(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】揮発性物質を放出する容器
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540702
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 EP2021087473
(87)【国際公開番号】W WO2022144297
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522243521
【氏名又は名称】ゾベレ ホールディング エスピーエー
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】モーレイン,セドリック
(72)【発明者】
【氏名】デフロリアン,ステファノ
【テーマコード(参考)】
3E086
【Fターム(参考)】
3E086AA01
3E086AB01
3E086AD24
3E086BA15
3E086BB01
3E086CA29
(57)【要約】
揮発性物質を放出する容器が、揮発性物質を含む液体を収容し、開口部(2)が設けられた容器本体(1)と、容器本体(1)の開口部(2)を閉鎖する多孔質膜(3)と、を備え、多孔質膜(3)は、容器本体(1)内の液体に接触しているときに透明である。本発明は、揮発性物質の放出がなくなったことを非常に簡単な方法でユーザに示すことができる揮発性物質を放出する容器を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性物質を含む液体を収容し、開口部(2)が設けられた容器本体(1)と、
前記容器本体(1)の前記開口部(2)を閉鎖する多孔質膜(3)と、を備える揮発性物質を放出する容器であって、
前記多孔質膜(3)は、前記容器本体(1)内の液体と接触しているときに透明である、容器。
【請求項2】
前記多孔質膜(3)に剥離可能に接続されたバリア層(4)も含む、請求項1に記載の揮発性物質を放出する容器。
【請求項3】
前記多孔質膜(3)が透明であるときに視認されるメッセージ又は模様(7)を含む、請求項1に記載の揮発性物質を放出する容器。
【請求項4】
前記メッセージ又は模様(7)は、前記多孔質膜(3)の一面に印刷されている、請求項3に記載の揮発性物質を放出する容器。
【請求項5】
前記メッセージ又は模様(7)は、印刷支持体(8)上に印刷されている、請求項3に記載の揮発性物質を放出する容器。
【請求項6】
前記印刷支持体(8)は、前記容器本体(1)と前記多孔質膜(3)との間に配置されている、請求項5に記載の揮発性物質を放出する容器。
【請求項7】
前記印刷支持体(8)は、前記多孔質膜(3)と前記バリア層(4)との間に配置されている、請求項5に記載の揮発性物質を放出する容器。
【請求項8】
前記容器本体(1)は、透明である、請求項1に記載の揮発性物質を放出する容器。
【請求項9】
前記容器本体(1)は、液体残渣領域(9,10)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の揮発性物質を放出する容器。
【請求項10】
前記液体残渣領域は、空洞(9)である、請求項9に記載の揮発性物質を放出する容器。
【請求項11】
前記液体残渣領域は、多孔質要素(10)である、請求項9に記載の揮発性物質を放出する容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性物質を放出する容器に関し、この容器は、容器内の液体に接触したときに透明になる多孔質膜を備えている。
【背景技術】
【0002】
揮発性物質を大気中に放出するための膜に基づくデバイスは、何年も前から知られている。
【0003】
これらのデバイスは、多くの場合、熱成形により作られた容器を備え、容器は、蒸気を通過させるが液体は通過させないように、膜により閉鎖されている。膜の上にはバリア層が施されている。このバリア層は、保管中に揮発性物質が外に出ていくのを防ぐもので、ユーザは最初に使用する前にこのバリア層を取り除かなければならない。
【0004】
一般的に市販品は、明確な寿命終了を有する必要がある。これは、製品が使い尽くされたことと、新しいデバイスを使用する必要があることをユーザに伝えるためである。
【0005】
膜は一般的に透明なため、液体は視認することができる。しかし、いずれにせよ、より強力な寿命終了表示が望まれる。その他の場合、多孔質要素が容器内で膜の裏側に存在して芯として機能し、液体を膜の表面に供給し、最大限の蒸発をさせる。このような場合、多孔質要素は液体を隠してしまい、寿命終了表示が損なわれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の1つの目的は、揮発性物質の放出がなくなったことをユーザに非常に簡単な方法で示すことができる揮発性物質を放出する容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による揮発性物質を放出する容器を用いれば、前記欠点を解決することが可能であり、以下に述べるその他の利点も得られる。
【0008】
本発明による揮発性物質を放出する容器は、
-揮発性物質を含む液体を収容し、開口部が設けられた容器本体と、
-前記容器本体の前記開口部を閉鎖する多孔質膜と、を備え、
前記多孔質膜は、前記容器本体内の液体と接触しているときに透明である。
【0009】
前記多孔質膜は、乾燥状態、すなわち液体と接触していない場合は、孔が光を回折させるので不透明である。
【0010】
前記多孔質膜の材料は親油性であるか、又は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン又はUHMPWPE(超高分子量ポリエチレン)などによる親油化処理が施される。
【0011】
さらに、この膜は、油、香料、又は揮発性物質を吸収する能力が50%(重量比)よりも大きい。
【0012】
前記多孔質膜の透明性は、液体が前記膜の孔の内部にあるときに得られる。前記多孔質膜が前記容器本体内の液体と接触していない場合、前記多孔質膜は透明ではなく、例えば不透明である。
