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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】汗センシング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240110BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20240110BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A61B5/00 N
A61B5/00 102A
G01N1/10 K
G01N1/10 V
G01N1/00 101G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541729
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2022050365
(87)【国際公開番号】W WO2022152658
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】21151253.8
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ヨンソン マルク トマス
(72)【発明者】
【氏名】ファン フェイゼル トマス ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ファン リーショウト ロン マルティヌス ローレンティウス
(72)【発明者】
【氏名】ヘルハルト ルッツ クリスティアン
【テーマコード(参考)】
2G052
4C117
【Fターム(参考)】
2G052AA29
2G052AD26
2G052AD46
2G052BA24
4C117XA01
4C117XB01
4C117XC26
4C117XE06
4C117XJ13
(57)【要約】
一態様によれば、被験者の汗腺によって生成される汗に関するパラメータを測定するための汗センシング構成要素、汗搬送チャネル及び汗の方向を変更し、前記汗搬送チャネルを介して前記汗センシング構成要素に搬送されることができる汗の量を制御するように、刺激に応答してその形態が変化するように構成される応答性材料を有する汗方向変更構成要素を有する装置が提供され、前記汗方向変更構成要素は、第1の構成では、前記応答性材料の形態は、前記汗方向変更構成要素が汗の通路が汗搬送チャネルの出口を通ることを防止し、前記汗の通路を前記汗センシング構成要素に向けるような形態であり、及び第2の構成では、前記応答性材料の形態は、前記汗方向変更構成要素が前記汗の通路が汗搬送チャネルの出口を通るのを可能にするような形態であるように、前記汗搬送チャネルの出口に位置決められる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の汗腺によって生成される汗に関するパラメータを測定するための汗センシング構成要素、
汗搬送チャネル、及び
汗の方向を変更し、前記汗搬送チャネルを介して前記汗センシング構成要素に搬送されることができる汗の量を制御するように、刺激に応答して形態が変化するように構成される応答性材料を有する汗方向変更構成要素
を有する装置において、
前記汗方向変更構成要素は、
第1の構成では、前記応答性材料の形態は、前記汗方向変更構成要素が、汗の通路が前記汗搬送チャネルの出口を通るのを防止し、前記汗の通路が前記汗センシング構成要素に向くような形態である、及び
第2の構成では、前記応答性材料の形態は、汗方向変更構成要素が、汗の通路が前記汗搬送チャネルの出口を通るのを可能にするような形態である
ように、前記汗搬送チャネルの出口に位置決められる、装置。
【請求項2】
前記刺激は、前記応答性材料の形態の変化を引き起こすために、前記応答性材料に印加される電気刺激、又は流体刺激が前記応答性材料と接触するとき、前記応答性材料の形態の変化を引き起こすための流体刺激を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記刺激は、
前記汗センシング構成要素を用いて測定される汗のパラメータ値がパラメータ値のしきい値を満たす又は超える、及び
前記汗腺からの汗の発汗量が発汗量のしきい値を超える
ことの少なくとも1つに応答して、前記応答性材料に印加される電気刺激を有する、請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記応答性材料は、電気活性ポリマー及び圧電材料を有する集合から選択される少なくとも1つの材料を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記汗腺からの汗の発汗量を測定する発汗量センサをさらに有する、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記応答材料に前記電気刺激を印加させるように構成される処理器をさらに有する、請求項3乃至5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記刺激は、前記応答性材料に接触する汗の量がしきい量を超えることに応答して、前記応答性材料の形態の変化を引き起こすための流体刺激を有する、請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記応答性材料は、ヒドロゲルを有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記汗に関するパラメータは、汗にある物質の濃度及び汗にある物質のオスモル濃度を有する集合から選択されるパラメータを有する、請求項1乃至8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、汗の方向を変更し、前記汗搬送チャネルを介して前記汗センシング構成要素に搬送されることができる汗の量を制御するように、刺激に応答して形態が変化するように構成される第2の応答性材料を含む第2の汗方向変更構成要素を有し、
前記第2の汗方向変更構成要素は、
第1の構成では、前記第2の応答性材料の形態は、前記第2の汗方向変更構成要素が、汗の通路が前記汗搬送チャネルを介して前記汗センシング構成要素へ行くのを防止するような形態であり、及び
第2の構成では、前記第2の応答性材料の形態は、前記第2の汗方向変更構成要素が、汗の通路が前記汗搬送チャネルを介して前記汗センシング構成要素へ行くのを可能にするような形態である
ような弁として機能するように、前記汗搬送チャネルの入口に位置決められる、請求項1乃至9の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
装置における汗の通路を制御する方法であって、前記装置は、汗センシング構成要素、汗搬送チャネル及び応答性材料を有する汗方向変更構成要素を有し、前記方法は、
処理器において、被験者の汗腺によって生成される汗に関するパラメータを示すデータを受信するステップ、及び
前記受信したデータに基づいて、前記応答性材料に電気刺激を印加させるステップ
を有し、
前記応答性材料に前記電気刺激を印加することは、前記応答性材料の形態を変化させ、それによって、汗の方向を変更し、前記汗搬送チャネルを介して前記汗センシング構成要素に搬送されることができる汗の量を制御し、
前記汗方向変更構成要素は、
第1の構成では、前記応答性材料の形態は、前記汗方向変更構成要素が、汗の通路が前記汗搬送チャネルの出口を通ることを防止し、前記汗の通路を前記汗センシング構成要素に向けるような形態であり、及び
第2の構成では、前記応答性材料の形態は、前記汗方向変更構成要素が、汗の通路が前記汗搬送チャネルの出口を通ることを可能にするような形態である
