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特表2024-501993ヒト男性における射精を遅延させるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ヒト男性における射精を遅延させるための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/404 20060101AFI20240110BHJP
   A61P 15/10 20060101ALI20240110BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240110BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A61K31/404
A61P15/10
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539377
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 US2021064653
(87)【国際公開番号】W WO2022140417
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】63/128,317
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523238357
【氏名又は名称】カンナ・ヘルス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・プロツコ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA13
4C084MA16
4C084MA17
4C084MA32
4C084MA35
4C084MA44
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA57
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA63
4C084NA05
4C084ZA811
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC13
4C086BC28
4C086GA17
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA16
4C086MA17
4C086MA32
4C086MA35
4C086MA44
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、それを必要とするヒト男性対象における性機能不全を処置する方法であって、有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法を提供する。ヒト男性対象におけるオルガズム及び/又は射精を遅延させる方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とするヒト男性対象における性機能不全を処置する方法であって、有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項2】
ヒト男性対象における射精を遅延させる方法であって、有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩を対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項3】
ヒト男性対象におけるオルガズムを遅延させる方法であって、有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩を対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項4】
対象が早漏を患っている、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
対象が、早漏を患っていない健常な男性である、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
メセンブリンアルカロイドが、メセンブリン、メセンブレノン、メセンブレノール及びトルツオサミンから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
メセンブリンアルカロイドが、式(I)の化合物である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
メセンブリンアルカロイド又はその塩が、舌下、経鼻、経口、非経口、バッカル、直腸、局所、経皮、経尿道投与される、又は海綿体内注入により投与される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
メセンブリンアルカロイド又はその塩が、1つ又は複数の医薬として許容できる賦形剤と配合される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
メセンブリンアルカロイド又はその塩が、液剤、ロゼンジ剤、速崩壊性錠剤、凍結乾燥製剤、フィルム剤、スプレー剤又は粘膜付着剤から選択される剤形で配合される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
メセンブリンアルカロイド又はその塩が、単回一日用量として投与される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
メセンブリンアルカロイド又はその塩が、複数回一日用量として投与される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
メセンブリンアルカロイド又はその塩が、1日2回、3回、4回又は5回投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
メセンブリンアルカロイド又はその塩が、1日3回投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
各用量が、少なくとも0.001mgのメセンブリンアルカロイド又はその塩を含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
各用量が、少なくとも0.01mgのメセンブリンアルカロイド又はその塩を含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
各用量が、約0.001mgから約500mgのメセンブリンアルカロイド又はその塩を含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
各用量が、約500mgから約1000mgのメセンブリンアルカロイド又はその塩を含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
メセンブリンアルカロイド又はその塩が、性的活動の少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間又は少なくとも5時間前に投与される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
メセンブリンアルカロイド又はその塩は、性的活動の約1時間前に投与される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
メセンブリンアルカロイド又はその塩が、性的活動の約20分前に投与される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
性機能不全が早漏である、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
メセンブリンアルカロイド又はその塩の投与が、早漏を防止する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
メセンブリンアルカロイド又はその塩の投与が、射精が発生する前の性的活動中の時間を延長する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
方法が、陰性症状、例えば性衝動低下、又は勃起の達成若しくは維持の困難の、同時の増大又は発症を引き起こさない、請求項22から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
メセンブリンアルカロイドが、植物供給源からの抽出物である、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
抽出物が、メセンブリンアルカロイドの実質的に純粋な抽出物である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
メセンブリンアルカロイドが、合成される、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
メセンブリンアルカロイドは、別の薬物製品と組み合わせて投与される、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
これは、2020年12月21日に出願された米国仮出願第63/128,317号の優先権を主張する国際PCT出願であり、その内容は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
本開示は、性機能不全の分野に関連する。特に、本開示は、ヒト男性における性的活動中の射精を遅延させ、オルガズムを遅延させ、また早漏を防止するための組成物及び方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
推定される早漏の有病率は、男性人口の約22~38%である。男性の勃起不全とは異なり、早漏は、年齢との明確な相関がない。平均有病率を30%とすると、これにより、米国における推定罹患者は4800万人になり得る(18~65歳の男性は、2020年に15900万人であった)。早漏は、挿入前、挿入中又は挿入後間もなくの、また、発生を個体により望まれる射精前における、最小限の性的刺激による持続性又は反復性射精と定義される。望ましい発生より早く発生する射精は、興を削ぐことが多く、勃起困難、女性の無オルガズム、性欲低下及び性的嫌悪を含む他の性機能不全を引き起こし得る。早漏を経験した男性は、不安及び鬱病を含む気分障害も発症することがある。当業界では、ヒト男性における早漏を処置する治療薬の必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO1997/046234
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Sharlip, J. Sex Med.、Supp. 2:103~109頁(2005年)
【非特許文献2】Seftel, A. D.、Altohob, S. E.、「Premature Ejaculation」、Diagnosis and Management of Male Sexual Dysfunction、J. J. Mulcahy編、New York、N.Y.、Igaku-Shoin、(1997年)第11章、196~203頁
【非特許文献3】Seftelら、Behav. Res. Ther.、24:377頁(1986年)
【非特許文献4】Bancroft, J.及びColes, L.、Brit. Med. J.、1:1575頁(1976年)
【非特許文献5】De Amicus, L. A.ら、Arch. Sex. Behav.、14:467頁(1985年)
【非特許文献6】Pinnickら、Tetrahedron Letters、1983年、24、4785~4788頁
【非特許文献7】Pinnickら、J. Org. Chem. 1987年、52、2111頁
【非特許文献8】Taberら、J. Org. Chem. 2005年、70、7711~7714頁
【非特許文献9】Gennaro(編)、Remington's Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company、第19版、1995年)
