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特表2024-501948医療診断のための汗の誘導のための方法及びデバイス
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  • 特表-医療診断のための汗の誘導のための方法及びデバイス 図1
  • 特表-医療診断のための汗の誘導のための方法及びデバイス 図2A
  • 特表-医療診断のための汗の誘導のための方法及びデバイス 図2B
  • 特表-医療診断のための汗の誘導のための方法及びデバイス 図3
  • 特表-医療診断のための汗の誘導のための方法及びデバイス 図4
  • 特表-医療診断のための汗の誘導のための方法及びデバイス 図5
  • 特表-医療診断のための汗の誘導のための方法及びデバイス 図6
  • 特表-医療診断のための汗の誘導のための方法及びデバイス 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】医療診断のための汗の誘導のための方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20240110BHJP
   G01N 33/84 20060101ALI20240110BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G01N1/10 V
G01N33/84 Z
G01N33/50 X
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538906
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 US2021065760
(87)【国際公開番号】W WO2022147307
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】63/132,086
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505477235
【氏名又は名称】ジョージア テック リサーチ コーポレイション
(71)【出願人】
【識別番号】504391260
【氏名又は名称】エモリー ユニバーシティー
(71)【出願人】
【識別番号】523233525
【氏名又は名称】チルドレンズ ヘルスケア オブ アトランタ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リ,ソン
(72)【発明者】
【氏名】ググラニ,ロケシュ
(72)【発明者】
【氏名】プラウスニツ,マーク アール.
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045BB60
2G045CB12
2G045DB16
2G052AA29
2G052AB16
2G052AD06
2G052AD26
2G052AD46
2G052BA28
(57)【要約】
患者における嚢胞性線維症の診断などの診断法に有用である、汗誘導のための方法及びデバイスが提供される。本方法は、ピロカルピン又は別の汗誘導剤を含む微小針を備える微小針パッチを、患者の皮膚に貼付することであって、微小針パッチは、微小針を、表皮を横断して真皮中に貫通させるのに有効であることと、皮膚からの汗の分泌を誘導するのに有効な量のピロカルピン又は別の汗誘導剤を、皮膚中に放出させることと、を含む。分泌された汗は、収集することができ、例えば、嚢胞性線維症を示す可能性がある汗内の塩化物濃度を測定することによって分析することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における嚢胞性線維症を診断する方法であって、
ピロカルピンを含む微小針を備える微小針パッチを、前記患者の皮膚に貼付することであって、前記微小針パッチは、前記微小針を、表皮を横断して真皮中に貫通させるのに有効であることと、
前記皮膚からの汗の分泌を誘導するのに有効な量の前記ピロカルピンを、前記皮膚中に放出させることと、
前記皮膚から分泌されたある体積の前記汗を収集することと、
前記収集された汗を、嚢胞性線維症を示す分析物について分析することと、
を含む、方法。
【請求項2】
微小針パッチを前記貼付することが、前記微小針パッチを前記患者の皮膚に手で押し付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ピロカルピンを前記微小針パッチから前記患者の皮膚中に放出させるのに有効な期間の後に、前記皮膚から前記微小針パッチをはがすことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記微小針が、溶解可能な微小針、コーティングされた微小針、又は多孔質/中空の微小針である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記期間が、1秒~15分である、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記微小針パッチの支持層から前記微小針を分離するのに有効な様式で、前記皮膚から前記微小針パッチをはがすことを更に含み、
前記分離された微小針が、前記患者の皮膚内に残存し、溶解して、前記ピロカルピンを放出する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
1cmの皮膚当たり少なくとも250μgのピロカルピンが、送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記汗を前記収集することが、前記皮膚に吸収性材料を貼付すること、又は前記皮膚表面に収集管を位置決めすることによって毛細管作用により前記管内の孔の中に汗を引き込むことを可能にすること、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
収集された汗の前記体積が、少なくとも15μlである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ピロカルピンが放出される、皮膚の面積当たり収集される前記汗が、少なくとも2.6μl/cmである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記微小針パッチは、前記微小針のアレイが延在する支持層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記微小針は、前記ピロカルピンが分散している水溶性マトリックス材料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記マトリックス材料が、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、二糖類、又はそれらの組み合わせを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記マトリックス材料が、PVA及びショ糖を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記微小針が、30重量%~50重量%のピロカルピン硝酸塩を含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記分析することが、前記収集された汗内の塩化物濃度を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
患者の皮膚からの汗分泌を誘導するための方法であって、
コリン作動性アゴニストを含む微小針を備える微小針パッチを、前記患者の前記皮膚に貼付することであって、前記微小針パッチは、前記微小針を、表皮を横断して真皮中に貫通させるのに有効であることと、
