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特表2024-502130チロシンキナーゼ非受容体1(TNK1)阻害剤の形態及び製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】チロシンキナーゼ非受容体1(TNK1)阻害剤の形態及び製剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20240110BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240110BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240110BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240110BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240110BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240110BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20240110BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240110BHJP
   A61K 31/69 20060101ALI20240110BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61K31/506
A61K45/00
A61K47/38
A61K47/14
A61K47/26
A61K9/48
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P1/00
A61P29/00
A61P43/00 105
A61P31/04
A61P37/06
A61P1/18
A61P17/02
A61P13/08
A61P7/00
A61P35/02
A61P19/00
A61P11/00
A61P9/00
A61P37/08
A61P1/16
A61P25/00
A61P17/06
A61P19/02
A61P19/06
A61P21/00
A61P29/00 101
A61P3/10
A61P5/14
A61P1/04
A61K31/69
A61P43/00 121
A61K39/395 U
A61K39/395 T
A61K39/395 G
A61K39/395 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541076
(86)(22)【出願日】2022-01-04
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 US2022070007
(87)【国際公開番号】W WO2022150801
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】63/133,983
(32)【優先日】2021-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】510055334
【氏名又は名称】スミトモ ファーマ オンコロジー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】ウィルコックス,ミカ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】フォークス,ジェイソン エム
(72)【発明者】
【氏名】ワーナー,スティーブン エル
【テーマコード(参考)】
4C063
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB09
4C063CC29
4C063DD12
4C063EE01
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC09
4C076CC11
4C076CC14
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC19
4C076CC21
4C076CC26
4C076CC27
4C076CC30
4C076CC32
4C076CC43
4C076CC46
4C076DD47
4C076DD67
4C076EE31
4C076EE32
4C076FF63
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA05
4C084MA37
4C084MA52
4C084NA03
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA31
4C084ZA36
4C084ZA51
4C084ZA59
4C084ZA66
4C084ZA75
4C084ZA81
4C084ZA89
4C084ZA94
4C084ZA96
4C084ZB08
4C084ZB11
4C084ZB13
4C084ZB15
4C084ZB21
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZB35
4C084ZC02
4C084ZC06
4C084ZC31
4C084ZC35
4C084ZC75
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC42
4C086DA43
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA12
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086ZA02
4C086ZA31
4C086ZA36
4C086ZA51
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZB35
4C086ZC02
4C086ZC06
4C086ZC31
4C086ZC35
4C086ZC75
(57)【要約】
組成物、例えば、以下の構造式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のいずれかの水和物の固体形態、医薬組成物、医薬組合せ、及び単位剤形が本明細書に提供される。本明細書に記載される組成物は、チロシンキナーゼ非受容体1(TNK1)媒介性疾患、障害、及び/又は病態を治療するために使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式:
【化1】
の化合物のメシル酸塩又はその水和物の固体形態。
【請求項2】
以下の構造式:
【化2】
の化合物のメシル酸塩又はその水和物の結晶形態。
【請求項3】
A型を含む、請求項2に記載の形態。
【請求項4】
A型からなる、請求項2に記載の形態。
【請求項5】
実質的に純粋である、請求項1~4のいずれか一項に記載の形態。
【請求項6】
7.5±0.2°、8.8±0.2°、18.7±0.2°、20.2±0.2°、及び25.2±0.2°からなる群から選択される2θ角での少なくとも3つのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の形態。
【請求項7】
7.5±0.2°、8.8±0.2°、18.7±0.2°、20.2±0.2°、及び25.2±0.2°からなる群から選択される2θ角での少なくとも4つのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項6に記載の形態。
【請求項8】
以下の2θ角:7.5±0.2°、8.8±0.2°、18.7±0.2°、及び20.2±0.2°でのピークを含むX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項7に記載の形態。
【請求項9】
以下の2θ角:16.9±0.2°でのピークをさらに含むX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の形態。
【請求項10】
以下の2θ角:12.4±0.2°でのピークをさらに含むX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項6~9のいずれか一項に記載の形態。
【請求項11】
以下の2θ角:20.6±0.2°でのピークをさらに含むX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項6~10のいずれか一項に記載の形態。
【請求項12】
以下の2θ角:15.2±0.2°でのピークをさらに含むX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項6~11のいずれか一項に記載の形態。
【請求項13】
図1に描写されるものと実質的に一致するX線粉末回折パターンを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の形態。
【請求項14】
密閉された容器中で、6か月間約25℃及び約60%相対湿度での保存の後で、前記X線粉末回折パターンが図1に描写されるものと実質的に一致する、請求項13に記載の形態。
【請求項15】
前記X線粉末回折パターンが、1.5406ÅのX線波長を使用してX線粉末回折により測定される通りである、請求項6~14のいずれか一項に記載の形態。
【請求項16】
266℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の形態。
【請求項17】
67℃の熱的シグナルを含む示差走査熱量測定サーモグラムを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の形態。
【請求項18】
図2に描写されるものと実質的に一致する示差走査熱量測定サーモグラムを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の形態。
【請求項19】
前記示差走査熱量測定サーモグラムが、25℃~300℃の範囲にわたり10℃/分の走査速度を使用して示差走査熱量測定により測定される通りである、請求項16、17、又は18のいずれか一項に記載の形態。
【請求項20】
262℃の融解温度を特徴とする、請求項1~19のいずれか一項に記載の形態。
【請求項21】
約25℃~約100℃の範囲にわたり約1.4%重量減少を有する熱重量分析熱曲線を特徴とする、請求項1~20のいずれか一項に記載の形態。
【請求項22】
図2に示されるものと実質的に一致する熱重量分析熱曲線を特徴とする、請求項1~21のいずれか一項に記載の形態。
【請求項23】
前記熱重量分析熱曲線が、10℃/分の加熱速度を使用して測定される通りである、請求項21又は22に記載の形態。
【請求項24】
前記メシル酸塩が構造式Iの化合物のメシル酸塩である、請求項1~23のいずれか一項に記載の形態。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項の形態及び薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項26】
請求項1~24のいずれか一項に記載の形態及び1種以上の追加の治療剤を含む医薬組合せ。
【請求項27】
以下の構造式:
【化3】
の化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物;及び
ケイ酸処理微結晶性セルロース;又は
クロスカルメロースナトリウム;又は
フマル酸ステアリルナトリウム
を含む医薬組成物。
【請求項28】
前記構造式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物;ケイ酸処理微結晶性セルロース;クロスカルメロースナトリウム;及びフマル酸ステアリルナトリウムを含む、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
遊離塩基としての前記構造式Iの化合物の分子量に基づいて、約5重量%~約50重量%の構造式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物を含む、請求項27又は28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
遊離塩基としての前記構造式Iの化合物の分子量に基づいて、約35重量%の構造式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物を含む、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記構造式(I)の化合物が請求項1~24のいずれか一項に記載の形態である、請求項27~30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
約25重量%~約50重量%のケイ酸処理微結晶性セルロースを含む、請求項27~31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
約30重量%のケイ酸処理微結晶性セルロースを含む、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記ケイ酸処理微結晶性セルロースが、約125μmのレーザー回折による平均粒径を有する、請求項27~33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記ケイ酸処理微結晶性セルロースが、約0.25~約0.37g/mLの嵩密度を有する、請求項27~34のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
約1重量%~約10重量%のクロスカルメロースナトリウムを含む、請求項27~35のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
約5重量%のクロスカルメロースナトリウムを含む、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
約0.1重量%~約5重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む、請求項27~37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
約0.5重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
マンニトール又はその薬学的に許容できる塩をさらに含む、請求項27~39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
約25重量%~約50重量%のマンニトール又はその薬学的に許容できる塩を含む、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
約30重量%のマンニトール又はその薬学的に許容できる塩を含む、請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記マンニトール又はその薬学的に許容できる塩がD-マンニトールである、請求項40~42のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記マンニトール又はその薬学的に許容できる塩が、約40μmのd10、約130μmのd50、及び約200μmのd90を有する、請求項40~43のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項45】
経口投与用に製剤される、請求項25及び27~44のいずれか一項に記載の医薬組成物又は請求項26に記載の医薬組合せ。
【請求項46】
密閉された容器中で、約40℃及び約75%相対湿度で4週間後、カールフィッシャー滴定により測定されて3重量%未満の水を含む、請求項25及び27~45のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項47】
密閉された容器中で、約40℃及び約75%相対湿度で4週間後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定されて少なくとも95%の純度を有する、請求項25及び27~46のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項48】
密閉された容器中で、約40℃及び約75%相対湿度で4週間後、HPLCにより測定されて1%未満の総不純物を含む、請求項25及び27~47のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項49】
密閉された容器中で、約40℃及び約75%相対湿度で4週間後、HPLCにより測定されて0.75%未満の総不純物を含む、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項50】
請求項25及び27~49のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む単位剤形。
【請求項51】
遊離塩基としての前記構造式Iの化合物の分子量に基づいて、約5mg~約250mgの前記構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物を含む、請求項50に記載の単位剤形。
【請求項52】
遊離塩基としての前記構造式Iの化合物の分子量に基づいて、約50mgの前記構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物を含む、請求項50に記載の単位剤形。
【請求項53】
遊離塩基としての前記構造式Iの化合物の分子量に基づいて、約100mgの前記構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物を含む、請求項50に記載の単位剤形。
【請求項54】
遊離塩基としての前記構造式Iの化合物の分子量に基づいて、約200mgの前記構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物を含む、請求項50に記載の単位剤形。
【請求項55】
経口投与用に製剤される、請求項50~54のいずれか一項に記載の単位剤形。
【請求項56】
カプセルの形態の、請求項50~55のいずれか一項に記載の単位剤形。
【請求項57】
それを必要とする対象におけるTNK1媒介性疾患、障害、又は病態を治療する方法であって、前記対象に、治療上有効な量の請求項1~24のいずれか一項に記載の形態、請求項25及び27~49のいずれか一項に記載の医薬組成物、請求項26に記載の医薬組合せ、又は請求項50~56のいずれか一項に記載の単位剤形を投与することを含む方法。
【請求項58】
前記TNK1媒介性疾患、障害、又は病態が、癌、消化器疾患、炎症性疾患、組織損傷、MODS、敗血症、自己免疫疾患、マイクロバイオームの疾患、障害、若しくは病態、又は外傷若しくは腸管損傷から生じる疾患、障害、若しくは病態である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
それを必要とする対象における癌を治療する方法であって、前記対象に、治療上有効な量の請求項1~24のいずれか一項に記載の形態、請求項25及び27~49のいずれか一項に記載の医薬組成物、請求項26に記載の医薬組合せ、又は請求項50~56のいずれか一項に記載の単位剤形を投与することを含む方法。
【請求項60】
前記癌が固形腫瘍を含む、請求項58又は59に記載の方法。
【請求項61】
前記癌が膵臓癌である、請求項58~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記癌が前立腺癌である、請求項58~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記癌が血液系癌である、請求項58又は59に記載の方法。
【請求項64】
前記癌が急性白血病である、請求項58、59、又は63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記急性白血病が、急性骨髄性白血病又は急性リンパ球性白血病である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記癌が慢性白血病である、請求項58、59、又は63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記慢性白血病が、慢性骨髄性白血病又は慢性リンパ球性白血病である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記癌がリンパ腫を含む、請求項58、59、又は63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記癌がホジキンリンパ腫である、請求項58、59、63、又は68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記癌が非ホジキンリンパ腫である、請求項58、59、63、又は68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記癌が多発性骨髄腫である、請求項58、59、又は63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記癌がTNK1変異と関連する、請求項58~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記癌がホジキンリンパ腫である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記癌が結腸直腸癌である、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記癌が肺癌である、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
前記肺癌が非小細胞肺癌である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
TNK1変異を保有する対象におけるTNK1媒介性疾患、障害、又は病態を治療する方法であって、
前記対象がTNK1変異を保有するかどうかを決定すること;並びに
前記対象がTNK1変異を保有することが決定された場合、前記対象に、治療上有効な量の請求項1~24のいずれか一項に記載の形態、請求項25及び27~49のいずれか一項に記載の医薬組成物、請求項26に記載の医薬組合せ、又は請求項50~56のいずれか一項に記載の単位剤形を投与すること
を含む方法。
【請求項78】
前記TNK1変異がC末端短縮型変異である、請求項72~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記TNK1媒介性疾患、障害、又は病態が、結腸直腸癌、ホジキンリンパ腫、又は肺癌から選択される癌である、請求項77又は78に記載の方法。
【請求項80】
それを必要とする対象において、炎症性疾患を治療するか又は炎症を減少させる方法であって、前記対象に、治療上有効な量の以下の構造式:
【化4】
の化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物、請求項1~24のいずれか一項に記載の形態、請求項25及び27~49のいずれか一項に記載の医薬組成物、請求項26に記載の医薬組合せ、又は請求項50~56のいずれか一項に記載の単位剤形を投与することを含む方法。
【請求項81】
それを必要とする対象における組織損傷を治療する方法であって、
前記対象に、治療上有効な量の以下の構造式:
【化5】
の化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物、請求項1~24のいずれか一項に記載の形態、請求項25及び27~49のいずれか一項に記載の医薬組成物、請求項26に記載の医薬組合せ、又は請求項50~56のいずれか一項に記載の単位剤形を投与することを含む方法。
【請求項82】
それを必要とする対象における腸のバリア機能を改善する方法であって、前記対象に、治療上有効な量の請求項1~24のいずれか一項に記載の形態、請求項25及び27~49のいずれか一項に記載の医薬組成物、請求項26に記載の医薬組合せ、又は請求項50~56のいずれか一項に記載の単位剤形を投与することを含む方法。
【請求項83】
腸のバリア機能の改善から利益を得るだろう対象における疾患、障害、又は病態を治療する方法であって、前記対象に、治療上有効な量の請求項1~24のいずれか一項に記載の形態、請求項25及び27~49のいずれか一項に記載の医薬組成物、請求項26に記載の医薬組合せ、又は請求項50~56のいずれか一項に記載の単位剤形を投与することを含む方法。
【請求項84】
前記疾患、障害、又は病態が、癌、消化器疾患、炎症性疾患、組織損傷、多臓器機能不全症候群(MODS)、敗血症、自己免疫疾患、マイクロバイオームの疾患、障害、若しくは病態、又は外傷若しくは腸管損傷から生じる疾患、障害、若しくは病態である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記消化器疾患が、多発性腸腫瘍、虚血/再潅流障害、大腸炎、感染性下痢、セリアック病、又は炎症性腸疾患(IBD)である、請求項58又は84に記載の方法。
【請求項86】
前記炎症性疾患が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー、心血管疾患、肝炎、喘息、全身性炎症反応症候群(SIRS)、多発性硬化症、グッドパスチャー症候群、乾癬、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、痛風、関節炎、筋炎、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、又は血管炎である、請求項58、80、84、又は85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記組織損傷が、外傷、出血性ショック、又は物理的、化学的、若しくは多発外傷により誘発される、請求項58、81、及び84~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記自己免疫疾患が、線維症、関節リウマチ、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、グレーブス病、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、IBD、多発筋炎、皮膚筋炎、炎症性筋炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、乾癬、血管炎、シェーグレン病、又は移植片拒絶である、請求項58及び84~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
それを必要とする対象における脾腫大を治療する方法であって、前記対象に、治療上有効な量の請求項1~24のいずれか一項に記載の形態、請求項25及び27~49のいずれか一項に記載の医薬組成物、請求項26に記載の医薬組合せ、又は請求項50~56のいずれか一項に記載の単位剤形を投与することを含む方法。
【請求項90】
前記対象に、1種以上の追加の治療剤を投与することをさらに含む、請求項57~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記対象に、1種以上の標準治療剤を投与することを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記対象に、プロテアソーム阻害剤を投与することを含む、請求項90又は91に記載の方法。
【請求項93】
前記プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブ、N-5-ベンジルオキシカルボニル-Ile-Glu(O-tert-ブチル)-Ala-ロイシナール、カーフィルゾミブ、イキサゾミブ、マリゾミブ(NPI-0052)、デランゾミブ(CEP-18770)、若しくはO-メチル-N-[(2-メチル-5-チアゾリル)カルボニル]-L-セリル-O-メチル-N-[(1S)-2-[(2R)-2-メチル-2-オキシラニル]-2-オキソ-1-(フェニルメチル)エチル]-L-セリンアミド(ONX-0912)、又はそれらの薬学的に許容できる塩から選択される、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記プロテアソーム阻害剤が、ボルテゾミブ又はその薬学的に許容できる塩である、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記疾患、障害、又は病態が多発性骨髄腫である、請求項90~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記対象に、免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含む、請求項90~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、又はCTLA-4阻害剤である、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
細胞中のアポトーシスを媒介する方法であって、前記細胞を、以下の構造式:
【化6】
の化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物、請求項1~24のいずれか一項に記載の形態、請求項25及び27~49のいずれか一項に記載の医薬組成物、請求項26に記載の医薬組合せ、又は請求項50~56のいずれか一項に記載の単位剤形と接触させることを含む方法。
【請求項99】
細胞中の炎症を減少させる方法であって、前記細胞を、以下の構造式:
【化7】
の化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物、請求項1~24のいずれか一項に記載の形態、請求項25及び27~49のいずれか一項に記載の医薬組成物、請求項26に記載の医薬組合せ、又は請求項50~56のいずれか一項に記載の単位剤形と接触させることを含む方法。
【請求項100】
