(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電力変換器および電力変換器の動作方法
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20240110BHJP
H02J 9/08 20060101ALI20240110BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20240110BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240110BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H02J9/06 120
H02J9/08
H02J7/35 K
H02J3/32
H02J3/38 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539866
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2021086476
(87)【国際公開番号】W WO2022144193
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】アラート,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ブクヴィック-シェーファー,アレクサンドラ-ササ
(72)【発明者】
【氏名】ベンツ,ハラルド クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】レイノルズ,パトリック ブレア
【テーマコード(参考)】
5G015
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G015GA02
5G015HA02
5G015JA05
5G015JA21
5G015JA32
5G015JA52
5G066HA11
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA02
5G066JA05
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA05
5G503GB03
5G503GB06
(57)【要約】
電力変換器(10)のDC側と電力変換器(10)のAC側との間で電力を変換するように構成されたインバータ(20)を有する電力変換器(10)は、電力変換器(10)のAC側に配置された第1のポート(12)および第2のポート(14)と、DC側に配置された第3のポート(18)および第4のポート(16)とを備える。第1のポート(12)は、ACグリッド(22)に動作可能に接続されるように構成され、第2のポート(14)は、AC負荷(24)に動作可能に接続されるように構成され、第3のポート(18)は、外部電源に動作可能に接続されるように構成され、第4のポート(16)は、充電可能なDC電力貯蔵装置(26)に動作可能に接続されるように構成されている。電力変換器(10)は、第3のポート(18)とインバータ(20)との間に配置されたDC/DCコンバータ(32)を含み、外部電源により供給される電力を第3のポート(18)からインバータ(20)に伝送するように構成されている。インバータ(20)は、第1のポート(12)において電力供給が停止した場合に、グリッド形成部となり、第2のポート(14)に電力を供給するように構成され、電力変換器(10)は、第3のポート(18)を監視して、第3のポート(18)を介して供給される電力のパラメータを検出するように構成された制御ユニット(30)をさらに含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換器のDC側と電力変換器のAC側との間で電力を変換するように構成されたインバータを有する電力変換器であって、
前記電力変換器のAC側に配置された第1のポートおよび第2のポートと、
前記電力変換器のDC側に配置された第3のポートおよび第4のポートとを備え、
前記第1のポートはACグリッドに動作可能に接続されるように構成され、前記第2のポートはAC負荷に動作可能に接続されるように構成され、前記第3のポートは外部電源に動作可能に接続されるように構成され、前記第4のポートは充電可能なDC電力貯蔵装置に動作可能に接続されるように構成され、
前記電力変換器は、前記第3のポートと前記インバータとの間に配置されたDC/DCコンバータを含み、前記外部電源により供給される電力を前記第3のポートから前記インバータに伝送するように構成され、前記インバータは、前記第1のポートで前記ACグリッドから切り離された場合に、グリッド形成部となり、前記第2のポートに電力を供給するように構成され、
前記電力変換器は、前記第3のポートを監視して、前記第3のポートを介して供給される電力のパラメータを検出するように構成された制御ユニットをさらに備えることを特徴とする電力変換器。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換器において、
前記第3のポートと前記DC/DCコンバータとの間に配置された整流器をさらに備えることを特徴とする電力変換器。
【請求項3】
請求項1に記載の電力変換器において、
前記制御ユニットは、前記第3のポートを介して供給される電力に前記電力変換器の動作を適合させるように前記DC/DCコンバータのパラメータを設定するように構成されていることを特徴とする電力変換器。
【請求項4】
請求項1に記載の電力変換器において、
前記DC電力貯蔵装置によって供給される電力を前記第4のポートから前記インバータに伝送するように構成されていることを特徴とする電力変換器。
【請求項5】
請求項1に記載の電力変換器において、
前記制御ユニットは、前記第4のポートを監視し、前記第4のポートに動作可能に接続されたDC電力貯蔵装置の充電に適合するように、前記第4のポートに供給される電力のパラメータを設定するように構成されていることを特徴とする電力変換器。
【請求項6】
請求項1に記載の電力変換器において、
DC側に、DC電源に動作可能に接続されるように構成された第5のポートをさらに備えることを特徴とする電力変換器。
【請求項7】
請求項6に記載の電力変換器において、