前記皮膚からの汗の分泌を誘導するのに有効な量の前記コリン作動性アゴニストを、前記皮膚中に放出させることと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記コリン作動性アゴニストが、ピロカルピンを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の方法に従って、患者の皮膚からの汗の分泌を誘導することと、
前記汗を、1つ以上の分析物の存在、不在、又は濃度について分析することと、
を含む、診断方法。
【請求項20】
微小針パッチであって、
支持層と、
前記支持層から延在する微小針のアレイと、を備え、
前記微小針パッチが、患者の皮膚に貼付するように構成され、かつ前記微小針が、コリン作動性アゴニストを含む、微小針パッチ。
【請求項21】
前記コリン作動性アゴニストが、ピロカルピンを含む、請求項20に記載の微小針パッチ。
【請求項22】
前記微小針は、前記コリン作動性アゴニストが分散している水溶性マトリックス材料を含む、請求項20に記載の微小針パッチ。
【請求項23】
前記マトリックス材料が、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、二糖類、又はそれらの組み合わせを含む、請求項22に記載の微小針パッチ。
【請求項24】
前記マトリックス材料が、PVA及びショ糖を含む、請求項23に記載の微小針パッチ。
【請求項25】
前記微小針が、200μm~2,000μmの長さを有する、請求項20に記載の微小針パッチ。
【請求項26】
前記微小針が、500μm~1,000μmの長さを有する、請求項20に記載の微小針パッチ。
【請求項27】
前記微小針の各々が、ベース端部及び反対の先端部を有しており、
前記微小針パッチが、前記支持層と、前記微小針の各々と、の間にあり、かつ前記支持層、及び前記微小針の各々を接続するベース台座を更に含む、請求項20に記載の微小針パッチ。
【請求項28】
前記ベース台座が、200μm~800μmの高さを有する、請求項27に記載の微小針パッチ。
【請求項29】
前記微小針が、30重量%~50重量%のピロカルピン硝酸塩を含む、請求項20~28のいずれか一項に記載の微小針パッチ。
【請求項30】
患者の1cmの皮膚当たり少なくとも250μgのピロカルピンを送達するように構成されている、請求項29に記載の微小針パッチ。
【請求項31】
患者における嚢胞性線維症を診断する方法であって、
汗誘導剤を含む微小針を備える微小針パッチを、前記患者の皮膚に貼付することであって、前記微小針パッチは、前記微小針を、表皮を横断して真皮中に貫通させるのに有効であることと、
前記皮膚からの汗の分泌を誘導するのに有効な量の前記汗誘導剤を、前記皮膚中に放出させることと
前記皮膚から分泌されたある体積の前記汗を収集することと、
前記収集された汗を、嚢胞性線維症を示す分析物について分析することと、
を含む、方法。
【請求項32】
微小針パッチを前記貼付することが、前記微小針パッチを前記患者の皮膚に手で押し付けることを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記微小針パッチから前記患者の皮膚中に前記汗誘導剤を放出するのに有効な期間の後に、前記皮膚から前記微小針パッチをはがすことを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記微小針が、溶解可能な微小針、コーティングされた微小針、又は多孔質/中空の微小針である、請求項3に記載の方法。
【請求項35】
前記期間が、1秒~15分である、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記微小針パッチの支持層から前記微小針を分離するのに有効な様式で、前記皮膚から前記微小針パッチをはがすことを更に含み、
前記分離された微小針が、前記患者の皮膚内に残存し、溶解して、前記汗誘導剤を放出する、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
1cmの皮膚当たり少なくとも250μgの前記汗誘導剤が、送達される、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記汗を前記収集することが、前記皮膚に吸収性材料を貼付すること、又は前記皮膚表面に収集管を位置決めすることによって毛細管作用により前記管内の孔の中に汗を引き込むことを可能にすることを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
収集された汗の前記体積が、少なくとも15μlである、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
前記汗誘導剤が放出される皮膚の面積当たり収集される前記汗が、少なくとも2.6μl/cmである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記微小針パッチは、前記微小針のアレイが延在する支持層を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項42】
前記微小針は、前記汗誘導剤が分散している水溶性マトリックス材料を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項43】
前記マトリックス材料が、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、二糖類、又はそれらの組み合わせを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記マトリックス材料が、PVA及びショ糖を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記微小針が、30重量%~50重量%の前記汗誘導剤を含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記分析することが、前記収集された汗内の塩化物濃度を測定することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項47】
患者の皮膚に、前記皮膚からの汗の分泌を誘導するのに有効なピロカルピンを投与することによって汗の誘導に使用するためのピロカルピンを含む医薬品であって、
前記表皮を横断して前記真皮中に微小針を貫通させるようにして、前記ピロカルピンが、前記患者の前記皮膚に貼付された前記微小針から前記皮膚中に放出される、医薬品。
【請求項48】
前記微小針が、溶解可能な微小針、コーティングされた微小針、又は多孔質/中空の微小針である、請求項47に記載の医薬品。
【請求項49】
少なくとも250μgのピロカルピンが、1cmの皮膚当たり送達される、請求項47に記載の医薬品。
【請求項50】
前記微小針が、微小針パッチの支持層から延在するアレイ状である、請求項47に記載の医薬品。
【請求項51】
前記微小針は、前記ピロカルピンが分散している水溶性マトリックス材料を含む、請求項47に記載の医薬品。
【請求項52】
前記マトリックス材料が、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、二糖類、又はそれらの組み合わせを含む、請求項51に記載の医薬品。
【請求項53】
前記マトリックス材料が、PVA及びショ糖を含む、請求項51に記載の医薬品。
【請求項54】
前記微小針が、200μm~2,000μmの長さを有する、請求項47に記載の医薬品。
【請求項55】
前記微小針が、500μm~1,000μmの長さを有する、請求項47に記載の医薬品。
【請求項56】
前記微小針の各々が、ベース端部、及び反対の先端部を有しており、
前記微小針パッチが、前記支持層と、前記微小針の各々と、の間にあり、かつ前記支持層、及び前記微小針の各々を接続するベース台座を更に含む、請求項47に記載の医薬品。
【請求項57】
前記ベース台座が、200μm~800μmの高さを有する、請求項56に記載の医薬品。
【請求項58】
前記微小針が、30重量%~50重量%のピロカルピン硝酸塩を含む、請求項47~57のいずれか一項に記載の医薬品。
