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特表2024-502074ユーザ固有のインタラクティブオブジェクトシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ユーザ固有のインタラクティブオブジェクトシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240110BHJP
   A63G 31/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G06F3/01 510
A63G31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540508
(86)(22)【出願日】2022-01-04
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 US2022011104
(87)【国際公開番号】W WO2022147526
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】63/133,625
(32)【優先日】2021-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/172,447
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/563,564
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【弁理士】
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】イエ ウェイ シー
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース レイチェル イー
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA76
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC04
5E555CA42
5E555CA43
5E555CA44
5E555CA50
5E555CB59
5E555CB66
5E555DA23
5E555DA24
5E555DA27
5E555FA00
(57)【要約】
特殊効果システムと、特殊効果システムの動作を制御するコントローラと、センサデータを生成するように構成された環境センサとを含むインタラクティブオブジェクトを含むシステム。システムは、ユーザプロファイルを受け取って相互作用環境の環境センサからセンサデータを受け取るように動作する中央コントローラを含む。中央コントローラは、収集されたセンサデータに基づいて、インタラクティブオブジェクトに関連するユーザを識別することができる。中央コントローラは、センサデータに基づいてインタラクティブオブジェクトの動きを特性化し、識別されたユーザに関連するユーザプロファイルと、インタラクティブオブジェクトの特性化された動き又はアクションとに基づいて、インタラクティブオブジェクトのコントローラに特殊効果システムの特殊効果を作動させる命令を伝える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インタラクティブオブジェクトを含むインタラクティブオブジェクトシステムであって、前記インタラクティブオブジェクトは、
前記インタラクティブオブジェクトのハウジング内又はハウジング上に配置された特殊効果システムと、
前記インタラクティブオブジェクトの前記ハウジング内又は前記ハウジング上に配置された、前記特殊効果システムの動作を制御するコントローラと、
センサデータを生成するように構成された複数の環境センサと、
中央コントローラと、
を備え、前記中央コントローラは、
複数のユーザの複数のユーザプロファイルを受け取り、
相互作用環境の複数の環境センサからセンサデータを受け取り、
前記センサデータに基づいて、前記複数のユーザのうちの前記インタラクティブオブジェクトに関連するユーザを識別し、
前記環境センサから収集されたデータに基づいて、前記インタラクティブオブジェクトの動き又はアクションを特性化し、
前記複数のユーザプロファイルのうちの前記識別されたユーザに関連するユーザプロファイルと、前記インタラクティブオブジェクトの前記特性化された動き又はアクションとに基づいて、前記インタラクティブオブジェクトの前記コントローラに前記特殊効果システムの特殊効果を作動させる命令を伝える、
ように動作する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記複数の環境センサは、顔認識センサ、3D飛行時間センサ、無線周波数センサ、光学センサ、又はこれらのいずれかの組み合わせを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記センサデータは、顔認識データ、光学データ、無線周波数データ、モーションデータ、又はこれらのいずれかの組み合わせを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記インタラクティブオブジェクトは、1又は2以上のオンボードセンサを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記インタラクティブオブジェクトはハンドヘルドオブジェクトを含み、該ハンドヘルドオブジェクトは、剣、ワンド、トークン、本、ボール、又は小像である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記インタラクティブオブジェクトはウェアラブルオブジェクトを含み、該ウェアラブルオブジェクトは、ネックレス、メダル、リストバンド、又は帽子である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記インタラクティブオブジェクトは、該インタラクティブオブジェクトの外面上のグリップ部分に対応する領域に配置された複数の圧力センサを含み、前記コントローラは、
前記複数の圧力センサから信号を受け取り、
前記信号に基づいて、握力が前記識別されたユーザに関連すると判定し、
前記握力に基づいて、前記特殊効果システムに対して制御信号を生成する、
ようにプログラムされる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記特殊効果システムは、前記命令に応答して作動する触覚フィードバック装置、光源又は音響システムのうちの1つ又は2つ以上をさらに含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記中央コントローラは、前記インタラクティブオブジェクトの動きパターンを識別することによって前記動き又はアクションを特性化するように動作する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記作動する特殊効果は、前記特性化された動き又はアクションの品質メトリックに基づく、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記品質メトリックが閾値を上回る場合には第1の特殊効果が作動し、前記品質メトリックが前記閾値を下回る場合には第2の特殊効果が作動する、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記作動する特殊効果は、前記品質メトリックの対応する変化に基づいて変化する、
請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記インタラクティブオブジェクトは、前記特殊効果システムに電力を供給する光電力収穫器を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
インタラクティブオブジェクトの特殊効果を作動させる方法であって、
相互作用環境内の複数のセンサからセンサデータを受け取ることと、
前記センサデータに基づいて、前記相互作用環境内の複数のインタラクティブオブジェクト及び複数のユーザを識別することと、
識別されたインタラクティブオブジェクトを識別されたユーザに関連付けることと、
前記センサデータを使用して、前記識別されたインタラクティブオブジェクトの動きを追跡することと、
前記追跡された動き及び前記識別されたユーザのユーザプロファイルに基づいて、前記識別されたインタラクティブオブジェクトに該インタラクティブオブジェクトのオンボード特殊効果を作動させる命令を伝えることと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記相互作用環境内に電磁放射線を放出することと、前記複数のインタラクティブオブジェクトの再帰反射マーカによって前記電磁放射線の反射を検出することとを含み、前記識別されたインタラクティブオブジェクトの前記動きを追跡することは、前記インタラクティブオブジェクトに関連する再帰反射マーカを追跡することを含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のインタラクティブオブジェクトを識別するために、前記複数のインタラクティブオブジェクトによって無線で通信される識別情報を受け取ることを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記センサデータに基づいて、前記識別されたインタラクティブオブジェクトの識別情報に関連する無線信号の発生源に最も近い再帰反射マーカを識別することにより、前記識別されたインタラクティブオブジェクトを前記再帰反射マーカに関連付けることを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
インタラクティブオブジェクトであって、
ハウジングと、
前記ハウジング上又は前記ハウジング内に配置された、環境からの電磁放射線の第1の部分を反射するように動作する検出可能マーカと、
前記ハウジング上又はハウジング内の通信回路であって、
前記環境からの前記電磁放射線の第2の部分を受け取り、
前記電磁放射線の前記第2の部分を受け取ったことに応答して、前記インタラクティブオブジェクトのインタラクティブオブジェクト識別情報を送信し、
特殊効果命令を受け取る、
ように動作する通信回路と、
前記特殊効果命令を受け取って特殊効果コマンドを生成する、前記ハウジング上又は前記ハウジング内のコントローラと、
前記特殊効果コマンドを受け取り、該特殊効果コマンドに基づいて特殊効果を作動させる特殊効果システムと、
を備えることを特徴とするインタラクティブオブジェクト。
【請求項19】
前記検出可能マーカは、再帰反射マーカを含む、
請求項18に記載のインタラクティブオブジェクト。
【請求項20】
前記通信回路は、無線周波数識別(RFID)タグ又は光通信機を含む、
請求項18に記載のインタラクティブオブジェクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2021年1月4日に出願された「ユーザ固有のインタラクティブオブジェクトシステム及び方法(USER-SPECIFIC INTERACTIVE OBJECT SYSTEMS AND METHODS)」という名称の米国仮特許出願シリアル番号第63/133,625号、及び2021年4月8日に出願された「ユーザ固有のインタラクティブオブジェクトシステム及び方法」という名称の米国仮特許出願シリアル番号第63/172,447号に対する優先権を主張するものであり、これらの両文献はその全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、一般にゲーム環境又は遊園地などの相互作用環境において使用されるオブジェクトに関する。具体的には、本開示の実施形態は、1又は2以上の特殊効果などの相互作用効果を容易にするアドレス指定可能なインタラクティブオブジェクトに関する。
【背景技術】
【0003】
本節は、本開示の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介するためのものである。本考察は、読者に背景事情を示して本開示の様々な態様のより良い理解を促す上で役立つと考えられる。従って、これらの記載は、先行技術を認めるものとしてではなく上記の観点から読むべきものである。
【0004】
