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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】動物ミオグロビンを含む代用肉
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20240110BHJP
   A23J 3/00 20060101ALI20240110BHJP
   C07K 14/805 20060101ALI20240110BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240110BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240110BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240110BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240110BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
A23J3/00 502
C07K14/805
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540704
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 EP2021087884
(87)【国際公開番号】W WO2022144434
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】20218000.6
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21174597.1
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523247407
【氏名又は名称】パレオ・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】サンクトラム,エルメス
(72)【発明者】
【氏名】デ・ヨング,アンディ
【テーマコード(参考)】
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA41
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045EA01
4H045FA74
4H045GA15
4H045GA21
(57)【要約】
動物ミオグロビンたんぱく質を含む代用肉又は食品成分、当該たんぱく質をコードする核酸を含む遺伝子コンストラクト、当該遺伝子コンストラクトを含む宿主細胞、及び当該ミオグロビン又は当該代用肉を製造するための方法が本明細書で説明される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンモス、ブタ、ヒツジ、ウシ、ニワトリ、若しくはマグロの動物ミオグロビン、又はそれらに由来する動物ミオグロビンを含む、代用肉又は食品成分。
【請求項2】
前記ミオグロビンが、ステップマンモス、ケナガマンモスのものであるか、又はそれらに由来する、請求項1に記載の代用肉又は食品成分。
【請求項3】
前記動物ミオグロビンが、以下のアミノ酸配列、すなわち
a)配列番号3と少なくとも70%の配列同一性を含み且つ以下のアミノ酸の組み合わせ、すなわち
・位置30のF、及び/若しくは
・位置65のQ、及び/若しくは
・位置92のH、及び/若しくは
・位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH
のうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
b)配列番号2若しくは3と少なくとも70%の配列同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号2若しくは3の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、位置123のE、及び/若しくは位置143のIのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
c)配列番号1と少なくとも70%の配列同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号1の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、及び/若しくは位置123のEのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
d)配列番号4、5若しくは6と少なくとも70%の同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号4、5、若しくは6の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置13のN、位置27のQ、位置31のI、位置67のN、位置128のA、位置133のS、位置145のA、及び/若しくは位置150のLのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
e)配列番号7と少なくとも70%の同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号7の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置6のQ、位置10のQ、位置13のT、位置14のI、位置27のH、位置31のM、位置35のH、位置36のD、位置42のD、位置43のR、位置49のG、位置53のP、位置55のQ、位置58のG、位置67のA、位置72のQ、位置75のK、位置79のQ、位置82のN、位置85のS、位置93のT、位置111のV、位置116のI、位置117のA、位置118のE、位置121のA、位置128のS、位置133のK、位置145のS、及び/若しくは位置150のFのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、又は
f)配列番号8と少なくとも70%の同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含むアミノ酸配列
のうちの1つによって表される、請求項1又は2に記載の代用肉又は食品成分。
【請求項4】
ダイズ植物の根粒における共生において生存する細菌によって産生されたレグヘモグロビンを含まない、且つ/又は単独のヘム含有たんぱく質として請求項1~3のいずれか一項において定義されるミオグロビンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の代用肉又は食品成分。
【請求項5】
前記代用肉が、食肉の態様、形態、構造、組成、風味、質感、色、芳香、様相及び/又は栄養価を模倣している、請求項1~4のいずれか一項に記載の代用肉。
【請求項6】
前記食品成分が、食肉の組成、風味、色、芳香、及び/又は栄養価を模倣する、請求項1~4のいずれか一項に記載の食品成分。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか一項に定義されるミオグロビンをコードする核酸を含む、遺伝子コンストラクト。
【請求項8】
前記核酸が、
(a)請求項3のa)、b)、c)、又はd)において定義されたアミノ酸配列と少なくとも75%の配列同一性又は配列類似性を有する配列を含むアミノ酸配列によって表されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と、
(b)配列番号9、10、11、12、13、14、15、16のヌクレオチド配列と少なくとも60%の配列同一性を有するヌクレオチド配列と、
(c)ヌクレオチド配列の配列が、遺伝暗号の縮重により、(b)のヌクレオチド配列の配列とは異なる、前記ヌクレオチド配列と、
からなる群より選択される、請求項7に記載の遺伝子コンストラクト。
【請求項9】
プロモーターをさらに含む、請求項7又は8に記載の遺伝子コンストラクト。
【請求項10】
シグナルペプチド、好ましくは発現したミオグロビンの分泌を促進するシグナルペプチドをさらに含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の遺伝子コンストラクト。
【請求項11】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号19、20、21、22、23又は24によって表される、請求項6~10のいずれか一項に記載の遺伝子コンストラクト。
【請求項12】
前記遺伝子コンストラクトが、配列番号25、26、27、28、29、又は30によって表される、請求項11に記載の遺伝子コンストラクト。
【請求項13】
請求項7~12のいずれか一項に定義されるとおりの遺伝子コンストラクトを含む、ベクター。
【請求項14】
請求項7~12のいずれか一項に定義されるとおりの遺伝子コンストラクトを含む、宿主細胞。
【請求項15】
原核生物又は真核生物である、請求項14に記載の宿主細胞。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の宿主細胞を適切な培地中で培養することと、場合により前記宿主細胞及び/又は請求項1~3のいずれか一項に定義されるとおりのミオグロビンを回収することとを含む、前記ミオグロビンを製造するための方法。
【請求項17】
前記製造されたミオグロビンが、シグナルペプチドを含まない、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記回収されたミオグロビンが、精製された、好ましくは実質的に精製された、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記宿主細胞が、前記ミオグロビンを細胞外に産生する、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項16~19のいずれか一項に記載の方法から入手可能な前記ミオグロビンを、代用肉又は食品成分内へと配合することを含む、請求項1~6のいずれか一項に定義されるとおりの代用肉又は食品成分を製造するための方法。
【請求項21】
たんぱく質が、配列番号3を含む配列によって表され得る、たんぱく質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明される態様及び実施形態は、ミオグロビンたんぱく質を含む代用肉、当該たんぱく質をコードする核酸を含む遺伝子コンストラクト、当該遺伝子コンストラクトを含む宿主細胞、及び当該ミオグロビン又は当該代用肉を製造するための方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの代用肉がすでに開発及び市販されている。かかる製品の風味、色、質感及び栄養の質は、「食肉」を適切に模倣していないという点で必ずしも最適ではない。その上、かかる製品はまた、食肉と同じ栄養の質を有し得ない。
【0003】
それゆえ、代用肉を目した既存の食物製品の欠点をすべて有していない新たな発明品についての必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本明細書で説明するような本発明の態様及び実施形態は、本明細書で論議されるような課題及び必要性の少なくともいくつかを解決する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
代用肉
第1の態様において、動物ミオグロビン、好ましくは哺乳動物ミオグロビン、より好ましくはマンモス、ブタ、ヒツジ、又はウシの、より好ましくは当該マンモスがケナガマンモス(Mammuthus primigenius)又はステップマンモス(Mammuthus trogontherii)、最も好ましくは当該マンモスがステップマンモスである動物ミオグロビン、又は鳥類ミオグロビン、好ましくはニワトリの鳥類ミオグロビン、若しくは魚類ミオグロビン、好ましくはマグロの魚類ミオグロビン、又はそれらに由来するミオグロビン、を含む代用肉又は食品成分が提供される。
【0006】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、マンモス、ブタ、ヒツジ、ウシ、ニワトリ、若しくはマグロの動物ミオグロビン、又はそれらに由来する動物ミオグロビン、好ましくは当該マンモスがケナガマンモス(Mammuthus primigenius)又はステップマンモス(Mammuthus trogontherii)であり、より好ましくは当該マンモスが、ステップマンモスである、動物ミオグロビンを含む。
【0007】
動物ミオグロビンは、そのアミノ酸配列がマンモス、好ましくはケナガマンモス、若しくはステップマンモス、ブタ、ヒツジ、ウシ、ニワトリ、若しくはマグロのうちの1つにそれぞれ、少なくとも1個のアミノ酸の付加、欠失、及び/又は置換によって由来するとき、好ましくはケナガマンモス若しくはステップマンモス、より好ましくはステップマンモスであるマンモス、ブタ、ヒツジ、ウシ、ニワトリ、又はマグロのミオグロビンに由来するといってもよい。2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個のアミノ酸の付加、欠失、及び/又は置換もまた、本発明によって企図される。ケナガマンモス、ステップマンモス、ブタ、ヒツジ、ウシ、ニワトリ、又はマグロのミオグロビンアミノ酸配列の例を後で所与の配列番号によって開示する。マンモス、ケナガマンモス、ステップマンモス、ブタ、ヒツジ、ウシ、ニワトリ、又はマグロのミオグロビンに由来するかかる動物ミオグロビンはまた、本明細書で後に説明するような動物ミオグロビンの少なくとも検出可能なレベルの活性を発揮し得る。マンモスは、別段の明確な記述がない限り、本出願の文脈において、ケナガマンモス(Mammuthus primigenius)又はステップマンモス(Mammuthus trogontherii)などのマンモス属(Mammuthus)におけるいずれかの種であり得る。
【0008】
一実施形態において、代用肉中の又は食品成分中のミオグロビンは、マンモスのものであるか、又はこれに由来する。
【0009】
好ましい実施形態において、代用肉中の又は食品成分中のミオグロビンは、ケナガマンモスのものであるか、又はこれに由来する。
【0010】
好ましい実施形態において、代用肉中の又は食品成分中のミオグロビンは、ステップマンモスのものであるか、又はこれに由来する。
【0011】
一実施形態において、代用肉中の又は食品成分中のミオグロビンは、以下のアミノ酸配列、すなわち
a)配列番号3と少なくとも70%の配列同一性を含み且つ以下のアミノ酸の組み合わせ、すなわち
・位置30のF、及び/若しくは
・位置65のQ、及び/若しくは
・位置92のH、及び/若しくは
・位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH
のうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
b)配列番号2若しくは3と少なくとも70%の配列同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号2若しくは3の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、位置123のE、及び/若しくは位置143のIのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
c)配列番号1と少なくとも70%の配列同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号1の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、及び/若しくは位置123のEのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
d)配列番号4、5若しくは6と少なくとも70%の同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号4、5、若しくは6の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置13のN、位置27のQ、位置31のI、位置67のN、位置128のA、位置133のS、位置145のA、及び/若しくは位置150のLのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
e)配列番号7と少なくとも70%の同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号7の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置6のQ、位置10のQ、位置13のT、位置14のI、位置27のH、位置31のM、位置35のH、位置36のD、位置42のD、位置43のR、位置49のG、位置53のP、位置55のQ、位置58のG、位置67のA、位置72のQ、位置75のK、位置79のQ、位置82のN、位置85のS、位置93のT、位置111のV、位置116のI、位置117のA、位置118のE、位置121のA、位置128のS、位置133のK、位置145のS、及び/若しくは位置150のFのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、又は
f)配列番号8と少なくとも70%の同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含むアミノ酸配列、のうちの1つによって表される。
【0012】
配列番号1は、ケナガマンモスミオグロビンのアミノ酸配列の一部を表し、配列番号2はケナガマンモスのアミノ酸配列を表し、配列番号3は、ステップマンモスミオグロビンのアミノ酸配列を表し、配列番号4は、ヒツジミオグロビンのアミノ酸配列を表し、配列番号5は、ウシ(雌ウシ)ミオグロビンのアミノ酸配列を表し、配列番号6は、ブタミオグロビンのアミノ酸配列を表し、配列番号7は、ニワトリミオグロビンのアミノ酸配列を表し、配列番号8は、マグロミオグロビンのアミノ酸配列を表す。ケナガマンモスミオグロビンのアミノ酸配列の一部(すなわち、部分配列)を表す配列番号1が、ケナガマンモスミオグロビンの(完全)アミノ酸配列を表す配列番号2に含まれることは明らかである。配列番号9は、配列番号1をコードする核酸配列である。配列番号10は、配列番号2をコードする核酸配列である。配列番号11は、配列番号3をコードする核酸配列である。配列番号12は、配列番号4をコードする核酸配列である。配列番号13は、配列番号5をコードする核酸配列である。配列番号14は、配列番号6をコードする核酸配列である。配列番号15は、配列番号7をコードする核酸配列である。配列番号16は、配列番号8をコードする核酸配列である。
【0013】
代用肉は、定義によると、食肉ではなく、天然の食肉ではなく、本物の食肉ではない。代用肉は、非天然の食品又は可食性製品とみなされ得る。本発明の文脈内で、代用肉がブタ、ヒツジ、ウシ、ニワトリ、若しくはマグロの食肉ではなく、又はこれらに由来しない(或いは、実際はそうではないが、マンモスが今なお存在したとする場合、この動物の食肉ではなく、又はこれに由来しない)。代用肉は、食肉のレプリカ又は食肉類似製品又は食肉様製品の同義である。
【0014】
代用肉は、食肉と同じ態様(パターン、レタリングなど)、形状、構造、組成(同様の脂肪含有量、たんぱく質含有量及び/又はヘム鉄含有量など)、質感、色、風味、芳香及び/又は様相を有し得る。
【0015】
或いは、代用肉は、食肉のうちの1つとは異なる態様、形状、構造、質感、色、風味、芳香、及び/又は様相を有し得る。
【0016】
代用肉は、液状、固形状、半固形状の食品として調製され得る。
【0017】
液状食品の適切な例としては、スープがある。
【0018】
固形状食品の適切な例としては、細胞ベースの食肉又は培養肉又は植物ベースの食肉がある。かかる植物ベースの食肉は、ダイズたんぱく質などの植物たんぱく質を含み得る。加えて、かかる植物ベースの食肉は、本明細書で定義する動物ミオグロビンを含む。一実施形態において、この動物ミオグロビンは、ヘム含有たんぱく質の単体源である。
【0019】
スナックの適切な例としては、プロテインバー又はプロテインシェイクがある。
【0020】
食品成分は、異なる可食性製品を得るために、可食性製品へと添加することができるいずれかの可食性製品であり得る。或いは、食品成分は、そのようなものとして消費され得る。「食品成分」という用語は、「食品補給物」という用語によって置き換えてもよい。
【0021】
先に同定したミオグロビンを含む食品成分の適切な例は、消費者へ販売され得る固形状(粉末状のスパイスミックスなど)又は液状(抽出物など)又は半液状又は半固形状(ペースト又はジェル又はソース又はだし汁又はクリーム)の食品成分であり得る。消費者は、これらの食品成分を自分自身で食品中へと添加して、食品へ本明細書に含まれるミオグロビンを補充して、自分自身で代用肉を創出することができる。
【0022】
固形状食品補給物の適切な例としては、先に同定した動物ミオグロビンを含む錠剤又は丸剤又は散剤がある。錠剤又は丸剤又は散剤は、ビタミン類又はミネラル類など他の化合物とともに製剤され得る。
【0023】
本発明者らは、「食肉に対する感じ方」が、本明細書で定義されるような動物ミオグロビンを用いた本発明の代用肉において模倣され得ることを発見した。
【0024】
一実施形態において、本発明の代用肉は、食肉の態様(パターン、レタリング)、形状、構造、組成(同様の脂肪含有量、たんぱく質含有量及び/又はヘム鉄含有量など)、風味、質感、色、芳香、様相及び/又は栄養価を模倣していると考えられる。これは典型的に、代用肉が細胞ベースの食肉又は培養肉又は植物ベースの食肉である場合である。このことはたいてい、本明細書で説明されるような動物ミオグロビンの存在による。代用肉は、食肉の欠点をすべて有し得ない。例えば、代用肉は、食肉よりも健康的である。その上、代用肉が環境に及ぼす影響(気候変化に対する長期の直接的な/間接的な作用)は、食肉の公知の影響と比べてさほど有害ではないと考えられる。
【0025】
一実施形態において、本発明の代用肉は、食肉の欠点をすべて有することなく、食肉の態様(パターン、レタリング)、形状、構造、組成(同様の脂肪含有量、たんぱく質含有量及び/又はヘム鉄含有量など)、風味、質感、色、芳香及び/又は様相を模倣していると考えられる。これは典型的に、代用肉が細胞ベースの食肉又は培養肉又は植物ベースの食肉である場合である。このことはたいてい、本明細書で説明されるような動物ミオグロビンの存在による。代用肉は、食肉の欠点をすべて有し得ない。例えば、代用肉は、食肉よりも健康的である。その上、代用肉が環境に及ぼす影響(気候変化に対する長期の直接的な/間接的な作用)は、食肉の公知の影響と比べてさほど有害ではないと考えられる。
【0026】
一実施形態において、本発明の代用肉は、食肉の欠点をすべて有することなく、食肉の組成(同様の脂肪含有量、たんぱく質含有量及び/又はヘム鉄含有量など)、風味、色、及び/又は芳香を模倣していると考えられる。このことはたいてい、本明細書で説明されるような動物ミオグロビンの存在による。
【0027】
一実施形態において、本発明の代用肉は、食肉の欠点をすべて有することなく、食肉の風味及び/又は芳香を模倣していると考えられる。このことはたいてい、本明細書で説明されるような動物ミオグロビンの存在による。
【0028】
一実施形態において、本発明の代用肉は、食肉の欠点をすべて有することなく、食肉の風味を模倣していると考えられる。このことはたいてい、本明細書で説明されるような動物ミオグロビンの存在による。
【0029】
一実施形態において、本発明の代用肉は、食肉の欠点をすべて有することなく、食肉の芳香を模倣していると考えられる。このことはたいてい、本明細書で説明されるような動物ミオグロビンの存在による。
【0030】
本発明者らはさらに、「食肉に対する感じ方」が、本明細書で定義されるような食品成分を用いて模倣され得ることを発見した。
【0031】
一実施形態において、本発明の食品成分は、食肉の欠点をすべて有することなく、食肉の組成(同様の脂肪含有量、たんぱく質含有量及び/又はヘム鉄含有量など)、風味、色、芳香及び/又は栄養価を模倣していると考えられる。このことはたいてい、本明細書で説明されるような動物ミオグロビンの存在による。
【0032】
一実施形態において、本発明の食品成分は、食肉の欠点をすべて有することなく、食肉の組成(同様の脂肪含有量、たんぱく質含有量及び/又はヘム鉄含有量など)、風味、色、及び/又は芳香を模倣していると考えられる。このことはたいてい、本明細書で説明されるような動物ミオグロビンの存在による。
【0033】
一実施形態において、本発明の食品成分は、食肉の欠点をすべて有することなく、食肉の風味、色、及び/又は芳香を模倣していると考えられる。このことはたいてい、本明細書で説明されるような動物ミオグロビンの存在による。
【0034】
一実施形態において、本発明の食品成分は、食肉の欠点をすべて有することなく、食肉の組成(同様の脂肪含有量、たんぱく質含有量及び/又はヘム鉄含有量など)、風味及び/又は芳香を模倣していると考えられる。このことはたいてい、本明細書で説明されるような動物ミオグロビンの存在による。
【0035】
一実施形態において、本発明の食品成分は、食肉の欠点をすべて有することなく、食肉の組成(同様の脂肪含有量、たんぱく質含有量及び/又はヘム鉄含有量など)、風味を模倣していると考えられる。このことはたいてい、本明細書で説明されるような動物ミオグロビンの存在による。
【0036】
一実施形態において、本発明の食品成分は、食肉の欠点をすべて有することなく、食肉の組成(同様の脂肪含有量、たんぱく質含有量及び/又はヘム鉄含有量など)芳香を模倣していると考えられる。このことはたいてい、本明細書で説明されるような動物ミオグロビンの存在による。
【0037】
本発明の文脈内で、食肉に対する感じ方は、代用肉及び/又は食品成分が、ヒトによって認識可能な芳香及び/又は風味化合物、並びに食肉が調理されるときに放出される一部の着臭剤及び/又は風味化合物の特徴を生じると模倣され得る。例えば、これらの着臭剤のいくつかの形成は、ミオグロビン中に存在するヘム鉄によって触媒され得る。この理論に縛られる必要はなく、この形成は、脂質酸化及び/又はメイラード反応によってもよい。この状況は、本発明の代用肉及び/又は食品成分のミオグロビンで模倣され得る。
【0038】
一実施形態において、本発明の代用肉又は食品成分、好ましくは本発明の生の代用肉は、食肉、好ましくは生の食肉の血の滴る及び/又は金属的な芳香を模倣していると考えられる。好ましくは、本発明の代用肉又は食品成分は、食肉の血の滴る及び/又は金属的な芳香を、他の(すなわち、本発明によらない)代用肉又は食品成分よりも高い程度まで模倣することができる。本発明の文脈において、生とは、熱処理に供されていない、好ましくは非調理又はグリルしていないことを意味する。
【0039】
一実施形態において、本発明の代用肉又は食品成分、好ましくは本発明のグリルした代用肉は、食肉、特にグリルした食肉の焙焼した芳香を模倣していると考えられる。好ましくは、本発明の代用肉又は食品成分は、他の(すなわち、本発明によらない)代用肉又は食品成分よりも高い程度まで食肉の焙焼した芳香を模倣することができる。
【0040】
本発明の文脈において、及び本節の実施形態において、「他の代用肉」又は「本発明によらない代用肉」は好ましくは、組換えダイズレグヘモグロビン(LegH)を含む植物ベースのバーガー、より好ましくは市販のImpossible Burgerである。
【0041】
一実施形態において、本発明の代用肉又は食品成分、好ましくは本発明のグリルした代用肉は、他の(すなわち、本発明によらない)代用肉又は食品成分と比較して、(グリルした)代用肉又は食品成分から得られる揮発性化合物中のより高濃度の酸化脂質、脂質酸化産物、ピラジン及び/又はピロールを特徴とする芳香を有する。より高いとは好ましくは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、又は300%を意味する。好ましいピラジンは、メチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2-エチル-6-メチルピラジンである。好ましいピロールは、ピロールである。好ましい脂質酸化産物は、2-メチルブタナール及び3-メチルブタナールである。
【0042】
一実施形態において、本発明の代用肉又は食品成分、好ましくは、本発明のグリルした代用肉は、他の(すなわち、本発明によらない)代用肉又は食品成分と比較して、(グリルした)代用肉又は食品成分から得られる揮発性化合物中のより高濃度の2,5-ジメチルピラジンを特徴とする芳香を有する。より高いとは好ましくは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、又は300%を意味する。
【0043】
一実施形態において、本発明の代用肉又は食品成分、好ましくは、本発明のグリルした代用肉は、他の(すなわち、本発明によらない)代用肉又は食品成分と比較して、(グリルした)代用肉又は食品成分から得られる揮発性化合物中のより高濃度の2-エチル-6-メチルピラジンを特徴とする芳香を有する。より高いとは好ましくは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、又は300%を意味する。
【0044】
一実施形態において、本発明の代用肉又は食品成分、好ましくは、本発明のグリルした代用肉は、他の(すなわち、本発明によらない)代用肉又は食品成分と比較して、(グリルした)代用肉又は食品成分から得られる揮発性化合物中のより高濃度のピロールを特徴とする芳香を有する。より高いとは好ましくは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、又は300%を意味する。
【0045】
一実施形態において、本発明の代用肉又は食品成分、好ましくは、本発明のグリルした代用肉は、他の(すなわち、本発明によらない)代用肉又は食品成分と比較して、(グリルした)代用肉又は食品成分から得られる揮発性化合物中のより高濃度の2-メチルブタナールを特徴とする芳香を有する。より高いとは好ましくは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、又は300%を意味する。
【0046】
