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▶ ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】複数のサンプル用の蛍光顕微鏡
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20240110BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240110BHJP
   G06V 10/70 20220101ALI20240110BHJP
【FI】
G02B21/00
G06T7/00 350B
G06V10/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541643
(86)(22)【出願日】2022-01-05
(85)【翻訳文提出日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 EP2022050142
(87)【国際公開番号】W WO2022148772
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】21150718.1
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511079735
【氏名又は名称】ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Leica Microsystems CMS GmbH
【住所又は居所原語表記】Ernst-Leitz-Strasse 17-37, D-35578 Wetzlar, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ホセ ミゲル セラ ジェティ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー シュミッツ
【テーマコード(参考)】
2H052
5L096
【Fターム(参考)】
2H052AA09
2H052AB02
2H052AC01
2H052AC15
2H052AC34
2H052AD03
2H052AE13
2H052AF14
5L096CA18
5L096FA19
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
本発明は、サンプル領域(130)内、特にサンプルキャリア(200)内またはサンプルキャリア(200)上の複数のサンプル(214)を検査するために構成された装置(100)に関し、装置(100)は、透過光撮像モードおよび蛍光撮像モードでサンプル領域(130)を選択的に撮像する光学系(110)を有し、透過光撮像モードは、サンプル領域(130)の広視野画像のスタックを生成して処理し、蛍光撮像モードは、蛍光撮像位置において少なくとも1つのサンプル(214)のライトシート画像を取得して上記の蛍光画像を処理し、装置(100)はさらに処理装置(150)を有し、処理装置(150)は、サンプル領域(130)において次のステップ、すなわち、(a)透過光撮像モードで装置(100)を動作させる動作命令(152)を提供するステップ(1010)と、(b)透過光撮像モードで生成した広視野画像のスタックに基づいて取得した選択情報に基づき、サンプル領域(130)における1つまたは複数の関心領域を選択するステップ(1020)と、(c)サンプル領域(130)において選択した1つまたは複数の関心領域に関連する位置情報を提供するステップ(1030)と、(d)位置情報に基づき、1つまたは複数の蛍光撮像位置において、蛍光撮像モードで装置(100)を動作させる動作命令(152)を提供するステップ(1040)と、を実行するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル領域(130)内の複数のサンプル(214)を検査するために構成された装置(100)であって、
前記装置(100)は、透過光撮像モードおよび蛍光撮像モードで前記サンプル領域(130)を選択的に撮像するように構成された光学系(110)を有し、前記透過光撮像モードは、前記サンプル領域(130)の広視野画像のスタックを生成して処理するように適合されており、前記蛍光撮像モードは、蛍光撮像位置において少なくとも1つの前記サンプル(214)の蛍光画像を取得して前記蛍光画像を処理するように適合されており、
前記装置(100)は、処理装置(150)をさらに有し、前記処理装置(150)は、前記サンプル領域(130)において次のステップ、すなわち、
a)前記透過光撮像モードで前記装置(100)を動作させる動作命令(152)を提供するステップ(1010)と、
b)前記透過光撮像モードで生成した前記広視野画像のスタックに基づいて取得した選択情報に基づき、前記サンプル領域(130)における1つまたは複数の関心領域を選択するステップ(1020)と、
c)前記サンプル領域(130)において選択した1つまたは複数の前記関心領域に関連する位置情報を提供するステップ(1030)と、
d)前記位置情報に基づき、1つまたは複数の前記蛍光撮像位置において、前記蛍光撮像モードで前記装置(100)を動作させる動作命令(152)を提供するステップ(1040)と、
を実行するように構成されている装置(100)。
【請求項2】
前記蛍光撮像モードは、ライトシート撮像モードであり、前記装置は、前記ライトシート撮像モードにおいて、前記蛍光撮像位置にライトシート(124)を提供するように構成されている、
請求項1記載の装置(100)。
【請求項3】
前記装置(100)は、ユーザー入力に基づいて前記選択情報を提供するように構成されたユーザーインタフェース手段(160)をさらに有する、
請求項1または2記載の装置(100)。
【請求項4】
前記ユーザーインタフェース手段(160)は、前記透過光撮像モードで取得した前記広視野画像のスタックに基づいて、前記ユーザーに提供されるユーザー情報を提示する(1050)ように構成されており、前記ユーザー情報は、前記広視野画像のスタックから導出され、かつ潜在的な関心領域に関係する位置情報と、潜在的な関心領域のテキスト表現と、潜在的な関心領域に関係するグラフィック表現と、のうちの少なくとも1つを含む、
請求項3記載の装置(100)。
【請求項5】
前記処理装置(150)は、前記ユーザー情報として表示するために、前記広視野画像のスタックの自動画像分析に基づいて、前記潜在的な関心領域を自動的に事前選択するように構成されている、
請求項4記載の装置(100)。
【請求項6】
前記事前選択は、自動画像分析によって実行される、
請求項5記載の装置(100)。
【請求項7】
前記ユーザー入力は、前記ユーザー情報に含まれる事前選択した関心領域を承認および否認することにより、前記潜在的な関心領域から選択するように適合されている、
請求項5または6記載の装置(100)。
【請求項8】
前記ユーザー情報は、前記ユーザーインタフェース手段(160)のディスプレイ画面(162)に提供される、
請求項4から7までのいずれか1項記載の装置(100)。
【請求項9】
少なくともステップb)は、ユーザー対話のない自動画像分析に基づき、前記処理装置(150)によって完全自動で実行される、
請求項1または2記載の装置(100)。
【請求項10】
前記自動画像分析は、機械学習に基づいて実行される、
請求項6または9記載の装置(100)。
【請求項11】
前記透過光撮像モードおよび前記蛍光撮像モードで前記サンプル領域(130)を選択的に撮像するように構成された前記光学系(110)は、共通レンズ(112)を有し、前記共通レンズ(112)は、前記透過光撮像モードにおいてまた前記蛍光撮像モードにおいて前記サンプル領域(130)を撮像し、また前記蛍光撮像モードにおいて前記サンプル領域(130)に光を照射するように構成されている、
請求項1から10までのいずれか1項記載の装置(100)。
【請求項12】
前記サンプル領域(130)を選択的に撮像するように構成された前記光学系(110)は、前記蛍光撮像モードにおいて斜面ライトシート顕微鏡法を実施するように適合されている、
請求項2記載の装置(100)。
【請求項13】
前記位置情報は、1つまたは複数の幾何学的中心と、1つまたは複数の関心領域の1つまたは複数の寸法と、のうちの少なくとも1つを有する、
請求項1から12までのいずれか1項記載の装置(100)。
【請求項14】
サンプル領域(130)内の複数のサンプル(214)を検査する方法(1000)において、
透過光撮像モードおよび蛍光撮像モードにおいて選択的に前記サンプル領域(130)を撮像し、前記透過光撮像モードは、前記サンプル領域(130)の広視野画像のスタックを生成して処理することを有し、前記蛍光撮像モードは、蛍光撮像位置において前記サンプルの蛍光画像を取得して処理することを有し、
前記サンプル領域(130)において次のステップ、すなわち、
a)前記透過光撮像モードで装置(100)を動作させる動作命令(152)を提供するステップ(1010)と、
b)前記透過光撮像モードで生成した前記広視野画像のスタックに基づいて取得した選択情報を使用して、前記サンプル領域(130)における1つまたは複数の関心領域を選択するステップ(1020)と、
c)前記サンプル領域(130)において選択した1つまたは複数の前記関心領域に関連する位置情報を提供するステップ(1030)と、
d)前記位置情報に基づき、1つまたは複数の蛍光撮像位置において、前記蛍光撮像モードで前記装置(100)を動作させる動作命令(152)を提供するステップ(1040)と、
を実行する方法(1000)。
【請求項15】
前記蛍光撮像モードは、ライトシート(124)が前記蛍光撮像位置に提供されるライトシート撮像モードである、
請求項14記載の方法(1000)。
【請求項16】
マルチウェルプレートまたはペトリ皿の形態でサンプルキャリア(200)に複数の前記サンプルを提供し、かつ/または、複数の前記サンプル(214)は、細胞コンソーシア、集合体または組織における生体細胞である、
請求項14または15記載の方法(1000)。
【請求項17】
