(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】加湿膜の毀損を防止する燃料電池膜加湿器
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240110BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20240110BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541065
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-05
(86)【国際出願番号】 KR2022001258
(87)【国際公開番号】W WO2022164162
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0013371
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヒョンモ
(72)【発明者】
【氏名】キム キョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】アン ウンジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム インホ
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AC06
5H127BA02
5H127BB02
5H127BB34
5H127EE17
(57)【要約】
本発明は、排ガスの圧力のため、加湿膜が毀損されることを防止できる燃料電池膜加湿器に関するものであって、
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器は、
外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュールと、前記加湿モジュールの両末端に各々結合されたキャップとを備え、前記加湿モジュールは、前記排ガスが流入する排ガス流入口が形成されたミッド-ケースと、前記ミッド-ケース内に配置され、複数の加湿膜を収容する少なくとも1つのカートリッジと、前記排ガス流入口が形成されたミッド-ケースの内壁から前記カートリッジ方向に傾斜して形成されて、前記排ガスが前記加湿膜を直接接触することを防止する加湿膜保護部材とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュールと、
前記加湿モジュールの両末端に各々結合されたキャップと、
を備え、
前記加湿モジュールは、
前記排ガスが流入する排ガス流入口が形成されたミッド-ケースと、
前記ミッド-ケース内に配置され、複数の加湿膜を収容する少なくとも1つのカートリッジと、
前記排ガス流入口が形成されたミッド-ケースの内壁から前記カートリッジ方向に傾斜して形成されて、前記排ガスが前記加湿膜を直接接触することを防止する加湿膜保護部材と、
を備える燃料電池膜加湿器。
【請求項2】
前記加湿膜保護部材は、
前記ミッド-ケースの内壁から前記カートリッジ方向に予め設定された角度で傾斜して形成された保護部材ボディーと、
前記保護部材ボディーに形成された少なくとも1つ以上の流動ホールと、
を備える請求項1に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項3】
前記流動ホールは、
前記排ガス流入口の方向と非平行なように形成される請求項2に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項4】
前記流動ホールは、
前記保護部材ボディーの方向と垂直になるように形成される請求項2に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項5】
前記加湿膜は、内部が空いている中空状の膜で形成された中空糸膜または対向する一対の膜シートからなる平膜である請求項1に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項6】
前記カートリッジは、複数の中空糸膜を収容し、
前記加湿モジュールの各末端に機械的組立によって気密に結合されるガスケット組立体をさらに備え、前記ガスケット組立体は、
前記カートリッジの端部が挿入されるホールを備え、前記ホールに挿入された前記カートリッジ端部と密着して水平方向の振動を吸収するパッキング部と、
前記パッキング部と連結形成され、前記ミッド-ケースの端部に形成された溝と前記キャップの端部により形成された空間に介在されるエッジ部と、
前記カートリッジと前記パッキング部との間で前記カートリッジと前記パッキング部とを接触するように形成されたシーリング部と、
を備える請求項1に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項7】
前記パッキング部は、
前記カートリッジ端部が挿入されるホールが形成されたボディー部材と、
前記ボディー部材の一端に形成され、前記ホールに挿入された前記カートリッジ端部と密着して形成された突出部材と、
を備える請求項6に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項8】