ように前記汗搬送チャネルの出口に位置決められる、方法。
【請求項12】
前記応答性材料に電気刺激を印加させることは、前記応答性材料に電流又は電圧を供給するように電源を制御することを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータ可読媒体は、その中に組み入れられるコンピュータ可読コードを持ち、前記コンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又は処理器によって実行されると、前記コンピュータ又は処理器が請求項11又は請求項12に記載の方法を行うように構成される、コンピュータプログラム製品。
【請求項14】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の装置、及び
前記応答性材料に電気刺激を印加させるように構成される処理器
を有するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の汗腺によって生成される汗のパラメータを測定するための構成要素の使用に関し、より詳細には、その構成要素に到達することができる汗の量を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
汗は、生理学的及び代謝的に豊富な情報を含む、目立たずに入手可能な生物流体である。汗は、被験者の健康(health)及び健康な状態(well-being)を示すバイオマーカーを含み、これらバイオマーカーは、とりわけ、脱水症、ストレス、睡眠、子供の健康をモニタリングするため、及び術中のモニタリングに使用されることができる。
【0003】
被験者によって生成される汗の量は、被験者の健康、被験者が運動をしているかどうか、又は被験者が置かれている周囲環境等を含む、様々な要因に応じて変動する。例えば、汗に含まれるバイオマーカーの濃度のような汗の特性の測定における不正確さは、生成される汗が多すぎる、及びセンサが受け取る汗が多すぎる場合に起こる。さらに、センサに到達する汗が多すぎると、蓄積効果が起こり、それによって、新しい汗は、古い汗と混ざり合う。生成する汗が少なすぎると、とりわけ、低い信号対雑音比での測定となる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存の技術は、汗の特性を測定することができるが、例えば、上述したような既知の問題の多くには対処していない。既存の汗センシングデバイスは、しばしば、十分な量の汗を生成する人々(例えば、アスリート)にのみ使用される。しかしながら、過剰な汗の生成は、汗センシングデバイスのセンシング構成要素の生物付着(biofouling)につながる可能性があり、これは、前記センシング構成要素に損傷を与える可能性がある。前記センシング構成要素が比較的少量の汗を測定するように構成されているとき、この作用は悪化する。
【0005】
従って、様々な生成量の汗にわたる使用に適するように、汗の量を制御することができる装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の発明者は、正常な状態でいる人(例えば、安静時の又は普通の日常活動を行っている人)、及び大量の汗を生成している人の両方の汗の特性(例えば、汗の成分の濃度)を測定するように適応する汗センシングデバイスの必要性を認識した。
【0007】
第1の特定の態様によれば、被験者の汗腺によって生成される汗に関するパラメータを測定するための汗センシング構成要素、汗搬送チャネル、及び汗の方向を変更し、汗搬送チャネルを介して汗センシング構成要素に搬送されることができる汗の量を制御するために、刺激に応答してその形態が変化するように構成される応答性材料を有する汗方向変更構成要素を有し、ここで、汗方向変更構成要素は、第1の構成では、応答性材料の形態は、汗方向変更構成要素が、汗の通路が汗搬送チャネルの出口を通ることを防止し、この汗の通路を汗センシング構成要素に向けるような形態である、及び第2の構成では、応答性材料の形態は、汗方向変更構成要素が、汗の通路が汗搬送チャネルの出口を通ることを可能にするような形態であるように、汗搬送チャネルの出口に位置決められる。
【0008】
幾つかの実施形態において、前記刺激は、応答性材料の形態の変化を引き起こすために、この応答性材料に印加される電気刺激、又は流体刺激が応答性材料と接触するとき、この応答性材料の形態の変化を引き起こすための流体刺激を有する。流体刺激は、例えば、汗又は汗蒸気のような液体を有することができる。
【0009】
幾つかの実施形態において、前記刺激は、汗センシング構成要素を用いて測定される汗のパラメータ値が、パラメータ値のしきい値を満たす又は超える、及び汗腺からの汗の発汗量が発汗量のしきい値を超えることの少なくとも1つに応答して、応答性材料に印加される電気刺激を有することができる。
【0010】
幾つかの実施形態において、前記応答性材料は、電気活性ポリマー及び圧電材料を有する集合から選択される少なくとも1つの材料を有することができる。
【0011】
幾つかの実施形態において、前記装置は、汗腺からの汗の発汗量を測定するための発汗量センサを有することができる。
【0012】
幾つかの実施形態において、前記装置は、応答性材料に電気刺激を印加させるように構成される処理器をさらに有することができる。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記刺激は、応答性材料に接触する汗の量がしきい量を超えることに応答して、この応答性材料の形態の変化を引き起こすための流体刺激を有することができる。
【0014】
幾つかの実施形態において、応答性材料は、ヒドロゲルを有することができる。
【0015】
幾つかの実施形態において、汗に関するパラメータは、汗における物質の濃度及び汗における物質のオスモル濃度を有する集合から選択されるパラメータを有することができる。
【0016】
幾つかの実施形態において、前記装置は、汗の方向を変更し、汗搬送チャネルを介して汗センシング構成要素に搬送されることができる汗の量を制御するように、刺激に応答してその形態が変化するように構成される第2の応答材料を有する第2の汗方向変更構成要素を有することができる。この第2の汗方向変更構成要素は、第1の構成では、第2の応答性材料の形態は、第2の汗方向変更構成要素が、汗の通路が汗搬送チャネルを介して汗センシング構成要素に行くのを防止するような形態である、及び第2の構成では、第2の応答材料の形態は、第2の汗方向変更構成要素が、汗の通路が汗搬送チャネルを介して汗センシング構成要素に行くのを可能にするような形態であるような、弁として機能するように、汗搬送チャネルの入口に位置決められる。
【0017】
第2の特定の態様によれば、装置における汗の通路を制御する方法が提供され、この装置は、汗センシング構成要素、汗搬送チャネル及び応答性材料を有する汗方向変更構成要素を有し、前記方法は、処理器において、被験者の汗腺によって生成される汗に関するパラメータを示すデータを受信するステップ、及び受信されたデータに基づいて、前記応答性材料に電気刺激を印加させるステップを有し、この応答性材料への電気刺激の印加は、応答性材料の形態を変化させ、それによって、汗の方向を変更し、汗搬送チャネルを介して汗センシング構成要素に搬送されることができる汗の量を制御し、前記汗方向変更構成要素は、第1の構成では、応答性材料の形態は、汗方向変更構成要素が、汗の通路が汗搬送チャネルの出口を通ることを防止し、この汗の通路を汗センシング構成要素に向けさせるような形態である、及び第2の構成では、応答性材料の形態は、汗方向変更構成要素が、汗の通路が前記出口を通ることを可能にするような形態であるように、前記汗搬送構成要素の出口に位置決められる。前記方法は、コンピュータ実施方法を有することができる。
