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特表2024-502197接触分解触媒、ならびにその製造方法および製造システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】接触分解触媒、ならびにその製造方法および製造システム
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/08 20060101AFI20240110BHJP
   B01J 37/10 20060101ALI20240110BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B01J29/08 M
B01J37/10
B01J37/00 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541774
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 CN2022071293
(87)【国際公開番号】W WO2022148475
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】202110028539.8
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523143774
【氏名又は名称】中石化石油化工科学研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】羅一斌
(72)【発明者】
【氏名】王成強
(72)【発明者】
【氏名】梁維軍
(72)【発明者】
【氏名】舒興田
(72)【発明者】
【氏名】李軍
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼恩会
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA01C
4G169BA02C
4G169BA03C
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA10C
4G169BA16C
4G169BB08C
4G169BC41A
4G169BC41B
4G169BC42A
4G169BC43A
4G169BC44A
4G169BD12C
4G169BE17C
4G169CC07
4G169DA05
4G169EA04Y
4G169EB18Y
4G169EC30
4G169FA01
4G169FB06
4G169FB29
4G169FB63
4G169FB79
4G169FC02
4G169FC05
4G169FC06
4G169FC07
4G169FC08
4G169ZA03A
4G169ZA04A
4G169ZA04B
4G169ZA11A
4G169ZD01
4G169ZD03
4G169ZF02A
(57)【要約】
接触分解触媒の製造方法が提供される。当該方法は:NaYモレキュラーシーブと、希土類塩溶液との接触処理、または、NaYモレキュラーシーブと、希土類塩溶液とアンモニウム塩溶液との混合溶液との接触処理を行い、全て濾過および水洗によって得られる希土類含有NaYモレキュラーシーブ、無機酸化物バインダーおよび天然鉱物を含む原料を混合し、パルプ化し、次いでこれを成形する工程;外部から加えられる圧力、および酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液が外部から添加される雰囲気環境下で、成形物を水熱焼成処理に供する工程;および、次いでアンモニウム交換によってアルカリ金属を除去する工程;を含むことを特徴とする。本発明は、触媒の製造方法を最適化および短縮し、製造コストを低減することができ;製造される触媒は、優れた重油転換能力、高いガソリンおよびディーゼル収率、ならびにより低いコークス選択性を有し;使用される触媒中のモレキュラーシーブの量が、比較的低減されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触分解触媒であって、前記触媒は希土類含有モレキュラーシーブを含み、前記触媒の希土類分散D値は0.8~1、好ましくは0.85~0.99、より好ましくは0.86~0.98である、
ことを特徴とする、接触分解触媒。
【請求項2】
前記希土類含有モレキュラーシーブはFAU構造を有し、好ましくは、前記希土類含有モレキュラーシーブは希土類含有Y型モレキュラーシーブである、
ことを特徴とする、上述の請求項のいずれかに記載の接触分解触媒。
【請求項3】
乾燥基準で100重量%として、前記接触分解触媒は:
10~30重量%の無機酸化物バインダー、
30~50重量%の天然鉱物、および、
20~60重量%の希土類含有モレキュラーシーブ、
を含み;
好ましくは、前記接触分解触媒は:
15~30重量%の無機酸化物バインダー、
33~48重量%の天然鉱物、および、
30~50重量%の希土類含有モレキュラーシーブ、
を含む;
ことを特徴とする、上述の請求項のいずれかに記載の接触分解触媒。
【請求項4】
乾燥基準で、前記接触分解触媒のアルカリ金属含有量(酸化物として)は、0.3重量%以下、好ましくは、0.2重量%以下である、
ことを特徴とする、上述の請求項のいずれかに記載の接触分解触媒。
【請求項5】
前記接触分解触媒の結晶化度保持率は42.5%~45.5%であり、
ここで、
結晶化度保持率(%)=100-(新鮮な試料の結晶化度-熟成した試料の結晶化度)/新鮮な試料の結晶化度×100、であり、
前記熟成した試料は、800℃、100%の水蒸気中で17時間、新鮮な試料を熟成することによって得られることを特徴とする、
上述の請求項のいずれかに記載の接触分解触媒。
【請求項6】
上述の請求項のいずれかに記載の接触分解触媒を製造するための方法であって、前記方法は:
(1)モレキュラーシーブ(例えばNaYモレキュラーシーブ)を、希土類塩溶液または希土類塩溶液とアンモニウム塩溶液との混合溶液と接触させ、得られた前記希土類含有モレキュラーシーブを濾過して水洗する工程;
(2)無機酸化物バインダー、天然鉱物および希土類含有モレキュラーシーブを含む原料を混合し、スラリー化し、成形して、成形体を得る工程;
(3)圧力を外部から加え、酸性物質もしくはアルカリ性物質を含む水溶液を外部から添加する雰囲気条件で、前記成形体を水熱焼成する工程;
(4)工程(3)の生成物をアンモニウム交換する工程;
を含む;
ことを特徴とする、方法。
【請求項7】
前記希土類塩溶液は、塩化ランタン、塩化セリウム、塩化プラセオジム、および塩化ネオジムのうちの1つまたは2つ以上の水溶液から選択され;
前記アンモニウム塩溶液は、塩化アンモニウム溶液、硝酸アンモニウム溶液、炭酸アンモニウム溶液および炭酸水素アンモニウム溶液のうちの1つまたは2つ以上の混合物から選択される、
上述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記モレキュラーシーブと、希土類塩溶液との前記接触、または、前記モレキュラーシーブと、希土類塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との前記接触は、3.0~5.0のpH、5~30のモレキュラーシーブに対する水の重量比、室温~100℃(例えば40~90℃)で行われる、
上述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記希土類含有モレキュラーシーブにおいて、希土類酸化物として、希土類含有量は1~20重量%、好ましくは8~15重量%であり、単位格子定数は2.440~2.470nmであり、結晶化度は30~60%である、
上述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記無機酸化物バインダーは、シリカゾル、アルミナゾル、解膠化擬ベーマイト、シリカアルミナゾルおよびリン含有アルミナゾルから選択される少なくとも1つであり;
好ましくは、前記解膠化擬ベーマイトは、擬ベーマイトおよび水を混合し、スラリー化してスラリーを形成し、酸性化のために前記スラリーに塩酸を添加することによって得られ、乾燥基準で擬ベーマイトに対する前記塩酸の重量比は0.05~0.50であり;
より好ましくは、前記無機酸化物バインダーは、擬ベーマイトおよびアルミナゾルであり、好ましくは(0.1~2):1の重量比である、
