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特表2024-502017協調制御を備えた結合機構な無人地上車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】協調制御を備えた結合機構な無人地上車両
(51)【国際特許分類】
   B25J 5/00 20060101AFI20240110BHJP
   B25J 9/08 20060101ALI20240110BHJP
   B62D 55/065 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B25J5/00 B
B25J9/08
B62D55/065
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539881
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 US2021065710
(87)【国際公開番号】W WO2022147272
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】17/139,878
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】518429137
【氏名又は名称】サ-コス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】スミス,フレイザー,エム.
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ,マーク,エックス.
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CS08
3C707DS01
3C707ES03
3C707JS02
3C707LV02
3C707LV15
3C707WA17
3C707WA24
3C707WL08
(57)【要約】
ロボットシステムは、移動運動のための可動機構を有する第1のロボットクローラと、移動運動のための可動機構を有する第2のロボットクローラと、第1又は第2のロボットクローラの少なくとも一方によって支持され、第1及び第2のロボットクローラを互いに結合及び結合解除する少なくとも1つの結合機構とを含む。第1及び第2のロボットクローラは、互いに結合されると、一体型ロボットクローラシステムとして、それぞれの可動機構を協調方式で動作制御を行うための協調駆動モードで動作可能である。様々な動作モードにより、第1及び第2のロボットクローラの様々な態様を、協調制御又は独立制御のいずれかで選択的に制御することができる。一体型ロボットクローラシステムにより、第1及び第2のロボットクローラの安定性が向上又は強化される。関連する方法を本明細書に提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットシステムであって、当該ロボットシステムは、
移動運動のための可動機構を有する第1のロボットクローラと、
移動運動のための可動機構を有する第2のロボットクローラと、
前記第1又は第2のロボットクローラの少なくとも一方によって支持され、前記第1及び第2のロボットクローラを結合及び結合解除するように動作可能な少なくとも1つの結合機構と、を含み、
前記第1及び第2のロボットクローラは、互いに結合されると、一体型ロボットクローラシステムとして協調駆動モードで動作可能である、
ロボットシステム。
【請求項2】
前記第1及び第2のロボットクローラのそれぞれが、少なくとも1つの関節リンク機構によって互いに結合される第1及び第2のフレームユニットを含む、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記第1及び第2のロボットクローラのそれぞれの前記第1のフレームユニットは、前記少なくとも1つの結合機構によって互いに結合可能であり、前記第1及び第2のロボットクローラのそれぞれの前記第2のフレームユニットは、互いに独立して移動可能である、請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記第1及び第2のロボットクローラのそれぞれの前記第1のフレームユニットは、並列方式で互いに結合可能であり、前記第1及び第2のロボットクローラのそれぞれの前記第1のフレームユニットは、それぞれの履帯、車輪、又はこれらの組合せを支持している、請求項3に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記第1及び第2のロボットクローラの各可動機構が無限軌道を含む、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの結合機構は、前記第1又は第2のロボットクローラの一方によって支持される電磁装置を含み、該電磁装置は、前記第1のロボットクローラと前記第2のロボットクローラとの間に磁力を発生させて前記第1のロボットクローラと前記第2のロボットクローラとを互いに結合するように動作可能である、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記電磁装置は、前記第1のロボットクローラと前記第2のロボットクローラとの間の磁力を変化させるように動作可能な可変磁束磁気装置を含む、請求項6に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの結合機構は、取付け手段を介して前記第1及び第2のロボットクローラに取り外し可能に固定可能な剛性構造支持体を含む、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記剛性構造支持体は、前記第1又は第2のロボットクローラの一方の幅よりも大きい距離だけ、前記第1のロボットクローラと前記第2のロボットクローラとを分離するクロスプラットフォームを含む、請求項8に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの結合機構は、ボール及びソケット機構、フック及びループ機構、オーバーセンタラッチ機構、又は電気機械結合機構の1つを含む、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項11】
前記第1又は第2のロボットクローラの少なくとも一方がエンドエフェクタを含む、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの結合機構は第1及び第2の結合装置を含み、前記第1及び第2のロボットクローラが、それぞれの端部で結合可能であり、一列になったヘビ状構成を形成するように、前記第1の結合装置は前記第1のロボットクローラの端部の周りに支持され、前記第2の結合装置は前記第2のロボットクローラの端部の周りに支持される、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの結合機構は第1及び第2の結合装置を含み、前記第1及び第2のロボットクローラがそれぞれの関節リンク機構の周りに結合可能となるように、前記第1の結合装置は前記第1のロボットクローラの前記少なくとも1つの関節リンク機構に結合され、前記第2の結合装置は前記第2のロボットクローラの少なくとも1つの関節リンク機構に結合される、請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの結合機構は第1及び第2の結合装置を含み、前記第1の結合装置は前記第1のロボットクローラの前記少なくとも1つの関節リンク機構に結合され、前記第2の結合装置は前記第2のロボットクローラの端部に結合される、請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項15】
前記第1及び第2のロボットクローラのうちの少なくとも一方が、それぞれの第2のフレームユニットの周りで先端側に支持されるエンドエフェクタを含む、請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項16】
第1及び第2のロボットクローラを動作させるためのシステムであって、当該システムは、第1のロボットクローラと、第2のロボットクローラと、前記第1及び第2のロボットクローラの周りに支持される少なくとも1つの結合機構と、前記第1及び第2のロボットクローラに関連付けられるコントローラと、を含み、
前記第1のロボットクローラは、
それぞれが可動機構を支持する第1及び第2のフレームユニットと、
該第1及び第2のフレームユニットを互いに結合する少なくとも1つの関節リンク機構と、を含み、
前記第2のロボットクローラは、
それぞれが可動機構を支持する第3及び第4のフレームユニットと、
該第3及び第4のフレームユニットを互いに結合する少なくとも1つの関節リンク機構と、を含み、
前記少なくとも1つの結合機構は、前記第1及び第2のロボットクローラを結合及び結合解除するように動作可能であり、前記第1及び第2のロボットクローラは、結合されると、一体型ロボットクローラシステムとして動作し、
前記コントローラは、前記一体型ロボットクローラシステムを協調駆動モードで動作させるように構成される、
システム。
【請求項17】
前記コントローラは、前記協調駆動モードと結合解除制御モードとの間で切り替えるための少なくとも1つの切替え入力装置をさらに含み、前記コントローラは、前記第1及び第2のロボットクローラを互いに結合解除したときに、前記第1及び第2のロボットクローラを前記結合解除制御モードで独立して動作させるように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記協調駆動モードには、前記第1、第2、第3、及び第4のフレームユニットの前記可動機構の動作を制御する完全ペア駆動モードが含まれる、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記完全ペア駆動モードには、前記第1及び第2のロボットクローラのそれぞれのエンドエフェクタの動作を制御して協調タスクを実行するためのペア・エフェクタ制御モードと、前記第1及び第2のロボットクローラのそれぞれのエンドエフェクタを独立して制御するための非ペア・エフェクタ制御モードと、が含まれる、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記協調駆動モードには、前記第2及び第4のフレームユニットの前記可動機構が準ペア駆動モードで独立して制御可能となるように、前記第1及び第3のフレームユニットのみの前記可動機構の動作を制御する準ペア駆動モードが含まれる、請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記準ペア駆動モードには、前記第1及び第2のロボットクローラのうちの前記少なくとも1つの関節リンク機構の独立制御、及び前記第1及び第2のロボットクローラのエンドエフェクタの独立制御のための非ペア補助制御モードが含まれる、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記準ペア駆動モードには、前記第1のロボットクローラと前記第2のロボットクローラとの両方の前記少なくとも1つの関節リンク機構の協調制御、及び前記第1及び第2のロボットクローラのエンドエフェクタの協調制御のためのペア補助制御モードが含まれる、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記コントローラは、前記第1及び第2のロボットクローラを互いに結合解除して分離型ロボットクローラシステムを形成するときに、前記一体型ロボットクローラシステムを結合解除制御モードで動作させるように構成され、該結合解除制御モードには、共通のタスクを実行するために、前記第1及び第2のロボットクローラのうちの少なくとも一方の機能を選択的に協調制御するための結合解除選択制御モードが含まれる、請求項16に記載のシステム。
【請求項24】
前記結合解除制御モードには、共通のタスクを実行するために、前記第1及び第2のロボットクローラを協調制御するための結合解除ペア制御モードが含まれる、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記第1及び第2のロボットクローラの前記少なくとも1つの関節リンク機構は、複数の自由度での前記関節リンク機構の作動運動を容易にするために互いに結合された複数の電動ジョイントモジュールを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1、第2、第3、及び第4のロボットクローラの各可動機構が無限軌道を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項27】
一体型ロボットクローラシステムを動作させる方法であって、当該方法は、
第1及び第2のロボットクローラを取得するステップと、
少なくとも1つの結合機構を介して前記第1及び第2のロボットクローラを互いに結合するステップと、
前記第1及び第2のロボットクローラの動作を協調駆動モードで制御するステップと、を含む、
方法。
【請求項28】
前記第1及び第2のロボットクローラの可動機構の動作を制御するために、前記第1及び第2のロボットクローラの動作を前記協調駆動モードの完全ペア駆動モードで制御するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
当該方法は、前記完全ペア駆動モードであるときに、前記第1及び第2のロボットクローラの動作を、前記第1及び第2のロボットクローラのエンドエフェクタの動作を制御するためのペア・エフェクタ制御モード、又は前記第1及び第2のロボットクローラのエンドエフェクタを独立して制御するための非ペア・エフェクタ制御モードで選択的に制御するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1及び第2のロボットクローラの第1及び第2の可動機構の動作を制御するために、前記第1及び第2のロボットクローラの動作を前記協調駆動モードの準ペア駆動モードで制御するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
