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  • 特表-試料分配のためのデバイス及び方法 図1A
  • 特表-試料分配のためのデバイス及び方法 図1B
  • 特表-試料分配のためのデバイス及び方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】試料分配のためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240110BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/34 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539987
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 US2021065397
(87)【国際公開番号】W WO2022147045
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】63/131,513
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】518337142
【氏名又は名称】コンビナティ インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】5823 Newton Dribe Carlsbad,California 92008 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】フン ジュ-スン
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA23
4B029FA01
4B029GA03
(57)【要約】
本開示は、試料を分配し、分析物を分析するためのデバイス及び方法を提供する。デバイスは、第1の複数の第1のチャンバ及び第2の複数の第2のチャンバのうちの1つ以上を含むことができる。複数の第1のチャンバのうちの第1のチャンバは、複数の第2のチャンバのうちの第2のチャンバの第2の容積とは異なる第1の容積を有してもよい。複数の第1のチャンバは、少なくとも約100個の第1のチャンバを含むことができ、複数の第2のチャンバは、少なくとも約100個の第2のチャンバを含むことができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を分配するためのデバイスであって、
複数の第1のチャンバ及び複数の第2のチャンバであって、
(i)前記複数の第1のチャンバが、少なくとも約100個の第1のチャンバを含み、
(ii)前記複数の第2のチャンバが、少なくとも約100個の第2のチャンバを含み、
(iii)前記少なくとも約100個の第1のチャンバのうちの第1のチャンバが、前記少なくとも約100個の第2のチャンバのうちの第2のチャンバの第2の容積とは異なる第1の容積を有する、複数の第1のチャンバ及び複数の第2のチャンバを備える、デバイス。
【請求項2】
前記第1の容積が、前記第2の容積の少なくとも2倍の大きさである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の容積が、前記第2の容積の少なくとも5倍の大きさである、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスが、いかなる可動部品も含有しない、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記複数の第1のチャンバ及び前記複数の第2のチャンバと流体連通するチャネルを更に備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記複数の第1のチャンバ、前記複数の第2のチャンバ、及び前記チャネルを密封するように構成されたカバーを更に含む、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記チャネル、前記複数の第1のチャンバ、及び前記複数の第2のチャンバを備える本体を更に含み、前記カバーが前記本体に固定される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記複数の第2のチャンバが、前記複数の第1のチャンバの上流の前記チャネルと流体連通している、請求項5に記載のデバイス。
【請求項9】
前記チャネルが少なくとも2つの分岐を備え、前記複数の第1のチャンバが前記少なくとも2つの分岐のうちの第1の分岐に沿って配置され、前記複数の第2のチャンバが前記少なくとも2つの分岐のうちの第2の分岐に沿って配置される、請求項5に記載のデバイス。
【請求項10】
前記複数の第1のチャンバが少なくとも約1,000個の第1のチャンバを含み、前記複数の第2のチャンバが少なくとも約1,000個の第2のチャンバを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記複数の第1のチャンバが少なくとも約5,000個の第1のチャンバを含み、前記複数の第2のチャンバが少なくとも約5,000個の第2のチャンバを含む、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記複数の第1のチャンバの総容積が、約10マイクロリットル(μL)未満である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記複数の第1のチャンバの第1の総容積が約10μL以上である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記複数の第2のチャンバの第2の総容積が約1μL未満である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記複数の第2のチャンバの総容積が、約1μL以上である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記複数の第1のチャンバの第1の総容積が、前記複数の第2のチャンバの第2の総容積の少なくとも5倍の大きさである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第1の総容積が、前記第2の総容積の少なくとも10倍の大きさである、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記複数の第1のチャンバのうちの第1のチャンバが、実質的に同様の容積を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
前記複数の第2のチャンバのうちの第2のチャンバが、実質的に同様の容積を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
前記第1の容積が、約100ピコリットル(pL)以上である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
前記第1の容積が、約1000pL以下である、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記第2の容積が、約250pL以下である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項23】
前記第2の容積が、約25pL以上である、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記第1のチャンバの第1の深さが、前記第2のチャンバの第2の深さと実質的に同様である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項25】
前記第1のチャンバの第1の断面積が、前記第2のチャンバの第2の断面積と実質的に異なる、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記デバイスがマイクロ流体デバイスである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項27】
分析物を分析する方法であって、
(i)複数の第1のチャンバ及び複数の第2のチャンバを備える流体デバイスを提供する工程であって、
(a)前記複数の第1のチャンバが、少なくとも約100個の第1のチャンバを含み、
(b)前記複数の第2のチャンバが、少なくとも約100個の第2のチャンバを含み、
(c)前記少なくとも約100個の第1のチャンバのうちの第1のチャンバが、前記少なくとも約100個の第2のチャンバのうちの第2のチャンバの第2の容積とは異なる第1の容積を有する、工程と、
(ii)前記分析物を含む流体試料を前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバに指向させる工程と、
(iii)前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバ内で前記分析物を検出する工程と、を含む、方法。
【請求項28】
前記第1の容積が、前記第2の容積によって提供される前記第2のチャンバ内の前記分析物の第2の検出下限よりも低い、前記第1のチャンバ内の前記分析物の第1の検出下限を提供する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の容積が、前記第2のチャンバの前記第2の容積によって提供される前記第2のチャンバ内の前記分析物の第2の検出上限より低い、前記第1のチャンバ内の前記分析物の第1の検出上限を提供する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の検出下限を上回り、かつ前記第2の検出下限を下回る濃度で前記分析物を検出することを更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の検出上限を上回り、かつ前記第2の検出上限を下回る濃度で前記分析物を検出することを更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の容積が、前記第2の容積によって提供される前記第2のチャンバ内の前記分析物の第2の検出動作範囲とは異なる、前記第1のチャンバ内の前記分析物の第1の検出動作範囲を提供する、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の容積が第1の分析物濃度の分析を可能にし、前記第2の容積が第2の分析物濃度の分析を可能にし、前記第1の分析物濃度と前記第2の分析物濃度が異なる、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の容積が前記第2の容積の少なくとも2倍の大きさである、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の容積が前記第2の容積の少なくとも5倍の大きさである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記流体デバイスが、いかなる可動部品も含有しない、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
前記流体デバイスが、前記複数の第1のチャンバ及び前記複数の第2のチャンバと流体連通するチャネルを更に備え、(ii)において、前記流体試料が、前記チャネルから前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバに指向される、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
前記複数の第1のチャンバ、前記複数の第2のチャンバ、及び前記チャネルを密封するように構成されたカバーを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記流体デバイスが、前記チャネル、前記複数の第1のチャンバ、及び前記複数の第2のチャンバを備える本体を更に含み、前記カバーが前記本体に固定される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記複数の第2のチャンバが、前記複数の第1のチャンバの上流の前記チャネルと流体連通している、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記チャネルが少なくとも2つの分岐を備え、前記複数の第1のチャンバが前記少なくとも2つの分岐のうちの第1の分岐に沿って配置され、前記複数の第2のチャンバが前記少なくとも2つの分岐のうちの第2の分岐に沿って配置される、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記複数の第1のチャンバが少なくとも約1,000個の第1のチャンバを含み、前記複数の第2のチャンバが少なくとも約1,000個の第2のチャンバを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項43】
前記複数の第1のチャンバが少なくとも約5,000個の第1のチャンバを含み、前記複数の第2のチャンバが少なくとも約5,000個の第2のチャンバを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記複数の第1のチャンバの総容積が、約10マイクロリットル(μL)未満である、請求項27に記載の方法。
【請求項45】
前記複数の第1のチャンバの総容積が、約10μL以上である、請求項27に記載の方法。
【請求項46】
前記複数の第2のチャンバの総容積が、約1μL未満である、請求項27に記載の方法。
【請求項47】
前記複数の第2のチャンバの総容積が、約1μL以上である、請求項27に記載の方法。
【請求項48】
前記複数の第1のチャンバの第1の総容積が、前記複数の第2のチャンバの第2の総容積の少なくとも5倍の大きさである、請求項27に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の総容積が、前記第2の総容積の少なくとも10倍の大きさである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記複数の第1のチャンバのうちの第1のチャンバが、実質的に同様の容積を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項51】
前記複数の第2のチャンバのうちの第2のチャンバが、実質的に同様の容積を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項52】
