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特表2024-502193低炭素オレフィンを調製するための流動化接触転換方法
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  • 特表-低炭素オレフィンを調製するための流動化接触転換方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】低炭素オレフィンを調製するための流動化接触転換方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 4/10 20060101AFI20240110BHJP
   C07C 11/04 20060101ALI20240110BHJP
   C07C 11/06 20060101ALI20240110BHJP
   C07C 11/08 20060101ALI20240110BHJP
   B01J 29/85 20060101ALI20240110BHJP
   B01J 38/12 20060101ALI20240110BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
C07C4/10
C07C11/04
C07C11/06
C07C11/08
B01J29/85 M
B01J38/12 C
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541767
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 CN2021101925
(87)【国際公開番号】W WO2022147970
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】202110031544.4
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110031545.9
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523143774
【氏名又は名称】中石化石油化工科学研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】許友好
(72)【発明者】
【氏名】左巌芬
(72)【発明者】
【氏名】舒興田
(72)【発明者】
【氏名】汪燮卿
(72)【発明者】
【氏名】羅一斌
(72)【発明者】
【氏名】張雲鵬
(72)【発明者】
【氏名】韓月陽
(72)【発明者】
【氏名】杜令印
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA10
4G169BA01B
4G169BA07A
4G169BA10A
4G169BA10B
4G169BC39A
4G169BC39B
4G169BC40A
4G169BC40B
4G169BC41A
4G169BC41B
4G169BC49A
4G169BC53A
4G169BC65A
4G169BC66B
4G169BC69A
4G169CC07
4G169DA08
4G169FA01
4G169FC07
4G169FC08
4G169GA06
4G169ZA01A
4G169ZA11B
4G169ZA41A
4G169ZA41B
4G169ZB09
4G169ZD06
4G169ZF02A
4G169ZF02B
4G169ZF05A
4G169ZF05B
4G169ZF07A
4G169ZF09B
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC26
4H006BA02
4H006BA09
4H006BA19
4H006BA30
4H006BA55
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC19
4H006BC34
4H006BD33
4H006BD52
4H006DA15
4H039CA29
4H039CG50
(57)【要約】
低炭素オレフィンを調製するための流動化接触転換方法であり、当該方法は、以下の工程を含む:1)オレフィンがリッチな原料を流動化接触転換反応器に導入し、反応のために650℃以上の温度で触媒と接触させる工程;2)前記反応から得られた油およびガスを分離して、C5オレフィンもしくはそれより炭素数の多いオレフィンの含有流を得る工程;および3)C5オレフィンもしくはそれより炭素数の多いオレフィンの含有流の少なくとも一部を、反応を続けるために工程1)に戻す工程。前記流動化接触転換方法は、低炭素オレフィンの収率を効果的に増加させ、選択性を改善し、生成物のエチレン/プロピレン比率を増加させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽質オレフィンを製造するための流動化接触転換方法であって、以下の工程を含む方法:
1)オレフィンリッチ供給原料を流動化接触転換反応器に導入し、650℃以上の温度を有する接触転換触媒と接触させ、第1の接触転換条件下で反応させる工程であって、前記オレフィンリッチ供給原料は50重量%以上のオレフィン含有量を有する、工程;
2)反応生成物蒸気および使用済み触媒を得るために流動化接触転換反応器の流出物を分離し、前記反応生成物蒸気を分離して、エチレン、プロピレン、ブチレンおよびC5+オレフィン含有流を得る、工程;ならびに
3)前記C5+オレフィン含有流の少なくとも一部をさらなる反応のために工程1)に再循環させる工程、
前記第1の接触転換条件は:
600~800℃の反応温度、好ましくは630~780℃の反応温度;
0.05~1MPaの反応圧力、好ましくは0.1~0.8MPaの反応圧力;
0.01~100秒の反応時間、好ましくは0.1~80秒の反応時間;
(1~200):1の、前記オレフィンリッチ供給原料に対する前記接触転換触媒の重量比率、好ましくは(3~180):1の、前記オレフィンリッチ供給原料に対する前記接触転換触媒の重量比率、を含む。
【請求項2】
前記オレフィンリッチ供給原料は、80重量%以上、好ましくは90重量%以上のオレフィン含有量を有し、より好ましくは前記オレフィンリッチ供給原料が純粋なオレフィン供給原料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オレフィンリッチ供給原料中の前記オレフィンが、本質的にC5+オレフィンからなる、請求項1または2に記載の方法;
任意で、前記オレフィンリッチ供給原料は、アルカン脱水素化ユニットによって生成されるC5+留分、製油部の接触分解ユニットによって生成されるC5+留分、エチレンプラントの水蒸気分解ユニットによって生成されるC5+留分、MTOプロセスのC5+オレフィンリッチ副生成物留分、およびMTPプロセスのC5+オレフィンリッチ副生成物留分のうちの1つ以上である。
【請求項4】
以下の工程をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法:
4)工程2)で分離された前記ブチレンの少なくとも一部を、前記オレフィンリッチ供給原料が前記接触転換触媒と接触するために導入される位置である、前記接触転換反応器の上流に再循環させ、第2の接触転換条件下で反応する工程:
前記第2の接触転換条件は:
650~800℃の反応温度、好ましくは680~780℃の反応温度;
0.05~1MPaの反応圧力、好ましくは0.1~0.8MPaの反応圧力;
0.01~10秒の反応時間、好ましくは0.05~8秒の反応時間;
(20~200):1の、前記ブチレンに対する前記接触転換触媒の重量比率、好ましくは(30~180):1の、前記ブチレンに対する前記接触転換触媒の重量比率、を含む。
【請求項5】
以下の工程をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法:
1a)前記接触転換反応器の下流に酸素含有有機化合物を導入し、第3の接触転換条件下で反応する工程であり、前記接触転換反応器の下流は、前記工程1)の反応の後に、前記接触転換触媒と接触するために、前記オレフィンリッチ供給原料が導入される位置である:
前記第3の接触転換条件は:
300~550℃の反応温度、好ましくは400~530℃の反応温度;
0.01~1MPaの反応圧力、好ましくは0.05~1MPaの反応圧力;