当該方法は、前記準ペア駆動モードであるときに、前記第1及び第2のロボットクローラの動作を、前記第1及び第2のロボットクローラのエンドエフェクタ及びリンク機構の動作を制御するためのペア補助制御モード、又は前記第1及び第2のロボットクローラのエンドエフェクタ及びリンク機構を独立して制御するための非ペア補助制御モードで選択的に制御するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つの結合機構を介して前記第1のロボットクローラを前記第2のロボットクローラから結合解除するステップと、前記第1及び第2のロボットクローラを結合解除制御モードで制御するステップとをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
当該方法は、前記結合解除制御モードであるときに、前記第1及び第2のロボットクローラの動作を、結合解除選択制御モード、結合解除ペア制御モード、及び結合解除非同期タスクモードで選択的に制御するステップをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
結合入力装置を操作して前記第1及び第2のロボットクローラを磁力で互いに結合するステップをさらに含み、前記少なくとも1つの結合機構は、前記第1又は第2のロボットクローラの一方によって支持される電磁装置を含み、前記結合入力装置は、前記電磁装置を介して磁力の印加を制御する、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
一体型ロボットクローラシステムとして移動する前記第1及び第2のロボットクローラの移動運動を容易にするために、前記第1及び第2のロボットクローラのそれぞれの可動機構を前記協調駆動モードで動作させるステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
一対のロボットクローラを動作させる方法であって、当該方法は、
第1のロボットクローラが第2のロボットクローラとは別に地面の周りを移動するように、前記第1及び第2のロボットクローラを結合解除制御モードで動作させるステップと、
結合機構を介して前記第1のロボットクローラを前記第2のロボットクローラに結合して、一体型ロボットクローラシステムを形成するステップと、
前記第1及び第2のロボットクローラの可動機構を協調制御するための協調駆動モードに切り替えるステップと、
前記第1及び第2のロボットクローラを前記協調駆動モードで動作させて、前記地面の周りを一緒に移動させるステップと、を含む、
方法。
【請求項37】
コントローラを操作して前記第1及び第2のロボットクローラの動きを制御するステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記コントローラの切替え入力装置を操作して、前記協調駆動モードと前記結合解除制御モードとの間の切り替えを容易にするステップをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1及び第2のロボットクローラを前記協調駆動モードで動作させるステップは、完全ペア駆動モードと準ペア駆動モードとの間で選択的に切り替えるステップをさらに含み、前記完全ペア駆動モードは、前記第1のロボットクローラの第1及び第2の可動機構と、前記第2のロボットクローラの第2及び第3の可動機構とを協調制御するためのモードであり、前記準ペア駆動モードは、前記第1及び第2のロボットクローラの前記第1及び第3の可動機構を協調制御するためのモードである、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記第1のロボットクローラを前記第2のロボットクローラに結合するステップは、前記少なくとも1つの結合機構を介して前記第1及び第2のロボットクローラを物理的に一緒に取り付けるステップを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記第1及び第2のロボットクローラのそれぞれが、
それぞれの可動機構を支持する第1及び第2のフレームユニットと、
前記第1のフレームユニットと前記第2のフレームユニットとを互いに結合する少なくとも1つの関節リンク機構と、を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記第1及び第2のロボットクローラを前記協調駆動モードで動作させるステップは、完全ペア駆動モードと準ペア駆動モードとの間で選択的に切り替えるステップをさらに含み、前記完全ペア駆動モードは、前記第1及び第2のロボットクローラの第1及び第2のフレームユニットの前記可動機構と前記少なくとも1つの関節リンク機構とを協調制御するためのモードである、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
完全ペア駆動モードであるときに、前記第1及び第2のロボットクローラのエンドエフェクタを協調制御するためのペア・エフェクタ制御モードと、前記エンドエフェクタを独立して制御するための非ペア・エフェクタ制御モードとの間で切り替えるステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、協調制御を備えた結合機構な無人地上車両に関する。
【背景技術】
【0002】
履帯式(tracked)、車輪式、又は他のタイプのロボットクローラ(crawler)等の無人地上車両は、個人がアクセスできない及び/又は危険な領域にアクセスするのに有用である。ロボットクローラは、その構成に応じて、画像化及び監視のための搭載カメラ及びセンサの使用等の様々な機能、及びタスク(爆発物の拡散及び/又は輸送等)を実行するためのエンドエフェクタの使用等の他の機能を実行することができる。一部のロボットクローラは、1つ又は複数の電動(powered:動力付き)リンク機構又はジョイントによって互いに結合された一対の履帯フレームを含むことができ、これによりロボットクローラが地面に沿って蛇のように動くことができる。このようなロボットクローラは、そのプロファイルが狭いため、特定のタスク(作業)を実行しようとすると不安定になり得、又はその構成により実行できるタスクの種類又は性質がある程度制限される可能性がある。一定レベルの地面の安定性が必要な一部のタスクでは、ロボットクローラは、何らかの支援がなければそのようなタスクを全く実行できない場合がある。
【発明の概要】
【0003】
発明概念の最初の概要をここに示し、特定の例を以下でさらに詳細に説明する。この最初の概要は、読者が実施例をより迅速に理解できるようにすることを目的としているが、実施例の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求の範囲に記載された主題の範囲を制限することを意図したものでもない。
【0004】
本開示は、ロボットシステムを説明し、ロボットシステムは、移動運動(locomotion)のための可動機構を有する第1のロボットクローラと;移動運動のための可動機構を有する第2のロボットクローラと;第1又は第2のロボットクローラの少なくとも一方によって支持され、第1及び第2のロボットクローラを互いに結合及び結合解除するように動作可能な少なくとも1つの結合機構と;を含む。第1及び第2のロボットクローラは、結合されると、一体型ロボットクローラシステムとして協調駆動モードで(コントローラを介して)動作及び制御可能である。第1及び第2のロボットクローラは、結合を解除されると、分離型ロボットクローラシステムとして(コントローラを介して)動作及び制御可能である。
【0005】
一例では、第1及び第2のロボットクローラのそれぞれが、少なくとも1つの関節リンク機構によって互いに結合された第1及び第2のフレームユニットを含むことができる。
【0006】
一例では、第1及び第2のロボットクローラのそれぞれの第1のフレームユニットは、少なくとも1つの結合機構によって互いに結合可能であり、第1及び第2のロボットクローラのそれぞれの第2のフレームユニットは、互いに独立して移動可能である。
【0007】
一例では、第1及び第2のロボットクローラのそれぞれの第1のフレームユニットは、並列方式で互いに結合可能であり、第1及び第2のロボットクローラのそれぞれの第1のフレームユニットは、それぞれの履帯(track)又は車輪を支持している。
【0008】
一例では、第1及び第2のロボットクローラの各可動機構は、無限軌道(continuous track)を含むことができる。
【0009】
一例では、少なくとも1つの結合機構は、第1又は第2のロボットクローラの一方によって支持される電磁装置を含むことができ、電磁装置は、第1のロボットクローラと第2のロボットクローラとの間に磁力を発生させ第1のロボットクローラと第2のロボットクローラとを互いに結合するように動作可能である。
【0010】
一例では、電磁装置は、第1のロボットクローラと第2のロボットクローラとの間の磁力を変化させるように動作可能な可変磁束磁気装置を含むことができる。
【0011】
一例では、少なくとも1つの結合機構は、取付け手段を介して第1及び第2のロボットクローラに取り外し可能に固定可能な剛性構造支持体を含むことができる。
【0012】
一例では、剛性構造支持体は、第1又は第2のロボットクローラの一方の幅よりも大きい距離だけ、第1のロボットクローラと第2のロボットクローラとを分離するクロスプラットフォームを含むことができる。
【0013】
一例では、少なくとも1つの結合機構は、ボールアンドソケット機構、フック及びループ機構、オーバーセンタ(over-center)ラッチ機構、又は電気機械結合機構の1つを含むことができる。
【0014】
一例では、第1又は第2のロボットクローラの少なくとも一方がエンドエフェクタを含むことができる。これは、それぞれのフレームユニットによって支持できる。
【0015】
一例では、少なくとも1つの結合機構は第1及び第2の結合装置を含むことができ、第1及び第2のロボットクローラが、それぞれの端部で結合可能であり、一列になった(in-line)ヘビ状構成を形成するように、第1の結合装置は、第1のロボットクローラの端部の周りに支持され、第2の結合装置は、第1のロボットクローラの端部の周りに支持される。
【0016】
一例では、少なくとも1つの結合機構は第1及び第2の結合装置を含むことができ、第1及び第2のロボットクローラがそれぞれの関節リンク機構の周りに結合可能となるように、第1の結合装置は第1のロボットクローラの少なくとも1つの関節リンク機構に結合され、第2の結合装置は第2のロボットクローラの少なくとも1つの関節リンク機構に結合される。
【0017】
一例では、少なくとも1つの結合機構は第1及び第2の結合装置を含むことができ、第1の結合装置は第1のロボットクローラの少なくとも1つの関節リンク機構に結合され、第2の結合装置は第2のロボットクローラの端部に結合される。
【0018】
一例では、第1及び第2のロボットクローラのうちの少なくとも一方が、エンドエフェクタを含むことができる。
【0019】
本開示は、第1及び第2のロボットクローラを動作させるためのシステムも説明しており、このシステムは第1のロボットクローラを含み、第1のロボットクローラは、第1及び第2のフレームユニットであって、各フレームユニットがそれぞれの第1及び第2のフレームユニットに回転可能に結合された可動機構(例えば、無限軌道又は車輪)を含む、第1及び第2のフレームユニットと;第1及び第2のフレームユニットを互いに結合する少なくとも1つの関節リンク機構と;を含む。このシステムはさらに第2のロボットクローラを含み、第2のロボットクローラは、第3及び第4のフレームユニットであって、各フレームユニットがそれぞれ第3及び第4のフレームユニットに回転可能に結合された可動機構(例えば、無限軌道又は車輪)を含む、第3及び第4のフレームユニットと;第3及び第4のフレームユニットを互いに結合する少なくとも1つの関節リンク機構と;を含む。このシステムは、第1及び第2のロボットクローラを結合及び結合解除するように動作可能な少なくとも1つの結合機構と;第1及び第2のロボットクローラに関連付けられたコントローラと;をさらに含み、第1及び第2のロボットクローラは、結合されると、一体型ロボットクローラシステムとして動作し、コントローラは一体型ロボットクローラシステムを協調駆動モードで動作させるように構成される。
【0020】
一例では、コントローラは、協調駆動モードと結合解除制御モードとの間で切り替えるための少なくとも1つの切替え入力装置をさらに含み、コントローラは、第1及び第2のロボットクローラを互いに結合解除したときに、第1及び第2のロボットクローラを結合解除制御モードで独立して動作させるように構成される。
【0021】
一例では、協調駆動モードには、第1、第2、第3、及び第4のフレームユニットの可動機構の動作を制御する完全ペア(full paired)駆動モードが含まれる。
【0022】
一例では、完全ペア駆動モードには、第1及び第2のロボットクローラのそれぞれのエンドエフェクタの動作を制御して協調タスクを実行するためのペア(paired)・エンドエフェクタ制御モードが含まれ、第1及び第2のロボットクローラのそれぞれのエンドエフェクタを独立して制御するのための非ペア(unpaired)・エフェクタ制御モードを含む。
【0023】
一例では、協調駆動モードには、第2及び第4のフレームユニットの可動機構が準ペア(quasi-paired)駆動モードで独立して制御可能となるように、第1及び第3のフレームユニットのみの可動機構の動作を制御する準ペア駆動モードが含まれる。
【0024】
