(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】マルチセグメントアーキテクチャを有するバイオメトリック感知のためのセンサおよびシステム、ならびにその方法
(51)【国際特許分類】
G06V 40/13 20220101AFI20240110BHJP
H04N 5/33 20230101ALI20240110BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20240110BHJP
H04N 25/44 20230101ALI20240110BHJP
【FI】
G06V40/13
H04N5/33
H04N25/70
H04N25/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541542
(86)(22)【出願日】2022-01-04
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 IB2022000006
(87)【国際公開番号】W WO2022149048
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521454397
【氏名又は名称】ネクスト・バイオメトリクス・グループ・アーエスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,ティアン
(72)【発明者】
【氏名】クァン,キン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンス,ライアン・ジョン
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024AX06
5C024GY31
5C024JX08
(57)【要約】
バイオメトリック感知のためのマルチセグメント画素マトリクス、センサまたはデバイス、システム、および方法が提供される。そのようなデバイスまたはシステムは、画素マトリクスにおいて論理的に分割された別個のセグメントとして、2つ以上の画素アレイを有する画素マトリクスを備えたセンサを含んでいる。画素マトリクスは、熱感知ピクセルと容量感知ノードとの両方を含み得る。デバイスまたはシステムは、センサに結合された複数の特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る。各ASICは、少なくとも1つの画素アレイによって測定されたバイオメトリックパターンの画像データを取得するように構成されている。各画素アレイは、複数のASICのうちの1つまたは複数のASICによって、独立して駆動および走査される。デバイスまたはシステムは、画像データの処理、および/またはシステムの動作の制御のために使用される複数のASICに結合されたマイクロコントローラユニットをさらに含んでいる。そのようなセンサは、指紋センサとすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオメトリック感知のためのシステムであって、
2つ以上の画素アレイを有する画素マトリクスを備えたセンサであって、前記2つ以上の画素アレイは、前記画素マトリクスにおいて別個のセグメントとして論理的に分割された、センサと、
前記センサに結合された複数の特定用途向け集積回路(ASIC)であって、各ASICは、少なくとも1つの画素アレイによって測定された、対象のバイオメトリックパターンの画像データを取得するように構成され、各画素アレイは、前記複数のASICのうちの1つまたは複数によって、独立して駆動および走査されるように構成された、複数のASICと、
前記複数のASICに結合され、1つまたは複数のプロセッサと、少なくとも1つの有形の非一時的機械可読媒体とを備えたマイクロコントローラユニット(MCU)であって、前記少なくとも1つの有形の非一時的機械可読媒体は、前記画像データを処理することおよび前記システムの動作を制御することの一方又は双方を行うように構成された1つまたは複数のプログラムでエンコードされた、マイクロコントローラユニット(MCU)と
を備えたシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記画素マトリクスは、2から約12の画素アレイを備えた、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記複数のASICおよび前記センサは、バイオメトリック感知デバイス内にともに配置された、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、前記センサは、複数のサポート回路をさらに備え、各画素アレイは、少なくとも1つのサポート回路と接続された、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、複数のスイッチをさらに備え、各画素アレイは、1つまたは複数のスイッチを介して、前記複数のASICのうちの1つまたは複数によって、独立して駆動および走査されるように構成された、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、各画素アレイは、複数の行および複数の列に配置された複数の画素を備えた、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、各画素アレイは、アクティブ熱感知原理に基づいて動作するように構成された熱感知画素を備え、前記熱感知画素では、電力熱パルスが各画素アレイに印加され、バイオメトリックパターンに対応する応答が測定される、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、各画素アレイにおける画素は、画素行ラインと画素列ラインとの間に直列に接続された1つまたは複数のダイオードを備えた、システム。
【請求項9】
請求項7に記載のシステムであって、各画素アレイは、各画素アレイに分布する容量感知ノードを備えた容量感知グリッドをさらに備えた、システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムであって、それぞれのASIC若しくは前記MCU内に、または、それぞれのASIC若しくは前記MCUの外側に、独立した集積回路として、補助回路をさらに備え、前記容量感知グリッドは、前記補助回路と接続された、システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、前記MCUを介して、前記システムは、
前記センサ上の、バイオメトリックパターンを有する対象の存在を検出するステップと、
画素アレイにおける画素の一部を走査することによって粗走査を実行して、前記対象と前記センサとの間の接触境界を判定するステップと、
前記接触境界内で選択的に精細走査を実行して、前記バイオメトリックパターンの前記画像データを提供するステップと
を備えたステップを実行するように構成された、システム。
【請求項12】
バイオメトリック感知のためのデバイスであって、
2つ以上の画素アレイを有する画素マトリクスを備えたセンサであって、前記2つ以上の画素アレイは、前記画素マトリクスにおいて別個のセグメントとして論理的に分割された、センサと、
前記センサに結合された複数の特定用途向け集積回路(ASIC)であって、各ASICは、少なくとも1つの画素アレイによって測定された、対象のバイオメトリックパターンの画像データを取得するように構成され、各画素アレイは、前記複数のASICのうちの1つまたは複数によって、独立して駆動および走査されるように構成された、複数のASICと
を備えたデバイス。
【請求項13】
請求項12に記載のデバイスであって、前記センサは指紋センサであり、前記対象は指であり、前記バイオメトリックパターンは指紋である、デバイス。
【請求項14】
請求項12に記載のデバイスであって、各画素アレイは、複数の行および複数の列に配置された複数の画素を備え、前記複数の画素は、熱感知画素を備えた、デバイス。
【請求項15】
請求項14に記載のデバイスであって、各画素アレイは、容量感知グリッドをさらに備え、前記容量感知グリッドは、各画素アレイに分布する容量感知ノードを備え、前記対象の存在と、前記対象の回転運動および位置との一方または双方を検出するように構成された、デバイス。
【請求項16】
請求項15に記載のデバイスであって、前記容量感知ノードは、相互容量感知ノードまたは自己容量感知ノードである、デバイス。
【請求項17】
請求項16に記載のデバイスであって、前記自己容量感知ノードは、薄膜トランジスタのアレイによってアドレス指定されるパッシブマトリクスまたはアドレス指定されるアクティブマトリクスであるように構成された、デバイス。
【請求項18】
請求項16に記載のデバイスであって、前記相互容量感知ノードは、アドレス指定されるパッシブマトリクスであるように構成された、デバイス。
【請求項19】
請求項12に記載のデバイスであって、前記複数のASICに結合され、1つまたは複数のプロセッサと、少なくとも1つの有形の非一時的機械可読媒体とを備えたマイクロコントローラユニット(MCU)であって、前記少なくとも1つの有形の非一時的機械可読媒体は、前記画像データを処理することおよび前記デバイスの動作を制御することの一方又は双方を行うように構成された1つまたは複数のプログラムでエンコードされた、マイクロコントローラユニット(MCU)をさらに備えたデバイス。
【請求項20】
デバイスまたはシステムを使用する方法であって、前記デバイスまたはシステムは、2つ以上の画素アレイを有する画素マトリクスを備えたセンサであって、前記2つ以上の画素アレイは、前記画素マトリクスにおいて別個のセグメントとして論理的に分割された、センサを備え、
前記センサ上の、バイオメトリックパターンを有する対象の存在を検出するステップと、
画素アレイにおける画素の一部を走査することによって粗走査を実行して、前記対象と前記センサとの間の接触境界を判定するステップと、
前記接触境界内で選択的に精細走査を実行して、前記バイオメトリックパターンの画像データを提供するステップと
