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特表2024-502156超短パルスレーザー回転方向誤差を補償する方法及びその装置並びに工作機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】超短パルスレーザー回転方向誤差を補償する方法及びその装置並びに工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/064 20140101AFI20240110BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20240110BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20240110BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20240110BHJP
【FI】
B23K26/064 N
G02B26/10 C
G02B26/10 104Z
B23K26/00 Z
B23K26/082
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541493
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 CN2022095936
(87)【国際公開番号】W WO2022253172
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202110617304.2
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520167047
【氏名又は名称】上海名古屋精密工具股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI NAGOYA PRECISION TOOLS CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No. 2988 Bao’an Road, Jiading District Shanghai 201801, China
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 隆志
(72)【発明者】
【氏名】孫思叡
【テーマコード(参考)】
2H045
4E168
【Fターム(参考)】
2H045AB01
2H045BA12
4E168CA04
4E168CA06
4E168CA13
4E168CB03
4E168CB04
4E168CB07
4E168DA45
4E168DA46
4E168DA47
4E168EA03
4E168EA15
4E168EA18
4E168KA10
4E168KB02
(57)【要約】
超短パルスレーザー光路の回転誤差を補償する方法は、回転台が回転する時、センサ(900)が回転台(400)とともに回転台の回転軸を中心に回転し、回転台から出射されたレーザを受け、レーザビームのリアルタイムの入射情報を感知し、リアルタイムの入射情報を制御器に送信し、制御器は、前記リアルタイムの入射情報と設定位置情報を比較してオフセット値を取得し、オフセット値が設定された閾値を超える時、反射機構(800)を駆動し、レーザーをリアルタイムに調整して補償を行い、補償後に入射スキャナーのレーザーと回転台の回転軸心線の相対位置を維持させる。超短パルスレーザーの回転誤差を補償する方法を応用する装置及び加工設備を更に含むことで、回転台の応力、振動、弾性変形又は温度などの要因がレーザビームと回転台の回転軸の相対位置を維持できなくさせる状況を解消し、レーザ加工の精度を向上させることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転台が回転する時、センサが回転台とともに回転台の回転軸線を中心に回転して回転台から出射されたレーザを受け、レーザビームのリアルタイムの入射情報を感知し、リアルタイムの入射情報を制御器に送信し、制御器は、前記リアルタイムの入射情報と設定された位置情報を比較してオフセット値を取得し、オフセット値が設定された閾値を超える時、反射機構を駆動し、レーザーをリアルタイムに調整して補償を行い、補償後に入射スキャナーのレーザーと回転台の回転軸心線の相対位置を維持させることを特徴とする超短パルスレーザーの回転誤差を補償する方法。
【請求項2】
前記センサは、レーザが回転台から出射される一端のミラーの後方に設置され、ミラーによって屈折されたレーザ情報を受け取ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
レーザが回転台から出射される一端にセンサを設置し、レーザ情報を受け取り、リアルタイムの入射情報を制御器に送信し、制御器が前記リアルタイムの入射情報と設定された位置情報を比較し、オフセット値を取得し、オフセット値が設定された閾値を超える時、反射機構を駆動し、反射機構は、超短パルスレーザー装置が射出するレーザを反射し、制御器の指令を取得した後、レーザーを補償し、補償後に入射スキャナーのレーザーと回転台の回転軸心線の相対位置を維持させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