【非特許文献10】2005年7月に発表された「Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers」と題した産業文書用FDAガイダンス
【非特許文献11】Clementら、Role of peripheral innervation in p-chloroamphetamine-induced ejaculation in anesthetized rats. J Androl 2006年;27:381~389頁
【非特許文献12】Clement P、Giuliano F. Physiology and Pharmacology of Ejaculation. Basic Clin Pharmacol Toxicol 2016年;119 Suppl 3:18~25頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト男性対象における射精を遅延させる方法であって、有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト男性対象におけるオルガズムを遅延させる方法であって、有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は早漏を患っている。いくつかの実施形態では、対象は、早漏を患っていない健常な男性である。
【0008】
いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイドは、メセンブリン、メセンブレノン、Δ7メセンブレノン、4'-O-デメチルメセンブラノール、メセンブレノール、4'-O-デメチルメセンブレノール、メセンブラノール、4'-O-デメチルメセンブレノン、セレテノン、N-デメチル-N-ホルムルメセンブレノン(N-demethly-N-formulmesembrenone)、O-アセチルメセンブレノール、メセンブラン、N-デメチルメセンブレノール(N-demethelymesembrenol)、N-デメチルメセンブラノール、ホルデニン、ジュウベルチアミン(joubertiamine)、デヒドロジュウベルチアミン、デヒドロジュウベルチアミン、ジュウベルチナミン(joubertinamine)、O-メチルデヒドロジュウベルチアミン、O-メチルジュウベルチアミン、O-メチルジヒドロジュウベルチアミン、3'-メトキシ-4'-O-メチルジュウベルチアミン、3'-メトキシ-4'O-メチルジュウベルチアミノール、4-(3,4-ジメトキシフェニル-4-[2-アセチルメチルアミノ)エチル]シクロヘキサノン、4-(3-メトキシ-4-ヒドロキシ-フェニル)-4-[2-アセチルメチルアミノ)エチル]シクロヘキサジエノン、セレチウムアルカロイドA-4、トルツオサミン、N-ホルムルトルツオサミン及びN-アセチルトルツオサミン(N-acetyltotuosamine)から選択される。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイドは、メセンブリン、メセンブレノン、メセンブレノール及びトルツオサミンから選択される。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイドは、式(I)の化合物である。
【0009】
いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩は、舌下、経鼻、経口、非経口、バッカル、直腸、局所、経皮、経尿道投与される、又は海綿体内注入により投与される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の医薬として許容できる賦形剤と配合される。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩は、液剤、ロゼンジ剤、速崩壊性錠剤、凍結乾燥製剤、フィルム剤、スプレー剤又は粘膜付着剤から選択される剤形で配合される。いくつかの実施形態では、スプレー剤は、口腔スプレー剤、鼻腔スプレー剤又は局所スプレー剤である。
【0010】
いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩は、単回一日用量として投与される。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩は、複数回一日用量として投与される。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩は、1日2回、3回、4回又は5回投与される。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩は、1日3回投与される。
【0011】
いくつかの実施形態では、各用量は、少なくとも0.001mgのメセンブリンアルカロイド又はその塩を含む。いくつかの実施形態では、各用量は、少なくとも0.01mgのメセンブリンアルカロイド又はその塩を含む。いくつかの実施形態では、各用量は、約0.001mgから約500mgのメセンブリンアルカロイド又はその塩を含む。いくつかの実施形態では、各用量は、約500mgから約1000mgのメセンブリンアルカロイド又はその塩を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩は、性的活動の少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間又は少なくとも5時間前に投与される。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩は、性的活動の約1時間前に投与される。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩は、性的活動の約20分前に投与される。
【0013】
いくつかの実施形態では、性機能不全は早漏である。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩の投与は、早漏を防止する。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩の投与は、射精が発生する前の性的活動中の時間を延長する。いくつかの実施形態では、方法は、陰性症状、例えば性衝動低下、又は勃起の達成若しくは維持の困難の、同時の増大又は発症を引き起こさない。
【0014】
いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイドは、植物供給源からの抽出物である。いくつかの実施形態では、抽出物は、メセンブリンアルカロイドの実質的に純粋な抽出物である。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイドは、合成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイドは、別の薬物製品と組み合わせて投与される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】商業的及び薬理学的関心事である主なセレチウムアルカロイドの構造及び識別情報を示す図である。番号付けシステムは、セレチウムアルカロイドのメセンブリン下位群の特性である3a-フェニル-cis-オクタヒドロインドール核で示される。平均(MW)及びモノアイソトピック(精密質量)分子量は、各化合物の分子式及びChemical Abstracts Service(CAS)番号に従って示される。
図2】ラットにおけるPCA誘導射精モデルでの、実験プロトコールの概略を示す図である。
図3】様々な用量のメセンブリンで処置したラットでの、射精潜時データを示す図である。
図4】様々な用量のメセンブリンで処置したラットにおける、精嚢圧の振幅の変化を示す図である。
図5】様々な用量のメセンブリンで処置したラットにおける、精嚢圧のAUCの変化の図である
図6】メセンブレノンで処置したラットでの、射精潜時データを示す図である。
図7】メセンブレノンで処置したラットにおける、精嚢圧の振幅の変化を示す図である。
図8】メセンブレノンで処置したラットにおける、精嚢圧のAUCの変化を示す図である。
図9】様々な用量のメセンブレノール又はメセンブラノールで処置したラットでの、射精潜時データを示す図である。
図10】様々な用量のメセンブレノール又はメセンブラノールで処置したラットでの、精嚢圧の振幅の変化を示す図である。
図11】様々な用量のメセンブレノール又はメセンブラノールで処置したラットでの、精嚢圧のAUCの変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の用語は、当業者により十分理解されると考えられるが、以下の定義は、ここに開示される主題の説明を促すために明記されている。
【0018】
「a」又は「an」という用語は、その実体の1つ又は複数を指す、すなわち、複数の指示物を指し得る。したがって、「a」又は「an」、「1つ又は複数の」及び「少なくとも1つの」という用語は、本明細書で互換的に使用される。更に、不定冠詞「a」又は「an」による「要素」への言及は、要素の1つ、及び1つのみが存在することを、文脈が明らかに必要としない限り、要素の1つ超が存在する可能性を排除しない。
【0019】
明細書及び特許請求の範囲では、本明細書で使用されている「及び/又は」という語句は、そのように等位接続される要素、すなわち、あるケースでは接続して存在する、また、他のケースでは分離して存在する要素の「いずれか又は両方」を意味すること理解されるべきである。「及び/又は」を用いて列挙される複数の要素は、同一の要領で、すなわち、そのように等位接続される要素の「1つ又は複数」と解釈されるべきである。他の要素は、具体的に同定されている要素に関連している、又は関連していないかを問わず、「及び/又は」の節により具体的に同定される要素以外に、任意選択で存在し得る。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、非限定的な言葉、例えば「を含む」と共に使用される場合、ある実施形態では、Aのみ(任意選択でB以外の要素を含む)を指し得;別の実施形態では、Bのみ(任意選択でA以外の要素を含む)を指し得;更に別の実施形態では、A及びBの両方(任意選択で他の要素を含む)を指し得る。
【0020】
早漏
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とするヒト男性対象における性機能不全を処置する方法であって、有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、性機能不全は早漏である。
【0021】
早期の(早過ぎる)射精は、パートナーを伴う性的活動中に発生する、膣への挿入後約1分以内、及び/又は、個体若しくはパートナーが望む射精より前の、持続性又は反復性パターンの射精と、DSM-5で定義される。いくつかの実施形態では、早漏は、膣への挿入を伴わない性的活動中に発生する。いくつかの実施形態では、対象は、すべての、又はほぼすべての性的活動の機会で早漏を経験する。障害は、重症度により特定することができ、終生、後天性、全身性及び状況因性と分類できる。いくつかの実施形態では、早期の(早過ぎる)射精は、膣への挿入後約2分、及び/又は、個体若しくはパートナーが望む射精より前に発生する射精と定義される。いくつかの実施形態では、早漏は、射精潜時を測定することにより判定される。射精潜時は、性的活動の始まりから射精までの時間を指す。
【0022】
早漏の適正な処置は、早過ぎる射精の阻害、及び、患者が射精のタイミングにわたる制御を増大させることの確保に関与する。早漏の処置は、精神療法/行動療法及び薬理学的処置を含む(Sharlip, J. Sex Med.、Supp. 2:103~109頁(2005年)で概説されている)。行動療法、例えばSemansポーズ法(Semans pause maneuver)、Masters及びJohnsonポーズ-スクイーズ技術(Masters and Johnson pause-squeeze technique)又はKaplanストップ-スタート法(Kaplan stop-start method)は、考えられる早漏を処置するための標準的検査法である(Seftel, A. D.、Altohob, S. E.、「Premature Ejaculation」、Diagnosis and Management of Male Sexual Dysfunction、J. J. Mulcahy編、New York、N.Y.、Igaku-Shoin、(1997年)第11章、196~203頁)。これらの技術は無害で、通常無痛であり、60から95%の割合で成功する(Seftelら、Behav. Res. Ther.、24:377頁(1986年))が、これらは、パートナーの協力を必要とし、改善は短期的である(Bancroft, J.及びColes, L.、Brit. Med. J.、1:1575頁(1976年)及びDe Amicus, L. A.ら、Arch. Sex. Behav.、14:467頁(1985年))。