を備えた方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記センサは指紋センサであり、前記対象は少なくとも1本の指を含んでおり、前記バイオメトリックパターンは指紋である、方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法であって、各画素アレイは、複数の行および複数の列に配置された複数の画素を備え、前記複数の画素は、熱感知画素を備え、各画素アレイは、各画素アレイに分布する容量感知ノードを有する容量感知グリッドをさらに備えた、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記センサ上の対象の前記存在は、前記熱感知画素または前記容量感知ノードを介して検出される、方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法であって、前記粗走査および前記精細走査は、前記熱感知画素を介して実行される、方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法であって、前記容量感知ノードを使用する容量走査を介して、前記対象の回転運動および位置を動的に追跡するステップをさらに備えた方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、MCUを使用して、前記対象の前記回転運動中に、熱走査を介して取得された前記対象のバイオメトリック画像を組み合わせて、完全なバイオメトリックパターンを提供するステップをさらに備えた方法。
【請求項27】
請求項22に記載の方法であって、前記容量感知ノードは、相互容量感知ノードまたは自己容量感知ノードである、方法。
【請求項28】
請求項22に記載の方法であって、前記自己容量感知ノードは、薄膜トランジスタのアレイによってアドレス指定されるパッシブマトリクスまたはアドレス指定されるアクティブマトリクスであり、前記相互容量感知ノードは、アドレス指定されるパッシブマトリクスであるように構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権および相互参照
[0001]本出願は、2021年1月8日に出願された米国仮出願第63/134,966号の利益を主張し、その出願はその全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、一般に、部分的に熱伝導性の表面のパターンを測定するためのデバイスまたは装置および方法に関する。より具体的には、開示される主題は、指紋センサなどのバイオメトリック(biometric;生体測定、生体認証)感知のためのデバイスまたは装置と、システムと、バイオメトリック(たとえば、指紋)パターンの画像を測定または取得するための方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]指紋センサは、バイオメトリックセキュリティを提供するために使用される技術の1つの形態である。指の皮膚における山と谷とによって形成される微細パターンは、基本的な動作原理が異なる感知アレイによってマッピングされ得る。熱信号を利用するセンサもあれば、電気信号、圧力信号、または光信号を利用するセンサもある。アクティブセンサは、与えられた刺激に対する特定の物理パラメータの応答を定量化する。精度レベルは、指紋パターンの読取りに使用される物理的原理によって制限される。さらに、指紋走査を実行する場合は、汚れや湿度などの環境変数に対する耐性も重要である。
【0004】
[0004]指紋センサは、ユーザの身元を確認するために、そして、許可されたユーザがデバイスの使用を試みているとセンサが確認しない場合にはアクセスを制限するために、電子デバイスでよく使用される。たとえば、特定のスマートクレジットカードでは、使用前に指紋センサによるユーザの認証が必要である。指紋センサは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、販売時点管理デバイスなどのコンピューティングデバイスにも組み込まれており、許可されたユーザのみが、そのようなデバイスのロックを解除して使用できるようにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]本開示は、バイオメトリック感知のためのマルチセグメント画素マトリクス、センサまたはデバイス、システム、および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]一部の実施形態によれば、バイオメトリック感知のためのシステムは、画素マトリクスにおいて論理的に分割された別個のセグメントとして、2つ以上の画素アレイを有する画素マトリクスを備えたセンサを備えている。このシステムは、センサに結合された複数の特定用途向け集積回路(ASIC)をさらに備えている。各ASICは、少なくとも1つの画素アレイによって測定された、対象のバイオメトリックパターンの画像データを取得するように構成されている。各画素アレイは、複数のASICのうちの1つまたは複数のASICによって、独立して駆動および走査されるように構成されている。システムは、複数のASICに結合されたマイクロコントローラユニット(MCU)をさらに備え得る。MCUは、1つまたは複数のプロセッサと、画像データを処理し、および/またはシステムの動作を制御するように構成された、1つまたは複数のプログラムでエンコードされた少なくとも1つの有形の非一時的機械可読媒体とを備えている。一部の実施形態では、複数のASICおよびセンサは、バイオメトリック感知デバイス内にともに配置されている。
【0007】
[0007]一部の実施形態では、画素マトリクスは、任意の適切な数の画素アレイ、たとえば、2から約12の画素アレイを備えている。画素アレイ(またはセグメント)の数は、2から12の範囲の任意の整数であることができる。
【0008】
[0008]センサは、複数のサポート回路をさらに備え得る。各画素アレイは、少なくとも1つのサポート回路と接続されている。一部の実施形態では、システムにおけるセンサは、複数のスイッチをさらに備え得る。各スイッチは、1つまたは複数のサポート回路、および、1つまたは複数のASICと接続されている。各画素アレイは、1つまたは複数のスイッチを介して、複数のASICのうちの1つまたは複数のASICによって、独立して駆動および走査されるように構成されている。
【0009】
[0009]一部の実施形態では、各画素アレイは、複数の行および複数の列に配置された複数の画素を備えている。各画素アレイは、アクティブ熱感知原理に基づいて動作するように構成された熱感知画素を備えており、熱感知画素では、電力熱パルスが、各画素アレイに印加され、バイオメトリックパターンに対応する応答が測定される。熱感知のために、各画素アレイにおける画素は、画素行ラインと画素列ラインとの間に直列に接続された1つまたは複数のダイオードを備え得る。
【0010】
[0010]一部の実施形態によれば、各画素アレイは、各画素アレイに分布する容量感知ノードを備えた容量感知グリッドをさらに備えている。システムまたはデバイスは、それぞれのASICまたはMCU内に、または、それぞれのASICまたはMCUの外側に、独立した集積回路として、容量感知グリッドのための補助回路をさらに備え得る。容量感知グリッドは、補助回路と接続されている。
【0011】
[0011]MCUを介して、システムは、本明細書で説明されている機能およびステップを実行するように構成されている。たとえば、ステップは、センサ上の、バイオメトリックパターンを有する対象の存在を検出することと、画素アレイにおける画素の一部を走査することによって粗走査を実行して、対象とセンサとの間の接触境界を判定することと、接触境界内で選択的に精細走査を実行して、バイオメトリックパターンの画像データを提供することとを備えている。ステップは、本開示で説明されるように、回転運動および位置を検出し、画像を結合し、画像データを処理および比較するためのステップも含み得る。
【0012】
[0012]別の態様では、本開示は、バイオメトリック感知のためのセンサまたはデバイスを提供する。そのようなデバイスは、画素マトリクスにおいて論理的に分割された別個のセグメントとして、複数の画素アレイを有する画素マトリクスを備えたセンサと、センサに結合された複数の特定用途向け集積回路(ASIC)とを備えている。各ASICは、少なくとも1つの画素アレイによって測定された、対象のバイオメトリックパターンの画像データを取得するように構成されている。各画素アレイは、複数のASICのうちの1つまたは複数のASICによって、独立して駆動および走査されるように構成されている。一部の実施形態では、センサは指紋センサであり、対象は指であり、バイオメトリックパターンは指紋である。
【0013】
[0013]一部の実施形態では、各画素アレイは、複数の行および複数の列に配置された複数の画素を備えており、複数の画素は、熱感知画素を備えている。各画素アレイは、各画素アレイに分布する容量感知ノードを備えた容量感知グリッドをさらに備え得る。容量感知グリッドは、対象の存在、および/または対象の回転運動および位置を検出するように構成されている。容量感知ノードは、相互容量感知ノードまたは自己容量感知ノードであり得る。自己容量感知ノードは、薄膜トランジスタのアレイによって、アドレス指定されるパッシブマトリクス、またはアドレス指定されるアクティブマトリクスであるように構成されている。相互容量感知ノードは、アドレス指定されるパッシブマトリクスであるように構成されている。
【0014】
[0014]デバイスは、本明細書で説明されているようなスイッチをさらに備え得る。デバイスは、複数のASICに結合されたマイクロコントローラユニット(MCU)を備え得る。MCUは、1つまたは複数のプロセッサと、本明細書で説明されているように、画像データを処理し、および/またはデバイスの動作を制御するように構成された、1つまたは複数のプログラムでエンコードされた少なくとも1つの有形の非一時的機械可読媒体とを備えている。
【0015】
[0015]別の態様では、本開示は、画素マトリクスにおいて論理的に分割された別個のセグメントとして、複数の画素アレイを有する画素マトリクスを備えたセンサを備えたデバイスまたはシステムを使用する方法を提供する。そのような方法は、センサ上の、バイオメトリックパターンを有する対象の存在を検出することと、画素アレイにおける画素の一部を走査することによって粗走査(プレ走査)を実行して、対象とセンサとの間の接触境界を判定することと、接触境界内で選択的に精細走査を実行して、バイオメトリックパターンの画像データを提供することとからなるステップを備えている。
【0016】
[0016]一部の実施形態では、センサは指紋センサであり、対象は少なくとも1本の指を含んでおり、バイオメトリックパターンは指紋である。
[0017]本明細書で説明されているように、各画素アレイは、複数の行および複数の列に配置された複数の画素を備えている。複数の画素は、熱感知画素を備えている。各画素アレイは、各画素アレイに分布する容量感知ノードを有する容量感知グリッドをさらに備え得る。
【0017】
[0018]そのような方法では、センサ上の指の接触などの対象の存在が、熱感知画素または容量感知ノードを介して検出される。粗走査および精細走査は、熱感知画素を介して実行される。
【0018】
