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特表2024-501935電池、電気装置、電池の製造方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電池、電気装置、電池の製造方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/342 20210101AFI20240110BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240110BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20240110BHJP
   H01M 50/233 20210101ALI20240110BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240110BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20240110BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240110BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20240110BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240110BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALI20240110BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240110BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240110BHJP
【FI】
H01M50/342 201
H01M50/209
H01M50/213
H01M50/233
H01M50/204 401H
H01M50/291
H01M10/613
H01M10/643
H01M10/647
H01M10/6567
H01M10/6556
H01M10/625
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538149
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2021080838
(87)【国際公開番号】W WO2022193082
(87)【国際公開日】2022-09-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲飄▼▲飄▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 小波
(72)【発明者】
【氏名】李 耀
(72)【発明者】
【氏名】蒲 玉杰
(72)【発明者】
【氏名】岳 金如
(72)【発明者】
【氏名】▲顧▼ 明光
(72)【発明者】
【氏名】胡 ▲ル▼
(72)【発明者】
【氏名】黎 ▲賢▼▲達▼
【テーマコード(参考)】
5H012
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA01
5H012AA07
5H012BB08
5H012FF01
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA37
5H040AS04
5H040AS07
5H040AT01
5H040AT02
5H040AY03
5H040NN01
(57)【要約】
電池、電気装置、電池の製造方法および装置を提供する。電池(10)は、ハウジング(25)の内圧または温度が閾値に達したときに作動してハウジング(25)の内圧を解放するように配置されているハウジング(25)を有する複数の電池セル(20)と、第1筐体(11)の内圧を解放するための圧力解放領域(113)を含み、複数の電池セル(20)のうちの少なくとも一つの電池セル(20)を収容するための複数の第1筐体(11)と、複数の第1筐体(11)を収容するための第2筐体(12)とを備える。よって、電池(10)の安全性を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(25)の内圧または温度が閾値に達したときに作動して前記ハウジング(25)の内圧を解放するように配置されているハウジング(25)を有する複数の電池セル(20)と、
第1筐体(11)の内圧を解放するための圧力解放領域(113)を含み、前記複数の電池セル(20)のうちの少なくとも一つの電池セル(20)を収容するための複数の第1筐体(11)と、
前記複数の第1筐体(11)を収容するための第2筐体(12)と、
を備えることを特徴とする電池。
【請求項2】
前記第2筐体(12)は、前記複数の第1筐体(11)を収容するための電気キャビティ(12a)と、前記第1筐体(11)からの排出物を収集するための収集キャビティ(12b)と、隔離部材(123)であって、前記隔離部材(123)の両側に前記電気キャビティ(12a)と前記収集キャビティ(12b)が設けられるように、前記電気キャビティ(12a)と前記収集キャビティ(12b)とを隔離するための隔離部材(123)とを備える請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記圧力解放領域(113)は、前記隔離部材(123)に向いている請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記第1筐体(11)は、前記圧力解放領域(113)を形成する開口を有するカバーである請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記隔離部材(123)は、前記開口を覆う請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記第1筐体(11)は、前記電池セル(20)を収容するキャビティを有し、前記圧力解放領域(113)は、前記第1筐体(11)の第1脆弱領域であり、前記第1脆弱領域は、前記キャビティの内圧または温度が閾値に達したときに作動して前記キャビティの内圧を解放するように配置されている請求項3に記載の電池。
【請求項7】
前記第1脆弱領域の厚さは、前記第1脆弱領域が位置する壁の他の領域の厚さよりも小さい請求項6項に記載の電池。
【請求項8】
前記第1脆弱領域の厚さは、0.4mm~3mmである請求項7に記載の電池。
【請求項9】
前記第1脆弱領域は、前記第1脆弱領域が位置する壁の他の領域よりも低い融点を有する請求項6~8のいずれか1項に記載の電池。
【請求項10】
前記第1脆弱領域の材料の融点は、600℃未満である請求項9に記載の電池。
【請求項11】
前記第1筐体(11)には、底壁が前記第1脆弱領域である第1凹溝(115)が設けられている請求項6~10のいずれか1項に記載電池。
【請求項12】
前記第1凹溝(115)の開口は、前記電池セル(20)に向いている請求項11に記載の電池。
【請求項13】
前記隔離部材(123)は、流体を収容して前記電池セル(20)の温度を調節するように配置されている請求項2~12のいずれか1項に記載の電池。
【請求項14】
前記隔離部材(123)は、前記圧力解放領域(113)が前記内圧を解放する際に破壊され得て、これにより前記流体が前記隔離部材(123)の内部から排出されるように配置されている請求項13に記載の電池。
【請求項15】
前記隔離部材(123)は、
前記第1筐体(11)に取り付けられる第1熱伝導板(1233)と、
前記第1熱伝導板(1233)の前記第1筐体(11)から離れた側に設けられる第2熱伝導板(1234)と、
前記第1熱伝導板(1233)と前記第2熱伝導板(1234)との間に形成されて前記流体が流れるための第1ランナー(1235)と、
を備える請求項13または14に記載の電池。
【請求項16】
前記隔離部材(123)には、前記圧力解放領域(113)に対向して設けられ、前記第1筐体(11)の排出物が通過して前記排出物が前記収集キャビティ(12b)に入るように用いられる貫通孔(1236)が設けられている請求項2~15のいずれか1項に記載の電池。
【請求項17】
前記隔離部材(123)は、前記圧力解放領域(113)が前記内圧を解放する際に破壊され得て、これにより前記第1筐体(11)の排出物が前記隔離部材(123)を通過して前記収集キャビティ(12b)に入るように配置されている請求項2~15のいずれか1項に記載の電池。
【請求項18】
前記隔離部材(123)には、前記圧力解放領域(113)に対向して設けられ、前記第1筐体(11)の排出物によって破壊可能に配置されている第2脆弱領域(1231)であって、前記第1筐体(11)の排出物が前記第2脆弱領域(1231)を通過して前記収集キャビティ(12b)に入るようにする第2脆弱領域(1231)が設けられている請求項17に記載の電池。
【請求項19】
前記第2脆弱領域(1231)の厚さは、前記第2脆弱領域(1231)が位置する壁の他の領域の厚さよりも小さい請求項18に記載の電池。
【請求項20】
前記第2脆弱領域(1231)の厚さは、0.4mm~3mmである請求項19に記載の電池。
【請求項21】
前記第2脆弱領域(1231)は、前記第2脆弱領域(1231)が位置する壁の他の領域よりも低い融点を有する請求項18~20のいずれか1項に記載の電池。
