(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】単一の較正剤を用いた臨床検査室自動化システム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20240110BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20240110BHJP
H01J 49/00 20060101ALI20240110BHJP
H01J 49/26 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G01N35/00 F
G01N27/62 V
H01J49/00 090
H01J49/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539271
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 US2021060528
(87)【国際公開番号】W WO2022146582
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510005889
【氏名又は名称】ベックマン コールター, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Beckman Coulter, Inc.
【住所又は居所原語表記】250 S. Kraemer Boulevard, Brea, CA 92821, United States of America
(71)【出願人】
【識別番号】510075457
【氏名又は名称】ディーエイチ テクノロジーズ デベロップメント プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】水谷 貴行
(72)【発明者】
【氏名】ロスコー, トーマス ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ブラックウッド, ジョン ジェイ.
【テーマコード(参考)】
2G041
2G058
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041EA04
2G041EA06
2G041FA10
2G041FA12
2G041GA03
2G041GA06
2G041GA08
2G041HA01
2G058BA01
2G058CD12
2G058EA02
2G058EA04
2G058GA11
2G058GB06
2G058GD02
(57)【要約】
外部較正曲線は、経時的に劣化し得る標的検体の既知の濃度を含む外部較正剤に依拠し、不正確な結果につながる。新しい較正曲線を発生させることは、多くの場合、較正曲線を発生させるために必要とされる較正点を取得するために、いくつかの較正剤を調製することを要求する。多点較正曲線のために必要な較正剤を調製することは、オペレータ調製時間を要求し、取り扱い過誤をもたらし得る。本請求および説明される技術は、流体取り扱いシステムと、分析器コンポーネントと、質量分析計とを含む臨床検査室自動化システムを提供する。臨床検査室自動化システムは、サンプル中の標的検体の定量的測定のための較正曲線を発生させるために使用される1つ以上の較正剤希釈物を調製するために、1つの較正剤を使用する自動化された較正を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床検査室自動化システム(100)であって、前記臨床検査室自動化システム(100)は、
コンテナ取り扱い器(101)と、少なくとも1つの流体コンテナ(103)と、ピペッタ配置(421)とを含む流体取り扱いシステム(104)であって、前記流体取り扱いシステム(104)は、少なくとも1つの流体を前記少なくとも1つの流体コンテナの中に分注するように構成されている、流体取り扱いシステム(104)と、
分析コンポーネント(102)と、
少なくとも前記少なくとも1つの流体の特性を評価し、それによって、値の対応する組を生産するように構成された質量分析計(106)と
を備え、
前記分析コンポーネント(102)は、少なくとも部分的に前記値の対応する組を使用して較正される、臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項2】
前記臨床検査室自動化システム(100)は、少なくとも前記値の対応する組を使用して前記ピペッタ配置(421)の分注不正確さに関して評価するようにさらに構成されている、請求項1に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項3】
前記分析コンポーネント(102)は、免疫学的アッセイ分析器を含む、請求項1または2に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項4】
前記分析コンポーネント(102)は、臨床化学分析器、タンパク質化学分析器、血液学分析器、または検尿分析器を含む、請求項1または2に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項5】
前記臨床検査室自動化システムは、サンプルピペッタステーション(402a)をさらに含む、請求項1-4のいずれかに記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項6】
前記ピペッタ配置(421)は、ポンプ(414)を備え、前記ポンプ(414)は、アクチュエータ(415)によって駆動される、請求項1-5のいずれかに記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項7】
前記アクチュエータは、モータである、請求項6に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項8】
前記モータは、ステッパモータである、請求項7に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの流体は、較正剤、診断試薬、希釈剤、またはそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1-8のいずれかに記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項10】
前記較正剤は、少なくとも1つのタイプの検体または抗体を含む、請求項9に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項11】
前記較正剤は、複数の異なるタイプの検体および/または抗体を含む、請求項9に記載の臨床検査室自動化システム。
【請求項12】
前記較正剤または前記診断試薬は、検体を備え、前記検体は、甲状腺刺激ホルモン(TSH)と、前立腺特異抗原(PSA)と、トロポニンと、ビタミンDと、遊離サイロキシン(T4)とから成る群から独立して選択される、請求項9に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項13】
前記診断試薬は、抗体または抗原を備えている、請求項9に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項14】
前記希釈剤は、TRIS緩衝液またはウシ漿液アルブミン(BSA)緩衝液である、請求項9に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項15】
前記値の対応する組は、単一の値を含む、請求項1-14のいずれかに記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項16】
前記ピペッタ配置は、少なくとも第1のピペッタ(404)をさらに備え、前記第1のピペッタ(404)は、流体の少なくとも1つの要求される体積を分注するように構成されている、請求項5-15のいずれか1項に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項17】
前記流体取り扱いシステム(104)は、少なくとも2つの流体、好ましくは、第1の流体および第2の流体を分注するように構成されている、請求項16に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項18】
前記第1のピペッタ(404)は、前記第1の流体の第1の要求される体積または前記第2の流体の第2の要求される体積のいずれかを同じ流体コンテナの中に分注するように構成されている、請求項17に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項19】
前記ピペッタ配置は、少なくとも第2のピペッタ(405)をさらに備え、前記第1のピペッタ(404)は、第1の流体の第1の要求される体積を流体コンテナの中に分注するように構成され、前記第2のピペッタ(405)は、第2の流体の第2の要求される体積を同じ流体コンテナの中に分注するように構成されている、請求項16または請求項17に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項20】
前記第1のピペッタ(404)は、第1の流体の第1の要求される体積を流体コンテナの中に分注するように構成され、前記サンプルピペッタステーション(402a)は、第2の流体の第2の要求される体積を同じ流体コンテナの中に分注するように構成されている、請求項16に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項21】
前記第1の流体は、前記希釈剤であり、前記第2の流体は、前記較正剤である、請求項17-20のいずれか1項に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項22】
前記流体取り扱いシステム(104)は、前記較正剤の希釈系列を生産するように構成され、前記希釈系列は、前記較正剤の少なくとも1つの希釈物を備えている、請求項21に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項23】
前記評価される特性は、前記較正剤の前記希釈系列の組からの前記較正剤の前記少なくとも1つの希釈物の濃度である、請求項22に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項24】
RLU用量転換曲線が、前記値の対応する組から発生させられ、前記分析コンポーネントは、少なくとも部分的に前記RLU用量転換曲線を使用して較正される、請求項23に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項25】