【0018】
幾つかの実施形態において、応答性材料に電気刺激を印加させることは、応答性材料に電流又は電圧を供給するように電源を制御することを有する。
【0019】
第3の特定の態様によれば、非一時的コンピュータ可読媒体を有するコンピュータプログラム製品が提供され、このコンピュータ可読媒体は、その中に組み入れられるコンピュータ可読コードを持ち、このコンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又は処理器によって実行されると、コンピュータ又は処理器に、本明細書に開示される方法の何れかのステップを行わせるように構成される。
【0020】
第4の特定の態様によれば、本明細書に開示されるような装置及び応答性材料に電気刺激を印加させるように構成される処理器を有するシステムが提供される。
【0021】
これらの態様及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかであり、それらを参照して説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
ここで、例示的な実施形態を、単なる例として、以下の図面を参照して説明する。
図1図1は、汗センシング装置の一例の概略図である。
図2A図2Aは、汗センシング装置のさらなる例の概略図である。
図2B図2Bは、汗センシング装置のさらなる例の概略図である。
図3A図3Aは、汗センシング装置のさらなる例の概略図である。
図3B図3Bは、汗センシング装置のさらなる例の概略図である。
図4A図4Aは、電気活性ポリマーの一例の概略図である。
図4B図4Bは、電気活性ポリマーの一例の概略図である。
図5A図5Aは、電気活性ポリマーのさらなる例の概略図である。
図5B図5Bは、電気活性ポリマーのさらなる例の概略図である。
図6A図6Aは、基質セグメントを備える電気活性ポリマーの一例の概略図である。
図6B図6Bは、基質セグメントを備える電気活性ポリマーの一例の概略図である。
図6C図6Cは、基質セグメントを備える電気活性ポリマーの一例の概略図である。
図6D図6Dは、基質セグメントを備える電気活性ポリマーの一例の概略図である。
図7A図7Aは、ヒドロゲルを含む汗方向変更構成要素の一例の概略図である。
図7B図7Bは、ヒドロゲルを含む汗方向変更構成要素の一例の概略図である。
図8図8は、装置における汗の通路を制御する方法の一例のフローチャートである。
図9図9は、コンピュータ可読媒体と通信する処理器の一例の概略図である。
図10図10は、汗センシング装置及び処理器を有するシステムの一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
被験者の汗のモニタリング及び分析は、被験者の健康及び健康な状態についての洞察を提供することができる。例えば、汗の中に含まれ、生理学及び代謝に関して豊富な情報を含むバイオマーカーの分析は、被験者の健康状態に関する情報を明らかにする。バイオマーカーは、とりわけ、ナトリウムイオン(Na+)、塩化物イオン(Cl+)及びカリウムイオン(K+)等を含み、これらは、脱水;炎症の早期警告徴候として使用され、次いで敗血症を検出するために使用される乳酸塩;とりわけ糖尿病を検出するために使用されるグルコース、並びに被験者の睡眠(例えば、睡眠の質)及び/又はストレス(例えば、ストレスのレベル)をモニタリングするために使用されるコルチゾールをモニタリングするために使用されることができる。上述したように、汗にあるバイオマーカーを測定及び分析することに関する1つの既知の問題は、センサが高すぎる発汗レベルにさらされるとき、測定の不正確さ又はセンサの損傷さえも結果として生じることである。センサを包含しているパッチは、汗をモニタリングするために使用されることができ、このパッチは、被験者に取り付けられるように構成されることができる。そのようなパッチは、特定量の液体を受け取る/取り扱うように設計され、これは、時間的要素(例えば、デバイスがどの位長く活動するか又はどの位長く使用するの目的としているか)及び動力学(dynamics)(例えば、汗の流量)の両方を考慮することができる。汗の量の範囲を考慮するために、マイクロ流体力学(microfluidics)、老廃物の管理及び/又はセンシング要素に関してパッチを設計並びに最適化することは、困難である。
【0024】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、汗の方向を変えるために、応答性材料と呼ばれる幾つかの材料の形態又は構造(例えば、形状)が、受動的又は能動的の何れかで操作又は修正されることができ、それによって汗の通路の制御を可能にするという、発明者の認識を利用する。特に、実施形態は、被験者の汗腺によって生成される汗に関するパラメータを測定するための汗センシング構成要素を含む機構に関する。汗方向変更構成要素は、汗の方向を変更し、汗センシング構成要素に搬送されることができる汗の量を制御するように、刺激に応答してその形状が変化するように構成される材料から形成される又はその材料を含む。幾つかの実施形態において、汗方向変更構成要素は、汗制限構成要素と呼ばれることができる。有利には、汗センシング構成要素に到達することができる汗の量を制御することによって、前記機構を実装している装置又はデバイスは、様々な汗生成速度を持つ被験者(例えば人々)と共に使用されることができ、この敏感な汗センシング構成要素が、生物付着(例えば、そのようなデバイスが有効に動作するのを妨げるバイオフィルム(biofilm)の過剰な蓄積)の影響を受ける可能性を減らす。本明細書に開示される実施形態は、前記デバイスの流体搬送システムに過剰な流体(例えば、汗)が入ってくることに関連する問題に対処するのも助け、これは、上流(例えば汗センシング構成要素)での測定の遅れにつながり得る。
【0025】
ここで図面を参照すると、図1は、装置100(例えば、汗センシング装置)の概略図である。この装置は、被験者の汗腺によって生成される汗に関するパラメータを測定するための汗センシング構成要素102を有する。汗センシング構成要素102は、例えば、汗の量(例えば、容積)若しくは発汗量(例えば、単位時間当たりの汗の量)のような汗自体のパラメータ或いは特性、又は例えば、バイオマーカーのような汗の中にある物質のパラメータ或いは特性を測定するように構成される構成要素を有する。例えば、汗センシング構成要素102は、汗にある特定の物質の濃度を測定するように構成される。
【0026】
装置100は、汗搬送チャネル104も有する。汗搬送チャネル104は、例えば、装置100の入口又はエントランスから汗センシング構成要素102に汗を搬送するように構成される。幾つかの実施形態において、例えば、汗搬送チャネル104は、被験者の表面(例えば、被験者の皮膚)から装置100を通って汗センシング構成要素102に汗を搬送するように構成される。汗搬送チャネル104は、例えば汗のような流体の通路に適した1つ以上のチャネル、パイプ、チューブ又は導管を有することができ、如何なる断面形状(例えば、円形又は矩形等)とすることもできる。1つ以上の他の構成要素(例えば、エレクトロウェッティング(electrowetting)構成要素)が、汗搬送チャネル104を通って汗を搬送するのを支援するために設けられ得るが、それらは本開示においてさらに説明されない。
【0027】
