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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ハイブリッド半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240110BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240110BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01L29/78 301P
H01L29/78 301D
H01L29/78 301S
H01L27/088 B
H01L27/088 A
H01L29/06 301F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539960
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 US2021065280
(87)【国際公開番号】W WO2022146964
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】17/136,816
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ボグスロー コクン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー リッツマン エドワーズ
【テーマコード(参考)】
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
5F048AC01
5F048BA01
5F048BA12
5F048BA14
5F048BA15
5F048BB05
5F048BB09
5F048BB19
5F048BC03
5F048BC07
5F048BD06
5F048BD07
5F048BF02
5F048BF07
5F048CB07
5F140AC21
5F140AC22
5F140BA01
5F140BA02
5F140BA03
5F140BA05
5F140BA06
5F140BA07
5F140BA16
5F140BA18
5F140BB04
5F140BB06
5F140BD04
5F140BD05
5F140BD07
5F140BF04
5F140BF05
5F140BF43
5F140BF45
5F140BH05
5F140BH30
5F140BH47
5F140BJ08
5F140BJ15
5F140CC02
5F140CC03
5F140CC08
5F140CD08
(57)【要約】
半導体デバイスがスイッチ素子(120)を含み、スイッチ素子(120)は、表面と第1及び第2の領域(121、122)とを有し、或るバンドギャップを有する第1の半導体材料を含む。スイッチ素子(120)の第1の領域(121)は、ソースコンタクト(110)に結合される。浮遊電極(130)が、第1及び第2の端部(131、132)を有する。浮遊電極(130)の第1の端部(131)は、スイッチ素子(120)の第2の領域(122)に結合される。電圧支持構造(140)が、第1の半導体材料のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する第2の半導体材料を含む。電圧支持構造は、浮遊電極(140)の第2の端部(132)と接触している。ドレインコンタクト(150)が、電圧支持構造(140)に結合される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
表面と、第1の領域及び第2の領域とを有するスイッチ素子であって、前記スイッチ素子が、或るバンドギャップを有する第1の半導体材料を含み、前記スイッチ素子の前記第1の領域がソースコンタクトに結合される、前記スイッチ素子と、
第1の端部及び第2の端部を有する浮遊電極であって、前記浮遊電極の前記第1の端部が前記スイッチ素子の前記第2の領域に結合される、前記浮遊電極と、
前記第1の半導体材料のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する第2の半導体材料を含む電圧支持構造であって、前記浮遊電極の前記第2の端部と接触している、前記電圧支持構造と、
前記電圧支持構造に結合されるドレインコンタクトと、
を含む、半導体デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記浮遊電極が、金属又はシリサイドのうちの少なくとも1つを含む、半導体デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、
前記浮遊電極の前記第1の端部が、前記スイッチ素子の前記第2の領域とオーミック接触しており、
前記浮遊電極の前記第2の端部が、前記電圧支持構造とオーミック接触している、
半導体デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記スイッチ素子が、ダイオード、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタのうちの少なくとも1つである、半導体デバイス。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体デバイスであって、
前記スイッチ素子が電界効果トランジスタを含み、
前記電界効果トランジスタがp型電界効果トランジスタ又はn型電界効果トランジスタである、
半導体デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体デバイスであって、前記スイッチ素子が横方向拡散金属酸化物半導体電界効果トランジスタである、半導体デバイス。
【請求項7】
請求項5に記載の半導体デバイスであって、前記スイッチ素子がゲートを含む、半導体デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体デバイスであって、前記スイッチ素子の前記ゲートが、前記スイッチ素子の前記表面に対して垂直の方向に延在するか又は前記スイッチ素子の前記表面に対して平行の方向に延在する、半導体デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記第2の半導体材料が、炭化ケイ素又は窒化ガリウムのうちの少なくとも1つを含む、半導体デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記第2の半導体材料がナノチューブ材料を含む、半導体デバイス。
【請求項11】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記第1の半導体材料が、シリコン、ゲルマニウム、又はガリウム砒素のうちの少なくとも1つを含む、半導体デバイス。
【請求項12】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記ドレインコンタクトに向かって延在する電界制御素子を更に含む、半導体デバイス。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体デバイスであって、前記電界制御素子が、前記ソースコンタクト又は別の電圧コンタクトに電気的に結合されるフィールドプレートである、半導体デバイス。
