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特表2024-501900クローン病及び潰瘍性大腸炎を処置する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】クローン病及び潰瘍性大腸炎を処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240109BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240109BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P1/04
A61P43/00 121
A61P43/00 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541084
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 US2022011432
(87)【国際公開番号】W WO2022150472
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】63/134,506
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/134,549
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/195,554
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/279,978
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】513144626
【氏名又は名称】アッヴィ・ドイチュラント・ゲー・エム・ベー・ハー・ウント・コー・カー・ゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォレス,コリ
(72)【発明者】
【氏名】カラビック,ジャスミナ
(72)【発明者】
【氏名】ヒープ,グレアム・エイ
(72)【発明者】
【氏名】リヤオ,シャオメイ
(72)【発明者】
【氏名】ホワン,ビダン
(72)【発明者】
【氏名】ナイマーク,エセキエル
(72)【発明者】
【氏名】ソング,アレグザンドラ・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,アン・エム
【テーマコード(参考)】
4C085
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG04
(57)【要約】
本開示は、対象におけるクローン病を処置する又はクローン病の寛解を誘導する方法に関する。本開示は、対象における潰瘍性大腸炎を処置する又は潰瘍性大腸炎の寛解を誘導する方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潰瘍性大腸炎(UC)に罹患している成人患者における中程度から重度の活動性UCの寛解を誘導する方法であって、3つの誘導用量のリサンキズマブを4週の間隔で患者に静脈内投与するステップを含み、誘導用量が、それぞれ600mg、1200mg又は1800mgのリサンキズマブを含み、さらに、患者が、最初の誘導用量の投与から4週、8週又は12週後に潰瘍性大腸炎の寛解を達成する、方法。
【請求項2】
誘導用量が600mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
誘導用量が1200mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
誘導用量が1800mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
患者が、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブの投与の前に、Adapted Mayoスコア5~9点及び内視鏡サブスコア2~3を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
患者が、最初の誘導用量の投与から4週、8週又は12週後に、
(1)Adapted Mayoによる臨床的寛解:排便回数サブスコア(SFS)が1以下かつベースラインを上回らず、直腸出血サブスコア(RBS)が0及び内視鏡サブスコアが1以下;
(2)Adapted Mayoによる臨床的応答:Adapted Mayoスコアのベースラインからの2点以上かつベースラインから30%以上の減少及び直腸出血サブスコア(RBS)の1以上の減少又はRBSの絶対値が1以下;
(3)partial Adapted Mayoによる臨床的応答:Adapted Mayoスコアのベースラインからの1点以上かつベースラインから30%以上の減少及びRBSの1以上の減少又はRBSの絶対値が1以下;
(4)Full Mayoによる臨床的寛解:Full Mayoスコアが2以下かつ1を超えるサブスコアなし;
(5)内視鏡的改善:内視鏡サブスコアが0又は1;
(6)内視鏡的寛解:内視鏡サブスコアが0;
(7)組織学的寛解:Geboesスコアが2未満;並びに
(8)粘膜治癒:内視鏡的かつ組織学的な寛解
からなる群から選択されるエンドポイントの1つ以上を達成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
患者が、潰瘍性大腸炎の1つ以上の生物学的療法に対して不寛容又は不十分な応答を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
生物学的療法が、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ又はベドリズマブを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(a)3回目の誘導用量が投与されてから4週後に最初の維持用量のリサンキズマブを患者に皮下投与するステップ、及び
(b)最初の維持用量が投与された後、8週の間隔で、追加の維持用量を患者に皮下投与するステップであって、最初の維持用量と追加の維持用量の両方が、それぞれ180mg又は360mgのリサンキズマブを含む、ステップ
をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
最初の維持用量と追加の維持用量の両方が、180mgのリサンキズマブである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
最初の維持用量と追加の維持用量の両方が、360mgのリサンキズマブである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
クローン病(CD)に罹患している成人患者における中程度から重度の活動性CDの寛解を誘導する方法であって、
(a)3つの600mgの誘導用量のリサンキズマブを4週の間隔で患者に静脈内投与するステップ、及び
(b)3回目の誘導用量が投与されてから4週後に最初の維持用量のリサンキズマブを患者に皮下投与するステップ、及び
(c)少なくとも1つの追加の維持用量を8週の間隔で皮下投与するステップ
を含み、
患者が、最初の誘導用量の投与から4週、8週、12週、24週又は52週後にCDの寛解を達成する、方法。
【請求項13】
患者が、最初の誘導用量のリサンキズマブの投与の前に、
(1)平均1日排便回数(SF)スコアが4以上及び/若しくは平均1日腹痛(AP)スコアが2以上、又は
(2)CDの単純内視鏡スコア(SES-CD)が3以上
を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
患者が、最初の誘導用量のリサンキズマブの投与の前に、クローン病活動性指数(CDAI)スコア220~450を有する、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
患者が、最初の誘導用量の投与から4週、8週、12週、24週又は52週後に、
(1)臨床的寛解:平均1日SFが2.8以下かつベースラインより悪化せず、平均1日APスコアが1以下かつベースラインより悪化しない;
(2)臨床的応答の増強:平均1日SFが60%以上減少及び/若しくは平均1日APスコアが35%以上減少かついずれもベースラインより悪化しない並びに/又は臨床的寛解;
(3)臨床的応答:平均1日SFが30%以上減少及び/又は平均1日APスコアが30%以上減少;
(4)内視鏡的応答:SES-CDがベースラインから50%超の減少又は孤立した回腸疾患を有しベースラインSES-CDが4の患者ではベースラインから少なくとも2点の低減;
(5)潰瘍なし内視鏡:ベースラインにおいて1以上のSES-CD潰瘍表面サブスコアを有する患者において、SES-CD潰瘍表面サブスコアが0;
(6)内視鏡的寛解:SES-CDが4以下かつベースラインに対して少なくとも2点の低減及びいずれの個別の変数においても1を超えるサブスコアなし;
(7)深い寛解:臨床的寛解及び内視鏡的寛解;
(8)CDAIの臨床的応答:CDAIのベースラインから100点以上の低減;
(9)CDAIの臨床的寛解:CDAIが150未満;
(10)CDAIによる52週でのステロイドフリー臨床的寛解:CDAIが150未満;
(11)SF/APSによる52週でのステロイドフリー臨床的寛解:平均1日SFが2.8以下かつベースラインより悪化せず、平均1日APSが1以下かつベースラインより悪化しない;
(12)52週でのステロイドフリー内視鏡的寛解:SES-CDが4以下かつベースラインに対して2点以上の低減及びいずれの個別の変数においても1を超えるサブスコアなし;並びに
(13)52週でのステロイドフリー内視鏡的応答:SES-CDにおけるベースラインから50%超の減少(又は孤立した回腸疾患を有しベースラインSES-CDが4の患者についてはベースラインから2点以上の低減)
からなる群から選択される1つ以上のエンドポイントを達成する、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
患者が、CDのための抗TNF、抗インテグリン又は抗p40生物製剤の1つ以上に対して不寛容又は不十分な応答を有する、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
CDのための抗TNF又は抗インテグリン生物製剤が、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ベドリズマブ、ウステキヌマブ及び/又はナタリズマブを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
患者が、アミノサリチレート、経口局所作用ステロイド、全身性コルチコステロイド及び免疫調節剤からなる群から選択される1つ以上の従来療法に対して不十分な応答又は不寛容を有する、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
最初の維持用量と追加の維持用量の両方が、180mgのリサンキズマブである、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
最初の維持用量と追加の維持用量の両方が、360mgのリサンキズマブである、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年1月6日に出願した米国仮出願第63/134,549号、2021年6月1日に出願した米国仮出願第63/195,554号、2021年11月16日に出願した米国仮出願第63/279,978号及び2021年1月6日に出願した米国仮出願第63/134,506号による優先権の利益を主張する。これらの出願のそれぞれの全内容は、参照により全体として本明細書に組み込む。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、参照により全体として本明細書に組み込む配列表を含む。前記ASCIIコピーは2022年1月5日に作成され、AVR-71325_ST25.txtと命名されており、サイズは9,705バイトである。
【背景技術】
【0003】
クローン病(CD)は、胃腸管のいずれの部分にも罹患し、疲労、大量出血を伴う又は伴わない長期の下痢、腹痛、体重減少及び発熱の症状を呈する、病巣非対称の、貫壁性の、また時には肉芽腫性の炎症によって現れる臨床的及び病変的なプロセスのスペクトルを包含する(Hanauerら(2001)Am.J.Gastroenterol.96(3):635~43頁)。この疾患はいずれの年齢の人にも罹患することがあり、その発症は20歳代及び30歳代で最も一般的である。女性の方が男性より罹患がやや多く、疾患のリスクはある種の民族群で高い(Loftus E.V.(2004)Gastroenterology.126(6):1504~17頁;Probertら(1996)Int.J.Colorectal.Dis.11(1):25~8頁)。CDの発生率は先進国で過去30年にわたって着実に増加しており(Molodeckyら(2012)Gastroenterology.142(1):46~54頁)、最近の推定では10万人当たり12.7例から20.2例の変動があり、有病率は、北米及び欧州で10万人当たりそれぞれ319例及び322例である(Baumgart D.C.(2012)Crohn’s disease.Lancet.380(9853):1590~605頁)。アジアでは、CDの発生率は10万人当たり0.5~1.0例、有病率は3.6~7.7の範囲と推定されている(Leongら(2004)Inflamm.Bowel Dis.10(5):646~51頁;Leeら(2000)J.Gastroenterol.Hepatol.15(6):622~5頁)。
【0004】
CDの正確な原因は未だに不明であるが、遺伝的に影響を受けやすい個体に関連する免疫系の調節異常の結果であると仮定されている。患者の遺伝的特徴、微生物叢、免疫応答及び環境の組合せが腸において過剰かつ異常な免疫応答をもたらし、これがCDで見られる病変をもたらすと考えられている(Loftus E.V.(2004)Gastroenterology.126(6):1504~17頁)。
【0005】
CDにおける医学的処置の目的は、炎症を制御し、症状を低減させることに焦点を当ててきた(Lichtensteinら(2009)Am.J.Gastroenterol.104(2):465~83頁)。症状を改善することに加え、明らかになってきた治療の目標は、腸粘膜を治癒させることである。腸潰瘍の消失は、粘膜治癒としても知られているが、臨床的寛解の割合の増大、入院の減少及び腹部手術の減少を含む好ましい臨床的利益に関連している(Froslieら(2007)Gastroenterology.133(2):412~22頁;Kakkarら(2011)Gastroenterol Hepatol.(NY).7(6):374~80頁)。しかし、腸粘膜の外観の改善は、症状の改善のみよりも達成困難なことがある。
【0006】
従来の薬学的治療(例えばコルチコステロイド、アミノサリチレート、チオプリン類、メトトレキサート)には限界があり、必ずしも完全に炎症プロセスを減弱せず、顕著な有害作用がある(Hanauerら(2001)Am.J.Gastroenterol.96(3):635~43頁;Dignassら(2010)J.Crohns Colitis.4(1):28~62頁)。抗TNFα薬(例えばアダリムマブ)及びインテグリン阻害薬(例えばベドリズマブ)の出現は、従来療法に難治性の患者において臨床的寛解を達成することが示されている(Froslieら(2007)Gastroenterology.133(2):412~22頁;Kakkarら(2011)Gastroenterol Hepatol.(NY).7(6):374~80頁;Dignassら(2010)J.Crohns Colitis.4(1):28~62頁;Colombelら(2007)Gastroenterology.132(1):52~65頁;Sandbornら(2013)N.Engl.J.Med.369(8):711~21頁)。
【0007】
利用可能な生物学的療法の利益にも関わらず、多くの患者は初期処置に反応せず(一次応答喪失)又は経時的に処置を失う(二次応答喪失)。抗TNF薬に関して、患者の約40%が一次非応答を経験し、二次非応答は6か月で38%の患者、1年で50%の患者に起こる(Colombelら(2007)Gastroenterology.132(1):52~65頁;Targanら(1997)N.Engl.J.Med.337(15):1029~35頁;Hanauerら(2002)Lancet.359(9317):1541~9頁;Hanauerら(2006)Gastroenterology.130(2):323~33頁;Sandbornら(2007)N.Engl.J.Med.357(3):228~38頁)。さらに、一部の患者は、利用可能な生物学的療法の候補ではない。したがって、CDの患者の転帰の改善を継続するために、新たな治療オプションが必要である。
【0008】
潰瘍性大腸炎(UC)は、特発性の炎症性腸疾患(IBD)の2つの基本的形態のうちの1つである。UCは、腸の主として粘膜層、時には粘膜下層の炎症及び潰瘍化によって特徴付けられる大腸の慢性かつ再発性の炎症性疾患である。これは、遺伝的に影響を受けやすい個体における環境的誘発に対する、局所的免疫応答が制御不能になり誇張されることによって惹起されると仮定されている(Hanauer S.B.(2004)Nat.Clin.Pract.Gastroenterol.Hepatol.1:26~31頁)。UCの最大の年間発生率は、欧州で10万人・年当たり24.3例、アジア及び中東で10万人・年当たり6.3例、北米で10万人・年当たり19.2例であり、有病率は、欧州で10万人当たり505例、北米で10万人当たり249例である(Molodeckyら(2012)Gastroenterology 142:46~54頁)。医療システムにおけるUCの負荷は大きく、米国(US)だけで年間ほぼ50万件の来診及び4.6万件を超える入院の原因となっている(Sandlerら(2002)Gastroenterology 122:1500~1511頁)。
【0009】
UCにおける医学処置の目的は、炎症を制御し、症状を低減することである。利用可能な薬学的治療には限界があり、必ずしも完全に炎症プロセスを減弱せず、顕著な有害作用を有することがある。軽度ないし中程度の活動性UCに対する治療は、5-アミノサリチル酸誘導体及び免疫抑制薬を含む。より重度の症状を有する患者にはコルチコステロイドが使用されるが、長期の治療には有用でない(Truelove S.C.及びWitts L.J.(1959)Br.Med.J.1:387~394頁)。感染、感情的及び精神的な撹乱、皮膚外傷並びに代謝的骨疾患を含むコルチコステロイドの毒性の頻度及び重症度は顕著である。コルチコステロイドは寛解の維持には有効でなく、American College of Gastroenterology及びEuropean Crohn’s and Colitis OrganizationのUC診療指針は、慢性的ステロイド処置をしないことを推奨している(The European evidence-based consensus on diagnosis and management of ulcerative colitis.Part 2:current management)。
【0010】
中程度から重度の症状を有する患者は、免疫調節剤(アザチオプリン[AZA]、メルカプトプリン[6-MP]又はメトトレキサート[MTX])からいくらかの利益を得ることがあるが、これらの薬剤を受けた患者の17%までは、薬物の離脱を必要とするに十分な重篤な有害事象を経験している(Chaparroら(2013)Inflamm.Bowel Dis.19:1404~1410頁)。有害事象(AE)には、特異体質的インフルエンザ様反応、骨髄抑制、肝毒性、膵炎、感染及び悪性腫瘍が含まれる(Kornbluthら(2010)Am.J.Gastroenterol.105:501~523頁;Beaugerieら(2009)Lancet.374:1617~1625頁)。これらの治療にも関わらず、潰瘍性大腸炎の患者のおよそ15%は重篤な臨床経過を経験し、これらの患者の30%は、炎症性プロセスの原因を除外するために結腸/直腸の切除を必要とする。この手順には顕著な死亡が伴う(Turnerら(2007)Clin.Gastroenterol.Hepatol.5:103~110頁)。
【0011】
特定の免疫学的経路を標的とする生物学的薬剤が、UCの患者の処置における治療効果について評価されてきた。抗腫瘍壊死因子(TNF)薬が、IBDに使用される最初の生物製剤であった。インフリキシマブ、アダリムマブ及びゴリムマブは、UCの処置に成功裡に使用されている。最近、抗接着療法であるベドリズマブが、米国食品医薬品局(FDA)及び欧州医薬品庁(EMA)によってUCの処置のために承認されており、日本で臨床開発が進行している。抗TNF療法は、ステロイド難治性若しくはステロイド依存性の患者、チオプリンに不十分な応答を有した患者又はこれらの医薬に不寛容な患者への有効な処置である。抗TNF療法の可能性のあるリスクには、注入又は注射した部位の反応、重大な感染、リンパ腫、心不全、ループス様症候群及び脱髄状態が挙げられる(Sandbornら(2010)Dig.Dis.28:536~542頁)。
【0012】
利用可能な生物学的薬剤によって達成された有益な結果にも関わらず、これらを受けた患者の17%~45%のみが、臨床的寛解を達成することができる(Rutgeertsら(2005)N.Engl.J.Med.353:2462~2476頁)。したがって、従来療法及び生物学的療法に対して不十分な応答又は不寛容を有する患者のためのUCにおけるさらなる治療オプションに対する明らかな医学的ニーズが残っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Hanauerら(2001)Am.J.Gastroenterol.96(3):635~43頁
【非特許文献2】Loftus E.V.(2004)Gastroenterology.126(6):1504~17頁
【非特許文献3】Probertら(1996)Int.J.Colorectal.Dis.11(1):25~8頁
【非特許文献4】Molodeckyら(2012)Gastroenterology.142(1):46~54頁
【非特許文献5】Baumgart D.C.(2012)Crohn’s disease.Lancet.380(9853):1590~605頁
【非特許文献6】Leongら(2004)Inflamm.Bowel Dis.10(5):646~51頁
【非特許文献7】Leeら(2000)J.Gastroenterol.Hepatol.15(6):622~5頁
【非特許文献8】Lichtensteinら(2009)Am.J.Gastroenterol.104(2):465~83頁
【非特許文献9】Froslieら(2007)Gastroenterology.133(2):412~22頁
【非特許文献10】Kakkarら(2011)Gastroenterol Hepatol.(NY).7(6):374~80頁
【非特許文献11】Dignassら(2010)J.Crohns Colitis.4(1):28~62頁
【非特許文献12】Colombelら(2007)Gastroenterology.132(1):52~65頁
【非特許文献13】Sandbornら(2013)N.Engl.J.Med.369(8):711~21頁
【非特許文献14】Targanら(1997)N.Engl.J.Med.337(15):1029~35頁
【非特許文献15】Hanauerら(2002)Lancet.359(9317):1541~9頁
【非特許文献16】Hanauerら(2006)Gastroenterology.130(2):323~33頁
【非特許文献17】Sandbornら(2007)N.Engl.J.Med.357(3):228~38頁
【非特許文献18】Hanauer S.B.(2004)Nat.Clin.Pract.Gastroenterol.Hepatol.1:26~31頁
【非特許文献19】Sandlerら(2002)Gastroenterology 122:1500~1511頁
【非特許文献20】Truelove S.C.及びWitts L.J.(1959)Br.Med.J.1:387~394頁
【非特許文献21】The European evidence-based consensus on diagnosis and management of ulcerative colitis.Part 2:current management
【非特許文献22】Chaparroら(2013)Inflamm.Bowel Dis.19:1404~1410頁
【非特許文献23】Kornbluthら(2010)Am.J.Gastroenterol.105:501~523頁
【非特許文献24】Beaugerieら(2009)Lancet.374:1617~1625頁
【非特許文献25】Turnerら(2007)Clin.Gastroenterol.Hepatol.5:103~110頁
【非特許文献26】Sandbornら(2010)Dig.Dis.28:536~542頁
【非特許文献27】Rutgeertsら(2005)N.Engl.J.Med.353:2462~2476頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
(発明の要旨)
本明細書に記載した方法は、対象におけるクローン病を処置する又はクローン病の寛解を誘導するためにリサンキズマブ(米国ではrisankizumab-rzaaとも称する。)を投与するための効果的かつ安全な投薬レジメンを提供する。本開示は、少なくとも1つの誘導用量の約600mg又は約1200mgのリサンキズマブを対象に投与するステップを含む、対象におけるクローン病を処置する又はクローン病の寛解を誘導する方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、一態様では、本開示は、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブを対象に投与するステップを含む、対象におけるクローン病を処置する方法に関し、誘導用量は、約600mg又は約1200mgのリサンキズマブを含む。一実施形態では、本方法は、少なくとも1つの維持用量の約180mg又は約360mgのリサンキズマブを対象に投与するステップをさらに含む。
【0016】
別の態様では、本開示は、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブを対象に投与するステップを含む、対象におけるクローン病の寛解及び/又は内視鏡的応答を誘導する方法に関し、誘導用量は、約600mg又は約1200mgのリサンキズマブを含む。一実施形態では、本方法は、少なくとも1つの維持用量の約180mg又は約360mgのリサンキズマブを対象に投与するステップをさらに含む。
【0017】
さらに、少なくとも1つの誘導用量の約600mg、約1200mg又は約1800mgのリサンキズマブを対象に投与するステップを含む、対象における潰瘍性大腸炎を処置する又は潰瘍性大腸炎の寛解を誘導する方法が本明細書で提供される。本明細書に記載した方法は、対象における潰瘍性大腸炎を処置する又は潰瘍性大腸炎の寛解を誘導するためにリサンキズマブ(米国ではrisankizumab-rzaaとも称する。)を投与するための効果的かつ安全な投薬レジメンを提供する。
【0018】
したがって一態様では、本開示は、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブを対象に投与するステップを含む、対象における潰瘍性大腸炎を処置する方法に関し、誘導用量は、約600mg、約1200mg又は1800mgのリサンキズマブを含む。
【0019】
別の態様では、本開示は、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブを対象に投与するステップを含む、対象における潰瘍性大腸炎の寛解を誘導する方法に関し、誘導用量は、約600mg、約1200mg又は約1800mgのリサンキズマブを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】M15-993及びM15-989の研究設計を示す。*二重盲検処置を、3つの群:PBO、RZB 200mg IV Q4W及びRZB 600mg IV Q4Wに投与した。†12週目の最後に、深い寛解(臨床的寛解及び内視鏡的寛解)を達成しなかった患者は、OL RZB 600mg IV Q4Wを受け、深い寛解を達成した患者は、期間2のウォッシュアウトに参加した。臨床的寛解を達成した対象は、期間3に参加し、OL 180mg SC Q8Wを受けた。臨床的応答/寛解のM15-993を完了した患者は、OLE M15-989に適格であった。‡患者は、M15-989の128~184週目の間に進行中の第3相OLE(M16-000下位研究3)に登録した。IV=静脈内、OL=非盲検、OLE=OL延長、PBO=プラセボ、Q4/8W=4又は8週間毎、RZB=リサンキズマブ、SC=皮下。
図2】OLE M15-989の患者の素性を示す。M15-989のスクリーニング時に臨床的寛解及び/又は反応を有する患者を含む。これらの患者において、臨床的応答及び/又は寛解を12週目に再度査定し、臨床的応答及び/又は寛解が達成された場合、患者を、5回目の来診からリサンキズマブ180mg SC Q8Wに切り替えた。中止の主な理由である。§他の理由は研究者により報告された通りであり、不正確な報告を避けるため分類しなかった。AE=有害事象、CD=クローン病、IV=静脈内、OLE=非盲検延長、Q4/8W=4/8週間毎、SC、皮下。
図3】M15-989の全ての患者における経時的なリサンキズマブのトラフ血漿濃度を示す。分析セットは、利用可能な薬物動態及びADAデータを有する全ての患者を含んだ。患者は、128~184週目の間に進行中の第3相OLE(M16-000下位研究3)に登録し、その結果、異なる来診時点を有した。ADA=抗薬物抗体、OLE=非盲検延長、SC=皮下。
図4A】M15-989(処置意図分析セット)における臨床的寛解、CDEIS寛解、IBDQの応答、IBDQの寛解を達成した患者の割合を経時的に示す。欠測データのNRIを128週目まで表し、その時点から、患者は進行中の第3相OLE(M16-000下位研究3)に登録することができた。128週目以降は、観察例のみを表した。nは応答者の数を示し、Nはリスクのある患者の数を示す。CDAI=クローン病活動性指数、CDEIS=クローン病内視鏡的重症度指数、IBDQ=炎症性腸疾患質問表、NRI=非応答者補完、OLE=非盲検延長。
図4B】M15-989(処置意図分析セット)における臨床的寛解、CDEIS寛解、IBDQの応答、IBDQの寛解を達成した患者の割合を経時的に示す。欠測データのNRIを128週目まで表し、その時点から、患者は進行中の第3相OLE(M16-000下位研究3)に登録することができた。128週目以降は、観察例のみを表した。nは応答者の数を示し、Nはリスクのある患者の数を示す。CDAI=クローン病活動性指数、CDEIS=クローン病内視鏡的重症度指数、IBDQ=炎症性腸疾患質問表、NRI=非応答者補完、OLE=非盲検延長。
図4C】M15-989(処置意図分析セット)における臨床的寛解、CDEIS寛解、IBDQの応答、IBDQの寛解を達成した患者の割合を経時的に示す。欠測データのNRIを128週目まで表し、その時点から、患者は進行中の第3相OLE(M16-000下位研究3)に登録することができた。128週目以降は、観察例のみを表した。nは応答者の数を示し、Nはリスクのある患者の数を示す。CDAI=クローン病活動性指数、CDEIS=クローン病内視鏡的重症度指数、IBDQ=炎症性腸疾患質問表、NRI=非応答者補完、OLE=非盲検延長。
図4D】M15-989(処置意図分析セット)における臨床的寛解、CDEIS寛解、IBDQの応答、IBDQの寛解を達成した患者の割合を経時的に示す。欠測データのNRIを128週目まで表し、その時点から、患者は進行中の第3相OLE(M16-000下位研究3)に登録することができた。128週目以降は、観察例のみを表した。nは応答者の数を示し、Nはリスクのある患者の数を示す。CDAI=クローン病活動性指数、CDEIS=クローン病内視鏡的重症度指数、IBDQ=炎症性腸疾患質問表、NRI=非応答者補完、OLE=非盲検延長。
図5A】M15-989のhs-CRP(処置意図分析セット)におけるベースラインからの経時的な中央値変化(IQR)を示す。ベースラインは、M15-993における研究薬の最初の用量の前の最後の測定と定義され、0週目は、M15-989における研究薬の最初の用量と定義される。患者は、128~184週目の間に進行中の第3相OLE(M16-000下位研究3)に登録し、その結果、異なる来診時点を有した。hs-CRP=高感度C反応性タンパク質、IQR=四分位数間範囲、OLE=非盲検延長。
図5B】M15-989の糞便カルプロテクチン(処置意図分析セット)におけるベースラインからの経時的な中央値変化(IQR)を示す。ベースラインは、M15-993における研究薬の最初の用量の前の最後の測定と定義され、0週目は、M15-989における研究薬の最初の用量と定義される。患者は、128~184週目の間に進行中の第3相OLE(M16-000下位研究3)に登録し、その結果、異なる来診時点を有した。IQR=四分位数間範囲、OLE=非盲検延長。
図5C】M15-989の血清アルブミン(安全性分析セット)におけるベースラインからの経時的な中央値変化(IQR)を示す。ベースラインは、M15-993における研究薬の最初の用量の前の最後の測定と定義され、0週目は、M15-989における研究薬の最初の用量と定義される。患者は、128~184週目の間に進行中の第3相OLE(M16-000下位研究3)に登録し、その結果、異なる来診時点を有した。IQR=四分位数間範囲、OLE=非盲検延長。
図6】研究M15-991の研究略図を示す。
図7】研究M16-006の研究略図を示す。
図8】研究M16-000下位研究1及び2の略図を示す。
図9】研究M16-000下位研究3の略図を示す。
図10】M16-000下位研究1における経時的な臨床的寛解(CDAI)率を示す。
図11】M16-000下位研究1における経時的な臨床的寛解(SS/APS)率を示す。
図12】第1中間データベースロック後の研究M16-006における経時的な臨床的寛解(CDAI)率を示し、ここでCDAIは、クローン病活動性指数を指す。
図13】第1中間データベースロック後の研究M16-006における経時的な臨床的寛解(PRO2)率を示し、ここでPRO2は、CDAIの構成要素である排便回数及び腹痛(SF/APS)に関する患者報告結果を指す。
図14】第1中間データベースロック後の研究M15-991における経時的な臨床的寛解(CDAI)率を示す。
図15】第1中間データベースロック後の研究M15-991における経時的な臨床的寛解(PRO2、SF/APS)率を示す。
図16】ベースラインステロイド使用(ITT1A集団)によるMOTIVATE及びADVANCE研究の12週目(NRI-C)におけるCDAI及びSF/APS基準の臨床的寛解を示す。ITT1A集団は、12週間の誘導期間に少なくとも1用量の研究薬を受け、6以上(孤立した回腸疾患では4以上)の適格なベースラインSES-CDを有した無作為化対象を含む。CDAIの臨床的寛解:150未満のCDAI。SF/APSの臨床的寛解:平均1日SFが2.8以下かつベースラインより悪化せず、平均1日APSスコアが1以下かつベースラインより悪化しない。APS、腹痛スコア;CD、クローン病;CDAI、CD活動性指数;ITT、処置意図;NRI-C、COVID-19が原因の欠測データを取り扱うために多重代入を組み込む非応答者補完、PBO、プラセボ;RZB、リサンキズマブ;SES-CD、CDの単純内視鏡スコア;SF、排便回数。
図17】ITT1A集団における維持処置中の、コルチコステロイド使用(誘導ベースラインでステロイドを使用する患者)の中止の達成を示す。及び52週目のステロイドフリー臨床成績、内視鏡成績((NRI-C)を示す。ITT1A集団は、12週間の誘導期間に少なくとも1用量の研究薬を投与され、6以上(孤立した回腸疾患では4以上)の適格なベースラインSES-CDを有した無作為化対象を含む。CDAIの臨床的寛解:CDAIが150未満。SF/APSの臨床的寛解:平均1日SFが2.8以下かつベースラインより悪化せず、平均1日APSスコアが1以下かつ誘導のベースラインより悪化しない。内視鏡的寛解:SES-CDが誘導研究のベースラインに対して4点以下2点以上の低減及びいずれの個別の変数においても1を超えるサブスコアなし。内視鏡的応答:SES-CDがベースラインから50%超の減少(又は孤立した回腸疾患を有しベースラインSES-CDが4の患者ではベースラインから2点以上の低減)。APS、腹痛スコア;CD、クローン病;CDAI、CD活動性指数;NRI-C、COVID19が原因の欠測データを取り扱うために多重代入を組み込む非応答者補完;PBO、プラセボ;RZB、リサンキズマブ;SES-CD、CDの単純内視鏡スコア;SF、排便回数。。
図18】研究M16-067下位研究4(第2b相)の誘導期間1を示す概略図である。DC=中止、IR=不十分な臨床的応答を有する対象、IV=静脈内、R=臨床的応答を有する対象、SS-4=下位研究4。研究M16-067下位研究4のDBLは、最初に無作為化された240人の対象が12週間の査定を完了した後に発生した。240人の対象が下位研究5に登録した後及び用量が選択される前に、追加の対象の下位研究4への登録が続けられ、ここで対象は非盲検リサンキズマブ1800mg IV 0週、4週及び8週間の投与群に割り当てられた。
図19】研究M16-067(下位研究4及び下位研究5)の誘導期間2を示す概略図である。DC=中止。RZB=リサンキズマブ、IR=不十分な応答を有する対象、IV=静脈内、Plb=プラセボ、R=臨床的応答を有する対象、RR=再無作為化、SC=皮下。M16-067下位研究4から参加する対象は、リサンキズマブ1800mg IVを受ける。M16-067下位研5から参加する対象は、1200mgのリサンキズマブIVを受ける。
図20】研究M16-067下位研究5(第3相)の誘導期間1を示す概略図である。DC=中止、IR=不十分な臨床的応答を有する対象、R=臨床的応答を有する対象、SS-5=下位研究2。
図21】研究M16-066下位研究4及び2を示す概略図である。RZB::リサンキズマブ、SC=皮下、Q8W=8週間毎、IV=静脈内、TDM=治療薬のモニタリング、CA=臨床的査定、OLE=非盲検延長、R=臨床的応答を有する対象。
図22】研究M16-066下位研究6を示す概略図である。RZB:リサンキズマブ、SC:皮下、Q8W:8週間毎、OLE:非盲検延長。研究の終了は、およそ300週間又は研究の中止のいずれか早い方と定義される。
図23】90%信頼区間を有するPartial Adapted Mayoスコアにおけるベースラインからの経時的な平均変化を示す(ITT1A、MMRM)。縦軸は、LS平均の90%信頼区間を表す。*****は、0.001、0.01、0.05及び0.1(両側)レベルでそれぞれ統計的有意性を示す。
図24】一般的な曝露用量比例増加を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、中程度から重度の活動性クローン病に罹患しているヒト対象に少なくとも1つの誘導用量の約600mg又は約1200mgのリサンキズマブを投与することによって、強固な臨床的応答及び寛解が誘導されるという予期しない発見を記載している。
【0022】
さらに本開示は、中程度から重度の活動性潰瘍性大腸炎に罹患しているヒト対象に少なくとも1つの誘導用量の約600mg、約1200mg又は約1800mgのリサンキズマブを投与することによって、強固な臨床的応答及び寛解が誘導されるという予期しない発見を記載している。
【0023】
本明細書で開示するように、本開示は、以下の実施形態に関する。
【0024】
クローン病
実施形態1.クローン病(CD)を処置し、CDの寛解を誘導し及び/又は内視鏡的応答を誘導する方法であって、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブを対象に投与するステップを含み、誘導用量が、約600mg又は約1200mgのリサンキズマブである、方法。
【0025】
実施形態2.対象が、中程度から重度の活動性クローン病に罹患している患者である、実施形態1に記載の方法。
【0026】
実施形態3.対象が、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブの投与の前に、
(1)平均1日排便回数(SF)4以上及び/若しくは平均1日腹痛(AP)スコア2以上;並びに
(2)CDの単純内視鏡スコア(SES-CD)3以上
を有する又は
少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブの投与の前に、
代替として、対象は、
(1)平均1日排便回数(SF)4以上及び/若しくは平均1日腹痛(AP)スコア2以上;並びに
(2)CDの単純内視鏡スコア(SES-CD)6以上若しくは孤立した回腸疾患の患者については4以上
を有する、実施形態1又は2に記載の方法。
【0027】
実施形態4.対象が、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブの投与の前に、クローン病活動性指数(CDAI)スコア220~450を有する、実施形態1~3のいずれか一項に記載の方法。
【0028】
実施形態5.対象が、CDに対する1つ以上の抗TNF又は抗インテグリン生物製剤に対して不寛容又は不十分な応答を有する、実施形態1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0029】
実施形態6.CDに対する抗TNF又は抗インテグリン生物製剤が、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ベドリズマブ、ウステキヌマブ及び/又はナタリズマブを含む、実施形態5に記載の方法。
【0030】
実施形態7.対象が、アミノサリチレート、経口局所作用ステロイド、全身性コルチコステロイド及び免疫調節剤からなる群から選択される1つ以上の従来療法に対して不十分な応答又は不寛容を有する、実施形態1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0031】
実施形態8.3つの誘導用量が対象に投与される、実施形態1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0032】
実施形態9.3つの誘導用量が4週の間隔で投与される、実施形態1~8のいずれか一項に記載の方法。
【0033】
実施形態10.誘導用量が静脈内注入によって投与される、実施形態1~9のいずれか一項に記載の方法。
【0034】
実施形態11.誘導用量が約600mgのリサンキズマブである、実施形態1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0035】
実施形態12.誘導用量が約1200mgのリサンキズマブである、実施形態1~10のいずれか一項に記載の方法。
【0036】
実施形態13.対象が、
(1)臨床的寛解:平均1日SFが2.8以下かつベースラインより悪化せず、平均1日APスコアが1以下かつベースラインより悪化しない;
(2)臨床的応答の増強:平均1日SFが60%以上減少及び/若しくは平均1日APスコアが35%以上減少かついずれもベースラインより悪化しない並びに/又は臨床的寛解;
(3)臨床的応答:平均1日SFが30%以上減少及び/又は平均1日APスコアが30%以上減少;
(4)内視鏡的応答:SES-CDがベースラインから50%超の減少又は孤立した回腸疾患を有しベースラインSES-CDが4の対象については、ベースラインから少なくとも2点の低減;
(5)潰瘍なし内視鏡:ベースラインにおいて1以上のSES-CD潰瘍表面サブスコアを有する対象において、SES-CD潰瘍表面サブスコアが0;
(6)内視鏡的寛解:SES-CDが4以下かつベースラインに対して少なくとも2点の低減及びいずれの個別の変数においても1を超えるサブスコアなし;
(7)CDAIの臨床的応答:CDAIのベースラインから100点以上の低減;
(8)CDAIの臨床的寛解:CDAIが150未満;
(9)SF寛解:平均1日SFが2.8以下かつベースラインより悪化しない;並びに
(10)AP寛解:平均1日APスコアが1以下かつベースラインより悪化しない
からなる群から選択される1つ以上のエンドポイントを達成する、実施形態1~12のいずれか一項に記載の方法。
【0037】
実施形態14.患者集団が処置された場合に、集団の30~60%がCDAI又はSF/APSによって測定して臨床的寛解を達成する、実施形態1~12のいずれか一項に記載の方法。
【0038】
実施形態15.
