(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ハイブリッド触媒組成物、それを含む触媒およびそれを用いたオレフィン系重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 4/6592 20060101AFI20240110BHJP
C08F 10/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C08F4/6592
C08F10/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538880
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 KR2021019133
(87)【国際公開番号】W WO2022139317
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0181750
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520161344
【氏名又は名称】ハンファ ソリューションズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ソ ジュンホ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン テ ウク
(72)【発明者】
【氏名】キム スン ドン
(72)【発明者】
【氏名】パク ヒェ ラン
(72)【発明者】
【氏名】リム ソンジェ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ウィ ガプ
【テーマコード(参考)】
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4J100AA02P
4J100AA16Q
4J100CA04
4J100DA01
4J100DA04
4J100DA15
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4J128BA01A
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4J128BB01B
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4J128GA01
4J128GA05
4J128GA07
4J128GA08
4J128GA19
4J128GA26
4J128GB01
4J128GB07
(57)【要約】
本発明は、異種遷移金属化合物を含むハイブリッド触媒組成物、これを含むオレフィン重合用触媒、およびこの触媒を用いてゲルの生成が抑制されたオレフィン系重合体の製造方法に関する。
本発明の実施例によるオレフィン系重合体の製造方法は、オレフィン系重合体の不均一性、特にゲルの生成が抑制されたオレフィン系重合体を提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される第1遷移金属化合物、下記化学式2で表される第2遷移金属化合物および下記化学式3で表される第3遷移金属化合物を含み、第1遷移金属化合物対第2遷移金属化合物のモル比が1:100~100:1の範囲であり、ハイブリッド触媒組成物の総モル数を基準として第3遷移金属化合物の含有量が10~90モル%である、ハイブリッド触媒組成物。
【化1】
前記式1~3中、l、n、pおよびqは、それぞれ独立して0~4の整数、mは、それぞれ独立して0~2の整数、oは、0~5の整数であり、
Mは、それぞれ独立してチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、
Xは、それぞれ独立してハロゲン、ニトロ、C
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミドまたはC
6-20アリールアミドであリ、
Qは、それぞれ独立して炭素(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)またはスズ(Sn)であり、
R
1~R
8は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のC
1-20アルキル、置換または非置換のC
2-20アルケニル、置換または非置換のC
6-20アリール、置換または非置換のC
1-20アルキルC
6-20アリール、置換または非置換のC
6-20アリールC
1-20アルキル、置換または非置換のC
1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC
3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC
1-20アルキルアミド、置換または非置換のC
6-20アリールアミド、置換または非置換のC
1-20アルキリデン、または置換または非置換のC
1-20シリルであるが、R
1~R
6は、それぞれ独立して隣接する基が接続され、置換または非置換の飽和または不飽和C
4-20環を形成することができる。
【請求項2】
第1遷移金属化合物、第2遷移金属化合物および第3遷移金属化合物が、それぞれ下記化学式1-1で表される化合物、化学式2-1で表される化合物および化学式3-1で表される化合物である、請求項1に記載のハイブリッド触媒組成物。
【化2】
前記化学式で、Buはブチル基、Phはフェニル基である。
【請求項3】
請求項1に記載のハイブリッド触媒組成物および助触媒化合物を含み、第1遷移金属化合物に対する第2遷移金属化合物のモル比が1:100~100:1の範囲であり、ハイブリッド触媒組成物の総モル数を基準として第3遷移金属化合物の含有量が10~90モル%である、オレフィン重合用触媒。
【請求項4】
前記助触媒化合物が、下記化学式4で表される化合物、下記化学式5で表される化合物、および下記化学式6で表される化合物から選択される少なくとも1つを含む、請求項3に記載のオレフィン重合用触媒。
【化3】
[化学式6]
[L-H]
+[Z(A)
4]
-または[L]
+[Z(A)
4]。
-
前記化学式4中、nは、2以上の整数であり、R
aは、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基またはハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素基であり、
前記化学式5中、Dはアルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、R
b、R
cおよびR
dはそれぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、ハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素基または炭素数1~20のアルコキシ基であり、
前記化学式6中、Lは、中性またはカチオン性ルイス塩基、[L-H]
+および[L]