【請求項59】
1.5mg以上の前記ピロカルピンが、前記皮膚中に投与される、請求項47~57のいずれか一項に記載の医薬品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月30日に出願された米国仮特許出願第63/132,086号の利益を主張し、それは、参照により、本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、概して、医療診断を含むがこれに限定されない、生理学的尺度の測定の分野のものであり、より詳細には、例えば、嚢胞性線維症のための診断試験のために、汗を誘導するための方法に関する。
【0003】
患者における嚢胞性線維症(CF)のための従来の試験は、イオン導入法を使用して、ピロカルピンを皮膚中に送達し、汗を誘導し、その後、その汗を収集して試験する。これは、1960年代以来、標準的な臨床技法であり続けている。1980年代以来、この技法は、ピロカルピンを含有する寒天円板を患者の腕の上に貼付し、イオン導入デバイスを使用して、約5分にわたってピロカルピンを円板から皮膚中に駆動することを含み、次いで、汗収集器が、患者の腕に貼付されて、約30分にわたって汗を収集する。
【0004】
米国の全ての新生児は、CFの早期発見及び治療が、新生児が影響を受ける長期的な成果に関して有益であるため、定期的にCFについてのスクリーニングが行われる。CFについての新生児のスクリーニング検査が陽性である乳児の場合、汗検査は、診断を確認するための次の段階であり、その理由は、汗中の汗塩化物濃度の測定がCFの診断のための最も標準的なものとして残っているためである。しかしながら、多くの場合、収集される汗の体積が不十分であるため、やむなく検査を繰り返す必要がある。十分な汗収集の失敗は、検査が年齢3ヶ月未満の乳児に対して行われたときに、特に共通している。これらの遅延は、子供がCFを有しているかどうかを知りたいと待っている新生児の親たちにとって、重大な不安を引き起こす。また、診断の遅延は、CFを有すると決定されたそれらの人々にとって、CFの治療の開始も望ましくないほどに遅らせる。
【0005】
したがって、汗を誘導及び収集するための、よりアクセスしやすく、かつ簡単に投与する選択肢を開発する喫緊の必要性がある。このような方法論は、乳児におけるCFの迅速かつ正確な診断を容易にするであろう。また、医療分野及び非医療分野のための、汗を誘導するための改善されるべき方法及びデバイスの必要性も残っており、それらには、人の汗から検出することができる可能性がある、疾患、障害、及び病態のスクリーニング及び診断が含まれるが、これらに限定されない。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、患者の皮膚からの汗分泌を誘導するための方法が提供される。この方法は、汗誘導剤を含む微小針を備える微小針パッチを、患者の皮膚に貼付することであって、微小針パッチは、微小針を、表皮を横断して真皮中に貫通させるのに有効である、貼付することと、皮膚からの汗の分泌を誘導するのに有効な量の汗誘導剤を、皮膚中に放出させることと、を含む。
【0007】
別の態様では、微小針パッチを使用して、患者の皮膚からの汗の分泌を誘導することと、次いで、汗を、1つ以上の分析物の存在、不在、又は濃度について分析することと、を含む、診断方法が提供される。
【0008】
更に別の態様では、微小針パッチが提供される。このパッチは、支持層と、その支持層から延在する微小針のアレイと、を含み、微小針パッチは、患者の皮膚に貼付するように構成され、かつ微小針は、ピロカルピンなどのコリン作動性アゴニストなどの汗誘導剤を含む。
【0009】
また更に別の態様では、患者における嚢胞性線維症を診断する方法が提供される。この方法は、ピロカルピン又は別の汗誘導剤を含む微小針を備える微小針パッチを、患者の皮膚に貼付することであって、微小針パッチは、微小針を、表皮を横断して真皮中に貫通させるのに有効である、貼付することと、皮膚からの汗の分泌を誘導するのに有効な量のピロカルピン又は他の汗誘導剤を、皮膚中に放出させることと、皮膚から分泌されたある体積の汗を収集することと、収集された汗を、嚢胞性線維症を示す分析物について分析することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態による微小針パッチの斜視図である。
図2A-2B】単一の微小針の顕微鏡写真である。微小針は、皮膚に貼付される前(図2A)及び後(図2B)を示す。スケールバー0.5mm。
図3】微小針パッチの貼付後に、皮膚内に作成された微小孔を生成した微小針パッチのアレイを描写する。スケールバー5mm。
図4】一例からのデータを示すグラフであり、本明細書に記載の微小針パッチによって、又は従来のイオン導入法によって、ピロカルピン送達による誘導後に収集された汗の総体積を比較している。
図5】一例からのデータを示すグラフであり、本明細書に記載の微小針パッチによって、又は従来のイオン導入法によって、ピロカルピン送達による誘導後に収集された、ピロカルピン投与量の単位当たりの汗体積を比較している。
図6】一例からのデータを示すグラフであり、本明細書に記載の微小針パッチによって、又は従来のイオン導入法によって、ピロカルピン送達による誘導後に収集された、皮膚面積の単位当たりの汗体積を比較している。
図7】一例からのデータを示すグラフであり、本明細書に記載の微小針パッチによって、又は従来のイオン導入法によって、ピロカルピン送達による誘導後に収集された汗の塩化物含有量を比較している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
医療診断の目的のために、皮膚からの汗分泌を誘導するための新しいかつ改善された方法及びデバイスが開発された。特定の実施形態では、本方法は、(i)コリン作動性アゴニストなどの汗誘導剤を含む微小針を備える微小針パッチを、患者の皮膚に貼付することであって、微小針パッチは、微小針を、表皮を横断して真皮中に貫通させるのに有効である、貼付することと、(ii)皮膚からの汗の分泌を誘導するのに有効な量の汗誘導剤を、皮膚中に放出させることと、を含む。好ましい実施形態では、コリン作動性アゴニストは、ピロカルピンを含む。
【0012】
微小針パッチは、低侵襲性の、痛みのない、かつ便利な様式で、汗分泌誘導を可能にする。したがって、本明細書に記載のデバイス及び方法は、現在のイオン導入法ベースの方法よりも簡単でかつ広く利用可能な汗検査を行うことができる。
【0013】
実際、本方法の特有の利点は、イオン導入法を必要としないことである。したがって、電流が皮膚に印可されないため、このことにより、患者の皮膚への汗誘導剤の投与が駆動される従来のイオン導入法に関連する皮膚火傷の危険性が排除される。
【0014】
更に、少なくともいくつかの実施形態では、本方法は、イオン導入法を使用して寒天円板からのピロカルピンの投与を利用する従来の方法と比較して、皮膚の単位面積当たりの汗出力をより高くすることが可能であり得る。実際、いくつかの例に詳述されるように、皮膚の単位面積当たり送達されるピロカルピンの量は、イオン導入法による投与と比較して、微小針パッチ投与後に、最大ほぼ2倍となる場合がある。
【0015】
「患者」という用語は、汗誘導方法が適用される任意の人(ヒト)を指す。「患者」という用語は、医療を必要とする人、又は他の生理学的評価を必要とする人を含むが、これらに限定されない。患者は、乳児、子供、又は成人であってもよい。
【0016】
また、(i)本明細書に記載されているように、患者の皮膚からの汗の分泌を誘導することと、(ii)1つ以上の分析物の存在、不在、又は含有量について汗を分析することと、を含む、新しくかつ改善された診断方法も提供される。すなわち、誘導された汗、又は収集された汗は、例えば、患者における1つ以上の生理学的又は病理学的状態又は属性の決定又は監視のために、例えば、対象の分析物の存在及び/又は量を検出し、測定し、かつ/又は決定することによって、汗内の様々な分析物について分析され得る。