前記DC電源により供給される電力を、前記DC電力貯蔵装置を充電するのに適した方法で、前記第5のポートから前記インバータに、かつ/または前記第3のポートから前記第4のポートに伝送するように構成されていることを特徴とする電力変換器。
【請求項8】
請求項1に記載の電力変換器において、
前記制御ユニットは、前記第1のポートを監視し、前記第1のポートにおける前記ACグリッドの電力供給の停止を検出し、電力供給の停止の検出時に、前記電力変換器を前記ACグリッドから切り離すように構成されていることを特徴とする電力変換器。
【請求項9】
請求項8に記載の電力変換器において、
前記制御ユニットは、前記電力変換器が前記ACグリッドから切り離された場合にのみ前記第3のポートから前記インバータに電力が伝送され、前記第1のポートから前記第2のポートに電力が伝送されている間は前記外部電源から前記ACグリッドまたは前記負荷への電力の伝送が防止されるように、前記電力変換器の動作を制御するように構成されていることを特徴とする電力変換器。
【請求項10】
請求項1に記載の電力変換器において、
前記電力変換器は、2つの別個のハウジングを備え、第1のハウジングは、前記第3のポート、前記第4のポート、および前記インバータのAC出力に動作可能に接続された第1のAC相互接続端子を含み、第2のハウジングは、前記第1のポート、前記第2のポート、および第2のAC相互接続端子を含み、前記第1および第2のAC相互接続端子は互いに動作可能に接続されていることを特徴とする電力変換器。
【請求項11】
電力変換器のAC側と電力変換器のDC側との間で電力を伝送するように構成されたインバータを有する電力変換器を動作させる方法であって、
前記電力変換器は、前記電力変換器のAC側に配置された第1のポートおよび第2のポートと、前記電力変換器のDC側に配置された第3のポートおよび第4のポートとを備え、前記第1のポートは、ACグリッドに動作可能に接続されるように構成され、前記第2のポートは、AC負荷に動作可能に接続されるように構成され、前記第3のポートは、外部電源に動作可能に接続されるように構成され、前記第4のポートは、充電可能なDC電力貯蔵装置に動作可能に接続されるように構成され、前記電力変換器は、前記第3のポートと前記インバータとの間に配置されたDC/DCコンバータを含み、前記電力変換器は、前記ACグリッドから切り離された場合に、前記第3のポートと前記インバータとの間で前記DC/DCコンバータを介して電力を伝送するように構成され、
前記方法は、
前記第3のポートを監視するステップと、
前記第3のポートを介して供給される電力のパラメータを検出するステップと、
検出したパラメータに基づいて、前記第3のポートを介して供給される電力に適合するように前記DC/DCコンバータのパラメータを設定するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記第1のポートを監視するステップと、
前記第1のポートにおける電力供給の停止を検出するステップと、
前記第1のポートにおける電力供給の停止が検出された場合に、前記第3のポートから前記インバータを介して前記第2のポートに電力を供給するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記第1のポートにおける電力供給の回復を検出するステップと、
前記第1のポートにおける電力供給が回復した場合に、前記第1のポートから前記第2のポートに電力を供給するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
電力変換器のAC側と電力変換器のDC側との間で電力を伝送するように構成されたインバータを有する電力変換器を動作させる方法であって、
前記電力変換器は、前記電力変換器のAC側に配置された第1のポートおよび第2のポートと、前記電力変換器のDC側に配置された第3のポートおよび第4のポートとを備え、前記第1のポートは、ACグリッドに動作可能に接続されるように構成され、前記第2のポートは、AC負荷に動作可能に接続されるように構成され、前記第3のポートは、外部電源に動作可能に接続されるように構成され、前記第4のポートは、充電可能なDC電力貯蔵装置に動作可能に接続されるように構成され、前記電力変換器は、前記第1のポートと前記インバータとの間に配置された第1のスイッチと、前記第2のポートと前記インバータとの間に配置された第2のスイッチとを含み、
前記方法は、
前記電力変換器を第1のモードで動作させるステップであって、前記第1のモードでは、前記第1のスイッチが閉じ、前記第2のスイッチが開き、前記第1のポートから前記第2のポートに電力が伝送される、ステップと、
前記電力変換器を第2のモードで動作させるステップであって、前記第2のモードでは、前記第1のスイッチが開き、前記第2のスイッチが閉じ、前記インバータから前記第2のポートに電力が伝送される、ステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記電力変換器を第3のモードで動作させるステップをさらに含み、前記第3のモードでは、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチが閉じ、電力が、前記第1のポートから前記第2のポートに、前記第1のポートから前記インバータに、かつ/または前記インバータから前記第2のポートに伝送されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法において、
前記第3のモードでは、前記第1のポートから前記第4のポートに電力が伝送され、電力が、前記ACグリッドから前記DC電力貯蔵装置を充電するのに適したものとされることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法において、
前記電力変換器は、前記第3のポートと前記インバータとの間に配置された第3のスイッチを備え、前記第3のスイッチは、前記第1のモードおよび前記第3のモードでの動作中に開いていることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記第3のスイッチは、前記第2のモードに切り替えた後に閉じられ、前記第3のスイッチを閉じた後に前記第2のモードにおいて前記第3のポートから前記インバータに電力が伝送され、前記第2のモードでの動作から前記第1のモードでの動作または前記第3のモードでの動作に切り替える前に前記第3のスイッチが開放されることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法において、
