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特表2024-502023容器と複数の方向に動作可能なヘッドとを含む点滴器
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  • 特表-容器と複数の方向に動作可能なヘッドとを含む点滴器 図1
  • 特表-容器と複数の方向に動作可能なヘッドとを含む点滴器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】容器と複数の方向に動作可能なヘッドとを含む点滴器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20240110BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A45D34/04 555
B65D83/00 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539899
(86)(22)【出願日】2021-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 CN2021070404
(87)【国際公開番号】W WO2022147674
(87)【国際公開日】2022-07-14
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカテシュ・シェレガー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・オコナー
(72)【発明者】
【氏名】ジンソク・キム
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC03
3E014PC04
3E014PD15
3E014PE14
3E014PF10
(57)【要約】
本発明は、容器(20)とヘッド(25)とを含む点滴器(15)に関し、容器は、長手方向軸(L)に沿って開いた近位端(35)と遠位端(40)との間に延在している。容器は製品保管内容積(45)の範囲を定めている。ヘッドは近位端で堅く取り付けられて、近位端をしっかりと閉じる。ヘッドは、アクチュエータ(75)、およびアクチュエータと近位端との間に取り付けられている変形可能な球状部(70)を含む。変形可能な球状部は、可変容積を有する内室(80)を画定している。アクチュエータは、静止構成と、アクチュエータが球状部を変形させて内室の容積を減少させる分配構成との間で、斜め方向に沿って容器に対して可動である。斜め方向は、長手方向軸に沿った非ゼロ成分と、長手方向軸に対して垂直な横軸に沿った非ゼロ成分とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(20)とヘッド(25)とを含む点滴器(15)であって、前記容器(20)は、長手方向軸(L)に沿って近位端(35)と遠位端(40)との間に延在しており、前記容器(20)は製品保管内容積(45)の範囲を定めており、前記遠位端(40)は開いており、流体製品(10)を前記内容積(45)から外へ分配することを可能にし、前記近位端(35)は開いており、前記ヘッド(25)は前記近位端(35)に堅く取り付けられて、前記近位端(35)をしっかりと閉じており、
前記ヘッド(25)は、アクチュエータ(75)、および前記アクチュエータ(75)と前記近位端(35)との間に取り付けられている変形可能な球状部(70)を含み、前記変形可能な球状部(70)は、可変容積を有する内室(80)を画定しており、
前記アクチュエータ(75)は、
- 前記内室(80)の前記容積が最大である、静止構成と、
- 前記アクチュエータ(75)が前記球状部(70)を変形させて、前記内室(80)の前記容積を減少させ、前記遠位端(40)を通した製品分配を可能にする、分配構成と
の間で、前記容器(20)に対して可動である点滴器(15)において、
前記アクチュエータ(75)は、少なくとも斜め方向(I)に沿って、前記容器(20)に対して可動であり、前記斜め方向(I)は、前記長手方向軸(L)に沿った非ゼロ成分、および前記長手方向軸(L)に対して垂直な横軸に沿った非ゼロ成分を含むことを特徴とする、
点滴器(15)。
【請求項2】
前記アクチュエータ(75)は、前記長手方向軸(L)を中心とした各角度方向で、少なくとも前記斜め方向(I)に沿って、前記容器(20)に対して可動である、請求項1に記載の点滴器(15)。
【請求項3】
