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特表2024-502077心臓ペーシング閾値の取得方法、ペーシング制御方法及び装置、医療機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】心臓ペーシング閾値の取得方法、ペーシング制御方法及び装置、医療機器
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540639
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 CN2021142654
(87)【国際公開番号】W WO2022143800
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202011606453.0
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523163196
【氏名又は名称】合源医療器械(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】UNITED INNOMED (SHANGHAI) LIMITED
【住所又は居所原語表記】Floor 2, East Area Building #1, No. 299 Kangwei Road, Pudong New Area Shanghai 201315, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 励
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ01
4C053JJ18
4C053JJ23
(57)【要約】
本発明は、心臓ペーシング閾値の取得方法、ペーシング制御方法及び装置、医療機器を開示し、前記取得方法は、ペーシング試験段階において、前記初期ペーシング頻度及び前記初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うステップと、ペーシング動作中の前記初期ペーシング頻度に対する患者の心室の第1応答情報を検出するステップと、前記第1応答情報におけるR波の有無に従って、患者に対応する心臓ペーシング閾値を取得するために、前記初期ペーシング頻度のパルス電圧振幅又はパルス幅を調整するステップとを含む。本発明は、異なる患者の異なる身体状態に従って各患者に適合したペーシング出力を使用してペーシングを行い、適応ペーシング出力のカスタマイズを実現し、異なる患者に対する合理的かつ効果的なペーシングを保証し、患者の体験を効果的に向上させることができ、さらに、心臓ペーシング閾値を動的に更新し、患者に対する合理的かつ効果的なペーシングをさらに保証し、患者の体験をさらに向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓ペーシング閾値の取得方法であって、
初期ペーシング電圧振幅及び/又はパルス幅を含む、初期ペーシング出力をプリセットするステップと、
ペーシング試験段階において、患者の心臓の第1実際の心拍数を検出するステップと、
前記第1実際の心拍数に従って、前記第1実際の心拍数より大きい初期ペーシング頻度を決定し、前記初期ペーシング頻度及び前記初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うステップと、
ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出するステップと、
前記第1応答情報におけるR波の有無に従って、患者に対応する心臓ペーシング閾値を取得するために、現在のペーシング出力を調整するステップとを含み、
患者の心拍数がペーシング条件を満たす場合、前記心臓ペーシング閾値に基づいて、医療機器が出力したプリセットペーシング出力を決定し、前記プリセットペーシング出力は前記心臓ペーシング閾値より大きいことを特徴とする、心臓ペーシング閾値の取得方法。
【請求項2】
前記第1応答情報におけるR波の有無に従って、患者に対応する心臓ペーシング閾値を取得するために、現在のペーシング出力を調整する前記ステップは、
前記第1応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、現在のペーシング出力を低減させ、低減したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うステップと、
ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の前記第1応答情報を検出するステップと、
前記第1応答情報にR波が存在する場合、現在のペーシング出力を低減させる前記ステップを再実行し、前記第1応答情報にR波が存在しない場合、前回のペーシング出力を患者に対応する前記心臓ペーシング閾値として使用するステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の心臓ペーシング閾値の取得方法。
【請求項3】
前記第1応答情報におけるR波の有無に従って、患者に対応する心臓ペーシング閾値を取得するために、現在のペーシング出力を調整する前記ステップは、
前記第1応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在しない場合、現在のペーシング出力を増加させ、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うステップと、
ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の前記第1応答情報を検出するステップと、
前記第1応答情報にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力を増加させる前記ステップを再実行し、前記第1応答情報にR波が存在する場合、現在のペーシング出力を患者に対応する前記心臓ペーシング閾値として使用するステップとを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の心臓ペーシング閾値の取得方法。
【請求項4】
前記初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行う前記ステップは、
患者のペーシングを行うために、前記医療機器に設定された第1電極対を使用して、前記初期ペーシング出力を送信するステップを含み、
ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出する前記ステップは、
前記医療機器に設定された第2電極対を使用して、現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を感知するステップを含み、
前記第1電極対が除細動電極である場合、前記第2電極対は感知電極であり、又は、前記第1電極対が感知電極、ペーシング電極又は除細動電極である場合、前記第2電極対は除細動電極であることを特徴とする、請求項1~3の少なくとも一項に記載の心臓ペーシング閾値の取得方法。
【請求項5】
前記第1応答情報にR波が存在する場合、前記取得方法は、
現在のペーシング出力で第1設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報をスキップした後、第2設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報を拍ごとに取得するステップと、
前記第2設定数以下である第3設定数を超える心室ペーシングの前記第1応答情報にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力が無効であると判定し、現在のペーシング出力を増加させて再度患者のペーシングを行い、現在のペーシング出力で第1設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報をスキップし続けた後、第2設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報を拍ごとに取得する前記ステップを再実行するステップと、
前記第2設定数以下である第4設定数を超える心室ペーシングの前記第1応答情報にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力が有効であると判定し、現在のペーシング出力を低減させ、低減したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、第1設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報をスキップした後、第2設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報を拍ごとに取得する前記ステップを再実行し、前記第3設定数以下の心室ペーシングの前記第1応答情報にR波が存在する場合、現在のペーシング出力が無効であると判定し、前回のペーシングが有効であると判定し、前回のペーシングのパルス電圧振幅及び/又はパルス幅を前記心臓ペーシング閾値として使用するステップと、
そうでない場合、前記心臓ペーシング閾値を取得するまで、前記第2設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報を拍ごとに取得し続け、R波の有無を分析するステップとを含むことを特徴とする、請求項3に記載の心臓ペーシング閾値の取得方法。
【請求項6】
異なる前記ペーシング試験段階がプリセットされている場合、前記取得方法は、
各前記ペーシング試験段階で得られた前記心臓ペーシング閾値を個別に取得するステップと、
複数の前記心臓ペーシング閾値に基づいて平均値演算又は加重平均値演算を実行して、新しい前記心臓ペーシング閾値を取得するステップとをさらに含むことを特徴とする、請求項1~5の少なくとも一項に記載の心臓ペーシング閾値の取得方法。
【請求項7】
前記初期ペーシング頻度及び前記初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行う前記ステップの前に、
現在の時間情報を取得し、前記現在の時間情報がプリセット期間内にあるか否かを判断し、そうである場合、前記ペーシング試験段階に入ることを決定し、及び/又は、
患者の身体状態情報を取得し、前記身体状態情報に基づいて患者がプリセット状態にあるか否かを判断し、そうである場合、前記ペーシング試験段階に入ることを決定するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1~6の少なくとも一項に記載の心臓ペーシング閾値の取得方法。
【請求項8】
ペーシング制御方法であって、
患者の心臓の第2実際の心拍数を取得するステップと、
前記第2実際の心拍数が、患者が生命を脅かす状態にあることを示すために使用されるプリセット低心拍数条件を満たすか否かを判断し、この条件を満たす場合、プリセットペーシング頻度及びプリセットペーシング出力を使用して患者の心臓をペーシングするステップと、
ペーシング動作中の前記プリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報を検出し、前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、そうでない場合、前記プリセットペーシング出力が無効であると判定し、前記プリセットペーシング出力を調整して、調整したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、又は、患者に対してペーシング誘発の心筋収縮調整を行い、又は、ペーシング動作中の前記プリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報を検出し、前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うと同時に、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行うステップとを含むことを特徴とする、ペーシング制御方法。
【請求項9】
前記プリセットペーシング出力を調整して、調整したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行う前記ステップは、
現在のペーシング出力を増加させ、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うステップと、
ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の前記第2応答情報を検出するステップと、
前記第2応答情報にR波が存在しない場合、前記第2応答情報にR波が存在するまで現在のペーシング出力を増加させる前記ステップを再実行し、前記第2応答情報にR波が存在する場合、増加した現在のペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、現在のペーシング出力を患者に対応する前記心臓ペーシング閾値として使用するステップとを含むことを特徴とする、請求項8に記載のペーシング制御方法。
【請求項10】
前記ペーシング制御方法は、
前記プリセットペーシング出力を増加させる回数が設定回数より多い場合、及び/又は、前記プリセットペーシング出力を調整する期間が設定期間を超える場合、医療機器の最大ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うステップをさらに含むことを特徴とする、請求項8又は9に記載のペーシング制御方法。
【請求項11】
前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、そうでない場合、前記プリセットペーシング出力が無効であると判定し、前記プリセットペーシング出力を調整して、調整したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行う前記ステップは、
現在のペーシング出力及び出力で、各ペーシング後の前記第2応答情報を拍ごとに取得し、各ペーシング後の前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、
存在しない場合、プリセットペーシング出力が無効であると判定し、現在のペーシング時間に現在のペーシング出力を増加させ、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、各ペーシング出力の前記第2応答情報にR波が存在するように有効なペーシング出力を取得するまで、引き続き各ペーシング出力の前記第2応答情報を拍ごとに取得する前記ステップを実行するステップを含み、又は、
ペーシング動作中の前記プリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報を検出し、前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うと同時に、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行う前記ステップは、
現在のペーシング出力及び出力で、各ペーシング後の前記第2応答情報を拍ごとに取得し、各ペーシング後の前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うと同時に、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行うステップを含むことを特徴とする、請求項8~10の少なくとも一項に記載のペーシング制御方法。
【請求項12】
前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、そうでない場合、前記プリセットペーシング出力が無効であると判定し、前記プリセットペーシング出力を調整して、調整したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行う前記ステップは、
現在のペーシング出力で、第1ペーシング後の前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、存在しない場合、各ペーシングの前記第2応答情報にR波が存在するように有効なペーシング出力を取得するまで、設定期間後に増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うステップを含み、又は、
ペーシング動作中の前記プリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報を検出し、前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うと同時に、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行う前記ステップは、
現在のペーシング出力で、第1ペーシング後の前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うと同時に、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行うステップを含むことを特徴とする、請求項8~11の少なくとも一項に記載のペーシング制御方法。
【請求項13】
心臓ペーシング閾値の取得装置であって、
初期ペーシング電圧振幅及び/又はパルス幅を含む、初期ペーシング出力をプリセットするためのペーシング出力プリセットモジュールと、
ペーシング試験段階において、患者の心臓の第1実際の心拍数を検出するための心拍数取得モジュールと、
前記第1実際の心拍数に従って、前記第1実際の心拍数より大きい初期ペーシング頻度を決定し、前記初期ペーシング頻度及び前記初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うためのペーシングモジュールと、
ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出するための応答情報検出モジュールと、
前記第1応答情報におけるR波の有無に従って、患者に対応する心臓ペーシング閾値を取得するために、現在のペーシング出力を調整するための第1判断モジュールとを含み、
患者の心拍数がペーシング条件を満たす場合、前記心臓ペーシング閾値に基づいて、医療機器が出力したプリセットペーシング出力を決定し、前記プリセットペーシング出力は心臓ペーシング閾値より大きいことを特徴とする、心臓ペーシング閾値の取得装置。
【請求項14】
ペーシング制御装置であって、