【請求項22】
前記第2脆弱領域(1231)の材料の融点は、600℃未満である請求項21に記載の電池。
【請求項23】
前記隔離部材(123)には、底壁(12321)が前記第2脆弱領域(1231)である第2凹溝(1232)が設けられている請求項18~22のいずれか1項に記載の電池。
【請求項24】
前記第2凹溝(1232)の開口は、前記第1筐体(11)に向いている請求項23に記載の電池。
【請求項25】
複数の前記第1筐体(11)は、同一の前記隔離部材(123)に対応する請求項2~24のいずれか1項に記載の電池。
【請求項26】
前記圧力解放領域(113)は、前記第1筐体(11)の第1壁(114)に設けられ、前記電池セル(20)の第1表面(21)は、前記第1壁(114)に取り付けられ、前記電池セル(20)の全ての電極端子(261)は、いずれも前記第1表面(21)に対向して設けられた第2表面(22)に設けられている請求項1~25のいずれか1項に記載の電池。
【請求項27】
一つの前記第1筐体(11)内に収容された全ての前記電池セル(20)は、同一の前記圧力解放領域(113)に対応する請求項1~26のいずれか1項に記載の電池。
【請求項28】
前記電池は、隔離部材(123)を保護し、前記隔離部材(123)との間に収集キャビティ(12b)を形成するように配置されている保護部材をさらに備える請求項2~27のいずれか1項に記載の電池。
【請求項29】
前記電池は、前記隔離部材(123)と前記保護部材との間に設けられ、前記収集キャビティ(12b)を封止するための封止部材をさらに備える請求項28に記載の電池。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか1項に記載の電池を備えることを特徴とする電気装置。
【請求項31】
ハウジング(25)の内圧または温度が閾値に達したときに作動して前記ハウジング(25)の内圧を解放するように配置されているハウジング(25)を有する複数の電池セル(20)を提供することと、
第1筐体(11)の内圧を解放するための圧力解放領域(113)を含み、前記複数の電池セル(20)のうちの少なくとも一つの電池セル(20)を収容するための複数の第1筐体(11)を提供することと、
前記複数の第1筐体(11)を収容するための第2筐体(12)を提供することと、を含むことを特徴とする電池の製造方法。
【請求項32】
ハウジング(25)の内圧または温度が閾値に達したときに作動して前記ハウジング(25)の内圧を解放するように配置されているハウジング(25)を有する複数の電池セル(20)を提供すること、
第1筐体(11)の内圧を解放するための圧力解放領域(113)を含み、前記複数の電池セル(20)のうちの少なくとも一つの電池セル(20)を収容するための複数の第1筐体(11)を提供すること、
前記複数の第1筐体(11)を収容するための第2筐体(12)を提供することに用いられる提供モジュール(310)を備えることを特徴とする電池の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池の技術分野に関し、特に電池、電気装置、電池の製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギーと排出削減は自動車産業の持続可能な発展の鍵である。この場合、電気自動車はその省エネルギーや環境にやさしい利点により、自動車産業の持続可能な発展の重要な部分になっている。電気自動車にとっては、電池の技術はその発展に関連する重要な要素である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電池技術の発展には、電池の性能を向上させることに加えて、安全上の問題も無視できない問題である。電池の安全上の問題を確保できないと、該電池は乗客の生命や財産の安全を酷く脅かす。どのように電池の安全性を向上させるかは、電池技術における、早急に解決しなければならない課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の実施例は、電池の安全性を向上させることができる電池、電気装置、電池の製造方法および装置を提供する。
【0005】
第1の態様によれば、ハウジングの内圧または温度が閾値に達したときに作動して前記ハウジングの内圧を解放するように構成されているハウジングを有する複数の電池セルと、第1筐体の内圧を解放するための圧力解放領域を含み、前記複数の電池セルのうちの少なくとも一つの電池セルを収容するための複数の第1筐体と、前記複数の第1筐体を収容するための第2筐体とを備える電池を提供する。
【0006】
本願の実施例の技術案では、ハウジングを有する電池セルを圧力解放領域が設けられた第1筐体内に収容し、複数の第1筐体を第2筐体内に設けている。したがって、ある第1筐体内の電池セルが熱暴走し(熱暴走発生後に電池セルの内圧と温度が急激に上昇する)、電池セルの内圧または温度が閾値に達したときに、電池セルのハウジングは作動して電池セルの内圧を第1筐体内に解放する。第1筐体が複数で互いに独立しているため、ある第1筐体内の電池セルが熱暴走した場合、その発生した排出物や熱による他の第1筐体内の電池セルの影響は大幅に減少し、電池の安全性を向上させる。また、第1筐体は、第1筐体の内圧を解放できる圧力解放領域を有するため、電池セルの熱暴走発生後に第1筐体が爆発することを防止し、電池の安全性を一層向上させることができる。
【0007】
一部の実施例では、前記第2筐体は、前記複数の第1筐体を収容するための電気キャビティと、前記第1筐体からの排出物を収集するための収集キャビティと、隔離部材であって、前記隔離部材の両側に前記電気キャビティと前記収集キャビティが設けられるように、前記電気キャビティと前記収集キャビティとを隔離するための隔離部材とを備える。
【0008】
第1筐体を収容する電気キャビティと排出物を収集する収集キャビティとを隔離部材によって隔離し、第1筐体内の電池セルのハウジングが作動したときに、電池セルの排出物は収集キャビティに入り、これにより排出物は電気キャビティに入らず、あるいは少量に入り、排出物と電池セルとの隔離を実現し、電池セルの排出物(排出物にはガス、燃焼性物質、金属くずなどが含まれる)の電気接続部品に対する影響を低減させ、電池セルの排出物による電池セル同士の短絡を防止するため、電池の安全性を向上させることができる。
【0009】
一部の実施例では、前記圧力解放領域は、前記隔離部材に向いている。
【0010】
圧力解放領域が隔離部材に向いており、圧力解放領域から解放される排出物が隔離部材に直接衝突することができるため、排出物は収集キャビティに一層入りやすくなり、排出物が電気キャビティに入る可能性を低減させる。
【0011】
一部の実施例では、前記第1筐体は、前記圧力解放領域を形成する開口を有するカバーである。
【0012】
開口が圧力解放領域を形成するため、第1筐体内の内圧が開口を通じて解放でき、第1筐体の爆発を防止し、電池の安全性を向上させることができる。
【0013】
一部の実施例では、前記隔離部材は、前記開口を覆う。
【0014】
第1筐体の開口を隔離部材で覆うことにより、収集キャビティ内の物質が電気キャビティに入ることを遮断することができる。
【0015】
一部の実施例では、前記第1筐体は、前記電池セルを収容するキャビティを有し、前記圧力解放領域は、前記第1筐体の第1脆弱領域であり、前記第1脆弱領域は、前記キャビティの内圧または温度が閾値に達したときに作動して前記キャビティの内圧を解放するように配置されている。
【0016】
電池セルを第1筐体内に収容し、第1筐体に第1脆弱領域を設け、第1脆弱領域を圧力解放領域にすることにより、第1脆弱領域が第1筐体の内圧または温度が閾値に達したときに作動する場合、第1筐体の内圧は圧力解放領域を通じて解放されることができ、つまり排出物は圧力解放領域を通じて第1筐体から指向的に排出され、第1筐体の爆発を防止することができる。同時に、電池が正常動作時(電池が熱暴走していない状態)には、第1脆弱領域は、異物(例えば、導電性物質)が第1筐体に入ることを防止でき、電池の安全性を向上させる。
【0017】
一部の実施例では、前記第1脆弱領域の厚さは、前記第1脆弱領域が位置する壁の他の領域の厚さよりも小さい。
【0018】
第1脆弱領域の厚さが、第1脆弱領域が位置する壁の他の領域の厚さよりも小さいため、第1脆弱領域は破壊されやすい。同時に、このような圧力解放領域の形成方法は、簡単で便利である。
【0019】
一部の実施例では、前記第1脆弱領域の厚さは、0.4mm~3mmである。
【0020】
第1脆弱領域の厚さが0.4mm~3mmであるため、第1脆弱領域が使用寿命を縮めるほど薄くなく、高い空気圧で作動させる必要があるほど厚くもないことを確保でき、つまり電池の使用寿命と安全性を両立させる。
【0021】
一部の実施例では、前記第1脆弱領域は、前記第1脆弱領域が位置する壁の他の領域よりも低い融点を有する。
【0022】
第1脆弱領域が、第1脆弱領域が位置する壁の他の領域よりも低い融点を有するため、第1脆弱領域は破壊されやすい。これにより第1脆弱領域の温度が閾値に達したときに作動して第1筐体の内圧を解放することができる。
【0023】
一部の実施例では、前記第1脆弱領域の材料の融点は、600℃未満である。
【0024】
第1脆弱領域の材料の融点が600℃未満であるため、第1脆弱領域は比較的低い温度で破壊され、第1筐体の内圧を解放することができる。
【0025】
一部の実施例では、前記第1筐体には、底壁が前記第1脆弱領域である第1凹溝が設けられている。
