必要とする可能性がある。
【0003】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照することによってより良く理解することができる。図面中の構成要素は必ずしも縮尺通りではない。その代わりとして、本開示の原理を明確に例証することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本技術の実施形態に係るイメージングシステムの概略図である。
【0005】
【
図2】本発明の技術の実施形態による、外科用途のために
図1のイメージングシステムを採用する外科環境の斜視図である。
【0006】
【
図3】本発明の技術の実施形態による、手術シーンの媒介現実ビューを生成するために術前画像データを術中画像データにレジストレーションするためのプロセスまたは方法のフロー図である。
【0007】
【
図4A】本発明の技術の実施形態による、
図3の方法の様々な段階を例示した、(i)
図1のイメージングシステムのカメラアレイの視野内の物体の術中画像データおよび(ii)物体の術前画像データの概略図である。
【
図4B】本発明の技術の実施形態による、
図3の方法の様々な段階を例示した、(i)
図1のイメージングシステムのカメラアレイの視野内の物体の術中画像データおよび(ii)物体の術前画像データの概略図である。
【
図4C】本発明の技術の実施形態による、
図3の方法の様々な段階を例示した、(i)
図1のイメージングシステムのカメラアレイの視野内の物体の術中画像データおよび(ii)物体の術前画像データの概略図である。
【0008】
【
図5】本発明の技術の実施形態による、術前画像データを術中画像データにレジストレーションするためのプロセスまたは方法のフロー図である。
【0009】
【
図6A】本発明の技術の実施形態による、
図5の方法の様々な段階を示す、
図1のイメージングシステムによって生成された手術シーンの出力画像の斜視図である。
【
図6B】本発明の技術の実施形態による、
図5の方法の様々な段階を示す、
図1のイメージングシステムによって生成された手術シーンの出力画像の斜視図である。
【
図6C】本発明の技術の実施形態による、
図5の方法の様々な段階を示す、
図1のイメージングシステムによって生成された手術シーンの出力画像の斜視図である。
【
図6D】本発明の技術の実施形態による、
図5の方法の様々な段階を示す、
図1のイメージングシステムによって生成された手術シーンの出力画像の斜視図である。
【
図6E】本発明の技術の実施形態による、
図5の方法の様々な段階を示す、
図1のイメージングシステムによって生成された手術シーンの出力画像の斜視図である。
【0010】
【
図7】本発明の技術の追加の実施形態による、術前画像データを術中画像データにレジストレーションするためのプロセスまたは方法のフロー図である。
【0011】
【
図8】本発明の技術の実施形態による、
図1のイメージングシステムのカメラアレイによってキャプチャされた患者の脊椎の画像である。
【0012】
【
図9】本発明の技術の追加の実施形態による、術前画像データを術中画像データにレジストレーションして手術シーンの媒介現実ビューを生成するためのプロセスまたは方法のフロー図である。
【0013】
【
図10】本発明の技術の実施形態による、シーンのポイントクラウド深度マップをシーンの一部の術前画像データにレジストレーションするためのプロセスまたは方法のフロー図である。
【0014】
【
図11】本発明の技術の実施形態による、ポイントクラウド内の異なる数/密度のポイントの処理に対するレジストレーションアルゴリズムの精度の経時的なグラフである。
【0015】
【
図12】本発明の技術の実施形態による、術中画像データと術前画像データとの間のレジストレーションの精度を決定するためのプロセスまたは方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の技術の態様は、一般に、外科手術で使用するような媒介現実イメージングシステム、および共に表示するために術前画像データを術中画像データにレジストレーションするための関連する方法に向けられている。以下に説明する幾つかの実施形態において、例えば、イメージングシステムは、(i)手術シーンの術中画像データ(例えば、ライトフィールドデータおよび/または深度データ)をキャプチャするように構成されたカメラアレイと、(ii)カメラアレイに通信可能に結合された処理デバイスとを含む。処理デバイスは、カメラの少なくともサブセットからの画像データに基づいて、シーンの仮想視野に対応する3次元(3D)仮想画像をリアルタイムまたはほぼリアルタイムで合成/生成するように構成することができる。処理デバイスは、外科医またはイメージングシステムの他のオペレータ等のビューアが閲覧するために、3D仮想画像をディスプレイデバイス(例えば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD))に出力することができる。イメージングシステムは更に、術前画像データを受信および/または記憶するように構成される。術前画像データは、脊椎手術処置を受ける患者の脊椎など、シーン内の患者の一部に対応する医療スキャンデータ(例えば、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンデータ)とすることができる。
【0017】
処理デバイスは、例えば、術前画像データおよび術中画像データの両方を表す3Dデータセットにおいて可視のフィデューシャルマーカおよび/または他の特徴点をレジストレーション/マッチングすることによって、術前画像データを術中画像データにグローバルおよび/またはローカルにレジストレーションすることができる。処理デバイスは更に、レジストレーションに基づいて術前画像データに変換を適用して、例えば、術前画像データをカメラアレイでキャプチャされたリアルタイムまたはほぼリアルタイムの術中画像データと実質的に(例えば、共通の座標フレームで)整列させることができる。次いで、処理デバイスは、術前画像データおよび術中画像データを共に表示して、手術シーンの媒介現実ビューを提供することができる。より具体的には、処理デバイスは、術前画像データの3Dグラフィカル表現をシーンの3D仮想画像の対応する部分上にオーバーレイして媒介現実ビューを提示し、これにより、例えば、外科医がシーン内の手術部位と手術中の患者の下にある3D解剖学的構造とを同時に見ることを可能にすることができる。
【0018】
幾つかの実施形態では、イメージングシステムの処理デバイスは、非レジストレーションの医療スキャンデータを3D仮想画像の上にオーバーレイすることを含む、医療スキャンデータなどの術前画像データを術中画像データにレジストレーションするための方法を実施することができる。本方法は更に、医療スキャンデータを、3D仮想画像にて少なくとも部分的に見える患者の対応する部分(例えば、患者の選択された解剖学的構造)と整列するように移動させるためのユーザ入力を受信することを含むことができる。例えば、医療スキャンデータは、CTスキャンからのセグメント化された椎骨とすることができ、ユーザは、シーンを通じてツールを移動させることにより、3D仮想画像に示された対応する椎骨と整列するように、椎骨を仮想的に「ドラッグ・アンド・ドロップ」することができる。医療スキャンデータがユーザによって手動で整列されると、本方法は、整列に基づいて医療スキャンデータを術中画像にレジストレーションすることを含むことができる。幾つかの実施形態では、レジストレーションは、医療スキャンデータを術中画像データに更に整列させるローカルレジストレーションとすることができる。このようなローカルレジストレーションは、3D仮想画像内の患者の対応する解剖学的構造上の位置に医療スキャンデータを「スナップ」させることによって、3D仮想画像にて視覚的に表現することができる。
【0019】
幾つかの実施形態では、イメージングシステムの処理デバイスは、色、鏡面度等の術中画像データの1以上の特性に基づく、術前医学スキャンデータを術中画像データにレジストレーションする方法を実施することができる。より具体的には、本方法は、術中ライトフィールド画像データを分析して1以上の特性を決定することと、決定された1以上の特性に基づいて、(i)術中画像データの第1の部分が患者の解剖学的構造の第1のタイプに対応すること、および(ii)術中画像データの第2の部分が患者の解剖学的構造の第2のタイプに対応することを決定することとを含むことができる。解剖学的構造の第1のタイプは、医療スキャンデータに対応することができる。例えば、医療スキャンデータは、患者の脊椎のCTスキャンとすることができ、患者の解剖学的構造の第1のタイプは脊椎骨とすることができる。幾つかの実施形態では、本方法は、術中画像データ中の点が解剖学的構造の第1のタイプまたは解剖学的構造の第2のタイプの何れであるかに基づいて、レジストレーションアルゴリズムの重みを調整することを含むことができる。例えば、骨である可能性が高い点は、肉である可能性が高い点または医療スキャンデータに対応しない患者の他の解剖学的構造である点よりも高く重み付けすることができる。
【0020】
幾つかの実施形態では、イメージングシステムの処理デバイスは、術前医学スキャンデータを術中画像データにレジストレーションするための方法であって、シーンの術中深度データを処理することを含む、方法を実施することができる。より具体的には、本方法は、術中画像データを処理してシーンのポイントクラウド深度マップを生成することを含むことができる。次に、本方法は、ポイントクラウド深度マップを術前医学スキャンデータにマッピングするレジストレーションアルゴリズムを利用することができる。幾つかの実施形態では、イメージングシステムの処理デバイスは、例えば、シーンの3D仮想画像を生成する際に使用できるポイントクラウド深度マップに基づいて3Dメッシュを生成することができる。従って、レジストレーションアルゴリズムは、3Dメッシュではなくポイントクラウド深度マップに基づいて開始することができる。本発明の技術の幾つかの態様では、ポイントクラウド深度マップを利用することにより、3Dメッシュの生成およびそれに続く3D仮想画像の合成と並行してレジストレーションを実行することができ、これによりイメージングシステムの処理速度を向上させることができる。
【0021】
幾つかの実施形態では、イメージングシステムの処理デバイスは、十分なレジストレーション精度が達成されるまで、ポイントクラウドデプスマップ内の点の数/密度を増加させることを段階的方式で処理するレジストレーションアルゴリズムを実装/利用することができる。例えば、レジストレーションアルゴリズムは、最初にポイントクラウド内の第1の数のポイントを処理し、予め定義された精度に達した後、ポイントクラウド内のより多い第2の数のポイントに基づいてレジストレーションを継続することができる。幾つかの実施形態では、本方法は、十分なレジストレーション精度に達するまで、ポイントクラウド内の点の数を増加させることを処理すること(例えば、数を増加させるステップ)を含むことができる。本発明の技術の幾つかの態様において、このような段階的処理は、イメージングシステムの処理速度を向上させることができる。
【0022】
幾つかの実施形態では、イメージングシステムの処理デバイス(および/または別の処理デバイス)は、術中画像データと術前画像データとの間のマッピングを定義する計算された術中レジストレーション変換の精度を評価する方法を実施することができる。より具体的には、本方法は、(i)履歴レジストレーション変換を含む履歴レジストレーションデータを受信することと、(ii)レジストレーション変換の周囲の空間近傍を定義することと、(iii)レジストレーション変換を(例えば、「良い」変換または「悪い」変換として)分類/ラベリングすることと、(iv)空間近傍および分類に基づいて機械学習モデルを訓練することと、を含むことができる。本方法は更に、術中レジストレーション変換の周囲の空間近傍を定義することによって術中レジストレーション変換の精度を決定することと、レジストレーションの適合度スコア(例えば、「良い」、「悪い」)を出力することができる、機械学習モデルに術中レジストレーション変換を入力することとを含むことができる。本発明の技術の幾つかの態様では、変換単独ではなく、所与のレジストレーション変換周辺の近傍値を評価することにより、レジストレーション精度の評価の信頼度が高まる。
【0023】
本発明の技術の幾つかの実施形態の具体的な詳細について、
図1~
図12を参照して本明細書で説明する。しかしながら、本発明の技術は、これらの具体的な詳細の一部がなくても実施することができる。場合によっては、カメラアレイ、ライトフィールドカメラ、画像再構成、レジストレーションプロセス等に関連することが多い周知の構造および技術は、本発明の技術を不明瞭にしないように詳細には示されていない。以下に提示される記載において使用される用語は、本開示の特定の具体的な実施形態の詳細な説明と関連して使用されるとしても、最も広範で合理的な方法で解釈されることが意図される。特定の用語は、以下で強調される場合もあるが、何れかの制限された態様で解釈されることが意図される何れかの用語は、この詳細な説明のセクションにおいてこのように明白且つ具体的に定義される。
【0024】
更に、本発明の技術のレジストレーション技術は、術前画像データを手術シーンの術中画像データにレジストレーションすることの関連で説明されることが多いが、他のタイプの画像データをレジストレーションするのにも使用することができる。例えば、本発明の技術のシステムおよび方法は、より一般的には、何れかの以前にキャプチャされたデータを対応するリアルタイムまたはほぼリアルタイムのシーンの画像データにレジストレーションして、以前にキャプチャされたデータとリアルタイム画像との組み合わせ/融合を含む、シーンの媒介現実ビューを生成するのに使用することができる。
【0025】
添付の図は、本発明の技術の実施形態を示すものであり、その範囲を限定することを意図するものではない。描かれた様々な要素のサイズは必ずしも縮尺通りに描かれておらず、これらの様々な要素は、視認性を向上させるために任意に拡大することができる。構成要素の詳細については、本発明の技術の製造方法および使用方法を完全に理解するためにこのような詳細が不要な場合には、図において概要化して、構成要素の位置およびこのような構成要素間の特定の正確な接続などの詳細を除外する場合がある。図に示される詳細、寸法、角度、および他の特徴の多くは、本開示の特定の実施形態の単なる例証である。従って、他の実施形態は、本発明の技術の精神または範囲から逸脱することなく、他の詳細、寸法、角度、および特徴を有することができる。
【0026】
本明細書において提供される見出しは、便宜上のものであり、開示される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0027】
I.