前記電力変換器は、前記電力変換器のDC側に配置された第5のポートを備え、前記第5のポートは、DC電源に動作可能に接続されるように構成され、前記第1のモードでは、前記DC電源により供給される電力が、前記DC電力貯蔵装置を充電するのに適した方法で前記第5のポートから前記第4のポートに伝送され、前記第2のモードおよび/または前記第3のモードでは、前記DC電源から供給される電力が、前記ACグリッドに供給されるのに適した方法か、または前記AC負荷に供給されるのに適した方法で、前記第5のポートから前記第1のポートおよび/または前記第2のポートに伝送されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換器技術の分野に関し、例えば、DC電力貯蔵装置、例えば、バッテリ、またはハイブリッド電力変換器に結合される電力変換器であって、任意選択的に、太陽光発電機(PV発電機)にさらに結合され得る電力変換器に関する。電力変換器は、ACグリッドに障害が発生した場合でも負荷に電力が供給されるように、DC電力貯蔵装置に貯蔵されたエネルギーから、かつ/または任意選択的にはPV発電機により供給されるエネルギーから、負荷に供給するバックアップオプションを提供する。
【背景技術】
【0002】
DC電力貯蔵装置、例えばバッテリに結合された電力変換器は、バックアップ機能を提供することができる。
【0003】
バッテリは、本質的に、限られた量のエネルギーしか蓄積することができない。バッテリシステムが、オングリッド動作中に、すなわち負荷に供給するACグリッドに接続されているときに、自己消費増加、ピーク負荷管理または他の機能のために使用される場合、グリッドが勝手に故障するかもしれないという状況に直面する。その時点で、バッテリは部分的にしか充電されていない可能性がある。既知の設備では、そのようなバックアップのために、バッテリに一定量のエネルギーを蓄えておく。設備がバックアップを頻繁にかつ/または長期間提供する場合は、バッテリの容量を増やす代わりに、小型の従来型発電機を追加することが有効である場合がある。このため、一部の設備では、バックアップ発電機(例えば、ガスまたは燃料駆動式)のような別の電源に(手動でまたは自動的に)切り替え、バッテリによって給電される電力変換器をオフにし、バックアップ発電機のみによって負荷に供給することを含むバックアップソリューションを提供している。
【0004】
DC電源(例えば、バッテリまたはバッテリとPV電源の組合せ)に接続された電力変換器と、例えば、発電機とを含む切替設計を使用する場合、電力変換器は、バックアップの場合にシステムに電力を供給することはなく、一方、発電機は、それに接続されている負荷のみに供給する。バッテリは、発電機の電力から充電されることはなく、発電機はACグリッドに電力を供給することはできない。空になったバッテリは、PV(ハイブリッド変換器を使用した場合)から、またはグリッドが復帰したときに、充電することができる。さらに、発電機は一般に多くの騒音と排気ガスを発生させ、最終的に部分的または低負荷で動作するため、効率はあまり高くない。
【0005】
発電機がAC結合される、すなわちAC負荷に直接接続されるバックアップソリューションは、かなり複雑であり、更なる課題をもたらす。それらは、発電機と並列に充電および放電することに関する電力変換器の必要な制御スキームに関連する。負荷と発電機は、システムの実際の設計に応じて、特にオングリッドとオフグリッド動作間の切替に関して、特別な制御スキームも必要とする場合がある。
【0006】
米国特許出願US2016/0006254の段落[0032]~[0038]には、電力網に接続され、コンバータ、エンジン駆動の発電機、非発電電源、および任意選択的にバッテリを含むシリアルハイブリッドマイクログリッドが開示されている。発電機および電源はコンバータに電力を供給し、その電力は、AC電力に変換されて、コンバータを介してマイクログリッドに供給される。電力網が限界を超えた場合、コンバータは、発電機、電源および/またはバッテリから引き出された電力をマイクログリッドに供給し、発電機は、好ましくは最大効率で運転され、出力周波数および電圧をそれぞれの値の少なくとも2%および10%の範囲にわたって変化させることが許容される。
【発明の概要】
【0007】
電力変換器のDC側と電力変換器のAC側との間で電力を変換するように構成されたインバータを有する電力変換器が開示されている。電力変換器は、電力変換器のAC側に配置された第1のポートおよび第2のポートと、電力変換器のDC側に配置された第3のポートおよび第4のポートとを備え、第1のポートは、ACグリッドに動作可能に接続されるように構成され、第2のポートは、AC負荷に動作可能に接続されるように構成され、第3のポートは、外部電源に動作可能に接続されるように構成され、第4のポートは、充電可能なDC電力貯蔵装置に動作可能に接続されるように構成されている。電力変換器は、第3のポートとインバータとの間に配置されたDC/DCコンバータを含み、外部電源により供給される電力を第3のポートからインバータに伝送するように構成されている。インバータは、第1のポートでACグリッドから切り離された場合に、グリッド形成部となり、第2のポートに電力を供給するように構成されている。グリッド形成とは、インバータがその出力側でグリッドの電圧をアクティブに形成すること、すなわち、特に、ACグリッドに障害が生じたときやインバータから切り離されたときなど、他にAC電圧が提供されていない場合に、インバータが所与のAC電圧に依存するのではなく、むしろそれ自体でAC電圧を生成することを意味する。電力変換器は、第3のポートを監視して、第3のポートを介して供給される電力のパラメータを検出するように構成された制御ユニットをさらに含む。
【0008】
一実施形態では、制御ユニットは、第3のポートを介して提供される電力に電力変換器の動作を適合させるように、DC/DCコンバータのパラメータを設定するように構成されている。本開示は、外部電源のための第3のポートを介した入力部を有する電力変換器を提供しており、それを制御ユニットが監視することができる。この入力部により、外部電源、例えば燃料駆動式のAC発電機または他の電力源を変換器に接続することが可能となり、インバータの第1のポートからの電力を利用することができない場合に、発電機から第2のポートおよび第2のポートに接続されたAC負荷に電力を供給することが可能となる。このため、第3のポートは、電力変換器に対する非常用電源入力部のように機能する。第1のポートにおける電力供給の遮断は、例えば、ACグリッドの停電や、ACグリッドからの電力変換器の分離による可能性がある。
