(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】容器を移動するためのデバイス、医薬又はバイオテクノロジー関連の製品を製造するための装置、及びその方法
(51)【国際特許分類】
B01L 9/00 20060101AFI20240110BHJP
A61J 3/00 20060101ALI20240110BHJP
B01L 1/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B01L9/00
A61J3/00 300
B01L1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541743
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 IB2022050181
(87)【国際公開番号】W WO2022149115
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】102021000000311
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523009997
【氏名又は名称】ファーマ インテグレーション エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ベチーニ,クラウディオ
【テーマコード(参考)】
4C047
4G057
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047AA27
4C047JJ11
4G057AA05
4G057AE00
4G057AE21
(57)【要約】
医薬又はバイオテクノロジー用途のための容器(A)群を、制御雰囲気を有するチャンバ(11,12)間で移動させるデバイス(1)であって、支持構造(7)と、露出部(B)を有する容器(A)を収容するように構成された支持体(2)と、支持体(2)をガイドするよう構成され、支持構造(7)に回転結合されたガイド(3)と、ガイド(3)の第1の回転手段(4)と、ガイド(3)に沿った支持体の移動手段(5)と、を備える。ガイド(3)は、チャンバ(11,12)のうちいずれか1つに容器(A)の露出部(B)を配置させるよう回転する。移動手段(5)は、支持体(2)間の距離(D)を、好ましくは、本体(51)によって変化させる。本体(51)は、ガイド(3)に回転結合され、また、トラック(53,54,55,56,57,58,59,60)が形成された外側面(52)を備える。また、装置(100)、及び医薬又はバイオテクノロジー関連の製品を製造する方法についても記載する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬又はバイオテクノロジー用途のための容器(A)群を、第1の制御雰囲気を有する第1のチャンバ(11)と第2の制御雰囲気を有する第2のチャンバ(12)との間で移動させ、第1のチャンバ(11)及び第2のチャンバ(12)のうち少なくとも1つでは、前記容器(A)の輸送手段(13,14)が稼働する、デバイス(1)であって、
支持構造(7)と、
前記容器(A)の前記輸送手段(13,14)によって取得されるよう露出部(B)を有する容器(A)を収容するように構成された支持部(21)をそれぞれ備える支持体(2)と、
前記支持体(2)をガイドするよう構成されたガイド(3)であって、第1の位置及び第2の位置の間で回転するよう回転軸(X)に対して前記支持構造(7)に回転結合され、また、前記支持部(21)が第1の位置の第1のゾーン及び第2の位置の第2のゾーンに向けて対向するように前記支持体(2)を受容することで、前記第1の制御雰囲気を有する前記第1のチャンバ(11)及び前記第2の制御雰囲気を有する前記第2のチャンバ(12)にある各容器(A)の前記露出部(B)に、少なくとも部分的に配置されるガイド(3)と、
前記ガイド(3)を前記回転軸(X)に対して回転するよう構成された第1の回転手段(4)と、
前記回転軸(X)の方向に応じて支持体間の距離(D)を変化させるよう、前記ガイド(3)に沿って前記支持体(2)を移動するよう構成された移動手段(5)と、
を備える、
ことを特徴とする、デバイス(1)。
【請求項2】
前記移動手段(5)は、前記第1の回転手段(4)から独立して起動され、前記第1の位置と端部位置を含む前記第2の位置との間における前記ガイド(3)の任意の位置に前記支持体(2)を移動するよう構成される、
ことを特徴とする、請求項1に記載のデバイス(1)。
【請求項3】
前記ガイド(3)は、前記支持体(2)を受容する少なくとも1つの貫通開口部(31)を備え、
前記支持体(2)の各々は、前記支持部(21)とは反対側の端部にガイド部(22)をさらに備え、前記ガイド部(22)は、前記支持部(21)が対向する反対側において、前記少なくとも1つの貫通開口部(31)から突出し、
前記移動手段(5)は、回転軸(Y)のそれぞれに応じて前記ガイド(3)に回転結合された本体(51)と、前記本体(51)を回転するよう構成された第2の回転手段(61)と、を備え、
前記本体(51)は、前記ガイド部(22)が突出する、前記少なくとも1つの貫通開口部(31)のある側に配置され、また、トラック(53,54,55,56,57,58,59,60)が前記ガイド部(22)をガイドするよう形成された外側面(52)を備え、
前記ガイド部(22)の各々は、前記トラック(53,54,55,56,58,59,60)にそれぞれに係合し、
前記トラック(53,54,55,56,57,58,59,60)のうち少なくとも一部は、前記本体(51)の前記ガイド(3)に対する回転時に、前記本体(51)の前記回転軸(Y)の方向に沿って、前記ガイド部(22)の位置を変化させるように構成される、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のデバイス(1)。
【請求項4】
前記本体(51)の前記回転軸(Y)は前記ガイド(3)の前記回転軸(X)に合致し、前記第1の回転手段(4)は第1の軸(41)を備え、前記第2の回転手段(61)は第2の軸(62)を備え、前記第2の軸(62)は前記第1の軸(41)の内部の一部に対応する、
ことを特徴とする、請求項3に記載のデバイス(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの貫通開口部(31)は、前記回転軸(X)の方向に従って延在することで、同方向に沿って前記支持体(2)をガイドし、
前記支持体(2)は、前記支持部(21)及び前記ガイド部(22)の間に、連結部(23)をさらに備え、前記連結部(23)は、軸対称であり、前記少なくとも1つの貫通開口部(31)に係合するよう構成されていることで、その対象軸に対して回転可能になっている、
ことを特徴とする、請求項3又は4に記載のデバイス(1)。
【請求項6】
さらなる支持体(20)を備え、