近年、ゲストの体験を向上させて環境の特定のナラティブ(narrative)を支援する小道具、風景、視聴覚的及びその他のメディア要素、並びに特殊効果を含む相互作用環境を形成することが一般的になってきている。いくつかの相互作用環境では、様々な方法で環境と相互作用する小道具又は玩具などの独自のオブジェクトを有することがゲストにとっての楽しみである。1つの例では、ゲストが、ハンドヘルド装置を使用して相互作用環境と相互作用して、映画又はゲームの効果をシミュレートする特定の効果を生成したいと望むことがある。多くの場合、このような相互作用環境は込み合っており、複数のゲスト全員が独自のハンドヘルドオブジェクトを携行している場合には、従来の無線通信技術では困難が伴うことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、当初の特許請求の範囲の主題と同一範囲のいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、本開示の範囲を限定するものではなく、むしろいくつかの開示する実施形態の概要を示すものにすぎない。実際には、本開示は、以下に示す実施形態と類似し得る又は異なり得る様々な形態を含むことができる。
【0006】
ある実施形態によれば、インタラクティブオブジェクトが、ハウジング内又はハウジング上に配置された特殊効果システムと、ハウジング内又はハウジング上に配置された、特殊効果システムの動作を制御するコントローラと、センサデータを生成するように構成された複数の環境センサとを含む。この実施形態は、複数のユーザから複数のユーザプロファイルを受け取り、相互作用環境の複数の環境センサからセンサデータを受け取るように動作する中央コントローラも含む。中央コントローラは、センサデータに基づいて、複数のユーザのうちのインタラクティブオブジェクトに関連するユーザを識別する。次に、中央コントローラは、環境センサデータに基づいてインタラクティブオブジェクトの動き又はアクションを特性化し、複数のユーザプロファイルのうちの識別されたユーザに関連するユーザプロファイルと、インタラクティブオブジェクトの特性化された動き又はアクションとに基づいて、インタラクティブオブジェクトのコントローラに特殊効果システムの特殊効果を作動させる命令を伝える。
【0007】
別の実施形態によれば、方法が、相互作用環境内の複数のセンサからセンサデータを受け取ることと、センサデータに基づいて、相互作用環境内の複数のインタラクティブオブジェクト及び複数のユーザを識別することと、識別されたインタラクティブオブジェクトを識別されたユーザに関連付けることと、センサデータを使用して、識別されたインタラクティブオブジェクトの動きを追跡することと、追跡された動き及び識別されたユーザのユーザプロファイルに基づいて、識別されたインタラクティブオブジェクトにオンボード特殊効果を作動させる命令を伝えることと、を含む。
【0008】
別の実施形態によれば、インタラクティブオブジェクトが、ハウジングと、ハウジング上又はハウジング内に配置された、環境からの電磁放射の第1の部分を反射するように動作する検出可能マーカとを含む。ハウジング上又はハウジング内の通信回路が、環境からの電磁放射線の第2の部分を受け取り、電磁放射線の第2の部分を受け取ったことに応答して、インタラクティブオブジェクトのインタラクティブオブジェクト識別情報を送信し、特殊効果命令を受け取るように動作する。ハウジング上又はハウジング内のコントローラが、特殊効果命令を受け取って特殊効果コマンドを生成する。インタラクティブオブジェクトは、特殊効果コマンドを受け取り、特殊効果コマンドに基づいて特殊効果を作動させる特殊効果システムも含む。
【0009】
全体を通じて同じ部分を同じ符号によって示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本発明のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本技術によるインタラクティブオブジェクトシステムの実施形態の概略図である。
図2】本技術によるインタラクティブオブジェクトシステムの実施形態の特徴の概略図である。
図3】本技術によるインタラクティブオブジェクトシステムのフロー図である。
図4】本技術によるインタラクティブオブジェクトシステムの通信システムの概略図である。
図5】本技術によるユーザプロファイル割り当て方法のフロー図である。
図6】本技術による、インタラクティブオブジェクトを検出してインタラクティブオブジェクトの効果放出を容易にする方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、1又は2以上の具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するために、本明細書では実施の特徴を全て説明しているわけではない。いずれかの工学又は設計プロジェクトにおいて見られるようないずれかのこのような実施の開発では、実施によって異なり得るシステム関連及びビジネス関連の制約の順守などの開発者の個別の目的を達成するために、数多くの実施固有の決定を行わなければならないと理解されたい。さらに、このような開発努力は複雑で時間が掛かる場合もあるが、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては設計、製作及び製造という日常的な取り組みであると理解されたい。
【0012】
本開示の様々な実施形態の要素を紹介する場合、「a」、「an」、「the」及び「said」といった冠詞は、これらの要素が1つ又は2つ以上存在することを意味するものとする。「備える(comprising)」、「含む(including)」及び「有する(having)」という用語は、包括的なものとして意図されており、列記する要素以外のさらなる要素が存在し得ることを意味する。以下、本明細書で説明する本実施形態の1又は2以上の具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するために、本明細書では実施の特徴を全て説明しているわけではない。なお、いずれかの工学又は設計プロジェクトに見られるいずれかのこのような実施の開発では、実装によって異なり得るシステム関連及びビジネス関連の制約の順守などの開発者の特定の目的を達成するために数多くの実装固有の決定を行わなければならない。さらに、このような開発努力は複雑で時間が掛かる場合もあるが、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては設計、製作及び製造という日常的な取り組みである。
【0013】
相互作用環境内の又は没入型体験に参加中のユーザは、剣、動物のぬいぐるみ、帽子、ワンド、宝石又はその他の小道具などのハンドヘルドオブジェクトを持ち運び又はテーマに沿った衣装要素(costume element)を身に付けることを楽しむことができる。1つの例では、(例えば、オブジェクト認識又は無線通信を介して)オブジェクトを認識し、認識に基づいて外部アクションを作動させる外部オブジェクトによって相互作用が仲介される。このような構成では、オブジェクトを比較的安価なオブジェクトとして実装することができ、受動装置の外部又は外側にさらに複雑で高価な相互作用要素が位置することができる。環境のコンポーネントとしてフィードバックシステムを位置付けることもできるが、ハンドヘルド装置又は装着型装置内又は装置上でフィードバックを生成する能力の方が環境への没入度を深めることができる。
【0014】
また、多くのユーザ及び多くのインタラクティブオブジェクトを含む込み合った環境内で1人のユーザ及び/又は1つのインタラクティブオブジェクトに個別に対応することは困難である。群集、物体又は風景は、特定のタイプのセンサ(例えば、カメラ、光ビームセンサ)の見通し線を妨げる恐れがある。さらに、センサによっては、悪天候又は光が制限された状況の最中にフィードバックが弱まるものもある。これらの環境因子は、相互作用システムが特定のユーザを識別して特定のユーザに関連する特定のインタラクティブオブジェクトに相互作用効果を向ける能力を損なう恐れがある。また、ユーザ及びそのインタラクティブオブジェクトは、相互作用環境内で移動しがちである。込み合った環境内でユーザ及びオブジェクトの位置を正確に特定することも困難である。顔認識技術は単一ユーザの識別を可能にすることができるが、顔認識は計算集約的かつ低速である。さらに、相互作用環境内のユーザは、帽子、マスク、サングラス又はその他の小道具を着用していることもあり、これが認識をさらに困難にする。
【0015】
開示するインタラクティブオブジェクト技術は、ユーザ及び/又はインタラクティブオブジェクトの識別及びターゲティングが相互作用環境の要素を仲介することを可能にする。本開示の実施形態では、システムが群衆内の特定のユーザの位置を特定し、必ずしもエリア内の他のインタラクティブオブジェクトを作動させることなく、ユーザによって携行又は装着されているインタラクティブオブジェクトを作動させ、又はこれに特殊効果を向ける。開示する技術は、モバイル装置又は他のポータブル電子機器によって仲介される通信とは対照的に、必ずしも通信パッケージ(communication packages)を含まない比較的単純なインタラクティブオブジェクトを識別するように動作する。従って、識別は、相互作用環境内で収集され、ユーザ及びインタラクティブオブジェクトの両方を識別して位置を特定するために使用される環境データに基づく。さらに、開示する技術は、特定のユーザがシステムに事前登録されていない状況、又は特定のユーザに別様にリンクされたインタラクティブオブジェクトを使用している状況を考慮する。1つの例では、ユーザが家族グループ内でインタラクティブオブジェクトを交換又は共有することができる。システムにオブジェクト識別情報を無線通信すれば、インタラクティブオブジェクト自体は識別することができるが、識別情報単独では、オブジェクトを携行しているユーザが一日を通じて変化する状況が認識されない。本技術は、特定の時点でオブジェクトと相互作用している特定のユーザのアイデンティティに特化した形でインタラクティブオブジェクトの動的更新及びアドレス指定を可能にする。
【0016】
インタラクティブオブジェクトシステムは、複数のセンシングモダリティからデータを収集し、これらをプール及び/又は裁定することで、最小限の処理能力又は低い処理能力を利用しながら高精度でユーザを識別することができる。データは、無線周波数データ、光学センシング法、3D飛行時間システム、及びその他のセンシングシステムを含むことができる。これにより、群衆内の特定のユーザの識別が容易になり、そのユーザへの効果が、ユーザによって携行されているインタラクティブオブジェクトのアイデンティティにリンクできる形で個人化されるようになる。この積極的ユーザ識別は、特定のユーザに対するインタラクティブオブジェクトのリンク付けも容易にし、これによって込み合った環境内でのユーザ体験がさらに個人化される。
【0017】
ある実施形態では、このようなインタラクティブオブジェクトを、個別のユーザインタラクティブを使用することによって特殊効果制御の可変性を高めるために相互作用環境内で使用される小道具又は玩具とすることができる。ユーザインタラクティブは、ユーザプロファイルがインタラクティブに関連付けられることを可能にする。このプロファイルは、ユーザプロファイルに基づく特殊効果を選択するために使用される。さらに、本開示の実施形態は、剣、ワンド、トークン、本、ボール又は小像(figurine)などの玩具、小道具又はハンドヘルドオブジェクトの文脈で説明するが、開示する実施形態は他のタイプのオブジェクトと共に使用することもできると理解されたい。このようなオブジェクトは、衣服、宝石類、ブレスレット、ヘッドギア、メダル又はメガネなどの装着型オブジェクトを含む。
【0018】
また、オブジェクトは、相互作用環境内の小道具又は風景アイテムとすることもできる。相互作用環境は、遊園地、複合娯楽施設、小売店などの、没入型エリアの一部とすることもできる。また、開示するシステム及び方法は、共通のテーマを有するテーマ別エリアの少なくとも1つの相互作用環境を含み、単一のテーマ別エリア内にさらに異なる相互作用環境を含むことができる。また、開示するシステム及び方法は、テーマパーク又は娯楽会場などの没入型エリア内に含まれる、異なるテーマを有するさらなる又は他の相互作用環境を含むこともできる。相互作用環境は、聴衆内のユーザが自身のオブジェクトを使用して参加できるライブショーとすることができる。相互作用環境について言及する場合、相互作用環境は、ユーザがエリア内の相互作用要素と相互作用できる特定のエリアを含むことができる。さらに、相互作用環境は、互いに地理的に離れた又は遊園地全体を通じて分散した異なる場所を含むこともできる。相互作用環境は、没入型エリアとは別の遠隔地に存在することもできる。例えば、ユーザは、オブジェクトと相互作用するように構成できるユーザ電子装置を介して自宅又は他のいずれかの場所で相互作用環境を確立することができる。