前記臨床検査室自動化システム(100)は、RLU用量マスタ較正曲線を含み、前記値の対応する組は、調節された較正曲線を発生させるために使用される、請求項23に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項26】
前記第1の流体は、第1の診断試薬であり、前記第2の流体は、第2の診断試薬である、請求項17-19のいずれか1項に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項27】
前記第1の診断試薬は、検体を備え、前記第2の診断試薬は、抗体または抗原を備えている、請求項26に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項28】
前記評価される特性は、前記第1の診断試薬および前記第2の診断試薬の混合物の定量化である、請求項27に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項29】
前記診断試薬の混合物の定量化は、分子量シフトによって前記第1の診断試薬および前記第2の診断試薬の混合物を定量化することを含む、請求項28に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項30】
前記分注不正確さが決定された場合、前記アクチュエータ(107)のモータステップが、それぞれの体積を分注するために必要に応じて調節される、請求項29に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項31】
前記分注不正確さが決定された場合、前記ピペッタ配置が、少なくとも部分的に前記値の対応する組を用いて較正される、請求項29に記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項32】
前記流体取り扱いシステム(104)の少なくとも一部は、前記分析コンポーネント(102)と統合されている、請求項1-31のいずれかに記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項33】
前記流体取り扱いシステム(104)の少なくとも一部は、前記質量分析計(106)と統合されている、請求項1-32のいずれかに記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項34】
前記臨床検査室自動化システム(100)は、前記流体取り扱いシステム(104)、前記分析コンポーネント(102)、および/または前記質量分析計(106)を制御するように構成された制御システム(108)をさらに備えている、請求項1-33のいずれかに記載の臨床検査室自動化システム(100)。
【請求項35】
免疫学的アッセイ分析器または臨床化学分析器を較正する方法であって、前記方法は、
臨床検査室自動化システム(100)を提供するステップを含み、
前記臨床検査室自動化システム(100)は、
(a)コンテナ取り扱い器(101)と、少なくとも1つの流体コンテナ(103)と、ピペッタ配置(421)とを含む流体取り扱いシステム(104)であって、前記ピペッタ配置(421)は、少なくとも第1のピペッタ(404)と、少なくとも第2のピペッタ(405)とを備え、
前記第1のピペッタ(404)は、第1の流体の第1の要求される体積を流体コンテナ(103)の中に分注するように構成され、前記第2のピペッタ(405)は、第2の流体の第2の要求される体積を同じ流体コンテナ(103)の中に分注するように構成され、
前記第1の流体は、希釈剤であり、前記第2の流体は、較正剤であり、
前記流体取り扱いシステム(104)は、少なくとも前記第2の流体の希釈系列を生産するように構成され、前記希釈系列は、前記少なくとも前記第2の流体の少なくとも1つの希釈物を備えている、流体取り扱いシステム(104)と、
(b)免疫学的アッセイ分析器または臨床化学分析器と、
(c)前記較正剤の前記希釈系列の組からの少なくとも1つの希釈物の濃度を評価し、値の対応する組を発生させるように構成された質量分析計(106)と
を備え、
RLU用量転換曲線が、前記値の対応する組から発生させられ、前記免疫学的アッセイ分析器または前記臨床化学分析器は、少なくとも部分的に前記RLU用量転換曲線を使用して較正される、方法。
【請求項36】
ピペッタ分注体積を調節する方法であって、前記方法は、
臨床検査室自動化システム(100)を提供するステップを含み、
前記臨床検査室自動化システム(100)は、
(a)コンテナ取り扱い器(101)と、少なくとも1つの流体コンテナ(103)と、ピペッタ配置(421)とを含む流体取り扱いシステム(104)であって、前記ピペッタ配置(421)は、少なくとも第1のピペッタ(404)と、少なくとも第2のピペッタ(405)と、ポンプ(414)とを備え、前記ポンプ(414)は、アクチュエータ(415)によって駆動され、
前記第1のピペッタ(404)は、第1の流体の第1の要求される体積を流体コンテナの中に分注するように構成され、前記第2のピペッタ(405)は、第2の流体の第2の要求される体積を同じ流体コンテナ(103)の中に分注するように構成され、
前記第1の流体は、第1の診断試薬であり、前記第2の流体は、第2の診断試薬であり、前記第1の診断試薬は、検体を備え、前記第2の診断試薬は、抗体または抗原を備えている、流体取り扱いシステム(104)と、
(b)免疫学的アッセイ分析器または臨床化学分析器と、
(c)前記第1の診断試薬および第2の診断試薬の混合物を定量化し、それによって、値の対応する組を生産するように構成された質量分析計(106)と
を備え、
前記臨床検査室自動化システム(100)は、少なくとも前記値の対応する組を使用して前記ピペッタ配置(421)の分注不正確さに関して評価するようにさらに構成され、分注不正確さが決定された場合、前記アクチュエータ(415)は、それぞれの体積を分注するために必要に応じて調節される、方法。
【請求項37】
流体の可変希釈を提供する方法であって、前記方法は、
流体取り扱いシステム(104)を提供することであって、前記流体取り扱いシステム(104)は、コンテナ取り扱い器(101)と、少なくとも第1の流体コンテナ(103)と、ピペッタ配置(421)とを含み、前記ピペッタ配置は、少なくとも第1のピペッタ(404)と、第2のピペッタ(405)とを備え、前記流体取り扱いシステム(104)は、較正剤の希釈系列の組を生産するように構成されている、ことと、
較正剤を提供することと、
希釈剤を提供することと、
前記較正剤を希釈物に希釈することと
を含み、
前記較正剤を希釈物に希釈することは、
前記ピペッタ配置(421)を用いて前記希釈剤の要求される第1の体積を第1の流体コンテナ(103)の中に分注することと、
前記ピペッタ配置(421)を用いて前記較正剤の要求される第1の体積を前記第1の流体コンテナ(103)の中に分注することと
による、方法。
【請求項38】
前記流体取り扱いシステム(104)は、少なくとも第2の流体コンテナ(103a)を含み、前記方法は、
前記ピペッタ配置(421)を用いて前記希釈剤の要求される第2の体積を第2の流体コンテナの中に分注することと、
前記ピペッタ配置(421)を用いて前記較正剤の要求される第2の体積を前記第2の流体コンテナ(103a)の中に分注することと
をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記流体取り扱いシステム(104)は、少なくとも第3の流体コンテナ(103b)を含み、前記方法は、
前記ピペッタ配置(421)を用いて前記希釈剤の要求される第3の体積を第3の流体コンテナ(103b)の中に分注することと、
前記ピペッタ配置(421)を用いて前記較正剤の要求される第3の体積を前記第3の流体コンテナ(103b)の中に分注することと
をさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記流体取り扱いシステム(104)は、少なくとも第4の流体コンテナ(103c)を含み、前記方法は、
前記ピペッタ配置(421)を用いて前記希釈剤の要求される第4の体積を第4の流体コンテナ(103c)の中に分注することと、
前記ピペッタ配置(421)を用いて前記較正剤の要求される第4の体積を前記第4の流体コンテナ(103c)の中に分注することと
をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
免疫学的アッセイ分析器または臨床化学分析器を較正する方法であって、前記方法は、
臨床検査室自動化システム(100)を提供するステップであって、前記臨床検査室自動化システム(100)は、
(a)コンテナ取り扱い器(101)と、少なくとも1つの流体コンテナ(103)と、少なくとも第1のピペッタ(404)を備えているピペッタ配置(421)とを含む流体取り扱いシステム(104)と、
(b)サンプルピペッタステーション(402a)と、
(c)免疫学的アッセイ分析器または臨床化学分析器と、
(d)質量分析計(106)と
を備えている、ステップと、
前記ピペッタ配置(421)内の前記第1のピペッタ(404)から、希釈剤流体の第1の要求される体積を前記流体コンテナ(103)の中に分注するステップと、
前記サンプルピペッタステーション(402a)から、較正剤の要求される体積を同じ流体コンテナの中に分注し、前記較正剤の少なくとも1つの希釈物を含む希釈系列を生産するステップと、
前記質量分析計(106)によって、前記希釈系列からの前記較正剤の少なくとも1つの希釈物の濃度の評価を実施し、値の対応する組を発生させ、それによって、RLU用量較正曲線を発生させるステップと、
少なくとも部分的に前記RLU用量較正曲線を使用して、前記免疫学的アッセイ分析器または臨床化学分析器を較正するステップと
を含む、方法。
【請求項42】
流体の可変希釈を提供する方法であって、前記方法は、
サンプルピペッタステーション(402a)および流体取り扱いシステム(104)を提供することであって、前記流体取り扱いシステム(104)は、コンテナ取り扱い器(101)と、少なくとも第1の流体コンテナ(103)と、ピペッタ配置(421)とを含み、前記ピペッタ配置は、少なくとも第1のピペッタ(404)を備え、前記流体取り扱いシステム(104)は、較正剤の希釈系列の組を生産するように構成されている、ことと、
較正剤を提供することと、
希釈剤を提供することと、
前記較正剤を希釈物に希釈することと
を含み、前
記較正剤を希釈物に希釈することは、
前記ピペッタ配置(421)内の前記第1のピペッタ(404)を用いて、前記希釈剤の要求される第1の体積を第1の流体コンテナ(103)の中に分注することと、