前記第1の容積が、約100ピコリットル(pL)以上である、請求項27に記載の方法。
【請求項53】
前記第1の容積が、約1000pL以下である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記第2の容積が、約250pL以下である、請求項27に記載の方法。
【請求項55】
前記第2の容積が、約25pL以上である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記第1のチャンバの深さが、前記第2のチャンバの深さと実質的に同様である、請求項27に記載の方法。
【請求項57】
前記第1のチャンバの断面積が、前記第2のチャンバの断面積と実質的に異なる、請求項56に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
相互参照
本出願は、2020年12月29日に出願された米国仮特許出願第63/131,513号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
マイクロ流体デバイスは、マイクロリットル、ナノリットル、又はより少量の流体などの小規模の流体を扱う構造を含むデバイスである。マイクロ流体構造の1つの用途は、デジタルポリメラーゼ連鎖反応(digital polymerase chain reaction、dPCR)である。例えば、複数の区画を有するマイクロ流体構造は、dPCRのために核酸試料を分配するために使用され得る。ゲノム研究者及び臨床医にとって、dPCRは、まれな変異株の検出、コピー数多型の定量化、及び次世代シーケンシングライブラリの定量化において特に強力である。無細胞DNA及びウイルス量の定量化を用いるリキッドバイオプシーのための臨床の場における潜在的な使用は、dPCR技術の価値を更に高める。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、試料(すなわち、生物学的試料)の分配及び分析、例えば、核酸を増幅しかつ定量化するために有用であり得る方法及びデバイスが提供される。本開示は、試料の調製、試料の増幅、及び試料の分析を可能にし得る方法、システム、及びデバイスを提供する。試料分析は、デジタルポリメラーゼ連鎖反応(dPCR)の使用を通して行われ得る。分析物検出及びアッセイダイナミックレンジを補助するために、試料を異なるサイズ及び容積のチャンバに分配してもよい。これにより、他のシステム及び方法と比較して、コスト及び複雑さが軽減された状態で、試料分析、例えば、核酸の増幅及び定量化が可能になり得る。
【0004】
一態様では、本開示は、第1の複数のチャンバ及び第2の複数のチャンバを備える試料を分配するためのデバイスを提供し、(i)第1の複数のチャンバは、少なくとも約100個の第1のチャンバを含み、(ii)第2の複数のチャンバは、少なくとも約100個の第2のチャンバを含み、(iii)少なくとも約100個の第1のチャンバのうちの第1のチャンバは、少なくとも約100個の第2のチャンバのうちの第2のチャンバの第2の容積とは異なる第1の容積を有する。
【0005】
いくつかの実施形態では、第1の容積は、第2の容積の少なくとも2倍の大きさである。いくつかの実施形態では、第1の容積は、第2の容積の少なくとも5倍の大きさである。いくつかの実施形態では、デバイスは、いかなる可動部品も含有しない。いくつかの実施形態では、デバイスは、第1の複数のチャンバ及び第2の複数のチャンバと流体連通するチャネルを更に備える。いくつかの実施形態では、デバイスは、第1の複数のチャンバ、第2の複数のチャンバ、及びチャネルを密閉するように構成されたカバーを更に含む。いくつかの実施形態では、デバイスは、チャネル、第1の複数のチャンバ、及び第2の複数のチャンバを備える本体を更に含み、カバーは、本体に固定される。
【0006】
いくつかの実施形態では、第2の複数のチャンバは、第1の複数のチャンバの上流のチャネルと流体連通している。いくつかの実施形態では、チャネルは、少なくとも2つの分岐を備え、第1の複数のチャンバは、少なくとも2つの分岐のうちの第1の分岐に沿って配置され、第2の複数のチャンバは、少なくとも2つの分岐のうちの第2の分岐に沿って配置される。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の複数のチャンバは、少なくとも約1,000個の第1のチャンバを含み、第2の複数のチャンバは、少なくとも約1,000個の第2のチャンバを含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のチャンバは、少なくとも約5,000個の第1のチャンバを含み、第2の複数のチャンバは、少なくとも約5,000個の第2のチャンバを含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のチャンバの総容積は、約10マイクロリットル(μL)未満である。いくつかの実施形態では、第1の複数のチャンバの第1の総容積は、約10μL以上である。いくつかの実施形態では、第2の複数のチャンバの第2の総容積は、約1μL未満である。いくつかの実施形態では、第2の複数のチャンバの総容積は、約1μL以上である。いくつかの実施形態では、第1の複数のチャンバの第1の総容積は、第2の複数のチャンバの第2の総容積の少なくとも5倍の大きさである。いくつかの実施形態では、第1の総容積は、第2の総容積の少なくとも10倍の大きさである。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1の複数のチャンバのうちの第1のチャンバは、実質的に同様の容積を含む。いくつかの実施形態では、第2の複数のチャンバのうちの第2のチャンバは、実質的に同様の容積を含む。いくつかの実施形態では、第1の容積は、約100ピコリットル(pL)以上である。いくつかの実施形態では、第1の容積は約1000pL以下である。いくつかの実施形態では、第2の容積は約250pL以下である。いくつかの実施形態では、第2の容積は約25pL以上である。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1のチャンバの第1の深さは、第2のチャンバの第2の深さと実質的に同様である。いくつかの実施形態では、第1のチャンバの第1の断面積は、第2のチャンバの第2の断面積と実質的に異なる。いくつかの実施形態では、デバイスはマイクロ流体デバイスである。
【0010】
一態様では、本開示は、分析物を分析する方法を開示し、本方法は、複数の第1のチャンバ及び複数の第2のチャンバを含む流体デバイスを提供する工程であって、第1の複数のチャンバが、少なくとも約100個の第1のチャンバを含み、第2の複数のチャンバが、少なくとも約100個の第2のチャンバを含み、少なくとも約100個の第1のチャンバのうちの第1のチャンバが、少なくとも約100個の第2のチャンバのうちの第2のチャンバの第2の容積とは異なる第1の容積を有する工程と、分析物を含む流体試料を第1のチャンバ及び第2のチャンバに導く工程と、第1のチャンバ及び第2のチャンバ内の分析物を検出する工程とを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の容積は、第2の容積によって提供される第2のチャンバ内の分析物の検出の第2の下限よりも低い、第1のチャンバ内の分析物の検出の第1の下限を提供する。いくつかの実施形態では、第1の容積は、第2のチャンバの第2の容積によって提供される第2のチャンバ内の分析物の検出の第2の上限よりも低い、第1のチャンバ内の分析物の検出の第1の上限を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の検出下限以上かつ第2の検出下限未満の濃度で分析物を検出することを更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の検出限界を上回り、かつ第2の検出限界を下回る濃度で分析物を検出することを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の容積は、第2の容積によって提供される第2のチャンバ内の分析物の検出の第2の動作範囲とは異なる、第1のチャンバ内の分析物の検出の第1の動作範囲を提供する。いくつかの実施形態では、第1の容積は第1の分析物濃度の分析を可能にし、第2の容積は第2の分析物濃度の分析を可能にし、第1の分析物濃度と第2の分析物濃度は異なる。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の容積は、第2の容積の少なくとも2倍の大きさである。いくつかの実施形態では、第1の容積は、第2の容積の少なくとも5倍の大きさである。いくつかの実施形態では、流体デバイスは、いかなる可動部品も含有しない。
【0013】
いくつかの実施形態では、流体デバイスは、第1の複数のチャンバ及び第2の複数のチャンバと流体連通するチャネルを更に備え、(b)において、流体試料は、チャネルから第1のチャンバ及び第2のチャンバに指向される。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の複数のチャンバ、第2の複数のチャンバ、及びチャネルを密閉するように構成されたカバーを更に含む。いくつかの実施形態では、流体デバイスは、チャネル、第1の複数のチャンバ、及び第2の複数のチャンバを備える本体を備え、カバーは、本体に固定される。いくつかの実施形態では、第2の複数のチャンバは、第1の複数のチャンバの上流のチャネルと流体連通している。いくつかの実施形態では、チャネルは、少なくとも2つの分岐を備え、第1の複数のチャンバは、少なくとも2つの分岐のうちの第1の分岐に沿って配置され、第2の複数のチャンバは、少なくとも2つの分岐のうちの第2の分岐に沿って配置される。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1の複数のチャンバは、少なくとも約1,000個の第1のチャンバを含み、第2の複数のチャンバは、少なくとも約1,000個の第2のチャンバを含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のチャンバは、少なくとも約5,000個の第1のチャンバを含み、第2の複数のチャンバは、少なくとも約5,000個の第2のチャンバを含む。いくつかの実施形態では、第1の複数のチャンバの総容積は、約10マイクロリットル(μL)未満である。いくつかの実施形態では、第1の複数のチャンバの総容積は、約10μL以上である。いくつかの実施形態では、第2の複数のチャンバの総容積は、約1μL未満である。いくつかの実施形態では、第2の複数のチャンバの総容積は、約1μL以上である。いくつかの実施形態では、第1の複数のチャンバの第1の総容積は、第2の複数のチャンバの第2の総容積の少なくとも5倍の大きさである。いくつかの実施形態では、第1の総容積は、第2の総容積の少なくとも10倍の大きさである。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1の複数のチャンバのうちの第1のチャンバは、実質的に同様の容積を含む。いくつかの実施形態では、第2の複数のチャンバのうちの第2のチャンバは、実質的に同様の容積を含む。いくつかの実施形態では、第1の容積は、約100ピコリットル(pL)以上である。いくつかの実施形態では、第1の容積は約1000pL以下である。いくつかの実施形態では、第2の容積は約250pL以下である。いくつかの実施形態では、第2の容積は約25pL以上である。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1のチャンバの深さは、第2のチャンバの深さと実質的に同様である。いくつかの実施形態では、第1のチャンバの断面積は、第2のチャンバの断面積と実質的に異なる。
【0017】
本開示の追加の態様及び利点は、本開示の例示的な実施形態のみが示され、説明されている、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかとなるであろう。認識されるように、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、全て本開示から逸脱することなく、様々な明白な点において修正することができる。したがって、図面及び説明は、本質的に例示的なものと考えられるべきであり、限定的なものとして考えられるべきではない。
【0018】
参照による組み込み
本明細書に言及される全ての公開物、特許、及び特許出願は、各個別の公開物、特許、又は特許出願が、具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物及び特許又は特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する限り、明細書は任意のそのような矛盾する資料に取って代わるか、優先するか、又はその両方を意図する。
【0019】
デバイス及び方法の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本デバイス及び方法の、特徴及び利点のより良好な理解は、例示的な実施形態について記載し、本デバイス及び方法の原理が利用されている以下の詳細な説明、並びに添付の図面(本明細書の「図(figure)」及び「図(FIG.)」も同様に)を参照することにより得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】2組の区画マイクロチャンバを有する例示的なマイクロ流体デバイスの上面図を概略的に図示し、一方の組はより大きな流体容積を有し、他方の組はより小さな流体容積を有する。
図1B】例示的なマイクロ流体デバイスの断面図を概略的に図示する。
図2】試料の分析物を分析するための例示的な方法を概略的に図示する。
図3】本明細書で提供される方法を実施するようにプログラムされ、又は他の方法で構成されたコンピュータシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本デバイス及び方法の様々な実施形態が本明細書において示され、かつ記載されているが、かかる実施形態が例としてのみ提供されていることは、当業者には明らかであろう。多くの変化形、変更、及び置換が、本デバイス及び方法から逸脱することなく、当業者に想起され得る。本明細書に記載のデバイス及び方法の実施形態に対する様々な代替案が採用され得ることが理解されよう。
【0022】