患者の心臓の第2実際の心拍数を取得するための心拍数取得モジュールと、
前記第2実際の心拍数が、患者が生命を脅かす状態にあることを示すために使用されるプリセット低心拍数条件を満たすか否かを判断し、この条件を満たす場合、プリセットペーシング頻度及びプリセットペーシング出力を使用して患者の心臓をペーシングするための第4判断モジュールと、
ペーシング動作中の前記プリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報を検出するための応答情報検出モジュールとを含み、第1判断モジュールは、前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続きペーシングモジュールを呼び出し、前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、そうでない場合、前記プリセットペーシング出力が無効であると判定し、前記プリセットペーシング出力を調整して、前記ペーシングモジュールを呼び出し、調整したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、又は、患者に対してペーシング誘発の心筋収縮調整を行うための調整モジュールを含み、又は、前記応答情報検出モジュールは、ペーシング動作中の前記プリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報を検出し、前記第1判断モジュールは、前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記ペーシングモジュールを呼び出し、前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、調整モジュールを呼び出し、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行うことを特徴とする、ペーシング制御装置。
【請求項15】
医療機器であって、請求項14に記載のペーシング制御装置を含むことを特徴とする、医療機器。
【請求項16】
前記医療機器は、装着型除細動器(WCD)、体外式除細動器、体外式一時的ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)、完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)、又は機械的循環補助装置(MCS)を含むことを特徴とする、請求項15に記載の医療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は出願日が2020年12月30日である中国特許出願2020116064530の優先権を主張する。本出願は上記の中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
本発明は、医療機器の技術分野に関し、特に、心臓ペーシング閾値の取得方法、ペーシング制御方法及び装置、医療機器に関する。
【背景技術】
【0003】
患者の心拍数をリアルタイムで監視し、心拍数が設定されたペーシング条件に達した場合に適時に心臓をペーシングして、心臓の拍動が遅くなったり、止まったり(停止)するのを防ぐことは、心臓医療機器(例えば、心臓ペースメーカー)の最も基本的な目的の1つである。
【0004】
既存のペーシング制御方法は、プリセット下限心拍数に基づいており、すなわち、患者の心拍数がプリセット下限心拍数に低下することが監視されるとすぐに、プリセット下限心拍数と同じペーシング出力を使用して患者に対してペーシングを行い、患者の心拍数が設定値を下回ることを防ぎ、患者の心拍数がプリセット下限心拍数を下回らないようにする。
【0005】
しかし、既存のペーシング装置に設定されているプリセット下限心拍数及びプリセットペーシング出力は、臨床現場の医師がまとめた固定値であり、すなわち、標準化されたペーシング頻度及び出力を有するペーシング装置を異なる患者に適用しているが、各患者の異なるニーズ(例えば、身体状態及び/又は時間の違い)に適合したペーシング頻度、特にペーシング出力を使用することができないため、患者の体験が悪くなるか(頻度がニーズに適合しないか又は出力が低すぎるため、ペーシングの役割を果たすことができない)又は耐用年数が短くなり(例えば、出力が高すぎる)、患者のより高い使用ニーズを満たすことができない。
【0006】
また、既存のペーシング制御方法は、一般的ではない心内膜/心外膜ペーシング、すなわち非心筋直接刺激ペーシングに適用されており、例えば、経皮ペーシング(電気刺激)の場合、患者に痛みや耐えられない痛みなどの不快感を与えやすいことがあり、また、既存のペーシング制御方法では、患者の心拍数がプリセット下限心拍数に低下するとすぐにペーシングを開始するため、ペーシング動作が頻繁になり、その結果、ペーシング動作によって患者が痛みを感じることが多くなり、ユーザ体験が悪く、患者の医療機器の使用又はコンプライアンスを低下させる。そのため、心臓/心筋に直接接触しない一部の医療機器は、ペーシング治療を提供しない。
【発明の概要】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的問題は、先行技術では、異なる患者に適合したペーシング出力を使用して標的ペーシングを行わず、ペーシングが頻繁に行われるため、患者が痛みを感じることが多くなり、ユーザ体験が悪くなるという欠点を克服し、人間のニーズが変化した場合にペーシング閾値を把握し、ペーシング出力がペーシング効果を達成できるように、心臓ペーシング閾値の取得方法、ペーシング制御方法及び装置、医療機器を提供することである。
【0008】
本発明は、下記の技術的解決手段を通じて上記の技術的問題を解決する。
【0009】
本発明は、心臓ペーシング閾値の取得方法を提供し、前記取得方法は、
初期ペーシング電圧振幅及び/又はパルス幅を含む、初期ペーシング出力をプリセットするステップと、
ペーシング試験段階において、患者の心臓の第1実際の心拍数を検出するステップと、
前記第1実際の心拍数に従って、前記第1実際の心拍数より大きい初期ペーシング頻度を決定し、前記初期ペーシング頻度及び前記初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うステップと、
ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出するステップと、
前記第1応答情報におけるR波の有無に従って、患者に対応する心臓ペーシング閾値を取得するために、現在のペーシング出力を調整するステップとを含み、
ここで、患者の心拍数がペーシング条件を満たす場合、前記心臓ペーシング閾値に基づいて、医療機器が出力したプリセットペーシング出力を決定し、前記プリセットペーシング出力は心臓ペーシング閾値より大きい。
【0010】
各患者のリアルタイムの心拍数に基づいて初期ペーシング頻度を決定することにより、心臓ペーシング閾値を決定する合理性及び妥当性を確保すると同時に、心臓ペーシング閾値を決定する効率を向上させる。
【0011】
一般に、ペーシング心拍数(頻度)=自身の心拍数+xbpm、xは5~15bpmであり、一般的には10bpmである。すなわち、ペーシング動作及び試験結果の妥当性及び精度を確保するために、患者自身の心拍数よりわずかに高いペーシング心拍数を使用してペーシング試験を行う。
【0012】
ペーシング試験段階で前記初期ペーシング頻度及び前記初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うことにより、患者の心室の対応する応答情報(心電図で表される情報など)における対応するR波の有無を同期的に検出し、R波の有無の監視に基づいて、異なる患者の異なる身体状態に従って各患者に適合したペーシング出力を使用してペーシングを行い、適応ペーシングエネルギー出力のカスタマイズを実現し、異なる患者に対する合理的かつ効果的なペーシングを保証し、ペーシング効果及び患者の体験を効果的に向上させると同時に、ペーシングに必要なエネルギーを削減し、装置のバッテリーのサービス時間及び耐用年数を延ばすことができる。
【0013】
好ましくは、前記第1応答情報におけるR波の有無に従って、患者に対応する心臓ペーシング閾値を取得するために、現在のペーシング出力を調整するステップは、
前記第1応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、現在のペーシング出力を低減させ、低減したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うステップと、
ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の前記第1応答情報を検出するステップと、
前記第1応答情報にR波が存在する場合、現在のペーシング出力を低減させる前記ステップを再実行し、前記第1応答情報にR波が存在しない場合、前回のペーシング出力を患者に対応する前記心臓ペーシング閾値として使用するステップとを含む。
【0014】
好ましくは、前記第1応答情報におけるR波の有無に従って、患者に対応する心臓ペーシング閾値を取得するために、現在のペーシング出力を調整するステップは、
前記第1応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在しない場合、現在のペーシング出力を増加させ、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うステップと、
ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の前記第1応答情報を検出するステップと、
前記第1応答情報にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力を増加させる前記ステップを再実行し、前記第1応答情報にR波が存在する場合、現在のペーシング出力を患者に対応する前記心臓ペーシング閾値として使用するステップとを含む。
【0015】
好ましくは、前記初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行う前記ステップは、
患者のペーシングを行うために、前記医療機器に設定された第1電極対を使用して、前記初期ペーシング出力を送信するステップを含み、
ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出する前記ステップは、
前記医療機器に設定された第2電極対を使用して、現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を感知するステップを含み、
ここで、前記第1電極対が除細動電極である場合、前記第2電極対は感知電極であり、又は、前記第1電極対が感知電極、ペーシング電極又は除細動電極である場合、前記第2電極対は除細動電極である。
【0016】
具体的には、装着型除細動器(WCD)、体外式除細動器(AEDなど)、完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)など、心臓/心筋に直接接触しない電極を使用する一部の医療機器/装置では、第1電極対(ペーシング用)は、当該装置内の患者の心臓に除細動エネルギーを供給するために使用される電極対(相対面積が大きい)であり、第2電極対は、当該装置内の患者の心臓の電気活動を感知するために使用される感知電極対(相対面積が小さい)である。又は、第2電極対は、当該装置内の患者の心臓に除細動エネルギーを供給するために使用される電極対(相対面積が大きい)であり得る。
【0017】
心筋に直接接触し、心臓血管内又は心室内に位置する電極を使用する他の一部の医療機器/装置(植込み型除細動器(ICD)など)では、第1電極対は、当該機器/装置内の患者の心臓にペーシングエネルギーを供給するために使用される電極対であり、第2電極対は、当該機器/装置内の患者の心臓に除細動エネルギーを供給するために使用される電極対(相対面積が大きい)、又はペーシングエネルギーを感知及び/又は供給するために使用される電極対である。
【0018】
好ましくは、前記第1応答情報にR波が存在する場合、前記取得方法は、
現在のペーシング出力で第1設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報をスキップした後、第2設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報を拍ごとに取得するステップと、
前記第2設定数以下である第3設定数を超える心室ペーシングの前記第1応答情報にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力が無効であると判定し、現在のペーシング出力を増加させて再度患者のペーシングを行い、現在のペーシング出力で第1設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報をスキップし続けた後、第2設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報を拍ごとに取得する前記ステップを再実行するステップと、
前記第2設定数以下である第4設定数を超える心室ペーシングの前記第1応答情報にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力が有効であると判定し、現在のペーシング出力を低減させ、低減したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、第1設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報をスキップした後、第2設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報を拍ごとに取得する前記ステップを再実行し、前記第3設定数以下の心室ペーシングの前記第1応答情報にR波が存在する場合、現在のペーシング出力が無効であると判定し、前回のペーシングが有効であると判定し、前回のペーシングのパルス電圧振幅及び/又はパルス幅を前記心臓ペーシング閾値として使用するステップと、
そうでない場合、前記心臓ペーシング閾値を取得するまで、前記第2設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報を拍ごとに取得し続け、R波の有無を分析するステップとを含む。
【0019】
好ましくは、異なる前記ペーシング試験段階がプリセットされている場合、前記取得方法は、
各前記ペーシング試験段階で得られた前記心臓ペーシング閾値を個別に取得するステップと、
複数の前記心臓ペーシング閾値に基づいて平均値演算又は加重平均値演算を実行して、新しい前記心臓ペーシング閾値を取得するステップとをさらに含む。
【0020】
好ましくは、前記初期ペーシング頻度及び前記初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行う前記ステップの前に、
現在の時間情報を取得し、前記現在の時間情報がプリセット期間内にあるか否かを判断し、そうである場合、前記ペーシング試験段階に入ることを決定し、及び/又は、
患者の身体状態情報を取得し、前記身体状態情報に基づいて患者がプリセット状態(一般的な睡眠状態、又は深い睡眠などの特定の睡眠状態を含む)にあるか否かを判断し、そうである場合、前記ペーシング試験段階に入ることを決定するステップをさらに含む。
【0021】
本発明はまた、ペーシング制御方法を提供し、前記ペーシング制御方法は、
患者の心臓の第2実際の心拍数を取得するステップと、
前記第2実際の心拍数が、患者が生命を脅かす状態にあることを示すために使用されるプリセット低心拍数条件を満たすか否かを判断し、この条件を満たす場合、プリセットペーシング頻度及びプリセットペーシング出力を使用して患者の心臓をペーシングするステップと、
ペーシング動作中の前記プリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報を検出し、前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、そうでない場合、前記プリセットペーシング出力が無効であると判定し、前記プリセットペーシング出力を調整して、調整したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、又は、患者に対してペーシング誘発の心筋収縮調整を行い、又は、ペーシング動作中の前記プリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報を検出し、前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うと同時に、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行うステップとを含む。
【0022】
本発明のペーシング制御方法に関わる心臓ペーシング閾値は、先行技術における既存の取得方法に基づいて決定することができ、本発明における上記の心臓ペーシング閾値の取得方法を使用して取得することもでき、実際のシナリオに応じて選択又は調整することができる。
【0023】
ペーシング中の患者の心室の応答情報にR波が存在するか否かを適時に監視して、ペーシング出力の有効性を判定し、無効であると判定した場合、ペーシング出力によって応答情報にR波の存在を可能にするまでペーシング出力を適時に増加させることにより、血液循環を回復できるように可能な限り迅速に患者の心臓を効果的にペーシングする。
【0024】
患者が危篤状態にある場合にペーシングを行い、CCM(心臓収縮調整)刺激を加えて患者の心拍及び血液循環をより適切にサポートし、患者の心臓を正常に戻すようにすることもできる。
【0025】
さらに、患者が危篤状態にある場合、プリセットペーシング頻度及びプリセットペーシング出力を使用して患者の心臓をペーシングし、ペーシング後、ペーシング中の患者の心室の応答情報にR波が存在することを監視すると患者に対してR波誘発のCCM調整を行い、すなわち、ペーシング出力、R波検出及びCCM心臓収縮調整を組み合わせることにより、患者の治療効果を大幅に向上させ、患者の心拍を適時かつ効果的に正常に戻すことを確保することもできる。ペーシング中に患者自身の心拍が時々聞こえる場合、R波を感知してCCM調整を誘発する。
【0026】
好ましくは、前記プリセットペーシング出力を調整して、調整したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行う前記ステップは、