【請求項14】
請求項12に記載の半導体デバイスであって、
前記電界制御素子が前記スイッチ素子の第3の領域であり、
前記スイッチ素子の前記第3の領域が、前記ソースコンタクトに結合され、前記ドレインコンタクトに向かって延在する、半導体デバイス。
【請求項15】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、前記電圧支持構造が、前記スイッチ素子上にあり、前記スイッチ素子の前記表面に対して垂直の方向に延在する、半導体デバイス。
【請求項16】
請求項1に記載の半導体デバイスであって、
前記電圧支持構造が前記スイッチ素子の前記表面に対して平行の方向に延在し、
前記電圧支持構造が少なくとも部分的に前記スイッチ素子に囲まれている、半導体デバイス。
【請求項17】
半導体デバイスであって、
ソースコンタクトと、
スイッチ素子であって、
表面と、
第1のドーピング極性であり、チャネル領域を含む、第1の半導体領域と、
第2のドーピング極性であり、前記ソースコンタクト及び前記第1の半導体領域と接触している、ソース領域と、
前記第2のドーピング極性であり、前記第1の半導体領域と接触している、ドレイン領域と、
前記第1の半導体領域の前記チャネル領域に対応するゲートであって、前記第1の半導体領域、前記ソース領域、及び前記ドレイン領域が各々、或るバンドギャップを有する第1の半導体材料を含む、前記ゲートと、
を有する、前記スイッチ素子と、
第1の端部及び第2の端部を有する浮遊電極であって、前記浮遊電極の前記第1の端部が前記スイッチ素子の前記ドレイン領域に結合される、前記浮遊電極と、
前記第1の半導体材料の前記バンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する第2の半導体材料を含む電圧支持構造であって、前記浮遊電極の前記第2の端部と接触している、前記電圧支持構造と、
前記電圧支持構造に結合されるドレインコンタクトと、
を含む、半導体デバイス。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体デバイスであって、前記電圧支持構造が、前記スイッチ素子上にあり、前記スイッチ素子の前記表面に対して垂直の方向に延在する、半導体デバイス。
【請求項19】
半導体デバイスを形成するための方法であって、
或るバンドギャップを有する第1の半導体材料を含むスイッチ素子を形成することと、
第1の端部及び第2の端部を有する浮遊電極を形成することであって、前記浮遊電極の前記第1の端部が前記スイッチ素子に結合される、前記浮遊電極を形成することと、
前記第1の半導体材料の前記バンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する第2の半導体材料を含む電圧支持構造を形成することと、
前記スイッチ素子に結合されるソースコンタクトを形成することと、
前記電圧支持構造に結合されるドレインコンタクトを形成することと、
電界制御素子を形成することと、
を含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記第1の半導体材料が、シリコン、ゲルマニウム、又はガリウム砒素のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
シリコンスイッチングデバイスなどの半導体スイッチングデバイスには、広範囲の用途がある。半導体スイッチングデバイスには、ダイオード、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)などが含まれる。例えば、シリコンの横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)電界効果トランジスタ(FET)を、パワーエレクトロニクス産業においてパワースイッチとして用いることができる。
【発明の概要】
【0002】
いくつかの例において、半導体デバイスがスイッチ素子を含み、スイッチ素子は、表面と第1及び第2の領域とを有し、また、或るバンドギャップを有する第1の半導体材料を含む。スイッチ素子の第1の領域は、ソースコンタクトに結合される。浮遊電極が、第1及び第2の端部を有する。浮遊電極の第1の端部は、スイッチ素子の第2の領域に結合される。電圧支持構造が、第1の半導体材料のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する第2の半導体材料を含む。電圧支持構造は、浮遊電極の第2の端部と接触している。ドレインコンタクトが、電圧支持構造に結合される。
【0003】
或る例において、半導体デバイスがソースコンタクトを含む。スイッチ素子が或る表面を有する。第1の半導体領域が、第1のドーピング極性であり、チャネル領域を含む。ソース領域が、第2のドーピング極性であり、ソースコンタクト及び第1の半導体領域と接触している。ドレイン領域が、第2のドーピング極性であり、第1の半導体領域と接触している。ゲートが、第1の半導体領域のチャネル領域に対応する。第1の半導体領域、ソース領域、及びドレイン領域はそれぞれ、或るバンドギャップを有する第1の半導体材料を含む。浮遊電極が第1及び第2の端部を有する。浮遊電極の第1の端部は、スイッチ素子のドレイン領域に結合される。電圧支持構造が、第1の半導体材料のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する第2の半導体材料を含む。電圧支持構造は、浮遊電極の第2の端部と接触している。ドレインコンタクトが、電圧支持構造に結合される。
【0004】
或る例において、半導体デバイスを形成するための形成方法が、或るバンドギャップを有する第1の半導体材料を含むスイッチ素子を形成することを含む。第1及び第2の端部を有する浮遊電極が形成される。浮遊電極の第1の端部は、スイッチ素子に結合される。電圧支持構造が形成される。電圧支持構造は、第1の半導体材料のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する第2の半導体材料を含む。ソースコンタクトが形成され、スイッチ素子に結合される。ドレインコンタクトが形成され、電圧支持構造に結合される。電界制御素子が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
様々な例の詳細な説明のために、添付図面をこれより参照する。
【0006】
図1】説明される例に従った、例示のハイブリッド半導体デバイスのブロック図を示す。
【0007】
図2】ハイブリッド半導体デバイスを形成するための例示の方法のフローチャートを示す。
【0008】
図3】説明される例に従った、例示のハイブリッド半導体デバイスの形成における様々な段階での構造の断面図を示す。
図4】説明される例に従った、例示のハイブリッド半導体デバイスの形成における様々な段階での構造の断面図を示す。
図5】説明される例に従った、例示のハイブリッド半導体デバイスの形成における様々な段階での構造の断面図を示す。
図6】説明される例に従った、例示のハイブリッド半導体デバイスの形成における様々な段階での構造の断面図を示す。
図7】説明される例に従った、例示のハイブリッド半導体デバイスの形成における様々な段階での構造の断面図を示す。
図8】説明される例に従った、例示のハイブリッド半導体デバイスの形成における様々な段階での構造の断面図を示す。