[0019]そのような方法は、容量感知ノードを使用する容量走査を介して、対象の回転運動および位置を動的に追跡するステップをさらに備え得る。方法は、MCUを使用して、対象の回転運動中に、熱走査を介して取得された対象のバイオメトリック画像を組み合わせて、完全なバイオメトリックパターンを提供するための1つまたは複数のステップをさらに備え得る。
【0019】
[0020]一部の実施形態では、容量感知ノードは、相互容量感知ノードまたは自己容量感知ノードである。自己容量感知ノードは、薄膜トランジスタのアレイによって、アドレス指定されるパッシブマトリクス、またはアドレス指定されるアクティブマトリクスであり得る。相互容量感知ノードは、アドレス指定されるパッシブマトリクスであるように構成されている。
【0020】
[0021]本開示で提供されるセンサ、デバイス、システム、および方法は、既存の技術では提供できない顕著な利点を提供する。たとえば、本開示で提供される技術は、より速い走査時間、より低い総電力消費量、改善された画像走査帯域幅、移動/回転する対象(1つまたは複数の指など)を走査する能力、および高解像度を提供する。たとえば、指紋取得プロファイル(FAP)規格を満たすために、大型の指紋センサまたはシステムが提供され得る。
【0021】
[0022]本開示は、以下の詳細な説明を、添付図面と併せて読むことにより、最もよく理解される。一般的な慣例によれば、図面の様々な特徴は必ずしも縮尺通りである必要はないことが強調される。逆に、様々な特徴の寸法は、明確化のために任意に拡大または縮小される。明細書および図面全体を通じて、同様の参照番号は同様の特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】[0023]一部の実施形態による、バイオメトリックセンサシステムなどの例示的なシステムを示すブロック図である。
【
図2】[0024]一部の実施形態による、指紋センサまたはデバイスなどの例示的なセンサまたはデバイスの概略図である。
【
図3】[0025]指紋センサ上で回転している指の異なる接触領域を例示する図である。
【
図4A】[0026]
図4Aは、一部の実施形態における画素アレイを例示する図である。
【
図4B】[0027]
図4Bは、一部の実施形態による、マルチセグメント感知領域および画素アレイを有する2つの例示的な画素マトリクスを例示する図である。
【
図4C】
図4Cは、一部の実施形態による、マルチセグメント感知領域および画素アレイを有する2つの例示的な画素マトリクスを例示する図である。
【
図5A】[0028]
図5Aは、一部の実施形態における画素アレイを有する指紋センサなどのデバイスを例示する図である。
【
図5B】[0029]
図5Bは、一部の実施形態による、(たとえば、図示のため
図4Cの)マルチセグメント画素マトリクスを有する指センサなどの例示的なデバイスを例示する図である。
【
図6】[0030]一部の実施形態による、スイッチを備えた(たとえば、図示のため
図4Cの)マルチセグメント画素マトリクスを有する指センサなどの例示的なデバイスを例示する図である。
【
図7】[0031]一部の実施形態による、マルチセグメント画素マトリクス(またはマルチ画素アレイと呼ばれる)を有する指センサなどの例示的なデバイスを使用する選択的アクティブ熱走査の方法を示すフローチャートである。
【
図8A】[0032]
図8Aは、一部の実施形態による、
図7の方法の3つのステップのうち指検出からの指紋を例示する図である。
【
図8B】
図8Bは、一部の実施形態による、
図7の方法の3つのステップのうち高速プレ走査からの指紋を例示する図である。
【
図8C】
図8Cは、一部の実施形態による、
図7の方法の3つのステップのうち精細指紋走査からの指紋を例示する図である。
【
図9】[0033]一部の実施形態による、マルチセグメント画素マトリクスと、容量感知ノードを有する2-D容量感知グリッドとの両方を有する指センサなどの例示的なセンサを例示する図である。
【
図10】[0034]回転されていない状態(A)および回転された状態の指に対する長方形の指紋走査境界の2つの例を図示する図である。
【
図11A】[0035]
図11Aは、一部の実施形態による、
図7の方法の3つのステップのうち指検出を含む指紋走査境界を例示する図である。
【
図11B】
図11Bは、一部の実施形態による、
図7の方法の3つのステップのうち高速プレ走査を含む指紋走査境界を示す図である。
【
図11C】
図11Cは、一部の実施形態による、
図7の方法の3つのステップのうち精細指紋走査を含む指紋走査境界を示す図である。
【
図12】[0036]一部の実施形態による、例示的なシステムを使用した指回転走査動作のプロセスを例示する図である。
【
図13】[0037]一部の実施形態による、例示的なシステムを使用して、回転している指の画像を連続的に取得するプロセスを例示する図である。
【
図14】[0038]一部の実施形態による、画像走査の総電力消費量を低減するために、例示的なシステムを使用して最小限の画像取得時間で、回転している指紋の画像を取得するプロセスを例示する図である。
【
図15】[0039]一部の実施形態による、バイオメトリック感知のための例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0040]例示的な実施形態のこの説明は、添付図面と関連付けて読まれることを意図されており、添付図面は、書面による説明全体の一部とみなされるべきである。説明では、「下側」、「上側」、「水平」、「垂直」、「上方」、「下方」、「上向き」、「下向き」、「頂上」、「底」などの相対的な用語は、その派生語(たとえば、「水平に」、「下向きに」、「上向きに」など)も同様に、そのとき説明される、または議論中の図面に図示される向きを指すと解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜のためのものであり、装置が特定の方位に構築されたり、または動作されることを必要としない。「接続された」や「相互接続された」などの取付け、結合などに関する用語は、そうではないと明示的に説明されていない限り、構造が直接的に、または介在する構造を介して間接的に互いに固定または取り付けられている関係、および可動または剛体の取付けまたは関係の両方を称する。
【0024】
[0041]以下の説明の目的のために、以下に説明される実施形態は、代替の変形例および実施形態を想定し得ることを理解されたい。また、本明細書で説明されている特定の物品、組成物、および/またはプロセスは例示的なものであり、限定するものとみなされるべきではないことも理解されるべきである。
【0025】
[0042]本開示において、単数形「a」、「an」、および「the」は、複数の参照を含み、特定の数値への参照は、文脈が明確にそうではないと示さない限り、少なくともその特定の値を含む。先行詞「約」を使用して値が近似値として表現される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「約X」(ここでは、Xは数値である)は、好ましくは、記載された値の±10%を含めて指す。たとえば、「約8」という語句は、7.2から8.8までの値を指すことが好ましい。存在する場合、すべての範囲が包括的であり、組合せ可能である。たとえば、「1から5」の範囲が記載されている場合、記載された範囲は、「1から4」、「1から3」、「1~2」、「1~2および4~5」、「1~3および5」、「2~5」などの範囲を含むものとして解釈されるべきである。それに加えて、代替案のリストが積極的に提供される場合、そのようなリストは、たとえば特許請求の範囲における否定的な限定によって代替案のいずれも除外され得ることを意味すると解釈することができる。たとえば、「1~5」の範囲が記載されている場合、記載された範囲は、1、2、3、4または5のいずれかが否定的に除外される状況を含むものとして解釈され得、したがって、「1~5」という記載は、「2ではなく、1および3~5」、または単に「ここでは、2は含まれない」と解釈される場合がある。本明細書で積極的に列挙されるあらゆる構成要素、要素、属性、またはステップは、そのような構成要素、要素、属性、またはステップが、代替としてリストされるか、または単独で列挙されているかに関わらず、特許請求の範囲において明示的に除外され得ることが意図される。
【0026】
[0043]そうではないと明記されていないのであれば、本明細書で使用される「接続された」または「結合された」という用語は、電気を伝導したり、通信のための信号を送信したりするための2つの構成要素間、または3つ以上の構成要素間の異なる接続または結合を包含するものと理解される。そのような接続または結合は、ワイヤ、ワイヤレス、またはクラウドベースのモードを介して行うことができる。
【0027】
[0044]本開示は、バイオメトリック感知などの感知のための、マルチセグメント画素マトリクス、センサまたはデバイス、装置、システム、および方法を提供する。本開示はまた、マルチセグメント画素マトリクスを作成する方法、センサ、デバイス、装置、およびシステムを提供する。本開示は、説明のみを目的として、例示的な対象として指を使用し、バイオメトリックパターンの例として指紋を使用して説明される。本開示で提供される製品および方法は、一般に対象の部分的な熱伝導表面のパターンを測定するために使用することができる。たとえば、そのような対象は、手のひらや、人体の他の部分における皮膚とすることができる。
【0028】
[0045]大きな指紋感知領域は、1回の走査で、より多くの指紋情報を取得し、低い誤り受入および誤り拒否率で、より高い識別精度を提供するので、非常に望ましい。同時に、指紋の特徴点、隆線の輪郭、およびエッジの特徴を正確に取得した高品質の指紋画像を取得するために、高い指紋走査解像度が必要である。そのような詳細は、信頼性の高い指紋照合にとって非常に重要であり、本物の指と偽物の指とを区別するアンチスプーフィング機能を可能にする。FBI認定の個人身元検証(PIV)および画質基準(IQS)は、最低500dpiのセンサ解像度が必要である。広感知領域および高走査解像度の要件は、妥当な走査時間内にセンサ上の多数の画素から完全な指紋画像を収集するために、感知システムが十分に高い帯域幅を有している必要があることを意味する。
【0029】
[0046]複数の指を同時に走査できる大型指紋センサは、家庭用電化製品で人気が高まっており、法執行機関、国境警備、および他の高セキュリティ用途のためにますます不可欠なものとなっている。特に、4本の指を同時に走査し、回転している指から連続的な指紋を取得できるFAP60指紋センサは、政府機関、入国審査、および軍事用途のための事実上の標準である。したがって、増大する需要を満たすために、次世代の指紋センサは、極めて広い感知領域から高解像度の指紋画像を収集し、複数の個々の指紋を識別し、さらには、センサを横切って回転して動いている指紋から、指紋を動的に収集することができる、非常に高い画像走査および処理帯域幅を有している必要がある。