【0009】
第3のポートは、一実施形態では、外部電源を電力変換器に安全に接続するために、例えばプラグおよびケーブルとともに使用されるように構成される。第3のポートは、一実施形態では、外部電源と恒久的に接続されるように構成される。しかしながら、外部電源が恒久的に接続される場合、第3のポートに関連付けられた追加のスイッチ接点を提供し、このスイッチ接点を、外部電源(例えば、発電機)を始動するために使用することが有用であることが判明している。これは、いわゆる自動始動の発電機に有効であり、この発電機を、第3のポートの追加接点を介して始動させることができる。しかしながら、少なくとも一般的なグリッド規制により、一実施形態では、例えば外部電源からの電力がACグリッドに供給されるのを防ぐために、インバータが第1のポートを介してACグリッドに接続されている限り、外部電源の始動が防止されることを保証する必要がある。
【0010】
第3のポートは、広範囲のパラメータ内でACまたはDC電力を受け入れることができる。第3のポートに供給される電力のパラメータの監視および制御は、例えば、第3のポートを介して流れる最大電流の監視および/または制御、および/または第3のポートを介して流れるAC電流の周波数の監視および/または制御を含むことができる。
【0011】
一実施形態では、電力変換器が、第4のポートを介してDC電力貯蔵装置によって提供される電力をインバータに伝送するように構成されている。一実施形態では、制御ユニットは、第4のポートを監視し、第4のポートに接続されたDC電力貯蔵装置の充電に適合するように、第4のポートに供給される電力のパラメータを設定するように構成されている。外部電源からの電力および/またはバッテリからの電力を使用して、電力変換器は、バックアップ動作中に、接続された負荷に供給し、かつ/またはオングリッド動作中および/またはバックアップ動作中に、接続されたバッテリを充電することができる。
【0012】
一実施形態では、非常に単純かつ直接的な方法で実施することができ、特に、並列動作用に特別に設計されていない可能性のある小型発電機を、電力変換器上のバックアップ電源として統合して、長期間のグリッド停電中に使用することを可能にする解決策が開示される。電力変換器の電力制御機能を利用することにより、バックアップシステムにおいて多種多様なACおよび/またはDC電源を補助することができ、そのような電源のために追加の制御手段が必要なくなる。電力変換器は、ACグリッドからの電力がないときに、負荷にバックアップ電力を供給しながら、グリッド形成要素として機能する。
【0013】
一実施形態では、電力変換器は、第3のポートとDC/DCコンバータとの間に配置された整流器を含むことができる。第3のポートは、電力変換器へのACおよび/またはDC入力を可能にすることができる。整流器は、外部電源からの電力をDC電力に整流することができる。外部電源からの電力は、その後、DC/DCコンバータ(例えば、入力電圧に応じて降圧または昇圧モードで動作する降圧コンバータまたは昇圧コンバータ、または昇降圧コンバータ)を使用して、電力変換器のDCリンクに伝送することができる。この実施形態では、バッテリとインバータの両方がこのDCリンクにも接続されている。第3のポートを介して入力される電力を整流器によって整流するときに、外部電源を、異なる、最終的には可変周波数のAC電圧で、あるいはDC入力で動作させることが可能である。さらに、電力変換器から外部電源に電流が「逆流」することがなくなるため、整流器は、固有の逆給電保護を提供する。DC/DCコンバータは、外部電源から引き出される電力、例えば電流に関して、制御ユニットによってさらに制御され、それにより、例えば、外部電源から過負荷をかけることなく第3のポートを介して引き出される最大電流の超過を防止することに関して、電源に過負荷をかけないようにする。一実施形態では、バッテリの充電制御も制御ユニットによって実行されるが、特に、バッテリの充電状態を制御して、バッテリが過充電または過少充電されるのを防止するために、このバッテリの充電制御を同様に実施することができる。
【0014】
一実施形態では、電力変換器が、DC側に第5のポートを備え、このポートが、DC電源、例えば、PV発電機に動作可能に接続されるように構成される。電力変換器のこの構成は、ハイブリッド電力変換器とも呼ばれる。
【0015】
一実施形態では、電力変換器が、第5のポートを介してDC電源によって提供される電力をインバータに伝送するように構成される。さらに、一実施形態では、電力変換器が、第5のポートを介してDC電源によって提供される電力、および/または第3のポートを介して外部電源によって提供される電力を、DC電力貯蔵装置を充電するのに適した方法で第4のポートに伝送するように構成されている。
【0016】
一実施形態では、制御ユニットが、第1のポートを監視し、第1のポートにおけるACグリッドの電力供給停止を検出し、深刻なグリッド異常、例えば停電の検出時に、ACグリッドから電力変換器を切り離すように構成されている。切り離しは、スイッチによって実現することができる。
【0017】
一実施形態では、電力変換器がACグリッドから切り離されている場合にのみ、電力が第3のポートからインバータに伝送されるように、すなわち、第1のポートから第2のポートに電力が伝送されている限り、外部電源からACグリッドまたは負荷への電力伝送が阻止されるように、制御ユニットが電力変換器の動作を制御するように構成されている。電力変換器は、例えば、電力変換器をACグリッドに接続するスイッチを開くことによって、ACグリッドから切り離すことができる。しかしながら、このスイッチは、ACグリッドの状況とは無関係に操作される場合がある。例えば、停電後にACグリッドが復帰した場合、DC電源、バッテリ、PVなどがまだ負荷に給電できる場合、スイッチは開いたままであってもよい。
【0018】
一実施形態では、電力変換器が2つの別個のハウジングを含み、第1のハウジングが、第3のポート、第4のポート、およびインバータのAC出力に動作可能に接続された第1のAC相互接続端子を含む。この実施形態では、第2のハウジングが、第1のポート、第2のポート、および第2のAC相互接続端子を含み、第1および第2のAC相互接続端子が、互いに動作可能に接続されている。これにより、電力変換器のDC要素をそのAC要素からより適切に分離することができ、バックアップ中に確実に供給されるべき負荷の実際のニーズに合わせてバックアップシステムを構成する際の柔軟性をより高めることができる。