イメージングシステムの選択された実施形態
図1は、本発明の技術の実施形態によるイメージングシステム100(「システム100」)の概略図である。幾つかの実施形態では、システム100は、合成拡張現実システム、媒介現実イメージングシステム、および/または計算イメージングシステムとすることができる。図示の実施形態では、システム100は、1以上のディスプレイデバイス104、1以上の入力コントローラ106、およびカメラアレイ110に動作可能/通信可能に結合された処理デバイス102を含む。他の実施形態では、システム100は、追加の、より少ない、または異なる構成要素を備えることができる。幾つかの実施形態では、システム100は、(i)2019年9月27日に出願された、名称「CAMERA ARRAY FOR A MEDIATED-REALITY SYSTEM」の米国特許出願第16/586,375号明細書、および/または(ii)2020年5月12日に出願され、名称「METHODS AND SYSTEMS FOR IMAGING A SCENE, SUCH AS A MEDICAL SCENE, AND TRACKING OBJECTS WITHIN THE SCENE」の特許出願第15/930,305号明細書に開示された媒介現実イメージングシステムとほぼ類似したまたは同一の幾つかの特徴を含むことができ、これらの各々は、引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0028】
図示の実施形態では、カメラアレイ110は、各々が異なる視点からシーン108の画像(例えば、第1の画像データ)をキャプチャするように構成される複数のカメラ112(カメラ112a~112nとして個々に識別され、第1のカメラとも呼ばれることができる)を含む。シーン108は、例えば、手術または別の医療処置を受けている患者を含む手術シーンとすることができる。他の実施形態では、シーン108は、他のタイプのシーンとすることができる。カメラアレイ110は更に、先端109を有するツール101(例えば、手術ツール)などの1以上の物体の位置データをキャプチャし、シーン108を通る/シーン108内の物体の移動および/または向きを追跡するように構成された複数の専用の物体追跡器113(追跡器113a~113nとして個々に識別される)を含む。幾つかの実施形態では、カメラ112および追跡器113は、互いに対して固定された位置および向き(例えば、ポーズ)に配置される。例えば、カメラ112および追跡器113は、予め定義された固定の位置および向きで、取付構造(例えば、フレーム)によって/取付構造(例えば、フレーム)に対して構造的に固定することができる。幾つかの実施形態では、カメラ112は、隣接するカメラ112がシーン108の重なり合うビューを共有するように配置することができる。同様に、追跡器113は、隣接する追跡器113がシーン108の重なり合うビューを共有するように位置決めすることができる。従って、カメラ112および追跡器113の全てまたはサブセットは、位置および向き等の異なる外部パラメータを有することができる。
【0029】
幾つかの実施形態では、カメラアレイ110内のカメラ112は、シーン108の画像を実質的に同時に(例えば、閾値時間誤差内で)キャプチャするように同期される。幾つかの実施形態では、カメラ112の全てまたはサブセットは、シーン108から発せられるライトフィールドに関する情報(例えば、シーン108内の光線の強度に関する情報、および光線が空間を通って移動する方向に関する情報も)をキャプチャするように構成される、ライトフィールド/プレノプティック/RGBカメラとすることができる。従って、幾つかの実施形態では、カメラ112によってキャプチャされた画像は、シーン108の表面形状を表す深度情報を符号化することができる。幾つかの実施形態では、カメラ112は実質的に同一である。他の実施形態では、カメラ112は、異なるタイプの複数のカメラを含むことができる。例えば、カメラ112の異なるサブセットは、焦点距離、センサタイプ、光学コンポーネント、および同様のものなどの異なる固有パラメータを有することができる。カメラ112は、電荷結合素子(CCD)および/または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサおよび関連する光学系を有することができる。このような光学系は、より大きなマクロレンズ、マイクロレンズアレイ、プリズム、および/または負レンズと組み合わせたレンズ付きまたは裸の個々のイメージセンサを含む様々な構成を含むことができる。例えば、カメラ112は、それぞれが独自のイメージセンサおよび光学系を有する別個のライトフィールドカメラとすることができる。幾つかの実施形態では、カメラ112の幾つかのまたは全てが、共通のイメージセンサを共有するマイクロレンズアレイ(MLA)の別個のマイクロレンズレット(例えば、レンズレット、レンズ、マイクロレンズ)を備えることができる。
【0030】
幾つかの実施形態では、追跡器113は、追跡器113の他のものと比較して異なる視点からシーン108の画像をキャプチャするように各々が構成される赤外線(IR)カメラなどのイメージングデバイスである。従って、追跡器113およびカメラ112は、異なる分光感度(例えば、赤外線対可視波長)を有することができる。幾つかの実施形態では、追跡器113は、ツール101に結合されたマーカー111のような、シーン108内の複数の光学マーカー(例えば、フィデューシャルマーカ、マーカーボール)の画像データをキャプチャするように構成される。
【0031】
図示の実施形態では、カメラアレイ110は、深度センサ114を更に含む。幾つかの実施形態では、深度センサ114は、(i)構造化光パターンをシーン108上に/シーン108内に投影するように構成された1以上のプロジェクタ116、および(ii)プロジェクタ116によってシーン108上に投影された構造化光を含むシーン108の第2の画像データをキャプチャするように構成された1以上の深度カメラ118(第2のカメラとも呼ばれ得る)を含む。プロジェクタ116および深度カメラ118は、同じ波長で動作することができ、幾つかの実施形態では、カメラ112とは異なる波長で動作することができる。例えば、カメラ112は可視スペクトルで第1の画像データをキャプチャすることができるが、深度カメラ118は赤外スペクトルで第2の画像データをキャプチャする。幾つかの実施形態では、深度カメラ118は、カメラ112の解像度よりも小さい解像度を有する。例えば、深度カメラ118は、カメラ112の解像度の70%、60%、50%、40%、30%または20%未満の解像度を有することができる。他の実施形態では、深度センサ114は、シーン108の表面形状を決定するための他のタイプの専用の深度検出ハードウェア(例えば、LiDAR検出器)を含むことができる。他の実施形態では、カメラアレイ110は、プロジェクタ116および/または深度カメラ118を省略することができる。
【0032】
図示の実施形態では、処理デバイス102は、画像処理デバイス103(例えば、画像プロセッサ、画像処理モジュール、画像処理ユニット)、レジストレーション処理デバイス105(例えば、レジストレーションプロセッサ、レジストレーション処理モジュール、レジストレーション処理ユニット)、および追跡処理デバイス107(例えば、追跡プロセッサ、追跡処理モジュール、追跡処理ユニット)を含む。画像処理デバイス103は、(i)カメラ112によってキャプチャされた第1の画像データ(例えば、ライトフィールド画像、ライトフィールド画像データ、RGB画像)および深度センサ114からの深度情報(例えば、深度カメラ118によってキャプチャされた第2の画像データ)を受信し、(ii)画像データおよび深度情報を処理して、仮想カメラ視点に対応するシーン108の3次元(3D)出力画像を合成する(例えば、生成、再構成、レンダリングする)ように構成される。出力画像は、仮想カメラ視点に対応する任意の位置および向きに配置されたカメラによってキャプチャされるであろうシーン108の画像の近似に対応することができる。幾つかの実施形態では、画像処理デバイス103は、カメラ112および/または深度カメラ118の較正データを受信および/または記憶し、画像データ、深度情報、および/または較正データに基づいて出力画像を合成するように更に構成される。より具体的には、深度情報および較正データは、カメラ112からの画像と使用/合成されて、仮想カメラの視点から見たシーン108の3D(または立体2D)レンダリングとして出力画像を合成することができる。幾つかの実施形態では、画像処理デバイス103は、名称「SYNTHESIZING AN IMAGE FROM A VIRTUAL PERSPECTIVE USING PIXELS FROM A PHYSICAL IMAGER ARRAY WEIGHTED BASED ON DEPTH ERROR SENSITIVITY」の特許出願第16/457,780号明細書に開示されている方法の何れかを用いて出力画像を合成することができ、当該特許出願は、引用により全体が本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、画像処理デバイス103は、深度センサ114からの深度情報を利用することなく、カメラ112によってキャプチャされた画像のみに基づいて仮想カメラ視点を生成するように構成される。例えば、画像処理デバイス103は、1以上のカメラ112によってキャプチャされた異なる画像間を補間することによって、仮想カメラ視野を生成することができる。
【0033】
画像処理デバイス103は、カメラアレイ110内のカメラ112のサブセット(例えば、2以上)によってキャプチャされた画像から出力画像を合成することができ、必ずしも全てのカメラ112からの画像を利用する必要はない。例えば、所与の仮想カメラ視点に対して、処理デバイス102は、仮想カメラ視点に最も近く一致するように位置決めおよび配向されたカメラ112のうちの2つからの画像の立体視ペアを選択することができる。幾つかの実施形態では、画像処理デバイス103(および/または深度センサ114)は、共通の原点に対するシーン108の各表面点の深度を推定し、シーン108の表面形状を表すポイントクラウドおよび/または3Dメッシュを生成するように構成される。例えば、幾つかの実施形態では、深度センサ114の深度カメラ118は、プロジェクタ116によってシーン108に投影された構造化光を検出して、シーン108の深度情報を推定することができる。幾つかの実施形態では、画像処理デバイス103は、深度センサ114によって収集された情報を利用するまたは利用せずに、ライトフィールド対応、ステレオブロックマッチング、フォトメトリック対称性、対応、デフォーカス、ブロックマッチング、テクスチャ支援ブロックマッチング、構造化光等の技術を使用して、カメラ112からのマルチビュー画像データから深度を推定することができる。他の実施形態では、深度は、別の波長で前述の方法を実行するカメラ112の特殊なセットによって取得することができる。
【0034】