細胞中のTNK1活性を阻害する方法であって、前記細胞を、請求項1~24のいずれか一項に記載の形態、請求項25及び27~49のいずれか一項に記載の医薬組成物、請求項26に記載の医薬組合せ、又は請求項50~56のいずれか一項に記載の単位剤形と接触させることを含む方法。
【請求項101】
前記細胞がヒト中にある、請求項98、99、又は100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
それを必要とする対象におけるTNK1活性を阻害する方法であって、前記対象に、治療上有効な量の請求項1~24のいずれか一項に記載の形態、請求項25及び27~49のいずれか一項に記載の医薬組成物、請求項26に記載の医薬組合せ、又は請求項50~56のいずれか一項に記載の単位剤形を投与することを含む方法。
【請求項103】
前記TNK1が突然変異を保有する、請求項100~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記突然変異が短縮型変異である、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記対象に、遊離塩基としての前記構造式Iの化合物の分子量に基づいて、約62mg~約229mgの前記構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物を投与することを含む、請求項57~97及び102~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
以下の構造式:
【化8】
の化合物のメシル酸塩又はその水和物を製造する方法であって、前記構造式Iの化合物を、溶媒中でメタンスルホン酸と接触させ、それにより構造式Iの化合物の前記メシル酸塩又はその水和物を製造することを含む方法。
【請求項107】
前記溶媒中の前記構造式Iの化合物の混合物を形成すること、及び前記混合物をメタンスルホン酸と接触させ、それにより構造式Iの化合物の前記メシル酸塩又はその水和物を製造することを含む、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記混合物が溶液である、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記混合物が懸濁液である、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
前記溶媒が、有機溶媒又はその水性混合物である、請求項106~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記溶媒が、テトラヒドロフラン、アセトニトリルと水の混合物、アセトン、又は酢酸エチルである、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
構造式Iの化合物の前記メシル酸塩又はその水和物を沈殿させることをさらに含む、請求項106~111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
構造式Iの化合物の前記沈殿したメシル酸塩又はその水和物を単離することをさらに含む、請求項112に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年1月5日に出願された米国仮特許出願第63/133,983号明細書の利益を主張する。この出願の教示全体は参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
チロシンキナーゼ非受容体1(TNK1)は、非受容体型チロシンキナーゼのACKファミリーのメンバーであり、その調節不全は癌などの障害に関連付けられてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、TNK1媒介性疾患、障害、及び病態の新たな治療及び療法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
TNK1を阻害する化合物の組成物、例えば、結晶形態及び多形形態などの固体形態、医薬組成物、医薬組合せ、及び単位剤形が本明細書に提供される。本明細書に記載される組成物は、例えば本明細書に記載されるTNK1媒介性疾患、障害、及び/又は病態(例えば、障害又は疾患)を治療する方法に使用できる。
【0005】
一態様は、以下の構造式:
【化1】
の化合物のメシル酸塩又はその水和物の固体形態(例えば、結晶形態、多形形態)である。
【0006】
別の態様は、本明細書に記載される固体形態(例えば、結晶形態、多形形態)及び薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物である。
【0007】
別の態様は、本明細書に記載される固体形態(例えば、結晶形態、多形形態)及び1種以上の追加の治療剤を含む医薬組合せである。
【0008】
さらに別の態様は、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物;及びケイ酸処理(silicified)微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、又はフマル酸ステアリルナトリウムを含む医薬組成物である。
【0009】
別の態様は、本明細書に記載される医薬組成物を含む単位剤形である。
【0010】
別の態様は、それを必要とする対象などの対象における本明細書に記載される疾患、障害、又は病態(例えば、TNK1媒介性疾患、障害、又は病態;癌;炎症性疾患;組織損傷;腸のバリア機能の改善から利益を得るだろう疾患、障害、又は病態;脾腫大)を治療する方法であって、対象に、(例えば、治療上有効な量の)本明細書に記載される固体形態(例えば、結晶形態、多形形態)、医薬組成物、医薬組合せ、又は単位剤形を投与することを含む方法である。別の態様は、例えば、それを必要とする対象などの対象における本明細書に記載される疾患、障害、又は病態(例えば、TNK1媒介性疾患、障害、又は病態;癌;炎症性疾患;組織損傷;腸のバリア機能の改善から利益を得るだろう疾患、障害、又は病態;脾腫大)を治療することにおいて使用するための、本明細書に記載される固体形態(例えば、結晶形態、多形形態)、医薬組成物、医薬組合せ、又は単位剤形である。別の態様は、例えば、それを必要とする対象などの対象における本明細書に記載される疾患、障害、又は病態(例えば、TNK1媒介性疾患、障害、又は病態;癌;炎症性疾患;組織損傷;腸のバリア機能の改善から利益を得るだろう疾患、障害、又は病態;脾腫大)を治療するための医薬品の製造のための、本明細書に記載される固体形態(例えば、結晶形態、多形形態)、医薬組成物、医薬組合せ、又は単位剤形の使用である。
【0011】
別の態様は、TNK1変異を保有する対象における、TNK1媒介性疾患、障害、又は病態を治療する方法であって、対象がTNK1変異を保有するかどうかを決定すること;及び、対象がTNK1変異を保有することが決定された場合、対象に、(例えば、治療上有効な量の)本明細書に記載される固体形態(例えば、結晶形態、多形形態)、医薬組成物、医薬組合せ、又は単位剤形を投与することを含む方法である。
【0012】
別の態様は、それを必要とする対象などの対象における炎症を減少させる方法であって、対象に、(例えば、治療上有効な量の)本明細書に記載される固体形態(例えば、結晶形態、多形形態)、医薬組成物、医薬組合せ、又は単位剤形を投与することを含む方法である。別の態様は、例えば、それを必要とする対象などの対象における炎症を減少させることに使用するための、本明細書に記載される固体形態(例えば、結晶形態、多形形態)、医薬組成物、医薬組合せ、又は単位剤形である。別の態様は、例えば、それを必要とする対象などの対象における炎症を減少させるための医薬品の製造のための、本明細書に記載される固体形態(例えば、結晶形態、多形形態)、医薬組成物、医薬組合せ、又は単位剤形の使用である。
【0013】
別の態様は、それを必要とする対象などの対象における腸のバリア機能を改善する方法であって、対象に、(例えば、治療上有効な量の)本明細書に記載される固体形態(例えば、結晶形態、多形形態)、医薬組成物、医薬組合せ、又は単位剤形を投与することを含む方法である。別の態様は、例えば、それを必要とする対象などの対象における腸のバリア機能を改善することに使用するための、本明細書に記載される固体形態(例えば、結晶形態、多形形態)、医薬組成物、医薬組合せ、又は単位剤形である。別の態様は、例えば、それを必要とする対象などの対象における腸のバリア機能を改善するための医薬品の製造のための、本明細書に記載される固体形態(例えば、結晶形態、多形形態)、医薬組成物、医薬組合せ、又は単位剤形の使用である。
【0014】
別の態様は、細胞中のアポトーシスを媒介し、且つ/又は炎症を減少させ、且つ/又はTNK1活性を阻害する方法であって、細胞を、本明細書に記載される固体形態(例えば、結晶形態、多形形態)、医薬組成物、医薬組合せ、又は単位剤形と接触させることを含む方法である。
【0015】
さらに別の態様は、それを必要とする対象などの対象におけるTNK1活性を阻害する方法であって、対象に、(例えば、治療上有効な量の)本明細書に記載される固体形態(例えば、結晶形態、多形形態)、医薬組成物、医薬組合せ、又は単位剤形を投与することを含む方法である。別の態様は、例えば、それを必要とする対象などの対象におけるTNK1活性を阻害することに使用するための、本明細書に記載される固体形態(例えば、結晶形態、多形形態)、医薬組成物、医薬組合せ、又は単位剤形である。別の態様は、例えば、それを必要とする対象などの対象におけるTNK1活性を阻害するための医薬品の製造のための、本明細書に記載される固体形態(例えば、結晶形態、多形形態)、医薬組成物、医薬組合せ、又は単位剤形の使用である。
【0016】
別の態様は、構造式Iの化合物のメシル酸塩又はその水和物を製造する方法であって、構造式Iの化合物を、溶媒中でメタンスルホン酸と接触させ、それにより構造式Iの化合物のメシル酸塩又はその水和物を製造することを含む方法である。
【0017】
上記のことは、例の実施形態の以下のより詳細な説明から明らかだろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】密閉された容器中で、6か月間25℃及び60%相対湿度で保存されたメシル酸塩A型のX線粉末回折(XRPD)スペクトルである。
図2】表1.4に記載される手順に従って調製されたメシル酸塩A型(820105-01-D7)の熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量測定(DSC)曲線を示す。
図3】L-リンゴ酸塩B型バッチのXRPDスペクトルの重ね書きである。
図4】コハク酸塩B型バッチのXRPDスペクトルの重ね書きである。
図5】示される条件に付されたメシル酸塩A型のVT-XRPDスペクトルの重ね書きである。
図6】構造式Iの化合物の遊離塩基形態のXRPDスペクトルの重ね書きである。
図7】密閉された容器中で、6か月間40℃及び75%相対湿度で保存されたメシル酸塩A型のXRPDスペクトルである。
図8A】実施例6のApcMinマウスモデルにおける雌のApcMin+/-マウスの体重増加曲線を示す。
図8B】構造式Iの化合物が、実施例6のApcMinマウスモデルにおいてポリープ成長を阻害することを示す。
図8C】実施例6のApcMinマウスモデルにおいて構造式Iの化合物により処置されたマウスで脾腫大及び炎症が弱められることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
例の実施形態の説明が続く。
【0020】
定義
本明細書を解釈する目的で、以下の定義が当てはまり、適切な場合は常に、単数で使用される用語は複数も含む。本明細書に使用される用語は、文脈により別途明確に示されない限り、以下の意味を有する。
【0021】
本明細書に記載される全方法の工程は、本明細書に特記されない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、あらゆる好適な順序で実施できる。本明細書に提供されるありとあらゆる例又は例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、本開示をより明らかにすることが意図されるに過ぎず、別途特許請求された本開示の範囲に限定を課さない。
【0022】
用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、「前記(the)」、及び本開示の文脈で(特に請求項の文脈で)使用される類似の用語は、本明細書に特記されない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数と複数の両方を含むと解釈されるものとする。
【0023】
用語「約」は、当業者により決定される通り、特定の値の許容できる誤差範囲内を意味する。典型的には、特定の値の許容できる誤差範囲は、少なくとも一部分、その値がどのように測定又は決定されるか、例えば、測定システムの限界に依存する。例えば、「約」は、当分野の慣習に従って、許容できる標準偏差内を意味し得る。或いは、「約」は、所与の値の±20%、±15%、±10%、±5%、±4%、±3%、±2%又は±1%の範囲を意味し得る。いくつかの実施形態において、「約」は、所与の値の±20%、例えば、±15%、±10%、±5%、±4%、±3%、±2%又は±1%である。用語「約」が、本明細書の図面及び実施例に使用される特定の値を例外として、本明細書で明示される任意の特定の値の前にあり得ることが理解されるべきである。
【0024】
当業者であれば理解する通り、例えば、分子中のケトン(-C(H)C(O))基は、そのエノール形態(-C=C(OH))に互変異性化し得る。本開示は、構造が互変異性体のうち1つしか示さない場合でも、可能性のある全互変異性体を含むものとする。
【0025】
句「薬学的に許容できる」は、句が修飾する物質又は組成物が、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応など無しに、ヒト及び下等動物の組織と接触して使用するのに好適でなくてはならず、妥当なベネフィット/リスク比に釣り合っていることを意味する。物質が組成物又は製剤の一部である場合、物質は、また、組成物又は製剤中の他の成分と、化学的且つ/又は毒物学的に適合性がなくてはならない。
【0026】
特記されない限り、用語「本開示の化合物」は、本明細書に描写されるあらゆる構造式の化合物(例えば、構造式Iの化合物)、又はその塩、並びに異性体、例えば、立体異性体(ジアステレオ異性体、エナンチオマー、及びラセミ体を含む)、幾何異性体、配座異性体(回転異性体及びアストロプ異性体(astropisomers)を含む)及び互変異性体、同位体標識化合物(重水素置換を含む)、及び上記のものの本質的に形成される部分(inherently formed moieties)(例えば、多形体及び/又は水和物などの溶媒和物)を指す。
【0027】
薬学的に許容できる塩が好ましい。しかし、他の塩も、例えば、調製の間に利用され得る単離又は精製工程において有用であり得て、そのため、本開示の範囲内であることが企図される。
【0028】
本明細書で使用される通り、「薬学的に許容できる塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応など無しに、ヒト及び下等動物の組織と接触して使用するのに好適であり、妥当なベネフィット/リスク比に釣り合う、好適な無機及び有機の酸及び塩基から誘導される塩を指す。
【0029】
薬学的に許容できる酸付加塩は、無機酸及び有機酸により形成できる。塩を誘導できる無機酸としては、例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などがある。塩を誘導できる有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸などがある。薬学的に許容できる酸付加塩としては、酢酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物/臭化水素酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、硫酸水素塩/硫酸塩、カンファースルホン酸塩、カプリン酸塩、塩化物/塩酸塩、クロルテオフィロネート(chlortheophyllonate)、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グルタル酸塩、グリコール酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩/ヒドロキシマロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、フェニル酢酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルファミン酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、及びキシナホ酸塩があるが、これらに限定されない。
【0030】
薬学的に許容できる塩基付加塩は、無機及び有機塩基により形成できる。塩を誘導できる無機塩基としては、例えば、アンモニウム塩及び周期表のI~XII列の金属がある。特定の実施形態において、塩は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛、又は銅から誘導される;特に好適な塩としては、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、及びマグネシウム塩がある。塩を誘導できる有機塩基としては、例えば、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などがある。有機アミンの例としては、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート(cholinate)、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リジン、メグルミン、ピペラジン、及びトロメタミンがあるが、これらに限定されない。
【0031】
本開示の薬学的に許容できる塩は、塩基性又は酸性部分を含む親化合物から従来の化学的方法により合成できる。一般的に、そのような塩は、遊離の酸又は塩基形態のこれらの化合物を、化学量論量の適切な塩基又は酸と、水中若しくは有機溶媒中、又はその2つの混合物中で反応させることにより調製できる;一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルなどの非水性媒体が好ましい。好適な塩のリストは、Allen,L.V.,Jr.,ed.,Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd Edition,Pharmaceutical Press,London,UK(2012)に見出され、その関連する開示は参照により本明細書に全体として組み込まれる。
【0032】
本開示の化合物が、不斉中心、キラル軸、及び/又はキラル面を有する場合(例えば、E.L.Eliel and S.H.Wilen,Stereo-chemistry of Carbon Compounds,John Wiley & Sons,New York,1994,pages 1119-1190に記載の通り)、そのような化合物は、ラセミ混合物、個別の異性体(例えば、ジアステレオマー、エナンチオマー、幾何異性体、配座異性体(回転異性体及びアトロプ異性体を含む)、互変異性体)、及び/又は中間の混合物として存在し得て、その可能性のある全ての異性体及び混合物は本明細書に含まれる。
【0033】
本明細書で使用される通り、用語「異性体」は、同じ分子式を有するが、原子の配列及び配置が異なる、異なる化合物を指す。
【0034】
「エナンチオマー」は、互いの重ね合わせることができない鏡像である1対の立体異性体である。1対のエナンチオマーの1:1混合物は「ラセミ」混合物である。「ラセミ体」又は「ラセミ」は、適切な場合ラセミ混合物を示すように使用される。本開示の化合物の立体化学を示す場合、2つのキラル中心の既知の相対及び絶対配置を有する単一の立体異性体は、従来のRSシステム(例えば、(1S,2S))を使用して示される;相対的配置が既知であるが絶対配置が未知の単一の立体異性体は、スターにより(例えば、(1R,2R));及びラセミ体は2文字により示される(例えば、(1RS,2RS)を(1R,2R)と(1S,2S)のラセミ混合物として;(1RS,2SR)を、(1R,2S)と(1S,2R))のラセミ混合物として)。「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2つの不斉原子を有するが、互いの鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学は、カーン・インゴルド・プレローグR-Sシステムに従って明示される。化合物が純粋なエナンチオマーである場合、各キラル炭素の立体化学は、RかSのいずれかで明示され得る。絶対配置が未知である分割された化合物は、それらがナトリウムD線の波長で平面偏光を回転させる方向(右旋性又は左旋性)に応じて(+)又は(-)により示すことができる。或いは、分割された化合物は、キラルHPLCにより、対応するエナンチオマー/ジアステレオマーの相対的な保持時間により定義できる。
【0035】
化合物が二重結合又は分子に特定の量の構造的硬直性を与えるいくらかの他の特徴を有する場合、幾何異性体が存在し得る。化合物が二重結合を含む場合、二重結合は、E又はZ配置であり得る。化合物が二置換シクロアルキルを含む場合、シクロアルキル置換基は、シス又はトランス配置を有し得る。
【0036】
配座異性体(又はコンフォーマー)は、1つ以上の結合の周りの回転により異なり得る異性体である。回転異性体は、1つの単結合のみの周りの回転により異なる配座異性体である。
【0037】
本明細書で使用される用語「アトロプ異性体」は、分子中の束縛回転から生じるアキシャル又は平面キラリティに基づく構造異性体を指す。
【0038】
光学活性な(R)-及び(S)-異性体は、キラルシントン若しくはキラル試薬を使用して調製され得るか、又は従来の技法を使用して分割され得る(例えば、適切な溶媒又は溶媒の混合物を使用して、株式会社ダイセルから利用可能なCHIRALPAK(登録商標)及びCHIRALCEL(登録商標)カラム又は他の同等なカラムなどのキラルSFC又はHPLCクロマトグラフィーカラムで分離して好適な分離を達成する)。
【0039】
光学活性な形態は、ラセミ形態の分割によっても、光学活性な出発物質からの合成によっても調製され得る。プロセス内で製造される本開示の化合物及び中間体を調製するのに使用される全プロセスは、本開示の一部であると考えられる。エナンチオマー的又はジアステレオマー的生成物が調製される場合、それらは、従来の方法により、例えばクロマトグラフィー又は分別晶析により分離され得る。
【0040】
プロセス条件によって、本開示の最終生成物は、遊離(中性)又は塩形態のいずれかで得られる。これらの最終生成物の遊離形態と塩の両方が本開示の範囲内にある。所望される場合、化合物の一形態が別の形態に転化され得る。遊離の塩基又は酸は、塩に転化され得る;塩は、遊離の化合物又は別の塩に転化され得る;本開示の異性体化合物の混合物は、個別の異性体に分離され得る。
【0041】
水素結合のドナー及び/又はアクセプターとして作用することが可能な基を含む本開示の化合物は、好適な共結晶形成剤と共に共結晶を形成することが可能であり得る。これらの共結晶は、本開示の化合物から、公知の共結晶形成手順により調製され得る。そのような手順としては、粉砕、加熱、共昇華、共融解、又は溶解状態で本開示の化合物を共結晶形成剤と結晶化条件下で接触させること、及びそれにより形成された共結晶を単離することである。好適な共結晶形成剤としては、国際公開第2004/078163号パンフレットに記載されるものがある。そのため、本開示は、本開示の化合物及び共結晶形成剤を含む共結晶をさらに提供する。
【0042】
本明細書に与えられるあらゆる式は、化合物の未標識形態並びに同位体標識形態を表すようにも意図される。同位体標識化合物は、1つ以上の原子が選択された原子質量又は質量数を有する原子に置き換えられている以外、本明細書に与えられる式により描写される構造を有する。本開示の化合物に組み込むことができる同位元素の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位元素、例えば、それぞれH、H、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl、123I、124I、及び125Iがある。本開示は、本明細書に定義される種々の同位体標識化合物、例えばH及び14Cなどの放射性同位元素又はH及び13Cなどの非放射性同位元素が存在するものを含む。そのような同位体標識化合物は、代謝研究(14Cによる)、反応速度研究(例えばH又はHによる)、薬物若しくは基質組織分布アッセイを含む陽電子放出断層撮影(PET)若しくは単一光子放出型コンピュータ断層撮影(SPECT)などの検出若しくは画像化技法、又は患者の放射線治療に有用である。特に、18F又は標識化合物は、PET又はSPECT試験に特に望ましいことがある。
【0043】
さらに、より重い同位元素、特に重水素(すなわちH又はD)による置換は、より高い代謝安定性から生じる特定の治療上の利点、例えば、インビボ半減期の増加又は用量要件の減少又は治療指数の改善を与え得る。この文脈での重水素が、本開示の化合物の置換基とみなされることが理解される。そのようなより重い同位元素、具体的には重水素の濃度は、同位体濃縮係数により定義され得る。本明細書で使用される用語「同位体濃縮係数」は、明示された同位元素の同位体存在度と天然存在度の比を意味する。本開示の化合物中の置換基が重水素であると示される場合、そのような化合物は、指示された各重水素原子の少なくとも3500(指示された各重水素原子での52.5%重水素組込み)、少なくとも4000(60%重水素組込み)、少なくとも4500(67.5%重水素組込み)、少なくとも5000(75%重水素組込み)、少なくとも5500(82.5%重水素組込み)、少なくとも6000(90%重水素組込み)、少なくとも6333.3(95%重水素組込み)、少なくとも6466.7(97%重水素組込み)、少なくとも6600(99%重水素組込み)、又は少なくとも6633.3(99.5%重水素組込み)の同位体濃縮係数を有する。
【0044】
同位体標識された本開示の化合物は、一般的に、従来の当業者に公知である従来の技法により、又はスキームに、若しくは以下に記載される実施例及び調製に開示されるプロセス(又は本明細書で以下に記載されるものに類似のプロセス)により、そうでない場合利用される同位体標識されていない試薬を、適切又は容易に利用可能である同位体標識された試薬に替えることにより調製できる。そのような化合物は、例えば、潜在的な医薬化合物が標的タンパク質若しくは受容体に結合する能力の決定における標準及び試薬として、又はインビボ若しくはインビトロで生物学的受容体に結合した本開示の化合物を画像化するための種々の潜在的な用途を有する。
【0045】
用語「溶媒和物」は、本開示の化合物と、有機であれ無機であれ1つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は水素結合を含む。特定の場合において、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれている場合、溶媒和物は単離が可能だろう。溶媒和物中の溶媒分子は、規則的な配列及び/又は秩序のない配列で存在し得る。溶媒和物は、化学量論量か非化学量論量のいずれかの溶媒分子を含み得る。「溶媒和物」は、液相及び分離可能な溶媒和物の両方を包含する。溶媒和物の例としては、水和物(溶媒分子が水である溶媒和物)、エタノレート、メタノレート、及びイソプロパノレートがあるが、これらに限定されない。溶媒和の方法は、一般的に当技術分野に公知である。
【0046】
本開示の化合物は、固体形態で、例えば、非晶質固体又は結晶性固体として提供できる。例えば、凍結乾燥を利用して、本開示の化合物を固体形態で提供できる。
【0047】
本明細書で使用される「結晶性」は、構成部分の間に一定の距離を有する原子、イオン、又は分子の三次元パターンを繰り返すことにより形成された均質な固体を指す。単位格子は、このパターンにおける最も簡単な繰り返し単位である。理想的な結晶の均質な性質にもかかわらず、完全な結晶は、皆無ではないとしても、稀にしか存在しない。本明細書で使用される「結晶性」は、結晶欠陥、例えば、本明細書に記載される結晶形態を処理すること(例えば、調製すること、精製すること)により通常形成される結晶欠陥を含む結晶形態を包含する。当業者は、そのような欠陥の存在にかかわらず、化合物の試料が結晶性であるかどうかを決定することが可能である。
【0048】
本明細書で使用される通り、「多形体」又は「多形形態」は、同じ化学構造/組成を有するが、結晶を形成する分子及び/又はイオンの空間配列が異なる結晶形態を指す。多形体は、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析などの分析方法により特性化できる。
【0049】
本明細書に記載される固体形態(例えば、結晶形態及び/又は多形体)は実質的に純粋であり得る。本明細書で使用される通り、さらなる限定無しに使用される「実質的に純粋」は、示された化合物が、化合物の重量に基づいて、例えば、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99重量パーセントを超え、約100重量パーセントに等しい純度も含む90重量パーセントを超える純度を有することを意味する。残りの物質は、例えば、他の形態の化合物、及び/又は反応不純物及び/又はその調製から生じる処理不純物を含む。純度は、当技術分野に公知である技法を使用して、例えば、本明細書に記載されるHPLCアッセイを使用して評価できる。「実質的に純粋」は、「他の物理的形態の構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物がなく実質的に純粋な(pure of)」のように限定することもできる。そのように限定される場合、「実質的に純粋」は、示された化合物が、重量で10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは3%未満、最も好ましくは1%未満の示される不純物を含むことを意味する。
【0050】