【0030】
[0047]アクティブ熱原理は、極めて広く高い解像度の指紋取得プロファイル(FAP)規格指紋センサを実施するための好適なソリューションのうちの1つのソリューションである。これは、本質的に太陽光の干渉を受けず、濡れた指や汗をかいた指でも問題なく機能する。これは、光学式の対応物に対して、薄いフォームファクタで、軽量で、コスト効率の高い代替物を提供する。これらの機能は、モバイルアプリケーションに統合したり、民間用途におけるより広い採用のために非常に望ましい。本開示で提供されるこの技術は、次世代アクティブ熱センサが、光センサと競合できるようにする新しい感知システムアーキテクチャを採用することにより、走査帯域幅、走査時間、およびエネルギ消費量を大幅に改善する。
【0031】
[0048]本開示は、主走査方法として選択的アクティブ熱感知を用いて説明される。本明細書で説明されているマルチセグメントアーキテクチャなどの技術は、主走査方法として光学走査を伴うセンサおよびシステムにも使用され得る。
【0032】
[0049]
図1~
図14において、同様の項目は同様の参照番号で示されており、簡潔のために、前の図を参照して上記で提供された構造の説明は繰り返されない。
図7~
図8および
図11~
図15において説明された方法は、
図1~
図6および
図9で説明された例示的な構造を参照して説明される。
【0033】
[0050]
図1は、一部の実施形態によるバイオメトリックセンサシステム100などの例示的なシステムの概略図である。そのような例示的なシステムは、バイオメトリックシステムのための1つの可能なアーキテクチャである可能性がある。
【0034】
[0051]
図1を参照して示すように、例示される実施形態では、バイオメトリックセンサシステム100は、バイオメトリック(たとえば、指紋)センサ10と、画像取得特定用途向け集積回路(「ASIC」)50と、マイクロコントローラユニット(「MCU」)60とを含んでいる。ASIC50は、インターフェース11を介してバイオメトリックセンサ10と通信し、MCU60は、インターフェース51を介してASIC50と通信する。ASIC50とMCU60との一方または両方が、1つのチップに組み込まれ得る。バイオメトリックセンサ10は、ASIC50の制御のもと、指紋などのバイオメトリックパターンの画像を取得し、インターフェース11を介して画像データを信号として送信するように構成されている。一部の実施形態では、バイオメトリックセンサ10は、アナログ信号を出力し、インターフェース11は、アナログインターフェースである。ASIC50は、画像データをMCU60に送信する前に、アナログ信号を受信し、アナログデジタル変換(「A/D変換」)を実行することができる。
【0035】
[0052]あるいは、一部の実施形態では、バイオメトリックセンサ10がデジタル信号を出力し、インターフェース11がデジタルインターフェースであるように、A/D変換を指紋センサ10内で行うことができる。たとえば、(以下に説明されるように)バイオメトリックセンサ10が画素のマトリクスを含む実施形態では、各画素は、A/D変換を含み、デジタル信号をASIC50に出力し得る。一部の実施形態では、指紋センサ10は、デジタル信号をMCU60に直接出力することができる。インターフェース11は、バイオメトリックセンサ10からの他の様々な信号も伝送する。ASIC50および/またはMCU60は、それらの信号を評価して、バイオメトリックセンサ10上の標本の存在および位置を判定することができる。その情報は、走査を制御するためにASIC50および/またはMCU60によって使用される。たとえば、ASIC50および/またはMCU60は、バイオメトリックセンサ10のサブ部分を識別することができ、ASIC50は、バイオメトリックセンサ10に、そのサブ部分のみを走査するように指示することができる。
【0036】
[0053]処理チップであることができるASIC50は、バイオメトリックセンサ10から画像データを読み取り、画像データをインターフェース51(たとえば、SPI、USB、または他の適切なインターフェース)を介してMCU60に転送する。MCU60は、画像データを処理し、独特の特徴を抽出し、たとえば画像データ内のいわゆる「特徴点」に基づいて指紋テンプレート(たとえば、指紋の画像)を生成する。一部の実施形態では、MCU60は、指紋テンプレートを、1つまたは複数の格納された指紋(たとえば、許可された人の指紋に対応する)と比較して、テンプレートが、格納されている指紋のいずれかに一致するか否かを判定する指紋照合機能を備えている。一部の実施形態では、ASIC50およびMCU60は、画像取得コントローラ70の構成要素である。様々な実施形態において、画像取得コントローラ70は、バイオメトリックセンサシステム100が統合されるホストシステム(たとえば、スマートフォン、スマートカードなど)の一部であり得る1つまたは複数のプロセッサ(図示せず)も含む。
【0037】
[0054]様々な実施形態において、ASIC50、MCU60、画像取得コントローラ70、および/またはスマートカードチップ(図示せず)の機能は、ホストシステム内の単一のチップまたは複数のチップに統合することができる。たとえば、バイオメトリックセンサシステム100は、モバイル電話、パーソナルコンピュータ、アクセス制御システム、USBリーダ、販売時点管理端末、スマートカード、または他の任意の適切な用途で使用され得る。スマートクレジットカードの実施形態用のような一部の実施形態では、指紋テンプレートは、スマートカードチップ(集積回路カードチップ、ICC)に転送されて、格納され、「カード上の一致」または「SE上の一致」(セキュア要素)とも呼ばれることもある、いわゆるオンカードバイオメトリック比較アプリケーションにおいて照合が実行される。
【0038】
[0055]一部の実施形態によれば、MCU60自体が、システム100のコントローラとなることができ、指紋モジュール全体またはシステム100の動作を制御するように構成されている。たとえば、MCU60の機能は、指の存在の検出、指紋の収集または走査から、画像の処理およびホストへの画像の暗号化まで多岐にわたり得る。場合によっては、MCU60の機能は、ユーザがMCU60においてどの程度のことを実行したいかによって決まる場合がある。「チップ上の一致」が必要とされる一部の実施形態では、MCU60は、収集された指紋を比較し、収集された指紋がMCU60に以前に格納された指紋と一致するか否かを判定する。一部の実施形態では、ユーザは、MCU60が完全な画像を提供することだけを望む場合があり、その画像は、ホストシステム(たとえば、MSFT Windows Hello)で「照合」される。しかしながら、他の一部のアプリケーションでは、ユーザが、モジュール動作を、より制御したい場合があり、MCU60は、ホストからの特定のコマンドに応じて実行するように構成されている。
【0039】
[0056]
図1および
図2を参照して示すように、一部の実施形態では、指紋センサ10とASIC50との両方が、1つの基板上に配置され得、指紋センサまたは指紋感知デバイス15と呼ばれる。
図2は、一部の実施形態による例示的なシステムにおける例示的なバイオメトリック(たとえば、指紋)センサまたはバイオメトリック(たとえば、指紋)感知デバイス15の部分概略図である。MCU60は、バイオメトリック感知デバイス15に配置されてもよいし、またはバイオメトリック感知デバイス15と接続された状態で別個に設けられてもよい。
【0040】
[0057]
図2を参照して示すように、例示される実施形態では、バイオメトリック感知デバイス15は、基板14と、バイオメトリックセンサ10用の画素マトリクス16と、回路構成52と、接続点53とを備えたバイオメトリックセンサ10を備えている。画素マトリクス16は、本明細書で説明されているように、1つまたは複数の画素アレイ(すなわち、マルチセグメント画素マトリクスまたはアレイ)であり得る。一部の実施形態では、ASIC50は、たとえば
図2に図示されているように、基板14に取り付けられ得る。一部の実施形態では、バイオメトリックセンサ10は、可撓性センサであり、基板14は、可撓性材料である。様々な実施形態において、基板14は、また、製造時にマイクロエレクトロニクス構造を堆積するのに適したポリマ、金属箔、半導体材料、石英、ガラス、または他の任意の材料、またはそれらの組合せから構築され得る。適切なポリマ材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、およびポリイミドが挙げられるが、これらに限定されない。適切な金属箔の例としては、鋼、アルミニウム、および金属合金が挙げられるが、これらに限定されない。適切な半導体材料の例としては、シリコンおよびIII-V族半導体材料が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、基板14は、ポリイミドや金属箔などの可撓性材料で作られる。
【0041】
[0058]
図2に例示されるように、画素マトリクス16は、基板14の表面上に配置される。一部の実施形態では、画素マトリクス16は、薄膜トランジスタ(TFT)製造プロセスまたは他の堆積プロセスを使用して基板14の表面上に形成される。たとえば、低温ポリシリコン(LTPS)製造プロセスが使用され得る。接続点53は、たとえばASIC50を介して通信可能に画素マトリクス16に電気的に結合され、外部システム、たとえばMCU60(
図1)への接続を可能にする。一部の実施形態では、保護コーティング(例示されていない)が、画素マトリクス16上に塗布されてもよい。本明細書でさらに説明されるように、周囲の回路構成52は、画素マトリクス16の特定の行または列、または画素マトリクス16の特定の領域内の行または列を、選択的に走査する、または読み出すことを可能にするアドレスラインを含む。
【0042】
[0059]様々な実施形態において、バイオメトリックセンサ10は、アクティブ熱感知原理に基づいて動作する。そのような実施形態では、低電力の熱パルスが短期間にわたって各センサ画素に印加され、応答が測定される。このタイプの指紋センサは、LTPS薄膜トランジスタやデバイスを形成するような大面積の製造プロセスを介して製造され得る。アクティブ熱センサは、アクティブ熱原理に基づいて、所与の加熱刺激に対する対象の熱コンダクタンスを測定する。本開示におけるバイオメトリックセンサ10に適したアクティブ熱感知原理の例は、Dinhへ与えられ「Sensor for Acquiring a Fingerprint Image Based on Heat Transfer」(熱伝達に基づいて指紋画像を取得するためのセンサ)と題された米国特許第6,091,837号と、同様にDinhへ与えられ「Apparatus for Fingerprint Sensing and Other Measurements」(指紋感知および他の測定のための装置)と題された米国特許第8,724,860号とに開示され、これらの各全文は、本明細書において参照によって組み込まれる。刺激に対する応答は、センサアレイ内の各感知部位によって測定される。要素の熱応答は、部分的には、提供された刺激の関数であり、つまり、刺激が大きいほど、応答は大きくなる。感知部位に電流を印加すると、感知部位が加熱される。