【0019】
本開示は、一実施形態では、もともとバッテリ用および/またはハイブリッドバッテリ-PVコンバータとして設計された電力変換器に適用される。これにより、外部電源、例えば、燃料またはガス駆動式の従来の非常用発電機を、バッテリと発電機の両方のインターフェースとして機能する電力変換器を含むバックアップシステムに簡単かつ安価に統合する可能性が提供される。
【0020】
開示の電力変換器は、第3のポートの入力保護、例えば、過電流、過負荷、短絡および/または逆給電電流を検出および/または緩和するための手段を提供する。それにより、電力変換器のDC側に、AC発電機である可能性がある外部電源を接続することが可能となる。本開示は、(拡張された)非常用バックアップシナリオで動作するように設計され、そのシナリオでは、ACグリッドが電力変換器に接続されている限り、かつ/または動作モードにある限り、すなわち、負荷を動作させるのに十分な電力を提供することができる限り、第3のポートを「ブロック」することが可能である。第3のポートは、例えば、専用の電気スイッチ、機械的手段、例えば、入力をブロックする安全な「キャップ」によって、ファームウェアによって、かつ/または他の手段によってブロックされ得る。本開示は、外部電源が動作する限り、または外部電源が第3のポートに単に接続されていて、例えば手動で、いつでも動作を開始できる場合であっても、ACグリッドへの再接続を防止するための手段を提供することも教示する。制御ユニットは、ACグリッドが再び利用可能になったときに、通知することができ、かつ/または電力変換器から外部電源を切り離すことができる。
【0021】
電力変換器の第3のポートは、別の電力変換器からの電力入力、例えば、この別の電力変換器からの調整された非常用電力出力を受け取るように構成することもできる。
【0022】
電力変換器の実施形態では、インバータが、1~20kWの範囲、例えば、5~15kWの範囲の公称電力を有する。バッテリは、2時間にインバータの公称電力を乗じた公称サイズ、すなわち2~40kWhの範囲、例えば10~30kWhの範囲の公称サイズを有する。任意選択的なPV発電機は、例えばインバータの公称電力の2倍、すなわち2~40kWの範囲、例えば10~30kWの間の公称電力を有する。例えば、第3のポートは、1~20kWの範囲、例えば、5~15kWの範囲の公称電力用に構成され、第3のポートの標準的な最大電流の定格は、16A ACおよび240V ACであり、これにより、外部電源とインバータ間の標準AC技術、例えば、標準ACワイヤ、プラグ、保護手段などを使用することができる。
【0023】
本開示の別の実施形態に係る電力変換器は、電力変換器のAC側と電力変換器のDC側との間で電力を伝送するように構成されたインバータを備える。この電力変換器は、電力変換器のAC側に配置された第1のポートおよび第2のポートと、電力変換器のDC側に配置された第3のポートおよび第4のポートとを備え、第1のポートは、ACグリッドに動作可能に接続されるように構成され、第2のポートは、AC負荷に動作可能に接続されるように構成され、第3のポートは、外部電源に動作可能に接続されるように構成され、第4のポートは、充電可能なDC電力貯蔵装置に動作可能に接続されるように構成されている。電力変換器は、第3のポートとインバータとの間に配置されたDC/DCコンバータを含み、電力変換器がACグリッドから切り離された場合に、第3のポートとインバータとの間で電力を伝送するように構成されている。
【0024】
このような電力変換器を動作させる方法は、第3のポートを監視するステップと、第3のポートを介して供給される電力のパラメータを検出するステップと、第3のポートを介して供給される電力に適合するようにDC/DCコンバータのパラメータを設定するステップとを備える。
【0025】
一実施形態では、第3のポートとインバータとの間に配置されたDC/DCコンバータが、電力変換器がACグリッドから切り離された場合にのみ、第3のポートとインバータとの間で電力を伝送するように構成されている。
【0026】
一実施形態では、この方法は、第1のポートを監視するステップと、第1のポートにおける電力供給の停止を検出するステップと、第1のポートにおける電力供給が停止された場合に、第3のポートからインバータを介して第2のポートに電力を供給するステップとを含む。
【0027】
一実施形態では、この方法は、第1のポートにおける電力供給の回復を検出するステップと、第1のポートにおける電力供給が回復した場合に、第1のポートから第2のポートに電力を供給するステップとを含む。
【0028】
別の実施形態に係る電力変換器は、電力変換器のAC側と電力変換器のDC側との間で電力を伝送するように構成されたインバータを備える。この電力変換器は、電力変換器のAC側に配置された第1のポートおよび第2のポートと、電力変換器のDC側に配置された第3のポートおよび第4のポートとを備え、第1のポートは、ACグリッドに動作可能に接続されるように構成され、第2のポートは、AC負荷に動作可能に接続されるように構成され、第3のポートは、外部電源に動作可能に接続されるように構成され、第4のポートは、充電可能なDC電力貯蔵装置に動作可能に接続されるように構成されている。電力変換器は、第1のポートとインバータとの間に配置された第1のスイッチと、第2のポートとインバータとの間に配置された第2のスイッチとを含む。このような電力変換器を動作させる方法は、電力変換器を第1のモードで動作させるステップであって、第1のモードでは、第1のスイッチが閉じ、第2のスイッチが開き、第1のポートから第2のポートに電力が伝送される、ステップと、電力変換器を第2のモードで動作させるステップであって、第2のモードでは、第1のスイッチが開き、第2のスイッチが閉じ、インバータから第2のポートに電力が伝送される、ステップとを備える。
【0029】
第1のモードは、通常動作モードとも呼ばれ、負荷はACグリッドから電力の供給を受ける。第2のモードは、バックアップモードとも呼ばれ、負荷は電力変換器によって電力の供給を受ける。
【0030】