幾つかの実施形態では、レジストレーション処理デバイス105は、患者の3次元ボリュームの術前画像データ等の以前にキャプチャされた画像データを受信および/または記憶するように構成されている。術前画像データは、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンデータ、磁気共鳴画像(MRI)スキャンデータ、超音波画像、透視画像等を含むことができる。
図3~
図12を参照して以下に更に詳細に説明するように、レジストレーション処理デバイス105は、例えば、両者の間の1以上の変圧/変換/マッピングを決定することによって、術前画像データをカメラ112および/または深度センサ114によってキャプチャされたリアルタイム画像にレジストレーションするように更に構成される。次いで、処理デバイス102(例えば、画像処理デバイス103)は、仮想視野が変化しても、術前画像データをフレーム毎にリアルタイムまたはほぼリアルタイムでシーン108の出力画像と整列する(例えば、オーバーレイする)ことができるように、1以上の変圧を術前画像データに適用することができる。すなわち、画像処理デバイス103は、術前画像データをシーン108のリアルタイムの出力画像と融合させて、例えば、外科医がシーン108内の手術部位と手術中の患者の基礎となる3D解剖学とを同時に見ることを可能にする媒介現実ビューを提示することができる。
【0035】
幾つかの実施形態では、追跡処理デバイス107は、追跡器113によってキャプチャされた位置データを処理して、シーン108の近傍内の物体(例えば、ツール101)を追跡することができる。例えば、追跡処理デバイス107は、1以上の追跡器113によってキャプチャされた2D画像内のマーカー111の位置を決定することができ、2D位置データの三角測量を介してマーカー111の3D位置を計算することができる。より具体的には、幾つかの実施形態では、追跡器113は、キャプチャされた画像内のマーカー111の重心など、キャプチャされた画像から位置データを決定するための専用の処理ハードウェアを含む。次に、追跡器113は、マーカー111の3D位置を決定するために、位置データを追跡処理デバイス107に送信することができる。他の実施形態では、追跡処理デバイス107は、追跡器113から生の画像データを受信することができる。例えば、外科用途では、追跡物体は、外科器具、医師または助手の手または腕、および/またはマーカー111が取り付けられた別の物体を含むことができる。幾つかの実施形態では、処理デバイス102は、追跡された物体がシーン108とは別個であると認識することができ、例えば、物体を強調表示し、物体にラベルを付け、および/または物体にトランスペアレンシーを適用することによって、追跡された物体を区別するために3D出力画像に視覚効果を適用することができる。
【0036】
幾つかの実施形態では、処理デバイス102、画像処理デバイス103、レジストレーション処理デバイス105、および/または追跡処理デバイス107に帰属する機能は、実質的に2以上の物理デバイスによって実装することができる。例えば、幾つかの実施形態では、同期コントローラ(図示せず)が、プロジェクタ116によって表示される画像を制御し、カメラ112に同期信号を送信して、カメラ112とプロジェクタ116との間の同期を確保し、高速のマルチフレーム、マルチカメラ構造化光スキャンを可能にする。更に、このような同期コントローラは、構造化光スキャンのパラメータ、カメラ設定、およびカメラアレイ110のカメラ構成に固有のカメラ較正データ等のハードウェア固有の構成を記憶するパラメータサーバとして動作することができる。同期コントローラは、ディスプレイデバイス104を制御するディスプレイコントローラとは別の物理デバイスに実装することができ、またはデバイスを共に統合することができる。
【0037】
処理デバイス102は、プロセッサおよび、プロセッサによって実行されると、本明細書で説明されるように処理デバイス102に帰属する機能を実行する命令を記憶する非一過性のコンピュータ可読記憶媒体を備えることができる。必須ではないが、本発明の技術の態様および実施形態は、汎用コンピュータ、例えばサーバまたはパーソナルコンピュータによって実行されるルーチン等のコンピュータ実行可能命令の一般的な関連で説明することができる。関連技術の当業者は、本発明の技術が、インターネット家電、ハンドヘルドデバイス、ウェアラブルコンピュータ、携帯電話または携帯電話、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラマブル家電、セットトップボックス、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ等を含む他のコンピュータシステム構成で実施できることを理解するであろう。本発明の技術は、以下に詳細に説明するコンピュータ実行可能命令の1以上を実行するように具体的にプログラム、構成または構築された特殊用途のコンピュータまたはデータプロセッサに具体化することができる。実際、本明細書で一般的に使用される「コンピュータ」(および同様の用語)という用語は、上記のデバイスの他、プロセッサおよび他の構成要素、例えばネットワーク通信回路を有するゲームデバイス、カメラ、または他の電子デバイス等の消費者向け電子製品を含む、任意のデータプロセッサまたはネットワークと通信可能な任意のデバイスを指す。
【0038】
本発明の技術は、タスクまたはモジュールが、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、またはインターネット等の通信ネットワークを介してリンクされているリモート処理デバイスによって実行される、分散コンピューティング環境においても実施することができる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールまたはサブルーチンは、ローカルおよびリモートのメモリ記憶デバイスの両方に配置することができる。以下に説明する本発明の技術の態様は、チップ(例えば、EEPROMまたはフラッシュメモリチップ)内に格納された、磁気的および光学的に読み取り可能な、および取り外し可能なコンピュータディスクを含む、コンピュータ読み取り可能媒体上に格納または配布することができる。或いは、本発明の技術の態様は、インターネットまたは他のネットワーク(無線ネットワークを含む)を介して電子的に配布することができる。関連技術の当業者であれば、本発明の技術の一部はサーバコンピュータ上に存在し、対応する部分はクライアントコンピュータ上に存在し得ることを認識するであろう。本発明の技術の態様に特有のデータ構造およびデータの伝送も、本発明の技術の範囲に包含される。
【0039】
仮想カメラ視点は、仮想カメラ視点の位置および向きに対応する制御入力を提供する入力コントローラ106によって制御することができる。仮想カメラ視点に対応する出力画像は、ディスプレイデバイス104に出力することができる。幾つかの実施形態では、画像処理デバイス103は、(例えば、入力コントローラからの入力に基づいて)仮想カメラの視点、被写界深度(例えば、絞り)、焦点面、および/または別のパラメータを変化させて、カメラアレイ110を物理的に移動させることなく、異なる3D出力画像を生成することができる。ディスプレイデバイス104は、出力画像(例えば、シーン108の合成された3Dレンダリング)を受信し、1以上のビューアが見るために出力画像を表示するように構成される。幾つかの実施形態では、処理デバイス102は、入力コントローラ106からの入力を受信および処理し、カメラアレイ110からのキャプチャ画像を処理して、ディスプレイデバイス104のビューアによって知覚されるように(例えば、少なくともカメラアレイ110のフレームレートと同程度の速さで)実質的にリアルタイムで仮想視野に対応する出力画像を生成することができる。更に、ディスプレイデバイス104は、任意の(i)シーン108内の追跡された物体(例えば、手術ツール)および/または(ii)レジストレーションされたまたは非レジストレーションの術前画像データの、仮想視野の画像内におけるグラフィカル表示を表示することができる。
【0040】
ディスプレイデバイス104は、例えば、ヘッドマウントディスプレイデバイス、モニタ、コンピュータディスプレイ、および/または別のディスプレイデバイスを備えることができる。幾つかの実施形態では、入力コントローラ106およびディスプレイデバイス104は、ヘッドマウントディスプレイデバイスに統合され、入力コントローラ106は、ヘッドマウントディスプレイデバイスの位置および向きを検出するモーションセンサを備える。次いで、仮想カメラの視点は、仮想視野が、ヘッドマウントディスプレイデバイス104を装着したビューアによって見られる視点に対応するように、同じ参照フレームにおいて、計算された深度(例えば、深度センサ114によって計算される)におけるヘッドマウントディスプレイデバイス104の位置および向きに対応するように導出することができる。従って、このような実施形態では、ヘッドマウントディスプレイデバイス104は、ヘッドマウントディスプレイデバイス104を装着していない観察者によって見られるようなシーン108のリアルタイムレンダリングを提供することができる。或いは、入力コントローラ106は、ビューアがディスプレイデバイス104によって表示される仮想視野を手動で制御することを可能にする、ユーザ制御制御デバイス(例えば、マウス、ポインティングデバイス、ハンドヘルドコントローラ、ジェスチャ認識コントローラなど)を構成することができる。
【0041】
図2は、本発明の技術の実施形態による外科手術アプリケーションのためのシステム100を採用した外科手術環境の斜視図である。図示の実施形態では、カメラアレイ110は、シーン108(例えば、手術部位)上に位置決めされ、およびワークステーション224に動作可能に結合される可動アーム222を介して支持/位置決めされる。幾つかの実施形態では、アーム222は、カメラアレイ110を位置決めするために手動で動かすことができるが、幾つかの実施形態では、アーム222は、入力コントローラ106(
図1)および/または別のコントローラに応答してロボット制御することができる。図示の実施形態では、ディスプレイデバイス104は、ヘッドマウントディスプレイデバイス(例えば、仮想現実ヘッドセット、拡張現実ヘッドセットなど)である。ワークステーション224は、処理デバイス102、ディスプレイデバイス104、入力コントローラ106、カメラアレイ110、および/または
図1に示されるシステム100の他の構成要素の様々な機能を制御するためのコンピュータを含むことができる。従って、幾つかの実施形態では、処理デバイス102および入力コントローラ106は、それぞれワークステーション224に統合される。幾つかの実施形態では、ワークステーション224は、様々な構成機能を実行するためのユーザインターフェース、表示デバイス104上のディスプレイの鏡像、および/または他の有用な視覚画像/表示を表示することができる二次ディスプレイ226を含む。
【0042】
II.