前記カートリッジは、
端部に開口が形成され、前記複数の中空糸膜が収容されるインナーケースと、
前記複数の中空糸膜の末端部が固定され、前記インナーケースの開口を閉鎖させるポッティング部と、
を備える請求項7に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項9】
前記ポッティング部の少なくとも一部は、前記インナーケース外に位置し、
前記突出部材は、前記ポッティング部に加圧密着される請求項8に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項10】
前記ポッティング部全体が前記インナーケース内に位置し、
前記突出部材は、前記インナーケースに加圧密着される請求項8に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項11】
前記エッジ部は、
両方向に突出されたエッジウィングを備え、
前記エッジウィングは、前記ミッド-ケース端部に形成された溝を満たしながら介在されて、前記ミッド-ケースの内部と外部、そして前記ミッド-ケースと前記キャップとを封止する請求項6に記載の燃料電池膜加湿器。
【請求項12】
前記パッキング部と前記エッジ部との各々は、30~70Shore Aの第1の硬度を有し、
前記パッキング部の少なくとも一部と前記エッジ部の少なくとも一部とに挿入されて形成され、前記第1の硬度より高い第2の硬度を有する補強部材をさらに備える請求項6に記載の燃料電池膜加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池膜加湿器に関し、より具体的には、排ガスの圧力のため、加湿膜が毀損されることを防止できる燃料電池膜加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、水素と酸素を結合させて電気を生産する発電型電池である。燃料電池は、乾電池や蓄電池など、一般化学電池とは異なり、水素と酸素が供給される限り、電気を生産し続けることができ、熱損失がないので、内燃機関より効率が2倍くらい高いという長所がある。
また、水素と酸素の結合により発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するので、公害物質排出が少ない。したがって、燃料電池は、環境親和的であり、かつ、エネルギー消費増加による資源枯渇に対する心配を減らすことができるという長所がある。
このような燃料電池は、使用される電解質の種類によって、大別して、高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC)、リン酸型燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell:PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell:MCFC)、固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)、及びアルカリ型燃料電池(Alkaline Fuel Cell:AFC)などに分類することができる。
【0003】
これらのそれぞれの燃料電池は、元々同じ原理により作動するが、使用される燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに異なる。この中で、高分子電解質型燃料電池(PEMFC)は、他の燃料電池に比べて低温で動作するという点、及び出力密度が大きくて、小型化が可能であるので、小規模据え置き型発電装備だけでなく、輸送システムでも最も有望なものと知られている。
高分子電解質型燃料電池(PEMFC)の性能を向上させるにあたり、最も重要な要因のうち1つは、膜-電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の高分子電解質膜(Polymer Electrolyte MembraneまたはProton Exchange Membrane:PEM)に一定量以上の水分を供給することによって含水率を維持させることである。高分子電解質膜が乾燥されれば、発電効率が急激に低下するためである。
高分子電解質膜を加湿する方法では、1)内圧容器に水を満たした後、対象気体を拡散器(diffuser)に通過させて水分を供給するバブラ(bubbler)加湿方式、2)燃料電池反応に必要な供給水分量を計算し、ソレノイドバルブを介してガス流動管に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を利用してガスの流動層に水分を供給する加湿膜方式などがある。
これらの中でも、排ガス中に含まれる水蒸気のみを選択的に透過させる膜を利用して、水蒸気を高分子電解質膜に供給される空気に提供することによって高分子電解質膜を加湿する膜加湿方式が膜加湿器を軽量化及び小型化できるという点で有利である。
【0004】
膜加湿方式に使用される選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当り透過面積が大きい中空糸膜が好ましい。すなわち、中空糸膜を利用して膜加湿器を製造する場合、接触表面積が広い中空糸膜の高集積化が可能であって、小容量でも燃料電池の加湿が十分になされることができ、低価素材の使用が可能であり、燃料電池において高温で排出される排ガス(off-gas)に含まれた水分と熱を回収し、膜加湿器を介して再使用できるという利点を有する。