+は、ブレンステッド酸であり、Zは、13族元素であり、Aは、それぞれ独立して置換または非置換の炭素数6~20のアリール基、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【請求項5】
化学式4で表される化合物が、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサンおよびブチルアルミノキサンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項4に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項6】
化学式5で表される化合物が、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロンおよびトリブチルボロンからなる群から選択される少なくとも1つの、請求項4に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項7】
式6で表される化合物が、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラペンタフロロフェニルボロン、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフロロフェニルボロン、ジエチルアンモニウムテトラペンタフロロフェニルボロン、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフロロフェニルアルミニウム, N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム, N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフロロフェニルアルミニウム, ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボロン、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)ボロンおよびトリフェニルカルボニウムテトラペンタフロロフェニルボロンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項4に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項8】
ハイブリッド触媒組成物、助触媒化合物またはその両方を担持する担体をさらに含む、請求項3に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項9】
前記担体がシリカ、アルミナおよびマグネシアからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項8に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項10】
前記担体に担持されるハイブリッド触媒組成物の総量が担体1gを基準として0.001~1mmoleであり、担体に担持される助触媒化合物の総量が担体1gを基準として2~15mmoleである、請求項8に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項11】
請求項3に記載のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィン系単量体を重合するステップを含む、オレフィン系重合体の製造方法。
【請求項12】
オレフィン系重合体がオレフィン系単量体とオレフィン系共単量体の共重合体である、請求項11に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項13】
オレフィン系単量体がエチレンであり、オレフィン系共単量体が、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセンおよび1-ヘキサデセンからなる群から選択される1つ以上である、請求項12に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項14】
前記オレフィン系単量体がエチレンであり、オレフィン系共単量体が1-ヘキセンであり、オレフィン系重合体が線状低密度ポリエチレンである、請求項13に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項15】
オレフィン系単量体の重合がスラリー重合で行われる、請求項11に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項16】
請求項11~15のいずれか一項に記載のオレフィン系オレフィン系重合体の製造方法により製造され、50μmの厚さのフィルムに成形したときのゲル指数が1以下である、オレフィン系重合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイブリッド触媒組成物、それを含む触媒およびこれを用いたオレフィン系重合体の製造方法に関する。具体的には、本開示は、異種遷移金属化合物を含むハイブリッド触媒組成物、これを含むオレフィン重合用触媒およびこの触媒を利用してゲルの生成が抑制されたオレフィン系重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン系重合体は、実生活で買い物袋、ビニールハウス、漁網、タバコの包装紙、麺袋、ヨーグルトボトル、電池ケース、自動車バンパー、内装材、靴底、洗濯機などの素材として多様に使用されている。
【0003】
従来、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびエチレン-α-オレフィン共重合体などのポリオレフィン系重合体とその共重合体は、チタン化合物とアルキルアルミニウム化合物からなるチーグラー・ナッタ(Ziegler-Natta)触媒のような不均一系触媒によって製造されていた。
【0004】
最近、触媒活性が非常に高い均一系触媒であるメタロセン触媒を用いたポリオレフィンの製造方法が研究されている。メタロセン触媒は、遷移金属または遷移金属ハロゲン化合物にシクロペンタジエニル(cyclopentadienyl)、インデニル(indenyl)、シクロヘプタジエニル(cycloheptadienyl)などのリガンドが配位結合した化合物で、サンドイッチ構造を基本的な形態として有する。この際とき、リガンドの形態と中心金属の種類によって様々な分子構造を有する。
【0005】
オレフィンを重合するために使用される他の触媒であるジーグラー・ナッタ(Ziegler-Natta)触媒が活性点である金属成分が不活性の固体表面に分散し、活性点の性質が均一でないのに対し、メタロセン触媒は、一定の構造を有する一つの化合物であるため、全ての活性点が同じ重合特性を有する単一活性点触媒(single-site catalyst)として知られている。このようなメタロセン触媒で重合された高分子は分子量分布が狭く、共単量体の分布が均一な特徴を示す。
【0006】