コンピュータプログラムがプロセッサ上で動作する場合に、請求項14から16までのいずれか1項記載の方法を実施するためのプログラムコードを備えたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の顕微鏡サンプル、特にサンプルキャリア内またはサンプルキャリア上の、例えば、マルチウェルプレートのウェル内またはペトリ皿上の細胞コンソーシア等を蛍光顕微鏡によって検査するための装置と、対応する方法と、このような方法を実装するための手段と、に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチウェルプレートは、生体サンプルを分析するために選択されるツールとなっている。様々な光学原理に基づくいわゆるプレートリーダーは、生物学の多くの分野において、マルチウェルプレートにおけるサンプルを分析するために一般に使用されている。例えば、マルチウェルプレートは、複数の条件を同時にテストするための並列実験を実行するために使用可能であり、またそれぞれのウェルにおいてタイムラプスデータを取得するために、全てのウェルを繰り返し撮像するようにプレートリーダーを自動化することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、特に繰り返しの実験の文脈において、蛍光顕微鏡法技術により、複数のサンプル、特にキャリア内またはキャリア上、例えばマルチウェルプレートまたはペトリ皿等内またはこれらの上のサンプルであって、これらに限定されないサンプルを分析するための公知のアプローチを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
サンプル領域内の複数のサンプルを検査するように構成された装置が設けられており、本装置は、透過光撮像モードおよび蛍光撮像モードでサンプル領域を選択的に撮像するように構成された光学系を有し、透過光撮像モードは、サンプル領域の広視野画像のスタックを生成して処理するように適合されており、蛍光撮像モードは、蛍光撮像位置において少なくとも1つのサンプルの蛍光画像を取得してこの蛍光画像を処理するように適合されている。
【0005】
本装置はさらに、サンプル領域において次のステップ、すなわち、(a)透過光撮像モードで装置を動作させる動作命令を提供するステップと、(b)透過光撮像モードで生成した広視野画像のスタックに基づいて取得した選択情報に基づき、サンプル領域における1つまたは複数の関心領域を選択するステップと、(c)サンプル領域において選択した1つまたは複数の関心領域に関連する位置情報を提供するステップと、(d)位置情報に基づき、1つまたは複数の蛍光撮像位置において、蛍光撮像モードで装置を動作させる動作命令を提供するステップと、を実行するように構成された処理装置を有する。
【0006】
蛍光顕微鏡法を含む従来のアプローチでは、ユーザーは、サンプルにおいて関心対象を手動で探索し、異なる蛍光チャネルからの結果を検査および評価し、次いで、その後の撮像実験にどのサンプルが適しているかを決定しなければならない。このような従来の探索および評価に関連して、貴重な時間が浪費され、継続的な露光によって標本にストレスが加えられてしまう。これにより、フォトブリーチング作用によって蛍光シグナルが失われるかまたは光毒性作用によって標本が損傷されてしまうため、さらなる調査に標本を使用できなくさせてしまう可能性がある。これらの欠点は、本発明の実施形態に従って克服される。上述したステップを有するワークフローは、サンプルへのエネルギー入力が可能な限り低く維持されるという特別な利点を有する。なぜならば、サンプルにやさしい透過光撮像モダリティが、プレスクリーニングまたはプレスキャン、すなわち、広視野画像のスタックが取得されるステップに使用されるからである。公知の方法とは異なり、広視野撮像モードを使用して実行されるプレスキャンに起因して、光、特に蛍光放射光の必要量が低減される。
【0007】
本発明の実施形態では、蛍光撮像モードはライトシート撮像モードであり、本装置は、ライトシート撮像モードにおいて、蛍光撮像位置にライトシートを提供するように構成されている。ライトシート蛍光顕微鏡法は、広視野蛍光顕微鏡法および共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡法の有利な選択肢であることが判明している。ライトシート蛍光顕微鏡法は、本発明の対応する実施形態によると、3次元再構成に適しかつ実質的に「非破壊ミクロトーム」技術と見なすことができる光学的切片を作製するために有利に使用され得る非破壊法である。
【0008】
本明細書において、用語「ライトシート顕微鏡法」、「ライトシート技術」等は、当該技術分野から一般的に公知である技術的手段を使用して、例えば、シリンドリカルレンズを使用する等により、以下で説明するような寸法を有する光のシートが、特に、検出顕微鏡レンズもしくは対物レンズの焦平面、またはその検出軸もしくはそのビーム路と平行にサンプルに照射される技術を指すものとする(これらはまたレンズの光軸に対して傾斜していてもよい)。さらなる詳細については、以下の説明を参照されたい。用語「画像スタック」または「広視野画像のスタック」は、撮像レンズに対して同じまたは重なり合う横方向位置および異なる距離で(すなわち、座標系において同じまたは重なり合うXおよびY位置、ならびに異なるZ位置で、ただしz軸は、撮像ビーム路の軸に対応する)撮像される複数の画像を指すものとする。
【0009】
本発明の実施形態によると、提案した装置はさらに、ユーザー入力に基づいて選択情報を提供するように構成されたユーザーインタフェース手段を有していてもよい。これにより、ユーザーは、とりわけ、どのサンプルまたはサンプル領域をさらに検査するかを具体的に選択できるようになり、ゆえに関連が少ないサンプルまたは領域への、時間がかかりかつ有害になり得る光の照射が低減される。
【0010】
このような装置の実施形態では、ユーザーインタフェース手段は、透過光撮像モードで取得した広視野画像のスタックに基づいて、ユーザーに提供されるユーザー情報を提示するように構成可能であり、ユーザー情報は、広視野画像のスタックから導出され、かつ潜在的な関心領域に関係する位置情報と、潜在的な関心領域のテキスト表現と、潜在的な関心領域に関係するグラフィック表現と、のうちの少なくとも1つを含む。したがって、このような実施形態では、情報は、後の処理のためにサンプルコンテンツの評価を特に簡略化し得るような仕方でユーザーに提供可能である。
【0011】
本発明の実施形態によると、処理装置は、ユーザー情報として表示するために、広視野画像のスタックの自動画像分析に基づいて、潜在的な関心領域を自動的に事前選択するように構成可能である。したがって、自動画像分析によって事前選択が実行されるこのような実施形態では、ユーザーの利便性および信頼性を改善する自動事前選択によってユーザー選択を支援することができる。
【0012】
対応する実施形態では、ユーザー入力は、ユーザー情報に含まれる事前選択した関心領域を承認および否認することにより、潜在的な関心領域から選択するように適合可能である。したがって、従来技術とは異なり、ユーザーは、事前の探索および評価ステップから実質的に解放される。
【0013】
本発明の実施形態によると、ユーザー情報は、ユーザーインタフェース手段のディスプレイ画面に提供されてもよく、これにより、ユーザーは有利には、対応する仕方で視覚的に案内されてもよい。
【0014】
本発明の実施形態では、ユーザー対話のない自動画像分析に基づき、処理装置によって完全自動で少なくとも上述の少なくともステップ(b)を実行することもできる。これにより、ユーザーによるサンプルの検査がさらに容易になる。
【0015】
自動画像分析は特に機械学習に基づいて実行可能である。したがって、本発明の実施形態では、検出精度を高めるために、対応するトレーニングによって自動画像分析を特に改善することができる。
【0016】
本発明の実施形態では、透過光撮像モードおよび蛍光撮像モードでサンプル領域を選択的に撮像するように構成された光学系は、共通レンズを有していてもよく、共通レンズは、透過光撮像モードにおいて、また蛍光撮像モードにおいてサンプル領域を撮像し、また蛍光撮像モードにおいてサンプル領域に光を照射するように構成されている。このような装置によって特に、サンプルまたはサンプルキャリアへのアクセスが改善される。というのは照明および検出が特に、同じ側から行われるからである。
【0017】
本発明の対応する実施形態では、サンプル領域を選択的に撮像するように構成された光学系は、蛍光撮像モードにおいて斜面ライトシート顕微鏡法を実施するように適合可能であり、このことは、既述のようにサンプルへのアクセスが改善されるという特別な利点を有する。
【0018】
本発明の実施形態では、位置情報は、1つまたは複数の幾何学的中心と、1つまたは複数の関心領域の1つまたは複数の寸法と、のうちの少なくとも1つを有していてもよい。これにより、抽象化された形態で、このようなサンプル情報を交換し、送信し、および文書化することができる。
【0019】
本発明では、サンプル領域内の複数のサンプルを検査する方法も提供される。本方法では、サンプル領域は、透過光撮像モードおよび蛍光撮像モードにおいて選択的に撮像され、透過光撮像モードは、サンプル領域の広視野画像のスタックを生成して処理することを有し、蛍光撮像モードは、蛍光撮像位置においてサンプルの蛍光画像を取得して処理することを有する。
【0020】
本方法には、サンプル領域において、次のステップ、すなわち、(a)透過光撮像モードで装置を動作させる動作命令を提供するステップと、(b)透過光撮像モードで生成した広視野画像のスタックに基づいて取得した選択情報を使用して、サンプル領域における1つまたは複数の関心領域を選択するステップと、(c)サンプル領域において選択した1つまたは複数の関心領域に関連する位置情報を提供するステップと、(d)位置情報に基づき、1つまたは複数の蛍光撮像位置において、蛍光撮像モードで装置を動作させる動作命令を提供するステップと、を実行することが含まれている。
【0021】
このような方法の特定の利点については、上述の装置およびその実施形態に関する説明を参照されたい。これは、蛍光撮像モードがライトシート撮像モードであってもよいこのような方法の実施形態についても同様であり、このライトシート撮像モードでは、ライトシートが蛍光撮像位置に提供される。
【0022】