前記さらなる支持体(20)は、前記容器(A)の前記輸送手段(13,14)によって取得されるよう露出部(B)を有する容器(A)を収容するように構成された支持部(210)をそれぞれ備え、
前記ガイド(3)は、前記支持部(210)を受容する受け座(32)を備え、
前記少なくとも1つの貫通開口部(31)は第1の貫通開口部(311)及び第2の貫通開口部(312)を有し、各貫通開口部は少なくとも1つの支持体(2)を受容し、それらの間に前記受け座(32)が配置される、
ことを特徴とする、請求項3乃至5のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項7】
前記支持体(2)及び、請求項6に記載するデバイス(1)の場合、前記さらなる支持体(20)は、連結アーム(241)を備え、前記連結アーム(241)は、
互いに連結するよう構成され、互いに連結することで拡張可能なパンタグラフの一部を形成する、
ことを特徴とする、請求項5又は6に記載のデバイス(1)。
【請求項8】
前記支持部(21)は、前記ガイド(3)の回転時、前記容器(A)を支持及び保持するためのボウル又はビーカーの形状を有する部分を備える、
ことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項9】
医薬又はバイオテクノロジー関連の製品を自動生産するための装置(100)であって、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のデバイス(1)と、
第1の制御雰囲気を有する第1のチャンバ(11)と、
第2の制御雰囲気を有する第2のチャンバ(12)と、
前記第1のチャンバ(11)及び前記第2のチャンバ(12)の間に容器(A)を通過させる開口部(10)と、
前記第1のチャンバ(11)の内部に配置され、前記デバイス(1)の前記支持体(2)上にある容器(A)を積載・取得できるよう容器(A)を輸送するよう構成された第1の輸送手段(13)、及び/又は、
前記第2のチャンバ(12)の内部に配置され、前記デバイス(1)の前記支持体(2)上にある容器(A)を積載・取得できるよう容器(A)を輸送するよう構成された第2の輸送手段(14)と、
を備え、
前記支持構造(7)が前記ガイド(3)の前記回転軸(X)を開口部(10)又はその近傍に配置することで、前記第1の回転手段(4)が回転した際、前記支持体(2)が前記第1のチャンバ(11)に向かって対向する第1の位置から、前記支持体(2)が前記第2のチャンバ(12)に向かって対向する第2の位置へ、前記支持体(2)を移動させることができ、少なくとも部分的に、前記容器(A)の各々の前記露出部(B)をそれぞれ前記第1のチャンバ(11)及び前記第2のチャンバ(12)に位置させる、
ことを特徴とする、装置(100)。
【請求項10】
前記第1のチャンバ(11)において、空気を清浄し、前記第1のチャンバ(11)から少なくとも1つの第1の流出口(152)に向かう空気の第1の層状流(151)を生成する第1の換気・清浄手段と、
前記第2のチャンバ(12)において、空気を清浄し、前記第2のチャンバ(12)から少なくとも1つの第2の流出口(162)に向かう空気の第2の層状流(161)を生成する第2の換気・清浄手段と、
前記第2のチャンバ(12)から前記少なくとも1つの第2の流出口(162)に向かう前記第1の層状流(151)の一部を偏向する偏向手段と、
をさらに備え、
前記デバイス(1)は、前記第1の層状流(151)に露出した部分が、前記少なくとも1つの第2の流出口(162)に向かって偏向された前記第1の層状流(151)の一部に露出するように、前記偏向手段に対して配置される、
ことを特徴とする、請求項9に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記デバイス(1)の前記支持体(2)上にある容器(A)を積載又は取得する際、前記第2のチャンバ(12)及び前記第1のチャンバ(11)のそれぞれに干渉しないよう構成された第1の輸送手段(13)及び第2の輸送手段(14)をさらに備える、
ことを特徴とする、請求項9又は10に記載の装置(100)。
【請求項12】
前記容器(A)の前記第1の輸送手段(13)は、前記第1のチャンバ(11)の内部に配置された第1のロボットシステムを備え、前記容器(A)の前記第2の輸送手段(14)は、前記第2のチャンバ(12)の内部に配置された第2のロボットシステムを備える、
ことを特徴とする、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項13】
医薬又はバイオテクノロジー関連の製品を製造するための方法であって、
請求項9乃至12のいずれか一項に記載の装置(100)を準備する工程と、
容器(A)を前記第1のチャンバ(11)へ導入する工程と、
前記第2のチャンバ(12)と干渉しないように、前記第1の輸送手段(13)によって前記支持体(2)上に導入された容器(A)群を配置する工程と、
前記第1のチャンバ(11)に干渉することなく、前記第2の輸送手段(14)によって各容器(A)の前記露出部(B)を取得できるよう、前記支持体(2)を前記第2のチャンバ(12)に向かって回転させる工程と、
前記第1のチャンバ(11)に干渉しないよう、前記第2の輸送手段(14)によって前記支持体(2)から前記容器(A)群を取得する工程と、
前記容器(A)群を医薬又はバイオテクノロジー関連の材料で満たす工程と、
を備える、
ことを特徴とする、方法。
【請求項14】
容器(A)を供給する工程において、所定の寸法を有する1次容器が、各列の前記容器(A)のうち、同じ距離(D)又は所定の間隔を有する複数の列に配置され、供給される際、本方法は、
前記所定の寸法を有する前記容器(A)群を収集するよう構成され、前記所定の間隔で列に配置される、収集部分である前記第1の輸送手段(13)を準備する工程と、
前記所定の寸法を有する容器(A)を収容するよう構成された支持部(21)の前記支持体(2)を準備する工程と、
前記支持体(2)をガイドする直線タイプのガイド(3)と、前記支持体間の前記距離(D)を前記回転軸(X)の方向に従って変化させるよう、前記ガイド(3)に沿って前記支持体(2)を移動させる移動手段(5)と、を供給する工程と、
をさらに備え、
前記容器(A)群を配置する工程において、同じ列の容器(A)が配置され、
前記支持体(2)を回転させる工程において、前記容器(A)間の前記距離(D)は、支持部(21)を互いに近づけたり離間させたりすることにより、等しく変化する、
ことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
容器(A)を供給する工程において、バイアル、ボトル、シリンジ又はカートリッジが供給され、前記容器(A)はそれぞれ、医薬又はバイオテクノロジー関連の材料を導入するための導入口を備え、
前記支持体(2)を回転させる工程において、容器は前記導入口が上向きとなるように保持され、前記支持体(2)は初期位置及び最終位置において水平面に対して等しい角度を形成するよう、回転される、