(a)最後の誘導用量が投与された後に最初の維持用量のリサンキズマブを対象に投与するステップ、及び
(b)最初の維持用量が投与された後に少なくとも1つの追加の維持用量を対象に投与するステップ
をさらに含む、実施形態1~14のいずれか一項に記載の方法。
【0039】
実施形態16.最後の誘導用量が投与されてから4週後に最初の維持用量が投与される、実施形態15に記載の方法。
【0040】
実施形態17.最初の維持用量が投与されてから8週後に少なくとも1つの追加の維持用量が投与される、実施形態15又は16に記載の方法。
【0041】
実施形態18.最初の維持用量の後に2つ以上の追加の維持用量が投与される、実施形態15~17のいずれか一項に記載の方法。
【0042】
実施形態19.それぞれの追加の維持用量が8週の間隔で投与される、実施形態15~18のいずれか一項に記載の方法。
【0043】
実施形態20.最初の維持用量が、約180mg又は約360mgのリサンキズマブである、実施形態15~19のいずれか一項に記載の方法。
【0044】
実施形態21.追加の維持用量が、約180mg又は約360mgのリサンキズマブである、実施形態15~20のいずれか一項に記載の方法。
【0045】
実施形態22.最初の維持用量と追加の維持用量の両方が、約180mg又は360mgのリサンキズマブである、実施形態15~21のいずれか一項に記載の方法。
【0046】
実施形態23.最初の維持用量と追加の維持用量の両方が、約360mgのリサンキズマブである、実施形態15~22のいずれか一項に記載の方法。
【0047】
実施形態24.最初の維持用量と追加の維持用量の両方が、約180mgのリサンキズマブである、実施形態15~22のいずれか一項に記載の方法。
【0048】
実施形態25.対象が、0週、4週及び8週目に3つの誘導用量の600mgのリサンキズマブを受け、12週目に最初の維持用量の360mgのリサンキズマブをさらに受け、最初の維持用量の後に8週の間隔で1つ以上の追加の維持用量の360mgのリサンキズマブを受ける、実施形態15~22のいずれか一項に記載の方法。
【0049】
実施形態26.対象が、0週、4週及び8週目に3つの誘導用量の600mgのリサンキズマブを受け、12週目に最初の維持用量の180mgのリサンキズマブをさらに受け、最初の維持用量の後に8週の間隔で1つ以上の追加の維持用量の180mgのリサンキズマブを受ける、実施形態15~22のいずれか一項に記載の方法。
【0050】
実施形態27.対象が、0週、4週及び8週目に3つの誘導用量の1200mgのリサンキズマブを受け、12週目に最初の維持用量の360mgのリサンキズマブをさらに受け、最初の維持用量の後に8週の間隔で1つ以上の追加の維持用量の360mgのリサンキズマブを受ける、実施形態15~22のいずれか一項に記載の方法。
【0051】
実施形態28.対象が、0週、4週及び8週目に3つの誘導用量の1200mgのリサンキズマブを受け、12週目に最初の維持用量の180mgのリサンキズマブをさらに受け、最初の維持用量の後に8週の間隔で1つ以上の追加の維持用量の180mgのリサンキズマブを受ける、実施形態15~22のいずれか一項に記載の方法。
【0052】
実施形態29.最初の維持用量及び/又は追加の維持用量が、皮下注射によって投与される、実施形態15~28のいずれか一項に記載の方法。
【0053】
実施形態30.対象が、
(1)臨床的寛解:平均1日SFが2.8以下かつベースラインより悪化せず、平均1日APスコアが1以下かつベースラインより悪化しない;
(2)臨床的応答の増強:平均1日SFが60%以上減少及び/若しくは平均1日APスコアが35%以上減少かついずれもベースラインより悪化しない並びに/又は臨床的寛解;
(3)臨床的応答:平均1日SFが30%以上減少及び/又は平均1日APスコアが30%以上減少;
(4)内視鏡的応答:SES-CDがベースラインから50%超の減少又は孤立した回腸疾患を有しベースラインSES-CDが4の患者ではベースラインから少なくとも2点の低減;
(5)潰瘍なし内視鏡:ベースラインにおいて1以上のSES-CD潰瘍表面サブスコアを有する対象において、SES-CD潰瘍表面サブスコアが0;
(6)内視鏡的寛解:SES-CDが4以下かつベースラインに対して少なくとも2点の低減及びいずれの個別の変数においても1を超えるサブスコアなし;
(7)深い寛解:臨床的寛解及び内視鏡的寛解;
(8)CDAIの臨床的応答:CDAIのベースラインから100点以上の低減;並びに
(9)CDAIの臨床的寛解:CDAIが150未満
からなる群から選択される1つ以上のエンドポイントを維持する、実施形態15~29のいずれか一項に記載の方法。
【0054】
実施形態31.CDの寛解を誘導するための方法である、実施形態1~30のいずれか一項に記載の方法。
【0055】
実施形態32.CDを処置するための方法である、実施形態1~30のいずれか一項に記載の方法。
【0056】
実施形態33.クローン病(CD)に罹患している成人患者における中程度から重度の活動性CDの寛解を誘導する方法であって、
(a)3つの600mgの誘導用量のリサンキズマブを4週の間隔で患者に静脈内投与するステップ、及び
(b)3回目の誘導用量が投与されてから4週後に最初の維持用量のリサンキズマブを患者に皮下投与するステップ、及び
(c)少なくとも1つの追加の維持用量を8週の間隔で皮下投与するステップ
を含み、
患者が、最初の誘導用量の投与から4週、8週、12週、24週又は52週後にCDの寛解を達成する、方法。
【0057】
実施形態34.患者が、最初の誘導用量のリサンキズマブの投与の前に、
(1)平均1日排便回数(SF)スコアが4以上及び/若しくは平均1日腹痛(AP)スコア2が以上又は
(2)CDの単純内視鏡スコア(SES-CD)が3以上
を有する、実施形態33に記載の方法。
【0058】
実施形態35.患者が、最初の誘導用量のリサンキズマブの投与の前に、クローン病活動性指数(CDAI)スコア220~450を有する、実施形態33又は34に記載の方法。
【0059】
実施形態36.患者が、最初の誘導用量の投与から4週、8週、12週、24週又は52週後に、
(1)臨床的寛解:平均1日SFが2.8以下かつベースラインより悪化せず、平均1日APスコアが1以下かつベースラインより悪化しない;
(2)臨床的応答の増強:平均1日SFが60%以上減少及び/若しくは平均1日APスコアが35%以上減少かついずれもベースラインより悪化しない並びに/又は臨床的寛解;
(3)臨床的応答:平均1日SFが30%以上減少及び/又は平均1日APスコアが30%以上減少;
(4)内視鏡的応答:SES-CDがベースラインから50%超の減少又は孤立した回腸疾患を有しベースラインSES-CDが4の患者ではベースラインから少なくとも2点の低減;
(5)潰瘍なし内視鏡:ベースラインにおいて1以上のSES-CD潰瘍表面サブスコアを有する患者において、SES-CD潰瘍表面サブスコアが0;
(6)内視鏡的寛解:SES-CDが4以下かつベースラインに対して少なくとも2点の低減及びいずれの個別の変数においても1を超えるサブスコアなし;
(7)深い寛解:臨床的寛解及び内視鏡的寛解;
(8)CDAIの臨床的応答:CDAIのベースラインから100点以上の低減;
(9)CDAIの臨床的寛解:CDAIが150未満;
(10)CDAIによる52週でのステロイドフリー臨床的寛解:CDAIが150未満;
(11)SF/APSによる52週でのステロイドフリー臨床的寛解:平均1日SFが2.8以下かつベースラインより悪化せず、平均1日APSが1以下かつベースラインより悪化しない;
(12)52週でのステロイドフリー内視鏡的寛解:SES-CDが4以下かつベースラインに対して2点以上の低減及びいずれの個別の変数においても1を超えるサブスコアなし;並びに
(13)52週でのステロイドフリー内視鏡的応答:SES-CDにおけるベースラインから50%超の減少(又は孤立した回腸疾患を有しベースラインSES-CDが4の患者についてはベースラインから2点以上の低減)
からなる群から選択される1つ以上のエンドポイントを達成する、実施形態33~35のいずれか一項に記載の方法。
【0060】
実施形態37.患者が、CDのための抗TNF、抗インテグリン又は抗p40生物製剤の1つ以上に対して不寛容又は不十分な応答を有する、実施形態33~36のいずれか一項に記載の方法。
【0061】
実施形態38.CDのための抗TNF又は抗インテグリン生物製剤が、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ベドリズマブ、ウステキヌマブ及び/又はナタリズマブを含む、実施形態37に記載の方法。
【0062】
実施形態39.患者が、アミノサリチレート、経口局所作用ステロイド、全身性コルチコステロイド及び免疫調節剤からなる群から選択される1つ以上の従来療法に対して不十分な応答又は不寛容を有する、実施形態33~38のいずれか一項に記載の方法。
【0063】
実施形態40.最初の維持用量と追加の維持用量の両方が、180mgのリサンキズマブである、実施形態33~39のいずれか一項に記載の方法。
【0064】
実施形態41.最初の維持用量と追加の維持用量の両方が、360mgのリサンキズマブである、実施形態33~39のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
実施形態41A.クローン病(CD)に罹患している成人患者における中程度から重度の活動性CDを処置する又はその寛解を誘導する方法であって、
(a)3つの600mgの誘導用量のリサンキズマブを4週の間隔で患者に静脈内投与するステップ、及び
(b)3回目の誘導用量が投与されてから4週後に最初の維持用量のリサンキズマブを患者に皮下投与するステップ、及び
(c)少なくとも1つの追加の維持用量を8週の間隔で皮下投与するステップ
を含み、
方法を、中程度から重度の活動性CDに罹患しているヒト対象の集団中のプラセボによる処置と比較した場合に、方法によって処置されたヒト対象の統計的に有意に高いパーセンテージが、最初の誘導用量の投与から4週、8週、12週、24週又は52週後に寛解を達成する、方法。
【0066】
潰瘍性大腸炎
実施形態42.対象における潰瘍性大腸炎(UC)を処置する又はUCの寛解を誘導する方法であって、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブを対象に投与するステップを含み、誘導用量が、約600mg、約1200mg又は約1800mgのリサンキズマブを含む、方法。
【0067】
実施形態43.対象が、中程度から重度の活動性潰瘍性大腸炎に罹患している患者である、実施形態42に記載の方法。
【0068】
実施形態44.対象が、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブの投与の前に、Adapted Mayoスコア5~9点及び内視鏡サブスコア2~3を有する、実施形態42又は43に記載の方法。
【0069】
実施形態45.対象が、潰瘍性大腸炎の1つ以上の生物学的療法に対して不寛容又は不十分な応答を有する、実施形態42~44のいずれか一項に記載の方法。
【0070】
実施形態46.生物学的療法が、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ又はベドリズマブを含む、実施形態42~45のいずれか一項に記載の方法。
【0071】
実施形態47.3つの誘導用量が対象に投与される、実施形態42~46のいずれか一項に記載の方法。
【0072】
実施形態48.3つの誘導用量が4週の間隔で投与される、実施形態42~47のいずれか一項に記載の方法。
【0073】
実施形態49.誘導用量が静脈内注入によって投与される、実施形態42~48のいずれか一項に記載の方法。
【0074】
実施形態50.誘導用量が約1200mgのリサンキズマブを含む、実施形態42~49のいずれか一項に記載の方法。
【0075】
実施形態51.誘導用量が約1800mgのリサンキズマブを含む、実施形態42~50のいずれか一項に記載の方法。
【0076】
実施形態52.対象が、
(1)Adapted Mayoによる臨床的寛解(排便回数サブスコア(SFS)が1以下かつベースラインを上回らず、直腸出血サブスコア(RBS)が0及び内視鏡サブスコアが1以下によって定義される。);
(2)Adapted Mayoによる臨床的応答(Adapted Mayoスコアのベースラインからの2点以上かつベースラインから30%以上の減少及び直腸出血サブスコア(RBS)の1以上の減少又はRBSの絶対値が1以下によって定義される。);
(3)partial Adapted Mayoによる臨床的応答(Adapted Mayoスコアのベースラインからの1点以上かつベースラインから30%以上の減少及びRBSの1以上の減少又はRBSの絶対値が1以下によって定義される。);
(4)Full Mayoによる臨床的寛解(Full Mayoスコアが2以下かつ1を超えるサブスコアなしによって定義される。);
(5)内視鏡的改善(内視鏡サブスコアが0又は1によって定義される。);
(6)内視鏡的寛解(内視鏡サブスコアが0によって定義される。);
(7)組織学的寛解(Geboesスコアが2未満によって定義される。);並びに
(8)粘膜治癒(内視鏡的かつ組織学的な寛解によって定義される。)
からなる群から選択されるエンドポイントの1つ以上を達成する、実施形態42~51のいずれか一項に記載の方法。
【0077】
実施形態53.患者の集団が処置された場合に、集団の8~12%がAdapted Mayoによる臨床的寛解を達成する、実施形態42~51のいずれか一項に記載の方法。
【0078】
実施形態54.患者の集団が処置された場合に、集団の14~16%が内視鏡的改善を達成する、実施形態52~51のいずれか一項に記載の方法。
【0079】
実施形態55.患者の集団が処置された場合に、集団の5%~9%がFull Mayoスコアによる臨床的寛解を達成する、実施形態42~51のいずれか一項に記載の方法。
【0080】
実施形態56.患者の集団が処置された場合に、集団の47%~54%がAdapted Mayoスコアによる臨床的応答を達成する、実施形態42~51のいずれか一項に記載の方法。
【0081】
実施形態57.患者の集団が処置された場合に、集団の37%~46%がPartial Adapted Mayoスコアによる臨床的応答を達成する、実施形態42~51のいずれか一項に記載の方法。
【0082】
実施形態58.患者の集団が処置された場合に、集団の4%~7%が内視鏡的寛解を達成する、実施形態42~51のいずれか一項に記載の方法。
【0083】
実施形態59.患者の集団が処置された場合に、集団の4%~5%が炎症性腸疾患質問表(IBDQ)におけるベースラインからの変化を達成する、実施形態42~51のいずれか一項に記載の方法。
【0084】
実施形態60.
(a)最後の誘導用量が投与された後に最初の維持用量のリサンキズマブを対象に投与するステップ、及び
(b)最初の維持用量が投与された後に少なくとも1つの追加の維持用量を対象に投与するステップ
をさらに含む、実施形態42~59のいずれか一項に記載の方法。
【0085】
実施形態61.最後の誘導用量が投与されてから4週後に最初の維持用量が投与される、実施形態60に記載の方法。
【0086】
実施形態62.最初の維持用量が投与されてから8週後に少なくとも1つの追加の維持用量が投与される、実施形態60又は61に記載の方法。
【0087】
実施形態63.最初の維持用量の後に2つ以上の追加の維持用量が投与される、実施形態60~62のいずれか一項に記載の方法。
【0088】
実施形態64.追加の維持用量のそれぞれが8週の間隔で投与される、実施形態60~63のいずれか一項に記載の方法。
【0089】
実施形態65.最初の維持用量が、約180mg又は約360mgのリサンキズマブを含む、実施形態60~64のいずれか一項に記載の方法。
【0090】
実施形態66.追加の維持用量が、約180mg又は約360mgのリサンキズマブを含む、実施形態60~65のいずれか一項に記載の方法。
【0091】
実施形態67.最初の維持用量と追加の維持用量の両方が、約180mg又は360mgのリサンキズマブである、実施形態60~66のいずれか一項に記載の方法。
【0092】
実施形態68.最初の維持用量と追加の維持用量の両方が、約180mgのリサンキズマブである、実施形態60~67のいずれか一項に記載の方法。
【0093】
実施形態69.最初の維持用量と追加の維持用量の両方が、約360mgのリサンキズマブである、実施形態60~67のいずれか一項に記載の方法。
【0094】
実施形態70.最初の維持用量及び/又は追加の維持用量が、皮下注射によって投与される、実施形態60~69のいずれか一項に記載の方法。
【0095】
実施形態71.対象が、0週、4週及び8週目に3つの誘導用量の約1200mgのリサンキズマブを受け、12週目に最初の維持用量の約180mgのリサンキズマブをさらに受け、最初の維持用量の後に8週の間隔で1つ以上の追加の維持用量の約180mgのリサンキズマブを受ける、実施形態60~70のいずれか一項に記載の方法。
【0096】
実施形態72.対象が、0週、4週及び8週目に3つの誘導用量の約1800mgのリサンキズマブを受け、12週目に最初の維持用量の約180mgのリサンキズマブをさらに受け、最初の維持用量の後に8週の間隔で1つ以上の追加の維持用量の約180mgのリサンキズマブを受ける、実施形態60~70のいずれか一項に記載の方法。
【0097】
実施形態73.対象が、0週、4週及び8週目に3つの誘導用量の約1200mgのリサンキズマブを受け、12週目に最初の維持用量の約360mgのリサンキズマブをさらに受け、最初の維持用量の後に8週の間隔で1つ以上の追加の維持用量の約360mgのリサンキズマブを受ける、実施形態60~70のいずれか一項に記載の方法。
【0098】
実施形態74.対象が、0週、4週及び8週目に3つの誘導用量の約1800mgのリサンキズマブを受け、12週目に最初の維持用量の約360mgのリサンキズマブをさらに受け、最初の維持用量の後に8週の間隔で1つ以上の追加の維持用量の約360mgのリサンキズマブを受ける、実施形態60~70のいずれか一項に記載の方法。
【0099】
実施形態75.対象が、
(1)Adapted Mayoによる臨床的寛解;
(2)Adapted Mayoによる臨床的応答;
(3)partial Adapted Mayoによる臨床的応答;
(4)Full Mayoによる臨床的寛解;
(5)内視鏡的改善;
(6)内視鏡的寛解;
(7)組織学的寛解;及び
(8)粘膜治癒
からなる群から選択されるエンドポイントの1つ以上を維持する、実施形態60~74のいずれか一項に記載の方法。
【0100】
実施形態76.UCの寛解を誘導するための方法である、実施形態42~75のいずれか一項に記載の方法。
【0101】
実施形態77.UCを処置するための方法である、実施形態42~75のいずれか一項に記載の方法。
【0102】
実施形態78.潰瘍性大腸炎(UC)に罹患している成人患者における中程度から重度の活動性UCの寛解を誘導する方法であって、3つの誘導用量のリサンキズマブを4週の間隔で患者に静脈内投与するステップを含み、誘導用量が、それぞれ600mg、1200mg又は1800mgのリサンキズマブを含み、さらに、患者が、最初の誘導用量の投与から4週、8週又は12週後に潰瘍性大腸炎の寛解を達成する、方法。
【0103】
実施形態79.誘導用量が600mgである、実施形態78に記載の方法。
【0104】
実施形態80.誘導用量が1200mgである、実施形態78に記載の方法。
【0105】
実施形態81.誘導用量が1800mgである、実施形態78に記載の方法。
【0106】
実施形態82.患者が、少なくとも1つのリサンキズマブの誘導用量の投与の前に、Adapted Mayoスコア5~9点及び内視鏡サブスコア2~3を有する、実施形態78~81のいずれか一項に記載の方法。
【0107】
実施形態83.患者が、最初の誘導用量の投与から4週、8週又は12週後に、
(1)Adapted Mayoによる臨床的寛解:排便回数サブスコア(SFS)が1以下かつベースラインを上回らず、直腸出血サブスコア(RBS)が0及び内視鏡サブスコアが1以下;
(2)Adapted Mayoによる臨床的応答:Adapted Mayoスコアのベースラインからの2点以上かつベースラインから30%以上の減少及び直腸出血サブスコア(RBS)の1以上の減少又はRBSの絶対値が1以下;
(3)partial Adapted Mayoによる臨床的応答:Adapted Mayoのベースラインからの1以上かつベースラインから30%以上の減少及びRBSの1以上の減少又はRBSの絶対値が1以下;
(4)Full Mayoによる臨床的寛解:Full Mayoスコアが2以下かつ1を超えるサブスコアなし;
(5)内視鏡的改善:内視鏡サブスコアが0又は1;
(6)内視鏡的寛解:内視鏡サブスコアが0;
(7)組織学的寛解:Geboesスコアが2未満;並びに
(8)粘膜治癒:内視鏡的かつ組織学的な寛解
からなる群から選択されるエンドポイントの1つ以上を達成する、実施形態78~82のいずれか一項に記載の方法。
【0108】
実施形態84.患者が、潰瘍性大腸炎の1つ以上の生物学的療法に対して不寛容又は不十分な応答を有する、実施形態78~83のいずれか一項に記載の方法。
【0109】
実施形態85.生物学的療法が、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ又はベドリズマブを含む、実施形態84に記載の方法。
【0110】
実施形態86.
(a)3回目の誘導用量が投与されてから4週後に第1の維持用量のリサンキズマブを患者に皮下投与するステップ、及び
(b)最初の維持用量が投与された後、8週の間隔で、追加の維持用量を患者に皮下投与するステップであって、第1の維持用量と追加の維持用量の両方が、それぞれ180mg又は360mgのリサンキズマブを含む、ステップ
をさらに含む、実施形態78~85のいずれか一項に記載の方法。
【0111】
実施形態87.第1の維持用量と追加の維持用量の両方が、180mgのリサンキズマブである、実施形態86に記載の方法。
【0112】
実施形態88.第1の維持用量と追加の維持用量の両方が、360mgのリサンキズマブである、実施形態87に記載の方法。
【0113】
実施形態89.潰瘍性大腸炎(UC)に罹患している成人患者における中程度から重度の活動性UCを処置する又はその寛解を誘導する方法であって、第1、第2及び第3の誘導用量のリサンキズマブを4週の間隔で患者に静脈内投与するステップを含み、誘導用量のそれぞれが、600mg、1200mg又は1800mgのリサンキズマブを含み、方法を、中程度から重度の活動性UCに罹患しているヒト対象の集団中のプラセボによる処置と比較した場合に、方法によって処置されたヒト対象の統計的に有意に高いパーセンテージが、最初の誘導用量の投与から4週、8週又は12週後に寛解を達成する、方法。
【0114】
本開示によるさらなる利益は、本特許出願を読むことによって当業者に明らかになる。以下のパラグラフに記載する本開示の実施形態は、本発明を説明することを意図しており、本発明の範囲を狭くすると解釈すべきではない。
【0115】
リサンキズマブを使用してクローン病及び潰瘍性大腸炎を含む炎症性疾患を処置する方法は、米国特許出願公開第2018/0105588A1号及び米国特許出願公開第2017/0081402A1号に記載されており、それらの施行、製造及び使用の方法は、参照により全体として組み込む。
【0116】
既に注記したように、抗TNFなどの生物学的療法を含む種々のクローン病の療法が利用可能であるにも関わらず、多くの患者は、今でもこれらの処置に適切に反応していない又は経時的に徐々に応答を失う。本開示の方法は、従来療法及び生物学的療法に対して不十分な応答又は不寛容を有するクローン病患者にさらなる治療オプションを提供する。
【0117】
さらに、既に注記したように、抗TNFなどの生物学的療法を含む種々の潰瘍性大腸炎の療法が利用可能であるにも関わらず、多くの患者は、今でもこれらの処置に適切に反応していない又は経時的に徐々に応答を失う。本開示の方法は、従来療法及び生物学的療法に対して不十分な応答又は不寛容を有する潰瘍性大腸炎患者にさらなる治療オプションを提供する。
【0118】
リサンキズマブ
本開示に関連して使用されるリサンキズマブのCDRを表1及び表2に示す。本開示に関連して使用されるリサンキズマブの可変領域を表3に示す。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
【表3】
【0122】
リサンキズマブは、表4に示す重鎖及び軽鎖の配列を含む。
【0123】
【表4】
【0124】
リサンキズマブは、IL-23p19を指向するIgG1サブクラスの完全にヒト化されたmAbである。抗体は、Fcγ受容体及び補体結合及び可能性のある電荷不均一性を低減させるように操作されている。リサンキズマブは、高い親和性でヒトIL-23に結合し、IL-23によって刺激されるIL-17の産生を、同じ系のウステキヌマブの167pMと比較して10pM未満の阻害濃度(IC)50で阻害する。リサンキズマブは、試験した最大濃度(33nM)でIL-12に影響せず、IL-12によって刺激されるIFN-γの産生を阻害しない。
【0125】
定義
本明細書で数値範囲について言及する場合には、その範囲内に介在するそれぞれの数値は、同じ程度の精度を有すると明示的に意図されている。例えば6~9の範囲について、6及び9に加えて7及び8の数が意図されており、6.0~7.0の範囲について、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9及び7.0の数が明示的に意図されている。
【0126】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈によって他が明らかに指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0127】
語句において使用される用語「及び/又は」、例えば「A及び/又はB」は、本明細書で「A及びB」、「A又はB」、「A」又は「B」を意味することを意図している。
【0128】
用語「約」は一般に、引用した値と等価である(即ち、同じ機能又は結果を有する。)と当業者がみなす数の範囲を意味する。多くの場合に、用語「約」は、最も近い有効数字に丸められる数を含み得る。ある場合には、用語「約」は、引用した値の±20%以内、例えば引用した値の±15%、±10%、±7.5%、±5%、±4%、±3%、±2%又は±1%以内に入る値を示すために使用してもよい。
【0129】
用語「ベースライン」は、検討する療法の施行の直前における目標の変数の最初の測定を意味する。
【0130】
文脈によって他が要求されない限り、用語「含む(comprise、comprises、comprising)」は、排他的よりむしろ包括的に解釈すべきであるという原理及び明確な理解に基づいて使用され、したがって、これらは引用した特徴を含むが、1つ以上の他の特徴を除外しないことを示す。
【0131】
用語「患者」、「対象」、「個体」などは、ヒトを意味する。
【0132】
クローン病
誘導投薬
一実施形態では、本開示は、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブを対象に投与するステップを含む、対象におけるクローン病を処置する方法に関する。別の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブを対象に投与するステップを含む、対象におけるクローン病の寛解を誘導する方法に関する。別の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブを対象に投与するステップを含む、対象における内視鏡的応答を誘導する方法に関する。
【0133】
リサンキズマブの誘導用量は、約600mg又は約1200mgのリサンキズマブを含んでもよい。ある特定の実施形態では、リサンキズマブの誘導用量は、約1200mgのリサンキズマブを含む。
【0134】
一実施形態では、本開示に記載した方法は、中程度から重度の活動性クローン病に罹患している対象を処置する又はその寛解を誘導するために使用される。中程度から重度の活動性クローン病は、(1)4以上の平均1日排便回数(SF)及び/又は2以上の平均1日腹痛(AP)スコア;並びに(2)3以上のCDの単純内視鏡スコア(SES-CD)によって文書化された粘膜炎症の内視鏡的証拠として定義してもよい。したがって、一実施形態では、本開示に記載した方法は、(1)4以上の平均1日排便回数(SF)及び/又は2以上の平均1日腹痛(AP)スコア;並びに(2)3以上のCDの単純内視鏡スコア(SES-CD)を有する対象を処置するために使用される。代替として、対象は、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブの投与の前に、(1)4以上の平均1日排便回数(SF)及び/又は2以上の平均1日腹痛(AP)スコア;並びに(2)6以上又は孤立した回腸疾患については4以上のCDの単純内視鏡スコア(SES-CD)を有する。別の実施形態では、対象は、ベースラインにおいて(即ち、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブの投与の前に)、220~450のクローン病活動性指数(CDAI)スコアを有する。
【0135】
別の実施形態では、本明細書に記載した方法によって処置された対象は、CDに対する抗TNF又は抗インテグリン生物製剤の1つ以上に対して不寛容又は不十分な応答を有する。生物学的療法としては、それだけに限らないが、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ベドリズマブ、ウステキヌマブ及び/又はナタリズマブが挙げられ得る。不寛容の実証は、最小の用量も使用期間も必要ない場合がある。不十分な応答は、以下の、インフリキシマブの少なくとも1つの6週の誘導レジメン(0週、2週及び6週目における5mg/kg以上の静脈内(IV))、アダリムマブの少なくとも1つの4週の誘導レジメン(0週目における1回の160mgの皮下(SC)用量及びそれに続く2週目における1回の80mgのSC用量又は0週目における1回の80mgのSC用量及びそれに続く2週目における1回の40mgのSC用量)、セルトリズマブペゴールの少なくとも1つの4週の誘導レジメン(0週、2週及び4週目における400mgのSC)、ゴリムマブの少なくとも1つの4週の誘導レジメン(0週及び2週目における200mgのSC)、ベドリズマブの少なくとも1つの6週の誘導レジメン(0週、2週及び6週目における300mgのIV)、ナタリズマブの少なくとも1つの12週の誘導レジメン(4週毎の300mgのIV)、ウステキヌマブの少なくとも1つの8週の誘導レジメン[260mg(55kg以下)又は390mg(55kg~85kg)又は520mg(85kg超)のIV及びそれに続く8週目における90mgのSC]の1つ以上の履歴に関わらず、持続的に活動性の疾患の兆候及び症状を含み得る又は上記の生物製剤の以前の臨床的利益に続く予定された維持投薬の間の症状の再発を含み得る。
【0136】
別の実施形態では、対象は、アミノサリチレート(例えばメサラミン、スルファサラジン、オルサラジン、バルサラジド)、経口局所作用ステロイド(例えばブデソニド、ベクロメタゾン)、全身性コルチコステロイド(プレドニソン又は等価物)及び免疫調節剤(例えばAZA、6-MP、MTX)からなる群から選択される1つ以上の従来療法に対して不十分な応答又は不寛容を有する。
【0137】
一実施形態では、1つ~6つの誘導用量のリサンキズマブを対象に投与するステップを含む、対象におけるクローン病を処置する又はクローン病の寛解を誘導する方法。したがって、本方法は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つの誘導用量のリサンキズマブを対象に投与するステップを含んでもよい。一実施形態では、3つの誘導用量が対象に投与される。別の実施形態では、6つの誘導用量が対象に投与される。
【0138】
一実施形態では、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブが、4週の間隔で投与される。一実施形態では、全ての誘導用量のリサンキズマブが、4週の間隔で投与される。
【0139】
例えば、限定なしに、本発明は、約600mg又は約1200mgのリサンキズマブを含む誘導用量を6か月まで毎月、対象に投与するステップを含んでもよい。一部の実施形態では、本方法は、約600mg又は約1200mgのリサンキズマブを含む誘導用量を、0週、4週及び8週目、0週、4週、8週及び12週目、0週、4週、8週、12週及び16週目又は0週、4週、8週、12週、16週及び20週目に対象に投与するステップを含んでもよい。
【0140】
一実施形態では、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブが、静脈内注入(IV)によって投与される。一実施形態では、全ての誘導用量のリサンキズマブが、静脈内注入によって投与される。
【0141】
一実施形態では、対象においてクローン病を処置する又はクローン病の寛解を誘導する方法は、誘導用量が投与された後に対象の臨床的及び/又は内視鏡的エンドポイントを測定するステップをさらに含む。一実施形態では、臨床的及び/又は内視鏡的エンドポイントは、それぞれの誘導用量が投与されてから4週後に測定される。ある特定の実施形態では、臨床的及び/又は内視鏡的エンドポイントは、最後の(例えば3回目の)誘導用量が投与されてから4週後に測定される。
【0142】
臨床的エンドポイント
臨床的エンドポイントは、臨床的寛解(平均1日SFが2.8以下かつベースラインより悪化せず、平均1日APスコアが1以下かつベースラインより悪化しないことによって定義される。);臨床的応答の増強(平均1日SFが60%以上減少及び/若しくは平均1日APスコアが35%以上減少かついずれもベースラインより悪化しないこと並びに/又は臨床的寛解によって定義される。);及び/又は臨床的応答(平均1日SFが30%以上減少及び/又は平均1日APスコアが30%以上減少によって定義される。)を含んでもよい。内視鏡的エンドポイントは、内視鏡的寛解(SES-CDが4以下かつベースラインに対して少なくとも2点の低減及びいずれの個別の変数においても1を超えるサブスコアなしによって定義される。);内視鏡的応答(SES-CDがベースラインから50%超の減少又は孤立した回腸疾患を有しベースラインSES-CDが4の患者ではベースラインから少なくとも2点の低減によって定義される。);及び/又は潰瘍なし内視鏡(ベースラインにおいて1以上のSES-CD潰瘍表面サブスコアを有する患者において、SES-CD潰瘍表面サブスコアが0によって定義される。)を含んでもよい。エンドポイントは、CDAIの臨床的応答(CDAIのベースラインから100点以上の低減によって定義される。);CDAIの臨床的寛解(CDAIが150未満によって定義される。);SF寛解(平均1日SFが2.8以下かつベースラインより悪化しないことによって定義される。);及び/又はAP寛解(平均1日APSが1以下かつベースラインより悪化しないことによって定義される。)を含んでもよい。
【0143】
対象は、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブの投与の後、上記の臨床的、組織学的及び/又は内視鏡的なエンドポイントの1つ以上を達成し得る。一実施形態では、対象は、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブの投与の後、臨床的応答(平均1日SFが30%以上減少及び/又は平均1日APスコアが30%以上減少によって定義される。)を達成する。一実施形態では、対象は、3つの誘導用量の約600mg又は約1200mgのリサンキズマブの投与の後、上記の臨床的、組織学的及び/又は内視鏡的なエンドポイントの1つ以上を達成する。ある特定の実施形態では、対象は、3つの誘導用量の約1200mgのリサンキズマブの投与の後、上記の臨床的、組織学的及び/又は内視鏡的なエンドポイントの1つ以上を達成する。
【0144】
一部の実施形態では、患者の集団が処置された場合、患者の30~60%は臨床的寛解(CDAI又はSF/APS)を達成し得る。別の実施形態では、患者の集団が処置された場合、患者の30~60%(例えば30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%)は、CDAI又はSF/APSによって測定して臨床的寛解を達成する。ある特定の実施形態では、患者の集団が3つの誘導用量の約600mgのリサンキズマブで処置された場合、患者の40~50%(例えば約42%)は、CDAI又はSF/APSで測定して臨床的寛解を達成する。別の実施形態では、患者の集団が3つの誘導用量の約1200mgのリサンキズマブで処置された場合、患者の40~50%(例えば約41.9%)は、CDAI又はSF/APSで測定して臨床的寛解を達成する。
【0145】
維持投薬
一実施形態では、対象においてクローン病を処置する又はクローン病の寛解を誘導する方法は、(1)最後の誘導用量が投与された後に最初の維持用量のリサンキズマブを対象に投与するステップ、及び(2)最初の維持用量が投与された後に少なくとも1つの追加の維持用量を対象に投与するステップをさらに含む。
【0146】