本明細書で使用される「試料」という用語は、概して、核酸分子を含むか、又は含むことが疑われる任意の試料を指す。例えば、試料は、1つ以上の核酸分子を含む生体試料であり得る。生体試料は、血液(例えば、全血)、血漿、血清、尿、唾液、粘膜排泄物、痰、便、及び涙から得ることができる(例えば、抽出若しくは単離される)か、又はそれらを含み得る。生体試料は、流体試料又は組織試料(例えば、皮膚試料)であり得る。いくつかの例では、試料は、全血などの無細胞体液から得られる。このような場合、試料は、無細胞DNA及び/又は無細胞RNAを含み得る。いくつかの例では、試料は、循環腫瘍細胞を含み得る。いくつかの例では、試料は、環境試料(例えば、土、廃棄物、周囲空気など)、工業試料(例えば、あらゆる工業プロセスからの試料)、及び食品試料(例えば、乳製品、野菜製品、及び肉製品)である。試料は、マイクロ流体デバイスに装填する前に処理され得る。例えば、試料は、細胞を溶解する、核酸分子を精製する、又は試薬を含めるために処理され得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「流体」という用語は、概して、液体又は気体を指す。流体は、定義された形状を維持できず、観察可能な時間枠の間に流れて、流体が入れられる容器を満たすこととなる。したがって、流体は、流れることができる任意の好適な粘度を有し得る。2つ以上の流体が存在する場合、各流体は、任意の流体(例えば、液体、ガスなど)の中から独立して選択され得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「分配する」という用語は、概して、複数の部分への分割若しくは分散、又は共有を指す。例えば、分配された試料は、他の試料から単離された試料である。試料の分配を可能にする構造の例には、ウェル及びチャンバが含まれる。
【0025】
本明細書中で使用される場合、「デジタル化された」又は「デジタル化」という用語は、交換可能に使用され得、また一般的に、1つ以上の区画に分配された試料をいう。デジタル化された試料は、別のデジタル化された試料と流体連通し得るか、又は流体連通していない場合がある。デジタル化された試料は、別のデジタル化された試料と相互作用しないか、又は材料(例えば、試薬、分析物など)を交換しない場合がある。
【0026】
本明細書で使用される場合、「マイクロ流体の」という用語は、概して、少なくとも1つのチャネル、複数の吸い上げ開口部、及びチャンバのアレイのうちの1つ以上を含み得る、チップ、エリア、デバイス、物品、又はシステムを指す。チャネルは、約10ミリメートル(mm)以下、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1.5mm以下、約1mm以下、約750マイクロメートル(μm)以下、約500μm以下、約250μm以下、約100μm以下、又はそれ未満以下の断面寸法を有し得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、「深さ」という用語は、概して、チャネル、吸い上げ開口部、又はチャンバの底部から、チャネル、複数の吸い上げ開口部、及びチャンバのアレイをキャップするフィルムまでの測定された距離を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「断面」又は「断面の」という用語は交換可能に使用され得、概して、特徴の長寸法に実質的に垂直であるチャネル又は吸い上げ開口部の寸法又は面積を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「加圧ガス抜き」又は「加圧脱気」という用語は、交換可能に使用され得、一般に、圧力差の適用を通じて、気体(例えば、空気、窒素、酸素など)をデバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)のチャネル又はチャンバからチャネル又はチャンバの外部環境へと除去又は排出することを指す。圧力差は、チャネル又はチャンバと、チャネル又はチャンバの外部環境との間に適用され得る。圧力差は、デバイスへの1つ以上の入口への圧力源の適用、又はデバイスの1つ以上の表面への真空源の適用によって提供され得る。加圧ガス抜き又は加圧脱気は、チャネル又はチャンバの1つ以上の側面を覆うフィルム又は膜を通して可能にすることができる。
【0030】
「少なくとも~」、「~より大きい」、又は「~以上」という用語が、一連の2つ以上の数値のうちの最初の数値の前にある場合は常に、「少なくとも~」、「~より大きい」、又は「~以上」という用語は、その一連の数値の各数値に適用される。例えば、1、2、又は3以上は、1以上、2以上、又は3以上と同等である。
【0031】
「~を超えない」、「~より小さい」、又は「~以下」という用語が、一連の2つ以上の数値のうちの最初の数値の前にある場合は常に、「~を超えない」、「~より小さい」、又は「~以下」という用語は、その一連の数値の各数値に適用される。例えば、3、2、又は1以下は、3以下、2以下、又は1以下と同等である。
【0032】
試料を分配するためのマイクロ流体デバイス
本開示は、試料を分配する、分析物を分析する、又はその両方のためのデバイスを提供する。本開示のデバイスは、ポリマー材料(例えば、熱可塑性物質)から形成されてもよく、第1の複数の第1のチャンバ及び第2の複数の第2のチャンバのうちの1つ以上を含んでもよく、第1の複数のチャンバのうちの第1のチャンバは、第2の複数のチャンバのうちの第2のチャンバの第2の容積と異なる第1の容積を有してもよい。マイクロ流体デバイスは、チップ又はカートリッジであり得る。本開示のマイクロ流体デバイスは、単回使用又は使い捨てデバイスであり得る。代替として、マイクロ流体デバイスは、複数回使用デバイスであり得る。ポリマー(例えば、熱可塑性物質)を使用してマイクロ流体構造を形成すると、安価なかつ拡張性の高い射出成形プロセスの使用を可能にし得るが、第1及び第2の複数のチャンバは、試料を分配し、分析物を分析し、又はその両方の改善された能力を提供することができ、そのような複数のチャンバ及び異なる容積を組み込まないいくつかのマイクロ流体構造に存在し得るダイナミックレンジ検出限界を回避する。
【0033】
例えば、同様のデバイス又はマイクロ流体デバイスは、サブミリメートル規模で動作し、マイクロリットル、ナノリットル、又はより少量の流体を取り扱うので、試料を処理すること又は分析物を分析することにおける主要な障害は、高濃度及び低濃度の分析物を同時に検出する能力である可能性がある。例えば、高濃度の分析物は、チャンバを過飽和させて、検出器の最大検出限界又はダイナミックレンジから外れるシグナルをもたらす可能性がある。同様に、低濃度分析物は、機器のダイナミックレンジ外の定量限界未満の濃度であってもよい。試料濃度が検出のダイナミックレンジ外になることを回避するために、他のマイクロ流体システムは、試料ごとに複数の試料若しくは分析物の実行、又は複数のチップ若しくはカートリッジを使用し、特に大規模での分析の困難さ及び費用を増大させる可能性がある。
【0034】
一態様では、本開示は、試料を分配するためのデバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)を提供する。デバイスは、第1の複数のチャンバ及び第2の複数のチャンバを備えることができる。第1の複数のチャンバのうちの第1のチャンバは、第1の容積を有することができる。第2の複数のチャンバのうちの第2のチャンバは、第2の容積を有することができる。第1のチャンバの容積は、第2のチャンバの容積と異なってもよい。
【0035】
デバイスは、少なくとも1、2、3、4、5、6、8、10、12、又はそれ以上の複数のチャンバを備えることができる。複数のチャンバの各々は、同じ容積のチャンバを含むことができる。例えば、第1の複数のチャンバのチャンバは、実質的に同じ第1の容積を有してもよく、第2の複数のチャンバのチャンバは、実質的に同じ第2の容積を有してもよい。第1の容積と第2の容積は異なっていてもよい。異なる複数のチャンバは、同じ数のチャンバを含んでもよい(例えば、第1の複数のチャンバは、第2又は第3の複数のチャンバと同じ又は実質的に同じ数のチャンバを有してもよい)。あるいは、又はそれに加えて、複数のチャンバ内のチャンバの数は、デバイスにわたって変動してもよい(例えば、第1の複数のチャンバは、第2又は第3の複数のチャンバとは異なる数のチャンバを有してもよい)。
【0036】
第1の複数のチャンバは、少なくとも約10個の第1のチャンバ、少なくとも約20個の第1のチャンバ、少なくとも約50個の第1のチャンバ、少なくとも約100個の第1のチャンバ、少なくとも約150個の第1のチャンバ、少なくとも約200個の第1のチャンバ、少なくとも約500個の第1のチャンバ、少なくとも約1,000個の第1のチャンバ、少なくとも約5,000個の第1のチャンバ、少なくとも約10,000個の第1のチャンバ、少なくとも約50,000個の第1のチャンバ、又は少なくとも約100,000個の第1のチャンバを含むことができる。1つ以上の第1のチャンバは、分析物を含有する試料を含む溶液を受容するように構成されてもよく、又は受容してもよい。一例では、第1の複数のチャンバは、少なくとも100個のチャンバを含む。別の例では、第1の複数のチャンバは、少なくとも500個のチャンバを含む。別の例では、第1の複数のチャンバは、少なくとも1,000個のチャンバを含む。別の例では、第1の複数のチャンバは、少なくとも5,000個のチャンバを含む。1つ以上の第1のチャンバは、分配中にチャネルからの溶液の少なくとも一部を受容して保持するように構成され得るか、又は受容して保持し得る。1つ以上の第1のチャンバは、第1の容積を有するように構成されてもよい。デバイスは、第2の複数のチャンバを備えることができる。第2の複数のチャンバは、少なくとも約10個の第2のチャンバ、少なくとも約20個の第2のチャンバ、少なくとも約50個の第2のチャンバ、少なくとも約100個の第2のチャンバ、少なくとも約150個の第2のチャンバ、少なくとも約200個の第2のチャンバ、少なくとも約500個の第2のチャンバ、少なくとも約1,000個の第2のチャンバ、少なくとも約5,000個の第1のチャンバ、少なくとも約10,000個の第2のチャンバ、少なくとも約50,000個の第2のチャンバ、又は少なくとも約100,000個の第2のチャンバを含むことができる。一例では、第2の複数のチャンバは、少なくとも100個のチャンバを含む。別の例では、第2の複数のチャンバは、少なくとも500個のチャンバを含む。別の例では、第2の複数のチャンバは、少なくとも1,000個のチャンバを含む。別の例では、第2の複数のチャンバは、少なくとも5,000個のチャンバを含む。1つ以上の第2のチャンバは、分析物を含有する試料を含む溶液を受容するように構成されてもよく、又は受容してもよい。1つ以上の第2のチャンバは、分配中にチャネルからの溶液の少なくとも一部を受容して保持するように構成され得るか、又は受容して保持し得る。1つ以上の第2のチャンバは、第2の容積を有するように構成されてもよい。一例では、デバイスは、少なくとも約100個の第1のチャンバを含む第1の複数のチャンバと、少なくとも約100個の第2のチャンバを含む第2の複数のチャンバとを含む。一例では、デバイスは、少なくとも約1000個の第1のチャンバを含む第1の複数のチャンバと、少なくとも約1000個の第2のチャンバを含む第2の複数のチャンバとを含む。一例では、デバイスは、少なくとも約5000個の第1のチャンバを含む第1の複数のチャンバと、少なくとも約5000個の第2のチャンバを含む第2の複数のチャンバとを含む。
【0037】
例示的なデバイス、又はマイクロ流体デバイスを図1A及び図1Bに示す。図1Aは、例示的なデバイスの例示的な上面図を示す。デバイスは、1つ以上の流体流チャネル又はチャネル120を含み得る。流体流チャネル120は、少なくとも2つの端部を含み得る。流体流チャネル120の一端100は、入口ポートと流体連通し得るか、又はそれに結合され得る。入口ポートは、試料を流体流チャネル120に提供することができる。流体流チャネルの第2の端部105は、行き止まりであり得るか、又はそうでなければ、入口若しくは出口に結合されていない端部であり得る。デバイスは、1つ以上の組又は複数のチャンバ110及び115を含み得る。いくつかの組又は複数のチャンバは、例えば115などの別の複数のチャンバ又は組のチャンバごと又は合計又はその両方の流体又は分配容積よりも小さい、例えば110などのチャンバごと又は合計又はその両方の流体又は分配容積を含むことができる。チャネルであってもよい流体流路120は、1つ以上のチャンバ110及び115と流体連通してもよく、したがって、異なる複数のチャンバ110及び115のチャンバは、互いに流体連通してもよい。一例では、流体流路120は、複数のチャンバ110及び115と流体連通している。流体流路120とチャンバ110及び115との間の流体連通は、1つ以上の吸い上げ開口部125によって提供され得る。チャンバ110及び115は、1つ以上のガス放出チャネルに隣接して配設され得る。デバイスは、2つ以上の流体流チャネル120を含み得る。流体流チャネル120は、互いに流体連通し得るか、又は流体連通していない場合がある。各流体流チャネル120は、一組のチャンバ110及び115と流体連通し得る。図1Bは、例示的なマイクロ流体デバイスの例示的な上面図を示す。デバイスは、本体又はデバイス本体130を含んでもよい。デバイス本体130は、熱可塑性物質又は他のプラスチックを含み得る。デバイス本体130は、成形プロセスによって形成することができる。デバイス本体130は、チャネル120、チャンバ110、吸い上げ開口部125、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含んでもよい。マイクロ流体デバイスは、本体130に接着されて、流体流チャネル120、チャンバ110、吸い上げ開口部125、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を密閉するフィルム135を更に含み得る。
【0038】
第1の複数のチャンバのうちの第1のチャンバは、第2の複数のチャンバのうちの第2のチャンバの第2の容積とは異なる第1の容積を有してもよい。第1のチャンバの容積は、第2の容積の少なくとも2倍の大きさ、少なくとも5倍の大きさ、少なくとも10倍の大きさ、少なくとも30倍の大きさ、又は少なくとも100倍の大きさであってもよい。第1の複数のチャンバの第1の総容積は、約0.1マイクロリットル(μL)未満、約1μL未満、約10μL未満、約10μL以上、100μL超、又は1000μL超であってもよい。第2の複数のチャンバの第2の総容積は、約0.1マイクロリットル(μL)未満、約1μL未満、約10μL未満、約10μL以上、100μL超、又は1000μL超であってもよい。第1の複数のチャンバの第1の総容積は、第2の複数のチャンバの第2の総容積の少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも30倍、又は少なくとも100倍の大きさであってもよい。第1の複数のチャンバの第1のチャンバは、実質的に同様の容積を含むことができる。第2の複数のチャンバの第2のチャンバは、実質的に同様の容積を含むことができる。第1のチャンバの第1の容積は、約1ピコリットル(pL)、10pL、25pL、100pL、250pL、1,000pL、3,000pL、又は10,000pL以上であってもよい。第1のチャンバは、第1の深さを含むことができる。第2のチャンバ又は後続のチャンバは、第2の深さを含むことができる。第1の深さは、第2の深さよりも大きくてもよく、実質的に同様であってもよく、又は小さくてもよい。第1のチャンバは、第1の断面積を含むことができる。第2のチャンバは、第2の断面積を含むことができる。第1の断面積は、第2の断面積よりも小さくてもよく、実質的に同様であってもよく、又は大きくてもよい。