0.01~100秒の反応時間、好ましくは0.1~80秒の反応時間;
(1~100):1の、前記酸素含有有機化合物供給原料に対する前記接触転換触媒の重量比率、好ましくは(3~50):1の、前記酸素含有有機化合物供給原料に対する前記接触転換触媒の重量比率を含み、
好ましくは、前記酸素含有有機化合物は、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテルおよびエチルエーテルの少なくとも1つを含む。
【請求項6】
前記接触転換触媒は、前記接触転換触媒の重量に基づいて、1~50重量%のモレキュラーシーブ、5~99重量%の無機酸化物、および0~70重量%の粘土を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法;
任意で、前記モレキュラーシーブは、前記モレキュラーシーブの総重量に基づいて、50~100重量%のメソ多孔質モレキュラーシーブおよび0~50重量%のミクロ多孔質モレキュラーシーブを含む;
任意で、前記メソ多孔質モレキュラーシーブはZSMモレキュラーシーブであり、前記ミクロ多孔質モレキュラーシーブはSAPOモレキュラーシーブである。
【請求項7】
前記接触転換触媒は、前記接触転換触媒の重量に基づいて、0.1~3重量%の改質元素を含み;前記改質元素は、VIII族金属、IVA族金属、VA族金属、および希土類金属からなる群から選択される1つ以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記流動化接触転換反応器が、ライザー反応器、等線速度流動床、等径流動床、上昇移送ライン、および下降移送ラインからなる群から選択される1つ、または直列に接続されたそれらの2つの組合せ反応器であり、
前記ライザー反応器は等径ライザー反応器または直径変換流動床反応器である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
以下の工程をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法:
5)工程2)の分離により得られた前記使用済み触媒を、コークス燃焼により再生して再生触媒を得て、前記再生触媒の温度を650℃以上に調整し、その後、前記再生触媒を、前記接触転換触媒として使用するために、前記流動化接触転換反応器に再循環させる工程。
【請求項10】
前記C5+オレフィン含有流が、50重量%以上のC5+オレフィン含有量を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記工程2)が以下の工程を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法:
2a)前記流動化接触転換反応器の前記流出物を分離して、反応生成物蒸気および前記使用済み触媒を得る工程;
2b)生成物精留塔中で前記反応生成物蒸気を分離して、エチレン、プロピレン、ブチレンおよび第1のオレフィン含有流を得る工程;および
2c)オレフィンセパレータ中で前記第1のオレフィン含有流を分離して、C5+オレフィン含有流を得る工程であって、 前記C5+オレフィン含有流中の前記オレフィン含有量は、前記第1のオレフィン含有流中の前記オレフィン含有量よりも多い工程。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本出願は、2021年11月1日に出願された「エチレン、プロピレンおよびブチレンを調製するための接触転換方法」と題された中国特許出願第202110031544.4号、および2021年11月1日に出願された「エチレンおよびプロピレンを調製するための接触転換方法」と題された中国特許出願第202110031545.9号に基づく優先権を主張する。その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本出願は、流動化接触転換の技術分野に関する。特に、低炭素オレフィン(軽質オレフィンとも称される)を調製するための流動化接触転換方法に関する。
【0003】
[背景技術]
プロピレンおよびエチレンは、現代の石油化学産業にとって、最も重要な2つの基本原料であるが、油田の産出の増加につれて、従来の原油の利用可能な収率は徐々に減少し、原油の品質は悪化し、重くなっている。現在、軽質オレフィンの生産能力は急速に増加しているが、市場における軽質オレフィンの需要はまだ満たされていない。
【0004】
エチレンおよびプロピレンは重要な化学中間体として、ますます求められており、主に、様々な重要な有機化学原料、合成樹脂、合成ゴム、様々なファインケミカルなどの製造に使用されている。エチレンは世界最大の収率を有する化学製品の1つであり、世界の全石油化学製品収率の75%超を占め;エチレンのバルク下流生成物は主に、ポリエチレン、エチレンオキシド、エチレングリコール、ポリ塩化ビニル、スチレン、酢酸ビニルなどを含む。プロピレンは重要な有機化学原料であり、主にアクリロニトリル、プロピレンオキシド、アセトンなどの調製に用いられる。
【0005】
水蒸気分解によってエチレンおよびプロピレンを調製するための従来の経路はナフサなどの軽質炭化水素に対する大きな要求を有しており、水蒸気分解原料は主に、軽質炭化水素(エタン、プロパンおよびブタンなど)、ナフサ、ディーゼル油、凝縮油および水素化テール油を含み、その中で、ナフサの質量分率が50%超を占め、典型的なナフサ水蒸気分解は約29~34%のエチレン収率、13~16%のプロピレン収率を有し、より低いエチレン/プロピレン出力比率は、軽質オレフィン要求の現在の状況を満たすことが困難である。
【0006】
中国特許出願番号CN101092323Aは、400~600℃の反応温度および0.02~0.3MPaの絶対圧力でC4~C8オレフィンの混合物を反応させること、ならびにさらなる分解のためにセパレータ中で分離した後に30~90重量%のC4留分を反応器に再循環させることを含む、C4~C8オレフィンの混合物からエチレンおよびプロピレンを調製するための方法を開示する。この方法は、主にC4留分を再循環させることによってオレフィンの転換率を改善し、得られるエチレンおよびプロピレンはオレフィン供給原料の総量の62%以上を占めるが、市場の要求に応じて柔軟に調整することができない比較的低いエチレン/プロピレン比率、低い反応選択性、製品中の高いブチレン含有量、およびC4分離のためのエネルギー消費を含む問題に悩まされる。
【0007】
中国特許出願番号CN101239878Aは、C4+オレフィンがリッチな混合物を原料として使用する方法を開示している。当該方法は、400~680℃の反応温度、-0.09MPaから1.0MPaの反応圧力および0.1~50h-1の重量空間速度で反応させることを含み、得られる生成物は、0.41未満のエチレン/プロピレン比率を有し、温度が上昇するにつれてエチレン/プロピレン比率が増加し、水素、メタンおよびエタンの生成が増加する。
【0008】
一方、オレフィン生成経路はまた、非石油経路を含む。すなわち、オレフィン生成経路は、原料として酸素含有有機化合物を使用することによって、典型的にはメタノールまたはジメチルエーテルを使用することによって、エチレンおよびプロピレンを主に含む軽質オレフィンを製造する方法を含み、これは、略してMTOと呼ばれる。メタノールまたはジメチルエーテルは、典型的な酸素含有有機化合物であり、それから軽質オレフィンを生成するための反応は、急速反応、強い熱放出、アルコールに対する触媒の低い比率、および長い反応誘導期間という特徴を有しており、ならびに触媒の急速な失活がMTOプロセスの主要な課題である。科学的かつ効率的な方法で、MTOプロセスにおける長い反応誘導期間、触媒の失活し易さなどの問題を解決する方法は、科学研究者および技術者の大多数の前途に常に存在している主題である。
【0009】
したがって、当技術分野では、エチレンおよびプロピレンを高収率で製造し、資源の効率的な利用を達成する新規な流動化接触転換方法が必要とされている。
【0010】
[発明の概要]
本出願の目的は、軽質オレフィン(例えば、エチレン、プロピレンおよびブチレン)を調製するための流動化接触転換方法であって、軽質オレフィンの収率および選択性を同時に改善することができ、生成物のエチレン/プロピレン比率を増加させる方法を提供することである。
【0011】
上記の目的を達成するために、本出願は、軽質オレフィンを調製するための流動化接触転換方法を提供し、当該方法は下記の工程を含む:
1)オレフィンリッチ供給原料を流動化接触転換反応器に導入し、650℃以上の温度を有する接触転換触媒と接触させ、第1の接触転換条件下で反応させる工程であって、前記オレフィンリッチ供給原料は50重量%以上のオレフィン含有量を有する、工程;
2)反応生成物蒸気および使用済み触媒を得るために流動化接触転換反応器の流出物を分離し、前記反応生成物蒸気を分離して、エチレン、プロピレン、ブチレンおよびC5+オレフィン含有流を得る、工程;ならびに
3)前記C5+オレフィン含有流の少なくとも一部をさらなる反応のために工程1)に再循環させる工程であり、
前記第1の接触転換条件は:
600~800℃の反応温度、好ましくは630~780℃の反応温度;
0.05~1MPaの反応圧力、好ましくは0.1~0.8MPaの反応圧力;
0.01~100秒の反応時間、好ましくは0.1~80秒の反応時間;
(1~200):1の、前記オレフィンリッチ供給原料に対する前記接触転換触媒の重量比率、好ましくは(3~180):1の、前記オレフィンリッチ供給原料に対する前記接触転換触媒の重量比率と、を含む。
【0012】
好ましくは、前記方法は以下の工程をさらに含む:
4)工程2)で分離された前記ブチレンの少なくとも一部を、前記オレフィンリッチ供給原料が前記接触転換触媒と接触するために導入される位置である、前記接触転換反応器の上流に再循環させ、第2の接触転換条件で反応する、工程;
前記第2の接触転換条件は:
650~800℃の反応温度、好ましくは680~780℃の反応温度、
0.05~1MPaの反応圧力、好ましくは0.1~0.8MPaの反応圧力、
0.01~10秒の反応時間、好ましくは0.05~8秒の反応時間、
(20~200):1の、前記ブチレンに対する前記接触転換触媒の重量比率、好ましくは(30~180):1の、前記ブチレンに対する前記接触転換触媒の重量比率、を含む。
【0013】
好ましくは、前記方法は以下の工程をさらに含む:
1a)前記接触転換反応器の下流に酸素含有有機化合物を導入し、第3の接触転換条件下で反応する工程であり、前記接触転換反応器の下流は、前記工程1)の反応の後に、前記接触転換触媒と接触するために、前記オレフィンリッチ供給原料が導入される位置である:
前記第3の接触転換条件は、
300~550℃の反応温度、好ましくは400~530℃の反応温度、
0.01~1MPaの反応圧力、好ましくは0.05~1MPaの反応圧力、
0.01~100秒の反応時間、好ましくは0.1~80秒の反応時間、
(1~100):1の、前記酸素含有有機化合物供給原料に対する前記接触転換触媒の重量比率、好ましくは(3~50):1の、前記酸素含有有機化合物供給原料に対する接触転換触媒の重量比率、を含む。
【0014】
本出願の方法では、オレフィンリッチ供給原料を、高温(≧650℃)を有する触媒上での分解反応に供し、次いで、生成物を分離することによって得られたオレフィン含有流を、さらなる反応のために、再度反応器に導入する。この結果、軽質オレフィンの収率を効果的に増加させることができ、選択性を改善することができ、生成物のエチレン/プロピレン比率を向上させることができ;同時に水素、メタンおよびエタンの生成を低減することができ、特にメタンの生成を抑制することができる。さらに、分離された生成物中のオレフィンのさらなる反応は、石油資源の利用率をさらに向上することができる。
【0015】
本出願の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明において詳細に説明される。
【0016】
[図面の簡単な説明]
本明細書の一部を形成する図面は、本出願の理解を助けるために提供され、限定的であるとみなされるべきではない。本出願は、以下の詳細な説明と組み合わせて図面を参照して解釈され得る。図面において:
図1は、本出願の方法の好ましい実施形態の概略フロー図を示す。
【0017】
図2は、本出願の方法の別の好ましい実施形態の概略フロー図を示す。
【0018】
図3は、本出願の方法の別の好ましい実施形態の概略フロー図を示す。
【0019】
[符号の簡単な説明]
101 パイプライン 102 パイプライン 103 接触転換反応器
104 パイプライン 105 再生器 106 パイプライン
107 パイプライン 108 パイプライン 109 熱交換器
110 移送ライン 111 生成物精留塔 112 パイプライン
113 パイプライン 114 パイプライン 115 パイプライン
116 パイプライン 117 パイプライン 118 オレフィンセパレータ
119 パイプライン 120 パイプライン
201 パイプライン 202 接触転換反応器 203 パイプライン
204 パイプライン 205 熱交換器 206 熱交換器
207 出口セクション 208 サイクロンセパレータ 209 プレナムチャンバ210 ストリッピングセクション 211 パイプライン 212 スタンドパイプ
213 再生器 214 パイプライン 215 パイプライン
216 パイプライン 217 パイプライン 218 パイプライン
219 反応器蒸気ライン 220 精留塔 221 パイプライン
222 パイプライン 223 パイプライン 224 パイプライン
225 パイプライン 226 パイプライン 227 パイプライン
228 オレフィンセパレータ
301 パイプライン 302 接触転換反応器 303 パイプライン
304 パイプライン 305 熱交換器 306 熱交換器
307 出口セクション 308 サイクロンセパレータ 309 プレナムチャンバ
310 ストリッピングセクション 311 パイプライン 312 スタンドパイプ
313再生器 314 パイプライン 315 パイプライン
316 パイプライン 317 パイプライン 318 パイプライン
319 反応器蒸気ライン 320 精留塔 321 パイプライン
322 パイプライン 323 パイプライン 324 パイプライン
325 パイプライン 326 パイプライン 327 パイプライン
328 オレフィンセパレータ 329 パイプライン
[発明を実施するための形態]
本出願は、図面およびその特定の実施形態を参照して、以下でさらに詳細に説明される。本出願の特定の実施形態は、例示の目的のためにのみ提供され、いかなる方法でも限定することを意図するものではないことに留意されたい。
【0020】
本出願の文脈において記載される、数値範囲の境界点を含む任意の特定の数値は、それらの正確な値に限定されず、前記正確な値に近い全ての値をさらに包含すると解釈されるべきであり、例えば前記正確な値の±5%以内の全ての値をさらに包含すると解釈されるべきである。さらに、本明細書に記載される任意の数値範囲に関して、範囲の境界点の間、各境界点と範囲内の任意の特定の値との間、または範囲内の任意の2つの特定の値との間で、任意の組み合わせを作ることができ、1つまたは複数の新しい数値範囲を提供することができる。ここで、前記新しい数値範囲もまた、本出願において具体的に記載されているとみなされるべきである。
【0021】
特に明記しない限り、本明細書で使用される用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有し;用語が本明細書で定義され、その定義が当技術分野における通常の理解と異なる場合、本明細書で提供される定義が優先するものとする。
【0022】
本出願の文脈において、「C5+」という表現は少なくとも5個の炭素原子を有するということを意味し、例えば、「C5+オレフィン」という用語は、少なくとも5個の炭素原子を有するオレフィンを指し、一方、「C5+留分」という用語は、化合物が少なくとも5個の炭素原子を有する留分を指す。
【0023】
本出願の文脈において、明示的に述べられた主題に加えて、任意の主題、または言及されていない主題は、いかなる変更もなく、当該技術分野で知られているものと同じであるとみなされる。さらに、本明細書に記載される実施形態のいずれも、本明細書に記載される異なる1つの、または複数の実施形態と自由に組み合わせることができ、そのようにして得られる技術的解決策またはアイデアは、本出願の元の開示または元の説明の一部とみなされ、そのような組み合わせが明らかに不合理であることが当業者にとって明らかでない限り、前記技術的解決策またはアイデアは本明細書に開示または予期されていない新規事項であるとみなされるべきではない。
【0024】
