(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】超低表面電荷の生物起源シリカ濾過媒体
(51)【国際特許分類】
B01J 20/14 20060101AFI20240110BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B01J20/14
B01J20/28 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541066
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 US2021073087
(87)【国際公開番号】W WO2022150249
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515161135
【氏名又は名称】イーピー ミネラルズ,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】EP MINERALS,LLC
【住所又は居所原語表記】9785 Gateway Drive,Suite 1000,Reno,NV 89521
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】アサンテ‐ナミケ,ジョージ
【テーマコード(参考)】
4G066
【Fターム(参考)】
4G066AA13B
4G066AA70B
4G066BA20
4G066BA24
4G066BA25
4G066BA36
4G066BA38
4G066CA46
4G066DA07
4G066EA11
4G066FA37
(57)【要約】
珪藻土濾過製品は融剤焼成珪藻土を含み、ここで、前記珪藻土濾過製品は、(1)珪藻土の複雑な多孔構造、(2)約3.0~約8.0のpH範囲内で約-1.0~約-6.0mVの範囲のゼータ電位、および(3)約0.176~約0.256g/mLの範囲の遠心湿潤密度、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
融剤焼成珪藻土を含む珪藻土濾過製品であって、
前記珪藻土濾過製品が、(1)珪藻土の複雑な多孔構造、(2)約3.0~約8.0のpH範囲内で約-1.0~約-6.0mVの範囲のゼータ電位、および(3)約0.176~約0.256g/mLの範囲の遠心湿潤密度、を有する、珪藻土濾過製品。
【請求項2】
約450ミリダルシー~約20,000ミリダルシーの範囲の透過率を有する、請求項1に記載の珪藻土濾過製品。
【請求項3】
二酸化ケイ素に対する酸化ナトリウムの化学量論比が、約5.0~約8.0%である、請求項1または2に記載の珪藻土濾過製品。
【請求項4】
kgあたり、(i)約1mg未満の抽出可能鉛(Pb)含有量、(ii)約1mg未満の抽出可能ヒ素(As)含有量、(iii)約10mg未満の抽出可能鉄(Fe)含有量、または(iv)(i)~(iv)の任意の組み合わせ、を含む、請求項1または2に記載の珪藻土濾過製品。
【請求項5】
二酸化ケイ素に対する酸化ナトリウムの化学量論比が、約5.0~約8.0%である、請求項4に記載の珪藻土濾過製品。
【請求項6】
濾過製品の約1mg/kg未満のUSP抽出可能鉛(Pb)を有する、請求項1に記載の珪藻土濾過製品。
【請求項7】
濾過製品の約1mg/kg未満のUSP抽出可能ヒ素(As)を有する、請求項1に記載の珪藻土濾過製品。
【請求項8】
濾過製品の約10mg/kg未満のUSP抽出可能鉄(Fe)を有する、請求項1に記載の珪藻土濾過製品。
【請求項9】
前記濾過製品が、酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、および炭酸水素ナトリウムの群から選択される融剤を使用して生成される、請求項1~2および請求項6~8のいずれか一項に記載の珪藻土濾過製品。
【請求項10】
前記濾過製品が、約5.0%~約8.0%の範囲の二酸化ケイ素に対する酸化ナトリウムの化学量論比を有し、かつ前記濾過製品が、酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、および炭酸水素ナトリウムの群から選択される融剤を使用して生成される、請求項5に記載の珪藻土濾過製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年1月6日に出願された米国特許出願第17/142,416号の利益を主張し、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、珪藻土の融剤焼成(flux-calcination)から得られるシリカ濾過製品に関する。より詳細には、本開示は、流体および液体の濾過分離において低表面電荷濾過助剤が望まれる生命科学および電子化学の分野に適用可能な、超低表面電荷の生物起源シリカ濾過製品に関する。
【背景技術】
【0003】
珪藻は、藻類の珪藻綱(class Bacillariophyceae)のいずれかのメンバーに属し、湖(湖沼起源)および海洋(海洋起源)の生息地の堆積物中に約12,000の異なる種が見られる。珪藻細胞は、被殻と呼ばれる非晶質の水和生体二酸化ケイ素(シリカ)の細胞壁内に包まれているという独特の特徴を有している。これらの被殻は、シリカ鉱物学のオパールA相に属すると考えられており、形状は幅広い多様性を示すが、通常はほぼ左右対称である。珪藻の被殻は不活性物質であるシリカで構成されているため、地質堆積物内で長期間にわたって良好に保存される。
【0004】
また、珪藻化石が形成される過程で、有機汚染物質、ならびに、クレイ、火山灰、方解石、ドロマイト、および長石などの他の鉱物も、一緒に堆積する。珪藻土の被殻自体には結晶性シリカが含まれていない場合でも、結晶性シリカの一種である石英の形態の珪砂も、形成において堆積している可能性がある。珪藻土の海成堆積物で石英が見つかるのは一般的であるが、珪藻土の湖成堆積物には石英が含まれていないものや、あるいは、粉砕と乾燥次いで機械的空気分級による分離によって容易に遊離する石英粒、を含むものがある。石英粒はまた、オパール-Aシリカからの相転移の結果として経時的に形成されることもある。すなわち、珪藻の死滅後、オパールA相は部分的に脱水され、一連の段階を経て、オパールA相から、オパール-CT相およびオパール-C相などの、より短距離の分子秩序を有し水和水の含有量が少ない他の形態のオパール、に転換することがある。非常に長い時間と適切な条件下では、オパール-CTは石英に変化し得る。
【0005】
珪藻土の非晶質シリカは、オパールのような(opaline)珪藻骨格の形態で存在し、アルミナ、鉄、アルカリ金属およびアルカリ土類金属を含むこともある。典型的な市販の珪藻土鉱石は、有機物を含まないベースで測定すると、約80~約90重量%の範囲のシリカ、約0.6~約8重量%の範囲のアルミナ(AI2O3)、約0.2~約3.5重量%の範囲の酸化鉄(Fe2O3)、例えば、約1重量%未満の量のNa2OやMgO、約0.3~約3重量%の範囲のCaOなどのアルカリ金属酸化物、ならびに例えばP2O5およびTiO2などの少量の他の不純物の化学分析結果を示すことがある。しかし、選択された堆積物では、シリカ濃度は約97重量%のSiO2まで高くなることがある。
【0006】