【0039】
第1の複数のチャンバ、第2の複数のチャンバ、又は両方は、チャンバのアレイを含むことができる。デバイスは、チャンバの単一のアレイ又はチャンバの複数のアレイを含み得、チャンバの各アレイは、他のアレイから流体的に単離されている。チャンバのアレイは、一列で、格子構成で、交互のパターンで、又は任意の他の構成で、配置され得る。デバイスは、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、又はそれ以上のチャンバのアレイを有し得る。チャンバのアレイは同一であり得るか、又はチャンバのアレイは異なり得る(例えば、異なる数又は構成のチャンバを有し得る)。チャンバのアレイは、全て同じ外形寸法を有し得るか(例えば、チャンバのアレイの全ての特徴を包囲する、チャンバのアレイの長さ及び幅)、又はチャンバのアレイは、異なる外形寸法を有し得る。チャンバのアレイは、約100mm以下、75mm以下、50mm以下、40mm以下、30mm以下、20mm以下、10mm以下、8mm以下、6mm以下、4mm以下、2mm以下、1mm以下、又はそれ未満以下の幅を有し得る。チャンバのアレイは、50mm以上、40mm以上、30mm以上、20mm以上、10mm以上、8mm以上、6mm以上、4mm以上、2mm以上、1mm以上、又はそれ未満以上の長さを有し得る。一例では、アレイの幅は、約1mm~100mm、又は約10mm~50mmであり得る。一例では、アレイの長さは、約1mm~50mm、又は約5mm~20mmであり得る。
【0040】
チャンバのアレイは、約1,000以上のチャンバ、5,000以上のチャンバ、10,000以上のチャンバ、20,000以上のチャンバ、30,000以上のチャンバ、40,000以上のチャンバ、50,000以上のチャンバ、100,000以上のチャンバ、又はそれ以上のチャンバを有し得る。一例では、マイクロ流体デバイスは、約10,000~30,000のチャンバを有し得る。別の例では、マイクロ流体デバイスは、約15,000~25,000のチャンバを有し得る。チャンバは、円筒形状、半球形状、又は円筒形状及び半球形状の組み合わせであり得る。あるいは、又はそれに加えて、チャンバは立方体の形状であり得る。チャンバは、約500μm以下、250μm以下、100μm以下、80μm以下、60μm以下、30μm以下、15μm以下、又はそれ未満以下の断面寸法を有し得る。一例では、チャンバは、約250μm以下の断面寸法(例えば、直径又は辺の長さ)を有する。別の例では、チャンバは、約100μm以下の断面寸法(例えば、直径又は辺の長さ)を有する。別の例では、チャンバは、約50μm以下の断面寸法(例えば、直径又は辺の長さ)を有する。
【0041】
チャンバの深さは、約500μm以下、250μm以下、100μm以下、80μm以下、60μm以下、30μm以下、15μm以下、又はそれ未満であり得る。一例では、チャンバは、約30μmの断面寸法及び約100μmの深さを有し得る。別の例では、チャンバは、約35μmの断面寸法及び約80μmの深さを有し得る。別の例では、チャンバは、約40μmの断面寸法及び約70μmの深さを有し得る。別の例では、チャンバは、約50μmの断面寸法及び約60μmの深さを有し得る。別の例では、チャンバは、約60μmの断面寸法及び約40μmの深さを有し得る。別の例では、チャンバは、約80μmの断面寸法及び約35μmの深さを有し得る。別の例では、チャンバは、約100μmの断面寸法及び約30μmの深さを有し得る。別の例では、チャンバとチャネルとは同じ深さを有する。別の実施形態では、チャンバとチャネルとは異なる深さを有する。
【0042】
チャンバの容積は、任意の容積であり得る。チャンバは、マイクロ流体デバイス全体にわたって同じ容積を有し得るか、又は容積は変動し得る。チャンバは、約1000ピコリットル(pL)以下、900pL以下、800pL以下、700pL以下、600pL以下、500pL以下、400pL以下、300pL以下、200pL以下、100pL以下、75pL以下、50pL以下、25pL以下、又はそれ未満のピコリットル以下の容積を有し得る。チャンバは、約25pL~50pL、25pL~75pL、25pL~100pL、25pL~200pL、25pL~300pL、25pL~400pL、25pL~500pL、25pL~600pL、25pL~700pL、25pL~800pL、25pL~900pL、又は25pL~1000pLの容積を有し得る。一例では、チャンバは、250pL以下の容積を有する。別の例では、チャンバは、約150pL以下の容積を有する。
【0043】
チャネルの容積は、チャンバの総容積よりも小さくてもよく、等しくてもよく、又はより大きくてもよい。一例では、チャネルの容積は、チャンバの総容積未満である。チャネルの容積は、チャネルの総容積の95%以下、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、又はそれ未満以下であり得る。
【0044】
デバイスは、チャネルとチャンバとの間に配設されている吸い上げ開口部を更に含み得る。吸い上げ開口部は、チャネルを複数のチャンバに接続する複数の吸い上げ開口部のうちの1つであり得る。吸い上げ開口部は、チャネルとチャンバとの間の流体連通を提供するように構成され得る。吸い上げ開口部の長さは、デバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)全体にわたって一定であり得るか、又は変動し得る。吸い上げ開口部は、約150μm以下、100μm以下、50μm以下、25μm以下、10μm以下、5μm以下、又はそれ未満以下の長寸法を有し得る。吸い上げ開口部の深さは、約50μm以下、25μm以下、10μm以下、5μm以下、又はそれ未満以下であり得る。吸い上げ開口部は、約50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下、5μm以下、又はそれ未満以下の断面寸法を有し得る。
【0045】
吸い上げ開口部の断面形状は、円形、楕円形、三角形、正方形、又は長方形を含むがこれらに限定されない、任意の好適な断面形状であり得る。吸い上げ開口部の断面積は、吸い上げ開口部の長さに沿って一定であり得る。あるいは、又はそれに加えて、吸い上げ開口部の断面積は、吸い上げ開口部の長さに沿って変動し得る。吸い上げ開口部の断面積は、チャンバへの接続部における吸い上げ開口部の断面積よりも、チャネルへの接続部における方が大きくなり得る。あるいは、チャンバへの接続部における吸い上げ開口部の断面積は、チャネルへの接続部における吸い上げ開口部の断面積よりも大きくてもよい。吸い上げ開口部の断面積は、約50%~150%、60%~125%、70%~120%、80%~115%、90%~110%、95%~100%、又は98%~102%で変動し得る。吸い上げ開口部の断面積は、約2,500μm2以下、1,000μm2以下、750μm2以下、500μm2以下、250μm2以下、100μm2以下、75μm2以下、50μm2以下、25μm2以下、又はそれ未満以下であり得る。チャネルへの接続部における吸い上げ開口部の断面積は、チャネルの断面積以下であり得る。チャネルへの接続部における吸い上げ開口部の断面積は、チャネルの断面積の約98%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下、又はそれ未満以下であり得る。吸い上げ開口部は、チャネルに対して実質的に垂直であり得る。あるいは、又はそれに加えて、吸い上げ開口部はチャネルに対して実質的に垂直でない。吸い上げ開口部とチャネルとの間の角度は、少なくとも約5°、10°、15°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、又は90°であり得る。
【0046】
デバイスは、いくつかの実施形態では、いかなる可動部品も含有しなくてもよい。他の態様では、デバイスは、バルブ、ポンプ、ゲート、スイッチ、ドア、又はホイールなどの可動部品又は機械部品を含む。機械部品を有するデバイスは、複数の第1のチャンバ、複数の第2のチャンバ、1つ以上のチャネル、入口、出口、又は吸い上げ開口部の間の流体連通を提供又は遮断するために使用することができる。いくつかの態様では、これらの機械部品は、コンピュータ、圧力、機械スイッチ、又は温度によって制御される。
【0047】
デバイスは、第1の複数のチャンバ及び第2の複数のチャンバと流体連通するチャネルを更に備えることができる。チャネルは、流体流路の一部であり得る。流体流路は、チャネル、1つ以上の入口ポート、1つ以上の出口ポート、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。一例では、流体流路は、出口ポートを含まない場合がある。入口ポート、出口ポート、又は両方は、チャネルと流体連通し得る。入口ポートは、試料又は分析物を含む溶液をチャネルに指向するように構成され得る。第1のチャンバ及び第2のチャンバは、チャネルと流体連通してもよい。第2の複数のチャンバは、第1の複数のチャンバの上流のチャネルと流体連通してもよい。第2の複数のチャンバは、第1の複数のチャンバの下流のチャネルと流体連通してもよい。チャネルは、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれを上回る分岐を備えてもよい。チャネルは、少なくとも2つの分岐を備えてもよい。第1の複数のチャンバは、少なくとも2つの分岐のうちの第1の分岐に沿って配置されてもよく、第2の複数のチャンバは、少なくとも2つの分岐のうちの第2の分岐に沿って配置されてもよい。チャネルは、少なくとも4つの分岐を備えてもよい。第1の複数のチャンバは、少なくとも4つの分岐のうちの第1及び第2の分岐に沿って配置されてもよく、第2の複数のチャンバは、少なくとも4つの分岐のうちの第3及び第4の分岐に沿って配置されてもよい。デバイスは、任意の数の分岐を伴うチャネルを含んでもよく、第1及び第2の複数のチャンバは、任意の数又は組み合わせの分岐に配置され、第1及び第2の複数のチャンバは、異なる分岐上に配置される。
【0048】
デバイス経路は、少なくとも1、2、3、4、5、6、8、10、12、15、20、25、30、40、50又はそれより多くのチャネルを含んでもよい。各チャネルは、互いに流体的に分離することができる。あるいは、又はそれに加えて、複数のチャネルは互いに流体連通していてもよい。チャネルは、第1の端部及び第2の端部を含むことができる。第1の端部及び第2の端部は、単一の入口ポートに接続され得る。あるいは、又はそれに加えて、チャネルの第1の端部は、入口ポートに接続され得、チャネルの第2の端部は、行き止まりであり得る。単一の入口ポートに接続された第1の端部及び第2の端部を有するチャネルは、入口ポートを通ってチャネルに入る流体を、チャネルの第1の端部及び第2の端部を通じて誘導することができるように、円形又はループ状の構成であってもよい。あるいは、第1の端部が入口ポートに接続されてもよく、第2の端部が出口ポートに接続されてもよい。流体流路又はチャンバは、流体の流れを停止若しくは阻害するため、又はチャンバを単離するための弁を含まない場合がある。
【0049】
いくつかの実施形態では、デバイスは、第1の複数のチャンバ、第2の複数のチャンバ、チャネル、又はそれらの組み合わせを密閉するように構成されたカバーを更に含む。一例では、カバーは、金属層、熱可塑性層、又はポリマー層を含み得るフィルムであってもよい。ポリマー又は熱可塑性層は、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PT)、ポリカーボネート(PC)、又は環状オレフィンコポリマー(COC)から構成されてもよい。金属層は、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、又はニッケルから構成されてもよい。いくつかの実施形態では、金属層は、アルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、金属層の厚さは、約50ナノメートル(nm)以下である。いくつかの実施形態では、フィルムの厚さは、約100μm以下である。いくつかの実施形態では、厚さは、約50μm~100μmである。一例では、金属層は、フィルムの外部表面上に配設されている。別の例では、金属層は、フィルムの表面汚染を低減させるように構成されている。別の例では、フィルムは、実質的に光学的に透明である。デバイスはまた、チャネル、第1の複数のチャンバ、第2の複数のチャンバ、吸い上げ開口部、又はそれらの組み合わせを含む本体を含んでもよく、カバーは本体にしっかりと固定される。デバイス本体は、熱可塑性物質、ポリマー又は他のプラスチックを含み得る。熱可塑性物質又はポリマーは、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PT)、ポリカーボネート(PC)、又は環状オレフィンコポリマー(COC)であってもよい。デバイス本体は、成形プロセス、エンボス加工プロセス、又はリソグラフィプロセスによって形成されてもよい。
【0050】
デバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)はユニットを含み得、ユニットは、第1の複数のチャンバ、第2の複数のチャンバ、1つ以上のチャネル、又はそれらの任意の組み合わせを含む。例えば、デバイスは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、又はそれより多くのユニットを含み得る。一実施形態では、デバイスは4つのユニットを有する。個々のユニットは、互いに流体連通し得るか、又は流体連通していない場合がある。一例では、個々のユニットは互いに流体連通していない。チャネルは、流体流路の一部であり得る。流体流路は、チャネル、1つ以上の入口ポート、1つ以上の出口ポート、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。一例では、流体流路は、出口ポートを含まない場合がある。入口ポート、出口ポート、又は両方は、チャネルと流体連通し得る。入口ポートは、試料を含む溶液をチャネルに指向するように構成され得る。チャンバは、チャネルと流体連通し得る。