一実施形態において、本発明の代用肉又は食品成分、好ましくは、本発明のグリルした代用肉は、他の(すなわち、本発明によらない)代用肉又は食品成分と比較して、(グリルした)代用肉又は食品成分から得られる揮発性化合物中のより高濃度の3-メチルブタナールを特徴とする芳香を有する。より高いとは好ましくは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、210%、220%、230%、240%、250%、260%、270%、280%、290%、又は300%を意味する。
【0047】
実施例2.5において、本発明による代用肉の芳香分析が提供される。食肉及び代用肉の芳香、並びに揮発性化合物中の濃度は、この実施例において説明されている方法によって、すなわち、揮発性化合物の質量分析と連結されたガスクロマトグラフィーによって決定され得る。
【0048】
本発明は文脈内で、食肉に対する感じ方は、代用肉の色が食肉の色に類似しているときに模倣され得る。食肉の色は、ヘム含有たんぱく質の濃度によって及び/又は食肉における当該たんぱく質の酸化状態によって決定される。それゆえ、本明細書で定義されるようなミオグロビンは、代用肉の色を規定するであろう。本明細書で発明されたのと同じものが、食品成分について適用される。
【0049】
一実施形態において、本発明の代用肉又は食品成分、好ましくは本発明の生の代用肉は、食肉の、好ましくは生の食肉の色を模倣すると考えられる。この理論に縛られることなく、代用肉の色はたいてい、動物ミオグロビンの存在による。好ましくは、本発明の代用肉又は食品成分は、他の(すなわち、本発明によらない)代用肉又は食品成分よりも高い程度まで、食肉の色を模倣することができる。
【0050】
好ましい実施形態において、本発明の代用肉又は食品成分の、好ましくは本発明の生の代用肉の色は、好ましくは定常光の下で4℃で保存の際、より好ましくはその条件下で保存され且つ実施例2.4の技術を介して測定される際、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20日間本質的に安定である。好ましくは、本発明の代用肉又は食品成分の色は、食肉又は他の(すなわち、本発明によらない)代用肉若しくは食品成分の色が安定している、より好ましくは0%~10%のΔE変化が安定と定義される(さらに参照されたい)時間よりも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20日間長く安定である。少なくともX日間本質的に安定であるとは、好ましくは、0日後とX日後の間の、0%と0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、又は20%の間の代用肉又は食品成分のΔEの変化を意味し、この中で、ΔEは、実施例2.4において決定されるとおりである。最も好ましくは、代用肉又は食品成分のΔEは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20日間の保存の際、10%超も変化しない。
【0051】
実施例2.4は、本発明による代用肉の色安定性分析を提供する。食肉及び代用肉の色及び色安定性はこの実施例において説明される方法によって決定され得る。
【0052】
本発明の文脈内で、食肉に対する感じ方は、代用肉の組成が食肉の組成と類似していると模倣され得る。代用肉の組成は、同じ又は類似の構成要素が存在し、且つ場合により、当該構成要素が存在する量が、食肉中に存在する量と同じか又は類似しているとき、食肉組成と類似していることがわかり得る。例えば、類似の脂肪、たんぱく質、及び/又はヒーム鉄含有量が食肉中にあるように代用肉中に存在してもよい。
【0053】
代用肉中へ又は食品成分として配合されるときのこれらの動物ミオグロビンはまた、食肉とおおまかには同じ量の利用可能な鉄全体又はヘム鉄を提供すると考えられる。この文脈内で、「おおまかには」とは、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%又はそれより多くを意味する。通常、本発明の代用肉における生物学的に利用可能な鉄全体の量は、本物の食肉中の利用可能な鉄全体又はヘム鉄の120%以下である。このことは、これらの動物ミオグロビンが、集団の鉄状態を改善するための独特な代替的強化物とみなされ得ることを意味する。
【0054】
これらの動物ミオグロビンはまた、植物ベースの食肉類似体産物において提供される利用可能な鉄全体又はヘム鉄の量よりもだいたい多量の利用可能な鉄全体又はヘム鉄を提供することも考えられる。この文脈内で、「より多量の」は、少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、又はそれより多くを意味する。
【0055】
好ましい定義において、数値は、利用可能な鉄全体の又はヘム鉄の量を意味する。この好ましい定義によると、「食肉の数値を模倣すること」は、先に概略したように、「食肉とだいたい同じ量の利用可能な鉄全体又はヘム鉄を提供する」と解釈されるものとする。
【0056】
実施例2.6は、鉄の生物学的利用度を評価する、本発明による代用肉の栄養分析を提供する。
【0057】
本発明の文脈内で、鉄全体とは、代用肉中で生物学的に利用可能である鉄の総量である。ヘム鉄とは、ヘムドメインを含むたんぱく質によって輸送される鉄の部分である。ヘム鉄は、人体による吸収に利用可能である。かかるたんぱく質は、本明細書で定義されるミオグロビンである。鉄の利用可能度は、Proulx A.K.,et al(2006).,J.Agric.Food.Chem.,(54),1518-1522)及び/又は実施例2.6の方法において説明されるように評価され得る。簡潔には、調製物のフェリチン濃度をまず、細胞たんぱく質濃度に対して正規化する。その後、正規化したフェリチンの百分率を、FeSO4の百分率と比較し、相対的な生物学的値(RBV)として表す。
【0058】
一実施形態において、代用肉は、ダイズ植物の根粒において共生で生存する細菌によって産生されたレグヘモグロビンを含まず、且つ/又は本明細書で上述に定義された唯一のヘム含有たんぱく質として動物ミオグロビンを含む。
【0059】
一実施形態において、本明細書で開示される動物ミオグロビンは、本発明の代用肉中に存在するヘム含有たんぱく質の唯一の源であり得る。このことは、本発明の代用肉が本明細書で開示されるような動物ミオグロビン以外の他のたんぱく質を含み得ることを意味する。存在し得るたんぱく質の例としては、ダイズたんぱく質がある。
【0060】
本発明の文脈内で、定義されるようなヘム含有たんぱく質は、ヘム部分を共有結合することができる又は非共有結合することができるたんぱく質全部又はたんぱく質サブユニットを指すことができる。ヘム含有ポリペプチドは、酸素を輸送又は貯蔵することができる。ヘム含有たんぱく質のいくつかの例としては、グロビン、ヘモグロビン、レグヘモグロビンがある。
【0061】
別の実施形態において、代用肉は、ダイズ植物の根粒において共生で生存する細菌によって産生されたレグヘモグロビンを含まない。一実施形態において、代用肉は、共生ヘモグロビンを含まない。一実施形態において、代用肉は、レグヘモグロビンを含まない。一実施形態において、代用肉は、ダイズ植物の根粒において共生で生存する細菌によって産生されたたんぱく質を含まない。
【0062】
一実施形態において、代用肉は、ダイズ植物の根粒において構成で生存する細菌によって産生されたレグヘモグロビンを含まず、且つ本明細書で上述に定義された動物ミオグロビンを唯一のヘム含有たんぱく質として含む。
【0063】
一実施形態において、代用肉は、純粋な食肉の対応物と同様の量の動物ミオグロビンを含む。一実施形態において、かかる量は、0.1~5重量%動物ミオグロビンの範囲である。一実施形態において、当該量は、少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、4.0、4.5、5.0又はそれより多くの重量%動物ミオグロビンである。当該生成物の最終重量の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%の量を有することも本発明によって包含される。当業者は、代用肉に応じて、当該量が変化し得ることを知っている。
【0064】
一実施形態において、本発明による代用肉におけるミオグロビンの重量百分率は、0.1%~5%、4.9%、4.8%、4.7%、4.6%、4.5%、4.4%、4.3%、4.2%、4.1%、4%、3.9%、3.8%、3.7%、3.6%、3.5%、3.4%、3.3%、3.2%、3.1%、3%、2.95%、2.9%、2.85%、2.8%、2.75%、2.7%、2.65%、2.6%、2.55%、2.5%、2.45%、2.4%、2.35%、2.3%、2.25%、2.2%、2.15%、2.1%、2.05%、2%、1.95%、1.9%、1.85%、1.8%、1.75%、1.7%、1.65%、1.6%、1.55%、1.5%、1.45%、1.4%、1.35%、1.3%、1.25%、1.2%、1.15%、1.1%、1.05%、1%、0.95%、0.9%、0.85%、0.8%、0.75%、0.7%、0.65%、0.6%、0.55%、又は0.5%である。
【0065】
一実施形態において、本発明による代用肉におけるミオグロビンの重量百分率は、0.5%~5%、4.9%、4.8%、4.7%、4.6%、4.5%、4.4%、4.3%、4.2%、4.1%、4%、3.9%、3.8%、3.7%、3.6%、3.5%、3.4%、3.3%、3.2%、3.1%、3%、2.95%、2.9%、2.85%、2.8%、2.75%、2.7%、2.65%、2.6%、2.55%、2.5%、2.45%、2.4%、2.35%、2.3%、2.25%、2.2%、2.15%、2.1%、2.05%、2%、1.95%、1.9%、1.85%、1.8%、1.75%、1.7%、1.65%、1.6%、1.55%、1.5%、1.45%、1.4%、1.35%、1.3%、1.25%、1.2%、1.15%、1.1%、1.05%、1%、0.95%、0.9%、0.85%、0.8%、0.75%、0.7%、0.65%、又は0.6である。
【0066】
一実施形態において、食品成分は、0.1~100重量%の範囲の動物ミオグロビンであり得る動物ミオグロビンの量を含む。一実施形態において、当該量は、生成物の最終重量の少なくとも0.1%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、4.0%、4.5%、5.0%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%である。当業者は、食品成分に応じて当該量が変化し得ることを知っている。
【0067】
一実施形態において、代用肉は、10%~40%のたんぱく質源、5%~30%の脂質源、0.1%~5%のNaCl、0.1%~5%の繊維源、及び0.1%~5%の本発明によるミオグロビンを含み、又はこれらを混合することによって調製される。より好ましい実施形態において、代用肉は、20%~30%のたんぱく質源、10%~20%の脂質源、0.5%~2%のNaCl、0.5%~1.5%の繊維源、及び0.1%~3%の本発明によるミオグロビンを含み、又はこれらを混合することによって調製される。
【0068】
好ましくは、たんぱく質源は、質感を与えられたダイズたんぱく質、エンドウたんぱく質分離物、リョクトウたんぱく質、質感を与えられたコムギたんぱく質、コメたんぱく質又はジャガイモたんぱく質である。この文脈において、質感を与えられたダイズたんぱく質は、当業者に対して明らかであるように、質感を与えられた植物性たんぱく質(TVP)又はダイズ肉としても公知の脱脂したダイズ粉産物である。
【0069】
好ましくは、液体源は、ヒマワリ油、ココナッツ油、ベニバナ油又はカカオバターである。
【0070】
好ましくは、繊維源は、メチルセルロース又はジャガイモでんぷんである。
【0071】
より好ましい実施形態において、代用肉は、20%~30%の質感を与えられたダイズたんぱく質、10%~20%のヒマワリ油、0.5%~2%のNaCl、0.5%~1.5%のメチルセルロース、及び0.1%~10%の本発明によるミオグロビンを含み、又はこれらを混合することによって調製される。さらにより好ましくは、より好ましい実施形態による代用肉におけるミオグロビンの重量百分率は、0.1%~5%、4.9%、4.8%、4.7%、4.6%、4.5%、4.4%、4.3%、4.2%、4.1%、4%、3.9%、3.8%、3.7%、3.6%、3.5%、3.4%、3.3%、3.2%、3.1%、3%、2.95%、2.9%、2.85%、2.8%、2.75%、2.7%、2.65%、2.6%、2.55%、2.5%、2.45%、2.4%、2.35%、2.3%、2.25%、2.2%、2.15%、2.1%、2.05%、2%、1.95%、1.9%、1.85%、1.8%、1.75%、1.7%、1.65%、1.6%、1.55%、1.5%、1.45%、1.4%、1.35%、1.3%、1.25%、1.2%、1.15%、1.1%、1.05%、1%、0.95%、0.9%、0.85%、0.8%、0.75%、0.7%、0.65%、0.6%、0.55%、又は0.5%である。
【0072】
一実施形態において、代用肉は、20%~30%の質感を与えられたダイズたんぱく質、10%~20%のヒマワリ油、1%~2%のNaCl、0.5%~1.5%のメチルセルロース、50%~70%の水、及び0.2%~0.8%のミオグロビンを含み、又はこれらを混合することによって調製される。
【0073】
好ましい実施形態において、代用肉は、23%~27%の質感を与えられたダイズたんぱく質、13%~17%のヒマワリ油、1.25%~1.75%のNaCl、0.75%~1.25%のメチルセルロース、55%~60%の水、及び0.45%~0.55%のミオグロビンを含み、又はこれらを混合することによって調製される。
【0074】
一実施形態において、代用肉は、25%の質感を与えられたダイズたんぱく質、15%のヒマワリ油、1.5%のNaCl、1.0%のメチルセルロース、57%の水、及び0.5%のミオグロビンを含み、又はこれらを混合することによって調製され、この中で、これらの重量百分率は、有意な2桁へ丸められる。
【0075】
一実施形態において、代用肉は、15%~35%の質感を与えられたダイズたんぱく質、10%~20%のヒマワリ油、0.5%~2.5%のNaCl、0.5%~1.5%のメチルセルロース、50%~70%の水、及び0.5%~1.5%のミオグロビンを含み、又はこれらを混合することによって調製される。
【0076】
好ましい実施形態において、代用肉は、22%~27%の質感を与えられたダイズたんぱく質、13%~17%のヒマワリ油、1.25%~1.75%のNaCl、0.75%~1.25%のメチルセルロース、50%~60%の水、及び0.75%~1.25%のミオグロビンを含み、又はこれらを混合することによって調製される。
【0077】
一実施形態において、代用肉は、25%の質感を与えられたダイズたんぱく質、15%のヒマワリ油、1.5%のNaCl、1.0%のメチルセルロース、57%の水、及び1.0%のミオグロビンを含み、又はこれらを混合することによって調製され、この中で、これらの重量百分率は、有意な2桁へ丸められる。
【0078】
先の代用肉において、%は、重量百分率を指す。代用肉の組成を説明する重量百分率が、100%まで加算しない限り、対応する百分率への水の加算が想定される。
【0079】
実施例1.4は、本発明による代用肉の調製の一例を提供する。
【0080】
一実施形態において、代用肉は、対応物の本物の食肉と同様の量の生物学的に利用可能な鉄又はヘム鉄を含む。一実施形態において、かかる量は、100グラムの代用肉当たり、0.3~20mgの生物学的に利用可能な鉄又はヘム鉄の範囲である。一実施形態において、かかる量は、100グラムの代用肉当たり、0.1mg~16.5mg、16.17mg、15.84mg、15.51mg、15.18mg、14.85mg、14.52mg、14.19mg、13.86mg、13.53mg、13.2mg、12.87mg、12.54mg、12.21mg、11.88mg、11.55mg、11.22mg、10.89mg、10.56mg、10.23mg、9.9mg、9.735mg、9.57mg、9.405mg、9.24mg、9.075mg、8.91mg、8.745mg、8.58mg、8.415mg、8.25mg、8.085mg、7.92mg、7.755mg、7.59mg、7.425mg、7.26mg、7.095mg、6.93mg、6.765mg、6.6mg、6.435mg、6.27mg、6.105mg、5.94mg、5.775mg、5.61mg、5.445mg、5.28mg、5.115mg、4.95mg、4.785mg、4.62mg、4.455mg、4.29mg、4.125mg、3.96mg、3.795mg、3.63mg、3.465mg、3.3mg、3.135mg、2.97mg、2.805mg、2.64mg、2.475mg、2.31mg、2.145mg、1.98mg、1.815mg、又は1.65mgの生物学的に利用可能な鉄又はヘム鉄の範囲である。別の実施形態において、かかる量は、100グラムの代用肉当たり、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11、11.1、11.2、11.3、11.4、11.5、11.6、11.7、11.8、11.9、12、12.1、12.2、12.3、12.4、12.5、12.6、12.7、12.8、12.9、13、13.1、13.2、13.3、13.4、13.5、13.6、13.7、13.8、13.9、14、14.1、14.2、14.3、14.4、14.5、14.6、14.7、14.8、14.9、15、15.1、15.2、15.3、15.4、15.5、15.6、15.7、15.8、15.9、16、16.1、16.2、16.3、16.4、16.5、16.6、16.7、16.8、16.9、17、17.1、17.2、17.3、17.4、17.5、17.6、17.7、17.8、17.9、18、18.1、18.2、18.3、18.4、18.5、18.6、18.7、18.8、18.9、19、19.1、19.2、19.3、19.4、19.5、19.6、19.7、19.8、19.9、又は20mgの生物学的に利用可能な鉄又はヘム鉄である。
【0081】
一実施形態において、本明細書で上述に同定した動物ミオグロビンのアミノ酸配列は、以下のアミノ酸の組み合わせ
・位置30のF、及び/又は
・位置65のQ、及び/又は
・位置92のH、及び/又は
・位置94のH、及び/又は
・位置30のF且つ位置65のQ、及び/又は
・位置30のF且つ位置92のH、及び/又は
・位置30のF且つ位置94のH、及び/又は
・位置65のQ且つ位置92のH、及び/又は
・位置65のQ且つ位置94のH、及び/又は
・位置92のH且つ位置94のH、及び/又は
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH、及び/又は
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置94のH、及び/又は
・位置30のF且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/又は
・位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/又は
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH
のうちの少なくとも1つと組み合わせた本明細書で上述に同定された配列と少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の同一性又は類似性を有する配列を含む。
【0082】
一実施形態において、本明細書で上述に同定された動物ミオグロビンのアミノ酸配列は、同定された配列の各々について、位置65のQ又はH且つ位置94のHとの組み合わせで、好ましくはさらには、位置143のIとの組み合わせで、本明細書で上述に同定された配列と少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の同一性又は類似性を有する配列を含む。
【0083】
一実施形態において、本明細書で上述に同定された動物ミオグロビンのアミノ酸配列は、同定された配列の各々について、位置65のQ又はH、位置92のH、且つ位置94のHとの組み合わせで、好ましくはさらには、位置143のIとの組み合わせで、本明細書で上述に同定された配列と少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の同一性又は類似性を有する配列を含む。
【0084】
一実施形態において、本明細書で上述に同定された動物ミオグロビンのアミノ酸配列は、同定された配列の各々について、位置65のQ又はH、位置92のH、且つ位置94のHとの組み合わせで、好ましくはさらには、位置143のIとの組み合わせで、本明細書で上述に同定された配列と少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の同一性又は類似性を有する配列を含む。
【0085】
一実施形態において、本明細書で上述に同定された動物ミオグロビンのアミノ酸配列は、同定された配列の各々について、位置92のHとの組み合わせで、好ましくはさらには、位置143のIとの組み合わせで、本明細書で上述に同定された配列と少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の同一性又は類似性を有する配列を含む。
【0086】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置65のQ又はH且つ位置94のHとの組み合わせで、且つ場合により配列番号1内の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、且つ/又は位置123のEのうちの少なくとも1つを有する、配列番号1と少なくとも70%の配列同一性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置65のQ又はH且つ位置94のHとの組み合わせで、且つ場合により配列番号2又は3内の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、位置123のE、且つ/又は位置143のIのうちの少なくとも1つを有する、配列番号2又は3と少なくとも70%の配列同一性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。好ましくは、同定される動物ミオグロビンのアミノ酸配列は、位置65のQ又はH且つ位置94のHとの組み合わせで配列番号1、2、又は3と少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の同一性又は類似性を有する配列を含む。配列番号1は、マンモス由来のミオブロビンの部分である。配列番号2及び3は、マンモス由来のミオグロビンである。一実施形態において、代用肉は、配列番号1というアミノ酸配列を含むミオグロビンを含む。一実施形態において、代用肉は、配列番号2又は3というアミノ酸配列によって表されるマンモスミオグロビンを含む。かかるミオグロビンが、特に低pHでの酸化に対して安定であるので、このミオグロビンは魅力的な特性を有すると考えられる。本発明の代用肉の色は、マンモスミオグロビンが酸化に抵抗するので安定であると考えられる。この酸化に対する安定性はまた、本物の食肉よりも発がん性産物へと転化する可能性が低くなるであろうことから、本発明の代用肉に対して追加の健康特性を提供する。
【0087】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置65のQ又はH、位置92のQ且つ位置94のHとの組み合わせで、且つ場合により配列番号2内の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、且つ/又は位置123のEのうちの少なくとも1つを有する、配列番号2と少なくとも70%の配列同一性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。好ましくは、同定される動物ミオグロビンのアミノ酸配列は、位置65のQ又はH、位置92のQ且つ位置94のHとの組み合わせで配列番号2と少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の同一性又は類似性を有する配列を含む。配列番号2は、ケナガマンモス由来のミオブロビンである。一実施形態において、代用肉は、配列番号2によって表されるケナガマンモスミオグロビンを含む。このミオグロビンが、特に低pHでの酸化に対して安定であるので、このミオグロビンは魅力的な特性を有すると考えられる。本発明の代用肉の色は、ケナガマンモスミオグロビンが酸化に抵抗するので安定であると考えられる。この酸化に対する安定性はまた、本物の食肉よりも発がん性産物へと転化する可能性が低くなるであろうことから、本発明の代用肉に対して追加の健康特性を提供する。
【0088】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置65のQ又はH、位置92のH且つ位置94のHとの組み合わせで、且つ場合により配列番号3内の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、且つ/又は位置123のEのうちの少なくとも1つを有する、配列番号3と少なくとも70%の配列同一性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。好ましくは、同定される動物ミオグロビンのアミノ酸配列は、位置65のQ又はH、位置92のH且つ位置94のHとの組み合わせで配列番号3と少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の同一性又は類似性を有する配列を含む。配列番号3は、ステップマンモス由来のミオブロビンである。一実施形態において、代用肉は、配列番号3というアミノ酸配列によって表されるステップマンモスミオグロビンを含む。このミオグロビンが、特に低pHでの酸化に対して安定であるので、このミオグロビンは魅力的な特性を有すると考えられる。本発明の代用肉の色は、ステップマンモスミオグロビンが酸化に抵抗するので安定であると考えられる。この酸化に対する安定性はまた、本物の食肉よりも発がん性産物へと転化する可能性が低くなるであろうことから、本発明の代用肉に対して追加の健康特性を提供する。
【0089】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置30のFとの組み合わせで、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。
【0090】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置65のQとの組み合わせで、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。
【0091】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置92のHとの組み合わせで、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。
【0092】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置94のHとの組み合わせで、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。
【0093】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置30のF且つ位置65のQとの組み合わせで、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。
【0094】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置30のF且つ位置92のHとの組み合わせで、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。
【0095】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置30のF且つ位置94のHとの組み合わせで、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。
【0096】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置65のQ且つ位置92のHとの組み合わせで、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。
【0097】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置65のQ且つ位置94のHとの組み合わせで、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。
【0098】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置92のH且つ位置94のHとの組み合わせで、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。
【0099】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のHとの組み合わせで、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。
【0100】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置30のF且つ位置65のQ且つ位置94のHとの組み合わせで、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。
【0101】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置30のF且つ位置92のH且つ位置94のHとの組み合わせで、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。
【0102】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のHとの組み合わせで、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。