現在のペーシング出力を増加させ、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うステップと、
ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の前記第2応答情報を検出するステップと、
前記第2応答情報にR波が存在しない場合、前記第2応答情報にR波が存在するまで現在のペーシング出力を増加させる前記ステップを再実行し、前記第2応答情報にR波が存在する場合、増加した現在のペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、現在のペーシング出力を患者に対応する前記心臓ペーシング閾値として使用するステップとを含む。
【0027】
好ましくは、前記ペーシング制御方法はまた、
前記プリセットペーシング出力を増加させる回数が設定回数より多い場合、及び/又は、前記プリセットペーシング出力を調整する期間が設定期間を超える場合、医療機器の最大ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うステップを含む。
【0028】
好ましくは、前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、そうでない場合、前記プリセットペーシング出力が無効であると判定し、前記プリセットペーシング出力を調整して、調整したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行う前記ステップは、
現在のペーシング出力及び出力で、各ペーシング後の前記第2応答情報を拍ごとに取得し、各ペーシング後の前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、
存在しない場合、プリセットペーシング出力が無効であると判定し、現在のペーシング時間に現在のペーシング出力を増加させ、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、各ペーシング出力の前記第2応答情報にR波が存在するように有効なペーシング出力を取得するまで、引き続き各ペーシング出力の前記第2応答情報を拍ごとに取得する前記ステップを実行するステップを含み、又は、
ペーシング動作中の前記プリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報を検出し、前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うと同時に、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行う前記ステップは、
現在のペーシング出力及び出力で、各ペーシング後の前記第2応答情報を拍ごとに取得し、各ペーシング後の前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うと同時に、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行うステップを含む。
【0029】
好ましくは、前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、そうでない場合、前記プリセットペーシング出力が無効であると判定し、前記プリセットペーシング出力を調整して、調整したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行う前記ステップは、
現在のペーシング出力で、第1ペーシング後の前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、存在しない場合、各ペーシングの前記第2応答情報にR波が存在するように有効なペーシング出力を取得するまで、設定期間後に増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うステップを含み、又は、
ペーシング動作中の前記プリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報を検出し、前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うと同時に、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行う前記ステップは、
現在のペーシング出力で、第1ペーシング後の前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うと同時に、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行うステップを含む。
【0030】
本発明はまた、心臓ペーシング閾値の取得装置を提供し、前記取得装置は、
初期ペーシング電圧振幅及び/又はパルス幅を含む、初期ペーシング出力をプリセットするためのペーシング出力プリセットモジュールと、
ペーシング試験段階において、患者の心臓の第1実際の心拍数を検出するための心拍数取得モジュールと、
前記第1実際の心拍数に従って、前記第1実際の心拍数より大きい初期ペーシング頻度を決定し、前記初期ペーシング頻度及び前記初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うためのペーシングモジュールと、
ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出するための応答情報検出モジュールと、
前記第1応答情報におけるR波の有無に従って、患者に対応する心臓ペーシング閾値を取得するために、現在のペーシング出力を調整するための第1判断モジュールとを含み、
ここで、患者の心拍数がペーシング条件を満たす場合、前記心臓ペーシング閾値に基づいて、医療機器が出力したプリセットペーシング出力を決定し、前記プリセットペーシング出力は心臓ペーシング閾値より大きい。
【0031】
好ましくは、前記第1判断モジュールは、前記第1応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、現在のペーシング出力を低減させ、前記ペーシングモジュールを呼び出し、低減したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され、
前記応答情報検出モジュールは、ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の前記第1応答情報を検出するために使用され、
前記第1判断モジュールは、前記第1応答情報にR波が存在する場合に、現在のペーシング出力を再び低減させ、前記ペーシングモジュールを呼び出し、低減したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され、
前記第1判断モジュールはまた、前記第1応答情報にR波が存在しない場合に、前回のペーシング出力を患者に対応する前記心臓ペーシング閾値として使用するために使用される。
【0032】
好ましくは、前記第1判断モジュールは、前記第1応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在しない場合、現在のペーシング出力を増加させ、前記ペーシングモジュールを呼び出し、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され、
前記応答情報検出モジュールは、ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の前記第1応答情報を検出するために使用され、
前記第1判断モジュールはまた、前記第1応答情報にR波が存在しない場合に、現在のペーシング出力を再び増加させ、前記ペーシングモジュールを呼び出し、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され、
前記第1判断モジュールはまた、前記第1応答情報にR波が存在する場合に、現在のペーシング出力を患者に対応する前記心臓ペーシング閾値として使用するために使用される。
【0033】
好ましくは、前記ペーシングモジュールは、患者のペーシングを行うために、前記医療機器に設定された第1電極対を使用して、前記初期ペーシング出力を送信するために使用され、
前記応答情報検出モジュールは、前記医療機器に設定された第2電極対を使用して、現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を感知するために使用され、
ここで、前記第1電極対が除細動電極である場合、前記第2電極対は感知電極であり、又は、前記第1電極対が感知電極、ペーシング電極又は除細動電極である場合、前記第2電極対は除細動電極である。
【0034】
好ましくは、前記ペーシングモジュールは、現在のペーシング出力で第1設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報をスキップした後、第2設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報を拍ごとに取得するために使用され、
前記第2設定数以下である第3設定数を超える心室ペーシングの前記第1応答情報にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力が無効であると判定し、現在のペーシング出力を増加させて再度患者のペーシングを行い、現在のペーシング出力で第1設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報をスキップし続けた後、第2設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報を拍ごとに取得する前記ステップを再実行するステップと、
前記第2設定数以下である第4設定数を超える心室ペーシングの前記第1応答情報にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力が有効であると判定し、現在のペーシング出力を低減させ、低減したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、第1設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報をスキップした後、第2設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報を拍ごとに取得する前記ステップを再実行し、前記第3設定数以下の心室ペーシングの前記第1応答情報にR波が存在する場合、現在のペーシング出力が無効であると判定し、前回のペーシングが有効であると判定し、前回のペーシングのパルス電圧振幅及び/又はパルス幅を前記心臓ペーシング閾値として使用し、
そうでない場合、前記心臓ペーシング閾値を取得するまで、前記第2設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報を拍ごとに取得し続け、R波の有無を分析するステップとを含む。
【0035】
好ましくは、異なる前記ペーシング試験段階がプリセットされている場合、前記取得装置は、
各前記ペーシング試験段階で得られた前記心臓ペーシング閾値を個別に取得するための閾値取得モジュールと、
複数の前記心臓ペーシング閾値に基づいて平均値演算又は加重平均値演算を実行して、新しい前記心臓ペーシング閾値を取得するための閾値計算モジュールとをさらに含む。
【0036】
好ましくは、前記取得装置は、
現在の時間情報を取得するための時間情報取得モジュールと、
前記現在の時間情報がプリセット期間内にあるか否かを判断し、そうである場合、前記ペーシング試験段階に入ることを決定するための第2判断モジュールとをさらに含み、及び/又は、
前記取得装置は、
患者の身体状態情報を取得するための状態情報取得モジュールと、
前記身体状態情報に基づいて患者がプリセット状態にあるか否かを判断し、そうである場合、前記ペーシング試験段階に入ることを決定するための第3判断モジュールとをさらに含む。
【0037】
本発明はまた、ペーシング制御装置を提供し、前記ペーシング制御装置は、
患者の心臓の第2実際の心拍数を取得するための心拍数取得モジュールと、
前記第2実際の心拍数が、患者が生命を脅かす状態にあることを示すために使用されるプリセット低心拍数条件を満たすか否かを判断し、この条件を満たす場合、プリセットペーシング頻度及びプリセットペーシング出力を使用して患者の心臓をペーシングするための第4判断モジュールと、
ペーシング動作中の前記プリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報を検出するための応答情報検出モジュールとを含み、前記第1判断モジュールは、前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記ペーシングモジュールを呼び出し、前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、そうでない場合、前記プリセットペーシング出力が無効であると判定し、前記プリセットペーシング出力を調整して、前記ペーシングモジュールを呼び出し、調整したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、又は、患者に対してペーシング誘発の心筋収縮調整を行うための調整モジュールを含み、又は、前記応答情報検出モジュールは、ペーシング動作中の前記プリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報を検出し、前記第1判断モジュールは、前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記ペーシングモジュールを呼び出し、前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、調整モジュールを呼び出し、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行う。
【0038】
本発明のペーシング制御装置における心臓ペーシング閾値は、先行技術における既存の取得方法に基づいて決定することができ、本発明における上記の心臓ペーシング閾値の取得装置に対応する取得方法を使用して取得することもでき、実際のシナリオに応じて選択又は調整することができる。
【0039】
好ましくは、前記第1判断モジュールは、現在のペーシング出力を増加させ、前記ペーシングモジュールを呼び出し、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され、
前記応答情報検出モジュールは、ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出するために使用され、
前記第1判断モジュールはまた、前記第2応答情報にR波が存在しない場合に、現在のペーシング出力を再び増加させ、前記ペーシングモジュールを呼び出し、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され、
前記第1判断モジュールはまた、前記第2応答情報にR波が存在する場合に、前記ペーシングモジュールを呼び出し、増加した現在のペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、現在のペーシング出力を患者に対応する前記心臓ペーシング閾値として使用するために使用される。
【0040】
好ましくは、前記ペーシングモジュールはまた、前記プリセットペーシング出力を増加させる回数が設定回数より多い場合、及び/又は、前記プリセットペーシング出力を調整する期間が設定期間を超える場合、医療機器の最大ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用される。
【0041】
好ましくは、現在のペーシング出力で、前記応答情報検出モジュールは、各心室ペーシングの前記第2応答情報を拍ごとに取得するために使用され、
前記第1判断モジュールは、各心室ペーシングの前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断するために使用され、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記ペーシングモジュールを呼び出し、前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、
存在しない場合、前記プリセットペーシング出力が無効であると判定し、前記ペーシングモジュールを呼び出し、現在の心拍時間に現在のペーシング出力を増加させ、現在のペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、各心室ペーシングの前記第2応答情報にR波が存在するように有効なペーシング出力を取得するまで、前記応答情報検出モジュールを呼び出し、又は、
現在のペーシング出力で、前記応答情報検出モジュールは、各ペーシング後の前記第2応答情報を拍ごとに取得するために使用され、
前記第1判断モジュールは、各心室ペーシングの前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断するために使用され、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記ペーシングモジュールを呼び出し、前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、前記調整モジュールを呼び出し、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行う。
【0042】
好ましくは、現在のペーシング出力で、前記第1判断モジュールは、第1心室ペーシングの前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断するために使用され、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記ペーシングモジュールを呼び出し、前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、存在しない場合、各心室ペーシングの前記第2応答情報にR波が存在するように有効なペーシング出力を取得するまで、前記ペーシングモジュールを呼び出し、設定期間後に増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、又は、
