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特表2024-502150サワーな味の釣り合いのための新規組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】サワーな味の釣り合いのための新規組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/20 20160101AFI20240110BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20240110BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240110BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20240110BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20240110BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20240110BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240110BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240110BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240110BHJP
   A23L 2/68 20060101ALN20240110BHJP
   A23L 2/52 20060101ALN20240110BHJP
   A23F 3/16 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
A23L27/20 D
A23L27/00 Z
A61K8/49
A61K8/35
A61K8/60
A61Q13/00 101
A61K47/22
A61K47/10
A61K47/26
A23L2/00 D
A23L2/52
A23F3/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541341
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2021050223
(87)【国際公開番号】W WO2022148540
(87)【国際公開日】2022-07-14
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521397201
【氏名又は名称】シムライズ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・リース
(72)【発明者】
【氏名】トム・ソマーズ
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・ファーレ
(72)【発明者】
【氏名】カタリーナ・ライヒェルト
(72)【発明者】
【氏名】ヤーコブ・レイ
【テーマコード(参考)】
4B027
4B047
4B117
4C076
4C083
【Fターム(参考)】
4B027FB13
4B027FC02
4B027FK02
4B027FK09
4B027FP85
4B047LB08
4B047LB09
4B047LF07
4B047LG05
4B047LG06
4B047LG08
4B047LG21
4B047LG31
4B117LC03
4B117LG17
4B117LK06
4B117LK12
4B117LL01
4C076BB01
4C076DD40
4C076DD59
4C076DD69
4C076FF52
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC841
4C083AC842
4C083AD391
4C083AD392
4C083KK02
(57)【要約】
本発明は、一般式Iを有する少なくとも1種類の味覚調節剤またはその塩を含むアロマ組成物と、そのようなアロマ組成物を含む半完成製品と、そのようなアロマ組成物および/またはそのような半完成製品を含む完成製品と、少なくとも1種類の特定の味覚調節剤の使用と、調製物中で甘い/サワーの釣り合いを改善し、および/または甘い/サワーの不釣り合いを低下させ、および/または口あたりを改善するための方法と、に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アロマ組成物であって、一般式I
【化1】
(式中、XおよびYは、互いに独立に、-CH-またはOを示し、
X=-CH-およびY=O、または
X=OおよびY=-CH
の何れかであり、前提条件として、
X=-CH-およびY=Oの場合、R1とR2とが一緒になって単結合を表すかまたはR1=HおよびR2=Hであり、
X=-O-およびY=-CH-の場合、R1とR2とが一緒になって単結合を表し、
R3は、-Hまたは-OHを示し、
R4は、-Hまたは‐CHを示し、
好ましくは、
R3とR4とが-Hを示すかまたは、
R3が-OHを示し、R4が-CHを示し、
R5は、-H、-OHまたは-O-グルコピラノシド、好ましくは-H、-OHまたは-O-β-D-グルコピラノシドを示す)
を有する少なくとも1種類の味覚調節剤またはその塩を含み、
前記アロマ組成物中の前記少なくとも1種類の味覚調節剤の総量は、
前記少なくとも1種類の味覚調節剤が前記アロマ組成物中で甘さ印象を提供しないかまたは1.5%スクロース当量未満の甘さ印象を提供する程度、かつ
前記少なくとも1種類の味覚調節剤の総量が前記アロマ組成物中で甘味物質/存在する場合の別の甘い味の物質の甘さを増強するのに十分でない程度である、
アロマ組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種類の味覚調節剤は、ナリンゲニン、フロレチン、ヘスペレチン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、フィロズルチン、トリロバチン、ヒドランゲノール、ヘスペレチンジヒドロカルコン-4-O-グルコシドおよびそれらの塩からなる群から選ばれ、
好ましくは、前記少なくとも1種類の味覚調節剤は、
- フロレチン、
- ヘスペレチン、
- ヘスペレチンジヒドロカルコン、
- ナリンゲニン、
- フィロズルチン、
- フロレチンと、ナリンゲニン、ヘスペレチン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、フィロズルチン、トリロバチン、ヒドランゲノール、ヘスペレチンジヒドロカルコン-4-O-グルコシドからなる群から選ばれた少なくとも1種類のさらなる味覚調節剤と、
またはそれらの塩である、
請求項1に記載のアロマ組成物。
【請求項3】
一般式Iを有する2種類の味覚調節剤を含み、前記味覚調節剤は、
- フロレチンおよびヘスペレチン
- フロレチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコン
- ヘスペレチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコン
- フロレチンおよびナリンゲニン
- ナリンゲニンおよびヘスペレチン
- フロレチンおよびフィロズルチン
- ヘスペレチンおよびフィロズルチン
- ヘスペレチンジヒドロカルコンおよびナリンゲニン、
または
- ヘスペレチンジヒドロカルコンおよびフィロズルチン
あるいはそれらの塩である、
請求項2に記載のアロマ組成物。
【請求項4】
前記一般式Iを有する3種類の味覚調節剤を含み、前記味覚調節剤は、
-フロレチン、ヘスペレチンおよびナリンゲニン
-フロレチン、ヘスペレチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコン
-フロレチン、ナリンゲニンおよびヘスペレチンジヒドロカルコン
-フロレチン、フィロズルチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコン
-ヘスペレチン、フィロズルチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコン
-フロレチン、ヘスペレチンおよびフィロズルチン
-フロレチン、ナリンゲニンおよびフィロズルチン
-ヘスペレチン、ナリンゲニンおよびフィロズルチン
-フロレチン、ヘスペレチンおよびトリロバチン
-フロレチン、ナリンゲニンおよびトリロバチン
-ヘスペレチン、ナリンゲニンおよびトリロバチン
あるいはそれらの塩である、
請求項2に記載のアロマ組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種類の味覚調節剤は、0.5~100ppmの総量で、好ましくは1~80ppmの総量で、もっとも好ましくは1.5~60ppmの総量で存在する、請求項1~4の何れか一項に記載のアロマ組成物。
【請求項6】
サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物、好ましくは酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ソルビン酸、カフェオタンニン酸、クエン酸、イソ-クエン酸、フマル酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グリセリン酸、グリコール酸、ケトグルタル酸、[α]-ケトグルタル酸、乳酸、ラクトイソクエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、シュウ酸、リン酸、ピルビン酸、キナ酸、シキミ酸、コハク酸、タンニン酸および酒石酸からなる群から選ばれた好ましくは1種類以上の食用酸、特に好ましくは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸および酒石酸から選ばれた1種類以上の食用酸、
および/または
好ましくは、
植物抽出物、例えばタンパク質(ミラキュリン、ペンタイジン、モネリン、タウマチン、クルクリン、ブラゼイン、マビンリンなど)、D-アミノ酸(D-フェニルアラニン、D-トリプトファンなど)あるいはこれらのアミノ酸および/またはタンパク質を含有する天然資源から得られた抽出物または画分ならびにこれらのアミノ酸および/またはタンパク質の生理的に許容される塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩;ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ステビオールグリコシド、ステビオシド、ステビオールビオシド、レバウジオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドG、レバウジオシドH、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドX、ズルコシド、ルブソシド、スアビオシドA、スアビオシドB、スアビオシドG、スアビオシドH、スアビオシドI、スアビオシドJ、バイユーノシド1、バイユーノシド2、フロミソシド1、フロミソシド2、フロミソシド3、フロミソシド4、アブルソシドA、アブルソシドB、アブルソシドC、アブルソシドD、シクロカリオシドA、シクロカリオシドI、オスランジン、ポリポドシドA、ストロジン1、ストロジン、2、ストロジン4、セリグエアニンA、ジヒドロクェルセチン-3-アセテート、ペリラルチン、テロスモシドA15、ペリアンドリンI~V、プテロカリオシド、シクロカリオシド、ムクロジオシド、trans-アネトール、trans-シンナムアルデヒド、ブリオシド、ブリオノシド、ブリオノヅルコシド、カルノシフロシド、スカンデノシド、ギペノシド、ヘマトキシリン、シアニン、クロロゲン酸、アルビジアサポニン、テロスモシド、ガウジチャウジオシド、モグロシド、例えばモグロシドV、ヘルナンヅルシン、モナチン、グリチルレチン酸およびその誘導体、特にグリチルリジン、好ましくはグリチルリジンアンモニウム塩;タウマトコッカス亜種またはステビア亜種、特にステビア・レバウディアナ(stevia rebaudiana)の抽出物、スゥイングル抽出物、特にツルレイシ属またはシラチオ・グロスベノリイ(siratio grosvenorii)または羅漢果、グリセリジア属亜種、特にグリセリジア・グラブラ(glycerrhyzia glabra)の抽出物、キイチゴ属(rubus)亜種、特にテンチャ(ルブス・スアビシムス(rubus suavissimus))の抽出物、アマミコウスイボク(リッピア・ヅルシス(lippia dulcis))の抽出物、好ましくはバランシンAおよび/またはバランシンBを含むミセチア・バランサエ(mycetia balansae)の抽出物、などの抽出物またはそのような抽出物の濃縮画分を含む、天然甘味料、好ましくは天然に存在する甘い味の物質;
好ましくは、マガップ(magap)、シクラミン酸ナトリウムまたは他の生理的に許容されるシクラミン酸の塩、アセスルファム(acesulfam)K;ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、サッカリン、サッカリンナトリウム塩、アスパルタム(aspartam)、スペルアスパルタム(superaspartam)、ネオタム(neotam)、アリタム(alitam)、アドバンタム(advantam)、ペリラルチン、スクラロース、ルグヅネーム、カレレーム(carrelame)、スクロノネートまたはスクロオクテートからなる群から選ばれた合成甘味料、好ましくは合成の甘い味の物質;
好ましくはスクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、メリジトース、メリビオース、ラフィノース、パラチノース、ラクツロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、l-ラムノース、D-ソルボース、D-マンノース、D-タガトース、D-アルロース、D-アラビノース、l-アラビノース、D-リボース、D-グリセルアルデヒド、マルトデキストリンからなる群から選ばれた甘い味の炭水化物ならびにこれらの炭水化物の1種類以上を、好ましくは少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも15重量%の量で含む野菜調製物であって、これらの調製物中で前記炭水化物は、天然に存在するかまたは合成の炭水化物あるいはそれらの混合物、例えば、好ましくは、蜂蜜、転化糖シロップまたはトウモロコシデンプンからの高度濃縮フルクトースシロップ、および/またはこれらの炭水化物の生理的に許容される塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩として存在してよい野菜調製物;
糖アルコール、好ましくは、グリセリン、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチット、ズルシトール、ラクチトールおよび生理的に許容されるそれらの塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩からなる群から選ばれた、好ましくは天然に存在する糖アルコール、
からなる群から選ばれた、甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物をさらに含み、
好ましくは、サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物と甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物とを含み、前記アロマ組成物中の少なくとも1種類の味覚調節剤の総量は、組成物中で甘い/サワーの釣り合いを改善し、および/または甘い/サワーの不釣り合いを低下させ、および/または口あたりを改善するのに十分である、
請求項1~5の何れか一項に記載のアロマ組成物。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のアロマ組成物を含む、目的として栄養、娯楽あるいは化粧または医薬が意図される半完成製品。
【請求項8】
好ましくは、含有される前記アロマ組成物は、請求項1~5の何れか一項に記載のアロマ組成物である、請求項7に記載の半完成製品であって、
サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物、好ましくは酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ソルビン酸、カフェオタンニン酸、クエン酸、イソ-クエン酸、フマル酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グリセリン酸、グリコール酸、ケトグルタル酸、[α]-ケトグルタル酸、乳酸、ラクトイソクエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、シュウ酸、リン酸、ピルビン酸、キナ酸、シキミ酸、コハク酸、タンニン酸および酒石酸からなる群から選ばれた好ましくは1種類以上の食用酸、特に好ましくは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸および酒石酸から選ばれた1種類以上の食用酸、
および/または
好ましくは、
植物抽出物、例えばタンパク質(ミラキュリン、ペンタイジン、モネリン、タウマチン、クルクリン、ブラゼイン、マビンリンなど)、D-アミノ酸(D-フェニルアラニン、D-トリプトファンなど)あるいはこれらのアミノ酸および/またはタンパク質を含有する天然資源から得られる抽出物または画分ならびにこれらのアミノ酸および/またはタンパク質の生理的に許容される塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩;ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ステビオールグリコシド、ステビオシド、ステビオールビオシド、レバウジオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドG、レバウジオシドH、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドX、ズルコシド、ルブソシド、スアビオシドA、スアビオシドB、スアビオシドG、スアビオシドH、スアビオシドI、スアビオシドJ、バイユーノシド1、バイユーノシド2、フロミソシド1、フロミソシド2、フロミソシド3、フロミソシド4、アブルソシドA、アブルソシドB、アブルソシドC、アブルソシドD、シクロカリオシドA、シクロカリオシドI、オスランジン、ポリポドシドA、ストロジン1、ストロジン、2、ストロジン4、セリグエアニンA、ジヒドロクェルセチン-3-アセテート、ペリラルチン、テロスモシドA15、ペリアンドリンI~V、プテロカリオシド、シクロカリオシド、ムクロジオシド、trans-アネトール、trans-シンナムアルデヒド、ブリオシド、ブリオノシド、ブリオノヅルコシド、カルノシフロシド、スカンデノシド、ギペノシド、ヘマトキシリン、シアニン、クロロゲン酸、アルビジアサポニン、テロスモシド、ガウジチャウジオシド、モグロシド、例えばモグロシドV、ヘルナンヅルシン、モナチン、グリチルレチン酸およびその誘導体、特にグリチルリジン、好ましくはグリチルリジンアンモニウム塩;タウマトコッカス亜種またはステビア亜種、特にステビア・レバウディアナの抽出物、スゥイングル抽出物、特にツルレイシ属またはシラチオ・グロスベノリイまたは羅漢果、グリセリジア属亜種、特にグリセリジア・グラブラの抽出物、キイチゴ属亜種、特にテンチャ(ルブス・スアビシムス)の抽出物、アマミコウスイボク(リッピア・ヅルシス)の抽出物、好ましくはバランシンAおよび/またはバランシンBを含むミセチア・バランサエの抽出物、などの抽出物またはそのような抽出物の濃縮画分を含む、天然甘味料、好ましくは天然に存在する甘い味の物質;
好ましくは、マガップ、シクラミン酸ナトリウムまたは他の生理的に許容されるシクラミン酸の塩、アセスルファムK;ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、サッカリン、サッカリンナトリウム塩、アスパルタム、スペルアスパルタム、ネオタム、アリタム、アドバンタム、ペリラルチン、スクラロース、ルグヅネーム、カレレーム、スクロノネートまたはスクロオクテートからなる群から選ばれた合成甘味料、好ましくは合成の甘い味の物質;
好ましくはスクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、メリジトース、メリビオース、ラフィノース、パラチノース、ラクツロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、l-ラムノース、D-ソルボース、D-マンノース、D-タガトース、D-アルロース、D-アラビノース、l-アラビノース、D-リボース、D-グリセルアルデヒド、マルトデキストリンからなる群から選ばれた甘い味の炭水化物ならびにこれらの炭水化物の1種類以上を、好ましくは少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも15重量%の量で含む野菜調製物であって、これらの調製物中で前記炭水化物は、天然に存在するかまたは合成の炭水化物あるいはそれらの混合物、例えば、好ましくは、蜂蜜、転化糖シロップまたはトウモロコシデンプンからの高度濃縮フルクトースシロップ、および/またはこれらの炭水化物の生理的に許容される塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩として存在してよい野菜調製物;
糖アルコール、好ましくは、グリセリン、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチット、ズルシトール、ラクチトールおよび生理的に許容されるそれらの塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩からなる群から選ばれた、好ましくは天然に存在する糖アルコール、
からなる群から選ばれた、甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物、
をさらに含み、
好ましくは、前記半完成製品は、サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物と甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物とを含み、前記アロマ組成物中の前記少なくとも1種類の味覚調節剤の総量は、前記半完成製品中で甘い/サワーの釣り合いを改善し、および/または甘い/サワーの不釣り合いを低下させ、および/または口あたりを改善するのに十分である、
半完成製品。
【請求項9】
請求項1~6の何れか一項に記載のアロマ組成物あるいは請求項7または8に記載の半完成製品を含む、目的として栄養、娯楽あるいは化粧または医薬が意図される完成製品。
【請求項10】
好ましくは、含有される前記アロマ組成物は、それぞれ、請求項1~5の何れか一項に記載のアロマ組成物であり、含有される前記半完成製品は、請求項7に記載の半完成製品である、請求項9に記載の完成製品であって、
サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物、好ましくは酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ソルビン酸、カフェオタンニン酸、クエン酸、イソ-クエン酸、フマル酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グリセリン酸、グリコール酸、ケトグルタル酸、[α]-ケトグルタル酸、乳酸、ラクトイソクエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、シュウ酸、リン酸、ピルビン酸、キナ酸、シキミ酸、コハク酸、タンニン酸および酒石酸からなる群から選ばれた好ましくは1種類以上の食用酸、特に好ましくは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸および酒石酸から選ばれた1種類以上の食用酸、
および/または
好ましくは、
植物抽出物、例えばタンパク質(ミラキュリン、ペンタイジン、モネリン、タウマチン、クルクリン、ブラゼイン、マビンリンなど)、D-アミノ酸(D-フェニルアラニン、D-トリプトファンなど)あるいはこれらのアミノ酸および/またはタンパク質を含有する天然資源から得られる抽出物または画分ならびにこれらのアミノ酸および/またはタンパク質の生理的に許容される塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩;ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ステビオールグリコシド、ステビオシド、ステビオールビオシド、レバウジオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドG、レバウジオシドH、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドX、ズルコシド、ルブソシド、スアビオシドA、スアビオシドB、スアビオシドG、スアビオシドH、スアビオシドI、スアビオシドJ、バイユーノシド1、バイユーノシド2、フロミソシド1、フロミソシド2、フロミソシド3、フロミソシド4、アブルソシドA、アブルソシドB、アブルソシドC、アブルソシドD、シクロカリオシドA、シクロカリオシドI、オスランジン、ポリポドシドA、ストロジン1、ストロジン、2、ストロジン4、セリグエアニンA、ジヒドロクェルセチン-3-アセテート、ペリラルチン、テロスモシドA15、ペリアンドリンI~V、プテロカリオシド、シクロカリオシド、ムクロジオシド、trans-アネトール、trans-シンナムアルデヒド、ブリオシド、ブリオノシド、ブリオノヅルコシド、カルノシフロシド、スカンデノシド、ギペノシド、ヘマトキシリン、シアニン、クロロゲン酸、アルビジアサポニン、テロスモシド、ガウジチャウジオシド、モグロシド、例えばモグロシドV、ヘルナンヅルシン、モナチン、グリチルレチン酸およびその誘導体、特にグリチルリジン、好ましくはグリチルリジンアンモニウム塩;タウマトコッカス亜種またはステビア亜種、特にステビア・レバウディアナの抽出物、スゥイングル抽出物、特にツルレイシ属またはシラチオ・グロスベノリイまたは羅漢果、グリセリジア属亜種、特にグリセリジア・グラブラの抽出物、キイチゴ属亜種、特にテンチャ(ルブス・スアビシムス)の抽出物、アマミコウスイボク(リッピア・ヅルシス)の抽出物、好ましくはバランシンAおよび/またはバランシンBを含むミセチア・バランサエの抽出物、などの抽出物またはそのような抽出物の濃縮画分を含む天然甘味料、好ましくは天然に存在する甘い味の物質;