【0103】
一実施形態において、代用肉又は食品成分は、位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のHとの組み合わせで、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性又は類似性を含むアミノ酸配列によって表されるミオグロビンを含む。
【0104】
一実施形態において、代用肉は、配列番号3というアミノ酸配列によって表されるステップマンモスミオグロビンを含む。かかるミオグロビンは、特に低pHでの酸化に対して安定であるので、このミオグロビンは魅力的な特性を有すると考えられる。本発明の代用肉の色は、マンモスミオグロビンが酸化に抵抗するので安定であると考えられる。この酸化に対する安定性はまた、本物の食肉よりも、及び/又は配列番号3というアミノ酸配列によって表されるステップマンモスミオグロビンを含まない代用肉よりも、発がん性産物へと転化する可能性が低くなるであろうことから、本発明の代用肉に対して追加の健康特性を提供する。実施例2.4は、本発明によるステップマンモスミオグロビンの、及びステップマンモスミオグロビンを含む本発明による代用肉の色分析を提供する。その上、実施例2.5は、代用肉の芳香分析を提供するのに対し、実施例2.6は、鉄の生物学的利用度を評価する、ミオグロビンの栄養分析を提供する。
【0105】
一実施形態において、代用肉は、β-カゼイン、κ-カゼイン、α-S1-カゼイン、α-S2-カゼイン、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、ラクトフェリン及びトランスフェリンからなる群より選択される1つ以上の乳たんぱく質を含まず、この中で、当該乳たんぱく質は、ケナガマンモス由来である。別の実施形態において、代用肉は、β-カゼイン、κ-カゼイン、α-S1-カゼイン、α-S2-カゼイン、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、ラクトフェリン及びトランスフェリンからなる群より選択される1つ以上の乳たんぱく質を含まず、この中で、当該乳たんぱく質は、マンモス由来である。
【0106】
一実施形態において、代用肉は、β-カゼイン、κ-カゼイン、α-S1-カゼイン、α-S2-カゼイン、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、ラクトフェリン及びトランスフェリンからなる群より選択される1つ以上の乳たんぱく質を含まず、この中で、当該乳たんぱく質は、哺乳動物又は哺乳動物細胞によって産生されてはいない。
【0107】
より好ましい実施形態において、代用肉は、β-カゼイン、κ-カゼイン、α-S1-カゼイン、α-S2-カゼイン、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、ラクトフェリン又はトランスフェリンなどの乳たんぱく質を含まず、この中で、当該乳たんぱく質は、ケナガマンモス由来である。別のより好ましい実施形態において、代用肉は、β-カゼイン、κ-カゼイン、α-S1-カゼイン、α-S2-カゼイン、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、ラクトフェリン又はトランスフェリンなどの乳たんぱく質を含まず、この中で、当該乳たんぱく質は、マンモス由来である。
【0108】
別のより好ましい実施形態において、β-カゼイン、κ-カゼイン、α-S1-カゼイン、α-S2-カゼイン、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、ラクトフェリン又はトランスフェリンなどの乳たんぱく質を含まず、この中で、当該乳たんぱく質は、哺乳動物又は哺乳動物細胞によって産生されてはいない。
【0109】
一実施形態において、代用肉は、ケナガマンモス由来のκ-カゼインを含まない。さらなる実施形態において、代用肉は、配列番号17と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%配列同一性を有する配列によって表されるたんぱく質を含まない。さらなる実施形態において、代用肉は、配列番号17によって表されるたんぱく質を含まない。
【0110】
一実施形態において、代用肉は、ケナガマンモス由来のβ-カゼインを含まない。さらなる実施形態において、代用肉は、配列番号18と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%配列同一性を有する配列によって表されるたんぱく質を含まない。さらなる実施形態において、代用肉は、配列番号18によって表されるたんぱく質を含まない。
【0111】
食肉
第2の態様において、動物ミオグロビン、好ましくは哺乳動物ミオグロビン、より好ましくはマンモス、ブタ、ヒツジ、若しくはウシ由来の哺乳動物ミオグロビンであって、より好ましくは当該マンモスがケナガマンモス(Mammuthus primigenius)若しくはステップマンモス(Mammuthus trogontherii)であって、好ましくはステップマンモスである、哺乳動物ミオグロビン、又は鳥類ミオグロビン、好ましくはニワトリ由来の鳥類ミオグロビン、又は魚類ミオグロビン、好ましくはマグロ由来のミオグロビン、或いはこれらに由来するミオグロビン、を含む食肉製品であって、動物ミオグロビンが、当該動物によって産生されず、或いはそこに含まれるいかなる細胞でもなく、そこから当該食肉製品が得られる、食肉製品が提供される。言い換えれば、食肉製品は、動物に由来するが、そこで産生されなかったミオグロビンを含む。
【0112】
一実施形態において、外来性ミオグロビン、好ましくは外来性動物ミオグロビン、より好ましくはマンモス、ブタ、ヒツジ、若しくはウシ由来の、より好ましくは当該マンモスがケナガマンモス(Mammuthus primigenius)若しくはステップマンモス(Mammuthus trogontherii)、好ましくはステップマンモスである、外来性動物ミオグロビン、又は鳥類ミオグロビン、好ましくはニワトリ由来、又は魚類ミオグロビン、好ましくはマグロ由来、を含む食肉製品が提供される。本明細書では、外来性ミオグロビンは、当該食肉中に内在性で存在していないミオグロビンと定義される。
【0113】
一実施形態において先の実施形態における食肉製品中のミオグロビンは、以下のアミノ酸配列、すなわち
a)配列番号3と少なくとも70%の配列同一性を含み、且つ以下のアミノ酸の組み合わせ、すなわち
・位置30のF、及び/若しくは
・位置65のQ、及び/若しくは
・位置92のH、及び/若しくは
・位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH
のうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
b)配列番号2若しくは3と少なくとも70%の配列同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号2若しくは3の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、位置123のE、及び/若しくは位置143のIのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
c)配列番号1と少なくとも70%の配列同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号1の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、及び/若しくは位置123のEのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
d)配列番号4、5若しくは6と少なくとも70%の同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号4、5、若しくは6の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置13のN、位置27のQ、位置31のI、位置67のN、位置128のA、位置133のS、位置145のA、及び/若しくは位置150のLのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
e)配列番号7と少なくとも70%の同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号7の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置6のQ、位置10のQ、位置13のT、位置14のI、位置27のH、位置31のM、位置35のH、位置36のD、位置42のD、位置43のR、位置49のG、位置53のP、位置55のQ、位置58のG、位置67のA、位置72のQ、位置75のK、位置79のQ、位置82のN、位置85のS、位置93のT、位置111のV、位置116のI、位置117のA、位置118のE、位置121のA、位置128のS、位置133のK、位置145のS、及び/若しくは位置150のFのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、又は
f)配列番号8と少なくとも70%の同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含むアミノ酸配列
のうちの1つによって表される。
【0114】
一実施形態において、ミオグロビンを含む食肉製品であって、当該食肉製品中のミオグロビン濃度が、当該食肉製品が由来する食肉中のミオグロビンの平均濃度よりも高い、食肉製品が提供される。本明細書では、ミオグロビンの濃度は、ミオグロビン変異体すべての総濃度として解釈されるものとする。当該食肉製品が由来する食肉中のミオグロビンの平均濃度とは、当該食肉中のミオグロビンの、いくつかの対応する動物にわたって決定される平均濃度を意味し、この中で、外来性ミオグロビンは収穫後に添加されなかった。
【0115】
ミオグロビン
第3の態様において、本発明は、配列番号3を含む配列によって表され得るたんぱく質を提供する。
【0116】
好ましい実施形態において、配列番号3を含む配列によって表され得るたんぱく質であって、当該配列が、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、又は300個のアミノ酸残基の長さを有する、たんぱく質が提供される。
【0117】
好ましい実施形態において、配列番号3と配列番号3のN末端の末端配列とからなる配列によって表され得るたんぱく質が提供される。好ましくは、当該末端配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100個のアミノ酸残基の長さを有する。
【0118】
代替的な実施形態において、配列番号3と配列番号3のC末端の末端配列とからなる配列によって表され得るたんぱく質が提供される。好ましくは、当該末端配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100個のアミノ酸残基の長さを有する。
【0119】
好ましい実施形態において、配列番号3とタグとを含むか又はこれらからなる配列によって表され得るたんぱく質であって、好ましくは、当該タグがポリ-ヒスチジンタグである、たんぱく質が提供される。
【0120】
好ましい実施形態において、本発明は、ミオグロビンであって、当該ミオグロビンがステップマンモス由来であって、好ましくは当該ミオグロビンが配列番号3によって表されることができる、ミオグロビンを提供する。このミオグロビンは、先に説明したような代用肉、食品成分又は食肉製品における使用のためであり得る。
【0121】
実施例2.2において、配列番号3によって表されるミオグロビンの構造的特徴を研究する。具体的には、配列番号3は驚くべきことに、他のミオグロビンと比較してより高い正の表面帯電に対応していることが示されている。この理論に縛られることなく、配列番号3によって表されるミオグロビンはそれゆえ、高い安定性及び低い凝集傾向を特徴とし得る。このことは、先に説明したような代用肉、食品成分、又は食肉製品におけるこれらのミオグロビンの使用に有利であろう。
【0122】
本発明はさらに、先に説明したように、この第3の態様によるたんぱく質を含む組成物を提供する。
【0123】
核酸
第4の態様において、本発明は、核酸であって、当該核酸が、配列番号3によって表され得るたんぱく質をコードする部分配列を含む配列によって表され得る核酸であって、好ましくは当該部分配列が配列番号11によって表され得る、核酸を提供する。
【0124】
好ましい実施形態において、配列番号3によって表され得るたんぱく質をコードする部分配列であって、好ましくは当該部分配列が配列番号11によって表され得る部分配列を含む配列によって表され得る核酸であって、当該核酸が、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、又は600個の塩基の長さを有する、核酸が提供される。
【0125】
好ましい実施形態において、配列番号3によって表され得るたんぱく質をコードする部分配列であって、好ましくは当該部分配列が配列番号11によって表され得る部分配列と、当該部分配列の5’末端の末端配列と、を含む配列によって表され得る核酸が提供される。好ましくは、当該部分配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100個の塩基の長さを有する。
【0126】
好ましい実施形態において、配列番号3によって表され得るたんぱく質をコードする部分配列であって、好ましくは当該部分配列が配列番号11によって表され得る部分配列と、当該部分配列の3’末端の末端配列と、を含む配列によって表され得る核酸が提供される。好ましくは、当該部分配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100個の塩基の長さを有する。
【0127】
好ましい実施形態において、核酸であって、当該核酸がステップマンモス由来のミオグロビンをコードし、好ましくは当該ミオグロビンが配列番号3によって表されることができ、最も好ましくは、当該核酸が配列番号11によって表されることができる、核酸が提供される。
【0128】
本発明はさらに、先に説明したように、この第4の態様による核酸を含む組成物を提供する。
【0129】
遺伝子コンストラクト
第5の態様において、本明細書で先に定義されたようなミオグロビンをコードする核酸を含む遺伝子コンストラクトが提供される。
【0130】
本明細書で説明されるような「遺伝子コンストラクト」は、本開示の点で当業者によって理解されるようなその通例の且つ通常の意味を有する。「遺伝子コンストラクト」はまた、「発現カセット」又は「発現コンストラクト」とも呼ぶことができ、目的のたんぱく質の発現を制御するプロモーターへ作用可能に連結された、当該たんぱく質をコードする遺伝子を含む遺伝子又は遺伝子からなる群を指す。「一般的な情報」という表題の本出願の一部は、「遺伝子コンストラクト」についてより多くの詳細を含む。本明細書で使用されるような「作用可能に連結された」はさらに、「一般的な情報」という表題の本出願の当該一部において説明されている。
【0131】
動物ミオグロビンをコードするヌクレオチド配列は、いずれかの動物ミオグロビン遺伝子若しくは動物ミオグロビンコード配列、好ましくはマンモス、ブタ、ヒツジ、ウシ、ニワトリ、若しくはマグロ由来の動物ミオグロビン遺伝子若しくは動物ミオグロビンコード配列、又は好ましくはマンモス、ブタ、ヒツジ、ウシ、ニワトリ、若しくはマグロ由来の突然変異した動物ミオグロビン遺伝子若しくは動物ミオグロビンコード配列に由来し得る。
【0132】
従って、いくつかの実施形態において、動物ミオグロビンをコードする好ましいヌクレオチド配列は、配列番号1、2、3、4、5、6、7又は8と少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の同一性又は類似性を有する配列を含み、且つ本明細書で上述に同定された位置に(すなわち、位置65のQ又はH及び位置94のHとの組み合わせで)個々のアミノ酸を有するアミノ酸配列によって表されるポリペプチドをコードする。場合によるアミノ酸の位置も考慮され得る。
【0133】
いくつかの実施形態において、動物ミオグロビンをコードする好ましいヌクレオチド配列は、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の同一性又は類似性を有する、且つ以下のアミノ酸の組み合わせ、すなわち
・位置30のF、及び/若しくは
・位置65のQ、及び/若しくは
・位置92のH、及び/若しくは
・位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH
のうちの少なくとも1つを有する配列を含むアミノ酸配列によって表されるポリペプチドをコードする。
【0134】
いくつかの実施形態において、本発明による遺伝子コンストラクト中に存在する動物ミオグロビンをコードするヌクレオチド配列は、配列番号9、10、11、12、13、14、15、又は16からなる群より選択されるいずれかの配列と少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の同一性を有する。
【0135】
「同一性」又は「配列同一性」及び「類似性」又は「配列類似性」の説明は、「一般的な情報」という表題の節の下に提供されている。
【0136】
いくつかの実施形態において、本明細書に説明されるような遺伝子コンストラクトであって、動物ミオグロビンをコードするヌクレオチド配列が
(a)配列番号1、2、3、4、5、6、7又は8というアミノ酸配列と少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の配列同一性又は配列類似性を有する配列を、位置65のQ又はH且つ位置94のHとの組み合わせで含むアミノ酸配列によって表されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列。場合によるアミノ酸の位置も考慮され得る。
(b)配列番号9、10、11、12、13、14、15又は16のヌクレオチド配列と少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列。
(c)遺伝暗号の縮重による(b)のヌクレオチド配列の配列とは異なるヌクレオチド配列
からなる群より選択される、遺伝子コンストラクトが提供される。
【0137】
いくつかの実施形態において、本明細書に説明する遺伝子コンストラクトであって、動物ミオグロビンをコードするヌクレオチド配列が、
(a)配列番号3というアミノ酸と少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の配列同一性又は配列類似性を有する配列を含む、且つ以下のアミノ酸の組み合わせ
・位置30のF、及び/若しくは
・位置65のQ、及び/若しくは
・位置92のH、及び/若しくは
・位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH
のうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列によって表されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、
(b)配列番号11のヌクレオチド配列と少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列。
(c)遺伝暗号の縮重により(b)のヌクレオチド配列の配列とは異なるヌクレオチド配列
からなる群より選択される、遺伝子コンストラクトが提供される。
【0138】
本明細書に説明されるヌクレオチド配列又は本明細書に説明される動物ミオグロビンに由来するヌクレオチド配列、によってコードされる動物ミオグロビンは、当業者に公知のような動物ミオグロビンの活性の少なくとも検出可能なレベルを発揮する。
【0139】
動物ミオグロビンの活性は、そのヘムドメインを介して鉄を輸送することであり得る。この活性は、例えば、本明細書で先に定義したように、当業者に公知の方法によって評価され得る。
【0140】
いくつかの実施形態において、動物ミオグロビンをコードするヌクレオチド配列が配列番号19、20、21、22、23及び24より選択される、本明細書に説明される遺伝子コンストラクトが提供される。
【0141】
本明細書で、配列番号19は、配列番号3によって表されるステップマンモスミオグロビンをコードするヌクレオチド配列を表し、配列番号20は、配列番号4によって表されるヒツジミオグロビンをコードするヌクレオチド配列を表し、配列番号21は、配列番号5によって表されるウシミオグロビンをコードするヌクレオチド配列を表し、配列番号22は、配列番号6によって表されるブタミオグロビンをコードするヌクレオチド配列を表し、配列番号23は、配列番号7によって表されるニワトリミオグロビンをコードするヌクレオチド配列を表し、配列番号24は、配列番号8によって表されるマグロミオグロビンをコードするヌクレオチド配列を表し、これらのヌクレオチド配列は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)(コマガタエラ・パフィイ(Komagataella phaffii))における発現のためにコドンが最適化されている。コドンの最適化は、実施例2.1において詳述されている。
【0142】
いくつかの実施形態において、遺伝子コンストラクトはさらに、調節領域を含む。一実施形態において、遺伝子コンストラクトはさらに、プロモーターを含む。一実施形態において、遺伝子コンストラクトは、プロモーターと、終結因子と、場合によりシグナルペプチドとを含む。遺伝子コンストラクトはまた、マーカーも含み得る。本明細書で使用されるようなシグナルペプチドは好ましくは、発現したミオグロビンの排出を容易にする。当業者は、使用する宿主細胞に応じて、調節領域及びマーカーの同一性が最適化されなければならないであろうことを知っている。
【0143】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されるような遺伝子コンストラクトであって、配列番号25、26、27、28、29又は30によって表される遺伝子コンストラクトが提供される。
【0144】
本明細書では、配列番号25~30は、それぞれ配列番号19~24によって表されるステップマンモスミオグロビンと、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)交配因子アルファのシグナルペプチドとをコードするヌクレオチド配列を含む、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)(コマガタエラ・パフィイ(Komagataella phaffii))における発現にとってコドンが最適化された遺伝子コンストラクトを表す。言い換えれば、配列番号25~30はそれぞれ、ステップマンモス、ヒツジ、ウシ、ブタ、ニワトリ、及びマグロのミオグロビンの発現についての遺伝子コンストラクトに対応する。コドンの最適化を実施例2.1に詳述する。
【0145】
例えば、細菌(好ましくは、大腸菌(E.coli))が宿主細胞として使用される場合、以下の調節領域が使用され得る。細菌において使用されるのに適したプロモーターは、lac、trp、tac、T7(実施例で使用)、phoA、ara、xapA、cad、recA、spc、bla、rrnBリボソームRNAオペロン由来のP1及びP2、ファージλ由来のPプロモーターである。細菌において使用されるのに適した終結因子は、lac、trp、tac、T7(実施例で使用)、phoA、ara、xapA、cad、recA、spc、bla、rrnBリボソームRNAオペロン由来のP1及びP2、ファージλ由来のPL終結因子である。使用される好ましいプロモーターはT7プロモーターであり、且つ/又は好ましい終結因子はT7終結因子である。排出に好ましいシグナルペプチドは、大腸菌(E.coli)Sec認識ペプチド(SecA)、大腸菌(E.coli)Tet認識ペプチド、大腸菌(E.coli)dsbA、大腸菌(E.coli)phoA、大腸菌(E.coli)pelB、大腸菌(E.coli)MBP(マルトース結合たんぱく質)である。大腸菌(E.coli)に適切なマーカーは、アンピシリンである。或いは、大腸菌(E.coli)K12株由来のproBAオペロンは、その元の転写調節要素を含め、抗生物質なしでの選択を容易にするために使用され得る。
【0146】
別の例では、酵母が宿主細胞として使用される場合、以下の調節領域が使用され得る。酵母において使用されるのに適したプロモーターは、構成プロモーターであり得る。適切な構成プロモーターの例としては、FBA1、TPI1、PGK1、PYK1、TDH3、ENO2、HXK2、PGI1、PFK1、PFK2、GPM1遺伝子より選択される解糖系プロモーター、又はTEF2遺伝子の非解糖系プロモーターがある。
【0147】
酵母において使用されるのに適切なプロモーターは、誘導性であり得る。酵母がピキア(Pichia)である場合、メタノール誘導性プロモーターAOX1が好ましい。その他の点では、酵母がサッカロミセス・セレビシアエ(S.cerevisiae)であるとき、GAL1プロモーター(ガラクトース誘導性)が使用され得る。プロモーターが宿主細胞としての酵母について由来し得ると記載された遺伝子はまた、同じ酵母についての終結因子を誘導するためにも使用され得る。ピキア(Pichia)(及びサッカロミセス(Saccharomyces))についての排出に好ましいシグナルペプチドには、サッカロミセス・セレビシアエ(S.cerevisiae)アルファ交配因子プレプロ分泌シグナルペプチド、サッカロミセス・セレビシアエ(S.cerevisiae)Ost1シグナルペプチド、サッカロミセス・セレビシアエ(S.cerevisiae)Aga2シグナルペプチド、及びこれらの融合体がある。
【0148】
例2.1は、本明細書で先に定義したようなミオグロビンをコードする遺伝子コンストラクトの合成を説明する。AOX1は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)GS115株における発現に使用される。
【0149】
別の例において、繊維状真菌を宿主細胞として使用する場合、以下の調節領域が使用され得る。以下のプロモーターが使用され得る。すなわち、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼプロモーター(glaA)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)アルコール脱水素酵素プロモーター(alcA)又はアスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)タカアミラーゼAプロモーター(amyB)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)アルコール脱水素酵素プロモーター(adhA)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)ピルビン酸キナーゼプロモーター(pki)又はアスペルギルス・ニデュラス(Aspergillus nidulas)グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素プロモーター(gpdA)である。プロモーターが宿主細胞としての繊維状真菌について由来すると記載された遺伝子はまた、同じ繊維状真菌についての終結因子を誘導するためにも使用され得る。繊維状真菌、好ましくは、アスペルギルス(Aspergillus)についての排出に好ましいシグナルペプチドには、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼシグナルペプチド(glaA)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)a-ガラクトシダーゼシグナルペプチド(AglB)及びトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)セロビオヒドロラーゼI(CbhI)がある。
【0150】
アスペルギルス(Aspergillus)についての(より好ましくは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)についての)好ましいプロモーター及び終結因子は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)のグルコアミラーゼプロモーター及びグルコアミラーゼ終結因子である。
【0151】
発現ベクター
本明細書で説明される遺伝子コンストラクトは、発現ベクターの中に配置することができる。従って、別の態様において、先行する実施形態のうちのいずれかにおいて説明されるような遺伝子コンストラクトを含む発現ベクターが提供される。
【0152】
「発現ベクター」の説明は、「一般的な情報」という表題の節の下に提供されている。
【0153】
組成物
さらなる態様において、先に説明したような遺伝子コンストラクト及び/又は先に説明したような発現ベクターを含み、場合によりさらに、1つ以上の成分を含む、組成物が提供される。
【0154】
宿主細胞
さらなる態様において、本明細書で定義されるような遺伝子コンストラクトを含む宿主細胞が提供される。この宿主細胞は、原核生物又は真核生物であり得る。
【0155】
