(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】固相抽出材料及びその製造方法並びに応用
(51)【国際特許分類】
C08F 8/00 20060101AFI20240110BHJP
C08F 8/32 20060101ALI20240110BHJP
C08F 8/06 20060101ALI20240110BHJP
C08F 8/36 20060101ALI20240110BHJP
C08F 257/02 20060101ALI20240110BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20240110BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20240110BHJP
B01D 15/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C08F8/00
C08F8/32
C08F8/06
C08F8/36
C08F257/02
B01J20/30
B01J20/26 G
B01D15/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555896
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(85)【翻訳文提出日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 CN2022091097
(87)【国際公開番号】W WO2023082566
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】202111347253.2
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515190906
【氏名又は名称】南京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】チョウ チン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ジーアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ジュンシア
(72)【発明者】
【氏名】チェン ユーロン
(72)【発明者】
【氏名】レイ チョンティアン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ランチウ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ウェイウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン リービン
【テーマコード(参考)】
4D017
4G066
4J026
4J100
【Fターム(参考)】
4D017AA01
4D017BA03
4D017CA13
4D017CA17
4D017CB01
4D017DA03
4D017EA05
4G066AA47D
4G066AB03A
4G066AB12A
4G066AB13D
4G066AC14B
4G066BA20
4G066BA26
4G066CA11
4G066DA07
4G066FA03
4G066FA08
4G066FA09
4G066FA21
4G066FA31
4G066FA34
4G066FA37
4J026AA17
4J026AA18
4J026BA07
4J026BA40
4J026DA03
4J026DA13
4J026DB04
4J026DB13
4J026EA09
4J026GA02
4J100HA01
4J100HA55
4J100HB34
4J100HB36
4J100HB38
4J100HB50
4J100HB52
4J100HC44
4J100HC45
4J100HE05
4J100HG07
4J100JA18
(57)【要約】
固相抽出材料及びその製造方法並びに応用に関し、固相抽出の分野に属する。方法は、モノマーであるN-ビニルピロリドンとジビニルベンゼンを、連鎖移動剤の存在下で予備重合させた後、単分散シードミクロスフェアのエマルジョンに滴下し、さらに膨潤させ、反応させて白球を製造し、官能基を導入した反応によって、前記白球から固相抽出材料を得る。反応させて得られた固相抽出材料は、球体形成形状が良好で、比表面積が大きく、イオン交換容量が高い。製造された固相抽出材料はPPCPsの分離、濃縮過程において、物質に多種の作用力が相乗作用し、抽出効率が高い。溶離中に溶離液のpHを調整することにより、物質又は抽出材料の電離程度を制御し、さらに物質を選択的に分離できる。抽出実験結果から、製造された固相抽出材料による物質の抽出回収率が基本的に85%~105%に維持され、酸性、アルカリ性、中性及び両性の物質を選択的に分離できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマーであるN-ビニルピロリドンとジビニルベンゼンを、連鎖移動剤の存在下で予備重合させた後、単分散シードミクロスフェアのエマルジョンに滴下し、さらに膨潤させ、反応させて白球を製造するステップを行い、官能基を導入した反応によって、前記白球から固相抽出材料を得るステップを含むことを特徴とする、固相抽出材料の製造方法。
【請求項2】
前記予備重合は、具体的に、モノマーであるN-ビニルピロリドンとジビニルベンゼン、乳化剤、ラジカル開始剤、連鎖移動剤を水相に添加した後、超音波強化分散を行ってエマルジョンBを得るステップと、エマルジョンBを所定の温度で予備重合させるステップと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の固相抽出材料の製造方法。
【請求項3】
前記モノマーであるN-ビニルピロリドンとジビニルベンゼンの質量比は(1~81):9であることを特徴とする、請求項1に記載の固相抽出材料の製造方法。
【請求項4】
前記乳化剤の質量はモノマーの総質量の0.1~20%であり、前記ラジカル開始剤の質量はモノマーの総質量の0.5%~4%であり、前記ラジカル開始剤と連鎖移動剤のモル比は1:(1~2.8)であることを特徴とする、請求項2に記載の固相抽出材料の製造方法。
【請求項5】
前記エマルジョンBの予備重合温度は45~55℃であり、エマルジョンBの予備重合時間は1~24hであり、前記膨潤の温度は0~30℃であり、前記膨潤の時間は4~48hであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の固相抽出材料の製造方法。
【請求項6】
具体的に、
スチレンとジビニルベンゼンを所定の割合で混合して油相とし、エタノールと水の混合物を水相とし、水相に分散剤及びラジカル開始剤を添加し、分散重合反応によって単分散シードミクロスフェアを製造し、分散剤、乳化剤が溶解した水相に前記単分散シードミクロスフェアを添加し、膨潤剤、ポロゲンを添加し、超音波強化分散を行ってエマルジョンAを得る、単分散シードミクロスフェア製造ステップS1と、
モノマーであるN-ビニルピロリドンとジビニルベンゼン、乳化剤、ラジカル開始剤、連鎖移動剤を水相に添加した後、超音波強化分散を行ってエマルジョンBを得、エマルジョンBを所定の温度で予備重合させた後、前記単分散シードミクロスフェアのエマルジョンAに滴下し、低温で膨潤させてから徐々に昇温させ、十分に反応させた後に排出し、洗浄、乾燥を行い、白球を得る、白球製造ステップS2と、
官能基を導入した反応によって、前記白球から固相抽出材料を得る、固相抽出材料製造ステップS3と、を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の固相抽出材料の製造方法。
【請求項7】