現在のペーシング出力で、前記第1判断モジュールは、第1心室ペーシングの前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断するために使用され、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記ペーシングモジュールを呼び出し、前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、前記調整モジュールを呼び出し、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行う。
【0043】
本発明はまた、上記のペーシング制御装置を含む医療機器を提供する。
【0044】
好ましくは、前記医療機器は、装着型除細動器(WCD)、体外式除細動器(AEDなど)、体外式一時的ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)、完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)、又は機械的循環補助装置(MCS)を含む。
【0045】
本発明の正の進歩的な効果は、以下の通りである。
【0046】
(1)異なるペーシング試験段階(例えば、患者が深い睡眠状態にある)で初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うことにより、患者の心室に対応する応答情報にR波の有無を同期的に検出し、R波の存在をちょうど誘発することができるペーシング出力を取得するまで、R波が存在しない場合にペーシング出力を継続的に増加させるか、又はR波が存在する場合にペーシング出力を継続的に減少させ、R波の有無の監視に基づいて、異なる患者の異なる身体状態に従って各患者に適合したペーシング出力を使用してペーシングを行い、適応ペーシングエネルギー出力のカスタマイズを実現し、異なる患者に対する合理的かつ効果的なペーシングを保証し、患者の体験を効果的に向上させると同時に、ペーシングに必要なエネルギーを削減し、装置のバッテリーのサービス時間及び耐用年数を延ばすことができる。さらに、患者が危篤状態(すなわち、患者が重度の徐脈又は心停止状態)にある場合、プリセットペーシング頻度及びプリセットペーシング出力を使用して患者の心臓をペーシングする場合にペーシング誘発のCCMを行い、又はペーシング中の患者の心室の応答情報にR波が存在することを監視する場合に患者に対してR波誘発のCCM調整を行い、患者の治療効果を大幅に向上させ、患者の心拍を正常に戻す適時性及び有効性を向上させる。
【0047】
(2)時間の経過とともに定期的又は不定期にペーシング試験を実行して、心臓ペーシング閾値を動的に更新し、すなわち、患者の身体の変化を適時に追跡して、患者の最新の身体状態に適合したペーシング出力を取得することを実現し、患者に対する合理的かつ効果的なペーシングをさらに保証し、患者の体験をさらに向上させると同時に、ペーシングに必要なエネルギーを削減し、装置のバッテリーのサービス時間及び耐用年数を延ばすことができる。
【0048】
(3)従来の意味での徐脈患者を対象としているのではなく、基礎心疾患や急性心疾患による重度の徐脈や心停止まで生命を脅かす状態にある患者をペーシングサポートを必要とする対象としており、ペーシングが必要な場合にのみ、設定されたペーシング出力を使用してペーシングを行い、患者の生命を支えるための適時かつ効果的なペーシングを実現し、患者自身の心拍数が一定レベルまで回復するとペーシングを終了させ、患者の日常的な使用において、不必要なペーシングを大幅に回避し、ペーシング刺激による痛みを軽減し、ユーザの医療機器に対する受容度、コンプライアンス及び体験を向上させることができる。これは、現在ペーシング機能を持たない体外式応急救命装置又は機器(WCD、体外式除細動器、一時的ペースメーカーなど)及び皮下装置(SICDなど)にとって重要な意味がある。心臓突然死のかなりの割合が重度の徐脈や心停止から発生しており、体外式除細動(VT/VFの場合)と同様に、適時にペーシング(経皮又は皮下)を行うことにより、適時に患者を救命することができる。同時に、患者は発作中に失神しているため、心拍の回復が主な争点となり、このようなペーシングは患者にとって痛みがあっても、この時点では痛みを感じられず、主な争点にはならない。
【0049】
(4)設定されたペーシング頻度及び出力を使用して患者(特に心停止又は重度の徐脈により生命を脅かす患者)のペーシングを行う場合、患者の心室の応答情報にR波が存在するか否かを複数拍又は拍ごとに適時に検出して、心臓ペーシング出力の有効性を判定し、無効であると判定した場合、ペーシング出力によって応答情報にR波の存在を可能にするまでペーシング出力を適時に増加させることにより、生命を維持する血液循環を提供するために可能な限り迅速に患者の心臓を効果的にペーシングし、ペーシング出力を調整する回数又は期間が一定の範囲を超える場合、患者の心臓を可能な限り迅速かつ効率的にペーシングするために最大ペーシング出力を使用し、さらに、ペーシングを成功させることができる新しいペーシング出力が取得されると、そのペーシング出力(パルス電圧振幅及び/又はパルス幅)を将来のペーシングのために保存し、インテリジェントペーシングを実現する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明の実施例1の心臓ペーシング閾値の取得方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施例2の心臓ペーシング閾値の取得方法の第1フローチャートである。
図3】本発明の実施例2の心臓ペーシング閾値の取得方法の第2フローチャートである。
図4】本発明の実施例2の心臓ペーシング閾値の取得方法の第3フローチャートである。
図5】本発明の実施例2の心臓ペーシング閾値の取得方法の第4フローチャートである。
図6】本発明の実施例3のペーシング制御方法のフローチャートである。
図7】本発明の実施例4の心臓ペーシング閾値の取得システムのモジュールの模式図である。
図8】本発明の実施例5の心臓ペーシング閾値の取得システムのモジュールの模式図である。
図9】本発明の実施例6のペーシング制御装置のモジュールの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、実施例の形態によってさらに本発明を説明するが、これによって本発明を実施例の範囲内に限定するわけではない。
【0052】
<実施例1>
図1に示すように、本実施例の心臓ペーシング閾値の取得方法は、以下のステップを含む。
【0053】
S101では、初期ペーシング電圧振幅及び/又はパルス幅を含む、初期ペーシング出力をプリセットし、
S102では、ペーシング試験段階において、患者の心臓の第1実際の心拍数を検出し、
S103では、第1実際の心拍数に従って、第1実際の心拍数より大きい初期ペーシング頻度を決定し、初期ペーシング頻度及び初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、
各患者のリアルタイムの心拍数に基づいて初期ペーシング頻度を決定することにより、心臓ペーシング閾値を決定する合理性及び妥当性を確保すると同時に、心臓ペーシング閾値を決定する効率を向上させる。
【0054】
一般に、ペーシング心拍数(頻度)=自身の心拍数+xbpm、xは5~15bpmであり、一般的には10bpmである。すなわち、ペーシング動作及び試験結果の妥当性及び精度を確保するために、患者自身の心拍数よりわずかに高いペーシング心拍数を使用してペーシング試験を行う。
【0055】
ここで、ペーシング試験段階は、患者が深い睡眠状態にある期間(午前2時又は3時など)であってもよく、ペーシング装置は、心臓ペーシング閾値を取得するためにペーシング試験を自動的に誘発する。もちろん、異なる患者のタイムテーブル、使用習慣などの要因に応じてペーシング試験段階をリセットして調整することができる。
【0056】
S104では、ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出し、
ここで、心室の応答は、体表、皮下、心内膜及び心外膜心電図によって反映され得るが、これらに限定されない。
【0057】
S105では、前記第1応答情報におけるR波の有無に従って、患者に対応する心臓ペーシング閾値を取得するために、現在のペーシング出力を調整し、
ここで、患者の心拍数がペーシング条件を満たす場合、心臓ペーシング閾値に基づいて、医療機器/装置が出力したプリセットペーシング出力を決定し、プリセットペーシング出力(パルス電圧振幅及び/又はパルス幅)は心臓ペーシング閾値より大きい。現在、心臓ペーシング閾値がない場合、工場出荷時に医療機器によってプリセットされたペーシング出力、又は医師が手動でプリセットするペーシング出力を使用する。
【0058】
すなわち、心臓ペーシング閾値は、異なる患者の異なる身体状態に応じて決定される値であり、心臓ペーシング閾値を取得することにより、各患者に適合したペーシング出力を使用してペーシングを行い、適応ペーシング出力のカスタマイズを実現し、ペーシング出力設定の合理性及び有効性を確保する。
【0059】
さらに、患者に対する医師のアドバイス、又は患者の使用習慣、適応性などに基づいて、時間の経過とともに定期的又は不定期に自動ペーシング試験を実行して、心臓ペーシング閾値を動的に更新し、すなわち、患者の身体と状態の変化を適時に追跡して、患者の最新の状態に適合したペーシング出力を取得することを実現し、患者に対する合理的かつ効果的なペーシングをさらに保証し、患者の体験をさらに向上させると同時に、ペーシングに必要なエネルギーを削減し、装置のバッテリーのサービス時間及び耐用年数を延ばすことができる。
【0060】
本実施例では、ペーシング試験段階で初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うことにより、患者の心室の対応する応答情報におけるR波の有無を同期的に検出し、R波の有無の監視に基づいて、異なる患者の異なる身体状態に従って各患者に適合したペーシング出力を使用してペーシングを行い、適応ペーシング出力のカスタマイズを実現し、異なる患者に対する合理的かつ効果的なペーシングを保証し、患者の体験を効果的に向上させる。
【0061】
<実施例2>
本実施例の心臓ペーシング閾値の取得方法は、実施例1をさらに改良したものであり、具体的には、
図2に示すように、ステップS101は、以下のステップを含む。
【0062】
S10101では、現在の時間情報を取得し、
S10102では、現在の時間情報がプリセット期間内にあるか否かを判断し、そうである場合、ペーシング試験段階に入ることを決定する。
【0063】
すなわち、特定の時間(毎日特定の期間など)をペーシング試験時間として設定し、この設定時間に達すると、ペーシング装置は自動的にペーシング試験段階に入り、現在の患者に対応する心臓ペーシング閾値を自動的に取得する。
【0064】
又は、図3に示すように、ステップS101の前に、以下のステップを含む。
【0065】
S10103では、患者の身体状態情報を取得し、
S10104では、身体状態情報に基づいて患者がプリセット状態(一般的な睡眠状態、又は深い睡眠などの特定の睡眠状態を含む)にあるか否かを判断し、そうである場合、ペーシング試験段階に入ることを決定する。
【0066】
すなわち、患者が午前2時又は3時の深い睡眠状態などの睡眠状態にある場合、ペーシング装置は自動的にペーシング試験段階に入り、患者の日中の通常生活や夜間の睡眠に影響を与えることなく、現在の患者に対応する心臓ペーシング閾値を自動的に取得し、患者が不快感を感じることを回避し、患者が快適に使用することを確保する。
【0067】
もちろん、心臓ペーシング閾値を適時かつ効果的に取得するのであれば、他の設定条件に従ってペーシング試験段階に入るようにペーシング装置を自動的に誘発することもできるため、ここでは繰り返さない。
【0068】
異なるペーシング試験段階がプリセットされている場合、ステップS105の後に、以下のステップも含む。
【0069】
S106では、各ペーシング試験段階で得られた心臓ペーシング閾値を個別に取得し、
S107では、複数の心臓ペーシング閾値に基づいて新しい心臓ペーシング閾値を取得する。
【0070】
具体的には、複数の心臓ペーシング閾値に基づいて平均値演算又は加重平均値演算などを実行して、新しい心臓ペーシング閾値を取得する。
【0071】
複数のペーシング試験段階を設定し、同じ患者に対して同じ期間及び/又は異なる期間に対応する異なる心臓ペーシング閾値を取得し、次に複数の心臓ペーシング閾値を包括的に計算して最終的な心臓ペーシング閾値を取得することにより、すなわち複数のデータセットを組み合わせることにより、心臓ペーシング閾値の精度をさらに保証する。
【0072】
本実施例では、患者のペーシングを行うために、医療機器に設定された除細動電極を含むがこれに限定されない除細動電極を使用して、ペーシングエネルギーを送信し、具体的には、
患者のペーシングを行うために、前記医療機器に設定された第1電極対を使用して、前記初期ペーシング出力を送信し、
ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出する前記ステップは、
前記医療機器に設定された第2電極対を使用して、現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を感知するステップを含み、
ここで、前記第1電極対が除細動電極である場合、前記第2電極対は感知電極であり、又は、前記第1電極対が感知電極、ペーシング電極又は除細動電極である場合、前記第2電極対は除細動電極である。
【0073】
具体的には、装着型除細動器(WCD)、体外式除細動器(AEDなど)、体外式一時的ペースメーカー、完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)など、心臓/心筋に直接接触しない電極を使用する一部の医療機器/装置では、第1電極対(ペーシング用)は、元々患者の心臓に除細動エネルギーを供給するために使用される電極対(相対面積が大きい)であり、第2電極対は、当該装置内の患者の心臓の電気活動を感知するために使用される感知電極対(相対面積が小さい)である。又は、第2電極対は、当該装置内の患者の心臓に除細動エネルギーを供給するために使用される電極対(相対面積が大きい)であり得る。
【0074】
心筋に直接接触し、心臓血管内又は心室内に位置する電極を使用する他の一部の医療機器/装置(植込み型除細動器(ICD)など)では、第1電極対は、元々患者の心臓にペーシングエネルギーを供給するために使用される電極対であり、第2電極対は、元々当該装置内の患者の心臓に除細動エネルギーを供給するために使用される電極対(相対面積が大きい)、又はペーシングエネルギーを感知及び/又は供給するために使用される電極対である。
【0075】
具体的には、本実施例の医療機器/装置では、心臓活動を感知する(R波を感知する)ための感知電極対と、ペーシングを行うための除細動電極対とを設定する必要がなる。例えば、WCDやAEDの場合、心臓活動を感知するための電極対と、ペーシングを行うための電極対とを別々に設定することにより、ペーシングエネルギーを患者の皮膚に配置された体外式除細動電極(第1電極対)によって出力し、胸壁などの組織を介して心臓(心筋)へ間接的に送達する。ペーシングエネルギーは、好ましくは、2つの大表面積の除細動電極、例えば、一方が前胸部の左側(心尖部領域付近)に、もう一方が胸部の裏側(左側)に、好ましくは前胸部の電極の水平面又はそれより少し高い位置に配置される電極を介して送達され、ここで、電極対の配置関係及び共同作業の原理は、当該技術分野で十分に確立されているため、ここでは繰り返さない。心臓活動の電気信号は、患者の皮膚に配置された体表心電図(ECG)電極などの、別の第2電極対(感知電極対)によって感知される。感知した心臓の電気活動は、ペーシングが必要か否か、いつ必要かを判断するためのアルゴリズムで使用される。除細動電極を使用してペーシングを行う場合、感知電極対は、心電図のR波を感知して、ペーシングが有効であるか否かを判断する。
【0076】
好ましい実施形態では、心電図感知回路に対するペーシングエネルギーの影響を最小限にするために、2つのECG(心電図)電極(すなわち、感知電極)は、好ましくは近接して(例えば、1~2cmの範囲内に)配置され、2つの感知電極は、洞調律の感知電極によって測定されるR波が可能な限り大きく、少なくとも特定の値、例えば0.5mVを超えるように、2つの大表面積の除細動電極の一方の端と平行である。さらに、ペーシングパルスを送信する大表面積の除細動電極を使用しR波を感知することもでき、この場合、ペーシングエネルギーの感知回路への影響を最小限にして、リアルタイムでR波を効果的に検出することを保証するために高エネルギー保護回路が必要であり、高エネルギー保護回路を使用してペーシングエネルギーを最小限にすることは、当該技術分野で十分に確立されているため、ここでは繰り返さない。
【0077】
SICDなどの皮下植込み型装置の場合、ペーシングエネルギーは、心臓及び胸腔(胸腔及び関連する筋肉などの組織)の外側に配置された皮下電極によって、胸腔及び関連組織を介して心臓(心筋)に送達される。SICDは、患者の皮下(心臓及び胸腔の外側)に配置された電極によって心臓の電気活動を感知し、感知した心電図のR波は、ペーシングが必要か否か、いつ必要かを判断するためのアルゴリズムで使用される。除細動電極を使用してペーシングを行う場合、感知電極対は、心電図のR波を感知して、ペーシングが有効であるか否かを判断する。
【0078】
ICDなどの経静脈植込み型装置の場合、心電図感知及びペーシングエネルギーは通常、心臓に配置された電極(一般的には右心室心内膜電極又は左心室心外膜電極)を介して、必要なときに心臓(心筋)に直接送達される。ペーシング中、ICDは、患者の上大静脈と右心室に配置された除細動電極、胸部の皮下に配置されたICDハウジングと右心室に配置された除細動電極、又は胸部の皮下に配置されたICDハウジングと上大静脈に配置された除細動電極からなる感知電極対によって心臓の電気活動を感知することができ、感知した心電図のR波は、ペーシングが有効であるか否かを判断するためのアルゴリズムで使用される。CRT(心臓再同期療法)は、他の非ペーシング電極からなる感知電極対によってペーシング後の心臓の電気活動(R波)を感知することもできる。例えば、右心室のペーシング中に、左心室の電極を使用して心臓の電気活動(ペーシング後のR波)を感知することができる。また、その逆もできる。
【0079】
