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特表2024-502120軸内の作動温度を低減するロータ構造
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  • 特表-軸内の作動温度を低減するロータ構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】軸内の作動温度を低減するロータ構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/00 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
H02K7/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541039
(86)(22)【出願日】2021-05-31
(85)【翻訳文提出日】2023-07-05
(86)【国際出願番号】 CN2021097172
(87)【国際公開番号】W WO2022147954
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】202120011514.2
(32)【優先日】2021-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522084131
【氏名又は名称】精▲進▼▲電▼▲動▼科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】▲ジン▼ ▲海▼▲タオ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呂▼ ▲亞▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲傳▼康
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲東▼升
(72)【発明者】
【氏名】樊 惠燕
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607AA02
5H607BB14
5H607CC01
5H607DD04
5H607JJ04
5H607JJ06
(57)【要約】
軸内の作動温度を低減するロータ構造であって、前記ロータ構造が、中空軸本体(1)と、軸内スリーブ(2)とを含み、前記軸内スリーブ(2)が中空軸本体(1)内に装着されており、前記軸内スリーブ(2)と前記中空軸本体(1)との間に第1遮温キャビティ(3)が形成されている。当該ロータ構造は、モータに適用可能であり、モータの中空軸の内面の作動温度を効果的に低減し、モータの確実な運転を保証することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸内の作動温度を低減するロータ構造であって、前記ロータ構造が、中空軸本体と、軸内スリーブとを含み、前記軸内スリーブが中空軸本体内に装着されており、前記軸内スリーブと前記中空軸本体との間に第1遮温キャビティが形成されていることを特徴とするロータ構造。
【請求項2】
前記第1遮温キャビティ内は、真空状態であるか、空気が充填されているか、又は、断熱媒体が充填されていることを特徴とする請求項1に記載のロータ構造。
【請求項3】
前記中空軸本体及び/又は前記軸内スリーブが円筒状の中空構造であることを特徴とする請求項1に記載のロータ構造。
【請求項4】
前記中空軸本体の端部と前記軸内スリーブの端部との間がシール接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のロータ構造。
【請求項5】
前記シール接続が、締まりばめ、溶接、又はネジ接続のいずれか1つであることを特徴とする請求項4に記載のロータ構造。
【請求項6】
前記中空軸本体及び前記軸内スリーブの材料が金属材料又は非金属材料であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のロータ構造。
【請求項7】
軸内の作動温度を低減するロータ構造であって、前記ロータ構造が、中空軸本体と、ロータ鉄心とを含み、前記ロータ鉄心が前記中空軸本体に外装されており、前記ロータ鉄心と前記中空軸本体との間に第2遮温キャビティが形成されていることを特徴とするロータ構造。
【請求項8】
前記第2遮温キャビティ内は、真空状態であるか、空気が充填されているか、又は、断熱媒体が充填されており、前記第2遮温キャビティは、前記ロータ鉄心の内面及び/又は前記中空軸本体の外面に設けられた凹溝構造によって形成されていることを特徴とする請求項7に記載のロータ構造。
【請求項9】
前記中空軸本体と前記ロータ鉄心との間がいくつかのキーによって連結されてモーメントが伝達されることを特徴とする請求項7又は8に記載のロータ構造。
【請求項10】
軸内の作動温度を低減するロータ構造であって、前記ロータ構造が、中空軸本体と、軸内スリーブと、ロータ鉄心とを含み、前記軸内スリーブが中空軸本体内に装着され、前記ロータ鉄心が前記中空軸本体に外装されており、
前記軸内スリーブと前記中空軸本体との間に第1遮温キャビティが形成されており、
前記ロータ鉄心と前記中空軸本体との間に第2遮温キャビティが形成されていることを特徴とするロータ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ構造設計の技術分野に属し、特に、軸内の作動温度を低減するロータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