前記サンプルピペッタステーション(402a)を用いて、前記較正剤の要求される体積を前記第1の流体コンテナ(103)の中に分注することと
による、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本特許出願は、その内容が参照することによってその全体として本開示内の本明細書に組み込まれる2020年12月30日に出願された米国仮特許出願第63/131,927号の優先利益を主張する。
【0002】
(分野)
本開示の種々の側面は、サンプル中の標的検体の定量的測定のための較正曲線を発生させるために使用される1つ以上の較正剤希釈物を調製するために、1つの較正剤を使用する自動化された較正に関する。本発明の他の側面は、正確な分注体積を送達するためのピペッタ分注体積の自動化された評価およびピペッタアクチュエータの調節を提供する。
【背景技術】
【0003】
質量分析(MS)は、サンプルの元素組成を決定し、粒子および分子の質量を定量化し、分子の化学構造を解明するために使用される分析技法である。液体クロマトグラフィ(LC-MS)、ガスクロマトグラフィ(GC-MS)、およびマトリクス支援レーザ脱離/イオン化/飛行時間(MALDI-TOF MS)等の高特異性を伴う種々のタイプのMSが、ますます、臨床診断において使用されている。これらのMS技法は、免疫学的アッセイの限界(例えば、検体の非特異的結合および交差反応)のうちの多くのものを克服し、多くの利点をもたらす。
【0004】
MSによる定量化が、外部較正曲線を使用して実施されることができる。外部較正曲線は、既知の濃度の標的検体を含む外部較正剤に依拠する。これらの較正剤は、経時的に劣化し、不正確な結果につながり得る。新しい較正曲線を発生させることは、多くの場合、いくつかの較正剤を調製し、較正曲線を発生させるために必要とされる較正点を取得することを要求する。多点較正曲線のために必要な較正剤を調製することは、オペレータ調製時間を要求し、取り扱い過誤をもたらし得る。例えば、いくつかのアッセイは、少なくとも5点外部較正曲線を要求する。
【0005】
本発明の実施形態は、これらの較正課題および他の課題に個々に、および集合的に対処する。
【0006】
従来および従来的アプローチのさらなる限界および欠点が、図面を参照して本願の残り部分で述べられているような本開示のいくつかの側面とのそのようなシステムの比較を通して、当業者に明白となるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの側面が、サンプル中の標的検体の定量的測定のための較正曲線を発生させるために使用される1つ以上の較正剤希釈物を調製するために、1つの較正剤を使用する自動化された較正を提供する。本発明のいくつかの側面が、正確な分注体積を送達するためのピペッタ分注体積の自動化された評価およびピペッタアクチュエータの調節を提供する。
【0008】
他の側面が、(i)コンテナ取り扱い器と、少なくとも1つの流体コンテナと、ピペッタ配置とを備えている流体取り扱いシステムと、(ii)分析コンポーネントと、(iii)質量分析計とを備えている臨床検査室自動化システムを対象とする。流体取り扱いシステムは、ピペッタ配置からの少なくとも1つの流体を少なくとも1つの流体コンテナの中に分注するように構成される。質量分析計は、少なくとも1つの流体の特性を少なくとも評価し、それによって、値の対応する組を生産するように構成される。値の対応する組は、分析コンポーネントを較正するために使用されることができる。臨床検査室自動化システムは、流体取り扱いシステム、分析器コンポーネント、および質量分析計を制御するように構成された制御システムを含むことができる。
【0009】
いくつかの側面は、質量分析計と統合された分析コンポーネントと、分析コンポーネントおよび/または質量分析計と統合された流体取り扱いシステムとを含む統合型臨床検査室自動化システムを含み得る。いくつかの実施形態では、分析コンポーネントは、免疫学的アッセイ分析器、臨床化学分析器、タンパク質化学分析器、血液学分析器、または検尿分析器を含む。
【0010】
別の側面は、免疫学的アッセイ分析器または臨床化学分析器を較正する方法を対象とし、方法は、(i)コンテナ取り扱い器と、少なくとも1つの流体コンテナと、ピペッタ配置とを備えている流体取り扱いシステムと、(ii)分析器コンポーネントと、(iii)質量分析計とを備えている臨床検査室自動化システムによって実施される。一実施形態では、方法は、流体取り扱いシステムのピペッタ配置内の第1のピペッタから、希釈剤流体の第1の要求される体積を流体コンテナの中に分注することと、流体取り扱いシステムのピペッタ配置内の第2のピペッタから、較正剤の第2の要求される体積を同じ流体コンテナの中に分注し、較正剤の少なくとも1つの希釈物を含む希釈系列を生産することと、質量分析計によって、希釈系列からの較正剤の少なくとも1つの希釈物の濃度の評価を実施することと、値の対応する組を発生させ、それによって、RLU用量較正曲線を発生させることと、少なくとも部分的にRLU用量較正曲線を使用して、免疫学的アッセイ分析器または臨床化学分析器を較正することとを含む。代替方法では、免疫学的アッセイ分析器または臨床化学分析器は、RLU用量マスタ較正曲線を含み、対応する値は、RLU用量マスタ較正曲線を調節し、それによって、免疫学的アッセイ分析器または臨床化学分析器を較正するために使用される。
【0011】
さらなる側面が、免疫学的アッセイ分析器または臨床化学分析器を較正する方法を対象とし、方法は、(i)コンテナ取り扱い器と、少なくとも1つの流体コンテナと、ピペッタ配置とを備えている流体取り扱いシステムと、(ii)サンプルピペッタステーションと、(iii)分析器コンポーネントと、(iv)質量分析計とを備えている臨床検査室自動化システムによって実施される。方法は、流体取り扱いシステムのピペッタ配置内の第1のピペッタから、希釈剤流体の第1の要求される体積を流体コンテナの中に分注することと、サンプルピペッタステーションから、較正剤の要求される体積を同じ流体コンテナの中に分注し、較正剤の少なくとも1つの希釈物を含む希釈系列を生産することと、質量分析計によって、希釈系列からの較正剤の少なくとも1つの希釈物の濃度の評価を実施することと、値の対応する組を発生させ、それによって、RLU用量較正曲線を発生させることと、少なくとも部分的にRLU用量較正曲線を使用して、免疫学的アッセイ分析器または臨床化学分析器を較正することとを含む。
【0012】
別の側面が、ピペッタ分注体積を調節する方法を対象とし、方法は、(i)コンテナ取り扱い器と、少なくとも1つの流体コンテナと、少なくとも第1のピペッタと、第2のピペッタとを備えているピペッタ配置と、アクチュエータによって駆動され、第1および/または第2のピペッタに関連付けられた少なくとも1つのポンプとを備えている流体取り扱いシステムと、(ii)分析器コンポーネントと、(iii)質量分析計とを備えている臨床検査室自動化システムによって実施される。方法は、第1のピペッタから、検体を含む第1の診断試薬の第1の要求される体積を流体コンテナの中に分注することと、第2のピペッタから、抗体を含む第2の診断試薬の第2の要求される体積を同じ流体コンテナの中に分注することと、質量分析計によって、診断試薬の混合物を定量化することと、値の対応する組を発生させることと、少なくとも値の対応する組を使用してピペッタの分注不正確さに関して評価することと、分注不正確さが決定された場合、正確なピペッタ分注体積を分注するために必要に応じてアクチュエータを調節することとを含む。
【0013】
別の側面が、流体の可変希釈を提供する方法を対象とし、方法は、コンテナ取り扱い器と、少なくとも第1の流体コンテナと、少なくとも第1のピペッタと、第2のピペッタとを備えているピペッタ配置とを備えている流体取り扱いシステムを備えている臨床検査室自動化システムによって実施され、流体取り扱いシステムは、較正剤の希釈系列の組を生産するように構成される。方法は、較正剤を提供することと、希釈剤を提供することと、第1のピペッタから、希釈剤の第1の要求される体積を第1の流体コンテナの中に分注することと、第2のピペッタから、較正剤の第1の要求される体積を同じ流体コンテナの中に分注することとを含む。
【0014】
さらなる側面が、流体の可変希釈を提供する方法を対象とし、方法は、サンプルピペッタステーションと、コンテナ取り扱い器と、少なくとも第1の流体コンテナと、少なくとも第1のピペッタを備えているピペッタ配置とを備えている流体取り扱いシステムとを備えている臨床検査室自動化システムによって実施され、流体取り扱いシステムは、較正剤の希釈系列の組を生産するように構成される。方法は、較正剤を提供することと、希釈剤を提供することと、第1のピペッタから、希釈剤の第1の要求される体積を第1の流体コンテナの中に分注することと、サンプルピペッタステーションから、較正剤の要求される体積を同じ流体コンテナの中に分注することとを含む。
【0015】
本発明のこれらおよび他の実施形態は、図面を参照して下記にさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の実施形態は、ここで、添付の図を参照して、例としてのみ説明されるであろう。
【0017】
【
図1】
図1は、本発明のある実施形態による臨床検査室自動化システムのブロック図を示す。
【0018】
【
図2A】
図2Aは、本発明のある実施形態による臨床検査室自動化システム内の分析器コンポーネントの略図を示す。
【0019】
【
図2B】
図2Bは、本発明の別の実施形態による臨床検査室自動化システム内の分析器コンポーネントの代替実施形態の略図を示す。
【0020】
【
図3】
図3は、較正希釈系列を調製するために流体取り扱いシステムを動作させるための動作手順を示す例証的フローチャート図を示す。
【0021】
【
図4】
図4は、ピペッタ分注体積を評価するための試薬混合物を調製するために流体取り扱いシステムを動作させるための動作手順を示す例証的フローチャート図を示す。
【0022】
【0023】
【
図6】
図6は、エレクトロスプレー方法を使用する質量分析計の一部を示す。
【0024】
【
図7】
図7は、質量分析計内で使用されるイオン検出器の構造を示す。
【0025】
【
図8】
図8は、本発明のある実施形態による較正曲線形成プロセスを図示するフローチャートを示す。
【0026】
【
図9】
図9は、本発明のある実施形態によるピペッタ分注体積を評価および調節するためのプロセスを図示するフローチャートを示す。
【0027】
【
図10A】
図10Aは、単一の甲状腺刺激ホルモン較正剤希釈曲線の較正信号が経時的に劣化し得る程度を示す。
【0028】
【
図10B】
図10Bは、本発明のある実施形態に従って調製された単一の甲状腺刺激ホルモン較正希釈曲線を示す。