ことを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
医薬又はバイオテクノロジー関連の製品を製造するための方法であって、
第1の制御雰囲気を有する第1のチャンバ(11)と、第2の制御雰囲気を有する第2のチャンバ(12)と、前記第1のチャンバ(11)及び前記第2のチャンバ(12)の間に容器(A)を通過させる開口部(10)と、前記第1のチャンバ(11)の内部に配置された第1のロボットシステムを備える前記容器(A)の第1の輸送手段(13)と、前記第2のチャンバ(12)の内部に配置された第2のロボットシステムを備える前記容器(A)の第2の輸送手段(14)と、支持部(21)を備える支持体(2)と、を備える装置(100)を準備する工程と、
前記容器(A)を前記第1のチャンバ(11)へ導入する工程と、
前記第2のチャンバ(12)と干渉しないように、前記第1のロボットシステムによって前記支持体(2)上に導入された容器(A)群を配置する工程と、
前記第1のチャンバ(11)に干渉することなく、前記第2のロボットシステムによって各容器(A)の前記露出部(B)を取得できるよう、前記支持体(2)を前記第2のチャンバ(12)に向かって回転させる工程と、
前記第1のチャンバ(11)に干渉しないよう、前記第2のロボットシステムによって前記支持体(2)から前記容器(A)群を取得する工程と、
前記容器(A)群を医薬又はバイオテクノロジー関連の材料で満たす工程と、
を備え、
支持体(2)はそれぞれ、前記露出部(B)を有する前記容器(A)が、前記容器(A)の前記輸送手段(13,14)によって取得されるように、また、回転軸(X)に従って、前記開口部(10)に対し、回転移動可能となるように、前記容器(A)を収容するよう構成され、これにより、前記支持体(2)が前記第1のチャンバ(11)に向かって対向する第1の位置と、前記支持体(2)が前記第2のチャンバ(12)に向かって対向する第2の位置と、の間で回転可能となり、さらに、少なくとも部分的に、前記容器(A)の各々の前記露出部(B)をそれぞれ前記第1のチャンバ(11)及び前記第2のチャンバ(12)に位置させる、
ことを特徴とする、方法。
【請求項17】
容器(A)を供給する工程において、所定の寸法を有する1次容器が、各列の前記容器(A)のうち、同じ距離(D)又は所定の間隔を有する複数の列に配置され、供給される際、本方法は、
前記所定の寸法を有する前記容器(A)群を収集するよう構成され、前記所定の間隔で列に配置される、収集部分である前記第1の輸送手段(13)を準備する工程と、
前記所定の寸法を有する容器(A)を収容するよう構成された支持部(21)の前記支持体(2)を準備する工程と、
前記支持体(2)をガイドする直線タイプのガイド(3)と、前記支持体間の前記距離(D)を前記回転軸(X)の方向に従って変化させるよう、前記ガイド(3)に沿って前記支持体(2)を移動させる移動手段(5)と、を供給する工程と、
をさらに備え、
前記容器(A)群を配置する工程において、同じ列の容器(A)が配置され、
前記支持体(2)を回転させる工程において、前記容器(A)間の前記距離(D)は、支持部(21)を互いに近づけたり離間させたりすることにより、等しく変化する、
ことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
容器(A)を供給する工程において、バイアル、ボトル、シリンジ又はカートリッジが供給され、前記容器(A)はそれぞれ、医薬又はバイオテクノロジー関連の材料を導入するための導入口を備え、
前記支持体(2)を回転させる工程において、容器は前記導入口が上向きとなるように保持され、前記支持体(2)は初期位置及び最終位置において水平面に対して等しい角度を形成するよう、回転される、
ことを特徴とする、請求項16又は17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御雰囲気を有する複数のチャンバを必要とする、例としては、医薬又はバイオテクノロジーの製造プロセスに関し、特に、チャンバ間の容器の移動に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、容器を移動するためのデバイス、医薬又はバイオテクノロジー関連の製品を製造するための装置、及びその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
製造プロセスでは、制御された、場合によっては、無菌の雰囲気を有する、隣接するチャンバを確実に区切る必要性が認識されている。この必要性は、医薬又はバイオテクノロジー関連の製品の製造、特に容器の充填及び密封プロセスにおいて特に認識されている。これらの処理の例は、特許文献1に記載されている。
【0004】
通常、こうした製造は、物品の粒子汚染を防ぐために設計、維持、制御されているクリーンルーム又はクリーンエリアの内部で行われる。例として、標準ISO14644-1、及びヨーロッパの適正製造基準には、クリーンルームの分類が含まれている。容器の移動は、異なる薬学的環境分類を有するチャンバ間でさらに重要とされる。
【0005】
現在、クリーンルームでは、雰囲気制御は、例えばHEPAフィルタを使用して、ろ過された空気を注入することによって行われる。参照する技術分野における一般的な用語において、本出願において、「空気」という用語は、特定の混合物に限定されず、例えば、混合物は、周囲雰囲気又は窒素として等しく識別され得る。
【0006】
チャンバ間の境界を明確にしなかった場合、重大な結果を招く可能性がある。例えば、交差汚染による物品への定性的リスクにより、最終ユーザーに損害を与えたり、製造ロット全体を回収しなければならない事態を引き起こしたりする可能性がある。
【0007】
チャンバ間の容器の移動は、特に医薬又はバイオテクノロジー関連の製品の1次容器の場合、移送装置が容器とともにチャンバ間の境界を横切るため、最も重要な操作の1つである。実際、ベルト、トランスポータ、コンベア、回転プラットフォーム、トレイなどの従来の移送装置は、あるチャンバから別のチャンバに移動する。これに加えて、ロボットシステムは、少なくともエンドエフェクタとともに、隣接するチャンバに進入する。特に高度に有毒な物質や、各構成要素の間隔が狭まるよりコンパクトな製造ラインの場合、同様の装置の使用は非常に重要となる。
【0008】
そのため、医薬又はバイオテクノロジー関連の製品の製造ラインの寸法を制限する傾向は、形状、寸法、内部のトレイやクレート、その他の受け皿の相互配置が異なる可能性のある容器の処理に対する大きな柔軟性の要求と、矛盾する場合がある。実際、製造ラインを構築するための前処理、及び/又は、製造ラインの序盤と終盤におけるサイズ変更作業を完了させる必要があり、これにより、交差汚染のリスクが増加し、適切な作業スペースを確保する必要性も高まる。
【0009】
