(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】トルエンジオキシゲナーゼのコード配列を含むポリヌクレオチド、発現カセット及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/53 20060101AFI20240110BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240110BHJP
C12N 15/70 20060101ALI20240110BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240110BHJP
C12N 9/04 20060101ALI20240110BHJP
C12P 7/22 20060101ALI20240110BHJP
C12P 17/18 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C12N15/53 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/70 Z
C12N1/21
C12N9/04 Z
C12P7/22
C12P17/18 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541107
(86)(22)【出願日】2022-01-05
(85)【翻訳文提出日】2023-09-04
(86)【国際出願番号】 CN2022070188
(87)【国際公開番号】W WO2022148351
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】202110015598.1
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523022158
【氏名又は名称】上▲海▼晟平医▲療▼器械有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523022169
【氏名又は名称】上▲海▼博璞▲諾▼科技▲発▼展有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523022170
【氏名又は名称】浙江博▲シャオ▼生物制▲薬▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 勇
(72)【発明者】
【氏名】黄 平
(72)【発明者】
【氏名】姜 ▲標▼
(72)【発明者】
【氏名】朱 文峰
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AC17
4B064AE49
4B064AE54
4B064AE55
4B064AE57
4B064CA02
4B064CA19
4B064CB12
4B064CC24
4B064CD06
4B064DA01
4B064DA16
4B065AA26X
4B065AA44Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BB06
4B065CA05
4B065CA16
4B065CA18
4B065CA44
4B065CA46
(57)【要約】
生物工学及び医薬化学工業生産の分野に属する。具体的には、トルエンジオキシゲナーゼのコード配列を含むポリヌクレオチドを提供する。前記ポリヌクレオチドを含む発現カセット、ベクター及び宿主細胞、並びにそれらのcis-シクロヘキサジエン-o-ジオール系化合物の製造における使用をさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルエンジオキシゲナーゼTodC1、TodC2、TodB及びTodAのコード配列を含み、5′末端から3′末端に、
(1)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を有するTodC1のコード配列を含む第1のヌクレオチド配列と、
(2)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を有するTodC2のコード配列を含む第2のヌクレオチド配列と、
(3)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を有するTodBのコード配列を含む第3のヌクレオチド配列と、
(4)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を有するTodAのコード配列を含む第4のヌクレオチド配列と、を含み、
前記第1、第2、第3及び第4のヌクレオチド配列は、それぞれ、大腸菌が好むコドンを独立して使用し、TodBの終止コドンTAA及びTodAの開始コドンATGは、入れ子配列TAATGを形成する、ポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記第1のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1における第1~1350位のヌクレオチドを含み、及び/又は、
前記第2のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1における第1464~2024位のヌクレオチドを含み、及び/又は、
前記第3のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1における第2036~2356位のヌクレオチドを含み、及び/又は、
前記第4のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1における第2359~3588位のヌクレオチドを含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記ポリヌクレオチドは、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列との間に位置する第1のスペーサー配列、及び/又は第2のヌクレオチド配列と第3のヌクレオチド配列との間に位置する第2のスペーサー配列をさらに含み、
前記第1のスペーサー配列は、5′末端から3′末端に、T7プロモーターと、Lacオペレータと、原核生物リボソーム結合部位(rbs)と、を含み、及び/又は、前記第2のスペーサー配列は、AGリッチなrbs配列を含み、
好ましくは、前記第1のスペーサー配列は、SEQ ID NO:3のヌクレオチド配列を含み、及び/又は
前記第2のスペーサー配列は、GTGATGTC(SEQ ID NO:1における第2028~2035位のヌクレオチド)又はGAAGGAGATATACC(SEQ ID NO:2における第2028~2041位のヌクレオチド)を含む、請求項1又は2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:2のヌクレオチド配列を含む、請求項3に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、発現カセット又はベクター。
【請求項6】
5′末端から3′末端に、
(1)第2のT7プロモーター(好ましくは、SEQ ID NO:8のヌクレオチド配列を有する)と、
(2)請求項1~4のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドと、
(3)任意選択的に存在するT7転写ターミネーター(好ましくは、SEQ ID NO:11のヌクレオチド配列を有する)と、を含み、
好ましくは、前記第2のT7プロモーターと第1のヌクレオチド配列との間に位置する第2の原核生物リボソーム結合部位(好ましくは、前記第2の原核生物リボソーム結合部位は、SEQ ID NO:9のヌクレオチド配列を有する)をさらに含み、
より好ましくは、前記第2のT7プロモーターと第2の原核生物リボソーム結合部位との間に位置する第2のLacオペレータ(好ましくは、前記第2のLacオペレータは、SEQ ID NO:10のヌクレオチド配列を有する)をさらに含む、請求項5に記載の発現カセット又はベクター。
【請求項7】
pET-3a-d、pET-9a-d(+)、pET-11a-d、pET-14b、pET-21a-d(+)、pET-23a-d(+)、pET-24a-d(+)、pET-30a-c(+)、pET-28a-c(+)、pET31b(+)、pET32a-c(+)、p33b、pET-41a-c(+)及びpET-42a-c(+)から選択されたベクターに由来する、請求項5に記載のベクター。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド或いは請求項5~7のいずれか一項に記載の発現カセット又はベクターを含む宿主細胞であって、好ましくは、前記宿主細胞は、T7 RNAポリメラーゼを発現する大腸菌であり、より好ましくは、前記宿主細胞は、大腸菌BL21(DE3)、BL21-Gold(DE3)、BL21-Gold(DE3)pLysS、Rosetta(DE3)、Origami
TM 2(DE3)、OrigamiB(DE3)、Origami
TM B(DE3)pLysS、Rosetta-gami B(DE3)及びLemo21(DE3)から選択される、宿主細胞。
【請求項9】
発現カセット又はベクターの発現に適した条件で請求項8に記載の宿主細胞を培養するステップを含む、トルエンジオキシゲナーゼを製造する方法。
【請求項10】
トルエンジオキシゲナーゼを発現する宿主細胞を溶解して、トルエンジオキシゲナーゼを含有する溶解液を得るステップをさらに含み、好ましくは、トルエンジオキシゲナーゼを精製するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~4のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、請求項5~7のいずれか一項に記載の発現カセット又はベクター、或いは請求項8に記載の宿主細胞の、式(2)の化合物の製造における使用であって、
【化1】
式中、Rは、ハロゲン、-C
1-6アルキル、-C
2-6アルケニル、-C
1-6アルキル-CN、-C
1-6アルキル-O-C(=O)-C
1-6アルキル、-C
3-8シクロアルキル、-C
3-8シクロアルケニル、-C
6-10アリールから選択され、ここで、前記C
1-6アルキル、-C
2-6アルケニル、-C
1-6アルキル-CN、-C
1-6アルキル-O-C(=O)-C
1-6アルキル、-C
3-8シクロアルキル、-C
3-8シクロアルケニル、-C
6-10アリールは、1つ又は複数のハロゲンで任意選択的に置換され、
好ましくは、Rは、ハロゲン、メチル、-CH=CH
2、-CH=CHBr、-CH
2CH
2Br、-CH
2CH
2CN、-CH
2CH
2N
3、-CH
2CH
2-O-C(=O)-CH
3、-CH
2-O-C(=O)-CH
3、シクロヘキシル、シクロヘキセニル及びフェニルから選択される、使用。
【請求項12】
式(2)の化合物
【化2】
を製造する方法であって、
発現カセット又はベクターの発現に適した条件で請求項8に記載の宿主細胞を培養するステップ(1)と、
ステップ(1)における宿主細胞を含む培養液に、式(1)の化合物を基質として添加して反応させて、式(2)の化合物を含む発酵液を得るステップ(2)と、
【化3】
ステップ(2)における発酵液から式(2)の化合物を回収するステップ(3)と、を含み、
Rは、請求項11に定義されたとおりである、方法。
【請求項13】
Rは、メチルであり、式(1)の化合物は、トルエンであり、式(2)の化合物は、cis-(1S,2R)-3-メチル-3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジオールであり、或いは、
Rは、Iであり、式(1)の化合物は、ヨードベンゼンであり、式(2)の化合物は、cis-(1S,2R)-3-ヨード-3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジオールであり、或いは、
Rは、-CH
2-O-C(=O)-CH
3であり、式(1)の化合物は、酢酸ベンジルであり、式(2)の化合物は、cis-(1S,2R)-3-アセトキシメチル-3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジオールである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~4のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、請求項5~7のいずれか一項に記載の発現カセット又はベクター、或いは請求項8に記載の宿主細胞の、テトロドトキシンの製造における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年1月6日に提出された「トルエンジオキシゲナーゼのコード配列を含むポリヌクレオチド、発現カセット及びその使用」と題された第202110015598.1号の中国特許出願の優先権を主張するものであり、該出願の全ての内容は、参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は、生物工学及び医薬化学工業生産の分野に属する。具体的には、本発明は、トルエンジオキシゲナーゼのコード配列を含むポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、前記ポリヌクレオチドを含む発現カセット、ベクター及び宿主細胞、並びにそれらのcis-シクロヘキサジエン-o-ジオール系化合物の製造における使用を提供する。
【背景技術】
【0003】
R.E.Kallioらは、1960年代後半に、芳香族炭化水素分解菌に1種の芳香環ジヒドロキシル化オキシゲナーゼ(Gibson、D.T.et al.、Biochemistry、1968、7、2653)を有することを発見しており、これらの酵素において、ベンゼン、トルエン、ナフタレン及びビフェニルなどの基質を用いて、芳香核の活性化、環分裂及びクエン酸回路中間体を通じて芳香環の原核生物の代謝を完了し、該研究は、自然界の炭素循環過程を理解し利用することに対して重要な意義を有するとともに、独特なキラル化学中間体を合成する点でも使用価値を有する。トルエンジオキシゲナーゼは、最も広く研究されている種類の生物触媒であり、1)芳香族cis-ジヒドロキシ化反応、2)オレフィン-cis-ジヒドロキシ化反応、3)硫化物酸化反応、4)ベンジルヒドロキシル化反応、5)炭化水素の脱飽和反応及びN-脱アルキル化反応などの重要な官能基変換作業を完了することに役立つ。芳香環は、トルエンオキシゲナーゼの作用で、独特なキラル代謝物であるcis-シクロヘキサ-3,5-ジエン-1,2-ジオール又はcis-ジヒドロジオール中間体に特異的に変換され、このような酵素反応は、キラルなcis-ジヒドロジオール系化合物を前駆体とする複雑な分子合成化学に新しい経路を提供する。Tomas Hudlickyらは、トルエンジオキシゲナーゼ系の大腸菌JM109(pDTG601)を使用してトルエン又はその類似体をcis-シクロヘキサジエン-o-ジオール系化合物中間体に変換した、酵素全細胞発酵によるジヒドロキシル化反応を2018年に報告した(Baidilov、D.et al.、Angew.Chem.Int.Ed.2018、57、10994-10998)。彼らは、文献分析を通じて、Fukuyamaらが報告した方法により、21ステップの反応を経て天然物のテトロドトキシンを該中間体から合成することができると考え、提案した。