原核生物は、細菌であり得る。細菌は、以下のリスト、すなわち、アブシディア属(Absidia)、アクロモバクター属(Achromobacter)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、エアリバチルス属(Aeribacillus)、アネウリニバチルス属(Aneurinibacillus)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、アエロモナス属(Aeromonas)、アルカリゲネス属(Alcaligenes)、アルスロバクター属(Arthrobacter)、アルゾアルカス属(Arzoarcus)、アゾモナス属(Azomonas)、アゾスピリルム属(Azospirillum)、アゾトバクター属(Azotobacter)、バチルス属(Bacillus)、ベイジェリンキア属(Beijerinckia)、ブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)、ブレビバチルス属(Brevibacills)、ブルクホルデリア属(Burkholderia)、バイソクラミス属(Byssochlamys)、シトロバクター属(Citrobacter)、クロストリジウム属(Clostridium)、コマモナス属(Comamonas)、カプリアビダス属(Cupriavidus)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、デイノコッカス属(Deinococcus)、エシェリキア属(Escherichia)、エンテロバクター属(Enterobacter)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ゴシッピウム属(Gossypium)、クレブシエラ属(Klebsiella)、乳酸桿菌属(Lactobacillus)、リステリア属(Listeria)、メガスファエラ属(Megasphaera)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、ミコバクテリア属(Mycobacterium)、ノルカジア属(Norcadia)、ポルフィロモナス属(Porphyromonas)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ラルストニア属(Ralstonia)、根粒菌属(Rhizobium)、ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas)、ロドスピリルム属(Rhodospirillum)、ロドコッカス(Rodococcus)、ロゼブリア属(Roseburia)、シェワネラ属(Shewanella)、ストレプトミセス属(Streptomycetes)、キサントモナス属(Xanthomonas)、キシレラ属(Xylella)、エルシニア属(Yersinia)、トレポネーマ属(Treponema)、ビブリオ属(Vibrio)、連鎖球菌属(Streptococcus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ザイモモナス属(Zymomonas)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、サルモネラ属(Salmonella)、スフィンゴモナス属(Sphingomonas)、スフィンゴビウム属(Sphingobium)、ノボスフィンゴビウム属(Novosphingobium)、ブルセラ属(Brucella)及びミクロシラ属(Microscilla)から選択されるグラム陽性/グラム陰性菌であり得る。
【0156】
好ましい細菌には、エアリバチルス・パリダス(Aeribacillus pallidus)、アネウリニバチルス・テラノベンシス(Aneurinibacillus terranovensis)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・ハロデュランス(Bacillus halodurans)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、ブレビバチルス・サーモルバー(Brevibacillus thermoruber)、ブレビバチルス・パナチフミ(Brevibacillus panacihumi)、キュープリアビダス・バシレンシス(Cupriavidus basilensis)、ゲオバチルス・イラウストフィルス(G.lraustophilus)、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)、カウロバクター・クレセンタス(Caulobacter crescentus)CB 15、メチロバクテリウム・エクストルケンス(Methylobacterium extorquens)、ロドバクター・スファエロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ペロトマクルム・サーモプロピオニカム(Pelotomaculum thermopropionicum)、シュードモナス・ゼアキサンチニファシエンス(Pseudomonas zeaxanthinifaciens)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans)、大腸菌(Escherichia coli)、コリネバクテリウム・グルタニカム(Corynebacterium glutamicum)、スタフィロコッカス・カルノーサス(Staphylococcus carnosus)、ストレプトマイセス・リヴィダンス(Streptomyces lividans)、シノリゾビウム・メリオティ(Sinorhizobium melioti)、スフィンゴビウム属(Sphingobium sp.)、ノボスフィンゴビウム属(Novosphingobium sp.)、スフィンゴモナス・ヘンシュイエンシス(Sphingomonas henshuiensis)、及びリゾビウム・ラディオバクター(Rhizobium radiobacter)がある。好ましい細菌は、大腸菌(Escherichia coli)である。
【0157】
好ましい大腸菌(Escherichia coli)株には、58、679、WG1、DH5α、TG1、TOP10、K12(実施例において使用)、BL21、BL21 DE3、XL1-ブルー、XL10-ゴールド、TB1、REG-12、W945、HB101、DH1、DP50、AB284、JC9387、AG1、C600、カヴァリ(Cavalli)Hfr、Y10がある。
【0158】
真核生物は、酵母又は繊維状真菌であり得る。
【0159】
好ましい酵母には、サッカロミセス属(Saccharomyces)、クリベロミセス属(Kluyveromyces)、カンジダ属(Candida)、ピキア属(Pichia)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、クロエケラ属(Kloeckera)、シュワンニオミセス属(Schwanniomyces)、ヤロウイア属(Yarrowia)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、デバロミセス属(Debaromyces)、サッカロミセコプシス属(Saccharomycecopsis)、サッカロミコデス(Saccharomycodes)、ウィッケラミア属(Wickerhamia)、デバヨミセス属(Debayomyces)、ハンセニアスポラ属(Hanseniaspora)、オガタエア属(Ogataea)、クライシア属(Kuraishia)、コマガタエラ属(Komagataella)、メチニコビア属(Metschnikowia)、ウィリオプシス属(Williopsis)、ナカザワエア属(Nakazawaea)、トルラスポラ属(Torulaspora)、ブレラ属(Bullera)、ロドトルラ属(Rhodotorula)、スポロボロミセス属(Sporobolomyces)がある。酵母内で、クリベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)(オガタエア・ヘンリシイ(Ogataea henricii)としても公知)、ヤロウイア・リボリティカ(Yarrowia lipolytica)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)及びピキア・パストリス(Pichia pastoris)(コマガタエラ・パフィイ(Komagataella phaffii)としても公知)という種が好ましい。
【0160】
好ましいピキア(Pichia)株は、以下のリスト、すなわち、Bg09、Bg10、Bg11、Bg12(例示された)、Bg20、Bg21、Bg22、Bg23、Bg24、Bg25、Bg26、Bg40、Bg43、Bg44、Bg45、Y-11430、X-33、GS115、KM71、SMD1168、SMD1165、MC100-3より選択され、最も好ましくはBg10及び誘導体である。
【0161】
実施例2.3において、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)のGS115(his4)株を宿主細胞として使用する。
【0162】
好ましいサッカロミセス(Saccharomyces)株は、以下のリスト、すなわち、S288C、CEN.PKファミリー、CBS 2354、ATCC 2360、ATCC 4098、ATCC 4124、ATCC 4126、ATCC 4127、ATCC 4921、ATCC 7754、ATCC 9763、ATCC 20598、ATCC 24855、ATCC 24858、ATCC 24860、ATCC 26422、ATCC 46523、ATCC 56069、ATCC 60222、ATCC 60223、ATCC 60493、ATCC 66348、ATCC 66349、ATCC 96581より選択される。好ましい酵母はピキア(Pichia)株であり、より好ましくはピキア・パストリス(Pichia pastoris)である。
【0163】
繊維状真菌は、以下のリストから選択され得、これにはアクレモニウム属(Acremonium)、ハラタケ属(Agaricus)、アスペルギルス属(Aspergillus)、アウレオバシディウム属(Aureobasidium)、クリソスポリウム属(Chrysosporium)、ヒトヨタケ属(Coprinus)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、フィリバシジウム属(Filibasidium)、フザリウム属(Fusarium)、フミコラ属(Humicola)、マグナポルテ属(Magnaporthe)、ケカビ属(Mucor)、ミセリオフトラ属(Myceliophthora)、ネオカリナスティクス属(Neocallinastix)、アカパンカビ属(Neurospora)、ペシロミセス属(Paecilomyces)、ペニシリウム属(Penicillium)、ピロミセス属(Piromyces)、パネロカエテ属(Panerochaete)、ヒラタケ属(Pleurotus)、スエヒロタケ属(Schizophyllum)、タラロミセス属(Talaromyces)、サーモアスカス属(Thermoascus)、チエラヴィア属(Thielavia)、トリポクラジウム属(Tolypocladium)、ウスチラゴ属(Ustilago)及びトリコデルマ属(Trichoderma)がある。
【0164】
好ましい繊維状真菌は、以下のリスト、すなわち、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・バデンシス(Aspergillus vadensis)、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)、ペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)、ペニシリウム・ルーベンス(Penicillium rubens)、ペニシリウム・オキサリカム(Penicillium oxalicum)、ペニシリウム・サブルーベセンス(Penicillium subrubescens)、ラサムソニア・エメルソニイ(Rasamsonia emersonii)、タラロミセス・エメルソニイ(Talaromyces emersonii)、アクレモニウム・クリソゲナム(Acremonium chrysogenum)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、及びクリソスポリウム・ラクナウェンセ(Chrysosporium lucknowense)より選択される。
【0165】
繊維状真菌の好ましい株は、以下のリスト、すなわち、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)CBS 513.88、N593、CBS 120.49(実施例において使用されるように)、N402、ATCC 1015 アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)ATCC 20423、IFO 4177、ATCC 1011、ATCC 9576、ATCC 14488-14491、ATCC 11601、ATCC12892、アスペルギルス・バデンシス(Aspergillus vadensis)CBS 113365、CBS 102787、IMI 142717、IBT 24658、CBS 113226、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)CBS 455.95、ペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)ATCC 38065、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)P2、ウィスコンシン(Wisconsin)54-1255、ペニシリウム・サブルーベセンス(Penicillium subrubescens)CBS 132785、FBCC 1632、タラロミセス・エメルソニイ(Talaromyces emersonii)CBS 393.64、アクレモニウム・クリソゲナム(Acremonium chrysogenum)ATCC 36225又はATCC 48272、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)ATCC 26921又はATCC56765又はATCC 26921、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)ATCC11906、クリソスポリウム・ラクナウェンセ(Chrysosporium lucknowense)ATCC44006より選択される。
【0166】
好ましい実施形態において、アスペルギルス属(Aspergillus)は、繊維状真菌として使用される。より好ましくは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)株が使用される。
【0167】
方法
本発明の宿主細胞は、ミオグロビンの産生に有用である。いくつかの実施形態において、ミオグロビンは、マンモス由来、好ましくは、ケナガマンモス又はステップマンモス由来である。いくつかの実施形態において、ミオグロビンはブタ由来である。いくつかの実施形態において、ミオグロビンはヒツジ由来である。いくつかの実施形態において、ミオグロビンはウシ由来である。いくつかの実施形態において、ミオグロビンはニワトリ由来である。いくつかの実施形態において、ミオグロビンはマグロ由来である。従って、さらなる態様において、本発明は、適切な培地中で本発明の宿主細胞を培養することと、場合により宿主細胞及び/又はミオグロビンを回収することとを含む、本明細書で先に定義したようなミオグロビンの製造のための方法を提供する。場合により、製造されたミオグロビンは、本明細書の他所で定義したようなシグナルペプチドを含まない。
【0168】
一実施形態において、本発明は、本明細書で先に定義したようなマンモス由来のミオグロビン、好ましくは、配列番号1と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビン、より好ましくは、位置65のQ又はH且つ位置94のHと組み合わせて配列番号1と少なくとも70%の配列同一性を含む、且つ場合により配列番号1の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、及び/又は位置123のEのうちの少なくとも1つを有するミオグロビンの製造のための方法であって、適切な培地中で本発明の宿主細胞を培養することと、場合により宿主細胞及び/又はミオグロビンを回収することと、を含む方法を提供する。
【0169】
一実施形態において、本発明は、本明細書で先に定義したようなケナガマンモス由来のミオグロビン、好ましくは、配列番号2と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビン、より好ましくは、位置65のQ又はH、位置92のQ、且つ位置94のHと組み合わせて配列番号2と少なくとも70%の配列同一性を含む、且つ場合により配列番号2の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、位置123のE、及び/又は位置143のIのうちの少なくとも1つを有するミオグロビンの製造のための方法であって、適切な培地中で本発明の宿主細胞を培養することと、場合により宿主細胞及び/又はミオグロビンを回収することと、を含む方法を提供する。
【0170】
一実施形態において、本発明は、本明細書で先に定義したようなステップマンモス由来のミオグロビン、好ましくは、配列番号3と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビン、より好ましくは、位置65のQ又はH、位置92のH、且つ位置94のHと組み合わせて配列番号3と少なくとも70%の配列同一性を含む、且つ場合により配列番号3の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、位置123のE、及び/又は位置143のIのうちの少なくとも1つを有するミオグロビンの製造のための方法であって、適切な培地中で本発明の宿主細胞を培養することと、場合により宿主細胞及び/又はミオグロビンを回収することと、を含む方法を提供する。
【0171】
一実施形態において、本発明は、本明細書で先に定義したようなステップマンモス由来のミオグロビン、好ましくは、配列番号3と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビン、より好ましくは、以下のアミノ酸の組み合わせ、すなわち、
・位置30のF、及び/又は
・位置65のQ、及び/又は
・位置92のH、及び/又は
・位置94のH、及び/又は
・位置30のF且つ位置65のQ、及び/又は
・位置30のF且つ位置92のH、及び/又は
・位置30のF且つ位置94のH、及び/又は
・位置65のQ且つ位置92のH、及び/又は
・位置65のQ且つ位置94のH、及び/又は
・位置92のH且つ位置94のH、及び/又は
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH、及び/又は
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置94のH、及び/又は
・位置30のF且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/又は
・位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/又は
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH
のうちの少なくとも1つとの組み合わせで配列番号3と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビンの製造のための方法であって、適切な培地中で本発明の宿主細胞を培養することと、場合により宿主細胞及び/又はミオグロビンを回収することと、を含む方法を提供する。
【0172】
一実施形態において、本発明は、本明細書で先に定義したようなヒツジ由来のミオグロビン、好ましくは、配列番号4と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビン、より好ましくは、位置65のQ又はH且つ位置94のHと組み合わせて配列番号4と少なくとも70%の配列同一性を含む、且つ場合により配列番号4の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置13のN、位置27のQ、位置31のI、位置67のN、位置128のA、位置133のS、位置145のA、及び/又は位置150のLのうちの少なくとも1つを有するミオグロビンの製造のための方法であって、適切な培地中で本発明の宿主細胞を培養することと、場合により宿主細胞及び/又はミオグロビンを回収することと、を含む方法を提供する。
【0173】
一実施形態において、本発明は、本明細書で先に定義したようなウシ由来のミオグロビン、好ましくは、配列番号5と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビン、より好ましくは、位置65のQ又はH且つ位置94のHと組み合わせて配列番号5と少なくとも70%の配列同一性を含む、且つ場合により配列番号5の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置13のN、位置27のQ、位置31のI、位置67のN、位置128のA、位置133のS、位置145のA、及び/又は位置150のLのうちの少なくとも1つを有するミオグロビンの製造のための方法であって、適切な培地中で本発明の宿主細胞を培養することと、場合により宿主細胞及び/又はミオグロビンを回収することと、を含む方法を提供する。
【0174】
一実施形態において、本発明は、本明細書で先に定義したようなブタ由来のミオグロビン、好ましくは、配列番号6と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビン、より好ましくは、位置65のQ又はH且つ位置94のHと組み合わせて配列番号6と少なくとも70%の配列同一性を含む、且つ場合により配列番号6の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置13のN、位置27のQ、位置31のI、位置67のN、位置128のA、位置133のS、位置145のA、及び/又は位置150のLのうちの少なくとも1つを有するミオグロビンの製造のための方法であって、適切な培地中で本発明の宿主細胞を培養することと、場合により宿主細胞及び/又はミオグロビンを回収することと、を含む方法を提供する。
【0175】
一実施形態において、本発明は、本明細書で先に定義したようなニワトリ由来のミオグロビン、好ましくは、配列番号7と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビン、より好ましくは、位置65のQ又はH且つ位置94のHと組み合わせて配列番号7と少なくとも70%の配列同一性を含む、且つ場合により配列番号7の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置6のQ、位置10のQ、位置13のT、位置14のI、位置27のH、位置31のM、位置35のH、位置36のD、位置42のD、位置43のR、位置49のG、位置53のP、位置55のQ、位置58のG、位置67のA、位置72のQ、位置75のK、位置79のQ、位置82のN、位置85のS、位置93のT、位置111のV、位置116のI、位置117のA、位置118のE、位置121のA、位置128のS、位置133のK、位置145のS、及び/又は位置150のFのうちの少なくとも1つを有するミオグロビンの製造のための方法であって、適切な培地中で本発明の宿主細胞を培養することと、場合により宿主細胞及び/又はミオグロビンを回収することと、を含む方法を提供する。
【0176】
一実施形態において、本発明は、本明細書で先に定義したようなマグロ由来のミオグロビン、好ましくは、配列番号8と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビン、より好ましくは、位置65のQ又はH且つ位置94のHと組み合わせて配列番号8と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビンの製造のための方法を提供する。
【0177】
本態様の特徴は好ましくは、本明細書の他所で説明したとおりである。本方法は以後、それに代わるものとして、本発明によるプロセスと呼ばれ得る。本発明によるプロセスにおける使用に適した細胞培養方法は、当業者に公知であり、例えば、van’t Riet,K.and Tramper,J.,1st edition,Basic Bioreactor Design,CRC Press,NY,1991において考察されている。かかる方法には、液体培地中での液内発酵、液体培地上での表面発酵及び固形物状態の発酵があるが、これらに限定されない。細胞培養は、例えば、実験室設定及び/又は産業設定におけるマイクロタイタープレート、振盪フラスコ、小規模卓上バイオリアクタ、中規模バイオリアクタ、及び/又は大規模バイオリアクタにおける培養によって実施され得る。適切な細胞培養様式には、連続発酵、回分発酵及び/又は流加発酵、並びにこれらの組み合わせがあるが、それらに限定されない。一実施形態において、細胞培養は、連続発酵を用いて実施される。好ましい実施形態において、細胞培養は、回分発酵を用いて実施される。より好ましい実施形態において、細胞培養は、流加発酵を用いて実施される。
【0178】
本発明の文脈において、以後それに代わるものとして「成長培地」と呼ばれる「培養培地」は、培養される細胞がない場合、及び培養される細胞が培養培地中に存在する場合を包含するよう解釈することができる。「培養ブロス」は、培養された細胞が存在する培養培地を指す。「培養上清」は、培養される細胞がない培養培地を指す。「無細胞抽出物」は、細胞片を含まない細胞溶解液を指す。本発明のプロセスの一部としての細胞培養は、導入されるミオグロビンの製造の一助となる条件下で実施することができ、当該条件は当業者に公知である。かかる条件は、培養培地の化学組成だけでなく、培養持続時間、温度、培養ブロス及び/又はヘッドスペースにおけるOレベル、培養ブロス及び/又はヘッドスペースにおけるCOレベル、pH、イオン強度、撹拌速度、静水圧などを含む他のプロセスパラメータにもよる。細胞培養は、炭素源及び窒素源など適切な栄養素と、無機塩類及びビタミン類などの追加の化合物とを含む培養培地を用いて、当技術分野で公知の手順を用いて行うことができる(例えば、Bennett,W.and Lasure,L.,1st edition,More Gene Manipulations in Fungi,Academic Press,CA,1991を参照されたい)。適切な成長培地は、商業的供給元から入手可能であるか、又は個々の宿主に適している(例えば、Centraalbureau Voor Schimmelcultures collection(CBS)のカタログ、又はAmerican Type Culture Collection(ATCC)のカタログにおいて)公表された組成物を用いて調製され得る。
【0179】
成長培地の実際の組成及び培養プロセスパラメータの値は、本発明の決定的な特徴ではない。いかなる成長培地組成も、それが、宿主細胞の成長及び導入されるミオグロビンの産生を可能にする限り、企図され得る。成長培地は典型的には、培養される細胞の成長に使用される炭素源を含むであろう。当業者は、適切な炭素源が成長培地へ外部から添加され得るか、又は当該培地中に既に存在し得るかを理解している。炭素源は、個々に又は複数の炭素源の混合物中に存在し得又は添加され得る。当技術分野で公知の適切な炭素源の例としては、グルコース、マルトース、スクロース、キシロース、アラビノースなどの単純な糖、マルトデキストリン、加水分解でんぷん、でんぷん、糖みつなどの複雑な糖、及び第二世代供給原料がある。第二世代供給原料は、特に魅力的であり得、その理由は、それらの炭素足跡がより低いからである。第二世代供給原料は典型的にはリグノセルロース性材料を含むであろう。かかる材料には、いずれかのリグノセルロース及び/又はヘミセルロース系材料がある。かかる材料は、農業の、産業の又は地方自治体の、好ましくは農業の廃棄物流を資源とし得る。適切な材料の例としては、(農業の)バイオマス、商業的有機物質、地方自治体の固形廃棄物、廃棄紙及び庭の廃棄物などのバージンバイオマス、又は非バージンバイオマスがある。バイオマスの一般的な形態としては、樹木、低木及び牧草地、コムギ、麦藁、サトウキビバガス、スイッチグラス、ススキ、トウモロコシ、トウモロコシ茎葉、トウモロコシ穂軸、カノーラ柄、ダイズ柄、スイートコーン、トウモロコシ仁、「ぬか又は繊維」と呼ばれることが多い、トウモロコシ、コムギ、及びオオムギなどの穀類製粉からの産物及び副産物(湿式製粉及び乾式製粉を含む)、並びに地方自治体の固形物がある。バイオマスはまた、草の生えた材料、農業残渣、林業残渣、地方自治体の固形廃棄物、廃棄紙、並びにパルプ及び製紙工場の残渣であり得る。農業バイオマスには、枝、低木、トウ、トウモロコシ及びトウモロコシ藁、エネルギー作物、森林、果実、花、穀類、牧草、草本作物、葉、樹皮、針、丸太、根、幼木、短期輪作性樹木作物、低木、スイッチハーブ、樹木、野菜、果実、ワイン、甜菜パルプ、コムギ粉砕副産物、エンバク籾殻、並びに硬質及び軟質高木(毒性樹木を含まない)、並びに農業及び林業の活動を含む農業プロセスから結果的に生じる有機廃棄材料、特に林業樹木廃棄物がある。農業バイオマスは、上述単独のうちのいずれか、又はそのいずれかの組み合わせ若しくは混合物であり得る。有機酸、アルデヒド、ケトン、エステル、及びアルコールなどの炭素源も企図され得る。複数の異なる炭素源の組み合わせを含む成長培地の使用も、本発明のプロセスにおいて企図され得る。かかる培地は、非限定例として、有機酸などのより多くの酸化された炭素源を、アルコールなどのより還元された炭素源と組み合わせ得る。当技術分野で公知の適切な窒素源の例としては、ダイズ豆食、トウモロコシ浸漬液、酵母抽出物、ホエーたんぱく質、卵たんぱく質、カゼイン加水分解物、尿素、アンモニア、アンモニウム塩及び硝酸塩がある。当技術分野で公知の追加の適切な化合物の例としては、リン酸塩、硫酸塩、マグネシウムなどの金属、微量元素及びビタミン類がある。実際の成長培地の要件は、宿主細胞に基づいて、例えば、酵母、細菌、及び糸状真菌の間で異なるであろうし、当該要件は当業者に公知であろう。従って、成長培地は、完全(リッチ)培地又は最小培地、すなわち、培養される宿主細胞に応じて成長のために絶対的に必要な構成要素のみを含む培地であり得る。
【0180】
成長培地の組成と同様に、プロセスパラメータは、宿主細胞の成長及び導入されるミオグロビンの製造を可能にする限り、いかなる値も割り当てることができる。典型的には、当該値は、培養されている宿主細胞に基づいて異なるであろうし、当業者に公知であろう。好ましくは、本発明によるプロセスは、酸素制限プロセス又は好気的プロセスであり、細胞培養が、酸素制限条件下で又は好気的条件下で行われること、より好ましくはプロセスが酸素制限されていることを意味する。ミクロ好気的条件としても公知の酸素制限条件は、酸素消費が酸素の利用可能度によって制限された培養条件である。酸素制限度は、入ってくるガス流の量及び組成並びに使用される発酵装置の実際の混合/物質移動特性によって決定される。好ましくは、液体培養における酸素制限条件下では、酸素消費量は、少なくとも約5.5mmol/L/時、より好ましくは少なくとも約6mmol/L/時、及びさらにより好ましくは少なくとも約7mmol/L/時である。好気的条件とは、酸素消費が酸素利用可能度によって制限されない培養条件である。