前記アクチュエータ(75)は前記変形可能な球状部(70)よりも硬い材料で作製されている、請求項1または2に記載の点滴器(15)。
【請求項4】
前記変形可能な球状部(70)はユーザの指圧下で変形可能であり、前記アクチュエータ(75)はユーザの指圧下でその形状を保つ、請求項3に記載の点滴器(15)。
【請求項5】
前記球状部(70)は、前記長手方向軸(L)を中心として延在する遠位円筒部(85)、および前記円筒部(85)と前記アクチュエータ(75)との間に延在する張り出した近位部(90)を画定している、請求項1から4のいずれか一項に記載の点滴器(15)。
【請求項6】
前記ヘッド(25)は、前記近位端(35)において前記容器(20)の近位ねじ付部(50)に対して回して締められるねじキャップ(76)を含み、前記ねじキャップ(76)は前記変形可能な球状部(70)を前記近位端(35)に気密に接続する、請求項1から5のいずれか一項に記載の点滴器(15)。
【請求項7】
前記変形可能な球状部(70)は、遠位周縁部(95)と、前記遠位縁部(95)の近位に配置されている溝部(100)とを画定しており、前記キャップ(76)はスカート(120)とカラー(125)とを画定しており、前記カラー(125)は前記溝部(100)内に受容され、前記周縁部(95)は前記カラー(125)と前記近位端(35)との間にしっかりと挟まれて、前記ヘッド(25)と前記容器(20)との間に気密性をもたらす、請求項6に記載の点滴器(15)。
【請求項8】
前記アクチュエータ(75)は、
- 頂点(105)と、
- 前記変形可能な球状部(70)に固定されている周囲部(110)と、
- 前記頂点(105)と前記周囲部(110)との間にある少なくとも傾斜面(115)と
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の点滴器(15)。
【請求項9】
傾斜面(115)は円錐である、請求項8に記載の点滴器(15)。
【請求項10】
前記遠位端(40)を少なくとも部分的に閉じるように前記遠位端(40)に取り付けられた分配ノズル(30)を含み、前記ノズル(30)は少なくとも櫛歯(130)を随意に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の点滴器(15)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の点滴器(15)と、容器(20)の内容積(45)内に受容されている化粧製品(10)とを含む、化粧製品アプリケータ(5)。
【請求項12】
化粧製品分配方法であって、製品(10)は、請求項1から10のいずれか一項に記載の点滴器の製品保管内容積(45)内に保管されており、前記方法は、
- 長手方向軸(L)に沿った非ゼロ成分および前記長手方向軸(L)に対して垂直な横軸に沿った非ゼロ成分を含む斜め方向(I)に従って、アクチュエータを動かすステップと、
- 球状部(70)を変形させて、内室(80)の容積を減少させるステップと、
- 遠位端(40)を通して、前記製品(10)を分配するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記長手方向軸(L)を中心とした第1の角度方向で、第1の斜め方向(I1)に沿って、前記アクチュエータ(75)を移動させることによる、第1の製品分配ステップと、前記長手方向軸(L)を中心とした第2の角度方向で、第2の斜め方向(I2)に沿って、前記アクチュエータ(75)を動かすことによる第2の製品分配ステップとを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
開いた近位端(35)を画定している容器(20)用のヘッド(25)であって、長手方向軸(L)を画定しており、前記長手方向軸(L)に沿って、アクチュエータ(75)、および前記アクチュエータ(75)と前記近位端(35)との間に取付け可能な変形可能な球状部(70)を含み、前記変形可能な球状部(70)は、可変容積を有する内室(80)を画定しており、
前記アクチュエータ(75)は、
- 前記内室(80)の容積が最大である、静止構成と、
- 前記アクチュエータ(75)が前記球状部(70)を変形させて、前記内室(80)の前記容積を減少させ、前記遠位端(40)を通した製品分配を可能にする、分配構成と
の間で、前記変形可能な球状部(70)に対して可動であるヘッド(25)において、
