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特表2024-502113消化管をサンプリングおよび分析するための装置、方法、およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】消化管をサンプリングおよび分析するための装置、方法、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20240110BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240110BHJP
   A61B 10/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A61B10/00 500
A61K9/48
A61B10/02 160
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541015
(86)(22)【出願日】2022-01-04
(85)【翻訳文提出日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 US2022011128
(87)【国際公開番号】W WO2022147536
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】63/133,712
(32)【優先日】2021-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523253866
【氏名又は名称】エンテロトラック エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ENTEROTRACK,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フランク、イーサン
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、ジェフリー
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076AA54
4C076BB03
4C076BB04
4C076BB05
4C076BB06
4C076BB07
4C076CC50
4C076EE26
4C076EE42H
4C076FF21
(57)【要約】
本出願の実施形態は、対象の消化管をサンプリングするための改善された装置を対象とする。いくつかの実施形態では、装置は、少なくとも近位および遠位セグメントを有する調節可能な糸またはドラグ材を収容するための2つの部分を有する摂取可能なカプセルを少なくとも含む。いくつかの実施形態では、遠位セグメントは、流体を吸収することができ、かつ/または捕捉剤をさらに含むことができる複数プライ材料を含む。特定の実施形態では、本出願の改善された装置は、対象の食道および胃を含むがこれらに限定されない対象の上部消化管の状態をアセスメントすることを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の消化管からのサンプリング用のまたは対象の消化管への送達用の装置において、
2つの部分からなる摂取可能なカプセルであって、糸(またはドラグ)材展開用開口部を備える、カプセルと、
前記カプセルの内部に封入された糸(またはドラグ)材であって、前記糸(またはドラグ)材は、近位セグメントおよび遠位セグメントを有し、前記近位セグメントの遠位端は、前記遠位セグメントの近位端に動作可能に連結されている、糸(またはドラグ)材と、
前記糸展開用開口部から離れて前記カプセルの内部に封入された錘付き構成要素と、を備え、
前記糸は、対象の消化管内に展開されたときに前記カプセルの前記糸展開用開口部を通して最適に送達されるように構成され、
前記糸(またはドラグ)材は、前記対象の消化管内で1つ以上の作用物質を捕捉または送達することができる1つ以上の捕捉剤を含む、装置。
【請求項2】
前記近位セグメントは、前記遠位セグメントよりも細いか短いかのうちの少なくとも1つであり、対象の食道の外側に残る、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記糸の前記遠位セグメントが、タンパク質、ポリペプチド、化学物質、ポリヌクレオチド、微生物もしくはその副産物、細胞、液体組成物、消化管に位置する他の作用物質もしくは分析物のうちの少なくとも1つに結合することができる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記近位セグメントの少なくとも一部分は、前記摂取可能なカプセルの前記糸展開用開口部を貫通し、前記摂取可能なカプセルの外側の前記近位セグメントは、前記対象の口の中または外に固定されることが可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記糸(またはドラグ)材が、吸収性繊維、メッシュ繊維、またはテクスチャード加工繊維を含むドラグ材を含む遠位セグメントを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ドラグ材がナイロンを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記カプセルが溶解可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記2つの部分からなる摂取可能なカプセルは、前記カプセルの内部を形成するように動作可能に嵌合するように構成される、キャップおよびベースを備え、前記糸は、前記カプセルの内部の中への挿入のための事前構成された糸を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記キャップが、前記2つの部分からなる摂取可能なカプセルの前記ベースの内容物を観察するための窓を備える透明部分をさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記窓の中心位置が、前記摂取可能なカプセルのベースの開口端の縁から約2.5~約7.5mmの距離を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記糸(またはドラグ)材の前記遠位セグメントは、3プライ材料を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記3プライ材料の各プライは、対象のGI管をサンプリングするために、同様に構成されるか、または異なるように構成され得る、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記糸(またはドラグ)材の前記遠位セグメントが、破損するまで約40mm/分~約60mm/分で引っ張られたときに35N~40N以上の破損強度を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記1つ以上の捕捉剤が、抗体、抗体断片、抗原、サイトカイン、ケモカイン、ポリヌクレオチド、医薬品、受容体、診断もしくは健康指標、感受性もしくは耐性指標、リガンドもしくは他の作用物質、化学物質、合金、金属、またはそれらの組み合わせを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項15】
前記1つ以上の捕捉剤が、GI管内の1つ以上の指標と会合し、前記1つ以上の指標が、主要塩基性タンパク質(MBP)、好酸球カチオン性タンパク質(ECP)、好酸球ペルオキシダーゼ(EPO)、好酸球由来神経毒(EDN)、CLC/Gal-10、他の好酸球顆粒タンパク質、インターロイキン-6(IL-6)、IL-8、IL-1β、IL-5、インターフェロンガンマ(INF-γ)、他のGI関連サイトカイン、ケモカイン、細胞浸潤物、pH、IgE、トリプターゼ、アレルギー反応の他のマーカー、受容体分子、アレルゲン、アラキドン酸産物、GI管の他の炎症マーカー、サブスタンスP、ブラジキニン、GI管の他の神経伝達物質、ロイコトリエン、肥満細胞、他のGI関連細胞、細菌、酵母、ウイルス、他の微生物、金属、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記近位セグメントおよび前記遠位セグメントが、前記糸の前記近位セグメントを前記遠位セグメントに連結するための接着剤化合物を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記錘付き構成要素が、前記錘付き構成要素を前記摂取可能なカプセルに関連付けるための接着化合物をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記近位セグメントの末端近位端がループを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記摂取可能なカプセルと、前記糸(またはドラグ)材と、前記錘付き構成要素とを備える前記装置は、ユニットを備え、前記ユニットは、滅菌される、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記ユニットの滅菌が、エチレンオキシド(EO)または他の類似の滅菌剤を使用して前記ユニットを滅菌することを含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に記載の装置と、少なくとも1つの容器とを含むキット。
【請求項22】
対象の消化管を分析するための方法であって、請求項1~20のいずれか一項に記載の装置を前記対象の消化管の中に展開するステップと、前記調節可能な糸を回収するステップと、前記対象の消化管から捕捉された診断作用物質または健康指標について、前記装置の前記調節可能な糸の前記遠位セグメントを分析するステップとを含む、方法。
【請求項23】
前記対象の微生物叢が分析される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記捕捉された診断作用物質または健康指標の有無に基づいて前記対象の状態をアセスメントすることをさらに含む、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記健康指標が、消化管の状態に関する医薬品感受性または耐性を示す作用物質を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記対象の胆汁が分析される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記対象は、新規医薬品に関連する吸収、分布、代謝、排泄(ADME)研究などの新規医薬製品の臨床試験の参加者である、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医学的障害をサンプリング、分析、検査、および診断し、または対象の健康状態をモニタリングするための装置およびその使用に関する。特定の実施形態では、改善された消化管(GI)サンプリング装置が開示され、この装置は、最適な展開、低減された不快感、対象の分析、診断、および治療のための低減された交差汚染を有する上部GI管の改善された分析物収集のために構成された近位セグメントおよび遠位セグメントを有する糸を含む。
【背景技術】
【0002】
重篤な胃食道逆流症(GERD)、好酸球性胃腸炎(EGE)、食物アレルギー性腸疾患(FAE)、微生物感染、および炎症性腸疾患(IBD)などの消化管の健康状態を診断することは、しばしば困難である。特定の場合において、消化(GI)管への非侵襲的アクセスは、X線撮影または糞便分析を介してのみ利用可能であるが、これらの方法は、多くのGI障害についての決定的な診断情報を提供しない。
【0003】
現在、診断および治療レジメンのための粘膜サンプリングを得るために、内視鏡分析が使用される。クローン病などの特定の状態では、組織病理学的特徴を明確に認識することができる。好酸球性胃腸炎および食物アレルギー障害などの他の状態については、組織学的特徴はアセスメントするのがより困難であり、他の状態と重複することで診断をより困難にすることが多い。
【0004】
健康状態の改善された診断および治療およびモニタリングのために、GI管関連分子を収集するための、より効率的で、効果的で、かつ低侵襲性の装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示される実施形態は、対象におけるGI管分析を通して、対象の医学的障害のサンプリング、検査、および診断、または健康状態のモニタリングのための装置および使用に関する。
【0006】
特定の実施形態では、摂取可能で任意選択的に消化可能な外側カプセルと、使用中に対象内に展開するためにカプセルに少なくとも部分的に封入された糸またはドラグ材と、カプセル内に封入された錘とを有する装置を含む、改善された消化管(GI)サンプリング装置が開示される。
【0007】
特定の実施形態では、糸は、使用中に対象のGI管内で外側カプセルから展開するように最適に構成される。いくつかの実施形態では、糸またはドラグ材は、外側カプセル内の最適な封入に構成されるように巻かれ得る。これらの実施形態によれば、糸またはドラグ材は、中心に穴を有する層状ループ配向で構成されるように巻かれてもよく、ループは、互いに分離されたままであり、重なり合わず、糸の近位端は、対象における最適な展開のために内側に供給される。他の実施形態では、糸またはドラグ材は、中心に穴を有する層状ループ配向で構成されるように巻かれてもよく、ループは、互いに分離されたままであり、重なり合わず、糸の近位端は、対象における最適な展開のために外側に供給される。
【0008】
特定の実施形態は、糸は、近位セグメント、および遠位またはサンプリングセグメントを含んでもよい。特定の実施形態では、近位セグメントおよび遠位セグメントは、単一の糸を形成するが、他の実施形態では、近位セグメントおよび遠位セグメントは、動作可能に取り付けられて、糸を形成する。例えば、特定の実施形態では、近位セグメントの端部(例えば、遠位端)は、遠位セグメントの端部(例えば、近位端)に動作可能に取り付けられる。いくつかの実施形態では、近位セグメントの一端(例えば、遠位端)は、任意選択でテーパ状にされ得る遠位セグメントの端部(例えば、近位端)に取り付けるためにテーパ状にしてもよい。特定の実施形態では、近位セグメントおよび遠位セグメントの端部は、接着剤、熱接着、絡み合わせ、織り合わせ、または他の適切な固定方法を使用して、動作可能に取り付けられてもよく、展開されたときに互いに関連付けられたままである。
【0009】
いくつかの実施形態では、外側カプセルは、キャップおよびベースを含む2つの部分からなるカプセルとして構成されてもよく、キャップおよびベースは、動作可能に嵌合して、動作可能に嵌合されたキャップおよびベースの内部に糸および錘を封入する。
【0010】
いくつかの実施形態では、2つの部分からなるカプセルのキャップは、糸展開用開口部を含んでもよく、糸の近位端(例えば、近位セグメントの近位端)は、その開口部を通って延在する。これらの実施形態によれば、糸は、対象に提供されるときにその開口部を通して展開することで、対象のGI管にある作用物質を捕捉することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、2つの部分からなるカプセルのベースは、末端固定用開口部116を含んでもよく、糸の遠位端の末端部分(例えば、遠位セグメントの末端遠位端)は、ベースの頂面上に、ベースの外周に沿って延在し、末端固定用開口部を通ることでベースの内部に戻って延在する。ベースの外周に沿って延在する糸の一部は、糸の遠位端を外側カプセルに解放可能に固定するように、キャップがベースに動作可能に嵌合されるときにベースとキャップとの間に位置してもよい。キャップおよびベースは、動作可能に嵌合されたときにキャップが糸固定用開口部を覆って延在するように構成されてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態において、キャップおよび/またはベースを含む外側カプセルは、ゼラチン(例えば、ウシゼラチン、ビーガンゼラチン、コーシャ、ハラール、または同等の材料、ベジタリアングレードのゼラチン材料)、セルロース(例えば、HPMC)、デンプン(例えば、ジャガイモデンプン)、プルラン(例えば、タピオカ)、ポリビニルアルコール(例えば、コポリマー)、麻、または分解、溶解、もしくは対象のGI系を通過することができる他の適切な材料から作製され得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に開示される装置のキャップおよび/またはベースを含む外側カプセルは、ゼラチン材料またはセルロース材料であってもよい。カプセルおよび/またはドラグ材に関する材料は、治療される対象に応じて任意の正式な要件(例えば、食事制限、および/または宗教的考慮事項)に適合するように作製され得ることが企図される。特定の実施形態では、本明細書で使用されるカプセルは、約50%~約100%のウシ医薬品グレードゼラチン、コーシャパレーブおよびハラール認証であってもよく、cGMPおよびFDA承認施設でBSEフリーまたは特定の基準を満たす他の材料から作製されてもよい。