【0026】
第1筐体に第1凹溝を設けることにより、第1凹溝の底壁を第1脆弱領域にすることは、実現する方法が簡単でコストが低い。
【0027】
一部の実施例では、前記第1凹溝の開口は、前記電池セルに向いている。
【0028】
第1筐体の電池セルに向いている側の表面に開口を設けて第1凹溝を形成することにより、第1凹溝の底壁と電池セルとの間に一層大きな隙間を作ることができ、電池セルの排出物を第1凹溝に排出することに寄与する。
【0029】
一部の実施例では、前記隔離部材は、流体を収容して前記電池セルの温度を調節するように配置されている。
【0030】
流体を収容して電池セルの温度を調節するように隔離部材を配置することにより、隔離部材を用いて電池セルを加熱または冷却する目的を達成し、電池セルに対して温度調節を行うことができる。
【0031】
一部の実施例では、前記隔離部材は、前記圧力解放領域が前記内圧を解放する際に破壊され得て、これにより前記流体が前記隔離部材の内部から排出されるように配置されている。
【0032】
圧力解放領域が内圧を解放する場合、隔離部材は破壊され、流体は隔離部材の内部から排出され、このように、流体で電池セルの排出物を冷却し、排出物の危険性を低減することができる。
【0033】
一部の実施例では、前記隔離部材は、前記第1筐体に取り付けられる第1熱伝導板と、前記第1熱伝導板の前記第1筐体から離れた側に設けられる第2熱伝導板と、前記第1熱伝導板と前記第2熱伝導板との間に形成されて前記流体が流れるための第1ランナーとを備える。
【0034】
隔離部材が第1熱伝導板と第2熱伝導板とを備え、第1熱伝導板と第2熱伝導板との間に第1ランナーを形成するため、隔離部材を製造するプロセスは便利で簡単である。
【0035】
一部の実施例では、前記隔離部材には、前記圧力解放領域に対向して設けられ、前記第1筐体の排出物が通過して前記排出物が前記収集キャビティに入るように用いられる貫通孔が設けられている。
【0036】
貫通孔が圧力解放領域に対向して設けられ、第1筐体の排出物が貫通孔を通過して収集キャビティに入ることができ、これにより排出物は収集キャビティに一層入りやすくなり、排出物が電気キャビティに入る可能性を低減させる。
【0037】
一部の実施例では、前記隔離部材は、前記圧力解放領域が前記内圧を解放する際に破壊され得て、これにより前記第1筐体の排出物が前記隔離部材を通過して前記収集キャビティに入るように配置されている。
【0038】
圧力解放領域が内圧を解放する場合、隔離部材が破壊され得るため、第1筐体の排出物は隔離部材を通過して収集キャビティに入ることができ、これにより排出物は収集キャビティに一層入りやすくなり、排出物が電気キャビティに入る可能性を低減させる。
【0039】
一部の実施例では、前記隔離部材には、前記圧力解放領域に対向して設けられ、前記第1筐体の排出物によって破壊可能に配置されている第2脆弱領域であって、前記第1筐体の排出物が前記第2脆弱領域を通過して前記収集キャビティに入るようにする第2脆弱領域が設けられている。
【0040】
圧力解放領域に対応する第2脆弱領域を隔離部材に設けることにより、一方では、電池セルのハウジングが作動する場合、第1筐体からの排出物が第2脆弱領域を通過して収集キャビティに入り、排出物が電気キャビティに入る可能性を低減することができ、他方では、電池セルのハウジングが作動していない場合、電気キャビティと収集キャビティとの隔離を確保し、収集キャビティ内の物質が電気キャビティに入ることを防止することができる。
【0041】
一部の実施例では、前記第2脆弱領域の厚さは、前記第2脆弱領域が位置する壁の他の領域の厚さよりも小さい。
【0042】
第2脆弱領域の厚さが、第2脆弱領域が位置する壁の他の領域の厚さよりも小さいため、第2脆弱領域は破壊されやすい。
【0043】
一部の実施例では、前記第2脆弱領域の厚さは、0.4mm~3mmである。
【0044】
第2脆弱領域の厚さが0.4mm~3mmであるため、第2脆弱領域が使用寿命を縮めるほど薄くなく、高い空気圧で作動させる必要があるほど厚くもないことを確保でき、つまり電池の使用寿命と安全性を両立させる。
【0045】
一部の実施例では、前記第2脆弱領域は、前記第2脆弱領域が位置する壁の他の領域よりも低い融点を有する。
【0046】
第2脆弱領域が、第2脆弱領域が位置する壁の他の領域よりも低い融点を有するため、第2脆弱領域は破壊されやすい。これにより第2脆弱領域の温度が閾値に達したときに作動して電気キャビティの内圧を解放することができる。
【0047】
一部の実施例では、前記第2脆弱領域の材料の融点は、600℃未満である。
【0048】
第2脆弱領域の材料の融点が600℃未満であるため、第2脆弱領域が比較的低い温度で破壊され、電気キャビティの内圧の解放することができる。
【0049】
一部の実施例では、前記隔離部材には、底壁が前記第2脆弱領域である第2凹溝が設けられている。
【0050】
隔離部材に第2凹溝を設けることにより、第2凹溝の底壁を第2脆弱領域にすることは、実現する方法が簡単でコストが低い。
【0051】
一部の実施例では、前記第2凹溝の開口は、前記第1筐体に向いている。
【0052】
隔離部材の第1筐体に向いている側の表面に開口を設けて第2凹溝を形成することにより、第2凹溝の底壁と第1筐体との間に一層大きな隙間を作ることができ、第1筐体の排出物を第2凹溝に排出することに寄与する。
【0053】
一部の実施例では、複数の前記第1筐体は、同一の前記隔離部材に対応する。
【0054】
複数の第1筐体に対応する隔離部材を同一の隔離部材にすることは、実現する方法が簡単でコストが低い。
【0055】
一部の実施例では、前記圧力解放領域は、前記第1筐体の第1壁に設けられ、前記電池セルの第1表面は、前記第1壁に取り付けられ、前記電池セルの全ての電極端子は、いずれも前記第1表面に対向して設けられた第2表面に設けられている。
【0056】
電池セルの電極端子が設けられていない表面を、第1筐体に圧力解放領域が設けられている第1壁に取り付けることにより、電池セルのハウジングが作動する場合、電池セルの排出物を電極端子から一層遠ざけ、排出物による電極端子の影響を低減させることができるため、電池の安全性を向上させることができる。
【0057】
一部の実施例では、一つの前記第1筐体内に収容された全ての前記電池セルは、同一の前記圧力解放領域に対応する。
【0058】
第1筐体内の全ての電池セルの圧力解放領域を同一のものにすることにより、電池セルのハウジングが作動する場合、第1筐体内の電池セルの排出物を一つの圧力解放領域に沿って第1筐体から集中的に排出させ、第1筐体における電気接続部品への影響を低減させることができるため、電池の安全性を向上させることができる。同時に、実現する方法は簡単でコストが低い。
【0059】
一部の実施例では、第1筐体には、1行または1列の複数の電池セルが収容されている。
【0060】
第1筐体内の複数の電池セルを1行または1列に配列することにより、第1筐体の内部空間を節約することができる。
【0061】
一部の実施例では、前記電池は、前記隔離部材を保護し、前記隔離部材との間に前記収集キャビティを形成するように配置されている保護部材をさらに備える。
【0062】
保護部材と隔離部材によって形成された収集キャビティは、排出物を効果的に収集して緩衝し、その危険性を低減することができる。同時に、保護部材は、隔離部材に対して保護作用を果たし、異物による隔離部材の破壊を防止することができる。
【0063】
一部の実施例では、前記電池は、前記隔離部材と前記保護部材との間に設けられ、前記収集キャビティを封止するための封止部材をさらに備える。
【0064】
隔離部材と保護部材によって形成された収集キャビティを封止部材で密閉チャンバにすることにより、収集キャビティ内の物質が電気キャビティに入ることを遮断することができる。
【0065】
第2の態様によれば、第1の態様に記載の電池を備える電気装置を提供する。
【0066】
第3の態様によれば、ハウジングの内圧または温度が閾値に達したときに作動して前記ハウジングの内圧を解放するように配置されているハウジングを有する複数の電池セルを提供することと、第1筐体の内圧を解放するための圧力解放領域を含み、前記複数の電池セルのうちの少なくとも一つの電池セルを収容するための複数の第1筐体と、前記複数の第1筐体を収容するための第2筐体とを含む電池の製造方法を提供する。
【0067】
第4の態様によれば、ハウジングの内圧または温度が閾値に達したときに作動して前記ハウジングの内圧を解放するように配置されているハウジングを有する複数の電池セルを提供すること、第1筐体の内圧を解放するための圧力解放領域を含み、前記複数の電池セルのうちの少なくとも一つの電池セルを収容するための複数の第1筐体を提供すること、前記複数の第1筐体を収容するための第2筐体を提供することに用いられる提供モジュールを備える電池の製造装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下は本願の実施例で使用すべき図面を簡単に説明する。明らかに、下記図面は本願の一部の実施例を示したものに過ぎないため、当業者であれば、創造的な努力をせずに、これらの図面に基づいて他の図面をさらに取得することができる。
【0069】
図1】本願の一実施例に係る車両の構造模式図である。
図2】本願の一部の実施例に係る電池の分解構造の模式図である。
図3】本願の一部の実施例に係る電池の分解構造の模式図である。
図4】本願の一部の実施例に係る電池の分解構造の模式図である。