図9】説明される例に従った、例示のハイブリッド半導体デバイスの形成における様々な段階での構造の断面図を示す。
図10】説明される例に従った、例示のハイブリッド半導体デバイスの形成における様々な段階での構造の断面図を示す。
図11】説明される例に従った、例示のハイブリッド半導体デバイスの形成における様々な段階での構造の断面図を示す。
【0009】
図12図11のハイブリッド半導体デバイスを形成するための別の例示の方法のフローチャートを示す。
【0010】
図13図11のハイブリッド半導体デバイスの別の例示の断面図を示す。
【0011】
図14図11のハイブリッド半導体デバイスの別の例示の断面図を示す。
【0012】
図15】説明される例に従った、別の例示のハイブリッド半導体デバイスの断面図を示す。
【0013】
図16】別の例示のハイブリッド半導体デバイスの形成における様々な段階での構造の断面図を示す。
図17】別の例示のハイブリッド半導体デバイスの形成における様々な段階での構造の断面図を示す。
図18】別の例示のハイブリッド半導体デバイスの形成における様々な段階での構造の断面図を示す。
図19】別の例示のハイブリッド半導体デバイスの形成における様々な段階での構造の断面図を示す。
図20】別の例示のハイブリッド半導体デバイスの形成における様々な段階での構造の断面図を示す。
図21】別の例示のハイブリッド半導体デバイスの形成における様々な段階での構造の断面図を示す。
図22】別の例示のハイブリッド半導体デバイスの形成における様々な段階での構造の断面図を示す。
【0014】
図23図22のハイブリッド半導体デバイスを形成するための例示の方法のフローチャートを示す。
【0015】
図24】説明される例に従った、別の例示のハイブリッド半導体デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
シリコンデバイスの進歩は減速してきており、最終的にはシリコン材料の特性によって制限される。30年以上ものシリコン加工の発展を経て、現行の半導体製造を用いる能力は、横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)電界効果トランジスタ(FET)などの半導体デバイスを製造するときにおいて迅速な採用及び改善されたコストパフォーマンスへの道筋となる。
【0017】
説明される例は、ハイブリッド半導体デバイス、並びに、ハイブリッド半導体デバイスを形成するための形成方法を含む。例示されるハイブリッド半導体デバイスは、ソースコンタクトと、或るバンドギャップを有する第1の半導体材料を有するスイッチ素子と、第1の半導体材料のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する第2の半導体材料を含む電圧支持構造と、スイッチ素子と電圧支持構造との間にあり、スイッチ素子を電圧支持構造に結合する浮遊電極と、電圧支持構造に結合するドレインコンタクトと、1つ又は複数の電界制御素子とを含む。ハイブリッド半導体デバイスは、シリコンスイッチ素子などの信頼できるスイッチ素子をワイドバンドギャップ(WBG)半導体と組み合わせてもよい。ハイブリッド半導体デバイスにおけるWBG半導体は、シリコンスイッチ素子/部分などの、ハイブリッド半導体デバイスの他の部分に印加された電圧が低減され得るよう、ハイブリッド半導体デバイスに印加電圧の一部又は大部分をとるための電圧支持領域を提供し得る。したがって、ハイブリッド半導体デバイスの臨界電圧は上げられ得る。
【0018】
図1は、説明される例に従った、例示のハイブリッド半導体デバイスのブロック図を示す。ハイブリッド半導体デバイス100は、ソースコンタクト110と、或るバンドギャップ(すなわち、エネルギーバンドギャップ)を有する第1の半導体材料を有するスイッチ素子120と、スイッチ素子120の第1の半導体材料のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有するワイドバンドギャップ(WBG)半導体材料を含む電圧支持構造140と、スイッチ素子120と電圧支持構造140との間にあり、スイッチ素子120を電圧支持構造140に結合する浮遊電極130と、電圧支持構造140に結合するドレインコンタクト150と、電界制御素子160とを含む。浮遊電極130は、第1の端部131及び第2の端部132を有し、浮遊電極130の第1の端部131は、スイッチ素子120に結合されスイッチ素子120とオーミック接触しており、浮遊電極130の第2の端部32は、電圧支持構造140に結合され電圧支持構造140とオーミック接触している。浮遊電極は、結合される構成要素以外の付加的な電圧又は電流端子と接触することなく、第1の構成要素を第2の構成要素に電気的に結合してもよい。いくつかの例において、スイッチ素子120の第1の半導体材料は、シリコン、ゲルマニウム、又はガリウム砒素のうちの1つを少なくとも含む。
【0019】
いくつかの例において、浮遊電極130の第1の端部131は、スイッチ素子120の第2の領域122とオーミック接触しており、浮遊電極130の第2の端部132は、電圧支持構造140とオーミック接触しており、スイッチ素子120の第1の領域は、ソースコンタクト110とオーミック接触している。いくつかの例において、電界制御素子160は、スイッチ素子120からドレインコンタクト150に向かって延在する。
【0020】
構造/構成要素110、120、130、140、150、及び160は、互いに対して、例えば、面内方向、面外方向、及び/又は任意の他の好適な方向などの様々な方向に、用途シナリオに応じて構成され得る。一例では、電圧支持構造140は浮遊電極130上にあり、スイッチ素子120は面外方向に沿っている。別の例において、電圧支持構造140は浮遊電極130に隣接しており、スイッチ素子120は面内方向に沿っている。
【0021】
ドープされた半導体は、電子受容体ドーパントでドープされたp型半導体、又は電子供与体ドーパントでドープされたn型半導体とし得る。下記のドーピングレベルの任意のものが、様々な用途シナリオに応じてハイブリッド半導体デバイスの構成要素に選ばれ得る。p型半導体のドーピングレベルは、3×1016cm-3未満のp-ドーピングレベル、3×1016cm-3~1×1019cm-3の範囲のpドーピングレベル、又は1×1019cm-3より高いp+ドーピングレベルとし得る。n型半導体のドーピングレベルは、3×1016cm-3未満のn-ドーピングレベル、3×1016cm-3~1×1019cm-3の範囲のnドーピングレベル、又は1×1019cm-3より高いn+ドーピングレベルとし得る。ドーピング極性は、p型ドーピング又はn型ドーピングを参照し得る。
【0022】
図2は、これ以降に図1を参照して説明する、ハイブリッド半導体デバイスを形成するための例示の方法のフローチャートを示す。
【0023】