一般的に、メタロセン触媒は、それ自体だけでは重合触媒としての活性がないため、メチルアルミノキサンなどの助触媒とともに用いられる。助触媒の作用によりメタロセン触媒がカチオンで活性化され、同時に助触媒はメタロセン触媒に配位していないアニオンとして不飽和のカチオン活性種を安定化させ、各種オレフィン重合に活性を有する触媒系を形成する。
【0007】
このようなメタロセン触媒は共重合が容易であり、触媒の対称性によって重合体の立体構造を調整することができ、これにより製造された重合体は分子量分布が狭く、共単量体の分布が均一であるという利点を有する。
【0008】
一方、メタロセン触媒によって製造された重合体は、狭い分子量分布のため、機械的強度は優れているが、加工性が低いという問題点を有する。このような問題を解決するために、重合体の分子構造を変更したり、分子量分布を広くするなどの様々な方法が提案されている。例えば、米国特許第5,272,236号では、重合体の主鎖に側鎖として長鎖分岐(long chain branch、LCB)を導入させる触媒を利用して重合体の加工性を改善したが、担持触媒の場合、活性が低いという問題が存在する。
【0009】
このような単一メタロセン触媒の問題点を解決し、より簡便に活性に優れ、かつ加工性が改善された触媒を開発するために、異なる特性を有するメタロセン触媒(異種メタロセン触媒)をハイブリッド担持する方法が提案されている。例えば、米国特許第4,935,474号、米国特許第6,828,394号、米国特許第6,894,128号、韓国特許第1437509号および米国特許第6,841,631号には、共単量体に対する反応性が異なる触媒を利用して、二頂の(bimodal)分子量分布を有するポリオレフィンを製造する方法が開示されている。このような方法で製造された二頂の分子量分布を有するポリオレフィンは、加工性は向上するが、異なる分子量分布を有するため、ポリオレフィン樹脂の不均一性が現れることがある。例えば、ポリオレフィンが多数のゲル(gel)を含んでいたり、製品の外観不良または加工による急激な物性の変化などが発生する可能性がある。
【0010】
したがって、異種遷移金属化合物を用いたメタロセン触媒を用いてオレフィン系単量体を重合する際に、ポリオレフィンの不均一性を抑制できる方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一実施形態の目的は、異種遷移金属化合物を含むハイブリッド触媒組成物、これを含むオレフィン重合用触媒、およびこの触媒を利用して不均一性、特にゲルの生成が抑制されたオレフィン系重合体を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態は、下記化学式1で表される第1遷移金属化合物、下記化学式2で表される第2遷移金属化合物および下記化学式3で表される第3遷移金属化合物を含み、第1遷移金属化合物対第2遷移金属化合物のモル比が1:100~100:1の範囲であり、ハイブリッド触媒組成物の総モル数を基準として第3遷移金属化合物の含有量が10~90モル%であるハイブリッド触媒組成物を提供する。
【0013】
【化1】
前記化学式1~3において、l、n、pおよびqは、それぞれ独立して0~4の整数、mは、それぞれ独立して0~2の整数、oは、0~5の整数であり、
Mは、それぞれ独立してチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、
Xは、それぞれ独立してハロゲン、ニトロ、C
1-20アルキル、C
2-20 アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミドまたはC
6-20アリールアミドであり、Qは、それぞれ独立して炭素(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)またはスズ(Sn)であり、
R
1~R
8はそれぞれ独立して水素、置換または非置換のC
1-20アルキル、置換または非置換のC
2-20アルケニル、置換または非置換のC
6-20アリール、置換または非置換のC
1-20アルキルC
6-20アリール、置換または非置換のC
6-20アリールC
1-20アルキル、置換または非置換のC
1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC
3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC
1-20アルキルアミド、置換または非置換のC
6-20アリールアミド、置換または非置換のC
1-20アルキリデン、または置換または非置換のC
1-20シリルであるが、R
1~R
6はそれぞれ独立して隣接する基が接続され、置換または非置換の飽和または不飽和C
4-20環を形成することができる。
【0014】
一実施形態では、第1遷移金属化合物、第2遷移金属化合物および第3遷移金属化合物は、それぞれ下記化学式1-1で表される化合物、化学式2-1で表される化合物および化学式3-1で表される化合物であることができる。
【0015】
【化2】
前記化学式で、Buはブチル基、Phはフェニル基である。
【0016】
他の一実施形態は、前記一実施形態によるハイブリッド触媒組成物および助触媒化合物を含み、第1遷移金属化合物に対する第2遷移金属化合物のモル比が1:100~100:1の範囲であり、ハイブリッド触媒組成物の総モル数を基準として第3遷移金属化合物の含有量が10~90モル%であるオレフィン重合用触媒を提供する。
【0017】
一実施形態では、助触媒化合物は、下記化学式4で表される化合物、下記化学式5で表される化合物および下記化学式6で表される化合物から選択される少なくとも1つを含むことができる。
【0018】
【化3】
[化学式6]
[L-H]
+[Z(A)
4]
-または [L]
+[Z(A)
4]
-
前記化学式4中、nは、2以上の整数であり、R
aは、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基またはハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素基であることができる。
【0019】
前記化学式5中、Dは、アルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、Rb、RcおよびRdは、それぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、ハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素基または炭素数1~20のアルコキシ基であることができる。
【0020】
前記化学式6中、Lは、中性またはカチオン性ルイス塩基であり、[L-H]+および[L]+は、ブレンステッド酸であり、Zは、13族元素であり、Aは、それぞれ独立して置換または非置換の炭素数6~20のアリール基または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であることができる。
【0021】
一実施形態では、前記化学式4で表される化合物は、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサンおよびブチルアルミノキサンからなる群から選択される少なくとも1つであることができる。