商用グレードの鉱石では、化石珪藻から構成される鉱物である珪藻土の被殻の独特の微細な多孔性により、高表面積、低嵩密度、高吸収能などの特定の製品特性がもたらされる。マクロ細孔、メソ細孔、およびミクロ細孔からなる珪藻土鉱石の複雑な多孔構造は、珪藻土製品の使用を伴う特定の配合物に必要な湿潤特性と高い吸収能力を、提供する。
【0007】
例えば、不活性シリカ組成に由来する化学的安定性と被殻の高い多孔性の組み合わせにより、珪藻土は商業的な濾過用途に有用である。珪藻土製品は、飲料(ビール、ワイン、スピリッツ、およびジュースなど)、油(脂肪、石油)、水(スイミングプール、飲料水)、化学薬品(ドライクリーニング液、TiO2添加剤)、摂取可能医薬品(抗生物質)、冶金(冷却液)、農産食品中間体(アミノ酸、ゼラチン、酵母)、および糖類などを含む、さまざまな産業における固液分離(濾過)に長年使用されてきた。
【0008】
商業グレードの珪藻土鉱石の処理
最初に記載したように、珪藻土製品は、珪藻土鉱石の処理から得られる。珪藻土鉱石は、最大約70%の遊離水分と、様々な有機物質および無機物質とを含み得る。したがって、珪藻土を濾過プロセスにおいて使用する前に、フィード材料は、以下の単位操作:破砕、粉砕、乾燥、重鉱物分離、焼成、および砥粒分離の一部または全部を含み得る調整プロセスに、かけられる。例えば、珪藻土鉱石を破砕し、粉砕し、水分および重鉱物廃棄物を除去するためにフラッシュ乾燥し、天然濾過助剤を製造することができる(フィードが多量の有機化合物および抽出可能金属を含まない場合)。他の例では、珪藻土フィードを粉砕し、水分を除去するためにフラッシュ乾燥し、焼成して有機汚染物質を除去し、可溶性無機物質をより不活性な酸化物、ケイ酸塩、またはアルミノケイ酸塩に変換することができる。
【0009】
図1は、低純度の珪藻土鉱石をフィードとして利用して高速流速の濾過媒体(および任意に機能性フィラー副産物)を製造する典型的な珪藻土生産施設において使用される、プロセス100のフロー図を示す。このプロセスは、鉱山から高グレードで低不純物の珪藻土鉱石を選択すること(ブロック102)から開始し、この鉱石は通常、約30重量%~約60重量%の範囲の含水率を有する。
【0010】
次に、製造プラントにおける製造プロセス100は、フィード鉱石を破砕して乾燥の準備をすることを含む。天然珪藻土鉱石を乾燥させる最も経済的かつ実用的な手段は、フィード材料の粉砕とフラッシュ乾燥(ブロック104)を同時に行うことであり、その結果、固結材料が脱凝集(deagglomeration)され、水分が約2~約10重量%まで除去される。フラッシュ乾燥には、一段階プロセスと二段プロセスとがある。一段階フラッシュ乾燥プロセスでは、乾燥材料の一部を湿ったフィード材料中に再利用して、乾燥機に入るフィードの含水率を下げ、製品の水分目標が1回のパスで確実に達成することができる。あるいは、一段階フラッシュ乾燥機に静的円錐分級機を組み込んで、この分級機では、部分的に乾燥された粒子を、乾燥機排出材料から分級して、乾燥機に入るフィード材料に戻される。二段階フラッシュ乾燥は、フィード材料の粉砕と乾燥とを同時に二段階行うか、あるいは第一段階で粉砕と乾燥とを同時に行い第二段階で空気圧熱風搬送による乾燥を行うか、のいずれかを伴う。インライン静的分級機を使用すると、粒子の劣化を最小限に抑えた乾燥製品が得られるため、二段階フラッシュ乾燥システムや一段階リサイクルシステムで得られるものよりも密度が小さい材料が得られる。
【0011】
次に、重鉱物および他の廃棄不純物を除去するためのフィードの物理的選鉱(ブロック106)が、異なる形態の機械的空気分級機を採用することによって、行われる。石英などの結晶性シリカ鉱物は、プロセス100のこの段階で除去され得る。砂、チャート、およびその他の粒子などの重鉱物も、分離される。選鉱ブロック106は、フィード鉱石から砂粒(grits)を除去するのに役立つが、フィード材料の化学的性質および密度には大きな影響を与えない。
【0012】
次に、融剤(fluxing agent)(多くの場合ソーダ灰(炭酸ナトリウム))を、空気圧で、選鉱された粉に混合し(ブロック150)、次いで、粉の熱焼結(融剤焼成とも呼ばれる)用のロータリーキルンへの材料のフィード速度を一定にするためにフィードビンに収集する(ブロック108)。この熱処理により、鉱石中の有機物の燃焼と除去が行われ、より細かい粒子と粗い粒子の凝集が促進され、一部の気孔率のロスによって製品の表面積が減少し、その結果、材料の透過率が増加する。融剤焼成ブロック108は、約870℃~約1250℃の温度範囲で実施され、珪藻土の天然に存在する水和非晶質シリカ構造を部分的または完全に脱水する。焼成は、ロータリーキルンまたはロータリー焼成機内で珪藻土鉱石を熱処理することによって行われる。
【0013】
融剤焼成された材料のキルン排出物は、通常凝集しており、通常非常に広い粒度分布を示す微細な珪藻土粉末を生成するために分散ファンに通さなければならない。このように、濾過用途に許容される濾過助剤製品を製造するために、プロセス100では、粉末を機械的または空気分級に供し(ブロック110)、約10~約30重量%の微細粒分をバッグハウスにおいて機能性フィラー製品として除去し(ブロック112)、より粗い粒分を濾過助剤としてサイクロン内で収集し(ブロック114)、透過率を大幅に向上させる。必要に応じて、濾過助剤粒分の粒径要件を制御するために、非常に粗い粒子をさらに分散および分級してもよい。
【0014】
従来の珪藻土濾過助剤
従来の珪藻土濾過助剤は、無機粉末であり、濾過用途における独自の商業的価値を珪藻土製品に付与する、嵩密度の低さ、高い輝度、および珪藻被殻の複雑な多孔構造によって、他のすべての微細な天然粒状シリカと区別される。珪藻土製品は、標準的な条件下で、標準的な量の濾過ケークを通過する液体の流れの尺度であるダルシー単位で測定される、一定の透過率を満たすように製造される。このことは、融剤(融剤焼成)、典型的にはソーダ灰(炭酸ナトリウム)の使用による天然珪藻土粉末の熱焼結によって達成され、表面積を約30m
2/gから約3m
2/g未満に減少させることによって濾過媒体の透過率を著しく増加させる。融剤焼成された市販の珪藻土製品は、約500ミリダルシー~約10,000ミリダルシーの範囲の透過率を有し、典型的な遠心分離されたウェットケークの密度は約0.29g/ml~約0.45g/mlの範囲である。以下の表1は、様々な市販メーカーの典型的な融剤焼成珪藻土濾過製品/濾過媒体を列挙し、世界の主要珪藻土メーカーであるEP Minerals LLC、Imerys Filtration Minerals、およびShowa Chemical Companyの3社の透過率および対応するシリカとソーダ(Na
2O)の化学量論比を示している。計算されたソーダ対シリカの化学量論比は、ソーダの酸化物モル(mole oxide)(重量%Na
2O/M.W.Na
2O)に対するシリカの酸化物モル(重量%SiO
2/M.W.SiO
2)の比である。
【表1】
【0015】
例示的な従来の珪藻土濾過媒体のこれらの融剤焼成製品すべてのシリカ含有量は、約89.0重量%~約93.0重量%SiO2の範囲内であり、酸化ナトリウム濃度は、低透過率製品用の約2.8重量%~高速流量製品用の約4.0重量%の範囲である。一般に、シリカに対する酸化ナトリウムの化学量論比は、約4.5%のRadiolite1100を除いて、約2.9%~約4.0%の範囲にある。
【0016】