図5】本願の一実施例に係る電池セルの分解構造の模式図である。
図6】本願の一部の実施例に係る第1筐体の断面模式図である。
図7】本願の一部の実施例に係る第1筐体の断面模式図である。
図8】本願の一部の実施例に係る第1筐体と第2筐体との組み合わせ構造の断面模式図である。
図9】本願の一部の実施例に係る第1筐体と第2筐体との組み合わせ構造の断面模式図である。
図10】本願の一部の実施例に係る第1筐体と第2筐体との組み合わせ構造の断面模式図である。
図11】本願の一部の実施例に係る第1筐体と第2筐体との組み合わせ構造の断面模式図である。
図12】本願の一部の実施例に係る第1筐体と第2筐体との組み合わせ構造の断面模式図である。
図13】本願の一部の実施例に係る第1筐体と第2筐体との組み合わせ構造の断面模式図である。
図14】本願の一実施例に係る隔離部材の構造模式図である。
図15図14に示す隔離部材のA部分を拡大した構造模式図である。
図16】本願の一実施例に係る電池製造方法の概略的なフローチャートである。
図17】本願の一実施例に係る電池製造装置の概略的なブロック図である。
【0070】
図面は、実寸大で描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0071】
以下は図面および実施例を参照しながら本願の実施の形態をさらに詳しく説明する。以下の実施例の詳細な説明および図面は、本願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本願の範囲を限定するために用いられることはできず、つまり、本願は説明された実施例に限定されることはない。
【0072】
本願の説明において、特に明記しない限り、「複数の」は、2つ以上(2つを含む)を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語が指す方位または位置関係は、本願の説明を容易にして簡略化することのみを意図しており、示された装置または素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成され、動作しなければならないことを表示または暗示するわけではないため、本願を限定するものとして理解してはならない。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、目的を説明するものに過ぎず、相対的な重要性を示したり暗示したりものとして理解してはならない。「垂直」は厳密意味での垂直ではなく、誤差の許容範囲内にある。「平行」は厳密意味での平行ではなく、誤差の許容範囲内にある。
【0073】
以下の説明に現れる方位用語はいずれも、図面に示された方位であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。なお、本願の説明において、特に明記・限定しない限り、技術用語の「装着」、「つながる」、「接続」などは、広義に理解されるべきである。例えば、固定接続、取り外し可能な接続、または一体化でもよく、直接つながっても中間媒体を介した間接つながってもよい。当業者からすれば、具体的な状況に応じて本願におけるこれらの用語の具体的な意味を理解できる。
【0074】
本願では、電池セルは、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池またはマグネシウムイオン電池などを含んでもよく、本願の実施例ではそれに対する限定がない。電池セルは、円柱体、扁平体、直方体または他の形状などであってもよく、本願の実施例ではそれに対する限定もない。電池セルは、パッケージの仕方によって、一般的に円筒型セル、角型セル、パウチ型セルの3種類に大別されるが、本願の実施例ではそれに対する限定もない。
【0075】
本願の実施例で言う電池は、より高い電圧および/または容量を提供するための1つまたは複数の電池セルを含む単一の物理モジュールである。例えば、本願で言う電池は、電池モジュールまたは電池パックなどを含んでもよい。電池モジュールは通常、1つまたは複数の電池セルを直列接続、並列接続または直並列接続してなるものである。電池パックは通常、1つまたは複数の電池モジュールと、電池モジュールをパッケージングするための筐体とを含む。筐体は、液体やその他の異物による電池セルの充放電との影響を回避できる。本願の実施例で言う電池セルとは、独立した充放電が可能な最小のユニットモジュールである。
【0076】
電池セルは、正極シート、負極シートおよびセパレータからなる電極アセンブリと電解液を含む。電池セルは、主に正極シートと負極シートの間での金属イオンの移動によって作動する。正極シートは、正極集電体と正極活物質層を含み、正極活物質層は、正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は、正極活物質層が塗布されている集電体から突出しており、正極活物質層が塗布されていない集電体は、正極タブとしている。リチウムイオン電池を例にすると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元系リチウム、マンガン酸リチウムなどであってもよい。負極シートは、負極集電体と負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布されている集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極タブとしている。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質はカーボンやシリコンなどであってもよい。溶断することなく大電流が通れるように、正極タブは複数個で積層してなり、負極タブは複数個で積層してなる。タブは電極端子に電気接続され、電極端子は一般的に正極端子と負極端子を含む。複数の電池セルはバス部材を介して直列接続および/または並列接続され、さまざまなシチュエーションに使用される。セパレータの材質は、PPまたはPEなどであってもよい。また、電極アセンブリは巻回型構造でも積層型構造でもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
【0077】
以下に言及される「電池セル」はいずれも「パウチ型電池セル」を例として説明する。
【0078】
パウチ型電池セルは、電極アセンブリおよび電解液の他に、さらにハウジングを有し、該ハウジングは外装として理解してもよく、アルミニウムプラスチックフィルムであってもよい。該ハウジングは、電池セルの内圧または温度が所定の閾値に達したときに作動してハウジングの内圧または温度を解放することができる。該閾値の設計は、設計需要に応じて異なる。前記閾値は、電池セルにおける正極シート、負極シート、電解液およびセパレータのうちの1種または複数の材料によって決められる場合がある。
【0079】
本願で言う「作動」とは、ハウジングが動作しまたは一定の状態まで活性化され、これにより電池セルのハウジングの内圧や温度が解放されることを意味する。ハウジングによる動作は、ハウジングの少なくとも一部が破損、粉砕または破断されたなどの場合を含み得るが、これらに限定されない。ハウジングが作動する場合、電池セルの内部の高温高圧物質は、排出物として作動した箇所から外部に排出される。このように、圧力または温度が制御可能な状況で、電池セルの圧力や温度を解放することにより、潜在しているより深刻な事故を回避することができる。
【0080】
本願で言う電池セルからの排出物は、電解液、溶解または分解された正極・負極シート、セパレータの破片、反応による高温高圧ガス、火炎などを含むが、これらに限定されない。
【0081】
電池技術の発展は、さまざまな設計要素、例えばエネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電効率などの性能パラメータを同時に考慮する必要があり、さらに電池の安全性を考慮する必要がある。
【0082】
従来の電池の設計案において、主に電池セルのハウジング内部の高圧および高熱を解放し、つまり排出物を電池セルのハウジングの外部へ排出することが注目されている。また、高温高圧の排出物が電池セルの四方に排出されるため、このような排出物は威力や破壊力が非常に大きい恐れがあり、他の電池セルの熱暴走をもたらし、更なる安全性問題を引き起こす可能性がある。
【0083】
これに鑑みて、本願は、ハウジングを有する電池セルを圧力解放領域が設けられた第1筐体内に収容し、複数の第1筐体を第2筐体内に設ける技術案を提供する。したがって、ある第1筐体内の電池セルが熱暴走し(熱暴走発生後に電池セルの内圧と温度が急激に上昇する)、電池セルの内圧または温度が閾値に達したときに、電池セルのハウジングは作動して電池セルの内圧を第1筐体の外部に解放する。第1筐体が複数で互いに独立しているため、ある第1筐体内の電池セルが熱暴走した場合、その発生した排出物や熱による他の第1筐体内の電池セルの影響は大幅に減少し、電池の安全性を向上させる。また、第1筐体は、第1筐体の内圧を解放できる圧力解放領域を有するため、電池セルの熱暴走発生後に第1筐体が爆発することを防止し、電池の安全性を一層向上させることができる。
【0084】
本願の実施例に記載の技術案は、携帯電話、携帯式装置、ノートパソコン、電気自転車、電動玩具、電動工具、電気自動車、船舶、宇宙機など電池を用いる各種の装置に適用でき、宇宙機は、例えば、飛行機、ロケット、スペースシャトル、宇宙船などを含む。
【0085】