【0022】
また、化学式5で表される化合物は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロンおよびトリブチルボロンからなる群より選択される少なくとも1つであることができる。
【0023】
また、前記化学式6で表される化合物は、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラペンタフロロフェニルボロン、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフロロフェニルボロン、ジエチルアンモニウムテトラペンタフロロフェニルボロン、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフロロフェニルアルミニウム,N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム,N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフロロフェニルアルミニウム,ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボロン、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)ボロンおよびトリフェニルカルボニウムテトラペンタフロロフェニルボロンからなる群から選択される少なくとも1つであることができる。
【0024】
一実施形態では、オレフィン重合用触媒は、前記ハイブリッド触媒組成物、前記助触媒化合物、またはその両方を担持する担体をさらに含むことができる。
【0025】
より具体的には、担体は、シリカ、アルミナおよびマグネシアからなる群から選択される少なくとも1つを含むことができる。
【0026】
このとき、担体に担持されるハイブリッド触媒組成物の総量が担体1gを基準として0.001~1mmoleであることができ、担体に担持される助触媒化合物の総量が担体1gを基準として2~15mmoleであることができる。
【0027】
他の一実施形態は、前記オレフィン重合用触媒の存在下でオレフィン系単量体を重合するステップを含むオレフィン系重合体の製造方法を提供する。
【0028】
一実施形態では、オレフィン系単量体はエチレンであることができ、オレフィン系共単量体は、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセンおよび1-ヘキサデセンからなる群から選択される1つ以上であることができる。具体的には、オレフィン系単量体がエチレンであり、オレフィン系共単量体が1-ヘキセンであり、オレフィン系重合体が線状低密度ポリエチレンであることができる。
【0029】
一実施形態では、オレフィン系単量体の重合はスラリー重合で行うことができ、具体的には、オレフィン系単量体の重合はスラリーバッチ反応器内で行うことができる。
【0030】
他の一実施形態は、前記オレフィン系重合体の製造方法により製造され、50μmの厚さのフィルムに成形する際に1以下のゲル指数を有するオレフィン系重合体を提供する。
【発明の効果】
【0031】
一実施形態によるオレフィン系重合体の製造方法は、オレフィン系重合体の不均一性、特にゲルの生成が抑制されたオレフィン系重合体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、一実施形態についてより詳細に説明する。
【0033】
ハイブリッド触媒組成物
一実施形態によるハイブリッド触媒組成物は、下記化学式1で表される第1遷移金属化合物、下記化学式2で表される第2遷移金属化合物および下記化学式3で表される第3遷移金属化合物を含み、第1遷移金属化合物対第2遷移金属化合物のモル比が1:100~100:1の範囲であり、ハイブリッド触媒組成物の総モル数に基づいて第3遷移金属化合物の含有量が10~90モル%である。
【0034】
【化4】
前記化学式1~3において、l、n、pおよびqは、それぞれ独立して0~4の整数であり、mは、それぞれ独立して0~2の整数であり、oは、0~5の整数である。具体的には、l、m、pおよびqは、それぞれ1であり、nおよびoは、それぞれ0であることができる。
【0035】
Mは、それぞれ独立してチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)である。具体的には、Mは、それぞれジルコニウムであってもよい。
【0036】
Xは、それぞれ独立してハロゲン、ニトロ、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、C6-20アリール、C1-20アルキルC6-20アリール、C6-20アリールC1-20アルキル、C1-20アルキルアミドまたはC6-20アリールアミドである。具体的には、Xは、それぞれハロゲンであってもよい。より具体的には、Xは、塩素であってもよい。
【0037】
Qは、それぞれ独立して炭素(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)またはスズ(Sn)である。具体的には、Qは、それぞれ炭素またはシリコンであってもよい。
【0038】
R1~R8はそれぞれ独立して水素、置換または非置換のC1-20アルキル、置換または非置換のC2-20アルケニル、置換または非置換のC6-20アリール、置換または非置換のC1-20アルキルC6-20アリール、置換または非置換のC6-20アリールC1-20アルキル、置換または非置換のC1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC1-20アルキルアミド、置換または非置換のC6-20アリールアミド、置換または非置換のC1-20アルキリデン、または置換または非置換のC1-20シリルである。ここで、R1~R6は、それぞれ独立して隣接する基が連結され、置換または非置換の飽和または不飽和C4-20環を形成することができる。具体的には、R1~R8は、それぞれ水素、置換または非置換のC1-20アルキル、または置換または非置換のC6-20アリールであってもよい。
【0039】
一実施形態では、第1遷移金属化合物、第2遷移金属化合物および第3遷移金属化合物は、それぞれ、下記化学式1-1で表される化合物、化学式2-1で表される化合物および化学式3-1で表される化合物であってもよい。
【0040】
【化5】
前記化学式で、Buはブチル基、Phはフェニル基である。
【0041】
一実施形態によるハイブリッド触媒組成物に含まれる第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物のモル比は、1:100~100:1の範囲であることができる。具体的には、1:50~50:1であることができ、より具体的には、1:10~10:1であることができる。第1遷移金属化合物と第2遷移金属化合物の含有量の比が前記範囲内である場合、適切な担持触媒活性を示し、触媒の活性維持および経済性の面で有利である。また、前記範囲を満足するオレフィン重合用触媒の存在下で製造されたオレフィン系重合体は、優れた加工性を示し、そこから製造されるフィルムは優れた機械的、光学的特性を示すことができる。