【0023】
男性患者における射精の一定の望ましい遅延を生じると報告されている薬理剤は、局所麻酔薬、非選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SRI)及び選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)を含む。局所麻酔薬、例えば、ベンゾカイン又はリドカイン-プリロカインの組合せを含有する製剤は、感受性を低下させ、射精を遅延させるために陰茎に適用される。しかし、局所的に適用された麻酔薬は、一方に、若しくはパートナーとの両方に(either or both partners)刺激を引き起こす、又は、オルガズムを防止する望ましくない感覚鈍麻を引き起こすおそれがある。
【0024】
SSRIも、性的絶頂を遅延させる、又は阻害する、また射精を遅延させると報告されている。射精の遅延を含むそのような性的副作用は、フルオキセチン(PROZAC(登録商標)として市販、Eli Lilly and Company社、Indianapolis、Ind.)、セルトラリン(PAXIL(登録商標)として市販、GlaxoSmithKIine plc社、London、英国)、パロキセチン(paroxentine)(ZOLOFT(登録商標)として市販、Pfizer Inc.社、New York、N.Y.)及びダポキセチン(Alza Corporation社、Mountain View、Calif.)のような周知の抗鬱薬で報告されている。したがって、SSRIは、早漏の処置開発でも焦点である。同様の性的副作用は、三環系抗鬱薬クロミプラミン(例えば、ANAFRANIL(登録商標)、Novartis International AG社、Basel、スイス)で処置した患者において留意され、これは、早漏PEを処置するためにも使用されている。しかし、SSRIは、興奮、動揺又は不安を感じること、消化不良、下痢又は便秘、食欲不振及び体重減少、めまい、かすみ目、口内乾燥、過剰な発汗、睡眠障害(不眠)又は傾眠状態、頭痛、性衝動低下、勃起の達成又は維持の困難を含む、共通したいくつかの副作用を有する。
【0025】
更なる性機能不全は、性衝動低下又はリビドー低下を含む。いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とするヒト男性対象における性機能不全を処置する方法であって、有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、性機能不全がリビドーの低下である、方法を提供する。
【0026】
オルガズム
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト男性対象におけるオルガズムを遅延させる方法であって、有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩を対象に投与するステップを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、ヒト男性対象は、性機能不全(例えば、早漏)を患っている。いくつかの実施形態では、ヒト男性対象は、性機能不全を患っていない。本明細書で使用されている、「オルガズム」又は「絶頂」(本明細書で互換的に使用される)は、性的応答サイクルの間に蓄積した性的興奮の急激な解放を指し、骨盤領域に、性的快感を特徴とする周期的な筋収縮が生じる。ヒトのオルガズムは、通常、男性では陰茎(典型的には射精を伴う)、また女性では陰核の物理的な性的刺激に起因する。性的刺激は、自慰(マスターベーション)による、又はセックスパートナー(挿入を伴うセックス、挿入を伴わないセックス、又は他の性的活動)とのものであり得る。オルガズムは、男性及び女性に経験され、不随意又は自律神経系により制御される。これらは、通常、体の複数領域における筋肉の痙攣、全般的多幸感、並びに頻繁には体の動き及び発声を含む不随意の動作に関連する。
【0027】
「絶頂制御」という用語は、オルガズムの遅延及び/又は射精の遅延を指す。
【0028】
男性におけるオルガズム
男性では、オルガズムを達成する最も普通の手段は、陰茎の物理的な性的刺激によるものであるが、オルガズムは、前立腺の刺激によっても達成できる。男性におけるオルガズムは、通常射精を伴うが、射精なしでオルガズムに達させることが可能である(「ドライオルガズム(dry orgasm)」として公知)。例えば、思春期前の少年に、ドライオルガズムが認められる。ドライオルガズムは、逆行性射精症又は性腺機能低下の結果としても発生し得る。男性は、オルガズムに達しなくても射精することがあり、これは、無オルガズム射精として公知である。
【0029】
メセンブリン化合物
いくつかの実施形態では、本開示は、それを必要とするヒト男性対象における性機能不全を処置する方法であって、有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、性機能不全は早漏である。
【0030】
メセンブリンは、通例南アフリカで見出され、カンナ、チャンナ、コウグードとしても公知の多肉植物Sceletium tortuosumに存在するアルカロイドである。S. tortuosumは、約1~1.5%の合計アルカロイドを含有する。メセンブリン、メセンブレノン、メセンブレノール及びトルツオサミンを含むメセンブリンアルカロイドは、Aizoaceae科で見出される植物から単離され得る。メセンブリン組成物は、WO1997/046234に記載されており、これは、参照により本明細書に組み込む。メセンブリン化合物は、ホスホジエステラーゼ-4(PDE4)サブタイプ及びセロトニン輸送体を阻害することが示されている。理論に束縛されることを望まないが、この2つの阻害活性は、射精の想定外の遅延に対して応答し得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩は、植物Sceletium tortuosumからの抽出物である。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド抽出物は、実質的に純粋な抽出物である。「実質的に純粋」という用語は、約95%超のクロマトグラフィー純度を有するメセンブリンアルカロイドの製剤を意味する。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーの純度は、96%超である。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーの純度は、約97%超である。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーの純度は、約98%超である。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーの純度は、約99%超である。いくつかの実施形態では、クロマトグラフィーの純度は、約99.5%超である。
【0032】
いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイドは、以下の方法を使用して化学的に合成される。
【0033】
以下のスキーム1に示され、またPinnickら、Tetrahedron Letters、1983年、24、4785~4788頁及びPinnickら、J. Org. Chem. 1987年、52、2111頁、これらは参照により本明細書に組み込む、に記載されているように、メセンブリンは、1-メチルピロリジン-2-オン(1-1)を、アミド塩基、例えばリチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチオイソプロピルシクロヘキシルアミン(LICA)又はリチウム2,2,6,6-テトラメチルピペリジド(LTMP)と、エーテル溶媒、例えばTHFの冷却した(例えば、0℃から-78℃の範囲)溶液中で反応させ、続いて4-ブロモベラトロール(1-2)を添加して、ラクタム1-3を得ることにより調製され得る。ラクタム1-3は、DIBAL-Hで還元して、エナミン1-4を形成し、これをメチルビニルケトンと反応させて、メセンブリンを形成し、これをシリカゲル上でクロマトグラフィーにより精製する。
【0034】
【化1】
【0035】
メセンブリンは、例えば、(-)-メセンブリンを合成するための以下のスキーム2で示されている、また、Taberら、J. Org. Chem. 2005年、70、7711~7714頁、これは、参照により本明細書に組み込む、に記載されている鏡像選択的合成経路を経由しても調製できる。
【0036】
【化2】
【0037】
(a)THF、0~20℃、終夜;(b)ベンゼン、PTSA(cat.)、エチレングリコール(過剰)、還流;(c)Shi触媒、DME-アセトニトリル-H2O、0℃、4h;(d)塩化アリルマグネシウム、THF、0~20℃、終夜;(e)10%HCl水溶液、THF、還流、1h;(f)O3、MeOH、-78℃;CeCl3.7H2O(1.0equiv)、NaBH4(8.0equiv)、0℃;(g)TsCl(1equiv)、Et3N、CH2Cl2、20℃、終夜;(h)40%CH3NH2水溶液、THF、65℃、1h;(i)MnO2、CH2Cl2、20℃、3h。
【0038】
実施形態では、メセンブリンアルカロイドは、塩基として機能するメセンブリンアルカロイドを、無機又は有機酸と反応させて、塩、例えば塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、ギ酸、臭化水素酸、安息香酸、酒石酸、フマル酸、サリチル酸、マンデル酸、炭酸の塩を形成することにより得られるものを含む塩である。当業者は、いくつかの公知の方法のいずれかを経由して、酸付加塩が、メセンブリンアルカロイドの、適切な無機又は有機酸との反応により調製され得ることを更に把握する。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイドは、メセンブリンHClである。
【0039】
メセンブリンアルカロイドは、メセンブリン、メセンブレノン、Δ7メセンブレノン、4'-O-デメチルメセンブラノール、メセンブレノール、4'-O-デメチルメセンブレノール、メセンブラノール、4'-O-デメチルメセンブレノン、セレテノン、N-デメチル-N-ホルムルメセンブレノン、O-アセチルメセンブレノール、メセンブラン、N-デメチルメセンブレノール、N-デメチルメセンブラノール、ホルデニン、ジュウベルチアミン、デヒドロジュウベルチアミン、デヒドロジュウベルチアミン、ジュウベルチナミン、O-メチルデヒドロジュウベルチアミン、O-メチルジュウベルチアミン、O-メチルジヒドロジュウベルチアミン、3'-メトキシ-4'-O-メチルジュウベルチアミン、3'-メトキシ-4'O-メチルジュウベルチアミノール、4-(3,4-ジメトキシフェニル-4-[2-アセチルメチルアミノ)エチル]シクロヘキサノン、4-(3-メトキシ-4-ヒドロキシ-フェニル)-4-[2-アセチルメチルアミノ)エチル]シクロヘキサジエノン、セレチウムアルカロイドA-4、トルツオサミン、N-ホルムルトルツオサミン及びN-アセチルトルツオサミンを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイドは、メセンブリン、メセンブレノン、Δ7メセンブレノン、4'-O-デメチルメセンブラノール、メセンブレノール、4'-O-デメチルメセンブレノール、メセンブラノール、4'-O-デメチルメセンブレノン、セレテノン、N-デメチル-N-ホルムルメセンブレノン、O-アセチルメセンブレノール、メセンブラン、N-デメチルメセンブレノール、N-デメチルメセンブラノール、ホルデニン、ジュウベルチアミン、デヒドロジュウベルチアミン、デヒドロジュウベルチアミン、ジュウベルチナミン、O-メチルデヒドロジュウベルチアミン、O-メチルジュウベルチアミン、O-メチルジヒドロジュウベルチアミン、3'-メトキシ-4'-O-メチルジュウベルチアミン、3'-メトキシ-4'O-メチルジュウベルチアミノール、4-(3,4-ジメトキシフェニル-4-[2-アセチルメチルアミノ)エチル]シクロヘキサノン、4-(3-メトキシ-4-ヒドロキシ-フェニル)-4-[2-アセチルメチルアミノ)エチル]シクロヘキサジエノン、セレチウムアルカロイドA-4、トルツオサミン、N-ホルムルトルツオサミン及びN-アセチルトルツオサミンから選択される。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイドは、メセンブリン、メセンブレノン、メセンブレノール及びトルツオサミンから選択される。