レジストレーション技術の選択された実施形態
図3は、本発明の技術の実施形態による、術前画像データを術中画像データに/術中画像データとレジストレーションし、手術シーンの媒介現実ビューを生成するためのプロセスまたは方法330のフロー図である。方法330の幾つかの特徴は、説明のために
図1および
図2に示すシステム100の関連で説明されているが、当業者であれば、本明細書で説明する他の適切なシステムおよび/またはデバイスを使用して方法330を実施できることを容易に理解するであろう。同様に、本明細書では術前画像データ、術中画像データおよび手術シーンについて言及しているが、方法330は、他のシーンに関する他のタイプの情報をレジストレーションおよび表示するのに使用することができる。例えば、方法330は、より一般的には、何れかの以前にキャプチャされた画像データをシーンの対応するリアルタイムまたはほぼリアルタイムの画像データにレジストレーションして、以前にキャプチャされた画像データおよびリアルタイム画像の組み合わせ/融合を含む、シーンの媒介現実ビューを生成するのにために使用することができる。
図4A~4Cは、本発明の技術の実施形態による
図3の方法330の様々な段階を示す、カメラアレイ110の視野内の物体の術中画像データ440および対応する物体の術前画像データ442の概略図である。従って、方法330の幾つかの態様について、
図4A~4Cに関連して説明する。
【0043】
ブロック331において、方法330は、術前画像データを受信することを含む。上記で詳細に説明したように、術前画像データは、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンデータ、磁気共鳴画像(MRI)スキャンデータ、超音波画像、透視画像等のような、患者の3次元ボリュームを表す医療スキャンデータとすることができる。幾つかの実施形態では、術前画像データはポイントクラウドまたは3次元(3D)メッシュを備えることができる。
【0044】
ブロック332において、方法330は、例えばカメラアレイ110から手術シーン108の術中画像データを受信することを含む。術中画像データは、カメラ112および/または深度カメラ118によってキャプチャされたシーン108内の患者のリアルタイムまたはほぼリアルタイムの画像を含むことができる。幾つかの実施形態では、術中画像データは、(i)カメラ112からのライトフィールド画像と、(ii)シーン108に関する符号化された深度情報を含む深度カメラ118からの画像と、を含む。幾つかの実施形態では、術前画像データは、術中画像データ内の少なくとも幾つかの特徴に対応する。例えば、シーン108は、脊椎が少なくとも部分的に露出した脊椎手術を受けている患者を含むことができる。術前画像データは、手術前に撮影された患者の脊椎のCTスキャンデータを含むことができ、これは脊椎の少なくとも一部の完全な3Dデータセットを備える。従って、術前画像データ中の様々な椎骨または他の特徴は、カメラ112、118からの画像データ中に表された患者の脊椎の部分に対応することができる。他の実施形態では、シーン108は、膝の手術、頭蓋骨を用いた手術等の別のタイプの手術を受ける患者を含むことができ、術前画像データは、靭帯、骨、肉、および/または特定の手術手順に関連する他の解剖学的構造のCTまたは他のスキャンデータを含むことができる。
【0045】
より具体的には、
図4Aを参照すると、物体は、術中画像データ440および術前画像データ442の両方に表される複数の部分441(それぞれ、第1~第5の部分441a~441eとして個々に識別される)を含むことができる。物体は、例えば、患者の脊椎とすることができ、副部分441は、脊椎の個々の椎骨を含むことができる。物体の術前画像データ442および術中画像データ440は、典型的には、両方のデータセットにおける同じ特徴(例えば、副部分441)が異なって表されるように、異なる座標系に存在する。図示の実施形態では、例えば、術前画像データ442の副部分441の各々は、物体の術中画像データ440の副部分441の対応する1つに対して相対的に回転され、スケーリングされ、および/または並進可能である。
【0046】
従って、ブロック333において、方法330は、例えば、術中画像データと術前画像データとの間の変換/マッピング/変換を確立するために、術前画像データを術中画像データにグローバルにレジストレーションし、これらのデータセットが同じ座標系で表され、その後共に表示できるようにすることを含む。例えば
図4Bは、グローバルレジストレーション後の物体の術中画像データ440および術前画像データ442を示す。図示の実施形態では、術前画像データ442を物体の術中画像データ440にグローバルレジストレーションした後、副部分441は、各データセットにおいて(例えば、術中画像空間、座標系、および/またはフレームにおいて)少なくとも大まかに整列することができる。幾つかの実施形態では、グローバルレジストレーションプロセスは、(i)術前画像データを表すポイントクラウドまたは3Dメッシュ内の3D点を、(ii)術中画像データを表すポイントクラウドまたは3Dメッシュ内の3D点にマッチングさせる。幾つかの実施形態では、システム100(例えば、レジストレーション処理デバイス105)は、深度センサ114の深度カメラ118からの術中画像データから3Dポイントクラウドを生成することができ、両方のデータセットにおいて可視のフィデューシャルマーカおよび/または特徴点の位置を検出することによって、ポイントクラウドを術前画像データにレジストレーションすることができる。例えば、術前画像データがCTスキャンデータを含む場合、CTスキャンデータから算出された骨表面の剛体を、ポイントクラウドの対応する点/表面にレジストレーションすることができる。他の実施形態では、システム100は、形状対応の他の方法に基づく他のレジストレーションプロセス、および/またはフィデューシャルマーカに依存しないレジストレーションプロセス(例えば、マーカーレスレジストレーションプロセス)を採用することができる。幾つかの実施形態では、レジストレーション/整列プロセスは、2020年1月22日出願された、名称「ALIGNING PREOPERATIVE SCAN IMAGES TO REAL-TIME OPERATIVE IMAGES FOR A MEDIATED-REALITY VIEW OF A SURGICAL SITE」の米国仮特許出願第16/749,963号明細書に開示されたレジストレーション/整列プロセスと概ね類似または同一の特徴を含むことができ、本仮出願は、引用により全体が本明細書に組み込まれる。更に他の実施形態では、グローバルレジストレーションは、例えば
図5~6Eを参照して以下に詳細に記載されるレジストレーション方法の何れかを使用して実施することができる。
【0047】
本発明の技術の幾つかの態様では、術前画像データを術中画像データにグローバルレジストレーションするために使用されるアルゴリズムは、初期化のための整列を必要としない。すなわち、グローバルレジストレーションアルゴリズムは、初期マッピングが知られていない場合でも、術前画像データと術中画像データとの間の変換を生成することができる。幾つかの実施形態では、再び
図4Bを参照すると、グローバルレジストレーションプロセスは、例えば、副部分441の幾つかが共通座標空間内で互いに異なるように回転、並進、および/または拡大縮小される比較的緩い整列をもたらすことができる。従って、ブロック334において、方法330は、術前画像データの少なくとも一部を術中画像データにローカルにレジストレーションすることを含むことができる。例えば
図4Cは、ローカルレジストレーション後の物体の術中画像データ440および術前画像データ442を示す。図示の実施形態では、副部分441の各々が、
図4Bに示されたグローバルレジストレーションよりも緊密な整列を提供するためにローカルレジストレーションされている。他の実施形態では、全ての副部分441よりも少ない副部分441および/または副部分441の異なる部分集合をローカルにレジストレーションすることができる。例えば、手術される椎骨または椎骨のみをローカルにレジストレーションする一方、椎骨の他のものはグローバルレジストレーションのみのまま、または全くレジストレーションしないようにすることができる。幾つかの実施形態では、レジストレーション処理デバイス105は、グローバルレジストレーション(ブロック333)の結果のような、初期化に大まかな整列を必要とするローカルレジストレーションアルゴリズムを利用することができる。例えば、レジストレーション処理デバイス105は、反復的最近接点(ICP)、コヒーレント・ポイント・ドリフト(CPD)、またはガウス混合モデル(GMM)のような確率密度推定に基づくアルゴリズムのような、厳密なレジストレーションを達成するための任意の特徴または表面マッチングレジストレーション方法を利用することができる。
【0048】
ブロック335において、方法330は、グローバルレジストレーションおよびローカルレジストレーション(ブロック333および334)に基づいて術前画像データに対して1以上の変換を生成することを含むことができる。1以上の変換は、術前画像データの座標系と術中画像データの座標系との間のマッピングを定義する関数とすることができる。ブロック336において、レジストレーション処理デバイス105は、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで術前画像データに変換を適用することを含むことができる。術前画像データに変換を適用することにより、術前画像データを、カメラアレイ110でキャプチャされたシーン108のリアルタイムまたはほぼリアルタイムの画像と実質的に整列することができる。
【0049】
最後に、ブロック337において、方法330は、変換された術前画像データおよび術中画像データを共に表示して、手術シーンの媒介現実ビューを提供することを含むことができる。このビューは、ディスプレイデバイス104上で、外科医などのビューアに提供することができる。より具体的には、画像処理デバイス102は、仮想視野が変化しても、フレーム毎にリアルタイムまたはほぼリアルタイムで、整列された術前画像データをシーン108の出力画像上にオーバーレイすることができる。すなわち、画像処理デバイス103は、術前画像データをシーン108のリアルタイムの出力画像とオーバーレイして、例えば外科医がシーン108内の手術部位と手術中の患者の基礎となる3D解剖学とを同時に見ることを可能にする媒介現実ビューを提示することができる。
【0050】
図3~4Cを共に参照すると、幾つかの実施形態では、シーン108内の物体の位置および/または形状は、時間と共に変化することができる。例えば、椎骨等の副部分441の相対的な位置および向きは、患者が手術されるときに外科処置中に変化する可能性がある。従って、方法330は、術前画像データを術中画像データにグローバルに(ブロック333)および/またはローカルに(ブロック334)定期的に再レジストレーションすることを含むことができる。幾つかの実施形態では、再レジストレーションは、レジストレーションの精度(例えば、スコア、レベル)が閾値レベルを下回ったときにトリガすることができる。幾つかの実施形態では、例えば、このような精度の決定は、
図12を参照して以下に詳細に説明するレジストレーション精度を評価する方法を用いて実施することができる。
【0051】
図5は、本発明の技術の実施形態による、術前画像データを術中画像データにレジストレーションするためのプロセスまたは方法550のフロー図である。幾つかの実施形態では、方法550は、
図3~4Cを参照して上で詳細に説明した方法330のブロック333において、術前画像データを術中画像データにグローバルにレジストレーションするのに使用することができる。方法550の幾つかの特徴は、説明のために
図1および
図2に示されるシステム100の関連にて説明されているが、当業者であれば、本明細書で説明する他の好適なシステムおよび/またはデバイスを用いて方法550を実施することができることを容易に理解するであろう。
図6A~
図6Eは、システム100によって生成され、ビューアが閲覧可能なシーン108(例えば、手術シーン)の出力画像の斜視図であり、本発明の技術の実施形態による
図5の方法550の様々な段階を示す。従って、方法550の幾つかの態様は、
図6A~6Eの関連で説明される。
【0052】
ブロック551において、方法550は術前画像データを受信することを含む。上記で詳細に説明したように、術前画像データは、コンピュータ断層撮影CTスキャンデータなどの患者の3次元ボリュームを表す医療スキャンデータを含むことができる。ブロック552において、方法550は、カメラアレイ110から手術シーン108の術中画像データを受信することを含む。上記で詳細に説明したように、術中画像データは、脊椎手術を受けている患者の脊椎の画像等の、カメラ112および/または深度カメラ118からのリアルタイムまたはほぼリアルタイムの画像を含むことができる。