【0042】
一実施形態によるハイブリッド触媒組成物において、ハイブリッド触媒組成物の総モル数を基準として、第3遷移金属化合物の含有量が10~90モル%であることができる。具体的には、第3遷移金属化合物の含有量が10~80モル%または10~60モル%であることができる。ハイブリッド触媒組成物中の第3遷移金属化合物の含有量が前記範囲内である場合、このオレフィン重合用触媒の存在下で製造されたオレフィン系重合体の不均一性、特にゲルの生成を抑制することができる。
【0043】
オレフィン重合用触媒
一実施形態によるオレフィン重合用触媒は、下記化学式1で表される第1遷移金属化合物、下記化学式2で表される第2遷移金属化合物および下記化学式3で表される第3遷移金属化合物を含むハイブリッド触媒組成物および助触媒化合物を含み、第1遷移金属化合物対第2遷移金属化合物のモル比が1:100~100:1の範囲であり、ハイブリッド触媒組成物の総モル数を基準として第3遷移金属化合物の含有量が10~90モル%である。
【0044】
【化6】
前記化学式1~3において、l、m、n、n、o、p、q、M、X、QおよびR
1~R
8は、前記ハイブリッド触媒組成物で説明した通りである。
【0045】
一実施形態では、第1遷移金属化合物、第2遷移金属化合物および第3遷移金属化合物は、それぞれ、下記化学式1-1で表される化合物、化学式2-1で表される化合物および化学式3-1で表される化合物であってもよい。
【0046】
【化7】
前記化学式で、Buはブチル基、Phはフェニル基である。
【0047】
一実施形態によるハイブリッド触媒組成物に含まれる第1遷移金属化合物および第2遷移金属化合物のモル比は、1:100~100:1の範囲であることができる。具体的には、この二つの化合物のモル比が1:50~50:1であることができ、より具体的には、この二つの化合物のモル比が1:10~10:1であることができる。第1遷移金属化合物と第2遷移金属化合物の含有比が前記範囲内である場合、適切な担持触媒活性を示し、触媒の活性維持および経済性の面で有利である。また、前記範囲を満足するオレフィン重合用触媒の存在下で製造されたオレフィン系重合体は、優れた加工性を示し、そこから製造されるフィルムは優れた機械的、光学的特性を示すことができる。
【0048】
一実施形態によるハイブリッド触媒組成物において、ハイブリッド触媒組成物の総モル数を基準として、第3遷移金属化合物の含有量が10~90モル%であることができる。具体的には、第3遷移金属化合物の含有量が10~80モル%または10~60モル%であることができる。ハイブリッド触媒組成物中の第3遷移金属化合物の含有量が前記範囲である場合、このオレフィン重合用触媒の存在下で製造されたオレフィン系のうち、
一実施形態では、助触媒化合物は、下記化学式4で表される化合物、下記化学式5で表される化合物、および下記化学式6で表される化合物から選択される1つ以上を含むことができる。
【0049】
【化8】
前記化学式4中、nは、2以上の整数であり、R
aはハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素またはハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素であることができる。具体的には、R
aはメチル、エチル、n-ブチルまたはイソブチルであることができる。
【0050】
【化9】
前記化学式5中、Dは、アルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、R
b、R
cおよびR
dは、それぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、ハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素基または炭素数1~20のアルコキシ基である。具体的には、Dがアルミニウム(Al)であるとき、R
b、R
cおよびR
dはそれぞれ独立してメチルまたはイソブチルであることができ、Dがボロン(B)であるとき、R
b、R
cおよびR
dはそれぞれペンタフルオロフェニルであることができる。
【0051】
[化学式6]
[L-H]+[Z(A)4]-または [L]+[Z(A)4]-
前記化学式6中、Lは、中性またはカチオン性ルイス塩基であり、[L-H]+および[L]+はブレンステッド酸であり、Zは、13族元素であり、Aは、それぞれ独立して置換または非置換の炭素数6~20のアリール基または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である。具体的には、[L-H]+はジメチルアニリニウムカチオンであることができ、[Z(A)4]-は[B(C6F5)4]- であることができ、[L]+は[(C6H5)3C]+であることができる。
【0052】
一実施形態において、前記化学式4で表される化合物の例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン等が挙げられ、メチルアルミノキサンが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0053】
また、前記化学式5で表される化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、トリブチルボロン等を挙げることができ、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0054】
一実施形態において、前記式6で表される化合物の例としては、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン, N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン, N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン, ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン, トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)アルミニウム, トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム, N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム, N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボロン、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラペンタフロロフェニルボロンなどが挙げられる。
【0055】
一実施形態では、オレフィン重合用触媒は、ハイブリッド触媒組成物を担持する担体をさらに含むことができる。具体的には、担体は、遷移金属化合物と助触媒化合物の両方を担持することができる。
【0056】