【0004】
Tomas Hudlickyらが使用した発現プラスミドpDTG601に搭載されたトルエンジオキシゲナーゼ系DNAは、Pseudomonas putida F1ゲノムにおける元の配列に直接由来し、該配列は、todC1/todC2/todB/todAの4つの遺伝子のコード配列を含むだけでなく、コード配列間のスペーサー配列及び4つのコード配列の組み合わせ方式をさらに含む。一般的に、異なる種のDNA配列が大腸菌で直接発現されると、コドン使用頻度の好み、プロモーター及びリボソームの認識部位に関する種差のため、タンパク質の発現効果が満足のいくものではないことにより、酵素の触媒効果に影響を与える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、本発明に係るポリヌクレオチドは、トルエンジオキシゲナーゼTodC1、TodC2、TodB及びTodAのコード配列を含む。
【0006】
一実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、5′末端から3′末端に、(1)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を有するTodC1のコード配列を含む第1のヌクレオチド配列と、(2)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を有するTodC2のコード配列を含む第2のヌクレオチド配列と、(3)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を有するTodBのコード配列を含む第3のヌクレオチド配列と、(4)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を有するTodAのコード配列を含む第4のヌクレオチド配列と、を含み、前記第1、第2、第3及び第4のヌクレオチド配列は、それぞれ、大腸菌が好むコドンを独立して使用し、TodBの終止コドンTAA及びTodAの開始コドンATGは、入れ子配列TAATGを形成する。
【0007】
具体的な実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:2のヌクレオチド配列を含む。
【0008】
さらに別の態様において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む発現カセット又はベクター、及び本発明のポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含む宿主細胞をさらに提供する。
【0009】
別の態様において、本発明に係る、トルエンジオキシゲナーゼを製造する方法は、発現カセット又はベクターの発現に適した条件で本発明の宿主細胞を培養するステップを含む。
【0010】
さらに別の態様において、本発明に係る、式(2)の化合物を製造する方法は、
【化1】
発現カセット又はベクターの発現に適した条件で本発明の宿主細胞を培養するステップ(1)と、
ステップ(1)における宿主細胞を含む培養液に、式(1)の化合物を基質として添加して反応させて、式(2)の化合物を含む発酵液を得るステップ(2)と、
【化2】
ステップ(2)における発酵液から式(2)の化合物を回収するステップ(3)と、を含み、
式中、Rは、ハロゲン、-C
1-6アルキル、-C
2-6アルケニル、-C
1-6アルキル-CN、-C
1-6アルキル-O-C(=O)-C
1-6アルキル、-C
3-8シクロアルキル、-C
3-8シクロアルケニル、-C
6-10アリールから選択され、ここで、上記C
1-6アルキル、-C
2-6アルケニル、-C
1-6アルキル-CN、-C
1-6アルキル-O-C(=O)-C
1-6アルキル、-C
3-8シクロアルキル、-C
3-8シクロアルケニル、-C
6-10アリールは、1つ又は複数のハロゲンで任意選択的に置換され、
好ましくは、Rは、ハロゲン、メチル、-CH=CH
2、-CH=CHBr、-CH
2CH
2Br、-CH
2CH
2CN、-CH
2CH
2N
3、-CH
2CH
2-O-C(=O)-CH
3、-CH
2-O-C(=O)-CH
3、シクロヘキシル、シクロヘキセニル及びフェニルから選択される。
【0011】
したがって、さらに別の態様において、本発明は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター及び宿主細胞の式(2)の化合物の製造における使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】AとBは、それぞれpET-24a-SEQ1とpET-24a-SEQ2のプラスミドマップである。マップにおけるNdeI酵素切断部位とBamHI酵素切断部位との間に含まれる断片が本発明のポリヌクレオチドである。Cは、SEQ1、SEQ2、SEQ12及びSEQ13の配列アノテーション図である。S1とS2は、それぞれ、第1のスペーサー配列と第2のスペーサー配列を表し、Oは、配列がPseudomonas putida F1株のゲノムにおける元の配列に由来することを表し、Aは、配列が人工的に設計された配列であることを表す。
【
図2】SDS-PAGEタンパク質ゲル電気泳動図に対する分析により、組換え株におけるトルエンジオキシゲナーゼの可溶性発現を示し、クマシーブリリアントブルー染色において、TodC1及びTodC2を表すタンパク質バンドを示す。0、12、13、1、及び2は、それぞれ、組換え株BL21(DE3)(pET-24a)、BL21(DE3)(pET-24a-SEQ12)、BL21(DE3)(pET-24a-SEQ13)、BL21(DE3)(pET-24a-SEQ1)、及びBL21(DE3)(pET-24a-SEQ2)を表す。T、S、及びPは、それぞれ、全細胞、上清、及び沈殿を表す。
【
図3】酢酸ベンジルを基質として、BL21(DE3)(pET-24a-SEQ1)株により生体内変換を行う過程におけるHPLC検出チャートであり、13minの位置が生成物のジオール化合物としてのcis-(1S,2R)-3-アセトキシメチル-3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジオール(CAS:131043-51-1)であり、25minの位置が基質としての酢酸ベンジルである。
【
図4】酢酸ベンジルを基質として、BL21(DE3)(pET-24a-SEQ1)株により生体内変換を行って取得された生成物のcis-(1S,2R)-3-アセトキシメチル-3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジオール(CAS:131043-51-1)のNMRスペクトルであり、溶媒が重水素化クロロホルムである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、特定の具体的な実施形態により本発明の技術内容を説明するが、当業者は、本発明の他の利点と効果を本明細書に開示された内容から容易に理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施形態により実施されるか又は使用されてもよい。当業者は、本発明の精神から逸脱することなく、様々な修飾及び変更を行うことができる。明確に述べられない限り、以下の実施例において使用される試薬及び機器は、いずれも本分野における従来の試薬及び機器であり、市販により入手することができ、使用される方法も従来の方法であり、当業者は、明細書の内容に基づいて、どのように上記実験を完了して対応する結果を取得するかを明確に知ることができる。
【0014】
一般的な用語及び定義
本発明において、特に断りのない限り、本明細書において使用される科学用語及び技術用語は、当業者が一般的に理解する意味を有する。また、本明細書において使用されるタンパク質及び核酸化学、分子生物学、細胞及び組織培養、微生物学の関連用語は、いずれも対応する分野で広く使用されている用語である。また、本発明をよりよく理解するために、以下、関連用語の定義及び解釈を提供する。
【0015】
本明細書において使用される場合、単数形の「1つ」、「1種」又は「この」という表現は、文脈で別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0016】
本明細書において言及される範囲は、それらの端点、その中の全てのポイント値、及びこれらの値で構成された部分範囲を包含する。例えば、C1-6は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1-5、C2-6、C3-5、C2-4などを包含する。また例えば、C3-8は、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C3-7、C4-8、C5-7などを包含する。
【0017】
本明細書において使用される「1つ以上」又は「少なくとも1つ」という用語は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はそれ以上を包含する。
【0018】
本明細書において、「ヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチドと、リボヌクレオチドと、それらの誘導体と、を含む。「ヌクレオチド」は、一般的に、その中の塩基を表す1文字で指定され、「A(a)」は、デオキシアデニル酸又はアデニル酸を指し、「C(c)」は、デオキシチジル酸又はチジル酸を指し、「G(c)」は、デオキシグアノシル酸又はグアノシル酸を指し、「U(u)」は、ウリジル酸を指し、「T(t)」は、デオキシチミジル酸を指す。
【0019】
本明細書において使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチドのポリマー(DNA)又はリボヌクレオチドのポリマー(RNA)を指す。「ポリヌクレオチド配列」、「核酸配列」及び「ヌクレオチド配列」は、ポリヌクレオチドにおけるヌクレオチドの順序を指すために互換的に使用されてもよい。ポリヌクレオチドは、一本鎖でも二本鎖でもよい。ポリヌクレオチドはまた、合成ヌクレオチドと、非天然ヌクレオチドと、修飾ヌクレオチドと、を含んでもよい。ポリヌクレオチドは、1つ又は複数のヌクレオチド配列(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つの配列)を含んでもよい。ヌクレオチド配列は、例えば、タンパク質又はポリペプチドをコードするコード配列と、コード配列の発現を調節する調節配列と、制限酵素の酵素切断部位と、を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書において使用される場合、「コドン」は、特定のアミノ酸をコードする、ポリヌクレオチドにおける3つの連続したヌクレオチド配列(トリプレットコードとも呼ばれる)を指す。種によってコドンの使用の好みがあり、即ち、同義コドン(同じアミノ酸をコードするコドン)は、異なる種において使用される頻度が異なる。一般的に、ある種が好むコドンを使用するタンパク質コード配列は、該種の発現系において比較的に高い翻訳効率及び正確率を有することができると考えられている。「大腸菌が好むコドン」は、大腸菌において使用頻度が比較的に高いコドンを指す。本発明のポリヌクレオチドに含まれるコード配列は、大腸菌が好むコドンを使用する。
【0021】
本明細書において使用される場合、「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合により共有結合で連結された2つ以上のアミノ酸を含むポリマーを指す。「タンパク質」は、1つ又は複数のポリペプチドを含んでもよく、ここで、ポリペプチドの間は、共有結合又は非共有結合の方式により相互作用する。特に断りのない限り、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、互換的に使用されてもよい。
【0022】
本明細書において使用される場合、「単離」は、物質(例えば、ポリヌクレオチド又はポリペプチド)がその存在するソース又は環境から分離され、即ち、実質的に他の任意の成分を含まないことを意味する。
【0023】
本明細書において使用される場合、「発現カセット」という用語は、調節配列に操作可能に連結された標的コード配列を含む、標的コード配列の発現を指示できるポリヌクレオチドを指す。本発明の発現カセットは、大腸菌発現系においてタンパク質又はRNAを発現させるために用いられる。本発明の発現カセットに使用できる調節配列は、例えば、プロモーター、転写因子結合部位(例えば、リボソーム結合部位)、エンハンサー及び転写終止シグナル(例えば、転写ターミネーター)を含んでもよい。
【0024】
本明細書において使用される場合、「操作可能に連結」は、一方のヌクレオチド配列の機能が他方のヌクレオチド配列により影響されるように、ヌクレオチド配列間が連結されるか又は隣接することを指す。例えば、標的コード配列に操作可能に連結されたプロモーターは、標的コード配列の転写を指示し、標的コード配列に操作可能に連結されたリボソーム結合部位は、標的コード配列の翻訳を指示する。
【0025】
本明細書において、「コード配列」は、標的タンパク質(例えば、TodC1、TodC2、TodB及びTodA)又はポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を指す。
【0026】
本明細書において、「発現」という用語は、ポリヌクレオチド(例えば、標的コード配列)からタンパク質を生産する過程を指す。いくつかの実施形態において、本発明の発現ベクターは、「誘導性発現」である。「誘導性発現」は、遺伝子の発現を特定の条件(例えば、誘導物質の存在)で実現する必要があることを指す。例えば、本発明の実施形態において、誘導物質(例えば、IPTG)を組換え株の培養液に添加することにより、トルエンジオキシゲナーゼTodC1C2BAの発現を誘導する。
【0027】
本明細書において使用される場合、「プロモーター」という用語は、RNAポリメラーゼと正確な転写に必要な他の因子とを含む認識配列によりコード配列の発現を制御する、RNAポリメラーゼの認識を含むヌクレオチド配列を指す。「プロモーター調節配列」は、近位及びより遠位の上流エレメント及び/又は下流エレメントを含んでもよい。プロモーター調節配列は、それに操作可能に連結されたコード配列の転写、RNAプロセシング又は安定性、又は翻訳に影響を与える。「プロモーター」という用語の意味は、「プロモーター調節配列」を含む。
【0028】
本明細書において使用される場合、「エンハンサー」は、標的コード配列の転写を増強できるヌクレオチド配列である。エンハンサーは、プロモーターと同種であってもよく、プロモーターと異種であってもよい。エンハンサーは、プロモーター配列内、その上流又は下流に位置してもよい。
【0029】