さらに、当業者は、実際のニーズに応じて、心臓活動を感知するための感知電極と、ペーシングを行うためのペーシング電極と、除細動を行うための除細動電極とを、MCSなどの他の心臓装置/機器に構成することができ、患者の心臓活動の監視及びエネルギー出力を個別に実現できる限り、電極の数や配置方法は任意である。これらの電極は、ペーシング閾値管理を実現するために、ペーシング電極対(第1電極対)及び感知電極対(第2電極対)を形成することができる。例えば、MCSシステムにペーシング及び/又は除細動機能を追加することにより、重度の徐脈又はVT/VFの場合に治療を提供することができると同時に、エネルギー出力電極(ペーシング又は除細動電極)及び感知電極対を使用することにより、ペーシング閾値の測定及び管理のためのメカニズム(上記と同様)を提供することができる。これらのMCS装置は、すでに心臓にハードウェアを搭載し、制御アルゴリズム及びエネルギーで機械的サポートを提供し、ペーシング/除細動機能の追加も構成することができるため、ここでは繰り返さない。
【0080】
図4に示すように、ステップS105は、以下のステップを含む。
【0081】
S10511では、第1応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、ステップS10512を実行し、
S10512では、現在のペーシング出力を低減させ、低減したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、
S10513では、ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出し、
S10514では、第1応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、ステップS10512を再実行し、存在しない場合、前回のペーシング出力を患者に対応する心臓ペーシング閾値として使用する。
【0082】
すなわち、現在のペーシング出力が作用する患者の心室の反応にR波が存在する場合、現在のペーシング出力は患者のペーシングに有効であり、高すぎる可能性があることを意味し、この場合、ペーシング出力を段階的に低減させて再び患者のペーシングを行い、患者の心室の反応にR波が存在し続ける場合、患者の心室の反応にR波が存在しなくなるまでペーシング出力を低減し続け、現在のペーシング出力が低すぎることを意味し、前回の調整したペーシング出力が患者に対応する心臓ペーシング閾値であることを判定する。
【0083】
現在のペーシング出力と前回のペーシング出力との間でペーシング出力をさらに微調整して、より正確な心臓ペーシング閾値を取得することができ、微調整方法を事前に設定することができ、実際のニーズに応じてリセットして調整することもできる。
【0084】
さらに、患者により適合した心臓ペーシング閾値を取得するために、心臓ペーシング閾値の取得の速度及び精度を確保するように、最初に大きなスパンで低減し、次に小さなスパンで低減することによって2つの隣接するペーシング出力の振幅を調整し、又は、心臓ペーシング閾値の精度を効果的に確保するように、常に小さなスパンで低減することによって2つの隣接するペーシング出力の振幅を調整するなど、ペーシング出力の調整方法をさらに最適化することができる。もちろん、最終的に患者に対応する心臓ペーシング閾値を取得できる限り、他のペーシング出力の調整方法に基づく技術的解決手段も使用可能であるため、ここでは繰り返さない。
【0085】
又は、図5に示すように、ステップS105は、以下のステップを含む。
【0086】
S10521では、第1応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在しない場合、ステップS10522を実行し、
S10522では、現在のペーシング出力を増加させ、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、
S10523では、ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出し、
S10524では、第1応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在しない場合、ステップS10522を再実行し、存在する場合、現在のペーシング出力を患者に対応する前記心臓ペーシング閾値として使用する。
【0087】
すなわち、現在のペーシング出力が作用する患者の心室の反応にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力では患者のペーシングを効果的に行うことができないことを意味し、この場合、ペーシング出力を段階的に増加させて再び患者のペーシングを行い、患者の心室の反応にR波が存在しない状態が続く場合、患者の心室の反応にR波が存在するまでペーシング出力を増加し続け、現在のペーシング出力が低すぎることを意味し、前回の調整したペーシング出力が患者に対応する心臓ペーシング閾値であることを判定する。
【0088】
ここで、現在のペーシング出力と前回のペーシング出力との間でペーシング出力をさらに微調整して、より正確な心臓ペーシング閾値を取得することができ、微調整方法を事前に設定することができ、実際のニーズに応じてリセットして調整することもできる。
【0089】
さらに、患者により適合した心臓ペーシング閾値を取得するために、心臓ペーシング閾値の取得の速度及び精度を確保するように、最初に大きなスパンで増加し、次に小さなスパンで増加することによって2つの隣接するペーシング出力の振幅を調整し、又は、心臓ペーシング閾値の精度を効果的に確保するように、常に小さなスパンで増加することによって2つの隣接するペーシング出力の振幅を調整するなど、ペーシング出力の調整方法をさらに最適化することができる。もちろん、最終的に患者に対応する心臓ペーシング閾値を取得できる限り、他のペーシング出力の調整方法に基づく技術的解決手段も使用可能であるため、ここでは繰り返さない。
【0090】
具体的には、患者に対応する心臓ペーシング閾値の決定精度をさらに向上させるために、第1応答情報におけるR波の有無に従って、患者に対応する心臓ペーシング閾値を取得するために現在のペーシング出力を調整するステップは、
第1応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在しない場合、現在のペーシング出力を増加させ、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うステップと、
ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出するステップと、
第1応答情報にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力を増加させるステップを再実行し、第1応答情報にR波が存在する場合、現在のペーシング出力を低減させ、低減したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うステップと、
ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出するステップと、
第1応答情報にR波が存在する場合、現在のペーシング出力を低減させるステップを再実行し、第1応答情報にR波が存在しない場合、前回のペーシング出力を患者に対応する心臓ペーシング閾値として使用するステップとを含む。
【0091】
すなわち、現在のペーシング出力が高すぎる場合、現在のペーシング出力を段階的に低減させ(低減したスパンは、特定の状況に応じて動的に調整することができ、すなわち、各調整のスパンは、一貫している場合もあれば、一貫していない場合もある)、現在のペーシング出力が低すぎる場合、現在のペーシング出力を段階的に増加させ(増加したスパンは、特定の状況に応じて動的に調整することができ、すなわち、各調整のスパンは、一貫している場合もあれば、一貫していない場合もある)、複数の動的調整と、各調整に伴うR波の有無と組み合わせて、現在の患者の心臓ペーシング閾値を最終的に決定することにより、心臓ペーシング閾値の決定の精度と有効性をさらに保証し、それによってその後のペーシング治療プロセスにおけるペーシング作業の合理性と有効性を保証する。
【0092】
オプションの技術的解決手段では、複数拍検出方法を使用して、患者に真に適合した心臓ペーシング閾値を合理的に決定し、具体的には、
現在のペーシング出力を低減させた後に検出された第1応答情報にR波が存在する場合、取得方法は、
現在のペーシング出力で第1設定数の心室ペーシングの第1応答情報をスキップした後、第2設定数の心室ペーシングの第1応答情報を拍ごとに取得するステップと、
第2設定数以下である第3設定数を超える心室ペーシングの第1応答情報にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力が無効であると判定し、現在のペーシング出力を増加させて再度患者のペーシングを行い、現在のペーシング出力で第1設定数の心室ペーシングの第1応答情報をスキップした後、第2設定数の心室ペーシングの第1応答情報を拍ごとに取得するステップを再実行するステップと、
第2設定数以下である第4設定数を超える心室ペーシングの第1応答情報にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力が有効であると判定し、現在のペーシング出力を低減させ、低減したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、第1設定数の心室ペーシングの第1応答情報をスキップした後、第2設定数の心室ペーシングの第1応答情報を拍ごとに取得するステップを再実行し、第3設定数以下の心室ペーシングの第1応答情報にR波が存在する場合、現在のペーシング出力が無効であると判定し、前回のペーシング出力が有効であると判定し、前回のペーシング出力のパルス電圧振幅及び/又はパルス幅を心臓ペーシング閾値として使用し、
そうでない場合、心臓ペーシング閾値を取得するまで、第2設定数の心室ペーシングの第1応答情報を拍ごとに取得し続け、R波の有無を分析するステップとを含む。
【0093】
例えば、特定のペーシング出力を出力した後、最初の三拍の対応する応答を無視し、第4~第6拍の応答を直接判断し、第4~第6拍の応答情報が各拍にR波が存在することを示す場合、現在のペーシング出力が有効であると判定し、第4~第6拍の応答情報が各拍にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力が無効であると判定し、そうでない場合、現在の拍から連続した三拍の対応する応答を取得して分析し、具体的な分析プロセスは上記と同様であるため、ここでは繰り返さない。もちろん、実際の状況に応じて複数拍検出方法を調整することもできる。
【0094】
本実施例では、ペーシング試験段階で前記初期ペーシング出力及び前記初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うことにより、患者の心室に対応する応答情報にR波の有無を同期的に検出し、R波の存在をちょうど誘発することができるペーシング出力(心臓ペーシング閾値)を取得するまで、R波が存在しない場合にペーシング出力を継続的に増加させるか、又はR波が存在する場合にペーシング出力を継続的に減少させ、R波の有無の監視に基づいて、異なる患者の異なる身体状態に従って各患者に適合したペーシング出力を使用してペーシングを行い、適応ペーシング出力のカスタマイズを実現し、異なる患者に対する合理的かつ効果的なペーシングを保証し、患者の体験を効果的に向上させることができ、さらに、心臓ペーシング閾値を動的に更新し、患者に対する合理的かつ効果的なペーシングをさらに保証し、患者の体験をさらに向上させることができる。
【0095】
<実施例3>
本実施例のペーシング制御方法に関わる心臓ペーシング閾値は、先行技術における既存の取得方法に基づいて決定することができ、本発明における上記の心臓ペーシング閾値の取得方法を使用して取得することもでき、実際のシナリオに応じて選択又は調整することができる。
【0096】
図6に示すように、本実施例のペーシング制御方法は、以下のステップを含む。
【0097】
S201では、患者の心臓の第2実際の心拍数を取得し、
S202では、第2実際の心拍数がプリセット低心拍数条件を満たすか否かを判断し、この条件を満たす場合、ステップS203を実行し、
S203では、プリセットペーシング頻度及びペーシング出力を使用して患者の心臓をペーシングし、
ここで、プリセット低心拍数条件は、患者が生命を脅かす状態にあることを示すために使用され、
従来の意味での徐脈患者を対象とするのではなく、基礎心疾患や急性心疾患による重度の徐脈や心停止までの患者を対象としており、ペーシングを行わなければ死亡する可能性が非常に高い(患者が緊急に救助を必要としている)場合に、上記の生命を脅かす状態にある患者をペーシングサポートを必要とする対象としており、すなわち、本発明におけるペーシング動作は、「最終手段」/「救命措置」として実施される。
【0098】
具体的には、ペーシング動作の発動条件を事前に設定することにより、ペーシングが必要な場合にのみ、高いペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、患者の生命を支えるための適時かつ効果的なペーシングを実現することができ、一方、患者の日常的な使用において、不必要なペーシングと、ペーシング刺激による痛みを大幅に回避することができ、ユーザの医療機器に対する受容度、コンプライアンス及び体験を向上させることができる。
【0099】
緊急ペーシングによる救命を実現するために、医師の実際の経験に応じてプリセットペーシング頻度を設定することができる。さらに、現在の患者に対応する過去の有効なペーシング頻度に基づいて、医療機器の初期ペーシング頻度として使用することもできる。
【0100】
具体的には、ステップS202は、
第2実際の心拍数がプリセット低心拍数を下回るか否かを判断し、下回る場合、ステップS203を実行するステップを含む。
【0101】
患者の心拍数をリアルタイムで監視し、設定されたプリセット低心拍数を下回る(既存のペーシング制御方法におけるプリセット下限心拍数よりはるかに低い)場合に、患者が緊急に救助を必要としていることを特定し、すなわち、患者の心拍数が非常が低い場合にのみペーシングを発動し、患者の生命を維持するために適時かつ効果的なペーシングを実現することができる。
【0102】
又は、
ステップS202は、
第2実際の心拍数がプリセット低心拍数を下回るか否かを判断し、下回る場合、患者の心臓が第2実際の心拍数にある第1低心拍数持続時間を取得し、第1低心拍数持続時間がプリセット低心拍数持続時間に達するか否かを判断し、達する場合、ステップS203を実行するステップを含む。
【0103】
患者のリアルタイムの心拍数をリアルタイムで監視し、第2実際の心拍数がプリセット低心拍数を下回り、第2実際の心拍数の第1低心拍数持続時間がプリセット低心拍数持続時間に達した場合にのみペーシングを発動することにより、患者の心拍数が偶然にプリセット低心拍数を下回り、不必要なペーシング動作を引き起こすことがなく、より優れたペーシング監視機能を実現し、患者の安全を確保しながら、ユーザ体験をさらに向上させる。
【0104】
実施形態において、プリセット低心拍数は、0bpmより大きく、40bpm以下であり、好ましくは、プリセット低心拍数は、10bpm~30bpmであり、さらに、プリセット低心拍数を20bpmに設定することができる。本実施例のペーシング治療方法は、心拍のない患者に対して適時にペーシング治療を行うために、患者の心拍数が0bpmである場合にも適用可能であることに留意されたい。
【0105】
プリセット低心拍数持続時間は、1s~5min(すなわち、1秒~5分)であり、プリセット低心拍数持続時間は、異なる患者の身体状態又は他の実際の状況に従って調整し、決定することができ、実際のペーシングプロセス中に本発明の技術的解決手段におけるプリセット低心拍数持続時間を合理的に適用できる限り、本発明の保護範囲に属する。
【0106】
また、プリセット低心拍数持続時間は、1s~60sであり、好ましくは、プリセット低心拍数持続時間は、1s~20sであり、さらに、プリセット低心拍数持続時間を10sに設定することができる。
【0107】
プリセットペーシング頻度は、35bpm~90bpmであり、プリセットペーシング頻度は、異なる患者の身体状態又は他の実際の状況に従って調整し、決定することができ、実際のペーシングプロセス中に本発明の技術的解決手段におけるプリセットペーシング頻度を合理的に適用できる限り、本発明の保護範囲に属する。
【0108】
また、プリセットペーシング頻度は、40bpm~80bpmであり、好ましくは、プリセットペーシング頻度は、50bpm~65bpmである。さらに、プリセットペーシング頻度を60bpmに設定することができる。
【0109】
ステップS203の後に、以下のステップも含む。
【0110】
S204では、ペーシング動作中のプリセットペーシング頻度に対する患者の心室の第2応答情報を検出し、
S205では、第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、ステップS206を実行し、存在しない場合、ステップS207を実行し、
S206では、プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続きプリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、
S207では、プリセットペーシング出力が無効であると判定し、プリセットペーシング出力を調整して、調整したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行う。
【0111】
又は、ステップS203の後に、以下のステップも含む。
【0112】
S208では、患者に対してペーシング誘発の心筋収縮調整を行い、すなわち、患者が危篤状態(すなわち、患者が重度の徐脈又は心停止状態)にある場合、プリセットペーシング頻度及びペーシング出力を使用して患者の心臓をペーシングし、患者の心拍を正常に戻すためにペーシング誘発のCCM調整を行う。
【0113】
又は、ステップS203の後に、以下のステップも含む。
【0114】
S209では、ペーシング動作中の前記プリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報を検出し、前記第2応答情報にR波が存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うと同時に、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行う。
【0115】