【0029】
【0030】
【発明を実施するための形態】
【0031】
種々の実施形態は、同様の参照番号が、いくつかの図の全体を通して同様の部分およびアセンブリを表す図面を参照して詳細に説明されるであろう。本開示が、本明細書に説明される特定の方法論、プロトコル、および試薬に限定されず、したがって、変動し得ることを理解されたい。本明細書に使用される専門用語が特定の実施形態を説明する目的のためのものにすぎず、本開示または添付の請求項の範囲を限定することを意図していないことも理解されたい。
【0032】
本明細書および添付の請求項で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別様に示さない限り、複数の指示物を含む。
【0033】
別様に定義されない限り、本明細書において使用される技術および科学用語は全て、本開示が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0034】
いくつかの実施形態は、生物学的または化学サンプル中の検体の存在、不在、または濃度を検出するために使用される分析器を較正するために使用され得る。生物流体等の生物学的サンプルは、限定ではないが、血液、血漿、漿液、または他の体液または排泄物(限定ではないが、唾液、尿、脳脊髄液、涙液、汗、胃腸液、羊水、粘膜液、胸水、皮脂油、呼気等)を含み得る。化学サンプルは、化学物質を含む任意の好適なタイプのサンプル(水サンプルを含む)を含み得る。
【0035】
いくつかの実施形態を議論することに先立って、いくつかの用語が、さらに詳細に説明され得る。
【0036】
用語「分析器」または「分析コンポーネント」は、成分、流体、または生物学的サンプル等のサンプルを分析することが可能である任意の好適な器具を含み得る。分析器または分析コンポーネントの例は、質量分析計、免疫学的アッセイ分析器、血液学分析器、微生物学分析器、および/または分子生物学分析器を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、分析器は、免疫学的アッセイ分析器(典型的に、標識(化学発光、電気化学発光蛍光、放射能、同位体、DNA等)を検出する)または無標識システムであることができる。他のタイプの分析器は、血液学分析器、微生物学分析器、化学分析器、尿分析器、生化学分析器、および/または分子生物学分析器を含み得る。生物学的サンプルを分析するとき、任意の好適な組み合わせにおけるこれらのタイプの分析器のうちの1つ以上が、生物学的サンプルを分析するために使用され得る。
【0038】
血液学分析器は、全血球数、赤血球沈降率(ESR)、および/または凝固検査を実施するために使用されることができる。自動細胞計数器は、血液をサンプリングし、電気技法および光学技法の両方を使用して細胞母集団を定量化、分類、および説明する。
【0039】
微生物学分析器は、生物有機体の識別を決定するための診断ツールとして機能することができる。いくつかの実施形態では、微生物学分析器が、感染微生物を識別することができる。そのような分析器は、実施される検査のタイプに応じて、異なる基質を含む遠心ロータ内の複数の小さいサンプル検査マイクロウェルまたはマルチウェルパネル内で生化学物質を使用することができる。
【0040】
分子生物学分析器は、生物学的サンプルをその分子レベルにおいて分析し得るデバイスであることができる。分子生物学分析器の例は、DNA分析器等の核酸分析器を含み得る。
【0041】
化学分析器は、血清、血漿、尿、および脳脊髄液等の臨床サンプルに関してアッセイを実行し、疾患または薬物に関連する検体の存在を検出することができる。化学分析器は、測光法を使用し得る。測光法では、サンプルが、適切な試薬と混合され、色をもたらす反応を生産する。検体の濃度が、生産された色の強度を決定する。光度計は、サンプルにおいて適切な波長の光を放出し、サンプル中の検体の濃度に直接相関連している吸光された光の量を測定する。化学分析器内で使用される別の分析方法は、Na+、K+、Ca+、F-、Cl-、およびLi+等のイオンを測定するためのイオン選択電極(ISE)の使用である。ISEは、イオン選択膜を通して電流流動を測定することによって、溶液中のイオンの濃度を決定するセンサである。
【0042】
用語「検体」は、その存在、不在、または濃度が、本発明の実施形態に従って決定されることになる、物質を含み得る。典型的検体は、限定ではないが、有機分子、ホルモン(甲状腺ホルモン、エストラジオール、テストステロン、プロゲステロン、エストロゲン等)、代謝物(グルコースまたはエタノール等)、タンパク質、脂質、炭水化物、および糖質、ステロイド(ビタミンD等)、ペプチド(プロカルシトニン等)、核酸セグメント、バイオマーカ(抗生物質、ベンゾジアゼピン等の医薬品)、薬物(免疫抑制剤、麻薬、オピオイド等)、プロモータ、活性剤、阻害剤、または補因子等の酵素プロセスにおいて調整効果を伴う分子、微生物((EBV、HPV、HIV、HCV、HBV、インフルエンザ、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス等を含む)ウイルス等)、細菌(ピロリ菌、連鎖球菌、MRSA、ディフィシル菌、レジオネラ等)、真菌、寄生虫(マラリア原虫等)、細胞、細胞成分(細胞膜等)、胞子、核酸(DNAおよびRNA等)等を含み得る。本発明の実施形態は、同じ部類または異なる部類における、複数の検体の同時分析(例えば、代謝物およびタンパク質の同時分析)を可能にすることもできる。本発明の実施形態では、バイオマーカ等の特定の検体の分析は、特定の病状(例えば、疾患)が、検体を含むサンプルに関連付けられていることを示し得る。
【0043】
用語「免疫学的アッセイ」は、サンプル中の検体の量を決定するために使用される検査室方法を指す。それは、抗体と抗原の相互作用に基づくことができ、検体(抗原または抗体のいずれか)に関する選択性の程度により、免疫学的アッセイは、検査サンプル中の検体の非常に低い濃度を定量的に決定するために使用されることができる。「免疫分析器」または「免疫学的アッセイ分析器」は、それに基づく免疫学的アッセイが自動化されている器具を含むことができる。DxlTMシステム(Beckman Coulter,CA)、AD VIATMおよびCENTAURTMシステム(Siemens Healthcare,Germany)、COB ASTMシステム(Roche Diagnostic,Germany)、ARCHITECTTMシステム(Abbott,IL)、VITROSTMシステム(Ortho-clinical Diagnostic,NJ)、およびVIDASTMシステム(Biomerieux,France)を含む種々の免疫学的アッセイ分析器が、商業的に入手可能である。
【0044】
「質量分析計」は、質量および原子および分子の相対濃度を測定し得る器具である。質量分析計の一例は、移動する荷電粒子上の基本磁力を利用する。基本的に、器具は、サンプルをイオン化し、次いで、イオンの質量電荷比に基づいて、磁場を通してイオンを偏向させる。質量スペクトルが、次いで、サンプルの元素または同位体的特徴、粒子および分子の質量を決定し、ペプチドおよび他の化学化合物等、分子の科学構造を解明するために使用されることができる。商業的に入手可能な質量分析計は、それらが、飛行時間、四重極MS、イオントラップ(3D四重極、円筒形イオントラップ、線形四重極イオントラップ、オービトラップを含む)、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTMS)等を含む質量選択をセクタ化する方法に基づいて、カテゴリ化されることができる。代替として、それらは、イオン源(レーザ脱離、マトリクス支援レーザ脱離、熱イオン化、プラズマ、スパーク源等)または検出器(電子増倍管(Faradayカップおよびイオン/光子検出器等)、誘導検出器等)に基づいて、セクタ化されることもできる。好ましい実施形態では、質量分析計は、三連四重極質量分析計であることができる。
【0045】
用語「較正」は、器具応答(測定された応答)と既知の検体濃度との間の関係を決定し、サンプルの有効な定量化を確実にするためのプロセスを指す。
【0046】
用語「較正曲線」は、測定された応答と既知の検体濃度との間の数学的関係を指す。較正曲線は、サンプルの相対光単位(RLU)測定値を具体的な定量的検体濃度に転換するために使用される。
【0047】
下記に提供される具体的例では、流体取り扱いシステムと、免疫学的アッセイ分析器と、質量分析計とを含む臨床検査室自動化システムが、詳細に説明される。しかしながら、本発明の実施形態は、それに限定されるものではない。免疫学的アッセイ分析器の代わりに、化学分析器等の別のタイプの分析器が、免疫学的アッセイ分析器の代わりに使用されることができる。免疫学的アッセイ分析器内の機能および特徴の多くのものが、化学分析器内にも存在し得る(例えば、試薬保管庫、分取ステーション、サンプル調製ステーション等)。さらに、サンプル導入装置等の追加のコンポーネントも、臨床検査室自動化システム内で化学分析器および質量分析計と共に使用され得る。
【0048】
具体的な実施形態が、流体取り扱いシステムを含み得、流体取り扱いシステムは、分析コンポーネントと別個であることも、それと統合されていることもできる。流体取り扱いシステムは、質量分析計と別個であること、または少なくとも部分的にそれと統合されることもできる。いくつかの実施形態では、流体取り扱いシステム、分析コンポーネント、および質量分析計は、モジュール式の検査室自動化システム内の個々のコンポーネントである。モジュール式の検査室自動化システムは、分析前部分と、分析後部分と、分析コンポーネントへの少なくとも1つの接続部とを含むワークフローを有し得る。分析前部分は、バッチ装填コンポーネント、少なくとも1つの遠心分離機、および/またはサンプル品質検出コンポーネントを含み得る。分析前部分は、流体取り扱いシステムも含み得る。分析後部分は、体積検出コンポーネントおよび/または保管および回収コンポーネントを含み得る。回収は、自動化されていること、または手動であることができる。直接追跡サンプリングが、例えば、免疫学的アッセイ分析器または凝固器具に接続するために使用されることができる。ラック構築部ユニットが、例えば、臨床化学分析器または血液学分析器に接続するために使用されることができる。質量分析計は、ワークフローからオフラインであること、または当技術分野において公知の他の分析コネクタを通して接続されることができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、流体取り扱いシステム、分析コンポーネント、および質量分析計は、完全に統合されたプラットフォームであることができる。いくつかの実施形態では、流体取り扱いシステムは、サンプル調製ステーションの一部である。いくつかの実施形態では、自動化システムは、分析のためにサンプルを質量分析計に移送し得るサンプル導入ステーションを含む。臨床検査室自動化システムは、流体取り扱いシステム、分析器コンポーネント、および質量分析計を制御し得る制御システムも備えている。