本明細書において使用される場合、「形質転換」は、ポリヌクレオチド又はベクターを宿主細胞内に導入することにより、宿主細胞からポリヌクレオチド又はベクターを発現できることを指す。形質転換は、一時的であってもよく、安定的であってもよい。本発明のポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターで形質転換された宿主細胞は、「組換え細胞」と呼ばれてもよい。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、例えば、大腸菌の細菌株であり、そのような組換え細胞は、「組換え株」と呼ばれてもよい。
【0030】
本明細書において使用される場合、「宿主細胞」という用語は、ポリヌクレオチド又はベクターを受け取り、維持し、複製し、発現させるための細胞を指す。本発明において、好ましい宿主細胞は、標的コード配列を発現させることができる細胞である。
【0031】
「トルエンジオキシゲナーゼ」又は「TodC1C2BA」という用語は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)F1株のタンパク質TodC1、TodC2、TodB及びTodAの総称を指す。シュードモナス・プチダF1のtodC1、todC2、todB及びtodA遺伝子のヌクレオチド配列は、GenBankアクセッション番号:J04996.1における第620~4210位のヌクレオチドに示されるとおりであり(SEQ ID NO:12)、その中にスペーサー配列を含む。「TodC1」は、todC1(bnzAとも呼ばれる)遺伝子によりコードされ、Benzene 1,2-dioxygenase subunit alphaとも呼ばれ、Uniprot識別番号(Uniprot ID):A5W4F2に示されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:4)を有する。「TodC2」は、todC2(bnzBとも呼ばれる)遺伝子によりコードされ、Benzene 1,2-dioxygenase subunit betaとも呼ばれ、Uniprot ID:A5W4F1に示されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:5)を有する。「TodB」は、todB遺伝子によりコードされ、Toluene 1,2-dioxygenase system ferredoxin subunitとも呼ばれ、Uniprot ID:A5W4F0に示されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:6)を有する。「TodA」は、todA遺伝子によりコードされ、Toluene 1,2-dioxygenase system ferredoxin--NAD(+)reductase componentとも呼ばれ、Uniprot ID:A5W4E9に示されるアミノ酸配列(SEQ ID NO:7)を有する。
【0032】
TodC1C2BAは、以下に示す、トルエン又はトルエン類似体(式(1))からcis-シクロヘキサジエン-o-ジオール系化合物(式(2))までの反応を共同触媒する。
【0033】
【化3】
式中、Rは、ハロゲン、メチル、-CH=CH
2、-CH=CHBr、-CH
2CH
2Br、-CH
2CH
2CN、-CH
2CH
2N
3、-CH
2CH
2-O-C(=O)-CH
3、-CH
2-O-C(=O)-CH
3、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニルであってもよい。トルエンジオキシゲナーゼにより異なる基質を触媒して得られた生成物は、中間体として、複数の化合物を合成するために用いることができ、関連説明は、例えば、Endoma、M.A.、et al.、Organic Process Research&Development、2002、6(4):525-532を参照することができる。
【0034】
本明細書において使用される場合、「トルエン又はトルエン類似体」は、上記式(1)に示される構造を有する。
【0035】
本明細書において使用される場合、「cis-シクロヘキサジエン-o-ジオール系化合物」という用語は、上記式(2)に示される構造を有する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「置換」という用語は、指定した原子のうちの1つ又は複数の水素が、所定の基の選択で置き換えられていることを示し、条件は、現在の状況における指定した原子の正常な原子価を超えず、かつ上記置換により、安定的な化合物を形成することである。置換基及び/又は可変要素の組み合わせは、このような組み合わせが安定的な化合物を形成する場合にのみ許容される。本明細書において言及される、任意選択的に置換された基の置換基の例は、ハロゲンであってもよい。本明細書に記載のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールは、場合により置換されてもよい。
【0037】
本明細書において使用される場合、「ハロゲン」という用語は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)を指す。
【0038】
本明細書において、「i~j」又は類似の表現は、端点、その中の各整数、及びその中の整数で構成された部分範囲を包含する範囲を指す。例えば、C1-6は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C2-5、C3-4などを包含する。
【0039】
本明細書において使用される場合、「アルキル」という用語は、単独で使用されるか又は他の用語と組み合わせて使用されることに関わらず、特定の数の炭素原子を有する分岐又は直鎖の飽和脂肪族炭化水素基を指す。特に指定しない限り、「アルキル」は、C1-6アルキルを指す。例えば、「C1-6アルキル」は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシルなどを含むが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書において使用される場合、「アルケニル」という用語は、単独で使用されるか又は他の用語と組み合わせて使用されることに関わらず、炭素-炭素二重結合を含む特定の数の炭素原子の分岐又は直鎖の不飽和脂肪族炭化水素基を指す。特に指定しない限り、「アルケニル」は、C2-6アルケニルを指す。
【0041】
本明細書において使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、単独で使用されるか又は他の用語と組み合わせて使用されることに関わらず、特定の数の炭素原子を有する飽和脂肪族環式炭化水素基を指す。特に指定しない限り、「シクロアルキル」は、C3-8シクロアルキルを指す。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含むが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書において使用される場合、「シクロアルケニル」という用語は、単独で使用されるか又は他の用語と組み合わせて使用されることに関わらず、炭素-炭素二重結合を含む特定の数の炭素原子の不飽和脂肪族環式炭化水素基を指す。特に指定しない限り、「シクロアルケニル」は、C3-8シクロアルケニルを指す。例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書において使用される場合、「アリール」という用語は、単独で使用されるか又は他の用語と組み合わせて使用されることに関わらず、5員又は6員の芳香族炭素環を含む芳香族炭化水素基を指す。特に指定しない限り、「アリール」は、C6-10アリールを指す。例えば、フェニル、ナフチルなどを含むが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書において使用される組換えDNA技術は、本分野においてよく知られている(例えば、Sambrook、J.et al.、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、2nd ed、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y、1989を参照)。
【0045】
ポリヌクレオチド
一態様において、本発明に係るポリヌクレオチドは、シュードモナス・プチダF1株のトルエンジオキシゲナーゼTodC1、TodC2、TodB及びTodAのコード配列を含む。本発明のポリヌクレオチドは、単離されていることが好ましい。
【0046】
一実施形態において、上記ポリヌクレオチドは、5′末端から3′末端に、
(1)SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を有するTodC1のコード配列を含む第1のヌクレオチド配列と、
(2)SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を有するTodC2のコード配列を含む第2のヌクレオチド配列と、
(3)SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を有するTodBのコード配列を含む第3のヌクレオチド配列と、
(4)SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を有するTodAのコード配列を含む第4のヌクレオチド配列と、を含み、
上記第1、第2、第3及び第4のヌクレオチド配列は、それぞれ、大腸菌が好むコドンを独立して使用し、TodBの終止コドンTAA及びTodAの開始コドンATGは、入れ子配列TAATGを形成する。
【0047】
1つの好ましい実施形態において、上記第1のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1における第1~1350位のヌクレオチド(また、SEQ ID NO:2における第1~1350位のヌクレオチドを参照)を含む。別の好ましい実施形態において、上記第2のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1における第1464~2024位のヌクレオチド(また、SEQ ID NO:2における第1464~2024位のヌクレオチドを参照)を含む。さらなる好ましい実施形態において、上記第3のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1における第2036~2356位のヌクレオチド(また、SEQ ID NO:2における第2042~2362位のヌクレオチドを参照)を含む。さらなる好ましい実施形態において、上記第4のヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1における第2359~3588位のヌクレオチド(また、SEQ ID NO:2における第2365~3594位のヌクレオチドを参照)を含む。
【0048】
いくつかの実施形態において、上記ポリヌクレオチドは、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列との間に位置する第1のスペーサー配列、及び/又は第2のヌクレオチド配列と第3のヌクレオチド配列との間に位置する第2のスペーサー配列をさらに含む。
【0049】
一実施形態において、上記第1のスペーサー配列は、5′末端から3′末端に、T7プロモーターと、Lacオペレータ(LacO)と、原核生物リボソーム結合部位(rbs)と、を含む。一実施形態において、T7プロモーターは、SEQ ID NO:8のヌクレオチド配列を含む。一実施形態において、原核生物リボソーム結合部位は、AAGGAGなどのAGリッチなものである。1つの具体的な実施形態において、原核生物リボソーム結合部位は、SEQ ID NO:9のヌクレオチド配列を含む。一実施形態において、Lacオペレータは、SEQ ID NO:10のヌクレオチド配列を含む。
【0050】
一実施形態において、上記第2のスペーサー配列は、GTGATGTC(SEQ ID NO:1における第2028~2035位のヌクレオチド)を含む。一実施形態において、上記第2のスペーサー配列は、AAGGAGなどのAGリッチなrbs配列を含む。さらに好ましい実施形態において、第2のスペーサー配列は、SEQ ID NO:9のヌクレオチド配列を含む。
【0051】
好ましくは、上記第1のスペーサー配列は、SEQ ID NO:3のヌクレオチド配列を含み、及び/又は、上記第2のスペーサー配列は、GTGATGTC(SEQ ID NO:1における第2028~2035位のヌクレオチド)又はGAGGAGATATACC(SEQ ID NO:9に対応するSEQ ID NO:2における第2028~2041位のヌクレオチド)を含む。
【0052】
1つの具体的な実施形態において、上記ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:2のヌクレオチド配列を含む。
【0053】
一実施形態において、上記第1、第2、第3及び第4のヌクレオチド配列は、それぞれ独立してポリペプチドタグのコード配列をさらに含む。ポリペプチドタグのコード配列と標的ポリペプチドのコード配列(例えば、TodC1、TodC2、TodB又はTodAのコード配列)とは、ポリペプチドタグ及び標的ポリペプチドが同じオープンリーディングフレームから融合ポリペプチドとして発現されるように、操作可能に連結される。ポリペプチドタグの例は、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)と、ポリヒスチジンタグ(即ち、His5、His6、His8などのHisタグ)と、マルトース結合タンパク質(MBP)と、連鎖球菌Gタンパク質のB1ドメイン(GB1)と、チオレドキシン(TRX)と、低分子ユビキチン関連修飾タンパク質(SUMO)と、を含むが、これらに限定されない。
【0054】
発現カセット及びベクター
さらに別の態様において、本発明に係るベクターは、本発明のポリヌクレオチドを含む。
【0055】
ベクターは、クローニングベクター又は発現ベクターであってもよい。好ましい実施形態において、上記ベクターは、発現ベクターである。
【0056】
好ましい実施形態において、ベクターは、発現カセットの形態で本発明のポリヌクレオチドを含み、このようなベクターは、発現ベクターであってもよい。したがって、別の態様において、本発明に係る発現カセットは、本発明のポリヌクレオチド及び調節配列を含む。調節配列は、本発明のポリヌクレオチドに操作可能に連結され、かつ標的タンパク質(例えば、トルエンジオキシゲナーゼTodC1、TodC2、TodB及びTodA)の発現を指示する。発現カセットに適用される調節配列は、プロモーターと、転写エンハンサーと、翻訳エンハンサーと、原核生物リボソーム結合部位と、Lacオペロンの調節エレメントと、転写ターミネーターと、それらの組み合わせと、を含んでもよいが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、調節配列は、プロモーター、原核生物リボソーム結合部位、転写ターミネーター又はそれらの組み合わせである。より好ましい実施形態において、調節配列は、プロモーター、Lacオペロンの調節エレメント、原核生物リボソーム結合部位、転写ターミネーター又はそれらの組み合わせである。
【0057】