S701において、或るバンドギャップを有する第1の半導体材料を含むスイッチ素子が形成される。いくつかの例において、スイッチ素子(例えば、120)は、例えば、気相成長、イオン注入、及び/又はエッチングによって形成される。いくつかの例において、スイッチ素子120は、ダイオード、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)、又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)のうちの少なくとも1つを含み、スイッチ素子120の材料は、或るバンドギャップを有するシリコンを含む。いくつかの例において、電界効果トランジスタは、p型電界効果トランジスタ、又はゲートを含むn型電界効果トランジスタである。いくつかの例において、スイッチ素子は、横方向拡散金属酸化物半導体(LDMOS)電界効果トランジスタを含む。いくつかの例において、スイッチ素子は、横方向絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(LIGBT)など、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を含む。
【0024】
S702において、第1及び第2の端部を有する浮遊電極が形成される。いくつかの例において、第1及び第2の端部(131、132)を有する浮遊電極130は、例えば堆積によって形成され、浮遊電極130の第1の端部131は、スイッチ素子120に結合されスイッチ素子120にオーミック接触しており、浮遊電極130の第2の端部32は、電圧支持構造140に結合され電圧支持構造140とオーミック接触している。
【0025】
S703において、第1の半導体材料のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する第2の半導体材料を含む電圧支持構造が形成される。いくつかの例において、電圧支持構造140は堆積及び/又はイオン注入によって形成され、電圧支持構造140は、スイッチ素子120のシリコンなど、第1の半導体材料のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有するWBG半導体材料を含む。
【0026】
S704において、電圧支持構造に結合されるドレインコンタクトが形成される。いくつかの例において、ドレインコンタクト150は堆積によって形成され、ドレインコンタクト150は、電圧支持構造140に結合され電圧支持構造140とオーミック接触している。
【0027】
S705において、スイッチ素子に結合するソースコンタクトが形成される。いくつかの例において、ソースコンタクト110は堆積によって形成され、ソースコンタクト110は、スイッチ素子120に結合されスイッチ素子120とオーミック接触している。
【0028】
S706において、電界制御素子が形成される。いくつかの例において、電界制御素子160はフィールドプレートを含み、フィールドプレートは堆積によって形成される。他の例において、電界制御素子160は、スイッチ素子120の形成中に形成されるスイッチ素子120の構成要素を含む。
【0029】
この説明では、工程又はプロセスは任意の好適な順序で行われ得る。いくつかの例において、第1の半導体材料を含むスイッチ素子を形成すること(S701)は、第2の半導体材料を含む電圧支持構造を形成すること(S703)の前に行われてもよい。他の例において、第1の半導体材料を含むスイッチ素子を形成すること(S701)は、第2の半導体材料を含む電圧支持構造を形成すること(S703)の後に行われてもよい。例えば、第2の半導体材料を含む電圧支持構造が形成された後に、第1の半導体材料を含むスイッチ素子が、例えばLDMOS FETを形成するためのプロセスを介して、形成される。
【0030】
図3図11は、例示のハイブリッド半導体デバイス300の形成における様々な段階の構造の断面図を示し、図12は、ハイブリッド半導体デバイス300を形成するための例示の方法の対応するフローチャートを示す。図3図11を、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0031】
図3は、ソース領域320と、ドリフト領域330と、チャネル領域316を含むボディ領域315と、ボディコンタクト領域340とを含む半導体層310を図示し、図12では、この工程を、ソース領域、ドリフト領域、ボディ領域、及びボディコンタクト領域を半導体層に形成することとして、図12の工程801に示している。
【0032】
半導体層310は、第1の表面311と、対向する第2の表面312とを有する。半導体層310は、基板、又は基板上に成長されたエピタキシャル層であり得る。図3はまた、X、Y、及びZ軸を有する座標系を示している。X軸及びY軸は、互いに直交しており、半導体層310の或る面、例えば第1の表面311又は第2の表面312と平行である。そのため、X軸及びY軸は「面内方向」と呼ばれる。Z軸はX軸及びY軸に対して垂直であり、よって、半導体層310の面に対して垂直である。そのため、Z軸は「面外方向」と呼ばれる。面内方向(X軸)に沿って、ボディ領域315のチャネル領域316は、ソース領域320とドリフト領域330との間にあり、ソース領域320とドリフト領域330との間での伝導チャネルとして作用する。
【0033】
いくつかの例において、半導体層310は、エピタキシャル成長及び/又はイオン注入によって形成されて、例えば、pドープレベルにおいてp型層を形成し、半導体層310は、pドーピングレベルでのボディ領域315を含む。ソース領域320、ドリフト領域330、及びボディコンタクト領域340は、半導体層310内へのドーパントのイオン注入によって形成され得る。図3の例では、ソース領域320は、n+ドーピングレベルを有するn型半導体領域であり、ドリフト領域330は、nドーピングレベルを有するn型半導体領域であり、ボディ領域315は、pドーピングレベルを有するp型半導体領域であり、ボディコンタクト領域340は、p+ドーピングレベルを有するp型半導体領域である。様々な用途シナリオに応じて、こういった構造(例えば、315、320、330、315、340)について他の好適なドーピング極性及びドーピングレベルが選択されてもよい。図3の例では、ボディコンタクト領域340は凹んだボディコンタクト領域である。他の例において、ボディコンタクト領域は平面状のボディコンタクト領域である。
【0034】
図4は、半導体層310の第2の表面312上の誘電体層350を図示し、図12では、この工程を、誘電体層を半導体層上に追加することとして、図12の工程802に示している。誘電体層350の材料は、窒化シリコン、窒化アルミニウムなどの窒化物材料、及び/又は、酸化シリコン、酸化アルミニウムなどの酸化物材料を含み得る。誘電体層は半導体層上に気相成長又は接合によって追加されてもよい。
【0035】
図5は、半導体層310の第2の表面312の上のゲート(例えば、ゲート端子)355を図示し、図12では、この工程を、ゲートを半導体層上に形成することとして、図12の工程S803に示している。図5の例では、ゲート355は、ボディ領域315のチャネル領域316に対応し、チャネル領域316をオンオフするように構成されており、誘電体層350の誘電体部分351が、ゲート355と半導体層310の第2の表面312との間にあり、したがって、ゲート355を半導体層310の第2の表面312から分離する。
【0036】
ゲート355は、トレンチ(図5には図示せず)を誘電体層350にエッチングし、そのトレンチにゲート材料を堆積させることによって形成され得る。一例において、ゲート355のゲート材料は、ポリシリコン及び/又は金属を含み得る。いくつかの例において、窒化物又は酸化物などの誘電体材料が、トレンチ内及びゲート355上に更に堆積される。
【0037】