【0019】
本開示のいくつかの態様は、本実施形態による、相互作用環境内にインタラクティブオブジェクト制御システム10を統合できる態様を大まかに示す図1を参照することによってより良く理解することができる。図示のように、例えば遊園地又は娯楽会場内に存在し得る1又は2以上の相互作用環境14内を複数のユーザ12(例えば、ゲスト)が動き回っている。ユーザ12は、相互作用環境14全体を通じてユーザ12と共に移動するハンドヘルド型又は装着型インタラクティブオブジェクト20を有することができる。ユーザのインタラクティブオブジェクト20は、相互作用環境14内におけるインタラクティブオブジェクト20を介したユーザインタラクション12に基づくユーザ固有の特殊効果の出力を容易にする。これらの効果は、相互作用が発生している旨及び/又は正常に発生した旨のフィードバックをユーザ12に提供することができる。
【0020】
インタラクティブオブジェクト制御システム10は、相互作用環境14全体を通じて、またいくつかの実施形態では相互作用環境14の様々なエリア間又は異なる相互作用環境内で分散する複数の環境センサ16を含む。環境センサ16はセンサデータを生成する。センサデータは、相互作用環境14内の1又は2以上のユーザの画像又はカメラフィードからのデータなどのユーザデータとすることができる。これに加えて又は代えて、センサデータは、相互作用環境14内のインタラクティブオブジェクト20の位置又は動きを示すデータなどのインタラクティブオブジェクトデータとすることもできる。1つの実施形態では、取得されたセンサデータを使用して、異なる相互作用環境14内及び相互作用環境14間のユーザの位置を追跡することができる。環境センサ16は、センサデータを中央コントローラ18に送信し、相互作用環境14内におけるユーザの相互作用中にこのデータが処理されてユーザ12を識別することができる。環境センサ16は、相互作用環境14全体を通じてユーザの動きを追跡することもできる。ある実施形態では、相互作用環境内の全てのユーザ12のユーザデータをプール及び/又は裁定して、相互作用環境14内の1又は2以上のユーザ12を識別することができる。さらに、センサデータを使用して、相互作用環境14内の1又は2以上のインタラクティブオブジェクト20を識別することもできる。さらに、インタラクティブオブジェクト制御システム10は、取得されたデータに基づいて、相互作用環境14内の特定のインタラクティブオブジェクト20及び/又は特定の場所にユーザ固有の特殊効果を向けることもできる。従って、ある実施形態では、ユーザ12が、インタラクティブオブジェクト20を、受動装置又はローテク装置の外観を有するものとして体験することができる。一方で、インタラクティブオブジェクト20を使用するユーザの独自の行動が、インタラクティブオブジェクト20上のオンボード特殊効果及び/又は相互作用環境14内の場所固有の特殊効果を引き起こすこともできる。これらの効果は、中央コントローラ18が、ユーザの行動、ユーザプロファイル情報、或いはユーザ12及び/又はインタラクティブオブジェクト20に関連する過去の又はその他のデータに基づいて選択することができる。従って、相互作用環境14内では、ユーザ12が体験するとともに付近の他のユーザ12にも見える効果が変化し又は予測不能であることによって楽しみを増大させる。
【0021】
1つの例では、インタラクティブオブジェクト制御システム10がリアルタイムのユーザ位置を追跡することができる。例えば、ユーザ12は、1つの相互作用環境14aから出て第2の相互作用環境14bに入ることができる。ユーザの位置は環境センサ16を介して追跡され、従ってユーザの位置を中央コントローラ18に送信することができ、複数の相互作用環境14全体を通じてインタラクティブオブジェクト20に対するユーザのリンク付けをより効率的に行うことができる。
【0022】
ある実施形態では、ユーザのインタラクティブオブジェクト20が、相互作用環境14に入った時点で環境センサ16にインタラクティブオブジェクト識別データを送信し、環境センサ16は、このインタラクティブオブジェクト識別データを中央コントローラ18に送信する。中央コントローラ18はオブジェクト識別データを受け取り、このデータを利用して相互作用環境14内の複数のユーザのうちの特定のユーザ12に特定のインタラクティブオブジェクト20をリンクさせる。1つの実施形態では、受け取られたセンサデータに基づいてユーザ識別が行われる。このセンサデータを評価して、相互作用環境のエリア内の1又は2以上のユーザ12を識別する。次に、センサデータから抽出されたユーザの特徴(例えば、抽出された顔特徴、骨格特徴、歩き方、四肢の特徴又は動き、以前に識別された衣服アイテムとの照合、又は検出可能なバイオメトリック特徴)を使用して、エリア内にいることが大まかに分かっている識別されたユーザ12の集合から個々のユーザ12を識別する。大まかに相互作用環境14内に存在するユーザ12は、収集されたセンサデータに基づいてアトラクション又はテーマパーク内の全てのユーザの全体集合の部分集合を形成することができ、関連する部分集合を可能性の高いプール候補として動的に更新することによってユーザ識別を円滑化することができる。
【0023】
その後、中央コントローラ18は、識別されたユーザ12をインタラクティブオブジェクト20にリンクし、相互作用環境14内におけるリンクされたインタラクティブオブジェクトを介したユーザ相互作用に基づいてユーザプロファイルを更新することができる。さらに、識別されたユーザ12及び/又はリンクされたインタラクティブオブジェクト20に特定の効果又はアクションをターゲティングすることができる。
【0024】
ある実施形態では、ユーザ12がインタラクティブオブジェクト20を使用して特定の動作又はジェスチャを実行することができ、これらの動作又はジェスチャが環境センサ16を介して追跡され、中央コントローラ18に伝えられる。次に、中央コントローラ18は、いくつかの事例ではユーザプロファイルデータ及び/又はオブジェクトプロファイルデータと組み合わせてモーションデータを処理し、モーションデータ、ユーザプロファイルデータ及びオブジェクトプロファイルデータのうちの1つ又は2つ以上に基づいて個人化された特殊効果命令などの特殊効果通信を生成する。その後、インタラクティブオブジェクト20はこの通信を受け取り、特定のユーザ12、特定のオブジェクト20及び/又は追跡された動きに基づいて個人化された特殊効果を作動させる。この結果、ユーザ12は、相互作用環境14全体を通じて、いくつかの事例ではオブジェクト20上で又はオブジェクト20を通じて明確な特殊効果(例えば、視覚、聴覚、触覚)を知覚することができる。中央コントローラ18に記憶されたユーザのプロファイル、及びいくつかの事例ではオブジェクトのプロファイルは、ユーザの相互作用データを相互作用環境14内に記憶するために更新される。
【0025】
特殊効果命令は、ユーザのインタラクティブオブジェクト20に関連するユーザプロファイルに従って個人化することができる。ユーザプロファイルは、ユーザスキルレベル(例えば、インタラクティブオブジェクトを使用している時間の長さ、一定時間にわたるインタラクティブオブジェクトを使用したジェスチャの精度)及びユーザアイデンティティ(例えば、予め選択されたテーマ又はその他のユーザ選好)を含むことができる。例えば、インタラクティブオブジェクト20を使用したユーザのジェスチャに対応する特殊効果コマンドは、ユーザのインタラクティブオブジェクト20に送信される特殊効果コマンドの音声的、触覚的又は視覚的側面をユーザプロファイルに従って変化させることによってユーザ12に対して個人化することができる。例えば、特殊効果の強度(例えば、光の強度、音声の強度、触覚効果の強度)などの特性をルールに基づいて調整することができる。中央コントローラ18はユーザ12を識別し、ユーザスキルレベル及びユーザアイデンティティを含むユーザプロファイルを受け取ることができる。中央コントローラ18は、ユーザスキルレベル及びユーザアイデンティティに基づいて特殊効果コマンドを設定することができる。1つの例では、特殊効果コマンドが、ユーザスキルレベル及びユーザアイデンティティに対応する特定の色及び/又は強度を有する光を、中央コントローラ18によって受け取られたジェスチャ実行データに関連するセンサデータと組み合わせてインタラクティブオブジェクト20上で作動させる。ユーザ12は中級スキルレベル(intermediate skill level)を有することができ、中央コントローラは、センサデータに基づいてジェスチャが正確に実行されたと判定することができる。中央コントローラ18は、この情報を利用して、ジェスチャのスキルレベル及び正しい実行に基づいて特定の特殊効果を生成又は調整する。例えば、中級スキルレベルとの組み合わせで8の字ジェスチャを完了すると、中央コントローラ18は、このジェスチャがユーザのインタラクティブオブジェクト20を緑色に点灯させることに関連する特殊効果コマンドに対応すると判定することができる。特殊効果の最中に(例えば、ユーザアクションの高品質な又は低品質な変化に対応する色強度の変化を使用して)リアルタイム特殊効果調整を行うこともできる。初心者スキルレベルを有する別のユーザが同じ8の字ジェスチャを実行すると、中央コントローラ18は、拍手の音又は火花の効果に関連する特殊効果コマンドを生成することができる。
【0026】
インタラクティブオブジェクト20に関連付けられていない個人がジェスチャの実行又はインタラクティブオブジェクト20の使用を試みた場合、中央コントローラは、その個人がインタラクティブオブジェクト20にリンクされていないこと及び/又はその個人が別のインタラクティブオブジェクト20にリンクされていることを検出することができる。中央コントローラ18は、その個人にインタラクティブオブジェクト20の誤ったユーザであることを伝える効果を生成することができる。例えば、中央コントローラ18は、インタラクティブオブジェクト20に音声特殊効果コマンドを送信して音声エラーメッセージを出力することができる。このメッセージは、その個人がインタラクティブオブジェクト20の誤ったユーザであることを示す。ある実施形態では、ユーザのアイデンティティ又はスキルレベルにかかわらず、インタラクティブオブジェクト20との全ての誠実な相互作用がインタラクティブオブジェクト20における何らかの知覚可能なフィードバックを生成することができると想定される。
【0027】
別の実施形態では、ユーザ12が相互作用環境14に入ると、何らかの動作が行われる前に、ユーザプロファイルデータ又はオブジェクトプロファイルデータに基づいて、インタラクティブオブジェクト20を介して特殊効果コマンドを送信することができる。例えば、ユーザ12が相互作用環境14に入ると、ユーザのインタラクティブオブジェクト20がエリア内にオブジェクト識別データを送信する。このインタラクティブオブジェクトデータは中央コントローラ18に送信される。ユーザ12は、自身のユーザプロファイル内に特殊効果が引き起こされるベースとなる特定の特性を有することができる。例えば、ユーザは、自身のプロファイルのための特定の識別色を選択することができ、中央コントローラ18は、この特定の色出力をインタラクティブオブジェクト20に伝えて、インタラクティブオブジェクト20がその内部に収容された特定の色のLEDからユーザプロファイル特性に対応する光を放出することを可能にすることができる。
【0028】
ある実施形態では、中央コントローラ18が、現在有界エリア内又は特定の相互作用環境14内に存在する全てのユーザインタラクティブオブジェクト20に一般特殊効果コマンド(general special effect command)を送信することができる。中央コントローラ18は、有界エリア内又は特定の相互作用環境14内の全てのインタラクティブオブジェクト20を特定の色で点灯させる一般特殊効果コマンドを送信することができる。有界エリアは、有界エリア内のインタラクティブオブジェクト20が同じ特殊効果コマンドを受け取るように、相互作用環境14の指定距離又は半径とすることができる。
【0029】