すなわち、患者が危篤状態にある場合、プリセットペーシング頻度及びプリセットペーシング出力を使用して患者の心臓をペーシングし、ペーシングによって誘発されるか、又はペーシング中の患者の心室の応答情報にR波が存在することを監視すると患者に対してR波誘発のCCM調整を行い、すなわち、ペーシング出力、R波検出及びCCM心臓収縮調整を組み合わせることにより、患者の治療効果を大幅に向上させ、患者の心拍を適時かつ効果的に正常に戻すことを確保することができる。ペーシング中に患者自身の心拍が時々聞こえる場合、R波を感知してCCM調整を誘発する。ここで、ペーシング出力を心筋に間接的にしか提供できない医療機器/装置(WCD など)では、CCMは、第1電極対(すなわち、ペーシング出力を提供するために使用される電極対)によって心筋に間接的に提供される。ペーシング出力を心筋に直接提供できる医療機器/装置(MCSなど)では、CCMは、第1電極対又は心筋に直接接触している他の電極対(そのうちの少なくとも1つの電極が心筋に接触している)によって提供される。
【0116】
具体的には、ステップS207は、具体的には、
現在のペーシング出力を増加させ、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うステップと、
ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の前記第2応答情報を検出するステップと、
第2応答情報にr波が存在するか否かを判断し、存在しない場合、現在のペーシング出力を増加させ、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うステップを再実行し、存在する場合、増加した現在のペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、現在のペーシング出力を医療機器が患者に出力する初期ペーシング出力として使用するステップとを含む。
【0117】
最初から効果的なペーシングを確保するために、ペーシング治療プロセスでは、心臓ペーシング閾値を一定量以上超えるペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うと同時に、ペーシング出力に対する心室の応答を測定し、応答情報にR波が存在することをキャプチャーする場合、引き続き現在のペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、応答情報にR波が存在することをキャプチャーしない場合、前回のペーシング出力の送信から一定時間(調整可能な間隔)後、ペーシング出力の振幅(又はパルス幅)を増加させて、再度患者のペーシングを行い、例えば、前回のペーシング出力の送信から200ms後、増加したペーシング出力を再度送信し、R波が存在する場合、引き続き増加した現在のペーシング出力を使用してペーシングを行い、そうでない場合、ペーシング出力によってペーシング出力結果にR波が存在するまで、ペーシング出力の振幅を段階的に増加し続け、血液を提供するために可能な限り迅速に患者のペーシングを行うことを実現する。
【0118】
ここで、ペーシングを成功させることができる新しいペーシング出力が取得されると、そのペーシング出力を将来のペーシングのために保存し、インテリジェントペーシングを実現する。
【0119】
具体的には、ペーシング治療段階では、ペーシング出力の有効性を複数拍検出方法によって決定し、具体的には、
現在のペーシング出力で、各心室ペーシングの第2応答情報を拍ごとに取得し、各心室ペーシングの第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続きプリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、
存在しない場合、プリセットペーシング出力が無効であると判定し、現在の心拍時間に現在のペーシング出力を増加させ、現在のペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、各心室ペーシングの第2応答情報にR波が存在するように有効なペーシング出力を取得するまで、引き続き各心室ペーシングの第2応答情報を拍ごとに取得するステップを再実行する。
【0120】
また、現在のペーシング出力で、各ペーシング後の第2応答情報を拍ごとに取得し、各ペーシング後の第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続きプリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うと同時に、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行い、
又は、現在のペーシング出力で、第1心室ペーシングの第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続きプリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、存在しない場合、各心室ペーシングの第2応答情報にR波が存在するように有効なペーシング出力を取得するまで、設定期間後に増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行う。
【0121】
また、現在のペーシング出力で、第1ペーシング後の第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続きプリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うと同時に、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行う。
【0122】
複数拍検出方法により、患者に対する現在のペーシング出力のペーシング効果を適時に判定し、ペーシング出力が有効であると判定した場合、引き続き現在のペーシング出力を使用してペーシングを行い、ペーシング出力が無効であると判定した場合、ペーシング出力を適時に増加させて患者を適時に救助することを実現し、ペーシング出力の有効性を判定する精度を向上させ、ペーシング治療の効率を向上させる。
【0123】
さらに、プリセットペーシング出力を増加させる回数が設定回数より多い場合、及び/又は、プリセットペーシング出力を調整する期間が設定期間を超える場合、可能な限り最大確率の患者の捕捉を保証するように、設定された最大ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行う。
【0124】
実を言うと、実際のペーシング治療プロセスでは、ペーシング出力の1回目の増加にまだR波が存在しない場合、ペーシング出力を2回目にペーシング装置の最大出力まで増加させ、すなわちパルス振幅及びパルス幅の両方は、最速かつ最大確率の患者の捕捉を保証するように、機器のパルス発生器の最大値である。
【0125】
本実施例では、従来の意味での徐脈患者を対象としているのではなく、基礎心疾患や急性心疾患による重度の徐脈や心停止まで生命を脅かす状態にある患者をペーシングサポートを必要とする対象としており、ペーシングが必要な場合にのみ、心臓ペーシング閾値のペーシング出力を使用してペーシングを行い、患者の生命を支えるための適時かつ効果的なペーシングを実現し、患者自身の心拍数が一定レベルまで回復するとペーシングを終了させ、患者の日常的な使用において、不必要なペーシングと、ペーシング刺激による痛みを大幅に回避することができ、ユーザの医療機器に対する受容度、コンプライアンス及び体験を向上させることができる。同時に、心臓ペーシング閾値のペーシング出力を使用して患者のペーシングを行う場合、心臓ペーシング閾値のペーシング出力で患者の心室の応答情報にR波が存在するか否かを適時に監視して、心臓ペーシング閾値の有効性を判定し、無効であると判定した場合、ペーシング出力によって応答情報にR波の存在を可能にするまでペーシング出力を適時に増加させることにより、血液を提供するために可能な限り迅速に患者のペーシングを行うことを実現し、ペーシング出力を調整する回数又は期間が一定の範囲を超える場合、可能な限り最大確率の患者の捕捉を保証するように、最大ペーシング出力を使用してペーシングを行う。
【0126】
<実施例4>
図7に示すように、本実施例の心臓ペーシング閾値の取得装置は、ペーシング出力プリセットモジュール1、心拍数取得モジュール2、ペーシングモジュール3、応答情報検出モジュール4及び第1判断モジュール5を含む。
【0127】
ペーシング出力プリセットモジュール1は、初期ペーシング電圧振幅及び/又はパルス幅を含む、初期ペーシング出力をプリセットするために使用され、
心拍数取得モジュール2は、ペーシング試験段階において、患者の心臓の第1実際の心拍数を検出するために使用される。
【0128】
ペーシングモジュール3は、第1実際の心拍数に従って、第1実際の心拍数より大きい初期ペーシング頻度を決定し、初期ペーシング頻度及び初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用される。
【0129】
ここで、ペーシング試験段階は、患者が深い睡眠状態にある期間(午前2時又は3時など)であってもよく、ペーシング装置は、心臓ペーシング閾値を取得するためにペーシング試験を自動的に誘発する。もちろん、異なる患者のタイムテーブル、使用習慣などの要因に応じてペーシング試験段階をリセットして調整することができる。
【0130】
応答情報検出モジュール4は、ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出するために使用され、
ここで、心室の応答は、体表、皮下、心内膜及び心外膜心電図によって反映され得るが、これらに限定されない。
【0131】
第1判断モジュール5は、前記第1応答情報におけるR波の有無に従って、患者に対応する心臓ペーシング閾値を取得するように、現在のペーシング出力を調整するために使用される。
【0132】
ここで、患者の心拍数がペーシング条件を満たす場合、心臓ペーシング閾値に基づいて、医療機器/装置が出力したプリセットペーシング出力を決定し、プリセットペーシング出力(パルス電圧振幅及び/又はパルス幅)は心臓ペーシング閾値より大きい。現在、心臓ペーシング閾値がない場合、工場出荷時に医療機器によってプリセットされたペーシング出力、又は医師が手動でプリセットするペーシング出力を使用する。
【0133】
すなわち、心臓ペーシング閾値は、異なる患者の異なる身体状態に応じて決定される値であり、心臓ペーシング閾値を取得することにより、各患者に適合したペーシング出力を使用してペーシングを行い、適応ペーシング出力のカスタマイズを実現し、ペーシング出力設定の合理性及び有効性を確保する。
【0134】
さらに、患者に対する医師のアドバイス、又は患者の使用習慣、適応性などに基づいて、時間の経過とともに定期的又は不定期に自動ペーシング試験を実行して、心臓ペーシング閾値を動的に更新し、すなわち、患者の身体と状態の変化を適時に追跡して、患者の最新の状態に適合したペーシング出力を取得することを実現し、患者に対する合理的かつ効果的なペーシングをさらに保証し、患者の体験をさらに向上させると同時に、ペーシングに必要なエネルギーを削減し、装置のバッテリーのサービス時間及び耐用年数を延ばすことができる。
【0135】
本実施例では、ペーシング試験段階で初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うことにより、患者の心室の対応する応答情報におけるR波の有無を同期的に検出し、R波の有無の監視に基づいて、異なる患者の異なる身体状態に従って各患者に適合したペーシング出力を使用してペーシングを行い、適応ペーシング出力のカスタマイズを実現し、異なる患者に対する合理的かつ効果的なペーシングを保証し、患者の体験を効果的に向上させる。
【0136】
<実施例5>
図8に示すように、本実施例の心臓ペーシング閾値の取得システムは、実施例4をさらに改良したものであり、具体的には、
前記ペーシングモジュール3は、患者のペーシングを行うために、前記医療機器に設定された第1電極対を使用して、前記初期ペーシング出力を送信するために使用され、
前記応答情報検出モジュール4は、前記医療機器に設定された第2電極対を使用して、現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を感知するために使用される。
【0137】
ここで、前記第1電極対が除細動電極である場合、前記第2電極対は感知電極であり、又は、前記第1電極対が感知電極、ペーシング電極又は除細動電極である場合、前記第2電極対は除細動電極である。
【0138】
本実施例の心臓ペーシング閾値の取得システムは、時間情報取得モジュール6及び第2判断モジュール7をさらに含み、
時間情報取得モジュール6は、現在の時間情報を取得するために使用され、
第2判断モジュール7は、現在の時間情報がプリセット期間内にあるか否かを判断するために使用され、そうである場合、ペーシング試験段階に入ることを決定する。
【0139】
すなわち、特定の時間(毎日特定の期間など)をペーシング試験時間として設定し、この設定時間に達すると、ペーシング装置は自動的にペーシング試験段階に入り、現在の患者に対応する心臓ペーシング閾値を自動的に取得する。
【0140】
又は、
本実施例の心臓ペーシング閾値の取得システムは、状態情報取得モジュール8及び第3判断モジュール9をさらに含む。
【0141】
状態情報取得モジュール8は、患者の身体状態情報を取得するために使用され、
第3判断モジュール9は、身体状態情報に基づいて患者がプリセット状態にあるか否かを判断するために使用され、そうである場合、ペーシング試験段階に入ることを決定する。
【0142】
すなわち、患者が午前2時又は3時の深い睡眠状態などの睡眠状態にある場合、ペーシング装置は自動的にペーシング試験段階に入り、患者の通常の日中の生活や夜間の睡眠に影響を与えることなく、現在の患者に対応する心臓ペーシング閾値を自動的に取得し、患者が不快感を感じることを回避し、患者が快適に使用することを確保する。
【0143】
もちろん、心臓ペーシング閾値を適時かつ効果的に取得するのであれば、他の設定条件に従ってペーシング試験段階に入るようにペーシング装置を自動的に誘発することもできるため、ここでは繰り返さない。
【0144】
異なるペーシング試験段階がプリセットされている場合、本実施例の心臓ペーシング閾値の取得装置は、閾値取得モジュール10及び閾値計算モジュール11をさらに含む。
【0145】
閾値取得モジュール10は、各ペーシング試験段階で得られた心臓ペーシング閾値を個別に取得するために使用され、
閾値計算モジュール11は、複数の心臓ペーシング閾値に基づいて新しい心臓ペーシング閾値を取得するために使用される。
【0146】
具体的には、閾値計算モジュール11は、複数の心臓ペーシング閾値に基づいて、平均値演算又は加重平均値演算を含むがこれらに限定されない統計計算を実行して、新しい心臓ペーシング閾値を取得するために使用される。
【0147】
複数のペーシング試験段階を設定し、同じ患者に対して同じ期間及び/又は異なる期間に対応する異なる心臓ペーシング閾値を取得し、次に複数の心臓ペーシング閾値を包括的に計算して最終的な心臓ペーシング閾値を取得することにより、すなわち複数のデータセットを組み合わせることにより、心臓ペーシング閾値の精度をさらに保証する。
【0148】
第1判断モジュールは、第1応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、現在のペーシング出力を低減させ、ペーシングモジュールを呼び出し、低減したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され、
応答情報検出モジュールは、ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出するために使用され、
第1判断モジュールは、第1応答情報にR波が存在する場合に、現在のペーシング出力を再び低減させ、ペーシングモジュールを呼び出し、低減したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され、
第1判断モジュールはまた、第1応答情報にR波が存在しないが、前回のペーシング出力にR波が存在する場合に、前回のペーシング出力を患者に対応する心臓ペーシング閾値として使用するために使用される。
【0149】
すなわち、現在のペーシング出力が作用する患者の心室の反応にR波が存在する場合、現在のペーシング出力は患者のペーシングに有効であり、高すぎる可能性があることを意味し、この場合、ペーシング出力を段階的に低減させて再び患者のペーシングを行い、患者の心室の反応にR波が存在し続ける場合、患者の心室の反応にR波が存在しなくなるまでペーシング出力を低減し続け、現在のペーシング出力が低すぎることを意味し、前回の調整したペーシング出力が患者に対応する心臓ペーシング閾値であることを判定する。
【0150】
ここで、現在のペーシング出力と前回のペーシング出力との間でペーシング出力をさらに微調整して、より正確な心臓ペーシング閾値を取得することができ、微調整方法を事前に設定することができ、実際のニーズに応じてリセットして調整することもできる。
【0151】
さらに、患者により適合した心臓ペーシング閾値を取得するために、心臓ペーシング閾値の取得の速度及び精度を確保するように、最初に大きなスパンで低減し、次に小さなスパンで低減することによって2つの隣接するペーシング出力の振幅を調整し、又は、心臓ペーシング閾値の精度を効果的に確保するように、常に小さなスパンで低減することによって2つの隣接するペーシング出力の振幅を調整するなど、ペーシング出力の調整方法をさらに最適化することができる。もちろん、最終的に患者に対応する心臓ペーシング閾値を取得できる限り、他のペーシング出力の調整方法に基づく技術的解決手段も使用可能であるため、ここでは繰り返さない。
【0152】
又は、第1判断モジュールは、第1応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在しない場合、現在のペーシング出力を増加させ、ペーシングモジュールを呼び出し、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され、
応答情報検出モジュールは、ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出するために使用され、
第1判断モジュールはまた、第1応答情報にR波が存在しない場合に、現在のペーシング出力を再び増加させ、ペーシングモジュールを呼び出し、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され、
第1判断モジュールはまた、第1応答情報にR波が存在する場合に、現在のペーシング出力を患者に対応する前記心臓ペーシング閾値として使用するために使用される。
【0153】