理解されるように、本願の実施例に記載の技術案は、上述の設備に適用できるだけではなく、さらに電池を用いる全ての設備にも適用できるが、説明の簡潔化を図るために、以下の実施例はいずれも電気自動車を例として説明する。
【0086】
例えば、図1を参照すると、図1は本願の一つの実施例に係る車両1の構造模式図である。車両1は、ガソリン自動車、天然ガス自動車または新エネルギー自動車などであってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車またはレンジエクステンダー電気自動車などであってもよい。車両1の内部には、モータ40、コントローラ30および電池10が設けられてもよい。コントローラ30は、電池10を制御してモータ40に給電させることに用いられる。例えば、電池10は、車両1の底部または頭部または後部に設けられてもよい。電池10は、車両1の給電に適用し、例えば、車両1の動作電源として電池10を使用し、車両の電気システムに適用することができ、例えば、車両1の始動時、ナビゲーション時、走行時の作業用電力を制御することに用いられる。本願の別の実施例では、電池10は、車両1の動作電源として機能するだけではなく、車両1の駆動用電源としても機能し、ガソリンや天然ガスの代替又は部分的な代替として、車両1に駆動力を提供することが可能である。
【0087】
電池は、電池モジュールまたは電池パックであってもよく、以下に言及される「電池」は全て「電池パック」を例として説明する。
【0088】
図2図4は、本願の実施例に係る電池10の分解構造の模式図を示している。電池10は、複数の電池セル20と、複数の第1筐体11と、複数の第1筐体11を収容する第2筐体12とを含んでもよい。ここで、図3および図4には、一つの第1筐体11のみが示されている。図3図4との相違点は、電池セル20の電極端子261の配置位置が異なる点にある。
【0089】
図2図4に示すように、第2筐体12の内部は中空構造であり、第2筐体12には複数の第1筐体11が収容されてもよい。第2筐体12の空間を節約するために、一部の実施例では、第2筐体12には、1行または1列に配列された複数の第1筐体11が収容されてもよい。別の一部の実施例では、第2筐体12には、M×Nの第1筐体11が収容されてもよく、ここで、Mは第1筐体11が配列される行の数で、Nは第1筐体11が配列される列の数である。例えば、第1筐体11に5×2の第1筐体11が収容される場合、すなわち、第1筐体11は、各行に2つで5行に配列される第1筐体11が設けられてもよく、または、第1筐体11に2×5の第1筐体11が収容される場合、すなわち、第1筐体11は、各行に5つで2行に配列される第1筐体11が設けられてもよい。
【0090】
一部の実施例では、第2筐体12は、第2カバー121と第2カバープレート122とを備え、第2カバー121と第2カバープレート122は互いに締め付けられている。第2カバー121および第2カバープレート122の形状は、複数の第1筐体11を組み合わせた形状によって決められることができ、第2カバー121は一つの開口を有してもよい。例えば、第2カバー121は、中空の直方体でかつ一つの面のみが開口面で、第2カバープレート122は第2カバー121の開口を嵌合(被覆)し、密閉チャンバを有する第2筐体12を形成してもよい。
【0091】
異なる電力需要に応じて、電池セル20の数を任意の値に設定してもよい。複数の電池セル20は、直列接続、並列接続または直並列接続の方法で接続されて大きな容量やパワーを実現することができる。各電池10に含まれる電池セル20の数が多い可能性があるため、装着しやすくするために、電池セル20をグループ化して電気接続してから、各グループの電池セル20同士を電気接続してもよい。各グループの電池セル20の数は限定されず、必要に応じて設定してもよい。
【0092】
図5は、本願の一実施例に係る電池セル20の分解構造の模式図である。図5に示すように、電池セル20は、電極アセンブリ24とハウジング25とを備える。
【0093】
ハウジング25の内圧または温度が閾値に達したときに、ハウジング25は作動してハウジング25の内圧を解放する。ハウジング25が形成する密閉チャンバ内には、一つまたは複数の電極アセンブリ24を収容している。ハウジング25は、一つまたは複数の電極アセンブリ24を組み合わせた後の形状によって決められる。例えば、ハウジング25は、中空の直方体または立方体または円柱体であってもよい。ハウジング25内には、電解質、例えば電解液が充填されている。一部の実施例では、ハウジング25はアルミニウムプラスチックフィルムによって形成されてもよい。
【0094】
選択可能に、図5に示すように、電池セル20のハウジング25には、第3脆弱領域251をさらに設けてもよく、これによりハウジング25の内圧または温度が閾値に達したときに、第3脆弱領域251が先に破壊され、電池セル20の排出物が第3脆弱領域251から排出され、電池セル20の排出物の指向的な排放を実現し、電池10の安全性を向上させる。
【0095】
図5に示すように、各電極アセンブリ24は、二つのタブ241を含み、該二つのタブ241は、電極アセンブリ24の一つの表面に設けられてもよく、例えば、該二つのタブ241は、電極アセンブリ24の第3表面23に設けられてもよい。該二つのタブ241は、それぞれ正極タブ241aと負極タブ241bであってもよい。
【0096】
図5に示すように、電池セル20は、二つの電極端子261をさらに含んでおり、該二つの電極端子261はそれぞれ正極端子261aと負極端子261bであってもよい。
【0097】
実際の使用ニーズに応じて、第1筐体11には、一つまたは複数の電池セル20が収容されてもよい。図3および図4に示すように、第1筐体11には、8つの電池セル20が収容されている。
【0098】
第1筐体11に複数の電池セル20が収容されている場合、選択可能には、第1筐体11の内部空間を節約するために、該複数の電池セル20は、1行または1列に配列されてもよい。複数の電池セル20を互いに並列接続または直列接続または直並列接続で組み合わせて第1筐体11内に収容される。
【0099】
一部の実施例では、図3および図4に示すように、第1筐体11は、第1カバー111および第1カバープレート112を含み、第1カバー111と第1カバープレート112とを締め付けてキャビティを形成している。第1カバー111および第1カバープレート112の形状は、電池セル20を組み合わせた形状によって決められ、第1カバー111は一つの開口を有してもよい。例えば、第1カバー111は、中空の直方体かつ一つの面のみが開口面であり、第1カバープレート112は第1カバー111の開口面を嵌合(被覆)し、チャンバを有する第1筐体11を形成する。
【0100】
第1筐体11は複数であり、第1筐体11内の電池セル群と他の第1筐体11内の電池セル群との電気的接続を実現するために、二つの第1筐体11内の電池セル群の間で電気エネルギーを伝達するためのチャンネルを第1筐体11に設ける。第1筐体11の密閉性を高めるために、電気エネルギーを伝達するためのチャンネルを封止部材で封止してもよい。ここで、前記電池セル群は、第1筐体11に収容された複数の電池セル20の略称である。
【0101】
また、図3および図4に示すように、第1筐体11には、圧力解放領域113が設けられており、該圧力解放領域113は、第1筐体11の内圧を解放することができる。このように、電池セル20が作動する場合、電池セル20の排出物は、圧力解放領域113を通過して第1筐体11から排出され、電池10の安全性を向上させることができる。
【0102】
選択可能には、電池セル20のハウジング25に第3脆弱領域251が設けられている場合、該第1筐体11上の圧力解放領域113は、第3脆弱領域251に対向して設けられている。このように、電池セル20が作動する場合、電池セル20の排出物は、より容易に圧力解放領域113を通過して第1筐体11から排出され、電池10の安全性を向上させることができる。
【0103】
一部の実施例では、図3に示すように、圧力解放領域113は、第1筐体11の第1壁114に設けられており、電池セル20の第1表面21は、第1壁114に取り付けられており、電池セル20の二つの電極端子261はいずれも第2表面22に設けられており、第2表面22は第1表面21に対向して設けられている。別の一部の実施例では、図4に示すように、圧力解放領域113は、第1筐体11の第1壁114に設けられており、電池セル20の第1表面21は第1壁114に取り付けられており、電池セル20の二つの電極端子261はいずれも第3表面23に設けられており、第3表面23は第1表面21に隣接して設けられている。
【0104】
電池セル20の電極端子261が設けられていない表面を、圧力解放領域113が設けられた第1筐体11の第1壁114に取り付けることにより、電池セル20のハウジング25が作動する場合、電池セル20の排出物を電極端子261から一層遠ざけ、排出物による電極端子261の影響を低減することができるため、電池10の安全性を向上させることができる。
【0105】
一部の実施例では、一つの電池セル20は、一つの圧力解放領域113に対応してもよい。
【0106】
別の一部の実施例では、複数の電池セル20は、同一の圧力解放領域113に対応してもよい。例えば、1行または1列の複数の電池セル20は、同一の圧力解放領域113に対応してもよい。また、例えば、一つの第1筐体11内に収容された全ての電池セル20は、同一の圧力解放領域113に対応する。第1筐体11内の全ての電池セル20の圧力解放領域113を同一のものとして設けることにより、電池セル20のハウジング25が作動する場合、第1筐体11内の電池セル20の排出物を一つの圧力解放領域113に沿って第1筐体11から集中的に排出させ、第1筐体11における電気接続部品への影響を低減させることができるため、電池10の安全性を向上させることができる。同時に、実現する方法は簡単でコストが低い。