レーザが回転台から出射される一端にセンサを設置し、レーザ情報を受け取り、リアルタイムの入射情報を制御器に送信し、制御器が前記リアルタイムの入射情報と設定された位置情報を比較し、オフセット値を取得し、オフセット値が設定された閾値を超える時、反射機構を駆動し、反射機構は、回転台から出射されるレーザを反射し、制御器の指令を取得した後、ミラーの角度を調整し、回転台が引き起こすレーザーの偏差を補償することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数の運動軸を有する加工設備に応用され、レーザーの回転誤差を解消し、レーザ加工の精度を向上させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法でワークを加工することを特徴とする加工設備。
【請求項7】
請求項1に記載の方法を実施する装置であって、
レーザの光路を収容するキャビティを含む中空の回転台と、
射出するレーザが前記キャビティを経て中空の回転台を通過する超短パルスレーザー装置と、
回転台に設置され、回転台とともに回転台の回転軸線を中心に回転し、キャビティの出射端からのレーザを受け、レーザの光路方向に変化を発生させた後、レーザを射出するレーザ投射中継部材と、
回転台に設置され、回転台とともに回転台の回転軸線を中心に回転し、レーザ投射中継部材から射出されるレーザを受け、回転軸の範囲内にフォーカスする光学部材と、
回転台に設置され、回転台とともに回転台の回転軸線を中心に回転し、キャビティの出射端からのレーザを受け、レーザのリアルタイムの入射情報を取得するセンサと、
センサが発するリアルタイムの入射情報を受け取り、設定された位置情報と比較し、位置オフセット値を取得する制御器と、
超短パルスレーザー装置から射出されるレーザを受け取り、制御器の指令を取得した後、反射後のレーザーを補償し、集光スポットから回転台の回転軸線までの距離を常に維持し、即ち、回転台の任意の角度における前記距離の偏差を1μm以下に維持する反射機構と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項8】
前記反射機構は、少なくとも2つのミラーを含み、各ミラーが少なくとも2つの調整可能な自由度を有することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記反射機構は、第1ミラーと第2ミラーを含み、第1ミラーがレーザを受けた後にレーザを第2ミラーに反射し、第2ミラーがレーザを受けた後にレーザをキャビティに向けて反射することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記反射機構は、第1ミラーと第2ミラーを含み、第1ミラーがキャビティから出射されるレーザを受け取った後、レーザを第2ミラーに反射し、第2ミラーがレーザを受けた後に反射したレーザをガルバノスキャナーの入射レーザとすることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記反射機構は、第1ミラー及び第2ミラーを含み、第1ミラーのAOIは、22.5°であり、第2ミラーのAOIは、22.5°であることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記レーザ投射中継部材は、両面鏡面レンズである少なくとも1つのミラーを含み、反射機構が反射するレーザを受け取り、又はキャビティの出射端からのレーザを直接受け取り、レーザー方向に変化を発生させた後、ガルバノスキャナーの入射レーザとすることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項13】
レーザ投射中継部材は、第3ミラーと第4ミラーを含み、第3ミラーは、第4ミラーに向けてレーザを反射し、第4ミラーは、レーザを受けた後にレーザをガルバノスキャナーに向けて反射することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項14】
レーザ射影中継部材中のミラーの後にセンサを設置し、ミラーで屈折したレーザを感知し、レーザのリアルタイムの入射情報を取得することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項15】
前記レーザ投射中継部材は、第3ミラーと第4ミラーを含み、第3ミラーのAOIが45°であり、第4ミラーのAOIが45°であり、両面研磨レンズである請求項7に記載の装置。
【請求項16】
請求項7に記載の装置を備えることを特徴とする加工設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ指向性の維持方法に関し、特にレーザの設定方向からのズレを補償する方法、及びその方法を用いた装置及び工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
超短パルスレーザー装置は、レーザを超短パルスレーザー発生器(光源)から、自由空間又はヘッドに接続されたファイバーを介して走査レンズ(又は対物レンズ)に伝送される。自由空間のレーザーは、方向の精密調整が必要であり、且つ通常は頻繁に移動することはできず、一方、ファイバーも限定された範囲の空間内で緩やかに運動することしかできず、引っ張ったりねじったりすると簡単に損傷するため、多軸(例えば、3軸、4軸、5軸及び6軸など)の精密加工の効率及び精度の要求を満たすことは困難である。
