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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】拡張脊椎融合ケージ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A61F2/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541716
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(85)【翻訳文提出日】2023-08-14
(86)【国際出願番号】 IB2022050103
(87)【国際公開番号】W WO2022149089
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】17/144,782
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(71)【出願人】
【識別番号】509113977
【氏名又は名称】ストラタシス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ホプソン・ペイトン
(72)【発明者】
【氏名】サーハン・ハッサン
(72)【発明者】
【氏名】ブールマン・エリック
(72)【発明者】
【氏名】ソムリッチ・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ガマシュ・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】スター・シンシア
(72)【発明者】
【氏名】リーブス・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】スミス・オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ハイデン・デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ル・メルリュス・ロイク
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC18
4C097DD10
4C097DD11
4C097DD15
4C097EE08
4C097EE13
4C097EE18
4C097EE19
4C097FF05
4C097FF11
4C097MM02
4C097MM03
4C097MM07
(57)【要約】
本明細書では、材料によって膨張させたときに椎間腔内でつぶれた状態から拡張状態に拡張するように構成された拡張可能なケージ組立体を含む、拡張脊椎融合ケージの実施形態が開示される。本組立体は、内部容積を画定する膨張可能セクションであって、材料を受容し、受容した材料からの圧力に応答して内部容積を拡張させ、拡張可能なケージ組立体をつぶれた状態から拡張状態に移行させるように構成された、膨張可能セクションと、膨張中に膨張可能セクションを拘束するように構成された安定化セクションと、を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎間板インプラントであって、
材料によって膨張させたときに椎間腔内でつぶれた状態から拡張状態に拡張するように構成された拡張可能なケージ組立体を備え、前記拡張可能なケージ組立体が、
内部容積を画定する膨張可能セクションであって、前記材料を受容し、受容した前記材料からの圧力に応答して前記内部容積を拡張させ、前記拡張可能なケージ組立体を前記つぶれた状態から前記拡張状態に移行させるように構成された、膨張可能セクションと、
膨張中に前記膨張可能セクションを拘束するように構成された安定化セクションと、を備える、椎間板インプラント。
【請求項2】
前記安定化セクションが、前記膨張可能セクションを少なくとも部分的に取り囲み、前記安定化セクションが、前記拡張可能なケージ組立体の外周の少なくとも一部分を画定するようにサイズ決定及び成形されている、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項3】
前記膨張可能セクションが、前記安定化セクションを取り囲み、前記安定化セクションが、前記膨張可能セクションを保持するように前記安定化セクションと結合されている、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項4】
前記膨張可能セクション及び前記安定化セクションのうちの少なくとも1つが、3D印刷材料を含む、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項5】
前記膨張可能セクション及び前記安定化セクションのうちの少なくとも1つが、一体型構造体を含む、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項6】
前記一体型構造体が、3D印刷材料を含む、請求項5に記載の椎間板インプラント。
【請求項7】
前記膨張可能セクションが、織り基材を含む、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項8】
前記安定化セクションが、3D印刷足場を含む、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項9】
前記安定化セクションが、前記材料が充填されるように構成された管状織り構造体を含む、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項10】
前記膨張可能セクション及び前記安定化セクションのうちの少なくとも1つが、前記材料と前記椎間腔との間の相互作用を可能にするように構成された多孔質構造体を含む、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項11】
前記拡張可能なケージ組立体が、1つ又は2つ以上のボイドチャネルを画定し、各ボイドチャネルが、前記安定化セクション及び前記膨張可能セクションを通って連続的に形成されている、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項12】
前記ボイドチャネルが、骨移植片材料を受容するように構成されている、請求項11に記載の椎間板インプラント。
【請求項13】
前記安定化セクションが、剛性構造体を含む、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項14】
前記剛性構造体は、前記膨張可能セクションが前記拡張可能なケージ組立体を前記つぶれた状態から前記拡張状態に移動させたときに、前記膨張可能セクションの周りで前記安定化セクションが偏向又は変形することを容易にするように配置された1つ又は2つ以上の裂け目を画定する、請求項13に記載の椎間板インプラント。
【請求項15】
前記剛性構造体は、前記膨張可能セクションが前記拡張可能なケージ組立体を前記つぶれた状態から前記拡張状態に移動させたときに、入れ子状に拡張するように配置された1つ又は2つ以上のセクションを画定する、請求項13に記載の椎間板インプラント。
【請求項16】
前記膨張可能セクション及び前記安定化セクションのうちの少なくとも1つが、融合が起こった時以降に体内に再吸収されるように構成された再吸収可能な生体材料を含む、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項17】
前記膨張可能セクション及び前記安定化セクションのうちの少なくとも1つが、骨結合を促進させるように構成された埋め込み有機材料を含む、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項18】
前記埋め込み有機材料が、ヒアルロン酸、コラーゲン、タンパク質、骨移植片からの患者細胞、のうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載の椎間板インプラント。
【請求項19】
前記膨張可能セクション及び前記安定化セクションのうちの少なくとも1つが、埋め込み活性医薬化合物を含む、請求項1に記載に記載の椎間板インプラント。
【請求項20】
前記拡張可能なケージ組立体が、前記拡張状態において非対称形状を有する、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項21】
前記拡張状態では、前記拡張可能なケージ組立体の上面が、前記拡張可能なケージ組立体の下面に対して傾斜している、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項22】
前記拡張可能なケージ組立体が、複数の材料から形成されている、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項23】
前記膨張可能セクション及び前記安定化セクションが、異なる材料から形成されている、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項24】
前記膨張可能セクションが、複数のチャンバを備え、前記複数のチャンバの各々は前記材料で充填することが可能であり、前記椎間板インプラントの拡張形状が、前記複数のチャンバのうちのどれが材料で充填されているかの関数である、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項25】
前記椎間板インプラントに取り付けられた少なくとも1つの追加的な構造的構成要素を備え、前記追加的な構造的構成要素が、前記椎間腔における固定を向上させるように構成されている、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項26】
前記膨張可能セクションが、前記材料で充填されるように構成されたコア膨張領域と、生物活性物質で充填されるように構成されている外側膨張領域と、を含む、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【請求項27】
椎間板インプラントであって、
材料によって膨張させたときに椎間腔内でつぶれた状態から拡張状態に弾性的に拡張するように構成された拡張可能な構造体を備え、前記拡張可能な構造体が、側壁を含み、前記側壁が、前記材料を受容し、受容した前記材料からの圧力に応答して前記側壁の少なくとも一部分を弾性的に拡張させて、前記拡張可能な構造体を前記つぶれた状態から前記拡張状態に移行させるように構成された内部チャンバを画定し、
前記側壁が、拡張中の前記構造体の異なる拡張率を制御するように構成された、前記拡張可能な構造体の表面にわたる可変厚さを有する、椎間板インプラント。
【請求項28】
前記拡張可能な構造体が、前記材料と前記椎間腔との間の相互作用を可能にするように構成された多孔質外層を備える、請求項27に記載の椎間板インプラント。
【請求項29】
前記拡張可能な構造体が、前記拡張状態において、骨移植片材料を受容するように構成された1つ又は2つ以上のボイドチャネルを画定する、請求項27に記載の椎間板インプラント。
【請求項30】
前記拡張可能な構造体の外面が、前記外面と前記椎間腔の表面との間の固定を高めるように構成された突起を画定する、請求項27に記載の椎間板インプラント。
【請求項31】
前記拡張可能な構造体が、モノリシックである、請求項27に記載の椎間板インプラント。
【請求項32】
前記内部チャンバが、複数のチャンバを含み、前記複数のチャンバの各々は前記材料で充填することが可能であり、前記椎間板インプラントの拡張形状が、前記複数のチャンバのうちのどれが材料で充填されているかの関数である、請求項27の椎間板インプラント。
【請求項33】
前記椎間板インプラントに取り付けられた少なくとも1つの追加的な構造的構成要素を含み、前記追加的な構造的構成要素が、前記椎間腔における固定を向上させるように構成されている、請求項27に記載の椎間板インプラント。
【請求項34】
前記内部チャンバが、前記材料で充填されるように構成されたコア膨張領域と、生物活性物質で充填されるように構成された外側膨張領域と、を含む、請求項26に記載の椎間板インプラント。
【請求項35】
外科用インプラントを製造するための方法であって、
第1の材料から拡張可能な基材を形成することと、
第2の材料の複数の層を互いの上に堆積させる付加製造プロセスを使用して、前記第2の材料から前記基材上に安定化構造体を形成することと、を含む、方法。
【請求項36】