好ましくは、マガップ、シクラミン酸ナトリウムまたは他の生理的に許容されるシクラミン酸の塩、アセスルファムK;ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、サッカリン、サッカリンナトリウム塩、アスパルタム、スペルアスパルタム、ネオタム、アリタム、アドバンタム、ペリラルチン、スクラロース、ルグヅネーム、カレレーム、スクロノネートまたはスクロオクテートからなる群から選ばれた合成甘味料、好ましくは合成の甘い味の物質;
好ましくはスクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、メリジトース、メリビオース、ラフィノース、パラチノース、ラクツロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、l-ラムノース、D-ソルボース、D-マンノース、D-タガトース、D-アルロース、D-アラビノース、l-アラビノース、D-リボース、D-グリセルアルデヒド、マルトデキストリンからなる群から選ばれた甘い味の炭水化物ならびにこれらの炭水化物の1種類以上を、好ましくは少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも15重量%の量で含む野菜調製物であって、これらの調製物中で前記炭水化物は、天然に存在するかまたは合成の炭水化物あるいはそれらの混合物、例えば、好ましくは、蜂蜜、転化糖シロップまたはトウモロコシデンプンからの高度濃縮フルクトースシロップ、および/またはこれらの炭水化物の生理的に許容される塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩として存在してよい野菜調製物;
糖アルコール、好ましくは、グリセリン、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチット、ズルシトール、ラクチトールおよび生理的に許容されるそれらの塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩からなる群から選ばれた、好ましくは天然に存在する糖アルコール、
からなる群から選ばれた、甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物、
をさらに含み、
好ましくは、前記完成製品は、サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物と甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物とを含み、前記アロマ組成物中の前記少なくとも1種類の味覚調節剤の総量は、前記完成製品中で甘い/サワーの釣り合いを改善し、および/または甘い/サワーの不釣り合いを低下させ、および/または口あたりを改善するのに十分である、
完成製品。
【請求項11】
調製物中で甘い/サワーの釣り合いを改善し、および/または甘い/サワーの不釣り合いを低下させ、および/または口あたりを改善するための、ナリンゲニン、フロレチン、ヘスペレチン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、フィロズルチン、トリロバチン、ヒドランゲノール、ヘスペレチンジヒドロカルコン4-O-グルコシドおよびそれらのものの塩からなる群から選ばれた少なくとも1種類の味覚調節剤の使用であって、好ましくは、前記調製物は、サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物と甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物とを含む、使用。
【請求項12】
前記調製物は、請求項1~10の何れか一項においてそれぞれ定義される、目的として栄養、娯楽あるいは化粧または医薬が意図される調製物、好ましくはアロマ組成物、半完成製品および完成製品からなる群から選ばれた、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
調製物中で甘い/サワーの釣り合いを改善し、および/または甘い/サワーの不釣り合いを低下させ、および/または口あたりを改善するための方法であって、
i)甘い/サワーの釣り合いおよび/または口あたりが改善され、および/または甘い/サワーの不釣り合いが低下した調製物を準備するステップであって、好ましくは、前記調製物は、目的として栄養、娯楽あるいは化粧または医薬が意図される調製物からなる群から選ばれるステップ、
ii)請求項1~6の何れか一項に記載のアロマ組成物を提供するステップ、
iii)ステップi)において提供された調製物をステップii)において提供されたアロマ組成物と混合するステップ、
iv)任意選択として、ステップiii)において得られた混合物のさらなる処理のステップ、
v)改善された甘い/サワーの釣り合いおよび/または低下した甘い/サワーの不釣り合いおよび/または改善された口あたりを有する組成物を得るステップ
を含むかまたはからなる方法。
【請求項14】
前記調製物は、サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物、好ましくは、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ソルビン酸、カフェオタンニン酸、クエン酸、イソ-クエン酸、フマル酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グリセリン酸、グリコール酸、ケトグルタル酸、[α]-ケトグルタル酸、乳酸、ラクトイソクエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、シュウ酸、リン酸、ピルビン酸、キナ酸、シキミ酸、コハク酸、タンニン酸および酒石酸からなる群から選ばれた、好ましくは、1種類以上の食用の酸、特に好ましくは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸および酒石酸から選ばれた1種類以上の食用の酸を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記調製物は、好ましくは、
植物抽出物、例えばタンパク質(ミラキュリン、ペンタイジン、モネリン、タウマチン、クルクリン、ブラゼイン、マビンリンなど)、D-アミノ酸(D-フェニルアラニン、D-トリプトファンなど)あるいはこれらのアミノ酸および/またはタンパク質を含有する天然資源から得られる抽出物または画分ならびにこれらのアミノ酸および/またはタンパク質の生理的に許容される塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩;ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ステビオールグリコシド、ステビオシド、ステビオールビオシド、レバウジオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドG、レバウジオシドH、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドX、ズルコシド、ルブソシド、スアビオシドA、スアビオシドB、スアビオシドG、スアビオシドH、スアビオシドI、スアビオシドJ、バイユーノシド1、バイユーノシド2、フロミソシド1、フロミソシド2、フロミソシド3、フロミソシド4、アブルソシドA、アブルソシドB、アブルソシドC、アブルソシドD、シクロカリオシドA、シクロカリオシドI、オスランジン、ポリポドシドA、ストロジン1、ストロジン、2、ストロジン4、セリグエアニンA、ジヒドロクェルセチン-3-アセテート、ペリラルチン、テロスモシドA15、ペリアンドリンI~V、プテロカリオシド、シクロカリオシド、ムクロジオシド、trans-アネトール、trans-シンナムアルデヒド、ブリオシド、ブリオノシド、ブリオノヅルコシド、カルノシフロシド、スカンデノシド、ギペノシド、ヘマトキシリン、シアニン、クロロゲン酸、アルビジアサポニン、テロスモシド、ガウジチャウジオシド、モグロシド、例えばモグロシドV、ヘルナンヅルシン、モナチン、グリチルレチン酸およびその誘導体、特にグリチルリジン、好ましくはグリチルリジンアンモニウム塩;タウマトコッカス亜種またはステビア亜種、特にステビア・レバウディアナの抽出物、スゥイングル抽出物、特にツルレイシ属またはシラチオ・グロスベノリイまたは羅漢果、グリセリジア属亜種、特にグリセリジア・グラブラの抽出物、キイチゴ属亜種、特にテンチャ(ルブス・スアビシムス)の抽出物、アマミコウスイボク(リッピア・ヅルシス)の抽出物、好ましくはバランシンAおよび/またはバランシンBを含むミセチア・バランサエの抽出物、などの抽出物またはそのような抽出物の濃縮画分を含む、天然甘味料、好ましくは天然に存在する甘い味の物質;
好ましくは、マガップ、シクラミン酸ナトリウムまたは他の生理的に許容されるシクラミン酸の塩、アセスルファムK;ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、サッカリン、サッカリンナトリウム塩、アスパルタム、スペルアスパルタム、ネオタム、アリタム、アドバンタム、ペリラルチン、スクラロース、ルグヅネーム、カレレーム、スクロノネートまたはスクロオクテートからなる群から選ばれた合成甘味料、好ましくは合成の甘い味の物質;
好ましくはスクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、メリジトース、メリビオース、ラフィノース、パラチノース、ラクツロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、l-ラムノース、D-ソルボース、D-マンノース、D-タガトース、D-アルロース、D-アラビノース、l-アラビノース、D-リボース、D-グリセルアルデヒド、マルトデキストリンからなる群から選ばれた甘い味の炭水化物ならびにこれらの炭水化物の1種類以上を、好ましくは少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも15重量%の量で含む野菜調製物であって、これらの調製物中で前記炭水化物は、天然に存在するかまたは合成の炭水化物あるいはそれらの混合物、例えば、好ましくは、蜂蜜、転化糖シロップまたはトウモロコシデンプンからの高度濃縮フルクトースシロップ、および/またはこれらの炭水化物の生理的に許容される塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩として存在してよい野菜調製物;
糖アルコール、好ましくは、グリセリン、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチット、ズルシトール、ラクチトールおよび生理的に許容されるそれらの塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩からなる群から選ばれた、好ましくは天然に存在する糖アルコール、
からなる群から選ばれた、甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物を含む、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式Iを有する少なくとも1種類の味覚調節剤またはその塩を含むアロマ組成物と、そのようなアロマ組成物を含む半完成製品と、そのようなアロマ組成物および/またはそのような半完成製品を含む完成製品と、少なくとも1種類の特定の味覚調節剤の使用と、調製物中で甘い(sweet)/サワー(sour)の釣り合いを改善し、および/または甘い/サワーの不釣り合いを低下させ、および/または口あたりを改善するための方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
食品または飲料は、多くの場合、不快な味の様々な物質、例えば強い酸っぱい(acidic)物質を含有する。これらの物質は、場合によって望ましいことがある、食品または飲料の(強い)サワーな味(sour taste)(例えば甘いジュースまたは清涼飲料中の果物の酸または食用の酸)を提供する。しかし、多くの場合、この強いサワーな味は、消費者によって望まれないかまたは受け入れられず、典型的には多様な甘味物質によりもたらされる甘い味によって弱められるかまたはマスクされる。
【0003】
サワーな味は、プロトン酸によって生じる。この場合、酸っぱい味の印象(acidic taste impression)にとってpHよりいわゆる滴定可能プロトン濃度の方が重要である。例えば、比較すると、リンゴ酸溶液と同じpH値を有する塩酸溶液の方が顕著に酸っぱくない味がする。旧来の方法では、不快な酸味は、甘いフレーバー、特に砂糖との組み合わせによって大いに軽減される。しかし、この場合、甘い味の物質(例えば甘味料)を、比較的高い濃度、すなわち、通常は少なくとも2重量%スクロース水溶液(スクロース溶液)に対応する量で、大抵の場合、用いなければならない。
【0004】
同様に、通常、高い糖含有量(主にスクロース、ラクトース、グルコースまたはフルクトースあるいはそれらの混合物)を有する食品(飲料を含む食物)または準高級食材(semi-luxury foods)が甘さに起因して消費者によって強く好まれる。
【0005】
同時に、通常、高い含有量の容易に代謝可能な炭水化物は、血糖レベルが強く増加することを可能にし、脂肪質堆積物の形成につながり、最終的には健康問題、例えば過剰体重、肥満、インスリン抵抗性、遅発性糖尿病ならびにそれらの二次疾患につながりかねないことが一般に知られている。特に、上述の炭水化物の多くは、口腔中の特定のタイプの細菌によって分解されて例えば乳酸になり、青年期または成人期の歯の歯エナメルを攻撃する(例えば虫歯の原因になる)ことができるので歯の健康にも影響を及ぼしかねないという、さらなる問題もある。従って、食品および/または準高級食材の糖含有量を絶対的に必要な量まで低下させることが長らく目的であり方針であった。
