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特表2024-502167ガラス部材上の隆起構造の製造方法およびその方法により製造されたガラス部材
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  • 特表-ガラス部材上の隆起構造の製造方法およびその方法により製造されたガラス部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ガラス部材上の隆起構造の製造方法およびその方法により製造されたガラス部材
(51)【国際特許分類】
   C03C 15/00 20060101AFI20240110BHJP
   C03C 23/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C03C15/00 Z
C03C23/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541609
(86)(22)【出願日】2021-12-27
(85)【翻訳文提出日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 EP2021087669
(87)【国際公開番号】W WO2022148681
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】102021100180.3
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス オアトナー
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ヴァーグナー
(72)【発明者】
【氏名】マークス ハイス-シュケ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ドリシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァネッサ グレーサー
(72)【発明者】
【氏名】アニカ ヘルベルク
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ ポイヒャート
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ウルリヒ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィレ ポロヤルヴィ
(72)【発明者】
【氏名】アンティ マーテネン
【テーマコード(参考)】
4G059
【Fターム(参考)】
4G059AA01
4G059AA08
4G059AB11
4G059AC01
4G059AC30
4G059BB04
4G059BB12
4G059BB14
(57)【要約】
本発明は、第1の表面(2)、および前記第1の表面(2)に対向して配置される第2の表面(3)、並びに前記表面(2、3)の少なくとも1つを貫く少なくとも1つの凹部(10)を有し、前記凹部(10)は縦方向(L)および横方向(Q)に延在し、且つ前記凹部(10)の縦方向(L)は前記凹部(10)によって貫かれる表面(2、3)に対して横向きに配置されている、板状ガラス部材(1)であって、
前記凹部(10)によって貫かれる表面(2、3)が、以下の特徴の少なくとも1つ:
・ 前記表面(2、3)は、少なくとも部分的に前記凹部(10)の周りに少なくとも1つの隆起部(20)を有し、この隆起部(20)は5μm未満の高さを有すること、
・ 前記表面(2、3)は、高さ(H1)が0.5μmを上回る、好ましくは1μmを上回る、好ましくは1.5μmを上回る、且つ/または6μm未満、好ましくは5μm未満、好ましくは4μm未満である少なくとも1つのプラトー状の隆起部(30)を有すること、
・ 前記表面(2、3)は、15nmを上回る、好ましくは25nmを上回る、好ましくは40nmを上回る、且つ/または100nm未満、好ましくは80nm未満、好ましくは60nm未満である平均粗さ値(Ra)を有すること、
を有する、前記板状ガラス部材(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面(2)と、前記第1の表面(2)に対向して配置される第2の表面(3)と、前記表面(2、3)の少なくとも1つを貫く少なくとも1つの凹部(10)とを有し、前記凹部(10)は縦方向(L)および横方向(Q)に延在し、且つ前記凹部(10)の縦方向(L)は前記凹部(10)によって貫かれる表面(2、3)に対して横向きに配置されている、板状ガラス部材(1)であって、
前記凹部(10)によって貫かれる表面(2、3)が、以下の特徴の少なくとも1つ:
・ 前記表面(2、3)は、少なくとも部分的に前記凹部(10)の周りに少なくとも1つの隆起部(20)を有し、この隆起部(20)は5μm未満の高さを有すること、
・ 前記表面(2、3)は、高さ(H1)が0.05μmを上回る、好ましくは0.5μm、好ましくは1μmを上回る、好ましくは10μmを上回る、且つ/または20μm未満、好ましくは15μm未満、好ましくは12μm未満である少なくとも1つのプラトー状の隆起部(30)を有すること、
・ 前記表面(2、3)は、15nmを上回る、好ましくは25nmを上回る、好ましくは40nmを上回る、且つ/または100nm未満、好ましくは80nm未満、好ましくは60nm未満である平均粗さ値(Ra)を有すること、
を有することを特徴とする、前記板状ガラス部材(1)。
【請求項2】
前記隆起部(20)が、以下の特徴の少なくとも1つ:
・ 前記隆起部(20)が前記凹部(10)を完全に取り囲むこと、
・ 前記隆起部(20)が前記凹部に向く側で前記凹部(10)の壁(11)の延長として形成されていること、
・ 前記隆起部(20)の内面(21)は前記隆起部(20)の外面(22)に対して鋭角をなしており、前記内面(21)は前記凹部(10)に向いており、且つ前記外面(22)は前記凹部(10)の反対に向いていること、
・ 前記外面(22)は、単数または複数の前記凹部(10)によって貫かれる前記第1の表面(2)に対して鈍角をなしていること、
・ 前記隆起部は、5μmを上回る、好ましくは8μmを上回る、好ましくは10μmを上回る、且つ/または5mm未満、好ましくは3mm未満、好ましくは1mm未満である横方向の寸法を有すること、
を有することを特徴とする、請求項1に記載の板状ガラス部材(1)。
【請求項3】
前記ガラス部材(1)が、10μmを上回る、好ましくは15μmを上回る、好ましくは20μmを上回る、且つ/または4mm未満、好ましくは2mm未満、好ましくは1mm未満の厚さ(D)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の板状ガラス部材(1)。
【請求項4】
以下の特徴の少なくとも1つ:
・ 前記凹部(10)が、前記ガラス部材(1)を前記第1の表面(2)から前記第2の表面(3)へと貫通して延在し、且つ両方の表面(2、3)を貫くチャネル(15)として形成されること、
・ 前記凹部(10)の壁(11)は多数の球冠状のくぼみを有すること、
を特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の板状ガラス部材(1)。
【請求項5】
前記ガラス部材(1)を前記第1の表面(2)から前記第2の表面(3)へと貫通して延在し、且つ互いに直接的に接する多数の貫通部(15)によって縁部(40)が形成され、前記縁部(40)は前記ガラス部材(1)を少なくとも部分的に取り囲む前記ガラス部材(1)の外縁部、または前記凹部(10)を少なくとも部分的に取り囲む前記ガラス部材(1)の内縁部を形成し、前記縁部(40)は多数の球冠状のくぼみを有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の板状ガラス部材(1)。
【請求項6】
単数または複数の前記隆起部(20)が、単数または複数の前記凹部(10)の縦方向(L)に対して平行であり且つ殊に前記第1の表面(2)および/または前記第2の表面(3)に対して横向きに走る高さ(H2)を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の板状ガラス部材(1)。
【請求項7】
以下の特徴の1つ:
・ 前記隆起部(20)が対称に形成されていること、
・ 前記隆起部(20)が非対称に形成されていること
を特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の板状ガラス部材(1)。
【請求項8】
以下の特徴の1つ:
・ 前記ガラス部材(1)の内縁部は多数の球冠状くぼみを有し、且つ前記ガラス部材(1)の前記第1の表面(2)および前記第2の表面(3)は球冠なく形成されること、
・ 前記ガラス部材(1)の内縁部は前記ガラス部材(1)の前記第1の表面(2)および前記第2の表面(3)よりも高い平均粗さ値(Ra)を有すること
を特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の板状ガラス部材(1)。
【請求項9】
第1の表面(2)と、前記第1の表面(2)に対向して配置される第2の表面(3)と、前記表面(2、3)の少なくとも1つを貫く少なくとも1つの凹部(10)とを有し、前記凹部(10)は縦方向(L)および横方向(Q)に延在し、且つ前記凹部(10)の縦方向(L)は前記凹部(10)によって貫かれる前記表面(2、3)に対して横向きに配置されている、板状ガラス部材(1)の表面(2、3)の改質方法において、
・ 前記ガラス部材(1)を準備し、
・ 少なくとも1つのフィラメント状のチャネル(15)を、超短パルスレーザー(101)のレーザー光線(100)によって前記ガラス部材(1)中に生成し、その縦方向(L)は前記ガラス部材(1)の表面に対して横向きに走り、
・ 前記チャネルによって貫かれる前記ガラス部材(1)の表面(2、3)を、前記ガラス部材(1)のガラスを調整可能な除去速度で除去するエッチング媒体(200)に曝露し、ここで前記エッチング媒体によって前記チャネルが広げられて凹部(10)が形成され、
・ ここで、前記エッチングで、前記凹部(10)によって貫かれる表面(2、3)の以下の特徴の少なくとも1つ:
- 前記表面(2、3)が少なくとも部分的に前記凹部(10)の周りに少なくとも1つの隆起部(20)を有し、この隆起部(20)は5μm未満の高さ(H2)を有すること、
- 前記表面が、高さ(H1)が0.05μmを上回る、好ましくは0.5μmを上回る、好ましくは1μmを上回る、好ましくは10μmを上回る、且つ/またはエッチング除去の100%未満、好ましくはエッチング除去の95%未満、好ましくは90%未満であるプラトー状の隆起部(30)を有すること、
- 前記表面(2、3)が、15nmを上回る、好ましくは25nmを上回る、好ましくは40nmを上回る、且つ/または100nm未満、好ましくは80nm未満、好ましくは60nm未満である平均粗さ(Ra)を有すること
がもたらされる、前記方法。
【請求項10】
前記エッチング媒体(200)が、除去速度が前記エッチング媒体(200)の動きによって加速または減速されるように動かされることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
以下の特徴の1つ:
・ 前記ガラス部材(1)を、回転させずに、エッチング浴内で1つまたは複数の空間方向またはその組み合わせに動かすこと、
・ 前記ガラス部材(1)を、少なくとも1つの方向転換を有する経路に沿って動かすこと、
・ 前記ガラス部材(1)を、前記エッチング媒体(200)の動きの方向に対して横向き、殊に垂直に配置される軸の周りで回転させること、
・ 前記ガラス部材(1)を、前記第1の表面(2)および/または前記第2の表面(3)に対して垂直に方向付けられている軸の周りで回転させること、