【0053】
ブロック553において、方法550は、術中画像データに基づいて手術シーンの3D出力画像/ビューを生成および表示することを含む。
図1を参照して上記で詳細に説明したように、処理デバイス102は、深度センサ114およびカメラ112から術中画像データを受信し、術中画像データを処理して、例えば入力コントローラ106によって選択された仮想カメラ視点に対応するシーン108の3D出力画像を合成(例えば、生成、再構成、レンダリング)することができる。3D出力画像は、仮想カメラ視点に対応する任意の位置および向きで配置されたカメラによってキャプチャされるであろうシーン108の画像の近似に対応することができ、また、ユーザによって知覚されるような実質的にリアルタイムでディスプレイデバイス104を介してユーザに更新および表示することができる。
図6Aは、例えば、ディスプレイデバイス104を見ているユーザ(例えば、外科医)が可視であるシーン108の3D出力画像を示す。幾つかの実施形態では、シーン108は、(例えば、レジストレーションの目的で)関心のある物体を含むことができる。図示の実施形態では、例えば、シーン108は、例えば、脊椎固定術または他の脊椎外科処置の間に患者の肉665から露出した椎骨659(それぞれ、第1~第4椎骨659a~659dとして個々に識別される)を含む脊椎手術シーンである。
【0054】
ブロック554において、方法550は、手術シーンの3D出力画像において術前画像データの少なくとも一部を表示することを含む。術前画像データは、シーン108内の関心のある物体のもの/対応することができ、術間画像データに対して非レジストレーションすることができる。幾つかの実施形態では、術前画像データは、ユーザによって同時に見ることができるように、手術シーンの3D出力画像の上に重ね合わせることができる。例えば、
図6Bは、シーン108の出力画像の上にオーバーレイされた術前画像データ642を示す。図示の実施形態では、術前画像データ642は、第2の椎骨659bのCTスキャンデータを含む。幾つかの実施形態では、表示された術前画像データ642は、椎骨の複数のものに関する情報を含むCTスキャンのセグメント化された部分とすることができる。すなわち、シーン108の仮想レンダリングの上にオーバーレイされた術前画像データ642は、術前画像データのより大きなセットの一部またはセグメントとすることができる。幾つかの実施形態では、システム100は、シーン内のツール101の位置に基づいて術前画像データ642を表示することができる。図示の実施形態では、例えば、術前画像データ642は、ツール101の先端109に表示され、従って、シーン108内を移動可能である。幾つかの実施形態では、システム100は、(例えば、
図6Bに示すように)シーン108内のツール101の全てまたは一部をレンダリングすることができ、一方、他の実施形態では、ツール101は、3D出力画像から省略することができる。
【0055】
ブロック555において、方法550は、手術シーンの3D出力画像に対して表示された術前画像データを移動させるための第1のユーザ入力を受信することを含む。第1のユーザ入力は、表示された術前画像データを手術シーンの3D出力画像の対応する部分の上に手動で整列するためのものとすることができる。
図6Cおよび
図6Dを共に参照すると、例えば、ユーザは、対応する第2の椎骨659bと術前画像データ642が概ね整列するまで、ツール101を動かして、術前画像データ642をシーン108のレンダリングに対して(例えば、その上に)並進(例えば、ドラッグ)、回転、および/またはその他の方法で移動させることができる。すなわち、ユーザは、手術シーン108に対してツール101を物理的に操作して、術前画像データ642を術中画像データ(例えば、第2の椎骨659b)に概ね整列/レジストレーションすることができる。幾つかの実施形態では、システム100は、追跡器113を介してシーン108に対するツール101の動きを追跡し、その動きを術前画像データ642の仮想的な動きに並進することができる。他の実施形態では、システム100は、ユーザの手(例えば、ユーザの1以上の指)のようなシーン108内の他の物体を追跡し、その動きを術前画像データ642の動きに変換することができる。
【0056】
ブロック556において、方法550は、表示された術前画像データが手術シーンの3D出力画像の対応する部分の上に整列されていることを示す第2のユーザ入力を受信することを含む。例えば、
図6Dを参照すると、ユーザは、術前画像データ642を第2の椎骨659bの術中画像データと概ね整列させた後に、ツール101(
図6C)を術前画像データ642から切り離すようにシステム100に指示を与えることができる。幾つかの実施形態では、第2のユーザ入力は、(例えば、ツール101上のボタンの)ボタン押下、音声コマンド、手の動き、および/またはシステム100によって認識可能な別の適切な指示を含むことができる。すなわち、術前画像データ642を所定の位置にドラッグした後、ユーザは、システム100に指示を与えることによって、術前画像データをその位置に「ドロップ」することができる。他の実施形態では、システム100は、術前画像データが3D出力画像の対応する部分上に整列されたことを自動的に検出することができる。
【0057】
ブロック557において、方法550は、術前画像データと3D出力画像の対応する部分との整列に基づいて術前画像データおよび術中画像データとの間でレジストレーション変換を生成することを含むことができる。
図3~4Cを参照して上記で詳細に説明したように、例えば、レジストレーション変換は、術前画像データの座標系と術中画像データの座標系との間のマッピングを定義するグローバル変換とすることができる。
【0058】
ブロック558において、方法550は、表示された術前画像データを手術シーンの3D出力画像の対応する部分にローカルにレジストレーションすることを含むことができる。
図3~4Cを参照して上記で詳細に説明したように、および
図6Eに示すように、ローカルレジストレーションは、例えば、ICPアルゴリズム、CPDアルゴリズム、GMMアルゴリズム、および/または術前画像データ642のユーザの手動レジストレーションによって提供された一般的な整列/変換で初期化された別のアルゴリズムを使用して、術前画像データ642の術中画像データ(例えば、第2の椎骨659b)への整列を引き締め/改善することができる(ブロック555~557)。幾つかの実施形態では、ローカルレジストレーションは、術前画像データ642を整列に「スナップ」させることができる。幾つかの実施形態では、システム100は、ローカルレジストレーションの精度が閾値許容範囲内にない場合に、手動整列(ブロック555および556)を繰り返すようにユーザに促すことができる。
【0059】
本発明の技術の幾つかの態様において、方法550は、ユーザが手術シーンを視覚化し、術前画像データを自動的にスナップ(ブロック558)して更に整列する前に、術前画像データをドラッグ(ブロック555)およびドロップ(ブロック556)してシーンの対応する部分と整列することを可能にする。更に、レジストレーションは、術前画像データおよびシーンの対応する部分を構成する多数の点に基づいており、ユーザにとって簡単且つ容易に実施することができる。これに対し、従来のレジストレーション技術では、CTスキャンを患者にレジストレーションするために、ユーザ(例えば、外科医)がCTスキャン内の対応する点および患者上の対応する点を繰り返しタップする必要があるのが一般的である。従って、レジストレーションは、タップされた比較的少数の点に基づいて行われ、およびユーザにとって時間がかかる。例えば、ユーザは、CTスキャンおよび患者上の点をタップするために頭を繰り返し動かさなければならないが、対照的に、本発明の技術の方法550は、簡単で直感的な統合されたレジストレーションを提供する。
【0060】
幾つかの実施形態では、システム100は、ユーザが術前画像データを手動で整列しようとしている間に(ブロック555および556)、術前画像データをシーン108にローカルにレジストレーションしようと試みることができる(ブロック557)。同時ローカルレジストレーションに基づいて、システム100は、術前画像データを正しい位置に手動で配置するようにユーザをガイドするのを助けることができる。例えば、ユーザが術前画像データを正しい位置に近づけると、ローカルレジストレーションアルゴリズムは、術前画像データがほぼ整列されたことを示し、ユーザに表示を提供することができる。例えば、
図6A~6Eを参照すると、システム100は、第2の椎骨659bの周囲に、術前画像データ642をユーザの視界から第2の椎骨659bに向かって引き寄せ/加重する「重力井戸」効果を生じさせることができる。代替的にまたは追加的に、ユーザが術前画像データ642を手動で動かしてローカルレジストレーションが成功するほど近づけた場合、システム100は、ユーザが術前画像データ642をまだ所定の位置に誘導している間に、術前画像データ642を第2の椎骨659bと整列するように単に「スナップ」させることができる。
【0061】
幾つかの実施形態では、ユーザに表示された術前画像データの一部(例えば、CTスキャンのセグメント化された部分)をレジストレーションした後、術前画像データの残りの部分(例えば、CTスキャンのセグメント化されていないまたは残りの部分)を患者にレジストレーションすることができる。例えば
図6A~
図6Eを参照すると、システム100は、第2の椎骨659bのレジストレーションを、第1の椎骨659a、第3の椎骨659c、第4の椎骨659d、および/または他の解剖学的特徴の1以上の術前画像データをレジストレーションする(例えばローカルにレジストレーションする)ための初期化として利用することができる。
【0062】
図7は、本発明の技術の付加的な実施形態による、術前画像データを術中画像データにレジストレーションするためのプロセスまたは方法760のフロー図である。幾つかの実施形態では、方法760は、
図3~4Cを参照して詳細に説明した方法330のブロック333および334において、術前画像データを術中画像データにグローバルにレジストレーションおよび/またはローカルにレジストレーションするのに使用することができる。方法760の幾つかの特徴は、説明のために
図1および
図2に示すシステム100の関連で説明されているが、当業者であれば、本明細書で説明する他の好適なシステムおよび/またはデバイスを用いて方法760を実施できることを容易に理解するであろう。
【0063】
ブロック761において、方法760は術前画像データを受信することを含む。上記で詳細に説明したように、術前画像データは、コンピュータ断層撮影CTスキャンデータなどの患者の3次元ボリュームを表す医療スキャンデータを含むことができる。ブロック762において、方法760は、例えばカメラアレイ110から手術シーン108の術中画像データを受信することを含む。上記で詳細に説明したように、術中画像データは、深度センサ114のカメラ112および/または深度カメラ118からのリアルタイムまたはほぼリアルタイムの画像、例えば脊椎手術を受けている患者の脊椎の画像等を含むことができる。幾つかの実施形態では、術中画像データは、カメラ112からのライトフィールドデータを含むことができる。
【0064】
ブロック763において、方法760は、術中画像データを分析して、手術シーンにおける患者の異なるタイプの解剖学的構造に対応する1以上の特性/メトリックを決定することを含む。例えば、レジストレーション処理デバイス105は、色(例えば、色相、彩度、および/または値)、角度情報、および/または鏡面情報等のカメラ112からのライトフィールドデータ(例えば、ハイパースペクトルライトフィールドデータ)を分析して、患者の解剖学的構造の異なる部分を組織、骨、靭帯、腱、神経等として分類することができる。
図8は、例えば、本発明の技術の実施形態による1以上のカメラ112によってキャプチャされた患者の脊椎868の画像である。脊椎868は、骨(例えば、第1のタイプの解剖学的特徴)から形成され、肉869(例えば、第2のタイプの解剖学的特徴)のような他の解剖学的特徴と散在し、これらによって囲まれている。図示の実施形態では、脊椎868の術中画像データは、肉869よりも彩度が低くおよび輝度が高い。幾つかの実施形態では、解剖学的構造のタイプの1以上は、術前画像データに対応することができる。すなわち、術前画像データは、術中画像データの解剖学的構造のタイプの1以上のものとすることができる。例えば、脊椎868の画像データは、脊椎868のCTスキャンまたは他の医学的スキャンを含む、術前画像データに対応することができる。