一実施形態では、最初の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから2~8週後に投与される。したがって、最初の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから2週、3週、4週、5週、6週、7週又は8週後に投与されてもよい。ある特定の実施形態では、最初の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから4週後に投与されてもよい。
【0147】
一実施形態では、最初の維持用量は、約180mg又は約360mgのリサンキズマブを含む。ある特定の実施形態では、最初の維持用量は、約360mgのリサンキズマブを含んでもよい。さらなる実施形態では、最初の維持用量は、約180mgのリサンキズマブを含んでもよい。
【0148】
一実施形態では、最初の維持用量が投与されてから4~12週後に、少なくとも1つの追加の維持用量が対象に投与される。したがって、少なくとも1つの追加の維持用量は、第1の維持用量が投与されてから4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週又は12週後に投与されてもよい。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、最初の維持用量が投与されてから8週後に投与される。
【0149】
少なくとも1つ(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12)の追加の維持用量は、最初の維持用量の後で投与されてもよい。一実施形態では、6つの追加の維持用量が、最初の維持用量の後に投与される。別の実施形態では、7つ以上の追加の維持用量が、最初の維持用量の後に投与される。2つ以上の追加の維持用量が投与される場合には、追加の維持用量は8週の間隔で投与されてもよい。
【0150】
一実施形態では、追加の維持用量は、約180mg又は約360mgのリサンキズマブを含む。ある特定の実施形態では、追加の維持用量は、約360mgのリサンキズマブを含んでもよい。さらなる実施形態では、追加の維持用量は、約180mgのリサンキズマブを含んでもよい。
【0151】
例えば、限定なく、本方法は、本明細書に記載した約600mg又は約1200mgのリサンキズマブを含む誘導用量を対象に投与し、続いて毎月又は2か月毎の維持用量を投与するステップを含んでもよい。一部のそのような非限定的な例では、本方法は、0週、4週及び8週目に約600mg又は約1200mgのリサンキズマブを含む誘導用量を対象に投与し、続いて12週目及びその後8週毎に約180mg又は約360mgのリサンキズマブを含む維持用量を投与するステップを含んでもよい。
【0152】
一実施形態では、最初の維持用量は、皮下注射(SC)によって投与される。別の実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、皮下注射によって投与される。ある特定の実施形態では、全ての追加の維持用量は、皮下注射によって投与される。別の実施形態では、最初の維持用量及び全ての追加の維持用量は、皮下注射によって投与される。
【0153】
一実施形態では、本方法は、維持用量が投与された後で対象の臨床的、組織学的及び/又は内視鏡的なエンドポイントを測定するステップをさらに含む。一実施形態では、臨床的、組織学的及び/又は内視鏡的なエンドポイントは、維持用量が投与されてから4週後に測定される。ある特定の実施形態では、臨床的、組織学的及び/又は内視鏡的なエンドポイントは、最後の維持用量が投与されてから4週後に測定される。ある特定の実施形態では、最初の維持用量の後に6つの追加の維持用量が投与され、臨床的、組織学的及び/又は内視鏡的なエンドポイントは、6回目の追加の維持用量の投与から4週後に測定される。
【0154】
本開示の方法によって処置された対象は、維持用量のリサンキズマブの投与の後、本明細書に記載した臨床的、組織学的及び/又は内視鏡的なエンドポイントの1つ以上を維持し得る。一実施形態では、対象は、維持用量のリサンキズマブの投与の後、臨床的応答を維持する。ある特定の実施形態では、対象は、最初の維持用量及び6つの追加の維持用量のリサンキズマブの投与の後、本明細書に記載した臨床的、組織学的及び/又は内視鏡的なエンドポイントの1つ以上を維持し得る。
【0155】
潰瘍性大腸炎
誘導投薬
一実施形態では、本開示は、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブを対象に投与するステップを含む、対象における潰瘍性大腸炎を処置する方法に関する。別の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブを対象に投与するステップを含む、対象における潰瘍性大腸炎の寛解を誘導する方法に関する。
【0156】
リサンキズマブの誘導用量は、約600mg、約1200mg又は約1800mgのリサンキズマブを含んでもよい。一実施形態では、リサンキズマブの誘導用量は、約1200mgのリサンキズマブを含む。別の実施形態では、リサンキズマブの誘導用量は、約1800mgのリサンキズマブを含む。
【0157】
一実施形態では、本開示に記載した方法は、中程度から重度の活動性潰瘍性大腸炎に罹患している対象を処置する又はその寛解を誘導するために使用される。中程度から重度の活動性潰瘍性大腸炎は、Adapted Mayoスコア5~9点(Mayoスコアリングシステムを使用し、臨床医による全般的評価を除外して)及びスクリーニング内視鏡による内視鏡サブスコア2~3(例えば2又は3)として定義してもよい。したがって、一実施形態では、本開示に記載した方法は、Adapted Mayoスコア5~9点及び内視鏡サブスコア2~3(例えば2又は3)を有する対象を処置するために使用される。
【0158】
別の実施形態では、本明細書に記載した方法によって処置された対象は、潰瘍性大腸炎の生物学的療法の1つ以上に対して不寛容又は不十分な応答を有する。生物学的療法としては、それだけに限らないが、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、トファシチニブ及び/又はベドリズマブが挙げられ得る。不寛容の実証は、最小の用量も使用期間も必要ない場合がある。不十分な応答は、以下の、インフリキシマブの少なくとも1つの6週の誘導レジメン(0週、2週及び6週目における5mg/kg以上の静脈内(IV))、アダリムマブの少なくとも1つの4週の誘導レジメン(0週目における1回の160mgの皮下(SC)用量及びそれに続く2週目における1回の80mgのSC用量又は0週目における1回の80mgのSC用量及びそれに続く2週目における1回の40mgのSC用量)、ゴリムマブの少なくとも1つの4週の誘導レジメン(0週及び2週目における200mgのSC)、ベドリズマブの少なくとも1つの6週の誘導レジメン(0週、2週及び6週目における300mgのIV)の1つ以上の履歴に関わらず、持続的に活動性の疾患の兆候及び症状又は上記の生物製剤の以前の臨床的利益に続く予定された維持投薬の間の症状の再発を含み得る。
【0159】
別の実施形態では、本明細書に記載した方法によって処置される対象は、従来療法に対して不十分な応答又は不寛容を有する。従来療法は、以下の、アミノサリチレート、経口局所作用ステロイド(例えばブデソニド、ベクロメタゾン(beclomethosone))、全身性コルチコステロイド(プレドニソン又は等価物)又は免疫調節剤の1つ以上として定義される。この集団は、過去において生物学的療法又はトファシチニブを受けたが不十分な応答又は不寛容以外の理由(例えば償還範囲の変更、適切に管理された疾患)に基づいて療法が中止された対象も含んでもよい。
【0160】
一実施形態では、1つ~6つの誘導用量のリサンキズマブを対象に投与するステップを含む、対象において潰瘍性大腸炎を処置する又は潰瘍性大腸炎の寛解を誘導する方法。したがって、本方法は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つの誘導用量のリサンキズマブを対象に投与するステップを含み得る。一実施形態では、3つの誘導用量が対象に投与される。別の実施形態では、6つの誘導用量が対象に投与される。
【0161】
一実施形態では、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブが、4週間隔で投与される。一実施形態では、全ての誘導用量のリサンキズマブが、4週間隔で投与される。
【0162】
一実施形態では、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブが、静脈内注入(IV)によって投与される。一実施形態では、全ての誘導用量のリサンキズマブが、静脈内注入によって投与される。
【0163】
一実施形態では、対象において潰瘍性大腸炎を処置する又は潰瘍性大腸炎の寛解を誘導する方法は、誘導用量が投与された後に対象の臨床的、内視鏡的及び/又は組織学的なエンドポイントを測定するステップをさらに含む。一実施形態では、臨床的、内視鏡的及び/又は組織学的なエンドポイントは、それぞれの誘導用量が投与されてから4週後に測定される。ある特定の実施形態では、臨床的、内視鏡的及び/又は組織学的なエンドポイントは、3回目の誘導用量が投与されてから4週後に測定される。
【0164】
臨床的エンドポイント
臨床的エンドポイントは、Adapted Mayoによる臨床的寛解(排便回数サブスコア(SFS)が1以下かつベースラインを上回らず、直腸出血サブスコア(RBS)が0及び内視鏡サブスコアが1以下によって定義される。);Adapted Mayoによる臨床的応答(Adapted Mayoスコアのベースラインからの2点以上かつベースラインから30%以上の減少及び直腸出血サブスコア(RBS)の1以上の減少又はRBSの絶対値が1以下によって定義される。);partial Adapted Mayoによる臨床的応答(Adapted Mayoスコアのベースラインからの1点以上かつベースラインから30%以上の減少及びRBSの1以上の減少又はRBSの絶対値が1以下によって定義される。);又はFull Mayoによる臨床的寛解(Full Mayoスコアが2以下かつ1を超えるサブスコアなしによって定義される。)を含み得る。内視鏡的エンドポイントは、内視鏡的改善(内視鏡サブスコアが0又は1によって定義される。)又は内視鏡的寛解(内視鏡サブスコアが0によって定義される。)を含み得る。組織学的エンドポイントは、組織学的寛解(Geboesスコアが2未満によって定義される。)を含み得る。エンドポイントは粘膜治癒を含んでもよく、これは内視鏡的かつ組織学的な寛解によって定義される。
【0165】
対象は、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブの投与の後、上記の臨床的、内視鏡的及び/又は組織学的なエンドポイントの1つ以上を達成し得る。一実施形態では、対象は、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブの投与の後、Adapted Mayoによる臨床的寛解を達成する。別の実施形態では、対象は、少なくとも1つの誘導用量のリサンキズマブの投与の後、Adapted Mayoによる臨床的応答を達成する。一実施形態では、対象は、3つの誘導用量の約600mg、約1200mg又は約1800mgのリサンキズマブの投与の後、上記の臨床的、内視鏡的及び/又は組織学的なエンドポイントの1つ以上を達成する。
【0166】
一実施形態では、患者の集団が処置された場合、患者の2.5%~20%(例えば2.5%~15%、5%~20%、5%~15%又は8%~12%)が、Adapted Mayoスコアによる臨床的寛解を達成し得る。ある特定の実施形態では、患者の集団が3つの誘導用量の約1200mgのリサンキズマブで処置された場合、患者の5%~20%(例えば約5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%又は20%)が、Adapted Mayoスコアによる臨床的寛解を達成する。ある特定の実施形態では、患者の集団が3つの誘導用量の約1800mgのリサンキズマブで処置された場合、患者の2.5%~15%(例えば約2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%又は15%)が、Adapted Mayoスコアによる臨床的寛解を達成する。
【0167】
別の実施形態では、患者の集団が処置された場合、集団の14%~16%(例えば約14%、約14.5%、約14.8%、約15%、約15.5%又は約16%)が、内視鏡的改善を達成する。別の実施形態では、患者の集団が処置された場合、集団の5%~9%(例えば約5%、約5.5%、約5.7%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%又は約9%)が、Full Mayoスコアによる臨床的寛解を達成する。別の実施形態では、患者の集団が処置された場合、集団の47%~54%(例えば約47%、約47.5%、約48%、約48.5%、約49%、約49.5%、約50%、約50.5%、約51%、約51.5%、約52%、約52.5%、約53%、約53.4%、約53.5%又は約54%)が、Adapted Mayoスコアによる臨床的応答を達成する。別の実施形態では、患者の集団が処置された場合、集団の37%~46%(例えば約37%、約37.5%、約37.9%、約38%、約38.5%、約39%、約39.5%、約40%、約40.5%、約41%、約41.5%、約42%、約42.5%、約43%、約43.5%、約44%、約44.5%、約45%、約45.5%、約45.9%又は約46%)が、Partial Adapted Mayoスコアによる臨床的応答を達成する。別の実施形態では、患者の集団が処置された場合、集団の4%~7%(約4%、約4.5%、約4.9%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約6.9%又は約7%)が、内視鏡的寛解を達成する。別の実施形態では、患者の集団が処置された場合、集団の4%~5%(例えば約4%、約4.3%、約4.4%、約4.5%又は約5%)が、炎症性腸疾患質問表(IBDQ)におけるベースラインからの変化を達成する。
【0168】
維持投薬
一実施形態では、対象において潰瘍性大腸炎を処置する又は潰瘍性大腸炎の寛解を誘導する方法は、(1)最後の誘導用量が投与された後に最初の維持用量のリサンキズマブを対象に投与するステップ、及び(2)最初の維持用量が投与された後に少なくとも1つの追加の維持用量を対象に投与するステップをさらに含む。
【0169】
一実施形態では、最初の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから2~8週後に投与される。したがって、最初の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから2週、3週、4週、5週、6週、7週又は8週後に投与されてもよい。ある特定の実施形態では、最初の維持用量は、最後の誘導用量が投与されてから4週後に投与されてもよい。
【0170】
一実施形態では、最初の維持用量は、約180mg又は約360mgのリサンキズマブを含む。ある特定の実施形態では、最初の維持用量は、約180mgのリサンキズマブを含んでもよい。ある特定の実施形態では、最初の維持用量は、約360mgのリサンキズマブを含んでもよい。
【0171】
一実施形態では、最初の維持用量が投与されてから4~12週後に、少なくとも1つの追加の維持用量が対象に投与される。したがって、少なくとも1つの追加の維持用量は、最初の維持用量が投与されてから4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週又は12週後に投与されてもよい。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、最初の維持用量が投与されてから8週後に投与される。
【0172】
少なくとも1つ(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12)の追加の維持用量は、最初の維持用量の後で投与されてもよい。一実施形態では、6つの追加の維持用量が、最初の維持用量の後で投与される。別の実施形態では、7つ以上の追加の維持用量が、最初の維持用量の後で投与される。2つ以上の追加の維持用量が投与される場合には、追加の維持用量は8週の間隔で投与されてもよい。
【0173】
一実施形態では、追加の維持用量は、約180mg又は約360mgのリサンキズマブを含む。ある特定の実施形態では、追加の維持用量は、約360mgのリサンキズマブを含んでもよい。
【0174】
一実施形態では、最初の維持用量は、皮下注射(SC)によって投与される。別の実施形態では、少なくとも1つの追加の維持用量は、皮下注射によって投与される。ある特定の実施形態では、全ての追加の維持用量は、皮下注射によって投与される。別の実施形態では、最初の維持用量及び全ての追加の維持用量は、皮下注射によって投与される。
【0175】
一実施形態では、本方法は、維持用量が投与された後で対象の臨床的、内視鏡的及び/又は組織学的なエンドポイントを測定するステップをさらに含む。一実施形態では、臨床的、内視鏡的及び/又は組織学的なエンドポイントは、維持用量が投与されてから4週後に測定される。ある特定の実施形態では、臨床的、内視鏡的及び/又は組織学的なエンドポイントは、最後の維持用量が投与されてから4週後に測定される。ある特定の実施形態では、6つ以上の追加の維持用量が最初の維持用量の後で投与され、臨床的、内視鏡的及び/又は組織学的なエンドポイントは、6つの追加の維持用量の投与から4週後に測定される。
【0176】
本開示の方法によって処置された対象は、維持用量のリサンキズマブの投与の後、本明細書に記載した臨床的、内視鏡的及び/又は組織学的なエンドポイントの1つ以上を維持し得る。一実施形態では、対象は、維持用量のリサンキズマブの投与の後、Adapted Mayoによる臨床的寛解を維持する。別の実施形態では、対象は、維持用量のリサンキズマブの投与の後、Adapted Mayoによる臨床的応答を維持する。ある特定の実施形態では、対象は、最初の維持用量及び6つの追加の維持用量のリサンキズマブの投与の後、本明細書に記載した臨床的、内視鏡的及び/又は組織学的なエンドポイントの1つ以上を維持し得る。
【0177】
実施例1:第2相研究M15-989の方法
研究設計及び患者
第2相M15-993研究(NCT02031276)の完了に成功した患者は、この単一群OLE(M15-989;NCT02513459;US Clinical Trials Registry)に登録するのに適格であった。患者は、欧州、アジア及び北米にわたる38の照会サイトに含まれていた。全ての患者は、8週毎(Q8W)に196週までの非盲検リサンキズマブ180mg SCによる維持療法を受けていた(図1)。M15-993の完了成功は、26週目における臨床的寛解(クローン病活動性指数[CDAI]150未満)を伴わない臨床的応答の達成(CDAIのベースラインからの100点以上の減少)又は52週目における臨床的応答及び/若しくは寛解の達成として定義した(Feaganら(2018)Lancet Gastroenterol Hepatol.3:671~80頁)。M15-993研究の試験来診の終了時又はM15-989 OLEのためのスクリーニング時に臨床的寛解を失っていた患者は、600mg IV Q4Wの3回の注入によるリサンキズマブの非盲検再誘導を受け、その後に適格性を再度査定した。臨床的応答又は寛解が達成された場合は、対象を、5回目の来診からOLEの残りについてリサンキズマブ180mg SC Q8Wの維持処置に切り替えた。M15-989研究を完了した患者は、M16-000下位研究3、即ち進行中の第3相OLE(NCT03105102)に登録するよう選択することができ、この中で患者は、非盲検リサンキズマブ180mg SC Q8Wを受け続け、リサンキズマブ救済療法を受けるために適格である。M15-989研究は、進行中の第3相OLEの中の継続的な非盲検処置に登録するよう患者に選択肢を与えるために、スポンサーによって終了された。
【0178】
親M15-993研究の組入れ基準及び除外基準は既に記述されている(Feaganら(2017)Lancet.389:1699~709頁)。簡単に述べると、患者は成人(年齢18~75歳)であり、CDAIが220~450及びクローン病内視鏡重症度指数(CDEIS)が7以上(又は孤立した回腸炎を有する患者については4以上)並びに回腸及び/又は結腸に粘膜潰瘍を有するとして定義される中程度~重度のCDを有していた。患者は、生物製剤の投与を受けていないか、以前に1つ以上のTNFアンタゴニスト又はベドリズマブで処置されていてもよいが、ウステキヌマブの投与を受けた患者は、登録に不適格とした。
【0179】
OLEの間、患者には、2回目の来診の前、少なくとも4週間、安定的な用量を受けていれば、経口のコルチコステロイド(プレドニソン当量用量20mg/日以下)、経口の5-アミノサリチレート及び免疫抑制薬(アザチオプリン、6-メルカプトプリン又はメトトレキサート)を継続することを許可し、同じ用量を一貫して続けるように要請した。リサンキズマブの注入の間又はその後に注入に対する反応が起こった場合には、反応の重症度及び現地の治療標準に従って全身性抗ヒスタミン薬及びIVステロイドの開始を許可した。
【0180】
M15-989 OLEは、International Conference on Harmonizationの指針、適用可能な規制及びヘルシンキ宣言に従って実施した。研究に関連する書類は、施設内倫理委員会及び審査会による承認を受けた。全ての患者から書面によるインフォームドコンセントの提供を受けた。本研究に参加した患者の福祉が維持されたことを保証するために、独立したデータ監査委員会を利用した。
【0181】
転帰
一次的な目的は、維持リサンキズマブ180mg SC Q8Wを受けているCDの患者における長期安全性を査定することであった。研究を通して、及び尚早に研究を中止した患者についてはリサンキズマブの最終用量の後20週まで、有害事象(AE)、バイタルサイン及び検査査定を収集した。AEは、医薬品規制用語集バージョン21.1を使用してコード付けし、重症度は、Rheumatology Common Toxicity Criteriaバージョン4.0に基づいてグレード付けした。心臓、脳血管及び血栓症の主要な事象は、独立の心臓血管裁決委員会によって裁決された。
【0182】
処置下で発現したAE(TEAE)は、M15-989研究におけるリサンキズマブの最初の用量において又はその後に、M15-989研究において研究薬を尚早に終了した患者についてはリサンキズマブの最後の用量の後20週以内に、及び第3相OLEにおけるリサンキズマブの最初の用量の前に、生じた又は悪化した事象と定義した。リサンキズマブへの曝露の期間は、M15-989 OLEにおける最後のリサンキズマブの用量の日付から最初のリサンキズマブの用量の日付を引いた期間プラス8週と定義した。AEは、何らかの事象を経験した患者の数(%)、事象の絶対数及び100患者・年当たりの事象(E/100PY)として提示する。
【0183】
二次的な目的には、薬物動態、免疫原性、有効性及びHRQoLの査定が含まれていた。血漿試料は、予定された来診の際に採取し、リサンキズマブの血漿中濃度を測定する酵素連結免疫吸着アッセイ及びADAの検出のための3階層アプローチによる電気化学発光アッセイを使用して、後日分析した(Feaganら(2017)Lancet.389:1699~709頁)。サンプリング数が少ないので、最初のSC用量に関連する時点のトラフ血漿中濃度のみをまとめた。重要な有効性の転帰には、臨床的寛解(CDAIが150未満)及び内視鏡的寛解(CDEISが4以下又は孤立した回腸炎を有する患者については2以下)が含まれていた。HRQoLの転帰には、炎症性腸疾患質問表(IBDQ)の応答(IBDQのベースラインからの増加の全スコアが16以上)及び寛解(IBDQの全スコアが170以上)が含まれていた。バイオマーカーの転帰には、血清アルブミン、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)及び糞便カルプロテクチンのベースラインからの中央値変化が含まれていた。CDAIスコア及びhs-CRPレベルは、来診毎に査定した。IBDQスコア及び血清アルブミン濃度は、24週毎に査定した。糞便カルプロテクチンはベースライン、24週及びその後32週毎に査定した。回腸結腸内視鏡は毎年実施した。内視鏡結果の中央スコアリングは、全ての内視鏡査定について独立のブラインド審査者が実施した。
【0184】
統計分析
安全性データは、少なくとも1用量のリサンキズマブを受けた患者について報告した(安全性分析セット)。薬物動態及び免疫原性分析セットは、薬物動態及びADAのデータを有していた全ての患者を含んでいた。有効性及びHRQoLのデータは、128週までの欠失データの非応答者補完(NRI)を含む処置意図集団について報告したが、その時点から、患者は第3相OLEに登録することができた。128週以降は観察例のみを報告した。報告した最終時点は前のセクションで述べた査定の頻度によって様々な有効性の転帰について変動し、患者は異なる時点でM15-989を完了して第3相OLEに登録したことに留意されたい。試料サイズの計算又は統計的比較は実施しなかった。全ての分析は記述的にまとめた。0週は、M15-989 OLEにおける研究薬の最初の用量を示す。しかし、ベースラインの特徴及びベースラインからの変化については、ベースラインは、親M15-993研究における研究薬の最初の用量の前であると定義した(Feaganら(2017)Lancet.389:1699~709頁)。
【0185】
実施例2:第2相研究M15-989の結果
要旨
背景:インターロイキン-23の抗体であるリサンキズマブは、中程度から重症の難治性クローン病(CD)を有する患者の第2相研究において有効性及び許容される安全性を実証した。この非盲検延長(OLE)は、親の第2相研究においてリサンキズマブに応答した患者におけるリサンキズマブの長期安全性、薬物動態、免疫原性及び有効性を検討することを目的とした。
【0186】
方法:親の第2相研究において26週で臨床的寛解(クローン病活性度指数[CDAI]が150未満)を伴わない臨床的応答(CDAIのベースラインから100以上の低減)又は52週で臨床的応答及び/若しくは寛解を有していた患者をOLEに登録させ、非盲検の皮下リサンキズマブ180mgを8週毎に受けさせた(Q8W)。OLEの一次的な目的はリサンキズマブの長期安定性を査定することであり、二次的な目的には薬物動態、免疫原性及び有効性の査定が含まれていた。
【0187】
知見:親研究において応答を失い、リサンキズマブ600mgの4週毎3回の注入によって最初に再誘導した4人の患者を含む65人の患者を登録した。患者は、中央値33か月でリサンキズマブを受け、累計167.0患者年(PY)であった。重篤な有害事象の割合は24.6E/100PYであった。大部分は事実上、胃腸であった。重篤な感染、日和見感染及び真菌感染の割合は、それぞれ4.2、1.8及び6.6E/100PYであった。死亡、悪性腫瘍、裁決された心臓血管事象又は潜在的/活動性の結核若しくは帯状疱疹の症例は報告されなかった。リサンキズマブの定常状態の血漿曝露は24週までに到達し、研究を通して維持された。処置下で発現した抗薬物抗体は8人の患者(12.3%)で発現したが、いずれも中和性ではなかった。OLEの間、臨床的寛解(71%超)及び内視鏡的寛解(42%超)を有する患者(観察された分析)の割合を含む有効性の転帰が維持された。
【0188】
解釈:皮下リサンキズマブ180mg Q8Wによる長期の維持処置は、CDの患者によって良好に忍容され、特定の安全性シグナルはなかった。
【0189】
結果
患者の素性
M15-993研究(Feaganら(2018)Lancet Gastroenterol.Hepatol.3:671~80頁)において無作為化した121人の患者のうち、65人が2015年9月以降、このOLEに登録した(全てリサンキズマブ群)。この中には、M15-993研究の終了時に応答を失い、OLEの開始時にリサンキズマブ600mg IV Q4Wで再誘導された4人の患者が含まれていた(図1及び図2)。44人の患者(68%)がM15-989研究を完了し、第3相OLEに移行した。一方、21人(32%)の患者が尚早に研究を中止した。7人の患者はAEによって研究を中止し、7人の患者は同意を撤回した。全ての中止の理由を詳細に図2に示す。M15-989研究は2019年6月に完了した。これは、進行中の第3相OLEの中の継続的な非盲検処置に登録するよう患者に選択肢を与えるために、スポンサーによって終了された。
【0190】
OLE集団のベースラインの特徴及び疾患活動性(即ち、M15-993研究へのエントリー時における)を表5に提示する。中央値CD期間は10.0年(範囲:2.0~38.0)であり、92.3%の患者は、事前に少なくとも1つのTNFアンタゴニストによる処置を受けていた。
【0191】
【表5】
【0192】
安全性
全てのリサンキズマブ群(n=65)において、リサンキズマブの処置期間は114~1317日の範囲、中央値は1014日(33か月)、PYは全部で167.0PYであった。40人(62%)の患者が924日を超えてリサンキズマブを受けた。IV再誘導を必要とした全ての患者(n=4)は、600mg IV Q4Wのリサンキズマブの3回の注入による完全な再誘導を受け(中央値期間84日)、8週までに臨床的応答を達成し、次いで12週以降、リサンキズマブ180mg SC Q8Wを継続した。
【0193】
大部分の患者は、少なくとも1回のTEAEを経験した(表6)。最も一般的なTEAEは、鼻咽頭炎、胃腸炎及び疲労であった(表7)。重篤なAE(SAE)は23人(35.4%;24.6E/100PY)について報告された。2人以上の患者において観察されたSAEは、CDの悪化、腸狭窄、ウイルス性胃腸炎、腹膜炎及び処置後合併症であった(それぞれn=2)。6人の患者(9.2%;4.2E/100PY)は、以下のTEAE、即ち腸の外傷(内視鏡時の穿孔を伴わない腸の管腔内裂傷)を生じた1人の患者及び回腸の狭窄(n=1)を含むCDの悪化(n=5)のために、研究薬を中止した。死亡例は報告されなかった。
【0194】
【表6】
【0195】
【表7】
【0196】
感染は48人(73.8%;112.0E/100PY)の患者について報告された。重篤な感染は6人(9.2%;4.2E/100PY)の患者について報告され、この中で肛門の拡張及びウイルス性胃腸炎に続発した骨盤内腹膜炎(同じ患者について報告された。)、回盲部切除手術に続く腹膜炎(患者1人)及びカンピロバクター(Campylobacer)感染(患者1人)が重篤とみなされた。その他の重篤な感染は、軽度(皮下の膿瘍)又は中程度(肛門周囲の膿瘍及びウイルス性胃腸炎)であった。重篤な感染のいずれも、研究薬の中止には至らなかった。日和見感染は3人(4.6%;1.8E/100PY)で報告され、真菌性食道炎及び口腔真菌感染が含まれていた。全ては研究期間中に消失した。真菌感染は7人(10.8%;6.6E/100PY)の患者で報告された。口腔真菌感染及び外陰膣真菌感染が最も高頻度で報告された(それぞれn=2)。その他の真菌感染は、ブラストシスティス属(Blastocystis)の感染、手及び足の真菌感染、真菌性食道炎、真菌性皮膚感染、頭部白癬及び外陰膣カンジダ症の単独事象であった。これらのいずれも重篤ではなく(全てグレード1又は2)、いずれも処置の中止には至らなかった。結核又は帯状疱疹の感染の事象は報告されなかった。
【0197】
過敏反応は16人(24.6%;10.2E/100PY)の患者で報告された。最も高頻度で報告された過敏反応は、発疹(n=5)及び湿疹(n=3)であった。5事象は、研究薬と関連すると考えられた。リサンキズマブ処置の中止に至った事象はなかった。カルボキシマルトース鉄(Ferinject(登録商標))の投与によるアナフィラキシー反応であった1例のSAEを除いて、全ての過敏反応はグレード1又は2と査定された。
【0198】
肝の事象が6人(9.2%;10.2E/100PY)の患者で報告された。15事象は肝酵素の増加を含んでいた。脂肪肝の単一事象が、肥満度指数30kg/mを超える患者で観察された。全ての肝の事象はグレード1と査定され、重篤なものはなく、いずれもリサンキズマブの中止には至らなかった。肝酵素の潜在的な臨床的に重要な増加は稀であり(表8)、アラニンアミノトランスフェラーゼ及びアスパルテートアミノトランスフェラーゼの増加は、OLEの間に正常化した。Hyの法則による基準に合致した患者はいなかった。
【0199】
【表8】
【0200】
OLEの間、悪性腫瘍又は裁決された主要な有害心臓血管事象は報告されなかった。
【0201】
概して、検査値の変化は臨床的に有意とはみなされなかった(表8)。検査値グレード3以上の個別の症例は少なく、殆どは一過性であった。3人の患者でグレード3以上のリンパ球の減少があり、そのうち2人は、研究中1回だけのグレード3以上の減少があり、全ての減少は中止することなく消失した。6人の患者でグレード3以上のクレアチンキナーゼの増加があり、そのうち5人は、研究中1回だけの増加を経験し、3人は、フォローアップ期間中に増加を経験した。全ての増加は中止することなく消失した。これらの事象の大部分は、研究者によって一過性であって臨床的に有意でないと査定された。5人の患者はグレード3以上のトリグリセリドの増加を経験し、そのうち1人は、本研究の前からトリグリセリドの増加があった。持続的な傾向は観察されなかった。トリグリセリドの増加は全て消失し、トリグリセリドの増加によって中止した患者はいなかった。
【0202】
このOLEの間に3例の妊娠が報告された。2例の妊娠は、リサンキズマブ180mg SC Q8Wによる母体処置の間に生じた。3例目は、患者のパートナーの妊娠であった。リサンキズマブの母体使用は、妊娠が確認された後で中止した。受胎前及び最初の3か月の間にリサンキズマブの母体使用を受けた患者の1人(全部で575日間のリサンキズマブ処置を受けている。)は、リサンキズマブを中止した78日後に胎児の異常(胎児の滑液嚢水腫及び胎児水腫)のために手術によって妊娠中絶した。これは、研究者によってリサンキズマブと関係する合理的な可能性があると考えられた。この患者は続いて、OLE報告期間の外で(20週を超えてリサンキズマブを中止した後で、したがってOLEの間に生じた3例の妊娠の1つとして含まれていない。)2回目の妊娠をしたが、流産に終わった。他の2例の妊娠は生児出産となり、合併症又は異常の報告はなかった。
【0203】
薬物動態及び免疫原性
リサンキズマブの定常状態血漿曝露は、24週までに到達し、研究中を通して維持され、幾何平均トラフ濃度は3.2~4.0μg/mLの範囲であった(図3)。
【0204】
0週(M15-989における最初のリサンキズマブ用量の前)において、研究中に少なくとも1用量のリサンキズマブを受けた65人の患者のうち2人(3%)で事前のADAが検出され、これはおそらく、親の第2相研究M15-993におけるリサンキズマブへの事前の曝露によるものである。処置下で発現したADAは、このOLEの間に65人の患者のうち8人(12%)で発現し、そのいずれも中和抗体は発現しなかった。処置下でADAが発現した4人の患者は、それぞれ以下の理由、即ちAE、妊娠、同意の撤回及び有効性の欠如によって研究を中止した。ADAの力価は1~64の範囲であり、1人を除く全ての患者においてリサンキズマブの血漿曝露に対して明らかな影響はなかった。さらなる薬物動態及び免疫原性データを収集し、安全性及び有効性の転帰との相関を第3相研究で分析する。
【0205】
有効性、HRQoL及びバイオマーカー
臨床的寛解及び内視鏡的寛解における患者の割合は、研究の期間を通して長期リサンキズマブ処置とともに維持された。全ての内視鏡的有効性査定において中央審査者スコアリングを使用した。臨床的寛解は、OLE療法の112週を通して任意の所与の来診において、観察した分析で71%を超える患者で、またNRI分析で64%を超える患者で達成された(図4A)。内視鏡的寛解は、104週を通して任意の所与の来診において、観察した分析で42%を超える患者で、またNRI分析で41%を超える患者で達成された(図4B)。
【0206】
120週を通して任意の所与の来診において、IBDQの応答(観察された分析で88%を超える患者及びNRI分析で70%を超える患者;図4C)及びIBDQの寛解(観察された分析で58%を超える患者及びNRI分析で52%を超える患者;図4D)によって査定して、高い割合の患者でHRQoLのベースライン(M15-993研究におけるリサンキズマブの最初の用量の前)からの改善が報告された。これらの改善は、IBDQの4つのドメイン(腸の症状、全身的症状、社会的機能及び感情的機能)の全てにわたって観察された。
【0207】
hs-CRPにおけるベースライン(M15-993研究のリサンキズマブの最初の用量の前)からの中央値低減及びこのOLEの0週で観察された糞便カルプロテクチンは、概して152週にわたるOLEの経過の間、維持された(図5A及び5B)。0週における血清アルブミンレベルの増加も、概して152週にわたって維持された(図5C)。
【0208】