【0181】
細胞培養は、細胞にとって最適である温度の値で、典型的には16~42℃の温度範囲で行われ得る。いくつかの実施形態において、温度は、20~40℃の間の、より好ましくは25~38℃の間の、最も好ましくは28~36℃の間の範囲である。いくつかの最も好ましい実施形態において、約30~36℃という温度の値が使用される。
【0182】
細胞培養は細胞にとって最適であるpHの値で行われ得る。いくつかの実施形態において、培養pHは、約pH2.5、約pH3.0、約pH3.5、約pH4.0、約pH4.5、約pH5、約pH5.5、約pH6、約pH6.5、約pH7、約pH7.5、約pH8.0、約pH8.5、約pH9である。好ましい実施形態において、pHは、約pH3.0~約pH9、より好ましくは約pH3.5~pH7の範囲である。いくつかの最も好ましい実施形態において、約6というpH値が使用される。
【0183】
細胞培養は、細胞にとって最適である培養培地のイオン強度値で、典型的には50mM~2Mの間の範囲で行われ得る。いくつかの実施形態において、培養培地のイオン強度は、75mM~1Mの間の、より好ましくは100mM~750mMの間の範囲である。いくつかの最も好ましい実施形態において、約100mMというイオン強度値が使用される。
【0184】
細胞培養は、14、13.5、13、12.5、12、11.5、11、10.5、10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5又は1日という持続時間で行われ得、当該持続時間は20%ほど逸脱し得る。好ましくは、細胞培養は、14、13.5、13、12.5、12、11.5、11、10.5、10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5又は1日という持続期間行われ、当該持続時間は10%ほど逸脱し得る。より好ましくは、細胞培養は、5日間行われ、当該持続時間は20%ほど、最も好ましくは10%ほど逸脱し得る。
【0185】
本発明によるプロセスは典型的には、少なくとも100mg/L、200mg/L、300mg/L、400mg/L、500mg/L、600mg/L、700mg/L、800mg/L、900mg/L、1g/L、2g/L、3g/L、4g/L、5g/L、6g/L、7g/L、8g/L、9g/L、10g/L、11g/L、12g/L、13g/L、14g/L、15g/L、16g/L、17g/L、18g/L、19g/L、20g/L、21g/L、22g/L、23g/L、24g/L、25g/L、50g/L、75g/L、100g/L、200g/L又は300g/Lのミオグロビンの製造を結果的に生じるであろう。
【0186】
本発明によるプロセスにおいて、成長培地中の炭素源の典型的には少なくとも10%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは、少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも60%がミオグロビンへと転化されるであろう。
【0187】
細胞培養はまた、複数のステップ、好ましくは2ステップの培養方法の実施によっても行われ得る。例えば、ミオグロビンの製造ステップは、細胞バイオマスの成長ステップによって先行され得、制限された製造のみが生じるか又はまったく製造されない。異なるステップは、各ステップの目標及び/又は培養される細胞に応じて、異なる培養様式及び/又は異なる培養培地及び/又は異なる培養プロセスパラメータ値を用いて、行われ得る。製造ステップ中のバイオマスは、活発に成長していても又はしていなくてもよい。
【0188】
本発明のプロセスの文脈において、宿主細胞及び/又はミオグロビンは、場合により、培養培地から回収され得る。細胞内に存在するとき、ミオグロビンは場合により、回収された細胞バイオマスから回収され得る。場合により、回収されたミオグロビンは精製される。好ましくは、ミオグロビンの精製は結果的に、少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の純度を、最も好ましくは実質的に純粋であるミオグロビンを生じるであろう。
【0189】
一実施形態において、宿主細胞は、本発明によるプロセスにおいて細胞外でミオグロビンを産生する。この実施形態によるプロセスにおいて、ミオグロビンは、宿主細胞の中で合成された後に宿主細胞の外へ輸送される。この実施形態によるプロセスは、本発明による細胞外プロセスと呼ばれ得る。この文脈において、分泌発酵及び細胞外発酵はいずれも、細胞外産生とみなされる。
【0190】
この理論に縛られることなく、本発明による細胞外プロセスは、産生されたミオグロビンを回収するための下流の加工がより簡便で、効率的で、且つ/又は有効であるという利点を有する。さらに、この製品によるプロセスは結果的に、ミオグロビンが、その合成の後、宿主細胞の外へ輸送されない細胞内法と比較した最小下流加工で、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%など高い純度のミオグロビンを含む組成物を生じ得る。
【0191】
この理論に縛られることなく、本発明による細胞外プロセスは、ミオグロビンを回収する場合によるステップが宿主細胞を溶解することを含まないという利点を有する。結果として、本発明による細胞外プロセスは結果的に、後述の実施形態で説明されるように、宿主細胞から生じる低濃度の核酸を有する組成物を生じ得る。
【0192】
従って、さらなる態様において、本発明は、本明細書で上述に定義したようなミオグロビンの製造のための方法であって、本発明の宿主細胞を適切な培地中で培養することと、宿主細胞及び/又はミオグロビンを場合により回収することと、を含む、方法を提供する。
【0193】
一実施形態において、本発明による細胞外プロセスは結果的に、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%のミオグロビンの純度を持つ組成物を、最も好ましくは実質的に純粋であるミオグロビンを生じる。
【0194】
好ましくは、純度は、本発明によるプロセス又は細胞外プロセスの終了時に得られる無細胞上清における総たんぱく質画分の重量百分率として測定される。
【0195】
一実施形態において、本発明による細胞外プロセスは結果的に、宿主細胞から生じる核酸の5%、4.9%、4.8%、4.7%、4.6%、4.5%、4.4%、4.3%、4.2%、4.1%、4%、3.9%、3.8%、3.7%、3.6%、3.5%、3.4%、3.3%、3.2%、3.1%、3%、2.9%、2.8%、2.7%、2.6%、2.5%、2.4%、2.3%、2.2%、2.1%、2%、1.9%、1.8%、1.7%、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、又は0.1%以下を含む組成物を生じる。
【0196】
一実施形態において、本発明は、本明細書で先に定義したようなケナガマンモス由来のミオグロビン、好ましくは、配列番号2と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビン、より好ましくは、位置65のQ又はH、位置92のQ、且つ位置94のHとの組み合わせで配列番号2と少なくとも70%の配列同一性を含む、且つ配列番号2の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、位置123のE、且つ/又は位置143のIのうちの少なくとも1つを場合により有するミオグロビンの製造のための、本発明による細胞外プロセスであって、本発明の宿主細胞を適切な培地中で培養することと、宿主細胞及び又はミオグロビンを場合により回収することと、を含む細胞外プロセスを提供する。
【0197】
一実施形態において、本発明は、本明細書で先に定義したようなステップマンモス由来のミオグロビン、好ましくは、配列番号3と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビン、より好ましくは、以下のアミノ酸の組み合わせ、すなわち、
・位置30のF、及び/若しくは
・位置65のQ、及び/若しくは
・位置92のH、及び/若しくは
・位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH
のうちの少なくとも1つとの組み合わせで配列番号3と少なくとも70%の配列同一性を含む、ミオグロビンの製造のための本発明による細胞外プロセスであって、本発明の宿主細胞を適切な培地中で培養することと、宿主細胞及び又はミオグロビンを場合により回収することと、を含む細胞外プロセスを提供する。
【0198】
実施例2.3は、ステップマンモスミオグロビンの細胞外製造を提供する。
【0199】
一実施形態において、本発明は、本明細書で先に定義したようなヒツジ由来のミオグロビン、好ましくは配列番号4と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビン、より好ましくは、位置65のQ又はH且つ位置94のHとの組み合わせで配列番号4と少なくとも70%の配列同一性を含む、且つ場合により、配列番号4の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置13のN、位置27のQ、位置31のI、位置67のN、位置128のA、位置133のS、位置145のA、及び/又は位置150のLのうちの少なくとも1つを有するミオグロビンの製造のための本発明による細胞外プロセスであって、本発明の宿主細胞を適切な培地中で培養することと、場合により宿主細胞及び/又はミオグロビンを回収することと、を含む細胞外プロセスを提供する。
【0200】
一実施形態において、本明細書で先に定義したようなウシ由来のミオグロビン、好ましくは配列番号5と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビン、より好ましくは、位置65のQ又はH且つ位置94のHとの組み合わせで配列番号5と少なくとも70%の配列同一性を含む、且つ場合により、配列番号5の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置13のN、位置27のQ、位置31のI、位置67のN、位置128のA、位置133のS、位置145のA、及び/又は位置150のLのうちの少なくとも1つを有するミオグロビンの製造のための本発明による細胞外プロセスであって、本発明の宿主細胞を適切な培地中で培養することと、場合により宿主細胞及び/又はミオグロビンを回収することと、を含む細胞外プロセスである。
【0201】
一実施形態において、本発明は、本明細書で先に定義したようなブタ由来のミオグロビン、好ましくは配列番号6と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビン、より好ましくは、位置65のQ又はH且つ位置94のHとの組み合わせで配列番号6と少なくとも70%の配列同一性を含む、且つ場合により、配列番号6の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置13のN、位置27のQ、位置31のI、位置67のN、位置128のA、位置133のS、位置145のA、及び/又は位置150のLのうちの少なくとも1つを有するミオグロビンの製造のための本発明による細胞外プロセスであって、本発明の宿主細胞を適切な培地中で培養することと、場合により宿主細胞及び/又はミオグロビンを回収することと、を含む細胞外プロセスを提供する。
【0202】
一実施形態において、本発明は、本明細書で先に定義したようなニワトリ由来のミオグロビン、好ましくは配列番号7と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビン、より好ましくは、位置65のQ又はH且つ位置94のHとの組み合わせで配列番号7と少なくとも70%の配列同一性を含む、且つ場合により、配列番号7の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置6のQ、位置10のQ、位置13のT、位置14のI、位置27のH、位置31のM、位置35のH、位置36のD、位置42のD、位置43のR、位置49のG、位置53のP、位置55のQ、位置58のG、位置67のA、位置72のQ、位置75のK、位置79のQ、位置82のN、位置85のS、位置93のT、位置111のV、位置116のI、位置117のA、位置118のE、位置121のA、位置128のS、位置133のK、位置145のS、及び/若しくは位置150のFのうちの少なくとも1つを有するミオグロビンの製造のための本発明による細胞外プロセスであって、本発明の宿主細胞を適切な培地中で培養することと、場合により宿主細胞及び/又はミオグロビンを回収することと、を含む細胞外プロセスを提供する。
【0203】
一実施形態において、本発明は、本明細書で先に定義したようなマグロ由来のミオグロビン、好ましくは配列番号8と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビン、より好ましくは、位置65のQ又はH且つ位置94のHとの組み合わせで配列番号8と少なくとも70%の配列同一性を含むミオグロビンの製造のための本発明による細胞外プロセスを提供する。
【0204】
回収及び/又は精製に適し得る関連する下流加工技術は、本発明の決定的な特徴ではなく、ミオグロビンが、培養される細胞内で蓄積されているか排出されているかによるであろう。当該加工技術及び関係する選択は、当業者に公知であろうし、例えば、Wesselingh,J.A and Krijgsman,J.,1st edition,Downstream Processing in Biotechnology,Delft Academic Press,NL,2013において考察されている。回収プロセスの非限定例において、バイオマスは、例えば、遠心分離又は濾過を用いて培養培地から回収される。産生されたミオグロビンが細胞内に蓄積されている場合、バイオマスから回収及び/又は精製することができる。排出されている場合、無細胞培地から回収することができるか、又はバイオマス分離ステップをスキップする場合、培養ブロスから直接回収することができる。回収及び/精製は、当技術分野で公知のいずれかの従来の回収法又は精製法によって行われ得る。たんぱく質の回収及び/又は精製のための方法は、当業者に公知であり、Sambrook and Russel,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd edition,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY,2001、又はAusubel F.et al,eds.,Current protocols in molecular biology,Green Publishing and Wiley Interscience,NY,2003などの標準的なハンドブックにおいて考察されている。広く使用されている回収法及び/又は精製法の例としては、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィー、金属親和性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー法、硫酸アンモニウム及びポリエチレングリコールなどの沈殿物を用いた分画、ゲル電気泳動法並びに塩析及び透析がある。好ましくは、金属親和性クロマトグラフィー又はサイズ排除クロマトグラフィーが使用される。回収及び/又は精製は場合により、周知の分子レベルのツールボックス技術を用いて、酵素ポリペプチドを、GSTドメインを有するなど、精製を容易にする配列へ連結させることによって増強されてもよい。場合により、精製を容易にする配列及び/又はミオグロビンの排出を容易にするシグナルペプチドは、当技術分野で公知の技術、例えば、精製を容易にする配列及び/又はシグナルペプチドとミオグロビンとの間のリンカーを標的とするエンドペプチダーゼによるたんぱく質分解を用いて最終産物から除去される。いくつかの実施形態において、酵素ポリペプチドは、とりわけ、その多くが市販されているpET23a(+)ベクター(Genescript Biotech,Leiden,The Netherlands)において提供されるタグなど、ヘキサ-ヒスチジンペプチドへ連結される(融合させられる)。例えば、Gentz et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821-824(1989)において説明されるように、ヘキサ-ヒスチジンペプチドは、融合たんぱく質の簡便な精製を準備する。
【0205】
好ましい実施形態において、産生されたミオグロビンは、培養培地から回収及び/又は精製される。このことは、産生プロセスと連続して又は産生プロセスの後に実現させ得る。
【0206】
好ましい実施形態において、産生されたミオグロビンは、培養された細胞から回収及び/又は精製される。このことは、産生プロセスと連続して、成長細胞の画分を収穫することによって、又はそういったことの後に実現させ得る。
【0207】
好ましい実施形態において、本発明の方法において使用される培養された宿主細胞は、固定される。細胞の固定は、Guisan,J.M.,Bolivar,J.M.,Lopez-Gallego,F.,Rocha-Martin,J.(Eds.),Immobilization of Enzymes and Cells:Methods and Protocols,Springer US,USA,2020などの標準的なハンドブックにおいて考察されるような当業者に公知のいずれかの手段によって達成され得る。典型的には、宿主細胞は、3つの異なる方法によって半固体又は固体の支持体へ固定することができる。第1の方法は、胞子含有又は細胞含有溶液を重合させること又は凝固させることを包含する。重合可能な又は凝固可能な溶液の例としては、アルギン酸塩、λ-カラゲナン、キトサン、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド-ヒドラジド、アガロース、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール、ジメチルアクリラート、ポリスチレンジビニルベンゼン、ポリビニルベンゼン、ポリビニルアルコール、エポキシ担体、セルロース、酢酸セルロース、光架橋性樹脂、プレポリマー、ウレタン、及びゼラチンがある。第2の方法は、支持体上への細胞吸着を包含する。かかる支持体の例としては、骨炭、コルク、クレイ、樹脂、砂状多孔性アルミナビーズ、多孔性れんが、多孔性シリカ、セライト、又は木片がある。宿主細胞は支持体をコロニー形成することができ、バイオフィルムを形成することができる。第3の方法は、グルタルアルデヒド、O-ジアニシジン(米国特許第3,983,000号明細書)、イソシアナートポリマー(米国特許第4,071,409号明細書)、シラン(米国特許第3,519,538号明細書及び同第3,652,761号明細書)、ヒドロキシエチルアクリラート、遷移金属活性化支持体、塩化シアヌル、過ヨウ素酸ナトリウム、トルエンなどのような化学薬品を用いて宿主細胞を支持体へ共有結合させることを包含する。培養された宿主細胞は、例えば培養物における所望の細胞密度に到達した後に、当該宿主細胞の成長のいずれかの相において固定することができる。適切な培養様式及び/又は異なる培養プロセスパラメータ値は、当業者に公知であろうし、Colin R.Phillips C.R.,Poon Y.C.,Immobilization of Cells:In Biotechnology Monographs book series(Biotechnology,volume 5),Springer,Berlin,Germany,1988、Tampion J.,Tampion M.D.,Immobilized Cells:Principles and Applications,Cambridge University Press,UK,1987などの標準的なハンドブックにおいて考察されている。好ましくは、固定した細胞は、プラグ-フローバイオリアクタとしても公知の充填床バイオリアクタ、又は拡張(流動体化)床バイオリアクタ内で培養される。適切な成長培地並びに回収法及び/又は精製法は、本明細書の他所でさらに考察する。
【0208】
さらなる態様において、本明細書で先に定義した方法から得ることができるミオグロビンを代用肉へと調合することを含む上で、先に定義したような代用肉を製造するための方法が提供される。想定される代用肉及び/又は食品成分に応じて、当業者は、どの調合が最も適しているかを知っているであろう。
【0209】
一般的な情報
別段の記載がない限り、本明細書で使用する技術用語及び科学用語はすべて、本発明の属する、且つ本開示に関して読む、技術分野の当業者によって、通例且つ通常理解されるのと同じ意味を有する。
【0210】
本明細書で使用する場合、「プロモーター」又は「調節配列」という用語は、1つ以上のコード配列の転写を制御するよう機能する核酸断片を指し、コード配列の転写開始部位の転写の向きに関して上流に位置し、DNA依存性RNAポリメラーゼに対する結合部位、転写開始部位、並びに転写因子結合部位、リプレッサー及び活性化因子たんぱく質結合部位を含むがこれらに限定されないいずれかの他のDNA配列、並びにプロモーターからの転写の量を直接的に又は間接的に調節するよう作用するための当業者に公知のヌクレオチドのいずれかの他の配列の存在によって構造上同定される。「構成プロモーター」とは、ほとんどの生理学的条件及び発生条件の下で活溌であるプロモーターである。「誘導性」及び/又は「抑制性」プロモーターとは、例えば、化学的誘導因子又は抑制シグナルの適用によって誘導される及び/又は抑制されるよう、生理学的に又は発生上調節されるプロモーターである。
【0211】
本明細書で使用する場合、「作用可能に連結された」という用語は、機能的関連性におけるポリヌクレオチド要素の連結を指す。核酸は、別の核酸配列との機能的関連性へと置かれたとき、「作用可能に連結され」る。例えば、プロモーターなどの転写調節配列は、コード配列の転写に影響する場合、コード配列へ作用可能に連結されている。作用可能に連結されたとは、連結されているDNA配列が典型的には連続しており、2つのたんぱく質コード領域を接合する必要がある場合は、連続しており且つ読み枠内にあることを意味する。
【0212】
本明細書で使用する場合、「調節因子」又は「転写調節因子」とは、特異的DNA配列へ結合することによって、DNAからメッセンジャーRNAへの遺伝情報の転写の速度を制御するたんぱく質である。
【0213】
「たんぱく質」又は「ポリペプチド」という用語は、相互交換可能に使用され、特定の作用様式、大きさ、3次元構造又は起源に関することなく、複数のアミノ酸の鎖からなる分子を指す。
【0214】
「遺伝子」という用語は、適切な調節領域(例えば、プロモーター)へ作用可能に連結された、細胞内のRNA分子(例えば、mRNA)へと転写される領域(転写領域)を含むDNA断片を意味する。遺伝子は通常、プロモーター、5’リーダー配列、コード領域、並びに、例えば、ポリアデニル化部位及び/又は転写終結部位を含む3’非翻訳配列(3’-末端)など、いくつかの作用可能に連結された断片を含むであろう。
【0215】
「遺伝子の発現」とは、適切な調節領域、特にプロモーターへ作用可能に連結されたDNA領域がRNAへと転写され、当該RNAが生物学的に活発であり、すなわち、生物学的に活発なたんぱく質又はペプチドへと翻訳されることができる、プロセスを指す。
【0216】
本明細書で説明するようなアミノ酸配列において、アミノ酸又は「残基」は、3文字記号によって示される。これらの3文字記号及び対応する1文字記号は、当業者に周知であり、以下の意味を有する。すなわち、A(Ala)はアラニンであり、C(Cys)はシステインであり、D(Asp)はアスパラギン酸であり、E(Glu)はグルタミン酸であり、F(Phe)はフェニルアラニンであり、G(Gly)はグリシンであり、H(His)はヒスチジンであり、I(Ile)はイソロイシンであり、K(Lys)はリジンであり、L(Leu)はロイシンであり、M(Met)はメチオニンであり、N(Asn)はアスパラギンであり、P(Pro)はプロリンであり、Q(Gln)はグルタミンであり、R(Arg)はアルギニンであり、S(Ser)はセリンであり、T(Thr)はトレオニンであり、V(Val)はバリンであり、W(Trp)はトリプトファンであり、Y(Tyr)はチロシンである。残基は、いずれかのたんぱく質新生アミノ酸であり得、Dアミノ酸などのいずれかの非たんぱく質新生アミノ酸及び翻訳後修飾によって形成される修飾アミノ酸、並びに、本明細書に説明されるような、いずれかの非天然アミノ酸でもあり得る。
【0217】
本出願の文脈において、濃度又は組成の文脈における百分率はすべて、別段の定義がない限り、重量百分率を指す。
【0218】
本出願の文脈において、「少なくともX、Y又はZの値を有するパラメータ」などの表現は、当該パラメータが、少なくともXの、少なくともYの、又は少なくともZの値を有するものとして解釈されるものとする。
【0219】
配列同一性
本発明の文脈において、動物ミオグロビンをコードする核酸分子などの核酸分子は、たんぱく質断片又は、ポリペプチド又はペプチド又は得られたペプチドをコードする核酸又はヌクレオチドの配列によって表される。
【0220】
所与の配列同定番号(配列番号)によって本明細書で同定されるような各核酸分子又はたんぱく質断片又はポリペプチド又はペプチド又は得られたペプチド又はコンストラクトは、開示されたようなこの具体的な配列に限定されないことは理解されることになっている。本明細書で同定されるような各コード配列は、所与のたんぱく質断片若しくはポリペプチド若しくはペプチド若しくは得られたペプチドをコードし、又はそれ自体、たんぱく質断片若しくはポリペプチド若しくはコンストラクト若しくはペプチド若しくは得られたペプチドである。
【0221】
本出願のいたるところで、所与のたんぱく質断片又はポリペプチド又はペプチド又は得られたペプチドをコードする具体的なヌクレオチド配列の配列番号を指す場合は毎回(例として配列番号Xとする)、それを以下によって置き換えてもよい。
i.配列番号Xと少なくとも60%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列、
ii.遺伝暗号の縮重により、(i)の核酸分子の配列とは配列が異なるヌクレオチド配列、又は
iii.ヌクレオチド配列の配列番号Xによってコードされるアミノ酸配列と少なくとも60%のアミノ酸同一性又は類似性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列。
【0222】
別の好ましいレベルの配列同一性又は類似性は、70%である。別の好ましいレベルの配列同一性又は類似性は、80%である。別の好ましいレベルの配列同一性又は類似性は、90%である。別の好ましいレベルの配列同一性又は類似性は、95%である。別の好ましいレベルの配列同一性又は類似性は、99%である。
【0223】
本出願のいたるところで、具体的なアミノ酸配列の配列番号を指す場合は毎回(例として配列番号Yとする)、それを以下によって置き換えてもよい。すなわち、配列番号Yというアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性又は類似性を有する配列を含むアミノ酸配列によって表されるポリペプチドである。別の好ましいレベルの配列同一性又は類似性は、70%である。別の好ましいレベルの配列同一性又は類似性は、80%である。別の好ましいレベルの配列同一性又は類似性は、90%である。別の好ましいレベルの配列同一性又は類似性は、95%である。別の好ましいレベルの配列同一性又は類似性は、99%である。
【0224】
所与のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列とそれぞれその同一性又は類似性の百分率による本明細書に説明する各ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列は、さらなる好ましい実施形態において、それぞれ所与のヌクレオチド又はアミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の同一性又は類似性を有する。
【0225】
「相同性」、「配列同一性」などという用語は、本明細書では相互交換可能に使用される。配列同一性は、本明細書では、配列を比較することによって決定されるように、2つ以上のアミノ酸(ポリペプチド又はたんぱく質)配列間の、又は2つ以上の核酸(ポリヌクレオチド)配列間の関連性と説明される。好ましい実施形態において、配列同一性は、2つの所与の配列番号の完全長に基づいて又はその一部に基づいて計算される。その一部は好ましくは、両方の配列番号の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は100%を意味する。当技術分野において、「同一性」とはまた場合により、アミノ酸配列間での又は核酸配列間での一致によって決定されるようなかかる配列間の配列関連度も指す。2つのアミノ酸配列間の「類似性」は、1つのポリペプチドのアミノ酸配列及びその保存されたアミノ酸置換を、第2のポリペプチドの配列と比較することによって決定される。「同一性」及び「類似性」は、各々が参照により本明細書に組み込まれるBioinformatics and the Cell:Modern Computational Approaches in Genomics,Proteomics and transcriptomics,Xia X.,Springer International Publishing,New York,2018、及びBioinformatics:Sequence and Genome Analysis,Mount D.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York,2004において説明されるものを含むがこれらに限定されない公知の方法によって容易に計算することができる。
【0226】