【0051】
チャネルは、単一の入口、複数の入口、1つの出口、複数の出口、又はそれらの任意の組み合わせを有してもよい。入口は同じ直径を有し得るか、又はそれらは異なる直径を有し得る。入口及び出口は、約2.5ミリメートル(mm)以下、2mm以下、1.5mm以下、1mm以下、0.5mm以下、又はそれ未満以下の直径を有し得る。
【0052】
デバイスは、長寸法及び短寸法を含むことができる。長寸法は、約20センチメートル(cm)以下、15cm以下、10cm以下、8cm以下、6cm以下、5cm以下、4cm以下、3cm以下、2cm以下、1cm以下、又はそれ未満以下であり得る。デバイスの短寸法は、約10cm以下、8cm以下、6cm以下、5cm以下、4cm以下、3cm以下、2cm以下、1cm以下、0.5cm以下、又はそれ未満以下であり得る。一例では、デバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)の寸法は、約7.5cm×2.5cmである。チャネルは、マイクロ流体デバイスの長寸法に実質的に平行であり得る。代替的に、又はそれに加えて、チャネルは、マイクロ流体デバイスの長寸法に対して実質的に垂直(例えば、デバイスの短寸法に対して平行)であってもよい。代替的に、又はそれに加えて、チャネルは、マイクロ流体デバイスの長寸法に対して実質的に平行でも実質的に垂直でもない場合がある。チャネルとマイクロ流体デバイスの長寸法との間の角度は、少なくとも約5°、10°、15°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、又は90°であり得る。一例では、チャネルは単一の長いチャネルである。代替的に、又はそれに加えて、チャネルは屈曲部、湾曲部、又は角度を有してもよい。一例では、チャネルは、チャネルの長さを増加させるように構成された蛇行パターンを含み得る。チャネルは、約100ミリメートル(mm)以下、75mm以下、50mm以下、40mm以下、30mm以下、20mm以下、10mm以下、8mm以下、6mm以下、4mm以下、2mm以下、又はそれ未満以下の長寸法を有し得る。チャネルの長さは、マイクロ流体デバイスの外形の長さ又は幅によって拘束され得る。チャネルは、約500マイクロメートル(μm)以下、250μm以下、100μm以下、80μm以下、60μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下、又はそれ未満以下の深さを有し得る。チャネルは、約500μm以下、250μm以下、100μm以下、75μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下、又はそれ未満以下の断面寸法(例えば、幅又は直径)を有し得る。
【0053】
いくつかの例では、チャネルの断面寸法は、幅約100μm×深さ約100μmであり得る。いくつかの例では、チャネルの断面寸法は、幅約100μm×深さ約80μmであり得る。いくつかの例では、チャネルの断面寸法は、幅約100μm×深さ約60μmであり得る。いくつかの例では、チャネルの断面寸法は、幅約100μm×深さ約40μmであり得る。いくつかの例では、チャネルの断面寸法は、幅約100μm×深さ約20μmであり得る。いくつかの例では、チャネルの断面寸法は、幅約100μm×深さ約10μmであり得る。いくつかの例では、チャネルの断面寸法は、幅約80μm×深さ約100μmであり得る。いくつかの例では、チャネルの断面寸法は、幅約60μm×深さ約100μmであり得る。いくつかの例では、チャネルの断面寸法は、幅約40μm×深さ約100μmであり得る。いくつかの例では、チャネルの断面寸法は、幅約20μm×深さ約100μmであり得る。いくつかの例では、チャネルの断面寸法は、幅約10μm×深さ約100μmであり得る。いくつかの例では、チャネルの断面寸法は、幅約80μm×深さ約80μmであり得る。いくつかの例では、チャネルの断面寸法は、幅約60μm×深さ約60μmであり得る。いくつかの例では、チャネルの断面寸法は、幅約40μm×深さ約40μmであり得る。いくつかの例では、チャネルの断面寸法は、幅約20μm×深さ約20μmであり得る。いくつかの例では、チャネルの断面寸法は、幅約10μm×深さ約10μmであり得る。
【0054】
分析物の分析方法
一態様では、本開示は、1つ以上の分析物を分析するための方法を提供する。本方法は、ポリマー材料(例えば、熱可塑性物質)から形成されてもよく、第1の複数の第1のチャンバ及び第2の複数の第2のチャンバのうちの1つ以上を含んでもよい流体デバイス(例えば、マイクロ流体デバイス又はデバイス)を提供することを含んでもよい。第1の複数の第1のチャンバは、第1のチャンバを有してもよい。複数の第2のチャンバは、第2のチャンバを有してもよい。第1のチャンバは第1の容積を有してもよく、第2のチャンバは第2の容積を有してもよい。第1の容積は、第2の容積と異なってもよい。流体デバイスは、任意の可動部品を含まなくてもよい。本方法は、流体試料を第1のチャンバ及び第2のチャンバに指向させることを含んでもよい。流体試料は、1つ以上の分析物を含んでもよい。本方法は、第1のチャンバ、第2のチャンバ、又は両方で分析物を検出することを含んでもよい。一例では、本方法は、分析物を含む流体試料を、少なくとも約100個の第1のチャンバを含む第1の複数のチャンバ及び少なくとも約100個の第2の複数のチャンバを備える流体デバイスの第1のチャンバ及び第2のチャンバに指向する工程であって、第1のチャンバが、第2のチャンバの第2の容積とは異なる第1の容積を有する工程と、第1及び第2のチャンバ内の分析物を検出する工程とを含む。
【0055】
1つ以上の分析物を分析するための方法は、図1A及び1Bに示される例示的デバイスを含む、本明細書の他の箇所に説明されるような任意のデバイス、流体デバイス、又はマイクロ流体デバイスを使用することができる。デバイスは、チャンバ、複数のチャンバ、及び複数のチャンバのアレイ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。デバイスは、単一の入口ポート又は複数の入口ポートを含み得る。一例では、デバイスは、単一の入口ポートを含む。別の例では、デバイスは、2つ以上の入口ポートを含む。デバイス(すなわち、流体デバイス又はマイクロ流体デバイス)は、本明細書の他の箇所に記載されているようなものであってもよい。
【0056】
図2は、分析物を分析するための例示的な方法を概略的に示す。試料は、本方法のデバイスの入口ポートにおいて提供されてもよい200。試料は、チャネル並びにデバイスの第1及び第2の複数のチャンバに流されてもよく205、分析物は、第1及び第2の複数のチャンバ内で検出されてもよい210。
【0057】
本方法は、チャンバの容積が分析物の検出の異なる限界を提供するデバイスを含んでもよい。第1の容積は、第2の容積よりも大きい、小さい、又は同じ容積であってもよい。第1の容積は、第2の容積よりも少なくとも2倍、3倍、5倍、10倍、又は100倍大きくてもよい。本方法は、第1の容積が、第2の容積を有する第2のチャンバ内の分析物の検出の第2の下限よりも低い、第1のチャンバ内の分析物の検出の第1の下限を提供するデバイスを含んでもよい。第1の容積は、第2のチャンバの第2の容積によって提供される第2のチャンバ内の分析物の検出の第2の上限よりも低い、第1のチャンバ内の分析物の検出の第1の上限を提供してもよい。本方法は、第1の容積が、第2の容積を有する第2のチャンバ内の分析物の検出の第2の下限よりも高い、第1のチャンバ内の分析物の検出の第1の下限を提供するデバイスを含んでもよい。第1の容積は、第2のチャンバの第2の容積によって提供される第2のチャンバ内の分析物の検出の第2の上限よりも高い、第1のチャンバ内の分析物の検出の第1の上限を提供してもよい。本方法は、第1の容積が、第2の容積を有する第2のチャンバ内の分析物の検出の第2の下限と同じである、第1のチャンバ内の分析物の検出の第1の下限を提供するデバイスを含んでもよい。第1の容積は、第2のチャンバの第2の容積によって提供される第2のチャンバ内の分析物の検出の第2の上限と同じである、第1のチャンバ内の分析物の検出の第1の上限を提供してもよい。チャンバの容積によって提供される検出限界は、分析物、チャンバの容積、又は使用される検出の種類に応じて、安定、可変、又はカスタマイズ可能であってもよい。
【0058】
本方法は、第1の検出下限以上かつ第2の検出下限未満の濃度で分析物を検出することを含んでもよい。本方法は、第1の検出限界を上回り、かつ第2の検出限界を下回る濃度で分析物を検出することを含んでもよい。分析物は、第1及び第2の検出下限を超える濃度で検出され得る。分析物は、第1及び第2の検出上限未満の濃度で検出され得る。分析物は、検出の下限又は上限の濃度で検出され得る。第1の検出下限及び第1の検出上限は、分析物の検出の第1の動作範囲を提供し得る。第2の検出下限及び第2の検出上限は、分析物の検出の第2の動作範囲を提供し得る。分析物を検出する第1及び第2の動作範囲は、異なっていても同じであってもよい。第1の容積は、分析物を検出する第1の動作範囲を提供し得る。第2の容積は、分析物を検出する第2の動作範囲を提供し得る。第1の動作範囲は、分析物を検出する第2の動作範囲よりも大きくても小さくてもよい。動作範囲は重複していてもよく、重複していなくてもよい。第1及び第2の動作範囲は、異なる相対サイズであってもよく、例えば、分析物を検出する第1の動作範囲は、分析物を検出する第2の動作範囲よりも高い検出上限を有してもよいが、分析物を検出する第1の動作範囲は、分析物を検出する第2の動作範囲よりも小さくてもよい。第1の容積は、第1の分析物濃度範囲の分析を可能にし得る。第2の容積は、第2の分析物濃度範囲の分析を可能にし得る。第1の分析物濃度範囲は、第2の分析物濃度範囲と異なっていても同じであってもよい。第1の分析物濃度範囲は、第2の分析物濃度範囲より大きくても小さくてもよい。
【0059】
本方法は、単一又は複数の圧力差を入口ポートに適用して、溶液を入口ポートからチャネルに指向することを含み得る。あるいは、又はそれに加えて、デバイスは、複数の入口ポートを含み得、圧力差は、複数の入口ポートに適用され得る。デバイス(例えば、マイクロ流体デバイス又は流体デバイス)の入口は、空気ポンプ、真空源又は圧縮機などの流体流モジュールと流体連通し得る。流体流モジュールは、入口に正圧又は負圧を提供することができる。流体流モジュールは、圧力差を適用して、デバイスを試料で充填し、試料をチャンバ内に分配(例えば、デジタル化)し得る。あるいは、又はそれに加えて、試料は、本明細書の他の箇所に記載されるように複数のチャンバに分配され得る。試料の充填及び分配は、チャンバとチャネルとの間の弁を使用せずに実行されて、試料を単離し得る。例えば、チャネルの充填は、入口ポート内の試料とチャネルとの間に圧力差を適用することによって実行され得る。この圧力差は、試料を加圧するか、又はチャネル若しくはチャンバに真空を適用することによって達成され得る。チャンバの充填及び試料を含む溶液の分配は、チャネルとチャンバとの間に圧力差を適用することによって実行され得る。これは、入口ポートを介してチャネルを加圧するか、又はチャンバに真空を適用することによって達成され得る。試料を含む溶液は、各チャンバが溶液の少なくとも一部を収容するようにチャンバに入ることができる。
【0060】
場合によっては、単一の圧力差を使用して、試料(関心対象の分子標的を含む)を有する溶液をチャネルに送達することができ、同じ圧力差を使用して、溶液を有するチャンバをデジタル化し続ける(例えば、チャネルからチャンバに溶液を送達する)ことができる。更に、単一圧力差は、チャネル又はチャンバの加圧ガス抜き又は脱気を可能にするのに十分に高くてもよい。あるいは、又はそれに加えて、試料を含む溶液をチャネルに送達するための圧力差は、第1の圧力差であり得る。チャネルからチャンバに溶液を送達するための圧力差は、第2の圧力差であり得る。第1及び第2の圧力差は、同じであり得るか、又は異なり得る。一例では、第2の圧力差は、第1の圧力差よりも大きくてもよい。あるいは、第2の圧力差は、第1の圧力差よりも小さくてもよい。第1の圧力差、第2の圧力差、又は両方は、チャネル又はチャンバの加圧ガス抜き又は脱気を可能にするのに十分に高くてもよい。場合によっては、第3の圧力差を使用して、第1のチャネル、チャンバ、又はその両方の加圧ガス抜き又は脱気を可能にすることができる。第1のチャネル又はチャンバの加圧ガス抜き又は脱気は、第2のチャネル又はフィルム又は膜によって可能にされ得る。例えば、圧力閾値に達すると、フィルム又は膜は、ガスが、チャンバ、第1のチャネル、又はチャンバ及び第1のチャネルの両方からフィルム又は膜を通ってチャンバ又は第1のチャネルの外側の環境に移動することを可能にし得る。
【0061】
異なるチャネル又はフィルム又は膜は、適用される異なる圧力差の下で異なる透過特性を使用することができる。例えば、異なるチャネル又はフィルム又は膜は、第1の圧力差(例えば低圧)において気体不透過性であり、第2の圧力差(例えば高圧)において気体透過性であり得る。第1及び第2の圧力差は、同じであり得るか、又は異なり得る。マイクロ流体デバイスの充填中、入口ポートの圧力は、チャネルの圧力よりも高くてもよく、入口ポート内の溶液がチャネルに入ることを可能にする。第1の圧力差(例えば、低圧差)は、約8psi以下、6psi以下、4psi以下、2psi以下、1psi以下、又はそれ未満以下であり得る。一例では、第1の圧力差は、約1psi~8psiであり得る。別の例では、第1の圧力差は、約1psi~6psiであり得る。別の例では、第1の圧力差は、約1psi~4psiであり得る。デバイスのチャンバは、入口とチャンバとの間に第2の圧力差を適用することによって充填され得る。第2の圧力差は、流体を第1のチャネルからチャンバ内に指向し得、ガスを第1のチャネル又はチャンバから第1のチャネル又はチャンバの外部の環境に指向し得る。第2の圧力差は、約1psi以上、2psi以上、4psi以上、6psi以上、8psi以上、10psi以上、12psi以上、14psi以上、16psi以上、20psi以上、又はより高い値以上であり得る。一例では、第2の圧力差は、約4psiより大きい。別の例では、第2の圧力差は、約8psiより大きい。マイクロ流体デバイスは、約20分以下、15分以下、10分以下、5分以下、3分以下、2分以下、1分以下、又はそれ未満以下の間、第1の圧力差、第2の圧力差、又はそれらの組み合わせを適用することによって、充填され、試料が分配され得る。
【0062】