このOLEにおいて、リサンキズマブ180mg SC、Q8Wの維持処置は、CDの患者によって3年及び167PYの処置にわたって良好に忍容され、新たな安全性シグナルは観察されなかった。二次的な転帰として、リサンキズマブの薬物動態は、以前の観察(Feagan BGら(2018)Lancet Gastroenterol.Hepatol.3:671~80頁;Suleimanら(2019)Clin.Pharmacokinet.58:375~87頁)と一致しており、有効性は研究の間、維持された。本研究に含まれた患者は、M15-993のベースラインにおいて処置難治性のCDを有しており、第3相OLEに登録する前にM15-993研究とM15-989研究の両方を完了しており、リサンキズマブの安全性及び有効性がリサンキズマブの継続を正当化するために十分な説得力があることが示唆された。
【0209】
SAEの大多数は事実上、胃腸の事象であり、根底にあるCDを反映している可能性がある。OLEにおける重篤な感染、日和見感染及び真菌感染の割合(それぞれ4.2、1.8及び6.6E/100PY)は、親の第2相M15-993研究(それぞれ4.6、2.7及び7.3E/100PY)(Feagan BGら(2018)Lancet Gastroenterol.Hepatol.3:671~80頁)で報告されたものと同様であった。重篤な感染は、主として胃腸の事象によって促進され、結核(潜伏結核を含む。)又は帯状疱疹の症例は報告されなかった。過敏反応は約25%の患者で観察され、M15-993研究で観察された割合より低い割合で発生した。IVカルボキシマルトース鉄の投与に対する重篤なアナフィラキシー反応が1例あったが、薬物の中止には至らなかった。死亡、悪性腫瘍又は裁決された心臓血管事象は報告されなかった。
【0210】
検査値グレード3以上は少なく、通常は一過性であった。CDの患者におけるリサンキズマブ180mgの安全性プロファイルは一般に、適応症にわたって評価したリサンキズマブの用量の相違(乾癬に対しては12週毎に150mg、乾癬性関節炎に対しては4又は12週毎に150mg)にも関わらず、乾癬及び乾癬性関節炎における以前の報告と一致した(Gordonら(2018)Lancet.392:650~61頁;Reichら(2019)Lancet.394:576~86頁;Measeら(2018)Ann.Rheum.Dis.77:200~1頁)。CDの患者におけるリサンキズマブについて報告されたTEAEの型は、IL-12/23の阻害剤であるウステキヌマブの研究によって報告されたTEAEと同様であった(Feaganら(2016)N.Engl.J.Med.375:1946~60頁;Sandbornら(2018)Aliment,Pharmacol,Ther,48:65~77頁;Ghoshら(2019)Drug Saf.42:751~68頁)。
【0211】
定常状態の血漿曝露は、リサンキズマブ180mg SC Q8Wの投与後、24週までに達成された。8人の患者における主として低力価の非中和性ADAの発現は、リサンキズマブの血漿曝露に明らかな影響を及ぼしているようではなかった。これらの結果は、リサンキズマブに対する高力価(128超)のADAのみが薬物動態に有意の影響を与える乾癬の以前の研究(Khatriら(2020)Clin.Pharmacol.Ther.107:378~87頁;Pangら(2020)Clin.Pharmacokinet.59:311~26頁)と一致している。したがって、本研究におけるADAの大多数が低力価であることを考えると、リサンキズマブへの曝露並びにしたがって有効性及び安全性に対する顕著な影響は予想されなかった。処置下で発現したADAを発現した8人の患者のうち4人が研究を中止したにも関わらず、ADA力価についての時間経過データ、リサンキズマブへの曝露及び中止の理由の審査に基づいて、免疫原性と中止との間に明らかな相関はなかった。
【0212】
本OLEにおいて、184週までのリサンキズマブ180mg SC Q8Wによる維持処置は、中程度から重度の難治性CDの患者によって良好に忍容されており、新たな安全性シグナルは観察されなかった。第3相OLEを含む進行中の第3相研究の結果は、CDの患者におけるリサンキズマブの有効性及び安全性についての情報をさらに提供する。
【0213】
実施例3:第3相誘導研究M15-991のプロトコール
M15-991は、事前の生物製剤処置が失敗している中程度から重度の活動性クローン病を有する対象におけるリサンキズマブの有効性及び安全性を査定する、多施設無作為化二重盲検プラセボ対照誘導研究であった。
【0214】
目的:研究M15-991(図6)の目的は、中程度から重度の活動性クローン病(CD)を有する対象において、誘導治療の際のプラセボに対するリサンキズマブの有効性及び安全性を評価することを含んだ。主な目的の1つは、承認された生物学的薬剤(Bio-IR)、例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ナタリズマブ、ウステキヌマブ及び/又はベドリズマブの使用に不寛容又は不十分な応答であることを実証した、中程度から重度の活動性CDを有する対象での臨床的寛解及び内視鏡的応答の誘導において、PBO(プラセボ)と比較したRISAの有効性及び安全性を評価することであった。
【0215】
研究者:世界中の多施設
【0216】
研究場所:およそ400か所。
【0217】
研究集団:ベースライン来診時に、年齢が18歳以上80歳以下若しくは地方条例に準じて成人の同意が必要な最低年齢又はベースライン来診時に、現地で許可され、かつタナー段階5の発達の定義を満たした年齢16歳~18歳未満の男性及び女性であり、下記のように定義された中程度から重度の活動性CDと診断されている:
1.平均1日排便回数(SF)が4回以上(SFを計算する場合、液状若しくは非常に軟便の回数のみが記録されるべきである。)及び/又は平均1日腹痛(AP)スコアが2以上、さらに加えて、
2.CDの単純内視鏡スコア(SES-CD)により測定した粘膜炎症の内視鏡的証拠。全ての適格スコアは狭窄構成要素の存在を除外し、中央の読取り機により確証される。内視鏡的活動性は、3以上のSES-CDと定義されている。
【0218】
回腸結腸若しくは直腸疾患では3以上6未満のSES-CDを有する、又は孤立した回腸疾患では3のSES-CEを有する登録対象の数は、58人以下であった。58人以下の定員に達すると、登録基準は、回腸結腸若しくは直腸疾患では6以上の適格なSES-CD、又は孤立した回腸疾患では4以上の適格なSES-CDであった。
【0219】
研究は、事前の生物学的療法(bio-IR)に対して不十分な応答又は不寛容を有した対象の100%を登録した。bio-IR集団は、CDの1つ以上の承認された生物学的薬剤(インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ナタリズマブ、ウステキヌマブ及び/又はベドリズマブ)に、考証された不寛容又は不十分な応答を有する対象と定義された。曝露された対象パーセントは、ウステキヌマブに不寛容又は不十分な応答の対象を含んで、20%以下であった。
【0220】
登録した対象の数:有効性分析に使用する一次ITT集団に、およそ579人、加えて低いSES-CEを有する58人までが登録した。
【0221】
方法:
研究M15-991は、無作為化二重盲検プラセボ対照12週間誘導研究であった。対象(n=579)を、ベースライン、4週目、8週目に静脈内(IV)で与えられた1200mgのリサンキズマブ若しくは600mgのリサンキズマブ又はプラセボに、1:1:1に無作為化した。無作為化は、事前の失敗している生物製剤(1つ、2つ以上)、ベースラインステロイド使用(あり、なし)及びベースラインSES-CD(本来、代替)の両方の数を層別し、「本来」の層は、6以上(又は孤立した回腸疾患を有する対象では4以上)のベースラインSES-CDを有する患者を含み、「代替」の層は、回腸結腸若しくは直腸疾患では3以上6未満のベースラインSES-CDを有する又は孤立した回腸疾患では3のSES-CEを有する患者を含んだ。
【0222】
研究の際の来診は、ベースライン並びに4週目、8週目及び12週目/早期中止(PD)に発生して、疾患活動性の臨床的査定及び検査査定を収集した。12週目に臨床的応答を達成しなかった対象は、24週目に臨床的応答の評価を伴う誘導期間2において盲検リサンキズマブによる処置に適格であり得る。全ての対象には、研究を通してCD関連症状を記録する対象者日記が提供された。対象には、スクリーニング時に患者情報カードも配布された。加えて、対象は、研究を通して症状、生活の質(QoL)及び労働生産性についての質問表を完成させた。尿検査、化学及び血液学、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)、リサンキズマブ血清濃度及び抗薬物抗体(ADA)血清レベルが挙げられるが、これらに限定されない臨床検査値を、研究を通して収集した。加えて、カルプロテクチン分析のために糞便試料を収集し、内視鏡検査用に腸の準備を開始する前に採取した。全ての内視鏡検査は、SES-CDを使用して評価し、中央の読取り機により確証した。診断を確証する(スクリーニングの際)又は異形成/悪性腫瘍を除外するための生検を、内視鏡検査と同じ時点で実施してもよい。任意選択の調査研究用試料を研究の際に採取してもよい。
【0223】
12週目/PDの来診時に、全ての対象は、粘膜炎症の評価のために内視鏡検査を受けた。少なくとも8週間にわたって研究に残っていた全ての対象は、12週目/PD内視鏡検査を有することが予測された。12週目に平均1日SFが30%以上の減少及び/又は平均1日APスコアが30%以上の減少(いずれもベースラインより悪化しない。)と定義される臨床的応答を達成した全ての対象は、研究M16-000に参加するのに適格であり得る。内視鏡検査が完了する(現地の読取り機による結果が研究M16-000の層別に使用される。)まで、対象は研究M16-000に参加するのに適格ではなかった。
【0224】
12週目に臨床的応答を達成しなかった全ての対象は、下記に記載されているように、誘導期間2にリサンキズマブによる盲検処置を受けるのに適格であり得る。対象は、12週目の内視鏡検査が完了するまで、誘導期間2に参加するのに適格ではなかった。
【0225】
誘導期間2
12週目に、臨床的応答を達成しなかった対象を、Interactive Response Technologies(IRT)により、二重盲検二重ダミー12週間処置期間である誘導期間2に無作為化した。IVリサンキズマブ誘導処置を受けた対象を、下記:
・群1:1200mgのIVリサンキズマブ
・群2:360mgのSCリサンキズマブ
・群3:180mgのSCリサンキズマブ
に1:1:1に無作為化した。
【0226】
プラセボ誘導処置を受けた対象は、下記:
・群4:1200mgのIVリサンキズマブ
を受けた。
【0227】
IVリサンキズマブ用量又は釣り合う用量のIVプラセボを、12週、16週及び20週目に与えた。SCリサンキズマブ用量又は釣り合う用量のSCプラセボを、12週及び20週目に与えた。24週目に、誘導期間2で処置を受けた対象を再度査定し、粘膜炎症の評価のために3回目の内視鏡検査を受けさせた。24週目に臨床的応答を達成した対象は、研究M16-000に参加するのに適格であり得る。24週目に臨床的応答のない対象並びに研究を早期に終わらせた全ての対象(誘導期間2に適格であるが処置を受けなかった対象を含む。)は中止させ、研究薬の最終用量から140日間にわたってフォローアップ訪問させて、任意の新たな又は進行中のAEについての情報を得た。
【0228】
組入れ/除外のための診断及び主な基準
主な組入れ:
1.ベースライン来診時に、年齢が18歳以上80歳以下又は地方条例に準じて成人の同意が必要な最低年齢の男性及び女性。ベースライン来診時に(場所は未成年者が登録し得る場合に知らされる。)、現地で許可される場合、タナー段階5の発達(付録Iを参照すること)の定義を満たした16歳~18歳未満の対象。
【0229】
2.ベースラインの少なくとも3か月前のCDの確証診断。研究者の査定においてCDの診断と一致する生検結果の適切な考証が入手可能でなければならない。
【0230】
3.ベースラインでクローン病活動性指数(CDAI)スコアが220~450。
【0231】
4.3以上のSES-CDで考証された粘膜炎症の内視鏡的証拠。全ての適格スコアは、狭窄構成要素の存在を除外し、中央の読取り機により確証される。(58人以下の定員に達すると、登録基準は、回腸結腸若しくは直腸疾患では6以上のSES-CD、又は孤立した回腸疾患では4以上のSES-CDである。)
【0232】
5.ベースラインで平均1日SFが4以上及び/又は平均1日APスコアが2以上。
【0233】
6.以下の生物学的薬剤:インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、ナタリズマブ、ウステキヌマブ及び/又はベドリズマブのうちの1つ以上への、実証された不寛容又は不十分な応答。
・不寛容の実証は、最小の用量も使用期間も必要としない。
・生物学的薬剤への不十分な応答は、以下の1つ以上の履歴にも関わらず、持続的に(研究者の見解において)活動性の疾患の兆候及び症状と定義される:
・インフリキシマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン(0週、2週及び6週目に5mg/kg IV以上)、
・アダリムマブの少なくとも1つの4週間誘導レジメン(0週目に1つの160mg SC用量、続いて2週目に1つの80mg SC用量[又は0週目に1つの80mg SC用量、続いて2週目に1つの40mg SC用量(この投与レジメンが承認されている国において)])、
・セルトリズマブペゴルの少なくとも1つの4週間誘導レジメン(0週、2週及び4週目に400mg SC)、
・ベドリズマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン(0週、2週及び6週目に300mg IV)、
・ナタリズマブの少なくとも1つの12週間誘導レジメン(4週間毎に300mg IV)、
・ウステキヌマブの少なくとも1つの8週間誘導レジメン[260mg(55kg以下)又は390mg(55kg超85kg以下)又は520mg(85kg超)IV、続いて8週目に90mg SC](20%以下のウステキヌマブに曝露された対象の定員が到達すると、以前にウステキヌマブに曝露された対象は、登録することが許可されない。)。
・上記の生物学的薬剤の事前の臨床的利益に従って予定された維持投与の際の症状の再発。
・注:上記に定義された不十分な応答以外の理由で生物学的薬剤を中止した又は不寛容である(例えば、保険の変更)対象は、登録に適格ではない。
【0234】
7.女性である場合、対象は、閉経後若しくは外科的に永久に生殖不能のいずれかでなければならず、又は妊娠可能な女性では、ベースラインの前から研究薬の最終用量の少なくとも140日後まで避妊を実行している女性でなければならない。妊娠可能な女性は、スクリーニング時に血清妊娠検査が陰性及びベースラインで尿妊娠検査が陰性でなければならない。スクリーニング時に妊娠不能な女性(閉経後又は外科的に永久に生殖不能のいずれか)は、ベースラインで妊娠検査の必要はない。注:スクリーニング時に境界線上の血清妊娠検査を有する対象は、3日以上後の血清妊娠検査で陽性結果の欠如が続いていることを立証しなければならない。
【0235】
8.対象は、書面のインフォームドコンセントを提出する、及び本研究プロトコールの要件に従う能力及び意思がなければならない。
【0236】
主な除外:
1.潰瘍性大腸炎又は不確定大腸炎の診断を現在有する対象。
【0237】
併用投薬及び処置
2.ベースライン前の14日を超えて安定した用量を服用していない又は14日以内に中止している、CD関連抗生物質を服用している対象。
【0238】
3.ベースライン前の14日を超えて安定した用量を服用していない又は14日以内に中止している、経口アミノサリチレートを服用している対象。
【0239】
4.経口コルチコステロイドを摂取している対象:
・9mg/日を超えるブデソニド
・5mg/日を超えるベクロメタゾン
・20mg/日を超えるプレドニゾン若しくは等価物
・又はベースライン前の14日以上にわたって現在の過程を服用していない、かつベースライン前の7日以上にわたって安定した用量を服用していない対象
【0240】
5.免疫調節剤(AZA、6-MP、MTX)を服用し、
・ベースライン前の42日以上にわたって現在の過程を服用しておらず、
・ベースライン前の35日以上にわたって安定した用量を服用していない、
対象。
【0241】
スクリーニング期間の投薬及び処置
6.ベースライン来診前の35日以内にIV抗感染薬又はベースライン来診前の14日以内に経口/筋肉内抗感染薬(非CD関連)を受けた対象。この用量は、TB予防には当てはまらない。
【0242】
7.ベースライン前の35日以内に完全経腸栄養法又は任意の非経口栄養法を受けた対象。
【0243】
8.スクリーニングの前の30日以内又はスクリーニング期間中に任意の生細菌又はウイルスワクチン接種を受けた対象。
【0244】
9.ベースライン前の35日以内にシクロスポリン、タクロリムス又はミコフェノレートモフェチルを受けた対象。
【0245】
10.ベースライン前の35日以内に糞便微生物移植法を受けた対象。
【0246】
事前の投薬及び処置
11.任意の生物学的薬剤を受けた対象:
・承認された生物製剤:ベースライン前の8週間以内のインフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ナタリズマブ、ベドリズマブ又はベースライン前の12週間以内のウステキヌマブ。注:上記の承認された生物製剤のいずれかに市販のアッセイにより測定された検出不能薬物レベルについての正確な考証がある場合、ベースラインの前に最小ウォッシュアウトはない。
・ベースライン前の35日以内又はベースライン前の5半減期のいずれか長い方の、任意の治験生物製剤若しくは他の薬剤又は手順。
【0247】
12.p19阻害剤(例えば、リサンキズマブ)への事前の曝露を有する対象。
【0248】
13.対象は、スクリーニング前の14日以内又はスクリーニング期間中に、吸入剤を除いて、以下の経口ブデソニド又は経口ベクロメタゾン及び/又は経口プレドニゾン(又は等価物)の2つ以上の組合せを同時に摂取している。
【0249】
14.スクリーニングの前の14日以内又はスクリーニング期間中にIV/筋肉内コルチコステロイドを受けた対象。
【0250】
15.スクリーニングに使用される内視鏡検査前の14日以内又はスクリーニング期間中に、内視鏡検査に必要なもの以外の治療用浣腸又は坐薬を受けた対象。
【0251】
16.スクリーニングの前の60日以下又はスクリーニング期間中にアフェレーシス(例えば、Adacolumnアフェレーシス)を受けた対象。
【0252】
17.ベースラインの14日以内に娯楽的若しくは医学的理由のいずれかで併用カンナビス使用を有する又は最近12か月間に臨床的に重要な薬物若しくはアルコールの乱用の病歴を有する対象。
【0253】
CD関連
18.CDの現在公知の合併症、例えば:
・膿瘍(腹部又は肛門周囲)、
・症候性腸狭窄、
・以下の5つの分節:回腸終末部、右結腸、横行結腸、S状及び左結腸並びに直腸のうちの3つ以上の欠損分節、
・劇症大腸炎、
・中毒性巨大結腸症、
・又は研究に登録している間に手術が必要になり得る任意の他の症状発現
を有する対象。
【0254】
19.瘻造設術又は回腸嚢を有する対象。
【0255】
20.短腸(short gut)症候群又は短腸(short bowel)症候群と診断された対象。
【0256】
21.ベースライン前の最近3か月以内に外科的な腸切除又は3回以上の腸切除の病歴を有する対象。
【0257】
安全性
22.リサンキズマブ又は任意の研究薬の賦形剤又はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)の成分に公知の過敏症を有する対象。
【0258】
23.以下の慢性又は活動性感染症を有する対象:
・研究者の臨床的査定に基づいた活動性、慢性又は反復性感染は、対象を研究の候補に不適切にする。
・スクリーニングの際にC.デフィシル毒素又は他の腸管病原体による感染、
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している、
・QuantiFERON(登録商標)TB検査若しくは精製タンパク質誘導体(PPD)皮膚検査又は両方が、現地の指針に従って、スクリーニングの際に実施される。QuantiFERON(登録商標)TB検査は、BCGワクチン接種を受けた又は他のマイコバクテリア種に曝露された対象に好ましい。陽性検査結果(又は繰り返された不確定な結果)を有する対象は、さらなる処理(現地の診療/指針に従って)が、対象には活動性結核の証拠がないという結論を確立する場合に、研究に参加することができる。抗TB療法の全過程を完了したことが立証されている活動性TBの病歴を有する対象は、AbbVie TA MDによる審議の後に研究に参加することが許可され得る。潜伏TBが確立される場合、現地国の指針に従ってTBの予防/処置を開始及び維持するべきである。
・下記のように定義される活動性B型肝炎又はC型肝炎を有する:
・HBV:B型肝炎表面抗原(Hbs Ag)陽性(+)、又はB型肝炎コア抗体(HBc Ab)陽性対象のHBVデオキシリボ核酸(DNA)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)定量検査により検出された感受性
・HCV:陽性抗HCV抗体(HCV Ab)を有する任意の対象に検出可能なHCVリボ核酸(RNA)
【0259】
24.胃腸管の異形成の以前の病歴を有する又はスクリーニング内視鏡検査の際に実施された任意の生検において、低悪性度異形成病変を完全に除去した場合を除いて、異形成を有することが見出された対象。
【0260】
25.リンパ腫を含むリンパ球増殖性疾患の公知の病歴を有する又はリンパ球増殖性疾患の可能性を示唆する兆候及び症状、例えば、リンパ節腫脹及び/又は脾腫を有する対象。
【0261】
26.成功裏に処置された非転移性皮膚扁平細胞若しくは基底細胞癌又は子宮頚部の限局性上皮内癌以外の悪性腫瘍の現在又は以前の病歴を有する対象。
【0262】
27.重度の進行性又は非制御性の腎臓、肝臓、血液、内分泌性の障害又はこれらの症状を有する対象。
【0263】
28.研究の最中又は研究薬の最後の用量の後のおよそ140日間に妊娠中である、母乳育児中である又は妊娠を考えている女性対象。
【0264】
29.研究者の見解において、対象の安全性又はデータの品質を損ない、対象を研究の候補として不適切にする、任意の身体的、心理的又は精神的な状態を含む任意の状態を有する対象。
【0265】
30.スクリーニング検査及び他の分析が、以下の異常な結果のいずれかを示す:
・基準範囲の上限の2×を超えるアスパルテートトランスアミナーゼ(AST)、アラニントランスアミナーゼ、
・3.0×109/L未満の白血球(WBC)数、
・ジルベール症候群に関連する間接ビリルビンの孤立した上昇を有する対象を除いて、2mg/dL以上の総ビリルビン、
・腎疾患食事療法(Modification of Diet in Renal Disease)(MDRD)簡素化4変数式による30ml/分/1.73m2未満の推定糸球体濾過率、
・8g/dL未満のヘモグロビン、
・100,000/μL未満の血小板、
・スクリーニング来診時の血清妊娠検査の陽性又はベースライン来診時の尿妊娠検査の陽性。
【0266】
検査値を、TAMDによる論議及び許可の後、スクリーニング期間中にもう一回再試験することができる。再試験した検査値が除外的なままである場合、対象はスクリーニングに不合格であると考えられる。以前の試料を分析できなかった場合、試料の再引き出しは、以前の結果を得ていなかったので再試験として数えなかった。
【0267】
31.公知の活動性COVID-19感染がない。対象は、COVID-19感染に伴う兆候/症状を有してはならない。
【0268】
COVID-19適格基準を満たさない対象は、スクリーニングに不合格でなければならず、以下のCOVID-19ウイルスクリアランス基準を満たした後にのみ再スクリーニングされ得る:
・症候性対象:解熱薬を使用しない解熱及び呼吸器症状(例えば、咳、息切れ)の改善と定義される回復から少なくとも10日間後に、24時間以上の間隔を空けた少なくとも2回の連続ウイルス検査陰性を現地で完了する。
・無症候性対象:以前の陽性結果からなくとも10日間後に、24時間以上の間隔を空けた少なくとも2回の連続ウイルス検査陰性を現地で完了する(注:症状を発生した対象は上記の症候性対象の指針に従う。)。
【0269】
COVID-19検査の頻度又は時点及び上記のウイルスクリアランス基準の検査間隔は、疫学的傾向、感染力に関する最新情報及び現地/機関の指針を根拠に調整することができる。
【0270】
治験生成物:
リサンキズマブ
【0271】
用量:
リサンキズマブ1200mg IV Q4W
リサンキズマブ600mg IV Q4W
リサンキズマブ180mgSC Q8W
リサンキズマブ360mg SC Q8W
【0272】
1200mg用量の投与が任意の理由で停止される場合、リサンキズマブ600mg又はプラセボ群の1:1比への対象の登録を続けることができる。無作為化の比及び最終試料サイズを、プロトコールの修正に合わせてさらに更新させることができる。誘導期間2を含む処置群へ既に無作為化された対象は、盲検600mgのリサンキズマブIVを受けた。
【0273】
投与様式:
リサンキズマブ液剤の注入(IV)
リサンキズマブ液剤の注射(SC)
【0274】
参照治療:リサンキズマブのプラセボ
【0275】
用量:プラセボ:N/A
【0276】
投与様式:
プラセボ液剤の注入(IV)
プラセボ液剤の注射(SC)
【0277】
処置の期間:12週又は24週間
【0278】
研究は、35日間のスクリーニング期間及び12週間の二重盲検誘導期間を含んだ。12週目に臨床的応答を達成しなかった全ての対象は、続く12週間にわたる誘導期間2にリサンキズマブを受けるのに適格であり得る。研究薬の最終用量から140日間のフォローアップ訪問があり、研究M16-000に登録しなかった又は研究を早期に中止した対象の任意の新たな又は進行中のAEについての情報を得た。
【0279】
評価基準:
エンドポイントの定義:
・臨床的寛解:平均1日SFが2.8以下かつベースラインより悪化せず、平均1日APスコアが1以下かつベースラインより悪化しない
・臨床的応答の増強:平均1日SFが60%以上減少及び/若しくは平均1日APスコアが35%以上減少かついずれもベースラインより悪化しない並びに/又は臨床的寛解
・臨床的応答:平均1日SFが30%以上減少及び/又は平均1日APスコアが30%以上減少かついずれもベースラインより悪化しない
・内視鏡的応答:中央審査者によりスコア付けされる、SES-CDがベースラインから50%超の減少(又は孤立した回腸疾患を有しベースラインSES-CDが4の対象については、ベースラインから少なくとも2点の低減)
・潰瘍なし内視鏡:中央審査者によりスコア付けされる、ベースラインにおいて1以上のSES-CD潰瘍表面サブスコアを有する対象において、SES-CD潰瘍表面サブスコアが0
・内視鏡的寛解:中央審査者によりスコア付けされる、SES-CDが4以下かつベースラインに対して少なくとも2点の低減及びいずれの個別の変数においても1を超えるサブスコアなし
・CDAIの臨床的応答:CDAIのベースラインから100点以上の低減
・CDAIの臨床的寛解:CDAIが150未満
・SFの寛解:平均1日SFが2.8以下かつベースラインより悪化しない
・APの寛解:平均1日APスコアが1以下かつベースラインより悪化しない
【0280】
有効性:米国特定のプロトコール及び米国以外の世界的プロトコールは、異なるコプライマリーエンドポイント及び多重性制御セカンダリーエンドポイントを使用している。
【0281】
【表9】
【0282】
薬物動態:
リサンキズマブの血清濃度は、4週、8週及び12週目/PD並びに誘導期間2に参加した対象では24週目の投与の直前に収集した試料から決定した。
【0283】
免疫原性:
血清ADAは、ベースライン、4週、8週及び12週目/PD並びに誘導期間2に参加した対象では24週目の投与の直前に収集した試料から決定した。
【0284】
安全性:
安全性分析は、少なくとも1用量の研究薬を受けた全ての対象を含む安全性セットに実施した。有害事象(AE)の発生率、バイタルサインの変化、理学的検査の結果及び臨床検査データを、研究を通して査定した。
【0285】
統計方法:
有効性:
コプライマリーエンドポイントは、12週目にCDAIの臨床的寛解を有する対象の割合及び12週目に内視鏡的応答を達成した対象の割合であった。合計でおよそ579人の対象を、2つのリサンキズマブ処置群及びプラセボ群に1:1:1の比(193人/群)で無作為化した。全ての患者が12週目/PD来診を完了した場合、データベースを12週間誘導期間の最終分析にロックした。誘導期間2に参加した全ての患者が24週目/PD来診を完了した場合、データベースを研究全体にロックし、誘導期間2で計画した分析の全てを実施した。
【0286】
12週目のCDAI臨床的寛解率をリサンキズマブ群の1つでは34%及びプラセボ群では15%と想定すると、各リサンキズマブ群の193人及びプラセボ群の193人の試料サイズは、0.025有意レベル(両側)でフィッシャーの正確確率検定を使用して、12週目のCDAI臨床的寛解率におけるリサンキズマブ用量群とプラセボとの処置差の検出におよそ97%の検出力を有する。
【0287】
プライマリー有効性変数における各リサンキズマブ用量とプラセボとの比較を、事前の失敗している生物製剤の数(1つ、2つ以上)及びベースラインステロイド使用(あり、なし)により調整したコクランマンテルヘンツェル(CMH)検定を使用して実施した。
【0288】
両方のプライマリー有効性エンドポイントを、多重性を調整するためプラセボに対するリサンキズマブ用量群のそれぞれにおいて0.025の統計的有意性で検査した。処置群間の差におけるCMHベース両側95%信頼区間を計算した。
【0289】
処置意図(ITT)セットは、少なくとも1用量の研究薬を摂取した全ての無作為化対象を含んだ。有効性分析の一次集団は、6以上(孤立した回腸疾患では4以上)のベースライン適格SES-CDを有した、処置意図分析セットにおける対象であった。任意の理由で12週目の前に中止した対象は、CDAIの臨床的寛解及び内視鏡的応答エンドポイントを「達成しなかった」とみなれた。
【0290】
一般に、連続セカンダリー有効性変数を、縦断的連続エンドポイントのために、処置群、来診、来診処置相互作用及び層別変数の因子を含む反復測定の混合効果(MMRM)モデルを使用して分析した。MMRM分析は、推測目的にとって主要であるとみなされた。
【0291】
薬物動態及び免疫原性:
リサンキズマブ血清濃度を、記述統計学の使用により各投与レジメンの各時点で要約した。本研究及び他の研究のデータと組み合わせた集団薬物動態分析を実施してもよい。リサンキズマブ曝露と、目的の有効性及び安全性変数との関係を探索することができる。
【0292】
ADA発生率をコホート及び研究来診により要約した。ADA力価を、対応する研究来診で各対象について表にまとめた。リサンキズマブの薬物動態、有効性及び/若しくは安全性変数へのADAの効果並びに/又は任意の追加の分析を探索した。
【0293】
安全性:
有害事象、検査データ及びバイタルサインは、この研究において主要な安全性パラメーターであった。全ての安全性比較は、安全性セットを使用して処置群間で実施した。処置下で発現したAEは、研究M16-000に参加しなかった対象では研究薬の最初の用量のとき若しくはその後のいずれか及び研究薬の最後の用量後の140日以内又は対象が研究M16-000に登録した場合には研究M16-000の研究薬の最初の用量までに開始又は悪化する事象と定義された。
【0294】
処置下で発現したAEの全体像、死をもたらすAE及び早期中止をもたらすAE(統計的分析計画[SAP]を参照すること)、医薬品規制用語集(MedDRA版)基本語及び器官別大分類によるAE、研究薬に最大に関係するAE及び最大重症度のAEを、数及び百分率で要約した。
【0295】
検査データの変化は、統計的特徴を使用して記載し、処置群間の比較は、一元配置分散分析(ANOVA)を使用して実施する。加えて、異常値にはシフト表及びリストを提供し、それによって正常範囲の分析検査値を使用した。バイタルサインも同様に分析した。
【0296】
実施例4:第3相誘導研究M16-006のプロトコール
M16-006は、中程度から重度の活動性クローン病を有する対象におけるリサンキズマブの有効性及び安全性についての、世界的(米国及び米国以外)多施設無作為化二重盲検プラセボ対照誘導研究であった。
【0297】
目的:研究M16-006(図7)の目的は、中程度から重度の活動性クローン病(CD)を有する対象において、誘導治療の際のプラセボに対するリサンキズマブの有効性及び安全性を評価することであった。
【0298】
研究者:多施設
【0299】
研究場所:世界中のおよそ400か所
【0300】
研究集団:ベースライン来診時に、年齢が18歳以上80歳以下若しくは地方条例に準じて成人の同意が必要な最低年齢又はベースライン来診時に、現地で許可され、かつタナー段階5の発達の定義を満たした年齢16歳~18歳未満の男性及び女性であり、下記のように定義された中程度から重度の活動性CDと診断されている:
【0301】
1.平均1日排便回数(SF)が4回以上(SFを計算する場合、液状若しくは非常に軟便の回数のみが記録されるべきである。)及び/又は平均1日腹痛(AP)スコアが2以上、さらに加えて、
【0302】
2.CDの単純内視鏡スコア(SES-CD)により測定した粘膜炎症の内視鏡的証拠。全ての適格スコアは狭窄構成要素の存在を除外し、中央の読取り機により確証される。内視鏡的活動性は、3以上のSES-CDと定義されている。
【0303】
中程度から重度の活動性クローン病(CD)はまた、以下を満たすことも定義され得る:1)CDAIが220~450並びに2)平均1日排便回数4回以上及び/又は平均1日腹痛(AP)スコアが2以上。
【0304】
回腸結腸若しくは直腸疾患では3以上6未満のSES-CDを有する、又は孤立した回腸疾患では3のSES-CEを有する登録対象の数は、85人以下であった。85人以下の定員に達すると、登録基準は、回腸結腸若しくは直腸疾患では6以上の適格なSES-CD、又は孤立した回腸疾患では4以上の適格なSES-CDであった。
【0305】
研究は、事前の生物学的療法に不十分な応答(IR)を有した(bio-IR)対象及び不十分な応答を有さなかった(非bio-IR)対象の両方を登録した。bio-IR登録は、およそ540人であり、非bio-IR登録は、およそ315人であった。bio-IR集団は、CDの1つ以上の承認された抗TNF又は抗インテグリン生物製剤(インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ベドリズマブ、ウステキヌマブ及び/又はナタリズマブ)に、考証された不寛容又は不十分な応答を有する対象と定義された。
【0306】
非bio-IR集団は、従来療法に対して不十分な応答又は不寛容を有した対象を含んだ。従来療法は、以下のうちの1つ以上と定義された:アミノサリチレート、経口局所作用ステロイド(例えば、ブデソニド、ベクロメタゾン)、全身性コルチコステロイド(プレドニゾン又は等価物)又は免疫調節剤。この集団はまた、過去に生物学的療法を受けたが、不十分な応答又は不寛容以外の理由(例えば、償還範囲の変更、適切に管理された疾患)に基づいて療法が中止された対象も含んだ。
【0307】
曝露された対象パーセントは、ウステキヌマブに不寛容又は不十分な応答の対象を含んで、20%以下であった。
登録した対象の数:有効性分析に使用する一次ITT集団に、およそ855人、加えて低いSES-CEを有する85人までが登録した。
【0308】
方法:
研究M16-006は、無作為化二重盲検プラセボ対照12週間誘導研究であった。対象(n=855)を、ベースライン、4週目及び8週目に静脈内(IV)で与えられた1200mgのリサンキズマブ若しくは600mgのリサンキズマブ又はプラセボに、2:2:1に無作為化した。無作為化は、事前の失敗している生物製剤(0、1つ、2つ以上)、ベースラインステロイド使用(あり、なし)及びベースラインSES-CD(本来、代替)の数を層別し、「本来」の層は、6以上(又は孤立した回腸疾患を有する対象では4以上)のベースラインSES-CDを有する患者を含み、「代替」の層は、回腸結腸若しくは直腸疾患では3以上6未満のベースラインSES-CDを有する又は孤立した回腸疾患では3のSES-CEを有する患者を含んだ。
【0309】
研究の際の来診は、ベースライン並びに4週目、8週目及び12週目/早期中止(PD)に行って、疾患活動性の臨床的査定及び検査査定を収集した。12週目に臨床的応答を達成しなかった対象には、24週目に臨床的応答の評価を伴う誘導期間2において盲検リサンキズマブ治療を提供した。
【0310】
全ての対象には、研究を通してCD関連症状を記録する対象者日記が提供された。対象には、スクリーニング時に患者情報カードも配布された。加えて、対象は、研究を通して症状、生活の質(QoL)及び労働生産性についての質問表を完成させた。尿検査、化学及び血液学、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)、リサンキズマブ血清濃度及び抗薬物抗体(ADA)血清レベルが挙げられるが、これらに限定されない臨床検査値を、研究を通して収集した。加えて、カルプロテクチン分析のために糞便試料を収集し、内視鏡検査用に腸の準備を開始する前に採取した。全ての内視鏡検査は、SES-CDを使用して評価し、中央の読取り機により確証した。診断を確証する(スクリーニングの際)又は異形成/悪性腫瘍を除外するための生検を、内視鏡検査と同じ時点で実施してもよい。任意選択の調査研究用試料を研究の際に採取してもよい。
【0311】