装置100は、汗方向変更構成要素106も有する。汗方向変更構成要素106は、汗の方向を変更し、汗搬送チャネルを介して汗センシング構成要素に搬送されることができる汗の量を制御するように、刺激に応答してその形態が変化するように構成される応答性材料を有する(例えば、応答性材料から形成される又は応答性材料を含む)。本明細書に使用されるように、“応答性材料”という言葉は、入力又は刺激に応答することができる材料を指すものとする。材料の応答は、その構造、形態、形状又はサイズ等の1つ以上の変化を有することができる。汗方向変更構成要素106は、第1の形態又は構成では、汗搬送チャネル104を介した汗センシング構成要素102への汗の通路を制限するように汗の方向を変更する、及び第2の形態又は構成では、汗搬送チャネルを介した汗センシング構成要素への汗の通路を可能にするのように位置決められることができる。汗が装置100に入る前、又は装置内で汗の方向を変更することによって、この装置のある特定の領域(例えば、汗センシング構成要素102)に到達することができる汗の量を制御することができる。例えば、汗センシング構成要素102に搬送されることができる汗の量は、ある特定の状況下、例えば、汗の量がしきい量を超える、又は汗のパラメータ若しくは特性(例えば、汗がどの位酸性或いは塩基性であるかを示すpHレベル又は汗の成分の濃度)が特定の基準を満たすような状況下において、(例えば、汗を汗センシング構成要素から離れる方向に変更することによって)制限又は限定される。応答性材料の形態の変化を引き起こすために使用される刺激は、電気刺激又は流体刺激を有し、これら刺激は、以下により詳細に論じられる。
【0028】
装置100に対する汗方向変更構成要素106の位置に応じて、汗の通路は、前記装置内又は汗搬送チャネル104内の異なる地点において方向が変更される。(第1の汗方向変更構成要素と呼ばれる)汗方向変更構成要素106は、汗が装置100(例えば、汗搬送チャネル104内)に入ることができるように構成又は位置決められるが、汗センシング構成要素102に到達することができる汗の量は限定される。そのような実施形態において、汗方向変更構成要素106は、装置100内で汗の方向を変更する、又は汗の通路を汗センシング構成要素から離れる方向に変更する或いは装置から出るように方向を変更するように構成される。
【0029】
幾つかの実施形態において、装置100は、応答性材料(例えば、第2の応答性材料)を有する第2の汗方向変更構成要素107を有することもできる。第2の汗方向変更構成要素107は、装置100に入ってくる汗の量を制御(例えば、限定又は防止)する、従って、汗センシング構成要素に到達する汗の量を制御するように構成又は位置決められる。例えば、第2の汗方向変更構成要素107は、入ってくる汗の方向を変更することによって、汗が装置100に入ってくるのを防止する又は装置100に入ってくる汗の量を制限するゲート又は弁として作用することができる。
【0030】
有利には、汗方向変更構成要素106及び/又は第2の汗方向変更構成要素107は、汗センシング構成要素が有効に動作する(例えば、最適量の汗が確実に汗センシング構成要素に到達することを手伝うことによって、汗センシング構成要素の最適化を可能にする)ことができるように、汗センシング構成要素に遭遇する汗の量を制御することができる。ここで、様々な実施形態がより詳細に説明される。
【0031】
図2A及び2Bは、特定の実施形態による装置100の一例の概略図である。装置100は、汗センシング構成要素102、及びこの汗センシング構成要素と流体連通する汗搬送チャネル104を含む。この例において、汗搬送チャネル104は、単一の直線チャネルを有する。しかしながら、他の例において、複数のチャネルが設けられ、これら複数のチャネルを通って汗が搬送され、汗センシング構成要素102に到達することができることが理解される。装置100は、この実施形態では装置100内に位置決められる汗方向変更構成要素106も含む。被験者の汗腺202によって生成される汗は、汗管204を上がり、被験者の皮膚206の表面まで移動する。汗は、装置100の汗受容領域208に受け取られ、汗搬送チャネル104に沿って汗センシング構成要素102に搬送されることができる。皮膚206の表面から、汗受容領域208を通って及び/又は汗搬送チャネル104に沿って汗が移動するのを補助するために、流体搬送機構(図示せず)が設けられてもよい。
【0032】
この例において、汗方向変更構成要素106は、第1の構成(例えば、閉位置)と第2の構成(例えば、開位置)との間を移動可能な閉鎖部(クロージャー)を有する。図2Aにおいて、汗方向変更構成要素106は、矢印Aによって示されるように、汗が汗搬送チャネル104を介して汗センシング構成要素102に向けられるような第1の構成(例えば、閉位置)にある。汗方向変更構成要素106が閉位置にあるとき、汗を排出口又は通気孔から離れる方向に変更することによって、汗がこの排出口又は通気孔を介して装置100から出ることを防止することができる。
【0033】
図2Bにおいて、汗方向変更構成要素106は、第2の構成(例えば、開位置)にある。この構成において、ある量の汗は、矢印Bによって示されるように、皮膚206の表面から、汗受容領域208を通り、排出口又は通気孔を通過する。幾つかの実施形態において、装置100に入ってくるある割合の汗は、排出口212を通過するのに対し、ある割合の汗は、汗搬送チャネル104に沿って汗センシング構成要素102に進む。汗受容領域208から排出口又は通気孔につながる通路は、この排出口又は通気孔が汗搬送チャネルの出口を有するような、汗搬送チャネル104の一部と見なされてもよい。装置100にある構成要素の構造及び/又は配置は、汗搬送チャネル104に沿って汗センシング構成要素102に進むことができる汗の割合と、排出口212を介して装置から出る汗の割合とを決定することができる。例えば、汗搬送チャネル104は、排出口212に関連する断面積よりも相対的に小さい断面積を持つことができ、このことは、幾つかの例において、汗搬送チャネルを通るよりも排出口を通る方が、相対的により大きな量の汗が流れることにつながる。しかしながら、何れの場合も、汗方向変更構成要素106が開位置にあるとき、汗センシング構成要素102に到達する汗の量は、汗方向変更構成要素が(図2Aのように)閉位置にあるときよりも少ない。従って、図2Bに示される配置において、汗方向変更構成要素106の応答性材料の形態は、汗方向変更構成要素が、汗の通路が出口(例えば、排出口212)を通ることを可能にするような形態である。開位置にある汗方向変更構成要素106の効果は、汗、汗蒸気又は他の流体が、汗センシング構成要素102に過剰に与えられずに、装置100から排出又は通気される(例えば、汗センシング構成要素の生物付着を回避する)ことである。従って、例えば図2A及び図2Bの示される実施形態のような、幾つかの実施形態によれば、汗方向変更構成要素106は、第1の構成(例えば、図2Aに示されるような閉位置)では、応答性材料の形態は、汗方向変更構成要素が、汗の通路が出口を通る及び排出口212を通ることを防止し、汗の通路を汗センシング構成要素102に向けるような形態である、並びに第2の構成(例えば、図2Bに示されるような開位置)では、応答性材料の形態は、汗方向変更構成要素が、汗の通路が出口を通る及び排出口212を通ることを可能にするような形態であるように、汗搬送チャネル104(例えば、汗搬送チャネル104の出口又はその出口の近く)に位置決められる。
【0034】