一例では、準ペア駆動モードには、第1及び第2のロボットクローラのうちの少なくとも1つの関節リンク機構の独立制御、及び第1及び第2のロボットクローラのエンドエフェクタの独立制御のための非ペア補助制御モードが含まれる。
【0025】
一例では、準ペア駆動モードには、第1のロボットクローラと第2のロボットクローラとの両方の少なくとも1つの関節リンク機構の協調制御、及び第1及び第2のロボットクローラのエンドエフェクタの協調制御のためのペア補助制御モードが含まれる。
【0026】
一例では、コントローラは、第1及び第2のロボットクローラを互いに結合解除して分離型ロボットクローラシステムを形成するときに、一体型ロボットクローラシステムを結合解除制御モードで動作させるように構成され、結合解除制御モードには、共通のタスクを実行するために、第1及び第2のロボットクローラのうちの少なくとも一方の機能を選択的に協調制御するための結合解除選択制御モードが含まれる。
【0027】
一例では、結合解除制御モードには、共通のタスクを実行するために、第1及び第2のロボットクローラを協調制御するための結合解除ペア制御モードが含まれる。
【0028】
一例では、第1及び第2のロボットクローラの少なくとも1つの関節リンク機構は、複数の自由度での関節リンク機構の作動動作を容易にするために互いに結合された複数の電動(powered:動力付き)ジョイントモジュールを含む。
【0029】
一例では、第1、第2、第3、及び第4のロボットクローラの各可動機構が無限軌道を含む。
【0030】
本開示はさらに、一体型ロボットクローラシステムを動作させる方法を説明する。この方法は、第1及び第2のロボットクローラを取得するステップと;少なくとも1つの結合機構を介して第1及び第2のロボットクローラを互いに結合するステップと;第1及び第2のロボットクローラの動作を(コントローラを介して)協調駆動モードで制御するステップと;を含む。この方法は、少なくとも1つの結合機構を動作させることによって、第1のロボットクローラを第2のロボットクローラから結合解除して分離型ロボットクローラシステムを形成するステップと;第1及び第2のロボットクローラを(コントローラを介して)結合解除制御モードで制御するステップと;をさらに含むことができる。
【0031】
一例では、この方法は、第1及び第2のロボットクローラの動作を制御するために、第1及び第2のロボットクローラの動作を協調駆動モードの完全ペア駆動モードで制御するステップをさらに含むことができる。
【0032】
一例では、この方法は、完全ペア駆動モードであるときに、第1及び第2のロボットクローラの動作を、第1及び第2のロボットクローラのエンドエフェクタの動作を制御するためのペア・エフェクタ制御モード、又は第1及び第2のロボットクローラのエンドエフェクタを独立して制御するための非ペア・エフェクタ制御モードで選択的に制御するステップをさらに含むことができる。
【0033】
一例では、この方法は、完全ペア駆動モードにあるときに、第1及び第2のロボットクローラの第1及び第2の可動機構の動作を制御するために、第1及び第2のロボットクローラの動作を協調駆動モードの準ペア駆動モードで制御するステップをさらに含むことができる。
【0034】
一例では、この方法は、準ペア駆動モードであるときに、第1及び第2のロボットクローラの動作を、第1及び第2のロボットクローラのエンドエフェクタ及びリンク機構の動作を制御するためのペア補助制御モード、又は第1及び第2のロボットクローラのエンドエフェクタ及びリンク機構を独立して制御するための非ペア補助制御モードで選択的に制御するステップをさらに含むことができる。
【0035】
一例では、この方法は、少なくとも1つの結合機構を介して第1のロボットクローラを第2のロボットクローラから結合解除するステップと、第1及び第2のロボットクローラを結合解除制御モードで制御するステップとをさらに含むことができる。
【0036】
一例では、この方法は、結合入力装置を操作して第1及び第2のロボットクローラを磁力で互いに結合するステップをさらに含むことができ、少なくとも1つの結合機構は、第1又は第2のロボットクローラの一方によって支持される電磁装置を含み、結合入力装置は電磁装置を介して磁力の印加を制御する。
【0037】
一例では、この方法は、一体型ロボットクローラシステムとして移動する第1及び第2のロボットクローラの移動運動を容易にするために、第1及び第2のロボットクローラのそれぞれの可動機構を協調駆動モードで動作させるステップをさらに含むことができる。
【0038】
本開示はさらに、一対のロボットクローラ(例えば、履帯式ロボットクローラ)を動作させる方法を説明する。この方法は、第1のロボットクローラが第2のロボットクローラとは別に地面の周りを移動するように、第1及び第2のロボットクローラを(コントローラを介して)分離型ロボットクローラシステムの一部として結合解除制御モードで動作させるステップと;結合機構を介して第1のロボットクローラを第2のロボットクローラに結合するステップと;第1及び第2のロボットクローラを協調制御するための協調駆動モードに(コントローラを介して)切り替えるステップと;(コントローラを介して)第1及び第2のロボットクローラを協調駆動モードで動作させて、地面の周りを一緒に移動させるステップと;を含む。
【0039】
一例では、この方法は、コントローラを(例えば、同じ場所で、又は遠隔地から)操作して第1及び第2のロボットクローラの動きを制御するステップをさらに含むことができる。
【0040】
一例では、この方法は、コントローラの切替え入力装置を操作して、協調駆動モードと結合解除制御モードとの間の切り替えを容易にするステップをさらに含むことができる。
【0041】
一例では、第1及び第2のロボットクローラを協調駆動モードで動作させるステップは、完全ペア駆動モードと準ペア駆動モードとの間で選択的に切り替えるステップをさらに含むことができ、完全ペア駆動モードは、第1のロボットクローラの第1及び第2の可動機構と、第2のロボットクローラの第2及び第3の可動機構とを協調制御するためのモードであり、準ペア駆動モードは、第1及び第2のロボットクローラの第1及び第3の可動機構を協調制御するためのモードである。
【0042】
一例では、第1のロボットクローラを第2のロボットクローラに結合するステップは、少なくとも1つの結合機構を介して第1及び第2のロボットクローラを物理的に一緒に取り付けるステップを含む。
【0043】
一例では、第1及び第2のロボットクローラのそれぞれが、それぞれの可動機構を支持する第1及び第2のフレームユニットと;第1のフレームユニットと第2のフレームユニットとを互いに結合する少なくとも1つの関節リンク機構とを含むことができる。
【0044】
一例では、この方法は、完全ペア駆動モードと準ペア駆動モードとの間で選択的に切り替えるステップをさらに含むことができ、完全ペア駆動モードは、第1及び第2のロボットクローラの第1及び第2のフレームユニットの可動機構及び少なくとも1つの関節リンク機構を協調制御するためのモードである。
【0045】
一例では、この方法は、完全ペア駆動モードであるときに、第1及び第2のロボットクローラのエンドエフェクタを協調制御するためのペア・エフェクタ制御モードと、エンドエフェクタを独立して制御するための非ペア・エフェクタ制御モードとの間で切り替えるステップをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本発明の特徴及び利点は、本発明の特徴を例として示す添付図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになろう。
図1】本開示の一例による、一体型ロボットクローラシステムを示す図である。
図2図1の一体型ロボットクローラシステムを示す図であり、この図は、2つのロボットクローラのいずれか一方が単独で動作する安定性よりも、第1及び第2のロボットクローラが互いに結合されたときの安定性が向上することを示す。
図3】本開示の例による、一体型ロボットクローラシステム(一例では、図1及び図2の一体型ロボットクローラシステムによって実現され得る)及び様々な制御モードの汎用ブロック図である。
図4】本開示の例による、分離型ロボットクローラシステム(一例では、図1及び図2の一体型ロボットクローラシステムの第1及び第2のロボットクローラを互いに結合解除したときに実現され得る)及び様々な制御モードのブロック図である。
図5】本開示の一例によるロボットクローラの等角図である。
図6】例示的な一実施形態による、一体型ロボットクローラシステムの第1及び第2のロボットクローラの背面図である。
図7】本開示の一例による、一体型ロボットクローラシステムのブロック図である。
図8】本開示の一例による、本開示の第1及び第2のロボットクローラを動作させる方法を実行するために使用され得るコンピュータ装置を示すブロック図である。
図9A】本開示の一例による、互いに結合解除され、結合解除制御モードにある第1及び第2のロボットクローラの上から見た概略図である。
図9B】互いに結合され、協調駆動モードにある図9Aの第1及び第2のロボットクローラを示す図である。
図10A】本開示の一例による、結合解除され、結合解除制御モードにある第1及び第2のロボットクローラの上から見た概略図である。
図10B】互いに結合され、協調駆動モードにある図10Aの第1及び第2のロボットクローラを示す図である。
図11】本開示の一例による、互いに結合され、協調モードにある第1及び第2のロボットクローラを上から見た概略図である。
図12図11の第1のロボットクローラと一緒に結合した図11の第1のロボットクローラの上から見た概略図であり、これらのクローラは協調駆動モードで示される。
【発明を実施するための形態】
【0047】
ここで、示される例示的な実施形態を参照し、本明細書では、これら実施形態を説明するために特定の言語を使用する。もっとも、それによって本発明の範囲を限定するものではないことが理解されよう。
【0048】
本明細書で使用する場合に、「隣接する」とは、2つの構造又は要素が近接していることを指す。特に、「隣接」していると特定される要素は、当接している又は接続される可能性がある。このような要素は、必ずしも互いに接触していなくても、互いに近接又は接近している場合がある。近接の正確な程度は、いくつかのケースでは、特定の状況に依存し得る。
【0049】
「一体型ロボットクローラシステム」という語句は、結合機構によって物理的に互いに結合された2つ以上の分離可能なロボットクローラを指すことを意図しており、それらクローラの協調制御のために2つ以上のロボットクローラに関連付けられた少なくとも1つの制御可能な機能を含む。一体型ロボットクローラシステムは、本明細書で説明する第1及び第2のロボットクローラの動作を可能にするコントローラ及び他の構成要素及び/又はシステムをさらに含むことができる。
【0050】
「結合機構」という用語は、2つ以上のロボットクローラ上に支持され、それら2つ以上のロボットクローラを物理的に互いに接合又は結合し、分離又は結合解除するために利用される、任意のタイプの構造又は装置又はアセンブリ又はシステムを指すことを意図している。
【0051】
「協調駆動モード」という語句は、協調方式で地面の周りを移動運動するための、一体型ロボットクローラシステム内の2つ以上のロボットクローラの少なくとも可動機構を動作制御するための制御モード又は方法を指すことを意図している。
【0052】
「ロボットクローラ」という語句は、手動制御可能、自律制御可能、又はこれらの組合せ及び/又はそれらの変形を介して制御可能であるかどうかにかかわらず、地面に沿って移動又は這うことができるロボット機械又は装置を指すことを意図している。ロボットクローラは、1つ又は複数のフレームユニットと、1つ又は複数の関節リンクとを含むことができる。
【0053】
「可動機構」という語句は、ロボットクローラの移動運動を促進及び/又は可能にするロボットクローラの構成要素を指すことを意図している。いくつかの例では、可動機構は、2つ以上のフレームユニットとこれらのそれぞれの地面に接触する構成要素(例えば、履帯、車輪等)をロボットクローラの一部として互いに結合する1つ又は複数の制御可能な関節リンク機構の全部又は一部を含むことができる。
【0054】
「準ペア(quasi-paired)駆動モード」という語句は、協調駆動モードの1つのサブ動作モードとして、地面の周りの移動運動のために互いに結合された2つ以上のロボットクローラのそれぞれの可動機構を協調制御する、及びロボットクローラの他のそれぞれの可動機構を非協調制御するための制御モード又は方法を指すことを意図している。「ペア」という用語は、本明細書におけるいかなる規定又は例も「ペアとなる2つ」のみとして限定することを意図したものではない。むしろ、「ペア」という用語は、協調方式(例えば、Bluetooth通信装置が通信及び/又は制御の目的で2つ以上の電子装置を「ペアリング」する方式等)で制御可能な2つ以上の装置を指すことを意図している。こうして、「準ペア」という用語は、一体型ロボットクローラシステムのロボットクローラの一部の動作態様が「ペアリング」されていない、又は協調方式で制御されていないため、独立して制御可能である(例えば、リンク、ンドエフェクタ、可動機構等)ことを推測又は示唆する。
【0055】
「非ペア補助制御モード」という語句は、準ペア駆動モードの1つのサブ動作モードとして、それぞれのロボットクローラの2つ以上の補助装置を非協調(すなわち、独立して)制御するための制御モード又は方法を指すことを意図している。「補助装置」には、1つ又は複数の関節(articulated)リンク機構又は関節駆動(articulating)リンク機構及び/又は1つ又は複数のエンドエフェクタが含まれ得るが、それらに限定されない。「エンドエフェクタ」には、タスクを実行するためにロボットクローラの一部に結合された1つ又は複数の装置(例えば、グリッパ、カッタ、アーム、センサ等のエンドエフェクタ)が含まれるが、これらに限定されない。「関節リンク機構」又は「関節駆動リンク機構」は、リンク機構の一部として1つ又は複数の電動(powered:動力付き)ジョイントを含むことができるが、これに限定されず、ロボットクローラのリンク機構の2つの構造又はアセンブリを回転の軸線の周りに回転させることができる。