教科書および学術論文を含むがこれらに限定されない、本明細書に引用される特許文献および非特許文献の全ては、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0025】
本出願の発明者らは、アルカンおよびオレフィンの接触分解により形成される生成物の分布の違いを検討した結果、驚くべきことに以下を発見した:オレフィンの接触分解による軽質オレフィンの生成に対する効果がアルカンのそれよりも明らかに優れていること、高温接触反応条件下でのオレフィンの接触分解はエチレン、プロピレンおよびブチレンの収率および選択性を同時に向上させるだけでなく、メタンなどの副生成物の生成を著しく低減し、分解効果および資源の利用率を向上し、それによって本出願の技術的解決策に到達する。
【0026】
上記で説明した通り、本出願は、軽質オレフィンを製造するための流動化接触転換方法を提供し、当該方法は以下の工程を含む:
1)流動化接触転換反応器にオレフィンリッチ供給原料を導入する工程であり、前記オレフィンリッチ供給原料が650℃以上の温度を有する接触転換触媒と、反応のために接触し、前記オレフィンリッチ供給原料が50重量%以上のオレフィン含有量を有する、工程;
2)反応生成物蒸気および使用済み触媒を得るために流動化接触転換反応器の流出物を分離し、前記反応生成物蒸気を分離して、エチレン、プロピレン、ブチレンおよびC5+オレフィン含有流を得る、工程;ならびに
3)C5+オレフィン含有流の少なくとも一部をさらなる反応のために工程1)に再循環させる工程。
【0027】
本出願の方法では、高温(≧650℃)の触媒上で分解反応に供する供給原料としてオレフィンリッチ材料を使用し、次いで、生成物を分離することによって得られたオレフィン含有流を、さらなる反応のために流動化接触転換反応器に再び導入する。これにより、軽質オレフィンの収率を効果的に増加させることができ、選択性を向上させることができ、生成物のエチレン/プロピレン比率を向上させることができ、同時に水素、メタンおよびエタンの生成を低減することができ、特にメタンの生成を抑制することができる。加えて、分解生成物中のオレフィンがリッチなオレフィン含有流のさらなる反応は、石油資源の利用率をさらに向上させることができる。
【0028】
好ましい実施形態において、工程1)の反応は第1の接触転換条件下で実施される。第1の接触転換条件は、600~800℃の反応温度;0.05~1MPaの反応圧力;0.01~100秒の反応時間;および(1~200):1の、オレフィンリッチ供給原料に対する接触転換触媒の重量比率を含む。
【0029】
さらに好ましい実施形態では、第1の接触転換条件は、630~780℃の反応温度;0.1~0.8MPaの反応圧力;0.1~80秒の反応時間;および(3~180):1の、オレフィンリッチ供給原料に対する接触転換触媒の重量比率を含む。
【0030】
特に好ましい実施形態では、第1の接触転換条件は、650~780℃の反応温度;0.1~0.7MPaの反応圧力;0.1~20秒の反応時間;および(3~150):1の、オレフィンリッチ供給原料に対する接触転換触媒の重量比率を含む。
【0031】
好ましい実施形態において、工程1)で使用されるオレフィンリッチ供給原料は、80重量%以上、好ましくは90重量%以上のオレフィン含有量、より好ましくは純粋なオレフィン供給原料を有する供給原料である。本出願によれば、使用されるオレフィンリッチ供給原料中のオレフィン含有量が高いほど、接触転換反応によって得られるエチレン、プロピレンおよびブチレンの収率が高くなり、生成物中の水素、メタンおよびエタンの生成がさらに抑制される。
【0032】
好ましい実施形態において、オレフィンリッチ供給原料中のオレフィンは本質的にC5+オレフィンからなり、例えば、オレフィンリッチ供給原料中の80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上のオレフィン、より好ましくは100%のオレフィンは、C5+オレフィンである。
【0033】
いくつかの実施形態では、工程1)において使用されるオレフィンリッチ供給原料は、以下の供給源のいずれか1つまたは複数から得られてもよい:アルカン脱水素化ユニットによって生成されるC5+留分、製油部において接触分解ユニットによって生成されるC5+留分、エチレンプラントにおいて水蒸気分解ユニットによって生成されるC5+留分、MTOプロセス(メタノールからオレフィン)により生成されるオレフィンリッチC5+留分、ならびにMTPプロセス(メタノールからプロピレン)のオレフィンリッチC5+副生成物留分など。好ましい実施形態において、アルカン脱水素化ユニットのためのアルカン供給原料は、ナフサ、芳香族ラフィネート、および他の軽質炭化水素のうちの少なくとも1つから得られることができる。実際の製造では、他の石油化学プラントからのアルカン生成物も使用することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用されるオレフィンリッチ供給原料は、接触脱水素化条件下において、脱水素化反応器中でアルカンを脱水素化触媒と接触させることによって得られる。ここで、使用される脱水素化条件は、400~700℃の脱水素化反応器の入口温度、200~5000h-1のアルカンの体積空間速度、および0~0.1MPaの反応圧力を含む。
【0035】
好ましくは、脱水素化触媒は、担体と、担体上に担持された活性成分およびプロモーターと、からなり;脱水素化触媒の総重量に基づいて、担体は60~90重量%の量で存在し、活性成分は8~35重量%の量で存在し、プロモーターは0.1~5重量%の量で存在する。
【0036】
さらに好ましくは、担体が改質剤を含むアルミナであってもよく、ここで、脱水素化触媒の総重量に基づいて、改質剤は0.1~2重量%の量で存在してもよく、改質剤はLaおよび/またはCeであってもよい;活性成分が白金および/またはクロムであってもよく;プロモーターがビスマスおよびアルカリ金属成分の組成物、またはビスマスおよびアルカリ土類金属成分の組成物であってもよく、ここで、ビスマス対活性成分のモル比率は1:(5~50)であり、ビスマス対アルカリ金属成分のモル比率は1:(0.1~5)であり、ビスマス対アルカリ土類金属成分のモル比率は1:(0.1~5)である。特に好ましくは、アルカリ金属成分がLi、NaおよびKから選択される1以上であってもよく;アルカリ土類金属成分はMg、CaおよびBaから選択される1以上であってもよい。
【0037】
好ましい実施形態では、工程2)で分離されたC5+オレフィン含有流は50重量%以上のオレフィン含有量、例えば、50重量%以上のC5+オレフィン含有量を有し、C5+オレフィン含有流中のオレフィン含有量が高いほど、再循環の効果がより良好であり、資源の利用がより良好である。
【0038】
本出願によれば、工程2)において、反応生成物蒸気は、生成物精留塔などの当該技術分野で一般的に使用される分離装置によって分離され得る。好ましい実施形態では、反応生成物蒸気を、生成物精留塔およびオレフィンセパレータを含む分離システムによって分離することができる。さらに好ましい実施形態では、反応生成物蒸気を最初に生成物精留塔に送り、エチレン、プロピレン、ブチレンおよびオレフィン含有流(例えば、沸点が20℃以上の留分)に分離し、次いで前記オレフィン含有流をオレフィンセパレータに送ってC5+オレフィン含有流にさらに分離し、それらのオレフィン含有量をさらに増加させる。
【0039】
特に好適な実施形態では、前記工程2)はさらに以下を含む:
2a)流動化接触転換反応器の流出物を分離して、反応生成物蒸気および使用済み触媒を得る工程、
2b)生成物精留塔中で反応生成物蒸気を分離して、エチレン、プロピレン、ブチレンおよび第1のオレフィン含有流を得る工程;および
2c)オレフィンセパレータ中で前記第1のオレフィン含有流を分離して、オレフィンがリッチな第2のオレフィン含有流を得る工程であって、
前記第2のオレフィン含有流のオレフィン含有量は、前記第1のオレフィン含有流のオレフィン含有量よりも多く、および前記第2のオレフィン含有流をさらなる反応のための前記C5+オレフィン含有流として工程1)に再循環させる工程。この実施形態で使用される分離システムは、C5+オレフィン含有流中のオレフィン含有量を大幅に改善することができ、これは、さらなる反応のために流動化接触転換反応器に戻され、そして他の不純物の影響を低減する。
【0040】
本出願によれば、流動化接触転換反応器は、直列および/または並列に接続された1つの反応器または複数の反応器を含むことができる。