本発明の実施形態によると、複数のサンプルは、マルチウェルプレートまたはペトリ皿の形態でサンプルキャリアに提供可能であり、かつ/または複数のサンプルは、細胞コンソーシア、集合体または組織における生体細胞であってもよい。特に、このようなサンプルまたはサンプルキャリアの検査のために、本発明の実施形態は、上述のように、特定の利点を提供することができる。
【0023】
また、コンピュータプログラムがプロセッサ上で動作する場合に、説明した方法を実施するためのプログラムコードを備えたコンピュータプログラムも提供される。ここでも、特定の特徴および利点については、上述の説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態による装置をおおまかに示す図である。
図2A】本発明の実施形態による装置の動作モードを示す部分図である。
図2B】本発明の実施形態による装置の動作モードを示す別の部分図である。
図2C図2Aの詳細図である。
図2D図2Bの詳細図である。
図3】本発明の実施形態による方法を示す簡略化した図である。
図4】本発明の実施形態による方法の別の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1には、本発明の好ましい実施形態による装置100がおおまかに示されており、この図に基づき、本発明の実施形態の詳細および根底になるコンセプトを説明する。
【0026】
装置100は、顕微鏡システム10およびコンピュータシステム20を有する。本明細書の別の箇所でさらに説明する光学系110を含み得る顕微鏡システム10と、本明細書の別の箇所でさらに説明する処理装置150の一部であるか、またはこれを表し得るコンピュータシステム20と、は協働して、本発明の実施形態に従って提供される方法の少なくとも一部を実施するように構成可能である。
【0027】
一般性を失わないという理由によって極めて概略的にかつ根本的に簡略化した図1の図示では、顕微鏡システム10は、倒立顕微鏡システムとして図示されており、上記の光学系110は、以下でさらに説明するように、サンプルキャリア200を収容するように適合されたサンプルホルダ170の下方に配置されている。サンプルホルダの上方には、照明装置180が設けられている。
【0028】
コンピュータシステム20は、機械学習アルゴリズムを実行するように構成されていてもよい。コンピュータシステム20と顕微鏡システム10は別個の存在物であってもよいが、1つの共通のハウジング内に一体化されていてもよい。コンピュータシステム20は、顕微鏡システム10の中央処理システムの一部であってもよく、または上述のようなシステムを含んでいてもよく、かつ/またはコンピュータシステム20は、顕微鏡システム10のセンサ、アクター、カメラまたは照明ユニット等の、顕微鏡システム10の従属部品の一部であってもよい。コンピュータシステム20は、有線または無線の形態の公知の通信手段を使用して、両向き矢印30で示したように顕微鏡システム10と対話することができる。
【0029】
コンピュータシステム20は、1つまたは複数のプロセッサおよび1つまたは複数のストレージデバイスを備えるローカルコンピュータデバイス(例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、タブレットコンピュータまたは携帯電話)であってもよく、または分散コンピュータシステム(例えば、ローカルクライアントおよび/または1つまたは複数のリモートサーバファームおよび/またはデータセンター等の様々な場所に分散されている1つまたは複数のプロセッサおよび1つまたは複数のストレージデバイスを備えるクラウドコンピューティングシステム)であってもよい。コンピュータシステム20は、任意の回路または回路の組み合わせを含んでいてもよい。1つの実施形態では、コンピュータシステム20は、任意の種類のものとすることができる、1つまたは複数のプロセッサを含んでいてもよい。
【0030】
本明細書で使用されるように、用語「プロセッサ」は、例えば、顕微鏡または顕微鏡部品(例えばカメラ)のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、グラフィックプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マルチコアプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または任意の他の種類のプロセッサまたは処理回路等のあらゆる種類の計算回路を指していてもよいが、これらに限定されない。コンピュータシステム20に含まれ得る他の種類の回路は、カスタム回路、特定用途向け集積回路(ASIC)等であってもよく、例えばこれは、携帯電話、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、双方向無線機および類似の電子システム等の無線装置において使用される1つまたは複数の回路(通信回路等)等である。
【0031】
コンピュータシステム20は、ランダムアクセスメモリ(RAM)の形態のメインメモリ等の特定の用途に適した1つまたは複数の記憶素子を含み得る1つまたは複数のストレージデバイス、1つまたは複数のハードドライブおよび/またはコンパクトディスク(CD)、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク(DVD)等のリムーバブルメディアを扱う1つまたは複数のドライブ等を含んでいてもよい。
【0032】
コンピュータシステム20はディスプレイ装置、1つまたは複数のスピーカーおよびキーボードおよび/またはマウス、トラックボール、タッチスクリーン、音声認識装置を含み得るコントローラ、またはシステムのユーザーがコンピュータシステム20に情報を入力すること、およびコンピュータシステム20から情報を受け取ることを可能にする任意の他の装置および/または全体装置100も含んでいてもよい。図示したように、コンピュータ20の画面162およびキーボード等は、本明細書で言及されるユーザーインタフェース手段160であってもよい。
【0033】
本発明の実施形態は、本明細書では、特定の蛍光撮像モードとしてのライトシート蛍光撮像に関連して説明されているが、本発明の別の実施形態には、ライトシート撮像とは別の蛍光撮像技術が含まれてもよい。したがって、本明細書で使用される用語「蛍光撮像」、「蛍光技術」等は、1つまたは複数のサンプルがタグ付けまたは染色される蛍光分子(蛍光体)の蛍光応答を生成するために、サンプルが光、特に1つもしくは複数の波長、または1つもしくは複数の波長帯域(励起光)で照明される任意の顕微鏡技術を指すものとする。蛍光応答(放射光)は、1つまたは複数の検出チャネルにおいて検出可能である。蛍光検出を使用することにより、背景に対してサンプル特徴を大きく際立たせることができる。
【0034】
本発明の実施形態に従って使用可能な蛍光技術の例には、広視野および共焦点蛍光顕微鏡法、ならびに任意のタイプの高分解能かつ時間分解蛍光顕微鏡法技術が含まれてもよい。本発明はまた、従来の落射蛍光顕微鏡法に関連して使用可能である。
【0035】
本発明の実施形態において、単独で、または互いにもしくは別の技術との任意の適切な組み合わせで使用可能な高分解能蛍光顕微鏡技術の例には、全反射照明蛍光(TIRF:total internal reflection fluorescence)顕微鏡法、誘導放出抑制(STED:stimulated emission depletion)顕微鏡法、RESOLFT(reversible saturable optical linear (fluorescence) transitions)に基づく任意の別の技術、構造化照明を使用する技術および局在性顕微鏡法技術、例えば、光活性化局在性顕微鏡法(PALM:photoactivated localization microscopy)および確率的光学再構築顕微鏡法(STORM:stochastic optical reconstruction microscopy)等が含まれていてもよいが、これらには限定されない。
【0036】
一般的に、蛍光顕微鏡法では、蛍光放射は、強度および位置だけでなく、寿命、偏光および波長によっても特徴付けることができ、本発明の実施形態は、これらの特徴付け技術またはこれらの組み合わせのいずれかと関連して使用可能である。本発明の実施形態に関連して使用可能な時間分解蛍光顕微鏡技術の例には、蛍光寿命イメージング(FLIM:fluorescence lifetime imaging)および時間分解蛍光異方性撮像(TR-FAIM:time-resolved fluorescence anisotropy imaging)が含まれるが、これらに限定されない。このような手法にはまた、特に上述のTIRF顕微鏡法に関連して、蛍光またはフェルスター共鳴エネルギー移動(FRET:fluorescence or Foerster resonance energy transfer)を検出する技術が含まれていてもよい。本発明の実施形態にはまた、例えば、光褪色後蛍光回復法(FRAP:fluorescence recovery after photobleaching)またはFLIP(fluorescence loss in photobleaching)技術等の技術が含まれていてもよい。
【0037】
本発明の実施形態では、共焦点顕微鏡法、最も頻繁には共焦点レーザー走査型顕微鏡法(CLSM:confocal laser scanning microscopy)またはレーザー走査共焦点顕微鏡法(LCSM:laser confocal scanning microscopy)も一般的に使用可能である。共焦点顕微鏡法は、像形成における焦点外れ光をブロックするための空間ピンホールの使用により、顕微鏡写真の光学分解能およびコントラストを向上させるための光学撮像技術である。共焦点顕微鏡法において、サンプルにおける異なる深さで複数の2次元画像を取り込むことにより、物体内の3次元構造の再構成が可能になる。本発明の実施形態に関連して使用可能な共焦点時間分解共焦点蛍光技術には、例えば、時間相関単一光子計数(TCSPC:time-correlated single photon counting)に基づく共焦点走査等の技術が含まれていてもよいが、これには限定されない。教科書的な文献を参照されたい。
【0038】