を特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記エッチング媒体(200)を、前記ガラス部材(1)の前記表面(2、3)の少なくとも1つの定義された領域において改質し、この領域において除去速度を周囲の領域に対して変化させることを特徴とする、請求項9から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
空間的および/または時間的な温度勾配を生成することによって除去速度を調整することを特徴とする、請求項9から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記除去速度を、殊に重力および/または前記エッチング媒体(200)の動きの方向に関する、前記エッチング媒体(200)内部での前記ガラス部材の空間的配置によって調整することを特徴とする、請求項9から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記除去速度が、ガラス組成と前記エッチング媒体(200)の組成との組み合わせの選択によって調整されることを特徴とする、請求項9から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
電気光学機能物を気密封止するための部品、マイクロ流体工学セル、圧力センサおよび/またはカメラのイメージングモジュールを製造するための、請求項1から15までのいずれか1項に相応するガラス部材(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造化されたガラス部材の製造方法、並びに第1の表面と、前記第1の表面に対向して配置される第2の表面と、前記表面の少なくとも1つを貫く少なくとも1つの凹部とを有する板状ガラス部材に関する。前記凹部よって貫かれる表面は、15nm~100nmである平均粗さ値(Ra)、または5μmを下回るかまたは0.5μmを上回る高さを有する定義された隆起部を有する。
【背景技術】
【0002】
ガラスの正確な構造化は多くの用途分野において大きな興味が持たれている。とりわけ、ガラス基材はカメラのイメージング、殊に3Dカメラのイメージングの分野において、電気光学、例えばマイクロ流体工学のL(E)D、光学診断、センサ技術、例えば圧力センサ技術、および診断技術において用いられる。そのような用途分野は、例えば光センサ、カメラセンサ、圧力センサ、発光ダイオードおよびレーザーダイオードに関する。ここで、ガラス基材は薄いウェハまたはガラス膜の形態で構造要素として使用されることが多い。このようなガラス基材をますます小さくなる技術用途もしくは構造部材において用いることができるようにするために、数マイクロメートルの範囲の精度が必要とされる。その際、ガラス基材の処理は、ガラス基材中に、またはガラス基材を通じて導入される任意の形状の穴、空洞およびチャネル、並びに基材表面の構造化に関する。従って、数マイクロメートルの範囲の構造を基材中に導入するだけでなく、基材表面上にも導入しなければならない。
【0003】
ガラス基材を広い用途において用いることができるように、前記の処理はさらに、破損、残留物、例えば分離除去されたかまたは取り去られた、もしくは解離された材料、または基材のエッジ領域もしくは体部(Volumen)における応力を残さないようにすべきである。さらに、この基材の製造方法は、できるだけ効率的な製造工程を可能にすべきである。
【0004】
ガラス基材内での構造化のために、例えば開口部を製造するために、種々の方法を使用することができる。相応のマスクを通じたウォーターブラストおよびサンドブラストの他に、超音波振動ラップが確立された方法である。しかしこれらの方法は、小さな構造へのスケーリングに関して制限されており、それは典型的には超音波振動ラップの場合は約400μm、およびサンドブラストの場合は最小100μmである。ウォーターブラストおよびサンドブラストの場合、機械的な除去に基づき、穴のエッジ領域での欠け落ちを伴ってガラス中の応力が発生する。両方の方法は原則的に薄いガラスの構造化のためには使用可能ではない。ガラス基材の表面の構造化のためにも、これらの方法はそれらの所定の浸食方向、並びに粗い処理に基づき適していない。
【0005】
従って、最近では種々の材料の構造化のためにレーザー源を利用することが確立されている。赤外(例えば1064nm)、緑色(532nm)およびUV(365nm)の波長または超短波長(例えば193nm、248nm)で動作する様々な固体レーザーによって、先述の機械的な方法を用いて可能であるものよりも小さい構造をガラス基材に導入できる。ただし、ガラスは熱伝導性が低く、さらに非常に壊れやすいので、非常に微細な構造を製造する場合のレーザー処理も、ガラスの高い熱負荷をみちびき、ひいては穴のエッジ領域でのマイクロクラックおよび変形に至るまでの重大な応力をみちびき得る。基材表面でのより大面積の構造も、生成されるにしても、多くの場合わずか数マイクロメートルの直径を有する微細なレーザー光線を用いて非常に労力かけてのみ生成される。従って、前記方法は、表面で特別に構造化されなければならない基材の工業生産において用いるためには限定的にしか適していない。
【0006】
これはとりわけ、表面で特別に定義されたトポグラフィーが必要とされる構造部材もしくは基材、例えば固定エレメントに固定するための強化されたエッジ部、または2つの構造部材の間に間隔を生成するために定義された高さを有する特別な構造に関し、それは例えば電気光学的変換器もしくは機能物が該当する。そのような構造部材は、例えば能動的および受動的な構造部材の間の定義された間隔の調整を可能にするか、または電磁トランスデューサ/エミッタ/レシーバなどを取り囲み且つ保護するために寄与する。
【0007】
ただし、これらの構造部材が提供できる間隔は製造工程によって制限されるので、非常に高い費用をかけて且つ非常に多くの様々な工程段階を通じてのみ、数マイクロメートルのサイズのオーダーにおける微細構造を基材表面に製造することが可能である。この理由から、後の製造段階で基材上に施与される、例えばプラスチック、セラミック、金属または複合材製の特別な構造部材がスペーサーとして用いられることが多い。ただし、そのようなやり方はコストを高め、さらに構造部材が基材とスペーサーで異なる材料から構成されることをみちびく。しかしながら、ガラス製の単一の構造部材は、費用効率性および化学的耐久性に基づき基材のためにもスペーサーのためにも好ましく用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、定義された表面構造もしくはトポグラフィー、並びに基材の体部を通じて走る微細構造を有するガラス基材を提供することである。さらに、かかる構造部材は、顕著に少ない労力で、ひいては費用効率良く、サイズの許容差の小さい定義された微細構造の生成に関して最適な方法を通じて製造され得るべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題は、独立請求項の対象によって解決される。有利なさらなる構成は、それぞれ従属請求項に記載される。
【0010】
従って、本発明は、第1の表面と、前記第1の表面に対向して配置される第2の表面と、前記表面の少なくとも1つを貫く少なくとも1つの凹部とを有する板状ガラス部材に関する。前記凹部は、縦方向および横方向に延在し、且つ前記凹部の縦方向は前記凹部によって貫かれる表面に対して横向きに配置されている。凹部によって貫かれる表面は、以下の特徴の少なくとも1つ:
・ 前記表面は、少なくとも部分的に凹部の周りに少なくとも1つの隆起部を有し、この隆起部は5μm未満の高さを有すること、
・ 前記表面は、高さが0.05μmを上回る、好ましくは0.5μm、好ましくは1μmを上回る、好ましくは10μmを上回る、且つ/または20μm未満、好ましくは15μm未満、好ましくは12μm未満である少なくとも1つのプラトー状の隆起部を有すること、
・ 前記表面は、15nmを上回る、好ましくは25nmを上回る、好ましくは40nmを上回る、且つ/または100nm未満、好ましくは80nm未満、好ましくは60nm未満である平均粗さ値(Ra)を有すること、
を有する。
【0011】
これらの特徴はいくつかの利点を有する。有利には少なくとも部分的に凹部の周りを走る隆起部は、2つの構造部材もしくはガラス部材の間のスペーサーとして役立つことができる。その際、隆起部は、ガラス部材のゼロ平面よりも高い隆起部として理解されることができ、前記ゼロ平面は第1の表面および/または第2の表面の少なくとも51%、好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%を含む。従って、ゼロ平面について、そのゼロ平面に対してより深い1つまたは複数のくぼみも形成され得る。その際、隆起部は有利には環状、もしくは凹部の周りに、例えば開いた環として走る環状であることができる。隆起の高さが5μm未満の場合、そのようなガラス部材はマイクロセンサ技術において卓越して用いられることができると共に、基材として、およびスペーサーとして役立ち得る。従って、必要な構造部材は1つだけであり、相応して例えば電気光学変換器が安価に製造され得る。
【0012】
代替的に、個々の特徴部の周りで、その周囲線から全ての方向において選択可能な間隔で評価線を構築して(伸長と同様)、同様の形状であるがより大きな面積および周囲の長さを有する新たな線を生成し、且つこの評価線に沿った平均の高さプロファイル/厚さを調べることによって、ゼロ平面を計算することができる。参照高さ/厚さは、大きな間隔についての限界値としての特徴部の元の周囲線から間隔を大きくして繰り返すことによって得られる。
【0013】
縦方向は、ガラス部材の一方の側から他方の側への方向である。従って、縦方向は厚さ方向とも、または通過方向とも称され得る。縦方向または厚さ方向における凹部の広さはガラス部材の厚さによって制限されるので、薄いガラス部材の場合は特に、横方向における凹部の寸法は縦方向よりも大きいことが多い。
【0014】
有利には高さが1μmを上回る少なくとも1つのプラトー状の隆起部は、さらなる利点を提供する。そのようなプラトー状の隆起部は、例えばエッジ部として形成されることができ、その際、ガラス部材は膜として形成され得る。このようにして、ガラス膜をエッジ部のところで対象物に固定することができる。エッジ部で膜が機械的により安定になるので、固定の際に破損するリスクが低減される。従って、プラトー状の隆起部が、ガラス部材の厚さよりもさらに大きい高さを有することが考えられる。その際、高さは有利には厚さに対して平行に走る。しかし、プラトー状の隆起部の高さがガラス部材の厚さよりも小さいか、またはガラス部材の厚さに相応することも考えられる。
【0015】
有利には、プラトー状の隆起部は20μmを上回る、好ましくは100μmを上回る、好ましくは150μmを上回る、且つ/または300μm未満、好ましくは250μm未満、好ましくは200μm未満である高さを有する。従って、様々な高さのプラトー状の隆起部によって、ガラス部材が様々な用途において用いられ得ることが確実になる。
【0016】
有利には、プラトー状の隆起部のプラトー部も構造を有し得る。例えば、プラトー部の構造を、固定エレメントの形状に対して相補的に形成することができるので、固定エレメントをプラトー部の構造に最適にはめ込むことができ、ひいてはガラス部材が固定エレメント内で最適に保持される。さらなる構成によれば、単数または複数のプラトー状の隆起部の側面は球冠状のくぼみを有し得る。球冠状のくぼみによって、単数または複数のプラトー状の隆起部の側面がクラックの成長に対して効果的に保護されるか、もしくはクラックの成長が最小化されることができ、なぜなら平坦ではない側面の表面によってクラックの成長が著しく妨げられるからである。
【0017】