【0050】
図1は、本発明のある実施形態による臨床検査室自動化システムの高レベルブロック図を示す。臨床検査室自動化システム100は、分析器コンポーネント(例えば、免疫学的アッセイ分析器)102と、質量分析計106と、流体取り扱いシステム104とを備えている。流体取り扱いシステム104は、いくつかの実施形態では、サンプル処理システムと統合され得る。自動化されたサンプル処理システムは、2018年11月29日に公開された公開済PCT出願第WO2018/217778号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に詳細に説明されている。流体取り扱いシステム104は、分析器102および質量分析計106に物理的および/または動作可能に結合され得、いくつかの実施形態では、流体取り扱いシステム104、分析器コンポーネント102、および質量分析計106は、単一の器具を形成し得る。流体取り扱いシステム104は、分析器コンポーネントの定量的較正のための較正剤希釈物を調製する役割、および/またはピペッタ分注体積を評価するための試薬混合物を調製する役割を果たし得る。較正剤希釈物および試薬混合物は、分析のために質量分析計106に移送され得る。
【0051】
分析器コンポーネント102は、免疫学的アッセイ分析器、臨床化学分析器、タンパク質化学分析器、血液学分析器、または検尿分析器を含み得る。分析器コンポーネント102は、分析のための処理されたサンプルアリコートを形成するためのいくつかのサンプルアリコート処理装置を含み得る。そのような処理装置は、任意の好適な様式において、サンプルまたはサンプルアリコートを処理し得る。サンプルアリコート処理装置の例は、試薬添加ステーション(例えば、試薬ピペット操作ステーション)、サンプルピペット操作ステーション、インキュベータ、洗浄ステーション(例えば、磁気洗浄ステーション)、サンプル保管ユニット等を含む。分析器コンポーネント102は、自動化された分析器コンポーネント400であり得る。
【0052】
制御システム108も、臨床検査室自動化システム100内に存在することができる。制御システム108は、分析器コンポーネント102、流体取り扱いシステム104、および/または質量分析計106を制御することができる。制御システム108は、データプロセッサ108Aと、非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体108Bと、データプロセッサ108Aに結合されたデータ記憶装置108Cとを備え得る。非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体108Bは、本明細書に説明される機能を実施するために、データプロセッサ108Aによって実行可能なコードを備え得る。データプロセッサ108Cは、サンプルを処理するためのデータ、サンプルデータ、またはサンプルデータを分析するためのデータを記憶し得る。
【0053】
データプロセッサ108Aは、任意の好適なデータ計算デバイスまたはそのようなデバイスの組み合わせを含み得る。例示的データプロセッサは、所望の機能を遂行するために協働する1つ以上のマイクロプロセッサを備え得る。データプロセッサ108Aは、ユーザおよび/またはシステム発生要求を実行するためのプログラムコンポーネントを実行するために適正な少なくとも1つの高速データプロセッサを備えているCPUを含み得る。CPUは、AMD製Athlon、Duron、および/またはOpteron、IBMおよび/またはMotorola製PowerPC、IBMおよびSony製Cellプロセッサ、Apple製M1、Intel製Celeron、Itanium、Pentium(登録商標)、Xeon、および/またはXScale等のプロセッサ等のマイクロプロセッサであり得る。
【0054】
コンピュータ読み取り可能な媒体108Bおよびデータ記憶装置108Cは、電子データを記憶し得る任意の好適なデバイスまたは複数のデバイスであり得る。メモリの例は、1つ以上のメモリチップ、ディスクドライブ等を備え得る。そのようなメモリは、任意の好適な電気、光学、および/または磁気モードの動作を使用して動作し得る。
【0055】
コンピュータ読み取り可能な媒体108Bは、任意の好適な方法を実施するためのデータプロセッサ108Aによって実行可能なコードを備え得る。例えば、コンピュータ読み取り可能な媒体108Bは、質量分析計106からの較正希釈物の測定値を使用して較正曲線を臨床検査室自動化システムに自動的に発生させるためのプロセッサ108Aによって実行可能なコードを備え得る。他の実施形態では、コンピュータ読み取り可能な媒体108Bは、分子量シフトに基づいて、ピペッタ分注体積の不正確さが存在するかどうかを評価するために使用される検体および抗体または抗原の混合物等の試薬混合物を流体取り扱いシステムに調製させることを含む方法を臨床検査室自動化システムに実施させるためのデータプロセッサ108Aによって実行可能なコードを備え得る。不正確さが検出される場合、データプロセッサ108Aは、ピペッタの分注体積を流体取り扱いシステム104に調節させ得る。
【0056】
流体取り扱いシステム104は、コンテナ取り扱い器101と、少なくとも1つの流体コンテナ103と、ピペッタ配置421とを備えている。コンテナ取り扱い器101は、コンテナを取り扱うために、またはそれを輸送するために使用される任意の装置であることができる。好適なコンテナ取り扱い器の例は、限定ではないが、ピックアンドプレース移送ガントリ等のピックアンドプレースデバイス、拡張された線形反応シャトル等の移送シャトル、または、ピックアンドプレース移送ガントリと拡張された線形反応シャトルとの組み合わせを含む。流体コンテナ103は、キュベット、管、ガラス瓶、パック内のウェル等であることができる。いくつかの実施形態では、流体取り扱いシステム104は、2つのコンテナ、3つのコンテナ、または4つ以上のコンテナ等、複数の流体コンテナ103、103a、103b、103cを備えている。ピペッタ配置421は、少なくとも1つの流体の測定された体積を流体コンテナ103の中に分注する少なくとも1つのピペッタ404(
図2AおよびB参照)を含む。いくつかの実施形態では、ピペッタ配置421は、第2のピペッタ405を含み得るか、または、3つ以上のピペッタを有し得る。各ピペッタは、超音波トランスデューサと、プローブとを含み得る。超音波トランスデューサは、超音波振動をプローブの先端に印加し、試薬パック内で試薬を混合し、流体コンテナ内で内容物を混合し、各使用の後、プローブを清潔にし、流体コンテナ内の流体のレベルを感知する。各ピペッタは、希釈剤、較正剤、および試薬をプローブの中に吸引するための流体ポンプ414と、関連付けられた弁とも含み得る。流体ポンプ414は、モータ等のアクチュエータ415によって駆動され得る。いくつかの実施形態では、モータは、ピペッタによって分注される流体の体積の精密な調節を可能にするステッパモータである。
【0057】
ピペッタ配置421によって分注される流体は、較正剤、診断試薬、希釈剤、またはそれらの混合物、および患者サンプルであることができる。いくつかの実施形態では、別個のサンプルピペッタステーションが、患者サンプルを分注するために使用され得る。別個のサンプルピペッタも、いくつかの実施形態では、較正剤を分注するために使用され得る。いくつかの実施形態では、較正剤および/または診断試薬は、検体を備えている。臨床検査室自動化システム内で分析され得る検体の例は、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、前立腺特異抗原(PSA)、トロポニン、ビタミンD、および遊離サイロキシン(T4)を含む。診断試薬は、抗体または抗原も備え得る。較正剤希釈物または患者サンプルを調製するために使用され得る希釈剤は、TRIS緩衝液とウシ漿液アルブミン(BSA)緩衝液とを含む。
【0058】
図2Aは、ある実施形態による臨床検査室自動化システム内で使用され得る自動化された分析器コンポーネント400のブロック図を示す。自動化された分析器コンポーネント400の基本的な構造および機能性モジュールは、サンプル提供ユニット401;メインサンプルピペット操作ステーション402を備えている分取ステーションと;バルク容器給送機403;二重試薬ピペッタの第1の対404および405と二重試薬ピペッタの第2の対406および407とを含み得るピペッタ配置421を含む流体取り扱いシステム;第1のピックアンドプレース把持器408と第2のピックアンドプレース把持器409と第3のピックアンドプレース把持器410とを含み得るコンテナ取り扱い器;インキュベータ/洗浄/読み取りステーション412;サンプル保管庫411;および、試薬保管庫413を含むことができる。随意に、サンプルおよび/または試薬保管庫は、冷蔵され得る。サンプル提供ユニット401は、較正剤およびマトリクスおよび試薬パックを装填し、それらをピペッタ配置まで輸送するために使用され得る。
【0059】
ピペッタ配置421のピペッタ404、405、406、407のうちの1つ以上が、分析器コンポーネントを較正することにおける使用のための較正剤希釈物を調製するために使用され得る。ピペッタ404、405、406、407は、ピペッタ分注体積を評価するために使用され得る診断試薬混合物を調製するためにも使用され得る。4つのピペッタ404、405、406、407が、2つの二重ピペッタとして配置され得、互いに独立することができる。4つのピペッタ404、405、406、407の各々は、それ自体の流体ポンプおよび弁と、監視塔と、反応容器搬器と、プローブとを有し得る。流体ポンプの各々は、モータ、好ましくは、ステッパモータ等のアクチュエータによって駆動され得る。4つのピペッタ404、405、406、407が、図示されているが、本発明の実施形態が、ピペッタのより多いものまたはより少ないものを含み得ることを理解されたい。
【0060】