前記拡張可能な基材が、織り管状構造体である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記織り管状構造体が、前記織り管状構造体の上に前記安定化構造体を形成する前に、マンドレルの上で弾性的に拡張される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記拡張可能な基材を形成することが、付加製造プロセスを使用して行われる、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記付加製造プロセスが、噴射、押し出し、及び熱溶解積層法、のいずれかである、請求項35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2つの隣接した椎骨間の脊椎の運動を安定させるための方法及びデバイスに関するものであり、より具体的には、つぶれた状態で椎間腔内に挿入し、その後に椎間腔内で膨張又は拡張させることができる拡張脊椎融合ケージを利用する、かかる方法及びデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
脊椎外科(例えば切除、減圧、及び融合)を行うために、最小侵襲外科用(minimally invasive surgical、MIS)及び/又は顕微鏡外科処置がますます利用されている。これらの処置は、患者が負傷するリスクの低減、回復時間の短縮などを含む、いくつかの利点を有し得る。かかる処置は、典型的には、皮膚表面から脊柱及び椎間板腔への通路を提供する様々なアクセスポート又はリトラクタを使用して行われる。これらのポート及びリトラクタは、しばしば、組織の外傷を最小限に抑え、かつ脊柱におけるKambinの三角形の解剖学的窓などの狭い解剖学的通路を成功裏に横断するために、最小サイズの、おそらくは直径約30mm以下の通路を提供する。
【0003】
これらの最小侵襲処置及び/又は顕微鏡外科処置は、様々なポート又はリトラクタによって提供される限られたサイズの通路での使用に好適な新しい器具、デバイス、及び方法を必要とし得る。一例として、融合ケージなどの埋め込み可能なデバイスであれ他の関連する器具であれ、特定のより大きいデバイスは、狭い開口部を通過することができず、したがって、低侵襲処置及び/又は顕微外科処置で使用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、例えば小さい通路又は制限された通路を通してデバイスを手術部位まで通過させることが必要である最小侵襲処置で利用することができる、改善された脊椎融合ケージを含む、改善された外科用デバイス及び方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示されるデバイス及び方法は、つぶれた状態及び拡張状態を有し、それによって、つぶれた状態にある間により小さい作業チャネルを通して導入し、その後に手術部位で拡張させることを可能にすることができるデバイスを提供することによって、上述した必要性に対処する。より具体的には、本明細書に記載されるデバイス及び方法は、極めて複雑な幾何学的形状及びカプセル化された構造体、並びに単一の構造体内の複数の材料を3D印刷又は付加製造する能力の進歩を利用して、高度に制御されたプロセスを通して複雑な又は非対称の形状に一様に拡張させるための進歩した幾何学的形状又は機構を有する椎間板置換デバイスの設計を可能にする。
【0006】
本開示の特定の態様は、最小侵襲方法を通して患者の椎間腔に脊椎融合ケージを植え込むために、圧縮サイズから予め規定された形状及びサイズに拡張する、3D印刷脊椎融合ケージを提供する。
【0007】
本開示の2つの例示的な実施形態は、弾性拡張を利用し、メタ材料拡張を使用する、拡張脊椎融合ケージデバイスを含む。他の例示的な実施形態は、本開示の範囲内であり、例えば、弾性拡張及びメタ材料拡張の両方を利用する実装形態が挙げられる。追加的に、他の拡張構成が本明細書に記載されており、上記の2つの例示的な実施形態は、単に本開示の例として提供されており、例示的な実施形態の相違は、概念全体の説明を補助するために提供される。
【0008】
弾性拡張ケージデバイスの特定の態様としては、例えば、規定の形状及び構造体への制御された拡張を確実にするために特定の幾何学的形状を含む、一体型構造体が挙げられる。例えば、現在のMIS法を使用して椎骨の間に挿入することができ、かつガス、流体、又は半固体材料の配合物によって膨張させて、単純な圧縮形状から、複雑で構造的な安定したケージデバイスに拡張させることができる軟質物体。
【0009】
メタ材料拡張ケージデバイスの特定の態様は、例えば、構造の安定性及び制御を提供する周囲の3D印刷構造体を備えたバッグ又はパウチを椎骨の間に挿入して、膨張させる、多材料システムを含む。例えば、メッシュバッグであって、つぶれることができる3D印刷構造体又は足場が、メッシュバッグ又はパウチの膨張に対する物理的支持として作用するメッシュ材料の上へ直接印刷されている、メッシュバッグ。
【0010】
本開示の1つの例示的な実施形態は、材料によって膨張させたときに椎間腔内でつぶれた状態から拡張状態に拡張するように構成された拡張可能なケージ組立体である。拡張可能なケージ組立体は、内部容積を画定する膨張可能セクションであって、材料を受容し、受容した材料からの圧力に応答して内部容積を拡張させ、拡張可能なケージ組立体をつぶれた状態から拡張状態に移行させるように構成された、膨張可能セクションと、膨張中に膨張可能セクションを拘束するように構成された安定化セクションと、を含む。
【0011】
いくつかの場合では、安定化セクションは、膨張可能セクションを少なくとも部分的に取り囲み、安定化セクションは、拡張可能なケージ組立体の外周の少なくとも一部分を画定するようにサイズ決定及び成形されている。
【0012】
いくつかの場合では、膨張可能セクションは、安定化セクションを取り囲み、安定化セクションは、膨張可能セクションを保持するように安定化セクションと結合されている。
【0013】
いくつかの場合では、膨張可能セクション及び安定化セクションのうちの少なくとも1つは、3D印刷材料を含む。いくつかの場合では、膨張可能セクション及び安定化セクションのうちの少なくとも1つは、一体型構造体を含む。いくつかの場合では、一体型構造体は、3D印刷材料を含む。いくつかの場合では、膨張可能セクションは、織り基材を含む。いくつかの場合では、安定化セクションは、3D印刷足場を含む。いくつかの場合では、安定化セクションは、材料が充填されるように構成された管状織り構造体を含む。
【0014】
いくつかの場合では、膨張可能セクション及び安定化セクションのうちの少なくとも1つは、材料と椎間腔との間の相互作用を可能にするように構成された多孔質構造体を含む。
【0015】
いくつかの場合では、拡張可能なケージ組立体は、1つ又は2つ以上のボイドチャネルを画定し、各ボイドチャネルは、安定化セクション及び膨張可能セクションを通って連続的に形成されている。いくつかの場合では、ボイドチャネルは、骨移植片材料を受容するように構成されている。
【0016】
いくつかの場合では、安定化セクションは、剛性構造体を含む。いくつかの場合では、剛性構造体は、膨張可能セクションが拡張可能なケージ組立体をつぶれた状態から拡張状態に移動させたときに、膨張可能セクションの周りで安定化セクションが偏向又は変形することを容易にするように配置された1つ又は2つ以上の裂け目を画定する。いくつかの場合では、剛性構造体は、膨張可能セクションが拡張可能なケージ組立体をつぶれた状態から拡張状態に移動させたときに、入れ子状に拡張するように配置された1つ又は2つ以上のセクションを画定する。
【0017】
いくつかの場合では、膨張可能セクション及び安定化セクションのうちの少なくとも1つは、融合が起こった時以降に体内に再吸収されるように構成された再吸収可能な生体材料を含む。
【0018】
いくつかの場合では、膨張可能セクション及び安定化セクションのうちの少なくとも1つは、骨結合を促進させるように構成された埋め込み有機材料を含む。いくつかの場合では、埋め込み有機材料は、ヒアルロン酸、コラーゲン、タンパク質、骨移植片からの患者細胞、のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの場合では、膨張可能セクション及び安定化セクションのうちの少なくとも1つは、骨結合を促進させるように構成された埋め込み材料、例えばホスフェートを含む。
【0019】
いくつかの場合では、膨張可能セクション及び安定化セクションのうちの少なくとも1つは、埋め込み活性医薬化合物を含む。
【0020】
いくつかの場合では、拡張可能なケージ組立体は、拡張状態において非対称形状を有する。
【0021】
いくつかの場合では、拡張状態において、拡張可能なケージ組立体の上面は、拡張可能なケージ組立体の下面に対して傾斜している。
【0022】
いくつかの場合では、拡張可能なケージ組立体は、複数の材料から形成されている。
【0023】
いくつかの場合では、膨張可能セクション及び安定化セクションは、異なる材料から形成されている。
【0024】
膨張可能セクションが、複数のチャンバを含み、複数のチャンバの各々は材料で充填することが可能であり、椎間板インプラントの拡張形状が、複数のチャンバのうちのどれが材料で充填されているかの関数である、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【0025】
椎間板インプラントに取り付けられた少なくとも1つの追加的な構造的構成要素を含み、追加的な構造的構成要素が、椎間腔における固定を向上させるように構成されている、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【0026】
膨張可能セクションが、材料で充填されるように構成されたコア膨張領域と、生物活性物質で充填されるように構成された外側膨張領域と、を含む、請求項1に記載の椎間板インプラント。
【0027】
別の例示的な実施形態は、材料によって膨張させたときに椎間腔内でつぶれた状態から拡張状態に弾性的に拡張するように構成された拡張可能な構造体を含む、椎間板インプラントであり、拡張可能な構造体は、側壁を含み、側壁は、材料を受容し、受容した材料からの圧力に応答して側壁の少なくとも一部分を弾性的に拡張させて、拡張可能な構造体をつぶれた状態から拡張状態に移行させるように構成された内部チャンバを画定する。側壁は、拡張中の構造体の異なる拡張率を制御するように構成された、拡張可能な構造体の表面わたる可変厚さを有する。いくつかの場合では、インプラントは、少なくとも所与の圧力でコンフォーマルな形状を側壁に提供するように構成された構造化格子を含む。いくつかの場合では、インプラントは、構造化格子の1つ又は2つ以上の独立して充填された格子チャネルを含む減衰機構を含む。
【0028】
いくつかの場合では、拡張可能な構造体は、材料と椎間腔との間の相互作用を可能にするように構成された多孔質外層を含む。
【0029】
いくつかの場合では、拡張可能な構造体は、拡張状態において、骨移植片材料を受容するように構成された1つ又は2つ以上のボイドチャネルを画定する。
【0030】
いくつかの場合では、拡張可能な構造体の外面は、外面と椎間腔の表面との間の固定を高めるように構成された突起を画定する。いくつかの場合では、拡張可能な構造体は、モノリシックである。
【0031】
いくつかの場合では、内部チャンバは、複数のチャンバを含み、複数のチャンバの各々は材料で充填することが可能であり、椎間板インプラントの拡張形状は、複数のチャンバのうちのどれが材料で充填されているかの関数である。
【0032】
いくつかの場合では、椎間板インプラントは、椎間板インプラントに取り付けられた少なくとも1つの追加的な構造的構成要素を含み、追加的な構造的構成要素は、椎間腔における固定を向上させるように構成されている。
【0033】
いくつかの場合では、内部チャンバは、材料で充填されるように構成されたコア膨張領域と、生物活性物質で充填されるように構成された外側膨張領域と、を含む。
【0034】
更に別の例示的な実施形態は、外科的方法であって、当該外科的方法は、脊椎融合ケージがつぶれた状態にある間に、ケージを患者の椎間腔に挿入することと、ある体積の流動性材料を脊椎融合ケージの膨張可能セクションの内部チャンバ内に注入することによって、脊椎融合ケージをつぶれた状態から拡張状態に拡張させることと、膨張可能セクションに結合された安定化構造体を使用して、脊椎融合ケージの形状を拡張状態に抑制することと、を含む。
【0035】
なお別の例示的な実施形態は、外科用インプラントを製造するための方法であって、当該方法は、第1の材料から拡張可能な基材を形成することと、第2の材料の複数の層を互いの上に堆積させる付加製造プロセスを使用して、第2の材料から基材上に安定化構造体を形成することと、を含む。
【0036】
いくつかの場合では、拡張可能な基材は、織り管状構造体である。いくつかの場合では、織り管状構造体は、織り管状構造体の上に安定化構造体を形成する前に、マンドレルの上で弾性的に拡張される。いくつかの場合では、拡張可能な基材を形成することは、付加製造プロセスを使用して行われる。いくつかの場合では、付加製造プロセスは、噴射、押し出し、及び熱溶解積層法、粉末床融合、バット光重合、結合剤噴射、材料押し出し、誘導エネルギー付与、選択的レーザ焼結、材料噴射、及びシートラミネーション、のうちのいずれかである。
【0037】