【0017】
方法
いくつかの実施形態では、本方法は、ピロカルピン(又は別の汗誘導剤)を含む微小針を備える微小針パッチを、患者の皮膚に貼付することであって、微小針パッチは、微小針を、表皮を横断して真皮中に貫通させるのに有効である、貼付することと、皮膚からの汗の分泌を誘導するのに有効な量のピロカルピン(又は他の汗誘導剤)を、皮膚中に放出させることと、次いで、その汗を、特定の分析物について分析することと、を含む。本方法は、皮膚から分泌されたある体積の汗を収集することを含むことができ、分析することは、収集された汗に対して実行される。特定の実施形態では、分析物は、ある疾患を示すものである。特定の例では、分析物は、塩化物濃度であり、それは、嚢胞性線維症を示す。
【0018】
いくつかの実施形態では、微小針パッチを貼付するステップは、患者の皮膚に微小針パッチを手で押し付けることを含む。例えば、この微小針パッチは、患者の腕(例えば、前腕)又は脚部の領域に貼付され得る。この貼付部位は、例えば、従来のアルコール布を使用して、微小針パッチの貼付の前に殺菌されることが好ましい。必要であれば、貼付部位は、微小針パッチの貼付前に乾燥させることができる。次いで、パッチは、十分な圧力を使用して患者の皮膚に貼付されて、微小針を、表皮を横断し、かつ真皮を貫通させる。
【0019】
いくつかの実施形態では、本方法は、微小針パッチから患者の皮膚中にピロカルピン(又は他の汗誘導剤)を放出させるのに有効な期間の後に、皮膚から微小針パッチをはがすことを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、微小針を微小針パッチの支持層から分離するのに有効な様式で、皮膚から微小針パッチをはがすことを含み、その分離された微小針は、患者の皮膚内に残り、かつ溶解してピロカルピン(又は他の汗誘導剤)を放出する。例えば、微小針は、皮膚への貼付直後にパッチ裏張りを折り取ることができ、その結果、パッチ裏張りは、その後すぐさま、皮膚からはがすことができる。したがって、これらの方法の様々な実施形態では、その期間は、1秒~15分であり得る。その期間は、例えば、1秒~10分間、1秒~1分間、10秒~10分間、10秒~1分間、1分~15分間、1分~10分間、又は約5分間であってもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、皮膚埋め込み式微小針は、裏張りに依然として接続されているか、又は裏張りから分離されるかにかかわらず、皮膚組織の水溶性流体内での微小針の溶解によってピロカルピン(又は他の汗誘導剤)を放出する。したがって、本方法のいくつかの好ましい実施形態では、微小針は、微小針パッチのセクションで以下に説明されるように、溶解可能な微小針である。
【0021】
いくつかの他の実施形態では、ピロカルピン(又は他の汗誘導剤)は、前述の溶解可能な微小針とは異なるメカニズムによって、微小針に関連付けられ、かつ微小針から放出される。そのような1つの例では、ピロカルピン(又は他の汗誘導剤)は、非水溶性材料を含めて、任意の実用上好適な材料で作製された微小針の上にコーティングされる。別の例では、微小針は、ヒドロゲルであり、これは、皮膚内で膨潤し、かつヒドロゲル内からピロカルピン(又は他の汗誘導剤)を放出する。更に別の例では、微小針は、ヒドロゲルでも水溶性でもなく、中空又は多孔質構造部分を含み、ピロカルピン(又は他の汗誘導剤)は、それらの中空又は多孔質構造部分の空洞又は細孔にわたって詰め込まれ、皮膚への挿入後にそこから放出される。
【0022】
いくつかの実施形態では、本方法は、1cmの皮膚当たり250μg~1500μgのピロカルピン(又は他の汗誘導剤)を送達するのに有効である。いくつかの実施形態では、本方法は、1cmの皮膚の当たり500μg~1000μgのピロカルピン(又は他の汗誘導剤)を送達するのに有効である。いくつかの実施形態では、本方法は、1cmの皮膚当たり、少なくとも250μg、少なくとも300μg、少なくとも400μg、少なくとも500μg、少なくとも600μg、少なくとも700μg、又は少なくとも800μgのピロカルピン(又は他の汗誘導剤)を送達するのに有効である。
【0023】
いくつかの実施形態では、1.38mgを上回る総ピロカルピンが、皮膚中に投与される。例えば、微小針パッチは、1.4又は1.5mg以上のピロカルピンを患者の皮膚に送達し得る。1つの非限定的な例では、微小針パッチは、1.50mg~2.50mgのピロカルピンを送達する。
【0024】
いくつかの実施形態では、汗を収集することは、皮膚に吸収性材料を貼付して、又は皮膚表面に収集管を位置決めして、例えば、毛細管作用によって管内の孔の中に汗を引き込むことを可能にすることを含む。この吸収性材料は、綿棒若しくはガーゼなどの織成若しくは不織成繊維材料、又はスポンジなどの多孔質構造であってもよい。毛細収集管は、当技術分野において既知である。例えば、収集管は、Macroduct(商標)Sweat Collectorの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、汗は、微小針パッチ自体内に収集されてもよい。
【0025】
収集される汗の量は、一般に、使用される分析方法に好適である汗の任意の量であるべきである。いくつかの実施形態では、収集される汗の体積は、5μl~150μlである。例えば、収集される体積は、10μl~100μlであり得る。いくつかの実施形態では、収集される汗の体積は、15μl~30μlであり得る。一実施形態では、合計で少なくとも17μlの汗が、微小針パッチによって誘導及び収集され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、収集された汗の体積は、塩化物測定の現在又は将来の技法による塩化物濃度測定に有効な最小体積と、30分間の収集期間にわたって皮膚から収集可能な最大体積との間にある。
【0027】
いくつかの実施形態では、ピロカルピン(又は他の汗誘導剤)が放出される皮膚の面積当たり収集される汗は、1cm当たり2μl~1cm当たり50μlである。いくつかの実施形態では、ピロカルピンが放出される皮膚の面積当たり収集される汗は、少なくとも2.6μl/cmである。いくつかの他の実施形態では、面積当たり収集される汗は、1cm当たり10μl~1cm当たり40μlであり得る。いくつかの実施形態では、面積当たり収集される汗は、少なくとも15μl/cm、又は少なくとも20μl/cmである。
【0028】
収集された汗は、任意の分析物について、任意の好適な方法によって分析され得る。例えば、それは、塩化物定量器を用いた塩化物分析、又は、例えば、Sweat-Chek Analyzer(商標)を使用する総電解質分析にかけられてもよい。他の分析、例えば、当技術分野において既知である皮膚界面微小流体デバイスなども想定される。例えば、Rayら、Science Translational Medicine、2021年3月31日、Vol 13、Issue 587を参照されたい。
【0029】
汗を誘導するように構成された、現在開示されている微小針パッチは、臨床環境、個人の健康状態監視、又は非医療的文脈、例えば、運動能力評価、軍隊準備評価などの他の応用分野で使用することができる。微小針パッチは、都合のいいことに、微小針パッチが非常に使いやすいため、皮下注射及び/又はイオン導入法にかかわる従来の汗誘導技法を置き換えることができる。微小針パッチの使用が比較的簡単であるため、微小針パッチはまた、例えば、自宅での個人的な健康状態監視ための簡単な訓練の後に、誰でも使用することもできる。
【0030】
嚢胞性線維症検査
本明細書に記載される方法は、嚢胞性線維症を診断する際のより良好なツールで使用され得る汗サンプルを生成及び収集するのに特に有用である。好ましい実施形態では、収集された汗内の塩化物濃度は、塩化物定量器又は他の従来の計器を使用して、嚢胞性線維症の診断のために定量化される。当技術分野で知られているように、汗内の塩化物レベルの上昇は、嚢胞性線維症を示す。
【0031】