本明細書でXRPDパターン若しくはディフラクトグラム又はDSCサーモグラムをそれぞれ示す1つ以上の図と「実質的に一致する」XRPDパターン又はDSCサーモグラムは、本明細書に提供される1つ以上の図のパターン若しくはディフラクトグラム又はサーモグラムを与えた構造式Iの化合物の化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物の試料と同じ単結晶形態の構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物を表すと当業者により考えられるだろうものである。そのため、実質的に一致するXRPDパターン又はDSCサーモグラムは、図のうちの1つのものと同一であり得るか、又は、おそらく図の1つ以上と幾分異なり得る。例えば、図の1つ以上と幾分異なるXRPDパターンは、本明細書に表される回折パターンの線のそれぞれを必ずしも示さないことがあり、且つ/又は線の外観若しくは強度のわずかな変化若しくは線の位置のシフトを示すことがある。これらの差異は、典型的には、データを得る際に関与する条件の差異又はデータを得るのに使用された試料の純度の差異から生じる。当業者は、結晶性化合物の試料が、本明細書に開示される形態と同じ形態であるか、異なる形態であるかを、試料のXRPDパターン又はDSCサーモグラムと本明細書に開示される対応するXRPDパターン又はDSCサーモグラムとの比較により決定することが可能である。
【0051】
特記されない限り、本明細書に明示されるあらゆる2θ角が、図又は実施例中の2θ角を除いて、明示された値±0.2°を意味することが理解されるべきである。例えば、実施形態又は請求項が7.5°の2θ角を追加情報なく(without more)明示する場合、これは、7.5°±0.2°、すなわち、7.3°~7.7°の2θ角を意味すると理解されるものとする。好ましい実施形態において、2θ角は明示された値±0.1°であり、より好ましい実施形態において、明示された値±0.05°である。
【0052】
本明細書に提供される結晶形態は、示差走査熱量測定(DSC)及び/又は熱重量分析(TGA)に基づいても特定できる。DSCは、試料の温度を上げるのに要する熱の量の差異が温度の関数として測定される熱分析技法である。DSCは、試料の相転移などの物理的変換を検出するために使用できる。例えば、DSCは、試料が、結晶化、融解、又はガラス転移を起こす温度を検出するために使用できる。本明細書で明示されるDSCと関連するあらゆる温度が、図又は実施例中のDSC温度を除いて、明示された値±5℃以下を意味することが理解されるべきである。例えば、実施形態又は請求項が264℃の吸熱ピークを明示する場合、これは、264℃±5℃以下、すわなち、259℃~269℃の温度を意味すると理解されるものとする。好ましい実施形態において、DSCは、明示された値±3℃以下、より好ましい実施形態において、±2℃以下である。
【0053】
本明細書で使用される用語「チロシンキナーゼ非受容体阻害剤1媒介性疾患、障害、又は病態」及び「TNK1媒介性疾患、障害、又は病態」は、TNK1により直接又は間接に調節されるあらゆる疾患、障害、又は病態を指す。TNK1媒介性疾患、障害、又は病態の非限定的な例としては、癌、消化器疾患、炎症性疾患、組織損傷、多臓器機能不全症候群(MODS)、敗血症、自己免疫疾患、マイクロバイオームの疾患、障害、若しくは病態、又は外傷及び/若しくは腸管損傷から生じる疾患、障害、若しくは病態がある。
【0054】
用語「悪性腫瘍」及び「癌」は本明細書において互換的に使用され、異常な細胞が制御されずに分裂し、近くの組織を侵す疾患を指す。悪性細胞は、血液及びリンパ系により体の他の部分にも広がることもできる。いくつかの主要なタイプの悪性腫瘍がある。癌腫は、皮膚中、又は内臓を裏打ち若しくは覆う組織中で始まる悪性腫瘍である。肉腫は、骨、軟骨、脂肪、筋、血管、又は他の結合若しくは支持組織中で始まる悪性腫瘍である。白血病は、骨髄などの血液形成組織中で始まり、多数の異常な血液細胞を産生して血液に入るようにする悪性腫瘍である。リンパ腫及び多発性骨髄腫は、免疫系の細胞中で始まる悪性腫瘍である。中枢神経系癌は、脳及び脊髄の組織中で始まる悪性腫瘍である。
【0055】
本明細書で使用される用語「固形腫瘍」は、嚢胞又は液体部分を通常含まない組織の異常な塊から形成される悪性腫瘍/癌を指す。固形腫瘍は、発端の組織/細胞に応じて命名/分類される。例としては、肉腫及び癌腫があるが、これらに限定されない。
【0056】
本明細書で使用される用語「白血病」は、骨髄などの血液形成組織中で始まる血液系又は血液細胞悪性腫瘍/癌を指す。例としては、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性リンパ芽球性白血病(例えば、B細胞、T細胞)、及び慢性リンパ球性白血病(CLL)があるが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書で使用される用語「リンパ腫」は、免疫系の細胞中で始まるリンパ性細胞悪性腫瘍/癌を指す。例としては、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、及び多発性骨髄腫があるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書で使用される通り、用語「対象」は動物を指す。典型的には、動物は哺乳動物である。対象は、例えば、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚類、鳥類なども指す。特定の実施形態において、対象は霊長類である。さらに他の実施形態において、対象はヒトである。
【0059】
本明細書で使用される通り、対象(例えば、ヒト)は、そのような対象が、生物学的に、医学的に、又は生活の質の点でそのような治療から利益を得る場合、治療「を必要としている」。
【0060】
本明細書で使用される「治療する」、「治療すること」及び「治療」は、医薬品又は医療の、着目する疾患又は病態、例えば癌を有するヒトなどの対象への投与を指し、(i)特に、対象が病態になる素因を有するが、まだそれを有すると診断されていない場合、疾患若しくは病態がそのような対象に起こることを防ぐこと;(ii)疾患若しくは病態を阻害すること、例えば、その発生を停止させること;(iii)疾患若しくは病態を軽減すること、例えば、疾患若しくは病態の退縮を起こすこと;又は(iv)疾患若しくは病態から生じる症状(例えば、疼痛、体重減少、咳、疲労、衰弱など)を軽減することを含む。
【0061】
本明細書で使用される用語「治療上有効な量」は、ヒトなどの対象に投与される場合に治療を達成するのに充分である、本開示の化合物などの治療剤の量を指す。「有効量」を構成する治療剤の量は、治療剤、治療されている病態及びその重症度、投与の方法、治療の継続期間、又は治療される対象(例えば、対象の年齢、体重、健康)によって変わるだろうが、当業者により、彼自身の知識及び本開示に基づいて規定通りに決定され得る。実施形態において、「有効量」は、1つ以上のしるし、症状、徴候、診断用試験、バイタルサインなどの統計的に有意な変化により測定されて治療をもたらす。他の実施形態において、「有効量」は、1つ以上のしるし、症状、徴候、診断試験、バイタルサインなどの統計的に有意な変化がないことにより測定されて病態を管理又は予防する。
【0062】
投与のレジメンは、何が治療上有効な量を構成するかに影響を与え得る。本開示の化合物は、TNK1媒介性病態の発症の前でも、その後でも対象に投与できる。さらに、いくつかの分割された用量並びに交互の用量は、毎日又は連続して投与でき、又は投与量は連続的に注入でき、ボーラス注入でもあり得る。さらに、本開示の化合物の用量は、治療的又は予防的状態の要件に示される通り比例的に増加させることも減少させることもできる。
【0063】
固体形態
構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物が、種々の固体結晶形態及び多形形態で存在し得ることが見出された。
【0064】
一態様において、以下の構造式:
【化2】
の化合物のメシル酸塩又はその水和物(例えば、構造式Iの化合物のメシル酸塩)が本明細書に提供される。いくつかの態様において、メシル酸塩は固体形態である。いくつかの態様において、メシル酸塩は結晶形態である。いくつかの態様において、構造式Iの化合物のメシル酸塩又はその水和物(例えば、構造式Iの化合物のメシル酸塩)の固体及び/又は結晶形態はA型を含む。いくつかの態様において、構造式Iの化合物のメシル酸塩又はその水和物(例えば、構造式Iの化合物のメシル酸塩)の固体及び/又は結晶形態は基本的にA型からなる。いくつかの態様において、構造式Iの化合物のメシル酸塩又はその水和物(例えば、構造式Iの化合物のメシル酸塩)の固体及び/又は結晶形態はA型からなる。上記態様のいずれかのさらなる態様において、メシル酸塩は実質的に純粋である。
【0065】
A型は、構造式Iの化合物のメシル酸塩に相当し、いくつかの態様において、7.5±0.2°、8.8±0.2°、18.7±0.2°、20.2±0.2°、及び25.2±0.2°からなる群から選択される2θ角での少なくとも3つのピーク(例えば、3つのピーク、少なくとも4つのピーク、4つのピーク、又は5つのピーク)を含むXRPDパターンにより特性化される。いくつかの態様において、A型は、以下の2θ角:7.5±0.2°、8.8±0.2°、及び18.7±0.2°でのピークを含むXRPDパターンにより特性化される。いくつかの態様において、A型は、以下の2θ角:7.5±0.2°、8.8±0.2°、18.7±0.2°、及び20.2±0.2°でのピークを含むXRPDパターンにより特性化される。上記態様のいずれかのさらなる態様において、A型は、以下の2θ角:16.9±0.2°でのピークをさらに含むX線粉末回折パターンにより特性化される。上記態様のいずれかのさらなる態様において、A型は、以下の2θ角:12.4±0.2°でのピークをさらに含むX線粉末回折パターンにより特性化される。上記態様のいずれかのさらなる態様において、A型は、以下の2θ角:20.6±0.2°でのピークをさらに含むX線粉末回折パターンにより特性化される。上記態様のいずれかのさらなる態様において、A型は、以下の2θ角:15.2±0.2°でのピークをさらに含むX線粉末回折パターンにより特性化される。上記態様のいずれかのさらなる態様において、A型は、以下の2θ角:4.4±0.2°、10.7±0.2°、14.5±0.2°、21.9±0.2°、及び24.5±0.2°のいずれか1つ以上でのピークをさらに含むXRPDパターンにより特性化される。
【0066】
いくつかの態様において、A型は、図1に描写されるものと実質的に一致するXRPDパターンを有する。いくつかの態様において、A型のXRPDパターンは、密閉された容器中で、6か月間約25℃及び約60%相対湿度での保存の後で、図1に描写されるものと実質的に一致する。
【0067】
いくつかの態様において、A型は、図7に描写されるものと実質的に一致するXRPDパターンを有する。いくつかの態様において、A型のXRPDパターンは、密閉された容器中で、6か月間約40℃及び約75%相対湿度での保存の後で、図7に描写されるものと実質的に一致する。
【0068】
上記態様のいずれかにおいて、XRPDパターンは、1.5406ÅのX線波長を使用してXRPDにより測定される通りである。
【0069】
いくつかの態様において、A型は、266℃での吸熱ピークを含むDSCサーモグラムにより特性化される。いくつかの態様において、A型は、67℃での熱的シグナルを含むDSCサーモグラムにより特性化又はさらに特性化される。いくつかの態様において、A型は、図2に描写されるものと実質的に一致するDSCサーモグラムを有する。DSCを含む上記態様のいずれかにおいて、DSCサーモグラムは、25℃~300℃の範囲で、10℃/分の走査速度を使用して、示差走査熱量測定により測定される通りである。
【0070】
いくつかの態様において、A型は、例えばDSCにより測定される262℃の融解温度により特性化される。
【0071】
いくつかの態様において、A型は、約25℃~約100℃の範囲にわたり約1.4%の重量減少を有するTGA熱曲線により特性化される。いくつかの態様において、A型は、図2に示されるものと実質的に一致するTGA熱曲線を有する。上記態様のいずれかにおいて、TGA熱曲線は、10℃/分の加熱速度を使用して測定される通りである。
【0072】
構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物を製造する方法は、国際出願PCT/US2020/040737号パンフレットに開示されており(その内容全体は参照により本明細書に組み込まれている)、本明細書の実施例5に記載されている。構造式Iの化合物の遊離塩基を、その薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物に変換する方法は、本明細書の実施例1に記載されている。
【0073】
構造式Iの化合物のメシル酸塩又はその水和物(例えば、構造式Iの化合物のメシル酸塩)を製造する方法も本明細書に提供される。方法は、構造式Iの化合物を、メタンスルホン酸と、溶媒中(例えば、有機溶媒、又はその水性混合物)で接触させ、それにより、構造式Iの化合物のメシル酸塩又はその水和物を製造することを含む。いくつかの態様において、方法は、構造式Iの化合物の溶媒(例えば、有機溶媒、又はその水性混合物)中の混合物(例えば、溶液、懸濁液)を形成すること、及び混合物をメタンスルホン酸と接触させて、それにより、構造式Iの化合物のメシル酸塩又はその水和物を製造することを含む。いくつかの態様において、方法は、混合物を濾過して濾液を形成すること及び濾液をメタンスルホン酸と接触することをさらに含む。
【0074】
いくつかの態様において、例えば、A型など、構造式Iの化合物のメシル酸塩の固体及び/又は結晶形態を製造するために、方法は、以下の構造式:
【化3】
の化合物又はその塩を、以下の構造式:
【化4】
の化合物(13-10)又はその塩にカップリングして(例えば、tert-ブタノールなどの極性プロトン性溶媒などの溶媒及びトリフルオロ酢酸などの酸の存在下)、それにより、構造式Iの化合物又はその塩(例えば、構造式Iの化合物)を製造することをさらに含む。いくつかのさらなる態様において、方法は、以下の構造式:
【化5】
の化合物又はその塩を、以下の構造式:
【化6】
の化合物又はその塩にカップリングして(例えば、ジメチルホルムアミドなどの極性非プロトン性溶媒などの溶媒及びジイソプロピルエチルアミンなどのアミン塩基などの塩基の存在下)、それにより、構造式13-6の化合物又はその塩を製造することをさらに含む。
【0075】
特定の態様において、構造式Iの化合物のメシル酸塩又はその水和物(例えば、構造式Iの化合物のメシル酸塩)を製造する方法は、構造式(13-4)の化合物又はその塩を、構造式の化合物(13-5)又はその塩にカップリングして(例えば、ジメチルホルムアミドなどの極性非プロトン性溶媒などの溶媒及びジイソプロピルエチルアミンなどのアミン塩基などの塩基の存在下で)、それにより、構造式13-6の化合物又はその塩を製造すること;構造式(13-6)の化合物又はその塩を、構造式(13-10)の化合物又はその塩にカップリングして(例えば、tert-ブタノールなどの極性プロトン性溶媒などの溶媒及びトリフルオロ酢酸などの酸の存在下で)、それにより、構造式Iの化合物を製造すること;及び構造式Iの化合物の溶媒(例えば、有機溶媒、又はその水性混合物)中の混合物(例えば、溶液、懸濁液)を形成すること、及び混合物をメタンスルホン酸と接触させ、それにより、構造式Iの化合物のメシル酸塩又はその水和物を製造することを含む。いくつかの態様において、方法は、混合物を濾過して濾液を形成すること及び濾液をメタンスルホン酸と接触させることをさらに含む。
【0076】
いくつかの態様において、例えば、A型など、構造式Iの化合物のメシル酸塩の固体及び/又は結晶形態を製造するために、方法は、構造式Iの化合物のメシル酸塩又はその水和物を(例えば、溶媒又は混合物から)沈殿させることをさらに含む。いくつかの態様において、沈殿した構造式Iの化合物のメシル酸塩又はその水和物は、例えば、濾過及び/又は遠心分離及び真空乾燥(例えば、約50℃で)により単離される。固体及び/又は結晶形態が、自然に形成し得て、且つ/又は結晶のシーディング若しくは混合物が曝されている条件を変更すること(例えば、混合物が冷却される場合のような)などにより形成するように誘導され得ることが認識されるだろう。本明細書で使用される「沈殿させること」は、固体及び/又は結晶形態の形成が誘導される状況と固体及び/又は結晶形態の形成が自然に起こる状況の両方を含むことが意図される。
【0077】
本明細書で使用される通り、「溶媒」は、化学反応又は化合物が処理されている(例えば、結晶化)他の手順のための媒体として作用する液体を指す。典型的には、本明細書に開示される方法における溶媒は、有機溶媒若しくは水、又はそれらの組合せである。有機溶媒の例としては、極性プロトン性溶媒(例えば、メタノール、エタノール、tert-ブタノールなどのブタノールなどのアルコール)、極性非プロトン性溶媒(例えば、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン)又は非極性溶媒(例えば、ジエチルエーテル)がある。いくつかの実施形態において、溶媒は、テトラヒドロフラン、アセトニトリルと水の混合物(例えば、約19:1混合物)、アセトン、又は酢酸エチルである。
【0078】
医薬組成物及び組合せ
本開示の化合物は、典型的には、医薬組成物(例えば、本開示の化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物、及び1種以上の薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物)中で使用される。「薬学的に許容できる担体」は、動物、特に哺乳動物への、生物活性薬剤の送達のために当分野において一般的に認められている媒体を指し、当業者に知られている通り、一般に安全と認められる(GRAS)溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物安定剤、結合剤、緩衝剤(例えば、マレイン酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、酢酸、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウムなど)、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、着香剤、染料など、及びこれらの組合せがある(例えば、Allen,L.V.,Jr.et al.,Remington:The Science and Practice of Pharmacy(2 Volumes),22nd Edition,Pharmaceutical Press(2012)参照)。
【0079】
一態様において、本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)(例えば、治療上有効な量の本開示の化合物)及び薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物が本明細書に提供される。さらなる実施形態において、組成物は、本明細書に記載されるものなど少なくとも2種の薬学的に許容できる担体を含む。本開示の目的には、別途指定されない限り、溶媒和物は、一般的に組成物であると考えられる。好ましくは、薬学的に許容できる担体は滅菌されている。
【0080】
医薬組成物は、経口投与、非経口投与(例えば、静脈内投与)、及び直腸投与などの特定の投与経路のために製剤できる。さらに、本開示の医薬組成物は、固体形態で(非限定的に、カプセル剤、錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤、又は坐剤を含む)、又は液体形態で(非限定的に、液剤、懸濁剤、又は乳剤を含む)調合できる。医薬組成物は、滅菌などの従来の製剤操作に付すことができ、且つ/又は従来の不活性な希釈剤、滑沢剤、又は緩衝剤、並びに補助剤、例えば、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、及び緩衝剤などを含み得る。典型的には、医薬組成物は、有効成分を、下記の1種以上と共に含む錠剤又はゼラチンカプセル剤である:
a)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、及び/又はグリシン;
b)滑沢剤、例えば、シリカ、滑石、ステアリン酸、そのマグネシウム若しくはカルシウム塩、及び/又はポリエチレングリコール;
c)結合剤、例えば、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、デンプン糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン;
d)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸若しくはそのナトリウム塩、又は発泡性混合物;並びに
e)吸収剤、着色剤、香料、及び甘味剤。
錠剤は、当技術分野に公知である方法に従って、フィルムコートされていても、腸溶性コートされていてもよい。
【0081】
いくつかの態様において、組成物又は単位剤形は、経口投与用に、例えば、カプセルの形態で製剤される。
【0082】
経口投与用の好適な組成物は、本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を、錠剤、ロゼンジ剤、水性又は油性懸濁剤、分散性散剤又は顆粒剤、乳剤、ハード又はソフトカプセル剤、又はシロップ剤、又はエリキシル剤の形態で含む。経口使用向けの組成物は、当技術分野に公知である医薬組成物の製造のための任意の方法に従って調製され、そのような組成物は、薬学的に洗練された(pharmaceutically elegant)味のよい調合物を提供するために、甘味剤、着香剤、着色剤、及び保存剤からなる群から選択される1種以上の作用物質を含み得る。錠剤は、有効成分を、錠剤の製造に好適である非毒性の薬学的に許容できる賦形剤と混合して含み得る。これらの賦形剤は、例えば、不活性な希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム;造粒及び崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、又はアラビアゴム;及び滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクである。錠剤は、被覆されていないか、又は消化管内の崩壊及び吸収を遅延させ、それにより長期間にわたる持続作用を提供するために公知の技法により被覆される。例えば、ステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延物質(time delay material)を利用できる。経口使用のための製剤は、有効成分が不活性な固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、若しくはカオリンと混合されているハードゼラチンカプセルとして、又は有効成分が水若しくは油媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン、若しくはオリーブ油と混合されているソフトゼラチンカプセルとして呈され得る。
【0083】
特定の注射用組成物は、本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を、等張性水溶液又は懸濁液の形態で含み、本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を含む特定の坐剤は、好都合には、脂肪質乳剤又は懸濁液から調製される。前記組成物は、滅菌され得て、且つ/又は保存剤、安定剤、湿潤剤、若しくは乳化剤、溶解促進剤(solution promoters)、浸透圧を制御する塩、及び/若しくは緩衝剤などの補助剤を含み得る。さらに、それらは、他の治療上有用な物質も含み得る。前記組成物は、それぞれ、従来の混合、造粒、又は被覆方法に従って調製され、約0.1~75%の有効成分を含むか、又は約1~50%の有効成分を含む。
【0084】
経皮塗布のための好適な組成物は、本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を好適な担体と共に含む。経皮送達に好適な担体としては、宿主の皮膚を通る移動を補助するための吸収性の薬理学的に許容できる溶媒がある。例えば、経皮装置は、裏打ち材、化合物を任意選択で担体と共に収容するリザーバー、任意選択で、化合物を、宿主の皮膚に制御された所定の速度で長期間にわたり送達する速度制御バリア、及び装置を皮膚に固定する手段を含む包帯の形態である。
【0085】
例えば皮膚及び眼への外用適用のための、本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を含む好適な組成物としては、水溶液、懸濁液、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、又は例えばエアゾールなどによる送達のための噴霧可能製剤がある。そのような外用送達系は、特に、皮膚塗布のために、例えば、皮膚癌の治療のために、例えば、日焼け止めクリーム、ローション、スプレーにおける予防的使用のために適切だろう。そのため、それらは、当技術分野に周知である化粧用を含む外用製剤における使用に特に適している。そのようなものは、可溶化剤、安定剤、張性増強剤(tonicity enhancing agents)、緩衝剤、及び保存剤を含み得る。
【0086】
本明細書で使用される通り、外用適用は、吸入又は鼻腔内適用にも関連し得る。吸入又は鼻腔内投与に好適な組成物は、簡便には、乾燥粉末吸入器からのドライパウダー(単独、混合物として、例えばラクトースとのドライブレンド、又は例えばリン脂質との混合成分粒子)、又は好適な噴射剤の使用の有無を問わず、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、若しくはネブライザーからのエアゾールスプレー提示(aerosol spray presentation)の形態で送達され得る。
【0087】
いくつかの特定の態様において、本開示の化合物;及びケイ酸処理微結晶性セルロース;又はクロスカルメロースナトリウム;又はフマル酸ステアリルナトリウムを含む医薬組成物が提供される。例えば、いくつかの態様において、医薬組成物は、本開示の化合物;ケイ酸処理微結晶性セルロース;クロスカルメロースナトリウム;及びフマル酸ステアリルナトリウムを含む。いくつかの態様において、医薬組成物は、遊離塩基としての構造式Iの化合物の分子量に基づいて、重量で約5%~約50%(例えば、約35%)の本開示の化合物を含む。
【0088】
重量(又は重量パーセント)が「遊離塩基としての構造式Iの化合物の分子量に基づいて」いる場合、示された重量(又は重量パーセント)は、存在する化合物が、その遊離塩基形態か、例えばメシル酸塩などの薬学的に許容できる塩としての他の形態かにかかわらず、遊離塩基として計算された、構造式Iの化合物の対応する重量(又は重量パーセント)を指す。構造式Iの化合物がその遊離塩基形態で存在する場合、構造式Iの化合物の示された重量は、存在する構造式の化合物の実際の重量に相当することが認識されるだろう。しかし、構造式Iの化合物がメシル酸塩として存在する場合、構造式Iの化合物の示された重量は、存在する構造式Iの化合物と遊離塩基としての構造式Iの化合物のモル比を考慮して、存在する構造式Iの化合物の実際の重量をその分子量で割り、生じた商に、遊離塩基としての構造形態の化合物の分子量をかけることにより、存在する構造式Iの化合物の実際の重量から計算される重量である。遊離塩基としての構造式Iの化合物の分子量は543.4g/molである。
【0089】
ケイ酸処理微結晶性セルロースを含む医薬組成物のいくつかの態様において、医薬組成物は、重量で約25%~約50%(例えば、約30%)のケイ酸処理微結晶性セルロースを含む。ケイ酸処理微結晶性セルロースを含む医薬組成物の上記態様のいずれかの態様において、ケイ酸処理微結晶性セルロースは、約125μmのレーザー回折による平均粒径を有する。ケイ酸処理微結晶性セルロースを含む医薬組成物の上記態様のいずれかの態様において、ケイ酸処理微結晶性セルロースは、約0.25~約0.37g/mLの嵩密度を有する。
【0090】
クロスカルメロースナトリウムを含む医薬組成物のいくつかの態様において、医薬組成物は、重量で約1%~約10%(例えば、約5%)のクロスカルメロースナトリウムを含む。
【0091】
フマル酸ステアリルナトリウムを含む医薬組成物のいくつかの態様において、医薬組成物は、重量で約0.1%~約5%(例えば、約0.5%)のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0092】
いくつかの態様において、医薬組成物は、マンニトール(例えば、D-マンニトール)又はその薬学的に許容できる塩、例えば、重量で約25%~約50%(例えば、約30%)のマンニトール(例えば、D-マンニトール)又はその薬学的に許容できる塩を含むか、又はさらに含む。マンニトール又はその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物の上記態様の態様において、マンニトール又はその薬学的に許容できる塩は、約40μmのd10、約130μmのd50、及び約200μmのd90を有する。
【0093】
本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)は、典型的には、容易に制御可能な用量の薬物を提供し、患者に洗練され容易に扱える製品を与えるために医薬剤形に製剤される。したがって、いくつかの態様は、本明細書に記載される医薬組成物又は組合せを含む単位剤形を提供する。いくつかの態様において、単位剤形は、遊離塩基としての構造式Iの化合物の分子量に基づいて、約5mg~約250mg、例えば、約7mg、約28mg、約50mg、約100mg、約200mgの構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物を含む。特定の態様において、単位剤形は、遊離塩基としての構造式Iの化合物の分子量に基づいて、約50mgの構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物を含む。別の特定の態様において、単位剤形は、遊離塩基としての構造式Iの化合物の分子量に基づいて、約100mgの構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物を含む。さらに別の特定の態様において、単位剤形は、遊離塩基としての構造式Iの化合物の分子量に基づいて、約200mgの構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物を含む。
