(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】グリル装置
(51)【国際特許分類】
A23L 5/10 20160101AFI20240110BHJP
A47J 37/00 20060101ALI20240110BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240110BHJP
A21D 13/42 20170101ALN20240110BHJP
【FI】
A23L5/10 Z
A47J37/00 301
A23L5/00 F
A21D13/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540703
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 CN2021142030
(87)【国際公開番号】W WO2022143649
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】32020022796.7
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523247429
【氏名又は名称】ウォン,ユエン リン ボニー
【氏名又は名称原語表記】WONG, Yuen Ling Bonnie
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,ユエン リン ボニー
【テーマコード(参考)】
4B032
4B035
4B040
【Fターム(参考)】
4B032DB40
4B032DP50
4B035LC16
4B035LE12
4B035LE20
4B035LP12
4B035LP35
4B035LT01
4B035LT11
4B040AA03
4B040AA08
4B040AB04
4B040AC20
4B040AE11
4B040AE13
4B040CA05
4B040CB06
4B040ED01
(57)【要約】
食品の物品、グリル装置、及び食品の物品の製造方法
グリル装置(100)は、食品材料シートを受けるためのレセプタクル(104,104a)を有し、該レセプタクルは、それを通じて食品材料シートがレセプタクル(104,104a)内に配置される上端部(108,108a)と、より小さい下端部(110,110a)と、食品材料シートと接触する/食品材料シートを支持するための内面(114,114a)を有する壁(112)とを有する。グリル装置(100)は、内面(114,114a)の背後に、食品材料シートを内面(114,114a)の形状に対応する形状に加熱してグリル焼きするための加熱要素(106)を備える。レセプタクル(104,104a)は、食品材料シートのグリル焼き中に空気が入ることができるようにするために内面(114,114a)を貫通する通気孔(116,118)を含む。食品の物品及びその製造方法も提供される。食品の物品は、食品材料の第1の層、食品材料の第2の層、及びそれらの層間の充填食品材料のアセンブリを巻き上げることによって形成される壁を伴う本体を有する。巻き上げられたアセンブリは、好ましくはグリル装置(100)を使用して、形状を保持するために加熱される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品要素を保持するための本体を備え、前記本体は、それを通じて前記食品要素を前記本体内に配置できるより大きい開放端部と、より小さい閉鎖端部とを画定する壁を有し、前記壁は、食品材料の第1の層、食品材料の第2の層、及びそれらの層間に配置された充填食品材料のアセンブリを巻き上げて、前記巻き上げられたアセンブリが形状をとるようにするとともに、前記巻き上げられたアセンブリの前記形状を保持するべく前記巻き上げられたアセンブリを加熱することによって形成される、食品の物品。
【請求項2】
前記本体が前記壁から成る、請求項1に記載の食品の物品。
【請求項3】
前記本体が略円錐形状を有する、請求項1又は2に記載の食品の物品。
【請求項4】
前記本体が略円錐台形状を有する、請求項1又は2に記載の食品の物品。
【請求項5】
前記より小さい閉鎖端部は、前記アセンブリの外周の一部を内側に折り曲げることによって形成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の食品の物品。
【請求項6】
前記食品材料の第1の層及び前記食品材料の第2の層のそれぞれの上側外周は、互いに実質的に位置合わせされる、請求項1から5のいずれか一項に記載の食品の物品。
【請求項7】
前記食品材料の第1の層及び前記食品材料の第2の層の少なくとも一方が略円形である、請求項1から6のいずれか一項に記載の食品の物品。
【請求項8】
前記食品材料の第1の層及び前記食品材料の第2の層のうちの一方が略円形であり、他方が扇形である、請求項7に記載の食品の物品。
【請求項9】
前記食品材料の第1の層及び前記食品材料の第2の層が実質的に同じ形状及びサイズを有する、請求項7に記載の食品の物品。
【請求項10】
前記食品材料の第1の層及び前記食品材料の第2の層が調理済み食品材料である、請求項1から9のいずれか一項に記載の食品の物品。
【請求項11】
前記食品材料の第1の層及び前記食品材料の第2の層が調理済み生地である、請求項10に記載の食品の物品。
【請求項12】
前記食品材料の第1の層及び前記食品材料の第2の層が食品材料シートである、請求項11に記載の食品の物品。
【請求項13】
前記巻き上げられたアセンブリが比較的柔らかく、前記壁が比較的硬い、請求項1から12のいずれか一項に記載の食品の物品。
【請求項14】
前記充填食品材料が、前記食品材料の第1の層と前記食品材料の第2の層との間の空間の実質的に全体を占める、請求項1から13のいずれか一項に記載の食品の物品。
【請求項15】
前記充填食品材料が、前記食品材料の第1の層及び前記食品材料の第2の層とは異なる、請求項1から14のいずれか一項に記載の食品の物品。
【請求項16】
前記充填食品材料が溶融可能な食品材料である、請求項1から15のいずれか一項に記載の食品の物品。
【請求項17】