今回開示されるピロカルピン含有微小針パッチは、乳児及び子供における効率的かつ最小限の低侵襲性嚢胞性線維症診断をサポートするために、汗誘導のための簡単でかつよりアクセス可能な選択肢を提供する。1つの特定の実施形態では、微小針パッチは、乳児が陽性のCF検診を有した後に、乳児の皮膚に、例えば、腕の上に貼付される。次いで、ピロカルピンは、パッチの微小針から乳児の皮膚中に放出されて汗の分泌を有効に誘導し、次いで、分泌された汗の体積が、Macroduct(商標)Sweat Collectorなどの従来の手段を使用して、皮膚から収集される。次いで、収集された汗は、当技術分野において既知の塩化物定量器を使用して、収集された汗の体積における塩化物濃度を測定することによって分析される。
【0032】
従来のイオン導入法と比較して、本微小針パッチ送達方法によって可能になる単位面積当たりのピロカルピン投与量が多くなるほど、塩化物測定を実行するのに必要とされる汗の発生量をより均一に円滑化することができ、したがって、汗検査をより信頼性の高いものにし、かつ、従来の方法を用いて経験した測定試行を繰り返す必要性を回避することができる可能性がある。
【0033】
微小針パッチ
実施形態では、本方法において有用である微小針パッチは、支持層、及びその支持層から延在する微小針のアレイを含み、微小針パッチは、患者の皮膚に貼付するように構成され、微小針は、汗誘導剤を含む。汗誘導剤は、ピロカルピンなどのコリン作動性アゴニストであってもよい。
【0034】
本明細書で使用される場合、「ピロカルピン」という用語は、(3S,4R)-3-エチル-4-((1-メチル-1H-イミダゾール-5-イル)メチル)ジヒドロフラン-2(3H)-オン、及び薬物販売上許容される塩、並びに/又はそれらの溶媒化合物を指す。塩化物含有量の測定のための汗収集の場合、ピロカルピンのHCl又は他の塩化物含有塩形態は、ピロカルピン塩からの塩化物が、収集された汗内で測定された塩化物濃度に悪影響を及ぼし得るため、使用されないであろう。いくつかの好ましい実施形態では、ピロカルピンは、ピロカルピン硝酸塩である。
【0035】
いくつかの他の実施形態では、汗誘導剤は、過剰汗、又は副作用としての汗を引き起こすための、当技術分野で既知の好適な薬物から選択され得る。例えば、https://www.sweathelp.org/pdf/drugs_2009.pdfを参照されたい。一実施形態では、汗誘導剤は、カルバコールである。
【0036】
汗誘導剤は、微小針構造の一部である。例えば、汗誘導剤は、微小針構造の少なくとも一部、微小針上のコーティング材料の一部、又はそれらの組み合わせを形成するマトリックス材料中に分散させることができる。
【0037】
好ましい実施形態では、微小針は、溶解可能である。本明細書で使用される場合、「溶解可能」という用語は、微小針が、微小針の挿入後に、皮膚内の水に溶解する水溶性材料を含むことを意味する。この溶解は、汗誘導剤を皮膚の組織中に、実用的な速度、又は臨床的に有用な速度で放出するのに有用な速度でなければならない。好ましい実施形態では、微小針は、1つ以上の水溶性マトリックス材料内で分散する汗誘導剤で形成される。
【0038】
いくつかの他の実施形態では、長期間にわたる汗収集及び分析物測定のために、長期間にわたって連続的な汗を誘導することが望ましい場合がある。そのような場合には、微小針は、例えば、微小針から制御、維持された薬物送達のために、当技術分野で既知のメカニズムのうちのいずれかを使用することによって、汗誘導剤を皮膚中にゆっくり放出するように構成することができる。いくつかの実施形態では、これは、汗誘導剤(例えば、ピロカルピン)と、ヒドロゲル、生分解性ポリマー(例えば、PLGA)、非分解性ポリマーなどから選択される1つ以上の生体材料と、を含む組成物の微小針を作製することによって達成される。
【0039】
微小針は、様々な好適な生体適合性であり、水溶性である、マトリックス材料を含むことができる。マトリックス材料は、汗誘導剤と組み合わせて、微小針を皮膚中に確実に挿入するために必要な機械的強度を付与する必要がある。一般に、汗誘導剤は、安定した組成物(微小針を形成する)内に含まれ、その場合、その中の汗誘導剤は、実質的に、その物理的安定性、及び/又は化学的安定性、及び/又は貯蔵上の生物学的活性を維持する。マトリックス材料は、当技術分野において既知の、薬物販売上許容される賦形剤から選択することができる。
【0040】
いくつかの好ましい実施形態では、微小針のマトリックス材料は、2つ以上のマトリックス材料を含む。いくつかの実施形態では、マトリックス材料は、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)及び二糖類の組み合わせを含み得るか、又はその組み合わせからなり得る。二糖類の例としては、ショ糖、ラクトース、及びマルトースが挙げられる。例えば、マトリックス材料は、PVA及びショ糖を含んでもよい。いくつかの他の実施形態では、他の水溶性ポリマーが、PVAの代わりに、又はPVAと組み合わせて使用される。
【0041】
いくつかの実施形態では、微小針内の汗誘導剤の割合は、20重量%~60重量%に及ぶ。いくつかの実施形態では、微小針は、30重量%~50重量%のピロカルピンを含む。いくつかの副実施形態では、これらの微小針は、PVAと、ショ糖などの二糖類との混合物を70重量%~50重量%で含む。いくつかの他の実施形態では、微小針は、20~60重量%のピロカルピンであり、他の材料は、多孔質又は中空構造で形成される非水溶性材料であり、ここで、微小針の孔又は中空部分は、ピロカルピンを包含する。
【0042】
一実施形態では、微小針は、約40重量%のピロカルピン硝酸塩を含む。いくつかの副実施形態では、微小針は、PVAと、ショ糖などの二糖類との混合物を約60重量%含む。
【0043】
微小針は、任意の好適な形状を有することができる。いくつかの実施形態では、微小針は、円錐形である。いくつかの他の実施形態では、微小針は、ナイフ状又はピラミッド状であり得る。いくつかの実施形態では、微小針は、直線形の近位部分、及びテーパ形の遠位部分を有する。微小針のシャフトは、円形、楕円形、又は多角形の断面形状を有し得る。
【0044】
微小針パッチは、特定の分析に必要とされる総体積で汗の分泌を誘導するのに有効な皮膚面積にわたって、ある量の汗誘導剤を皮膚に投与するように構築される。これは、例えば、各微小針から放出可能な汗誘導剤の量、パッチアレイ内の微小針の総数、及び/又は微小針の間隔/パッチのサイズを選択/調整することによって制御することができる。いくつかの実施形態では、微小針パッチは、患者の1cmの皮膚当たり少なくとも240μgのピロカルピンを送達するように構成される。いくつかの実施形態では、微小針パッチは、患者の1cmの皮膚当たり少なくとも250μgのピロカルピンを送達するように構成される。
【0045】
微小針は、200μm~2,000μmの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、微小針は、500μm~1,000μmの長さを有する。例えば、微小針は、約600μm、約700μm、約800μm、又は約900μmの長さを有してもよい。
【0046】
微小針パッチの面積は、任意の好適な寸法とすることができる。いくつかの実施形態では、面積は、0.5cm~10cmである。いくつかの実施形態では、面積は、2cm~8cmである。いくつかの実施形態では、面積は、5cm~6cmである。一例では、面積は5.8cmである。他の寸法が想定される。
【0047】
微小針は、ベース(又は近位)端部及び反対の(遠位)先端部を有する。各微小針のベース端部は、微小針パッチの支持層(又はベース基材)の直接的又は間接的に取り付けられる。いくつかの好ましい実施形態では、微小針パッチは、支持層と、微小針の各々との間にあり、かつそれらを接続するベース台座を更に含む。このベース台座は、PVAなどのポリマー材料で作製することができる。いくつかの実施形態では、ベース台座は、200μm~800μmの高さを有する。いくつかの実施形態では、これらの微小針は、ピロカルピンを含有する配合物でコーティングされる。