いくつかの場合では、拡張可能な構造体は、一体型拡張構造体を含む。いくつかの場合では、拡張可能な状態は、拡張可能な構造体が自由空間において拡張したときの第1の拡張形状、及び拡張可能な構造体が椎間腔において拡張したときの第2の拡張形状を画定し、第1の拡張形状は、少なくとも、拡張可能な構造体及び材料の圧力の関数であり、第2の拡張形状は、少なくとも、拡張可能な構造体、材料の圧力、及び椎間腔の特性の関数である。いくつかの場合では、第1の拡張形状は、椎間腔内の第2の拡張形状の目標形状の関数である。いくつかの場合では、第1の拡張形状は、第1の面及び第2の面を画定し、第1の面と第2の面との間の配向は、第2の拡張形状における第1の面及び第2の面の目標配向の関数である。
【0038】
いくつかの場合では、拡張脊椎融合ケージの構成要素のいくつか又は全ては、バット押し出し加工プロセスを使用して3D印刷され、それによって、材料が懸濁液のバット内に押し出される。
【0039】
いくつかの場合では、拡張脊椎融合ケージの構成要素のいくつか又は全ては、溶融堆積モデリングプロセスを使用して3D印刷され、それによって、熱可塑性物質は、様々な平坦な又は多平面基材の上へ押し出される。
【0040】
いくつかの場合では、拡張脊椎融合ケージの構成要素のいくつか又は全ては、3D印刷され、それによって、単一の又は組み合わせた弾性材料及び固体材料が様々な基材の上へ噴射される。
【0041】
いくつかの場合では、拡張脊椎融合ケージは、最初にデジタル製織プロセスで製造され、次いで印刷するための基材として3D印刷プロセスに組み込まれる、3D織り構造体を含む。
【0042】
本開示の特定の態様は、外科医及び患者に利点を提供する。例えば、態様は、必要とされる切開サイズを低減し、したがって、必要とされる治癒時間を低減する、より小さい圧縮容積/前挿入容積を伴うケージ状のデバイスを含む。いくつかの態様は、様々な角度、例えば前弯、垂直、水平の複数の面を有する最終形状に拡張する、ケージ状のデバイスを提供する。いくつかの態様は、従来の解決策(例えば、機械的に作動させるケージ)とは十分に異なり、かつ将来の脊椎及び整形製品のためのプラットフォーム技術として作用することができる、新しい、かつ機能的に優れた拡張ケージデバイスを提供する。
【0043】
いくつかの本開示の態様は、再吸収可能な生体材料を有する拡張ケージデバイスを含む。例えば、特定の実装形態は、デバイスを構築する材料のいくつか又は全てが、十分な融合が起こった時以降に体内に再吸収される、ケージデバイスを含むことができる。これは、融合が生じた時点で無用になり、かつ機能しない異物として患者の身体内に残る従来の脊椎ケージ製品に勝る利益である。
【0044】
本開示のいくつかの態様は、埋め込み有機材料がケージデバイスの全て又は一部の構造で使用される拡張ケージデバイスを含む。弾性材料及びメタ材料両方の実施形態のいくつかの例では、有機材料及び化合物が、印刷材料及び/又は基材に配合される。埋め込み有機材料及び化合物は、いくつかの実装形態では骨結合の促進を補助する、ヒアルロン酸、コラーゲン、タンパク質などの有益な有機化合物及び分子を加える機会を可能にする。いくつかの実装形態では、患者自身の細胞(移植片)を、患者個人のインプラントを構成する印刷材料に配合することができる。いくつかの実装形態では、リン酸カルシウムなどの無機材料が埋め込まれる。
【0045】
本開示のいくつかの態様は、埋め込み医療構成要素及び活性医薬成分を伴う拡張ケージデバイスを含む。弾性材料及びメタ材料の実施形態のいくつかの例では、活性医薬成分、分子、及び化合物を、印刷材料及び/又は基材に配合することができる。埋め込み医療構成要素を含む実装形態は、感染リスクを低減し、かつ全体的な回復時間を向上させることを目的とする抗炎症剤、抗生物質、又は他の医薬品の薬物送達プラットフォームとして、インプラントが二次機能を有することを可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本開示は、以下の詳細な説明を添付図面と併せ読むことで、より完全に理解されよう。
図1A】本開示の態様による、2つの異なる拡張脊椎融合ケージの実施形態の例である。
図1B】本開示の態様による、2つの異なる拡張脊椎融合ケージの実施形態の例である。
図2A】それぞれ、弾性拡張ケージデバイスの実施形態のつぶれた状態及び拡張状態の例である。
図2B】それぞれ、弾性拡張ケージデバイスの実施形態のつぶれた状態及び拡張状態の例である。
図3A】異なる形状プロファイルを有する弾性拡張ケージデバイスの実施形態の例である。
図3B】異なる形状プロファイルを有する弾性拡張ケージデバイスの実施形態の例である。
図3C】異なる形状プロファイルを有する弾性拡張ケージデバイスの実施形態の例である。
図4A】弾性拡張ケージデバイスの実施形態の斜視図及び断面図である。
図4B】弾性拡張ケージデバイスの実施形態の斜視図及び断面図である。
図5A】別の弾性拡張ケージデバイスの実施形態の斜視図及び断面図である。
図5B】別の弾性拡張ケージデバイスの実施形態の斜視図及び断面図である。
図6A】弾性拡張ケージデバイスの代替の実施形態の例である。
図6B】弾性拡張ケージデバイスの代替の実施形態の例である。
図6C】弾性拡張ケージデバイスの代替の実施形態の例である。
図7A】椎間板を弾性拡張ケージデバイスと置換するための例示的な処置の例である。
図7B】椎間板を弾性拡張ケージデバイスと置換するための例示的な処置の例である。
図7C】椎間板を弾性拡張ケージデバイスと置換するための例示的な処置の例である。
図7D】椎間板を弾性拡張ケージデバイスと置換するための例示的な処置の例である。
図8A】拡張プロセスを示す、メタ材料ケージデバイスの実施形態の例である。
図8B】拡張プロセスを示す、メタ材料ケージデバイスの実施形態の例である。
図8C】拡張プロセスを示す、メタ材料ケージデバイスの実施形態の例である。
図8D】拡張プロセスを示す、メタ材料ケージデバイスの実施形態の例である。
図9A】外部安定化構造体を有する、2つの代替的な拡張ケージデバイスの実施形態の概略断面図である。
図9B】外部安定化構造体を有する、2つの代替的な拡張ケージデバイスの実施形態の概略断面図である。
図9C】外部安定化構造体を有する、2つの代替的な拡張ケージデバイスの実施形態の概略断面図である。
図9D】外部安定化構造体を有する、2つの代替的な拡張ケージデバイスの実施形態の概略断面図である。
図10A】内部安定化構造体を有する、2つの代替的な拡張ケージデバイスの実施形態の概略断面図である。
図10B】内部安定化構造体を有する、2つの代替的な拡張ケージデバイスの実施形態の概略断面図である。
図10C】内部安定化構造体を有する、2つの代替的な拡張ケージデバイスの実施形態の概略断面図である。
図10D】内部安定化構造体を有する、2つの代替的な拡張ケージデバイスの実施形態の概略断面図である。
図10E】複数の内部チャンバを有する、2つの代替的な拡張ケージデバイスの実施形態の概略断面図である。
図10F】複数の内部チャンバを有する、2つの代替的な拡張ケージデバイスの実施形態の概略断面図である。
図10G】固定を向上させるために追加的な構造的構成要素が頂面及び底面に取り付けられた、代替的な拡張ケージデバイスの実施形態の概略断面図である。
図11A】椎間板をメタ材料拡張ケージデバイスと置換するための例示的な処置の例である。
図11B】椎間板をメタ材料拡張ケージデバイスと置換するための例示的な処置の例である。
図11C】椎間板をメタ材料拡張ケージデバイスと置換するための例示的な処置の例である。
図11D】椎間板をメタ材料拡張ケージデバイスと置換するための例示的な処置の例である。
図12A】拡張ケージデバイスを製造するための例示的な押し出し加工プロセスの例である。
図12B】拡張ケージデバイスを製造するための例示的な押し出し加工プロセスの例である。
図12C】拡張ケージデバイスを製造するための例示的な押し出し加工プロセスの例である。
図13A】拡張ケージデバイスを製造するための例示的な材料噴射プロセスの例である。
図13B】拡張ケージデバイスを製造するための例示的な材料噴射プロセスの例である。
図13C】拡張ケージデバイスを製造するための例示的な材料噴射プロセスの例である。
図14A】拡張ケージデバイス内で使用するための織り管状構造体を製造するための例示的なプロセスの例である。
図14B】拡張ケージデバイス内で使用するための織り管状構造体を製造するための例示的なプロセスの例である。
図15A】拡張ケージデバイスを製造するための例示的なプロセスの例である。
図15B】拡張ケージデバイスを製造するための例示的なプロセスの例である。
図15C】拡張ケージデバイスを製造するための例示的なプロセスの例である。
図15D】拡張ケージデバイスを製造するための例示的なプロセスの例である。
図15E】拡張ケージデバイスを製造するための例示的なプロセスの例である。
図16A】拡張ケージデバイスを製造するための例示的なプロセスの例である。
図16B】拡張ケージデバイスを製造するための例示的なプロセスの例である。
図16C】拡張ケージデバイスを製造するための例示的なプロセスの例である。
図16D】拡張ケージデバイスを製造するための例示的なプロセスの例である。
図16E】拡張ケージデバイスを製造するための例示的なプロセスの例である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
ここで、本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態の1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例解されている。当業者は、具体的に本明細書において説明され、添付の図面において例解される装置及び方法が、非限定的な例示的な実施形態であること、並びに本開示の範囲が、特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。例示的な一実施形態に関連して例解又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。かかる修正及び変形例は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0048】
本開示の特定の態様は、最小侵襲法を通して脊椎融合ケージ植え込むことを可能にする、圧縮サイズから予め規定された形状及びサイズに拡張する、拡張脊椎融合ケージを提供する。
【0049】
いくつかの態様では、拡張脊椎融合ケージの構成要素のいくつか又は全てが3D印刷される。付加製造とも称される、構成要素を3D印刷することは、特定の実施形態では、追加的な制御を拡張脊椎融合ケージの拡張若しくは膨張バッグ、又は風船状部分に提供する、極めて複雑な及び/又はカプセル化された幾何学的形状の生成を可能にする。下で更に詳細に考察されるが、拡張脊椎ケージデバイスの構成要素を3D印刷することは、同じ部品内での高い精度の複数の材料の生成、及び可変弾性特性制御を通して拡張挙動を較正する能力などの利益を提供する。追加的に、3Dプリントシステムは、複数の軸において、及び複数の基材に印刷するように再構成されることができ、これは、他の機能的デバイス、材料、及び基材へのハイブリッド印刷を可能にする。
【0050】
概説
ここで、本開示の例示的な態様として、2つのカテゴリの実施形態について説明する。第1のカテゴリは、弾性的に拡張する構造体を有する拡張脊椎融合ケージを含む。例えば、画定された形状及び構造体への制御された拡張を確実にするために特定の幾何学的形状を含む、一体型構造体である。例えば、現在のMIS法を使用して椎骨の間に挿入することができ、かつガス、流体、又は半固体材料の配合物によって膨張させて、単純な圧縮形状から、複雑で構造的な安定したケージデバイスに拡張させることができる、軟質物体である。第2のカテゴリは、拡張材料(例えば、織りバッグ又はメタ材料)の拡張を可能にするように配置された安定化構造体を含む、拡張脊椎融合ケージを含む。例えば、構造的な安定性及び制御を提供する3D印刷構造体を周囲に備えたバッグ又はパウチを椎骨の間に挿入して膨張させる、多材料システムである。例えば、メッシュバッグであって、つぶれることができる3D印刷構造体又は足場が、メッシュバッグ又はパウチの膨張に対する物理的支持として作用するメッシュ材料の上へ直接印刷されている、メッシュバッグ。これらの2つのカテゴリは、互いに異なる必要はなく、本開示のいくつかの態様は、両方のカテゴリの特徴を有する実施形態、例えば、弾性材料の拡張を可能にするように配置された安定化構造体を含む。
【0051】
本開示の特定の態様は、椎間に植え込まれて位置決めされるシステムの拡張脊椎融合ケージ/パウチ要素、並びに椎間腔におけるデバイスの膨張及び最終固定である第2の主な構成要素及び/又はプロセスを有する、「2部構成」システムを含む。いくつかの場合では、二次構成要素は、拡張脊椎融合ケージを椎間腔内へ挿入した後に膨張させるように使用される、注入可能な媒体であり得る。注入可能な媒体を使用して、ケージに必要とされる長期の安定性及び固定(例えば、椎間の圧縮又はつぶれに対する抵抗力)を提供することができ、例えば、DePuy Synthes SMARTSET PMMA骨セメントなどの、当業者に知られている骨セメント又は他の好適な媒体であり得る。本開示の態様はまた、ケージ材料によって生じる任意の潜在的な拒絶/炎症を潜在的に弱めながら機能性を高める、追加的な医薬化合物及び/又は抗生物質を伴う注入可能な媒体とともに使用されるように構成された、拡張脊椎融合ケージを含む。更に、特定の態様は、制御された方式で変形又は拡張する構造体を作成するために、弾性材料及び複雑な幾何学的形状と組み合わせた3D印刷材料の使用を含む。