3つのピックアンドプレース把持器408、409、410が、分析器コンポーネントの種々のモジュール間でサンプルおよび反応容器(流体コンテナ)を輸送するために使用され得る。第1のピックアンドプレース把持器408は、バルク容器給送機403またはサンプル保管庫411とピペッタ配置421との間で流体コンテナを輸送するために使用されることができる。第2のピックアンドプレース把持器409は、ピペッタ配置421とインキュベータ/洗浄/読み取りステーション412との間で流体コンテナを輸送するために使用されることができる。第3のピックアンドプレース把持器410は、インキュベータ/洗浄/読み取りステーション412のインキュベータと洗浄ホイール(洗浄ステーションの例)との間で流体コンテナを輸送するために使用されることができる。ピックアンドプレース把持器408、409、410の構成および機能の詳細な説明が、米国特許第7,128,874号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に提供されている。本発明の実施形態が、より多いまたはより少ないピックアンドプレース把持器を有し得ることを理解されたい。自動化された分析器コンポーネントのさらに詳細な説明が、PCT公開済出願第WO2018/217778号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に提供される。
【0061】
図2Bは、同様の番号が
図2Aに示されるものと同様の構造を表す自動化された分析器コンポーネント400aの代替実施形態のブロック図を示す。本実施形態では、メインサンプルピペッタステーション402aが、処理のために患者サンプルを分注するために使用されるだけでなく、較正剤希釈物を調製するために使用される較正剤を分注するためにも使用され得る。本実施形態では、ピペッタ404、405、406、または407のうちの1つ以上が、較正剤希釈物を調製するために使用される試薬を分注し、サンプルピペッタステーション402aは、較正剤を分注する。
図2Aの実施形態におけるように、ピックアンドプレース把持器408、409、および410が、分析器コンポーネントの種々のモジュール間でサンプルおよび流体コンテナを輸送するために使用され得る。アッセイインキュベート、洗浄、および読み取りステップが、インキュベートステーション412a、洗浄ステーション412b、および読み取りステーション412c内で実施され得る。
【0062】
図3は、較正剤希釈系列を調製するために流体取り扱いシステムを動作させるための基本的動作手順を示す例証的フローチャート図を示す。プロセスでは、
図1、2A、および2Bを参照すると、オペレータが、臨床検査室自動化システム内での較正を要求するアッセイのための適切な希釈剤を含むマトリクスパックを装填する。オペレータは、高濃度の適切な較正剤を含む較正剤ガラス瓶、または他の流体コンテナをラック上に装填することも行う。較正剤は、単一の検体を含み得るか、または、複数の検体を含み得る。複数の検体が、異なる希釈剤または試薬を要求する較正剤中に存在する場合、異なる希釈剤または試薬が、マトリクスパック内の異なるウェルを通して提供され得る。較正剤に関連付けられた較正剤カードが、各較正剤の希釈物のために、バーコード等の識別子を提供する。いくつかの実施形態では、オペレータが、バーコード情報を手動走査し、その情報を制御システムに伝達する。好ましい実施形態では、較正カードは、分析器コンポーネントが較正剤情報を直接読み取り、それを制御システム108に伝達し得るように、ラックに直接取り付けられ得る。較正剤ラックは、較正剤ガラス瓶上の識別子が読み取られ、較正を要求するアッセイを識別するピペッタ配置421まで前進させられる。同時に、較正希釈物を調製するために必要な流体コンテナが、ピックアンドプレース把持器408等のコンテナ取り扱い器によって、ピペッタ配置421に送達される。
【0063】
ピペッタ配置421において、較正曲線を発生させるために要求される数の希釈物は、ピペッタ404、405、406、407のうちの1つから、希釈剤の要求される体積をマトリクスパックから流体コンテナ103の中に分注することによって調製される。
図2Aの実施形態では、高濃度較正剤の要求される体積が、次いで、ピペッタ404、405、406、407のうちの1つから同じ流体コンテナの中に分注される。
図2Bの実施形態では、流体コンテナ103は、ピペッタ配置から、メインサンプルピペッタステーション402aに移動され、メインサンプルピペッタステーション402aは、高濃度較正剤の要求される体積を同じ流体コンテナの中に分注する。較正剤の第2の希釈物(またはそれを上回るもの)が要求される場合、それぞれの実施形態によって調製される第1の希釈物と同じ方法において(ピペッタによって第2の流体コンテナ103aの中に分注される希釈剤の要求される体積が較正剤の第2の希釈物が第1の希釈と異なるように、第2の希釈物が異なることを除く)、第2の流体コンテナ103a内で調製され得る。追加の較正剤希釈物が、特定のアッセイに関する較正曲線のために要求される較正点の数に応じて、調製されることができる。各調製された希釈物が、較正剤の異なる濃度を有し、一組または一連の較正剤希釈物をもたらす。希釈系列の例は、1/1、1/2、1/5、1/10、1/15、1/20であることができる。実施形態では、各希釈物は、1/1~1/200の範囲内にあるであろう。いくつかの実施形態では、各希釈物体積は、少なくとも3回のアッセイ繰り返しを実行するために十分である。希釈系列の1つの組が、較正剤測定のために質量分析計106に移送され得る。質量分析計106からの測定値が、RLU用量較正曲線を発生させるために使用され得る。他の2つの希釈系列が、アッセイ検査のために分析器コンポーネント102に移送され得る。
【0064】
図4は、ピペッタ分注体積を評価することにおける使用のための診断試薬の混合物を調製するために流体取り扱いシステムを動作させるための基本的動作手順を示す例証的フローチャート図を示す。プロセスでは、
図1および2Aを参照すると、オペレータは、臨床検査室自動化システムの中に試薬パックを装填する。試薬パックは、少なくとも2つの診断試薬を備え、1つの診断試薬は、検体を備え、第2の診断試薬は、抗体または抗原を備えている。試薬パックは、ピペッタ配置421に移送される。同時に、ピックアンドプレース把持器408等のコンテナ取り扱い器101が、診断試薬を流体コンテナ103の中に分注するために、流体コンテナをピペッタ配置421に提供する。試薬パックおよび流体コンテナ103が定位置にある状態で、ピペッタ404、405、406、407のうちのいずれか1つであり得る第1のピペッタが、高精度ポンプを用いて、検体の第1の要求される体積を流体コンテナ103の中に分注し、ピペッタ404、405、406、407のうちの別のものである第2のピペッタが、高精度ポンプを用いて、抗体または抗原の第2の要求される体積を同じ流体コンテナ103の中に分注する。診断試薬は、免疫反応し、混合物を形成することを可能にされる。混合物は、評価のために質量分析計に移送され得る。
【0065】
質量分析計の一部を形成し得る多種多様な質量分析器システムが、種々の実施形態による臨床検査室自動化システム内で使用されることができる。好適な質量分析器システムは、2つの質量分離器を含み、2つの質量分離器は、2つの質量分離器間のイオン飛行経路内に配置されるイオン断片化器を伴う。好適な質量分離器の例は、限定ではないが、四重極、RF多重極、イオントラップ、飛行時間(TOF)、および時限イオン選択器と併せたTOFを含む。好適なイオン断片化器は、限定ではないが、電子ビームとの相互作用(例えば、電子誘起解離(BID)、電子捕獲解離(BCD))、熱放射(例えば、熱/黒体赤外放射解離(BIRD))との相互作用、ポストソース分解、またはそれらの組み合わせによる衝突誘起解離(CID、衝突補助解離(CAD)とも称される)、光誘起解離(PID)、表面誘起解離(SID)、ポストソース分解の原理に基づいて動作するものを含む。
【0066】
好適な質量分析計の例は、限定ではないが、三連四重極、四重極線形イオントラップ(例えば、4000 Q TRAP(登録商標) EC/MS/MSシステム、Q TRAP(登録商標)LC/MS/MSシステム)、四重極TOF(例えば、QSTAR(登録商標)LC/MS/MSシステム)、およびTOF-TOFのうちの1つ以上を備えているものを含む。
【0067】
質量分析計は、親イオンを選択し、その断片娘イオンを検出するための三連四重極質量分析計を備えていることができる。本実施形態では、第1の四重極は、親イオンを選択する。第2の四重極は、十分に高い圧力および電圧に維持され、それによって、複数の低エネルギー衝突が、生じ、親イオンのうちのいくつかに断片化させる。第3の四重極は、選択された娘イオンを検出器に伝送するように選択される。種々の実施形態では、三連四重極質量分析計は、イオン源と三連四重極との間に配置されたイオントラップを含むことができる。イオントラップは、イオン(例えば、全てのイオン、特定のm/z範囲を伴うイオン等)を収集し、充填時間の後、端部電極にパルスすることによって、選択されたイオンを第1の四重極に伝送し、選択されたイオンがイオントラップから退出することを可能にするように設定されることができる。所望の充填時間は、例えば、イオンの数、イオントラップ内の電荷密度、異なる特徴ペプチドの溶出間の時間、デューティサイクル、励起状態種の崩壊率、多荷電イオン、またはそれらの組み合わせに基づいて決定されることができる。
【0068】
三連四重極質量分析計内の四重極のうちの1つ以上が、線形イオントラップとして構成可能(例えば、四重極内に実質的に細長い円筒形捕獲体積を提供するための端部電極の追加によって)であることができる。種々の実施形態では、第1の四重極は、親イオンを選択する。第2の四重極は、複数の低エネルギー衝突が生じ、親イオンのうちのいくつかを断片化させるように、十分に高い衝突ガス圧力および電圧に維持される。第3の四重極は、断片イオンを捕獲するように選択され、充填時間の後、端部電極にパルスすることによって、選択された娘イオンを検出器に伝送し、選択された娘イオンがイオントラップから退出することを可能にする。所望の充填時間は、例えば、断片イオンの数、イオントラップ内の電荷密度、異なる特徴ペプチドの溶出間の時間、デューティサイクル、励起状態種の崩壊率、または多荷電イオン、またはそれらの組み合わせに基づいて決定されることができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、質量分析計は、親イオンを選択し、その断片娘イオンを検出するために、2つの四重極質量分離器と、TOF質量分析計とを備えていることができる。種々の実施形態では、第1の四重極は、親イオンを選択する。第2の四重極は、複数の低エネルギー衝突が、生じ、イオンのうちのいくつかを断片化させるように、十分に高い圧力および電圧に維持され、TOF質量分析計は、例えば、選択された娘イオンの時間窓の外側に出現したイオンを検出器から離れるように偏向させることによって、選択された娘イオンの到達時間窓に検出器を時間ゲートすることによって、または、それらの組み合わせによって発生させられた着目娘イオンと抽出イオンクロマトグラムとを包含する質量範囲にわたってイオンを監視することによって、検出のための娘イオンを選択する。
【0070】