【0013】
特定の実施形態では、本明細書に開示される錘は、ステンレス鋼(例えば、磁性、オーステナイト系)、チタン、セラミック(例えば、アルミナ、ジルコニア)、ガラス、コバルトクロム、金、銀、タンタル、白金、他の好適な化合物、またはそれらの組み合わせから作製され得るが、それらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に開示される装置の錘は、ステンレス鋼またはチタンでもよい。
【0014】
特定の実施形態によれば、外側カプセルは、溶解性であっても、部分的に溶解性であってもよく、または対象の系を通過することができる。特定の実施形態では、糸材料は、カプセル内に構成するために可鍛性である。いくつかの実施形態では、糸は、最適な展開のために様々な長さであり得る。いくつかの実施形態では、近位セグメントの一部は、装置またはユニットを嚥下する前に、カプセルから引き出されてもよく、紐またはドラグ材の端部は、対象の頬に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、紐またはドラグ材は、対象の頬の外側に取り付けられてもよい。他の実施形態では、紐またはドラグ材は、対象の頬の内側に取り付けられてもよい。所定の時間が経過した後、分析のために、展開された紐を対象から取り出すことができる。
【0015】
特定の実施形態では、糸またはドラグ材は、外側カプセル内の最適な封入のために構成されるとともに、カプセルから対象のGI管を通した最適な供給のために構成される。これらの実施形態によれば、装置の糸の遠位セグメントは、GI管の1つ以上の領域から/へ作用物質を収集および/または送達するために、食道を通して、対象の胃および十二指腸の中へ供給することが可能である。特定の実施形態では、糸またはドラグ材の遠位セグメントは、糸またはドラグ材に沿って同じまたは異なる捕捉要素を含む。他の実施形態では、捕捉要素は、糸、紐、またはドラグ材が対象の中で展開され、または完全に展開されたときに分析または送達されるGI部分に向けられる糸、紐、またはドラグ材に沿って配置してもよい。特定の実施形態では、捕捉要素は、小腸および/または大腸および/または十二指腸内のものとは異なる胃内のものと異なる、食道内の捕捉剤に特異的な捕捉要素を有する紐に沿って配置してもよい。
【0016】
特定の実施形態では、糸、ドラグ材、または紐の近位セグメントおよび/または遠位セグメントは、同じ材料または異なる材料から作製される。他の実施形態では、糸の近位セグメントおよび遠位セグメントは、例えば、対象のGI管のより正確な診断、アセスメント、および治療のために収集および送達される作用物質の交差汚染を低減するように、GI管領域の最適なサンプリングのためにともに接合された異なる複数の材料から作製されてもよい。いくつかの実施形態では、糸またはドラグの近位セグメントおよび/または遠位セグメントは、ナイロン材料から作製される。他の実施形態では、糸、紐、またはドラグ材は、綿、レーヨン、ポリエステル、アクリル、麻、アルパカ、モヘア、ウール、アンゴラ、絹、または組み合わせ材料から作製されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、糸の遠位セグメントは、吸収性メッシュ、または複数プライ構成のテクスチャード加工繊維から作製される。いくつかの実施形態では、糸の遠位セグメントは、吸収性メッシュ、または2~5プライ構成のテクスチャード加工繊維から作製される。他の実施形態では、糸の遠位セグメントは、2~3プライ材料から作製される。いくつかの実施形態では、糸の近位セグメントは、単プライ材料でもよい。他の実施形態では、糸の遠位セグメントは、2プライ~3プライ~4プライ~複数プライの材料(例えば、ナイロン材料)から作製されてもよい。特定の実施形態では、糸材料の近位セグメントは、単プライ材料であってもよく、糸材料の遠位セグメントは、2、3~4プライ材料であってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される複数プライのドラグ、紐、または糸材料は、遠位セグメントを構成する材料の各プライにおいて同じであるように構成されてもよく、または各プライは、特定のGI領域のサンプリングを最大化するために異なるように構成されてもよい(例えば、捕捉剤の配置、糸の電荷、糸またはドラグ材におけるフィンガリング(fingerling)含有物など)。他の実施形態では、例えば、遠位セグメントが3プライ材料を含む場合、対象の1つのGI領域または複数のGI領域のサンプリングを最大化するために、各プライは同じであってもよく、3つのうちの2つが同じであってもよく、または各プライは異なって構成されてもよい。加えて、近位セグメントは、特定の捕捉剤を含有する遠位セグメントと同様に構成されてもよく、または異なる捕捉剤を担持するように構成されてもよい。
【0019】
特定の実施形態では、糸の遠位セグメントは、破損するまで約40~60mm/分で引っ張られたとき、約35N~約40Nの破損強度を有してもよい。他の実施形態では、糸の遠位セグメントは、それが本質的に乾燥しているかまたは完全に乾燥しているとき、遠位セグメントの総重量の1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5またはそれ以上まで流体を吸収することができる。特定の実施形態では、遠位セグメントによって吸収される流体は、対象における健康状態の分析のために使用されるGI管から得られる流体を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、捕捉要素は、全て糸もしくはドラグ材に沿って提供されてもよく、または捕捉される作用物質およびサンプリングされるGI管内の位置に応じて、異なる捕捉要素が、糸もしくはドラグ材に沿って配置されてもよい。これらの実施形態によれば、捕捉要素は、例えば、糸またはドラグ上への分子固定化によって配置することができる。いくつかの実施形態では、ビオチン-アビジン分子コネクタリンクを使用して、1つ以上の捕捉要素を取り付けてもよい。あるいは、特定の方法では、反対の特性を有する標的分子を引き付けるように糸またはドラグの局所的表面特性を変化させることによって、捕捉要素を提供してもよい。これらの実施形態によれば、例えば、糸、紐、またはドラグ材の局所的な表面電荷を負にすることによって、正に帯電した分子を糸またはドラグ材のその部分に引き付けることができる。あるいは、糸、紐、またはドラグ材の局所的な表面電荷を正にすることによって、負に帯電した分子を糸またはドラグ材のその部分に引き付けることができる。他の実施形態では、標的タンパク質またはペプチドを捕捉するように設計された機能要素で糸、紐、もしくはドラグ材の局所表面をコーティングすることによるか、または糸もしくは紐の局所表面積を増加または減少させることで上皮および粘膜層にこすれるその性質を増加または減少させ、それによって、表面による上皮細胞および粘膜の収集を増加または減少させることによる。特定の実施形態は、糸またはドラグ材の遠位セグメントのために選択された材料、および/または糸またはドラグ材の遠位セグメントの複数プライ特徴は、GI内層に対してこすれることが可能な突出部(例えば、ドラグ材に沿った窪みまたは隆起領域)を有し、表面積の増加および/または突出部は、標準的なサンプリング方法と比較して、GI内層の破壊を減少させ、または完全性を有しながら、標的作用物質の取り込みを増加させる。いくつかの実施形態では、近位セグメント表面および/または遠位セグメント表面のドラグ、紐、または糸材は、試験への干渉を低減し、対象のGI管を通した標的化作用物質の改善された送達を提供するために不活性であり得る。他の実施形態では、近位セグメント表面および/または遠位セグメント表面のドラグ、紐、または糸材は、ドラグ、紐、または糸材料の巻線構成、ならびに対象のGI管内のカプセルからほどくことおよび送達を補助するために不活性であり得る。
【0021】
他の実施形態では、糸、紐、またはドラグ材は、分析、診断、ならびに医療従事者によって決定される治療の分析および実施のために、GI管の様々な位置に存在する作用物質に結合することができる引き付け剤または捕捉剤をさらに含んでもよい。ある特定の実施形態では、微生物(例えば、細菌、真菌、ウイルス、原生動物)またはその副産物を、対象の分析、診断、および予防処置のためにGI管からサンプリングしてもよい。いくつかの実施形態では、GI領域が、タンパク質、副産物、および/または他の分子を放出する微生物で汚染されている場合、状態を診断および状態を治療するために、ドラグまたは糸材を使用して、微生物からのこれらのタンパク質、副産物、または分子をサンプリングしてもよい。特定の実施形態において、そのようなサンプリングは、食道、胃、または腸などの様々な領域におけるGI管の粘膜層を含んでもよい。他の実施形態では、本明細書に開示される装置は、胆管から胆汁を捕捉するように設計される。これらの実施形態によれば、対象の胆汁のサンプリングは、比較および診断および/または治療のために、健康なボランティアもしくは健康状態を有する対象、または両方からのサンプリングを含んでもよい。いくつかの実施形態では、胆汁は、後の分析のために装置の遠位端上の吸収材料によって捕捉され得る。
【0022】
別の実施形態では、捕獲剤は、糸、紐、またはドラグ材に沿って配置され得る。特定の実施形態では、捕捉剤は、糸、紐、またはドラグ材の遠位セグメントに配置することができる。いくつかの実施形態では、捕捉剤は、相互作用または結合を介して分析物に結合することができる任意の作用物質であってもよく、相互作用または結合は、作用物質が、GI管の所与の領域において異なる複数の分析物の異種混合物から分析物に結合し、および分析物を濃縮または引き付けることを可能にするために十分である。これらの実施形態によれば、結合相互作用は、捕捉剤の親和性領域によって、受容体によって、合金によって、化学的引き付け剤によって、核酸によって、ペプチドまたは他の適切な捕捉剤によって媒介され得る。これらの実施形態によれば、捕捉剤としては、抗体、モノクローナル抗体、抗体断片(例えば、好酸球顆粒または他の抗体)、ならびに炎症マーカーを引き付けることができる特定の作用物質、ムチン、および/または後の分析および評価のために粘膜関連マーカーを捕捉することができる他の作用物質を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0023】
いくつかの実施形態では、装置、方法、および開示される装置の使用は、対象におけるGI管の炎症の評価を可能にする。これらの実施形態によれば、対象の食道の炎症をアセスメントすることで、例えば、健康状態を診断し、対象の治療戦略をアセスメントすることができる。一実施形態では、本発明の装置は、対象の食道のGI管内に展開されてもよく、その場所で、この装置の遠位セグメントは、診断のために対象において作用物質を捕捉することができる。装置の糸、紐、またはドラグ材は、所定の期間後に対象のGI管から取り出され、遠位セグメントは、炎症、微生物感染、または他の健康状態のような健康状態の診断のために、例えば食道の診断指標の収集のために分析される。本明細書では、対象は、所定の期間の前、間、もしくは後に、および/または定期的に、および/または所定の治療期間の前、間、もしくは後に評価され得ることが企図される。いくつかの実施形態では、対象の状態は、食道の疾患もしくは状態、または食道の炎症を含み得るが、これらに限定されない。例えば、本発明は、胃食道逆流症(GERD)またはバレット食道もしくは癌などのGERDに関連する合併症をアセスメントおよび診断するために使用されてもよい。別の非限定的な実施形態では、疾患は好酸球性食道炎(EE)であり得る。別の実施形態では、状態は、1つ以上の食品または食品の成分に対するアレルギーであり得る。
【0024】
特定の実施形態は、本明細書に開示される装置は、薬学的に許容可能であり、汚染を低減するなどのためにさらに滅菌される。特定の実施形態では、装置の全ての構成要素を含む装置ユニットは、エチレンオキシド(EO)または滅菌のための他の類似作用物質によって、使用に備えて滅菌されてもよい。
【0025】
他の実施形態では、対象内に装置を展開するための所定の期間は、医療従事者によって決定され、および/または対象のGI管から分析物を捕捉する、もしくはGI管に作用物質を送達するために最適であると決定される、任意の長さの時間であってもよい。これらの実施形態によれば、所定の時間は、約15分~約1時間、約15分~2時間、および最大約12時間、または必要に応じてであり得る。いくつかの実施形態では、紐、糸、もしくはドラグ材、または装置の展開のための所定の期間は、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24時間以上、またはその任意の増分であり得る。
【0026】
他の実施形態では、対象から展開された糸、紐、またはドラグ材を取り出した後、遠位セグメントは、診断または他の健康指標について分析され得るか、または特定の作用物質の送達を確実にするために分析され得る。いくつかの実施形態において、診断指標または健康指標が、対象から収集されるときにさらなる分析のために糸に吸収される。他の実施形態では、1つ以上の診断または健康指標のための1つ以上の捕捉剤は、糸またはドラグ材の遠位セグメント上に存在してもよく、1つ以上の診断または健康指標は、分析および/または診断のために1つ以上の捕捉剤に結合し得る。これらの実施形態によれば、捕捉剤を伴っても伴わなくてもよい遠位セグメントは、1つ以上の分析物または作用物質に結合し得る。分析物および作用物質としては、微生物(例えば、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、鞭毛など)、細胞、細胞断片、タンパク質、ポリペプチド(例えば、抗原、酵素など)、抗体、または任意の他の捕捉もしくは収集された作用物質を挙げることができるが、これらに限定されない。当該分野で周知の任意の方法が、対象のGI管から採取された作用物質、分析物、または流体もしくは他の化合物を分析するために使用され得る。特定の実施形態では、糸またはドラグ材が対象から採取されると、糸またはドラグ材は、必要に応じて、分析物または作用物質を採取する前に、所定の温度で冷蔵庫または冷凍庫に保管されてもよい。他の実施形態では、作用物質、分析物、化合物、または他の採取されたGI常在菌は、必要に応じて迅速なアセスメントおよび診断のために、対象から糸、紐、またはドラグ材を取り出すとすぐに分析され得る。特定の実施形態では、ELISA、細胞学的、質量分析、ガスクロマトグラフィー、HPCL、ブロット(例えば、ウェスタンまたはその他)、メソスケール(Mesoscale)、ライコア(Licor)、PCR、核酸抽出、組織学、免疫化学、PCR、微生物培養、ラテラルフローアッセイ、または他のアッセイを使用して、作用物質、または微生物もしくはその副産物の有無を同定することができる。特定の実施形態では、GI管における作用物質の非存在または減少したレベルは、酵素または他の健康指標の減少または非存在などの状態の診断となり得る。
【0027】