一実施形態では、本方法は、電力変換器を第3のモードで動作させるステップをさらに含み、第3のモードでは、第1のスイッチおよび第2のスイッチが閉じ、電力が、第1のポートから第2のポートに、第1のポートからインバータに、かつ/またはインバータから第2のポートに伝送される。この第3のモードは、グリッド並列モードとも呼ばれる。
【0031】
一実施形態では、電力が、第3のモードにおいて第1のポートから第4のポートに伝送され、このように伝送された電力が、ACグリッドからDC電力貯蔵装置を充電するのに適したものとされる。
【0032】
一実施形態では、電力変換器が、外部電源とインバータとの間に配置された第3のスイッチを含み、この第3のスイッチが、第1のモードおよび第3のモードでの動作中に開放される。第3のスイッチは、第3のポートに接続される可能性のある外部電源の動作を有効または無効にすることができる。第3のスイッチは、電力変換器の第3のポートに関連付けられた外部電源を電気的に切り離すことができる。
【0033】
本方法の一実施形態では、第3のスイッチは、第2のモードに切り替わった後に閉じられ、第3のスイッチを閉じた後に第2のモードにおいて第3のポートからインバータに電力が伝送され、第2のモードでの動作から第1のモードでの動作または第3のモードでの動作に切り替える前に第3のスイッチが開放される。これにより、電力変換器の要件、特にPV発電機を動作させ、ACグリッドに接続される電力変換器の要件に準拠することができる。このようなACグリッドに接続された電力変換器の場合、例えば、再生可能エネルギーをACグリッドに供給することのみを許可するグリッド規制により、外部発電機からACグリッドに電力を投入することを避ける必要がある。このため、開示の電力変換器は、様々なグリッド要件に準拠することができる。
【0034】
一実施形態では、電力変換器が、自動始動機能を有する外部電源、例えばいわゆる自動始動発電機を作動させるためのスイッチを含むことができる。そのようなスイッチは、例えば、制御ユニットによって操作されるドライ接点とすることができ、その操作は、例えば、バッテリの充電状態を考慮したものとなる。追加的または代替的には、そのようなスイッチは、外部電源の始動に使用される信号を提供するために使用することができる。外部電源は、手動で始動させることもできるが、その場合、外部電源の始動時に電力変換器をACグリッドから切り離す必要がある。
【0035】
一実施形態では、制御ユニットが、バッテリの充電状態が第1の調整可能な閾値を下回る場合、外部電源、例えば発電機を自動的に始動させるように構成されている。また、制御ユニットは、バッテリの充電状態が第2の調整可能な閾値に達したとき、またはバッテリが完全に充電されたときに、外部電源、例えば発電機を停止するように構成され得る。一実施形態では、第2の閾値が第1の閾値よりも高い。
【0036】
電力変換器は、通信インターフェースを含むことができ、通信インターフェースは、ユーザと遣り取りするためのユーザインターフェースを含むことができる。ユーザは、このユーザインターフェースを介して信号を受け取り、またはこのユーザインターフェースを介して電力変換器に情報を入力することができる。通信インターフェースは、リモート通信のための通信モジュールをさらに含むことができる。この通信モジュールを介して、ユーザは、例えばモバイルデバイスを介して情報の提供を受け、システムと遣り取りすることができる。ユーザは、例えば、警告メッセージ、停電期間/充電状態関係のデータ、推定バックアップ容量データなどを受信することができる。通信インターフェースを介して、始動信号および/または停止信号は、電力変換器によって受信され、直接または電力変換器の制御ユニットを介して発電機に出力され得る。通信インターフェースを介した電力変換器との通信は、ユーザによって遠隔的に、かつ/またはユーザインターフェースを介して行われ得る。通信インターフェースを介して、電力変換器は、ACグリッド供給が復旧したことを示す信号を出力することもできる。
【0037】
本開示に係る電力変換器は、ACグリッドが切り離されたときに、外部電源、例えば外部発電機を接続するための第3のポートを提供するソリューションを使用してバックアップ電力を提供することができ、電力変換器は、その第3のポートを介して、広範囲の電力パラメータを含む外部発電機と協働し、周波数範囲が0~200Hz、例えばAC電力が40~70Hz、電圧範囲が12~400V、例えば40~300Vのマルチフォーマット入力に適応する。
【0038】
本開示に係る電力インバータの第3のポートは、従来の、特に低コストの、任意選択的な燃料またはガス駆動式の発電機から電力を入力することを可能にする。さらに、別の電力変換器のSPS(セキュアパワーサプライ)コンセントを第3のポートに接続することができる。これは、隣接する敷地にある電力供給施設、例えばPVプラントの電力変換器からの電力を利用できる場合に特に有用であることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
添付の図面を参照しながら、本開示をより詳細に説明する。
【
図1】
図1は、電力変換器の一実施形態を概略的に示している。
【
図2】
図2は、電力変換器の一実施形態を概略的に示している。
【
図3】
図3は、電力変換器を動作させるための方法の一実施形態を概略的に示している。
【
図4】
図4は、電力変換器を動作させるための方法の一実施形態を概略的に示している。
【
図5】
図5は、電力変換器に接続可能な様々な要素から利用可能なエネルギーを概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、インバータ20を含む電力変換器10を示している。インバータ20は、DC電力をAC電力に変換するように構成されている。このような電力変換は、例えば、公知のインバータブリッジ構成で複数の半導体スイッチを使用することにより実現することができる。インバータ20のDC側は、DC電力の入力または出力のためにDCリンクに接続されている。インバータ20のAC側は、AC電力を受信するか、またはAC電力を出力するように構成されている。
【0041】