【0065】
ブロック764において、方法760は、異なるタイプの解剖学的構造に対応する1以上の特性に少なくとも部分的に基づいて、術前画像データを術中画像データにレジストレーションすることを含む。例えば、幾つかのレジストレーションアルゴリズム(例えば、反復的最近接点(ICP)アルゴリズム)は、(i)深度センサ114から生成されたポイントクラウドまたはメッシュと、(ii)術前画像データを表すポイントクラウドまたはメッシュとの間の各対応など、レジストレーション変換を計算するために使用される各対応に対してポイント毎に適用できる重みを任意選択的に含む。すなわち、レジストレーションアルゴリズムは、術中画像データ内の第1の点と術前画像データ内の第2の点との間の対応関係に個々の重みを適用することができる。幾つかの実施形態では、レジストレーションアルゴリズムの重みは、患者の解剖学的構造に対応する術中画像データにおける決定された特性に基づいて調整することができる(ブロック763)。例えば、脊椎処置の場合、多くの場合は、脊椎のCTデータを処置中に患者の露出した脊椎の術中画像データにレジストレーションすることが望まれる。従って、
図8を参照すると、特定のポイント(例えば、深度センサ114からのポイントクラウド内のポイント)が、比較的低い彩度、高い輝度、および/または同様のもののような、脊椎868の一部である可能性が高いことを示す特性を有する、カメラ112によってキャプチャされたピクセルにマッピングされる場合、レジストレーションアルゴリズムにおけるそのポイントの対応付けの重みを増加させることができる。逆に、カメラ112からの画像データが、ある点が肉869または他の解剖学的構造の一部である可能性が高いことを示す場合、その点に対する重みを減少させることができる。幾つかの実施形態では、点間の対応に割り当てられる重みは、点、例えば色相、彩度、色、角度、および/または鏡面情報の組み合わせなどに対するライトフィールド特性の学習および/または調整された関数とすることができる。対照的に、典型的なアプローチは、レジストレーションに使用されるポイントクラウドまたはメッシュの構造(例えば、局所構造)のみに由来するシーンにとらわれないメトリックからレジストレーションアルゴリズムの重みを決定する。
【0066】
本発明の技術の幾つかの態様において、カメラ112からのライトフィールド画像データを使用してレジストレーション変換のための重みを作成することにより、依然として、背骨868の表面に近い肉、血液、および/または他の解剖学的特徴をレジストレーションに含めることができ、レジストレーションに正の入力を提供することを可能にする。幾つかの実施形態では、特定の点の重みは、その点のライトフィールド特性に基づいて二値(例えば、完全に重み付けされるか、または含まれない)とすることができる。例えば、背骨868に沿うように示された点は「1」で重み付けすることができ、肉869に沿うように示された点は「0」で重み付けすることができる。従って、幾つかの実施形態では、方法760は、レジストレーションのために術中画像データの一部(例えば、骨の部分)をセグメント化するように動作し、それによってレジストレーションの精度を高める。
【0067】
図9は、本発明の技術の追加の実施形態による、術前画像データを術中画像データにレジストレーションして手術シーンの媒介現実ビューを生成するためのプロセスまたは方法970の流れ図である。方法970の幾つかの特徴は、説明のために
図1および
図2に示すシステム100の関連で説明されているが、当業者であれば、本明細書で説明する他の適切なシステムおよび/またはデバイスを使用して方法970を実施できることを容易に理解するであろう。
【0068】
複合ブロック971において、方法970は、シーン108の術中画像データを受信すること、および術中画像データを処理して深度情報を生成することを含む。より具体的には、ブロック972において、本方法は、深度センサ114の深度カメラ118を用いてシーン108の画像をキャプチャすることを含む。幾つかの実施形態では、画像は、例えば、プロジェクタ116によってシーンに投影された/投影されたパターンからの深度情報を含むシーン108のステレオ画像である。幾つかの実施形態では、深度センサ114は、術前画像データと同じまたはほぼ同じ解像度を有する。
【0069】
ブロック973において、方法970は、画像を処理してポイントクラウド深度マップを生成することを含む。例えば、処理デバイス102(例えば、画像処理デバイス103および/またはレジストレーション処理デバイス105)は、深度センサ114からの画像データを処理して、共通の原点に対するシーン108の各表面点の深度を推定し、シーン108の表面形状を表すポイントクラウドを生成することができる。幾つかの実施形態では、処理デバイス102は、セミグローバルマッチング(SGM)、セミグローバルブロックマッチング(SGBM)、および/または他のコンピュータビジョンまたはステレオビジョンアルゴリズムを利用して、画像データを処理してポイントクラウドを生成することができる。幾つかの実施形態では、ポイントクラウドは、0.11平方ミリメートル当たり1ポイント(9pt/mm2)から9平方ミリメートル当たり1ポイント(0.11pt/mm2)の範囲密度を有することができる。
【0070】
ブロック974において、方法970は、例えば、異常値を除去するために(例えば、中央値または重み付け分析を使用して)ポイントクラウド深度マップをフィルタリングすることを任意選択的に含むことができる。ブロック975において、本方法は、ポイントクラウド深度マップから3Dメッシュを生成することを含む。幾つかの実施形態では、処理デバイス102は、マーチングキューブまたは他の適切なアルゴリズムを使用して3Dメッシュを生成することができる。幾つかの実施形態では、3Dメッシュの生成は、組み合わされたブロック971を実行する総時間の約25%またはそれ以上を必要とすることができる。
【0071】
ブロック976において、方法970は、ポイントクラウドを術前画像データにグローバルにおよびまたはローカルにレジストレーションすることを含む。幾つかの実施形態では、グローバルおよび/またはローカルレジストレーションは、
図3~
図8を参照して上記で詳細に説明したレジストレーション方法/技術の何れかを利用することができる。幾つかの実施形態では、高密度の3Dメッシュの代わりに低密度/解像度のポイントクラウドを利用することは、正確なレジストレーションを達成するのに十分である。従って、図示の実施形態では、グローバルおよび/またはローカルレジストレーションは、ブロック974から進み、術前画像データへのレジストレーションのためにフィルタリングされたポイントクラウドを利用する。本発明の技術の幾つかの態様では、3Dメッシュではなくポイントクラウドを利用することにより、データ解析が少なくて済み、およびその結果レジストレーション処理が速くなる。例えば、9pt/mm
2の密度を有する3Dメッシュではなく、0.11pt/mm
2の密度を有するポイントクラウドを利用することにより、データ使用量を81分の1に削減することができる。
【0072】
ブロック977において、方法970は、
図1を参照して上記で詳細に説明したように、3Dメッシュおよびカメラアレイ110のカメラ112からの画像データを処理して、シーン108の仮想視野を生成/合成することを含む。本発明の技術の幾つかの態様では、レジストレーションプロセス(ブロック976)が3Dメッシュではなくポイントクラウドを利用するため、レジストレーションプロセスは、シーンの視野の仮想合成(ブロック977)の前およびその間に初期化され、実行を開始することができる。すなわち、これらの処理を並行して実行することができ、方法970の処理速度を向上させることができる。
【0073】
ブロック978において、方法970は、仮想視野およびレジストレーションされた術前画像データを共に(例えば、ディスプレイデバイス104上に)表示して、シーン108の媒介現実ビューをユーザに提供することを含む。幾つかの実施形態では、方法970のブロック976~978は、例えば、
図3~4Cを参照して詳細に説明した方法330のブロック332~337と概ね同様にまたは同一に動作することができる。
【0074】
図10は、本発明の技術の実施形態による、シーンのポイントクラウド深度マップをシーンの一部の術前画像データにレジストレーションするためのプロセスまたは方法1080の流れ図である。幾つかの実施形態では、方法1080は、
図9を参照して詳細に説明した方法970のブロック976において、ポイントクラウドを術前画像データにローカルおよび/またはグローバルにレジストレーションするのに使用することができる。
図11は、本発明の技術の実施形態による、ポイントクラウド内の異なる数/密度のポイントの処理に対するレジストレーションアルゴリズムの経時的な精度のグラフである。図示の実施形態では、第1の曲線1185は、第1のポイント数(例えば、ポイントクラウド内の全ポイントの10%)の処理を表し、第2の曲線1186は、第1のポイント数よりも大きい第2のポイント数(例えば、ポイントクラウド内の全ポイントの50%)の処理を表し、第3の曲線1187は、第1のポイント数よりも大きい第3のポイント数(例えば、ポイントクラウド内の全ポイントの100%)の処理を表す。
【0075】
図10および
図11を併せて参照すると、ブロック1081において、方法1080は、ポイントクラウド内の選択されたポイント数に基づいて、ポイントクラウドを術前画像データにレジストレーションを開始することを含む。例えば、レジストレーションは、第1の曲線1185によって表される第1の数の点に基づいて、選択されたレジストレーションアルゴリズム(例えば、ICPアルゴリズム)を実行することによって開始することができる。
図11に示すように、第1のポイント数の処理は、それぞれ第2および第3の曲線1186および1187によって表される第2または第3のポイント数の処理が精度A1に達するよりも早い時間T
1で、第1の選択された精度A1に達することができる。すなわち、より少ない数のポイントを処理する方が、より多くの数のポイントを処理するよりも迅速に第1の精度レベルを達成することができる。
【0076】
しかしながら、第1の曲線1185は、比較的低い精度で迅速に平坦化する。従って、ブロック1082において、方法1080は、予め定義されたレジストレーション精度レベル(および/または予め定義された処理時間)に達した後、ポイントクラウド内のより多数のポイントに基づいて、術前画像データへのポイントクラウドのレジストレーションを継続することを含むことができる。例えば、第1の曲線1185によって表される第1の数の点の初期処理が第1の選択された精度A1に達した後、第2の曲線1186によって表される第2の数の点に基づいて選択されたレジストレーションアルゴリズムを実行することによって、レジストレーションを継続することができる。従って、第2の点数の処理は、第1の選択された精度レベルA1において、時刻T1において実質的に開始される(例えば、初期化される)ことができる。従って、精度レベルA1においてより大きな第2のポイント数の処理に切り替える前に、より少ない第1のポイント数の処理を最初に行うことにより、レジストレーションアルゴリズムの処理時間を、時間T1とT2との差(すなわち、時間T2-T1)だけ短縮することができ、全体的な処理速度を向上させることができる。
【0077】
決定ブロック1083において、方法1080は、十分なレジストレーション精度に達したか否かを決定することを含む。はいであれば、方法1080は、レジストレーションが完了した状態でブロック1084で終了に進むことができる。いいえの場合、方法1080はブロック1082に戻り、別の予め定義されたレジストレーション精度レベル(および/または予め定義された処理時間)に達した後、ポイントクラウド内のより多くのポイントに基づいて、ポイントクラウドと術前画像データとのレジストレーションを継続することができる。例えば、第2の曲線1186によって表される第2の数の点の処理が時間T3において第2の選択された精度A2に達した後に、第3の曲線1187によって表される第3の数の点に基づいて選択されたレジストレーションアルゴリズムを実行することによってレジストレーションを継続することができる。従って、第3の点数の処理は、時刻T3において、第2の選択精度レベルA2(第3の点数の処理だけでは時刻T4まで到達しない精度レベル)で初期化される。従って、精度レベルA2でより大きな第3のポイント数の処理に切り替える前に、より少ない第2のポイント数を最初に処理することにより、レジストレーションアルゴリズムの処理時間を、時間T3とT4との差(すなわち、時間T4-T2)だけ短縮することができ、全体的な処理速度を向上させることができる。方法1080は、ブロック1082に任意の回数戻ることができ、ポイントクラウド内の異なる数のポイントを、例えば段階的に差分処理することができる。