柔軟性、小型サイズ、チャンバ間の明確な区切りは、小ロットの製造ラインにおける重要要素である。これらの製造プロセスは、製造ラインを形成するように配置されたアイソレータの内部で行われることが多い。医薬又はバイオテクノロジー関連の製品の自動生産のためのアイソレータの例は、特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第1447328号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/315004号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の第1の目的は、医薬又はバイオテクノロジー用途のための容器群を異なるチャンバ間で移動させ、交差汚染のリスクを低減又は排除することを可能にする装置を提供することである。
【0012】
第2の目的は、医薬又はバイオテクノロジー関連の製品を製造するためのデバイス及び装置を提供することである。これらにより得られる結果を考慮すると、これらデバイス及び装置は、コンパクトであり、異なる形状及び寸法を有する容器及び異なる配置の容器からなる群により、操作され得る。
【0013】
さらにさらなる目的は、交差汚染のリスクを低減又は排除する医薬又はバイオテクノロジー関連の製品を製造するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの目的及びその他の目的は、以下の説明により当業者にとって明らかとなるように、請求項に記載の医薬又はバイオテクノロジー用途のための容器群を移動するためのデバイス、医薬又はバイオテクノロジー関連の製品の自動生産のための装置、及び医薬又はバイオテクノロジー関連の製品を製造するための方法によって、達成される。
【0015】
本明細書の開示によれば、デバイスは、支持構造、支持体、ガイド、ガイドの第1の回転手段、及び移動手段を備える。支持体は、容器の輸送手段によって取得されるよう露出部を有する容器を収容するように構成された支持部を、それぞれ備える。ガイドは、支持体をガイドするように構成され、第1の位置と第2の位置との間で回転するように支持構造に回転結合される。さらに、ガイドは、支持部が第1の位置の第1のゾーン及び第2の位置の第2のゾーンに向けて対向する支持体を受容することで、制御雰囲気を有する2つのチャンバのうちの1つにそれぞれ、各容器の露出部分を少なくとも部分的に配置する。移動手段は、支持体間の距離を回転軸の方向に応じて変化させるように、ガイドに沿って支持体を移動させるように有利に構成される。
【0016】
この装置は、第1の制御雰囲気を有する第1のチャンバと、第2の制御雰囲気を有する第2のチャンバとを有する装置において有利に適用される。本開示の技術はまた、装置によるチャンバ間で容器を移動するためのステップを含む、医薬又はバイオテクノロジー関連の製品を製造するための方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の具体的な実施形態は、特許請求の範囲に定められているものに従って、また、添付の図面を参照して、以下の説明により明らかにされる。添付の図面は以下の通りである。
【
図1】
図1は、本発明による医薬又はバイオテクノロジー用途のための容器群を移動させるためのデバイスの実施形態を、ロボットシステムのエンドエフェクタを観察可能に示した斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す実施形態の斜視図であり、要素の一部を含まない、異なる容器に適応する。
【
図3】
図3は、回転軸を通る平面による、
図1の実施形態の断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す実施形態の連続した動作モーメントの側面図であり、要素の一部を含まない。
【
図5】
図5は、
図1に示す実施形態の連続した動作モーメントの側面図であり、要素の一部を含まない。
【
図6】
図6は、
図1に示す実施形態の連続した動作モーメントの側面図であり、要素の一部を含まない。
【
図7】
図7は、
図1の実施形態の動作シーケンスを様々な観点から示しており、場合によっては要素の一部を含まない。
【
図8】
図8は、
図1の実施形態の動作シーケンスを様々な観点から示しており、場合によっては要素の一部を含まない。
【
図9】
図9は、
図1の実施形態の動作シーケンスを様々な観点から示しており、場合によっては要素の一部を含まない。
【
図10】
図10は、
図1の実施形態の動作シーケンスを様々な観点から示しており、場合によっては要素の一部を含まない。
【
図11】
図11は、
図1の実施形態の動作シーケンスを様々な観点から示しており、場合によっては要素の一部を含まない。
【
図12】
図12は、
図1の実施形態の動作シーケンスを様々な観点から示しており、場合によっては要素の一部を含まない。
【
図13】
図13は、本発明によるデバイスのさらなる実施形態を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、本発明による装置の実施形態を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、本発明による装置のさらなる実施形態を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、それぞれのロボットシステムのエンドエフェクタから明らかにされる、2つの連続した動作モーメントにおける、本発明による装置のさらなる実施形態を示す。
【
図18】
図18は、それぞれのロボットシステムのエンドエフェクタから明らかにされる、2つの連続した動作モーメントにおける、本発明による装置のさらなる実施形態を示す。
【
図19】
図19は、チャンバの開口部を通る平面に関して、要素の一部を含まずに、
図17のデバイスの断面図を示す。
【
図21】
図21は、
図1に示す実施形態の上方からの断面図であり、要素の一部を含まずに、ロボットシステムのエンドエフェクタを観察可能に示したものである。
【
図22】
図22は、
図1に示す実施形態の上方からの断面図であり、要素の一部を含まずに、ロボットシステムのエンドエフェクタを観察可能に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照すると、符号(1)は、デバイスを示す。該デバイスは、医薬又はバイオテクノロジー用途のための容器(A)群を、第1の制御雰囲気を有する第1のチャンバ(11)と第2の制御雰囲気を有する第2のチャンバ(12)との間で移動させ、第1のチャンバ(11)及び第2のチャンバ(12)のうち少なくとも1つでは、容器(A)の輸送手段(13,14)が稼働する。一般に、容器(A)は1次容器であり、通常、医薬又はバイオテクノロジー関連の製品の自動製造のための装置(100)のデバイス(1)であり、第1のチャンバ(11)及び第2のチャンバ(12)が開口部(10)によって接続され、そのサイズは制限されている場合がある。
【0019】