特定の実施形態では、1つ以上の診断指標は、食道または他のGI管領域の炎症の存在または重症度を示す任意の因子であり得る。いくつかの実施形態において、診断指標は、主要塩基性タンパク質(MBP)、好酸球カチオン性タンパク質(ECP)、好酸球ペルオキシダーゼ(EPO)、および好酸球由来神経毒(EDN)を含むがこれらに限定されない、1つ以上の好酸球顆粒タンパク質であり得る。いくつかの実施形態において、診断指標は、エオタキシンなどのサイトカインもしくはケモカイン、またはアラキドン酸産物などの他の炎症マーカー、サブスタンスPおよびブラジキニンなどの1つ以上の神経伝達物質、インターロイキンなどであり得る。別の実施形態では、診断指標は、サンプリングされているGI管において通常見られない細胞浸潤物であり得る。さらに他の実施形態では、GI領域のpHをアセスメントしてもよい。さらに別の実施形態では、1つ以上の診断指標は、アレルギー反応のマーカーであり得る。これらの実施形態によれば、これらの作用物質は、IgE、トリプターゼ、ヒスタミン、受容体分子(例えば、FcRIもしくはCD23)、またはアレルギーに関連する他のアレルゲンを含み得るが、これらに限定されない。本明細書で企図される細胞診断または健康指標は、限定されないが、末梢および/もしくは血漿好酸球数(例えば、状態を有さない対照と比較した)、肥満細胞、ならびに健康状態に関連する他の炎症性マーカーおよび/もしくは免疫細胞、または1つ以上の健康状態の発症に関連するマーカーを含む細胞マーカーを含み得る。他の実施形態では、診断指標は、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のマーカーを含み得る。
【0028】
定義
本明細書で使用される「約」という用語は、値が、+/-10パーセントなどの、値を決定するために用いられる装置または方法についての誤差の標準偏差を含むことを示し得る。
【0029】
本明細書で使用される「アセスメントする」という用語は、任意の形態の測定を含み、要素が存在するか否かを決定することを含む。「決定する」、「測定する」、「評価する」、「アセスメントする」、および「アッセイする」という用語は、互換的に使用され、定量的および/または定性的決定を含み得る。
【0030】
本明細書で使用される「対象」という用語は、動物界の任意のメンバー、ならびにヒトを指す。
本明細書で使用される用語「治療」、「治療すること」、「治療する」などは、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを指す。効果は、疾患もしくはその症状を完全にもしくは部分的に予防するという点で予防的であってもよく、ならびに/または疾患および/もしくは疾患に起因する有害作用の部分的もしくは完全な治癒という点で治療的であってもよい。本明細書中で使用される場合、「治療」は、哺乳動物(特に、ヒト)における疾患の任意の治療を包含し、(a)疾患にかかりやすい可能性があるが、まだそれを有すると診断されていない対象において疾患が生じるのを予防すること;(b)疾患を阻害すること(すなわち、その発症を止めること);および(c)疾患を軽減すること(すなわち、疾患の後退を引き起こすことおよび/または1つ以上の疾患症状を軽減すること)を含む。「治療」はまた、疾患または状態が存在しない場合であっても、薬理学的効果を提供するための作用物質の送達を包含することを意味する。
【0031】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の主旨および範囲内の様々な変更および修正がこの詳細な説明から当業者に明らかになるので、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の特定の実施形態を示すが、例示のためにのみ与えられることが理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
以下の図面は、本明細書の一部を形成するものであり、本発明の特定の態様をさらに実証するために含まれる。本発明は、本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面のうちの1つ以上を参照することによって、より良く理解することができる。
図1】本明細書に開示される特定の実施形態による、2つの部分からなるカプセルに対する遠位セグメント末端を示す、代表的な装置を示す。
図2-1】図2A~2Jは、本明細書に開示されるいくつかの実施形態の糸またはドラグ材の例示的な構成を表す。
図2-2】同上。
図2-3】同上。
図3図3Aおよび図3Bは、本開示の例示的な装置の糸、紐、またはドラグ材の遠位セグメント末端部を通すための方法の例示的な態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書に開示される実施形態は、対象におけるGI管分析を通して、対象の医学的障害のサンプリングおよび検査および診断、または健康状態のモニタリングのための装置および使用に関する。図1を参照すると、特定の実施形態では、摂取可能で任意選択的に消化可能な外側カプセル102と、使用中に対象内に展開するためにカプセルに少なくとも部分的に封入された糸、紐、またはドラグ材104と、カプセル内に封入された錘106とを有する装置100を含む、改善された消化管(GI)サンプリング装置が開示される。
【0034】
特定の実施形態は、糸は、近位セグメント、および遠位またはサンプリングセグメント(図示せず)を含んでもよい。特定の実施形態では、近位セグメントおよび遠位セグメントは、単一の糸を形成するが、他の実施形態では、近位セグメントおよび遠位セグメントは、動作可能に取り付けられて、糸を形成する。例えば、特定の実施形態では、近位セグメントの端部(例えば、遠位端)は、遠位セグメントの端部(例えば、近位端)に動作可能に取り付けられる。いくつかの実施形態では、近位セグメントの一端(例えば、遠位端)は、任意選択でテーパ状にされ得る遠位セグメントの端部(例えば、近位端)に取り付けるためにテーパ状にしてもよい。特定の実施形態では、近位セグメントおよび遠位セグメントの端部は、接着剤、熱接着、絡み合わせ、織り合わせ、または他の適切な固定方法を使用して、動作可能に取り付けられてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、外側カプセル102は、キャップ108およびベース110を含む2つの部分からなるカプセルとして構成されてもよく、キャップ108およびベース110は、動作可能に嵌合して、外側カプセル102の内部に糸104および錘106を封入する。
【0036】
いくつかの実施形態では、2つの部分からなるカプセル102のキャップ108は、糸展開用開口部112を含んでもよく、糸104の近位端114(例えば、近位セグメントの近位端)は、開口部112を通って延在する。
【0037】
いくつかの実施形態では、2つの部分からなるカプセル102のベース110は、末端固定用開口部116を含んでもよく、糸104の遠位端118の一部(例えば、遠位セグメントの遠位端)は、ベース110の頂面120の上に、ベース110の外周122に沿って延在し、末端固定用開口部116を通ることによってベース110の内部に戻って延在する。ベースの外周に沿って延在する糸は、糸の遠位端を外側カプセルに解放可能に固定するように、キャップがベースに動作可能に嵌合されるとき、ベースとキャップとの間に位置してもよい。キャップおよびベースは、動作可能に嵌合されたときにキャップが糸固定用開口部を覆って延在するように構成されてもよい。
【0038】
特定の実施形態では、糸104は、使用中に対象のGI管内で外側カプセル102から展開するように、外側カプセル102内に封入されるように最適に構成される。外側カプセルからの展開とともに外側カプセル内への封入を可能にする糸の任意の適切な構成が、本開示の装置と関連して使用されてもよい。特定の実施形態では、構成は、糸展開用開口部112を通したカプセル102からの効率的放出を提供する。非限定的な例として、外側カプセル内の最適な封入のための例示的な巻線構成が図2A図2Jに示されており、任意のそのような構成が、本開示の装置に関連して使用され得る。例えば、図2Aに示されるように、糸またはドラグ材は、中心に穴を有する層状ループ配向で構成されるように巻かれてもよく、ループは、互いに分離されたままであり、重なり合わず、糸の近位端は、対象における最適な展開のために内部に供給される。別の実施形態では、図2Bに示されるように、糸またはドラグ材は、中心に穴を有する層状ループ配向で構成されるように巻かれてもよく、ループは、互いに分離されたままであり、重なり合わず、糸の近位端は、対象における最適な展開のために外部に供給される。糸の例示的な巻線構成のさらなる実施形態が、図2C(縦長)、図2D(ランダム)、図2E(ループの層化なし)、図2F(細く密な縦長層)、図2G(ツイスト)、図2H(内部短スプール)、図2I(内部長スプール)、および図2J(円形)に示されている。
【0039】
いくつかの実施形態において、キャップおよび/またはベースを含む外側カプセルは、ゼラチン(例えば、ウシゼラチン、ビーガンゼラチン、コーシャ、ハラール、または同等の材料、ベジタリアングレードのゼラチン材料)、セルロース(例えば、HPMC)、デンプン(例えば、ジャガイモデンプン)、プルラン(例えば、タピオカ)、ポリビニルアルコール(例えば、コポリマー)、麻、または分解、溶解、もしくは対象のGI系を通過することができる他の適切な材料から作製され得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に開示される装置のキャップおよび/またはベースを含む外側カプセルは、ゼラチン材料またはセルロース材料であってもよい。カプセルおよび/またはドラグ材に関する材料は、治療される対象に応じて任意の正式な要件(例えば、食事制限、アレルギー、および/または宗教的考慮事項)に適合するように作製され得ることが企図される。特定の実施形態では、本明細書で使用されるカプセルは、約50%~約100%のウシ医薬品グレードゼラチン、コーシャパレーブおよびハラール認証であってもよく、cGMPおよびFDA承認施設でBSEフリーまたは特定の基準を満たす他の材料から作製されてもよい。
【0040】
特定の実施形態は、本明細書に開示される錘は、ステンレス鋼(例えば、磁性、オーステナイト系)、チタン、セラミック(例えば、アルミナ、ジルコニア)、ガラス、コバルトクロム、金、銀、タンタル、白金、他の適切な化合物、またはそれらの組み合わせから作製され得るが、それらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に開示される装置の錘は、ステンレス鋼またはチタンでもよい。
【0041】
特定の実施形態によれば、外側カプセルは、溶解性であっても、部分的に溶解性であってもよく、または問題なく対象の系を自然に通過することができる。特定の実施形態では、糸、紐、またはドラグ材は、カプセル内に構成するために可鍛性である。いくつかの実施形態では、糸、紐、または捕捉材料は、最適な展開のために様々な長さであり得る。いくつかの実施形態では、近位セグメントの一部は、装置またはユニットを嚥下する前に、カプセルから引き出されてもよく、紐の端部は、対象の頬に取り付けられてもよい。所定の時間が経過した後、分析のために紐を対象から取り出すことができる。
【0042】
特定の実施形態では、糸は、外側カプセル内の最適な封入のために構成されるとともに、カプセルから対象のGI管を通した最適な供給のために構成される。これらの実施形態によれば、装置の糸の遠位セグメントは、分析のために1つ以上の領域から/へ作用物質を収集および/または送達するために、食道を通して、対象の胃および十二指腸の中へ供給することが可能である。特定の実施形態では、糸またはドラグ材の遠位セグメントは、糸またはドラグ材に沿って同じまたは異なる捕捉要素を含む。他の実施形態では、捕捉要素は、糸またはドラグ材が完全に展開されたときに分析または送達されるGI部分に向けられる糸またはドラグ材に沿って配置してもよい。特定の実施形態では、捕捉要素は、小腸および/または大腸および/または十二指腸および/または胆管内のものとは異なる胃内のものとは異なる、食道内の捕捉剤に特異的な捕捉要素を有する紐、糸、またはドラグ材に沿って配置してもよい。
【0043】
他の実施形態では、糸は、分析、診断、ならびに医療従事者によって決定される治療の分析および実施のために、GI管の様々な位置に存在する作用物質または分子に結合することができる引き付け剤または捕捉剤をさらに含む。ある特定の実施形態では、微生物(例えば、細菌、真菌、ウイルス、原生動物)またはその副産物は、対象の分析、診断、および予防処置のためにGI管からサンプリングすることができる。特定の実施形態において、病原性生物は、対象の診断および治療の使用のために対象のGI管において検出され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、捕捉要素は、全て糸、紐、もしくはドラグ材に沿って提供されてもよく、または捕捉される作用物質およびサンプリングされるGI管内の位置に応じて、異なる捕捉要素が、糸、紐、もしくはドラグ材に沿って配置されてもよい。これらの実施形態によれば、捕捉要素は、例えば、糸、紐またはドラグ材上への分子固定化によって配置することができる。いくつかの実施形態では、ビオチン-アビジン分子コネクタリンクを使用して、紐、糸、またはドラグ材(例えば、ナイロンプライ材料)に沿って1つ以上の捕捉要素を取り付けてもよい。あるいは、特定の方法では、反対の特性を有する標的分子を引き付けるように糸またはドラグの局所的表面特性を変化させることによって、捕捉要素を提供してもよい。これらの実施形態によれば、例えば、糸またはドラグ材の局所的な表面電荷を負にすることによって、正に帯電した分子を糸、紐、またはドラグ材のその部分に引き付けることができる。あるいは、糸、紐、またはドラグ材の局所的な表面電荷を正にすることによって、負に帯電した分子を糸またはドラグ材のその部分に引き付けることができる。他の実施形態では、標的タンパク質またはペプチドを捕捉するように設計された機能要素で糸、紐、もしくはドラグの局所表面をコーティングすることによるか;または糸もしくは紐の局所表面積を増加または減少させることで上皮および粘膜層にこすれるその性質を増加または減少させ、それによって、表面による上皮細胞および粘膜もしくは粘膜関連分子の収集を増加または減少させることによる。特定の実施形態は、糸、紐、またはドラグ材の遠位セグメントのために選択された材料、および/または糸、紐、またはドラグ材の遠位セグメントの複数プライ特徴は、GI内層(例えば、粘膜表面)に対してこすれることが可能な突出部を有し、表面積の増加および/または突出部は、標準的なサンプリング方法と比較して、GI内層の破壊を減少させ、または完全性を有しながら、標的作用物質の取り込みを増加させる。いくつかの実施形態では、ドラグ材は、対象内での展開において最小限の干渉でその構造的完全性を維持しつつ、粘膜内層に対してこすれることによって粘膜表面と相互作用し、その間に後の分析のために粘膜内層内で作用物質を吸収することができる小さな突起または突出部を有する滑らかなナイロン材料であってもよい。これらの実施形態によれば、ドラグまたは糸材料の遠位セグメントは、ナイロンで構成されてもよく、糸またはドラグを構成する各プライは、同じまたは異なるグレードのナイロンまたは他の適切な材料を含む。いくつかの実施形態では、小腸粘膜および/または大腸粘膜の状態をアセスメントするために、本明細書に開示される装置を使用してムチンを収集してもよい。いくつかの実施形態では、ムチンは、収集されたムチンおよび見出された濃度に応じて、対象のGI管の状態を示す。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される状態は、大腸炎、クローン病、過敏性腸症候群(IBSまたはIBD)、食物に対するアレルギー反応、セリアック病、自己免疫状態、または他の因子などを含み得る。他の実施形態では、ドラグ材は、対象内での展開において最小限の干渉でその構造的完全性を維持しつつ、粘膜内層に対してこすれることによって粘膜表面と相互作用することで増加した数のGI関連分子を収集し、その間に後の分析のために粘膜内層内で作用物質を吸収することができる増加した数の突起または突出部を有するより粗いナイロン材料であってもよい。
【0045】