珪藻土シリカの化学的不活性とそれに伴う複雑な多孔構造により、品質に敏感な濾過用途において珪藻土製品に独自の商業的価値がもたらされる。珪藻土濾過製品/濾過媒体は、食品、飲料、化学工業における液体/固体分離に長年使用されてきた。従来の珪藻土濾過媒体は、飲料、石油製品およびその派生品、化学薬品、摂取可能な医薬品、農産食品中間体、甘味料などの幅広い流体の処理において使用されている。
【0017】
珪藻土は、濾過される物質の性質および使用されるフィルターの種類に応じて、濾過プロセスにおいて、プレコートとして、またはボディフィードとして、あるいは両者の組み合わせとして濾過プロセスで使用され得る。血漿分画や飲料産業における流体-固体分離に用いられる確立されたプロセスであるボディフィード濾過(BFF)の原理が、代替細胞培養採取溶液として試験されている。プレコートのみの系では、濾過助剤のスラリーを再循環させることにより、フィルターセプタム上に濾過助剤の層を作り、媒体の粒子による目詰まりを防ぐ。ボディフィードのみのシステムでは、少量の濾過助剤が、除去すべき懸濁微粒子と一緒に濾過される液体に定期的に加えられる。これにより、懸濁微粒子を捕捉し、同時に同時に液体の一定の流量を確保するのに有用な新しい濾過面が連続的に形成される。回転真空濾過では、大量の濾過媒体がプレコートのみの形態で使用され、加圧濾過系では、大量の濾過媒体がプレコートとボディフィードの両方で使用される。日本酒の濾過など、特殊な圧力濾過の用途では、プレコートのみの手法を用いるものもある。
【0018】
プレコート濾過とボディフィード濾過の両方の用途において、珪藻土濾過助剤製品または濾過媒体は濾過される流体と接触する。固液分離に珪藻土濾過媒体を使用することのマイナス面の一つは、濾過媒体から流体中に抽出可能な金属が放出されることである。このような用途において、珪藻土濾過媒体によって導入される高レベルの可溶性金属の存在は、液体製品の純度、ならびに濾過される流体の安定性および味に影響を及ぼす可能性がある。そのため、従来の濾過助剤製品は、食品および飲料加工に使用される場合、米国食品化学物質規格集(US Food Chemicals Codex)などの、政府の純度要件を満たす必要がある。
【0019】
鉛、ヒ素、鉄、アルミニウムなどの可溶性重金属の制御は、珪藻土濾過媒体が血漿画分などのプレミアム流体の処理に使用されるライフサイエンス分離プロセスにおいて重要である。結果として、これらの用途では、濾過される液体の不純物レベルの低減に寄与する珪藻土濾過媒体が好まれ、使用される。いくつかの精製された珪藻土濾過媒体製品が開発され、これらの用途に使用されているが、これまで以上に高純度の液体に対する用途および必要性は増加し続けており、純度が向上した珪藻土濾過製品/濾過媒体が求められている。
【0020】
生体液において抽出可能な重金属の関与を制御する必要があるのと同様に、生体液と接触する珪藻土濾過媒体の粒子の表面電荷も、流体中の不要な汚染物質の発生を制限するのに重要であることが判明している。このような汚染物質の1つはプレカリクレイン活性化因子(PKA)であり、これは珪藻土濾過媒体を使用して分画血漿から調製されたヒトアルブミン溶液および免疫グロブリン溶液において見出される。アルブミン溶液がかなりのレベルのPKAで汚染され、患者に注入されると、血管拡張や低血圧などの有害事象が発生する可能性があることが知られている。これは、アルブミンが血液量減少に抗するための血漿増量剤として投与される可能性があり、その治療により既存の問題が悪化する可能性があるため、特に懸念される。PKAが十分な高濃度で存在すると、カリクレインが放出され、患者がショック状態に陥る可能性がある。したがって、PKAは通常、分画後のクロマトグラフィーによって除去され、検証される必要があるため、すべての血液製剤の認可当局は、患者ケア用に発売される前に、最終製品のバッチごとにPKAレベルを測定することを製造業者に要求している。例えば、欧州薬局方(European Pharmacipenia)のガイドラインでは、血漿製剤中のPKA含量を35IU/ml未満のレベルに制限している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第8,410,017号明細書
【特許文献2】米国特許第3,013,981号明細書
【特許文献3】米国特許第2,693,456号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従って、非常に低い表面電荷、単位質量あたりの非常に低い抽出可能不純物、非常に低い遠心分離湿潤密度、および密度に対する非常に高い流動速度(flux rates)の組合せを有する、超低表面電荷の高性能珪藻土濾過媒体を提供することが望ましい。さらに、特定の組成物および関連する分析方法の他の望ましい特徴および特性は、添付の図面および前述の背景と併せて、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0023】
概要
本明細書では、珪藻土の融剤焼成から得られる超低表面電荷生物起源シリカ濾過製品の例示的な実施形態が、開示される。本開示の超低表面電荷濾過製品は、様々な流体および液体の濾過分離のための濾過助剤として機能する。したがって、例示的な一実施形態によれば、珪藻土濾過製品は、融剤焼成珪藻土を含み、ここで、前記珪藻土濾過製品は、(1)珪藻土の複雑な多孔構造、(2)約3.0~約8.0のpH範囲内で約-1.0mV~約-6.0mVの範囲のゼータ電位、(3)約0.176g/ml~約0.256g/mlの範囲の遠心分離湿潤密度(centrifuged wet density)、を有する。
【0024】
さらなる実施形態によれば、前記濾過製品は、約450ミリダルシー~約20,000ミリダルシーの範囲の透過率を有し得る。さらに、前記濾過製品は、約5.0%~約8.0%の範囲の二酸化ケイ素に対する酸化ナトリウムの化学量論比を有し得る。また、前記濾過製品は、酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、および炭酸水素ナトリウムの群から選択される融剤を使用して生成され得る。さらに、前記濾過製品は、前記濾過製品の約1mg/kg未満のUSP抽出可能鉛(Pb)を有し得る。さらに、前記濾過製品は、前記濾過製品の約1mg/kg未満のUSP抽出可能ヒ素(As)を有し得る。さらに、前記濾過製品は、前記濾過製品の約10mg/kg未満のUSP抽出可能鉄(Fe)を有し得る。
【0025】
この概要は、以下の詳細な説明においてさらに後述する簡略化された形態の概念の選択を導入するために記載される。この概要は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用することを意図したものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下、本開示を以下の図面と共に説明するが、ここで、同様の数字は同様の要素を表す。
【
図1】濾過媒体製品のための従来の(先行技術の)珪藻土製造プロセスのフロー図である。
【
図2A】本開示に従った、超低表面電荷かつ高性能濾過媒体のための珪藻土製造プロセスのフロー図である。
【
図2B】