しかし、プラトー状の隆起部のプラトー部が、ガラス部材の表面よりも高いまたは低い粗さ、もしくは高いまたは低い平均粗さ値(Ra)を有することも考えられる。このようにしてプラトー部を固定エレメント内でより良好に固定することができると共に、ガラス部材の表面が他の機能を果たすことができ、例えば特に小さな粗さ、ひいては流体に対するより小さな抵抗によって、流体について改善された流動特性を提供する。
【0018】
その際、15nm~100nmの表面平均粗さ値(Ra)が特に有利であり、なぜなら、ガラス部材はそのようにして、特定の用途にとって必要とされる光沢のない表面を有することもできるか、または特に平坦であり、そのことによって例えば他の構造部材または物質、例えば流体による摩擦に対する抵抗が最小限に低減され得るからである。
【0019】
1つまたは複数のプラトー状の隆起部が、ガラス部材の表面上で対称的または非対称的なトポグラフィーを形成することも意図され得る。これによって、特別な構造がガラス部材の表面上で且つプラトー状の隆起部を通じて形成されることが可能になり、特別な用途、例えばマイクロ流体工学における用途のために特別に成形されたチャネル、または他の構造部材を、これがガラス部材に対してずれることができないようにはめ込むことができる特別な構造を可能にする。これによって、例えばせん断力による摩擦の負荷を軽減できる。
【0020】
複数の隆起部および/またはプラトー状の隆起部が同等の高さを有するか、または有利には複数のプラトー状の隆起部および/または複数の隆起部の高さが20μm未満、好ましくは15μm未満、好ましくは10μm未満、互いから異なる場合も有利である。このようにして、ガラス部材と、他の構造部材との間隔が均一であることが確実になる。
【0021】
有利には、隆起部は以下の特徴の少なくとも1つ:
・ 隆起部が凹部を完全に取り囲むこと、
・ 隆起部が凹部の壁の延長として形成されていること、
・ 隆起部の内面は隆起部の外面に対して鋭角をなしており、前記内面は凹部に向いており、且つ前記外面は凹部の反対に向いていること、
・ 前記外面は、単数または複数の凹部によって貫かれる第1の表面に対して鈍角をなしている、
・ 隆起部は凹部の周りで稜線(Grat)として形成されること、
・ 隆起部は、5μmを上回る、好ましくは8μmを上回る、好ましくは10μmを上回る、且つ/または5mm未満、好ましくは3mm未満、好ましくは1mm未満である横方向の寸法を有すること、
を有する。
【0022】
理想的には、隆起部は凹部を完全に取り囲み、且つ/または凹部の周りで稜線として形成される。稜線は凹部の製造の間に容易に生成されることができ、最良の場合、稜線は凹部が生成される間に直接的に生成されるので、隆起部の生成のために追加的な労力を費やす必要はなく、従って製造コストを下げることができる。隆起部が凹部の壁の延長として形成されて、凹部および隆起部によって均一な壁が形成される場合が有利である。その際、隆起部の内面は隆起部の外面に対して鋭角をなすことができ、ここで前記内面は凹部に向いており、且つ前記外面は凹部の反対に向いている。このようにして、ガラス部材は機械的に特に、凹部が形成されている位置、つまり殊にガラス部材が機械的に弱い可能性があるところで安定化される。従って、隆起部は有利にはスペーサーとしてだけでなく、さらに機械的応力に対するガラス部材の安定化のためにも役立つ。
【0023】
この機械的安定性は、前記外面が、単数または複数の凹部によって貫かれる第1の表面に対して鈍角をなすことによってさらに高められ得る。このようにして、例えば2つの構成部材の互いに対する側方の動きによって生じるせん断応力に対する隆起部の安定性が高められる。さらに鈍角によって、丸みのある構造、例えば流通チャネルを表面上に形成することができ、これによってこのチャネルを通じた流体の流動性が改善される。
【0024】
有利な実施態様において、ガラス部材は10μmを上回る、好ましくは15μmを上回る、好ましくは20μmを上回る、且つ/または4mm未満、好ましくは2mm未満、好ましくは1mm未満である厚さを有する。そのような厚さは、複数のガラス部材が重なり合って積層され得ることを可能にし、その際、多くの場所を必要としない。さらに、ガラス部材は厚さが薄いことによってフレキシブルに形成され得るので、曲げることができる。厚さが薄いことに基づき、他の結合力が重要な役割を果たすことが多いので、ガラス部材はさらに、外部から与えられる機械的負荷に対する機械的安定性がより高くなるように形成され得る。これらの利点は、例えばICのハウジング、バイオチップ、センサ、例えば圧力センサ、カメラのイメージングモジュールおよび診断技術装置におけるガラス部材の使用を可能にする。
【0025】
さらなる実施態様において、ガラス部材は5mmを上回る、好ましくは50mmを上回る、好ましくは100mmを上回る、且つ/または1000mm未満、好ましくは650mm未満、好ましくは500mm未満である横寸法を有する。そのような寸法で、ガラス部材は微細技術のための部品として最適に使用され得る。プラトー状の隆起部を有する実施態様において、プラトー状の隆起部もガラス部材の横寸法に相応する横寸法を有することが可能である。このようにして、プラトー状の隆起部は、固定エレメントに固定するためにガラス部材を取り囲む強化されたエッジ部としても形成されることができると共に、有利にはガラス部材のエッジ部の機械的な負荷に対する安定化として役立つ。
【0026】
凹部が、第1の表面から第2の表面へとガラス部材を通じて延在し、両方の表面を貫くチャネルとして形成される場合も有利である。ガラス部材を通じて走る凹部は、これによって構造全体もしくは複数の凹部もガラス部材を通じて走ることができるという利点をもたらす。有利には、複数の凹部もしくはチャネルが直接的に隣り合って並べられて配置され、より大きな凹部が構成され、その大きさは少なくとも隣り合って配置された個々の凹部の大きさの合計によって定められる。好ましい実施態様によれば、壁は球冠状のくぼみを有する。
【0027】
ただし、より大きな凹部の大きさは隣り合って配置された凹部の合計よりも大きいこともある。その際、凹部の幅もしくは横の広がりは、第1の表面および/または第2の表面に対して平行に延在し、並びに凹部の縦方向もしくは深さはガラス部材の第1の表面および/または第2の表面に対して垂直に形成され得る。このようにしてガラス部材は任意の多さ、殊に任意の大きさの凹部を有することができ、その横の広がりは有利には凹部の深さに対して垂直に走る。チャネルもしくは貫通する凹部を導入することにより、これらが隣り合って製造される場合、ガラス部材は穿孔も有することができ、殊にガラス部材から一部を取り外すことができるかもしくは分離除去することができる。
【0028】
第1の表面から第2の表面へとガラス部材を通じて延在し、且つ互いに直接的に接する多数の貫通部によって縁部が形成されることも考えられる。その際、縁部はガラス部材を少なくとも部分的に取り囲むガラス部材の外縁部、または凹部を少なくとも部分的に取り囲むガラス部材の内縁部を形成する。前記縁部はさらに多数の球冠状のくぼみを有する。有利には、くぼみの深さは、凹部の深さおよび/またはガラス部材の厚さに対して横向きに方向付けされる。縁部の高さがガラス部材の厚さに相応することも考えられる。球冠状のくぼみは、理想的には複数の利点をもたらす縁部の特別な構造を構成する。丸みのある構造もしくは球冠は、縁部表面で生じる引張応力を縁部表面の最も深い点まで、つまり球冠の最も深い点まで引き下げるために特に有利な形態である。これによって、縁部表面の生じ得る欠陥のところでのクラックの成長が効果的に抑制される。
【0029】
有利には、前記縁部は、5%未満、有利には2%未満である、凸状に形成された領域を有する面積割合を有する。従って理想的には、凹状に形成された領域、つまり球冠状のくぼみを有する領域の面積割合は、縁部表面の95%を上回り、有利には98%を上回る。その際、凹状とは、膨らみがガラス部材の方向に走ることを意味し、且つ凸状とは、膨らみがガラス部材から離れる、つまり凹部の方向に走ることを意味する。球冠状のくぼみの深さは、理想的には横方向の寸法が有利には5~20μmである際に典型的には5μm未満である。
【0030】
前記縁部が凹部の壁に相応することも考えられる。従って、隆起部の内面も、殊に凹部の壁の延長として球冠状のくぼみを有し得る。好ましくは、隆起部の外面も球冠状のくぼみを有する。このようにして、隆起部も同様にクラックの成長に対して保護される。
【0031】
凹部が横寸法10μm、好ましくは20μm、好ましくは50μm、好ましくは100μmを有する場合も有利である。ただし、例えば他の部品、例えば電子伝導体または圧電素子も凹部内で使用できるように、凹部の横寸法は少なくとも150μmを上回り、好ましくは500μmを上回るか、またはさらには50mmまでであってもよい。そのような寸法は特にマイクロセンサ技術において意図される用途分野において、殊に隆起部が単数または複数の凹部の周りを環状に取り囲んで形成され且つ有利には10μmを上回る、好ましくは20μmを上回る、好ましくは50μmを上回る、好ましくは100μmを上回る横寸法を有する場合に有利である。ただし、隆起部の横寸法が少なくとも150μmを上回り、好ましくは200μmを上回り、またはさらには300μmまでであることもできる。これは殊に、隆起部の内面の互いに対する間隔、または隆起部の内面の直径について該当する。このようにして、ガラス部材と、その上に配置される部品との間隔を、殊に単数または複数の凹部の領域において確保できる。
【0032】
単数または複数の隆起部が、単数または複数の凹部の縦方向に対して平行な、殊に第1の表面および/または第2の表面に対して横向きに走る高さを有することが意図され得る。このようにして、隆起部はガラス部材の第1の表面および/または第2の表面に対して突出し、且つ殊にガラス部材の第1の表面および/または第2の表面に対する膨らみまたは稜線を形成する。これによって、隆起部は、ガラス部材上に配置された部品の、第1の表面および/または第2の表面に対する間隔を保持もしくは作ることができるスペーサーとして機能できる。
【0033】
さらに、隆起部および/またはプラトー状の隆起部の幅は、球冠状のくぼみの深さよりも大きくすることができる。好ましくは隆起部および/またはプラトー状の隆起部の幅は、第1の表面および/または第2の表面に対して平行に延在する。従って、隆起部もプラトー状の隆起部も、それぞれの側面もしくは壁、内面または外面で球冠状のくぼみおよび/または凹状の形態を有することも可能である。
【0034】
前記の課題は、板状ガラス部材の表面改質方法であって、前記ガラス部材が第1の表面と、前記第1の表面に対向して配置される第2の表面と、前記表面の少なくとも1つを貫く少なくとも1つの凹部とを有する前記方法によっても解決される。その際、凹部は、縦方向および横方向に延在し、且つ前記凹部の縦方向は前記凹部によって貫かれる表面に対して横向きに配置されている。有利には、凹部の壁は多数の球冠状のくぼみを有し、前記方法に際し、
・ ガラス部材を準備し、
・ 少なくとも1つのフィラメント状のチャネルを、超短パルスレーザーのレーザー光線によってガラス部材中に生成し、前記チャネルの縦方向はガラス部材の表面に対して横向きに走り、
・ 前記チャネルによって貫かれるガラス部材の表面を、ガラス部材のガラスを調整可能な除去速度で除去するエッチング媒体に曝露し、ここで前記エッチング媒体によって前記チャネルが広げられて凹部が形成され、
・ ここで、前記エッチングで、凹部によって貫かれる表面の以下の特徴の少なくとも1つ:
- 前記表面が凹部の周りで少なくとも部分的に少なくとも1つの隆起部を有し、この隆起部は5μm未満の高さを有すること、
- 前記表面が、0.05μmを上回る、好ましくは0.5μmを上回る、好ましくは1μmを上回る、好ましくは10μmを上回る、且つ/またはエッチング除去の100%未満、好ましくはエッチング除去の95%未満、好ましくは90%未満である高さであるプラトー状の隆起部を有すること、