前記ステップS1又はS2におけるラジカル開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソヘプトニトリル、アゾビスイソ酪酸ジメチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、アゾビスイソブチルイミダゾリン塩酸塩、過酸化ジベンゾイル、過酸化ベンゾイルのうちの1つ又は複数であり、及び/又は
前記ステップS1又はS2における乳化剤は、アニオン性乳化剤であるドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、脂肪酸石鹸のうちの1つ又は複数であり、及び/又は
前記ステップS1における分散剤は、ポリエチレングリコール、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリビニルピロリドンのうちの1つ又は複数であり、前記ポロゲンは、トルエン、キシレン、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、アセトン、ノルマルヘキサンのうちの1つ又は複数であり、及び/又は
前記ステップS1における膨潤剤は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロエタン、トリクロロメタン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルのうちの1つ又は複数であり、及び/又は前記ステップS1における水相中の水とエタノールの質量比は(15:85)~(85:15)であり、油相と水相の質量比は(25:75)~(75:25)であり、及び/又は
前記ステップS1における分散剤の添加割合はモノマーの質量の2%~10%であり、及び/又は
前記ステップS1における開始剤の添加割合はモノマーの質量の0.5%~4%であり、及び/又は
前記ステップS1における分散重合反応の温度は60~95℃に制御され、及び/又は
前記ステップS1における単分散シードミクロスフェアと膨潤剤の質量比は(1:2)~(1:10)であり、及び/又は
前記ステップS1における膨潤剤とポロゲンの質量比は1:1であり、及び/又は
前記ステップS1におけるエマルジョンA中の単分散シードミクロスフェアの質量は、水相の総質量の1%~5%であり、及び/又は
前記ステップS1における単分散シードミクロスフェアは分散剤、乳化剤が溶解した水相に添加され、分散剤と乳化剤の質量は、それぞれ単分散シードミクロスフェアの質量の0.2%~25%と0.1%~20%であり、及び/又は
前記ステップS2における連鎖移動剤は、2-[ドデシルチオ(チオカルボニル)チオ]-2-メチルプロピオン酸、イソブチロニトリルジチオベンゾエート、2-シアノプロパン-2-イルベンゾジチオエート、S,S’-ビス(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネート、S,S’-p-(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネート、S-1-ドデシル-S’(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネートのうちの1つ又は複数であることを特徴とする、請求項6に記載の固相抽出材料の製造方法。
【請求項8】
前記ステップS3における官能基を導入した反応は、アミノ化試薬でアミン基を有する強カチオン又は弱カチオン交換固相抽出材料を製造する反応、又は酸化試薬でカルボキシル基を有する弱アニオン交換固相抽出材料を製造する反応、又はスルホン化試薬でスルホン酸基を有する強アニオン交換固相抽出材料を製造する反応を含み、
前記アミノ化試薬は、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルブチルアミン、N-メチルイミダゾール、1,2-エチレンジアミン、ピペラジンのうちの1つ又は複数であり、
前記酸化試薬は、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、酸化アルミニウムのうちの1つ又は複数であり、
前記スルホン化試薬は、濃硫酸、クロロスルホン酸、スルファミン酸のうちの1つ又は複数であることを特徴とする、請求項7に記載の固相抽出材料の製造方法。
【請求項9】
前記固相抽出材料は、アミン基を有する強カチオン又は弱カチオン交換固相抽出材料、カルボキシル基を有する弱アニオン交換固相抽出材料又はスルホン酸基を有する強アニオン交換固相抽出材料を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の固相抽出材料の製造方法で製造された固相抽出材料。
【請求項10】
水中の微量汚染物及び荷電汚染物の抽出、濃縮における請求項9に記載の固相抽出材料の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固相抽出の分野に属し、具体的には、一連の粒径が均一な補強型固相抽出材料の製造方法及び応用に関する。
【背景技術】
【0002】
固相抽出充填材の性能は抽出効率に影響するキーとなり、固相抽出充填材に含まれる官能基は作用力により化合物の濃縮が可能であり、固相抽出充填材は、分子ポリマーマトリックス、結合シリカゲル、無機金属酸化物及び他の補強型固相抽出充填材に分けられてもよく、なかでも、補強型固相抽出充填材は、多種の作用力による化合物の抽出を実現する多種の官能基を有するため、応用範囲が単一の官能基による固相抽出カラムよりも広い。補強型吸着剤は、イオンとの相互作用により分析物を抽出するとともに、疎水と親水の相互作用により非荷電物質を効果的に保持するため、複合型保持パターンのものである。クロマトグラフィー測定の前に、これらの物理的及び化学的性質の差異が非常に大きな物質は異なる溶離液で溶離し得る。補強型イオン交換ポリマーは、結合するイオン基に応じて、補強型カチオン交換吸着剤と補強型アニオン交換吸着剤に分けられてもよく、さらに、結合する基の強さに応じて、強イオン交換吸着剤と弱イオン交換吸着剤に分けられてもよい。
【0003】
Waters社のHLB固相抽出カートリッジは、その親疎水性骨格によって、水中の微量有機物の濃縮、分離に広く応用されているが、多くの有機物、特に水溶液中の荷電物質に対する抽出回収率が低い。このため、Waters社は、N-ビニルピロリドン-ジビニルベンゼンの親疎水性骨格を有し、且つそれぞれ結合したスルホン酸、第4級アミン、カルボン酸、ピペラジニル基を有し、水中の負荷電、正荷電の有機物に優れた抽出効果を示すことを特徴とする、MCX、MAX、WCX、WAX等の一連の補強型製品を補足品として発売した。しかし、関連製品の製造プロセスはいずれも開示されていない。
【0004】
シード膨潤重合法は、親疎水性骨格を効果的に結合させる重要な方法であり、また、該方法は製造されたミクロスフェアの単分散性を確保することもでき、充填材の粒径の均一度を効果的に確保した。しかしながら、現在、シード重合は、親水親油材料の製造において一定の問題がまだ存在する。例えば、中国特許公開番号CN 102382227Aの特許文献に記載されるように、シード膨潤重合法で粒径が均一なN-ビニルピロリドンとジビニルベンゼンの単分散ミクロスフェアが製造されたが、N-ビニルピロリドンは強い親水性を有するため、膨潤重合反応に関与する割合が制御できず、得られたポリマーミクロスフェアの多くは疎水性物質であるジビニルベンゼンの自己重合したものであり、さらに生成物の良好な親水性を確保することができず、それを前駆体として変性充填材を製造する場合、経済的でなく、且つ抽出性が好ましくない。このため、粒径が均一なMCX、MAX、WCX、WAXを如何に製造するかは、現在、水中の微量有機物の効率よい前処理において早急な突破が求められている重要な技術的難題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来のシード膨潤重合技術における親水性モノマーであるN-ビニルピロリドンの膨潤重合反応に関与する割合が制御できないという欠点を克服することであり、二段膨潤重合の前に予備重合プロセスを追加することで、親水性物質であるN-ビニルピロリドンは最終的な重合に関与する前に、疎水性モノマーであるジビニルベンゼンとプレポリマーミセルが形成されており、疎水性を有するようになるため、化学構造が類似した物質同士は相溶性が高いという経験則により、活性化剤であるフタル酸ジブチル(DBP)に入ることができ、さらに、親水性物質であるN-ビニルピロリドンは最終的な重合反応に十分に関与し、親水性モノマーであるN-ビニルピロリドンとジビニルベンゼンの十分な重合が実現され、両親媒性の樹脂ミクロスフェアの新規な重合手段を提供する。