例として、容器(A)は、バイアル、ボトル、シリンジ、又はカートリッジ、あるいは、まれにそれらの組み合わせであり得る。
【0020】
制御雰囲気チャンバとは、例えばISO規格14644-1に示されるような、少なくとも粒子の面で制御されたチャンバを意味する。一般に、第1のチャンバ(11)及び第2のチャンバ(12)は、空気清浄度の異なる性質を有するチャンバである。
【0021】
このデバイス(1)の一実施形態は、支持構造(7)と、支持体(2)と、ガイド(3)と、第1の回転手段(4)と、移動手段(5)と、を備える。
【0022】
各支持体(2)は、容器(A)を収容するように構成された支持部(21)を備え、支持部(21)は、容器(A)の輸送手段(13,14)によって取得されるよう、周囲環境に向かって露出した露出部(B)を有する容器(A)を収容するよう構成されている。
【0023】
ガイド(3)は、支持体(2)をガイドするように構成され、支持構造体(7)に回転結合され、回転軸(X)に対して、第1の位置と第2の位置との間で回転するようになっている。第1の回転手段(4)は、第1の位置と第2の位置との間でガイド(3)を回転軸(X)に対して回転させるように構成されている。一般に、第1の回転手段(4)は、ガイド(3)の完全な回転を可能にし、設備の幾何学的特性及び製造ラインの特定のニーズに基づいて、第1の位置及び第2の位置を決定できるようにする。これは、例えば、
図18と
図20の取得位置との比較からも明らかである。
【0024】
ガイド(3)は、支持部(21)が第1の位置の第1のゾーン及び第2の位置の第2のゾーンに向けられるよう、支持体(2)を収容し、第1のチャンバ(11)及び第2のチャンバ(12)内のそれぞれの各容器の露出部(B)を、少なくとも部分的に配置する。
【0025】
移動手段(5)は、支持体間の距離(D)を回転軸(X)の方向に応じて変化させるように、ガイド(3)に沿って支持体(2)を移動させるように有利に構成される。
【0026】
本発明のデバイス(1)は、第1のチャンバ(11)と第2のチャンバ(12)との間の容器(A)の通過における交差汚染のリスクを低減又は排除することを可能にし、容器(A)の輸送手段(13,14)が他のチャンバ(12、11)に干渉することなく、各容器(A)の露出部分(B)の少なくとも一部をチャンバ(11,12)の内部に取り込むか、又は受容することができるようにする。
【0027】
さらに、デバイス(1)は、第1のチャンバ(11)と第2のチャンバ(12)との間の通過中に容器(A)間の距離(D)を変化させることを可能にし、交差汚染のリスクが低減される状況で高い柔軟性を提供するようにし、製造ライン又はデバイス(1)が設置されている機械のサイズに実質的に影響を与えることなはない。したがって、製造ライン又は機械は、値の範囲内でそれら間の距離(D)を有する容器(A)群を処理することが可能となる。例えば、以下でより詳細に説明されるように、デバイス(1)では、製造ラインは、第1のチャンバ内に適切な輸送手段(13)のみを提供し、全てのチャンバにおいてサイズ変更を行うことなく、ピッチの異なるネストから開始して動作させることができる。
【0028】
図1では、ガイド(3)が直線型であり、ガイド方向が回転軸(X)の方向に従って配置され、支持体(2)が全てガイド(3)に対して垂直に維持される好ましい実施形態が示されている。この構成は、輸送手段(13,14)の把持機能部における容器(A)の典型的な構成を反映しており、支持体(2)と移動手段(5)との間の相互作用を単純化する。
【0029】
支持部(21)は、ガイド(3)の回転中に容器(A)を支持・保持するボウル又はビーカー状の部品を備えることが好ましい。添付図面の実施形態において、ビーカーは容器(A)に適した寸法を有し、特に、
図1乃至
図3に示すように、交換可能である。特に、図示のビーカーは、容器(A)の外径に近い内径を有し、容器(A)の露出部(B)を露出したままに保持できる程度の高さにある。
【0030】
同図において、対称軸に対して軸対称ビーカーと、直線型のガイド(3)とを備える実施例の場合、支持体(2)は、ボウル形状部に向かって、その流入部が全て同じ方向に向いている様子が分かる。
【0031】
ガイド(3)は種々適合させることができるが、容器(A)の向きや変位の必要性を考慮すると、ガイド(3)は、直線ガイドであることが好ましく、回転軸(X)の方向に応じて支持体(2)をガイドするように構成されていることがより好ましい。そのため、容器(A)はこのように配置された支持体(2)に対して、容易に取り出すことができ、またグループ化することもできる。
【0032】
図示の実施形態では、回転軸(X)は水平であるが、これは、例えば、デバイス(1)を90度回転させることによっても、すなわち、回転軸(X)を垂直にすることによっても得られるため、厳密には必須条件ではない。
【0033】
ガイド(3)は、向きが異なる容器(A)の配置又は取得を可能にするために、可能な限り回転することが好ましい。例えば、
図4乃至
図6に示す操作シーケンスにおいて、ガイド(3)は、各チャンバ(11,12)において利用可能な約180の六十進数度に対して、任意の角度で容器(A)を配置できることが好ましい。
【0034】
図1、
図21、及び
図22では、容器(A)の軸間の距離(D)が計算されている。参照分野では、これらの距離(D)は一般的に同一であり、「ピッチ」という用語を使用して示される。ただし、距離(D)は、容器(A)の外面を参照して、又は、他の参照に基づいて評価され得る。
【0035】
移動手段(5)は、好ましくは、第1の回転手段(4)とは独立して起動され、より好ましくは、端位置を含む第1の位置と第2の位置との間から構成されるガイド(3)の任意の位置に支持体(2)を移動するように構成される。つまり、移動手段(5)は、ガイド(3)が任意の位置に回転したときに作動することがより好ましい。
【0036】
同様のデバイス(1)は、容器(A)を相互の影響なしに可変シーケンスで異なる距離(D)の位置又は角度に移動できるため、高い操作柔軟性を提供する。言い換えれば、例として、容器(A)間のピッチを変更してからそれらを回転させるか、又はその逆に、又は2つの回転間でピッチ変更を実行することが可能である。また、第1の位置及び第2の位置は、任意であってもよい。また、例として、以下に記載される要素の説明を参照して、
図1のデバイス(1)は、第2の回転手段(61)を設けず、かつ本体(51)を適切に配向させ、距離(D)を変化させることができ得る。ただし、距離の変化は第1の位置及び第2の位置の間で、常に同じである。したがって、距離の変動(D)に関して、距離(D)の異なる変化、又は、異なる第1の位置と第2の位置を得るために、本体(51)を変更する必要があり得る。
【0037】
移動手段(5)は、一般に、以下で説明するさらなる支持体(20)の最終的な存在を考慮して、これによって支持体(2)間の距離(D)を変化させるように支持体(2)を移動するように構成される。
【0038】