- 前記表面が15nmを上回る、好ましくは25nmを上回る、好ましくは40nmを上回る、且つ/または100nm未満、好ましくは80nm未満、好ましくは60nm未満である平均粗さ(Ra)を有すること
がもたらされる。
【0035】
前記方法によって先述の態様に相応してガラス部材も製造され得るので、先述の利点が達成され得ることが意図される。第1の方法段階において、少なくとも1つのガラス部材、殊に凹部を有さないガラス部材を準備する。さらなる、殊に第2の段階において、少なくとも1つの、しかしながら有利には複数の、特に好ましくは多数の傷を、理想的にはその傷によってガラス部材の穿孔を形成できるようにガラス部材中で生成する。このために有利には、一連の凹部がより大きな構造を作り出すように、複数の傷を並び合わせて生成する。前記の傷は殊にフィラメント状のチャネルとして形成され、且つその縦方向において、ガラス部材の第1の表面および/または第2の表面に対して横向きに走る。その際、チャネルは少なくとも一方の表面から、且つ殊にこの表面から垂直にガラス部材内へと延在し、且つ少なくともこの表面を貫く。ただし有利には、前記チャネルは第1の表面から第2の表面へと延在し、且つ両方の表面を貫く。
【0036】
単数または複数の凹部は、超短パルスレーザーのレーザー光線を用いてガラス部材中に生成される。レーザーを用いた凹部の生成は有利には以下に挙げられる段階のいくつかに基づく:
・ 超短パルスレーザーのレーザー光線をガラス部材の表面に向け、集光光学系を用いてガラス部材中の長細い焦点に集め、ここで
・ レーザー光線の照射エネルギーにより、少なくとも1つのフィラメント状の傷がガラス部材の体部で生成され、且つ
・ 超短パルスレーザーが、パルス、または少なくとも2つ以上の重なり合って続くレーザーパルスを有するパルスパケットをガラス部材上に照射し、その際、有利にはフィラメント状の傷の導入後にそのフィラメント状の傷をチャネルへと広げる。
・ このようにして多数のチャネルが生成され、ここで前記チャネル、殊にガラス部材上もしくはガラス部材内でのその配置は、多くの並び合って配置されるチャネルが、生成されるべき凹部の輪郭を描くように選択される。その際、チャネルは互いに対して2μmを上回る、好ましくは3μmを上回る、好ましくは5μmを上回る、且つ/または100μm未満、好ましくは50μm未満、好ましくは15μm未満である間隔で配置され得る。同様に、チャネルの直径は10μm~100μmで変化し得る。
【0037】
さらなる段階において、少なくとも1つのチャネルによって貫かれる表面をエッチング媒体に曝露する。有利には、ガラス部材全体、殊に第1の表面および第2の表面をこのエッチング媒体に曝露する。エッチング媒体を容器、例えばタンク、鍋または槽に満たし、且つ殊に引き続き1つ以上のガラス部材を少なくとも部分的にその容器もしくはエッチング媒体に保持または浸漬する場合が有利である。その際、容器は有利には、エッチング媒体に対して本質的に耐性がある材料から形成される。
【0038】
エッチング媒体はガス状であることができるが、有利にはエッチング溶液である。従って、この実施態様によればエッチングは湿式化学的に実施される。これは、エッチングの間にチャネル内面もしくは傷の表面および/またはガラス部材の表面、例えば第1の表面および/または第2の表面からガラス成分を除去するために有利である。当然、ガラス成分はエッチング媒体によってガラス要素の縁部でも溶出し得る。
【0039】
このために、酸性溶液もアルカリ性溶液も使用できる。酸性のエッチング媒体として、殊にHF、HCl、H2SO4、フッ化水素アンモニウム、HNO3溶液、またはこれらの酸の混合物が適している。塩基性エッチング媒体については、例えばKOHまたはNaOHアルカリ液が考慮に入れられる。理想的には、使用されるエッチング媒体は、エッチングされるべきガラス部材のガラスに従って選択される。
【0040】
従って、1つの実施態様において、除去速度はガラス組成とエッチング媒体(200)の組成との組み合わせの選択によって調整され得る。高いカルシウム含有率を有するガラスの場合、例えば好ましくは酸性のエッチング媒体が選択される一方で、低いカルシウム含有率を有するガラスの場合、有利には塩基性のエッチング媒体が使用され、なぜなら、エッチングによってガラスから溶出する高すぎるカルシウム含有率は、塩基性、殊にアルカリのエッチング媒体を急速に過飽和させることがあり、それによってエッチング媒体のエッチング能力を急速に低下させかねないからである。他方で、除去速度、つまりエッチング速度は、酸性のエッチング媒体且つ高いケイ酸塩割合を有するガラスの場合、塩基性のエッチング媒体の場合よりも遙かに高く、ただし酸性のエッチング媒体は、既に溶解された物質によって遙かに急速に中和され、それによってエッチング媒体が消費されるか、もしくはガラスで飽和する。
【0041】
従って、ガラス組成に応じて、酸性のエッチング媒体を選択して速い除去速度に調整するか、または塩基性、殊にアルカリ性のエッチング媒体を選択して遅い除去速度に調整することができる。一般に、本発明によるガラス表面の改質について、低いアルカリ含有率を有するケイ酸ガラスが特に適している。先述のとおり、アルカリ含有率が高すぎるとエッチングが困難になる。従って、本発明のさらなる構成によれば、ガラス部材のガラスは、17質量%未満のアルカリ酸化物含有率を有するケイ酸塩ガラスであり、理想的にはホウケイ酸ガラスであることが意図される。
【0042】
ただし、除去をより良好に制御できるようにするためには、遅い除去速度もしくは塩基性のエッチング媒体が好ましい。これによって、7μm/h未満、有利には5μm/h未満、好ましくは4μm/h未満、好ましくは3μm/h未満、且つ/または0.3μm/hを上回る、好ましくは0.5μm/hを上回る、好ましくは1μm/hを上回る、好ましくは1.5μm/hを上回る、および殊に2μm/h~2.5μm/hの除去速度が達成され得る。そのような除去速度は、有利なことに、エッチングプロセスの間にもエッチング媒体もしくはエッチングプロセスに影響するために十分な時間を残す。
【0043】
1つの実施態様において、除去速度はさらに添加剤によって調整され得る。その際、例えば以下の群の物質を個々に、または組み合わせて使用できる: 界面活性剤、錯体もしくは配位化合物、ラジカル、金属および/またはアルコール。添加剤は、エッチング媒体のエッチング能力のより精密な制御、および殊に特定のガラスもしくは特定のガラス組成物についてのエッチング能力の目標通りの制御を可能にする。
【0044】
エッチングは有利には40℃を上回る、好ましくは50℃を上回る、好ましくは60℃を上回る、且つ/または150℃未満、好ましくは130℃未満、好ましくは110℃未満、および殊に100℃までの温度で実施される。この温度は、ガラス部材のガラスの溶解されるべきイオンもしくは成分の、ガラスマトリックスからの充分な移動度をもたらす。
【0045】
さらなる要素は時間である。例えば一般に、ガラス部材が数時間、殊に30時間より長くエッチング媒体に曝露される場合、より高い除去が達成される。他方で、ガラス部材をエッチング媒体に30時間未満、例えば10時間だけ曝露することにより、除去を制限することが可能である。一般に、傷およびチャネルの導入、並びにエッチング媒体の温度、組成に依存する除去速度もしくはエッチング媒体の調整可能性、エッチングの持続時間、並びにガラス部材のガラスの組成によって、ガラス部材の少なくとも1つの上記の特徴が生じる。例えば、より高い除去速度、殊に1時間あたり2μmを上回る除去速度に調整することによって、平均粗さ値(Ra)15nm~100nmが達成され得る。1時間あたり約2μmの除去速度の場合、高さが0.5μmを上回る隆起部および/またはプラトー状の隆起部が達成され得る。
【0046】
さらに、ガラス部材の定義された領域をエッチング媒体に対して遮ることが意図され得る。これは例えば、ガラス部材をエッチング媒体の体積内で保持する特別な保持具を使用することによって実現され得る。さらに、ガラス部材をエッチング媒体に曝露する前にガラス部材上に配置される特別な形状要素が考えられる。ガラス部材をエッチング媒体に曝露する前に保護層、例えばポリマー層をガラス部材上に施与することも可能である。その際、保護層を第1の表面および/または第2の表面に全面的に施与することが可能である。引き続き、その保護層がレーザーを用いる構造化プロセス前に既に施与されていた場合、例えばレーザーによって保護層を少なくとも部分的に再度除去して、保護層を殊に凹部の領域において取り除くことができる。従って、ガラス部材の定義された領域を保持具、形状要素および/または保護層によって覆い、このようにしてガラス部材をエッチング媒体から遮ることができる。従って、好ましくはこれらの保持具、形状要素および/または保護層は、エッチング媒体に対して耐性のある材料を有する。このようにして、保持具、形状要素および/または保護層はエッチング媒体によって攻撃されない。
【0047】
さらに、保持具、形状要素および/または保護層が、エッチングプロセス後に生成される隆起部および/またはプラトー状の隆起部が有するべき形状もしくは構造を有する場合、有利であることがある。これによって、隆起部および/またはプラトー状の隆起部はエッチングプロセス後に、保持具、形状要素および/または保護層の形状および/または構造に相応し且つ/またはそれに対して相補的に形成される形状もしくは構造を有することができる。従って例えば、少なくとも部分的にガラス部材の周りを走り、ひいては強化されたエッジ部を形成するプラトー状の隆起部を生成できる。
【0048】
最良の場合、保持具、形状要素および/または保護層は遮蔽凹部を有し、それらはそれら自体、特別な構造として形成され得る。このようにして、構造をプラトー状の隆起部上に生成することも考えられる。しかし、ガラス部材の第1の表面および/または第2の表面全体が保持具、形状要素および/または保護層によって遮られ、且つ凹部が生成される領域もしくはレーザーによって傷またはチャネルが生成される領域だけが開放されていることも可能である。このようにして、第1の表面および/または第2の表面が本質的に隆起部なく形成されて、殊に40nm未満、好ましくは25nm未満の平均粗さ値(Ra)が生成され、ひいては特に平坦な表面が生成されることが考えられる。従って、有利にはガラス部材は以下の特徴の少なくとも1つ:
・ ガラス部材の内縁部は多数の球冠状くぼみを有し、且つガラス部材の第1の表面および/または第2の表面は球冠なく形成されること、
・ ガラス部材の内縁部はガラス部材の第1の表面および/または第2の表面よりも高い平均粗さ値(Ra)を有すること、
を有する。
【0049】
従って、ガラス部材の表面は凹部の内縁部とは異なる粗さを有し得る。従って、有利なことに、ガラス部材の第1および/または第2の表面を、凹部の内縁部の粗さとは異なる粗さに調整できる。このようにして、ガラス部材の表面および凹部の内縁部を様々な意図される用途に最適化できる。好ましくは、第1の表面および第2の表面の粗さは、凹部の内縁部の粗さと共通の方法段階、殊にエッチング段階において調整される。
【0050】
さらに、前記表面の1つはエッチング媒体から完全に遮られ、他の表面は完全または少なくとも部分的にエッチング媒体に曝露されることが考えられる。従って例えば、1つの表面上に隆起構造を生成でき、ここで殊に隆起部および/またはプラトー状の隆起部がその隆起構造を形成する。換言すれば、ガラス部材は1つの表面上でのみ隆起部および/またはプラトー状の隆起部を有する一方で、他の表面は隆起部がないままである。当然、第1の表面および第2の表面が遮られ、且つ傷および/またはチャネルのみがエッチング媒体に曝露されるという他の可能性もある。このようにして、両方の表面を平坦に形成することができる。
【0051】