いくつかの実施形態では、質量分析計は、2つのTOF質量分析器と、イオン断片化器(例えば、CIDまたはSID等)とを備えていることができる。種々の実施形態では、第1のTOFは、イオン断片化器内への導入のために(例えば、選択された親イオンの時間窓の外側に出現したイオンを断片化器から離れるように偏向させることによって)親イオンを選択し、第2のTOF質量分析計は、例えば、選択された娘イオンの時間窓の外側に出現したイオンを検出器から離れるように偏向させることによって、検出器を、選択された娘イオンの到達時間窓に時間ゲートすることによって、またはそれらの組み合わせによって発生させられた着目娘イオンと抽出イオンクロマトグラムとを包含する質量範囲にわたってイオンを監視することによって検出のための娘イオンを選択する。TOF分析器は、線形または反射型分析器であることができる。
【0071】
質量分析計は、着目親イオンを選択するための時限イオン選択器を有する、第1のフィールドフリードリフト領域と、娘イオンを生産するための断片化チャンバ(またはイオン断片化器)と、検出のために選択された娘イオンを伝送するための質量分離器とを備えているタンデムMS-MS器具を備えていることができる。種々の実施形態では、時限イオン選択器は、パルスイオン偏向器を備えている。種々の実施形態では、イオン偏向器は、パルスイオン偏向器として使用されることができる。質量分離器は、イオン反射器を含むことができる。種々の実施形態では、断片化チャンバは、イオンの断片化を引き起こし、抽出を遅らせるように設計された衝突セルである。種々の実施形態では、断片化チャンバは、飛行時間質量分析による断片イオンの分析のための遅延抽出イオン源としての役割を果たすこともできる。
【0072】
いくつかの実施形態では、イオン化は、構造的に特異的な断片イオンおよびQ3 MRMイオンを生産するために使用されることができる。標識付け試薬が、構造的に特異的な断片イオン内に完全または部分的に含まれることができる。方法は、Q3 MRMイオンに関する感度および特異度の両方を提供することができる。いくつかの実施形態では、イオン化は、支配的な中性損失断片イオンを生産するために使用されることができ、支配的な中性損失断片イオンは、Q3において選択され、次いで、構造的に特異的なイオンを生産するために断片化され得る。これらの断片イオンは、次いで、MSSと称される手順において識別および定量化のために使用されることができる。
【0073】
図5は、例示的な質量分析計600、および較正剤希釈物または診断試薬混合物を質量分析計に導入するための導入装置601のブロック図を示す。導入装置601は、いくつかの実施形態では、分析器コンポーネント内にあることができる。導入装置601は、接続管602を通して質量分析計600に結合され得る。導入装置601は、較正剤希釈物を接続管602を通してイオン源603に導入し得る。イオン源603は、イオン源電力供給源604によって、信号ライン605Aを通して制御されることができる。イオン源603によって発生させられる較正剤分子に関するイオンが、質量分析領域606に導入され、質量分析される。質量分析領域606は、真空システム607によって真空に真空化される。そのように質量分析されたイオンは、イオン検出器608によって検出される。検出信号が、信号ライン605Bを通してデータ処理ユニット609にフィードされる。データ処理ユニット609は、別個のユニットであり得るか、または、前述に説明される制御システムの一部であり得る。
【0074】
図6は、エレクトロスプレー方法を使用する質量分析計の一部の略図を示す。
図6は、エレクトロスプレーイオン源に結合される導入装置619の構造を示す、断面図である。導入装置619から提供された較正剤希釈物または試薬混合物が、噴霧のために接続管622および接続部630を通して毛細管621の中に導入される。噴霧毛細管621と対電極632との間へのkVの規模の電圧の印加によって、較正剤希釈物または試薬混合物の小さい荷電液滴が、噴霧毛細管の端部から円錐形に噴霧され、すなわち、いわゆる、エレクトロスプレー現象が、生じる。エレクトロスプレー方法では、噴霧ガスのための出力623が、提供され、窒素ガス等のガスが、噴霧毛細管621の周囲から傾注され、それによって、小さい荷電液滴の気化を加速させる。さらに、窒素ガス等のガスが、対電極632側に提供されたガスを気化させ、小さい荷電液滴の気化を加速させるために、出口624から発生させられた小さい荷電液滴に向かって吹き付けられる。発生させられたイオンが、イオンサンプリング開口625を通して真空部626の中に導入され、質量分析領域626によって、高真空下で質量分析される。
【0075】
図7は、イオン検出器の構造を示す。
図7に示される構造は、質量分析計内の信号対雑音比(SIN)を改良するために使用されることができる。イオン偏向電極646は、質量分離イオンを偏向させるために高周波数電場下での質量分離のために質量分析領域648の後部分に提供されることができる。偏向されたイオンは、kVの規模の電圧において加速され、ダイノード657と衝突し、二次電子を生産する。二次電子は、イオンが衝突する二次電子生産ダイノード657から放出される。放出された二次電子は、電子増倍管等の電子検出器658によって検出される。
図7に示される構造によって、電荷を有していない中性分子、荷電された液滴、または電荷を有していない液滴が、S/Nの改良が達成されるように、イオン検出器648によって信号として検出されることを防止される。
【0076】
図8は、例示的実施形態に従って較正曲線を発生させるためのプロセスステップを図示するフローチャートを示す。
図2Aおよび2Bの自動化された分析器コンポーネントに関して、参照されることができる。ステップ802において、マトリクスパックおよび較正剤が、自動化された分析器コンポーネント400内の提示ユニット401の中に装填される。ステップ804において、ピペッタ404、405、406、407のうちの1つが、バルク容器給送機403によって提供される流体コンテナ103の中に希釈剤の要求される体積を送達する。ステップ806において、同じピペッタまたは自動化された分析器コンポーネントの
図2Aの実施形態内のピペッタ404、405、406、407のうちの別のものが、同じ流体コンテナ103の中に較正剤の要求される体積を送達する。
図2Bの実施形態では、較正剤を分注すること806が、サンプルピペッタステーション402aによって遂行される。ステップ804および806が、調製されるべき各較正剤希釈物に関して繰り返される。ステップ808において、一連の較正剤希釈物が、測定のために質量分析計106に移送される。ステップ810において、質量分析計106からの測定値が、RLU用量較正曲線を自動的に発生させるために使用される。その後、実際のサンプルが、サンプル中の検体の定量値が取得され得るように、ステップ810において発生させられた較正曲線に基づいて、分析器コンポーネント102内で分析され得る。
【0077】
較正されるべき特定のアッセイ検査に応じて、追加のプロセスステップが、実施される必要があり得ることを理解されたい。例えば、磁気ビーズまたは粒子が、添加され得、インキュベーション、分離、および/または洗浄ステップが、実施され得る。他の処理ステップは、免疫精製処理ステップを含み得る。免疫精製プロセスでは、検体が、抗体によって捕捉された後、任意の非結合分子が、洗浄プロセスにおいて洗い流される。後続の溶出ステップでは、検体が、続いて、緩衝液および溶離液を使用して抗体から解放される。「精製された」標的を含む溶離液は、処理されたサンプルアリコートとして特徴付けられることができ、それは、次いで、質量分析計によって収集および分析される。他の処理ステップは、タンパク質折出処理と、SISCAPAタイプ処理ステップとを含み得る。質量分析によって直接未損傷タンパク質を測定するのではなく、SISCAPAは、(例えば、酵素トリプシンを用いた)タンパク分解を利用し、理想的に、質量分析による定量化に適しているより小さいペプチドにサンプルタンパク質を裂く。その配置が選択された標的タンパク質(いわゆる、「プロテオタイプ」ペプチド)においてのみ生じる標的ペプチドを選択することによって、標的ペプチドは、標的タンパク質のための直接的定量的代用としての役割を果たすことができる。
【0078】
図9は、本発明のある実施形態による選択されたピペッタの分注体積を評価するために使用され得る診断試薬混合物を調製するためのプロセスステップを図示するフローチャートを示す。
図1および
図2Aが、参照されることができる。ステップ902において、検体を含む第1の診断試薬と、抗体または抗原を備えている第2の診断試薬とを備えている試薬パックが、自動分析器400内の提示ユニット401の中に装填される。ステップ904において、ピペッタ404、405、406、407のうちの1つが、バルク容器給送機403によって提供される流体コンテナ103の中に第1の診断試薬の要求される体積を送達する。ステップ906において、ピペッタ404、405、406、407のうちの別のものが、同じ流体コンテナ103の中に第2の診断試薬の要求される体積を送達する。流体コンテナ103内の診断試薬の混合物が、任意の好適な混合プロセスを使用して混合され得る。ステップ908において、試薬の混合物を含む流体コンテナ103が、インキュベートされ、検体/抗体または検体/抗原複合体を形成し得る。ステップ910において、検体/抗体複合体または検体/抗原複合体が、質量分析計106に移送され、検体/抗体または検体/抗原複合体の数を分子量によって定量化する。ステップ912において、バイアスが、期待される信号に対する質量分析計からの測定された信号の比率に基づいて計算される。測定された信号が、期待される信号の90%等、ある閾値を満たさない場合、分注体積の不正確さが、評価されている選択されたピペッタにおいて検出される。不正確さが、検出された場合、選択されたピペッタの分注体積が、調節を要求する。ステップ914において、1/バイアス値の係数が、標的ピペッタに関連付けられた分注ポンプのためのアクチュエータに適用され、アクチュエータは、検出された分注体積の不正確さを補正するために必要に応じて調節される。いくつかの実施形態では、アクチュエータ415は、ステッパモータであることができる。
【0079】
種々の実施形態による臨床検査室自動化システム100は、1つ以上のサンプル中のホルモン、不正使用の薬物、および腫瘍マーカ等の種々の検体の存在を測定または決定するために使用され得る。これらの検体の多くものに関して、臨床検査室自動化システム100は、標的検体の定量的測定のための較正曲線を発生させるために使用される1つ以上の較正剤希釈物を調製するために、単一の較正剤を使用する自動化された較正を提供することができる。
【0080】
追加の実施例が、下記に提供される。
【0081】