【0078】
図12は、本発明の技術の実施形態による、術中画像データと術前画像データとの間のレジストレーション、グローバルおよび/またはローカルレジストレーション等の精度を決定するためのプロセスまたは方法1290の流れ図である。方法1290の幾つかの特徴は、説明のために
図1および
図2に示すシステム100の関連で説明されているが、当業者であれば、本明細書で説明する他の適切なシステムおよび/またはデバイスを用いて方法1290を実施できることを容易に理解するであろう。
【0079】
ブロック1291において、方法1290は、履歴レジストレーションデータを記録および/または受信することを含む。履歴レジストレーションデータは、例えば、(i)術前画像データ(例えば、CTスキャンデータ等の3Dデータセット)、(ii)術中画像データ(例えば、深度センサ114から導出された3Dポイントクラウドまたはメッシュ)、および(iii)術前画像データを術中画像データにマッピングするためのレジストレーション変換を含む例示的なデータセットを含むことができる。幾つかの実施形態では、例示的なデータセットは、以前の外科処置から記録/コンパイルすることができ、および/またはテストケースとして生成することができる。幾つかの実施形態では、レジストレーション変換器は、
図3~
図11を参照して上記で詳細に説明した方法の何れかを用いて計算することができる。
【0080】
ブロック1292において、方法1290は、履歴レジストレーション変換の周囲に空間近傍を定義することを含む。空間近傍は、小さな並進、回転、および/または反射変動など、履歴レジストレーション変換の値のわずかな変動/偏差を含むことができる。幾つかの実施形態では、空間近傍は、過去の術前画像データ(例えば、ソースデータ)および/または過去の術中画像データを特殊ユークリッド群空間(SE(n))内の近傍のポーズに変換することによって生成される特徴ベクトル(例えば、729x1特徴ベクトル)とすることができる。幾つかの実施形態では、近傍のポーズは、回転方向には約±5度以内、並進方向には約±0.3ミリメートル以内など、閾値の回転方向および並進可能な分散の範囲内とすることができる。
【0081】
ブロック1293において、方法1290は、履歴レジストレーション変換を分類/ラベリングすることを含む。例えば、履歴レジストレーション変換および対応する空間近傍の各々は、予め定義された基準に基づいて、「良い」または「正確な」変換または「悪い」または「不正確な」変換として二値ラベルで分類することができる。幾つかの実施形態において、予め定義された基準は、真のレジストレーション(例えば、100%正確なレジストレーション)からの許容可能な偏差を選択することができる。例えば、「良好な」変換は、真のレジストレーションから選択された回転分散(例えば、±1度)および並進可能な分散(例えば、±0.5ミリメートル)の範囲内にあるように定義することができる。幾つかの実施形態では、「悪い」変換を生成するために、並進および回転のランダムノイズを「良い」履歴レジストレーション変換の一部または全部に導入することができる。
【0082】
ブロック1294において、方法1290は、(i)履歴レジストレーション変換の周りの空間近傍および(ii)これらの変換に対する分類に基づいて機械学習モデルを訓練することを含む。より具体的には、履歴レジストレーションデータの例の各々について、機械学習アルゴリズムは、履歴レジストレーション変換の周囲の近傍を表す特徴ベクトルおよび関連するバイナリラベルを用いて訓練することができる。幾つかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、特異値分解(SVD)またはニューラルネットワークとすることができる。他の実施形態では、他の機械学習技術を採用することができる。このような機械学習技法には、重みを生成する場合、サポートベクターマシン、ベイジアンネットワーク、学習回帰、および/またはニューラルネットワークが含まれる。サポートベクターマシンは、良好なレジストレーション変換および不良なレジストレーション変換の例を訓練データとして用いて訓練することができる。サポートベクターマシンは、実施可能な入力の空間において超曲面を見つけることによって動作する。超曲面は,正の例および負の例のうち最も近いものと超曲面との間の距離を最大化することによって,正の例(すなわち,良好なレジストレーション変換)を負の例(すなわち,不良レジストレーション変換)から分割しようとする。サポートベクターマシンは同時に、経験的分類誤差を最小化し、幾何学的マージンを最大化する。これにより、訓練データと似ているが同一ではないデータを正しく分類することができる。サポートベクターマシンの訓練には、様々な手法を用いることができる。幾つかの手法は、大きな二次計画問題を解析的に解くことができる一連の小さな二次計画問題に分解する逐次最小最適化アルゴリズムを使用する。
【0083】
ブロック1295において、方法1290は、術中レジストレーション変換を含む術中レジストレーションデータを受信することを含む。履歴レジストレーションデータと同様に、術中レジストレーションデータは、例えば、(i)術前画像データ(例えば、CTスキャンデータ等の3Dデータセット)、(ii)術中画像データ(例えば、深度センサ114から導出された3Dポイントクラウドまたはメッシュ)、および(iii)術前画像データを術中画像データにマッピングするためのレジストレーション変換を含むデータセットを含むことができる。このような術中レジストレーションデータは、
図3~
図11を参照して上記で詳細に説明した技術の何れかを用いて得ることができる。
【0084】
ブロック1296において、方法1290は、術中レジストレーション変換器の周囲の空間近傍を定義することを含む。履歴レジストレーション変換の周りの近傍と同様に、術中レジストレーション変換の周りの空間的近傍は、決定された術中レジストレーション変換の周りの近傍のポーズまたは変換のセットを定義する特徴ベクトルとすることができる。
【0085】
ブロック1297において、方法1290は、術中レジストレーション変換の周囲の空間的近傍を訓練された機械学習モデルに入力することを含む。入力に基づいて、ブロック1298において、方法1290は、術中レジストレーション変換の精度に対する適性スコアを決定することを含む。フィットネススコアは、二値「良い」または「悪い」決定とすることができ、または連続スペクトルまたは2以上の離散スペクトルに沿ったスコアとすることができる。幾つかの実施形態では、フィットネススコアが所定の閾値を下回る場合、システム100は術前画像データを術中画像データに再レジストレーションすることを試みることができる。本発明の技術の幾つかの態様では、変換単独ではなく、所与のレジストレーション変換周辺の値の近傍を評価することにより、レジストレーション精度の評価の信頼性が高まる。
【0086】
図3~12を参照して上記で詳細に説明した方法330、550、760、970、1080、および1290は、互いに概ね同様の幾つかの特徴を含むことができ、および/または概ね同様に動作する。例えば、方法の様々な段階は、互いに組み合わせることができ、省略することができ、および/または異なる順序で実施することができる。
更に、全体を通して術前画像データおよび術中画像データを参照してきたが、これらのデータソースは、本発明の技術の範囲から逸脱することなく他のタイプであってもよい。
例えば、術前画像データおよび/または術中画像データは、シーンをイメージングするカメラ以外のソースからの深度データを含むことができる。
【0087】
III.追加の例
以下の例は、本発明の技術の幾つかの実施形態を例示するものである。
【0088】
1.患者の医療スキャンデータを上記患者を含むシーンの術中画像データにレジストレーションする方法であって、
上記術中画像データに基づいて上記シーンの3次元(3D)画像を生成することであって、上記医療スキャンデータが、上記3D画像において少なくとも部分的に見える上記患者の一部に対応する、ことと、
上記医療スキャンデータを上記3D画像の上にオーバーレイすることと、
上記医療スキャンデータを移動して上記3D画像内の上記患者の一部と整列するようにするためのユーザ入力を受信することと、
上記整列に基づいて、上記3D画像内の上記患者の一部に上記医療スキャンデータをレジストレーションすることと、
を含む、方法。
【0089】
2.上記方法が、上記術中画像データを継続的に受信することを更に含み、上記3D画像を生成することが、上記術中画像データに基づいて仮想画像を継続的に更新することを含む、例1に記載の方法。
【0090】
3.上記方法が、上記3D画像および上記医療スキャンデータを、ディスプレイデバイスのユーザによって知覚されるように実質的にリアルタイムで上記ディスプレイデバイス上に表示することを更に含む、例1または2に記載の方法。
【0091】
4.上記医療スキャンデータが、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンのセグメント化された部分である、例1~3の何れか1つに記載の方法。
【0092】
5.上記医療スキャンデータが上記患者の椎骨のものであり、上記3D画像における上記患者の一部が、上記患者の脊椎である、例1~4の何れか1つに記載の方法。
【0093】
6.上記医療スキャンデータをレジストレーションすることが、上記医療スキャンデータを上記3D画像内の上記患者の一部にグローバルにレジストレーションすることを含み、
上記方法が、上記医療スキャンデータを上記グローバルレジストレーションに少なくとも部分的に基づいて上記3D画像内の上記患者の一部にローカルにレジストレーションすることを更に含む、例1~5の何れか1つに記載の方法。
【0094】
7.上記方法が、上記3D画像内の上記患者の一部に上記医療スキャンデータをローカルにレジストレーションした後、上記3D画像内の上記患者の一部と更に整列するように上記医療スキャンデータを自動的に移動させることを更に含む、例6に記載の方法。
【0095】
8.上記ユーザ入力は、上記シーンにわたって移動可能なツールからのものである、例1~7の何れか1つに記載の方法法。
【0096】
9.上記医療スキャンデータを上記3D画像の上にオーバーレイすることは、上記医療スキャンデータを上記シーン内の上記ツールの先端に表示することを含む、例8に記載の方法。
【0097】
10.上記ユーザ入力は、上記3D画像内の上記患者の一部に向かって上記医療スキャンデータをドラッグすることである、例1~9の何れか1つに記載の方法。
【0098】
11.上記ユーザ入力は、上記医療スキャンデータを上記3D画像内の患者の一部に向かって回転させることである、例1~10の何れか1つに記載の方法。
【0099】
12.媒介現実システムであって、
患者を含むシーンの術中画像データをキャプチャするように構成された複数のカメラを含むカメラアレイと、
上記シーンの仮想視野の位置および向きを制御するように構成された入力コントローラと、
上記カメラアレイおよび上記入力コントローラに通信可能に結合された処理デバイスと、
を備え、
上記処理デバイスは、
上記術中画像データに基づいて、上記仮想視野に対応する仮想画像を合成し、
上記仮想画像において少なくとも部分的に見える上記患者の一部に対応する上記患者の医療スキャンデータを受信し、
上記医療スキャンデータを上記仮想画像の上にオーバーレイし、
上記医療スキャンデータを移動させて上記仮想画像内の上記患者の一部と整列するようにするためのユーザ入力を受け取り、
上記整列に基づいて、上記医療スキャンデータを上記仮想画像内の上記患者の一部にレジストレーションする、
ように構成されている、媒介現実システム。
【0100】
13.上記処理デバイスに通信可能に結合されたディスプレイデバイスを更に備え、上記ディスプレイデバイスは、上記仮想画像の上に上記医療スキャンデータの3次元(3D)グラフィカル表現を表示するように構成されている、例12に記載の媒介現実システム。
【0101】
14.上記処理デバイスに通信可能に結合されたツールを更に備え、上記ユーザ入力は、上記シーンに対する上記ツールの位置に基づいている、例12または13に記載の媒介現実システム。
【0102】
15.上記ユーザ入力は、上記シーンに対する上記ツールの物理的並進、物理的回転、または物理的並進と物理的回転の両方である、例14に記載の媒介現実システム。
【0103】
16.上記シーンが手術シーンであり、上記仮想画像における上記患者の一部が患者の脊椎を含み、上記医療スキャンデータがコンピュータ断層撮影(CT)スキャンデータである、例12~15の何れか1つに記載の媒介現実システム。