図2Aのプロセスに従って作製された超低表面電荷かつ高性能濾過媒体を精製するための珪藻土製造プロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、本発明または本発明の適用および用途を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される「例示的」という語は、「例、実例、または説明として有用である」という意味である。したがって、本明細書において「例示的」として記載される実施形態は、必ずしも、他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。さらに、本明細書で使用される場合、第1、第2、および第3の構成要素などの「第1」、「第2」、「第3」などの数値序数は、添付の特許請求の範囲の言語によって特に定義されない限り、単に複数うちの異なる単体を示す。本明細書に記載される実施形態および実施態様はすべて、当業者が本発明を製造または使用できるようにするために提供される例示的な実施形態であり、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するものではない。さらに、前述の技術分野、背景、概要、または以下の詳細な説明において提示された明示または黙示の理論に拘束される意図はない。
【0028】
本開示は、珪藻土の融剤焼成から得られる超低表面電荷の生体シリカ濾過製品に関する。本開示の超低表面電荷の新規製品は、高価値の流体および液体の濾過分離において低表面電荷の濾過助剤が求められるライフサイエンスおよび電子化学の分野において最も価値がある。本開示の新規な濾過製品は、非常に低い遠心湿潤密度および広範囲の透過率を有し、濾過助剤の消費量の減少および濾過サイクル時間の延長に関連する高い濾過性能をもたらす特性を有する。新規な濾過媒体は、450ミリダルシー~20,000ミリダルシーの範囲の透過率を有し、0.160g/ml(10.0lb/ft3)~0.256g/ml(16.0lb/ft3)の範囲の遠心分離湿潤密度を有する。
【0029】
さらに、本開示は、珪藻土を含有する製品/濾過媒体に関し、前記珪藻土は、自然に低い遠心分離湿潤密度のために特に選択され抽出可能な重金属不純物を低減するために任意に酸処理された鉱石、に由来する。低遠心湿潤密度の選択された天然鉱石はまた、さらに低い焼成製品と超低表面電荷製品を生成するために、焼成方法で処理される。これらの製品特性は、抽出可能金属の量を減らすための酸精製処理後も、維持される。本開示の別の態様は、高い粒子保持能力および高い流動速度をもたらす、より高い透過率およびより低い密度の濾過媒体の組み合わせに関する。
【0030】
超低表面電荷、高性能濾過製品/媒体(非酸洗浄)
本開示の2つの製品シリーズのうちの1つは、珪藻土を含む超低表面電荷かつ高性能濾過製品/濾過媒体であり、これは、融剤焼成珪藻土を製造する従来のプロセスを経ているが、市販されている同等の従来の珪藻土製品と比較して、ソーダ融剤のレベルが上昇している。従来の珪藻土融剤焼成とは異なり、本開示における高レベルのソーダ灰の使用は、珪藻土焼成フィード材料に7~15%の水を導入してソーダ融剤粉末を可溶化し、焼成プロセスにおいてガラスを生成しない均一に分散したソーダを提供することによって、可能となる。珪藻土シリカと反応する高濃度のナトリウムは、無視できるほどの帯電を有するセラミック表面を生成する。この製品は、珪藻土製品の抽出可能金属特性を著しく低下させるために一般的に使用される酸洗浄プロセスを経ていない。これらの製品/濾過媒体は、現在市販されている珪藻土濾過媒体製品に比べ、極めて低い遠心湿潤密度と、濾過サイクル時間が長く流動速度が高いという高い濾過性能とを、特徴としている。
【0031】
この超低表面荷かつ電高性能珪藻土濾過製品は、約400ミリダルシー~約20,000ミリダルシーの範囲の製品透過率をカバーする濾過助剤を提供する。これらの超低表面電荷珪藻土濾過媒体の1つの態様は、従来の珪藻土製造とは異なり、高透過率を実現するために製品の微細粒分を除去する必要がないダイレクトラン(direct-run)製造によって製造されていることである。これらのダイレクトラン製品シリーズは、Quadro Engineering社から入手可能なQuadro Comilコニカル・スクリーン・ミルを使用し、微細粒分の機械的篩分けと粗い粒分の粉砕との組み合わせによって実現される。
【0032】
以下の表2は、本開示の例示的な超低表面電荷かつ高性能濾過媒体のいくつかの物理的および化学的特性の範囲を示している。これらはすべて、約0.181g/ml(11.3lb/ft
3)~約0.248g/ml(15.5lb/ft
3)の範囲の、例外的に低い遠心分離湿潤密度を有する。これらの低密度製品の透過率は、約400ミリダルシー~約20,000ミリダルシーの範囲であり、市販されている従来製品の透過率よりもはるかに高い。これらの製品に対応する表面電荷を以下の表3に示す。表面電荷は、液体媒体中の所定のpHにおける濾過媒体粒子のゼータ電位(ζ)によって示され、ソーダ融剤の量が最適レベルまで増加するにつれて、ゼータ電位がゼロ電荷に近づくことを示している。これらの融剤焼成珪藻土濾過媒体では、シリカに対する酸化ナトリウムの化学量論比を最低5.1%まで増加させることにより、約-0.9mv~約-5.9mVのゼータ電位となり、先行技術と比較して最も低くなった。
【表2】
【表3】
【0033】
超低表面電荷かつ高性能濾過製品/媒体(酸洗浄)
本開示の第2シリーズの製品は、珪藻土を含む超低表面電荷かつ高性能濾過媒体の精製バージョンであり、前述の融剤焼成珪藻土の製造プロセスを経ており、市販されている同等の従来の珪藻土製品と比較して、ソーダ融剤のレベルが高くなっている。また、この第2シリーズの製品は、酸処理による精製プロセスを経ており、超低表面電荷特性を維持したまま、高透過率と超低密度に悪影響を与えることなく、抽出可能金属を大幅に低減している。
【0034】
以下の表4は、本開示の例示的な酸精製された超低表面電荷かつ高性能珪藻土濾過媒体の物理的特性およびいくつかの関連する抽出可能特性を示す。本開示の精製製品は、約400ミリダルシー~約7000ミリダルシーの製品透過率の範囲をカバーする濾過媒体を提供し、抽出可能な化学物質が極めて少なく、密度が非常に低い。これらの精製製品の遠心分離湿潤密度は、約0.192g/ml(12.0lb/ft
3)~約0.232g/ml(14.5lb/ft
3)の範囲である。抽出可能な重金属は非常に少なく、PbおよびAsは約0.1ppm未満である。ゼータ電位も、酸処理プロセス後でさえ、以下の表5に示すように、約4~約8のpH範囲で非常に低いままである。
【表4】
【表5】
【0035】
本開示の超低表面電荷かつ高性能珪藻土濾過媒体の調製方法
本開示の高性能珪藻土濾過媒体を調製するプロセスは、典型的な市販の濾過助剤製品の製造に使用される天然鉱石と比較して、天然の遠心分離湿潤密度が非常に低い鉱石を選択することから開始する。
【0036】
本開示の独自の態様は、天然珪藻土キルンフィード(kiln feed)に配合されるソーダ融剤の量が、従来の珪藻土製造と比較して著しく多い焼成プロセスに関する。一般に、融剤焼成プロセスにおいて多量の融剤を使用すると、ガラス状粒子が生成される。このガラス状物質の生成を避け、融剤の効率を向上させるために、本明細書では湿式キルンフィード流動化技術を採用し、フィード中の乾燥ソーダ灰粉末を可溶化することにより、珪藻土粒子表面への融剤の均一な分布が確保される。湿式キルンフィード流動化技術によるソーダ灰の可溶化により、熱処理前の鉱石の嵩密度も低下する。正味の(net)効果は、類似の従来製品と比較して、非常に高濃度のNa2Oと、非常に低い遠心分離湿潤密度と、他の方法で達成できるよりも高い透過率とを有する、融剤焼成製品である。
