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特表2024-502011複数の異種診断法を有する迅速検査装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】複数の異種診断法を有する迅速検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20240110BHJP
   G01N 33/52 20060101ALI20240110BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20240110BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G01N35/08 F
G01N33/52 B
G01N33/543 521
G01N37/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539870
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 IB2021061582
(87)【国際公開番号】W WO2022144647
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】17/138,419
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【復代理人】
【識別番号】100118108
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 洋之
(72)【発明者】
【氏名】シルバ、アデマール、フェレイラ、ダ
(72)【発明者】
【氏名】ティラプ、アスピロス、ジャイオネ
(72)【発明者】
【氏名】エステベス、フェレイラ、マテウス
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】マルサル、ダニエル、ヴィトール、ロペス、マルコンデス
【テーマコード(参考)】
2G045
2G058
【Fターム(参考)】
2G045FB03
2G045FB19
2G045GC12
2G045JA08
2G058CB20
2G058CC09
2G058CC12
2G058GA01
2G058GC02
2G058GC05
(57)【要約】
一実施形態は、試料受入領域と、1または複数の比色分析領域を含む第1の診断要素と、1または複数のラテラルフローアッセイ分析領域を含む第2の診断要素と、を含む。実施形態はまた、試料受入領域で堆積した液体の部分が第1の診断要素に流れることを可能にする第1の流路を含む。実施形態はまた、試料受入領域で堆積した液体の部分が第2の診断要素に流れることを可能にする第2の流路を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料受入領域と、
1または複数の比色分析領域を含む第1の診断要素と、
1または複数のラテラルフローアッセイ分析領域を含む第2の診断要素と、
前記試料受入領域で堆積した液体の第1の部分が前記第1の診断要素に流れることを可能にする第1の流路と、
前記試料受入領域で堆積した前記液体の第2の部分が前記第2の診断要素に流れることを可能にする第2の流路と、を含む、
装置。
【請求項2】
不透過性ハウジングをさらに含み、前記試料受入領域は、前記ハウジングによって規定される開口部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記不透過性ハウジング上にグラフィカル要素をさらに含み、前記グラフィカル要素は、前記第1の診断要素および前記第2の診断要素に関連する情報でエンコードされている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の診断要素は、前記液体の前記第1の部分を比色反応領域に案内する試料搬送部を含む、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記1または複数の比色分析領域の各々が、第1の比色反応領域と、第2の比色反応領域と、前記第1の比色反応領域と前記第2の比色反応領域との間に少なくとも部分的に配置される疎水性領域とを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1および第2の流路に沿った流体連通を促進する圧力点要素をさらに含む、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
第1の親水性領域と、前記第1の親水性領域の境界を規定する第1の疎水性領域とを含む第1の分配基板であって、前記第1の親水性領域が、前記試料受入領域で堆積された液体を受け取る、第1の分配基板と、
前記第1の親水性領域から液体の第1の部分を受け取り、前記液体が前記第1の診断要素に流れることを可能にする第2の親水性領域と、第1の親水性領域から液体の第2の部分を受け取り、前記液体が前記第2の診断要素に流れることを可能にする第3の親水性領域と、前記第2の親水性領域から前記第3の親水性領域への液体の横断を妨害する第2の疎水性領域と、を含む第2の分配基板と、
をさらに含む、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記第1および第2の流路に沿った流体連通を促進する前記圧力点要素は、前記第1の親水性領域と前記第1および第2の診断領域との間にある、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の流路は、前記試料受入領域と前記第1の診断要素との間に親水性材料を含み、
前記第2の流路は、前記試料受入領域と前記第2の診断要素との間に親水性材料を含み、前記第1の流路の一部と前記第2の流路との間に液体をはじくフローバリアをさらに含む、
前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記第1の診断要素は、前記第1の流路から前記1または複数の比色分析領域に液体を案内する試料搬送部を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記試料受入領域で堆積した液体を受け取り、前記液体の第1の部分が前記第1の診断要素に流れることを可能にし、前記液体の第2の部分が前記第2の診断要素に流れることを可能にする多重化流路
をさらに含む、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記ハウジング上に機械可読識別子をさらに含み、前記機械可読識別子は、装置の種類に関連する情報でエンコードされている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
迅速検査装置を含むシステムであって、前記迅速検査装置は、
目に見えるグラフィカル要素を有するハウジングと、
請求項1~12のいずれかに記載の装置であって、
前記第1および第2の診断要素は、前記ハウジングに支持されており、
前記第1の診断要素と前記第2の診断要素は、相互に異なる分析を実行する、装置と、
前記試料受入領域から第1の診断要素までの前記第1の流路を規定し、前記試料受入領域から前記第2の診断要素までの前記第2の流路を規定する疎水性構造と、
プロセッサと、1または複数のコンピュータ可読記憶媒体と、前記1または複数のコンピュータ可読記憶媒体に集合的に記憶されたプログラム命令と、を含み、前記プログラム命令は前記プロセッサによって実行可能であり、前記プロセッサに動作を実行させ、前記動作は、
前記グラフィカル要素を含むハウジングの画像を捕捉することと、
前記捕捉された画像に対して少なくとも1つのデータ処理機能を実行することであって、前記データ処理機能は、検査試料の少なくとも1つの化学属性を決定するために、前記捕捉された画像における読み出し領域の色属性を前記捕捉された画像における色参照と比較することを含む、システム。
【請求項14】