【0041】
メセンブリンアルカロイドの非限定的な実施形態は:
【化3-1】
【化3-2】
を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイドは、式(I):
【化4】
(式中、
R1は、H、CH3、CHO、OCH3であり、
R2は、H、OH、O-アセチル又はOであり、
R3 及びR4は、それぞれ独立して、H、OH又はメトキシである)の化合物、又はその塩である。
【0043】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、R3はメトキシであり、R4はOHである。
【0044】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、R3及びR4はメトキシである。
【0045】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、R1はH又はCH3である。いくつかの実施形態では、R1はCH3である。いくつかの実施形態では、R1はHである。
【0046】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、R2は、H、OH又はOである。いくつかの実施形態では、R2はHである。いくつかの実施形態では(In embodiments)、R2はOHである。いくつかの実施形態では、R2はOである。
【0047】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているメセンブリン化合物は、ラセミ混合物である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているメセンブリン化合物は、非ラセミ混合物(すなわち、1つの鏡像異性体が、他のものより豊富な混合物)である。当業界で理解されるように、そのような混合物の組成は、その鏡像異性体過剰率により説明され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているメセンブリン化合物は、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%、約15%、約10%又は約5%eeの鏡像異性体過剰率(%ee)を、すべての範囲及びその間の値を含めて有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているメセンブリン化合物は、エナンチオピュアである。いくつかの実施形態では、エナンチオピュアなメセンブリン化合物は、鏡像異性体過剰率(%ee)約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、又は約99%超を、すべての範囲及びその間の値を含めて有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、2つ以上のキラル中心を有する本明細書に記載されているメセンブリン化合物は、ジアステレオ異性体の混合物である。いくつかの実施形態では、2つ以上のキラル中心を有するメセンブリン化合物は、ジアステレオ異性的に純粋である。いくつかの実施形態では、ジアステレオ異性的に純粋なメセンブリン化合物は、約50%超、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超又は約99%超のジアステレオ異性体過剰率(de)を有する。
【0049】
投与のために、本明細書に記載されているメセンブリン化合物は、医薬組成物として配合され得る。医薬組成物は:(i)メセンブリン化合物、及び(ii)医薬として許容できる担体、希釈剤又は賦形剤を含み得る。本明細書に記載されているメセンブリン化合物を含む医薬組成物は、医薬として有用な組成物を調製する公知の方法に従って配合され、それによって治療分子が医薬として許容できる担体、希釈剤又は賦形剤との混合物として合わせられ得る。
【0050】
担体は、その投与が受容患者により耐容され得る場合、「医薬として許容できる担体」といわれる。無菌リン酸緩衝生理食塩水は、医薬として許容できる担体の一例である。他の好適な担体、希釈剤又は賦形剤は、当業者に周知である(例えば、Gennaro(編)、Remington's Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company、第19版、1995年)を参照されたい。)。配合物は、1つ又は複数の賦形剤、防腐剤、可溶化剤、緩衝剤、バイアル表面におけるタンパク質喪失を防止するアルブミン等を更に含み得る。
【0051】
本明細書に記載されているメセンブリン化合物を含む医薬組成物は:経口単位剤形、静脈内単位剤形、鼻腔内単位剤形、坐剤単位剤形、皮内単位剤形、筋肉内単位剤形、腹腔内単位剤形、皮下単位剤形、硬膜外単位剤形、舌下単位剤形、液剤、ロゼンジ剤、速崩壊性錠剤、凍結乾燥製剤、フィルム剤、スプレー剤(鼻腔スプレー剤、口腔スプレー剤又は局所スプレー剤を含む)、又は粘膜付着剤からなる群から選択される剤形に配合され得る。経口単位剤形は:錠剤、丸剤、ペレット剤、カプセル剤、散剤、ロゼンジ剤、粒剤、液剤、懸濁液剤、エマルション剤、シロップ剤、エリキシル剤、徐放性配合物、エーロゾル剤及びスプレー剤からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、メセンブリン化合物は、液剤、ロゼンジ剤、速崩壊性錠剤、凍結乾燥製剤、フィルム剤、スプレー剤又は粘膜付着剤として配合される。
【0052】
本明細書に記載されているメセンブリンアルカロイドを含む医薬組成物は、粘膜付着剤化合物、緩衝剤、可塑剤、安定化剤、味マスキング剤、香味剤、着色剤、消毒剤、不活性フィラー剤、防腐剤及びそれらの組合せを含むが、それらに限定されない1つ又は複数の追加の原料も含有し得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、配合物は、配合物におけるメセンブリンの溶解度を上昇させる、1つ又は複数の可溶化剤を含む。好適な可溶化剤は、当業者に公知であり、例えば、錯化剤、界面活性剤を含む。好適な錯化剤は、非置換シクロデキストリン(例えばアルファ-シクロデキストリン、ベータ-シクロデキストリン)、及び置換シクロデキストリン(例えばヒドロキシプロピルベータ-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-ベータ-シクロデキストリン)を含む。好適な界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例えば、Tween 20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(polyoxyethylene sorbitans molooleate)(例えば、Tween 80)、ポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアレート(例えば、Kolliphor(登録商標)HS 15)、PEG-35ヒマシ油(例えば、Kolliphor(登録商標)EL)及びPEG-60水素化ヒマシ油(例えば、Cremophor(登録商標)RH 60)を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、配合物は、IV溶液のpHを、医薬として許容できる範囲内で維持する1つ又は複数の緩衝剤を含む。ある実施形態では、緩衝液は、約5から9のIV溶液のpHを維持する。具体的な実施形態では、緩衝液は、IV溶液のpHを約7.4で維持する。好適な緩衝液は、当業者に公知であり、例えば、クエン酸塩、乳酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、配合物は、IV配合物の密度を制御するために使用される、1つ又は複数の密度調節剤を含む。好適な密度調節剤は、当業者に公知であり、例えば、デキストロースを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、配合物は、1つ又は複数の等張調節剤を含み、これにより、組織と等浸透圧である配合物を得て、配合物が投与されたとき、疼痛及び刺激を防止する。好適な等張調節剤は、当業者に公知であり、例えば、電解質、単糖及び二糖を含む。等張調節剤の例は、グリセリン、デキストロース、塩化カリウム及び塩化ナトリウムを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、配合物は、1つ又は複数の粘度増強剤を含む。好適な粘度増強剤は、当業者に公知であり、例えば、ポビドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール及びカルボマー(例えば、アクリル酸ホモポリマー及びアクリル酸コポリマー)を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、配合物は、配合物におけるメセンブリンの安定性を上昇させ、且つ/又は、抗微生物活性を生じる1つ又は複数の防腐剤を含む。好適な防腐剤は、当業者に公知であり、例えば、抗微生物剤及び抗酸化剤を含む。抗微生物剤(抗微生物有効量の範囲は、IV配合物の体積に対する抗微生物剤の重量、すなわち、%w/vとして示される)の例は、ベンジルアルコール(約0.1~3.0%w/v)、メチルパラベン(約0.08~0.1%w/v)、プロピルパラベン(0.001~0.023%w/v)、フェノール(0.2~0.5%w/v)、クレゾール(0.2~0.5%w/v)、メチルパラベン(0.1%w/v)、クロロブタノール(chlorbutanol)(0.25~0.5%w/v)、メタ重亜硫酸ナトリウム(0.025~0.66%w/v)、亜硫酸水素ナトリウム(0.13~0.2%w/v)、塩化ベンゼトニウム(0.08~0.1%w/v)及び塩化ベンザルコニウム(0.08~0.1%w/v)を含む。抗酸化剤の例は、亜硫酸水素ナトリウム及び他の亜硫酸塩、アスコルビン酸、エチレンジアミン四酢酸の塩(ナトリウムを含む)、アルファトコフェロール、ブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxyl hydroxytoluene)及びブチルヒドロキシアニソールを含む。
【0059】
本明細書に記載されているメセンブリン化合物を含む医薬組成物は、対象に治療有効量で投与され得る。本開示の方法によれば、本明細書に記載されているメセンブリン化合物は、例えば、筋肉内、皮下、静脈内、心房内、関節内、非経口、鼻腔内、肺内、経皮、胸膜腔内、髄腔内及び経口投与経路を含む多彩な投与様式により、対象に投与され得る。防止及び処置目的のために、本明細書に記載されているメセンブリン化合物は、単回ボーラス送達で、延長された時間にわたる連続送達(例えば、連続経皮送達)を経由して、又は繰り返し投与プロトコール(例えば、毎時間、毎日、毎週又は毎月ベース)で対象に投与され得る。
【0060】
本明細書に記載されているメセンブリン化合物を含む医薬組成物は、本明細書に記載されている医薬組成物を含むコンテナを含むキットとして供給され得る。医薬組成物は、例えば、単回若しくは複数回投与用の注入可能な液剤の形態で、又は、注入前に再構成される無菌粉末として提供され得る。或いは、そのようなキットは、医薬組成物を投与するための、乾燥粉末分散器、液体エーロゾル発生器又はネブライザーを含み得る。そのようなキットは、医薬組成物の指示及び使用に関する書面での情報を更に含み得る。
【0061】
処置の方法