プロモーターは、一般的に、標的タンパク質のコード配列の上流に位置する。本発明に用いることができる好ましいプロモーターは、T7プロモーターである。T7プロモーターの例示的なヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:8に示される。一実施形態において、調節配列は、本発明のポリヌクレオチドの上流に位置する第2のプロモーターを含む。1つの具体的な実施形態において、第2のプロモーターは、T7プロモーターである。1つの具体的な実施形態において、T7プロモーターは、SEQ ID NO:8のヌクレオチド配列を含む。
【0058】
原核生物リボソーム結合部位は、一般的に、プロモーターと標的タンパク質のコード配列との間に位置する。好ましくは、原核生物リボソーム結合部位は、開始コドンの上流の5~10個の塩基に位置する。原核生物リボソーム結合部位は、例えば、Shine-Dalgarno配列であってもよい。好ましい原核生物リボソーム結合部位の配列は、AGリッチなものである。原核生物リボソーム結合部位の例示的なヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:9に示される。一実施形態において、調節配列は、上述した第2のプロモーターと本発明のポリヌクレオチドとの間に位置する第2の原核生物リボソーム結合部位をさらに含む。1つの具体的な実施形態において、第2の原核生物リボソーム結合部位は、SEQ ID NO:9のヌクレオチド配列を含む。
【0059】
Lacオペロンの調節エレメントは、例えば、Lacオペレータ(Lac operator、LacO)、Lacリプレッサー(LacI)のプロモーター配列及びコード配列であってもよい。好ましい実施形態において、本発明の発現カセットは、プロモーターと標的タンパク質のコード配列との間に位置するLacオペレータを含み、Lacリプレッサーのプロモーター配列及びコード配列は、同じベクターの別の発現カセットに存在する。他の実施形態において、本発明の発現カセットは、プロモーターと標的タンパク質のコード配列との間に位置するLacオペレータを含み、Lacリプレッサーのプロモーター及びコード配列は、第2のベクターに存在する。Lacオペレータの例示的なヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:10に示される。さらなる実施形態において、調節配列は、上述した第2のプロモーターと第2の原核生物リボソーム結合部位との間に位置する第2のLacオペレータをさらに含む。1つの具体的な実施形態において、第2のLacオペレータは、SEQ ID NO:10のヌクレオチド配列を含む。
【0060】
1つの具体的な実施形態において、上記発現カセット又はベクターは、5′末端から3′末端に、(1)第2のプロモーターと、(2)本発明のポリヌクレオチドと、を含む。1つの具体的な実施形態において、第2のプロモーターは、T7プロモーターである。1つの具体的な実施形態において、T7プロモーターは、SEQ ID NO:8のヌクレオチド配列を含む。
【0061】
1つの具体的な実施形態において、上記発現カセット又はベクターは、5′末端から3′末端に、(1)第2のプロモーターと、(2)第2の原核生物リボソーム結合部位と、(3)本発明のポリヌクレオチドと、を含む。1つの具体的な実施形態において、第2のプロモーターは、T7プロモーターである。一実施形態において、T7プロモーターは、SEQ ID NO:8のヌクレオチド配列を含む。1つの好ましい実施形態において、第2の原核生物リボソーム結合部位の配列は、AGリッチなものである。1つの具体的な実施形態において、第2の原核生物リボソーム結合部位は、SEQ ID NO:9のヌクレオチド配列を含む。
【0062】
さらなる1つの具体的な実施形態において、上記発現カセット又はベクターは、5′末端から3′末端に、(1)第2のプロモーターと、(2)第2のLacオペレータと、(3)第2の原核生物リボソーム結合部位と、(4)本発明のポリヌクレオチドと、を含む。1つの具体的な実施形態において、第2のプロモーターは、T7プロモーターである。1つの具体的な実施形態において、T7プロモーターは、SEQ ID NO:8のヌクレオチド配列を含む。1つの好ましい実施形態において、第2の原核生物リボソーム結合部位の配列は、AAGGAGなどのAGリッチなものである。1つの具体的な実施形態において、第2の原核生物リボソーム結合部位は、SEQ ID NO:9のヌクレオチド配列を含む。別の具体的な実施形態において、第2のLacオペレータは、SEQ ID NO:10のヌクレオチド配列を含む。
【0063】
上述した実施形態において、上記発現カセット又はベクターは、転写ターミネーターをさらに含んでもよい。転写ターミネーターは、標的タンパク質のコード配列の下流に位置してもよい。転写ターミネーターは、ベクターにおけるプロモーター及び宿主系に含まれるRNAポリメラーゼに応じて選択される。プロモーターがT7プロモーターである実施形態において、転写ターミネーターは、T7転写ターミネーターであってもよい。T7転写ターミネーターの例示的なヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:11に示される。一実施形態において、第2のプロモーターは、T7プロモーターであり、転写ターミネーターは、T7転写ターミネーターである。1つの具体的な実施形態において、T7転写ターミネーターは、SEQ ID NO:11のヌクレオチド配列を含む。
【0064】
一実施形態において、上記発現カセット又はベクターは、5′末端から3′末端に、
(1)第2のT7プロモーター(好ましくは、SEQ ID NO:8のヌクレオチド配列を有する)と、
(2)本発明のポリヌクレオチド(好ましくは、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:2のヌクレオチド配列を有する)と、
(3)任意選択的に存在するT7転写ターミネーター(好ましくは、SEQ ID NO:11のヌクレオチド配列を有する)と、を含み、
好ましくは、上記発現カセット又はベクターは、第2のT7プロモーターと第1のヌクレオチド配列との間に位置する第2の原核生物リボソーム結合部位(好ましくは、上記第2の原核生物リボソーム結合部位は、SEQ ID NO:9のヌクレオチド配列を有する)をさらに含み、
より好ましくは、上記発現カセット又はベクターは、上記第2のT7プロモーターと第2の原核生物リボソーム結合部位との間に位置する第2のLacオペレータ(好ましくは、上記第2のLacオペレータは、SEQ ID NO:10のヌクレオチド配列を有する)をさらに含む。
【0065】
1つの具体的な実施形態において、上記発現カセット又はベクターは、5′末端から3′末端に、(1)第2のT7プロモーター(好ましくは、SEQ ID NO:8のヌクレオチド配列を有する)と、(2)第2のLacオペレータ(好ましくは、SEQ ID NO:10のヌクレオチド配列を有する)と、(3)第2の原核生物リボソーム結合部位(好ましくは、SEQ ID NO:9のヌクレオチド配列を有する)と、(4)本発明のポリヌクレオチド(好ましくは、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:2のヌクレオチド配列を有する)と、(5)T7転写ターミネーター(好ましくは、SEQ ID NO:11のヌクレオチド配列を有する)と、を含む。
【0066】
ベクターは、複製起点(例えば、pUC origin、pBR322 origin又はpMB1 origin)と、抗生物質耐性遺伝子(例えば、カナマイシン耐性遺伝子、カルベニシリン耐性遺伝子又はアンピシリン耐性遺伝子)の発現カセットとをさらに含んでもよい。抗生物質耐性遺伝子の発現カセットは、一般的に、プロモーターと、抗生物質耐性遺伝子のコード配列と、を含んでもよい。本発明に用いることができる複製起点及び抗生物質耐性遺伝子の発現カセットは、市販のベクターに使用される複製起点及び抗生物質耐性遺伝子の発現カセットなどの当業者に周知のものであってもよい。
【0067】
本発明のポリヌクレオチドを、市販のベクターにクローニングすることができる。本発明に用いることができるベクターは、好ましくは、プラスミドベクターである。好ましい市販のプラスミドベクターは、T7プロモーターと、原核生物リボソーム結合部位と、T7転写ターミネーターと、を含んでもよく、T7ポリメラーゼを発現させる宿主細胞において本発明のポリヌクレオチドを発現させるように指示することができる。さらに好ましい市販のプラスミドベクターは、Lacオペロンの調節エレメントをさらに含んでもよい。このようなベクターは、例えば、pETシリーズベクター(Novagen社)であってもよい。いくつかの実施形態において、本発明のベクターは、pET-3a-d、pET-9a-d(+)、pET-11a-d、pET-14b、pET-21a-d(+)、pET-23a-d(+)、pET-24a-d(+)、pET-30a-c(+)、pET-28a-c(+)、pET31b(+)、pET32a-c(+)、p33b、pET-41a-c(+)及びpET-42a-c(+)から選択されたベクターに由来する。ファージベクター及びファージミドベクターを考慮してもよい。1つの具体的な実施形態において、本発明のベクターは、pET-24a(+)に由来し、かつSEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:2のヌクレオチド配列を含む。
【0068】
宿主細胞
別の態様において、本発明に係る宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターを含む。
【0069】
トルエンジオキシゲナーゼを発現させるために、本発明の発現カセット又はベクターを適切な宿主細胞に導入することができる。本発明に用いることができる宿主細胞は、市販できるものである。好ましい宿主細胞は、大腸菌である。タンパク質を発現させるための宿主細胞として、大腸菌がより好ましい。より好ましくは、大腸菌がT7RNAポリメラーゼを発現させることができるように、上記大腸菌の染色体には、(T7ファージRNAポリメラーゼのコード配列を含有)λファージDE3領域が組み込まれる。より好ましくは、大腸菌におけるT7RNAポリメラーゼの発現は、誘導性である。例えば、大腸菌におけるT7RNAポリメラーゼをLacオペロンの制御で、IPTGで誘導して発現させることができる。一実施形態において、上記宿主細胞は、大腸菌BL21(DE3)、BL21-Gold(DE3)、BL21-Gold(DE3)pLysS、Rosetta(DE3)、OrigamiTM 2(DE3)、OrigamiB(DE3)、OrigamiTM B(DE3)pLysS、Rosetta-gami B(DE3)及びLemo21(DE3)から選択される。1つの具体的な実施形態において、上記宿主細胞は、トルエンジオキシゲナーゼ発現ベクターで形質転換された大腸菌BL21(DE3)であり、上記トルエンジオキシゲナーゼ発現ベクターは、pET-24a(+)に由来し、かつSEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:2のヌクレオチド配列を含む。
【0070】
本分野で知られている従来の形質転換技術を使用して、本発明のベクターを宿主細胞に導入することができる。このような技術は、リン酸カルシウム共沈殿と、塩化カルシウム共沈殿と、熱ショックと、組換えファージ形質導入と、エレクトロポレーションと、三親接合と、を含むが、これらに限定されない(例えば、Sambrook、J.et al.、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、2nd ed、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y、1989を参照)。
【0071】
トルエンジオキシゲナーゼを製造する方法
さらに別の態様において、本発明に係る、トルエンジオキシゲナーゼを製造する方法は、本発明の発現カセット又はベクターの発現に適した条件で本発明の宿主細胞を培養するステップを含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、トルエンジオキシゲナーゼを発現させる宿主細胞を溶解して、トルエンジオキシゲナーゼを含有する溶解液を得るステップをさらに含む。さらに別の実施形態において、上記方法は、トルエンジオキシゲナーゼを精製するステップをさらに含む。
【0072】
1つの具体的な実施形態において、上記宿主細胞は、本発明のベクターで形質転換された大腸菌BL21(DE3)である。
【0073】
1つの具体的な実施形態において、発現カセット又はベクターの発現に適した条件で宿主細胞を培養する上記ステップは、
(1)温度が約30~37℃で、pH約が6.8~7.3で、溶存酸素≧20%の条件で、本発明のベクターで形質転換された大腸菌BL21(DE3)を、無機塩培地を使用して培養するステップと、
(2)溶存酸素が急激に多くなる場合、66%グルコース溶液を12~18mL/hr/Lの速度で添加して供給するステップと、
(3)OD600が約30~50である場合、温度を20~30℃に下げ、最終濃度が0.1~1mMのイソプロピル-β-D-チオガラクトシドを添加して発現を誘導するステップと、を含む。
【0074】
1つの具体的な実施形態において、上記無機塩培地は、6~10g/LのKH2PO4・3H2Oと、11~15g/LのK2HPO4と、1~3g/Lの(NH4)2SO4と、1~3g/LのMgSO4・7H2Oと、1~3g/Lのくえん酸三ナトリウム二水和物と、2~5g/Lの大豆ペプトンと、5~10g/Lのグルコース一水和物と、0.1~1g/Lの消泡剤と、10~20mL/Lの微量元素溶液と、を含み、上記微量元素溶液は、10~20g/Lのくえん酸一水和物と、1~5g/LのFeCl3・6H2Oと、0.5~1g/LのZnSO4・7H2Oと、0.1~0.5g/LのCoCl2・6H2Oと、0.1~0.5g/LのCuSO4・5H2Oと、0.1~0.5g/LのH3BO3と、1~5g/LのMnSO4・H2Oと、1~5g/LのCaCl2・2H2Oと、を含む。
【0075】
シクロヘキサジエン-o-ジオール系化合物を製造する方法
さらに別の態様において、本発明に係る、式(2)の化合物
【化4】
を製造する方法は、
発現カセット又はベクターの発現に適した条件で本発明の宿主細胞を培養するステップ(1)と、
ステップ(1)における宿主細胞を含む培養液に、式(1)の化合物を基質として添加して反応させて、式(2)の化合物を含む発酵液を得るステップ(2)と、
【化5】
ステップ(2)における発酵液から式(2)の化合物を回収するステップ(3)と、を含み、
式中、Rは、ハロゲン、-C
1-6アルキル、-C
2-6アルケニル、-C
1-6アルキル-CN、-C
1-6アルキル-O-C(=O)-C
1-6アルキル、-C
3-8シクロアルキル、-C
3-8シクロアルケニル、-C
6-10アリールから選択され、ここで、上記C
1-6アルキル、-C
2-6アルケニル、-C
1-6アルキル-CN、-C
1-6アルキル-O-C(=O)-C
1-6アルキル、-C
3-8シクロアルキル、-C
3-8シクロアルケニル、-C
6-10アリールは、1つ又は複数のハロゲンで任意選択的に置換され、
好ましくは、Rは、ハロゲン、メチル、-CH=CH
2、-CH=CHBr、-CH
2CH
2Br、-CH
2CH
2CN、-CH
2CH
2N
3、-CH
2CH
2-O-C(=O)-CH
3、-CH
2-O-C(=O)-CH
3、シクロヘキシル、シクロヘキセニル及びフェニルから選択される。