前記アクチュエータ(75)は、少なくとも斜め方向(I)に沿って、前記球状部(70)に対して可動であり、前記斜め方向(I)は、前記長手方向軸(L)に沿った非ゼロ成分、および前記長手方向軸(L)に対して垂直な横軸に沿った非ゼロ成分を含むことを特徴とする、
ヘッド(25)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器とヘッドとを含む点滴器に関し、容器は、長手方向軸に沿って近位端と遠位端との間に延在しており、容器は製品保管内容積の範囲を定めており、遠位端は開いており、流体製品を内容積から外へ分配することを可能にし、近位端は開いており、ヘッドは近位端に堅く取り付けられて、近位端をしっかりと閉じる。
ヘッドは、アクチュエータ、およびアクチュエータと近位端との間に取り付けられている変形可能な球状部を含み、変形可能な球状部は、可変容積を有する内室を画定しており、
アクチュエータは、
- 内室の容積が最大である、静止構成と、
- アクチュエータが球状部を変形させて、内室の容積を減少させ、遠位端を通した製品分配を可能にする、分配構成と
の間で、容器に対して可動である。
【背景技術】
【0002】
点滴器は、容器内に保管されているある量の流体製品を分配することを可能にする。
【0003】
流体製品は、詳細には、化粧製品、たとえばケア製品、着色製品またはメイクアップ製品、とすることができる。流体製品は整髪油、美容液、または香水とすることができる。
【0004】
「化粧製品」とは、化粧製品に関する、2009年11月30日付けの欧州議会および理事会のEC規則第1223/2009号において定義されている各製品と理解される。
【0005】
前述のタイプの点滴器では、化粧製品は、一般に、前記製品を分配するための少なくとも1つの開いた端部を含む容器内に含有されている。製品を送達するために、点滴器は、一般に、動作可能な(actionable)部分を含む。
【0006】
既知の方法では、動作可能な部分は、可変内容積を画定している変形可能な球状部を含む。球状部の内容積は空気で満たされている。ユーザは球状部上に圧力を直接または間接的にかけることができ、それによって容器内の空気圧が高まり、製品を、開いた端部を通して点滴器から外へ押し出す。
【0007】
一般に、変形可能な球状部は、ユーザによって接触可能であるか、または点滴器内に隠されている。
【0008】
球状部が接触可能である場合、球状部は、内容積を減少させるために、ユーザが手でつまむことによって動作可能である。
【0009】
球状部が点滴器内に隠されている場合、押されると球状部の内容積の減少を引き起こす押圧ボタンを、点滴器に含ませることが知られている。
【0010】
しかしながら、どちらの場合も、ある手の配置において、球状部をつまむことが困難であり得る。例として、点滴器がユーザの頭部の上方に配置された場合、つまむ動作は実施することが困難であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、点滴器のどんな使用状況であっても、製品の分配がより簡単である点滴器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明の対象はそのような点滴器であり、アクチュエータは、少なくとも斜め方向に沿って、容器に対して可動であり、斜め方向は、長手方向軸に沿った非ゼロ成分と、長手方向軸に対して垂直な横軸に沿った非ゼロ成分とを含む。
【0013】
容器に対して少なくとも傾斜軸に沿ったアクチュエータの可動性は、特にユーザが球状部を容易に押すことができない、点滴器のいくつかの用途において、製品の分配をより簡単にする。これは、特にアクチュエータがユーザの頭部の上方に配置されている場合であり、その場合、ユーザは指をアクチュエータ上により容易に置き、それに力をかけることができる。
【0014】
本発明による点滴器は、長手方向軸を中心とした各角度方向で、少なくとも斜め方向に沿って、アクチュエータが容器に対して可動であるという特徴を含み得る。
【0015】
アクチュエータが、長手方向軸を中心とした各角度方向で、少なくとも斜め方向に沿って可動であるので、製品の分配はより簡単であり、ユーザはアクチュエータを作動させる正しい向きを見つけ出す必要がないので、ユーザ体験を改善する。
【0016】
本発明による点滴器は、アクチュエータが変形可能な球状部よりも硬い材料で作製されるという特徴を含み得る。
【0017】
アクチュエータ用のより硬い材料は、点滴器のより良好な取扱い性および指によるより効率的な作動を実現する。
【0018】
本発明による点滴器は、変形可能な球状部がユーザの指圧下で変形可能であるという特徴も含み得、アクチュエータはユーザの指圧下でその形状を保つ。