図2は、インタラクティブオブジェクト制御システム10の相互作用の概略図である。1つの実施形態では、インタラクティブオブジェクト制御システム10が、インタラクティブオブジェクト制御システム10のエミッタ28及びセンサ16の範囲内のエリアを含む相互作用環境14のエリア内の1又は2以上のインタラクティブオブジェクト20からインタラクティブオブジェクト情報(例えば、一意の装置識別番号又はコード)を受け取り又は検出する。1つの実施形態では、この情報が、インタラクティブオブジェクト20のハウジング22上の検出可能マーカ21(例えば、バーコード、クイックレスポンスコード、パターン化された再帰反射マーカ、グリフ)に基づき、これがインタラクティブオブジェクト制御システム10によって検出されることによって、インタラクティブオブジェクト20が受動的に情報を提供するようになる。インタラクティブオブジェクト20は、環境に応じて異なる通信及び作動モードを可能にする受動素子と能動素子との混合を含むことができる。
【0030】
図示のように、ユーザ12は、1又は2以上の波長の電磁放射線(例えば、赤外線、紫外線、可視光線又は電波などの光)を放出する(1又は2以上の放出装置及び関連する制御回路を有する放出サブシステムの全部又は一部とすることができる)1又は2以上のエミッタ28を含むことができるインタラクティブオブジェクト制御システム10と相互作用する。インタラクティブオブジェクト制御システム10は、図1で上述したようなインタラクティブオブジェクト20、インタラクティブオブジェクト20上の検出可能マーカ21及び相互作用環境14内のユーザ12から送信された信号のうちの1つ又は2つ以上を検出する(1又は2以上のセンサ、カメラなど、及び関連する制御回路を有する検出サブシステムの全部又は一部とすることができる)1又は2以上の環境センサ16を含むこともできる。インタラクティブオブジェクト制御システム10は、エミッタ28及び環境センサ16(放出サブシステム及びセンササブシステム)の動作を制御し、放出及び検出プロセスから生じる様々な信号処理ルーチンを実行するために、エミッタ28及び環境センサ16に通信可能に結合された中央コントローラ18も含む。図示のように、インタラクティブオブジェクト制御システム10は、ある実施形態では握力センサ(grip sensor)を含む外面24を有するハウジング22と、通信回路26を含むハウジングの内部とを含む(ハンドヘルドオブジェクトとして示す)インタラクティブオブジェクト20を含むことができる。ハウジング22は、検出可能マーカ21を含むこともできる。
【0031】
説明したように、通信回路26は、相互作用環境14内の環境センサ16にインタラクティブオブジェクト20の装置識別を能動的に通信することができる。通信回路26は、無線周波数識別(RFID)タグを含むことができる。通信回路26は、インタラクティブオブジェクトの装置識別を相互作用環境14の(受信機として実装された)環境センサ16に伝え、環境センサ16は、この情報をインタラクティブオブジェクト制御システム10の中央コントローラ18にさらに受け渡すことができる。通信回路26は、ユーザプロファイル又はオブジェクトプロファイルの一方又は両方に関連するインタラクティブオブジェクト情報を動的に更新し、この情報を使用して、中央コントローラ18からインタラクティブオブジェクト20及び/又は相互作用環境14に送信される個人化されたコマンドを生成できるように、インタラクティブオブジェクト20のハードウェアとインタラクティブオブジェクト制御システム10のハードウェアとの間の装置識別情報の無線通信を可能にする。
【0032】
ある実施形態では、エミッタ28がインタラクティブオブジェクト20の外部に存在する(例えば、インタラクティブオブジェクト20から離れている)。エミッタ28は、相互作用環境14を選択的に電磁放射線で照明し、浴びせ又は溢れさせるように、拡大する電磁放射線ビームによって例示的に表す電磁放射線を放出するように動作する。いくつかの実施形態では、電磁放射線ビームが、(全てが1又は2以上のエミッタ28を含む発光サブシステムの一部である)1又は複数のエミッタ28の異なる光源から放出される複数の光ビーム(電磁放射線のビーム)を表すことができる。例えば、光源は、所望の波長の電磁放射線を放出する可視光源、赤外光源などとすることができる。さらに、エミッタ28は、発光ダイオード、レーザダイオード又はその他の光源などの異なるタイプの1又は2以上の光源を含むこともできる。電磁放射線ビームは、光(例えば、赤外線、可視光線、UV)及び/又は他の帯域の電磁スペクトル(例えば、電波など)の形態などの、本実施形態に従って使用できるいずれかの形態の電磁放射線を一般的に表すように意図される。しかしながら、現在では、いくつかの実施形態では様々な因子に応じて特定の帯域の電磁スペクトルを使用することが望ましい場合があることも認識されている。例えば、1つの実施形態では、使用される電磁放射線がゲストの体験を妨げないように、人間の目に見えない又は人間の聴覚の可聴範囲内の形態の電磁放射線を使用することが望ましいと考えられる。さらに、現在では、特定の状況(例えば、状況が「暗い」かどうか、又は人々がビーム経路を横切ると予想されるかどうか)に応じて、特定の波長の光(例えば、赤外線)などの特定の形態の電磁放射線の方が他の形態よりも望ましい場合があることも認識されている。検出可能マーカ21は、例えばエミッタ28からの放出光を反射する、特定の範囲(ある実施形態では800~1100nm範囲)の光を反射するように動作する再帰反射器とすることができる。反射光は1又は2以上の環境センサ16において検出されて、インタラクティブオブジェクト20の存在又は動きを示すセンサデータを生成する。
【0033】
相互作用環境14は、ステージショー、乗り物車両乗車エリア、乗り物又はショーの入口外の待機エリア、及び遊園地内に分散する相互作用特徴などを含む、遊園地アトラクションエリア又は相互作用環境の全部又は一部に対応することができる。相互作用環境14は、パレード又は大道芸などに組み込まれた移動可能な又は一時的なのものとすることもできる。ユーザ12は、ゲーム、スカベンジャーハント(scavenger hunt)又は非線形ナラティブ体験の一部などの相互作用環境14と個別に相互作用することができる。ある実施形態では、エミッタ28が環境内の位置に固定される一方で、インタラクティブオブジェクト20が相互作用環境14のエリア内を移動して電磁放射線信号を受け取る。従って、インタラクティブオブジェクト20を検出し(例えば、相互作用環境14内での位置を特定し)、エリア内の環境センサ16を介して追跡し、通信することで、インタラクティブオブジェクト制御システム10の放出され検出された電磁放射線を介してインタラクティブオブジェクト20の1又は2以上のオンボード特殊効果を作動させることができる。
【0034】
本明細書で大まかに開示するように、インタラクティブオブジェクト20の検出は、エミッタ28を駆動する中央コントローラ18によって制御される。作動は無差別であることができ、従って通信回路26及び通信される装置情報に対応する適切な波長又は周波数の電磁放射線をエミッタ28が連続的に放出し、相互作用環境14内に配置されてエミッタ28の方を向いたいずれかのインタラクティブオブジェクトが作動して、相互作用環境14全体を通じて分散する環境センサ16に装置識別の信号を放出する。センサは、無線周波数センサ、光学センサ、3D飛行時間センサ、顔認識センサ、及びユーザ12及びインタラクティブオブジェクト20の識別を支援するその他のセンシングシステムを含むことができる。ある実施形態では、本明細書でさらに詳細に開示するように作動が選択的であることができ、従ってインタラクティブオブジェクト20の通信回路26を介して送信されたオブジェクト識別データを中央コントローラ18が特定して処理し、特定して検出すると、中央コントローラ18によって与えられた信号をインタラクティブオブジェクト20に向けるようにエミッタ28を駆動して、インタラクティブオブジェクト20の特殊効果の作動を所望のナラティブ又はユーザアクションに応じてオン又はオフできるように動作する。
【0035】
例えば、ユーザ12は、それぞれのインタラクティブオブジェクト20と共に相互作用環境14に入ることができる。インタラクティブオブジェクトは、インタラクティブオブジェクト情報を無線で送信し、又は相互作用環境14内の放出された光と相互作用して(光を反射して)、相互作用環境14内の環境センサ16にインタラクティブオブジェクトデータを提供することができる。環境センサ16は、インタラクティブオブジェクト20上の検出可能マーカ21からインタラクティブオブジェクトデータを取得することもできる。その後、オブジェクト識別データが中央コントローラ18に送信されて処理される。環境センサ16(例えば、顔認識センサ、3D飛行時間センサ、光学センサ)は、画像情報などのユーザ関連情報を検出することもできる。中央コントローラ18は、センサデータを介してユーザ12を識別し、オブジェクト識別データをより効率的に特定のユーザ12にリンクできるように相互作用環境14内のユーザプールを絞り込むことができる。
【0036】
次に、ユーザ12は、インタラクティブオブジェクト20を使用して動作又はジェスチャを実行することができる。相互作用環境14内の環境センサ16は、インタラクティブオブジェクト20のモーションデータを収集して中央コントローラ18に送信する。次に、中央コントローラ18は、ユーザデータをモーションデータと組み合わせて利用して、以前に中央コントローラ18がユーザ12にリンクした個人化された効果応答をインタラクティブオブジェクト20の通信回路26に送信する。ユーザ12が以前に相互作用環境14を訪れたことがある場合、中央コントローラ18は、個人化された効果応答を、相互作用環境14内でユーザのインタラクティブオブジェクト20に送信された以前の効果コマンドとは異なるように差別化することができる。インタラクティブオブジェクト20を使用して実行される特定のジェスチャ又は動作も効果を差別化させることができる。ユーザ12がインタラクティブオブジェクト20を使用して実行する特定の動作は、動作特有の効果を引き起こすことができる。1つの実施形態では、モーションデータと記憶されたモーションセットとを比較し、予め設定された品質メトリクスに基づいて精度を評価することができる。精度及び/又は実行された動作に基づく効果は、インタラクティブオブジェクト20からの特定の色の発光、又はインタラクティブオブジェクト20の特殊効果システムから放出されるその他の効果に対応するように指定することができる。
【0037】
中央コントローラ18は、相互作用環境14内でのインタラクティブオブジェクト20とのユーザインタラクションに基づいて、効果過程全体を通じて変化する特殊効果をトリガすることができる。1つの例では、パワーブースティング装置(power boosting device)が、インタラクティブオブジェクト20を介して出力される特殊効果の輝度を高めるように制御される。信号ブースティングは、制御可能な無線周波数エネルギーエミッタによって、或いは光電力収穫(optical power harvesting)の例ではさらなる赤外線放出電源を通じて実行することができる。無線周波数エミッタは、インタラクティブオブジェクト20の検出された位置に基づいて、無線周波数エミッタからの無線周波数エネルギー送信ビームを特定のインタラクティブオブジェクト20に向け及び/又は集中させることができる。インタラクティブオブジェクト20の位置にビームを向けて集中させることで、インタラクティブオブジェクト20の利用可能な電力の増加が容易になるとともに、装置がさらなる利用可能な電力を使用して、近接する他のインタラクティブオブジェクト20に比べて高い強度及び/又は輝度で特殊効果を出力することが可能になる。このようにして、グループ内の単一のインタラクティブオブジェクト20を、例えば高輝度の光ビームを形成するように差別化することができる。無線周波数エネルギー伝送は、インタラクティブオブジェクト20の特殊効果に電力を供給する超高周波(UHF)エネルギー伝送を含むことができる。輝度の変化は、インタラクティブオブジェクト20を使用したユーザアクションに直結する動的なものとすることができ、従ってユーザが向上している時、ゴールに近づいている時(例えば、オブジェクトを発見することに「熱が入って」いる時)、又は高品質メトリックを有する動作パターンを実行している時には輝度が増加し、ユーザが比較的上手くいっていない時(例えば、「冷めて」いる時)、あまり正確でない(低品質メトリックの)動作パターンを実行している時には輝度が減少する。これらのユーザアクションは、システム10がインタラクティブオブジェクト20上の出力を介して実質的にリアルタイムでフィードバックを提供できるように環境センサ16によってリアルタイムで追跡される。従って、特殊効果の性質は、品質メトリックが閾値を上回っているか、それとも下回っているかに基づくことができる。品質メトリックは、インタラクティブオブジェクト20の動作パターンの精度、目標からのインタラクティブオブジェクト20の距離(一定距離内であれば品質閾値を上回る)、又は相互作用環境14内におけるインタラクティブオブジェクト20の相互作用に基づくことができる。別の実施形態では、輝度の強さが作動の段階に応じて変化することができる。或いは、特定の相互作用、インタラクティブオブジェクト20を使用した特定のジェスチャの完了又は一連のジェスチャに離散色の点灯を結び付けることもできる。別の実施形態では、上述した特殊効果の相違、及び本明細書において様々な実施形態に関連して説明する照明及び色の使用を、インタラクティブオブジェクト20の振動などの触覚、又はインタラクティブオブジェクト20が発するトーンなどの音を含む他の感覚的効果によって表現することもできる。