【0076】
1つの具体的な実施形態において、Rは、メチルであり、式(1)の化合物は、トルエンであり、式(2)の化合物は、cis-(1S,2R)-3-メチル-3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジオールである。1つの具体的な実施形態において、Rは、ヨウ素(I)であり、式(1)の化合物は、ヨードベンゼンであり、式(2)の化合物は、cis-(1S,2R)-3-ヨード-3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジオールである。さらなる1つの具体的な実施形態において、Rは、-CH2-O-C(=O)-CH3であり、式(1)の化合物は、酢酸ベンジルであり、式(2)の化合物は、cis-(1S,2R)-3-アセトキシメチル-3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジオールである。
【0077】
1つの具体的な実施形態において、上記宿主細胞は、トルエンジオキシゲナーゼ発現ベクターで形質転換された大腸菌BL21(DE3)であり、上記トルエンジオキシゲナーゼ発現ベクターは、pET-24a(+)に由来し、かつSEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:2のヌクレオチド配列を含む。
【0078】
1つの具体的な実施形態において、上記方法のステップ(1)は、
温度が約30~37℃で、pHが約6.8~7.3で、溶存酸素≧20%の条件で、本発明のベクターで形質転換された大腸菌BL21(DE3)を、無機塩培地を使用して培養するステップ(1-1)と、
溶存酸素が急激に多くなる場合、66%グルコース溶液を12~18mL/hr/Lの速度で添加して供給するステップ(1-2)と、
OD600が約30~50である場合、温度を20~30℃に下げ、最終濃度が0.1~1mMのイソプロピル-β-D-チオガラクトシド(IPTG)を添加して発現を誘導するステップ(1-3)と、を含む。
【0079】
一実施形態において、上記方法のステップ(2)は、IPTGによる発現誘導の開始後、上記式(1)の化合物を発酵槽に流加して、66%グルコースの供給速度を発酵の終了まで6~12mL/hr/Lに低減するステップを含む。一実施形態において、ステップ(2)は、HPLCで生成物の濃度を検出し、生成物の濃度が増加しなくなる時に反応を停止するステップをさらに含む。
【0080】
一実施形態において、上記方法のステップ(3)は、遠心分離して発酵液の上清を収集するステップ(3-1)と、発酵液の上清から生成物である式(2)の化合物を得るステップ(3-2)と、を含む。
【0081】
1つの具体的な実施形態において、上記ステップ(3)は、
発酵液のpHを7.5~9.0に調節し、かつ遠心分離して発酵液の上清を収集するステップ(3-1)と、
ステップ(3-1)における発酵液の上清にジクロロメタン又は酢酸エチルを添加して抽出して、水相と、生成物を含有する有機相とを得るステップ(3-2)であって、任意選択的に、水相にジクロロメタン又は酢酸エチルを添加して再度抽出し、有機相を合わせる、ステップ(3-2)と、
ステップ(3-2)における有機相を減圧濃縮し、適量の無水硫酸ナトリウムを添加し、濾過して、生成物の粗液を得るステップ(3-3)と、
ステップ(3-3)における生成物の粗液を引き続き濃縮し、石油エーテルを添加して、油状物が固体になるまで叩解するステップ(3-4)と、
ステップ(3-4)における固体にメチル-tert-ブチルエーテルを添加して叩解し、30~50℃で減圧乾燥して、生成物である式(2)の化合物を得るステップ(3-5)と、を含む。
【0082】
1つの具体的な実施形態において、上記式(1)の化合物は、酢酸ベンジルであり、上記式(2)の化合物は、cis-(1S,2R)-3-アセトキシメチル-3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジオールである。
【0083】
したがって、さらに別の態様において、本発明は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター及び宿主細胞の式(2)の化合物の製造における使用に関する。
【0084】
式(2)の化合物(特にcis-(1S,2R)-3-アセトキシメチル-3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジオール及びcis-(1S,2R)-3-ヨード-3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジオール)は、反応中間体としてテトロドトキシンの製造に用いることができる(例えば、Baidilov、D.et al.、Angew.Chem.Int.Ed.2018、57、10994-10998を参照)。それに応じて、さらに別の態様において、本発明は、さらに、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター及び宿主細胞のテトロドトキシンの製造における使用に関する。
【0085】
有益な効果
本発明に係るポリヌクレオチドは、シュードモナス・プチダF1株のトルエンジオキシゲナーゼ(即ち、TodC1、TodC2、TodB及びTodA)のコード配列を含む。本発明に係る発現カセット及びベクターは、本発明のポリヌクレオチドを含む。本発明のポリヌクレオチド、発現カセット及びベクターは、大腸菌において上記トルエンジオキシゲナーゼを発現させるのに適する。
【0086】
従来技術(例えば、Baidilov、D.etal.、Angew.Chem.Int.Ed.2018、57、10994-10998など)の発現系は、pDTG601ベクター及びJM109株であり、pDTG601ベクターは、tacプロモーターを使用し、かつTodC1C2BAをコードする配列とコード配列との間のスペーサー配列は、Pseudomonas putida F1株のゲノムに直接由来する(GenBankアクセッション番号:J04996.1における第620~4210位のヌクレオチド、配列がSEQ ID NO:12に示される)。
【0087】
対照的に、本発明の発現カセット又はベクターは、強力なT7プロモーターを使用し、TodC1C2BAのコード配列において、大腸菌が好むコドンを使用し、かつコード配列間のスペーサー配列を、T7プロモーター及び/又は大腸菌リボソーム結合部位を含む配列に置き換える。本発明のポリヌクレオチドで構築されたベクター及び組換え株を利用して、大腸菌においてトルエンジオキシゲナーゼ系を効率的に発現させるという有益な効果を達成することができる。
【0088】
本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター及び組換え株は、シクロヘキサジエン-o-ジオール系化合物(例えば、cis-(1S,2R)-3-アセトキシメチル-3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジオール)を製造するために用いることができ、かつ生成物の濃度は、2.1~7.8g/L、例えば2.1、2.3及び7.8g/Lであり、従来技術の1.7~2.1g/Lより高い。本発明の発現系は、大規模かつ高効率な連続生産の能力を有し、キラルなcis-ジヒドロジオール系化合物を前駆体とするテトロドトキシンなどの複雑な分子の大規模な人工全合成のために新しい方法を提供することにより、テトロドトキシンを監視規制基準に合致する候補薬物として臨床試験を行うことが可能となり、テトロドトキシンが人間の鎮痛及び解毒候補薬物となるためのc-GMP原薬製造の基礎を築きます。
【0089】
実施例
材料
特に説明しない限り、本明細書で使用される機器、設備及び試薬材料は、いずれも市販のものである。
【0090】
LB液体培地:10g/Lのトリプトン、5g/Lの酵母エキス、10g/LのNaCl。
【0091】
TB液体培地:12g/Lのトリプトン、24g/Lの酵母エキス、4mL/Lのグリセリン、2.3g/LのKH2PO4、16.4g/LのK2HPO4・3H2O。
【0092】
微量元素溶液:14.4g/Lのくえん酸一水和物、3.0g/LのFeCl3・6H2O、0.9g/LのZnSO4・7H2O、0.2g/LのCoCl2・6H2O、0.2g/LのCuSO4・5H2O、0.2g/LのH3BO3、1.1g/LのMnSO4・H2O、1.2g/LのCaCl2・2H2O。
【0093】
無機塩培地:7.9g/LのKH2PO4・3H2O、13.0g/LのK2HPO4、2.1g/Lの(NH4)2SO4、1.7g/LのMgSO4・7H2O、1.1g/Lのくえん酸三ナトリウム二水和物、2.5g/Lの大豆ペプトン、7.5g/Lのグルコース一水和物、0.5g/Lの消泡剤、10mL/Lの微量元素溶液。
【0094】
66%グルコース溶液:660g/Lのグルコース一水和物。
【実施例1】
【0095】
ジオキシゲナーゼ系TodC1C2BA発現株の構築
シュードモナス・プチダF1株における、TodC1C2BAをコードする遺伝子(GenBankアクセッション番号:J04996.1における第620-4210位のヌクレオチド、SEQ ID NO:12)に基づいて、大腸菌系においてTodC1/TodC2/TodB/TodAタンパク質を発現させるのに適した、それぞれSEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:2に示されるヌクレオチド配列を有する2つのポリヌクレオチドを設計する。
【0096】
SEQ ID NO:12のヌクレオチド配列と比較して、本発明のポリヌクレオチドは、以下の特徴を有する。
【0097】
(1)TodC1、TodC2、TodB及びTodAのコード配列は、大腸菌が好むコドンを使用する。
【0098】
(2)SEQ ID NO:12におけるTodC1終止コドンTGAとTodC2開始コドンATGとの間の110個のヌクレオチド配列(第1のスペーサー配列、S1)をSEQ ID NO:3の配列に置き換える。SEQ ID NO:3は、5′末端から3′末端に、T7プロモーター(SEQ ID NO:8)と、Lacオペレータ(LacO)(SEQ ID NO:10)と、原核生物リボソーム結合部位(rbs)配列(SEQ ID NO:9)と、を含む。
【0099】
(3)SEQ ID NO:12におけるTodC2終止コドンTAGとTodB開始コドンATGとの間の配列(第2のスペーサー配列、S2)GTGATGTC(SEQ ID NO:1における第2028~2035位のヌクレオチド)は、SEQ ID NO:1の対応する位置で、変化せず、SEQ ID NO:2の対応する位置で、GAAGGAGATATACC(SEQ ID NO:2における第2028~2041位のヌクレオチド、SEQ ID NO:9に対応)に置き換えられる。
【0100】
(4)TodB終止コドンTAA及びTodA開始コドンATGは、コドン入れ子配列TAATGであり、SEQ ID NO:12と一致する。
【0101】
トルエンジオキシゲナーゼコード配列を含むポリヌクレオチド(SEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:2)の5′末端と3′末端に、それぞれcatヌクレオチド配列と制限酵素BamHI酵素切断部位ggatccを付加し、合成のために蘇州金唯智生物科技有限公司に依頼し、かつそれらをベクターpET-24a(+)(Novagen)のNdeI-BamHI酵素切断部位にクローニングして、それぞれ発現プラスミドpET-24a-SEQ1及びpET-24a-SEQ2(
図1A及び1B)を得る。発現プラスミドを大腸菌BL21(DE3)コンピテントセル(Novagen)に形質転換して、トルエンジオキシゲナーゼTodC1C2BAを発現させる組換え株BL21(DE3)(pET-24a-SEQ1)及びBL21(DE3)(pET-24a-SEQ2)を得る。
【0102】
それとともに、SEQ ID NO:13の配列に示されるポリヌクレオチドを設計する。SEQ ID NO:13におけるTodC1、TodC2、TodB及びTodAのコード配列は、大腸菌が好むコドンを使用し、SEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:2における対応する配列と同じであるが、2つのスペーサー配列であるS1及びS2は、SEQ ID NO:12における対応する配列と一致する。上述したように、SEQ ID NO:12とSEQ ID NO:13に基づいて、発現プラスミドpET-24a-SEQ12とpET-24a-SEQ13をそれぞれ構築する。pET-24a-SEQ12及びpET-24a-SEQ13をBL21(DE3)内に形質転換することにより、組換え株BL21(DE3)(pET-24a-SEQ12)及びBL21(DE3)(pET-24a-SEQ13)を製造する。
【0103】
図1Cは、SEQ ID NO:12、13、1及び2に示される4つの配列におけるコード配列とスペーサー配列との間の設計の違いを詳細に示す。
【実施例2】
【0104】
トルエンジオキシゲナーゼTodC1C2BA発現株のタンパク質レベルの検出
組換え株のシングルコロニーを採取し、LB液体培地(50μg/mLのカナマイシンを含有)に植菌し、37℃で16hr生育させて種液を得る。LB液体培地(50μg/mLのカナマイシンを含有)に種液を1%の割合で接種し、OD600=0.5~1.0まで37℃でシェーカーで培養し、シェーカーの温度を25℃に下げ、最終濃度が0.1mMのイソプロピル-β-D-チオガラクトシド(IPTG)を添加して発現を誘導し、シェーカーで24hr引き続き培養する。4℃で、発酵液を8000rpmで15min遠心分離して菌体を収集する。菌体を結合緩衝液(50mMのTris-HCl(pH8.0)、0.5MのNaCl)で1回洗浄した後、結合緩衝液に再懸濁し(全細胞(T)サンプルとして少量の菌液を保存する)、菌懸濁液を氷水浴中で超音波で破砕する。4℃で、破砕後の菌液を12000rpmで20min遠心分離し、それぞれ溶解液の上清(S)及び沈殿(P)を収集してタンパク質サンプルの製造に用いて、SDS-PAGEタンパク質ゲル電気泳動分析を行う。
【0105】
図2に示すように、空ベクター株BL21(DE3)(pET-24a)において、標的タンパク質の発現が示されない。
【0106】
BL21(DE3)(pET-24a-SEQ12)株において、TodC1のみが明らかなタンパク質発現を有し、
図2におけるサンプル12T、12S及び12Pを比較すると、発現されたTodC1タンパク質の大部分が不溶性形態で封入体沈殿内に存在することが分かる。BL21(DE3)(pET-24a-SEQ13)株においても、TodC1のみが明らかなタンパク質発現を有し、
図2におけるサンプル13T、13S及び13Pを比較すると、発現されたTodC1タンパク質について一部のみが可溶性であることが分かる。以上より、標的タンパク質のコドン最適化は、タンパク質の発現及び溶解度にとって非常に重要である。
【0107】
BL21(DE3)(pET-24a-SEQ1)株及びBL21(DE3)(pET-24a-SEQ2)株において、TodC1及びTodC2タンパク質は、明らかな可溶性発現を有し、2つの株間でタンパク質発現レベルに明らかな違いがない。BL21(DE3)(pET-24a-SEQ13)と比較して、BL21(DE3)(pET-24a-SEQ1)及びBL21(DE3)(pET-24a-SEQ2)におけるTodC2タンパク質の可溶性発現が顕著に増加し、第1のスペーサー配列の設計が下流タンパク質(少なくともTodC2)の発現に対して非常に重要であることを示す。