【0006】
この手法の負の影響は、標的とされる製品中の糖含有量を低下させることによって、上記に記載の酸マスキング効果が悪影響を受けることである。従って、これらの製品中の甘い感覚とサワーな感覚との釣り合いが乱され、消費者にとって不快かつ釣り合いのとれていないものとなる。このことは、上記に記載のサワーな味の印象が望まれる製品にもあてはまる。これらの製品においてもサワーな味は、あまり強くなると不快と感じられるからである。
【0007】
酸っぱい味(acidic taste)を呼び起こす成分の低下は、おそらくこの釣り合いを回復するだろう。しかし、多数の事例、例えば甘い果物または野菜およびサワーな果物または野菜から導かれた食品(例えば果物ジュース、果物調製品およびそれらから作られた食品)ならびに酸を産生する微生物を用いる発酵によって作られた製品(例えば、ヨーグルト、牛酪油、ケフィール、大豆ヨーグルト、ザワークラウト、サワードーブレッド、ソーセージ、サワーミルク、チーズ、ミックスドピクルス、ラクトビオン酸またはグルクロン酸含有ソフトドリンク)において、酸の量は、製品の微生物安定性を生み出すために必要である。従って、酸っぱい味を呼び起こす成分の量を単に低下させることは、通常、可能でない。
【0008】
そのような食品および準高級食材に加工される組成物および半完成製品にも同じことがあてはまる。
【0009】
典型的に、最新の技術では、上記に記載されたように甘い味の糖成分を減らすことによって強められた酸っぱい味は、1種類以上の甘味料で人為的に甘い味の印象を増加させることによってマスクされるかまた低下する。これらのものは、自体はカロリー値を持たないかまたは非常に低いカロリー値だけを持ち、同時に強い甘い味の印象を与える化学的に均一な物質である。これらの物質は、通常、非う蝕性である(総説 非特許文献1)。これらのものの一部は、バルク甘味料、例えば傑出した甘味料であり、食品技術に関連する糖の残余の特性を部分的に置き換えることもできるが、あまり頻繁な摂取は一部の人々の間で浸透圧的に誘導される消化問題につながるソルビトール、マンニトールまたは他の糖アルコールとして公知である。使用時の低い濃度に起因して、非栄養的な高強度の甘味料は、食品に甘さを持ち込むのに非常に適しているが、糖に似ていない時間-強度プロファイルの結果として、多くの場合に味覚に関連する問題(例えばスクラロース、ステビオシド、サイクラメート)、苦い後味および/または渋い後味(例えばアセフルファムK、サッカリン)、またははっきりした追加のフレーバー印象(例えばグリチルレチン酸アンモニウム塩)を示す。甘味料の一部は、熱に対して特に安定というわけではなく(例えばタウマチン、ブラゼイン、モネリン)、すべての用途において安定ではなく(例えばアスパルテーム)、ときには甘い効果の点で非常に長続きする(強い甘い後味、例えばサッカリン)。
【0010】
例えば特許文献1に記載されているタンニン酸または特許文献2におけるフェノール酸を用いて味特性、特に非栄養的な高強度甘味料の後味の問題における改善を実現することができる。しかし、このタイプの物質は、それらのカテコール単位のせいで利用時に特に安定というわけではない。
【0011】
さらなる可能性―非栄養的な甘味料を用いることのない―は、例えば特許文献3に記載されているように、食品および/または準高級食材の糖含有量を減らし、間接的にまたは直接的に甘さを増強する感覚的に弱いかまたは感じることができない物質を添加することにある。しかし、特許文献3に記載されている物質は、明示的に非天然起源であり、従って、毒物学的な観点から評価することが天然起源の物質より難しく、特に後者が食品または準高級食材中に存在するかまたは食品または準高級食材を得るための原料に由来する場合、製品成分一覧においてしかるべく宣言される必要がある。
【0012】
特許文献4は、非栄養的な天然起源の甘味料(ピリジニウムベタイン)を記載している。しかし、それらは、むしろ他の味覚、例えば風味の良さまたは塩味が影響を受けるのであって、選択的に甘い味に影響を及ぼすのではない。さらに、開示されている物質は、高い費用をかけてはじめて精製することができる。
【0013】
こうして、甘味料を用いることにより、甘い味の印象は、消費者がもはやサワーな味の印象を少なくとも不快と感じないくらい強くなる。しかし、多くの場合、甘い味の印象とサワーな味の印象とを完璧に釣り合わせる甘味料の正しい量を見いだすことは難しい。典型的に、甘味料は、サワーな味の印象をマスクするかまたは低下させるために大量に加えられる必要がある。しかし、これらの量において、甘味料は、自体が上記に記載された負の、通常は苦い味の印象を生じる。さらに、そのような多量の甘味料は、例えばそのような強い甘い味の印象が望まれていない製品において、多くの場合に適用可能でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第98/20753号
【特許文献2】米国特許第3,924,017号
【特許文献3】国際公開第2005/041684号
【特許文献4】欧州特許出願公開第1 291 342(A1)号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】バレリー・B・ダフィー(Valerie B.Duffy)、マドレーヌ・シグマン-グラン(Madeleine Sigman-Grant)、マーガレット・A・パワーズ(Margaret A.Powers)、ドニーズ・エルモア(Denise Elmore)、エスター・F・マイヤーズ(Esther F.Myers)、ディアーヌ・クアリアーニ(Diane Quagliani)、マリー・スパーノ(Marie Spano)、キンバリー・F・スティツェル(Kimberly F.Stitzel)スー・テイラー(Sue Taylor)、ロバート・アール(Robert Earl)およびソニア・コナー(Sonja Connor)、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ダイエティック・アソシエーション(Journal of the American Dietetic Association)、104巻2号255~275頁(2004年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、化合物の、また調製物中の、特に食品および医薬品中の酸っぱい味の印象を、好ましくはこれらの調製物の所望の味の印象に影響を及ぼすことなくマスクし、および/または減らすことができるアロマ組成物を提供することが本発明の第1の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の目的は、アロマ組成物によって実現され、アロマ組成物は、一般式I
【0018】
【化1】
【0019】
(式中、XおよびYは、互いに独立に、-CH-またはOを示し、
X=-CH-およびY=O、または
X=OおよびY=-CH
の何れかであり、前提条件として、
X=-CH-およびY=Oの場合、R1とR2とが一緒に単結合を表すかまたはR1=HおよびR2=Hであり、
X=-O-およびY=-CH-の場合、R1とR2とが一緒に単結合を表し、
R3は、-Hまたは-OHを示し、
R4は、-Hまたは‐CHを示し、
好ましくは、
R3とR4とが-Hを示すか、または、
R3が-OHを示し、R4が-CHを示し、
R5は、-H、-OH、または-O-グルコピラノシド、好ましくは-H、-OHまたは-O-β-D-グルコピラノシドを示す)
を有する少なくとも1種類の味覚調節剤またはその塩を含み、
アロマ組成物中の少なくとも1種類の味覚調節剤の総量は、
少なくとも1種類の味覚調節剤がアロマ組成物中で甘さ印象を提供しないかまたは1.5%スクロース当量未満の甘さ印象を提供する程度、かつ
少なくとも1種類の味覚調節剤の総量がアロマ組成物中で甘い味の物質/存在する場合の別の甘い味の物質、の甘さを増強するのに十分でない程度である。
【0020】
用語「R1とR2とが一緒に単結合を表す」とは、R1に結合している式(I)のYとR2に結合している式(I)の炭素原子とが一緒に単結合で結合され、従ってXと別の3つの炭素原子とをさらに含む閉じた6員環構造の一部を形成すると理解されるべきであることを意味する。
【0021】
驚くべきことに、マスクし、および/または低下させる際に式(I)による味覚調節剤を、味覚調節剤自体は甘い味を提供しないかまたは1.5%スクロース当量未満である甘い味だけを提供する濃度で加えることによって酸っぱい味の印象を釣り合わせると、特に有利であることが見いだされた。このことは、甘い味の印象を(強く)増加させるかまたは追加することによって酸っぱい味の印象がマスクされる先行技術における手順とは対照的である。
【0022】
本明細書において用いられる用語「酸っぱい味(acidic taste)」、「酸っぱい味の印象(acidic taste impression)」、「サワーな味(sour taste)」および「サワーな味の印象(sour taste impression)」は、好ましくは、区別なく用いることができる。
【0023】
用語「少なくとも1種類の味覚調節剤が甘さ印象を提供しないかまたは1.5%スクロース当量未満の甘さ印象を提供する程度」とは、それぞれの味覚調節剤それ自体/それら自体は、甘い味を有しないかまたは1.5%スクロース当量未満の甘い味を有する程度と理解されるべきであることを意味する。いくつかの味覚調節剤が存在する場合、好ましくはすべての味覚調節剤の組み合わせは、甘い味を有しないかまたは1.5%スクロース当量未満の甘い味を有する。
【0024】
対照的に、用語「少なくとも1種類の味覚調節剤の総量が甘い味の物質/別の甘い味の物質の甘さを増強するのに十分でない程度」とは、アロマ組成物中に存在する(別の)他の物質を指している。その甘さが、本発明によるアロマ組成物中の式(I)によるすべての味覚調節剤の総量と一緒でも増強されない。
【0025】
甘い味を提供する(または提供しない)味覚調節剤について、甘さが測定されなければならない。甘さの測定は、典型的には、「パーセントスクロース当量(sucrose equivalent)」に基づく。
【0026】
甘さは、普通、他のすべての甘味料が比較される標準であるスクロースの参照溶液との比較によって測定される。スクロース溶液中の甘さを認識するヒトの閾値は、大体1.5%スクロースであり、従ってこれが1.5%スクロース当量と定義される。比較すると、コーヒーは、典型的に5%スクロース溶液に相当する程度(5%スクロース当量)に甘くされるが、ソフトドリンクは、典型的に10%スクロース溶液と同じくらい甘い(10%スクロース当量)。甘さを評価するために、味覚パネリストが、2~15%スクロース溶液を参照物として用いて甘さを定量するように要請される。次に、他の甘味料が、所定のパーセントスクロース参照物と同じように甘い濃度を決定するために、一連の希釈率で味見される。
【0027】
驚くべきことに、本発明によるアロマ組成物は、酸っぱい味の印象を低下させ、および/またはマスクするだけでなく、他の、所望の味の印象にも正の効果を及ぼし得ることがさらに見いだされた。従って、式(I)による少なくとも1種類の味覚調節剤の総量は、所望の味の印象、好ましくは、スパイシー、口あたり、複雑な、釣り合いの良い、ジューシー、フローラル、豊かおよびそれらの組み合わせ、例えばスパイシー、ジューシーおよび/またはフローラル、から選ばれた1つ以上を改善するかまたは増強するために十分であることが好ましい。
【0028】
上記に記載の味の印象のすべては、味の印象を記述するためにパネリストによって用いられる共通の味の印象であり、従って当業者に公知である。そのような所望の味の印象(または好ましくは何れかの味の印象)が改善されるかまたは増強されるかどうかを判定するために、パネリストによって実施される簡単な検定(通常は2回繰り返し、好ましくは3回繰り返し)が適用されることがあり、その場合、パネリストは、例えば、式(I)による少なくとも1種類の味覚調節剤を有する試料および有しない試料および/または様々な量の式(I)による少なくとも1種類の味覚調節剤を有する種々の試料を評価する。
【0029】
少なくとも1種類の味覚調節剤は、ナリンゲニン、フロレチン、ヘスペレチン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、フィロズルチン、トリロバチン、ヒドランゲノール、ヘスペレチンジヒドロカルコン4-O-グルコシドおよびそれらの塩からなる群から選ばれると好ましい。さらに、少なくとも1種類の味覚調節剤は、
- フロレチン、
- ヘスペレチン、
- ヘスペレチンジヒドロカルコン、
- ナリンゲニン、
- フィロズルチン、
- フロレチンと、ナリンゲニン、ヘスペレチン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、フィロズルチン、トリロバチン、ヒドランゲノール、ヘスペレチンジヒドロカルコン4-O-グルコシドからなる群から選ばれた少なくとも1種類のさらなる味覚調節剤と、
であるか、またはそれらの塩であると好ましい。
【0030】
本明細書において用いられる用語「およびそれらの塩」と「またはそれらの塩」とは、区別なく用いられ、ともに、式(I)によるいくつかの種類の味覚調節剤が用いられる場合、少なくとも1種類は、上述の味覚調節剤の塩として存在するが、他の種類は、上記に記載される味覚調節剤および/またはそれらの塩として存在することがあると理解されるべきである。従って、2種類以上の味覚調節剤が用いられる場合、本発明によるアロマ組成物は、これらの味覚調節剤の混合物を含み、