【0006】
本発明の別の目的は、上述した製造方法で一連の粒径が均一な補強型固相抽出材料を成功に得ることである。
【0007】
本発明のさらに別の目的は、水中の酸性、アルカリ性、中性及び両性の微量汚染物に優れた検出又は選択的分離の効果を示す、上記固相抽出材料の応用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明が採用する技術的解決手段は以下のとおりである。
【0009】
固相抽出材料の製造方法であって、モノマーであるN-ビニルピロリドンとジビニルベンゼンを、連鎖移動剤の存在下で予備重合させた後、単分散シードミクロスフェアのエマルジョンに滴下し、さらに膨潤させ、反応させて白球を製造するステップを行い、官能基を導入した反応によって、前記白球から固相抽出材料を得るステップを含む。
【0010】
本発明の固相抽出材料を製造する構想は、まず、親水親油性の固相抽出ミクロスフェア、即ち白球を合成し、これに基づいてイオン交換作用を有する様々な基を導入し、一連の固相抽出充填材を製造し、そして親水親油性の骨格における基の修飾を行うことで、酸性、アルカリ性、中性、両性の物質の抽出性を対応して向上させることであり、親水性有機物の効率的な濃縮、分離に適する。
【0011】
従来技術のシード膨潤重合方法では、良好な球体形成率と収率を確保するために、通常、二段膨潤がスチレン、ジビニルベンゼン等の疎水性の高いモノマーのみに適用され、これは、単分散シードミクロスフェアはまず水中に疎水性コアとして、活性剤のフタル酸ジブチル(DBP)を吸着し、さらにDBPの疎水性を利用し、二段膨潤に関与した疎水性モノマーを吸収し、このステップでは主に化学構造が類似した物質同士は相溶性が高いという経験則を利用し、最後に開始剤等の物質が存在する条件下で、二段膨潤したモノマーをシードミクロスフェア付近に重合させるからである。この経験則はN-ビニルピロリドンのような親水性が非常に高い物質に適用できず、このような物質は水中に非常に容易に溶解され、膨潤過程において、独立の油相として体系に存在するのではなく、水相に溶解する傾向があるため、化学構造が類似した物質同士は相溶性が高いという経験則により活性化されたシードミクロスフェアで吸収され且つ付近で重合に関与することが困難であり、このため、従来技術では、一般的に、N-ビニルピロリドンのような親水性が非常に高いモノマーを使用して膨潤重合方法で親水性の固相抽出ミクロスフェアを製造することはない。それに対して、本発明では、二段膨潤重合の前に予備重合プロセスを追加し、予備重合条件を調整することで予備重合して得られた生成物の親水性を調整し、親水性モノマーであるN-ビニルピロリドンと疎水性モノマーの十分な重合を成功させ、粒径が均一であり、収率が高く且つ親水性が高い親水親油性の固相抽出ミクロスフェア前駆体(即ち白球)を得て、さらに官能基を導入した反応によって様々な性能を有する固相抽出ミクロスフェアを製造する。
【0012】
説明すべきことは、白球とは、モノマーであるN-ビニルピロリドンとジビニルベンゼンを、連鎖移動剤の存在下で予備重合させた後、単分散シードミクロスフェアのエマルジョンに滴下し、さらに膨潤、反応を行って得られた親水親油性の固相抽出ミクロスフェア前駆体をいい、該白球は官能基を導入した反応による処理が行われていない点である。
【0013】
好ましくは、前記白球の静的接触角は90°未満であり、好ましくは85°未満であり、より好ましくは80°未満であり、さらに好ましくは75°未満である。
【0014】
好ましくは、前記単分散シードミクロスフェアの粒径は1~15μmの範囲内にある。
【0015】
好ましくは、前記予備重合は、具体的に、モノマーであるN-ビニルピロリドンとジビニルベンゼン、乳化剤、ラジカル開始剤、連鎖移動剤を水相に添加した後、超音波強化分散を行ってエマルジョンBを得るステップと、エマルジョンBを所定の温度で予備重合させるステップと、を含む。
【0016】
好ましくは、前記モノマーであるN-ビニルピロリドンとジビニルベンゼンの質量比は(1~81):9である。
【0017】
好ましくは、前記乳化剤の質量はモノマーの総質量の0.1%~20%であり、前記ラジカル開始剤の質量はモノマーの総質量の0.5%~4%であり、前記ラジカル開始剤と連鎖移動剤のモル比は1:(1~2.8)である。
【0018】
好ましくは、前記予備重合プロセスにおいて、モノマーであるN-ビニルピロリドンとジビニルベンゼンの質量比は1:1であり、前記開始剤の質量はモノマーの総質量の2%であり、ラジカル開始剤と連鎖移動剤のモル比は1:1である。
【0019】
好ましくは、前記エマルジョンBの予備重合温度は45~55℃であり、エマルジョンBの予備重合時間は1~24hであり、前記膨潤の温度は0~30℃であり、前記膨潤の時間は4~48hである。
【0020】
RAFT連鎖移動剤を使用し、規則的に重合させるように親疎水性モノマーを制御するとともに、親疎水性モノマーの割合を調整し、RAFT連鎖移動剤の添加量、予備重合の温度と時間等の予備重合反応条件を制御することで、形成した両親媒性ミセルが膨潤によって、重合に関与するようにシードミクロスフェアの付近に入り、さらに粒径が均一な固相抽出ミクロスフェアの前駆体白球を製造する。
【0021】
好ましくは、製造方法は、具体的に、
スチレンとジビニルベンゼンを所定の割合で混合して油相とし、エタノールと水の混合物を水相とし、水相に分散剤及びラジカル開始剤を添加し、分散重合反応によって単分散シードミクロスフェアを製造し、分散剤、乳化剤が溶解した水相に前記単分散シードミクロスフェアを添加し、且つ膨潤剤、ポロゲンを添加し、超音波強化分散を行ってエマルジョンAを得る単分散シードミクロスフェア製造ステップS1と、
モノマーであるN-ビニルピロリドンとジビニルベンゼン、乳化剤、ラジカル開始剤、連鎖移動剤を水相に添加した後、超音波強化分散を行ってエマルジョンBを得て、エマルジョンBを所定の温度で予備重合させた後、前記単分散シードミクロスフェアのエマルジョンAに滴下し、低温で膨潤させてから徐々に昇温させ、十分に反応させた後に排出し、洗浄、乾燥を行い、白球を得る白球製造ステップS2と、
官能基を導入した反応によって、前記白球から固相抽出材料を得る固相抽出材料製造ステップS3と、を含む。
【0022】
好ましくは、前記ステップS1において、分散重合反応の撹拌回転数は100~1000rpmであり、分散重合反応の昇温プロセスは、1~10℃/10分で上昇させることとし、反応時間は4~12hであり、
好ましくは、ステップS2において、エマルジョンBを所定の温度で予備重合させた後、前記単分散シードミクロスフェアのエマルジョンAに滴下し、低温で膨潤させてから徐々に昇温させ、この時の反応回転数は100~800rpmであり、昇温プロセスは、1~10℃/30分で上昇させることとし、反応時間が4~48hであり、
好ましくは、前記ステップS1又はS2におけるラジカル開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソヘプトニトリル、アゾビスイソ酪酸ジメチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、アゾビスイソブチルイミダゾリン塩酸塩、過酸化ジベンゾイル、過酸化ベンゾイルのうちの1つ又は複数であり、前記ステップS1又はS2における乳化剤は、アニオン性乳化剤であるドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、脂肪酸石鹸のうちの1つ又は複数であり、及び/又は