汗方向変更構成要素106は、汗搬送チャネル104の出口に位置決められる。この位置(すなわち、汗方向変更構成要素106の位置)は、汗方向変更構成要素が、出口(例えば、排出口212)と、汗センシング構成要素102との間のどこかに置かれることを含む。出口と汗センシング構成要素との間に置かれる汗方向変更構成要素の利点は、汗方向変更構成要素が、ある量の汗(例えば、規定量の汗)が汗センシング構成要素を越えて、(例えば、排出口に向かって汗搬送チャネルを進み続けて)、汗センシングデバイス100から排出される(例えば、通気される)ことを可能にするように構成(例えば、図2Bの構成を参照)されることである。この構成(例えば、図2Bに示される構成)において、汗方向変更設定要素は、汗が汗センシング構成要素に到達するのを阻止しない(例えば、汗センシング構成要素102への規定量の汗の通路を可能にする)一方、任意の過剰な汗を汗センシングデバイス100から通気するように構成される。このようにして、過剰な汗は汗センシング装置から通気され、それによって、汗センシング構成要素102の生物付着を回避する一方、規定量の汗は引き続き、汗の特性を測定するための汗センシング構成要素に進むことを可能にする。出口と汗センシング構成要素102との間に置かれる汗方向変更構成要素106のさらなる利点は、汗方向変更構成要素の下流にある汗センシングデバイス100の他の如何なる構成要素に進むことが可能である汗の量が制御されることである。
【0035】
代替の実施形態が図3A及び図3Bに示され、これら図面において、装置100は、汗方向変更構成要素106(図示せず)、及び第2の汗方向変更構成要素107の両方を有する。第2の汗方向変更構成要素107は、図2A及び図2Bに示される汗方向変更構成要素106(例えば、第1の汗方向変更構成要素)のように、通気口又は排出口の閉鎖部として機能するのではなく、汗が装置100及び/又は汗搬送チャネル104に入ることを防止する又は可能にするための閉鎖部又は弁として機能する。
【0036】
図3Aは、汗センシング構成要素102、汗搬送チャネル104及び第2の汗方向変更構成要素107を含む装置100の一例の概略図である。第2の汗方向変更構成要素107は、汗の方向を変更し、汗搬送チャネルを介して汗センシング構成要素に搬送されることができる汗の量を制御するように、刺激に応答してその形態が変化するように構成される応答性材料(例えば、第2の応答性材料)を再び有する(例えば、第2の応答性材料から形成される又は第2の応答性材料を含む)。この例において、第2の汗方向変更構成要素107は、汗搬送チャネル104の入口、又は装置100の入口若しくは開口の何れかに位置決められ、これらを通り、汗が汗搬送チャネル及び/又は汗センシング構成要素102に到達することができる。図3Aに示される配置において、第2の汗方向変更設定要素107は、前記入口を閉鎖し、それによって、汗が汗搬送チャネル104内に移動するのを防止する第1の構成(例えば、閉位置)にある。
【0037】
図3Bにおいて、第2の汗方向変更構成要素107は、第2の構成(例えば、開位置)にある。この構成において、第2の応答性材料(例えば、第2の汗方向変更設定要素に関連する応答性材料)の形態は、第2の汗方向変更設定要素107が汗搬送チャネル104を介して汗センシング構成要素102まで又は汗搬送チャネル自体までの矢印Cの方向の汗の通路を可能にするように変化している。
【0038】
従って、例えば図3A及び図3Bに示される実施形態のような、幾つかの実施形態において、第2の汗方向変更構成要素107は、第1の構成(例えば、図3Aに示される閉位置)では、第2の応答性材料の形態は、第2の汗方向変更構成要素が汗搬送チャネルを介して汗センシング構成要素102への汗の通路を防止するような形態である、及び第2の構成(例えば、図3Bに示される開位置)では、第2の応答性材料の形態は、第2の汗方向変更構成要素が汗搬送チャネルを介して汗センシング構成要素への汗の通路を可能にするような形態であるような弁として機能するように、汗搬送チャネル104の入口に位置決められる。
【0039】
図2及び3は、汗の方向を適切に変更することによって、装置100の汗センシング構成要素102への汗の通路を可能にする及び制限するように実施され得る汗方向変更構成要素106及び/又は第2の汗方向変更構成要素107の多くの可能な配置のうちのほんの2つの例を示す。上述したように、汗方向変更構成要素106は、刺激に応答してその形態が変化する応答性材料を有する。同様に、第2の汗方向変更構成要素107は、刺激に応答してその形態が変化する応答性材料(例えば、第2の応答性材料)を有する。応答性材料及び/又は第2の応答材料の形態を変化させる刺激は、幾つかの実施形態において、電気刺激又は流体刺激を有する。幾つかの実施形態において、前記刺激は、応答性材料の形態の変化を引き起こすために、この応答性材料に加えられる電気刺激を有することができる。これは、前記刺激が制御器によって能動的に前記応答性材料に加えられるので、能動的刺激と呼ばれる。他の実施形態において、前記刺激は、流体刺激が応答性材料と接触するとき、この応答性材料の形態の変化を引き起こすための流体刺激を有することができる。これは、前記流体刺激が、応答性材料と接触するとき、自動的にこの応答性材料の応答を引き起させるので、受動的刺激と呼ばれる。本明細書に述べた実施形態(例えば、図2及び3を参照して上述した実施形態)は、電気刺激及び流体刺激の1つ以上を取り入れている。
【0040】
電気刺激に応答する応答性材料は、この応答性材料に電流が印加される又は電圧がかけられるとき、自動的に変化する形態を持つことができる。幾つかの材料は、それら材料に電圧又は電流が印加されるとき、その形態を変化させることが分かっている。幾つかの例によれば、応答性材料は、電気活性ポリマー及び圧電材料を有する集合から選択される少なくとも1つの材料を有する。
【0041】
電気活性ポリマー(EAP)は、電気刺激に応答する応答性材料の種類の一例である。図4及び図5は、電気活性ポリマーを含む汗方向変更構成要素106(又は同等に、第2の汗方向変更構成要素107)の一部の例の概略図である。図4Aに示される例において、電気活性ポリマー402は、一対のフレキシブル電極404a、404bの間に挟まれている。この例において、電極404a、404bの間に電圧が印加されると、電気活性ポリマー402は、図4Bの矢印によって示される方向に膨張する。従って、そのような汗方向変更構成要素106又は第2の汗方向変更構成要素107がチャネル(例えば、汗搬送チャネル104)にわたって、又は前記チャネル若しくは装置100の入口或いは出口にわたって位置付けられる場合、電極404a、404b間に電圧を印加する又は電圧を取り除くことによって、汗方向変更構成要素及び/又は第2の汗方向変更構成要素を通るアクセスが制御されることができる。例えば、電極404a、404bの間に電圧が印加されると、電気活性ポリマー402は膨張し、それによって、前記チャネル、入口又は出口を覆う又は閉鎖する。
【0042】
図5に示される例において、電気活性ポリマー402及び電極404a、404bをキャリア層502上に取り付けることによって、構造が形成される。電極404aと404bとの間に電圧を印加すると、キャリア層502は、電気活性ポリマー402及び電極と一緒に、図5Bの矢印によって示される方向に湾曲又は屈曲する。このようにして、電極404aと404bとの間の電圧の印加は、前記構造を湾曲又は屈曲させて、前記チャネル、入口或いは出口を閉鎖する、又は前記チャネル、入口或いは出口を通る開口を作るために湾曲又は屈曲させる。電気活性ポリマーは、これら電気活性ポリマーは比較的低い消費電力を用いて動作する、これら電気活性ポリマーは小さなフォームファクタを持つ、これら電気活性ポリマーはフレキシブルである、これら電気活性ポリマーはノイズが無い又は比較的低いノイズレベルを生成する、及びこれら電気活性ポリマーは比較的速い応答時間を持つ(例えば、これら電気活性ポリマーは電子刺激の印加の後すぐに形を変える)ことを含む、多くの利点と関連付けられる。
【0043】