【0048】
いくつかの実施形態では、汗誘導剤は、微小針内にのみ、例えば、主として微小針の先端部分に配置され、支持層には配置されない。いくつかの他の実施形態では、汗誘導剤は、支持層においても分散され得、例えば、支持層及び微小針は、同じ材料で作製される。いくつかの実施形態では、ピロカルピンは、主として又は排他的に、微小針上のコーティング内に配置される。
【0049】
微小針アレイは、円形又は正方形を含む様々な形状を有し得る。いくつかの実施形態では、微小針パッチのサイズは、その最長寸法において1cm~10cmである。いくつかの実施形態では、微小針パッチは、100~1000個の微小針を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、微小針パッチは、パッチを操作するためのハンドル又はタブを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、微小針パッチは、パッチを皮膚に一時的に固定するのに好適な感圧接着剤を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、微小針パッチは、微小針が皮膚を貫通したこと、及び/又は汗誘導剤が皮膚中に放出されたことをユーザに通知するように構成されたフィードバックインジケータを含む。
【0053】
微小針パッチ100の一実施形態が、図1に示されている。微小針パッチ100は、支持層116から延在する微小針アレイ114を含む。微小針117は、ベース台座115から延在する。支持層116は、タブ部分112及び接着剤カバー120を含む操作構造110の接着剤層118に固定される。操作構造の他の構成が想定され、それらのうちのいくつかは、米国特許第10,265,511号に記載されており、その内容は、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0054】
微小針パッチは、米国特許第10,828,478号に記載されているように、微小針を成形することを含むプロセスで作製され得、その内容は、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0055】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照して、更に理解することができる。
【実施例
【0056】
微小針パッチを使用して汗検査を実行することができるかどうかを評価するために、かつ、嚢胞性線維症の診断での使用を含めて、微小針パッチをイオン導入法に対する選択肢として使用して、ピロカルピンを投与し、汗を誘導することができるかどうかを評価するために、複数の実験が行われた。
【0057】
全てのデータは、平均±標準偏差として提示される。総汗体積、汗体積/薬物投与量、汗体積/皮膚面積、及び汗塩化物濃度は、両側の未対のスチューデントのt検定を用いて、微小針部位とイオン導入法部位との間で比較された。全ての比較について、統計上の有意性が、p≦0.05に設定された。
【0058】
実施例1:ピロカルピンを含む微小針を有する微小針パッチ
ピロカルピンが詰め込まれる微小針パッチは、確立されている方法に基づいて、ポリジメチルシロキサン(PDMS)金型を使用する2段階成形プロセスによって作製された。第1の注入成形溶液は、10%(w/v)ピロカルピン硝酸塩、10%(w/v)ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、及び5%(w/v)ショ糖の混合物であり、この混合物は、脱イオン水で調製された。この溶液は、真空下でPDMS金型上に注入成形されて、溶液を金型の空洞に充填して微小針を形成することを容易にした。20分後、過剰な溶液を除去し、充填された金型を5000gで20分間遠心して、薬物が詰め込まれた微小針を乾燥させた。次いで、1,4-ジオキサン中に20%(w/w)のポリスチレンを含有する第2の注入成形溶液は、充填されたPDMS金型上に真空下で注入成形されて、パッチ裏張りを形成した。それらの金型は、更に3時間の間、真空下で保持されて、室温で溶液を乾燥させ、次いで、40℃で一晩、更に乾燥させた後、接着剤テープを使用して微小針パッチを金型から取り出した。
【0059】
各微小針パッチは、ほぼ7mm角(すなわち、約0.5cm)を有する正方形内に配列された10x10個の微小針アレイからなった。顕微鏡検査によって示されているように(図2Aを参照)、各円錐形の微小針(ベース直径約200μm、高さ約600μm)は、より広い台座(ベース直径約600μm、高さ約400μm)の真上に取り付けられた。
【0060】
固体の微小針は、40重量%のピロカルピン、40重量%のPVA、及び20重量%のショ糖から構成された。微小針パッチ毎に詰め込まれたピロカルピンの総量は、500±48μg(n=4)として測定された。PVAは、微小針が皮膚を貫通する必要がある機械的強度を与え、ショ糖は、皮膚への挿入後の、皮膚内の微小針溶解を容易にした。
【0061】
実施例2:ブタの皮膚への、ピロカルピン微小針の生体外貼付
実施例1からの微小針パッチは、生体外で毛を剃ったブタの皮膚に貼付されて、生体内で馬への貼付の前に、ブタの皮膚挿入特質を研究した。微小針パッチが、約10秒間、親指によってブタの皮膚に手で押し付けられ、次いで20分間、所定の位置に放置されて、微小針の溶解、及び皮膚内での薬物の放出を可能にした。パッチは、皮膚からはがされた後、更なる検査のために保管された。
【0062】
生体外のブタの皮膚への貼付の後に、皮膚内で溶解された微小針は、ベース台座のみを残し(図2B)、微小針内に詰め込まれたピロカルピンが微小針パッチ貼付中に皮膚中に正常に送達されたことを示している。皮膚の穿刺の部位を選択的に着色する染料を用いて皮膚を処理することにより、微小針パッチと同じ10x10アレイの幾何学的形状を有する、微小針が生成した微小孔のアレイが現れ(図3)、皮膚を貫通するための微小針の能力も更に示している。
【0063】
生体外のブタの皮膚への貼付の後、微小針パッチ当たりの残存ピロカルピン含有量は、237±73μg(n=6)であり、送達された投与量が約263μg(すなわち、約526μg/cm)であり、送達効率が約53%であったことを示している。
【0064】
微小針パッチによって送達されたピロカルピン投与量は、皮膚への貼付前後におけるパッチ内のピロカルピン含有量間の差として計算された。微小針パッチ内のピロカルピン含有量は、パッチを既知の体積の脱イオン水中に溶解した後、HPLCによって測定された。
【0065】
実施例3:ブタの皮膚への、イオン導入法のPilogel円板の生体外貼付
市販のイオン導入法のPilogel円板は、直径2.72cm(すなわち、約5.8cm)を有する円形であり、それによって、微小針パッチよりも10倍を超える皮膚面積と接触した。したがって、イオン導入法のPilogel円板は、15.94±0.27mg(n=3)として測定された、はるかに高いピロカルピン詰め込み量を有した。ブタの皮膚上に10分間のイオン導入法を行った後、使用された円板は、14.56±0.15mg(n=3)の残存ピロカルピンを含有し、これは、イオン導入法によって送達された投与量が、約1.38mg(すなわち、約238μg/cm)であり、送達効率が、8.7%であったことを示している。イオン導入法の送達効率は、微小針パッチの送達効率よりも有意に低かった。
【0066】
実施例4:馬モデルにおいて汗を誘導するための、微小針パッチ及びイオン導入法の生体内貼付
8頭の健康な非近交系の成体馬が、動物モデルとして使用された。全ての検査の前に、馬の皮膚の頸部領域の毛を剃って、微小針パッチ、イオン導入法のピロカルピン円板、及び汗収集パッドの、皮膚への良好な接触を可能にした。
【0067】
手順
次いで、微小針パッチ及びイオン導入法を介したピロカルピン誘導汗生成が、気候順応後に4頭の馬において比較された。各動物において、上記の実施例1からの3つの微小針パッチが、親指圧力によって手で首の右側にほぼ5cm離して貼付され、かつ所定の位置に20分間放置された。同時に、首の左側に、Pilogel Iontophoretic Discsが、電極上に取り付けられ、ピロカルピンが、イオン導入法を介して、2つの別個の場所に10分間(2マシンサイクル)連続して送達された。