12週目/PDの来診時に、全ての対象は、粘膜炎症の評価のために内視鏡検査を受けた。少なくとも8週間にわたって研究に残っていた全ての対象は、12週目/PD内視鏡検査を有することが予測された。12週目に平均1日SFが30%以上の減少及び/又は平均1日APスコアが30%以上の減少(いずれもベースラインより悪化しない。)と定義される臨床的応答を達成した全ての対象は、研究M16-000に参加するのに適格であり得る。内視鏡検査が完了する(現地の読取り機による結果が研究M16-000の層別に使用される。)まで、対象は研究M16-000に参加するのに適格ではなかった。
【0312】
12週目に臨床的応答を達成しなかった全ての対象は、下記に特定されているように、誘導期間2に盲検リサンキズマブ処置を受けるのに適格であった。対象は、12週目の内視鏡検査が完了するまで、誘導期間2に参加するのに適格ではなかった。
【0313】
誘導期間2
12週目に、臨床的応答を達成しない対象を、Interactive Response Technologies(IRT)により、二重盲検二重ダミー12週間処置期間である誘導期間2に無作為化した。12週目に不十分な臨床的応答を有するIVリサンキズマブ誘導処置を受けた対象を、下記:
・群1:1200mgのIVリサンキズマブ
・群2:360mgのSCリサンキズマブ
・群3:180mgのSCリサンキズマブ
に1:1:1に無作為化した。
IVプラセボ誘導処置を受けた対象は、下記:
・群4:1200mgのIVリサンキズマブ
を受けた。
【0314】
IVリサンキズマブ用量又は釣り合う用量のIVプラセボを、12週、16週及び20週目に与えた。SCリサンキズマブ用量又は釣り合う用量のSCプラセボを、12週及び20週目に与えた。24週目に、誘導期間2で処置を受けた対象を再度査定し、粘膜炎症の評価のために3回目の内視鏡検査を受けさせた。24週目に臨床的応答を達成した対象は、研究M16-000に参加するのに適格であり得る。24週目に臨床的応答のない対象並びに研究を早期に終わらせた全ての対象(誘導期間2に適格であるが参加しなかった対象を含む。)は中止させ、研究薬の最終用量から140日間にわたってフォローアップ訪問させて、任意の新たな又は進行中のAEについての情報を得た。
【0315】
組入れ/除外のための診断及び主な基準
主な組入れ:
1.ベースライン来診時に、18歳以上80歳以下又は地方条例に準じて成人の同意が必要な最低年齢の男性及び女性。ベースライン来診時に(場所は未成年者が登録し得る場合に知らされた。)、現地で許可される場合、タナー段階5の発達の定義を満たした16歳~18歳未満の対象。
【0316】
2.ベースラインの少なくとも3か月前のCDの確証診断。研究者の査定においてCDの診断と一致する生検結果の適切な考証が入手可能でなければならない。
【0317】
3.ベースラインでクローン病活動性指数(CDAI)スコアが220~450。
【0318】
4.3以上のSES-CDで考証された粘膜炎症の内視鏡的証拠。全ての適格スコアは、狭窄構成要素の存在を除外し、中央の読取り機により確証された。(85人以下の定員に達すると、登録基準は、回腸結腸若しくは直腸疾患では6以上のSES-CD、又は孤立した回腸疾患では4以上のSES-CDであった。)
【0319】
5.ベースラインで平均1日SFが4以上及び/又は平均1日APスコアが2以上。
【0320】
6.以下の分類の薬物のうちの1つ以上で実証された不寛容又は不十分な応答:アミノサリチレート、経口局所作用ステロイド、全身性ステロイド(プレドニゾン又は等価物)、免疫調節剤及び/又は生物学的療法
・不寛容の実証は、最小の用量も使用期間も必要としなかった(不寛容は、公知のTPMT遺伝子突然変異又は低い活動性を有する患者を含んだ)。
・不十分な応答は、下記に概説しているように定義される:
・経口アミノサリチレート(例えば、メサラミン、スルファサラジン、オルサラジン、バルサラジド):
・2.4g/日のメサラミン、4g/日のスルファサラジン、1g/日のオルサラジン又は6.75g/日のバルサラジドによる少なくとも4週間の現在若しくは以前の過程の最中に、研究者の見解において持続的な活動性疾患の兆候及び症状。
・経口局所作用ステロイド(例えば、ブデソニド、ベクロメタゾン):
・9mg/日のブデソニド若しくは65mg/日のベクロメタゾンによる少なくとも4週間の過程の最中若しくは後に、研究者の見解において持続的な活動性疾患の兆候及び症状又は
・再発性の活動性疾患を有することなく、経口ブデソニドを6mg/日以下に漸減することができない。
・IV又は経口全身性ステロイド(プレドニゾン又は等価物):
・経口で3週間若しくは静脈内で1週間の40mg/日以上のプレドニゾンに等価の用量からなる少なくとも1つのレジメンの漸減の最中若しくは後に、研究者の見解において、持続的な活動性疾患の兆候及び症状又は
・再発性の活動性疾患を有することなく、経口全身性ステロイドを10mg/日のブデソニドに等価の用量以下に漸減することができない。
・免疫調節剤:
・以下の1つ以上による少なくとも90日間の現在又は以前の処置過程の最中に、研究者の見解において持続的な活動性疾患の兆候及び症状:
・AZA:最寄りの利用可能な錠剤又は半錠製剤に丸めた2.0mg/kg/日以上(日本、韓国、香港、台湾、シンガポール又は中国の対象では1mg/kg/日以上)(又は考証6-TGNレベルが230pmol/8×108RBC以上)
・6-MP:最寄りの利用可能な錠剤又は半錠製剤に丸めた1mg/kg/日以上(日本、韓国、香港、台湾、シンガポール又は中国の対象では0.6mg/kg/日以上)(又は6-TGNレベルが230pmol/8×108RBC以上)
・MTX:15mg/週以上の皮下(SC)又は筋肉内(IM)
・注:経口MTX使用は、研究の際に許可されたが、経口MTXの以前又は現在の使用は、研究への組入れにとって十分ではない。
・CDの生物学的療法:
・以下の1つ以上の履歴にも関わらず、持続的な(研究者の見解において)活動性の疾患の兆候及び症状:
・インフリキシマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン(0週、2週及び6週目に5mg/kg IV以上)、
・アダリムマブの少なくとも1つの4週間誘導レジメン(0週目に1つの160mg SC用量、続いて2週目に1つの80mg SC用量[又は0週目に1つの80mg SC用量、続いて2週目に1つの40mg SC用量(この投与レジメンが承認されている国において)])、
・セルトリズマブペゴルの少なくとも1つの4週間誘導レジメン(0週、2週及び4週目に400mg SC)、
・ベドリズマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン(0週、2週及び6週目に300mg IV)、
・ナタリズマブの少なくとも1つの12週間誘導レジメン(4週間毎に300mg IV)、
・ウステキヌマブの少なくとも1つの8週間誘導レジメン[260mg(55kg以下)又は390mg(55kg超85kg以下)又は520mg(85kg超)IV、続いて8週目に90mg SC](20%以下のウステキヌマブに曝露された対象の定員が到達すると、以前にウステキヌマブに曝露された対象は、登録することが許可されなかった。)。
・上記の生物製剤の事前の臨床的利益に従って予定された維持投与の際の症状の再発。
・注:上記に定義された不十分な応答以外の理由で生物製剤を中止した又は不寛容である(例えば、保険の変更)対象は、上記に定義されたアミノサリチレート、経口局所作用ステロイド、全身性ステロイド(プレドニゾン又は等価物)及び/又は免疫調節剤への不寛容又は不十分な応答の基準を満たさなければならない。
【0321】
7.女性である場合、対象は、閉経後若しくは外科的に永久に生殖不能のいずれかでなければならず、又は妊娠可能な女性では、ベースラインの前から研究薬の最終用量の少なくとも140日後まで避妊を実行している女性でなければならない。妊娠可能な女性は、スクリーニング時に血清妊娠検査が陰性及びベースラインで尿妊娠検査が陰性でなければならない。スクリーニング時に妊娠不能な女性(閉経後又は外科的に永久に生殖不能のいずれか)は、ベースラインで妊娠検査の必要はない。
【0322】
注:スクリーニング時に境界線上の血清妊娠検査を有する対象は、3日以上後の血清妊娠検査で陽性結果の欠如が続いていることを立証しなければならない。
【0323】
8.対象は、書面のインフォームドコンセントを提出する、及び本研究プロトコールの要件に従う能力及び意思がなければならない。日本では、対象が20歳未満である場合、対象の親又は後見人が書面のインフォームドコンセントを提出する意思がなければならない。
【0324】
主な除外:
1.潰瘍性大腸炎又は不確定大腸炎の診断を現在有する対象。
[併用投薬及び処置]
【0325】
2.ベースライン前の14日を超えて安定した用量を服用していない又は14日以内に中止している、CD関連抗生物質を服用している対象。
【0326】
3.ベースライン前の14日を超えて安定した用量を服用していない又は14日以内に中止している、経口アミノサリチレートを服用している対象。
【0327】
4.経口コルチコステロイドを摂取している対象:
・9mg/日を超えるブデソニド
・5mg/日を超えるベクロメタゾン
・20mg/日を超えるプレドニゾン若しくは等価物
・又はベースライン前の14日以上にわたって現在の過程を服用していない、かつベースライン前の7日以上にわたって安定した用量を服用していない対象
【0328】
5.免疫調節剤(AZA、6-MP、MTX)を服用し、
・ベースライン前の42日以上にわたって現在の過程を服用しておらず、
・ベースライン前の35日以上にわたって安定した用量を服用していない
対象。
【0329】
スクリーニング期間の投薬及び処置
6.ベースライン来診前の35日以内にIV抗感染薬又はベースライン来診前の14日以内に経口/筋肉内抗感染薬(非CD関連)を受けた対象。この用量は、TB予防には当てはまらない。
【0330】
7.ベースライン前の35日以内に完全経腸栄養法又は任意の非経口栄養法を受けた対象。
【0331】
8.スクリーニングの前の30日以内(日本では、8週間以内)又はスクリーニング期間中に任意の生細菌又はウイルスワクチン接種を受けた対象。
【0332】
9.ベースライン前の35日以内にシクロスポリン、タクロリムス又はミコフェノレートモフェチルを受けた対象。
【0333】
10.ベースライン前の35日以内に糞便微生物移植法を受けた対象。
【0334】
[事前の投薬及び処置]
11.以下のいずれかを受けた対象:
・承認された生物製剤:ベースライン前の8週間以内のインフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ベドリズマブ、ナタリズマブ又はベースライン前の12週間以内のウステキヌマブ。
【0335】
注:上記の承認された生物製剤のいずれかに市販のアッセイにより測定された検出不能薬物レベルについての正確な考証があった場合、ベースラインの前に最小ウォッシュアウトはなかった。
・ベースライン前の35日以内又はベースライン前の5半減期のいずれか長い方の、任意の治験生物製剤若しくは他の薬剤又は手順。
【0336】
12.p19阻害剤(例えば、リサンキズマブ)への事前の曝露を有する対象。
【0337】
13.対象は、スクリーニング前の14日以内又はスクリーニング期間中に、吸入剤を除いて、以下の経口ブデソニド又は経口ベクロメタゾン及び/又は経口プレドニゾン(又は等価物)の2つ以上の組合せを同時に摂取している。
【0338】
14.スクリーニングの前の14日以内又はスクリーニング期間中にIV/筋肉内コルチコステロイドを受けた対象。
【0339】
15.スクリーニングに使用される内視鏡検査前の14日以内又はスクリーニング期間中に、内視鏡検査に必要なもの以外の治療用浣腸又は坐薬を受けた対象。
【0340】
16.スクリーニングの前の60日以下又はスクリーニング期間中にアフェレーシス(例えば、Adacolumnアフェレーシス)を受けた対象。
【0341】
17.ベースライン前の14日以内に娯楽的若しくは医学的理由のいずれかで併用カンナビス使用を有する又は最近12か月間に臨床的に重要な薬物若しくはアルコールの乱用の病歴を有する対象。
【0342】
[CD関連]
18.CDの現在公知の合併症、例えば:
・膿瘍(腹部又は肛門周囲)、
・症候性腸狭窄、
・以下の5つの分節:回腸終末部、右結腸、横行結腸、S状及び左結腸、及び直腸のうちの3つ以上の欠損分節、
・劇症大腸炎、
・中毒性巨大結腸症、
・又は研究に登録している間に手術が必要になり得る任意の他の症状発現
を有する対象。
【0343】
19.瘻造設術又は回腸嚢を有する対象。
【0344】
20.短腸(short gut)症候群又は短腸(short bowel)症候群と診断された対象。
【0345】
21.ベースライン前の最近3か月以内に外科的な腸切除又は3回以上の腸切除の病歴を有する対象。
【0346】
[安全性]
22.リサンキズマブ又は任意の研究薬の賦形剤又はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)の成分に公知の過敏症を有する対象。
【0347】
23.以下の慢性又は活動性感染症を有する対象:
・研究者の臨床的査定に基づいた活動性、慢性又は反復性感染は、対象を研究の候補に不適切にする。
・スクリーニングの際にC.デフィシル毒素又は他の腸管病原体による感染、
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している、
・QuantiFERON(登録商標)TB検査若しくは精製タンパク質誘導体(PPD)皮膚検査又は両方が、現地の指針に従って、スクリーニングの際に実施された。QuantiFERON(登録商標)TB検査は、BCGワクチン接種を受けた又は他のマイコバクテリア種に曝露された対象に好ましい。陽性検査結果(又は繰り返された不確定な結果)を有する対象は、さらなる処理(現地の診療/指針に従って)が、対象には活動性結核の証拠がないという結論を確立した場合に、研究に参加することができる。抗TB療法の全過程を完了したことが立証された活動性TBの病歴を有する対象は、AbbVie TA MDによる審議の後に研究に参加することが許可され得る。潜伏TBが確立される場合、現地国の指針に従ってTBの予防/処置を開始及び維持するべきである。
・下記のように定義される活動性B型肝炎又はC型肝炎を有する:
・HBV:B型肝炎表面抗原(Hbs Ag)陽性(+)、又はB型肝炎コア抗体(HBc Ab)陽性対象のHBVデオキシリボ核酸(DNA)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)定量検査により検出された感受性
・HCV:陽性抗HCV抗体(HCV Ab)を有する任意の対象に検出可能なHCVリボ核酸(RNA)
【0348】
24.胃腸管の異形成の以前の病歴を有する又はスクリーニング内視鏡検査の際に実施された任意の生検において、低悪性度異形成病変を完全に除去した場合を除いて、異形成を有することが見出された対象。
【0349】
25.リンパ腫を含むリンパ球増殖性疾患の公知の病歴を有する又はリンパ球増殖性疾患の可能性を示唆する兆候及び症状、例えば、リンパ節腫脹及び/又は脾腫を有する対象。
【0350】
26.成功裏に処置された非転移性皮膚扁平細胞若しくは基底細胞癌又は子宮頚部の限局性上皮内癌以外の悪性腫瘍の現在又は以前の病歴を有する対象。
【0351】
27.重度の進行性又は非制御性の腎臓、肝臓、血液、内分泌性の障害又はこれらの症状を有する対象。
【0352】
28.研究の最中又は研究薬の最後の用量の後のおよそ140日間に妊娠中である、母乳育児中である又は妊娠を考えている女性対象。
【0353】
29.研究者の見解において、対象の安全性又はデータの品質を損ない、対象を研究の候補として不適切にする、任意の身体的、心理的又は精神的な状態を含む任意の状態を有する対象。
【0354】
30.スクリーニング検査及び他の分析が、以下の異常な結果のいずれかを示す:
・基準範囲の上限の2×を超えるアスパルテートトランスアミナーゼ(AST)、アラニントランスアミナーゼ、
・3.0×109/L未満の白血球(WBC)数、
・ジルベール症候群に関連する間接ビリルビンの孤立した上昇を有する対象を除いて、2mg/dL以上の総ビリルビン、
・腎疾患食事療法(MDRD)簡素化4変数式による30ml/分/1.73m2未満の推定糸球体濾過率、
・8g/dL未満のヘモグロビン、
・100,000/μL未満の血小板、
・スクリーニング来診時の血清妊娠検査の陽性又はベースライン来診時の尿妊娠検査の陽性。
【0355】
検査値を、TAMDによる論議及び許可の後、スクリーニング期間中にもう一回再試験することができた。再試験した検査値が除外的なままであった場合、対象はスクリーニングに不合格であると考えられた。以前の試料を分析できなかった場合、試料の再引き出しは、以前の結果を得ていなかったので再試験として数えなかった。
【0356】
31.公知の活動性COVID-19感染がない。対象は、COVID-19感染に伴う兆候/症状を有してはならない。
【0357】
COVID-19適格基準を満たさなかった対象は、スクリーニングに不合格であり、以下のCOVID-19ウイルスクリアランス基準を満たした後にのみ再スクリーニングが可能であった:
・症候性対象:解熱薬を使用しない解熱及び呼吸器症状(例えば、咳、息切れ)の改善と定義される回復から少なくとも10日間後に、24時間以上の間隔を空けた少なくとも2回の連続ウイルス検査陰性を現地で完了する。
・無症候性対象:以前の陽性結果からなくとも10日間後に、24時間以上の間隔を空けた少なくとも2回の連続ウイルス検査陰性を現地で完了する(注:症状を発生した対象は上記の症候性対象の指針に従った。)。
【0358】
COVID-19検査の頻度又は時点及び上記のウイルスクリアランス基準の検査間隔は、疫学的傾向、感染力に関する最新情報及び現地/機関の指針を根拠に調整することができる。
【0359】
治験生成物:
リサンキズマブ
【0360】
用量:
リサンキズマブ1200mg IV Q4W
リサンキズマブ600mg IV Q4W
リサンキズマブ180mg SC Q8W
リサンキズマブ360mg SC Q8W
【0361】
1200mg用量が任意の理由で中止された場合、対象は研究に登録され続け、600mgのリサンキズマブ又はプラセボのいずれかに2:1の比で無作為化され続けた。無作為化の比及び試料サイズを、プロトコールの修正に合わせてさらに更新させることができた。誘導期間2を含む処置群へ既に無作為化された対象は、盲検600mgのリサンキズマブIVを受けた。
【0362】
投与様式:
リサンキズマブ液剤の注入(IV)
リサンキズマブ液剤の注射(SC)
【0363】
参照治療:リサンキズマブのプラセボ
【0364】
投与様式:
プラセボ液剤の注入(IV)
プラセボ液剤の注射(SC)
【0365】
処置の期間:12週又は24週間
【0366】
研究は、35日間までのスクリーニング期間及び12週間の二重盲検誘導期間を含んだ。12週目に臨床的応答を達成しなかった全ての対象は、続く12週間にわたるリサンキズマブによる誘導期間2の処置を受けるのに適格であった。研究薬の最終用量から140日間のフォローアップ訪問があり、研究M16-000に登録しなかった又は研究を早期に中止した対象の任意の新たな又は進行中のAEについての情報を得た。
【0367】
評価基準:
エンドポイントの定義:
・臨床的寛解:平均1日SFが2.8以下かつベースラインより悪化せず、平均1日APスコアが1以下かつベースラインより悪化しない
・臨床的応答の増強:平均1日SFが60%以上減少及び/若しくは平均1日APスコアが35%以上減少かついずれもベースラインより悪化しない並びに/又は臨床的寛解
・臨床的応答:平均1日SFが30%以上減少及び/又は平均1日APスコアが30%以上減少かついずれもベースラインより悪化しない
・内視鏡的応答:中央審査者によりスコア付けされる、SES-CDがベースラインから50%超の減少(又は孤立した回腸疾患を有しベースラインSES-CDが4の対象については、ベースラインから少なくとも2点の低減)
・潰瘍なし内視鏡:中央審査者によりスコア付けされる、ベースラインにおいて1以上のSES-CD潰瘍表面サブスコアを有する対象において、SES-CD潰瘍表面サブスコアが0
・内視鏡的寛解:中央審査者によりスコア付けされる、SES-CDが4以下かつベースラインに対して少なくとも2点の低減及びいずれの個別の変数においても1を超えるサブスコアなし
・CDAIの臨床的応答:CDAIのベースラインからの100点以上の低減
・CDAIの臨床的寛解:CDAIが150未満
・SFの寛解:平均1日SFが2.8以下かつベースラインより悪化しない
・APの寛解:平均1日APスコアが1以下かつベースラインより悪化しない
【0368】
有効性:米国特定のプロトコール及び米国以外の世界的プロトコールは、異なるコプライマリーエンドポイント及び多重性制御セカンダリーエンドポイントを使用している。
【0369】
【表10】
【0370】
薬物動態:
リサンキズマブの血清濃度は、4週、8週及び12週目/PD並びに誘導期間2の処置を受けた対象では24週目の投与の直前に収集した試料から決定した。加えて、集中的な薬物動態査定を、第3の誘導用量(8~12週目)の後に20人の対象に実施した。集中的な薬物動態査定に同意した対象では、上記の時点に加えて、血液試料を8週目に、注入の完了直後及び注入の完了の2時間後並びに9週、10週及び11週目に収集した。
【0371】
免疫原性:
血清ADAは、ベースライン、4週、8週及び12週目/PD並びに誘導期間2の処置を受けた対象では24週目の投与の直前に収集した試料から決定した。
【0372】
安全性:
安全性分析は、少なくとも1用量の研究薬を受けた全ての対象を含む安全性セットに実施した。有害事象(AE)の発生率、バイタルサインの変化、理学的検査の結果及び臨床検査データを、研究を通して査定した。
【0373】
統計方法:
有効性:
コプライマリーエンドポイントは、12週目にCDAIの臨床的寛解を有する対象の割合及び12週目に内視鏡的応答を有する対象の割合であった。合計でおよそ855人の対象を、2つのリサンキズマブ処置群及びプラセボ群に2:2:1の比で無作為化した(リサンキズマブ600mg用量群には342人、リサンキズマブ1200mg用量群には342人、プラセボ群には171人)。全ての患者が12週目/PD来診を完了した場合、データベースを12週間誘導期間の最終分析にロックした。誘導期間2に参加した全ての患者が24週目/PD来診を完了した場合、データベースを研究全体にロックし、誘導期間2で計画した分析の全てを実施した。
【0374】
12週目のCDAI臨床的寛解率をリサンキズマブ用量群の1つでは37%及びプラセボ群では17%と想定すると、各リサンキズマブ用量群の342人及びプラセボ群の171人の試料サイズは、0.025のアルファ(両側)でフィッシャーの正確確率検定を使用して、12週目のCDAI臨床的寛解率におけるリサンキズマブ用量群とプラセボとの処置差の検出に99%の検出力を有する。
【0375】
bio-IR集団は、およそ540人であった。研究は、bio-IR集団において0.025の有意レベル(両側)でフィッシャーの正確確率検定を使用して、12週目のCDAI臨床的寛解におけるリサンキズマブ用量群の1つとプラセボとの処置差の検出に92%の検出力を有し、12週目のCDAI臨床的寛解率は、リサンキズマブ用量群では34%であり、プラセボ群では15%であると想定した。非bio-IR集団は、およそ315人であった。研究は、非bio-IRサブ集団において0.025の有意レベル(両側)でフィッシャーの正確確率検定を使用して、12週目のCDAI臨床的寛解におけるリサンキズマブ用量群の1つとプラセボとの処置差の検出に70%の検出力を有し、12週目のCDAI臨床的寛解率は、リサンキズマブ用量群では42%であり、プラセボ群では21%であると想定した。
【0376】
プライマリー有効性変数における各リサンキズマブ用量とプラセボとの比較を、事前の生物製剤の使用(0、1つ、2つ以上)及びベースラインステロイド使用(あり、なし)により調整したコクランマンテルヘンツェル(CMH)検定を使用して実施した。両方のコプライマリー有効性エンドポイントを、多重性を調整するためプラセボに対するリサンキズマブ用量群のそれぞれにおいて0.025の統計的有意性で検査した。処置群間の差におけるCMHベース両側95%信頼区間を計算した。
【0377】
処置意図(ITT)セットは、少なくとも1用量の研究薬を摂取した全ての無作為化対象を含んだ。有効性分析の一次集団は、6以上(孤立した回腸疾患では4以上)のベースライン適格SES-CDを有した、処置意図分析セットにおける対象の集団であった。任意の理由で12週目の前に中止した対象は、CDAIの臨床的寛解及び内視鏡的応答エンドポイントを「達成しなかった」とみなされた。
【0378】
一般に、連続セカンダリー有効性変数を、縦断的連続エンドポイントのために、処置群、来診、来診処置相互作用及び層別変数の因子を含む反復測定の混合効果(MMRM)モデルを使用して分析した。MMRM分析は、推測目的にとって主要であるとみなされる。
【0379】
薬物動態及び免疫原性:
リサンキズマブ血清濃度を、記述統計学の使用により各投与レジメンの各時点で要約した。本研究及び他の研究のデータと組み合わせた集団薬物動態分析を実施した。リサンキズマブ曝露と、目的の有効性及び安全性変数との関係を探索した。
【0380】
ADA発生率をコホート及び研究来診により要約した。ADA力価を、対応する研究来診で各対象について表にまとめた。リサンキズマブの薬物動態、有効性及び/若しくは安全性変数へのADAの効果並びに/又は任意の追加の分析を探索した。
【0381】
安全性:
有害事象、検査データ及びバイタルサインは、この研究において主要な安全性パラメーターであった。全ての安全性比較は、安全性セットを使用して処置群間で実施した。処置下で発現したAEは、研究M16-000に参加しなかった対象では研究薬の最初の用量のとき若しくはその後のいずれか及び研究薬の最後の用量後の140日以内又は対象が研究M16-000に登録した場合には研究M16-000の研究薬の最初の用量までに開始又は悪化した事象と定義された。
【0382】
処置下で発現したAEの全体像、死をもたらすAE及び早期中止をもたらすAE、医薬品規制用語集(MedDRA版)基本語及び器官別大分類によるAE、研究薬に最大に関係するAE及び最大重症度のAEを、数及び百分率で要約した。
【0383】
検査データの変化は、統計的特徴を使用して記載し、処置群間の比較は、一元配置分散分析(ANOVA)を使用して実施した。加えて、異常値にはシフト表及びリストを提供し、それによって正常範囲の分析検査値を使用した。バイタルサインも同様に分析した。
【0384】
実施例5:第3相維持研究M16-000のプロトコール
M16-000は、M16-006若しくはM15-991の誘導処置に応答した又はM15-989を完了した、クローン病(CD)を有する対象におけるリサンキズマブの有効性及び安全性についての多施設無作為化二重盲検プラセボ対照52週間維持及び非盲検延長研究であった。
【0385】
目的:
下位研究1:研究M16-000下位研究1(SS1)は、研究M16-006又は研究M15-991の12週間のIVリサンキズマブ誘導処置に応答し、かつ6以上(孤立した回腸疾患では4以上)のベースライン(誘導)適格SES-CDを有した中程度から重度の活動性クローン病を有する対象における、リサンキズマブ処置からの離脱に対する維持治療としてのリサンキズマブ(RISA)の有効性及び安全性を評価する再無作為化応答者離脱設計(離脱[プラセボ/PBO])である、第3相多施設二重盲検研究であった(図8)。研究は、米国と米国外で異なるコプライマリー及びセカンダリーエンドポイントを有した。
【0386】
研究M16-000の下位研究1の結果:
米国特定のプロトコールでは、研究はコプライマリーエンドポイントを満たし、離脱(PBO)と比較してRISAの360mg及びRISAの180mgの皮下(SC)用量の両方の優位性を実証した。
【0387】
52週目のクローン病活動性指数(CDAI)による臨床的寛解は、離脱(PBO)群(40.9%)と比較して、RISAの360mg及びRISAの180mgのSC用量群(それぞれ、51.4%及び54.8%)で統計的に有意に高く、p値は、360mgのSC用量群及び180mgのSC用量群で、それぞれ0.009及び0.005であった。
【0388】
52週目の内視鏡的応答率は、離脱(PBO)群(22%)と比較して、RISAの360mg及びRISAの180mgのSC用量群(それぞれ、45.9%及び46.5%)で統計的に有意に高く、p値は、両方の用量群で0.001未満であった。
【0389】
米国以外(米国外)の世界的プロトコールでは、下位研究は、コプライマリーエンドポイントを満たし、離脱(PBO)群と比較してRISAの360mg群の優位性を実証した。高い数値の応答率が、RISAの180mg群で観察された。
【0390】
52週目の臨床的寛解(SF/APSによる:CDAIの構成要素である排便回数及び腹痛スコアの患者報告結果)率は、離脱(PBO)群(39.6%)と比較してRISAの360mgのSC用量群(51.1%)で統計的に有意に高く、p値は0.006であり、離脱(PBO)群(39.6%)と比較してRISAの180mgのSC用量群(45.9%)で数値が高く、p値は0.157であった。
【0391】
52週目の内視鏡的応答率は、離脱(PBO)群(22%)と比較してRISAの360mgのSC用量群(45.9%)で統計的に有意に高く、p値は0.001未満であり、離脱(PBO)群(22%)と比較してRISAの180mgのSC用量群(46.5%)で高く、p値は0.001未満であった。
【0392】
下位研究2:無作為化探索的維持
研究M16-006又は研究M15-991の誘導処置に応答した中程度から重度の活動性CDを有する対象において、維持治療としてのリサンキズマブの2つの異なる投与レジメンの有効性及び安全性を評価するため(用量漸増の臨床的査定に対する治療薬モニタリング)(図8)。
【0393】
下位研究3:非盲検長期延長
下位研究1、下位研究2、第2相非盲検延長研究、研究15-989を完了した対象又はCovid-19パンデミックのために最終内視鏡検査のなかった研究M16-006若しくは研究M15-991の誘導処置に応答した対象において、リサンキズマブの長期安全性を評価するため(図9)。追加の目的は、リサンキズマブの長期有効性及び忍容性をさらに調査することであった。
【0394】
研究者:多施設
【0395】
研究場所:世界中のおよそ400か所。
【0396】
研究集団:
研究は、研究M16-006又は研究M15-991を完了し、かつ平均1日排便回数(SF)が30%以上の減少及び/又は平均1日腹痛(AP)スコアが30%以上の減少かつ誘導研究のベースラインより悪化しないと定義される臨床応答を達成した対象を登録した。SFを計算する場合、液状又は非常に軟便の数だけ記録した。下位研究3はまた、研究M15-989を完了した対象及びCovid-19パンデミックのために最終内視鏡検査のなかった研究M16-006又は研究M15-991の誘導処置に応答した対象を含むこともできた。
【0397】
研究16-006及び研究M15-991の主な参加基準:
・ベースライン来診時に、年齢が18歳以上80歳以下又は地方条例に準じて成人の同意が必要な最低年齢の男性及び女性。現地で許可される場合、タナー段階5の発達の定義を満たした16歳以上18歳未満。
・平均1日SFが4以上及び/又は平均1日APスコアが2以上と定義される、中程度から重度の活動性CD。
・狭窄構成要素の存在を除外した、中央読取り内視鏡検査により確証して3以上(CDの単純内視鏡スコア[SES-CD])の粘膜炎症の内視鏡的証拠。Covid-19のパンデミックの最中、最終内視的誘導後処置は、内視鏡検査を禁止した地方条例のために実行することができず、対象は、臨床的応答を満たす場合には下位研究3に登録することが許可され得る。
【0398】
研究15-989の主な参加基準:
先行試験1311.6(研究M15-993)を成功裏に完了したクローン病を有する患者。処置の成功は、以下のように定義された:
・来診E1で臨床的応答(CDAIのベースラインから100以上の低減)を有するが、寛解(CDAIが150未満)のない、研究1311.6(M15-993)の期間2の完了又は
・来診E5で臨床的応答(CDAIのベースラインから100以上の低減)若しくは寛解(CDAIが150未満)を有する、研究1311.6(M15-993)の期間3の完了。
【0399】
登録する対象の数:
およそ1250人(最終対象者数は誘導研究の臨床的応答率により決定される。)。
【0400】
下位研究1が最初に登録した。IVリサンキズマブに臨床的応答を達成し、かつ6以上(又は孤立した回腸疾患では4以上)の誘導のベースライン適格SES-CDを達成したおよそ450人の対象が無作為化されるまで、誘導後に研究薬に臨床的応答を達成した対象を登録し続けた。スポンサーは、現在の計画された試料サイズを超えて15%まで多くの対象を登録して、COVID-19パンデミックの影響で来診を逃す可能性に適応することができた。
【0401】
下位研究2は、研究薬に臨床的応答を達成した残りの対象を登録した。下位研究1、2又は研究M15-989を完了した対象は、下位研究3に適格であった。加えて、研究M16-006又は研究M15-991の最終内視鏡検査を、Covid-19のパンデミックで内視鏡検査を禁止する地方条例が原因で逃した対象は、臨床的応答を満たす場合、下位研究3に直接登録することが許可された。
【0402】
方法:
これは、3つの下位研究からなる第3相多施設研究であった。下位研究1は、52週間無作為化二重盲検プラセボ対照維持研究であった。下位研究2は、52週間無作為化探索的維持研究であった。下位研究3は、下位研究1、2、研究M15-989を完了した対象又はCovid-19パンデミックのために最終内視鏡検査のなかった研究M16-006若しくは研究M15-991の誘導処置に応答した対象のための、非盲検(OL)長期延長であった。
【0403】
下位研究1又は下位研究2に登録した対象では、ベースラインは、誘導研究M16-006又は研究M15-991のベースライン来診と定義され、0週目は、下位研究1又は下位研究2の最初の研究来診と定義された。研究M16-006又は研究M15-991の最終来診(12週目又は24週目)は、研究M16-006下位研究1及び2の0週目の来診とみなされた。下位研究1及び2の持続期間は、68週間までであり、52週間の維持期間及び研究薬の最終用量から140日のフォローアップ期間(下位研究3を続ける対象を除く)を含んだ。
【0404】
研究M15-989から下位研究3に直接登録した対象では、ベースラインは、研究M15-993(先行第2相研究)のベースライン来診と定義された。これらの対象は、最初の来診として56週目に下位研究3を始めた。
【0405】
下位研究3は、220週間まで又は研究が中止されるまでのいずれか早い方まで続いた。COVID-19が原因で逃した来診、一部だけの来診又は仮想来診についての詳細を収集した。
【0406】
下位研究1(無作為化二重盲検プラセボ対照維持)の結果
研究M16-000下位研究1(SS1)は、再無作為化応答者離脱設計の第3相多施設二重盲検研究であった。目的は、研究M16-006又は研究M15-991の12週間のIVリサンキズマブ誘導処置に応答した中程度から重度の活動性CDを有する対象における、RISAからの離脱に対するRISAの維持治療としての有効性及び安全性を評価することであった。下位研究1は、図8(上側)に示されているように、無作為化部分及び非無作為化部分の2つの部分を有した。
【0407】
集団動態、ベースライン特徴及び対象の素性:
合計で712人の対象が下位研究1に登録し、そのうち542人が無作為化部分であり、170人が非無作為化部分であった。542人の無作為化対象のうち、489人が6以上(孤立した回腸疾患では4以上)のベースライン適格SES-CDを有し、53人の対象が低いベースライン適格SES-CDを有し、一次分析に含まれなかった。全ての無作為化対象は、少なくとも1用量の研究薬を受けた。
【0408】
6以上(孤立した回腸疾患では4以上)のベースライン適格SES-CDを有する489人のうち、
・462人は、12週間のIVリサンキズマブ誘導を受け、有効性分析の主要な処置意図集団(ITT1A)を表し(141人がRISA 360mg SC群、157人がRISA 180mg SC群及び164人がPBO群である。)、
・23人は、24週間のIVリサンキズマブ誘導を受け、
・4人は、著しい服薬非遵守のため現場で有効性から除外された。
【0409】
主な集団動態及びベースライン特徴は、3つの処置群間で概ね釣り合いが取れていた。中止率は、処置群で類似していた。M16-006の全ての下位研究についての完全な研究概要を図8及び9に表す。
【0410】
無作為化部分:
研究M16-006又は研究M15-991の終了時にIVリサンキズマブへの臨床的応答を達成し、かつ6以上(又は孤立した回腸疾患では4以上)の誘導のベースライン適格SES-CDを達成したおよそ450人の対象を、以下の3つの52週間の処置群のうちの1つに1:1:1に再無作為化した(スポンサーは、現在の計画された試料サイズを超えて15%まで多くの対象を登録して、COVID-19パンデミックの影響で来診を逃す可能性に適応することができた):
群1:リサンキズマブの180mg 皮下(SC)Q8w(n=150)、
群2:リサンキズマブ360mg SC Q8w(n=150)、
群3:離脱(PBO)(n=150)。
【0411】
誘導後に試験薬に臨床的応答を達成し、かつ6未満(又は孤立した回腸疾患では4未満)のベースライン適格SES-CDを有した対象を、同じように再無作為化したが、探索目的で別個に分析した。