【0052】
図1A及び図1Bは、本開示の態様による、2つの異なる拡張脊椎融合ケージの実施形態の例である。図1Aは、内部容積120を画定する本体110を含む拡張脊椎融合ケージ100を示す。拡張脊椎融合ケージ100(本明細書では、拡張ケージとも称される)は、拡張状態で示されており、それによって、本体110は、膨張材料が内部容積120内へポンプ圧送された結果として、初期つぶれた状態(図示せず)から拡張している。本体110はまた、膨張動作中に膨張材料(例えば、骨セメント、ガス、液体、など)を内部容積120に送達することを可能にする、内部容積120へのアクセスポート140を画定する。いくつかの場合では、拡張ケージ100の本体110は、つぶれた状態から拡張状態に弾性的に拡張するように構成されている。いくつかの場合では、拡張ケージ100の本体110は、単一の材料から構築され、拡張ケージ100をつぶれた状態から椎間腔の拡張状態に弾性的に拡張するように構成されている。
【0053】
図1Bは、本開示の態様を有する別の拡張脊椎融合ケージ200を示す。拡張脊椎融合ケージ200は、内部容積220を画定するテキスタイル基材230と、テキスタイル基材230(例えば、拡張構造体)を少なくとも部分的に抑制して拡張ケージ200の外部サイズ及び形状を画定する安定化構造体210と、を含む。拡張ケージ200は、拡張状態で示されており、それによって、安定化構造体210及びテキスタイル基材230は、膨張材料が内部容積220内へポンプ圧送された結果として、初期つぶれた状態(図示せず)から拡張している。拡張ケージ200はまた、膨張動作中に膨張材料(例えば、骨セメント、など)を内部容積220に送達することを可能にする、内部容積220へのアセスポート240を画定する。
【0054】
実施においては、インプラントを受容するように患者の椎間腔を準備した後に、椎間腔への限られた空間アクセス寸法を通過するために、拡張ケージ100、200をつぶれた状態で椎間腔内へ挿入することができる。挿入後に、膨張材料を拡張ケージ100、200の内部容積120、220内へ注入し、それによって、拡張ケージ100、200をつぶれた状態から最終拡張状態に変形させることができ、最終拡張状態は、特定の患者の椎間腔の特性のため、必ずしも図1Aの初期拡張状態であるとは限らない。代わりに、図1A及び図1Bは、拡張ケージ100、200を椎間腔の外側で膨張させる「自由」拡張状態、又は拡張ケージ100、200が、椎間腔内で膨張されたときの拡張ケージ100、200の設計されたサイズ及び形状を例解する「設計」拡張状態、の両方のうちの1つを例解することができる。いくつかの場合では、自由拡張状態及び設計拡張状態は異なり得るが、他の場合では、それらの状態は同様であり得る。実施においては、椎間腔における拡張ケージ100、200の真の最終形状は、拡張ケージ100、200の幾何学的形状、並びに本体110(図1A)、足場210、及び/又はテキスタイル基材230(図1B)が構築される材料に依存する、自由拡張状態及び設計拡張状態の両方の組み合わせであり得る。
【0055】
弾性拡張ケージの実施例
図2A及び図2Bは、それぞれ、弾性拡張ケージデバイスの実施形態のつぶれた状態及び拡張状態の例である。図2Aは、つぶれた状態にある拡張ケージ100を示し、図2Bは、拡張状態にある図2Aの拡張ケージ100を示す。この例では、つぶれた状態(図2A)の拡張ケージ100の本体110の高さ118は、拡張状態(図2B)の本体110の高さ119と比較して低減されている。実施においては、膨張材料(例えば、骨セメント、など)は、つぶれた状態にある本体110の内部容積120内へポンプ圧送することができ、図2Bに示されるように、膨張材料の圧力は、本体110をつぶれた状態から拡張状態に変形させることができる。
【0056】
いくつかの場合では、本体110は、拡張ケージ100がつぶれた状態から拡張状態に弾性的に拡張することを可能にするのに十分な弾性を有する材料から作製することができる。いくつかの場合では、本体110は、本体の一部分だけが変形した状態で本体110を拡張及び縮小させることを可能にする形状で構築することができる。例えば、本体110は、ベローズ部分を有することができる。いくつかの場合では、本体110は、本体110を拡張又は縮小させるために本体の材料の弾性を必要としないように、1つ又は2つ以上の拡張接合部とともに構築することができる。いくつかの場合では、本体は、拡張ケージ100がつぶれた状態から拡張状態に弾性的に拡張することを可能にするのに十分な弾性を有する材料で構築することができる。いくつかの場合では、弾性拡張ケージ100はまた、骨移植片などの材料を拡張ケージ100と一体化することを可能にすることができる、本体110を通る1つ又は2つ以上のボイドチャネル170を画定することができる。かかるチャネルはまた、植え込みとその後の外科処置を通して、患者の骨の自然な成長(例えば、融合プロセスの促進)を可能にすることができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、拡張ケージ100は、最初に拡張状態であり、椎間腔内へ挿入するためのより小さいつぶれた状態に変形させ、その後に、膨張材料によって新しい拡張状態に膨張させるように構成することができる。いくつかの実施形態では、本体110は、拡張ケージ100をつぶれた状態に変形させる(例えば、折り畳む、丸める、押しつぶす、など)ことを可能にするように弾性変形させることができる材料で構築することができる。いくつかの場合では、拡張ケージ100は、椎間腔への挿入中に最初に初期拡張状態からつぶれた状態に変形し、その後に、初期拡張状態のサイズを少なくとも部分的に超える最終拡張状態に弾性的に拡張するように構成することができる(例えば、拡張ケージ110の本体110の少なくとも一部は、膨張動作中に、最終拡張形状に弾性的に拡張させることができる)。いくつかの場合では、膨張動作後に椎間腔内の拡張ケージ100の実際の形状は、少なくとも部分的に、患者の脊柱の特性(例えば、本体110が椎骨の体積及び/又は形状まで形成する)、膨張媒体の最終膨張圧力、並びに本体110の材料及び幾何学的特性(例えば、より厚い本体110の領域は、相対的により薄い領域よりも拡張が少ない)の関数である。
【0058】
図3A図3Cは、異なる形状プロファイルを有する弾性拡張ケージデバイスの実施形態の例である。拡張ケージ100、200のサイズ及び形状は、多くの異なる方式で構成することが可能である。例えば、拡張ケージ100、200は、患者の骨の解剖学的構造のために特別に設計された形状を有することができる。また、拡張缶100、200は、例えば、膨張時に椎間腔を修正するように、又は椎間腔内に存在する既存のインプラント若しくはデバイスとインターフェースするように設計された拡張形状を有することができる。以下は、修正することができる拡張ケージ100、200のパラメータを例解する3つの例であるが、本開示の態様は、多くの異なる方式で修正することができ、本実施形態は、所与の用途又は患者のために設計又はカスタマイズすることができるパラメータのタイプの非限定的な例に過ぎない。いくつかの場合では、拡張ケージ100、200は、膨張のための1つを超えるチャンバを有することができ、当該チャンバは、互いに接続している場合、又は接続していない場合がある。これは、図10E及び図10Fにより詳細に示されている。いくつかの場合では、複数のチャンバは、複数のチャンバのうちの特定のものに選択的に充填して、患者の解剖学的構造(例えば、患者の脊柱)の特定の形状に適合する、又はそれを増強することを可能にすることができる。
【0059】
図3A図3Bは、患者のニーズに応じて様々な前弯角、垂直角、水平角(占有面積)、及び面角の選択肢を提供するための、本開示の異なる態様を例解する。図3Aは、例えば、略円筒形の形状であり、略同じサイズ及び配向の頂面351及び底面361を画定する本体311を有する拡張ケージ301を示し、本体311の高さ318は、底面361と頂面351との間にわたる。拡張ケージ301は、拡張状態で示されているが、拡張形状の図1A及び図2Bの拡張ケージ100の高さ119と比較して、図3Aの拡張ケージ301は、例えば、椎間腔の高さが低い患者と一体化されるように設計され得る、低減された高さ318を画定する。
【0060】
図3Bは、略円筒形の形状であり、図3Aの配置と比較して略同じサイズであるが配向が異なる頂面352及び底面362を画定する、本体312を有する拡張ケージ302を示す。図3Bでは、拡張ケージ302は、拡張状態で示されており、頂面352は、例えば、対向する椎骨表面に対して同様に傾斜した角度を有する患者の隣接した椎骨表面と一体化する(例えば、拡張ケージ302の底面362と一体化する)ように設計され得る、傾斜面382を画定する。換言すれば、いくつかの実施形態では、拡張ケージの様々な表面又は面は、互いに平行であり得るが、他の実施形態では、様々な表面又は面は、互いに対して非平行、例えば、傾斜、垂直、などであり得る。図3Bの例示される実施例では、一例として、ケージ302の上面又は頂面352は、ケージの下面又は底面362に対して傾斜し得る。更に、いくつかの実施形態では、ケージ302は、非対称形状、又は少なくとも1つの観点で非対称である形状を有することができる。例えば、図の観点から、図3Bのケージ302の右半分は、ケージの左半分と対称ではない。
【0061】
図3Cは、略円錐形の形状であり、図3Aの配置と比較してサイズが異なるが同様の配向である頂面353及び底面363を画定する、本体313を有する拡張ケージ303を示す。図3Cでは、拡張ケージ303は、拡張状態で示されており、頂面353と底面363との間の対応するサイズ差を画定する、円錐形周囲面338を画定する。
【0062】
いくつかの場合では、拡張ケージの高さ318、傾斜328、又はテーパ338(又は当業者に確実に知られているパラメータ)のうちの1つ又は2つ以上は、例えば患者のためのカスタム拡張脊椎融合ケージを製造するために拡張ケージの挿入前に測定又は決定することができる、特定の患者の解剖学的構造の関数として設計することができる。
【0063】
図4A及び図4Bは、拡張状態における弾性拡張ケージデバイスの実施形態の斜視図及び断面図である。図4Aは、弾性拡張脊椎融合ケージ400を示しており、当該ケージは、弾性拡張ケージ400がつぶれた状態(図示せず)から図4A及び図4Bに示される拡張状態に弾性的に拡張することを可能にする弾性特性を有する材料から製造された本体410を含む。弾性拡張ケージ400の本体410は、略6面形状を画定し、5つの平坦面450がコーナー部において接触し、第6の側面が、図4Bに示されるように、膨張材料を本体410の内部容積420に送達することを可能にするように構成された膨張バルブ440を画定する。図4Bは、本体410を貫通する膨張チャネルによって内部容積420に接続された、膨張バルブ440を示す。本体410は、内部容積420を形成する複数の内壁突起411を画定する。内壁突起411は、本体411の可変厚さを画定し、可変厚さは、膨張動作中の弾性拡張ケージ400の異なる拡張率を制御する。
【0064】
図5A及び図5Bは、椎間腔内の拡張ケージの固定を強化するための追加的な特徴を有する別の弾性拡張ケージ実施形態の斜視図及び断面図である。図5Aは、弾性拡張ケージ500を示しており、当該ゲージは、弾性拡張ケージ500がつぶれた状態(図示せず)から図5A及び図5Bに示される拡張状態に弾性的に拡張することを可能にする弾性特性を有する材料から製造された本体510(例えば、バルーン)を含む。弾性拡張ケージ500の本体510は、略6面形状を画定し、5つの平坦面がコーナー部において接触し、第6の側面が、図5Bに示されるように、膨張材料を本体510の内部容積520に送達することを可能にするように構成された膨張バルブ540を画定する。本体510の頂面550及び底面(図5Bでは560)は、固定を向上させ、かつ埋め込み後のケージの移動を防止することができる頂面550の表面にテクスチャを画定する、複数の交差した突起551を含む(例えば、テクスチャ加工された表面は、それらが配設される椎骨エンドプレートをより良好に握持すること、又はそれとのより多くの摩擦を提供することができる)。ケージはまた、頂面550から底面(図5Bでは560)にかかる複数のボイドチャネル571を含む。上述したように、これらのボイドチャネルを利用して、インプラントを通した骨の成長を促進すること、並びに様々な骨誘導剤又は別様に治療剤を包装して送達することができる。いくつかの場合では、本体510は、本体510に取り付けられる追加的な構造的構成要素を有するように構成され、かつ椎間腔における固定を向上させるように構成されている。例えば、本体510の対応する頂面及び底面に取り付けられる、金属及びプラスチック構成要素などの頂部及び底部プレートである。