前記検査試料は、血液、血漿、血清、リンパ、尿、唾液、精液、羊水、胃液、痰、喀痰、粘液、涙、便、および水からなる群から選択される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサによって実行可能であり、前記プロセッサに動作を実行させる前記プログラム命令をさらに含み、前記動作は、
リモートデータ記憶場所を取得するために、グラフィカル要素の少なくとも一部をデコードすることと、
前記検査試料の前記少なくとも1つの化学属性に関するデータを、前記リモートデータ記憶場所に送信することと、
をさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、化学的および生化学的試料のためのシステムおよび方法に関する。より詳細には、本発明は、化学試料の迅速な検査装置のためのシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、臨床現場即時検査(POCT)装置や迅速検査装置と呼ばれる携帯型診断検査装置の普及が進んでいる。市販の迅速検査装置は、様々なヘルスケア用途のほか、獣医学的検査、農業用途、環境検査、および製品品質評価などの用途に導入されている。
【0003】
既存の迅速検査装置には、ラテラルフローアッセイ(LFA)と比色テストストリップがある。これら2種類の紙ベースのテストストリップは、それぞれ異なる方法で動作し、試料の量や蒸着機構に対する要求も異なる。
【0004】
LFAは、検査試料中の特定の抗体の存在を検出するなど、生物学的スクリーニングを行うために使用される。典型的なLFAは、検査試料を受け取るためのテストパッドを備えた携帯型検査装置である。この堆積された検査試料は、一連の異なる重なり合った多孔質膜を流れる。これらの膜の1つは、検査結果の視覚的指標を提供する色の堆積を生じさせるために、特定の結果を示す領域(例えば、検査ラインおよびコントロールライン領域)において、抗体または抗原および試料上の他の粒子と反応する粒子を有する領域を含む。
【0005】
その他の既存の検査装置としては、検査試料中の特定の化学物質の存在を検出するなどの化学スクリーニングに使用される比色テストストリップがある。比色テストストリップは、紙ベースの化学テストストリップであり、通常、検査試料に浸す必要がある。比色テストストリップは、通常、特定の検査試料化合物とテストストリップの紙繊維に埋め込まれた試薬との間の化学反応に対して、範囲内の比色反応を示す。その結果得られる色の濃淡は、通常、いくつかの可能な色の結果のうちの1つであり、それぞれが検査試料中の標的化学元素のそれぞれの濃度に相関している。LFAと比色テストストリップはともに紙ベースの診断用基材を使用するが、LFAは、多くの異なる動作原理を含むいくつかの点において比色テストストリップとは異なる。例えば、LFAと比色テストストリップは、異なる量の試料を必要とし、試薬との接触を可能にする異なる手段を適用し、異なる反応時間を必要とし、結果は異なるフォーマットで表示される場合がある。
【0006】
したがって、当技術分野では、前述の問題を解決する必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様から見ると、本発明は、試料受入領域と、1または複数の比色分析領域を含む第1の診断要素と、1または複数のラテラルフローアッセイ分析領域を含む第2の診断要素と、試料受入領域で堆積した液体の第1の部分が第1の診断要素に流れることを可能にする第1の流路と、試料受入領域で堆積した液体の第2の部分が第2の診断要素に流れることを可能にする第2の流路と、を含む装置を提供する。
【0008】
さらなる態様から見ると、本発明は、試料受入領域と、1または複数の比色分析領域を含む第1の診断要素と、1または複数のラテラルフローアッセイ分析領域を含む第2の診断要素と、第1の親水性領域と、第1の親水性領域の境界を規定する第1の疎水性領域とを含む第1の分配基板であって、第1の親水性領域が、試料受入領域で堆積された液体を受け取る、第1の分配基板と、第1の親水性領域から液体の第1の部分を受け取り、液体が第1の診断要素に流れることを可能にする第2の親水性領域と、第1の親水性領域から液体の第2の部分を受け取り、液体が第2の診断要素に流れることを可能にする第3の親水性領域と、第2の親水性領域から第3の親水性領域への液体の横断を妨害する第2の疎水性領域と、を含む第2の分配基板と、をさらに含む装置を提供する。
【0009】
さらなる態様から見ると、本発明は、試料受入領域と、1または複数の比色分析領域を含む第1の診断要素と、1または複数のラテラルフローアッセイ分析領域を含む第2の診断要素と、試料受入領域と第1の診断要素との間に親水性材料を含む第1の流路と、試料受入領域と第2の診断要素との間に親水性材料を含む第2の流路と、第1の流路の一部と第2の流路との間に液体をはじくフローバリアと、を含む装置を提供する。
【0010】
さらなる態様から見ると、本発明は、試料受入領域と、1または複数の比色分析領域を含む第1の診断要素と、1または複数のラテラルフローアッセイ分析領域を含む第2の診断要素と、試料受入領域で堆積した液体を受け取り、液体の第1の部分が第1の診断要素に流れることを可能にし、液体の第2の部分が第2の診断要素に流れることを可能にする多重化流路と、を含む装置を提供する。
【0011】
さらなる態様から見ると、本発明は、迅速検査装置を含むシステムであって、迅速検査装置は、目に見えるグラフィカル要素を有するハウジングと、試料受入領域と、ハウジングに支持される第1および第2の診断要素であって、第1の診断要素と第2の診断要素は、相互に異なる分析を実行し、第1の診断要素および第2の診断要素のうちの少なくとも1つは比色分析領域を含む、第1の診断要素と第2の診断要素と、試料受入領域から第1の診断要素までの第1の流路を規定し、試料受入領域から第2の診断要素までの第2の流路を規定する疎水性構造と、プロセッサと、1または複数のコンピュータ可読記憶媒体と、1または複数のコンピュータ可読記憶媒体に集合的に記憶されたプログラム命令と、を含み、プログラム命令はプロセッサによって実行可能であり、プロセッサに、グラフィカル要素を含むハウジングの画像を捕捉することと、捕捉された画像に対して少なくとも1つのデータ処理機能を実行することであって、データ処理機能は、検査試料の少なくとも1つの化学属性を決定するために、捕捉された画像における読み出し領域の色属性を捕捉された画像における色参照と比較することを含む、実行することと、を含む動作を実行させるシステムを提供する。
【0012】
さらなる態様から見ると、本発明は、迅速検査装置を含むシステムであって、迅速検査装置は、目に見えるグラフィカル要素を有するハウジングと、本発明の装置であって、第1および第2の診断要素はハウジングに支持されており、第1の診断要素と第2の診断要素は、相互に異なる分析を実行し、試料受入領域から第1の診断要素までの第1の流路を規定し、試料受入領域から第2の診断要素までの第2の流路を規定する疎水性構造と、プロセッサと、1または複数のコンピュータ可読記憶媒体と、1または複数のコンピュータ可読記憶媒体に集合的に記憶されたプログラム命令と、を含み、プログラム命令はプロセッサによって実行可能であり、プロセッサに、グラフィカル要素を含むハウジングの画像を捕捉することと、捕捉された画像に対して少なくとも1つのデータ処理機能を実行することであって、データ処理機能は、検査試料の少なくとも1つの化学属性を決定するために、捕捉された画像における読み出し領域の色属性を捕捉された画像における色参照と比較することを含む、実行することと、を含む動作を実行させるシステムを提供する。
【0013】
例示的な実施形態は、複数の診断方法を有する迅速検査装置を提供する。一実施形態は、試料受入領域と、比色分析領域を含む第1の診断要素と、ラテラルフローアッセイ分析領域を含む第2の診断要素とを含む。また、本実施形態は、試料受入領域で堆積した液体の第1の部分が第1の診断要素に流れることを可能にする第1の流路を含む。また、本実施形態は、試料受入領域で堆積した液体の第2の部分が第2の診断要素に流れることを可能にする第2の流路を含む。
【0014】