上述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記天然鉱物は、カオリン、ハロイサイト、モンモリロナイト、珪藻土、アタパルガイト、セピオライト、ケラマイト、ヒドロタルサイト、ベントナイトおよびレクトライトから選択される少なくとも1つである、
上述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記成形は、噴霧乾燥によるペレット化である、
上述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記酸性物質は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、塩酸、硫酸および硝酸のうちの1つまたは2つ以上の混合物であり;
前記アルカリ性物質は、アンモニア水、アンモニア水および塩化アンモニウムの緩衝液、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムのうちの1つまたは2つ以上の混合物から選択され;
前記雰囲気条件のゲージ圧は、0.01~1.0MPa、例えば0.1~0.8MPa、好ましくは0.3~0.6MPaであり;
前記雰囲気条件は、1~100%の水蒸気、例えば30~100%の水蒸気、好ましくは60~100%の水蒸気を含み;
前記水熱焼成の処理は、300~800℃、好ましくは400~600℃で行われる;
上述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記原料は、ZSM-5モレキュラーシーブをさらに含む、
上述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
請求項1~5のいずれかに記載の接触分解触媒を製造するためのシステムであって、
前記システムは、主に、モレキュラーシーブ(例えばNaYモレキュラーシーブ)-希土類交換装置、原料混合装置、成形装置、および加圧水熱焼成装置から構成され、
前記モレキュラーシーブ-希土類交換装置は、前記希土類塩溶液を導入するための設備、または前記希土類塩溶液および前記アンモニウム塩溶液を導入するための設備、ならびに濾過設備および水洗設備を備え;
前記原料混合装置は、前記モレキュラーシーブ-希土類交換装置から得られる希土類含有モレキュラーシーブと、前記無機酸化物バインダー処理装置からの無機酸化物バインダーとを含む触媒原料を受容し;
前記成形装置は、噴霧乾燥による成形の装置であり;
前記加圧水熱焼成装置は、酸性物質またはアルカリ性物質を含む前記水溶液の注入口、およびガス加圧ジョイントを備える、
ことを特徴とする、システム。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、接触分解触媒の製造方法および製造システムに関し、さらに、本発明は、希土類NaYモレキュラーシーブを含む接触分解触媒の短段階の製造方法および製造システムに関する。
【0002】
〔背景技術〕
接触分解は現在、石油精製において最も重要な生産技術であり、接触分解ユニットは、重油および残渣をガソリン、ディーゼル、および軽質ガス成分に転換するために使用される。工業上、接触分解ユニットは、反応と触媒の高温再生というの2つの部分を含まなければならない。したがって、触媒は、触媒活性および選択性などの要因を考慮する必要がある。他の種類のモレキュラーシーブと比較して、Y型モレキュラーシーブは、分解反応において接触分解触媒の活性成分としてより多く使用され、接触分解触媒においてガソリン範囲の分子生成物を生成する主な機能を有する。
【0003】
希土類が交換された希土類Yモレキュラーシーブは、接触分解触媒の高活性成分である。希土類Yモレキュラーシーブ中の希土類イオンは、スーパーケージからソーダライトケージに移動し、酸素架橋含有多核カチオン構造を形成し、高温水熱環境におけるモレキュラーシーブの酸中心の安定性を向上させ、モレキュラーシーブ触媒の分解活性および活性安定性を改善し、触媒の重油転換活性および選択性を向上させる。しかしながら、NaYモレキュラーシーブを希土類塩の水溶液でイオン交換する場合、約0.79nmの直径を有する水和希土類イオンは、Yモレキュラーシーブの6員環窓(直径約0.26nm)を通ってソーダライトケージに入ることが困難である。したがって、希土類イオンがソーダライトケージおよび六方晶プリズムに入ることができるように、希土類Yモレキュラーシーブの製造中に、希土類イオン周辺の水和層を焼成によって除去しなければならず、焼成処理によってケージ中のナトリウムイオンもスーパーケージに移動し、結果として、焼成は固体イオン間の顆粒内交換を加速し、水溶液中のNH およびRE3+などの他のカチオンを用いたモレキュラーシーブの交換のための条件であって、モレキュラーシーブのNa含有量を減少させる条件を作り出す(USP3402996)。したがって、どのように希土類イオンの移動を促進し、(小ケージ内に)固定可能なカチオン位置での希土類イオンの占有率を改善するかが、希土類Yモレキュラーシーブの性能に直接関係し、希土類Yモレキュラーシーブを活性成分とする触媒の活性安定性に影響を及ぼす。ソーダライトケージへの希土類イオンの移動を促進するために、業界は通常、高温焼成または高温水熱焼成を採用するが、工業焼成炉の材料にはより厳しい要件があることに加えて、過度に高い焼成温度は、ある位置に固定された希土類イオンを大きなケージに戻す傾向がある(Zeolite, 6(4), 235, 1986)。NaYをRE3+で交換した後に得られる希土類NaY(酸化ナトリウム含有量4.5~6.0%)モレキュラーシーブ濾過ケーキを、高温(550~580℃)で焼成して固体イオン交換を行い、その後、水溶液交換によってナトリウムを除去する必要があるのが、現行の工業用焼成技術の実態である。
【0004】
近年の主な課題は、固体イオンの交換度合いをさらに改善する必要があるということである。したがって、モレキュラーシーブの安定性をさらに向上させるために、どのように限られた焼成温度でできるだけ多くの希土類イオンを小ケージ位置に移動させるかが、業界で解決されるべき大きな技術的課題となっている。
【0005】
CN1026225Cは、希土類Yモレキュラーシーブの製造方法を開示している。当該方法は、水溶液中でNaYモレキュラーシーブをRE3+とイオン交換し、次いで100%流動水蒸気中、450~600℃で1~3時間焼成する工程を含む。
【0006】
CN103508467Aは、希土類Yモレキュラーシーブおよびその製造方法を開示している。本方法は、NaYモレキュラーシーブを、希土類塩溶液またはアンモニウム塩と希土類塩溶液との混合溶液と接触させ、濾過し、水洗し、乾燥させ、焼成して、希土類ナトリウムYモレキュラーシーブを製造する工程;次いで、得られたモレキュラーシーブをスラリー化し、アンモニウム塩溶液と接触させ、次いで、濾過、および希土類沈着のためのアルカリ性液体を用いたスラリーのpH値調整をすることなく、希土類塩溶液と直接混合するか、または、希土類ナトリウムYモレキュラーシーブをスラリー化し、アンモニウム塩と希土類塩溶液との混合溶液と接触させ、次いで、希土類沈着のためにアルカリ性液体を用いてスラリーのpH値を調整する工程;次いで、濾過し、乾燥させ、2回目の焼成を行い、希土類Yモレキュラーシーブを製造する工程;を含む。この方法は、希土類の沈着と組み合わせた、2つの交換および2つの焼成の処理を必要とする。
【0007】
従来技術では、焼成処理の制限に起因して、希土類Yモレキュラーシーブにおいて、限られた焼成温度で、小ケージへの希土類イオンの移動中に、一部の希土類イオンがスーパーケージ内に依然として存在し、小ケージへの移動が時間内にできず、その結果、希土類Yモレキュラーシーブの水熱安定性が制限され、今度は、接触分解触媒におけるその重油分解転換能力に影響を及ぼす。
【0008】
現行の工業生産における接触分解触媒の製造方法を図1に示す。NaYモレキュラーシーブを希土類で交換した後、濾過、水洗、乾燥(フラッシュ乾燥)、第1水熱焼成、アンモニウム交換、濾過および水洗、ならびに、乾燥(フラッシュ乾燥)、第2水熱焼成、原料混合および成形(噴霧乾燥)、焼成、後洗浄(アンモニウム交換、濾過、水洗)、乾燥(フラッシュ乾燥)して、接触分解触媒の最終生成物を得る。固体イオンの交換度合いを高めるためには、2つの水熱焼成処理およびもう1つの焼成処理が必要であり、その技術的処理は比較的複雑である。