【0065】
図5Bは、本体510を貫通する膨張チャネル541によって内部容積420に接続された、膨張バルブ540を示す。本体510は、内部容積520を形成する複数の内壁突起511を画定する。内壁突起411は、本体511の可変厚さを画定し、可変厚さは、膨張動作中の弾性拡張ケージ500の異なる拡張率を制御する。本体510はまた、頂面550と底面560との間にかかる複数のボイドチャネル571を画定する。上述したように、ボイドチャネル571は、直接的な材料の接続が、椎間腔内の弾性拡張ケージ500全体にわたって、例えば2つの対向する椎骨面間に存在することを可能にすることができる。直接的な材料の接続を使用して、例えば、植え込まれた後の弾性拡張ケージ500の周りの骨化を促進するために、骨移植片の包装、及び骨移植片材料の椎間腔への送達を可能にすることができる。
【0066】
図6A図6Cは、可変拡張率を制御するための、更には最終的な骨の一体化を可能にするために、格子構造体を弾性拡張環状(例えば、ドーナツ形状)本体の中央に含む、弾性拡張ケージデバイスの代替の実施形態の例である。図6Aは、つぶれた状態にある環状本体610を含む弾性拡張脊椎融合ケージ600を示す。本体610の中央には、本体610に結合された格子構造体680がある。図6Bは、拡張状態にある弾性拡張ケージ600を示しており、本体610は、膨張媒体が充填された後に弾性的に拡張している。いくつかの実施形態では、格子構造体680は、膨張プロセス中に延伸させるか、又は別様に変形させることができる。
【0067】
実施においては、格子構造体680の構造及び材料特性は、例えば、水平拡張よりも大きい垂直拡張を可能にすることによって、又は格子自体及び/又は格子680への本体610の接続の関数である動的な寸法関係のいくつかの他の組み合わせによって、本体610の拡張率及び/又は最終形状を制御することができる。図6Cは、本体の内部容積620が可視である、弾性拡張ケージ600の透視図を示す。図6Cは、図6Aの初期のつぶれた状態からの格子680、そして全体としてデバイスの拡張が垂直方向(V)に生じ、水平方向(H)においては格子680の対応する拡張がより少ない(又は負である)ことを示す。本体610の拡張時の他の抑制は、格子構造体680の特性又は構造を変化させることによって、例えば限られた垂直拡張を伴う水平拡張を可能にすることによって達成することができる。
【0068】
図7A図7Dは、椎間板を弾性拡張ケージデバイスと置換するための例示的な処置の例である。図7Aは、変性した椎間板材料799が椎間腔791から除去される、患者の脊柱790のセクションを示している。次に、図7Bに示されるように、インプラント器具780を使用して、弾性拡張脊椎融合ケージ100が、つぶれた状態又は抑制状態にある間に、不要物が除去された椎間腔791内に植え込まれて、位置決めされる。次に、図7Cに示されるように、膨張媒体719(例えば、医療セメント又は骨セメント)が、弾性拡張脊椎融合ケージ100内へポンプ圧送されて、拡張ケージ100の弾性拡張を生じさせる。拡張ケージ100に膨張媒体719が充填されたとき、当該膨張媒体は、椎間腔791の固体重量支持構造体を提供することができる。図7Dは、手術後の患者の脊柱790を示しており、拡張ケージ100の本体110の弾性材料は、経時的に生体再吸収され、硬化したセメント719を足場として使用して、隣接した椎骨の間に形成される患者自体の骨物質798をもたらしている。
【0069】
例示的な材料
弾性拡張ケージ100の実施形態のための材料の選択は、少なくとも部分的に、所望の設計要件の関数である。例えば、材料は、内部圧力、化学物質、及び注入された媒体からの熱に耐えなければならない。いくつかの場合では、拡張は、最高800N、及び他の場合では最高100N、及び他の場合では最高1500Nの圧力を生成し得る。加えて、材料は、つぶれた状態から拡張状態への所望の拡張を提供するために、弾性的に拡張可能でなければならない。いくつかの実装形態では、弾性ケージの本体材料は、破裂せずに最大約280%に拡張することが可能であり得る。いくつかの場合では、弾性拡張ケージ100は、最高約25バールの膨張圧力に耐えることが可能であり得る。いくつかの場合では、弾性拡張ケージ100は、最終位置にある時点で最高約16,000Nの圧力に、及びその後の骨セメントの硬化に耐えることが可能であり得る。いくつかの場合では、材料は、あまり堅牢でない場合がある。例えば、拡張ケージ100は、低圧の下で膨張させ、次いで、膨張材料(例えば、骨セメント)を固化させる。この場合、拡張ケージ100は、膨張材料が流体である場合に見られるものほど高い内部圧力に耐える必要はない。これらの場合、ケージデバイス全体の構造的完全性と対照的に、本体の壁の材料の圧縮応力能力だけが試験される。
【0070】
いくつかの実装形態では、拡張本体110は、つぶれた状態(例えば、予備拡張させた状態)で製造され、次いで、破裂せずに拡張状態への膨張(例えば、拡張)に耐えるように構成することができる。いくつかの実装形態では、弾性体110は、椎間腔内で拡張するときに、破裂せずに拡張するように構成することができる。いくつかの場合では、弾性拡張ケージ100の本体110は、(例えば、容積又は外部線寸法によって測定して)2倍超のサイズに成長し得る。いくつかの実装形態では、本体110は、拡張状態で製造されて、裂けずに又は別様に破損せずにつぶれた状態への圧縮に耐えるように構成することができる。いくつかの実装形態では、本体110の材料は、分解せずに(例えば、殺菌中に)任意の予想温度又は化学的因子に耐えることが可能であり得る。いくつかの実装形態では、化学的因子は、本体とともに使用される膨張媒体の関数であり得る。いくつかの実装形態では、拡張ケージ100の材料は、例えば生体適合性について米国薬局方(US Pharmacopeia、USP)クラスVI基準を満たす、生体適合性であり得る。
【0071】
いくつかの実装形態では、弾性拡張ケージ100の本体110の材料は、膨張材料が埋め込み領域を汚染する、又は制御不能に漏出するのを防止することができる。いくつかの場合では、本体110の材料は、膨張媒体を患者の身体に曝露するように構成することができるが、膨張媒体は、生体適合性であることを必要とする。例えば、本体110は、拡張ケージ100の本体110に細孔を含むことができ、又は本体110自体の材料を多孔質材料とすることができる。
【0072】
拡張脊椎融合ケージの実施形態の例示的な材料としては、医療要件及びデバイスの機能的要件の両方を満たすことができるポリマーを挙げることができる。例えば、ポリイソプレン(例えば、キャリフレックスポリイソプレン)は生体適合性要件を満たし、高い伸長特性を呈することができ、それによって、必要とされる拡張率(例えば、最高で約280%)を可能にする。ポリイソプレン(例えば、合成ラテックス)もまた、拡張ケージで使用するための十分なヤング率を呈することができる。いくつかの場合では、拡張ケージ100のポリイソプレン本体110は、バット重合技術及び/又は材料噴射技術を使用して3D印刷することができる。
【0073】
追加的に、いくつかの場合では、ピコドットサイズの堆積物を印刷する方法を使用してポリイソプレン噴射することができ、これは、本体110の噴射されたポリイソプレンがその機械的特性を保つことを可能にする。いくつかの場合では、半多孔質の幾何学的な微細構造を3D噴射ポリイソプレン内に構築して、生体再吸収率をより良好にエンジニアリングすることができる。ポリエステル及びPETは、本開示の様々な態様及び実施形態で利用することができる、医療用途で共通に使用される他の生体適合性材料及び生分解性材料である。例としては、生体適合性でありかつ吸収可能なことが知られている、脂肪族ポリエステル(例えば、PLLA、PLA、PLGA、PGA、PDS、PCL、など)が挙げられる。いくつかの場合では、印刷構造体とともに含まれる追加的な材料は、ケージデバイスの骨結合が向上するように、又はより速く生じるように、周囲組織から応答を生じさせることが可能である。いくつかの場合では、追加的な材料は、印刷プロセスを通して少量で使用され、好ましい効果を提供することができるが、大量に使用された場合には、生体適合性などの他の問題を生じさせ得る。いくつかの場合では、上記の材料と組み合わせて、又はその代わりに、光硬化性構築物(例えば、ウレタンリンケージを伴うアクリレート足場、など)並びにシリコーン材料が使用される。
【0074】
3D印刷技術
本開示の特定の態様は、本明細書に開示される実施形態による、拡張脊椎融合ケージの構造体のうちのいくつか又は全てを3D印刷する方法を含む。上で特定された弾性拡張ケージに関して、バット押し出し、選択的レーザ焼結、及び材料噴射、及びステレオリソグラフィが挙げられるが、これらに限定されない、複数の異なる3D印刷技術を使用することができる。
【0075】
メタ材料を有する拡張ケージの実施例
図8A図8Dは、拡張プロセスを示すメタ材料ケージ(すなわち、複数の材料のハイブリッド特性から形成された、又はそれを有する)実施形態の一実施形態の例である。図8Aは、拡張前又はつぶれた状態にある拡張ケージ200を示しており、拡張ケージ200は、拡張ケージ200の本体に配設された膨張バルブ240とほぼ同じサイズである内径280を有する、略管形状を有する。この拡張前状態では、拡張ケージ200は、既存の最小侵襲手術手技を介して椎間腔(例えば、図7Aの791)に挿入することが可能であるようにサイズ決定及び成形されている。拡張ケージ200は、テキスタイル基材230として示される拡張構造体と、3D足場210のネットワークとして示されるテキスタイル基材230の周りに巻き付けられた安定化構造体と、を含むことができる。いくつかの場合では、テキスタイル基材230は、織りテキスタイル基材であり得る。テキスタイル基材230は、テキスタイル基材230を拡張させるための膨張媒体を受容するように構成することができる内部容積220を画定する。テキスタイル基材230は、より大きいサイズへの膨張が可能であり得、3D足場210は、テキスタイル基材230とともに拡張するように、又は別様に3D足場210がテキスタイル基材230の更なる拡張を抑制するまで、テキスタイル基材230の拡張を可能にするように構成することができる。
【0076】
つぶれた状態では、テキスタイル基材230及び3D足場210はどちらも、小さい体積に圧縮して、拡張ケージ200を椎間腔に挿入し、その後に、図8Bに示されるように、膨張媒体を使用してより大きいサイズに膨張させることを可能にすることができる。いくつかの場合では、3D足場は、膨張プロセス中のテキスタイル基材230の異なる拡張率を制御することができる。いくつかの場合では、3D足場は、図8C及び図8Dに示されるように、テキスタイル基材230の更なる拡張を制限することによって、拡張ケージ200のサイズ及び形状を少なくとも部分的に画定することができる。
【0077】
図8Bでは、膨張媒体は、(矢印271によって示されるように)拡張ケージ200の内部容積220内へ注入される。拡張ケージ200には、膨張媒体を充填することができ、膨張媒体からの圧力が、テキスタイル基材220を拡張させることができる。テキスタイル基材230が3D足場210内で拡張するとき、3D足場もまた、拡張するか、成長するか、開くか、又はさもなければテキスタイル基材230の拡張を制御する。いくつかの場合では、拡張ケージ200は、二重膨張システムを含み、これは、膨張材料が充填されるように構成されたコア膨張領域と、生物学的効果を提供するための抗炎症剤又は他の媒体が充填されるように構成された外側膨張領域と、を含む。
【0078】
図8Cは、拡張状態にある拡張ケージ200を示しており、拡張ケージ200内へポンプ圧送された膨張材料の圧力が設計圧力に到達した結果として、テキスタイル基材230及び3D足場210が、設計されたサイズ及び形状まで拡張している。図8Cは、所与の長さスケール818を有する拡張ケージ200を示しており、いくつかの場合では、テキスタイル基材及び3D足場210の材料特性並びにサイズ及び形状、並びに膨張材料の圧力の関数である。例えば、図8Dは、別の拡張ケージ201を示しており、図8Cの拡張ケージ200と同じテキスタイル基材210を有するが、拡張状態において拡張ケージ201の異なる長さスケール819をもたらす異なる3D足場211を有する。テキスタイル基材230及び3D足場210の特定の構造に応じて、拡張ケージ200の任意の数の最終形状及びサイズが可能である。いくつかの実施形態では、拡張ケージ200の外面に細孔が存在しており、これらは、いくつかの例解では、拡張ケージ200の内部の圧力が閾値又は最終圧力に到達するまで、材料が椎間腔に滲出するのを可能するように開口しない。
【0079】