【0107】
一部の実施例では、図6に示すように、第1筐体11には、第1脆弱領域が設けられており、第1脆弱領域を圧力解放領域113とし、第1脆弱領域は、第1筐体11の内圧または温度が閾値に達したときに作動して第1筐体11の内圧を解放するように配置されている。
【0108】
電池セル20を第1筐体11内に収容し、第1筐体11に第1脆弱領域を設け、第1脆弱領域を圧力解放領域113にすることにより、第1筐体11の内圧または温度が閾値に達したときに作動する場合、第1筐体11の内圧は、圧力解放領域113を通じて解放することができ、つまり、排出物は圧力解放領域113を通じて第1筐体11から指向的に排出され、第1筐体11の爆発を防止することができる。同時に、電池10が正常動作時(電池10が熱暴走していない状態)には、第1脆弱領域は、異物(例えば、導電性物質)が第1筐体11内に入ることを防止でき、電池10の安全性を向上させる。
【0109】
第1脆弱領域は、排出物によって破壊されやすいさまざまな構成を採用してもよく、本願の実施例では、それに対する限定がなく、以下は例を挙げて説明する。
【0110】
選択可能には、第1脆弱領域の厚さが、第1脆弱領域が位置する壁の他の領域の厚さよりも小さいため、第1脆弱領域は破壊されやすい。同時に、このような圧力解放領域113の形成方法は、簡単で便利である。
【0111】
例えば、第1脆弱領域の厚さが0.4mm~3mmであり、第1脆弱領域が使用寿命を縮めるほど薄くなく、高い空気圧で作動させる必要があるほど厚くもないことを確保でき、つまり電池10の使用寿命と安全性を両立させる。
【0112】
圧力解放領域113は、排出物によって破壊されやすくするために、低融点材料の第1脆弱領域を採用してもよい。これにより第1脆弱領域の温度が閾値に達したときに作動して第1筐体11の内圧を解放することができる。つまり、第1脆弱領域は、第1脆弱領域が位置する壁の他の領域よりも低い融点を有する。
【0113】
例えば、第1脆弱領域が採用する材料の融点は、600℃未満である。このように、第1脆弱領域は比較的低い温度で破壊され、第1筐体11の内圧を解放することができる。
【0114】
例えば、図7は、本願の一部の実施例に係る第1筐体11の断面模式図である。選択可能には、一実施例では、図7に示すように、第1筐体11に第1凹溝115が設けられており、第1凹溝115の底壁は第1脆弱領域を形成している。第1凹溝115の底壁は、該第1凹溝115の壁の他の領域よりも薄いため、第1凹溝115の底壁は、排出物に破壊されやすい。ハウジング25が作動したときに、排出物は第1凹溝115の底壁を破壊し、第1筐体11から排出されることができ、実現する方法は簡単でコストが低い。
【0115】
選択可能には、図7に示すように、第1凹溝115は、第1筐体11の電池セル20に向いている第4表面1141に設けられている。つまり、第1凹溝115の開口は電池セル20に向いている。
【0116】
第1筐体11の電池セル20に向いている側の表面に開口を設けて第1凹溝115を形成することにより、第1凹溝115の底壁と電池セル20との間に一層大きな隙間を作ることができ、電池セル20の排出物を第1凹溝115に排出することに寄与する。
【0117】
理解されるように、第1凹溝115の開口は、電池セル20との反対側に設けられてもよい。この場合、第1凹溝115の底壁は、同様に排出物によって破壊されやすい。
【0118】
図8は、本願の実施例に係る第1筐体11と第2筐体12との組み合わせ構造の断面模式図を示している。図8に示すように、第2筐体12は、電気キャビティ12a、収集キャビティ12bおよび隔離部材123を含む。電気キャビティ12aには、一つまたは複数の第1筐体11が収容されてもよい。収集キャビティ12bは、第1筐体11からの排出物を収集するためのものである。隔離部材123は、隔離部材123の両側に電気キャビティ12aと収集キャビティ12bが設けられるように、電気キャビティ12aと収集キャビティ12bとを隔離することができる。ここで言う「隔離」は分離する意味で、完全に封止しなくてもよい。
【0119】
第1筐体11を収容する電気キャビティ12aと排出物を収集する収集キャビティ12bとを隔離部材123によって分離し、第1筐体11内の電池セル20のハウジング25が作動したときに、電池セル20の排出物が収集キャビティ12bに入り、これにより排出物は電気キャビティに入らず、あるいは少量に入り、排出物と電池セル20との分離を実現し、電池セル20の排出物(排出物にはガス、燃焼性物質、金属くずなどが含まれる)の電気接続部品に対する影響を低減させ、電池セル20の排出物による電池セル20同士の短絡を防止するため、電池10の安全性を向上させることができる。
【0120】
一部の実施例では、第2筐体12を装着しやすくするために、複数の第1筐体11は、同一の隔離部材123に対応してもよく、つまり、複数の第1筐体11に対応する隔離部材123として同一の隔離部材123を採用し、実現する方法は簡単でコストが低い。例えば、1行または1列に配列された複数の第1筐体11は、同一の隔離部材123に対応してもよい。また、例えば、第2筐体12内の全ての第1筐体11は、同一の隔離部材123に対応してもよい。
【0121】
図9は、本願の実施例に係る別の第1筐体11と第2筐体12との組み合わせ構造の断面模式図を示している。
【0122】
別の一部の実施例では、図9に示すように、第1筐体11は、開口を有するカバーであってもよい。この場合、該開口が圧力解放領域113を形成するため、第1筐体11内の内圧を該開口を通じて解放させ、第1筐体11の爆発を防止し、電池10の安全性を向上させることができる。選択可能には、図9に示すように、隔離部材123は、第1筐体11の開口を嵌合(被覆)してもよい。隔離部材123によって第1筐体11の開口を覆うことにより、収集キャビティ12b内の物質が電気キャビティ12aに入ることを遮断することができる。
【0123】
選択可能には、隔離部材123は、圧力解放領域113が第1筐体11の内圧を解放する際に破壊され得て、これにより第1筐体11の排出物が隔離部材123に通過して収集キャビティ12bに入るように配置されている。
【0124】
一部の実施例では、第1筐体11上の圧力解放領域113は、隔離部材123に向いており、圧力解放領域113が第1筐体11の内圧を解放する際に隔離部材123に直接衝突することができ、これにより第1筐体11の排出物は収集キャビティ12bに一層入りやすくなり、排出物が電気キャビティ12aに入る可能性を低減させる。
【0125】
図10および図11はそれぞれ本願の実施例のまた別の第1筐体11と第2筐体12との組み合わせ構造の断面模式図を示している。一部の実施例では、図10および図11に示すように、隔離部材123には第2脆弱領域1231が設けられてもよく、第2脆弱領域1231は圧力解放領域113に対向して設けられ、第2脆弱領域1231は、圧力解放領域113が内圧を解放する際に破壊可能であり、これにより第1筐体11の排出物は隔離部材123を通過して収集キャビティ12b内に入る。ここで、図10図11との相違点は、図11における第1筐体11は開口を有する点にある。
【0126】
圧力解放領域113に対応する第2脆弱領域1231を隔離部材123に設けることにより、一方では電池セル20のハウジング25が作動する場合、第1筐体11からの排出物が第2脆弱領域1231を通過して収集キャビティ12bに入り、排出物が電気キャビティ12aに入る可能性を低減することができ、他方では、電池セル20のハウジング25が作動していない場合、電気キャビティ12aと収集キャビティ12bとの隔離を確保し、収集キャビティ12b内の物質が電気キャビティ12aに入ることを回避することができる。
【0127】
一部の実施例では、一つの第1筐体11は一つの第2脆弱領域1231に対応してもよい。例えば、図2に示すように、第2カバープレート122は、隔離部材123であってもよく、一つの第1筐体11は、第2カバープレート122に設けられた一つの第2脆弱領域1231に対応している。別の一部の実施例では、1行または1列に配列された複数の第1筐体11は一つの第2脆弱領域1231に対応してもよい。1行または1列に配列された複数の第1筐体11の第2脆弱領域1231を同一のものに設けることにより、第1筐体11内の電池セル20の排出物を一つの第2脆弱領域1231に沿って集中的に排出させ、第1筐体11における電気接続部品への影響を低減することができるため、電池10の安全性を向上させることができる。同時に、実現する方法は簡単でコストが低い。
【0128】
第2脆弱領域1231は、排出物の破壊に資するさまざまな構成を採用してもよく、本願の実施例では、それに対する限定がなく、以下は例を挙げて説明する。
【0129】
選択可能には、第2脆弱領域1231の厚さは、第2脆弱領域1231が位置する壁の他の領域の厚さよりも小さい。例えば、第2脆弱領域1231の厚さは0.4 mm~3 mmである。このように、第2脆弱領域1231が使用寿命を縮めるほど薄くなく、高い空気圧で作動させる必要があるほど厚くもないことを確保でき、つまり電池10の使用寿命と安全性を両立させた。
【0130】