【0068】
イオン導入法が完了し、微小針パッチがはがされた後、汗が、4頭の馬の首上の25部位から収集されて、体積及び塩化物濃度を定量化した。試験研究では、ヒトの汗収集のために使用される従来のMacroduct(登録商標)Sweat Collectorは、馬の凸状頸部領域に安定して接着されることができず、信頼性の低い、かつ不安定な汗収集をもたらした。したがって、修正された汗収集プロトコルが、150μm厚のポリプロピレンプラスチックシート材を同様にサイズ決定された切片によって覆われ、かつ、1枚の強力な粘着テープ(ほぼ5x15cm)の下に固定された、単層の綿ガーゼパッドを使用して開発された。微小針誘導汗、及びイオン導入法誘導汗を収集するためのガーゼパッドは、それぞれ、1cm及び2cmであった。長さ及び幅においてほぼ1mmだけ大きいプラスチックシート材が、ガーゼパッドの上に適用された。30分後、ガーゼパッドは、集約され、直ちに微量天秤で計量されて、乾燥時の重量を減算することによって汗体積を計算した。次いで、ガーゼパッドは、15mlの円錐形ポリプロピレン管内に挿入された3mlのポリプロピレン注射器バレル内に直ちに設置され、1100xgで10分間の遠心分離の前に封止された。遠心分離後に回収された汗は、ポリプロピレン微量遠心分離管に回収され、塩化物濃度の分析まで、-80℃に冷凍された。
【0069】
結果
全ての貼付部位から、少なくとも10μlの汗が収集された。イオン導入法部位からの平均総汗体積は、5.8cmのピロカルピン貼付面積にわたって101±49μlであり、これは、17±8μl/cmの汗収集密度に対応した。微小針パッチ部位から収集された平均総汗は、0.5cmのピロカルピン貼付面積にわたって17±8μlであり、これは、34±16μl/cmの汗収集密度に対応した(図4及び図6)。汗生成が面積とともに直接スケーリングすると期待されるため、かつ、汗収集が通常、汗収集デバイスを使用して皮膚の標準面積にわたって行われるため、汗密度は、2つの技法間の比較のための妥当な基礎である。
【0070】
イオン導入法部位から収集された汗総量は、微小針パッチ部位から収集された汗総量よりも大きかった(図4)が、異なるピロカルピン貼付面積を考慮すると、微小針パッチ部位からの汗収集密度は、イオン導入法部位からの汗収集密度よりも2.0倍大きかった(図6)。この比率は、4頭の馬の各々について、比較的一貫していた(2.3倍、1.6倍、2.1倍、及び1.6倍大きい)。これは、汗誘導に関する微小針パッチとイオン導入法との間の差が馬の間の個々の差によっては決定されなかったことを示唆している。逆に、汗収集密度における差は、主に、2つのピロカルピン送達手順の異なる汗誘導能力を反映しているように見える。
【0071】
皮膚に送達されたピロカルピン投与量の単位当たりの汗体積が計算された。この分析は、イオン導入法(73±36μl/mg)と微小針パッチ(66±34μl/mg)との間に有意な差を示さなかった(図5)。しかしながら、皮膚の単位面積当たり送達されたピロカルピンの量は、イオン導入法(約238μg/cm)と比較して、微小針パッチ(約526μg/cm)によって投与されたときに、2.2倍大きかったため、これは、微小針パッチによるピロカルピン送達後に見られるより大きな汗収集密度が原因である可能性が高い。したがって、ピロカルピンを送達するために微小針パッチを使用することは、従来のイオン導入法と同等か又はより良好な汗誘導能力を有する。
【0072】
微小針パッチを使用する汗収集密度は、より大きかったが、微小針パッチは、イオン導入法よりも少ない総汗体積を誘導したことに留意されたい。微小針パッチは、単位面積当たり2倍多くのピロカルピンを送達したため、イオン導入法の場合に使用されたピロカルピン円板と同じ面積(すなわち、5.8cm)を有するより大きな微小針パッチは、それに応じて、2倍多くのピロカルピンを送達し、それによって、イオン導入法と比較してより多くの総汗体積を誘導するはずであり、その理由は、汗生成は、送達されたピロカルピン投与量とともにスケーリングすることが知られているからである。
【0073】
イオン導入法誘導汗の塩化物含有量(60.0±21.8ミリモル/L)、及び微小針パッチ誘導汗の塩化物含有量(50.3±13.8ミリモル/L)は、有意に異なっておらず(図7)、ピロカルピン投与の方法(イオン導入法対微小針パッチ)は、収集された汗内の塩化物含有量に有意な影響を及ぼさなかったことを示している。
【0074】
実施例5:微小針パッチとイオン導入法との更なる比較
生体内で微小針パッチが馬の皮膚に貼付されたときに、より多くのピロカルピン、すなわち、407±46μg(n=13)が、ブタの皮膚内の生体外測定値と比較して、微小針パッチから溶解した。この違いの説明は、馬内の微小針パッチによって誘導された汗(ただし、ブタの生体外でのブタの皮膚内ではない)が、皮膚表面において微小針を更に溶解した可能性があるため、より大きなピロカルピン送達効率の出現をもたらした可能性がある。また、同じ効果が、イオン導入法部位においても起こった可能性がある。それらの結果の分析は、表1に示されているように、それぞれ、0.26mg及び1.38mgとして、微小針パッチ(実施例1、約0.7cmの側面長さを有する正方形)及びイオン導入法(Pilocarpine Iontophoresis Disc、約2.72cmの直径を有する丸形)の両方からの、送達されたピロカルピン投与量に関する生体外データに基づいたものである。
【表1】
【0075】
実施例は、微小針パッチがピロカルピンを皮膚に送達して、汗を誘導することができることを例証する。送達されたピロカルピンの投与量毎に生成された汗量、及びその汗の塩化物濃度は、微小針パッチ及びイオン導入法を介してピロカルピンを送達した場合と同様であった。したがって、微小針パッチ送達は、ピロカルピンのイオン導入法送達に対する好適な選択肢である。単位面積当たり送達されたピロカルピン投与量は、微小針パッチ送達を用いた場合、イオン導入法送達と比較して、2倍であった。したがって、微小針パッチが大きいほど、現行のイオン導入法と比較して、より多くの量の汗を生成し得、かつ/又はより短い時間で十分な汗量を生成し得る。
【0076】
例示的な実施形態
実施形態1.患者の皮膚からの汗分泌を誘導するための方法であって、汗誘導剤を含む微小針を備える微小針パッチを、患者の皮膚に貼付することであって、微小針パッチは、微小針を、表皮を横断して真皮中に貫通させるのに有効である、貼付することと、皮膚からの汗の分泌を誘導するのに有効な量の汗誘導剤を、皮膚中に放出させることと、を含む、方法。
実施形態2.汗誘導剤が、コリン作動性アゴニストである、実施形態1に記載の方法。
実施形態3.汗誘導剤が、ピロカルピンを含む、実施形態1又は2に記載の方法。
実施形態4.微小針パッチを貼付することが、患者の皮膚に微小針パッチを手で押し付けることを含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
実施形態5.微小針パッチから患者の皮膚中に汗誘導剤を放出するのに有効な期間の後に、皮膚から微小針パッチをはがすことを更に含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
実施形態6.微小針が、溶解可能な微小針、コーティングされた微小針、又は多孔質/中空の微小針である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
実施形態7.期間が、1秒~15分、例えば、5分である、実施形態5又は6に記載の方法。
実施形態8.微小針パッチの支持層から微小針を分離するのに有効な様式で、皮膚から微小針パッチをはがすことを更に含み、分離された微小針が、患者の皮膚内に残存し、溶解して、汗誘導剤を放出する、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