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト男性における早漏を処置する方法であって、メセンブリンアルカロイド又はその塩を、それを必要とする男性に投与するステップを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト男性におけるオルガズムを遅延させる方法であって、メセンブリンアルカロイド又はその塩を、それを必要とする男性に投与するステップを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、ヒト男性は、性機能不全を患っている。いくつかの実施形態では、ヒト男性は、健常な男性である。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、性的活動を始める前に、メセンブリンアルカロイド又はその塩の、それを必要とする男性への投与を含む。「性的活動」という用語は、性的覚醒を誘導する単独の、二者間の、又は集団における任意の活動を指す。性的活動の例は、マスターベーション、相互マスターベーション、性交、膣性交、アナルセックス、オーラルセックス、フェラチオ、挿入を伴わないセックス、性器の摩擦、手による刺激及びデジタル刺激を含むが、それらに限定されない。いくつかのケースでは、性的活動は、デバイス、玩具又は他の無生物補助器具(inanimate aids)の使用を含み得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト男性における、1つ又は複数の態様の性的活動を向上させるための方法であって、メセンブリンアルカロイド又はその塩を、それを必要とする男性に投与するステップを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、ヒト男性は、性機能不全を患っている。いくつかの実施形態では、ヒト男性は、健常な男性である。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の態様は、絶頂にわたる制御(射精の遅延、絶頂の遅延、絶頂の制御、絶頂の先延ばし、及び相互の絶頂の達成を含むが、それらに限定されない)を増大又は向上させ得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の態様は、オルガズムにわたる制御(オルガズムの遅延、オルガズムの対照、オルガズムの先延ばし、及び相互オルガズムの達成を含むが、それらに限定されない)を増大又は向上させ得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の態様は、対象及び/又は対象のパートナーの気付いた快感(性的活動中の快感の延長若しくは先延ばし、又は性的満足度の増大若しくは向上を含むが、それらに限定されない)の増大又は向上であり得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の態様は、性的性能(リビドーの増大、パートナーの性的満足度の増大、又は性的活動中の絶頂までの時間の全体的延長)を向上又は改善し得る。いくつかの実施形態では、対象は、射精を遅延させることを望むことがある。いくつかの実施形態では、対象は、オルガズムを遅延させることを望むことがある。いくつかのケースでは、射精は、オルガズムなしで達成される。いくつかのケースでは、オルガズムは、射精なしで達成される。いくつかのケースでは、射精及びオルガズムは、同時に発生する。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、陰性症状、例えば性衝動低下、又は勃起の達成若しくは維持の困難の、同時の増大又は発症を引き起こさない。更なる陰性症状は、興奮、動揺若しくは不安を感じること、消化不良、下痢若しくは便秘、食欲不振及び体重減少、めまい、かすみ目、口内乾燥、過剰な発汗、睡眠障害(不眠)若しくは傾眠状態、並びに/又は頭痛を含み得る。
【0065】
本開示の組成物の有効量は、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、患者がヒトであるか又は動物であるか、投与されている他の薬物、処置が予防的であるか又は治療的であるか、また、組成物そのものの特定の活性、及び個体において望ましい応答を導く能力を含む多くの異なる要因に応じて変動する。通常、患者はヒトであるが、一部の疾患では、患者は、ヒトではない哺乳動物であることがある。典型的には、投与計画は、最適な治療反応を生じるために、すなわち、安全性及び効き目を最適化するために調整される。
【0066】
この文脈における有効な投与量の判定は、典型的には、動物モデル研究、続いてヒト臨床トライアルに基づき、モデル対象における対象障害の発生又は重症度を著しく低下させる有効な投与量及び投与プロトコールを判定することにより導かれる。したがって、本明細書で使用されている「治療有効量」は、望ましい生物学的又は治療効果を達成する量、すなわち、処置又は防止される、列挙されている疾患の1つ又は複数の症状を防止する、低下させる、又は寛解させる量である、化合物の量を指す。例えば、メセンブリン化合物の治療有効量は、処置される状態、状態の重症度及び経過、メセンブリン化合物が投与されるのは防止目的か又は治療目的か、以前の治療、患者の臨床歴、及びメセンブリン化合物への応答、及び主治医の裁量によって決まる。本明細書に記載されているメセンブリン化合物は、一度に、又は一連の処置にわたって患者に好適に投与され、診断以降いつでも患者(patent)に投与してよい。本明細書に記載されているメセンブリン化合物は、単独の処置として、又は、問題の状態の処置に有用な他の薬物若しくは治療法と共に、投与され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、少なくとも0.001mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、前臨床動物研究から判定される。動物用量をヒト等価用量に変換するためのガイダンスは、2005年7月に発表された「Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers」と題した産業文書用FDAガイダンスで示されており、これは、参照により本明細書に組み込む。この文書の表1は以下に抜粋され、これは、ヒト投与と動物投与との間で変換するための、変換係数を示す。
【0068】
【表1】
【0069】
いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、0.001から0.010mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、少なくとも0.0015、0.002mg、0.0025mg、0.003mg、0.0035mg、0.004mg、0.0045mg、0.005mg、0.0055mg、0.006mg、0.0065mg、0.007mg、0.0075mg、0.008mg、0.0085mg、0.009mg、0.0095mg、0.010mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、少なくとも0.01mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、約0.01mgから1mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、少なくとも0.01mg、0.015mg、0.02mg、0.025mg、0.03mg、0.035mg、0.4mg、0.045mg、0.05mg、0.055mg、0.06mg、0.065mg、0.07mg、0.075mg、0.08mg、0.085mg、0.09mg、0.095mg又は少なくとも0.01mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、少なくとも0.02mg、0.03mg、0.04mg、0.05mg、0.06mg、0.07mg、0.08mg、0.09mg、0.1mg、0.15mg、0.2mg、0.25mg、0.3mg、0.35mg、0.4mg、0.45mg、0.5mg、0.55mg、0.6mg、0.65mg、0.7mg、0.75mg、0.8mg、0.85mg、0.9mg、0.95mg又は少なくとも1mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、0.01mgから500mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、500mgから1000mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、0.01mgから1mgである。
【0070】
本明細書のそのような範囲の開示は、この範囲内の間隔すべての開示となるよう意図されている。例えば、0.01mgから1mgの開示は、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99及び1mgの開示である。
【0071】
いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、1mgから10mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、10mgから20mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、20mgから30mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、30mgから40mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、40mgから50mgである。
【0072】
いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、50mgから100mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、100mgから150mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、150mgから200mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、200mgから250mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、250mgから300mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、300mgから350mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、350mgから400mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、450mgから500mgである。
【0073】
いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、500mgから550mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、550mgから600mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、600mgから650mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、650mgから700mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、700mgから750mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、750mgから800mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、800mgから850mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、850mgから900mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、900mgから950mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、950mgから1000mgである。
【0074】
いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、1μg/kgから10μg/kg、10μg/kgから20μg/kg、20μg/kgから30μg/kg、30μg/kgから40μg/kg、40μg/kgから50μg/kg、50μg/kgから60μg/kg、60μg/kgから70μg/kg、70μg/kgから80μg/kg、80μg/kgから90μg/kg、90μg/kgから100μg/kgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、1μg/kg、2μg/kg、3μg/kg、4μg/kg、5μg/kg、6μg/kg、7μg/kg、8μg/kg、9μg/kg、10μg/kg、11μg/kg、12μg/kg、13μg/kg、14μg/kg、15μg/kg、16μg/kg、17μg/kg、18μg/kg、19μg/kg、20μg/kg、21μg/kg、22μg/kg、23μg/kg、24μg/kg、25μg/kg、26μg/kg、27μg/kg、28μg/kg、29μg/kg、30μg/kg、31μg/kg、32μg/kg、33μg/kg、34μg/kg、35μg/kg、36μg/kg、37μg/kg、38μg/kg、39μg/kg、40μg/kg、41μg/kg、42μg/kg、43μg/kg、44μg/kg、45μg/kg、46μg/kg、47μg/kg、48μg/kg、49μg/kg、50μg/kg、51μg/kg、52μg/kg、53μg/kg、54μg/kg、55μg/kg、56μg/kg、57μg/kg、58μg/kg、59μg/kg、60μg/kg、61μg/kg、62μg/kg、63μg/kg、64μg/kg、65μg/kg、66μg/kg、67μg/kg、68μg/kg、69μg/kg、70μg/kg、71μg/kg、72μg/kg、73μg/kg、74μg/kg、75μg/kg、76μg/kg、77μg/kg、78μg/kg、79μg/kg、80μg/kg、81μg/kg、82μg/kg、83μg/kg、84μg/kg、85μg/kg、86μg/kg、87μg/kg、88μg/kg、89μg/kg、90μg/kg、91μg/kg、92μg/kg、93μg/kg、94μg/kg、95μg/kg、96μg/kg、97μg/kg、98μg/kg、99μg/kg、又は100μg/kgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、100μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kg、300μg/kg、350μg/kg、400μg/kg、450μg/kg、500μg/kg、550μg/kg、600μg/kg、650μg/kg、700μg/kg、750μg/kg、800μg/kg、850μg/kg、900μg/kg、950μg/kg又は1000μg/kgである。
【0075】
いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、約3μg/kgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、約2.5μg/kg、2.6μg/kg、2.7μg/kg、2.8μg/kg、2.9μg/kg、3.0μg/kg、3.1μg/kg、3.2μg/kg、3.3μg/kg、3.4μg/kg、3.5μg/kg、3.6μg/kg、3.7μg/kg、3.8μg/kg、3.9μg/kg又は4μg/kgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、約3.2μg/kgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、約30μg/kgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、約25μg/kg、26μg/kg、27μg/kg、28μg/kg、29μg/kg、30μg/kg、31μg/kg、32μg/kg、33μg/kg、34μg/kg、35μg/kg、36μg/kgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、約32μg/kgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、約300μg/kgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、約250μg/kg、260μg/kg、270μg/kg、280μg/kg、290μg/kg、300μg/kg、310μg/kg、320μg/kg、330μg/kg、340μg/kg又は350μg/kgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、約320μg/kgである。
【0076】
いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、約1.5mg/kgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、約1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg又は2.0mg/kgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、約1.6mg/kgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、約3mg/kgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、約2.5mg/kg、2.6mg/kg、2.7mg/kg、2.8mg/kg、2.9mg/kg、3.0mg/kg、3.1mg/kg、3.2mg/kg、3.3mg/kg、3.4mg/kg又は3.5mg/kgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、約3.2mg/kgである。
【0077】
いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、1mg/kgから10mg/kg、10mg/kgから20mg/kg、20mg/kgから30mg/kg、30mg/kgから40mg/kg、40mg/kgから50mg/kg、50mg/kgから60mg/kg、60mg/kgから70mg/kg、70mg/kgから80mg/kg、80mg/kgから90mg/kg、90mg/kgから100mg/kgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kg、21mg/kg、22mg/kg、23mg/kg、24mg/kg、25mg/kg、26mg/kg、27mg/kg、28mg/kg、29mg/kg、30mg/kg、31mg/kg、32mg/kg、33mg/kg、34mg/kg、35mg/kg、36mg/kg、37mg/kg、38mg/kg、39mg/kg、40mg/kg、41mg/kg、42mg/kg、43mg/kg、44mg/kg、45mg/kg、46mg/kg、47mg/kg、48mg/kg、49mg/kg、50mg/kg、51mg/kg、52mg/kg、53mg/kg、54mg/kg、55mg/kg、56mg/kg、57mg/kg、58mg/kg、59mg/kg、60mg/kg、61mg/kg、62mg/kg、63mg/kg、64mg/kg、65mg/kg、66mg/kg、67mg/kg、68mg/kg、69mg/kg、70mg/kg、71mg/kg、72mg/kg、73mg/kg、74mg/kg、75mg/kg、76mg/kg、77mg/kg、78mg/kg、79mg/kg、80mg/kg、81mg/kg、82mg/kg、83mg/kg、84mg/kg、85mg/kg、86mg/kg、87mg/kg、88mg/kg、89mg/kg、90mg/kg、91mg/kg、92mg/kg、93mg/kg、94mg/kg、95mg/kg、96mg/kg、97mg/kg、98mg/kg、99mg/kg又は100mg/kgである。いくつかの実施形態では、治療有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩は、100mg/kg、150mg/kg、200mg/kg、250mg/kg、300mg/kg、350mg/kg、400mg/kg、450mg/kg、500mg/kg、550mg/kg、600mg/kg、650mg/kg、700mg/kg、750mg/kg、800mg/kg、850mg/kg、900mg/kg、950mg/kg又は1000mg/kgである。
【0078】
いくつかの実施形態では、早漏を処置することは、早漏が発生する回数を減少させることを含む。いくつかの実施形態では、早漏を処置することは、性的活動を始めた後、及び射精するまでの時間を増加させることを含む。いくつかの実施形態では、早漏を処置することは、性的活動を始めた後、及び射精するまでの時間を1分超に増加させることを含む。いくつかの実施形態では、早漏を処置することは、性的活動を始めた後、及び射精するまでの時間を2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30分以上に増加させることを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、オルガズムを遅延させることは、性的活動を始めた後、並びに射精及び/又はオルガズムまでの時間を増加させることを含む。いくつかの実施形態では、オルガズムを遅延させることは、性的活動を始めた後、並びに射精及び/又はオルガズムまでの時間を1分超に増加させることを含む。いくつかの実施形態では、オルガズムを遅延させることは、性的活動を始めた後、並びに射精及び/又はオルガズムまでの時間を2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30分以上に増加させることを含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、早漏を処置すること、及び/又はオルガズムを遅延させることは、腟内射精の潜伏時間(IELT)を1分超に増加させることを含む。いくつかの実施形態では、早漏を処置すること、及び/又はオルガズムを遅延させることは、メセンブリンアルカロイド又はその塩を用いた処置なしで観察されるIELTと比較して、IELTを2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、14分、15分、16分、17分、18分、19分、20分、21分、22分、23分、24分、25分、26分、27分、28分、29分、30分以上に増加させることを含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、射精の遅延は、精嚢圧の低下により指し示される。一部の実施形態では、精嚢圧は、メセンブリンアルカロイド又はその塩を用いた処置なしで観察された精嚢圧と比較して、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%以上低下する。
【0082】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒト男性における早漏を処置する、且つ/又はオルガズムを遅延させる方法であって、メセンブリンアルカロイド又はその塩を、それを必要とする男性に投与するステップを含み、メセンブリンアルカロイド又はその塩が、性的活動を始める前に投与される、方法を提供する。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩は、性的活動を始める少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも3分、少なくとも4分、少なくとも5分、少なくとも6分、少なくとも7分、少なくとも8分、少なくとも9分、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも40分、少なくとも50分又は少なくとも60分前に投与される。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩は、性的活動を始める少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間又は少なくとも8時間前に投与される。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩は、対象に少なくとも1日1回投与される。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩は、対象に少なくとも1日2回、少なくとも1日3回、少なくとも1日4回、又は少なくとも1日5回投与される。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩は、対象に少なくとも1週間当たり1回投与される。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイド又はその塩は、対象に少なくとも1ヶ月に1回投与される。