代替実施形態は、試料受入領域と、比色分析領域を含む第1の診断要素と、ラテラルフローアッセイ分析領域を含む第2の診断要素とを含む。本実施形態はまた、第1の親水性領域と、第1の親水性領域の境界を規定する第1の疎水性領域とを含む第1の分配基板であって、第1の親水性領域が、試料受入領域で堆積された液体を受け取る、第1の分配基板とを含む。本実施形態はさらに、第1の親水性領域から液体の第1の部分を受け取り、液体が第1の診断要素に流れることを可能にする第2の親水性領域と、第1の親水性領域から液体の第2の部分を受け取り、液体が第2の診断要素に流れることを可能にする第3の親水性領域と、第2の親水性領域から第3の親水性領域への液体の横断を妨害する第2の疎水性領域と、を含む第2の分配基板を含む。
【0015】
代替の実施形態は、試料受入領域と、比色分析領域を含む第1の診断要素と、ラテラルフローアッセイ分析領域を含む第2の診断要素とを含む。また、本実施形態は、試料受入領域と第1の診断要素との間に親水性材料を含む第1の流路と、試料受入領域と第2の診断要素との間に親水性材料を含む第2の流路とを含む。本実施形態は、第1の流路の一部と第2の流路との間に液体をはじくフローバリアをさらに含む。
【0016】
代替の実施形態は、試料受入領域と、比色分析領域を含む第1の診断要素と、ラテラルフローアッセイ分析領域を含む第2の診断要素とを含む。また、本実施形態は、試料受入領域で堆積した液体を受け取り、液体の第1の部分が第1の診断要素に流れることを可能にし、液体の第2の部分が第2の診断要素に流れることを可能にする多重化流路を含む。
【0017】
代替の実施形態は、試料受入領域と、比色分析領域を含む第1の診断要素と、ラテラルフローアッセイ分析領域を含む第2の診断要素とを含む。本実施形態はまた、試料受入領域から第1の診断要素までの第1の流路を規定し、試料受入領域から第2の診断要素までの第2の流路を規定する疎水性構造を含む。
【0018】
これらの実施形態のいずれもが、ハウジングをさらに含むことがあり、試料受容領域は、ハウジングによって規定される開口部を含む。いくつかのこのような実施形態は、不透過性ハウジング上にグラフィカル要素をさらに含み、グラフィカル要素は、第1の診断要素および第2の診断要素に関連する情報でエンコードされている。
【0019】
これらの実施形態のいずれかにおいて、第1の診断要素は、液体の第1の部分を比色反応領域に案内する試料搬送部を含む。いくつかのこのような実施形態では、比色反応領域は、第1の比色反応領域と、第2の比色反応領域と、第1の比色反応領域と第2の比色反応領域との間に少なくとも部分的に配置される疎水性領域とを含む。
【0020】
これらの実施形態のいずれかは、第2の診断要素の第1の膜を第2の診断要素の第2の膜に向けて付勢する圧力点要素をさらに含んでもよい。
【0021】
様々な実施形態は、単一の検査試料からそれぞれの異なる検査結果を効果的に提供する複数の異なる診断方法を有利に提供する。様々な実施形態は、有利には、複数の異なる診断方法のそれぞれへの試料の流れを可能にし、単一の検査試料を使用して複数の検査を実行することを可能にする。
【0022】
本発明の特徴と信じられている新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、本発明自体、ならびにその好ましい使用態様、さらなる目的および利点は、添付の図面と共に読まれたときに、例示的な実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態による多重化迅速検査装置の平面図である。
図2】本発明の一実施形態による多重化迅速検査装置の分解図である。
図3】例示的な実施形態による多重化迅速検査装置の流路表現の平面図を示している。
図4】例示的な実施形態による多重化迅速検査装置の流路表現の平面図を示している。
図5】例示的な実施形態によるラテラルフローアッセイの透視図を示している。
図6】例示的な実施形態による流体分配アセンブリの分解図を示す。
図7】例示的な実施形態による多重化迅速検査装置の分解図を示す。
図8】例示的な実施形態による多重化迅速検査装置の透視図である。
図9】例示的な実施形態による図8の断面線IX-IXに沿ってとられた断面図を示す。
図10】例示的な実施形態による図8の断面線X-Xに沿ってとられた断面図を示す。
図11】例示的な実施形態による多重化迅速検査装置の平面図を示す。
図12】例示的な実施形態による多重化迅速検査装置の平面図を示す。
図13】例示的な実施形態による多重化迅速検査装置と共に使用されるモバイルアプリケーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
近年、実験室以外の環境で、実験装置を必要とせず、迅速に検査結果を得ることができる様々な迅速検査装置が開発されている。その装置の代表的な2種類が、ラテラルフローアッセイ(LFA)と比色テストストリップである。
【0025】
迅速検査装置の望ましい特性は、単一の迅速検査装置で単一の検査試料から様々な検査を実行できることである。単一の検査試料から複数の検査を実施できることは、時間と費用の節約になり、また、異なる種類の検査に対して様々な異なる検査装置が採用されている間に時間とともに変化する試料条件によって引き起こされる曖昧さを軽減する。また、単一の検査試料から複数の検査を行うことで、異なる種類の検査を行うために別々の検査装置を使用した複数の検査の計画、実施、結果の評価の複雑さを軽減する。例えば、異なる検査装置には異なる検査技術が必要であり、人為的なミスにより不用意に交換されたり、混同されたりする可能性がある。
【0026】
検査のいくつかは、例えば血清学的なものでは、LFAを使用して標的抗体の有無を検出するものがある。他の検査では、紙片やディップスティック(例えば、比色テストストリップ)上の比色反応インジケータを使用して、検査試料中の特定の化学元素の濃度を評価する。このように、特定の試料について標的抗体の有無を調べると同時に、同じ検査試料中の一部の化学物質の濃度を評価したい場合が多くある。
【0027】
単一の検査試料から複数の検査を行うことが望ましいにもかかわらず、LFAと比色テストストリップには基本的な違いがあるため、これらの異なる種類の検査を単一の検査装置に統合することが妨げられてきた。例えば、比色テストストリップは、一般的に、検査試料との十分な接触を保証するために、ある特定の期間、液体検査試料に浸す必要がある。しかし、比色テストストリップが使用する液体の量は、LFAにとって問題である。LFAに適用される液体の量は、検査反応領域上の検査液滴から余分な液体の逆流を防止するウィッキングパッドの使用によって制限される。そうしないと、余分な液体がLFA反応領域の感度を低下させることになる。LFAに比色テストストリップを完全に浸すと、ウィッキングパッドが圧迫され、LFAの検査結果を決定的ではないものにする。
【0028】
本実施形態は、単一の検査試料から両方の種類の検査を行う検査装置へのLFAおよび比色テストストリップタイプの検査の統合が、過去にそのような統合を妨げてきた課題にもかかわらず可能であることを認識する。例示的な実施形態は、単一の検査試料の不釣り合いな量が検査装置の異なる診断要素に分配されることになる迅速検査装置に非対称な試料分配能力を導入することによって、この技術的問題に対処し解決する。有利なことに、非対称的な試料分配は、より多量の検査試料への曝露から利益を得る診断要素に比較的多量の試料を流すことを可能にし、多量すぎる検査試料への曝露によって損傷または妨げられるであろう別の診断要素に比較的少量の試料を流すことを可能にする。例えば、迅速検査装置の一実施形態は、比色タイプの診断要素とLFAタイプの診断要素とを有し、比色タイプの診断要素に不釣り合いに多量の単一の検査試料を流すことを可能にし、LFAタイプの診断要素に不釣り合いに少量の単一の検査試料を流すことを可能にする。これにより、比色タイプの診断要素は、LFAタイプの診断要素を圧倒することなく、検査結果を生成するのに十分な量の液体を受け取ることができ、少ないがより適切な量の検査試料から検査結果を生成することができる。
【0029】