ここで、担体は、表面にヒドロキシル基を含む物質を含むことができ、具体的には、乾燥されて表面に水分が除去された、反応性の高いヒドロキシル基とシロキサン基を有する物質を含むことができる。例えば、担体は、シリカ、アルミナおよびマグネシアからなる群から選択される少なくとも1つを含むことができる。具体的には、高温で乾燥されたシリカ、シリカ-アルミナ、およびシリカ-マグネシアなどが担体として使用でき、これらは通常、Na2O、K2CO3、BaSO4、およびMg(NO3)2などの酸化物、炭酸塩、硫酸塩、および硝酸塩成分を含むことができる。また、これらは、炭素、ゼオライト、塩化マグネシウムなどを含むこともできる。ただし、担体がこれらに特に限定されるものではない。
【0057】
担体は平均粒度が10~250μmであることができ、具体的には平均粒度が10~150μmであることができ、より具体的には20~100μmであることができる。
【0058】
担体の微細気孔の容積は0.1~10cc/gであることができ、具体的には0.5~5cc/gであることができ、より具体的には1.0~3.0cc/gであることができる。
【0059】
担体の比表面積は1~1,000m2/gであることができ、具体的には100~800m2/gであることができ、より具体的には200~600m2/gであることができる。
【0060】
一実施形態において、担体がシリカである場合、シリカは、乾燥温度は200~900℃であることができる。乾燥温度は具体的には300~800℃、より具体的には400~700℃であることができる。乾燥温度が200℃未満の場合には、水分が多すぎて表面の水分と助触媒化合物が反応することになり、900℃を超えると担体の構造が崩壊する可能性がある。
【0061】
乾燥されたシリカ内のヒドロキシ基の濃度は0.1~5mmole/gであることができ、具体的には0.7~4mmole/gであることができ、より具体的には1.0~2mmole/gであることができる。ヒドロキシ基の濃度が0.1mmole/g未満であれば、助触媒化合物の担持量が低くなり、5mmole/gを超えると触媒成分が不活性化される問題が発生する可能性がある。
【0062】
担体に担持されるハイブリッド触媒組成物の総量は、担体1gを基準として0.001~1mmoleであることができる。ハイブリッド触媒組成物と担体の比が前記範囲を満たせば、適切な担持触媒活性を示し、触媒の活性維持および経済性の面で有利である。
【0063】
担体に担持される助触媒化合物の総量は、担体1gを基準として2~15mmoleであることができる。助触媒化合物と担体の比が前記範囲を満たせば、触媒の活性維持および経済性の面で有利である。
【0064】
担体は1種または2種以上を使用することができる。例えば、1種の担体にハイブリッド触媒組成物と助触媒化合物の両方が担持される場合もあり、2種以上の担体にハイブリッド触媒組成物と助触媒化合物がそれぞれ担持される場合もある。また、ハイブリッド触媒組成物と助触媒化合物のいずれか一方のみが担体に担持されることもある。
【0065】
オレフィン系重合体の製造方法
一実施形態によるオレフィン系重合体の製造方法は、一実施形態によるオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィン系単量体を重合するステップを含む。
【0066】
ここで、オレフィン系重合体は、オレフィン系単量体の単独重合体(homopolymer)またはオレフィン系単量体と共単量体の共重合体(copolymer)であることができる。
【0067】
一実施形態では、オレフィン系単量体は、C2-20α-オレフィン、C1-20ジオレフィン、C3-20シクロオレフィンおよびC3-20シクロジオレフィンからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0068】
例えば、オレフィン系単量体は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセンまたは1-ヘキサデセンなどであり、オレフィン系重合体は、前記で例示したオレフィン系単量体を1種だけ含む単独重合体であってもよく、2種以上を含む共重合体であってもよい。
【0069】
例示的な実施形態では、オレフィン系重合体は、エチレンとC3-20アルファ-オレフィンが共重合した共重合体であることができ、エチレンとC4-8α-オレフィンが共重合した共重合体が好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0070】
この場合、エチレンの含有量は55~99.9重量%または90~99.9重量%である。α-オレフィン系共単量体の含有量は0.1~45重量%または10~40重量%であることができる。
【0071】
一実施形態によるオレフィン系重合体は、例えば、フリーラジカル(free radical)、カチオン(cationic)、配位(coordination)、縮合(condensation)、付加(addition)等の重合反応により重合することができるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
一実施形態では、オレフィン系重合体は、気相重合法、溶液重合法またはスラリー重合法などで製造することができる。具体的には、オレフィン系単量体の重合をスラリー重合で行うことができ、より具体的には、オレフィン系単量体の重合をスラリーバッチ反応器内で行うことができる。
【0073】
オレフィン系重合体が溶液重合法またはスラリー重合法で製造される場合、使用できる溶媒の例として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカンおよびこれらの異性体のようなC5-12脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒、およびこれらの混合物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
他の一実施形態は、前記オレフィン系重合体の製造方法によって製造されるオレフィン系重合体を提供する。一実施形態によるオレフィン系重合体は、50μmの厚さのフィルムに成形する際に、1以下のゲル指数(ゲルインデックス)を有することができる。
【0075】
実施例
以下、実施例と比較例を通じて一実施形態をより具体的に説明する。ただし、以下の実施例は、本発明を例示するためのものであり、本開示の範囲がこれらだけに限定されるものではない。
【0076】
遷移金属化合物として、化合物1-1((dimethylsilylene)bis(2-methyl-4-phenylindenyl)zirconium dichloride)をsPCIから、化合物2-1((cyclopentadienyl)(indenyl)zirconium(IV)dichloride)と化合物3-1 (diphenylmethylidene(n-butyl cyclopentadienyl)(2,7-tert-butyl fluoren-9-yl)zirconium dichloride)をMCNから購入した。シリカ(XPO-2402)はGraceから購入し、アルミノケイ酸の10%トルエン溶液はLake Materialsから購入した。すべての物質は、特に記載がない限り、精製せずにそのまま使用した。