【0003】
パルスレーザーを五軸加工に応用するため、XA(首振り構造)+YZBの多軸構造に適用されている。ただし、それはナノ以上のパルスレーザーに限られます。ピコやフェムトパルスレーザー装置は技術的条件によって制限され、そのファイバーは、十分な可動特性を備えず(許容曲げ半径が大きすぎ、光ファイバーの最大全長が短すぎる)、スイングヘッドに取り付けることができず、5軸加工センタに超短パルスレーザー装置を統合した加工が実現困難となっている。この問題を解決するために、一部のレーザビームが回転台中心を通過した後、回転台の中心に配置されたミラーを介して射出される自由空間光路案(例えば、CN202020298469.9及びCN202020298514.0など)が提出されており、この一連の技術案では、レーザビームが回転台の回転軸と同軸になるように調整されているため、光路部分がどうであれ回転台に伴って回転し、レーザビームは、常に同じ方向で回転台の中心のミラー上の同一点に向けられ、これにより、回転台から射出するレーザビームと回転台の回転中心軸線との間の角度が常に一定となる。但し、正確に調整できない場合、又は応力、振動、弾性変形及び温度などの要因により、レーザビームが回転台の中心と同軸を維持できなくなった場合、回転台の回転により、レーザが回転台の中心のミラーに反射されたレーザビームが回転に伴って角度ズレ及び位置ズレを発生し、更に最終スポットの空間位置が変化して精度が悪くなり、精密加工の要求を満たすことができなくなる。
【0004】
実際の生産では、前述の応力、振動、弾性変形などの要因は避けられないため、従来の技術案では、超短パルスレーザー装置を5軸加工センタに応用可能にするという点は解決しているが、経常的に光路の再調整が必要なることを避けることができず、多くの時間を消費し、コスト管理に不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの目的は、精密加工の必要を満たすために、超短パルスレーザー光路の回転誤差を解消する方法を提供することである。
【0006】
本発明のもう1つの目的は、精密加工の必要を満たすために、超短パルスレーザー光路の回転誤差により回転台が異なる角度にある場合に入射スキャナーのレーザビームの指向性(ビームと回転台の回転軸心線の距離と角度)光路と回転台の回転軸心線の距離と角度を維持できないという問題を解消する方法を提供することである。
【0007】
本発明の更にもう1つの目的は、レーザの光路を自動的に調整する方法を提供し、レーザが回転第の回転軸と同軸を維持し、経常的な光路の再調整を回避できるようにすることである。
【0008】
本発明のまた更にもう1つの目的は、多軸加工設備(5軸工作機械など)に応用される方法を提供し、レーザーを補償し、回転台の回転、応力、振動、弾性変形、温度及び回転誤差などの要因のフォーカス後のレーザの指向及び光スポットの位置に対する影響を解消し、補償後の入射スキャナーのレーザー及び回転台の回転軸心線の相対位置を維持させ、各種の仕様の部品/ワーク(長軸ワークなど)に対してレーザ精密加工の実施に有利にすることである。
【0009】
本発明の第5の目的は、レーザで加工を実施する装置を提供し、レーザーを補償し、補償後の入射スキャナーのレーザーと回転台の回転軸心線の相対位置を維持し、回転台の回転方式で加工の実施に有利にし、加工精度を向上し、加工コストを有効に制御することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一般的にレーザとは、原子が励起により放射する光のことで、原子中の電子がエネルギーを吸収して低エネルギー準位から高エネルギー準位に跳ね上がり、高エネルギー準位から低エネルギー準位に戻る時、放出されたエネルギーは光子の形で放出される。レーザの形態は、連続レーザとパルスレーザに分けられる。レーザのパルス幅特性により、サーマルレーザとコールドレーザに分けられる。
【0011】
レーザエミッタは、これに限定するものではないが、ナノ秒、フェムト秒、又はピコ秒レーザ装置などであり、発生するレーザは、例えば、赤外線、赤、青、緑、紫、又は極端紫光などのレーザを生成する。
【0012】
超短パルスレーザーは、出力レーザのパルス幅が数十ナノ秒以下、即ち、ピコ秒オーダー又はピコ秒未満のオーダーのパルスレーザを指す。超短パルスレーザー装置におけるコア部材は、オシレータ、ストレッチャ、増幅器及び圧縮器などを含む。
【0013】
機械加工では、いわゆるワークは、通常、部品又は部材を製造するために使用される材料又は半製品であり、機械加工プロセスの加工対象である。即ち、ワークに加工を実施した後、加工又は設計要件を満たす製品が得られる。
【0014】
精密加工とは、加工精度と表面品質が極めて高い加工技術のことである。例えば、ツール加工では、大きさ、直線度、輪郭、表面粗さ、刃先円弧の半径、加工精度が何れもミクロンオーダーを超えている。
【0015】
軸系ワークは、少なくとも直径の3倍の長さを有する。
【0016】