食品材料シートを用いて食品を調製するためのグリル装置において、前記食品材料シートを受けるレセプタクルであって、それを通じて前記食品材料シートを前記レセプタクル内に配置できる上端部と、前記上端部よりも小さい下端部と、前記上端部と前記下端部とにわたって延びる内面を有するとともに前記レセプタクル内に配置された前記食品材料シートと接触して前記食品材料シートを支持するように配置される壁とを有する、レセプタクルと、前記内面に隣接して前記内面の背後に設けられて、前記レセプタクルの内側に配置された前記食品材料シートに前記内面を通じて熱を加え、それにより、前記食品材料シートを前記内面の形状に対応する形状に合わせてグリル焼きする加熱要素とを備え、前記レセプタクルは、前記食品材料シートのグリル焼き中に外部から空気が前記レセプタクル内に入ることができるように前記内面を貫通する通気孔を含む、グリル装置。
【請求項18】
前記通気孔が前記レセプタクルの前記下端部に隣接して設けられる、請求項17に記載のグリル装置。
【請求項19】
前記通気孔が前記レセプタクルの前記壁を貫通する開口部を備える、請求項18に記載のグリル装置。
【請求項20】
前記通気孔が前記レセプタクルの前記内面の少なくとも一部上及び少なくとも一部に沿って延在する、請求項17に記載のグリル装置。
【請求項21】
前記通気孔は、前記レセプタクルの前記上端部と前記下端部との間まで延在する少なくとも1つのチャネルを備える、請求項20に記載のグリル装置。
【請求項22】
前記通気孔は、互いに規則的に離間される複数の前記チャネルを備える、請求項21に記載のグリル装置。
【請求項23】
前記内面は、前記レセプタクルの前記上端部と前記下端部とにわたって直線的に延在する、請求項17から22のいずれか一項に記載のグリル装置。
【請求項24】
前記レセプタクルが略逆円錐形状を有する、請求項23に記載のグリル装置。
【請求項25】
前記レセプタクルが逆円錐台形状を有する、請求項24に記載のグリル装置。
【請求項26】
前記加熱要素が前記レセプタクルの周囲で延在する、請求項17から25のいずれか一項に記載のグリル装置。
【請求項27】
前記加熱要素が螺旋状である、請求項26に記載のグリル装置。
【請求項28】
前記食品材料シートを前記レセプタクルの内面に当接させる力を及ぼすことによってこれらの間の接触を維持するために前記レセプタクルに挿入できるようになっている押圧体を含む、請求項17から27のいずれか一項に記載のグリル装置。
【請求項29】
前記押圧体は、前記レセプタクルの形状及びサイズに対して相補的な形状及びサイズの本体を有する、請求項28に記載のグリル装置。
【請求項30】
前記本体が略逆円錐形状を有する、請求項29に記載のグリル装置。
【請求項31】
前記本体が逆円錐台形状を有する、請求項30に記載のグリル装置。
【請求項32】
前記押圧体は、前記本体に接続されて前記本体の長手方向軸に沿って延びるハンドルを含む、請求項29から31のいずれか一項に記載のグリル装置。
【請求項33】
前記本体が金属から形成される、請求項32に記載のグリル装置。
【請求項34】
前記ハンドルが非金属から形成される、請求項32又は33に記載のグリル装置。
【請求項35】
前記本体は、外面が開放された中空構造である、請求項29から34のいずれか一項に記載のグリル装置。
【請求項36】
前記本体は、前記本体の中心軸から延びる複数の突出部を備える、請求項29から35のいずれか一項に記載のグリル装置。
【請求項37】
前記複数の突出部がフィンの形態を成す、請求項36に記載のグリル装置。
【請求項38】
各フィンが中実である、請求項37に記載のグリル装置。
【請求項39】
各フィンがワイヤによって形成される、請求項37に記載のグリル装置。
【請求項40】
前記本体がケージの形態を成す、請求項29から39のいずれか一項に記載のグリル装置。
【請求項41】
前記本体は、その外周上及びその外周にわたって、前記本体の両側の端部のほぼ全体にわたって延在する複数の縁部を含む、請求項29から40のいずれか一項に記載のグリル装置。
【請求項42】
前記縁部は、前記本体の両側の端部の全体にわたって直線的に延在する、請求項41に記載のグリル装置。
【請求項43】
前記レセプタクルが設けられるハウジングを更に備える、請求項17から42のいずれか一項に記載のグリル装置。
【請求項44】
複数の前記レセプタクル及びそれぞれの加熱要素を含み、その上端部が前記ハウジングの上面に配置される、請求項43に記載のグリル装置。
【請求項45】
請求項1から16のいずれか一項に記載の食品の物品を製造する方法であって、前記食品材料の第1の層、前記食品材料の第2の層、及びそれらの層間に配置された前記充填食品材料の前記アセンブリを巻き上げるステップと、前記巻き上げられたアセンブリを請求項17から44のいずれか一項に記載のグリル装置の前記レセプタクル内に配置し、それにより、前記食品の物品を形成するべく前記巻き上げられたアセンブリが加熱されるステップとを含む方法。
【請求項46】
前記アセンブリを巻き上げる前記ステップは、前記充填食品材料を前記食品材料の第1の層と前記食品材料の第2の層との間に配置して前記アセンブリを形成するステップと、その後、順序に関係なく、前記アセンブリの側面を内側に折り曲げるステップと、両側の側面間で前記アセンブリの外周の一部を内側に折り曲げるステップと、反対側の側面を内側に折り曲げ、それにより、前記より小さい閉鎖端部を伴う前記アセンブリを形成するステップとを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記グリル装置の押圧体を前記レセプタクルに挿入して前記巻き上げられたアセンブリを前記レセプタクルの前記内面に当接させる力を及ぼすことによってグリル焼きのためにそれらの間の接触を維持するステップを更に含む、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