【0009】
〔発明の概要〕
接触分解触媒における希土類NaYモレキュラーシーブの固体イオン交換度合いを改善する処理が複雑であり、触媒製造方法が比較的複雑であるという従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的の1つは、簡素化された技術的方法を有する触媒製造方法およびそれから得られる接触分解触媒を提供することである。
【0010】
本発明の第2の目的は、上述の簡素化された方法についての製造方法のための製造システムを提供することである。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、接触分解触媒であって、当該触媒は希土類含有モレキュラーシーブを含み、触媒の希土類分散D値は0.8~1、好ましくは0.85~0.99、より好ましくは0.86~0.98であることを特徴とする接触分解触媒を提供する。
【0012】
本発明の接触分解触媒によれば、前記希土類含有モレキュラーシーブはFAU構造を有し、好ましくは、前記希土類含有モレキュラーシーブは希土類含有Y型モレキュラーシーブである。
【0013】
本発明の接触分解触媒によれば、乾燥基準で100重量%として、接触分解触媒は:
10~30重量%の無機酸化物バインダー、
30~50重量%の天然鉱物、および、
20~60重量%の希土類含有モレキュラーシーブ、
を含み;
好ましくは、接触分解触媒は:
15~30重量%の無機酸化物バインダー、
33~48重量%の天然鉱物、および、
30~50重量%の希土類含有モレキュラーシーブ、
を含む。
【0014】
本発明の接触分解触媒によれば、乾燥基準で、接触分解触媒のアルカリ金属含有量(酸化物として)は、0.3重量%以下、好ましくは、0.2重量%以下である。
【0015】
本発明の接触分解触媒によれば、接触分解触媒の結晶化度保持率は42.5%~45.5%であり、ここで、結晶化度保持率(%)=100-(新鮮な試料の結晶化度-熟成した試料の結晶化度)/新鮮な試料の結晶化度×100、であり、熟成した試料は、800℃、100%の水蒸気中で17時間、新鮮な試料を熟成することによって得られる。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、接触分解触媒を製造するための方法を提供し、当該方法は:NaYモレキュラーシーブを、希土類塩溶液または希土類塩溶液とアンモニウム塩溶液との混合溶液と接触させ、濾過して水洗することによって得られた希土類含有NaYモレキュラーシーブ、無機酸化物バインダーおよび天然鉱物を含む原料を混合し、スラリー化し、成形体に成形する工程と;外部から圧力を加え、酸性物質もしくはアルカリ性物質を含む水溶液を外部から添加する雰囲気条件で、成形体を水熱焼成する工程と;次いで、アンモニウム交換してアルカリ金属を除去する工程と;を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の製造方法において、乾燥基準で、接触分解触媒は、10~30重量%の無機酸化物バインダー、30~50重量%の天然鉱物、および20~60重量%の希土類含有NaYモレキュラーシーブを含む。好ましくは、接触分解触媒は、15~25重量%の無機酸化物バインダー、33~48重量%の天然鉱物、および30~50重量%の希土類含有NaYモレキュラーシーブを含む。
【0018】
接触分解触媒のEPMA(電子プローブマイクロアナライズ、または電子プローブマッピングアナライズ)分析を用いると、触媒の希土類D値は、80%以上、好ましくは85%以上である。
【0019】
本発明において、D値は、触媒における希土類原子の分布の均一性を表す。D値が100%に近ければ近いほど、分布はより均一になる。具体的には、触媒(通常、微小球の形状であり、例えば1~150μmの直径を有する)の任意の断面を無作為に選択し、前記断面上で10nmの辺長を有する小さな正方形20箇所を選択し、電子プローブマイクロアナライズ(EPMA)を介して各小さな正方形内の希土類含有量(原子数/原子数)を得て、20箇所の希土類含有量のうちの最低値の、20箇所の希土類含有量の平均値に対する比率を断面のd値とし、互いに50nmを超える間隔を有する5個の断面のd値の平均値を触媒のD値とする。
【0020】
本発明の製造方法において、接触分解触媒は、乾燥基準で0.3重量%以下のアルカリ金属(酸化物として)含有量を有する。
【0021】
本発明の製造方法において、希土類塩溶液は、塩化ランタン、塩化セリウム、塩化プラセオジム、および塩化ネオジムのうちの1つまたは2つ以上の水溶液から選択され;アンモニウム塩溶液は、塩化アンモニウム溶液、硝酸アンモニウム溶液、炭酸アンモニウム溶液および炭酸水素アンモニウム溶液のうちの1つまたは2つ以上の混合物から選択される。
【0022】
本発明の製造方法において、NaYモレキュラーシーブと、希土類塩溶液との接触、または、NaYモレキュラーシーブと、希土類塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との接触は、3.0~5.0のpH、5~30のモレキュラーシーブに対する水の重量比、室温~100℃(例えば40~90℃)で行われる。
【0023】
本発明の製造方法において、前記希土類含有NaYモレキュラーシーブにおいて、希土類酸化物として、希土類含有量は1~20重量%、好ましくは8~15重量%であり、単位格子定数は2.440~2.470nmであり、結晶化度は30~60%である。
【0024】
本発明の製造方法において、前記無機酸化物バインダーは、シリカゾル、アルミナゾル、解膠化擬ベーマイト、シリカアルミナゾルおよびリン含有アルミナゾルから選択される少なくとも1つである。前記解膠化擬ベーマイトは、擬ベーマイトおよび水を混合し、スラリー化してスラリーを形成し、酸性化のためにスラリーに塩酸を添加することによって得られ、乾燥基準で擬ベーマイトに対する前記塩酸の重量比は0.05~0.50である。好ましくは、前記無機酸化物バインダーは、擬ベーマイトおよびアルミナゾルであり、好ましくは(0.1~2):1の重量比である。
【0025】
本発明の製造方法において、前記天然鉱物は、カオリン、ハロイサイト、モンモリロナイト、珪藻土、アタパルガイト、セピオライト、ケラマイト、ヒドロタルサイト、ベントナイトおよびレクトライトから選択される少なくとも1つである。
【0026】
本発明の製造方法において、前記成形は、噴霧乾燥によるペレット化であり、前記成形は、1~150μmの直径を有する微小球を生成する。成形操作は、当業者に周知であり、本明細書では詳細に説明しない。
【0027】
本発明の製造方法において、酸性物質は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、塩酸、硫酸および硝酸のうちの1つまたは2つ以上の混合物から選択される。アルカリ性物質は、アンモニア水、アンモニア水および塩化アンモニウムの緩衝液、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムのうちの1つまたは2つ以上の混合物から選択される。酸性物質またはアルカリ性物質の添加およびその溶解は、1~50%の濃度を有する水溶液をもたらす。酸性物質またはアルカリ性物質の、モレキュラーシーブに対する質量比は、(0.01~0.5):1である。
【0028】
本発明の製造方法において、前記水熱焼成処理は、外圧を加え、水を外部から添加する雰囲気条件で行われる。前記雰囲気条件は、外部から圧力を加え、外部から水を添加することにより生成され、0.01~1.0MPaのゲージ圧を有し、1~100%の水蒸気を含む。好ましくは、前記雰囲気条件は、0.1~0.8MPa、より好ましくは0.3~0.6MPaのゲージ圧を有し、30%~100%の水蒸気、より好ましくは60~100%の水蒸気を含む。前記水熱焼成処理は、300~800℃、好ましくは400~600℃で行われる。外部から加えられる圧力とは、成形体を水熱焼成する処理中に、外部から一定の圧力を加えることを指す。例えば、それは、外部から不活性ガスを導入し、一定の背圧を維持することにより、行うことができる。外部から加えられる水の量は、雰囲気条件が1~100%の水蒸気を含むという要件を満たす。
【0029】