【0013】
本発明による容器は、前記多孔質膜に剥離可能に接続されたバリア層も含むこともできる。
【0014】
本発明による揮発性物質を放出する容器は、前記多孔質膜が透明であるときに視認されるメッセージ又は模様(パターン)を含む。
【0015】
前記メッセージや模様は、前記多孔質膜の一面に印刷することができ、及び/又は、印刷支持体上に印刷することができる。
【0016】
前記印刷支持体は、前記容器本体と前記多孔質膜との間、又は、前記多孔質膜と前記バリア層との間に配置することができる。
【0017】
有利には、前記容器本体は、透明である。
【0018】
好ましくは、前記容器本体は、液体残渣領域、例えば、空洞又は多孔質要素を備えている。
【0019】
上記の説明のより良好な理解のために、また、例を提供することのみを目的として、実用的な実施形態を概略的に示す幾つかの非限定的な図面が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による容器の、模様が基板上に印刷されている第1実施形態による立面図である。
【
図2】本発明による容器の、印刷支持体がバリア層と多孔質膜との間に配置されている第2実施形態による立面図である。
【
図3】本発明による容器の、印刷支持体が容器本体と多孔質膜との間に配置されている第3実施形態による立面図である。
【
図4】本発明による容器の、容器が液体で満たされているので完全な模様を視認できる正面斜視図である。
【
図5】本発明による容器の、容器が液体で満たされているので模様を完全に視認できる背面斜視図である。
【
図6】発明による容器の、容器の一部に液体が入っていないので模様が部分的に視認できる背面斜視図である。
【
図7】本発明による容器の、液体残渣領域としての空洞が示されている、第1実施形態による立面図である。
【
図8】本発明による容器の、液体残渣領域としての多孔質要素が示されている、第1実施形態による立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明による揮発性物質を放出する容器は、
-揮発性物質を含む液体を収容する開口部2が設けられた、好ましくは透明な容器本体1と、
-容器本体内に配置された揮発性物質を含む液体に接触しているときに透明になる多孔質膜3と、
-多孔質膜3に剥離可能に接続され、最初の使用前に除去される任意選択的なバリア層4とを、備えている。
【0022】
図1に示されているように、容器本体1は周縁リム5を含み、周縁リムは、多孔質膜3が容器本体1に接合されるシールゾーン6を画成している。
【0023】
メッセージ又は模様7が多孔質膜3の裏側(後ろ側)に配置されるため、メッセージ又は模様7は、膜が透明な場合にのみ視認され得る。
【0024】
本出願において「裏側」とは、ユーザが多孔質膜3を見ることができる位置に関して、多孔質膜3の反対側を意味する。すなわち、
-ユーザが製品を正面から、すなわち容器本体1を通して見ている場合、メッセージは多孔質膜3の外側に配置されることになる。
-ユーザが多孔質膜3の背面しか見ることができない場合は、メッセージは多孔質膜3の内側に配置される。
【0025】
メッセージ又は模様7は、メッセージを多孔質膜3の裏側の面に印刷することにより(
図1の実施形態)、又は、印刷支持体8を配置することにより(
図2及び3の実施形態)作ることができる。
【0026】
さらに、残渣トラップが存在する。多くの場合、最適化されていても、香料は、不揮発性部分(又は、低揮発性の、すなわち、本質的に強度はなく非常にゆっくりと蒸発する部分)を有する。何もしなければ、この非揮発性又は低揮発性部分により、多孔質膜3はこのゼロ又は低蒸発の段階の間は不透明に戻ることが回避される。
【0027】
これを回避するために、液体残渣を収容する領域を容器本体1の内部に配置することができる。この液体残渣領域は、多孔質膜3から分離されている(液体がほぼなくなったときには流体接触していない)必要がある。
【0028】
この液体残渣領域は、空洞9(
図7)又は多孔質要素10(
図8)であり得る。空洞9及び又は多孔質要素10は、
図1~3に示した実施形態のいずれにもあり得ることを指摘しておく必要がある。
【0029】
バリア層4の除去後、液体が蒸発している間、容器本体1は液体で満たされているため、多孔質膜3と液体残渣領域とは流体接触している。
【0030】
より揮発性の高い物質が最初に蒸発していくため、液体の組成は、低揮発性成分の濃度が高くなるように変化していく。或る量の(典型的には90%よりも多くの、理想的には95%よりも多くの)物質が蒸発してしまうと、残渣が液体残渣領域に収容されて、多孔質膜3を透過しなくなる。
【0031】
多孔質膜3内の揮発性物質は、このようにして完全に蒸発し、多孔質膜3は不透明に戻る。
【0032】
さらに、理想的には、多孔質膜3は所定の毛細管特性を有する。多孔質膜1全体を寿命終了まで透明にしておくためには、液体は多孔質膜1全体に拡がらなければならない。そのためには、液体の毛細管上昇が、少なくとも多孔質膜3の鉛直方向の長さに相当することが必要である。
【0033】
容器を初めて使用するとき、ユーザはバリア層4を取り除いて、揮発性物質を多孔質膜3を通して放出できるようにしなければならない。多孔質膜1は液体と接触しているため透明であり、ユーザは、容器が揮発性物質を放出し続けていることを示すメッセージ又は模様7(
図4及び5)を見ることができる。
【0034】
容器内の液体が消費されるにつれて、多孔質膜1はその透明度を徐々に失い(
図6)、完全に不透明になると、ユーザはメッセージ又は模様7を見ることができなくなり、従って、ユーザは液体がなくなったことを知る。
【0035】
本発明の特定の実施形態に関して言及してきたが、当業者には、本明細書に記載した揮発性物質を放出する容器に多数の変更及び修正が可能であり、また、記載された全ての詳細が、添付の特許請求の範囲により定義される保護範囲から逸脱せずに、その他の技術的等価物に置き換えられることが明らかであろう。
【国際調査報告】