本明細書において、用語「試料」または「検査試料」は、成分の存在または不在、成分の濃度など、その特性のいずれかの定性的または定量的な決定に供されることを意図した、液体、溶液、または懸濁液の体積を意味する。本明細書に記載される本実施形態の文脈における典型的な試料は、血液、血漿、血清、リンパ、尿、唾液、精液、羊水、胃液、痰、喀痰、粘液、涙、便などのヒトまたは動物の体液である。他の種類の試料は、ヒトまたは動物の組織試料に由来し、組織試料が液体、溶液、または懸濁液に処理され、検査のために特定の組織成分を明らかにしたものである。さらに他の種類の試料は、あらゆる種類の液体であり、例えば、水質分析または水道水質検査、工業・環境検査、プール・温泉検査、湖・小川検査、水族館検査、食品安全モニタリング、環境汚染検出のための水などがある。簡単、迅速かつ正確な検査が有利であり、テストストリップは必要な検出能力を有していなければならない。したがって、開示された実施形態は、身体的試料および非身体的試料に同様に適用可能である。
【0030】
本明細書で論じる「ラテラルフローアッセイ」という用語は、化学的または生化学的試料などの流体を受け取り、特定の領域が試薬、およびフィルターのような様々な機能を提供し、その中を試料が毛細管または他の適用力の影響下で横断する、横方向に配置された流体輸送または流動経路を含む任意の装置を指す。
【0031】
用語「領域(region)」および「領域(area)」は、本明細書、実施例および請求項の文脈において、基板上の流体流路の一部を定義するために使用される。
【0032】
「反応」という用語は、試料の成分と、基質上または基質中の少なくとも1つまたは複数の試薬との間、あるいは試料中に存在する2以上の成分との間で起こるあらゆる反応を定義するために使用されるものである。特に「反応」という用語は、分析物の定性または定量測定の一部として、分析物と試薬の間で起こる反応を定義するために使用される。
【0033】
いくつかの実施形態では、迅速検査装置は、試料受入領域と、比色分析領域を含む第1の診断要素と、ラテラルフローアッセイ分析領域を含む第2の診断要素とを含む。いくつかのそのような実施形態では、非対称の試料分配が、第1および第2の流路によって提供され、第1の流路は試料受入領域で堆積した液体の第1の部分が第1の診断要素に流れることを可能にし、第2の流路は試料受入領域で堆積した液体の第2の部分が第2の診断要素に流れることを可能にする。
【0034】
いくつかの実施形態では、非対称の試料分配は、第1および第2の分配基板によって提供される。そのような実施形態では、第1の分配基板は、試料受入領域で堆積された液体を受け取る第1の親水性領域を含む。第1の分配基板はまた、第1の親水性領域の境界を規定する第1の疎水性領域を含む。第2の分配基板は、それぞれが第1の親水性領域から液体のそれぞれの部分を受け取る第2および第3の親水性領域を含む。第2の親水性領域は、液体が第1の診断要素に流れることを可能にし、第3の親水性領域は、液体が第2の診断要素に流れることを可能にする。第2の分配基板はまた、第2の親水性領域から第3の親水性領域への液体の横断、およびその逆の横断を妨害する第2の疎水性領域を含む。いくつかの実施形態では、第2の疎水性領域は、診断要素の各々に送達されようとする液体の望ましい割合に従って、第2および第3の親水性領域のそれぞれの大きさを制御することを可能にする。
【0035】
いくつかの実施形態では、非対称の試料分配は、試料受入領域と第1の診断要素との間に親水性材料を含む第1の流路と、試料受入領域と第2の診断要素との間に親水性材料を含む第2の流路とによって提供される。いくつかのそのような実施形態では、液体をはじくフローバリアが、第1の流路の一部と第2の流路との間に設けられる。いくつかのそのような実施形態において、フローバリアは、診断要素の各々に送達されようとする液体の望ましい割合に従って、第2および第3の親水性領域のそれぞれの大きさを制御することを可能にする。
【0036】
いくつかの実施形態では、非対称の試料分配は、試料受入領域で堆積した液体を受け取り、液体の第1の部分が第1の診断要素に流れることを可能にし、液体の第2の部分が第2の診断要素に流れることを可能にする多重化流路によって提供される。いくつかのそのような実施形態では、多重化流路は、診断要素の各々に送達されようとする液体の望ましい割合に従って、診断要素に流れる液体のそれぞれの部分を制御することを可能にする。
【0037】
また、いくつかの実施形態では、試料受入領域から第1の診断要素までの第1の流路を規定し、試料受入領域から第2の診断要素までの第2の流路を規定する疎水性構造によって、非対称の試料分配が提供される。いくつかのそのような実施形態では、疎水性構造は、診断要素の各々に送達されようとする液体の望ましい割合に従って、第1および第2の流路のそれぞれの大きさを制御することを可能にする。
【0038】
図1を参照すると、この図は、例示的な実施形態による多重化迅速検査装置100の平面図を示している。トップカバー102は、検査を行うための試料堆積のための開口部(例えば、窓)を有し、検査結果を表示するためのものである。例えば、トップカバー102は、試料を保持するリザーバの上に配置された試料受入領域104を有する。また、トップカバー102は、それぞれの検査結果を表示する複数の検査結果ウィンドウ106A~106Dを有する。図示された実施形態は、円形である試料受入領域104を含むが、実施形態は、任意の特定の形状に限定されない。例えば、試料受入領域は、正方形、長方形、三角形、楕円形、不規則な形状等とすることができる。同様に、図示された実施形態は、この多重化迅速検査装置が4つの診断領域を含むので、ウィンドウ106A~106Dに4つの検査結果を含む。しかし、診断領域の数量はより多くても少なくてもよく、各診断領域に対して検査結果ウィンドウ106が存在してもよい。あるいは、複数の診断領域の検査結果を表示するのに十分な大きさの単一の検査結果ウィンドウが存在してもよい。
【0039】
図2を参照すると、この図は、例示的な実施形態による多重化迅速検査装置200の分解図を示している。特定の実施形態において、多重化迅速検査装置200は、図1の多重化迅速検査装置100の一例である。
【0040】
図示の実施形態では、多重化迅速検査装置200は、トップカバー202、ボトムカバー208、およびスペーサ要素220が集合的にハウジングの例を構成するように、スペーサ要素220の対向する側に取り付けられたトップカバー202およびボトムカバー208を備える。いくつかの実施形態では、トップカバー202、ボトムカバー208、およびスペーサ要素220は、検査試料および緩衝液に対して不透過性であるように疎水性コーティングを有する例えば紙などの不透過性材料で形成されている。いくつかの実施形態では、トップカバー202、ボトムカバー208、およびスペーサ要素220の全てが不透過性材料で形成されており、集合的に不透過性ハウジングの一例を構成する。
【0041】
図示の実施形態では、多重化迅速検査装置200は、上面、下面、および、試料受入領域204に堆積した検査試料を受け入れる内部リザーバ212を規定する本体内の開口部を有する本体を有する内部圧力点要素210を備える。さらに、内部リザーバ212は、予想される試料量の液体(例えば、予め定められたマイクロリットルの量)を一度に受け取り、液体が流体分配アセンブリ214にウィッキングされている間、試料量を一定期間保持するように構成される。内部リザーバ212を迅速検査装置200内に統合することにより、トップカバー202およびボトムカバー208の外側への試料のオーバーフローの低減/排除がある。さらに、内部リザーバ212の統合は、流出による試料の損失を低減/排除する。
【0042】
図2の例示的な実施形態を引き続き参照すると、流体分配アセンブリ214は、内部リザーバ212の下面と流体連通するように配置される。流体分配アセンブリ214は、内部リザーバ212に堆積された検査試料の一部を複数の流路の間で集合的に分割する複数の分配基板216A~216Bを含む。順番に、流路は、複数の診断要素218Aおよび218Bの各々の流路と流体連通している。流体分配アセンブリ214の図示された実施形態は、2つの分配基板216A~216Bを含むが、流体分配アセンブリ214の代替実施形態は、より大量またはより少ない量の分配基板を含む。また、多重化迅速検査装置200の図示された実施形態は、2つの診断要素218Aおよび218Bを含むが、多重化迅速検査装置200の代替実施形態は、より大量またはより少量の診断要素を含む。
【0043】