図6は、誘電体層350におけるトレンチ356を図示し、図12では、この工程を、トレンチを誘電体層に形成することとして、図12の工程S804に示している。トレンチ356は、誘電体層350の一部をエッチングして取り除くことによって形成され得る。
【0038】
図7は、トレンチ356内及び半導体層310の第2の表面312上にある浮遊電極360を図示し、図12では、この工程を、浮遊電極をトレンチ内及び半導体層上に形成することとして、図12の工程S805に示している。浮遊電極360は、化学気相成長(CVD)などの気相成長によって形成されてもよい。
【0039】
浮遊電極360は、第1の端部361と第2の端部362とを有し、第1の端部361は、ドリフト領域330に結合され、ドリフト領域330と接触する。浮遊電極を用いて第1の構成要素を第2の構成要素に電気的に結合させることで、異なるバンドギャップ材料を含む第1及び第2の構成要素を障壁電圧なくオーミック接触させることができる。第1及び第2の構成要素の、浮遊電極と接触している部分のドーピングレベルは、第1及び第2の他の部分に比べて上げられてもよい。浮遊電極の材料は、金属又はシリサイドのうちの少なくとも1つを含み得る。浮遊電極は、2つの構成要素間、例えば、異なるバンドギャップ又は異なるエネルギーバンド構造を有する材料を有する2つの構成要素間で、それら2つの構成要素間の中断されない障壁電圧のために用いられてもよい。
【0040】
図8は、トレンチ356内及び浮遊電極360上の電圧支持構造370を図示し、図12では、この工程を、電圧支持構造を浮遊電極上に形成することとして、図12の工程S806に示している。電圧支持構造370は、半導体層310の半導体よりも大きなバンドギャップを有するWBG半導体を含み得る。いくつかの例において、電圧支持構造370のWBG半導体は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、及び/又は任意の他の好適なWBG半導体を含む。電圧支持構造370は、化学気相成長(CVD)などの気相成長、及び/又は、イオン注入によって形成され得る。
【0041】
図9は、トレンチ356内及び電圧支持構造370上のドレインコンタクト380を図示し、図12では、この工程を、ドレインコンタクトをトレンチ内及び電圧支持構造上に形成することとして、図12の工程S807に示している。いくつかの例において、ドレインコンタクト380は、電圧支持構造370と接触するシリサイド部分を含み、シリサイド部分上にアルミニウム部分を含む。ドレインコンタクト380は、気相成長を用いて形成され得る。
【0042】
図10は、誘電体層350におけるトレンチ357を図示し、図12では、この工程を、トレンチを誘電体層内に形成することとして、図12の工程S808に示している。トレンチ357は、誘電体層350をマスクを用いてエッチングすることによって形成され得る。
【0043】
図11は、トレンチ357内のソースコンタクト390及びフィールドプレート395を図示し、図12では、この工程を、ソースコンタクト及びフィールドプレートをトレンチ内に形成することとして、図12の工程S809に示している。ソースコンタクト及びフィールドプレートは、気相成長によって形成され得る。図11の例では、ソースコンタクト390は、ソース領域320及びボディ接触領域340と接触している。いくつかの例において、ソースコンタクト390は、シリサイド部分と、シリサイド部分上のアルミニウム部分とを含み、フィールドプレートは、シリサイド部分と、シリサイド部分上のアルミニウム部分とを含む。
【0044】
図11の例では、フィールドプレート395及びソースコンタクト390は単一片として構造上一体化されている。他の例において、フィールドプレート及びソースコンタクトは構造上個別の片であり、フィードプレートはソースコンタクト又は別の電圧コンタクトに電気的に結合される。
【0045】
図11は、説明される例に従った、例示のハイブリッド半導体デバイス300を示す。ハイブリッド半導体デバイス300は半導体層310を含み、半導体層310は、ソース領域320と、ドリフト領域330と、チャネル領域316を含むボディ領域315と、ボディコンタクト領域340とを有する。半導体層310の材料は、シリコン、ゲルマニウム、又はガリウム砒素のうちの少なくとも1つを含み得る。半導体層310は、第1の表面311と、対向する第2の表面312とを有する。面内方向(X軸)に沿って、ボディ領域315のチャネル領域316は、ソース領域320とドリフト領域330との間にある。ハイブリッド半導体デバイス300は更に、誘電体層350と、半導体層310の第2の表面312上のゲート355とを含む。誘電体層350の誘電体部分351は、ゲート355と半導体層310の第2の表面312との間にあり、したがって、ゲート355を半導体層310の第2の表面312から分離する。ゲート355は、面内方向(X軸)に沿って延び、面内方向(X軸)に沿うソース領域320とドリフト領域330との間のチャネル領域316をオンオフするように構成されており、したがって、ゲート355は、面内方向(X軸)に沿って延在する横方向ゲートである。
【0046】
ハイブリッド半導体デバイス300は更に、ドリフト領域330上の浮遊電極360と、浮遊電極360上の電圧支持構造370と、電圧支持構造370上のドレインコンタクト380と、ソースコンタクト390と、図1の電界制御素子160などの電界制御素子の一実装形態であるフィールドプレート395とを含む。電圧支持構造370は、浮遊電極360の第2の端部362とオーミック接触している第1の領域371と、ドレインコンタクト380とオーミック接触している第2の領域372とを含む。図11の例では、ボディ領域315は、ボディコンタクト領域340を介してソースコンタクト390に電気的に結合され、ソースコンタクト390の領域又はその近くの領域からドレインコンタクト380に向かって、例えば面内方向(X軸)におおよそ沿って、延在し、ボディ領域315は、図1の電界制御素子160などの電界制御素子の一実装形態として作用する。
【0047】
図11の例では、浮遊電極360は第1の端部361及び第2の端部362を有し、第1の端部361は、ドリフト領域330上にあり、ドリフト領域330とオーミック接触しており、電圧支持構造370は、浮遊電極360上にあり、浮遊電極360の第2の端部362とオーミック接触している。ドレインコンタクト380は電圧支持構造370上にある。電圧支持構造370及び浮遊電極360を、半導体層310のドリフト領域330上に、面外方向(Z軸)、例えば垂直方向、に沿って配置することで、面内方向に沿った(例えば、X軸に沿った)デバイスサイズを減らし得る。ソースコンタクト390はソース領域320及びボディコンタクト領域340とオーミック接触しており、フィールドプレート395は、ソースコンタクト390からドレインコンタクト380及び電圧支持構造370に向かって延在する。
【0048】
電圧支持構造370は、半導体層310の半導体よりも大きなバンドギャップを有するWBG半導体を含み得る。いくつかの例において、電圧支持構造370のWBG半導体は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、及び/又は、任意の他の好適なWBG半導体を含む。いくつかの例において、電圧支持構造370のWBG半導体はWBGを有するナノ材料、例えば、炭化ケイ素ナノチューブ材料又は任意の他の好適なWBGナノ材料、を含む。
【0049】