【0038】
別の例では、パワーブースティング効果を、ユーザ12に関連するモバイル装置などの外部装置を利用することによって実装することができる。インタラクティブオブジェクト20は、その内部に配置された近距離無線通信(NFC)コイルを含むことができる。NFCコイルは、ユーザに関連する外部装置(例えば、玩具又はウェアラブル装置として実装できる携帯電話機、NFC充電器)からのエネルギー伝送を介して充電されることによって、インタラクティブオブジェクト20の充電及び/又はパワーブースティングを容易にすることができる。外部装置は、ユーザ12が相互作用環境14内を動き回っている時にインタラクティブオブジェクト20を継続的に充電できるように、インタラクティブオブジェクト20用のホルスター及び/又はホルダーを含むことができる。インタラクティブオブジェクト20は、無線周波数エミッタ、ユーザのモバイル装置、インタラクティブオブジェクトのアクセサリ、又はこれらのいずれかの組み合わせからのエネルギーをバッファリングして蓄積できる充電式エネルギー源(例えば、バッテリ、スーパーキャパシタ)を含むことができる。この充電式エネルギー源を使用して、いずれかの時点でパワーブースティング効果を達成し、インタラクティブオブジェクト20がその位置にかかわらず効果出力のためのエネルギーの蓄積を完了していることを保証することができる。別の実施形態では、NFCコイルが、インタラクティブオブジェクト20がユーザのモバイル装置とペアになることを可能にして、ユーザのモバイル装置とユーザのインタラクティブオブジェクト20との間の相互作用性を可能にすることができる。例えば、携帯電話機がユーザのインタラクティブオブジェクト20とペアになって、インタラクティブオブジェクトのパフォーマンスデータをモバイル装置に送信できるようにすることができる。インタラクティブオブジェクト20のパフォーマンスデータは、モバイル装置のアプリケーションを介して処理され、ユーザが自身のパフォーマンス統計をリアルタイムで確認できるようにユーザ12に表示することができる。
【0039】
別の実施形態では、インタラクティブオブジェクト20が展示中である場合及び/又はユーザ12によって使用されていない場合、インタラクティブオブジェクト20を一日中にわたって再充電することができる。インタラクティブオブジェクト20は、上述した光電力収穫法を利用して再充電することができる。インタラクティブオブジェクト20の保管エリアは、ユーザ20がインタラクティブオブジェクト20を入手した時にフル充電されているように、未使用時にインタラクティブオブジェクト20を再充電するためにインタラクティブオブジェクト保管エリアに向けて継続的にエネルギーを放出する無線周波数エミッタを含むことができる。保管エリア内のインタラクティブオブジェクト20は、棚ユニット又はその他の保管スペースに組み込むことができる近距離装置を介して充電することもできる。この近距離充電法は、1:1のトップオフ(例えば、充電)法として機能することができる。光電力収穫法は、超高周波(UHF)無線周波数での充電及び近距離無線通信(NFC)法を用いた充電(例えば、インタラクティブオブジェクト20、近距離装置内に配置されたNFCコイル)を介した中距離~遠距離充電法などの、インタラクティブオブジェクト20のための他の充電法と組み合わせて使用することもできる。なお、上記の充電法のいずれかは、個別に又はユーザ12の相互作用全体を通じて組み合わせてインタラクティブオブジェクト20に供電又は充電を行うように実装することができると理解されたい。さらに、説明する電力収穫法は、インタラクティブオブジェクト20のオンボード特殊効果に直接電力を供給するために使用することも、及び/又は特殊効果に電力を供給するために使用されるインタラクティブオブジェクト20のバッテリ又は電力ストレージを充電するために使用することもできる。
【0040】
中央コントローラ18は、ユーザのインタラクティブオブジェクト20と他のインタラクティブオブジェクトとの間の過去の相互作用に関連する履歴データを検出して記憶することができる。例えば、戦闘シナリオ中にユーザのインタラクティブオブジェクト20が対戦相手のインタラクティブオブジェクト20と相互作用したことがあるとする。中央コントローラ18は、戦闘シナリオ中にユーザ12が対戦相手のインタラクティブオブジェクト20と相互作用したことに関連する履歴情報を含むようにユーザのプロファイルを更新することができる。その後の時点で、中央コントローラ18は、ユーザのインタラクティブオブジェクト20が同じ対戦相手のインタラクティブオブジェクト20と闘おうと試みていることを検出することができる。この時、中央コントローラ18は、過去の戦闘シナリオデータを含む履歴データを受け取って、ユーザのインタラクティブオブジェクト20に送信される特殊効果コマンドを、以前の戦闘相互作用に基づいて新たな特殊効果を作動させるように差別化することができる。
【0041】
別の例では、ユーザが相互作用環境14に入ると、インタラクティブオブジェクト20のオンボード通信回路26から中央コントローラ18への無線送信を介したインタラクティブオブジェクトの識別、及び環境センサ16を介したユーザの識別に基づいて、インタラクティブオブジェクト20に初回効果コマンドを送信することができる。この初回識別は、中央コントローラ18がオブジェクト20の識別及びユーザ12の識別に基づいて初回コマンドを送信することを可能にすることができる。例えば、インタラクティブオブジェクト20は、インタラクティブオブジェクト20の特殊効果システム内に収容されたLEDから特定の色の光を投影するための初回コマンドを受け取ることができる。このLED光の色の投影は、ユーザ選好、又は対応するインタラクティブオブジェクト20を用いたユーザの体験レベルに基づくことができる。その後、ユーザは、インタラクティブオブジェクト20を使用して動作又はジェスチャを実行することができる。環境全体を通じて配置された環境センサ16は、インタラクティブオブジェクトのモーションデータを収集し、このモーションデータが中央コントローラ18に送信される。中央コントローラ18は、モーションデータに基づいてインタラクティブオブジェクト20に別の特殊効果コマンドを送信することができる。通信回路は、中央コントローラ18から送信されたコマンドを受け取り、実行された動作又はジェスチャに基づいて異なる色のLEDを出力する。この結果、ユーザは、相互作用環境14におけるユーザの全体的体験の最中にインタラクティブオブジェクト20からの一定の効果の出力を観察できるようになる。
【0042】
例えば、インタラクティブオブジェクト20は、特定の相互作用環境14におけるユーザ体験全体を通じて離散的照明シーケンスを実行するコマンドを送信することができる。例えば、インタラクティブオブジェクト20は、中央コントローラ18による初回識別及びユーザプロファイルへのリンク付けに基づいて特定の色のLEDを点灯させることができる。その後、ユーザ12がジェスチャ又は一連のジェスチャを実行し、これらのジェスチャの精度に基づいて、実行されたジェスチャの精度に応じて特定の色のLED、或いは異なる色の1又は2以上のLEDを指定順に又は連動して点灯させるコマンドをインタラクティブオブジェクト20に送信することができる。例えば、中央コントローラ18は、ジェスチャが正確に実行されたと判定すると、初回識別又は一連の別の色のLEDから、ジェスチャが正確に実行されたかどうかに基づくことができる別の色のLEDを点灯させる第2のコマンドをインタラクティブオブジェクト20に送信することができる。1又は2以上の特定の色のLEDの点灯は、テーマ化されたインタラクティブ体験の側面に対応することができる。この色は、ユーザ体験全体を通じてユーザ12をユーザプロファイルに結び付けるように、予め選択された色オプションに対応する、ユーザプロファイルに記憶されているグループ又は家族への所属に対応することができる。
【0043】
別の実施形態では、ユーザ12のモバイル装置を使用してインタラクティブオブジェクト20を識別し、ユーザ12をインタラクティブオブジェクト20にリンクすることができる。インタラクティブオブジェクト20は、インタラクティブオブジェクト20の外面上にエッチングされた高水準記号表現(例えば、ルーン及び/又は一連のルーン)を有することができる。これらのルーンは、固有のパターンを表すためにインタラクティブオブジェクト20の外装上に使用される他のいずれかの記号又はエッチングシステムとすることもできる。ルーンの順序は、インタラクティブオブジェクト20の一意の識別子に対応することができる。例えば、ルーンA及びルーンBは、第1のインタラクティブオブジェクト上ではABの順序で現れ、第2のインタラクティブオブジェクト上ではBAの順序で現れる。ルーンは、順序ABが順序BAとは異なる一意の識別子に対応するように順序固有である。このように順序固有でルーンを識別することで、少ない数のルーンを使用しながらより多くの一意の識別子を利用することができる。
【0044】
ユーザ12は、自身をインタラクティブオブジェクト20にリンクするために、モバイル装置を利用してインタラクティブオブジェクト20をスキャンし、又はモバイル装置のカメラを利用してインタラクティブオブジェクト20の写真を撮影することができる。ユーザ12は、モバイル装置のカメラを介して取得された写真からルーンを検出できるアプリケーションをモバイル装置にダウンロードすることもできる。このアプリケーションは、各ルーンの組み合わせの全ての一意の識別子を含むデータベースにアクセスすることができる。モバイル装置は、アプリケーションを介してユーザ12の情報を取得し、ルーンから取得された一意の識別子を介してユーザのインタラクティブオブジェクト20をユーザ情報にリンクすることができる。モバイル装置は、ユーザ情報及び関連するインタラクティブオブジェクト情報を、アプリケーションを介して中央コントローラ18に送信するように構成することができる。中央コントローラは、ユーザ12及びインタラクティブオブジェクトの情報を利用して、ユーザ12がモバイル装置を介してインタラクティブオブジェクト20に関連付けられていることに基づいて特殊効果コマンドを送信することができる。この方法は、ユーザ12を識別して各ユーザ12をそれぞれのインタラクティブオブジェクト20に関連付ける環境センサ16の方法と組み合わせて実装することができる。ユーザのモバイル装置を介したインタラクティブオブジェクト20の識別は、ユーザ識別のための環境センサ16と組み合わせて又は環境センサ16に加えて、込み合った環境内での識別を支援することができる。
【0045】