図1は、従来技術に係る燃料電池膜加湿器が示された分解斜視図である。
図1に示されたように、従来技術の燃料電池膜加湿器10は、外部から供給される空気と燃料電池スタック(図示せず)から排出される排ガスとの間の水分交換が起こる加湿モジュール11、及び加湿モジュール11の両端に結合されたキャップ12を備える。
キャップ12のうち1つは、外部から供給される空気を加湿モジュール11に供給し、他の1つは、加湿モジュール11により加湿された空気を燃料電池スタックに供給する。
加湿モジュール11は、排ガス流入口(off-gas inlet)11aaと排ガス排出口(off-gas outlet)11abとを有するミッド-ケース(mid-case)11a、及びミッド-ケース11a内の複数の中空糸膜11bを備える。中空糸膜11bの束の両末端は、ポッティング部11cに固定される。ポッティング部11cは、一般的にキャスティング(casting)方式によって液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることにより形成される。
【0005】
外部から供給される空気は、中空糸膜11bの中空に沿って流れる。排ガス流入口11aaを介してミッド-ケース11a内に流入した排ガスは、中空糸膜11bの外表面と接触した後、排ガス排出口11abを介してミッド-ケース11aから排出される。排ガスが中空糸膜11bの外表面と接触するとき、排ガス内に含有されていた水分が中空糸膜11bを透過することによって中空糸膜11bの中空に沿って流れていた空気を加湿する。
複数の中空糸膜11bの末端が固定されているポッティング部11c、及びポッティング部11cとミッド-ケース11aとの間の樹脂層11dは、キャップ12の内部空間とミッド-ケース11aの内部空間とを遮断する。ポッティング部11cと同様に、樹脂層11dは、一般的にキャスティング方式によって液状ポリウレタン樹脂のような液状ポリマーを硬化させることにより形成される。
一方、排ガス流入口11aaを介して流入した排ガスは、相対的に高圧の排ガスであり、中空糸膜11bは、相対的に高圧の排ガスと直接接触するようになり、排ガスの圧力のため、排ガスと接触する部分の中空糸膜が毀損されるという問題がある。
上記において、選択的透過膜が中空糸膜である場合を例示したが、選択的透過膜が膜シートからなる平膜である場合にも同様に、高圧の排ガスとの直接接触のため、平膜が毀損されるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、排ガスの圧力のため、排ガスと接触する部分の加湿膜が毀損されることを防止できる燃料電池膜加湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器は、
外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する加湿モジュールと、前記加湿モジュールの両末端に各々結合されたキャップとを備え、前記加湿モジュールは、前記排ガスが流入する排ガス流入口が形成されたミッド-ケースと、前記ミッド-ケース内に配置され、複数の加湿膜を収容する少なくとも1つのカートリッジと、前記排ガス流入口が形成されたミッド-ケースの内壁から前記カートリッジ方向に傾斜して形成されて、前記排ガスが前記加湿膜を直接接触することを防止する加湿膜保護部材とを備える。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記加湿膜保護部材は、前記ミッド-ケースの内壁から前記カートリッジ方向に予め設定された角度で傾斜して形成された保護部材ボディーと、前記保護部材ボディーに形成された少なくとも1つ以上の流動ホールとを備えることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記流動ホールは、前記排ガス流入口の方向と非平行なように形成されることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記流動ホールは、前記保護部材ボディーの方向と垂直になるように形成されることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記加湿膜は、内部が空いている中空状の膜で形成された中空糸膜または対向する一対の膜シートからなる平膜であることができる。
【0008】