【0041】
本出願によれば、流動化接触転換反応器は、ライザー反応器、流動床反応器、上昇移送ライン、下降移送ライン、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択されてもよい。ライザー反応器は等径ライザー反応器または直径変換ライザー反応器であってもよい。流動床反応器は等線速度流動床反応器または等径流動床反応器であってもよい。直径変換ライザー反応器は、例えば、中国特許第CN1078094C号に記載されているようなライザー反応器であってもよい。
【0042】
いくつかの好ましい実施形態では、流動化接触転換反応器は流動床反応器であり、工程2)で分離されたC5+オレフィン含有流は、さらなる反応のために流動床反応器の底部に再循環され得る。他の好ましい実施形態では、流動化接触転換反応器はライザー反応器であり、ブチレンおよび工程2)で分離されたC5+オレフィン含有流はさらなる反応のためにライザー反応器に再循環され得る。
【0043】
好ましい実施形態では、本出願の流動化接触転換方法は以下の工程をさらに含む:
4)工程2)で分離された前記ブチレンの少なくとも一部を、前記オレフィンリッチ供給原料が前記接触転換触媒と接触するために導入される位置である、前記接触転換反応器の上流に再循環させ、第2の接触転換条件下で反応する工程:前記第2の接触転換条件は、650~800℃の反応温度、0.05~1MPaの反応圧力、0.01~10秒の反応時間、および(20~200):1の、ブチレンに対する前記接触転換触媒の重量比率を含む。
【0044】
さらに好ましくは、前記第2の接触転換条件は、680~780℃の反応温度、0.1~0.8MPaの反応圧力、0.05~8秒の反応時間、および(30~180):1の、ブチレンに対する接触転換触媒の重量比率を含む。
【0045】
いくつかの好ましい実施形態では、本出願の流動化接触転換方法は、さらに以下の工程を含む:
1a)前記接触転換反応器の下流に酸素含有有機化合物を導入し、第3の接触転換条件下で反応する工程であり、前記接触転換反応器の下流は、前記工程1)の反応の後に、前記接触転換触媒と接触するために、前記オレフィンリッチ供給原料が導入される位置である。第3の接触転換条件は、300~550℃の反応温度、0.01~1MPaの反応圧力、0.01~100秒の反応時間、および(1~100):1の、前記酸素含有有機化合物原料に対する前記接触転換触媒の重量比率を含む。;
さらに好ましくは、第3の接触転換条件は、400~530℃の反応温度、0.05~1MPaの反応圧力、0.1~80秒の反応時間、および(3~50):1の、前記酸素含有有機化合物原料に対する前記接触転換触媒の重量比率を含む。
【0046】
特に好ましくは、前記酸素含有有機化合物は、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテルおよびエチルエーテルのうちの少なくとも1つを含む。例えば、メタノールまたはジメチルエーテルなどの酸素含有有機化合物は、石炭ベースまたは天然ガスベースの合成ガスから得られてもよい。
【0047】
好ましい実施形態では、本明細書で使用される接触転換触媒は、モレキュラーシーブ、無機酸化物、および任意で、粘土を含むことができる。接触転換触媒は、触媒の重量に基づいて、1~50重量%のモレキュラーシーブ、5~99重量%の無機酸化物、および0~70重量%の粘土を含む。
【0048】
さらに好ましい実施形態では、接触転換触媒において、モレキュラーシーブは活性成分として機能する。モレキュラーシーブは、メソ多孔質モレキュラーシーブおよび/またはミクロ多孔質モレキュラーシーブから選択されてもよく;モレキュラーシーブは、モレキュラーシーブの総重量に基づいて、50~100重量%のメソ多孔質モレキュラーシーブおよび0~50重量%のミクロ多孔質モレキュラーシーブを含んでもよい。モレキュラーシーブはマクロ多孔質モレキュラーシーブ(例えば、Y型モレキュラーシーブ)を含まないことが特に好ましい。
【0049】
さらに別の好ましい実施において、メソ多孔質モレキュラーシーブはZSMモレキュラーシーブであってもよい。例えば、ZSMモレキュラーシーブは、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-12、ZSM-23、ZSM-35、およびZSM-48からなる群から選択される1つ以上であってもよい。ミクロ多孔質モレキュラーシーブは、SAPOモレキュラーシーブおよび/またはSSZモレキュラーシーブであってもよい。例えば、SAPOモレキュラーシーブは、SAPO-34、SAPO-11およびSAPO-47からなる群から選択される1つ以上であってもよい。SSZモレキュラーシーブはSSZ-13、SSZ-39およびSSZ-62からなる群から選択される1つ以上であってもよい。
【0050】
さらに好ましい実施形態では、接触転換触媒において、無機酸化物は結合剤として機能し、好ましくは無機酸化物が二酸化ケイ素(SiO)および/または酸化アルミニウム(Al)から選択されてもよい。
【0051】
さらに好ましい実施形態では、接触転換触媒において、粘土はマトリックスとして機能し、好ましくは、粘土はカオリンおよび/またはハロイサイトから選択されてもよい。
【0052】
さらに好ましい実施形態では、本明細書で使用される接触転換触媒はまた改質元素を装填することもできる。例えば、接触転換触媒は、触媒の重量に基づいて、0.1から3重量%の改質元素を含んでもよく;改質元素はVIII族金属、IVA族金属、VA族金属および希土類金属から選択される1つ以上であってもよい。さらに好ましい実施形態において、改質元素は、リン、鉄、コバルトおよびニッケルから選択される1つ以上であってもよい。
【0053】
いくつかの好ましい実施形態では、本出願の流動化接触転換方法は、さらに以下の工程を含む:
5)工程2)での分離により得られた使用済み触媒を、コークス燃焼により再生して再生触媒を得て、再生触媒の温度を650℃以上に調整し、その後、再生触媒を、接触転換触媒として使用するために、流動化接触転換反応器に再循環させる工程。
【0054】
この実施形態では、不活性化された使用済み触媒をコークス燃焼によって再生し、触媒をリサイクルすることができ、触媒の利用率は改善される。再生された触媒を、650℃以上に予熱するなどの温度調整に供し、その後、反応器にリサイクルすることによって、触媒の触媒効果を改善することができる。
【0055】
当業者にはよく知られているように、再生触媒を予熱するための熱エネルギーは、電気的に、または本出願の方法の副生成ガス、劣った重油、燃料油、および製油部の他のユニットからの燃料ガスなどの燃焼によって提供することができる。
【0056】
好ましい実施形態では、図1に示されるように、本出願の軽質オレフィンを製造するための流動化接触転換方法は以下のように実施される:
50重量%以上のオレフィン含有量を有するオレフィンリッチ供給原料およびプレリフティング媒体は、パイプライン101を介して流動化接触転換反応器(流動床反応器)103の底部に導入され、パイプライン108を介して導入された再生接触転換触媒と接触および反応し、プレリフティング媒体の作用下で流動化接触転換反応器103内を上方に移動する。
【0057】
前記反応で生成された使用済み触媒は、流動化接触転換反応器103の上端部から抜き出され、出口パイプライン104を通って再生器105に送られ、主空気がパイプライン106を通って再生器105に導入され、使用済み触媒上のコークスを燃焼させ、使用済み触媒を再生する;補給燃料が燃焼のためにパイプライン107を通って再生器5に導入され、再生された触媒が650℃以上に予熱される;予熱された再生触媒はパイプライン108を介して流動化接触転換反応器103の底部に導入される。
【0058】
前記反応で生成された反応生成物蒸気は、流動化接触転換反応器103の上端部から引き出され、パイプライン110を通って生成物分離のために後続の生成物精留塔111に送られる。分離された水素、メタンおよびエタンはパイプライン112を介して引き出され、エチレンはパイプライン113を通って引き出される。プロピレンはパイプライン114を通って引き出される。プロパンおよびブタンはパイプライン115を通って引き出される。ブチレンはパイプライン116を通って引き出される。残留オレフィンを含有する流れ(生成物中の沸点が20℃以上の留分)は、パイプライン117を通ってオレフィンセパレータ118に送られる。分離により得られたオレフィン枯渇流(主にアルカン、少量の芳香族炭化水素、ナフテンなどを含む)はパイプライン119から引き出される。C5+オレフィンを含み、50%以上のオレフィン含有量を有する分離された流れは、パイプライン120を通って熱交換器109に送られ、650℃以上に予熱され、次いで、再生接触転換触媒とのさらなる反応のためにパイプライン102を通って流動化接触転換反応器103の底部に送られる。