試料は、ガス、又は全秒を含む水溶液と非混和性の流体でチャネルを埋め戻すことによって、チャネルから過剰な試料を除去することによって分配され得る。非混和性流体は、試料を含む溶液が最初にチャネルに入り、続いて非混和性流体が入るように、溶液を提供した後に提供され得る。非混和性流体は、水性流体と混合しない任意の流体であり得る。ガスは、酸素、窒素、二酸化炭素、空気、希ガス、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。不混和性流体は、油又は有機溶媒であり得る。例えば、不混和性流体は、シリコーン油又はシリコーン油と比較して同様の特性を有する他のタイプの油/有機溶媒であり得る。あるいは、チャネルから試料を除去することにより、1つのチャンバ内の試薬が吸い上げ開口部を通ってチャネル内及び他のチャンバ内に拡散するのを防ぎ得る。チャネル内の試料は、試料がチャネル内に残らないように試料をチャンバに分割することによって、又は過剰な試料を第1のチャネルから除去することによって、除去され得る。
【0063】
溶液をチャネルから1つ以上のチャンバに指向することにより、試料を分配し得る。デバイスは、試料をチャンバ内に分配するか、又は試料をデジタル化することを可能にし、それによって、チャネル又は吸い上げ開口部に残留溶液が残らなくなる(例えば、試料デッドボリュームがなくなるか、又は実質的になくなる)。試料を含む溶液は、試料デッドボリュームが0又は実質的に0であるように(例えば、デバイス内に投入された全ての試料及び試薬がチャンバ内で流体的に単離される)分配されてもよく、これにより試料及び試薬の無駄を防止するか又は低減させることができる。あるいは、又はそれに加えて、試料は、チャンバの容積よりも小さい試料容積を提供することによって分配され得る。第1のチャネルの容積は、第1のチャネル内に装填される全ての試料がチャンバに分配されるように、チャンバの全容積未満であり得る。試料を含む溶液の総容積は、チャンバの総容積未満であり得る。溶液の体積は、チャンバの総容積の100%以下、99%以下、98%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、又はそれ未満以下であり得る。溶液は、ガス又は非混和性流体が入口ポートに加えられるのと同時に、又はその前に、入口ポートに加えられ得る。ガス又は非混和性流体の体積は、チャンバを流体的に単離するために、第1のチャネルの容積以上であり得る。少量のガス又は非混和性流体が、吸い上げ開口部又はチャンバに入ることができる。
【0064】
試料の分配は、試薬内の指示薬の存在によって確認され得る。指示薬は、検出可能な部分を備える分子を含み得る。検出可能な部分は、放射性種、蛍光標識、化学発光標識、酵素標識、比色標識、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。放射性種の非限定的な例には、3H、14C、22Na、32P、33P、35S、42K、45Ca、59Fe、123I、124I、125I、131I、又は203Hgが含まれる。蛍光標識の非限定的な例には、蛍光タンパク質、光学活性色素(例えば、蛍光色素)、有機金属フルオロフォア、又はそれらの任意の組み合わせが含まれる。化学発光標識の非限定的な例には、ウミホタルルシフェラーゼ、ガウシアルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、及びホタルルシフェラーゼなどのルシフェラーゼクラスの酵素が含まれる。酵素標識の非限定的な例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase、HRP)、アルカリホスファターゼ(alkaline phosphatase、AP)、βガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、又は他のタイプの標識が含まれる。
【0065】
指示薬分子は、蛍光分子であり得る。蛍光分子には、蛍光タンパク質、蛍光色素、及び有機金属フルオロフォアが含まれ得る。いくつかの実施形態では、指示薬分子は、タンパク質フルオロフォアである。タンパク質フルオロフォアには、緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein、GFP、スペクトルの緑色領域で蛍光を発する蛍光タンパク質、一般に500~550ナノメートルの波長を有する光を放射する)、シアン蛍光タンパク質(cyan-fluorescent protein、CFP、スペクトルのシアン領域で蛍光を発する蛍光タンパク質、一般に450~500ナノメートルの波長を有する光を放射する)、赤色蛍光タンパク質(red fluorescent protein、RFP、スペクトルの赤色領域で蛍光を発する蛍光タンパク質、一般に600~650ナノメートルの波長を有する光を放出する)が含まれ得る。タンパク質フルオロフォアの非限定的な例には、AcGFP、AcGFP1、AmCyan、AmCyan1、AQ143、AsRed2、Azami Green、Azurite、BFP、Cerulean、CFP、CGFP、Citrine、copGFP、CyPet、dKeima-Tandem、DsRed、dsRed-Express、DsRed-Monomer、DsRed2、dTomato、dTomato-Tandem、EBFP、EBFP2、ECFP、EGFP、Emerald、EosFP、EYFP、GFP、HcRed-Tandem、HcRed1、JRed、Katuska、Kusabira Orange、Kusabira Orange2、mApple、mBanana、mCerulean、mCFP、mCherry、mCitrine、mECFP、mEmerald、mGrape1、mGrape2、mHoneydew、Midori-Ishi Cyan、mKeima、mKO、mOrange、mOrange2、mPlum、mRaspberry、mRFP1、mRuby、mStrawberry、mTagBFP、mTangerine、mTeal、mTomato、mTurquoise、mWasabi、PhiYFP、ReAsH、Sapphire、Superfolder GFP、T-Sapphire、TagCFP、TagGFP、TagRFP、TagRFP-T、TagYFP、tdTomato、Topaz、TurboGFP、Venus、YFP、YPet、ZsGreen、及びZsYellow1の、突然変異体並びにスペクトル変異体が含まれる。
【0066】
指示薬分子は、蛍光色素であり得る。蛍光色素の非限定的な例には、SYBR green、SYBR blue、DAPI、ヨウ化プロピジウム、Hoeste、SYBR gold、エチジウムブロマイド、アクリジン、プロフラビン、アクリジンオレンジ、アクリフラビン、フルオロクマニン(fluorcoumanin)、エリプチシン、ダウノマイシン、クロロキン、ジスタマイシンD、クロモマイシン、ホミジウム、ミトラマイシン、ルテニウムポリピリジル、アントラマイシン、フェナントリジン及びアクリジン、エチジウムブロマイド、ヨウ化プロピジウム、ヨウ化ヘキシジウム、ジヒドロエチジウム、エチジウムホモダイマー-1及び-2、エチジウムモノアジド、並びにACMA、Hoechst 33258、Hoechst 33342、Hoechst 34580、DAPI、アクリジンオレンジ、7-AAD、アクチノマイシンD、LDS751、ヒドロキシスチルバミジン、SYTOX Blue、SYTOX Green、SYTOX Orange、POPO-1、POPO-3、YOYO-1、YOYO-3、TOTO-1、TOTO-3、JOJO-1、LOLO-1、BOBO-1、BOBO-3、PO-PRO-1、PO-PRO-3、BO-PRO-1、BO-PRO-3、TO-PRO-1、TO-PRO-3、TO-PRO-5、JO-PRO-1、LO-PRO-1、YO-PRO-1、YO-PRO-3、PicoGreen、OliGreen、RiboGreen、SYBR Gold、SYBR Green I、SYBR Green II、SYBR DX、SYTO-40、-41、-42、-43、-44、-45(青)、SYTO-13、-16、-24、-21、-23、-12、-11、-20、-22、-15、-14、-25(緑)、SYTO-81、-80、-82、-83、-84、-85(オレンジ)、SYTO-64、-17、-59、-61、-62、-60、-63(赤)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、ローダミン、テトラメチルローダミン、R-フィコエリトリン、Cy-2、Cy-3、Cy-3.5、Cy-5、Cy5.5、Cy-7、Texas Red、Phar-Red、アロフィコシアニン(APC)、Sybr Green I、Sybr Green II、Sybr Gold、CellTracker Green、7-AAD、エチジウムホモダイマーI、エチジウムホモダイマーII、エチジウムホモダイマーIII、エチジウムブロマイド、ウンベリフェロン、エオシン、緑色蛍光タンパク質、エリスロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、カスケードブルー、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン(dichlorotriazinylamine fluorescein)、ダンシルクロリド、ユウロピウム及びテルビウムを含むものなどの蛍光性ランタニド錯体、カルボキシテトラクロロフルオレセイン、5及び/若しくは6-カルボキシフルオレセイン(FAM)、5-(若しくは6-)ヨードアセトアミドフルオレセイン、5-{[2(及び3)-5-(アセチルメルカプト)-スクシニル]アミノ}フルオレセイン(SAMSA-フルオレセイン)、リサミンローダミンBスルホニルクロリド、5及び/若しくは6カルボキシローダミン(ROX)、7-アミノ-メチル-クマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(AMCA)、BODIPYフルオロフォア、8-メトキシピレン-1,3,6-トリスルホン酸三ナトリウム塩、3,6-ジスルホナート-4-アミノ-ナフタルイミド、フィコビリタンパク質、AlexaFluor 350、405、430、488、532、546、555、568、594、610、633、635、647、660、680、700、750、及び790色素、DyLight 350、405、488、550、594、633、650、680、755、及び800色素、又はその他のフルオロフォアが含まれる。
【0067】
指示薬分子は、有機金属フルオロフォアであり得る。有機金属フルオロフォアの非限定的な例には、ランタニドイオンキレートが含まれ、その非限定的な例には、トリス(ジベンゾイルメタン)モノ(1,10-フェナントロリン)ユウロピウム(III)、トリス(ジベンゾイルメタン)モノ(5-アミノ-1,10-フェナントロリン)ユウロピウム(III)、及びLumi4-Tbクリプテートが含まれる。
【0068】
本方法は、溶液の1つ以上の成分、試料の1つ以上の成分、又は試料の1つ以上の成分との反応を検出することを更に含み得る。1つ以上の成分は、1つ以上の分析物であり得る。1つ若しくは複数の分析物、溶液の1つ若しくは複数の成分、試料の1つ若しくは複数の成分、又は反応を検出することは、チャンバを撮像することを含み得る。マイクロ流体デバイスの画像を撮影することができる。画像は、単一のチャンバを撮影するか、複数のチャンバを撮影するか、チャンバのアレイを撮影するか、又は同時に複数のチャンバの複数のアレイを撮影することによって得ることができる。画像は、マイクロ流体デバイスの本体を通して撮影され得る。画像は、マイクロ流体デバイスのフィルム又は膜を通して撮影され得る。一例では、画像は、マイクロ流体デバイスの本体及びフィルムの両方を介して撮影される。マイクロ流体デバイスの本体は、実質的に光学的に透明であり得る。代替的に、マイクロ流体デバイスの本体は、実質的に光学的に不透明であり得る。一例では、フィルム又は膜は、実質的に光学的に透明であり得る。画像は、マイクロ流体デバイスを試料で充填する前に撮影され得る。画像は、マイクロ流体デバイスを試料で充填した後に撮影され得る。画像は、マイクロ流体デバイスを試料で充填している間に撮影され得る。画像は、試料の分配を検証するために撮影され得る。画像は、反応の産物を監視するために、反応中に撮影される。一例では、反応の産物は、増幅産物を含む。画像は、特定の間隔で撮影され得る。あるいは、又はそれに加えて、マイクロ流体デバイスのビデオが撮影され得る。指定された間隔は、反応中に少なくとも約300秒ごと、240秒ごと、180秒ごと、120秒ごと、90秒ごと、60秒ごと、30秒ごと、15秒ごと、10秒ごと、5秒ごと、4秒ごと、3秒ごと、2秒ごと、1秒ごと、又はそれ以上の高い頻度で画像を撮影することを含み得る。
【0069】
試料は、核酸分子、タンパク質、酵素、抗体、又は他の生体分子などであるがこれらに限定されない任意の生体分析物又は化学分析物であり得る。一例では、試料は、1つ以上の核酸分子を含む。核酸分子を処理することは、1つ又は複数のチャンバを熱サイクルさせて核酸分子を増幅することを更に含み得る。方法は、チャネル又はチャンバの温度を制御することを更に含み得る。マイクロ流体デバイスを使用するための方法は、核酸試料の増幅を更に含み得る。マイクロ流体デバイスは、核酸分子、増幅反応に必要な成分、指示薬分子、及び増幅プローブを含む増幅試薬で充填され得る。増幅は、複数のチャンバを熱サイクルすることによって実行され得る。核酸増幅の検出は、マイクロ流体デバイスのチャンバを画像化することによって実行され得る。核酸分子は、核酸分子の増幅に成功したチャンバを数え、ポアソン統計を適用することによって定量化され得る。いくつかの実施形態では、核酸の増幅及び定量化は、単一の統合されたユニットで実行され得る。
【0070】
様々な核酸増幅反応を用いて、試料中の核酸分子を増幅し、増幅産物を生成し得る。核酸標的の増幅は、一次的、指数関数的、又はそれらの組み合わせであり得る。核酸増幅法の非限定的な例には、プライマー伸長、ポリメラーゼ連鎖反応、逆転写、等温増幅、リガーゼ連鎖反応、ヘリカーゼ依存性増幅、非対称増幅、ローリングサークル増幅、及び多重置換増幅が含まれる。いくつかの実施形態では、増幅産物は、DNA又はRNAである。DNA増幅を対象とする実施形態については、任意のDNA増幅方法が採用され得る。DNA増幅方法には、PCR、リアルタイムPCR、アセンブリPCR、非対称PCR、デジタルPCR、ダイヤルアウトPCR、ヘリカーゼ依存性PCR、ネステッドPCR、ホットスタートPCR、インバースPCR、メチル化特異的PCR、ミニプライマーPCR、マルチプレックスPCR、重複伸長PCR、熱非対称インターレースPCR、タッチダウンPCR、及びリガーゼ連鎖反応が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、DNA増幅は、一次的、指数関数的、又はそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、DNA増幅は、デジタルPCR(dPCR)により達成される。