【0094】
本開示の化合物の投与計画は、当然ながら、特定の薬剤の薬力学特性並びにその投与の様式及び経路;受容者の人種、年齢、性別、健康、病状、及び体重;症状の性質及び程度;併用療法の種類;治療の頻度;投与経路;患者の腎及び肝機能;並びに望まれる効果などの公知の因子により変わるだろう。本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)は、単一の1日量で投与され得るか、又は総1日用量が、分割された投与量で、例えば、1日2回、3回、又は4回投与され得る。
【0095】
特定の安定性特性を有する医薬組成物及び剤形も本明細書に提供される。そのため、いくつかの態様において、本明細書に記載される医薬組成物又は剤形は、密閉された容器中で、約40℃及び約75%相対湿度で4週間後、カールフィッシャー滴定により測定されて3重量%未満の水を含む。さらに又は或いは、いくつかの態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、密閉された容器中で、約40℃及び約75%相対湿度で4週間後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定されて、少なくとも95%の純度を有する。さらに又は或いは、いくつかの態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、密閉された容器中で、約40℃及び約75%相対湿度で4週間後、HPLCにより測定されて、1%未満(例えば、0.75%未満)の総不純物を含む。
【0096】
水は特定の化合物の分解を促進し得るので、本開示は、本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を含む無水医薬組成物及び剤形をさらに提供する。本開示の無水医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分含有成分及び低水分又は低湿度条件を使用して調製できる。無水医薬組成物は、その無水の性質が維持されるように調製及び保存され得る。したがって、無水組成物は、それらが好適な処方キット(formulary kits)に収納され得るように水への曝露を防ぐことが知られている材料を使用して包装される。好適な包装の例としては、密封されたフォイル、プラスチック、単位投与量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックがあるが、これらに限定されない。
【0097】
本開示は、有効成分としての本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)が分解する速度を減少させる1種以上の作用物質を含む医薬組成物及び剤形をさらに提供する。そのような作用物質は、本明細書で「安定剤」と称され、アスコルビン酸などの酸化防止剤、pH緩衝剤、又は塩緩衝剤などがあるが、これらに限定されない。
【0098】
特定の場合では、本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を、1種以上の追加の治療活性のある薬剤と組み合わせて投与することが好都合であり得る。例えば、本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を、抗癌剤(例えば、化学療法剤)、抗アレルギー剤、鎮吐剤、鎮痛剤、免疫調節物質、又は細胞保護剤から独立に選択される1種以上の追加の治療活性のある薬剤と組み合わせて投与して、癌を治療することが好都合であり得る。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、TNK1媒介性疾患、障害、又は病態、例えば、消化器疾患、炎症性疾患、組織損傷、多臓器機能不全症候群(MODS)、敗血症、自己免疫疾患、マイクロバイオームの疾患、障害、若しくは病態、又は外傷及び/若しくは腸管損傷から生じる疾患、障害、又は病態を治療するために1種以上の治療活性のある薬剤と組み合わせて投与される。
【0099】
用語「併用療法」は、本明細書に記載される疾患、障害、又は病態を治療するための2種以上の治療活性のある薬剤の投与を指す。そのような投与は、一定比の有効成分を有する単一のカプセル中など、治療活性のある薬剤の実質的に同時の方法での共投与を包含する。或いは、そのような投与は、各有効成分の多数又は別な容器(例えば、カプセル、粉末、及び液体)中の共投与を包含する。そのような投与は、およそ同時か異なる時間のいずれかで、連続的な方法での各種類の治療活性のある薬剤の使用も包含する。本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)及び追加の治療活性のある薬剤は、同じ投与経路によっても、異なる投与経路によっても投与できる。粉末及び/又は液体は、投与前に、所望の投与量に再構成又は希釈され得る。典型的には、治療レジメンは、本明細書に記載される疾患、病態、又は障害を治療する際に薬物組合せの有益な効果を提供するだろう。
【0100】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される併用療法の方法は、本開示の化合物により調節される経路、成分、若しくはセットとは異なる経路若しくは同じ経路の異なる成分、又は標的酵素の重複するセットを調節することが知られている治療活性のある薬剤を提供する。一態様において、そのような療法としては、本開示の化合物と、相乗的又は相加的治療効果を与える化学療法剤、治療用抗体、及び/又は放射線治療の組合せがあるが、これらに限定されない。
【0101】
併用療法に使用するための組成物は、医薬組合せとして共に製剤されるか、又は別々な投与(例えば、キット中で関連づける)用に提供されるだろう。したがって、さらなる実施形態は、本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)(例えば、治療上有効な量の本開示の化合物)及び1種以上の追加の治療活性のある薬剤(例えば、治療上有効な量の1種以上の追加の治療活性のある薬剤)を含む医薬組合せである。医薬組合せは、本明細書に記載される薬学的に許容できる担体の1種以上など、1種以上の薬学的に許容できる担体をさらに含み得る。
【0102】
本開示の化合物と組み合わせて(例えば、併用療法において、医薬組合せにおいて)使用するための療法の例としては、標準治療療法(例えば、標準治療剤)がある。標準治療療法は、臨床医が、特定の種類の患者、病気、及び/又は臨床状況のために使用すべき療法である。例えば、膵臓癌の標準治療剤の非限定的な例はゲムシタビンである。結腸直腸癌の標準治療剤の非限定的な例は、フォルフィリノックス(フォリン酸、フロオロウラシル、イリノテカン、及びオキサリプラチンで構成される化学療法レジメン)がある。多くの場合、National Comprehensive Cancer Network(NCCN)などの組織が、特定の患者、病気、及び/又は臨床状況の治療の最善の方法を説明するガイドライン及び/又は治療アルゴリズムを発表している。nccn.orgを参照されたい。これらのガイドラインは、多くの場合、標準治療療法を確立し、説明し、且つ/又は要約している。
【0103】
放射線療法は、いくつかの実施形態における本開示の化合物と組み合わせて投与できる。例示的な放射線療法としては、外照射療法、内部放射線療法、組織内照射、定位手術的照射、全身放射線療法、放射線療法、及び永久的又は一次的組織内小線源療法がある。本明細書で使用される用語「小線源療法」は、腫瘍又は他の増殖性組織疾患部位に、又はその近くで体内に挿入された空間的に閉じ込められた放射性物質により送達される放射線療法を指す。その用語は、非限定的に、放射性同位元素(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、及びLuの放射性同位元素)への曝露を含むものとする。本発明の細胞調整剤(cell conditioner)として使用するための好適な放射線源としては、固体と液体の両方がある。非限定的な例として、放射線源は、I125、I131、Yb169、固体源としてのIr192、固体源としてのI125などの放射性核種、又は光子、ベータ粒子、ガンマ線、若しくは他の治療用の線を発する他の放射性核種がある。放射性物質は、放射性核種の任意の溶液、例えば、I125若しくはI131の溶液から製造された流体でもあり得て、又は放射性流体は、Au198、Y90などの固体放射性核種の小粒子を含む好適な流体のスラリーを使用して製造され得る。さらに、放射性核種は、ゲル又は放射性のマイクロスフィアにまとめられ得る。
【0104】
どのような理論にも限定されないが、本開示の化合物は、異常な細胞を殺傷し、且つ/又はその成長を阻害する目的で、放射線による治療に対してそのような細胞の感受性を高めるようにすることができる。したがって、いくつかの実施形態は、放射線による治療に対する哺乳動物中の異常な細胞の感受性を高める方法であって、哺乳動物に、放射線による治療に対する異常な細胞の感受性を高めるのに有効な量の本開示の化合物を投与することを含む方法を含む。この方法における本開示の化合物の量は、そのような化合物の有効量を解明する手段に従って決定できる。いくつかの実施形態において、標準治療療法は放射線療法を含む。
【0105】
本開示の化合物と組み合わせて(例えば、併用療法において、医薬組合せにおいて)使用するための化学療法剤の非限定的な例としては、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、N4-ペントキシカルボニル-5-デオキシ-5-フルオロシチジン、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)又はNeosar(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(Cytosar-U(登録商標))、シタラビンリポソーム注射液(DepoCyt(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))、ドキソルビシン塩酸塩(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標))、フルダラビンリン酸エステル(Fludara(登録商標))、5-フロオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L-アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、6-メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、メトトレキサート(Folex(登録商標))、ペントスタチン、6-チオグアニン、チオテパ、及び注射用トポテカン塩酸塩(Hycamptin(登録商標))がある。さらなる例はボルテゾミブである。なおさらなる例としては、ゲムシタビン、ナブパクリタキセル、エルロチニブ、フロオロウラシル、及びフォルフィリノックス(フォリン酸、フロオロウラシル、イリノテカン、及びオキサリプラチンで構成された化学療法レジメン)、又は例えば、膵臓癌(例えば、進行膵臓癌、膵管腺癌)を治療するための上記のものの2種以上のあらゆる組合せがある。
【0106】
本開示の化合物と組み合わせて使用するための特に興味深い抗癌剤としては下記がある:
【0107】
デノボプリン合成のプリン代謝拮抗剤及び/又は阻害剤:ペメトレキセド(Alimta(登録商標))、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Carac(登録商標)、及びEfudex(登録商標))、メトトレキサート(Trexall(登録商標))、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、フロクスウリジン(FUDR(登録商標))、デシタビン(Dacogen(登録商標))、アザシチジン(Vidaza(登録商標)及びAzadine(登録商標))、6-メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標)、Litak(登録商標)、及びMovectro(登録商標))、フルダラビン(Fludara(登録商標))、ペントスタチン(Nipent(登録商標))、ネララビン(Arranon(登録商標))、クロファラビン(Clolar(登録商標)及びEvoltra(登録商標))、及びシタラビン(Cytosar(登録商標))。抗血管新生剤としては、例えば、MMP-2(マトリックスメタロプロテイナーゼ2)阻害剤、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD001)、ソラフェニブ、スニチニブ、及びベバシズマブがある。有用なCOX-II阻害剤の例としては、CELEBREX(商標)(アレコキシブ(alecoxib))、バルデコキシブ、及びロフェコキシブがある。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、国際公開第96/33172号パンフレット(1996年10月24日に公開)、国際公開第96/27583号パンフレット(1996年3月7日に公開)、欧州特許出願第97304971.1号明細書(1997年7月8日に出願)、欧州特許出願第99308617.2号明細書(1999年10月29日に出願)、国際公開第98/07697号パンフレット(1998年2月26日に公開)、国際公開第98/03516号パンフレット(1998年1月29日に公開)、国際公開第98/34918号パンフレット(1998年8月13日に公開)、国際公開第98/34915号パンフレット(1998年8月13日に公開)、国際公開第98/33768号パンフレット(1998年8月6日に公開)、国際公開第98/30566号パンフレット(1998年7月16日に公開)、欧州特許公報606,046号明細書(1994年7月13日に公開)、欧州特許公報931,788号明細書(1999年7月28日に公開)、国際公開第90/05719号パンフレット(1990年5月31日に公開)、国際公開第99/52910号パンフレット(1999年10月21日に公開)、国際公開第99/52889号パンフレット(1999年10月21日に公開)、国際公開第99/29667号パンフレット(1999年6月17日に公開)、PCT国際出願第PCT/IB98/01113号パンフレット(1998年7月21日に出願)、欧州特許出願第99302232.1号明細書(1999年3月25日に出願)、英国特許出願第9912961.1号明細書(1999年6月3日に出願)、米国仮特許出願第60/148,464号明細書(1999年8月12日に出願)、米国特許第5,863,949号明細書(1999年1月26日に発行)、米国特許第5,861,510号明細書(1999年1月19日に発行)、及び欧州特許公報第780,386号明細書(1997年6月25日に公開)に記載されており、その全ては参照により全体として本明細書に組み込まれている。MMP-2及びMMP-9阻害剤の実施形態としては、MMP-1を阻害する活性がほとんど又は全くないものがある。他の実施形態としては、他のマトリックスメタロプロテイナーゼ(すなわち、MAP-1、MMP-3、MMP-4、MMP-5、MMP-6、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12、及びMMP-13)に対してMMP-2及び/又はAMP-9を選択的に阻害するものがある。いくつかの実施形態において有用なMMP阻害剤のいくつかの具体例は、AG-3340、RO 323555、及びRS 13-0830である。
【0108】
オートファジー阻害剤としては、クロロキン、3-メチルアデニン、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(商標))、バフィロマイシンA1、5-アミノ-4-イミダゾールカルボキサミドリボシド(AICAR)、オカダ酸、2A型又は1型のタンパク質ホスファターゼを阻害するオートファジー抑制性藻類毒素、cAMPのアナログ、並びにアデノシン、LY204002、N6-メルカプトプリンリボシド、及びビンブラスチンなど、cAMPレベルを上昇させる薬物があるが、これらに限定されない。さらに、ATG5(オートファジーに関与している)を含むがこれに限定されないタンパク質の発現を阻害するアンチセンス又はsiRNAも使用され得る。
【0109】
他の実施形態において、本開示の化合物との併用療法の方法に有用である薬剤としては、下記があるが、これらに限定されない:エルロチニブ、アファチニブ、Iressa、GDC0941、MLN1117、BYL719(アルペリシブ)、BKM120(ブパルリシブ)、CYT387、GLPG0634、バリシチニブ、レスタウルチニブ、モメロチニブ、パクリチニブ、ルキソリチニブ、TG101348、クリゾチニブ、チバンチニブ、AMG337、カボザンチニブ、フォレチニブ、オナルツズマブ、NVP-AEW541、ダサチニブ、ポナチニブ、サラカチニブ、ボスチニブ、トラメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、PD0325901、RO5126766、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスツチニブ(Bostutinib)、セツキシマブ、クリゾチニブ、フォスタマチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、イブルチニブ、ニロチニブ、パニツムマブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ラニビズマブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、SU6656、トラスツズマブ、トファシチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、イリノテカン、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン、又はMLN0128。
【0110】
B-細胞受容体シグナリングアンタゴニスト(例えば、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤):イブルチニブ及びベネトクラクス。
【0111】
ブロモドメイン阻害剤。ブロモドメイン阻害剤は、Brd2、Brd3、Brd4、及び/又はBrdTなどの少なくとも1種のブロモドメインタンパク質、例えばBrd4を阻害する。これらの実施形態のいくつかにおいて、ブロモドメイン阻害剤は、JQ-1(Nature 2010 Dec 23;468(7327):1067-73)、BI2536(ACS Chem.Biol.2014 May 16;9(5):1160-71;Boehringer Ingelheim)、TG101209(ACS Chem.Biol.2014 May 16;9(5):1160-71)、OTX015(Mol.Cancer Ther.November 201312;C244;Oncoethix)、IBET762(J Med Chem.2013 Oct 10;56(19):7498-500;GlaxoSmithKline)、IBET151(Bioorg.Med.Chem.Lett.2012 Apr 15;22(8):2968-72;GlaxoSmithKline)、PFI-1(J.Med.Chem.2012 Nov 26;55(22):9831-7;Cancer Res.2013 Jun 1;73(11):3336-46;Structural Genomics Consortium)、又は(of)CPI-0610(Constellation Pharmaceuticals)である。いくつかの実施形態において、ブロモドメイン阻害剤は、TG101209、BI2536、OTX015、C244、IBET762、IBET151、又はPFI-1である。
【0112】
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤。HDAC阻害剤は、少なくとも1種のHDACタンパク質を阻害する。HDACタンパク質は、酵母のHDACタンパク質への相同性に基づいて数クラスに分類され得て、クラスIは、HDAC1、HDAC2、HDAC3、及びHDAC8で構成され;クラスIIaは、HDAC4、HDAC5、HDAC7、及びHDAC9で構成され;クラスIIbは、HDAC6及びHDAC10で構成され;クラスIVはHDAC11で構成される。これらの実施形態のいくつかにおいて、HDAC阻害剤は、トリコスタチンA、ボリノスタット(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1998 Mar 17;95(6):3003-7)、ジビノスタット、アベキシノスタット(Mol.Cancer Ther.2006 May;5(5):1309-17)、ベリノスタット(Mol.Cancer Ther.2003 Aug;2(8):721-8)、パノビノスタット(Clin.Cancer Res.2006 Aug 1;12(15):4628-35)、レスミノスタット(Clin.Cancer Res.2013 Oct 1;19(19):5494-504)、キジノスタット(Clin.Cancer Res.2013 Aug 1;19(15):4262-72)、デプシペプチド(Blood.2001 Nov 1;98(9):2865-8)、エンチノスタット(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1999 Apr 13;96(8):4592-7)、モセチノスタット(Bioorg.Med.Chem.Lett.2008 Feb 1;18(3):106771)、又はバルプロ酸(EMBO J.2001 Dec 17;20(24):6969-78)である。例えば、いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、パノビノスタット、ボリノスタット、MS275、ベリノスタット、又はLBH589である。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、パノビノスタット又はSAHAである。
【0113】
実施形態において、本開示の化合物は、上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ(EGFR)阻害剤と組み合わせて投与される。EGFR阻害剤の例としては、エルロチニブ、オシメルチニブ、セツキシマブ、ゲフィチニブ、ネシツムマブ、ラパチニブ、ネラチニブ、パニツムマブ、バンデタニブ、及びネシツムマブがある。本明細書に記載される化合物とEGFR阻害剤の組合せは、例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、膵臓癌、乳癌、及び結腸癌など、EGFR調節不全に関連する癌の治療において有用であり得る。EGFRは、例えば、エクソン18、19、20、又は21における活性化突然変異により調節不全であり得る。特定の実施形態において、EGFR阻害剤は、エルロチニブ又はオシメルチニブである。特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物とEGFR阻害剤の組合せは、EGFR変異NSCLCを治療するために使用される。特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物とEGFR阻害剤の組合せは、EGFR阻害剤耐性癌を治療するために使用され、本明細書に記載される化合物は、EGFR阻害剤に対する癌の感受性を高めた。
【0114】
EGFR抗体:セツキシマブ(Erbitux(登録商標))。
【0115】
MTAP阻害剤:(3R,4S)-1-((4-アミノ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)メチル)-4-((メチルチオ)メチル)ピロリジン-3-オール(MT-DADMe-イムシリン-A、CAS 653592-04-2)。
【0116】
メチルチオアデノシン:((2R,3R,4S,5S)-2-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-5-((メチルチオ)メチル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール、CAS 2457-80-9)。
【0117】
上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤:エルロチニブ塩酸塩(Tarceva(登録商標))及びゲフィトニブ(gefitnib)(Iressa(登録商標))。
【0118】
EGFR抗体:セツキシマブ(Erbitux(登録商標))。
【0119】
MET阻害剤:カプマチニブ(INC280、CAS 1029712-80-8)。
【0120】
血小板由来成長因子(PDGF)受容体阻害剤:イマチニブ(Gleevec(登録商標));リニファニブ(N-[4-(3-アミノ-1H-インダゾール-4-イル)フェニル]-N’-(2-フルオロ-5-メチルフェニル)尿素、別名ABT 869、Genentechから利用可能);スニチニブリンゴ酸塩(Sutent(登録商標));キザルチニブ(AC220、CAS 950769-58-1);パゾパニブ(Votrient(登録商標));アキシチニブ(Inlyta(登録商標));ソラフェニブ(Nexavar(登録商標));vargatef(BIBF1120、CAS 928326-83-4);テラチニブ(BAY57-9352、CAS 332012-40-5);バタラニブ二塩酸塩(PTK787、CAS 212141-51-0);及びモテサニブ二リン酸塩(AMG706、CAS 857876-30-3、N-(2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1H-インドール-6-イル)-2-[(4-ピリジニルメチル)アミノ]-3-ピリジンカルボキサミド、PCT公報国際公開第02/066470号パンフレットに記載)。
【0121】
ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤:4-[2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-[[4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル]メチル]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル]モルホリン(GDC 0941としても知られ、PCT公報国際公開第09/036082号パンフレット及び国際公開第09/055730号パンフレットに記載);4-(トリフルオロメチル)-5-(2,6-ジモルホリノピリミジン-4-イル)ピリジン-2-アミン(BKM120又はNVP-BKM120としても知られ、PCT公報国際公開第2007/084786号パンフレットに記載);アルペリシブ(BYL719):(5Z)-5-[[4-(4-ピリジニル)-6-キノリニル]メチレン]-2,4-チアゾリジンジオン(GSK1059615、CAS 958852-01-2);5-[8-メチル-9-(1-メチルエチル)-2-(4-モルホリニル)-9H-プリン-6-イル]-2-ピリミジンアミン(VS-5584、CAS 1246560-33-7)、及びエベロリムス(AFINITOR(登録商標))。
【0122】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤:リボシクリブ(LEE011、CAS 1211441-98-3);アロイシンA;アルボシジブ(フラボピリドール又はHMR-1275、2-(2-クロロフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-8-[(3S,4R)-3-ヒドロキシ-1-メチル-4-ピペリジニル]-4-クロメノンとしても知られ、米国特許第5,621,002号明細書に記載);クリゾチニブ(PF-02341066、CAS 877399-52-5);2-(2-クロロフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-8-[(2R,3S)-2-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-3-ピロリジニル]-4H-1-ベンゾピラン-4-オン、塩酸塩(P276-00、CAS 920113-03-7);1-メチル-5-[[2-[5-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-2-イル]-4-ピリジニル]オキシ]-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ベンゾイミダゾール-2-アミン(RAF265、CAS 927880-90-8);インジスラム(E7070);ロスコビチン(CYC202);6-アセチル-8-シクロペンチル-5-メチル-2-(5-ピペラジン-1-イル-ピリジン-2-イルアミノ)-8H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-オン、塩酸塩(PD0332991);ディナシクリブ(SCH727965);N-[5-[[(5-tert-ブチルオキサゾール-2-イル)メチル]チオ]チアゾール-2-イル]ピペリジン-4-カルボキサミド(BMS 387032、CAS 345627-80-7);4-[[9-クロロ-7-(2,6-ジフルオロフェニル)-5H-ピリミド[5,4-d]ベンザゼピン-2-イル]アミノ]-安息香酸(MLN8054、CAS 869363-13-3);5-[3-(4,6-ジフルオロ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-5-イル]-N-エチル-4-メチル-3-ピリジンメタンアミン(AG-024322、CAS 837364-57-5);4-(2,6-ジクロロベンゾイルアミノ)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸N-(ピペリジン-4-イル)アミド(AT7519、CAS 844442-38-2);4-[2-メチル-1-(1-メチルエチル)-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-ピリミジンアミン(AZD5438、CAS 602306-29-6);パルボシクリブ(PD-0332991);及び(2R,3R)-3-[[2-[[3-[[S(R)]-S-シクロプロピルスルホンイミドイル]-フェニル]アミノ]-5-(トリフルオロメチル)-4-ピリミジニル]オキシ]-2-ブタノール(BAY 10000394)。