電力変換器10の第1のポート12は、ACグリッド22に接続されている。電力変換器10の第2のポートは、例えばACグリッド22の停電状態のときにバックアップ電力を使用して、確実に電力を供給されるべき負荷24に接続されている。第1のポート12とインバータ20との間には、第1のスイッチ48が配置されている。この第1のスイッチ48を使用して、ACグリッド22を電力変換器10から切り離すことができる。第2のポート14とインバータ20との間には、第2のスイッチ46が配置されている。この第2のスイッチ46は、インバータ20と第1のスイッチ48との間にも配置されている。この第2のスイッチ46を使用して、インバータ20のAC側を負荷24から切り離すことができる。また、第2のスイッチ46を使用して、インバータ20を、そのAC側のあらゆる接続から切り離すこともできる。負荷42は、ACグリッド22に直接接続されている。
【0042】
電力変換器10は、第3のポート18を備え、このポートは、外部電源G、例えば従来の燃料またはガス駆動式の内燃機関に動作可能に接続される。外部電源Gは、グリッド形成部となることができ、すなわち、負荷に直接電力を供給することができ、動作するために所与のグリッド電圧でグリッドに接続されることには依存しない。第3のポート18に接続された外部電源Gは、第3のスイッチ44を介して電力変換器10から切り離すことができる。第3のスイッチ44とDCリンク21との間には、整流器28およびDC/DCコンバータ32が配置されている。整流器28は、第3のポート18を介して電力変換器10に入るAC電力を整流することができ、整流したDC電力をDC/DCコンバータ32に供給することができる。DC/DCコンバータ32は、整流器28の出力をDCリンク21の電圧に適合させることができる。
【0043】
DC電力貯蔵装置26は、第4のポート16に接続されている。第4のポートとDCリンク21との間には、DC/DCコンバータ34を配置することができる。DC電力貯蔵装置26は、第4のポート16を介して充電または放電することができる。
【0044】
インバータ20は、電力変換器10のAC側とDC側との間で電力を伝送するように構成される。DC電力貯蔵装置26の放電は、負荷24がインバータ20を介してDC電力貯蔵装置26から電力の供給を受けるときに発生し得る。充電は、外部電源Gが電力を供給する場合に、DCリンク21を介して行うことができ、ACグリッド22が電力を供給する場合に、インバータ20を介して行うことができる。一実施形態では、ACグリッド22が正常に動作する場合、ACグリッド22から電力を取り出してDC電力貯蔵装置26を充電することができ、またはDC電力貯蔵装置26から電力を取り出して(追加的に)負荷24に供給することができる。一方、ACグリッド22が適切に動作していない場合、例えばバックアップ動作中(バックアップモードM2とも呼ばれる、
図4を参照)、インバータ20は、ACグリッド22から電力を取ることなく、もっぱら負荷24に電力を供給する。
【0045】
任意選択的な第5のポート38を介して、DC電源、特にPVアレイ40を、直接接続により、またはDC/DCコンバータ36を経由して、DCリンク21に接続することができる。PVアレイ40は、DCリンク21を介してDC電力貯蔵装置26を充電することができる。また、PVアレイ40は、例えば電力変換器10のバックアップモード動作において、DCリンク21およびインバータ20を介して負荷24にバックアップ電力を供給することもできる。さらに、PVアレイ40は、例えばACグリッド22の通常運転時に、ACグリッド22に供給される電力を提供することができる。
【0046】
制御ユニット30は、インバータ20の動作を制御することができる。特に、制御ユニット30は、バックアップ動作中に、第3のポート18を介して電力変換器10により外部電源Gから引き出される電力を制御する。スイッチ44、46、48は、制御ユニット30によって制御され、かつ/または電力変換器10の外部から手動または自動で切り替えることができる。制御ユニット30は、電力変換器10を動作させるための方法、例えば、後述する方法のうちの1つを実施することができる。特に、ACグリッド22が何らかの理由で利用できないか、かつ/またはインバータ20から切り離されている場合、制御ユニット30は、DCリンク21を介して外部電源Gからの電力を、DC電力貯蔵装置26からの電力および任意選択的にはPVアレイ40からの電力と結合し、バックアップ動作中にグリッドを形成する形で負荷24にAC電力を供給するように、電力変換器10を動作させることができる。さらに、制御ユニット30は、外部電源Gからの電力、任意選択的にはDCリンク21を介してPVアレイ40からの電力、および利用可能であればACグリッド22からの電力を組み合わせて、DC電力貯蔵装置26を充電するように、電力変換器10を動作させることができる。
【0047】
図2は、電力変換器10の別の実施形態を示している。
図1に関連して説明した実施形態と同一または類似の機能を有するこの実施形態の要素は、
図1と同じ符号を有する。
図2の実施形態では、電力変換器10が、2つの別個のハウジング10.1、10.2を備える。第1のハウジング10.1は、第3のポート18、第4のポート16、およびインバータ20のAC出力に動作可能に接続された第1のAC相互接続端子T1を備える。第1のハウジング10.1は、インバータ20、制御ユニット30、整流器28およびDC/DCコンバータ32、34、35をさらに備える。第2のハウジング10.2は、第1のポート12、第2のポート14、および第2のAC相互接続端子T2を備え、第1および第2のAC相互接続端子T1、T2が互いに動作可能に接続されている。
【0048】
図3には、電力変換器10を動作させるための方法が示されている。S1では、第3のポート18が監視され、S2では、第3のポート18を介して供給される電力のパラメータが検出される。S3では、DC/DCコンバータ32および任意選択的な整流器28のパラメータが、第3のポート18を介して供給される電力に適合するように設定される。一実施形態では、この方法が、電力変換器10の制御ユニット30によって実行される。制御ユニット30は、電力変換器10からのACグリッド22の接続または切断を監視するように構成されている。切断は、第1のスイッチ48の開放および/またはACグリッド22の停電に起因する可能性がある。制御ユニット30は、何れかの形態の切断を検出するように構成されている。制御ユニット30は、電力変換器10がACグリッド22から切り離されている場合に、DC/DCコンバータ32を制御して、DC/DCコンバータ32を介して第3のポート18とインバータ20との間で電力を伝送させるように構成されている。制御ユニット30は、第3のポート18からインバータ20に電力が伝送される前に、例えば第1のスイッチ48の開放および/またはACグリッド22の停電によるACグリッド22からの切断が確実に検出されるように、DC/DCコンバータ32を制御するように構成されている。