- 味覚調節剤のすべてが上記に記載されたように、すなわちそれらの塩としてではなく存在するか、
- 味覚調節剤のすべてが上記に記載の味覚調節剤の塩として存在し、塩は、何れかの生理的に許容されるそれらの塩のことがあるか、または
- 味覚調節剤の1種類以上が上記に記載の味覚調節剤の塩として存在し、塩は、何れかの生理的に許容されるそれらの塩のことがあり、アロマ組成物は、上記に記載の、すなわち塩としてではない少なくとも1種類の味覚調節剤ならびにこの/これらの味覚調節剤の塩を含むことがある可能性を含んでいる。
【0031】
驚くべきことに、酸っぱい味の印象をマスクし、および/または低下させる上でフロレチンが特に有利であることが見いだされた。
【0032】
上記に列挙された味覚調節剤は、以下の化学構造式によって記述される。一致しない点があった場合、下記に図示される化学構造式が該化合物であり、それが本明細書において参照される。
【0033】
【化2】
【0034】
【化3】
【0035】
【化4】
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】
【化8】
【0040】
【化9】
【0041】
さらに、本発明によるアロマ組成物は、一般式Iを有する2種類の味覚調節剤を含み、これらの味覚調節剤が、
- フロレチンおよびヘスペレチン
- フロレチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコン
- ヘスペレチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコン
- フロレチンおよびナリンゲニン
- ナリンゲニンおよびヘスペレチン
- フロレチンおよびフィロズルチン
- ヘスペレチンおよびフィロズルチン
- ヘスペレチンジヒドロカルコンおよびナリンゲニン
または
- ヘスペレチンジヒドロカルコンおよびフィロズルチン
またはそれらの塩であると好ましい。
【0042】
本発明によるアロマ組成物は、一般式Iを有する3種類の味覚調節剤を含み、これらの味覚調節剤が、
- フロレチン、ヘスペレチンおよびナリンゲニン
- フロレチン、ヘスペレチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコン
- フロレチン、ナリンゲニンおよびヘスペレチンジヒドロカルコン
- フロレチン、フィロズルチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコン
- ヘスペレチン、フィロズルチンおよびヘスペレチンジヒドロカルコン
- フロレチン、ヘスペレチンおよびフィロズルチン
- フロレチン、ナリンゲニンおよびフィロズルチン
- ヘスペレチン、ナリンゲニンおよびフィロズルチン
- フロレチン、ヘスペレチンおよびトリロバチン
- フロレチン、ナリンゲニンおよびトリロバチン
- ヘスペレチン、ナリンゲニンおよびトリロバチン
またはそれらの塩であっても好ましい。
【0043】
驚くべきことに、上記に記載のこれらの化合物またはこれらの化合物の組み合わせは、本発明による組成物中の味覚調節剤として用いられると特に有利であることが見いだされた。
【0044】
さらに、本発明によるアロマ組成物において、少なくとも1種類の味覚調節剤は、0.5~100ppmの総量で、好ましくは1~80ppmの総量で、もっとも好ましくは1.5~60ppmの総量で存在すると好ましい。
【0045】
用語「少なくとも1種類の味覚調節剤が、の総量で存在する」は、式(I)によるすべての味覚調節剤の総量が、記載される範囲の中にあると理解されるべきであることを意味する。
【0046】
驚くべきことに、この範囲の中で酸っぱい味のマスキングおよび/または低下が特に有利であることが見いだされた。
【0047】
なお、上記に記載された式(I)による味覚調節剤の総量についての条件、すなわち、少なくとも1種類の味覚調節剤がアロマ組成物中で甘さ印象を提供しないかまたは1.5%スクロース当量未満の甘さ印象を提供する程度、かつ少なくとも1種類の味覚調節剤の総量がアロマ組成物中で甘い味の物質/存在する場合の別の甘い味の物質の甘さを増強するのに十分でない程度、が依然適用される。
【0048】
典型的に、本発明によるアロマ組成物中の式(I)による味覚調節剤の総量が上記に記載された範囲の中にあるとすべての条件が満たされる。すべての条件が満たされることを確認することは、上記に記載されたように簡単な手順であり、これらの条件が満たされているかどうかを決定するために最新技術において普通にかつ日常的に実施されている手順である。従って、当業者は、式(I)による少なくとも1種類の味覚調節剤が上記で好ましいと記載された総量でアロマ組成物中に存在するかどうか、およびそれ自体/それら自体で甘さ印象を提供するかまたは提供しないか(および提供する場合はどの程度)、または組成物中の物質/別の物質の甘さを増強するかまたはしないかを容易に決定することができる。
【0049】
従って、組成物中の式(I)による味覚調節剤の総量は、
- 少なくとも1種類の味覚調節剤がアロマ組成物中で甘さ印象を提供しないかまたは1.5%スクロース当量未満の甘さ印象を提供する程度であり、かつ少なくとも1種類の味覚調節剤の総量がアロマ組成物中で甘い味の物質/存在する場合の別の甘い味の物質の甘さを増強するのに十分でない程度であり、
同時に
- 0.5~100ppmの範囲、好ましくは1~80ppmの範囲、もっとも好ましくは1.5~60ppmの範囲にある
と好ましい。
【0050】
驚くべきことに、式(I)による味覚調節剤は、酸っぱい味の印象をマスクし、および/または低下させるのに特に有利であることが見いだされた。多くの用途、例えばいくつかの食品または準高級食材において、サワーな味は、概して望ましいが、不快な程度になると望ましくない。従って、この場合、サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物が存在する必要がある。さらに、そのような化合物が酸であれば、組成物中のpH値を微生物的に安定であるように調整するために用いられることがあるので有益である。さらに、本発明によるアロマ組成物は、例えば食品または準高級食材中に存在すると消費されることがあるので、(この場合)上記に記載された、サワーな味をもたらし、微生物安定性のために必要とされる必要なpH値を提供する化合物は、生理的に許容される必要がある。
【0051】
従って、アロマ組成物は、さらに、好ましくは、サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物、好ましくは酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ソルビン酸、カフェオタンニン酸、クエン酸、イソ-クエン酸、フマル酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グリセリン酸、グリコール酸、ケトグルタル酸、[α]-ケトグルタル酸、乳酸、ラクトイソクエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、シュウ酸、リン酸、ピルビン酸、キナ酸、シキミ酸、コハク酸、タンニン酸および酒石酸からなる群から選ばれた好ましくは1種類以上の食用酸、特に好ましくは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸および酒石酸から選ばれた1種類以上の食用酸を含む。
【0052】
さらに、多くの用途において、アロマ組成物自体が、例えば食品または準高級食材中に存在するとき、甘い味の印象を提供すると有利である。従って、この場合、甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物が存在する必要が少なくともある。また、この場合、甘い味をもたらす化合物が生理的に許容されることが必要である。
【0053】
従って、サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物について記載されたことに加えて、または代えて、本発明によるアロマ組成物は、さらに、好ましくは、
植物抽出物、例えばタンパク質(ミラキュリン、ペンタイジン、モネリン、タウマチン、クルクリン、ブラゼイン、マビンリンなど)、D-アミノ酸(D-フェニルアラニン、D-トリプトファンなど)あるいはこれらのアミノ酸および/またはタンパク質を含有する天然資源から得られる抽出物または画分ならびにこれらのアミノ酸および/またはタンパク質の生理的に許容される塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩;ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ステビオールジルコシド、ステビオシド、ステビオールビオシド、レバウジオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドG、レバウジオシドH、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドX、ズルコシド、ルブソシド、スアビオシドA、スアビオシドB、スアビオシドG、スアビオシドH、スアビオシドI、スアビオシドJ、バイユーノシド1、バイユーノシド2、フロミソシド1、フロミソシド2、フロミソシド3、フロミソシド4、アブルソシドA、アブルソシドB、アブルソシドC、アブルソシドD、シクロカリオシドA、シクロカリオシドI、オスランジン、ポリポドシドA、ストロジン1、ストロジン、2、ストロジン4、セリグエアニンA、ジヒドロクェルセチン-3-アセテート、ペリラルチン、テロスモシドA15、ペリアンドリンI~V、プテロカリオシド、シクロカリオシド、ムクロジオシド、trans-アネトール、trans-シンナムアルデヒド、ブリオシド、ブリオノシド、ブリオノヅルコシド、カルノシフロシド、スカンデノシド、ギペノシド、ヘマトキシリン、シアニン、クロロゲン酸、アルビジアサポニン、テロスモシド、ガウジチャウジオシド、モグロシド、例えばモグロシドV、ヘルナンヅルシン、モナチン、グリチルレチン酸およびその誘導体、特にグリチルリジン、好ましくはグリチルリジンアンモニウム塩;タウマトコッカス亜種またはステビア亜種、特にステビア・レバウディアナ(stevia rebaudiana)の抽出物、スゥイングル抽出物、特にツルレイシ属またはシラチオ・グロスベノリイ(siratio grosvenorii)または羅漢果、グリセリジア属亜種、特にグリセリジア・グラブラ(glycerrhyzia glabra)の抽出物、キイチゴ属(rubus)亜種、特にテンチャ(ルブス・スアビシムス(rubus suavissimus))の抽出物、アマミコウスイボク(リッピア・ヅルシス(lippia dulcis))の抽出物、好ましくはバランシンAおよび/またはバランシンBを含むミセチア・バランサエ(mycetia balansae)の抽出物、あるいは欧州特許第11168468号に記載のさらなる抽出物などの抽出物またはそのような抽出物の濃縮画分を含む天然甘味料、好ましくは天然に存在する甘い味の物質;
好ましくは、マガップ(magap)、シクラミン酸ナトリウムまたは他の生理的に許容されるシクラミン酸の塩、アセスルファムカリウム(acesulfam K);ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、サッカリン、サッカリンナトリウム塩、アスパルタム(aspartam)、スペルアスパルタム(superaspartam)、ネオタム(neotam)、アリタム(alitam)、アドバンタム(advantam)、ペリラルチン、スクラロース、ルグヅネーム、カレレーム(carrelame)、スクロノネートまたはスクロオクテートからなる群から選ばれた合成甘味料、好ましくは合成の甘い味の物質;
好ましくはスクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、メリジトース、メリビオース、ラフィノース、パラチノース、ラクツロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、l-ラムノース、D-ソルボース、D-マンノース、D-タガトース、D-アルロース、D-アラビノース、l-アラビノース、D-リボース、D-グリセルアルデヒド、マルトデキストリンからなる群から選ばれた甘い味の炭水化物ならびにこれらの炭水化物の1種類以上を、好ましくは少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも15重量%の量で含む野菜調製物であって、これらの調製物中で炭水化物は、天然に存在するかまたは合成の炭水化物あるいはそれらの混合物、例えば、好ましくは、蜂蜜、転化糖シロップまたはトウモロコシデンプンからの高度濃縮フルクトースシロップ、および/またはこれらの炭水化物の生理的に許容される塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩として存在してよい野菜調製物;
糖アルコール、好ましくはグリセリン、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチット、ズルシトール、ラクチトールおよび生理的に許容されるそれらの塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩からなる群から選ばれた、好ましくは天然に存在する糖アルコール、
からなる群から選ばれた、甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物を含むと好ましい。