加工設備(又はマシニングセンタ)は、複数の動作軸を有する加工設備である。即ち、右手直交座標系では、直線方向移動のX、Y及びZ軸、及びそれぞれX、Y及びZ軸を中心とする回転のA、B、C軸に沿っている。
【0017】
CNC工作機械などの加工設備は、通常、様々な制御ソフトウェアが搭載されており、コードの形式で様々な命令を送受信して、ワークに対して自動加工を実施する。
【0018】
超短パルスレーザー装置から射出されたレーザは、まずキャビティに入射し、キャビティから射出された後、レーザ投射中継部材に入り、レーザ投射中継部材でレーザの光路を変更した後にレーザを射出し、最後に光学部材が受け取った後に射出し、ワークに対して加工を実施する。レーザは、キャビティ内で伝播し、キャビティの出口端で直線に沿って伝播し、光学部材から射出したレーザは、前記回転軸の範囲内にフォーカスされ、即ち、レーザは、集光スポットは、回転軸を中心として半径100mmの円柱形空間内に入る。
【0019】
精密加工の要件を満たすために、レーザーと回転軸(回転台の回転軸など)の交差角度は0~5°に維持する必要があり、好ましくは0~2°であり、例えば、0°(即ち、平行又は同軸)、1°及び2°である。応力、振動、弾性変形、温度、回転誤差などの要因により、回転台が回転するとレーザーが回転台の回転軸線と同軸ではなくなり、これにより回転誤差が生じる。
【0020】
入射スキャナーのレーザーと回転台の回転軸心線は、設定距離と設定角度(挟み角)を有し、応力、振動、弾性変形、温度及び回転誤差などの要因により、入射スキャナーのレーザーと回転台の回転軸心線の実際の距離と実際の角度は、設定距離及び設定角度からずれ、回転台の回転時にレーザの精度に影響を及ぼす。従って、入射スキャナーのレーザーを補償する必要がある。補償後、入射スキャナーのレーザーと回転台の回転軸心線は、第2距離と第2角度を有し、第2距離を設定距離と比較し、その差は1μm以下であり、第2角度は、設定角度と比較し、その差が0.05mrad以下である場合、(補償後)入射スキャナーのレーザーと回転台の回転軸心線の相対位置が維持されていると見なされる。
【0021】
レーザ投射中継部材は、ミラーであり、レーザに対して少なくとも1回の反射を行い、レーザビーム方向を変化させる。
【0022】
光学部材は、走査レンズ、ガルバノスキャナー、対物レンズ、DOEレンズ及びミラーのうちの少なくとも1つを含み、これらは市販のものを取得するか、又は既存のレーザ装置から得ることができる。
【0023】
本発明の方法を実施する時、回転軸がA軸、B軸又はC軸となるため、光学部材から出射されたレーザは(回転台)の回転軸方向に振り分けられ、レーザーが指定角度に回転運動及び位置決めして加工の実施を実現する。
【0024】
本発明の方法を実施する時、回転台と回転台に設置されるレーザ投射中継部材、センサ及び光学部材は、直線軸に沿って同期移動し、前記回転軸方向に分布するレーザを指令に従って直線軸に沿って同期移動させ、ワークの加工を実施する。
【0025】
センサは、レーザがセンサ部材に接触する時のレーザの入射角度情報、及びレーザのセンサ部材上の位置情報を含むレーザの入射情報を感知する。通常、センサ部材のレーザの光スポットの二次元座標系に位置する情報を位置情報とする。レーザビームは、センサ上に設定された位置情報を有し、応力、振動、弾性変形、温度及び回転誤差などの要因により、センサ上のレーザ光速の実際の位置は、設定位置とずれる。センサが、レーザの入射を感知すると、位置情報を取得し、実際の位置を知り、設定位置からのずれがあるかどうか、及び補償するかどうかの基準を提供できる。通常、センサでは少なくとも1つのセンサ部材を有するが、より多くのレーザの入射情報を取得するためには、2つ以上のセンサ部材を採用することが好ましい選択である。
【0026】
設定された位置情報は、試験及び調整を経て設定されたものであり、精密加工の要求を満たすことができる情報であると理解すべきである。例えば、レーザビームの集光スポットと回転台の回転軸線の距離は、常に維持され、即ち、回転台は、任意の角度で回転し、集光スポットから回転軸線までの距離偏差は、1μm以下である。(補償後)レーザビームがガルバノスキャナーに入射し、集光スポットから回転台の回転軸線までの距離偏差が1μm以下である場合、レーザーの回転誤差は解消されたと見なされる。
【0027】
本発明の方法は、回転台の回転時、センサが回転台から出射したレーザ情報を受け取り、レーザの入射情報を感知し、リアルタイム入射情報を制御器に伝送し、制御器は、前記リアルタイムの入射情報と設定位置情報を比較してオフセット値を取得し、オフセット値が設定された閾値を超える時、反射機構を駆動し、レーザーをリアルタイムに調整して補償を行い、補償後に入射スキャナーのレーザーと回転台回転軸心線の相対位置を維持させる。
【0028】
本発明の方法を実施するため、レーザエミッタによって射出されたレーザは、キャビティの一端に入射してから他端で出射されるまで直線方向に沿って伝播し、偏向を生じないように選択することが好ましい。限定するものではないが、直管状、円錐状及び円錐台形状の孔体又は空洞体などの真っ直ぐに貫通する空間を有するキャビティを採用することができる。
【0029】
センサは、通常、レーザが回転台から出射される一端に設置され、回転台とともに回転台の回転軸線を中心に回転し、レーザ情報を受け取り、特には、レーザが回転台から出射される一端のミラーの後方に設置され、ミラーによって屈折されたレーザ情報を受け取る。