【0412】
誘導研究の12週目又は誘導研究の誘導期間2の24週目のIVリサンキズマブ後に臨床的応答を達成した対象のみを、研究M16-000の下位研究1の群1、2又は3に無作為化した。誘導研究の誘導期間2の24週目のSCリサンキズマブ後に臨床的応答を達成した対象は、下位研究1に登録するのに適格であったが、Interactive Response Technologies(IRT)に割り当て、誘導研究Q8wの誘導期間2で受けた用量と同じ用量で盲検リサンキズマブ180mg又は360mgのSCを受けさせ、一次分析から除外した。
【0413】
一次有効性集団は、6以上(孤立した回腸疾患では4以上)のベースライン適格SES-CDを有し、かつM16-006又はM15-991のいずれかで誘導治療として12週間のIVリサンキズマブを受けた無作為化対象からなった。低いベースラインSES-CDを有する対象及び誘導の際に24週間のIVリサンキズマブを受けた対象を無作為化したが、FDAの勧告により有効性分析の一次集団から除外した。無作為化層別因子は、誘導研究の最後の来診時の内視鏡的応答(現地の読取りにより、あり又はなし)及び臨床的寛解状態(あり又はなし)並びにリサンキズマブ誘導期間の最終IV用量(1200mg又は600mg)であった。
【0414】
研究M16-006又は研究M15-991のプラセボに臨床的応答を有する対象を、IRTに割り当て、盲検プラセボを受け続けさせ、一次有効性分析から除外した。
【0415】
対象を、研究M16-006又は研究M15-991の最後の来診時の内視鏡的応答(地方の読取りにより)及び臨床的寛解状態に基づき、並びにリサンキズマブ誘導用量により、層別した。Covid-19パンデミックの最中、最終内視検査は、内視鏡検査を禁止した地方条例のために研究M16-006又は研究M15-991において失われており、対象は、臨床的応答を満たす場合には下位研究3に登録することができた。
【0416】
下位研究1で不十分な応答(IR)を実証した対象は、症状活動性の増加及び炎症の客観的マーカーの確証に基づいて、16週目の来診から始まったOLリサンキズマブ救済療法を受けることができた。
【0417】
非無作為化部分:
誘導研究の24週目(誘導期間2)のRISAの180mgのSC又はRISAの360mgのSCのいずれかの後に臨床的応答を達成した対象は、誘導期間2の用量を続けた。誘導研究の12週目にIVプラセボに臨床的応答を達成した対象は、プラセボを受け続けた。
【0418】
無作為化部分及び非無作為化部分の両方の全ての対象を、安全性分析に含めた。
【0419】
下位研究2(無作為化探索的維持)
下位研究2の登録は、下位研究1の登録が完了した後に開始した。研究M16-006又は研究M15-991の終了時に臨床的応答を達成した対象は、誘導又は誘導期間2の処置に関わらず、2つの処理レジメン:用量漸増(リサンキズマブの標的レベルまで処置する。)の臨床的査定(CA)及び用量漸増の治療薬モニタリング(TDM)の比較のための探索的52週間維持研究に1:1に無作為化した。
【0420】
対象が16週目までにリサンキズマブの定常状態に近づくことを確実にするため及び誘導の二重盲検を維持するため、0週目の来診時の処置を盲検にした:
・リサンキズマブに臨床的応答を有する対象は、リサンキズマブの180mgのSC及びプラセボを静脈内(IV)に受けた。
・プラセボに臨床的応答を有する対象は、プラセボのSC及びリサンキズマブの1200mgのIVを受けた。
【0421】
全ての対象は8週目から開始してOLリサンキズマブの180mgのSCを受けた。リサンキズマブ救済療法を16週目の来診の任意の時点又はその後に投与することができ、「リサンキズマブ救済療法」プロトコールに記載されたIR基準によって許可された。対象を、予定された来診毎にリサンキズマブ救済療法について評価した。
【0422】
CA及びTDM群の対象は、表9の基準に基づいてリサンキズマブ救済療法を受けた。
【0423】
リサンキズマブ血清分析の結果は、およそ2週間で現場に提供された。全てのリサンキズマブ試料を、16週、24週、32週、40週及び48週目に収集された同じ日に輸送して、投与調整に必要な血清濃度レベルを決定するために適切な処理時間を確実にした。
【0424】
下位研究1及び2
対象は、研究M16-006又はM15-991で配布されたものと同じ対象日記を使用した。対象には、研究M16-006で患者情報カードも配布された。来診は、0週、8週、16週、24週、32週、40週、48週及び52週目/早期中止(PD)に行って、疾患活動性の臨床的査定及び検査査定を収集した。加えて、対象は、研究を通して症状、生活の質(QoL)及び労働生産性についての質問表を完成させた。尿検査、化学及び血液学、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)、リサンキズマブ血清濃度及び抗薬物抗体(ADA)血清レベルが挙げられるが、これらに限定されない臨床検査値を、示された来診時に収集した。加えて、カルプロテクチン分析のために糞便試料(FCP)を収集し、内視鏡検査用に腸の準備を開始する前に採取した。内視鏡検査を52週目/PD来診時に行い、SES-CDを使用して評価し、中央読取り機により確証した。異形成/悪性腫瘍を除外するための生検を内視鏡検査と同じ時に実施した。調査研究用試料を下位研究1で採取した。研究を早期に中止した対象又は下位研究1若しくは2を完了し、下位研究3を続けなかった対象は、研究薬の最後の用量投与から140日間の追加の安全性フォローアップを有した。
【0425】
下位研究3:OL延長
下位研究1、2又は研究M15-989を完了した対象は、OL延長研究である下位研究3に参加することができた。内視鏡検査を含む全ての研究活動を、下位研究3に参加した対象に対し完了している必要があった。対象は、下位研究1、2又は研究M15-989中の割当に基づいてOLリサンキズマブを受けた:
・リサンキズマブ救済療法を受けないで下位研究1又は2を完了した対象では、リサンキズマブの180mgのSC Q8wであった。
【0426】
・下位研究1又は2を完了し、リサンキズマブ救済療法を受けた対象では、リサンキズマブの360mgのSC Q8wであった。
【0427】
・研究M15-989を完了した対象は、リサンキズマブの180mgのSC Q8w処置を受け続け、下記に記載されている救済療法を受けるのに適格であった。
【0428】
・内視鏡検査を実施しないで研究M16-006又は研究M15-991を完了し、Covic-19パンデミックのために下位研究3に直接登録した対象は、リサンキズマブ非盲検180mgのSC Q8wを受けた。
【0429】
下位研究3を続けた全ての対象は、56週目の現場での来診で配布されたOLリサンキズマブシリンジを有した。56週目の来診では、下位研究1、下位研究2を完了した対象又は研究M16-006若しくは研究M15-991に直接登録した対象を、薬物のSC投与の1時間後にモニタリングした。このことは、誘導及び下位研究1でプラセボを受け、初めてリサンキズマブのSCを受けた対象を、任意の注射関連事象についてモニタリングした。研究M15-989を完了した対象を、臨床的に安定していると判断されるまで、その場でモニタリングした。追加の来診を、56週目から開始して24週間毎(現地で許可される場合)に行い、全ての来診の間に、十分なリサンキズマブシリンジを家庭用注射(現地要件により可能である場合)のために分配した。内視鏡検査を152週目から開始して96週間毎に行った。下位研究1、下位研究2又は誘導研究M16-006及びM15-991と同じ対象日記を使用することができた。研究M15-989から登録した対象に対象日記を配布した。
【0430】
下位研究3:OL延長(続き)
下位研究3でIRを実証した対象は、「リサンキズマブ救済療法」のセクションに記載されたOLリサンキズマブ救済療法を受けることができた。CD関連抗生物質、アミノサリチレート、コルチコステロイド又は免疫調節剤の用量は、研究者の判断により変えることができ、適切なeCRFにより考証される必要があった。
【0431】
非盲検リサンキズマブ救済療法:
[不十分な応答(IR)の定義]
下位研究2及び下位研究3のCA群である下位研究1の対象は、下記:
1.臨床症状:平均1日SFが3.3以上及び/又は平均1日APスコアが1.5以上であり、
【0432】
2.現場の研究者によりスコア付けされた炎症の客観的マーカーにより確証され、
1.hs-CRPが5mg/L以上及び/若しくはFCPが250μg/g以上又はhs-CRP及び/若しくはFCPが上昇しない場合、
2.狭窄構成要素を除いて、6以上(孤立した回腸疾患では4以上)のSES-CD
に基づいてリサンキズマブ救済療法を受けた。
【0433】
注:任意の予定された内視鏡検査の研究来診時(下位研究1又は2では52週目、下位研究3では152週目)に、IRを上記の臨床症状及びSES-CD基準により定義することができた。対象がIRのSES-CD基準を満たさなかった場合、hs-CRP及び糞便カルプロテクチンを使用することができた。研究者は、自己判断で内視鏡検査を実施することもでき、IRを上記のSES-CD基準により定義することができた。下位研究2のTDM群の対象は、臨床症状及び炎症の客観的マーカーについて上記に列挙された基準並びに表9に示されているリサンキズマブ血清レベルに基づいて、リサンキズマブ救済療法を受けた。
【0434】
下位研究2の対象を各研究来診時にIRについて評価した。同じ来診のリサンキズマブ血清レベルに、用量漸増アルゴリズムを使用した16週目の研究来診を除いて、TDM群の対象では、事前の研究来診のリサンキズマブ血清レベルを評価に使用した。
【0435】
注:16週目のリサンキズマブ血清レベルが入手されると、対象が診療所に戻って救済療法を受ける必要があるかを現場に知らせた。
【0436】
【表11】
【0437】
[リサンキズマブ救済療法の用量及び来診の時点]
対象が上記に定義されたIRを有する場合、リサンキズマブ救済療法を受けることができ、これは試験が終了するまで1用量の1200mgのIV、続いて360mgのSCであった。救済来診は、対象に1200mgのIVが投与された日と定義された。対象をQ8w間隔の元のSC投与レジメンに保つために、全ての試みがなされた。これを下位研究1及び2の予定された研究来診に合わせた。下位研究3では、第3用量毎(Q8w)が現場来診(24週間毎)に相当した。対象がリサンキズマブ救済療法に移った場合の研究投薬予定は、いつ救済来診が行われるかに依存していた。
【0438】
・救済来診が、予定された研究来診前の7日以内又は予定された来診と同じ日に行われる場合、両方の来診(救済及び予定された)を組み合わせ、対象は、現場で単に1200mgのリサンキズマブのIVを受けた。
【0439】
・救済来診が、7日の範囲内で、計画された予定来診の後に行われ、対象が未だSC用量を受けていない場合、ここでも両方の来診(救済及び予定された)を組み合わせ、対象は、現場で単に1200mgのリサンキズマブのIVを受けた。
【0440】
・救済来診が、予定された研究来診の後に行われ、対象が予定来診時に既にSC用量を受けていた場合、対象は、救済来診で1200mgのリサンキズマブのIVを受けた。
【0441】
[リサンキズマブ救済療法の用量及び来診の時点(続き)]
IV用量後、対象は、研究の終了時まで360mgのリサンキズマブのSCを次の予定用量(おそらく、8週間未満)で受けた。
【0442】
下位研究1及び2の際に、リサンキズマブ救済療法の評価を16週目の来診から始めることができた。対象は、下位研究1又は2において2つまでの救済来診を有することができたが、各救済来診では上記のIRの定義を満たさなければならず、救済来診は16週間以上の間隔を空けなければならない。
【0443】
下位研究3において、対象は、1年に2つまでの救済来診を受診することができたが、救済来診は16週間以上の間隔を空けなければならない。対象は下位研究3において合計で3つまでの救済来診を受診することができた。
【0444】
組入れ/除外のための診断及び主な基準
主な組入れ:
1.研究M16-006、研究M15-991又は研究M15-989の参加及び完了。完了は、研究M16-006、研究M15-991又は研究M15-989の最終内視鏡検査を含んだ。研究M16-006又は研究M15-991の最終内視鏡検査は、内視鏡検査を禁止した地方条例のためにCovid-19パンデミックの際に逃した可能性があり、対象は、臨床的応答を満たす場合には下位研究3に登録することができた。
【0445】
2.研究M16-006又は研究M15-991の最終来診時に、平均1日SFが30%以上の減少及び/又は平均1日APスコアが30%以上の減少、かついずれも誘導研究のベースラインより悪化しないと定義される臨床的応答の達成。これは、研究M15-989から登録した対象には当てはまらなかった。
【0446】
3.女性である場合、対象は、閉経後若しくは外科的に永久に生殖不能のいずれかでなければならず、又は妊娠可能な女性では、研究薬の最終用量の少なくとも140日後まで避妊を実行し続けなければならない。
【0447】
4.対象は、書面のインフォームドコンセントを提出する、及びSC注射の自己投与又は介護者投与を含む本研究プロトコールの要件に従う能力及び意思がなければならない。日本では、対象が20歳未満である場合、対象の親又は後見人が書面のインフォームドコンセントを提出する意思がなければならない。
【0448】
主な除外:
1.対象は、任意の理由で研究者により研究不適切な候補であるとみなされた。研究M15-991、研究M16-006において又は研究M16-000に参加する前に最終内視鏡検査が実施された場合には研究M15-989において確認された、高度結腸異形成又は結腸がんを有する対象は、研究M16-000に参加するべきではない。
【0449】
2.リサンキズマブ若しくはいずれかの研究薬の賦形剤若しくはCHOの成分に公知の過敏症を有する又は研究M16-006、M15-991若しくはM15-989において研究者の見解により対象をこの研究に不適切にするAEを有した対象。
【0450】
3.研究16-006、M15-991又はM15-989の最終来診時に尿妊娠検査の陽性確証。
【0451】
4.対象は、研究16-006、M15-991又はM15-989を通して事前及び併用投薬要件を遵守しなかった。
【0452】
5.対象をこの研究に不適切にする研究者の査定に基づいた任意の活動性又は慢性の再発性感染症を有する対象。
【0453】
6.リンパ腫を含むリンパ球増殖性疾患の公知の病歴を有する又はリンパ球増殖性疾患の可能性を示唆する兆候及び症状、例えば、リンパ節腫脹及び/又は脾腫を有する。
【0454】
治験生成物:リサンキズマブ
【0455】
用量:
リサンキズマブ1200mg IV*
リサンキズマブ360mg SC Q8w
リサンキズマブ180mg SC Q8w
*1200mgのIV用量の投与が任意の理由で停止された場合は、600mgのIVに交換した。
【0456】
投与様式:
リサンキズマブ液剤の注入(IV)
リサンキズマブ液剤の注射(SC)
【0457】
参照治療:リサンキズマブのプラセボ
【0458】
用量:プラセボ:N/A
【0459】
投与様式:
プラセボ液剤の注入(IV)
プラセボ液剤の注射(SC)
【0460】
処置の期間:下位研究1及び2は、52週間の持続期間を有し、下位研究3は、220週間まで又は研究が中止されるまでのいずれか早い方まで続いた。
【0461】
研究を早期に中止した対象は、研究薬の最後の投与から、電話による140日のフォローアップを安全性の目的で有する。
【0462】
エンドポイントの定義:以下の定義を下記に記載されている有効性変数に適用した。
・臨床的寛解(SF/APS):平均1日排便回数(SF)が2.8以下かつ誘導研究のベースラインより悪化せず、平均1日APスコアが1以下かつ誘導研究のベースラインより悪化しない
・臨床的応答の増強:平均1日SFが60%以上減少及び/若しくは平均1日APスコアが35%以上減少かついずれも誘導研究のベースラインより悪化しない並びに/又は臨床的寛解
・臨床的応答:平均1日SFが30%以上減少及び/又は平均1日APスコアが30%以上減少かついずれも誘導研究のベースラインより悪化しない
・内視鏡的応答:中央審査者によりスコア付けされる、SES-CDが誘導研究のベースラインから50%超の減少(又は孤立した回腸疾患を有し誘導研究のベースラインSES-CDが4の対象については、誘導研究のベースラインから少なくとも2点の低減)
・臨床的寛解の維持(CDAI又はSF/APS):0週目に臨床的寛解を達成した対象における52週目の臨床的寛解
・90日間のステロイドフリー臨床的寛解(CDAI又はSF/APS):誘導研究のベースラインにおいてステロイドを摂取した対象における、90日間のコルチコステロイド使用中止及び52週目の臨床的寛解
・潰瘍なし内視鏡:中央審査者によりスコア付けされる、誘導研究のベースラインにおいて1以上のSES-CD潰瘍表面サブスコアを有する対象において、SES-CD潰瘍表面サブスコアが0
・内視鏡的寛解:中央審査者によりスコア付けされる、SES-CDが4以下かつベースラインに対して少なくとも2点の低減及びいずれの個別の変数においても1を超えるサブスコアなし
・深い寛解(CDAI又はSF/APS):臨床的寛解(CDAI又はSF/APS)及び内視鏡的寛解
・CDAIの臨床的応答:CDAIの誘導研究のベースラインからの100点以上の低減
・SFの寛解:平均1日SFが2.8以下かつベースラインより悪化しない
・APの寛解:平均1日APスコアが1以下かつベースラインより悪化しない
・臨床的寛解(CDAI):CDAIが150未満
【0463】
評価基準:
下位研究1(リサンキズマブ対プラセボ)
米国特定のプロトコール:
コプライマリーエンドポイント:52週目に臨床的寛解(CDAIによる)の達成及び52週目に内視鏡的応答の達成。
【0464】
セカンダリーエンドポイント:
1.52週目に臨床的寛解(SF/APSによる)の達成
2.0週目にCDAIの臨床的寛解を有する対象のうちで、52週目に臨床的寛解(CDAIによる)の達成
3.52週目に潰瘍なし内視鏡の達成
4.52週目に内視鏡的寛解の達成
5.52週目の慢性疾患治療の機能的査定-疲労(FACIT-疲労)における誘導研究のベースラインからの変化
6.誘導研究のベースラインでステロイドを摂取した対象における、90日間のコルチコステロイド使用中止及び52週目の臨床的寛解(CDAIによる)の達成
7.52週目にCDAIの臨床的応答の達成
8.52週目にSFの寛解の達成
9.52週目にAPの寛解の達成
10.52週目に臨床的寛解(CDAIによる)及び内視鏡的応答の達成
11.52週目に深い寛解(CDAIによる)の達成
12.0週目から52週目にわたるCD関連入院の曝露調整済み発生
【0465】
米国以外の世界的プロトコール:
コプライマリーエンドポイント:52週目に臨床的寛解(SF/APSによる)の達成及び52週目に内視鏡的応答の達成
【0466】
セカンダリーエンドポイント:
1.52週目に臨床的寛解(CDAIによる)の達成
2.0週目に臨床的寛解を有する対象のうちで、52週目に臨床的寛解(SF/APSによる)の達成
3.52週目に潰瘍なし内視鏡の達成
4.52週目に内視鏡的寛解の達成
5.52週目の炎症性腸疾患質問表(IBDQ)総スコアにおける誘導研究のベースラインからの変化
6.52週目のFACIT-疲労における誘導研究のベースラインからの変化
7.誘導研究のベースラインでステロイドを摂取した対象における、90日間のコルチコステロイド使用中止及び52週目の臨床的寛解(SF/APSによる)の達成
8.52週目にCDAIの臨床的応答の達成
9.52週目に臨床的寛解(SF/ASPによる)及び内視鏡的応答の達成
10.52週目に臨床的応答の増強の達成
11.52週目に深い寛解(SF/APSによる)の達成
12.0週目から52週目にわたるCD関連入院の曝露調整済み発生
13.52週目のショートフォーム-36(SF-36)身体的側面サマリースコアにおける誘導研究のベースラインからの変化
12.0週目から52週目にわたるCD関連入院の曝露調整済み発生
【0467】
2つの用量群のコプライマリーエンドポイント及び多重性制御セカンダリーエンドポイントの全体的な第一種過誤の確率は、グラフ化手法を使用して0.05のαレベル(両側)で強力に制御した。統計的検定を、RISAの360mg群対プラセボ群で2つのコプライマリーエンドポイントについて実施し、続いてセカンダリーエンドポイントの検定に進む前に、RISAの180mg群対プラセボ群で2つのコプライマリーエンドポイントについて実施した。
【0468】
薬物動態:
リサンキズマブ血清濃度は、下位研究1及び2における0週目、16週目、32週目、48週目、52週目及び/又はPD並びに下位研究3における24週毎/PDの投与の直前に収集した試料により決定した。試料はまた、リサンキズマブ救済療法を開始する時及び予定外の来診の時にも収集した。加えて、下位研究2の対象では、試料を8週目、24週目及び40週目にも収集した。
【0469】
免疫原性:
血清ADAは、下位研究1及び2における0週目、16週目、32週目、48週目、52週目及び/又はPD並びに下位研究3における56週目及び24週毎/PDの投与の直前に収集した試料により決定した。試料はまた、リサンキズマブ救済療法を開始する時及び予定外の来診の時にも収集した。加えて、下位研究2の対象では、試料を8週目、24週目及び40週目にも収集した。
【0470】
安全性:
安全性分析は、少なくとも1用量の研究薬を受けた全ての対象を含む安全性セットに実施した。有害事象(AE)の発生率、バイタルサインの変化、理学的検査の結果及び臨床検査データを、研究を通して査定した。
【0471】
安全性データを、M16-000下位研究1において少なくとも1用量の研究薬を受けた全ての対象について準備した。180mg及び360mgの両方のSC用量によるRISAの52週間維持処置は、概ね安全であり、良好に忍容された。新たな安全性リスクは確認されず、全体的な安全性プロファイルは、RISAの公知の安全性プロファイルと一致した。180mgのSC及び360mgのSCによるRISAの52週間維持処置は、概ね安全であり、良好に忍容された。全体的な安全性プロファイルは、RISAの公知の安全性プロファイルと一致した。新たな安全性リスクは確認されなかった。
【0472】
統計方法:
有効性:
コプライマリーエンドポイントは、52週目に臨床的寛解を有する対象の割合及び52週目に内視鏡的応答を達成した対象の割合であった。合計でおよそ450人の対象を、2つのリサンキズマブ処置群及びプラセボ群に1:1:1の比(リサンキズマブ180mgのSC Q8w用量群に150人、リサンキズマブ360mgのSC Q8w用量群に150人、プラセボ群に150人)で無作為化することが予測された。スポンサーは、現在の計画された試料サイズを超えて15%まで多くの対象を登録して、COVID-19パンデミックの影響で来診を逃す可能性に適応することができた。
【0473】
試料サイズの計算は、コプライマリーエンドポイントのそれぞれの処置差を検出するために必要とされる大きな試料サイズに基づいた。病歴データが、52週目の臨床的寛解率より僅かに低い事象率及び内視鏡的応答率ではプラセボに類似した処置差を示したので、52週目の臨床的寛解率を検出力の計算に使用した。52週目の臨床的寛解率をリサンキズマブ用量群の1つでは38.7%及びプラセボ群では20%と想定すると、各リサンキズマブ用量群の150人の対象及びプラセボ群の150人の対象の試料サイズは、0.05のアルファレベル(両側)でフィッシャーの正確確率検定を使用して、52週目の臨床的寛解率におけるリサンキズマブ用量群の1つとプラセボとの処置差の検出におよそ93%の検出力を有する。
【0474】
プライマリー有効性変数における各リサンキズマブ用量群とプラセボとの比較を、研究M16-000の0週目臨床的寛解状態及び研究M16-000の0週目内視鏡的応答(研究M16-006又は研究M15-991の12週又は24週目)状態(中央読取りによる)並びにリサンキズマブ誘導用量により調整したコクランマンテルヘンツェル(CMH)検定を使用して実施した。多重検定の手順を使用して、コプライマリーエンドポイント及びランク付けしたセカンダリーエンドポイントに関して各リサンキズマブ用量群とプラセボとを比較する分析において、アルファ=0.05(両側)で第一種過誤の確率の強力な制御を提供した。処置群間の差におけるCMHベース両側95%信頼区間を計算した。
【0475】
処置意図(ITT)分析セットは、無作為化され、少なくとも1用量の研究薬を受けた全ての対象を含んだ。
・下位研究1:下位研究1の処置意図分析セット(ITT1と示される)は、下位研究1で少なくとも1用量の研究薬を受けた無作為化対象であった。加えて、処置意図分析セットのITT1Aは、6以上(孤立した回腸疾患では4以上)のベースライン適格SES-CDを有した対象をITT1セットに含んだ。ITT1Aは、下位研究1の有効性分析の一次分析セットであった。
・下位研究2:下位研究2の処置意図分析セット(ITT2と示される)は、研究の下位研究2で少なくとも1用量の研究薬を受けた無作為化対象であった。
・下位研究3:下位研究3の処置意図分析セット(ITT3と示される)は、研究の下位研究3で少なくとも1用量の研究薬を受けた全ての対象を含んだ。
【0476】
52週目の平均1日SF又はAPスコアが欠測している場合には、非応答者補完(NRI)手法を適用した。任意の理由で52週目の前に中止した又はOLリサンキズマブに切り替えた対象は、臨床的寛解エンドポイント及び内視鏡的応答エンドポイントを「達成しなかった」とみなされた。
【0477】
一般に、連続セカンダリー有効性変数を、縦断的連続エンドポイントのために、処置群、来診、来診処置相互作用及び層別変数の因子を含む反復測定の混合効果(MMRM)モデルを使用して分析した。MMRM分析は、推測目的にとって主要であるとみなされた。
【0478】
米国特定のプロトコールでは、下位研究1は、離脱(PBO)群と比較してRISAの360mg及び180mgの両方のSC用量群においてコプライマリーエンドポイントを満たした(臨床的寛解(CDAI)では360mg及び180mgのそれぞれのp値は0.009及び0.005であり、内視鏡的応答では全てのp値は0.001未満であった)。多重性制御セカンダリーエンドポイントの結果を表10(A1)及び表10(A2)に表した。
【0479】
米国以外の世界的プロトコールでは、下位研究1は、離脱(PBO)群と比較してRISAの360mg群においてコプライマリーエンドポイントを満たした(臨床的寛解(SF/APS)ではp値は0.006であり、内視鏡的応答ではp値は0.001未満であった)。しかし、研究は、離脱(PBO)群と比較して180mgのSC用量群においてコプライマリーエンドポイントを満たさなかった(臨床的寛解(SF/APS)ではp値は0.157であり、内視鏡的応答ではp値は0.001未満であった)。多重性制御セカンダリーエンドポイントの結果を表10(B1)及び表10(B2)に表した。経時的な臨床的寛解率を図10及び図11に示す。有効性の結果も、Bio-IR及び非Bio-IR下位群によるコプライマリーエンドポイントについて表11(A)及び(B)に示す。
【0480】
【表12】
【0481】
【表13】
【0482】
【表14】
【0483】
薬物動態及び免疫原性:
リサンキズマブ血清濃度を、記述統計学の使用により各投与レジメンの各時点で要約した。
【0484】
ADA発生率をコホート及び研究来診により要約した。ADA力価を、対応する研究来診で各対象について表にまとめた。
【0485】
有害事象
有害事象(AE)及び重篤な有害事象(SAE)、検査データ及びバイタルサインは、この研究において主要な安全性パラメーターであった。全ての安全性比較は、安全性セットを使用して処置群間で実施した。処置下で発現したAEは、研究を早期に中止した対象又は下位研究1若しくは2を完了したが下位研究3に参加しなかった対象では、研究薬の最初の用量のとき又はその後のいずれか及び研究薬の最後の用量後の140日以内に開始又は悪化する事象と定義された。
【0486】
特に興味深いAE、例えば、重篤な感染、悪性腫瘍、主要有害心臓血管事象、全身性過敏症反応/注入反応、死をもたらすAE及び早期中止をもたらす有害事象(SAPにおいて詳細を参照すること)、医薬品規制用語集(MedDRA版)基本語及び器官別大分類によるAE、研究薬に最大に関係するAE並びに最大重症度のAEを含む、処置下で発現したAEの全体像を、数及び百分率により要約した。
【0487】
検査データの変化は、統計的特徴を使用して記載し、処置群間の比較は、一元配置分散分析(ANOVA)を使用して実施した。加えて、異常値にはシフト表及びリストを提供し、それによって正常範囲の分析検査値を使用した。バイタルサインも同様に分析した。
【0488】
下位研究1において、処置下で発現したAE及びSAEの全体的な発生率は、52週間維持期間のRISA及び離脱(PBO)処置群で類似していた。同様に、安全性関心領域(ASI)におけるAEの発生率は、処置群にわたって概ね類似していた。
・重篤な感染事象の発生率は、離脱(PBO)群の3.8%と比較して、RISAの180mgのSC群及び360mgのSC群では、2.8%及び4.5%であった。
・肝事象の率は、プラセボ群の2.2%と比較して、RISAの180mgのSC群及び360mgのSC群では2.8%及び3.9%であり、重篤ではなく、大部分が肝酵素の増加であり、大多数が研究薬の処置で変化しなかった。
・注入反応を含む注射部位反応の率は、処置群にわたって概ね同等であり、全ての事象は軽度又は中程度であった。
・裁決されたアナフィラキシー反応及び活動性TBの事象は、いずれの処置群においても報告されなかった。活動性TBの1つの事象が下位研究2で報告された。
・悪性腫瘍の2つの事象が無作為化処置群において報告され、1つは離脱(PBO)群であり、もう1つはRISAの360mgのSC群であった。
・裁決されたMACEの2つの事象が無作為化処置群において報告され、1つは離脱(PBO)群であり、もう1つはRISAの360mgのSC群であった。裁決されたMACEの1つの事象が非無作為化RISAの180mgのSC群で報告された。
【0489】
いずれの処置群においても最も一般的なTEAEは、クローン病、鼻咽頭炎、関節痛、頭痛、腹痛、貧血、悪心及び下痢であり、死亡は報告されなかった。
【0490】
研究の影響
この下位研究1の中心部分は、再無作為化応答者離脱設計であった。有効性の目的は、RISAのIVに応答し、維持でRISAのSCを受け続けた対象の有効性を、離脱期間を経た対象と比較することであった。高い率の臨床的寛解が、RISAのSC処置を受け続けた対象に観察された。明らかな処置効果が、客観的なエンドポイント(例えば、内視鏡エンドポイント)について、RISAからの離脱に対してRISA処置の継続で観察された。RISAの有効性の永続性は、52週間の研究の過程にわたって高い割合(63~70%)の対象が臨床的寛解を維持したことによって実証された。最後に、RISA処置を続けた高い割合の対象は、内視鏡的寛解、潰瘍なし内視鏡及び厳格なエンドポイントである深い寛解(即ち、同じ対象における臨床的寛解及び内視鏡的寛解)を達成することができ、これらは全て重要な処置目標であり、より良好な長期転帰に関連している。1年間の維持処置としてのRISAは、概ね安全であり、良好に忍容された。12週間のRISAのIV誘導に臨床的応答を達成し、かつ52週間のRISAのSC維持処置を受けた対象において、RISAの180mgSC及び360mgの両方は、PBOと比較して、有意に高い率の臨床的寛解(CDAI及びSF/APSによる)及び内視鏡的応答を達成した。有効性の永続性は、52週間の研究の過程にわたって高い割合の対象が臨床的寛解を維持したことによって実証された。加えて、高い割合の対象は、コルチコステロイドを漸減することができ、臨床的寛解を達成することができた。最後に、高い割合の対象は、内視鏡的寛解、潰瘍なし内視鏡及び厳格なエンドポイントである深い寛解(同じ対象における臨床的及び内視鏡的寛解)を達成することができた。1年間の維持処置としてのRISAは、概ね安全であり、良好に忍容された。
【0491】
まとめると、RISAの誘導及び維持研究の結果は、最新のSTRIDE-II(Selecting Therapeutic Targets in IBD)IOIBD指針に合致しており、これは、症候性応答の短期処置目標、症候性寛解及びhs-CRP及び糞便マーカーの正規化の中間処置目標並びに臨床的寛解及び内視鏡的治癒の長期処置目標を推奨している(Turner Dら、Gastro 2021)。
【0492】
実施例6:研究M16-006の12週間誘導期間の結果
研究M16-006は、中程度から重度の活動性クローン病(CD)を有する対象において、誘導治療としてのリサンキズマブ(RISA)の有効性及び安全性を評価する第3相研究であった。2つの期間からなり、12週間無作為化二重盲検プラセボ対照誘導期間(12週間誘導期間)及び12週目に臨床的応答を達成しなかった対象のための探索的誘導期間2であった。12週間誘導期間の結果を以下のように示す。
【0493】
集団動態、ベースライン特徴及び対象の素性
合計で931人の対象を研究に無作為化し、855人の対象が、6以上(孤立した回腸疾患では4以上)のベースライン適格SES-CDを有し、追加の76人が低いベースライン適格SES-CDを有した。全ての無作為化対象は、12週間誘導期間に少なくとも1用量の研究薬を受けた。この期間における有効性分析の処置意図集団(ITT1A)は、合計で850人の対象から構成された(336人の対象がRISAの600mgのIV群であり、339人の対象がRISAの1200mgのIV群であり、175人の対象がPBO群であった。)。488人の対象がBio-IR集団であり、362人の対象が非Bio-IR集団であった。主な集団動態及びベースライン特徴は、3つの処置群間で概ね釣り合いが取れていた。中止率は、3つの処置群で類似していた。5人の対象(2人がRISAの1200mgのIV群であり、2人がRISAの600mgのIV群であり、1人がPBO群であった)を、著しい服薬非遵守のため現場で有効性から除外した。これらの対象を安全性分析に含めた。
【0494】
有効性:
研究はコプライマリーエンドポイント及び大多数の多重性制御セカンダリーエンドポイントを満たし、米国特定のプロトコール及び米国以外の世界的プロトコールの両方において、プラセボ(PBO)と比較してRISAの600mg及びRISAの1200mgの静脈内(IV)用量の優位性を実証した。
【0495】
米国特定のプロトコールのコプライマリーエンドポイント:
米国特定のプロトコールでは、研究は、PBO群と比較してRISAの600mg及び120mgの両方のIV用量群においてコプライマリーエンドポイントを満たした(臨床的寛解(CDAI)では全てのp値は0.001未満であり、内視鏡的応答では全てのp値は0.001未満であった)。統計的検定手順により統計的有意性を満たした又は満たさなかった多重性制御セカンダリーエンドポイントを、表12(A1)及び表12(A2)に表した。
【0496】
12週目のクローン病活動性指数(CDAI)により評価された臨床的寛解率は、PBO(24.6%)と比較して、RISAの600mg及びRISAの1200mgのIV誘導用量(それぞれ、45.1%及び41.9%)で有意に高く、p値は、両方の用量群で0.001未満であった(図12を参照すること)。
【0497】
12週目の内視鏡的応答率は、PBO(12.0%)と比較して、RISAの600mg及びRISAの1200mgのIV誘導用量(それぞれ、40.3%及び32.2%)で有意に高く、p値は、両方の用量群で0.001未満であった。
【0498】
米国以外の世界的プロトコールのコプライマリーエンドポイント:
米国以外の世界的プロトコールでは、研究は、PBO群と比較してRISAの600mg及び1200mgの両方のIV用量群においてコプライマリーエンドポイントを満たした(臨床的寛解(SF/APS)では全てのp値は0.001未満であり、内視鏡的応答では全てのp値は0.001未満であった)。統計的検定手順により統計的有意性を満たした又は満たさなかった多重性制御セカンダリーエンドポイントを、表12(B1)及び表12(B2)に表した。
【0499】
12週目の臨床的寛解(SF/APS)率は、PBO(21.1%)と比較して、RISAの600mg及びRISAの1200mgのIV誘導用量(それぞれ、43.5%及び41.3%)で有意に高く、p値は、両方の用量群で0.001未満であった(図13を参照すること)。SF/APS:患者報告結果(即ち、PRO2)としての、CDAIの構成要素である排便回数及び腹痛。
【0500】
12週目の内視鏡的応答率は、PBO(12.0%)と比較して、RISAの600mg及びRISAの1200mgのIV誘導用量(それぞれ、40.3%及び32.2%)で有意に高く、p値は、両方の用量群で0.001未満であった。
【0501】
臨床的応答及び寛解は、早くも4週目に見られた。経時的な臨床的寛解率を図12及び図13に示す。Bio-IR及び非Bio-IR集団の有効性結果を表13及び14に含めた。
【0502】
【表15】
【0503】
【表16】
【0504】
安全性:
安全性データを、少なくとも1用量の研究薬を受けた全ての対象について表した。600mg及び1200mgの両方のIV用量によるRISAの12週間誘導処置は、概ね安全であり、良好に忍容された。新たな安全性リスクは確認されず、全体的な安全性プロファイルは、RISAの公知の安全性プロファイルと一致した。
【0505】