有利な実施態様において、エッチング媒体もしくはエッチングプロセスによって、隣り合って配置されるチャネルもしくは傷が合体するほどに多くの材料がガラス部材から除去されて、このようにして凹部が生成される。その際、有利にはチャネルもしくは傷の間の壁は、エッチング媒体によって除去されて、連続する縁部が形成される。さらに、この縁部は理想的には球冠状のくぼみを有する。前記縁部は例えば、ガラス部材を少なくとも部分的に取り囲むガラス部材の外縁部として、または凹部を少なくとも部分的に取り囲むガラス部材の内縁部として形成され得る。このようにして、構造の形状においてエッチング前に隣り合って配置されるチャネルで取り囲まれたガラス部材の大部分を取り外すことができる。
【0052】
さらに、機械的に支える機能を有するかまたはクラック防止材として機能し得るリブが縁部にさらに生成され得る。その際、リブは有利には2つのチャネル中心の間にそれぞれ配置される。さらに、除去速度を目標通りに調整することによって、前記球冠の深さおよび大きさ、もしくは寸法を変えることができることが考えられる。従って例えば、より高い除去速度の場合、より平らで且つより広い球冠を形成できるので、ガラス部材の表面または縁部を平坦に形成できる。従って、全体として、本発明による方法は、任意の形状および寸法を有する凹部が生成されるだけでなく、それ自体の方法段階でガラス部材の表面も操作もしくは処理され得るという利点を有する。これによって、凹部を生成し且つ高い平均粗さ値を有する光沢のない表面、または小さい平均粗さ値を有する平坦な表面を同時に製造することが可能である。従って、前記方法を用いて、方法段階だけでなく、場合により発生するガラスの後処理による多大な追加コストも回避される。
【0053】
除去速度がエッチング媒体の動きによって加速または減速されるようにエッチング媒体が動かされることも意図される。エッチング媒体の動きは、除去速度に影響し且つ殊に制御するためのさらなる選択肢である。動かすことによって、例えば消耗もしくは飽和したエッチング媒体、またはエッチング残留物を、ガラス部材のエッチングされる領域から目標通りに搬出し、且つ有利には消耗していない新鮮なエッチング媒体によって置き換えることができる。このようにして、除去速度もしくはエッチング速度を著しく加速できる。他方で、エッチング媒体の動きを、例えば容器内の隔壁によって目標通りに妨げることも考えられる。従って、消耗したエッチング媒体がもはや搬出され得ないので、除去速度が顕著に低下される。ただし、エッチング媒体を動かし、これによって除去速度を高めることが好ましい。有利には、動きを機械的に引き起こす。ただし、他の物理的な手段でエッチング媒体を動かすことも考えられる。有利には、本発明による方法の間に、以下の選択肢の少なくとも1つが選択される:
・ 前記の動きを音波、殊に超音波によって生成する。その際、音波源は、エッチング媒体並びにガラス部材が中にある容器の下方および/または側方に配置され得る。音波源は、エッチング媒体、殊にエッチング溶液の全体積を動かすために、音波源だけで十分であるという利点を有する。生成された波は、さらなる助けなしに溶液体積全体にわたって広がり、有利にはわずかに弱められるだけなので、エッチング媒体を均一に動かすことができる。
【0054】
・ 前記の動きを、有利には容器の下方に配置される磁気攪拌機もしくは磁場によって生成する。磁場によって、例えば磁気攪拌棒が理想的には回転運動で動かされる。その際、磁気攪拌機もしくは磁気攪拌棒はエッチング媒体内部にあり、従ってエッチング媒体はその回転運動で直接的に動かされることができる。
【0055】
磁気的に引き起こされる動きもしくは磁気攪拌棒の利点は、回転運動の速度、ひいてはエッチング媒体の動きが非常に良好に制御可能であることである。このようにして、例えば速いまたは遅い攪拌の動きをエッチング媒体にもたらすことができる。さらに、複数の磁気攪拌機を個別に制御することができる。複数のガラス部材が同時に容器およびエッチング媒体中にある場合、磁気攪拌機を個別に制御することによって、異なる回転速度、ひいては局地的に異なる動きおよび除去速度を調整できる。このようにして、例えば複数のガラス部材を同時に異なる速度でエッチングもしくは加工することができる。もちろん、攪拌棒を攪拌ユニットとして構成し、磁気的にではなく殊に機械的に動かすことも考えられる。これらの攪拌ユニットをさらに、攪拌のために容器の開口部の方向からエッチング媒体中へと単に浸漬することができる。
【0056】
・ 前記の動きをガラス部材の保持具によって生成するか、もしくはエッチング媒体中でガラス部材を保持する保持具を機械的に動かす。このようにして、ガラス部材をエッチング媒体中で前後に動かして、上述と同様の作用が生じる。
【0057】
・ 前記の動きを振動台によって生成するか、もしくは例えば容器を振動台上に配置することによって容器をエッチング媒体およびガラス部材と共に動かす。これによって、容器全体におけるエッチング媒体の均一な動きが引き起こされる。
【0058】
・ 前記の動きをエッチング媒体の対流によって生成する。その際、容器の下または容器の側方に熱源を配置できる。片側の加熱によって、温められたエッチング媒体は上昇し、且つ冷たいエッチング媒体は他の位置に落下するので、連続的な対流が生成される。これによって、特に遅い動きが実現され、低下した除去速度がもたらされる。
【0059】
・ 前記の動きを、例えばノズルを通じてエッチング媒体中に導入される流体によって引き起こす。そのようなノズルを容器に配置することができる。有利にはこれによって発泡が生じ、それがエッチング媒体を動かす。
【0060】
有利な実施態様において、エッチング媒体をガラス部材の表面の少なくとも1つの定義された領域において改質し、この領域において除去速度を周囲の領域に対して変化させる。これは、除去速度を局所的に変えることができることを意味する。有利には隆起部を個々または複数の凹部に目標通りに生成できる。このために、エッチング媒体を局所的に変えることができるいくつかの選択肢がある。ただし、本発明の意味において、以下に挙げる解決策の1つが好ましい:
・ 凹部、縁部、チャネルおよび/または傷の領域においては、ガラス材料中により多くの未結合手が存在する。さらにそこでは全体的にエッチング媒体と反応するためにより多くの表面が使用可能である。これは有利には短期間の加速された除去速度をもたらすか、もしくはガラス部材の平らな表面上よりも短い時間間隔でより多くの材料が除去されることをもたらす。これは有利には、エッチング媒体が凹部、縁部、チャネルおよび/または傷の領域において有利には急速に消耗するか、もしくはそのエッチング能力が非常に弱まり、殊にこの領域においてエッチング残留物が存在することをみちびく。
【0061】
従って、これらの領域においてはエッチング持続時間の増加に伴って隆起部が生成されることができ、なぜなら、材料はそこで有利にはもはや除去されないか、もしくは周囲の領域に比して遅い速度で除去されるからである。換言すれば、凹部および縁部の領域において隆起部を目標通りに生成できる。さらに、エッチング持続時間、つまりガラス部材をエッチング媒体に曝露する時間間隔の選択によって、隆起部の高さを調整できる。殊に、このようにして環状の、有利には凹部を取り囲んで走る隆起部を生成できる。これらの隆起部は後に、理想的にはさらなる構成部材に対するガラス部材のスペーサーとして役立つ。
【0062】
・ このような作用、つまり凹部および縁部で除去速度の一時的な変化は、この過程でレーザーにより傷、チャネル、凹部および/または縁部の表面を目標通りに変えることにより、除去速度および有利にはエッチング媒体も局所的に変えるためにさらに利用できる。例えば、複数のパルス、例えばパルスパケットあたり7または8以上のパルスを有するパルスパケットを選択することによって、傷および/またはチャネルの特に粗い表面をもたらすことが考えられる。従って、エッチング媒体がより急速に消耗/中和されることができ、且つ殊により高い隆起部が実現され得る。当然、逆に、パルスパケットあたり数パルスのみ、例えば2~3パルスによって、傷および/またはチャネルの平坦な表面をもたらして、これによってエッチング媒体は場合により消耗もしくは中和が遅くなり、隆起部は有利には低い高さのみを有し得ることも可能である。この理由から、エッチング媒体は、局所的に凹部および縁部の領域だけでなく、平面、殊に凹部および/または縁部の内面でも同様に変えられ得る。
【0063】
・ 新鮮なエッチング媒体および/または添加剤の局所的な供給。さらに、新鮮なエッチング媒体または添加剤を、そのような物質を計量供給装置、例えばコックを介して局所的にエッチング媒体に局所的に、殊に滴下することよって、エッチング媒体に供給することが可能である。このようにして、エッチング媒体を局所的に変えるだけでなく、これをさらに動かすことができる。従って、除去速度をさらに、殊に制御して変えることができ、有利には加速することができる。
【0064】
・ ガラス部材の保持具または容器の材料が、エッチング媒体の局所的な変化のさらなる選択肢を提供する。例えば容器の材料を巧みに選択することより、除去を促進するイオン、例えば金属、または除去を抑制するイオン、例えばアルカリをエッチング媒体中に放出し、除去速度をそのように制御することができる。このようにして、除去を促進するイオンまたは除去を抑制するイオンがガラス部材の保持具または容器の材料から直接的に放出され、エッチング媒体、もしくはそのエッチング能力に影響を及ぼすことが可能である。
【0065】
空間的および/または時間的な温度勾配を生成することによって除去速度を調整する場合も有利である。温度は材料成分の移動度および殊にエッチングプロセスの間に材料から浸出し得る成分に影響を及ぼすので、温度の変化によって、ガラス部材の除去速度もしくはエッチング媒体との反応速度を有利に変化させることができる。従って例えば、時間的な温度勾配は、時間的に定義された温度変化を介して容易に制御され得る。空間的な温度勾配の生成は、例えば複数のガラス部材を異なる除去速度で別々にエッチングすべき場合に特に有利である。空間的な温度勾配は様々な方式で生成できる。以下の選択肢の1つが好ましい:
・ 空間的な温度勾配を容器の壁と容器の内部領域との間に生成できる。その際、容器もしくはエッチング媒体が一様に、つまりエッチング媒体の体積が均一に加熱される。有利にはエッチング媒体は容器の壁によって冷却される。この冷却は、容器もしくは容器の壁が高い熱伝導率を有する材料もしくは金属材料を有することによって強化され得る。これによって、エッチング媒体の熱が急速に搬出されることによってこれが受動的に冷却される。ただし、容器の壁が冷却媒体、例えば水によって積極的に冷却されることも考えられる。ただし、製造コストを節約するために、熱伝導性の容器が好ましい。ここにも利点があり、なぜなら追加的な工程コストが生じず、温度勾配を容易に安価に生成できるからである。
【0066】
・ さらなる選択肢は、容器の壁に局所的に配置される熱源である。その際、熱源は容器の側方、上方および/または下方に配置され得る。そうすれば、温度勾配はこの熱源の周りにいわば同心円状に形成されるので、熱源からの距離が増加するにつれて温度が低下する。
【0067】
・ 空間的な温度勾配の生成の特別な実施態様は、局所的に電磁線、有利にはレーザー光線をエッチング媒体またはガラス部材の表面領域に向けることによって達成される。これは殊に小規模な温度勾配の形成を可能にする。これによって、例えば数μmのみを含むことによって非常に局所的に作用し得る温度勾配を生成できる。これは、その温度によってもたらされる除去速度もしくはエッチング媒体の変化が、ガラス部材の定義された領域、例えば個々の凹部に限定され得るという利点を有する。従って有利には、隆起部を、個々の凹部の上またはその周りで個別に生成または防止することができる。
【0068】
・ さらなる選択肢はガラス部材の保持具を加熱することである。保持具、ひいては有利には遮蔽要素も加熱される場合、殊に、保持具によって遮られる領域に直接的に隣接する領域で除去速度を変化させることができる。従って、プラトー状の隆起部および特別な構造を生成すべきところで除去速度を制御することが可能である。
【0069】