【0054】
さらに、本発明によるアロマ組成物は、好ましくは上記に記載された、サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物と、好ましくは上記に記載された、甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物と、を含み、
アロマ組成物中の少なくとも1種類の味覚調節剤の総量は、組成物中で甘い/サワーの釣り合いを改善し、および/または甘い/サワーの不釣り合いを低下させ、および/または口あたりを改善するのに十分であると好ましい。上記に記載されたように、これらの特性は、例えばパネリストの評価によって容易に決定することができる。
【0055】
用語「甘い/サワーの釣り合いを改善する」とは、サワーな味の印象と甘い味の印象との釣り合いが、消費者が総じて快いかまたは少なくとも不快ではないと感じる範囲にある、すなわち釣り合いがとれていると理解されるべきであることを意味する。しかし、消費者のそのような感覚は、広い範囲の甘い/サワーの釣り合いを含む。従って、甘い/サワーの釣り合いを改善することは、上記に記載された限界内ではあるが甘い味の印象を増強し、および/またはサワーな味の印象を低下させ、および/またはマスクすることによって実現される。
【0056】
用語「甘い/サワーの不釣り合いを低下させる」とは、サワーな味の印象と甘い味の印象との釣り合いが、消費者が総じて不快であるかまたは少なくとも快くはないと感じる範囲にある、すなわち釣り合いがとれていないと理解されるべきであることを意味する。しかし、消費者のそのような感覚は、広い範囲の甘い/サワーの釣り合いを含む。従って、甘い/サワーの不釣り合いを低下させることは、上記に記載された限界内ではあるが甘い味の印象を増強し、および/またはサワーな味の印象を低下させ、および/またはマスクすることによって実現される。
【0057】
本発明は、さらに、本発明によるアロマ組成物を含む、栄養、娯楽あるいは化粧または医薬を目的として意図される半完成製品に関する。
【0058】
本発明によるアロマ組成物に関して上記で言及されたことは、半完成製品中に含まれるアロマ組成物および/または半完成製品自体に適宜適用される。
【0059】
半完成製品中の少なくとも1種類の味覚調節剤の総量は、少なくとも1種類の味覚調節剤が半完成製品中で甘さ印象を提供しないかまたは1.5%スクロース当量未満の甘さ印象を提供する程度であり、かつ少なくとも1種類の味覚調節剤の総量は、半完成製品中で甘い味の物質/存在する場合の別の甘い味の物質の甘さを増強するのに十分でない程度であると好ましい。
【0060】
従って、かつ上記で概略が示された理由により、半完成製品は、さらに、
サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物、好ましくは酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ソルビン酸、カフェオタンニン酸、クエン酸、イソ-クエン酸、フマル酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グリセリン酸、グリコール酸、ケトグルタル酸、[α]-ケトグルタル酸、乳酸、ラクトイソクエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、シュウ酸、リン酸、ピルビン酸、キナ酸、シキミ酸、コハク酸、タンニン酸および酒石酸からなる群から選ばれた好ましくは1種類以上の食用酸、特に好ましくは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸および酒石酸から選ばれた1種類以上の食用酸、
およびまたは
好ましくは、
植物抽出物、例えばタンパク質(ミラキュリン、ペンタイジン、モネリン、タウマチン、クルクリン、ブラゼイン、マビンリンなど)、D-アミノ酸(D-フェニルアラニン、D-トリプトファンなど)あるいはこれらのアミノ酸および/またはタンパク質を含有する天然資源から得られる抽出物または画分ならびにこれらのアミノ酸および/またはタンパク質の生理的に許容される塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩;ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ステビオールグリコシド、ステビオシド、ステビオールビオシド、レバウジオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドG、レバウジオシドH、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドX、ズルコシド、ルブソシド、スアビオシドA、スアビオシドB、スアビオシドG、スアビオシドH、スアビオシドI、スアビオシドJ、バイユーノシド1、バイユーノシド2、フロミソシド1、フロミソシド2、フロミソシド3、フロミソシド4、アブルソシドA、アブルソシドB、アブルソシドC、アブルソシドD、シクロカリオシドA、シクロカリオシドI、オスランジン、ポリポドシドA、ストロジン1、ストロジン、2、ストロジン4、セリグエアニンA、ジヒドロクェルセチン-3-アセテート、ペリラルチン、テロスモシドA15、ペリアンドリンI~V、プテロカリオシド、シクロカリオシド、ムクロジオシド、trans-アネトール、trans-シンナムアルデヒド、ブリオシド、ブリオノシド、ブリオノヅルコシド、カルノシフロシド、スカンデノシド、ギペノシド、ヘマトキシリン、シアニン、クロロゲン酸、アルビジアサポニン、テロスモシド、ガウジチャウジオシド、モグロシド、例えばモグロシドV、ヘルナンヅルシン、モナチン、グリチルレチン酸およびその誘導体、特にグリチルリジン、好ましくはグリチルリジンアンモニウム塩;タウマトコッカス亜種またはステビア亜種、特にステビア・レバウディアナの抽出物、スゥイングル抽出物、特にツルレイシ属またはシラチオ・グロスベノリイまたは羅漢果、グリセリジア属亜種、特にグリセリジア・グラブラの抽出物、キイチゴ属亜種、特にテンチャ(ルブス・スアビシムス)の抽出物、アマミコウスイボク(リッピア・ヅルシス)の抽出物、好ましくはバランシンAおよび/またはバランシンBを含むミセチア・バランサエの抽出物、あるいは欧州特許第11168468号に記載のさらなる抽出物などの抽出物またはそのような抽出物の濃縮画分を含む天然甘味料、好ましくは天然に存在する甘い味の物質;
好ましくは、マガップ、シクラミン酸ナトリウムまたは他の生理的に許容されるシクラミン酸の塩、アセスルファムカリウム;ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、サッカリン、サッカリンナトリウム塩、アスパルタム、スペルアスパルタム、ネオタム、アリタム、アドバンタム、ペリラルチン、スクラロース、ルグヅネーム、カレレーム、スクロノネートまたはスクロオクテートからなる群から選ばれた合成甘味料、好ましくは合成の甘い味の物質;
好ましくはスクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、メリジトース、メリビオース、ラフィノース、パラチノース、ラクツロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、l-ラムノース、D-ソルボース、D-マンノース、D-タガトース、D-アルロース、D-アラビノース、l-アラビノース、D-リボース、D-グリセルアルデヒド、マルトデキストリンからなる群から選ばれた甘い味の炭水化物ならびにこれらの炭水化物の1種類以上を好ましくは少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも15重量%の量で含む野菜調製物であって、これらの調製物において、炭水化物は、天然に存在するかまたは合成の炭水化物あるいはそれらの混合物、例えば、好ましくは、蜂蜜、転化糖シロップまたはトウモロコシデンプンからの高度濃縮フルクトースシロップ、および/またはこれらの炭水化物の生理的に許容される塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩として存在してよい野菜調製物;
糖アルコール、好ましくはグリセリン、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチット、ズルシトール、ラクチトールおよび生理的に許容されるそれらの塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩からなる群から選ばれた、好ましくは天然に存在する糖アルコール、
からなる群から選ばれた、甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物を含み、
好ましくは、半完成製品は、サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物と甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物とを含み、アロマ組成物中の、好ましくは半完成製品中の少なくとも1種類の味覚調節剤の総量は、半完成製品中で甘い/サワーの釣り合いを改善し、および/または甘い/サワーの不釣り合いを低下させ、および/または口あたりを改善するのに十分であると好ましい。
【0061】
サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物および/または甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物は、半完成製品を製造するために加えられる前に、本発明によるアロマ組成物中に存在することがある。さらにまたはあるいは、サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物および/または甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物は、半完成製品を製造するとき、本発明によるアロマ組成物より別個の成分(および/または別個の成分の混合物)中に存在することがある。
【0062】
半完成製品を製造するために加えられる前に、アロマ組成物は、サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物または甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物を含むが両方は含まず、かつ半完成製品を製造するための別個の成分(および/または別個の成分の混合物)は、甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物またはサワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物を含んでいても好ましい。従って、半完成製品だけがサワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物と甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物との両方を含み、半完成製品を製造するためのアロマ組成物が両方を含むことはない。この場合、本発明によるアロマ組成物によって生じる所望の効果は、半完成製品の製造時/製造後に得られる。
【0063】
好ましくは、半完成製品とは、フレーバー材料および味付け物質の非常に高い含有量のためにすぐに食べられる経口消費可能製品(特に経口の食材(stuff)または食品(feed))としての使用に適さない経口消費可能製品と理解されるべきである。少なくとも1種類のさらなる構成要素と混合する(例えば問題のフレーバー材料および味付け物質の濃度を低くする)ことおよび任意選択としてさらなるプロセスステップ(例えば加熱、冷凍)によってのみ、半完成製品は、すぐに食べられる経口消費可能製品(特に経口の食材または食品)に変換される。
【0064】
本発明は、さらに、本発明によるアロマ組成物または本発明による半完成製品を含む、目的として栄養、娯楽あるいは化粧または医薬が意図される完成製品に関する。
【0065】
本発明によるアロマ組成物に関して上記に記載されたことは、完成製品に含まれるアロマ組成物に適宜適用される。
【0066】
完成製品中の少なくとも1種類の味覚調節剤の総量は、少なくとも1種類の味覚調節剤が完成製品中で甘さ印象を提供しないかまたは1.5%スクロース当量未満の甘さ印象を提供する程度であり、かつ少なくとも1種類の味覚調節剤の総量が完成製品中で甘い味の物質/存在する場合の別の甘い味の物質の甘さを増強するのに十分でない程度であるとさらに好ましい。
【0067】
従って、かつ上記で概略が示された理由により、完成製品は、さらに、
サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物、好ましくは酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ソルビン酸、カフェオタンニン酸、クエン酸、イソ-クエン酸、フマル酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グリセリン酸、グリコール酸、ケトグルタル酸、[α]-ケトグルタル酸、乳酸、ラクトイソクエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、シュウ酸、リン酸、ピルビン酸、キナ酸、シキミ酸、コハク酸、タンニン酸および酒石酸からなる群から選ばれた好ましくは1種類以上の食用酸、特に好ましくは、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸および酒石酸から選ばれた1種類以上の食用酸、