【0059】
別の好ましい実施形態では、図2に示されるように、本出願の軽質オレフィンを製造するための流動化接触転換方法は以下のように実施される:
プレリフティング媒体に、流動化接触転換反応器(直径変換ライザー反応器)202の底部からパイプライン201を介して導入される。パイプライン217からの再生流動化接触転換触媒は、プレリフティング媒体のリフト作用下で、流動化接触転換反応器202に沿って上方に移動する。オレフィンリッチ供給原料は、パイプライン204からの霧化水蒸気と共にパイプライン203を介して、流動化接触転換反応器202の底部に注入され、反応のために熱い接触転換触媒と接触し、上方に移動する。反応生成物蒸気および生成された使用済み触媒は、出口セクション207を通って解離器内のサイクロンセパレータ208に送られ、使用済み触媒と反応生成物蒸気との分離を実施する。反応生成物蒸気はプレナムチャンバ209に送られ、使用済み触媒の微粉末はディップレッグを通って解離器に戻される。解離器内の使用済み触媒は、ストリッピングセクション210に送られ、そこでパイプライン211からのストリッピング蒸気と接触される。使用済み触媒から取り除かれた生成物蒸気は、サイクロンセパレータを通過した後、プレナムチャンバ209に送られる。ストリッピングされた使用済み触媒はスタンドパイプ212を通って再生器213に送られる。主空気はパイプライン216を通って再生器に導入されて、使用済み触媒上のコークスを燃焼させて、不活性化された使用済み触媒を再生し、補給燃料が燃焼のためにパイプライン214を通って再生器に導入され、その結果、再生触媒は650℃以上に予熱される。排ガスはパイプライン215を介して、排ガスタービンに送られ、予熱された再生触媒はパイプライン217を介して、流動化接触転換反応器202に送られる。反応生成物蒸気は、反応蒸気ライン219を通って、後続の精留塔220に送られる。分離された水素、メタンおよびエタンは、パイプライン221を通って抜き出される。エチレンはパイプライン222を通って抜き出される。プロピレンはパイプライン223を通って抜き出される。ブチレンはパイプライン224を通って抜き出され、任意で、予熱のために熱交換器206に送られる。次いで、さらなる反応のために、オレフィンリッチ供給原料の供給位置の上流である流動化接触転換反応器202に再循環される。プロパンおよびブタンはパイプライン225を通って引き出される。残留オレフィンを含有する流れは、パイプライン226を通って、オレフィンセパレータ228に送られる。分離によって得られたオレフィン枯渇流は、パイプライン218を通って抜き出され、C5+オレフィンを含有し、かつ50%以上のオレフィン含有量を有する分離された流れは、予熱のためにパイプライン227を通って熱交換器205に送られ、次いで、さらなる反応のために、パイプライン203からオレフィンリッチ供給原料とともに流動化接触転換反応器202に送られる。
【0060】
別の好ましい実施形態では、図3に示される通り、本出願の軽質オレフィンを製造するための流動化接触転換方法は以下のように実施される:
プレリフト媒体は、パイプライン301を介して、流動化接触転換反応器(直径変換ライザー反応器)302の底部から導入され、パイプライン317からの再生流動化接触転換触媒は、プレリフト媒体のリフト作用下で流動化接触転換反応器302に沿って上方に移動する。オレフィンリッチ供給原料はパイプライン304からの霧化水蒸気と共にパイプライン303を介して流動化接触転換反応器302の底部に注入され、反応のための高温接触転換触媒と接触する。メタノール供給物はパイプライン329を介して導入され、反応器302内の材料と混合され、反応のために接触転換触媒と接触し、上方に移動する。反応生成物蒸気および生成された使用済み触媒は、出口セクション307を通って解離器内のサイクロンセパレータ308に送られ、使用済み触媒と反応生成物蒸気との分離を行う。反応生成物蒸気はプレナムチャンバ309に送られ、使用済み触媒の微粉末はディップレッグを通って解離器に戻される。解離器内の使用済み触媒は、ストリッピングセクション310に送られ、そこでパイプライン311からのストリッピング蒸気と接触する。使用済み触媒からストリッピングされた生成物蒸気は、サイクロンセパレータを通過した後、プレナムチャンバ309に送られる。ストリッピングされた使用済み触媒はスタンドパイプ312を通って再生器313に送られ、主空気はパイプライン316を通って再生器に導入され、使用済み触媒上のコークスを燃焼させて、不活性化された使用済み触媒を再生し、補給燃料が燃焼のためにパイプライン314を通って再生器に導入され、その結果、再生触媒は650℃以上に予熱される。排ガスはパイプライン315を介して排ガスタービンに送られ、予熱された再生触媒はパイプライン317を介して流動化接触転換反応器302に送られる。反応生成物蒸気は、反応蒸気ライン319を通って、後続の精留塔320に送られる。分離された水素、メタンおよびエタンは、パイプライン321を通って抜き出される。エチレンはパイプライン322を通って抜き出される。プロピレンはパイプライン323を通って抜き出される。ブチレンはパイプライン324を通って抜き出され、任意で、予熱のために熱交換器306に送られ、次いで、さらなる反応のために、オレフィンリッチ供給原料の供給位置の上流で流動化接触転換反応器302に再循環される。プロパンおよびブタンは、パイプライン325を通って抜き出される。残留オレフィンを含有する流れは、パイプライン326を通ってオレフィンセパレータ328に送られる。分離によって得られたオレフィン枯渇流は、パイプライン318を通って抜き出される。C5+オレフィンを含有し、かつ50%以上のオレフィン含有量を有する分離された流れは、パイプライン327を通して、予熱のために熱交換器305に送られ、次いで、さらなる反応のためにパイプライン303からのオレフィンリッチ供給原料とともに流動化接触転換反応器302に送られる。
【0061】
特に好適な具体例において、本出願は、以下の技術的解決策を提供する:
1.エチレン、プロピレンおよびブチレンを製造するための接触転換方法であって、以下の工程を含む:
オレフィンリッチ供給原料を接触転換反応器中の650℃以上の温度を有する接触転換触媒と、接触転換条件下で接触させて、反応生成物蒸気および使用済み触媒を得る工程;前記オレフィンリッチ供給原料は50重量%以上のオレフィン含有量を有し;
前記反応生成物蒸気を、分離システムにおいてエチレン、プロピレン、ブチレンおよびオレフィン含有流に分離し、さらなる反応のために前記オレフィン含有流を接触転換反応器に再循環させる。
【0062】
2.前記オレフィンリッチ供給原料は、80重量%以上、好ましくは90重量%以上のオレフィン含有量を有しており、より好ましくは純粋なオレフィン供給原料である、項目1に記載の方法。
【0063】
3.前記オレフィンリッチ供給原料中のオレフィンは、C5+オレフィンから選択される、項目1または2に記載の方法;
任意で、前記オレフィンリッチ供給原料は、アルカン脱水素化ユニットによって生成されるC5+留分、製油部において接触分解ユニットによって生成されるC5+留分、エチレンプラントにおいて水蒸気分解ユニットによって生成されるC5+留分、MTOプロセスのオレフィンリッチC5+副生成物留分、およびMTPプロセスのオレフィンリッチC5+副生成物留分のうちの1つ以上である;
任意で、前記アルカン脱水素化ユニットのアルカン供給原料は、ナフサ、芳香族ラフィネートおよび軽質炭化水素のうちの1つ以上である。
【0064】
4.項目1に記載の方法であって、前記接触転換反応器がライザー反応器、等線速度流動床、等径流動床、上昇移送ライン、および下降移送ライン、またはそれらの2つを直列に接続した組み合わせ反応器、からなる群から選択されるものであり、ライザー反応器は等径ライザー反応器または直径変換流動床反応器である。
【0065】
5.前記接触転換条件が以下を含む、項目1に記載の方法:
600~750℃の反応温度、好ましくは630~750℃の反応温度、より好ましくは630~720℃の反応温度;