【0056】
「ペア補助制御モード」という語句は、準ペア駆動モードの1つのサブ動作モードとして、それぞれのロボットクローラの2つ以上の補助装置を協調制御するための制御モード又は方法を指すことを意図している。
【0057】
「完全ペア(full paired)駆動モード」という語句は、協調駆動モードの1つのサブ動作モードとして、地面の周りを移動運動するための一体型ロボットクローラシステムのそれぞれのロボットクローラの全ての可動機構を協調制御するための制御モード又は方法を指すことを意図している。
【0058】
「非ペア(unpaired)・エフェクタ制御モード」という語句は、完全ペア駆動モードの1つのサブ動作モードとして、それぞれのロボットクローラの2つ以上のエンドエフェクタを非協調(すなわち、独立して)制御するための制御モード又は方法を指すことを意図している。
【0059】
「ペア(paired)・エフェクタ制御モード」という語句は、完全ペア駆動モードの1つのサブ動作モードとして、それぞれのロボットクローラの2つ以上のエンドエフェクタを協調制御するための制御モード又は方法を指すことを意図している。
【0060】
「分離型ロボットクローラシステム」という語句は、物理的に互いに結合することができるが、ロボットシステムのコントローラによって依然として制御可能である一方で、互いに物理的に結合解除された2つ以上のロボットクローラを指すことを意図している。
【0061】
「結合解除制御モード」という語句は、非協調方式又は協調方式のいずれかで地面の周りを移動運動するための分離型ロボットクローラシステムの2つ以上のロボットクローラの可動機構を動作制御するための制御モード又は方法を指すことを意図している。
【0062】
「結合解除ペア制御モード」という語句は、結合解除制御モードの1つのサブ動作モードとして、共通のタスク又は目標を達成するために、互いに物理的に結合解除したときのそれぞれのロボットクローラの可動機構を協調制御するための制御モード又は方法を指すことを意図している。
【0063】
「結合解除選択制御モード」という語句は、結合解除制御モードの1つのサブ動作モードとして、共通又は関連するタスク又は目標を達成する等のために、互いに物理的に結合解除したときのそれぞれのロボットクローラの2つ以上の機能を選択的に協調制御するための制御モード又は方法を指すことを意図している。
【0064】
「結合解除非同期タスクモード」という語句は、結合解除制御モードの1つのサブ動作モードとして、異なる又は無関係なタスク又は目標を達成する等のために、互いに物理的に結合解除したときのそれぞれのロボットクローラの全ての機能を非協調的に(すなわち、独立して)制御するための制御モード又は方法を指すことを意図している。
【0065】
「フレームユニット」という用語は、ロボットクローラの一部又は全ての態様の移動又は移動運動を実現するためのロボットクローラの構成要素のアセンブリ又はシステムを指すことを意図している(例えば、フレームユニットは、構造支持体(例えば、フレームユニット、又はシャーシ)、1つ又は複数の地面に接触する構成要素(例えば、履帯、車輪、及びそれらの支持構成要素)、1つ又は複数のバッテリ、コンピュータシステム、無線機、アクチュエータ、駆動モータ及び移動運動を実現するための他の駆動構成要素、センサ、それぞれのエンドエフェクタ、電子機器等、又はこれらの組合せを含むことができる)。
【0066】
本技術をさらに説明するために、ここで図面を参照して例を提供する。一例では、図1及び図2は、一体型ロボットクローラシステム100(又はその一部)の形態のロボットシステムを示し、そのシステム100は、結合機構120によって物理的に互いに接合又は結合された第1及び第2のロボットクローラ102a及び102bを含み、協調駆動モード(例えば、図3)で動作可能であり、それによって第1及び第2のロボットクローラ102a及び102bが、ロボットシステムのコントローラを介して制御され、単一又は一体型ロボットクローラ又は車両として地面に沿って移動することができる。以下でさらに詳述するように、第1及び第2のロボットクローラ102a及び102bは、結合機構120(又は本明細書で議論する他の結合機構)を介して、互いに選択的に結合及び互いに結合解除することができ、これは、ロボットクローラ102a及び102bが、必要又は所望に応じて接合又は分離することができることを意味する(オペレータがリアルタイムで、又はコンピュータプログラムを介して決定する)。第1及び第2のロボットクローラ102a及び102bは、物理的に結合解除された場合に、(そうでなければ物理的に互いに結合することができ、)分離型ロボットクローラシステム(例えば、図4)を規定することができ、第1及び第2のロボットクローラは、以下でさらに説明するように、コントローラ(例えば、図3のコントローラ151、又は図7のコントローラ413)を介して結合解除制御モードで動作可能である。以下の例から理解されるように、個別に動作可能なロボットクローラを選択的に結合して一体型ロボットクローラシステムを生成すると、安定性が向上又は大きくなり、機能(例えば、追加の利用可能なエンドエフェクタ、追加又は強化された移動運動機能、特定のフレームユニット同士の間の追加のてこ)が向上するという利点が得られ、及び所与のタスクのために単独で動作する単一のロボットクローラの安定性及び機能と比較して、以下に例示する特定のタスクの実行に関する他の利点が得られる。例えば、単一のロボットクローラは、凹凸のある地形では不安定になる可能性があり(例えば、つまずく又は転倒しやすい)、それにより、特定のミッション又はタスクの困難又は失敗のリスクが増大する。しかしながら、2つ以上のロボットクローラを並列方式で互いに結合すると(例えば、図1及び図2を参照)、可動ベース(例えば、履帯ベース(車軸履帯)及び/又は車輪ベース))が広くなり、横軸(進行方向の軸線に直交する軸線)に沿ってより大きな表面積が提供されるため、得られるロボットシステムの安定性が向上し、こうして、単一のロボットクローラの安定性よりも安定性がより高くなる(例えば、つまずく又は転倒しにくくなる)。
【0067】
次に、図1及び図2の例に示される構成要素に目を向けると、第1及び第2のロボットクローラ102a及び102bのそれぞれは、それぞれの関節リンク機構106a及び106bによって互いに結合されたそれぞれの第1及び第2のフレームユニット104a~dを含むことができる。すなわち、第1のロボットクローラ102aの第1及び第2のフレームユニット104a及び104bは関節リンク機構106aによって互いに結合され、第2のロボットクローラ102bの第1及び第2のフレームユニット104c及び104dは関節リンク機構106bによって互いに結合される。示されるように、図1及び図2は、それぞれの関節リンク機構106a及び106bを覆う可撓性シュラウド又はカバー108a及び108bを示す。しかしながら、関節リンク機構の一例として、図5を参照されたい。図5は、複数の作動ジョイントを提供する複数のアクチュエータジョイントモジュール206a~eによって規定される関節リンク機構206によって互いに結合された第1及び第2のフレームユニット204a及び204bを有するロボットクローラ202を示す。このような関節リンク機構206は、例えば、図1及び図2の第1及び第2のロボットクローラ102a及び102bの関節リンク機構106a及び/又は106bとして組み込むことができる。関節リンク機構206のアクチュエータジョイントモジュール206a~eはそれぞれ、1つ又は複数の支持構造体と、それぞれのジョイントモジュールを作動させるためのアクチュエータ(例えば、電気モータ)とを有することができる。各アクチュエータジョイントモジュール206a~eは、それぞれのx軸、y軸、又はz軸の1つの軸の周りに回転することができ、それによって、組み合わせて制御される方法で動作させると、ロボットクローラ202が様々な地形表面を介して蛇のように動くことができ、アクチュエータジョイントモジュール206a~206eのそれぞれがそれぞれの軸の周りに回転し、これらジョイントモジュールの少なくともいくつかは互いに異なり、多数の異なる自由度での動きを提供することに留意されたい。「アクチュエータジョイントモジュール」という用語は、ジョイントの回転軸の周りの回転を実現するための構成要素(例えば、EMモータ、変速機、センサ、フィードバックループ等)を含む電動ジョイントを指すことを意図している。
【0068】
図5のロボットクローラ202は、本明細書に開示するロボットクローラのいずれかとして利用することができ、1つ又は複数のエンドエフェクタ(図5には示していないが、例えば図1及び図2を参照)を含むことができる。ロボットクローラ202は、図3図4図7、及び図8に関してさらに説明するように及び2007年11月13日に出願した米国特許出願第11/985,336号(米国特許第8,185,241号として発行済)にさらに説明されるように(この文献は参照により本明細書に組み込まれる)、ロボットクローラ202の動作を制御するための多数の構成要素を含むことができる。
【0069】
引き続き図1及び図2を参照すると、各フレームユニット104a~104dは、それぞれのシャーシ110a~dを含むことができ、シャーシは、1つ又は複数のバッテリ、コンピュータシステム、無線機、アクチュエータ、駆動モータ(及び移動運動を実現する他の駆動構成要素)、センサ、それぞれのエンドエフェクタ(例えば、112a~d)、電子機器、及び無限軌道(例えば、114a~d)及びそれらの支持構成要素(駆動輪、アイドラー又はボギーホイール(bogey wheel)及び他の回転支持体)等の移動運動のためのそれぞれの手段、ホイール、他のもの、又はこれらの組合せ等、それぞれのフレームユニットの多数の構成要素を支持できる。より具体的には、各フレームユニット104a~dは、フレームユニット104a~dの移動運動を容易にするための構成要素を含むそれぞれの可動機構116a~dを含むことができる。いくつかの例では、可動機構は、モータ、1つ又は複数の駆動輪、1つ又は複数のボギーホイール又は支持輪、1つ又は複数の駆動輪及び1つ又は複数のボギーホイール又は補助輪で支持される無限軌道又は連続軌道、ローカルコントローラ、及びそれぞれのフレームユニット104a~104dの移動運動を実行するための他の構成要素を含むことができる。こうして、ユーザは、第1及び第2のロボットクローラ102a及び102bの一方又は両方と(例えば、無線)通信するコントローラ(例えば、遠隔制御タイプのコントローラ)を操作して、本明細書でさらに議論するように、それぞれの可動機構116a~dを協調駆動モードで制御することによって、第1及び第2のロボットクローラ102a及び102bの地上移動又は移動運動を制御することができる。一体型ロボットクローラシステムを協調駆動モードで操作するユーザは、コントローラを介して、本明細書でさらに議論するように、エンドエフェクタの動作及びエンドエフェクタ112a~dのうちの1つ又は複数の動きを様々な制御モードで制御することもできる。
【0070】
一態様では、エンドエフェクタ112a~dは、グリッパ、カッタ、及びスタビライザアーム等の、任意のタイプの動的、関節式、又は接合式エンドエフェクタを含むことができる。他の例では、特定のエンドエフェクタは、スキャナ、センサ、カメラ、スタビライザアーム等の他のタイプの構成要素を含むことができる。
【0071】
本実施例の特定の「可動機構」は、単一のロボットクローラのただ1つのフレームユニット(すなわち、複数のフレームユニット又は関節リンク機構を有さないロボットクローラ)に関連付けることができることに留意されたい。例えば、フレームユニット(例えば、104a)の可動機構は、1つの履帯(例えば、114a)及びそのモータ、駆動輪/ボギーホイール、ローカルコントローラ等を含むことができる。あるいはまた、ロボットクローラのための特定の「可動機構」(例えば、102a)は、2つのフレームユニット(例えば、104a及び104b)及び両方の履帯(例えば、114a及び114b)(及びそれらに関連するモータ、駆動輪/ボギーホイール、ローカルコントローラ等)等)及び関節リンク機構(例えば、106a)(及び関節リンク機構の関連する電動ジョイント)等の、特定のロボットクローラの移動運動に使用される複数の構成要素によって規定することができる。図示していないが、当業者であれば、特定の可動機構が、無限軌道ではなく、代替的に、モータ、ローカルコントローラ及び2つ以上の車輪を含んでもよいことを認識するだろう。さらに他のタイプの可動機構も当業者には明らかであり、こうして、図面に示され、本明細書で議論する可動機構は、決して限定することを意図するものではない。
【0072】