本発明の製造方法において、アンモニウム交換は、触媒中のアルカリ金属含有量を0.3重量%以下(例えば、0.2重量%以下)に低減することであり、通常は、アンモニウム交換に続いて、洗浄および乾燥(例えば、フラッシュ乾燥)を必ず行い、接触分解触媒の最終生成物を生成する。
【0030】
本発明の製造方法において、希土類含有NaYモレキュラーシーブ、無機酸化物バインダーおよび天然鉱物に加えて、前記原料は、ZSM-5モレキュラーシーブも含んでもよい。
【0031】
上記目的を達成するために、本発明は、接触分解触媒の製造システムをさらに提供し、当該システムは、主に、NaYモレキュラーシーブ-希土類交換装置、原料混合装置、成形装置、および加圧水熱焼成装置から構成されていることを特徴とする。
【0032】
前記製造システムにおいて、前記原料混合装置は、希土類塩溶液または希土類塩溶液とアンモニウム塩溶液との混合溶液を接触させることによって得られる希土類含有NaYモレキュラーシーブ、無機酸化物バインダー、および天然鉱物を含む触媒原料を受容する。
【0033】
前記製造システムにおいて、前記成形装置は、噴霧乾燥による成形の装置である。
【0034】
前記製造システムにおいて、水熱焼成装置は、酸性物質もしくはアルカリ性物質を含む水溶液の注入口、およびガス加圧ジョイントを備える。
【0035】
本発明によって提供される製造システムの特定の形態を図2に示す。図2には、NaYモレキュラーシーブ-希土類交換装置において、NaYモレキュラーシーブを、希土類塩溶液と、または希土類塩溶液およびアンモニウム塩溶液と接触させ希土類交換を実行して、希土類含有NaYモレキュラーシーブを生成し、その後、濾過および水洗を行って濾過ケーキを得て;原料混合装置において、希土類含有NaYモレキュラーシーブ、無機酸化物バインダーおよび天然鉱物を含む触媒原料を混合し、噴霧乾燥により成形して;加圧水熱焼成装置において、噴霧乾燥成形体を、酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液と接触させ、加圧処理を行うこと;が示されている。
【0036】
本発明は、以下の技術的解決策を提供する:
1.接触分解触媒を製造するための方法であって、当該方法は:当該方法は:NaYモレキュラーシーブを、希土類塩溶液または希土類塩溶液とアンモニウム塩溶液との混合溶液と接触させ、濾過して水洗することによって得られた希土類含有NaYモレキュラーシーブ、無機酸化物バインダーおよび天然鉱物を含む原料を混合し、スラリー化し、成形体に成形する工程と;外部から圧力を加え、酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液を外部から添加する雰囲気条件で、成形体を水熱焼成する工程と;次いで、アンモニウム交換してアルカリ金属を除去する工程と;を含むことを特徴とする。
【0037】
2.乾燥基準で、前記接触分解触媒は、10~30重量%の無機酸化物バインダー、30~50重量%の天然鉱物、および20~60重量%の希土類含有NaYモレキュラーシーブを含み;好ましくは、15~25重量%の無機酸化物バインダー、33~48重量%の天然鉱物、および30~50重量%の希土類含有NaYモレキュラーシーブを含む、技術的解決策1に記載の製造方法。
【0038】
3.前記接触分解触媒は、乾燥基準で、0.2重量%以下のアルカリ金属(酸化物として)を含む、技術的解決策1に記載の製造方法。
【0039】
4.前記希土類塩溶液は、塩化ランタン、塩化セリウム、塩化プラセオジム、および塩化ネオジムのうちの1つまたは2つ以上の水溶液から選択され;前記アンモニウム塩溶液は、塩化アンモニウム溶液、硝酸アンモニウム溶液、炭酸アンモニウム溶液および炭酸水素アンモニウム溶液のうちの1つまたは2つ以上の混合物から選択される、技術的解決策1に記載の製造方法。
【0040】
5.前記NaYモレキュラーシーブと、希土類塩溶液との前記接触、または、前記NaYモレキュラーシーブと、希土類塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との前記接触は、3.0~5.0のpH、5~30のモレキュラーシーブに対する水の重量比、室温~100℃(例えば40~90℃)で行われる、技術的解決策1に記載の製造方法。
【0041】
6.前記希土類含有NaYモレキュラーシーブにおいて、希土類酸化物として、希土類含有量は1~20重量%、好ましくは8~15重量%であり、単位格子定数は2.440~2.470nmであり、結晶化度は30~60%である、技術的解決策1に記載の製造方法。
【0042】
7.前記無機酸化物バインダーは、シリカゾル、アルミナゾル、解膠化擬ベーマイト、シリカアルミナゾルおよびリン含有アルミナゾルから選択される少なくとも1つである、技術的解決策1に記載の製造方法。
【0043】
8.前記解膠化擬ベーマイトは、擬ベーマイトおよび水を混合し、スラリー化してスラリーを形成し、酸性化のためにスラリーに塩酸を添加することによって得られ、乾燥基準で擬ベーマイトに対する前記塩酸の重量比は0.05~0.50である、技術的解決策7に記載の製造方法。
【0044】
9.前記無機酸化物バインダーは、擬ベーマイトおよびアルミナゾルであり、好ましくは(0.1~2):1の重量比である、技術的解決策8に記載の製造方法。
【0045】
10.前記天然鉱物は、カオリン、ハロイサイト、モンモリロナイト、珪藻土、アタパルガイト、セピオライト、ケラマイト、ヒドロタルサイト、ベントナイトおよびレクトライトから選択される少なくとも1つである、技術的解決策1に記載の製造方法。
【0046】
11.前記成形は、噴霧乾燥によるペレット化である、技術的解決策1に記載の製造方法。
【0047】
12.前記酸性物質は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、塩酸、硫酸および硝酸のうちの1つまたは2つ以上の混合物から選択される、技術的解決策1に記載の製造方法。
【0048】
13.前記アルカリ性物質は、アンモニア水、アンモニア水および塩化アンモニウムの緩衝液、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムのうちの1つまたは2つ以上の混合物から選択される、技術的解決策1に記載の製造方法。
【0049】
14.前記雰囲気条件は、0.01~1.0MPaのゲージ圧を有し、1~100%の水蒸気を含む、技術的解決策1に記載の製造方法。
【0050】
15.前記雰囲気条件は、0.1~0.8MPa、好ましくは0.3~0.6MPaのゲージ圧を有し、30%~100%の水蒸気、好ましくは60~100%の水蒸気を含む、技術的解決策14に記載の製造方法。
【0051】
16.前記水熱焼成処理は、300~800℃、好ましくは400~600℃で行われる、技術的解決策1に記載の製造方法。
【0052】
17.前記原料は、ZSM-5モレキュラーシーブをさらに含む、技術的解決策1に記載の製造方法。
【0053】
18.接触分解触媒の製造システムであって、当該システムは、主に、NaYモレキュラーシーブ-希土類交換装置、原料混合装置、成形装置、および加圧水熱焼成装置から構成されていることを特徴とする、製造システム。
【0054】
19.NaYモレキュラーシーブ-希土類交換装置は、前記希土類塩溶液を導入するための設備、または前記希土類塩溶液および前記アンモニウム塩溶液を導入するための設備、ならびに濾過設備および水洗設備を備える、技術的解決策18に記載の製造システム。
【0055】
20.前記原料混合装置は、NaYモレキュラーシーブ-希土類交換装置から得られる希土類含有モレキュラーシーブと、無機酸化物バインダー処理装置からの無機酸化物バインダーとを含む触媒原料を受容する、技術的解決策18に記載の製造システム。
【0056】
21.前記成形装置は、噴霧乾燥による成形の装置である、技術的解決策18に記載の製造システム。
【0057】
22.前記加圧水熱焼成装置は、酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液の注入口、およびガス加圧ジョイントを備える、技術的解決策18に記載の製造システム。
【0058】
本発明はまた、以下の技術的解決策の群も提供する:
1.接触分解触媒であって、当該触媒は希土類含有モレキュラーシーブを含み、触媒の希土類分散D値は0.8~1、好ましくは0.85~0.99、より好ましくは0.86~0.98であることを特徴とする接触分解触媒;例えば、触媒の任意の断面を無作為に選択し、前記断面上で10nmの辺長を有する小さな正方形20箇所を選択し、電子プローブマイクロアナライズ(EPMA)を介して各小さな正方形内の希土類含有量(原子数/原子数)を得て、20箇所の希土類含有量のうちの最低値の、20箇所の希土類含有量の平均値に対する比率を断面のd値とし、互いに50nmを超える間隔を有する5個の断面のd値の平均値を触媒のD値とすることにより、D値を決定する。
【0059】
2.前記希土類含有モレキュラーシーブはFAU構造を有し、好ましくは、前記希土類含有モレキュラーシーブは希土類含有Y型モレキュラーシーブであることを特徴とする、上述の技術的解決策のいずれかに記載の接触分解触媒。
【0060】
3.乾燥基準で100重量%として、前記接触分解触媒は:
10~30重量%の無機酸化物バインダー、
30~50重量%の天然鉱物、および、
20~60重量%の希土類含有モレキュラーシーブ、
を含み;
好ましくは、前記接触分解触媒は:
15~30重量%の無機酸化物バインダー、
33~48重量%の天然鉱物、および、
30~50重量%の希土類含有モレキュラーシーブ、
を含むことを特徴とする、上述の技術的解決策のいずれかに記載の接触分解触媒。
【0061】
4.乾燥基準で、前記接触分解触媒のアルカリ金属含有量(酸化物として)は、0.3重量%以下、好ましくは、0.2重量%以下である、上述の技術的解決策のいずれかに記載の接触分解触媒。
【0062】
5.前記接触分解触媒の結晶化度保持率は42.5%~45.5%であり、
ここで、
結晶化度保持率(%)=100-(新鮮な試料の結晶化度-熟成した試料の結晶化度)/新鮮な試料の結晶化度×100、であり、
前記熟成した試料は、800℃、100%の水蒸気中で17時間、新鮮な試料を熟成することによって得られることを特徴とする、上述の技術的解決策のいずれかに記載の接触分解触媒。
【0063】
6.上述の技術的解決策のいずれかに記載の接触分解触媒の製造方法であって、当該方法は:
(1)モレキュラーシーブ(例えばNaYモレキュラーシーブ)を、希土類塩溶液または希土類塩溶液とアンモニウム塩溶液との混合溶液と接触させ、得られた希土類含有モレキュラーシーブを濾過して水洗する工程;
(2)無機酸化物バインダー、天然鉱物および希土類含有モレキュラーシーブを含む原料を混合し、スラリー化し、成形して、成形体を得る工程;
(3)圧力を外部から加え、酸性物質もしくはアルカリ性物質を含む水溶液を外部から添加する雰囲気条件で、前記成形体を水熱焼成する工程;
(4)工程(3)の生成物をアンモニウム交換する工程;
を含む;ことを特徴とする、方法。
【0064】
7.前記希土類塩溶液は、塩化ランタン、塩化セリウム、塩化プラセオジム、および塩化ネオジムのうちの1つまたは2つ以上の水溶液から選択され;前記アンモニウム塩溶液は、塩化アンモニウム溶液、硝酸アンモニウム溶液、炭酸アンモニウム溶液および炭酸水素アンモニウム溶液のうちの1つまたは2つ以上の混合物から選択される、上述の技術的解決策のいずれかに記載の方法。
【0065】
8.前記NaYモレキュラーシーブと、希土類塩溶液との前記接触、または、前記NaYモレキュラーシーブと、希土類塩溶液およびアンモニウム塩の混合溶液との前記接触は、3.0~5.0のpH、5~30のモレキュラーシーブに対する水の重量比、室温~100℃(例えば40~90℃)で行われる、上述の技術的解決策のいずれかに記載の方法。
【0066】
9.前記希土類含有NaYモレキュラーシーブにおいて、希土類酸化物として、希土類含有量は1~20重量%、好ましくは8~15重量%であり、単位格子定数は2.440~2.470nmであり、結晶化度は30~60%である、上述の技術的解決策のいずれかに記載の方法。
【0067】
10.前記無機酸化物バインダーは、シリカゾル、アルミナゾル、解膠化擬ベーマイト、シリカアルミナゾルおよびリン含有アルミナゾルから選択される少なくとも1つである、上述の技術的解決策のいずれかに記載の方法。
【0068】
11.前記解膠化擬ベーマイトは、擬ベーマイトおよび水を混合し、スラリー化してスラリーを形成し、酸性化のためにスラリーに塩酸を添加することによって得られ、乾燥基準で擬ベーマイトに対する前記塩酸の重量比は0.05~0.50である、上述の技術的解決策のいずれかに記載の方法。
【0069】
12.前記無機酸化物バインダーは、擬ベーマイトおよびアルミナゾルであり、好ましくは(0.1~2):1の重量比である、上述の技術的解決策のいずれかに記載の方法。
【0070】
13.前記天然鉱物は、カオリン、ハロイサイト、モンモリロナイト、珪藻土、アタパルガイト、セピオライト、ケラマイト、ヒドロタルサイト、ベントナイトおよびレクトライトから選択される少なくとも1つである、上述の技術的解決策のいずれかに記載の方法。
【0071】
14.前記成形は、噴霧乾燥によるペレット化である、上述の技術的解決策のいずれかに記載の方法。
【0072】
15.前記酸性物質は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、塩酸、硫酸および硝酸のうちの1つまたは2つ以上の混合物から選択される、上述の技術的解決策のいずれかに記載の方法。
【0073】
16.前記アルカリ性物質は、アンモニア水、アンモニア水および塩化アンモニウムの緩衝液、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムのうちの1つまたは2つ以上の混合物から選択される、上述の技術的解決策のいずれかに記載の方法。
【0074】
17.前記雰囲気条件は、0.01~1.0MPaのゲージ圧を有し、1~100%の水蒸気を含む、上述の技術的解決策のいずれかに記載の方法。
【0075】
18.前記雰囲気条件は、0.1~0.8MPa、好ましくは0.3~0.6MPaのゲージ圧を有し、30%~100%の水蒸気、好ましくは60~100%の水蒸気を含む、上述の技術的解決策のいずれかに記載の方法。
【0076】
19.前記水熱焼成処理は、300~800℃、好ましくは400~600℃で行われる、上述の技術的解決策のいずれかに記載の方法。
【0077】
20.前記原料は、ZSM-5モレキュラーシーブをさらに含む、上述の技術的解決策のいずれかに記載の方法。
【0078】
18.技術的解決策1~5のいずれかに記載の接触分解触媒の製造システムであって、当該システムは、主に、モレキュラーシーブ(例えば、NaYモレキュラーシーブ)-希土類交換装置、原料混合装置、成形装置、および加圧水熱焼成装置から構成されていることを特徴とする、製造システム。
【0079】
22.前記モレキュラーシーブ-希土類交換装置は、前記希土類塩溶液を導入するための設備、または前記希土類塩溶液および前記アンモニウム塩溶液を導入するための設備、ならびに濾過設備および水洗設備を備える、上述の技術的解決策のいずれかに記載の製造システム。
【0080】
23.前記原料混合装置は、前記モレキュラーシーブ-希土類交換装置から得られる希土類含有モレキュラーシーブと、前記無機酸化物バインダー処理装置からの無機酸化物バインダーとを含む触媒原料を受容する、上述の技術的解決策のいずれかに記載の製造システム。
【0081】
24.前記成形装置は、噴霧乾燥による成形の装置である、上述の技術的解決策のいずれかに記載の製造システム。
【0082】
25.前記加圧水熱焼成装置は、酸性物質またはアルカリ性物質を含む水溶液の注入口、およびガス加圧ジョイントを備える、上述の技術的解決策のいずれかに記載の製造システム。
【0083】
本発明において、割合などの量は、特段言及しない限り、重量による。
【0084】
本発明において、特段言及しない限り、組成物の成分の重量割合の合計は、100重量%である。
【0085】
本発明において、室温とは26℃を指す。
【0086】
本発明において、例えば、1~100%の水蒸気を含むとは、空気雰囲気が、少なくとも1%、または100%の水蒸気雰囲気(純粋な水蒸気雰囲気)の含水率を有することを指す。
【0087】
本発明において、D値は、触媒における希土類原子の分布の均一性を表す。D値が100%に近ければ近いほど、分布はより均一になる。具体的には、触媒(通常、微小球の形状であり、例えば1~150μmの直径を有する)の任意の断面を無作為に選択し、前記断面上で10nmの辺長を有する小さな正方形20箇所を選択し、電子プローブマイクロアナライズ(EPMA)を介して各小さな正方形内の希土類含有量(原子数/原子数)を得て、20箇所の希土類含有量のうちの最低値の、20箇所の希土類含有量の平均値に対する比率を断面のd値とし、互いに50nmを超える間隔を有する5個の断面のd値の平均値を触媒のD値とする。