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記加湿モジュールの各末端に機械的組立によって気密に結合されるガスケット組立体をさらに備え、前記ガスケット組立体は、前記カートリッジの端部が挿入されるホールを備え、前記ホールに挿入された前記カートリッジ端部と密着して水平方向の振動を吸収するパッキング部と、前記パッキング部と連結形成され、前記ミッド-ケースの端部に形成された溝と前記キャップの端部により形成された空間に介在されるエッジ部と、前記カートリッジと前記パッキング部との間で前記カートリッジと前記パッキング部とを接触するように形成されたシーリング部とを備えることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記パッキング部は、前記カートリッジ端部が挿入されるホールが形成されたボディー部材と、前記ボディー部材の一端に形成され、前記ホールに挿入された前記カートリッジ端部と密着して形成された突出部材とを備えることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記カートリッジは、端部に開口が形成され、前記複数の加湿膜が収容されるインナーケースと、前記複数の加湿膜の末端部が固定され、前記インナーケースの開口を閉鎖させるポッティング部とを備えることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記ポッティング部の少なくとも一部は、前記インナーケース外に位置し、前記突出部材は、前記ポッティング部に加圧密着されることができる。
【0009】
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記ポッティング部全体が前記インナーケース内に位置し、前記突出部材は、前記インナーケースに加圧密着されることができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記エッジ部は、両方向に突出されたエッジウィングを備え、前記エッジウィングは、前記ミッド-ケース端部に形成された溝を満たしながら介在されて、前記ミッド-ケースの内部と外部、そして前記ミッド-ケースと前記キャップとを封止することができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池膜加湿器において、前記パッキング部と前記エッジ部との各々は30~70Shore Aの第1の硬度を有し、前記パッキング部の少なくとも一部と前記エッジ部の少なくとも一部とに挿入されて形成され、前記第1の硬度より高い第2の硬度を有する補強部材をさらに備えることができる。
その他、本発明の様々な側面による実現例の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排ガスの圧力のため、加湿膜が毀損されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】従来技術に係る燃料電池膜加湿器が示された分解斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された分解断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された結合断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る燃料電池膜加湿器の動作状態を説明するための部分断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態の変形例に係る燃料電池膜加湿器が示された結合断面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された分解斜視図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された分解断面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された結合断面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態の変形例に係る燃料電池膜加湿器が示された結合断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、様々な変換を加えることができ、種々の実施形態を有することができるところ、特定実施形態を例示し、詳細な説明に詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むことと理解されなければならない。
本発明において使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る加湿膜の毀損を防止する燃料電池膜加湿器を説明する。
【0013】
図2は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された分解斜視図であり、
図3は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された分解断面図であり、
図4は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された結合断面図であり、
図5は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池膜加湿器の動作状態を説明するための部分断面図である。
図2~
図5に示すように、本発明の第1実施形態に係る燃料電池膜加湿器100は、加湿モジュール110とキャップ120とガスケット組立体130と加湿膜保護部材140とを備える。
加湿モジュール110は、外部から供給される空気を燃料電池スタックから排出される排ガス内の水分で加湿する。加湿モジュール110の両末端の各々は、キャップ120と結合される。キャップ120のうち、いずれか1つは、外部から供給される空気を加湿モジュール110に供給し、他の1つは、加湿モジュール110により加湿された空気を燃料電池スタックに供給する。ガスケット組立体130は、加湿モジュール110の各末端に機械的組立によって気密に結合される。加湿膜保護部材140は、排ガス流入口111aを介して流入した排ガスが加湿膜と直接接触して加湿膜を毀損させることを防止する。