すなわち、現在のペーシング出力が作用する患者の心室の反応にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力では患者のペーシングを効果的に行うことができないことを意味し、この場合、ペーシング出力を段階的に増加させて再び患者のペーシングを行い、患者の心室の反応にR波が存在しない状態が続く場合、患者の心室の反応にR波が存在するまでペーシング出力を増加し続け、現在のペーシング出力が低すぎることを意味し、前回の調整したペーシング出力が患者に対応する心臓ペーシング閾値であることを判定する。
【0154】
ここで、現在のペーシング出力と前回のペーシング出力との間でペーシング出力をさらに微調整して、より正確な心臓ペーシング閾値を取得することができ、微調整方法を事前に設定することができ、実際のニーズに応じてリセットして調整することもできる。
【0155】
さらに、患者により適合した心臓ペーシング閾値を取得するために、心臓ペーシング閾値の取得の速度及び精度を確保するように、最初に大きなスパンで増加し、次に小さなスパンで増加することによって2つの隣接するペーシング出力の振幅を調整し、又は、心臓ペーシング閾値の精度を効果的に確保するように、常に小さなスパンで増加することによって2つの隣接するペーシング出力の振幅を調整するなど、ペーシング出力の調整方法をさらに最適化することができる。もちろん、最終的に患者に対応する心臓ペーシング閾値を取得できる限り、他のペーシング出力の調整方法に基づく技術的解決手段も使用可能であるため、ここでは繰り返さない。
【0156】
オプションの技術的解決手段では、複数拍検出方法を使用して、患者に真に適合した心臓ペーシング閾値を合理的に決定し、具体的には、
現在のペーシング出力を低減させた後に検出された第1応答情報にR波が存在する場合、取得方法は、
現在のペーシング出力で第1設定数の心室ペーシングの第1応答情報をスキップした後、第2設定数の心室ペーシングの第1応答情報を拍ごとに取得するステップと、
第2設定数以下である第3設定数を超える心室ペーシングの第1応答情報にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力が無効であると判定し、現在のペーシング出力を増加させて再度患者のペーシングを行い、現在のペーシング出力で第1設定数の心室ペーシングの第1応答情報をスキップした後、第2設定数の心室ペーシングの第1応答情報を拍ごとに取得するステップを再実行するステップと、
第2設定数以下である第4設定数を超える心室ペーシングの第1応答情報にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力が有効であると判定し、現在のペーシング出力を低減させ、低減したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、第1設定数の心室ペーシングの第1応答情報をスキップした後、第2設定数の心室ペーシングの第1応答情報を拍ごとに取得するステップを再実行し、第3設定数以下の心室ペーシングの第1応答情報にR波が存在する場合、現在のペーシング出力が無効であると判定し、前回のペーシング出力が有効であると判定し、前回のペーシング出力のパルス電圧振幅及び/又はパルス幅を心臓ペーシング閾値として使用し、
そうでない場合、心臓ペーシング閾値を取得するまで、第2設定数の心室ペーシングの第1応答情報を拍ごとに取得し続け、R波の有無を分析するステップとを含む。
【0157】
例えば、特定のペーシング出力を出力した後、最初の三拍の対応する応答を無視し、第4~第6拍の応答を直接判断し、第4~第6拍の応答情報が各拍にR波が存在することを示す場合、現在のペーシング出力が有効であると判定し、第4~第6拍の応答情報が各拍にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力が無効であると判定し、そうでない場合、現在の拍から連続した三拍の対応する応答を取得して分析し、具体的な分析プロセスは上記と同様であるため、ここでは繰り返さない。もちろん、実際の状況に応じて複数拍検出方法を調整することもできる。
【0158】
本実施例では、ペーシング試験段階で前記初期ペーシング出力及び前記初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、第2電極対によって患者の心室に対応する応答情報にR波の有無を同期的に検出し、R波の存在をちょうど誘発することができるペーシング出力(心臓ペーシング閾値)を取得するまで、R波が存在しない場合にペーシング出力を継続的に増加させるか、又はR波が存在する場合にペーシング出力を継続的に減少させ、R波の有無の監視に基づいて、異なる患者の異なる身体状態に従って各患者に適合したペーシング出力を使用してペーシングを行い、適応ペーシング出力のカスタマイズを実現し、異なる患者に対する合理的かつ効果的なペーシングを保証し、患者の体験を効果的に向上させ、ペーシングによる患者の捕捉不能問題を軽減することができ、さらに、心臓ペーシング閾値を動的に更新し、患者に対する合理的かつ効果的なペーシングをさらに保証し、患者の体験をさらに向上させることができる。
【0159】
<実施例6>
本実施例のペーシング制御装置における心臓ペーシング閾値は、先行技術における既存の取得方法に基づいて決定することができ、本発明における上記の心臓ペーシング閾値の取得装置に対応する取得方法を使用して取得することもでき、実際のシナリオに応じて選択又は調整することができる。
【0160】
図9に示すように、本実施例のペーシング制御装置は、心拍数取得モジュール2及び第4判断モジュール12をさらに含む。
【0161】
心拍数取得モジュール2は、患者の心臓の第2実際の心拍数を取得するために使用され、
第4判断モジュール12は、第2実際の心拍数がプリセット低心拍数条件を満たすか否かを判断するために使用され、そうである場合、ペーシングモジュール3を呼び出して、心臓ペーシング閾値のプリセットペーシング頻度を使用して患者の心臓をペーシングし、ここで、プリセット低心拍数条件は、患者が生命を脅かす状態にあることを示すために使用され、
従来の意味での徐脈患者を対象とするのではなく、重度の徐脈や心停止までの患者に対して、ペーシングを行わなければ死亡する可能性が非常に高い(患者が緊急に救助を必要としている)場合に、上記の生命を脅かす状態にある患者をペーシングサポートを必要とする対象としており、すなわち、本発明におけるペーシング動作は、「最終手段」/「救命措置」として実施される。
【0162】
具体的には、ペーシング動作の発動条件を事前に設定することにより、ペーシングが必要な場合にのみ、高いペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、患者の生命を支えるための適時かつ効果的なペーシングを実現することができ、一方、患者の日常的な使用において、不必要な(すなわち、「救命措置」ではない)ペーシングと、ペーシング刺激による痛みを大幅に回避することができ、特に、偶発性徐脈、又は一過性心停止の場合にペーシングを起動せず、ユーザの医療機器に対する受容度、コンプライアンス及び体験を向上させることができる。
【0163】
具体的には、第4判断モジュール12は、第2実際の心拍数がプリセット低心拍数を下回るか否かを判断するために使用され、そうである場合、ペーシングモジュール3を呼び出して、プリセットペーシング頻度を使用して患者の心臓をペーシングする。
【0164】
患者の心拍数をリアルタイムで監視し、設定されたプリセット低心拍数を下回る(既存のペーシング制御方法におけるプリセット下限心拍数よりはるかに低い)場合に、患者が緊急に救助を必要としていることを特定し、すなわち、患者の心拍数が非常が低い場合にのみペーシングを発動し、患者の生命を維持するために適時かつ効果的なペーシングを実現することができる。
【0165】
又は、本実施例のペーシング制御装置は、持続時間取得モジュールをさらに含む。
【0166】
第4判断モジュール12は、第2実際の心拍数がプリセット低心拍数を下回るか否かを判断するために使用され、そうである場合、持続時間取得モジュールを呼び出して、患者の心臓が第2実際の心拍数にある第1低心拍数持続時間を取得し、
第4判断モジュール12はまた、第1低心拍数持続時間がプリセット低心拍数持続時間に達した場合に、ペーシングモジュール3を呼び出して、プリセットペーシング頻度及びペーシング出力を使用して患者の心臓をペーシングするために使用される。
【0167】
患者のリアルタイムの心拍数をリアルタイムで監視し、第2実際の心拍数がプリセット低心拍数を下回り、第2実際の心拍数の第1低心拍数持続時間がプリセット低心拍数持続時間以上になった場合にのみペーシングを発動することにより、患者の心拍数が偶然にプリセット低心拍数を下回り、不必要なペーシング動作を引き起こすことがなく、より優れたペーシング監視機能を実現し、患者の安全を確保しながら、ユーザ体験をさらに向上させる。
【0168】
実施形態において、プリセット低心拍数は、0bpmより大きく、40bpm以下であり、プリセット低心拍数は、既存のペーシング制御方法におけるプリセット下限心拍数よりはるかに低い。好ましくは、プリセット低心拍数は、10bpm~30bpmであり、さらに、プリセット低心拍数を20bpmに設定することができる。
【0169】
プリセット低心拍数持続時間は、1s~5min(すなわち、1秒~5分)であり、プリセット低心拍数持続時間は、異なる患者の身体状態又は他の実際の状況に従って調整し、決定することができ、実際のペーシングプロセス中に本発明の技術的解決手段におけるプリセット低心拍数持続時間を合理的に適用できる限り、本発明の保護範囲に属する。
【0170】
プリセット低心拍数持続時間は、1s~60sであり、好ましくは、プリセット低心拍数持続時間は、1s~20sであり、さらに、プリセット低心拍数持続時間を10sに設定することができる。
【0171】
プリセットペーシング頻度は、35bpm~90bpmであり、プリセットペーシング頻度は、異なる患者の身体状態又は他の実際の状況に従って調整し、決定することができ、実際のペーシングプロセス中に本発明の技術的解決手段におけるプリセットペーシング頻度を合理的に適用できる限り、本発明の保護範囲に属する。
【0172】
また、プリセットペーシング頻度は、40bpm~80bpmであり、好ましくは、プリセットペーシング頻度は、50bpm~65bpmである。さらに、プリセットペーシング頻度を60bpmに設定することができる。
【0173】
本実施例におけるプリセットペーシング頻度、プリセット低心拍数及びプリセット低心拍数持続時間は、異なる患者の具体的な状態に従って再設定することができるパラメータである。患者によって身体状態が異なることを考慮し、各患者が標的ペーシング療法を受けられるようにするために、各患者の病歴、現在の状態、薬物の使用、ペーシングの必要性などの複数のパラメータを事前に総合的に考慮して、各患者に適合したプリセット低心拍数、プリセット低心拍数持続時間及びプリセットペーシング頻度を最終的に決定し、患者の安全を確保しながら、患者の体験を最大限に保証する。
【0174】
応答情報検出モジュール4は、ペーシング動作中のプリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報(第2電極対によって感知される心電図信号)を検出するために使用され、
第1判断モジュール5は、第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続きペーシングモジュール3を呼び出し、プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、そうでない場合、プリセットペーシング出力が無効であると判定し、ペーシングモジュール3を呼び出し、プリセットペーシング出力を調整して、調整したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行う。
【0175】
又は、調整モジュール13を使用して、患者に対してペーシング誘発の心筋収縮調整(CCM)を行い、すなわち、患者が危篤状態にある場合、患者の心拍を正常に戻すためにCCM刺激を直接実行する。
【0176】
又は、応答情報検出モジュール4は、ペーシング動作中のプリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報を検出するために使用され、第1判断モジュール5は、第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、調整モジュールを呼び出し、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行うと同時に、プリセットペーシング出力が有効であるため、引き続きペーシングモジュールを呼び出し、プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行う。
【0177】
すなわち、患者が危篤状態にある場合、プリセットペーシング頻度及びプリセットペーシング出力を使用して患者の心臓をペーシングし、ペーシングによって誘発されるか、又はペーシング中の患者の心室の応答情報にR波が存在することを監視すると患者に対してR波誘発のCCM調整を行い、すなわち、ペーシング出力、R波検出及びCCM心臓収縮調整を組み合わせることにより、患者の治療効果を大幅に向上させ、患者の心拍を適時かつ効果的に正常に戻すことを確保することができる。ペーシング中に患者自身の心拍が時々聞こえる場合、R波を感知してCCM調整を誘発する。
【0178】
具体的には、ペーシングモジュール3は、現在のペーシング出力を増加させ、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され、
応答情報検出モジュール4は、ペーシング動作中の前記プリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報を検出するために使用され、
ペーシングモジュール3はまた、第2応答情報にR波が存在しない場合に、現在のペーシング出力を再び増加させ、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され、
ペーシングモジュール3はまた、第2応答情報にR波が存在する場合に、増加した現在のペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、現在のペーシング出力を医療機器が患者に出力する初期ペーシング出力として使用するために使用される。
【0179】
最初から効果的なペーシングを確保するために、ペーシング治療プロセス中、心臓ペーシング閾値を一定量以上超えるペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うと同時に、ペーシング出力に対する心室の応答を測定し、応答情報にR波が存在することをキャプチャーする場合、引き続き現在のペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、応答情報にR波が存在することをキャプチャーしない場合、前回のペーシング出力の送信から一定時間(調整可能な間隔)後、ペーシング出力の振幅(又はパルス幅)を増加させて、再度患者のペーシングを行い、例えば、前回のペーシング出力の送信から200ms(調整可能な時間)後、増加したペーシング出力を再度送信し、R波が存在する場合、引き続き増加した現在のペーシング出力を使用してペーシングを行い、そうでない場合、ペーシング出力によってペーシング出力結果にR波が存在するまで、ペーシング出力の振幅を段階的に増加し続け、血液を提供するために可能な限り迅速に患者のペーシングを行うことを実現する。
【0180】
ここで、ペーシングを成功させることができる新しいペーシング出力が取得されると、そのペーシング出力を将来のペーシングのために保存し、インテリジェントペーシングを実現する。
【0181】
さらに、ペーシングモジュール3はまた、プリセットペーシング出力を増加させる回数が設定回数より多い場合、及び/又は、プリセットペーシング出力を調整する期間が設定期間を超える場合、設定された最大ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用される。
【0182】
実を言うと、実際のペーシング治療プロセスでは、ペーシング出力の1回目の増加にまだR波が存在しない場合、ペーシング出力を2回目にペーシング装置の最大出力まで増加させ、すなわちパルス振幅及びパルス幅の両方は、最速かつ最大確率の患者の捕捉を保証するように、機器のパルス発生器の最大値である。
【0183】
本実施例では、従来の意味での徐脈患者を対象としているのではなく、基礎心疾患や急性心疾患による重度の徐脈や心停止まで生命を脅かす状態にある患者をペーシングサポートを必要とする対象としており、ペーシングが必要な場合にのみ、心臓ペーシング閾値のペーシング出力を使用してペーシングを行い、患者の生命を支えるための適時かつ効果的なペーシングを実現し、患者自身の心拍数が一定レベルまで回復するとペーシングを終了させ、患者の日常的な使用において、不必要なペーシングと、ペーシング刺激による痛みを大幅に回避することができ、ユーザの医療機器に対する受容度、コンプライアンス及び体験を向上させることができる。
【0184】
心臓ペーシング閾値を一定量以上超えるペーシング出力を使用して患者のペーシングを行う場合、心臓ペーシング閾値のペーシング出力で患者の心室の応答情報にR波が存在するか否かを適時に監視して、心臓ペーシング出力の有効性を判定し、無効であると判定した場合、ペーシング出力によって応答情報にR波の存在を可能にするまでペーシング出力を適時に増加させることにより、血液を提供するために可能な限り迅速に患者のペーシングを行うことを実現し、ペーシング出力を調整する回数又は期間が一定の範囲を超える場合、可能な限り最大確率の患者の捕捉を保証するように、最大ペーシング出力を使用してペーシングを行う。
【0185】
<実施例7>
本実施例の医療機器は、実施例6のペーシング制御装置を含む。
【0186】
ここで、前記医療機器は、装着型除細動器(WCD)、体外式除細動器(AEDなど)、体外式一時的ペースメーカー、完全皮下植込み型除細動器(SICD)、又は機械的循環補助装置(MCS)を含むが、これらに限定されない。
【0187】
具体的には、上記のペーシング治療方法を以下の態様に適用することにより、ペーシング治療を提供するだけでなく、ペーシング治療の効率及び適応性を提供することができる。
【0188】