【0088】
本発明によって提供される製造方法は、製造方法が短いという特徴があり、本方法によって製造される接触分解触媒は、重油の接触分解に使用される場合に、優れた重油転換能力、より高いガソリンおよびディーゼル収率、ならびにより低いコークス選択性を有し;特に触媒中のモレキュラーシーブ含有量を低減する場合、等価転換率を維持し、ガソリンおよびディーゼル収率を増大させるという有益な効果を得ることができる。
【0089】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、従来技術における従来の触媒を製造するためのフローチャートである。
【0090】
図2は、本発明によって提供される触媒を製造するためのフローチャートである。
【0091】
〔詳細な説明〕
接触分解触媒の短段階の製造方法である本発明を、具体的な実施例と関連付けて以下にさらに説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0092】
各実施例および各比較例において、希土類NaYモレキュラーシーブ生成物の単位格子定数および結晶化度は、X線回折(XRD)によって測定した。
【0093】
他の原料の特性は、下記の通りであった:カオリン(Suzhou China Kaolin Company、固形分75重量%)、アルミナゾル(Changling Catalyst Branch、アルミナ含有量21.5重量%)、および擬ベーマイト(固形分10重量%)。
【0094】
EPMA(Model JXA-8230 Electron Probe Microanalyzer)を用いて、試料の断面中の希土類D値を定量的に分析した。具体的には、互いに50nmを超える間隔を有する、試料の5個の断面を無作為に選択し;各断面上で10nmの辺長を有する小さな正方形20箇所を選択し、電子プローブマイクロアナライズ(EPMA)を介して各小さな正方形内の希土類含有量(原子数/原子数)を得て、20箇所の希土類含有量のうちの最低値の、20箇所の希土類含有量の平均値に対する比率を断面のd値とし、5個の断面のd値の平均値を前記試料の希土類D値とする。
【0095】
実施例1
100gのNaYモレキュラーシーブ(Changling Division of Sinopec Catalyst Company、Loss on Ignition:74.1重量%、結晶化度:89.3%、以下同じ)、および1800gの脱イオン水を混合し、撹拌して、スラリーを形成した。357g RE/Lの濃度の希土類塩化物溶液20mL、および塩化アンモニウム固体2gを加えた。スラリーを均一に撹拌し、70℃に加温した。希塩酸を用いてスラリーをpH4.5に調整し、一定温度で1.0時間撹拌し、濾過し、水洗し、乾燥して、希土類NaYモレキュラーシーブを生成した。
【0096】
擬ベーマイトおよび脱イオン水を混合し、撹拌して、スラリーを形成した。得られたスラリーに、36重量%の濃度の塩酸を加えて、解膠した。ここで、酸-アルミナ比(すなわち、乾燥基準での、前記36重量%塩酸の擬ベーマイトに対する重量比)は0.20であった。得られた系を65℃まで加温し、1時間酸性化した。乾燥基準でカオリンスラリーおよびアルミナゾルそれぞれを添加した。混合物を20分間撹拌した後、上記希土類NaYモレキュラーシーブを混合物に加えた。混合物を30分間撹拌して、30重量%の固形分を有するスラリーを生成した。得られたスラリーを噴霧乾燥して、微小球状触媒(直径1~150μm)を得た。
【0097】
圧力を外部から加え、アンモニア水7gを添加した環境中で、100%水蒸気雰囲気中、ゲージ圧0.3MPa、500℃で2時間、前記微小球状触媒を加圧水熱焼成処理に供した。次いで、塩化アンモニウム水溶液(ここで、塩化アンモニウム:微小球状触媒:水=0.2:1:10)を用いて、60℃で、酸化ナトリウム含有量が0.30重量%未満になるまで前記触媒を洗浄し、次いで脱イオン水で洗浄し、数回濾過し、120℃の一定温度のオーブン中で12時間乾燥して、JC-1と表示される触媒試料を生成した。
【0098】
触媒試料JC-1の乾燥基準での組成および分散D値を表1に示した。
【0099】
実施例2
100gのNaYモレキュラーシーブ、および1000gの脱イオン水を混合し、撹拌して、スラリーを形成した。357g RE/Lの濃度の希土類塩化物溶液16mL、および塩化アンモニウム固体8gを加えた。スラリーを均一に撹拌し、60℃に加温した。希塩酸を用いてスラリーをpH4.0に調整し、一定温度で1.5時間撹拌し、濾過し、水洗し、乾燥して、希土類NaYモレキュラーシーブを生成した。
【0100】
擬ベーマイトおよび脱イオン水を混合し、撹拌して、スラリーを形成した。得られたスラリーに、36重量%の濃度の塩酸を加えて、解膠した。ここで、酸-アルミナ比(すなわち、乾燥基準での、前記36重量%塩酸の擬ベーマイトに対する重量比)は0.20であった。得られた系を65℃まで加温し、1時間酸性化した。乾燥基準でカオリンスラリーおよびアルミナゾルそれぞれを添加した。混合物を20分間撹拌した後、上記希土類NaYモレキュラーシーブを混合物に加えた。混合物を30分間撹拌して、30重量%の固形分を有するスラリーを生成した。得られたスラリーを噴霧乾燥して、微小球状触媒(直径1~150μm)を得た。
【0101】
圧力を外部から加え、塩化アンモニウム10gを含む塩化アンモニウム水溶液を添加した環境中で、100%水蒸気雰囲気中、ゲージ圧0.8MPa、430℃で0.5時間、前記微小球状触媒を加圧水熱焼成処理に供した。次いで、塩化アンモニウム水溶液(ここで、塩化アンモニウム:微小球状触媒:水=0.2:1:10)を用いて60℃で、酸化ナトリウム含有量が0.30重量%未満になるまで前記触媒を洗浄し、次いで脱イオン水で洗浄し、数回濾過し、120℃の一定温度のオーブン中で12時間乾燥して、JC-2と表示される触媒試料を生成した。
【0102】
触媒試料JC-2の乾燥基準での組成および分散D値を表1に示した。
【0103】
実施例3
100gのNaYモレキュラーシーブ、および2200gの脱イオン水を混合し、撹拌して、スラリーを形成した。357g RE/Lの濃度の希土類塩化物溶液24mLを加えた。スラリーを均一に撹拌し、70℃に加温した。希塩酸を用いてスラリーをpH3.5に調整し、一定温度で1時間撹拌し、濾過し、水洗し、乾燥して、希土類NaYモレキュラーシーブを生成した。
【0104】
擬ベーマイトおよび脱イオン水を混合し、撹拌して、スラリーを形成した。得られたスラリーに、36重量%の濃度の塩酸を加えて、解膠した。ここで、酸-アルミナ比(すなわち、乾燥基準での、前記36重量%塩酸の擬ベーマイトに対する重量比)は0.20であった。得られた系を65℃まで加温し、1時間酸性化した。乾燥基準でカオリンスラリーおよびアルミナゾルそれぞれを添加した。混合物を20分間撹拌した後、上記希土類NaYモレキュラーシーブを混合物に加えた。混合物を30分間撹拌して、30重量%の固形分を有するスラリーを生成した。得られたスラリーを噴霧乾燥して、微小球状触媒(直径1~150μm)を得た。
【0105】
圧力を外部から加え、炭酸水素アンモニウム12gを含む炭酸水素アンモニウム水溶液を添加した環境中で、100%水蒸気雰囲気中、ゲージ圧0.4MPa、520℃で1.5時間、前記微小球状触媒を加圧水熱焼成処理に供した。次いで、塩化アンモニウム水溶液(ここで、塩化アンモニウム:微小球状触媒:水=0.2:1:10)を用いて60℃で、酸化ナトリウム含有量が0.30重量%未満になるまで前記触媒を洗浄し、次いで脱イオン水で洗浄し、数回濾過し、120℃の一定温度のオーブン中で12時間乾燥して、JC-3と表示される触媒試料を生成した。
【0106】
触媒試料JC-3の乾燥基準での組成および分散D値を表1に示した。
【0107】
実施例4
100gのNaYモレキュラーシーブ、および2800gの脱イオン水を混合し、撹拌して、スラリーを形成した。357g RE/Lの濃度の希土類塩化物溶液28mLを加えた。スラリーを均一に撹拌し、80℃に加温した。希塩酸を用いてスラリーをpH3.8に調整し、一定温度で1時間撹拌し、濾過し、水洗し、乾燥して、希土類NaYモレキュラーシーブを生成した。
【0108】