加湿膜は、大別して、中空糸膜と平膜とがある。中空糸膜は、内部が空いている中空状の膜であって、中空状のチャネルを介してガスが流動する。平膜は、対向する一対の膜シートからなり、一対の膜シート間にはスペーサが配置されて、膜シートが接触することを防止しながらチャネルを形成する。膜シート間のチャネルを介してガスが流動する。以下の説明において、加湿膜は、中空糸膜であることを例示として説明するが、平膜である場合にも、同様に適用されることができる。
【0014】
加湿モジュール110は、外部から供給される空気と排ガスとの間の水分交換が起こる装置であって、排ガス流入口111aと排ガス排出口111bとを有するミッド-ケース111、及びミッド-ケース111内に配置される少なくとも1つのカートリッジ112を備えることができる。
ミッド-ケース111とキャップ120とは、各々独立的に硬質プラスチックや金属で形成されることができ、円形または多角形の幅方向断面を有することができる。円形は、楕円形を含み、多角形は、丸い角(rounded corner)を有する多角形を含む。例えば、硬質プラスチックは、ポリカーボネート、ポリアミド(PA)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリプロピレン(PP)などであることができる。ミッド-ケース111の内部空間は、隔壁(partitions)111cにより第1の空間S1と第2の空間S2とに仕切られることができる。
カートリッジ112は、複数の中空糸膜112a及びこれらを互いに固定させるポッティング部112bを備えることができる。中空糸膜112aの末端は、ポッティング部112bに固定されることができる。
また、カートリッジ112は、インナーケース(inner case)112cをさらに備えることができる。インナーケース112cは、各末端に開口(opening)を有し、中空糸膜112aがその中に入っている。中空糸膜112aの端部がポッティングされているポッティング部112bは、インナーケース112cの開口を閉鎖させる。
図3のように、ポッティング部112bの少なくとも一部がインナーケース112c外に位置しうるし、ガスケット組立体130の突出部材131bは、ポッティング部112bに密着することができる。または、
図6のように、ポッティング部112b全体がインナーケース112c内に位置し、ガスケット組立体130の突出部材131bがポッティング部112bでないインナーケース112cに密着することができる。
【0015】
インナーケース112cは、第1の空間S1との流体連通のために、メッシュ形態で配列された複数のホール(以下、「第1のメッシュホール」)MH1及び第2の空間S2との流体連通のために、メッシュ形態で配列された複数のホール(以下、「第2のメッシュホール」)MH2を備える。
排ガス流入口111aを介してミッド-ケース111の第1の空間S1に流入した排ガスは、第1のメッシュホールMH1を介してインナーケース112c内に流れ込んで中空糸膜112aの外表面と接触する。次いで、水分を奪われた排ガスは、第2のメッシュホールMH2を介して第2の空間S2に抜け出した後、排ガス排出口111bを介してミッド-ケース111から排出される。このようなインナーケース112cを備えるカートリッジ112は、ミッド-ケース111に容易に組み立てられ得るだけでなく、容易に交替されることができるという長所を有する。
中空糸膜112aは、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、スルホン化ポリスルホン樹脂、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、またはこれらのうち、少なくとも2つ以上の混合物で形成された高分子膜を含むことができ、ポッティング部112bは、ディップポッティング、遠心ポッティングなどのキャスティング方式によって液状ポリウレタン樹脂のような液状樹脂を硬化させることにより形成されることができる。
外部から供給される空気は、中空糸膜112aの中空に沿って流れる。排ガス流入口111aを介してミッド-ケース111内に流入した排ガスは、中空糸膜112aの外表面と接触した後、排ガス排出口111bを介してミッド-ケース111から排出される。排ガスが中空糸膜112aの外表面と接触するとき、排ガス内に含有されていた水分が中空糸膜112aを透過することによって中空糸膜112aの中空に沿って流れていた空気を加湿する。
【0016】
ガスケット組立体130は、加湿モジュール110の各末端に機械的組立によって気密に結合されることができる。ガスケット組立体130の機械的組立によってミッド-ケース111とキャップ120との間の空気漏れを防止するので、従来技術のキャスティング工程(すなわち、液状樹脂を鋳型に注入し、硬化する工程)及び追加的シーリング工程(すなわち、シーラントを塗布し、硬化させる工程)などを省略することができる。