【0077】
実施例1
グローブボックス内の丸型ガラス製反応器に、化学式1-1の遷移金属化合物26mg、化学式2-1の遷移金属化合物12mg、化学式3-1の遷移金属化合物3mgおよびアルミノキサンの10%トルエン溶液8.8gを1時間攪拌した。このとき、化合物1-1:化合物2-1:化合物3-1のモル比は45:40:15であった。
【0078】
反応器終了溶液を2gのシリカ(XPO-2402)に投入し、さらに1.5リットルのトルエンを加えて75℃で3時間攪拌した。その後、10mlのトルエンを用いて3回洗浄し、真空中で1時間乾燥し、粉末状担持触媒を2.2g得た。
【0079】
実施例2
化学式1-1の遷移金属化合物17mg、化学式2-1の遷移金属化合物12mg、化学式3-1の遷移金属化合物20mgを用いた以外は実施例1と同様の方法で、ハイブリッドメタロセン担持触媒2.17gを得た。このとき、化合物1-1:化合物2-1:化合物3-1のモル比は30:40:30であった。
【0080】
実施例3
化学式1-1の遷移金属化合物3mg、化学式2-1の遷移金属化合物12mg、化学式3-1の遷移金属化合物36mgを用いた以外は実施例1と同様の方法で、ハイブリッドメタロセン担持触媒2.15gを得た。このとき、化合物1-1:化合物2-1:化合物3-1のモル比は5:40:55であった。
【0081】
実施例4
製造例2と同様の方法でハイブリッドメタロセン担持触媒を製造するが、使用する化合物を増量した。具体的には、化学式1-1の遷移金属化合物2.14g、化学式2-1の遷移金属化合物1.56g、化学式3-1の遷移金属化合物2.47gを使用し、シリカ250gおよびアルミノキサンの10%トルエン溶液1103gを使用した。製造された触媒の量は345 gであった。
【0082】
比較例1
化学式1-1の遷移金属化合物34mgおよび化学式2-1の遷移金属化合物12mgを使用し、化学式3-1の遷移金属化合物を使用しなかった以外は実施例1と同様の方法で、ハイブリッドメタロセン担持触媒2.1gを得た。このとき、化合物1-1:化合物2-1:化合物3-1のモル比は60:40:0であった。
【0083】
比較例2
化学式1-1の遷移金属化合物31mg、化学式2-1の遷移金属化合物12 mg、化学式3-1の遷移金属化合物3mgを用いた以外は実施例1と同様の方法で、ハイブリッドメタロセン担持触媒2.01gを得た。このとき、化合物1-1:化合物2-1:化合物3-1のモル比は55:40:5であった。
【0084】
試験例
スラリー重合反応器を用い、実施例1~4および比較例1~2で製造したそれぞれのハイブリッドメタロセン担持触媒を用いてオレフィン系重合体を製造した。反応器に混合メタロセン担持触媒50mgとヘキサン1リットルを投入し、スカベンジャーとして1Mトリイソブチルアルミニウム(TiBAL)0.6mlを投入した。下記表1に示す量の1-ヘキセンを反応器に投入した。
【0085】
重合反応が進行する間、エチレンの分圧を14kgf/cm2に維持しながら、下記表1に示す量の水素ガスを投入した。この時、反応温度を約80℃に維持しながら1時間重合した。
【0086】
得られたオレフィン系重合体を常温で乾燥した後、以下の方法で物性を測定した。具体的な重合条件とオレフィン系重合体の物性測定結果を下記表1と2に示した。
【0087】
(1) 密度
ASTM D1505に準拠して測定した。
【0088】
(2) 溶融指数(melt index)および溶融指数比(melt flow ratio; MFR)
ASTM D 1238に基づき、21.6kgの荷重と2.16kgの荷重で190℃でそれぞれ融解指数を測定し、その比(MI21.6/MI2.16)を求めた。
【0089】
(3) 分子量(Mw)および分子量分布(PDI)
170℃で3Dゲル透過クロマトグラフィー-FTIR(GPC-FTIR)を用いて測定した。
【0090】
(4) 熱特性
示差走査熱量計(differential scanning calorimeter, DSC、装置名: DSC 2920、メーカー:TA instrument)を用いて測定した。具体的には、重合体を200℃まで加熱した後、5分間その温度を維持し、再び20℃まで冷却した後、再び温度を増加させ、この時、温度の上昇速度と下降速度はそれぞれ20℃/分で調節した。
【0091】
(5) ゲル特性
小型ブローフィルム押出機を利用して50μm厚のフィルムを成形した後、基準フィルムを通してゲル特性を測定した。ゲルインデックス(gel index、GI)が小さいほどゲルが少ないことを意味する。具体的には、ゲルインデックスは次のような方法で測定した。
【0092】
実施例と比較例で重合されたそれぞれの樹脂を小内マイクロブローフィルム押出機(micro blown film extruder、Labtech社)を用いて成形した。フィルム幅は約5cm、厚さは50μmになるように押出速度および成形速度を調節してフィルムを成形した。5cm×5cmのフィルムについて、ゲルの総数を目視で調査し、以下の基準で評価した。
【0093】
1:10個以下
2:10個以上50個以下
3:50個以上100個以下
4:100個以上200個以下
5:200個以上
【表1】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0094】
表1および2から確認できるように、一実施形態に従って製造されたオレフィン系重合体はゲルの発生程度が良好であったが、第3遷移金属化合物を使用しなかった比較例1と第3遷移金属化合物の使用量が少ない比較例1の場合、ゲルの発生が増加し、フィルム又はパイプの用途に使用するのに適していなかった。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される第1遷移金属化合物、下記化学式2で表される第2遷移金属化合物および下記化学式3で表される第3遷移金属化合物を含み、第1遷移金属化合物対第2遷移金属化合物のモル比が1:100~100:1の範囲であり、ハイブリッド触媒組成物の総モル数を基準として第3遷移金属化合物の含有量が10~90モル%である、ハイブリッド触媒組成物。
【化1】
前記式1~3中、l、n、pおよびqは、それぞれ独立して0~4の整数、mは、それぞれ独立して0~2の整数、oは、0~5の整数であり、
Mは、それぞれ独立してチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であり、
Xは、それぞれ独立してハロゲン、ニトロ、C
1-20アルキル、C
2-20アルケニル、C
2-20アルキニル、C
6-20アリール、C
1-20アルキルC
6-20アリール、C
6-20アリールC
1-20アルキル、C
1-20アルキルアミドまたはC
6-20アリールアミドであリ、
Qは、それぞれ独立して炭素(C)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)またはスズ(Sn)であり、
R
1~R
8は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換のC