「配列同一性」及び「配列類似性」は、2つのペプチド配列又は2つのヌクレオチド配列の長さに応じて、包括的又は局所的アラインメントアルゴリズムを用いて、この2つの配列のアラインメントによって決定することができる。類似の長さの配列は好ましくは、包括的アラインメントアルゴリズム(例えば、Needleman-Wunsch)を用いて整列し、これは、実質的に異なる長さの配列を、局所アラインメントアルゴリズム(例えば、Smith-Waterman)を用いて好ましく整列させながら、長さ全体にわたって最適に配列を整列させる。次に、配列は、(例えば、既定パラメータを用いてEMBOSSニードル又はEMBOSSウォーターというプログラムによって最適に整列させると)当該配列が配列同一性の少なくともある特定の最小の百分率を(後で説明するように)共有するとき、「実質的に同一」又は「本質的に同様」と呼ばれ得る。
【0227】
包括的アラインメントは、2つの配列が同様の長さを有するときに配列同一性を決定するために適切に使用される。配列が実質的に異なる全体長を有するとき、Smith-Watermanアルゴリズムを用いたものなど、局所アラインメントが好ましい。EMBOSSニードルは、全体長にわたって2つの配列を整列させるようNeedleman-Wunsch包括的アラインメントアルゴリズムを使用し、一致数を最大限にし、ギャップ数を最小限にする。EMBOSSウォーターは、Smith-Waterman局所アラインメントアルゴリズムを用いる。概して、EMBOSSニードル及びEMBOSSウォーターの既定パラメータが使用され、ギャップ開放罰則=10(ヌクレオチド配列)/10(たんぱく質)及びギャップ伸長罰則=0.5(ヌクレオチド配列)/0.5(たんぱく質)である。ヌクレオチド配列について、使用される既定の点数化マトリックスは、DNAfullであり、たんぱく質については、既定の点数化マトリックスはBlosum62である(参照により本明細書に組み込まれるHenikoff & Henikoff,1992,PNAS 89,915-919)。
【0228】
或いは、類似性又は同一性の百分率は、FASTA、BLASTなどのアルゴリズムを用いて、公共のデータベースに対して検索することによって決定され得る。従って、本発明のいくつかの実施形態の核酸及びたんぱく質の配列はさらに、公共のデータベースに対する検索を行って、例えば、他のファミリーメンバー又は関連配列を同定するための「問い合わせ配列」として使用することができる。かかる検索は、参照により本明細書に組み込まれるAltschul,et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-10のBLASTn及びBLASTxプログラム(第2.0版)を用いて行うことができる。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の酸化還元酵素核酸分子と相同のヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、語の長さ=12を用いて行うことができる。BLASTたんぱく質検索は、本発明のタンパク質分子と相同のアミノ酸配列を得るためにBLASTxプログラム、スコア=50、語の長さ=3を用いて行うことができる。比較目的のためにギャップのついたアラインメントを得るために、Gapped BLASTを、参照により本明細書に組み込まれるAltschul et al.,(1997)Nucleic Acids Res.25(17):3389-3402において説明されるように利用することができる。BLASTプログラム及びGapped BLASTプログラムを利用するとき、個々のプログラム(例えば、BLASTx及びBLASTn)の既定パラメータを使用することができる。世界規模のウェブ上で、www.ncbi.nlm.nih.gov/においてアクセス可能なNational Center for Biotechnology Informationのホームページを参照されたい。
【0229】
場合により、アミノ酸類似性の程度を決定する上で、当業者はまた、いわゆる保存的アミノ酸置換も考慮に入れ得る。本明細書で使用する場合、「保存的」アミノ酸置換は、類似の側鎖を有する残基の相互交換可能性を指す。保存的置換のためのアミノ酸残基のクラスの例を以下の表に付与する。
【0230】
【表1】
【0231】
代替的な保存的アミノ酸残基置換のクラス:
【0232】
【表2】
【0233】
アミノ酸残基の代替的な物理的及び機能的分類:
【0234】
【表3】
【0235】
例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンであり、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリン及びトレオニンであり、アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギン及びグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リジン、アルギニン、及びヒスチジンであり、含硫側鎖を有するアミノ酸の群は、システイン及びメチオニンである。好ましい保存的アミノ酸置換基は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン、及びアスパラギン-グルタミンである。本明細書に開示するアミノ酸配列の置換変異体、開示された配列における少なくとも1つの残基が除去され、且つ異なる残基がその場所に挿入されたものである。好ましくは、アミノ酸の変化は保存的である。天然アミノ酸の各々について好ましい保存的置換は、以下のとおりである。すなわち、Ala→Ser、Arg→Lys、Asn→Gln又はHis、Asp→Glu、Cys→Ser又はAla、Gln→Asn、Glu→Asp、Gly→Pro、His→Asn又はGln、Ile→Leu又はVal、Leu→Ile又はVal、Lys→Arg、Gln又はGlu、Met→Leu又はIle、Phe→Met、Leu又はTyr、Ser→Thr、Thr→Ser、Trp→Tyr、Tyr→Trp又はPhe、及びVal→Ile又はLeuである。
【0236】
遺伝子又はコード配列
「遺伝子」という用語は、細胞内の、適切な調節領域(例えば、プロモーター)へ作用可能に連結されたRNA分子(例えば、mRNA)へと転写される領域(転写領域)を含むDNA断片を意味する。遺伝子は通常、プロモーター、5’リーダー配列、コード領域及び、例えば、ポリアデニル化部位及び/又は転写終結部位を含む3’非翻訳配列(3’末端)など、いくつかの作用可能に連結された断片を含むであろう。「遺伝子の発現」は、適切な調節領域、特にプロモーターへ作用可能に連結されたDNA領域が、生物学的に活発である、すなわち、生物学的に活発なたんぱく質又はペプチドへと翻訳されることができるRNAへと転写されるプロセスを指す。
【0237】
プロモーター
本明細書で使用する場合、「プロモーター」又は「転写調節配列」という用語は、1つ以上のコード配列の転写を制御するよう機能する核酸断片を指し、コード配列の転写開始部位の転写の向きに関して上流に位置し、DNA依存性RNAポリメラーゼに対する結合部位、転写開始部位、並びに転写因子結合部位、リプレッサー及び活性化因子たんぱく質結合部位を含むがこれらに限定されないいずれかの他のDNA配列、並びにプロモーターからの転写の量を直接的に又は間接的に調節するよう作用するための当業者に公知のヌクレオチドのいずれかの他の配列の存在によって構造上同定される。「構成プロモーター」とは、ほとんどの生理学的条件及び発生条件の下で活発であるプロモーターである。「誘導性」プロモーターとは、例えば、化学的誘導因子の適用によって、生理学的に又は発生上調節されるプロモーターである。
【0238】
作用可能に連結された
本明細書で使用する場合、「作用可能に連結された」という用語は、機能的関連性におけるポリヌクレオチド要素の連結を指す。核酸は、別の核酸配列との機能的関連性へと置かれたとき、「作用可能に連結され」る。例えば、転写調節配列は、コード配列の転写に影響する場合、コード配列へ作用可能に連結されている。作用可能に連結されたとは、連結されているDNA配列が典型的には連続しており、2つのたんぱく質コード領域を接合する必要がある場合は、連続しており且つ読み枠内にあることを意味する。連結は、簡便な制限部位での又はその代わりに挿入されたアダプター若しくはリンカーでのライゲーションによって、或いは遺伝子合成によって達成することができる。
【0239】
たんぱく質及びアミノ酸
「たんぱく質」又は「ポリペプチド」又は「アミノ酸配列」という用語は、相互交換可能に使用され、特定の作用様式、大きさ、3次元構造又は起源に関することなく、複数のアミノ酸からなる1本の鎖からなる分子を指す。本明細書で説明するようなアミノ酸配列において、アミノ酸又は「残基」は、3文字記号によって示される。これらの3文字記号及び対応する1文字記号は、当業者に周知であり、以下の意味を有する。すなわち、A(Ala)はアラニンであり、C(Cys)はシステインであり、D(Asp)はアスパラギン酸であり、E(Glu)はグルタミン酸であり、F(Phe)はフェニルアラニンであり、G(Gly)はグリシンであり、H(His)はヒスチジンであり、I(Ile)はイソロイシンであり、K(Lys)はリジンであり、L(Leu)はロイシンであり、M(Met)はメチオニンであり、N(Asn)はアスパラギンであり、P(Pro)はプロリンであり、Q(Gln)はグルタミンであり、R(Arg)はアルギニンであり、S(Ser)はセリンであり、T(Thr)はトレオニンであり、V(Val)はバリンであり、W(Trp)はトリプトファンであり、Y(Tyr)はチロシンである。残基は、いずれかのたんぱく質新生アミノ酸であり得、Dアミノ酸などのいずれかの非たんぱく質新生アミノ酸及び翻訳後修飾によって形成される修飾アミノ酸、並びに、いずれかの非天然アミノ酸でもあり得る。
【0240】
遺伝子コンストラクト
本明細書で説明するような遺伝子コンストラクトは、当業者に公知のように、いずれかのクローン形成技術及び/又は組換えDNA技術を用いて調製され得、この中で、当該ミオグロビンをコードするヌクレオチド配列は、それらの全体が参照により本明細書にいずれも組み込まれるAusubel et al.,“Current Protocols in Molecular Biology”,Greene Publishing and Wiley Interscience,New York(1987)において、及びSambrook and Russell(2001,上述)において説明されるような、適切な細胞、例えば、培養された細胞又は多細胞生物の細胞において発現する。また、Kunkel(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.82:488(特定部位の突然変異誘発を説明)、及びRoberts et al.(1987)Nature 328:731 734又はWells,J.A.,et al.(1985)Gene 34:315(カセット突然変異誘発を説明)を参照されたい。
【0241】
発現ベクター
「発現ベクター」又は「ベクター」という句は概して、例えば、遺伝子配列又はコード配列と和合性のある宿主細胞におけるかかる配列の発現をもたらすことができるヌクレオチド配列を導入することによって、細胞における遺伝子発現を得るために使用される、分子生物学におけるツールを指す。発現ベクターは、細胞内で安定させることができ且つエピソームのままであるゲノムを保有する。本発明の文脈内で、細胞は、コンストラクトを作製するために使用される細胞、又はコンストラクトが投与されるであろう細胞を包含するよう意味し得る。或いは、ベクターは、細胞ゲノム内へと、例えば、相同組換え又はその他を通じて組込むことができる。
【0242】
これらの発現ベクターは典型的には、少なくとも適切なプロモーター配列、及び場合により転写終結シグナルを含む。発言をもたらすのに必要な又は役立つ追加の因子はまた、本明細書で説明するように使用することもできる。ミオグロビンをコードする核酸配列又はDNA配列又はヌクレオチドヒア列は、インビトロ細胞培養への導入及び当該培養における発現を可能にするDNAコンストラクト内へ組み込まれる。具体的には、DNAコンストラクトは、細菌、例えば、大腸菌(E.coli)など、原核生物宿主における複製に適しているか、又は培養される哺乳動物、植物、昆虫、(例えば、Sf9)、酵母、真菌、若しくは他の真核生物の細胞株へと導入することができる。
【0243】
特定の宿主への導入のために調製されたDNAコンストラクトには、宿主によって認識される複製系、所望のポリペプチドをコードする意図したDNAセグメント、並びにポリペプチドをコードするセグメントへ作用可能に連結された、転写及び翻訳の開始調節配列及び終結調節配列があってもよい。「作用可能に連結された」という用語は、本明細書ですでに説明した。例えば、プロモーター又はエンハンサーは、それがコード配列の転写を刺激する場合、当該配列へ作用可能に連結されている。シグナル配列のためのDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレたんぱく質として発現する場合、ポリペプチドをコードするDNAへ作用可能に連結されている。概して、作用可能に連結されているDNA配列は、連続的であり、シグナル配列の場合、連続的であり且つ読み枠内にある。しかしながら、エンハンサーは、それが制御する転写がコード配列と連続している必要はない。連結は、簡便な制限部位での又は代わりに挿入されるアダプター若しくはリンカーでのライゲーションによって、或いは遺伝子合成によって達成される。適切なプロモーター配列の選択は概して、DNAセグメントの発現のために選択される宿主細胞による。適切なプロモーター配列の例としては、当技術分野で周知の原核生物プロモーター及び真核生物プロモーターがある(例えば、Sambrook and Russell,2001,上述を参照されたい)。転写調節配列には典型的には、宿主によって認識される異種性のエンハンサー又はプロモーターがある。適切なプロモーターの選択は宿主によるが、trp、lac及びファージプロモーター、tRNAプロモーター、及び解糖系酵素プロモーターなどのプロモーターが公知であり、利用可能である(例えば、Sambrook and Russell,2001,上述を参照されたい)。発現ベクターには、ポリペプチドをコードするセグメントのための挿入部位と一緒に、複製系並びに転写及び翻訳の調節配列がある。ほとんどの場合、複製系は、ベクターを作製するために使用される細胞(大腸菌(E.coli)のような細菌細胞)において機能するのみである。ほとんどのプラスミド及びベクターは、ベクターを感染させた細胞において複製しない。細胞株及び発現ベクターの作用可能な組み合わせの例は、Sambrook and Russell(2001,上述)において、及びMetzger et al.(1988)Nature 334:31-36において説明されている。例えば、適切な発現ベクターは、酵母、例えば、サッカロミセス・セレビシアエ(S.cerevisiae)、例えば、昆虫細胞、例えば、Sf9細胞、哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞、及び細菌細胞、例えば、大腸菌(E.coli)において発現させることができる。細胞は従って、原核生物又は真核生物の宿主細胞であり得る。細胞は、液体培地中での又は固体培地上での培養に適している細胞であり得る。
【0244】
或いは、宿主細胞は、形質転換植物又は形質転換動物など、多細胞生物の一部である細胞である。
【0245】
適切なプロモーター配列の選択は概して、DNAセグメントの発現のために選択された宿主細胞による。適切なプロモーター配列の例としては、当技術分野で周知の原核生物及び真核生物のプロモーターがある(例えば、Sambrook and Russell,2001、上述を参照されたい)。転写調節配列には典型的には、宿主によって認識される異種性のエンハンサー又はプロモーターがある。適切なプロモーターの選択は宿主によるが、trp、lac、及びファージプロモーター、tRNAプロモーター、並びに解糖系酵素プロモーターが公知であり、利用可能である(例えば、Sambrook and Russell,2001、上述を参照されたい)。発現ベクターには、ポリペプチドをコードするセグメントのための挿入部位と一緒に、複製系並びに転写及び翻訳の調節配列がある。ほとんどの場合、複製系は、ベクターを作製するために使用される細胞(大腸菌(E.coli)のような細菌細胞)において機能するのみである。ほとんどのプラスミド及びベクターは、ベクターを感染させた細胞において複製しない。細胞株及び発現ベクターの作用可能な組み合わせの例は、Sambrook and Russell(2001,上述)において、及びMetzger et al.(1988)Nature 334:31-36において説明されている。例えば、適切な発現ベクターは、酵母、例えば、サッカロミセス・セレビシアエ(S.cerevisiae)、及び細菌細胞、例えば、大腸菌(E.coli)において発現させることができる。細胞は従って、原核生物又は真核生物の宿主細胞であり得る。細胞は、液体培地中での又は固体培地上での培養に適している細胞であり得る。
【0246】
発現
発現は、当業者に公知のいずれかの方法によって評価され得る。例えば、発現はmRNA又はたんぱく質のレベルに関する導入された組織における導入遺伝子発現のレベルを測定することによって、又は、定量的PCR、RNA配列決定、ノザンブロット分析、ウェスタンブロット分析、たんぱく質由来ペプチドの質量分析、又はELISAなど、当業者に公知の標準的なアッセイによって評価され得る。
【0247】
発現は、本明細書に説明するような遺伝子コンストラクト、発現ベクター又は組成物の投与後のいずれかの時間で評価され得る。本明細書のいくつかの実施形態において、発現は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、14週間、16週間、18週間、20週間、22週間、24週間、28週間、32週間、36週間、40週間、又はそれより長い間の後に評価され得る。
【0248】
本文書において及び当該文書の特許請求の範囲において、「を含むこと」という動詞、及びその活用形は、当該語が含まれた後続の項目を意味するために、非限定的な意味で使用されるが、具体的に言及されていない項目は排除されない。加えて、「からなること」という動詞は、本明細書で説明するような代用肉、遺伝子コンストラクト、宿主細胞(又は方法)が、具体的に同定されたもの以外の追加の構成要素(又は追加のステップ)を含み得るという意味「から本質的になること」によって置き換えられ得、当該追加の構成要素は、本発明の独特な特徴を変化させない。加えて、「からなること」という動詞は、本明細書に説明するような方法が、具体的に同定されるもの以外の追加のステップを含み得ることを意味する「から本質的になること」によって置き換えられ得、当該追加のステップは、本発明の独特な特徴を変化させ得ない。
【0249】
不定冠詞「a」又は「an」による要素への言及は、要素のうちの1つ且つたった1つがあるものとすることを文脈が明確に必要としない限り、当該要素のうちの1つを超えるものが存在する可能性を排除しない。不定冠詞「a」又は「an」は従って、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【0250】
本明細書で使用する場合、「少なくとも」を用いて、特定の値は、その特定の値以上を意味する。例えば、「少なくとも2」は、「2以上」と同じである、すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、・・・、などであると理解される。
【0251】
さらに、本明細書における及び特許請求の範囲における第1、第2、第3などという用語は、類似の要素間を区別するために使用され、連続した順序又は年代順を説明するのに必ずしも使用されない。そのように使用される用語は、適切な環境下で相互交換可能であること、及び本明細書で説明される本発明の実施形態が、本明細書で説明された又は示された以外の配列において操作可能であることは理解されるべきである。
【0252】
「約」又は「おおよそ」という語は、数値との関係で使用されるとき(例えば、約10)、好ましくは、当該値が、所与の値の(10の)0.1%多い又は少ない値であり得ることを意味する。本明細書で使用する場合、「及び/又は」という用語は、記載された場合のうちの1つ以上が、単独で又は記載された場合のうちの少なくとも1つとの組み合わせで、最大では、記載された場合すべてとの組み合わせで生じ得ることを示す。
【0253】
様々な実施形態が本明細書で説明されている。本明細書で同定されたような各実施形態は、別段の記載がない限り、一緒に組み合わされ得る。
【0254】
本開示における言語が規制するいかなる場合においても、何らかの定義、対象放棄、又は否認を除き、及び組み込まれた材料が本明細書の明示された開示と不一致である度合いまでを除き、本明細書で引用される特許出願、特許、及び印刷された公表物はすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0255】
当業者は、本明細書で説明されるものと類似の又は同等の多くの方法及び材料を認識しているであろうし、当該方法及び材料は、本発明の実施において使用され得る。実際、本発明は、説明されている方法及び材料に対して一切限定されない。
【0256】
本発明はさらに、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるものではない、後続の実施例によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0257】
図1】ウシビオグロビンの3次元構造。野生型ブタMbの構造、1.8Åの解像度でのX線回折によって分解(Krzywda et al.1998)。ヘム、近位ヒスチジン(His94)及び遠位ヒスチジン(His65)を示す。
図2】6つの動物種からのミオグロビンたんぱく質配列の比較。配列アラインメントは、クロマグロ(Thunnus orientalis)、セキショクヤケイ(Gallus gallus)、ステップマンモス(Mammuthus trogontherii)、イノシシ(Sus scrofa)、ウシ(Bos taurus)及びヒツジ(Ovis aries)由来の配列を示す。アミノ酸転化のレベルを、BLOSUM62スコアを用いて青色の陰影によって示す。近位ヒスチジン(His94、四角囲み)は6種全部に存在する。ステップマンモスは、遠位ヒスチジン(His65、四角囲み)によって通常占められる位置のグルタミン(Gln65、四角囲み)、位置30のフェニルアラニン(Phe30、四角囲み)、及び位置92のヒスチジン(His92、四角囲み)を保有している。
図3】アジアゾウ(左)及びステップマンモス(右)由来のミオグロビンの3次元構造のモデル。リボン(最上部)及び表面(最下部)の図を示す。ヘム分子を図示しているので、位置92の残基である(ゾウでグルタミン、マンモスでヒスチジン)。表面の図において、正の電荷を濃灰色で示す。
図4】ピキア・パストリス(Pichia pastoris)における細胞外動物Mbの産生。無細胞上清をメタノール誘導あり(+)又はなし(-)での発酵後に回収し、限外濾過によって10倍濃縮した。メタノール誘導後に得られた濃縮済み試料は、濃赤色を示し(A)、SDS-PAGEによる分析後、Mbについて予想された分子量のたんぱく質を明らかにした(B)。
図5】発酵によって得られたミオグロビン調製物中の組換えDNAの非存在。同じゲルを2つの異なる曝露時間で示す(上下のパネル)。星印は、PCR反応後に残存するプライマーを示す。
図6】質量分析によるマンモスミオグロビン同定の配列の範囲。棒グラフ(下のパネル)は、対数尺度での異なるペプチドの強度を示す。グラフの最下部のペプチドの配列は、配列番号31~80に対応する。
図7】マンモス及びウシミオグロビン溶液の吸収スペクトル。(A)組換えステップマンモスMb(黒色の丸)、ウシMb(白色の丸)、及びウマ筋肉から精製した市販のMb(三角形)の吸収スペクトルを室温で記録した。(B)pH5.6且つ25℃で24時間インキュベーション中のウマMbの吸収スペクトル。挿入図は、組換えマンモスMb(黒色の棒)、ウシMb(灰色の棒)及び市販のウマMb(白色の棒)について580nm(MbO2)と505nm(MetMb)との吸光度間の比を示す。星印は、組換えMbとウマMbとの間の統計的有意差を表す。()=p<0.05、(**)=p<0.01。
図8】ミオグロビンを含有する実験室製食肉類似体の色。写真(A)及び定量(B)は、植物系バーガーの色に対するミオグロビン添加の効果を示す。
図9】ミオグロビンを含有する食肉類似体の色の安定性。写真(A)及び定量(B)は、4℃で定常光へ曝露した、様々な濃度の精製済みウマMbを含有する植物系バーガーにおいて、経時的に観察された色の変化を示す。比較のために、ダイズレグヘモグロビンを含有する市販のバーガーを含めた。
図10】組換えヘムたんぱく質を含有する実験室製食肉類似体から抽出された揮発性化合物。(A)HS-SPME GC-MSによる植物系バーガーから検索された揮発性化合物の数の定量。同じ下付き文字を共有していない値は、TukeyのHSD検定によりp<0.05で互いに有意に異なっていることが判った。(B)生(緑色で示す)か又は刺し網漁法で捕まえた(青色で示す)かのいずれかの実験室製植物系バーガーからの揮発性物質の主成分分析(PCA)。組換えダイズレグヘモグロビン(LegH)を含有する市販の植物系バーガーを参照として使用した。
図11】実験室製食肉類似体への組換えミオグロビンの添加と関係した揮発性化合物。(A)Mbなしの植物系バーガーにおいて観察されたレベルに対して正規化した、グリルした植物系バーガーにおいて検出された揮発性フレーバー活性のある化合物の相対的な量。星印は、MbなしのバーガーとMbありのバーガーとの間の統計的有意差を表す。()=p<0.5、(**)=p<0.01、(***)=p<0.001。$は、マンモスとウシのMb間の統計的有意差を表す。($)=p<0.05、($$)=p<0.05。(B)調理済み食肉においてもみられた揮発性化合物の芳香についての説明(van Ba et al.2021,The Good Scent Company information system)。
図12】ミオグロビンからの鉄生物学的利用度。対照培地単独(CM)と比較した、0.5mg/ml、1.0mg/ml又は2.0mg/mlの精製済みウシMbへ曝露したヒトCaco-2腸管細胞による鉄の取り込み(総たんぱく質含量(mg)に対して正規化したフェリチン含量(ng))。星印は、CMと処理との統計的有意差を表す。(****)=p<0.0001。
図13】分化したCaco-2単層に対する組換えミオグロビンの効果。細胞毒性を、組換えマンモス若しくはウシMb、又は対照としての完全培地(CM)の存在下で24時間のインキュベーション後に測定した。星印は、CMと処理との統計的有意差を表す。()=p<0.05、(**)=p<0.01。
【発明を実施するための形態】
【0258】
実施例
実施例1:製造法A
実施例1.1:遺伝子コンストラクト及びベクターの一般的な構築
いくつかの場合において、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、大腸菌(Escherichia coli)及びアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)における発現に適した完全なベクター及び/又はゲノム組込みカセットを、商業的供給元によって合成する。いくつかの場合において、ベクター断片及び/又はゲノム組込みカセットの構築を、製造元のプロトコルによる断片と市販のポリメラーゼとの間の和合性オーバーハングの導入のために設計されたプライマーを用いるPCRを用いて行い、続いて、製造元のプロトコルにより市販のキットを用いてインビトロで完全なベクター及び/又はゲノム組込みカセットアセンブリを行った。いくつかの場合において、完全なベクターアセンブリを、当技術分野ですでに説明されたように、酵母細胞内へのベクター断片の形質転換によって、インビボで行い(Kuijpers et al.2013)、続いて、市販のキットを用いて完全なベクターを単離した。
【0259】
完全なベクターは、個々の生物における当該ベクターの維持のために複製配列の公知の必要な起点、発現するヌクレオチド配列(配列番号9、10、11、12、13、14、15、16から選択)、個々の生物における発現に適した調節要素(少なくとも1つのプロモーター及び1つの終結因子)、並びに正確な形質転換体のスクリーニング及び形質転換した株におけるベクターの維持を可能にする選択マーカーを含む。ゲノム組込みカセットは、発現するヌクレオチド配列(配列番号9、10、11、12、13、14、15、16から選択)、個々の生物における発現に適した調節要素、並びに、場合により、相同組換えを容易にするために個々のゲノム組込み部位と相同である30~3000bpなど適切な長さの5’領域及び3’領域を含む。いくつかの場合において、ゲノム組込みカセットは、スクリーニングを容易にするために適切な選択マーカーと融合する及び/又は当該選択マーカーで同時形質転換する。いくつかの場合において、ゲノム組込みカセットと融合した適切な選択マーカーを、適切な培地中での対抗選択、Cre-Loxリコンビナーゼ系の使用、又はマーカー非含有株を創出するなどのためのCRISPR/Cas法の使用など、当技術分野で一般的に公知の方法を用いた形質転換後に、最終産生株から除去する。いくつかの場合において、ベクター及び/又はゲノム組込みカセットから発現するヌクレオチド配列を、発現した融合たんぱく質の排出を容易にするための適切なシグナルペプチドをコードする配列、及び/又はその排出後に発現した融合たんぱく質の精製を容易にするための配列タグへ作用可能に連結させる。いくつかの場合において、作用可能に連結した配列は、融合たんぱく質のN末端へ融合した発現ペプチドを結果的に生じるなどである。いくつかの場合において、融合した配列は、発現した融合たんぱく質の細胞による排出の際に又は排出の後に、融合たんぱく質からのシグナルペプチド及び/又はタグの切断を容易にする在来の又は合成のペプチダーゼのための認識部位を含む。
【0260】
実施例1.2:一般的な株の構築
ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、大腸菌(Escherichia coli)及びアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)の株を、当技術分野で公知の分子ツールボックス技術を用いて形質転換する。正確な形質転換体の選択を、選択マーカーが使用されているか否か及び当該選択マーカーの種類(ドミナント/栄養素要求性)に応じて、観察されるコロニー成長に十分な時間を許容した後に、抗生物質などを含む適切な公知の選択成長培地内で、各生物について公知の適切な成長条件下で行う。各場合における正確な形質転換体を、診断用PCR又はサザンブロット法などの他の適切な公知の分子ツールボックス法によって確認する。ゲノム組込みを形質転換に使用するいくつかの場合において、形質転換される株は、相同組換えを容易にするために非相同末端接合修復機械が欠損している。選択マーカーを形質転換に使用したいくつかの場合において、選択マーカーを、マーカー非含有株を生じるなどのために、実施例1において説明したように除去する。正確に形質転換した株を、さらなる使用のために-80℃でグリセロールストックにおいて保存する。