結合機構は、第1及び第2のロボットクローラ102a及び102b等、1つ又は複数のロボットクローラを互いに結合し、互いに結合解除するために利用される任意のタイプの構造機構又はシステムであり得る。実際に、結合機構は、2つ以上のロボットクローラの選択的な物理的結合又は接合を容易にすることができ、結合機構はまた、それらの分離を選択的に容易にする(すなわち、クローラは、結合機構を介して分離可能に接合又は結合することができる)。例えば、結合機構は、それぞれのブラケット及び固定具122a及び122bを介して、又は他の適切な取付け手段(例えば、図6及び図9Bを参照)によって、それぞれのロボットクローラ102a及び102bのそれぞれのフレームユニット104a及び104cのシャーシ110a及びシャーシ110cに取り付けることができる剛性プレート又は支持構造体120を含むことができる。従って、ユーザは、第1又は第2のロボットクローラ102a及び102bのいずれか1つを単独で動作させる場合と比較して、強化した機能性及び/又は安定性を達成するための特定のタスクのために、ロボットクローラ102a及び102bを協調駆動モードで操作したいときに、結合機構又は支持構造体120(及び関連する取付け手段)を介して第1及び第2のロボットクローラ102a及び102bを互いに固定して、一体型ロボットクローラシステム100を形成することができる。互いに結合又は接合されると、第1及び第2のロボットクローラ102a及び102bは、第1及び第2のロボットクローラ102a及び102bのそれぞれのフレームユニット104a及び104cの間に延びる結合機構又は支持構造体120の剛性により、単一の一体型ロボットクローラとして機能する。異なるフレームユニットを選択的に結合して、図1及び図2に示されるものとは異なる特定の単体ロボットクローラを形成できることを理解されたい。例えば、(第1のロボットクローラ102aの)第1のフレームユニット104aは、本明細書で例示する任意の適切な結合機構によって、及び任意の相対的な配置(例えば、フレームユニット104a及び104dは、並列配置で、部分的に並列配置(すなわち、フレームユニット104a及び104dは、部分的に並列して配置され、並列配置である程度重なり合うが、それらの端部は必ずしも互いに一直線上にあるわけではない)で、終端間配置で互いに解放可能に結合することができる)で(第2のロボットクローラ102bの)第2のフレームユニット104d)に結合することができ、それによって、第2のフレームユニット104b及び第1のフレームユニット104cは、図1に示されるものよりも長い、結果として得られる一体型ロボットクローラシステムの「自由端」である。これにより、狭い梁に沿って這う等の特定のタスクに対して、より大きな安定性を与えることができる。さらに、この概念に加えて、フレームユニット104a~dのいずれかを、装備することができ、或いは他のロボットクローラ(102a又は102b)のフレームユニット又は他のロボットクローラ(例えば、第3、又は第4等のロボットクローラ)の追加のフレームユニットに結合することができる。
【0073】
結合機構又は支持構造体120は、より一般的に剛性プレートとして示されるが、シャーシ110a及び110cを互いに堅固に結合する支持構造体又はフレームを提供する他の多くの適切な形態又は構成をとることができることに留意されたい。例えば、特定の結合機構は、1つ又は複数のクロスバーを含むことができる。特定の結合機構は、ロボットクローラの構成及び/又は所望のタスクに応じて、任意のサイズ、形状、及び構成にすることができる。いくつかの例では、特定の結合機構(例えば、プレート、フレーム、又はプラットフォーム)は、ミッションを達成するために使用され得る負荷又は他の物体、又はミッション中に回収される可能性のある負荷又は他の物体(例えば、爆発物(explosive ordinance))を受容及び支持するように構成され得る。他の例では、特定の結合機構は、2つ以上のロボットクローラがオンデマンドで、且つオペレータが結合構成要素を物理的に取り付け及び/又は取り外す必要なく(すなわち、オペレータがロボットクローラを物理的又は手動で結合及び結合解除することを必要とせずに)互いに結合及び結合解除できるようにする様々な機構を含むことができる。例えば、結合及び結合解除は、永久磁石ベースの保持力モジュールを含む結合機構を使用して達成することができ、以下にさらに例示するように、永久磁石の磁束戻り経路は小型モータを使用して変更することができる。他の電動機構も結合機構の一部として容易に実装することができ、オペレータが物理的な結合を実現するために一部の構成要素を手動で取り付け及び/又は取り外す必要がなく(が、そのようなことが企図される)、2つ以上のロボットクローラを互いに選択的に結合及び結合解除できるようになる。このような遠隔作動の結合機構の利用可能性は、1つ又は複数のロボットが小さな通路(例えば、チューブ又は通気口等)を通って空間にアクセスし、次にそのような通路を出た後に再び結合する又は再結合して、遥かにより安定した/幅広の(結合した)ロボットクローラを形成し、これを使用して、高度な安定性及び/又は器用さを必要とするより複雑なタスクを実行することができるようにする等、蛇のような小さな断面積を利用する可能性がある状況で有利である。
【0074】
上述したように、ユーザは、図4に関して以下でさらに例示するように、ロボットクローラ102a及び102bを、様々な関連する制御モードで別個のロボットクローラシステムとして動作させたい場合に、それぞれのロボットクローラ102a及び102bのそれぞれのフレームユニット104a及び104cのシャーシ110a及び110cから支持構造体120を取り外すことによって、ロボットクローラ102a及び102bを互いに結合解除又は固定解除することができる。
【0075】
有利には、第1及び第2のロボットクローラ102a及び102bは、一体型ロボットクローラシステム100を形成するために互いに結合又は固定するときに、分離可能に接合した第1のフレームユニット104a及び104cが互いに物理的に(及び堅固に)固定されるため、互いに安定することができる。この構成では、第1及び第2のロボットクローラ102a及び102bは、安定性を向上させる方法で一緒に動作することができる。例えば、ロボットクローラ102a及び102bが移動運動のための無限軌道を含む場合に、ロボットクローラ102a及び102bが単一の単体車両として機能するように、各無限軌道の速度、方向、及びオン/オフのタイミングを制御することができる。従って、図2に示されるように、第1及び第2のロボットクローラ102a及び102bは、一体型ロボットクローラシステム100を形成するために互いに固定又は結合されると、単一のロボットクローラが単独では実行できない可能性があるより複雑なタスクを実行するために一緒に動作することができる。例えば、そのタスクは、上方に伸ばしてフレームユニット104bの1つのエンドエフェクタ112bで物体を掴みながら、他のフレームユニット及びエンドエフェクタによって様々な接地点で安定させるものであり、これにより、より広い又はより長い間隔で地面に接触することにより(単独で動作する単一のロボットクローラと比較して)可動性の向上又は強化を達成することができる。
【0076】
この概念に加えて、一体型ロボットクローラシステム150を操作するための様々な動作モードが図3に示され、図3のシステム150は、一例では、図1及び図2の一体型ロボットクローラシステム100(例えば、ロボットシステム100、300、400、又は他の例にも同様に適用可能である)によって具現化される。一例では、上で示したように、この例では一体型ロボットクローラシステム150として一般的に示されるロボットシステムは、コントローラ151と、結合機構(例えば、図1及び図2参照)を介して互いに結合され、且つコントローラ151によって制御可能な第1及び第2のロボットクローラ152a及び152bとを含むことができる。実際に、コントローラ151は、第1のロボットクローラ151a及び第2のロボットクローラ152bの動作をそれらの様々な動作モードで制御するように機能する。第1の及び第2のロボット152a、152bのそれぞれの可動機構は、互いに結合されると、一体型ロボットクローラシステム150の移動運動を実現するために、協調方式でコントローラ151によって制御可能である。こうして、図1及び図2の例では、少なくとも可動機構116a及び116cは、協調駆動モードの場合に、特定のタスクの推進中にユーザが所望する方向への効果的な移動運動(又は一体型ロボットクローラシステム150によって自律的に実行される)を保証するために協調方式で制御可能である。
【0077】
一体型ロボットクローラシステム150は、協調駆動モードでは、準ペア駆動モード154又は完全ペア駆動モード156のいずれかで動作可能である。準ペア駆動モード154では、「拘束状態の」可動機構のみ(例えば、結合機構120によって一緒に拘束される可動機構116a及び116c)が協調方式で動作可能である。この例では、潜在的に別個又は異なるタスク等のために、非拘束状態の可動機構をコントローラ151を介して独立して制御することができる。例えば、可動機構116b及び116dは、それぞれのフレームユニット110b及び110dが(110a及び110cのように)互いに取り付けられてない又は結合解除したため、互いに拘束されていない。この動作モードでは、可動機構116bは、タスクA(例えば、壁を這い上がる)を達成するための移動運動のために制御され得る一方、可動機構116dは、別個の又は異なるタスクB(例えば、物体に這って行く、又は物体を掴む)を達成するために、移動運動のために個別に又は独立して制御され得る。
【0078】
一体型ロボットクローラシステム150は、準ペア駆動モード154にあるときに、さらに、非ペア補助制御モード158又はペア補助制御モード160のいずれかで動作可能である。非ペア補助制御モード158は、コントローラ151を介したそれぞれのロボットクローラ152a及び152bの2つ以上の補助装置の非協調制御を含む。上述したように、「補助装置」は、1つ又は複数の関節リンク機構(例えば、106a、106b)及び/又は1つ又は複数のエンドエフェクタ(例えば、112a~d)を含むことができるが、これらに限定されない。例えば、非ペア補助制御モード158では、エンドエフェクタ112bは、タスクC(例えば、ワイヤの切断)を達成するように制御され得る一方、エンドエフェクタ112dは、別個の又は異なるタスクD(例えば、パイプを掴んで持ち上げる)ために、別個に又は独立して制御され得る。この目的のために、非ペア補助制御モード158にあるときに、関節リンク機構(例えば、106a及び106b)は、それぞれのエンドエフェクタ112b及び112dの位置決めを適切に支援してそれぞれの別個のタスクを達成するように制御される等、独立して動作することもできる。逆に、ペア補助制御モード160は、共通のタスクEを達成する又は促進する等のため、それぞれのロボットクローラ152a及び152b(例えば、102a及び102b)の2つ以上の補助装置(例えば、106a、106b、112a~112a~d)の協調制御を含む。例えば、エンドエフェクタ112dは、電子アセンブリからワイヤを拾い上げ、引き出すように制御され得る一方、エンドエフェクタ112bは、共通のタスクEを達成するためにワイヤを切断するように制御及び位置付けされる。
【0079】
一体型ロボットクローラシステム150は、完全ペア駆動モード156にあるときに、第1及び第2のロボットクローラ152a及び152bの可動機構の全てを協調方式で制御することによって動作可能である。例えば、可動機構116a~dは、一体型ロボットクローラシステム150を丘の上に駆動する等の共通のタスクを達成又は促進するために、コントローラ151を介して協調方式で集合的に制御され得る。このようにして、可動機構116a~116dの速さ及び速度は、協調方式で連携して動作し、従って、別個のタスクに関して互いに独立して動作することはない。また、一体型ロボットクローラシステム150は、完全ペア駆動モード156にあるときに、さらに、非ペア・エフェクタ制御モード162又はペア・エフェクタ制御モード164のいずれかで動作可能である。非ペア・エフェクタ制御モード162は、それぞれのロボットクローラ152a及び152bのエンドエフェクタの非協調制御を含む。例えば、エンドエフェクタ112bは、タスクC(例えば、ワイヤの切断)を達成するように制御され得る一方、エンドエフェクタ112dは、別個の又は異なるタスクD(例えば、パイプを掴んで持ち上げる)を達成するために別個に又は独立して制御され得る。逆に、ペア・エフェクタ制御モード164は、共通のタスクEを達成する又は促進する等のため、それぞれのロボットクローラ152a及び152b(例えば、102a及び102b)の2つ以上のエンドエフェクタ(例えば、112a~112d)の協調制御を含む。例えば、エンドエフェクタ112dは、電子アセンブリからワイヤを拾い上げて、引き出すように制御され得る一方、エンドエフェクタ112bは、共通のタスクEを達成するためにワイヤを切断するように制御及び位置決めされ得る。
【0080】
図3に関して議論した様々な動作制御モードは、例えば凹凸のある地形表面のために左右に転倒する可能性を少なくする、より安定したロボットクローラシステムを提供する。このようにして、一体型ロボットクローラシステム150は、例えば、その不安定性のために単一のロボットクローラではアクセスできない領域を移動することができる。換言すれば、一体型ロボットクローラシステム100の「履帯ベース」(進行方向に対して直交又は横方向の横軸に沿った履帯同士の間の距離)は、単一のロボットクローラのいずれの幅の少なくとも2倍であり、これにより、転倒又は滑り等に対する安定性が向上する。さらに、一体型ロボットクローラシステム100の低プロファイル高さ(フレームユニット104a及び104cにおける)は、いくつかの例では、支持構造体120のプロファイルより上に延びる他の構成要素がなく、支持構造体12の下に重心を生成するため、比較的低い。これは、履帯又は車輪の上面より上(及び/又は履帯を回転させる車輪の回転軸の上)に支持される多数の重い構成要素を有する多くのロボット装置のように、より高い重心によって一体型ロボットクローラシステム100が転倒するのを防ぐのに役立つ。
【0081】