前記レセプタクルに前記押圧体を挿入する前に前記押圧体を予熱するステップを更に含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記押圧体を予熱する前記ステップは、予熱のために前記押圧体を前記レセプタクルに挿入するステップを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記押圧体を前記レセプタクルに挿入する前記ステップの後、前記巻き上げられたアセンブリを前記レセプタクル内に配置する前記ステップの前に、前記方法は、前記予熱された押圧体を前記レセプタクルから除去するステップを更に含み、前記巻き上げられたアセンブリを前記レセプタクル内に配置する前記ステップの後、前記方法は、前記巻き上げられたアセンブリを前記レセプタクルの前記内面に当接させる力を及ぼすために前記予熱された押圧体を前記レセプタクルに再挿入し、それにより、グリル焼きのために前記食品材料の第1及び第2の層と前記レセプタクルの前記内面及び前記押圧体の外面のそれぞれとの接触を維持するステップを更に含む、請求項49に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリル装置に関し、特に、排他的ではないが、食品材料シートを使用して食品を調製するためのグリル装置に関する。また、本発明は、食品の物品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリル装置は、通常、生の食品、例えばステーキを調理するため、又は調理済みの食品、例えばパニーニを温めるために使用される。例えば、グリル装置は、温かいトルティーヤラップのための調製において使用することができる。一般に、まず、トルティーヤをグリル上に平らに置いて加熱する。次いで、充填物が平坦な加熱されたトルティーヤ上に置かれ、トルティーヤが、折り曲げられて巻き上げられ、充填物を封入し、トルティーヤラップとして使用される。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、食品の物品が提供され、該食品の物品は、食品要素を保持するための本体を備え、本体は、それを通じて食品要素を本体内に配置できるより大きい開放端部と、より小さい閉鎖端部とを画定する壁を有する。壁は、食品材料の第1の層、食品材料の第2の層、及びそれらの層間に配置された充填食品材料のアセンブリを巻き上げて、巻き上げられたアセンブリが形状をとるようにするとともに、巻き上げられたアセンブリの形状を保持するべく巻き上げられたアセンブリを加熱することによって形成される。
【0004】
本体は壁から成ってもよい。本体は略円錐形状を有してもよい。或いは、本体は略円錐台形状を有してもよい。
【0005】
より小さい閉鎖端部は、アセンブリの外周の一部を内側に折り曲げることによって形成されてもよい。
【0006】
食品材料の第1の層及び食品材料の第2の層のそれぞれの上側外周は、互いに実質的に位置合わせされてもよい。
【0007】
食品材料の第1の層及び食品材料の第2の層の少なくとも一方は略円形であってもよい。或いは、食品材料の第1の層及び食品材料の第2の層の一方は略円形であり、他方は扇形である。
【0008】
食品材料の第1の層及び食品材料の第2の層は実質的に同じ形状及びサイズを有してもよい。
【0009】
食品材料の第1の層及び食品材料の第2の層は、調理済み食品材料であってもよい。食品材料の第1の層及び食品材料の第2の層は、調理済み生地、例えば食品材料シートであってもよい。
【0010】
巻き上げられたアセンブリは比較的柔らかくてもよく、壁は比較的硬くてもよい。
【0011】
充填食品材料は、食品材料の第1の層と食品材料の第2の層との間の空間の実質的に全体を占めてもよい。
【0012】
充填食品材料は、食品材料の第1の層及び食品材料の第2の層とは異なっていてもよい。充填食品材料は溶融可能な食品材料であってもよい。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、食品材料シートを用いて食品を調製するためのグリル装置が提供され、該グリル装置は、前記食品材料シートを受けるためのレセプタクルを含み、レセプタクルは、それを通じて前記食品材料シートをレセプタクル内に配置できる上端部と、上端部よりも小さい下端部と、上端部と下端部とにわたって延びる内面を有するとともにレセプタクル内に配置された前記食品材料シートと接触して食品材料シートを支持するように配置される壁とを有する。また、グリル装置は、内面に隣接して内面の背後に設けられて、レセプタクルの内側に配置された前記食品材料シートに内面を通じて熱を加え、それにより、前記食品材料シートを内面の形状に対応する形状に合わせてグリル焼きする加熱要素も備える。レセプタクルは、前記食品材料シートのグリル焼き中に外部から空気がレセプタクル内に入ることができるように内面を貫通する通気孔を含む。
【0014】
通気孔は、レセプタクルの下端部に隣接して設けられてもよい。通気孔は、レセプタクルの壁を貫通する開口部を備えてもよい。
【0015】
或いは、通気孔は、レセプタクルの内面の少なくとも一部上及び少なくとも一部に沿って延在してもよい。通気孔は、レセプタクルの上端部と下端部との間まで延在する少なくとも1つのチャネルを備えてもよい。複数の前記チャネルが互いに規則的に離間されてもよい。
【0016】
内面は、レセプタクルの上端部と下端部とにわたって直線的に延在してもよい。レセプタクルは、略逆円錐形状、例えば逆円錐台形状を有してもよい。
【0017】
加熱要素がレセプタクルの周囲で延在してもよい。任意選択的に、加熱要素が螺旋状であってもよい。
【0018】
グリル装置は、レセプタクルの内面に前記食品材料シートを当接させる力を及ぼすことによってこれらの間の接触を維持するためにレセプタクルに挿入できるようになっている押圧体を更に含んでもよい。押圧体は、レセプタクルの形状及びサイズに対して相補的な形状及びサイズの本体を有してもよい。本体は、略逆円錐形状、例えば逆円錐台形状を有してもよい。
【0019】
任意選択的に、押圧体は、本体に接続されて本体の長手方向軸に沿って延びるハンドルを含む。本体は金属から形成されてもよく、ハンドルは非金属から形成されてもよい。
【0020】
本体は、通気性表面を有する開放した外面を伴う中空構造であってもよい。
【0021】
本体は、本体の中心軸から延びる複数の突出部を備えてもよい。複数の突出部がフィンの形態を成してもよい。各フィンは中実であってもよく、又は各フィンは中空であってワイヤにより形成されてもよい。任意選択的に、本体はケージの形態を成す。
【0022】
好ましくは、本体は、その外周上及びその外周にわたって、本体の両側の端部のほぼ全体にわたって延在する複数の縁部を含む。
【0023】
より好ましくは、縁部は、本体の両側の端部の全体にわたって直線的に延在する。