本発明の実施形態は、任意のタイプの放射および励起フィルタ、任意のタイプの多色光源および単色光源、ならびに任意のタイプの光子計数(点)検出器または面検出器(カメラ)の使用を含む、全ての蛍光顕微鏡法技術および照明/検出モダリティと共に使用可能である。
【0039】
全てのタイプの蛍光顕微鏡法は、本発明の実施形態に従って提供される利点の利益を得ることができ、これにはサンプルの露光の低減およびより高い検査速度が含まれる。これによって限定されるものではないが、ライトシート撮像および対応する顕微鏡を参照して、本発明の実施形態をさらに説明する。
【0040】
図2Aおよび図2Bには、本発明の好ましい実施形態による装置100が、部分図かつ2つの動作モードで示されている。
【0041】
図2Aおよび図2Bに示したように、マルチウェルプレートの形態のサンプルキャリア200が、顕微鏡システム10のサンプルホルダ170に挿入されており、顕微鏡システム10の選択された部分だけ、例えば、それぞれレンズ112および122を有する光学系110および120、画像取得ユニット140ならびに照明装置180等が示されている。一時的に観察されるサンプル領域は130で示されている。2つの例で示したように、サンプルキャリア200のウェル210には、塗り潰された円および空の円の形態で示されたサンプル214がランダムに、液体212またはマトリクスに含まれている。本発明の全ての実施形態において、用語「サンプル領域」というのは、限定されることなく、ばらばらの複数のサブ領域に関係していてもよい。
【0042】
光学系110、または光学系110および120は、図2Aに示した透過光撮像モードで、また図2Bに示したライトシート撮像モードで、サンプル領域130を選択的に撮像するように適合されており、透過光撮像モードは、両向き矢印によって示したように特に、サンプルホルダ170をZ方向に段階的にシフトさせることにより、サンプル領域130の広視野画像132のスタックを生成して処理することを有し、ライトシート撮像モードは、ライトシート124に基づき、ライトシート撮像位置におけるサンプルのライトシート画像を取得することと、上記のライトシート画像を処理することと、を有する。図2Aでは、光学系110が、照明装置180を使用して透過光撮像モードを実行するように示されているのに対し、図2Bでは、光学系120が、透過光撮像モードを実行するように示されており、2つの撮像モードはまた、前にしばしば述べたように、同じ光学系110、または同じ光学系110の少なくとも一部分を使用して実行可能である。
【0043】
特に、図1に示したコンピュータシステム20の一部であるか、またはこれを含む処理装置150は、サンプル領域130における少なくとも1つの位置について、図2Aおよび図2Bに関連して以下でさらに説明する、本発明による方法の実施形態のステップを実行するように適合可能である。
【0044】
本明細書で使用する文脈における用語「サンプル」は好ましくは、蛍光顕微鏡法、特にライトシート蛍光顕微鏡法を使用して分析可能な任意の種類の生体材料、特に(半)透明な生体材料を指すものとする。本発明の実施形態の文脈において使用されるサンプルは特に、任意のタイプの区別のための物質により、特に、1つまたは複数の波長または波長領域の励起光を使用することによって励起可能な1つまたは複数の蛍光体を有する1つまたは複数の公知の蛍光染料により、染色可能であるか、またはそうでなければ接触可能であり、励起光は特に、説明したようにライトシート蛍光顕微鏡のライトシートの形態で提供される。染色またはラベル付けは、化学的または免疫学的な相互作用に基づいていてもよい。用語「サンプル平面」は、サンプルキャリア、例えばマルチウェルプレートまたはペトリ皿等の水平方向の広がりによって定められる平面のことを指すものであり、またこれらのような要素の底面に対応していてもよい。「サンプル領域」は、1つまたは複数のサンプルが含まれ得る任意の2次元または3次元エリアまたは空間であってもよい。サンプル領域はまた、複数のサイト、例えばマルチウェルプレートのウェル等にわたって分散されていてもよい。
【0045】
本発明の実施形態の文脈で使用されるサンプルは特に、組織、胚または類似の細胞集合体における細胞間相互作用によって連結されていてもよいか、または細胞間相互作用によって連結されていなくてもよい、細胞の集合またはコンソーシアであってもよい。特に、本発明の実施形態は、サンプルとして、いわゆる3次元細胞培養物に関連して使用されてもよい。
【0046】
3次元細胞培養では、細胞は、人工環境において3つの全ての空間方向で成長し相互作用する。2次元環境とは異なり、3次元細胞培養では、細胞は、少なくとも部分的に生体内での成長および相互作用に類似して、生体外において全ての方向に増殖しかつ相互作用を及ぼすことができる。3次元細胞培養物は通常、バイオリアクターにおいて、細胞がスフェロイドに成長可能な小さなカプセルにおいて、または3次元細胞コロニーの形態帯で培養される。
【0047】
生体組織では、細胞は、複合的な細胞-細胞相互作用および細胞-マトリクス相互作用ならびに複合的輸送ダイナミクスを伴う3次元微小環境内に存在する。従来の2次元細胞培養は、これらの条件を十分に再現できないことがあり、このことは、例えば、生体外における有効性と、薬剤または環境化学物質の毒性試験と、生体系へのそれらの移動可能性と、の信頼性において制限をもたらしてしまうことがある。対照的に、3次元細胞培養、例えばスフェロイドは、細胞間コミュニケーションおよび細胞外マトリクスの発達の点で生体内組織により類似している。細胞外マトリクスにより、細胞が生体組織において移動する仕方に類似して、細胞をこれらのスフェロイド内で移動させることができる。したがって、細胞遊走、細胞分化、細胞生存および細胞増殖についての改善されたモデルを作製するために3次元細胞培養が使用可能である。さらに、3次元細胞培養では、自然細胞極性がより良好に観察可能であり、また2次元細胞培養とは異なり、異なる遺伝子発現パターンが分析可能である。
【0048】
細胞の3次元培養は基本的に、構造の骨組みを使用して、例えば、異なるタイプのハイドロゲルマトリックス(「マトリゲル」)を使用して行うことができ、また構造の骨組みを使用せずに行うこともできる。後者の場合、既に述べたスフェロイド、すなわち実質的に球状集合体が形成されてもよい。本発明の実施形態の文脈では、全ての変形形態が使用可能である。
【0049】
3次元細胞集合体の特別な形態は、いわゆるオルガノイドであり、すなわち、生体外で作製されかつ組織構造および形態に関して生体の器官に少なくとも部分的に対応する、単純化された3次元細胞複合体である。したがって、オルガノイドは特に、リアルなミクロ解剖学的構造を示す。オルガノイドは、自己再生および分化能によって3次元培養において自己組織化可能である組織の細胞から、胚性幹細胞または誘導多能性幹細胞から得られる。本発明の実施形態はまた、オルガノイドにも関連して使用可能である。
【0050】
本発明の実施形態では、3次元細胞培養物および他のサンプルは、本発明の実施形態に従って提供される手段に従って分析するために、あらゆるタイプのサンプルキャリア、次に限定されないが、例えばマルチウェルプレートまたはペトリ皿等において形成可能であるか、またはこれらに移すことができる。特に、サンプルは、骨組み構造を含むかまたはこれを含まない透明媒体、例えば、マルチウェルプレートのウェル内またはペトリ皿上の、例えばマトリゲルの1つまたは複数の部分にランダムに分散されてもよい。
【0051】
本発明の実施形態に従って構成されるサンプルキャリア内またはサンプルキャリア上のサンプル領域内の複数のサンプルを検査するための装置は、透過光撮像モードおよびライトシート撮像モードでサンプル領域を選択的に撮像する光学系を有する。冒頭で別に説明したように、ライトシート蛍光顕微鏡の複数の異なる構成が公知であり、これらのそれぞれと共に本発明の実施形態が使用可能である。
【0052】
本発明の実施形態の特定の特徴をさらに説明する前に、本発明の実施形態において使用可能なライトシート顕微鏡法撮像技術およびその特定の特徴の概要を示す。
【0053】
科学文献、例えば、O. E. Olarte等による概説“Light-sheet microscopy: a tutorial”, Adv. Opt. Photonics 10, 2017, 113-179に示されているように、サンプル、例えば生体、組織および細胞等における生物学的プロセスを視覚化および/または定量化するためには、一方では光損傷を最小限に抑え、他方では広い視野にわたって高い空間分解能および時間分解能を有する3次元情報を高速に提供する顕微鏡法が必要である。
【0054】
共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡において、励起光が観察対象の特定の点または面に集束可能であり、かつ適切に配置したアパーチャによって不所望の光放射を遮断できる場合であっても、焦平面の上方および下方の領域からの蛍光が、依然として少なくともある程度まで励起されてしまう。さらに、サンプル内の内因性蛍光および非蛍光有機成分の励起による背景蛍光も相当な程度に生成されてしまう。これらの様相に関連して、生体標本およびサンプルを長時間にわたって観察する場合には、ライトシート顕微鏡法によって特に利点が得られる。というのは、このような場合には従来、光損傷および光毒性作用が、連続的な照射または繰り返しの照射によって生じる可能性があるからである。
【0055】
例えば、P.A.Santiによる“Lightsheet Fluorescence Microscopy: A Review”, J. Histochem.Cytochem.59, 2011, 129-138に論じされているように、ライトシート蛍光顕微鏡法では、透明組織、または蛍光体でラベル付けされた生物全体を光学的に区分けするために、薄いライト面が使用されている。ライトシート蛍光顕微鏡法は、3次元再構成に適した光学的切片を作成するために使用可能な非破壊法であり、実質的に「非破壊ミクロトーム」技術と見なすことができる。
【0056】