上述したように、電気刺激は、汗方向変更構成要素106(例えば、応答性材料と関連付けられる電極)、及び/又は第2の汗方向変更構成要素107(例えば、第2の応答性材料と関連付けられる電極)に供給される電流及び/又は電圧の形で、応答性材料に供給される。電流及び/又は電圧は、電力供給源(例えば、バッテリー又は主電源)によって供給されることができ、これは、装置100の一部を形成してもよいし、又は装置の外部にあってもよい。電流又は電圧の印加は、装置100の一部を形成する、又は電源を含む、前記装置と関連付けられる1つ以上の構成要素と通信する処理器によって制御されることができる。電気活性ポリマーは、電界駆動材料(例えば、誘電エラストマー、PVDFベースのリラクサーポリマー及び液晶エラストマー(LCE)を含む電歪ポリマー)、又はイオン性駆動材料(例えば、共役ポリマー、カーボンナノチューブ(CNT)-ポリマー複合体及びイオン性ポリマー金属複合体(IPMC;Ionic Polymer Metal Composites)を含んでもよい。電界駆動電気活性ポリマーは、直接的な電気機械結合を通して電界によって駆動することができるのに対し、イオン性電気活性ポリマーの駆動機構は、イオンの拡散及び/又は電気化学酸化及び還元を含むことができる。拡散駆動型イオン性ポリマーアクチュエータにおける電界は、電気二重層(electric double layer)に限定されてもよく、従って、アクチュエータ自体の厚さとは無関係とすることができる。そのようなイオン性ポリマーアクチュエータは、ヒステリシスがほとんどなく、サステイン(sustain)電流が低い(例えば、駆動電流よりもはるかに小さい)ことが明らかである。他の実施形態において、応答性材料は、同様に機能する圧電材料を有する、つまり、この圧電材料に印加される電圧又は電流が、前記材料及びこの材料に取り付けられる如何なるキャリア層或いは材料の構造又は形態を変化(例えば、膨張又は湾曲)させ、チャネル、入口又は出口へのアクセスを閉鎖又は可能にする。
【0044】
応答性材料(及び同等に、第2の応答性材料)への電流又は電圧の印加は、センサによって行われる測定に基づいてもよく、幾つかの実施形態において、そのようなセンサは、装置100の一部を形成することができる。幾つかの実施形態において、汗センシング構成要素102(例えば、バイオセンサ)を用いて測定される汗のパラメータ値が、パラメータ値のしきい値を満たす又は超えることに応答して、応答性材料に電気刺激を印加させることができる。言い換えれば、汗センシング構成要素の測定に基づいて応答性材料に電気刺激が印加されるような、フィードバックループを用いることができる。例えば、汗センシング構成要素は、汗にある物質(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン又は乳酸塩等)の濃度又はオスモル濃度のようなパラメータを測定するように構成され、その物質の濃度又はオスモル濃度が、規定のしきい値を満たす又は超える場合、応答性材料に電流又は電圧が印加され、その形態の変化を引き起こす。従って、汗に関するパラメータ(すなわち、汗センシング構成要素102によって測定されるパラメータ)は、汗にある物質の濃度、及び汗にある物質のオスモル濃度を有する集合から選択されるパラメータを有する。このようにして、汗センシング構成要素102が、特定の物質(例えば、汗センシング構成要素を損傷し得る物質)を多く含みすぎる汗を受け取っていると決定される場合、汗方向変更構成要素106を膨張又は湾曲させて(又は他の方法でその形態を変えさせて)、チャネル又は入口を少なくとも部分的に閉鎖する、汗の方向を変更し、汗センシング構成要素に到達することができる汗の量を制御する、又は出口を少なくとも部分的に開放し、汗が汗センシング構成要素に到達せずに装置100から通気されることができるようにするために、応答性材料に電流又は電圧を印加させることができる。
【0045】
幾つかの実施形態において、汗センシング構成要素102(例えば、バイオセンサ)を用いて測定される汗のパラメータ値が、パラメータ値のしきい値を満たす又は超えることに応答して、応答性材料及び/又は第2の応答性材料に電気刺激を印加させることができる。このようにして、汗センシング構成要素102が特定の物質(例えば、汗センシング構成要素を損傷し得る物質)を多く含みすぎる汗を受け取っていると決定される場合、汗方向変更構成要素106及び/又は第2の汗方向変更換構成要素を夫々、膨張又は湾曲させて(又は他の方法でその形態を変えさせて)、チャネル又は入口を少なくとも部分的に閉鎖する、汗の方向を変更し、汗センシング構成要素に到達することができる汗の量を制御する、又は出口を少なくとも部分的に解放し、汗が汗センシング構成要素に到達せずに装置100から通気されることができるようにするために、応答性材料及び/又は第2の応答性材料に電流又は電圧を印加させることができる。有利には、汗方向変更構成要素106及び第2の汗方向変更構成要素の両方に汗の方向を変更させることことによって、汗センシング構成要素に到達する汗の量をより正確に制御することができる。結果として、汗センシング構成要素の生物付着の可能性がさらに減る。
【0046】
他の実施形態において、汗腺からの汗の発汗量が発汗量のしきい値を超えることに応答して、応答性材料及び/又は第2の応答性材料に電気刺激を印加させることができる。幾つかの実施形態において、汗にある物質の濃度又はオスモル濃度と、発汗量との組み合わせが、組み合わされたしきい値を超えることに応答して、電気刺激が印加される。発汗量は、汗センシング構成要素102自体を用いて、又は発汗量を測定することが可能な別個の構成要素(例えば、発汗量センサ又は流量センサ)を用いて測定されることができる。そのような発汗量センサ又は流量センサは、装置100の一部を形成してもよいし、又は応答性材料及び/又は第2の応答性材料への電流又は電圧の印加を制御する処理器と通信する別個の構成要素を有してもよい。従って、装置100は、汗腺からの汗の発汗量を測定するための発汗量センサをさらに有することができる。幾つかの例において、発汗量を決定するために、ガルバニック皮膚反応センサが使用されてもよい。幾つかの実施形態において、装置100は、電気刺激を応答性材料及び/又は第2の応答性材料に印加させるように構成される処理器をさらに有することができる。前記処理器は、発汗量センサから、測定された発汗量を示すデータを受信するように構成されることもできる。上述したように、前記処理器及び/又は発汗量センサは代替的に、別個の構成要素を有してもよい。
【0047】
以下により詳細に論じられるように、幾つかの実施形態において、応答性材料及び/又は第2の応答性材料は、例えば、汗のような液体の存在、すなわち、例えば、最小濃度若しくは最小オスモル濃度の特定の成分(例えば、イオン)を含む液体、或いは特定のpHレベルを持つ液体のような特定のパラメータ又は特性を持つ液体の存在に自動的に応答する。このようにして、汗の摂取は、汗の生理学と関連付けることができる。従って、汗方向変更構成要素106及び/又は第2の汗方向変更構成要素107は、経時的に変化する汗の特性に応答して、被験者からの汗の動的で適応的な方向の変更を可能にする。
【0048】
流体刺激に対し応答性がある応答性材料は、この材料が、例えば、液体(例えば、汗)のような特定の流体と接触すると自動的に変化する形態を持つことができる。幾つかの実施形態において、前記刺激は、例えば、応答性材料及び/又は第2の応答性材料に接触する汗の量がしきい量を超えることに応答して、この応答性材料及び/又は第2の応答性材料の形態の変化を引き起こすための流体刺激を有することができる。幾つかの実施形態において、応答性材料及び/又は第2の応答性材料はヒドロゲルを有する。ヒドロゲルは、ヒドロゲルが置かれている環境の化学的性質の変化(例えば、pH、温度、湿度、イオン強度又は特定の薬物若しくは化学薬品の濃度等の変化)の結果として、その物理的特性(例えば、体積)が変化する、応答性材料又は反応性材料の一例である。ヒドロゲルは、ポリマーと水との間のギブスエネルギーのバランスに依存して、その物理的特性を変化(例えば、膨潤、収縮又は湾曲)させることができ、これは、ヒドロゲルポリマーネットワークの弾性的性質に関連する。特定の体積応答を誘発するための別の手法は、分子インプリンティングとして知られている。ヒドロゲルは、例えば、比較的少量(例えば、低い発汗量)の汗が生成される実施形態において使用されることができる。