【0037】
米国特許第8,410,017号(Nyamekyeら)は、多量の微粒子を含み、約25lb/ft3を超える湿潤密度と約10ミリダルシー未満の透過率を有する高密度のフィード鉱石用の水を用いたキルンフィード事前凝集を教示している。しかし、本開示は、約9lb/ft3~約15lb/ft3(約0.144g/ml~約0.240g/ml)の範囲の非常に低い密度および約50ミリダルシー~約200ミリダルシーの範囲の透過率を既に有する鉱石に対する湿式フィード流動化を利用する。(焼成後の製品の透過率を改善するための珪藻土キルンフィードへの水の添加に関する他の先行技術は、米国特許第3,013,981号(Riede,R.G.)および米国特許第2,693,456号(Fennell,J.E.)に開示されている。
【0038】
本開示の別の独自の態様は、低密度の製品を維持し、製品の劣化を最小限に抑えるための最終製品の分散およびサイジングに関連しており、その結果、高い濾過媒体性能がもたらされる。従来の珪藻土製品は、キルンから出てくるときに粉砕ファンを使って微粉末に分散される。この処理ステップで発生する微粉を分級してフィラー製品を得、粗粒分は濾過製品となる(
図1参照)。この操作により、通常、キルンから出た材料と比較して、最終的な濾過助剤製品の密度が増加する。本開示では、最終製品は、微粉除去を行わず、キルン排出物をまず所定のウェッジワイヤースクリーンサイズ開口部で遠心篩を通して篩分けし、次に前述のQuadro Comil篩分け装置を用いて粗い排出物を分散させるダイレクトラン方式で製造される。これら2つの処理ステップにより、キルン排出材料に可能な限り近い遠心分離湿潤密度を有する最終製品が得られる。キルン排出物を直接Quadro Comil装置に通し、スクリーンサイズを細かくして透過率を下げることで、より流量の少ない製品を作製することもできる。
【0039】
本開示のさらに別の独特な態様は、この低表面電荷珪藻土濾過媒体の高純度バージョンに関しており、抽出可能な金属が非常に少なくなる酸処理を伴い、これにより、医薬品や電子機器などのプレミアム濾過用途での使用に適した製品となる。酸処理は、上述の独自の融剤焼成プロセスで生成された低表面電荷に影響を与えることなく精製を行うように実行される。
【0040】
本明細書で説明する超低表面電荷かつ高性能濾過媒体を製造するためのプロセスフロー図を、
図2Aおよび
図2Bに示す。超低表面電荷、高性能濾過媒体の製造プロセス200を
図2Aに示し、
図2Bにおける製造プロセス300は、超低表面かつ高性能濾過媒体を精製して超低抽出金属濾過製品を生成するためのプロセスフロー図を示す。
図2Aのプロセス200から得られる製品/媒体は、抽出可能金属の影響を受けにくい液体の濾過において有利に採用され得るか、あるいは、
図2Bのプロセス300から医薬化学品および電子化学品の濾過に採用され得る超低表面電荷高性能濾過媒体の高純度製品/媒体シリーズを製造するための原料として、使用され得る。
【0041】
プロセス200から開始して、ブロック210は、遠心分離湿潤密度(CWD)試験の結果に基づいて適切な低密度珪藻土粗鉱を選択することを含む。適切な低遠心分離湿潤密度を有する珪藻土粗鉱を識別するために、粗鉱の代表サンプルを乾燥し、ハンマー粉砕して80メッシュサイズを通過させる。次に、粉砕された粉末から代表的なサンプルを採取し、遠心湿潤密度試験を実施して、CWDが0.256ml/g(16lb/ft3)を超えないという鉱石選択基準を満たすことを確認する。遠心分離湿潤密度試験を実施するための標準操作手順は、本開示の「超低表面電荷かつ高性能珪藻土濾過媒体の特性評価方法」の項で後述される。
【0042】
ブロック220では、ブロック210で識別された低密度粗鉱石を粉砕して、ハンマーミルと熱噴射を含むフラッシュ乾燥機への投入に適した鉱石サイズが、得られる。前記フラッシュ乾燥は、湿った鉱石の粉砕と加熱を同時に行うことで実行され、正味の効果は乾燥粉末を生成することである。過剰な粉砕を避け、フラッシュ乾燥ステップ中の鉱石の粒子完全性を維持するため、フラッシュ乾燥機は、インラインダブルコーン静的分級機を使用するように構成されている。この構成では、鉱石はフラッシュ乾燥操作の際に穏やかに粉砕され、粒度規格に合格しない粗い粒子は、前記インラインダブルコーン分級機の粗排出を通してミルに戻される。
【0043】
ブロック230において、得られた乾燥粉末を乾燥重鉱物不純廃棄物分離にかけ、空気分離器または空気分級器を用いて鉱石中の石英、チャート、砂、およびその他の重い異物が除去される。
【0044】
ブロック230に続いて、乾燥分離されたフィード材料は、細かく粉砕されたソーダ灰融剤と混合される。高密度のソーダ灰と軽い珪藻土粉末の効果的な混合は、インライン希薄相空気流動化によって行われる。得られたブレンド物をリボンブレンダーに排出し、約0.0重量%~約15重量%、例えば約1.0重量%~約15重量%、または約2.0重量%~約15重量%、または約3.0重量%~約15重量%、または約4.0重量%~約15重量%、例えば約5.0重量%~約15重量%の霧化された微細な霧状の水と混合して、珪藻土粒子の表面を濡らし、正味の効果は、より低く、緩い重量密度を有する湿った流動化キルンフィード材料である。焼成プロセス(ブロック240)の条件は、キルン排出物が所望の濾過媒体の目標透過率範囲内の透過率を有するように、選択される。前記キルンフィードは、約704℃~約1177℃(約1300°F~約2150°F)の範囲の温度で、約15分~約100分の範囲の時間にわたって焼成され得る。約400ミリダルシー~約20,000ミリダルシーの透過率を有する製品を生成するために使用される融剤(例えば、ソーダ灰)の量は、適切な焼成温度に応じて、一般に約6重量%~約12重量%の範囲である。融剤焼成プロセスは、フィードがキルンバーナーからの火炎と直接接触する直火式キルン内で、実行され得る。
【0045】
ブロック240からの冷却された製品は、ブロック250で段階的な粉砕と分離のアプローチを用いて処理される。所定のスクリーンサイズ開口部での微細粒子の分散と篩分けを同時に行うために、遠心篩が使用される。篩から排出された粗い粒子は、Quadro Comil粉砕装置に導入される。前記Quadro Comil粉砕装置には、所定のサイズの開口部にスクリーンが装備されている。
【0046】
ブロック260で得られる最終製品は、上記のような材料特性を有する超低表面電荷かつ高性能濾過媒体であり、これは篩分け製品とQuadro Comilからの粉砕製品との組み合わせである。
【0047】
次に
図2Bを参照すると、このフロー図は、本開示によって教示される超低表面電荷かつ高性能濾過媒体の精製製品グレード用の製造プロセス300を示している。この製品グレードは、例えば、低表面電荷濾過媒体も所望される場合など、医薬流体の濾過において重要であり得る低抽出性金属を提供する。
【0048】
ブロック310では、ブロック260(
図2A)の超低表面電荷かつ高性能濾過媒体を、プロセス300用のフィードとして利用する。製造プロセス300における湿式処理の後、精製製品の透過率がわずかに低下する可能性がある。
【0049】