前記ステップS1における分散剤は、ポリエチレングリコール、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリビニルピロリドンのうちの1つ又は複数であり、前記ポロゲンは、トルエン、キシレン、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、アセトン、ノルマルヘキサンのうちの1つ又は複数であり、
より好ましくは、ステップS1に用いられる分散剤はポリビニルピロリドンであり、乳化剤はドデシル硫酸ナトリウムであり、開始剤はアゾビスイソブチロニトリルであり、ポロゲンはトルエンであり、及び/又は
前記ステップS1における膨潤剤は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロエタン、トリクロロメタン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルのうちの1つ又は複数であり、
前記ステップS1における水相中の水とエタノールの質量比は15:85~85:15であり、好ましくは40:60~60:40であり、より好ましくは50:50であり、油相と水相の質量比は25:75~75:25であり、好ましくは25:75であり、及び/又は
前記ステップS1における分散剤の添加割合はモノマーの質量の2%~10%であり、好ましくは2%~5%であり、より好ましくは4%であり、及び/又は
前記ステップS1における開始剤の添加割合はモノマーの質量の0.5~4%であり、好ましくは0.5%~2%であり、より好ましくは1%であり、及び/又は
前記ステップS1における分散重合反応の温度は60~95℃に制御され、及び/又は
前記ステップS1における単分散シードミクロスフェアと膨潤剤の質量比は1:2~1:10であり、及び/又は
前記ステップS1における膨潤剤とポロゲンの質量比は1:1であり、及び/又は
前記ステップS1におけるエマルジョンA中の単分散シードミクロスフェアの質量は、水相の総質量の1%~5%であり、及び/又は
前記ステップS1における単分散シードミクロスフェアは分散剤、乳化剤が溶解した水相に添加され、分散剤と乳化剤の質量は、それぞれ単分散シードミクロスフェアの質量の0.2%~25%と0.1%~20%であり、及び/又は
前記ステップS2における連鎖移動剤は、2-[ドデシルチオ(チオカルボニル)チオ]-2-メチルプロピオン酸、イソブチロニトリルジチオベンゾエート、2-シアノプロパン-2-イルベンゾジチオエート2-シアノプロパン-2-イルベンゾジチオエート、S,S’-ビス(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネート、S,S’-p-(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネート、S-1-ドデシル-S’(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネートのうちの1つ又は複数である。より好ましくは、S,S’-ビス(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネート、S,S’-p-(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネート又はS-1-ドデシル-S’(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネートである。
【0023】
好ましくは、前記ステップS3における官能基を導入した反応は、アミノ化試薬でアミン基を有する強カチオン又は弱カチオン交換固相抽出材料を製造する反応、又は酸化試薬でカルボキシル基を有する弱アニオン交換固相抽出材料を製造する反応、又はスルホン化試薬でスルホン酸基を有する強アニオン交換固相抽出材料を製造する反応を含む。
【0024】
好ましくは、アミン基を有する強カチオン又は弱カチオン交換固相抽出材料を製造する前記反応は、まずクロロメチル化試薬でクロロメチル基活性基を有する塩素球を製造し、さらにアミノ化試薬と塩素球の反応によりアミン基を有する強カチオン又は弱カチオン交換固相抽出材料を製造する反応であってもよい。
【0025】
好ましくは、前記したカルボキシル基を有する弱アニオン交換固相抽出材料を製造する反応は、まずクロロメチル化試薬でクロロメチル基活性基を有する塩素球を製造し、さらに酸化試薬でカルボキシル基を有する弱アニオン交換固相抽出材料を製造する反応であってもよい。
【0026】
好ましくは、スルホン酸基を有する強アニオン交換固相抽出材料を製造した前記反応は、白球とスルホン化試薬との直接反応であってもよい。
【0027】
つまり、
固相抽出材料製造ステップS3は、
上記白球を原料とし、クロロメチル基活性基を導入し、塩素球を得て、塩素球を原料とし、クロロメチル基をアミン基で置換して強カチオン又は弱カチオン交換固相抽出材料を得ること、又は
上記白球を原料とし、クロロメチル基活性基を導入し、塩素球を得て、塩素球を原料とし、クロロメチル基を酸化反応させて弱アニオン交換固相抽出材料を得ること、又は
上記白球を原料とし、スルホン化試薬を添加してスルホン化反応を発生させ、強アニオン交換固相抽出材料を得ることを含む。
前記クロロメチル化試薬は、クロロメチルメチルエーテル、ビス(クロロメチル)エーテル、メトキシアセチルクロリド、クロロメチルアルキルエーテルのうちの1つ又は複数である。
【0028】
前記アミノ化試薬は、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルブチルアミン、N-メチルイミダゾール、1,2-エチレンジアミン、ピペラジンのうちの1つ又は複数であり、前記アミノ化試薬の質量と塩素球の質量の比は1:1~100:1であり、好ましくは1:1~10:1である。
【0029】
前記酸化試薬は、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、酸化アルミニウムのうちの1つ又は複数であり、前記酸化試薬の質量と塩素球の質量の比は0.5:1~50:1であり、好ましくは0.5:1~20:1である。
【0030】
前記スルホン化試薬は、濃硫酸、クロロスルホン酸、スルファミン酸のうちの1つ又は複数であり、前記スルホン化試薬の質量と白球の質量の比は1:1~100:1であり、好ましくは1:1~10:1である。
【0031】
好ましくは、ステップS3において、アミノ化反応の回転数は100~800rpmであり、反応温度は40~110℃であり、反応時間は4~32hである。
【0032】
好ましくは、ステップS3において、酸化反応の回転数は100~800rpmであり、反応温度は50~150℃であり、反応時間は3~24hである。
【0033】
好ましくは、ステップS3において、スルホン化反応の回転数は100~800rpmであり、反応温度は80~140℃であり、反応時間は4~48hである。
【0034】
本発明は上記固相抽出材料の製造方法で製造された固相抽出材料をさらに提供し、前記固相抽出材料は、アミン基を有する強カチオン又は弱カチオン交換固相抽出材料、カルボキシル基を有する弱アニオン交換固相抽出材料又はスルホン酸基を有する強アニオン交換固相抽出材料を含む。
【0035】
説明すべきことは、固相抽出材料の種類によって官能基が異なり、性質の異なる物質を選択的に抽出できる点である。pKa<5.0の物質の場合、弱カチオン交換材料を選択でき、2<pKa<10の物質の場合、強アニオン交換材料を選択でき、洗浄プロセスにおいて酸溶液が添加され、溶離プロセスは二段階の溶離に分けられ、第一段階では、有機溶媒で中性物質を溶離して分離し、第二段階では、アルカリを混合した有機溶媒で溶離を行う。pKa>9の物質の場合、弱アニオン交換材料を選択でき、2<pKa<10の物質の場合、強カチオン交換材料を選択でき、洗浄プロセスにおいてアルカリ溶液が添加され、溶離プロセスは二段階の溶離に分けられ、第一段階では、有機溶媒で中性物質を溶離して分離し、第二段階では、酸を混合した有機溶媒で溶離を行う。