しかしながら、いくつかの場合では、3D足場230は、拡張ケージの必要なパラメータに応じて、拡張ケージ200の拡張並びに/又は最終形状及びサイズを抑制する、制御する、又は別様に制限するように構成することができる、剛性安定化構造体であり得る。いくつかの場合では、テキスタイル基材230は、弾性拡張材料であり得る。いくつかの場合では、テキスタイル基材230は、非弾性であり得、また、「つぶされた」又は別様に他のコンパクト化された形状から最大体積形状に膨張することによって、つぶれた状態から拡張状態に拡張するように構成することができる。いくつかの場合では、テキスタイル基材230は、多孔質であり得、また、例えば膨張媒体と椎間腔の表面との融合を促進するために、テキスタイル基材230にわたる膨張媒体の移送を可能にすることができる。
【0080】
図9A図9Dは、剛性外部安定化構造体として形成された外部3D足場を有する、2つの代替的な拡張ケージデバイスの実施形態の概略断面図である。図9Aは、織りテキスタイル基材230を少なくとも部分的に取り囲む剛性外部構造体910を有する、拡張ケージ900を示す。剛性外部構造体910は、図9Bに示されるように、剛性頂部容器918と、剛性底部容器919と、を含み、これらは、織りテキスタイル基材230を膨張させたとき、延在継手910を介して、互いに離れて拡張することができる。いくつかの場合では、剛性頂部容器918及び剛性底部容器919は、織りテキスタイル基材230の膨張中に互いに対して単一の自由度で摺動する箱状構造体であり、延在継手910は、例えば図9Bに示される延在を越えた分離を防止するように構成された、箱状構造体の間の重なり部分である。いくつかの場合では、剛性頂部容器918及び剛性底部容器919は、頂面部材及び底面部材であり、これらは、図9A及び図9Bに示される単一の自由度の延在で剛性頂部容器918及び剛性底部容器919を少なくとも抑制するように構成された2つ又は3つ以上の個々の延在継手910によって接続される。
【0081】
図9Cは、2つ又は3つ以上の入れ子式延在機構912を介して剛性底部要素929に接続された剛性頂部要素928を含む剛性外部安定化構造体を有する、拡張ケージ901の実施形態を示す。拡張ケージ901は、剛性頂部要素928と剛性底部要素929との間に織りテキスタイル基材230を含み、これは、図9Dに示されるように、膨張中に、入れ子式延在機構912の延在を介して、剛性頂部要素928と剛性底部要素929を互いから離れて並進させる。いくつかの場合では、入れ子式延在機構912は、剛性頂部要素928及び剛性底部要素929が、示されるように、入れ子式延在機構912のつぶれた長さの2倍を超える距離だけ互いから離れて拡張することを可能にするように、3つ又は4つ以上の入れ子式要素913a~cで作製することができる。入れ子要素は、各側に1つの長方形の入れ子要素、又は各側に複数の円筒形の入れ子要素のいずれかであり得る。
【0082】
図10A図10Dは、外部織りテキスタイル基材の拡張及び形状を抑制するために足場の形態で内部安定化構造体を有する、2つの代替的な拡張ケージデバイスの実施形態の概略断面図である。図10Aは、つぶれた状態において外部織りテキスタイル基材1030によって取り囲まれた内部拡張足場1010を含む、拡張ケージ1000を示す。外部織りテキスタイル基材1030は、複数のねじ山1060によって内部拡張足場1010に接続することができる。内部拡張足場1010は、図10Bに示されるように、内部拡張足場1010が設計最大延在サイズに到達するまで、外部織りテキスタイル基材1030の膨張によって拡張するように構成することができる。図10Bは、完全に拡張した内部拡張足場1010によって拡張状態に抑制されている、拡張外部織りテキスタイル基材1030を示す。実施においては、完全に拡張した内部拡張足場1010の形状が、膨張した外部織りテキスタイル基材1030の形状を画定することができる。いくつかの場合では、内部拡張足場1010の拡張は、拡張ケージ1000の全体的な拡張を制御するように構成することができる。
【0083】
図10Cは、つぶれた状態において外部織りテキスタイル基材1030によって取り囲まれた固定内部足場1011を含む、拡張ケージ1001を示す。外部織りテキスタイル基材1030は、複数の糸1060によって、固定内部足場1011に接続することができる。固定内部足場1011は、図10Cに示されるように、外部織りテキスタイル基材1030の拡張を設計された最大延在サイズに抑制するように構成することができる。図10Cでは、膨張した外部織りテキスタイル基材1030の形状は、固定内部足場1011の形状及び糸1060の長さの関数であり得る。
【0084】
いくつかの場合では、糸1060は、非弾性であり得る。他の場合では、糸1060は、弾性であり得、外部織りテキスタイル基材1030の膨張形状もまた、糸1060の弾性特性の関数であり得る。
【0085】
図10E及び図10Fは、複数の内部チャンバを有する、2つの代替的な拡張ケージデバイスの実施形態の概略断面図である。図10Eは、コア膨張可能構造体1031と、外部膨張可能構造体1030と、を含む、拡張ケージ1002の膨張可能部分を示す。コア膨張可能構造体1031は、膨張材料が充填されるように構成することができ、外側膨張構造体1030は、生物学的効果を提供するための抗炎症剤又は他の媒体で充填されるように構成することができる。
【0086】
図10Fは、個々に膨張させて外側膨張可能構造体1030の全体の形状を変化させることができる複数の異なるチャンバ1032a~dを含む外側膨張可能構造体1030を含む、拡張ケージ1003の膨張可能部分を示す。いくつかの場合では、異なるチャンバ1032a~dは、互いに流体連通している。いくつかの場合では、異なるチャンバ1032a~dは、互いに離れている。
【0087】
図10Gは、固定を向上させるために追加的な構造的構成要素1090が外側膨張可能構造体1030の頂面及び底面に取り付けられた、代替的な拡張ケージデバイス1004の実施形態の概略断面図である。追加的な構造的構成要素1090は、外側膨張可能構造体1030に取り外し可能に取り付けることができる。追加的な構造的構成要素1090は、椎骨面と係合するように構成することができる。
【0088】
図11A図11Dは、椎間板を、メタ材料(例えば、3D足場210及び織りテキスタイル基材230)を使用して構築された拡張脊椎融合ケージデバイス200と置換するための、例示的な処置の例である。図11Aは、患者の脊柱790のセクションを示しており、変性した椎間板材料799が椎間腔791から除去される。次に、図11Bに示されるように、インプラント器具780を使用して、拡張脊椎融合ケージ200を、不要物が除去された椎間腔791に植え込んで、位置決めすることができる。次に、図11Cに示されるように、膨張媒体719(例えば、医療用セメント又は骨セメント)を、拡張脊椎融合ケージ200内へポンプ圧送して、拡張ケージ200の拡張を生じさせることができる。拡張ケージ200に膨張媒体719が充填された(いくつかの実施形態では、その後に、膨張媒体を硬化させた)とき、当該膨張媒体は、椎間腔791の固体重量支持構造体を提供することができる。図11Dは、手術後の患者の脊柱790を示しており、融合及び骨結合は、織りテキスタイル基材230及び硬化した膨張媒体を骨組み構造体として使用して、隣接した椎骨の間に形成される患者自身の骨物質798をもたらしている。
【0089】
例示的な材料
既存の3D印刷アプリケーション及び技術は、布基材上への3D印刷を可能にすることができ、複雑な印刷構造体を生地上へ組み込むことを可能にすることができる。例えば、ファッション産業では、衣類を3D印刷することができ、硬質の幾何学的な形状(例えば、3D印刷構造体)及び軟質のドレープ性基材(例えば、生地)の組み合わせを組み合わせて、新しい人間工学的で審美的な可能性を提供することができる。かかる技術は、更なる一例として、3D印刷されて織られた構成要素の正確な設計及び当該構成要素間のインターフェースを通して、衣服が身体上をどのように移動するかを制御することを可能にすることができる。追加的に、かかる技術は、テキスタイル上への3D印刷を利用して、プログラム可能なテキスタイル、例えば形状記憶の形態を有する生地を作成することができる。
【0090】
更なる一例として、いくつかの実施形態では、予め応力付与したテキスタイル基材上へ材料トラックを可変厚さで印刷することができる。テキスタイルを緩和状態にした時点で、印刷された幾何学的形状は、収縮を抑制し、それによって、生地を、設計された、予め規定された形態に誘導することができる。
【0091】
いくつかの場合では、メタ材料の解決策のための材料は、テキスタイル基材の織りポリエステル(例えば、拡張構造体又は図8A図8Dのテキスタイル基材230)、及び3D印刷足場のポリエステル複合材又はポリイソプレン(例えば、安定化構造体210又は図8A図8Dの3D足場210)の組み合わせであり得る。いくつかの実装形態では、材料は、例えば生体適合性について米国薬局方(USP)クラスVI基準を満たす、生体適合性であり得る(又はかかる標準を満たすように配合され得る)。
【0092】
いくつかの場合では、固定方法としてセメントが使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、既存の医療用セメントが好適であり得る。いくつかの場合では、圧力下で恒久的に膨張させたデバイスを体内に維持するのを防止するために、医療用骨セメントなどの固体固化化合物を使用して、拡張ケージデバイスの最終拡張位置を固定することができる。いくつかの場合では、ヒドロゲル及び他のゼラチン状材料が充填剤として使用され、これらは、例えば、高温で挿入して、体温で固化させることができる。いくつかの場合では、充填剤材料の相変化温度は、特定の用途に合わせて調整される。いくつかの場合では、充填剤の圧縮性を変化させるために材料を加熱する電子デバイスが追加され、これは、例えば、充填剤の局所的な圧縮性を変化させるために、選択的なチャネルにおいて行うことができる。
【0093】
いくつかの場合では、メタ材料拡張ケージ200の材料は、3D印刷足場を損なわずに、又は織り基材を損なわずに、小さいフォームファクタに圧縮する、丸める、又は折り畳むことが可能であり得る。いくつかの場合では、織りテキスタイル基材230(例えば、拡張構造体)は、つぶれた状態から拡張状態まで、体積が少なくとも約280%拡張するか又は開くことが可能であり得る。いくつかの場合では、3D印刷足場(例えば、図8A図8Dの3D足場210の安定化構造体)は、ケージの拡張を可能にするためのある程度の可撓性を提供するようにサイズ決定及び成形することができる。
【0094】
いくつかの場合では、テキスタイル基材(例えば、拡張構造体又は図8A図8Dのテキスタイル基材230)の織りは、織り密度の正確な制御を可能にして、膨張媒体(例えば、骨セメント)の注入物がテキスタイル基材の織りを通して急速に又は制御不能に漏出しないことを確実にするようにサイズ決定及び成形することができる。いくつかの場合では、織りテキスタイル基材は、ポリエステル繊維から構築することができる。いくつかの場合では、ポリエステル繊維は、骨セメントの注入中に受け得る高い圧力を支持するために、約580MPaを超える抗張力、及び少なくとも約50%の伸長率を有することができる。
【0095】
3D印刷技術
本開示の特定の態様は、本明細書に開示される実施形態による、拡張脊椎融合ケージの構造体のうちのいくつか又は全てを3D印刷する方法を含む。上で明らかにしたメタ材料ケージの実施形態に関して、溶融堆積モデリング、材料噴射、及び3Dデジタル製織が含まれるが、これらに限定されない、複数の異なる3D印刷技術を使用することができる。また、本明細書で説明される他の3D印刷技術又はそれらの組み合わせも、本開示の態様による拡張ケージの様々な構造体を生成するために使用することができる。
【0096】
キルヒホッフ-プラトー表面
拡張脊椎融合ケージの製造において使用するための、具体的には、上記のメタ材料の実施形態のための3D印刷の1つの例示的な方法としては、キルヒホッフ-プラトー表面の使用が挙げられる。いくつかの場合では、本開示のテキスタイル基材(例えば、図8A図8Dの230)は、3D足場の有無にかかわらず、キルヒホッフ-プラトー表面を画定又は利用することができる。キルヒホッフ-プラトーを使用する例示的な方法は、プログラム可能な2Dネット又はキルヒホッフ-プラトー表面をエンジニアリングして3D印刷することによって、3D構造体を作成することを含む。本方法は、デジタル設計環境において3D印刷される拡張ケージ設計の3D構成要素を2Dネット構造体にシミュレーション及び平坦化することを含むことができる。その後、3D印刷された幾何学的形状又はシステムのトラック(例えば、3D足場230)を、張力下で織り基材(例えば、テキスタイル基材230)上へ設定することができる。張力が解放された時点で、3D印刷構造体は、ポリエステル基材の収縮及び変形を制御することができる。この変形は、初期のコンピュータ支援設計(computer aided design、CAD)段階中にプログラム及びシミュレーションすることができる。
【0097】