装着型除細動(WCD)システム、皮下除細動(SICD)システムなどの装着型除細動システム、体外式除細動システム及び非直接式心臓接触除細動システムにペーシング治療を組み合わせることにより、重度の徐脈や心停止の発症時に患者を救命するためのペーシング治療を提供することができる。他の例として、AEDなどは、院外や院内で患者を救命するために使用され、さらに、公共の場又は病院又は救急車で、重度の徐脈や心停止の患者を救命するために、体外式除細動器を使用してペーシング治療を行うことができる。SICDの場合、ペーシング機能が心室植込み型リードレスペースメーカーなどの別の機器によって提供される場合でも、ペーシング閾値管理方法は実現可能である。1つの方法は、第1電極対をリードレスペースメーカーのペーシング電極対とし、第2電極対をSICDの除細動電極(又は感知電極)とする。この機能は、本発明の機能ブロックを用いて実現可能であるが、閾値を決定するために、SICDとリードレスペースメーカーとの間の無線通信機能によってR波の有無、ペーシング出力の変化などの情報を送信する必要がある。
【0189】
徐脈又は心停止の治療のために、ペーシング治療と、急性(又は短期)及び長期(又は慢性)MCS装置(LVADなど)を組み合わせる。
【0190】
これは、現在の体外式一時的ペースメーカー(除細動の有無にかかわらず)の適用範囲を拡大し、静脈内又は心外膜ペーシングに加えて経皮ペーシングを提供するためにも使用可能である。これにより、「一刻を争う」及び/又は「一時的ペーシングリードを静脈から挿入できる経験豊富な医師がいない」場合に、緊急(「救命」)ペーシングをより広く使用できるようになる。例えば、これにより、小規模な病院、市民病院、地方病院での一時的ペーシングの使用を拡大し、重度の徐脈(第3級徐脈など)又は心停止、特に失神の患者を適時に支援することができる。ここでのペーシング機能は、(上記のように)自動的に誘発することができるか、又は手動で誘発することができる。
【0191】
上記の機器にペーシング治療を追加することにより、重度の心不全患者の持続性心室不整脈の発症時に、必要に応じてATP治療を提供することも可能である。
【0192】
本実施例における医療機器は、上記のペーシング制御装置を使用し、各患者に適合したペーシング出力を使用してペーシングを行い、適応ペーシング出力をカスタマイズし、異なる患者に対する合理的かつ効果的なペーシングを保証することができ、心臓ペーシング閾値を動的に更新し、より合理的なペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うことができ、重度の徐脈や心停止まで生命を脅かす状態にある患者を対象として、ペーシングが必要な場合にのみ患者のペーシングを行い、患者の生命を支えるための適時かつ効果的なペーシングを実現し、さらに、ペーシング中の患者の心室の応答情報にR波が存在するか否かを適時に監視して、心臓ペーシングの有効性を判定し、無効であると判定した場合、ペーシング出力を適時に調整して、血液循環を提供するために可能な限り迅速に患者のペーシングを行うことを実現し、患者に対するペーシング効果及び患者の体験を大幅に向上させることができる。また、ペーシング又はR波の誘発時にCCM調整を提供し、心臓収縮機能をより良く回復/サポートする。
【0193】
以上、本発明の具体的な実施形態を記述したが、当業者にとって、これらは単なる例示の説明であり、本発明の原理及び実質から逸脱しないという前提下、これらの実施形態に対して様々な変更又は修正をすることができることを理解されたい。そのため、本発明の保護範囲は添付の請求の範囲によって限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓ペーシング閾値の取得装置であって、
初期ペーシング電圧振幅及び/又はパルス幅を含む、初期ペーシング出力をプリセットするためのペーシング出力プリセットモジュールと、
ペーシング試験段階において、患者の心臓の第1実際の心拍数を検出するための心拍数取得モジュールと、
前記第1実際の心拍数に従って、前記第1実際の心拍数より大きい初期ペーシング頻度を決定し、前記初期ペーシング頻度及び前記初期ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うためのペーシングモジュールと、
ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出するための応答情報検出モジュールと、
前記第1応答情報におけるR波の有無に従って、患者に対応する心臓ペーシング閾値を取得するために、現在のペーシング出力を調整するための第1判断モジュールとを含み、
患者の心拍数状態がペーシング条件を満たす場合、前記心臓ペーシング閾値に基づいて、医療機器が出力したプリセットペーシング出力を決定し、前記プリセットペーシング出力は前記心臓ペーシング閾値より大きいことを特徴とする、心臓ペーシング閾値の取得方法。
【請求項2】
前記第1判断モジュールは、前記第1応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、現在のペーシング出力を低減させ、前記ペーシングモジュールを呼び出し、低減したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され
前記応答情報検出モジュールは、ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の前記第1応答情報を検出するために使用され
前記第1判断モジュールは、前記第1応答情報にR波が存在する場合、現在のペーシング出力を低減させ前記ペーシングモジュールを呼び出し、低減したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され、
前記第1判断モジュールはまた、前記第1応答情報にR波が存在しない場合、前回のペーシング出力を患者に対応する前記心臓ペーシング閾値として使用するために使用されることを特徴とする、請求項1に記載の心臓ペーシング閾値の取得装置
【請求項3】
前記第1判断モジュールは、前記第1応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在しない場合、現在のペーシング出力を増加させ、前記ペーシングモジュールを呼び出し、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され
前記応答情報検出モジュールは、ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の前記第1応答情報を検出するために使用され
前記第1判断モジュールはまた、前記第1応答情報にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力を増加させ、前記ペーシングモジュールを呼び出し、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され、
前記第1判断モジュールはまた、前記第1応答情報にR波が存在する場合に、現在のペーシング出力を患者に対応する前記心臓ペーシング閾値として使用するために使用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の心臓ペーシング閾値の取得装置
【請求項4】
前記ペーシングモジュールは、患者のペーシングを行うために、前記医療機器に設定された第1電極対を使用して、前記初期ペーシング出力を送信するために使用され
前記応答情報検出モジュールは、前記医療機器に設定された第2電極対を使用して、現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を感知するために使用され
前記第1電極対が除細動電極である場合、前記第2電極対は感知電極であり、又は、前記第1電極対が感知電極、ペーシング電極又は除細動電極である場合、前記第2電極対は除細動電極であることを特徴とする、請求項に記載の心臓ペーシング閾値の取得装置
【請求項5】
前記第1電極対が除細動電極である場合、前記第1電極は、患者のペーシングを行うために、患者の皮膚に配置されために使用されことを特徴とする、請求項4に記載の心臓ペーシング閾値の取得装置。
【請求項6】
前記ペーシングモジュールは、現在のペーシング出力で第1設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報をスキップした後、第2設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報を拍ごとに取得するために使用され
前記第2設定数以下である第3設定数を超える心室ペーシングの前記第1応答情報にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力が無効であると判定し、現在のペーシング出力を増加させて再度患者のペーシングを行い、現在のペーシング出力で第1設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報をスキップし続けた後、第2設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報を拍ごとに取得することを再実行することと、
前記第2設定数以下である第4設定数を超える心室ペーシングの前記第1応答情報にR波が存在しない場合、現在のペーシング出力が有効であると判定し、現在のペーシング出力を低減させ、低減したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、第1設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報をスキップした後、第2設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報を拍ごとに取得することを再実行し、前記第3設定数以下の心室ペーシングの前記第1応答情報にR波が存在する場合、現在のペーシング出力が無効であると判定し、前回のペーシングが有効であると判定し、前回のペーシングのパルス電圧振幅及び/又はパルス幅を前記心臓ペーシング閾値として使用することと、
そうでない場合、前記心臓ペーシング閾値を取得するまで、前記第2設定数の心室ペーシングの前記第1応答情報を拍ごとに取得し続け、R波の有無を分析することとを含むことを特徴とする、請求項3に記載の心臓ペーシング閾値の取得装置
【請求項7】
異なる前記ペーシング試験段階がプリセットされている場合、前記取得装置は、
各前記ペーシング試験段階で得られた前記心臓ペーシング閾値を個別に取得するための閾値取得モジュールと、
複数の前記心臓ペーシング閾値に基づいて平均値演算又は加重平均値演算を実行して、新しい前記心臓ペーシング閾値を取得するための閾値計算モジュールとをさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の心臓ペーシング閾値の取得装置
【請求項8】
前記取得装置は、
現在の時間情報を取得するための時間情報取得モジュールと
前記現在の時間情報がプリセット期間内にあるか否かを判断し、そうである場合、前記ペーシング試験段階に入ることを決定するための第2判断モジュールとをさらに含み、及び/又は、
前記取得装置は、
患者の身体状態情報を取得するための状態情報取得モジュールと
前記身体状態情報に基づいて患者がプリセット状態にあるか否かを判断し、そうである場合、前記ペーシング試験段階に入ることを決定するための第3判断モジュールとをさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の心臓ペーシング閾値の取得装置
【請求項9】
ペーシング制御装置であって、
患者の心臓の第2実際の心拍数を取得するための心拍数取得モジュールと、
前記第2実際の心拍数が、患者が生命を脅かす状態にあることを示すために使用されるプリセット低心拍数条件を満たすか否かを判断し、この条件を満たす場合、プリセットペーシング頻度及びプリセットペーシング出力を使用して患者の心臓をペーシングするための第4判断モジュールと、
ペーシング動作中の前記プリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報を検出するための応答情報検出モジュールとを含み、第1判断モジュールは、前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続きペーシングモジュールを呼び出し、前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、そうでない場合、前記プリセットペーシング出力が無効であると判定し、前記プリセットペーシング出力を調整して、前記ペーシングモジュールを呼び出し、調整したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、又は、患者に対してペーシング誘発の心筋収縮調整を行うための調整モジュールを含み、又は、前記応答情報検出モジュールは、ペーシング動作中の前記プリセットペーシング出力に対する患者の心室の第2応答情報を検出し、前記第1判断モジュールは、前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断し、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記ペーシングモジュールを呼び出し、前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、調整モジュールを呼び出し、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行うことを特徴とする、ペーシング制御装置。
【請求項10】
前記第1判断モジュールは、現在のペーシング出力を増加させ、前記ペーシングモジュールを呼び出し、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され、
前記応答情報検出モジュールは、ペーシング動作中の現在のペーシング出力に対する患者の心室の第1応答情報を検出するために使用され、
前記第1判断モジュールはまた、前記第2応答情報にR波が存在しない場合に、現在のペーシング出力を再び増加させ、前記ペーシングモジュールを呼び出し、増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用され、
前記第1判断モジュールはまた、前記第2応答情報にR波が存在する場合に、前記ペーシングモジュールを呼び出し、増加した現在のペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、現在のペーシング出力を患者に対応する前記心臓ペーシング閾値として使用するために使用されることを特徴とする、請求項9に記載のペーシング制御。
【請求項11】
前記ペーシングモジュールはまた、前記プリセットペーシング出力を増加させる回数が設定回数より多い場合、及び/又は、前記プリセットペーシング出力を調整する期間が設定期間を超える場合、医療機器の最大ペーシング出力を使用して患者のペーシングを行うために使用されることを特徴とする、請求項9又は10に記載のペーシング制御。
【請求項12】
現在のペーシング出力で、前記応答情報検出モジュールは、各心室ペーシングの前記第2応答情報を拍ごとに取得するために使用され、
前記第1判断モジュールは、各心室ペーシングの前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断するために使用され、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記ペーシングモジュールを呼び出し、前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、
存在しない場合、前記プリセットペーシング出力が無効であると判定し、前記ペーシングモジュールを呼び出し、現在の心拍時間に現在のペーシング出力を増加させ、現在のペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、各心室ペーシングの前記第2応答情報にR波が存在するように有効なペーシング出力を取得するまで、前記応答情報検出モジュールを呼び出し、又は、
現在のペーシング出力で、前記応答情報検出モジュールは、各ペーシング後の前記第2応答情報を拍ごとに取得するために使用され、
前記第1判断モジュールは、各心室ペーシングの前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断するために使用され、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記ペーシングモジュールを呼び出し、前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、前記調整モジュールを呼び出し、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行うことを特徴とする、請求項9に記載のペーシング制御。
【請求項13】
現在のペーシング出力で、前記第1判断モジュールは、第1心室ペーシングの前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断するために使用され、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記ペーシングモジュールを呼び出し、前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、存在しない場合、各心室ペーシングの前記第2応答情報にR波が存在するように有効なペーシング出力を取得するまで、前記ペーシングモジュールを呼び出し、設定期間後に増加したペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、又は、
現在のペーシング出力で、前記第1判断モジュールは、第1心室ペーシングの前記第2応答情報にR波が存在するか否かを判断するために使用され、存在する場合、前記プリセットペーシング出力が有効であると判定し、引き続き前記ペーシングモジュールを呼び出し、前記プリセットペーシング出力を使用して患者のペーシングを行い、前記調整モジュールを呼び出し、患者に対してR波誘発の心筋収縮調整を行うことを特徴とする、請求項9に記載のペーシング制御。
【請求項14】
医療機器であって、請求項9~13の少なくとも一項に記載のペーシング制御装置を含むことを特徴とする、医療機器。
【請求項15】
前記医療機器は、装着型除細動器(WCD)、体外式除細動器、体外式一時的ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)、完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)、又は機械的循環補助装置(MCS)を含むことを特徴とする、請求項14に記載の医療機器。
【国際調査報告】