1-20アルキル、置換または非置換のC
2-20アルケニル、置換または非置換のC
6-20アリール、置換または非置換のC
1-20アルキルC
6-20アリール、置換または非置換のC
6-20アリールC
1-20アルキル、置換または非置換のC
1-20ヘテロアルキル、置換または非置換のC
3-20ヘテロアリール、置換または非置換のC
1-20アルキルアミド、置換または非置換のC
6-20アリールアミド、置換または非置換のC
1-20アルキリデン、または置換または非置換のC
1-20シリルであるが、R
1~R
6は、それぞれ独立して隣接する基が接続され、置換または非置換の飽和または不飽和C
4-20環を形成することができる。
【請求項2】
第1遷移金属化合物、第2遷移金属化合物および第3遷移金属化合物が、それぞれ下記化学式1-1で表される化合物、化学式2-1で表される化合物および化学式3-1で表される化合物である、請求項1に記載のハイブリッド触媒組成物。
【化2】
前記化学式で、Buはブチル基、Phはフェニル基である。
【請求項3】
請求項1に記載のハイブリッド触媒組成物および助触媒化合物を含み、第1遷移金属化合物に対する第2遷移金属化合物のモル比が1:100~100:1の範囲であり、ハイブリッド触媒組成物の総モル数を基準として第3遷移金属化合物の含有量が10~90モル%である、オレフィン重合用触媒。
【請求項4】
前記助触媒化合物が、下記化学式4で表される化合物、下記化学式5で表される化合物、および下記化学式6で表される化合物から選択される少なくとも1つを含む、請求項3に記載のオレフィン重合用触媒。
【化3】
[化学式6]
[L-H]
+[Z(A)
4]
-または[L]
+[Z(A)
4]。
-
前記化学式4中、nは、2以上の整数であり、R
aは、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基またはハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素基であり、
前記化学式5中、Dはアルミニウム(Al)またはボロン(B)であり、R
b、R
cおよびR
dはそれぞれ独立してハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、ハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素基または炭素数1~20のアルコキシ基であり、
前記化学式6中、Lは、中性またはカチオン性ルイス塩基、[L-H]
+および[L]
+は、ブレンステッド酸であり、Zは、13族元素であり、Aは、それぞれ独立して置換または非置換の炭素数6~20のアリール基、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【請求項5】
化学式4で表される化合物が、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサンおよびブチルアルミノキサンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項4に記載のオレフィン
重合用触媒系重合体の製造方法。
【請求項6】
化学式5で表される化合物が、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロンおよびトリブチルボロンからなる群から選択される少なくとも1つの、請求項4に記載のオレフィン
重合用触媒。
【請求項7】
式6で表される化合物が、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラペンタフロロフェニルボロン、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフロロフェニルボロン、ジエチルアンモニウムテトラペンタフロロフェニルボロン、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフロロフェニルアルミニウム, N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム, N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフロロフェニルアルミニウム, ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボロン、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラ(p-トリフロロメチルフェニル)ボロンおよびトリフェニルカルボニウムテトラペンタフロロフェニルボロンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項4に記載のオレフィン
重合用触媒。
【請求項8】
ハイブリッド触媒組成物、助触媒化合物またはその両方を担持する担体をさらに含む、請求項3に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項9】
前記担体がシリカ、アルミナおよびマグネシアからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項8に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項10】
前記担体に担持されるハイブリッド触媒組成物の総量が担体1gを基準として0.001~1mmoleであり、担体に担持される助触媒化合物の総量が担体1gを基準として2~15mmoleである、請求項8に記載のオレフィン重合用触媒。
【請求項11】
請求項3に記載のオレフィン重合用触媒の存在下でオレフィン系単量体を重合するステップを含む、オレフィン系重合体の製造方法。
【請求項12】
オレフィン系重合体がオレフィン系単量体とオレフィン系共単量体の共重合体である、請求項11に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項13】
オレフィン系単量体がエチレンであり、オレフィン系共単量体が、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセンおよび1-ヘキサデセンからなる群から選択される1つ以上である、請求項12に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項14】
前記オレフィン系単量体がエチレンであり、オレフィン系共単量体が1-ヘキセンであり、オレフィン系重合体が線状低密度ポリエチレンである、請求項13に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項15】
オレフィン系単量体の重合がスラリー重合で行われる、請求項11に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
【請求項16】
請求項11~15のいずれか一項に記載
のオレフィン系重合体の製造方法により製造され、50μmの厚さのフィルムに成形したときのゲル指数が1以下である、オレフィン系重合体。
【国際調査報告】