【0049】
図6A~6Dは、汗方向変更構成要素106及び/又は第2の汗方向変更構成要素107のさらなる例を示す概略図である。この例において、汗方向変更構成要素106及び/又は第2の汗方向変更構成要素107は、結合又は取り付け位置604において複数の基質セグメント602に取り付け又は結合される電気活性ポリマー600を有する。図6A及び6Cは、刺激(例えば、電気刺激)が印加されていない非駆動状態の電気活性ポリマー600を示す。図6B及び6Dは、刺激(例えば、電気刺激)が印加された駆動状態の電気活性ポリマー600を示す。電気活性ポリマー600に刺激が印加されると、この電気活性ポリマーは、形態を変化させる(例えば、伸びる又は曲率を変化させる等)。電気活性ポリマー600が刺激に応答して形態を変化させるとき、基質セグメント602も動かされる。この例において、電気活性ポリマー600が、図6B及び図6Dの矢印による方向に膨張するとき、基質セグメント602は、隣接する基質セグメント間に間隙又は開口606が形成され、これら間隙又は開口606を介して、流体、例えば汗が流れるように、互いに切り離される。図6C及び6Dは、電気活性ポリマー600と基質セグメント602の層との間のチャネル608を示す。従って、電気活性ポリマー600が(例えば、図6Cのように)非駆動状態にあるとき、汗は、チャネル608を通り、汗搬送チャネル104及び/又は汗センシング構成要素102に向かって流れる。しかしながら、電気活性ポリマー600が(例えば、図6Dのような)駆動状態にあるとき、汗は、開口606を介してチャネル608から出ることができ、汗センシング構成要素102に到達することができる汗の量が低減される。
【0050】
図7は、流体(例えば、汗又は水等)に遭遇することに応じて形態(例えば、形状)を変化させるヒドロゲルを有する、汗方向変更構成要素106及び/又は第2の汗方向変更構成要素107の一例の概略図である。この例における汗方向変更構成要素106及び/又は第2の汗方向変更構成要素107は、ヒドロゲル材料704の層に結合又は取り付けられる非吸収層(例えば、ポリマー層)702を含む。図7Aにおいて、ヒドロゲル材料704は、乾いている又はヒドロゲル材料の形態の変化を引き起こすのに必要とされる十分な量の液体と接触してなく、ヒドロゲル材料及び非吸収層702は共に、比較的真っ直ぐな又は平坦な(例えば、湾曲していない)形態である。図7Bにおいて、ヒドロゲル材料704の一部分706が液体(例えば、汗)と接触し、それによって、このヒドロゲル材料の一部分が上方に湾曲又は収縮することによって形態を変化させる。従って、ヒドロゲル材料704及び非吸収性層702が共に湾曲させられる。使用時には、そのような汗方向変更構成要素106は、汗搬送チャネル104の出口に位置決められることができる。ヒドロゲル材料704が比較的乾いている、又は十分な量の汗に遭遇又は汗を吸収していないとき、汗方向変更構成要素106は、出口を閉鎖し、それによって、汗が装置100から通気されるのを防止し、図2Aに示される例のように、汗の方向を汗センシング構成要素102に変更する。ヒドロゲル材料704に遭遇する汗の量が十分なレベルまで増大する場合、ヒドロゲル材料及び従って、汗方向変更構成要素106は、図2Bに示される例のように、湾曲し、それによって通気口を開き、汗がこの通気口を介して装置100から出ることを可能にする。有利には、敏感なセンシング構成要素の生物付着の原因となる、被験者によって生成される過剰な汗は、その汗が汗センシング構成要素102に到達する前に、装置100から排出されることができる。代替的に、被験者によって生成される汗の量が比較的少ない場合、生成される汗の全てではないが、より高い割合が、装置100の汗センシング構成要素102に向けられてもよい。
【0051】
別の例において、ヒドロゲル材料704を有する汗方向変更構成要素107が、図3A及び図3Bに示される構成と同様に、装置100又は汗搬送チャネル104の入口に位置決められてもよい。被験者に装着される又は取り付けられるとき、汗方向変更構成要素107のヒドロゲル材料704が被験者の皮膚と接触するように、汗方向変更構成要素107が位置決められてもよい。そのような例において、少量の汗が被験者によって生成される場合、ヒドロゲル材料704は平坦(例えば、図7Aに示される構成の)なままであるのに対し、大量の汗が生成される場合、ヒドロゲル材料は、汗方向変更構成要素107に前記入口を少なくとも部分的に閉鎖する位置まで湾曲させるのに十分な汗を吸収し、それによって、装置100に入り、汗センシング構成要素102に到達することができる汗の量を低減する。被験者によって生成される汗の量が許容可能なレベルまで低減するとき、ヒドロゲル材料704は、平坦な構成(図7A)に戻り、それによって、より多くの汗が装置100に入り、汗センシング構成要素102に到達することを可能にする。
【0052】
汗方向変更構成要素106及び/又は第2の汗方向変更構成要素107に応答性材料を使用することのさらなる利点は、汗方向変更構成要素106及び/又は第2の汗方向変更構成要素107が、従来の機械式の弁よりもはるかにコンパクトにできることである。従って、装置100は、比較的小さいフォームファクタとすることができ、これは、機械式の弁を使用して、汗が装置に入るのを阻止する装置よりも、被験者が皮膚に着用するのにより快適で便利である。
【0053】
汗は、必要に応じて汗センシング構成要素102から離れる方向に変更されるので、装置100の殆どの構成要素は、過剰な汗を吸収する必要がなく、従って、本開示の装置が汗で飽和されない。従って、装置100は、しきい量の汗を受け取っても、動作を止めたり又は作業効率が落ちたりすることはない。ヒドロゲルが使用される(例えば、図7の)実施形態であっても、汗方向変更構成要素106及び/又は第2の汗方向変更構成要素107の一部分(すなわち、ヒドロゲル材料706)のみが汗を吸収する。非吸収層702は、汗を吸収せず、依然として、汗の方向を変更するように作用する。
【0054】
応答性材料が流体刺激に応答する実施形態は、汗方向変更構成要素106及び/又は第2の汗方向変更構成要素107が動作するために、電気入力を必要としないというさらなる利点を持つ。従って、汗方向変更構成要素106及び/又は第2の汗方向変更構成要素107への電気接続は必要なく、これは、装置100はよりエネルギー効率がよく、装置の構成は電気接続を用いる装置よりも複雑ではないことをもたらす。
【0055】
本開示の第2の態様によれば、方法が提供される。図8は、方法800の一例のフローチャートである。方法800は、コンピュータ実施方法を有し、装置(例えば、装置100)における汗の通路を制御する方法を有する。前記装置は、汗センシング構成要素102、汗搬送チャネル104及び応答性材料を有する汗方向変更構成要素106を有する。方法800は、ステップ802において、処理器において、被験者の汗腺によって生成される汗に関するパラメータを示すデータを受信するステップを有する。ステップ804において、方法800は、受信されたデータに基づいて、応答性材料に電気刺激を印加させるステップを有する。幾つかの実施形態において、応答性材料への電気刺激の印加は、この応答性材料の形態を変化させ、それによって、汗の方向を変更し、汗搬送チャネル104を介して汗センシング構成要素102に搬送されることができる汗の量を制御する。他の実施形態において、応答性材料への電気刺激の印加は、この応答性材料の形態を変化させ、それによって、ある量の汗が汗搬送チャネル104を介して汗センシング構成要素102に搬送されることを可能にする。汗方向変更構成要素106は、第1の構成では、応答性材料の形態は、汗方向変更構成要素が、汗の通路が汗搬送チャネルの出口を通るのを防止し、この汗の通路を汗センシング構成要素に向けるような形態であり、及び第2の構成では、応答性材料の形態は、汗方向変更構成要素が、汗の通路が汗搬送チャネルの出口を通るのを可能にするような形態であるように、汗搬送チャネルの出口に位置決められる。汗に関するパラメータを示すデータは、例えば、発汗量、汗にある物質の濃度或いはオスモル濃度又は汗の量等を有することができる。前記データは、例えば上述した汗センシング構成要素102のようなセンサから受信される。幾つかの実施形態において、応答性材料に電気刺激を印加させることは、応答性材料に電流又は電圧を供給するように電源を制御することを有することができる。例えば、発汗量が規定のしきい値を超えると決定される場合、処理器は、汗センシング構成要素102に向かう汗の移動が制限される位置まで、汗方向変更構成要素を動かすために、応答性材料に電流又は電圧を供給するように電源を制御することができる。