・ エッチング媒体中で適した位置に配置され得る2つの電極の間での電圧アークまたは少なくとも1つの電圧アークを生成することも、空間的な温度勾配を生成するための他の選択肢である。そうすれば、この電圧アークの領域において、エッチング媒体が局所的に加熱され、且つ殊に動かされる。
【0070】
ただし、除去速度は、殊に重力またはエッチング媒体の動きの方向に関する、エッチング媒体内部でのガラス部材の特別な空間的配置によっても調整することもできる。凹部の内部での除去速度を加速するために、例えばガラス部材における凹部の縦方向を、エッチング媒体の動きの方向に対して平行に方向付けることができる。従って、ガラス部材の表面はエッチング媒体の動きの方向に対して横向きもしくは垂直に方向付けられる。この方向付けの場合、エッチング媒体が凹部を通じて動くことが確実になる。これによって、例えば溶解されたガラスによって飽和したエッチング媒体を凹部から運び出すことができ、そのことによって凹部の内部で時間的に一定の高い除去速度を達成でき、なぜなら、中和されたエッチング媒体が凹部の内部に残留せず、殊に常に新鮮で飽和していないエッチング媒体が利用可能だからである。
【0071】
ただし、エッチング媒体が、例えば上記の選択肢によって積極的には動かされない場合、ガラス部材の凹部もしくは縁部の領域における除去速度は、ガラス部材の表面に関してより大きな表面によって最初は高められる。ただし、除去速度はまた、凹部の領域においてはガラス部材の表面に比して明らかにより急速に低下し、なぜならエッチング媒体が急速に飽和もしくは中和されるからである。エッチング媒体の飽和が増すと、溶解されたガラス材料によって密度、ひいては殊にエッチング媒体の重量も上昇する。凹部の縦方向が重力の方向に方向付けされる場合、重いエッチング媒体も凹部から沈下し得る。これは、凹部の周りで且つ有利には重力の方向もしくは沈下方向または一般に飽和したエッチング媒体の動きの方向において、少なくとも部分的に隆起部が形成されることをみちびき得る。エッチング媒体の飽和は、除去速度が凹部の周りで且つ有利には飽和したエッチング媒体の動きの方向において少なくとも部分的に低下し、これによって隆起部が形成されることをみちびき得る。
【0072】
ただし、逆に、沈下方向または動きの方向に対向する側で高められた除去速度が生じることがあり、なぜなら、そこで連続的に新鮮なエッチング媒体が供給されるからである。従って、殊にエッチング媒体内でのガラス部材もしくは凹部の方向付けのみによって、エッチング媒体の動きを引き起こすだけでなく、有利には凹部の領域において、除去速度も影響され得る。
【0073】
従って、ガラス部材がエッチング媒体内部で、且つ殊にエッチング媒体の動きの方向に対して、隆起部および/またはプラトー状の隆起部を生成するための飽和したエッチング媒体が、このために備えられるガラス部材の位置の領域に残留し、且つ殊に搬出されないように方向付けられることが意図される。このために、ガラス部材もしくはガラス部材の単数または複数の表面は、例えば容器の底部および/またはエッチング媒体の動きの方向、例えば沈下方向または流れの方向に関して、0°(平行)~360°(平行)、好ましくは90°(垂直)~270°(垂直)の角度で方向付けられ得る。約180°の角度も考えられる。他の角度、例えば、エッチング媒体の動きの方向に対して殊にガラス部材の殊に傾斜した角度、有利には10°~80°、好ましくは20°~70°、特に好ましくは30°~50°も有利であることがある。
【0074】
殊に凹部の領域における除去速度はさらに、ガラス部材の厚さもしくは凹部の長さによっても制御され得る。先述のとおり、エッチング媒体は凹部の領域においてより急速に飽和し、且つ/またはエッチング媒体の動きは凹部の壁のより狭い限定によって制限される。その両方が、ガラス部材の表面での除去速度に比して、凹部の領域における除去速度の低下をみちびく。従って、凹部の領域もしくは凹部の内部と、ガラス部材の表面領域との間には濃度勾配、並びに殊に除去速度の時間的な勾配も存在する。凹部の長さ、つまりガラス部材の厚さを変えることにより、それに応じて凹部の領域におけるエッチング媒体の動きも変えることができ、ひいては殊に、凹部の領域における濃度勾配もしくはエッチング媒体の飽和度も変えることができる。ガラス部材の方向付け、並びに有利には他のパラメータ、例えばエッチング媒体の動きおよび/または温度勾配も適切に選択することによって、例えばガラス部材の片側では縁部で稜線または隆起部を形成し、且つ対向する側では稜線または隆起部を回避することも可能である。
【0075】
本開示によるガラス部材はとりわけ、電気光学構造要素を気密封止するための部品、マイクロ流体セル、圧力センサ、およびカメライメージングモジュールを製造するために使用できる。
【0076】
本発明を以下で添付の図面を用いてより詳細に説明する。図面において、同じ符号はそれぞれ同じかまたは相応する要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1図1はレーザーによるガラス部材中の傷の生成の模式図である。
図2図2は複数の傷を有するガラス部材の模式図である。
図3図3はガラス部材のエッチングプロセスの模式図である。
図4図4はエッチングが進んだ際のガラス部材の模式図である。
図5図5は異なる条件下でのエッチング後のガラス部材の表面の平均粗さ値のグラフである。
図6図6はガラス濃度に依存する除去速度の測定データのグラフである。
図7図7はエッチング媒体の温度および方向付けおよび凹部の形状に依存する、隆起部の高さの測定結果である。
図8図8は1つの容器内でエッチング媒体を動かしながらの複数のガラス部材のエッチングプロセスの模式図である。
図9図9はエッチング媒体の動きに依存する隆起部の高さのグラフである。
図10図10は非対称の隆起部を有するガラス部材の上面図および隆起部の高さプロファイルである。
図11図11は非対称の隆起部を有するガラス部材の上面図および隆起部の2つの高さプロファイルである。
図12図12は対称の隆起部を有するガラス部材の上面図および隆起部の高さプロファイルである。
図13図13はガラス部材の表面上の隆起部の表面測定結果である。
図14図14は重なり合って配置された2つのガラス部材である。
【0078】
図1は、第1の表面2および第2の表面3、並びに厚さDを有するガラス部材1を模式的に示す。その際、第1の表面2は、第2の表面3に対向して、且つ殊に有利には平行に配置される。ガラス部材1はさらに、縦方向Lおよび横方向Qに延在する。有利には、ガラス部材1は少なくとも1つの側面4を有し、それは理想的にはガラス部材1を取り囲み、その高さはガラス部材1の厚さDに相応する。その際、理想的にはガラス部材1の厚さDおよび側面4の高さは縦方向Lに延在する。第1の表面2および第2の表面3はさらに、横方向に延在し得る。
【0079】
第1の方法段階において、レーザー101によって、有利には超短パルスレーザー101によって傷、殊にチャネル15、もしくはチャネル状の傷15をガラス部材1の体部に生成する。このために、集光光学系102、例えばレンズまたはレンズシステムを用いて、レーザー光線100を集光し、ガラス部材1の表面2、3、好ましくは第1の表面2上に向ける。ガラス部材1の体部内の領域上でレーザー光線100を集光、殊に長細く集光することによって、これによって照射されるレーザー光線100のエネルギーがフィラメント状の傷を生成することを確実にし、例えばパルスパケットの形態での例えば複数のレーザーパルスによって前記の傷がチャネル15へと広がる。
【0080】
有利には図2に示すように、さらなる段階において複数のチャネル15を生成し、それらは理想的には、多数のチャネル15が穿孔をもたらし、この穿孔もしくは多数のチャネルが構造16の輪郭を形成するようにように隣り合って配置される。最良の場合、そのように生成された構造16は生成されるべき凹部の形状に相応する。換言すれば、チャネル15の間隔および数は、生成されるべき凹部の輪郭が形成されるように選択される。
【0081】
図3はさらなる段階を示す。ガラス部材1は保持具50に取り外し可能に配置される。その際、ガラス部材1は保持具50上に載置されているだけでもよいし、またはこれに固定されるかもしくは固定されていてよい。有利には、保持具50の特定の領域が、ガラス部材1の定義された領域を覆うかまたは遮るために役立つ。ただし、他の要素、例えば1つまたは複数のポリマー層または形状要素がこの目的のために用いられてもよい。その際、保持具、単数または複数のポリマー層および/または形状要素によって覆われる領域は、有利にはガラス部材1の表面2、3の生成されるべき隆起構造のためのマスクとして役立つ。ただし、ガラス部材の表面の隆起構造を回避し、且つ少なくとも1つの特に平坦もしくは平らな表面を生成するために、第1の表面2および/または第2の表面3が完全に覆うことも同様に考えられる。レーザー101が用いられる前にそのような領域が既に覆われていることも、確かに可能である。覆われた領域はさらに、ガラス部材1が次の段階で曝露されるエッチング媒体に対する遮蔽として機能するべきである。
【0082】
このために、保持具50を用いてガラス部材1を、有利には容器202内に配置されているエッチング媒体200、有利にはエッチング溶液中に保持し、殊に浸漬する。理想的には、このために、容器202はエッチング媒体200に対して本質的に耐性がある材料を有する。有利には、前記容器は特定の元素もしくは物質、例えば特定のイオンまたは分子をエッチング媒体200中に放出できる材料を有する。最良の場合、容器202から放出されるこれらの物質は、エッチング媒体200のエッチング能力を、ガラス部材の材料の除去速度が加速または低減されるように変える。
【0083】
好ましくは、エッチング媒体200として、酸またはアルカリ溶液、殊にアルカリ溶液、例えばKOHが使用される。最良の場合、エッチング溶液のエッチング能力は容器202の材料によって影響され、場合によってはエッチング溶液に添加された添加剤によっても影響される。ガラス部材がエッチング媒体200に曝露されることによってガラス部材の材料が除去され、このことによって除去70もしくは除去速度も生じ、それは複数の要因によって影響され得る。
【0084】
第1の要因はガラス部材1がエッチングされる温度である。エッチングプロセスは有利には温度60℃~130℃、理想的には約100℃で実施され、ここで、熱源に比してより冷たい容器壁によって有利には温度勾配が生じる。
【0085】
さらに、除去速度は有利には、エッチング媒体200が動かされることによって影響され、殊に加速される。このために、例えば1つまたは複数の攪拌装置60を使用できる。その際、機械的または電気的に動作する攪拌装置60、例えば攪拌ロッド、または磁場を介して制御される磁気攪拌機を使用することが考えられる。最良の場合、攪拌装置60は、それが回転運動を行い、それによってエッチング媒体を動かすように動作される。
【0086】
さらなる実施態様において、容器202を、例えば少なくとも1つの隔壁によって複数の領域に分割することができる。この際、好ましくは、容器202を2つの領域に分割する隔壁51を利用する。そうすれば、第1の領域に例えば1つまたは複数の攪拌装置60を配置でき、且つ第2の領域に有利には1つまたは複数のガラス部材1を配置できる。この場合、隔壁51は有利には、通路を通じたエッチング媒体200の交換を可能にするように第1の領域と第2の領域とを接続する1つまたは複数の通路を有する。このようにして、エッチング媒体200を目標通りに動かすことができ、殊にこれによってエッチング媒体200の定義された流れの方向を実現もしくは制御することができる。
【0087】
図4図3から進んだ時点のエッチングプロセスを模式的に示す。さらに、図4に示されるエッチングプロセスの間、攪拌装置60は使用されなかったので、エッチング媒体200は動かされなかった。これによって、エッチング媒体200は除去速度が高められた領域ではより急速に中和されるので、エッチング媒体200はこの範囲で消耗される。そのような消耗したエッチング媒体201は、図4において第1の表面2および第2の表面3の領域に示されている。全体として、保持要素50で覆われていない領域で材料が除去された。これは本質的にチャネルに関するが、第1の表面2および/または第2の表面3の特定の領域にも関する。その際、複数のチャネルのチャネル壁は、複数のチャネルが一体化し、これによって凹部10が生じるまで有利に除去された。