【0071】
核酸増幅に使用される試薬には、重合酵素、リバースプライマー、フォワードプライマー、及び増幅プローブが含まれ得る。重合酵素の例には、核酸ポリメラーゼ、転写酵素、又はリガーゼ(例えば、結合の形成を触媒する酵素)が含まれるが、これらに限定されない。重合酵素は、天然に存在するか、又は合成され得る。ポリメラーゼの例には、DNAポリメラーゼ、及びRNAポリメラーゼ、熱安定性ポリメラーゼ、野生型ポリメラーゼ、改変ポリメラーゼ、E.coliDNAポリメラーゼI、T7DNAポリメラーゼ、バクテリオファージT4DNAポリメラーゼΦ29(phi29)DNAポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、Tliポリメラーゼ、PfuポリメラーゼPwoポリメラーゼ、VENTポリメラーゼ、DEEPVENTポリメラーゼ、Ex-Taqポリメラーゼ、LA-Tawポリメラーゼ、SsoポリメラーゼPocポリメラーゼ、Pabポリメラーゼ、MthポリメラーゼES4ポリメラーゼ、Truポリメラーゼ、Tacポリメラーゼ、Tneポリメラーゼ、Tmaポリメラーゼ、Tcaポリメラーゼ、Tihポリメラーゼ、Tfiポリメラーゼ、Platinum Taqポリメラーゼ、Tbrポリメラーゼ、Tflポリメラーゼ、Pfutuboポリメラーゼ、Pyrobestポリメラーゼ、KODポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、Sacポリメラーゼ、3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を有するクレノウ断片ポリメラーゼ、並びにそれらの変異体、改変された産物、及び誘導体が含まれる。ホットスタートポリメラーゼの場合、約92℃~95℃の温度で約2分~10分の期間の変性サイクルが用いられ得る。
【0072】
増幅プローブは、配列特異的オリゴヌクレオチドプローブであり得る。増幅プローブは、増幅産物とハイブリダイズされたとき、光学活性であり得る。いくつかの実施形態では、増幅プローブは、核酸増幅が進行するにつれて検出可能であるか又は検出可能になる。光信号の強度は、増幅産物の量に比例し得る。プローブは、本明細書に記載の光学活性な検出可能な部分(例えば、色素)のいずれかに連結され得、更に会合した色素の光学活性を遮断することができるクエンチャーを含み得る。検出可能な部分として有用であり得るプローブの非限定的な例には、TaqManプローブ、TaqMan Tamaraプローブ、TaqMan MGBプローブ、Lionプローブ、ロックされた核酸プローブ、又は分子ビーコンが含まれる。プローブの光学活性を遮断するのに有用であり得るクエンチャーの非限定的な例には、Black Hole Quencher(BHQ)、Iowa Black FQ及びRQ quencher、又はInternal ZEN Quencherが含まれる。あるいは、又はそれに加えて、プローブ又はクエンチャーは、本開示の方法の文脈において有用である任意のプローブであり得る。
【0073】
増幅プローブは、二重標識蛍光プローブである。二重標識プローブは、核酸と連結した蛍光レポーター及び蛍光クエンチャーを含み得る。蛍光レポーター及び蛍光クエンチャーは、互いに近接して位置決めされ得る。蛍光レポーター及び蛍光クエンチャーが近接していることにより、蛍光レポーターの光学活性を遮断し得る。二重標識プローブは、増幅される核酸分子に結合し得る。増幅中、蛍光レポーター及び蛍光クエンチャーは、ポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性によって切断され得る。増幅プローブから蛍光レポーター及びクエンチャーを切断することにより、蛍光レポーターがその光学活性を取り戻し、検出が可能になり得る。二重標識蛍光プローブは、最大励起波長が少なくとも約450ナノメートル(nm)、500nm、525nm、550nm、575nm、600nm、625nm、650nm、675nm、700nm、又はそれ以上、及び最大発光波長が約500nm、525nm、550nm、575nm、600nm、625nm、650nm、675nm、700nm、又はそれ以上を有する5’蛍光レポーターを含み得る。二重標識蛍光プローブはまた、3’蛍光クエンチャーを含み得る。蛍光クエンチャーは、約380nm~550nm、390nm~625nm、470nm~560nm、480nm~580nm、550nm~650nm、550nm~750nm、又は620nm~730nmの蛍光発光波長をクエンチし得る。
【0074】
核酸増幅は、マイクロ流体デバイスのチャンバを熱サイクルすることによって実行され得る。熱サイクルは、マイクロ流体デバイスに加熱又は冷却を加えることによってマイクロ流体デバイスの温度を制御することを含み得る。加熱又は冷却方法には、抵抗加熱若しくは冷却、放射加熱若しくは冷却、伝導加熱若しくは冷却、対流加熱若しくは冷却、又はそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。熱サイクルは、核酸分子をある持続期間にわたって変性させるのに十分に高い温度でチャンバをインキュベートし、続いて伸長温度で伸長期間にわたってチャンバをインキュベートするサイクルを含み得る。変性温度は、例えば、特定の核酸試料、使用される試薬、及び反応条件に応じて変動し得る。変性温度は、約80℃~110℃であり得る。85℃~約105℃、90℃~約100℃、90℃~約98℃、92℃~約95℃であり得る。変性温度は、少なくとも約80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃又はそれ以上であり得る。
【0075】
変性の持続期間は、例えば、特定の核酸試料、使用される試薬、及び反応条件に応じて変動し得る。変性の持続期間は、約300秒以下、240秒、180秒、120秒、90秒、60秒、55秒、50秒、45秒、40秒、35秒、30秒、25秒、20秒、15秒、10秒、5秒、2秒、又は1秒であり得る。
【0076】
伸長温度は、例えば、特定の核酸試料、使用される試薬、及び反応条件に応じて変動し得る。伸長温度は、約30℃~80℃、35℃~75℃、45℃~65℃、55℃~65℃、又は40℃~60℃であり得る。伸長温度は、少なくとも約35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、又は80℃であり得る。
【0077】
伸長時間は、例えば、特定の核酸試料、使用される試薬、及び反応条件に応じて変動し得る。いくつかの実施形態では、伸長の持続期間は、約300秒以下、240秒、180秒、120秒、90秒、60秒、55秒、50秒、45秒、40秒、35秒、30秒、25秒、20秒、15秒、10秒、5秒、2秒、又は1秒であり得る。代替の実施形態では、伸長の持続期間は、約120秒以下、90秒、60秒、55秒、50秒、45秒、40秒、35秒、30秒、25秒、20秒、15秒、10秒、5秒、2秒、又は1秒であり得る。一例では、伸長反応の持続期間は、約10秒以下である。
【0078】
核酸増幅は、熱サイクルの複数のサイクルを含み得る。任意の好適な数のサイクルが実行され得る。実行されるサイクルの数は、約5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100サイクル、又はそれ以上であり得る。実行されるサイクルの数は、検出可能な増幅産物を得るためのサイクルの数に依存し得る。例えば、dPCR中に核酸増幅を検出するためのサイクル数は、約100、90、80、70、60、50、40、30、20、15、10、5サイクル以下、又はそれ未満以下であり得る。一例では、約40サイクル以下が使用され、サイクル時間は約20分以下である。
【0079】
検出可能な量の増幅産物に到達する時間は、特定の核酸試料、使用される試薬、用いられる増幅反応、用いられる増幅サイクルの数、及び反応条件に応じて変動し得る。いくつかの実施形態では、検出可能な量の増幅産物に到達する時間は、約120分以下、90分以下、60分以下、50分以下、40分以下、30分以下、20分以下、10分以下、又は5分以下であり得る。一例では、検出可能な量の増幅産物には、20分未満で到達され得る。
【0080】
試料を処理又は分析するためのシステム
一態様では、本開示は、試料を処理するためのシステムを提供し得る。システムは、デバイス(例えば、マイクロ流体デバイス)と、ホルダと、流体流チャネルと、を含み得る。システムは、任意のデバイスと一緒に使用され得るか、又は本明細書の他の箇所で説明する任意の方法を実施され得る。ホルダは、処理中にデバイスを受容して保持するように構成され得る。流体流モジュールは、入口ポートに流体結合し、圧力差を供給して、溶液を入口ポートからチャネルに流動させるように構成され得る。加えて、流体流モジュールは、圧力差を供給して溶液の少なくとも一部を第1のチャネルからチャンバに流動させるように構成され得る。
【0081】
ホルダは、デバイスを保持するための棚、レセプタクル、又はステージであり得る。一例では、ホルダは移送ステージである。移送ステージは、マイクロ流体デバイスを入れ、マイクロ流体デバイスを保持し、マイクロ流体デバイスを出すように構成され得る。マイクロ流体デバイスは、本明細書の他の箇所に記載されている任意のデバイスであり得る。移送ステージは、1つ以上の座標で静止し得る。あるいは、又はそれに加えて、移送ステージは、X方向、Y方向、Z方向、又はそれらの任意の組み合わせに移動することが可能であり得る。移送ステージは、単一のマイクロ流体デバイスを保持することが可能であり得る。あるいは、又はそれに加えて、移送ステージは2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上のマイクロ流体デバイスを保持することが可能であり得る。
【0082】
流体流モジュールは、空気圧モジュール、真空モジュール、又はその両方であり得る。流体流モジュールは、マイクロ流体デバイスの入口ポートと流体連通するように構成され得る。流体流モジュールは、複数の入口ポートに接続することができる複数の接続点を有し得る。流体流モジュールは、一度にチャンバの単一のアレイを充填、埋め戻し、かつ分配するか、又はチャンバの複数のアレイを並行して充填、埋め戻し、かつ分配することが可能であり得る。流体流モジュールは、真空モジュールと組み合わされた空気圧モジュールであり得る。空気圧モジュールは、マイクロ流体デバイスに増大させた圧力を提供し得るか、又はマイクロ流体デバイスに真空を提供し得る。
【0083】
システムは、熱モジュールを更に備え得る。熱モジュールは、マイクロ流体デバイスのチャンバと熱連通するように構成され得る。サーマルモジュールは、チャンバの単一のアレイの温度を制御するか、又はチャンバの複数のアレイの温度を制御するように構成され得る。チャンバのアレイは、熱モジュールによって個別にアドレス指定可能であり得る。例えば、熱モジュールは、チャンバの全てのアレイにわたって同じ熱的プログラムを実行するか、又はチャンバの異なるアレイに対して異なる熱的プログラムを実行し得る。熱モジュールは、マイクロ流体デバイス又はマイクロ流体デバイスのチャンバと熱連通することができる。熱モジュールは、マイクロ流体デバイスを加熱又は冷却し得る。マイクロ流体デバイスの1つ以上の表面は、熱モジュールと直接的に接触することができる。代替的に、又はそれに加えて、熱伝導性材料は、熱モジュールとマイクロ流体デバイスとの間に配設され得る。熱モジュールは、変動が約2℃、1.5℃、1℃、0.9℃、0.8℃、0.7℃、0.6℃、0.5℃、0.4℃、0.3℃、0.2℃、0.1℃、又はそれ未満以下になるように、マイクロ流体デバイスの表面全体にわたって温度を維持し得る。熱モジュールは、温度設定点の約±0.5℃以内、0.4℃以内、0.3℃以内、0.2℃以内、0.1℃以内、0.05℃以内、又は温度設定点により近い温度になるように、マイクロ流体デバイスの表面の温度を維持し得る。
【0084】
システムは、検出モジュールを更に含み得る。検出モジュールは、電子検出又は光学検出を提供し得る。一例では、検出モジュールは、光学検出を提供する光学モジュールである。光学モジュールは、複数の波長の光を放射かつ検出するように構成され得る。発光波長は、使用される指示薬及び増幅プローブの励起波長に対応し得る。放射される光は、約450nm、500nm、525nm、550nm、575nm、600nm、625nm、650nm、675nm、700nm、又はそれらの任意の組み合わせの最大強度を有する波長を含み得る。検出される光は、約500nm、525nm、550nm、575nm、600nm、625nm、650nm、675nm、700nm、又はそれらの任意の組み合わせの最大強度を有する波長を含み得る。光学ユニットは、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上よりも多い波長の光を放射するように構成され得る。光学モジュールは、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上よりも多い波長の光を検出するように構成され得る。1つの放射された光の波長は、指示薬分子の励起波長に対応し得る。別の放射された光の波長は、増幅プローブの励起波長に対応し得る。1つの検出された光の波長は、指示薬分子の発光波長に対応し得る。別の検出された光の波長は、チャンバ内の反応を検出するために使用される増幅プローブに対応し得る。光学モジュールは、チャンバのアレイのセクションを画像化するように構成され得る。あるいは、又はそれに加えて、光学モジュールは、チャンバのアレイ全体を単一の画像で画像化し得る。一例では、光学モジュールは、デバイスのビデオを撮影するように構成されている。
【0085】
システムは、ロボットアームを更に含むことができる。ロボットアームは、マイクロ流体デバイスの位置を移動、変更、又は構成することができる。あるいは、又はそれに加えて、ロボットアームは、システムの他の構成要素(例えば、流体流モジュール又は検出モジュール)を配置し得るか、又は移動させ得る。検出ユニットは、カメラ(例えば、相補型金属酸化フィルム半導体(complementary metal oxide semiconductor、CMOS)カメラ)及びフィルタキューブを含み得る。フィルタキューブは、励起光の波長又はカメラによって検出される光の波長を変更又は修正することができる。流体流モジュールは、マニホールド(例えば、空気圧マニホールド)又は1つ以上のポンプを備えることができる。マニホールドは、マニホールドがマイクロ流体デバイスに接触しないように直立位置にあり得る。直立位置は、マイクロ流体デバイスを装填又はイメージングするときに使用できる。マニホールドは、マニホールドがマイクロ流体デバイスと接触するように下向き位置にあり得る。マニホールドは、流体(例えば、試料及び試薬)をマイクロ流体デバイスに装填するために使用され得る。マニホールドは、マイクロ流体デバイスに圧力を加えて、デバイスを適所に保持するか、又は使用中の反り、曲がり、若しくは他の応力を防止することができる。一例では、マニホールドは下向きの圧力を適用し、熱モジュールに対してマイクロ流体デバイスを保持する。