【0024】
グリル装置は、レセプタクルが内部に設けられるハウジングを更に備えてもよい。任意選択的に、グリル装置は、複数の前記レセプタクル及びそれぞれの加熱要素を含み、その上端部がハウジングの上面に配置される。
【0025】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様に係る食品の物品を製造する方法が提供され、該方法は、食品材料の第1の層、食品材料の第2の層、及びそれらの層間に配置された充填食品材料のアセンブリを巻き上げるステップと、巻き上げられたアセンブリをグリル装置のレセプタクル内に配置し、それにより、食品の物品を形成するべく巻き上げられたアセンブリが加熱される、ステップとを含む。この形態のグリル装置は、第2の形態に係るグリル装置であってもよい。
【0026】
アセンブリを巻き上げるステップは、充填食品材料を食品材料の第1の層と食品材料の第2の層との間に配置してアセンブリを形成するステップと、その後、順序に関係なく、アセンブリの側面を内側に折り曲げるステップと、両側の側面間でアセンブリの外周の一部を内側に折り曲げるステップと、反対側の側面を内側に折り曲げ、それにより、より小さい閉鎖端部を伴うアセンブリを形成するステップとを含んでもよい。
【0027】
方法は、グリル装置の押圧体をレセプタクルに挿入して巻き上げられたアセンブリをレセプタクルの内面に当接させる力を及ぼすことによってグリル焼きのためにそれらの間の接触を維持するステップを更に含んでもよい。
【0028】
方法は、レセプタクルに押圧体を挿入する前に押圧体を予熱するステップを更に含んでもよい。
【0029】
押圧体を予熱するステップは、予熱のために押圧体をレセプタクルに挿入するステップを含んでもよい。
【0030】
押圧体をレセプタクルに挿入するステップの後、巻き上げられたアセンブリをレセプタクル内に配置するステップの前に、方法は、予熱された押圧体をレセプタクルから除去するステップを更に含んでもよい。巻き上げられたアセンブリをレセプタクル内に配置するステップの後、方法は、巻き上げられたアセンブリをレセプタクルの内面に当接させる力を及ぼすために予熱された押圧体をレセプタクルに再挿入し、それにより、グリル焼きのために食品材料の第1及び第2の層とレセプタクルの内面及び押圧体の外面のそれぞれとの接触を維持するステップを更に含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
ここで、添付図面を参照して、本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【
図1】本発明の一実施形態に係るグリル装置の正面図である。
【
図3】一部分が除去された
図1の線3-3に沿う、
図1のグリル装置の断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るグリル装置のレセプタクルの上面図である。
【
図5】
図4の線5-5に沿う、
図3のレセプタクルの断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るグリル装置の押圧体の側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るグリル装置の押圧体の斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るグリル装置の押圧体の斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係るグリル装置の押圧体の斜視図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る押圧体及び多層トルティーヤが内部に配置された
図1のグリル装置の断面図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る単層の巻き上げられたトルティーヤを形成する方法を示すフローチャートである。
【
図16】本発明の一実施形態に係る多層の巻き上げられたトルティーヤを形成する方法を示すフローチャートである。
【
図17】本発明の一実施形態に係る多層の巻き上げられたトルティーヤを形成する方法を示すフローチャートである。
【
図18】本発明の一実施形態に係る多層の巻き上げられたトルティーヤを示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1~
図14は、本発明の一実施形態に係る単一の食品材料シート又は複数の食品材料シートを使用して食品を調製するためのグリル装置100を示す。グリル装置100は、食品材料シートを加熱調理するだけでなく、食品材料シートの形状(すなわち、成形)を支持・維持することもできる。食品材料シートは、トルティーヤラップを作るためのトルティーヤ等の平らな調理済み生地であってもよい。サラダの葉又は肉などの充填物を伴うトルティーヤラップを調製するために、グリル焼きされたトルティーヤは、そのような充填物を保持してトルティーヤから落下しないようにできる形状及び構造を有することが望ましく、すなわち、充填物は、閉鎖端部又は底部を伴うレセプタクルの形態であるトルティーヤによって包まれる。好ましくは、トルティーヤは、グリル装置によってグリル焼きされる前に巻き上げられる。
【0033】
例示的な一実施形態において、グリル装置100は、充填物を保持するためにトルティーヤを更に巻くことを必要とせずに、充填物がコーンの内側に置かれた直後にトルティーヤラップを提供することができるように、その下端部が閉じられたソフトトルティーヤを使用して逆円錐台形状のトルティーヤラップを調製するために使用される。
【0034】
グリル装置100は、ハウジング102と、ハウジング102に受けられて固定された複数のレセプタクル104と、各レセプタクル104に隣接して設けられたそれぞれの加熱要素106とを含む。各レセプタクル104は、上側環状開放端部108と、下側環状開放端部110と、上端部108と下端部110とにわたって直線的に延在する滑らかな内面114を伴う壁112とを有し、下端部110は上端部108よりも小さい。言い換えれば、レセプタクル104は、上端部108に開口又は通気孔116を伴い、下端部110に他の開口又は通気孔118を伴う逆円錐台形状を有する。