【0030】
反射機構は、超短パルスレーザー装置から射出されるレーザ、及び制御器の指令を受け取り、ミラーを調整し、レーザーを補償する。
【0031】
超短パルスレーザー光路の回転誤差を補償する方法は、回転台の回転時、レーザが回転台から出射される一端にセンサを設置し、レーザ情報を受け取り、リアルタイムの入射情報を制御器に送信し、制御器が前記リアルタイムの入射情報と設定された位置情報を比較し、オフセット値を取得し、オフセット値が設定された閾値を超える時、反射機構を駆動し、反射機構は、超短パルスレーザー装置から射出されるレーザを受け、制御器の指令を取得した後、レーザーを補償し、補償後に入射スキャナーのレーザーと回転台の回転軸心線の相対位置を維持させる。
【0032】
別の超短パルスレーザーの回転誤差を補償する方法は、回転台が回転する時、レーザが回転台から出射される一端にセンサを設置し、レーザ情報を受け取り、リアルタイムの入射情報を制御器に送信し、制御器が前記リアルタイムの入射情報と設定された位置情報を比較し、オフセット値を取得し、オフセット値が設定された閾値を超える時、反射機構を駆動し、反射機構は、回転台から出射されるレーザを受け、制御器の指令を取得した後、ミラーの角度を調整し、回転台が引き起こすレーザーの偏差を補償する。
【0033】
本発明の方法は、複数軸の運動軸を有する加工設備(例えば、3軸工作機械、4軸工作機械及び5軸工作機械など)に応用され、回転台の回転、応力、振動、弾性変形、温度及び回転誤差などの要因のフォーカス後のレーザの指向及び光スポット位置に対する影響を解消し、回転台が任意の角度に回転する時、フォーカス後のレーザの光スポットと回転台の回転軸心線の空間距離を維持させる。
【0034】
上記方法を実施し、本発明の方法を加工設備に応用するため、本発明は、更に、
レーザの伝播を収容するキャビティを含む中空の回転台と、
射出するレーザが前記キャビティを経て中空の回転台を通過する超短パルスレーザー装置と、
回転台に設置され、回転台とともに回転台の回転軸線を中心に回転し、キャビティの出射端からのレーザを受け、レーザの光路方向に変化を発生させた後、レーザを射出するレーザ投射中継部材と、
回転台に設置され、回転台とともに回転台の回転軸線を中心に回転し、レーザ投射中継部材から射出されるレーザを受け、回転軸の範囲内にフォーカスする光学部材と、
回転台に設置され、回転台とともに回転台の回転軸線を中心に回転し、キャビティの出射端からのレーザを受け、レーザのリアルタイムの入射情報を取得するセンサと、
センサが発するリアルタイムの入射情報を受け取り、設定された位置情報と比較し、位置オフセット値を取得する制御器と、
超短パルスレーザー装置から射出されるレーザを受け取り、制御器の指令を取得した後、反射後のレーザーを補償し、集光スポットから回転台の回転軸線までの距離を常に維持し、即ち、回転台の任意の角度における前記距離の偏差を1μm以下に維持する反射機構と、
を備える。
【0035】
本発明の装置は、反射機構は、少なくとも1つのミラーを備える。但し、より良好なレーザー補償を得るためには、2つのミラーを要する。更に、各ミラーは、単独のホルダに配置され、各ミラーに少なくとも2つの調整可能な自由度をもたせ、即ち、少なくとも2つのミラーによって4つ以上の自由度を提供し、レーザ補償を実施する。
【0036】
反射機構の具体的実施方式は、第1ミラーと第2ミラーを含み、第1ミラーは、レーザを受けた後にレーザを第2ミラーに反射し、第2ミラーがレーザを受けた後にレーザをキャビティに向けて反射する。
【0037】
別の反射機構の具体的実施方式は、第1ミラーと第2ミラーを含み、第1ミラーは、キャビティから出射されるレーザを受け取った後、レーザを第2ミラーに反射し、第2ミラーがレーザを受けた後に反射したレーザをガルバノスキャナーの入射レーザとする。
【0038】
別の反射機構の具体的実施方式は、第1ミラー及び第2ミラーを含み、第1ミラーのAOIは、22.5°であり、第2ミラーのAOIは、22.5°である。
【0039】
反射したレーザをガルバノスキャナーの入射レーザとするために、その間に更に幾つかのミラーを設け、第2ミラーによって反射されるレーザーを調整してもよい。
【0040】
本発明の装置では、レーザ投射中継部材は、両面鏡面レンズである少なくとも1つのミラーを含む。前記レーザ投射中継部材は、第2ミラーが反射するレーザを受け取り、又はキャビティの出射端からのレーザを直接受け取り、レーザー方向に変化を発生させた後、ガルバノスキャナーの入射レーザとする。
【0041】
ミラーの後方にセンサを設置し、ミラーによってレーザビームを屈折(透過)することでレーザ光スポットを観察及び検出し、レーザのリアルタイム入射情報を取得する。
【0042】
レーザ投射中継部材の具体的実施方式は、第3ミラーと第4ミラーを含み、第3ミラーは、第4ミラーに向けてレーザを反射し、第4ミラーは、レーザを受けた後にレーザをガルバノスキャナーに向けて反射する。
【0043】
別のレーザ射影中継部材の具体的実施方式は、第3ミラーを含み、第3ミラーのAOIが45°であり、両面研磨レンズである。第3ミラーがレーザを受け取った後、レーザをガルバノスキャナーに向けて反射する。
【0044】