【0043】
[0060]熱センサの原理は、指紋の谷と山の皮膚構造が、異なる熱伝達特性を有するので、指紋の谷と山とを区別するために、熱伝達機構を利用する。短い熱パルスが、センサアレイ内の選択された画素(または本明細書で説明されているセンサアレイの一部)に適用され、指とその下にある個々のセンサとの間の熱交換が、センサ温度変化測定を介して監視される。センサの温度が比較的高い場合は、熱伝導率が低いため、この時点で、考慮されるセンサと、指との間で熱損失がほとんどないか、熱交換がわずかであることを示す。熱伝導率が低い点は、局所的な指紋の谷構造をマッピングし、熱伝導率が高い点、つまり高い熱伝導/伝達を有する点は、局所的な指紋の山構造をマッピングする。中間の熱伝導点は、山と谷との間の局所的な遷移ゾーンに対応する。感知要素(たとえば、指紋センサの画素)を使用して温度差が測定され、測定値が処理されて、指紋センサ上に指紋の画像が生成される。
【0044】
[0061]本明細書で説明されている各画素アレイは、(
図2に例示されるように)熱感知画素19などのセンサ素子または画素18を備えている。画素アレイは、画素18の2次元ネットワークであり得る。一部の実施形態では、画素またはセンサ素子は、画素行ラインと画素列ラインとの間に直列に接続された1つまたは複数のダイオードを含み得る。ダイオードはセンサ表面に近く、測定される指紋と熱的に良好に接触しており、画素ヒータと温度感知素子との両方として機能し得る。
【0045】
[0062]画素加熱電力は、ダイオードの数と、各ダイオードを通過する所与の電流および電圧との積に比例する。ダイオードは温度に敏感であり、画素内の任意の温度変化は、電流がバイアスされている場合は、対応する電圧の変化を反映し、電圧がバイアスされている場合は、対応する電流の変化を反映する。
【0046】
[0063]画素ダイオードは、純粋な整流特性または組み合わされた整流特性を備えた任意のマイクロ電子デバイス構造とすることができる。適切なダイオードの例としては、PN接合整流器、ショットキー整流器、PINダイオード、またはそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。ダイオードは、ゲルマニウムやシリコンなどの化合物半導体、または適切な特性を備えたアルミニウムなどの金属、または有機材料から構築され得る。原子構造は、単結晶、非晶質、または多結晶であり得る。
【0047】
[0064]画素は、センサをシールドおよび保護するために接地することができる導電層または半導体層(図示せず)で覆われ得る。保護コーティング(図示せず)は、導電層または半導体層上にコーティングされて、使用中に機械的および化学的保護を提供することができる。
【0048】
[0065]表1は、FBI仕様PIV-071006および電子バイオメトリック伝送仕様(EBTS)付録Fで定義されている指紋取得プロファイル(FAP)規格センサ仕様を要約している。FAP60センサの総画素数は、FAP20センサの20倍である。したがって、FAP60感知帯域幅とスループットは、適切な走査時間内に収まるように比例的にスケールアップされる必要がある。
【0049】
[0066]表1
【0050】
【0051】
[0067]次世代指紋センサの別の課題は、
図3に例示されるように、回転している指から、連続的な指紋を取得することである。
図3に例示されるように、位置(A)から(B)、(C)、(D)、そして(E)まで、爪71を有する指70を、センサ10上の一方の側から他方の側に回転させる。爪71は、指70の一方の側(すなわち、上側)にあるのに対して、指紋は、指70の反対側にある。位置(C)では、指70がセンサ10に押し付けられ、接触面積が最も大きくなる。静止した指とは異なり、任意の所与の瞬間において、指紋全体の一部のみが、画像取得に利用可能なセンサ10と接触する。回転している指の各部分的な指紋は、感知面に短時間だけ接触し、動いている指紋を適切に取得するために、短い時間枠しかない。これには、高帯域幅の感知システムのみならず、指の動きを正確に特定して追跡し、利用可能な走査リソースを割り当てて、高品質の指紋画像を生成するインテリジェントな感知システムも必要である。
【0052】
[0068]本開示は、感知帯域幅を拡張することによって、アクティブ熱感知原理に基づいて、FAP60までの様々なFAP仕様を満たす大面積指紋センサを可能にし、提供する。
【0053】
[0069]一部の実施形態によれば、バイオメトリック感知のための例示的なシステム100は、複数の画素アレイ(たとえば、
図4B~
図4C、
図5B、および
図6における36A、36B、36Cおよび36D)を、画素マトリクス16において論理的に分割された別個のセグメントとして有する画素マトリクス16を備えたセンサ10を備えている。画素マトリクスは、論理的に複数のセグメントに分割される。
【0054】
[0070]本明細書で使用される「論理的分割」または「論理的に分割された」という用語は、画像収集または画像感知を容易にするために、画素アレイ(すなわち、完全な画素アレイ)が、複数のセグメント(複数の画素アレイ)に再配置または再分割されることを指す。ユーザが気付くような視覚的な境界や物理的なギャップは、サブ分割間に存在しない。一般に電気工学における「論理的分割」とは、パフォーマンスの改善のために、大きなタスクを、一部の小さなタスクに論理的に再分割することを指すが、すべてのタスクは、一貫して均一に同じ手法で取り扱われ得るか、または処理され得る。
【0055】
[0071]
図4Aを参照して示すように、画素マトリクス16は、1つの単一画素アレイ26を含んでいる。
[0072]
図4Bおよび
図4Cを参照して示すように、マルチセグメント画像感知および処理アーキテクチャを有する2つの例示的な画素マトリクス16が図示されている。
図4B~
図4Cに例示されるように、各画素マトリクス16は、画素マトリクス16において論理的に分割された複数の画素アレイ36を有している。
図4Bにおいて、2つの画素アレイ36(A、B)が図示されている。
図4Cにおいて、4つの画素アレイ36(A、B、C、D)が図示されている。大きな感知領域を論理的に複数のセグメントに分割することができ、個々の各画素アレイ(またはセグメント)を、対応する駆動回路によって独立して制御することができる、そのような新しいセンサアーキテクチャが設計および構成されている。論理的な分割は、画素寸法や画像解像度に影響を与えず、隣接するセグメント間に物理的なギャップはない。この区分により、アクティブな感知領域が、複数のASIC50によって並列的に走査されることが可能となる。
【0056】
[0073]一部の実施形態では、画素マトリクスは、任意の適切な数の画素アレイ、たとえば、2から約12の画素アレイ、2から8の画素アレイ、2から6の画素アレイ、2から4の画素アレイを備えている。画素アレイ(またはセグメント)の数は、2~12の範囲の任意の整数であり得る。たとえば、画素アレイまたはセグメントの数は、2、3、4、5、6、7または8であり得る。画素アレイまたはセグメントの数は、マイクロコントローラにおいて使用されるアルゴリズムによって制限されないが、デバイス製造における物理的な実装によって制限される場合がある。たとえば、金属層が2から3層しかない一部のICまたはTFTプロセスでは、画素アレイの数が少なく、たとえば約2~4画素アレイになる場合がある。別の例として、6つ以上の金属ルーティング層を有するプロセスの場合、8つまたは8つを超えるアレイなど、より多くの画素アレイが容易にサポートされ得る。
【0057】
[0074]
図2に説明されるように、一部の実施形態では、各画素アレイ36は、複数の行および複数の列に配置された複数の画素を備えている。各画素アレイは、それぞれ目に見えない境界を有し得る。各画素アレイ36は、アクティブ熱感知原理に基づいて動作するように構成された熱感知画素を備えており、熱感知画素では、電力熱パルスが、各画素アレイに印加され、バイオメトリックパターンに対応する応答が測定される。熱感知のために、各画素アレイにおける画素は、画素行ラインと、画素列ラインとの間に直列に接続された1つまたは複数のダイオードを備え得る。
【0058】
[0075]
図5A~
図5Bを参照して示すように、また、
図1~
図2でも説明されたように、センサまたは感知デバイス15は、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)50および少なくともサポート回路52を含んでいる。
【0059】
[0076]
図5Aは、単一画素アレイ26を含む例示的なデバイス15を図示している。
図5Bは、複数の画素アレイ36を備えた例示的なセンサまたはデバイス15を例示している。
図5Bに図示されているように、センサまたはデバイス15は、(50A、50B、50C、および50Dとラベル付けされた)複数のASIC50と、(52A、52B、...52Hとラベル付けされた)複数のサポート回路52とをさらに備え得る。各画素アレイ36は、少なくとも1つのサポート回路52と接続されている。各ASIC50は、少なくとも1つの画素アレイ36によって測定された、対象のバイオメトリックパターンの画像データを取得するように構成されている。各画素アレイ36は、複数のASIC50のうちの1つまたは複数のASICによって独立して駆動および走査されるように構成されている。
図5Bにおいて、「Ckt」は「回路」を意味する。場合によっては、1つのASIC50が、複数の画素アレイ36にわたって画像を走査するように指示され得る。一方、1つの画素アレイ36を、複数のASIC50によって駆動することができる。走査中に、入力信号を、対応する画素に送り、対応するアナログデータを、ASIC50に収集して指紋画像を生成するために、画素アレイの周囲に4つなどの複数の異なるタイプのサポート回路が存在する場合がある。この回路は、SRAMまたは任意のメモリ製品のデコーダ回路および読出回路と同様である。
【0060】
[0077]一部の実施形態では、各画素アレイまたはセグメント36は、個別のASICによって駆動および走査される(