【0035】
レセプタクル104の上端部108は、レセプタクル104の上端部108が周囲に開口するように、ハウジング102の上側開放面120上に配置され、それにより、トルティーヤを受けてレセプタクル104内に配置することができる。壁112の内面114は、レセプタクル104の内側に配置されたトルティーヤと接触してこれを支持するように配置される。上端部及び下端部108,110の両方の通気孔116,118は、一般的に述べると、トルティーヤのグリル焼き中に外部から空気がレセプタクル104に入ることができるようにするために、壁112の内面114を貫通する開口部として設けられる。この実施形態において、レセプタクル104は、2つの開口、すなわち、通気孔116及び118のみを含む。更に、下端部110の通気孔118は、加熱/グリル焼き中にトルティーヤからの水分をレセプタクル104から運び去る効率的な対流を可能にし、それによって、水分がレセプタクル104内又はトルティーヤ自体の中に閉じ込められることを防止し、そうでなければ望ましくない湿ったトルティーヤをもたらす。好ましくは、下端部110は、トルティーヤをレセプタクル104内に保持するのに十分に小さくなければならない。逆円錐台形状、具体的にはより大きい上端部108及びより小さい下端部110は、トルティーヤをレセプタクル104に容易に挿入してレセプタクル104によって良好に支持することを可能にする。
【0036】
図3を参照すると、各加熱要素106は、レセプタクル104の内面114の背後に設けられる。具体的には、加熱要素106は、レセプタクル104の外面122の周囲に螺旋状に延在し、レセプタクル104の上端部108に向かって一回転ごとに直径が増加する。そのような配置は、内面114を介してトルティーヤに熱を均一に加えることができるようにし、それにより、柔らかいトルティーヤを内面114の形状に対応する逆円錐台形状にグリル焼きし、潜在的に硬化させてカリカリにする。図示の加熱要素106は、別個のコントローラ128を使用して個別に動作させることができる。
【0037】
図示の実施形態において、ハウジング102は、アクチュエータ124、インジケータ126、及びそれぞれが1つのアクチュエータ124と1つのインジケータ126との間に動作可能に接続されるコントローラ128を含む、グリル装置100の動作を制御するための異なる電気部品も収容する。
図3に示されるように、グリル装置100は、電気部品を介して加熱要素106に電力を供給するAC電源に接続される。各アクチュエータ124は、加熱要素106の動作を制御するために、例えば加熱要素106をオン及びオフにするために、ユーザによって作動されるようにダイヤルの形態で構成される。各インジケータ126は、ユーザによるアクチュエータ124の作動に応じて、加熱要素106のオン/オフ状態を示すように構成される。図示の実施形態において、インジケータ126は、例えば、加熱要素106がオンであるときにオンになり、加熱要素106がオフであるときにオフになるように構成された照明要素を含む。
【0038】
また、電気部品は、レセプタクル104の温度を検出するためにそれぞれのレセプタクル104の上端部108に結合又は取り付けられた測温抵抗体(RTD)などのそれぞれの温度センサ130も含む。また、温度センサ130は、コントローラ128にも動作可能に接続されている。例えば、温度センサ130は、レセプタクル104が所望の温度に達する又は過熱していることを検出し、次いでコントローラ128に信号を送信することができ、コントローラは加熱要素106をオフに制御する。
【0039】
図4及び
図5は、別の実施形態に係るレセプタクル104aを示す。また、レセプタクル104aは、ハウジング102内に収容されてもよい。以下の説明は、主に、前述したレセプタクル104の構造及び特徴とは異なるレセプタクル104aの構造及び特徴に焦点を当て、同等の部分には同じ参照番号に文字「a」が付されている。
【0040】
レセプタクル104aの内面114aは、複数の溝によって画定されて内面114a上及び内面114aに沿ってレセプタクル104aの上端部108aと下端部110aとの間まで直線的に延在する、特にレセプタクル104aの傾斜した高さ全体に及ぶ、チャネル132として構成された複数の通気孔を含む。チャネル132は、互いに規則的に離間しており、下端部110aの開口部に加えて水分が逃げるための経路を与える。トルティーヤのグリル焼き中、トルティーヤから、特にその下側から発せられた水分又は水蒸気は、チャネル132を通ってそれに沿って対流下で上昇することが容易になり、空気は、下方から下端部110aを通って引き込まれ、その後、上端部108aから出る。
【0041】
巻き上げられたトルティーヤは、グリルで焼くとその形状又は構造を変えることがあり、例えば、収縮することがある。したがって、トルティーヤの形状及び構造をより良好に維持し、特に、トルティーヤをレセプタクル104/104aの内面114、114aに対して保持するために、グリル装置100には、押圧体、例えば、
図6~
図14の押圧体134a~134eのいずれか1つが更に設けられる。一般に、好ましくは、押圧体は、レセプタクル104/104aの形状及びサイズに対して相補的な形状及びサイズ、すなわち、同様のサイズを有する逆円錐台形状を伴う本体を有する。押圧体は、レセプタクル104/104aの内面114、114aにトルティーヤを当接させる力を及ぼし、それによってそれらの間の接触を維持して、巻き上げられたトルティーヤの逆円錐台形状を維持するために、グリル焼き中にレセプタクル104/104aに挿入できるようになっている。
【0042】
図6は、本発明の一実施形態に係る押圧体134aを示す。押圧体134aは、逆円錐台形の中実本体136aと、本体136aと一体に形成されて本体136aの長手方向軸Aに沿って延びるハンドル138aとを含む。ハンドル138a及び本体136aは、押圧体134aを使用する又は押圧体134aをレセプタクル104/104aから除去するときにユーザを保護するために木材などの断熱材料で作られてもよい。中実本体136aは、トルティーヤとレセプタクル104/104aの内面114、114aとのより良好な接触を達成するのを助け、したがって熱をトルティーヤに均一に分配することを可能にする。
【0043】
図7~