また、ガスケット組立体130は、機械的組立によって加湿モジュール100に装着されるので、加湿モジュール110の特定部分(例えば、カートリッジ112)に異常が発生する場合、ガスケット組立体130を加湿モジュール110から機械的に簡単に分離した後、当該部分だけを修理または交替することが可能である。
図3に示すように、ガスケット組立体130は、パッキング部131、エッジ部132、シーリング部133を備える。パッキング部131とエッジ部132とは、20~70Shore A、好ましくは、30~60Shore Aの第1の硬度を有する弾性物質(例えば、シリコン、ゴムなど)で形成されることができる。シーリング部133は、固相シーリング材、液相シーリング材のうち、少なくともいずれか1つを含むことができる。固相シーリング材は、シリコン、アクリルラバー、EPDM、NBRなどのような材質で製造されることができ、液相シーリング材は、シリコン、ウレタンなどのような材質で製造されることができる。
パッキング部131は、カートリッジ112の端部(例えば、ポッティング部112b)が挿入されるホールHを備え、ミッド-ケース111とカートリッジ112との間に介在される。パッキング部131は、ボディー部材131aと突出部材131bとを備える。
【0017】
ボディー部材131aは、カートリッジ112端部(例えば、ポッティング部112b)が挿入されるホールHを備え、ホールHは、カートリッジ112端部の形状と対応する形状で形成される。ボディー部材131aからミッド-ケース111側に突出形成された下部ボディー部材131aaは、断面が多角形状(例えば、台形)で形成されることができ、キャップ120側に形成された上部ボディー部材131abは、平面形状で形成されることができる。下部ボディー部材131aaとカートリッジポッティング部112bとの間には、シーリング部133が配置される空間が形成される。また、下部ボディー部材131aaとエッジ部132との間には、ミッド-ケース111の端部111dが挟まれる溝Gが形成される。
突出部材131bは、ホールHに挿入されたカートリッジポッティング部112bと接触するようにボディー部材131aの一端に形成される。突出部材131bは、ボディー部材131aの一端部から突出された少なくとも1個以上の環状突起であることができる。突出部材131bは、弾性力によってカートリッジポッティング部112bを加圧しながら接触し、ミッド-ケース111の空間とキャップ120による空間とを気密にすることができる。したがって、突出部材131bは、ミッド-ケース111内の流体がキャップ120側に形成された空間に流れることを防止できる。また、突出部材131bは、弾性を有しているので、振動緩衝機能を果たすことができ、したがって、加湿器100の振動による損傷を防止できる。
エッジ部132は、ボディー部材131aの他端に形成される。エッジ部132は、ミッド-ケースの端部に形成された溝111eとキャップの端部120aにより形成された空間に介在されることができる。エッジ部132は、両方向に突出されたエッジウィング132a、132bを備えることができる。エッジウィング132a、132bは、加湿モジュール110の長さ方向に形成されることができる。組立の際に、ミッド-ケース端部の溝111eにエッジウィング132a、132bを挿入し、キャップの端部120aがエッジウィング132bを加圧した後、ボルトBなどの締め付け手段で締め付けて組み立てることができる。このとき、エッジウィング132a、132bは、弾性を有した物質からなるので、エッジウィング132a、132bは、ミッド-ケース端部の溝111e空間を一定部分満たしながら介在されることができる。ミッド-ケース111とキャップ120との端部側面には、ボルト締め付けのための締め付け孔が形成された締め付け切片111f、120bが形成され得る。エッジウィング132a、132bは、ミッド-ケース端部の溝111eを気密にしてミッド-ケース111の内部と外部、そしてミッド-ケース111とキャップ120とを封止させることができる。
【0018】
シーリング部133は、カートリッジ112とパッキング部131との間でカートリッジ112とパッキング部131とを接触するように形成される。具体的に、シーリング部133は、カートリッジのポッティング部112bとパッキング部の下部ボディー部材131aaとを同時に接触(または、接着)するように形成される。シーリング部133は、ミッド-ケース111の空間とキャップ120の空間とを気密にしてミッド-ケース111内の流体がキャップ120側に流動することを防止する。
また、ガスケット組立体130は、補強部材134をさらに備えることができる。補強部材134は、第1の硬度より高い第2の硬度を有することができる。例えば、補強部材134は、金属、熱可塑性または熱硬化性樹脂などで形成されることができる。補強部材134は、ガスケット組立体130成形の際、金型に金属プレートを挿入した後に製造することにより、ガスケット組立体130内に挿入されて形成されることができる。補強部材134は、パッキング部131の少なくとも一部とエッジ部132の少なくとも一部とに挿入されて形成されることができる。補強部材134は、ガスケット組立体130の中で変形に脆弱な部分(溝Gが形成された部分)に形成されることができる。パッキング部131及びエッジ部132より高い硬度を有する補強部材134は、ガスケット組立体130を加湿モジュール110に機械的に組み立てるとき、または加湿器運転中にボディー部材131aの変形が引き起こされることを防止することにより、空気漏れをより確実に担保することができる。