図5B)。アクティブ感知領域が、論理的に4つのセグメントに分割されている場合、4つのASIC50が、並列的に動作するように構成されている。画像走査帯域幅は、4倍に増加し、完全な画像を収集するのにかかる時間は元の走査時間の約4分の1になる。言い換えれば、完全な画像を収集するための走査時間は、元の走査時間の1/Nに短縮される。ここで、Nは、分割されるセグメントの数である。
【0061】
[0078]
図6を参照して示すように、一部の実施形態では、システム100におけるセンサまたはデバイス15は、(たとえば、54A、54B、54Cおよび54Dとラベル付けされた)複数のスイッチ54をさらに備え得る。
図6におけるラベル「SW」は、スイッチを意味する。各スイッチ54は、1つまたは複数のサポート回路52、および1つまたは複数のASIC50と接続されている。各画素アレイ36は、1つまたは複数のスイッチ54を介して、複数のASIC50のうちの1つまたは複数のASIC50によって独立して駆動および走査されるように構成されている。一部の実施形態では、そのようなスイッチ54は、電子接点スイッチである。画素アレイにおける熱感知素子からの信号は、たとえば、ダブルゲートMosFETトランジスタのような電子接点スイッチを使用して、アドレス指定され、制御され得る。
【0062】
[0079]一部の実施形態では、複数のASIC50およびセンサ10は、バイオメトリック感知デバイス15内にともに配置される。
図5Bおよび
図6に例示されるセンサまたはデバイス15は、システム100の一部である。
図1に説明されるように、システム100は、複数のASIC50に結合されたマイクロコントローラユニット(MCU)60をさらに備え得る。MCU60は、1つまたは複数のプロセッサと、画像データを処理し、および/またはシステムの動作を制御するように構成された、1つまたは複数のプログラムでエンコードされた少なくとも1つの有形の非一時的機械可読媒体とを備えている。一部の実施形態では、ASICの数は、画素アレイの数に対応し得る。システム100は、1つのみのMCU60を含み得る。
【0063】
[0080]スイッチ54を使用して、ユーザは、走査速度および帯域幅の改善のために、各画素アレイ36に専用の1つのASIC50を選択するか、または、1つの画素アレイ36を処理する複数のASIC50を有することを選択することができる。1つの強力なMCU60を使用して、すべてのASIC50を管理することができ、MCU60は、走査時間を最小化するために、走査品質の改善のために、またはその両方のために、リソースを最適に配置する方法を決定することができる。
【0064】
[0081]
図6を参照して示すように、一部の実施形態では、各画素アレイセグメント36は、複数のASIC50によって独立して駆動され、同時に走査され得る。
図6に図示される配置では、複数のASIC50がともに動作して、同じ画素アレイセグメント36から同時に指紋画像を収集することができる。この構成は、1つまたは複数の特定の画素アレイセグメント36から指紋画像を収集するのに特に有用である。走査リソースは、特定のローカルな領域の指紋走査を加速しながら並列的に動作するようにリダイレクトされる。
【0065】
[0082]FAP60感知領域(81.3×76.2mm)は、指紋のサイズと比較してはるかに大きい。4本の指で走査する場合でも、指紋は、感知領域全体のほんの一部しか占めない。ほとんどの状況では、指紋が占める面積は、総感知領域の15%未満である。
【0066】
[0083]別の態様では、一部の実施形態によれば、選択的熱走査の少なくとも2つのステップが使用され得る。粗い低解像度の熱走査を使用して、指紋を検出および特定し、高解像度の熱走査を実行して、指紋が存在する感知領域のみの画像を取得する。感知領域全体から完全な画像を収集する代わりに、感知システムは、精細指紋熱走査の対象領域を、インテリジェントに選択し、熱走査動作を大幅に削減する。したがって、走査時間および走査エネルギ消費量は、比例して減少する。
【0067】
[0084]走査解像度は、500dpi以上であれば高い。500dpiは、指紋画像収集用のFBI FAPセンサ規格である。低走査解像度とは、たとえば100dpi以下の場合であり得る。主な目的は、価値のない領域の走査に時間をかけたり、無駄な労力をかけないように、指がどこにあるか、または指紋の境界がどこにあるかを特定することである。
【0068】
[0085]MCU60を通じて、システム100は、本明細書で説明されている機能およびステップを実行するように構成されている。
図7を参照して示すように、例示的な方法200は、少なくとも3つのステップを備えている。第1のステップは、センサ上の、バイオメトリックパターンを有する対象の存在を検出することである。第2のステップは、画素アレイ内の画素の一部を走査することによって粗走査を実行し、対象とセンサとの間の接触境界を判定することである。第3のステップは、接触境界内で選択的に精細走査を実行して、バイオメトリックパターンの画像データを提供することである。
【0069】
[0086]
図7を参照して示すように、ブロック110に図示されているように、スタンバイモード中に、感知システム100は、センサ上の、指の接触の存在を検出するために、低解像度で初期熱走査を定期的に(または、
図9において以下に説明される容量感知グリッドを使用する容量走査によって)実行する。センサ画素アレイにわたって均等に分散された画素のうち、少数のパーセンテージ(たとえば、2%)だけが指検出用に選択される。指の接触が検出され、センサと安定して接触していることが判明する(ブロック112)と、システム100は、次のプレ走査(粗い熱走査)段階に入り、識別された指の接触領域の周囲の別の画素のセットを選択して、指紋境界を判定する(ブロック114)。システム100は、境界計算精度の改善のために、識別された接触領域の周囲の、より高いパーセンテージ(たとえば、8%)の画素を選択することができる。その後、ブロック116に図示されているように、フル解像度の熱走査(すなわち、精細熱走査)が実行されて、識別された境界内の精細指紋画像が収集される。指紋走査領域は、画素アレイ全体の小さなサブセットにすぎない。
【0070】
[0087]
図8を参照して示すように、指検出(
図8A)、高速プレ走査(
図8B)、および精細指紋走査(
図8C)を含む、
図7におけるステップの例がさらに例示される。指紋72、接触領域74、および走査領域76が、
図8A~
図8Cに図示されている。
【0071】
[0088]方法200を使用することにより、選択的走査方法は、画像走査およびエネルギ消費量を大幅に改善するのみならず、その後の画像処理の計算量およびメモリ要件も大幅に削減する。
【0072】
[0089]マルチセグメント感知と選択的熱走査との両方を組み合わせることで、画像感知帯域幅およびスループットは、従来技術よりも一桁以上高くなる。これにより、走査時間のパフォーマンスのギャップが大幅に縮まり、指紋センサが、FAP60センサの要件を満たすことができると同時に、画像走査の電力消費量が低いため、既存の光学技術などの既存の対応物よりも有利になる。
【0073】
[0090]方法200におけるステップは、本開示で説明されているように、回転運動および位置を検出し、画像を組み合わせ、画像データを処理および比較するためのステップをも含み得る。
【0074】
[0091]別の態様では、超低スタンバイモードでの電力消費量を達成するために、容量走査を統合することによって、大型指紋センサをモバイルアプリケーション向けにさらに強化することができる。指検出のために粗い熱走査を使用すると、多くの場合、電力消費量と検出応答との間でトレードオフが発生し、システムの応答の改善のためには、より頻繁に指の存在を検出することが望ましいが、スタンバイ電力が比例して増加する。容量走査は、熱走査よりも、かなり高速に実行され、消費電力が低くなる。容量走査の統合により、非常に低いスタンバイ電力消費量を維持しながら、感知システムが、指の接触をより頻繁に検出できるようになる。それに加えて、各容量感知ノードによって生成される投影容量フィールドは、熱走査画素よりもはるかに広い領域と、より大きな3次元(3-D)空間をカバーする。容量感知ノードを適切に配置すると、画素アレイ全体にわたって、連続的で、より広い検出範囲を提供できる。より頻繁な検出に加えて、容量走査により、指検出の精度および解像度を改善し、より低い運用コストで、より効果的なソリューションとなる可能性がある。
【0075】
[0092]
図9を参照して示すように、一部の実施形態によれば、例示的なセンサ10は、各画素アレイ36または画素マトリクス16に分布する(
図9において点として例示されている)容量感知ノード78aを備える容量感知グリッド78をさらに備えている。
図9におけるラインは、熱走査のための画素アレイ36を表している。システムまたはデバイスは、それぞれのASICまたはMCU内に、容量感知グリッド78のための補助回路(図示せず)をさらに備え得る。補助回路は、それぞれのASICまたはMCUの外部の独立したICにすることもできる。容量感知グリッド78は、補助回路と接続されている。容量走査を可能にするために、
図9に例示されるように、アクティブ感知領域にわたって容量感知ノード78aの2-Dグリッドが、指紋センサ10に組み込まれる。容量感知ノード78aのグリッド78は、熱感知画素19を有する画素アレイ36よりも粗い。グリッド78は、各画素アレイ36内に実装され得る、または画素マトリクス16内に実装され得る。
【0076】
[0093]検出精度および解像度を改善しているため、高速容量走査は、スタンバイモード中、センサ上の指の存在を識別するだけでなく、より正確に、各指の接触の位置を特定し、サイズを推定するためにも使用され得る。指がセンサと安定して接触すると、システムは同様の粗い熱走査(高速プレ走査)を実行して、指の存在を確認し、適切な指紋境界を計算する。
【0077】
[0094]一部の実施形態では、容量感知ノードの2-Dグリッドは、X個の送信電極(Tx)およびY個の受信電極(Rx)を有する相互容量感知を使用して実施され得る。アドレス指定されるパッシブマトリクスの相互容量走査は、マルチ接触機能をサポートし、比較的低コストである。Tx電極およびRx電極は、指紋センサに埋め込まれ、画素アレイにわたって等間隔に配置され得る。1つの例では、Tx電極は、画素アレイの長辺にわたって等間隔に配置され、2つの隣接する電極の間にK個の画素が存在する。Rx電極は、画素アレイの短辺にわたって等間隔に配置され、2つの隣接する電極の間にM個の画素が存在する。KとMは、製品の解像度や、他のパフォーマンス仕様に基づいて調整可能な数値である。別の例では、Tx電極は、画素アレイの短辺にわたって等間隔に配置され、Rx電極は、画素アレイの長辺にわたって等間隔に配置される。
【0078】