ライトシート蛍光顕微鏡法の基本原理は、20世紀初頭に既に発見されて応用されている(例えば、H. SiedentopfおよびR. Zsigmondy, “Ueber Sichtbarmachung und Groessenbestimmung ultramikroskopischer Teilchen, mit besonderer Anwendung auf Goldrubinglaesern” Ann. Phys. 10, 1903, 1-31を参照されたい)が、J. Huisken等による論文“Optical sectioning deep inside live embryos by selective plane illumination microscopy”, Science 305, 2004, 1007-1009が刊行されて、ライトシート蛍光顕微鏡法の開発および使用が最近になって加速された。
【0057】
今日では、ライトシート蛍光顕微鏡法に、異なる装置構成が使用されている。実質的に全てのケースにおいて、シリンドリカルレンズにより、レーザービームが広げられて集束されてライトシートが作成される。ライトシートは、観察光学系とは別体の照明光学系によってサンプル体積体に照射可能であり、上記の照明光学系は、観察光学系の光軸に対して垂直な平面にライトシートを作成するように配置されており、観察光学系の光路は、サンプル平面に対して直交して配置されている。しかしながら、観察光学系の前の空間へのアクセスが制限される場合、例えば、マルチウェルプレート(以下を参照されたい)またはガラススライドが使用される場合、このような構成は不利になることもある。
【0058】
このようなケースでは、例えば、C. Dunsbyによる論文“Optically sectioned imaging by oblique plane microscopy”, Opt. Express 16, 2008, 20306-20316に記載されているようないわゆる斜面顕微鏡法が有用であることを証明することができる。斜面顕微鏡法では一般的に、1つの大開口レンズが照明および検出の両方に使用される。さらなる詳細および動作原理については、専門文献を参照されたい。
【0059】
独国特許発明第102005027077号明細書には、レンズの領域において検出方向を定める検出ビーム経路に沿って、検出器に検出光を通過させるレンズと、ライトシートの照射方向に対応する照明平面においてサンプルを照明するライトシートを生成する照明装置と、を有するライシート顕微鏡が開示されている。この発明では、検出方向に対して非直交の角度で照明面が生成される。ライトシートによって照明される照明面は、中間像平面に位置する検出器に結像される。ライトシート顕微鏡の中間像平面の空間位置に影響を及ぼすための調整手段が設けられており、この調整手段により、照明面の向きとは無関係に中間像平面の位置が一定に保たれる。
【0060】
本発明の実施形態では一般的に、ライトシートの寸法には、ウエストにおいて1μm~50μm、特に2μm~30μmまたは5μm~20μmの厚さが含まれていてもよい。ライトシートは、その構成の性質に起因して、実質的に収束して発散するため、使用可能な幅は典型的には1mmまでの範囲内にある。生成レンズの開口数を人為的に減少させることによって、比較的に長い距離にわたって平行なままであるより厚いシートが実現可能である。
【0061】
ライトシート蛍光顕微鏡法のための別の構成は、検出レンズとは別体の照明レンズを有しており、照明レンズの光軸は、検出レンズの光軸に対して直交して配置されているが、照明レンズの光軸および検出レンズの光軸は両方とも、サンプル平面に対して非直交の角度に向けられている。このような構成では、従来のサンプルキャリアを配置するために、照明レンズおよび検出レンズの前の空間が使用可能である。いわゆるデュアル倒立選択平面照明顕微鏡法は、このような構成をさらに開発したものであり、ここでは2つの対物レンズ間で照明および検出が交替し、補完的視野を融合するために後続の画像位置合わせおよび逆畳み込みが適用される。
【0062】
マルチウェルプレートをスクリーニングするためにライトシート蛍光顕微鏡を応用することは先に、V. Maioli等による論文“Time-lapse 3-D measurements of a glucose biosensor in multicellular spheroids by lightsheet fluorescence microscopy in commercial 96-well plates”, Sci. Rep. 6, 2016, 1-13に提案されている。この刊行物に提案されているように、斜面顕微鏡法によってマルチウェルプレートのウェルにおけるボリュームを撮像するためにステージスキャンアプローチが使用される。
【0063】
B. Eismann等による論文“Automation 3D light-sheet screening with high spatiotemporal resolution reveals mitotic phenotypes”, J. Cell Sci. 133, 2020, 1-13では、低解像ステージスキャンプレスクリーニングステップを含むワークフローが提案されている。ライトシート蛍光顕微鏡法によって既に実施されているプレスクリーニングステップでは、さらに分析すべき物体の位置を特定する。次いで、上述したようにデュアル倒立選択平面撮像顕微鏡法によって複数のサンプルをタイムラプス実験で撮像し、これにより、互いに直交する角度で2つの画像のスタックを取得する。後続のデータ処理ステップでは、画像スタックの視覚情報を使用してraw画像データを融合する。分析したサンプルは最初にマルチウェルプレートにおいて準備され、その後、撮像プレートに移される。
【0064】
しかしながら、Maioli等およびEismann等の論文に開示されている上記のワークフローでは、ユーザーはまず、関心対象の物体を手動で探索し、異なる蛍光チャネルからの結果を検査して評価し、次いで、さらなる撮像実験に適したサンプルを決定しなければならない。このような探索および評価に関連して、貴重な時間が浪費され、継続的な露光によって標本にストレスが加えられてしまう。これにより、フォトブリーチング作用によって蛍光シグナルが失われるかまたは光毒性作用によって標本が損傷されてしまうため、さらなる調査に標本を使用できなくさせてしまう可能性がある。本発明の実施形態によれば、このようなことはない。
【0065】
例えば、「ライトシート顕微鏡法」または「ライトシート撮像モード」が本明細書において言及される場合、これらの用語は特に、ライトシート蛍光顕微鏡法および対応する撮像モードを指し、すなわち、提供されるライトシートは、サンプルまたはその染色された領域の蛍光を励起するために使用される。本明細書において理解されるライトシート顕微鏡法では、撮像系または検出軸に対して垂直に伝搬する照明ビームが使用され、サンプルまたはサンプル領域の特定の2次元平面を通るライトシートが生成される。この撮像面は一般的に、焦点面と同じであるかまたは焦点面に対応し、焦点面の上方または下方には励起はほとんどない、すなわち、焦点外れ光はほとんどない。光シート顕微鏡法では、シリンドリカルレンズまたは別の光変調ユニットを使用することにより、励起光は、1つの次元では圧縮されるが別の次元では圧縮されないため、砂時計形状に成形される。この形状により、ビームの細い「ウエスト」にサンプルを配置することができ、そこではサンプルの小さな平面だけが励起される。放射される蛍光は、別のレンズまたは同じレンズによって検出される。
【0066】
本明細書で言及する光学系には、透過光撮像と、蛍光もしくはライトシート撮像と、について全く別体の部品が含まれていてもよいか、またはこれらの部品は、少なくとも部分的に、例えば斜面顕微鏡法等において組み合わされていてもよい。特に、透過光撮像については、従来の透過光顕微鏡のように、対応する撮像光学系が設けられている位置とは反対の、サンプルの位置に照明ユニットが設けられている。光学系は、光学系の同じ位置において、例えば、同じ(前部)レンズを介し、透過光撮像と、蛍光またはライトシート撮像と、が可能であるように構成されていてもよく、この場合、例えば、上記のレンズの後方に配置された光学系の一部の切り換えが行われる。しかしながら、上記の光学系はまた、透過光撮像について、また蛍光またはライトシート撮像について異なるレンズを有していてもよく、これらのレンズは、これらの撮像モダリティを実現するために位置内に、または位置外に選択的に移動される。本明細書で使用される言い回し「レンズ」には、1つまたは複数の光学素子、例えば個別レンズ等が含まれていてもよい。
【0067】
以下では、複数のサンプルを検査するための装置およびその実施形態を最初に参照するが、これらの説明は対応する方法にも同様に関するものであり、この逆もまた同様である。
【0068】
本発明の実施形態によると、透過光撮像モードは、上述のように、サンプル領域の広視野画像のスタックを生成して処理することを有する。対応する画像スタックは、例えば、いわゆるステージスキャニングによって、すなわち、サンプルキャリアによって定められる平面に垂直な軸に沿い、または透過光撮像モードにおいてサンプルの観察に使用されるレンズの光軸に沿い、定めた変位ステップで一時的に観察されるサンプルまたは領域を移動させることによって取得可能である。対応する変位ステップは、スキャニング方向において適切な解像度が取得されるような仕方で選択可能である。当該技術分野で一般的に公知の画像スタックの画像から、画像分析および画像処理により、選択的には必要に応じて位置合わせステップの後、対応する観察領域の3次元表現が取得可能である。
【0069】
本発明の実施形態に従って使用される蛍光またはライトシート撮像モードは、蛍光またはライトシート撮像位置においてサンプルの蛍光またはライトシート画像を取得し、上記の蛍光またはライトシート画像を処理することを有する。蛍光またはライトシート画像を取得することは同様に、スキャン、すなわち、上で説明したようなステージスキャンか、またはあらかじめ定めたステップで、斜面構成におけるライトシートを傾けることを含むスキャンを有していてもよい。したがって、蛍光またはライトシート画像を取得して処理することにはまた、実質的に前述したように、3次元情報を取得するために、画像スタックを生成して処理することが含まれていてもよい。しかしながら、蛍光またはライトシート撮像は、1つの位置だけで、例えば透過光撮像モードおいて有利であることが判明した位置で行うことも可能である。
【0070】