【0108】
また、TodB及びTodAタンパク質が4つの株において明らかな発現バンドがなく、それらのコード配列が発現カセットの比較的に下流の位置に位置することに関連する可能性がある。
【実施例3】
【0109】
BL21(DE3)(pET-24a-SEQ1)株のcis-(1S,2R)-3-アセトキシメチル-3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジオール(CAS:131043-51-1)の製造における使用
BL21(DE3)(pET-24a-SEQ1)株のシングルコロニーを採取し、TB液体培地(50μg/mLのカナマイシンを含有)に植菌し、37℃で16hr生育させて種液を得る。25Lの無機塩培地(50μg/mLのカナマイシンを含有)を予め充填した発酵槽に種液を1%の割合で接種し、37℃で培養し、アンモニア水でpHを7.0に制御し、タンク圧力、回転数及び通気量を調節することにより、溶存酸素≧20%になるように制御する。約第4~5hrで、溶存酸素が急激に多くなり(初期炭素源が枯渇したことを意味)、66%グルコース溶液の供給を開始し、供給速度を15mL/hr/Lに設定する。約第8~9hrで、OD600が約40である場合、温度を25℃に下げ、最終濃度が0.1mMのIPTGを添加して発現を誘導する。約第19~22hrで、90gの基質としての酢酸ベンジルを発酵槽内に3時間以内に等速で流加し、66%グルコースの供給速度を発酵の終了まで12mL/hr/Lに低減する。HPLCで検出された生成物が増加しなくなる場合、変換を停止し、生成物の濃度が約2.1g/Lであった。変換過程におけるHPLC検出スペクトルを
図3に示す。
【0110】
HPLC分析方法において、機器がアジレント・テクノロジー社の液体クロマトグラフィー1260システム、クロマトグラフィーカラムがAgilentZORBAX Eclipse XDB-C18 5μm(4.6mm×250mm)、移動相が(A:メタノール、B:水)、流速が1mL/min、検出波長が270nm、カラム温度が30℃、サンプル注入体積が10μL、動作時間が35minである。HPLCグラジエント条件は、以下のとおりである。
【表1】
【0111】
サンプルの製造において、発酵液を12000rpmで10min遠心分離し、上清を採取し、メタノールで5~10倍希釈し、均一に混合した後、12000rpmで10min遠心分離し、上清を液相に入れる。
【0112】
発酵及び変換が終了した後、発酵液のpHを5NのNaOHで8.0に調節する。8000rpmで10min遠心分離して、発酵液の上清を約30L収集する。発酵液の上清内に60Lのジクロロメタンを添加し、撹拌し、静置し分層した後に有機相を収集する。上層の水相に60Lのジクロロメタンを添加して1回再度抽出し、有機相を合わせる。有機相を40℃で1Lに減圧濃縮し、適量の無水硫酸ナトリウムを添加し、濾過して、褐色の透明液体を得る。透明液体を引き続き濃縮し、石油エーテルを添加して、油状物が固体になるまで叩解し、上清を廃棄する。固体をさらにメチルtert-ブチルエーテルで叩解し、30℃で減圧乾燥して、45.3gの灰白色の固体生成物を得た。生成物のcis-(1S,2R)-3-アセトキシメチル-3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジオール(CAS:131043-51-1)のNMRスペクトル(Bruker 400MHz)を
図4に示す。
【実施例4】
【0113】
BL21(DE3)(pET-24a-SEQ2)株のcis-(1S,2R)-3-アセトキシメチル-3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジオール(CAS:131043-51-1)の製造における使用
BL21(DE3)(pET-24a-SEQ2)株のシングルコロニーを採取し、TB液体培地(50μg/mLのカナマイシンを含有)に植菌し、37℃で16hr生育させて種液を得る。25Lの無機塩培地(50μg/mLのカナマイシンを含有)を予め充填した発酵槽に種液を1%の割合で接種し、37℃で培養し、アンモニア水でpHを約7.0に制御し、タンク圧力、回転数及び通気量を調節することにより、溶存酸素≧20%になるように制御する。約第4~5hrで、溶存酸素が急激に多くなり(初期炭素源が枯渇したことを意味)、66%グルコース溶液の供給を開始し、供給速度を15mL/hr/Lに設定する。約第8~9hrで、OD600が約40である場合、温度を25℃に下げ、最終濃度が0.1mMのIPTGを添加して発現を誘導する。約第19~22hrで、90gの基質としての酢酸ベンジルを発酵槽内に3時間以内に等速で流加し、66%グルコースの供給速度を発酵の終了まで12mL/hr/Lに低減する。HPLCで検出された生成物が増加しなくなる場合、変換を停止し、生成物の濃度が約2.3g/Lであった。
【0114】
発酵及び変換が終了した後、発酵液のpHを5NのNaOHで8.0に調節する。8000rpmで10min遠心分離して、発酵液の上清を約30L収集する。発酵液の上清内に30Lの酢酸エチルを添加し、撹拌し、静置し分層した後に有機相を収集する。上層の水相に30Lの酢酸エチルを添加して1回再度抽出し、有機相を合わせる。有機相を40℃で1Lに減圧濃縮し、適量の無水硫酸ナトリウムを添加し、吸引濾過して、褐色の透明液体を得る。透明液体を引き続き濃縮し、石油エーテルを添加して、油状物が固体になるまで叩解し、上清を廃棄する。固体をさらにメチルtert-ブチルエーテルで叩解し、30℃で減圧乾燥して、約50gの灰白色の固体生成物を得た。
【実施例5】
【0115】
BL21(DE3)(pET-24a-SEQ12)株及びBL21(DE3)(pET-24a-SEQ13)株のcis-(1S,2R)-3-アセトキシメチル-3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジオール(CAS:131043-51-1)の生体内変換における使用
BL21(DE3)(pET-24a-SEQ12)株のシングルコロニーを採取し、TB液体培地(50μg/mLのカナマイシンを含有)に植菌し、37℃で16hr生育させて種液を得る。25Lの無機塩培地(50μg/mLのカナマイシンを含有)を予め充填した発酵槽に種液を1%の割合で接種し、37℃で培養し、アンモニア水でpHを約7.0に制御し、タンク圧力、回転数及び通気量を調節することにより、溶存酸素≧20%になるように制御する。約第4~5hrで、溶存酸素が急激に多くなり(初期炭素源が枯渇したことを意味)、66%グルコース溶液の供給を開始し、供給速度を15mL/hr/Lに設定する。約第8~9hrで、OD600が約40である場合、温度を25℃に下げ、最終濃度が0.1mMのIPTGを添加して発現を誘導する。約第19~22hrで、90gの基質としての酢酸ベンジルを発酵槽内に3時間以内に等速で流加し、66%グルコースの供給速度を発酵の終了まで12mL/hr/Lに低減する。HPLCで検出された生成物の濃度が約0.7g/Lであり、大量の基質が残留した。
【0116】
BL21(DE3)(pET-24a-SEQ13)株を上記ステップに従って生体内変換し、HPLCで検出された生成物の濃度が約0.9g/Lであり、大量の基質が残留した。
【実施例6】
【0117】
BL21(DE3)(pET-24a-SEQ2)株のcis-(1S,2R)-3-アセトキシメチル-3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジオール(CAS:131043-51-1)の100グラムスケールの製造における使用
BL21(DE3)(pET-24a-SEQ2)株のシングルコロニーを採取し、TB液体培地(50μg/mLのカナマイシンを含有)に植菌し、37℃で16hr生育させて種液を得る。50Lの無機塩培地(50μg/mLのカナマイシンを含有)を予め充填した発酵槽に種液を1%の割合で接種し、37℃で培養し、アンモニア水でpHを約7.0に制御し、タンク圧力、回転数及び通気量を調節することにより、溶存酸素≧20%になるように制御する。約第4~5hrで、溶存酸素が急激に多くなり(初期炭素源が枯渇したことを意味)、66%グルコース溶液の供給を開始し、供給速度を15mL/hr/Lに設定する。約第8~9hrで、OD600が約40である場合、温度を25℃に下げ、最終濃度が0.1mMのIPTGを添加して発現を誘導する。第15~22hrで、700gの基質としての酢酸ベンジルを発酵槽内に7時間以内に等速で流加し、66%グルコースの供給速度を発酵の終了まで12mL/hr/Lに低減する。HPLCで検出された生成物が増加しなくなる場合、変換を停止し、生成物の濃度が約7.8g/Lであった。
【0118】
発酵及び変換が終了した後、発酵液のpHを5NのNaOHで8.0に調節する。連続流管型遠心分離機で遠心分離して、発酵液の上清を約60L収集する。発酵液の上清内に60Lの酢酸エチルを添加し、撹拌し、静置し分層した後に有機相を収集する。上層の水相に60Lの酢酸エチルを添加して1回再度抽出し、有機相を合わせる。有機相を40℃で10Lに減圧濃縮し、適量の無水硫酸ナトリウムを添加し、吸引濾過して、褐色の透明液体を得る。透明液体を引き続き濃縮し、石油エーテルを添加して、油状物が固体になるまで叩解し、上清を廃棄する。固体をさらにメチル-tert-ブチルエーテルで叩解し、30℃で減圧乾燥して、約351gの灰白色の固体生成物を得た。
【0119】
本発明では好ましい実施例を前述のとおり開示したが、本発明を限定するためのものではなく、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変形及び修飾を行うことができるため、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で限定された内容を基準とする。
配列表
SEQ ID NO:1 トルエンジオキシゲナーゼのコード配列を含むポリヌクレオチド
atgaaccagaccgacacctctccgatccgtctgcgtcgttcttggaacacctctgaaatcgaagctctgttcgacgaacacgctggtcgtatcgacccgcgtatctacaccgacgaagacctgtaccagctggaactcgaacgtgtcttcgcgcgttcttggctgctgctgggtcacgaaacccagatccgtaaaccgggtgactacatcaccacctacatgggtgaagacccggttgttgttgttcgtcagaaagacgcttctatcgctgttttcctgaaccagtgccgtcaccgtggtatgcgtatctgccgtgctgacgctggtaacgctaaagctttcacctgctcttaccacggttgggcttacgacaccgctggtaacctggttaacgttccgtacgaagctgaatctttcgcttgcctgaacaaaaaagaatggtctccgctgaaagctcgtgttgaaacctacaaaggtctgatcttcgctaactgggacgaaaacgctgttgacctggacacctacctgggtgaagctaaattctacatggaccacatgctggaccgtaccgaagctggtaccgaagctatcccgggtgttcagaaatgggttatcccgtgcaactggaaattcgctgctgaacagttctgctctgacatgtaccacgctggtaccacctctcacctgtctggtatcctggctggtctgccggaagacctggaaatggctgacctggctccgccgaccgttggtaaacagtaccgtgcttcttggggtggtcacggttctggtttctacgttggtgacccgaacctgatgctggctatcatgggtccgaaagttacctcttactggaccgaaggtccggcttctgaaaaagctgctgaacgtctgggttctgttgaacgtggttctaaactgatggttgaacacatgaccgttttcccgacctgctctttcctgccgggtatcaacaccgttcgtacctggcacccgcgtggtccgaacgaggttgaagtatgggcgttcaccgttgttgacgctgacgctccggacgacatcaaagaagaattccgtcgtcagaccctgcgtaccttctctgctggtggtgttttcgaacaggacgacggtgaaaactgggttgaaatccagcacatcctgcgtggtcacaaagctcgttctcgtccgttcaacgctgaaatgtctatggaccagaccgttgacaacgacccggtttacccgggtcgtatctctaacaacgtttactctgaagaagctgctcgtggtctgtacgctcactggctgcgtatgatgacctctccggactgggacgctctgaaagctacccgttaatcgagatctcgatcccgcgaaattaatacgactcactataggggaattgtgagcggataacaattcccctctagaaataattttgtttaactttaagaaggagatataccatgatcgactctgctaaccgtgctgacgttttcctgcgtaaaccggctccggttgctccggaactgcagcacgaagttgaacagttctactactgggaagctaaactgctgaacgaccgtcgtttcgaagaatggttcgctctgctggctgaagacatccactacttcatgccgatccgtaccacccgtatcatgcgtgactctcgtctggaatactctggttctcgtgaatacgctcacttcgacgacgacgctaccatgatgaaaggtcgtctgcgtaaaatcacctctgacgtttcttggtctgaaaacccggcttctcgtacccgtcacctggtttctaacgttatgatcgttggtgctgaagctgaaggtgaatacgaaatctcttctgctttcatcgtttaccgtaaccgtctggaacgtcagctggacatcttcgctggtgaacgtcgtgacaccctgcgtcgtaacacctctgaagctggtttcgaaatcgttaaccgtaccatcctgatcgaccagtctaccatcctggctaacaacctgtctttcttcttctaagtgatgtcatgacctggacctacatcctgcgtcagggtgacctgccgccgggtgaaatgcagcgttacgaaggtggtccggaaccggttatggtttgcaacgttgacggtgaatttttcgctgttcaggacacctgcacccacggtgactgggctctgtctgacggttacctggacggtgacatcgttgaatgcaccctgcacttcggtaaattctgcgttcgtaccggtaaagttaaagctctgccggcttgcaaaccgatcaaagttttcccgatcaaagttgaaggtgacgaagttcacgttgacctggacaacggtgaactgaaataatggctacccacgttgctatcatcggtaacggcgttggtggcttcaccaccgctcaggctctgcgtgcggaaggcttcgaaggtcgtatatctctgatcggtgacgaaccgcacctgccgtacgaccgtccgtctctgtctaaagctgttctggacggttctctggaacgtccgccgatcctggctgaagctgactggtacggtgaagctcgtatcgacatgctgaccggtccggaagttaccgctctggacgttcagacccgtaccatctctctggacgacggtaccaccctgtctgctgacgctatcgttatcgctaccggttctcgtgctcgtactatggctctgccgggttctcagctgccgggtgttgttaccctgcgtacctacggtgacgttcaggttctgcgtgactcttggacctctgctacccgtctgctgatcgttggtggtggtctgatcggttgcgaagttgctaccaccgctcgtaaactgggtctgtctgttaccatcctggaagctggtgacgaactgctggttcgtgttctgggtcgtcgtatcggtgcttggctgcgtggtctgctgaccgaactgggtgttcaggttgaactgggtaccggtgttgttggtttctctggtgaaggtcagctggaacaggttatggcttctgacggtcgttctttcgttgctgactctgctctgatctgcgttggtgctgaaccggctgaccagctggctcgtcaggctggtctggcttgcgaccgtggtgttatcgttgaccactgcggtgctaccctggctaaaggtgttttcgctgttggtgacgttgcttcttggccgctgcgtgctggtggtcgtcgttctctggaaacctacatgaacgctcagcgtcaggctgctgctgttgctgctgctatcctgggtaaaaacgtttctgcgccgcagctgccggtgagctggaccgaaatcgctggtcaccgtatgcagatggctggtgacatcgaaggtccgggtgacttcgtttctcgtggtatgccgggttctggtgctgctctgctgttccgtctgcaagaacgtcgtatccaggctgttgttgctgttgacgctccgcgtgacttcgctctggctacccgtctggttgaagctcgtgctgctatcgaaccggctcgtctggctgacctgtctaactctatgcgtgacttcgttcgtgctaacgaaggtgacctgacctaa
SEQ ID NO:2 トルエンジオキシゲナーゼのコード配列を含むポリヌクレオチド
atgaaccagaccgacacctctccgatccgtctgcgtcgttcttggaacacctctgaaatcgaagctctgttcgacgaacacgctggtcgtatcgacccgcgtatctacaccgacgaagacctgtaccagctggaactcgaacgtgtcttcgcgcgttcttggctgctgctgggtcacgaaacccagatccgtaaaccgggtgactacatcaccacctacatgggtgaagacccggttgttgttgttcgtcagaaagacgcttctatcgctgttttcctgaaccagtgccgtcaccgtggtatgcgtatctgccgtgctgacgctggtaacgctaaagctttcacctgctcttaccacggttgggcttacgacaccgctggtaacctggttaacgttccgtacgaagctgaatctttcgcttgcctgaacaaaaaagaatggtctccgctgaaagctcgtgttgaaacctacaaaggtctgatcttcgctaactgggacgaaaacgctgttgacctggacacctacctgggtgaagctaaattctacatggaccacatgctggaccgtaccgaagctggtaccgaagctatcccgggtgttcagaaatgggttatcccgtgcaactggaaattcgctgctgaacagttctgctctgacatgtaccacgctggtaccacctctcacctgtctggtatcctggctggtctgccggaagacctggaaatggctgacctggctccgccgaccgttggtaaacagtaccgtgcttcttggggtggtcacggttctggtttctacgttggtgacccgaacctgatgctggctatcatgggtccgaaagttacctcttactggaccgaaggtccggcttctgaaaaagctgctgaacgtctgggttctgttgaacgtggttctaaactgatggttgaacacatgaccgttttcccgacctgctctttcctgccgggtatcaacaccgttcgtacctggcacccgcgtggtccgaacgaggttgaagtatgggcgttcaccgttgttgacgctgacgctccggacgacatcaaagaagaattccgtcgtcagaccctgcgtaccttctctgctggtggtgttttcgaacaggacgacggtgaaaactgggttgaaatccagcacatcctgcgtggtcacaaagctcgttctcgtccgttcaacgctgaaatgtctatggaccagaccgttgacaacgacccggtttacccgggtcgtatctctaacaacgtttactctgaagaagctgctcgtggtctgtacgctcactggctgcgtatgatgacctctccggactgggacgctctgaaagctacccgttaatcgagatctcgatcccgcgaaattaatacgactcactataggggaattgtgagcggataacaattcccctctagaaataattttgtttaactttaagaaggagatataccatgatcgactctgctaaccgtgctgacgttttcctgcgtaaaccggctccggttgctccggaactgcagcacgaagttgaacagttctactactgggaagctaaactgctgaacgaccgtcgtttcgaagaatggttcgctctgctggctgaagacatccactacttcatgccgatccgtaccacccgtatcatgcgtgactctcgtctggaatactctggttctcgtgaatacgctcacttcgacgacgacgctaccatgatgaaaggtcgtctgcgtaaaatcacctctgacgtttcttggtctgaaaacccggcttctcgtacccgtcacctggtttctaacgttatgatcgttggtgctgaagctgaaggtgaatacgaaatctcttctgctttcatcgtttaccgtaaccgtctggaacgtcagctggacatcttcgctggtgaacgtcgtgacaccctgcgtcgtaacacctctgaagctggtttcgaaatcgttaaccgtaccatcctgatcgaccagtctaccatcctggctaacaacctgtctttcttcttctaagaaggagatataccatgacctggacctacatcctgcgtcagggtgacctgccgccgggtgaaatgcagcgttacgaaggtggtccggaaccggttatggtttgcaacgttgacggtgaatttttcgctgttcaggacacctgcacccacggtgactgggctctgtctgacggttacctggacggtgacatcgttgaatgcaccctgcacttcggtaaattctgcgttcgtaccggtaaagttaaagctctgccggcttgcaaaccgatcaaagttttcccgatcaaagttgaaggtgacgaagttcacgttgacctggacaacggtgaactgaaataatggctacccacgttgctatcatcggtaacggcgttggtggcttcaccaccgctcaggctctgcgtgcggaaggcttcgaaggtcgtatatctctgatcggtgacgaaccgcacctgccgtacgaccgtccgtctctgtctaaagctgttctggacggttctctggaacgtccgccgatcctggctgaagctgactggtacggtgaagctcgtatcgacatgctgaccggtccggaagttaccgctctggacgttcagacccgtaccatctctctggacgacggtaccaccctgtctgctgacgctatcgttatcgctaccggttctcgtgctcgtactatggctctgccgggttctcagctgccgggtgttgttaccctgcgtacctacggtgacgttcaggttctgcgtgactcttggacctctgctacccgtctgctgatcgttggtggtggtctgatcggttgcgaagttgctaccaccgctcgtaaactgggtctgtctgttaccatcctggaagctggtgacgaactgctggttcgtgttctgggtcgtcgtatcggtgcttggctgcgtggtctgctgaccgaactgggtgttcaggttgaactgggtaccggtgttgttggtttctctggtgaaggtcagctggaacaggttatggcttctgacggtcgttctttcgttgctgactctgctctgatctgcgttggtgctgaaccggctgaccagctggctcgtcaggctggtctggcttgcgaccgtggtgttatcgttgaccactgcggtgctaccctggctaaaggtgttttcgctgttggtgacgttgcttcttggccgctgcgtgctggtggtcgtcgttctctggaaacctacatgaacgctcagcgtcaggctgctgctgttgctgctgctatcctgggtaaaaacgtttctgcgccgcagctgccggtgagctggaccgaaatcgctggtcaccgtatgcagatggctggtgacatcgaaggtccgggtgacttcgtttctcgtggtatgccgggttctggtgctgctctgctgttccgtctgcaagaacgtcgtatccaggctgttgttgctgttgacgctccgcgtgacttcgctctggctacccgtctggttgaagctcgtgctgctatcgaaccggctcgtctggctgacctgtctaactctatgcgtgacttcgttcgtgctaacgaaggtgacctgacctaa
SEQ ID NO:3 第1のスペーサー配列
tcgagatctcgatcccgcgaaattaatacgactcactataggggaattgtgagcggataacaattcccctctagaaataattttgtttaactttaagaaggagatatacc
SEQ ID NO:4 TodC1
MNQTDTSPIRLRRSWNTSEIEALFDEHAGRIDPRIYTDEDLYQLELERVFARSWLLLGHETQIRKPGDYITTYMGEDPVVVVRQKDASIAVFLNQCRHRGMRICRADAGNAKAFTCSYHGWAYDTAGNLVNVPYEAESFACLNKKEWSPLKARVETYKGLIFANWDENAVDLDTYLGEAKFYMDHMLDRTEAGTEAIPGVQKWVIPCNWKFAAEQFCSDMYHAGTTSHLSGILAGLPEDLEMADLAPPTVGKQYRASWGGHGSGFYVGDPNLMLAIMGPKVTSYWTEGPASEKAAERLGSVERGSKLMVEHMTVFPTCSFLPGINTVRTWHPRGPNEVEVWAFTVVDADAPDDIKEEFRRQTLRTFSAGGVFEQDDGENWVEIQHILRGHKARSRPFNAEMSMDQTVDNDPVYPGRISNNVYSEEAARGLYAHWLRMMTSPDWDALKATR
SEQ ID NO:5 TodC2
MIDSANRADVFLRKPAPVAPELQHEVEQFYYWEAKLLNDRRFEEWFALLAEDIHYFMPIRTTRIMRDSRLEYSGSREYAHFDDDATMMKGRLRKITSDVSWSENPASRTRHLVSNVMIVGAEAEGEYEISSAFIVYRNRLERQLDIFAGERRDTLRRNTSEAGFEIVNRTILIDQSTILANNLSFFF
SEQ ID NO:6 TodB
MTWTYILRQGDLPPGEMQRYEGGPEPVMVCNVDGEFFAVQDTCTHGDWALSDGYLDGDIVECTLHFGKFCVRTGKVKALPACKPIKVFPIKVEGDEVHVDLDNGELK
SEQ ID NO:7 TodA
MATHVAIIGNGVGGFTTAQALRAEGFEGRISLIGDEPHLPYDRPSLSKAVLDGSLERPPILAEADWYGEARIDMLTGPEVTALDVQTRTISLDDGTTLSADAIVIATGSRARTMALPGSQLPGVVTLRTYGDVQVLRDSWTSATRLLIVGGGLIGCEVATTARKLGLSVTILEAGDELLVRVLGRRIGAWLRGLLTELGVQVELGTGVVGFSGEGQLEQVMASDGRSFVADSALICVGAEPADQLARQAGLACDRGVIVDHCGATLAKGVFAVGDVASWPLRAGGRRSLETYMNAQRQAAAVAAAILGKNVSAPQLPVSWTEIAGHRMQMAGDIEGPGDFVSRGMPGSGAALLFRLQERRIQAVVAVDAPRDFALATRLVEARAAIEPARLADLSNSMRDFVRANEGDLT
SEQ ID NO:8 T7プロモーター
taatacgactcactatagg
SEQ ID NO:9 原核生物リボソーム結合部位
gaaggagatatacc
SEQ ID NO:10 Lacオペレータ
ttgtgagcggataacaa
SEQ ID NO:11 T7転写ターミネーター
ctagcataaccccttggggcctctaaacgggtcttgaggggttttttg
SEQ ID NO:12 J04996.1における第620~4210位のヌクレオチド