実施形態9.少なくとも250μgの汗誘導剤が、1cmの皮膚当たり送達される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
実施形態10.微小針パッチは、微小針のアレイが延在する支持層を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
実施形態11.微小針は、汗誘導剤が分散している水溶性マトリックス材料を含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
実施形態12.マトリックス材料が、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、二糖類、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態11に記載の方法。
実施形態13.マトリックス材料が、PVA及びショ糖を含む、実施形態11又は12に記載の方法。
実施形態14.微小針が、30重量%~50重量%の汗誘導剤を含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
実施形態15.皮膚から分泌された汗を収集及び/又は分析することを更に含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
実施形態16.汗を収集することが、皮膚に吸収性材料を貼付すること、及び/又は皮膚表面に収集管を位置決めすることによって、毛細管作用により管内の孔の中に汗を引き込むことを可能にすることを含む、実施形態15に記載の方法。
実施形態17.収集された汗体積が、少なくとも15μlである、実施形態15又は16に記載の方法。
実施形態18.汗誘導剤が放出される皮膚の面積当たり収集される汗が、少なくとも2.6μl/cmである、実施形態15~17のいずれか1つに記載の方法。
実施形態19.分析することが、嚢胞性線維症を示す分析物についての汗を測定することを含む、実施形態15~18のいずれか1つに記載の方法。
実施形態20.分析することが、汗内の塩化物濃度を測定することを含む、実施形態15~19のいずれか1つに記載の方法。
実施形態21.嚢胞性線維症の診断に使用される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
実施形態22.微小針パッチであって、支持層と、その支持層から延在する微小針のアレイと、を備え、微小針パッチが、患者の皮膚に貼付するように構成され、かつ微小針が、汗誘導剤を含む、微小針パッチ。
実施形態23.汗誘導剤が、コリン作動性アゴニストを含む、実施形態22に記載の微小針パッチ。
実施形態24.汗誘導剤が、ピロカルピンを含む、実施形態22又は23に記載の微小針パッチ。
実施形態25.微小針は、汗誘導剤が分散している水溶性マトリックス材料を含む、実施形態22~24のいずれか1つに記載の微小針パッチ。
実施形態26.マトリックス材料が、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、二糖類、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態25に記載の微小針パッチ。
実施形態27.マトリックス材料が、PVA及びショ糖を含む、実施形態25又は26に記載の微小針パッチ。
実施形態28.微小針が、200μm~2,000μmの長さを有する、実施形態22~27のいずれか1つに記載の微小針パッチ。
実施形態29.微小針が、500μm~1,000μmの長さを有する、実施形態22~27のいずれか1つに記載の微小針パッチ。
実施形態30.微小針の各々が、ベース端部及び反対の先端部を有しており、微小針パッチが、支持層と、微小針の各々との間にあり、かつ支持層、及び微小針の各々を接続するベース台座を更に含む、実施形態22~29のいずれか1つに記載の微小針パッチ。
実施形態31.ベース台座が、200μm~800μmの高さを有する、実施形態30に記載の微小針パッチ。
実施形態32.微小針が、30重量%~50重量%のピロカルピン硝酸塩を含む、実施形態22~31のいずれか1つに記載の微小針パッチ。
実施形態33.患者の1cmの皮膚当たり少なくとも250μgのピロカルピンを送達するように構成されている、実施形態22~32のいずれか1つに記載の微小針パッチ。
実施形態34.診断方法であって、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法に従って、患者の皮膚からの汗の分泌を誘導することと、汗を、1つ以上の分析物の存在、不在、又は濃度について分析することと、を含む、診断方法。
実施形態35.患者の皮膚に、皮膚からの汗の分泌を誘導するのに有効なピロカルピンを投与することによって汗の誘導に使用するためのピロカルピンを含む医薬品であって、表皮を横断して真皮中に微小針を貫通させるようにして、ピロカルピンが、患者の皮膚に貼付された微小針から皮膚中に放出される、医薬品。
実施形態36.微小針が、溶解可能な微小針、コーティングされた微小針、又は多孔質/中空の微小針である、実施形態35に記載の医薬品。
実施形態37.少なくとも250μgのピロカルピンが、1cmの皮膚当たり送達される、実施形態35又は36に記載の医薬品。
実施形態38.微小針が、微小針パッチの支持層から延在するアレイ内にある、実施形態35~37のいずれか1つに記載の医薬品。
実施形態39.微小針は、ピロカルピンが分散している水溶性マトリックス材料を含む、実施形態35~38のいずれか1つに記載の医薬品。
実施形態40.マトリックス材料が、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、二糖類、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態39に記載の医薬品。
実施形態41.マトリックス材料が、PVA及びショ糖を含む、実施形態39又は40に記載の医薬品。
実施形態42.微小針が、200μm~2,000μmの長さを有する、実施形態35~41のいずれか1つに記載の医薬品。
実施形態43.微小針が、500μm~1,000μmの長さを有する、実施形態35~41のいずれか1つに記載の医薬品。
実施形態44.微小針の各々が、ベース端部、及び反対の先端部を有しており、微小針パッチが、支持層と、微小針の各々との間にあり、かつ支持層、及び微小針の各々を接続するベース台座を更に含む、実施形態35~43のいずれか1つに記載の医薬品。
実施形態45.ベース台座が、200μm~800μmの高さを有する、実施形態44に記載の医薬品。
実施形態46.微小針が、30重量%~50重量%のピロカルピン硝酸塩を含む、実施形態35~45のいずれか1つに記載の医薬品。
実施形態47.診断方法であって、実施形態35~46のいずれか1つに記載の医薬品を使用して、患者の皮膚からの汗の分泌を誘導することと、次いで、分泌された汗を、1つ以上の分析物の存在、不在、又は濃度について分析することと、を含む、診断方法。
実施形態48.微小針が、溶解可能な微小針、コーティングされた微小針、又は多孔質/中空の微小針である、実施形態22~33のいずれか1つに記載の微小針パッチ。
実施形態49.1.5mg以上のピロカルピンが、皮膚中に投与される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
実施形態50.1.5mg以上のピロカルピンを皮膚中に送達するように構成されている、実施形態22~33又は48のいずれか1つに記載の微小針パッチ。
本明細書に説明された方法及びデバイスの修正及び変形は、前述の詳細な説明から、当業者には明らかであろう。そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ってくることが意図されている。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】