キルヒホッフ-プラトー表面を製造する1つの例示的な方法は、3Dネットを平編みし、それによって、2D製造プロセスが3D構造体を作成することである。この方法は、最初に2D材料を製造し、次いで、3Dネットを形成するので、3D構造体を直接製造することとは対照的に、コンフォーマル織り基材上へトラックを3D印刷するための代替的な解決策を提供する。この場合、3Dデジタルオブジェクト(例えば、拡張脊椎融合ケージの拡張構造体又は安定化構造体)を、ネットへと平坦化させ、続いて、コンフォーマル織り基材の2D製織を行うことができる。次いで、プログラム可能なテキスタイルプロセスにおいて、三次元トラックを基材上へ印刷することができる。いくつかの実施例では、3D編み込み構造体は、平坦なネット形状を製織し、次いで、二次プロセスにおいて、ネットを最終3D製品に引き入れる又は形成することによって製造することができる。実施においては、ネットは、張力下で、平坦なテキスタイル基材上へ3D印刷することができ、基材を張力から解放することで、ネットの所望の三次元形状への制御された変形をもたらすことができる。2D編み込みネットから、織り構造体、機械的挙動、及び3D幾何学的形状に関して高度な複雑さを達成することができる。
【0098】
キルヒホッフ-プラトー表面を製造する別の例示的な方法は、足場又はトラックネットワークをテキスタイル基材上へ3D印刷するための、熱可塑性物質の融合堆積を含む。この方法は、外力又は二次プロセスから独立してその最終形態をとるように3Dネットをプログラムすることによって、2Dネット形状を有する機能に別のステップを提供することができる。張力下での3D印刷抑制トラック及びテキスタイル基材の組み合わせを通して、高レベルの複雑さを達成することができる。
【0099】
キルヒホッフ-プラトー表面を製造する更に別の例示的な方法は、材料噴射によるものであり、それによって、インク又は他の材料のジェットを使用して、生地上に3Dレリーフ構造を作成する。いくつかの場合では、インクは、高温で噴射してインクが冷えるときに固化されるか、又は光触媒を含み、UV光源によって固体に硬化されるかのいずれかであり得る。いくつかの場合では、1つ又は2つ以上の材料を、ポリエステル基材上へ噴射して極めて高い層高さ分解能(例えば、約14ミクロン)を達成して、本開示の拡張脊椎融合ケージの特定の態様の複雑な幾何学的形状、足場、及びトラックを作成することができる。
【0100】
管状編み込み構造体
拡張脊椎融合ケージの構造体を3D印刷する別の例示的な方法としては、管状編み込み構造体を使用することが挙げられる。いくつかの場合では、拡張構造体は、1つ又は2つ以上の管状編み込み構造体から構築された織りテキスタイル基材230であり、安定化構造体210は、管状編み込み構造体上へ3D印刷される足場である。
【0101】
3D足場構造体を管状編み込み構造体上へ生成する1つの例示的な方法としては、2段階ハイブリッド製造手法を使用することが挙げられる。最初に、3D編み機が管状構造体を織って、管状編み込み構造体を形成するコンフォーマルバルーン又はパウチを作成することができる。いくつかの場合では、この管状編み込み構造体は、ポリエステルで作製することができる。その後、管状編み込み構造体を3D編みシステムから取り外してマンドレル上へ配置することができ、それによって、二次3D印刷プロセスが、管状編み込み構造体にわたって3D足場の幾何学的形状を印刷することができる。3D印刷構成要素(例えば、3D足場又は安定化構造体210)は、医療用セメント又は他の膨張媒体の注入を通して膨張させるときの管状編み込み構造体(例えば、拡張構造体)の正確な拡張を制御し、かつ確実にするため機構として機能することができる。
【0102】
足場をテキスタイル基材上へ3D印刷する1つの例示的な方法は、材料押し出しであり、それによって、テキスタイル基材をマンドレル上へ配置することができ、マンドレルが回転するときに、熱溶解積層ヘッドが、3D足場の幾何学的形状を管状編み込み構造体のテキスタイル基材上へ押し出すことができる。
【0103】
足場をテキスタイル基材上へ3D印刷する別の例示的な方法は、材料噴射を使用することであり、それによって、上述の材料押し出し法の押し出しヘッドを材料噴射ヘッドと置き換えることができる。材料噴射法は、より高い精度の材料堆積、層高さ分解能、及び印刷速度を提供することができる。更に、材料噴射プロセスは、複数の材料を同時に印刷することができ、これは、複数の埋め込み材料の印刷を提供することによって、設計の機能性を高めることができる。
【0104】
テキスタイル基材を3D印刷する例示的な方法は、デジタル製織システムを使用して織り基材を作成することである。三次元製織技術は、二次3D印刷トラック構成要素に対するバッグ及び基材として機能するように、コンフォーマル管状織り構造体を設計及び製造する能力を提供する。例えば、3D織機(loom)及び製織機械(weaving machine)は、3D空間において複数のフィラメントを製織することによって、複雑なカスタマイズされた管状メッシュ又は構造体を作成することができる。ステッチをピックアップ又はドロップすることによって、管の外周を部品の長さにわたって変化させ、それによって、複雑な管状構造体の設計を可能にすることができる。追加的に、デジタル製織法は、多管及び多分岐幾何学的形状を作成することができ、これは、多分岐脊椎ケージ設計を製造することを可能にする。
【0105】
いくつかの場合では、テキスタイル基材の複雑なネット又はバルーンは、代替的に、上で説明したテキスタイル製織に代わるものとして3Dエレクトロスピニングを使用して、3Dで製造することができる。エレクトロスピニングは、マンドレル(例えば、カソードとして作用する)と繊維エミッタ(例えば、アノードとして作用する)との間に電位を生じさせて、繊維(例えば、ナノ繊維)をマンドレルの上に堆積させることを含むことができる。エレクトロスピニングは、例えば図8A図8Dの拡張ケージ200のテキスタイル基材230の基材としての使用に好適な、生体足場及び極めて細くて強い繊維を作成することができる。3Dのテキスタイル基材をエレクトロスピニングすることはまた、ポリエステル繊維を(例えば、コラーゲン及びヒアルロン酸のような)有機材料に完全に置き換えることを可能にすることができる。
【0106】
下で説明するように、織り基材上の付加製造のいくつかの実施形態は、スピニングマンドレルを使用して、付加材料をその上に堆積させている間、基材を保持することができる。いくつかの実施形態では、ケージの拡張可能なセクションを作成するために回転円筒形状、立方体形状、又は球形状を使用するのではなく、3D印刷又は付加製造を使用して、所望の形状のマンドレル、例えば、例えばいくつかの観点では非対称であり得る、幾何学的に複雑なマンドレルを作成することができる。具体的にエレクトロスピニングを参照すると、導電層をマンドレルに追加してカソードを作成して、繊維の堆積を可能にすることができる。3D印刷マンドレルの使用は、エレクトロスピニング又は本明細書で説明される他の堆積技術のいずれかとともに、より複雑な拡張可能なセクション形状を可能にすることができる。
【0107】
3D印刷プロセス
下記は、拡張ケージデバイスの上述の実施形態を製造するために使用することができる、3D印刷又は付加製造プロセスの様々な実施形態に関する例示的な説明である。
【0108】
図12A図12Cは、拡張ケージデバイスを製造するための例示的な押し出しプロセスを例解する。図12A図12Cは、3D印刷システム1220及び別個の部品洗浄ステーション1290を使用した、押し出しプロセスのための生成装置1200を示す。3D印刷システム1220は、造形チャンバ1207と、懸濁液又は支持材料1206と、ポリイソプレン1203を含む押し出し装置1204と、及び3D印刷システム1220を制御するコンピュータ1201と、を含むことができる。いくつかの場合では、3D印刷システム1220は、支持容器1205が許容可能な範囲内にあることを可能にすることができる。
【0109】
実施においては、コンピュータ1201が、CADモデルを造形命令に変換することができ、これを3D印刷システム1220に送信する(1202)ことができ、そこで印刷部品1208を作成することができる。その後、押し出し装置1204を取り外して(1209)、洗浄ステーション1290に移送される前に、完成した部品1210を硬化することを可能にすることができる。洗浄ステーション1290では、手動洗浄ツール1291、並びに洗浄ジェットノズル1292から分配される洗浄流体1293によって、残留する支持材料1212を除去することができる。
【0110】
図13A図13Cは、拡張ケージデバイスを製造するための例示的な材料噴射プロセスを例解する。図13A図13Cは、3D印刷システム1320及び別個の部品洗浄ステーション1290を使用する、材料噴射プロセスのための生成装置1300を示す。3D印刷システム1320は、造形プレート1306と、構築材料送達装置1303と、支持材料送達装置1305と、材料の供給部1304と、3D印刷システム1320を制御するコンピュータ1201と、を含む。
【0111】
実施においては、コンピュータ1201が、CADモデルを造形命令に変換することができ、これを接続1202を介して3D印刷システム1320に送信することができ、そこで材料噴射法を使用して印刷部品1308を造形プレート1306上に作成することができる。その後、印刷部品1308を取り外して(1309)、洗浄ステーション1290に移送することができる。
【0112】
図14A及び図14Bは、拡張ケージデバイスで使用するための織り管状構造体を製造するための例示的なプロセスを例解する。図14Aは、拡張構成にある膨張基材1403上へ材料噴射装置1401によって印刷されている管状編み込み構造体1402を示す。図14Bは、管状編み込み構造体1402を取り外すために基材1403を収縮させた後の、つぶれた状態にある管状編み込み構造体1402を示す。
【0113】
図15A図15Eは、拡張ケージデバイスを製造するための例示的なプロセスを例解する。図15A図15Eは、織り基材1502を製造するために既存の3D製織システムとともに機能するように設計された、メタ材料噴射プロセス1500で使用するための3D印刷システム1501を示す。3D印刷システム1501は、織り基材1502(例えば、いくつかの実施形態では、ポリエステル基材)を保持するマンドレル1505と、噴射ヘッド1503及び硬化ヘッド1504を含む印刷装置と、を含む。
【0114】
実施においては、コンピュータ1201が、CADモデルを、織り基材製造及び3D足場トラックの両方を製造するための造形命令に変換することができ、当該造形命令は、(例えば、接続1202を介して)3D印刷システム1501及び3D製織システム1506に送信することができる。3D製織システム1506は、製造された織り基材を3D印刷システム1501のマンドレル1505に取り付けることができ、噴射ヘッド1503は、ポリイソプレン又は他の材料をマンドレル1505上へ噴射することができ、硬化ヘッド1504は、マンドレルが印刷装置の下方に回転するときに、新たに噴射されたポリイソプレン又は他の材料を硬化させることができる。回転ごとに、単層のポリイソプレン又は他の材料を置くことができ、1回転ごとに印刷装置を上昇させる(1507)ことができる。3D印刷が完了した後、印刷トラック及びそれらが取り付けられる織り基材1502を含み得る完成した3D印刷部品1508を取り外す(1509)ことができる。部品1508は、マンドレル1505の周囲の張力から取り外されたときに縮小し得る。
【0115】
図16A図16Eは、拡張ケージデバイスを製造するための例示的なプロセスを例解する。図16A図16Eは、織り基材1502を製造するために既存の3D製織システムとともに機能するように設計された、メタ材料押し出しプロセス1600で使用するための3D印刷システム1601を示す。3D印刷システム1601は、織り基材1502(例えば、いくつかの実施形態では、ポリエステル基材)を保持するマンドレル1505と、押し出しヘッドガントリ1605上を進行し、3D印刷材料1602を収容することができる押し出しヘッド1602を含む印刷装置と、を含むことができる。
【0116】
実施においては、コンピュータ1201が、CADモデルを、織り基材製造及び3D足場トラックの両方を製造するための造形命令に変換することができ、当該造形命令は、(例えば、接続1202を介して)3D印刷システム1601及び3D製織システム1506に送信することができる。3D製織システム1506は、製造された織り基材を3D印刷システム1601のマンドレル1505に取り付けることができ、押し出しヘッド1602は、ガントリ1605に沿って移動させて(1607)、各層の印刷後にマンドレル1505から離れてインデックスすることによって、トラック1606を織り基材1502上へ印刷することができる。3D印刷が完了した後、織り基材1502及び印刷トラック1606を含む完成した3D印刷部品1608を取り外す(1609)ことができる。部品1608は、マンドレル1505の周囲の張力から取り外されたときに縮小し得る。
【0117】
他の代替案