およびまたは
好ましくは、
植物抽出物、例えばタンパク質(ミラキュリン、ペンタイジン、モネリン、タウマチン、クルクリン、ブラゼイン、マビンリンなど)、D-アミノ酸(D-フェニルアラニン、D-トリプトファンなど)あるいはこれらのアミノ酸および/またはタンパク質を含有する天然資源から得られる抽出物または画分ならびにこれらのアミノ酸および/またはタンパク質の生理的に許容される塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩;ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ステビオールグリコシド、ステビオシド、ステビオールビオシド、レバウジオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドG、レバウジオシドH、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドX、ズルコシド、ルブソシド、スアビオシドA、スアビオシドB、スアビオシドG、スアビオシドH、スアビオシドI、スアビオシドJ、バイユーノシド1、バイユーノシド2、フロミソシド1、フロミソシド2、フロミソシド3、フロミソシド4、アブルソシドA、アブルソシドB、アブルソシドC、アブルソシドD、シクロカリオシドA、シクロカリオシドI、オスランジン、ポリポドシドA、ストロジン1、ストロジン、2、ストロジン4、セリグエアニンA、ジヒドロクェルセチン-3-アセテート、ペリラルチン、テロスモシドA15、ペリアンドリンI~V、プテロカリオシド、シクロカリオシド、ムクロジオシド、trans-アネトール、trans-シンナムアルデヒド、ブリオシド、ブリオノシド、ブリオノヅルコシド、カルノシフロシド、スカンデノシド、ギペノシド、ヘマトキシリン、シアニン、クロロゲン酸、アルビジアサポニン、テロスモシド、ガウジチャウジオシド、モグロシド、例えばモグロシドV、ヘルナンヅルシン、モナチン、グリチルレチン酸およびその誘導体、特にグリチルリジン、好ましくはグリチルリジンアンモニウム塩;タウマトコッカス亜種またはステビア亜種、特にステビア・レバウディアナの抽出物、スゥイングル抽出物、特にツルレイシ属またはシラチオ・グロスベノリイまたは羅漢果、グリセリジア属亜種、特にグリセリジア・グラブラの抽出物、キイチゴ属亜種、特にテンチャ(ルブス・スアビシムス)の抽出物、アマミコウスイボク(リッピア・ヅルシス)の抽出物、好ましくはバランシンAおよび/またはバランシンBを含むミセチア・バランサエの抽出物、あるいは欧州特許第11168468号に記載のさらなる抽出物などの抽出物またはそのような抽出物の濃縮画分を含む天然甘味料、好ましくは天然に存在する甘い味の物質;
好ましくは、マガップ、シクラミン酸ナトリウムまたは他の生理的に許容されるシクラミン酸の塩、アセスルファムカリウム;ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、サッカリン、サッカリンナトリウム塩、アスパルタム、スペルアスパルタム、ネオタム、アリタム、アドバンタム、ペリラルチン、スクラロース、ルグヅネーム、カレレーム、スクロノネートまたはスクロオクテートからなる群から選ばれた合成甘味料、好ましくは合成の甘い味の物質;
好ましくはスクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、メリジトース、メリビオース、ラフィノース、パラチノース、ラクツロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、l-ラムノース、D-ソルボース、D-マンノース、D-タガトース、D-アルロース、D-アラビノース、l-アラビノース、D-リボース、D-グリセルアルデヒド、マルトデキストリンからなる群から選ばれた甘い味の炭水化物ならびにこれらの炭水化物の1種類以上を、好ましくは少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも15重量%の量で含む野菜調製物であって、これらの調製物中で炭水化物は、天然に存在するかまたは合成の炭水化物あるいはそれらの混合物、例えば、好ましくは、蜂蜜、転化糖シロップまたはトウモロコシデンプンからの高度濃縮フルクトースシロップ、および/またはこれらの炭水化物の生理的に許容される塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩として存在してよい野菜調製物;
糖アルコール、好ましくはグリセリン、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチット、ズルシトール、ラクチトールおよび生理的に許容されるそれらの塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩からなる群から選ばれた、好ましくは天然に存在する糖アルコール、
からなる群から選ばれた、甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物を含み、
好ましくは、完成製品は、サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物と甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物とを含み、アロマ組成物中の、好ましくは半完成製品中の、特に好ましくは完成製品中の少なくとも1種類の味覚調節剤の総量は、完成製品中で甘い/サワーの釣り合いを改善し、および/または甘い/サワーの不釣り合いを低下させ、および/または口あたりを改善するのに十分であると好ましい。
【0068】
サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物および/または甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物は、半完成製品を製造するために加えられる前に、本発明によるアロマ組成物中に存在することがある。さらにまたはあるいは、サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物および/または甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物は、半完成製品を製造するとき、本発明によるアロマ組成物より別個の成分(および/または別個の成分の混合物)中に存在することがある。
【0069】
完成製品を製造するために加えられる前に、アロマ組成物は、サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物または甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物を含むが両方は含まず、完成製品を製造するための別個の成分(および/または別個の成分の混合物)が甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物またはサワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物を含んでいても好ましい。従って、完成製品だけがサワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物と甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物との両方を含み、完成製品を製造するためのアロマ組成物が両方を含むことはない。この場合、本発明によるアロマ組成物によって生じる所望の効果は、完成製品の製造時/製造後に得られる。
【0070】
上記で半完成製品に関して述べられたことは、完成製品を製造するために半完成製品が用いられる場合、適宜適用される。
【0071】
好ましくは、完成製品は、(低カロリー)ベーク品(例えばパン、乾ビスケット、ケーキ、他のベーク品)、菓子類(例えばムースリーバー製品、チョコレート、チョコレートバー、バー形の他の製品、フルーツガム、ドラジェ、ハードおよびソフトキャラメル、チューインガム)、非アルコール飲料(例えばココア、コーヒー、緑茶、紅茶、(緑、紅)茶抽出物で強化された(緑、紅)茶飲料、ルイボスティー、他のハーブティー、フルーツ含有ソフトドリンク、アイソトニック飲料、清涼飲料、ネクター、フルーツおよび野菜ジュース、フルーツまたは野菜ジュース調製物)、インスタント飲料(例えばインスタントココア飲料、インスタントティー飲料、インスタントコーヒー飲料)、肉製品(例えばハム、フレッシュソーセージまたは生ソーセージ調製物、スパイスを加えるかまたはマリネーしたフレッシュまたは塩入りの肉製品)、卵または卵製品(乾燥卵、卵白、卵黄)、シリアル製品(例えば朝食用シリアル、ムースリーバー、調理済みのすぐ食べられる米製品)、乳製品(例えば高脂肪乳または低脂肪乳または無脂肪乳飲料、ライスプディング、ヨーグルト、ケフィール、クリームチーズ、ソフトチーズ、ハードチーズ、乾燥粉乳、乳漿、バター、バターミルク、アイスクリーム、部分的にまたは完全に加水分解された乳タンパク質含有製品)、大豆タンパク質または他の大豆画分から造られる製品(例えば豆乳およびそれから製造された製品、単離されたかまたは酵素的に処理された大豆タンパク質を含有する飲料、大豆粉を含有する飲料、大豆レシチンを含有する調製物、豆腐もしくはテンペーなどの発酵製品またはそれから製造された製品ならびにフルーツ調製物および任意選択としてフレーバーとの混合物)、高タンパク質植物材料からの(例えばオート麦、アーモンド、豆、ハウチワマメ、レンズマメ、ソラマメ、ヒヨコマメ、米、カノラの種子材料からの)乳製品類似調製物(ミルク型、ヨーグルト型、デザート型、アイスクリーム)、植物タンパク質で強化された非乳飲料、フルーツ調製物(例えばジャム、シャーベット、フルーツソース、フルーツフィリング)、植物調製物(例えばケチャップ、ソース、乾燥野菜、冷凍野菜、調理済み野菜、茹で野菜)、スナック(例えばベークされたかまたはフライにされたポテトチップスまたはポテトドウ製品、トウモロコシまたは落花生由来押出し品)、油脂由来の製品またはエマルジョン(例えばそれぞれの場合に高脂肪または低脂肪のマヨネーズ、レムラードソース、ドレッシング)、用いられる他の既成の料理およびスープ(例えば乾燥スープ、インスタントスープ、調理済みスープ)、スパイス、スパイス混合物および特に用いられている調味料、例えば、スナック分野において、甘味料調製物、錠剤または分包、飲料の甘味または白化のための他の調製物からなる群から選ばれることがある。
【0072】
さらに、本発明は、調製物中で甘い/サワーの釣り合いを改善し、および/または甘い/サワーの不釣り合いを低下させ、および/または口あたりを改善するための、ナリンゲニン、フロレチン、ヘスペレチン、ヘスペレチンジヒドロカルコン、フィロズルチン、トリロバチン、ヒドランゲノール、ヘスペレチンジヒドロカルコン4-O-グルコシドおよびそれらの塩からなる群から選ばれた少なくとも1種類の味覚調節剤の使用にも関し、好ましくは、調製物は、サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物と甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物とを含む。
【0073】
本発明によるアロマ組成物、本発明による半完成製品および本発明による完成製品に関して述べられたことが、特に調製物が半完成製品または完成製品である場合に適宜適用される。
【0074】
好ましくは、本発明による使用において、調製物は、それぞれ上記で定義された、目的として栄養、娯楽あるいは化粧または医薬が意図される調製物、好ましくはアロマ組成物、半完成製品および完成製品からなる群から選ばれる。
【0075】
さらに、本発明は、調製物中で甘い/サワーの釣り合いを改善し、および/または甘い/サワーの不釣り合いを低下させ、および/または口あたりを改善するための方法であって、
i)甘い/サワーの釣り合いおよび/または口あたりが改善されるべきであり、および/または甘い/サワーの不釣り合いが低下されるべきである調製物を提供するステップであって、好ましくは、調製物は、栄養、娯楽あるいは化粧または医薬を目的として意図される調製物からなる群から選ばれるステップ、
ii)本発明によるアロマ組成物を提供するステップ、
iii)ステップi)において提供された調製物をステップii)において提供されたアロマ組成物と混合するステップ、
iv)任意選択として、ステップiii)において得られた混合物のさらなる処理のステップ、
v)改善された甘い/サワーの釣り合いおよび/または低下した甘い/サワーの不釣り合いおよび/または改善された口あたりを有する組成物を得るステップ、
を含むかまたはからなる方法に関する。
【0076】
特に調製物が半完成製品または完成製品である場合に、本発明によるアロマ組成物、本発明による半完成製品および本発明による完成製品に関して述べられたことが適宜適用される。さらに、調製物に関して上記で述べられたことが適宜適用される。
【0077】