【0019】
指圧下で変形可能でないアクチュエータでは、球状部が正しくかつ再現性のある方法で変形させられることをアクチュエータが確実にするので、製品の分配は改善される。
【0020】
本発明による点滴器は、球状部が、長手方向軸を中心として延在する遠位円筒部、および円筒部とアクチュエータとの間に延在する張り出した近位部を画定しているという特徴も含み得る。
【0021】
球状部の形状は、遠位円筒部と近位部との間の結合点において、その変形をより容易にする。このことは、アクチュエータを作動させると、内室の良好な容積減少を確実にする。
【0022】
本発明による点滴器は、ヘッドが、近位端で容器の近位ねじ付部に対して回して締められるねじキャップを含むという特徴も含み得、ねじキャップは変形可能な球状部を近位端に気密接続する。
【0023】
ねじキャップはヘッドと容器との間に良好な気密性をもたらし、それによって、球状部を変形させると、自由な空気が存在しないことが確実になる。
【0024】
さらに、ねじキャップは回し外されて、近位端を通して容器内に製品を補充することが可能である。
【0025】
本発明による点滴器は、変形可能な球状部が遠位周縁部と、遠位縁部の近位に配置されている溝部とを画定するという特徴も含み得、キャップはスカートおよびカラーを画定し、カラーは溝部内に受容され、周縁部はカラーと近位端との間にしっかりと挟まれて、ヘッドと容器との間に気密性をもたらす。
【0026】
溝部、カラー、および容器の近位端間の協働は、球状部を変形させると、ヘッドと容器との間に良好な気密性をもたらす。
【0027】
本発明による点滴器は、アクチュエータが、
- 頂点と、
- 変形可能な球状部に固定されている周囲部と、
- 頂点と周囲部との間にある少なくとも傾斜面と
を含むという特徴を含み得る。
【0028】
アクチュエータの形状が、アクチュエータを斜め方向に動かすために、ユーザの指が頂点から周囲へ誘導されることを可能にするので、アクチュエータの形状は製品分配をより簡単にする。
【0029】
本発明による点滴器は、傾斜面が円錐であるという特徴を含み得る。
【0030】
製品を送達するために、傾斜面の円錐形状は、アクチュエータを動かすのに良い形状であると同時に、ユーザが傾斜面上のどこを所望しても、ユーザが自身の指を配置することを可能にする。
【0031】
本発明による点滴器は、遠位端に取り付けられている分配ノズルが遠位端を少なくとも部分的に閉じるという特徴を含み得、ノズルは少なくとも櫛歯を随意に含む。
【0032】
分配ノズルは、製品分配場所の精度を向上させる。
【0033】
また、本発明は、点滴器と、容器の内容積内に受容される化粧製品とを含む化粧製品アプリケータに関する。
【0034】
そのようなアプリケータは、前述の利点の利益をもたらすと同時に、ユーザが化粧製品を塗布することを可能にする。
【0035】
また、本発明は化粧製品分配方法に関し、製品は、前述されているように点滴器の製品保管内容積内に保管されており、本方法は、
- 長手方向軸に沿った非ゼロ成分および長手方向軸に対して垂直な横軸に沿った非ゼロ成分を含む斜め方向に従って、アクチュエータを動かすステップと、
- 球状部を変形させて、内室の容積を減少させるステップと、
- 遠位端を通して、製品を分配するステップと
を含む、方法。
【0036】
本方法は、ユーザに、点滴器から化粧製品を塗布するために従うべき手順を提供する。
【0037】
本発明による方法は、長手方向軸を中心とした第1の角度方向で、第1の斜め方向に沿ってアクチュエータを動かすことによる第1の製品分配ステップと、長手方向軸を中心とした第2の角度方向で、第2の斜め方向に沿ってアクチュエータを動かすことによる第2の製品分配ステップとを含み得る。
【0038】
この用途は、そのアクチュエータが複数の方向に動かされるとき製品を送達する、点滴器の能力を強調する。
【0039】
また、本発明は、長手方向軸を画定しており、長手方向軸に沿って、アクチュエータ、およびアクチュエータと近位端との間に取付け可能な変形可能な球状部とを含み、変形可能な球状部は、可変容積を有する内室を画定している、開いた近位端を画定している容器用のヘッドであって、
アクチュエータは、
- 内室の容積が最大である、静止構成と、
- アクチュエータが球状部を変形させて、内室の容積を減少させ、遠位端を通る製品分配を可能にする、分配構成と
の間で、変形可能な球状部に対して可動であり、
アクチュエータは、少なくとも斜め方向に沿って、球状部に対して可動であり、斜め方向は、長手方向軸に沿った非ゼロ成分および長手方向軸に対して垂直な横軸に沿った非ゼロ成分を含む、