(実施例)
【0082】
(実施例1:単一の甲状腺刺激ホルモン較正剤希釈物)
【0083】
甲状腺刺激ホルモン(TSH)を測定することは、甲状腺機能を査定し、甲状腺置換療法を受ける患者を監視することにおいて有用である。TSHは、身体の代謝を調整する視床下部-下垂体-甲状腺軸の一部である。視床下部は、TSHを分泌するように脳下垂体を刺激する甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)を分泌する。TSHは、細胞内の代謝機能を制御する甲状腺ホルモン、T3(トリヨードチロニン)およびT4(サイロキシン)の解放を引き起こす。過度の量のT3またはT4が、循環すると、TRHの産生が、停止し、否定的フィードバックループによって制御されるプロセスをもたらす。
【0084】
患者内サンプル中のTSHの定量的分析は、分析されるサンプル中のTSHの分量を検出するために使用される器具類および機器の器具応答の予備的較正を要求する。較正は、通常、分析されるべきサンプル中に存在する標的検体の既知の濃度を用いて実施される。既知の濃度は、測定された応答と既知の検体濃度との間の数学的関係をグラフでプロットする較正曲線を構築するために使用されることができる。生じ得る1つの困難は、割り当てられる用量値が同じままである間、較正信号(すなわち、相対光単位)が、経時的に劣化し得ることである。この困難は、
図10Aに示される。
【0085】
新しい較正曲線が、以下の方法によって調製されることができる。単一の較正剤TSHが、免疫学的アッセイ分析器と統合された流体取り扱いシステム上に装填される。一連の希釈物が、最初に希釈剤を分注し、次いで、較正剤を分注することによって生成される。希釈されたTSH較正剤が、次いで、質量分析計に送られる。各較正剤希釈物の濃度が、質量分析計上で定量化され、較正剤希釈物毎に割り当てられた測定濃度が、免疫学的アッセイ分析器上に提供される。
図10Bに表される新しい較正曲線が、次いで、免疫学的アッセイ分析器上に描かれる。
【0086】
(実施例2:マスタ較正曲線調節)
【0087】
いくつかの実施形態に関して、製造業者が、製造施設において臨床検査室自動化システムのためのマスタ較正曲線を生成し得る。製造業者は、試薬パッケージに添えられたバーコードまたは2Dコード等の特定の較正情報と、1つまたは2つの調節較正剤とを顧客に提供する。ユーザは、較正剤を自身の分析器上で検査し、次いで、較正剤に関して発生させられた値に基づいて、RLU用量較正曲線を現場で調節することができる。
図10Cは、この調節を図示する。
【0088】
(実施例3:ピペッタ分注体積調節)
【0089】
流体取り扱い器が、2つの診断試薬を免疫学的アッセイ分析器上に装填する。第1の診断試薬は、検体を備え、第2の診断試薬は、抗体を含む。2つの診断試薬のうちの一方の量が、他方の診断試薬より著しく多い2つの診断試薬の混合物が、生成される。混合物は、次いで、質量分析計に送られる。質量分析計は、分子量シフトによる検体/抗原複合体の数を定量化し(
図11)、バイアスが、測定される信号/期待される信号から計算される。測定値が、所定の閾値内にない場合、ある係数(=1/バイアス)が、標的ピペッタモータステップに適用される。
【0090】
(実施例4:テストステロン)
【0091】
アクセステストステロンアッセイキット(Beckman Coulter,Inc.(Brea,CA)から商業的に入手可能である)が、生物学的サンプル中のテストステロンに関する初期検査のために使用されることができる。アッセイは、サンプル処理システムの免疫学的アッセイ分析器上で実行されることができる。アクセステストステロンアッセイは、マウスモノクローナル抗テストステロン抗体、テストステロンアルカリホスファターゼコンジュゲート、およびヤギ抗マウスポリクローナル抗体でコーティングされた常磁性粒子を使用する競合結合免疫酵素アッセイである。サンプル中のテストステロンが、担体タンパク質から解放され、特異的抗テストステロンモノクローナル抗体の限定された量に関して部位を結合するためにテストステロンアルカリホスファターゼコンジュゲートと競合する。結果として生じる抗原/抗体複合体が、次いで、捕捉抗体によって固相に結合される。反応容器内でのインキュベーションの後、固相に結合された材料が、磁場内に保持される一方、非結合の材料が、洗い流される。次いで、化学発光基質Lumi-Phos*530が、容器に添加され、反応によって発生させられた光が、輝度計を用いて測定される。光生産は、サンプル中のテストステロンの濃度に反比例する。サンプル中の検体の量が、アクセステストステロンキット内の高濃度較正剤から調製された較正剤希釈系列の質量分析計測定値から発生させられる、記憶された多点較正曲線から決定される。
【0092】
(実施例5:アンフェタミン)
【0093】
本開示のある実施形態による臨床検査室自動化システムは、不正使用の薬物に関して検査するために使用されることができる。不正使用タイプの1つの例示的薬物は、アンフェタミンである。アンフェタミンは、覚醒、警戒心、活力の増大、空腹の減退、および全体的な幸福状態の感覚を生産する、中枢神経系刺激薬である。
【0094】
アンフェタミンは、任意のタイプの投与の3時間以内に尿中に出現し、最後の投薬から24~48時間の長さにわたって、Emit(登録商標)IIおよびアンフェタミンアッセイ(Beckman Coulter Inc.(Brea,CA)から商業的に入手可能である)によって検出されることができる。Emit(登録商標)IIおよびアンフェタミンアッセイは、均質酵素免疫学的アッセイである。アッセイは、試料中の薬物と抗体結合部位に関して酵素グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)で標識される薬物との間の競合に基づく。酵素活性度は、抗体に結合することに応じて減少し、そのため、試料中の薬物濃度が、酵素活性度の観点から測定されることができる。活性酵素が、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)をNADHに転換し、分光光度的に測定された吸光変化をもたらす。内因性漿液G6PDHは、補酵素NADが、アッセイ中で採用される細菌(ロイコノストックメセンテロイデス)酵素のみと機能するため、干渉しない。
【0095】
検査において使用される試薬は、デキストロアンフェタミン(61μg/mL)およびd-メタンフェタミン(10μg/mL)、グルコース-6-リン酸(5.5mM)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(3.5mM)、ウシ漿液アルブミン、細菌G6PDHで標識されるアンフェタミン(0.72U/mL)、TRIS緩衝液、保存料、および安定剤に対するマウスモノクローナル抗体を含むことができる。処理サンプルが、分析され、例示的実施形態によるアッセイキット内の較正剤から調製された較正剤希釈物の質量分析計測定値から発生させられたアッセイ閾値と比較される。
【0096】
(実施例6:心臓疾患および卒中)
【0097】
いくつかの実施形態では、臨床検査室自動化システムは、心臓疾患または卒中を有するリスクを検出するために使用されることができる。多くの形態の心血管疾患は、アテローム性動脈硬化症、すなわち、動脈が動脈壁の周囲のプラーク蓄積に起因して硬化し、狭窄された状態になる病状から開始する。コレステロール、脂肪質物質、細胞老廃生成物、カルシウム、およびフィブリンから成るプラークが、心臓、脳、骨盤、下肢、腕、または腎臓内の動脈を通した血液の流動を部分的または完全に遮断し得る。この閉塞は、冠状動脈の心臓疾患、胸部疼痛、頸動脈疾患、末梢動脈疾患(PAD)、および慢性腎臓疾患等の深刻な疾患に発達し得る。さらに悪いことに、プラークの部片が、破断する、または血餅(血栓)が、プラークの表面上に形成される場合、心臓発作または卒中が、結果として生じ得る。
【0098】
いくつかのリポタンパク質マーカが、心臓疾患のための良好なバイオマーカであり、卒中が、質量分析計を使用して、患者から収集された体液サンプル、例えば、血液、血漿、漿液から測定されることができる。これらのマーカは、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)と、proBNP(BNPを生産する非活性プロホルモン)と、ヒトC反応性タンパク質(hs-CRP)と、妊娠関連血漿タンパク質A(PAPP-A)とを含む。これらのナトリウム利尿ペプチドのうちの多くのものが、プラーク進行および卒中の発病のリスクの決定を補助することができる。他のマーカは、自動化システムの質量分析計または分析器コンポーネントを使用してアッセイされ得るHDLp(高密度リポタンパク質)比、リポフォリン/コレステロール比、脂質/リポフォリン比、LDLコレステロールレベル、HDLpおよびアポリポタンパク質レベル、リポフォリンおよびLTP比、スフィンゴ脂質、オメガ3指数、およびST2レベルに対するトリグリセリドを含む。定量的測定は、較正剤希釈物の質量分析計測定値から発生させられた較正曲線に基づいて決定されることができる。測定値は、心臓疾患または卒中のリスクを決定するために事前に確立されたルールに従って、基準範囲と比較されることができる。
【0099】
腫瘍マーカのわずかな一部が、質量分析計データに従って陽性であるとして示される場合、サンプル処理システム内の制御システムは、サンプルの第2のアリコートを調製および処理するように、免疫学的アッセイ分析器内のサンプル調製モジュールに命令する。免疫学的アッセイ分析器は、次いで、多重の蛍光ベースのサンドイッチ式免疫学的アッセイを使用して、腫瘍マーカの一部を検出する。アッセイは、一部におけるそれぞれの腫瘍マーカに特異的である一次抗体と、蛍光体に共役され、一次抗体の各々を認識し得る検出抗体とをサンプルアリコートに添加することを伴うことができる。蛍光体は、異なる励起および放出波長を有し、したがって、検出抗体からの蛍光信号は、互いに干渉しないであろう。検出抗体の各々からの蛍光信号は、測定され、それは、サンプル中の対応する腫瘍マーカの各々の量を表す。免疫学的アッセイ分析器によって陽性であると決定される腫瘍マーカの結果が、次いで、報告される。
【0100】
上記の説明は、例証的であり、制限的ではない。本発明の多くの変形例が、本開示の精査に応じて、当業者に明白となるであろう。本発明の範囲は、したがって、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、代わりに、それらの全範囲または均等物とともに、係属中の請求項を参照して決定されるべきである。
【0101】
上記に述べられる全ての特許、特許出願、刊行物、および説明は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】