ブロック320では、ブロック310の粉末製品は、ダイヤフラム粉末ポンプによって、既に水が入っている攪拌機付き混合タンクに移送される。混合タンクに添加される水および粉末の量は、ブロック330の後続の酸処理ステップのために、固形分約10重量~約15重量%のスラリーが調製されるような量である。製品の劣化を最小限に抑えるために、攪拌機はタンク内の固形物を懸濁させるのに十分な最小速度で運転される。
【0050】
ブロック320におけるスラリーは、ブロック330において、固形物劣化を最小限に抑える傾向のあるスラリーダイヤフラムポンプを使用して、ガラス反応器(または同様のもの)に圧送される。無機酸、例えば硫酸を反応器内のスラリーに添加し、約0.05M~約1.0Mの酸濃度を生じさせる。研磨浸出プロセスは、ガラス反応器内のスラリーを直接蒸気注入により加熱するか、あるいは反応器の蒸気ジャケットを通して内容物を加熱することにより、実行される。前記浸出操作の温度では、保持時間が約20分~約100分であり得、前記温度は、周囲圧力下で約90℃~約100℃の範囲であり得る。
【0051】
ブロック330における浸出スラリーは、ブロック340において圧力フィルターを用いて脱水される。圧力フィルター中で得られた濾過ケークは、乾燥製品の約10重量%スラリーの導電率が約20μS/cm未満になるように、脱イオン水で十分に洗浄される。
【0052】
ブロック350において、濾過ケークは脱塊および乾燥を受け、ブロック360において、本開示の最終的な精製された超低表面電荷かつ高性能珪藻土濾過媒体を得るために、粉末に分散される。珪藻粒子の完全性を維持し、乾燥製品の遠心分離湿潤密度を保持するために、ケークの乾燥は、静的乾燥機、典型的にはトレイ乾燥機で行われてもよく、乾燥ケークは、遠心篩を使用して分散され得る。あるいは、製品の劣化を最小限に抑えた乾燥製品を得るために、フラッシュ乾燥システムが使用され得る。
【0053】
超低表面電荷かつ高性能珪藻土濾過媒体の特性評価方法
-表面電荷測定-ゼータ電位(記号ζ)
すべての材料は、水のような極性媒体と接触させると自発的に表面電荷を帯び、材料界面は負または正に帯電し得る。珪藻土(Si-OH)などのすべての金属酸化物表面(M-OH)で一般的に観察される帯電メカニズムは、表面基のイオン化に関連している。この帯電メカニズムは、カルボン酸およびアミン型の官能基を有する材料にも見られる。後者のカテゴリーには、タンパク質、イオン性ポリマー、および高分子電解質などが含まれ、これらの多くは医薬製剤に広く利用されている。これらの基のイオン化および/または解離は、それらが分散している溶液のpHに強く依存する。
【0054】
ゼータ電位は、流体中に懸濁したときにすべての材料が有する、または獲得する表面電荷に関連する物理的特性パラメータであり、粒子表面との相互作用を予測するために使用され得る。ゼータ電位は、分散媒体と、分散粒子に付着した流体の固定層との間の電位差であり、表面電荷の大きさを定量化するために広く使用されている。
【0055】
ゼータ電位測定は、ZetaCADストリーミング電位システムを用いて行った。合計12cm3の試料を、粒子がチャンバーから出ないようにメッシュで両端をキャップしたPVCチューブに、詰める。HClまたはKOHを使用してpHを異なるpHポイントに調整した電解液(5mM KCl、0.1mM KCO3)を、Helmholtz-Smoluchowski式を使用してストリーミングゼータ電位を計算するために、圧力を増加させる条件でサンプルカラムに通過させる。各サンプルに対して3つの異なる条件を使用した。
-条件1:圧力:98mBar~490mBar、98mBar刻み、30秒ステップ
-条件2:圧力:98mBar~490mBar、98mBar刻み、60秒ステップ
-条件3:圧力:196mBar~588mBar、98mBar刻み、30秒ステップ。
これら3つの条件は、測定値の再現性を評価するものであるが、真の反復測定ではない。
【0056】
乾燥粉末を静かにセルに詰め、脱イオン水を加えて粉末を湿ったペースト状にした。さらに乾燥粉末を加え、脱イオン水を加え、湿った粉末ペーストでセルが完全に満たされるまで、これを繰り返した。測定中、セルを垂直状態に保った。
【0057】
-透過率
濾過ケーク(珪藻土濾過製品/濾過媒体を含む)の透過率は、標準条件下での標準量の濾過製品/濾過媒体を通過する標準液体の流量の尺度である。珪藻土を含む濾過ケークを使用した濾過は、工業プロセスにおける流体からの粒子状固体の除去に適用され、媒体の透過率は、特に媒体を通る液体の流量を測定するために使用されるが、媒体の透過率はまた、媒体の粒子サイズ排除能力と相関することが多い。言い換えると、一般に透過率の高い媒体は濾過ケークを通過する流量は多いが、粒子径排除能力は低い(透過率の高い媒体は、粗い透過率媒体が除去するほど微細粒子を除去できない)。
【0058】
本明細書に記載した濾過ケーク試料の透過率測定は、米国特許第5,878,374号に開示されているCelatom Permeameter法を用いて行った。Celatom Permeameterは、質量が既知の珪藻土試料から「濾過ケーク」を形成し、透過率および湿潤嵩密度の計算に必要なすべての必要パラメータを測定する自動装置である。測定には、流体媒体として水道水を使用する。湿潤嵩密度(ρ)(単位:g/ml)および透過率(β)(単位:ミリダルシー)の計算式を以下に示す。
【数1】
式中、
A=ケークの断面積(cm
2)
ΔP=ケークにわたる圧力降下(atm)
t=流れの時間(s)
m=乾燥試料質量(g)
η=濾液粘度(cp)
V=濾液の体積(ml)
h=ケークの高さ(cm)
【0059】
-バルク化学組成
珪藻土には主に珪藻の骨格残骸が含まれており、シリカを主成分とし、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、アルミニウム、鉄などの不純物をわずかに含む。様々な元素の割合は、珪藻土堆積物の供給源によって異なり得る。珪藻土に含まれる生物起源シリカは、水和した非晶質シリカ鉱物の形態であり、一般的に、さまざまな量の水和水を有するオパールの一種であると考えられている。珪藻土に含まれるその他のマイナーなシリカ源は、細かく分散した石英、チャート、および砂に由来し得る。しかし、これらのマイナーなシリカ源は、生物起源の珪藻シリカ種の複雑な多孔質構造を有していない。
【0060】
珪藻土の鉱石と製品のバルク化学組成は、材料の品質を決定し、一般的に、濾過助剤製品の抽出可能金属特性に影響を与える。XRF(蛍光X線)分光法は、珪藻土材料のバルク化学組成を決定するために選択される分析方法として広く受け入れられており、材料の元素組成を決定するために使用される非破壊分析技術である。XRF分析装置は、特定の元素に固有の一連の特徴的な蛍光X線を生成することによって試料の化学組成を決定する。このことが、XRF分光法が材料組成の定性および定量分析に優れた技術である理由である。本明細書で報告する珪藻土材料のバルク化学試験では、乾燥粉末試料5gとX線混合粉末結合剤1gをSpex(登録商標)ミルで微粉砕し、ペレット状にプレスする。バルクの化学組成を測定するために、このペレットを、事前に珪藻土の基準平均値で校正された自動波長分散型(WD)XRF装置に装填する。シリカ構造内の水和の自然損失に対応するために、全ての実施例の全鉱物含有量は、それぞれの高酸化物について、強熱減量(LOI)または強熱ベースで報告されている。本明細書で使用する「強熱ベース」とは、シリカ構造内の水和水の影響を受けずに測定した鉱物酸化物含有量を意味する。超低表面電荷かつ高性能珪藻土濾過媒体ならびに他の競合材料の化学組成の結果は、本開示の様々な項に示されている。