処置下で発現した有害事象(AE)の全体的な発生率は、12週間誘導期間のPBO群では数値が高かった。重篤なAE、重度のAE及び中止をもたらすAEの率は、PBO群で数値が高く、12週間誘導期間中の基礎疾患に関連した。安全性関心領域(ASI)におけるAEの発生率は、処置群にわたって類似していたが、重篤な感染は例外であり、RISAの600mgの0.5%及びRISAの1200mgの1.0%と比較して、PBO群(2.4%)で数値が高かった。結核(TB)、裁決されたアナフィラキシー反応、裁決されたMACE又は悪性腫瘍の事象は、報告されなかった。1件の死亡が、低いベースラインSES-CDを有した、RISAの1200群の悪性腫瘍を有する対象において報告された。
【0506】
研究の潜在的な影響
12週間誘導処置におけるRISAの600mgのIV及び1200mgのIVは、両方とも、PBOと比較して有意に高い臨床的寛解率及び内視鏡的応答率を達成した。4週目の早さで症状緩和の迅速な応答及び寛解が、両方の用量により観察された。12週間のRISA誘導処置は、概ね安全であり、良好に忍容された。
【0507】
前述の詳細な記載及び付随している実施例は単に説明のためであり、本発明の範囲の制限と解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲及び同等物によってのみ定義されることが理解される。
【0508】
開示されている実施形態への様々な変更及び修正は、当業者に明白である。化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成物、製剤又は本発明の使用方法に関連するものを限定されることなく含むそのような変更及び修正は、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく行うことができる。
【0509】
実施例8:リサンキズマブによる処置の際の中程度から重度の活動性クローン病を有する患者におけるステロイドフリー寛解の達成
背景:
ステロイドフリー臨床的寛解は、CDの重要な処置目標である。ベースラインステロイド使用による誘導におけるRZBの有効性及び維持の際のステロイドフリー成績を検査した。
【0510】
方法:
ADVANCE(NCT03105128)及びMOTIVATE(NCT03104413)において、中程度から重度の活動性CDを有する患者は、静脈内(IV)RZB誘導治療又はプラセボ(PBO)を12週間受けた。RZBに臨床的応答を有する患者を、52週間の維持研究(FORTIFY;NCT03105102)において皮下(SC)RZB又はPBO(離脱)に再無作為化した。誘導研究のベースラインでステロイドを受けた患者は、12週間研究期間中に安定した用量を維持しなければならなかった。強制ステロイド漸減を、誘導ベースラインでステロイドを受けた患者において維持の0週目に開始した。漸減の開始後に臨床的応答を失っている(研究者の査定による)患者は、誘導ベースラインで使用した用量までステロイド用量を増加することができた。この分析は、ADVANCE又はMOTIVATEでRZBの600mgのIVを受けた患者及びFORTIFYでRZBの360mgのSCを受けた患者を含んだ。報告されたエンドポイントは、ベースラインステロイド使用による誘導の12週目の臨床的寛解(CD活動性指数[CDAI]又は排便回数/腹痛スコア[SF/APS]基準)、維持の52週目のステロイドフリー臨床的寛解(CDAI又はSF/APS)、ステロイドフリー内視鏡的応答及びステロイドフリー内視鏡的寛解を含んだ。維持の52週間に及ぶステロイド中止率も査定した。
【0511】
結果:
誘導の12週目には、ADVANCE又はMOTIVATEでRZBの600mgのIVを受けた患者の数値的に大きな割合が、ベースラインステロイド使用にも関わらず、PBOに対して臨床的寛解を達成した(図16)。12週目の臨床的寛解率(CDAI又はSF/APS)は、ステロイドを使用した患者では、ステロイドを使用しなかった患者と比べて類似していた(33.8%~42.0%対34.9%~46.6%)。誘導研究にステロイドを使用する患者では、ステロイド使用率は、FORTIFYで経時的に減少し、離脱/PBOと比べて、RZBの360mgのSCを受けた患者の大きな割合が52週目にステロイドを中止した。(図17A)。ステロイドフリー臨床的寛解(0.012以下のP)、ステロイドフリー内視鏡的応答(0.01未満のP)及びステロイドフリー内視鏡的寛解(0.01未満のP)の率は、52週目のPBO離脱に対してRZBの360mgのSCで有意に高かった(図17B及び17C)。
【0512】
結論:
研究ベースラインでのステロイド使用は、RZBのIV治療による誘導では臨床的寛解率に影響を与えなかった。RZBのSC維持治療は、ステロイドフリーの臨床及び内視鏡成績をもたらし、CDにおけるRZB処置の利益を実証した。
【0513】
当然のことながら、図17Bのデータ分析に使用された「52週目のステロイドフリー臨床的寛解」基準は、表10の「ステロイドフリー臨床的寛解」基準(セカンダリーエンドポイント#6)と異なる。特に図17Bのエンドポイント基準は、研究開始時(ベースライン)にステロイドを必要としたかに関わらず、全ての研究参加者を含んだが、表10のエンドポイントは、研究開始時(ベースライン)にステロイド処置を必要とした対象のみを含んだ。また、図17Bのエンドポイント基準は、最低90日間のステロイドなしを必要とせず、対象が臨床的寛解を達成し、かつ52週目にステロイドを受けていなかったことのみを必要とするが、表10のエンドポイント基準は、最低90日間のステロイドフリー及び52週目の寛解の両方を必要とした。
【0514】
実施例9:UC誘導研究M16-067
中程度から重度の活動性潰瘍性大腸炎を有する対象におけるリサンキズマブの有効性及び安全性を評価するため、多施設無作為化二重盲検プラセボ対照誘導研究(M16-067)を実施した。
【0515】
目的
研究M16-067は2つの下位研究を含んでいた。下位研究4(第2b相誘導)の目的は、中程度から重度の活動性UCを有する対象における誘導処置としてのリサンキズマブの有効性、安全性及び薬物動態を特徴付けること及び下位研究5(第3相誘導)におけるさらなる評価のためのリサンキズマブの適切な誘導用量を特定することであった。下位研究4は登録を終了し、研究の二重盲検プラセボ対照部分における全ての対象は誘導を完了した。
【0516】
下位研究5(第3相誘導)の目的は、中程度から重度の活動性UCを有する対象での臨床的寛解の誘導におけて、プラセボと比較したリサンキズマブの有効性及び安全性を評価することであった。
【0517】
研究施設
世界中のおよそ400か所。
【0518】
研究集団
年齢が18歳以上80歳以下若しくは地方条例に準じて成人の同意が必要な最低年齢又はAdapted Mayoスコア5~9点(Mayoスコアリングシステムを使用し、臨床医による全般的評価を除外して)及び中央の判定機により確証して、スクリーニング内視鏡による内視鏡サブスコア2又は3として定義される、中程度から重度の活動性UCの診断によって現地で許可される場合、タナー段階5の発達の定義を満たした年齢16歳以上18歳未満の男性及び女性。
【0519】
下位研究4では、事前の生物学的療法(bio-IR)に対して不十分な応答(IR)を有していた対象を登録した。下位研究5では、事前の生物学的療法に対して不十分な応答(IR)を有していた対象(bio-IR)及び事前の生物学的療法に対して不十分な応答を有していなかった対象(non-bio-IR)を登録した。bio-IRの登録は約541人の対象であり、非bio-IRの登録は約425人の対象であった。
【0520】
bio-IR集団は、UCの承認された生物製剤(インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ及び/又はベドリズマブ)又はトファシチニブの1つ以上に対する文書化された不寛容又は不十分な応答を有する対象と定義した。
【0521】
非bio-IR集団は、従来療法に対して不十分な応答又は不寛容を有した対象を含んでいた。従来療法は以下の、アミノサリチレート、経口局所作用ステロイド(例えばブデソニド、ベクロメタゾン)、全身性コルチコステロイド(プレドニソン又は等価物)又は免疫調節剤の1つ以上として定義した。この集団は、過去において生物学的療法又はトファシチニブを受けたが不十分な応答又は不寛容以外の理由(例えば償還範囲の変更、適切に管理された疾患)に基づいて療法が中止された対象も含んでいた。
【0522】
登録した対象の数
合計でおよそ1578人の対象:下位研究4の第2b相二重盲検プラセボ対照誘導に240人の対象;非盲検(OL)の用量選択期間の際に登録した下位研究4におよそ372人の対象;及び下位研究5の第3相誘導におよそ966人の対象。
【0523】
方法
この第2b/3相研究は、操作上シームレスな設計を有し、2つの下位研究からなっていた。この設計の目的は、登録のための中断なしに第2b相誘導研究から第3相誘導研究にシームレスに移行することであった。下位研究4は、下位研究5におけるさらなる評価のためのリサンキズマブの適切な誘導用量を特定するための誘導処置としてのリサンキズマブの有効性、安全性及びPKを評価する第2b相用量発見研究として設計された。下位研究5は、プラセボに対するリサンキズマブの有効性及び安全性を評価するための第3相誘導研究であった。
【0524】
下位研究4(第2b相誘導)
誘導期間1(図18
組入れ基準の全てを満たし、除外基準のいずれにも合致しなかった対象(n=240)を、以下の処置群の1つに1:1:1:1の比で研究に無作為化した。
群1:リサンキズマブ1800mg IV 0週、4週、8週(n=60);
群2:リサンキズマブ1200mg IV 0週、4週、8週(n=60);
群3:リサンキズマブ600mg IV 0週、4週、8週(n=60);及び
群4:プラセボ IV 0週、4週、8週(n=60)。
【0525】
ベースラインにおける無作為化を、ベースラインのステロイド使用(あり又はなし)及びベースラインのAdapted Mayoスコア(7以下対7超)によって層別した。内視鏡並びに臨床的応答及び寛解の評価を12週目に行った。
【0526】
12週の誘導期間1の完了後にAdapted Mayoスコア(現地においてMayo内視鏡サブスコアを読み取った。)による臨床的応答を達成した下位研究4の対象は、維持研究M16-066に登録するために適格であった。臨床的応答は、Adapted Mayoスコアのベースラインからの2点以上かつベースラインから30%以上の減少及び直腸出血サブスコア(RBS)が1以上の減少又はRBSの絶対値が1以下によって定義した。
【0527】
12週で臨床的応答を達成しなかった対象は、以下に特定する誘導期間2における盲検リサンキズマブ処置を受けるために適格であった。対象は、12週目の内視鏡が完了するまでは誘導期間2に入るためには不適格であった。
【0528】
誘導期間2(図19
12週目に、臨床的応答状態における開始時の維持投薬に対するリサンキズマブによる再誘導を評価するため、臨床的応答を達成しなかった対象を、Interactive Response Technologies(IRT)によって誘導期間2の二重盲検二重ダミー12週間処置期間に無作為化した。
【0529】
IVリサンキズマブ誘導を受けた対象を、
群1:リサンキズマブ1800mg IV 12週、16週、20週;
群2:リサンキズマブ360mg SC 12週、20週;及び
群3:リサンキズマブ180mg SC 12週、20週
に1:1:1で無作為化した。
【0530】
IVプラセボ誘導処置を受けた対象は、
群4:リサンキズマブ1800mg IV 12週、16週、20週
を受けた。
【0531】
盲検を保つために、群1及び4に無作為化した対象はプラセボSCを受け、群2及び3に無作為化した対象はプラセボIVを受けた。リサンキズマブIV用量又は釣り合う用量のプラセボIVを、12週、16週及び20週目に投与した。リサンキズマブSC用量又は釣り合う用量のプラセボSCを、12週及び20週目に投与した。24週目に、誘導期間2の間に盲検リサンキズマブ処置を受けた対象を再度査定し、粘膜炎症の評価のために3回目の内視鏡検査を行った。24週目にAdapted Mayoスコア(現地においてMayo内視鏡サブスコアを読み取った。)による臨床的応答を達成した対象は、維持研究M16-066に登録するために適格であった。24週目に臨床的応答がなかった対象及び早期に研究を終了した対象(誘導期間2の間に盲検リサンキズマブ療法に適格であったが盲検リサンキズマブ療法を受けなかった対象を含む。)は中止させ、研究薬の最終用量から140日間にわたってフォローアップ訪問させて、任意の新たな又は進行中のAEについての情報を得た。
【0532】
下位研究5(第3相誘導)
誘導期間1(図20
組入れ基準の全てを満たし、除外基準のいずれにも合致しなかったおよそ966人の対象を、以下の処置群の1つに2:1の比で二重盲検12週間研究に無作為化した。
【0533】
群1:リサンキズマブ1200mg IV 0週、4週、8週(n=644);及び
群2:プラセボ IV 0週、4週、8週(n=322)。
【0534】
ベースラインにおける無作為化を、事前の失敗している生物学的処置の数(0、1対1超)、ベースラインのステロイド使用(あり又はなし)及びベースラインのAdapted Mayoスコア(7以下対7超)によって層別した。内視鏡及び一次分析を12週目に行った。12週間誘導期間1の完了後に臨床的応答を達成した下位研究5の対象を、維持研究M16-066に登録した。12週でAdapted Mayoスコア(現地においてMayo内視鏡サブスコアを読み取った。)による臨床的応答を達成しなかった対象は、以下に特定する誘導期間2の盲検リサンキズマブ処置を受けていてもよい。対象は、12週目の内視鏡が完了するまでは誘導期間2に参加するためには不適格であった。
【0535】
誘導期間2(図19
12週目に、臨床的応答状態における開始時の維持投薬に対するリサンキズマブによる再誘導を評価するため、臨床的応答を達成しなかった対象を、IRTによって誘導期間2の二重盲検二重ダミー12週間処置期間に無作為化した。
【0536】
IVリサンキズマブを受けた対象を、
群1:リサンキズマブ1200mg IV 12週、16週、20週;
群2:リサンキズマブ360mg SC 12週及び20週;及び
群3:リサンキズマブ180mg SC 12週及び20週
に1:1:1で無作為化した。
【0537】
プラセボ誘導処置を受けた対象は、群4:リサンキズマブ1200mg IV 12週、16週及び20週
を受けた。
【0538】
盲検を保つために、群1及び4に無作為化した対象はプラセボSCを受け、群2及び3に無作為化した対象はプラセボIVを受けた。リサンキズマブIV用量又は釣り合う用量のプラセボIVを12週、16週及び20週目に投与した。リサンキズマブSC用量又は釣り合う用量のプラセボSCを12週及び20週目に投与した。24週目に、誘導期間2の間に盲検リサンキズマブ処置を受けた対象を再度査定し、粘膜炎症の評価のために3回目の内視鏡検査を行った。24週目にAdapted Mayoスコア(現地においてMayo内視鏡サブスコアを読み取った。)による臨床的応答を達成した対象は、維持研究M16-066に参加していてもよい。24週目に臨床的応答がなかった対象及び早期に研究を終了した全ての対象(誘導期間2の間に盲検リサンキズマブ療法に適格であったが盲検リサンキズマブ療法を受けなかった対象を含む。)は中止させ、研究薬の最終用量から140日間にわたってフォローアップ訪問させて、任意の新たな又は進行中のAEについての情報を得た。
【0539】
研究来診
臨床及び安全性の査定のための研究来診は、ベースライン、4週、8週及び12週/時期尚早の中止(PD)の際に実施した。誘導期間2に参加する対象については、16週、20週及び24週/PDで追加の研究来診を行った。全ての対象に対象者日記が提供され、UCに関連する症状、下痢止め薬の使用及び内視鏡検査の準備のための医薬の使用を記録させた。さらに、対象は、研究を通して症状、生活の質(QoL)及び労働生産性についての質問表を完成させた。研究を通して、尿検査、化学及び血液学、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)、リサンキズマブ血清濃度及び抗薬物抗体(ADA)血清レベルが挙げられるが、これらに限らない臨床検査値を収集した。さらに、内視鏡検査のための腸の準備を開始する前に、カルプロテクチンの分析のための糞便試料を収集した。
【0540】
対象は、スクリーニングの間及び12週目に内視鏡検査を受けた。誘導期間2に参加する対象は、24週目に追加の内視鏡検査を受けた。内視鏡検査はMayo内視鏡サブスコアを使用して評価し、脆弱性の存在又は非存在を文書化した。全ての内視鏡検査はビデオで記録した。スクリーニング中の適格Mayo内視鏡サブスコアを有する対象からのビデオ並びに12週目及び24週目の対象からの全てのビデオを中央の判定ベンダーに送付し、中央判定チャーターに記載したようにスコア付けした。さらに、追加の調査分析のために、中央の読取り機により、Ulcerative Colitis Endoscopic Index of Severity(UCEIS)を使用して内視鏡知見を査定した。それぞれの内視鏡来診の際に、組織学的査定のための生検試料を収集した。診断(スクリーニング中の)を確認する又は異形成/悪性腫瘍を除外するための追加の生検を、内視鏡検査と同じ時点で実施していてもよい。同意が得られた対象については、研究中に任意の調査研究用試料を採取していてもよい。
【0541】
対象が同意を撤回した場合又は何らかの理由で不適当であると研究者によってみなされた場合は、対象は研究を中止した。
【0542】
診断及び主な組入れ/除外基準
以下の組入れ/除外基準は、特定した場合を除き、下位研究4又は2に登録した対象についてのものであった。
【0543】
主な組入れ
1.ベースライン来診時に、年齢が18歳以上80歳以下又は地方条例に準じて成人の同意が必要な最低年齢の男性又は女性。さらに下位研究5についてのみ、現地で許可される場合、ベースライン来診の際にタナー段階5の発達の定義を満たした年齢16歳~18歳未満の対象。
【0544】
2.ベースラインの少なくとも3か月前のUCの確定診断。UCの診断と一致する生検結果又は研究者の査定における適切な文書が利用可能でなければならない。
【0545】
3.Adapted Mayoスコア5~9点及び内視鏡サブスコア2~3を有する活動性UC(中央の判定によって確認された。)。
【0546】
4.以下の薬物のカテゴリー:アミノサリチレート、経口局所作用ステロイド、全身性ステロイド(プレドニソン又は等価物)、免疫調節剤及び/若しくは生物学的療法の1つ以上又はトファシチニブに対して不寛容又は不十分な応答を示した。
【0547】
不寛容の実証は、最小の用量も使用期間も必要としない。
【0548】
不十分な応答は、以下に概説するように定義した。
・経口アミノサリチレート(例えばメサラミン、スルファサラジン、オルサラジン、バルサラジド):
・2.4g/日(制御放出の場合は2g/日)のメサラミン、4g/日のスルファサラジン、1g/日のオルサラジン又は6.75g/日のバルサラジドによる少なくとも4週の現在若しくは以前の処置過程の最中に、研究者の見解において持続的な活動性疾患の兆候及び症状。
・経口局所作用ステロイド(例えば、ブデソニド、ベクロメタゾン):
・9mg/日のブデソニド若しくは5mg/日のベクロメタゾンによる少なくとも4週の処置過程の最中若しくはその後に、研究者の見解において持続的な活動性疾患の兆候及び症状
又は
・再発性の活動性疾患を有することなく、経口ブデソニドを6mg/日以下に漸減することができない。
・IV又は経口全身性ステロイド(プレドニソン又は等価物):
・経口で3週若しくは静脈内で1週の40mg/日以上のプレドニゾンに等価の用量からなる少なくとも1つのレジメンの漸減の最中若しくはその後に、研究者の見解による持続的な活動性疾患の兆候及び症状、
又は
・再発性の活動性疾患を有することなく、経口全身性ステロイドを10mg/日のプレドニソンに等価の用量以下に漸減することができない。
・免疫調節剤:
・以下の1つ以上による少なくとも90日の処置の現在又は以前の処置過程の最中に、研究者の見解において持続的な活動性疾患の兆候及び症状:
・AZA:最寄りの利用可能な錠剤又は半錠製剤に丸めた2.0mg/kg/日以上(日本、韓国、台湾、シンガポール又は中国の対象については1mg/kg/日以上)(又は文書化された6-TGNレベルが230pmol/8×10RBC以上)。
・6-MP:最寄りの利用可能な錠剤又は半錠製剤に丸めた1mg/kg/日以上(日本、韓国、台湾、シンガポール又は中国の対象については0.6mg/kg/日以上)(又は6-TGNレベルが230pmol/8×10RBC以上)。
・MTX:皮下(SC)又は筋肉内(IM)15mg/週以上
・注:経口MTX使用は、研究の際に許可されたが、経口MTXの以前又は現在の使用は、研究への組入れには十分ではなかった。
・タクロリムス:(日本、台湾及びタクロリムスを含む現地の処置指針を有するアジアの他の国について)文書化されたトラフレベルが5~10ng/mL。
・UCの生物学的療法及びトファシチニブ:以下の1つ以上の履歴にも関わらず、持続的な活動性疾患の兆候及び症状がある:
・インフリキシマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン(0週、2週及び6週目に5mg/kg以上の静脈内[IV])、
・アダリムマブの少なくとも1つの4週間誘導レジメン(0週目に1つの160mg SC用量、それに続く2週目に1つの80mg SC用量[又はこの投薬レジメンが承認されている国では0週目に1つの80mg SC用量、それに続く2週目に1つの40mg SC用量])
・ゴリムマブの少なくとも1つの4週間誘導レジメン(0週目に200mg SC及び2週目に100mg SC)、
・ベドリズマブの少なくとも1つの6週間誘導レジメン(0週、2週及び6週目に300mg IV)、
・トファシチニブの少なくとも1つの8週間誘導レジメン(10mg PO、毎日2回)。
・上記の生物製剤による以前の臨床的利益に続く予定された維持投薬の間の症状の再発。
・注:上で定義した不十分な応答又は不寛容以外の理由(例えば、保険の変更)によって生物製剤又はトファシチニブを中止した対象は、アミノサリチレート、経口局所作用ステロイド、全身性ステロイド(プレドニソン又は等価物)及び/又は免疫調節剤に対する不寛容又は不十分な応答についての上で定義した基準を満たさなければならない。
【0549】
5.女性である場合、対象は、閉経後若しくは外科的に永久に生殖不能のいずれかでなければならず、妊娠可能な女性については、ベースラインの前から研究薬の最終用量の少なくとも140日後まで避妊を実行している女性でなければならない。妊娠可能な女性は、スクリーニング中に血清妊娠検査が陰性及びベースラインにおいて尿妊娠検査が陰性でなければならない。スクリーニング中に妊娠不能な女性(閉経後又は外科的に永久に生殖不能のいずれか)は、ベースラインにおいて妊娠検査を必要としない。
【0550】
6.対象は、書面によるインフォームドコンセントを提出する、及び本研究プロトコールの要求に従う能力及び意志がなければならない。日本では、対象が20歳未満である場合、対象の親又は後見人が、書面によるインフォームドコンセントを提出する意思がなければならない。
【0551】
主な除外
1.クローン病(CD)、分類されないIBD(IBD-U)の現在の診断又は放射線大腸炎若しくは虚血性大腸炎の病歴を有する対象。
【0552】
併用投薬及び処置
【0553】
2.ベースライン前の14日を超えて安定な用量を服用していなかった又は14日以内に中止している、経口UC関連抗生物質を服用している対象。
【0554】
3.ベースライン前の少なくとも14日を超えて安定な用量を服用していない又は14日以内に中止している、経口アミノサリチレートを服用している対象。
【0555】
4.経口コルチコステロイドを摂取している対象:9mg/日を超えるブデソニド;5mg/日を超えるベクロメタゾン;20mg/日を超得るプレドニソン若しくは等価物;又はベースライン前の14日以上にわたって現在の過程を服用していない、かつベースライン前の7日以上にわたって安定な用量服用していない対象。
【0556】
5.ベースライン前の42日以上にわたって過程を服用しておらず、かつベースライン前35日以上にわたって安定な用量を服用していない、免疫調節剤(AZA、6-MP、MTX)を服用している対象。
【0557】
スクリーニング期間中の投薬及び処置
6.ベースライン来診前の35日以内にIV抗感染薬又はベースライン来診前の14日以内に経口抗感染薬(非UC関連)を受けた対象。
【0558】
7.ベースライン前の35日以内に任意の非経口栄養法を受けた対象。
【0559】
8.ベースライン前の35日以内(日本では8週以内)以内に任意の生細菌又はウイルスワクチン接種を受けた対象。
【0560】
9.ベースライン前の35日以内にシクロスポリン、タクロリムス又はミコフェノレートモフェチルを受けた対象。
【0561】
10.ベースライン前の35日以内に糞便微生物移植法を受けた対象。
【0562】
事前の投薬及び処置
【0563】
11.ベースライン前の8週以内に任意の承認された生物学的薬剤(例えばインフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、ベドリズマブ)又はベースライン前の35日以内にトファシチニブを受けた対象。
【0564】
12.以前にp40阻害剤(例えばウステキヌマブ[Stelara])又はp19阻害剤(例えばリサンキズマブ)に曝露された対象。
【0565】
13.対象は、スクリーニング前の14日以内又はスクリーニング期間中に、吸入剤を除いて、以下の経口ブデソニド、経口ベクロメタゾン及び/又は経口プレドニソン(又は等価物)の2つ以上の組合せを同時に摂取している。
【0566】
14.スクリーニング前の14日以内又はスクリーニング期間中に、IVコルチコステロイドを受けた対象。
【0567】
15.スクリーニングに使用される内視鏡検査前の14日以内又はスクリーニング期間中に、内視鏡検査に必要なもの以外に治療用浣腸剤又は坐薬(即ち直腸アミノサリチレート/コルチコステロイド)を受けた対象。
【0568】
16.スクリーニング前の60日以下又はスクリーニング期間中にアフェレーシス(例えば、Adacolumnアフェレーシス)を受けた対象。
【0569】
17.ベースライン前の14日以内に娯楽若しくは医学的な理由で併用カンナビスを使用した又は最近12か月に臨床的に重要な薬物若しくはアルコールの乱用の何らかの病歴がある対象。
【0570】
UC関連
18.スクリーニング内視鏡によって査定した直腸に限定された炎症性疾患の程度
【0571】
19.現在公知のUCの合併症、例えば劇症大腸炎、中毒性巨大結腸、過去の結腸切除(全切除又は部分切除)又は研究に登録する際に手術を必要とし得る他の何らかの兆候を有する対象。
【0572】
20.オストミー又は回腸嚢を有する対象。
【0573】
安全性
21.リサンキズマブ又は研究薬の何らかの賦形剤又はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)の成分に対する公知の過敏症を有する対象。
【0574】
22.以下の慢性又は活動性の感染を有する対象:
・研究者の臨床的査定に基づく活動性、慢性又は反復性感染は、対象を研究の候補に不適切にする;
・スクリーニング中に特定されたC.ディフィシル(C.difficile)毒素への感染;
・腸内病原体による公知の感染;
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)への感染;
・スクリーニング中、現地の指針に従って、QuantiFERON(登録商標)-TB検査若しくはPurified Protein Derivative(PPD)皮膚検査又はその両方を実施した。QuantiFERON(登録商標)-TB検査は、BCG接種を受けた又は他のマイコバクテリア種(Mycobacteria)に曝露された対象に好ましかった。陽性の検査結果が出た対象は、さらなる精密検査(現地の慣例/指針)で対象が活動性の結核の証拠を有していないと確定すれば、研究に参加してもよい(抗TB療法の全過程の文書化された完了を有する活動性TB又は活動性TBの病歴を有する対象は、AbbVie TA MDによる審議の後で、研究に入ることが許可される。)。潜伏TBが立証された場合には、現地国の指針に従ってTBの予防/処置を開始し、維持した;
・以下のように定義される活動性B型肝炎又はC型肝炎を有する:HBV:B型肝炎表面抗原(HBs Ag)陽性(+)又はB型肝炎コア抗体(HBc Ab)のHBVデオキシリボ核酸(DNA)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)定量試験で感受性を検出して陽性の対象;HCV:抗HCV抗体(HCV Ab)を有する任意の対象でHCVリボ核酸(RNA)が検出可能。
【0575】
23.スクリーニング内視鏡検査中に実施された何らかの生検において、完全に除去された低グレードの異形成病変以外に胃腸管の異形成の過去の病歴を有するか、異形成を有することが見出された対象。
【0576】
24.リンパ腫を含むリンパ増殖性疾患の公知の病歴又はリンパ節腫脹症及び/若しくは脾腫などの可能性のあるリンパ増殖性疾患を示唆する兆候及び症状のある対象。
【0577】
25.処置に成功した非転移性扁平上皮細胞癌若しくは基底細胞癌又は子宮頚部の限局性上皮内癌以外の悪性腫瘍を有するかその病歴を有する対象。
【0578】
26.重篤、進行性又は制御不能な腎、肝、造血、内分泌の障害又はその症状を有する対象。
【0579】
27.研究中又は研究薬の最終用量の後、約140日間にわたって、妊娠している、授乳している又は妊娠を考えている女性対象。
【0580】
28.研究者の見解において、対象の安全性又はデータの品質を損ない、対象を研究への候補として不適切にする可能性がある何らかの身体的、心理的又は精神的な状態を含む何らかの状態を有する対象。
【0581】
29.スクリーニングラボ及びその他の分析が以下の異常な結果のいずれかを示す:
・アスパルテートトランスアミナーゼ(AST)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)が参照範囲の上限の2倍超;
・白血球(WBC)数が3.0×10/L未満;
・総ビリルビンが2mg/dL以上(ジルベール症候群に関連する間接ビリルビンの孤立した上昇を有する対象を除く。);
・「腎疾患食事療法(MDRD)」簡素化4変数式による推測糸球体濾過率が30ml/分/1.73m未満;
・ヘモグロビンが8g/dL未満;
・血小板が100,000/μL未満;又は
・スクリーニング来診の際の血清妊娠検査が陽性又はベースライン来診の際の尿妊娠検査が陽性。
【0582】
治験生成物:リサンキズマブ
【0583】
用量:リサンキズマブ1800mg IV Q4W、リサンキズマブ1200mg IV Q4W、リサンキズマブ360mg SC Q8W又はリサンキズマブ180mg SC Q8W。
【0584】
投与様式:リサンキズマブ液剤の注入(IV)又はリサンキズマブ液剤の注射(SC)。
【0585】
参照治療:リサンキズマブのプラセボ。
【0586】
投与様式:リサンキズマブ液剤の注入(IV)又はリサンキズマブ液剤の注射(SC)。
【0587】
処置の期間:12~24週
【0588】
研究には35日までのスクリーニング期間及び12週の二重盲検誘導期間が含まれていた。12週で臨床的応答を達成しなかった全ての対象は、引き続く12週の期間にわたる盲検リサンキズマブ処置を受けるために適格であった。研究M16-066に登録しなかった対象又は尚早に研究を中止した対象について、研究薬の最終用量から140日間にわたってフォローアップ訪問させて、任意の新たな又は進行中のAEについての情報を得た。
【0589】
評価の基準(下位研究4と下位研究5で同一):
Adapted Mayoによる臨床的寛解:排便回数サブスコア(SFS)が1以下かつベースラインを上回らず、直腸出血サブスコア(RBS)が0及び内視鏡サブスコアが1以下;
Adapted Mayoによる臨床的応答:ベースラインからの2点以上かつ30%以上の減少及びRBSの1以上の減少又はRBSの絶対値が1以下;
Partial Adapted Mayoによる臨床的応答(内視鏡検査なし):ベースラインからの1点以上かつ30%以上の減少及びRBSの1以上の減少又はRBSの絶対値が1以下;
Full Mayoによる臨床的寛解:Full Mayoスコアが2以下かつ1を超えるサブスコアなし;
内視鏡的改善:内視鏡サブスコアが0又は1;
内視鏡的寛解:内視鏡サブスコアが0;
組織学的寛解:Geboesスコアが2.0未満;
粘膜治癒:内視鏡的かつ組織学的な寛解。
注:そうでなければ「軽度の」内視鏡的活動性を有する対象における内視鏡検査の間の脆弱性の証拠があれば、内視鏡サブスコアを2とした。
【0590】
有効性(リサンキズマブ対プラセボ):プライマリーエンドポイントは、下位研究1と2で同一であった。
【0591】
プライマリーエンドポイント:12週でAdapted Mayoスコアによる臨床的寛解を有する対象の割合。
【0592】
下位研究4の順位付けしたセカンダリーエンドポイント:
1.12週で内視鏡改善を有した対象の割合;
2.ベースラインでFull Mayoスコアが6~12であった対象の12週でのFull Mayoスコアによる臨床的寛解(Full Mayoスコアが2以下かつ1を超えるサブスコアなしによって定義される。)を達成した対象の割合;
3.12週でAdapted Mayoスコアによる臨床的応答を達成した対象の割合;
4.4週でPartial Adapted Mayoスコアによる臨床的応答を達成した対象の割合;
5.12週で内視鏡的寛解を有する対象の割合;
6.12週の間、入院していた対象の割合;
7.12週で粘膜治癒を有していた対象の割合;
8.UC症状質問表(UC-SQ)におけるベースラインから12週までの変化;
9.炎症性腸疾患質問表(IBDQ)におけるベースラインから12週までの変化;
10.ショートフォーム36におけるベースラインから12週までの変化;
11.慢性病治療-疲労の機能性評価(FACIT-Fatigue)におけるベースラインから12週までの変化;
12.12週の間、UC関連の手術を受けた対象の割合。
【0593】
評価の基準(下位研究4と下位研究5で同一)
有効性(リサンキズマブ対プラセボ):プライマリーエンドポイントは、下位研究1と2で同一であった。
【0594】
プライマリーエンドポイント:
12週でAdapted Mayoスコアによる臨床的寛解を有する対象の割合。
下位研究4の順位付けしたセカンダリーエンドポイント:
1.12週で内視鏡改善を有した対象の割合;
2.ベースラインでFull Mayoスコアが6~12であった対象の12週でのFull Mayoスコアによる臨床的寛解(Full Mayoスコアが2以下かつ1を超えるサブスコアなしによって定義される。)を達成した対象の割合;
3.12週でAdapted Mayoスコアによる臨床的応答を達成した対象の割合;
4.4週でPartial Adapted Mayoスコアによる臨床的応答を達成した対象の割合;
5.12週で内視鏡的寛解を有する対象の割合;
6.12週の間、入院していた対象の割合;
7.12週で粘膜治癒があった対象の割合;
8.UC症状質問表(UC-SQ)におけるベースラインから12週までの変化;
9.炎症性腸疾患質問表(IBDQ)におけるベースラインから12週までの変化;
10.ショートフォーム36におけるベースラインから12週までの変化;
11.慢性病治療-疲労の機能性評価(FACIT-Fatigue)におけるベースラインから12週までの変化;
12.12週の間にUC関連の手術を受けた対象の割合。
【0595】
下位研究5の順位付けしたセカンダリーエンドポイント:
1.12週で内視鏡改善を有した対象の割合;
2.ベースラインでFull Mayoスコアが6~12であった対象の12週でのFull Mayoスコアによる臨床的寛解(Full Mayoスコアが2以下かつ1を超えるサブスコアなしによって定義される。)を達成した対象の割合;
3.12週でAdapted Mayoスコアによる臨床的応答を達成した対象の割合;
4.4週でPartial Adapted Mayoスコアによる臨床的応答を達成した対象の割合;
5.12週で腹痛を報告しなかった対象の割合;
6.12週で不随意の排便を報告しなかった対象の割合;
7.12週で内視鏡的寛解を有する対象の割合;
8.12週で粘膜の組織学的な内視鏡的改善を有する対象の割合;
9.炎症性腸疾患質問表(IBDQ)の全スコアにおけるベースラインから12週までの変化;
10.慢性病治療-疲労の機能性評価(FACIT-Fatigue)におけるベースラインから12週までの変化;
11.12週で夜間の排便を報告しなかった対象の割合;
12.12週でテネスムス(渋り)を報告しなかった対象の割合;
13.1週間当たりの便失禁のエピソードの数のベースラインから12週までの変化;
14.UCの症状によって中断された睡眠の1週間当たりの日数のベースラインから12週までの変化;
15.ベースラインで全結腸炎を有していた対象における12週でのAdapted Mayoスコアによる臨床的応答を達成した対象の割合;
16.12週の間、UC関連で入院していた対象の割合。
【0596】
薬物動態(PK):
リサンキズマブ血清濃度は、4週、8週及び12週/PDの投薬の直前並びに誘導期間2の間に盲検リサンキズマブ処置を受けた対象については24週で収集した試料について決定した。
【0597】