本発明が提供する装置において、回転台は、これに限定するものではないが、例えば、インナロータ回転台、アウタロータ回転台、機械伝動回転台及び直接駆動回転台などであり、中空であり、キャビティが設けられる。回転台内に設けられるキャビティは、自己完結型の外壁を有するか、ロータ内の中空構造の内壁をキャビティの外壁とし、この時、キャビティは、回転台内の中空構造であり、装置の占有空間を減少させる。
【0045】
本発明が提供する装置について、レーザ投射中継部材及び光学部材は、中空の回転台と同期して回転する。具体的には、光学部材は、レーザ投射中継部材と接続され、中空の回転台の駆動を受け、回転軸を中心に回転する。
【0046】
本発明が提供する各種の装置は、加工設備に取り付けられ、例えば、3つの直線運動軸、ワークを固定するための1つの回転運動軸及び1つのレーザビーム回転軸を組み合わせて空間を形成する5軸レーザ加工技術案は、複数軸でワークを加工し、複雑で多様な構造の製品の製造を実現する。例えば、工作機械は、少なくとも3つの直線軸を有し、そのうち1つの直線軸に本発明の装置を取り付け(例えば、ワークをX軸及びY軸が確定する平面に設置する)、応力、振動、弾性変形、温度上昇及び回転誤差などの要因のフォーカス後のレーザの指向及び光スポットの位置に対する影響を解消し、回転台が任意の角度にある時、フォーカス後のレーザの光スポットと回転台面上の回転軸の中心箇所と空間距離が変わらないようにし、レーザ加工の精度を向上させ、各種仕様の部品に対するレーザ加工の実施に有利である。
【0047】
別の加工設備において、本発明の装置の回転台を直線軸に取り付け、装置が直線に沿って移動する場合、光学部材の射出するレーザの集光スポットを線形に移動させ、光学部材が回転軸の周りを回転する場合、レーザ光スポットを回転面に分布させ、各種ワークの加工に適応させる。
【発明の効果】
【0048】
本発明の技術案が実現する有益な効果は、以下である。
本発明が提供する方法は、センサを介してレーザ光スポット位置と指向情報をリアルタイムに感知し、制御器を介して反射機構を調整し、レーザーによって生じるオフセットを補償し、回転台の回転、応力、振動、弾性変形、温度上昇及び回転誤差などの要因のフォーカス後のレーザの指向及び光スポットの位置に対する影響を解消し、回転台が任意の角度にある時、フォーカス後のレーザの光スポットと回転台面上の回転軸の中心箇所と空間距離が変わらないようにし、レーザ加工の精度を向上させる。
【0049】
本発明が提供する方法は、ミラー回転を含む飛行光路システムを実用化し、超短パルスレーザー装置の応用統合範囲を拡大し、同時にレーザーと回転台の回転軸線の相対位置を維持するための調整要件を大幅に低減する。
【0050】
本発明が提供する方法は、超短パルスレーザー装置のレーザヘッドを垂直に取り付け、下方に向け、超短パルスレーザー装置を加工設備に統合し、レーザの精密加工の実施に有利である。
【0051】
本発明が提供する装置は、センサ受光面をレーザビームの入射方向に向け、第3ミラー又は第4ミラーの後方に配置し、ミラーで屈折した透過光を使用してレーザ光スポットを観察及び検出し、光路へのビームスプリッタを添加しないので(レーザビームを強いレーザビームと弱いレーザビームに分割し、強いレーザビームは加工に使用され、弱いレーザビームは観察及び検出に使用される)、システムの冗長性と複雑性を減少し、加工設備への超短パルスレーザー装置の統合、及びレーザの精密加工の実施に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】従来のレーザで加工を実施する装置の実施形態の説明図である。
図2】従来のレーザで加工を実施する装置のレーザーの実施形態の説明図である。
図3】従来のレーザで加工を実施する装置のレーザーの別の実施形態の説明図である。
図4】本発明の方法を実施する装置の実施形態の説明図である。
図5】本発明の方法を実施する装置の別の実施形態の説明図である。
図6】本発明の方法を実施する装置の別の実施形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下では、本発明の技術案を図面と併せて詳細に説明する。本発明の実施形態は、本発明の技術案を説明するものであって、限定するものではない。好適な実施形態を参照して本発明を詳細に説明するが、当業者であれば理解できるように、発明の技術案に対して修正又は均等の置き換えをすることができ、本発明の技術案の精神及び範囲を逸脱しなければ、本発明の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【0054】
本実施形態が提供するレーザで加工を実施する方法では、レーザエミッタが射出するレーザは、先ずキャビティ内に入射し、キャビティから射出された後、レーザ投射中継部材に入り、レーザ投射中継部材がレーザの伝播経路を変更した後、レーザを射出し、最後に光学部材が受け取った後に射出し、ワークに対して加工を実施する。レーザは、キャビティ内で伝播するか、直線に沿って伝播するか、折れ線に沿って伝播する。レーザがキャビティの出口端で直線に沿って伝播し、右手直交座標系において、回転軸は、A軸、B軸又はC軸であるため、光学部材が出射するレーザを、回転軸の周りを回る方向に分布させ、レーザは、前記回転軸の範囲内、即ち、回転軸を中心として半径100mmの回転(円)面内にフォーカスされ、特には、回転軸線上にフォーカスされる。レーザが回転方式で加工を実施することを実現する。本実施形態では、キャビティは、Y軸に設置され、回転軸がB軸であり、光学部材は、B軸を中心に回転する。