他の実施形態では、糸、紐、またはドラグ材は、分析、診断、ならびに医療従事者によって決定される治療の分析および実施のために、GI管の様々な位置に存在する作用物質に結合することができる1つ以上の引き付け剤または捕捉剤をさらに含む。ある特定の実施形態では、微生物(例えば、細菌、真菌、ウイルス、原生動物)またはその副産物は、対象の分析、診断、および予防処置のためにGI管からサンプリングすることができる。いくつかの実施形態では、GI領域が、タンパク質、副産物、および/または他の分子を放出する病原性生物または非原生生物などの微生物で汚染されている場合、状態を診断および/または状態を治療するために、ドラグ、紐、または糸材料を使用して、微生物から産生されたこれらのタンパク質、副産物、または分子をサンプリングすることができる。特定の実施形態において、そのようなサンプリングは、食道、胃、または腸などの様々な領域におけるGI管の粘膜層を含んでもよい。
【0046】
別の実施形態では、捕獲剤は、糸またはドラグ上に位置してもよい。特定の実施形態では、捕捉剤は、糸の遠位セグメントに位置してもよい。いくつかの実施形態では、捕捉剤は、相互作用または結合を介して分析物に結合することができる任意の作用物質であってもよく、相互作用または結合は、作用物質が、GI管の所与の領域において異なる複数の分析物の異種混合物から分析物に結合し、および分析物を濃縮または引き付けることを可能にするために十分である。これらの実施形態によれば、結合相互作用は、捕捉剤の親和性領域によって、受容体によって、合金によって、化学的引き付け剤によって、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA、DNA、RNA分子)によって、ペプチド、ポリペプチドまたは他の適切な捕捉剤によって媒介され得る。これらの実施形態によれば、捕捉剤としては、抗体、モノクローナル抗体、抗体断片(例えば、好酸球顆粒または他の抗体)を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0047】
特定の実施形態では、糸の近位セグメントおよび/または遠位セグメントは、同じ材料または異なる材料から作製される。他の実施形態では、糸の近位セグメントおよび遠位セグメントは、例えば、対象のGI管のより正確な診断、アセスメント、および治療のために収集および送達された作用物質の交差汚染を低減するために、GI管領域の最適サンプリングのためにともに接合される異なる複数の材料から作製されてもよい。いくつかの実施形態では、糸またはドラグの近位セグメントおよび/または遠位セグメントは、ナイロン材料から作製される。他の実施形態では、糸またはドラグ材は、綿、レーヨン、ポリエステル、アクリル、麻、アルパカ、モヘア、ウール、アンゴラ、絹、または組み合わせ材料から作製されてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、糸の遠位セグメントは、吸収性メッシュ、または複数プライ構成のテクスチャード加工繊維から作製される。いくつかの実施形態では、糸の遠位セグメントは、吸収性メッシュ、または2~5プライ構成のテクスチャード加工繊維から作製される。他の実施形態では、糸の遠位セグメントは、2~3プライ材料から作製される。いくつかの実施形態では、糸の近位セグメントは、単プライ材料でもよい。他の実施形態では、糸の遠位セグメントは、2プライ~3プライ~4プライ~複数プライの材料(例えば、ナイロン材料)から作製されてもよい。特定の実施形態では、糸材料の近位セグメントは、単プライ材料であってもよく、糸材料の遠位セグメントは、2、3~4プライ材料であってもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される複数プライのドラグまたは糸材は、遠位セグメントを構成する材料の各プライにおいて同じであるように構成されてもよく、または各プライは、特定のGI領域のサンプリングを最大化するために異なるように構成されてもよい(例えば、捕捉剤の配置、糸の電荷、糸またはドラグ材におけるフィンガリング(fingerling)含有物または突出部など)。他の実施形態では、例えば、遠位セグメントが3プライ材料を含む場合、対象の1つのGI領域または複数のGI領域のサンプリングを最大化するために、各プライは同じであってもよく、3つのうちの2つが同じであってもよく、または各プライは異なって構成されてもよい。加えて、近位セグメントは、特定の捕捉剤を含有する遠位セグメントと同様に構成されてもよく、または異なる捕捉剤を担持するように構成されてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、糸またはドラグ材の遠位セグメントは、ナイロン(例えば、CORDURAナイロン、ナイロン6-6繊維、ナイロン工業用繊維、ナイロンポリアミド繊維、白色染色可能ナイロン;ナイロンステープル繊維/トウ)である。他の実施形態では、遠位セグメントは、3プライ、スパン、ナイロン9/3の紐、またはその高吸収性等価物を有する他の同等の材料であってもよい。特定の実施形態は、本明細書で使用されるナイロンまたは他の材料は、分析のための液体捕捉を増加させるために、水または他の適切な液体中で、その重量の約8~10倍の吸収を有し得ることが企図される。これらの実施形態によれば、糸、紐、またはドラグ材の遠位セグメントは、対象のGI管に留まることができ、食道、胃、胆管、十二指腸、腸、またはGI管の他の領域に位置する診断薬、健康指標、微生物もしくはその副産物、または生体液を吸収することができる。いくつかの実施形態では、糸またはドラグの遠位セグメントは、医療従事者によって決定される任意の長さであってよい。いくつかの実施形態では、遠位セグメントは、分析される対象または標的とされる所望のGI領域に応じて、約500~約900mmもしくは約600~約800mm、または他の適切な長さ(例えば、775mm)であってもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、糸またはドラグ材の近位セグメントは、単プライの平行線維の紐であってもよい。特定の実施形態では、糸またはドラグ材の近位セグメントは、ナイロン6/6の単プライセグメントであってもよい。他の実施形態では、近位セグメントまたはドラグ材は、あまり吸収性ではないが生体適合性材料であるように選択される。他の実施形態では、糸またはドラグの近位セグメントは、巻き上げられるとき、カプセル内であまり多くの空間を占有せず、可能な限り効率的に巻かれ、ほどかれることが望ましい。いくつかの実施形態では、糸またはドラグ材の近位セグメントは、約250~約400mm、または約300~約400mm、または約356mmであってもよい。いくつかの実施形態では、糸またはドラグ材の近位セグメントは、遠位セグメントに接着され、ループは、近位セグメントの接着部分とは反対側の近位セグメントの端部に形成される。ループ状端部は、対象の口の内側または外側のどちらかで対象に取り付けるために使用され得ることが企図される。いくつかの実施形態では、遠位接合部分および近位接合部分は、カプセルから解放されたときに干渉が低減されるように設計される。他の実施形態では、ドラグまたは糸材に使用される材料は不活性である。他の実施形態では、ドラグまたは糸材は、展開の干渉が最小限である材料から外に延在する突出部を備える。
【0052】
いくつかの実施形態では、糸またはドラグ材の遠位セグメントは、紡糸材料であってもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の近位セグメントとは異なり、糸またはドラグの遠位セグメントは、高い吸収特性を有する。特定の実施形態において、遠位セグメントは、3プライ材料(例えば、ナイロン9/3の紐)である。いくつかの実施形態では、ドラグまたは糸材の吸収特性は、その重量の約5~約15倍、約8~約12倍、約8~約10倍の水を吸収することができる。いくつかの実施形態では、ドラグ材の全長のうち一部が近位セグメントおよび遠位セグメントを有する場合、糸またはドラグ材の遠位セグメントは、長さが約500~約900mm、または約500~約800mm、または約600~約800mm、または約775mmであってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、糸、紐、またはドラグ材の近位セグメントを遠位セグメントに接着するために接着剤を使用してもよい。いくつかの実施形態では、接着剤は、シリコーンまたは他の生体適合性接着剤であってよい。他の実施形態では、接着剤を使用して、近位セグメントにループを形成してもよい。いくつかの実施形態では、接着剤の強度は、糸またはドラグ材の近位セグメントを遠位セグメントに接着するために重要であり得る。例えば、セグメントの接合部分の強度は、通常の使用中に対象のGI管から紐を取り出すことによって生じる張力に耐えるように、および/または装置のドラグ、紐、または糸材が正しく展開せず、対象から取り出される必要がある場合に生じる張力に耐えるように、十分に強くなければならない。これは、装置が対象内で展開されたときにカプセルがドラグまたは糸から分離されないことで、紐が単独で取り出されるよりも大きな張力を生じる場合であり得る。特定の実施形態では、本明細書で有用な接着剤は、約10N~約24N以上の張力に耐えることができる。
【0054】
特定の実施形態では、糸の遠位セグメントは、破損するまで約40~60mm/分で引っ張られたとき、約35N~約40Nの破損強度を有してもよい。他の実施形態では、糸の遠位セグメントは、それが本質的に乾燥しているかまたは完全に乾燥しているとき、遠位セグメントの総重量の1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1,35、1.4、1.45、1.5またはそれ以上まで吸収することができる。
【0055】
いくつかの実施形態において、キャップおよび/またはベースを含むカプセルは、ゼラチン、セルロース(例えば、HPMC)、デンプン(例えば、ジャガイモデンプン)、プルラン(例えば、タピオカ)、ポリビニルアルコール(例えば、コポリマー)、麻、または分解、溶解、もしくは対象のGI系を通過することができる他の適切な材料から作製され得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に開示される装置のキャップおよび/またはベースを含むカプセルは、ゼラチン材料またはセルロース材料であってもよい。特定の実施形態では、2つの部分からなるカプセルまたは装置のカプセルは、非ベジタリアンゼラチンから作製されてもよい。いくつかの実施形態では、製造を容易にするために、カプセルは、任意の対象に対して単一のサイズであってもよい。他の実施形態では、家畜または他の動物などのサンプル対象に対して、カプセルおよび装置の他の構成要素は、診断目的のために、または動物の健康をアセスメントするために、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、または他の動物などの任意の動物または哺乳動物の最適なサンプリングのために調整されてもよい。
【0056】
他の実施形態では、例えば、カプセルのアセンブリおよびアセンブリの機能を容易にするために、穴をカプセルに導入してもよい(例えば、穿孔またはパンチによって)。特定の実施形態では、カプセルキャップの端部に1つ以上の穴を生成(例えば、穿孔する)してもよく、カプセルのベースまたは本体に1つ以上の穴を生成してもよい。特定の実施形態では、1つ以上の穴をカプセルのベースまたは本体の側面に導入してもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の穴の直径は、約0.5mm~約3mmである。他の実施形態では、1つ以上の穴の直径は、直径約1.5mm~約2.5mmまたは約2.0mmである。いくつかの実施形態では、カプセルの端部に配置された穴は、直径全体の周りに亀裂がほとんどまたは全くなく、比較的平滑であるべきである。他の実施形態では、側部などのカプセルのベースまたは本体に配置される穴は、比較的平滑である必要はないが、穴の直径の周囲に亀裂をほとんどまたは全く有さない。
【0057】
特定の実施形態は、本明細書に開示される装置の錘は、ステンレス鋼(例えば、磁性、オーステナイト系)、チタン、セラミック(例えば、アルミナ、ジルコニア)、ガラス、コバルトクロム、金、銀、タンタル、白金、他の適切な化合物、またはそれらの組み合わせから作製され得るが、それらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に開示される装置の錘は、ステンレス鋼またはチタンでもよい。いくつかの実施形態では、錘は、ステンレス鋼のボールであり得る。他の実施形態では、ステンレス鋼のボールは、316グレードのステンレス鋼から作製され得る。これらの実施形態によれば、これらのボールは、任意の汚染物質または破片を除去するように処理されてもよい。特定の実施形態では、ボールのサイズは、約1.59mm~約9.53mm(約1/16~約3/8インチ)(例えば、2~約8mm)であり得る。他の実施形態では、ボールのサイズは、カプセルのベースまたは本体の底部に収まるように、直径が約3/16インチ(約4~約5mm)であり得る。
【0058】
特定の実施形態は、本明細書の装置は、本明細書に開示される約6つの異なる構成要素を含んでもよい。これらの実施形態によれば、近位セグメントおよび遠位セグメントは、接着剤を使用して一緒に接着されてもよく、ループは、接着されていない近位セグメント端部上に作製されてもよい。接着剤が硬化したら、ドラグまたは糸を巻き上げ、カプセル(例えば、ゼラチンカプセルまたは他のカプセル)の端部に配置された錘の頂部上に、カプセルのベースに挿入することができる。近位紐および遠位紐を一緒に接着するために、接着剤が塗布されるときに両方の紐が扇状に広げられてもよく、その結果、近位セグメントおよび遠位セグメントのストランドは、接着プロセスの間に一緒に絡み合わされてもよい。重ねはんだ接合と同様に紐を単に重ねるだけでは、この接合部分の強度要件を満たすことができないことに留意されたい。近位セグメント端部を遠位セグメント端部と絡み合わせることは、2つのセグメント間の接合部の強度を増大させ、端部を緩めることなく錘を取り付けることを可能にする。
【0059】