図示された実施形態では、分配基板216Aおよび216Bはそれぞれ、診断要素218Aおよび218Bの同じ試料パッド材料に作製されたそれぞれのワックス定義親水性チャネルを有し、診断要素218Aおよび218Bへの試料分配を強化する。分配基板216A、216Bに診断要素218A、218Bと同じ材料を使用することにより、分配基板216A、216Bから診断要素218A、218Bへのより効果的な流体の移動が達成される。また、注意深く設計されたワックス定義チャネルを使用することにより、流体分配アセンブリ214によって保持される検査試料の量が減少する。さらに、ワックス定義チャネルの設計は、様々な条件下(例えば、多重化迅速検査装置200が傾けられる、落とされるなど)で望ましい分配を達成する。
【0044】
図示の実施形態では、多重化迅速検査装置200は、中間支持層としてスペーサ要素220を含む。図2の例示的な実施形態に示すように、スペーサ要素220は、液体試料および緩衝液に対して不透過性にするために前処理(例えば、コーティング)された材料で構成されている。本実施形態におけるスペーサ要素220を構成するために使用される材料は段ボールであるが、構成はこの材料に限定されるものではない。例えば、チップボードが使用されてもよい。
【0045】
図示された実施形態では、スペーサ要素220は、交差汚染を防止するように、スペーサ要素220によって規定されたそれぞれの領域224A、224Bに収容される診断要素218A、218Bを分離するように配置された少なくとも1つの仕切りストリップ222を含む。仕切りストリップ222は、スペーサ要素220の残りの部分と共に、トップカバー202が不注意に診断要素218A、218Bの表面と接触することによる流路の汚染、または流路のインピーダンスを防ぐために、トップカバー202と診断要素218Aおよび218Bの間に隙間があることを保証する働きもすることができる。いくつかの実施形態では、診断要素218Aおよび218Bの数量が2つを超える場合、スペーサ要素220は、2つ以上の仕切りストリップ222を含むことができる。例えば、代替実施形態は、3つの診断要素218と2つの仕切りストリップ222とを含み、2つの仕切りストリップ222は3つの診断要素218を分離し、別の代替実施形態は、n個の診断要素218とn-1個の仕切りストリップ222とを含み、n-1個の仕切りストリップ222がn個の診断要素218を分離し、ここでnは任意の望ましい整数である。スペーサ要素220に収容される複数の診断要素218の使用を許可することにより、複数の試薬の検査が単一の堆積試料から実行され得る。また、本実施形態では、仕切りストリップ222がスペーサ要素220によって規定される領域全体を仕切らないことが示されている。流体分配アセンブリ214および内部リザーバ212の配置のために、仕切られていない領域226が存在する。不透過性ボトムカバー208およびスペーサ要素220は、内部リザーバ212、流体分配アセンブリ214および2つ以上の診断要素218の配置および整列のためのハウジング要素を(トップカバー202と一緒になって)形成するように結合する。
【0046】
図示の実施形態では、内部圧力点要素210は、流体分配アセンブリ214と診断要素218Aおよび218Bとの間の境界面における接触信頼性を高めるように配置されている。
【0047】
図3を参照すると、この図は、例示的な実施形態による多重化迅速検査装置の流路表現300の平面図を示している。流路表現300は、図1の多重化迅速検査装置100または図2の多重化迅速検査装置200の親水性領域を強調する流路の一例である。
【0048】
図示された実施形態では、流路表現300は、診断要素318Aおよび318Bを含み、これらはそれぞれ、図2の診断要素218Aおよび218Bの一例である。流路表現300は、分配基板316Aおよび316Bを含む流体分配アセンブリ314も含み、流体分配アセンブリ314は流体分配アセンブリ214の例であり、分配基板316Aおよび316Bは図2の216Aおよび216Bの例である。図3に示す表現では、分配基板316Aおよび316Bの疎水性部分は、明確にするために示されていない。
【0049】
流路表現300において、診断要素318Aは、比色タイプの診断要素の表現であり、診断要素318Bは、ラテラルフローアッセイタイプの診断要素の表現である。診断要素318Aは、親水性チャネル320と、疎水性領域328(網掛けで示す)によって規定された複数の比色試薬領域322A~322Cとを含む。また、図示の実施形態では、診断要素318Bは、親水性材料326を含んでいる。典型的には、検査試料324からの液体の流れは、分配基板316Aから、分配基板316Bを通り、親水性チャネル320および親水性材料326に向かい、診断要素318Aについては、親水性チャネル320から比色試薬領域322A~322Cの各々に入る。流路表現300では、親水性チャネル320、比色試薬領域322A~322C、326が紙などの多孔質体を含み、外部ポンプを必要とせず、多孔質体のウィッキング効果により液体が吸引される。
【0050】
図4を参照すると、この図は、例示的な実施形態による多重化迅速検査装置の流路表現400の平面図を示している。特定の実施形態では、流路表現400は、説明される以外は、図3の流路表現300と実質的に同じである。
【0051】
図示された実施形態では、流路表現400は、比色タイプの診断要素418Aの代替実施形態を含む。診断要素418Aは、親水性チャネル420と、疎水性領域424によって規定される複数の比色試薬領域422A~422Cを含む。また、診断要素418Aは、サブチャネル426A~426Cを通って共通点428まで延びる破線によって図示されるように、共通点428に向かって延びる親水性サブチャネル426A~426Cを更に含む。図3に示す表現と比較して、サブチャネル426A~426Cは、検査試料430からの液体がより迅速に比色試薬領域422A~422Cに到達できるようにするための流路設計の一例である。
【0052】
図5を参照すると、この図は、例示的な実施形態によるラテラルフローアッセイ500の透視図である。特定の実施形態では、ラテラルフローアッセイ500は、図3の診断要素318Bのラテラルフローアッセイタイプの一例である。
【0053】
図示された実施形態では、ラテラルフローアッセイ500は、試料パッド/血液分離器502、コンジュゲートパッド504、検査ライン508およびコントロールライン510を有する膜506、並びにウィッキングパッド512を含む。典型的には、試料パッド502、コンジュゲートパッド504、膜506、およびウィッキングパッド512は、紙のような多孔質媒体を含む。このような実施形態では、液体は試料パッド502からウィッキングパッド512に向かって流れ、外部ポンプを必要とせずに、多孔質体のウィッキング効果によって液体が引かれる。
【0054】
図6を参照すると、この図は、例示的な実施形態による流体分配アセンブリ600の分解図を示している。特定の実施形態において、流体分配アセンブリ600は、図2の流体分配アセンブリ214の一例である。
【0055】
図示された実施形態では、流体分配アセンブリ600は、内部リザーバ(例えば、図2の内部リザーバ212)に堆積した検査試料の一部を複数の流路の間で集合的に分割する複数の分配基板616Aおよび616Bを含む。順番に、流路は、複数の診断要素(例えば、図2の診断要素218Aおよび218B)の各々の流路と流体連通している。流体分配アセンブリ214の図示された実施形態は、2つの分配基板616Aおよび616Bを含むが、流体分配アセンブリ600の代替実施形態は、より大量の分配基板またはより少量の分配基板を含む。
【0056】
流体分配アセンブリ600は、内部リザーバおよび診断要素と流体連通して配置される多層アセンブリである。多層流体分配アセンブリ600は、上面としての分配基板616Aおよび下面としての分配基板616Bを含む。分配基板616Aは、疎水性ワックス充填領域618と、親水性紙チャネル620とを含む。親水性紙チャネル620は、内部リザーバに堆積された検査試料の少なくとも一部を、様々な診断要素の液量要件を満たす比率で複数の診断要素に分配するように構成された複数の流路と流体連通している。例えば、いくつかの実施形態では、診断要素によって必要とされる検査試料の液体の量は、診断要素が比色タイプの診断要素であるか、ラテラルフローアッセイタイプの診断要素であるかによって異なる場合がある。