モータが作動すると、熱が発生する。特に、ステータとロータとの間のエアギャップが小さく、電源電圧がより高く、軸受の作動が正常でないなどの場合は、発熱がより深刻になってしまう。もしモータが長時間過酷な環境に置かれ、熱が発散できないと、モータが正常に作動できなくなる可能性があり、また、ロータ内部の温度が高すぎると、透磁率が低下し、モータのトルク出力に悪影響を与えてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記課題に対して、本発明は、上記課題を解消し、又は、上記課題を少なくとも部分的に解決するために、軸内の作動温度を低減できるモータロータ構造を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明には、以下の技術(課題解決手段)が用いられている。
【0005】
本発明の1つの局面(態様)では、軸内の作動温度を低減するロータ構造が提供されており、前記ロータ構造が、中空軸本体と、軸内スリーブとを含み、前記軸内スリーブが中空軸本体内に装着されており、前記軸内スリーブと前記中空軸本体との間に第1遮温キャビティが形成されている。
【0006】
選択的に、前記第1遮温キャビティ内は、真空状態であるか、空気が充填されているか、又は、断熱媒体が充填されてよい。
【0007】
選択的に、前記中空軸本体及び/又は前記軸内スリーブが円筒状の中空構造であってよい。
【0008】
選択的に、前記中空軸本体の端部と前記軸内スリーブの端部との間がシール接続されてよい。
【0009】
選択的に、前記シール接続が、締まりばめ、溶接、又はネジ接続のいずれか1つであってよい。
【0010】
選択的に、前記中空軸本体及び前記軸内スリーブの材料が金属材料又は非金属材料であってよい。
【0011】
本発明では、軸内の作動温度を低減する他のロータ構造がさらに提供されており、前記ロータ構造が、中空軸本体と、ロータ鉄心とを含み、前記ロータ鉄心が前記中空軸本体に外装されており、前記ロータ鉄心と前記中空軸本体との間に第2遮温キャビティが形成されている。
【0012】
選択的に、前記第2遮温キャビティ内は、真空状態であるか、空気が充填されているか、又は、断熱媒体が充填されてよく、前記第2遮温キャビティは、前記ロータ鉄心の内面及び/又は前記中空軸本体の外面に設けられた凹溝構造によって形成されてよい。
【0013】
選択的に、前記中空軸本体と前記ロータ鉄心との間がいくつかのキーによって連結されてモーメントが伝達されてよい。
【0014】
本発明では、軸内の作動温度を低減する他のロータ構造がさらに提供されており、前記ロータ構造が、中空軸本体と、軸内スリーブと、ロータ鉄心とを含み、前記軸内スリーブが中空軸本体内に装着され、前記ロータ鉄心が前記中空軸本体に外装されており、
前記軸内スリーブと前記中空軸本体との間に第1遮温キャビティが形成されており、
前記ロータ鉄心と前記中空軸本体との間に第2遮温キャビティが形成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の利点及び有益な効果は、下記の通りになる。
【0016】
上記ロータ構造は、モータに適用され、第1遮温キャビティ及び/又は第2遮温キャビティを設けることで、モータの中空軸の内面の作動温度を効果的に低減し、モータの確実な運転を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読むことにより、様々な他の利点・効果及びメリットが当業者にとって明らかになる。図面は、好ましい実施形態を例示するためのものだけであり、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。また、図面全体において、同じ部品には同じ参照符号が付されている。
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態における軸内の作動温度を低減するロータ構造の構造模式図である。
図2図2は、図1におけるI部の部分拡大構造模式図である。
図3図3は、本発明の一実施形態における中空軸本体の構造模式図である。
図4図4は、本発明の一実施形態における軸内スリーブの構造模式図である。
図5図5は、本発明の一実施形態におけるロータ鉄心が外装されたロータ構造の構造模式図である。
図6図6は、図5に示すロータ構造に第2遮温キャビティが付けられた構造模式図である。
図7図7は、図6におけるII部の部分拡大構造模式図である。
図8図8は、本発明の一実施形態におけるロータ構造の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の目的、技術(課題解決手段)及び利点・効果が更に明白になるように、以下、本発明の具体的な実施形態及び対応する図面と併せて、本発明の技術(課題解決手段)を明確かつ完全に説明する。明らかなことに、記載された実施形態は、本発明の一部の実施形態に過ぎず、すべての実施形態ではない。本発明の実施形態に基づいて創造的な努力をすることなく当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲内に含まれる。
【0020】
「含む/包含する」、「…からなる」という用語、又はその他の任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図しているため、一連の要素を含む製品、機器、手順又は方法は、それらの要素だけではなく、必要に応じて明示的に列挙されていない他の要素も含むか、又はこのような製品、機器、手順又は方法に固有の要素も含み得ることを理解されたい。これ以上の制限がない場合(制限が明記されていない場合)には、「…を含む/包含する」、「…からなる」という語句で限定される要素は、その要素を含む製品、機器、手順又は方法に同一の要素が他に存在することを排除しない。
【0021】
更に理解されたいのは、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「頂」、「底」、「内」、「外」等の用語で指し示される方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づいており、本発明の説明を容易にし、説明を簡略化することのみを目的としており、言及される装置、部品又は構造が特定の方位を有し、特定の方位で構成又は操作されなければならないことを指し示したり示唆するものではなく、本発明に対する制限として理解されてはならない。
【0022】