【0088】
図4の例において、エッチングによって隆起構造が生成されたガラス部材1が示されるか、もしくは隆起構造を有するガラス部材1が描かれる。この隆起構造は一方ではプラトー状の隆起部30によって形成され、それは殊にガラス部材1の縁領域で保持具50によって遮られることによって生成され、他方では隆起構造は、有利には凹部10の周りに形成された/形成されている隆起部20によって形成される。その際、隆起部20は、内面21および外面22を有し、その両方が互いに対して鋭角をなしている。さらに凹部10は凹部内面12を有し、それは好ましくは、凹部内面12が凹部10を少なくとも2つの空間方向において完全に取り囲むと定義される。その際、凹部10は縦方向Lおよび横方向Qに延在し、且つ殊に縦方向Lに沿い且つ第1の表面2および/または第2の表面3に対して横向きに延在する長さを形成することができる。凹部10の長さと隆起部の高さH2とが共にガラス部材1の厚さDに相応することが可能である。ただし、凹部10の長さが厚さDに相応することも同様に可能である。さらに、凹部10は殊に、球冠状のくぼみを有する凹部内面12の領域において縁部40を形成する。
【0089】
プラトー状の隆起部30は、ガラス部材1の第1の表面2および/または第2の表面3に対して鈍角に配置される側面31を有することができ、ここでプラトー状の隆起部30の形状もしくはプラトー部は理想的には保持具50の形状に相応し、且つこの形状はさらに、遮られる領域の形状に相応する。その際、プラトー状の隆起部30の高さH1はガラス部材1の厚さDよりも小さくてよく、且つ有利には厚さDに対して平行に走る。
【0090】
図5は、異なるエッチング条件下でのガラス部材1の表面の測定された平均粗さ値(Ra)(縦軸)の、除去速度(除去)(横軸)依存性を示す。それぞれのエッチング条件は異なる測定結果によって示されている。
【0091】
・ 白抜きの黒い環で示される測定結果は、エッチング媒体200が殊に少なくとも1つの攪拌装置60によって動かされた場合のエッチングプロセスを表す。さらに、有利には金属材料を含む容器202が使用された。
【0092】
・ 黒丸として示される測定結果は、ガラス部材1が少なくとも部分的に、有利にはポリマー層、特にペルフルオロアルキルポリマーによって、エッチング媒体200に対して遮られた場合のエッチングプロセスを表す。さらに、エッチング媒体200は積極的には動かされなかった。
【0093】
・ パターン入りの黒い環として示される測定結果は、ガラス部材1が少なくとも部分的に、有利にはポリマー層、特にペルフルオロアルキルポリマーによって、エッチング媒体200に対して遮られた場合のエッチングプロセスを表す。さらに、有利には金属材料を有する容器202が使用され、エッチング媒体200は動かされなかった。
【0094】
これらの結果を考慮して、エッチング媒体200が動かされるエッチングプロセス後、ガラス部材1の表面2、3は特に小さな平均粗さ値を有することが注目される。この平均粗さ値は有利には2nm~10nmであるので、ガラス部材1は特に平坦な表面2、3を有し、且つエッチング媒体200の動きが有利には非常に小さな平均粗さ値をみちびく。さらに、この条件下で10μm未満の材料の除去は非常に低いこと、もしくは低い平均粗さ値をもたらすために少ない除去のみが必要であることも注目される。
【0095】
さらに、エッチング媒体に対する遮蔽の使用は、明らかにより高い平均粗さ値をみちびき、ひいてはガラス部材の明らかにより粗く且つ/または光沢のない表面2、3をみちびくことを確認できる。換言すれば、ガラス部材1は、エッチング媒体200を動かさないエッチングプロセス後は、エッチング媒体200を動かすエッチングプロセス後よりも明らかに粗い表面を有する。有利には、エッチング媒体200を動かすエッチングプロセス後の平均粗さ値は約5nm~130nmである。さらに、より高い平均粗さ値を有する表面2、3、つまり粗く且つ/または特に光沢のない表面2、3を生成するためには明らかにより高い除去が必要であるという結果が得られる。このような場合、除去は有利には15μmを上回る。
【0096】
いくつかの場合において、つまりエッチング媒体200を動かしても動かさなくても、金属材料を有する容器202が使用されたので、これは表面2、3の粗さにあまり影響しないと考えられる。
【0097】
図6は、3つの異なるガラスであるガラスA、ガラスBおよびガラスCの場合の凹部領域における除去速度(Re(μm/h))の、エッチング媒体200中のガラス濃度(g/リットル)依存性の測定データを示す。そのグラフは除去もしくはエッチングの間に除去の勾配が形成されることを明らかに示す。殊に、ガラスAおよびガラスCの場合、除去速度は開始時にまず穏やかに増加し、次いでエッチング媒体200中のガラス濃度の増加と共に急激に増加する。特定の濃度値が達成されると、つまりエッチング媒体が所定の飽和に達すると、3つ全てのガラスの場合で除去速度が低下する。
【0098】
殊にガラスCの場合、飽和に達した後、除去速度がほぼ一定の小さな値に低下することが明らかにわかる。これは、エッチング媒体200中でのガラス濃度が、凹部10の領域ではまず急激に増加し、引き続き高いガラス濃度を有するエッチング媒体200が凹部10の領域に残留するかもしくは搬出されないことによって説明できる。これはおそらく、ガラスで濃縮されたエッチング媒体200の密度に起因し、それは低いガラス濃度を有するエッチング媒体200の密度と比較可能である。これによって、凹部10の領域におけるエッチング媒体200は動かされないか、またはわずかしか動かされないので、高いガラス濃度を有するエッチング媒体200が搬出されない。従って、エッチング媒体のガラス濃度は、凹部の領域では、ガラス部材の表面2、3よりも高くなる。
【0099】
ガラスBとガラスCの場合は異なって見える。除去速度が高い値に達し、且つまずガラス濃度の増加と共に再度減少した後、除去速度は低い値に達した後に再度増加する。これは、ガラスBおよびガラスCの場合、ガラスで濃縮されたエッチング媒体200がより高い密度を有し、従ってより低いガラス濃度を有するエッチング媒体200よりも重いことによって説明できる。従って、高いガラス濃度を有するエッチング媒体200は(ガラス部材の表面が容器底部に対して平行に方向付けられる場合)、凹部の領域10から沈み、それによって新鮮なエッチング媒体200が凹部の領域に再度入ることができる。そうすると、その新鮮なエッチング媒体は、再度、除去速度の上昇を可能にするが、エッチング媒体200のガラス濃度が改めて臨界値に達すると、改めて低下する。全体として、この作用は、例えばガラス部材1をエッチング媒体200内で相応して方向付けることによって、またはエッチング媒体200を定義された方向に動かすことによって、除去速度を目標通りに制御し且つ除去速度の所望の勾配を調整するために利用され得る。従って、このようにして、高いガラス濃度を有する領域を目標通りに生成でき、そこで低下された除去速度に基づき有利には隆起部20が形成される。
【0100】
換言すれば、隆起部20の形成、その高さH2および/またはその形状は、エッチング媒体200の定義されたガラス濃度、ひいては除去速度によって目標通りに、殊に局所的に制御できる。
【0101】
従って一般に、示された測定結果に限定されることなく、隆起部、および殊に隆起部20の高さH1、H2および形状は、工程パラメータ、例えば除去速度、エッチング媒体200の組成、殊にエッチング媒体200のガラス濃度、エッチング媒体200の動き、および有利には定義された流れの方向、エッチングプロセスの持続時間および/またはエッチング媒体200の温度によって決定的に影響を及ぼされ得る。
【0102】
図7は、これについて温度が除去速度に及ぼす影響を示す。エッチング媒体200の温度およびおよび凹部10の形状に依存する、隆起部20の高さH2の測定結果が示される。従って、横軸の下に様々な形状が記載されている。その際、エッチング媒体200の動く方向は第1の表面2および第2の表面3に対して平行に方向付けられた。エッチング媒体200が例えば125°の温度を有する場合、隆起部20は、凹部10の全ての形状もしくは構造の際に、80℃の温度を有するエッチング媒体に比してより高く発現していることが注目される。従って、示された例示的な構造に限定されることなく、隆起部20の高さH2は、殊に凹部10の周りで少なくとも部分的に、エッチング媒体の温度の調整によって決定的に制御され得る。
【0103】
温度を上昇させると除去速度が増加するので、より多くの材料も溶解される。これは、エッチング媒体200がより高い除去を有する領域、殊に凹部10の周りではより急速に飽和することをみちびき、これによって除去速度はこの領域において急速に低下する。従って一般に隆起部20の高さH2は除去または除去速度によって増減される。除去が高くなるほど、隆起部20の高さH2が高くなる。しかしながらその際、凹部10のない領域、例えば第1の表面2および第2の表面3の領域における除去速度は、凹部10の周りの領域よりも本質的に高いままである。換言すれば、除去速度は、除去速度がガラス部材1のある領域においては、他の領域、例えば凹部10の周りの少なくとも部分的な領域より高くなるように調整され得る。
【0104】
殊にエッチング媒体200の調整された動きおよび/または保持具50に依存して、隆起部20は、殊に凹部10の周りで非対称に形成されているかもしくは形成され得る。ただし、さらなる実施態様において、隆起部20は殊に凹部10の周りで対称に形成されている/形成され得る。この場合、凹部10自体も縦方向Lに対して平行な回転軸に関して対象に形成される。本発明の意味において、対象とは、隆起部20が殊に凹部の周りで本質的に均一な高さを有し、且つ/または均一な形状、例えば傾斜を有すると理解される。従ってこの意味において、非対称とは、隆起部20が殊に凹部の周りで少なくとも区間的に異なる高さおよび/または傾斜を有することを意味する。
【0105】
図7を用いてさらなる作用を読み取ることもできる。特に凹部が細長い形状の場合、高さのずれの大きさは動きの方向に対する向きに依存する。従って細長い形状の場合に、縦方向に対して横向きにエッチング浴をオーバーフローする場合(左から3つめの測定値)、高さのずれは縦方向にオーバーフローする場合(左から6つめの測定値)よりも明らかに小さい。これは、エッチング媒体の流体が凹部を横断するために必要な時間に起因する。その時間は左から3つめの測定値の場合、左から6つめの測定値の場合よりも明らかに短い。従って、本発明の1つの実施態様によれば、所望の高さのずれは一般に、エッチング媒体による凹部のオーバーフローのための時間を調整することによって、および/または動きの方向もしくは流れの方向に対する凹部の向きによって、調整され得る。
【0106】
図8はさらなる実施態様を模式的に示す。示された例に限定されることなく、分割された容器202を用いてエッチング媒体200の流れの方向を予め与えることができる。この例において、エッチング媒体200は攪拌装置60、例えばプロペラまたは磁気攪拌機を用いて動かされる。その際、攪拌ユニット60を備えた領域は例えば隔壁51によって空間的に少なくとも部分的に第2の領域から分離されることができ、前記第2の領域にはガラス部材1または有利には複数のガラス部材1が殊に保持具50内に配置されている。図8の示された例において、それぞれ複数のガラス部材1を備えた複数の、殊に2つの保持具50が第2の領域内に配置されている。隔壁51は有利には、通路を通じたエッチング媒体200の交換が可能になるように第1の領域と第2の領域とを接続する1つまたは複数の通路を有する。このようにして、第2の領域においてエッチング媒体200の動きまたは変動、殊に対流を達成することができ、ここで対流は破線として示されている。有利には保持具は、これが動かされ得るように、殊にエッチング媒体内でガラス部材1が可動であるように設計される。これについて、図8は保持具50もしくはガラス部材1の2つの可能な動きB1、B2を示している。B1は例えばガラス部材1もしくは保持具50の上下の動きを示す。従って、ガラス部材1は容器底部に関して上下に、殊に常に交互に、例えば一定の周波数および/または一定の距離で動かされることができる。その際、上下の動きの距離は、ガラス部材1の長さ、その方向および容器202の高さに依存して任意に変えられ得る。従って一般に、ガラス部材1がエッチング媒体内で少なくとも1つの方向転換を有する経路に沿って動かされることが意図され得る。