【0104】
17.シーンのリアルタイム画像データに以前にキャプチャされた画像データをレジストレーションする方法であって、
上記リアルタイム画像データに基づいて上記シーンの3次元(3D)仮想ビューを生成することであって、上記シーンが関心のある物体を含み、上記以前にキャプチャされた画像データが上記関心のある物体に対応する、ことと、
ユーザに可視であるディスプレイデバイス上に上記3D仮想ビューを表示することと、
上記3D仮想ビューの上に上記ディスプレイデバイス上に上記以前にキャプチャされた画像データを表示することと、
上記以前にキャプチャされた画像データが上記3D仮想ビュー内の上記関心のある物体と少なくとも部分的に整列されるように、上記3D仮想ビューに対して上記以前にキャプチャされた画像データを移動させるためのユーザ入力を受信することと、
上記以前にキャプチャされた画像データと上記3D仮想ビュー内の上記関心のある物体との整列に基づいて、上記以前にキャプチャされた画像データと上記3D仮想ビュー内の上記関心のある物体との間のレジストレーション変換を生成することと、
を含む、方法。
【0105】
18.上記ディスプレイデバイス上に上記3D仮想ビューを表示することは、上記3D仮想ビューを上記ユーザによって知覚されるように実質的にリアルタイムで表示すること を含む、例17に記載の方法。
【0106】
19.上記方法が、
上記レジストレーション変換に少なくとも部分的に基づいて、上記以前にキャプチャされた画像データを上記3D仮想ビュー内の上記関心のある物体にローカルにレジストレーションすることと、
上記ローカルレジストレーションに基づいて、上記以前にキャプチャされた画像データを上記3D仮想ビュー内の上記関心のある物体と更に整列されるように自動的に移動させることと、
を更に含む、例17または18に記載の方法。
【0107】
20.上記ユーザ入力が、上記シーンに対する上記ツールの位置に基づくものであり、上記3D仮想ビューの上に上記以前にキャプチャされた画像データを表示することが、上記シーン内の上記ツールの先端に対応する位置で、上記3D仮想ビュー内に上記以前にキャプチャされた画像データの3D表現を表示することを含み、上記ユーザ入力が、上記シーンにわたる上記ツールの物理的移動である、例17~19の何れか1つに記載の方法。
【0108】
21.患者の医療スキャンデータを、上記患者を含むシーンの術中画像データにレジストレーションする方法であって、
上記術中画像データの1以上の特性を決定することと、
決定された上記1以上の特性に基づいて、(a)上記術中画像データの第1の部分が上記患者の解剖学的構造の第1のタイプに対応すること、および(b)上記術中画像データの第2の部分が上記患者の解剖学的構造の第2のタイプに対応し、上記解剖学的構造の第1のタイプが上記医療スキャンデータに対応すること、を決定することと、
上記術前画像データを上記術中画像データの上記第1の部分にレジストレーションすることと、
を含む、方法。
【0109】
22.上記術前画像データがコンピュータ断層撮影(CT)スキャンデータである、例21に記載の方法。
【0110】
23.上記解剖学的構造の第1のタイプが骨である、例21または22に記載の方法。
【0111】
24.上記術前画像データを上記術中画像データの上記第1の部分にレジストレーションすることが、
上記術前画像データと上記術中画像データの上記第1の部分との間のレジストレーション変換を計算するためにレジストレーションアルゴリズムを利用することと、
上記決定された1以上の特性に基づいて上記レジストレーションアルゴリズムを調整することと、
を含む、例21~23の何れか1つに記載の方法。
【0112】
25.上記レジストレーションアルゴリズムを利用することが、上記術中画像データ中の第1の点と上記術前画像データ中の第2の点との間の複数の点間対応を計算することを含み、上記レジストレーションアルゴリズムを調整することが、上記点間対応において上記第1の点が上記解剖学的構造の第1のタイプまたは上記解剖学的構造の第2のタイプに対応するという決定に基づいて、上記点間対応の重みを調整することを含む、例24に記載の方法。
【0113】
26.上記点間対応の重みを調整することが、(a)上記解剖学的構造の第1のタイプに対応する上記第1の点を含む上記点間対応の重みを増加させること、および(b)解剖学的構造の第2のタイプに対応する上記第1の点を含む上記点間対応の重みを減少させることを含む、例25に記載の方法。
【0114】
27.上記1以上の特性が、色情報、角度情報および鏡面情報のうちの少なくとも1つを含む、例21~26の何れか1つに記載の方法。
【0115】
28.上記1以上の特性が、色相、彩度および値情報のうちの少なくとも1つを含む、例21~27の何れか1つに記載の方法。
【0116】
29.上記術中画像データが、上記シーンのライトフィールド画像データを含む、例21~28の何れか1つに記載の方法。
【0117】
30.上記術中画像データが、上記シーンの深度データを含む深度カメラからの画像データを更に含み、上記画像データの1以上の特性を決定することが、上記ライトフィールド画像データに基づいて上記1以上の特性を決定することを含み、上記術前画像データを上記術中画像データの第1の部分にレジストレーションすることが、上記深度データを上記術前画像データにレジストレーションすることを含む、例29に記載の方法。
【0118】
31.上記方法が、
上記術中画像データに基づいて上記シーンの3次元(3D)画像を生成することと、
上記シーンの上記3D画像において上記解剖学的構造の第1のタイプの上に上記医療スキャンデータを表示することと、
を更に含む、例21~30の何れか1つに記載の方法。
【0119】
32.媒介現実システムであって、
患者を含むシーンの術中画像データをキャプチャするように構成された複数のカメラを含むカメラアレイと、
上記シーンの仮想視野の位置および向きを制御するように構成された入力コントローラと、
上記カメラアレイおよび上記入力コントローラに通信可能に結合された処理デバイスと、
を備え、
上記処理デバイスは、
上記術中画像データに基づいて、上記仮想視野に対応する仮想画像を合成し、
上記患者の医療スキャンデータを受信し、
上記術中画像データの1以上の特性を決定し、
決定された上記1以上の特性に基づいて、(a)上記術中画像データの第1の部分が上記患者の解剖学的構造の第1のタイプに対応し、(b)上記術中画像データの第2の部分が上記患者の解剖学的構造の第2のタイプに対応し、上記解剖学的構造の第1のタイプが上記医療スキャンデータに対応する、ことを決定し、
上記術前画像データを上記術中画像データの第1の部分にレジストレーションし、
上記医療スキャンデータを上記仮想画像内の上記解剖学的構造の第1のタイプの上にオーバーレイする、
ように構成されている、媒介現実システム。
【0120】
33.上記シーンが手術シーンであり、上記解剖学的構造の第1のタイプが患者の脊椎であり、上記医療スキャンデータがコンピュータ断層撮影(CT)スキャンデータである、例32に記載の媒介現実システム。
【0121】
34.上記1以上の特性が、色相、彩度および値情報のうちの少なくとも1つを含み、上記術中画像データが、上記シーンのライトフィールド画像データを含む、例32または33に記載の媒介現実システム。
【0122】
35.上記プロセッサは、レジストレーションアルゴリズムを利用して、上記術中画像データの第1の点と上記術前画像データの第2の点との間の複数の点間対応を計算することと、上記点間対応における上記第1の点が上記解剖学的構造の第1のタイプまたは上記解剖学的構造の第2のタイプに対応するという決定に基づいて、上記点間対応の重みを調整することとによって、上記術前画像データを上記術中画像データの第1の部分にレジストレーションするように構成されている、例32~34の何れか1つに記載の媒介現実システム。
【0123】
36.上記プロセッサが、(a)上記解剖学的構造の第1のタイプに対応する上記第1の点を含む上記点間対応の重みを増加させること、および(b)上記解剖学的構造の第2のタイプに対応する上記第1の点を含む上記点間対応の重みを減少させることにより、上記点間対応の重みを調整するように更に構成されている、例32~35に記載の媒介現実システム。
【0124】
37.以前にキャプチャされた画像データをシーンのリアルタイム画像データにレジストレーションする方法であって、
上記シーンのライトフィールド画像データを含むリアルタイム画像データを受信することと、
上記リアルタイム画像データに基づいて上記シーンの3次元(3D)仮想ビューを生成することであって、上記シーンが関心のある物体を含み、上記以前にキャプチャされた画像データが、上記関心のある物体に対応する、ことと、
上記ライトフィールド画像データの1以上の特性を決定することと、
決定された上記1以上の特性に基づいて、(a)上記リアルタイム画像データの第1の部分が上記関心のある物体に対応する可能性が高いこと、および(b)上記リアルタイム画像データの第2の部分が上記関心のある物体に対応しない可能性が高いこと、を決定することと、
上記以前にキャプチャされた画像データを上記リアルタイム画像データの第1の部分にレジストレーションすることと、
上記シーンの3D仮想ビューにおいて、上記以前にキャプチャされた画像データを上記関心のある物体の上に表示することと、
を含む、方法。
【0125】
38.上記1以上の特性は、色情報、角度情報および鏡面情報のうちの少なくとも1つを含む、例37に記載の方法。
【0126】
39.上記以前にキャプチャされた画像データを上記リアルタイム画像データの第1の部分にレジストレーションすることは、
上記リアルタイム画像データ内の第1の点と上記以前にキャプチャされた画像データ内の第2の点との間の複数の点間対応を計算するために、レジストレーションアルゴリズムを利用することと、
上記点間対応における上記第1の点が上記関心のある物体に対応する可能性が高いという決定に基づいて、上記点間対応の重みを調整することと、
を含む、例37または38に記載の方法。
【0127】
40.上記リアルタイム画像データの第1の部分が上記関心のある物体に対応する可能性が高いと決定することは、上記リアルタイム画像データの上記第1の部分に対応するライトフィールド画像データが、上記ライトフィールド画像データの他の部分よりも低い彩度を有すると決定することを含む、例37~39の何れか1つに記載の方法。
【0128】
IV.結論
本発明の技術の実施形態に関する上記の詳細な説明は、包括的なものであること、または上記で開示された形態に本発明を限定することを意図していない。本発明の技術の具体的な実施形態および実施例は、例示を目的として上記で説明されているが、関連技術における当業者であれば認識するように、本発明の技術の範囲内で様々な等価な変更が可能である。例えば、ステップは所与の順序で示されているが、代替の実施形態は、異なる順序でステップを実行することができる。また、本明細書で記載される様々な実施形態を組み合わせて、更なる実施形態を提供することもできる。
【0129】
以上から、本発明の技術の特定の実施形態が、説明の目的で本明細書に記載されているが、周知の構造および機能は、本発明の技術の実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、詳細には示されておらずまたは記載されていないことが理解されるであろう。文脈上許容される場合、単数または複数の用語は、それぞれ複数または単数の用語を含むことができる。
【0130】
更に、単語「または」が、2以上の項目のリストに関して、他の項目から排他的な単一の項目のみを意味するように明示的に限定されない限り、このようなリストにおける「または」の使用は、(a)リスト中の任意の単一の項目、(b)リスト中の全ての項目、または(c)リスト中の項目の任意の組み合わせを含むと解釈される。更に、用語「備える(comprising)」は、同じ特徴の任意の数および/または他の特徴の追加の種類が排除されないように、少なくとも言及された特徴(単数または複数)を含むことを意味するために全体を通して使用される。また、特定の実施形態が、例示の目的で本明細書に記載されているが、本発明の技術から逸脱することなく様々な変更がなされ得ることが理解されるであろう。更に、本発明の技術の幾つかの実施形態に関連する利点をこれらの実施形態の関連で説明してきたが、他の実施形態もこのような利点を示すことができ、および全ての実施形態が本発明の技術の範囲内に入るために必ずしもこのような利点を示す必要はない。従って、本開示および関連技術は、本明細書に明示的に示されないまたは記載されない他の実施形態を包含することができる。
【国際調査報告】