【0123】
p53-MDM2阻害剤:(S)-1-(4-クロロ-フェニル)-7-イソプロポキシ-6-メトキシ-2-(4-{メチル-[4-(4-メチル-3-オキソ-ピペラジン-1-イル)-trans-シクロヘキシルメチル]-アミノ}-フェニル)-1,4-ジヒドロ-2H-イソキノリン-3-オン、(S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-イル)-6-(4-クロロ-フェニル)-2-(2,4-ジメトキシ-ピリミジン-5-イル)-1-イソプロピル-5,6-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-d]イミダゾール-4-オン、[(4S,5R)-2-(4-tert-ブチル-2-エトキシフェニル)-4,5-ビス(4-クロロフェニル)-4,5-ジメチルイミダゾール-1-イル]-[4-(3-メチルスルホニルプロピル)ピペラジン-1-イル]メタノン(RG7112)、4-[[(2R,3S,4R,5S)-3-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-シアノ-5-(2,2-ジメチルプロピル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]-3-メトキシ安息香酸(RG7388)、SAR299155、2-((3R,5R,6S)-5-(3-クロロフェニル)-6-(4-クロロフェニル)-1-((S)-1-(イソプロピルスルホニル)-3-メチルブタン-2-イル)-3-メチル-2-オキソピペリジン-3-イル)酢酸(AMG232)、{(3R,5R,6S)-5-(3-クロロフェニル)-6-(4-クロロフェニル)-1-[(2S,3S)-2-ヒドロキシ-3-ペンタニル]-3-メチル-2-オキソ-3-ピペリジニル}酢酸(AM-8553)、(±)-4-[4,5-ビス(4-クロロフェニル)-2-(2-イソプロポキシ-4-メトキシ-フェニル)-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボニル]-ピペラジン-2-オン(ヌトリン-3)、2-メチル-7-[フェニル(フェニルアミノ)メチル]-8-キノリノール(NSC 66811)、1-N-[2-(1H-インドール-3-イル)エチル]-4-N-ピリジン-4-イルベンゼン-1,4-ジアミン(JNJ-26854165)、4-[4,5-ビス(3,4-クロロフェニル)-2-(2-イソプロポキシ-4-メトキシ-フェニル)-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボキシル]-ピペラジン-2-オン(Caylin-1)、4-[4,5-ビス(4-トリフルオロメチル-フェニル)-2-(2-イソプロポキシ-4-メトキシ-フェニル)-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボキシル]-ピペラジン-2-オン(Caylin-2)、5-[[3-ジメチルアミノ)プロピル]アミノ]-3,10-ジメチルピリミド[4,5-b]キノリン-2,4(3H,10H)-ジオン二塩酸塩(HLI373)、及びtrans-4-ヨード-4’-ボラニル-カルコン(SC204072)。
【0124】
マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害剤:XL-518(GDC-0973としても知られ、CAS番号1029872-29-4、ACC Corp.から利用可能);セルメチニブ(5-[(4-ブロモ-2-クロロフェニル)アミノ]-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボキサミド、AZD6244又はARRY 142886としても知られ、PCT公報国際公開第2003/077914号パンフレットに記載);2-[(2-クロロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-N-(シクロプロピルメトキシ)-3,4-ジフルオロ-ベンズアミド(CI-1040又はPD184352としても知られ、PCT公報国際公開第2000/035436号パンフレットに記載);N-[(2R)-2,3-ジヒドロキシプロポキシ]-3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-ベンズアミド(PD0325901としても知られ、PCT公報国際公開第2002/006213号パンフレットに記載);2,3-ビス[アミノ[(2-アミノフェニル)チオ]メチレン]-ブタンジニトリル(U0126としても知られ、米国特許第2,779,780号明細書に記載);N-[3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-6-メトキシフェニル]-1-[(2R)-2,3-ジヒドロキシプロピル]-シクロプロパンスルホンアミド(RDEA119又はBAY869766としても知られ、PCT公報国際公開第2007/014011号パンフレットに記載);(3S,4R,5Z,8S,9S,11E)-14-(エチルアミノ)-8,9,16-トリヒドロキシ-3,4-ジメチル-3,4,9;19-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾキサシクロテトラデシン-1,7(8H)-ジオン](E6201としても知られ、PCT公報国際公開第2003/076424号パンフレットに記載);2’-アミノ-3’-メトキシフラボン(PD98059としても知られ、Biaffin GmbH & Co.,KG,Germanyから利用可能);(R)-3-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-6-フルオロ-5-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン(TAK-733、CAS 1035555-63-5);ピマセルチブ(AS-703026、CAS 1204531-26-9);トラメチニブジメチルスルホキシド(GSK-1120212、CAS 1204531-25-80);2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド(AZD 8330);3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-[(3-オキソ-[1,2]オキサジナン-2-イル)メチル]ベンズアミド(CH 4987655又はRo 4987655);及び5-[(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ]-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボキサミド(MEK162)。
【0125】
B-RAF阻害剤:レゴラフェニブ(BAY73-4506、CAS 755037-03-7);ツビザニブ(tuvizanib)(AV951、CAS 475108-18-0);ベムラフェニブ(ZELBORAF(登録商標)、PLX-4032、CAS 918504-65-1);エンコラフェニブ(別名LGX818);1-メチル-5-[[2-[5-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-2-イル]-4-ピリジニル]オキシ]-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル-1H-ベンゾイミダゾール-2-アミン(RAF265、CAS 927880-90-8);5-[1-(2-ヒドロキシエチル)-3-(ピリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]-2,3-ジヒドロインデン-1-オンオキシム(GDC-0879、CAS 905281-76-7);5-[2-[4-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]-5-(4-ピリジニル)-1H-イミダゾール-4-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンオキシム(GSK2118436又はSB590885);(±)-メチル(5-(2-(5-クロロ-2-メチルフェニル)-1-ヒドロキシ-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)カルバメート(別名XL-281及びBMS908662)、ダブラフェニブ(TAFINLAR(登録商標))、及びN-(3-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボニル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド(別名PLX4720)。
【0126】
ALK阻害剤:クリゾチニブ(XALKORI(登録商標))。
【0127】
PIMキナーゼ阻害剤:
【化7】
又はその薬学的に許容できる塩。
【0128】
プロテアソーム阻害剤:ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標))、N-5-ベンジルオキシカルボニル-Ile-Glu(O-tert-ブチル)-Ala-ロイシナール(PSI)、カーフィルゾミブ及びイキサゾミブ、マリゾミブ(NPI-0052)、デランゾミブ(CEP-18770)、及びO-メチル-N-[(2-メチル-5-チアゾリル)カルボニル]-L-セリル-O-メチル-N-[(1S)-2-[(2R)-2-メチル-2-オキシラニル]-2-オキソ-1-(フェニルメチル)エチル]-L-セリンアミド(オプロゾミブ、ONX-0912、PR-047)(例えば、ボルテゾミブ)。RNAiスクリーンは、TNK1を、骨髄腫におけるプロテアソーム阻害剤感受性の潜在的な調節物質として特定した。Zhu et al.,Blood(2011)117(14):3847-3857。いくつかの実施形態において、本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)は、例えば多発性骨髄腫の治療のために、ボルテゾミブなどの本明細書に記載されるプロテアソーム阻害剤と組み合わせて投与される。
【0129】
本開示の化合物と組み合わせて使用できる治療活性のある薬剤のさらなる非限定的な例としては、化学療法剤、細胞毒性剤、並びに非ペプチド小分子、例えば、Gleevec(登録商標)(イマチニブメシル酸塩)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、Casodex(ビカルタミド)、Iressa(登録商標)(ゲフィチニブ)、及びAdriamycin並びに多くの化学療法剤がある。化学療法剤の非限定的な例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びシクロスホスファミド(cyclosphosphamide(CYTOXAN(登録商標));スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドパ(benzodopa)、カルボクオン、メツレドパ(meturedopa)、及びウレドパ(uredopa);エチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamines)、例えば、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスファオラミド(triethylenethiophosphaoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine);ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビシン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロスウレア(nitrosureas)、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウスラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアミシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、Casodex(登録商標)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルチェロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗物質、例えばメトトレキサート及び5-フロオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;フロリン酸(frolinic acid)などの葉酸補給剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エルフォミチン(elfomithine);エリプチニウム酢酸塩;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK.RTM.;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えば、パクリタキセル(TAXOL(商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)及びドセタキセル(TAXOTERE(商標)、Rhone-Poulenc Rorer,Antony,France);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;及び上記のもののいずれかの薬学的に許容できる塩、酸、又は誘導体。
【0130】
いくつかの実施形態において、化学療法剤は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、挿入性抗生物質(intercalating antibiotics)、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生体応答修飾物質、抗ホルモン剤、血管新生阻害剤、及び抗アンドロゲン剤からなる群から選択される。
【0131】
本開示の化合物と組み合わせて(例えば、併用療法において、医薬組合せにおいて)使用するための化学療法剤のさらなる非限定的な例としては、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、N4-ペントキシカルボニル-5-デオキシ-5-フルオロシチジン、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)又はNeosar(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(Cytosar-U(登録商標))、シタラビンリポソーム注射液(DepoCyt(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))、ドキソルビシン塩酸塩(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標))、フルダラビンリン酸エステル(Fludara(登録商標))、5-フロオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L-アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、6-メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、メトトレキサート(Folex(登録商標))、ペントスタチン、6-チオグアニン、チオテパ、及び注射用トポテカン塩酸塩(Hycamptin(登録商標))がある。
【0132】
通常処方される抗癌薬のあらなる非限定的な例としては、Herceptin(登録商標)、Avastin(登録商標)、Erbitux(登録商標)、Rituxan(登録商標)、Taxol(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Taxotere(登録商標)、ABVD、AVICINE、アバゴボマブ、アクリジンカルボキサミド、アデカツムマブ、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、アルファラディン、アルボシジブ、3-アミノピリジン-2-カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン、アモナフィド、アントラセンジオン、抗CD22免疫毒素、抗新生物薬、抗腫瘍性ハーブ、アパジコン、アチプリモド、アザチオプリン、ベロテカン、ベンダムスチン、BIBW 2992、ビリコダル、ブロスタリシン、ブリオスタチン、ブチオニンスルホキシミン、CBV(化学療法)、カリクリン、細胞周期非特異的抗新生物剤、ジクロロ酢酸、ディスコデルモライド、エルサミトルシン、エノシタビン、エポチロン、エリブリン、エベロリムス、エキサテカン、エクシスリンド、フェルギノール、フォロデシン、ホスフェストロール、ICE化学療法レジメン、IT-101、イメキソン、イミキモド、インドロカルバゾール、イロフルベン、ラニキダル、ラロタキセル、レナリドミド、ルカントン、ルルトテカン、マホスファミド、ミトゾロミド、ナフォキシジン、ネダプラチン、オラパリブ、オルタタキセル、PAC-1、ポポー、ピキサントロン、プロテアソーム阻害剤、レベッカマイシン、レシキモド、ルビテカン、SN-38、サリノスポラミドA、サパシタビン、スタンフォードV、スワインソニン、タラポルフィン、タリキダル、テガフール-ウラシル、テモダール、テセタキセル、四硝酸トリプラチン、トリス(2-クロロエチル)アミン、トロキサシタビン、ウラムスチン、バディメザン、ビンフルニン、ZD6126、又はゾスキダルがある。
【0133】
好適な化学療法細胞調整剤としてやはり含まれるのは、例えばタモキシフェン、(Nolvadex(商標))、ラロキシフェン、4(5)-イミダゾールを阻害するアロマターゼ、4ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲン剤;並びに、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリンなどの抗アンドロゲン剤など、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金アナログ;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;xeloda;イバンドロネート;カンプトテシン-11(CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)である。
【0134】
本開示の化合物と組み合わせて使用できる治療活性のある薬剤の非限定的な例としては、mTOR阻害剤がある。例示的なmTOR阻害剤としては、例えば、テムシロリムス;リダホロリムス(以前はデフェロリムス(deferolimus)として知られていた、(1R,2R,4S)-4-[(2R)-2[(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28Z,30S,32S,35R)-1,18-ジヒドロキシ-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23,29,35-ヘキサメチル-2,3,10,14,20-ペンタオキソ-11,36-ジオキサ-4-アザトリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ-16,24,26,28-テトラエン-12-イル]プロピル]-2-メトキシシクロヘキシルジメチルホスフィネート、AP23573及びMK8669としても知られ、PCT公報国際公開第03/064383号パンフレットに記載);エベロリムス(Afinitor(登録商標)又はRAD001);ラパマイシン(AY22989、Sirolimus(登録商標));シマピモド(simapimod)(CAS 164301-51-3);エムシロリムス(emsirolimus)、(5-{2,4-ビス[(3S)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル}-2-メトキシフェニル)メタノール(AZD8055);2-アミノ-8-[trans-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-4-メチル-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(PF04691502、CAS 1013101-36-4);及びN-[1,4-ジオキソ-4-[[4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-2-イル)モルホリニウム-4-イル]メトキシ]ブチル]-L-アルギニルグリシル-L-α-アスパルチルL-セリン-分子内塩(配列番号:1482)(SF1126、CAS 936487-67-1)、及びXL765がある。
【0135】
特定の他の実施形態において、癌を治療する方法であって、有効量の本開示の化合物及びCDK阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを含む方法が提供される。
【0136】
実施形態において、CDK阻害剤は、CDK2、CDK4、CDK6、CDK7、CDK8、CDK9、CDK10、及び/又はCDK11阻害剤である。いくつかの実施形態において、CDK阻害剤は、CDK7、CDK9阻害剤、又は両方である。いくつかの実施形態において、CDK阻害剤は、ディナシクリブ(ACS Med.Chem.Lett.2010 May 17;1(5):204-8;Mol.Cancer Ther.2010 Aug;9(8):2344-53;Merck,Sharp and Dohme)、AT7519(J.Med.Chem.2008 Aug 28;51(16):4986-99;Astex Pharmaceutical)、又はパルボシクリブ(J.Med.Chem.2005 Apr 7;48(7):2388-406;Pfizer)である。特定の実施形態において、CDK阻害剤は、アルボシジブなどのCDK9阻害剤である。アルボシジブは、遊離塩基として、薬学的に許容できる塩として、又はプロドラッグとして投与され得る。特定の実施形態において、CDK9阻害剤はアルボシジブである。他の実施形態において、CDK9阻害剤は、アルボシジブの薬学的に許容できる塩である。他の実施形態において、CDK9阻害剤は、アルボシジブのプロドラッグである。アルボシジブのプロドラッグとしては、国際公開第2016/187316号パンフレットに開示されるものがあり、その開示全体は参照により本明細書に全体として組み込まれる。
【0137】
一実施形態において、本開示の化合物は、それを必要とする対象に、AZD6738又はVX-970などのATR阻害剤と組み合わせて投与される。投与は、ATR阻害剤の投与の前に、並行して、又は後であり得る。具体的な一実施形態において、本開示の化合物は、それを必要とする対象に、AZD6738又はVX-970などのATR阻害剤と組み合わせて、非小細胞肺癌の治療のために投与される。上記実施形態のいくつかにおいて、ATR阻害剤はAZD6738である。上記実施形態のいくつかにおいて、ATR阻害剤はVX-970である。上記実施形態のいくつかにおいて、ATR阻害剤は、AZD6738とVX-970の組合せである。
【0138】
患者の一部は、投与の間又は後に、本開示の化合物及び/又は他の治療活性のある薬剤(例えば、抗癌剤)に対するアレルギー反応を経験し得る。したがって、抗アレルギー剤を、本開示の化合物及び/又は他の治療活性のある薬剤(例えば、抗癌剤)と組み合わせて投与して、アレルギー反応のリスクを最小限にすることができる。好適な抗アレルギー剤としては、コルチコステロイド(Knutson,S.,et al.,PLoS One,DOI:10.1371/journal.pone.0111840(2014))、例えば、デキサメタゾン(例えば、DECADRON(登録商標))、ベクロメタゾン(例えば、BECLOVENT(登録商標))、ヒドロコルチゾン(コルチゾン、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム、商標ALA-CORT(登録商標)で販売されているヒドロコルチゾンリン酸エステルナトリウム、ヒドロコルチゾンリン酸エステル、SOLU-CORTEF(登録商標)、HYDROCORT ACETATE(登録商標)及びLANACORT(登録商標))、プレドニゾロン(商標DELTA-CORTEL(登録商標)、ORAPRED(登録商標)、PEDIAPRED(登録商標)、及びPRELONE(登録商標)で販売)、プレドニゾン(商標DELTASONE(登録商標)、LIQUID RED(登録商標)、METICORTEN(登録商標)及びORASONE(登録商標)で販売)、メチルプレドニゾロン(別名6-メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロン酢酸エステル、メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム、商標DURALONE(登録商標)、MEDRALONE(登録商標)、MEDROL(登録商標)、M-PREDNISOL(登録商標)、及びSOLU-MEDROL(登録商標)で販売);抗ヒスタミン剤、例えば、ジフェンヒドラミン(例えば、BENADRYL(登録商標))、ヒドロキシジン、及びシプロヘプタジン;並びに気管支拡張剤、例えば、β-アドレナリン受容体アゴニスト、アルブテロール(例えば、PROVENTIL(登録商標))、及びテルブタリン(BRETHINE(登録商標))がある。
【0139】
患者の一部は、本明細書に記載される化合物及び/又は他の治療活性のある薬剤(例えば、抗癌剤)の投与の間又は後に、悪心を経験し得る。したがって、鎮吐剤を、本開示の化合物及び/又は他の治療剤(例えば、抗癌剤)と組み合わせて使用して、悪心(上腹部)及び嘔吐を予防できる。好適な鎮吐剤としては、アプレピタント(EMEND(登録商標))、オンダンセトロン(ZOFRAN(登録商標))、グラニセトロンHCl(KYTRIL(登録商標))、ロラゼパム(ATIVAN(登録商標)、デキサメタゾン(DECADRON(登録商標))、プロクロルペラジン(COMPAZINE(登録商標))、カソピタント(REZONIC(登録商標)及びZUNRISA(登録商標))、及びこれらの組合せがある。
【0140】
治療期間の間に経験される疼痛を緩和する医薬品が、多くの場合、患者をより快適にするために処方される。TYLENOL(登録商標)などの一般的な処方箋不要の鎮痛剤も、本開示の化合物及び/又は他の治療活性のある薬剤(例えば、抗癌剤)と組み合わせて使用できる。オピオイド鎮痛剤、例えば、ヒドロコドン/パラセタモール又はヒドロコドン/アセトアミノフェン(例えば、VICODIN(登録商標))、モルヒネ(例えば、ASTRAMORPH(登録商標)又はAVINZA(登録商標))、オキシコドン(例えば、OXYCONTIN(登録商標)又はPERCOCET(登録商標))、オキシモルホン塩酸塩(OPANA(登録商標))、及びフェンタニル(例えば、DURAGESIC(登録商標))は、中程度又は重度疼痛に有用であり得て、本開示の化合物及び/又は他の治療剤(therapeutically agents)(例えば、抗癌剤)と組み合わせて使用できる。
【0141】
本開示の化合物と組み合わせた使用のために特に興味深い免疫調節剤(例えば、癌免疫剤)としては、アフツズマブ(ROCHE(登録商標)から利用可能);ペグフィルグラスチム(NEULASTA(登録商標));レナリドミド(CC-5013、REVLIMID(登録商標));サリドマイド(THALOMID(登録商標));アクチミド(CC4047);及びIRX-2(インターロイキン1、インターロイキン2、及びインターフェロンγを含むヒトサイトカインの混合物、CAS 951209-71-5、IRX Therapeuticsから利用可能)がある。
【0142】
本開示の化合物と組み合わせた使用のために特に興味深いキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法としては、チサゲンレクルユーセル(Novartis)、アキシカブタゲンシロルユーセル(Kite)、及びトシリズマブ(アトリズマブ;Roche)がある。
【0143】