いくつかの例では、協調駆動モード153は、各クローラに送信されるコマンドが同じであっても、異なっていても、接合したロボットクローラ(例えば、102a及び102b)の一方又は両方に同時に送信されるコマンドを生成するコントローラ151のユーザ又はオペレータからの1つ又は複数の入力に基づく制御された動作を含むことができる。別の例では、協調駆動モード153は、強化した安定化アルゴリズム、牽引(traction)制御アルゴリズム等からのコマンド等の自律又は半自律コマンドに基づく制御された動作を含むことができ、それらアルゴリズムは、接合したロボットクローラのそれぞれに対するコマンドを生成するように機能し、コマンドは必ずしも同じである必要はなく、ロボットクローラに同時に提供される可能性もあるが、同じである必要はない。この例では、自律コマンドは同じであっても同じでなくてもよく、又は同時に提供されても提供されない場合があるが、各ロボットクローラが互いに物理的に結合しているため、これらのコマンドは、ロボットクローラが単一の一体車両として機能するように、少なくとも互いに協調制御される。さらに別の例では、協調駆動モード153は、接合したロボットクローラのうちの1つ又は複数に送信される1つ又は複数の別個の又は別のコマンドに基づく制御された動作を含むこともできる。この例では、接合したロボットクローラのそれぞれは、他の接合したロボットクローラとは別個且つ独立して、コントローラ151を介して制御され得る制御可能な態様を含むことができる。例えば、接合した2つのロボットクローラに異なるコマンドを送信して、接合した2つのロボットクローラのエンドエフェクタを個別且つ独立して制御することが望ましい場合がある。あるいはまた、コマンドをロボットクローラのうちの1つに送信し、次にロボットクローラが特定のコマンドを他のロボットクローラに送信して、各ロボットクローラの態様を個別に又は独立して制御することもできる。
【0082】
図4は、分離型ロボットクローラシステム180の形態のロボットシステムの様々な制御モードを示し、分離型ロボットクローラシステム180は、互いに物理的に結合することができ、互いに物理的に分離することができ、コントローラを介して結合解除制御モード182でその関連するサブ動作モードを用いて制御可能である2つ以上のロボットクローラによって規定される。結合解除制御モード182では、第1及び第2のロボットクローラ(例えば、102a及び102b)の様々な態様は、コントローラ(例えば、図3のコントローラ151、又は図7のコントローラ413)を介して協調方式又は非協調方式で選択的に動作又は制御され得る。結合解除ペア制御モード184は、共通のタスク又は目標を達成するために、それぞれのロボットクローラ(例えば、102a及び102b)の可動機構(例えば、116a~d)の協調制御を含む。例えば、「追従(follow me)」コマンドは、コントローラ(例えば、図3の151、図7の413)のユーザによって入力され得、第2のロボットクローラは、第1のロボットクローラの後ろで地面に沿って追従するように命令される。この例では、可動機構116a~d及び関節リンク機構106a及び106bの動き及び制御の全てが協調制御される。
【0083】
別のモードでは、(結合解除制御モード182の)結合解除選択制御モード186は、共通又は関連するタスク又は目標を達成する等のために、それぞれのロボットクローラ(例えば、102a及び102b)の2つ以上の機能のコントローラを介した選択的協調制御を含む。例えば、エンドエフェクタ112b及び112dは、ワイヤを掴んで切断する(例えば、上記のタスクEの)ために協調方式で制御され得る一方、関節リンク機構106a及び106bの制御等、他の制御可能な態様は協調していない。別のモードでは、結合解除非同期タスクモード188は、異なる又は無関係なタスク又は目標を達成する等のために、それぞれのロボットクローラ(例えば、102a及び102b)の全ての機能の非協調制御を含む。例えば、ロボットクローラ102aは、物(ordinance)を画像化するために1つのエリアに駆動され得る一方、ロボットクローラ102bは、ロボットクローラ102aのタスク及び制御に全く無関係の物体を移動させるために、(ロボットクローラ102aから)別個且つ独立して別のエリアに駆動され得る。
【0084】
代替例では、(一体型ロボットクローラシステムで使用され得る)各ロボットクローラは、単一の履帯を有する単一のフレームユニットとすることができる(又は車輪を含むことができる)ので、第1及び第2のロボットクローラは、並べて設置することができ、その後、本明細書で例示する適切な結合機構を介して互いに結合することができる。こうして、関節リンク機構及び第2のフレームユニットは、特定のロボットクローラに組み込めない場合がある。従って、2つのロボットクローラの2つのフレームユニットは、少なくとも1つの結合機構によって互いに結合することができ、それによって、その結合したロボットクローラは、一対の履帯又は車輪のセット等を有する単一の単体車両のように見え、移動する。
【0085】
図6は、剛性プレート又は支持構造体320及び関連する取付け手段の形態の結合機構を介して互いに結合され得る第1及び第2のロボットクローラ302a及び302bの代替の詳細な例(背面図)を示す。支持構造体320は、それぞれのブラケット及び固定具322a及び322bを介して第1及び第2のフレーム又はシャーシ312a及び312bの内側及び対向する構造表面又は領域に取り付けることができる(「内側」とは、第1及び第2のロボットクローラを並んで位置付けしたときに互いに面する構造表面又は領域である)。第1及び第2のロボットクローラ302a及び302bは、図1図2、及び/又は図5の例示的なロボットクローラと同じ又は類似のロボットクローラであり得、上述したように、フレームユニット、履帯等を含むことができることに留意されたい。別の例では、クイックリリース装置等の結合機構を使用して、例えば、コンプライアント装置を備えたボール及びソケットのクイックリリース等、本開示のロボットクローラを互いに結合することができる。別の例では、1つ又は複数の枢動支持構造は、フレームユニットの一部であってもよく、1つ又は複数のシャーシの内側から外側に揺動することができ、その後、隣接するシャーシに締結又は他の方法で固定することができる。ロボットクローラ302a及び302bの内側又は内側の領域からシャーシ312a及び312bを互いに結合することは、ロボットクローラ302a及び302bの上側が使用できないシナリオ、例えば上側又は領域が、図5に示されるように、センサ、バッテリ、コンピュータ等の様々な構成要素を支持するために使用できない場合に有用であり得る。
【0086】
図7は、コントローラ413と第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bとを含む一体型ロボットクローラシステム400の形態のロボットシステムの様々な態様を示すブロック図である。この例及び議論は、本明細書で教示される他のロボットシステム(例えば、100、150、180、300等)に適用可能であることを意図していることに留意されたい。より具体的には、コントローラ413(例えば、車両コントローラ)は、ロボットクローラ402a及び402bを互いに結合解除するとき、また互いに結合するときに、ロボットクローラ402a及び402bの一方又は両方(ただし、より具体的には図1及び図2の第1及び第2のロボットクローラ102a及び102bとして示される)を制御するためのコンピュータシステムを有するハンドヘルド装置又は他のユーザ操作装置を備えるか、又は含むことができる。コントローラ413は、入力信号を受け取り、情報を処理し、命令を実行し、第1及び/又は第2のロボットクローラ402a及び402bを制御するための出力コマンド信号を送信するための1つ又は複数のコンピュータ装置401を含むことができる。例えば、コンピュータ装置401は、1つ又は複数の駆動入力装置(例えば、ジョイスティック、方向制御パッド)のユーザ操作から生成された信号に応答して、1つ又は複数のモビリティ入力403を受け取り及び処理して、(例えば、第1及び第2のロボットクローラ102a及び102bのフレームユニット104a~dの移動運動のための)選択した第1及び/又は第2の可動機構416a及び/又は416bの地上動作を制御することができる。この概念に加えて、モビリティ入力403を使用して、第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bの1つ又は複数の関節リンク機構(すなわち、各リンク機構が電動ジョイントモジュールを有する)の動作を制御し、可動機構416a及び/又は416bの履帯を動作させること併せてその移動運動をさらに容易にすることができる。他の場所で述べたように、履帯を車輪に置き換えてもよく、さらに車輪と組み合わせてもよい。
【0087】
コンピュータ装置401は、1つ又は複数のエンドエフェクタ入力装置(例えば、ジョイスティック、ボタン、グリッパ)のユーザ操作から生成された信号に応答して、1つ又は複数のエンドエフェクタ入力405を受け取り及び処理して、選択した第1及び/又は第2のロボットクローラ402a及び/又は402bの選択した1つ又は複数のエンドエフェクタ412a及び/又は412b(例えば、図1のエンドエフェクタ112a~d)の動き又は動作を制御することができる。モビリティ入力403及び/又はエンドエフェクタ入力405に関連付けられたこれらの入力信号は、コンピュータ装置401に送信され得、コンピュータ装置401は、その後、そのような入力を処理し、次に、移動運動及びエンドエフェクタの使用のために第1及び/又は第2のロボットクローラ402a及び/又は402bに送信される適切なコマンド信号を生成することができる。
【0088】
無線機(又は他の無線通信装置)は、そのようなコマンド信号を第1及び第2のロボットクローラ402a及び402b上の無線機452a及び452bに送信するためにコンピュータ装置401に結合され得る。コントローラ413の無線機はまた、フレームユニット位置データ、グリッパ位置及び負荷情報、画像キャプチャ情報、ビデオキャプチャ供給、関節ジョイントの位置及び負荷情報等、第1及び/又は第2のロボットクローラ402a及び402b上のセンサデータから生じるフィードバック信号を受信するために使用してもよい。
【0089】
コントローラ413は、コンピュータ装置401に通信可能に結合され、第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bの態様を動作するための動作モード(例えば、図3及び図4)同士の間を選択的に切り替えるようにユーザによって操作可能な1つ又は複数の切替え入力407を含むことができる。例えば、切替え入力407は、コントローラ装置(例えばハンドヘルドコントローラ)上のデジタル又は手動スイッチ又はボタン等の1つ又は複数の装置の形態であってもよく、又はスイッチ装置は、ユーザの声によって音声コマンドで制御可能なオーディオスイッチであってもよい。切替え入力407は、結合解除制御モード(例えば、図4の182)で動作するように選択することができ、これにより、ユーザは、第1又は第2のロボットクローラ402a又は402bのうちの選択した1つに対する動作制御を選択する。こうして、ユーザは、第1又は第2のロボットクローラ402a又は402bを互いに結合解除したときに、第1又は第2のロボットクローラ402a又は402bのいずれかを異なる時間に選択的に操作することができる。次に、ユーザは、第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bを互いに結合する(又は、それらロボットクローラの結合を遠隔で実行する)ことができ(例えば、図1図2図5、及び図9Bを参照)、次に、ユーザは、切替え入力装置を起動することができ、切替え入力装置は、切替え入力をコントローラ413に送信して、結合解除制御モードから協調駆動モード(例えば、図3の153)に切り替えて、このモード及び任意の関連するサブ動作モードでの第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bの動作を容易にすることができる。
【0090】
コントローラ413は、第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bの動作を容易にするために、コントローラ400及び/又は第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bのCPUによって実行される、又は実行するためにインストールされるソフトウェアを含むことができる。すなわち、ソフトウェアは、1つ又は複数のコンピュータソフトウェアモジュールを含む、有形の非一時的なコンピュータ可読媒体を含み、ソフトウェアモジュールは、1つ又は複数のプロセッサに指示して、第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bの構成要素(例えば、可動機構、エンドエフェクタ、結合機構、無線機等)の起動又は作動を生じさせる命令を実行するようにように構成される。こうして、コントローラ413は、本明細書で議論するように、第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bに関連するソフトウェア及び機械装置の組合せを含むことができる。
【0091】
本明細書でさらに例示するように、各可動機構416a及び416bは、第1及び第2の履帯、履帯を駆動するためのモータ及び駆動輪、及び関節リンク機構を含むことができる。各エンドエフェクタ412a及び412bは、それぞれのエンドエフェクタを作動させるための1つ又は複数のアクチュエータを含むことができる。アクチュエータは、線形アクチュエータ又は回転アクチュエータとすることができ、電気、油圧、空気圧等によって動作させることができる。各エンドエフェクタ412a及び412bは、1つ又は複数の特定のエンドエフェクタ(例えば、グリッパ、カッタ、磁石、スキャナ、イメージセンサ等)をさらに含むことができ、各エンドエフェクタは、エンドエフェクタ412a及び412bの動作に関連する情報位置及び/又は力を感知するためのセンサ(例えば、位置、力)をさらに含むことができる。第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bのそれぞれは、それぞれの可動機構416a及び416b及びそれぞれのエンドエフェクタ412a及び412bに通信可能に結合された搭載コンピュータ450a及び450bをさらに含むことができる。各コンピュータ450a及び450bは、それぞれの第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bの動作を制御するためのCPU、メモリ、及びコントローラを含むことができる。
【0092】