【0049】
上述した動作オプションをさらに説明するために、
図4は、電力変換器10を動作させる3つのモードM1、M2、M3を有する方法を示している。動作モードM1、M2、M3は、スイッチ46、48の状態に依存する。
【0050】
電力変換器10の第1の動作モードM1では、第1のスイッチ48は閉じ、第2のスイッチ46は開いている。この第1の動作モードM1では、電力が第1のポート12から第2のポート14に伝送され、すなわちACグリッド22からの電力がもっぱら負荷24に供給される。インバータ20は、そのAC接続に関してスタンバイモードであってもよく、任意選択的には、DC電源40は、DCリンク21および任意選択的にはDC/DCコンバータ34、36を介して、DC電力貯蔵装置26を充電することができる。
【0051】
第2の動作モードM2では、第1のスイッチ48は開き、第2のスイッチ46は閉じている。この第2の動作モードM2、いわゆるバックアップモードでは、電力がインバータ20から第2のポート14に伝送され、この第2のポートを介して負荷24に電力が供給される。電力は、外部電源G、DC電力貯蔵装置26および/またはPVアレイ40からインバータ20のDC側に供給することができる。
【0052】
第3の動作モードM3では、第1のスイッチ48は閉じ、第2のスイッチ46は閉じている。この第3の動作モードM3では、電力変換器が、いわゆるグリッド並列モードで動作する。電力は、ACグリッド22と負荷24との間、DC電力貯蔵装置26とPVアレイ40との間、および任意選択的にはPVアレイ40とACグリッド22および/または負荷24との間で交換される。このため、PVアレイ40は、DC電力貯蔵装置26を充電することができ、かつ/または負荷24に電力を供給することができる。
【0053】
負荷24は、例えばスイッチ48が閉じた状態で、オングリッド動作中にACグリッド22から電力を引き出し、第2のスイッチ46は、変換器がグリッド並列モードM3またはモードM1で自律的にそれぞれ動作するように、閉じるか、または開くことができる。ACグリッド22が停電した場合、スイッチ48が開き、電力変換器10および負荷24をACグリッド22から切り離すことができる。これは、動作モードM2におけるバックアップ動作であり、第2のスイッチ46が閉じられて、負荷24が電力変換器10から供給されることを含む。
【0054】
一方、負荷42は、ACグリッド22から直接、よってACグリッド22が利用可能な場合にのみ供給を受け、このため、グリッドが利用できない場合、例えばバックアップ動作モードM2の間、負荷42は全く供給を受けない可能性がある。
【0055】
一実施形態では、電力が第3のポート18を介して引き出されている限り、バックアップモードM2からグリッド並列モードM3への変更を防止するブロック手段を実装することが可能である。例えば、ACグリッド22が再び利用可能になると、外部電源Gが第3のポート18に接続され、かつ第3のスイッチ44が閉じられている場合に、第1のスイッチ48が閉じられることが防止される。スイッチ48を直ちに閉じる代わりに、その前に外部電源Gを第3のポート18から切り離すか、第3のスイッチ44を開く必要がある。個々のモードM1、M2、M3間の特定の遷移のこのようなブロックは、例えば、制御ユニット30によって実行することもできる。
【0056】
任意選択的には、例えばグリッド規制により、ACグリッド22が適切に動作して電力変換器10に接続されている限り、第3のポート18からACグリッド22または負荷24への電力伝送を防止する必要がある場合や、あるいは外部電源Gを第3のポート18に単に接続するのみとする場合がある。制御ユニット30は、その防止を確実に行うように構成することができる
【0057】
図5は、エネルギー源G、26、40の各々によって提供され得るエネルギーE40、E26、EGの量の一例を概略的に示している。
【0058】
DC電力貯蔵装置26に蓄えられたエネルギーE26を見ると、エネルギーE26の一部E26.1は、電力変換器10のオングリッド動作中に、例えば負荷分散を実行するために、ピーク負荷管理のために、かつ/または自己消費増加のために、またはオングリッドモード中の他の機能のために使用され得る。DC電力貯蔵装置26に蓄えられたエネルギーE26の別の部分E26.2は、バックアップモードでの動作中に負荷24に供給するために確保することができる。バックアップモード動作のために保存されるエネルギーE26.2の量は、電力変換器10の公称電力で、例えば0.5~2時間持続するように選択することができる。負荷24が小さいほど、予想されるバックアップ時間が長くなり、利用可能なPVエネルギーE40が多いほど、外部電源Gの必要ない時間が長くなる。
【0059】
DC電源40によって提供されるエネルギーE40は、ある時間、例えば典型的な1日の推定値である。
【0060】
停電継続時間予測法も、制御ユニット30によって実施され得る。そのために、停電がおそらくどの程度の長さになるかの推定が行われ、これは、バッテリ26の充電状態および負荷24によって引き出される電力に関連する。予測が、バッテリ26で利用可能なエネルギーE26と、推定によりDC電源40によって提供され得るエネルギーE40との合計よりも高いバックアップエネルギー需要を与える場合、それぞれのギャップを埋めるために、第3のポート18を介していくらかのエネルギーを投入する必要がある。
【0061】
推定されるバックアップエネルギー需要がバッテリ26の充電状態を上回る場合、ユーザが外部電源Gを接続および/または始動するのに十分な時間が残るように、警告メッセージを発することができる。
【0062】
外部電源G、例えば発電機のための始動信号は、例えば、推定停電継続時間が特定の閾値を超えた場合に、外部電源Gを始動するために生成することができる。始動信号は、制御ユニット30によって生成され、データ線を介して、または多目的制御リレーによって、第3のポート18に接続された外部電源G、例えば発電機に伝達され得る。
【0063】
電力変換器10は、外部電源Gが作動している限り、すなわち外部電源Gからインバータ20を介して第1のポート12または第2のポート14の何れかに電力が伝送される限り、ACグリッド22に再び接続されない。すなわち、バックアップ動作中にのみ、外部電源Gを使用することができる。
【国際調査報告】