ヘッド、に関する。
【0040】
このヘッドは、製品の容器上に取り付けられると、前述の利点の利益をもたらすと同時に、前記製品の分配を作動させることを可能にする。
【0041】
本発明は、単に例として与えられている次の説明を読み、かつ添付の図面を参照すると、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明による、化粧製品アプリケータの図である。
図2図1の化粧製品アプリケータ内に含まれている点滴器のヘッドの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明による化粧製品アプリケータ5が図1および図2に示されている。アプリケータ5は、点滴器15内に保管されている化粧製品10を含む。
【0044】
化粧製品10は、たとえば、水性溶液などの液体、またはシャンプー、コンディショナー、保湿クリームもしくは日焼け止め剤のような粘性溶液である。
【0045】
点滴器15は、容器20と、容器20を閉じるヘッド25と、分配ノズル30とを含む。
【0046】
容器20は、長手方向軸Lに沿って、近位端35と遠位端40との間に延在する。長手方向軸は、明らかに、容器20の横断面の中心を通過する。
【0047】
容器20の近位端35および遠位端40は開口部を画定している。
【0048】
容器20は、たとえば、円形横断面を備えて、実質的に円筒形である。容器は、化粧製品10が保管される製品保管内容積45の範囲を定める。化粧製品10は、遠位端40を通して、内容積45から外へ分配される。
【0049】
また、容器20は、長手方向軸Lに沿って近位端35から延在する近位ねじ付部分50を画定している。容器20は、容器20の残部から近位ねじ付部分50の範囲を定める近位肩状部55を画定していることが有利である。
【0050】
容器20は、遠位端40に、長手方向軸Lに沿って遠位端40から延在する遠位ねじ付部分60を画定している。容器20は、容器20の残部から遠位ねじ付部分60の範囲を定める遠位肩状部65を画定していることが有利である。
【0051】
ヘッド25は容器20の近位端35において受容される。ヘッド25は近位端35に堅く取り付けられて、近位端35をしっかりと閉じる。
【0052】
ヘッド25は、変形可能な球状部70と、アクチュエータ75と、有利にはねじキャップ76とを含む。
【0053】
球状部70は近位端35とアクチュエータ75との間に取り付けられている。球状部70は、たとえば、熱可塑性エラストマー(TPE)などのエラストマーで作製されている。
【0054】
球状部70は、球状部70の変形に応じて変化する容積を表す内室80を画定している。
【0055】
球状部70は、長手方向軸Lを中心として延在する遠位円筒部85と、遠位円筒部85とアクチュエータ75との間にある張り出した近位部90とを含む。
【0056】
遠位円筒部85は、容器20の近位ねじ付部分50によって形成されている断面よりもわずかに小さい内横断面を画定している。
【0057】
遠位円筒部85は、近位ねじ付部分50、および長手方向軸Lから離れて開いている環状溝部100と接触している遠位周縁部95を画定している。
【0058】
張り出した近位部90は、長手方向軸Lに沿って遠位円筒部85からアクチュエータ75まで延在する。張り出した近位部は、アクチュエータ75内に挿入されている近位逆縁部を含む。
【0059】
張り出した近位部90は、遠位円筒部85とアクチュエータ75との間に球部分を画定していることが有利である。より具体的には、遠位円筒部85と張り出した近位部90との間の結合点に形成されている角度が、45°~90°から成り、好ましくは90°に等しい。これは、前記結合点、球状部70の変形のためのヒンジを成す。
【0060】
張り出した近位部90はアクチュエータ75に対して封止されて、これら2つの要素間の気密性を保証する。したがって、張り出した近位部90は、たとえば、アクチュエータ75に接着されるかまたはスナップ留めされる。
【0061】
あるいは、球状部70は、(ともに射出される)バイインジェクション、オーバーモールドのような様々な技術ルートによって、アクチュエータと結合されるか、または超音波溶接プロセスもしくはレーザ溶接プロセスなどの別個の溶接プロセスによって結合される。
【0062】
アクチュエータ75は球状部70よりも硬い材料で作製される。より具体的には、アクチュエータ75はユーザの指圧下でその形状を保ち、一方、変形可能な球状部70はユーザの指圧下で変形する。アクチュエータは、たとえば、熱可塑性プラスチックポリエチレンもしくはポリプロピレン、または金属で構成されている。