atgaatcagaccgacacatcacctatcaggctgcgcaggagctggaacaccagcgagatagaagcgctctttgacgagcatgccggacgtatcgatccgcgcatttataccgatgaggatctgtaccaactcgaactggagcgtgtcttcgcccggtcctggctgctgttggggcatgaaacccagattcgcaagccgggcgattacatcacgacctacatgggtgaagaccctgtcgtggtcgtccggcagaaagacgccagcattgccgtgttcctgaaccagtgccgccaccgtggcatgcgcatctgccgcgcggatgccggaaacgcgaaggcgttcacttgcagctaccacgggtgggcttacgacaccgccggcaatcttgtcaatgtgccttacgaggccgaatccttcgcgtgcctgaacaagaaggaatggagcccgctgaaggcccgggtagaaacctacaagggcctgattttcgccaactgggatgagaacgctgtagacctcgacacgtatctgggcgaggcgaagttctacatggaccacatgctcgaccgcaccgaggccggcaccgaagcgatcccgggcgtgcagaagtgggtcattccctgtaactggaaattcgccgcagagcagttttgcagcgacatgtaccatgccgggacgacctcgcatctgtctggcatcctggcaggcctgccagaagaccttgaaatggccgaccttgctccgccgacagttggcaagcagtaccgtgcgtcatggggcggacatggaagtggcttctatgtcggcgaccccaatctgatgcttgccatcatggggccaaaggtcaccagctactggaccgaaggccccgcgtcggaaaaggcggccgaacgtctgggtagcgtggagcgcggctcgaaactcatggtcgagcacatgaccgtcttccccacgtgttccttcctcccaggtatcaatacggtccggacatggcatccgcgcgggccgaacgaggtcgaggtatgggcgtttacggtggtcgatgctgatgctcctgacgatatcaaggaagagttccggcgccagacgctgcgcaccttctctgccggtggcgtgttcgagcaggacgacggggagaactgggtcgagatccagcacatcctgcgaggccacaaggcgcggagccgccctttcaatgccgagatgagcatggaccagaccgtcgacaacgacccggtttaccccgggcggatcagcaacaacgtctacagcgaggaagctgcccgcgggctctatgcccattggctgcggatgatgacatcccccgactgggacgcgctgaaggcgacacgctgaatccagagacagcttgcgccacgcagtggcgccggccagaggccgcatttgacttcgacccaggttggatgcggtggaccttgtccatttgaaatctacaaggaacgaccatgattgattcagccaacagagccgacgtctttctccgcaagccggcacccgtagcgcccgaactgcagcacgaagtcgagcagttctactattgggaggccaagcttctcaacgatcgccgcttcgaggagtggttcgcgctgctcgcggaagacattcactacttcatgcccattcgcaccacgcggatcatgcgggactcgcgccttgaatactcaggctcccgagagtacgcgcacttcgatgacgacgccacgatgatgaagggacgcttgcgcaagatcacgtccgacgtgagctggtccgagaaccccgcatcgcggacccggcatctcgtgagcaacgtgatgatcgtcggcgcagaggcagaaggggagtacgaaatctcaagcgccttcattgtgtaccgcaatcgtctggagcggcagctcgacatctttgccggtgagcgtcgcgatacgttgcgccgtaacacgagcgaggccgggttcgagatcgtcaatcggaccatcctgatcgaccagagcaccatcctggccaataacctcagtttcttcttctaggtgatgtcatgacttggacatacatattgcggcagggtgacctgccacccggtgagatgcagcgctacgaaggcggcccggaacctgtgatggtctgcaacgtcgatggcgagttcttcgcggtgcaggatacctgcacgcatggggactgggcgttgtcggatggttacctggacggtgatattgtcgaatgcacgttgcatttcggcaagttctgcgtgcggaccgggaaggtgaaggcgctgcctgcttgcaaacctatcaaggtattcccaatcaaggtcgaaggcgatgaagtgcacgtcgatctcgacaacggggagttgaagtgatggctacccatgtggcgatcatcggcaatggcgtgggtggcttcacgaccgcgcaggccctacgtgccgagggcttcgaggggagaatctcgctgattggggacgaaccgcatctcccctatgaccgaccatccttgtccaaggcggttctcgacggcagccttgagcggccgcccatactggccgaggccgattggtacggcgaggcccgcatcgacatgctgaccggcccggaagtcactgcccttgatgtgcagacaaggacgatcagtctggatgatggcaccacgctctctgcggacgccatcgtcatcgcgacgggcagtcgagcgcggacgatggcgttgcccggcagccaactgcccggcgtcgtaacgctgcgcacctacggtgacgtgcaggtattgcgcgatagttggacttccgcgacgcggctgctgattgtgggtggcggattgatcggctgcgaggtcgcgacgacggcgcgcaagctcggcctgtcggtcacgatcctggaggcaggtgatgaactgctggtccgagtacttgggcggcgtatcggtgcctggctgcgcggcctgctgacagaacttggtgtgcaggtcgagttgggaacgggtgtcgtaggtttttctggtgagggccagctcgaacaagtcatggccagcgatgggcgcagcttcgtagccgatagcgcactcatttgcgtcggcgcggagcccgcggatcaacttgcgcgtcaagcgggcttggcatgtgaccgcggcgtcattgtcgatcactgcggtgcgacgcttgccaaaggcgtattcgccgtcggagatgtggccagttggccgctgcgcgccggcggccggcgttcgctcgaaacctatatgaacgcgcagcgccaagccgccgcggtggctgcggccattctggggaaaaacgtatcggcaccgcaactgcccgtgtcctggacggagatcgctgggcatcgcatgcagatggcgggcgatatcgaaggacctggtgatttcgtctcgcgcggcatgcccggtagtggcgctgccctgttgttccgcctgcaggagcgaaggattcaggcggtcgtcgcggtcgatgcaccccgtgacttcgcgcttgcaacccgattggtagaagcccgcgcggcaatcgagccagcacggctggcagatctttcaaacagtatgcgcgattttgttcgtgcgaatgaaggagacctaacgtga
SEQ ID NO:13 トルエンジオキシゲナーゼのコード配列を含むポリヌクレオチド
atgaaccagaccgacacctctccgatccgtctgcgtcgttcttggaacacctctgaaatcgaagctctgttcgacgaacacgctggtcgtatcgacccgcgtatctacaccgacgaagacctgtaccagctggaactcgaacgtgtcttcgcgcgttcttggctgctgctgggtcacgaaacccagatccgtaaaccgggtgactacatcaccacctacatgggtgaagacccggttgttgttgttcgtcagaaagacgcttctatcgctgttttcctgaaccagtgccgtcaccgtggtatgcgtatctgccgtgctgacgctggtaacgctaaagctttcacctgctcttaccacggttgggcttacgacaccgctggtaacctggttaacgttccgtacgaagctgaatctttcgcttgcctgaacaaaaaagaatggtctccgctgaaagctcgtgttgaaacctacaaaggtctgatcttcgctaactgggacgaaaacgctgttgacctggacacctacctgggtgaagctaaattctacatggaccacatgctggaccgtaccgaagctggtaccgaagctatcccgggtgttcagaaatgggttatcccgtgcaactggaaattcgctgctgaacagttctgctctgacatgtaccacgctggtaccacctctcacctgtctggtatcctggctggtctgccggaagacctggaaatggctgacctggctccgccgaccgttggtaaacagtaccgtgcttcttggggtggtcacggttctggtttctacgttggtgacccgaacctgatgctggctatcatgggtccgaaagttacctcttactggaccgaaggtccggcttctgaaaaagctgctgaacgtctgggttctgttgaacgtggttctaaactgatggttgaacacatgaccgttttcccgacctgctctttcctgccgggtatcaacaccgttcgtacctggcacccgcgtggtccgaacgaggttgaagtatgggcgttcaccgttgttgacgctgacgctccggacgacatcaaagaagaattccgtcgtcagaccctgcgtaccttctctgctggtggtgttttcgaacaggacgacggtgaaaactgggttgaaatccagcacatcctgcgtggtcacaaagctcgttctcgtccgttcaacgctgaaatgtctatggaccagaccgttgacaacgacccggtttacccgggtcgtatctctaacaacgtttactctgaagaagctgctcgtggtctgtacgctcactggctgcgtatgatgacctctccggactgggacgctctgaaagctacccgttaa tccagagacagcttgcgccacgcagtggcgccggccagaggccgcatttgacttcgacccaggttggatgcggtggaccttgtccatttgaaatctacaaggaacgaccatgatcgactctgctaaccgtgctgacgttttcctgcgtaaaccggctccggttgctccggaactgcagcacgaagttgaacagttctactactgggaagctaaactgctgaacgaccgtcgtttcgaagaatggttcgctctgctggctgaagacatccactacttcatgccgatccgtaccacccgtatcatgcgtgactctcgtctggaatactctggttctcgtgaatacgctcacttcgacgacgacgctaccatgatgaaaggtcgtctgcgtaaaatcacctctgacgtttcttggtctgaaaacccggcttctcgtacccgtcacctggtttctaacgttatgatcgttggtgctgaagctgaaggtgaatacgaaatctcttctgctttcatcgtttaccgtaaccgtctggaacgtcagctggacatcttcgctggtgaacgtcgtgacaccctgcgtcgtaacacctctgaagctggtttcgaaatcgttaaccgtaccatcctgatcgaccagtctaccatcctggctaacaacctgtctttcttcttctaagtgatgtcatgacctggacctacatcctgcgtcagggtgacctgccgccgggtgaaatgcagcgttacgaaggtggtccggaaccggttatggtttgcaacgttgacggtgaatttttcgctgttcaggacacctgcacccacggtgactgggctctgtctgacggttacctggacggtgacatcgttgaatgcaccctgcacttcggtaaattctgcgttcgtaccggtaaagttaaagctctgccggcttgcaaaccgatcaaagttttcccgatcaaagttgaaggtgacgaagttcacgttgacctggacaacggtgaactgaaataatggctacccacgttgctatcatcggtaacggcgttggtggcttcaccaccgctcaggctctgcgtgcggaaggcttcgaaggtcgtatatctctgatcggtgacgaaccgcacctgccgtacgaccgtccgtctctgtctaaagctgttctggacggttctctggaacgtccgccgatcctggctgaagctgactggtacggtgaagctcgtatcgacatgctgaccggtccggaagttaccgctctggacgttcagacccgtaccatctctctggacgacggtaccaccctgtctgctgacgctatcgttatcgctaccggttctcgtgctcgtactatggctctgccgggttctcagctgccgggtgttgttaccctgcgtacctacggtgacgttcaggttctgcgtgactcttggacctctgctacccgtctgctgatcgttggtggtggtctgatcggttgcgaagttgctaccaccgctcgtaaactgggtctgtctgttaccatcctggaagctggtgacgaactgctggttcgtgttctgggtcgtcgtatcggtgcttggctgcgtggtctgctgaccgaactgggtgttcaggttgaactgggtaccggtgttgttggtttctctggtgaaggtcagctggaacaggttatggcttctgacggtcgttctttcgttgctgactctgctctgatctgcgttggtgctgaaccggctgaccagctggctcgtcaggctggtctggcttgcgaccgtggtgttatcgttgaccactgcggtgctaccctggctaaaggtgttttcgctgttggtgacgttgcttcttggccgctgcgtgctggtggtcgtcgttctctggaaacctacatgaacgctcagcgtcaggctgctgctgttgctgctgctatcctgggtaaaaacgtttctgcgccgcagctgccggtgagctggaccgaaatcgctggtcaccgtatgcagatggctggtgacatcgaaggtccgggtgacttcgtttctcgtggtatgccgggttctggtgctgctctgctgttccgtctgcaagaacgtcgtatccaggctgttgttgctgttgacgctccgcgtgacttcgctctggctacccgtctggttgaagctcgtgctgctatcgaaccggctcgtctggctgacctgtctaactctatgcgtgacttcgttcgtgctaacgaaggtgacctgacctaa
【配列表】
【国際調査報告】