従っておよび上記で概略が示された理由により、本発明による方法において、調製物は、サワーな味をもたらす少なくとも1種類の化合物、好ましくは酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ソルビン酸、カフェオタンニン酸、クエン酸、イソクエン酸、フマル酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グリセリン酸、グリコール酸、ケトグルタル酸、[α]-ケトグルタル酸、乳酸、ラクトイソクエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、シュウ酸、リン酸、ピルビン酸、キナ酸、シキミ酸、コハク酸、タンニン酸および酒石酸からなる群から選ばれた好ましくは1種類以上の食用酸、特に好ましくはアジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸および酒石酸から選ばれた好ましくは1種類以上の食用酸を含むと好ましい。
【0078】
上記で概略が示された理由で、本発明による方法において調製物は、
植物抽出物、例えばタンパク質(ミラキュリン、ペンタイジン、モネリン、タウマチン、クルクリン、ブラゼイン、マビンリンなど)、D-アミノ酸(D-フェニルアラニン、D-トリプトファンなど)あるいはこれらのアミノ酸および/またはタンパク質を含有する天然資源から得られる抽出物または画分ならびにこれらのアミノ酸および/またはタンパク質の生理的に許容される塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩;ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、ステビオールグリコシド、ステビオシド、ステビオールビオシド、レバウジオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドG、レバウジオシドH、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドX、ズルコシド、ルブソシド、スアビオシドA、スアビオシドB、スアビオシドG、スアビオシドH、スアビオシドI、スアビオシドJ、バイユーノシド1、バイユーノシド2、フロミソシド1、フロミソシド2、フロミソシド3、フロミソシド4、アブルソシドA、アブルソシドB、アブルソシドC、アブルソシドD、シクロカリオシドA、シクロカリオシドI、オスランジン、ポリポドシドA、ストロジン1、ストロジン、2、ストロジン4、セリグエアニンA、ジヒドロクェルセチン-3-アセテート、ペリラルチン、テロスモシドA15、ペリアンドリンI~V、プテロカリオシド、シクロカリオシド、ムクロジオシド、trans-アネトール、trans-シンナムアルデヒド、ブリオシド、ブリオノシド、ブリオノヅルコシド、カルノシフロシド、スカンデノシド、ギペノシド、ヘマトキシリン、シアニン、クロロゲン酸、アルビジアサポニン、テロスモシド、ガウジチャウジオシド、モグロシド、例えばモグロシドV、ヘルナンヅルシン、モナチン、グリチルレチン酸およびその誘導体、特にグリチルリジン、好ましくはグリチルリジンアンモニウム塩;タウマトコッカス亜種またはステビア亜種、特にステビア・レバウディアナの抽出物、スゥイングル抽出物、特にツルレイシ属またはシラチオ・グロスベノリイまたは羅漢果、グリセリジア属亜種、特にグリセリジア・グラブラの抽出物、キイチゴ属亜種、特にテンチャ(ルブス・スアビシムス)の抽出物、アマミコウスイボク(リッピア・ヅルシス)の抽出物、好ましくはバランシンAおよび/またはバランシンBを含むミセチア・バランサエの抽出物、あるいは欧州特許第11168468号に記載のさらなる抽出物などの抽出物またはそのような抽出物の濃縮画分を含む、天然甘味料、好ましくは天然に存在する甘い味の物質;
好ましくは、マガップ、シクラミン酸ナトリウムまたは他の生理的に許容されるシクラミン酸の塩、アセスルファムカリウム;ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ナリンギンジヒドロカルコン、サッカリン、サッカリンナトリウム塩、アスパルタム、スペルアスパルタム、ネオタム、アリタム、アドバンタム、ペリラルチン、スクラロース、ルグヅネーム、カレレーム、スクロノネートまたはスクロオクテートからなる群から選ばれた合成甘味料、好ましくは合成の甘い味の物質;
好ましくはスクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、メリジトース、メリビオース、ラフィノース、パラチノース、ラクツロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、l-ラムノース、D-ソルボース、D-マンノース、D-タガトース、D-アルロース、D-アラビノース、l-アラビノース、D-リボース、D-グリセルアルデヒド、マルトデキストリンからなる群から選ばれた甘い味の炭水化物ならびにこれらの炭水化物の1種類以上を、好ましくは少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも15重量%の量で含む野菜調製物であって、これらの調製物中で炭水化物は、天然に存在するかまたは合成の炭水化物あるいはそれらの混合物、例えば、好ましくは、蜂蜜、転化糖シロップまたはトウモロコシデンプンからの高度濃縮フルクトースシロップ、および/またはこれらの炭水化物の生理的に許容される塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩として存在してよい野菜調製物;
糖アルコール、好ましくはグリセリン、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチット、ズルシトール、ラクチトールおよび生理的に許容されるそれらの塩、特にそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩からなる群から選ばれた、好ましくは天然に存在する糖アルコール、
からなる群から選ばれた甘い味をもたらす少なくとも1種類の化合物を含んでも好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】酸っぱい味の印象は、本発明によるアロマ組成物を加えることにより対照(試料1)と比較して低下した(破線または点線、試料2~7)が、糖の全含有量を有する試料(実線、試料8)より少ない甘さの印象を提供することを明らかにする、実施例1による官能検査の結果を示している。
図2】本発明によるアロマ組成物(試料2~5)は、対照(試料1)より低下した酸っぱい味の印象を提供し、同時に改善されたかまたは少なくとも類似のさらなる味の印象の評価を提供することを明らかにする、実施例2による官能検査(アイスティー)の結果を示している。
図3】本発明によるアロマ組成物(試料2~5)は、対照(試料1)より低下した酸っぱい味の印象を提供し、同時に改善されたかまたは少なくとも類似のさらなる味の印象の評価を提供することを明らかにする、実施例2による官能検査(レモン/ライム基材)の結果を示している。
図4】本発明によるアロマ組成物(試料2~5)は、対照(試料1)より低下した酸っぱい味の印象を提供し、同時に改善されたかまたは少なくとも類似のさらなる味の印象の評価を提供することを明らかにする、実施例3による官能検査(アイスティー)の結果を示している。
図5】本発明によるアロマ組成物(試料2~5)は、対照(試料1)より低下した酸っぱい味の印象を提供し、同時に改善されたかまたは少なくとも類似のさらなる味の印象の評価を提供することを明らかにする、実施例3による官能検査(レモン/ライム基材)の結果を示している。
図6】本発明によるアロマ組成物(試料2~5)は、対照(試料1)より低下した酸っぱい味の印象を提供し、同時に改善されたかまたは少なくとも類似のさらなる味の印象の評価を提供することを明らかにする、実施例3による官能検査(レモン/ライム基材)の結果を示している。
図7】本発明によるアロマ組成物(破線、試料2)は、酸の量に依存せずに対照(実線、試料1)と比較して顕著に低下した酸っぱさを提供し、同時に改善されたかまたは少なくとも類似のさらなる味の印象の評価を提供したことを明らかにする、実施例4による官能検査(レモン/ライム基材)の結果を示している。
図8】本発明によるアロマ組成物(破線、試料2)は、酸の量に依存せずに対照(実線、試料1)と比較して顕著に低下した酸っぱさを提供し、同時に改善されたかまたは少なくとも類似のさらなる味の印象の評価を提供したことを明らかにする、実施例4による官能検査(レモン/ライム基材)の結果を示している。
図9】本発明によるアロマ組成物(破線、試料2)は、酸の量に依存せずに対照(実線、試料1)と比較して顕著に低下した酸っぱさを提供し、同時に改善されたかまたは少なくとも類似のさらなる味の印象の評価を提供したことを明らかにする、実施例4による官能検査(レモン/ライム基材)の結果を示している。
図10】本発明によるアロマ組成物(破線、試料2)は、酸の量に依存せずに対照(実線、試料1)と比較して顕著に低下した酸っぱさを提供し、同時に改善されたかまたは少なくとも類似のさらなる味の印象の評価を提供したことを明らかにする、実施例4による官能検査(レモン/ライム基材)の結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本発明のさらなる特徴および効果は、以下の好ましい施用実施例の記載の結果として得られる。
【実施例
【0081】
実施例1:酸っぱさの低下および甘さに対する限定された効果
アイスティー調製物中で酸っぱい味の印象ならびに甘い味の印象を評価した。アイスティー調製物(低糖)(A1)ならびに本発明によるアロマ組成物を含む同様なアイスティー調製物(低糖)を準備した。さらに、比較として通常の砂糖含有量を有するアイスティー調製物(A2)を準備した。低糖調製物(A1)は、5°Bxを有し、通常の砂糖含有量を有する調製物(A2)は、6.5°Bxを有した。従って、A2中の砂糖含有量の増加は、1.5%スクロース当量、すなわち上記に記載されたヒト認識の閾値に対応する。
【0082】
パネリストによってそれぞれの調製物の300mlの試料の酸っぱい味の印象と甘い味の印象とを評価した。さらに、総じて重要な消費者の印象として口あたりと後味との印象を評価した。
【0083】
パネリストの数は、N=7であった。
【0084】
結果を次表に列挙し、図1にプロットする。
【0085】
【表1】
【0086】
結果は、本発明によるアロマ組成物を加えることによって酸っぱい味の印象が低下したことを示している。A2も酸っぱい味の印象を低下させた。しかし、A2において甘さのインパクトおよび強度は、A1と比較して非常に高いと感じられる。従って、酸っぱい味の印象に対する低下および/またはマスキングの効果は、A2中の高い甘さ印象によって実現される。
【0087】
本発明によるアロマ組成物における甘さのインパクトおよび強度は、明らかに、A2の評価を下回る。従って、本発明によるアロマ組成物は、1.5%スクロース当量(A2における)未満の甘さ印象を提供する。
【0088】
さらに、本発明によるアロマ組成物は、砂糖を減らした調製品(A1)より良好な後味および口あたりを提供する。
【0089】
実施例2:酸っぱさの低下およびさらなる味の印象に対する正の効果
飲料調製品中で酸っぱい味の印象ならびにさらなる味の印象を評価した。それぞれの飲料調製物(アイスティーピーチ(A3);レモン/ライムフレーバー飲料(A4))ならびに本発明によるアロマ組成物と式(I)による1種類の味覚調節剤とを含む同様な調製物を準備した。
【0090】
パネリストによって各調製品の300mlの試料の酸っぱい味の印象と消費者にとって重要であるさらなる味の印象とを評価した。
【0091】
パネリストの数は、N=8であった。
【0092】
結果を次表に列挙し、図2および3にプロットする。
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
結果は、本発明によるアロマ組成物はすべてが低下した酸っぱさを提供し、同時にさらなる味の印象において改善されたかまたは少なくとも類似の評価を提供したことを示している。
【0096】
実施例3:酸っぱさの低下およびさらなる味の印象に対する正の効果
飲料調製物中で酸っぱい味の印象ならびにさらなる味の印象を評価した。それぞれの飲料調製物(アイスティー、ピーチ(A5);レモン/ライムフレーバー飲料(A6);オレンジフレーバー飲料(A7))ならびに本発明によるアロマ組成物と式(I)による味覚調節剤の組み合わせとを含む同様な調製物を提供した。
【0097】
パネリストによって各調製物の300mlの試料の酸っぱい味の印象と消費者にとって重要であるさらなる味の印象とを評価した。
【0098】
パネリストの数は、N=7(A5およびA7)およびN=5(A6)であった。
【0099】
結果を次表に列挙し、図4,5および6にプロットする。
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【0103】
結果は、本発明によるすべてのアロマ組成物が顕著に低下した酸っぱさを提供し、同時にさらなる味の印象において改善されたかまたは少なくとも類似の評価を提供したことを示している。
【0104】
実施例4:酸の量に依存しない酸っぱさの低下
飲料調製物中で酸っぱい味の印象とさらなる味の印象とを評価した。クエン酸の量を増加させるそれぞれの飲料調製物(レモンライム基材(A8))ならびに本発明によるアロマ組成物を含む同様な調製物を準備した。
【0105】
パネリストによって各調製物の300mlの試料の酸っぱい味の印象と消費者にとって重要であるさらなる味の印象とを評価した。
【0106】
パネリストの数は、N=6であった。
【0107】
結果を次表に列挙し、図7~10にプロットする。
【0108】
【表7】
【0109】
結果は、本発明によるアロマ組成物が酸の量に依存せずに顕著に低くなった酸っぱさを提供し、同時にさらなる味の印象において改善したもしくは少なくとも同様な評価を提供したことを示している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】