0.05~1MPaの反応圧力、好ましくは0.1~0.8MPaの反応圧力、より好ましくは0.2~0.5MPaの反応圧力;
0.01~100秒の反応時間、好ましくは0.1~80秒の反応時間、より好ましくは0.2~70秒の反応時間;
(1~150):1の、前記オレフィンリッチ供給原料に対する接触転換触媒の重量比率、好ましくは(3~150):1の、前記オレフィンリッチ供給原料に対する前記接触転換触媒の重量比率、より好ましくは(4~120):1の、前記オレフィンリッチ供給原料に対する前記接触転換触媒の重量比率。
【0066】
6.項目1に記載の方法であって、前記接触転換触媒の重量に基づいて、前記接触転換触媒は1~50重量%のモレキュラーシーブ、5~99重量%の無機酸化物、および0~70重量%の粘土を含み;
任意で、モレキュラーシーブの総重量に基づいて、モレキュラーシーブは50~100重量%のメソ多孔質モレキュラーシーブ、および0~50重量%のミクロ多孔質モレキュラーシーブを含み;
任意で、前記メソ多孔質モレキュラーシーブはZSMモレキュラーシーブであり、前記ミクロ多孔質モレキュラーシーブはSAPOモレキュラーシーブである。
【0067】
7.項目1に記載の方法であって、前記接触転換触媒の重量に基づいて、前記接触転換触媒が0.1~3重量%の改質元素をさらに含み;前記改質元素は、VIII族金属、IVA族金属、VA族金属および希土類金属からなる群から選択される1つ以上である。
【0068】
8.項目1に記載の方法であって、前記方法はさらに以下を含む;
コークス燃焼により使用済み触媒を再生して再生触媒を得る工程;前記再生触媒を650℃以上に予熱する工程、次いで前記接触転換触媒として前記接触転換反応器に再循環する工程。
【0069】
9.項目1に記載の方法であって、前記分離システムから得られる前記オレフィン含有流が、50重量%以上のオレフィン含有量を有する。
【0070】
10.項目9に記載の方法であって、前記分離システムが生成物精留塔およびオレフィンセパレータを含み、前記方法は以下を含む:
前記反応生成物蒸気を前記生成物精留塔に通過させて、エチレン、プロピレン、ブチレンおよび第1のオレフィン含有流を分離すること;
前記第1のオレフィン含有流を前記オレフィンセパレータに送ること、オレフィンがリッチな第2のオレフィン含有流を分離すること、さらなる反応のために第2のオレフィン含有流を前記接触転換反応器の底部に再循環させること、第2のオレフィン含有流中のオレフィン含有量が第1のオレフィン含有流中のオレフィン含有量よりも多い。
【0071】
11.エチレンおよびプロピレンを製造するための接触転換方法であって、前記方法は以下の工程を含む:
S1は、オレフィン含有量が50重量%以上の炭化水素油供給原料を、前記接触転換反応器における接触転換反応のための温度が650℃以上の接触転換触媒と接触させ、反応生成物蒸気および使用済み触媒を得る工程である;
S2は、前記反応生成物蒸気を分離して、エチレン、プロピレン、ブチレンおよびオレフィンリッチ流を得、ブチレンおよびオレフィンリッチ流をそれぞれ、さらなる反応のために、前記接触転換反応器に導入する。
【0072】
12.項目11に記載の方法であって、工程S2において、前記オレフィンリッチ流よりも先に、前記ブチレンを前記接触転換触媒と接触させる。
【0073】
13.項目11に記載の方法であって、前記オレフィンリッチ流中のオレフィン含有量が50重量%以上である。
【0074】
14.項目11に記載の方法であって、前記オレフィンリッチ流中のオレフィンはC5+オレフィンである。
【0075】
15.項目11に記載の方法であって、前記方法はさらに以下を含む:コークス燃焼によって前記使用済み触媒を再生して再生触媒を得ること;および、前記再生触媒を予熱し、次いで前記接触転換反応器に再循環させること。
【0076】
16.項目15に記載の方法であって、前記接触転換触媒は予熱された再生触媒を含む。
【0077】
17.項目11に記載の方法であって、前記接触転換条件は以下を含む:
600~800℃の反応温度、0.05~1MPaの反応圧力、0.01~100秒の反応時間、および、(1~200):1の、前記炭化水素油供給原料に対する前記接触転換触媒の重量比率;
好ましくは、630~780℃の反応温度、0.1~0.8MPaの反応圧力、0.1~80秒の反応時間、および(3~180):1の、前記炭化水素油供給原料に対する前記接触転換触媒の重量比率;
より好ましくは、650~750℃の反応温度、0.2~0.5MPaの反応圧力、0.2~70秒の反応時間、および(4~150):1の、前記炭化水素油供給原料に対する前記接触転換触媒の重量比率である。
【0078】
18.項目11に記載の方法であって、
触媒反応器に導入されるブチレンのさらなる反応のための反応条件は以下を含む:650~800℃の反応温度、0.05~1MPaの反応圧力、0.01~10秒の反応時間、および(20~200):1の、ブチレンに対する接触転換触媒の重量比率;
好ましくは、680~780℃の反応温度、0.1~0.8MPaの反応圧力、0.05~8秒の反応時間、および(30~180):1の、ブチレンに対する接触転換触媒の重量比率。
【0079】
19.項目11に記載の方法であって、前記炭化水素油供給原料は、好ましくは80重量%以上のオレフィン含有量を有しており;好ましくは、前記炭化水素油供給原料は90重量%以上のオレフィン含有量を有しており;より好ましくは、前記炭化水素油供給原料は純粋なオレフィン原料である。
【0080】
20.項目11または19に記載の方法であって、前記炭化水素油供給原料中のオレフィンは、アルカン供給原料の脱水素化によって生成されるC4+留分、製油部における接触分解ユニットによって生成されるC4+留分、エチレンプラントにおける水蒸気分解ユニットによって生成されるC4+留分、MTOプロセスのC4+オレフィンリッチ副生成物留分、およびMTPプロセスのC4+オレフィンリッチ副生成物留分から得られる;
前記アルカン供給原料は、ナフサ、芳香族ラフィネートおよび軽質炭化水素からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0081】
21.項目11に記載の方法であって、前記接触転換触媒は、前記接触転換触媒の重量に基づいて、1~50重量%のモレキュラーシーブ、5~99重量%の無機酸化物、および0~70重量%の粘土を含む;
前記モレキュラーシーブは、メソ多孔質モレキュラーシーブおよび/またはミクロ多孔質モレキュラーシーブから選択される;
前記接触転換触媒の重量に基づいて、前記接触転換触媒は0.1~3%の改質元素をさらに含み、前記改質元素は、VIII族金属、IVA族金属、VA族金属および希土類金属からなる群から選択される1つ以上である。
【0082】
[実施例]
以下、実施例を挙げて本出願をさらに詳細に説明する。実施例で使用される供給原料は、全て市販されている。
【0083】
[供給原料および触媒]
以下の実施例で使用される供給原料IおよびIIは、軽質接触分解ガソリン留分であり、供給原料IおよびIIの特性はそれぞれ表1および2に示される。
【0084】
【表1】
【0085】
供給原料Iの特性
【0086】
【表2】
【0087】
供給原料IIの特性
以下の実施例および比較例で用いた接触転換触媒Mは、以下の方法で製造した:
(1)NHCl(20g)を水1000gに溶解させ、結晶化物ZRP-1モレキュラーシーブ(Qilu Petrochemical Technologyの触媒プラントにより製造され、SiO/Al=30、希土類の含有量RE=2.0重量%)100g(乾燥重量)、90℃で0.5時間交換し、ろ過してろ過ケーキを得た;HPO(85%の濃度)4.0g、およびFe(NO4.5gを水90gに加え、溶解させ、含浸用ろ過ケーキと混合し、その後乾燥させた;その後、550℃の温度で2時間焼成して、リンおよび鉄を含むMFIメソ多孔質モレキュラーシーブを得た。得られたモレキュラーシーブは、元素分析によって決定される、以下の化学組成を有する:
0.1NaO・5.1Al・2.4P・1.5Fe・3.8RE・88.1SiO
【0088】