インタラクティブオブジェクト20の特殊効果は、ユーザアクションに基づいて変化又は選択することができる。別の実施形態では、特殊効果コマンドを、インタラクティブオブジェクト20のジェスチャ、インタラクティブオブジェクト20のユーザ12による口頭コマンド(verbal command)、ユーザ12のレベルを含むユーザプロファイル、又はこれらのいずれかの組み合わせに基づいて決定することができる。いくつかのジェスチャと口頭アクションとの組み合わせは、ジェスチャ又は口頭コマンド単独の場合と比べて高い強度又は稀にしか発生しない特殊効果に関連することができる。例えば、ユーザ12は、口頭コマンドを発することなくインタラクティブオブジェクト20を使用して第1のジェスチャを実行することができる。中央コントローラ18は、インタラクティブオブジェクト20を使用して実行されたジェスチャに関連するセンサデータを受け取り、インタラクティブオブジェクト20をユーザ12及びユーザ12に対応するユーザプロファイルにリンクすることができる。この結果、中央コントローラ18は、ユーザがインタラクティブオブジェクト20を使用して実行したジェスチャ及びユーザプロファイルに基づいてインタラクティブオブジェクト20に特殊効果コマンドを送信することができる。或いは、ユーザ14は、第1のジェスチャを口頭コマンドと組み合わせて実行することもできる。中央コントローラ18には、実行されたジェスチャ及び口頭コマンドに関連するデータを含むセンサデータが送信される。中央コントローラ18は、ジェスチャのみの場合のコマンドとは異なる、ジェスチャ及び口頭コマンドに基づく特殊効果コマンドを生成することができる。これにより、ジェスチャと口頭コマンドとの複数の組み合わせに基づいて特殊効果コマンドの生成を差別化することができる。また、上述したように、ユーザプロファイルに関連するユーザのスキルレベルに応じて特殊効果を差別化することもできる。この結果、ユーザ14は、より個人化されたフィードバックを受け取り、ジェスチャと口頭コマンドとのより多くの組み合わせを試行することができる。
【0046】
さらに、特殊効果コマンドは、インタラクティブオブジェクト20から放出される照明の強度レベルを指定することができる。照明の強度レベルは、動作又はジェスチャの実行、ユーザ12の体験レベル、又は相互作用環境14におけるユーザの以前の体験、及び/又はこれらのいずれかの組み合わせに関連することができる。特殊効果コマンドを介して照明の色を指定することもでき、この色は特定のインタラクティブオブジェクト20に関連し、或いはインタラクティブオブジェクト20を用いた特定のジェスチャ又は一連のジェスチャの正しい完了に依存することができる。例えば、ユーザは、最初に複数の相互作用環境14のうちの1つの相互作用環境14のエリアに入ることができる。ユーザのインタラクティブオブジェクト20は、無線送信を介して中央コントローラ18にオブジェクト識別情報を送信する。すると、中央コントローラ18は、インタラクティブオブジェクト情報を相互作用環境14内のそれぞれのユーザ12にリンクすることができる。次に、中央コントローラは、インタラクティブオブジェクト情報に基づいて、照明の特定の強度レベル及び色を指定する初回特殊効果コマンドを送信することができる。その後、ユーザ12は、インタラクティブオブジェクト20を使用して一連のジェスチャを実行することができる。環境センサ16は、インタラクティブオブジェクト20のモーションデータを中央コントローラ18に送信し、中央コントローラ18は、精度データにアクセスし、インタラクティブオブジェクト20を使用して実行されたジェスチャの精度に基づいて、初回コマンドとは異なることができる照明効果の色及び/又は強度レベルを指定する特殊効果コマンドを送信する。例えば、インタラクティブオブジェクト20は、ジェスチャが正しく実行された場合には緑色のLEDを高輝度で点灯し、ジェスチャが正しく実行されなかった場合には赤色のLEDを低輝度で点灯する。インタラクティブオブジェクト20によって受け取られた特殊効果コマンドを介して照明の間隔を指定することもでき、この間隔は、実行されたアクション又はオブジェクト識別情報に基づいて、より長い間隔の点灯(点灯期間)又は異なる強度レベルを指定することができる。
【0047】
別の実施形態では、環境センサ16が、複数のインタラクティブオブジェクト20のうちの特定のインタラクティブオブジェクトにリンクすべきユーザを識別できないことがある。中央コントローラ18は、受け取ったインタラクティブオブジェクトデータを利用して、インタラクティブオブジェクト20をユーザ12に最良にマッチさせることができないと認識する。この実施形態では、中央コントローラが、マッチしなかったインタラクティブオブジェクト20に、中央コントローラ18に記憶されている複数のデフォルト効果から検索されたデフォルト効果コマンドを送信する。この結果、マッチしなかったインタラクティブオブジェクト20のユーザ12が特殊効果を観察できるようになる。
【0048】
図3は、相互作用環境14内のそれぞれのインタラクティブオブジェクト20にユーザ12を関連付け、相互作用環境14内のユーザの相互作用12に基づいてそれぞれのユーザのプロファイルの更新を可能にする方法29のプロセスフロー図である。例えば、方法29は、より計算集約的な技術を使用して新たな(de novo)ユーザ認識を実行することなく、予め識別されたユーザ12のプールのユーザ12を効率的に選択することができる。
【0049】
ある実施形態では、複数の相互作用環境14のうちのある相互作用環境のエリア内を複数のユーザ12が自由に動き回る。ユーザ12が相互作用環境14内を動き回ると、インタラクティブオブジェクト制御システム10は、相互作用環境14全体を通じて分散する環境センサ16を介して収集されたユーザデータ及びインタラクティブオブジェクトデータを取得する。インタラクティブオブジェクト制御システム10は、インタラクティブオブジェクト制御システム10の中央コントローラ18などにおいてこのデータを受け取る(ブロック30)。
【0050】
1つの例では、システム10が、インタラクティブオブジェクト20上の、又は相互作用環境14の環境センサ16の範囲内のいずれかのインタラクティブオブジェクト上のタグから一意の識別情報を受け取る。システム10は、インタラクティブオブジェクト20に関連する位置情報も受け取る。位置情報は、複数のセンサ16のセンサ信号を介した位置の推定に基づいてインタラクティブオブジェクト20が特定の識別情報に対してリンク/識別されるように、タグからの無線周波数三角測量に基づくことができる。従って、システム10は、無線通信を介して特定のインタラクティブオブジェクト20を識別し、インタラクティブオブジェクト20を一意の識別番号にリンクすることができる。これに加えて又は代えて、別の例では、インタラクティブオブジェクト20上の検出可能マーカを検知することによって位置情報が決定される。検出可能マーカは空間内に配置され、又は環境センサ16を介して追跡される。検知された検出可能マーカの位置情報は、識別されたインタラクティブオブジェクト20が検知された検出可能マーカと同位置にあるかどうかを判定することによって特定の識別タグに関連付けることができ、或いは検出された再帰反射マーカと、特定のタグの識別情報に関連付けられた(例えば、送信された)三角測量されたRFID信号源位置との間の最も近い推定距離/一致の可能性に基づくことができる。さらに、いくつかの実施形態では、検出可能マーカが識別情報を符号化することもでき、及び/又はインタラクティブオブジェクト20が、識別情報を放出するとともに空間内で追跡されて位置/動き情報を提供する発光体を含むことができる。
【0051】
ユーザ識別もインタラクティブオブジェクトの識別に寄与することができる。いくつかのインタラクティブオブジェクト20は、特定のユーザプロファイルに対して校正又はリンクすることができる。従って、ユーザプロファイルに関連するユーザは、インタラクティブオブジェクト20を保持している可能性が最も高い候補である。(例えば、センサ16のカメラデータを介した)相互作用環境のエリア内のユーザの識別を使用して、関連するインタラクティブオブジェクト20を識別することができる。さらに、評価は過去のデータに基づくこともできる。インタラクティブオブジェクト20は、新たなデータが受け取られるまで、隣接する相互作用環境14からの直近のユーザにリンクされていると仮定することができる。
【0052】
システム10は、複数のユーザ及びインタラクティブオブジェクト識別データを分析して、相互作用環境14内のそれぞれのインタラクティブオブジェクト20に対する相互作用環境14内に存在するそれぞれのユーザ12の最良のユーザマッチを選択する(ブロック32)。マッチングは、本明細書で示すようなルールベースとすることができる。1つの実施形態では、システムが、各相互作用について複数のユーザ12のうちの単一のユーザ12にインタラクティブオブジェクト20をマッチさせ又は関連付ける。例えば、相互作用環境14が複数のユーザ12を含み、その一部はインタラクティブオブジェクト20を携行していないものとする。従って、ルールは、一部のユーザ12がいずれのインタラクティブオブジェクト20にも関連付けられないことを認めることができる。しかしながら、各インタラクティブオブジェクト20は少なくとも1人のユーザ12に関連付けられる必要がある。ルールベースのマッチングは、マッチングの要因として近接性を使用することができ、検出されたインタラクティブオブジェクト20は最も近いユーザ12に関連する可能性が高い。しかしながら、腕の長さに保持された細長いインタラクティブオブジェクト20は、異なるユーザ12の頭/顔に近い可能性もある。従って、適切な場合には手で持たれている又は適切に装着されているオブジェクト12の識別などのさらなる要因を考慮することもできる。本明細書に開示するように、環境センサ16から取得されたデータは、これらの要因を評価するために処理されて分析に提供されるカメラデータを含むことができる。
【0053】
さらに、ルールは、テーマパークなどのさらに広いエリア内の潜在的ユーザの集合をユーザ識別の候補として識別することができる。1つの実施形態では、テーマパークの正面入場口などの指定エリアにおいて、より計算集約的なセンサ及び処理を使用して、高品質画像認識と、ユーザの画像及び/又はその他のユーザ特性(歩き方、衣服、外観ベースのメトリクス、バイオメトリクス)に対するユーザプロファイルのリンク付けとが実行される。潜在的ユーザの集合のうち、特定の相互作用環境14又はアトラクション内に存在するのは一部のみである。従って、インタラクティブオブジェクト制御システム10は、新たに認識分析を実行するのではなく、集合内の最良のマッチングを識別し、それほど計算集約的でないユーザ認識分析を使用して、インタラクティブオブジェクト制御システム10のより効率的な動作を可能にすることができる。
【0054】
環境センサ16によって収集されたデータは、相互作用環境14の見込まれるユーザプール(prospective user pool)を絞り込むために処理される。システムは、ユーザプールを利用して、より効率的にユーザ12をそれぞれのインタラクティブオブジェクト20にマッチさせることができる。特定の相互作用環境14の考えられるユーザプールを絞り込む能力は、込み合った相互作用環境14内でのユーザ12の識別を容易にする。複数の形態のセンシングを利用してユーザ及びインタラクティブオブジェクトの両方を識別することを通じて、より効率的にユーザ12をそれぞれのインタラクティブオブジェクトにマッチさせることができる。さらに、インタラクティブオブジェクト制御システム10は、インタラクティブオブジェクト20が異なるユーザ間で共有される事例を識別することができる。第1のユーザがインタラクティブオブジェクト20を使用して相互作用環境14と相互作用する場合、インタラクティブオブジェクト制御システム10は、同じインタラクティブオブジェクト20を使用している第2のユーザ12に生成される特殊効果命令に対して異なる特殊効果命令(例えば、インタラクティブオブジェクト20上の及び/又は相互作用環境14のオンボード特殊効果)を生成することができる。従って、インタラクティブオブジェクト20は、異なるユーザ12に異なる形で応答するものと認識される。
【0055】
次に、システムは、選択された最良にマッチするユーザ12及び識別されたインタラクティブオブジェクト20に関連するユーザプロファイルを、関連性を含むように更新する。ユーザプロファイルは、特定の相互作用環境14に対応するユーザ位置情報、及び相互作用環境14内のインタラクティブオブジェクト20の相互作用に関連するインタラクティブオブジェクトデータを含むようにも更新される(ブロック34)。インタラクティブオブジェクト20には、相互作用環境14におけるユーザの以前の体験に基づいて、個人化された特殊効果コマンドが送信される(ブロック36)。この結果、ユーザ12が新たな相互作用環境14に入った時に対応するユーザプロファイルが更新されるようになり、繰り返し訪問時には、ユーザ12の位置と、訪れた以前の相互作用環境14におけるユーザ12及びユーザのインタラクティブオブジェクト20の体験とに関連する以前のユーザ情報を含むユーザプロファイルに基づいて、ユーザのインタラクティブオブジェクト20に送信される特殊効果コマンドを差別化し又は変化させることができる。
【0056】