擬ベーマイトおよび脱イオン水を混合し、撹拌して、スラリーを形成した。得られたスラリーに、36重量%の濃度の塩酸を加えて、解膠した。ここで、酸-アルミナ比(すなわち、乾燥基準での、前記36重量%塩酸の擬ベーマイトに対する重量比)は0.20であった。得られた系を65℃まで加温し、1時間酸性化した。乾燥基準でカオリンスラリーおよびアルミナゾルそれぞれを添加した。混合物を20分間撹拌した後、上記希土類NaYモレキュラーシーブを混合物に加えた。混合物を30分間撹拌して、30重量%の固形分を有するスラリーを生成した。得られたスラリーを噴霧乾燥して、微小球状触媒(直径1~150μm)を得た。
【0109】
圧力を外部から加え、炭酸ナトリウム9gを含む炭酸ナトリウム水溶液を添加した環境中で、100%水蒸気雰囲気中、ゲージ圧0.5MPa、580℃で2時間、前記微小球状触媒を加圧水熱焼成処理に供した。次いで、塩化アンモニウム水溶液(ここで、塩化アンモニウム:微小球状触媒:水=0.2:1:10)を用いて60℃で、酸化ナトリウム含有量が0.30重量%未満になるまで前記触媒を洗浄し、次いで脱イオン水で洗浄し、数回濾過し、120℃の一定温度のオーブン中で12時間乾燥して、JC-4と表示される触媒試料を生成した。
【0110】
触媒試料JC-4の乾燥基準での組成および分散D値を表1に示した。
【0111】
実施例5
100gのNaYモレキュラーシーブ、および2000gの脱イオン水を混合し、撹拌して、スラリーを形成した。357g RE/Lの濃度の希土類塩化物溶液32mLを加えた。スラリーを均一に撹拌し、70℃に加温した。希塩酸を用いてスラリーをpH4.0に調整し、一定温度で1時間撹拌し、濾過し、水洗し、乾燥して、希土類NaYモレキュラーシーブを生成した。
【0112】
擬ベーマイトおよび脱イオン水を混合し、撹拌して、スラリーを形成した。得られたスラリーに、36重量%の濃度の塩酸を加えて、解膠した。ここで、酸-アルミナ比(すなわち、乾燥基準での、前記36重量%塩酸の擬ベーマイトに対する重量比)は0.20であった。得られた系を65℃まで加温し、1時間酸性化した。乾燥基準でカオリンスラリーおよびアルミナゾルそれぞれを添加した。混合物を20分間撹拌した後、上記希土類NaYモレキュラーシーブを混合物に加えた。混合物を30分間撹拌して、30重量%の固形分を有するスラリーを生成した。得られたスラリーを噴霧乾燥して、微小球状触媒(直径1~150μm)を得た。
【0113】
圧力を外部から加え、塩化アンモニウム10gを含む、塩化アンモニウムとアンモニア水との緩衝液を添加した環境中で、100%水蒸気雰囲気中、ゲージ圧0.4MPa、550℃で1.5時間、前記微小球状触媒を加圧水熱焼成処理に供した。次いで、塩化アンモニウム水溶液(ここで、塩化アンモニウム:微小球状触媒:水=0.2:1:10)を用いて60℃で、酸化ナトリウム含有量が0.30重量%未満になるまで前記触媒を洗浄し、次いで脱イオン水で洗浄し、数回濾過し、120℃の一定温度のオーブン中で12時間乾燥して、JC-5と表示される触媒試料を生成した。
【0114】
触媒試料JC-5の乾燥基準での組成および分散D値を表1に示した。
【0115】
実施例6
100gのNaYモレキュラーシーブ、および1800gの脱イオン水を混合し、撹拌して、スラリーを形成した。357g RE/Lの濃度の希土類塩化物溶液20mL、および塩化アンモニウム固体2gを加えた。スラリーを均一に撹拌し、70℃に加温した。希塩酸を用いてスラリーをpH4.5に調整し、一定温度で1時間撹拌し、濾過し、水洗し、乾燥して、希土類NaYモレキュラーシーブを生成した。
【0116】
擬ベーマイトおよび脱イオン水を混合し、撹拌して、スラリーを形成した。得られたスラリーに、36重量%の濃度の塩酸を加えて、解膠した。ここで、酸-アルミナ比(すなわち、乾燥基準での、前記36重量%塩酸の擬ベーマイトに対する重量比)は0.20であった。得られた系を65℃まで加温し、1時間酸性化した。乾燥基準でカオリンスラリーおよびアルミナゾルそれぞれを添加した。混合物を20分間撹拌した後、上記希土類NaYモレキュラーシーブを混合物に加えた。混合物を30分間撹拌して、30重量%の固形分を有するスラリーを生成した。得られたスラリーを噴霧乾燥して、微小球状触媒(直径1~150μm)を得た。
【0117】
圧力を外部から加え、塩酸2gおよび水を添加した環境中で、100%水蒸気雰囲気中、ゲージ圧0.6MPa、430℃で2時間、前記微小球状触媒を加圧水熱焼成処理に供した。次いで、塩化アンモニウム水溶液(ここで、塩化アンモニウム:微小球状触媒:水=0.2:1:10)を用いて60℃で、酸化ナトリウム含有量が0.30重量%未満になるまで前記触媒を洗浄し、次いで脱イオン水で洗浄し、数回濾過し、120℃の一定温度のオーブン中で12時間乾燥して、JC-6と表示される触媒試料を生成した。
【0118】
触媒試料JC-6の乾燥基準での組成および分散D値を表1に示した。
【0119】
実施例7
100gのNaYモレキュラーシーブ、および1800gの脱イオン水を混合し、撹拌して、スラリーを形成した。357g RE/Lの濃度の希土類塩化物溶液20mL、および塩化アンモニウム固体2gを加えた。スラリーを均一に撹拌し、70℃に加温した。希塩酸を用いてスラリーをpH4.5に調整し、一定温度で1時間撹拌し、濾過し、水洗し、乾燥して、希土類NaYモレキュラーシーブを生成した。
【0120】
擬ベーマイトおよび脱イオン水を混合し、撹拌して、スラリーを形成した。得られたスラリーに、36重量%の濃度の塩酸を加えて、解膠した。ここで、酸-アルミナ比(すなわち、乾燥基準での、前記36重量%塩酸の擬ベーマイトに対する重量比)は0.20であった。得られた系を65℃まで加温し、1時間酸性化した。乾燥基準でカオリンスラリーおよびアルミナゾルそれぞれを添加した。混合物を20分間撹拌した後、上記希土類NaYモレキュラーシーブを混合物に加えた。混合物を30分間撹拌して、30重量%の固形分を有するスラリーを生成した。得られたスラリーを噴霧乾燥して、微小球状触媒(直径1~150μm)を得た。
【0121】
圧力を外部から加え、水酸化ナトリウム固体3gおよび水を添加した環境中で、100%水蒸気雰囲気中、ゲージ圧0.8MPa、400℃で2時間、前記微小球状触媒を加圧水熱焼成処理に供した。次いで、塩化アンモニウム水溶液(ここで、塩化アンモニウム:微小球状触媒:水=0.2:1:10)を用いて60℃で、酸化ナトリウム含有量が0.30重量%未満になるまで前記触媒を洗浄し、次いで脱イオン水で洗浄し、数回濾過し、120℃の一定温度のオーブン中で12時間乾燥して、JC-7と表示される触媒試料を生成した。
【0122】
触媒試料JC-7の乾燥基準での組成および分散D値を表1に示した。
【0123】
比較例1~7
比較例1~7は、常圧で水熱焼成することによって得られた触媒の比較試料を説明した。
【0124】
比較例1~7は、焼成条件が常圧(すなわち、ゲージ圧が0MPa)であったことを除いて、それぞれ順に実施例1~7に対応した。得られた接触分解触媒の比較試料を、順に、DBC-1、DBC-2、DBC-3、DBC-4、DBC-5、DBC-6、およびDBC-7と表示した。
【0125】
触媒の比較試料DBC-1、DBC-2、DBC-3、DBC-4、DBC-5、DBC-6、およびDBC-7の乾燥基準での組成および分散D値を表1に示した。
【0126】
参考例1
参考例1は、従来技術における従来の工業用接触分解触媒の製造方法および比較試料を説明した。
【0127】
100gのNaYモレキュラーシーブ(Changling Division of Sinopec Catalyst Company、Loss on Ignition:74.1重量%、結晶化度:89.3%、以下同じ)、および1800gの脱イオン水を混合し、撹拌して、スラリーを形成した。357g RE/Lの濃度の希土類塩化物溶液20mL、および塩化アンモニウム固体2gを加えた。スラリーを均一に撹拌し、70℃に加温した。希塩酸を用いてスラリーをpH4.5に調整し、一定温度で1.0時間撹拌し、濾過し、水洗し、乾燥し、焼成して(1回目)、希土類NaYモレキュラーシーブを生成した。希土類NaYモレキュラーシーブをスラリー化し、アンモニウム塩溶液または酸溶液と接触させた。得られた系を濾過し、水洗し、乾燥し、焼成して(2回目)、希土類NaYモレキュラーシーブの最終生成物を生成した。
【0128】