さらに、3回目の誘導用量(8~12週)の後の下位研究4における24人の対象については、集約的な薬物動態査定を実施した。集約的な薬物動態査定に同意した対象については、上記の時点に加えて、8週目、注入の完了の直後及び注入の完了の2時間後並びに9週、10週及び11週目に血液試料を収集した。
【0598】
免疫原性:
血清ADAは、ベースライン及び4週、8週及び12週/PDの投薬の直前並びに誘導期間2の間に盲検リサンキズマブ処置を受けた対象については24週で収集した試料について決定した。
【0599】
安全性:
研究を通して、有害事象(AE)の発生率、バイタルサインの変化、身体検査の結果及び臨床検査データを査定した。
【0600】
統計的方法:
【0601】
試料サイズの決定:
【0602】
下位研究4:
下位研究4(本研究の第2b相部分)については、合計で240人の対象を3つのリサンキズマブ処置群(600mg、1200mg及び1800mg IV、Q4W)及びプラセボ群に1:1:1:1の比で等しく無作為化した。12週における臨床的寛解率をプラセボ群で7%、リサンキズマブ処置群の少なくとも1つで最大25%と仮定し、多重比較手順及びモデリング(MCP-Mod)アプローチ(Pinheiro J,Bornkamp B及びBretz F.(2006)J.Biopharm.Stat.16:639~656頁;Bretz F,Pinheiro JC及びBranson M.(2005)Biometrics 61:738~748)を使用するアプローチによって、1処置群当たり60人の対象の試料サイズが、有意水準5%(片側)で約87%の平均検出力を有する用量応答シグナルの存在を試験するために十分であった。
【0603】
下位研究5:
下位研究5のため、合計で966人の対象をリサンキズマブ1200mg IV用量又はプラセボに無作為化比2:1で割り付けた。下位研究4からの組合せPK、安全性及び有効性の結果を分析した後で、試料サイズを再度査定した。プライマリーエンドポイント及び選択された順位付けセカンダリーエンドポイントのための適切な検出力並びに研究M16-066のための試料サイズの要求を満たす適切なレスポンダーを提供することを決定した。12週における臨床的寛解率をプラセボ群で6%、リサンキズマブ処置群で16%と仮定すれば、群当たり644:322の対象の試料サイズは、有意水準0.05の両側Miettinen and Nurminen検定を使用するプライマリーエンドポイントにおける10%の処置差を検出するための少なくとも90%の検出力を提供する。
【0604】
分析セット:
下位研究1と2の両方について、有効性分析は処置意図(ITT)分析セットに基づき、安全性の分析は安全性分析セットに基づいていた。下位研究4と下位研究5の両方で12週後の誘導期間2における処置を受けた対象は、調査の目的のために個別に分析した。
【0605】
下位研究4:
両側コクランマンテルヘンツェル(CMH)検定を使用して、それぞれのリサンキズマブ処置群とプラセボとの間のペアワイズ比較を実施し、ベースラインのコルチコステロイドの使用(あり又はなし)及びベースラインのAdapted Mayoスコア(7以下対7超)によって層別した。
【0606】
欠失した全てのカテゴリカルエンドポイントについて、非応答者補完法(NRI)を一次補完法として使用した。
【0607】
混合効果モデル反復測定(MMRM)法及びLOCF補完法を使用する分散分析(ANCOVA)モデルを使用して、連続セカンダリー有効性変数を分析した。
【0608】
層別変数について制御するCMH重みを有するMN検定を使用して、カテゴリカルセカンダリー有効性変数を分析した。NRI及び観察された症例分析を使用した。
【0609】
下位研究5:
リサンキズマブとプラセボとの間の全ての有効性比較は、対応するITT分析セットに基づいていた。
【0610】
コクランマンテルヘンツェル(CMH)重みを付けた両側Miettinen and Nurminen(MN)検定を使用して、プライマリー有効性エンドポイントである12週における臨床的寛解率についてのそれぞれのリサンキズマブ処置群とプラセボとの間の比較を実施し、以前に失敗した生物製剤の数(0、1対1超)、ベースラインのコルチコステロイドの使用(あり又はなし)及びベースラインのAdapted Mayoスコア(7以下対7超)によって層別した。COVID-19による欠失したデータを取り扱うために多重補完を組み込む間、欠失した全てのカテゴリカルエンドポイントについて、非応答者補完(NRI-C)を一次補完法として使用した。
【0611】
混合効果モデル反復測定(MMRM)法を使用して、連続セカンダリー有効性変数を分析した。
【0612】
層別変数について制御するCMH重みを有するMN検定を使用して、カテゴリカルセカンダリー有効性変数を分析した。NRI-C及び観察された症例分析を使用した。
【0613】
薬物動態及び免疫原性:
リサンキズマブ血清濃度は、それぞれの時点でそれぞれの投薬レジメンについて記述統計学を使用してまとめた。
【0614】
ADAの発生率はコホート及び研究来診によってまとめた。ADA力価は、それぞれの対象についてそれぞれの研究来診において表にした。リサンキズマブの薬物動態、有効性及び/若しくは安全性の変数に対するADAの影響並びに/又は何らかのさらなる分析を探索した。
【0615】
安全性:
処置下で発現した有害事象(TEAE)、検査データ及びバイタルサインが、本研究における一次安全性パラメーターであった。全ての安全性比較は、対応する安全性分析セットに基づいて処置群間で実施した。
【0616】
重篤な感染、悪性腫瘍、主要な有害心臓血管事象、全身性過敏反応/注入反応、死をもたらすTEAE及び尚早な中止をもたらすTEAE、医薬品規制用語集(MedDRA バージョン18.1又はそれ以降)基本語及び器官別大分類によるTEAE、研究薬との最大の関連によるTEAE及び最大の重篤度によるTEAEなどの特別の関心のあるTEAEを含むTEAEの概略を、数及びパーセンテージによってまとめた。TEAEの全体の発生率における処置群の相違は、それぞれの基本語についてのフィッシャーの正確確率検定によって査定した。
【0617】
検査データの変化を、統計的特性を使用して記述し、処置群間で比較した。比較は、一元配置分散分析(ANOVA)を使用して実施した。さらに、異常値についてはシフト表及びリストを提供し、それにより、正常範囲の分析検査値を使用した。バイタルサインも同様に分析した。
【0618】
[実施例10] UC維持研究M16-066
M16-067における誘導処置に応答した潰瘍性大腸炎の対象におけるリサンキズマブの有効性及び安全性に関する多施設無作為化二重盲検プラセボ対照52週間維持研究を行った。
【0619】
目的:
下位研究4(図21):無作為化二重盲検プラセボ対照の維持
研究M16-067においてIVリサンキズマブ誘導処置に応答した中程度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)を有する対象における維持療法としてのプラセボに対するリサンキズマブの有効性及び安全性を評価する。
【0620】
下位研究5(図21):無作為化探索的維持
研究M16-067における誘導処置に応答した中程度から重度の活動性UCを有する対象における維持療法としてのリサンキズマブの2つの異なる投薬レジメン(治療用薬物モニタリング対用量漸増についての臨床的査定)の有効性及び安全性を評価する。
【0621】
下位研究6(図22):非盲検長期延長
下位研究4又は2を完了した対象におけるリサンキズマブの長期安全性を評価する。さらなる目的は、リサンキズマブの長期有効性及び寛容性をさらに検討することであった。
【0622】
研究施設:世界中のおよそ400か所。
【0623】
研究集団:
研究には、研究M16-067を完了し、Adapted Mayoスコアの誘導研究のベースラインからの2点以上かつ30%以上の減少及び直腸出血サブスコア(RBS)の1以上の減少又はRBSの絶対値が1以下として定義される臨床的応答を達成した対象を登録した。
【0624】
研究M16-067の主要な登録基準:
ベースライン来診時に、年齢が18歳以上80歳以下若しくは地方条例に準じて成人の同意が必要な最低年齢の男性及び女性。現地で許可される場合、タナー段階5の発達の定義を満たした齢16歳以上18歳未満の対象。
【0625】
中央で読解された内視鏡検査によって確認された、Adapted Mayoスコアが5~9点及び内視鏡サブスコアが2~3として定義される中程度から重度の活動性UC。
【0626】
登録される対象の数:
下位研究4及び下位研究5の両方について合計でおよそ942人。
【0627】
最初に下位研究4を登録した。誘導研究M16-067の後で研究薬に対する臨床的応答を達成した対象は、Mayo内視鏡スコアの中央の判定によって確認された、IVリサンキズマブへの臨床的応答を達成したおよそ573人の対象が無作為化されるまで、登録を継続した。
【0628】
下位研究5には、誘導研究M16-067の後で研究薬に対して臨床的応答を達成した残りの対象を登録した。
【0629】
下位研究4には、およそ458人のbio-IR対象を登録した。およそ458人のbio-IR対象が登録されれば、誘導の終了時に臨床的応答を有していた残りのbio-IR対象が下位研究5に参加した。
【0630】
下位研究1又は2を完了した対象は、下位研究6に適格であった。
【0631】
方法論:
これは3つの下位研究からなる第3相の多施設研究であった。下位研究4は、52週間無作為化二重盲検プラセボ対照維持研究であった。下位研究5は、52週間無作為化探索的維持研究であった。下位研究6は、下位研究4又は2を完了した対象についての非盲検(OL)長期延長であった。
【0632】
これ以降、ベースラインは誘導研究M16-067のベースライン来診として定義し、0週は研究M16-066の下位研究4又は下位研究5における最初の研究来診として定義した。研究M16-067の最後の来診(12週又は24週)を、研究M16-066の下位研究1又は2の0週の来診とみなした。下位研究1又は2の期間は、52週の維持期間及び48週で投与した研究薬の最終用量から140日のフォローアップ期間(下位研究6に引き継いだ対象を除く。)を含んで68週まででもよい。下位研究6は、300週の個別のフォローアップまでと研究を中止するまでのいずれか早い方まで継続した。
【0633】
下位研究4(無作為化二重盲検プラセボ対照維持)
研究M16-067の終了時にIVリサンキズマブに対する臨床的応答を達成した最初のおよそ573人の対象を、以下の3つの処置群の1つに1:1:1の比で再無作為化した。
群1:リサンキズマブ180mg 皮下(SC) Q8W(n=150);
群2:リサンキズマブ360mg SC Q8W(n=150);
群3:プラセボ(n=150)。
【0634】
中央の読取り機によって確認された、IVリサンキズマブに対する臨床的応答を有する最低573人の対象が登録されるまで、対象の登録を続けた。
【0635】
誘導研究の12週目又は誘導研究の誘導期間2の24週目のIVリサンキズマブの後で臨床的応答を達成した対象のみを、研究M16-066の下位研究1の群1、2又は3に無作為化した。誘導研究の誘導期間2の24週目にSCリサンキズマブの後で臨床的応答を達成した対象は登録に適格であったが、誘導研究の誘導期間2の間にQ8Wで受けた用量と同じ用量で盲検のSCリサンキズマブ180mg又は360mgを受けるようにInteractive Response Technology(IRT)によって割り当てられ、一次分析から除外した。
【0636】
研究M16-067でプラセボに対して臨床的応答を有した対象は、IRTによって盲検プラセボを受けることを継続するように割り当てられ、一次有効性分析から除外した。
【0637】
対象の無作為化は、最後のIVリサンキズマブ誘導用量及び研究M16-067の最後の来診からのAdapted Mayoスコア(現地の読取りによる)による臨床的寛解に基づいて層別した。
【0638】
下位研究4には、およそ458人のbio-IR対象を登録した。およそ458人のbio-IR対象が登録されれば、誘導の終了時に臨床的応答を有した残りのbio-IR対象は下位研究5に入った。
【0639】
下位研究4の間に不十分な応答(IR)を示した対象は、症状の活動性の増大及び/又は内視鏡による炎症の確認に基づいて、16週目の来診時に開始するOLリサンキズマブ救済療法を受けていてもよい。詳細は「リサンキズマブ救済療法」のセクションに記載している。
【0640】
下位研究5(無作為化探索的維持):
下位研究5への登録は、下位研究4への登録が完了した後で開始した。研究M16-067の終了時に臨床的応答を達成した対象を、誘導又は誘導期間2の処置に関わらず、2つの処置レジメン、即ち用量漸増(目標レベルのリサンキズマブへの処置)のための臨床的査定(CA)及び用量漸増のための治療薬物モニタリング(TDM)の間の比較のために、探索的な52週の維持研究に1:1で無作為化した。
【0641】
対象が16週までにリサンキズマブの定常状態に接近したことを保証するため及び誘導からの二重盲検を維持するため、0週の来診における処置を盲検とした。
・リサンキズマブに対して臨床的応答を有する対象は、リサンキズマブ180mg SC及びプラセボ静脈内(IV)を受けた。
・プラセボに対して臨床的応答を有する対象は、プラセボSC及びリサンキズマブの選択用量IVを受けた。
【0642】
全ての対象は、8週で開始するOLリサンキズマブ180mg SCを受けた。リサンキズマブ救済療法は16週目の来診時又はその後に随時施行し、「リサンキズマブ救済療法」のセクションに記載したIR基準に従って許可した。対象はそれぞれの予定来診時にリサンキズマブ救済療法について評価した。
【0643】
CA及びTDMの群にある対象は、表5の基準に基づいてリサンキズマブ救済療法を受けた。
【0644】
血清リサンキズマブ分析の結果は、約2週後に現場に提供した。投薬量の調整のために必要な血清濃度レベルを決定する適切な処理時間を保証するため、全てのリサンキズマブ試料は、これらを16週、24週、32週、40週及び48週で収集した同じ日に発送した。
【0645】
下位研究4及び2
対象は、研究M16-067のために配布された同じ対象者日記を使用した。対象には研究M16-066のための患者情報カードも配布した。来診は0週、8週、16週、24週、32週、40週、48週及び52週/尚早な中止(PD)時に行い、疾患活動性の臨床的査定及び検査査定を収集した。さらに、対象は、研究を通して症状、生活の質(QoL)及び労働生産性の質問表に記入した。指示された来診時に、尿検査、化学及び血液学、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)、リサンキズマブ血清濃度及び抗薬物抗体(ADA)血清レベルが挙げられるが、これらに限らない臨床検査値を収集した。さらに、内視鏡検査のための腸の準備を開始する前に、カルプロテクチン(FCP)分析のための糞便試料を収集した。内視鏡検査は52週/PDの来診時に行い、Mayo内視鏡スコアを使用して評価し、中央の読取り機が確認した。異形成/悪性腫瘍を除外するための生検は、内視鏡検査と同時に実施していてもよい。任意の探索的研究試料は、下位研究4の間に採取していてもよい。早期に研究を終了した対象又は下位研究6に継続しなかった対象は中止させ、研究薬の最終用量の投与からさらなる140日の安全性フォローアップを有していた。
【0646】
下位研究6:OL延長
下位研究4又は2を完了した対象は、OL延長研究である下位研究6に入るために適格であった。対象が下位研究6に入るために、52週における内視鏡検査を含む全ての研究活動を完了させた。対象は下位研究4又は2の間の割り付けに基づいて、OLリサンキズマブを受けた。
・リサンキズマブ救済療法を受けずに下位研究4又は2を完了した対象:リサンキズマブ180mg SC Q8W。
・リサンキズマブ救済療法を受け、下位研究4又は2を完了した対象:リサンキズマブ360mg SC Q8W。
【0647】
下位研究6に継続した対象には、56週目に現場への来診の際、OLリサンキズマブのシリンジを配布した。56週目の来診の際、下位研究4で救済療法を受けなかった下位研究4から登録した対象及び誘導研究M16-067から直接下位研究6に登録した対象は、薬物のSC投与の後、1時間、モニターした。これにより、誘導及び下位研究4の間にプラセボを受け、最初にリサンキズマブSCを受けた対象が、何らかの注射関連事象についてモニターされたことが保証された。さらなる来診を56週に開始して24週毎(現地によって許可された場合)に行い、来診の間の自宅注射のために十分なリサンキズマブのシリンジを配布した(現地の要求によって許可された場合)。内視鏡検査は152週で開始して96週毎に実施した。下位研究1若しくは2の間又は誘導研究M16-067の間に使用した同じ対象者日記を使用した。
【0648】
下位研究6の間にIRを示した対象は、「リサンキズマブ救済療法」のセクションに記載したように、OLリサンキズマブ救済療法を受けるために適格であった。UC関連の抗生物質、アミノサリチレート、コルチコステロイド又は免疫調節剤の用量は研究者の裁量で変更していてもよく、適切なeCRFに文書化している。
【0649】
対象は、UC関連の抗生物質、アミノサリチレート、コルチコステロイド又は免疫調節剤(AZA、6-MP又はMTX)を下位研究6の間に開始していてもよく、研究者の裁量で用量が変更されていてもよい。
【0650】
リサンキズマブ救済療法:
不十分な応答(IR)の定義
下位研究4、下位研究5のCA群及び下位研究6の対象は、
1.臨床症状:RBSが、7~14日離れた2回の連続する来診において、0週の値若しくは直接下位研究6に登録した対象については誘導研究M16-067における最後の来診時の値より、少なくとも1点大きい、又は
2.内視鏡的活動性:現場の研究者によってスコア付けして、Mayo内視鏡サブスコアが2又は3、
に基づいてリサンキズマブ救済療法を受けた。
【0651】
下位研究5のTDM群に含まれる対象は、臨床症状について上のリストに挙げた基準及び内視鏡による炎症の確認並びに表5に示す血清リサンキズマブレベルに基づいてリサンキズマブ救済療法を受けた。研究者が胃腸管の感染について合理的な疑念を抱いた場合には、これらの対象が用量漸増の前に除外されたことを保証することになっている。
【0652】
下位研究5の対象を、それぞれの研究来診でIRについて評価した。TDM群に含まれる対象については、同じ来診から得た血清リサンキズマブレベルを用量漸増アルゴリズムに使用した16週の研究来診を除いて、以前の研究来診から得た血清リサンキズマブレベルを評価のために使用した
【0653】
注:16週の血清リサンキズマブレベルが利用可能になれば、救済療法を受けるために対象がクリニックに戻る必要があるか否かについて現場に通知した。
【0654】
【表17】
【0655】
リサンキズマブ救済療法の用量及び来診のタイミング
対象が上で定義したIRを有する場合には、対象はリサンキズマブ救済療法を受けていてもよく、この救済療法は1回の用量の1200mgのIV及びそれに続くトライアルの終了までの360mgのSCであった。救済来診は、対象がリサンキズマブ IVを投与された日と定義した。対象をその元のQ8W間隔のSC投薬レジメンに保つよう、あらゆる試みを行った。これは、下位研究4及び2の予定された研究来診並びに下位研究6の3回に1回の割合の研究来診と揃えられた(Q24Wの来診)。
【0656】
対象がいつリサンキズマブ救済に移るかの研究投薬スケジュールは、救済来診がいつ起こるかに依存した。
【0657】
救済来診が予定された研究来診の前7日以内又は予定された来診の当日に起こった場合には、両方の来診(救済及び予定)を1つにして、対象はその現場でリサンキズマブIVを受けるのみとした。
【0658】
救済来診が計画通りの予定された来診の後、7日の範囲の中で起こり、対象がSC用量をまだ受けていない場合には、両方の来診(救済及び計画)を1つにして、対象はその施設でリサンキズマブIVを受けるのみとした。
【0659】
救済来診が予定された研究来診の後で起こり、対象が予定された来診で既にSC用量を受けていた場合には、対象は救済来診でリサンキズマブIVを受けた。
【0660】
IV用量の後、対象は次の予定された用量(おそらく8週未満)及びその後、研究の終了まで、Q8Wで360mgのリサンキズマブSCを受けた。
【0661】
下位研究4及び2の間、リサンキズマブ救済療法の評価が16週目の来診時に始まっていていてもよい。対象は下位研究4又は2の間、2回までの救済来診を有していてもよいが、それぞれの救済来診について上記のIRの定義を満たしていなければならず、救済来診は16週以上離れていなければならない。
【0662】
下位研究6の間、対象は1年当たり2回までの救済来診を受けていてもよく、救済来診は16週以上離れていた。対象は下位研究6の間、全部で3回までの救済来診を受けていてもよい。
【0663】
診断及び組入れ/除外の主な基準:
主な組入れ:
1.研究M16-067のエントリー及び完了。完了は研究M16-067の最後の内視鏡検査を含む。
【0664】
2.研究M16-067の最後の来診時におけるAdapted Mayoスコアのベースラインからの2点以上かつ30%以上の減少及びRBSの1以上の減少又はRBSの絶対値が1以下として定義される臨床的応答の達成。
【0665】
3.女性の場合には、対象は閉経後であるか、外科的に永久に生殖不能又は妊娠可能な女性については研究薬の最終用量の少なくとも140日後まで避妊の実施を続けていなければならない。
【0666】
4.対象は書面によるインフォームドコンセントを提供し、SC注射の自己投与又は介護者による投与を含む本研究プロトコールの要求に従う能力及び意志がなければならない。日本では、対象が20歳未満の場合には、対象の親又は後見人は、書面によるインフォームドコンセントを与える意志がなければならない。
【0667】
主な除外:
1.対象はいかなる理由でも研究者によって研究に不適切な候補であるとみなされた。対象は、研究M16-067の最後の来診時に実施された内視鏡検査で高グレードの結腸過形成又は結腸がんが発見された場合には、研究M16-066に登録すべきではない。
【0668】
2.リサンキズマブ又は研究薬の何らかの賦形剤又はCHOの成分に対する公知の過敏症を有するか、研究M16-067の間に研究者の判断で対象を本研究に不適当とするAEを有した対象。
【0669】
3.研究M16-067の最後の来診における確認された尿妊娠検査の陽性。
【0670】
4.対象が、研究M16-067を通して以前及び同時の投薬要求事項に従わなかった。
【0671】
5.研究者の査定に基づいて何らかの活動性又は慢性の再発感染症を有する対象は、本研究には不適当な候補となる。
【0672】
6.リンパ腫を含むリンパ増殖性疾患の公知の病歴又はリンパ節腫脹症及び/若しくは脾腫などの可能性のあるリンパ増殖性疾患を示唆する兆候及び症状がある。
【0673】
治験生成物:リサンキズマブ
【0674】
用量:リサンキズマブ 360mg SC Q8W、リサンキズマブ 180mg SC Q8W又はリサンキズマブ 1200mg IV。
【0675】
投与様式:リサンキズマブ液剤の注入(IV)又はリサンキズマブ液剤の注射(SC)。
【0676】
参照療法:リサンキズマブのプラセボ。
【0677】
用量:プラセボ:N/A。
【0678】
投与様式:リサンキズマブ液剤の注入(IV)又はリサンキズマブ液剤の注射(SC)。
【0679】
処置期間:下位研究4及び2は52週の期間を有し、下位研究6は中止又はリサンキズマブの承認及び償還(適用可能な場合)が現場の権限によって利用可能になるまで継続した。時期尚早に研究を中止した対象については、安全性の目的のために研究薬の最後の投与から140日間、フォローアップ電話コールを行った。
【0680】
エンドポイントの定義
Adapted Mayoによる臨床的寛解:排便回数サブスコア(SFS)が1以下かつベースラインを上回らず、直腸出血サブスコア(RBS)が0及び内視鏡サブスコアが1以下;
Adapted Mayoによる臨床的応答:ベースラインからの2点以上かつベースラインから30%以上の減少及びRBSの1以上の減少又はRBSの絶対値が1以下;
Partial Adapted Mayoによる臨床的寛解:排便回数サブスコア(SFS)が1以下かつベースラインを上回らず、直腸出血サブスコア(RBS)が0;
Partial Adapted Mayoによる臨床的応答:ベースラインからの1以上かつベースラインから30%以上の減少及びRBSの1以上の減少又はRBSの絶対値が1以下;
Full Mayoによる臨床的寛解:Full Mayoスコアが2以下かつ1を超えるサブスコアなし;
内視鏡的改善:内視鏡サブスコアが1以下;
内視鏡的寛解:内視鏡サブスコアが0;
組織学的寛解:Geboesスコアが2未満;
粘膜治癒:内視鏡的かつ組織学的な寛解
注:ベースラインは誘導研究M16-067のベースラインを意味する。そうでなければ「軽度の」内視鏡的活動性を有する対象における内視鏡検査の間の脆弱性の証拠があれば、内視鏡サブスコアを2とした。)
【0681】
評価の基準:
有効性:
下位研究4(リサンキズマブ対プラセボ)
プライマリーエンドポイント:52週でAdapted Mayoスコアによる臨床的寛解を有する対象の割合。
【0682】
順位付けしたセカンダリーエンドポイント:
1.52週で内視鏡改善を有した対象の割合。
【0683】
2.(誘導の)ベースラインでFull Mayoスコア6~12であった対象の52週でのFull Mayoスコアによる臨床的寛解を達成した対象の割合。
【0684】
3.(誘導の)ベースラインでステロイドを摂取していた対象における52週でのコルチコステロイドの使用を中止した対象の割合。
【0685】
4.0週で臨床的寛解を有していた対象における52週でのAdapted Mayoスコアによる臨床的寛解を有する対象の割合。
【0686】
5.(誘導の)ベースラインでステロイドを摂取していた対象におけるコルチコステロイドの使用を中止し、90日間はコルチコステロイドを使用せず、52週で臨床的寛解を達成した対象の割合。
【0687】
6.0週で内視鏡的改善を有していた対象における52週での内視鏡的改善を有した対象の割合。
【0688】
7.52週でAdapted Mayoスコアによる臨床的応答を有した対象の割合。
【0689】
8.52週で組織-内視鏡での粘膜の改善を達成した対象の割合。
【0690】
9.52週で内視鏡的寛解を有する対象の割合。
【0691】
10.52週の間にUC関連の入院があった対象の割合。
【0692】
11.52週で組織学的寛解があった対象の割合。
【0693】
12.52週で腹痛を報告しなかった対象の割合。
【0694】
13.52週で不随意の排便を報告しなかった対象の割合。
【0695】
14.52週で粘膜治癒があった対象の割合。
【0696】
15.炎症性腸疾患質問表(IBDQ)の全スコアにおける(誘導の)ベースラインから52週までの変化。
【0697】
16.52週の間にUC関連の手術を受けた対象の割合。
【0698】
17.FACIT-Fatigueにおける(誘導の)ベースラインから52週までの変化。
【0699】
18.ベースラインにおいて全腸炎があった対象における52週でのAdapted Mayoスコアによる臨床的応答があった対象の割合。
【0700】
19.52週で夜間の排便を報告しなかった対象の割合。
【0701】
20.52週でテネスムス(渋り)を報告しなかった対象の割合。
【0702】
21.1週間当たりの便失禁のエピソードの数の(誘導の)ベースラインから52週までの変化。
【0703】
22.UCの症状によって中断された睡眠の1週間当たりの日数の(誘導の)ベースラインから52週までの変化。
【0704】
薬物動態:
リサンキズマブ血清濃度は、下位研究1及び2の間は0週、16週、32週、48週、52週での投薬の直前並びに下位研究6の間は24週毎/PDで収集した試料について決定した。
【0705】
免疫原性:
血清ADAは、は、下位研究1及び2の間は0週、16週、32週、48週、52週での投薬の直前並びに下位研究6の間は24週毎/PDで収集した試料について決定した。試料はリサンキズマブ救済療法の開始の時及び予定にない来診の時にも収集した。
【0706】
安全性:
研究を通して、有害事象(AE)の発生率、バイタルサインの変化、身体検査の結果及び臨床検査データを査定した。
【0707】
統計的方法:
【0708】
有効性:
下位研究4については、試料サイズは52週でAdapted Mayoスコアによる臨床的寛解を達成する対象の予想される割合に基づいていた。52週における臨床的寛解率をプラセボ群で22%、リサンキズマブ処置群の1つで42%と仮定すれば、プラセボにおける191人の対象及びリサンキズマブ群のそれぞれにおける191人の対象の試料サイズは、多重度調整を行った0.025%の有意水準での両側検定を使用するリサンキズマブ用量とプラセボとの間のプライマリーエンドポイントにおける20%の処置差を検出するための90%を超える検出力を有していた。
【0709】
下位研究5及び下位研究6の試料サイズについては検出力の計算は行わなかった。下位研究4の登録が完了すれば、下位研究5の登録を開始する。下位研究4又は2を完了した対象は、OL延長研究である下位研究6に入っていてもよい。
【0710】
有効性の分析は処置意図(ITT)分析セットに基づき、安全性の分析は安全性分析セットに基づいていた。
【0711】
下位研究4の52週におけるそれぞれのリサンキズマブ用量群とプラセボ群とを比較するため、一次有効性分析を実施した。下位研究4、下位研究5及び下位研究3の他のコホートについての分析も、探索目的のために行った。
【0712】
プライマリー有効性エンドポイントについてのリサンキズマブ処置群とプラセボとの比較は、誘導ベースラインのbio-IR状態(bio-IR対non-bio-IR)、最後のIVリサンキズマブ誘導用量及び研究M16-067の最後の来診からのAdapted Mayoスコアによる臨床的寛解(中央の読取りによる)によって層別したコクランマンテルヘンツェル(CMH)重みを付けた両側Miettinen and Nurminen(MN)検定を使用して実施した。欠失した全てのプライマリー有効性エンドポイントについて、非応答者補完法(NRI)を一次補完法として使用した。
【0713】
一般に、混合効果モデル反復測定(MMRM)を使用して、連続セカンダリー有効性変数を分析した。
【0714】
層別変数について制御するCMH検定を使用して、カテゴリカルセカンダリー有効性変数を分析した。欠失したデータについてのNRI及び観察された症例を使用した。
【0715】
薬物動態及び免疫原性:
リサンキズマブ血清濃度は、それぞれの時点でそれぞれの投薬レジメンについて記述統計学を使用してまとめた。
【0716】
ADAの発生率はコホート及び研究来診によってまとめた。ADA力価は、それぞれの対象についてそれぞれの研究来診において表にした。
【0717】
安全性:
処置下で発現した有害事象(TEAE)、検査データ及びバイタルサインが、本研究における一次安全性パラメーターであった。全ての安全性比較は、安全性分析セットを使用して処置群の間で実施した。
【0718】
重篤な感染、悪性腫瘍、主要な有害心臓血管事象、全身性過敏反応/注入反応、死をもたらすTEAE及び尚早な中止をもたらすTEAE、医薬品規制用語集(MedDRA バージョン18.1又はそれ以降)基本語及び器官別大分類によるTEAE、研究薬との最大の関連によるTEAE及び最大の重篤度によるTEAEなどの特別の関心のあるTEAEを含むTEAEの概略を、数及びパーセンテージによってまとめた。TEAEの全体の発生率における処置群の相違は、基本語についてのフィッシャーの正確確率検定によって査定した。
【0719】
検査データの変化を、統計的特性を使用して記述し、処置群で比較した。比較は、一元配置分散分析(ANOVA)を使用して実施した。さらに、異常値についてはシフト表及びリストを提供し、それにより、正常範囲の分析検査値を使用した。バイタルサインも同様に分析した。
【0720】
[実施例11] UC誘導研究M16-067(第2b相)の結果
1.0 要旨:
M16-067は、以前の生物学的療法が失敗した中程度から重度の活動性潰瘍性大腸炎(UC)の対象におけるリサンキズマブの安全性及び有効性を査定するために設計された操作上シームレスな第2b/3相研究であった。M16-067の第2b相研究は、プロトコールの第3相部分におけるさらなる研究のための最適な誘導用量を特定するために設計された。0週、4週及び8週における600mg、1200mg及び1800mgの用量のIVリサンキズマブを評価した。プライマリーエンドポイントは12週で分析した。3つの用量全てが、プラセボと比較して高い臨床的寛解率を示した。全体の安全性プロファイルは、用量依存性なしに、リサンキズマブの公知の安全性プロファイルと一致した。
【0721】
有効性:
12週におけるAdapted Mayoスコア(プライマリーエンドポイント)による臨床的寛解の割合は、プラセボ、リサンキズマブ600mg、1200mg及び1800mgの群において、それぞれ1.7%、8.2%、11.5%及び8.6%であった。Multiple Comparison Procedure-Modeling(MCP-Mod)法に基づき、予め特定された用量応答モデルは統計的に有意ではなかった。全てのリサンキズマブ用量は、プラセボと比較して高い寛解率を達成した。1200mgと1800mgの群の両方は、ペアワイズ比較に基づく名目p値<0.1(両側)を達成した。
【0722】
3つ全てのリサンキズマブ用量群は、12週でFull Mayoスコアによる臨床的寛解、Adapted Mayoスコアによる臨床的応答、内視鏡的寛解及びIBDQのベースラインからの変化についてプラセボと比較して高い応答率を達成した。
【0723】
安全性:
AE、重大なAE、重篤なAE及び中止に至るAEの全体の発生率は一般に、異なる処置群の間で均衡しており、AE、SAE、感染又は重大な感染における曝露による悪化はなかった。
【0724】
新たな安全性のリスクは特定されず、全体の安全性プロファイルはリサンキズマブの公知の安全性プロファイルと一致した。
【0725】
薬物動態及び免疫原性:
リサンキズマブは評価した3つの用量にわたる曝露において用量依存性の増加を示し、以前の研究から予想される直線状のPKを示した。
【0726】
リサンキズマブに対する免疫原性は低く(約1%の対象が処置下で発現した抗リサンキズマブ抗体又は中和抗体を発現した。)、用量依存性及び曝露への影響はなかった。
【0727】
2.0 人口統計、ベースラインの特徴及び対象の素性
重要な人口統計及びベースラインの特性は一般に、処置群間で均衡していた。
【0728】
下位研究4では合計で240人の対象を無作為化し、全てが研究薬を受けた。中止率はリサンキズマブ群で一般に低かった(10%未満)。最大の中止率はプラセボ群で観察された(11.7%)。
【0729】
3.0 有効性
3.1 ペアワイズ比較
ペアワイズ比較において、全てのリサンキズマブ用量がプラセボと比較して高い寛解率を達成した。1200mgと1800mgの群の両方が名目p値<0.1を達成した。表6を参照されたい。選択したセカンダリーエンドポイントの結果を表7に提示する。
【0730】
【表18】
【0731】
【表19】
【0732】
経時的なPartial Adapted Mayoスコアにおける90%信頼区間のベースラインからの平均変化(図23)を提示する。
【0733】
4.0 安全性
4.1 有害事象
AE、重大なAE、重篤なAE及び中止に至るAEの全体の発生率は一般に、処置群間で均衡していた。
【0734】
AE、SAE、感染又は重大な感染における曝露による悪化はなかった。
【0735】
リサンキズマブで処置された全ての対象の中で、対象の5%以上によって報告されたAEは鼻咽頭炎(6.1%)及び頭痛(5%)であり、プラセボと同様の割合であった。
【0736】
リサンキズマブで処置された対象において全部で5例の重大な感染が報告された。重大な感染の型に対する傾向はなかった。
【0737】
研究において、死亡、活動性結核、悪性腫瘍、裁決されたアナフィラキシー反応又は裁決されたMACEの事象は報告されなかった。
【0738】
4.2 安全性パラメーターについての曝露-応答分析
全AE、重大なAE、全感染又は重大な感染における曝露依存性の悪化はなかった。
【0739】
5.0 薬物動態及び免疫原性
リサンキズマブは評価した3つの用量にわたる曝露において用量依存性の増加を示し、時間依存性のない直線状PKを示した。
【0740】
リサンキズマブに対する免疫原性は低く(12週までにそれぞれ1.1%及び0.5%の対象が処置下で発現した抗リサンキズマブ抗体又は中和抗体を発現した。)、用量依存性及び曝露への影響はなかった。
【0741】
7.0 追加の記載及び結果
7.1 薬物動態及び免疫原性の結果
7.1.1 薬物動態の結果を図24に示す。
7.1.2 免疫原性の結果を表8に示す。
【0742】
【表20】
【0743】
上記の詳細な説明及び付随する実施例は説明のためのみであって、本発明の範囲に対する限定とみなすべきではなく、本発明の範囲は添付した特許請求の範囲及びそれらの等価物によってのみ定義されることが理解される。
【0744】
開示した実施形態に対する種々の変更及び改変は、当業者には明白となる。本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成物、製剤又は使用方法に関する変更及び改変を限定なく含むそのような変更及び改変は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行うことができる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【配列表】
2024501900000001.app
【国際調査報告】