図9は、本発明の別の実施形態に係る押圧体134bを示す。押圧体134bは、ハンドル138bと、開放面140bを伴う中空構造を有してハンドル138bに接続された逆円錐台形の本体136bとを含む。開放面140bは、本体136bの最も外側から本体136bの最も内側、すなわちハンドル138bを接続する部分までの間を通じて延びる空間を含む通気性表面として構成される。押圧体134bの寿命を延ばすために、ハンドル138bは断熱材料又は非金属(例えば、木材、プラスチック、ナイロンなど)で作られてもよく、一方、本体136bは金属(例えば、ステンレス鋼)などの熱伝導性で耐久性のある材料で作られてもよい。本体136bは、中両端部がハンドル138bから及び本体136bの中心軸Bから延在する中実のフィン142bの形態の複数の突出部を含み、中心軸Bは、本体136bの長さに沿って中心に且つハンドルの長手方向軸Aと同軸に配置される。フィン142bは、レセプタクル104/104aの逆円錐台形状の径方向にとられた傾斜高さと実質的に同じ傾斜高さを有する。フィン142bは、水蒸気がトルティーヤの内側から逃げるため更なる経路を隣接するフィン142b間に設けることによって水分除去を更に容易にする。
【0044】
図10~
図12Bは、本発明の更に他の別の実施形態に係る押圧体134cを示す。押圧体134cも、フィン142cと水分除去を容易にする開放面140cを有する中空構造とが押圧体134cに設けられている点で、押圧体134bと同様である。同様に、ハンドル138cは非金属製であってもよく、本体136cは金属製であってもよい。本実施形態では、フィン142cはそれぞれ細いワイヤによって形成される。フィン142cは、一方の端部が、ハンドル138cの端部に接続されるとともに中心軸Bを中心としてハンドル138cの端部から外側に延在し、他方の端部が、中心軸Bに向かって内側に延在するとともに隣接するワイヤのそれぞれの端部に接続され、したがって鳥かご状構造を形成する。鳥かご状構造は、蒸気を更に逃がしやすくする開放下端部144を有する。更に、ワイヤの比較的高密度の配置は、レセプタクル104/104aの内面114、114aに対するトルティーヤの接触面積を増大させ、したがってトルティーヤに対する圧力を増大させ、より良好なグリル焼きを達成する。
【0045】
図13は、本発明の更に他の別の実施形態に係る押圧体134dを示す。押圧体134dも、押圧体134dの本体136dが鳥かご状構造を有する点で、押圧体134cと同様である。しかしながら、押圧体134dの鳥かご状構造は、細いワイヤで形成された鳥かご状構造ではなく、略E型のフィン142dで形成される。押圧体134bと同様に、E字型のフィン142dの3つの歯は、ハンドル138dから及び本体136dの中心軸Bから延在し、中心軸Bは、本体136bの長さに沿って中心に且つハンドルの長手方向軸Aと同軸に配置される。このように、各フィン142dの歯とハンドル138dとの間の凹部間には隙間が形成され、したがって、水分が流通可能となっている。フィン142dは、レセプタクル104/104aの逆円錐台形状の径方向にとられた傾斜高さと実質的に同じ傾斜高さを有する。
【0046】
押圧体134b、134c、134dのそれぞれは、その円錐形の外周上及び外周にわたって、本体136b、136c、136dの両側の端部のほぼ全体にわたって延びる複数の縁部を含む。そのような縁部は、押圧体134bにおけるフィン142bの最も外側の傾斜した縁部、又は押圧体134cのワイヤ(フィン142cを形成する)によって又は押圧体134dの略E字型のフィン142dによって与えられる外周縁部である。これらの縁部は、本体136b、136c、136dの両側の端部の全体にわたって直線的に延在する。外周に設けられる又は与えられている間、縁部は、押圧体134b、134c、134dがトルティーヤに接触して押圧する場所であり、それらはトルティーヤへの突出部であるために集中力を加え、それによってグリル焼きされたトルティーヤの内面にそれぞれの折り曲げ線を形成する。
【0047】
そのような折り曲げ線が存在することにより、トルティーヤラップ(食品を含む)は、ラップの完全性を維持しながら、すなわち破断又は亀裂を生じることなく、折り曲げ線の周りで折り曲げ線に沿って容易に折り畳むことができ、それにより、ラップは、口に入れるのを容易にするために人によってより平らな又はより薄い形態に絞ることができる。
【0048】
グリル装置100は、多層トルティーヤを調製するために使用することもできる。多層トルティーヤが厚い場合、例えば、2枚のトルティーヤシートの間に食品充填材料としてハム及び卵を含む場合、レセプタクル104/104aと同様の形状及びサイズを有する前述の押圧体134a~134dは、レセプタクル104/104aに挿入することが困難であり得る。
【0049】
図14は、厚い多層トルティーヤと共に使用するように設計される本発明の更に他の別の実施形態として、レセプタクル104(又はレセプタクル104a)に挿入されている押圧体134eを示す。押圧体134a~134dとは異なり、レセプタクル104の形状及びサイズに対して相補的な形状及びサイズを有する代わりに、押圧体134eは、長尺な本体136eと、ハンドル138eと、ハンドル138eと本体136eとの間から外側に延在する略円形のフランジ133eとを有する。図示の実施形態では、本体136e及びフランジ133eが一体的に形成されている。長尺な本体136eは、レセプタクル104/104aに挿入されると、レセプタクル104/104aの内面から離間され、それにより、厚い多層トルティーヤのために十分な空間が提供される。フランジ133eは、その外周に幾つかの開口141eを有し、それにより、押圧体134eがレセプタクル104/104a内に配置されると、フランジ133eは、グリル焼き中に水分を逃がすための開口を残しながら、レセプタクル104/104aの上端部108、108aを実質的に覆う。
【0050】
2つのトルティーヤ137e,139e間に充填食品材料135eを有する多層トルティーヤがグリル焼きのためにレセプタクル104/104a内に配置される際、及びそこに押圧体134eが挿入される際、長尺な本体136eの表面が内側トルティーヤ139eと接触してこれに力を及ぼす。押圧体134eとトルティーヤのためのレセプタクル104/104aの内面との間に十分な空間を設けることにより、長尺な本体136eは、押圧体134a~dのものと比較して、多層トルティーヤを過剰に押圧すること、したがって2つのトルティーヤ137e、139e間から充填食品材料135eが過剰に流れることを回避する。