なお、方法29は、インタラクティブオブジェクト制御システム10に記憶されたユーザ生成ユーザプロファイルと協調できる、或いはプロファイルを登録していないユーザのために単独で使用できるシステム生成ユーザプロファイルを構築するように実装することができると理解されたい。ユーザによって提供されるユーザプロファイル情報は、ユーザの年齢、選好、アトラクション訪問履歴、パーク訪問履歴、家族グループ情報、支払い情報などを含むことができる。本明細書に示すインタラクティブオブジェクト制御システム10は、ユーザプロファイルにインタラクティブオブジェクトデータを追加することもできる。このインタラクティブオブジェクトデータは、相互作用環境14内での相互作用体験を導くように、ユーザには見えないけれどもインタラクティブオブジェクト制御システム10によってアクセスされる形で追加することができる。
【0057】
図4は、インタラクティブオブジェクト20とその外部のインタラクティブオブジェクト制御システム10の様々なコンポーネントとの間の通信を示すインタラクティブオブジェクト制御システム10の概略図である。これに加えて又は代えて、本明細書に示す本開示のインタラクティブオブジェクト20の検出又は位置特定は、インタラクティブオブジェクト20の位置データ又は移動データを提供するシステムの環境センサ16(例えば、近接センサ、光学センサ、画像センサ)を伴うこともできる。
【0058】
動作中、環境センサ16は、ユーザ12及び/又はユーザのインタラクティブオブジェクト20が相互作用環境14内に存在することを検出する他のセンシング法に加えて、画像認識(例えば、インタラクティブオブジェクト認識、顔認識)、インタラクティブオブジェクト20上の再帰反射マーカの検出、3D飛行時間システム、無線周波数センシング、及び光学センシングを通じてインタラクティブオブジェクト20及び/又はユーザ12を検知する。インタラクティブオブジェクト20は、電磁放射線の送信によって作動して相互作用環境14内の環境センサ16にオブジェクト識別データを出力できる無線周波数識別タグ(RFID)を含む通信回路26を含むこともできる。中央コントローラ18内に配置されたプロセッサ40は、このデータを利用してインタラクティブオブジェクト20を相互作用環境14内の特定のユーザ12にリンクすることができる。ユーザ12をユーザのインタラクティブオブジェクト20にリンクすることで、インタラクティブオブジェクト20の通信回路26に個人化された特殊効果信号を送信できるとともに、相互作用環境14内でのユーザの相互作用12に基づいて中央コントローラ18を介してユーザプロファイルを更新できるようになる。その後、中央コントローラ18によって送信されたこの特殊効果信号は、インタラクティブオブジェクト20に収容されたオブジェクトコントローラ39によって処理され、例えば電力収穫(光電力収穫)を介して受動的に又は電源によって能動的に給電される特殊効果システム52を、ユーザのプロファイルに合わせて個人化された特殊効果を放出するように作動させる。さらに、インタラクティブオブジェクト20は、装置識別情報を伝える能動的又は受動的RFIDタグを含むことができる。ある実施形態では、RFIDタグを、制御可能な後方散乱RFIDタグとすることができる。
【0059】
図示の実施形態では、通信回路が中央コントローラ18にインタラクティブオブジェクト装置情報を送信する。ある実施形態では、インタラクティブオブジェクト20の1又は2以上のセンサ46が、相互作用環境14内に投影された電磁放射線を検出する。通信回路26は、無線周波数識別子(RFID)タグ又は赤外線信号を介して、インタラクティブオブジェクト装置データを含む無線信号を放出する。環境センサ16は、インタラクティブオブジェクト装置データを受け取ってこのデータを中央コントローラ18に送信する。プロセッサ40は、このインタラクティブオブジェクトデータを環境センサ16及び/又はメモリ42からのユーザ識別データと組み合わせて利用する。その後、装置及び/又はユーザ識別に基づく個人化された特殊効果信号が通信回路26に返送される。通信回路26は、インタラクティブオブジェクト20のオブジェクトコントローラ39にコマンドを受け渡す。オブジェクトコントローラ39は、このコマンドをインタラクティブオブジェクト20の特殊効果システム52に送信することができる。プロセッサ48及びメモリ50は、特殊効果命令の記憶と、送信されたコマンドに対応する特殊効果の作動及び制御とを可能にする。
【0060】
図示の実施形態では、環境センサ16が、相互作用環境14におけるユーザの存在を検出し、実行されたジェスチャに基づくインタラクティブオブジェクト20の追跡に加えてユーザデータを収集する。環境センサ16は、カメラ顔認識センサ、3D飛行時間センサ、光学センサ、及び無線周波数センサを含むことができる。これらの環境センサ16は、ユーザ12を効率的に追跡してその位置を効率的に特定し、ユーザに関連するインタラクティブオブジェクト20の通信回路26に個人化された効果コマンドを送信できるように、相互作用環境14全体を通じて分散する。環境センサ16を使用してユーザ12を識別することで、ユーザ12が複数の相互作用環境14内を動き回る際に、中央コントローラ18によって提供されるユーザ情報及び装置情報が動的ユーザプロファイルの作成及び更新を可能にすることができる。インタラクティブオブジェクト20に対応するユーザ12の識別は、握力認識、及び/又は相互作用環境14全体を通じて分散する顔認識カメラを介した視覚認識を使用して達成することができる。
【0061】
中央コントローラ18のメモリ42は、以前に相互作用環境内の複数のインタラクティブオブジェクト20とマッチしたことがある複数のユーザ12のユーザプロファイルを記憶することができる。その後、複数の相互作用環境14全体を通じてユーザのインタラクティブオブジェクト20を用いたユーザ体験が行われるにつれてユーザプロファイルを更新することができる。中央コントローラ18は、複数の相互作用環境14のうちのある相互作用環境のエリア内でのインタラクティブオブジェクト20を用いたユーザの体験に基づいてユーザプロファイルを更新することができる。これにより、相互作用環境14全体を通じて、同じ相互作用環境14への複数回の訪問内で、ユーザプロファイルに基づいて特殊効果を差別化することができる。ユーザプロファイルは、オブジェクトの初回使用前及びオブジェクトの初回使用後に予め決定されるユーザ固有の特性を含むことができる、ユーザに関連する情報を含むこともできる。これらの特性は、特定のユーザ12に基づく特殊効果コマンドのさらなる差別化を可能にすることができる。例えば、ユーザが、あるグループ又は予め設定されたカテゴリの選択肢から選択された特定のカテゴリへの特定の所属を要求する場合、この情報を表示するようにユーザプロファイルを更新することができる。その後、中央コントローラ18は、ユーザプロファイルに部分的に基づいて特殊効果信号を送信することができる。この信号は、特定の色のLED、音響効果、触覚効果、視覚的投影、又はこれらのいずれかの組み合わせの出力を含むことができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、中央コントローラ18が、閾値数又は予め設定された数のユーザ12のみをインタラクティブオブジェクト20にリンクすることができる。インタラクティブオブジェクト20にリンクできるユーザ12の数は、インタラクティブオブジェクト20の装置セキュリティを維持するために特定の閾値に制限することができる。例えば、特定のインタラクティブオブジェクト20が2人のユーザにリンクされている場合、中央コントローラ18は、この特定のインタラクティブオブジェクト20の閾値ユーザ数が2であると認識し、インタラクティブオブジェクト20を利用しようと試みている第3のユーザを識別しないことができる。中央コントローラ18は、インタラクティブオブジェクト20を第3のユーザにリンクできず、第3のユーザが別のインタラクティブオブジェクト20を取得する必要がある旨を第3のユーザに伝える信号(例えば、効果)を第3のユーザのインタラクティブオブジェクト20に送信することができる。この信号送信は、インタラクティブオブジェクト20に特定の色を点灯するように指示する視覚効果コマンド、インタラクティブオブジェクト20をリンクできない旨をインタラクティブオブジェクト20に伝える効果音を出力するように指示する特殊効果コマンド、又はその他のいずれかの効果法を通じて行うことができる。
【0063】
1つの例では、中央コントローラ18が、(環境センサ16からのインタラクティブオブジェクトデータに基づく)インタラクティブオブジェクト20の特定の検出された動きパターンを評価することができる。いくつかのタイプの動きパターンは、インタラクティブオブジェクト20の赤色光を作動させることに関連し、他のタイプの動きパターンは、青色光を作動させることに関連することができる。検出されたパターンに基づいて、光の色を作動させる命令がインタラクティブオブジェクト20に送信される。特殊効果命令は、光作動の強度、色相又は間隔パターンを設定する命令を含むことができる。検知された動作パターンの特性及び/又はユーザプロファイル特性に基づいて、これらのうちの1つ又は2つ以上を変化させることができる。ある実施形態では、オンボード特殊効果の作動が、正常な相互作用体験が発生した旨のフィードバックをユーザに提供し、特殊効果の欠如又は弱化(薄暗い光の作動)が、相互作用を改善又は変更すべきであることを示す。
【0064】
エミッタ28を駆動し、環境センサ16からデータを受け取って処理する中央コントローラ18は、1又は2以上のプロセッサ40及びメモリ42を含むことができる。本明細書では、プロセッサ40、48及びメモリ42、50を一般に「処理回路」と呼ぶことができる。具体的ではあるが非限定的な例として、1又は2以上のプロセッサ40、48は、1又は2以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、1又は2以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、1又は2以上の汎用プロセッサ、又はこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。また、1又は2以上のメモリ42、50は、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ、及び/又はリードオンリメモリ(ROM)などの不揮発性メモリ、光学ドライブ、ハードディスクドライブ、又はソリッドステートドライブを含むことができる。いくつかの実施形態では、中央コントローラ18が、遊園地アトラクション及び制御システムなどの様々な遊園地特徴の動作を協調させるように構成された制御システムの少なくとも一部を形成することができる。なお、インタラクティブオブジェクト制御システム10のサブシステムも同様の特徴を含むことができると理解されたい。1つの例では、特殊効果システム52が、プロセッサ48及びメモリ50を介した処理能力を含むことができる。さらに、オブジェクトコントローラ39が存在する場合には、オブジェクトコントローラ39が一体的な処理及び記憶コンポーネントを含むことができる。
【0065】
中央コントローラ18は、1又は2以上の中央コントローラ18の分散ネットワークの一部とすることができる。1又は2以上の中央コントローラ18の分散ネットワークは、パーク中央コントローラ及びパーク中央サーバと通信することができる。1又は2以上の中央コントローラ18の分散ネットワークは、1又は2以上の相互作用環境14全体を通じて分散する1又は2以上の中央コントローラ18にとって必要な処理時間及び処理能力の低減を容易にする。1又は2以上の中央コントローラ18の分散ネットワークは、パーク中央サーバに記憶されたプロファイルフィードにプロファイルを要求することによってユーザプロファイルを取得するように構成することができる。ユーザプロファイルフィードは、インタラクティブオブジェクトに関連するユーザ実績、ユーザ体験レベル、過去のユーザ位置、及びその他のユーザ情報を含む。1又は2以上の中央コントローラ18は、パーク中央サーバに記憶された複数のユーザプロファイルを含むプロファイルフィードを購読し、フィードに含まれる1又は2以上のユーザプロファイルを受け取るためにフィードをキャッシュするエッジコントローラとして機能することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、相互作用環境14が1又は2以上の中央コントローラ18を含むことができる。相互作用環境14内の1又は2以上の中央コントローラ18は、無線メッシュネットワーク(WMN)又はその他の無線及び/又は有線通信法を使用して互いに通信することができる。特殊効果コマンドは、中央コントローラ18、中央コントローラ18の分散ノード、又は相互作用環境18に関連する専用ローカルコントローラが生成してインタラクティブオブジェクト20に伝えることができる。