本開示の化合物と組み合わせた使用のために興味深い免疫チェックポイント阻害剤としては、PD-1阻害剤、例えば、ペムブロリズマブ(別名ランブロリズマブ、MK-3475、MK03475、SCH-900475、又はKEYTRUDA(登録商標))及び他の抗PD-1抗体(参照により全体として組み込まれるHamid,O.et al.(2013)New England Journal of Medicine 369(2):134-44、米国特許第8,354,509号明細書、及び国際公開第2009/114335号パンフレットに開示される通り)、ニボルマブ(別名MDX-1106、MDX-1106-04、ONO-4538、BMS-936558、又はOPDIVO(登録商標))及び他の抗PD-1抗体(参照により全体として組み込まれる米国特許第8,008,449号明細書及び国際公開第2006/121168号パンフレットに開示される通り)、セミプリマブ(LIBTAYO(登録商標))、スパルタリズマブ(PDR001)、ピジリズマブ(CureTech)、MEDI0680(Medimmune)、セミプリマブ(REGN2810)、ドスタルリマブ(TSR-042)、PF-06801591(Pfizer)、シンチリマブ、トリパリマブ、チスレリズマブ(BGB-A317)、カムレリズマブ(INCSHR1210、SHR-1210)、AMP-224(Amplimmune)、CBT-501(CBT Pharmaceuticals)、CBT-502(CBT Pharmaceuticals)、JS001(Junshi Biosciences)、IBI308(Innovent Biologics)、INCSHR1210(Incyte)、別名SHR-1210(Hengrui Medicine)、BGBA317(Beigene)、BGB-108(Beigene)、BAT-I306(Bio-Thera Solutions)、GLS-010(Gloria Pharmaceuticals;WuXi Biologics)、AK103、AK104、AK105(Akesio Biopharma;Hangzhou Hansi Biologics;Hanzhong Biologics)、LZM009(Livzon)、HLX-10(Henlius Biotech)、MEDI0680(Medimmune)、PDF001(Novartis)、PF-06801591(Pfizer)、ピジリズマブ(CureTech)別名CT-011及び他の抗PD-1抗体(参照により全体として組み込まれるRosenblatt,J.et al.(2011)J Immunotherapy 34(5):409-18、米国特許第7,695,715号明細書、米国特許第7,332,582号明細書、及び米国特許第8,686,119号明細書に開示される通り)、REGN2810(Regeneron)、TSR-042(Tesaro)別名ANB011、又はCS1003(CStone Pharmaceuticals)。MEDI0680(Medimmune)は、AMP-514としても知られている。MEDI0680及び他の抗PD-1抗体は、参照により全体として組み込まれる米国特許第9,205,148号明細書及び国際公開第2012/145493号パンフレットに開示されている。さらなる公知の抗PD-1抗体分子としては、例えば、参照により全体として組み込まれる国際公開第2015/112800号パンフレット、国際公開第2016/092419号パンフレット、国際公開第2015/085847号パンフレット、国際公開第2014/179664号パンフレット、国際公開第2014/194302号パンフレット、国際公開第2014/209804号パンフレット、国際公開第2015/200119号パンフレット、米国特許第8,735,553号明細書、米国特許第7,488,802号明細書、米国特許第8,927,697号明細書、米国特許第8,993,731号明細書、及び米国特許第9,102,727号明細書に記載されるものがある。一実施形態において、PD-1阻害剤は、参照により全体として組み込まれる2015年7月30日に公開された「Antibody Molecules to PD-1 and Uses Thereof」という名称の米国特許出願公開第2015/0210769号明細書に記載される抗PD-1抗体分子である。一実施形態において、抗PD-1抗体分子は、米国特許出願公開第2015/0210769号明細書に開示されるBAP049-Clone-E又はBAP049-Clone-BのCDR、可変領域、重鎖、及び/又は軽鎖を含む。本明細書に記載される抗体分子は、参照により全体として組み込まれる米国特許出願公開第2015/0210769号明細書に記載されるベクター、宿主細胞、及び方法により製造できる。一実施形態において、PD-1阻害剤は、例えば、参照により全体として組み込まれる米国特許第8,907,053号明細書に記載されるPD-1シグナル伝達経路を阻害するペプチドである。一実施形態において、PD-1阻害剤は、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合したPD-L1又はPD-L2の細胞外又はPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。一実施形態において、PD-1阻害剤は、AMP-224(例えば、参照により全体として組み込まれる国際公開第2010/027827号パンフレット及び国際公開第2011/066342号パンフレットに開示されるB7-DCIg(Amplimmune))である。
【0144】
本開示の化合物と組み合わせた使用のために興味深い免疫チェックポイント阻害剤としては、PD-L1阻害剤、例えば、アテゾリズマブ(別名MPDL3280A、RG7446、RO5541267、YW243.55.S70、又はTECENTRIQ(登録商標))及び参照により全体として組み込まれる米国特許第8,217,149号明細書に開示される他の抗PD-L1抗体、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標)別名MSB0010718C)、及び参照により全体として組み込まれる国際公開第2013/079174号パンフレットに開示される他の抗PD-L1抗体、デュルバルマブ(IMFINZI(登録商標)又はMEDI4736)、及び参照により全体として組み込まれる米国特許第8,779,108号明細書に開示される他の抗PD-L1抗体)、FAZ053(Novartis)、及びBMS-936559(Bristol-Myers Squibb)もある。特定の実施形態において、PD-L1阻害剤は、KN035(Alphamab;3DMed;Ascletis Pharma)、エンバフォリマブ(TRACON Pharmaceuticals)、BMS 936559(Bristol-Myers Squibb)、CS1001(CStone Pharmaceuticals、Ligand Pharmaceuticals)、CX-072(CytomX Therapeutics)、FAZ053(Novartis)、SHR-1316(Hengrui Medicine)、TQB2450(Chiatai Tianqing)、STI-A1014(Zhaoke Pharm;Lee’s Pharm、Lonza、Sorrento Therapeutics、NantWorks)、LYN00102(Lynkcell)、A167(Harbour BioMed、Kelun Group)、BGB-A333(Beigene)、MSB2311(Mabspace Biosciences)、又はHLX-20(Henlius Biotech)である。一実施形態において、抗PD-L1抗体分子は、BMS-936559(Bristol-Myers Squibb)、別名MDX-1105又は12A4である。BMS-936559及び他の抗PD-L1抗体は、参照により全体として組み込まれている米国特許第7,943,743号明細書及び国際公開第2015/081158号パンフレットに開示されている。特定の実施形態において、PD-L1阻害剤は、コシベリマブ(Fortress Biotech)、LY3300054又はIodapolimab(Eli Lilly)、GS-4224(Gilead Sciences)、STI-A1015(Yuhan、Sorrento Therapeutics)、BCD-135(BIOCAD)、コシベリマブ(Dana-Farber Cancer Institute、TG Therapeutics)、APL-502(Apollomics)、AK106(Akeso Biopharma)、MSB2311(Transcenta Holding)、TG-1501(TG Therapeutics)、FAZ053(Novartis)である。特定の実施形態において、PD-L1阻害剤は、MT-6035(Molecular Templates)、イカリチン及びZKAB001(Lonza、Lee’s Pharmaceutical Holdings、Sorrento Therapeutics、Shenogen Pharma Group)、TRIDENT抗体(MacroGenics、Zai Lab)、YBL-007(Anh-Gook Pharmaceutical、Y-Biologics)、HTI-1316(Hengrui Therapeutics)、PD-L1 Oncology Project(Weizmann Institute of Sciences)、JS003(Shanghai Junshi Biosciences)、ND021(Numab Therapeutics、CStone Pharmaceuticals)、Toca 521(Tocagen)、STT01(STCube)である。特定の実施形態において、PD-L1阻害剤は、DB004(DotBio)、MT-5050(Molecular Templates)、KD036(Kadmon)である。一実施形態において、PD-L1阻害剤は抗PD-L1抗体分子である。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、参照により全体として組み込まれる「Antibody Molecules to PD-L1 and Uses Thereof」という名称の2016年4月21日に公開された米国特許出願公開第2016/0108123号明細書に開示された抗PD-L1抗体分子である。一実施形態において、抗PD-L1抗体分子は、米国特許出願公開第2016/0108123号明細書に開示されているBAP058-Clone O又はBAP058-Clone NのCDR、可変領域、重鎖及び/又は軽鎖を含む。
【0145】
さらなる公知の抗PD-L1抗体としては、例えば、参照により全体として組み込まれる国際公開第2015/181342号パンフレット、国際公開第2014/100079号パンフレット、国際公開第2016/000619号パンフレット、国際公開第2014/022758号パンフレット、国際公開第2014/055897号パンフレット、国際公開第2015/061668号パンフレット、国際公開第2013/079174号パンフレット、国際公開第2012/145493号パンフレット、国際公開第2015/112805号パンフレット、国際公開第2015/109124号パンフレット、国際公開第2015/195163号パンフレット、米国特許第8,168,179号明細書、米国特許第8,552,154号明細書、米国特許第8,460,927号明細書、及び米国特許第9,175,082号明細書に記載されているものがある。
【0146】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、細胞傷害性Tリンパ球関連調節物質である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4を標的とする薬物、例えば、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))、トレメリムマブ、ALPN-202(Alpine Immune Sciences)、RP2(Replimune)、BMS-986249(Bristol-Myers Squibb)、BMS-986218(Bristol-Myers Squibb)、ザリフレリマブ(Agenus、Ludwig Institute for Cancer Research、UroGen Pharma、Recepta Biopharma)、BCD-217(BIOCAD)、Onc-392(Pfizer、OncoImmune)、IBI310(Innovent Biologics)、KN046(Alphamab)、MK-1308(Merck & Co)、REGN4659(Regeneron Pharmaceuticals)、XmAb20717(Xencor)、XmAb22841(Xencor)、Anti-CTLA-4 NF(Bristol-Myers Squibb)、MEDI5752(AstraZeneca)、AGEN1181(Agenus)、MGD019(MacroGenics)、ATOR-1015(Alligator Bioscience)、BCD-145(BIOCAD)、PSB205(Sound Biologics)、CS1002(CStone Pharmaceuticals)、ADU-1604(Aduro Biotech)、PF-06753512(Pfizer)、BioInvent-Transgene Research Program(Transgene)、AGEN2041(Agenus、Recepta Biopharam)、ATOR-1144(Alligator Bioscience)、CTLA-4 Research Project(Sorrento Therapeutics)、PD-L1/CTLA-4 Research Project(Sorrento Therapeutics)、HLX13(Shanghai Henlius Biotech)、ISA203(ISA Pharmaceuticals)、PRS-300 Series A(Pieris Pharmaceuticals)、BA3071(BioAtla)、CTLA4 Cancer Research Program(Biosortia Pharmaceuticals)、RP3(Replimune)、CG0161(Cold Genesys)、APL-509(Apollomics、JSR)、AGEN2041(Ludwig Institute for Cancer Research)、APC 101(Advanced Proteome)、CTLA-4阻害剤(Advanced Proteome)、BA3071(BeiGene)、BPI-002(BeyondSpring Pharmaceuticals)、CTLA-4抗体(Tikcro Technologies)、Immuno-Oncology Research Program II(OliPass)、PBP1701(Prestige BioPharma)、DB002(DotBio)、DB003(DotBio)、OR-2299(OncoResponse)、NK044(Alphamab)である。特定の実施形態において、CTLA-4阻害剤はイピリムマブである。他の実施形態において、CTLA4阻害剤はトレメリムマブである。
【0147】
本開示の化合物と組み合わせた使用のために興味深い免疫チェックポイント阻害剤としてはLAG-3阻害剤もある。いくつかの実施形態において、LAG-3阻害剤は、LAG525(Novartis)、BMS-986016(Bristol-Myers Squibb)、又はTSR-033(Tesaro)から選択される。一実施形態において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体分子である。一実施形態において、LAG-3阻害剤は、参照により全体として組み込まれる2015年9月17日に公開された「Antibody Molecules to LAG-3 and Uses Thereof」という名称の米国特許出願公開第2015/0259420号明細書に開示された抗LAG-3抗体分子である。一実施形態において、抗LAG-3抗体分子は、米国特許出願公開第2015/0259420号明細書に開示されたBAP050-Clone I又はBAP050-Clone JのCDR、可変領域、重鎖、及び/又は軽鎖を含む。一実施形態において、抗LAG-3抗体分子は、BMS-986016(Bristol-Myers Squibb)、別名BMS986016である。BMS-986016及び他の抗LAG-3抗体は、参照により全体として組み込まれる国際公開第2015/116539号パンフレット及び米国特許第9,505,839号明細書に開示されている。一実施形態において、抗LAG-3抗体分子はTSR-033(Tesaro)である。一実施形態において、抗LAG-3抗体分子は、IMP731又はGSK2831781(GSK及びPrima BioMed)である。IMP731及び他の抗LAG-3抗体は、参照により全体として組み込まれる国際公開第2008/132601号パンフレット及び米国特許第9,244,059号明細書に開示されている。一実施形態において、抗LAG-3抗体分子はIMP761(Prima BioMed)である。さらなる公知の抗LAG-3抗体としては、例えば、参照により全体として組み込まれる国際公開第2008/132601号パンフレット、国際公開第2010/019570号パンフレット、国際公開第2014/140180号パンフレット、国際公開第2015/116539号パンフレット、国際公開第2015/200119号パンフレット、国際公開第2016/028672号パンフレット、米国特許第9,244,059号明細書、米国特許第9,505,839号明細書に記載されているものがある。一実施形態において、抗LAG-3阻害剤は、可溶性LAG-3タンパク質、例えば参照により全体として組み込まれる国際公開第2009/044273号パンフレットに開示されている例えばIMP321(Prima BioMed)である。
【0148】
本開示の化合物と組み合わせた使用のために興味深い免疫チェックポイント阻害剤としてはTim-3阻害剤もある。いくつかの実施形態において、TIM-3阻害剤は、MGB453(Novartis)又はTSR-022(Tesaro)である。一実施形態において、TIM-3阻害剤は抗TIM-3抗体分子である。一実施形態において、TIM-3阻害剤は、参照により全体として組み込まれる2015年8月6日に公開された「Antibody Molecules to TIM-3 and Uses Thereof」という名称の米国特許出願公開第2015/0218274号明細書に開示される抗TIM-3抗体分子である。一実施形態において、抗TIM-3抗体分子は、米国特許出願公開第2015/0218274号明細書に開示されるABTIM3-hum11又はABTIM3-hum03のCDR、可変領域、重鎖、及び/又は軽鎖を含む。一実施形態において、抗TIM-3抗体分子はTSR-022(AnaptysBio/Tesaro)である。一実施形態において、抗TIM-3抗体分子は、APE5137又はAPE5121のCDR配列の1つ以上(又は集合的にCDR配列の全て)、重鎖若しくは軽鎖可変領域配列、又は重鎖若しくは軽鎖配列を含む。APE5137、APE5121、及び他の抗TIM-3抗体は、参照により全体として組み込まれる国際公開第2016/161270号パンフレットに開示されている。一実施形態において、抗TIM-3抗体分子は、抗体クローンF38-2E2である。さらなる公知の抗TIM-3抗体としては、例えば、参照により全体として組み込まれる国際公開第2016/111947号パンフレット、国際公開第2016/071448号パンフレット、国際公開第2016/144803号パンフレット、米国特許第8,552,156号明細書、米国特許第8,841,418号明細書、及び米国特許第9,163,087号明細書に記載されるものがある。
【0149】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)は、例えば膵臓癌(例えば、膵管腺癌)を治療するために、本明細書に記載されるチェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)は、例えば、膵臓癌(例えば、進行膵臓癌、膵管腺癌)を治療するために、本明細書に記載されるチェックポイント阻害剤及び/又は(例えば、又は)ゲムシタビン、ナブパクリタキセル、エルロチニブ、フロオロウラシル、若しくはフォルフィリノックス(フォリン酸、フロオロウラシル、イリノテカン、及びオキサリプラチンで構成される化学療法レジメン)、若しくは上記のものの2種以上のあらゆる組合せから選択される薬剤と組み合わせて投与される。
【0150】
正常細胞を治療毒性から保護し、臓器毒性を制限しようとする努力の中で、細胞保護剤(神経保護剤、フリーラジカルスカベンジャー、心臓保護剤、アントラサイクリン漏出中和剤(extravasation neutralizers)、栄養素など)が、本開示の化合物と組み合わせた補助療法として使用され得る。好適な細胞保護剤としては、アミフォスチン(ETHYOL(登録商標))、グルタミン、ジメスナ(TAVOCEPT(登録商標))、メスナ(MESNEX(登録商標))、デクスラゾキサン(ZINECARD(登録商標)又はTOTECT(登録商標))、キサリプロデン(XAPRILA(登録商標))、及びロイコボリン(別名ロイコボリンカルシウム、シトロボルム因子、及びフォリン酸)がある。
【0151】
コード番号、一般名、又は商品名により特定される活性化合物の構造は、現行版の標準的な一覧表“The Merck Index”から、又はデータベース、例えば、Patents International(例えば、IMS World Publications)から得ることができる。
【0152】
本開示の別の態様において、2種以上の別々な医薬組成物であって、その少なくとも一方が本開示の化合物を含む2種以上の医薬組成物を含むキットが提供される。一実施形態において、キットは、容器、分割されたボトル、又は分割されたフォイルパケットなど、前記組成物を別々に保持するための手段を含む。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル剤などを包装するために典型的に使用されるブリスターパックである。
【0153】
本開示のキットは、異なる剤形、例えば、経口及び非経口を投与するために、別々な組成物を異なる投与間隔で投与するために、又は別々な組成物を互いに対して用量調整するために使用され得る。コンプライアンスを支援するために、本開示のキットは、典型的には、投与の指示書を含む。
【0154】
本開示の化合物は、公知の治療プロセス、例えば、ホルモン又は特に放射線の投与との組合せで利益を得るためにも使用され得る。本開示の化合物は、特に、放射線増感剤として、特に放射線療法に対して乏しい感受性を示す腫瘍の治療のために使用され得る。
【0155】
本開示の併用療法において、本開示の化合物及び他の治療活性のある薬剤は、同じ製造業者によっても、異なる製造業者によっても、製造及び/又は製剤され得る。さらに、本開示の化合物及び他の治療活性のある薬剤は、(i)医師への配合剤の発売前に(例えば、本開示の化合物及び他の治療活性のある薬剤を含むキットの場合);(ii)投与の直前に医師により(又は医師の指導の下に);(iii)患者自身の中で、例えば、本開示の化合物及び他の治療活性のある薬剤の連続的な投与の間に、共に併用療法にされ得る。
【0156】
適用のための医薬組成物(又は製剤)は、薬物の投与に使用される方法に応じて種々の方法で包装され得る。一般的に、流通用の物品は、内部に適切な形態の医薬製剤が配置された容器を含む。好適な容器は当業者に周知であり、ボトル(プラスチック及びガラス)、小袋、アンプル、プラスチック袋、金属円筒などの材料を含む。容器は、包装の内容物への無分別なアクセスを防ぐための不正開封防止組合せ品(assemblage)も含み得る。さらに、容器は、容器の内容物を説明するラベルがその表面に配置されている。ラベルは、適切な警告も含み得る。
【0157】
本開示の医薬組成物又は組合せは、約50~約70kgの対象のために約1~約1000mgの有効成分を含む、又は約50~約70kgの対象のために約1~約500mg、約1~約250mg、約1~約150mg、約0.5~約100mg、若しくは約1~約50mgの有効成分を含む単位用量であり得る。化合物、医薬組成物、又は医薬組合せの治療上有効な用量は、例えば、対象の人種、対象の体重、年齢、及び個人の状態、並びに治療されている疾患、障害、若しくは病態又はその重症度に依存する。通常の技量の医師、臨床医、又は獣医は、疾患、障害、又は病態の進行を予防又は治療するのに必要な有効成分のそれぞれの治療上有効な量を容易に決定できる。
【0158】
上記で引用された投与性(dosage properties)は、好都合には哺乳動物、例えば、マウス、ラット、イヌ、サル、又は単離されたその器官、組織、及び標本を使用して、インビトロ及びインビボ試験において実証可能であり得る。本開示の化合物は、インビトロで、溶液、例えば、水溶液の形態で、及びインビボで経腸的、非経口的、好都合には静脈内、例えば、懸濁剤として、又は水溶液中で適用され得る。インビトロの用量は、約10-3モル~10-9モル濃度の範囲であり得る。インビボの治療上有効な量は、とりわけ投与経路に応じて、約0.1mg/kg~約500mg/kg、又は約1mg/kg~約100mg/kgの範囲であり得る。
【0159】
いくつかの実施形態において、医薬組成物中に提供される1種以上の治療剤の濃度は、100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、又は0.0001%w/w、w/v、又はv/v未満である。
【0160】
いくつかの実施形態において、医薬組成物中に提供される1種以上の治療剤の濃度は、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19.75%、19.50%、19.25% 19%、18.75%、18.50%、18.25% 18%、17.75%、17.50%、17.25% 17%、16.75%、16.50%、16.25% 16%、15.75%、15.50%、15.25% 15%、14.75%、14.50%、14.25% 14%、13.75%、13.50%、13.25% 13%、12.75%、12.50%、12.25% 12%、11.75%、11.50%、11.25% 11%、10.75%、10.50%、10.25% 10%、9.75%、9.50%、9.25% 9%、8.75%、8.50%、8.25% 8%、7.75%、7.50%、7.25% 7%、6.75%、6.50%、6.25% 6%、5.75%、5.50%、5.25% 5%、4.75%、4.50%、4.25%、4%、3.75%、3.50%、3.25%、3%、2.75%、2.50%、2.25%、2%、1.75%、1.50%、125%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、又は0.0001%w/w、w/v、又はv/v超である。
【0161】
いくつかの実施形態において、医薬組成物中に提供される1種以上の治療剤の濃度は、約0.0001%~約50%、約0.001%~約40%、約0.01%~約30%、約0.02%~約29%、約0.03%~約28%、約0.04%~約27%、約0.05%~約26%、約0.06%~約25%、約0.07%~約24%、約0.08%~約23%、約0.09%~約22%、約0.1%~約21%、約0.2%~約20%、約0.3%~約19%、約0.4%~約18%、約0.5%~約17%、約0.6%~約16%、約0.7%~約15%、約0.8%~約14%、約0.9%~約12%、約1%~約10%w/w、w/v、又はv/vの範囲である。
【0162】
いくつかの実施形態において、医薬組成物中に提供される1種以上の治療剤の濃度は、約0.001%~約10%、約0.01%~約5%、約0.02%~約4.5%、約0.03%~約4%、約0.04%~約3.5%、約0.05%~約3%、約0.06%~約2.5%、約0.07%~約2%、約0.08%~約1.5%、約0.09%~約1%、約0.1%~約0.9%w/w、w/v、又はv/vの範囲である。
【0163】
治療の方法
本開示の化合物がTNK1活性を阻害することが今や見出された。TNK1は非受容体型チロシンキナーゼである。最近、TNK1のS502でのMARKにより媒介されるリン酸化がTNK1と14-3-3の相互作用を促進し、それが、TNK1キナーゼ活性を封鎖し、阻害することが報告された。Chan,T.-Y.,et al.,Nature Comm.(2021)12:5337、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれている。TNK1活性は、14-3-3からのTNK1の放出及びユビキチンクラスターでの蓄積と同時に回復する。Chan,T.-Y.,et al.,Nature Comm.(2021)12:5337。TNK1は、そのC-末端でのユビキチン関連ドメインのためポリ-ユビキチンに高い親和性を有する。Chan,T.-Y.,et al.,Nature Comm.(2021)12:5337。
【0164】
したがって、細胞(例えば、TNK1を発現する細胞)中のTNK1活性を調節する(例えば、阻害する)方法であって、細胞を、治療上有効な量の本開示の化合物などの本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)と接触させることを含む方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、細胞は、ヒトなどの対象中にある。いくつかの実施形態において、TNK1は、短縮型変異又は染色体再配列(例えば、Gu et al.に記載される通り)から生じる遺伝子変化(例えば、C末端短縮)を保有する。
【0165】
それを必要とする対象におけるTNK1活性を阻害する方法であって、対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、TNK1は、短縮型変異(例えば、Gu et al.に記載される通り)などの突然変異(例えば、C末端変異)を保有する。
【0166】
細胞(例えば、STATを発現している細胞)中のTNK1依存性STAT(例えば、STAT3、STAT5)リン酸化を阻害する方法であって、細胞を、治療上有効な量の本開示の化合物などの本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)と接触させることを含む方法も本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、細胞は、ヒトなどの対象中にある。いくつかの実施形態において、TNK1は、短縮型変異(例えば、Gu et al.に記載される通り)などの突然変異(例えば、C末端変異)を保有する。
【0167】
それを必要とする対象におけるTNK1依存性STAT(例えば、STAT3、STAT5)リン酸化を阻害する方法であって、対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、TNK1は、短縮型変異(例えば、Gu et al.に記載される通り)などの突然変異(例えば、C末端変異)を保有する。
【0168】
それを必要とする対象におけるTNK1媒介性疾患、障害、又は病態(例えば、癌、消化器疾患、炎症性疾患、組織損傷、MODS、敗血症、自己免疫疾患、マイクロバイオームの疾患、障害、若しくは病態、又は外傷及び/若しくは腸管損傷から生じる疾患、障害、若しくは病態)を治療する方法であって、対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。
【0169】