【0051】
好ましい実施形態において、押圧体134a~134eは、トルティーヤのグリル焼き中に使用される前に予熱され、それにより、その後、加熱要素106によって加熱されているレセプタクル104/104aがトルティーヤの外側をグリル焼きするために使用される間に、トルティーヤの内側に直接熱を加える(すなわち、グリル焼きする)ために使用され得る。
【0052】
図15は、円形トルティーヤ402aを折り曲げて又は巻き上げて単層の巻き上げトルティーヤを形成する例示的な方法400aを示す。まず、トルティーヤ402aの一方の側面(例えば、左セクション)は、トルティーヤ402aの下端部404aと交差する弦を含む軸Cに沿ってトルティーヤ402aの中心又は本体に向かって内側に折り曲げられる。次に、反対側の側面間の外周の小さな部分を含む下端部404aは、内側に、トルティーヤ402aの中心に向かって折り曲げられて、より小さい閉鎖端部を形成する。次に、トルティーヤ402aの反対側の側面(例えば、右セクション)は、軸Cと同じ下端部404aとも交差する別の弦を含む軸Dに沿って内側に折り曲げられ、それにより、結果として得られるトルティーヤは、三次元的に拡張されると、レセプタクル104/104aの逆円錐台形状に対応する、下端が閉じた逆円錐台形状を有する。図示された一連の折り曲げにより、結果として得られるトルティーヤを、充填物を収容するのに十分広く膨張させることができる。
【0053】
図16及び
図17は、食品材料の2つの層とこれらの層間に挟まれた充填食品材料とのアセンブリを例えば360°にわたって巻き上げることによってより小さい閉鎖端部を有する多層巻き上げトルティーヤを調製して形成する例示的な方法400b、400cを示す。第1及び第2の層は、同じ種類のトルティーヤなどの同じ種類の食品材料であってもよい。充填食品材料は、第1及び第2の層の食品材料と同じであってもよく、又は好ましくは異なっていてもよく、特にチーズ、又はハム又は卵などの溶融可能又は非溶融可能な食品材料であってもよい。
【0054】
図16に示される例では、最初に、食品材料の第1の層、例えば、トルティーヤ402bと、充填食品材料、例えば、チーズ(図示せず)と、食品材料の第2の層、例えば、トルティーヤ403bとを順次積層することによってアセンブリが調製され、第2の層は、第1の層と同様の形状(例えば、略円形)を有するが、第1の層と比較してわずかに小さいサイズを有する。第2のトルティーヤ403bは、両方のトルティーヤ402b、403bの上側外周がほぼ位置合わせされるように、充填食品材料及び第1のトルティーヤ402bの上に積み重ねられる。そのような位置合わせは、結果として得られる巻き上げられたアセンブリが、2つのトルティーヤ402b、403b間に均一に分配された充填食品材料でほぼ均一な厚さを有することを可能にする。折り曲げ又は巻き上げの残りのプロセスは、
図15に示される方法400aのプロセスと同様であり、重なり合うトルティーヤの両側面及び下端部が内側に折り曲げられ、したがって、ここでは繰り返さない。巻き上げられた状態では、第1のトルティーヤ402bが外層となり、第2のトルティーヤ403bが内層となる。
【0055】
図17に示される例は、第2の層403cが略円形ではなく扇形にされていることを除いて、
図16の例と同様である。扇形のトルティーヤ403cは、円形のトルティーヤから、第2の層403cが第1の層402cよりもわずかに小さくなるように切り出される。
図17に示されるように、扇形は、一般に逆等セル台形であり、その長い方の底辺は円弧である。アセンブリを形成するために、扇形のトルティーヤ403cのサイズ及び形状のステンシルが最初に第1のトルティーヤ402cの上に配置される。次に、充填食品材料が、第1のトルティーヤ402cの露出領域上に且つその上にのみ配置される。ステンシルを除去した後、扇形のトルティーヤ403cを充填食品材料の上に置き、それによって、充填食品材料が2つのトルティーヤ402c、403c間に挟まれたアセンブリを形成する。第2のトルティーヤ403cは、2つのトルティーヤ402c、403cの上側外周、すなわち扇形の第2のトルティーヤ403cの円弧と第1のトルティーヤ402cの上側外周とがほぼ位置合わせされ、第1のトルティーヤ402cの略U字型の下側外周部分が露出したままになるように位置される。巻き上げられた後の露出した外周部分は、巻き上げられたアセンブリの壁におけるトルティーヤ層の重なり合いを減らすのに役立ち、したがって、その厚さを最小限に抑え、より良好な食感を達成する。折り曲げ又は巻き上げの残りのプロセスは、
図15に示される方法400aのプロセスと同様であり、トルティーヤの両側面及び下端部が内側に折り曲げられ、したがって、ここでは繰り返さない。
【0056】
好ましい実施形態において、アセンブリを巻き上げるステップは、食品材料トルティーヤの形状及びサイズ、折り曲げ線などの表示でマークアップされた表面、例えばキッチンボード上で実行されて、巻き上げられたアセンブリの整然と且つ均一な厚さでの調製を容易にすることができる。
【0057】
図示された実施形態において、軸C、Dは、単層又は多層トルティーヤの円形形状を、ほぼ同じサイズを有する3つの、すなわち、左セクション、中央セクション及び右セクションに分割し、それにより、左セクション及び右セクションは、互いに折り曲げられ、レセプタクルを形成するために十分に重なり合うことができる。次いで、結果として得られる折り曲げられた又は巻き上げられたトルティーヤを膨張させ、グリル焼きのためにグリル装置100のレセプタクル104の上端部108、108aを介してレセプタクル/104aに挿入する。
【0058】
図18は、例えば方法400b又は400cを使用して形成される、略円錐形状を有する多層の巻き上げトルティーヤの例を示す。トルティーヤは、グリル装置100を使用してグリル焼きされ、それによってその形状を保持し、カリカリとなることができる。多層の巻き上げトルティーヤは、単層の巻き上げトルティーヤと同様に、食品片を収容するための本体を有する。本体は、食品片を本体内に配置することができるより大きい開放端部と、食品片を保持するための小さい閉鎖端部とを画定する壁から成る。2つの層の上側外周は、ほぼ互いに位置合わせされる。