他の実施形態では、接着剤によって内側カプセルに錘を接着することは、滅菌中に錘がカプセル内に残るので、対象を非滅菌表面に暴露し得る非滅菌表面を生成する。いくつかの実施形態では、錘は、自由に滅菌可能であるように、接着剤を含まない。いくつかの実施形態では、糸またはドラグは、カプセルからの糸の展開および分離に適応するように、特定の構成で巻かれてもよい(図2A~2Jを参照されたい)。他の実施形態では、糸、紐、またはドラグは、巻きが近位紐で開始されるように構成されてもよい。近位紐は、複数の層で巻かれてもよい。巻かれるとき、いくつかの実施形態では、近位セグメントの2~5層または3~4層は、巻き付けプロセスのこの部分を完了した後に残る。他の実施形態では、紐の近位セグメントと遠位セグメントとの間の接合部分は、巻かれた近位セグメントの外側の周りに巻き付けられてもよい。ある実施形態では、この位置付けは、接合部分の内側の近位セグメント展開を容易にし、糸またはドラグ材の遠位部分の展開を妨害することなく、接合部分がカプセルの外部に拡張することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、糸またはドラグの遠位セグメントは、巻かれてもよい。これらの実施形態によれば、糸またはドラグ材の遠位セグメントは、並んで巻かれ、次いで約2~約4.5回または約3.5回それ自体の上に戻ることができる。この巻線構成は、一貫して低い展開力値を提供したことに留意されたい。さらに、特定の実施形態では、この巻き付け構成は、糸またはドラグがカプセルから展開するプロセスにあるときに干渉を低減するように設計された。いくつかの実施形態では、近位セグメント巻線および近位/遠位セグメント接合部分は、糸またはドラグ材の展開に伴う問題を生じ得る。これらの実施形態によれば、近位セグメントと遠位セグメントとの間の接合部分は、最小限の展開干渉を提供しながら、分離を低減させるように絡み合わされてもよい。特定の実施形態では、接着剤は、滑らかで、妨げられず、かつ小さい力での紐の展開を妨げる可能性があり、滑らかな引き出しを確実にするために慎重に漸増する必要がある。同様に、結び目はまた、カプセルから紐を容易に取り外すことを妨げ得る。ある実施形態では、接着剤は、いかなる過剰な接着剤も伴わずに、セグメントを接合するために必要とされるもののみを適用することによって、干渉を最小限にしながら、セグメントを接合するために使用されることができる。ある実施形態では、遠位セグメント巻線は、カプセルのベースまたは本体内に配置され、一貫して展開されるために十分な構成で巻かれ得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるGI装置の錘(例えば錘付きボール)は、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。多孔質材料から作製されてもよく、表面修飾を含んでもよく、糸またはドラグ材の小部分に繋がれてもよく、感知要素(例えばpH、温度、圧力)などの能動要素を含んでもよく、視覚的特徴(例えばカメラまたはスコープ)を含んでもよく、リモートテレメトリーまたはこれらの特徴の組み合わせによって電力を受け取るためのバッテリまたは無線周波数アンテナなどの埋め込み電力も含んでよい。特定の実施形態では、錘は、捕捉剤のための突出部、または粗いもしくは隆起した表面を有するステンレス鋼のボールであってもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される装置の錘は、対象の排泄物、排便等から収集され、捕捉された粘膜に位置する作用物質または他の作用物質について分析されてもよい。特定の実施形態では、錘(例えば、ボール)は、遠位セグメントの最遠位端に位置付けられ、圧入または溶解可能接着剤等によって、遠位糸またはドラグ材に接着されてもよい。いくつかの実施形態では、干渉を低減するために、ならびに錘が糸またはドラグ材から分離されていることおよび/または排出されていることを確実にするために、ビーワックスなどのワックスを使用せずに、糸またはドラグの遠位セグメントに錘を接着する。特定の実施形態では、MRIまたは他の診断ツールは、錘が対象から排出され次第、使用することができる。これらの実施形態によれば、本開示の装置の錘は、使用される材料、およびドラグまたは糸材料に対する錘の構成に基づいて排泄物汚染を回避しながら、追加のサンプリングに使用されてもよい。これらの実施形態によれば、上部および下部GIサンプリングは、本明細書に開示される単一の装置を使用して可能である。例えば、近位セグメントおよび遠位セグメントをサンプリングすること、ならびに対象の下部GI管(例えば、下部小腸および大腸の粘膜領域)および直腸への曝露後に対象から排出される錘付き構成要素を分析すること。
【0061】
他の実施形態では、糸またはドラグが巻かれると、カプセル本体またはベースは、紐の外側上を摺動され得る。糸またはドラグ材上でカプセル本体を摺動させながら、遠位セグメントの端部をカプセル本体の穴内に位置決めしてもよい(例えば、図3A及び図3Bを参照)。いくつかの実施形態では、遠位セグメントのこの位置決めは、キャップがカプセル本体の開口端を覆って配置されるときに、糸またはドラグの端部がカプセルのキャップと本体との間に挟まれることを可能にする。いくつかの実施形態では、図1ならびに図3Aおよび図3Bに示すように、ドラグまたは糸の端部の約2~約8mmが、カプセルのキャップによって固定されたベース内に収容される。いくつかの実施形態では、組み立てられた装置は、パウチ内(例えば、サイズが3×4インチであるTyvek/ポリピールパウチ)密封されてもよく、パウチは滅菌(例えば、酸化エチレンガスによる)に対して透過性である。
【0062】
他の実施形態では、本明細書に開示される装置は、対象におけるGI管の炎症の評価を可能にする。これらの実施形態によれば、対象の食道の炎症をアセスメントすることで、例えば、健康状態を診断し、対象の治療戦略をアセスメントすることができる。一実施形態では、本発明の装置は、対象の食道のGI管内に展開されてもよく、この装置の遠位セグメントは、診断のために対象において作用物質を捕捉することができる。装置の糸は、所定の期間後に対象のGI管から取り出され、遠位セグメントは、炎症、感染、または他の状態のような健康状態の診断のために、例えば食道の診断指標の収集のために分析される。本明細書では、対象は、所定の期間の前、間、もしくは後に、および/または定期的に、および/または所定の治療期間の前、間、もしくは後に評価され得ることが企図される。いくつかの実施形態では、対象の状態は、食道の炎症を含み得る食道の疾患を含み得るが、これに限定されない。例えば、本発明は、胃食道逆流症(GERD)またはバレット食道もしくは癌などのGERDに関連する合併症をアセスメントおよび診断するために使用されてもよい。別の非限定的な実施形態では、疾患は好酸球性食道炎(EE)であり得る。別の実施形態では、状態は、1つ以上の食品または食品の成分に対するアレルギーであり得る。
【0063】
特定の実施形態は、本明細書に開示される装置は、薬学的に許容可能であり、汚染を低減するため、対象への送達に準備するため、および他の考慮事項のためにさらに滅菌される。特定の実施形態は、対象に導入される装置の全ての構成要素を含む装置ユニットは、装置または装置構成要素の完全性に影響を及ぼすことなく、エチレンオキシド(EO)または滅菌のための他の類似作用物質によって滅菌されてもよい。
【0064】
キットは、本明細書に開示される装置および他の材料のために企図される。特定の実施形態では、各装置は、キットで送達するためにパウチに入れられてもよい。いくつかの実施形態では、ピールパウチは、本明細書に開示される装置を収容するために使用されてもよい。他の実施形態では、本明細書に開示される装置アセンブリは、Tyvek1073Bおよびポリエステルの組み合わせでパッケージ化され得る。いくつかの実施形態では、パウチは、装置を収容してもよく、またはキット内のいくつかのパウチは、各々、単一の装置を収容してもよい。いくつかの実施形態では、装置は滅菌され、密封されたパウチ内に保管されている。これらの実施形態によれば、パウチは、約6mm×約12mm以上であり得る。いくつかの実施形態では、パウチは、パウチの3つの側部上で事前にシールされてもよい。パウチの一端は、パウチをユーザがより容易に開放できるようにするシェブロンをさらに含んでもよい。装置がパウチ内に配置されると、第4の側部をシールすることができる。これらの実施形態によれば、第4の側部のシールは、容易に剥がされるように設計されていないものでもよいが、剥がすことができるものであってもよい。本明細書で企図されるパウチは、滅菌バリアを提供するように設計されてもよい。他の3つの側部は、シールすることができ、無菌バリアを提供するように予め作られ、予めシールされることができ、容易に剥がすことができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書で企図されるキットは、対象内に展開するための1つ以上の装置を含んでもよい。特定の実施形態では、キットは、家庭用キットまたは医療従事者による使用のためのキットを含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に開示される装置の使用方法に関する指示、ならびに/または装置によって捕捉された捕捉作用物質、粘膜、pH、マイクロバイオーム、特定のタンパク質、ポリペプチド、微生物もしくはそれに関連する作用物質を試験および/もしくはサンプリングおよび分析するための指示を含んでもよい。特定の実施形態では、対象を診断および/または治療するために、単プライまたは複数プライのドラグ材の指示および/またはスコアリングを含めてもよい。いくつかの実施形態において、キットは、後の使用のために、室温で、または冷蔵によって、または冷凍庫内で、長期間保管され得る。
【0066】
ある実施形態では、対象内に装置を展開するための所定の期間は、医療従事者によって決定され、および/または対象のGI管から分析物を捕捉する、もしくはGI管に作用物質を送達するために最適であると決定される、任意の長さの時間であってもよい。これらの実施形態によれば、所定の時間は、約15分~約1時間、約15分~2時間、および最大約12時間、または必要に応じてであり得る。いくつかの実施形態では、所定の期間は、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24時間以上、またはその任意の増分であり得る。
【0067】
他の実施形態では、展開された糸またはドラグ材を対象から取り出した後、遠位セグメントは、診断または他の健康指標について分析され得るか、または特定の作用物質の送達を確実にするために分析され得る。いくつかの実施形態において、診断指標または健康指標が、対象から収集される場合、さらなる分析のために糸に吸収される。他の実施形態では、1つ以上の診断または健康指標のための1つ以上の捕捉剤は、糸またはドラグ材の遠位セグメント上に存在してもよく、1つ以上の診断または健康指標は、分析および/または診断のために1つ以上の捕捉剤に結合し得る。これらの実施形態によれば、捕捉剤を伴っても伴わなくてもよい遠位セグメントは、1つ以上の分析物または作用物質に結合し得る。分析物および作用物質としては、微生物(例えば、ウイルス、細菌、真菌、原生動物、鞭毛など)、細胞、細胞断片、タンパク質、ポリペプチド(例えば、抗原、酵素など)、抗体、または任意の他の捕捉もしくは収集された作用物質を挙げることができるが、これらに限定されない。当該分野で周知の任意の方法が、対象のGI管から採取された作用物質、分析物、または流体もしくは他の化合物を分析するために使用され得る。特定の実施形態では、糸またはドラグ材が対象から採取されると、糸またはドラグ材は、分析物または作用物質を採取する前に、所定の温度で冷蔵庫または冷凍庫に保管されてもよい。他の実施形態では、作用物質、分析物、化合物、または他の採取されたGI常在菌は、必要に応じて迅速なアセスメントおよび診断のために、対象から糸またはドラグ材を取り出すとすぐに分析され得る。特定の実施形態では、ELISA、細胞学的、質量分析、ガスクロマトグラフィー、HPCL、ブロット(例えば、ウェスタンまたはその他)、メソスケール(Mesoscale)、ライコア(Licor)、PCR、核酸抽出、組織学、免疫化学、微生物培養、ラテラルフローアッセイ、または他のアッセイを使用して、作用物質の有無を同定することができる。特定の実施形態では、GI管における作用物質の非存在は、酵素の減少または非存在、天然微生物叢もしくはマイクロバイオーム指標または他の健康指標の減少または非存在などの状態の診断となり得る。
【0068】
特定の実施形態では、1つ以上の診断指標は、食道または他のGI管領域の炎症の存在または重症度を示す任意の因子であり得る。いくつかの実施形態において、診断指標は、主要塩基性タンパク質(MBP)、好酸球カチオン性タンパク質(ECP)、好酸球ペルオキシダーゼ(EPO)、および好酸球由来神経毒(EDN)を含むがこれらに限定されない、1つ以上の好酸球顆粒タンパク質であり得る。いくつかの実施形態において、診断指標は、エオタキシンなどのサイトカインもしくはケモカイン、またはアラキドン酸産物などの他の炎症マーカー、サブスタンスPおよびブラジキニンなどの1つ以上の神経伝達物質、インターロイキンなどであり得る。別の実施形態では、診断指標は、サンプリングされているGI管において通常見られない細胞浸潤物であり得る。さらに他の実施形態では、1つ以上の状態を診断するために、GI領域のpHをアセスメントしてもよい。さらに別の実施形態では、1つ以上の診断指標は、アレルギー反応のマーカーであり得る。これらの実施形態によれば、これらの作用物質は、IgE、トリプターゼ、ヒスタミン、受容体分子(例えば、FcRIもしくはCD23)、またはアレルギーに関連する他のアレルゲンを含み得るが、これらに限定されない。本明細書で企図される細胞診断または健康指標は、限定されないが、末梢および/もしくは血漿好酸球数(例えば、状態を有さない対照と比較した)、肥満細胞、ならびに健康状態に関連する他の炎症性および/もしくは免疫細胞、または1つ以上の健康状態の発症に関連するマーカーを含む細胞マーカーを含み得る。他の実施形態では、状態の診断指標は、1つ以上の健康状態に関連する1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のマーカーを含み得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、捕捉された作用物質または分析物を使用して、対象の上部GI管の疾患または状態を診断してもよい。評価は、疾患または状態の診断を可能にする指標の有無についてのアセスメントを含み得る。例えば、サンプルが炎症反応または炎症状態の証拠(例えば、炎症性サイトカインの存在)を示す場合、これは好酸球性食道炎(EE)の存在を示し得る。あるいは、指標のレベルまたは濃度を評価して、疾患または状態または治療レジメンのレベルまたは重症度を診断または評価することができる。例えば、対照サンプルと比較したサンプル中の好酸球顆粒タンパク質のレベルの増加は、EEの存在を示し得る。他の実施形態では、対照サンプルと比較したIL-6および/またはIL-8の増加などの炎症性サイトカイン発現または活性の増加は、GERDの存在と関連付けることができる。特定の実施形態では、本明細書に開示される装置を使用してGI管から収集される指標は、GERDまたは他の関連する状態の検出のためのe-カドヘリン;クローン病または他の関連する炎症性腸疾患の存在を同定するためのバイオマーカー;大腸炎または他の関連する状態の存在を同定するためのバイオマーカー;腸疾患(Intestinal Bowel Disease:IBD)または他の関連する状態の存在を同定するためのバイオマーカー;感染因子、例えばヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)、大腸菌(E.coli)、食道カンジダ症、または他の細菌感染もしくはウイルス感染因子のバイオマーカーまたは指標を含み得るが、これらに限定されない。
【0070】
一実施形態では、対象のGI管の中に装置を展開するステップと、所定の期間後に装置を取り出すステップと、食道炎症の診断指標について装置を分析するステップと、食道炎症を診断するために診断指標を評価するステップとを含む、食道炎症を測定するための装置および方法が説明される。別の実施形態では、装置およびその使用方法は、診断指標または他の作用物質を定量化することをさらに含んでもよい。これらの方法に従って、定量化は、当業者に周知の任意の方法によって行われ得る。特定の実施形態では、定量化は、ELISAによって行うことができる。別の実施形態では、捕捉された指標の定量化は、メソスケール(Mesoscale)によって行うことができる。他の実施形態では、疾患または状態の治療は、本明細書に開示される装置によって得られるサンプルの1つ以上の捕捉された作用物質、指標、またはpHレベルの分析に基づいて適用されてもよい。さらに、治療レジメンは、所定の治療レジメンの前、間、および後に、対象のGI管をサンプリングすることによって、必要に応じてモニタリングおよび調整され得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、診断指標または捕捉された作用物質は、GI管の感染、炎症、および/もしくは免疫障害または他の健康状態の存在または重症度を示す任意の作用物質または因子であり得る。いくつかの実施形態では、捕捉された作用物質は、主要塩基性タンパク質(MBP)、好酸球カチオン性タンパク質(ECP)、好酸球ペルオキシダーゼ(EPO)、または好酸球由来神経毒(EDN)を含む好酸球顆粒タンパク質であり得る。いくつかの実施形態では、診断指標は、エオタキシンなどのサイトカインまたはケモカインである。別の実施形態では、診断指標は、細胞浸潤物またはpHである。さらに別の実施形態では、診断指標は、IgE、トリプターゼ、受容体分子(例えば、FcRIもしくはCD23)、またはアレルゲンなどのアレルギー反応のマーカーである。調べられ得る他の炎症マーカーとしては、例えば、アラキドン酸産物、ならびにサブスタンスPおよびブラジキニンなどの神経伝達物質を挙げることができる。他の診断指標としては、末梢および血漿好酸球数、ロイコトリエンを含む肥満細胞が挙げられる。他の態様では、診断指標は、健康状態に関連する1つ、2つ、またはそれ以上のマーカー(存在する場合、減少または増加する場合)を含み得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法における装置の使用は、食道の疾患をアセスメントおよび診断するための低侵襲的方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象におけるGERDとEEとの区別は、本明細書に開示される装置および方法を使用して決定することができる。