【0055】
図1は、レーザ加工を実施する装置の一実施形態の説明図である。図1に示すように、装置は、レーザエミッタ100、キャビティ200、レーザ投射中継部材700、光学部材300及び回転台400を含む。
【0056】
レーザエミッタ100は、キャビティ200の一端に配置され、レーザエミッタ100から射出されたレーザ110は、キャビティ200に入射する。本実施形態では、キャビティ200は、直管状であり、レーザエミッタ100から射出されたレーザ110がキャビティ200に入射した後に直線方向に沿って伝播し、偏向することなく、回転台400の回転軸と同軸又は平行に他端に至って出射する。レーザ投射中継部700の作用を受けて、キャビティ200から出射されたレーザが方向転換された後、光学部材300に受光され、射出されたレーザビーム310は、回転軸410の範囲内にフォーカスしてワークに対して加工を実施する。本実施形態では、レーザ投射中継部700は、第1反射機構710と第2反射機構720を含み、第1反射機構710は、レーザ投射中継部材に入射したレーザを受け、レーザを第2反射機構720の方向に反射し、第2反射機構720は、第1反射機構710から反射されたレーザ730を受けた後、再びレーザ730を反射し、レーザを投射中継部材に射出する。
【0057】
レーザ投射中継部700は、回転台400により駆動され、回転軸410を中心に回転し、キャビティの出射端からレーザを受け、レーザの光路方向に変化を発生させた後、レーザを射出する。光学部材300が回転軸410を中心に回転され、加工を実施するレーザビーム310を射出する。
【0058】
右手直交座標系では、回転台400は、Y軸を中心に回転し、回転の軸はB軸(図示せず)である。キャビティ200は、B軸と同軸である軸線(図中のレーザ110と同一線上、図示せず)を有する。光学部材300は、B軸を中心に回転し、射出されたレーザは、B軸を回る方向に分布され、レーザは回転するような加工の実施を実現する。キャビティ200は、回転台400内に設けられ、即ち、回転台400内の一部が直管型の中空の空洞体に位置し、空洞体の軸線は、B軸と同軸であり、回転台の回転対称軸とも同軸である。
【0059】
中空の回転台400が回転しても、その中に配置されたキャビティ200は移動せず、キャビティ200を通過するレーザ110は常に直線方向に沿って伝播し、偏向を生じず、常に光学部材300に受けられる。光学部材300は、B軸回りを絶えず回転し、B軸回りの回転方向にレーザの分布を形成し、光ファイバーを引く必要がなく、レーザ焦点とB軸の回転軸線との距離を短縮し、位置決めの誤差の精度を向上させ、ワークの高精度加工を実現する。
【0060】
このような装置は、多軸系の加工設備を取り付けた後、キャビティに入射するレーザー110と回転台の回転軸410の交差角度を0~5°に維持し、回転台が回転するにつれて、中継部材と光学部材も回転軸410を中心に回転し、加工に使用されるレーザ740は、光学部材300から出射し、回転台の回転軸410を中心に伴って回転する。実際の生産では、避けられない応力、振動、弾性変形などの要因により、光学部材から放出されるレーザ740がオフセットされ、レーザの加工精度に影響する。図2は、従来のレーザで加工を実施する装置のレーザーの一実施形態の説明図であり、回転台の回転に伴って、中継部材と光学部材が同じ回転角度になり、光学部材300によって放出されるレーザがオフセットされることを概略的に示している。図3は、従来のレーザで加工を実施する装置のレーザーの別の実施形態の説明図であり、中継部材と光学部材が180°の角度で回転し、キャビティに入射するレーザー110と回転台の回転軸410との交わる角度は、0~5°に維持され、光学部材300が放出するレーザは、同じ位置にあたることができなくなる。そのため、依然として経常的に光路を再調整する必要があり、入射スキャナーのレーザーと回転台の回転軸心線との間の実際の距離と実際の角度が設定距離と設定角度からずれる状況に対して調整を行う必要があり、多くの時間を消費し、コスト制御に不利である。
【0061】
このため、本実施形態は、超短パルスレーザー光路の回転誤差を補償する方法を提供し、即ち、回転台の回転時、センサが回転台とともに回転台の回転軸線を中心に回転してレーザが回転台から出射する一端にセンサを設置し、レーザ情報を受け取り、リアルタイムの入射情報を制御器に送信し、制御器は、このリアルタイムの入射情報を設定位置情報と比較し、オフセット値を取得し、オフセット値が設定された閾値を超えると、反射機構が駆動される。
【0062】
反射機構は、超短パルスレーザー装置から出射されたレーザを受光し、制御器からの指令を取得した後、レーザーを補償し、補償後の入射スキャナーのレーザーと回転台の回転軸心線の相対位置を維持させる。
【0063】
図4は、本発明の方法を実施するための装置の一実施形態の説明図である。図4に示すように、ロータ内の中空構造の内壁をキャビティの外壁とし、キャビティ200は、回転台内の中空構造の空洞体である。超短パルスレーザー装置120は、ブラケット600に配置され、レーザ121を射出して反射機構800によって反射されて向きを変えられ、その後キャビティ200内に入射し、キャビティ200の出口端で、レーザ121は、直線に沿って伝播する。レーザは、レーザ投射中継部材700の作用を受けて方向転換された後、光学部材のガルバノスキャナー320によって受け取られる。光学部材は、回転軸を中心に回転し、回転軸の範囲内にフォーカスする。