それを必要とする対象におけるTNK1依存性疾患、障害、又は病態を治療する方法であって、対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、TNK1依存性疾患、障害、又は病態は、癌、消化器疾患、炎症性疾患、組織損傷、MODS、敗血症、自己免疫疾患、マイクロバイオームの疾患、障害、若しくは病態、又は外傷若しくは腸管損傷から生じる疾患、障害、若しくは病態である。いくつかの実施形態において、TNK1依存性疾患、障害、又は病態は、ホジキンリンパ腫、ALL又はAMLである。ALL及びAMLは、TNK1依存性であると特定された。Chan,T.-Y.,et al.,Nature Comm.(2021)12:5337、その全内容は参照により本明細書に組み込まれている。
【0170】
それを必要とする対象における敗血症、菌血症、急性腎障害、敗血症ショック、及び/又は臓器不全(例えば、多臓器不全)を治療する方法であって、対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。
【0171】
それを必要とする対象における腸のバリア機能を改善し、且つ/又は腸の透過性を減少させ、且つ/又は腸の恒常性を制御する方法であって、対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。腸のバリア機能を改善すること、及び/又は腸の透過性を減少させること、及び/又は腸の恒常性を制御することは、腸のバリアが損傷されているか又は調節不全である徴候を示し得る、癌(例えば、結腸癌)、消化器疾患、炎症性疾患、組織損傷、MODS、敗血症(例えば、腸から生じる敗血症)、自己免疫疾患、マイクロバイオーム健康、及び癌免疫剤に対する感受性、及び外傷(例えば、重度外傷、出血性外傷)及び/又は腸管損傷における課題であり得る。したがって、腸のバリア機能の改善及び/又は腸の透過性の減少及び/又は腸の恒常性の調節から利益を得るだろう対象、例えば、癌(例えば、癌免疫剤により治療可能な癌を有する対象、癌を有し癌免疫剤を投与されている対象)、消化器疾患、炎症性疾患、組織損傷、MODS、敗血症(例えば、腸から生じる敗血症)、自己免疫疾患、マイクロバイオームの疾患、障害、若しくは病態(例えば、調節不全又は不健康なマイクロバイオーム)又は外傷(例えば、重度外傷、出血性外傷)及び/若しくは腸管損傷から生じる疾患、障害、若しくは病態を有する対象における疾患、障害、又は病態を治療する方法であって、対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。外傷(例えば、重度外傷、出血性外傷)及び/又は腸管損傷の後の対象を治療する方法であって、対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。
【0172】
それを必要とする対象における脾腫大又は肝硬変、マラリア、ウイルス性、細菌性、若しくは寄生虫感染、若しくは鎌状赤血球症など、脾腫大を起こし得る疾患を治療する方法であって、対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。脾腫大は場合によっては全く症状を起こさないことがあるが、それは以下の症状の1つ以上を起こし得る:左肩に広がることもある左上腹部の疼痛又は膨満;食べないか、少量しか食べない後の膨満感;貧血;疲労;頻繁な感染;及び出血傾向。したがって、脾腫大と関連する疼痛、膨満、貧血、疲労、感染、及び/又は出血を治療する方法であって、対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。
【0173】
それを必要とする対象における炎症性疾患を治療するか、又は炎症を減少させる方法であって、対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。
【0174】
それを必要とする対象における感染(例えば、ウイルス感染、細菌感染、寄生虫感染)を治療する方法であって、対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。
【0175】
それを必要とする対象における組織損傷を治療する方法であって、対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。
【0176】
本明細書に開示される方法が適している消化器疾患の例としては、多発性腸腫瘍、虚血/再潅流障害、大腸炎(例えば、潰瘍性大腸炎)、感染性下痢、セリアック病、家族性大腸腺腫症、及び炎症性腸疾患(IBD)(例えば、慢性IBD、クローン病、潰瘍性大腸炎)がある。
【0177】
本明細書に開示される方法が適している炎症性疾患の例としては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー、心血管疾患、肝炎、喘息、全身性炎症反応症候群(SIRS)、多発性硬化症、グッドパスチャー症候群、乾癬、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、痛風、関節炎、筋炎、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス及び血管炎がある。
【0178】
本明細書に開示される方法が適している組織損傷の例としては、外傷により誘導された組織損傷、出血性ショック、並びに物理的、化学的、及び多発外傷がある。
【0179】
本明細書に開示される方法が適している自己免疫疾患の例としては、線維症、関節リウマチ、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、グレーブス病、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、IBD(例えば、慢性IBD、クローン病、潰瘍性大腸炎)、多発筋炎、皮膚筋炎、炎症性筋炎、強直性脊椎炎(ankylosing spondolytis)、潰瘍性大腸炎、乾癬、血管炎、シェーグレン病、及び移植片拒絶がある。
【0180】
それを必要とする対象における癌を治療する方法であって、対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。
【0181】
固形腫瘍、白血病、リンパ腫、及び骨髄腫を含む多種多様な癌には、本明細書に開示される方法が適している。いくつかの実施形態において、癌は固形腫瘍癌である。いくつかの実施形態において、癌は、固形腫瘍(例えば、結腸直腸、乳房、前立腺、肺、膵臓、腎臓、又は卵巣腫瘍)を含む。したがって、いくつかの実施形態において、癌は固形腫瘍癌である。いくつかの実施形態において、癌は、肺系統の癌、脳癌、消化管の癌、皮膚癌、尿生殖器癌、頭頸部癌、肉腫、癌腫、及び神経内分泌癌の1種以上から選択される。種々の実施形態において、固形腫瘍癌は、乳癌、膀胱癌、子宮内膜癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌、肺癌、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、胃癌、腎臓癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、子宮癌、ウイルスにより誘導された癌、メラノーマ、又は肉腫である。いくつかの実施形態において、癌は膀胱癌である。いくつかの実施形態において、癌は肺癌(例えば、非小細胞肺癌)である。他の実施形態において、癌は肝臓癌である。いくつかの実施形態において、癌は、肉腫、膀胱癌、又は腎臓癌である。いくつかの実施形態において、癌は、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性前立腺癌、去勢感受性前立腺癌)である。他の実施形態において、癌は、膀胱癌、膵臓癌、結腸直腸癌、膠芽腫、腎臓癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、肉腫、皮膚癌、甲状腺癌、精巣癌、又は外陰癌である。いくつかの実施形態において、癌は、子宮内膜癌、膵臓癌、精巣癌、腎臓癌、メラノーマ、結腸直腸癌、甲状腺癌、膀胱癌、膵臓癌、外陰癌、肉腫、前立腺癌、肺癌、又は肛門癌である。いくつかの実施形態において、癌は肉腫である。いくつかの実施形態において、癌は腎細胞癌である。
【0182】
いくつかの実施形態において、癌は非固形腫瘍癌である。いくつかの実施形態において、癌は血液系癌である。本明細書に記載される方法に従って治療できる血液系癌としては、白血病(例えば、急性白血病、慢性白血病)、リンパ腫(例えば、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫)、及び多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態において、血液系癌は、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性リンパ球性白血病、リンパ球性リンパ腫、菌状息肉症、慢性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、又は骨髄線維症から選択される。
【0183】
本明細書に提供されるいくつかの実施形態において、血液系癌は、変異白血病(例えば、変異AML、変異JMML)などの白血病である。PTPN11/SHP2変異(E76K、D61V、及びD61Y)白血病などの変異白血病は、少なくともAML及び若年性骨髄単球性白血病(JMML)に関与している。Jenkins,C.,et al.,Sci.Signal.11(539);doi:10.1126/scisignal.aao5617。Jenkins et al.は、TNK2が直接PTPN11と相互作用し、PTPN11-変異JMML及びAML細胞がTNK2阻害に感受性があることを報告している。
【0184】
PTPN11/SHP2変異は固形腫瘍にも観察されてきた。Jenkins et al.を参照されたい。いくつかの実施形態において、癌は、(例えば、乳房、肺、前立腺、消化管、腎臓の)PTPN11/SHP2変異(E76K、D61V、及びD61Y)固形腫瘍を含む。
【0185】
それを必要とする対象(例えば、AML若しくはJMMLなどの変異白血病又は乳房若しくは肺の変異固形腫瘍などの変異固形腫瘍を有する対象)におけるTNK2活性を阻害する方法であって、対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物、又はその薬学的に許容できる塩)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、対象は、PTPN11/SHP2変異を有する癌(例えば、AML若しくはJMMLなどの変異白血病、又は乳房若しくは肺の変異固形腫瘍などの変異固形腫瘍)を有する。細胞(例えば、AML若しくはJMMLなどの変異白血病又は乳房若しくは肺の変異固形腫瘍などの変異固形腫瘍を有する対象由来の細胞)におけるTNK2活性を阻害する方法であって、細胞を、本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物、又はその薬学的に許容できる塩)と接触させることを含む方法も本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、TNK2は、PTPN11/SHP2変異細胞中及び/又はそれにより発現する。
【0186】
いくつかの実施形態において、癌は前転移癌である。いくつかの実施形態において、癌は転移性癌である。
【0187】
本明細書に記載される方法に従って治療可能な癌の例としては、乳房、前立腺、及び結腸の腺癌;全形態の肺の気管支原性癌;骨髄性;メラノーマ;肝癌;神経芽細胞腫;乳頭腫;アプドーマ;分離腫;鰓腫;悪性カルチノイド症候群;カルチノイド心疾患;及び癌腫(例えば、ウォーカー、基底細胞、基底扁平細胞、ブラウン・ピアース、乳管、エールリッヒ腫瘍、Krebs 2、メルケル細胞、粘液性、肺癌(例えば、扁平上皮癌、非小細胞肺などの大細胞肺癌)、燕麦細胞、乳頭状、スキルス、細気管支、気管支原性、扁平上皮細胞、及び移行上皮)があるが、これらに限定されない。本明細書に記載される方法に従って治療可能な癌の追加の例としては、組織球性障害;白血病;悪性組織球症;ホジキン疾患;過好酸球増多症、免疫増殖性小(immunoproliferative small);非ホジキンリンパ腫;形質細胞腫;細網内皮症;メラノーマ;軟骨芽細胞腫;軟骨腫;軟骨肉腫;隆起性皮膚線維肉腫、線維性癌(骨髄線維症、膵臓癌(例えば、膵管腺癌)、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(例えば、扁平上皮癌などの大細胞肺癌)、乳癌(例えば、炎症性乳癌)、卵巣癌(例えば、高異型度重篤卵巣癌(serious ovarian carcinoma))、子宮内膜癌、子宮癌、子宮肉腫(例えば、子宮平滑筋肉腫)、腎細胞癌、肉腫(例えば、軟部組織肉腫)、悪性線維性組織球腫、線維肉腫(例えば、隆起性皮膚線維肉腫)及び肝細胞癌);線維腫;線維肉腫;巨細胞腫;組織球腫;脂肪腫;脂肪肉腫;中皮腫;粘液腫;粘液肉腫;骨腫;骨肉腫;小児の悪性腫瘍、脊索腫;頭蓋咽頭腫;未分化胚細胞腫;過誤腫;間葉細胞腫;中腎腫;筋肉腫;エナメル上皮腫;セメント質腫;歯牙腫;奇形腫;胸腺腫;絨毛性腫瘍があるが、これらに限定されない。さらに、以下の種類の癌も、治療に適していることが企図される:腺腫;胆管癌;真珠腫性中耳炎;サイクリンドローマ(cyclindroma);嚢胞腺癌;嚢胞腺腫;顆粒膜細胞腫;ギナンドロブラストーマ;肝細胞癌、肝癌;汗腺腫;膵島細胞腫瘍;ライディッヒ細胞腫;乳頭腫;セルトリ細胞腫瘍;莢膜細胞腫;平滑筋腫;平滑筋肉腫;筋芽細胞腫;筋腫;筋肉腫;横紋筋腫;横紋筋肉腫;上衣腫;神経節細胞腫;グリオーマ;髄芽細胞腫;髄膜腫;神経鞘腫;神経芽細胞腫;神経上皮腫;神経線維腫;神経腫;傍神経節腫;非クロム親和性傍神経節腫。本明細書に記載される方法に従って治療可能な癌のさらなる例としては、被角血管腫;好酸球性血管リンパ球増殖症;硬化性血管腫;血管腫症;グロムス血管腫;血管内皮腫;血管腫;血管外皮細胞腫;血管肉腫;リンパ管腫;リンパ管筋腫;リンパ管肉腫;松果体腫;癌肉腫;軟骨肉腫;葉状嚢胞肉腫;線維肉腫;血管肉腫;平滑筋肉腫;白血肉腫;脂肪肉腫;リンパ管肉腫;筋肉腫;粘液肉腫;卵巣癌;横紋筋肉腫;肉腫;新生物;神経線維腫症;及び子宮頚部異形成があるが、これらに限定されない。
【0188】
本明細書に記載される方法に従って治療可能な癌のさらなる例としては、急性リンパ芽球性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML);副腎皮質癌;小児副腎皮質癌;AIDS関連癌(例えば、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、原発CNSリンパ腫);肛門領域の癌;肛門癌;虫垂癌;小児星状細胞腫;非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、小児、中枢神経系(CNS);CNSの新生物(例えば、原発CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍(spinal axis tumors)、髄芽細胞腫、脳幹グリオーマ又は下垂体腺腫)、バレット食道(例えば、前悪性症候群(pre-malignant syndrome)、及び菌状息肉症(mycoses fungoides)、皮膚の基底細胞癌;胆管癌;膀胱癌;小児膀胱癌;骨癌(ユーイング肉腫、骨肉腫、及び悪性線維性組織球腫を含む);脳腫瘍/癌;乳癌;バーキットリンパ腫;カルチノイド腫瘍(胃腸の);小児カルチノイド腫瘍;小児心臓(cardiac)(心臓(heart))腫瘍;小児胎児性腫瘍;小児胚細胞腫瘍;原発CNSリンパ腫;子宮頸癌;小児子宮頸癌;胆管癌;小児脊索腫;慢性リンパ球性白血病(CLL);慢性骨髄性白血病(CML);慢性骨髄増殖性腫瘍;結腸直腸癌;小児結腸直腸癌;小児頭蓋咽頭腫;皮膚T細胞リンパ腫(例えば、菌状息肉症及びセザリー症候群);非浸潤性乳管癌(DCIS);胎児性腫瘍、中枢神経系、小児;内分泌系の癌(例えば、甲状腺、膵臓、副甲状腺、又は副腎の癌)、子宮内膜癌(子宮癌);小児上衣腫;食道癌;小児食道癌;嗅神経芽腫;ユーイング肉腫;小児頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;眼癌;小児眼内メラノーマ;眼内メラノーマ;網膜芽細胞腫;卵管癌;骨原発悪性線維性組織球腫及び骨肉腫;胆嚢癌;胃(gastric)(胃(stomach))癌;小児胃(gastric)(胃(stomach))癌;消化管カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍(GIST);小児消化管間質腫瘍;胚細胞腫瘍;小児中枢神経系胚細胞腫瘍(例えば、小児頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、精巣癌);妊娠性絨毛性疾患;婦人科の腫瘍((例えば、子宮肉腫、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、又は外陰部の癌腫)、有毛細胞白血病;頭頸部癌;小児心臓腫瘍;肝細胞(肝臓)癌;ランゲルハンス細胞組織球症;ホジキンリンパ腫;下咽頭癌;皮膚又は眼内メラノーマ;小児眼内メラノーマ;膵島細胞腫瘍、膵神経内分泌腫瘍;カポジ肉腫;腎臓(腎細胞)癌;ランゲルハンス細胞組織球症;喉頭癌;白血病;口唇口腔癌;肝臓癌;肺癌(非小細胞及び小細胞);小児肺癌;リンパ腫;男性の乳癌;骨の悪性線維性組織球腫及び骨肉腫;メラノーマ;小児メラノーマ;眼内メラノーマ(眼);小児眼内メラノーマ;メルケル細胞癌;悪性中皮腫;小児中皮腫;転移性癌;原発不明転移性扁平上皮性頸部癌;NUT遺伝子変化を伴う正中線管癌(midline tract carcinoma);口腔癌;多発性内分泌腫瘍症候群;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉症;骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍;骨髄性白血病、慢性(CML);骨髄性白血病、急性(AML);骨髄増殖性腫瘍、慢性;鼻腔癌及び副鼻腔癌;鼻咽頭癌;神経芽細胞腫;非ホジキンリンパ腫;非小細胞肺癌;口腔癌、口唇口腔癌及び中咽頭癌;骨肉腫及び骨の悪性線維性組織球腫;卵巣癌;小児卵巣癌;膵臓癌;小児膵臓癌;膵神経内分泌腫瘍;乳頭腫症(小児喉頭);傍神経節腫;小児傍神経節腫;副鼻腔癌及び鼻腔癌;副甲状腺癌;陰茎癌;咽頭癌;褐色細胞腫;小児褐色細胞腫;下垂体腫瘍;形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;妊娠及び乳癌;中枢神経系(CNS)原発リンパ腫;原発性腹膜癌;前立腺癌;直腸癌;再発性癌;腎細胞(腎臓)癌;網膜芽細胞腫;小児横紋筋肉腫;唾液腺癌;肉腫(例えば、小児横紋筋肉腫、小児血管腫瘍、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、骨肉腫(骨癌)、軟部組織肉腫、子宮肉腫);セザリー症候群;皮膚癌;小児皮膚癌;小細胞肺癌;小腸癌;軟部組織肉腫;皮膚の扁平上皮癌;転移性原発不明扁平上皮性頸部癌;胃(stomach)(胃(gastric))癌;小児胃(stomach)(胃(gastric))癌;T細胞リンパ腫、皮膚(例えば、菌状息肉症及びセザリー症候群);精巣癌;小児精巣癌;咽頭癌(例えば、鼻咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌);胸腺腫及び胸腺癌;甲状腺癌;腎盂と尿管の移行上皮癌;尿管及び腎盂(例えば、腎細胞癌、腎盂の癌腫)、良性前立腺肥大、副甲状腺癌、移行上皮癌;尿道癌;子宮内膜の子宮癌;子宮肉腫;膣癌;小児膣癌;血管の腫瘍;外陰癌;及びウィルムス腫瘍、並びに他の小児腎臓腫瘍があるが、これらに限定されない。
【0189】
上述の癌の転移も、本明細書に記載される方法に従って治療できる。
【0190】
いくつかの実施形態において、癌は、ホジキンリンパ腫、膵臓癌、B細胞急性リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、結腸直腸癌、子宮内膜癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、骨癌、髄芽細胞腫、グリオーマ、腎臓癌、卵巣癌、乳癌、又は星状細胞腫である。
【0191】
いくつかの実施形態において、癌は前立腺癌(例えば、去勢抵抗性前立腺癌)である。いくつかの実施形態において、癌は膵臓癌(例えば、膵管腺癌、進行膵臓癌)である。いくつかの実施形態において、癌はホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態において、癌は結腸癌である。いくつかの実施形態において、癌は結腸直腸癌である。いくつかの実施形態において、癌は肺癌(例えば、非小細胞肺癌)である。
【0192】
K562 CML細胞に見出されるものなどのヒト完全長TNK1は、UniProtKB受託番号Q13470と関連している。TNK1の変異(例えば、短縮型変異、逆位などの再構成)(例えば、C末端短縮型変異などのC末端変異)は、また、ヒトにおいて、例えば、ホジキンリンパ腫細胞株L540に観察されてきた。例えば、Gu,T.-L.,et al.,Leukemia(2010),24,861-865(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)は、キナーゼドメインを含むTNK1の5’部分が、5’非翻訳領域由来の31塩基対、腕内逆位(17)(p13.1)から生じた染色体17オープンリーディングフレーム61(C17ORF61)遺伝子の完全なエクソン2及びエクソン3の最初の52塩基対から構成される配列に融合しているTNK1のバリアントを開示している。特に、Gu et al.の図1(c)を参照されたい。Gu et al.に開示されたTNK1のバリアントは、完全長TNK1のC末端阻害性配列を欠いている。Gu et al.は、STAT5のリン酸化がチロシンキナーゼ活性の信頼できる代用マーカーであることを開示している。
【0193】
そのため、いくつかの実施形態において、癌は、短縮型変異(例えば、Gu et al.に記載される通り)などのTNK1変異(例えば、C末端変異)と関連している。いくつかの実施形態において、癌は、調節不全の(例えば、増大した、増加した)TNK1リン酸化と関連している。TNK1変異と関連する癌の例としては、ホジキンリンパ腫、結腸直腸癌、及び肺癌(例えば、非小細胞肺癌)がある。結腸直腸癌におけるTNK1変異の例としては、R458W、R562I、及びE522fsがあるが、これらに限定されない。調節不全の(例えば、増大した、増加した)TNK1リン酸化と関連する癌の例はホジキンリンパ腫である。
【0194】
いくつかの実施形態において、癌はTNK1依存性STAT5リン酸化と関連している。いくつかの実施形態において、癌は、調節不全の(例えば、増大した、増加した)STAT5リン酸化と関連している。TNK1依存性及び/又は調節不全の(例えば、増大した、増加した)STAT5リン酸化と関連する癌の例はホジキンリンパ腫である。
【0195】
TNK1変異(例えば、本明細書に記載されるTNK1変異、例えばGu et al.に記載される短縮型変異などの、例えばC末端変異)を保有する対象における、TNK1媒介性疾患、障害、又は病態(例えば、本明細書に記載されるTNK1媒介性疾患、障害、又は病態)を治療する方法であって、TNK1変異を保有すると決定された対象を提供すること;及び対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、対象は、TNK1遺伝子に突然変異を保有する。いくつかの実施形態において、対象は、例えばTNK1遺伝子中の突然変異から生じたTNK1タンパク質に突然変異を保有する。
【0196】
TNK1変異(例えば、本明細書に記載されるTNK1変異、例えば、Gu et al.に記載される短縮型変異などの、例えばC末端変異)を保有する対象における、TNK1媒介性疾患、障害、又は病態(例えば、本明細書に記載されるTNK1媒介性疾患、障害、又は病態)を治療する方法であって、対象がTNK1変異を保有するかどうかを決定すること;及び、対象がTNK1変異を保有することが決定された場合、対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、対象は、TNK1遺伝子に突然変異を保有する。いくつかの実施形態において、対象は、例えばTNK1遺伝子中の突然変異から生じたTNK1タンパク質に突然変異を保有する。
【0197】
細胞中のアポトーシスを媒介する方法であって、細胞を、本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)と接触させることを含む方法も本明細書に提供される。いくつかの態様において、細胞は、ヒトなどの対象中にある。
【0198】
細胞中の炎症を減少させる方法であって、細胞を、本開示の化合物(例えば、構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物)と接触させることを含む方法も本明細書に提供される。いくつかの態様において、細胞は、ヒトなどの対象中にある。
【0199】
本明細書に記載される方法に従って対象に投与されるべき治療活性のある薬剤(例えば、本開示の化合物)の治療上有効な量は、通常の技量の臨床医により、本明細書に提供される指針及び当技術分野に公知である他の方法を使用して決定され得る。例えば、好適な用量は、とりわけ投与経路によって、約0.1mg/kg~約500mg/kg、又は約1mg/kg~約100mg/kgの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、本開示の化合物の好適な用量は、遊離塩基としての構造式Iの化合物の分子量に基づいて、約1mg~約500mg、例えば、約62mg~約229mgの構造式Iの化合物若しくはその薬学的に許容できる塩又は上記のものの水和物である。
【0200】
本開示の化合物は、化合物及び治療すべき特定の疾患に応じて、例えば、経口、食事、外用、経皮、直腸、非経口(例えば、動脈内、静脈内、筋肉内、皮下注射、皮内注射)、静脈内注入及び吸入(例えば、気管支内、鼻腔内又は経口吸入、点鼻剤)投与経路を含む種々の投与経路により投与できる。投与は、適応に応じて、局所でも全身性でもあり得る。好ましい投与様式は、選択される特定の化合物により変わり得る。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は経口投与される。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は静脈内投与される。
【0201】
本開示の化合物は、1種以上の他の療法(例えば、化学療法剤などの化学療法;免疫療法剤、癌免疫剤などの免疫療法)と組み合わせても投与できる。したがって、いくつかの実施形態において、方法は、対象に、治療上有効な量の1種以上の追加の療法(例えば、治療活性のある薬剤)を投与することをさらに含む。本明細書に開示される方法において本開示の化合物と組み合わせて使用するための好適な療法及び治療活性のある薬剤としては、併用療法及び医薬組合せと関連して本明細書で議論されたものがある。
【0202】
別の療法と組み合わせて投与される場合、本開示の化合物は、他の療法(例えば、追加の治療活性のある薬剤)の前に、後に、又は並行して投与できる。2種以上の治療活性のある薬剤が、同時に(例えば、並行して)共投与される場合、本開示の化合物及び追加の治療活性のある薬剤は、別々な製剤中でも同じ製剤中でもあり得る。或いは、本開示の化合物及び他の療法は、熟練した臨床医により決定される適切な時間枠内(例えば、本開示の化合物及び他の療法の薬効の重複を可能にするのに充分な時間)で連続的に(例えば、別な組成物として)投与できる。
【実施例
【0203】
実施例1.形態選択
塩スクリーニングを、遊離塩基形態の構造式Iの化合物に実施して、塩形態が遊離塩基形態に優る利益を与えるかどうかを評価した。出発物質(ロット番号:SY18002581-8、ID番号:818718-01-A)は結晶性であり、最初に遊離塩基A型と名付けた。遊離塩基A型試料を、遊離塩基の多形体スクリーニングを実施した後に、遊離塩基E+F型の混合物であると決定した。このバッチの遊離塩基試料(遊離塩基E+F型)(818718-01-A)から出発して、塩スクリーニングを、4種の溶媒系中で、17種の酸を使用して84の条件下で(HSOで2:1の、HClで2:1、3:1、4:1の追加のモル変化比)実施した。全てのスクリーニング実験から、全部で35種の結晶性塩ヒット(salt hit)を単離し、X線粉末回折(XRPD)、熱重量分析(TGA)、及び示差走査熱量測定(DSC)により特性化した。塩ヒットの化学量論比を、プロトン核磁気共鳴(H NMR)又はイオンクロマトグラフィー(IC)と組み合わせた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により決定した。スクリーニングからのヒットの物性に基づいて、コハク酸塩B型、L-リンゴ酸塩B型、メシル酸塩A型、ベシル酸塩A型、及びL-酒石酸塩A型を、規模拡大のための潜在的な候補塩として選択した。
【0204】
L-リンゴ酸塩B型及びメシル酸塩A型の塩リード(salt lead)を、首尾よく再調製した。L-酒石酸塩A型及びベシル酸塩A型の調製実験は、それぞれ、L-酒石酸塩A+B型混合物及びベシル酸塩A+B型混合物をもたらした。再調製したコハク酸塩B型の結晶性は比較的低く、それはコハク酸塩B型の吸水に影響し得る(動的水蒸気収着(DVS)により25℃/80%RHで8.22%)。潜在的な候補塩の再現性及び結晶性と組み合わせて、L-リンゴ酸塩B型及びメシル酸塩A型を、さらなる評価のための主要な塩として選択した。
【0205】
L-リンゴ酸塩B型及びメシル酸塩A型を、対照として受け取った遊離塩基試料(遊離塩基E+F型)を使用して、吸湿性、生体関連緩衝液(水/SGF/FaSSIF)への動力学的溶解度、並びに2週間25℃/60%相対湿度(RH)及び40℃/75%RH(開放)での固体状態安定性で評価した。特性化及び評価データを表1.1にまとめる。結果は、L-リンゴ酸塩B型とメシル酸塩A型が両方とも吸湿性であり、遊離塩基E+F型(818718-01-A)がわずかに吸湿性であることを示した。DVSの後に、遊離塩基E+F型、L-リンゴ酸塩B型、及びメシル酸塩A型で形態変化は観察されなかった。L-リンゴ酸塩B型及びメシル酸塩A型は、遊離塩基出発物質(遊離塩基E+F型)を対照として使用して、37℃の水への増加した溶解度を示した。遊離塩基E+F型、L-リンゴ酸塩B型、及びメシル酸塩A型は、37℃へのSGFへの比較的高い溶解度を示した。L-リンゴ酸塩B型は、メシル酸塩A型及び遊離塩基E+F型より、37℃のFaSSIFへのはるかに高い溶解度を示した。3種の媒体中の2種の塩では固体残渣が得られなかったので(FaSSIF中のメシル酸塩A型以外)、XRPD試験は実施しなかった。メシル酸塩A型を37℃のFaSSIFに1時間懸濁させた後に、結晶性が低い新たな形態が観察された。3種の全ての媒体中の動力学的溶解度試験の後に、遊離塩基E+F型は遊離塩基E型に変わった。遊離塩基E+F型、L-リンゴ酸塩B型、及びメシル酸塩A型の全ては、2週間の保存後に形態変化も実質的なHPLC純度低下もないことから証明される通り、良好な物理的及び化学的安定性を示した。