図11の例では、ハイブリッド半導体デバイス300はスイッチ素子319を含み、スイッチ素子319は、ソース領域320と、ドリフト領域330と、ボディ領域315、又はチャネル領域316を含むボディ領域315の一部と、ボディコンタクト領域340と、ゲート355と、誘電体層350の誘電体部分351とを含む。ハイブリッド半導体デバイス300は更に、ソースコンタクト390と、浮遊電極360と、電圧支持構造370と、ドレインコンタクト380と、フィールドプレート395、及びソースコンタクト390又はその近くの領域からドレインコンタクト380に向かって、例えば面内方向(X軸)におおよそ沿って延在するボディ領域315を含む、電界制御素子とを含む。電圧支持構造370はスイッチ素子319上にあり、例えば垂直に、スイッチ素子319の表面(例えば、半導体層310の第2の表面312)に直交する方向に延在する。
【0050】
いくつかの例において、浮遊電極360の第1の端部361は、スイッチ素子319のドリフト領域330とオーミック接触しており、浮遊電極360の第2の端部362は電圧支持構造370とオーミック接触しており、スイッチ素子319のボディコンタクト領域340はソースコンタクト390とオーミック接触している。いくつかの例において、浮遊電極360及びドレインコンタクト380と接触する電圧支持構造370の領域(例えば、371、372)は、電圧支持構造370の他の領域と比べて上げられたドーピングレベルでドープされ、浮遊電極360及びドレインコンタクト380とのオーミック接触を形成する。浮遊電極360と接触しているドリフト領域330の領域331は、ドリフト領域330の他の領域と比べて上げられたドーピングレベルでドープされ、浮遊電極360とのオーミック接触を形成する。
【0051】
図13は、説明される例に従った、図11のハイブリッド半導体デバイス300のA1-A2に沿った例示の断面図を示す。図13の例では、ソースコンタクト390、ソース領域320、チャネル領域316を含むボディ領域315、及びドリフト領域330は、ストライプ構成で面内方向(Y軸)に沿って延在する。図14は、説明される例に従った、図11のハイブリッド半導体デバイス300のB1-B2に沿った別の例示の断面図を示す。図14の例では、ソースコンタクト390、誘電体層350、フィールドプレート395、及び電圧支持構造370は、ストライプ構成で面内方向(Y軸)に沿って延在する。
【0052】
図13及び図14の例では、ハイブリッド半導体デバイス300の特定の構成要素(390、320、315、316、330、350、395など)が、ストライプ構成で面内方向(Y軸)に沿って延在する。別の例において、ハイブリッド半導体デバイス300の特定の構成要素(390、320、316、315、330、350、395、370など)が、面内(例えば、X-Y面に平行)に、円形又は円環形に延在する。例えば、ハイブリッド半導体デバイス300の特定の構成要素(390、320、316、315、330、350、395、370など)は、例えば円形又は円環形構成で、軸O1-O2の周りを延在する。
【0053】
図15は、説明される例に従った、別の例示のハイブリッド半導体デバイス400の断面図を示す。ハイブリッド半導体デバイス400は、半導体層410を含み、半導体層410は、ソース領域420と、ドリフト領域430と、1つ又は複数のチャネル領域416を含むボディ領域415と、ボディコンタクト領域440とを有する。半導体層410は、第1の表面411と、対向する第2の表面412とを有する。面外方向(Z軸)に沿って、ボディ領域415のチャネル領域416は、ソース領域420とドリフト領域430との間を延在する。ハイブリッド半導体デバイス400は更に、ゲート455と、ゲート455を半導体層410のボディ領域415から分離する誘電体層451とを含む。ゲート455は、面外方向(Z軸)に沿って延在しており、ソース領域420とドリフト領域430との間で面外方向(Z軸)に沿うチャネル領域416をオンオフするように構成され、したがって、ゲート455は面外方向に沿って延在する横方向ゲートである。
【0054】
ハイブリッド半導体デバイス400は更に、半導体層410の第2の表面412上の誘電体層450と、ドリフト領域430上の浮遊電極460と、浮遊電極460上の電圧支持構造470と、電圧支持構造470上のドレインコンタクト480と、ソースコンタクト490と、フィールドプレート495とを含む。
【0055】
図15の例では、浮遊電極460は第1の端部461及び第2の端部462を有し、第1の端部461は、ドリフト領域430上にあり、ドリフト領域430とオーミック接触しており、電圧支持構造470は、浮遊電極460上にあり、浮遊電極460の第2の端部462とオーミック接触している。ドレインコンタクト480は電圧支持構造470上にある。ソースコンタクト490はソース領域420及びボディコンタクト領域440とオーミック接触しており、フィールドプレート495は、ソースコンタクト490からドレインコンタクト480及び電圧支持構造470に向かって延在する。
【0056】
電圧支持構造470は、半導体層410の半導体よりも大きなバンドギャップを有するWBG半導体を含む。いくつかの例において、電圧支持構造470のWBG半導体は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、及び/又は、任意の他の好適なWBG半導体を含む。いくつかの例において、電圧支持構造470のWBG半導体は、WBGを有するナノ材料、例えば炭化ケイ素ナノチューブ材料、又は任意の他の好適なナノ材料を含む。
【0057】
図16図22は、別の例示のハイブリッド半導体デバイス500の形成における様々な段階の構造の断面図を示し、図23はハイブリッド半導体デバイス500を形成するための例示の方法の対応するフローチャートを示す。ここで、図16図22図23のフローチャートを参照して説明する。
【0058】
図16は、ソース領域520と、ドリフト領域530と、チャネル領域516を含むボディ領域515と、ボディコンタクト領域540とを含む半導体層510を図示し、図23では、この工程を、ソース領域、ドリフト領域、ボディ領域、及びボディコンタクト領域を半導体層に形成することとして、図12の工程S901に示している。
【0059】
半導体層510は、第1の表面511と、対向する第2の表面512とを有する。半導体層510の材料は、シリコン、ゲルマニウム、又はガリウム砒素のうちの少なくとも1つを含み得る。図16はまた、X、Y、及びZ軸を有する座標系を示す。X軸及びY軸は、互いに直交しており、半導体層510の面、例えば第1の表面511又は第2の表面512と平行である。よって、X軸及びY軸は「面内方向」と呼ばれる。Z軸は、X軸及びY軸に対して垂直であり、よって、半導体層510の面に対して垂直である。そのため、Z軸は「面外方向」と呼ばれる。面内方向(X軸)に沿って、ボディ領域515のチャネル領域516は、ソース領域520とドリフト領域530との間にある。
【0060】