比較的に薄い厚さを有する第2脆弱領域1231を採用するほかに、排出物によって破壊されやすくするために、さらに低融点材料の第2脆弱領域1231を採用してもよい。つまり、第2脆弱領域1231は、第2脆弱領域1231が位置する壁の他の領域よりも低い融点を有する。このように、第2脆弱領域1231は容易に破壊され、第2脆弱領域1231の温度が閾値に達したときに作動して電気キャビティ12aの内圧を解放することができる。
【0131】
例えば、第2脆弱領域1231が採用する材料の融点は、600℃未満である。このように、第2脆弱領域1231は、比較的低い温度で破壊され、電気キャビティ12aの内圧を解放することができる。
【0132】
図12および図13はそれぞれ本願の実施例に係る更なる別の第1筐体11と第2筐体12との組み合わせ構造の断面模式図を示している。選択可能には、一実施例では、図12および図13に示すように、隔離部材123には、第2凹溝1232が設けられており、第2凹溝1232の底壁12321が第2脆弱領域1231を形成している。第2凹溝1232の底壁12321は、該第2凹溝1232が設けられた壁の他の領域よりも薄いため、排出物に破壊されやすい。ハウジング25が作動したときに、排出物は第2凹溝1232の底壁12321を破壊し、収集キャビティ12b内に入り、このような実現する方法は簡単でコストが低い。ここで、図12図13との相違点は、図13における第1筐体11は開口を有する点にある。
【0133】
選択可能には、第2凹溝1232は、隔離部材123の第1筐体11に向いている表面に設けられている。つまり、第2凹溝1232の開口は、第1筐体11に向いている。これにより第2凹溝1232の底壁と第1筐体11との間に一層大きな隙間を作ることができ、第1筐体11の排出物を第2凹溝1232に排出することに寄与する。
【0134】
理解されるように、第2凹溝1232の開口は、第1筐体11との反対側に設けられてもよい。このような場合、第2凹溝1232の底壁は、同様に排出物によって破壊されやすい。
【0135】
別の一部の実施例では、前記第2脆弱領域1231を貫通孔に置き換えてもよく、つまり、該貫通孔は圧力解放領域113に対向して設けられ、これにより第1筐体11の排出物は貫通孔を介して収集キャビティ12bに入ることができ、排出物が電気キャビティ12aに入る可能性を低減させる。
【0136】
選択可能には、隔離部材123には、電池セル20に対して温度調節を行うための流体が収容されている。
【0137】
具体的には、圧力解放領域113が内圧を解放する場合、隔離部材123が破壊され得ることで、隔離部材123内の流体は隔離部材123の内部から排出され、このように、電池セル20の熱を吸収し、排出物の温度を下げ、さらに排出物の危険性を低減することができる。このような場合、流体や流体によって冷却された排出物はともに収集キャビティ12bに入る。流体の冷却により、電池セル20の排出物の温度を迅速的に下げることができるため、収集キャビティ12bに入る排出物の危険性は既に大幅に低下し、電池10の他の部分、例えば他の電池セル20に大きな影響を与えず、これにより第1筐体11内の電池セル20の異常による破壊性をタイムリーに抑制し、電池10の爆発の可能性を低減させることができる。
【0138】
一部の実施例では、隔離部材123は、熱伝導性材料で流体のためのランナーを形成してもよい。流体はランナー内に流れ、熱伝導性材料を介して熱を伝導させて電池セル20を冷却する。選択可能には、隔離部材123における第2脆弱領域1231は、流体を有せずに熱伝導性材料のみを有することで、比較的薄い熱伝導性材料層を形成してもよく、これにより排出物によって破壊されやすくなる。例えば、第2凹溝1232の底壁12321は、第2脆弱領域1231を形成するために、熱伝導性材料の薄層であってもよい。
【0139】
図14は、本願の一実施例に係る隔離部材123の構造模式図である。選択可能には、一部の実施例では、図14に示すように、隔離部材123は、第1熱伝導板1233および第2熱伝導板1234を含んでもよい。第1熱伝導板1233および第2熱伝導板1234は、流体を収容するための第1ランナー1235を形成する。第1熱伝導板1233は、第1筐体11に取り付けられている。図15は、図14に示す隔離部材123のA部分を拡大した構造模式図である。図15に示すように、第1熱伝導板1233の第1領域123aは、第2熱伝導板1234へ凹んで第2凹溝1232を形成し、第1領域123aは第2熱伝導板1234に接続されている。このように、第2凹溝1232の周りに第1ランナー1235が形成されるが、第2凹溝1232の底壁内には第1ランナー1235がなく、これにより第2脆弱領域1231が形成される。隔離部材123が第1熱伝導板1233および第2熱伝導板1234を含み、かつ第1熱伝導板1233と第2熱伝導板1234との間に第1ランナー1235を形成するため、隔離部材123の製造工程は便利で簡単なものとなる。
【0140】
選択可能には、より薄い脆弱領域を形成するために、第2凹溝1232の底壁の第1熱伝導板1233または第2熱伝導板1234を取り外してもよい。例えば、図14に示すように、第1領域123aには貫通孔1236が設けられており、貫通孔1236の径方向寸法は、第2凹溝1232の径方向寸法よりも小さく、つまり、第2凹溝1232の底壁の第1熱伝導板1233を取り外し、かつ第2凹溝1232底部の縁において第1熱伝導板1233と第2熱伝導板1234との接続を維持して、第2凹溝1232の周りの第1ランナー1235を形成する。
【0141】
選択可能には、さらに貫通孔1236に対応する第2熱伝導板1234に対して薄化処理を行ってもよく、つまり、貫通孔1236に対応する第2熱伝導板1234の厚さを他の領域の第2熱伝導板1234の厚さよりも小さくして、これにより脆弱領域は排出物によって一層破壊されやすい。選択可能には、貫通孔1236に対応する第2熱伝導板1234に脆弱溝を設けてもよい。
【0142】
選択可能には、一部の実施例では、電池10は、隔離部材123を保護するための保護部材をさらに備え、収集キャビティ12bは、隔離部材123および保護部材によって構成されてもよい。一部の実施例では、該保護部材は、第2筐体12の一部の壁を構成してもよい。
【0143】
保護部材および隔離部材123で形成された収集キャビティ12bは、電池セル20を収容可能な空間を占有しないため、比較的大きい空間を有する収集キャビティ12bを設けることができ、これにより排出物を効果的に収集して緩衝し、その危険性を低減することができる。同時に、保護部材は、隔離部材123に対して保護作用を果たし、異物による隔離部材123の破壊を防止することができる。
【0144】
選択可能には、一部の実施例では、収集キャビティ12b内に入る排出物の温度をさらに下げるために、収集キャビティ12bにおいて、さらに例えば冷却媒体などの流体を設けてもよく、または、該流体を収容するための部材を設けてもよい。
【0145】
選択可能には、一部の実施例では、収集キャビティ12bは、密閉チャンバであってもよい。例えば、保護部材と隔離部材123との接続箇所は、封止部材で封止されることができる。隔離部材123および保護部材で形成された収集キャビティ12bを封止部材によって密閉チャンバとして設けることで、収集キャビティ12b内の物質が電気キャビティ12aに入ることを遮断することができる。
【0146】
選択可能には、電池10はさらに他の構造を備えてもよいが、ここでは省略する。例えば、図3および図4に示すように、該電池10は、第1筐体11に収容され、バス部材を装着するためのハーネス隔離板50をさらに備えてもよい。ここで、バス部材は、複数の電池セル20同士の電気接続、例えば並列接続または直列接続または直並列接続を実現するためのものである。また、例えば、図3および図4に示すように、該電池10は、第1筐体11に収容される側板60をさらに備えてもよく、該側板60は電池セル20の周りを囲んで設けられてもよい。該側板60には、流体を収容して電池セル20の温度を調節するための第2ランナー61が設けられてもよい。
【0147】
本願の一実施例では、さらに電気装置を提供するが、該電気装置は、上述の各実施例における電池10を備えてもよい。選択可能には、電気装置は、車両1、船舶または宇宙機であってもよい。
【0148】
上述のように、本願の実施例の電池10および電気装置を説明したが、以下は本願の実施例の電池の製造方法および装置を説明し、詳しく説明しない部分について、上述の各実施例を参照されたい。
【0149】
図16は、本願の一実施例に係る電池製造方法200の概略的なフローチャートを示している。図16に示すように、該方法200は以下のステップを含んでもよい。
【0150】
S210において、ハウジングの内圧または温度が閾値に達したときに作動して前記ハウジングの内圧を解放するように配置されているハウジングを有する複数の電池セルを提供する。
【0151】
S220において、第1筐体の内圧を解放するための圧力解放領域を含み、前記複数の電池セルのうちの少なくとも一つの電池セルを収容するための複数の第1筐体を提供する。
【0152】
S230において、前記複数の第1筐体を収容するための第2筐体を提供する。
【0153】
図17は、本願の一実施例に係る電池の製造装置300の概略的なブロック図を示している。図17に示すように、電池の製造装置300は、提供モジュール310を備えてもよい。
【0154】
提供モジュール310は、ハウジングの内圧または温度が閾値に達したときに作動して前記ハウジングの内圧を解放するように配置されているハウジングを有する複数の電池セルを提供すること、第1筐体の内圧を解放するための圧力解放領域を含み、前記複数の電池セルのうちの少なくとも一つの電池セルを収容するための複数の第1筐体を提供すること、前記複数の第1筐体を収容するための第2筐体を提供することに用いられる。