【0073】
互いに異なる上部GI区画に見出される作用物質を捕捉および分析するための本明細書に開示される装置の使用以外に、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、状態を治療または改善するために、装置糸、紐、またはドラグ材上の薬剤または生物学的な作用物質等の作用物質を対象の上部GI管に送達することに関する。任意の生物学的作用物質または化学物質が、ビオチン-アビジンもしくは同様の分子などの相互作用剤を介して、または電荷引力によって、本明細書に開示される装置の糸、紐、またはドラグ材と関連付けられ得ることが企図される。他の実施形態では、GI管への作用物質の送達は、食道、胃、上部腸、その粘膜などの特定のGI管位置により効果的に送達され得る。
【0074】
他の実施形態では、本明細書に開示される装置は、胆管から胆汁を捕捉するように設計されてもよい。これらの実施形態によれば、対象の胆汁のサンプリングは、比較および診断および/または治療のために、健康なボランティアもしくは健康状態を有する対象または両方からのサンプリングを含んでもよい。これらの実施形態によれば、胆汁のサンプリングを使用して、胆汁の変化に関連する状態を診断し、これらを健康な成人と比較するか、または状態、例えば胆汁のpH、着色などの変化を示す作用物質の存在をアセスメントすることができる。いくつかの実施形態では、対象の胆汁のアセスメントは、吸収、分布、代謝、排泄(ADME)研究、薬物-薬物相互作用研究の評価、または薬物耐性および薬物有効性を示す標的マーカーの同定に関する他の研究または他の分析などの薬学的臨床試験研究において使用され得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、結合-捕捉された作用物質は、医療従事者または他の者による分析のために、糸、紐、またはドラグ材の遠位セグメントに結合される1つ以上の作用物質を指し得る。これらの実施形態によれば、結合-捕捉された作用物質は、装置が展開されている間、および装置が対象から回収された後しばらくの間、ドラグ、紐、または糸材料の表面上に本質的に固定化される。
【0076】
所定期間は、様々な長さの時間とすることができる。例えば、本明細書に開示される装置から収集されたサンプルを捕捉するための所定の時間は、約15分~約12時間であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される装置から収集されたサンプルを捕捉するための所定の期間は、対象内に装置を展開した後、約15分、約30分、約45分、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24時間以上、またはそれらの任意の増分であり得る。一実施形態では、所定の期間は約15分としてもよい。別の実施形態では、所定の期間は約1時間でもよい。他の実施形態では、所定の期間は、装置を展開した後約12時間でもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、装置が嚥下された後、糸、紐、またはドラグ材の遠位セグメントの末端または遠位端は、小腸の管腔に到達し得る。特定の実施形態では、遠位セグメントのGI管位置は、様々な作用物質の有無によって、またはドラグもしくは糸材料に関連するpH指示薬によって、または対象における錘の検出によって確認され得る。境界は、例えば、作用物質または分析物の有無によって、および/またはドラグ、紐、または糸材料の酸性部分とアルカリ性部分との間で同定することができる。いくつかの実施形態では、装置が嚥下された後、ドラグ、紐、または糸の痕跡が、食道、胃を通って十二指腸に入るその経路内に残され得る。所定の時間内に、糸、紐、またはドラグ材は完全に展開され、所望であれば、例えば図1に示すように、カプセルに取り付けられたままにしてもよい。いくつかの実施形態において、カプセルは溶解し、錘は通常のプロセスによって排出される。これらの実施形態によれば、カプセルが溶解すると、対象の1つ以上の健康状態をアセスメントするために、所定の期間(例えば、15分~12時間)にわたって、ドラグ、紐、または糸材料の端部を十二指腸内で自由なままにしてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、所定の期間の後、ドラグまたは糸材料を対象から収集または取り出してもよい。これらの実施形態によれば、食道からの装置の収集または取り出しは、カプセルなしであり得る。いくつかの実施形態では、糸またはドラグは、後の分析のために、例えば、冷蔵によって、または急速冷凍およびフラット貯蔵(例えば、瞬間冷凍)によって冷凍することによって保管されてもよい。他の実施形態では、糸、紐、またはドラグセグメントは、収集のすぐ後または収集直後に分析されてもよい。他の実施形態では、糸、紐、またはドラグ材は、捕捉要素が配置された場所に従って、またはサンプリングされるGI管のセグメントに従って区分され得る。収集後に糸、紐、またはドラグ材を保管するとき、近位セグメントは、例えば、交差汚染を低減するために、必要に応じて部分的または完全に除去され得る。いくつかの実施形態では、捕捉された作用物質または分析物は、糸の遠位セグメントに吸着され得る。他の実施形態では、捕捉された作用物質または分析物は、遠位セグメントの外側部分に結合する。特定の実施形態では、捕捉された作用物質または分析物は、分析のために、物理的にこすり落とされるか、または糸の一部または全部用の媒質に導入され得る。またさらなる実施形態では、GI管内に見られる液体、分泌物、または他の組成物は、糸、紐、またはドラグ材の遠位セグメントに付着し得る。分泌物、ポリペプチド、酵素、微生物、および/または細胞の存在および分析は、当技術分野で周知のいくつかの異なる技術によって調べることができる。特定の実施形態では、炎症性タンパク質、サイトカイン、酵素、ポリヌクレオチド、細胞もしくは微生物、またはそれらの副産物の存在は、分析ならびに診断および/または治療レジメンのために糸から取り出された内容物内で分析され得る。他の実施形態では、糸、紐、またはドラグ材は、1つ以上の診断指標のレベル、有無について分析されてもよい。分析は、ELISA、細胞診、質量分析、ガスクロマトグラフィー、HPLC、配列分析、PCR、ウェスタンブロット、メソスケール(Mesoscale)、ライコア(Licor)、RNAおよびDNA抽出、免疫組織化学的分析、ならびに微生物培養および染色を含むがこれらに限定されないいくつかの方法によって行うことができる。特定の実施形態では、診断指標は、対象における状態の存在または重症度を示す任意の因子、ポリペプチド、または他の作用物質であってもよい。いくつかの実施形態では、診断指標は、好酸球顆粒タンパク質、サイトカインもしくはケモカイン、細胞浸潤物、pH、またはアレルギー反応のマーカーであってもよい。他の診断指標としては、末梢および血漿好酸球数、肥満細胞、ロイコトリエン、他の免疫マーカーが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、診断指標は、微生物またはその副産物であり得る。さらに他の実施形態では、捕捉された作用物質は、対象のマイクロバイオームのサンプリングなど、対象の健康に関連するマーカーを含んでもよい。本明細書では、捕捉された作用物質またはマーカーの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ以上またはパネルを、対象のGI管の分析、健康アセスメント、診断、および治療のために収集し得ることが企図される。
【0079】
本明細書中に開示されるように、好酸球顆粒タンパク質を得ることができ、そして対象の状態を分析するために使用することができる。好酸球顆粒タンパク質としては、主要塩基性タンパク質(MBP)、好酸球カチオン性タンパク質(ECP)、好酸球ペルオキシダーゼ(EPO)、および好酸球由来神経毒(EDN)が挙げられるが、これらに限定されない。これらのタンパク質は、好酸球刺激の際に分泌され得、そして炎症反応を誘導し得る。好酸球顆粒タンパク質は、細菌透過タンパク質(BPP)および抗微生物タンパク質を含む他の生物学的に活性な産物を含み得るが、これらに限定されない。炎症性疾患に罹患した組織における好酸球顆粒タンパク質の分泌および細胞外沈着は、MBP、ECP、EPO、およびEDNが炎症過程の病因に関与し得ることを示唆する。さらなる証拠は、MBPの局所適用が気管平滑筋収縮およびイオン分泌に関連することを実証した。
【0080】
特定の実施形態では、対象は、臨床試験の一部である対象であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、新規医薬品に関連する吸収、分布、代謝、排泄(ADME)研究などの新規医薬品の臨床試験の参加者である。これらの実施形態によれば、医薬品を対象で試験することができ、本明細書に開示される装置を使用して、分析のために対象からサンプルを得ることができる。
【0081】
他の実施形態は、展開および収集されたドラグ、紐、または糸からサイトカインまたはケモカインの有無を採取および分析することを含む。いくつかの実施形態では、サイトカインおよび/またはケモカインは、対象における健康状態のアセスメントのために、展開および収集されたドラグ、紐、または糸材料から採取および分析され得る。特定の実施形態では、サイトカインは、インターロイキンを含み得るが、これに限定されない。サイトカインには、インターロイキン-1アルファ(IL-1α)、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-32)およびインターフェロンが含まれ得るが、これらに限定されない。他の実施形態では、診断因子は、Th2サイトカイン(例えば、IL-4、IL-5、IL-13)であり得る。ケモカインには、好酸球特異的ケモカインエオタキシン-1、-2、-3が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0082】
他の実施形態は、例えば、食道などのGI管の領域の炎症のアレルギー反応マーカーまたは指標の検出を含む。本明細書中で使用される場合、「アレルギー反応」は、特定の抗原に対する宿主の免疫反応が、このような反応を有さない制御に対して不均衡であり、そして有害反応を導く障害であり得る。アレルギー反応から生じるアレルギーとしては、花粉、ブタクサ、甲殻類、汚染物質、任意の食品、飼育動物(例えば、ネコおよびイヌ)、グルテン、ラクトース、B-毒、および他のアレルゲンに対するアレルギーが挙げられ得るが、これらに限定されない。特定の場合には、いくつかのアレルギー反応が喘息をもたらす。いくつかの実施形態では、アレルギー反応のマーカーは、免疫グロブリンE(IgE)、トリプターゼ、受容体(FcRI、CD23)、または他のアレルゲンであり得るが、これらに限定されない。GIサンプルから捕捉および分析され得る他の炎症マーカーとしては、アラキドン酸産物、ならびにサブスタンスPおよびブラジキニンなどの神経伝達物質が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0083】
特定の実施形態は、本明細書に開示される装置を使用して捕捉された作用物質は、食道、胃、十二指腸、または本明細書に開示される装置の展開された糸もしくはドラグのアクセス可能性内の他の領域等の対象のGI管の疾患または状態をアセスメント、診断、またはモニタリングするために使用されてもよい。これらの実施形態によれば、捕捉された作用物質または指標の評価は、対象の疾患、状態、または健康状態の診断を可能にする、求められている作用物質または指標の存在、レベル、または非存在を含み得るが、これらに限定されない。例えば、食道から捕捉された作用物質が炎症の存在を示す場合、これは好酸球性食道炎の指標であり得る。あるいは、作用物質または指標のレベルは、病気または状態の診断または重症度を示すことができ、さらには、まだ存在しない状態を発症する健康水準または予測(例えば、健康な対象のマイクロバイオームアセスメント)を表すことができる。ある特定の実施形態では、対象においてアセスメントされる好酸球顆粒タンパク質レベルは、好酸球性食道炎(EE)の存在またはそれを発症するリスクを示し得る。他の実施形態では、GI管の疾患または他の健康状態の指標であることが当技術分野で知られているサイトカインの増加または減少を、本明細書に開示されている糸またはドラグ材の遠位セグメント上で単離し、状態の診断および/または治療に使用するか、または対象の健康をアセスメントするために使用することができる。これらの実施形態によれば、一例として、サイトカインは、胃食道逆流症(GERD)の存在または発症のリスクの指標として、対象の食道または他のGI領域に見出されるIL-6を含み得るが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、診断マーカーもしくは指標または他の作用物質を評価して、疾患の治療、およびさらなる治療または李朝レジメンの変更が必要かどうかをアセスメントしてもよい。
【0084】
本明細書に開示される特定の実施形態では、状態はGERDであり得る。GERDは、食道内の異常逆流によって引き起こされる慢性症状または粘膜損傷を含む。症状には、胸焼け、食道内層の炎症、狭窄、嚥下障害および慢性胸痛、または他の症状が含まれ得る。GERDの治療には、食物および生活習慣の改善、体位療法、薬物治療、および手術が含まれ得る。本明細書に開示される装置は、GERDまたはバレット食道、もしくはGERDに関連するGI管の癌等のGERDに関連する合併症をアセスメント、診断、および治療するために使用されてもよい。
【0085】
他の実施形態では、本明細書に開示される疾患または状態は、EEを含み得る。EEは、嚥下障害および食物の詰まりの約50%を占める好酸球性消化管疾患(EGID)である。食物アレルギーがEEの根本的な病因であることが提唱されている。最近のトランスレーショナル研究は、皮膚プリック試験(SPT)が、誘発食物アレルゲンを同定するために使用されるツールであり、患者の90%超が、食事介入、体液性(IgE)および/または細胞媒介性食物アレルギーに応答することを実証した。食道肥満細胞は、正常対照および胃食道逆流症(GERD)と比較して、EEにおいて有意に増加することが観察されている。EEは、食道扁平上皮または深部組織レベル内に多量の上皮内好酸球を含有する食道粘膜生検標本および正常なpHモニタリングに関連する食道および/または上部消化管症状を特徴とする食道の障害である。EEは、女性よりも男性に影響を及ぼし、診断は、典型的には、生後30~40年の間に成人において行われるが、それは、後の年齢で診断されることがある。小児では、診断は乳児期の後から青年期を通じて行われ、発症のピーク年齢は認められない。症状としては、限定されないが、胸痛、胸焼け、嚥下障害、食物の詰まり、および酸低減薬に対する応答性の欠如が挙げられ得る。EEの治療は、典型的にはコルチコステロイドまたは成分栄養剤の投与を含むが、典型的には手術を含まない。
【0086】
EE患者に対する標準治療は、現在、上皮好酸球の数を決定するための生検を伴う食道内視鏡検査を含む(≦15/hpfが診断的である)。EEにおける慢性好酸球性炎症の結果は、その後の食道の窄まり、気管化(trachealization)、および狭窄を伴う食道リモデリングを含み得るので、治療的努力は、典型的には、臨床的寛解ならびに組織学的寛解を誘導することに向けられる。全体的に比較的安全であるが、食道内視鏡検査は、処置上のリスクを伴い、高価であり、時間がかかり、3mmのサンプルを入手することに限定される。今まで、血清学的検査、糞便検査、または非侵襲的検査は、EEにおける疾患の進行または寛解の組織学的証拠と相関する永続的なまたは信頼できる結果を提供していない。EEを有する対象における食道炎症の現在の状態は、侵襲的内視鏡検査を使用してアセスメントされる。
【0087】