第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bは、相互間及びコントローラ413との間で信号を送受信するために、それぞれのコンピュータ450a及び450bに通信可能に結合されたそれぞれの無線機452a及び452bを含むことができる。無線機452a及び452bはネットワークの一部であり得、このネットワークには、イントラネット、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、無線データネットワーク、セルネットワーク、ダイレクトRFリンク、ステートレス中継ネットワーク、又は他のそのようなネットワーク、又はそれらの組合せ等の有用なコンピュータネットワーク又は信号ネットワークが含まれる場合があり、その送信には、例えば、インターネットプロトコル(IP)、送信制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)及び他のネットワークプロトコル等の様々なプロトコルを利用することができる。このようなシステムに利用される構成要素は、選択したネットワーク及び/又は環境のタイプに少なくとも部分的に依存する可能性がある。ネットワーク上の通信は、有線、光ファイバ、又は無線接続、及びそれらの組合せによって可能になり得る。
【0093】
第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bのそれぞれは、第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bの互いに対する相対的な空間位置(及び向き)を感知し決定するために、それぞれのコンピュータ450a及び450bに結合された1つ又は複数の位置センサ454a及び454bをさらに含むことができる。すなわち、各フレームユニット(例えば、104a~104d)は、それらの互いの空間的位置を決定するための1つ又は複数の位置センサを有することができる。位置センサ454a及び454bは、当業者には明らかなように、GPS装置(屋外使用用)、視覚慣性オドメトリ技術(カメラを使用)、RFID技術、又は他の技術のうちの1つ又は複数を含むことができる。次に、位置情報をコントローラに送信し、それによってユーザに第1及び第2のロボットクローラの相対位置を知らせることができる。
【0094】
第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bのそれぞれは、協調駆動モードで動作する第1のロボットクローラ402a及び402b(例えば、フレームユニット104a及び104c)を互いに結合するための結合機構456a及び456b(又は固定具、ブラケット、取付け孔等の結合機構の構成要素)をさらに含むことができる。一例では、結合機構456a及び456bは、それぞれ第1及び第2のロボットクローラ402a及び402aによって支持される磁気構成要素(例えば、電磁石、強磁性要素、可変磁束磁気装置、パルス化永久磁石等)を含むことができ、これらは、第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bが近接したときに互いに物理的に結合するために互いに引き付け合うことが可能である。可変磁束電磁石装置(図9A)等の電磁石装置として、搭載コンピュータ450a又は450bの1つのコンピュータのCPUは、電磁装置の起動を制御して、第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bを選択的に結合又は結合解除することができ、これは、電磁装置の作動及び停止を容易にする結合入力装置(例えば、ボタン、スイッチ)をユーザが操作することによって制御することができる。本明細書では具体的に図示及び説明していないが、当業者であれば、実現可能な他の結合機構が認識され、その結合機構のそれぞれが本明細書で企図される。例えば、結合機構には、ボールアンドソケットタイプの機構、クイックコネクト機構、フック及びループ機構、オーバーセンタラッチ機構、並びに第1及び第2のロボットクローラ402a及び402bを物理的に結合及び結合解除するように動作可能な他の機械式又は電気機械式のシステム又は機構が含まれ得る。
【0095】
図8は、この技術のモジュール又は構成要素が実行できるコンピュータ装置610を示す。この技術の高レベルの例を実行できるコンピュータ装置610が示される。コンピュータ装置610は、メモリ装置620と通信する1つ又は複数のプロセッサ612を含み得る。コンピュータ装置610は、コンピュータ装置内の構成要素のためのローカル通信インターフェース618を含み得る。例えば、ローカル通信インターフェース618は、必要に応じて、ローカルデータバス及び/又は任意の関連アドレスバス又は制御バスであってもよい。
【0096】
メモリ装置620は、プロセッサ612によって実行可能なモジュール又は構成要素624、及びモジュール624のデータを含むことができる。例えば、メモリ装置620は、本明細書で議論するコントローラの態様を構成するいくつかのソフトウェア及びハードウェア構成要素を含むことができる。モジュール又は構成要素624は、本明細書で議論する機能を実行することができる。データストア622はまた、プロセッサ612によって実行可能なオペレーティングシステムとともに、モジュール624及び他のアプリケーションに関連するデータを記憶するために、メモリ装置620内に配置してもよい。
【0097】
他のアプリケーションは、メモリ装置620に格納することもでき、プロセッサ612によって実行可能にすることができる。本明細書で議論する構成要素又はモジュールは、方法のハイブリッドを使用してコンパイル、解釈、又は実行される高レベルプログラミング言語を使用するソフトウェアの形態で実施することができる。
【0098】
コンピュータ装置は、コンピュータ装置によって使用可能なI/O(入力/出力)装置614にアクセスすることもできる。I/O装置614の一例は、コンピュータ装置610からの出力を表示するために利用可能な表示画面630である。I/O装置614の別の例は、1つ又は複数の駆動装置及びアーム制御入力装置、切替え入力装置、及び本開示のコントローラに関連付けられた他のI/O装置である。ネットワーク装置616及び類似の通信装置は、コンピュータ装置に含めてもよい。ネットワーク装置616は、インターネット、LAN、WAN、又は他のコンピュータネットワークに接続する有線又は無線ネットワーク装置であってもよい。
【0099】
メモリ装置620に格納されるように示される構成要素又はモジュールは、プロセッサ612によって実行され得る。「実行可能」という用語は、プロセッサ612によって実行され得る形式のプログラムファイルを意味し得る。例えば、高レベル言語のプログラムは、メモリ装置620のランダムアクセス部分にロードされてプロセッサ612によって実行され得る形式のマシンコードにコンパイルされ得るか、又は別の実行可能プログラムによってロードされ解釈されて、プロセッサによって実行されるメモリのランダムアクセス部分に命令を生成し得る。実行可能プログラムは、メモリ装置620の任意の部分又は構成要素に格納され得る。例えば、メモリ装置620は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ、メモリカード、ハードドライブ、光ディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、又は他のメモリ構成要素であり得る。
【0100】
プロセッサ612は、複数のプロセッサを表すことができ、メモリ装置620は、処理回路と並行して動作する複数のメモリユニットを表すことができる。これにより、システム内のプロセス及びデータに並列処理チャネルを提供することができる。ローカル通信インターフェース618は、任意の複数のプロセッサ及び複数のメモリの間の通信を容易にするネットワークとして使用され得る。ローカル通信インターフェース618は、負荷分散、バルクデータ転送、及び同様のシステム等、通信を調整するために設計された追加のシステムを使用することができる。
【0101】
本明細書で説明する機能ユニットのいくつかは、実施態様の独立性をより具体的に強調するために、モジュールとしてラベル付けされる。例えば、モジュールは、カスタムVLSI回路又はゲートアレイを含むハードウェア回路、論理チップ、トランジスタ、又は他のディスクリート構成要素等の既製の半導体として実現され得る。モジュールはまた、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイロジック、プログラマブル論理装置等のプログラマブルハードウェア装置で実現してもよい。
【0102】
モジュールは、様々なタイプのプロセッサによって実行されるようにソフトウェアで実装することもできる。実行可能コードの識別されたモジュールは、例えば、オブジェクト、プロシージャ、又は関数として編成され得るコンピュータ命令の1つ又は複数のブロックを含み得る。それにも関わらず、識別されたモジュールの実行可能ファイルは、物理的に一緒に配置する必要はないが、モジュールを構成し、論理的に互いに接合したときにモジュールの所定の目的を達成する、異なる場所に格納された異種の命令を含んでもよい。
【0103】
実際に、実行可能コードのモジュールは、単一の命令又は多数の命令であってもよく、いくつかの異なるコードセグメント、異なるプログラム間、及びいくつかのメモリ装置に亘って分散してもよい。同様に、動作データは、本明細書ではモジュール内で識別及び図示され、任意の適切な形式で具体化され、任意の適切なタイプのデータ構造内で編成され得る。動作データは、単一のデータセットとして収集してもよく、又は異なる記憶装置に亘って異なる場所に分散させてもよい。モジュールは、所望の機能を実行するように動作可能なエージェントを含めて、受動的でも能動的でもよい。
【0104】
本明細書で説明する技術は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータ等の情報を記憶するための任意の技術で実装された揮発性及び不揮発性、リムーバブル及び非リムーバブル媒体を含むコンピュータ可読記憶媒体に記憶してもよい。コンピュータ可読記憶媒体には、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、CD-ROM、デジタルバーサタイルディスク(DVD)又は他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶装置等の非一時的な機械可読記憶媒体、或いは所望の情報及び説明した技術を記憶するために使用できる他のコンピュータ記憶媒体が含まれるが、これらに限定されない。
【0105】
本明細書で説明する装置は、装置が他の装置と通信できるようにする通信接続又はネットワーク機器及びネットワーク接続を含むこともできる。通信接続は通信媒体の一例である。通信媒体は、典型的に、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、及び他のデータを搬送波又は他の伝送機構等の変調データ信号で実現し、あらゆる情報配信媒体を含む。「変調データ信号」とは、信号内の情報を符号化するような方法で設定又は変更された1つ又は複数の特性を有する信号を意味する。限定ではなく例として、通信媒体には、有線ネットワーク又は直接有線接続等の有線媒体と、音響、無線周波数、赤外線及び他の無線媒体等の無線媒体とが含まれる。本明細書で使用するコンピュータ可読媒体という用語には、通信媒体が含まれる。
【0106】
図9A図12は、第1及び第2のロボットクローラを互いに結合して一体型ロボットクローラシステムを形成する様々な方法を示す、上から下に見た概略図からの様々なロボットクローラを示す。これらの例は、関節リンク機構によって互いに結合された2つのフレームユニットをそれぞれ有するロボットクローラの概略図であることに留意されたい。もっとも、図9A図12のロボットクローラのそれぞれは、上で説明し図1図8に示されるもの等、本明細書で例示するロボットクローラのいずれかの構成要素の一部又は全てを有することができる。
【0107】
より具体的には、図9A及び図9Bは、可変磁束磁気装置703(例えば、結合機構の形態)を介して磁力によって互いに結合可能な第1及び第2のロボットクローラ702a及び702bを示す(図9B)。あるいはまた、パルス化永久磁石(すなわち、電磁永久磁石)を利用するもの等、他の磁気装置又は構成要素を実装することもできる。第1のロボットクローラ702aは、関節リンク機構706a(例えば、異なる回転軸で動作可能な複数の電動ジョイントモジュールを含む)によって互いに結合された2つのフレームユニット704a及び704bを有することができる。フレームユニット704aは、強磁性要素710を支持、収容、又は含むことができ、強磁性要素710は、第1のロボットクローラ702aの一方の側部の近くに位置することができ、フレームユニット704aのシャーシの内側又は外側にあり得る(又は強磁性要素710は、フレームユニット704aのシャーシ又は他の金属構成要素の一部であり得る)。第2のロボットクローラ702bは、関節リンク機構706b(例えば、異なる回転軸で動作可能な複数の電動ジョイントモジュールを含む)によって互いに結合された2つのフレームユニット704c及び704dを含むこともできる。フレームユニット704cは、上で議論し図1図2に示されたものと同様に、協調駆動モードでの動作前又は動作中に、強磁性要素710を磁気的に引き付けて第1及び第2のロボットクローラ702a及び702bを互いに結合して、結合機構から延びる自由端を有する一体型ロボットクローラシステム(例えば、関節リンク機構706a及び706b、及びフレームユニット704b及び704d)を形成するための可変磁束磁気装置703を支持することができる。
【0108】