【0063】
ユーザの指によってかけられる力は、通常、100Nよりも小さく、それはアクチュエータ75を変形させるのに十分でない。
【0064】
アクチュエータ75は、実質的に長手方向軸L上に配置されている頂点105から、変形可能な球状部70、より正確には張り出した近位部90に固定されている周囲部110まで延在する。
【0065】
頂点105は周囲部110よりも容器20からより近位である。
【0066】
頂点105と周囲部110との間に、アクチュエータ75は傾斜面115を含む。
【0067】
傾斜面115は、長手方向軸Lを中心とした任意の回転によって対称であり、それを円錐にしていることが有利である。あるいは、傾斜面115は、把持設計を助ける、軸に亘る設計の統一性を有する、ドーム状面、円錐面、または平坦な円筒面である。
【0068】
アクチュエータ75は、内室80の容積が最大である静止構成と、アクチュエータ75が球状部70を変形させて内室80の容積を減少させる分配構成との間で、容器20に対して可動である。
【0069】
アクチュエータ75の静止構成では、球状部70はその静止構成を有すると言われる。
【0070】
アクチュエータ75の静止構成から分配構成への移行が、長手方向軸に対して傾斜させられている方向lに沿った、ユーザの指圧によって得られる。
【0071】
斜め方向は、長手方向軸Lに沿った非ゼロ成分と、長手方向軸Lに対して垂直な横軸Tに沿った非ゼロ成分とを含む。アクチュエータ75は、長手方向軸Lを中心とした各角度方向で、少なくとも1つの斜め方向Iに沿って、容器20に対して可動であることが有利である。
【0072】
詳細には、アクチュエータ75は、長手方向軸Lを中心とした正中面の角度方向がどうであろうと、長手方向軸Lを通過する各正中面内に画定される斜め方向Iに沿って可動である。
【0073】
アクチュエータ75の分配構成から静止構成への移行が、その静止構成を回復させる球状部70の自発時挙動によって得られる。そのような移行は、斜め方向Iのアクチュエータ75の動作も引き起こす。
【0074】
分配構成では、アクチュエータ75はねじキャップ76に当接して、内室80の容積を最小容積まで減少させる。これは、静止構成と分配構成との間の移行中に送達される化粧製品10の量が第1の移行、第2の移行、または第10の移行中に実質的に同一であることを確実にする。
【0075】
ねじキャップ76は、球状部70と容器20の近位端35との間に気密性をもたらす。ねじキャップ76はスカート120およびカラー125を画定している。
【0076】
スカート120はねじが切られ、近位ねじ付部分50と協働して、容器20の近位端35において、キャップ76を回して締める。
【0077】
カラー125は遠位円筒部85の溝部100内に受容される。したがって、遠位周縁部95は、カラー125と近位端35との間にしっかりと挟まれて、ヘッド25と容器20との間に機密性をもたらす。
【0078】
容器20が近位肩状部55を画定する場合、アプリケータ5を実質的に円筒形にして、ユーザにとってのより良好な取扱い性を実現するために、キャップ76の外側断面が容器20の外側断面と実質的に等しいことが有利である。
【0079】
より正確には、アクチュエータ75の分配構成において、遠位周縁部95はねじキャップ76のカラー125上に当接する。
【0080】
分配ノズル30は遠位ねじ付部分60に固定される。分配ノズル30は、たとえば、遠位ねじ付部分60に対して回して締められる。したがって、分配ノズル30は、遠位ねじ付部分60と協働するねじ内面を含む。
【0081】
ノズル30は遠位端40を部分的に閉じる。
【0082】
分配ノズル30は、少なくとも1つの櫛歯130、および好ましくは複数の櫛歯130を含むことが有利である。
【0083】
櫛歯130は、彼/彼女の頭皮上に化粧製品を送達するために、ユーザが彼/彼女の毛髪を梳かすことを可能にする。
【0084】
ここで、化粧製品分配方法について、点滴器15内に含有されている化粧製品10を彼/彼女の頭皮上に塗布することを所望するユーザの例において説明する。
【0085】
アクチュエータ75は、最初に、静止構成にある。
【0086】
随意の梳かすステップにおいて、ユーザは、分配ノズル30が彼/彼女の頭皮へ到達するまで、分配ノズル30の櫛歯130を用いて彼/彼女の毛髪を櫛で梳かす。
【0087】