【0036】
上記洗浄プロセスに用いられる酸は、ギ酸、酢酸、乳酸、シュウ酸のうちの1つ又は複数であり、酸の濃度は好ましくは0.1%~25%であり、上記溶離プロセスに用いられる有機溶離剤は、メタノール、アセトニトリル、酢酸エチルのうちの1つ又は複数であり、溶離プロセスに用いられるアルカリは、アンモニア水、ジメチルアミン、トリメチルアミンのうちの1つ又は複数であり、アルカリの濃度は好ましくは0.1%~25%である。
【0037】
好ましくは、前記固相抽出材料は、平均粒径が5~100μmであり、比表面積が300~1000m2/gであり、交換容量が0.1~5mmol/gである。
【0038】
本発明は水中の微量汚染物及び荷電汚染物の抽出、濃縮における上記固相抽出材料の応用をさらに提供する。
【発明の効果】
【0039】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0040】
(1)本発明は親水性モノマーがシード膨潤方法で反応に関与するように油相に入る合成手段を提供する。RAFT連鎖移動剤を使用して親水性モノマーと疎水性モノマーを規則的に予備重合させて両親媒性ミセルを形成し、さらに膨潤に関与する構想は、本分野で全く新規な手段であり、従来技術において親水性モノマーを使用してシード膨潤方法で均一な粒径の固相抽出ミクロスフェアを製造することが困難であるという問題を解決し、且つ、本発明の製造方法で製造された粒径が均一な白球は、収率が80%以上に達することができ、良好な親水性を有し、経済的利益が高い。
【0041】
(2)本発明で製造された白球の静的接触角は90°未満であり、いくつかの実施例において、静的接触角は85°未満であり、いくつかの実施例において、静的接触角は80°未満であり、いくつかの実施例において、静的接触角は75°未満であり、親水性が良好であり且つ粒径が均一であり、後の固相抽出ミクロスフェア製造反応のための良好な前駆体である。
【0042】
(3)本発明では、反応によって白球から固相抽出ミクロスフェアを製造するプロセスにおいて、クロロメチル化とアミノ化、スルホン化、酸化の反応が比較的徹底的であり、副生成物が生成されず、且つ再現性が高く、得られた固相抽出ミクロスフェアは粒径の分布が均一であり、粒径が30~50μmであり、いずれも球状であり、且つミクロスフェアの表面に物質の移動に寄与する孔路構造が多く含まれ、材料の比表面積が大きく、イオン交換容量が高い。
【0043】
(4)本発明で製造された各固相抽出ミクロスフェア材料による対応する物質の抽出効率が高く、データの再現性が高く、且つ再利用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明の実施例1における合成ステップである。
【
図2】本発明の実施例1で製造された白球の走査型電子顕微鏡図である。
【
図3】本発明の実施例1における白球の接触角図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味であり、本明細書で使用される用語「及び/又は」は、1つ又は複数の関連する列挙された項目の任意及び全ての組合せを含む。
【0046】
実施例において具体的な条件が明記されないものは、通常の条件又はメーカから推薦した条件に応じて行われる。用いられる試薬又は機器にメーカが明記されないものは、いずれも市販品として購入できる一般的な製品である。
【0047】
本明細書に使用されるように、用語「約」は所定の用語、計量又は値と関連する柔軟性と不確かさを提供するために用いられる。当業者であれば、具体的な変量の柔軟性の度合いを容易に確定することができる。
【0048】
濃度、温度、量及び他の数値データは、本明細書において範囲の形式で示すことができる。このような範囲の形式は、便利及び簡潔のために使用されるものに過ぎないと理解すべきであり、且つ、範囲限界として明確に記載される数値だけでなく、各数値と下位範囲がいずれも明確に記載されると同様に、前記範囲に含まれる全ての単独の数値又は下位範囲も含むものとして柔軟に解釈すべきである。例えば、約1から約4.5の数値範囲は、明確に記載される1から約4.5の限界値だけでなく、単独の数字(例えば、2、3、4)と下位範囲(例えば、1から3、2から4等)も含むものと解釈すべきである。1つの数値のみが記載される範囲にも同様であり、例えば、「約4.5未満」は、全ての上述した値と範囲を含むものと解釈すべきである。また、説明される範囲又は特徴の幅に関わらず、いずれもこのような解釈を適用すべきである。
【0049】
本発明における静的接触角はDSA100型接触角測定装置で測定される。
【0050】
以下において、具体的な実施例により本発明をさらに説明する。
【0051】
実施例1
(1)単分散シードミクロスフェアの製造
15mLのエタノールと15mLの水を混合して水相とし、水相に分散剤としてポリビニルピロリドン0.4gと開始剤として過酸化ベンゾイル0.1gを添加し、60℃で完全に溶解するまで30分間撹拌し、8gのスチレンと2gのジビニルベンゼンを混合して油相とし、1滴ずつ水溶液に滴下し、均一に混合した後、3℃/10分の速度で75℃に徐々に昇温させ、撹拌速度を450~500rpmに維持し、4時間反応させた後、粒径が5~10μmの単分散シードミクロスフェアを得る。
【0052】
100mLの水溶液に分散剤としてポリビニルピロリドン0.5g、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム0.375g、2gの上記単分散シードミクロスフェア、ポロゲンとしてトルエン10g、膨潤剤としてフタル酸ジメチル10gを添加し、200Wの超音波強化分散を経てエマルジョンAを得る。
【0053】
(2)粒径が均一な白球の製造
二次重合したモノマーである10gのN-ビニルピロリドンと10gのジビニルベンゼン、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム0.375g、開始剤として過酸化ベンゾイル0.4g、RAFT連鎖移動剤としてS,S’-ビス(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネート0.46gを水相に添加した後、200Wの超音波強化分散を1時間行ってエマルジョンBを得る。エマルジョンBを50℃で2時間予備重合させた後、1滴ずつエマルジョンAに滴下し、30℃で24時間膨潤させ、その間に撹拌速度を200rpmに維持する。膨潤が終了した後、5℃/30分で溶液を80℃に昇温させ、750rpmで撹拌しながら24時間反応させる。反応した後の溶液を沈殿させ、濾過し、メタノールと水で繰り返して洗浄した後に、所定の時間真空乾燥し、粒径が均一な白球を得る。
【0054】
DSA100型接触角測定装置で測定したところ、製造された白球の静的接触角は73.28°であり、元素分析の結果によると、白球におけるN元素の含有量は2.13%であり、粒径分布は30~50μmであり、比表面積は300~1200m2/gである。
【0055】
(3)補強型固相抽出材料の製造
上記白球10gを50mLのクロロメチルメチルエーテルに添加し、触媒として塩化第二鉄3.5gを添加し、50℃、酸性の条件下で12時間反応させて活性基であるクロロメチル基を導入し、塩素球を得る。
【0056】
一定量の塩素球を質量比1:3でトリメチルアミンに添加し、60℃、300rpmの条件下で24時間反応させ、強カチオン交換固相抽出材料MAXを得る。
【0057】
一定量の塩素球を質量比1:3でジメチルアミンに添加し、70℃、300rpmの条件下で24時間反応させ、弱アニオン交換固相抽出材料WAXを得る。
【0058】
一定量の白球を質量比1:3で濃硫酸に添加し、140℃、300rpmの条件下で8時間反応させ、強アニオン交換固相抽出材料MCXを得る。
【0059】
一定量の塩素球を質量比1:3で過酸化水素に添加し、80℃、300rpmの条件下で8時間反応させ、弱カチオン交換固相抽出材料WCXを得る。