本明細書に記載される拡張ケージデバイスを作成するために利用することができる上述の材料に加えて、いくつかの実施形態では、他の材料を利用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、特定の金属材料を上述のプロセスで利用することができる。そのような材料の例としては、とりわけ、ステンレス鋼、コバルトクロム、チタン、タンタル、及びニチノールを挙げることができる。
【0118】
更に、いくつかの実施形態では、追加的な特徴を、本明細書に記載の3D印刷構成要素と一体化させることができる。例えば、付加製造された構成要素は、製品に印刷された幾何学的なキー又はタグなどの一意の識別子を使用して個々に追跡することができる。タグの場合、例えば、一意のシリアル番号、QR(quick response、クイックレスポンス)コード、又は他の識別子を、構造体に組み込まれたタグに、又は任意の構造体の表面に自動的に印刷することができる。なお更に、RFID(radio frequency identification、無線周波数識別)タグ又は他のタイプの追跡構成要素に対応するために、部品にレリーフを印刷することができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、充填剤材料は、充填剤材料の弾性特性も調整することができるように、複数の材料を含むことができる。例えば、骨セメント及び液体又は流体のエマルジョンを作成することは、セメントの最終硬化状態の弾性係数を変化させることができる。加えて、いくつかの実施形態は、弾性ビーズ又はセラミックビーズを混合物中に組み込むことを含み、これは、セメントの最終硬化状態の弾性係数を変化させることによって同様の結果を達成することができる。
【0120】
下で特許請求される特徴の特定の組み合わせを対象とすることに加えて、本開示はまた、下で特許請求される従属する特徴の他の組み合わせ及び上述の特徴の他の組み合わせを有する実施形態を対象とする。
【0121】
当業者であれば、上述の実施形態に基づいた本開示の更なる特徴及び利点を理解するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され、かつ説明されている内容によって限定されるものではない。本明細書は、多くの変形例及び代替案を当業者に示唆する。全てのこれらの代替案及び変形例は、特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。当業者は、本明細書に記載される具体的な実施形態に対する他の均等物を認識し得、かかる均等物もまた、特許請求の範囲によって包含されることが意図される。本明細書で引用される全ての刊行物及び参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0122】
〔実施の態様〕
(1) 椎間板インプラントであって、
材料によって膨張させたときに椎間腔内でつぶれた状態から拡張状態に拡張するように構成された拡張可能なケージ組立体を備え、前記拡張可能なケージ組立体が、
内部容積を画定する膨張可能セクションであって、前記材料を受容し、受容した前記材料からの圧力に応答して前記内部容積を拡張させ、前記拡張可能なケージ組立体を前記つぶれた状態から前記拡張状態に移行させるように構成された、膨張可能セクションと、
膨張中に前記膨張可能セクションを拘束するように構成された安定化セクションと、を備える、椎間板インプラント。
(2) 前記安定化セクションが、前記膨張可能セクションを少なくとも部分的に取り囲み、前記安定化セクションが、前記拡張可能なケージ組立体の外周の少なくとも一部分を画定するようにサイズ決定及び成形されている、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
(3) 前記膨張可能セクションが、前記安定化セクションを取り囲み、前記安定化セクションが、前記膨張可能セクションを保持するように前記安定化セクションと結合されている、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
(4) 前記膨張可能セクション及び前記安定化セクションのうちの少なくとも1つが、3D印刷材料を含む、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
(5) 前記膨張可能セクション及び前記安定化セクションのうちの少なくとも1つが、一体型構造体を含む、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
【0123】
(6) 前記一体型構造体が、3D印刷材料を含む、実施態様5に記載の椎間板インプラント。
(7) 前記膨張可能セクションが、織り基材を含む、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
(8) 前記安定化セクションが、3D印刷足場を含む、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
(9) 前記安定化セクションが、前記材料が充填されるように構成された管状織り構造体を含む、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
(10) 前記膨張可能セクション及び前記安定化セクションのうちの少なくとも1つが、前記材料と前記椎間腔との間の相互作用を可能にするように構成された多孔質構造体を含む、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
【0124】
(11) 前記拡張可能なケージ組立体が、1つ又は2つ以上のボイドチャネルを画定し、各ボイドチャネルが、前記安定化セクション及び前記膨張可能セクションを通って連続的に形成されている、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
(12) 前記ボイドチャネルが、骨移植片材料を受容するように構成されている、実施態様11に記載の椎間板インプラント。
(13) 前記安定化セクションが、剛性構造体を含む、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
(14) 前記剛性構造体は、前記膨張可能セクションが前記拡張可能なケージ組立体を前記つぶれた状態から前記拡張状態に移動させたときに、前記膨張可能セクションの周りで前記安定化セクションが偏向又は変形することを容易にするように配置された1つ又は2つ以上の裂け目を画定する、実施態様13に記載の椎間板インプラント。
(15) 前記剛性構造体は、前記膨張可能セクションが前記拡張可能なケージ組立体を前記つぶれた状態から前記拡張状態に移動させたときに、入れ子状に拡張するように配置された1つ又は2つ以上のセクションを画定する、実施態様13に記載の椎間板インプラント。
【0125】
(16) 前記膨張可能セクション及び前記安定化セクションのうちの少なくとも1つが、融合が起こった時以降に体内に再吸収されるように構成された再吸収可能な生体材料を含む、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
(17) 前記膨張可能セクション及び前記安定化セクションのうちの少なくとも1つが、骨結合を促進させるように構成された埋め込み有機材料を含む、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
(18) 前記埋め込み有機材料が、ヒアルロン酸、コラーゲン、タンパク質、骨移植片からの患者細胞、のうちの少なくとも1つを含む、実施態様17に記載の椎間板インプラント。
(19) 前記膨張可能セクション及び前記安定化セクションのうちの少なくとも1つが、埋め込み活性医薬化合物を含む、実施態様1に記載に記載の椎間板インプラント。
(20) 前記拡張可能なケージ組立体が、前記拡張状態において非対称形状を有する、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
【0126】
(21) 前記拡張状態では、前記拡張可能なケージ組立体の上面が、前記拡張可能なケージ組立体の下面に対して傾斜している、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
(22) 前記拡張可能なケージ組立体が、複数の材料から形成されている、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
(23) 前記膨張可能セクション及び前記安定化セクションが、異なる材料から形成されている、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
(24) 前記膨張可能セクションが、複数のチャンバを備え、前記複数のチャンバの各々は前記材料で充填することが可能であり、前記椎間板インプラントの拡張形状が、前記複数のチャンバのうちのどれが材料で充填されているかの関数である、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
(25) 前記椎間板インプラントに取り付けられた少なくとも1つの追加的な構造的構成要素を備え、前記追加的な構造的構成要素が、前記椎間腔における固定を向上させるように構成されている、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
【0127】
(26) 前記膨張可能セクションが、前記材料で充填されるように構成されたコア膨張領域と、生物活性物質で充填されるように構成されている外側膨張領域と、を含む、実施態様1に記載の椎間板インプラント。
(27) 椎間板インプラントであって、
材料によって膨張させたときに椎間腔内でつぶれた状態から拡張状態に弾性的に拡張するように構成された拡張可能な構造体を備え、前記拡張可能な構造体が、側壁を含み、前記側壁が、前記材料を受容し、受容した前記材料からの圧力に応答して前記側壁の少なくとも一部分を弾性的に拡張させて、前記拡張可能な構造体を前記つぶれた状態から前記拡張状態に移行させるように構成された内部チャンバを画定し、
前記側壁が、拡張中の前記構造体の異なる拡張率を制御するように構成された、前記拡張可能な構造体の表面にわたる可変厚さを有する、椎間板インプラント。
(28) 前記拡張可能な構造体が、前記材料と前記椎間腔との間の相互作用を可能にするように構成された多孔質外層を備える、実施態様27に記載の椎間板インプラント。
(29) 前記拡張可能な構造体が、前記拡張状態において、骨移植片材料を受容するように構成された1つ又は2つ以上のボイドチャネルを画定する、実施態様27に記載の椎間板インプラント。
(30) 前記拡張可能な構造体の外面が、前記外面と前記椎間腔の表面との間の固定を高めるように構成された突起を画定する、実施態様27に記載の椎間板インプラント。
【0128】
(31) 前記拡張可能な構造体が、モノリシックである、実施態様27に記載の椎間板インプラント。
(32) 前記内部チャンバが、複数のチャンバを含み、前記複数のチャンバの各々は前記材料で充填することが可能であり、前記椎間板インプラントの拡張形状が、前記複数のチャンバのうちのどれが材料で充填されているかの関数である、実施態様27の椎間板インプラント。
(33) 前記椎間板インプラントに取り付けられた少なくとも1つの追加的な構造的構成要素を含み、前記追加的な構造的構成要素が、前記椎間腔における固定を向上させるように構成されている、実施態様27に記載の椎間板インプラント。
(34) 前記内部チャンバが、前記材料で充填されるように構成されたコア膨張領域と、生物活性物質で充填されるように構成された外側膨張領域と、を含む、実施態様26に記載の椎間板インプラント。
(35) 外科的方法であって、
脊椎融合ケージがつぶれた状態にある間に、前記ケージを患者の椎間腔に挿入することと、
ある体積の流動性材料を前記脊椎融合ケージの膨張可能セクションの内部チャンバ内に注入することによって、前記脊椎融合ケージを前記つぶれた状態から拡張状態に拡張させることと、
前記膨張可能セクションに結合された安定化構造体を使用して、前記脊椎融合ケージの形状を前記拡張状態に抑制することと、を含む、外科的方法。
【0129】
(36) 外科用インプラントを製造するための方法であって、
第1の材料から拡張可能な基材を形成することと、
第2の材料の複数の層を互いの上に堆積させる付加製造プロセスを使用して、前記第2の材料から前記基材上に安定化構造体を形成することと、を含む、方法。
(37) 前記拡張可能な基材が、織り管状構造体である、実施態様36に記載の方法。
(38) 前記織り管状構造体が、前記織り管状構造体の上に前記安定化構造体を形成する前に、マンドレルの上で弾性的に拡張される、実施態様37に記載の方法。
(39) 前記拡張可能な基材を形成することが、付加製造プロセスを使用して行われる、実施態様36に記載の方法。
(40) 前記付加製造プロセスが、噴射、押し出し、及び熱溶解積層法、のいずれかである、実施態様36に記載の方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
【国際調査報告】