本発明において、特に明確な規定及び限定がない限り、「取り付ける」、「繋ぐ」、「接続する」、「固定する」等の用語は、広い意味で理解されるべきである。例えば、固定的な接続であってもよいし、着脱可能な接続であってもよいし、一体化されてもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。また、直接的に繋がれてもよいし、中間媒体を介して間接的に繋がれてもよいし、2つの要素の内部の連通又は2つの要素間の相互作用関係であってもよい。当業者にとって、本発明における上記用語の具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解され得る。
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態による技術(課題解決手段)を詳しく説明する。
実施形態1
【0024】
図1には、本発明の一実施形態における軸内の作動温度を低減できるロータ構造の構造模式図が示されている。前記ロータ構造が、中空軸本体1と、軸内スリーブ2とを含み、前記軸内スリーブ2が中空軸本体1内に装着されており、前記軸内スリーブ2と前記中空軸本体1との間に第1遮温キャビティ3が形成されている。これにより、当該第1遮温キャビティによって中空軸本体1の外部から中空軸本体1の内部への熱の伝導が遮断され、ロータの中空軸の磁気的導通等の作動に及ぼす影響が低減される。
【0025】
図2を参照すれば分かるように、中空軸本体1と軸内スリーブ2の直径が異なるため、上記第1遮温キャビティは、中空軸本体1と軸内スリーブ2との間の隙間によって形成可能であるが、勿論、中空軸本体1の内面における凹溝及び/又は軸内スリーブ2の外面における凹溝によって形成されてもよく、ここで特に限定しなくてもよい。
【0026】
一実施形態において、前記第1遮温キャビティ3内は、真空状態であるか、普通の空気が充填されているか、又は、断熱媒体が充填されており、そのうち、上記断熱媒体が熱伝導率の低い不活性ガス、液体又は固体材料であり、具体的な容量の大きさ及び充填される材料は、特に制限されない。
【0027】
一実施形態において、図3及び図4を参照すると、前記中空軸本体1及び/又は前記軸内スリーブ2が円筒状の中空軸であるが、勿論、中空軸本体及び軸内スリーブの構造は、運動量バランスを持つ中空多面体など、他の類似構造であってもよい。
【0028】
一実施形態において、真空状態を維持したり、第1遮温キャビティ3内の断熱媒体の漏れによるモータの汚染及び断熱効果の低下を防止したりするために、前記中空軸本体の端部と前記軸内スリーブの端部との間がシール接続されており、シール接続の具体的な形態は限定されない。
【0029】
好ましくは、前記シール接続が、締まりばめ、溶接、又はエンドキャップ付きのネジ接続のいずれか1つであり、遮温キャビティと外部空間との接続を遮断することを目的としている。
【0030】
一実施形態において、前記中空軸本体1及び前記軸内スリーブ2の材料が金属材料又は非金属材料であり、金属材料及び非金属材料の具体的な選択については、強度と硬度の要件を満たせばよく、特に制限されない。
実施形態2
【0031】
図5図7を参照すると、当該実施形態におけるロータ構造が、中空軸本体1と、ロータ鉄心4とを含み、前記ロータ鉄心4が前記中空軸本体1に外装されており、前記ロータ鉄心の一端が中空軸本体1における段付き軸で固定され、他端が溶接、ナーリング、接着又は軟性カバー等で固定可能である。図6及び図7を参照して、断熱効果をさらに向上させ、ロータ鉄心と前記中空軸本体との間の熱量伝達を回避するために、前記ロータ鉄心と前記中空軸本体との間に第2遮温キャビティ5が形成されているのは、肝心なことである。
【0032】
一実施形態において、第1遮温キャビティと同様の考えに基づいて、前記第2遮温キャビティ5内は、真空状態であるか、空気が充填されているか、又は、断熱媒体が充填されている。
【0033】
一実施形態において、前記第2遮温キャビティ5は、前記ロータ鉄心4の内面及び/又は前記中空軸本体1の外面に設けられた凹溝構造によって形成されているが、勿論、半径の大きさの違いで形成される隙間によって形成されてもよい。
【0034】
第2遮温キャビティの他の配置については、実施形態1における第1遮温キャビティの配置を参照できる(第1遮温キャビティの配置と同様である)ので、ここで繰り返して説明しない。
【0035】
なお、図8を参照して、前記中空軸本体と前記ロータ鉄心との間がいくつかのキー6によって連結されてモーメントが伝達され、前記キーの数が2つ、3つ、又は4つなどであってもよく、それらは、ロータ鉄心4と前記中空軸本体1との間の円周面に均等に設けられていることが好ましい。
実施形態3
【0036】
実施形態3は、実施形態1及び実施形態2を組み合わせたものであり、当該実施形態で開示された軸内の作動温度を低減するロータ構造は、中空軸本体1と、軸内スリーブ2と、ロータ鉄心4とを含み、前記軸内スリーブ2が中空軸本体1内に装着され、前記ロータ鉄心4が前記中空軸本体1に外装されており、前記軸内スリーブ2と前記中空軸本体1との間に第1遮温キャビティ3が形成され、前記ロータ鉄心4と前記中空軸本体1との間に第2遮温キャビティ5が形成されており、2つの遮温キャビティを配置することにより、断熱効果がさらに向上される。
【0037】
第1遮温キャビティ及び第2遮温キャビティの具体的な配置については、実施形態1及び実施形態2を参照できるので、ここで繰り返して説明しない。
【0038】
上述したのは、あくまでも本発明の実施形態であり、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の精神及び原則(技術思想)内になされたいかなる変更、均等的置換、改良、拡張等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0039】
1 中空軸本体、2 軸内スリーブ、3 第1遮温キャビティ、4 ロータ鉄心、5 第2遮温キャビティ、6 キー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】