【0057】
図示された実施形態では、分配基板616Bは、疎水性ワックス充填領域622と、複数の親水性紙チャネル624Aおよび624Bとを含む。親水性紙チャネル624Aおよび624Bは、いずれも分配基板616Aの親水性紙チャネル620と流体連通している。さらに、親水性紙チャネル624Aは第1の診断要素と流体連通しており、親水性紙チャネル624Bは第2の診断要素と流体連通している。診断要素に流れる検査試料の液体の量は、内部リザーバとそれぞれの診断要素との間の親水性ペーパーチャネルの面積に依存する。したがって、親水性紙チャネル624Aは、親水性紙チャネル624Bよりもはるかに大きく、親水性紙チャネル624Bと流体連通している診断要素に流れるであろう液体よりも、親水性紙チャネル624Aと流体連通している診断要素により多くの液体が流れることを可能にする。このように、複数の流路は、内部リザーバに堆積した検査試料の一部を、様々な診断要素の液量要求を満たす比率で複数の診断要素に分配するように構成される。
【0058】
いくつかの実施形態では、それぞれの分配基板616の親水性ペーパーチャネルのサイズは、本開示の例示的な実施形態と一致する分配基板のワックスパターンの様々な構造に基づいて制御される。図示の実施形態では、分配基板616Aは、分配基板616Bのワックスパターンとは異なるワックスパターンを有する。いくつかの実施形態では、ワックスパターンは、リフロープロセスを受ける前にチャネルデザインを規定するために、ワックスプリンタまたは他の既知の方法によって紙シートの上面もしくは下面またはその両方に堆積される。いくつかの実施形態では、リフロープロセスには、熱を加えてワックスを溶かし、紙シートの厚さに含浸させて流体の移動に対する疎水性バリアを作成することが含まれる。紙シートの厚さに応じて、グレースケールのワックスの特徴は、紙の厚さを部分的に貫通するために使用され、三次元ワックスバリア、すなわち、平面上および紙の厚さを貫通するバリアを作成するために使用することができる。いくつかの実施形態では、グレイスケールワックスの特徴は、リフロー後に疎水性を維持する。
【0059】
図7を参照すると、この図は、例示的な実施形態による多重化迅速検査装置700の分解図を示している。特定の実施形態において、多重化迅速検査装置700は、図2の多重化迅速検査装置200の一例である。
【0060】
図示された実施形態では、多重化迅速検査装置700は、図2に示された多重化迅速検査装置200と実質的に同じであってよい。図7の図は、試料受入領域704から内部リザーバ712へ、次に分配基板716Aの親水性紙チャネル720へ、そして分配基板716Bの親水性紙チャネル724Aおよび724Bの間で分割されて、それぞれ診断要素718Aおよび718Bへ液体の流れを可能にする流路の位置および方向を示す流れ線を含む。
【0061】
図8を参照すると、この図は、例示的な実施形態による多重化迅速検査装置800の透視図を示している。図8に示す図では、検査装置800の内部アセンブリをより明確に説明するために、トップカバーは示されていない。特定の実施形態において、多重化迅速検査装置800は、図2の多重化迅速検査装置200の一例である。
【0062】
多重化迅速検査装置800は、図2に示す多重化迅速検査装置200と実質的に同じであってよい。図8の図は、トップカバー(例えば、図2のトップカバー202)がない組み立てられた構成要素を示している。多重化迅速検査装置800は、中間支持層としてスペーサ要素820を含む。図8の例示的な実施形態に示すように、スペーサ要素820は、交差汚染を防止するように、スペーサ要素820によって規定されたそれぞれの領域824A、824Bに収容される診断要素818A、818Bを分離するように配置された少なくとも一つの仕切ストリップ822を含む。仕切りストリップ822は、スペーサ要素820の残りの部分と共に、トップカバーが不注意に診断要素818A、818Bの表面と接触することによる流路の汚染、または流路のインピーダンスを防ぐために、トップカバー(例えば、図2のトップカバー202)と診断要素818Aおよび818Bの間に隙間があることを保証する働きもすることができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、診断要素818Aおよび818Bの数量が2つを超える場合、スペーサ要素820は、2つ以上の仕切りストリップ822を含むことができる。例えば、代替実施形態は、3つの診断要素818と2つの仕切りストリップ822とを含み、2つの仕切りストリップ822は3つの診断要素818を分離し、別の代替実施形態は、n個の診断要素818とn-1個の仕切りストリップ822とを含み、n-1個の仕切りストリップ822がn個の診断要素818を分離し、ここでnは任意の望ましい整数である。スペーサ要素820に収容される複数の診断要素818の使用を許可することにより、複数の試薬の検査が単一の堆積試料から実行され得る。また、本実施形態では、仕切りストリップ222がスペーサ要素820によって規定される領域全体を仕切らないことが示されている。流体分配アセンブリ214および内部リザーバ812の配置のために、仕切られていない領域826が存在する。内部圧力点要素810は、スペーサ要素820によって規定される仕切られていない領域826内に入れ子にされ、診断要素818Aおよび818Bの境界面における接触信頼性を高めるように配置される。
【0064】
図9を参照すると、この図は、例示的な実施形態による図8の断面線IX-IXに沿ってとられた断面図900を示している。図示の実施形態では、ブロック矢印は、内部圧力点要素810およびボトムカバー914によって内層に加えられる力の方向を示す。内部圧力点要素810は、検査試料902の液体によって取られる流路912に沿って、診断要素818Bと分配基板916Aおよび916Bの境界面における接触信頼性を高めるように配置される。検査試料902は、分配基板916Aおよび916Bの親水性領域を通ってラテラルフローアッセイタイプ診断要素818B、具体的には試料パッド904、次にコンジュゲートパッド906、次に膜908に移動する。したがって、これらのさまざまな構成要素間の境界面が互いに押し付けられ、液体が層の上または層間で漏れ出るのではなく、様々な構成要素を通って移動するように強制される。
【0065】
図10を参照すると、この図は、例示的な実施形態による図8の断面線X-Xに沿ってとられた断面図1000を描いている。図示の実施形態では、ブロック矢印は、内部圧力点要素810およびボトムカバー914によって内層に加えられる力の方向を示す。内部圧力点要素810は、検査試料902の液体によって取られる流路1012に沿って、診断要素818Aと分配基板916Aおよび916Bの境界面における接触信頼性を高めるように配置される。検査試料902は、分配基板916Aおよび916Bの親水性領域を通って比色タイプの診断要素818A、具体的には診断要素818Aの親水性チャネル1006に移動する。したがって、これらの様々な構成要素の間の境界面が互いに押し付けられ、液体が層の上または層間で漏れ出るのではなく、様々な構成要素を通って移動するように強制される。
【0066】
図11を参照すると、この図は、例示的な実施形態による多重化迅速検査装置1100の平面図を示している。検査装置1100は、試料受入領域1104と検査結果ウィンドウ1106Aおよび1106Bとを有するトップカバー1102を含む。開示された検査装置の実施形態は、テキスト、コード、および他の指示のような、外面上の様々なグラフィカル要素を含み得る。例えば、図11に示すように、グラフィカル要素は、多重化迅速検査装置1100によって実行される検査の種類を示す検査名1108、色参照1110、および診断要素の1または複数に関連する情報でエンコードされるQRコード(登録商標)1112または他のこのようなグラフィカル要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、色参照1110は、検査結果の機械的検出を可能にする画像処理、例えば、検査結果および参照1110の画像を捕捉するスマートフォンまたは他のそのようなコンピューティングデバイス上のアプリケーションのために提供される。いくつかの実施形態では、アプリケーションは、実行された検査の種類、検査のシリアル番号、ロット番号または他の情報などの情報について、QRコードを解釈する。いくつかの実施形態では、アプリケーションは、検査結果を、後で検索して分析することができるクラウドベースのストレージなどのリポジトリまたはデータベースに保存する。