したがって、本発明の実施形態によると、上述した装置の一部である処理装置が使用され、この処理装置は、サンプル領域またはそこのいくつかの位置において、透過光および広視野プレスキャンを含め、関心領域を識別することと、その後に蛍光またはライトシート撮像モードで上記の関心領域を撮像することと、の一連のステップを実行するように適合されている。
【0071】
処理装置は、任意の個数のサブコンポーネントを含むことができるか、または単一のコンポーネントとして実装されてもよい。処理装置は、例えば、顕微鏡システムまたはこれに関連付けられたコンピュータの一部であるコントローラと、同様に顕微鏡システムまたは別体のコンピュータの一部であってよい別体の(データまたは画像)処理システムと、を含んでいてもよい。コンピュータは、ローカルコンピュータ、サーバ、組み込み装置、モバイル機器、例えばタブレットもしくは携帯電話等、または本発明の実施形態に従って実施される一連のステップを実装するのに適した任意の別のコンポーネントであってもよい。
【0072】
この一連のステップでは、処理装置により、透過光撮像モードで装置を動作させる動作命令を提供する。上述のように、透過光撮像モードで生成される広視野画像のスタックに基づいて取得される選択情報を使用して、サンプル領域における1つまたは複数の関心領域を選択し、サンプル領域において選択した1つまたは複数の関心領域に関係する位置情報を提供する。最後に、位置情報に基づき、1つまたは複数のライトシートまたは別の蛍光撮像位置において、ライトシートまたは異なる蛍光撮像モードで装置を動作させる動作命令を提供する。
【0073】
上記のステップを含む本発明のワークフローの主要な利点は、プレスクリーニングに、すなわち広視野画像のスタックを取得するステップでは、サンプルにやさしい透過光撮像モダリティが使用されるため、標本へのエネルギー入力が可能な限り低く維持されることである。公知の方法とは異なり、広視野撮像モードを使用して実行されるプレスキャンに起因して、光、特に蛍光放射光の必要量が低減される。
【0074】
別の言い方で表すと、本発明の実施形態による装置によって実施される手順はまず、多数の標本を含むサンプルキャリア(例えば、マルチウェルプレートまたはペトリ皿)の、すなわちサンプル領域の大きな視野を有する透過光撮像モダリティを使用するプレスクリーニングを有する。これに続いて、関心領域についての検出または定義ステップを実行し、画像処理アルゴリズムを使用しかつ/またはユーザー入力を使用し、取得した透過光画像スタックに基づき、例えば、位置(例えば質量中心等)、空間寸法および他の特徴を含む位置情報を取得する。識別した標本候補、例えば関心領域候補は、以下でさらに説明するように、対話的なユーザーインタフェースにおいてユーザーに提示可能である。次いで、ユーザーは、測定した特徴に基づいて、これらの候補またはフィルタ候補のサブセットを選択し、また蛍光撮像モダリティ、すなわちライトシートベースの、または別の蛍光顕微鏡法を使用する後続の撮像のためのパラメータを適合させることができる。
【0075】
より一般的にいうと、本発明の実施形態に従って構成される装置は、ユーザー入力に基づいて選択情報を提供または供給するユーザーインタフェース手段を有していてもよい。このようなユーザーインタフェース手段は、当該技術分野において一般的に公知の形態で設けられていてもよく、装置の別の部分の近くに、機械的に関連付けられて、またはこれらから離れて設けられていてもよい。本発明の実施形態で使用されるユーザーインタフェース手段には、キーボード、ディスプレイ画面、タッチスクリーン、マウス、トラックボール、トラックパッド、ジョイスティックおよびこれらの組み合わせから選択される1つまたは複数のコンポーネントが含まれていてもよい。
【0076】
本発明のこのような実施形態によると、ユーザーインタフェース手段により、グラフィック情報の形態で、かつ/または広視野画像のスタックから適切な仕方で導出した別のタイプの情報の形態で、透過光撮像モードで取得した広視野画像のスタックに基づいて提供した潜在的な関心領域に関するユーザー情報、例えば、別の情報を有する潜在的な関心領域のリスト等をユーザーに提示することができる。ユーザー情報は特に、広視野画像のスタックから導出され、ユーザー情報には、潜在的な関心領域に関連する位置情報と、潜在的な関心領域のテキスト表現(例えばリスト等)と、広視野画像のスタックから導出した潜在的な関心領域に関連するグラフィック表現と、のうちの少なくとも1つが含まれていてもよい。いずれにせよ、このようなユーザー情報は特に、以下でさらに説明するように、ここから選択するために提供される。
【0077】
本発明の実施形態に従って構成される処理装置により、ユーザー情報として提示するための広視野画像のスタックの自動画像分析に基づいて、例えばトレーニングデータに基づいて、また上記のトレーニングデータを使用する機械学習アルゴリズムに基づいて、または前に定めた参照データとの比較を介して、または考えられる任意の方法またはアルゴリズムに実際に基づいて、潜在的な関心領域が自動的に事前選択される。関心領域候補は、ユーザーインタフェース手段を使用して、ユーザー情報としてユーザーに提示可能であり、このような場合にユーザー入力には、ユーザーの専門知識による選択情報を提供するために、関心領域候補を承認および否認することが含まれていてもよい。
【0078】
例えば、広視野画像のスタックの自動画像分析には、例えば、色、サイズ、密度および形状のうちの少なくとも1つに基づき、背景または他の物体から、潜在的な関心の物体を区別するために、これらのデータを区分けすることが含まれていてもよい。潜在的な関心の物体は、参照データによって閾値と比較可能であるか、または機械学習処理に提供されるトレーニングデータに基づいて分析可能であり、このトレーニングデータはまた、本発明の実施形態の装置を動作させるかまたは対応する手法を実施する過程で取得および/または改良可能である。次いで、対応する判定基準を満たしているか、または機械学習処理に基づいて識別される潜在的な関心の物体は、選択のためにユーザーに提示可能である。ユーザーが承認した物体だけが、処理においてさらに使用される。このような構成では、対応する提案をユーザーが承認または否認したかどうかが、機械学習処理へのフィードバックを提供するために使用可能であり、これにより、後の選択の信頼性が大いに改善されて向上する。後者では、関連のない情報が次第に、ユーザーに提示されないことになり得る。
【0079】
しかしながら、異なる実施形態では特に、機械学習処理の対応するトレーニングが実行された後、または決定がそれ自体で信頼できる場合、本発明の実施形態に従って構成される装置、またはより正確には、本発明の実施形態に従って構成される処理装置は、サンプル領域における1つまたは複数の関心領域の選択の点において、ユーザー入力なしに動作可能であり、この場合、選択情報は、透過光撮像モードで生成される広視野画像のスタックに基づいて完全に自動的に取得される。すなわち、透過光撮像モードで生成される広視野画像のスタックに基づいて取得される選択情報に基づく、サンプル領域における1つまたは複数の関心領域の上記の選択は、ユーザー対話なしに、特に機械学習に基づき、自動画像分析に基づいて完全自動で実行可能である。
【0080】
既に上述した実施形態では、本発明の実施形態に従って構成される装置は、例えば、ユーザーインタフェース手段を使用し、3次元画像または任意の断面画像の形態で、ユーザー情報として、広視野画像のスタックのグラフィック表現をユーザーに提供可能である。この場合、ユーザー入力は、さらに処理されるべきグラフィック表現において関心領域を選択することを有していてもよい。提供されるユーザー情報の特定の形態とは無関係に、ユーザー入力は、ユーザー情報に含まれるあらかじめ選択した関心領域を承認および否認することにより、潜在的な関心領域から選択することを有していてもよい。
【0081】
すなわち、対応する実施形態による装置では、ユーザー情報、特に2次元または3次元表現の形態のグラフィック表現は、ユーザーインタフェース手段のディスプレイ画面上に提供されてもよい。
【0082】
本発明の実施形態による装置では、ユーザーインタフェース手段はさらに、別のユーザー入力に基づいて、透過光撮像モードおよび/または蛍光もしくはライトシート撮像モードに関連する撮像パラメータを提供することができる。換言すると、標本候補を表示するユーザーインタフェースから、ユーザーは、このようなケースにおいて、透過光画像モダリティおよび/または蛍光またはライトシート撮像モダリティを使用して、後続の撮像のためのパラメータを構成し、したがって好ましくはさらに分析の品質を向上させることができる。
【0083】
上述したように、蛍光またはライトシート蛍光顕微鏡法に対して異なるモダリティまたは構成が、本発明の実施形態に従って使用可能である。したがって、本発明の実施形態による装置では、透過光撮像モードおよびライトシート撮像モードでサンプル領域を選択的に撮像する光学系は、共通のレンズであって、透過光撮像モードおよびライトシート撮像モードでサンプル領域を撮像し、ライトシート撮像モードでライトシートをサンプル領域に照射する共通レンズを有していてもよい。
【0084】
対応する実施形態による装置には好ましくは、サンプル領域を選択的に撮像する上記の光学系が、ライトシート撮像モードにおいて、固定したライトシート角度または調整可能なライトシート角度のいずれかで、斜面ライトシート蛍光顕微鏡法を実施するように適合されることが含まれている。
【0085】
しかしながら、別の実施形態では、ライトシート撮像モードを実行するための光学系は、従来技術から公知でありかつ前に説明した任意の形態を取ることができる。例えば、透過光撮像モードおよびライトシート撮像モードでサンプル領域を選択的に撮像するために、第1のレンズおよび第2のレンズを設けることができる。これらは、既に上で説明した仕方で、すなわち、それらの光軸が互いに直交して配置されかつサンプル平面に対して傾斜されて配置可能である。
【0086】
本発明の実施形態はまた、上で説明した倒立選択平面照明顕微鏡法に関連して使用可能であり、すなわち、ライトシート撮像モードでは、第1のレンズおよび第2のレンズの一方によってサンプル領域が交互に撮像されるのに対し、第1のレンズおよび第2のレンズの他方によってライトシートがサンプル領域に照射される。このような仕方で、直交して配置された平面を有する画像スタックを取得して合成することができ、これにより、改善された3次元情報が形成される。