移動手段(5)の様々な実施形態が可能であるが、例えばこれらは、二重ねじ切りを有するグラブスクリューを備えてもよく、支持体(2)の各々に適切に結合される。以下で説明する実施形態は、とりわけ、交差汚染を引き起こす可能性のある表面の露出を確実にし、未露出部分を保護するシールの位置決めを容易にする。
【0039】
ガイド(3)は、支持体(2)を受容する貫通開口部(31)を少なくとも備えることが好ましく、支持体(2)の各々は、支持部(21)の反対側の端部にガイド部(22)をさらに備える。ガイド部(22)は、支持部(21)が向いている反対側の少なくとも貫通開口部(31)から突出している。例えば、
図3は、ガイド(3)から通過する水平面に対して、支持部(21)及びガイド部(22)が反対側の半空間に面する様子を示す。
【0040】
移動手段(5)は、ガイド部(22)が突出する少なくとも貫通開口部(31)の側方に配置され、その上にトラック(53,54,55,56,57,58,59,60)がガイド部(22)をガイドするよう形成される外面(52)を備える本体(51)を備える。ガイド部(22)はトラック(53,54,55,56,57,58,59,60)に係合するように突出する必要がある。支持部(21)は少なくとも貫通開口部(31)の内部に留まる可能性があるが、その場合、一般に、交差汚染のリスクが高まる。
【0041】
本体(51)は、それぞれの回転軸(Y)に従ってガイド(3)に回転結合されている。
【0042】
各ガイド部(22)は、それぞれのトラック(53,54,55,56,58,59,60)に係合し、少なくとも一部のトラック(53,54,55,56,57,58,59,60)は、ガイド(3)に対する本体(51)の回転中に、本体(51)の回転軸(Y)の方向に沿ってガイド部(22)の位置を変化させるように適合している。
【0043】
流体や、可能であれば、医薬又はバイオテクノロジー関連の製造ラインで通常使用される滅菌手段に対して露出する表面を有するコンパクトな装置において、距離(D)を有利に変化させることができ、高い操作柔軟性を達成できる。
【0044】
図9、
図10、及び
図11は、図示の実施形態におけるトラック(53,54,55,56,57,58,59,60)の立体配座を示す。特に
図11では、これらの位置に向かって互いに近接するトラック(53,54,55,56,57,58,59,60)内のガイド部(22)の位置により、支持体(2)が互いに接近していることが分かる。より好ましくは、トラック(53,54,55,56,57,58,59,60)は、汚染物質を保持する可能性のある領域を生成しないように、レリーフ又は溝部として形成される。例えば、
図3は、コの字形の溝部を示している。
【0045】
トラック(53,54,55,56,57,58,59,60)は、特定の要件に基づいて適合させることが可能となる。一般に、特に所定のピッチで配置された容器(2)の場合、トラック(53,54,55,56,57,58,59,60)の1つは、本体(51)の回転軸(Y)の方向に沿ってガイド部(22)の位置を変化させなくてもよく、すなわち、回転軸(Y)の一連の平面の関与する平面のそれぞれに同じ断面を有していてもよい。例えば、
図1の実施形態では、さらなる支持体(20)は、回転のみを行い、それぞれのトラック(57)がその位置を変化させない受け座(32)に収容され、さらなる支持体(20)を適切に調整することによって、実際に取り外すことができる。
【0046】
移動手段(5)は、容器(A)の回転と容器(A)間の異なる距離(D)を独立して実現させるため、本体(51)を回転させる第2の回転手段(61)をさらに備えることが好ましい。
【0047】
既に一般として記載したように、少なくとも貫通開口部(31)は、支持体(2)を同一方向に沿って導くように回転軸(X)の方向に応じて延びることが好ましい。
【0048】
本体(51)の回転軸(Y)は、ガイド(3)の回転軸(X)と一致することが好ましく、第1の回転手段(4)は第1の軸(41)を含み、第2の回転手段(61)は第2の軸(62)を含み、より好ましくは、第2の軸(62)は、その一部が第1の軸(41)の内部にある。したがって、交差汚染のリスクは最小限に抑えられ、簡易的な管理の実行と露出要素の数削減が容易となる。
図3は、それぞれのモータ(43、64)、一般的にはギアモータ、及びトランスミッション(42、63)を備えた第1の軸(41)及び第2の軸(62)の露出及び起動を維持することができない領域を保護するための、共通のシールの使用を分かりやすく示す。
【0049】
支持体(2)は、支持部(21)とガイド部(22)との間に、軸対称であり、その対称軸に対して移動可能、すなわち、回転可能に少なくとも貫通開口部(31)に係合するように構成された連結部(23)をさらに備えることがより好ましい。この回転により、少なくとも貫通開口部(31)の内部で向きを変えることが可能となるため、結合部(23)の露出及び場合によっては滅菌を容易にする。
【0050】
一般的に、1つ以上の容器(A)がガイド(3)に沿って移動されない場合がある。これは、好ましくは、中央容器(A)、又はピッチをあけて配置された容器の場合には、2つの中央容器のうちの1つについて生じ得る。
【0051】
デバイス(1)は、露出部(B)を有する容器(A)を収容するように構成されたそれぞれの支持部(210)を含むさらなる支持体(20)を備えることができ、その結果、容器(A)の輸送手段(13,14)によって取得することができる。ガイド(3)は、さらなる支持体(210)を受ける受け座(32)を備え得る。支持体(2)の様々な実施形態は、他の部材において特殊なピースを管理する必要がないように、さらなる支持体(20)にも適用することができる。したがって、さらなる支持体(20)は、それぞれのガイド部(220)及びそれぞれの結合部(230)を備え得る。
【0052】
より好ましくは、少なくとも貫通開口部(31)は、第1の貫通開口部(311)及び第2の貫通開口部(312)を含み、それぞれが少なくとも支持体(2)を受容し、その間に受け座(32)が配置される。したがって、容器間の距離(D)に関係なく、容器(A)をガイド(3)に対して実質的に中央に維持することができる。
【0053】
支持体(2)及び、場合によっては、さらなる支持体(20)は、好ましくは、互いに接続されるように構成され、拡張可能なパンタグラフの一部を形成するよう、互いに接続される連結アーム(241)を備える。
図9及び
図22に図示されるように、連続する連結アーム(241)は、それぞれの端部において互いに回転可能に接続され、各支持体(2)、又は、さらなる支持体(20)は、端部にある場合、1つの連結アーム(241)のみを備え、それ以外の場合は、2つの連結アームを備える。連結アーム(241)は、有利には、支持体(2)及びさらなる支持体(20)をガイド(3)に沿った変位で回転させ、これにより、全ての表面の露出を容易にする。さらに、支持体(2)の支持又は位置を維持する機能が実現される。
【0054】