可変磁束磁気装置703は、磁石705と、磁石705の反対側に配置された強磁性材料707a及び707bを含むことができる。強磁性材料707a及び707bは、非強磁性磁性材料709によって分離することができる。一態様では、強磁性材料707a及び707bは鉄材料(例えば、軟鉄)とすることができ、非強磁性材料709は非鉄材料(例えば真鍮、アルミニウム、アクリル等)とすることができる。強磁性材料707a及び707b及び非強磁性材料709は、磁石705を受容するための開口部又はキャビティを形成することができる。磁石705は、N及びSそれぞれによって図示されるように、N極領域及びS極領域を有する永久磁石又は電磁石とすることができる。
【0109】
磁石705の磁力の強さは、磁石705の向き又は位置、特にN極領域及びS極領域に応じて可変にすることができる。例えば、図9Aに示される磁石705の位置、特にN極領域及びS極領域は、N極領域及びS極領域を図の垂直方向に配置し、磁石をオフにするように機能する磁束戻り経路を遮断する非強磁性材料709と一致するように配置する。この「完全オフ」位置では、磁石705を介して磁力は、位置合わせ(registered)されず、又は生成されない。このようにして、第1のロボットクローラ702aは、第2のロボットクローラ702bに磁気的に引き付けられ又は結合されないので、それらロボットクローラを、別々に、互いに結合解除して動作及び制御することができる。逆に、図9Bに示されるように、N極領域及びS極領域が強磁性材料707a及び707bと一直線上となるように磁石705を向き合わせすると、磁束戻り経路が確立され、磁石705が最大の磁力又は磁力出力を生成し、互いに磁気的に引き付けられる可変磁束磁気装置703及び強磁性材料又は構成要素710を介して、第1及び第2のロボットクローラ704a及び704bを互いに磁気的に結合する。磁石705をこの「完全オン」位置に向き合わせすることは、例えば、図9Bに示されるように、N極領域及びS極領域が強磁性材料707a及び707bに近接するような方向に磁石705を回転させることによって達成することができる。
【0110】
上で示したように、一態様では、磁石705の回転を選択的に制御するのを使用して、磁石705の磁力の強さ又は強度を選択的に増加及び減少させることができる。具体的には、磁石705を「完全オン」位置と「完全オフ」位置との間の無数の位置のうちの1つに位置付けすることで、磁石の「完全オン」又はフルパワーの位置と比較して、より低い程度の磁力を有効にすることができる。これらの中間位置では、磁束は強磁性材料707a及び707b及びフェリ磁性材料709を部分的に通って延び、磁力が減少する。これらの位置の間で磁石705の位置を連続的に変化させることは、特定の用途に対してユーザが望む場合には、磁力の強さを変化させるように効果的に機能する。
【0111】
可変磁束磁石装置703は、磁石705を回転させるために磁石705に動作可能に結合されたアクチュエータ711(例えば、小型電気モータ)を含むこともできる。前述したように、磁石705の回転は、磁力の強さを調整するように機能することができる。従って、アクチュエータ711によって磁石705に与えられる回転をユーザ又はコンピュータが制御することによって、磁石705の磁力を調整及び制御することができる。さらに、アクチュエータ711は、達成した磁力を任意の所与の期間に亘って維持するように機能することができる。限定するものではないが、電気アクチュエータ、油圧アクチュエータ、回転アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、モータ等の任意の適切なタイプのアクチュエータを使用してもよいことが企図される。
【0112】
この方法で磁力を変化させることは、ロボットクローラ702a及び702bの一方又は両方に高い負荷を与えるタスクを実行するとき等、第1のロボットクローラ702aと第2のロボットクローラ702bとの間の結合インターフェースの安定性を最大化するために必要とされる、より大きな磁力又は最大磁力を生成するのに有益であり得る。特定のフレームユニットの両端にある1つの可変磁束磁気装置等、2つ以上の可変磁束磁気装置を特定のロボットクローラで支持することができ、これにより、一対のロボットクローラの間の磁気結合インターフェースの安定性を増大又は向上させることができることに留意されたい。さらに、1つ又は複数のロボットクローラが単に永久磁石を含むことができるので、ロボットクローラが並列方式で横方向に互いに近く(例えば、数インチ)配置されると、磁石が互いに引き付け合うことにより、ロボットクローラを互いに自動的に磁気的に結合することにも留意されたい。磁力は比較的低い(例えば、10ポンド)場合があるため、ユーザ又はロボットクローラの1つが、磁力に打ち勝ってフレームユニットを互いに引き離し、ロボットクローラのフレームユニットを互いに結合解除することができる。
【0113】
図10A及び図10Bは、互いに結合解除されて結合解除制御モード(図10A)で動作可能である第1及び第2のロボットクローラ802a及び802bと、結合機構803a及び803bを介して互いに結合されて、協調駆動モード(図10B)で動作可能な一体型ロボットクローラシステムを形成する第1及び第2のロボットクローラ802a及び802bとを示す。第1のロボットクローラ802aは、関節リンク機構806a(例えば、異なる回転軸で動作可能な複数の電動ジョイントモジュール)によって互いに結合された2つのフレームユニット804a及び804bを有することができる。フレームユニット804aは、第1の結合機構803aをフレームユニット804aの先端部で支持することができ、第1の結合機構803aは、磁石、強磁性材料、可変磁束磁気装置、又は別の支持構造への結合を容易にするための支持構造、又は他の適切な結合装置又は機構であり得る。同様に、第2のロボットクローラ802bも、関節リンク機構806b(例えば、異なる回転軸で動作可能な複数の電動ジョイントモジュール)によって互いに結合されたフレームユニット804c及び804dを含むことができる。第2のロボットクローラ802aのフレームユニット804cは、協調駆動モードで動作させるために第1及び第2のロボットクローラ802a及び802bを互いに結合するのを容易にするために(図10B)、第1の結合機構803aとともに動作可能なフレームユニット804cの先端部で第2の結合機構803bを支持することができる。こうして、図10Bに示されるように、ロボットクローラ802a及び802bの端部は、互いに結合されて、4つの履帯及び複数の関節リンク機構を有する単一のロボットクローラとして動作可能な、一列になった長いヘビ状ロボットクローラの形態の一体型ロボットクローラシステムを形成することができる。この例に示される一体型ロボットクローラシステムは、結合機構803a及び803bから互いに反対方向に延びる2つの自由端を含み、自由端はそれぞれ関節リンク機構806a及び806bとフレームユニット804b及び804dとによって規定され、フレームユニット804b、804dはそれぞれが可動機構を有する。例えば、第1の自由端は、関節リンク機構806a及びフレームユニット804bを含むか、又はそれらによって規定され得る。そして、第2の自由端は、関節リンク機構806a及びフレームユニット804dを含むか、又はそれらによって規定され得る。これは、安定性及び操作性を向上させるために長いヘビのような本体を通しているという利点を活用しながら、両方のロボットクローラがパイプ又は他の狭いエリアを一緒に移動する必要があるタスクに役立ち得る。このようにして特定の場所まで移動した後に、ロボットクローラは、結合解除制御モードで個別に動作するために互いに結合解除され得る。結合機構803a及び803bは、接合されたロボットクローラ802a及び802bの動きの別の自由度を追加する別の機械的ジョイント又はリンク機構を含むことができることに留意されたい。
【0114】
図11は、結合機構903a及び903bを介して互いに結合され、協調駆動モードで動作可能な一体型ロボットクローラシステムを形成する第1及び第2のロボットクローラ902a及び902bを示す。第1のロボットクローラ902aは、関節リンク機構906a(例えば、異なる回転軸で動作可能な複数の電動ジョイントモジュール)によって互いに結合された2つのフレームユニット904a及び904bを有することができる。第1の結合機構903aは、関節リンク機構906aの隣接するジョイントモジュール同士の間で支持され得る。第1の結合機構903aは、磁石、強磁性材料、可変磁束磁気装置、又は別の支持構造に結合されるように構成された支持構造、或いは任意の他の適切な結合装置又は機構であり得る。同様に、第2のロボットクローラ902bも、関節リンク機構906b(例えば、異なる回転軸で動作可能な複数の電動ジョイントモジュール)によって互いに結合されたフレームユニット904c及び904dを含むことができる。第2の結合機構903bも同様に、関節リンク機構906bの隣接するジョイントモジュール同士の間で支持することができ、第1の結合機構903aと動作可能且つ結合可能であり、協調駆動モードでの動作のために第1及び第2のロボットクローラ902a及び902bを互いに結合することを容易にする。こうして、ロボットクローラ902a及び902bのそれぞれの中央又は中間領域又はセクションを結合して、1つのロボットクローラだけよりも優れた安定性を有する単一のロボットクローラの形態の一体型ロボットクローラシステムを形成することができる。これは、第2のロボットクローラ902bが、エンドエフェクタ912a及び912bを用いて、1つのロボットクローラだけで提供できるよりも大きな地面支持を必要とする重い負荷を持ち上げる等のタスクを実行する際に、第2のロボットクローラ902bを安定化させるのに有益であり得る。この例では、一体型ロボットクローラシステムは4つの自由端を含み、各自由端は、それぞれ関節リンク機構906a及び906bの少なくとも一部と、それぞれフレームユニット904a、904b、904c、及び904dとから構成される。フレームユニット904a、904b、904c、及び904dそれぞれが可動機構(例えば、無限軌道)を有する。例えば、第1の自由端は、関節リンク機構906a及びフレームユニット904aの一部を含むか、又はそれによって規定され得る。第2の自由端は、関節リンク機構906a及びフレームユニット904bの一部を含むか、又はそれによって規定され得る。第3の自由端は、関節リンク機構906b及びフレームユニット904cの一部を含むか、又はそれによって規定され得る。そして、第4の自由端は、関節リンク機構906b及びフレームユニット904dの一部を含むか、又はそれによって規定され得る。
【0115】
図12は、結合機構803a及び903bを介して協調駆動モードで互いに結合された第1のロボットクローラ802a(図10A)と第2のロボットクローラ902b(図11)との組合せを示す。こうして、第1のロボットクローラ802aの端部は、(結合機構803a及び903bを介して)第2のロボットクローラ902bの中間領域に結合することができる。これは、一方のロボットクローラ802aを他方のロボットクローラ903b(フレームユニット904c及び904dが地面にある場合)で安定させるのに有益であり得る一方、ロボットクローラ802aの一部又は大部分は地面から上方に持ち上げられて、単一のロボットクローラで到達可能又は持ち上げることができるであろう地面からより高い負荷又は他の物品に到達する等、エンドエフェクタ812によるタスクを実行する。この例では、一体型ロボットクローラシステムは、3つの自由端を含み、各自由端は、それぞれ関節リンク機構806a及び906bの少なくとも一部と、それぞれフレームユニット804b、904c、904dとから構成され、フレームユニット804b、904c、及び904dそれぞれが可動機構(例えば、無限軌道)を有する。例えば、第1の自由端は、関節リンク機構806a及びフレームユニット804bの一部を含むか、又はそれによって規定され得る。第2の自由端は、関節リンク機構906b及びフレームユニット904cの一部を含むか、又はそれによって規定され得る。第3の自由端は、関節リンク機構906b及びフレームユニット904dの一部を含むか、又はそれによって規定され得る。
【0116】
図面に示された例を参照し、本明細書ではその例を説明するために特定の言語を使用した。それにも関わらず、それによって技術の範囲を制限するものではないことが理解されよう。本明細書に示される特徴の変更及び更なる修正、及び本明細書に示される例の追加の応用は、説明の範囲内であるとみなされる。
【0117】
本開示は、本明細書に説明したいくつかの実施形態又は特徴が、本明細書で説明した他の実施形態又は特徴と組み合わせることができることを明示的に開示していない場合があるが、本開示は、当業者によって実行可能な任意のそのような組合せを説明していると読むべきである。本開示における「又は」の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、非排他的又は、すなわち「及び/又は」を意味すると理解すべきである。
【0118】
さらに、説明した特徴、構造、又は特徴は、1つ又は複数の例において任意の適切な方法で組み合わせることができる。前述の説明では、説明した技術の例の完全な理解を与えるために、様々な構成の例等、多くの具体的な詳細を提供した。しかしながら、この技術は、1つ又は複数の特定の詳細がなくても、あるいは他の方法、構成要素、装置等を用いて実施できることが認識されよう。他の例では、周知の構造又は動作は、技術の態様を曖昧にするのを避けるために、詳細に図示又は説明していない。
【0119】
主題は、構造的特徴及び/又は動作に特有の言語で説明しているが、添付の特許請求の範囲で規定される主題は、必ずしも上記の特定の特徴及び動作に限定されないことを理解すべきである。むしろ、上記の特定の特徴及び動作は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示される。説明した技術の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの修正及び代替構成を想起することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
【国際調査報告】