配置するステップの間、ユーザは彼/彼女の指をアクチュエータ75上に配置する。ユーザは彼/彼女の親指または人指し指を傾斜面115上に置くことが有利である。
【0088】
次いで、作動ステップ中、ユーザは、アクチュエータ75の遠位周縁部95がねじキャップ76のカラー125に当接するまで、長手方向軸Lを中心とした第1の配向で、第1の斜め方向I1に沿ってアクチュエータを押すかまたは引く。球状部70はこのように変形され、内室80の容積を減少させる。内室80の容積減少は、容器20の製品保管内容積45内の空気圧上昇を引き起こす。圧力上昇に因り、化粧製品10は、分配ノズル30を通して、製品保管内容積45から外へ押し出される。
【0089】
次いで、塗布ステップ中、化粧製品10はユーザの頭皮に到達する。
【0090】
回復ステップ中、ユーザはアクチュエータ75を押すことまたは引くことを停止する。したがって、球状部70は、その静止構成へ自然に戻り、アクチュエータ75を静止構成へ戻し動かす。この動作は、内室80の容積増加を引き起こし、容器20の製品保管内容積45内の空気減圧を引き起こす。その結果として、外気が、分配ノズル30を通して内容積45内に吸い込まれる。容器20に侵入すると、外気は化粧製品10を通って流動し、球状部70の内室80に到達する。
【0091】
この後、ユーザが新しい量の化粧製品10を塗布することを所望する場合、彼/彼女は、2回目に化粧製品分配方法を繰り返し行う。化粧製品分配方法のこの第2の繰返しの間、ユーザは、長手方向軸Lを中心とした第2の角度方向で、第2の斜め方向I2に沿ってアクチュエータ75を押すかまたは引くことができ、第1の斜め方向I1と第2の斜め方向I2とははっきりと異なる。作動ステップ中に起こる圧力現象は同様である。したがって、同量の化粧製品10は、化粧製品分配方法の第1の繰返しの間と同様に、化粧製品分配方法の第2の繰返しの間に送達される。
【0092】
点滴器15は任意の配向で容易に使用され得るので、本発明による点滴器15が化粧製品の分配を簡単にすることが、当業者には明らかである。
【0093】
変形形態(図示せず)において、容器は、球状部内に含有される空気から製品を分離するピストンを含む。
【符号の説明】
【0094】
5 化粧製品アプリケータ
10 化粧製品
15 点滴器
20 容器
25 ヘッド
30 分配ノズル
35 (容器の)近位端
40 (容器の)遠位端
45 製品保管内容積
50 近位ねじ付部分
55 近位肩状部
60 遠位ねじ付部分
65 遠位肩状部
70 変形可能な球状部
75 アクチュエータ
76 ねじキャップ
80 内室
85 遠位円筒部
90 張り出した近位部
95 遠位周縁部
100 環状溝部
105 頂点
110 周囲部
115 傾斜面
120 スカート
125 カラー
130 櫛歯
I 斜め方向
I1 第1の斜め方向
I2 第2の斜め方向
L 長手方向軸
T 横軸
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(20)とヘッド(25)とを含む点滴器(15)であって、前記容器(20)は、長手方向軸(L)に沿って近位端(35)と遠位端(40)との間に延在しており、前記容器(20)は製品保管内容積(45)の範囲を定めており、前記遠位端(40)は開いており、流体製品(10)を前記内容積(45)から外へ分配することを可能にし、前記近位端(35)は開いており、前記ヘッド(25)は前記近位端(35)に堅く取り付けられて、前記近位端(35)をしっかりと閉じており、
前記ヘッド(25)は、アクチュエータ(75)、および前記アクチュエータ(75)と前記近位端(35)との間に取り付けられている変形可能な球状部(70)を含み、前記変形可能な球状部(70)は、可変容積を有する内室(80)を画定しており、
前記アクチュエータ(75)は、
- 前記内室(80)の前記容積が最大である、静止構成と、
- 前記アクチュエータ(75)が前記球状部(70)を変形させて、前記内室(80)の前記容積を減少させ、前記遠位端(40)を通した製品分配を可能にする、分配構成と
の間で、前記容器(20)に対して可動である点滴器(15)において、
前記アクチュエータ(75)は、少なくとも斜め方向(I)に沿って、前記容器(20)に対して可動であり、前記斜め方向(I)は、前記長手方向軸(L)に沿った非ゼロ成分、および前記長手方向軸(L)に対して垂直な横軸に沿った非ゼロ成分を含むことを特徴とする、
点滴器(15)。
【請求項2】
前記アクチュエータ(75)は、前記長手方向軸(L)を中心とした各角度方向で、少なくとも前記斜め方向(I)に沿って、前記容器(20)に対して可動である、請求項1に記載の点滴器(15)。