【0087】
上でも示したように、位置情報であって、この位置情報に基づき、ライトシート撮像モードにおいて、1つまたは複数のライトシート撮像位置で装置が動作する位置情報は、1つまたは複数の幾何学的中心と、1つまたは複数の関心領域の1つまたは複数の寸法と、のうちの少なくとも1つを有していてもよい。一般的に知られているように、数学および物理学では、平面図形の重心または幾何学的中心は、図における全ての点の算術平均位置であり、関心領域のそれぞれについてまたは少なくともいくつかについて、このような位置は、本発明の実施形態に従って特定し、かつ/または使用することができる。非公式には、幾何学的中心は、(質量が均一に分布している状態で)この形状を切り抜いたものが、ピンの先端で完全にバランスを取ることができる点である。寸法には、例えば、直径、幅、高さ、円周等が含まれる。
【0088】
図2Cおよび図2Dには、図2Aおよび図2Bに既に示したサンプル領域130の詳細がそれぞれ示されている。上の説明を参照されたい。
【0089】
図3には、本発明の実施形態による方法1000が、簡略化したフローチャートの形態で示されている。
【0090】
方法1000のステップ1010では、図2Aにおいて152で示したように、動作命令が提供され、これにより、装置100は、透過光撮像モードで動作し、したがって、サンプル領域130の広視野画像132の上記のスタックを提供する。
【0091】
次のステップ1020では、透過光撮像モードで、すなわちステップ1010で生成した広視野画像132のスタックに基づき、取得した選択情報を使用して、サンプル領域130における1つまたは複数の関心領域を選択する。これは、上で包括的に説明したように、ユーザー入力に基づき、選択情報を提供するユーザーインタフェース手段160との相互作用において行われてもよい。
【0092】
これに基づき、後続のステップ1030では、サンプル領域130において選択した1つまたは複数の関心領域に関連して、例えばサンプル214のうちの特定のものに関連して、例えば幾何学的情報の形態等で位置情報を提供する。
【0093】
さらに別のステップ1040では、処理装置150により、図2Bに154で示した動作命令を提供し、これにより、位置情報に基づいて1つまたは複数のライトシート撮像位置において、ライトシート撮像モードで装置100を動作させる。
【0094】
1つまたは複数の選択的な別のステップ1050では、このようにして取得したライトシート撮像データをさらに処理して、ステップ1060において出力または記憶することができる。
【0095】
図4には、本発明の実施形態による方法の別の態様が示されており、また既に上述した態様が部分的に繰り返されている。
【0096】
図4のa図には、図2Aと実質的に同じ状況が示されている。上の説明を参照されたい。b図にはさらに、透過光撮像モードで、すなわち前述したステップ1010において生成した広視野画像132のスタックが示されている。c図には、ステップ1020およびステップ1030で、透過光撮像モードで生成した広視野画像132のスタックに基づいて取得した選択情報を使用して、サンプル領域130における1つまたは複数の関心領域をどのように選択するかと、サンプル領域130において選択した1つまたは複数の関心領域に関連する位置情報をどのように提供するかと、が示されている。d図には、ユーザーインタフェースユニットのディスプレイ画面162を介して、対応する情報をユーザーに提示するための考えられる選択肢が示されている。
【0097】
上で言及したステップの一部または全部は、例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータまたは電子回路等のハードウェア装置(またはハードウェア装置を使用すること)によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、極めて重要なステップのいずれか1つまたは複数が、そのような装置によって実行されてもよい。
【0098】
一定の実装要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装され得る。この実装は、非一過性の記録媒体によって実行可能であり、非一過性の記録媒体は、各方法を実施するために、プログラマブルコンピュータシステムと協働する(または協働することが可能である)、電子的に読取可能な制御信号が格納されている、デジタル記録媒体等であり、これは例えば、フロッピーディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROMおよびEPROM、EEPROMまたはFLASHメモリである。したがって、デジタル記録媒体は、コンピュータ読取可能であってもよい。
【0099】
本発明によるいくつかの実施形態およびその好ましい実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法が実施されるように、プログラマブルコンピュータシステムと協働することができる、電子的に読取可能な制御信号を有するデータ担体を含んでいる。
【0100】
一般的に、本発明の実施形態は、プログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品として実装可能であり、このプログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときにいずれかの方法を実施するように作動する。このプログラムコードは、例えば、機械可読担体に格納されていてもよい。
【0101】
別の実施形態は、機械可読担体に格納されている、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを含んでいる。
【0102】
したがって、換言すれば、本発明の実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0103】
すなわち、コンピュータプログラムがプロセッサ、特に、上記で言及した処理装置の一部であるプロセッサ上で実行される場合に、本発明による方法またはその任意の実施形態を実施するためのプログラムコードを備えたコンピュータプログラムも本発明の一部である。
【0104】
したがって、本発明の別の実施形態は、プロセッサによって実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、格納されているコンピュータプログラムを含んでいる記録媒体(またはデータ担体またはコンピュータ読取可能な媒体)である。データ担体、デジタル記録媒体または被記録媒体は、典型的に、有形である、かつ/または非一過性である。本発明の別の実施形態は、プロセッサと記録媒体を含んでいる、本明細書に記載されたような装置である。
【0105】
したがって、本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法およびその実施形態を実施するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号シーケンスである。データストリームまたは信号シーケンスは例えば、データ通信接続、例えばインターネットを介して転送されるように構成されていてもよい。
【0106】
本発明のさらに別の実施形態は、処理手段、例えば、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するように構成または適合されているコンピュータまたはプログラマブルロジックデバイスを含んでいる。
【0107】
別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、インストールされたコンピュータプログラムを有しているコンピュータを含んでいる。
【0108】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを(例えば、電子的にまたは光学的に)受信機に転送するように構成されている装置またはシステムを含んでいる。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイル機器、記憶装置等であってもよい。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信機に転送するために、ファイルサーバを含んでいてもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)が、本明細書に記載された方法の機能の一部または全部を実行するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイは、本明細書に記載のいずれかの方法およびその実施形態を実施するためにマイクロプロセッサと協働してもよい。一般的に、有利には、任意のハードウェア装置によって方法が実施される。
【0110】
本明細書で使用されるように、用語「および/または(かつ/または)」は、関連する記載項目のうちの1つまたは複数の項目のあらゆる全ての組み合わせを含んでおり、「/」として略記されることがある。
【0111】
いくつかの態様を装置の文脈において説明してきたが、これらの態様が、対応する方法の説明も表していることが明らかであり、ここではブロックまたは装置がステップまたはステップの特徴に対応している。同様に、ステップの文脈において説明された態様は、対応する装置の対応するブロックまたは項目または特徴の説明も表している。
【0112】
上述したように、サンプル領域における1つまたは複数の関心領域の選択に関連して、特にこのような領域の自動認識および/またはこのような領域のユーザーへの提示、また選択的にユーザーによる承認または否認に基づくフィードバックの提供に関連して、本発明は、実施形態において機械学習に関連して使用可能である。
【0113】