【0083】
いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイドは、性的活動の始めに投与される。いくつかの実施形態では、メセンブリンアルカロイドは、性的活動中に投与される。
【0084】
更なる番号付けされた実施形態
本開示の更なる番号付けされた実施形態は、以下の通りである:
【0085】
実施形態1.それを必要とするヒト男性対象における性機能不全を処置する方法であって、有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法。
【0086】
実施形態2.ヒト男性対象における射精を遅延させる方法であって、有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩を対象に投与するステップを含む、方法。
【0087】
実施形態3.ヒト男性対象におけるオルガズムを遅延させる方法であって、有効量のメセンブリンアルカロイド又はその塩を対象に投与するステップを含む、方法。
【0088】
実施形態4.対象が早漏を患っている、実施形態2又は3の方法。
【0089】
実施形態5.対象が、早漏を患っていない健常な男性である、実施形態2の方法又は3。
【0090】
実施形態6.ヒト男性における性的活動の1つ又は複数の態様を向上させる方法であって、メセンブリンアルカロイド又はその塩を、それを必要とする男性に投与するステップを含む、方法。
【0091】
実施形態7.1つ又は複数の態様が、絶頂にわたる制御の増大又は向上、オルガズムにわたる制御の増大又は向上、対象及び/又は対象のパートナーによる快感の知覚の増大又は向上、向上又は改善した性的能力、射精の遅延、並びにオルガズムの遅延から選択される、実施形態6の方法。
【0092】
実施形態8.メセンブリンアルカロイドが、メセンブリン、メセンブレノン、Δ7メセンブレノン、4'-O-デメチルメセンブラノール、メセンブレノール、4'-O-デメチルメセンブレノール、メセンブラノール、4'-O-デメチルメセンブレノン、セレテノン、N-デメチル-N-ホルムルメセンブレノン、O-アセチルメセンブレノール、メセンブラン、N-デメチルメセンブレノール、N-デメチルメセンブラノール、ホルデニン、ジュウベルチアミン、デヒドロジュウベルチアミン、デヒドロジュウベルチアミン、ジュウベルチナミン、O-メチルデヒドロジュウベルチアミン、O-メチルジュウベルチアミン、O-メチルジヒドロジュウベルチアミン、3'-メトキシ-4'-O-メチルジュウベルチアミン、3'-メトキシ-4'O-メチルジュウベルチアミノール、4-(3,4-ジメトキシフェニル-4-[2-アセチルメチルアミノ)エチル]シクロヘキサノン、4-(3-メトキシ-4-ヒドロキシ-フェニル)-4-[2-アセチルメチルアミノ)エチル]シクロヘキサジエノン、セレチウムアルカロイドA-4、トルツオサミン、N-ホルムルトルツオサミン及びN-アセチルトルツオサミンから選択される、実施形態1~7のいずれか1つの方法。
【0093】
実施形態9.メセンブリンアルカロイドが、メセンブリン、メセンブレノン、メセンブレノール及びトルツオサミンから選択される、実施形態1~7のいずれか1つの方法。
【0094】
実施形態10.メセンブリンアルカロイドが、式(I)の化合物である、実施形態1~7の方法。
【0095】
実施形態11.メセンブリンアルカロイド又はその塩が、舌下、経鼻、経口、非経口、バッカル、直腸、局所、経皮、経尿道投与される、又は海綿体内注入により投与される、実施形態1~10のいずれか1つの方法。
【0096】
実施形態12.メセンブリンアルカロイド又はその塩が、1つ又は複数の医薬として許容できる賦形剤と配合される、実施形態1~11のいずれか1つの方法。
【0097】
実施形態13.メセンブリンアルカロイド又はその塩が、液剤、ロゼンジ剤、速崩壊性錠剤、凍結乾燥製剤、フィルム剤、スプレー剤又は粘膜付着剤から選択される剤形で配合される。実施形態1~12のいずれか1つの方法。
【0098】
実施形態14.スプレー剤が、口腔スプレー剤、鼻腔スプレー剤又は局所スプレー剤である、実施形態1~12のいずれか1つの方法。
【0099】
実施形態15.メセンブリンアルカロイド又はその塩が、単回一日用量として投与される、実施形態1~14のいずれか1つの方法。
【0100】
実施形態16.メセンブリンアルカロイド又はその塩が、複数回一日用量として投与される、実施形態1~14のいずれか1つの方法。
【0101】
実施形態17.メセンブリンアルカロイド又はその塩が、1日2回、3回、4回又は5回投与される、実施形態16の方法。
【0102】
実施形態18.メセンブリンアルカロイド又はその塩が、1日3回投与される、実施形態16の方法。
【0103】
実施形態19.各用量が、少なくとも0.001mgのメセンブリンアルカロイド又はその塩を含む、実施形態15~18のいずれか1つの方法。
【0104】
実施形態18.各用量が、少なくとも0.01mgのメセンブリンアルカロイド又はその塩を含む、実施形態15~18のいずれか1つの方法。
【0105】
実施形態20.各用量が、約0.001mgから約500mgのメセンブリンアルカロイド又はその塩を含む、実施形態15~18のいずれか1つの方法。
【0106】
実施形態21.各用量が、約500mgから約1000mgのメセンブリンアルカロイド又はその塩を含む、実施形態15~18のいずれか1つの方法。
【0107】
実施形態22.メセンブリンアルカロイド又はその塩が、性的活動の少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間又は少なくとも5時間前に投与される、実施形態1~21のいずれか1つの方法。
【0108】
実施形態23.メセンブリンアルカロイド又はその塩が、性的活動の約1時間前に投与される、実施形態1~21のいずれか1つの方法。
【0109】
実施形態24.メセンブリンアルカロイド又はその塩が、性的活動の約20分前に投与される、実施形態1~21のいずれか1つの方法。
【0110】
実施形態25.性機能不全が早漏である、実施形態1~24のいずれか1つの方法。
【0111】
実施形態26.メセンブリンアルカロイド又はその塩の投与が、早漏を防止する、実施形態25の方法。
【0112】
実施形態27.メセンブリンアルカロイド又はその塩の投与が、射精が発生する前の性的活動中の時間を延長する、実施形態25の方法。
【0113】
実施形態28.方法が、陰性症状、例えば性衝動低下、又は勃起の達成若しくは維持の困難の、同時の増大又は発症を引き起こさない、実施形態25~27のいずれか1つの方法。
【0114】
実施形態29.メセンブリンアルカロイドが、植物供給源からの抽出物である、実施形態1~28のいずれか1つの方法。
【0115】
実施形態30.抽出物が、メセンブリンアルカロイドの実質的に純粋な抽出物である、実施形態29の方法。
【0116】
実施形態31.メセンブリンアルカロイドが、合成される、実施形態1~28のいずれか1つの方法。
【0117】
実施形態32.メセンブリンアルカロイドが、別の薬物製品と組み合わせて投与される、実施形態1~31のいずれか1つの方法。
【実施例
【0118】
(実施例1)
アルカロイド抽出方法
メセンブリン抽出方法は、WO1997/046234に記載されている。方法は、以下のように簡単に要約される。
【0119】
乾燥材料:材料(又はアルコール抽出物)は、分析前に最高40℃にて風乾させる。メセンブリンについて収率の数値は変動するが、典型的には、乾燥葉1グラム当たり15から35mgである(乾燥重量1グラム当たり平均値およそ15mg)。細かくすり潰された材料(乳棒及び乳鉢)を15mL 0.05M H2SO4と混合し、室温にて20分放置した。濾過した後で、残った固体を5mL 0.05M H2SO4で再抽出した。水性相を合わせ、粗グレードのセライト(24g)を有するガラスカラムに適用し、アンモニア(4mL)でアルカリ性にし、100mL CH2C12で抽出した(1×)。CH2C12抽出物を無水Na2SO4で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させて、アルカロイドを淡褐色油状物として残した。アルカロイドは、H2SO4の代わりに熱湯若しくは冷水でも、又は、メタノール、エタノール、アセトニトリル、クロロホルム若しくはジクロロメタンでも抽出できる。
【0120】
【表2】
【0121】
合計アルカロイド
非加熱材料:生葉の葉液(leaf sap)(又はアルコール抽出物)は、直接研究でき、或いはアルカロイドは、熱湯若しくは冷水、エタノール、エタノール/アセトニトリル、クロロホルム若しくはジクロロメタン又は任意の他の好適な溶媒中で直接抽出され得る。HPLC又はGCでは、カラムを不純物から保護するために、試料は濾過されなければならない(例えば、0.45μmフィルター)。メセンブリンについて収率の数値は変動するが、典型的には、1mL当たり0.8から6.5mgの葉液(平均値およそ3.3mg/mL)である。
【0122】
(実施例2)
ヒト男性に射精の潜伏時間を増加させるメセンブリン抽出物の投与
乾燥抽出されたメセンブリンアルカロイドの組成物は、ヒト男性対象における射精の潜伏時間の増加に対する効果を判定するために、舌下投与される。およそ4.62%メセンブリンアルカロイドを含有する100mgの抽出された乾燥材料を、女性パートナーとの腟内性的活動の20分前にヒト男性対象(n=3)に舌下投与した。ビヒクル対照(別称「ビヒクル」)として、乾燥アロエベラ抽出物が用意された。射精の潜伏時間を測定し、性的活動のスタートから射精までの時間により計算した。結果は、以下のTable 1(表3)に示されている。すべてのテストケースにおいて、射精の遅延は、オルガズムの遅延と同時に起こった。
【0123】
【表3】
【0124】
(実施例3)
ラットのパラ-クロロアンフェタミン(PCA)誘導射精モデルにおける、メセンブリン及びメセンブレノンアルカロイドの効果
実験を行って、麻酔下Wistar系ラットでのパラ-クロロアンフェタミン(PCA)誘導射精モデルにおける、射精潜時に対するアルカロイド、メセンブリン、メセンブレノン、メセンブレノール及びメセンブラノール最大耐量(MTD)の緊急処置の効果を評価した。
【0125】
成体雄Wistar系ラット(Charles-River社、フランス、10~11週齢)を、実験を始める少なくとも10日前に飼育し、通常の食事及び水を自由に接種できるようにし、12時間逆転の暗/明サイクル(9:00/21:00)で維持した。すべての手順は、実験動物の使用に関する法律(NIH publication No 85-23、1996年改正)、及び1988年時点のフランスにおける動物飼育の現行規制(フランス農務省当局の認可 - 条約No. B78-423-1、2017年7月)に従って行った。
【0126】
12週齢で、ラットを秤量し、研究群の間で比較可能な平均体重を有するように研究群に無作為化した。ラットは、腹腔内(IP)経路により、PCA誘導射精のin vivo評価の1時間前に、以下のようにビヒクル、メセンブリン、メセンブレノン、メセンブレノール又はメセンブラノールの単独投与を受けた:
【0127】
パート1:ラットは、PCA投与の1時間前に、ビヒクル対照(無菌水中0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、n=10)、メセンブリン20mg/kg(n=9)、10mg/kg(n=11)、2mg/kg(n=12)、200μg/kg(n=12)及び20μg/kg(n=10)の単回IP注入を受けた。パート1の処置群は、Table 2(表4)で以下に概略されている:
【0128】
【表4】
【0129】