[0095]別の実施形態では、容量感知ノードの2-Dグリッド78は、アドレス指定されるアクティブマトリクスの自己容量感知を使用して実施される。自己容量感知は、自己容量感知ノードをアドレス指定するために、より多くの信号ルーティングおよび実装オーバヘッドを犠牲にして、相互容量感知よりも高い感度および高い接触解像度を提供できる。
【0079】
[0096]選択的熱走査は、指紋走査領域を顕著に縮小するのみならず、感知システムが、特に各指に対するカスタム指紋境界を判定することを可能にし、以て、走査範囲を最適化し、さらに、不必要な走査動作を最小限に抑える。FAP60のような大型センサでは、指紋が、感知領域内にある限り、あらゆる角度から指紋が侵入する可能性がある。指紋を、感知領域上で回転させたり、または各指を、異なる方位に向けることができる。
【0080】
[0097]
図10に例示されるように、2つの指紋は、右側の指紋を45度回転させたものと同一である。指紋全体をカバーするには、回転した指紋の長方形の走査境界では、回転していない指紋と比較しておよそ25%大きな領域を走査する必要があり、それに比例して、より多くの空の画素が走査されるため、走査時間およびエネルギ消費量が増加する。
【0081】
[0098]指の接触位置およびサイズ推定の精度は、容量走査を使用することによって、さらに改善される。したがって、高速プレ走査では、容量走査から収集された指の情報をより適切に活用し、投影された指紋の周囲にある少量の熱感知画素を戦略的に選択して、後続の精細指紋熱走査のために、より正確で、カスタマイズされた指紋の輪郭を計算できる。固定サイズまたは長方形の境界76を使用する代わりに、走査境界74は不規則になる可能性があり、
図11A~
図11Cに例示されるように、検出された指紋72ごとに調整され得る。これは、非接触画素または空いている画素上での不必要な走査動作をさらに最小限に抑え、回転した指と、回転していない指との間で、より一貫した走査時間を維持することに役立つ。
【0082】
[0099]別の態様では、本開示は、本明細書で説明されているバイオメトリック感知のためのセンサまたはデバイス15を提供する。そのようなデバイス15は、画素マトリクス16において論理的に分割された別個のセグメントとして、2つ以上の画素アレイ36を有する画素マトリクス16を備えるセンサ10と、センサ10に結合された複数のASIC50とを備えている。各ASIC50は、少なくとも1つの画素アレイ36によって測定された、対象のバイオメトリックパターンの画像データを取得するように構成されている。各画素アレイ36は、複数のASIC50のうちの1つまたは複数のASIC50によって、独立して駆動および走査されるように構成されている。一部の実施形態では、センサ10は指紋センサであり、対象は指70であり、バイオメトリックパターンは指紋72である。
【0083】
[0100]一部の実施形態では、各画素アレイ36は、複数の行および複数の列に配置された複数の画素を備えており、複数の画素は、熱感知画素を備えている。各画素アレイは、各画素アレイ36に分布する容量感知ノード78aを備えた容量感知グリッド78をさらに備え得る。容量感知グリッド78は、対象の存在、および/または対象の回転運動および位置を検出するように構成されている。容量感知ノード78aは、相互容量感知ノードまたは自己容量感知ノードであり得る。自己容量感知ノードは、薄膜トランジスタのアレイによって、アドレス指定されるパッシブマトリクス、またはアドレス指定されるアクティブマトリクスであるように構成されている。相互容量感知ノードは、アドレス指定されるパッシブマトリクスであるように構成されている。
【0084】
[0101]デバイス15は、本明細書で説明されているようなスイッチをさらに備え得る。デバイス15はまた、複数のASIC50に結合されたマイクロコントローラユニット(MCU)60を備え得る。MCU60は、1つまたは複数のプロセッサと、本明細書で説明されているように、画像データを処理し、および/またはデバイスの動作を制御するように構成された、1つまたは複数のプログラムでエンコードされた少なくとも1つの有形の非一時的機械可読媒体とを備えている。
【0085】
[0102]表2は、一部の実施形態にしたがって、実験例(FAP60センサ)に関する4指試験ケーススタディの結果を要約している。FAP60アクティブ感知領域は、マルチセグメントアーキテクチャを使用して、論理的に8つのセグメントに分割されており、各セグメントは、個別のASICによって駆動および走査される。セグメントが並列的に走査されるため、画像全体の走査時間は、13.8秒から1.73秒に大幅に短縮され、従来のソリューションよりも8倍速くなる。選択的熱走査を有効化すると、指紋領域のみが走査され、走査時間はさらに0.67秒に短縮され、さらに約2.5倍速くなる。高速プレ走査は、境界評価および画像処理のために、さらなる時間を必要とするが、このオーバヘッドは、精細指紋画像走査からの時間の節約と比較して、大幅に小さくなる。それに加えて、画像走査の総エネルギ消費量は、約5分の1になる。指に触れていないセンサ画素アレイセグメントは無効化され、指紋が接触したセンサ画素のみがアクティブになり、これにより、画像走査および処理動作は、大幅に減少する。さらに、カスタマ走査境界機能を有効化すると、非接触画素をバイパスして各指紋の輪郭の周囲に走査境界をより厳密にフィットさせることができるため、走査時間およびエネルギ消費量がさらに節約される。これらの革新的な機能を実装することにより、試験ケーススタディは、走査時間が20分の1以上短縮され、エネルギ消費量がほぼ6分の1に低減されることを示している。
【0086】
[0103]表2
【0087】
【0088】
[0104]表2に示されているように、単一画素アレイと比較すると、より速い走査時間、およびより低い総電力消費量を含む、マルチセグメントアーキテクチャを使用したパフォーマンスの改善が顕著である。画像走査時間を13.8秒から0.61秒に短縮(20倍以上高速化)することができ、エネルギ消費量は、ほぼ6分の1に低減される。これらは大幅なパフォーマンスの改善である。画像走査帯域幅が大幅に改善されたため、動いている/回転している指も走査され得る。これは、現在サポートできていない新しい製品機能を有効化する。
【0089】
[0105]指接触評価の改善に加えて、容量走査と熱走査との間の相互運用により、感知システムは、短時間で指紋を取得するための指回転走査をサポートできるようになる。高速容量走査の統合により、感知システムは、指の動きを動的に追跡し、適切な熱走査境界をその場で判定し、指紋を取得するために指が感知領域を横切って回転するときに指紋走査動作を最適化できる。言い換えれば、これは、利用可能な走査リソースを活用して、連続的に回転している指紋を取得する、インテリジェントな感知システムを作製するために必要な機能を提供している。
【0090】
[0106]
図12は、容量感知ノード78が自己容量感知を使用して実施される動作の一例を例示している。各容量感知ノード78によって検出される接触値は、指70が感知領域を横切って回転すると変化する。接触値は、指が近づくと増加し、十分に接触している場合は一定のままであり、指が回転して離れると減少する。接触値を連続的に監視することにより、感知システムは、動いている指70の位置をいつでも正確に特定できるだろう。任意の開始点から走査する代わりに、例示的な感知システム100は、回転している指70が現在位置している画素アレイ36における熱感知画素19の対応する断面が、指70と現在接触している画素の、より小さなサブセットを選択し、精細指紋画像を収集することを可能にすることができる。
図12において、センサ10における画素アレイ36の非走査熱画素80、走査熱画素82、およびアクティブ走査熱画素84が図示される。この指追跡機能を使用すると、熱走査は、時間、位置、接触領域(走査サイズ)において、回転している指と、より良好に揃えられ得、画像走査の品質および帯域幅を最適化する。
【0091】
[0107]画質および信号対雑音比(SNR)を改善するための1つの技法は、同じ指紋領域の複数の画像を平均化して、最終画像を生成することである。一部の実施形態では、画像走査帯域幅が、より高いことによって、感知システム100は、
図13に例示されるように、同じ印刷領域が、連続走査で複数回取得されるように、センサ10上で、回転している指70を連続的に取得するように構成され得る。その後、画像処理中に画像が組み合わされて、完全な回転指紋が作成され、複製された断面が平均化されて、画質およびSNRを改善する。
図13において、走査数(9)は、例示のみを目的としており、任意の適切な数とすることができる。
【0092】
[0108]一部の実施形態では、感知システム100は、重複した画像取得を最小限に抑えて、画像走査の総電力消費量を低減するように構成され得る。たとえば、感知システム100は、
図14に例示されるように、所与の任意の指紋領域が1回走査されるように設定され得る。走査の総数と、走査動作とは、電力を節約するために最小限に抑えられる。たとえば、
図13~
図14に例示されるように、走査の総数を、9回から5回に減少させることができる。回転している各指の最適な走査の総数は、3回から7回の範囲になり得る。
【0093】
[0109]
図15を参照して示すように、上記で説明されたように、一部の実施形態によるバイオメトリック感知のための例示的な方法200が全体的に説明される。方法200は、説明された例示的なセンサ10を備えているデバイスまたはシステムを使用するためのものである。そのようなセンサ10は、画素マトリクス16において論理的に分割された別個のセグメントとして、複数の画素アレイ36を有する画素マトリクス16を備えている。このような方法200は、ステップ202、204および206を備えている。
【0094】
[0110]ステップ202では、センサ10上の、バイオメトリックパターンを有する対象の存在が検出される。一部の実施形態では、センサ10は指紋センサであり、対象は、少なくとも1本の指70を含んでおり、バイオメトリックパターンは、指紋72である。本明細書で説明されているように、センサは、複数のセグメントを有する画素マトリクス16を有する。各画素アレイ36は、複数の行および複数の列に配置された複数の画素を備えている。複数の画素18は、熱感知画素19を備えている。各画素アレイ36は、各画素アレイに分布する容量感知ノードを有する容量感知グリッド78をさらに備え得る。
【0095】
[0111]ステップ204では、画素アレイにおける画素の一部を走査することによって粗走査(プレ走査)が実行され、対象とセンサとの間の接触境界が判定される。そのような方法では、センサ10上の、接触する指70などの対象の存在が、熱感知画素19または容量感知ノード78を介して検出される。粗走査および精細走査は、熱感知画素を介して実行される。
【0096】
[0112]ステップ206では、接触境界内で選択的に精細走査が実行され、バイオメトリックパターンの画像データが提供される。