いくつかの例において、半導体層510は、エピタキシャル成長及び/又はイオン注入によって形成されて、例えばpドープレベルでp型層を形成し、半導体層510はボディ領域515を含む。ソース領域520、ドリフト領域530、及びボディコンタクト領域540は、半導体層510内へのドーパントのイオン注入よって形成され得る。図16の例では、ソース領域520はn+ドープレベルを有するn型半導体領域であり、ドリフト領域530はnドーピングレベルを有するn型半導体領域であり、ボディ領域515はpドーピングレベルを有するp型半導体領域であり、ボディコンタクト領域540はp+ドーピングレベルを有するp型半導体領域である。他の好適なドーピング極性及びドーピングレベルが、様々な用途シナリオに応じて、ハイブリッド半導体デバイス500の構造(例えば、515、520、530、540)について選択されてもよい。図16の例では、ボディコンタクト領域540は凹んだボディコンタクト領域である。他の例において、ボディコンタクト領域は平面状のボディコンタクト領域である。
【0061】
図17は、半導体層510内の電圧支持構造570及び誘導体層575を図示し、図23では、この工程を、誘電体層及び電圧支持構造を半導体層に形成することとして、図23の工程S902に示している。誘電体層575及び電圧支持構造570は、トレンチを形成するために半導体層510の一部をエッチングして取り除き、誘電体層575をトレンチの内壁における気相成長又は酸化によって形成し、電圧支持構造570の材料をトレンチ及び誘電体層575上に堆積することによって、形成され得る。図17の例では、電圧支持構造570は、面内方向(X軸)に沿って、例えば横方向に、ドリフト領域530に隣接している。誘電体層575は、電圧支持構造570とボディ領域515との間にあり、電圧支持構造570をボディ領域515から分離する。
【0062】
電圧支持構造570は、半導体層510のボディ領域515よりも大きなバンドギャップを有するWBG半導体を含み得る。いくつかの例において、電圧支持構造570のWBG半導体は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、及び/又は、任意の他の好適なWBG半導体を含む。
【0063】
図18は、ドリフト領域530と電圧支持構造570との間の浮遊電極560を図示し、図23では、この工程を、浮遊電極をドリフト領域と電圧支持構造との間に形成することとして、図23の工程S903に示している。浮遊電極560は、トレンチを形成するために、ドリフト領域530、誘電体層575、及び電圧支持構造570の一部をエッチングして取り除き、浮遊電極560の材料を化学気相成長(CVD)などの気相成長を介してトレンチに堆積させることで、形成され得る。浮遊電極の材料は、金属又はシリサイドのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0064】
浮遊電極560は第1の端部561と第2の端部562とを有し、第1の端部561は、ドリフト領域530に結合され、ドリフト領域530とオーミック接触しており、第2の端部562は、電圧支持構造570に結合され、電圧支持構造570とオーミック接触している。図18の例では、電圧支持構造570、ドリフト領域530、及び浮遊電極560は、互いに対して、面内方向(X軸)、例えば横方向に沿って配置されている。
【0065】
図19は、半導体層510上の第2の表面512上にある誘電体層550を図示し、図23では、この工程を、誘電体層を半導体層の上に追加することとして、図23の工程S904に示している。誘電体層550の材料は、窒化シリコン、窒化アルミニウムなどの窒化物材料、及び/又は、酸化シリコン、酸化アルミニウムなどの酸化物材料を含み得る。誘電体層550は、半導体層510上に気相成長又は接合によって付加され得る。
【0066】
図20は、半導体層510の第2の表面512上のゲート(例えば、ゲート端子)555を図示し、図23では、この工程を、ゲートを半導体層510上に形成することとして、図23の工程S905に示している。図20の例では、ゲート555はボディ領域515のチャネル領域516に対応し、誘電体層550の誘電体部分551は、ゲート555と半導体層510の第2の表面512との間にあり、よって、ゲート555を半導体層510の第2の表面512から分離する。
【0067】
ゲート555は、トレンチを誘電体層550にエッチングし、そのトレンチにゲート材料を堆積させることによって形成され得る。一例において、ゲート555の材料は、ポリシリコン及び/又は金属を含み得る。いくつかの例において、窒化物又は酸化物などの誘電体材料が、トレンチ内及びゲート555上に更に堆積される。
【0068】
図21は、誘電体層550におけるトレンチ556及び557を図示し、図23では、この工程を、トレンチを誘電体層に形成することとして、図23の工程S906に示している。トレンチ556及び557は、誘電体層550をマスクを用いてエッチングすることによって形成され得る。
【0069】
図22は、ソースコンタクト590、フィールドプレート595、及びドレインコンタクト580を図示し、図23では、この工程を、ソースコンタクト、フィールドプレート、及びドレインコンタクトを形成することとして、図23の工程S907に示している。図22の例では、ソースコンタクト590は、ソース領域520及びボディコンタクト領域540とオーミック接触している。いくつかの例において、ソースコンタクト590は、シリサイド部分と、シリサイド部分上のアルミニウム部分とを含み、フィールドプレート595は、シリサイド部分と、シリサイド部分上のアルミニウム部分とを含む。ドレインコンタクト580は電圧支持構造570上にある。いくつかの例において、ドレインコンタクト580は、電圧支持構造570と接触するシリサイド部分と、シリサイド部分上のアルミニウム部分とを含む。ソースコンタクト590、フィールドプレート595、及びドレインコンタクト580は、気相成長を用いて形成され得る。
【0070】
図22は、説明される例に従った、例示のハイブリッド半導体デバイス500を図示する。ハイブリッド半導体デバイス500は半導体層510を含む。半導体層510は、ソース領域520と、ドリフト領域530と、チャネル領域516を含むボディ領域515と、ボディコンタクト領域540とを含む。半導体層510は、第1の表面511と、対向する第2の表面512とを有する。
【0071】
ハイブリッド半導体デバイス500は更に、電圧支持構造570及び誘電体層575、ドリフト領域530と電圧支持構造570との間の浮遊電極560、半導体層510の第2の表面上の誘電体層550及びゲート555、ソースコンタクト590、フィールドプレート595、及び誘電体層550に形成されたトレンチ内のドレインコンタクト580を含む。
【0072】
電圧支持構造570は、面内方向(X軸)に沿って、例えば横方向に、ドリフト領域530に隣接している。誘電体層575は、電圧支持構造570とボディ領域515との間にあり、電圧支持構造570をボディ領域515から分離する。電圧支持構造570は、ソース領域520、ドリフト領域530、チャネル領域516を含むボディ領域515、及びボディコンタクト領域540の半導体よりも大きなバンドギャップを有するWBG半導体を含み得る。いくつかの例において、電圧支持構造570のWBG半導体は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、及び/又は任意の他の好適なWBG半導体を含む。
【0073】
浮遊電極560は第1の端部561と第2の端部562とを有し、第1の端部561は、ドリフト領域530に結合され、ドリフト領域530とオーミック接触しており、第2の端部562は、電圧支持構造570に結合され、電圧支持構造570とオーミック接触している。電圧支持構造570、ドリフト領域530、及び浮遊電極560は、互いに対して、面内方向(X軸)、例えば横方向に沿って配置されている。