擬ベーマイトおよび脱イオン水を混合し、撹拌して、スラリーを形成した。得られたスラリーに、36重量%の濃度の塩酸を加えて、解膠した。ここで、酸-アルミナ比(すなわち、乾燥基準での、前記36重量%塩酸の擬ベーマイトに対する重量比)は0.20であった。得られた系を65℃まで加温し、1時間酸性化した。乾燥基準でカオリンスラリーおよびアルミナゾルそれぞれを添加した。混合物を20分間撹拌した後、希土類NaYモレキュラーシーブの上記最終生成物を混合物に加えた。混合物を30分間撹拌して、30重量%の固形分を有するスラリーを生成した。得られたスラリーを噴霧乾燥して、微小球状触媒(直径1~150μm)を得た。
【0129】
前記微小球状触媒を500℃で1時間焼成した。次いで、塩化アンモニウム水溶液(ここで、塩化アンモニウム:微小球状触媒:水=0.2:1:10)を用いて60℃で、酸化ナトリウム含有量が0.30重量%未満になるまで触媒を洗浄し、次いで脱イオン水で洗浄し、数回濾過し、120℃の一定温度のオーブン中で12時間乾燥して、DBC-1Cと表示される触媒試料を生成した。
【0130】
触媒の乾燥基準での組成および分散D値を表1に示した。
【0131】
【表1】
【0132】
試験例1
試験例1は、接触分解触媒試料の水熱安定性の試験結果を説明した。
【0133】
実施例1~7の接触分解触媒試料JC-1~JC-7、比較例1~7の比較試料DBC-1~DBC-7、および参考例1の比較試料DBC-1C、すなわち、新鮮な試料それぞれを、800℃、100%水蒸気下で17時間、水熱熟成して、熟成した試料を生成した。
【0134】
新鮮な試料の単位格子および結晶化度のデータ、ならびに熟成した試料の単位格子および結晶化度のデータを表2に示した。
【0135】
【表2】
【0136】
表2からは、本発明の製造方法を用いて得られた接触分解触媒を、800℃、100%水蒸気下で17時間、水熱熟成させて得られる熟成した試料は、比較的高く、比較試料の結晶化度よりも著しく高い結晶化度を依然として有しており、また、加圧水蒸気の条件で処理した後、大気中の水蒸気中での焼成と比較して、試料は比較的高い水熱安定性を有することができ、水熱安定性が著しく改善されたことが分かる。
【0137】
試験例2
試験例2は、本発明の製造方法を用いて得られた接触分解触媒の技術的効果を説明した。
【0138】
上記触媒試料JC-1~JC-7および比較触媒試料DBC-1~DBC-7それぞれを、800℃、100%水蒸気下で17時間、水熱熟成して、次いで、ACE評価を行った。
【0139】
ACE評価条件:原料油は、ガスオイル(Changling Refinery)と残留オイル(Changling Refinery)との比率8:2のブレンドであり(物理的および化学的特性を表3に示す)、触媒-油比率は5.0であり、反応温度は520℃であり、再生温度は600℃であった。
【0140】
評価結果を表4に示す。
【0141】
【表3】
【0142】
【表4】
【0143】
表4からは、本発明の接触分解触媒は、優れた重油転換能力、およびより高いガソリン収率を有することが分かる。例えば、DBC-1C比較試料(モレキュラーシーブ含有量37%)と比較して、本発明のJC-1試料(モレキュラーシーブ含有量33%)は、優れた重油分解活性、すなわち当量転換率、より高いガソリン収率(1.7%増加)、より高いディーゼル収率(1.1%増加)、およびより低いコークス因子(0.30減少)を示した。
【0144】
実施例8
本実施例は、触媒の乾燥基準での組成において、無機酸化物バインダーの含有量を30%に変更し、天然鉱物の含有量を33%に変更し、希土類含有NaYモレキュラーシーブの含有量を37%に変更したことを除いて、実施例1と同じ方法で実施した。
【0145】
得られた接触分解触媒試料をJC-8と表示した。
【0146】
試料JC-8の乾燥基準での組成および分散D値を表5に示し、新鮮な試料の単位格子および結晶化度のデータ、ならびに熟成した試料の単位格子および結晶化度のデータを表6に示し、ACE評価結果を表7に示した。
【0147】
実施例9
本実施例は、触媒の乾燥基準での組成において、無機酸化物バインダーの含有量を22%に変更し、天然鉱物の含有量を48%に変更し、希土類含有NaYモレキュラーシーブの含有量を30%に変更したことを除いて、実施例1と同じ方法で実施した。
【0148】
得られた接触分解触媒試料をJC-9と表示した。
【0149】
試料JC-9の乾燥基準での組成および分散D値を表5に示し、新鮮な試料の単位格子および結晶化度のデータ、ならびに熟成した試料の単位格子および結晶化度のデータを表6に示し、ACE評価結果を表7に示した。
【0150】
実施例10
本実施例は、触媒の乾燥基準での組成において、無機酸化物バインダーの含有量を15%に変更し、天然鉱物の含有量を35%に変更し、希土類含有NaYモレキュラーシーブの含有量を50%に変更したことを除いて、実施例1と同じ方法で実施した。
【0151】
得られた接触分解触媒試料をJC-10と表示した。
【0152】
試料JC-10の乾燥基準での組成および分散D値を表5に示し、新鮮な試料の単位格子および結晶化度のデータ、ならびに熟成した試料の単位格子および結晶化度のデータを表6に示し、ACE評価結果を表7に示した。
【0153】
比較例8~10
比較例8~10は、常圧で水熱焼成することによって得られた触媒の比較試料を説明した。
【0154】
比較例8~10は、焼成条件が常圧(すなわち、ゲージ圧が0MPa)であったことを除いて、それぞれ順に実施例8~10に対応した。得られた接触分解触媒の比較試料をDBC-8、DBC-9、およびDBC-10と表示した。
【0155】
比較試料DBC-8、DBC-9、およびDBC-10の乾燥基準での組成および分散D値を表5に示し、新鮮な試料の単位格子および結晶化度のデータ、ならびに熟成した試料の単位格子および結晶化度のデータを表6に示し、ACE評価結果を表7に示した。
【0156】
【表5】
【0157】
【表6】
【0158】
【表7】
【0159】
実施例11
本実施例は、天然鉱物としてのカオリンをモンモリロナイトに変更し、バインダーとしての(解膠化擬ベーマイトおよびアルミナゾル)を(解膠化擬ベーマイトおよびシリカ-アルミナゾル)に変更したことを除いて、実施例1と同じ方法で実施した。
【0160】
得られた接触分解触媒試料をJC-11と表示した。
【0161】
試料JC-11の乾燥基準での組成および分散D値を表8に示し、新鮮な試料の単位格子および結晶化度のデータ、ならびに熟成した試料の単位格子および結晶化度のデータを表9に示し、ACE評価結果を表10に示した。
【0162】
実施例12
本実施例は、天然鉱物としてのカオリンをレクトライトに変更し、バインダーとしての(解膠化擬ベーマイトおよびアルミナゾル)を(シリカゾルおよびアルミナゾル)に変更したことを除いて、実施例1と同じ方法で実施した。
【0163】
得られた接触分解触媒試料をJC-12と表示した。
【0164】
試料JC-12の乾燥基準での組成および分散D値を表8に示し、新鮮な試料の単位格子および結晶化度のデータ、ならびに熟成した試料の単位格子および結晶化度のデータを表9に示し、ACE評価結果を表10に示した。
【0165】
【表8】
【0166】
【表9】
【0167】
【表10】
【0168】
本発明において、組成物の成分の重量パーセントの合計は100重量%である。
【0169】
本発明の好ましい実施形態について上記で詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態の具体的詳細に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で、様々な簡単な変更を、本発明の技術的解決策に加えることができる。これらの簡単な変更はすべて、本発明の保護範囲に属する。
【0170】
また、上記特定の実施形態に記載された様々な特定の技術的特徴は、矛盾することがない任意の適切な方法で組み合わせることができることに留意されたい。不必要な繰り返しを避けるために、本発明は、様々なあり得る組み合わせの様式を別個には説明しない。
【0171】
加えて、それらが本発明の思想に反しない限り、本発明の種々の実施形態の様々な組み合わせを任意に組み合わせることも可能であり、それら組合せも本発明の開示内容とみなすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0172】
図1図1は、従来技術における従来の触媒を製造するためのフローチャートである。
図2図2は、本発明によって提供される触媒を製造するためのフローチャートである。
図1
図2
【国際調査報告】