したがって本発明の実施形態は、機械学習モデルまたは機械学習アルゴリズムの使用に基づいていてもよい。機械学習は、モデルおよび推論に依存する代わりに、コンピュータシステムが、明示的な命令を使用することなく、特定のタスクを実行するために使用し得るアルゴリズムおよび統計モデルを参照してもよい。例えば、機械学習では、ルールに基づくデータ変換の代わりに、過去のデータおよび/またはトレーニングデータの分析から推論されるデータ変換が使用されてもよい。例えば、画像コンテンツは、機械学習モデルを用いて、または機械学習アルゴリズムを用いて分析されてもよい。機械学習モデルが画像コンテンツを分析するために、機械学習モデルは、入力としてのトレーニング画像と出力としてのトレーニングコンテンツ情報を用いてトレーニングされてもよい。多数のトレーニング画像および/またはトレーニングシーケンス(例えば単語または文)および関連するトレーニングコンテンツ情報(例えば、ユーザーによって提供されるラベルまたは注釈)によって機械学習モデルをトレーニングすることによって、機械学習モデルは、画像コンテンツを認識することを「学習」するので、トレーニングデータに含まれていない画像コンテンツが機械学習モデルを使用して認識可能になる。同じ原理が、同じように他の種類のセンサデータに対して使用されてもよい:トレーニングセンサデータと所望の出力を用いて機械学習モデルをトレーニングすることによって、機械学習モデルは、センサデータと出力との間の変換を「学習し」、これは、機械学習モデルに提供された非トレーニングセンサデータに基づいて出力を提供するために使用可能である。提供されたデータ(例えばセンサデータ、メタデータおよび/または画像データ)は、機械学習モデルへの入力として使用される特徴ベクトルを得るために前処理されてもよい。
【0114】
機械学習モデルは、トレーニング入力データを用いてトレーニングされてもよい。上記の例は、「教師あり学習」と称されるトレーニング方法を使用する。教師あり学習では、機械学習モデルは、複数のトレーニングサンプルを用いてトレーニングされ、ここで各サンプルは複数の入力データ値と複数の所望の出力値を含んでいてもよく、すなわち各トレーニングサンプルは、所望の出力値と関連付けされている。トレーニングサンプルと所望の出力値の両方を指定することによって、機械学習モデルは、トレーニング中に、提供されたサンプルに類似する入力サンプルに基づいてどの出力値を提供するのかを「学習」する。教師あり学習の他に、半教師あり学習が使用されてもよい。半教師あり学習では、トレーニングサンプルの一部は、対応する所望の出力値を欠いている。教師あり学習は、教師あり学習アルゴリズム(例えば分類アルゴリズム、回帰アルゴリズムまたは類似度学習アルゴリズム)に基づいていてもよい。出力が、値(カテゴリー変数)の限られたセットに制限される場合、すなわち入力が値の限られたセットのうちの1つに分類される場合、分類アルゴリズムが使用されてもよい。出力が(範囲内の)任意の数値を有していてもよい場合、回帰アルゴリズムが使用されてもよい。類似度学習アルゴリズムは、分類アルゴリズムと回帰アルゴリズムの両方に類似していてもよいが、2つのオブジェクトがどの程度類似しているかまたは関係しているかを測定する類似度関数を用いた例からの学習に基づいている。教師あり学習または半教師あり学習の他に、機械学習モデルをトレーニングするために教師なし学習が使用されてもよい。教師なし学習では、入力データ(だけ)が供給される可能性があり、教師なし学習アルゴリズムは、(例えば、入力データをグループ化またはクラスタリングすること、データに共通性を見出すことによって)入力データにおいて構造を見出すために使用されてもよい。クラスタリングは、複数の入力値を含んでいる入力データを複数のサブセット(クラスター)に割り当てることであるので、同じクラスター内の入力値は1つまたは複数の(事前に定められた)類似度判断基準に従って類似しているが、別のクラスターに含まれている入力値と類似していない。
【0115】
強化学習は機械学習アルゴリズムの第3のグループである。換言すれば、強化学習は機械学習モデルをトレーニングするために使用されてもよい。強化学習では、1つまたは複数のソフトウェアアクター(「ソフトウェアエージェント」と称される)が、周囲において行動を取るようにトレーニングされる。取られた行動に基づいて、報酬が計算される。強化学習は、(報酬の増加によって明らかにされるように)累積報酬が継続的に増加し、与えられたタスクでより良くなるソフトウェアエージェントが得られるように行動を選択するように、1つまたは複数のソフトウェアエージェントをトレーニングすることに基づいている。
【0116】
さらに、実施形態によると、いくつかの別の技術が、機械学習アルゴリズムの一部に適用されてもよい。例えば、特徴表現学習が使用されてもよい。換言すれば、機械学習モデルは、少なくとも部分的に特徴表現学習を用いてトレーニングされてもよい、かつ/または機械学習アルゴリズムは、特徴表現学習構成要素を含んでいてもよい。表現学習アルゴリズムと称され得る特徴表現学習アルゴリズムは、自身の入力に情報を保存するだけでなく、多くの場合、分類または予測を実行する前の前処理ステップとして、有用にするように情報の変換も行ってもよい。特徴表現学習は、例えば、主成分分析またはクラスター分析に基づいていてもよい。
【0117】
いくつかの例では、異常検知(すなわち、外れ値検知)が使用されてもよく、これは、入力またはトレーニングデータの大部分と著しく異なることによって疑念を引き起こしている入力値の識別を提供することを目的としている。換言すれば、機械学習モデルは、少なくとも部分的に異常検知を用いてトレーニングされてもよく、かつ/または機械学習アルゴリズムは、異常検知構成要素を含んでいてもよい。
【0118】
いくつかの例では、機械学習アルゴリズムは、予測モデルとして決定木を使用してもよい。換言すれば、機械学習モデルは、決定木に基づいていてもよい。決定木において、項目(例えば、入力値のセット)に関する観察は、決定木のブランチによって表されてもよく、この項目に対応する出力値は、決定木のリーフによって表されてもよい。決定木は、出力値として離散値と連続値の両方をサポートしてもよい。離散値が使用される場合、決定木は、分類木として表されてもよく、連続値が使用される場合、決定木は、回帰木として表されてもよい。
【0119】
相関ルールは、本発明の実施形態によると、機械学習アルゴリズムにおいて使用され得る別の技術である。換言すれば、機械学習モデルは、1つまたは複数の相関ルールに基づいていてもよい。相関ルールは、大量のデータにおける変数間の関係を識別することによって作成される。機械学習アルゴリズムは、データから導出された知識を表す1つまたは複数の相関的なルールを識別してもよい、かつ/または利用してもよい。これらのルールはこれに応じて、例えば、知識を格納する、操作するまたは適用するために使用されてもよい。
【0120】
機械学習アルゴリズムは通常、機械学習モデルに基づいている。換言すれば、用語「機械学習アルゴリズム」はまた、機械学習モデルを作成する、トレーニングするまたは使用するために使用され得る命令のセットを表していてもよい。用語「機械学習モデル」は、(例えば、機械学習アルゴリズムによって実行されるトレーニングに基づいて)学習した知識を表すデータ構造および/またはルールのセットを表していてもよい。実施形態では、機械学習アルゴリズムの用法は、基礎となる1つの機械学習モデル(または基礎となる複数の機械学習モデル)の用法を意味していてもよい。機械学習モデルの用法は、機械学習モデルおよび/または機械学習モデルであるデータ構造/ルールのセットが機械学習アルゴリズムによってトレーニングされることを意味していてもよい。
【0121】
例えば、機械学習モデルは、人工ニューラルネットワーク(ANN)であってもよい。ANNは、網膜または脳において見出されるような、生物学的ニューラルネットワークによって影響を与えられるシステムである。ANNは、相互接続された複数のノードと、ノード間の、複数の接合部分、いわゆるエッジと、を含んでいる。通常、3種類のノードが存在しており、すなわち入力値を受け取る入力ノード、他のノードに接続されている(だけの)隠れノードおよび出力値を提供する出力ノードが存在している。各ノードは、人工ニューロンを表していてもよい。各エッジは、1つのノードから別のノードに、情報を伝達してもよい。ノードの出力は、その入力(例えば、その入力の和)の(非線形)関数として定義されてもよい。ノードの入力は、入力を提供するエッジまたはノードの「重み」に基づく関数において使用されてもよい。ノードおよび/またはエッジの重みは、学習過程において調整されてもよい。換言すれば、人工ニューラルネットワークのトレーニングは、本発明によると、すなわち、与えられた入力に対して所望の出力を得るために、人工ニューラルネットワークのノードおよび/またはエッジの重みを調整することを含んでいてもよい。
【0122】
択一的に、機械学習モデルは、サポートベクターマシン、ランダムフォレストモデルまたは勾配ブースティングモデルであってもよい。サポートベクターマシン(すなわち、サポートベクターネットワーク)は、(例えば、分類または回帰分析において)データを分析するために使用され得る、関連する学習アルゴリズムを伴う、教師あり学習モデルである。サポートベクターマシンは、2つのカテゴリのいずれかに属する複数のトレーニング入力値を伴う入力を提供することによってトレーニングされてもよい。サポートベクターマシンは、2つのカテゴリのいずれかに新しい入力値を割り当てるようにトレーニングされてもよい。択一的に、機械学習モデルは、確率有向非巡回グラフィカルモデルであるベイジアンネットワークであってもよい。ベイジアンネットワークは、有向非巡回グラフを用いて、確率変数とその条件付き依存性のセットを表していてもよい。択一的に、機械学習モデルは、検索アルゴリズムと自然淘汰の過程を模倣した発見的方法である遺伝的アルゴリズムに基づいていてもよい。
【符号の説明】
【0123】
100 装置
10 顕微鏡システム
20 コンピュータシステム
30 相互作用
110 光学系
112 レンズ
120 光学系
122 レンズ
130 サンプル領域
132 広視野画像
140 画像取得ユニット
150 処理装置
152 動作命令
160 ユーザーインタフェース手段
162 スクリーン
170 サンプルホルダ
180 照明装置
200 サンプルキャリア
210 ウェル
214 サンプル
212 液体またはマトリクス
1000 方法
1010 広視野撮像動作命令の提供
1020 1つまたは複数の領域の選択
1030 位置情報の提供
1040 ライトシート撮像動作命令の提供
1050 後続処理
1060 結果の提供または記憶
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
【国際調査報告】