支持体(2)は、好ましくは、中央部(24)を備える。中央部(24)は、連結アーム(241)と一体に形成され、支持部(21)に第1の端部で結合され、ガイド部(22)に第1の端部とは反対側の端部で結合される。同様に、さらなる支持体(20)は、それぞれの中央部分(240)を備え得る。
【0055】
好ましい変形例では、取り付けの点でも有利であり、ガイド部(22)は、中央部(24)に係合する際に連結部(23)を遮断する特殊なねじである。一例として、
図3を参照すると、連結部(23)は、2つの部分からなるブッシュであり、中央部(24)と少なくとも貫通開口部(31)との間に介在している。再び
図3を参照すると、上記のデバイス(1)は、同分野で共通のシールを使用しているため、空気の通過を可能にし、場合によっては、これらの領域が視野に入って容易に到達できるため、交差汚染を引き起こす可能性のある全ての領域の滅菌を可能にする。
【0056】
図7から
図12は、特に操作シーケンスを示している。
-容器(A)の準備
図7
-容器(A)の配置
図8及び
図9
-ガイド(3)及び本体(51)の回転の第1の部分
図10
-ガイド(3)及び本体(51)の回転の終了
図11及び
図12
【0057】
デバイス(1)は、好ましくは、異なるシーケンスを実行するように構成されてもよい。例えば、
図10において、本体(51)がまだ回転していなくてもよく、あるいは、容器(A)を
図10のように配置された支持体(2)とともに準備してもよい。
【0058】
デバイス(1)は、好ましくは、医薬又はバイオテクノロジー関連の製品の自動生産のための製造ライン又は機械の内部に適用可能である。このため支持構造(7)は、第1のチャンバ(11)と第2のチャンバ(12)のどちらか一方、その間、又はその両方に固定されるように構成された連結部(71)を備える。より好ましくは、デバイス(1)は、第1のチャンバ(11)と第2のチャンバ(12)との間の既存の閾値に設置される。このため、デバイス(1)は、単独で、又は、一緒に、容器(A)の通過のための開口部(10)を画定するフレーム(72)及び/又は分離壁(73)を備える得る。一般に、デバイス(1)は、設置によりシールが損なわれないよう、フレーム(72)を備えていることが好ましい。
図19及び
図20は、開口部(10)を画定し、デバイス(1)をチャンバ(11,12)の内部に閉じ込める分離壁(73)を示す。同じ分離壁(73)が
図17及び
図18にも示されており、異なるロボットシステムの把持機能部に渡すシーケンスの例、すなわち、デバイス(1)を製造ライン又は機械の内部に配置する例が示されている。
【0059】
本発明による医薬又はバイオテクノロジー関連の製品の自動製造のための装置(100)の実施形態は、第1の制御雰囲気を有する第1のチャンバ(11)と、第2の制御雰囲気を有する第2のチャンバ(12)と、第1のチャンバ(11)と第2のチャンバ(12)との間の容器(A)を通過させるための開口部(10)と、前述のデバイス(1)と、第1の輸送手段(13)及び/又は第2の輸送手段(14)と、を含む。
【0060】
典型的には、第1のチャンバ(11)及び第2のチャンバ(12)は、例えばISO規格14644-1に従ってクリーンルームとして設けられ、より好ましくは、それらは異なる医薬的又はバイオテクノロジー的環境分類を有する。例えば、上記の規格を参照して、第1のチャンバ(11)をクラス3とすることができ、第2のチャンバ(12)をクラス2とすることができる。
【0061】
第1の輸送手段(13)は、第1のチャンバ(11)の内部に配置され、デバイス(1)の支持体(2)上に容器(A)を配置又は取得するように容器(A)を輸送するように構成されている。同様に、第2の輸送手段(14)は、第2のチャンバ(12)の内部に配置され、デバイス(1)の支持体(2)上に容器(A)を配置又は取得するように容器(A)を輸送するように構成されている。、例えば、第2のチャンバ(12)において容器(A)が取得されないため、輸送手段(13,14)が片側のみに配置される点において、本発明の利点が見出される。
【0062】
デバイス(1)の支持構造(7)は、有利に、ガイド(3)の回転軸(X)を、開口部(10)の位置又はその近くに配置することで、第1の回転手段(4)の回転により、支持体(2)が第1のチャンバ(11)に対向する第1の位置から、支持体(2)が第2のチャンバ(12)に対向する第2の位置まで、支持体(2)を移動させる。これにより、各容器(A)の露出部分(B)を、少なくとも一部、第1のチャンバ(11)及び第2のチャンバ(12)のそれぞれに配置する。
【0063】
上記の利点は以下のようにして得られる。すなわち、第1の輸送手段(13)及び第2の輸送手段(14)は、デバイス(1)の支持体(2)上に容器(A)を配置又は取得する際に、第2のチャンバ(12)及び第1のチャンバ(11)にそれぞれ進入しないように構成することが好ましい。
【0064】
一般に輸送手段(13,14)は、
図14乃至
図16に図示しないロボットシステムを備える。ロボットシステムのうち、エンドエフェクタに関しては、他の図で示されている。ロボットシステムの例は、特許文献2に記載されている。
【0065】
容器(A)の第1の輸送手段(13)は、好ましくは、第1のチャンバ(11)の内部に配置された第1のロボットシステムを備え、容器(A)の第2の輸送手段(14)は、第2のチャンバ(12)の内部に配置された第2のロボットシステムを備える。
【0066】
上記に例示するように、好ましくは、回転軸(X)は、必ずしもそのように限定はされないが、第1のチャンバ(11)と第2のチャンバ(12)との間の閾値、例えば閾値を半分に分割する垂直面上に配置される。
【0067】
装置(100)は、好ましくは、第1の換気・清浄手段と、第2の換気・清浄手段と、より好ましくは、偏向手段と、を備える。
【0068】
第1の換気・清浄手段は、空気を清浄し、第1のチャンバ(11)において、第1のチャンバ(11)から少なくとも第1の流出口(152)に向かう空気の第1の層流(151)を生成するように構成されている。
【0069】
第2の換気・清浄手段は、空気を清清浄し、第2のチャンバ(12)において、第2のチャンバ(12)から少なくとも第2の流出口(162)に向かう空気の第2の層流(161)を生成するように構成されている。
【0070】
図16において、矢印は第1の層流(151)及び第2の層流(161)の方向を示している。一般的な実施では、第1及び第2の換気・清浄手段は、フィルタと、それぞれ、第1の換気装置(150)及び第2の換気装置(160)と、を含み、後者は
図14乃至
図16に示される。
【0071】
偏向手段は、第1の層流(151)の一部を第2のチャンバ(12)から少なくとも第2の流出口(162)に向けて偏向するように構成されている。
【0072】
デバイス(1)は、第1の層流(151)に露出した部分が、少なくとも第2の流出口(162)に向かって偏向された第1の層流(151)の部分に露出するように、偏向手段に対して有利に配置される。本開示の技術は、