【0061】
-遠心分離湿潤密度
天然珪藻土鉱石または製品の湿潤密度は、濾過プロセスの間に粒子状物質を捕捉するために利用可能な空隙容積の尺度である。湿潤密度は、しばしば珪藻土濾過媒体の単位消費量と相関関係がある。言い換えれば、低い遠心分離湿潤密度を有する珪藻土濾過媒体は、しばしば、濾過操作において低い珪藻土製品の単位消費量を提供する。
【0062】
珪藻土濾過媒体製品の湿潤密度を特徴付けるために、いくつかの方法が使用されている。本開示で使用する方法は、透過率試験法に記載されている遠心湿潤密度(CWD)および/または湿潤嵩密度(WBD)である。このCWD試験法は、米国特許第6,464,770号;米国特許第5,656,568号;および米国特許第6,653,255号などの特許先行技術において頻繁に使用されている。この試験法では、まず10mlの脱イオン水を15mlの目盛り付き遠心分離ガラス管に加え、1gの乾燥粉末試料を管に装填する。ボルテックス・ジェニー2シェーカーで試料を完全に水に分散させる。その後、数ミリリットルの脱イオン水を使用してチューブの側面をすすぎ、すべての粒子が懸濁状態にあることを確実なものとし、内容物を15ミリリットルのマークに合わせる。その後、Model 221スイングローターを装備したIEC Centra(登録商標)MP-4R遠心機(International Equipment Company;米国マサチューセッツ州ニーダムハイツ)遠心分離後、固形物を乱すことなくチューブを注意深く取り出し、cm3単位で測定した目盛りを読み取ることで、沈殿物のレベル(体積)を記録することができる。粉末の遠心湿潤密度は、試料の質量を測定した体積で割ることによって計算することができる。遠心湿潤密度は、試料の重量を体積で割った値(g/ml)で決定される。変換係数62.428を適用して、lb/ft3単位の遠心湿潤密度を得る。
【0063】
-抽出可能金属
鉄(Fe)、鉛(Pb)、およびヒ素(As)含有量の濾液試料溶液の分析は、誘導結合プラズマ(ICP)分光光度計または黒鉛炉原子吸光(GFAA)を用いて行った。ICPかGFAAかの選択は、測定する元素の検出限界(LD)に基づいている。今回の分析に使用したICP装置は、原子発光分析(AES)タイプである。これは、炎から特定の波長で放出される光の強度を利用して、試料中の元素量を測定するものである。原子スペクトル線の波長は元素の識別を示し、放射される光の強度が元素の原子数に比例する。分析試料は、噴霧された溶液として炎中に導入される。炎からの熱により溶媒が蒸発し、化学結合が切断されて自由原子が生成される。該熱エネルギーはまた、原子を励起し、その後原子は光を発する。各元素は固有波長で光を発し、その光は回折格子またはプリズムによって分散され、分光計で検出される。
【0064】
電熱原子化(ETA)としても知られるGFAAは、原子吸光測定の感度および検出限界を向上させるための技術である。この試験では、試料溶液の少量の濾液が、中空のグラファイトチューブ内に入れられる。これが、温度プログラムで抵抗加熱され、不純物が焼き払われ、分析物が原子化され自由金属蒸気のプルームを形成し、最後に、チューブがきれいにされる。自由原子は、対象となる元素に特徴的な周波数または波長で光を吸収する(従って、名称が原子吸光分析である)。ある範囲内であれば、吸収される光の量は、存在する分析物の濃度と直線的に相関し得る。
【0065】
精製珪質土、特に本開示に例示されるように焼成後にさらに精製される珪藻土製品中の酸可溶性鉄、鉛およびヒ素の量を測定するための信頼性の高い試験方法が、確立されている。酸可溶性鉄の分析にはICP分光光度計が用いられ、酸可溶性鉛およびヒ素の定量にはGFAA分光法が用いられた。
【0066】
酸可溶性鉄試験では、250mlのフラスコに入れた0.1N塩酸(HCl)50mlに珪藻土製品試料2.0gを加え、可溶性鉄の抽出を行った。フラスコの内容物を10分ごとに5秒間、合計1時間撹拌した。この溶液をWhatman #1濾紙で濾過し、濾液の一部をICP-OES装置で分析するために15ml試験管に集めた。鉄の濃度は以下のように計算される:
可溶性鉄(ppm)=ICP測定値(ppm)×25 希釈
【0067】
珪藻土製品に含まれる鉛やヒ素などの重金属の酸可溶性分析は、米国薬局方(USP)および国民医薬品集(NF)により設定および発行されている「USP40-NF35 Monograph on Purified Siliceous Earth,USP38-NF 33<233>(Elemental Impurities)」に従って行われる。抽出ステップでは、10.0gの珪藻土濾過製品を250mLフラスコ中の0.5N塩酸50mLに加えた。フラスコを時計皿で覆い、70℃の湯浴中に15分間置いた。フラスコの内容物をWhatman #1濾紙で濾過し、濾液を100mLメスフラスコに集めた。濾紙上の固体を70℃に予熱した10mLの脱イオン水3容量で洗浄した。脱イオン水を用いて、濾液の全量を100mLの溶液とした。
【0068】
GFAAを用いた鉛またはヒ素の分析では、鉛とヒ素の標準物質一式を調製し、分光計の校正に使用した。次に、試料濾液の10mL分を分析して、溶液中の抽出可能な金属の濃度を決定した。溶液中のPbまたはAsの濃度は次のように計算された:
可溶性金属(ppm)=(GFAAからの金属(ppm))×希釈係数×40。
【0069】
例示的実施例
次に、本開示を以下の非限定的な実施例によって説明する。添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正が以下の実施例およびプロセスに適用され得ることに留意されたい。従って、以下の実施例は例示のみとして解釈されるべきであり、いかなる意味においても限定的なものではないことに留意されたい。
【0070】
本開示の超低表面電荷・高性能生物起源濾過媒体の様々な製品例を以下に示し、600ミリダルシー~20,000ミリダルシーの透過率をカバーする製品を示す。これらの例は例示のために記載されており、限定するものではない。
【0071】
超低表面電荷かつ高性能珪藻土濾過媒体(非酸洗浄グレード)の調製方法
鉱山から採取した乾燥粗鉱石をハンマーミルで粉砕して80メッシュサイズを通過させ、遠心分離湿潤密度試験を実施して、密度が0.256g/ml(16.0lb/ft
3)未満であることを確認し、プロセス用フィードの調製に使用した。遠心分離湿潤密度試験を実施するための標準操作手順は、本開示の「超低表面電荷かつ高性能珪藻土濾過媒体の特性評価方法」の項で上述されている。本開示の超高性能製品/媒体(非酸洗浄バージョン)の調製に使用したフィード材料の遠心分離湿潤密度は、0.224g/ml(14.0lb/ft
3)であった。次いで、粉砕した材料を、機械的空気分離器を用いて分級し、遊離した低密度珪藻土粒子から石英、チャート、および砂などの重質鉱物不純物を分離した。分離機からの製品を、流動化シェーカーを使用して細かく粉砕されたソーダ灰と十分にブレンドし、次いで霧状水噴霧で水分を添加し、これにより、その後の焼成プロセスでのフィードのゆるい重量密度を効果的に減少させた。材料をマッフル炉で所定の温度で焼成し、製品を室温まで冷却した。最終的な濾過媒体は、対象製品の透過率に応じて2つの方法で作成された。非常に高い透過率の濾過媒体(>5000ミリダルシー)の場合、冷却した製品をまず、大きな凝集体の分散を助けるためにアルミナセラミック媒体を使用して、50メッシュのタイラー篩で篩った。次いで、35メッシュの篩を備えたQuadro Comil粉砕装置を使用して、スクリーンオーバーサイズ材料を分散させた。次いで、篩い分けされた粒分と粉砕された粒分との両方を合わせて、最終的な濾過媒体製品を得た。低透過率濾過媒体(5000ミリダルシー未満)の場合、冷却した製品をQuadro Comil粉砕装置に投入して最終製品を得た。様々な濾過媒体の焼成のためのプロセス条件を、以下の表6に示す。