【0206】
新たなバッチの遊離塩基試料(ID番号:818718-45-A)を多形評価に使用した。特性化データは、バッチ818718-45-Aが、遊離塩基B型と称される新たなXRPDパターンを示したことを示した。遊離塩基B型を出発物質として使用して、メシル酸塩A型を、多形体スクリーニングのために5.0gの規模で首尾よく再調製した。
【0207】
メシル酸塩A型及び遊離塩基B型を出発物質として使用して、予備的な多形体スクリーニングを、スラリー転化、蒸発、液体蒸気拡散、固体蒸気拡散、緩徐な冷却、及び貧溶媒(anti-solvent)添加の異なる方法を使用して、それぞれ、66及び67種の条件で実施した。メシル酸塩に関しては、メシル酸塩A型以外の新たな形態は多形体スクリーニングから発見されなかった。遊離塩基に関しては、無水物遊離塩基B/E/F/G型、水和物遊離塩基C型、及びDCM溶媒和物遊離塩基D型を発見した。遊離塩基B型、C型、E型、F型、及びG型の間のスラリー競合実験結果は、a)5℃~50℃のIPAc系中で、及び室温(RT)の異なるaを有するアセトン/H2O系中で、遊離塩基E型が観察されたこと;b)ACN、EtOH/H2O(a=0.2)、及びEtOH系中で、EtOH又はACN溶媒和物などの潜在的な準安定形態があり得て、それは、すばやく遊離塩基C型又はG型になり得ることを示した。
【0208】
表1.1は、塩リード及び遊離塩基の特性化及び評価をまとめるものである。
【0209】
【表1】
【0210】
室温(25±3℃)での遊離塩基出発物質(818718-01-A)のMarvinにより見積もった6.88の塩基性pKa値及びおおよその溶解度により、17種の酸及び4種の溶媒系をスクリーニングに使用した。アセトン、EtOAc、DCM、及びTHF/H2O(19:1、v/v)の各溶媒で、遊離塩基と対応する酸を、1:1のモル変化比(H2SO4で2:1の1つの追加のモル変化比及びHClで2:1、3:1、4:1の3つの追加のモル変化比)で混合し、室温で一晩撹拌した。得られた固体をXRPDにより特性化し、透明な溶液を移して、5℃で3日間撹拌した。ゲルを移して50℃で3日間スラリー化した(DCM系は除く)。得られた固体をXRPDにより試験した。透明な溶液及びゲルに関して、貧溶媒(アセトン、EtOAc、及びDCMにはn-ヘプタン;THF/H2OにはH2O)を加えた。次いで、混合物を5℃で一晩撹拌した。固体をXRPDにより特性化し、透明な溶液を移して、室温で緩徐な蒸発をさせた。ACN/H2O(19:1、v/v)系から得られた透明な溶液を移して、室温で真空揮発させた。表1.2にまとめる通り、合計で35種の結晶性ヒットを得た。得られた全ての潜在的な塩ヒットを単離し、50℃で2~3時間乾燥させ、次いでXRPD、TGA、DSC、及びHPLC純度により特性化し、化学量論をNMR又はHPLC/ICにより決定した。特性化データを表1.3にまとめる。
【0211】
【表2】
【0212】
【表3】
【0213】
【表4】
【0214】
【表5】
【0215】
【表6】
【0216】
L-リンゴ酸塩B型、コハク酸塩B型、及びメシル酸塩A型を、数百ミリグラムに首尾よく再調製した。詳細な調製手順を表1.4に記載し、特性化データを表1.1にまとめる。ベシル酸塩A型及びL-酒石酸塩A型では、ベシル酸塩A+B型混合物及びL-酒石酸塩A+B型混合物が、それぞれ、ベシル酸塩A型及びL-酒石酸塩A型の再調製実験から得られた。再現性の観点から、ベシル酸塩A型及びL-酒石酸塩A型をさらなる評価のために選択しなかった。
【0217】
【表7】
【0218】
L-リンゴ酸塩B型(818718-21-A1)を、図3のXRPD結果により証明される通り首尾よく再調製した。表1.1にまとめたTGA及びDSCデータの通り、試料は150℃まで3.7%の重量減少を示し、DSC曲線は、2つの熱的シグナルを62.5℃及び168.6℃(ピーク温度;ピークオンセットは164.1℃に起こった)に示した。およそ0.08モルのEtOAc(約1.0重量パーセント)をH NMRにより検出した。面積に基づいて、L-リンゴ酸と遊離塩基の化学量論比を1.17であると決定した。
【0219】
コハク酸塩B型(818718-21-A2)を、図4のXRPD結果により証明される通り首尾よく再調製した。表1.1にまとめたTGA及びDSCデータの通り、試料は、150℃まで1.8%の重量減少並びに53.0℃及び157.2℃(ピーク温度;ピークオンセットは151.1℃で起こった)の2つの熱的シグナルを示した。EtOAcのピークはH NMRで観察されなかった。面積に基づいて、コハク酸と遊離塩基の化学量論比を1.08であると決定した。
【0220】
メシル酸塩A型(818718-21-A5)を、XRPDにより証明される通り首尾よく再調製した。表1.1にまとめたTGA及びDSCデータの通り、試料は、150℃まで1.0%の重量減少並びに70.2℃及び263.3℃(ピーク温度;ピークオンセットは258.5℃で起こった)の2つの熱的シグナルを示した。THFのピークはH NMRで観察されなかった。面積に基づいて、メタンスルホン酸と遊離塩基の化学量論比を0.97であると決定した。
【0221】
吸湿性、動力学的溶解度、及び固体状態安定性に関するさらなる評価試験を実施して、候補塩の物理化学的性質を、遊離塩基を対照として使用してより良く理解した。
【0222】
吸湿性。DVS等温プロットを25℃で収集して、固体形態安定性を湿度の関数として調査した。遊離塩基E+F型、L-リンゴ酸塩B型、コハク酸塩B型、及びメシル酸塩A型の全てを周囲湿度(70%RH又は80%RH)で平衡化させて、試験前の形態変化を防いだ。
【0223】
80%RHまででL-リンゴ酸塩B型(818718-21-A1)の3.00%の吸水、コハク酸塩B型(818718-21-A2)の8.22%の吸水、及びメシル酸塩A型(818718-21-A5)の2.74%の吸水により証明される通り、L-リンゴ酸塩B型、コハク酸塩B型、及びメシル酸塩A型の全ては吸湿性であった。遊離塩基E+F型(818718-01-A)は80%RHで1.55%の吸水を有してわずかに吸湿性であった(図3~7)。形態変化は、DVS試験の前後で、L-リンゴ酸塩B型、コハク酸塩B型、メシル酸塩A型、及び遊離塩基E+F型の全てで観察されなかった。湿度が50%RHより高い場合、著しい質量増加がコハク酸塩B型(818718-21-A2)に観察されたことが注目に値する。再調製したコハク酸塩B型は低い結晶性を示したが、それは、コハク酸塩B型の吸水に影響し得る。コハク酸塩B型の比較的低い結晶性及び吸湿性を考慮して、コハク酸塩B型にはさらなる試験を実施しなかった。
【0224】
動力学的溶解度。塩リードの動力学的溶解度を、水、SGF、及びFaSSIF中で測定し、遊離塩基E+F型(818718-01-A)を対照として使用して、それらの溶解度及び不均化リスクを評価した。全ての溶解度試料(約10mg/mLの初期固体充填量)を、25rpmのスピードで、ローリングインキュベーターで回転したままにして、37℃で1、4及び24時間でサンプリングした。遠心分離後、上清をHPLC及びpH試験のために収集し、ウェットケーキをXRPD特性化のために収集した。
【0225】
結果を表1.5にまとめる。L-リンゴ酸塩B型及びメシル酸塩A型は、遊離塩基E+F型を対照として使用して、37℃の水への増加した溶解度を示した。L-リンゴ酸塩B型、メシル酸塩A型、及び遊離塩基E+F型は、37℃のSGFに比較的高い溶解度を示した。L-リンゴ酸塩B型は、メシル酸塩A型及び遊離塩基E+F型よりはるかに高い、37℃のFaSSIFへの溶解度を示した。L-リンゴ酸塩B型を、3種の媒体に1、4及び24時間懸濁させた後、透明な溶液が得られた。メシル酸塩A型では、メシル酸塩A型を、1及び24時間HOに懸濁させた後、透明な溶液が得られた(4時間懸濁させた後わずかな濁り(turbid)が観察されたが、試料はXRPD試験には充分でなかった)。メシル酸塩A型を、1、4、及び24時間SGFに懸濁させた後、透明な溶液が得られた。メシル酸塩A型を、1、3、又は24時間FaSSIFに懸濁させた後には、透明な溶液が得られなかった。
【0226】
【表8】
【0227】
【表9】
【0228】
固体状態安定性。遊離塩基E+F型(818718-01-A)、L-リンゴ酸塩B型(818718-21-A1)、及びメシル酸塩A型(818718-21-A5)の固体状態安定性を、25℃/60%RH及び40℃/75%RH(開放)で2週間評価した。安定性試料をXRPDにより特性化して固体形態変化を確認し、HPLCにより特性化して純度変化を確認した。結果を表1.6にまとめる。XRPDデータは、遊離塩基E+F型、L-リンゴ酸塩B型、及びメシル酸塩A型が、保存後に形態変化も実質的なHPLC純度低下もないことにより証明される通り、試験した条件下で良好な物理化学的安定性を示したことを示した。
【0229】
【表10】
【0230】
メシル酸塩及び遊離塩基を多形体スクリーニングに提出した。調査結果に基づいて、水和メシル酸塩A型以外、新たなメシル酸塩形態は、多形体スクリーニングの間に発見されなかった。遊離塩基に関して、無水物遊離塩基B/E/F/G型、水和物遊離塩基C型及びDCM溶媒和物遊離塩基D型を含む、6種の結晶性ヒットが得られた。塩スクリーニングに使用した遊離塩基出発物質(818718-01-A)は、最初は遊離塩基A型であると帰属したが、遊離塩基E+F型の混合物であると決定したことは注目に値する。
【0231】
メシル酸塩A型(818718-48-A)を、新たなバッチの遊離塩基物質(818718-45-A)を使用して、表1.7に示す詳細な調製手順を使用して、室温のEtOAc中のメタンスルホン酸と遊離塩基(モル比1:1)の混合物のスラリーにより再調製した。真空乾燥後に形態変化は観察されなかった。TGA及びDSCのデータは、150℃まで2.0%の重量減少並びに61.4℃及び265.1℃(ピーク温度;ピークオンセットは262.4℃で起こった)での2つの熱的シグナルを示した。およそ0.07モルEtOAc(約0.95重量パーセント)をH NMRにより検出した。PLMにより示される通り、メシル酸塩A型(818718-48-A)は、棒状及び針状粒子で構成されていた。面積に基づいて、メタンスルホン酸と遊離塩基の化学量論比を1.01であると決定した。メシル酸塩A型(818718-48-A)のHPLC純度を、99.84面積パーセントであると決定した。このバッチのメシル酸塩A型を、多形体スクリーニング実験に使用した。結果として、メシル酸塩A型の1つの結晶性ヒットのみが、多形体スクリーニング実験から観察された。
【0232】
【表11】
【0233】
メシル酸塩A型を特定するために、メシル酸塩A型をVT-XRPDにより試験した。図5に示されるXRPD結果は、試料がN下で20分間吹かれた後に、回折ピークシフト(四角内に示す)が観察されたことを示したが、それは脱水により起こされた可能性がある。さらなる著しい変化は、試料を100℃に加熱した後にも、N下で30℃に冷却した後にも観察されなかった。試料を30分間周囲条件に再び曝露した後、メシル酸塩A型が再び得られた。そのため、メシル酸塩A型は、水和物を形成し、脱水後に水を吸収することが可能であると推測した。
【0234】
新たなバッチの遊離塩基(SY18002581-12)を多形体スクリーニングに使用した。XRPD結果は、新たなバッチ(818718-45-A)が以前のバッチ(SY18002581-8)とは異なるXRPDパターンを有する結晶性であることを示し、そのため、この新たな形態を遊離塩基B型と帰属した。遊離塩基B型を出発物質として使用して、合計で67の多形体スクリーニング実験を実施した。結果として、無水物遊離塩基B/E/F/G型、水和物遊離塩基C型、及びDCM溶媒和物遊離塩基D型が、それぞれ表1.8及び図6に示される特性化データ及びXRPDパターンと共に発見された。
【0235】
【表12】
【0236】
遊離塩基B型、C型、E型、F型及びG型の間の熱力学的安定性関係を、スラリー競合実験により調査した。結果として:a)5℃~50℃のIPAc系中、及び室温の異なるaを有するアセトン/HO系中で、遊離塩基E型が観察された;b)ACN、EtOH/HO(a=0.2)及びEtOH系中で、EtOH又はACN溶媒和物などの潜在的な準安定形態があり得て、それは、すばやく遊離塩基C型又はG型に変わり得る。
【0237】
メシル酸塩A型の安定性をさらに検討するために、XRPDスペクトルを、密閉された容器中で、6か月間25℃及び60%相対湿度で保存されたメシル酸塩A型の試料及び密閉された容器中で、6か月間40℃及び75%相対湿度で保存されたメシル酸塩A型の試料から得た。図1は、密閉された容器中で、6か月間25℃及び60%相対湿度で保存されたメシル酸塩A型のXPRDスペクトルを示し、表1.9は、図1のXRPDスペクトルと関連する種々のデータを列記する。図7は、密閉された容器中で、6か月間40℃及び75%相対湿度で保存されたメシル酸塩A型のXPRDスペクトルを示し、表1.10は、図7のXRPDスペクトルと関連する種々のデータを列記する。
【0238】
【表13】
【0239】
【表14】
【0240】
結論として、塩スクリーニングを遊離塩基形態の構造式Iの化合物に実施した。合計で35種の結晶性塩ヒットを、84の塩スクリーニング実験から得た。メシル酸塩A型及びL-リンゴ酸塩B型を、遊離塩基を対照として使用して、吸湿性、異なる生体関連媒体への動力学的溶解度、及び固体状態安定性を含むさらなる評価のための塩リードとして選択した。特性化及び評価結果に基づいて、メシル酸塩と遊離塩基の両方を多形体スクリーニングに選択した。メシル酸塩に関して、水和物メシル酸塩A型以外、新たなメシル酸塩形態は多形体スクリーニングから発見されなかった。遊離塩基に関して、無水物遊離塩基B/E/F/G型、水和物遊離塩基C型、及びDCM溶媒和物遊離塩基D型が発見された。遊離塩基B型、C型、D型、E型、F型及びG型の間のスラリー競合実験結果は、IPAc系中、及び異なるaを有するアセトン/H2O系中で遊離塩基E型が観察されたことを示した。ACN、EtOH/H2O(a=0.2)及びEtOH系中で、潜在的な準安定EtOH又はACN溶媒和物があり得て、それは、すばやく遊離塩基C型又はG型に変わり得る。
【0241】
スクリーニング及び評価から収集したデータに基づいて、メシル酸塩A型は、良好な物理的化学的安定性及び低い多形リスクを示した。
【0242】
装置及び方法:
XRPD分析。XRPD分析には、反射モードのPANalytical X線粉末回折計を使用した。XRPDパラメーターを表1.11に列記する。
【0243】
【表15】
【0244】
TGA及びDSC。TGAデータを、TA InstrumentsのTA Q5000 TGA又はTA Discovery TGA5500を使用して収集し、TA InstrumentsのTA Discovery DSC2500を使用してDSCを実施した。使用した詳細なパラメーターを表1.12に列記する。
【0245】
【表16】
【0246】
HPLC。Agilent 1290 UPLCを利用し、純度試験の詳細なクロマトグラフィー条件を表1.13に列記する。
【0247】
【表17】
【0248】
IC。化学量論比を決定するための対アニオンイオン含量測定のためのイオンクロマトグラフィー(IC)方法を表1.14に列記する。
【0249】
【表18】
【0250】
DVS。動的水蒸気収着(DVS)を、SMS(Surface Measurement Systems)DVS Intrinsicにより測定した。25℃での相対湿度を、LiCl、Mg(NO3)2、及びKClの潮解点に対して平衡化した。DVS試験の実際のパラメーターを表1.15に列記する。
【0251】
【表19】
【0252】
溶液NMR。溶液NMRを、DMSO-dを溶媒として使用してBruker 400M NMR分光計で収集した。
【0253】
実施例2.カプセル製剤実験計画法(DOE)
製剤開発作業を、6因子、4応答DOEで開始した。表2.1に示される通り、8種の製剤を調製して、以下の6因子を評価した:
・充填剤タイプ(マンニトール又はラクトース);
・崩壊剤レベル;
・滑沢剤タイプ(フマル酸ステアリルナトリウム又はステアリン酸マグネシウム);
・流動促進剤レベル;
・微結晶性セルロース(MCC)-対-充填剤比;及び
・カプセルサイズ(1mg又は50mg)。
【0254】
【表20】
【0255】
以下の4つの応答を使用して、製剤を評価した(表2.2参照):
・崩壊時間;
・嵩密度;
・流動性;及び
・重量変動。
【0256】
【表21】
【0257】
DOEの結果を、ANOVAにより分析して、どの因子が異なる応答に対して統計的に有意な(p-値<0.1)影響を有したかを決定した。DOE分析を表2.3に示す。
【0258】
【表22】
【0259】
これらの結果に基づいて、マンニトールを充填剤として選択し、5%の崩壊剤レベルを選択し、フマル酸ステアリルナトリウムを滑沢剤として選択し、0.5%の流動促進剤レベルを選択し、1:1のMCC-対-充填剤比を選択した。
【0260】
4種の追加の製剤を、上記の選択を使用して製造して、第2ラウンドのDOE実験で製剤を改良した。第2ラウンドにおいて、ブレンド特性化応答(流動性及び嵩密度)及びカプセル特性化応答(重量均一性及び含量均一性)に着目した。含量均一性試験を、開発のこの段階で加えて、特に1mgカプセルに関して製造フィージビリティを確実にした。DOEラウンド2製剤を表2.4に示す。
【0261】
【表23】
【0262】
ラウンド2製剤を、ラウンド1のものと同じ応答を使用して評価して、両ラウンド1及び2の結果を表2.5に示す。含量均一性データを、別に表2.6に示すが、1mg製剤を製造することが実現可能でないだろうことが示された。表2.5及び2.6のデータに基づいて、より高い医薬品有効成分(API)充填量が最終製剤中に必要とされるだろうが、以前のパラメーター選択(例えば、マンニトール)が適切であったことが決定された。
【0263】
【表24】
【0264】
【表25】
【0265】
実施例3.ローラー圧縮体(compaction)開発
ローラー圧縮体を使用して、より高い薬物充填量(50mg、100mg、及び200mgの)をカプセルに充填するフィージビリティを決定するために、ブレンドを、実施例2で使用したブレンド及び表3.1に示される計算に基づいて調製して、造粒中に35%薬物充填量を得た。約0.5g/mLの造粒嵩密度を開発の目標とした。顆粒(granulation)をカプセルに製剤した。表3.2を参照されたい。
【0266】
【表26】
【0267】
【表27】
【0268】
実施例4.4週間安定性試験
材料:50mgカプセル(ロット番号:T12-704-52);100mgカプセル(ロット番号:T12-704-54);200mgカプセル(ロット番号:T12-704-53)。
【0269】
方法:試料を40℃及び75%相対湿度(RH)で(密閉して)保存した。外観、含水量、アッセイ、及び関連物質(HPLC)を試験した(n=6)、沈下溶解(sink dissolution)。
【0270】
結果:外観、含水量、及びアッセイ及び関連物質は、t=0に類似のままであった。表4.1に見られる通り、t=4週間で、カプセルは、2.6~2.8重量%の水を含有していたが、それはt=0と同等である。また、外観は、試験のt=0と同じままであった。表4.2に見られる通り、アッセイ値はt=0と同等であった;不純物プロファイルは、API標準のものと一致した。4週希釈剤ピークを、不純物後処理から排除した。
【0271】
【表28】
【0272】
【表29】
【0273】
実施例5.構造式Iの化合物の代表的な合成
【化8】

工程1において、2-クロロ-3-ニトロピリジン(10.0g、63.1mmol)のジオキサン溶液(80ml)に、ピロリジン-2-オン(6.4g、75.2mmol)及びCsCO(30.8g、94.5mmol)を加えた。生じた反応混合物を15分間アルゴン脱気した。次いで、脱気された反応混合物に、Pd(OAc)(0.715g、3.2mmol)及びキサントホス(3.6g、6.2mmol)をアルゴン下で加え、反応混合物を、密閉されたチューブ中で12時間100℃に加熱した。反応混合物を蒸発させて、粗製物質を得て、それを、isoleraカラムクロマトグラフィーを使用して精製して、1-(3-ニトロピリジン-2-イル)ピロリジン-2-オン(7.5g、36.2mmol、収率57.4%)を白色の固体として得た、LCMS(ES,m/z):208.1(M+1)。
【0274】
工程2において、1-(3-ニトロピリジン-2-イル)ピロリジン-2-オン(10.9g、52.6mmol)のエタノール溶液(100ml)に、乾燥Pd/C(1.1g)を加えた。生じた反応混合物を、室温で、水素雰囲気下で12時間撹拌したままにした。反応物のTLC及びLCMSは、出発物質の完全な消費を示した。反応混合物をエタノールで希釈し、Celiteの床により濾過した。濾過された反応混合物を蒸発させて、粗製物質を得て、それを、isoleraカラムクロマトグラフィーを使用して精製して、1-(3-アミノピリジン-2-イル)ピロリジン-2-オン(7.3g、41.2mmol、収率78.0%)を黒色の固体として得た、LCMS(ES,m/z):178.1(M+1)。
【0275】
工程3において、密閉されたチューブ中の1-(3-アミノピリジン-2-イル)ピロリジン-2-オン(7.3g、41.2mmol)及び2,4,5-トリクロロピリミジン(8.9g、48.5mmol)のジメチルホルムアミド(70ml)溶液に、DIPEA(21.0ml、120.6mmol)を加えた。生じた反応混合物を80℃に12時間加熱した。反応物のTLC及びLCMSは、出発物質の完全な消費を示した。反応混合物を氷冷水によりクエンチし、次いで、酢酸エチル(2×50ml)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、蒸発させて、粗製物質を得て、それを、isoleraカラムクロマトグラフィーを使用して精製して、1-(3-((2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-2-イル)ピロリジン-2-オン(10.9g、33.6mmol、収率82.0%)を黒色の固体として得た、LCMS(ES,m/z):324.0(M+1)。
【0276】
工程4において、1-クロロ-2-フルオロ-4-メトキシ-5-ニトロベンゼン(5.0g、24.4mmol)のジメチルホルムアミド溶液(50ml)に、丸底フラスコ中で1-メチルピペラジン(2.7g、26.9mmol)及びKCO(4.3g、31.2mmol)を加えた。生じた反応混合物を80℃に16時間加熱した。反応物のTLC及びLCMSは、出発物質の完全な消費を示した。反応混合物を氷冷水によりクエンチし、固体をブフナー漏斗により濾過して、純粋な1-(2-クロロ-5-メトキシ-4-ニトロフェニル)-4-メチルピペラジン(6.6g、23.1mmol、収率95.0%)を黄色の固体として得た、LCMS(ES,m/z):286.1(M+1)。
【0277】
工程5において、1-(2-クロロ-5-メトキシ-4-ニトロフェニル)-4-メチルピペラジン(6.6g、23.1mmol)のエタノール溶液(60ml)に、Fe粉末(6.3g、112.8mmol)、NHCl(6.1g、114.1mmol)、及び水(12.0ml)を加えた。生じた反応混合物を80℃に6時間加熱した。反応物のTLC及びLCMSは、出発物質の完全な消費を示した。反応混合物を蒸発させて、粗製物質を得て、それを、isoleraカラムクロマトグラフィーを使用して精製して、5-クロロ-2-メトキシ-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)アニリン(5.2g、20.3mmol、収率88.0%)を紫色の固体として得た、LCMS(ES,m/z):256.1(M+1)。
【0278】
工程6において、1-(3-((2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-2-イル)ピロリジン-2-オン(1.0g、3.08mmol)及び5-クロロ-2-メトキシ-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)アニリン(0.787g、3.08mmol)のt-ブタノール溶液(10.0ml)に、密閉されたチューブ中で1ml TFAを加え、それを90℃に14時間加熱した。TLC及びLCMSにより反応の完了を確認した後、反応混合物を蒸発させて、粗製物質を得た。次いで、粗生成物をPREP HPLCを使用して精製して、1-(3-((5-クロロ-2-((5-クロロ-2-メトキシ-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)ピリジン-2-イル)ピロリジン-2-オン(0.7g、1.29mmol、収率42.0%)を薄茶色の固体として得た、H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 8.86(s,1H),8.31-8.29(m,1H),8.24(d,J=8.00Hz,1H),8.17(s,1H),7.91(s,1H),7.75(s,1H),7.40-7.37(m,1H),6.76(s,1H),4.02(t,J=6.80Hz,2H),3.82(s,3H),2.96(brs,4H),2.60(t,J=6.80Hz 2H),2.24(s,3H),2.13-2.1(m,3H).;LCMS(ES,m/z):544.2(M+1).
【0279】
実施例6.ApcMinマウス効能モデル
TNK1上方制御が、増加したTNK1発現/活性化の遺伝子導入マウスモデルでの腸バリア破壊の発病過程において役割を果たすことが報告されている(PMID:30320600)。したがって、構造式Iの化合物の効能を、腸バリア機能不全も誘導することが知られている腸の新生物及びカヘキシーの生殖細胞系変異マウスモデル、ApcMin+/-モデルで評価した(PMID:21914473)。ApcMin+/-マウスは、およそ4週齢で腫瘍の発生を開始することが報告されている。20匹の雌のApcMin+/-マウス(JAX Stock No:002020)を10週齢で試験に登録した。体重に基づいて無作為割付を実施し、動物を4つの処置群に分割した(5マウス/群)。処置は、1日目に無作為割付の後で開始し、マウスに、ビヒクル(水中2%Tween-80、10%エタノール、30%PEG400(v/v))、25若しくは50mg/kgの構造式Iの化合物、又は120mg/kgのセレコキシブを1日1回強制経口投与した。セレコキシブはCOX-2阻害剤であり、APCモデルにおいて腺腫を予防し退行させることが報告されているので陽性対照として使用した(PMID:11016626)。マウスを、全部で10週間の投薬(71日)の最後の投与の2時間後に、20週齢で犠死させた。投薬を開始した後、動物を、罹患率及び死亡率に関して毎日確認した。
【0280】
図8Aは、処置による体重変化に有意差が観察されなかったことを示す。図8Bは、ビヒクルを投与されたマウスに比べて、構造式Iの化合物(25mg/kgでおよそ49%)及びセレコキシブ(およそ90%)により処置されたマウスの腸にポリープの数の著しい減少が観察されたことを示す。
【0281】
処置群は、ビヒクル処置群に比べて脾臓サイズの著しい減少も示した。図8Cは、10mg/kgの構造式Iの化合物が脾臓サイズをおよそ52%減少させ、25mg/kgの構造式Iの化合物が脾臓サイズをおよそ40%減少させ、120mg/kgのセレコキシブが脾臓サイズをおよそ26%減少させたことを示す。ビヒクルを投与されたマウスの平均脾臓重量は484mgであり、10mpkの構造式Iの化合物で処置されたマウスの平均脾臓重量は253mgであり、25mpkの構造式Iの化合物で処置されたマウスの平均脾臓重量は191mgであり、120mpkのセレコキシブで処置されたマウスの平均脾臓重量は125mgであった。
【0282】
実施例7.3D生存率アッセイ
癌研究において、天然の細胞特性及び構造は、多くの場合、単層培養より3D細胞モデルによって、より近く模倣され得る。構造式Iの化合物の相対的な効能を、2D及び3D培養システムにおいて、軟寒天コロニー形成アッセイ及びPDXO培養を使用して調査した。各場合において、培養物の生存能力を、構造式Iの化合物による処理の後に評価した。
【0283】
軟寒天コロニー形成アッセイ。軟寒天コロニー形成アッセイを、肺癌から結腸直腸及び前立腺癌に及ぶ種々の腫瘍タイプ由来の10の細胞株で実施した(Pro Quinase Reaction Biology,Project Number:17262)。アッセイに使用した腫瘍タイプの完全なリストは表7.1に見出すことができる。表7.1は、試験した細胞株のほとんどにおいて、構造式Iの化合物による処理に対する感受性の増加が、2D対応物と比べて3Dコロニーにおいて観察されたことを示す。感受性の最も顕著な増加は、DU145、HT29、及びA549細胞に観察され、それぞれ、およそ19倍、およそ32倍、及びおよそ40倍のIC50のシフトが観察された。
【0284】
【表30】
【0285】
患者由来異種移植片オルガノイド細胞株(PDXO)での生存率アッセイ。癌組織様の構造をより近く模倣するために、患者由来異種移植片組織から誘導されたPDXオルガノイドを利用した。生存率アッセイを、10種のPDXOモデルで実施し、IC50値を、構造式Iの化合物による処理の5日後に、Cell Titre Gloを使用して評価した。表7.2は、構造式Iの化合物が、CR6863B以外の試験された全オルガノイドに対して10μM未満のIC50値を有したことを示す。最も応答性が高いオルガノイドは、BL5001B、LU6800B、LU11873B、及びES6470Bであり、構造式Iの化合物は、それぞれ、0.40、0.40、0.44、及び0.51μMのIC50値を示した。
【0286】
【表31】
【0287】
本明細書に引用される全ての特許、公開された出願、及び参考文献の教示は、参照により全体として組み込まれる。
【0288】
例の実施形態が、詳細に示され記載されてきたが、添付される特許請求の範囲により包含される実施形態の範囲から逸脱せずに、形態及び詳細の種々の変更がその中になされ得ることが、当業者により理解されるだろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
【国際調査報告】