【0074】
ゲート555はボディ領域515のチャネル領域516に対応し、誘電体層550の誘電体部分551は、ゲート555と半導体層510の第2の表面512との間にあり、したがって、ゲート555を半導体層510の第2の表面512から分離する。
【0075】
ソースコンタクト590は、ソース領域520及びボディコンタクト領域540とオーミック接触している。いくつかの例において、ソースコンタクト590は、シリサイド部分と、シリサイド部分上のアルミニウム部分とを含み、フィールドプレート595は、シリサイド部分と、シリサイド部分上のアルミニウム部分とを含む。フィールドプレート595は、ソースコンタクト590からドレインコンタクト580に向かって延在する。ドレインコンタクト580は電圧支持構造570上にある。いくつかの例において、ドレインコンタクト580は、電圧支持構造570と接触するシリサイド部分を含み、シリサイド部分上にアルミニウム部分を含む。
【0076】
図22の例では、フィールドプレート595及びソースコンタクト590は単一片として構造上一体化している。他の例において、フィールドプレート及びソースコンタクトは構造上個別の片であり、フィードプレートはソースコンタクト又は別の電圧コンタクトに電気的に結合される。
【0077】
いくつかの例において、ハイブリッド半導体デバイス500の特定の構成要素(590、520、516、515、530、550、595、570など)がストライプ構成で面内方向(Y軸)に沿って延在する。別の例において、ハイブリッド半導体デバイス500の特定の構成要素(590、520、516、515、530、550、595、570など)が、円形又は環状形状で面内(例えば、X-Y面に平行)に延在する。例えば、ハイブリッド半導体デバイス500の特定の構成要素(590、520、516、515、530、550、595、570など)が、例えば、円形状又は環状構成で、軸O3-O4の周りを延在する。
【0078】
図22の例では、ハイブリッド半導体デバイス500はスイッチ素子519を含み、スイッチ素子519は、ソース領域520と、ドリフト領域530と、ボディ領域515、又はチャネル領域516を含むボディ領域515の一部と、ボディコンタクト領域540と、ゲート555と、誘電体層550の誘電体部分551とを含む。ハイブリッド半導体デバイス500は更に、浮遊電極560と、電圧支持構造570と、ドレインコンタクト580と、ソースコンタクト590と、ソースコンタクト590から又はその近くの領域からドレインコンタクト580に向かって例えばほぼ面内方向(X軸)に沿って延在する、フィールドプレート595及びボディ領域515を含む電界制御素子とを含む。電圧支持構造570はスイッチ素子519と面内方向(X軸)に沿って隣接しており、例えば、横方向に、スイッチ素子519の表面(例えば、半導体層510の第2の表面512の一部)と平行の方向に、延在する。いくつかの例において、電圧支持構造570は少なくとも部分的にスイッチ素子519に囲まれている。
【0079】
いくつかの例において、浮遊電極560の第1の端部561はスイッチ素子519のドリフト領域530とオーミック接触しており、浮遊電極560の第2の端部562は電圧支持構造570とオーミック接触しており、スイッチ素子519のボディコンタクト領域540はソースコンタクト590とオーミック接触している。いくつかの例において、浮遊電極560及びドレインコンタクト580に接触している電圧支持構造570の領域(例えば、571、572)は、電圧支持構造570の他の領域と比べて上げられたドーピングレベルでドープされ、浮遊電極560及びドレインコンタクト580とのオーミック接触を形成し、浮遊電極560と接触するドリフト領域530の領域531は、ドリフト領域530の他の領域と比べて上げられたドーピングレベルでドープされ、浮遊電極560とのオーミック接触を形成する。
【0080】
図24は、説明される例に従った、別の例示のハイブリッド半導体デバイス600を図示する。ハイブリッド半導体デバイス600は半導体層610を含む。半導体層610は、ソース領域620と、ドリフト領域630と、チャネル領域616を含むボディ領域615と、ボディコンタクト領域640とを含む。半導体層610は、第1の表面611と、対向する第2の表面612とを有する。
【0081】
ハイブリッド半導体デバイス600は更に、電圧支持構造670、ドリフト領域630と電圧支持構造670との間の浮遊電極660、半導体層610の第2の表面612上の誘電体層650及びゲート655、ソースコンタクト690、フィールドプレート695、並びにドレインコンタクト680を含む。
【0082】
電圧支持構造670は、面内方向(X軸)に沿って、例えば横方向に、ドリフト領域630に隣接している。電圧支持構造670はボディ領域615と接触している。電圧支持構造670は、半導体層610内にドーパントをイオン注入するか又は半導体層610の一部をエッチングして取り除いてトレンチを形成し、そのトレンチ内に電圧支持構造670の材料を堆積することにより形成され得る。いくつかの例において、半導体層610はシリコン層であり、電圧支持構造670は半導体層610内に炭素をイオン注入し、注入された領域を活性化して、電圧支持構造670として炭化ケイ素を形成することにより形成される。電圧支持構造670は、半導体層610の半導体よりも大きなバンドギャップを有するWBG半導体を含み得る。いくつかの例において、電圧支持構造670のWBG半導体は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、及び/又は任意の他の好適なWBG半導体を含む。
【0083】
ハイブリッド半導体デバイス600の或る構成要素は、上述のハイブリッド半導体デバイスの構成要素と同一であるか類似しており、ハイブリッド半導体デバイス500の構成要素など、上記のハイブリッド半導体デバイスの構成要素を参照することができる。
【0084】
本明細書の範囲を逸脱することなく、本明細書に記載のデバイス、システム、装置、及び方法に対して改変、追加、又は省略を行ってもよい。また、本明細書で説明されたデバイス、システム、及び装置の動作は、より多くの、より少ない、又は他の構成要素を含んで行うことができ、説明された方法は、より多くの、より少ない、又は他の工程を含み得る。また、工程は任意の好適な順序で行ってもよい。
【0085】
用語「結合」は、明細書全体を通して用いられている。この用語は、この記述の説明と一貫した機能的関係性を可能とする、接続、通信、又は信号経路を網羅し得る。例えば、デバイスAが、或るアクションを行うようにデバイスBを制御するための信号を生成する場合、第1の例においてデバイスAはデバイスBに結合され、又は第2の例において、デバイスAがデバイスBに、介在する構成要素Cを通して結合されるが、これは、デバイスBがデバイスAによってデバイスAが生成した制御信号を介して制御されるように、介在する構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能的関係性を実質的に変更しない場合である。
【0086】
特許請求の範囲内で、説明された実施例における改変が可能であり、その他の実施例が可能である。
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【国際調査報告】