【0067】
図12を参照すると、この図は、例示的な実施形態による多重化迅速検査装置1200の平面図を示している。検査装置1200は、ボトムカバー1208を含む。開示された検査装置の実施形態は、テキスト、コード、および他の表示のような、外面上の様々なグラフィカル要素を含み得る。例えば、図12に示すように、グラフィカル要素は、検査装置を使用するための指示1210、検査装置1200によって実行される第1のタイプの検査を解釈するための参照画像1212、および検査装置1200によって実行される第2のタイプの検査を解釈するための追加の参照画像1214など、ユーザまたは消費者に対する様々なメッセージを含むことがある。
【0068】
図13を参照すると、この図は、例示的な実施形態によるモバイルアプリケーションが多重化迅速検査装置1100と共に使用される環境1300を示している。図示の実施形態では、モバイルデバイス1302が、多重化迅速検査装置1100の少なくとも一部の画像1304を捕捉するために使用される。しかしながら、代替実施形態では、プロセッサと、1または複数のコンピュータ可読記憶媒体と、1または複数のコンピュータ可読記憶媒体に集合的に記憶されたプログラム命令とを備えるタブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、または任意の既知のコンピューティングデバイスであって、プログラム命令は、プロセッサによって実行可能であり、プロセッサに、本明細書に記載されるものの1または複数を含む動作を実行させる。例えば、いくつかの実施形態では、動作は、グラフィカル要素(例えば、検査結果ウィンドウ1106Aおよび1106B、色参照1110、およびQRコード1112など)を含むハウジングの画像を捕捉することを含む。いくつかの実施形態において、動作は、捕捉された画像上で少なくとも1つのデータ処理機能を実行することを含み、データ処理機能は、検査試料の少なくとも1つの化学属性を決定するために、捕捉された画像における読み出し領域での色属性を捕捉された画像における色参照と比較することを含む。
【0069】
本明細書で使用されるコンピュータ可読記憶媒体(本明細書で使用されるコンピュータ可読記憶媒体(複数)を含む)は、電波もしくは他の自由に伝播する電磁波、導波管もしくは他の伝送媒体を介して伝播する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、またはワイヤを介して送信される電気信号のような、一過性の信号それ自体として解釈されるべきではない。
【0070】
図示された実施形態では、モバイルデバイス1302は、多重化迅速検査装置1100などの検査装置を画像化するために特別にアプリケーションを実行している。いくつかの実施形態では、モバイルデバイス1302は、ユーザが検査装置の外面上の1または複数のグラフィカル要素の画像を捕捉することを可能にするアプリケーションを実行する。例えば、図示された実施形態では、モバイルデバイス1302は、モバイルデバイス1110のカメラ技術を利用して、検査結果ウィンドウ1106Aおよび1106B、色参照1110、ならびにQRコード1112の画像を捕捉するように、ユーザがモバイルデバイス1302に指示することを可能にするアプリケーションを実行する。いくつかの実施形態では、モバイルデバイス1302は、検査結果を決定するために、検査結果ウィンドウ1106Aおよび1106Bのストライプの色を色参照1110の色と比較することにより、検査結果ウィンドウ1106Aおよび1106Bの画像を評価する。図示の実施形態では、多重化迅速検査装置1100は、2つの比色タイプの検査を含むが、代替実施形態では他のタイプの検査を含むことができる。いくつかの実施形態では、モバイルデバイス1302は、クラウドアプリケーションまたはクラウドストレージデバイスのネットワーク位置(例えば、URLまたはIPアドレス)を抽出するためにQRコード1112をデコードすることによってQRコード1112の画像を評価する。いくつかのそのような実施形態では、モバイルデバイス1302は、記憶するために、もしくは検査結果のさらなる処理のために、またはその両方のために、検査結果をQRコード1112にエンコードされたネットワークロケーションに送信する。いくつかの実施形態では、モバイルデバイス1302はまた、分析された試料の地理的位置、試料に対して分析が行われたときのタイムスタンプ、もしくは化学分析を行ったユーザ、またはその組み合わせなど、検査結果とともにモバイルデバイスからデータ特徴を抽出して表示もしくは送信またはその両方を行う。
【0071】
以下の定義および略語は、特許請求の範囲および明細書の解釈のために使用されるものとする。本明細書で使用する場合、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「contains(含む)」または「containing(含む)」、またはその他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを目的とする。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されず、明示的にリストされていない他の要素またはそのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置に固有の要素を含むことができる。
【0072】
さらに、「例示的」という用語は、本明細書では「例、実例、または例示として機能すること」を意味するために使用される。本明細書で「例示的」として説明される任意の実施形態または設計は、必ずしも他の実施形態または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。「少なくとも1つ」および「1つ以上」という用語は、1以上、すなわち1、2、3、4などの任意の整数を含むと理解される。「複数」という用語は、2以上、つまり2、3、4、5などの任意の整数を含むと理解される。「接続」という用語には、間接的な「接続」と直接的な「接続」の両方を含めることができる。
【0073】
本明細書において、「ある実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」、「例示的な一実施形態(an example embodiment)」または同様の文言は、記載される実施形態が、特定の特徴、構造、または特性を含むことができるが、全ての実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含んでもよいし、含まなくてもよい。さらに、そのような表現は必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が実施形態に関連して説明されている場合、明示的に説明されているか否かに関わらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、または特性に影響を与えることは当業者の知識の範囲内であることが提出される。
【0074】
「約」、「実質的に」、「概算」という用語、およびそれらの変形は、出願時に利用可能な機器に基づく特定の量の測定に関連する誤差の程度を含むことを意図している。例えば、「約」には、特定の値の±8%、5%、または2%の範囲を含めることができる。
【0075】
本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であることを意図するものではなく、開示される実施形態に限定されることを意図するものでもない。記載される実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの修正および変更が可能であることは当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見られる技術に対する実際の適用または技術的改善を最もよく説明するため、または当業者が本明細書に記載の実施形態を理解できるようにするために選択された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料受入領域と、