【0067】
別の実施形態では、インタラクティブオブジェクト20のセンサ46が、オブジェクトコントローラ39に圧力情報を提供する個々の圧力センサ又は握力センサのアレイを含むことができる。このアレイは、少なくとも16個又は少なくとも256個の個々のセンサの容量性又は力感受性(force sensitive)抵抗アレイとすることができる。オブジェクトコントローラ39は、受動電力下でアレイからの信号を使用して、特定のユーザの特徴的な握力バイオメトリックを示すセンサデータに基づいて校正を行うことができる。校正プロセスは、特殊効果システム52を介したフィードバック(例えば、インタラクティブオブジェクトを特定のユーザにマッチさせることに関連するパターンでの1又は2以上の光源53の作動、スピーカの作動、又は別の特殊効果)を作動させることができる。校正プロセスは、インタラクティブオブジェクト20の装置セキュリティを維持するために予め設定された数のユーザのみをインタラクティブオブジェクト20にリンクできるように、1人のユーザ又は閾値数のユーザに制限することができる。
【0068】
インタラクティブオブジェクト20は、バッテリ、又は無線周波数ベースの電力収穫アンテナ又は光収穫器などの電力収穫器とすることができる電源56を含むことができる。収穫された電力などの電源58は、特殊効果システム52などのインタラクティブオブジェクト20の1又は2以上の機能に電力を供給するために使用される。例えば、電源58は、赤色、緑色、青色及び白色(RGBW)エミッタを含む複数の発光ダイオードに電力を供給することができる。
【0069】
本明細書で説明したように、インタラクティブオブジェクト20は、環境センサ16によって検出される光学的発光を介してオブジェクト識別情報を提供することができる。特殊効果システム52の光源53を使用して光情報を送信することができ、或いは別の光源を使用することもできる。識別は、無線周波数、赤外線及び/又はRGBWベースの可視光アイデンティティ送信法(visible light method of identity transmission)を使用して行うことができる。赤外線又は可視光アイデンティティ送信法の場合には、光源53の照明出力を、目に見えない状態でアイデンティティ信号を符号化するように変調することができる。出力及び識別法としてRGBW発光体を使用する場合には、赤外域の第2のエミッタを利用して補足的識別情報を送信することができる。第1の技術(RFID信号の受信)を介したインタラクティブオブジェクト識別は、第2の技術(例えば、再帰反射マーカの検出)を介したインタラクティブオブジェクト検知又は追跡と組み合わせることができる。識別情報は、本明細書に示す追跡情報にリンクすることができる(例えば、近接性評価、共通ユーザとのマッチング)。
【0070】
別の実施形態では、中央コントローラ18が、インタラクティブオブジェクト20に特殊効果コマンドを送信することに加えて、外部特殊効果システム59を含む外部小道具又はディスプレイに特殊効果コマンドを送信することができる。例えば、ユーザ12は、インタラクティブオブジェクト20を使用してジェスチャ又は動作を行うことができる。環境センサ16は、モーションデータを収集して中央コントローラ18に送信する。中央コントローラ18は、ユーザプロファイルデータ及びモーションデータを利用して、インタラクティブオブジェクト20に個人化された特殊効果コマンドを送信する。中央コントローラ18は、インタラクティブオブジェクト20に特殊効果コマンドを送信することに加えて、相互作用環境のエリア内の外部小道具又はディスプレイにさらなる特殊効果コマンドを送信することもできる。外部小道具又はディスプレイに送信される特殊効果コマンドは、視覚効果、音響効果、又は別のタイプの効果コマンドを含むことができる。
【0071】
図5は、それぞれのユーザ12をインタラクティブオブジェクト20に関連付ける方法60のプロセスフロー図である。この方法は、インタラクティブオブジェクト20の最初の又は初回の使用を検出するプロセス(ブロック62)と、初回使用中にユーザ認識データを取得するプロセス(ブロック64)とを含む。このユーザの識別は、顔認識センサ、3D飛行時間システム、及び他のユーザ認識モードを含む複数の環境センサ16から収集された取得データによって容易になる。環境センサ16から収集されたセンサデータは、相互作用環境14内にユーザが存在する可能性が決定されてユーザの可能性が絞り込まれるようにプールされる。このように、ユーザ認識データに基づいてユーザ12の集合から単一のユーザ12が選択される。複数の環境センサ16からプールされたデータは、相互作用環境のエリア内のユーザの識別に必要な処理能力を低減し、ユーザ識別を円滑化し、ユーザ識別の精度を高める。顔認識法を介してユーザを識別できない場合には、別のセンシング法でユーザを識別し、従ってユーザ識別の精度を高めることができる。利用可能な方法によってユーザを識別できない場合には、識別されたインタラクティブオブジェクトにデフォルトユーザプロファイルを関連付けて、ユーザ識別が行われるまでこれを使用することができる。その後、単一のユーザ12が選択されるまで、ユーザインタラクティブオブジェクト20に対する考えられるユーザ12の位置をより小さなユーザのプールに絞り込むことができる(ブロック66)。選択されたユーザはインタラクティブオブジェクト20にリンクされる。初回使用の特徴に固有のオンボード特殊効果を作動させるために、初回使用の特殊効果コマンドをインタラクティブオブジェクト20に送信する(ブロック68)。
【0072】
1つの実施形態では、中央コントローラ18が、ユーザ12及びユーザのインタラクティブオブジェクト20についてのプロファイルが作成されていないことを検出し、従ってユーザ情報を記憶する新たなプロファイルの作成をトリガする。ユーザプロファイルは、環境センサ16を介したユーザ12の識別及びユーザのインタラクティブオブジェクト20の検出に基づいてユーザ12に割り当てられる。プロファイルは中央コントローラ18に記憶され、従って個人化された特殊効果コマンドを伝えるために更新して利用することができる。
【0073】
図6は、相互作用環境内のインタラクティブオブジェクト20を検出する方法72のプロセスフロー図である。方法72は、中央コントローラ18の1又は2以上のプロセッサ40によって実行可能な命令としてメモリ42に記憶されるステップを含むことができる。なお、いくつかの実施形態では、方法72のステップを図示の順序とは異なる順序で実行し、又は完全に省略することもできる。また、図示のブロックの一部を互いに組み合わせて実行することもできる。
【0074】
図示の実施形態では、方法72が、複数の相互作用環境14のうちのある相互作用環境のエリア内に電磁放射線を放出することを含む(ブロック74)。インタラクティブオブジェクト20の通信回路26は、電磁放射線によって、インタラクティブオブジェクト20のデータを相互作用環境14内の中央コントローラ18に送信する無線信号を放出する(ブロック76)。このインタラクティブオブジェクト20の通信回路26によって放出される信号は、無線周波数識別(RFID)タグ又は光送信機を使用することによって容易にすることができる。通信回路26は、インタラクティブオブジェクトデータを中央コントローラ18に伝えることができる。インタラクティブオブジェクトが相互作用環境全体を通じて分散する環境センサ16にインタラクティブオブジェクトデータを送信すると同時に、センサは、顔認識データ、3D飛行時間システムデータ、その他のセンサデータを介してユーザ情報を収集する(ブロック78)。このユーザ情報は、込み合った環境内でのユーザ識別の効率化を容易にするために利用される。複数の形態のユーザ識別はユーザプールの絞り込みを可能にし、相互作用環境14内のユーザ12の識別をより効率的にする。例えば、込み合った環境では、同じ相互作用環境14内に複数のインタラクティブオブジェクト20及びユーザ12が存在することができる。インタラクティブオブジェクト20を介して中央コントローラ18に送信される装置データと、ユーザを識別してインタラクティブオブジェクトの動きを追跡するセンサデータとを組み合わせることにより、中央コントローラ18から送信される効果を個々のユーザにより効率的に個人化することができる。
【0075】
例えば、込み合った環境では、中央コントローラ18が、複数のユーザ12及びインタラクティブオブジェクト20から収集された全てのセンサデータを処理し、このデータを利用して各インタラクティブオブジェクト20に関連するユーザ12を決定することができる。インタラクティブオブジェクト20から送信される装置情報は、インタラクティブオブジェクト20が相互作用環境14内でどれほど長くアクティブであるかを含むことができる。例えば、相互作用環境14では、環境センサ16がインタラクティブオブジェクトデータ20及びユーザデータを中央コントローラ18に伝えることができる。中央コントローラ18は、ユーザプロファイルに基づいて、ユーザのインタラクティブオブジェクト通信回路26に個人化された効果信号を送信する(ブロック80)。中央コントローラ18は、ユーザプロファイル情報を利用して、ユーザが以前に相互作用環境のエリアを訪れたことがあり、相互作用環境の同じエリアを現在再訪していると認識することができる。ある実施形態では、相互作用環境14内の環境センサ16が特殊効果の作動を検出し、ユーザプロファイルに基づいて、相互作用環境のエリアへの以前のユーザ訪問時と比べて効果を差別化する応答効果を作動又はトリガする(ブロック82)。ユーザプロファイルに体験レベルを追加することを通じて、ゲスト体験をさらに個人化することもできる。これらのレベルは、ユーザがインタラクティブオブジェクト20と共に過ごした時間、ユーザが相互作用環境14を訪れた回数、及びその他の追加基準によって決定することができる。インタラクティブオブジェクト20は、ユーザ12のレベルに基づいてさらに効果を差別化できるように、ユーザプロファイル情報を中央コントローラ18への信号と共にインタラクティブオブジェクト20に送信することができる。このユーザプロファイルにリンクするインタラクティブオブジェクト20の能力は、単一のインタラクティブオブジェクト20が複数のユーザにリンクすることを可能にする。相互作用環境内のハードウェア及びユーザのインタラクティブオブジェクト20内のハードウェアがユーザデータを伝える全体的能力は、以前の訪問及び環境内の相互作用から構築されたユーザ情報を含む動的ユーザプロファイルが確立されることにより、複数回の訪問全体を通じて個人化された最新のユーザ体験がもたらされることを可能にする。
【0076】
本明細書では、本発明のいくつかの特徴のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正及び変更が思い浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の実際の趣旨に含まれる全てのこのような修正及び変更も対象とすることが意図されていると理解されたい。
【0077】
本明細書に示して特許請求する技術は、本技術分野を確実に改善する、従って抽象的なもの、無形のもの又は純粋に理論的なものではない実際的性質の有形物及び具体例を参照し、これらに適用される。さらに、本明細書の最後に添付するいずれかの請求項が、「...[機能]を[実行]する手段」又は「...[機能]を[実行]するステップ」として指定されている1又は2以上の要素を含む場合、このような要素は米国特許法112条(f)に従って解釈すべきである。一方で、他のいずれかの形で指定された要素を含むあらゆる請求項については、このような要素を米国特許法112条(f)に従って解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0078】
10 インタラクティブオブジェクト制御システム
12 ユーザ
14 相互作用環境
14a 第1の相互作用環境
14b 第2の相互作用環境
16 環境センサ
18 中央コントローラ
20 インタラクティブオブジェクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】