【0060】
実施例2
pH=7の条件下で中性を示す物質であるノルトリプチリン(pKa=9.7)、アミトリプチリン(pKa=9.4)、トリクロサン(pKa=8.1)と、酸性を示す物質であるイブプロフェン(pKa=4.9)、ベザフィブラート(pKa=3.6)、インドメタシン(pKa=4.5)とを選定物質として選択し、実施例1で製造された強カチオン交換固相抽出材料のMAXを選択する。
【0061】
(1)500mgの固相抽出材料を両端にスクリーンプレートを有する6mLの固相抽出カラムに充填し、それぞれ適量の上記薬剤を秤量し、メタノールで溶解して1g/Lの標準原液を調製し、それぞれ適量の標準原液を吸い取って1mg/Lの混合標準液を調製するとともに、1mg/Lの混合内部標準液を調製する。
【0062】
(2)5mLのメタノールで活性化を行い、5mLの水で固相抽出材料を洗浄した後に、固相抽出カラムに通過し、カラムの流速を10mL/minに制御し、カラムに通過した後、5mLの5%アンモニア水で固相抽出カラムを洗浄し、酸性物質を完全に電離させ、イオン状態にし、続いて、5mLのメタノール溶液で中性とアルカリ性の物質を溶離させ、最後に5mLの2%ギ酸メタノール溶液で酸性物質を溶離させ、上記各溶離液を基本的に乾燥させるまで窒素ブロー装置で吹き付けた後、アセトニトリルで1mLに定容する。
【0063】
(3)超高速液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析技術を利用して機器により検出を行い、0.1%(v/v)のギ酸水溶液とアセトニトリルを流動相として勾配溶離を行い、エレクトロスプレー陽イオンモードで多重反応モニタリング(MRM)を行い、内部標準法で定量したところ、回収率はいずれも92.4%~103.8%である。
【0064】
Waters社が販売するOasis(登録商標) MAXを選択して抽出実験を行ったところ、同一の抽出検出条件で、回収率はいずれも94.0%~102.9%である。
【0065】
実施例3
pH=7の条件下で中性を示す物質のパラセタモール(pKa=9.4)、トリクロサン(pKa=8.14)と、両性を示す物質のオフロキサシン(pKa=5.97、9.28)と、アルカリ性を示す物質のクラリスロマイシン(pKa=9.0)、エリスロマイシン(pKa=8.9)、オルメトプリム(pKa=7.11)とを選定物質として選択し、実施例1で製造された強アニオン交換固相抽出材料のMCXを選択する。
【0066】
(1)500mgの固相抽出材料を両端にスクリーンプレートを有する6mLの固相抽出カラムに充填し、それぞれ適量の上記薬物を秤量し、メタノールで溶解して1g/Lの標準原液を調製し、それぞれ適量の標準原液を吸い取って1mg/Lの混合標準液を調製するとともに、1mg/Lの混合内部標準液を調製する。
【0067】
(2)5mLのメタノールで活性化を行い、5mLの水で固相抽出材料を洗浄した後に、固相抽出カラムに流し、流速を10mL/minに制御し、カラムに通過した後、5mLの2%ギ酸で固相抽出カラムを洗浄し、アルカリ性物質を完全に電離させ、イオン状態にし、続いて5mLのメタノール溶液を中性と酸性の物質で溶離し、最後に5mLの5%アンモニア水メタノール溶液で酸性物質を溶離し、上記各溶離液を基本的に乾燥させるまで窒素ブロー装置で吹き付けた後、アセトニトリルで1mLに定容する。
【0068】
(3)超高速液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析技術を利用して機器により検出を行い、0.1%(v/v)のギ酸水溶液とアセトニトリルを流動相として勾配溶離を行い、エレクトロスプレー陽イオンモードで多重反応モニタリング(MRM)を行い、内部標準法で定量したところ、回収率はいずれも89.2%~103.1%である。
【0069】
Waters社が販売するOasis(登録商標) MCXを選択して抽出実験を行ったところ、同一の抽出検出条件で、回収率はいずれも84.4%~98.9%である。
【0070】
実施例4
pH=7の条件下で中性を示す物質であるスルファグアニジン(pKa=2.22,11.22)と、酸性を示す物質であるケトプロフェン(pKa=4.5)、サリチル酸(pKa=3.0)、スルファメトキサゾール(pKa=1.6、5.7)とを選定物質として選択し、実施例1で製造された弱カチオン交換固相抽出材料のWAXを選択する。
【0071】
(1)500mgの固相抽出材料を両端にスクリーンプレートを有する6mLの固相抽出カラムに充填し、それぞれ適量の上記薬物を秤量し、メタノールで溶解して1g/Lの標準原液を調製し、それぞれ適量の標準原液を吸い取って1mg/Lの混合標準液を調製するとともに、1mg/Lの混合内部標準液を調製する。
【0072】
(2)5mLのメタノールで活性化を行い、5mLの水で固相抽出材料を洗浄した後に、固相抽出カラムに流し、流速を10mL/minに制御し、カラムに通過した後、5mLの2%ギ酸で固相抽出カラムを洗浄し、固相抽出材料における基を電離させ、イオン状態にし、続いて5mLのメタノール溶液で中性とアルカリ性の物質を溶離させ、最後に5mLの5%アンモニア水メタノール溶液で酸性物質を溶離し、上記各溶離液を基本的に乾燥させるまで窒素ブロー装置で吹き付けた後、アセトニトリルで1mLに定容する。
【0073】
(3)超高速液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析技術を利用して機器により検出を行い、0.1%(v/v)のギ酸水溶液とアセトニトリルを流動相として勾配溶離を行い、エレクトロスプレー陽イオンモードで多重反応モニタリング(MRM)を行い、内部標準法で定量したところ、回収率はいずれも85.2%~101.8%である。
【0074】
Waters社が販売するOasis(登録商標) WAXを選択して抽出実験を行ったところ、同一の抽出検出条件で、回収率はいずれも86.8%~100.2%である。
【0075】
実施例5
pH=7の条件下で中性を示す物質であるクロラムフェニコール(pKa=11.0)、カルバマゼピン(pKa=13.94)、フロルフェニコール(pKa=10.73)と、アルカリ性を示す物質であるアミトリプチリン(pKa=9.4)、アテノロール(pKa=9.6)、サルブタモール(pKa=10.3)とを選定物質として選択し、実施例1で製造された弱アニオン交換固相抽出材料のWCXを選択する。
【0076】
(1)500mgの固相抽出材料を両端にスクリーンプレートを有する6mLの固相抽出カラムに充填し、それぞれ適量の上記薬物を秤量し、メタノールで溶解して1g/Lの標準原液を調製し、それぞれ適量の標準原液を吸い取って1mg/Lの混合標準液を調製するとともに、1mg/Lの混合内部標準液を調製する。
【0077】
(2)5mLのメタノールで活性化を行い、5mLの水で固相抽出材料を洗浄した後に、固相抽出カラムに流し、流速を10mL/minに制御し、カラムに通過した後、5mLの5%アンモニア水で固相抽出カラムを洗浄し、固相抽出材料における基を電離させ、イオン状態にし、続いて5mLのメタノール溶液を中性と酸性の物質で溶離し、最後に5mLの2%ギ酸メタノール溶液でアルカリ性物質を溶離し、上記各溶離液を基本的に乾燥させるまで窒素ブロー装置で吹き付けた後、アセトニトリルで1mLに定容する。
【0078】
(3)超高速液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析技術を利用して機器により検出を行い、0.1%(v/v)のギ酸水溶液とアセトニトリルを流動相として勾配溶離を行い、エレクトロスプレー陽イオンモードで多重反応モニタリング(MRM)を行い、内部標準法で定量したところ、回収率はいずれも91.9%~105.2%である。
【0079】
Waters社が販売するOasis(登録商標) WCXを選択して抽出実験を行ったところ、同一の抽出検出条件で、回収率はいずれも91.6%~104.6%である。