【請求項3】
前記アクチュエータ(75)は前記変形可能な球状部(70)よりも硬い材料で作製されている、請求項1に記載の点滴器(15)。
【請求項4】
前記変形可能な球状部(70)はユーザの指圧下で変形可能であり、前記アクチュエータ(75)はユーザの指圧下でその形状を保つ、請求項3に記載の点滴器(15)。
【請求項5】
前記球状部(70)は、前記長手方向軸(L)を中心として延在する遠位円筒部(85)、および前記円筒部(85)と前記アクチュエータ(75)との間に延在する張り出した近位部(90)を画定している、請求項1に記載の点滴器(15)。
【請求項6】
前記ヘッド(25)は、前記近位端(35)において前記容器(20)の近位ねじ付部(50)に対して回して締められるねじキャップ(76)を含み、前記ねじキャップ(76)は前記変形可能な球状部(70)を前記近位端(35)に気密に接続する、請求項1に記載の点滴器(15)。
【請求項7】
前記変形可能な球状部(70)は、遠位周縁部(95)と、前記遠位周縁部(95)の近位に配置されている溝部(100)とを画定しており、前記キャップ(76)はスカート(120)とカラー(125)とを画定しており、前記カラー(125)は前記溝部(100)内に受容され、前記周縁部(95)は前記カラー(125)と前記近位端(35)との間にしっかりと挟まれて、前記ヘッド(25)と前記容器(20)との間に気密性をもたらす、請求項6に記載の点滴器(15)。
【請求項8】
前記アクチュエータ(75)は、
- 頂点(105)と、
- 前記変形可能な球状部(70)に固定されている周囲部(110)と、
- 前記頂点(105)と前記周囲部(110)との間にある少なくとも傾斜面(115)と
を含む、請求項1に記載の点滴器(15)。
【請求項9】
傾斜面(115)は円錐である、請求項8に記載の点滴器(15)。
【請求項10】
前記遠位端(40)を少なくとも部分的に閉じるように前記遠位端(40)に取り付けられた分配ノズル(30)を含み、前記ノズル(30)は少なくとも櫛歯(130)を随意に含む、請求項1に記載の点滴器(15)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の点滴器(15)と、容器(20)の内容積(45)内に受容されている化粧製品(10)とを含む、化粧製品アプリケータ(5)。
【請求項12】
化粧製品分配方法であって、製品(10)は、請求項1から10のいずれか一項に記載の点滴器の製品保管内容積(45)内に保管されており、前記方法は、
- 長手方向軸(L)に沿った非ゼロ成分および前記長手方向軸(L)に対して垂直な横軸に沿った非ゼロ成分を含む斜め方向(I)に従って、アクチュエータを動かすステップと、
- 球状部(70)を変形させて、内室(80)の容積を減少させるステップと、
- 遠位端(40)を通して、前記製品(10)を分配するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記長手方向軸(L)を中心とした第1の角度方向で、第1の斜め方向(I1)に沿って、前記アクチュエータ(75)を移動させることによる、第1の製品分配ステップと、前記長手方向軸(L)を中心とした第2の角度方向で、第2の斜め方向(I2)に沿って、前記アクチュエータ(75)を動かすことによる第2の製品分配ステップとを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
開いた近位端(35)を画定している容器(20)用のヘッド(25)であって、長手方向軸(L)を画定しており、前記長手方向軸(L)に沿って、アクチュエータ(75)、および前記アクチュエータ(75)と前記近位端(35)との間に取付け可能な変形可能な球状部(70)を含み、前記変形可能な球状部(70)は、可変容積を有する内室(80)を画定しており、
前記アクチュエータ(75)は、
- 前記内室(80)の容積が最大である、静止構成と、
- 前記アクチュエータ(75)が前記球状部(70)を変形させて、前記内室(80)の前記容積を減少させ、前記遠位端(40)を通した製品分配を可能にする、分配構成と
の間で、前記変形可能な球状部(70)に対して可動であるヘッド(25)において、
前記アクチュエータ(75)は、少なくとも斜め方向(I)に沿って、前記球状部(70)に対して可動であり、前記斜め方向(I)は、前記長手方向軸(L)に沿った非ゼロ成分、および前記長手方向軸(L)に対して垂直な横軸に沿った非ゼロ成分を含むことを特徴とする、
ヘッド(25)。
【国際調査報告】