1または複数の比色分析領域を含む第1の診断要素と、
1または複数のラテラルフローアッセイ分析領域を含む第2の診断要素と、
前記試料受入領域で堆積した液体の第1の部分が前記第1の診断要素に流れることを可能にする第1の流路と、
前記試料受入領域で堆積した前記液体の第2の部分が前記第2の診断要素に流れることを可能にする第2の流路と、を含む、
装置。
【請求項2】
不透過性ハウジングをさらに含み、前記試料受入領域は、前記ハウジングによって規定される開口部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記不透過性ハウジング上にグラフィカル要素をさらに含み、前記グラフィカル要素は、前記第1の診断要素および前記第2の診断要素に関連する情報でエンコードされている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の診断要素は、前記液体の前記第1の部分を比色反応領域に案内する試料搬送部を含む、請求項1~3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記1または複数の比色分析領域の各々が、第1の比色反応領域と、第2の比色反応領域と、前記第1の比色反応領域と前記第2の比色反応領域との間に少なくとも部分的に配置される疎水性領域とを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1および第2の流路に沿った流体連通を促進する圧力点要素をさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
第1の親水性領域と、前記第1の親水性領域の境界を規定する第1の疎水性領域とを含む第1の分配基板であって、前記第1の親水性領域が、前記試料受入領域で堆積された液体を受け取る、第1の分配基板と、
前記第1の親水性領域から液体の第1の部分を受け取り、前記液体が前記第1の診断要素に流れることを可能にする第2の親水性領域と、第1の親水性領域から液体の第2の部分を受け取り、前記液体が前記第2の診断要素に流れることを可能にする第3の親水性領域と、前記第2の親水性領域から前記第3の親水性領域への液体の横断を妨害する第2の疎水性領域と、を含む第2の分配基板と、
をさらに含む、請求項1~6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記第1および第2の流路に沿った流体連通を促進する前記圧力点要素は、前記第1の親水性領域と前記第1および第2の診断領域との間にある、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の流路は、前記試料受入領域と前記第1の診断要素との間に親水性材料を含み、
前記第2の流路は、前記試料受入領域と前記第2の診断要素との間に親水性材料を含み、前記第1の流路の一部と前記第2の流路との間に液体をはじくフローバリアをさらに含む、
請求項1~8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記第1の診断要素は、前記第1の流路から前記1または複数の比色分析領域に液体を案内する試料搬送部を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記試料受入領域で堆積した液体を受け取り、前記液体の第1の部分が前記第1の診断要素に流れることを可能にし、前記液体の第2の部分が前記第2の診断要素に流れることを可能にする多重化流路
をさらに含む、請求項1~10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記ハウジング上に機械可読識別子をさらに含み、前記機械可読識別子は、装置の種類に関連する情報でエンコードされている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
迅速検査装置を含むシステムであって、前記迅速検査装置は、
目に見えるグラフィカル要素を有するハウジングと、
請求項1~12のいずれかに記載の装置であって、
前記第1および第2の診断要素は、前記ハウジングに支持されており、
前記第1の診断要素と前記第2の診断要素は、相互に異なる分析を実行する、装置と、
前記試料受入領域から第1の診断要素までの前記第1の流路を規定し、前記試料受入領域から前記第2の診断要素までの前記第2の流路を規定する疎水性構造と、
プロセッサと、1または複数のコンピュータ可読記憶媒体と、前記1または複数のコンピュータ可読記憶媒体に集合的に記憶されたプログラム命令と、を含み、前記プログラム命令は前記プロセッサによって実行可能であり、前記プロセッサに動作を実行させ、前記動作は、
前記グラフィカル要素を含むハウジングの画像を捕捉することと、
前記捕捉された画像に対して少なくとも1つのデータ処理機能を実行することであって、前記データ処理機能は、検査試料の少なくとも1つの化学属性を決定するために、前記捕捉された画像における読み出し領域の色属性を前記捕捉された画像における色参照と比較することを含む、システム。
【請求項14】
前記検査試料は、血液、血漿、血清、リンパ、尿、唾液、精液、羊水、胃液、痰、喀痰、粘液、涙、便、および水からなる群から選択される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサによって実行可能であり、前記プロセッサに動作を実行させる前記プログラム命令をさらに含み、前記動作は、
リモートデータ記憶場所を取得するために、グラフィカル要素の少なくとも一部をデコードすることと、
前記検査試料の前記少なくとも1つの化学属性に関するデータを、前記リモートデータ記憶場所に送信することと、
をさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
図示された実施形態では、モバイルデバイス1302は、多重化迅速検査装置1100などの検査装置を画像化するために特別にアプリケーションを実行している。いくつかの実施形態では、モバイルデバイス1302は、ユーザが検査装置の外面上の1または複数のグラフィカル要素の画像を捕捉することを可能にするアプリケーションを実行する。例えば、図示された実施形態では、モバイルデバイス1302は、モバイルデバイス1302のカメラ技術を利用して、検査結果ウィンドウ1106Aおよび1106B、色参照1110、ならびにQRコード1112の画像を捕捉するように、ユーザがモバイルデバイス1302に指示することを可能にするアプリケーションを実行する。いくつかの実施形態では、モバイルデバイス1302は、検査結果を決定するために、検査結果ウィンドウ1106Aおよび1106Bのストライプの色を色参照1110の色と比較することにより、検査結果ウィンドウ1106Aおよび1106Bの画像を評価する。図示の実施形態では、多重化迅速検査装置1100は、2つの比色タイプの検査を含むが、代替実施形態では他のタイプの検査を含むことができる。いくつかの実施形態では、モバイルデバイス1302は、クラウドアプリケーションまたはクラウドストレージデバイスのネットワーク位置(例えば、URLまたはIPアドレス)を抽出するためにQRコード1112をデコードすることによってQRコード1112の画像を評価する。いくつかのそのような実施形態では、モバイルデバイス1302は、記憶するために、もしくは検査結果のさらなる処理のために、またはその両方のために、検査結果をQRコード1112にエンコードされたネットワークロケーションに送信する。いくつかの実施形態では、モバイルデバイス1302はまた、分析された試料の地理的位置、試料に対して分析が行われたときのタイムスタンプ、もしくは化学分析を行ったユーザ、またはその組み合わせなど、検査結果とともにモバイルデバイスからデータ特徴を抽出して表示もしくは送信またはその両方を行う。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4
【国際調査報告】