【0056】
本開示の第3の態様によれば、コンピュータプログラム製品が提供される。図9は、コンピュータ可読媒体904と通信する処理器902の一例の概略図である。様々な実施形態によれば、コンピュータプログラム製品は、非一時的なコンピュータ可読媒体904を有し、このコンピュータ可読媒体は、その中に組み入れられるコンピュータ可読コードを持ち、このコンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又は処理器902によって実行されると、コンピュータ又は処理器が本明細書に論じた方法800のステップを行うように構成される。
【0057】
本開示の第4の態様によれば、システムが提供される。幾つかの実施形態において、装置100は、方法800のステップを行うように構成される処理器を有するのに対し、他の実施形態において、前記処理器は、別個の構成要素でもよい。図10は、システム1000の一例の概略図である。システム1000は、装置100、及び応答性材料に電気刺激を印加させるように構成される処理器(例えば、処理器902)を有する。処理器902は、有線又は無線通信プロトコルを介して装置100の構成要素(例えば、汗センシング構成要素102)と通信することができる。幾つかの実施形態において、装置100自体が、処理器902と通信するように構成される処理器を有することができる。
【0058】
上述した実施形態は、装置の汗センシング構成要素に到達することができる汗の量を制御することができる機構を提供し、それによって、異なる量の汗を生成する様々な人々に対し前記装置を使用することができる。従って、本明細書に開示される装置は、既知の装置よりも用途が広いと考えることができる。
【0059】
処理器902は、本明細書に説明される方法で装置100を制御するように構成又はプログラムされる1つ以上の処理器、処理ユニット、マルチコアプロセッサ又はモジュールを有することができる。特定の実施において、処理器902は、本明細書に説明される方法の個々のステップ或いは複数のステップを行うように各々が構成される、又は個々のステップ又は複数のステップを行うための、複数のソフトウェア及び/又はハードウェアモジュールを有することができる。
【0060】
本明細書に用いられる“モジュール”という言葉は、例えば、特定の機能を行うように構成される処理器或いは処理器の構成要素のようなハードウェア構成要素、又は処理器によって実行されるとき、特定の機能を行う一組の命令データのようなソフトウェア構成要素を含むことが意図される。
【0061】
本発明の実施形態は、本発明を実施するのに適応したコンピュータプログラム、特にキャリア上又はキャリア内のコンピュータプログラムにも適用されることが理解される。前記プログラムは、ソースコード、オブジェクトコード、コード中間ソース、及び例えば部分的にコンパイルされる形成のようなオブジェクトコードの形式とする、又は本発明の実施形態による方法の実施に用いるのに適した他の如何なる形式とするとすることができる。そのようなプログラムは、多くの異なるアーキテクチャ設計を持つことができることも理解される。例えば、本発明による方法又はシステムの機能を実施するプログラムコードは、1つ以上のサブルーチンに細分される。これらサブルーチン間で前記機能を分配する多くの異なる方法は、当業者には明らかである。サブルーチンは、自己完結型のプログラムを形成するために、1つの実行可能なファイルに合わせて記憶されることができる。そのような実行可能なファイルは、コンピュータ実行可能命令、例えばプロセッサ命令及び/又はインタプリタ命令(例えば、Java(登録商標)インタプリタ命令)を有することができる。代替的に、サブルーチンの1つ以上又は全てが、少なくとも1つの外部ライブラリファイルに記憶され、静的又は動的の何れか一方、例えば実行時にメインプログラムとリンクされてもよい。メインプログラムは、サブルーチンの少なくとも1つに対する少なくとも1つの呼び出し(call)を含む。サブルーチンは、互いに対する関数呼び出しを有してもよい。コンピュータプログラム製品に関する実施形態は、本明細書に説明した方法の少なくとも1つにおける処理段階の各々に対応するコンピュータ実行可能命令を有する。これらの命令は、サブルーチンに細分される、及び/又は静的又は動的にリンクされる1つ以上のファイルに記憶される。コンピュータプログラム製品に関する別の実施形態は、本明細書に説明されるシステム及び/又は製品の少なくとも1つにおける手段の各々に対応するコンピュータ実行可能命令を有する。これらの命令は、サブルーチンに細分される、及び/又は静的又は動的にリンクされる1つ以上のファイルに記憶される。
【0062】
コンピュータプログラムのキャリアは、前記プログラムを担持することができる任意のエンティティ又はデバイスとすることができる。例えば、前記キャリアは、ROMのようなデータ記憶装置、例えばCD-ROM若しくは半導体ROM、又はハードディスクのような磁気記録媒体を含むことができる。さらに、前記キャリアは、電気ケーブル若しくは光ケーブルを介して、又は無線若しくは他の手段によって搬送される伝送可能なキャリア、例えば電気信号又は光信号とすることができる。前記プログラムがそのような信号に組み入れられるとき、前記キャリアは、そのようなケーブル又は他のデバイス若しくは手段によって構成されることができる。代替的に、前記キャリアは、プログラムが組み込まれた集積回路とすることができ、この集積回路は、関連する方法を行うように適応する、又は関連する方法の実行に使用される。
【0063】
開示される実施形態に対する変形は、図面、本開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、本明細書に記載された原理及び技法を実施する際に当業者によって理解され、実施されることができる。請求項において、“有する”という言葉は、他の要素又はステップを排除するものではなく、要素が複数あることを述べていなくても、その要素が複数あることを排除しない。単一の処理器又は他のユニットは、特許請求の範囲に列挙される幾つかの項目の機能を果たすことができる。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として提供される適切な媒体、例えば、光記憶媒体又はソリッドステート媒体に記憶又は配布されることができるが、他の形態、例えば、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムなどを介して配布されてもよい。請求項における如何なる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4(A)】
図4(B)】
図5(A)】
図5(B)】
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8
図9
図10
【国際調査報告】