加湿膜保護部材140は、排ガス流入口111aが形成されたミッド-ケース111の内壁からカートリッジ112方向に所定角度で傾斜して形成されることができる。
【0019】
図5に示すように、排ガス流入口111aを介して流入した排ガスは、加湿膜保護部材140によりガイドされながら第1のメッシュホールMH1に流入することができる。排ガスは、先に加湿膜保護部材140に衝突して、ある程度圧力が損失された後に第1のメッシュホールMH1に流入するので、カートリッジ112内に収容された中空糸膜は、圧力損失された排ガスと接触するようになる。したがって、加湿膜保護部材140は、排ガス流入口111aを介して流入した排ガスが中空糸膜と直接接触して中空糸膜を毀損させることを防止できるようになる。
具体的に、加湿膜保護部材140は、ミッド-ケース111の内壁からカートリッジ112方向に所定角度で傾斜して形成された保護部材ボディー141と、保護部材ボディー141に所定個数で形成された流動ホール142とを備えることができる。流動ホール142は、必ず必要なものではない。すなわち、保護部材ボディー141のみで中空糸膜の毀損を防止できる。ただし、保護部材ボディー141だけある場合、排ガスの圧力損失が過度になる恐れがあるので、選択的に流動ホール142を形成して、排ガスによる中空糸膜の毀損を防止しながら排ガスの圧力損失を減らして加湿効率を向上させることができる。このとき、流動ホール142の方向が排ガス流入口111aの方向と平行な場合、高圧の排ガスが直接中空糸膜と接触するようになるので、流動ホール142の方向は、排ガス流入口111aの方向と非平行なように形成されることが好ましい。より好ましくは、流動ホール142の方向は、保護部材ボディー141の方向と垂直になることができる。
図6は、本発明の第1実施形態の変形例に係る燃料電池膜加湿器が示された結合断面図である。
図6に示すように、本発明の第1実施形態の変形例に係る燃料電池膜加湿器100aは、ポッティング部112b全体がインナーケース112c内に位置し、ガスケット組立体130の突出部材131bがポッティング部112bでないインナーケース112cに密着するということを除いては、上述した第1実施形態に係る燃料電池膜加湿器100と実質的に同様である。
【0020】
次に、
図7~
図9を参照して本発明の第2実施形態に係る燃料電池膜加湿器を説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された分解斜視図であり、
図8は、本発明の第2実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された分解断面図であり、
図9は、本発明の第2実施形態に係る燃料電池膜加湿器が示された結合断面図である。
図7~
図9に示されたように、本発明の第2実施形態に係る燃料電池膜加湿器200は、(i)加湿モジュール110が2個以上のカートリッジ212を備え、(ii)ガスケット組立体230は、2個以上のカートリッジ212が各々挿入される2個以上のホールHを備える点を除いては、前述した第1実施形態に係る燃料電池膜加湿器100と実質的に同様である。
このとき、ガスケット組立体230は、カートリッジポッティング部212bと接触するように、ボディー部材131a(
図3参照)の一端に形成される2個以上の突出部材131b(
図3参照)を備え、カートリッジ212とパッキング部131(
図3参照)との間でカートリッジ212とパッキング部131とを接触するように形成される2個以上のシーリング部133(
図3参照)を備えることができる。
インナーケース212cを各々備える複数のカートリッジ212が一定間隔をおいてミッド-ケース111内に装着されることにより、ミッド-ケース111内に存在する全ての中空糸膜212aに排ガスが均一に分配され得るだけでなく、問題が発生した特定カートリッジ212のみを選別的に交替することができ、燃料電池膜加湿器200の維持補修費用をさらに低減できる。
【0021】
図10は、本発明の第2実施形態の変形例に係る燃料電池膜加湿器が示された結合断面図である。
図10に示すように、本発明の第2実施形態の変形例に係る燃料電池膜加湿器200aは、ポッティング部212b全体がインナーケース212c内に位置し、ガスケット組立体230の突出部材は、ポッティング部212bでないインナーケース212cに密着するということを除いては、上述した第2実施形態に係る燃料電池膜加湿器200と実質的に同様である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、または追加などによって本発明を様々に修正及び変更させ得るであろうし、これも本発明の権利範囲内に含まれるといえるであろう。
【符号の説明】
【0022】
100、100a、200、200a:燃料電池膜加湿器
110:加湿モジュール 111:ミッド-ケース
111a:排ガス流入口 111b:排ガス排出口
111c:隔壁 112、212:カートリッジ
112a、212a:中空糸膜 112b、212b:ポッティング部
112c、212c:インナーケース 120:キャップ
130、230:ガスケット組立体
140:加湿膜保護部材 141:保護部材ボディー
142:流動ホール
【国際調査報告】