【0080】
実施例6
本実施例では、RAFT連鎖移動剤のS,S’-ビス(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネートの添加量が0.69gである以外、実施例1の白球の製造方法と同様にして、白球を製造する。
【0081】
この方法で製造された白球は静的接触角が79.71°であり、N元素の含有量が1.10%であり、粒径分布が20~100μmである。
【0082】
実施例7
本実施例では、RAFT連鎖移動剤のS,S’-ビス(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネートの添加量が0.92gである以外、実施例1の白球の製造方法と同様にして、白球を製造する。
【0083】
この方法で製造された白球は静的接触角が87.53°であり、元素分析結果によると、N元素の含有量が0.9%であり、粒径分布が20~100μmである。
【0084】
実施例8
本実施例では、RAFT連鎖移動剤のS,S’-ビス(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネートの添加量が1.15gである以外、実施例1の白球の製造方法と同様にして、白球を製造する。
【0085】
この方法で製造された白球は静的接触角が84.41°であり、N元素の含有量が1.24%であり、粒径分布が20~200μmである。
【0086】
実施例9
本実施例では、エマルジョンBを50℃で予備重合させる時間が1時間である以外、実施例1の白球の製造方法と同様にして、白球を製造する。
【0087】
この方法で製造された白球は静的接触角が89.87°であり、N元素の含有量が0.77%であり、粒径分布が20~200μmである。
【0088】
実施例10
本実施例では、エマルジョンBを50℃で予備重合させる時間が3時間である以外、実施例1の白球の製造方法と同様にして、白球を製造する。
【0089】
この方法で製造された白球は静的接触角が89.00°であり、N元素の含有量が0.49%であり、粒径分布が20~200μmである。
【0090】
実施例11
本実施例では、RAFT連鎖移動剤がS-1-ドデシル-S’(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネート(0.46g)である以外、実施例1の白球の製造方法と同様にして、白球を製造する。
【0091】
この方法で製造された白球は静的接触角が84.00°であり、N元素の含有量が1.55%であり、粒径分布が20~200μmである。
【0092】
実施例12
本実施例では、RAFT連鎖移動剤がS,S’-p-(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネート(0.46g)である以外、実施例1の白球の製造方法と同様にして、白球を製造する。
【0093】
この方法で製造された白球は静的接触角が84.89°であり、N元素の含有量が0.49%であり、粒径分布が20~200μmである。
【0094】
比較例1
本比較例では、RAFT連鎖移動剤がN-メチル-N-フェニルジチオカルバミン酸シアノメチル(0.46g)である以外、実施例1の白球の製造方法と同様にして、白球を製造する。
【0095】
この方法で製造された白球は静的接触角が96.06°であり、N元素の含有量が0.22%であり、粒径分布が1~200μmである。接触角が90°より大きく、疎水性接触角となり、且つN元素の含有量が極めて低いため、得られたポリマーミクロスフェアの多くは疎水性物質であるジビニルベンゼンの自己重合したものであると判断し、親水性物質であるN-ビニルピロリドンが重合に十分に関与せず、反応に失敗した。
【0096】
比較例2
本比較例では、エマルジョンBの予備重合温度が40℃である以外、実施例1の白球の製造方法と同様にして、白球を製造する。
【0097】
この方法で製造された白球は静的接触角が108.33°であり、N元素の含有量が0であり、粒径分布が1~200μmである。接触角が90°より大きく、疎水性接触角となり、且つN元素の含有量が0であるため、得られたポリマーミクロスフェアの多くは疎水性物質であるジビニルベンゼンの自己重合したものであると判断し、親水性物質であるN-ビニルピロリドンが重合に関与せず、反応に失敗した。
【0098】
比較例3
本比較例では、エマルジョンBの予備重合温度が60℃である以外、実施例1の白球の製造方法と同様にして、白球を製造する。
【0099】
この方法で製造された白球は静的接触角が107.08°であり、N元素の含有量が0であり、粒径分布が1~200μmである。接触角が90°より大きく、疎水性接触角となり、且つN元素の含有量が0であるため、得られたポリマーミクロスフェアの多くは疎水性物質であるジビニルベンゼンの自己重合したものであると判断し、親水性物質であるN-ビニルピロリドンが重合に関与せず、反応に失敗した。
【0100】
比較例4
本比較例では、RAFT連鎖移動剤であるS,S’-ビス(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネートの添加量が0.23gである以外、実施例1の白球の製造方法と同様にして、白球を製造する。
【0101】
この方法で製造された白球は静的接触角が99.52°であり、且つN元素の含有量が0.47%であり、粒径分布が1~200μmである。接触角が90°より大きく、疎水性接触角となり、且つN元素の含有量が極めて低いため、得られたポリマーミクロスフェアの多くは疎水性物質であるジビニルベンゼンの自己重合したものであると判断し、親水性物質であるN-ビニルピロリドンが重合に十分に関与せず、反応に失敗した。
【0102】
比較例5
(1)単分散シードミクロスフェアの製造
15mLのエタノールと15mLの水を混合して水相とし、水相に分散剤としてポリビニルピロリドン0.4gと開始剤として過酸化ベンゾイル0.1gを添加し、60℃で完全に溶解するまで30分間撹拌し、8gのスチレンと2gのジビニルベンゼンを混合して油相とし、1滴ずつに水溶液に滴下し、均一に混合した後、3℃/10分の速度で75℃に徐々に昇温させ、撹拌速度を450~500rpmに維持し、4時間反応させた後、粒径が5~10μmの単分散シードミクロスフェアを得る。
【0103】
100mLの水溶液に分散剤としてポリビニルピロリドン0.5g、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム0.375g、2gの上記単分散シードミクロスフェア、ポロゲンとしてトルエン10g、膨潤剤としてフタル酸ジメチル10gを添加し、200Wの超音波強化分散を経てエマルジョンAを得る。
【0104】
(2)粒径が均一な白球の製造
二次重合したモノマーである10gのN-ビニルピロリドンと10gのジビニルベンゼン、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム0.375g、開始剤として過酸化ベンゾイル0.4gを水相に添加した後、200Wの超音波強化分散を1時間行ってエマルジョンBを得、エマルジョンBを1滴ずつにエマルジョンAに滴下し、その間に撹拌速度を200rpmに維持する。膨潤が終了した後、5℃/30分で上昇するように溶液を80℃に昇温させ、750rpmで撹拌しながら24時間反応させる。反応した後の溶液を沈殿させ、濾過し、メタノールと水で繰り返して洗浄した後に、一定の時間真空乾燥し、粒径が均一な白球を得る。
【0105】