特定の実施形態では、本明細書に開示される装置は、対象におけるEEの存在または重症度をアセスメントするために使用されてもよい。他の実施形態では、本明細書に開示される装置は、対象におけるEEをアセスメントするために、糸またはドラグ材の遠位セグメント上で同定される作用物質または診断マーカーの収集を使用して、必要に応じて、連続治療およびモニタリングのために使用されてもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される装置は、非侵襲的または最小侵襲的様式で、対象における食物アレルギー状態をアセスメントするために使用されてもよい。これらの実施形態によると、成人または子供は、本明細書に開示される装置を使用して、食物アレルギーについて診断および/またはモニタリングされてもよい。研究は、EEと食物アレルギー性疾患との密接な関係の支持を示すことに留意されたい。さらに、EEを有する対象は、特定の食物の摂取後に症状を伴うことが多いことも留意されたい。食物誘因の排除は、EEにおける臨床病理学的寛解をもたらし得る。EEを有する対象からの粘膜生検は、胃食道逆流症(GERD)を有する対象または正常な対象からのものと比較して、粘膜肥満細胞の数が有意に増加していることが実証されており、この疾患の病因におけるそれらの関与を示唆している。さらに、以前の研究は、好酸球性消化管疾患(EGID)および食物アレルギーを有する対象が、腸上皮細胞上および糞便サンプル中のCD23の発現の増加を示すことを示唆している。食物アレルギー反応におけるCD23の正確な役割は確かではないが、最近の研究は、ヒトCD23aアイソフォームが遊離IgEおよびIgE/抗原複合体の両方の二方向輸送体として関与し、腸上皮細胞を越えてIgEおよびその結合アレルゲンを潜在的に送達することで肥満細胞活性化を誘導し得ることを示唆する。これらの観察は、EEの病因における食物アレルギー反応(IgEによって媒介されるものを含む)の役割を支持する強力な証拠を提供する。特定の実施形態では、開示される装置を使用する対象における食物アレルギーの診断は、コストおよび対象への不快感が低減された効率的な方法であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される装置によって捕捉される1つ以上の作用物質を使用して食物アレルギーを有する対象を診断することで、早期介入を提供し、対象におけるEEまたはより重度の食物アレルギーの発症を低減することができる。
【0089】
EEは、腹痛、吐き戻し、摂食不耐性、食物の詰まり、および嚥下障害を含む症状を特徴とする。食道生検は、多くの場合、好酸球微小膿瘍および管腔層化を伴う、多数の上皮内好酸球を含有することに留意されたい。EEのこれらの進行した症状は、プロトンポンプ阻害などの酸遮断に対して非応答性であるが、除去(または基本的な)食およびコルチコステロイドには依然として応答する。EEは、胃または小腸の円柱上皮に影響を及ぼさない。対象が食道上皮好酸球増加症に関連する持続症状、ならびに正常な胃および十二指腸粘膜を有し、胃食道逆流症(GERD)および好酸球増加症の他の原因が除外されている場合、EEの診断を信頼して行うことができる。特定の実施形態は、本明細書に開示される装置は、EEの早期かつ正確な診断のために、対象における展開のために使用されてもよい。これらの実施形態によれば、EEの診断マーカーは、本明細書に開示される装置上に捕捉され得、細胞、サイトカイン、および他のマーカーを含むがこれらに限定されない。例えば、Th1またはTh2媒介性免疫反応の存在、肥満細胞(例えば、誘導)、ならびにIgE媒介性反応、エオタキシン-3の有無;好酸球由来顆粒タンパク(主要塩基性タンパク質1(MBP1)、好酸球ペルオキシダーゼ(EPX)、好酸球由来神経毒(EDN)、好酸球カチオン性タンパク質(ECP)、シャルコーライデン結晶タンパク質(CLC/ガレクチン-10)、IL-3、IL-4、IL-5、IL-10および他の作用物質の有無またはレベルをアセスメントすることができる。特定の実施形態では、本明細書中に開示される装置を使用して、Th1表現型の代わりにTh2表現型を同定することは、GI炎症状態または微生物によるGI感染を示し得る。特定の実施形態では、これらのGIに関連する状態は、本明細書に開示される装置および使用方法を使用して、対象において診断およびモニタリングされてもよい。
【0090】
生検を伴う内視鏡検査を含む最先端の方法の制限としては、これらの方法が全食道表面積の<0.001%のアセスメントを提供するという問題が挙げられるが、これに限定されない。内視鏡検査は費用がかかり、上記のように繰り返される場合、保険会社によってカバーされないことが多い。食道粘膜を分析するための他の提案された方法としては、症状のモニタリング、放射線学的研究、および血清または糞便分析が挙げられるが、これらも限定されている。今まで、血清学的または糞便分析は、疾患の寛解または進行の組織学的証拠と相関し、一貫してそれを予測する、信頼性があり、かつ永続的な知見を提供していない。これらの知見は、GI管状態の直接測定のための最小侵襲的で、安価で、安全で、信頼でき、かつ正確な方法が、本明細書に開示される状態の診断、治療、およびモニタリングのために必要とされることを示す。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される装置は、対象のGI管の健康の診断またはアセスメントのための単純で、費用効果が高く、かつ信頼できる装置として使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される装置は、対象からの装置の改善された回収のために、絡み合わされたシリコーン接着端部を使用して一緒に連結された近位および遠位セグメントを含む。他の実施形態では、糸またはドラグの巻き付けは、内部または外部供給のために設計されており、残りの糸またはドラグ材は、最適な展開のためにループ状にされている。特定の実施形態では、錘は、対象のGI管内での確実な輸送のために、糸から離れて2つの部分からなるカプセル内に配置されてもよい。他の実施形態では、本明細書に開示される装置は、パウチの中で滅菌されてもよく、錘を含む装置全体が、汚染の懸念を低減しながら、保管および使用のために滅菌されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物および方法によって滅菌された装置は、2~3日間、2~3週間、2~3ヶ月間、数ヶ月間、または数年間保存され得る。いくつかの実施形態では、装置の近位セグメントは、1プライナイロンを含むが、装置の遠位セグメントは、3プライナイロンを含み、近位セグメントのナイロンは、低減された吸収を有し、遠位のナイロンは、増加された吸収を有する。特定の実施形態では、近位セグメントおよび遠位セグメントは、接合端部に向かってテーパ状になっている。いくつかの実施形態では、近位および遠位セグメント糸構成要素の接着は、シリコーン接着剤を含んでもよく、任意選択で、近位および遠位セグメント端は、展開および/または対象から収集されるとき、分離に対する抵抗を改善するために、相互に絡み合わせられ、接着される。
【0092】
これらの実施形態によれば、糸、紐、またはドラグ材は、例えば、図2Aまたは図2Bに示されるように巻かれてもよく、ゼラチン状カプセルのベースが巻かれた糸、紐、またはドラグ材の上に配置されてもよい。他の実施形態では、糸またはドラグがカプセルのベース内に配置されると、ドラグ、紐、または糸の遠位セグメントの末端遠位端をカプセルのキャップとベースとの間に配置することができる。いくつかの実施形態では、錘は、糸またはドラグの展開との干渉を低減するために、糸、紐、またはドラグの出口から離れて(例えば、キャップの穴および/または装置の側面から離れて)配置されてもよい。いくつかの実施形態では、錘はボール(例えば、鋼鉄)であり得る。他の実施形態では、糸またはドラグの近位セグメントは、頬に固定され、または対象の口の外側に固定されて、対象の口または口腔内に本質的に残る。他の実施形態では、糸またはドラグの遠位セグメントは、例えば、対象の食道、胃、十二指腸、上部小腸領域等を含むGI管内に展開され、所定の期間にわたって留まることができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、カプセルは、対象内で展開されると、またはある期間後に溶解する溶解性材料から作製され、遠位セグメントの末端遠位端は、対象の十二指腸または小腸内に残っているカプセルから解放される。所定の期間で、糸またはドラグ材が、所定のペースで引っ張ることによって対象のGI管から取り出されることにより、捕捉された作用物質および/または指標の最適な収集、および/または治療薬の送達が提供され得る。収集されると、特定の実施形態では、糸、紐、またはドラグ材の遠位セグメントは、作用物質もしくは診断指標、またはそれらの組み合わせの有無またはレベルについて分析され得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される装置の利点は、限定されないが、使用の容易さ-準備/麻酔を必要としないこと、安価であること、対象のGI管状態をアセスメントする際の汎用性の改善、接着強度の改善、装置の事前滅菌による投与および使用における安全性の改善、ならびに/または巻線の改善、引っ掛かりの低減、および送達による展開の改善を含む。
【0095】
本明細書中で言及される様々な生化学的方法および分子生物学的方法は、当該分野で周知であり、本明細書中での使用が企図される。
【実施例
【0096】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を実証するために含まれる。以下の実施例において開示される技術は、本発明の実施において十分に機能することが本発明者によって発見された技術を表し、従って、その実施のための好ましい様式を構成すると考えられ得ることが、当業者によって理解されるはずである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、開示されている特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、それでも同様または類似の結果を得ることができることを理解するはずである。
【0097】
実施例1
これらの実施例に開示される装置の特徴は、ステンレス鋼の錘付きボールおよびバイモーダルな紐(近位部分および遠位部分)を含む摂取可能なカプセルを含む。カプセルが患者によって飲み込まれると、近位端で患者の外部に固定された紐が、胃食道管に沿って展開される。胃の中で比較的短い時間が経過した後、紐はカプセルから分離し、ステンレス鋼ボールは、身体による自然排出のためにGI管を通過し、展開された紐は、食道の流体などの生体液、細胞、およびタンパク質を収集する。一定時間後、紐を食道から後退させ、紐に吸着され捕捉された生体液を分析する。
【0098】
いくつかの機能:本明細書に開示されるカプセルは、診断および/または治療のために、サンプルを集めるか、または患者のGI管に作用物質を送達する、生物学的サンプル輸送装置であることが意図される。カプセルは、患者の食道に沿って紐を展開することによってこれを行う。この紐は、いったん展開されると、紐が食道から流体を吸収することを可能にする吸収性を有する。カプセルが患者によって飲み込まれると、近位紐のループ状端部は、例えば、テガダーム(Tegaderm)ドレッシングテープを使用して患者のチェックにテープ留めされる。これは、患者をリラックスさせ、嚥下および展開プロセス全体の間、近位紐の端部を保持する必要がない。
【0099】
構成要素
ゼラチンカプセル
ゼラチンカプセルは、非ベジタリアンゼラチンまたはベジタリアンゼラチンから作製される。それは標準#1サイズのカプセルである。組み立てプロセスの間、組み立ておよびアセンブリの機能を容易にするために、2つの穴がカプセルに開けられる。1つの穴はカプセルキャップの端部に開けられ、1つの穴はカプセルの本体の側面に開けられる。これらの穴は両方とも直径約2.0mmである。カプセルの端部の穴は滑らかであるべきであり、直径全体の周りに亀裂があってはならない。カプセルの側面の穴は滑らかである必要はないが、穴の直径の周りに亀裂が入っていない必要がある。
【0100】
近位紐
近位紐は、ナイロン6/6で作られた単プライの平行線維紐である。この紐は、あまり吸収性ではなく、ナイロンは生体適合性材料であることが知られているので、近位紐として選択された。また、この平行線維紐は、巻き上げられたとき、カプセル内であまり多くの空間を占めない。この紐は、遠位紐に接着される前に約356mmの長さに切断され、近位紐の反対端でループが作られる。
【0101】
遠位紐
この例では、遠位紐は、3プライのスパンナイロン9/3の紐である。この紐は非常に吸収性である。過去に行われた吸収試験によると、この紐は、水中でその重量の約8~10倍を吸収する。紐のこの部分は、患者の食道内に位置し、生体液を収集するように意図されている。遠位紐は、約775mmの長さに切断される。
【0102】
シリコーン接着剤
例示的なシリコーン接着剤を使用して、2つのタイプの紐を互いに接着するとともに、近位紐の端部にループを形成する。接着剤の強度は、2つのタイプの紐間の接合部分の強度にとって重要である。しかしながら、それはループの強度にとって重要ではない。接合部分の強度は、通常の使用中に患者の食道から紐を取り出すことによって生じる張力に耐えるために十分な強度である必要がある。しかし、カプセルが正しく展開せず、対象から早まって引き出される必要がある場合に生じる張力に耐えることも意図される。これは、カプセルが依然として紐の端部に取り付けられ、紐が単独で取り出されるよりも大きな張力を生じ得ることを意味する。予測された張力は、前のプロジェクトの間、10N未満であった。試験中に許容される最小強度は23Nである。これは、この用途に対して2より大きい安全係数を可能にする。
【0103】
ステンレス鋼ボール
ステンレス鋼(SS)ボールは、316グレードのステンレス鋼から作製される。これらのボールは、材料の外部に存在し得る任意の汚染物質を除去するために不動態化される。それらは直径が約4.77mm(3/16インチ)であり、ゼラチンカプセルの本体の底に適合する。ステンレス鋼ボールは、手術中に重力によりカプセルがGI管に引き下ろされるのを助けるために、アセンブリ内で使用される。
【0104】
ピールパウチ
カプセルアセンブリが包装される例示的なピールパウチは、Tyvek1073Bとポリエステルとの組み合わせである。パウチは3インチ×4インチであり、パウチの3つの側部で予めシールされている。パウチの一端は、パウチをユーザがより容易に開放できるようにするシェブロンを含む。第4の側部は、カプセルアセンブリがパウチ内に配置された後にシールされるように意図されている。第4の側部のシールは、容易に剥がされるように設計されていない。それは主に無菌バリアを保証するように設計されている。他の3つのシールは製造業者でなされ、滅菌バリアを提供し、かつ容易に剥がすことができるように設計されている。
【0105】
組立構成
これらの例示的なカプセルは、前節で言及した6つの互いに異なる構成要素を有する。近位および遠位は、シリコーン接着剤を使用して互いに接着され、ループが近位紐の他端で作製される。硬化したら、この紐を巻き上げ、ゼラチンカプセルの中に、ゼラチンカプセルの端部にあるステンレス鋼ボールの上に挿入する。この例では、ステンレス鋼ボールはカプセル内にあるが、紐、糸、またはドラグ材には取り付けられていない。
【0106】
近位紐および遠位紐を一緒に接着するために、両方の紐は、接着剤が塗布されるときに広げられ、その結果、2つの紐のより線のすべてが、展開中の改善された相互作用および耐久性のために、接着プロセス中に一緒に混合される。重ねはんだ接合と同様に単に紐を重ねるだけでは、この接合部分の強度要件を満たさない。しかし、全てのより線が混合されると、接合部の強度が大幅に増加し、分離することなく完全に展開および取り出すことが可能になる。
【0107】
一例では、以前の開発プロジェクト中に、SSボールをカプセル内に接着させることにより、ゼラチンカプセルの溶解後に患者に曝露される表面が形成される。ゼラチンカプセルにより、この表面は、滅菌プロセス中にEtOガスに曝露されなかった。接着剤をSSボールから除去したのは、それが組み立ての便宜のためだけであった。接着剤を用いると、アセンブリを取り扱う間にSSボールがカプセルから落ちることはない。
【0108】