【0064】
レーザ投射中継部材は、少なくとも1つのミラー系両面鏡面レンズを含む。本実施形態では、レーザ投射中継部材は、第3ミラー721と第4ミラー731に設置される。具体的には、第3ミラー721がレーザを受けた後、レーザを第4ミラー731に反射させ、第4ミラー731がレーザを受けた後、レーザをガルバノスキャナーに向けて反射する。好ましくは、第3ミラー及び第4ミラーのAOIは、何れも22.5°である。
【0065】
センサ900は、第3ミラー721の後方に位置し、ミラーを通過した光を使用してキャビティの出射端からレーザ光スポットを検出し、レーザのリアルタイムの位置情報を取得する。制御器(図示せず)は、センサ900によって送信されたリアルタイムの位置情報を受信し、設定された位置情報と比較し、位置オフセット値を取得する。位置オフセット値が閾値を超えた場合、レーザーと回転台の回転軸の相対位置が維持できない状況が発生していることを示し、反射機構に指令が送信される。本実施形態では、2つのセンサ部材を使用してレーザの入射角度情報とレーザのセンサ部材上の位置情報をそれぞれ取得し、より多くのレーザの入射情報を取得する。
【0066】
反射機構800は、制御器の指令を受けた後、超短パルスレーザー装置から受け取ったレーザを調整し、レーザを発射する光路を調整し、入射スキャナーのレーザー740と回転台の回転軸心線との相対位置を維持させ、リアルタイムにレーザーの変化を補償する。本実施形態では、反射機構800は、第1ミラー810と第2ミラー820を含み、各ミラーは、何れも単独のフレームに配置され、各ミラーに何れも少なくとも2つの調整可能な自由度をもたせ、即ち、少なくとも2つのミラーを介して4つ以上の自由度を提供し、レーザ補償を実施する。具体的には、第1ミラー810がレーザを受けた後、レーザを第2ミラー820に反射し、第2ミラーがレーザを受けた後、レーザをキャビティに反射し、入射スキャナーのレーザー740と回転台の回転軸の相対位置を維持させる。好ましくは、第1ミラー810及び第2ミラー820のAOIは、何れも22.5°である。
【0067】
図5は、本発明の方法を実施するための装置の一実施形態の説明図である。図5に示すように、センサ900は、第3ミラー721の後方に位置し、レーザ情報を受信し、リアルタイムの位置情報を制御器に送信する。制御器は、リアルタイムの位置情報と設定された位置情報を比較し、位置オフセット値を取得し、オフセット値が設定された閾値を超えると、第1ミラー810と第2ミラー820を駆動する。第1ミラー810と第2ミラー820をキャビティの出口に設置し、制御器の指令を得た後、超短パルスレーザー装置から受信してキャビティから出射するレーザを調整し、レーザを発射する光路を調整し、受け取ったレーザの光路を補償し、入射スキャナーのレーザー740と回転台の回転軸の相対位置を維持させ、リアルタイムにレーザーの変化を補償する。
【0068】
図6は、本発明の方法を実施するための装置の一実施形態の説明図である。図6に示すように、センサ900は、第3ミラー721の後方に位置し、レーザ情報を受信し、リアルタイムの位置情報を制御器に送信し、制御器は、リアルタイムの位置情報と設定された位置情報を比較し、位置オフセット値を取得する。オフセット値が設定された閾値を超えると、第1ミラー810と第2ミラー820を駆動する。第2ミラー820は、キャビティから出射し、第3ミラー721で反射されたレーザを受け、超短パルスレーザー装置からのレーザの光路を調整し、受け取ったレーザの光路を補償し、入射スキャナーのレーザーと回転台の回転軸心線の相対位置を維持させ、リアルタイムにレーザーを補償する。
【0069】
上記の各項の実施形態によって提供される装置は、加工設備に取り付けられ、例えば、3つの直線運動軸、ワークを固定するための1つの回転運動軸及び1つのレーザビーム回転軸を組み合わせて空間を形成する5軸レーザ加工技術案は、複数軸でワークを加工し、複雑で多様な構造の製品の製造を実現する。例えば、工作機械は、少なくとも3つの直線軸を有し、そのうち1つの直線軸に本発明の装置を取り付け(例えば、ワークをX軸及びY軸が確定する平面に設置する)、応力、振動、弾性変形、温度上昇などの要因がレーザビームと回転台の回転軸の相対位置を維持できなくさせる状況を解消し、レーザ加工の精密度を向上させ、各種仕様の部品に対するレーザ加工の実施に有利である。
【符号の説明】
【0070】
100 レーザエミッタ
110 レーザ
120 超短パルスレーザー装置
121 レーザ
200 キャビティ
300 光学部材
310 レーザビーム
320 ガルバノスキャナー
400 回転台
410 回転軸
600 ブラケット
700 レーザ投射中継部材
710 第1反射機構
720 第2反射機構
721 第3ミラー
730 レーザ
731 第4ミラー
740 レーザ
800 反射機構
810 第1ミラー
820 第2ミラー
900 センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】