【0107】
ガラス部材1もしくは保持具50の動きの他の形態は回転運動B2である。従って、保持具50は、ガラス部材1が少なくとも1つの軸の周りで回転可能であるかまたは回転されるように構成されることもできる。有利にはガラス部材1は、有利には第1の軸に対して垂直に配置される第2の軸の周りでも回転可能であるかまたは回転可能になる。
【0108】
一般に、1つの実施態様によれば、保持具は全体として、一般に閉じた、例えば矩形/多角形/楕円形の経路上を動かされることができ、その際、それ自体の軸の周りで回転しない。これによって、そのように閉じたパスの場合でも、ガラス部材上で回転によってエッチング媒体の局所的に異なる流入速度が生じることを回避することができる。従って一般に、ガラス部材1を回転させずにエッチング媒体内で1つまたは複数の空間方向またはその組み合わせに動かす場合が有利であることができる。
【0109】
殊にガラス部材1の動きとエッチング媒体200の動きとの組み合わせにおいて、隆起構造もしくは単数または複数の隆起部20が対称または非対称に形成され得る。対称な隆起部20は例えば、ガラス部材1を、エッチング媒体200の動きの方向に対して横向き、殊に垂直に配置される軸の周りで回転させることによって達成され得る。ガラス部材1は有利には、第1の表面2および/または第2の表面3に対して垂直に方向付けられている軸の周りで回転され得る。対称の構造もしくは隆起部20を形成するためのさらなる選択肢は、有利にはエッチング媒体200を動かさない場合の、ガラス部材1の上下の動きである。有利には、エッチング媒体200が動かないかまたは不均一に動かされる場合、ガラス部材1は、殊に互いに対して垂直である2つの軸の周りで回転され、対称の隆起部20が生成される。
【0110】
これに対し、非対称の構造もしくは隆起部20は、エッチング媒体200および/またはガラスで濃縮されたエッチング媒体200が動かされる場合に生成され得る。この場合、隆起部20は有利にはエッチング媒体200の動きの方向または沈む方向に形成され、なぜなら、ガラスで濃縮されたエッチング媒体200は局所的に低下した除去速度をみちびくからである。
【0111】
エッチング媒体内でのガラス部材1の方向付けがさらなる制御パラメータを形成する。図8に示すとおり、ガラス部材1または複数のガラス部材1は、有利には容器底部に関して直立、横向きまたは垂直に方向付けられ得る。従って、ガラス部材1をエッチング媒体の動きの方向に関して方向付けて、殊に少なくとも1つの隆起部20の形成および/または形状を制御することが可能である。右の保持具50において、ガラス部材1は例えば容器底部および/またはエッチング媒体200の動きの方向に関して傾斜して方向付けられている。これによって、有利にはエッチング媒体200の乱流を、例えばガラス部材1の特定の縁部で生成できる。そのような場合、乱流に基づき、ガラスで濃縮されたエッチング媒体200が急速に搬出されることによって、殊に局所的に加速された除去速度すら実現され得る。
【0112】
エッチング媒体の流れの方向に関して傾斜した基材の位置は一般に、両側の間の流れの比/流れの速度を変化させる。
【0113】
その際、第1の表面2および/または第2の表面3に関して、有利には凹部10の周りで少なくとも部分的にくぼみが生成され得る。
【0114】
さらなる実施態様において、ガラス部材1は容器底部に対して本質的に平行に、または有利には水平に方向付けられ得る。この場合、ガラスで濃縮されたエッチング媒体200は凹部10を通って沈み、殊に凹部の周りで一様に分布されることができるので、対称の隆起部20が、容器底部に対向して配置される表面2、3上に生成され得る。これとは対称的に、容器底部の反対に向く側の表面2、3上では隆起部20は形成され得ないか、または少なくとも、より低い高さH2を有する隆起部20が形成され得る。例えば、第1の表面2は容器底部に向けられ、そうすれば隆起部20が第1の表面2上に生成される。これに対し、第1の表面に対向する第2の表面3上では、より低い高さH2を有する隆起部が生成される。
【0115】
図9はこれについて、μm3での体積として記述される隆起部20の高さH2の、エッチング媒体200の動きの依存性の関係のグラフを示す。異なる強さのエッチング媒体200の動きでエッチングされた5つの試料もしくはガラス部材1が示される。その際、エッチング媒体は磁気攪拌機または攪拌棒を用いて、毎分120回転の中程度または通常の変動(測定値「M」)、毎分50回転の低い攪拌運動(測定値「Ls」)、および毎分400回転の強い攪拌運動(繰り返し測定、測定値「Hs1」、「Hs2」、「Hs3」)で動かされた。強い攪拌運動Hsでエッチングされた3つのガラス部材1は、より弱い攪拌運動でエッチングされたガラス部材1よりも、少ない体積の隆起部20、つまり殊により低い高さH2を有する隆起部20を有することが明らかである。従って、エッチング媒体200の強い循環によって、隆起部20の高さH2を低下させることができる。逆に、エッチング媒体200を弱くしか動かさないか、または動かさない場合、隆起部20を高くすることができる。
【0116】
先述の方法を用いて製造されたガラス部材1の例を図10に示す。ここに示される凹部の周りの基材表面の測定データ/トポグラフィーは、白色光干渉計を用いてピクセルに基づいて記録され、評価結果はグレースケールの画像(図10の上半分)として示される。ガラス部材は非対称の構造もしくは隆起部20を有する。図10の上半分ではガラス部材1が上面図で示されており、ここでガラス部材1は殊に示された切り抜きにおいて、有利には約800μmの直径を有する凹部10を有する。非対称の構造もしくは隆起部20の高さの値は、前述のとおりグレー値として示され、ここで、これは右端のグレー値のスケールを用いて評価可能もしくは読み取り可能である。従って、非対称の構造の形状、もしくは隆起部20の形状は、殊に凹部10の周りの明るいグレー値もしくは本質的に白く示される面において明らかにわかる。
【0117】
画像にはさらに線Y-Zが示される。この線に沿って、データから算出され且つ内挿された高さプロファイルが前記画像の下のグラフに示される。この線Y-Zは凹部10を横切って設置された。この線Y-Zに沿って、データから算出され且つ内挿された高さプロファイルが前記画像の下のグラフに示される。図10の下の部分に示されている隆起部20の高さプロファイルもしくはトポグラフィーを用いて、隆起部20の非対称な発現を容易に読み取ることができる。約800μm~約1600μmの値の欠損は凹部10を表す。隆起部20は、ラインスキャンの後部範囲においては、殊に1600μm~2200μmの区間においては、200μmから800μmまでの前部区間よりも明らかにより強く発現しているかもしくはより高い値を有することが明らかにわかる。
【0118】
図10の表現形式と同様に、さらなる実施態様を図11に示す。この場合、白色光干渉法によって捉えられたトポグラフィーが2つの高さプロファイルを用いて具体的に示された。その際、スライス1と称される第1の高さプロファイルは、スライス2と称される第2の高さプロファイルに対して本質的に横向きに実施された。この例でも、ガラス部材1は、隆起部20として、しかし低下部としても形成され得る非対称の構造を有する。図11の下の領域の高さプロファイルを用いて、前記構造は、第1のラインスキャンに沿った領域において、まず低下部を形成し、凹部10への距離が少なくなるにつれて隆起部20へと変化することがわかり、ここで傾斜は本質的に凹部10の方向に増加して、殊に凹部10の各々の側もしくは凹部10の周りで少なくとも部分的に局所的に極小値が形成される。第2のラインスキャンを用いて、前記構造の強い非対称の発現が特によくわかり、ここで前記構造は約420μmまでのスキャンの前部区間において低下部として形成され、且つ後部区間において、殊に前部区間に対向する側では約1300μmから隆起部20として形成される。
【0119】
図12はガラス部材1のさらなる実施態様を示す。ガラス部材1は本質的に対称の構造、もしくは隆起部20の対称の発現を有する。示された図において隆起部20は凹部10の周りに配置されている。その際、この例における凹部10は、画像の下端に向かって幅が狭くなり、凹部10が先細りに形作られるように形成される。隆起部20の高さは凹部の方向に増加し、そのことは明るい色調において、並びにラインスキャンY-Zの示された高さプロファイルにおいてもわかる。しかしながら、示された画像の切り抜きは小さいので、ラインスキャンは凹部20、殊にガラス部材1のトポグラフィーを部分的にしか捉えていない。
【0120】
図13は、ガラス部材1の表面2、3のトポグラフィー測定を示す。その際、右側のバーは表面2、3に対する隆起部20のずれもしくは高さH2を示す。その際、隆起部20は凹部10の周りに配置されており、且つ隆起部20の外面22は好ましくはガラス部材1の表面2、3に対して鈍角をなしていることが明らかにわかる。さらに、隆起部の内面21は理想的には外面22と鋭角を形成する。この例においては、隆起部20の外面22は、ガラス部材1の表面2、3へと流れるように移行している。これは、隆起部20の外面22とガラス部材の表面2、3との間で、明確に定義された移行部が巨視的には識別されないことを意味する。さらに、図6の例は、複数の隆起部20が一緒に表面2、3上で1つの隆起構造を形成することを示し、それはここでは殊に、4つの隆起部20の間、もしくは複数の凹部10の間の十字の構造として構成されている。
【0121】
図14は、表面2、3の改質方法を用いて製造され、ガラス板上に配置されたガラス部材1を示す。前記方法を用いて製造されたガラス部材1の凹部10の周りに隆起部20が形成されている。隆起部20によって、隆起部20の周りでガラス部材1とガラス板との間の距離の変化、もしくはガラス板とガラス部材1との間の流体層の厚さの変化が生じる。この厚さの変化はさらに、光が2つのガラス部材に対する流体層の2つの境界面で異なって屈折し、それらの波長が干渉することをみちびき、そのことによって、観察されるニュートンリングが発生する。換言すれば、観察されるニュートンリングは隆起部20の存在を容易に示す。理解されるとおり、この隆起部20は殊に凹部10の周りで環状に走る。ニュートンリングが途切れていないので、隆起部20は凹部10を完全に取り囲んでいる。
【符号の説明】
【0122】
1 板状ガラス部材
2 第1の表面
3 第2の表面
4 側面
10 凹部
11 凹部の壁
12 凹部内面
15 チャネル/貫通部
16 構造
20 隆起部
21 隆起部の内面
22 隆起部の外面
30 プラトー状の隆起部
31 プラトー状の隆起部の側面
32 プラトー部
40 縁部
50 保持具
51 隔壁
60 攪拌装置
70 除去/エッチングプロセス
90 ニュートンリング
100 レーザー光線
101 レーザー/超短パルスレーザー
102 集光光学系
200 エッチング媒体
201 消耗したエッチング媒体
202 容器
L 縦方向
Q 横方向
H1 プラトー状の隆起部の高さ
H2 隆起部の高さ
B1、B2 保持具の動き
D ガラス部材の厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】