多くの異なる巻線構成が、この装置のための初期開発プロジェクト中に試験された(例えば、図2参照)。特定の構成は、最も一貫して低い展開力値を与えた。これらの構成は、紐のどの部分も、カプセルから展開する過程にある紐と干渉しないように設計された。開発の初期段階の間、近位紐および接合部分は、展開に最も多くの問題を引き起こした。遠位紐は、一貫した低い展開値で展開するが、組み合わされた紐端部は、示されるようにより最適な巻線構成を有していた。
【0109】
包装および滅菌
紐を巻き上げてゼラチンカプセルに入れたら、このアセンブリをTyvek/PETピールパウチに入れる。このピールパウチは、滅菌中にEtOガスがTyvek側に浸透することを可能にし、装置を使用のために準備することを可能にする。
【0110】
実施例2
設計要素
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】
実施例3
1つの例示的な方法では、装置は、FDA規格(CFR Title 21,Chapter I,Subchapter C,Parts 210-211;cGMP Drugs/Finished Pharmaceuticals)に準拠する接着剤を使用して互いに取り付けられた近位および遠位ナイロン紐、医薬品グレードのゼラチンカプセル、および消化系に安全であると一般に認識されているステンレス鋼ボールから構成される。形態学的試験および機能的試験が、最新技術の装置および本明細書に開示される装置に対して行われた。様々な試験の詳細も提供される。
【0115】
装置設計
【0116】
【表4】
【0117】
【表5】
【0118】
実施例4.吸水データ
以下の表6に示されるように、例示的な装置は、例えば、食道またはGI管の他の領域における粘膜サンプリングのための重要な機能的要件に十分なレベルで流体を吸収した。
【0119】
【表6】
【0120】
装置の滅菌をエチレンオキシド滅菌で試験し、薬学的に許容される装置としての使用に成功した。
装置および方法、図2A~2Jは、本明細書で使用される糸またはドラグ材の巻線構成を示す。特定の例示的な装置および方法では、図2Aおよび2Bは、カプセル内の改善された区画化、引っ掛かりが低減された改善された展開を有する巻線構成を示す。
【0121】
実施例5
性能試験-ベンチ
材料、織り合わせ設計、カプセル内の巻線構成、液体吸収、引き出し力、および接合部分の分離力を最適化するためにベンチ試験を全て行って、最適な装置設計特性を生成した。力測定基準に関して、最適値は、カプセル嚥下および蠕動運動による消化管系内のカプセルの運動の生体力学の分析に基づいて開発された。液体吸収については、粘膜液体レオロジーおよび液体の体積捕捉を最大化する紐の能力の評価に基づいて、最適値を開発した。
【0122】
最大展開力
最大展開力試験は、紐をカプセルから分離せずに紐をカプセルから引き出すために必要な力(ニュートン単位)を測定する。紐が、意図された性能に引っ掛かることなく、またはそうでなければ干渉することなく、カプセルから滑らかに出現することを確実にするために、2.0N未満の最適値が必要であった。より低い最大展開力は、紐をカプセルからより容易に引き出す能力に相関する。臨床的には、この力はできるだけ小さくすべきである。
【0123】
フォースゲージを使用して、紐をカプセルから引き出すために必要な最大力を記録する。ハンドヘルドゲージを、カプセルから延在する紐ループに引っ掛ける。紐をカプセルから分離することなく紐の全長がカプセルから展開されるまで、操作者がカプセルを引っ張る。フォースゲージ上に表示される最大力を最大展開力として記録する。20個の滅菌後サンプルを測定し、平均および標準偏差を計算した(表7参照)。次に、通常の許容限界計算を用いて、許容上限を計算した。したがって、母集団は、90%の信頼度(Confidence)および95%の信頼性(Reliability)で最大展開力に対して合法的に市販されている装置(predicate device)と同じかまたはそれより良好に機能する。
【0124】
【表7】
【0125】
最大分離力
最大分離力試験は、紐がカプセルから展開された後に紐をカプセルから分離するために必要な力(ニュートン単位)を測定する。これは、カプセルが実際に消化管系内で紐から解放され、そして紐が引き出されるときにカプセルが引き戻されないことを確実にする。紐と共に咽喉を通してカプセルを引き戻すことにより、食道および声帯を損傷することがある。この力を可能な限り低く保つことにより、安全で信頼できる性能が保証される。4N未満の最大分離力が最適であると考えられた。
【0126】
最大展開力試験がカプセルに対して行われた後、依然としてフォースゲージに取り付けられ(風袋引き)、紐がカプセルから引き抜かれるまで、カプセルを再び引っ張る。フォースゲージ上に表示される最大力を最大展開力として記録する。20個の滅菌後サンプルを測定し、平均および標準偏差を計算した(表8参照)。次に、通常の許容限界計算を用いて、許容上限を計算した。したがって、母集団は、90%の信頼度および95%の信頼性で最大分離力に対して同じかまたはそれより良好に機能する。
【0127】
【表8】
【0128】
接合部分破損強度
接合部分破損強度試験は、紐の接合部分(近位紐が遠位紐に接着されている紐の部分)におけるシールを破損するために必要な力を測定する。近位紐セクションおよび遠位紐セクションは、装置の安全かつ信頼できる動作を確実にするために、展開および取り出しのプロセスを通して取り付けられたままである必要がある。>23N以上の最小接合部分破損強度が最適と考えられた。
【0129】
荷重フレームフォースゲージを使用して、ピーク張力をニュートン単位で測定する。プルフレームのジョーに適合するのに十分な大きさのループが、近位紐および遠位紐の両方で結ばれる。紐の接合部分において破損が認識されるまで、荷重フレームによって紐の接合部分に張力が加えられ、その後、張力が停止される。フォースゲージ上に表示される力を接合部分破損強度として記録する。20個の滅菌後サンプルを測定し、平均および標準偏差を計算した(表9参照)。次に、通常の許容限界計算を用いて、許容下限を計算した。したがって、母集団は、90%の信頼度および95%の信頼性で接合部分破損強度に対して合法的に市販されている装置と同じかまたはそれより良好に機能する。
【0130】
【表9】
【0131】
液体吸収率
液体吸収率試験は、遠位紐が液体を吸収し、それによって消化管系から流体をサンプリングするというその意図された機能を達成する能力を測定する。この機能を測定するために、消化管液の代用として水を使用した。>2の吸収率が最適であると考えられた。
【0132】
これは、紐によって吸収された水の重量と乾燥紐の重量とを比を用いて比較することによって評価される。61cm(24インチ)の紐を測定し、切断し、秤で風袋を計った20mlバイアルに入れ、重量を記録する。次いで、バイアルをDI水で満たし、約3時間吸収させる。次いで、水をバイアルから排出し、ピンセットを使用して紐を取り出し、滴下を止める。新しい空のバイアルの風袋を量り、湿った紐を新しいバイアル内に入れ、秤量する。乾燥紐の重量に対する紐によって吸収された水の重量の比を吸水率として記録する。20個の滅菌後サンプルを測定し、平均および標準偏差を計算した(表12参照)。次に、通常の許容限界計算を用いて、許容下限を計算した。したがって、母集団は、90%の信頼度および95%の信頼性で吸水率に対して合法的に市販されている装置と同じかまたはそれより良好に機能する。
【0133】
【表10】
【0134】
保存可能期間
この実施例における装置ポーチは、EOガス滅菌(SPS Medical Supply、THP-282)において使用するためのTyvekヒートシールポーチ(約10.2cm×約22.9cm(約4インチ×9インチ))である。シェブロンシールは、ユーザによって開封されることを前提としているため、このシールの破損が、パウチの破損の最も可能性の高い原因である。SPS Medicalは、滅菌日から3年のパウチの保存可能期間を提供している。20個のサンプルの予備ヒートシール強度試験を社内で行った。データは、より低い許容差分析を使用して、シール強度が1lbの力を上回ることを示した。
【0135】
実施例6
他の例示的な装置および方法では、図3Aおよび図3Bは、装置(100、図1に示される)と、本明細書で企図される糸またはドラグ材(302)の遠位セグメントの末端遠位端の配置とを示す。図3は、カプセルベース(左パネル、3A)から外に延在する末端遠位端を有する巻かれた糸またはドラグ(302)を覆って配置されたカプセルベースを示し、次いで、カプセルキャップがカプセルベース(右パネル、3B)を覆って配置される前に、遠位セグメントの末端遠位端がベースの側壁の糸固定用開口部(304)内に配置される。図1は、カプセルキャップの糸展開用開口部を通って突出する糸またはドラグの近位セグメントの末端近位末端を示し、一方、糸またはドラグの遠位セグメントの末端遠位末端は、ベースの糸固定用開口部を通ってベース内に解放可能に固定されるように示される。
【0136】
実施例7
DNAの単離および精製。糸またはドラグの遠位セグメントは、溶解緩衝液中でインキュベートされ得、装置によって単離された細菌が溶解され得る。全DNAを精製し、細菌、ウイルス、真菌、または病原性生物などの他の微生物などの生物の有無について分析することができる。
【0137】
実施例8
いくつかの例示的な方法では、タンパク質または抗体の有無またはレベルは、ELISAなどの標準的な技術を使用して測定することができ、糸またはドラグ材は、乾燥するまでブロッティングすることによって採取し、サンプル緩衝液中で煮沸し(例えば、SDS-PAGE)、サイトカインなどの診断指標またはGI管の状態もしくは疾患の他の指標の存在、レベル、もしくは非存在についてSDS-PAGEおよび/またはウェスタンブロッティングによって分析することができる。
【0138】
実施例9
他の例示的な方法では、糸またはドラグ材の遠位セグメントは、例えば、肥満細胞などの診断指標細胞の存在、レベル、もしくは非存在、または感染もしくは癌を示す他の浸潤物の存在について分析される。いくつかの方法では、トリプシン/EDTAを使用して、当技術分野で周知の方法によるさらなる分析および同定のために捕捉された細胞を取り出すことができる。特定の方法では、好酸球ならびに疾患または状態の診断のための関連因子を検出することができる。
【0139】
実験設計および方法
特定の方法では、所定の期間にわたって展開した後の糸またはドラグ材を取り出し、解剖学的位置、例えば口、食道、胃、十二指腸に従って小片に切断してもよい。各装置のパッケージ内にはpH指示薬があり、pH指示薬は、糸またはドラグに適用されると、糸またはドラグが存在していたGI管の部分の同定を可能にする色変化で糸またはドラグに印をつける。例えば、紐の胃部分はオレンジ色(酸性環境)に変化し、食道部分は青緑色(アルカリ性環境)である。指示薬は、典型的には、紐の小さな(<1mm)部分にのみ適用され、これらの部分は、所望のアッセイへのいかなる干渉も避けるために分析に含まれない。唇から近位中咽頭までの紐の長さを測定して、口腔部分を決定してもよい。切断後の切片を、タンパク質分析のためのサンプル溶出緩衝液もしくはRNA単離のためのTRIZOL試薬、または分析のための他の培地もしくは緩衝液のいずれかと共にチューブまたはトレイに入れてもよい。サンプルを直ちに分析するか、または凍結するとともに10~20のバッチで処理することで、単離技術における日々の変動性を排除してもよく、最終分析のために-80℃で保存することができる。
【0140】
タンパク質分析。タンパク質は、当分野で周知の方法によって分析され得、そして目的のタンパク質の存在を決定するための抗体アッセイを含み得る。
統計的分析。サンプルは、所与の対象のアセスメント、ならびに対象の診断および/または治療に使用される既知の統計的分析技術のために、健康な対象および/または罹患した対象の対照サンプルと比較することができる。
【0141】
サイトカインパネル。特定の例示的な方法では、サイトカインパネルアッセイは、特定のサイトカインまたはサイトカインのパネルの存在、レベル、または非存在を検出するために使用され得、分析および治療のために健康な対象および/または罹患した対象に対して測定され得る。いくつかの方法では、IL-8mRNA発現および/または翻訳の検出は、GERDのような状態、および例えば、特定の治療レジメンをアセスメントするために、単独でまたは他のサイトカインマーカーと組み合わせて測定され得る。GERDの任意の治療は、本明細書に開示される装置を使用して、GERDを有するかまたは発症するリスクがある対象における有効性についてアセスメントされ得ることが企図される(例えば、食物除去食またはコルチコステロイド)。
【0142】
本明細書に開示される装置のための例示的なラテラルフローおよびタンパク質分析
ELISA-ほとんどの標的は、市販のELISAを有する。ELISAまたは抗体の供給源は、ここでは、CD23(BD Bioscience)、FcεRI(ELISA)、エオタキシン-1,2,3(R&D Systems)、トリプターゼ(R&D Systems)と記される。
【0143】
メソスケール(Mesoscale)-メソスケール(Mesoscale)(商標)技術(Gowan et al.,2007)は、96ウェルプレートの単一ウェル中で最大12個の標的タンパク質を分析するための多重定量システムである。この技術は、2μLのサンプル/ウェルしか必要とせず、96ウェルフォーマットは、ハイスループットサンプリングおよび分析を可能にする。データは、1mL当たりのpgタンパク質として定量的形式で提供される。研究のために、標準化されたTh1/Th2鋳型を使用して、Th1(IL-2、TNF-α、IFN-γ)およびTh2(IL-4、IL-5、およびIL-13)サイトカインの存在をアセスメントする。
【0144】
免疫組織化学-組織切片は、上記のような特異的抗体を用いて免疫組織化学的分析を受ける;ELISAのための抗体もまた、以前に説明されたように(Walsh et al.,1999;Desai et al.,2005;Teitelbaum et al.,2002)、免疫組織化学的分析のために利用可能である。簡単に述べると、全ての標本をホルマリン固定し、パラフィン包埋し、連続的に切断し、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色するか、または免疫組織化学的研究に使用する。免疫組織化学的染色のために、切片を脱蝋し、再水和し、ペルオキシダーゼ活性をクエンチし、ブロックし、一次抗体、次いで二次抗体とインキュベートする。次いで、ジアミノベンジジン法を使用して発色反応を発生させ、ヘマトキシリンで対比染色し、脱水し、マウントする。適切な陽性対照および陰性対照を各染色反応に含める。選択された抗体の各々について陽性に染色された細胞の定量化を行う。
【0145】
RNA分析。
組織をTRIZOL試薬で均質化して全RNAを単離し、次いでこれをBIORAD Real-Time iCycler PCR機器を用いて逆転写およびQ-PCR分析にかける。Th1(IL-2、TNF-α、IFN-γ)およびTh2(IL-4、IL-5、およびIL-13)サイトカインのプライマーは、Invitrogenから購入した。
【0146】
統計的分析。
線形回帰を使用して、マーカーレベルの変化による組織学的好酸球性炎症の量のパーセント変化をモデル化する。多重線形回帰を使用して、複数のマーカーと病理学的転帰との関係を同時にアセスメントする。
【0147】
本明細書で開示され、特許請求される方法および装置のすべては、本開示に照らして過度の実験を行うことなく作製および実行することができる。本発明の組成物および方法を特定の実施形態に関して説明してきたが、本発明の概念、主旨、および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法および装置ならびに方法のステップまたは一連のステップに変形を適用できることが当業者には明らかであろう。より具体的には、化学的および生理学的の両方で関連する特定の作用物質が、本明細書中に記載される作用物質の代わりに使用され得るが、同一または類似の結果が達成されることが明らかである。当業者に明らかな全てのこのような類似の代替品および修正品は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の主旨、範囲、および概念内にあるとみなされる。
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3Aand3B
【国際調査報告】