【0155】
好ましい実施例を参照して本願を説明してきたが、本願の範囲から逸脱しない場合、様々な改良を行い、かつその構成要素を同等品と置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で述べた様々な技術的特徴はいずれも、任意の方法で組み合わせることができる。本願は、本文中に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、請求項の範囲内にある全ての技術案を含むものである。
【符号の説明】
【0156】
1-車両
10-電池
11-第1筐体
111-第1カバー
112-第1カバープレート
113-圧力解放領域
114-第1壁
1141-第4表面
115-第1凹溝
12-第2筐体
12a-電気キャビティ
12b-収集キャビティ
121-第2カバー
122-第2カバープレート
123-隔離部材
1231-第2脆弱領域
1232-第2凹溝
12321-第2凹溝の底壁
1233-第1熱伝導板
1234-第2熱伝導板
1235-第1ランナー
1236-貫通孔
123a-第1領域
20-電池セル
21-第1表面
22-第2表面
23-第3表面
24-電極アセンブリ
241-タブ
241a-正極タブ
241b-負極タブ
25-ハウジング
251-第3脆弱領域
261-電極端子
261a-正極端子
261b-負極端子
30-コントローラ
40-モータ
50-ハーネス隔離板
60-側板
61-第2ランナー
310-提供モジュール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(25)の内圧または温度が閾値に達したときに作動して前記ハウジング(25)の内圧を解放するように配置されているハウジング(25)を有する複数の電池セル(20)と、
第1筐体(11)の内圧を解放するための圧力解放領域(113)を含み、前記複数の電池セル(20)のうちの少なくとも一つの電池セル(20)を収容するための複数の第1筐体(11)と、
前記複数の第1筐体(11)を収容するための第2筐体(12)と、
を備える電池。
【請求項2】
前記第2筐体(12)は、前記複数の第1筐体(11)を収容するための電気キャビティ(12a)と、前記第1筐体(11)からの排出物を収集するための収集キャビティ(12b)と、隔離部材(123)であって、前記隔離部材(123)の両側に前記電気キャビティ(12a)と前記収集キャビティ(12b)が設けられるように、前記電気キャビティ(12a)と前記収集キャビティ(12b)とを隔離するための隔離部材(123)とを備える請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記圧力解放領域(113)は、前記隔離部材(123)に向いている請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記第1筐体(11)は、前記圧力解放領域(113)を形成する開口を有するカバーであり、前記隔離部材(123)は、前記開口を覆う請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記第1筐体(11)は、前記電池セル(20)を収容するキャビティを有し、前記圧力解放領域(113)は、前記第1筐体(11)の第1脆弱領域であり、前記第1脆弱領域は、前記キャビティの内圧または温度が閾値に達したときに作動して前記キャビティの内圧を解放するように配置されている請求項3に記載の電池。
【請求項6】
前記第1脆弱領域の厚さは、前記第1脆弱領域が位置する壁の他の領域の厚さよりも小さい請求項に記載の電池。
【請求項7】
前記第1脆弱領域は、前記第1脆弱領域が位置する壁の他の領域よりも低い融点を有し、前記第1脆弱領域の材料の融点は、600℃未満である請求項5または6に記載の電池。
【請求項8】
前記第1筐体(11)には、底壁が前記第1脆弱領域である第1凹溝(115)が設けられており、前記第1凹溝(115)の開口は、前記電池セル(20)に向いている請求項5~7のいずれか1項に記載の電池。
【請求項9】
前記隔離部材(123)は、流体を収容して前記電池セル(20)の温度を調節するように配置されている請求項2~8のいずれか1項に記載の電池。
【請求項10】
前記隔離部材(123)は、前記圧力解放領域(113)が前記内圧を解放する際に破壊され得て、これにより前記流体が前記隔離部材(123)の内部から排出されるように配置されている請求項に記載の電池。
【請求項11】
前記隔離部材(123)は、
前記第1筐体(11)に取り付けられる第1熱伝導板(1233)と、
前記第1熱伝導板(1233)の前記第1筐体(11)から離れた側に設けられる第2熱伝導板(1234)と、
前記第1熱伝導板(1233)と前記第2熱伝導板(1234)との間に形成されて前記流体が流れるための第1ランナー(1235)と、
を備える請求項10に記載の電池。
【請求項12】
前記隔離部材(123)には、前記圧力解放領域(113)に対向して設けられ、前記第1筐体(11)の排出物が通過して前記排出物が前記収集キャビティ(12b)に入るように用いられる貫通孔(1236)が設けられている請求項2~11のいずれか1項に記載の電池。
【請求項13】
前記隔離部材(123)は、前記圧力解放領域(113)が前記内圧を解放する際に破壊され得て、これにより前記第1筐体(11)の排出物が前記隔離部材(123)を通過して前記収集キャビティ(12b)に入るように配置されている請求項2~11のいずれか1項に記載の電池。
【請求項14】
前記隔離部材(123)には、前記圧力解放領域(113)に対向して設けられ、前記第1筐体(11)の排出物によって破壊可能に配置されている第2脆弱領域(1231)であって、前記第1筐体(11)の排出物が前記第2脆弱領域(1231)を通過して前記収集キャビティ(12b)に入るようにする第2脆弱領域(1231)が設けられている請求項13に記載の電池。
【請求項15】
前記第2脆弱領域(1231)の厚さは、前記第2脆弱領域(1231)が位置する壁の他の領域の厚さよりも小さく、及び/または、前記第2脆弱領域(1231)は、前記第2脆弱領域(1231)が位置する壁の他の領域よりも低い融点を有する請求項14に記載の電池。
【請求項16】
前記隔離部材(123)には、底壁(12321)が前記第2脆弱領域(1231)である第2凹溝(1232)が設けられている請求項14~15のいずれか1項に記載の電池。
【請求項17】
前記第2凹溝(1232)の開口は、前記第1筐体(11)に向いている請求項16に記載の電池。
【請求項18】
複数の前記第1筐体(11)は、同一の前記隔離部材(123)に対応する請求項2~17のいずれか1項に記載の電池。
【請求項19】
前記圧力解放領域(113)は、前記第1筐体(11)の第1壁(114)に設けられ、前記電池セル(20)の第1表面(21)は、前記第1壁(114)に取り付けられ、前記電池セル(20)の全ての電極端子(261)は、いずれも前記第1表面(21)に対向して設けられた第2表面(22)に設けられている請求項に記載の電池。
【請求項20】
一つの前記第1筐体(11)内に収容された全ての前記電池セル(20)は、同一の前記圧力解放領域(113)に対応する請求項1~19のいずれか1項に記載の電池。
【請求項21】
前記電池は、隔離部材(123)を保護し、前記隔離部材(123)との間に収集キャビティ(12b)を形成するように配置されている保護部材をさらに備える請求項2~20のいずれか1項に記載の電池。
【請求項22】
前記電池は、前記隔離部材(123)と前記保護部材との間に設けられ、前記収集キャビティ(12b)を封止するための封止部材をさらに備える請求項21に記載の電池。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか1項に記載の電池を備える電気装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
第3の態様によれば、ハウジングの内圧または温度が閾値に達したときに作動して前記ハウジングの内圧を解放するように配置されているハウジングを有する複数の電池セルを提供することと、第1筐体の内圧を解放するための圧力解放領域を含み、前記複数の電池セルのうちの少なくとも一つの電池セルを収容するための複数の第1筐体を提供することと、前記複数の第1筐体を収容するための第2筐体を提供することとを含む電池の製造方法を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
図2図4に示すように、第2筐体12の内部は中空構造であり、第2筐体12には複数の第1筐体11が収容されてもよい。第2筐体12の空間を節約するために、一部の実施例では、第2筐体12には、1行または1列に配列された複数の第1筐体11が収容されてもよい。別の一部の実施例では、第2筐体12には、M×Nの第1筐体11が収容されてもよく、ここで、Mは第1筐体11が配列される行の数で、Nは第1筐体11が配列される列の数である。例えば、第筐体12に5×2の第1筐体11が収容される場合、すなわち、第1筐体11は、各行に2つで5行に配列される第1筐体11が設けられてもよく、または、第筐体12に2×5の第1筐体11が収容される場合、すなわち、第1筐体11は、各行に5つで2行に配列される第1筐体11が設けられてもよい。
【国際調査報告】