【表6】
【0072】
-実施例1
珪藻土フィード材料に8.0~12.0重量%のソーダ灰を配合し、999℃で焼成して超低表面電荷かつ高性能の濾過媒体を得た例示的な製品の特性を、以下の表7に示す。製品の表面電荷を測定するゼータ電位は、3つの製品例全てで非常に低い。理想的な低表面電荷濾過媒体はゼロmVであり、表7の製品の表面電荷は、酸化ナトリウム融剤の量が4.7重量%から7重量%に増加するにつれて、pH3~8の範囲でゼロ電位に近づく。これらの超低表面電荷製品についてのシリカに対する酸化ナトリウムの化学量論比は、5.1%~7.8%である。多量の融剤と焼成フィード材料への水の添加により、極めて高い透過率と極めて低い遠心分離湿潤密度が実現される。pH3~8の範囲で-6.4~-1.0mVという極めて低いゼータ電位、最大20,000mDという非常に高い透過率、および非常に低い濾過助剤密度の組み合わせにより、現在市販されている珪藻土濾過媒体製品や先行技術と比較して独特な濾過媒体が得られる。
【表7】
【0073】
-実施例2
以下の表8は、8.0%、10%および12.0%のソーダ灰を用い、943℃の焼成温度で調製された、5,000~9,700ミリダルシーの範囲の透過率を有する、超低表面電荷かつ高性能珪藻土濾材(酸洗浄されていない)の3つの例の特性を示す。従来の市販の珪藻土製品とは異なり、本開示の濾過製品は、はるかに高い酸化ナトリウム濃度を有する。熱焼成プロセスにおいてNa
2OとSiO
2とが反応してケイ酸ナトリウムを形成することにより、シリカ粒子表面の電荷が抑制され、珪藻土粒子のゼータ電位をゼロに近づけるのに役立つと思われる。これらの製品の高い透過率は、非常に低い遠心分離湿潤密度を伴っており、先行技術のどの製品よりも、またこの製品カテゴリーのどの市販製品よりも低い。
【表8】
【0074】
-実施例3
Na
2OとSiO
2を871℃の焼成温度で熱反応させた3つの例示的な生成物の物理的特性および化学的特性を、以下の表9に示す。これらすべての例において、表面電荷が同じのままであるにもかかわらず、このはるかに低い焼成温度での製品の透過率は低下している。表面電荷は常に、濾過媒体中に存在するNa
2Oの量に比例する。
【表9】
【0075】
-実施例4
本開示の3つの例示的な濾過媒体の物理的特性および化学的特性を、後続の焼成プロセスのためのフィード調製において8.0重量%、10重量%および12.0重量%のソーダ灰を使用して、以下の表10に示す。
【表10】
【0076】
実証されているように、酸化ナトリウム含量が非常に高いにもかかわらず、製品の透過率は非常に低く保たれた。417ミリダルシー~3,203ミリダルシーの透過率の範囲は、ソーダ灰のドライブレンドを採用し、通常Na2OとSiO2との反応を触媒して高い透過率を発生させる水の添加ステップを省くことによって生じた。表面電荷は、先行技術および他の市販の濾過媒体の製品と比較して、製品密度が非常に低く、低透過率でも高透過率でも非常に低いままであった。
【0077】
超低表面電荷かつ高性能珪藻土濾過媒体(酸洗浄グレード)の調製方法
本開示の超低表面電荷かつ高性能珪藻土濾過媒体の酸洗浄グレードの例は、出発フィード材料として非酸洗浄グレードの超低表面電荷濾過媒体を用いて、調製した。フィード材料のスラリーを調製し、ガラス反応器中で、以下の表11に示すプロセス条件下で硫酸を用いて浸出させた。
【表11】
【0078】
フィード材料は、必要に応じて高温および高圧で浸出させることもできる。浸出装置の操作の最後に、スラリーを圧力フィルターで脱水し、得られたケークをフィルター内の脱イオン水で十分に洗浄し、乾燥濾過ケークの10重量%スラリーの導電率が20μS/cm未満になるようにした。このケークを乾燥および分散させて、元の珪藻土濾材の表面電荷特性を変えることなく、高純度の濾過媒体を得た。
【0079】
-実施例5
以下の表12は、酸精製後の例示的な超低表面電荷かつ高性能珪藻土濾過媒体の特性を示す。これらの例示的な製品は、媒体の酸化ナトリウム含量が7.0重量%まで増加すると、pH3およびpH8の範囲において、ゼータ電位がわずか-1.2mVおよび-2.5mVの範囲にある非常に低い表面電荷を特徴とする。媒体中の抽出可能な重金属である鉛とヒ素の濃度は1ppm未満で、分析の検出限界を下回る。抽出可能な鉄の含有量も極めて少ない。これらの製品は、7,100~4,600mDの透過率範囲をカバーし、従来技術の同種の製品と比較して、遠心分離湿潤密度が非常に低い。
【表12】
【0080】
-実施例6
3000~6000ミリダルシーの範囲の透過率を有する例示的な超低表面電荷濾過媒体の特性を、以下の表13に示す。これらの例示的な超低表面電荷濾過媒体は、遠心分離湿潤密度が非常に低く、これにより高い濾過性能が得られる。導電率は10μS/cm未満であり、抽出可能な金属含有量はこれらの製品のすべてにおいて非常に低い。これらの製品の表面電荷の範囲は、酸化ナトリウムとシリカの化学量論比によって決まり、この比が高くなるにつれてゼータ電位は低くなる。
【表13】
【0081】
-実施例7
450ミリダルシー~2500ミリダルシーの透過率範囲における、例示的な精製された超低表面電荷の高性能珪藻土濾過媒体の特性を、以下の表14に示す。これらの例示的な製品は、非常に低い導電率、低抽出金属、および超低表面電荷を示す。
【表14】
【0082】
このように、本開示は、非常に低い表面電荷、単位質量当たりの非常に低い抽出可能不純物、非常に低い遠心分離湿潤密度、および密度に対する非常に高い流動速度の独自の組み合わせを有する、超低表面電荷、高性能珪藻土濾過媒体の実施形態を提供した。この生体濾過媒体の遠心分離湿潤密度は非常に低いため、濾過される流体の単位あたりの消費される質量という観点から、単位消費量が大幅に減少する。単位消費量の低減と超低表面電荷の組み合わせは、不要なPKA汚染を生成するために流体と接触する全体的な荷電粒子を最小化する複合効果を提供することにより、血漿分画プロセスにおいて有益であり得る。正味の効果は、血漿生成物のPKA含有量を所望レベル以下に維持し、PKAレベルを規制限界未満に低減するための二次クロマトグラフィープロセスの必要性を排除するために必要な性能を提供する珪藻土濾過媒体である。
【0083】
前述の詳細な説明では、少なくとも1つの例示的な実施形態を示したが、膨大な数の変形例が存在することを理解されたい。また、例示的な実施形態は例示に過ぎず、本発明の範囲、適用性、または構成を何ら限定することを意図するものではないことを理解されたい。むしろ、前述の詳細な説明は、本発明の組成物および方法の例示的な実施形態を実施するための便利なロードマップを当業者に提供であろう。添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に記載された要素の機能および配置において様々な変更がなされ得ることが理解される。
【国際調査報告】