【0261】
実施例1.3:形質転換株によるミオグロビンの産生
実施例2において得られた形質転換株を、細胞外ミオグロビンの産生のために検査する。細胞培養を、成長培地の温度、pH及びイオン強度、並びに撹拌速度など、一般的に公知である各宿主に適したたんぱく質の産生へ誘導する条件下で、振盪フラスコ内での培養によって行う。いくつかの場合において、温度の値は16~40℃の範囲であり、pH値は3~7の範囲であり、イオン強度の値は100~1000mMの範囲であり、且つ撹拌速度は100~300rpmの範囲である。各宿主の培養に適した成長培地は一般的に公知であり、炭素及び窒素の源、並びに無機塩類及びビタミン類など追加の栄養素を含む。培養物に形質転換株の凍結ストックから接種する。培養の12~24時間後、培養ブロスを回収し、遠心分離を介してバイオマスを除去する。次に、培養上清を、正確なサイズのバンドの同定による、又は市販の抗体を用いたウェスタンブロット法によるSDS-PAGEなどの公知の技術を用いて、産生されたミオグロビンの存在について検査する。結果は、細胞外ミオグロビンの産生を確認する。産生されたミオグロビンを培養上清からその後精製し、標準的なプロトコルにより、クロマトグラフィー技術によって精製する。(排出中に切断された)排出ペプチドの非存在を、標準的なたんぱく質配列決定プロトコルにより、質量分析を介して確認する。精製したミオグロビンをその後の使用のために-20℃で保存する。
【0262】
実施例1.4:代用肉の製造
実施例3において製造した精製済みミオグロビンを、公知の手順により、筋肉組織及び脂肪(脂肪)組織の製造に使用する。代用筋肉組織を製造するために、精製済みミオグロビンを、トランスグルタミナーゼを介してエンドウビシリンたんぱく質と架橋する。代用筋肉組織をまた、エンドウビシリンたんぱく質の加熱したゲルを形成することによっても製造し、これに精製済みミオグロビンを添加し、加熱したゲルを室温へ冷却している間にくまなく混合する。代用筋肉組織をまた、精製済みミオグロビンとエンドウビシリンたんぱく質との同時押出し加工によっても製造する。代用脂肪組織を、高圧均質化の後にエンドウアルブミンたんぱく質、油、及びレシチンからなる加熱したゲルを形成することによって製造し、これに、精製済みミオグロビンを添加し、加熱したゲルを室温へ冷却している間にくまなく混合する。代用結合組織を、公知の手順による押出し加工によって、ゼインたんぱく質源を用いて製造する。代用筋肉、代用脂肪及び代用結合組織を、食肉粉砕機の中で所望の比で組み合わせて、代用肉を製造する。いくつかの場合において、次に、代用肉を調理する。
【0263】
実施例1.5:大腸菌(Escherichia coli)による精製済みミオグロビンの産生
ケナガマンモス、ステップマンモス、ヒツジ、ウシ、ブタ、ニワトリ、及びマグロの完全長ミオグロビン遺伝子(配列番号9、10、11、12、13、14、15、16)を、T7プロモーター及び終結因子並びにC末端ヘキサHisタグを含む改変pET-23a(+)ベクター(Genscript Biotech,Leiden,the Netherlands)において合成及びクローン形成した。本明細書において、配列番号9がミオグロビンの一部のみをコードするが、それにもかかわらず、当該ベクターにおいて合成及びクローン形成され得ることは理解される。当該ベクター内に本来存在するampRマーカー遺伝子を、元の転写調節要素を含む大腸菌(E.coli)株K12由来のproBAオペロンによって置き換えて、抗生物質なしでの選択を容易にする。正確に組み立てたプラスミドをPCRによって確認し、プロリン栄養素要求性大腸菌(E.coli)たんぱく質産生株(大腸菌(E.coli)K12 ΔproBA)を形質転換するために使用する。形質転換した株を、最小培地(10.5g/LのKHPO、4.5g/LのKHPO、1.0g/Lの(NHSO、0.12g/LのMgSO、0.5g/lのクエン酸Na、2g/Lのグルコース、及び5.0mg/Lのチアミン・HClat37℃並びに150rpm(pH6)を含有する振盪フラスコ内で一晩インキュベートする。500μlの一晩培養物を、500mLの最小培地を含有する1Lの振盪フラスコへ移し、0.4~1のOD600に到達するまで、37℃且つ150rpmでインキュベートする。100μMの濃度のIPTG(イソプロピル-β-D-チオガラクトシド)を培養物へ添加し、この後、培養物を16℃且つ150rpmで24時間インキュベートする。培養物を収穫し、3500×g(4℃)で15分間遠心分離する。上清を廃棄し、ペレットを、1KUのリゾチーム/ml(Sigma-Aldrich)、25UのBenzonase(登録商標)Nuclease及びcOmplete(商標)、EDTA非含有Protease Inhibitor Cocktail(Roche)を含有する50mLのBugBuster Protein Extraction Reagent(Novagen)中に溶解する。溶解したペレットを振盪器内で、4℃で30分インキュベートする。遠心分離ステップを繰り返し、無細胞抽出物(上清)を回収し、SDS-PAGEによってアッセイして、ミオグロビンの産生を確認する。個々の形質転換した株によるケナガマンモス、ステップマンモス、ヒツジ、ウシ、ブタ、ニワトリ、及びマグロのミオグロビンの産生を、正確なサイズのたんぱく質バンドの存在によって確認する。
【0264】
精製のために、たんぱく質の可溶性画分を含有する無細胞抽出物を、AKTA出発系と連結したHisTrap FF 1mLカラム(Cytiva,MA,USA)へ負荷する。カラムを20mMのHEPES、0.4MのNaCl、及び20mMのイミダゾール、pH7.5、1mL/分の流量で平衡化する。たんぱく質を20mMのHEPES、0.4MのNaCl、及び400mMのイミダゾール、pH7.5で溶離する。ミオグロビンを含有する画分をプールし、濃縮し、SDS-PAGE、及び抗ヒスチジンタグ抗体(Bio-Rad)を用いるウェスタンブロット法によって確認し、ミオグロビン全部の精製の成功を確認する。精製済みミオグロビンをその後の使用のために-20℃で保存する。
【0265】
実施例1.6:アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)による精製済みミオグロビンの産生
ケナガマンモス、ステップマンモス、ヒツジ、ウシ、ブタ、ニワトリ、及びマグロ由来の遺伝子(配列番号9、10、11、12、13、14、15、16)を、ミオグロビン排出を容易にするためのアスペルギルス・ニガー(A.niger)のペクチンメチルエステラーゼの排出シグナル配列へ作用可能に連結されたアスペルギルス・ニガー(A.niger)glaAプロモーター及び終結因子の制御下で含む完全長ミオグロビン発現カセットを合成する。本明細書において、配列番号9がミオグロビンの一部のみをコードするが、それにもかかわらず、当該発現カセットにおいて含まれ得ることは理解される。ゲノム組込みカセットを、ミオグロビン発現カセットをアスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)由来のオロチジン5’-リン酸デカルボキシラーゼ遺伝子配列(pyrG)、並びにアスペルギルス・ニガー(A.niger)pyrG遺伝子の在来の上流配列及び下流配列と相同である5’末端及び3’末端の1000bpとの融合PCRによって組み立てる。
【0266】
ゲノム組込みカセットをアスペルギルス・ニガー(A.niger)CBS 120.49 ΔkusA ΔpyrGの原形質体へ形質転換する。形質転換に先立って、原形質体を30℃且つ250rpmの完全培地(2%(質量/体積)のグルコース、6g/LのNaNO、1.5g g/LのKHPO、0.5g/LのKCl、0.5g/LのMgSO・7HO、0.2%(質量/体積)のトリプトン、0.1%(質量/体積)の酵母抽出物、0.1%(質量/体積)のカザミノ酸、0.05%(質量/体積)の酵母RNA、及びVishniac(1957)による微量元素)中での一晩の振盪フラスコ培養によって調製する。菌糸体を濾過によって収穫し、PS緩衝液(0.2Mのリン酸ナトリウム緩衝液、0.8MのL-ソルビトール、pH6)中に溶解し、これに1gの菌糸体あたり0.5gのVinoTaste(登録商標)Pro溶解酵素を添加し、続いて30℃且つ100rpmでインキュベートする。未消化の菌糸体を、濾過を介して除去し、原形質体を緩徐な遠心分離(1500×g、3℃)によって回収し、SC溶液(182.2g L-1のソルビトール、7.35g L-1のCaCl・2HO)で洗浄し、同じ溶液中で10個の原形質体/mLの濃度まで再懸濁する。新鮮な原形質体を、0.4MのATA(アウリントリカルボン酸アンモニウム塩)20μL及び20%のPEG-4000 100μLを追加で含有する混合物中で、200μLの原形質体懸濁液を5μgのゲノム組換えカセットと混合し、続いて、10分間のインキュベーションによって形質転換する。次に、1.2Mのソルビトール溶液5mLを添加し、混合物をさらに10分間インキュベートする。形質転換した原形質体を緩徐な遠心分離によって回収し、1mLの同じソルビトール溶液中に再懸濁する。形質転換した原形質体を最小培地寒天プレート(1.5%(質量/体積)寒天、2%(質量/体積)グルコース、6g/LのNaNO、1.5g/LのKHPO、0.5g/LのKCl、0.5g/LのMgSO・7HO、及びVishniac(1957)による微量元素)内に播種し、30℃で4日間インキュベートする(pH5)。選択された形質転換体由来のDNAを標準的なフェノール/クロロホルム抽出を用いて抽出する。ケナガマンモス、ステップマンモス、ヒツジ、ウシ、ブタ、ニワトリ、及びマグロ由来のミオグロビン遺伝子を含むゲノム組込みカセットの正確な組込みを、サザンブロット法によって確認する。
【0267】
正確な形質転換体の胞子を、完全培地寒天プレート上での30℃で4日間の接種によって入手し、10mLのN-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)緩衝液で収穫した。2×10個の胞子を用いて、400mLの最小培地を含有する振盪フラスコ培養物に接種し、30℃、250rpmで一晩インキュベートする。菌糸体を、400mLの再訪培地を含有する新鮮な振盪フラスコ培養物へ、30℃、250rpmで24時間移した。細胞を培養物の収穫、続いて4℃で3200×gで10分間の遠心分離によって除去する。上清をSDS-PAGEによってアッセイして、ミオグロビンの産生を確認した。個々の形質転換株によるケナガマンモス、ステップマンモス、ヒツジ、ウシ、ブタ、ニワトリ、及びマグロのミオグロビンの発現を、正確なサイズのたんぱく質バンドの存在によって確認する。
【0268】
精製について、たんぱく質の可溶性画分を含有する培養上清を、HiLoad 16/600 Superdex 75pgカラム(10mm×300mm)(Cytiva,MA,USA)へ負荷する。カラムを0.15Mの酢酸アンモニウム、pH6.0、0.75mL/分の流量で平衡化する。ミオグロビンを含有する画分をプールし、濃縮し、標準的なプロトコルによるSDS-PAGE及びLC-MSによって確認する。結果は、排出シグナルペプチドなしでの精製済みミオグロビンの存在を確認する。
【0269】
実施例1.7:ピキア・パストリス(Pichia pastoris)による精製済みミオグロビンの産生
ケナガマンモス、ステップマンモス、ヒツジ、ウシ、ブタ、ニワトリ、及びマグロ由来の遺伝子(配列番号9、10、11、12、13、14、15、16)を、ピキア・パストリス(P.pastoris)在来pgk1プロモーター及び終結因子の制御下で含む完全長ミオグロビン発現カセットを合成する。ミオグロビン発現カセットと、自前のプロモーター及び終結因子の制御下での在来のピキア・パストリス(P.pastoris)ヒスチジン生合成三機能性たんぱく質遺伝子(his4)をコードする遺伝子、並びにピキア・パストリス(P.pastoris)his4遺伝子座の在来の上流配列及び下流配列と相同である5’末端及び3’末端の1000bpとの融合PCRによって、ゲノム組込みカセットを組み立てる。ゲノム組込みカセットを抗生物質耐性マーカー非含有の、ヒスチジン栄養素要求性のピキア・パストリス(P.pastoris)株Bg12(BioGrammatics Inc.Carlsbad,CA)へ、Gietz and Woods(2002)(Gietz RD et al.,(2002),Methods Enzymol.,350:87-96)においてすでに説明されたような酢酸リチウム形質転換プロトコルを用いて形質転換する。正確な形質転換体を、Verdyun et al.(1992)(Verduyn C.,et al(1992),Yeast,8:501-517)においてすでに説明されたような合成培地(選択を容易にするためにヒスチジン非含有)、すなわち、5g/Lの(NHSO、3g/LのKHPO、0.5g/LのMgSO4・7HO、4.5mg/LのZnSO4・7H0、0.3mg/LのCoCl2・6HO、1mg/LのMnCl2・4HO、0.3mg/LのCuSO4・5HO、4.5mg/LのCaCl2・O、3mg/LのFeSO4・7HO、0.4mg/LのNaMoO4・2HO、1mg/LのHBO、0.1mg/LのKI、0.05g/Lのビオチン、1mg/Lのパントテン酸カルシウム、1mg/Lのニコチン酸、25mg/Lのイノシトール、1mg/Lのチアミン.HCl、1mg/Lのピリドキシン.HCl、0.2mg/Lのパラ-アミノ安息香酸、及び炭素源としての2%w/vのグルコース(pH5)を含有する2%w/v寒天プレート上でのインキュベーションによって入手する。プレートを30℃で4日間インキュベートする。ケナガマンモス、ステップマンモス、ヒツジ、ウシ、ブタ、ニワトリ、及びマグロ由来のミオグロビンを含むゲノム組込みカセットの正確な組込みを、製造元のプロトコルにより、Yeast Protein Kit(ZymoResearch,Irvine,CA)を用いたDNA調製の後のコロニーPCRによって確認する。正確な形質転換体のグリセロールストックを調製し、-80℃で保存する。
【0270】
ミオグロビン産生のために、凍結したグリセロールストックを用いて、500mLの合成培地を含有する1L事前培養振盪フラスコに接種し、30℃且つ250rpmで一晩インキュベートする。事前培養物を用いて、その後の振盪フラスコ培養物に0.2の出発OD660となるまで接種する。培養物を30℃且つ250rpmで24時間インキュベートする。培養物を収穫し、3500×g(4℃)で15分間遠心分離する。上清を廃棄し、細胞ペレットを氷冷ミネラル除去水中に再懸濁し、遠心分離ステップを繰り返す。上清を廃棄し、細胞を製造元のプロトコルにより、機械的な破砕と一緒にYeast Protein Kit(ZymoResearch,Irvine,CA)を用いて溶解する。細胞片及び可溶性たんぱく質を含有する混合物を3500×g(4℃)で15分間遠心分離する。可溶性たんぱく質を含有する上清(無細胞抽出物)を回収し、SDS-PAGEによってアッセイして、ミオグロビンの産生を確認する。個々の形質転換した株によるケナガマンモス、ステップマンモス、ヒツジ、ウシ、ブタ、ニワトリ、及びマグロのミオグロビンの産生を、正確なサイズのたんぱく質バンドの存在によって確認する。
【0271】
精製について、たんぱく質の可溶性画分を含有する培養上清を、HiLoad 16/600 Superdex 75pgカラム(10mm×300mm)(Cytiva,MA,USA)へ負荷する。カラムを0.15Mの酢酸アンモニウム、pH6.0、0.75mL/分の流量で平衡化する。ミオグロビンを含有する画分をプールし、濃縮し、標準的なプロトコルによるSDS-PAGE及びLC-MSによって確認する。結果は、精製済みミオグロビンの存在を確認する。
【0272】
実施例2:製造法B
別段の明白な記載がない限り、「マンモス」及び「マンモスミオグロビン」は、実施例2における「ステップマンモス」及び「ステップマンモスミオグロビン」を指す。
【0273】
実施例2.1.材料及び方法
配列分析
ウシ(Bos taurus)、セキショクヤケイ(Gallus gallus)、クロマグロ(Thunnus orientalis)、ヒツジ(Ovis aries)及びイノシシ(Sus scrofa)由来のミオグロビンをコードする配列を、Uniprot(受入番号:それぞれ、P02192、P02197、P68190、P02190、P02189)から入手した。ステップマンモス(Mammuthus Trogontherii)由来のミオグロビンをコードする配列は、本出願を出願する時点では未知であったが、いわゆるAdycha供試体からのモル濃度試料からのDNA抽出、Illumina DNA配列決定、読み取りを合致させ、これをアフリカサバンナゾウ(Loxodonta africana)のゲノム(van der Valk et al.2021)に対してマッピングしたことの後で、本発明者らによって入手された、
【0274】
複数の配列アラインメントを、Clustal Omega(Sievers et al.2011)を用いて行い、Jalview 2.11.1.4(Waterhouse et al.2009)を用いて可視化した。
【0275】
たんぱく質のモデリング
イノシシ(Sus scrofa)由来の野生型デオキシミオグロビンの構造をRCSB Protein Data Bankから検索した(PDB受入番号:1MWD、A鎖)。ステップマンモスミオグロビンの構造を、Elephas maximus(アジアゾウ)由来のミオグロビンの結晶構造をテンプレートとして用いて、自動たんぱく質構造相同性モデリングサーバーSWISS-MODEL(Waterhouse et al.2018)を用いてモデリングした(PDB受入番号:1EMY)。正味の表面電化(ZMb)を公表された部位特異的イオン化定数を用いて、pH6.5でのイオン化可能な基全部の電荷の合計として計算した(Mirceta et al.2013)。たんぱく質の構造をすべて可視化し、DeepView v4.1(Guex and Peitsch 1997)を用いて図面を作成した。
【0276】
発現プラスミドの構築
ミオグロビンコード配列を、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)(コマガタエラ・パフィイ(Komagataella phaffii))における発現に対してコドンを最適化した(Love et al.2016)(配列番号19~24)。サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)交配因子アルファのコード配列によって先行される最適化された配列(配列番号25~30)を、GenScriptによって化学合成した。遺伝子断片をAOX1プロモーターの下流、且つAOX1終結因子、HIS4選択マーカー及びAOX1 3’断片の上流でpBDIPp5ベクター内へとクローン化した。ベクターを大腸菌(E.coli)(DH10B)内で増幅し、Plasmidキット(Quiagen)を用いて精製し、Sanger配列決定法によって実証した。発現カセットは、AOX1プロモーターから上流且つAOX1の3’断片から下流で切断するBglII(New England Biolabs)を用いたプラスミドの制限によって結果的に生じるベクターから生成し、QIAquick Gel Extraction Kit(QUiagen)を用いて精製した。
【0277】
株の工学
ピキア・パストリス(Pichia pastoris)(コマガタエラ・パフィイ(Komagataella phaffii))GS115株(his4)をLife Technologies社から入手した。細胞の形質転換を、本質的にはすでに説明したように(Cregg 2007)、電気穿孔法を用いて行った。簡単に言えば、GS115株の細胞をYPD(1%酵母抽出物、2%ペプトン及び2%D-グルコース)培地中で成長させた。指数関数的に成長する相における細胞を200mMのHEPES緩衝液(pH8.0)及び25mMのジチオトレイトールを含有するYPD培地中で30分間インキュベートした。次に、応答能のある細胞を氷冷1Mソルビトールで洗浄し、滅菌済み電気穿孔キュベット(Bio-Rad)へ移した。次に、Gene-Pulser(Bio-Rad)電気穿孔機を用いて線形発現カセット(3.3を参照されたい)1~5μgを用いて細胞を電気穿孔し、1mLの1Mソルビトール含有YPD培地中で再懸濁した後、滅菌済み1.5mLエッペンドルフチューブへ移した。細胞を28℃で撹拌せずに3時間インキュベートした後、固形NGY培地(最小グリセロール培地:アミノ酸非含有硫酸アンモニウム含有1.34%酵母窒素基剤、2%のD-グルコース、2%寒天含有の4 10-5%のビオチン)を含有する寒天プレート上へ播種した。プレートを28℃で最長4日間インキュベートした。
【0278】
ヒスチジンの非存在下で成長できる形質転換体を、Mbを発現する能力についてスクリーニングした。細胞をBMGY培地(1%酵母抽出物、2%ペプトン、100mmリン酸カリウム緩衝液(pH6)、アミノ酸非含有硫酸アンモニウム含有1.34%酵母窒素基剤、4 10-5%ビオチン、1%グリセロール)中で50mL Falconチューブ内で成長させた。指数関数的に成長する細胞へ1%メタノールを添加して、Mb発現を誘導した。試料をメタノール誘導の開始後24時間、48時間、72時間及び96時間回収し、SDS-PAGEによって分析して、Mbレベルを評価した(後述を参照されたい)。
【0279】
最良の産生株をさらなる実験のために選択し、使用前に-80℃でのマスター細胞バンクで凍結保存した。本明細書で示す結果は、PAL-02-02(マンモスMb)株及びPAL-02-03(ウシMb)株を用いて入手した。
【0280】
組換えたんぱく質の産生及び精製
マスター細胞バンク由来の細胞をYPD寒天(1%の酵母抽出物、2%のペプトン及び2%のD-グルコース、2%の寒天)プレート上に播種し、28℃で2日間インキュベートした。次に、シード培養物を、100mLのBMGY培地を含有するバッフル付きフラスコ内で調製し、28℃で24時間、楕円振盪インキュベータ内でインキュベートした。次に、シード培養を使用して、0.03%のFoamAway(商標)照射したAOF(ThermoFisher)含有の900mlのBMGY培地を含有する3Lの球状ガラスフラスコ又はガラス容器発酵槽(Sartorius)に接種した。グリセロールがすべて消費されるまで、増殖相を約24時間実施した。次に、温度を26℃まで低下させ、メタノール1%を12時間ごとに添加して、Mb発現を誘導した。溶存酸素を発酵全体の間、20%超で維持し、その間、pHを増殖相の間は6に、誘導相の間は5に維持した。
【0281】
メタノール誘導の96時間後、細胞を4℃で4,000rpmの遠心分離によって除去した。残存細胞を、0.45μmの孔径を持つニトロセルロースフィルタ(Millipore)を用いて精密濾過によって除去した。無細胞上清を-20℃で凍結保存した。アッセイに必要とされる場合、無細胞上清を、10kDの分子量カットオフを有するポリエーテルスルホン膜(Thermo Scientific Pierce Protein Concentrators)を備えて、使い捨て限外濾過遠心分離装置を用いることによってさらに濃縮した。
【0282】
無細胞上清における組換えDNAの存在を、シグナルペプチドをコードする配列に相補的であるよう設計されたオリゴヌクレオチド(Sigma)を用いるPCRによって検査した。PAL-02-02株(マンモスMb)のゲノムDNAから増幅したDNA断片を陽性対照として用い、その隣に、マンモス又はウシのMbを含有する濃縮した無細胞上清1μlとした。PCR反応を、製造元の説明書により、標準的な緩衝液(New England Biolabs)を用いるOneTaq(登録商標)Quick-Load(登録商標)2×マスターミックスを用いて行った。PCR産物を、臭化エチジウム含有2%アガロースTAEゲルにおいて、60Vで60分間の泳動後に可視化した。Quick-Load(登録商標)Purple 1kb Plus DNA Ladder(New England Biolabs)を使用して、増幅した断片のサイズを制御した。
【0283】
ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE)
たんぱく質の電気泳動法のために、20μlの無細胞上清を等量の2×たんぱく質負荷緩衝液(100mMのトリス(pH6,8)、4mMのEDTA、4%のSDS、20%のグリセロール、0.02%のブロモフェノールブルー、4%のβ-メルカプトエタノール)と混合した。試料を95℃で5分間インキュベートし、適切な量を縦型ミニPROTEANゲル装置(Bio-Rad)において15%のポリアクリルアミドゲルに200Vで40分間負荷した。分子量マーカー(PageRuler(商標)Prestained Protein Ladder)をThermofisherから購入した。電気泳動後、ゲル中のたんぱく質をクーマシーブリリアントブルーG-250(Bio-Rad)で染色した。
【0284】
質量分析
MS分析のために、Mbに対応するSDS-PAGEゲルバンドを、クーマシー染色したゲルからメスを用いて切り出した。試料を滅菌水ですすぎ、VIB Proteomics Core(Gent,Belgium)でのMS分析のために加工するまで、-20℃で保存した。ペプチドを37℃で一晩、1μgのトリプシン(Promega)での消化によって生成し、LC-MS/MS分析まで-20℃で保存した。ペプチドを負荷溶媒中に再度溶解し、Q Exactive HF質量分析計(Thermo Fisher)を用いたLC-MS/MS分析のために注入した。データ解析を、MaxQuantアルゴリズム(第2.0.1.0版)を用いて行い、既定検索設定には、ペプチドスペクトル合致(PSM)、ペプチド及びたんぱく質レベルにおいて1%で設定された誤発見率を含んだ。生のスペクトルデータファイルはすべて、マンモスMb及びUniprotデータベースにおける以下の参照プロテオーム、すなわち、コマガタエラ・パフィイ(Komagataella phaffii)(2021_11のデータベース発表版、5,073個のたんぱく質配列を含有)、ウシ(Bos taurus)(taxid 9913、2021_11のデータベース発表版、37,513個のたんぱく質配列を含有)、及びイノシシ(Sus scrofa)(taxid 9823、2021_11のデータベース発表版、49,792個のたんぱく質配列を含有)の理論的たんぱく質配列に対して一緒に検索した。
【0285】
植物系食肉類似体
質感を与えられたダイズたんぱく質25%、ヒマワリ油15%、NaCl1.5%、メチルセルロース1%、及び水57.5%を混合することによって、植物系バーガーを調製した。それぞれ白色及び赤色の食肉のミオグロビン含量と同様の0.5%又は1%の終濃度で、組換えミオグロビン又は市販のミオグロビン(ウマの筋肉から精製、Sigma)を添加した。組換えミオグロビン調製物を、無細胞上清の凍結乾燥によって得た。1%Mbを含有するバーガーについては、100gのバーガーあたり13.8gの追加の水を添加した。ダイズレグヘモグロビンを含有する市販の植物系バーガー(Impossible Food)をいくつかのアッセイにおける比較のために含んだ。
【0286】
分光法及び色の分析
吸収スペクトルをSynergyマイクロプレートリーダー(BioTek)で記録した。ミオグロビン自動酸化速度の決定のための吸光度測定を、Ultrospec III分光光度計(Pharmacia)を用いてクォーツキュベット内で行った。色の測定を、8mm視界領域サイズ、D65発光体、及び(CIELAB色空間に基づいて)L値、a値及びb値を登録するための10°標準観察装置を備えた携帯用Miniscan EZ4500L 45°/0°(Hunterlab,Murnau,Germany)を用いて行った。経時的な色の差異(ΔE)をCIE76式により計算した。
【数1】
【0287】
芳香分析
異なる濃度の組換えMbを含有する植物系代用肉由来の芳香を、ヘッドスペース固相微量抽出(HS-SPME)を備えたガスクロマトグラフィー-質量分析計(GC-MS)を用いて分析した。試料をそのまま又は挽いた後に分析した。ヘッドスペースの揮発性物質を、ジビニルベンゼン-カルボキセン-ポリジメチルシロキサン(DVB/CAR/PDMS)でコーティングした繊維によって抽出し、HP-1msカラムによって分離した後、質量分析によって同定した。データ解析のため、異なる芳香族化合物のピーク下面積を一元配置ANOVA(分散分析)、続いて、統計的有意差が見つかったとき、TukeyのHSD(Honestly Significant Difference)posthoc検定によって評価した。多変量統計解析を、PCA(主成分分析)を用いて行った。
【0288】
鉄の生物学的利用度及び生体内接近可能性
ProDigest(Gent,Belgium)によってアッセイを行った。Caco-2細胞(HTB-37、American Type Culture Collection)を、0.1%ゼラチンでコーティングした12ウェル内に5×105個の細胞で播種した。細胞を、完全培地(20%熱不活化ウシ胎児血清(FBS)、10mMのHEPES及び1×抗生物質-抗真菌薬を補充したダルベッコの変法イーグル培地(DMEM))中で14日間、3培地交換/週で成長させた。刺激24時間前に、細胞を、10mMのHEPES、2mMのL-グルタミン、1×抗生物質-抗真菌薬、11μMのヒドロコルチゾン、0.87μMのインスリン、0.02μMの亜セレン酸ナトリウム、0.05μMの3,3’,5-トリヨード-L-チロニンナトリウム塩、20μg/Lの表皮成長因子を補充した最小必須培地(MEM)で1回洗浄し、この培地中で24時間さらにインキュベートした。次に、細胞を、3つの濃度(0.5、1及び2mg/mL)のウシMb(Tebu-bio N.V.)とともに、又は陰性対照としての補充されたMEM(CMと示す)とともにインキュベートした。37℃で24時間のインキュベーション後、細胞を氷冷PBSで2回洗浄し、CelLytic(商標)(Sigma Aldrich)で溶解した。ヒトフェリチンレベルを、製造元の説明書により、ヒトフェリチンELISAキット(ThermoScientific)を用いて決定した。最後に、マイクロプレート手順の説明書に従って、Pierce(商標)BCA Protein Assayキット(ThermoFisher Scientific)を用いて、たんぱく質濃度を決定した。アッセイはすべて三重に行った。