パート2:ラットは、メセンブレノン20mg/kg(n=10)の単回IP注入を受けた。パート2の処置群は、Table 3(表5)で概略されている。
【0130】
【表5】
【0131】
パート3:ラットは、メセンブレノール20mg/kg(n=4)若しくは10mg/kg(n=6)、又は、メセンブラノール20mg/kg(n=6)若しくは10mg/kg(n=6)の単回IP注入を受けた。パート3での処置は、Table 4(表6)で概略されている。
【0132】
【表6】
【0133】
処置投与後、ラットは、PCA投与により誘導される射精機能について評価を受けた。したがって、精液栓の排出及び精嚢圧(SVP)の増大を評価した。実験期間の終わりに、ラットは、ペントバルビタール(Eutasol(登録商標)、Centravet社、フランス)の心臓内注入により安楽死させた。
【0134】
方法
薬物製剤。アルカロイドを100mg/mL最終濃度(ストック溶液)に希釈し、ボルテックスにより混合した。次いで、ラット1匹当たりのアリコートを調製し、使用するまで-20℃にて保存した。実験の日、ラット1匹当たり1アリコートを解凍し、望ましい濃度に希釈した。投与量は、ラットにおける投与量についての良好な実践法によれば、IP投与で2mL/kg又は強制経口投与で5mL/kgであった。
【0135】
射精は、以前に記載されている方法(Clementら、Role of peripheral innervation in p-chloroamphetamine-induced ejaculation in anesthetized rats. J Androl 2006年;27:381~389頁)に従って、麻酔をかけたラットにおけるP-クロロアンフェタミン(PCA)5mg/kgの腹腔内投与により誘導した。PCAは、モノアミン作動性神経末端からカテコールアミン及びセロトニンを遊離するアンフェタミン誘導体である。PCAの全身投与は、意識のある(Humphriesら、1981年;Renyi、1985年)、及び麻酔をかけた(Yonezawaら、2000年)ラットの両方で射精を誘導すると報告されている。
【0136】
精嚢圧(SVP)を、射精の放出フェーズに対する生理学的マーカーとして測定した(Clement P、Giuliano F. Physiology and Pharmacology of Ejaculation. Basic Clin Pharmacol Toxicol 2016年;119 Suppl 3:18~25頁)。
【0137】
ラットに麻酔をかけ、恒温毛布(homoeothermic blanket)を使用してそれらの温度を37℃にて維持した。頸動脈に、ヘパリン化生理食塩水(50UI/ml)で満たしたポリエチレン管をカテーテル挿入して、圧力変換器(Elcomatic 750、Glasgow、UK)を経由して継続的に血圧(BP)を記録した。圧力は、特定のデータ取得ソフトウェア(Elphy、CNRS、フランス)を使用して記録した。
【0138】
SVPを測定するために、恥骨正中線の切開を行って、精嚢を曝露し、ミネラル油で満たしたポリエチレンカテーテル(0.50mm)を一方の精嚢中に、先端を通して挿入し、圧力変換器(Elcomatic 750、Glasgow、UK)に接続した。SVPを記録し、特定のデータ取得ソフトウェア(Elphy、CNRS、フランス)を使用して分析した。
【0139】
各記録セッションは、ビヒクル又は薬物のIP投与の50min後にスタートし、10minのベースライン記録期間に続いて、PCAが5mg/kgでIP注入された。したがって、in vivo評価は、処置投与の1h後にスタートした。
【0140】
精液栓の排出及びSVPの増大を、PCA投与後30-minの期間にわたりモニターした。実験プロトコールの概要は、図2に示されている。
【0141】
実験の評価項目
PCA注入後に射精(すなわち、SVPの上昇に関連する精液栓の排出)したラットの比率を判定した。次いで以下の評価項目を判定した:
(a)主要評価項目:1回目の射精の潜時(すなわち、SVPの上昇に関連する精液栓の排出)を、PCA投与後に評価した。
(b)副次的評価項目:SVPにおける変化を判定した。
【0142】
ベースライン期間中に40mmHgを下回る拡張期動脈圧を呈したラットは、研究から除外したことは留意されたい。
【0143】
統計的分析
すべての結果は、平均±SEMとして提示される。適切な場合、以下の統計的検定を使用した:
(a)パラメトリック検定:2群を比較する場合のStudentのt検定、及び3以上の群を比較する、一元ANOVA後の多重比較検定。
(b)ノンパラメトリック検定:2群を比較する場合のMann-Whitney検定、及び3以上の群を比較する場合の、Kruskall-Wallis検定後の多重比較検定。
【0144】
統計的分析は、GraphPad Prism(登録商標)6.05ソフトウェアで行った。p値<0.05は、有意と考えられた。
【0145】
パート1:結果
パート1の結果は、Table 5(表7)、図3図4及び図5に示されている。Table 5(表7)に示されているように、メセンブリンを20mg/kgで受けたラットの100%が、PCA注入後30分の観察期間中に射精しなかった。対照的に、ビヒクル対照を受けたラットはわずか10%が、観察期間中に射精しなかった。
【0146】
【表7】
【0147】
射精潜時は、図3に示されている。テストされるすべての投与条件において、メセンブリンを用いた処置は、ビヒクル対照と比較した場合、射精反応を遅延させた。精嚢圧の振幅は、図4に示されている。精嚢圧の曲線下面積(AUC)は、図5に示されている。精嚢圧反応は、振幅として評価し、AUCは、ビヒクル対照と比較して、すべてのメセンブリン処置ケースで低下した。
【0148】
パート2:結果
パート2の射精潜時の結果は、図6に示されている。図6に示されているように、メセンブレノンを20mg/kgで受けたラットは、PCA注入後30分の観察期間中に、遅延した射精を示す。精嚢圧の振幅は、図7に示されている。精嚢圧の曲線下面積(AUC)は、図8に示されている。精嚢圧反応は、メセンブレノン処置により、ビヒクルと比較して低下した。
【0149】
パート3:結果
パート3の射精潜時の結果は、図9に示されている。図9に示されているように、メセンブレノール及びメセンブラノールを受けたラットは、PCA注入後30分の観察期間中に、遅延した射精を示す。精嚢圧の振幅は、図10に示されている。精嚢圧の曲線下面積(AUC)は、図11に示されている。精嚢圧反応は、メセンブレノール処置により、ビヒクルと比較して低下した。精嚢圧反応は、メセンブラノール処置により、ビヒクルと比較して低下した。
【0150】
要約
要するに、結果は、メセンブリンで処置したラット(20mg/kg)のすべてが、30分の観察期間中に射精しなかったことを示す(vs.ビヒクル群では射精しなかったラット10%)。結果は、メセンブリン用量の減少が、30分の観察期間中の射精を可能とすることを示した。更に、メセンブレノン、メセンブレノール及びメセンブラノールは、ビヒクル対照群と比較して、ラットにおける射精を遅延させた。射精反応に対する生理学的マーカーである精嚢圧も、メセンブリンアルカロイド(メセンブリン、メセンブレノン、メセンブレノール及びメセンブラノール)を用いた処置により、ビヒクル対照と比較して低下した。
【0151】
(実施例4)
メセンブリンの投与による、ヒト男性における射精の遅延
実験を行って、男性対象における射精に対する純粋メセンブリンの効果を判定する。0.5mg、1mg、2.5mg及び5mg用量の純粋メセンブリン(Cayman Chemical Company社、MI、USA)を経口、経鼻又は舌下経路により、健常なヒト男性対象に投与した。経口(嚥下)及び舌下(舌の下で5分保持)用の配合物は、経口及び舌下用2mgメセンブリン/mL 40%水溶液であった。鼻腔スプレー配合物は、計量鼻腔スプレーデバイスを経由して送達される0.4mgメセンブリン/mL 1% w/w NaCl生理食塩水であった。メセンブリンは、性的活動の20分前に投与した。性的活動は、単独でのマスターベーション(「セルフ」)又は女性パートナーとの、パートナーを伴う性交(「パートナーを伴う」)であった。射精の潜伏時間を測定し、性的活動のスタートから射精までの時間により計算した。結果は、Table 6(表8)で以下に示されている。示されているように、メセンブリンは、テストしたすべての用量で射精潜時を延長した。すべてのテストケースにおいて、射精は、オルガズムと同時に起こった。射精が達成されなかったすべてのケースにおいて、オルガズムも達成されなかった。
【0152】
【表8】
【0153】
参照による組込み
本明細書で引用されるすべての参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報及び特許出願は、いかなる目的でも参照によりその全体が組み込まれる。しかし、本明細書で引用される参考文献、論文、刊行物、特許、特許公報及び特許出願のいずれの言及も、これらが、有効な従来技術を構成する、又は世界のいずれかの国における共通した一般知識の一部を形成することの承認、又は示唆のある形態とは解釈されず、また解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト男性対象における性機能不全の処置における使用のための、有効量のメセンブリン又はその塩。
【請求項2】
対象が早漏を患っている、請求項1に記載の使用のための有効量のメセンブリン又はその塩
【請求項3】
メセンブリン又はその塩が、舌下、経鼻、経口、非経口、バッカル、直腸、局所、経皮、経尿道投与される、又は海綿体内(intracavemosal)注入により投与される、請求項1又は2に記載の使用のための有効量のメセンブリン又はその塩
【請求項4】
メセンブリン又はその塩が、1つ又は複数の医薬として許容できる賦形剤と配合される、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用のための有効量のメセンブリン又はその塩
【請求項5】
メセンブリン又はその塩が、液剤、ロゼンジ剤、速崩壊性錠剤、凍結乾燥製剤、フィルム剤、スプレー剤又は粘膜付着剤から選択される剤形で配合される、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用のための有効量のメセンブリン又はその塩
【請求項6】
メセンブリン又はその塩が、単回一日用量として投与される、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用のための有効量のメセンブリン又はその塩
【請求項7】
メセンブリン又はその塩が、複数回一日用量として投与される、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用のための有効量のメセンブリン又はその塩
【請求項8】
各用量が、少なくとも0.001mgのメセンブリン又はその塩を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用のための有効量のメセンブリン又はその塩
【請求項9】
メセンブリン又はその塩が、性的活動の少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間又は少なくとも5時間前に投与される、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用のための有効量のメセンブリン又はその塩
【請求項10】
メセンブリン又はその塩の投与が、早漏を防止する、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用のための有効量のメセンブリン又はその塩
【請求項11】
メセンブリンが、植物供給源からの抽出物から生成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用のための有効量のメセンブリン又はその塩
【請求項12】
抽出物が、メセンブリンの実質的に純粋な抽出物である、請求項11に記載の使用のための有効量のメセンブリン又はその塩
【請求項13】
メセンブリンが合成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の使用のための有効量のメセンブリン又はその塩
【請求項14】
メセンブリンが、別の薬物製品と組み合わせて投与される、請求項1から13のいずれか一項に記載の使用のための有効量のメセンブリン又はその塩
【国際調査報告】