[0113]ステップ208では、
図12~
図14において説明されているように、対象の回転運動および位置は、容量感知ノード78を使用する容量走査を介して動的に追跡される。一部の実施形態では、容量感知ノード78は、相互容量感知ノードまたは自己容量感知ノードである。自己容量感知ノードは、薄膜トランジスタのアレイによって、アドレス指定されるパッシブマトリクス、またはアドレス指定されるアクティブマトリクスであり得る。相互容量感知ノードは、アドレス指定されるパッシブマトリクスであるように構成されている。
【0097】
[0114]ステップ210では、MCUを使用して、対象の回転運動中に、熱走査を介して取得された対象のバイオメトリック画像が組み合わされて、完全なバイオメトリックパターンが提供される。ステップ210は、1つまたは複数のステップを含み得る。
【0098】
[0115]本開示は、以下の条項で説明されている少なくとも製品および方法を提供するが、これらは単なる例であり、本開示の範囲を限定するものではない。
1. バイオメトリック感知のためのシステムであって、
画素マトリクスにおいて論理的に分割された別個のセグメントとして、複数の画素アレイを有する画素マトリクスを備えたセンサと、
センサに結合された複数の特定用途向け集積回路(ASIC)であって、各ASICは、少なくとも1つの画素アレイによって測定された、対象のバイオメトリックパターンの画像データを取得するように構成されており、各画素アレイは、複数のASICのうちの1つまたは複数のASICによって、独立して駆動および走査されるように構成されている、複数のASICと、
複数のASICに結合されており、1つまたは複数のプロセッサと、画像データを処理し、および/またはシステムの動作を制御するように構成された、1つまたは複数のプログラムでエンコードされた少なくとも1つの有形の非一時的機械可読媒体とを備えている、マイクロコントローラユニット(MCU)とを備えている。
【0099】
2. 条項1のシステムであって、画素マトリクスは、2から約12の画素アレイを備えている。
3. 条項1または2のシステムであって、複数のASICおよびセンサは、バイオメトリック感知デバイス内にともに配置されている。
【0100】
4. 条項1から3のいずれかのシステムであって、センサは、複数のサポート回路をさらに備えており、各画素アレイは、少なくとも1つのサポート回路と接続されている。
5. 条項1から4のいずれかのシステムであって、複数のスイッチをさらに備えており、各画素アレイは、1つまたは複数のスイッチを介して、複数のASICのうちの1つまたは複数のASICによって、独立して駆動および走査されるように構成されている。
【0101】
6. 条項1から5のいずれかのシステムであって、各画素アレイは、複数の行および複数の列に配置された複数の画素を備えている。
7. 条項1から6のいずれかのシステムであって、各画素アレイは熱感知画素を備え、アクティブ熱感知原理に基づいて動作するように構成されており、熱感知画素では、電力熱パルスが各画素アレイに印加され、バイオメトリックパターンに対応する応答が測定される。
【0102】
8. 条項1から7のいずれかのシステムであって、各画素アレイにおける画素は、画素行ラインと画素列ラインとの間に直列に接続された1つまたは複数のダイオードを備えている。
【0103】
9. 条項1から8のいずれかのシステムであって、各画素アレイは、各画素アレイに分布する容量感知ノードを備えた容量感知グリッドをさらに備えている。
10. 条項9のシステムであって、それぞれのASICまたはMCU内に、または、それぞれのASICまたはMCUの外側に、独立した集積回路として、補助回路をさらに備えており、容量感知グリッドは、補助回路と接続されている。
【0104】
11. 条項1から9のいずれかのシステムであって、MCUを介して、システムは、
センサ上の、バイオメトリックパターンを有する対象の存在を検出することと、
画素アレイにおける画素の一部を走査することによって粗走査を実行して、対象とセンサとの間の接触境界を判定することと、
接触境界内で選択的に精細走査を実行して、バイオメトリックパターンの画像データを提供することとを備えたステップを実行するように構成されている。
【0105】
12. バイオメトリック感知のためのデバイスであって、
画素マトリクスにおいて論理的に分割された別個のセグメントとして、2つ以上の画素アレイを有する画素マトリクスを備えたセンサと、
センサに結合された複数の特定用途向け集積回路(ASIC)であって、各ASICは、少なくとも1つの画素アレイによって測定された、対象のバイオメトリックパターンの画像データを取得するように構成されており、各画素アレイは、複数のASICのうちの1つまたは複数のASICによって、独立して駆動および走査されるように構成されている、複数のASICとを備えている。
【0106】
13. 条項12のデバイスであって、センサは指紋センサであり、対象は指であり、バイオメトリックパターンは指紋である。
14. 条項12または13のデバイスであって、各画素アレイは、複数の行および複数の列に配置された複数の画素を備えており、複数の画素は、熱感知画素を備えている。
【0107】
15. 条項12から14のいずれかのデバイスであって、各画素アレイは、各画素アレイに分布する容量感知ノードを備え、対象の存在、および/または対象の回転運動および位置を検出するように構成された容量感知グリッドをさらに備えている。
【0108】
16. 条項15のいずれかのデバイスであって、容量感知ノードは、相互容量感知ノードまたは自己容量感知ノードである。
17.条項15または16のデバイスであって、自己容量感知ノードは、薄膜トランジスタのアレイによって、アドレス指定されるパッシブマトリクス、またはアドレス指定されるアクティブマトリクスであるように構成されている。
【0109】
18. 条項15または16のデバイスであって、相互容量感知ノードは、アドレス指定されるパッシブマトリクスであるように構成されている。
19. 条項12から18のいずれかのデバイスであって、複数のASICに結合されており、1つまたは複数のプロセッサと、画像データを処理し、および/またはデバイスの動作を制御するように構成された、1つまたは複数のプログラムでエンコードされた少なくとも1つの有形の非一時的機械可読媒体とを備えている、マイクロコントローラユニット(MCU)をさらに備えている。
【0110】
20. 画素マトリクスにおいて論理的に分割された別個のセグメントとして、複数の画素アレイを有する画素マトリクスを備えたセンサを備えたデバイスまたはシステムを使用する方法であって、
センサ上の、バイオメトリックパターンを有する対象の存在を検出するステップと、
画素アレイにおける画素の一部を走査することによって粗走査を実行して、対象とセンサとの間の接触境界を判定するステップと、
接触境界内で選択的に精細走査を実行して、バイオメトリックパターンの画像データを提供するステップとを備えている。
【0111】
21. 条項20の方法であって、センサは指紋センサであり、対象は少なくとも1本の指を含んでおり、バイオメトリックパターンは指紋である。
22. 条項20または21の方法であって、各画素アレイは、複数の行および複数の列に配置された複数の画素を備えており、複数の画素は、熱感知画素を備えており、各画素アレイは、各画素アレイに分布する容量感知ノードを有する容量感知グリッドをさらに備えている。
【0112】
23. 条項22の方法であって、センサ上の対象の存在が、熱感知画素または容量感知ノードを介して検出される。
24. 条項22または23の方法であって、粗走査および精細走査は、熱感知画素を介して実行される。
【0113】
25. 条項22から24のいずれかの方法であって、容量感知ノードを使用する容量走査を介して、対象の回転運動および位置を動的に追跡することをさらに備えている。
26. 条項21から25のいずれかの方法であって、MCUを使用して、対象の回転運動中に、熱走査を介して取得された対象のバイオメトリック画像を組み合わせて、完全なバイオメトリックパターンを提供することをさらに備えている。
【0114】
27. 条項22から26のいずれかの方法であって、容量感知ノードは、相互容量感知ノードまたは自己容量感知ノードである。
28. 条項22から27のいずれかの方法であって、自己容量感知ノードは、薄膜トランジスタのアレイによって、アドレス指定されるパッシブマトリクス、またはアドレス指定されるアクティブマトリクスであり、相互容量感知ノードは、アドレス指定されるパッシブマトリクスであるように構成されている。
【0115】
[0116]本開示で提供されるセンサ、デバイス、システム、および方法は、既存の技術では提供できない重要な利点を提供する。たとえば、本開示で提供される技術は、より速い走査時間、より低い総電力消費量、改善された画像走査帯域幅、移動/回転する対象(1本の指または複数の指など)を走査する能力、および高解像度を提供する。たとえば、指紋取得プロファイル(FAP)規格を満たすために、大型の指紋センサまたはシステムが提供され得る。
【0116】
[0117]本明細書で説明されている方法およびシステムは、コンピュータによって実施されるプロセスおよびそれらのプロセスを実施するための装置の形態で少なくとも部分的に具現化され得る。開示された方法は、コンピュータプログラムコードでエンコードされた有形の非一時的な機械可読記憶媒体の形態で少なくとも部分的に具現化され得る。媒体は、たとえば、RAM、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、BD-ROM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、または他の任意の非一時的な機械可読記憶媒体、またはこれらの媒体の任意の組合せを含むことができ、コンピュータプログラムコードが、コンピュータにロードされ、コンピュータによって実行されると、コンピュータは、方法を実施するための装置となる。方法はまた、コンピュータプログラムコードがロードおよび/または実行されるコンピュータの形態で、少なくとも部分的に具現化され得、その結果、コンピュータは、方法を実行するための装置となる。汎用プロセッサにおいて実施されると、コンピュータプログラムコードセグメントは、特定の論理回路を作成するようにプロセッサを構成する。あるいは、方法は、方法を実行するための特定用途向け集積回路で形成されたデジタル信号プロセッサ内に少なくとも部分的に具現化され得る。
【0117】
[0118]主題が例示的な実施形態に関して説明されたが、これに限定されるものではない。むしろ、添付の特許請求の範囲は、当業者によって作成され得る他の変形および実施形態を含むように広く解釈されるべきである。
【国際調査報告】