(2)75.4kgのハロイサイト(Suzhou Porcelain Clay社の工業製品、固形分71.6重量%)を250kgの脱イオン水でスラリー化し、54.8kgの擬ベーマイト(CHALCO Shandong社の工業製品、固形分63重量%)をそこに加え、塩酸でpHを2~4に調整し、均一に撹拌し、1時間エージングするために60~70℃で静置し、pHを2~4に保ち、60℃以下に冷却し、41.5kgのアルミナゾル(Qilu Petrochemical Technology社の触媒プラントの製品、Alの含有量21.7重量%)をそこに加え、40分間撹拌して混合スラリーを得た。
【0089】
(3)工程(2)で得られた混合スラリーに、工程(1)で調製したリンおよび鉄(乾燥重量2kg)を含むMFIメソ多孔質モレキュラーシーブを加え、均一に撹拌し、噴霧乾燥により成形し、リン酸二水素アンモニウム溶液(リン含有量1重量%)で洗浄し、洗浄して遊離Naを除去し、乾燥して接触転換触媒Mのサンプルを得た。触媒Mの全乾燥重量に基づいて、乾燥基準での触媒Mの組成は以下を含む:リンおよび鉄を含むMFIメソ多孔質モレキュラーシーブ2重量%、擬ベーマイト36重量%、アルミナゾル8重量%および残りはカオリン。
【0090】
[実施例1]
図1に示すスキームに従って、単一の流動床反応器のパイロットプラントで、以下のように実験を行った:
1-ペンテン供給原料を流動床反応器の底部に導入し、予熱した触媒M(720℃)を流動床反応器の底部に導入し、1-ペンテン供給原料を予熱した触媒M(720℃)と接触させ、680℃の反応温度、0.1MPaの反応圧力、10秒の反応時間、および30:1の、1-ペンテン供給原料に対する触媒Mの重量比率を含む接触反応条件下で反応させる;
反応生成物は、流動床反応器の上端部で炭素蒸着使用済み触媒Mから分離され、使用済み触媒はコークス燃焼による再生のために再生器に送られ、再生触媒は720℃に予熱された後、流動床反応器に再循環された。
【0091】
反応生成物を、蒸留範囲に従って生成物精留塔中で分割して、エチレン、プロピレン、ブチレン、残留オレフィン(C5+オレフィン)を含有する流れなどの生成物を得た;その後、残留オレフィンを含有する流れはオレフィンセパレータに送られた。80重量%のオレフィン含有量を有し、かつC5+オレフィンを含む分離された流れは、680℃に予熱され、その後、さらなる反応のために流動床反応器の底部に導入された。反応条件および生成物分布を表3に列挙する。
【0092】
[比較例1-a]
1-ペンテン供給原料を1-ペンタンに変更したことを除いて、実施例1に記載した通りに実験を行った。生成物分布を表3に示す。
【0093】
[比較例1-b]
1-ペンタン供給原料を、熱分解単管反応器のパイロットプラント上で、800℃の反応温度、0.2秒の反応時間、および0.8の、供給原料に対する水蒸気の重量比率を含む条件下の熱分解反応に供した。得られた反応生成物は分離のための分離システムに送られ、エチレン、プロピレン、ブチレン、オレフィン含有流などの生成物を得た。生成物分布を表3に示す。
【0094】
[実施例2]
1-ペンテン供給原料をC5-C8オレフィンの混合物に変更し、オレフィン混合物中のC5、C6、C7およびC8オレフィンのモル比率が1:1:1:1であったことを除いて、実施例1に記載の通りに実験を行った。生成物分布を表3に示す。
【0095】
[比較例2]
1-ペンテン供給原料をC5-C8アルカンの混合物に変更し、アルカン混合物中のC5、C6、C7およびC8アルカンのモル比率が1:1:1:1であったことを除いて、実施例1に記載の通りに実験を行った。生成物分布を表3に示す。
【0096】
[実施例3]
1-ペンテン供給原料を供給原料Iに変更したことを除いて、実施例1に記載した通りに実験を行った。生成物分布を表3に示す。
【0097】
[実施例4]
1-ペンテン供給原料を供給原料IIに変更したことを除いて、実施例1に記載した通りに実験を行った。生成物分布を表3に示す。
【0098】
[実施例5]
再生触媒の温度を800℃に上げ、反応温度を750℃に上げたことを除いて、実施例1に記載した通りに実験を行った。生成物分布を表3に示す。
【0099】
[実施例6]
再生触媒の温度を650℃に下げ、反応温度を600℃に下げたことを除いて、実施例1に記載した通りに実験を行った。生成物分布を表3に示す。
【0100】
[比較例3]
再生触媒の温度を600℃に下げ、反応温度を530℃に下げたことを除いて、実施例1に記載した通り実験を行った。生成物分布を表3に示す。
【0101】
[実施例7]
図2に示すスキームに従って、ライザー反応器のパイロットプラント上で、以下の通りに実験を行った:
1-ペンテン供給原料をライザー反応器の底部に供給し、750℃に予熱した接触転換触媒Mと接触させて、700℃の温度、0.1MPaの反応圧力、5秒の反応時間、および30:1の、供給原料に対する接触転換触媒の重量比率を含む条件下で接触転換反応を行った。
【0102】
反応生成物蒸気を炭素蒸着された使用済み触媒から分離し、反応生成物を蒸留範囲に従って生成物精留塔中で分割して、エチレン、プロピレン、ブチレン、残留オレフィンを含有する流れ(20~250℃の蒸留範囲を有する)などの生成物を得た。残留オレフィンを含有する流れを、オレフィンセパレータ中でさらに分離して、C5+オレフィンを含有し、かつ、80重量%のオレフィン含有量を有する流れを得た。
【0103】
740℃の反応温度、100:1の、ブチレンに対する接触転換触媒の重量比率、および0.2秒の反応温度を含む条件下で分解するために、生成物ブチレンをライザー反応器の底部に供給した。700℃の反応温度で5秒間の反応時間で行われるさらなる分解のために、C5+オレフィン含有流を、1-ペンテン供給原料と共に、ブチレンの供給位置の下流であるライザー反応器の底部に供給した。生成物分布を表3に示す。
【0104】
[実施例8]
実験は図3に示すスキームに従い、ライザー反応器のパイロットプラント上で実施した。その操作および反応条件は、メタノールがライザー反応器の真ん中に導入されて、反応が行われ、反応は、500℃の反応温度、3秒の反応時間、および35:1の、メタノールに対する接触転換触媒の重量比率の条件下で行われた点;ブチレン生成物が、740℃の反応温度、100:1の、ブチレンに対する接触転換触媒の重量比率、および0.2秒の反応時間などを含む条件下で分離のために、ライザー反応器の底部に供給された点以外は、実施例7に記載の通りであった。生成物分布を表3に示す。
【0105】
【表3】

【0106】
表3から分かるように、実施例1~4における高温でのオレフィン含有供給原料の分解は、エチレン、プロピレンおよびブチレンのより高い収率を提供し、供給原料のオレフィン含有量が高いほど、収率が高くなる。例えば、実施例1において、供給原料として100%のオレフィン含有量を有する1-ペンテンを用いた場合、生成物中のエチレン含有量は23.30%であり、プロピレン含有量は34.22%であり、ブチレン含有量は17.44%であり、3種の総含有量は74.96%であった。実施例7は、より高い反応温度およびブチレンの再循環を用い、これにより、34.33%のエチレン収率、39.12%のプロピレン収率、および73.45%の2つのオレフィンの収率を提供した。比較例3のように、反応温度を600℃以下に低下させると、エチレンおよびプロピレンの収率がいずれも顕著に低下した。実施例8のように、酸素含有有機化合物の供給量を増加させると、2種のオレフィン(エチレンおよびプロピレン)の収率は、実施例7よりも2.78%ポイント増加した。さらに、本出願の各実施例におけるオレフィン分離のベンゼン、トルエン、キシレンの収率も、比較例1-aおよび2のアルカン分離と比較して、顕著に増加した。
【0107】
本出願は好ましい実施形態を参照して上記で詳細に説明されているが、これらの実施形態に限定されることは意図されていない。本出願の発明概念に従い、様々な変更を行うことができ、これらの変更は本出願の範囲内である。
【0108】
なお、上記実施形態で説明した様々な技術的特徴を矛盾なく任意の適切な態様で組み合わせることができ、不必要な繰り返しを避けるために、本出願では様々な可能な組み合わせを説明しないが、そのような組み合わせも本出願の範囲内に含まれるものとする。
【0109】
また、本出願の各実施形態は本出願の趣旨を逸脱しない範囲で任意に組み合わせることが可能であり、これらを組み合わせた実施形態を本出願の開示内容とする。
【図面の簡単な説明】
【0110】
図1図1は、本出願の方法の好ましい実施形態の概略フロー図を示す。
図2図2は、本出願の方法の別の好ましい実施形態の概略フロー図を示す。
図3図3は、本出願の方法の別の好ましい実施形態の概略フロー図を示す。
図1
図2
図3
【国際調査報告】