この方法(予備重合を行わない)で製造された白球は静的接触角が100.97°であり、且つN元素の含有量が0であり、粒径分布が1~200μmである。接触角が90°より大きく、疎水性接触角となり、且つN元素の含有量が0であるため、得られたポリマーミクロスフェアの多くは疎水性物質であるジビニルベンゼンの自己重合したものであると判断し、親水性物質であるN-ビニルピロリドンが重合に関与せず、反応に失敗した。以上の内容は、本発明及びその実施形態を例示的に説明したものであり、限定的なものではなく、実施例で示したものは本発明の実施形態の1つに過ぎず、実際の実施形態がこれに限定されない。このため、当業者がその示唆を受けて、本発明の創造趣旨から逸脱することなく、創造的な労力を要することなく設計した、該技術的解決手段と同様の実施形態及び実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属するものとする。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマーであるN-ビニルピロリドンとジビニルベンゼンを、連鎖移動剤の存在下で予備重合させた後、単分散シードミクロスフェアのエマルジョンに滴下し、さらに膨潤させ、反応させて白球を製造するステップを行い、官能基を導入した反応によって、前記白球から固相抽出材料を得るステップを含むことを特徴とする、固相抽出材料の製造方法。
【請求項2】
前記予備重合は
、モノマーであるN-ビニルピロリドンとジビニルベンゼン、乳化剤、ラジカル開始剤、連鎖移動剤を水相に添加した後、超音波強化分散を行ってエマルジョンBを得るステップと、エマルジョンBを所定の温度で予備重合させるステップと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の固相抽出材料の製造方法。
【請求項3】
前記モノマーであるN-ビニルピロリドンとジビニルベンゼンの質量比は(1~81):9であることを特徴とする、請求項1に記載の固相抽出材料の製造方法。
【請求項4】
前記乳化剤の質量はモノマーの総質量の0.1~20%であり、前記ラジカル開始剤の質量はモノマーの総質量の0.5%~4%であり、前記ラジカル開始剤と連鎖移動剤のモル比は1:(1~2.8)であることを特徴とする、請求項2に記載の固相抽出材料の製造方法。
【請求項5】
前記エマルジョンBの予備重合温度は45~55℃であり、エマルジョンBの予備重合時間は1~24hであり、前記膨潤の温度は0~30℃であり、前記膨潤の時間は4~48hであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の固相抽出材料の製造方法。
【請求項6】
スチレンとジビニルベンゼンを所定の割合で混合して油相とし、エタノールと水の混合物を水相とし、水相に分散剤及びラジカル開始剤を添加し、分散重合反応によって単分散シードミクロスフェアを製造し、分散剤、乳化剤が溶解した水相に前記単分散シードミクロスフェアを添加し、膨潤剤、ポロゲンを添加し、超音波強化分散を行ってエマルジョンAを得る、単分散シードミクロスフェア製造ステップS1と、
モノマーであるN-ビニルピロリドンとジビニルベンゼン、乳化剤、ラジカル開始剤、連鎖移動剤を水相に添加した後、超音波強化分散を行ってエマルジョンBを得、エマルジョンBを所定の温度で予備重合させた後、前記単分散シードミクロスフェアのエマルジョンAに滴下し、低温で膨潤させてから徐々に昇温させ、十分に反応させた後に排出し、洗浄、乾燥を行い、白球を得る、白球製造ステップS2と、
官能基を導入した反応によって、前記白球から固相抽出材料を得る、固相抽出材料製造ステップS3と、を含むことを特徴とする、請求項
1に記載の固相抽出材料の製造方法。
【請求項7】
前記ステップS1又はS2におけるラジカル開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソヘプトニトリル、アゾビスイソ酪酸ジメチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、アゾビスイソブチルイミダゾリン塩酸塩、過酸化ジベンゾイル、過酸化ベンゾイルのうちの1つ又は複数であり、及び/又は
前記ステップS1又はS2における乳化剤は、アニオン性乳化剤であるドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、脂肪酸石鹸のうちの1つ又は複数であり、及び/又は
前記ステップS1における分散剤は、ポリエチレングリコール、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリビニルピロリドンのうちの1つ又は複数であり、前記ポロゲンは、トルエン、キシレン、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、アセトン、ノルマルヘキサンのうちの1つ又は複数であり、及び/又は
前記ステップS1における膨潤剤は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロエタン、トリクロロメタン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチルのうちの1つ又は複数であり、及び/又は前記ステップS1における水相中の水とエタノールの質量比は(15:85)~(85:15)であり、油相と水相の質量比は(25:75)~(75:25)であり、及び/又は
前記ステップS1における分散剤の添加割合はモノマーの質量の2%~10%であり、及び/又は
前記ステップS1における開始剤の添加割合はモノマーの質量の0.5%~4%であり、及び/又は
前記ステップS1における分散重合反応の温度は60~95℃に制御され、及び/又は
前記ステップS1における単分散シードミクロスフェアと膨潤剤の質量比は(1:2)~(1:10)であり、及び/又は
前記ステップS1における膨潤剤とポロゲンの質量比は1:1であり、及び/又は
前記ステップS1におけるエマルジョンA中の単分散シードミクロスフェアの質量は、水相の総質量の1%~5%であり、及び/又は
前記ステップS1における単分散シードミクロスフェアは分散剤、乳化剤が溶解した水相に添加され、分散剤と乳化剤の質量は、それぞれ単分散シードミクロスフェアの質量の0.2%~25%と0.1%~20%であり、及び/又は
前記ステップS2における連鎖移動剤は、2-[ドデシルチオ(チオカルボニル)チオ]-2-メチルプロピオン酸、イソブチロニトリルジチオベンゾエート、2-シアノプロパン-2-イルベンゾジチオエート、S,S’-ビス(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネート、S,S’-p-(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネート、S-1-ドデシル-S’(α,α’-ジメチル-α’’-酢酸)トリチオカーボネートのうちの1つ又は複数であることを特徴とする、請求項6に記載の固相抽出材料の製造方法。
【請求項8】
前記ステップS3における官能基を導入した反応は、アミノ化試薬でアミン基を有する強カチオン又は弱カチオン交換固相抽出材料を製造する反応、又は酸化試薬でカルボキシル基を有する弱アニオン交換固相抽出材料を製造する反応、又はスルホン化試薬でスルホン酸基を有する強アニオン交換固相抽出材料を製造する反応を含み、
前記アミノ化試薬は、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルブチルアミン、N-メチルイミダゾール、1,2-エチレンジアミン、ピペラジンのうちの1つ又は複数であり、
前記酸化試薬は、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、酸化アルミニウムのうちの1つ又は複数であり、
前記スルホン化試薬は、濃硫酸、クロロスルホン酸、スルファミン酸のうちの1つ又は複数であることを特徴とする、請求項
6に記載の固相抽出材料の製造方法。
【請求項9】
前記固相抽出材料は、アミン基を有する強カチオン又は弱カチオン交換固相抽出材料、カルボキシル基を有する弱アニオン交換固相抽出材料又はスルホン酸基を有する強アニオン交換固相抽出材料を含むことを特徴とする、請求項1から
4のいずれか1項に記載の固相抽出材料の製造方法で製造された固相抽出材料。
【請求項10】
水中の微量汚染物及び荷電汚染物の抽出、濃縮における請求項9に記載の固相抽出材料の応用。
【国際調査報告】