【0086】
システムは、1つ以上のコンピュータプロセッサを更に含むことができる。1つ以上のコンピュータプロセッサは、流体流モジュール、ホルダ、熱モジュール、検出モジュール、ロボットアーム、又はそれらの任意の組み合わせに動作可能に結合され得る。一例では、1つ以上のコンピュータプロセッサは、流体流モジュールに動作可能に結合される。1つ以上のコンピュータプロセッサは、個別に又は集合的にプログラムされて、流体流モジュールが入口ポートに流体結合されるとき、入口ポートに圧力差を供給するように流体流モジュールに指示し、溶液を入口ポートからチャネルに、又はチャネルからチャンバに流動させ、それによって、チャンバの加圧ガス放出を通して分配し得る。
例えば、dPCRの用途の文脈で説明されている一方、ガス又は他の流体を介して単離された、液体で充填された多数の単離されたチャンバを必要とし得る他のマイクロ流体デバイスは、薄い熱可塑性フィルムの使用から利益を得て、ガス放出を可能にし、ガスファウリングを回避すると同時に、更に製造可能性及びコストの面で利点を提供し得る。PCR以外に、ループ介在等温増幅などの他の核酸増幅法を、本開示の実施形態による特定の核酸配列のデジタル検出を実行するように適合させることができる。チャンバはまた、単離される細胞の直径に近くなるように設計された吸い上げ開口部によって、単一の細胞を単離するために使用することができる。いくつかの実施形態では、吸い上げ開口部が血球のサイズよりもはるかに小さい場合、本開示の実施形態を使用して、全血から血漿を分離することができる。
【0087】
コンピュータシステム
本開示は、本開示の方法を実施するようにプログラムされたコンピュータシステムを提供する。図3は、分析物を分析するようにプログラムされ、又は他の方法で構成されたコンピュータシステム301を示す。コンピュータシステム301は、例えば、デバイスの流体を制御すること、電気又は光学検出モジュールとインターフェース接続して波長検出、検出面積、及び感度を設定すること、検出器モジュールから収集されたデータを記憶すること、又はPCR設定を制御することなど、本開示の試料ローディング、流体制御、ロボット又は液体取扱制御、流動制御、機械部品制御、データ収集、画像収集、及び分析の種々の側面を調節することができる。コンピュータシステム301は、ユーザの電子デバイス、又は電子デバイスに対して遠隔に位置するコンピュータシステムであり得る。電子デバイスは、移動式電子デバイスであり得る。
【0088】
コンピュータシステム301は、中央処理装置(central processing unit、CPU、本明細書では「プロセッサ」及び「コンピュータプロセッサ」ともいう)305を含み、中央処理装置は、シングルコア若しくはマルチコアプロセッサ、又は並列処理のための複数のプロセッサであり得る。コンピュータシステム301はまた、メモリ若しくはメモリ場所310(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶ユニット315(例えば、ハードディスク)、1つ以上の他のシステムと通信するための通信インターフェース320(例えば、ネットワークアダプタ)、並びにキャッシュ、他のメモリ、データ記憶デバイス、電子ディスプレイアダプタ、又はそれらの任意の組み合わせなどの周辺デバイス325を含む。メモリ310、記憶ユニット315、インターフェース320、及び周辺デバイス325は、マザーボードなどの通信バス(実線)を介してCPU305と通信している。記憶ユニット315は、データを格納するためのデータ記憶ユニット(又はデータリポジトリ)であり得る。コンピュータシステム301は、通信インターフェース320の助けを借りて、コンピュータネットワーク(「ネットワーク」)330に動作可能に結合することができる。ネットワーク330は、インターネット、インターネット、エクストラネット、インターネットと通信するイントラネット若しくはエクストラネット、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。ネットワーク330は、場合によっては、電気通信、データネットワーク、又はそれらの任意の組み合わせである。ネットワーク330は、クラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にすることができる1つ以上のコンピュータサーバを含むことができる。ネットワーク330は、場合によっては、コンピュータシステム301の助けを借りて、ピアツーピアネットワークを実施することができ、これにより、コンピュータシステム301に結合されているデバイスがクライアント又はサーバとして動作することが可能になり得る。
【0089】
CPU305は、プログラム又はソフトウェアで具体化することができる一連の機械可読命令を実行することができる。命令は、メモリ310などのメモリ場所に格納され得る。命令は、CPU305に向けられ得、それによって、その後、本開示の方法を実施するようにCPU305をプログラム又は他の方法で構成することができる。CPU305によって実行される動作の例には、フェッチ、デコード、実行、及びライトバックが含まれ得る。
【0090】
CPU305は、集積回路などの回路の一部であり得る。システム301の1つ以上の他の構成要素を回路に含めることができる。場合によっては、回路は特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0091】
記憶ユニット315は、ドライバ、ライブラリ、及び保存されたプログラムなどのファイルを格納することができる。記憶ユニット315は、ユーザデータ、例えば、ユーザプリファレンス及びユーザプログラムを格納することができる。コンピュータシステム301は、場合によっては、イントラネット又はインターネットを介してコンピュータシステム301と通信しているリモートサーバ上に位置するなど、コンピュータシステム301の外部にある1つ以上の追加のデータ記憶ユニットを含むことができる。
【0092】
コンピュータシステム301は、ネットワーク330を介して1つ以上のリモートコンピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム301は、ユーザ(例えば、技術者)のリモートコンピュータシステムと通信することができる。リモートコンピュータシステムの例には、パーソナルコンピュータ(例えば、ポータブルPC)、スレート若しくはタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone、Android対応デバイス、Blackberry(登録商標))、又はパーソナルデジタルアシスタントが含まれる。ユーザは、ネットワーク330を介してコンピュータシステム301にアクセスすることができる。
【0093】
本明細書に記載の方法は、例えば、メモリ310又は電子記憶ユニット315などのコンピュータシステム301の電子的記憶場所に格納された機械(例えば、コンピュータプロセッサ)実行可能コードによって実施することができる。機械実行可能又は機械読み取り可能コードは、ソフトウェアの形式で提供できる。使用中、コードはプロセッサ305によって実行できる。場合によっては、コードは、記憶ユニット315から検索することができ、プロセッサ305による容易なアクセスのためにメモリ310に格納することができる。状況によっては、電子記憶ユニット315を除外することができ、機械実行可能命令がメモリ310上に格納される。
【0094】
コードは、コードを実行するように適合されたプロセッサを有する機械で使用するために事前にコンパイルかつ構成することができるか、又は実行時にコンパイルすることができる。コードは、コードを事前コンパイル済み又はコンパイル済みの様式で実行できるように選択できるプログラミング言語で提供できる。
【0095】
コンピュータシステム301など、本明細書で提供されるシステム及び方法の態様は、プログラミングで具体化することができる。技術の様々な態様は、典型的には、機械(又はプロセッサ)の実行可能コード、機械可読媒体のタイプで実行若しくは具体化される関連データ、又はそれらの任意の組み合わせの形式の「製品」又は「製造品」と考えられ得る。機械実行可能コードは、メモリ(例えば、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)、又はハードディスクなどの電子記憶ユニットに格納できる。「記憶」タイプの媒体は、いかなる時にもソフトウェアプログラミングに対して非一時的な記憶装置を提供し得る、様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなどの、コンピュータ、プロセッサなどの有形メモリ、又はそれらの関連するモジュールのいずれか又は全てを含むことができる。ソフトウェアの全部又は一部は、時には、インターネット又は様々な他の電気通信ネットワークを介して通信される場合がある。そのような通信は、例えば、あるコンピュータ又はプロセッサから別のコンピュータへの、例えば、管理サーバ又はホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームへの、ソフトウェアのロードを可能にし得る。したがって、ソフトウェア要素を搭載し得る別のタイプの媒体には、有線及び光地上通信線ネットワークを通して、並びに様々なエアリンク上で、ローカルデバイス間の物理インターフェース全体に使用されるような、光波、電波、及び電磁波が含まれる。有線若しくは無線リンク、又は光リンクなどの、そのような波を運ぶ物理要素はまた、ソフトウェアを搭載する媒体とみなされ得る。本明細書で使用される場合、非一時的で有形の「記憶」媒体に制限されない限り、コンピュータ又は機械「可読媒体」などの用語は、実行のためのプロセッサに命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。
【0096】
したがって、コンピュータ実行可能コードなどの機械可読媒体は、有形記憶媒体、搬送波媒体、又は物理的伝送媒体を含むがこれらに限定されない、多くの形態をとり得る。不揮発性記憶媒体は、例えば、図面に示すデータベースなどを実装するために使用され得るものなど、任意のコンピュータなどの記憶デバイスのうちのいずれかなどの光ディスク又は磁気ディスクを含む。揮発性記憶媒体には、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリなどのダイナミックメモリが含まれる。有形伝送媒体は、同軸ケーブル、コンピュータシステム内のバスを備えるワイヤを含む、銅線、及び光ファイバが含まれる。搬送波伝送媒体は、無線周波(radio frequency、RF)及び赤外線(infrared、IR)データ通信中に生成されたものなどの、電気シグナル若しくは電磁気シグナル、又は音波若しくは光波の形態をとり得る。そのため、一般的な形態のコンピュータ可読媒体には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVD若しくはDVD-ROM、任意の他の光媒体、パンチカード紙テープ、孔のパターンを有する任意の他の物理的記憶媒体、RAM、ROM、PROM及びEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップ若しくはカートリッジ、データ若しくは命令を運ぶ搬送波、そのような搬送波を運ぶケーブル若しくはリンク、又はコンピュータがそこからプログラミングコード、データ、若しくはそれらの任意の組み合わせを読み取る任意の他の媒体が含まれる。コンピュータ可読媒体のこれらの形態の多くは、1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを、実行のためにプロセッサに搬送することに関与し得る。
【0097】
コンピュータシステム301は、例えば、検出パラメータ、流体設定、PCR条件、及び温度などを提供するためのユーザインターフェース(UI)340を含む電子ディスプレイ335を含むか、又はそれと通信することができる。UIの例としては、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)及びウェブベースのユーザインターフェースが挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
本開示の方法及びシステムは、1つ以上のアルゴリズムによって実施することができる。アルゴリズムは、中央処理装置305による実行時にソフトウェアによって実施することができる。アルゴリズムは、例えば、検出設定を最適化し、流体流パラメータを設定し、流体工学を制御し、PCR条件及び温度を最適化し、ユーザにエラーを警告することなどができる。
【0099】
本デバイス及び方法のいくつかの実施形態が本明細書において示され、かつ記載されているが、かかる実施形態が例としてのみ提供されていることは、当業者には明らかであろう。本デバイス及び方法が、本明細書内で提供される特定の実施例によって限定されることを意図するものではない。本デバイス及び方法は、前述の明細書を参照して説明されてきたが、本明細書の実施形態の説明及び図解は、限定的な意味で解釈されることを意味するものではない。多くの変化形、変更、及び置換が、本デバイス及び方法から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。更に、本デバイス及び方法の全ての態様は、様々な条件及び変数に依存する、本明細書に記載の特定の描写、構成、又は相対的な比率に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載のデバイス及び方法の実施形態に対する様々な代替案が、デバイス及び方法を実施する際に採用され得ることが理解されよう。したがって、本デバイス及び方法は、そのような代替案、修正、変化形、又は等価物も網羅するものと想定される。以下の特許請求の範囲は、本デバイス及び方法の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲の範囲内の方法及び構造並びにそれらの同等物がそれにより網羅されることが意図される。
図1A
図1B
図2
図3
【国際調査報告】