図16に示すアイソレータのチャンバ(11,12)のいずれかに適用することができ、一般的に、層流のうち少量の一部を他のチャンバ(11,12)に向かうように逸れさせる圧力差が生じている。
【0073】
第2のチャンバ(12)は、好ましくは第1のチャンバ(11)に対して減圧された状態に配置され、つまり、第1のチャンバ(11)は正圧状態に設けられる。具体的には、一般的な慣行に従えば、圧力差は10~20パスカルの間となる。代替的又は組み合わせとして、偏向手段は、分離壁(73)を含み、より好ましくは開口部(10)も画定する分離壁(73)を含む。
図17乃至
図20に示すように、分離壁(73)は第1のチャンバ(11)に配置される。
【0074】
装置(100)は、好ましくは、1つ以上のアイソレータを備える。
【0075】
本発明はまた、医薬又はバイオテクノロジー関連の製品を製造するための方法に関し、該方法は、一実施形態において、以下の工程を含む。
-第1の制御雰囲気を有する第1のチャンバ(11)と、第2の制御雰囲気を有する第2のチャンバ(12)と、第1のチャンバ(11)及び第2のチャンバ(12)の間に容器(A)を通過させる開口部(10)と、第1のチャンバ(11)の内部に配置された第1のロボットシステムを備える容器(A)の第1の輸送手段(13)と、第2のチャンバ(12)の内部に配置された第2のロボットシステムを備える容器(A)の第2の輸送手段(14)と、支持部(21)を備える支持体(2)と、を備える装置(100)を準備する工程。
-容器(A)、好ましくは1次容器を第1のチャンバ(11)へ導入する工程。
-第2のチャンバ(12)と干渉しないように、第1のロボットシステムによって支持体(2)上に導入された容器(A)群を配置する工程。
-第1のチャンバ(11)に干渉することなく、第2のロボットシステムによって各容器(A)の露出部(B)を取得できるよう、支持体(2)を第2のチャンバ(12)に向かって回転させる工程。
-第1のチャンバ(11)に干渉しないよう、第2のロボットシステムによって支持体(2)から容器(A)群を取得する工程。
-容器(A)群を医薬又はバイオテクノロジー関連の材料で満たす工程。
ここで、支持体(2)はそれぞれ、露出部(B)を有する容器(A)が、容器(A)の輸送手段(13,14)によって取得されるように、また、回転軸(X)に従って、開口部(10)に対し、回転移動可能となるように、容器(A)を収容するよう構成され、これにより、支持体(2)が第1のチャンバ(11)に向かって対向する第1の位置と、支持体(2)が第2のチャンバ(12)に向かって対向する第2の位置と、の間で回転可能となり、さらに、少なくとも部分的に、容器(A)の各々の露出部(B)をそれぞれ第1のチャンバ(11)及び第2のチャンバ(12)に位置させる。
【0076】
一般に、装置(100)のロボットシステムは、使用中の容器(A)用に構成された、例えばプライヤなどの把持機能部を含む擬人化ロボットである。
【0077】
本方法は、好ましくは、前述の装置(100)を用いて適用される。この場合、本発明に係る装置(100)を準備する工程が実施されるとともに、本方法は、以下の工程を含む。
-容器(A)を第1のチャンバ(11)へ導入する工程。
-第2のチャンバ(12)と干渉しないように、第1の輸送手段(13)によって支持体(2)上に導入された容器(A)群を配置する工程。
-第1のチャンバ(11)に干渉することなく、第2の輸送手段(14)によって各容器(A)の露出部(B)を取得できるよう、支持体(2)を第2のチャンバ(12)に向かって回転させる工程。
-第1のチャンバ(11)に干渉しないよう、第2の輸送手段(14)によって支持体(2)から容器(A)群を取得する工程。
-容器(A)群を医薬又はバイオテクノロジー関連の材料で満たす工程。
【0078】
また、支持体(2)を回転させる工程において、容器(A)間の距離(D)は、支持部(21)を互いに近づけたり遠ざけたりすることによって変化させることも好ましい。
【0079】
容器(A)は、通常、各列に同じピッチで複数の列に配置され、より好ましくは、距離(D)は等しく変化する。
【0080】
一般的に、容器(A)は適切に配置された状態で、引き出しやトレイなどの2次容器内に配置される。こうした二次容器は、適切な収納部を備えており、容器(A)を整列させたまま保持する役割を果たす。シリンジやボトルは通常、「ネスト」と呼ばれる要素によって支持され、「タブ」と呼ばれる別の要素の内部に配置される。ただし、容器(A)の寸法や距離(D)は頻繁に変動し、多くの場合、バッチごとに異なる。
【0081】
該方法は、特に柔軟性があり、必要に応じて支持部(21)を寸法に合わせて交換し、ロボティックシステムのエンドエフェクタを容器(A)の寸法と距離(D)に合わせて変更することで、異なる特性を持つ容器(A)の管理が可能となる。
図1及び
図2、そして
図21及び
図22は、異なる寸法の容器(A)を取得したり配置したりするための異なるエンドエフェクタを示している。同様の理由により、図示の支持部(21)は異なる直径を有している。
【0082】
これらの理由から、本方法の好ましい態様では、容器(A)を供給する工程において、所定の寸法を有する1次容器が、各列の容器(A)のうち、同じ距離(D)又は所定の間隔を有する複数の列に配置される。供給される際、本方法は、さらに以下の工程を含む。
-所定の寸法を有する容器(A)群を収集するよう構成され、所定の間隔で列に配置される、収集部分である第1の輸送手段(13)を準備する工程。
-所定の寸法を有する容器(A)を収容するよう構成された支持部(21)の支持体(2)を準備する工程。
-支持体(2)をガイドする直線タイプのガイド(3)と、支持体間の距離(D)を回転軸(X)の方向に従って変化させるよう、ガイド(3)に沿って支持体(2)を移動させる移動手段(5)と、を供給する工程。
【0083】
容器(A)群を配置する工程において、同じ列の容器(A)が有利に配置される。支持体(2)を回転させる工程において、容器(A)間の距離(D)は、支持部(21)を互いに近づけたり遠ざけたりすることによって等しく変化する。
【0084】
容器(A)を供給する工程において、バイアル、ボトル、シリンジ又はカートリッジが供給されることが好ましく、各容器(A)は、医薬又はバイオテクノロジー関連の材料を導入するための導入口を備える。支持体(2)を回転させる工程において、容器は、製造作業を単純化するために、導入口が上を向くように維持される。
【0085】
より好ましくは、支持体(2)を回転させる工程において、支持体(2)は、
図4及び
図6に示す通り、初期位置及び最終位置において水平面に対して等しい大きさの角度を形成するように回転される。
【0086】
この方法は、装置(100)と同様に、容器(A)の充填工程又は充填手段及び/又は密封工程又は密封手段又はキャッピングを含むことが好ましい。その他の典型的な操作には、洗浄、滅菌、検査が相当する。
【0087】
上記は非限定的な例として説明されており、いかなる構造的な変形例も、以下の請求項で述べられる本技術的解決の保護範囲に含まれるとみなされる。
【国際調査報告】