【0289】
インビトロ毒性アッセイ
アッセイをProDigest(Gent,Belgium)によって行った。Caco-2細胞を、フェリチンアッセイに関して培養された、0.1%ゼラチンでコーティングした24ウェルプレート内に播種した。毒性試験の当日、細胞を、0.5、1.0、又は2.0mg/mlの組換えマンモス又はウシMbとともにインキュベートした。細胞毒性アッセイを、37℃でMbとともにインキュベーションの24時間後に行った。Caco-2細胞に関して生成物によって誘導される起こり得る毒性を評価するために、乳酸脱水素酵素(LDH)細胞毒性アッセイ(Merck Life Science B.V.)を製造元の説明書により、上清に関して行った。アッセイはすべて三重に行った。完全培地対照(CM)と生成物との間の差異を評価するために、Dunnettの多重比較検定を備えた通常の一元配置ANOVAを各時点について個別に行った。()は、CMと生成物との間の統計的有意差を表す。()=p<0.05、(**)=p<0.01、(***)=p<0.001、及び(****)=p<0.0001。統計はすべて、Windows用GraphPad Prism第9.1.2版(GraphPad Software,San Diego,CA,USA)を用いて行った。
【0290】
細菌逆突然変異アッセイ(AMES検定)
遺伝毒性アッセイを、化学検定第471番についてのOECD指針により行った。AMES FT Mutagenicity Test Kit(Moltox,Trinova)を製造元の説明書に従って使用した。アッセイはすべて三重に行った。ビヒクルで処理した各株についての平均復帰突然変異体計数は、製造元によって提供されたデータに基づいて考えられる範囲内であった。突然変異率を、試験化合物とビヒクル単独とで観察される復帰突然変異体の数の間の比として計算した。
【0291】
実施例2.2.ミオグロビンの構造的特徴
ミオグロビン(Mb)は、約17kDの比較的小さな球状たんぱく質であり、心臓及び骨格筋に認められる。可逆的酸素結合をすることができる単一のヘム基を保有しており(図1)、ミオグロビンは酸素を細胞表面からミトコンドリアまで運搬することができる。Mbはまた、食肉の色に起因した主たる色素でもある。酸素化されたMb(オキシミオグロビン)において、ヘム基の鉄イオンは、Mb鎖におけるいわゆる「近位」ヒスチジン(His94)であるポルフィリン環の4つの窒素原子と、1つの酸素分子とによって配位されている。このことは、Mbのヘム結合ポケットにおける酸素分子と別のヒスチジン、すなわち、「遠位」ヒスチジン(His65)との間の水素結合によってさらに安定化することができる。この形態の下で、Mbは典型的には鮮やかな赤色を有する。酸素の非存在下で、Mbは、暗赤色となる(デオキシミオグロビン)。ヘム鉄が酸化第一鉄(Fe(II))から酸化第二鉄(Fe(III))状態へ酸化されると、酸素を結合することができず、Mbは、調理された食肉でみられるように、褐色を示す(メトミオグロビン)。ヘム鉄酸化はまた、ヘムに対するMbの親和性を還元し、ヘムの喪失の上昇及びその後のたんぱく質の変性につながる。
【0292】
Mbのアミノ酸配列は、進化の間に強く保存されており、種間の変化が比較的ほとんどないことを示す(図2)。長鼻類において、Mbは、位置30の非典型的なフェニルアラニン(Phe30)を表す。驚くべきことに、ステップマンモス(Mammuthus trongotherii)由来のMb配列は、1.2~1.0Maで年代を刻む、いわゆるAdycha検体から本発明者らが生じたものだが、また図2に含まれてもいる。
【0293】
特徴的なPhe30置換(図2)に加えて、本発明者は、ステップマンモス由来のMbが、位置92のグルタミンの代わりのヒスチジン残基(His92)の存在により、例えば、アジアゾウ由来のMb(pH6.5でのZMb=2.11)よりも高い正の表面電荷(pH6.5での正味の表面電荷(ZMb)=2.67)を示すことを発見した(図2、3)。このことは、鯨類において潜る深海へのMbの適応のなごりであり、ここで、正の表面電荷の上昇は、接触距離でのMb分子間のひきつける相互作用の低下、Mb安定性を増大させること、及びその凝集を防止することにつながる。全体として、ステップマンモス由来のMbは、特にひきつけさせるいくつかの特徴を顕著に表す。本明細書では、本発明者らは、他の現存する種に次いで、ステップマンモス由来の組換えMbの製造及び特徴を評価する。
【0294】
実施例2.3.ピキア・パストリス(Pichia pastoris)におけるミオグロビンの細胞外産生
ステップマンモス、ブタ、ニワトリ、ウシ、ブタ、及びマグロに由来するMbをコードする配列を、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)のメタノール誘導性AOX1プロモーターの下流且つAOX1終結因子、ヒスチジン原栄養性選択マーカー及びAOX1遺伝子のいわゆる3’断片の上流でクローン化した。ミオグロビンは、筋細胞の細胞質において天然に認められる。組換えたんぱく質精製を容易にするために、本発明者らは、細胞の外側への排出のための分泌経路に対して新生Mbたんぱく質を向かわせるために、シグナルペプチドをコードする配列をフレーム内でミオグロビンコード配列と融合させた。これらのコンストラクトを使用して、ヒスチジン栄養素要求性ピキア・パストリス(Pichia pastoris)細胞を形質転換させ、形質転換体を、ヒスチジンの非存在下で成長させる能力について選択した。各コンストラクトについて、10個までの形質転換体を、マイクロプレート内でのメタノール誘導後の細胞外動物ミオグロビンを産生する能力について試験した。最良の産生クローンをさらにフラスコ内で試験した。メタノール誘導は、ヘムたんぱく質を含有する試料について考えられたように、特に限外濾過による10倍濃縮後に、暗赤色を示す無細胞上清につながった(図4A)。約17kDと予想される分子量のメタノール誘導性たんぱく質の存在はまた、たんぱく質電気泳動及びクーマシーブルーによる染色後にも確認された(図4B)。組換えMbは、濃縮された無細胞上清における総たんぱく質の75~82%を占めたのに対し、Mb産生についての収量は、上清1リットルあたり0.420mg~1.93gで変化した。
【0295】
ミオグロビンは細胞外で産生されるので、酵母細胞は、精製過程の間溶解させる必要がない。これらの細胞は、遠心分離に続いて精密濾過(0.45μm孔)によって発酵ブロスから除去される。それゆえ、最終的な産物は、いかなる組換え遺伝材料も含有するとは予想されない。このことを検証するために、本発明者らは、少量の1pgのDNAからの、シグナルペプチドをコードする配列に対応する、組換え遺伝子の短い断片(130bp)の増幅に基づいてPCR試験を設計した(図5)。この試験により、濃縮した無細胞上清中ではいずれの組換えDNAも検出されなかった(図5)。
【0296】
組換えMbの同一性を確認するために、且つシグナルペプチドが正確に加工され、且つたんぱく質分泌の間除去されたことを確認するために、本発明者らは、質量分析へ連結された液体クロマトグラフィー(LC-MS/MS)ショットガン測定によって、マンモスMbゲルバンドを分析した。本発明者らは、完全なたんぱく質配列の90.3%を網羅するペプチドを回収し、シグナルペプチドと第1のメチオニンの完全な除去を、予想通り観察した(図6)。
【0297】
実施例2.4.組換えミオグロビンの色及び色の安定性
先に考察したように、Mbは、食肉の色における中心的な役割を担っている。質量分析と並行して、本発明者らは、それゆえ紫外範囲及び可視範囲における濃縮した無細胞上清の吸光度を測定し、それを、ウマ筋肉から精製した市販のミオグロビンの吸光度と比較した。すべての場合において、ヘムの存在の特徴的な吸光度ピーク(Soretバンド)を観察した(Tang et al.2004)。Soretバンドは、ウシ及びウマのMbについて410nmで検出されたのに対し、マンモスMbについては415nmへとわずかに赤色に移行した(図7A)。メトミオグロビン、デオキシミオグロビン、及びオキシミオグロビンについてそれぞれ代表的な波長最大値での吸光度の比に基づいて(Tang et al.2004)、本発明者らは、濃縮した無細胞上清における組換えミオグロビンが、還元型で主として認められ、マンモスMbについては、47.3%のオキシモイグロビン及び10.0%のデオキシミオグロビン、ウシMbについては 48.3%のオキシモイグロビン及び9.9%のデオキシミオグロビンである。特筆すべきことに、マンモスMbのSoretピークは、ウシ及びウマのMbについてよりもわずかに高い波長で一貫して観察された(それぞれ、415nm対410nm)。このことは、ゾウMbについて行われた先行観察と一致している(Tada et al.1998)。Mbの自己酸化挙動を評価するために、本発明者らは、pH5.6及び25℃での24時間のインキュベーションの間、2時間ごとに吸収スペクトルを記録した(図7B)。次に、本発明者らは、580nm(オキシミオグロビンについてのピーク値、Fe(II)を運搬)と505nm(メトミオグロビンについてのピーク値、Fe(III)を運搬)とでの吸光度の比を検討した。インキュベーションの開始時に、本発明者らは、この比が、組換えマンモス及びウシMbについて、ウマ筋肉から精製した市販のMbよりも有意に高かったことを観察し(図7B、挿入図)、組換えMbのより大きな画分が、還元型において存在することを示した。このウマMbとの違いは、酸性pHで経時的に維持された(図7B、挿入図)。24時間の経過にわたって、吸光度比は、マンモスMbについては26.0%、ウシMbについては38.3%低下し、前者が、自己酸化に対するより大きな耐性を示すことを示唆した。
【0298】
食肉の色は、Mb濃度、含水量及び脂肪含量を含む複数のパラメータによって影響される。従来の食肉について、典型的には生で購入されるが、オキシミオグロビンによって付与される赤色は、購入者の購買判断においてカギとなる役割を担っている。本発明者らはそれゆえ、色の点で類似している食肉に対する組換えMbの効果を試験した。ウシ又はマンモスMbを植物系バーガーへ添加する(図8A~A’)と、明度が低下し(L-値)、赤色み(a-値)及び黄色み(b-値)が増大した(図8B)。
【0299】
次に、本発明者らは冷蔵室に保存され、定常光に5日間曝露された、さまざまな量のミオグロビンを含有する食肉類似体の色の安定性を評価した。ダイズヘムたんぱく質を含有する市販の植物系バーガーを比較のために含んだ。本発明者らは、Mbなしで調製されたバーガーについて有意な色の変化を観察したのに対し、Mbの添加は、より大きな色の安定性と関係していた(図9A~B)。
【0300】
実施例2.5.芳香分析
食肉の色におけるその役割のほかに、ミオグロビンは概して、生の食肉の「血の滴るような」又は「金属の」においに寄与すると想定される。食肉の調理中、芳香の形成は本質的に、脂質の酸化及びメイラード反応によって生じる。後者は、たんぱく質中のアミノ基と、還元された糖及び/又は脂質酸化の反応産物からのカルボニル基との間に生じる。ヘム鉄は、これらの反応及び/又はこれらの動態に影響を及ぼすことができる(van Ba et al.2012)。なお、本発明者らの知る限り、食肉における芳香形成に対するミオグロビンの影響についての文献において決定的なデータはない。先に説明したような実験室製バーガーを用いて、本発明者らは、質量分析と連結したガスクロマトグラフィーによって、組換えMbを含有する生の及び調理された植物系バーガーからの揮発性化合物を分析した。
【0301】
本発明者らは、植物系バーガーへのMbの添加が、生の状態においてもグリルした後でも、揮発性化合物の数を有意に増加させることを発見した(図10A)。特筆すべきことに、生成される揮発性物質の数は、ダイズレグヘモグロビンを含有する市販の植物系バーガー(図10A)、すなわち、Impossible Burgerを用いた場合よりもいずれの場合においても高かった。CG-MSデータに関して主成分分析(PCA)を用いて、本発明者らは、一方では、実験室系バーガーとダイズレグヘモグロビンを含有する市販の植物系バーガーとの間の、もう一方では、生の製品と焙焼した製品との間の明確な分離を観察した(図10B)。
【0302】
グリルした実験室製植物系バーガーからの揮発性化合物を分析すると、本発明者らは、Mbの添加が、酸化した脂質、脂質酸化産物、及びピラジンの存在と関係していることを発見した。特に、ステップマンモス又はウシMbの存在は、「焙焼した」味覚を、グリルした食肉に与えることが公知の化合物の量の増大につながった(van Ba et al.2012)(図12)。マンモスMbの添加は、ウシMbを用いて観察されたものよりも多量のこれらの化合物と一貫して関係していた。このことは、この理論に結びつけられることなく、植物系食肉類似体についての成分として使用されるとき、ウシMbを使うときよりも少量のマンモスMbが、同じ芳香特性を得るために添加され得ることを示唆する。加えて、マンモスMb及びウシMbは、異なる感じ方を提供し得る。
【0303】
実施例2.6.栄養分析
Mb由来の鉄の生物学的利用度を評価するために、本発明者らは、ヒト腸管の鉄の取り込みを研究するために通常使用されるCaco-2上皮様腸管細胞株へ移った。本発明者は、生きているCaco-2細胞単層による鉄の取り込みの読出しとして細胞内フェリチンの形成を測定し、それゆえ、鉄の生物学的利用度の指標を測定した(Glahn et al.1998)。本発明者らは、Mbの用量を増大させると、鉄の取り込みの増大につながることを観察し(図12)、Mbによって運搬されるヘム鉄が、ヒト腸管細胞へ生物学的に利用可能であることを示した。
【0304】
実施例2.7.安全性試験
細胞毒性
組換えMbの潜在的な毒性を評価するために、分化したCaco-2細胞をマンモス又はウシMbで、精製済みウシMbで、又は対照として完全培地(CM)で処理した。次に、潜在的な細胞毒性効果について試験するために、本発明者らは、培養上清中の乳酸脱水素酵素(LDH)のレベルを検討した。LDHとは、NADHからNAD+への相互転化とともにピルビン酸から乳酸への相互転化を触媒する、全細胞において存在する酸化還元酵素である。アポトーシス又は壊死に続く細胞膜の損傷の際、LDHは、上清中に放出され、その濃度は、LDHによるNAD+からNADHへの還元に基づいた比色アッセイによって決定することができる(Decker and Lohmann Matthes 1988)。本発明者らは、試験した濃度のいずれにおいても、マンモスMbとのインキュベーションの際に細胞毒性の上昇を観察しなかった(図13)。対照的に、ウシMbは、培地単独と比較して、有意に上昇した毒性を示した(図13)。本発明で試験した高濃度では、それゆえ、マンモスMbは、ウシMbよりも良好な安全性特性を有するようである。
【0305】
遺伝毒性
組換えミオグロビンの突然変異誘発性能力を決定するために、本発明者らは、細菌逆突然変異誘発試験(AMES試験)及びサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)の4つのヒスチジン必要株(TA98、TA100、TA1535、TA1537)及び大腸菌(Escherichia coli)の1つのトリプトファン必要株(WP2 uvrA)を使用した(Ames et al.1975)。細菌をマンモス又はウシミオグロビンへ0.8、2.5、8.0、25.0、80.0又は250μg/mlのレベルで、外来性代謝活性化(S9ミックス)のあり又はなしのいずれかで曝露した(表1)。陽性対照物質は、S9の非存在及び存在の両方で、復帰突然変異体の数の予想した増加を生じ、試験の感度及びS9ミックスの活性を確認した。本発明は、試験した濃度のいずれにおいても、ウシ又はマンモスMbについていかなる有意な突然変異誘発性活性も観察しなかった。
【0306】
【表4】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【配列表】
2024502086000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンモス、ブタ、ヒツジ、ウシ、ニワトリ、若しくはマグロの動物ミオグロビン、又はそれらに由来する動物ミオグロビンを含む、代用肉
【請求項2】
前記ミオグロビンが、ステップマンモス、ケナガマンモスのものであるか、又はそれらに由来する、請求項1に記載の代用肉
【請求項3】
前記動物ミオグロビンが、以下のアミノ酸配列、すなわち
a)配列番号3と少なくとも70%の配列同一性を含み且つ以下のアミノ酸の組み合わせ、すなわち
・位置30のF、及び/若しくは
・位置65のQ、及び/若しくは
・位置92のH、及び/若しくは
・位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH
のうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
b)配列番号2若しくは3と少なくとも70%の配列同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号2若しくは3の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、位置123のE、及び/若しくは位置143のIのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
c)配列番号1と少なくとも70%の配列同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号1の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、及び/若しくは位置123のEのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
d)配列番号4、5若しくは6と少なくとも70%の同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号4、5、若しくは6の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置13のN、位置27のQ、位置31のI、位置67のN、位置128のA、位置133のS、位置145のA、及び/若しくは位置150のLのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
e)配列番号7と少なくとも70%の同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号7の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置6のQ、位置10のQ、位置13のT、位置14のI、位置27のH、位置31のM、位置35のH、位置36のD、位置42のD、位置43のR、位置49のG、位置53のP、位置55のQ、位置58のG、位置67のA、位置72のQ、位置75のK、位置79のQ、位置82のN、位置85のS、位置93のT、位置111のV、位置116のI、位置117のA、位置118のE、位置121のA、位置128のS、位置133のK、位置145のS、及び/若しくは位置150のFのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、又は
f)配列番号8と少なくとも70%の同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含むアミノ酸配列
のうちの1つによって表される、請求項1又は2に記載の代用肉
【請求項4】
ダイズ植物の根粒における共生において生存する細菌によって産生されたレグヘモグロビンを含まない、且つ/又は単独のヘム含有たんぱく質として請求項1~3のいずれか一項において定義されるミオグロビンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の代用肉
【請求項5】
前記代用肉が、食肉の態様、形態、構造、組成、風味、質感、色、芳香、様相及び/又は栄養価を模倣している、請求項1~4のいずれか一項に記載の代用肉。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に定義されるミオグロビンをコードする核酸を含む、遺伝子コンストラクト。
【請求項7】
前記核酸が、
(a)請求項3のa)、b)、c)、又はd)において定義されたアミノ酸配列と少なくとも75%の配列同一性又は配列類似性を有する配列を含むアミノ酸配列によって表されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と、
(b)配列番号9、10、11、12、13、14、15、16のヌクレオチド配列と少なくとも60%の配列同一性を有するヌクレオチド配列と、
(c)ヌクレオチド配列の配列が、遺伝暗号の縮重により、(b)のヌクレオチド配列の配列とは異なる、前記ヌクレオチド配列と、
からなる群より選択される、請求項に記載の遺伝子コンストラクト。
【請求項8】
プロモーターをさらに含む、請求項又はに記載の遺伝子コンストラクト。
【請求項9】
シグナルペプチド、好ましくは発現したミオグロビンの分泌を促進するシグナルペプチドをさらに含む、請求項のいずれか一項に記載の遺伝子コンストラクト。
【請求項10】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号19、20、21、22、23又は24によって表される、請求項6~のいずれか一項に記載の遺伝子コンストラクト。
【請求項11】
前記遺伝子コンストラクトが、配列番号25、26、27、28、29、又は30によって表される、請求項10に記載の遺伝子コンストラクト。
【請求項12】
請求項11のいずれか一項に定義されるとおりの遺伝子コンストラクトを含む、ベクター。
【請求項13】
請求項11のいずれか一項に定義されるとおりの遺伝子コンストラクトを含む、宿主細胞。
【請求項14】
原核生物又は真核生物である、請求項13に記載の宿主細胞。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の宿主細胞を適切な培地中で培養することと、場合により前記宿主細胞及び/又は請求項1~3のいずれか一項に定義されるとおりのミオグロビンを回収することとを含む、前記ミオグロビンを製造するための方法。
【請求項16】
前記製造されたミオグロビンが、シグナルペプチドを含まない、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記回収されたミオグロビンが、精製された、好ましくは実質的に精製された、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記宿主細胞が、前記ミオグロビンを細胞外に産生する、請求項1516のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1518のいずれか一項に記載の方法から入手可能な前記ミオグロビンを、代用肉へと配合することを含む、請求項1~のいずれか一項に定義されるとおりの代用肉製造するための方法。
【請求項20】
たんぱく質が、配列番号3を含む配列によって表され得る、たんぱく質。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0255
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0255】
当業者は、本明細書で説明されるものと類似の又は同等の多くの方法及び材料を認識しているであろうし、当該方法及び材料は、本発明の実施において使用され得る。実際、本発明は、説明されている方法及び材料に対して一切限定されない。
本発明は一態様において以下を提供する。
[項目1]
マンモス、ブタ、ヒツジ、ウシ、ニワトリ、若しくはマグロの動物ミオグロビン、又はそれらに由来する動物ミオグロビンを含む、代用肉又は食品成分。
[項目2]
前記ミオグロビンが、ステップマンモス、ケナガマンモスのものであるか、又はそれらに由来する、項目1に記載の代用肉又は食品成分。
[項目3]
前記動物ミオグロビンが、以下のアミノ酸配列、すなわち
a)配列番号3と少なくとも70%の配列同一性を含み且つ以下のアミノ酸の組み合わせ、すなわち
・位置30のF、及び/若しくは
・位置65のQ、及び/若しくは
・位置92のH、及び/若しくは
・位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH、及び/若しくは
・位置30のF且つ位置65のQ且つ位置92のH且つ位置94のH
のうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
b)配列番号2若しくは3と少なくとも70%の配列同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号2若しくは3の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、位置123のE、及び/若しくは位置143のIのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
c)配列番号1と少なくとも70%の配列同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号1の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置9のE、位置13のK、位置14としてのT、位置23のP、位置27のL、位置31のV、位置54のG、位置65のQ、位置67のV、位置84のQ、位置88のQ、位置102のI、及び/若しくは位置123のEのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
d)配列番号4、5若しくは6と少なくとも70%の同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号4、5、若しくは6の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置13のN、位置27のQ、位置31のI、位置67のN、位置128のA、位置133のS、位置145のA、及び/若しくは位置150のLのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、
e)配列番号7と少なくとも70%の同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含み、且つ場合により、配列番号7の中の以下の場所の以下のアミノ酸、すなわち、位置6のQ、位置10のQ、位置13のT、位置14のI、位置27のH、位置31のM、位置35のH、位置36のD、位置42のD、位置43のR、位置49のG、位置53のP、位置55のQ、位置58のG、位置67のA、位置72のQ、位置75のK、位置79のQ、位置82のN、位置85のS、位置93のT、位置111のV、位置116のI、位置117のA、位置118のE、位置121のA、位置128のS、位置133のK、位置145のS、及び/若しくは位置150のFのうちの少なくとも1つを有するアミノ酸配列、又は
f)配列番号8と少なくとも70%の同一性、位置65のQ若しくはH、及び位置94のHを含むアミノ酸配列
のうちの1つによって表される、項目1又は2に記載の代用肉又は食品成分。
[項目4]
ダイズ植物の根粒における共生において生存する細菌によって産生されたレグヘモグロビンを含まない、且つ/又は単独のヘム含有たんぱく質として項目1~3のいずれか一項において定義されるミオグロビンを含む、項目1~3のいずれか一項に記載の代用肉又は食品成分。
[項目5]
前記代用肉が、食肉の態様、形態、構造、組成、風味、質感、色、芳香、様相及び/又は栄養価を模倣している、項目1~4のいずれか一項に記載の代用肉。
[項目6]
前記食品成分が、食肉の組成、風味、色、芳香、及び/又は栄養価を模倣する、項目1~4のいずれか一項に記載の食品成分。
[項目7]
項目1~4のいずれか一項に定義されるミオグロビンをコードする核酸を含む、遺伝子コンストラクト。
[項目8]
前記核酸が、
(a)項目3のa)、b)、c)、又はd)において定義されたアミノ酸配列と少なくとも75%の配列同一性又は配列類似性を有する配列を含むアミノ酸配列によって表されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と、
(b)配列番号9、10、11、12、13、14、15、16のヌクレオチド配列と少なくとも60%の配列同一性を有するヌクレオチド配列と、
(c)ヌクレオチド配列の配列が、遺伝暗号の縮重により、(b)のヌクレオチド配列の配列とは異なる、前記ヌクレオチド配列と、
からなる群より選択される、項目7に記載の遺伝子コンストラクト。
[項目9]
プロモーターをさらに含む、項目7又は8に記載の遺伝子コンストラクト。
[項目10]
シグナルペプチド、好ましくは発現したミオグロビンの分泌を促進するシグナルペプチドをさらに含む、項目7~9のいずれか一項に記載の遺伝子コンストラクト。
[項目11]
前記ヌクレオチド配列が、配列番号19、20、21、22、23又は24によって表される、項目6~10のいずれか一項に記載の遺伝子コンストラクト。
[項目12]
前記遺伝子コンストラクトが、配列番号25、26、27、28、29、又は30によって表される、項目11に記載の遺伝子コンストラクト。
[項目13]
項目7~12のいずれか一項に定義されるとおりの遺伝子コンストラクトを含む、ベクター。
[項目14]
項目7~12のいずれか一項に定義されるとおりの遺伝子コンストラクトを含む、宿主細胞。
[項目15]
原核生物又は真核生物である、項目14に記載の宿主細胞。
[項目16]
項目14又は15に記載の宿主細胞を適切な培地中で培養することと、場合により前記宿主細胞及び/又は項目1~3のいずれか一項に定義されるとおりのミオグロビンを回収することとを含む、前記ミオグロビンを製造するための方法。
[項目17]
前記製造されたミオグロビンが、シグナルペプチドを含まない、項目16に記載の方法。
[項目18]
前記回収されたミオグロビンが、精製された、好ましくは実質的に精製された、項目16又は17に記載の方法。
[項目19]
前記宿主細胞が、前記ミオグロビンを細胞外に産生する、項目16~18のいずれか一項に記載の方法。
[項目20]
項目16~19のいずれか一項に記載の方法から入手可能な前記ミオグロビンを、代用肉又は食品成分内へと配合することを含む、項目1~6のいずれか一項に定義されるとおりの代用肉又は食品成分を製造するための方法。
[項目21]
たんぱく質が、配列番号3を含む配列によって表され得る、たんぱく質。
【国際調査報告】