【0059】
一例では、
図18の略円錐形又は円錐台形を想定した巻き上げトルティーヤアセンブリは、形状を固定してカリカリ触感を得るためのグリル焼きのためにグリル装置100のレセプタクル104/104a内に配置されてもよい。押圧体(例えば、押圧体134a~134eのいずれか1つ)を使用し、押圧体をレセプタクル104/104aに挿入して、トルティーヤアセンブリをレセプタクル104/104aの内面に当接させる力を及ぼすことによってグリル焼きのためにそれらの間の接触を維持することができる。前述したように、押圧体は、使用前に予熱されてもよく、同じレセプタクル(トルティーヤアセンブリがない場合)又はグリル装置100の別の空のレセプタクル内で便利に予熱される。予熱された押圧体は、トルティーヤアセンブリがレセプタクルに入れられる前にレセプタクルから取り外され、続いてレセプタクルに再挿入されてトルティーヤアセンブリをレセプタクルの壁に押し付け、それにより、グリル焼きのために外側トルティーヤとレセプタクルの内面との接触、及び内側トルティーヤと押圧体の外面との接触を維持する。
【0060】
充填食品材料がチーズなどの溶融可能な食品材料である場合、溶融した食品材料又はチーズは、結果として得られるグリル焼きトルティーヤにおいて2つのトルティーヤ間の空間にわたって広がる。レセプタクルと押圧体との組み合わせは、トルティーヤがグリル焼き及び加熱中にその形状を保持することを可能にし、同時に効果的な水分除去によって補助される所望の硬度及びカリカリ感を達成する。
【0061】
本発明の上記の実施形態は、トルティーヤラップの調製を容易にするグリル装置及び方法を提供する。グリル焼きされたトルティーヤは、例えば、詰め物をラップの内側に置いた後に巻くステップをなくすことによって、トルティーヤラップを作るための時間を短縮しながら、内側に置かれたものへの充填物を可能にし、提供する準備ができる所望の形状及び構造で形成することができる。更に、本発明に係るグリル装置の様々な通気孔、特にレセプタクル及び押圧体の通気孔は、水分を除去するための十分な経路を与えし、十分に調理されたカリカリとしたグリル焼きトルティーヤをもたらす。好適には、トルティーヤの両面を同時にグリル焼きすることを可能にすることによって、本明細書に記載のトルティーヤラップの製造方法は、制御された厚さ並びに所望の乾燥及び密度を有するトルティーヤラップをもたらす。
【0062】
当業者であれば分かるように、広く説明されている本発明の思想又は範囲から逸脱することなく、特定の実施形態に示されているように本発明に対して多数の変形及び/又は修正を行うことができる。したがって、本発明の記載された実施形態は、全ての点で例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。このグリル装置は、トルティーヤを使用して他の食品を調製するために、又は実質的に薄く平らな食用材料である他の食品材料シート、例えばフラットブレッド又は薄くスライスされた肉などの調理済み生地を使用して食品を調製するために使用することができる。グリル装置は、1つの加熱要素を有する1つのレセプタクルのみを含むことができる。
【0063】
例えば、レセプタクル及び押圧体の構造及び配置は、図示のものと異なっていてもよい。レセプタクルは、所望の形状又はサイズを有するグリル食品材料シートを得るために、洗浄のために、又は異なる形状又はサイズを有する別のレセプタクルと交換するためにハウジングから取り外し可能であってもよい。レセプタクルは、逆円錐台形状以外の形状、例えば、略逆円錐形状、略逆角錐形状、又は略逆矩形形状を有してもよい。下端部の通気孔は、代わりに、壁の内面を通して、下端部に隣接するか、又は下端部より上の任意の位置に配置されてもよく、又は完全に省略されてもよい(保持用、例えば、アイスクリーム)。レセプタクルは、単一のチャネルを画定する単一の溝を含むことができる。チャネルは、レセプタクルの上端部と下端部との間ではなく、レセプタクルの内面の一部のみに沿って延在してもよい。図示のレセプタクルは、メッシュ構造として設けられてもよく、通気孔及びチャネルは、メッシュ構造を通る孔によって容易に設けられる。押圧体は、レセプタクルの形状に対して相補的ではない形状、又は逆円錐台形状以外の形状、例えば略逆円錐形状、略逆角錐形状、又は略逆矩形形状を有してもよい。押圧体本体は、格子によって形成されたケージ構造を有していてもよい。押圧体のハンドルは、本体の別の位置に配置されてもよい。したがって、長手方向軸及び押圧体の本体の中心は、同軸でなくてもよい。
【0064】
例えば、加熱要素の構造や配置は図示と異なっていてもよい。加熱要素は、レセプタクル、したがって食品材料シートに熱を加えるのに十分に近い限り、レセプタクルに隣接する任意の位置に設けられてもよい。加熱要素は、螺旋状以外の形態、例えば、レセプタクルの外面の周りの螺旋状、又はレセプタクルの外面上の多数のストリップの形態で設けられてもよい。
【0065】
例えば、電気部品の構成は、図示したものと異なっていてもよい。グリル装置は、1つのアクチュエータ、1つのインジケータ、及び全ての加熱要素の動作を同時に制御するための1つのコントローラのみを含むことができ、それにより、より便利な動作を可能にする。アクチュエータは、ボタン、タッチパッドなどの形態で設けられてもよい。アクチュエータは、加熱要素の温度を調整するように更に構成されてもよい。インジケータは、加熱要素がオフにされた後の所定の期間内に点滅して、レセプタクルがまだ熱いことをユーザに警告するように構成されてもよい。インジケータは、アラーム又はディスプレイの形態で設けられてもよい。
【0066】
巻き上げられたトルティーヤを製造する方法は、図示されたものとは異なっていてもよい。例えば、ステップは異なる順序で実行されてもよい。一例として、結果として得られる巻き上げられたトルティーヤの壁が食品を入れるための1つの開口のみを有する限り、アセンブリの下端部は、側面が折り曲げられる前に折り曲げられてもよい。結果として得られる巻き上げられたトルティーヤ又はグリル焼きトルティーヤは、円錐台形状以外の形状、例えば、略逆円錐形状、略逆ピラミッド形状、又は略逆長方形形状を有してもよい。
【国際調査報告】